委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
理事 | 池川 友一君 |
理事 | おときた駿君 |
理事 | 石川 良一君 |
つじの栄作君 | |
清水やすこ君 | |
大場やすのぶ君 | |
秋田 一郎君 | |
小磯 善彦君 | |
山田ひろし君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 一名
出席説明員財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長財政企画担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 初宿 和夫君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 山田 忠輝君 | |
財産運用部長 | 山根 恭子君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 小野 幹雄君 | |
技術管理担当部長 | 飯泉 洋君 | |
庁舎運営担当部長 | 後藤 徹也君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 佐藤 敦君 |
本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)
○大松委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより収用委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○小磯委員 収用委員会が取り扱う事業は道路事業が九割程度ということで占めておりますけれども、二十七年度に生産緑地買い取りの申し出にかかわる価額についての裁決申請が出ているということでございます。この生産緑地法における買い取り制度と、その中での収用委員会の役割、さらに申請の実績についてお伺いします。
○佐藤収用委員会事務局長 生産緑地法における買い取り制度についてでございますが、生産緑地の所有者は、当該生産緑地地区に関する都市計画の告示から三十年を経過したり、主たる従事者が死亡したときなどにおきまして、区市町村長に対し、当該生産緑地について時価での買い取りを申し出ることができることとなってございます。
申し出を受けた区市町村長は、これを買い取る意向がある場合には、時価で買い取る旨を所有者に通知することとなってございますが、この時価につきましては、区市町村長と生産緑地の所有者とが協議して定めることとなってございます。
そして、この時価について協議が成立しない場合には、区市町村長または生産緑地の所有者が収用委員会に裁決を申請することができることとなっておりまして、収用委員会は、その申請を受け、当該生産緑地の時価について裁決を行うこととされてございます。
なお、当該裁決の申請手数料は、土地収用法関係手数料等に関する条例に基づき、損失補償の見積額に応じた通常の手数料に対し二分の一となっております。
また、生産緑地の価額事件の申請はこれまで一件となっております。
○小磯委員 私の地元町田市内には、都内の区市町村では二番目に多い、約二百二十ヘクタールに及ぶ生産緑地があるということでございまして、一方で、この生産緑地に関しては、現在、二〇二二年問題が危惧をされているということであります。
これまでの生産緑地買い取りの申し出にかかわる価額事件の裁決申請実績は一件ということでございましたが、今後、生産緑地の所有者が区市町村に買い取りを申し出る機会がふえることも想定をされるわけであります。その際、こういう裁決申請の制度があるということは、現時点では余り知られていないんじゃないかなというふうに思うわけであります。
今ご答弁のように、生産緑地の所有者も裁決の申請をすることができるのであれば、所有者の方にも、そういう制度があるということを手軽に知ることができるように、収用委員会事務局としても、制度の周知に努力をすべきと考えますけれども、見解をお伺いいたします。
○佐藤収用委員会事務局長 生産緑地の所有者の方が収用委員会の裁決申請をすることができることは法定されているところでございまして、委員ご指摘のとおり、この制度を周知していくことは重要であると考えております。
そのため、今後まずは、収用委員会事務局のホームページにおきまして、土地所有者向けに生産緑地の価額に関する申請要件の解説や申請様式などを掲載してまいります。
さらに、従来から実施しております都内区市町村等の担当者向けの集合研修や、当事務局職員が区市に直接赴いて行う出張研修など、さまざまな機会を通じて制度の周知、理解の向上を図ってまいります。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○大松委員長 これより財務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のございました資料は、記載してございますとおり五件でございます。
一ページをお開き願います。要求資料第1号、第二次主要施設十か年維持更新計画の進捗状況でございます。
こちらは、平成二十七年度から三十六年度までの十カ年における概算事業費をお示ししたものでございます。
二ページをお開き願います。要求資料第2号、各種基金の年度別推移(決算)でございます。
こちらは、平成二十年度から二十九年度までの十年間における各種基金の推移を、二ページから三ページにかけてお示ししたものでございます。
四ページをお開き願います。要求資料第3号、財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積でございます。
こちらは、平成二十五年度から二十九年度までの五年間における財務局所管の普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積をお示ししたものでございます。
五ページをお開き願います。要求資料第4号、財務局所管普通財産(土地)の活用実績(一般会計)でございます。
こちらは、財務局所管の普通財産のうち、土地について、平成二十年度から二十九年度までの十年間における活用実績を、活用方法別にお示ししたものでございます。
六ページをお開き願います。要求資料第5号、都内の公契約条例等制定自治体でございます。
こちらは、平成三十年十月十五日現在、公契約条例等を制定している都内の自治体の状況をお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大松委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○石川委員 免震ダンパー検査数値改ざん問題について伺います。
平成十二年の雪印集団食中毒事件、そして三菱自動車リコール隠蔽事件、アクリフーズ農薬混入事件、ベネッセ顧客情報漏えい事件、オリンパス不正会計事件、中日本高速道路笹子トンネル事故、それ以外にも神戸製鋼や三菱マテリアル、日産自動車等、日本を代表する企業で不正が相次いで発覚をしております。ものづくり大国日本が大きく揺らいでいることに危機感を覚えざるを得ません。
さらに今回、創業が大正八年という歴史を持ち、東京証券取引所一部に上場する油圧機器メーカーで、我が国の免震、制振オイルダンパーのトップメーカーであるカヤバシステム、KYBは、十月十六日、地震の揺れを抑える免震装置と制振装置で性能検査記録データを改ざんする不正があったことを発表しました。
この発表を追いかけるかのように、川金ホールディングスの子会社、光陽精機でも、免震装置の検査データ改ざんが発覚をいたしました。川金ホールディングスに関係する装置は、都では使われていないようですけれども、全容はまだ明らかになっておりません。
都民の安全・安心にかかわることであり、今後の詳細を厳しく都としてもチェックをする必要があるわけでございます。
そこで、今回のデータ改ざん事件について対策を立てていくために、全体像を把握する必要があることから、何点かお伺いいたします。
都では、多くの建築物を所有し、新たな施設の建設も毎年のように行われておりますけれども、地震大国日本では、建築物の耐震対策は大きな課題です。大きく分けて耐震、免震、制振の三つの耐震建築の手法があるわけですが、まず、都有建築物に免震、制振構造を採用する基準は何によりますか。また、都有建築物の免震、制振構造の整備状況はどうなっているのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都有建築物の整備に当たっては、防災上の重要性に応じて、必要な耐震性能を確保してございます。大地震時において、建築物の機能の確保や収容物の安全性の確保が特に必要な建築物などに免震構造や制振構造が採用されております。
具体的には、防災拠点となる庁舎や病院などが該当いたしまして、そのうち免震構造を採用している施設数は、昨年十月時点の調査で十九棟ございます。
○石川委員 大地震でも施設の機能や収容物の安全を確保するため、防災拠点、病院、文化財の施設などを優先して導入していることになるわけであります。
免震、制振技術の導入は、高いレベルの耐震機能を必要とする施設を選択して、その導入について決定をしているということでございます。実際に採用している施設は、学校、庁舎、消防、警察、もちろん医療関係施設もあるわけで、非常に幅広いわけでありますけれども、これらが採用されていることについて、後々きちっと説明が明確にできるような対応をしておいていただきたいと思います。
免震、制振構造を採用する際に、財務局はどのようにかかわっているのかお伺いいたします。
○飯泉技術管理担当部長 都では、都有建築物の基準として構造設計指針などを定めており、重要な防災拠点や救護施設など、大地震において機能確保が特に必要なものなどについて、免震構造、制振構造の採用が検討できるとしてございます。
施設を所管する局は、これらの基準を準用し、必要に応じて財務局と調整を行い、採用を決定してございます。
○石川委員 所管局から調整があった場合に、財務局も決定に参加するシステムになっているわけでありまして、財務局の方から工法を問うということはないということがわかりました。
それでは次に、一般の耐震建築物に対して、免震構造を採用することによる建物のコストはどうなるのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 免震構造を採用することにより、免震装置のほか、地震による建物の変形に対応できる設備配管も必要でございます。また、竣工後は、定期的に免震装置などの維持管理を行う必要がございます。こうしたことから、耐震構造の建築物と比較すると、一般的にコストアップとなる傾向がございます。一方、地震による被害が低減されるため、損失に係る費用が抑えられることにもなります。
○石川委員 免震工法の場合は、建物と建物を支える地中に埋めたくいとを切り離し、地震時の揺れを建物全体に伝えないための大がかりな工事が必要になるわけで、制振の場合も、ダンパーの取りつけ等、工事もふえるわけですが、数%から一〇%程度の建築費の増で済むというふうにいわれておりまして、一般的な耐震建築とは別の仕組みがあるということになるわけでありますけれども、免震構造を採用した場合、上部構造の断面は小さくなると聞いております。
これら免震構造、制振構造を採用した場合、建築物の耐力は減少するのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 免震構造は、建物の基礎部などに免震装置を設置することにより、地震の揺れを建物本体に伝わりづらくする構造でございます。このことから、免震構造の建物は、耐震構造と比較いたしまして、一般的に柱やはりなどの構造体を小さくすることができます。しかしながら、免震装置を含む建物全体の構造耐力は、耐震構造の建築物より劣るものではございません。
一方、制振構造は、建物の地上階に揺れを抑える装置を設置いたしまして、風や地震による揺れを低減する構造でございます。風の揺れによる居住性の低下を軽減する効果や、地震による長時間の揺れを防ぐ効果など、耐震構造の建築物に付加的に設置される場合があり、一概に構造耐力の比較ができるものではございません。
○石川委員 免震構造は、揺れを免震ゴムとダンパーで吸収することから、答弁にありましたように、上に乗る柱、はりなどは小さ目で、壁も薄目でもよいということで、その分、工事費が低減できることで、大規模な免震工事でもわずか数%の建設費の増で済むということなわけであります。
今回の免震ダンパーの検査データの改ざんを引き起こす要因も、建築物のいわばアンダーグラウンドにあることと思わざるを得ないわけであります。くいは地面に埋まっていますし、免震装置はわざわざ免震層に行かなければ見えません。オイルダンパーも壁の中に隠れてしまっている場合が大半であります。人目に触れないということが心理的に不正を引き起こしやすいといえるわけであります。
基本的に、免震装置やオイルダンパーは、大地震が起こるまでは性能差を感じることができないわけであります。また、別の建物同士で比較もできないので、多少性能が劣っていても一度設置してしまえばわからなくなる点も、不正をやりやすくしている可能性があるわけであります。
ということから、過去の耐震偽装問題として、いわゆる姉歯問題がありました。建築基準法では、構造計算のチェックが義務づけられるなど再発防止が講じられましたが、発注者として、都ではどのような対応してきたのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 本件は、建築士によって構造計算書が改ざんされ、既に入居済みのマンションなどで耐震基準を満たしていないことが明らかになった件でございます。
本件を踏まえて平成十九年に建築基準法が改正され、理事お話しのとおり、一定規模以上の建築物に対して第三者機関による構造計算のチェック、いわゆる構造計算適合性判定が行われるようになりました。
一方、発注者である都といたしましても、明快な構造計画の立案や設計図書と構造計算書との整合性の確認などを適切に実施することが重要でございます。
このため、建築構造に係る研修を実施し、職員の技術力の向上を図るとともに、基本設計時に設計担当者以外の職員が構造計画や構造設計の考え方について確認するなど適切に対応しているところでございます。
○石川委員 平成十七年に、姉歯元一級建築士による構造計算書の偽造が発覚することに端を発する一連の事件を指す耐震強度偽装問題、構造計算書偽装問題が大きな話題となったわけであります。平成八年ごろから、国土交通大臣認定構造計算ソフトを改ざんすることで、マンション等の構造計算書を偽造してきたわけであります。
平成十八年には札幌市で、別の建築士による構造計算書の偽造が発覚をするなど、業界の構造的な問題が指摘をされました。
地震国の日本において、建築基準法に定められた耐震基準を満たさないマンションやホテルが建設されていたという事実は、人命や財産にかかわるものであることから大きな社会問題となったわけであります。都の建築確認事務もかかわっており、都でも対応を迫られたわけであります。
こうした問題を受け、平成十九年には建築基準法、平成二十年には建築士法の改正、構造計算適合性判定や建築確認の厳格化、構造一級建築士の導入が定められ、改ざん防止機能つきの新たな構造計算プログラムが導入されるなどの対応策がとられたわけであります。
また、データ偽装ということになりますと、くいのデータ流用等が平成二十七年に発覚をしていますが、都の対応はどうだったのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 理事お話しの件は、民間マンションにおきまして、L字型に接した二棟の建物をつなぐ部分で約二センチメートルの段差が生じていることを、管理組合が事業主に指摘したことに端を発しまして、調査を進めた結果、二次下請のくいの施工会社がデータを流用していたことが明らかになった件でございます。
都有建築物では、九件でくいに関するデータの流用が明らかになり、それらについて施工記録や現場調査により施工状況を確認し、構造安全上問題がないことを確認してございます。
また、再発防止のため、工事の仕様書を改正し、施工記録が取得できなかった場合の代替措置をあらかじめ定めておくなどの対策を講じてございます。
○石川委員 横浜市のマンションで、強固な地盤にくいが届いておらず建物が傾いた問題で、旭化成建材が基礎工事のくい打ちで他のくいの記録を転用するなどのデータ改ざんをしていたことが、平成二十七年十月に発覚をしたわけであります。旭化成建材は、過去十年間に施工したくい打ち工事三千四十件のデータのうち三百件前後が改ざんに該当するといっております。
さらに、国交省は、平成二十七年三月、東洋ゴム工業が製造、販売した建築物の免震機構に用いられるゴム製部品について、不良品の出荷や性能データの偽装があったと発表しております。日本国内の自治体の庁舎、マンション、病院などで使用されており、棟数は五十五に及んでおります。
東洋ゴムは、平成十七年以降に製造し、国内十八社に納入した百八十九種類、計八万七千八百四個の防振ゴムで不正を確認したと発表いたしました。納入先に確約した規格値に満たない場合に、データを改ざんして報告したり、実際に試験を行っていないのに過去の試験データを転記したりしていたわけであります。
平成二十七年に、今回と同様の免震構造における偽装として、東洋ゴム工業による大臣認定に適合しない製品の出荷などの問題があったわけでありますけれども、都の対応について伺います。
○飯泉技術管理担当部長 本件は、免震装置に用いられているゴムについて、東洋ゴム工業が国土交通大臣の認定基準を満たさない製品を販売していたことや、不正な申請書を提出し、大臣認定を取得していたことが明らかになった件でございます。
本件につきまして、東洋ゴム工業の不適合品を使用した都有建築物はございません。
○石川委員 幸い、東洋ゴム工業製品を都では使われていなかったわけであります。
ただ、東洋ゴム工業は、防振ゴムと一連の不正問題が続いたことから行われました社内調査について、複数の取締役が不正の事実を認識しながら、問題が発覚した後も情報を再度修正したということがわかり、ずさんな調査と組織ぐるみの先送り体質が浮き彫りになったというような報道もあり、教育に例えると学級崩壊、企業倫理崩壊といわれる状況を呈していたわけであります。
こういった事態を受けて、都では、東洋ゴムの問題発覚時に、免震ゴムやダンパーなど、この時点で都の免震、制振装置に使われている免震装置やダンパーについて、製造メーカーに安全性の問い合わせを行ったのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 平成二十七年三月、免震構造の都有建築物を把握するため、各局に対し、施設名や装置メーカーなどについて調査を行いました。
その結果、先ほどご答弁させていただきましたが、東洋ゴム工業の免震材料が使われていないことを確認しており、特段メーカーへの問い合わせは行ってございません。
○石川委員 免震については調査をしたわけですけれども、制振構造の物件については、特に調査は行っていないということでございます。
これまでの全体の流れを概観しますと、我が国のものづくりの信頼は地に落ちてきており、性善説や信頼を前提に進めていくと、都民の安全や安心に大きな瑕疵を生む可能性があることが明らかだというふうにいえるわけであります。
今私の方から質問した、これまでの建築にかかわる偽装に対して、再発防止策を講じてきたにもかかわらず、今回、KYBの免震や制振装置のオイルダンパー検査データ改ざん問題が発生をしました。
現段階で、都の施設への影響について伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都は、先月十七日、国土交通省が不適合として公表したオイルダンパーの型番と同一の製品が、都有建築物七施設に出荷されていることを公表いたしました。
現在、各施設の工事の受注者等に対して、不適合かどうか調査するよう指示を行っており、不適合または不明となった場合は、当該ダンパーの交換が必要となります。
したがいまして、工事中の施設については、契約期間内での交換に向けて調整を行っていくことになり、また、既に竣工し使用されている施設については、工事の受注者等を含む関係者と交換に向けて調整をしていくことになります。
○石川委員 流れはわかりました。
そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技会場の整備で水泳会場で使われた免震、制振措置は、国の基準を満たしていないおそれがあることが発覚をし、工期に間に合わなくなる可能性が出てきたとの指摘がありますが、どう対処をするのか伺います。
○小野寺オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 現在、工事の受注者を通じまして、当該製品が適合しているかどうか確認を行っているところでございます。仮に、ダンパーが不適合と判断された場合でありましても、竣工時期を勘案しまして、交換の時期や方法について検討いたして問題のないように対応してまいります。
引き続き、東京二〇二〇大会に影響が出ないよう、しっかり工事のスケジュール管理を行ってまいります。
○石川委員 工期についてはしっかりと対処していただきたいと思います。
小池知事は、十月二十六日の記者会見で、都庁舎で使われているKYB社製に対して、不適合な製品は交換を求めるが、KYB側が適合というものでも、検証を必要としている、例えばサンプルを取り出して、第三者機関や都の立ち会いによる検査も検討すると表明をしておりますけれども、都は、油圧ダンパーの独自調査を具体的にどのような方法や時期に実施をするのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都有建築物七施設については、現在、工事の受注者等に対して不適合かどうか調査するよう指示を行っており、仮に、ダンパーが不適合または不明と判断された場合は交換を求めることとなります。その際、交換用のダンパーの性能確認については、第三者機関や都が立ち会うなど都として主体的に対応してまいります。
なお、時期については、現時点で未定でございます。
○石川委員 都としても責任を持った対応をお願いしたいと思います。
今回の問題で確認をしておきたいのが、国土交通省の新聞報道などを通じての見解でございます。
国の公表によると、今回の不適合製品が設置されていたとしても、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれがないとの見解が出されておりますけれども、都としてはどのように理解をしているのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 理事お話しのとおり、国土交通省の公表資料によると、不適合のダンパーが設置されている一部の建築物において構造安全性を検証した結果、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれがないとの見解が第三者機関から得られていると聞いてございます。
都有建築物七施設については、現在、工事の受注者等に対して、不適合かどうか調査をするよう指示を行っているところでございまして、今後、仮に不適合または不明と判断された場合は、その建築物の構造安全性の検証を行い必要な措置を求めていくことになります。
○石川委員 そもそも免震工法を例に挙げますと、病院で導入する理由は、地震で大きな揺れがあると、建物は倒壊しなくても医療機器を初めとする医療資材に損傷が出てしまうと医療行為そのものができなくなるので、揺れを和らげる免震工法を導入したわけで、最初の質問での、病院や文化財保全を初めとする防災拠点と、その目的とする機能を維持するために導入したということを忘れてはならないわけであります。建物が倒壊しなければよいというわけでありません。
今後、しっかりと改修工事を進められることになるかと思いますが、機能の維持が可能かチェックをしていただきたいと思います。
ダンパー検査データ改ざんの疑いがある建物も、全て、今回の問題で公表されているわけではありません。しかし、公的施設はそういうわけにはいかないわけであります。
都民に対して、今回の問題をどのように伝え、また、再発防止に努めていくのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都では、先月十六日の国土交通省などによる本事案の公表を受けまして、速やかに調査を実施し、翌十七日に、都有建築物七施設に同一の製品があることを公表いたしました。現在、その七施設について、工事の受注者等に対して不適合かどうか調査するよう指示を行っており、その結果が明らかになり次第、その事実や対処方法を随時都民に情報提供してまいります。
また、国土交通省は、十月二十六日、今回の件を受け、再発防止の検討などを行うための有識者委員会の設置を表明いたしましたが、その委員会での検討状況も注視しながら、都として適切に対応してまいります。
○石川委員 わかりました。
都内では、品川区の本庁舎は、国の基準以下のKYB社製ダンパーを使用していたことが明らかになっており、そのほかにも、新宿区本庁舎を初め役所のかなりの本庁舎も使用の疑いが浮上してきております。
役所本庁舎は、防災拠点であることのみならず、役所機能を維持しなければならない重要な施設なわけであります。もちろん、おのおのの自治体が安全性の確認、取りかえ工事を行う責任があるわけですけれども、これだけ多くの都内基礎自治体が関係していることから、オイルダンパー問題は、都としてはしっかり情報公開や状況把握をする必要があると考えるわけであります。
都有施設だけではなく、区市にもKYBのオイルダンパーを設置した施設があることは明らかなわけであります。都と区市とのデータ改ざん問題での連携について伺います。
○飯泉技術管理担当部長 公共建築物における技術的な課題の協議を行う定例会などを通じまして、区市と情報交換を行うとともに、区市からの相談に対して助言するなど、都と区市での連携を密にし、対処してまいります。
○石川委員 次に、今回の事案に関与した工事事業者についてお伺いいたします。今回の事案における工事事業者には、どのように指示をしているのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都は、都有建築物七施設の工事の受注者等それぞれに対しまして、使用または出荷されているオイルダンパーが不適合かどうか調査するよう指示を行っております。調査の結果、仮に不適合または不明と判断された場合は、ダンパーを交換するよう受注者等に求めてまいります。
○石川委員 わかりました。
次に、今回の事態は、免震、制振工法を信頼して発注をした都に対する、いわば裏切り行為といってもしかるべきものといえるわけであります。仮に工期が間に合わなくなるということになれば、都としては大損害となるわけであります。信賞必罰ではありませんけれども、よいことは褒めたたえ、悪いことはしっかりと罰することで、倫理や秩序は維持されるわけであります。
今回の事案に関与した工事事業者についてお聞きをいたします。工事事業者に対して指名停止などの処分に該当するのかどうか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都では、入札参加資格を有する事業者が、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱が定める要件のいずれかに該当する事実を発生させた場合、指名停止措置を講ずることとしております。
現時点では、オイルダンパーの施工を含む工事を請け負った事業者が、指名停止等措置要綱の要件に該当しているという事実は把握しておりません。
○石川委員 三十年間で七〇%の確率で東京直下型地震が起こるというふうにいわれております。このことからしますと、もう既にいわれ始めて四、五年時間がたっているわけでありますから、日を追うごとに、結果として確率はふえるというふうにもいえるわけであります。
万が一、交換までの期間に地震が発生した場合、本来のオイルダンパーの機能で防げた被害が生じるおそれがあるわけであります。そのときには、工事事業者に責任が生じるのではないですか、いかがですか。
○飯泉技術管理担当部長 都有建築物七施設のうち、都立松沢病院など三施設は既に工事が完了しており、建物が使用されております。この施設に使用されているオイルダンパーが、仮に不適合または不明と判断された場合は、その状況での構造安全性を検証してまいります。
仮に、検証結果で、本来求めていた機能のダンパーが設置されていないことによって被害が生じたことが明らかになれば、工事の受注者等に対して必要な措置を求めていくことになります。
○石川委員 いわば賠償を、概括的には受注者であるゼネコン等の建築業者に求めていくことになるわけであります。
新たに、川金ホールディングスのオイルダンパーのデータ改ざんが発覚をしたわけでありますけれども、今回の事案を受け、国では、オイルダンパーを製造したメーカーに対して同様の事案の有無について報告を求めていると聞いております。
万が一同じ事案が発生した場合に備え、免震構造だけではなく制振構造についても点検を行うべきではないかと考えるわけでありますけれども、いかがですか。
○飯泉技術管理担当部長 仮に、KYBとその子会社であるカヤバシステムマシナリー以外のメーカーが製造したダンパーについて、不適切な事案が明らかになった場合は、その製品の型番と同じ製品を使用している都有建築物について、KYBなどの場合と同様、不適合かどうか調査を行う必要がございます。
このためにも、免震構造だけではなく、制振構造の建築物についてもその実態を把握する必要があり、現在、各局に対して施設名や装置メーカーなどの調査を行っているところでございます。
○石川委員 財務局として全体を把握しておいていただきたいと思います。
このような事態を迎えて、今後、免震構造、制振構造の導入についてどう考えているのかお伺いしたいと思います。
○飯泉技術管理担当部長 今回、免震、制振用オイルダンパーのメーカーによる検査工程の不適切行為が明らかになったものの、免震構造や制振構造の建築物における地震に対する効果は、過去に発生した地震で実証されてございます。
本事案について適切に対応することで、免震、制振装置の信頼性を確実に担保し、今後も各局と連携し、必要に応じて免震構造や制振構造を採用し、地震などに強い都有建築物の整備を進めてまいります。
○石川委員 免震、制振構造に問題があったわけではなく、部品に問題があったわけで、耐震対策として有効であり、今回の問題をしっかりと乗り越えていただきたいと思います。
これまで、今回のKYB問題を軸に、当面の対応や免震構造、制振構造に係る都の取り組み体制等について、るる伺ってきたわけであります。質問を通じて、これまでの偽装問題との相違点や現段階での解決への課題も明らかにしたところでございます。
KYB問題はまだ解決の途上にあり、引き続き全力で取り組んでいただきたいわけでありますけれども、制振、免震に対する信頼を低下させることなく、さらに今後、都民の安全・安心を確保していくために、どのように公共建築物の品質確保に取り組んでいくのか、局長の決意を伺います。
○武市財務局長 首都直下地震などの大地震から都民の生命と財産を守るため、建築物の耐震化などに全力で取り組んでいる中、今回の事案が発生したことは大変遺憾でございます。都庁舎あるいは東京二〇二〇大会の会場を含みます都有建築物七施設におきまして、先ほど部長からも答弁申し上げましたとおり、現在、ダンパーの適合性を調査している最中でございます。
国土交通省の資料によりますと、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないといわれてはおりますものの、都民の皆様に一刻も早く安心していただけるよう早急に必要な対策を講じ、東京都として安全性を確保、確認してまいります。
本日お話のありました過去のデータ偽装問題などの事例から得られた経験なども生かしながら、各局と連携しまして、都有建築物のさらなる安全・安心の確保に努めてまいります。
○石川委員 ただいま、局長からの都有建物に対する安全確保に向けた力強い決意を聞かせていただきました。
ただし、この問題は、まだまだこれからが正念場でございます。都有建築物の安全性に関しては、いま一度、全庁一丸となった取り組みを進化させていくことを強く求めるものであります。
都では、平成二十九年に、都有施設等総合管理方針というすばらしい冊子ができ上がったわけで、これでございます、そんなに厚くはありませんけれども。いわゆる普通会計だけではなくて公営企業会計にかかわる施設も全て網羅をして、管理方針を策定しているわけであります。
今回のこうした経験を踏まえ、免震、制振の問題に関しては、ぜひこの管理方針に明記されている全庁的な技術職員の会議の中で議論を諮っていくこと、また、公営企業を含めた都有施設全体に係る中長期的な計画である都有施設等総合管理方針を次回更新する際には、こうした免震、制振の取り組みについてもその中に位置づけ、統括局としてまず、実態を把握し、さらに、全庁的な共有を図ること、最後に、こうした全庁的な視点からの対応を要望しておきたいと思います。
また、オイルダンパーの問題は、国会でも議論がされているわけではありますけれども、この二十年ほどの間に続いた偽装やデータ改ざん等に対して、再発を防ぐための法的な対応も必要ではないかというふうに思っているわけであります。
こういった点については、都からも、国に対して、しっかりと法改正が必要であればそのような対応もしていただきたい、このことを求めておきたいと思います。
次に、株式会社エム・テックについて伺います。
十月一日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した株式会社エム・テックが、スポンサー支援を得られず、十月二十二日、再生手続廃止決定を受けたわけであります。民事再生法申請時の負債は二百五十三億四千九百三十三万円ということでございます。今後、破産手続に入っていくというものであります。
都との関係では、東京オリンピック・パラリンピック関連施設の建設を請け負っており、エム・テックは、江東区のテニス競技の関連施設を十五億五千万円で受注をしていたわけでありますけれども、工事は中断をしているということでございます。
エム・テックが受注したオリンピック施設関連工事は、有明テニスの森公園(二十九)施設改修その他工事で、オリンピック開催時のテニス競技会場となる有明テニスコロシアムの改修などは別の工事者が手がけ、エム・テックはテニスコート十七面、一万九千六百二十四平方メートルのセミハードコート舗装や競技用照明塔の設置などを請け負っていたわけであります。ほかにも、カヌースラローム会場の管理棟建設も請け負っています。
エム・テックがオリンピック施設である有明テニスの森公園に係る工事契約の受注者となった経緯について伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 有明テニスの森公園(二十九)施設改修その他工事の契約手続につきましては、一般競争入札による契約案件として、平成二十九年六月十二日に案件の公表を行っております。
株式会社エム・テックを構成員とする建設共同企業体、いわゆるJVを初め、計十者が入札への参加申し込みを行い、その後、辞退三者を除く七者が応札し、平成二十九年七月二十八日に開札した結果、エムテック・塚本JVが落札者となったものでございます。契約金額は、税込みで十六億七千九百四十万円、落札率は九〇・四%でございます。
○石川委員 当然落札をしたわけでありますから、入札資格基準はクリアをしていたわけであります。
平成二十九年七月に、JV方式による十五億五千万円で落札をした、これは消費税を加えると答弁のような数字になるわけでありますけれども、二十九年十月着工で、来年七月に完成の予定だったわけであります。完成まで一年を切り、ラストスパートに差しかかるはずが、民事再生法の申請で工事は中断したままということでございます。
さらに、エム・テックは十月二十一日付で、下請業者などに、施主、東京都との請負工事を解除したため、貴社との契約も解除させていただくと通知をしております。工事がエム・テックの手を離れることで、今後の見通しは不透明となっているといえるわけであります。
さかのぼりますと、今回の前兆として、平成三十年、ことしの三月に、一部の公共工事で手続の不備や施工上の問題が発生し、東京地検から港則法違反で起訴されたことで、二百以上の自治体から指名停止処分を受ける不祥事が発生しております。この不祥事の際、都はどのような対応をとったのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 財務局発注の工事における港則法違反容疑により、株式会社エム・テック及び同社従業員が、平成三十年三月十四日付で東京地方検察庁に起訴されたことに伴いまして、指名停止等措置要綱に基づき、五月二十二日付で一カ月の指名停止としたところでございます。
○石川委員 もうこの時点で要注意事業者だったというふうにいえるわけであります。エム・テックが破産手続に移行することで、都に対する経済的損失の可能性はあるのかお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 有明テニスの森公園の整備につきましては、株式会社エム・テックの破産手続に伴いまして工事が現在とまっている状況でございまして、現在、清算のための検査に向けて準備を進めているところでございます。
検査がまだ終了しておらず、明確なことは申し上げられませんが、前払い金として、既に都が支払っている金額以上に工事の出来高があるという場合には、都の経済的損失はないものと考えております。
また仮に、工事の出来高が前払い金を下回る過払いの状況になっているという場合でも、JVが加入している前払い金保証契約により、JVにかわって保証会社が都の経済的損失を補償するということになっております。
○石川委員 経済的な損失は免れるということでございますけれども、一方では、工事完了の時期が問題になるわけであります。JVで仕事を共同して工事を進めていたわけでありますけれども、工事がとまったということでございます。
今後どのような方法で、契約内容を確実に履行させるのか伺いたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 先ほど申し上げましたとおり、本工事は、エムテック・塚本JVにより施工しているものでございます。現在、都では、清算のための検査に向けて準備を進めるのと同時に、残るJVの構成員と契約をそのまま維持して工事を継続するのか、契約を解除するのかにつきまして協議を行っている最中でございます。
いずれにいたしましても、都としては、できる限り工事を早期に再開し、東京二〇二〇大会はもとより、来年の秋に予定されているテニスのテストイベントなどに支障が出ないよう、施行部門と協力しながら、あらゆる努力をしてまいりたいと考えております。
○石川委員 エム・テックは、東日本大震災復興工事などを手がけて、ここで急成長したというふうにいわれております。しかし、会社のコンプライアンスに、基本的なところで問題があったということが、また一方で明らかになったわけであります。
先ほど来質問させていただきましたダンパー問題、免震ダンパー等々、制振を含めたダンパーの問題につきましても、やはり企業のコンプライアンス、このことが最終的には問われるわけであります。
ぜひこういった点に対しては、今まで以上にしっかりとした対応をしていただきたいというふうに思っておりますし、また、エム・テックの件につきましては、答弁にありましたように、オリンピック・パラリンピックに悪い影響を与えないようにしっかりとした対応を求めて、質問を終わります。
○早坂委員 工業用水道事業について伺います。
さきの第三回定例会において、工業用水道事業の廃止条例が可決されました。
施設の老朽化、ユーザー数の減少、赤字経営といった工業用水道事業が抱える課題は、きのうきょうに判明した問題ではありません。昭和四十九年に使用量のピークを迎えましたが、七年後の昭和五十六年には、ピークの半分にまで落ち込んでいたというわけであります。
にもかかわらず、結果としてこれらの課題を長年にわたり放置したあげく、地盤沈下対策という東京都の行政施策に協力してきたユーザーへの支援策を置き去りにして、なぜか廃止条例だけが強引に可決されたのであります。
なぜ、セットで行うべき支援策の検討を行わないまま拙速に廃止を決めたのか、全く理解ができません。しかし、この拙速きわまりない今回の一連の東京都の対応が、都政に対する信頼を大きく傷つけたことだけは明らかであります。
本日は、事務事業質疑の場ということで、まずは基本的なところから伺ってまいります。
本年六月に提言を行った有識者会議は、財務局の所管でありました。そして、きょうのこの工業用水道事業に関する議論は財務局に対してのものであります。しかし、工業用水道事業は、水道局が所管局であります。
そこでまず、このたびの一連の工業用水道事業の廃止をめぐる対応に関する財務局の基本的な立場、水道局と財務局の役割分担について伺います。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 財務局は、その分掌事務におきまして、地方公営企業の設置及び経営の基本に関することを所管してございます。
このため、工業用水道のあり方につきまして、専門家等の経験と見識を活用し、多角的に検討を進めるため平成二十六年度に設置をいたしました工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会は、財務局で所管することといたしました。
また、平成十六年度の包括外部監査におけます、廃止などを含めた抜本的な経営改革を検討すべきとの意見等を踏まえ、庁内に設置されました検討会などにおきましても、関係各局と連携しつつ、主に事業の存廃や財政面からの検証を行う立場から、これまで検討を重ねてまいりました。
○早坂委員 公営企業の設置あるいは廃止という存在そのものに関しては財務局の所管、実際の経営や執行に関しては事業局、すなわち水道局の所管ということだと理解をいたしました。
さて、改めていうまでもなく、現状は、廃止条例だけが可決され、そのこと以外は何も決まっていない状態であります。さきの第三回定例会連合審査会では、巨額の廃止コストに対する都民への説明責任は何ら果たされることなく、肝心のユーザー支援策については、予算審議に先送りされました。
まず、廃止コストについて伺います。
豊洲新市場移転の延期コストは、追加対策工事や市場業者への損失補償など百億円とも二百億円ともいわれ、その金額の大きさに、都民の皆さんから強い非難を浴びたわけであります。一方で、この工業用水道事業会計の廃止には、それをはるかに上回る一千億円近いコストが見込まれています。
そもそも工業用水道事業は、料金収入による独立採算が原則であります。しかし、その不始末には、あろうことか、独立採算の枠を超えて一千億円もの都民の税金が投入されようとしているのであります。
さきの連合審査会において、廃止やむを得ずという考えがあったのならば、せめて撤去費用だけでも、なぜ内部留保してこなかったのかという我が党の委員の問いかけに対して、水道局からは、余裕がなかったという極めて残念な答弁しか返ってまいりませんでした。
この問題を長年にわたり放置してきた水道局に問題があることはもちろんでありますが、財務局も、毎年度予算をチェックする立場にあったはずであります。
そこで、工業用水道事業会計について、これまでなぜ将来を見据えた内部留保をしてこなかったのか、この問題について水道局からどのように説明を聞いてきたのか伺います。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工業用水道事業会計は、公益、公共目的を果たすため、自治体がみずから経営する事業を区分して経理しております公営企業会計の一つでございまして、事業に要する経費は、経営に伴う収入をもって充てるという独立採算制を原則としてございます。
一方で、料金制度につきましては、平成二十六年度までの間、基準料金制度が適用され、国による上限額が設定されていたことに加えて、都の工業用水道は、広範なエリアに利用者が点在しているということから、他県と比べて基本水量一立方メートル当たりの配水管の管理延長が長く、経営効率が低いなどの構造的要因を抱えてございます。
こうした中、都はこれまで、基準料金の範囲内での料金引き上げや雑用水の供給開始などの収入確保策を講じますとともに、職員数の削減や浄水場の統廃合等の事業の効率化に向けて経営努力を重ねてまいりました。
しかしながら、工場の都外移転等に伴います工業用水の供給件数の落ち込みなどによる厳しい経営状況が続いたこともございまして、平成二十九年度末時点の累積剰余金は七十八億円にとどまっております。
○早坂委員 さまざまな背景があったにせよ、工業用水道事業会計の後始末には、都民の税金を投入するという考え方が最初からあったのだろうと思います。税金投入を前提として、第三回定例会で廃止条例を提案したのであれば、その段階で示された廃止コストは、精査済みの金額と理解するのが当然であります。
しかしながら、既設の配水管の有効活用先や資産の売却先など具体的な内容に話が及ぶと、明確なお答えは一切ありませんでした。にもかかわらず、東京都は、今後、より一層の廃止コスト縮減を図るとしています。
現状ベースにおいてさえ、コスト縮減の具体的な内容が煮詰まっていない中にあって、より一層のコスト縮減を打ち出すのは、単なる言葉遊びにすぎません。
そこで改めて、そもそもの廃止コストの縮減と、都庁のおっしゃる、より一層の縮減を図るという、その具体的な内容について伺います。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工業用水道事業の廃止に当たりまして、配水管等の撤去コストのさらなる縮減を図ることは重要な取り組みです。
こうした観点から、水道局におきましては、今後、撤去費用の大部分を占めます配水管につきまして、不用となります工業用水道管の中に新しい水道管を挿入した上で上水道管に転用することといたしまして、また、他のライフライン事業者に対しましても、積極的に情報提供等を行いながら、廃止後の配水管の他用途への再利用等について協議を進めていくと聞いております。
一方で、再利用が困難な配水管につきましては、並行して埋設されております上水道管の更新のタイミングや他のライフライン事業者との共同施工などにより撤去を行うなど、可能な限り撤去費用の縮減を図れるよう、関係各局とも連携しつつ、あらゆる創意工夫を行いながら、今後、さらなる精査を図っていくこととしております。
○早坂委員 この問題に巨額の税金を投入するという考え方なのであれば、もはや水道局だけで済む話ではないことを繰り返し指摘しておきたいと思います。
さて、次に、予算審議まで先送りするとされた支援計画案についてもお伺いしたいと思います。
一つは、料金差額の支援期間についてであります。六月の有識者委員会の報告書で示された料金差額支援期間は最長十二年でありました。これは、上水道への切りかえに伴い最大十二倍に値上がりするユーザーを念頭に、東京都の使用料の改定基準にのっとって、激変緩和、すなわち二年ごとに一・五倍ずつ引き上げを行った場合の年数であり、考え方の根拠が示された納得のいく期間であります。
しかしながら、東京都が示した二十年の算定根拠は、このたびの支援計画案のどこにも記載がありません。さきの連合審査会における質疑の中では、ユーザーの意見を踏まえて延長とか、借入金返済が完了する期間など、さまざまな理由が持ち出されていましたが、それがどうして二十年という根拠になるのか、私には全く理解ができません。
参考人の井手秀樹教授に対する他会派からの質疑の中でも、今回、東京都が示した措置期間という概念について、有識者委員会としては議論していないと明言をされていました。
そこで改めて、東京都が示した料金差額支援期間二十年の算定根拠について、その内訳を含めて、具体的かつ詳細に伺います。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の支援計画案におけます料金差額補填期間につきましては、有識者委員会で示されました考え方を踏まえつつ、利用者の経営等への影響を最小限にとどめるため、利用者や都議会のご意見、ご要望等に耳を傾けながら設定をいたしました。
工業用水道利用者に対します料金差額補填期間といたしまして、具体的には、まず、上水道への切りかえ据置期間の四年に加えまして据置期間として六年を追加し、合計十年間を工業用水道料金と同額に据え置くこととしております。これは、新たな設備投資をした場合でも料金負担の上昇が借入金の返済等に支障を来さぬよう、中小企業制度融資が十年程度であることなどを参考に設定したものでございます。
また、その後の激変緩和期間につきましては、料金差額倍率が最大十二倍であることに着目をいたしまして、据置期間の終了後、都の使用料及び手数料の改定上限を参考に、二年ごとに一・五倍ずつ六回に分けて料金の引き上げを行うものとして十年といたしました。このような考えのもと、料金差額補填期間は、料金据置期間と激変緩和期間を合わせて合計二十年としてございます。
○早坂委員 全てが、二十年という期間に正当性を持たせるための後づけの理由で、納得のいく根拠とは到底いえないと思います。
料金差額支援が重要であることには間違いありません。では、この短期間に、それ以外の支援策の検討は十分になされてきたのでありましょうか。
さきの財政委員会における我が党の委員からも指摘をいたしましたが、現行示されている支援計画案では、最初から工業用水道の代替水には上水道ありきという結論が決められているように思えてなりません。
確かに、地下水の利用が難しいという点については、さきの連合審査会の中で明らかとなりましたし、それは理解できることであります。しかしながら、河川水や下水再生水の利用可能性については、これまでに十分な議論や検討が重ねられていないとのことでありました。
幸いといっていいのか、支援計画案は予算審議まで先送りにされました。しゃくし定規な解釈や対応でなく、この機会に改めて、しっかりとユーザーに寄り添って、河川水や下水再生水などの代替水の可能性を検討すべきであります。
そこで、こうした代替水の可能性についても、新たな庁内検討体制などを通じて検討すべきと考えます。ご見解を伺います。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の支援計画案の策定に当たりましては、利用者の経営等への影響を最小限にとどめるという観点から、上水道以外の代替水としての河川水や下水再生水の利用可能性についても、実務担当者レベルにおきましては検討を行ったところでございます。
しかしながら、例えば河川水につきましては、流下能力など公共的な機能の確保や利用目的におけます公益性などが求められますとともに、下水再生水につきましても、新たな配水管や供給施設等の整備が必要となるなど、いずれも直ちに代替水として利用するには課題が多いことを関係各局で共有してございます。
利用者に対します支援策につきましては、長期的な観点から、その内容や対象について検証を重ねていくこととしており、年内に構築いたします関係各局による横断的な検討体制などを通して、引き続き検討してまいります。
○早坂委員 重ね重ねになりますが、このたびの工業用水道事業に関する東京都の対応には、極めて大きな疑問を抱いています。ユーザーにも都民にも説明責任を果たさないまま、廃止条例だけが提案、可決され、支援策、廃止コスト、既存施設の取り扱いなど、肝心なことは何も決められていません。余りにも無責任な対応であるといわざるを得ません。
東京都として真剣にこの問題に向き合い、全庁を挙げてしっかりと責任ある取り組みを行うことを強く要望いたします。
○小磯委員 私からは、まず、オイルダンパーについてお伺いしたいと思います。
先月十六日に、建築物の免震、制振オイルダンパーのトップメーカーであるKYB株式会社と子会社のカヤバシステムマシナリーが、十五年近くにわたって製品の検査データを書きかえ、多くの不適合製品が、都道府県の庁舎、消防署等から、また民間のマンションに至るまで、使用されている可能性があることが発表されたわけでございます。
東京都も、この都庁舎を初め消防署、病院、建設中のオリンピック施設にも、検査データの書きかえがあると発表された型式と同じオイルダンパーが使われているとのことであります。
さらに、二十三日には、川金ホールディングスも同様に検査データの書きかえがあったとのことであります。両社合わせて国内のシェアの約八割を占めているといわれており、地震大国日本の安全・安心を確保するために必要な装置にこのようなことがあったことは、非常に残念であります。
この問題は、現在進行形で不確定なことも多いわけでありますが、多くの都民から、心配や疑問の声が寄せられており、現時点での都有建築物の状況について確認するために質問いたします。幾つか重複している質問がありますので割愛をしていきたいと思います。
川金ホールディングスの不正については、本日現在においては、都有建築物で書きかえのあったダンパーの使用は確認されていないということでございますので、次に、十月十九日、二十六日にKYBが公表したリストでは、オイルダンパーを取りつけていた建築物を、大臣認定不適合、お客様基準外、不明として分類しておりますが、それぞれの違いについて改めて説明を求めます。
○飯泉技術管理担当部長 オイルダンパーには、地震などによる揺れや変形を抑える減衰性能の基準値が定められてございます。ダンパーなどの工業製品では、製品個々の性能に多少のばらつきが生じるため、基準値からの許容誤差の値が決められており、国土交通大臣の認定条件は、プラスマイナス一五%、顧客との契約条件は、主としてプラスマイナス一〇%となってございます。
KYBや国土交通省の公表資料によりますと、大臣認定不適合とは、書きかえ前の検査において基準値からの誤差が大臣認定の条件、プラスマイナス一五%ですが、その条件を満たしていないもの、お客様基準外とは、大臣認定の条件は満たすものの、顧客との契約条件、主としてプラスマイナス一〇%でございますが、その条件を満たさないもの、不明とは、大臣認定の条件や顧客との契約条件を満たしているかどうかわからないものと理解してございます。
○小磯委員 この不明ということでございますが、なぜ不明なのかということについては、聞くところによりますと、メーカーによるデータがないということで不明ということであります。いわゆるもうメーカーのところにデータがないという、そんなことで不明だというふうに聞いております。
十九日にKYBが公表したリストには、東京都の消防庁の消防署と出張所は含まれていますが、十七日に都が公表した、いわゆる都庁舎とか、オリンピック・パラリンピック施設等が含まれておりません。この理由について伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都が先月十七日に公表した都有建築物は、その前日の十六日に国土交通省が不適合として公表したダンパーの型番と同一の製品が出荷されている物件でございまして、東京都庁第一本庁舎や第二本庁舎、東京アクアティクスセンターなど七施設が該当いたします。
一方、KYBは、先月十九日と二十六日に、検査データが書きかえられた疑いのあるダンパーが出荷された建物名を公表いたしましたが、どのような物件を公表しているのか、その詳細については承知してございません。
○小磯委員 KYBが公表したリストと、それから東京都が発表したものの違いということについてはわかりました。
しかし、例えば都庁舎では、今この瞬間にも多くの都民が訪れ、多数の観光客が展望室で眺望を楽しんでいるわけであります。検査データが書きかえられたオイルダンパーについては、速やかにオイルダンパーの交換などの措置が必要であります。
そこで、都が公表した七つの都有建築物のオイルダンパーが適合しているのか、適合していないのか、調査についてお伺いいたします。
○飯泉技術管理担当部長 都は、都有建築物七施設の工事の受注者等それぞれに対しまして、使用または出荷されているダンパーが不適合であるのかどうかについて調査を指示してございます。本日現在、まだ報告はございませんが、速やかに報告を求め、仮に、不適合または不適合かどうか不明である場合には、ダンパーを交換するよう受注者等に求めてまいります。
○小磯委員 それでは、個別の施設について確認いたしますが、まず新宿都庁舎のオイルダンパーは、何がどのような場所に設置をされているのか、また、仮に不適合なものがあり、それを交換する場合、交換にどの程度の日数を要するのか、さらに費用負担についてはどのように考えているのか伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 オイルダンパーでございますが、都庁舎の執務室内に制振装置の一部として設置されておりまして、長周期地震動を吸収するのに効果的な位置に配置をしております。
オイルダンパーの交換作業につきましては、現時点で一台当たり三日程度必要になると考えておりまして、交換台数に応じまして作業日数についても長くなってくるものと考えております。
交換費用につきましては、全て工事受注者が負担するものと考えております。
○小磯委員 一台当たりの交換作業は、現時点で三日程度と予想されますが、第一庁舎、第二庁舎では、既に二百十四台が設置をされております。ですから、一日に何台工事することが可能なのかによって工事の全体の交換作業の日程は変わってきますし、また、その場所にもよるんだというふうに思っております。
しっかりと今後の推移の中で、極力もう既に執務をしている方々の負担にならないように、また、速やかに交換ができるように、いろいろとスケジュール管理をお願いしたいというふうに思います。
それから、東京アクアティクスセンター、有明アリーナ、いわゆる大会施設については先ほども質問がありましたので、引き続き、二〇二〇大会に影響が出ないよう、しっかりとスケジュールを管理していただきたいというふうに思います。
それから、不適合なダンパーについて交換することは当然でありますが、KYB側が適合と判断しているものについて、どのように対処していくのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 KYBとその子会社であるカヤバシステムマシナリーが検査データを書きかえていた事実が明らかになった以上、KYB側が適合と判断したものについても検証が必要であると考えております。
例えば、工事の受注者等との協議を通じてではありますが、第三者機関や都の立ち会いによるサンプル調査の実施を検討するなど、都が主体性を持って安全性の確保に取り組んでまいります。
○小磯委員 この十月十六日の国土交通省の発表の中に、いわゆる不適合製品のうち乖離値が大きい製品が設置された建築物について、いろいろと検討して、構造安全性を検証した結果、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれのないとの見解が第三者機関から得られていると、こういうふうになって、その次の段に、その他の建築物についても同様に、同社から設計事務所に検証を依頼し、結果について第三者機関の確認を早急に得ることとしていることということで、これはKYB側がいったことを国土交通省がいっているわけですけど。その次に、国土交通省の対応として、構造安全性の確認と。年内をめどに、対象建築物の設計者等の関係者と協力して、速やかに構造安全性を検証し、第三者機関の確認を受けることというのが書いてあります。
これは、そのダンパーについて、今、調査をかけていて、それが適合とか、不適合とか、不明とかというのが出てきて、それを、先ほどからの答弁によると、ダンパーについては都がもう一回第三者機関で確認をすると。そういう作業を終えてから、この構造安全性を検証し、第三者機関の確認を受けるのか、それとも、そのダンパーの調査の前にこういった構造計算をするのか。それが年内をめどにということはもう間もなくですよね、それが可能なのかどうか、今、既にこれをやっているのかどうか、その辺を伺います。
○飯泉技術管理担当部長 ただいまの委員からの質問でございますが、現在、都有施設七施設につきましては、ダンパーが不適合であるのかどうなのか調査を行ってございます。仮に不適合または不明であった場合は、その交換を工事の受注者等に求めていくことになりますが、その不適合または不明と出た段階で、速やかに構造安全性の検証を行う、つまり、不適合な性能として、構造計算を行って、倒壊する危険性があるのかどうかについて検証を行っていこうと考えてございまして、第三者の確認もとりたいと考えてございます。時期については、なるべく早くやってまいりたいと考えてございます。
○小磯委員 いただいた資料によると、やっぱり減衰性能が基準値に対してプラマイ一〇%を超えた場合の影響で、プラス側に逸脱した場合は、何というんですかね、ダンパーの動きがかたくなって加速度が増加する、室内の揺れが大きくなる方向だと。今度、マイナス側になった場合は建物の揺れが大きくなるということで、そういった意味では、しっかりとこの構造計算の方も、なるべく速やかにやっていただくということでお願いしたいと思います。
次に、女性活躍、若手育成、週休二日モデル工事についてお伺いしたいと思います。
建設業の将来を担う人材の育成について伺います。
後ほど触れようと思っておりますけれども、国連で採択した持続可能な開発目標、SDGsでは、目標の一つとして、働きがいのある人間らしい雇用の促進が挙げられております。将来における社会資本の品質確保と機能維持を図るためにも、建設業の将来を担う人材として、これまで以上に多様な人材を受け入れ、育成していくことが重要であります。
都では、女性活躍モデル工事や週休二日モデル工事、若手育成モデル工事などを試行しておりますが、今後、一層取り組みを強化していく必要があると考えますが、見解を求めます。
○飯泉技術管理担当部長 建設業では、技術者の高齢化や若手技能者の減少といった問題が生じており、公共工事の品質を確保していくためには、将来の担い手を育成することが重要でございます。
このため、平成二十八年度から女性活躍モデル工事と週休二日モデル工事を、二十九年度から若手育成モデル工事をそれぞれ試行しており、平成二十九年度末までの実績は計十九件でございます。
具体的には、女性活躍モデル工事が七件、週休二日モデル工事が十件、若手育成モデル工事が二件でございます。このうち、女性モデル工事の現場では、技術者や作業員の間で女性を受け入れる風土が醸成された結果、やりがいを感じているという女性技術者の意見も伺っており、一定の成果が得られてございます。
今後、現場の声を聞きながら試行を継続するとともに、これまで適用していない業種への拡大を検討するなど、建設業の担い手確保に向け、さらに取り組んでまいります。
○小磯委員 ただいまの答弁では、平成二十八年度以降に女性活躍モデル事業などの取り組みを試行していること、その結果、女性を受け入れる風土が工事現場に醸成され、そこで働く女性技術者がやりがいを感じていることなどがわかりました。
どのような成果があらわれているかは、工事現場ごとによって異なると思いますが、試行を通じて課題を整理し、本格実施に向けて取り組みを進めていただくようお願いし、次の質問に移ります。
次に、省エネ、再エネの取り組みについて伺います。
東京都は、二〇一六年三月に東京都環境基本計画を策定し、この計画では、二〇三〇年に向けて、東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で三〇%削減する、エネルギー消費量を二〇〇〇年比で三八%削減する、再生可能エネルギーによる電力利用割合を三〇%程度に高めるという目標を設定しているわけでございますが、都有建築物においても、一層の省エネ化に加え、再生可能エネルギーの利用を促進していく必要があります。
そのため、都では、省エネ・再エネ東京仕様を策定し、これに基づき、最新の省エネ技術などを都有建築物の改築等において導入し、環境負荷の低減に積極的に取り組んでおります。
そこで、これまでの実績とその効果について伺います。
○飯泉技術管理担当部長 都有建築物を最高水準の省エネ、再エネ仕様で整備し、電力使用量とCO2排出量の削減に向けた取り組みを強化するため、平成二十三年度に省エネ・再エネ東京仕様を策定し、平成二十九年度までに、都立多摩図書館や東京都墨田都税事務所など五十八件の都有建築物に適用してまいりました。
このうち、平成二十七年に竣工をいたしました東京都立川合同庁舎でエネルギー性能の検証を行ってございます。この結果、エネルギー消費量について、建築物省エネ法に定める基準と比較して約五〇%削減されていることが明らかになり、一定の効果があらわれていることが確認できました。
ほかの都有建築物につきましても、省エネ・再エネ東京仕様の効果を確認する必要があることから、今後、都立多摩図書館などについてもエネルギー性能を検証してまいります。
○小磯委員 五十八件に適用し、また、調査したところの立川の合同庁舎では五〇%削減をされているということがわかったということであります。
都立多摩図書館も大変すばらしい建物で、私も行ったことありますけれども、多摩産材をふんだんに使っている、本当にすばらしい建物でございまして、ここのエネルギー性能を検証していただけるということですので、今後、こういう取り組みとともに、そういうエネルギーの削減効果の検証、こういったこともぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
省エネ、再エネの取り組みをさらに進めた究極のエコ建築物に、ゼロエネルギービルディング、ZEBがあります。これは年間のエネルギー消費量が正味でゼロ、または、おおむねゼロとなる建築物ということであります。
都では、東京都公文書館でZEB化を進めていると聞いておりますが、具体的にどのような省エネ、再エネ技術を取り入れているのか、また、その技術の導入コストがどれほどなのかお伺いいたします。
○飯泉技術管理担当部長 都では、省エネや再エネを推進する取り組みの一環として、委員お話しのZEB化実証建築として東京都公文書館の整備を進めてございます。省エネ、再エネ技術として、屋根や外壁などの二重化による高断熱化、高効率空調機器の採用、大容量の太陽光発電などさまざまな技術を導入しております。ZEB化に伴い導入する省エネ、再エネにかかわる費用は、全体工事費の一〇%程度でございます。
○小磯委員 省エネ化、再エネ化には、さまざまな技術があるということがわかりました。
再生可能エネルギーの活用には、太陽光発電設備のほかに地中熱利用ヒートポンプもございます。都としての導入実績についてお伺いします。
○飯泉技術管理担当部長 地中十メートル以上の深さの地中温度は、夏は外気温より低く、冬は高くなってございます。地中熱利用ヒートポンプとは、この温度差に着目して、冷暖房や給湯などに利用するものでございます。
この技術は、エネルギーの削減効果が高いことから、地質の条件や施設の特性などを勘案し採用しておりまして、これまでに武蔵野の森総合スポーツプラザなどに導入しております。また、現在工事中である有明アリーナ、東京アクアティクスセンターへも導入予定でございます。
○小磯委員 オリンピック・パラリンピック施設においても、地中熱利用ヒートポンプを導入していることがわかりました。地質の条件等を十分検討した上で、今後も積極的に導入してほしいと思います。
国は、ことしの七月に、第五次エネルギー基本計画を策定し、徹底した省エネルギー社会を実現することとしております。それを踏まえて、都としても、省エネ・再エネ東京仕様を見直していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○飯泉技術管理担当部長 先ほども答弁させていただきましたが、都では、ZEB化実証建築として東京都公文書館の整備を進めてございます。さらなる省エネ、再エネを推進するためには、ZEB化実証建築での課題を検証し、その結果を今後の都有建築物の整備に生かしていく必要がございます。
このため、今後、公文書館において導入技術の施工性や運用時における維持管理、費用対効果などの課題を検証するとともに、関係法令等の改正や地中熱利用ヒートポンプなど省エネ技術の動向を踏まえつつ、省エネ・再エネ東京仕様の充実を図ってまいります。
このことにより、今後、都有建築物における環境性能の一層の向上や、さらなるZEB化の推進を通じて、環境負荷の少ない都市の実現に取り組んでまいります。
○小磯委員 ぜひともZEB化を進めている東京都公文書館での検証の結果、こういったものを反映させるように、省エネ・再エネ東京仕様を見直して、ご答弁にあったように、環境負荷の少ない都市の実現を目指していただくようお願いして、次の質問に移ります。
グリーンボンドについて伺います。
国内の債券市場を見ますと、投資家による投資先の選定に当たっては、環境、社会、企業統治への取り組みを重視する、いわゆるESG投資が非常に活発になっております。東京都も、スマートシティーの実現を目指して、昨年度からグリーンボンドの発行を始めており、国内の地方公共団体では初の取り組みと伺っております。
まず初めに、東京グリーンボンドの発行の目的、その特徴についてお伺いします。
○山田主計部長 東京グリーンボンドは、都民や企業から投資を通じた後押しを受け、環境施策を強力に推進すること、市場の活性化と他発行体の参入促進によりまして、国内の環境対策に資金が向かう流れを創出することなどを発行の目的としております。
東京グリーンボンドの特徴につきましては、国際資本市場協会、ICMAの定めるグリーンボンド原則におきまして、資金調達の使途がグリーンプロジェクトに限定されることなどのグリーンボンドの核となる要素として挙げられております四項目全てに対応していることや、第三者機関による評価を取得していることなどが挙げられます。
○小磯委員 東京都がグリーンボンドの発行を通じて何を目指しているのか、また、その債券としての特徴がどこにあるのか確認することができました。都の掲げる発行意義に対して、投資家から賛同、共感を獲得し、数多くの運用手段の中から都への投資を選択してもらうことが不可欠であります。
また、先月には、今年度の第一弾である、機関投資家向けのグリーンボンドが発行されたと聞いております。
そこで、昨年度及び今年度の東京グリーンボンドの発行状況について伺います。
○山田主計部長 第一回目の発行であります昨年度の東京グリーンボンドでは、機関投資家向けに発行いたしました百億円に対しまして約四・一倍の需要が寄せられました。また、個人向けに発行いたしました百億円相当につきましても、五千三百件以上の投資家に販売し、即日完売となっております。
今年度は、機関投資家向けに発行いたしました百億円に対しまして、前年度を上回る約四・三倍の需要を獲得しております。個人向けにつきましては、来月に百億円相当を発行する予定となっております。
○小磯委員 この東京グリーンボンド、一年間で、機関投資家と個人向けで二百億円、それの四・一倍とか大変な数の需要が寄せられていたということで、本当に大変な共感を得ながら発行されてきたということが確認をできたわけでございます。
海外に目を向けますと、二〇〇七年に世界で初めてのグリーンボンドが発行されて以降、世界規模でグリーンボンドの発行がふえていると聞いております。
世界全体におけるグリーンボンドの発行状況についてお伺いいたします。
○山田主計部長 ご指摘のとおり、世界的にもグリーンボンドの発行額は年々増加する傾向にございます。ドイツを初めとする世界各国の金融機関による発行のほか、電力会社や、鉄道などの公共交通機関の事業会社、さらにはフランスのパリ市やカナダのオンタリオ州などの自治体など、さまざまな機関からグリーンボンドが発行されております。
発行額としては、昨年、二〇一七年に、年間発行額が初めて一千億ドルを突破いたしまして、一千六百二十億ドルに達しております。二〇一八年は、現在のところ、これを上回る額になるとの予測が出されているところでございます。
○小磯委員 一千六百二十億ドルということは、もう大変な額でございます。グリーンボンドの世界的な潮流を確認することができました。
世界各地で発行されているグリーンボンドは、それぞれに発行の意義、目的を有しているものと思いますが、東京グリーンボンドについても、グリーンボンドの発行方針なるものが公表をされております。
この発行方針の中には、グリーンボンドの発行を通じてグリーンボンド市場の活性化、また他発行体の参入促進を図ると、このようにあります。これが達成されることであれば、グリーンボンドの分野における東京都のプレゼンス向上が一層図られるものと考えます。
そこで、他の発行体への普及、これがどうなっているのか伺います。
○山田主計部長 東京グリーンボンドの取り組みを他の発行体へ普及するために、ESG投資をテーマとするセミナーへ参加しているほか、集合型IRや市場公募債発行団体による会議などの場におきまして、東京都の取り組みを説明しているところでございます。
その結果、グリーンボンド発行の意義や実務につきまして、複数の地方自治体から問い合わせが寄せられております。また、都の取り組みに触発される形で、造船業やリース業などによる事業債でのグリーンボンド発行が増加をしております。
平成二十九年度におきましては、都が十月に東京グリーンボンドを発行したことを皮切りに、民間企業などから三件のグリーンボンドが発行されております。平成三十年度は、前年度を上回るペースで発行がなされておりまして、現時点で十八件のグリーンボンドが事業債として発行されているところでございます。
○小磯委員 昨年の一回目の発行以降、IR活動やセミナーへの参加などを通じて、東京都がグリーンボンドの普及を積極的に行っている状況、そして、それに続くように、国内グリーンボンドの発行が増加している状況が確認できました。民間企業による発行がふえているということでございますが、地方債市場においても、今後の発行が活発となっていくよう、引き続き普及活動に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
さきに触れた発行方針では、グリーンボンドの発行の意義として、機関投資家に対して社会的な評価を受けられる環境の整備を促進することも挙げております。グリーンボンドが、東京都と投資家とのいわば双方向的な関係により成り立っている取り組みであることは、先ほども私が述べたとおりであります。その観点からすれば、この社会的評価を受けられる環境の整備というのは非常に重要であると考えます。
そこで、社会的な評価を受けられる環境整備について具体的に伺います。
○山田主計部長 都は、東京グリーンボンドを発行する際、機関投資家に対しまして、グリーンボンドの発行意義に共感して投資したことを対外的に表明する、いわゆる投資表明という社会的評価を受けられる機会を提供しております。
投資表明は、ESG市場におきまして機関投資家により頻繁に行われておりますが、この表明行為を通じまして、投資家は、社会的課題への意識が高い優良投資家であることを対外的に示すことが可能となります。
東京グリーンボンドに対しましては、昨年度は二十二件、今年度は三十件の投資表明が寄せられておりまして、件数が増加している状況にございます。これは、ESG投資の高まりを受けまして、投資表明による社会的評価の向上を重視する投資家がふえてきたあらわれであると考えております。
○小磯委員 先月十九日、この前発表された機関投資家向けの発行条件の決定のところに、代表的な充当事業ということで、都有施設、道路の照明のLED化、上下水道施設の省エネ化、環境に優しい都営バスの導入、競技施設の環境対策、都有施設のZEB化推進と、本当に、こういったものにこの投資が向けられるということで、これはもう社会的評価が受けられる、環境のもっともな整備なんだというふうに思っております。
そういう中で、今後も数多くの投資家から選ばれるグリーンボンドであるためには、調達した資金の使途ということが、また大変重要になってまいります。
例えば、外からの水が入ってこない閉鎖状況の外堀を--外堀ってありますね、内堀、外堀、この外堀というのは外から水が入ってこないんですね、川とつながっていないですから。それを浄化するために、四谷大木戸まで来ている玉川上水というのがあるんですけれども、この玉川上水を外堀まで、通水、水を通すことによって水質を浄化させるための、そういう調査検討会が、都庁内に関係各局により立ち上げられたということであります。これは環境効果の高い取り組みだと思いますし、今後、具体的に事業化がされた際には、充当事業により一層の広がりを持たせるためにも、グリーンボンドの充当ができるのではないかと考えます。
なかなか、どの局が責任持ってやるのか、その辺がまだはっきりしないのもあったり、通水のためにはどういうことをすればいいのか、まだその辺の調査研究が必要なんですけれども、でも、事業としては大変、いかにもこの東京グリーンボンドにふさわしい事業であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
発行方針に戻りますけれども、昨年度発行した東京グリーンボンドの成果について、投資を通じた投資家からの後押しによりスマートシティーの実現に向けた取り組みを加速化することができたとされております。
そこで、取り組みの加速化についてお伺いしたいと思います。
○山田主計部長 グリーンボンドの発行は、スマートシティーの実現の目的の一つでございます金融市場の活性化による国際金融都市の実現に資するものでございます。また、グリーンボンドで調達した資金が再生可能エネルギーの導入促進などに使われることから、環境先進都市の実現の面でも寄与するものでございます。グリーンボンドにより資金調達を行い、調達した資金を活用して都の環境施策を推進する、このことで、スマートシティーの実現を加速することができたものと考えております。
引き続き、グリーンボンドの商品性の向上や普及に努めることで、国内資金の環境施策への活用やグリーンボンド市場の拡大、活性化などを図り、スマートシティーの実現に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○小磯委員 東京グリーンボンドの発行が、資金調達という側面からスマートシティーの実現に寄与していることが確認できました。
ここまで、グリーンボンドの発行意義や実績、今後の市場の活性化に向けた取り組みなど、スマートシティー実現のためのさらなる環境施策の推進に向け、都債という歳入の側面においても、都が努力している状況を確認することができました。
来月には、今度は個人向けのグリーンボンドの発行を控えていると聞いており、引き続き、都が実施する事業への理解を通じてオーナーシップ意識を喚起し、環境施策の加速化と都債を通じた安定的な資金調達の両立に取り組んでいただきたいと要望いたします。
次に、近年の技術進歩もあり、最近では、電気自動車、プラグインハイブリッド、燃料電池自動車と、ゼロエミッションビークル、いわゆるZEVが環境に優しい自動車の流れになりつつございます。
そこで、財務局所管庁有車のZEVの導入状況と今後の方向性についてお伺いいたします。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員お話しのゼロエミッション東京の実現に向けて、庁有車にゼロエミッションビークル、いわゆるZEVを導入していくことは、非常に重要な取り組みであると認識しております。
現在、財務局では、知事、副知事を初めといたします特別職及び局長等が使用いたします二十三台の庁有車の運行を管理しております。庁有車の車種を選定するに当たりましては、職務、職責の重要性を踏まえた上で、安全性及び環境性能等を考慮いたしまして、条件に対応する車両を比較した上で選定しており、現状、燃料電池自動車を四台導入してございます。
今後は、燃料電池自動車に加え、電気自動車やプラグインハイブリッド車も含めましたZEVの開発状況等を踏まえ、車両のリース更新のタイミングに合わせましてZEVの導入を推進してまいります。
○小磯委員 庁有車へのZEVの導入については、今後も積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
SDGsについてお伺いいたします。
今後、私たちは、これまでどの都市も経験したことのない少子高齢、人口減少社会を迎え、その中において東京を持続的に発展させなければなりません。国連では、二〇一五年の九月、SDGs、すなわち誰ひとり取り残さない持続可能で多様性と包括性のある社会の実現を目指すことを全会一致で採択いたしました。
その中では、持続可能なエネルギー、気候変動など、十七分野での取り組みが二〇三〇年までの達成目標として掲げられ、日本政府も推進本部を設置し、実施指針やアクションプラン二〇一八を策定しております。
第一回定例会の代表質問では、我が党がSDGsの視点の重要性を述べ、都においてもSDGsの取り組みを強力に推進していくことについて、知事の見解を求めました。これに対し知事は、SDGsの視点を重視し、国の動きと連携しながら政策を確実に実行し、世界をリードする持続可能な都市東京を実現していくと力強い答弁をされております。
SDGsの取り組みは多岐にわたり、都のさまざまな施策が関連するため、各局がそれぞれの立場で取り組みを推進していくことになりますが、とりわけ財務局は、財政運営、入札契約制度、財産管理、都有建築物の建築保全を所管し、都の各局にかかわる事務事業を担っており、今後、SDGsの取り組みを都が実施していくため、財務局も率先して取り組んでいくべきと考えます。
そこで、財務局におけるSDGsに関連する取り組みについてお伺いします。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員からお話のございましたSDGsにつきましては、今後、持続可能な都市東京を実現していく上で非常に重要な視点であると認識しております。
委員ご指摘のとおりSDGsの取り組みは多岐にわたるものでございますが、財務局では、本日答弁にもございましたように、環境投資の推進として、国内自治体で初めてグリーンボンドを発行し、また省エネ・再エネ東京仕様やゼロエネルギービル化の推進により、都有建築物による環境負荷の低減を図るとともに、オリンピック・パラリンピック施設への再生エネルギー設備の導入、そして庁有車におけるZEVの導入に取り組んでございます。
さらに、あらゆる人々の活躍を推進するため、女性活躍モデル工事や若手育成モデル工事などにも取り組んでございます。これらの取り組みは、持続可能な開発目標でございますSDGsの取り組みと、まさに軌を一にするものであり、今後もSDGsの視点を重視し取り組みを推進してまいります。
○小磯委員 財務局が、今の答弁にありましたように、本当にさまざまな取り組みを通じてSDGsに貢献しているということがよくわかりました。
答弁にもございましたように、今後も、SDGsの視点を重視して、率先して取り組みを進めていただきたいと思います。
それでは、最後のテーマでございますけれども、先日、東京と日本の成長を考える検討会の報告書が取りまとめられたところでございます。六月にこの検討会が立ち上がって、この間五回にわたって議論を積み重ねてきたところであり、参加者の英知を結集した報告書の取りまとめに、まずは敬意を表するものでございます。
国は、平成三十一年度税制改正に向けて、いわゆる地方法人課税の偏在是正措置についての具体的な制度の検討などを進めており、今後、税制改正議論は、まさに正念場を迎えるところであります。第二回定例会における我が党の代表質問でも指摘をしたところでありますが、都市と地方で限られた財源を奪い合うという国の近視眼的、現状維持的な対策ではなく、地方分権や地方税財源のあり方についての本格的な議論こそが必要であると考えるところであります。
そこで、まず初めに、本検討会を立ち上げた意義についてお伺いいたします。
○山田主計部長 東京と日本の成長を考える検討会は、東京そして日本全体の持続的成長に向けまして、真の地方分権を見据えた地方税財源のあり方について本質的な議論を深めることを目的といたしまして、東京都知事、都議会各会派の皆様、都内区市町村の代表の方々が中心となって立ち上げた検討会でございます。
本検討会には、地方自治、地方財政、都市政策などの分野で高い見識をお持ちの学識経験者、日本経済の今を熟知しております経済団体、企業経営者、日本を代表するジャーナリストの方にご参加いただき、東京が置かれている現状や東京と日本全体の発展に向けて必要な投資などの視点を踏まえ、地方分権の推進とその基盤となる地方税財源のあり方について活発な議論が行われたところでございます。
○小磯委員 本検討会には、サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長の新浪剛史氏、また経済同友会の地方分権委員会副委員長の橋本圭一郎氏、ジャーナリストの田原総一朗氏など、そうそうたるメンバーが参加をされております。本検討会の特徴として、学識経験者に加え、まさに現場の第一線で活躍されている企業経営者、経済団体の方などが参加されていることが挙げられます。
こうした第一線で活躍されている方々から、具体的にどのような提案があり、また、どのような議論が行われたのかお伺いいたします。
○山田主計部長 サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長の新浪剛史氏からは、東京二〇二〇大会を契機としたハード、ソフト両面からの東京全体のユニバーサルデザイン化や、外国人労働者、観光客の増加に対応した受け入れ環境の整備など、首都東京の発展、国際競争力の強化へとつながる投資の重要性につきましての言及がございました。
また、公益社団法人経済同友会地方分権委員会副委員長の橋本圭一郎氏からは、東京が新しいテクノロジーを生み出し、地域の課題解決につなげる役割を果たすことの重要性を指摘した上で、IoT、AI、RPAなどの最先端技術をフルに活用して、行政サービスの効率化を行うデジタルガバメントの取り組みを通じて、地域の課題解決につなげていくことを目指すべきとの提案があったところでございます。
このように、各メンバーの専門的な知見のもと、東京の発展に向けた投資の必要性や、東京が課題解決のリーディングケースをつくり出し全国に波及させていくことの必要性、地方分権改革と税財源のあり方などにつきまして活発な議論が行われたところでございます。
○小磯委員 検討会では、各メンバーの専門的な知見から、相当白熱した議論が展開されたものと想像されます。そうした真摯な議論を踏まえて、今回、地方自治、真の処方箋と題された検討会報告書が取りまとめられたわけでございますが、今後、税制改正議論が本格化する中、本報告書に期待される役割は大変大きいと思います。
今回、取りまとめられた報告書の意義について、知事を初め東京都はどう受けとめているのか、局長にお伺いいたします。
○武市財務局長 東京と日本の成長を考える検討会におきましては、都議会の皆様や有識者の皆様から、東京と日本の成長を創出するための投資、東京と地方が互いに高め合う共存共栄、地方分権の推進に資する地方税財政制度のあり方などにつきまして、数多くの有益な視座をいただいたところでございます。
本報告書では、一部の都府県の税財源を安易に取り上げ、多数の他の自治体に薄く広く再配分する措置には反対である旨を明記した上で、安定的な地方の税財源の充実に向けて、国、地方間の税財源の配分のあり方を見直すことが必要不可欠であり、そのための本質的な議論を行っていくことが必要であると結んでございます。
平成三十一年度税制改正に向けた議論は、今後、佳境を迎えることとなります。都民の生活を脅かし、日本の成長にマイナスとなるような動きに歯どめをかける、その原動力となりますのは、何より都民の皆様の理解と共感であります。
こうした観点から、都議会の皆様や有識者の皆様など、検討会のメンバーから客観的なご意見をいただき、今回、税制改正に向けた都の主張を後押しし、補強する内容の報告書が取りまとめられたことにつきましては、その意味は非常に大きいものと考えております。
○小磯委員 本報告書では、東京への投資の重要性のみならず、東京が各地域に何ができるかという視点から、先進的なモデルとなる施策の全国展開、新たな需要の喚起といった具体的な取り組みが示されております。
また、地方創生の推進など国の方針にも一定の理解を示しながら、しかし手段としての地方法人課税の偏在是正措置には明確に反対を表明し、地方分権の推進、国、地方間の税財源の配分のあり方の見直しなど本質的な議論が重要であると、このように結んであるわけでございます。
第三者の立場から、東京そして日本全体の成長のために何が必要かという問いに対する客観的な提言が示され、それゆえに、事の本質を突いた報告書となっていると考えております。このことが結果的に都の主張を強く後押しするものとなっており、各界の専門家の方が参加し、こうした報告書が取りまとめられたことは大変意義があるものと考えます。
年末の税制改正に向け、本報告書の内容を踏まえ、都の主張に一層磨きをかけるとともに、都議会ともしっかりと連携をし、都民、国民の皆様の理解と共感が広がるよう都の主張を強力に発信していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○池川委員 初めに、資料をご準備いただきましてどうもありがとうございます。
まず、都有地活用の問題について質問させていただきます。
今もなお、保育園が足りないという声はとどまることなく、保育園をふやしてほしいという声が寄せられ、都としても、こうした声にしっかりと応えていくことが求められています。
共産党都議団は、この間、具体的な土地も示しながら、活用できる場所があるではないかと、都有地活用について提案を重ねてきましたが、現在そうした中で、都有地活用推進本部が設置され、活用が開始をされております。切実な都民の声に応え、東京都は、待機児童解消に向けた緊急対策等に基づいてイニシアチブをとり、また、あわせて今、区市町村自身も努力を重ねる中で、認可保育園を軸に大きく定員がふえております。
初めに、この間の取り組みについて伺いたいと思います。都有地活用を推進してきたわけですが、都有地活用推進本部を設置して以降の保育施設等の活用状況について伺います。
○山根財産運用部長 平成二十八年九月に、待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、都有地活用推進本部を設置して以降、本年九月十四日までに八回にわたって二百五十六件の都有地を区市町村に情報提供し、その結果、九件の都有地において、区市町村による保育事業者の公募につながりました。そのうち一件については、本年四月に保育所の開設に至り、残りの八件についても平成三十二年四月までに保育所等が開設される予定となっております。
○池川委員 今の答弁ですと、二百五十六件の都有地活用の情報を区市町村に提供し、九件公募があったということであります。都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランでは、二〇一九年度末までに待機児童を解消するということが明記をされていますが、都有地活用はこの問題でも重要な柱であり、さらなる活用が求められていると考えます。
洗い出しを行っていただいて出てきた都有地は、当然でありますが大きさも場所も偏りがあったり、活用自身に適していないのではないかと思われる土地も実際にはあります。
しかし、保育園の待機児童解消を二〇二〇年の四月には達成するということを考えれば、こうしたさまざまな土地をしっかり出していくこと、そして、さらなる都有地はないかという視点で、活用できる場所を出し惜しまずにふやしていただくことが重要であり、財務局としても、そうした努力を各局に対して、ぜひ働きかけていただきたいと思います。
保育園への活用を積極的に進めていただくことを中心に考えていくと、場所の問題というのは大変ネックになります。私の地元町田市の都有地、幾つか出ておりますが、この点についていえば、市の担当者も、率直にいって保育園にはなかなか活用しにくいのではないかという声も寄せられております。
私自身も保育園に子供を送り迎えしておりますが、通勤の通過点に保育園があるということが望ましいというふうに思われます。保育内容や保育の質等も極めて重要ですが、立地というのも重要です。自宅から通勤する駅とは逆方向に保育園があっても、なかなか選ぶ方としては選びにくいという状況が生まれますし、保育の事業者からしても、活用した場合に定員が埋まるのかという心配もあります。
現在、待機児童の多くは、ゼロ歳から二歳であることを考えても、三、四、五歳の定員確保というのは、保育園を運営する側にとっても極めて重要な問題になってまいります。もちろん、この点については地域的な違いがあり、全て同じように論じることはできませんが、傾向としては捉えておく必要があるのではないかと思います。
そこで、現在、情報提供されている都有地で未活用のまま残っているものについては、どのように活用につなげていこうと考えているのか、区市町村から保育園以外の他の用途での活用意向が示された場合には、これまでどのように対応してきたのか伺います。
○山根財産運用部長 都有地活用推進本部では、都有地の全庁的な洗い出しや区市町村への情報提供など、保育所等の整備に当たって都有地を効果的に活用していく取り組みを着実に進めてまいりました。
情報提供した都有地において、区市町村からほかの用途での活用の意向が示された場合には、必要に応じて個別に対応しておりまして、こうした中、全庁的に洗い出した足立区の都有地を、本年七月に足立区に対して病院用地として売却したところでございます。
○池川委員 保育園整備を着実に推進していただくとともに、他の用途についても活用意向があった場合には、個別に対応していただいているということであります。
先ほど、保育園の場合は駅までの動線が大事ではないかということを申し上げましたが、この都有地活用については、高齢者福祉、また障害者福祉の施設などでも活用できるようにしてほしいという声が出されております。
例えば、東京都高齢者保健福祉計画策定委員会では、介護サービス基盤整備にかかわって、都有地の活用についてオール都庁で対応していただき、活用を進めていただきたいという発言もなされております。
これに対して、現在の対応状況としての到達点ですが、待機児童解消に向けた緊急対策として都有地活用推進本部を設置し、保育所等として活用可能性がある都有地について全庁的に洗い出し、区市町村にも情報提供している、これは先ほど述べられたとおりです。こうした取り組みとも連携しながら、これらの都有地についても高齢者施設等での活用を検討するということが、ここで示されております。
保育園と高齢者、障害者の施設の大きな違いは、一つは、入所施設として活用ができること、もう一つは、高齢者や障害者の施設では、通所であっても基本的にはドア・ツー・ドアでの送迎が挙げられると思います。つまり、保育園では通勤ルートにあることが極めて重要だと思いますが、高齢や障害の施設の場合には、それよりも、その地域にニーズがあるかどうかということが大変重要になってきます。
つまり、これまで保育園ではなかなか活用しにくかった都有地であっても、高齢者や障害者の施設であれば活用につながる可能性があるということではないかと考えます。
オール都庁で都有地活用を進めてほしいという声が出されていますが、保育施設とともに、都有地活用推進本部の取り組みの経験などを生かして、高齢者や障害者などの施設への活用を検討すべきだと考えますが、いかがですか。
○山根財産運用部長 保育所等と同様に高齢者施設や障害者施設についても、現在、地域における福祉インフラの整備を促進するため、福祉施設の運営事業者や区市町村に対して都有地を貸し付けて対応しております。
今後とも、高齢者施設や障害者施設の整備に当たって、区市町村から活用したいとの意向が示された場合には、事業を所管する福祉保健局等と連携しながら、都有地活用推進本部での取り組みデータ、ノウハウを生かして都有地の有効活用を図ってまいります。
○池川委員 都有地活用推進本部での取り組みで得たノウハウを生かして、都有地の有効活用を図っていくという、これまでよりは少し前に進むのかなという感触を得ました。
どのようなノウハウを得たのか、また、そのノウハウをどのように活用するかについてしっかり検討をしていただくとともに、都有地活用推進本部としても、高齢者施設、障害者施設を対象として活用を積極的に推進していただきたいということを求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、都庁舎の改善などにかかわって質問をさせていただきます。
初めに、移動の確保、バリアフリーについてお伺いをします。
都庁舎は、改修プロジェクトが実施をされている最中でありますが、誰にとっても使いやすい施設へと設備等の更新がされていくことが求められています。とりわけ、ダイバーシティーを目指す東京都として、バリアフリーは重要な課題であると思います。
まずは、視覚障害者の移動の問題について伺います。都庁舎において、視覚障害の方々の移動を保障するためにどのような取り組みが行われているのか、また、今後どういう取り組みをしていくのか伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 都庁舎におきましては、東京都福祉のまちづくり条例等に基づきまして、バリアフリーの整備を進めているところでございます。
そのうち、視覚障害の方々の円滑な移動のためには、誘導用ブロックの敷設、玄関やトイレへの音声誘導装置の設置、エレベーターのボタンを触れるだけで反応するタッチ式ボタンから、押し込んで操作するストローク式ボタンへ切りかえることなどに取り組んでまいりました。
今後も引き続き、誰もが安全で快適に利用できるよう適切に取り組んでまいります。
○池川委員 都庁舎改修プロジェクトの取組についてには、誰もが安全で快適に利用できる機能を向上させる来庁者等の利便性向上の視点として、ユニバーサルデザインの充実による来庁者等の利便性の向上、わかりやすいサイン、使いやすいエレベーター等に改善し、誰もが安全で快適に利用できる都庁舎を実現ということが明記をされています。
これを踏まえて対応されているということだと思いますが、計画を定めた時点からも刻々と基準やガイドライン等が更新をされています。
以前は、エスカレーターへの誘導が行われなかったわけですが、その状況も変わってきています。国交省のバリアフリー整備ガイドラインでは、視覚障害者のエスカレーター利用のニーズは高く、エスカレーターを使用する環境を整備する必要があると考えられるとしていますが、都有施設のエスカレーターへの誘導の現状はどのようになっているのか、都庁舎のエスカレーターへの点字ブロックでの誘導など、都有施設におけるエスカレーターへの動線確保を進める必要があると考えますが、どのように対応されていくのか伺います。
○飯泉技術管理担当部長 理事お話のあった件については、平成三十年七月に、国土交通省が策定した公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラインに記載されたものでございまして、公共交通機関を対象としたものでございます。
一方、都有施設につきましては、東京都福祉のまちづくり条例などに基づき、視覚障害者が、人を配置した受付や案内板、エレベーターの誘導ボタン等に到達できるように誘導することとしてございます。
なれない場所で視覚障害者がエスカレーターを利用する場合、上り下りの区別がわかりにくい、乗りおりのタイミングがはかりにくいなどの問題がございます。
このため、視覚障害者をエスカレーターへ誘導する場合は、点字ブロックや音声による誘導に加えまして、人的な対応も組み合わせて安全に利用できるよう配慮するなどの課題があると考えてございます。
○池川委員 今の答弁を聞いていると、利用者等の利便性向上の視点を踏まえているのかなというふうに、そこには疑問を持つわけです。
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が行った視覚障害者のエスカレーター誘導に関する調査研究報告書の内容について幾つか紹介をしたいと思います。
視覚障害者といった場合には、全盲の方もいらっしゃれば、視野狭窄、色覚障害、視野欠損、また、それらの幾つかの障害が合わさっている場合など、さまざまであります。先ほど紹介した報告書は、こうしたことも踏まえて、視覚障害当事者の方々に、現地ヒアリング調査、直接のヒアリング調査、アンケート調査などを行っております。
報告書は、まとめで、上下移動については階段もしくはエレベーターに誘導されているが、本調査より、多くの視覚障害者がエレベーターを単独で利用していることや、利用していない場合でも設置位置などが把握できれば利用したいという要望が高いことが把握できた、また、視覚障害者のエスカレーター利用が視覚的に障害のない利用者と比較して事故が多くなる事実は確認できなかった、調査結果から、視覚障害者の移動の選択が制限され不利益をこうむらないようにするために、視覚障害者がエスカレーターを円滑に利用できる対応を図ることが現実的であると考えられるとして、三つの視点の取り組みを提起しています。
一つは、エスカレーターを利用したいと思う人が選択できる環境(利用したくない人が利用しないよう選択することも含む)を向上させ、周囲の利用者との接触などを防ぐために、乗り口を迷わず把握することができるなどの配慮をすることが重要である。
二つ目に、エスカレーターを選択することができ、迷わず利用するためには、公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラインを確実に実施するとともに、位置を知らせるチャイム音、音声案内の周期や可聴範囲、運転方向を男女の声で分けるなどの工夫について技術的検証に基づいた整備の内容の統一を図ることや、誘導用ブロックの活用などにより安全性と円滑性を担保する。
三つ目に、これは駅についていっているわけで、駅の構造の空間的な条件、エスカレーターの配置、動線の状況などを踏まえて、利用環境向上に向けた課題の解消を図りつつ、誘導ブロック活用に向けた検証を行う必要があると、この三つがまとめとして提起をされています。
これは、直接は公共交通機関の移動を研究したものではありますが、大変示唆に富んだ内容だというふうに思います。
さらに、当事者ヒアリングでは、エスカレーター、エレベーター、階段で利用したいと思うものという設問に対して、七二%の方がエスカレーターと回答し、エレベーターはわずか二%となっています。
その理由、エスカレーターのメリットとして、身体的な負担が少ない、早く移動することができる、方向感覚がつかみやすい、乗った後はスピードが一定のため安全ということが紹介され、エレベーターのデメリットとして、不便な場所に設置されていることが多く、待ち時間が長い、ボタンを探して押すことが困難、ドアの開閉がわからないことがある、混雑時にドアに挟まれる危険がある、一人で乗っているときに停止すると不安、方向感覚がつかめない、意図しない場所に出ることがあるなどが挙げられています。
エスカレーターを利用したくないと思う理由では、誤進入をしたことがある、エスカレーターを探すのが困難というもので、逆にいえば、誤進入等を防ぐ音声案内、エスカレーターへの誘導があれば利用できるということになると思います。
私も、直接何人かの視覚障害者の方からお話を伺いましたが、誤進入の問題と、場所がどこにあるかを正確に把握することができれば、積極的に利用したいということは共通していました。
先ほどの答弁の中で、人的な対応を組み合わせてということがいわれましたが、人的な対応を前提としてしまうことは、視覚障害者の方々が一人で出歩くことそのものを困難にしてしまう可能性があります。
ガイドラインの中でも、単独でエスカレーターを利用している視覚障害者の円滑な移動を図るためには、進入可能なエスカレーター(時間帯等によって上下方向が変更されるエスカレーターや自動運転エスカレーターを含む)において、音声により、その位置と行き先及び上下方向がわかることが必要であるという記載があり、単独で移動することを前提としています。
一人であっても移動ができるということを保障することは極めて重要だと思いますし、これはダイバーシティーを目指す東京としても重要な課題だと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○飯泉技術管理担当部長 先ほども答弁させていただきましたけれども、なれない場所で視覚障害者がエスカレーターを利用する場合、上り下りの区別がわかりにくい、乗りおりのタイミングがはかりにくいなどの問題があると考えてございます。
現段階では、視覚障害者が単独で行動できるようエレベーターへの誘導を原則と考えているものの、引き続き、先ほど理事からもご紹介があったガイドラインも含めて、国の基準や社会の動向などにも注視してまいりたいと考えてございます。
○池川委員 東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例は、多様性こそが都市としての発展の原動力であるとの認識のもと、東京都は、障害及び障害者への都民の理解を深めるとともに、障害を理由とする不当な差別的扱いをなくし、建設的な対話と合理的配慮の提供を通じ、社会的障壁の除去の取り組みを進めていかなければならないとしています。
ここでいう社会的障壁とは、障害がある者にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものとされており、こうしたバリアを一つ一つ取り除いていくことが求められていると考えます。
先ほど、国の動向等を注視していくということだったんですが、現実の問題として、多くの視覚障害者の皆さんが既にエスカレーターを利用している、ほとんどの方が利用されていない状況で新たに導入ということではなく、既に利用されているという状況を考えれば、都有施設、またこの都庁舎でいえば一階から二階等に上がるあのエスカレーターに誘導するということは、そんなに障害者の皆さん、視覚障害者の皆さんにとって困難が伴うとか危険が伴うということにはならないと思いますが、その点について、もう一度答弁いただきたいと思います。
○飯泉技術管理担当部長 先ほど答弁させていただきましたとおり、国のガイドライン、今回策定されたということですとか、実際問題の使われ方なども含めて、今後の基準ですとか社会の動向にも注視して適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○池川委員 これまでの調査や知見も参考にしつつ、ぜひ視覚障害当事者の皆さんの視点に立って取り組んでいただきたいということを強く求めておきます。
また、点字ブロックでの誘導について、点字ブロックを頼りに行動されている視覚障害者の方から、その点字ブロックの周辺が暗いとなかなか歩きにくいと。特に、変化のある場所、曲がり角等、あと状況が変わる場所については照度を上げていただきたいということもつけ加えておきます。
都庁舎の玄関は、誘導する点字ブロックのところが明るく照らされている現状もありますので、そうしたものをほかの施設にもぜひ適用していただきたいということをあわせて求めておきたいと思います。
次に、都営大江戸線から都議会議事堂へのアクセスについて伺います。
私自身、都議会議事堂でさまざまな方からお話を伺う機会がありますが、本題以外に、大江戸線からのアクセスについてご意見をいただくということはしばしばあります。都庁舎、都議会議事堂を建設する当時及び大江戸線の駅開業等に検討されていなかったさまざまな問題が、今新たな課題として浮かび上がってきているということだと思います。
具体的に、都営大江戸線から都議会議事堂へのアクセスについて、身体障害者や高齢者などの皆さんから改善の声が上がっているということは、都としては認識をされているのか、また、こうした問題に対応していく、改善が必要だと思いますが、認識を伺いたいと思います。
○後藤庁舎運営担当部長 都営大江戸線都庁前駅から都議会議事堂へのアクセスの要望につきましては、都議会でのご質問などで伺っておりますけれども、都庁前駅から地上に至ります車椅子等の方のルートといたしましては、エレベーターを利用できます都庁第一本庁舎北側のA4出入り口となります。
ほかに車椅子の方が利用できるルートはないことから、都庁前駅から地上へ出ずに都議会議事堂へ入るためには、新たなエレベーターを都議会議事堂に設置するなどのルートを確保する必要がございます。
しかしながら、既に建設されております都議会議事堂へ新たなルートを確保することは、技術的に非常に困難であると考えておりまして、引き続きA4出入り口のご利用をご案内するという形になります。
○池川委員 一朝一夕で、すぐに改善できているのであれば、もう既に改善されていると思います。しかし、今、都庁舎全体での改修が行われ、今後も使い続けていくということがあるわけで、このアクセスルートを確保するということは、車椅子等の方々にとっても極めて重要な問題だというふうに思いますし、ダイバーシティーを目指す東京都としては避けて通れない課題ではないかと思います。
ぜひ課題として認識をしていただいて、さまざまな検討を引き続き行っていただきたい、そして課題解決のために取り組んでいただきたいということを求めておきます。
次に、免震、制振オイルダンパーの問題について伺います。
油圧機器メーカーKYBと子会社によるデータ改ざん、この件を受けて、またかという声がさまざまな方面から出されているように、データ改ざんや不正の問題が後を絶ちません。次々と問題が起こっている現状を見ると構造的な問題があるのではないかと疑問を抱かざるを得ないということであります。
知事は、十九日の記者会見で、大規模地震から都民、国民の生命、そして財産を守るために、都を初め全国的に建築物の耐震化など強力に推進いたしておりますが、本事案がそうした中で発生したことは極めて遺憾、そもそも検査データの書きかえということは、建築物の安全・安心に対する信頼を、それこそ揺るがすものでございまして、あってはならないことと考えます、メーカー側はぜひいうまでもなく深く反省していただきたい、そして、都民、国民の生命と財産を守るという自覚、そして責任を持ってオイルダンパーの交換や、その必要な対策を速やかに行ってほしいと考えておりますというふうに述べております。
この問題については、先ほど来質問がありますので、三つ合わせて質問をしたいと思います。
一つは、この不適合の問題を受けて、都有施設でも対応が求められていると思いますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、また現在どのような対応を行っているのかについて、一点目。
二つ目が、ダンパーが不適合であるか調査するよう指示しているということでありますが、具体的にどのような調査を行って、今後、交換等について行っていくのか、これは二つ目。
そして三つ目に、具体的な製品交換を求めていく場合に、その安全性についてはどのように確認をされていくのかについて、合わせて三点伺いたいと思います。
○飯泉技術管理担当部長 順番にお答えいたします。
まず、現在の取り組み状況でございますけれども、都は、先月十七日、国が不適合と発表したKYBやカヤバシステムマシナリーのダンパーの型番と同一の製品が、都有建築物七施設に出荷されていることを公表いたしました。七施設の工事の受注者等に対しましては、ダンパーが不適合かどうか調査するよう指示を行っており、不適合または不明と判断された場合は、ダンパーの交換を求めてまいります。
二つ目の質問の、調査の内容と交換をどのように行っていくのかということにつきましてですが、調査の内容につきまして、具体的には、工事の受注者等に対しまして、ダンパーの適合性や設置箇所、設置本数などについて調べるよう指示を行っているところでございます。
この結果、不適合または不明の製品については交換を求めていくことになりますが、現在、工事中の施設につきましては、契約期間内での交換に向けて調整していくことになります。また、既に工事が完了した施設につきましては、使用中であることから、工事の受注者等との間で交換に伴う作業方法や時期を調整し、交換を進めていくことになります。
最後に、交換用のダンパーの安全性確認についてでございますが、交換用ダンパーの設置前に、都が求める性能を有しているかどうか確認していくことになります。その際、第三者機関や都が立ち会うなど主体的に対応を進めてまいります。
○池川委員 建築途中の建物については、確実に工期内に納めてもらう工夫が重要であると思いますし、都庁舎など既存施設について交換する場合は、業務を継続しながらどのようにやっていくのかということが求められていると思います。
第一義的な責任はメーカーにあることはいうまでもありませんが、交換を行う場合に、都民生活にさまざまな影響が出る可能性があるわけで、その点についてはしっかりと対応していただきたいと思います。
また、都として主体的に対応をしていただくということでありますが、第三者機関も含め、この安全性の確保については、ぜひ具体的に、かつ、そして都民の皆さんの納得のいくような検証も含めてやっていただきたいと思います。
そして、この問題については、データの不正、捏造問題などについてどのようにチェックしていくのかということについて、国などとも連携しながら対応していくことが必要ではないかと思います。これについては、企業のコンプライアンスの問題にかかわる問題ではありますが、一旦事が起これば、社会的には重大な影響があるわけです。
今回の問題に限らず、こうした問題が連続的に起こっている問題をこのまま放置するわけにはいかないということもあります。
都としても、関係機関と連携をして、そうした問題の改善等に積極的に関与していただきたいということを求めておきます。
最後に、第二次主要施設十か年維持更新計画の問題について伺います。
都有施設の維持更新を図っていくこと、その際、新たな基準を踏まえたりバリアフリーとなるような対策を行っていくことは極めて重要であります。
十か年維持更新計画では、既に各局で計画されているものも含めて平準化していくことを目的にしていると認識をしております。計画本文には、計画を着実に推進するための事業費の確保で、安全・安心を確保するとともに質の高い行政サービスを提供していくためには、都有施設を計画的に更新していく必要がある、このため、将来を見通した社会資本等整備基金及び都債の活用などにより、世代間の負担のバランス及び財政負担の平準化に配慮しながら、着実に本計画を推進していくということが記されております。
出していただいた資料によりますと、この第一期の事業費ベースというのは、当初の計画と同額というふうになっているということも確認できました。今年度でこの第二次計画の第一期の期が終わるわけでありますが、予算としては計画どおりになっているわけです。計画の進捗がどうなっているのか、また、対象施設に対してどれくらいの施設で事業着手が行われたのか、その点について伺います。
○小野建築保全部長 第二次主要施設十か年維持更新計画の対象施設は、庁舎、体育、文化施設、都立学校、警察署、消防署などの一般会計の建築物であり、おおむね築三十五年を経過している延べ床面積三千平方メートル以上の施設、おおむね築十年を経過している延べ床面積一万平方メートル以上の施設などに該当にします三百五十六の施設を対象としております。
計画の進捗状況でございますが、平成二十七年度から三十六年度の計画期間における概算事業費約七千五百億円のうち、第一期につきましては三千三百億円を計画しており、計画に対しまして三千三百億円が予算化され、順調に推移しているものと認識しております。
また、対象としております三百五十六施設のうち、第一期では既に完了している施設があるほか、順次設計、工事段階へ進捗しており、予算化されました二百三施設が事業に着手する見込みでございます。
○池川委員 対象の三百五十六施設中二百三施設が完了及び設計、また工事など事業着手をしていくということであります。事前にお伺いしたところによると、前倒しで二期から一期へと繰り上げて事業着手した施設もあるということでありました。これまで計画がどのように進捗したのかというのは金額ベースでは示されておりましたが、具体的な施設数等も、今後、状況がわかるようにすることが重要ではないかと思います。
維持更新について、個々の施設の整備費用については、各年度の予算編成過程において、最も適切な整備手法や整備範囲などの検討を行い、改めて積算するというふうにされております。維持更新の際、都民利用施設の場合には、ぜひ利用者目線でこうした維持更新計画の中にも盛り込んでいただきたいということを求めて、質問を終わりたいと思います。
○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十三分休憩
午後三時五十分開議
○大松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○おときた委員 私からは、入札制度改革、特命随意契約、都債並びに私債権の放棄について四つのテーマで質問させていただきます。
初めに、入札制度改革について幾つか伺います。
都政改革本部は、昨年三月に、一者入札の中止を盛り込む入札制度改革を発表しました。しかしながら、財務局は、本年五月、入札契約制度改革の本格実施についてを発表し、その中で一者入札の中止は実施をしないとしています。
この経緯について、本日、事務事業質疑ですので、改めてお伺いをいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止は、より多くの事業者を競争入札に参加させることにより競争性と透明性を高めることを目的として、入札参加希望者が一者以下だった場合に入札手続を中止することとしたものでございます。
試行の状況に関して入札監視委員会が検証を行った平成三十年二月までの時点で、一者入札の中止は六十一件発生し、このうち入札参加条件を見直した上で再発注の手続を進めた案件について、開札日が平均で四十七日おくれるなどの影響が見られたところでございます。
また、業界団体との意見交換では、一者入札の中止は、他者の応札の動向によって入札が中止されるというリスクがあり、安心して入札に参加できず、かえって参加意欲を損なっているという声が多く寄せられたところでございます。
こうした事業進捗への影響や事業者の参加意欲の減退などの課題がある一方で、JV結成義務の撤廃などの他の制度の制度改革の取り組みにより、入札参加者を着実に増加させる効果が出ていることを踏まえ、六月からの本格実施に当たりましては、一者入札の中止については実施しないこととしたものでございます。
○おときた委員 試行では、一者入札の中止が確かに行われてきたこと、そして実施を取りやめたという経緯は理解をいたしました。
しかしながら、業界団体との意見交換による意向が余りにも強く影響を及ぼしているとなると、いわゆるレントシーキングともいえる事態になりかねません。実証的に結果が検証されているかどうかが重要と考えます。
そこで、試行において一者入札の中止を行っていたということですが、事業進捗のおくれが具体的に発生したケースは何件になるでしょうか。また、具体的にどのような工事だとおくれが出るのか、局としてその分析は行われているのか、この点をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 先ほど申し上げましたとおり、一者入札の中止は六十一件発生いたしました。このうち入札参加条件を見直した上で再発注を行った案件は三十九件ございます。この三十九件のうち、当初の発注で設定した工事完了予定日を再発注時に当初の予定より後送りにした案件は十五件ございます。この十五件を分析いたしましたが、建築、土木、設備などの工種も工事規模もさまざまでございまして、どのような工事でおくれが生じたかについてははっきりとした傾向、特徴はございませんでした。
なお、当然のことでございますが、都が発注する契約案件は全て、都民生活に直接間接に影響を及ぼすものでございまして、一者中止となった案件につきましては、できる限り事業進捗への影響が出ないよう、発注条件等を精査した上で速やかに再発注の手続を行ったところでございます。
○おときた委員 分析して傾向が出ていないというご答弁でございましたが、これではそもそも統計的に検証資料が積み重なっていないという段階であるといえるのではないでしょうか。
一者入札中止の考え方は、都政改革本部が示すとおり、必ずしも間違ったものではなかったと私は考えております。ですので、もう少し中長期的な視点で検証して、実施の可否を決定すべきではなかったかなとも感じているところであります。入札については、完璧な制度というものはありませんから、引き続き、不断の見直しで制度改善に努めていただくことを要望いたします。
さて、こうした一者入札に関連いたしまして、昨年十二月に、当時の東京都の顧問であった安東泰志氏は、ネット上で立場を明記した実名にて、証拠が今のところないだけで、都の一者入札では談合が行われているとの旨を発言しております。そして、発注側を含めて検察などがフォレンジック調査を行えば、裏づけは十分とれるはず、都庁でも小池都政になってから、自主的にフォレンジックをやるかどうか迷って、結論として、それをやるよりは今後の入札改革に集中しようということにしたのが本当のところだとまで述べています。
当時、顧問という肩書があった方ですから、これは社会的影響力を無視できない重大な発言です。
では、当時の安東顧問が発言するような調査などは実際に行ったのかをお伺いいたします。また、この発言について都の見解を改めてお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 安東元顧問のインターネット上の発言につきましては、ご自身の考えを、東京都の顧問の立場ではなく、所属する企業の役職名を明記し私的な立場であることを示した上で述べられたものと認識しておりまして、そうしたことを踏まえまして、都としては特段の調査は行っておりません。
入札における応札者数につきましては、発注のタイミング、地域性、技術力、施工の困難度、発注者の設定する条件等により影響を受けるものでございまして、結果として入札への希望者が一者になるケースはあるものと考えております。
したがって、都としては、一者入札という事実のみをもって談合の可能性が高いというふうには考えておりません。
もとより、競争性や透明性の向上のためには、一者よりも多数の事業者が入札に参加することが望ましいことは当然でございまして、こうした観点から、都民の疑念を招くことがないよう今般の入札契約制度改革に取り組んできたところでございます。
○おときた委員 安東元顧問の発言は、インターネット上とはいえ、都の中枢にいる人物がした都の入札制度の疑惑にかかわる重要な発言であります。談合が行われていることを都の中枢にいる人間が公然と認めて発言をしていたわけです。それにもかかわらず都としては特段の調査をしないというのは、極めて遺憾に思うところではあります。
繰り返しになりますが、安東元顧問の発言は、ゼネコンなどにも悪い印象を与えかねないものであり、また、都の見解が二通りあるとの誤解を都民に与えるものであって、極めて問題の多い発言であると考えます。これに対して、都としては整合性をとるような努力、対応をしたのかを含めて、都の見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 入札契約制度改革に関連する議論につきましては、都政改革本部に設置された内部統制PTにおいて行われてきておりまして、安東元顧問は、内部統制PTには参加されておりませんでした。こうしたことから、安東元顧問のご発言は、内部統制PTメンバーとして都の入札契約制度改革に関して公的な見解を示したものではなく、その当時発生したJRのリニア談合を引き合いに、談合や受注調整に関して、ご自身の民間企業での経験をもとに私的な立場で所見を述べられたものというふうに認識しております。
○おときた委員 入札改革のメンバーではないから、発言を軽視されているということなのかもしれませんが、都民から見たら顧問という肩書のみが重視されるわけであって、その違いはわかりません。そして、これは民間企業の経験をもとに述べたものだというのは、余りにもちょっと偏った見方でないかなと私は率直に感じます。
繰り返しになりますが、都の中枢におられる顧問という立場の方の発言には一定の重みがありますし、都民やゼネコンに対して少なからず影響を与えるものであります。仮に談合などの不正が一切ないといい切れるのであれば、東京都としては、少なくとも安東元顧問の発言に対して抗議を行い、訂正を求めるなどの対応を今からでもするべきではないでしょうか。
この安東元顧問の発言に対しては、適切な対応をとられるとともに、入札制度改革については引き続き推し進めて、談合疑惑などの生じない、不正が起こらない取り組みを強く推進していただくことを要望いたします。
なお、安東泰志氏はツイッターにおいて、十一月一日現在でも肩書が東京都顧問と明記されたままであることを付言しておきます。
二点目として、特命随意契約についてお伺いをいたします。
さきの公営企業会計決算特別委員会でも取り上げましたが、都の特命随意契約の多さには、かねてから有識者より指摘が相次いでいるところであり、私も前期より継続して警鐘を鳴らしてまいりました。
そこでまず、改めて都全体の特命随意契約の件数と割合についてお伺いをいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 平成二十九年度の都全体の予定価格二百五十万円超の工事案件につきましては五千一件ございまして、そのうち特命随意契約の件数は六百十一件、その割合は一二・二%でございます。
また、平成二十九年度の予定価格百万円超の物品委託等の案件につきましては一万七千八百九十三件あり、そのうち特命随意契約の件数は四千四百七十八件で、その割合は二五・〇%でございます。
○おときた委員 今、ご答弁いただいたデータは年次で出てくるものと思いますが、では、お答えされた特命随意契約の全体の件数について、全体像がわかる形で、都民にわかりやすく公表されているかどうか、現状をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 特命随意契約の件数そのものについては公表しておりませんが、特命随意契約を行った案件の一覧のほか、案件ごとの見積経過調書や特命理由について、インターネットを通して、電子調達システム上で誰もが確認することができるようになっております。
また、平成三十年度からは、スマートフォンなどの携帯端末でも見やすく表示できるようモバイル版での情報提供も開始したところでございます。
○おときた委員 件数そのもの、あるいはその推移というのは公開していないということで、一覧から検索するだけでは、特命随意契約の数が増加しているのか、あるいは減っているのか、その傾向などがわかりません。
また、どの分野や局で特命随意契約が伸びているのか、減っているのかなども、わかりやすく公表することで、不正の温床ともなりかねない特命随意契約の抑止力になると考えます。
そこで、特命随意契約の件数などについて、全体像を経年でわかる形にしたり、局別や分野別にするなどの工夫をした公表をするべきであると考えますが、今後、そのような取り組みをする予定はあるのか、公表方法の今後の取り組みにつき局の見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 ちょっと繰り返しになりますけれども、特命随意契約を行った案件の一覧については、電子調達システム上で誰もが確認できるようになってございます。お話の特命随意契約に限らず都民への契約情報の提供については、入札監視委員会からも、その重要性について意見をいただいておりまして、今後も、統計資料などを含め契約情報の公表のあり方について検討を進めてまいります。
○おときた委員 こちらも繰り返しにはなりますが、案件の一覧だけでは、特命随意契約の全体像が見えてこないわけであります。都民の方々、一件一件、件数を数えて、特命随意契約は何千件あるんだなというようなことは個人ではできないわけですね、現実的に。
都政改革本部が取り組んでいる特命随意契約をなるべく減らすという方向性につきまして、傾向や定点観測ができるようにして、外部からのチェックをしやすくする必要がございます。
特命随意契約の公表のあり方については、より一層の工夫を行い、先ほど来申し上げておりますような全体像が理解できる公表のあり方について、前向きな検討を早急にされますことを強く要望いたします。
そして、当然のことながら、あくまで例外措置である特命随意契約は、できる限り減らしていく方向で改革を進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 地方自治体の契約において、随意契約ができる場合は、地方自治法の施行令により制限列挙されておりまして、特に特命随意契約は、特定の相手方を選定する手法であることから、より慎重な取り扱いが求められるものと認識しております。
そのため、都では、工事等施行者選定委員会要綱等で具体的に特命する場合の選定基準を定めるとともに、実際に特命随意契約により契約を締結しようとする場合には、委員会において案件ごとに特命随意契約の必要性や特命理由が基準に沿ったものであるかをよく吟味した上で、採用の可否を判断しているところでございます。
都としては、特命随意契約の件数の多寡そのものよりも、例外的な手法である特命随意契約の採用は基準に沿った合理的な理由のある案件に限ること、逆にいいますと、特命随意契約は必要性や合理的な理由に乏しい案件には安易に採用しないこと、特命とした場合には、その特命理由を公表することにより契約の透明性を確保していくことが重要と考えております。
今後とも、特命随意契約について都民の理解が得られるよう適正な制度の運用と公表に努めてまいります。
○おときた委員 適正な運用というご答弁でございまして、特命随意契約を減らす努力をするという明確なご答弁でなかった点、消極的な点はやや残念に感じるところであります。
都政改革本部は、特命随意契約について皆見える化をし、点検を行うよう進めるなど、基本的には減らす方向で取り組もうとしていたものだと私は理解しています。ぜひともそうした方針に沿って、特命随意契約についての見直しと改革を今後も進めていただきたく、改めて要望をいたします。
次に、都債発行についてお伺いいたします。
近年、都財政の状況の好転から都債の新規発行は抑制ぎみになってはいるものの、プライマリーバランスは黒字がキープされる中で、それでも、一定程度の都債新規発行がなされる状態が続いています。これは私が二〇一五年の予算特別委員会でも取り上げた点ですが、都債の発行の理論的根拠となっているのは地方財政法第五条一項で、国債と同様、あくまで原則は不発行です。
我が国では、一九六六年から、原則不発行の例外とされていた建設国債の概念の方が強く主張されるに至り、将来世代に負担なき受益は発生させないという世代間の負担均衡の考え方、いわゆる世代間の負担受益一致論から建設国債の発行が常態化をしております。
しかしながら、果たしてこの理論における国債、地方債、まとめて公債と称しますが、この発行を続ける状況は果たして正しいのでしょうか。少子高齢化が確実視され、世代間格差が逆に生じている状況においては、大いに疑問であるといわざるを得ません。
そこでまず、都債全体の発行額、過去五年の都債新規発行額を確認のためお伺いをいたします。
○山田主計部長 一般会計における過去五年の都債発行総額でございますけれども、平成二十五年度は六千三百十七億円、二十六年度は四千四百八十一億円、二十七年度は五千七十八億円、二十八年度は三千六百九十三億円、二十九年度は二千八十億円となっております。
また、一般会計における過去五年の都債の新規発行額でございますけれども、平成二十五年度は二千四十八億円、二十六年度は一千三百九十億円、二十七年度は一千二百九十八億円、二十八年度は一千二百四十四億円、二十九年度は一千百二十六億円となっております。
○おときた委員 都債は、毎年一千億円から二千億円、新規で発行されているということがわかります。この根拠の一つとなっているのが、さきにも申し上げたとおり世代間の負担受益一致論であります。
しかしながら、地方債に関しては、特に人口の社会移動の問題が指摘されています。地域をまたいで人口は常に流動していますから、地方債を負担する人々とそれによって将来恩恵をこうむる人が必ずしも一致するとは限りません。統計データなどを見ますと、都道府県間における人口移動は、十年で一割程度が入れかわるともいわれています。
これでは、実際に税の負担を負った人とその恩恵をこうむる人が一致しなくなるわけで、建設公債発行の大義が失われているのではないでしょうか。
以上の理由により、広域自治体である東京都が建設公債による負担の平準化を図ることには著しい疑問が残りますが、この点について都の見解をお伺いいたします。
○山田主計部長 都債を初めとする地方債は、地方財政法に基づいて発行をしております。地方債は、将来にわたり使用される施設等の整備費用について、その恩恵を受ける将来世代にも負担を求める、いわゆる世代間の負担の均衡を図る機能を有しており、社会資本ストックの整備を進める上で重要な財源となっております。
また、都債は、年度間の財源調整や一般財源の補填等の観点からも重要な役割を果たすものでありまして、都の歳入の大宗を占める税収が景気変動の影響を受けやすい構造にあることから、今後も財源として計画的に活用していく必要があると考えております。
また、なお、東京という人口の転出及び転入が一定程度確保されている大都市におきましては、社会資本整備の財源として都債を活用することが、受益と負担の関係において、より確保しやすくなっているのではないかということも考えております。
○おときた委員 最後に地域論も述べていただきましたけれども、基本的には一般論を今お述べいただいただけで、私の指摘には正面からお答えいただけないわけですし、人口移動が--なぜそれが利益になるかということも、ストレートには述べていただけていないわけでございます。
残念ながら、今の都債発行のロジックでは、建設公債発行時には何ら税の負担を負わなかったフリーライダー、あるいは負担だけを背負ってその恩恵が受けられない方々、そのどちらかの存在が必ず一定数発生してしまうということを指摘しておきます。
そして、二点目の問題点は、冒頭に申し上げました世代間の格差です。
国による社会保障費の不公平に加えて、東京都も二〇二〇年以降から確実に人口減少が始まるものと見込まれています。今までと同じ負担割合を前提として都債金額を計上していては、人数の少ない将来世代の負担が大きくなるわけです。
将来世代の負担の平準化というのであれば、社会保障費などで明らかに不公平をこうむっている現役世代にこそ逆に配慮すべきであり、都債の発行はそれに逆行することになると考えますが、この点について都の見解をお伺いいたします。
○山田主計部長 都は、社会状況の変化にも柔軟に対応できるように、健全な財政運営の推進に努めております。平成三十年度予算におきましても、将来にわたる財政需要を見据えまして、都債の発行額の抑制などを行い、将来に向けての発行余力を培っているところでございます。結果といたしまして、現在、都債残高は減少を続けており、現役世代が将来にわたり負うべき財政負担は軽減しているものと考えております。
今後も、現役世代と将来世代との間における負担のバランスが適切なものになるよう、財政状況等に鑑みながら都債を計画的に活用していきたいと思っております。
○おときた委員 都債残高は減らしていく、あるいは新規発行額を抑制していくという方向性には賛成でありますが、同時に消極的な姿勢も感じるところであります。
冒頭の繰り返しになりますけれども、公債は原則不発行です。都の現在の財政状況を見れば、少なくとも新規発行をゼロにすることは可能であり、現役世代の不公平解消に寄与することは間違いありません。
都債の新規発行に関しては、さらに大胆に抑制していく、あるいは知事の選挙公約のようにゼロというのを大々的に掲げて、都債新規発行ゼロを達成すれば、その施策が持つインパクトは極めて大きいものと思います。
都債発行の今後の方針について都の見解をお伺いいたします。
○山田主計部長 都債は、さきに答弁いたしましたとおり、世代間の負担の均衡を図る機能や年度間の財源調整機能を有する重要な財源となっております。都債を弾力的に活用することで、地域経済の基盤を涵養し、将来にわたる住民福祉に寄与することができ、結果的に担税力を高めることにつながり得るものであると考えております。
今後とも、将来にわたる財政需要や後年度の財政負担を見据えつつ、都債を財源として計画的に活用するとともに、戦略的に償還を進めていくことで、健全な財政運営に努めていきたいと思っております。
○おときた委員 都財政は法人税などに左右されることから、都債発行という手段を封じたくないという点には一定の理解をするものですが、前例踏襲の安全運転だけをしていては、開き続ける世代間格差を是正することはできません。
諸外国の事例を見れば、公債発行ゼロを達成している国や自治体の存在も確認できます。常態化している都債の新規発行は、その原理原則や地域特性、広域自治体としてという答弁もありましたけれども、じゃあ人口移動は果たしてどう考えるかというのをしっかり東京都も打ち出していかなければいけない。それはもう考えなくていいことなのか、それとも、それを織り込んだ上で、それでもあえて建設公債を発行し続けるというのであれば、その理論的な裏づけは、私はまだまだ不十分であると思います。
そして、将来世代への負担先送りといった論点から、果たしてこれ自体が正しいことなのかどうか、改めて抜本的な再考をしていただくということを強く要望いたしまして、次のテーマに移ります。
最後のテーマは、九月十二日に発表されました東京都債権管理条例に基づく私債権の放棄についてに関連いたしまして伺います。
このたび発表された私債権の放棄額は、例年にも増して多かったように感じられました。私債権の放棄は、都民の財産を失うということですから、本来はあってはならない、減らす努力を常にしなくてはならないものです。
そこで、私債権の放棄額について、過去五年分の推移と、特に病院における放棄額と、中小企業設備近代化資金貸付金、この放棄額の推移についてお伺いをいたします。
○山田主計部長 都の私債権の放棄額は、平成二十五年度は約一億五百万円、二十六年度及び二十七年度は約一億二千六百万円、二十八年度は約二億二千九百万円、二十九年度は約二億四千六百万円となっております。
このうち病院経営本部所管の都立病院診療料の放棄額は、平成二十五年度は約六千三百万円、二十六年度は約四千二百万円、二十七年度は約五千八百万円、二十八年度は約三千四百万円、二十九年度は約二千五百万円となっております。
また、産業労働局所管の中小企業設備近代化資金貸付金の放棄額は、平成二十六年度までは放棄を行っておらず、二十七年度は約二千九百万円、二十八年度は約八千五百万円、二十九年度は約一億九千三百万円となっております。
○おときた委員 今ご答弁いただきまして、都立病院の方の診療料の放棄額は減っているというにもかかわらず五年間で総額一億円以上の伸び、そして、とりわけ中小企業設備近代化資金貸付金についてはわずか三年で五倍以上、倍々ゲームよりひどい状態で、二億円に迫る額を放棄しているということがわかりました。
中小企業設備近代化資金貸付金の担当局は産業労働局であるということは認識しておりますが、この都民感覚では到底理解しがたい放棄額については、財務局の方でも何か対策を講じないといけないのではないかと考えます。
中小企業設備近代化資金貸付金の放棄額、この著しい伸びを踏まえて、回収方法や審査基準の設定など、財務局としての取り組みについてお伺いをいたします。
○山田主計部長 中小企業設備近代化資金貸付金は、貸付原資の二分の一が国庫支出金でありますが、条例に基づく債権放棄を行う場合の取り扱いにつきまして、都の要望を受け、平成二十七年度に、国庫支出金を償還の対象外とするとの国の見解が示されたため、二十八年度以降、既に要件を満たしている案件につきまして順次まとめて放棄を実施しており、そのことが放棄額の増加につながったものでございます。
債権管理に係る財務局の取り組みといたしましては、平成二十年度に東京都債権管理条例を制定し、全庁的な債権管理の取り組みを強化しております。
具体的には、債権を所管する各局に債権管理者を設置し、局を挙げた取り組みの推進や連絡調整を行うとともに、部署をまたがった徴収ノウハウの共有や連携を図るため、全庁的な会議の設置や標準的な債権管理マニュアルの作成を行うなど、債権管理体制を整備、強化し、債権回収に努めているところでございます。
○おときた委員 全体として、主に連絡調整やマニュアル作成というところで債権回収に努めているという答えでございましたが、特に、今回露呈された中小企業設備近代化資金貸付金、この債権放棄に関しましては、財務局は、より強い指導力を発揮していただくという必要があるのではないでしょうか。
この制度について、あえて厳しいいい方、見方をすれば、そもそも本来であれば、マーケットによって自然淘汰されるべき中小企業、こちらに無理に支援を行って、結果として都民財産を毀損している、そういった可能性も否定することはできません。
今後、中小企業設備近代化資金貸付金については、局任せにするのではなくて、財務局が都の財政の番人として規律を設けるなど、そういった行動をすべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
○山田主計部長 健全な財政運営を行うに当たりましては、都が有する債権につきまして可能な限りの徴収努力を尽くすなど、地道な努力を積み重ねるとともに、回収不能なものにつきましては、適切に欠損処理を進めることが重要と認識しております。
財務局といたしましては、全庁的な債権管理体制を整備、強化する観点から、部署をまたがった徴収ノウハウの共有や連携を図るための全庁的な会議の設置や標準的な債権管理マニュアルの作成などを行っております。
個々の具体的な債権の状況につきましては、事業の実施主体として債権発生の原因や背景をよく知る所管局におきまして、きめ細やかな管理を行うこととしているところでございます。
引き続き、適切な債権管理を通じまして健全な財政運営に努めていきたいと思っております。
○おときた委員 ご丁寧な答弁いただきまして、今回判明した中小企業設備近代化資金貸付金、こちらの債権放棄額は、単に局任せにはできないスケールまで膨れ上がっているようにも感じられます。
この実態がどうであったのか、安易な貸し付けは行っていなかったか、あるいは経営確認やアフターフォローを充実させていたか、回収不能になりそうな際に事前に対策を行っていたのか、そして何より、この制度そのものや運用が間違っているのではないかといった点でも、財務局は本件について、ぜひ調査力、指導力を発揮していただきたいと思います。
財務局におかれましては、財政の番人としてしっかりとした規律でもって、私債権の放棄についても順次減らす努力をしていただくことを改めて要望、期待をいたしまして、私からの質問を終わります。
○おじま委員 平成三十一年度の税制改正に向けての議論であります。先ほど小磯委員からもありましたけれども、正念場という言葉がありました。いよいよ佳境を迎えつつあるわけであります。
都と地方の間に財政格差、税収格差があるということで、国がこれを問題視して、いわゆる偏在是正措置の名のもとにさまざまな措置を講じてきたわけであります。法人事業税の分割基準の見直し、ふるさと納税による個人住民税の控除、法人住民税の一部国税化、地方消費税の清算基準見直し、これも記憶に新しいですけれども、平成に入ってからのこの三十年で奪われた都民の税金というのは、年間平均で二千億円ですから、この三十年で六兆円ということであります。
一方で、都としても抗戦をしてきました。まずは、この偏在是正の考え方自体が不合理であるということであります。そもそも、何をもって偏在としていて、何をもって是正といっているのかも明確でないわけであります。
東京都から財源を収奪する、収奪をしてもいいという理屈として、都はお金持ちだという、こういう指摘もありました。都は大都市であって人口も多いですから、当然税収も多いわけであります。ただし、大都市には大都市であるなりの、大都市であるからの財政需要があるわけであります。でも、これはとにかく多いわけであります。
東京は、二〇二〇年にオリ・パラを控えております。そして、二〇二〇以降が本当の正念場でありまして、さまざまな財政需要とリスクが出てくるわけであります。中長期的な観点から財源も確保していかなくてはならないですし、こういう将来の財政支出に備えて、東京都も一丸となって切り詰めているところ、頑張って貯金もしていこうとしているところ、お上からこれを召し上げられてしまっては、我々は何を努力しているんだということになるのではないかと思います。
収入と支出、あるいは受益と負担という観点が、この国の議論にすっぽり抜けてしまっているということもさりながら、そもそも地方自治、地方分権というものは、役割と権限、また財源とがセットで議論されなければならないところ、財源、金だけを無理やり移転させようとしていること自体も本質からかけ離れていますし、その場しのぎだとしかいいようもないんですけれども、残念ながら国の議論がそうなってしまっているということは、この場にいる皆様もご承知のとおりだと思います。
東京都の動きとしては、ちょうど先週の二十六日に、東京都税制調査会、都税調の答申が示されました。また、これも先ほどありましたけれども、今週頭の月曜日、二十九日に、財務局所管でやってきた東京と日本の成長を考える検討会は、最終回を迎えまして、報告書案が示されたところであります。
一方、国においては、先週二十四日に、地方法人課税に関する検討会の第五回が開催をされました。国のいう偏在是正措置の対象税目やこの手法のメニューが示されたわけであります。これはまさに佳境というところだと思います。
まずは、議論の原点を問う意味でも、国はどのような理屈で、都の財源を地方へ移転させようとしているのか、これを伺いたいと思います。
○山田主計部長 国はこれまで、都市と地方の財政力格差の是正を名目に、東京を標的とした税制度の見直しを繰り返しておりまして、ただいま副委員長のご指摘のとおり、平成元年度以降の税制改正による都税への影響額は、三十年間の累計でマイナス約六兆円にも及んでいるところでございます。
さらに、三年前に決定されました平成二十八年度税制改正では、消費税率一〇%段階での地方法人課税の偏在是正措置が決められておりまして、これによります都の影響額は、年間マイナス約五千億円となる見込みでございます。
このような状況にあるにもかかわらず、昨年十二月に決定いたしました平成三十年度与党税制改正大綱におきましては、地方創生を推進し、一億総活躍社会を実現するため、また、各地方において生き生きとした生活が営まれるためには、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて新たに抜本的な取り組みが必要であるとして、三十一年度税制改正において新たな偏在是正措置を上乗せする考えを示しているところでございます。
○おじま委員 いろいろと都市と地方の財政力格差の是正、あるいは東京一極集中、これの是正ということで国がいっているその理屈はわかったんですけれども、では、その理屈に対して東京都としてはどうお考えになっているのか、これを伺いたいと思います。
○山田主計部長 平成二十八年度税制改正におきまして、消費税率一〇%段階において、法人住民税の交付税原資化を拡大すること、また、法人事業税の暫定措置を廃止することが決まっておりまして、これをもって地方法人課税のいわゆる偏在是正措置は、既に決着済みであると我々は考えております。こうした経緯を無視いたしまして新たな措置を講じることは、道理が通らないと考えております。
そもそも、国の限りある財源を取り合うだけでは、地方が抱える巨額の財源不足の本質的な解決にはつながらないことは明らかであります。
また、毎年のように東京を標的とした税制度の見直しが繰り返されれば、財政運営の予見可能性が損なわれ、自治体運営そのものに重大な支障が生じかねないと考えております。
加えて、都は、少子高齢、人口減少社会への対応や大規模災害への備えなどの喫緊の課題への対応や、東京ひいては日本全体の持続的成長に向けた施策の積極的な展開など、将来にわたり膨大な財政需要を抱えております。こうした東京の実情や首都としての役割を顧みず、いたずらに東京の活力をそぐ取り組みを繰り返すことは、断じて看過できないと思っております。
○おじま委員 今、都には膨大な財政需要を抱えているということもご答弁いただきましたけれども、やはりこれは、東京都がお金持ちであるというその指摘は当たらないということだと思います。
今回の平成三十一年度税制改正に関する議論、あるいはそれに向けた地方法人課税の見直しというのは、昨年の十二月十四日に発表されました与党税制改正大綱において、新たな偏在是正措置に関する検討を進めて、平成三十一年度税制改正において結論を得るという旨の記載がなされたときから始まったものだと認識をしております。
このように、税制改正において、ある事項に関する方向性が前年度の税制改正の中であらかじめ示されるということも大変珍しいことだと聞いております。これは、国も与党税調もそれだけ本気で都の財源を地方に移転させようとしている、その本気度のあらわれではないかと思います。裏を返せば、都としても国に十分対抗し得るだけの本気度が求められてきたわけであります。
では、平成三十年度与党税制改正大綱が示されて以降、都として、どういう点に力点を置いて、具体的にどういう活動をされてきたのかを伺いたいと思います。
○山田主計部長 近年、東京の財源を地方に再配分する不合理な税制度の見直しが繰り返されておりますけれども、東京、日本を持続的成長に導くためには、東京と地方がおのおのの役割を果たしながら互いに高め合う共存共栄が重要であり、そのためには、こうした場当たり的な手法ではなく、地方自治体の自主的、自立的な行財政運営を支える税制度の確立が重要と考えております。
こうした認識のもと、平成三十一年度税制改正に向けては、不合理な税制度の見直しに対する都の主張に一層磨きをかけ、よりわかりやすく発信することで、理解と共感の輪を広げていくことができるよう、さまざまな取り組みを精力的に展開しております。
具体的には、本年一月、平成三十年度予算案発表とあわせて、税制改正に向けた都の主張をわかりやすくまとめた冊子を公表いたしました。
また、三十年度当初から現在に至るまで、東京都選出国会議員を初め与党税制調査会メンバーや総務大臣などへ、あらゆる機会を捉え、知事を先頭に積極的に働きかけを行っております。
このほか、本年五月には経済同友会との懇談会を開催し、東京と日本全体の持続的な成長に向けた意見交換を行うとともに、同六月には、東京と日本の成長を考える検討会を立ち上げ、日本全体を持続的成長に導くための投資や、東京と地方がともに成長していく共存共栄、そして地方分権と地方税財源のあり方について議論を積み上げるなど、積極的な活動を展開してきたところでございます。
○おじま委員 東京都選出の国会議員も、与党税調も知事会もそうなんですけれども、これは単純な利害だけから見ても孤立無援といいますか、孤軍奮闘といいますか、そういう状態で来ていて、しかしその中でも、都は一生懸命正論を主張してきて、それに対する理解と共感を得るための努力をしてきたことも、皆様ご承知のとおりであると思います。
そのような中で、先ほども触れましたけれども、東京と日本の成長を考える検討会が設置をされて、ちょうど三日前に最終回を迎えて、報告書案がまとまったところであります。この検討会の報告書の内容も踏まえて、今後、都はどういうふうに、どのようにこの税収奪、財源収奪の問題に取り組んでいくのか、恐縮です、これは局長にご答弁をいただきたいと思います。
○武市財務局長 都財政は、少子高齢化、人口減少社会への対応、あるいは東京二〇二〇大会の準備など、歳出面では膨大な財政需要を抱える一方で、歳入面におきましては、米中貿易摩擦の激化など国際情勢が混沌とする中で、都税収入の安定的確保が脅かされるのではないかという懸念もありまして、不確実性を増していると考えられます。そうした中で、首都東京の活力をそぎ、都民生活を脅かす不合理な税制度のさらなる見直しを行うということは、この国の将来を見据えた賢明な選択肢であるとは到底考えられないものであります。
このような状況の中、東京と日本の成長を考える検討会におきましては、一橋大学副学長である辻座長のもと、成長につながる東京への投資の有益性、共存共栄の必要性、真の地方税財政制度のあり方などにつきまして大いに参考となるご意見をいただいたところでございます。
政府・与党の平成三十一年度税制改正大綱は、十二月中旬には取りまとめられるものと予測されます。今回の検討会においていただきましたご意見を踏まえながら、また、都議会の皆様のご協力をいただきながら、あらゆる場面で都の主張を展開し、最後の最後まで全力を尽くしてまいる所存でございます。
○おじま委員 学術的な議論も、あるいは政治的な動きも重要なんですけれども、何より都民を巻き込んでいかなくてはならないと思います。都民世論の喚起が重要であって、そのためのPR強化であります。
また、今回、事件ですというタイトルのチラシもつくられました。こういうふうにわかりやすい形で発信をしながら、都民の皆様と危機感を共有していくということが必要だと思います。
都の財源が収奪されるということ自体を肯定する都議会議員というのはいないと思いますので、都議会全体の課題としてしっかりと責任感を持って取り組んでいきたいということを、この場にいらっしゃる財政委員の皆様とも共有をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
○大場委員 私、都議会議員として三期目となりますが、財政委員会は初めての所属となります。この財政委員会の中でも、財務局は、財政、契約、さらには都有地を初めとする財産管理など、各事業局がさまざまな都民サービスを提供する上で、その根幹となる制度や分野を所管されております。そのため、このたび委員として名を連ねましたことに大変やりがいを感じておるところであります。
我々都議会と執行機関とは車の両輪の関係でございまして、千三百万都民のための都政を実現するという共通の目的のもと、今後の委員会質疑を通じまして、武市局長を初めとする理事者の皆さんと、しっかりと議論を重ねていきたいと考えております。
本日はまず、都財政全般につきまして、基本的な事項も含めてご質問させていただきたいと思います。
私、この事務事業質疑に当たりまして、九月に局が発行した年次財務報告書を読み直させていただきました。この報告書に目を通していく中で最も興味を引かれましたのは、最後のページにございました都財政年表でした。
美濃部都政下では大変な財政悪化、次の鈴木都政下では歳出総額がピークに達しまして、そして、都政史上最大の一千億円を超える赤字決算を記録したのが青島都政でございました。その後、石原慎太郎知事のもとでの財政再建の取り組みが都財政を健全な状態に戻し、今日の都財政の礎を築いたことなどが一目瞭然となっており、まさに都財政の歴史をひもとくものとなってございます。
と同時に、目を引きましたのは税収の変動で、平成二十年度に約五・三兆円であった都税収入は、リーマンショックの影響により、平成二十一年度には約四・三兆円にまで落ち込んでおりました。今から約十年前のことですが、わずか一年間で一兆円もの税収減が発生したという事実、これが、将来もまた同様に起こり得ることを我々は肝に銘じて都政に携わらなければなりません。
その一方で、社会保障関係費の増大、首都直下地震など大規模災害への対応、さらには外環道の整備を初めとしたインフラ投資など、大都市ならではの財政需要を数多く抱えていることも、都財政の特徴の一つといえるでしょう。
さきに述べましたとおり、いつ何どき、税収の大幅な減が生じるともわからない不安定な税収構造にありながらも、こうした膨大な財政需要への対応を着実に進めていくこと、この難しいかじ取りこそが都の財政運営の要諦ではないかと考えます。そういたしますと、都財政におきまして基金が他の地方公共団体以上に重要な意味を持っているとの認識に我々は立つべきと考えます。
局の方にお伺いしたところによると、現在、都には三十を超える基金が設置されているとのことです。
そこでまず、都財政における基金の位置づけと役割につきまして、他の地方公共団体との違いにも触れていただきながら、ご見解をお伺いいたします。
○山田主計部長 都の基金には、財源として活用可能な基金と位置づけております財政調整基金と、福祉先進都市実現基金や防災街づくり基金、無電柱化推進基金などの三つのシティー実現に向けた基金などがございます。
財政調整基金は、不安定な都税収入を補い、税源が著しく不足する場合などに取り崩すことによりまして、年度間の財源調整を図ることを目的とするものでございます。
また、三つのシティー実現に向けた基金は、ダイバーシティー、スマートシティー、セーフシティーの三つのシティー実現に向け、施策を安定的かつ戦略的に展開していくための財源を確保することを目的としております。
都は、都道府県で唯一の地方交付税の不交付団体であることから、他の地方自治体以上に自立的な財政運営を行っていくことが必要でございます。こうした観点から、都財政における基金は、景気変動に伴う大幅な税収減への備えや、東京が抱える課題の解決と将来の発展に向けた施策を着実に展開していくための財源として、極めて重要な役割を果たしております。
○大場委員 ただいまのご答弁で、景気変動の影響の有無にかかわらず、いついかなるときも安定的に都民サービスを提供していくための、都財政における基金の役割や重要性について確認ができました。
それでは、現在、東京都の基金の残高はどのくらいあるのでしょうか。冒頭に申し上げました局発行の都財政年表によりますと、年度間の財源の調整機能を担うまさに都財政の虎の子ともいうべき財政調整基金の残高は、青島都政下ではわずか十億円にまで底をつきかけておりましたが、直近の平成二十九年度では、七千百六十五億円にまで至っているとのことでございます。しかしながら、その他の基金の状況については明記されておりませんでした。
そこで、平成二十九年度決算における基金残高合計とその主な内訳につきましてご説明いただきたいと思います。
○山田主計部長 平成二十九年度末時点の普通会計ベースにおきます基金残高の合計は、四兆二千七百十一億円となっております。
このうち、財政調整基金の残高は、委員お話しのとおり七千百六十五億円となっております。
また、東京を高い防災力を備えたまちとして整備するための防災街づくり基金や、子育て家庭への支援や超高齢化社会へ対応するための福祉先進都市実現基金など、三つのシティー実現に向けた基金につきましては、合計一兆八千百十七億円の残高を確保しております。
このほか、都債の償還及び適正な管理に必要な財源を確保するために設置しております減債基金の残高は一兆五千百五十四億円となっているところでございます。
○大場委員 直近の基金残高合計と主な内訳について確認することができました。
では、現在の基金残高の水準は、都財政においては適正な水準にあるといえるのでしょうか。現在の基金残高の水準について、財政当局としてはどのような評価をされていらっしゃいますか。ただ、今のご答弁の最後にありました減債基金は少し性格が異なるようでしたので、減債基金を除いてのご見解をお伺いいたします。
○山田主計部長 景気変動の影響を受けやすい税収構造を有し、また地方交付税の不交付団体である都が、安定的かつ継続的に行政サービスを行っていくためには、基金をいかに適切に活用していくかが重要でございます。
こうした考えに基づきまして、これまでの間、事業評価の取り組みを通じた不断の施策の見直しにより生み出された財源や税収増を活用して、計画的に積み立てを行うとともに、予算の執行段階においては、徹底した経費削減や不用額の精査などによりまして基金の取り崩しを極力縮減するように努めてきました。
この結果、平成二十九年度末段階では、財政調整基金と三つのシティー実現に向けた基金などを合わせまして二兆七千五百五十六億円の残高を確保しておりまして、一定の備えはできているものと認識をしております。
しかしながら、三つのシティー実現に向けた基金は、今後本格化する東京二〇二〇大会の開催準備に必要な財源として積極的に活用していくために、大会終了後となる平成三十二年度末には残高が大幅に減少する見込みでございます。
また、先ほど委員からもご指摘がありましたとおり、都財政におきましては、一年で一兆円もの税収減に見舞われた過去があることから、今後も基金の計画的な積み立てに努めまして、強固で弾力的な財政基盤の強化に取り組んでいく必要があると認識をしております。
○大場委員 ただいまの山田部長のご答弁で、基金の全体像や残高の水準に関する都の考え方についてよく理解できました。都が備えている基金の一つ一つがとても重要な役割を担っていくことは想像にかたくなく、また、基金の数が多いということは、それだけ都政をめぐる課題が多様化、複雑化していることの証左でもありましょう。
続きまして、先ほど別の扱いとさせていただきました減債基金についてお尋ねさせていただきます。
平成二十九年度決算においては、四兆円を超える基金残高のうち、実に三分の一を占める約一・五兆円を減債基金が占めているとのことでございまして、単独の基金残高としては群を抜いていました。そこで、減債基金の具体的な積立根拠や、その積立状況についてお伺いします。
○山田主計部長 東京都では、十年を年限としました満期一括償還方式の債券によります資金調達を基軸としており、償還時に必要となる財源を確実に確保するために、総務省の定めるルールにのっとりまして、毎年、減債基金に一定額を積み立て、償還時に取り崩すこととしております。
積立状況についてでございますけれども、バブル経済崩壊後の景気低迷に伴う税収の落ち込みなどによりまして、平成九年度から平成十五年度までは、所要額の積み立てを一部見送る対応をとっておりました。しかし、その後、二次にわたります財政再建推進プランの取り組みによりまして、平成十六年度からは適切に所要額を積み立て、十九年度末までに累積での積立不足を解消し、現在はルールどおりに積み立てを行っております。
減債基金への適切な積み立ては、財政の健全性確保のみならず安定的な償還が担保されることから、都債の信用力向上にもつながり、低利安定な資金調達に大きく寄与するために、今後も引き続き、適切に対応していきたいと思っております。
○大場委員 減債基金の具体的な状況についても確認ができました。この減債基金は、いうなれば都債返済用基金ということでありまして、発行した債券償還のための積立不足が問題化している自治体もあると聞いています。こうした中、都は適切に積み立てを行っており、減債基金を通じて都債償還時への備えもしっかりと講じているとのことだと理解をいたしました。
さて、私は、現在の都財政については、東京都としての不安要素は極めて少ない状況にあると受けとめております。しかしながら、外からの大きなリスクは存在すると考えてございます。折しも、国においては平成三十一年度税制改正に向けて、都の財源を地方に配分する動きが佳境を迎えているとの報道が紙面をにぎわしています。
そこで、ここからは、地方法人課税の偏在是正措置について幾つかご質問させていただきたいと思います。
この問題は、いうまでもなく、都政の将来にわたる禍根となりかねない重大な問題であり、私たち都議会自民党も、安倍総理、二階幹事長を初めとする関係者に強い要望活動を展開してまいりました。
財務局は、東京と日本の成長を考える検討会を立ち上げ、民間の有識者を中心に、都への投資効果という点からこの問題を取り上げていらっしゃいます。
先日、この検討会の最終報告書が取りまとめられたところでありますが、その概要につきまして、確認のためにお伺いいたします。
○山田主計部長 検討会の報告書では、東京に多様な資源が集積している状況の分析をもとに、東京への投資が日本経済全体にとっても効果的であることを明らかにするとともに、首都東京への積極的な投資により、世界の需要を取り込み日本経済全体のパイを拡大していくことの重要性が指摘されたところでございます。
具体的には、羽田空港の機能強化、鉄道ネットワーク等の強化、ユニバーサルデザインの促進、外国人受け入れ環境の向上など、東京の国際競争力向上に向けて今後必要となる取り組みの例を挙げ、こうした取り組みにより、都のみならず都外にも約十一・三兆円の経済波及効果が期待されると示されております。
また、日本の成長へとつなげていくためには、東京と地方の対立ではなく、東京と地方が互いに高め合い、ともに成長していく共存共栄を目指すことが求められるとしております。
こうした点も踏まえ、東京を初め大都市の財源を安易に取り上げ、多数の自治体に薄く広く配分することはあってはならないと明記し、人口減少社会における日本の持続的発展を実現できる地方税財政制度の確立に向け、抜本的な改革を進めていくことが必要であるとしていたところでございます。
○大場委員 有識者の自由な立場での意見具申は、都民、国民の方々がこの問題に関心を持っていただくためにはとても効果があるものと考えます。都への投資効果や集積のメリットを日本全体の成長という視点で分析した、いわば正論だと思います。
しかしながら、現在の小池知事を含めた都の言論は、国を糾弾し、けんかを売るという生産性のないものに陥ってしまっているのではないでしょうか。
国と都は、本来敵対視するものではなく、ともに地域の将来、そして日本全体の将来を考え、国としての発展を支え合う関係であるはずです。
そこで、現在都が行っているポスターなどによる情報発信が、どのような目的で行われ、どのような成果を上げているのかお伺いします。
○山田主計部長 都税収入は、都が都民に対して行政サービスを提供するための財源でありまして、この貴重な財源がいわゆる偏在是正措置によって国に移転させられている現状につきまして、都民の皆様に正しく知っていただくことが重要であると考えております。
こうした観点から、現在、都では、不合理な税制度の見直しが都民生活に影響を及ぼしかねない状況について、わかりやすいポスター及びチラシを作成し、都庁舎及び都税事務所、都内の区市町村庁舎等で掲示、配布するほか、「広報東京都」や都庁ホームページ、ツイッター等の媒体も活用しまして、積極的に広報を展開しており、直接のお問い合わせも相当数いただいているところでございます。
税制の議論は、ともすると内容が複雑で専門的になりがちでございます。敬遠されやすい面もあります。そこで、まずは都民の皆様に関心を持っていただき、その内容をわかりやすく伝えることが重要であると考えたところでございます。
このような取り組みを通じまして、この問題に関する都民の理解と共感が広がっていくことを期待して行ったものでございます。
○大場委員 これからの情報発信は、幅広く都民の理解を得るためのものということだと考えますが、果たしてこの問題に対する都民の理解は深まったのでしょうか。
一連の都の情報発信から、この問題は結局、都と国の税源の奪い合いだというふうに理解されつつあるのではないでしょうか。一面では、それは正しいのでしょう。しかしながら、このことが都民サービスに対して極めて大きな影響を及ぼすということを、実感を持って都民が理解しているかというと、肌感覚としてはそこまで行っていないという気がしてなりません。
そもそも地方税とはいいながら、税率や制度の決定権は地方自治体にはありません。都を含む地方自治体は、国が定める地方税法の枠内で課税権を行使しているにすぎません。
かつて石原都知事が、地方法人特別税の導入に当たって、泣く子と地頭と政府には勝てないと嘆いたという話は、この事実を端的にあらわしています。いい方を変えれば、地方税制度は、国、特に税制改正を取り仕切る与党の判断や裁量によるところが大きいのであります。
法律を改正してもらうのですから、そのときに一体誰が味方なのか、誰が敵なのか、都にとって誰を味方につけることが必要なのかということをしっかりと認識して活動しなければならないと私は思います。
そこで、税制改正について、財務局としてはどのような認識でいるのか、改めて確認のためにお伺いします。
○山田主計部長 税制改正におきましては、政府及び与党における議論が重要なプロセスとなっており、また、地方税に関する法律を議決する権限を有するのは国会でございます。こうしたことを踏まえれば、国の不合理な税制度の見直しの動きに歯どめをかけるためには、まず、執行機関としての都が国に働きかけを行っていくことが必要であると考えております。
さらに、都議会の先生方にもご協力をいただきながら、税制改正の意思決定に直接関与することができる都選出の国会議員の方々や与党税制調査会の国会議員の方々に、都の主張をご理解いただくことが非常に重要であると、そのように考えているところでございます。
○大場委員 税制改正が国の専権事項であるという厳然たる事実を認識しているのであれば、今、都がするべきなのは、国に対してけんかを売ることではありません。与党税制調査会のメンバーや、そこにつながる都議会議員、国会議員の効果的なアプローチではないでしょうか。
こうした点を踏まえ、都として、国に対してどのような活動を行っていくお考えなのかをお伺いいたします。
○山田主計部長 国は現在、平成三十一年度税制改正に向けて議論を加速させているところでございます。新たな偏在是正措置によりまして、都の法人二税のうち相当規模の金額が地方に配分されることとなれば、都民生活に深刻な影響を与えるだけでなく、地方税の存在意義をも揺るがし、地方自治の根幹を脅かしかねないということから、極めて強い危機感を抱いているところでございます。
こうした国の動きに歯どめをかけるためには、お話のとおり、与党税制調査会メンバーや東京都選出国会議員に対し、都が抱える膨大な財政需要や首都としての役割などに関する説明を交えながら、知事みずから要請活動を精力的に行うなど、あらゆる機会を捉え、積極的な働きかけを行っているところでございます。
都議会におきましても、地方法人課税の見直しに関する意見書を全会一致で可決いただくなど、大変心強く思っているところでございます。
平成三十一年度税制改正をめぐる議論は、これから佳境を迎えます。日本全体の成長をも脅かしかねない措置が強行されることのないよう、都の考え方をご理解いただくべく、都議会の皆様とともに全力を尽くしていきたいと思っております。
○大場委員 かつて、地方法人特別税が導入された際、今から考えれば、都は国から大幅な譲渡を取りつけたと聞いております。
そこで、平成二十年度税制改正をめぐって、どのような駆け引きがあって、どのような決着となったのか、ここで改めてお伺いします。
○山田主計部長 平成二十年度税制改正におきます法人事業税の暫定措置導入の経緯についてでございますけれども、都市の財源を地方に再配分することは、都の財政運営に大きな影響を及ぼすことはもとより、地方税の原則に照らしても理屈が通らないものであることから、都は、これに明確に反対をいたしました。
都の強い反対に対しまして、当時の福田総理大臣が石原知事に理解を求めてきたことから、石原知事は、羽田空港国際化の推進や外かく環状道路の早期着工など、当時の東京の重要施策十三項目の実現に国が力を尽くすこと、また、この措置は税制の抜本改革までの暫定措置とすることを条件に挙げ、総理がこれを受け入れたものと認識をしております。これらの経緯を経て、最終的に、石原知事は、国のやり方に反対ではあるものの暫定の措置として協力をすることを決断したものであると認識をしております。
○大場委員 十三項目の約束は、当時の福田総理、石原知事、そして第一党であった私たち都議会自由民主党の努力と、ぎりぎりの攻防の結果、手にすることができたものでした。羽田空港の国際化、三環状道路の整備、オリンピック・パラリンピック東京招致への協力などなど、いずれも今日の東京、日本の発展の基礎をなしているものです。当時の関係者の大局観とバランス感覚、そして何よりも、都民の利益を第一とする政治の力を強く感じます。
果たして現在、小池知事がそういった大局観や大義に立って、国との信頼関係を築こうとしているのか、また、年末までにそうした信頼関係に基づいて連携していくことができるのか、甚だ心もとない思いであります。まして、小池都政の第一党には、そのような要望を行う気配がみじんも感じられません。国との交渉の入り口にさえ立てていないのではないでしょうか。
いかなる交渉も相手側との信頼関係がなければ、よい結果は生まれません。まして、見直しの権限は都ではなく国が持っているのです。そして、国会議員の多くは東京以外の地方選出です。
二十三区特別区では、地方との連携強化に向けて、東京を含めた各地域の経済の活性化、まちの元気につながる取り組みとして、特別区全国連携プロジェクトを展開しています。
都も、我が党が主張したビジネスチャンス・ナビなどを活用して、地方との連携強化を進めています。
今必要なことは、こうした地道な努力を着実に重ねていくことで、東京を含む各地域が強い信頼関係のもと、互いに生き生きとしたまちづくりを進め、ともに発展、成長しながら共存共栄を図っていくことです。
私たち都議会自民党は、この問題については、自民党税制調査会を初め与党幹部に意見書を提出するなど、さまざまな機会を捉えて粘り強く活動を継続しています。国政との橋渡しをするのが私たち都議会議員の仕事だと認識していますが、橋渡しにも限界があります。
この問題に関しまして、小池知事は、みずから先頭に立つと発言されています。その結果を私たちは注視しています。そして、都民からの一番の負託を受けている都議会第一党の責任もあるでしょう。政治家は、みずからの発言、そしてその果たすべき役割に対して責任を持つべきです。このことを必ずや小池知事にお伝えください。
最後になりますが、都議会自由民主党はこれまでも、都民、事業者の方からさまざまな具体的な要望を酌み上げ、そのための施策を実現するために活動してまいりました。その際は、ただ要望するだけにとどまることなく、いかにして都財政運営の健全化を図るかということについての協力にも汗をかいてまいりました。それは、歴史と実績のある我が党であるからこそなし得たことであると自負をしております。
都政の屋台骨を支える財政当局の皆様におかれましても、不断の努力を続けていただき、真に都民の利益にかなう財政運営に努めていただくことを強く要望いたします。
そこで、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを控え、今後の都財政の適正な運営に当たっての財政当局のトップである武市局長の決意をお伺いして、私の発言を終えたいと思います。
○武市財務局長 現下の都政におきましては、東京二〇二〇大会の開催準備、少子高齢、人口減少社会への対応など、喫緊の課題に対しての備えが必要でございます。また、他方、都財政は景気変動の影響を受けやすい構造的な宿命にあり、都は、地方交付税の不交付団体でもあることから、他の自治体以上に自立的な財政運営を行っていく必要がございます。
加えて、平成三十一年度税制改正に向けた動きは、都財政の先行きを一層不透明にしているといわざるを得ず、これまでもこの委員会の中でご審議いただいておりますが、平成三十一年度の税制改正に向けましては、やはり都議会の皆様のご協力をいただきながら、あらゆる場面で都の主張を展開し、最後まで全力を尽くしていく、そういうことが必要であろうというふうに考えております。
そうした状況であるからこそ、必要な施策を着実に実施できるよう、財政面での備えをしっかり講じる、そういう財政当局の責務を肝に銘じまして、その上で健全な財政運営に取り組んでいく必要があると考えております。
○山田委員 私からは、入札関係について幾つか伺いたいと思います。
まず、先日開催されました入札監視委員会の制度部会でも取り上げられておりましたけれども、発注時期の平準化について伺います。
東京都を初め自治体による工事の発注時期については、予算編成の単年度主義との関係で、どうしても十月、十二月という特定の時期に集中することが多いのが現状です。少し前のデータですが、平成二十七年度において、集中期と端境期の発注件数の比率は二・九、約三倍も集中期の工事が多かったということになっております。
東京都としては入札不調を可能な限り減少させるため、そして入札の参加企業としては技術者であったり資機材等のリソースを適切に稼働させるため、工事の発注時期の平準化が非常に重要です。事業者からは、発注時期が集中すると人手不足もあり応札できない、その結果入札不調も増加してしまうのではないかといった懸念の声も届いています。
発注時期の平準化に関して、これまでの東京の取り組みを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 発注時期の平準化は、事業者の受注環境を安定させるとともに、発注者にとっても計画的かつ着実に事業を実施する上で重要と認識しております。
このため、都では、平成二十八年三月より、発注件数で約三倍の開きがある十月から十二月の集中期と三月から五月までの端境期との比率を、平成三十年度を目途に一・五倍まで半減する目標を定めたところでございます。
具体的な取り組み内容といたしましては、設計業務を含めた発注時期の前倒しや十二カ月未満の工事への債務負担行為の適用などを積極的に活用し、平成二十九年度には約二・二倍まで改善し、着実な実施を図ってきたところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。発注時期の前倒しや債務負担行為の活用などによって、目標とする一・五倍程度にはまだ及んでいませんが、集中期と端境期の発注件数の比率は二・二倍と徐々に成果は上がってきているというふうなことでした。
では、さきの入札監視委員会の制度部会において、この発注時期の平準化についてどのような意見があったのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都は現在、平準化に当たりまして発注時期を指標とし、工事の発注件数を月ごとに一定の範囲にならすことに取り組んでおりますが、入札監視委員からは、資機材や技術者の稼働状況に着目した平準化も重要であるという意見を頂戴しておりまして、発注時期とあわせて検討を行うべきというような意見がございました。
また、工事の平準化をより一層進めるために、工事に先行して発注する設計等委託業務につきましても、履行期限を分散するなどの平準化の検討を行うべきとの意見がございました。
現在、平準化につきましては、庁内連絡会において各局と連携しながら、発注時期等のデータ分析を行っておりますが、こうした意見を踏まえ、来年度に向けて具体的な検討を進めているところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。
事業者からも、東京都は平準化に向けたよい取り組みを頑張ってくれているというような声を私も伺っております。
今後は、東京都のほかの局にも一層働きかけを強めて、全庁的に発注時期の平準化を推進するとともに、区市町村に対しても情報共有を行っていくなどして、区市町村の案件の平準化にも働きかけをしていただきたいと思います。
では次に、こちらも先日開催されました入札監視委員会の制度部会で触れられておりましたが、設計委託等の品質確保の取り組みについて伺います。
都有施設の整備に当たっては、工事の品質確保のみならず、その大もととなる設計、測量等の業務の品質を高めることも非常に重要です。また、入札不調を減らすためには適切な予定価格を設定することが重要ですが、その適正性を確保するためにも、設計委託業務の質を高める取り組みが有効とされております。
今般、設計等委託業務の品質を高めるため、総合評価方式の適用拡大を行うというふうに承知していますけれども、その経緯について伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 これまで都におきましては、設計等委託業務における品質確保の取り組みとして、プロポーザル方式による契約、業務の履行状況や成果物に対する成績評定などを実施してまいりました。
これまでのこうした取り組みに加えまして、設計等委託業務のより一層の品質確保を図るため、業界団体の要望などを踏まえつつ、一部の局で試行として実施している総合評価方式の適用拡大を現在検討しております。
先ごろ開催いたしました入札監視委員会の制度部会におきましては、総合評価方式の適用拡大について報告を行い、過去の履行実績のない新規事業者が不利になることなどについて意見を伺ったところでございます。
今後、入札監視委員会の意見を踏まえ、総合評価方式の要綱等の内容を精査し、導入へ向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
○山田委員 ありがとうございます。
建設局の発注の案件で、設計等委託業務の総合評価方式がこれまで試行されてきたということですけれども、その効果と今後適用を拡大するに当たっての課題について財務局の認識を伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 建設局の試行結果では、総合評価方式を適用した案件は、価格競争による案件と比較いたしまして、履行後の成績評定点が相対的に高くなる傾向にあることから、品質の確保に寄与しているものと認識しております。
一方、先ほども申し上げましたとおり、総合評価方式では履行実績のない新規参入者が不利になるという側面もあるため、適用拡大に当たっては価格競争による案件も発注することにより、新規参入者が成績評価点を得るための実績を積める機会を設けておくことが重要と考えております。
○山田委員 ありがとうございます。品質確保には資する反面で、実績のない事業者の新規参入が難しくなる可能性があるとのことでした。
それではまず、最初の品質確保の件について、総合評価方式の評価項目として過去の成績評定点の配点が高く設定されていますけれども、その狙いについて伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 設計等委託業務の成績評定では、業務の履行に対し、コスト把握能力や取り組み姿勢、さらには成果品の品質など、複数の項目を評価し、評定を実施しております。
成績評定の配点を高くする狙いにつきましては、総合評価方式では、こうした成績評定を評価して落札者を決定することで、優良な事業者の受注機会を創出し、業務品質の向上を期待するものでございます。
一方、総合評価方式を適用しない価格競争におきましても、今後の総合評価方式への入札参加を見据えて、より高い成績評定を残そうとする事業者の意欲を高め、業務の良好な履行が促進されることを期待するものでございます。
○山田委員 ありがとうございます。過去の実績を肯定的に評価することで、現在進行中の設計等についても品質向上が期待できるということでした。
次に、もう一点の新規参入の阻害性の件について、過去の成績の評定点を高くすることで、同じ事業者だけが継続して都の工事を受注することにつながるといった懸念もあります。ですので、価格競争の入札方法との適切な組み合わせが重要と考えております。
今回の総合評価方式の適用目標割合の考え方について都の見解を伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 お話のとおり、総合評価方式の適用拡大には、品質の向上に寄与するという効果が期待される一方で、実績のない事業者の新規参入が難しくなるということが懸念されることから、価格競争による発注件数とのバランスを考慮することが重要だと考えております。
こうした認識のもと、今後も入札監視委員会や業界団体からの意見を伺いながら、発注する案件の規模や内容、業種などの違いを踏まえ、総合評価方式の適用対象やその割合の目安について検討を進めていくこととしております。
○山田委員 ありがとうございます。
入札制度全体を見たときに、設計委託等のクオリティーを確保するとともに、やっぱり都民の税金が原資ですから、入札における競争性の確保にもしっかりと努めていく必要があります。ですので、双方の適切なバランスを確保していくということが重要だと考えております。
先ほどのとおり、過去の成績評定を重視する総合評価方式を導入することによって品質の向上が期待されるということですけれども、一部の事業者だけに仕事が回ってしまうのではないか、その結果、競争性が落ちてしまうのではないかといった懸念もあるところです。
完全に正解である一つの入札方式というのは存在しないというふうに思っておりますが、品質の確保と競争性の確保、双方に配慮していただきながら、不断の検証をして進めていただきたいと思っております。
そして最後に一点、今週火曜日に、東京都水道局発注の浄水場の運転管理委託業務について、談合を繰り返した疑いで水処理業者に対して公正取引委員会が立入検査を実施しました。東京都の水道局に対しても検査が入っております。こちらについては、東京都の関与も含めて、事案の推移については今後の公正取引委員会の検査を注視する必要があります。
ですが、談合であったり契約に関する情報の漏えいは、決して水道局だけの問題ではなく、財務局初めほかの局の入札でも発生する可能性があるものです。
過去にも、東京都発注の入札で、入札参加者の数や最低制限価格の漏えいが問題となりました。東京都発注の案件が公正取引委員会の検査の対象となっており、東京都に対しても立入検査が入ったという事実自体が、都民の入札に対する信頼を損なうおそれがあるものです。
これまで、談合や契約に関する情報の漏えいを起こさないために、都がどのような取り組みを進めてきたのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 談合の防止につきましては、悪意のある入札者同士が相談できないよう、多くの入札者が参加し、誰が参加しているのかがわからない環境を整えることが最も重要というふうに認識しております。
そのため、都では、入札参加者が自分以外の入札参加者がわからないよう、電子入札による競争入札を行うとともに、工事発注の平準化や年間発注予定表の充実などによって、多くの事業者が入札に参加できるようにするなど、談合を行いにくい環境整備を推進してまいりました。
また、入札契約事務に係る情報管理の徹底に向けては、契約に直接関係する職員は毎年、その他の職員は三年に一回の汚職防止研修受講を義務づけ、情報漏えいや汚職に対する注意喚起を行っております。
また、平成二十六年の水道局での汚職事件後、入札契約事務に係る情報管理の徹底のため、事業者への対応は必ず二人以上で行うこと、OBも含めた部外者に対する入室制限を徹底するなど、事業者への情報漏えい防止の取り組みを実施しているところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。
談合によって、一般的に入札価格がつり上げられることになります。その結果、都の支払いの原資である都民の税金が無駄遣いされるということになりますので、都職員がもしこういった談合にかかわっていたとすれば、決してそれは許されるものではございません。
都も特別チームをつくって検証するということですけれども、今回の件の推移、原因を注視していただきながら、これまで行ってきました談合、情報漏えいを起こさないための取り組みのうち、強化ができる点は速やかに対応していただきたいと思います。
以上です。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十八分散会
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