委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
理事 | 池川 友一君 |
理事 | おときた駿君 |
理事 | 石川 良一君 |
つじの栄作君 | |
清水やすこ君 | |
大場やすのぶ君 | |
秋田 一郎君 | |
小磯 善彦君 | |
山田ひろし君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 一名
出席説明員主税局 | 局長 | 目黒 克昭君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小山 明子君 | |
税制部長 | 副島 建君 | |
税制調査担当部長 | 栗原 哲治君 | |
調整担当部長 | 菊澤 道生君 | |
課税部長 | 安藤 敏朗君 | |
資産税部長 | 大久保哲也君 | |
徴収部長 | 川上 秀一君 | |
特別滞納整理担当部長 | 新井 裕二君 | |
会計管理局 | 局長 | 土渕 裕君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 野口 一紀君 | |
警察・消防出納部長 | 加藤 政弘君 | |
会計制度担当部長 | 斎田ゆう子君 |
本日の会議に付した事件
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
主税局関係
報告事項(説明・質疑)
・平成三十年度東京都税制調査会答申について
事務事業について(質疑)
○大松委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び主税局関係の事務事業に対する質疑並びに主税局関係の報告事項の聴取を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○つじの委員 よろしくお願いします。私からは、新公会計制度、統一的な基準への東京都の対応状況等についてお伺いしていきます。
平成二十七年一月、総務省から全国自治体に対し、統一的な基準による財務書類の作成が要請され、今年度までに、全国の大半の自治体で財務書類が出そろうことが見込まれます。
東京都としての統一的な基準への対応状況についてお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 総務省の要請に対しましては、都方式の平成二十九年度財務諸表を統一的な基準に組みかえまして、公営企業や監理団体ほかを含めた連結ベースでの財務書類作成を予定しております。
先月、各局が行うことになる連結範囲や連結に伴う内部取引の相殺作業などについて、財務局と協力しながら、各局担当者向けに説明会を開催いたしました。現在、各局にて作業を開始し、当局では各局に対する支援や問い合わせ対応を実施しているところです。
今後は、各局が作成した資料を統一的な基準による財務書類として取りまとめまして、三十年度末までに公表すべく準備してまいります。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。ただいまの説明で、都方式を統一的な基準に組みかえることが理解できました。
そこで、そもそも都方式と総務省の統一的な基準とはどのような差異があるのか、その違いをご説明いただきたいと思います。また、従来、東京都が採用してきた都方式を今後、東京都としてはどのような方針で取り扱うのかお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 都方式では、企業会計や国際公会計基準に準じた、わかりやすい会計基準を策定しました。例えば、企業会計における損益計算書に相当する行政コスト計算書に、税収を収入として計上することで、当該年度の収支状況の把握が可能となります。
一方、統一的な基準では、税収を収入とは捉えず、純資産変動計算書に記載するなど、都方式とは一部異なる考え方を採用しております。
総務省の要請に対しましては、自治体間の比較可能性を確保する一定の意義があることから対応していきますが、都としては、企業会計に近くてわかりやすい都方式を基本としていく方針に変わりはなく、引き続き、都方式により議会への報告や都民等に対する公表を行ってまいります。
○つじの委員 ただいまご説明いただき、東京都も一自治体として、統一的な基準にも対応していくことが理解できました。また、引き続き都として都方式を基本的方針として行っていくことも確認できました。今後も、これらにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
とりわけ、統一的な基準にきちんと対応していくためには、東京都は、国、総務省とも密に連携を図っていく必要があると考えます。
そこで、現在の東京都と国との連携状況についてお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 昨年度に引き続き今年度も、総務省が設置した有識者や先行自治体で構成された地方公会計の推進に関する研究会に委員として参加しております。研究会では、財務書類等の情報が資産管理や予算編成などにも活用されることを目指し、セグメント分析手法の検討や各指標の検証等について議論しました。
都も、みずからの経験やノウハウを提供する一方、国や全国自治体の動向等を把握するなど、双方向で情報共有を図っております。都方式や統一的な基準といった基準の違いにかかわらず、これまで以上に国との連携は強化されつつあると認識しております。
○つじの委員 都方式や統一的な基準といった違いにかかわらず、これまで以上に国との連携は強化されつつあるとのことでした。
そもそも、都方式によるもの、統一的な基準によるもの、いずれにしても、でき上がった財務諸表を吟味、活用してこそ意味をなすものと私は考えます。
そこで、昨年度の見える化改革において、新公会計制度のさらなる活用へ向けた分析を行っていますが、東京都は、財務諸表の活用に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 昨年度の都政改革本部における見える化改革を通じた分析では、都がこれまでに自治体で初めて財務諸表を作成、公表し、マクロ面で財政運営への反映を進めてきた一方、新公会計制度の特徴を生かしたさらなる活用が求められることを整理しました。
このような状況を踏まえ、都としても、財務諸表から得られた情報をわかりやすく発信するにとどまらず、自治体間連携の強化を図り、活用手法等の情報共有、発信に努めていくとともに、庁内への情報発信や支援に取り組んでいきます。
こうした取り組みを通じ、基準にかかわらず、広く活用促進を図っていくことで、都の行財政運営にも生かしてまいります。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。新公会計制度により得られた情報をさまざまな方面で活用していく旨の力強い説明であったというふうに思います。
今後も、統一的な基準での財務に関する情報等のみならず、従来の都方式によるそれらも十分に生かしていただき、都民にとってわかりやすい情報公開、情報の活用ができますよう望み、私の新公会計制度に関する質問を終わります。
次に、安全な公金管理について質疑いたします。
事業概要に記載があります平成三十年度の公金管理計画によると、会計管理局が管理する公金は、全体で五兆円を超える大きな金額であるとのことです。
公金は、税金など都民からお預かりした資金そのものであり、都民へのサービス提供の大切な原資であることから、当然ながら安全な管理が求められます。このたび、このような視点から、基本的な事項の確認も含めてお伺いしてまいります。
まず、東京都が公金管理の基本原則としている安全性、流動性、効率性の確保について、具体的にはどのようなことを示すものなのかお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 安全性の確保とは、資金元本が損なわれることのないように、安全性の高い金融商品によって資金を管理することであり、都では、健全性にすぐれている金融機関への預金や信用力の高い債券保有などで保管、運用しております。
また、流動性の確保とは、資金の支払いや想定外の資金ニーズに備えて、必要となる資金をあらかじめ確保しておくことであり、都では、支払いのための準備金として、公金の一部を即時に出金できる普通預金や当座預金によって管理しております。
そして、効率性の確保とは、運用収益の最大化を図ることであり、都では、公金全体の資金状況を勘案して、安全性の高い金融商品を選択し、適切な運用期間を設定することで、資金の安全性及び流動性を十分確保した上で、効率性の確保を図っております。
○つじの委員 安全性、流動性、効率性のそれぞれのご説明をいただきました。
次の質問ですが、公金の内訳を見ると、その主たるものとして歳計現金と基金がありますが、それぞれどういったものなのか、また、それらは具体的にどのように保管、運用されているのかお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 歳計現金とは、地方公共団体の歳入歳出に属する現金のことで、一年以内での保管を原則としております。
都では、収支の状況を日々検証、把握した上で、歳計現金を支払い準備金と運用可能資金に区分し、支払い準備金は普通預金や当座預金などで、運用可能資金は定期性預金を基本として保管をしております。
また、基金とは、特定の目的のために積み立てられている財産のことで、現在、都には、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金や防災街づくり基金など三十の基金がございます。
都では、各基金における取り崩しや積み立てなどの資金計画に適切に対応できるよう、定期性預金と債券を中心に管理、運用しております。
○つじの委員 歳計現金、基金についてご説明がありました。非常に明快な説明で、ありがとうございます。公金管理における基本的な事項は確認し、理解することができました。
さて、東京都では、本年四月の公金管理計画の策定に当たって、国際的な経済情勢の変化や金融市場の変動の大きさなどから、金融環境の先行きは不透明感を増しているとの前提を示しております。その後、実際に世界中の金融市場においては多くの変化が生じてきていることは、報道などで明らかとなっております。
そこで、国際的な経済情勢と金融環境について、現時点において東京都はどのようにお考えなのかお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年十一月に公表された日銀の経済物価情勢の展望レポートによれば、まず、国際的な経済情勢につきましては、米国の経済政策やそれが金融市場全体に及ぼす影響、欧州各国や中国などのさまざまな国の経済動向が、今後の我が国における経済のリスク要因として挙げられております。
また、金融環境につきましては、海外の主要国では金融緩和政策から正常化に向けた転換が進められているものの、我が国では日銀による金融緩和政策の目標である物価上昇率二%の達成時期の見通しが後ずれしていることから、当面は、国内金利の低水準を政策的に維持することが想定されております。
都といたしましては、こうした状況を踏まえ、それらが今後の金利動向や金融機関等の経営に与える影響などにつき、十分注視していく必要があると認識しております。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。国際的な経済情勢や金融市場について説明がありました。
一方、日本国内に目を向けると、人口減少や貸出金利の低下などを背景に、上場している地方銀行八十社の、二〇一八年四月から九月の上半期の連結決算は、最終損益は七割の五十六社で減益もしくは赤字となっております。二〇一九年三月期の通期で見ても、上場地方銀行の最終損益合計は二〇一三年の三月期以来、六年ぶりの低水準になる見通しであり、このような国内の地方銀行を初めとする金融機関においては、収益の低下が長期化するのではないかとの見方も出てきているように思われます。
そこで、このような国内の金融機関の状況変化に対して、東京都はどのように対応しているのかお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都はこれまでも、東京都公金管理ポリシーに基づき、金融庁に登録されている格付機関による格付や自己資本比率、預金量の推移等を組み合わせた基準を設定し、この水準を上回る金融機関に限定して預金を行うなど、預金先金融機関の経営状況に応じた厳格な対応を図ってまいりました。
この基準につきましては、金融環境や金融機関の経営状況の変化なども踏まえ、金融アナリストやエコノミストなど金融分野の専門家で構成される東京都公金管理アドバイザリー会議委員の意見を聞きながら、適時適切な見直しを行っております。
具体的には、委員ご指摘のとおり、昨今の金融機関の収益力低下を踏まえ、昨年度には、収益性に係る指標を定量的な評価項目として追加するとともに、金融機関の財務体力をあらわす指標とされます自己資本比率につきましても、国際基準の改正を踏まえ、より高い水準に基準を変更したところでございます。
○つじの委員 ここまで、東京都の公金管理について、基本的な考え方、現状の環境について確認できました。また、状況変化への対応については、具体的な事例を踏まえて説明を受けたところでございます。
金融情勢は目まぐるしく変化するもので、これまでにないリスクが顕在化する可能性もあります。安全な公金管理のために、不断のリスク対応が不可欠であると考えます。
そこで、最後の質問になりますけれども、どのようなリスクが顕在しようとも、万全な対応が求められる公金管理に、東京都は今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○土渕会計管理局長 近年は、金融の国際化の進展と相まって、かつてのリーマンショックがそうであったように、海外の情勢が国内経済に大きなインパクトをもたらす時代となっており、金融機関に内在するリスクは、ますます複雑化、多様化してきていると思われます。
このような状況の中、都が今後、公金管理に関して万全な対応を行っていくためには、多面的な視点から幅広くリスクを想定しておくとともに、顕在化するリスクの端緒を逃さず察知し、迅速な対応を行っていくことが重要であるというふうに認識をしております。
そのためには、先ほどもご答弁申し上げましたように、東京都公金管理アドバイザリー会議の委員を初めとする専門家の知見も活用しながら、公金の預け先に対する評価、分析手法を精緻化していくことに加えまして、金融機関との個別ヒアリングの実施や債券発行体との投資家向けミーティングへの参加などを通じて、公金管理に係る実践的な対応力の向上を図っていくことが必要というふうに考えております。
こうした認識のもと、これまで以上に経済動向や金融情勢などに対する感度を高め、迅速かつ的確なリスク対応を行いながら、安全性の確保を最重要視した公金管理を行うべく、組織一丸となって取り組んでまいります。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。会計管理局長の力強い答弁は、私も都民の一人として大変頼もしく思います。
このたびは、安全な公金管理について基本的なことからお伺いいたしました。公金管理において、完全にリスクをなくすことは困難ですが、それでも都に対しては、ご説明にあったとおり、あらゆる状況でも諸情報などを判断し、リスクを最大限回避する努力を継続し、都民の負託に応えられるよう望むことを表明し、私の質疑を終わりにします。
ありがとうございました。
○小磯委員 まず初めに、新公会計制度から質問をいたします。
東京都は、我が党の提案を受けまして、当時の石原知事の決断で、平成十八年度に全国に先駆けて複式簿記・発生主義による新公会計制度を導入いたしました。
我が党の東村幹事長が、当時、二〇〇二年の三月に、知事は、東京のバランスシートをつくる、こういうことで着手され、平成十三年三月に、機能するバランスシートをつくられましたと--懐かしい言葉でございます、それで、ただ、そこには限界が幾つかあるんじゃないか、財務局長にその限界についてどういう認識があるかという質問をして、当時の安樂財務局長が、現時点では、バランスシートの作成に当たって、例えば決算統計の資料とか公有財産台帳など、官庁会計間での既存のデータに基づいて行わざるを得ないために、例えばコストに関する情報、こういうものをタイムリーに把握するのが非常に難しい、また、公有財産台帳に道路などのインフラ資産が計上されていない、こういう制約があって、必ずしも十分じゃないという答弁をしております。
そこでまた、東村幹事長から、公有財産台帳、道路とかのインフラ資産、これがどうも整備されていなくてなかなか載ってこない、いわゆる資産の、財産の網羅性に欠けてくる、また、決算統計資料は寄附や除却のデータが出てこない、そういった意味で、今度は実在性に欠ける、帳簿上載っているんだけれども、実際にものを調べたら載っていなかった、こういうこともあり得る、これだけの規模で、わずかな差が大きな判断ミスにつながる可能性がある、やはり複式簿記を導入しなきゃいけない、そういうときなんだ、複式簿記と発生主義会計を公会計の中にももう導入できる時代になった、このように考えておりますがということで、それで、当時の石原知事に、今こそ知事の決断を促したいと思います、どうですかと。そうしたら石原知事が、とにかく会計の発想、方法というものを絶対に変えていくことが急務だと私は認識しておりますと。
これが二〇〇二年三月の質疑で、その年の五月三十一日の定例記者会見で、知事が、公会計に複式簿記と発生主義会計を導入する方針を明らかにした、そういう歴史がございまして、それからずっと我が党としてはこの新公会計制度を、本当にいろいろと提案したり、また見守りながらここまでやってきたんだという、そういう思いがございます。
その結果、従来の官庁会計では明らかにならなかった資産や負債などのストック情報、減価償却費や金利などのコスト情報の把握など多くの効果をもたらしたと。また、企業会計や国際公会計の基準にのっとった東京都会計基準を全国で初めて策定し、企業会計に近くてわかりやすい財務諸表としたほか、官庁会計の処理と連動して日々の会計処理の段階から複式簿記のデータを処理する、いわゆる日々仕訳を導入することで、迅速かつ正確な財務諸表の作成、事業別財務諸表の作成も可能となったわけでございます。
このような都の新公会計制度は、対外的には、都の財政状況や主要事業などの都民に対する説明責任であるアカウンタビリティーに活用されてきただけでなく、庁内においても、債権管理や事業評価といった都の行財政運営、つまり都のマネジメントの分析評価にも活用されてきたと大いに評価をしているところでございます。
そこで、本日はこのアカウンタビリティー、またマネジメントということを確認していきたいと思っております。
都はこれまでも、新公会計制度を活用し、都民に対するアカウンタビリティーの向上に向けて取り組んできたところでありますが、新公会計制度は、企業会計に近くてわかりやすくなっているとはいえ、専門的な会計知識を持たない都民にとっては、まだまだわかりやすいとはいいがたいわけでございます。
また、会計基準を取り巻く環境は変化し、世の中の企業会計の動向なども踏まえながら、都は絶えず制度を見直し、最新の正確な財務情報を発信していかなければなりません。
そこで、アカウンタビリティーのさらなる向上に向けた取り組みをお伺いします。
○斎田会計制度担当部長 都はこれまで、正確でわかりやすい財務諸表の発信に取り組んでまいりました。
具体的には、毎年、各局、所への複式直接検査や公有財産台帳等の照合を実施しているほか、平成二十九年度財務諸表では、直近の企業会計の状況等を踏まえて、東京都会計基準の九項目にわたる大規模な見直しを行うなど、財務諸表の精度向上、正確性向上を追求してきました。
また、財務諸表の各項目や決算数字について、図やグラフを使って丁寧に解説した東京都財務諸表概要版を作成するなど、少しでも都民にわかりやすく財務情報が伝わるよう努めております。
ことし九月に公表した平成二十九年度財務諸表の概要版では、東京都会計基準改正のポイント解説や有形固定資産のいわゆる老朽化比率など、財務諸表からわかる指標を新たに追加し、都の財政状況をよりわかりやすくするための新たな工夫に取り組んだところでございます。
○小磯委員 都が財政状況を正確でわかりやすく発信するために、工夫を重ねて取り組んでいることがよくわかったところでございます。都は、正確でわかりやすい財務情報の発信に取り組み、引き続き、このアカウンタビリティーの向上に努めていただきたいと思います。
次に、マネジメントでございますが、平成二十七年一月、総務省から全国自治体に対し、財務書類整備の要請がありました。先ほどもありました。これにより、全国自治体からの財務書類が出そろってくるということで、新公会計制度は新たな段階に移行しつつあると認識をいたします。これからは、財務諸表をつくって終わるのではなく、それをいかに行財政運営のマネジメントに活用していくか、これが重要であります。
このマネジメントへの活用促進に向けて、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
○斎田会計制度担当部長 これまでも都では、官庁会計では見えなかった負債を明らかにして、将来負担を抑制したり、将来の施設更新に備えて基金を積み立てるなど、都のマネジメントに活用してまいりました。現在も、予算編成の一環として実施している事業評価の中で、多面的な検証を行う取り組みの一つとして、新公会計制度を活用しております。
また、新公会計制度は、これまでのつくって見せるという導入の段階から、自治体間での比較や分析など、作成した財務諸表を活用する新たな段階に移行しつつあります。
現在、都では、事業主体である各局が制度を活用しやすいよう、自治体や国との連携を通じて得た活用事例や課題等の情報につきまして、庁内の説明会や研修会などの機会に各局へ提供、フィードバックしております。
こうした取り組みの積み重ねにより、都の行財政運営におけるマネジメントへの活用を促進してまいります。
○小磯委員 都のマネジメントへの活用促進ということで、事業評価での活用とか、また自治体間連携による情報の共有、発信、そして都政へのフィードバック、こういったことに精力的に取り組んでいるということでございます。
ところで、先週、品川区で自治体間連携のイベントが行われたということでございますが、このイベントの概要並びに報告内容についてお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 先週、十一月十五日、品川区立総合区民会館において、全国の自治体関係者等を対象に、公会計推進ミーティング二〇一八を開催し、全国から計六十七自治体の関係者や会計士など二百七十名が参加しました。
今回のミーティングでは、地方公会計を所管する総務省の担当者が初めて登壇いたしまして、現在主催している研究会の内容など、地方公会計の推進に関する最新動向について講演をしてくださいました。また、現場からの報告のほか、普及促進連絡会議の二つの検討部会からも、財務諸表の分析評価手法について中間報告をしました。
中でも、最も先進的な取り組みを行っているといわれる町田市からは、自治体間における類似事業の比較へ向けた事業別財務情報の評価資料と作成手法の標準化について発表がありました。標準的な評価資料の提案とともに、小中学校給食事業についての分析結果と課題について中間報告し、参加した多くの自治体にとっても身近なテーマということで、参加者の関心は非常に大きなものがございました。
○小磯委員 今、答弁の中で、最も先進的な取り組みを行っているといわれる町田市ということでお褒めをいただきました。ありがとうございます。この町田市では、公明党の市議会議員で銀行マン出身がいて、いろいろと提案をしました。また、石阪市長が、東京都のたしか会計管理局長だと思うのですけれども、前のですね、先輩後輩ということもあっていろいろ勧められて、これを導入したという実績があります。
この公会計推進ミーティング二〇一八の当日資料というものを私も読ませていただいて、大変おもしろいというか興味深く読ませていただきました。
今年度から連絡会議のオブザーバーとして参加している千葉県習志野市からの報告にありました施設マイナンバーという取り組みも、大変興味深く読ませていただきました。市のいわゆる施設に番号をつけて、施設ごとに光熱費などの負担額を把握するというものでございまして、まさに制度を上手に活用した事例だというふうに思います。
そこで、都では、この習志野市の施設マイナンバーのような制度の具体的な活用に取り組んでいるのか、その認識といいますかね、その辺をお伺いします。
○斎田会計制度担当部長 習志野市は、制度活用においては先進的な自治体でございまして、今回はその先進的な取り組みを幾つか報告していただきました。施設マイナンバーもその一つでありまして、各施設に係る費用を予算執行の時点で財務会計システム上に入力をし、日々積み上げていくことで、施設ごとの負担額を把握できるようにしたものです。
都の財務会計システムでも、施設別の費用把握までは機能的に難しいことはございますが、会計別から事業別までの財務諸表を作成しまして、それらの財務諸表から得られるストック情報や行政コストの情報を組み合わせることで、決算分析や事業評価を行うことが可能となっております。
都は、各局がこのような機能をより活用しやすくなるよう支援を行っていくとともに、先進的な取り組み事例の共有にも努めてまいります。
○小磯委員 先ほどの答弁にもありましたように、自治体や国との連携を通じて得た活用事例や課題等の情報について、庁内の説明会や研修などの機会に各局へ提供、フィードバックするということで、この施設マイナンバーのことも、ぜひ提供をしていただきたいというふうに思います。
これから、全国の財務書類が出そろって、制度活用に向けた機運がますます高まってまいります。十年以上前の制度導入から見守ってきた我が党としても、これからのさらなる都の取り組みに大いに期待をしているところであります。
都は、新公会計制度の先駆者として、これまで蓄積してきた知見、ノウハウなど、あらゆるリソースを生かし、制度の活用という次のステージにおいても、引き続き中心的な役割を担っていっていただきたいというふうに思います。また、我々もしっかりとサポートしていきたいと思っております。
最後に、今後、都はさらなる制度の活用促進に向けてどのように取り組んでいくのか、局長の決意を伺います。
○土渕会計管理局長 都が新公会計制度を導入した経緯につきましては先ほど委員からご紹介いただきましたけれども、本格導入をした平成十八年度から二十九年度まで、振り返れば既に十二年分の財務諸表を作成、公表してまいりました。その結果、これまで多くの知見やノウハウなどが積み上がってまいりました。
こうした実績をもとに、都は、財務情報を都民にわかりやすく伝えるべく、会計基準見直しや財務諸表概要版の作成など、少しずつ創意工夫を重ねることで、アカウンタビリティーを向上させてきたと認識しております。
しかし、アカウンタビリティーの向上に、これで十分ということ、すなわちゴールはないというふうに考えております。引き続き、公表資料の改善や財務諸表の正確性確保にしっかり取り組むことで、正確でわかりやすい財務情報の発信に努力してまいります。
また、全国的にも制度活用に向けた機運がますます高まりつつあることを、先週の品川区のイベントでも実感をしたところでございます。都は、こういった自治体間の連携から得られた成果を庁内にしっかりフィードバックし、都のマネジメントへの活用促進に向けて全力で取り組んでまいります。
○小磯委員 続いて、官民連携ファンドについて質問いたします。
我が党は、ことし六月に、被災三県の現地視察を行いました。その中で、宮城県のチーム、私も参加をいたしましたけれども、官民連携再生可能エネルギーファンドの投融資先の一つである名取ソーラーウェイを視察いたしました。本太陽光発電所は、津波による被害を受けた宮城県農業高等学校跡地を事業用地として活用し、発電された電力は東北電力株式会社に売電され、固定資産税の支払いなどを通じて地域経済にも貢献をしているところであります。
我が党では、特に再生可能エネルギーの普及、被災地支援等の観点から、官民連携ファンドを取り上げてまいりましたが、本ファンド事業は、それぞれの政策課題に沿って設立されていると認識をしております。
まず、改めて、三つの官民連携ファンドが設立された経緯についてお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、平成二十四年度に、東日本大震災後の電力の安定供給等を目的に、全国を対象として官民連携インフラファンドを組成いたしました。
また、平成二十六年度には、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等を目的に、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象として、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成いたしました。
さらに、平成二十七年度には、子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献を目的に、都内を対象として官民連携福祉貢献インフラファンドを組成いたしました。
○小磯委員 このファンド事業は、ただいまの答弁にありました政策課題の実現とあわせまして、都の資金の呼び水に、民間の資金も合わせた形で事業を推進することが可能であり、この点にも、意義があると理解をしておるところであります。また、都の出資金がファンドからどのように回収されていくのか、基本的なスキームをしっかりと把握していくことも重要であります。
そこで、この資金回収の仕組みについて、具体的にどのようになっているのか伺います。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにおきましては、ファンドからの投融資を通じ発電所が整備された後、電力会社への電気の販売による売電収入等が得られ、これを原資として出資者に対しファンドからの配当が行われております。
また、官民連携福祉貢献インフラファンドにおきましては、ファンドからの投融資を通じ福祉貢献型建物が整備された後、テナントへの建物の賃貸による賃料収入が得られ、これを原資として出資者に対しファンドからの配当が行われます。
いずれのファンドにつきましても、投融資資産を売却した場合は、その売却代金を原資として出資者に配当が行われます。
○小磯委員 資金回収の具体的な仕組みについて答弁がございました。
本ファンド事業においては、スタートとなる平成二十四年度の官民連携インフラファンドの組成から一定の年数が経過しており、都のプレス発表によれば、既に清算結了したファンドもあるなど、都の出資金の回収も着実に進んでいるということでございます。
この三つの官民連携ファンドから、都の出資金の回収状況と、また、これまでの累積回収額と回収割合についてお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンドでは、委員ご指摘のとおり、平成二十九年度に、存続期間満了を迎えて清算結了したファンドの累積回収額が約二十三億六千万円に上ったため、現在、存続中のファンドの累積回収額と合わせた全体の累積回収額は約三十四億一千八百万円となり、出資額三十億円に対する回収割合は約一一三・九%となりました。
官民連携再生可能エネルギーファンドでは、存続期間満了を迎えて清算結了したファンドはなく、平成二十九年度末までの累積回収額は約二億四千六百万円で、出資額十二億円に対する回収割合は約二〇・五%でございます。
官民連携福祉貢献インフラファンドでは、投融資先の福祉貢献型建物の建築工事を行っている段階であり、まだ回収実績はございません。
○小磯委員 特に官民連携インフラファンドについては、回収割合が一一三・九%と、非常に高いものであり、これは是としたいというふうに思います。
ファンドの資金回収は着実に進んでいるようでございますが、この出資には公金が充てられており、ファンドの運営については、引き続き、都としてしっかりと監視ということが大事だというふうに思います。
そこで、改めて、三つのファンドに対する都の運営状況の監視ということでお伺いをいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、法律、会計、投資分野それぞれの専門家の意見を聴取しながら、必要に応じてファンドの運営状況の確認を行うとともに、ファンド運営事業者が意思決定を行う機関へオブザーバーとして参加しております。また、毎年度、監査法人に対しましてファンドの業務執行状況の調査を委託しております。
こうしたことにより、出資者として質問権や検査権を行使しながら、ファンドの運営状況を継続的に監視しております。
○小磯委員 都は、外部の専門家の意見も聞きながら、ファンドの運営状況を監視しているということでございます。
官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドの投融資先は、太陽光発電所の割合が大きいわけでございます。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度における買い取り価格が回収額に大きく影響をするわけであります。
昨今の報道等を見ますと、買い取り価格は年々引き下げられ、平成二十四年度の制度発足当初の一キロワット時の四十円から、今年度は十八円まで引き下げされているわけであります。さらに、国は、事業用について、二〇二二年ごろまでには買い取り価格を現在の半分程度にまで引き下げるという予定でありますが、この固定価格買い取り制度の買い取り価格の引き下げがファンドに及ぼす影響及び今後の資金回収の見込みについてお伺いいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、固定価格買い取り制度の買い取り価格について、国から事業計画承認を取得した時点の価格が二十年間維持されることとなっております。官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドの投融資はいずれも完了しており、各投融資案件の買い取り価格は確定しているため、買い取り価格の引き下げによる各投融資案件への影響はございません。
都といたしましては、運営事業者の投融資によって生じた発電所等からの定期的な配当や投融資資産の売却を通じて、将来にわたって都への着実な配当がなされ、資金回収が適切に進むよう、引き続き、専門家や監査法人等の外部の知見を活用し、ファンドの運営状況の適切な監視に努めてまいります。
○小磯委員 引き続き、ファンドの運営状況の監視を適切に行い、着実な資金回収に努めていただきたいということを申し上げまして、私の質問といたします。
○大場委員 私からは、新公会計制度について何点か質問させていただきます。
東京都が複式簿記そして発生主義による新公会計制度を全国に先駆けて導入してから十年余が経過いたしました。当時、大変画期的なものとして注目を浴びましたこと、世田谷区議会に籍を置いておりました私の印象にも強く残っております。
この間、都は多くの事例、さまざまな経験、そしてノウハウを蓄積してまいりましたが、それにとどまらずに、外部に対して出し惜しみするようなことなく、全国自治体、とりわけ都内自治体に向けて積極的な情報発信を行ってきたわけでございます。新公会計制度の先駆者といたしまして、都は、その責任をしっかり自覚し、行動し、その拡大に貢献してきたといえます。
その一方で、総務省は、平成二十七年一月に、全国自治体に対しまして、統一的な基準による財務書類の作成を要請したとのことですが、都内区市町村においては、その作成から住民への公表までといった一連の対応になかなか苦戦しているとの声も聞いております。
そこで、まずは、都と同様の方式、いわゆる都方式を導入する都内自治体に対する都の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
都はこれまでも、都方式を導入する都内自治体に対しまして、丁寧かつ親身な支援を行ってきたと認識しておりますが、現在の取り組み状況について具体的にお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 支援協定を締結し、都方式の円滑な導入まで支援を行ってきた都内自治体は、全部で十区市です。そのうち今年度までに導入、公表に至った自治体は、町田市、江戸川区、荒川区、福生市、八王子市、中央区、渋谷区の七区市でございます。そして、今後予定している自治体は、今年度運用を開始し平成三十一年度公表予定の世田谷区、板橋区、品川区の三区でございます。
今年度は、運用を開始したばかりの世田谷区、板橋区、品川区からの問い合わせなどに対して、必要に応じて都の職員が実務的な助言を実施しているほか、研修生受け入れなどの人的交流も実施しております。
○大場委員 ただいま都方式を導入した都内の十区市のうち、七区市までが順調に制度の運用を開始し、公表にまで至ったとのご答弁をいただきました。
引き続き、私の地元の世田谷区を含みます三区につきましても、しっかりと支援していただきますことを要望いたします。
続きまして、十区市以外の都方式ではない制度を採用している都内自治体の状況を確認したいと思います。
都方式がすぐれていることは自他ともに認めるところでありますが、それぞれの事情から、総務省の統一的な基準を適用することを選択した自治体もあるわけでございます。
そのため、都は、都方式以外を採用した都内自治体に対しましても、広域的自治体として、かつ制度の先駆者として、しかるべき支援を行う必要があると考えますが、その状況について具体的にお伺いします。
○斎田会計制度担当部長 都方式を導入した都内十区市以外の区市町村は、統一的な基準を採用していますが、都では、平成二十八年度から、これら都内自治体を対象に、制度導入に向けた課題等について定期的に意見交換会を開催しております。
ことし八月には、総務局行政部の都内自治体向け研修会と初めて連携しまして、これまで以上に数多くの都内自治体と意見交換を行いました。各自治体では、現在、固定資産台帳や財務書類の作成に関することや、比較、分析といった活用に関する課題を抱えておりまして、都からは、そういった課題解決の参考とするべく、都自身の取り組み事例を紹介するなど、先行自治体としての経験を踏まえた助言を行い、各自治体からは好評を得たところでございます。
また、今回の意見交換会には、四十四区市町村が参加しましたが、平成二十八年度から累計すると、これまで都内区市町村の約九割の自治体に助言するなど、都方式以外でも都内自治体に対する支援は順調に拡大しております。
○大場委員 ただいまのご答弁で、都方式以外を採用した都内自治体に対しましても、都は適切な支援を行ってきたことが確認できました。着実な支援の継続をよろしくお願いいたします。
さて、支援のメニューの中でも、とりわけ先ほどの答弁にございました研修生受け入れなどの区市町村との人的交流は、人材育成やノウハウ継承といった観点から大変意義のある取り組みであると考えます。
そこで、都内自治体からの研修生のこれまでの受け入れ実績と、その受け入れの効果についてお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 これまで、都方式導入の都内自治体三区二市から十名、都方式以外の都内自治体五区からも五名、計十五名の受け入れ実績がございます。
今年度も、運用を開始したばかりの板橋区、品川区の二区から、昨年度に引き続き各一名の研修生を受け入れ、支援を実施しています。受け入れた研修生は、一年から二年程度、財務諸表作成や各局調整など都の実務を通じてノウハウを学び、それぞれの自治体に持ち帰り、制度導入から運用、さらには活用におきまして、みずから活躍するだけでなく、職員の指導にも貢献するなど、各区市からも評価いただいています。
○大場委員 都での受け入れが、研修生を送り出した区市町村にとって大変役に立っていることが改めて確認できました。
我が都議会自由民主党は、石原知事の時代から、この公会計制度を評価し、その推進に当たっては全面的にバックアップしてまいりました。小池知事には小池知事のお考えがいろいろとあろうかと思いますが、事この新公会計制度につきましては、その意義や重要性、効果について、我々と全く同じ認識であると受けとめております。
都内の全区市町村におきまして、この新公会計制度が完全に根づくことが我々の目指すべきところでありまして、そのためには、都方式であるかそうでないかにかかわらず、都がより一層支援に取り組むことが求められております。
そこで、最後に、新公会計制度にかかわる都内自治体への支援に関して、今後、都としてどのように取り組んでいくご決意なのかをお伺いして、私からの発言を終えたいと思います。この制度に造詣が深い土渕会計管理局長の力強いお言葉をお願いいたします。
○土渕会計管理局長 都はこれまで、東京都方式や総務省の統一的な基準といった基準の違いにかかわらず、制度の先駆者として、あるいは広域自治体として、都内自治体との連携を推進し、それぞれの自治体における制度の円滑な導入、活用が進むよう支援してまいりました。
ことし八月の都内自治体との意見交換会では、作成や活用への問題意識が明らかになるなど、まだまだ多くの自治体において課題を抱えていることを実感したところでございます。早速、ことし冬にも今年度二回目の意見交換会を開催し、より具体的に意見交換や助言ができるよう、テーマを絞ってこれら問題意識の解消にも重点的に取り組んでまいります。
また、都内自治体からの研修生につきましても、今後とも要望があれば積極的に受け入れてまいります。制度を推進していくためには、何よりも人が重要でございます。都は、人材支援の面でも一層の貢献を目指してまいります。それぞれの自治体に戻った研修生の活躍を通じて、支援の輪が広がることを期待しております。
今後とも、都は、都内自治体のコーディネート役としての役割を自覚し、その責任を果たすべく都内自治体のニーズにきめ細かく対応してまいります。現在広まりつつある新公会計制度が都内自治体に定着し、それぞれの自治体の行財政運営にも生かされるよう、局を挙げて全力で取り組んでまいります。
○池川委員 私からは、官民連携福祉貢献インフラファンドについて質問をさせていただきます。
このファンドは、二〇一五年五月に、ファンドマネジャーの募集要項が発表され、十月に決定をいたしました。そして、翌二〇一六年二月に契約を締結したわけでありますが、ファンドマネジャーとして決定していた一つから辞退があったため、二つのファンドでの開始となっております。
最初の投資案件が決定したのは約二年後のことし一月のことです。共産党都議団は、毎年この事務事業質疑の中で、いろいろな角度から問題点を指摘してまいりました。これまで、率直にいって影も形もわからなかったものが、ここになってやっと形としてあらわれてきた段階なのかなというふうに思っております。
まず、基本的なことから伺いますが、官民連携福祉貢献インフラファンドの実績について、現状どうなっているか伺います。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携福祉貢献インフラファンドは、これまでに三件、保育所定員計二百名の福祉貢献型建物への投融資を実施いたしました。
具体的には、大田区南雪谷におきまして、定員八十六名の認可保育所と介護つき有料老人ホームとの複合施設、墨田区緑におきましては、定員六十名の認可保育所と共同住宅等との複合施設、大田区千鳥におきましては、定員五十四名の認可保育所と共同住宅との複合施設となっております。いずれも平成三十一年四月の認可保育所の開設に向け、建築工事を行っているところでございます。
○池川委員 今、答弁ですと、三つ投融資が実施されて、今度の四月からは保育園としてスタートをしていくということでありました。今回建設され、四月にスタートをしようとしている認可保育園の年齢別定員がどうなっているのか、また、共同住宅や介護つき有料老人ホームと併設ということで、安全対策等についてはどのような状況になっているのか確認させてください。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでに投融資を実施いたしました三件の福祉貢献型建物の年齢別定員につきましては、地元区市町村の意向等を踏まえて設定されており、大田区南雪谷の案件は、定員八十六名のうち、一、二歳児がそれぞれ十六名、三、四、五歳児がそれぞれ十八名、墨田区緑の案件は、定員六十名のうち、ゼロ歳児六名、一歳児九名、二歳児十名、三歳児十一名、四、五歳児がそれぞれ十二名、大田区千鳥の案件は、定員五十四名のうち、一歳児十名、二歳児から五歳児がそれぞれ十一名となっております。
また、安全対策等についてでございますが、各福祉貢献型建物は、保育所以外の用途を含むため、保育所と保育所以外とで出入り口を分けるなど、関係法令に従い、地元区市町村等での審査を受けた上で、安全性等の確保に十分配慮しつつ整備を進めております。
○池川委員 この三つの案件について、私も調べさせていただきました。
例えば、大田区千鳥の案件であります。認可保育園の定員は、今、答弁があったとおり、定員五十四人のうち、一歳児十名、二歳児から五歳児がそれぞれ十一名ということであります。ここに入る認可保育園は、現在認証保育園を運営している事業者が認可保育園に移行して、ここの場所で新たに保育園をスタートさせるということです。今、行われている認証保育園の定員について調べてみると、ゼロ歳が九名、一歳が二十名、二歳以上が十一名の定員四十名となっております。
つまり、認可保育園の移行に伴い、定員の構成でいうと、ゼロ歳はゼロになってしまうので九名のマイナス、一歳は十名のマイナスとなります。
大田区の待機児童の状況がどうなっているかといえば、ことし四月時点で、待機児童数は二百五十人。内訳は、ゼロ歳が百三十六人、一歳が八十八人、二歳が二十六人で、三から五歳児はゼロというふうになっています。
つまり、今回の投融資案件によって、結果としてですが、待機児童の約九割を占めるゼロ歳と一歳の定員が減少していくということになっていきます。
これは広く待機児童を解消する一つの事業としてやっているということでありますから、そもそもこうした定員構成が変わって、待機児童の最も手厚くやらなければならないところが減ってしまうということは、そもそもご存じだったのか、そして、こういうことが起こって、待機児童解消に資すると本当にいえるのか、その辺についてのご見解を伺いたいと思います。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 我々もファンド運営事業者とその整備の案件につきましては、これは、やはり地元区市町村の意見を十分に聞きながら進めておりますので、その辺につきましては、意向等を酌んだ形になっているものと理解をしております。
○池川委員 結果としてですけれども、先ほどいったように、待機児で最も今深刻なゼロ歳、一歳が減っていくということになっています。私も最初調べていて、何かの間違いではないかと本当に目を疑いましたが、こうしたところにやっぱり都がきちんと責任を持っていくことが重要ではないかというふうに思います。
この案件ですけれども、一階から三階までが保育園、そして四階から六階までが共同住宅となっていて、保育園を運営するに当たって三階まで使うというのは、なかなか最良の場所というふうにもちょっといいがたいかなというふうに思います。
会計管理局は、昨年三月に、民間ファンドで福祉貢献型建物をつくっていけるのか検討会をつくり、民間におけるファンドを活用した福祉貢献型建物の自律的な整備促進等に関する検討会報告書というのを取りまとめております。この中で、同じ大田区内、駅まで徒歩四分の住宅地に、住宅と保育所をミックスさせた建物をつくった場合に採算がとれるか、モデルケースをつくって検討しております。
このモデルケースでは、延べ床面積が二千七百平米と、今回の物件八百八十平米の約三倍大きいところで検討されていますが、住宅と保育園の面積の割合は、住宅が七に対して保育園が三と、住宅部分の方が多くなって試算をされています。それでも、投資家が期待する利回りを下回っているというのが報告の中身になっています。
今回の、先ほど紹介をした大田区千鳥の物件を見てみると、延べ床面積は八百八十平米、お伺いしたところによりますと、共用部分を抜いた占有面積でいうと全体で七百六十平米程度、うち保育園は四百七十四平米と、実に住宅が四に対して保育園が六というふうになっています。さらに建物の延べ床面積も先ほど述べたように三分の一と、さらに採算性としてはかなり厳しい、既に検討していて厳しいと挙げられていたものからもさらに厳しいような状況に今回なっているわけです。
こういう中で、果たして買い手が最終的につくのか、都の出資を賄ってくれるような買い手がつくのかということを考えると甚だ心もとない状況ではないかといわざるを得ないと思います。買い手がつかなかったり、買いたたかれたりすれば、都民の税金を毀損することになりかねない状況だということは、指摘しておきます。
さらに、このファンドを創設する際に強調されていた福祉関連分野における新たな資金循環システムの構築と、地価の高い東京における福祉関連施設を含む建物及び東京版CCRC、多世代型安心生活コミュニティの促進ということから考えても、今回建設されるこの大田区千鳥の物件でいえば、下三階部分までは保育園、そして上四階、五階、六階では、一Kの共同住宅十一戸ということですから、これとの関係でもそぐわないものになっているというふうに思います。
それでは、ファンドの状況について伺いたいと思いますが、ファンドの規模については、現在どのくらいになっているのでしょうか。また、このファンドは百億円を目標に取り組むということとされていますが、いつごろまでにこれを達成していくのか、また、ファンドが集まらなかった場合にはどのように対応するのかお答えいただきたいと思います。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携福祉貢献インフラファンドの現在の規模につきましては、都の出資額が三十七億五千万円で、都以外からの出資額と合わせた全体のファンド規模は六十億八千万円でございます。本ファンド事業では、新規の投融資案件の実現とあわせ都以外からの追加の出資がふえることで、全体で百億円のファンド規模を目指しております。
ただし、現状におきましては、昨今の金融緩和の影響を受け、市場における不動産投資に対する意欲は旺盛な状況にあり、用地の確保が容易ではない状況にございます。このため、必ずしも、区市町村に子育て支援施設設置の意向がある地域において、投融資候補地が発掘できないこともございます。このような状況にございますが、都としましては、ファンドの契約に定められた期間を通じ、さらなる投融資案件が実現するよう取り組んでまいります。
なお、仮にファンドが集まらなかった場合におきましても、一つでも多く投融資案件を発掘できるよう取り組んでいくことに変わりはございません。
○池川委員 ファンドの規模は、百億円の目標に対して約六割の六十億八千万円、うち東京都が三十七億六千万円であり、現状としては都が六割を出資している状況であります。
しかも、先ほど質疑をさせてもらいました大田区千鳥の案件は、募集も管理も同じグループ企業が行っているという状況になっています。投資を呼び込む呼び水となるというどころか、これでは一つの企業グループを東京都が支援しているということに客観的にはなってしまうのではないかという危惧もあります。さらに、投融資先についても、現状さまざま努力をしていただいていることは承知をしておりますが、実際には、用地確保が容易ではないという認識も先ほどお示しになりました。
福祉貢献型と銘打っているわけでありますが、このファンドを通じて保育園の定員についてはどのぐらいふやすのかということについては目標がないということは、以前の質疑でも明らかになっておりますし、保育園か学童保育が、小さくてもそれが入っていれば、このファンドの対象となるということになっているわけです。税金の使い方としても、本当に適切なのかが問われると思います。
やはり、子育て、介護など採算がとりにくい福祉施設は、投資に委ねるのではなく、国や自治体が責任を持って計画を立て、しっかり財政的に支援していくことこそ必要ではないか、官民連携福祉貢献インフラファンドの率直にいって停滞している状況を見ても、まさにそのことが浮き彫りになっていると私は思います。
福祉施設の整備を民間投資に委ねるよう誘導する政策からはきっぱりと手を切ることを求めて、質問を終わります。
○おときた委員 私からは、都が二〇二〇改革プランとして発表し、会計管理局が所管局として取り組んでいるキャッシュレス対応について何点か質問させていただきます。
キャッシュレス対応は大きく分けて、都庁内でのキャッシュレス化、すなわち支出に関するキャッシュレス化と、都民の皆様が都税などの納付にかかわる上でのキャッシュレス化、すなわち収入に関するキャッシュレス化の二種類があると思います。双方を進めていき、東京都が率先して、日本が世界におくれをとっているキャッシュレス化の進行を促す必要があると考えます。
そこで、初めに、都庁内での支出に関するキャッシュレスについて、現金で支払う件数と金額は現在どの程度残っているのかをお伺いいたします。
○斎田会計制度担当部長 議会局、警視庁を除く平成二十八年度一般会計及び特別会計について、現金による支払い件数は約二十三万件、金額で約六十五億円ございます。具体的には、書籍や郵券の購入等、資金前渡による現金払いなどでございます。
○おときた委員 都庁全体の支出における割合としては少ないかもしれませんが、二十三万件、六十五億円というのは巨大な数字であり、これらのキャッシュレス化も一層図っていく必要があると考えます。
そこで、こうした都庁における現金支出について、キャッシュレス化に向けた目標設定があるのかどうかお伺いをいたします。
○斎田会計制度担当部長 キャッシュレスによる支払いにつきまして、現状では、商店街の個店などカード等による決済に対応していない店舗がいまだ多くございまして、未対応店舗が今後どの程度導入するかということも現状では不透明なため、具体的な目標は設定しておりませんが、カード等の決済が可能な店舗につきましては、少しでもキャッシュレスによる支払いが進むよう努力してまいります。
○おときた委員 まず、足元の都庁からキャッシュレス化を進行させれば、必ずやこの東京、そして日本全体のキャッシュレス化が進んでいくはずです。外部要因があるとはいえ、それはあらゆるビジネスでも同じことであります。ここには明確な目標値を設定していただきまして、より一層の努力を重ねていただきたいと思います。
一方で、給与についてなどは口座振替導入済みとのことで、デビットカードやモバイル決済が職員内で普及していなければ、結局のところ現金をATMなどで引き落としをしようとすることになりますので、真の意味でのキャッシュレス社会にはつながらないとも考えられます。
例えば、都庁内での現金支払いは不可の店舗を増設するなどの対策で、都庁の中から意識を変えていくことも可能ではないかと考えます。
都庁における支出のキャッシュレス化に向けて、会計管理局ではどのような取り組みを行うのかについてお伺いをいたします。
○斎田会計制度担当部長 資金前渡について、現金払いに加えてブランドデビットカード、これはカード利用と同時に銀行口座から代金が引き落としをされまして、クレジットカード対応店舗であれば利用できるカードということでございますが、このカードによる支払いを、平成三十一年一月から一部試行を開始してまいります。
平成三十一年度から試行部署を拡大するとともに、マニュアル作成や研修等を行いまして、平成三十二年度の原則キャッシュレス化に向けまして取り組んでまいります。
○おときた委員 デビットカードの普及、研修といった前向きな取り組みを計画的に行っていることについては評価をいたします。
会計管理局におかれましては、キャッシュレス化推進の先頭に立って、都庁内施設におけるキャッシュレス化の促進などについても、ぜひ局横断的に主張、主導していただきまして、より一層の努力を重ねていただきたいなと思います。
次に、収入面におけるキャッシュレス化についてお伺いいたします。
先日、大阪市の税金が一部LINEペイで支払い可能になるなど、公的機関の収入面でもキャッシュレス化の促進が進んでいます。
都税などの公金の収入についてキャッシュレス化がどの程度進んでいるかについてお伺いをいたします。
○斎田会計制度担当部長 キャッシュレス収納の導入は、最終的には各局が判断することになりますが、会計管理局では制度所管局として、クレジットカードや電子マネーに係る要綱等を整備しておりまして、各局の円滑な導入に向けた支援を行っております。
公金収納のキャッシュレス化の現状についてですが、都税では、クレジットカードや口座振替など多様な収納手段を導入しておりまして、その他の公金では、例えば都立病院の診療費等につきまして、クレジットカードや電子マネーで収納できるようにしております。
○おときた委員 都としても、多様な収納手段の導入を始めていることはわかりました。
しかしながら、まだまだキャッシュレスの割合は低いものにとどまっており、その認知度も十分には高まっていないように感じています。都民にその利便性を周知させ、かつ局として、目標設定をこちらもする必要があるのではないかと考えます。
そこで、公金のキャッシュレス収納についての目標と会計管理局の取り組みについてお伺いをいたします。
○斎田会計制度担当部長 キャッシュレス収納が導入されていない使用料、手数料につきましては、行政改革を所管する総務局とともに、現在、各局調査分析を行っているところでございます。
調査結果も踏まえまして、キャッシュレス収納の課題、導入条件等を検討の上、各局におきましては平成三十一年度以降、順次導入が図られるよう、引き続き支援してまいりますが、最終的にどういった手段によりまして支払うかにつきましては、都民等の判断によるものでございますので、具体的な目標は設定してございません。
○おときた委員 調査分析を行っているという点については前向きに評価をいたしますが、やはりこちらも、外部要因があるとはいえ、具体的な目標がないことは残念です。
こうしたプロジェクトは、明確なビジョンと綿密な計画、そして具体的なアクションが求められます。また、技術やトレンドのサイクルは昔よりもはるかに速いものであり、キャッシュレスの技術やトレンドを東京都として素早く把握をして対応していく必要もあるのではないでしょうか。
現状、LINEペイの導入などを決定した大阪市などに対しておくれをとっているということは明らかであり、こうした機動力のある体制と明確な目標や計画を持って、キャッシュレス化推進を局として行っていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○大松委員長 これより主税局関係に入ります。
初めに、理事者から、平成三十年度東京都税制調査会答申について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○栗原税制調査担当部長 先般、東京都税制調査会において取りまとめられた答申について、その概要をご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料第1号、平成三十年度東京都税制調査会答申の概要をごらんいただきたいと存じます。
初めに、Ⅰ、税制改革の視点でございます。
今回の答申は、1、我が国の将来を見据えた分権改革、2、財政の持続可能性の確保、3、地方税体系のあり方、4、時代の変化に対応した税制度の構築、5、我が国の持続的成長のためにといった視点から提言をいただいております。
次に、Ⅱ、地方法人課税をめぐる喫緊の課題への対応でございます。
1、地方法人課税の意義では、地方自治体が行う行政サービスは、法人の事業活動を支えており、法人には受益に応じた負担を求めることが必要であるとしております。
2、税源の偏在是正では、平成二十八年度税制改正で、消費税率、国、地方の引き上げ及び地方法人税率の引き上げに合わせて、地方法人特別税、同譲与税の廃止、法人事業税への復元が決定されたことに鑑みれば、十年に及ぶ一連の暫定的な偏在是正措置は、これをもって終結したと見るのが妥当であるとしています。そして、国の偏在是正措置は、地方税の存在意義そのものを揺るがし、地方自治の根幹を脅かす行為にほかならず、そのような偏在是正措置を新たに行うべきではないとしております。
3、分割基準のあり方では、財政調整の手段として分割基準を用いることは、行政サービスの受益と法人の事業活動との対応関係をゆがめ、基準そのものに対する信頼を失わせることになるとしております。
4、法人実効税率のあり方では、国の政策に基づく法人実効税率の引き下げは国の責任で対応するべきであり、地方財政に影響を及ぼすべきではないとしております。
5、法人事業税の外形標準課税では、外形標準課税の適用基準については、今後も引き続き、中小法人の負担に十分に配慮しつつ、近年の法人の事業活動形態の変化も踏まえ、法人の規模及び活動実態等を的確にあらわすものとして、資本金以外の指標も組み合わせることなどを検討するべきとしております。
恐れ入りますが、一枚おめくりいただき、二ページをごらんいただきたいと存じます。
次に、Ⅲ、環境関連税制でございます。
1、グリーン化に向けた取り組みでは、税制の一つの基軸に環境を据え、税制のグリーン化を推進していくことは不可欠であるとしております。
2、地球温暖化対策のための税の将来像では、諸外国と比較して日本の税率水準は極めて低いとしております。そして、人々の行動、投資を低炭素なオプションに転換させるために、中長期的な税率の引き上げ見通し等を示すべきとしております。また、税収は幅広い使途に活用できる仕組みとし、国と地方で適切に配分するべきとしております。
3、自動車関連税のあり方では、車体課税をより積極的に環境関連税制として位置づけるため、保有段階でもCO2排出量の要素を取り入れた課税の導入を急ぐべきとしております。そして、税制のグリーン化が進展する反面、自動車関連税収は大幅に減少しており、地方自治体にとってはその充実確保が重要な課題であるとしています。また、電気自動車の普及など将来の自動車をめぐるさまざまな状況の変化を見据え、中長期的な視点から自動車関連税改革を検討するべきとしております。
次に、Ⅳ、地方財政調整制度等における諸課題でございます。
1、地方財政調整制度では、地方税財源の拡充と安定的な地方税体系の構築とあわせて、税収の規模及び増減にかかわらず地方自治体間の財源の不均衡が的確かつ十分に調整されるよう、地方交付税制度の充実を図るべきとしております。
2、地方自治体の基金では、地方全体として基金残高が増加していることを捉えて、地方財政に余裕があるかのような議論や、地方の財源を削減するような議論は、合理的な理由及び根拠がないとしております。そして、不交付団体の基金残高の増加を理由に新たな偏在是正措置を行おうとすることは短絡的な発想であるとしております。
3、ふるさと納税では、ふるさと納税は受益と負担との関係をゆがめる制度であり、抜本的に見直し、寄附の本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとしております。
4、東京における財政需要では、東京が抱えている大都市特有の膨大な財政需要に確実に対応していくためには、地方自治体の財政基盤を安定的かつ持続的に支える地方税財源の拡充が不可欠であり、実現に向けて税制改革を進めていくべきとしております。
平成三十年度東京都税制調査会答申についての説明は以上でございます。
なお、お手元に資料第2号として、答申の本文を配布させていただいておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
○大松委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑とあわせて行いますので、ご了承願います。
次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月九日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料第3号、財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
今回要求のございました資料は三件でございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、資本金区分別法人数及び法人都民税・事業税額でございます。
この表は、資本金一億円以下及び一億円超の区分別に法人数及び法人都民税額、法人事業税額の五年間の推移をお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、都税の滞納整理における差押件数でございます。
この表は、都税の滞納整理における差し押さえ件数を五年度分お示ししたものでございます。
次に、三ページ及び四ページは、要求資料第3号、東京都における超過課税及び主な軽減措置でございます。
この表は、現在、都で実施している超過課税及び主な軽減措置について影響額等をお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大松委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○つじの委員 私からは、東京都税制調査会の答申についてお伺いいたします。
今回の都税調では、地方法人課税と自動車関連税制を大きなテーマとしてまとめたとの報告ですが、これらについて質問していきます。
初めに、いわゆる地方法人課税の偏在是正措置についてですが、これまで、平成二十年度からの導入以降三十年度に至るまで、東京都の影響額が二・七兆円に及ぶと聞いております。
また、平成三十一年度の税制改正に向けて総務省が立ち上げた検討会が、先日、新たな偏在是正措置の報告書をまとめたところでございます。
この偏在是正措置をめぐっては、都としては反対を表明していますが、全国の他の自治体とは意見が異なるように見受けられます。地方の財源が不足しており、そのため国が対策を検討していることは了解の範囲内と考えます。しかしながら、都の税収が他の地方自治体に配分されるこの措置については、東京都議会議員の立場の私としましては大いに問題意識を持たざるを得ません。
税制度に造詣が深い委員で構成されている都税調はどのような見解なのか、お伺いしていきたいと思います。
まず、基本的なことを確認させていただきたいのですが、そもそも国のいう偏在とは何を指しているのかというところでございます。都税調ではどのような見解が示されているのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 都税調の答申では、これまで、地方法人課税の偏在是正措置を実施する際、国は人口一人当たりの税収格差を強調するが、何をもって偏在とみなすのか、合理的な説明を行っていないとしております。
また、東京一極集中の傾向が加速しているとして、国が偏在是正が必要な根拠の一つとしている法人事業税、法人住民税の都道府県別人口一人当たり税収額の最大、最小の倍率を見ても、近年大きな変化はないとしております。
○つじの委員 ご説明いただき、ありがとうございます。
では次に、具体的な内容について質問いたします。
国が強調する都道府県別人口一人当たりの税収額について、ここ数年、地方法人二税では、最小の自治体に対して最大の自治体は何倍になっているのか、また、地方税収全体ではどのようになっているのか同様にお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 法人事業税及び法人住民税を合計した法人二税について、平成二十六年度決算の税収額で見ますと、最小の奈良県に対し最大の東京都は約六・一倍であり、平成二十七年度では六・二倍、平成二十八年度では六・一倍となっております。
また、地方税全体について、平成二十六年度決算の税収額で見ますと、最小の沖縄県に対し最大の東京都は約二・六倍であり、平成二十七年度は二・五倍、平成二十八年度では二・四倍となっております。
○つじの委員 具体的な数値での説明ありがとうございます。東京都の一人当たりの税収が他道府県と比較して多いことを理解することができました。しかしながら、直近の三年間では、決算ベースで最大・最小の倍率をお答えいただきましたが、大きな変化はありません。むしろ地方税全体では、倍率は減少傾向にあるように思えます。こういった状況下で、新たに偏在是正措置が必要なのかは甚だ疑問に思うところでございます。
また、地方自治体の財源としては、このほかに地方自治体間の財政力を調整するための制度として地方交付税制度があります。
そこで、この地方交付税を含めた場合に、東京都の人口一人当たりの数値は全国と比較してどのような結果になるのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 地方交付税による財政調整後の人口一人当たり一般財源の額につきましては、全国平均を一〇〇として、東京都の数値を見ますと、平成二十六年度は九五、平成二十七年度は一〇〇、平成二十八年度は一〇三となっております。
○つじの委員 今のご説明の中にあったように、交付税を加えた人口一人当たりの財源で見れば、東京都は全国で平均程度であるということが明らかになりました。自治体間の財政力の不均衡は既に地方交付税によって調整されているとの解釈もできると思います。
次に、税制度の観点から改めてお伺いいたします。地方自治体が法人に課税する意義というのはそもそも何なのか、また、税理論的な観点から、偏在是正措置について都税調はどのような見解を示しているのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 まず、地方法人課税の意義でございますが、都税調の答申では、地方自治体が行う都市基盤整備及び治安の確保、防災への対応は、法人の事業活動に欠かせない行政サービスである、また、教育、子育て支援、医療、介護、環境対策等は、地域住民の生活を支えるだけでなく、法人の事業活動を支えていることは明らかであり、法人には応分の負担を求めることが必要であるとしております。
次に、偏在是正措置につきましては、税理論的な観点からは、法人が受けた行政サービスに応じて負担する地方税を財政調整の手段として国税化し、応益関係のない地方に配分することは、受益と負担という地方税の重要な原則に反するとしております。
○つじの委員 地方法人課税の意義、税理論的な観点からの偏在是正措置についてのご説明がありました。
ある自治体に企業が集中すれば、その自治体は税収もふえますが、一方で事業活動を支える行政サービスも増加するため相応の財源が必要となるのは、容易に理解ができると思われます。このことは、受益と負担の関係という地方税の原則からも明らかであり、まさに地方自治の根幹となる重要な考え方であると認識しております。
国における税制の議論を見ていて常に考えることは、都の財政需要に対する視点が欠けているというところでございます。財政需要の具体例の一つとしては、高齢化の急速な進行により、東京都の医療や介護など社会保障に関する経費は、他の自治体と比較して累積的に増加する見込みとなっていることが挙げられます。
このほかにも東京都には、首都直下地震への備えといった防災対策に係る経費など膨大な財政需要があります。財政の偏在性について議論する際には、このような大都市である東京都特有の財政需要についても考慮に入れる必要があると私は考えます。
そこで、ここまでさまざまな側面から都税調の見解をお伺いしてきましたが、偏在是正について都税調はどのような評価をしているのか、改めてお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 都税調の答申では、国が偏在是正の名のもとに講じてきた地方法人課税における国税化措置、譲与税化、交付税化は、地方自治体の自主財源である地方税を縮小するものであるとしております。
また、こうした手法は地方税の存在意義そのものを揺るがし、地方自治の根幹を脅かす行為にほかならず、そのような偏在是正措置を新たに行うべきではないとしております。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。私も都税調と同様の認識であると、ここで申し述べておきます。
本来、国が行うべき地方財源の保障の問題を地方自治体の税収格差の問題にすりかえて、東京都ひいては東京都民にとって不合理な偏在是正措置を行うことは、断じて看過することはできません。
そもそも税の原理原則からすると、財政調整の手段として地方税を用いるべきではなく、財政調整の必要があるならば、対症療法的にではなく、本質的な課題解決に向けて、地方交付税制度も含めた税財政制度を抜本的に見直していくのが本来あるべき姿なのではないでしょうか。
私は医師なのですけれども、症状をとるのが目的の対症療法、症状を根本的に治していく根治治療といういい回しをよくします。繰り返しますが、財政調整に関しても、対症療法的ではなく根治治療に当たる税財政制度の抜本的な見直しが必要と考えます。
そこで、偏在是正措置に関して最後の質問になりますが、都税調から出された有意義な答申を今後いかに活用していくのか、主税局長の見解をお伺いします。
○目黒主税局長 東京都税制調査会は、平成十二年の発足以来、地方分権の時代にふさわしい地方税制及び国、地方を通じた税制全体のあり方を検討し、都の立場からだけではなく地方全体の立場からの提言をいただいております。その提言は国を動かす契機となり、また、都の施策にも具体化されてきたところでございます。
本年の答申におきましても、立教大学経済学部教授の池上会長のもと、委員の皆様から、地方税財政制度におけるさまざまな課題に対して、非常に有意義かつ骨太のご提言をいただきました。
現下の我が国を見れば、人口減少、超高齢化が進展し、それぞれの地域がさまざまな課題を抱えており、地域の実情を知る地方自治体が果たすべき役割が、今後ますます大きくなることは明らかでございます。
都税調の答申では、こうした課題を乗り越えるためにあるべき改革の方向性は、地方分権の推進と、それを可能とする地方税財源の拡充であることを提言しております。それは、東京の資源を地方に移転させるような対症療法的な手法ではなく、いわば地方自治の原点に立ち返る真の改革だと受けとめております。
国が検討している新たな偏在是正措置に対しましては、先日、都税調の意見も取り入れた東京都の見解を発表したところでございます。
今後も、都議会の皆様のご協力をいただきながら、都税調の答申を生かして、あらゆる場面で都の主張を展開してまいります。
○つじの委員 力強いご答弁いただき、ありがとうございます。国の不合理な偏在是正措置に対して、東京都民である私たちが理不尽な思いをしないよう、東京都は、今後も強く国に働きかけを続けていただきたいと思います。
次に、環境の視点から自動車関連税についてお伺いしていきます。
自動車関連税は、税源が全国的に広く分布しており、東京都を含め多くの地方自治体にとって重要な財源となっています。自動車の取得や保有に関する課税は財産税的な性格だけではなく、道路損傷や環境負荷に対する負担という側面もあるとお聞きしております。
一方、こうしたいわゆる車体課税については、平成十三年度以降、税制のグリーン化の進展により減税があり、地方自治体の財源が減少しているという懸念もあると思われます。
そこで、税制のグリーン化が導入される以前と直近とを比較した場合の車体課税の税収額及び地方税収の総額に占める割合の変化についてお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 決算額ベースで申し上げますと、税制のグリーン化が導入される直前の年度である平成十二年度における自動車税、自動車取得税、軽自動車税の三税の合計税収は約二兆三千億円、地方税収総額に占める割合は約六・六%となっております。
一方、平成二十八年度におけるこれら三税の合計税収は約一兆九千億円、地方税収総額に占める割合は約四・九%となっております。十二年度と比較いたしますと約四千億円の減収となっておりまして、地方税収総額に占める割合は約一・七ポイント低下しております。
○つじの委員 平成二十八年度と平成十二年度を比較して税収が四千億円減収となっていることがわかりました。
さて、国際的な環境意識の高まりで、地球温暖化等の環境問題の解決のために、CO2排出の抑制が欠かせないのは我々の共通の認識だと考えます。我が国のCO2排出量を見ると、運輸部門、とりわけ自動車からのCO2排出量が多く、減税によるインセンティブを働かせる税制のグリーン化は重要な取り組みであると考えます。
一方、自動車は、地方自治体に道路基盤施設の整備や交通安全対策、排出ガス等への環境対策などの行政需要をもたらしており、このような歳出を考えれば、税制のグリーン化により税収が減少しているのは見過ごすことができない問題であると考えます。
このような現行の車体課税の税制度に対して、都税調はどのような見解を示しているのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 都税調の答申では、低炭素社会の実現に向け、車体課税については、地球温暖化等の環境問題を解決し、持続可能な社会の発展を実現するため、環境重視の考え方を税制に組み込むことで、より積極的に環境関連税制として位置づけていくことが極めて効果的であるとしております。
一方、減収に対しましては、地方自治体は道路行政、交通安全行政、環境行政等を担っており、これらの歳出を考慮すれば、自動車の使用に係る社会的コストは自動車関連税の税収を上回っていると考えられる、こうしたことから、地方自治体にとっては、今後、自動車の所有者に対して適正な負担を求め、自動車関連税を充実確保することが重要な課題となるとしております。
○つじの委員 税制のグリーン化と自動車の所有者に対して適正な負担を求めていくことのどちらも重要であり、また、それらを両立するのに困難が伴うであろうことは理解できました。
こうした状況の中、現在進行形で我が国も、諸外国においても、次世代自動車の普及促進を進めている現状があり、将来的に、従来の化石燃料を使用する動力源搭載の自動車から、電気をそれとする電気自動車等のシェアが高まっていくと考えられます。
今後、従来の自動車の概念が変化する中、現行の税制度において電気自動車等の普及が進んだ場合、自動車関連税収はどのようになるのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 地方税法では、電気自動車等を新車で取得した場合、自動車取得税は非課税となり、自動車税及び軽自動車税は、新車新規登録した年度の翌年度分がおおむね七五%軽減されます。
このことを踏まえまして、都税調の答申では、現行の税制度に照らすと、内燃機関を有しない電気自動車及び燃料電池自動車が普及した場合、自動車関連税収の一層の減収が懸念されるとしております。
○つじの委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、今後、現行制度において、電気自動車等の普及が一層進めば、税収は加速度的に減ずることが予想されると解釈することができると思います。
自動車そのものの技術革新は目覚ましく、それに加えて電気自動車等の普及だけではなく、自動運転やカーシェアリングなど、今後は自動車を所有するという価値観が劇的に変化することが予想されます。それは、東京区部のような公共の交通機関が発達している地域と自動車が生活に欠かせない地域の間でも、違いが顕著になるかもしれません。
こうした未来、将来を想像したときに、環境配慮と財源確保を両立するためには、現行の税制度を抜本的に見直す必要があると考えます。
そこで、将来を見据えた自動車関連税制について、都税調はどのような見解を示しているのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 都税調の答申では、将来の自動車をめぐるさまざまな状況の変化を見据え、税制のグリーン化と税負担のあり方という両面において、中長期的な視点から自動車関連税改革について検討を行っていくべきであるとしております。
さらに、検討の方向性といたしましては、環境配慮へのインセンティブを一層強化し、環境負荷の小さい自動車への転換を促進する一方で、安定的な財源確保のため、例えば課税標準を車体重量または走行距離とする方法も考えられる、また、我が国の少子高齢化、人口減少社会を見据え、地域のまちづくり及び公共交通の利用促進など、政策と連携した税制度を考えることも重要な観点であるとしております。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。地球温暖化防止等の環境の観点や地方の財源確保の観点から、またその両立を考えた場合に、自動車関連税制の改革は非常に重要であると考えます。
今後、中長期的な視点から税制度を検討していくとのことですが、国難ともいうべき少子高齢化及び人口減少社会に伴う社会構造の変化や、それに伴う自動車関連の変化など諸問題を織り込み、都税調には、東京都及び東京都民にとって都民ファーストの視点から有意義な提言があることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○小磯委員 私からも、東京都税制調査会の答申についてお伺いをいたします。
経済のグローバル化が一層進展する一方、いよいよ我が国においては少子高齢化ということで、急激な進展が現実のものになってきているわけでございます。
こうした中、地方分権の時代にふさわしい地方税制を検討するに当たって、その前提として、我が国の少子高齢化や人口減少に対する正しい認識と、将来にわたって地方自治体の行政サービスを安定的に提供していくための財政の持続性の確保の視点、これが欠かせない状況にあるというふうに思います。
そこで、少子高齢、人口減少社会に直面する我が国の現状について、都税調はどのように認識をし、財政の持続性の確保のためにはどのような取り組みが必要と提言をしているのかお伺いをいたします。
○栗原税制調査担当部長 答申では、二〇四〇年ごろを高齢化のピークとする我が国の少子高齢化、人口減少の問題は、これまでの人口増加を前提とした社会システムを根底から変革する必要があるという意味において、国、地方、国民が一致協力して乗り越えるべき重大な危機との基本的な認識を示しております。
こうした現状認識のもと、国民生活に不可欠な行政サービスの提供に必要となる財源を安定的に確保するためには、給付と負担の適正化、歳出全般の効率化や歳入面での見直し、財源確保を通じた財政健全化について、国も地方も、国民、住民との対話に一層努めていくことなどが必要であると提言しております。
○小磯委員 国が今行っている偏在是正措置、これは地方自治体の自主財源の縮小を意味するものであり、地方自治体がみずから増収を図ろうとする自助努力の意欲をそぐということになるんだと思います。地域の産業振興との観点からも問題があるということを申し上げていきたいと思います。
現に、平成二十年度に導入された偏在是正措置による過去十年間での都財政への影響額はマイナス約二・七兆円と膨大な金額でありますが、これまで地方に再配分されてきたこの都税が他の地方の活性化に実際に役に立っているかどうかは、大変気になるところであります。
そこで、この偏在是正措置により都が失った二・七兆円が地方でどのように生かされたのか、その実質的な効果等について答申でどのような指摘がなされているのかお伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 答申では、仮に国が、新たな偏在是正措置の必要性を主張するのであれば、少なくともその前提として、過去十年に及ぶ偏在是正措置による地方への実質的効果及び定量的な最終到達目標が示されてしかるべきだが、いまだ何も示されていないとしております。
○小磯委員 今の、この二・七兆円の効果について何も示していないというところは、本当にけしからぬというふうに思います。
先ほど、公会計推進ミーティング二〇一八というところで、総務省が統一的な基準による地方公会計の推進についてということで講演をやっております。これはまさに財政の見える化を図るというのが総務省の目的であって、そのための財務諸表を皆さんから、地方から集める、こういうことを各地方にいっておきながら、一方で、東京都からの二・七兆円については口をつぐんでいるということは、まことによくないというふうに思っております。
総務省も、例えば、二〇五〇年までに現在人が居住している地域の約二割が無居住化、全国を一キロ平米ごとの地点で見ると、現在の居住地域の二割で人がいなくなったり、六割以上で人口が半分だ、こういう地方の、また我が国の現状を把握していながら、いわゆる抜本的な税制改正ということを議論していないということは、まことにいけないことなんじゃないかなというふうに思っております。
我が党の山口代表が、東京に税収が偏在しているのは悪いことだとレッテルを張って議論するのはおかしい、角を矯めて牛を殺す結果を招いてはならない、こういうことをいっておりまして、角を矯めて牛を殺す結果というのは、ことわざなんですけれどもなかなか難しいことわざなので、私がちょっと解釈いたしますと、牛の曲がった角にこだわって、それを直そうと手を加えているうちに牛を殺してしまうということから、少々の欠点を直そうとして、大事な牛を失ってしまうような損をしてしまうという意味であって、これは本当に大事なものがわかっていないので、小さなことにこだわって根本を損なってしまうということだということで、いわゆる偏在是正措置に、東京から税収を吸い上げてということにばっかり目がいって、本質的な税制改正、また地方の発展、その地方財源の確保ということをどうすればいいのかという議論が欠けているということなんだというふうに思っております。
そこで、我が国の諸課題を解決するためには、本来目指すべき地方税財政改革のあり方という本質的な議論をすべきと考えますが、局長の見解を伺います。
○目黒主税局長 答申にもございますとおり、日本と東京の将来を見据えた本質的な改革といたしましては、地方分権の一層の推進と、その裏づけとなる地方税財源の拡充こそが必要でございます。
また、その実現に向けましては、地方消費税の充実等により、偏在性が小さく安定的な地方税体系の構築をさらに進めることが重要であると認識しております。
今、国が検討しております偏在是正措置は、平成二十八年度税制改正で決まった地方法人特別税の廃止と法人事業税への復元を待たずして、新たな措置をとろうとするものであり、地方自治体の財政運営の予見可能性を損なうものでございます。さらにいえば、地方税は不要という極論に通じる危険な発想に基づくものともいえ、地方税の存在意義そのものを揺るがし、地方自治の根幹を脅かしかねません。
このような不合理な新たな偏在是正措置につきましては、あらゆる機会を捉え、都議会の皆様のご協力をいただきながら、引き続き、国に強く反対していくとともに、本質的な地方税財政改革の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
○小磯委員 実は昨日も、知事、また副知事、それから各区市町村の会長さんが、公明党東京都本部の代表、高木陽介代表、それから太田前公明党代表のところに、偏在是正措置についての申し入れというかお願いというか、来られました。
私もその場に同席をしておりましたけれども、高木代表からは、小手先にそういう財源を水平に移しても意味がない、地方財源どうするのか、全体のパイをどう広げるか総務省は全体像をつくる構想がない、正論をしっかりいっていくというふうにいっておりました。
また、太田前代表も、これからの東京のいろいろな施策という点で、東京の防災というのはやはり他地域とは違って経済的な損失が大変大きい、それにしっかりと急速度に備えていかなきゃいけない、また、東京オリンピック・パラリンピックについても相当な投資が急速度に必要であるということで、安倍政権も成長戦略大事といっている、これからしっかり闘っていきたい、このようなコメントをきのうしておりました。
そんなことで、我が党も偏在是正措置ということをしっかりと我々都議会からも闘ってまいりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
続いて、消費税一〇%への引き上げに伴う低所得者対策でございますけれども、いよいよ消費税の引き上げまで一年を切ったわけでございますが、年金、医療、介護など、今後の我が国の社会保障を支えるための財源確保には消費税率の引き上げが必要であるわけであります。
一方で、消費税は所得の差に関係なく課税されるため、今回の消費税率の引き上げが国民の日常生活にとって負担となることがあってはならない。例えば、諸外国においては生活に必要な食料品などの税率を低くする仕組みが取り入れられているなど、低所得者対策が講じられております。
消費税率一〇%への引き上げに伴う低所得者対策についてお伺いいたします。
○副島税制部長 本年十月、安倍総理は、一〇%への消費税率引き上げとあわせて、軽減税率の導入や引き上げ前後の消費を平準化するための支援を行うことを示しました。
消費税は、高所得者層よりも低所得者層の税負担が相対的に高くなる逆進性があるとされておりまして、軽減税率は、税率一〇%への引き上げに伴う低所得者対策の一つといたしまして、社会保障と税の一体改革において検討されるとされておりまして、平成二十八年度税制改正で導入することが決まっております。
この制度のもとでは、税率一〇%への引き上げ後も、酒類、外食を除く食品及び定期購読契約に基づき週二回以上発行される新聞につきまして現行の八%が適用されます。
なお、軽減税率以外の措置といたしまして、キャッシュレス決済を利用した場合のポイント還元やプレミアム商品券なども、現在、国において検討されております。
○小磯委員 この軽減税率は、国民の声を受けて、我が党がこれまで一貫して必要性を主張して、導入を実現した制度でございます。家計の痛税感を和らげ、生活者の暮らしを守る制度でもあります。
この軽減税率導入について、なかなか困難じゃないのかとかいろいろな声がありますが、実は、海外では、例えばフランス、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど各国で定着をして世界標準の制度になっているわけでございます、こういう軽減税率、複数の税率がですね。そんなことで、こういった各国ができる中で、日本だけができないという話ではないと、このように我々は思っているわけでございます。
それとともに、小売店を初めとした事業者側の対策もしっかり進めなくてはならないということで、補助金というのがちゃんとできております。二〇一六年四月から軽減税率対策補助金という事業が実施されておりまして、レジの導入などの支援ということで、補助上限は一台当たり二十万円ですが、その導入費用の原則三分の二まで補助が出る、また、受発注システムの改修などの支援として、これも補助率は三分の二で、発注システムの補助上限は一千万、受注システムの補助上限は百五十万円ということで、これはもう既に対策補助金が出ておりますので、これから一年弱でございますが、東京の各小規模小売店等については、この補助金をしっかりと使って、消費税増税、また軽減税率の実施に、準備をしていただきたいと、このように思っているわけでございます。
それでは続きまして、納税者の利便性向上ということで質問をさせていただきます。
納税者の利便性向上について、私も納税というよりは水道料金のカード払いというのを、かなり前でございますが質問して、実現をして、今、大分定着をしているわけでありますが、この都税の納付方法についても、コンビニ納税からインターネットバンキングやATMでの納税、クレジットカード納税と、多様化を進め、都民が納付しやすい環境をつくってきたわけでございます。
しかし、納税環境の整備については、個々の地方公共団体の対応に委ねられており、団体ごとに差があります。中でも、法人の電子納税利用率は全国で一%程度と、ほとんど普及をしておりません。
このため、法人が法人都民税や個人住民税の特別徴収など、複数の地方公共団体に納税する際には、納税先によって電子納税と納付書による二重の手続となってしまい、電子納税のメリットが生かされていない、そういう現状があるようであります。
さらに、法人が納付書で納付する際も、地方公共団体ごとに取扱金融機関が異なるため、それぞれの取扱金融機関に出向く必要があって、法人にとって納付事務の負担は大きいということであります。
このような状況を踏まえて、平成三十年度の税制改正大綱では、全国の地方公共団体共通の電子納税の仕組みである地方税共通納税システムを導入することとなりました。
地方税共通納税システムの導入による納税者のメリット、これについてお伺いいたします。
○川上徴収部長 地方税共通納税システムは、全地方公共団体が加入、運営しております地方税電子申告等システムeLTAXの仕組みを活用いたしまして、地方公共団体が共同で収納を行うもので、来年十月一日から稼働する予定でございます。
このシステムを利用いたしますと、法人関係税などのeLTAX取扱税目につきましては、納付書は不要となり、一度の手続で複数の地方公共団体への電子納税が可能となります。個人住民税の特別徴収につきましても、各地方公共団体の個別の納付から一括納付へと煩雑な手続が簡素化するなど、納税者の利便性は大きく向上いたします。
○小磯委員 この地方税共通納税システムの導入は、納税者にとって納税手続の効率化につながり、格段に納税環境が改善をされます。
都では既に、eLTAXを活用してインターネットバンキングによる電子納税ができる仕組みではありますが、収納件数は全体の〇・一%ということであります。この仕組みでは、インターネットバンキングを利用する際に暗証番号の入力が必要であるため、税理士等が代理で納付するのは難しいということが課題になっているわけであります。
地方税共通納税システムでは、この課題を解決できるよう新しい納付方法を導入するということでございますが、その内容についてお伺いいたします。
○川上徴収部長 地方税共通納税システムでは、事前に登録した金融機関口座から指定した期日に税額を引き落とすことができる納付方法、いわゆるダイレクト方式を、地方税の法人関係税では初めて導入いたします。
この方式では、税理士等の代理人が申告から納付に至るまで一貫して効率的に手続を行うことができることとなります。さらに、登録は複数の口座が可能であり、納付する際に引き落とし口座を選択することができるなど納税者や税理士等にとって利便性が高い納付方法でございます。
○小磯委員 電子申告は税理士など代理の方がされても、納付については銀行の窓口などで納付する事業者の方も多いのではないかと思います。
地方税共通納税システムは、地方公共団体別に分けずに一括で納付できる上に、納付日を指定して口座引き落としもできるなど納税者の利便性は大きく向上いたします。今後は、このシステムの利便性について納税者に周知徹底するよう、利用率の拡大に向けた広報活動に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、固定資産税等の納付方法については、口座振替の利用件数が最も多く、主要なものとなっております。しかし、引き落とし口座を登録するには、依頼書の記入、押印が必要で、かつ申し込んでから振替まで五十日程度を要すると聞いております。
このことに関して、ことしの第一回定例本会議で、我が党のけいの信一都議が、口座振替手続を簡単かつ迅速にできるように質問をしたところ、いわゆるウエブ口座振替の仕組みを検討し、平成三十一年度から導入を予定しているということでありました。
ウエブ口座振替の特徴と現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
○川上徴収部長 ウエブ口座振替申し込み受付サービスは、インターネットを活用して、納税者がパソコンやスマートフォンで即時に手続を完了することができるものでございます。納税者が口座振替依頼書へ記入、押印して提出する必要がなくなる上に、口座引き落としまでの期間が二十日程度に短縮され、納税通知書が届いた後でも、第一期の納期からの利用が可能となります。
このように、納税者の利便性向上に大きく貢献するサービスであり、都道府県での導入は初めてでございます。
現在、サービス専用サイトを構築するとともに、金融機関と調整を行っており、納税者が安全に安心して利用できるシステムとなるよう準備を進めているところでございます。平成三十一年四月一日からの利用開始に向けて、納税者の皆様に広く普及促進を図ってまいります。
○小磯委員 納税者の利便性向上に寄与するよう、積極的に取り組んでいただくことを要望して終わります。
○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時五分休憩
午後三時二十分開議
○大松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○早坂委員 現在、国が検討している新たな偏在是正措置について伺います。
国は、東京ひとり勝ち論をかざし、これまでも東京の財源を狙い撃ちにした税制改正を繰り返してまいりました。さらに国は、平成三十一年度税制改正に向けて、新たな偏在是正措置の具体的な制度設計まで検討を進めており、東京都への影響額は、現状プラス数千億円規模との報道もなされています。今後の東京都財政にとって大変重要な局面にあります。
そこで、大きく二つに分けて議論を進めてまいりたいと存じます。
最初に、現在国が行い、また新たに検討している偏在是正措置がいかに理屈に合わないおかしなものかということ、次に、そのおかしなことを国が強行しないように、あるいは強行した場合でもそこで東京都がこうむる損害をいかにして減らすかということ、この二つであります。
まず、現在実施されている偏在是正措置の概要と、平成三十年度予算への影響額について伺います。
○副島税制部長 国は、地域間の税源偏在を是正する観点から、平成二十年度税制改正におきまして、法人事業税の一部を地方法人特別税として国税化いたしまして、譲与税として都道府県に配分する措置を導入いたしました。その後、平成二十六年度税制改正では、法人住民税の一部を国税化し、地方交付税として自治体に配分する措置を導入いたしました。
これらの措置による都への影響額は、平成三十年度当初予算で、約四千六百億円の減収と見込んでおります。
なお、平成二十八年度税制改正により、消費税率一〇%段階での実施が決まっております法人住民税の交付税原資化の拡大等により、影響額はさらに約四百億円拡大し、平年度ベースで年間約五千億円となる見込みでございます。
○早坂委員 年間四千六百億円という膨大な都民の税金が、現在でも他の地方に再配分されており、これまでの累計では二兆七千億円にも上っています。加えて、昨年度行われた地方消費税の清算基準見直しによる一千億円を含めれば、都民は、現在でも毎年五千六百億円を超える税金が国に奪われています。さらに消費税率一〇%段階での措置を加えれば、その影響が生じる平成三十二年度以降、東京都が国に奪われる税金は毎年六千億円を超えることになります。
今後、東京都には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのほか、増大する社会保障関係費、インフラの更新費、豪雨対策を初めとする防災対策費など膨大な財政需要が発生することは明らかであります。そうした状況下で、六千億円のほかに数千億円ともいわれる新たな措置が行われれば、合わせて実に一兆円、将来の都財政に大きな支障が生じるのは必至であります。
こうした状況を鑑みれば、今年度の税制改正は、東京の持続可能性に禍根を残しかねない大変重要なテーマであり、大きな危機感を持って戦略的に対応すべきものであります。
そこで、先月取りまとめのあった東京都税制調査会において、学識経験者などからは、新たな偏在是正措置に対し、税理論的な観点からどのような提言がなされたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 東京都税制調査会の答申では、受益と負担という地方税の重要な原則に反するとしております。
また、税制を検討する場合には、税収と財政需要の双方の観点を踏まえるべきであって、税収の多寡のみで財政力格差を捉えるのは適切ではないことも指摘し、地域間の財源の不均衡の調整は地方交付税制度で行われるべきとしております。
その上で、結論といたしまして、地方自治体の自主財源である地方税を縮小させる新たな偏在是正措置は行うべきではないとしております。
○早坂委員 東京都税制調査会の答申の考え方はわかりました。
国でも、総務省が設置した地方法人課税に関する検討会において、同じく学識経験者などにより議論が行われました。この十一月二十日に行われた国の検討会における内容について伺います。
○副島税制部長 国におきましては、平成三十年度与党税制改正大綱等を踏まえまして、地方財政審議会のもとに地方法人課税に関する検討会を設置いたしまして、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置等について検討が行われました。
十一月二十日に公表されました報告書では、地方分権を推進するためには、地方税の充実確保が重要としながらも、地域間の財政力格差が拡大している状況等を踏まえれば、都市と地方がともに支え合い、ともに持続可能な形で発展するために、新たな偏在是正措置が必要であるとしております。
新たな措置は、法人事業税の一部を一旦国税化し、人口を基準に譲与税として都道府県に配分する方策を基本とし、地方交付税の原資とする選択肢も示しております。また、その期間につきましては、将来に向かって安定した制度とすべきとしております。
○早坂委員 国の検討会では、新たな偏在是正措置を実施する必要性に関して、ここ数年の好景気により地域間の財政力格差が拡大していることを主なポイントとしているようであります。この点、東京都税制調査会答申においては、平成二十八年度税制改正で決着済みであるとしており、学識経験者の間でも考え方に大きな開きがあります。
そこで、平成二十八年度税制改正で決着済みという考え方について、改めて主税局の見解を伺います。
○副島税制部長 地方法人特別税、同譲与税は、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定的な措置といたしまして、平成二十年度税制改正で導入されたものでございます。
平成二十八年度税制改正では、消費税率の一〇%への引き上げに合わせ、地方法人特別税、同譲与税の廃止及び法人事業税への復元が決定されており、これらの増収額を踏まえて、法人住民税法人税割の交付税原資化を拡大し、地方法人税率を一〇・三%に引き上げることとなっております。
こうした考え方により法律改正がなされたにもかかわらず、その後の好景気による税収増を踏まえ、新たな偏在是正措置を講じようとしていることは、決着済みの議論を蒸し返すことであり、断じて看過することはできないというものでございます。
○早坂委員 景気の一局面だけを捉えて分析することは、公平な議論とはいえないものであります。東京都が過去に年間一兆円もの減収を経験した歴史を踏まえれば、中長期的に考える必要があると考えます。
さて、理屈の話はおしまいにして、理不尽な措置を強行する国に対して、いかに立ち向かうかということに話を移したいと思います。
さきの国の検討会においても、ヒアリングの際、出席した副知事が東京都の考え方を説明したのは当然でありますが、愛知県、大阪府からも、新たな偏在是正措置に反対の立場から意見が出されたと伺っています。にもかかわらず、先日発表された国の検討会報告書には、東京都を含めた大都市の意見が全く反映されていません。これでは初めから結論ありきだったとの疑いが生じるものであります。
では、都民にとって重大なテーマである新たな偏在是正措置を国が実施する場合には、どのような過程を経て決まっていくのか伺います。
○副島税制部長 平成三十一年度の税制改正につきましては、現在、自由民主党及び公明党で構成されます与党税制調査会において議論が行われておりまして、十二月中旬ごろに与党税制改正大綱が発表される見込みでございます。その後、政府において税制改正大綱が決定された後、それに基づく改正案が国会に提出され、審議を経まして議決されることとなります。
○早坂委員 税制改正は毎年行われていますが、税は政治そのものであり、影響が大きいテーマであればあるほど、最後は政治的に決着をつけざるを得ないものであると考えます。
今のご答弁にあったとおり、最終的には、国民の代表である国会議員が国会の議決により判断するものであります。そして、税制改正の大枠は、自民党、公明党で構成される与党税制調査会で実質的な判断がなされるのは委員の皆様ご承知のとおりであります。私たちがどれだけ理論武装したとしても、それが肝心の国に何らかの影響力を持たなければ、全く無益な理論武装であります。
例えば、この都議会財政委員会で、私たち議員が理事者に対して、この偏在是正措置はおかしなものだと思うがと質問をして、理事者がそのとおり、おかしなものだと答弁をいたします、そのことだけで満足していては、事態は全く改善されません。きょう、私の前に行われた都議会第一会派による質疑がまさにそれでありました。
国や国会議員、与党税調メンバーに対して、東京都がこうむる被害を少なくするための具体的働きかけこそが今重要であります。
執行機関である東京都としては、この新たな偏在是正措置に関して、これまでどのような対応を行ってきたのか、また、その中で主税局はどのような役回りを果たしてきたのか伺います。
○副島税制部長 都税収入は、都が都民に対して行政サービスを提供するための財源でありますが、この貴重な財源が偏在是正措置により国に移転され、都民が納めた都税を都民のために使えないという現状を都民に知ってもらうことが重要であり、都はこれまで、積極的に広報を展開してまいりました。
具体的には、本年一月、平成三十年度予算案発表とあわせ税制改正に向けた都の主張をわかりやすくまとめた冊子を公表いたしました。わかりやすいポスター及びチラシも作成し、都庁舎や都内の区市町村庁舎等で掲示、配布するほか、「広報東京都」や都庁ホームページ、ツイッター等の媒体も利用した広報を行っております。
また、東京都税制調査会の答申や、東京と日本の成長を考える検討会の報告も踏まえ、この措置に対する東京都の見解を発表し、反対という都の考え方を明確に表明いたしました。
さらには、都の考え方をご理解いただくよう、都選出国会議員を初め与党税制調査会メンバーなどに対しまして、知事を先頭に積極的に働きかけを行っております。
主税局は、こうした取り組みにおきまして、税制面や税収面からの分析、検討を加えるなど、財務局との連携協力を積極的に行いながら、税制の姿をゆがめる不合理な改正が実施されないよう対応してまいりました。
○早坂委員 小池知事による要請活動は、これまでのご自身のさまざまなご発言や行動などにより国との信頼関係を全く築けていない現状では、幾ら取り組みの数をこなしたとしても、残念ながら成果は見込めないと思えてなりません。
こうした状況にあって、私たち都議会自民党は、都民が一方的に負担を押しつけられることがないよう、安倍総理を初め自民党税制調査会の会長や多くの国会議員に全力で要請活動を展開するなど、粘り強く行動を続けています。
税制改正の決着がつくまで残り一カ月を切りました。都議会自民党はこれまでも、都民のために口先だけでなく、結果を伴う活動を一つ一つ積み重ねることで、都財政の健全化に責任感を持って当たってまいりました。
つい先日には、都議会自民党の現職二十三人のみならず、昨年の都議選に臨んだ六十人が集まり、この問題に関する勉強会を開きました。
そこでお呼びした講師からは、年間一兆円もの都民の税金が国に奪われるとなると、その分の増税を都民にお願いするか、あるいは一兆円分のサービスをカットするか、そういう選択肢を検討せざるを得ないレベルの話だとの大変刺激的なお話を伺いました。そうならないために、私たちは全力で努力すべき重大局面であることを改めて確認したいと思います。
そもそも、新たな偏在是正措置というネーミングで相手の土俵に乗っている時点で、勝負はあったと実は私は考えています。
かつて昭和四十年代、杉並区と江東区は、ごみ清掃車の受け入れ問題をきっかけに大きな争いとなりました。当時の美濃部知事は、この問題は杉並区と江東区だけの問題ではなく東京全体の問題だとして、都議会本会議において、東京ごみ戦争を宣言しました。
今回のこの問題も、新たな偏在是正措置などというまどろっこしくわかりにくいいい方ではなく、国対東京都の一兆円戦争と名づけ、都民の理解を得て、また国に対して東京都の本気度を示すべきものであると考えます。無論、主税局においては、山積する都政の課題解決に向けて各局が行う各種事業の財政的な裏づけとなる都税収入の確保に一層推進していただくことを要望いたします。
ご存じのとおり、この偏在是正措置には長い歴史があります。東京都を標的とした明らかな動きは、平成二十年度に創設された、いわゆる暫定措置からスタートしています。都市の財政を狙い撃ちして地方に再配分することは、受益と負担という地方税の原則と相入れない制度であり、全く不合理だとして、当時の石原知事や都議会は、今日では考えられないことでありますが、全国知事会をも巻き込んで大反対の声を上げていました。
当時、都議会自民党は、第一党の役割を果たし、時の福田総理大臣から石原知事に理解を求める要望がなされ、最終的には、恒久ではなく、あくまで暫定的な措置だとして認めるかわりに、羽田空港の国際化やオリンピック・パラリンピック招致への協力など、十三の重要施策について力を尽くすことを国に約束させたという具体的な成果を得ることができました。
そして、当初は一兆五千億円ともいわれた東京都への影響額を、三千億円までに大きく縮小させる成果を得たのであります。このときの一連の経緯を改めて振り返ると、石原知事や我が都議会自民党の東京の将来を見据える確かな目と、東京都の要求を国に認めさせた政治力に深く敬意を覚えるところであります。
あるときは正面から、またあるときは老獪な態度で、東京都がこうむる被害をいかに減らすかということが今求められています。
この偏在是正措置、すなわち国対東京都の一兆円戦争に対する主税局長のご決意を伺います。
○目黒主税局長 少子高齢、人口減少社会の到来により、日本の持続的成長が危ぶまれる状況におきましては、首都東京が牽引役としての役割を果たすとともに、地方がそれぞれの個性や強みを発揮して地域の活性化を図ることこそが重要でございます。こうした状況の中、地方が抱える巨額の財源不足に対して、地方間の財源の水平調整を幾ら行っても、根本的な解決にはつながりません。
今、真に必要なことは、国から地方への税源移譲を進め、地方の権限と事務に見合った地方税財源の拡充と安定的な地方税体系の構築を実現していくことでございます。
歳入所管局である主税局といたしましては、都が各事業を推進するに当たって、その裏づけとなる都税収入を確実に確保するためにも、都民生活を脅かしかねないこの不合理な偏在是正措置に対して断固反対してまいります。
平成三十一年度税制改正に向けて残された時間はわずかではありますが、副委員長からお話のございました一兆円税金戦争に対峙していくためにも、引き続き、都議会の皆様のご協力をいただきながら、あらゆる機会を捉えて積極的に都の主張を伝えてまいります。
○池川委員 私からは、まず初めに、消費税増税の問題についてお伺いをしていきます。
来年十月からの消費税一〇%増税に際して、このような状況の中で増税していいのかという声が上がっております。
安倍政権で内閣官房参与を務める藤井聡京都大学大学院教授が、十一月十八日付の「しんぶん赤旗」日曜版に登場し、日本経済を破壊する、国民の貧困化がさらに加速すると指摘し、この問題には党派は関係ありません、目の前のコップに入っている液体は毒なのか薬なのか、国民が冷静に分析し、考えていかなければなりません、私は毒だと確信していますと述べておられます。これは、本当に真っ当なご意見ではないかと思います。こうした意見が内閣官房参与から出てきている、これにも注目をしたいと思います。
きょうは、グラフを持ってきました。具体的には、前回八%増税をしたときのいわゆる駆け込み需要がここでして、二〇一三年度の実質家計消費支出の推移と直近一年間を比較すると、二〇一三年の平均が三百六十三万九千円だったのに対して、最近一年間の平均は三百三十八万二千円と、二十五万七千円下がっている、これは実質家計消費支出の状況になっているということであります。
この問題について、先日、国会でも議論がありまして、我が党の小池晃書記局長の質問に安倍首相自身も、消費に影響を与えたのは事実でありますし、我々のいわば当初のもくろみよりも大きく消費に影響を与えたと、こういう認識は持っておりますという答弁をされています。
消費税増税の影響というのは、単なる反動減ではなく、所得自体を失わせるということになりますから、長く続いているということだと思います。こうした中で、今一〇%に引き上げていいのか、本当に引き上げていいのかということが問われていると思います。
そこで伺いたいと思いますが、今お示しをした消費税八%増税後の実質家計消費支出の推移を見ると、実際に落ち込んだままとなっているわけでありますが、さらに一〇%に引き上げていくということに対して、都はどのように認識をされているのか伺います。
○副島税制部長 少子高齢化が急速に進行する我が国におきまして、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が不可欠でございます。広く消費に負担を求め、世代間の公平を図ることができる消費税の税率引き上げは、将来的には避けて通れないものと考えております。
なお、景気変動につきましては、さまざまな要因が複合的に重なって起こるものと考えておりまして、消費税のみを取り出して景気等に与える影響を判断することはできないと認識しております。
○池川委員 将来的には避けて通れない、これはずっとこの間繰り返されている答弁だと思います。
景気の判断はできないということなんですが、実際に家計消費の状況が八%への増税を起点として冷え込んでいるのは明らかだと思います。この八%への増税が家計そのものに影響を与えているということ自体は認識されているということで確認させてもらってよろしいでしょうか。
○副島税制部長 家計支出を含めた景気変動につきましては、繰り返しで恐縮ですけれども、さまざまな要因が複合的に重なって起こると考えておりますので、それが消費税のみなのかどうかということについては、単純には判断できないというふうに考えております。
○池川委員 もちろんそれは総合的な問題なんですが、少なくともこの八%増税が家計消費に大きな影響を与えていることは、否定できない事実だというふうに思います。
増税後の落ち込みは一時的なワンショットなどという議論が八%増税の際にはいろいろ議論があったわけですが、実際に回復をしていないというのは先ほど示したグラフのとおりです。
また、今、世論調査を見ても、来年十月からの消費税増税に対しては反対が多数となっております。直近、十一月十七日、十八日に行われた朝日新聞の世論調査でも、来年十月に予定どおり増税することに反対という人は、過半数の五〇%というふうになっています。
また、経済の問題でも、貧困と格差拡大の問題でも、来年十月の増税そのものはどうなのかという声が上がっていますし、そもそも小池知事自身も、昨年、総選挙のときには、以前の消費増税は消費を冷やした、消費税増税凍結、景気回復を確実にするために二年後の消費税増税を凍結しますというふうに選挙で訴えられていたわけです。
この消費税一〇%増税が都民生活に及ぼす影響については、具体的にどのように考えているのか、また、この一〇%増税に合わせてさまざま対策が行われるということになっておりますが、これらに対しては、東京都はどのような認識を持っているのか伺いたいと思います。
○副島税制部長 消費税は、高所得者層よりも低所得者層の税負担が相対的に高くなる逆進性があるとされております。消費税率の引き上げに伴う低所得者対策といたしまして、食品及び新聞の一部に現行の税率八%を適用する軽減税率制度の導入が決まっております。
また、国におきましては、キャッシュレス決済を利用した場合のポイント還元などの措置も検討されているところでございます。
都といたしましては、軽減税率制度の周知等に協力するとともに、検討が進められているその他の対策について国の動向を注視してまいります。
○池川委員 逆進性はあるんだということです。
これは、消費税八%から一〇%になったときに、仮に軽減税率、複数税率が導入された場合にどうなるかという試算をしたものです。現状では、年収二百万以下の方は八・九%の負担ですが、軽減税率をやったとしても一〇・五%の負担になると。これは、累進は逆にやっぱり働いている、構造は変わっていないんですね。二千万円以上の収入の方になると一・四%から一・八%と〇・四ポイントの増ですが、二百万以下の方については八・九から一〇・五への上昇になっていると。
現状、制度設計されている複数税率を導入したとしても、こうなるという試算が出ています。やっぱり逆進性そのものは、先ほど答弁あったとおりで、具体的に否定できないんだというふうに思います。
さらに、複数税率の問題については、例えば、外国の例を少し紹介すると、イギリス、アイルランド、カナダは、ゼロ%税率です。韓国、台湾、タイはいわゆる非課税になっています。スイス二・五、フランス五・五など、八%よりは少なくとも低い水準での複数税率を導入している国はあるということは一つご紹介をしておきます。
また、この複数税率を導入する際に議論になっているのは、いわゆるインボイスの制度でして、これは適格請求書というふうに呼ばれますが、このインボイス方式が導入されれば、インボイスを発行できない業者が取引から排除されるおそれもあるということが指摘をされています。
今、全国では、約五百万人の免税業者が、課税事業者になるのか、取引から排除される可能性があったとしても免税業者でいるのかということの選択を迫られて、不合理な対応を迫られることになっていると。さらに、販売業者のみならず、サービス業者、雇用契約によらず働く人々などにも影響があり、個人タクシーの運転手さんや大工、左官などの職人さん、雑誌のライターさんなど、いろいろな範囲に及ぶということも、この間の議論の中で明らかになってきています。
複数税率に話を戻しますけど、導入によってさまざまな課題が生じると思うんです。これは今、ワイドショー等でも何が一〇%になって何が八%になるのかということがしきりといろいろな番組でやられているんですけど、少し紹介しますと、例えばハンバーガーを買って、持ち帰ると八%だけれども、店内で食べると一〇%だよと。映画館の売店で飲食物を販売した場合には八%だけれども、カラオケボックスで飲食の提供を受けた場合には一〇%になりますよと。さらに、ホテルの宴会場で飲むジュースは一〇%だけれども、客室の冷蔵庫で飲むものは八%ですよと。本当に複雑でして、例えば有料老人ホームの食事代についても、一日千五百円の場合は八%だけれども、千九百二十円一日の食費でかかると、これは一〇%超えちゃうよと。本当に複雑になっています。
国税庁がさまざま資料を出してQアンドAを出しているのですけど、個別事例編と制度概要編合わせて百ページを優に超える内容で、それぐらい複雑になっていくことはもう明らかです。これは消費者にとってだけでなく中小業者泣かせのものになっているというふうに思います。
都としては、これから中小企業・小規模企業振興条例等についても制定をしていって、中小零細業者を応援していくんだということですが、ここに対する問題というのも直視すべきだというふうに思います。また、消費税増税そのものについては容認する立場をとっている日本商工会議所も、軽減税率制度の導入はゼロベースで見直すべき、インボイス制度は廃止を含め慎重に検討すべきということを主張されています。
さらに、政府は駆け込み等反動減の対策としてさまざま対策をやっていくんだというふうにいっているんですけれども、前回の駆け込みがどういう状況だったのかというグラフを示したいと思います。上の黒い線は、いわゆる五分位に分けたときに所得の一番高い層、五分位の層になります。その人たちはずうっとやって、こう、増税の直前には大きく駆け込み需要があると。一方、このオレンジ色の線で引いたのは、これは五分位の一分位で所得の一番低い分位の方々ですけど、この方々は、駆け込み需要はあるんですけど、その駆け込む前には物すごく消費そのものが落ち込んでいるということもわかっていて、低所得の皆さんへの影響というのはやっぱり長く続いていく、一番所得の高い方については、二カ月後には、基本的には平均の消費に戻っているんだけれども、低所得の方ほどやっぱりここでもインパクトが大きいというふうに、これは明らかだというふうに思います。
こういう視点からも、そもそもやっぱり増税そのものを行えばどうなるかということをきちんと国の動向を注視するだけでなく、都民生活を守る立場から意見をいっていく必要があるんじゃないかと思います。
同時に、税負担については、力に応じて行うという必要があると思います。一方で、富裕層、大企業に対して、これは減税ばらまいているわけで、大企業向けの減税は、安倍政権になってから約四兆円、大企業の内部留保はふえ続けています。さらに、法人税の実質負担率は大企業全体では一〇・四%と、中小企業よりも低くなっているわけです。
さらに、所得が一億円を超えると所得税の税率負担が下がり続けるという現象が放置をされ、保有額一千億円以上の大株主の保有株式の推移を見ていると、二〇一二年末で十二人三・五兆円だったのが、一八年九月現在では五十八人十七・六兆円へと急増しているということもあわせて紹介をし、こういうところにきちんと課税していくのがやっぱり本来のあり方ではないかと。
この点で、来年十月の消費税一〇%増税、中止するという一点で、立場の違いを超えて取り組んでいきたいということを表明しておきます。
これに合わせて、都税調で消費税の問題がどういうふうに具体的に扱われたのかについて伺います。
具体的に、都税調でこの消費税にかかわる議論はどのように行われたのか、その内容についてお示しください。
○栗原税制調査担当部長 今年度の都税調におきましては、消費税に関しましては、地方法人課税の偏在是正措置と絡めて議論され、主な意見は、国及び地方の財源確保の観点、地方間の税源の偏在是正や地方財政の安定性確保の観点から、消費税及び地方消費税の果たす役割の重要性に関するものでございました。
こうした議論を踏まえまして、都税調の答申では、地方税財源の拡充に当たっては、地方消費税の充実等によって偏在性が小さく安定的な地方税体系の構築をさらに進めることが必要としております。
○池川委員 消費税増税に対しての問題点は先ほど私自身述べましたが、同時に、都税調の答申を見てみると、法人事業税と法人住民税は、地方自治体にとって重要な基幹税であるということも指摘をされています。
過去最高の利益を更新する大企業への法人事業税の超過課税を行ってしかるべきなのではないか、また、住民税についても現在フラットになっているものをきちんと所得に応じて累進にしていくことも、視点としては重要ではないかと思います。
都税調としても、また事務方である主税局としても、先ほどやりとりさせていただきましたが、消費税は所得の低い人ほど負担の重くなる逆進性という問題、また貧困の格差拡大の問題についても、この都税調の中で真正面からぜひ迫っていただきたい。税の視点から都民生活の実態に合わせた仕組みを検討するよう求めておきたいと思います。
次に、都税調のかかわりの中で、東京が抱える今後の財政需要について伺います。
主なものとして、社会保障関係経費、社会資本ストックの維持更新経費、防災にかかわる経費、東京二〇二〇大会にかかわる経費などが列挙されています。東京二〇二〇大会の一兆四千億円については、さらなる経費の縮減、透明化が必要でありますが、その他の問題についても、しっかりとその需要予測を行うことが求められていると思います。
同時に、これらの問題は、東京特有という側面とともに、他の地方自治体でも共通する課題であり、地方税全体の問題として捉える視点も必要ではないかと考えます。
人口減少、超高齢社会が進む中で、社会保障関連経費などが全ての地方自治体に共通して、今後一層財政需要が求められていると思いますが、地方全体の財源不足について、大きな方向性としてどう打開をしていくのか、都税調ではどのような見解が示されているのかについて伺います。
○栗原税制調査担当部長 都税調の答申では、現状の地方財政につきまして、財源保障に必要な地方交付税総額は確保されておらず、地方財政計画上、本来交付税措置されるべき財政需要が赤字地方債である臨時財政対策債により充足されていると指摘しております。
また、財政需要に関しましては、地方自治体には、社会保障分野を初め将来にわたって必要な行政サービスを提供していくことが求められており、今後ますますその役割が大きくなることは明らかであるとした上で、改革の方向性といたしましては、地方自治体がみずからの判断と責任で主体的に施策を展開するためには、地方分権を推進し、国から地方への権限移譲に対応した税源移譲実現の可能性の検討も含め、地方の役割に見合った税財源の拡充を実現していくことが極めて重要であるとしております。
○池川委員 先ほど来の議論の中でも、地方自治の原点とか、地方自治体の役割はますます高まるんだという議論がありました。
さらに、東京が抱える主な財政需要を考える視点として、例えば高齢者福祉で見ると、二〇一六年度ベースで介護老人保健施設は全国で四十七位、認知症対応型共同生活介護は四十六位、小規模多機能型居宅介護は四十六位、通所リハビリテーションは四十七位、短期入所生活介護は四十四位という、全国平均でいくとかなり低い水準になっていて、これを全国水準にまず引き上げていくことが求められておりますし、高齢化が進む度合いは、東京が高いということも指摘をされているわけであります。
さらに、子育ての問題についても、保育需要について、認可保育園を柱とした増設計画をさらに進めていく必要があるんじゃないかと。保育の問題については来年度までで、三年間で六万人の定員増を行い、待機児童ゼロにしていくということですが、来年度終わってみないとわかりませんが、本当にこれで十分なのかもしっかりと見据えていく必要があるんじゃないかと思います。
都税調の中でも、こうした東京が抱えているさまざまな課題、そして同時に地方が全体として税収をどうやって見ていくのかという問題、そうした将来見通しについても議論をしていく、主管局としての主税局にも、こうした視点を踏まえて議論していただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、滞納整理の関係について質問させていただきます。
個人都民税は、地方税法第四十一条で、当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収とあわせて行うものとするという規定があり、基本は区市町村が行うこととなっています。
主税局の事務事業概要には、個人都民税の徴収率向上という項目があり、個人都民税は、区市町村が個人区市町村民税とあわせて賦課徴収し、個人都民税分を東京都に払い込んでいるが、都が賦課徴収している他の都税一般分と比較して、徴収率は低い水準のまま推移してきたとして、対策を講じてきたということが明記をされています。
そして、業務連携として具体的に何をしているのか見ていくと、都の職員が、区市町村職員の身分を併任する都職員随時派遣や、巡回して事案等の相談に乗っていく巡回相談などを実施しているということが書かれております。
昨年度まで行われてきた個人住民税徴収対策会議というものがありますが、これの目的について伺います。また、具体的に、この会議体では何をやってきたのか、今年度以降は、合意形成が必要な場合には適時開催とされていますが、その理由についてもあわせて伺いたいと思います。
○新井特別滞納整理担当部長 個人住民税徴収対策会議は、都と区市町村が連携して広域的な取り組みや共通する課題への対応など、個人住民税の徴収率向上を目指すことを目的として平成二十四年五月に発足いたしました。
具体的には、納期内納税の促進や納税への理解を深めるため、オール東京で集中的な納税キャンペーンを実施するとともに、納税者の利便性の向上を目指し、特別徴収義務者の一斉指定に向けた取り組み等を行ってまいりました。
なお、オール東京での納税キャンペーンの普及や特別徴収義務者の一斉指定等、一定の目的を達成したと判断したことから、平成三十年度以降は適宜開催といたしております。
○池川委員 目的は、個人住民税の徴収率向上だということであります。
二〇一二年度にこの対策会議が発足してから、個人都民税の徴収率でいうと九二・三%だったものが、昨年度は九六・八%へと増加をしています。
これまで行われてきた個人都民税の徴収に顕著な貢献をした自治体への感謝状を贈呈していたということなんですが、これは何を目的とし、どういう基準で選定し、具体的に何かインセンティブはつけていたのか、感謝状以外に何か贈呈しているものがあるのか、都がこうした感謝状を贈呈する理由についても伺いたいと思います。
○新井特別滞納整理担当部長 感謝状の贈呈は、個人住民税徴収対策会議において、自主財源の確保と税の公平性確保に向けて、個人住民税の徴収対策に尽力した取り組みをたたえることを目的に、平成二十五年度から平成二十九年度まで実施してきたところでございます。
贈呈の基準についてですが、他の自治体の参考となる取り組みをした自治体等を対象に、個人住民税徴収対策会議の合議により選定してきたところでございます。なお、区市町村には感謝状のみを贈呈しておりまして、ほかにインセンティブを与えるものではございません。
○池川委員 国民健康保険のように何かインセンティブを与えるものではないということでありますが、徴収対策に尽力したところをたたえていくということであります。
今年度からは具体的には計画がないということだと思いますが、この感謝状贈呈そのものが本当にいいのかということが問われると思います。
滞納整理はいうまでもなく重要な仕事でありますが、その重要な視点として、滞納した場合はしっかりSOSとして捉えていく、何かその人に大きな課題が発生をしたんじゃないかという認識を持って、生活再建型で取り組んでいくことが必要ではないかと思います。こうした視点から幾つか聞いていきたいと思います。
まず、区市町村と東京都の間で行われている職員の派遣等について確認も含めて伺います。都職員で併任をして区市町村に派遣をした人数、自治体数、区市町村から実務研修生として来た自治体数及び人数についてはどのようになっているでしょうか。
○新井特別滞納整理担当部長 都職員派遣についてですが、平成二十九年度は四団体に都職員延べ二十名を、平成三十年度は四団体に延べ十七名を派遣しております。これまで十年間に派遣した自治体数は延べ六十三団体、派遣職員数は延べ二百五十一名でございます。
また、実務研修生についてですが、平成二十九年度は十八団体から二十四名を、平成三十年度は十八団体から二十一名を受け入れております。これまで十年間で受け入れた自治体数は延べ百二十九団体、受け入れ人数は百四十四名でございます。
○池川委員 十年間で派遣した人数については、延べ六十三自治体二百五十一人ということであります。
お伺いしたところによると、東京都からの派遣状況というのは、二〇〇九年度から二〇一二年度までは、毎年、派遣自治体は四、派遣職員数は八で推移をしていますが、先ほども紹介をした対策会議を契機として、二〇一三年度は十自治体四十四人、一四年度は最も多く十三自治体六十二人へと激増しています。
一方で、区市町村から東京都への実務研修生の数も、対策会議以前は一桁だったものが、自治体数も研修人数も二桁へと増加をしています。東京都が徴収率向上を掲げ、区市町村とともに対策会議を発足させてからの問題だと思います。
確認も含めて伺いたいと思いますが、都職員が、区市町村に身分を併任して派遣される場合、どういう役割を持って派遣をされているのか、その内容について伺います。
○新井特別滞納整理担当部長 区市町村への都職員派遣についてですが、これは、都職員が派遣先職員の身分を併任し、派遣先職員と共同で滞納整理に当たることにより、都の滞納整理ノウハウの提供を行うことを目的としております。
○池川委員 派遣の目的は、都の滞納整理のノウハウを提供していくんだということであります。
主税局が発表している平成二十九年度徴収部門の決算状況によると、昨年度の個人都民税の徴収率は九六・八%と、これは過去最高を更新したことが記されています。
ある自治体では、東京都の職員が派遣されてきて以降、差し押さえの件数が大きくふえたという例を伺いました。
また別の都職員を派遣した自治体からは、いわゆる生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口に、滞納も含めて相談に行った方が、その人と一緒になって納税計画等を相談した上で、いわゆる納税の窓口に行きましたが、その職員が同行した場合でも、納税担当の職員は最初から取り合うこともせず、相談の余地すらなかったということも伺っています。一方的に、その中では、月々の支払い計画を納税課の職員の方から示したということで、一緒に行かれた生活困窮者自立支援法に基づくさまざまな支援をしている職員すらもびっくりするという事象が起きています。
これは個別の事象なのでこれについてどうこうということではありませんが、こういうことが起こっているということは現実として受けとめていただきたいと思います。そういうことをやっていくと、本当にこれで生活再建が展望できるのかが問われてくると思います。
次に、差し押さえ禁止財産の問題について伺います。
群馬県前橋市が行っていた対応を断罪した預金差し押さえ処分取り消し等請求事件、二〇一八年一月三十一日に前橋地裁で判決が出ていますが、この中には、重要な視点が提起をされています。この前橋地裁の判決の概要及びこれに対して都はどういう見解を持っているのか伺います。
○川上徴収部長 前橋地裁の判決でございますけれども、訴えに係る差し押さえ処分につきましては、前橋市が口座に給与が振り込まれることを認識した上で差し押さえを行ったと認定したものでございます。自主的に給与全体を差し押さえることを意図して差し押さえ処分を行ったものと認め、市に対して取り立てた金額相当の返還を命じております。
都では、文書、電話、臨戸による積極的な納税催告と財産調査によりまして、納税者の実情を踏まえたきめ細かな対応に努めているところでございます。一方で、誠意のない滞納者につきましては、差し押さえ等の滞納処分を行っております。
また、差し押さえ財産を換価することにより生活の維持が困難になると判断した上で、納税に誠実な意思が認められる場合には、法の規定に基づき換価の猶予を行い、さらに差し押さえの猶予や差し押さえ解除などの対応を行っております。
○池川委員 判決では、給与であることを認識しつつ、振り込まれた当日に差し押さえを行っていることは、実質的に給与自体を差し押さえることを意図して差し押さえ処分を行ったものと認める特段の事情があるとして、地方税法四十一条一項等々に反する脱法的な差し押さえ処分であるとして、違法だということが述べられています。
また、この判決を受けて、日本司法書士連合会は、会長声明で、国税徴収法により差し押さえを禁止された財産自体を差し押さえることを意図して差し押さえ処分を行ったと認めるべき特段の事情がある場合に、これを違法とし、不当利得としての全額返還さらには国家賠償法の損害賠償責任まで認めた点については大いに評価すべきである、これら差し押さえを禁止する規定の趣旨は、いうまでもなく最低限度の生活を維持する上で欠かすことのできない財産について、その差し押さえを禁じることにより生存権の保障、憲法第二十五条を全うするところにあり、全国の地方自治体による行き過ぎた滞納者への対処があってはならないという声明を出されています。
今、先ほどの答弁の中でも、納税者の実態を踏まえたきめ細やかな対応をしているということでありましたが、やっぱり重要なのは、滞納している状況について丁寧に聞き取り、換価の猶予、滞納処分の執行停止、また、さまざまな分納相談等について丁寧に対応していくことが重要ではないかと思います。
その点で、この前橋のケースを少し紹介すると、月々一万円の返済を続けていたわけですが、市から二倍となる二万円を月々返済するよう増額の指導があり、本人は一万五千円しか出せないという提案があったにもかかわらず、これを受け入れず、実際には二万円ずつ差し押さえていくと。これ自体が先ほどいったとおりで脱法的な差し押さえじゃないかということで断罪をされていくということになるわけです。
こうした事例というのは、きちんとやっぱり本人との相談をどうやってやっていくかというのが、なかなかないというふうに思います。そして、積極的な滞納処分の執行停止、債権放棄、債務免除などによって生活再建につながっていくようにすべきではないかと考えます。滞納者の生活再建、担税能力回復を目的として取り組むという姿勢が重要だと思います。
そこで伺いたいと思いますが、都としては、滞納処分の執行停止についてはどのような視点で行われているのでしょうか。
○川上徴収部長 東京都におきましては、滞納処分を執行停止することができる要件といたしまして、地方税法の規定によりまして、滞納者に滞納処分をすることができる財産がないとき、滞納処分をすることで滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき、滞納者の所在及び滞納処分できる財産が不明であるときのいずれかに該当する場合とされております。
都では、納税相談や財産調査により滞納者の納税資力を見きわめた上で滞納処分の執行停止を行ってございます。
○池川委員 生活を著しく窮迫させるおそれがあるときという規定を具体的事案に応じて運用し、滞納者の生活再建と新たな滞納を生まない立場で、滞納処分の執行停止を行うよう求めていきたいと思います。
最後に、督促状、催告書の問題について伺います。東京都の督促状、催告書については、どのような封筒で納税者に対して郵送されているんでしょうか。
○川上徴収部長 督促状につきましては白色の封筒を使用し、催告書は薄緑色の封筒を使用しております。それでもなお納付のない滞納者に対しましては、都税事務所が独自に作成した封筒で催告している場合もございます。
○池川委員 東京都は、督促状は白、そして催告書は薄緑だということで、ここにいただいたものがありますが、区市町村ではどうなっているかということです。さまざま例はありますが、きょうは文京区の例を紹介します。経過について詳しく書かれているインターネットポータルサイト弁護士ドットコムによると、文京区では、二〇一五年に赤色にします。しかし赤紙みたいだという批判の声が上がり、オレンジに変更しています。さらに翌年には黒色の封筒に銀色の文字をあしらうデザインとしたものの、黒と白は死を連想させるという批判があって、今度は、白とピンクのストライプに変えます。そしてその翌年には、こういうですね、黄色、ピンク、緑、白という大変、何というかショッキングな色の封筒へと変わっていくんですね。これは、中身もここに、外側に書いてある、大至急ご連絡ください、このまま放置していますと中に入っている文書のとおりになりますという、かなり厳しい口調の言葉とセットでこれが使われているということであります。
こうしたさまざまな封筒の問題について、都としてはご存じなのか、また、こういう極めてショッキングな色を使う封筒を送ることについては、率直にどう思われるか伺いたいと思います。
○新井特別滞納整理担当部長 区市町村が独自に作成した封筒についてですが、東京都は、情報提供のあった区市町村分につきましては把握をしております。このような取り組みにつきましては、各区市町村が自主的に行っているものでありますので、都といたしましては、情報を共有するにとどめております。
東京都は、区市町村に対しまして指導権限を有しておりません。封筒の仕様や組織運営等につきまして、区市町村がみずからの権限と判断で行っております。
○池川委員 区市町村の判断というのは、それはそのとおりなんですが、ここまでいくと本当に許されていいのかという気持ちになるわけです。実際に、こうした封筒を受け取った方からも、禁じ手だという批判も上がっていますし、中には、実際に精神的、心理的負担を感じるという声も上がっております。また、これは、憲法第二十一条の二にある通信の秘密は、これを侵してはならないという規定に触れるのではないかという指摘もあります。
また、個人情報やプライバシー権という視点についても問われることになります。すなわち、この封筒の中身が最初から特定できてしまうというところに大きな問題があると。普通のさまざまな封筒の中と同系色であれば何かわからないかもしれないけど、この封筒がポストに投函をされる、それを目撃されることによって滞納しているんだなということが一目でわかるようになっているということです。
税収を確保するためには、徴税の仕事というのは極めて重要です。同時に、滞納されている方々のSOSをしっかりと受けとめ、生活再建型の滞納整理をしていただきたいということを求めて、質問を終わります。
○おときた委員 私からは、ふるさと納税、宿泊税、そして昨今話題になっておりまして、先ほど委員からも質問がありました軽減税率についてご質問をさせていただきます。
初めに、ふるさと納税についてです。
ふるさと納税の仕組みにより、現状、都を含む都内自治体は多額の損失をこうむり、行政サービスに負の影響を及ぼすレベルになっていると考えられます。
そこで、平成二十九年度の都内におけるふるさと納税の影響額について、都域全体及びそのうちの都税への影響額を、まずお伺いいたします。
○副島税制部長 ふるさと納税による都内区市町村を含めた都域全体における平成二十九年度分の影響額は約四百七十六億円でございます。このうち、都税への影響額は約百九十億円でございます。
○おときた委員 都税だけで百九十億円の影響があるということで、これは本当に、まさに巨額、都の事業が一つできるほどになっているわけであります。具体例を挙げますと、平成三十年度予算でいえば、東京二〇二〇大会に向けたバリアフリー化推進の全体予算と同じ規模であって、これだけで非常に大きな金額であることがわかるわけです。
東京としては、こうして失った額を取り戻す策を検討する必要があるかと思いますが、都が独自に取り組んでいるふるさと納税の取り組みについて、これを今後の予定も含めてお伺いいたします。
○副島税制部長 都におきましては、各局で寄附金の受け入れを行っておりますけれども、問題になっておるような返礼品によるふるさと納税は募集しておりません。
○おときた委員 恐らく、ふるさと納税について、返礼品競争ともいわれるような状況になっていることに対して疑問を持つ立場から取り組みがないということなのかもしれませんが、こうした現状を見れば、対抗策として何らかの形で検討していく必要もあるのではないでしょうか。
例えば、東京二〇二〇大会のオリ・パラグッズを返礼品にしたり、あるいは文京区が取り組んでいるこども宅食のように福祉政策の財源に充てるなど、社会的意義のある政策で寄附を募るなどして、現状のふるさと納税のあり方には疑問を呈しつつも対抗策をとるといった方法も考えられます。東京都としては、ぜひともこうした対抗策も積極的に検討していただきたいと思います。
もっとも、ふるさと納税の現在のあり方は、東京都としては決して容認できないものと推測されます。
そこで、ふるさと納税に関する都の認識と、今後、都として意見表明などを行う予定があるのかどうかお伺いいたします。
○副島税制部長 ふるさと納税につきましては、公共性の高いプロジェクトへの寄附を募集するクラウドファンディングの活用など、諸外国と比べておくれているとの指摘もある寄附文化の醸成に、一定程度寄与する面があるものと認識しております。
一方で、過熱する返礼品競争や高額納税者ほど控除額が大きいなど、さまざまな課題もございます。各自治体の判断によりさまざまな返礼品が用意され、返礼品競争は加熱しておりますが、この状況に対しまして、国は、返礼割合は三割以内、地場産業の返礼品に限るなど制度の見直しを検討すると表明しておりまして、都は国の動向を注視してまいります。
○おときた委員 一定の意義がある、そして国の動向を注視するということですが、これはちょっとやや悠長な、悠長過ぎる態度ではないかなと。財源が失われている現状をこのまま見過ごしていいのかと率直に思うわけであります。もう一歩、この現状を食いとめる、疑問を呈するといった必死さが都には不足しているのではないでしょうか。
都として、例えば都知事がふるさと納税に対して懸念を表明するなど、戦略的な対応を検討されることを強く求めておきます。
二点目として、宿泊税についてお伺いをいたします。
平成十四年十月から課税が開始された宿泊税ですが、財政状況が極めて逼迫していた当時と現状は大きく変わり、行政財源の拡張としての役割は終えていると考えられます。
確かに、宿泊者が支払うのは百円程度と少額ではありますが、この税負担は、インバウンドを活性化させて都市を成長させるこの時代において、事業者側の大きな負担となり、競争力を損ねるのではないかと、そういった懸念を指摘する声もあります。
まずは、この点について都の見解をお伺いいたします。
○副島税制部長 宿泊税は特別徴収制度を採用しておりまして、ホテル等は宿泊税の納税義務者である宿泊者から税を徴収した上で、都に申告納入しております。
なお、事業者の申告納入は毎月行うこととしておりますが、一年間の納入額が一定金額以下の事業者については、三カ月分をまとめて申告納入する特例を設けておりまして、事業者の事務負担に一定の配慮をしております。
こうして申告納入されました宿泊税収は、その全額が観光振興に関する事業に広く充てられておりまして、都の観光産業の振興に寄与しているものと認識しております。
○おときた委員 申告納入は、毎月もしくは特例で三カ月に一度の申告も許されているということですが、この事務負担が、宿泊税の申告納入のために費やしている、そういった事務負担をふやしていることに変わりはありません。
実際、こうした点への懸念から、福岡市などでは、市長が宿泊税の導入に否定的な見解を示しています。
行政財源を拡張するために行われる宿泊税導入ですが、これは、行政こそがお金を最も有効に活用できるという、いわば誤った幻想に基づいたものなのではないでしょうか。
そもそも東京都が宿泊税を導入した理由の一つは、平成十四年当時の財政危機を乗り切るためでもあったと理解をしておりますが、今では、東京都の財政収支は黒字であります。それにもかかわらず、なぜいまだにこの施策を継続しているのか、宿泊税の必要性について都の見解をお伺いいたします。
○副島税制部長 都は、二十一世紀における観光産業の重要性を踏まえまして、観光振興に必要な財源を安定的に確保するため、平成十四年十月に宿泊税を創設いたしました。
都税収入は、法人二税の占める割合が高く、景気変動の影響を受けやすいため、安定した税収を確保することのできる宿泊税につきましては、財源として大変貴重でございまして、現在においても必要性は変わらないものと認識しております。
○おときた委員 宿泊税が観光振興に有効な財源であるなどのご答弁いただきましたが、果たしてそれが本当に効果的であったのか、これは甚だ疑問でありますし、むしろその分を事業者側に還元して、民間事業にPRさせるなど、企業努力を自由市場の中において行わせる方が観光政策に、観光振興になるんだといった考え方もございます。
さて、今後もこの徴収は継続する予定となっておりますが、二〇二〇年七月一日から九月三十日まで、オリンピック・パラリンピック競技大会関係者に対しては、オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の宿泊税が免除されるとされているため、東京都は、宿泊税の課税を停止する予定となっています。
それにより、当該年度の税収額は減るものと考えられますが、減った税収分はどのように調整されるのかをお伺いいたします。
○副島税制部長 宿泊税収は、その全額を都の観光振興に関する事業に広く充てられておりますが、都の観光産業振興費は、宿泊税収のほか一般財源も充てられており、課税停止となる平成三十二年度の観光産業振興費につきましては、平成三十二年度予算の編成におきまして検討されるものと認識しております。
○おときた委員 ご答弁にもありましたように、都の観光産業振興費が一般財源からも充てることができているというのは、少なくとも現時点では、それだけ一般財源が潤沢であるということの証左でもございます。この期間の宿泊税収の減額が東京都としても一切問題、影響がないということは、つまりこの法定外目的税が、現在も本当に必要な課税なのかどうかは疑問であり、民間事業者を活性化させるためにも、宿泊税は廃止を検討するのが妥当であると考えます。
そこで、改めて、今のこの課税が都にとっては必要不可欠なものではないにもかかわらず、徴収し続ける現状を都はどう捉え、今後は宿泊税をどのようにしていく方針なのか、都の見解をお伺いいたします。
○副島税制部長 宿泊税につきましては、創設当初から安定した税収を確保し、都の観光振興施策の推進を財政面から支えてまいりました。東京を訪れる外国人旅行者数が六年連続で過去最高を更新する中で、旅行者の受け入れ環境整備を進めることがより一層重要となっておりまして、今後も、安定した財源を確保することで、その役割を着実に果たしていくことが必要と認識しております。
○おときた委員 都が行っている観光振興施策にどれだけの効果があるのか、都がどれだけ熱心に観光PRに財源を投資しても、潤うのは広告代理店ばかりではないかといった指摘をする声も多くあります。事業者に負担を押しつけながら、行政が財源を集めるということはやめて、都内事業者のビジネス活性化のために還元していくことこそが健全なあるべき姿ではないでしょうか。
この項の最後に、安定した税収を確保しているとのご答弁がありましたが、オリンピック・パラリンピック後の見通しとして、どのぐらいの税収の推移になると想定されているのか、都の所見をお伺いいたします。
○副島税制部長 宿泊税は、平成二十七年度以降、税収が二十億円台で順調に推移してきており、平成三十年度当初予算ベースにおきましては約二十五億円と、創設以来最高額となる見込みでございます。
宿泊税収は、海外や国内から東京を訪れる観光客数の状況や景気変動などさまざまな要因に影響を受けるため、現時点におきまして、東京二〇二〇大会後の見通しを立てることは難しいと考えております。
○おときた委員 東京都の観光政策の課題は、オリンピック・パラリンピック後のビジョンが全く見えないところにあります。安定した財源といいながら目標値が立てられないという、これは矛盾した態度だと思いますし、では、実は不安定な税収である宿泊税は、本来であれば綿密な計画が必要な観光政策において、当てにするのはそもそも間違いというべきなのではないでしょうか。
むしろ民間の負担を減らして、別の形で、市場経済のもとで努力を促す観光政策を行っていただきたたく、宿泊税は廃止を検討されることを改めて強く求めておきます。
最後に、軽減税率について幾つかお伺いをさせていただきます。
軽減税率は、現状、消費者にとって非常にわかりにくいシステムがとられる予定となっております。先ほど他の委員からも指摘がありましたが、例に挙げれば、コンビニにおいて、イートインであれば一〇%、持ち帰りは八%というのは、極めて理解がしづらく、判断ミスやグレーゾーンを生み出しかねない制度設計になっているなど、都のみならず全国で大きな混乱が巻き起こることが予想されます。
この混乱を軽減するために、主税局はどのような対策をしていく予定なのかお伺いいたします。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局におきましては、総務省の通知に基づきまして、消費税の軽減税率制度に係る広報として、主税局ホームページ上に、国の軽減税率制度関係のホームページ特設サイトへのリンクを掲載したり、また、主税局の窓口に国税庁作成のリーフレットを備えつけ、配布しております。さらに、都内の事業者団体と国税局との橋渡しを行いまして、国税局が開催する事業者団体向け軽減税率説明会への協力を行っているところでございます。
○おときた委員 主税局としては、消費者並びに事業者に対して、制度の周知を行っていく予定であるということでした。これはすなわち、軽減税率の導入について、少なくとも混乱が起きることが予想されているということだと思います。東京都は特に、一大消費地であるため、主税局におかれては、考えたくはないことですが仮に軽減税率が導入されてしまうのであれば、より積極的な対策を行う必要があると考えられます。
次に、事業者の負担についてご質問をさせていただきます。
食料品などの生活必需品の税率を抑えて、消費者の負担を少なくするというのが主目的とされている軽減税率ですが、事業者側にとっては、複数税率の処理にコストがかかることが予想されます。先ほど、事業者と国税局の橋渡しを行うとのご答弁がありましたが、事業者の負担について、都の対策は何かあるのか、見解をお伺いいたします。
○副島税制部長 国は、軽減税率制度の実施に伴い、対応が必要となる中小企業、小規模事業者等に対しまして、複数税率対応レジの導入や受発注システムの改修等に要する経費の一部の補助を行い、準備が円滑に進むように支援を行っております。
都は、こうした国によります補助制度の周知に協力しているところでございます。
○おときた委員 特段、都の独自の施策があるというよりは、事業者の負担については、都が国の補助制度の周知を行っているとのことでした。しかしながら、都内全てのレジなどでシステムの導入が間に合うのか非常に疑問でありますし、また、そもそもこの国の補助制度で事業者たちが納得しているのかも不透明です。
ここまで指摘、質問をさせていただいた点のほかにも、いまだに税率の線引きが曖昧な出版物などの取り扱いを含めて、軽減税率には課題とか問題という一言では片づけられないほど多くの欠陥があると考えられます。
そこで、最後に、こうした軽減税率に関する諸問題について、都のそもそもの認識をお伺いいたします。
○副島税制部長 軽減税率の導入に当たりましては、対象品目の合理的な線引きや中小企業者の事務負担の増加などの課題があることは認識しております。その一方で、消費税は、先ほどもご答弁いたしましたとおり、低所得者層の税負担が相対的に高くなる逆進性を持つとされておりまして、こうしたことから、国は、低所得者対策として軽減税率制度を実施することとしております。
国におきましては、QアンドAの作成、事業者向け説明会などさまざまな広報活動を実施し、制度の周知に努めるとともに、事業者等に対する補助などを行っているところでございまして、都といたしましては、円滑な制度の運用に向け、こうした対策を十分に実施していくことが重要であると認識しております。
○おときた委員 都も、軽減税率の諸問題については課題があると認識しているという旨のご答弁でありまして、ここからもわかるように、国が導入を目指している軽減税率は、都内の消費者に甚大な混乱をもたらし、事業者には莫大な負担を強いて、東京都の経済をも停滞させる可能性がある、極めて問題の大きいものであると考えます。
東京都は、一地方自治体、最大の地方自治体として、経済に混乱を来しかねないこの軽減税率については、格差是正措置同様に反対を表明する権利があると私は考えます。都にとってマイナスの意味を持つ可能性が極めて高いこの軽減税率については、東京都としてもぜひ反対の立場で、強く意見表明していただきたい旨を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○清水(や)委員 私からは、現在、国において議論されている自動車税制の見直しについて伺いたいと思います。
平成三十一年度税制改正の議論においては、いわゆる偏在是正の問題に隠れておりますが、車体課税の見直しもまた、都の税収につながるおそれがあり、しっかりと対応していくべき問題だと思っております。
そもそも、自動車税に関連する税は、自動車そのものに対して課される車体課税と、ガソリンなどの燃料に課される燃料課税から成りますが、さまざまな局面で複数の税が課されており、自動車ユーザーであってもその全体像を理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで、車体課税の見直しの議論に入る前に、まずは、自動車に関連する税全体について確認しておきたいと思います。自動車に関連してかかる税は、どのような局面で、どのような税が課されているのか伺います。
○副島税制部長 自動車に関しましては、取得、保有、走行の各段階におきましてそれぞれ課税されております。
まず、取得段階では、道府県税であります自動車取得税が課税されており、その税収の約七割は区市町村に交付されております。
次に、保有段階では、自動車には道府県税である自動車税、軽自動車には市町村税である軽自動車税が課税されるほか、車の種類を問わず国税である自動車重量税が初回登録時及び車検時に課税されております。
さらに、走行段階では、ガソリン車には国税である揮発油税等が、ディーゼル車には道府県税である軽油引取税が課税されております。
なお、自動車取得税につきましては、平成三十一年十月の消費税率一〇%引き上げ時に廃止され、自動車税及び軽自動車税におきまして、取得初年度に燃費性能等に応じて課税される環境性能割が導入されることとなっております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。一般のガソリン車であれば、取得時に自動車取得税が、持っている場合、所有している場合には毎年、自動車税が、そして車検時には自動車重量税がかかるとのことであり、走行に必要なガソリンには揮発油税、いわゆるガソリン税がかかっているということがわかりました。
このうち、自動車税と自動車取得税については、都税として都の財源となっているようでございます。
そこで、自動車税及び自動車取得税について、全国と都それぞれの税収をお伺いいたします。
○副島税制部長 自動車税及び自動車取得税の全国の税収は、平成三十年度地方財政計画ベースで、自動車税が約一兆五千億円、自動車取得税が約一千七百億円となっております。
都におきましては、平成三十年度当初予算ベースで、自動車税が約一千五十億円、自動車取得税が約百七十六億円となっております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。ただいまの二つの税を合わせて都税で約一千二百億円の税収ということで、都の貴重な財源となっていることがわかりました。
また、先ほどのつじの委員の質疑にもあったとおり、その税収規模は、平成十三年度以降の税制のグリーン化の進展により縮小しているとのことがわかっています。
社会全体を鳥の目で見るならば、自動車税制に対して、環境に配慮する、いわゆるグリーン化を推進していくことは重要である一方で、地方自治体の行政を支える税源の縮小につながってしまうという点も同時に考えていかなければなりません。
近年の欧州や中国の動きを見ますと、今後、電気自動車が一層普及することは明らかであります。その場合でも、地方税源が先細りにならないよう、自動車に対する課税のあり方について、長期的な視点を持って再構築していくことが重要であり、主税局には、地方自治体の先頭に立ってその研究を進めていただきたいと思っております。
他方、東京以外の地方に目を転じてみますと、一人当たりの自動車所有台数では、東京都は最下位となっており、公共交通機関が発達した大都市以外の地域の方が相対的に税収の重要性が増してくるものと思われます。車体課税の見直しによる影響は、よりほかの道府県において大きくなるのではないかと危惧するものであります。
そこで、自動車税と自動車取得税について、人口一人当たりの税収で比較した場合、都とほかの道府県でどれほどの差があるのか伺います。
○副島税制部長 平成二十八年度決算ベースでの人口一人当たりの税収額でございますけれども、自動車税では、全国を一〇〇とした場合、都は最小の六四・五でございまして、最大の栃木県との差は約二・三倍となっております。自動車取得税につきましては、全国を一〇〇とした場合、都は九二・八でございまして、最大の愛知県との差は約一・五倍となっております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。車体課税はもちろん東京都にとって貴重な財源であることはいうまでもございませんが、答弁にありましたとおり、人口一人当たりの税収は、東京よりもほかの道府県の方が大きく、むしろ東京以外の道府県において財源としての重要度が高いことがわかりました。
さらに先ほどの答弁でもございましたように、自動車取得税のおよそ七割は区市町村に配分されているほか、軽自動車税の課税権が区市町村にあることを踏まえますと、車体課税は区市町村にとっても重要な財源になっているといえます。
このように車体課税は、地方全体にとって重要な財源となっていますが、現在、国においては、平成三十一年度税制改正に向けた議論がなされているところでございます。主な論点は二点。一点目は、自動車の保有に係る税負担の軽減、二点目は、消費税率一〇%引き上げに伴う反動減対策と聞いております。
そこでまず、現在の車体課税の見直しに係る議論の背景をお伺いいたします。
○副島税制部長 従前より、自動車産業界を中心に、複雑な自動車関係諸税の簡素化や過重な税負担の軽減に関する要望があり、そうした中で、国の平成二十九年度与党税制改正大綱におきまして、平成三十一年度税制改正までに、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずるとされております。
また、平成三十一年十月一日に消費税率の引き上げが予定されておりますが、税率引き上げに伴う反動減対策につきましては、いわゆる国の骨太の方針におきまして、税率引き上げ後の自動車や住宅などの購入支援について、需要変動を平準化するため、税制、予算による十分な対策を具体的に検討するとされております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。
消費税は、高齢化に伴い増大する社会保障財源として一層重要性を増していくことと思います。また、税率の引き上げにより経済が冷え込み、かえって税収が減ってしまっては本末転倒であると思います。そうした観点からは、税率引き上げに伴う措置を講ずることは、地方財政への配慮は必要でございますが、一定程度必要になるものと思います。
一方、平成二十九年度与党税制改正大綱に掲げられた自動車の保有に係る税負担の軽減は、自動車ユーザーや産業界の声を背景としており、その思いを受けとめる必要はありますが、税率の引き下げとなれば、地方自治体の恒久的な減収となるものであり、少子高齢化や都市インフラの更新など、今後ますます増大する都財政の状況を鑑みると、懸念せざるを得ません。
そこで、自動車の保有に関する税負担の軽減について、自動車産業界の具体的な要望内容はどのようなものかお伺いいたします。
○副島税制部長 自動車の保有に関する税負担につきましては、自動車産業界や経済産業省から、我が国の税負担は欧米諸国と比較いたしまして過重であり、国際水準である現行の軽自動車税を起点に引き下げるべきとの要望がなされております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。今おっしゃっていただいたとおり、自動車の保有に関する税について、諸外国と比較して負担が大きいとのことですが、冒頭で確認しましたように、自動車は保有の段階だけではなく、取得や利用、走行の各段階でも課税されております。また、その対応も国によってさまざまでございます。
そうした点を踏まえますと、国際比較する場合は、保有に関する税だけではなく、自動車ユーザーにおけるトータルの税負担を比較しなければ、フェアではない、比べられないと私は思います。
そこで、燃料課税を含めた自動車関連税全体では、日本の税負担は、国際的に見てどのような水準になっているのかお伺いいたします。
○副島税制部長 例えば、年間、二千ccクラスの自家用車を一定の条件で七年間使用した場合における標準的な税負担を試算いたしますと、自動車の取得、保有、走行に係る税と消費税などの付加価値税を合算すると、アメリカは我が国よりも低いものの、ドイツあるいはイギリスは日本の約一・四倍、フランスは約二倍の税負担となっております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。日本と国土面積や人口、経済規模の近い欧州の主要国と比較しても、我が国の自動車のトータルの税負担は大きいものではないことがわかりました。
こうした点に加え、車体課税が地方自治体の貴重な財源となっていることを考えますと、やはり自動車の保有に関する税負担を引き下げていくことには慎重であるべきではないかと思います。
そこで、最後に、都は、自動車に関する税制改正の議論において、どのような認識で、どう対応していかれるのかお伺いいたします。
○副島税制部長 自動車の使用は、環境負荷の発生、道路施設の利用、交通行政サービスの享受等の社会的コストを伴うものでございまして、地方自治体は、こうしたコストに対する施策を実施する役割を担っております。地方自治体がそれらの対応に要する財源につきましては、自動車の所有者に一定の負担を求めることで、安定的に確保することが不可欠と認識しております。
都といたしましては、車体課税としての現在の税収規模を維持すること、また、消費税率の引き上げに伴う反動減対策を講じる場合には、地方自治体に減収が生じることのないよう、確実に代替財源を確保することを国に対して要望してまいります。
○清水(や)委員 どうもありがとうございました。
次に、大法人の電子申告義務化についてお伺いさせていただきたいと思います。
税理士という立場からも、納税者が簡便、正確に申告ができる、そして利便性が高い納税環境の整備は非常に重要であると承知しております。周囲を見渡しますと、インターネットの利用やスマートフォンの普及など、都民生活のさまざまな場面において情報通信技術の利活用が進んでおります。
主税局においても、地方税ポータルシステム、いわゆるeLTAXと申しますが、eLTAXというインターネットを利用した電子申告の導入により、自宅やオフィスのパソコンから、いつでも税の申告が可能なサービスを提供し、納税者の利便性の向上を図っているのは、都民ニーズに応えた取り組みといえると思います。
電子申告を利用可能な都税の中で、法人都民税、事業税、いわゆる法人二税でございますが、最も調定額が大きく、基幹税目としての税収を確保する中で、この納税環境の果たす役割は非常に大きいと認識しております。
昨今の国の動きからも、税務手続におきましてもICTの活用を推進し、全ての納税者が簡便、正確に申告ができる利便性が高い納税環境を目指していく方向には賛同いたします。
このような中で、大法人の法人二税の電子申告が義務化されたと伺いました。
そこで、大法人の電子申告義務化の概要と都における対象法人数をお伺いいたします。
○安藤課税部長 平成三十年度税制改正により、大法人が行う法人二税の申告につきましては、電子による提出が義務化され、適用は平成三十二年四月一日以後に開始する事業年度からとされました。対象法人は、内国法人のうち事業年度開始のときにおいて資本金の額等が一億円を超える法人、相互会社、投資法人、特定目的会社であり、都内対象法人は、平成二十九年度末で本店、支店合わせて約一万五千社でございます。
なお、国税におきましても同時期に法人税法が改正されまして、大法人の電子申告、向こうはe-Taxと申しますが、それらが義務化されております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。
大法人の電子申告義務化を控え、対象法人が一万社を超えているとのことですが、電子申告の利用に当たって、さらなる環境整備が必要であると考えます。身近にいる税理士の間でも、eLTAXの利用時間が拡大できないのか、より使いやすいシステムにならないかなどさまざまな要望が上がっています。
そこで、都における法人二税の電子申告の利用状況と普及促進に向けた課題についてお伺いさせていただきます。
○安藤課税部長 法人二税の平成二十九年度の電子申告率は、都全体で六〇%を超えております。これに対し、都における大法人の電子申告率は、平成二十九年度で約五〇%にとどまっております。これは、大企業が独自の会計システムを使用していることで、システム連携が困難など、電子申告につながる業務プロセスになっていないことや、eLTAXの申告の手続がわかりづらいことなどが主な原因と考えられます。
また、委員ご指摘のとおり、法人の申告に関与する税理士会からは、eLTAXの利用時間の拡大や使い勝手の改善につきましても要望が出されており、改善が必要ということで認識しております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。
現在、法人二税の電子申告率が六割以上となっているのに対し、大法人が五割程度にとどまっている現状を踏まえ、より一層の取り組みを求めたいと思います。
これまでは、eLTAXで申告する際、代表者の電子署名が必要だったんですが、本年四月より、当該法人の代表者から委任を受けた者の電子署名等をもって申告が可能になり、普及促進に向け柔軟な対応が進んでいると聞いております。
私の地元の西多摩地区の法人でも、都税事務所や税務署まで一定の距離があります。また標高差もあります。電子申告という便利な申告、納税環境を活用することで利便性が向上しているとお伺いしています。
電子申告の普及促進に当たっては、より利便性の高い電子申告システムを実現し、利用者が電子申告の利便性を実感できなければならないと思います。申告を電子で行った方が紙で申告するより格段に効率的というくらいの状況をつくり出すためには、利便性の向上へ向け、さまざまな工夫が必要なのではないかと思います。
そこで、電子申告を行うことの効果と利便性向上への取り組みをお伺いしたいと思います。
○安藤課税部長 電子申告を利用することで、納税者には、窓口に持参することに係る時間や経費の削減、窓口終了後でも申告が可能、複数の地方団体へまとめて申告できるなどの効果がもたらされます。また、平成三十一年から稼働する地方税共通納税システムとの連動により、納税者は電子申告を行った後、一度の手続で複数の地方団体への電子納税が可能になるなど、利便性の向上が図られることになります。
税理士会からの要望にも挙げられているeLTAXの利用時間の拡大につきましては、平成二十六年より、平日は二十四時まで延長運用されており、平成三十一年九月からは、毎月最終の土日を開放するなど繁忙期の休日開放を拡大していく予定でございます。
今後も、利用者の使い勝手の改善のため、eLTAXを運営する地方税電子化協議会に対し働きかけを行ってまいります。
また、電子化の環境整備のため、平成三十年度税制改正で資本金一億円以上の外形対象法人等について、膨大といわれているその添付資料削減のため、法人税と法人二税の申告における財務諸表の電子的提出の一元化が規定されましたが、その実現に向け、国税局や地方税電子化協議会と連携を進めてまいります。
○清水(や)委員 ありがとうございます。
私は税理士として、二月、三月はほとんど寝ることもできず、子供たちとも顔を合わせず、ホテル住まいで申告を詰めてきた経験がございます。夜中にパソコンと向かい合いながら、国税の方は申告がすいすい進む、だけれども都税の方はなかなかクローズされていてという苦い経験がございます。それに比べると、今は格段の差で、非常に感謝を申し上げたいと思います。
さて、電子申告を行うことで、納税者にさまざまな効果があり、利便性の向上に向けて、国税局や地方税電子化協議会と連携し、改善を図っていることがわかりました。
義務化もあり、大法人への普及促進はもちろん重要ですが、裾野の広い中小企業についても、普及促進を図る必要があります。普及を促進するためには、納税者に対するサポートだけでなく、普及促進を担う職員の育成も重要であり、組織として体制づくりを行っていくことも必要だと考えます。
そこで、電子申告を普及するため、どのような体制づくりを行っているのか伺います。
○安藤課税部長 電子申告普及促進に向けては、納税者への周知活動はもとより、実践的な問い合わせに対応できる職員の育成が不可欠でございます。都の法人二税部門におきましては、平成二十二年度から独自の取り組みとして、eLTAXリーダーという電子申告普及促進活動の核となる職員を育成し、納税者からの相談に対応可能な人材の育成を進めております。
eLTAXリーダーは、システム概要や操作研修を通じ、また定例的な会議による意見交換を通じて、その知識や情報を組織に還元することで、職員全体のレベルアップを図っております。また、システムに関する専門的な問い合わせにつきましては、地方税電子化協議会のヘルプデスクにて対応しておりまして、職員は税務手続を中心とした相談等に専念できるよう、機能的な役割分担を図っております。このヘルプデスクは、主税局ホームページのトップページからも案内されるよう、納税者にわかりやすく連携しております。
さらに、各都税事務所におきましては、相談広報部門と連携し、税理士会や法人会と協働した法人向けの説明会やPRグッズの作成、所管の法人への個別勧奨等、工夫を凝らした普及促進活動に取り組んでいるところでございます。
○清水(や)委員 ありがとうございました。法人二税の電子申告書、電子申告普及促進の核となる職員の育成について、引き続きレベルアップに努めていただきたいと思います。
さて、電子申告を広げるためには、部門に携わる職員の理解促進は重要であり、今後、大法人の電子義務化も控えて、対象法人に対する周知活動も重要となってくると思われます。大法人が集中する都としては、普及率向上のため、対象となる法人に対して、その背景や制度等を丁寧に説明し、電子申告への理解を深めていくことも重要と考えます。
義務化の対象法人は、国と都で重なっており、連携した取り組みを進めていくことが有効だと考えます。
そこで、最後に質問をいたします。大法人の電子申告義務化も踏まえ、電子申告の普及促進に向けての主税局の取り組みをお伺いさせていただきます。
○安藤課税部長 大法人の電子申告義務化も見据え、電子申告の普及促進に向けて、東京国税局と管内一都三県による事務レベルの会議を実施し、今後の取り組みについて検討を進めております。
連携した取り組みとして、電子申告義務化に向け、対象の法人に対して共同の説明会を開催しておりまして、都では、年末までに合計十二日間、延べ二十六回を予定しておりますが、既に本日までに二十回説明会を実施し、各回とも多くの法人に積極的に参加いただいている状況でございます。
都といたしましては、現在、電子による申告が行われていない約五割の対象法人への普及促進活動は重要な鍵となってくるため、今後、説明会に参加していない対象法人を抽出するなど、漏れなく制度の周知等を図っていくことが重要ということで認識しております。
現在、主税局独自でも、チラシ等の配布に加え、ホームページや申告書送付用の封筒への掲載など、普及促進活動に取り組んでおります。今後は、国税局と連携し、税理士会を初めとした関係団体を含め、法人への新たなアプローチを検討し、電子申告の普及に向けた取り組みを一層強化していきたいと思っております。
○清水(や)委員 大変前向きな答弁をありがとうございました。大法人の電子申告義務化に向けて、説明会実施等の着実な取り組みにつき、環境改善の促進に向けて頑張っていただきたいと思います。
電子申告の促進に向けた主税局のさらなる取り組みに期待をいたしまして、私からの質問を終わりにいたします。
○秋田委員 私からは、国が検討している新たな偏在是正措置について一点、伺わせていただきたいと思います。
かつて石原東京都知事が、泣く子と地頭と国には勝てない、そうおっしゃったことを今さらながら改めて痛感する次第でございますが、とはいえ、かつて暫定措置が導入された際、先ほど、早坂副委員長からもお話がありましたし、私も、ことしの第一回定例会の代表質問で申し上げましたが、私ども都議会自民党は第一党として、しっかりと責務を当時果たしたつもりでございます。
あらゆるチャンネル、そしてあらゆる知恵を総動員して、羽田空港の国際化、そして三つの環状道路の整備促進、それからオリンピック・パラリンピック招致への国への協力を初めとする十三項目の約束を国にのませることにどうにかたどりついたわけでございます。
その結果、多くの財源を召し上げられたものの、ご存じのとおり、羽田空港は国際化をしましたし、三つの環状道路の整備は促進されておりますし、皆さんよくご存じのとおり、オリンピック・パラリンピック招致も国がちゃんと協力をしてくれて招致に成功したわけでございます。多くの失ったお金はあったけれども、東京都に今後必要なものはしっかりととったのかな、当時一期生だったか二期生だった私は、そんな思いをした次第でございます。
今回も、第二党ではございますが、一生懸命頑張らせていただいているところでございます。私も吉原幹事長とともに、総理のところにお願いに行き、二階幹事長のもとにも行き、宮沢党税調会長のところにも行き、きのうも党税調のメンバーを中心に、朝から要請活動をした次第でございます。第二党とはいえ、できることはしっかりとやっていくのが我々の責務だと思います。
そこで、一点お伺いしたいんですが、この間、第一党である都民ファーストの皆様方は、国への要請などを独自に行った事実はありますか。
○目黒主税局長 大変申しわけございませんが、私どもにおきましては、そういったことについて承知はしてございません。
○秋田委員 とても私は、残念な思いがいたします。都議会議員である以上、議会で発言をするということはとても重要なことだと思います。ブログやSNSで発信することも必要なのかもしれません。けれども、それで物事が動くわけではございません。あらゆるチャンネルを総動員して、あらゆる知恵を使って、都道府県を動かし、国を動かし、区市町村を動かして初めて物事が成就することがいっぱいございます。
課題が大きければ大きいほど、国や他の道府県や区市町村を動かさないと変わらないことばかりでございます。だからこそ、ぜひ都の職員の皆様方も、議員の皆様方も、そういった歴史も踏まえて認識をしていただければと思います。
我が党は、都民ファーストさんの今や半分以下でございますが、最後まで諦めることなく、東京都のため、そして都民のために頑張らせていただくことをお約束して、発言を終わります。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時八分散会
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