財政委員会速記録第十号

平成三十年九月十四日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長小松 大祐君
副委員長石川 良一君
理事増田 一郎君
理事上田 令子君
理事曽根はじめ君
おじま紘平君
伊藤しょうこう君
うすい浩一君
藤井あきら君
清水やすこ君
宇田川聡史君
長橋 桂一君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長財政企画担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
初宿 和夫君
契約調整担当部長五十嵐 律君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長山根 恭子君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長小野 幹雄君
技術管理担当部長飯泉  洋君
庁舎運営担当部長後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
収用委員会事務局局長佐藤  敦君

本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例
財務局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築工事請負契約
・都立府中東高等学校(三十)校舎棟ほか改築工事請負契約
・東京消防庁本町待機宿舎(三十)改築工事請負契約
・都営住宅三十H-一〇一東及び三十M-一〇三東(北区田端新町一丁目)工事請負契約
・都営住宅三十H-一〇一西(世田谷区北烏山二丁目)工事請負契約
・東京体育館(三十)改修工事その二請負契約
・東京都立川福祉保健庁舎(三十)改築工事請負契約
・東京消防庁大森消防署馬込出張所庁舎(仮称)(三十)改築工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修工事請負契約
・東京体育館(三十)改修電気設備工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修空調設備工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修電気設備工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修給水衛生設備工事請負契約
・都立大島海洋国際高等学校実習船「大島丸」製造請負契約
・城北中央公園調節池(一期)工事その二請負契約
・境川金森調節池工事その二請負契約
・中川護岸耐震補強工事(その四十五)請負契約
・綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十九)請負契約
報告事項(説明)
・「平成二十九年度東京都年次財務報告書」について
・東京都工業用水道条例を廃止する等の条例について

○まつば委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、このたびの平成三十年七月豪雨及び平成三十年北海道胆振東部地震により亡くなられた方々とそのご遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 ここにお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。
 皆様、ご起立願います。
 黙祷。
   〔全員起立、黙祷〕

○まつば委員長 黙祷を終わります。ご着席願います。

○まつば委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに財務局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○佐藤収用委員会事務局長 平成三十年第三回都議会定例会に提出を予定しております収用委員会事務局関係の案件につきましてご説明申し上げます。
 今般、提出を予定しておりますのは、土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例案でございます。
 改正の内容につきましては、お手元にお配りしてございます資料第1号、土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例(案)に沿ってご説明を申し上げます。
 表紙をおめくり願います。
 土地収用法関係手数料等に関する条例では、収用委員会に対する裁決申請の手数料について規定をされてございます。収用委員会に対する裁決申請につきましては、土地収用法以外にも多数の法律において、これを行うことができることとされており、このうち、一部の法律の規定に基づく申請につきましては、手数料を二分の一とする特例が定められてございます。
 このたび密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の規定に基づく裁決申請の手数料についても同じく特例を定める必要が生じたものでございます。
 この条例は、公布の日からの施行を予定しております。
 なお、新旧対照表は、五ページから六ページに記載のとおりでございます。
 甚だ簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○曽根委員 本条例改正は、たしか法律が改正されてから既に十年以上が経過してのことだと思いますが、この十数年の間に、他の自治体で、この問題での条例改正があったかどうか、もしくは条例の適用の実例が、もし他の自治体であれば、それを教えていただきたいと思います。

○まつば委員長 ただいま曽根理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○まつば委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○武市財務局長 第三回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料、平成三十年第三回東京都議会定例会提出予定議案等件名表をごらんいただきたいと存じます。
 今回提出いたします議案は、契約案十八件でございます。内訳は、建築工事が九件、設備工事が四件、船舶製造が一件、土木工事が四件でございます。契約金額の総額は約七百六十九億円でございます。
 以上が提出を予定しております議案の概略の説明でございます。
 詳細につきましては、経理部長から、資料に基づきましてご説明いたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○初宿経理部長財政企画担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お手元の資料第1号、平成三十年第三回定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてご説明を申し上げます。
 一ページをお開き願います。工事請負契約議案一覧でございます。
 1の総括をごらんください。
 今回ご審議いただきます契約議案は、右側の計の欄のとおり合計十八件、契約金額の総額は七百六十九億六千七百十七万二千円でございます。
 次に、2の案件別の表によりまして、概要についてご説明申し上げます。
 番号1は、八王子市明神町三丁目地内におきまして、仮称産業交流拠点及び八王子合同庁舎の新築工事を施行するものでございます。
 番号2は、府中市押立町四丁目地内におきまして、都立府中東高等学校の改築工事を施行するものでございます。
 番号3は、渋谷区本町五丁目地内におきまして、東京消防庁本町待機宿舎の改築工事を施行するものでございます。
 番号4及び5は、いずれも都営住宅を建設するもので、番号4は、北区田端新町一丁目地内、番号5は、世田谷区北烏山二丁目地内におきまして、それぞれ施行するものでございます。
 番号6は、渋谷区千駄ヶ谷一丁目地内におきまして、東京体育館の改修工事を施行するものでございます。
 番号7は、立川市柴崎町二丁目地内におきまして、東京都立川福祉保健庁舎の改築工事を施行するものでございます。
 番号8は、大田区南馬込五丁目地内におきまして、仮称東京消防庁大森消防署馬込出張所庁舎の改築工事を施行するものでございます。
 番号9は、東大和市桜が丘三丁目地内におきまして、都立東大和療育センターの改修工事を施行するものでございます。
 番号10は、渋谷区千駄ヶ谷一丁目地内におきまして、東京体育館の電気設備改修工事を施行するものでございます。
 番号11から番号13は、東大和市桜が丘三丁目地内におきまして、都立東大和療育センターの改修工事に伴う設備工事を施行するもので、番号11が空調設備工事、番号12が電気設備工事、番号13が給水衛生設備工事でございます。
 番号14が、都立大島海洋国際高等学校実習船「大島丸」を製造するものでございます。
 番号15が、板橋区小茂根五丁目地内から練馬区羽沢三丁目地内にかけまして、城北中央公園調節池の一期工事を施行するものでございます。
 番号16が、町田市南町田一丁目地内から神奈川県相模原市南区上鶴間本町九丁目地内にかけまして、境川金森調節池の工事を施行するものでございます。
 番号17が、葛飾区高砂一丁目地内におきまして、中川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
 番号18が、足立区六町一丁目地内から同区南花畑一丁目地内にかけまして綾瀬川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
 次に、契約の方法でございますが、提出予定の十八件につきまして、いずれも一般競争入札によるものでございます。それぞれの契約金額及び契約の相手方は、表の右側に記載のとおりでございます。
 一枚おめくりいただきまして、三ページでございますが、以降一一ページにかけましては、案件ごとに件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載しておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
 また、各案件の入札経過等につきましては、一二ページ以降に記載しておりますので、あわせてごらんいただきたいと存じます。
 以上が今回提出を予定しております契約議案の概要でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○上田委員 平成三十年第三回定例会提案の契約案件につき、参加資格と入札辞退した、それぞれの理由がわかるもの。
 低入札者への聴取の日時と内容がわかるもの。
 以上二点、お願いいたします。

○まつば委員長 ただいま上田理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○まつば委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、順次、これを聴取いたします。

○山田主計部長 平成二十九年度の決算につきまして、お手元の資料第2号、平成二十九年度東京都年次財務報告書によりご報告させていただきます。
 A4の資料四枚組の概要版をご用意させていただいておりますので、こちらをごらんいただきたいと存じます。
 まず、一ページ目をごらんください。平成二十九年度普通会計決算の概要でございます。
 一番上の表が決算収支等でございます。上から五段目が実質収支でございまして、一千二百五十三億円の黒字となりました。その下が財政の弾力性を示す経常収支比率でございまして、八二・二%と健全な水準となっています。さらに、一番下が都債現在高でございまして、前年度と比べまして七・五%、三千四百九十七億円の減となっております。
 その下の表が歳入の内訳、さらに、その下が歳出の内訳となっております。
 一番下の表が財政健全化法に定める比率でございます。上段に都の数値をお示ししており、実質公債費比率は一・六%、将来負担比率は一二・五%となっておりまして、いずれも国が定める財政の早期健全化等の必要性を判断する基準を大きく下回り、健全な状態にあります。
 続きまして、二ページ目をごらんください。新たな公会計手法による分析でございます。
 まず、一番上の表が貸借対照表でございます。東京都の資産は、全体で三十四兆六千二百二十四億円、負債は六兆九千三百四十二億円、資産から負債を差し引いた正味財産は二十七兆六千八百八十二億円となっております。
 その下の表が行政コスト計算書でございます。表の一番下の段、当期収支差額は六千八百七十六億円となり、収入が費用を上回っております。
 三つ目の表がキャッシュ・フロー計算書でございます。表の一番下の段、形式収支は四千七百六十八億円の黒字となっておりまして、これは翌年度に繰り越すものでございます。
 一番下の表が監理団体などを含めました東京都全体の財務諸表でございまして、貸借対照表上の資産は四十七兆円余り、負債は十四兆円余り、差し引きで正味財産は三十三兆円余りとなっております。
 続きまして、三ページ目をごらんください。過去の財政運営を振り返るとともに、将来の財政需要を分析することにより、今後の都財政の方向性についてまとめたものでございます。
 都は、歳入の根幹をなす都税収入が、景気変動の影響を受けやすく、かつ普通交付税を受けたことのない唯一の都道府県であることから、他の自治体以上に自立した財政運営を行う必要があります。
 こうした認識のもと、国に先駆けた都の財政再建に向けた取り組みと、その後の不断の見直しを上段にお示ししています。
 まず、左の図の財政規模の推移ですが、バブル経済の崩壊後、国はその規模を拡大しています。一方、都は、国に先駆けて財政再建に取り組み、右の表にございますとおり、職員定数の削減、監理団体改革、投資的経費の大幅な抑制などを積極的に実施してまいりました。さらには事業評価の仕組みを導入し、現在までに累計約九千六百億円の財源を確保しております。
 下段には、こうした取り組みの成果について解説しております。
 バブル経済崩壊後の長引く景気低迷の際には、財政調整基金残高が枯渇し、都債残高も十二年度にピークに達しました。近年では、歳出抑制努力とあわせて計画的に基金と都債を活用し、二十九年度末時点で七千百六十五億円の財政調整基金の残高を確保するとともに、都債残高も大幅に圧縮しております。
 こうした取り組みの成果は、右の図にございますプライマリーバランスにもあらわれております。都のプライマリーバランスは、平成十一年度以前は赤字でしたが、近年は、リーマンショックの影響による大幅な減収局面があったにもかかわらず、基金を活用するなどして黒字を維持しております。
 このように、将来にわたる施策展開を安定的に行っていくためには、より一層無駄の排除を徹底するなど自己改革を不断に行い、施策の基盤となる財政対応力を中長期的に堅持していくことが不可欠であるといえます。
 四ページ目をごらんください。上段は、都が直面する膨大な財政需要をお示ししております。
 外部調査機関の推計によると、社会保障関係経費、社会資本ストックの維持更新経費及び防災に係る経費は、現行の水準と比較して大幅に増加すると予測されています。さらに、東京二〇二〇大会の成功に向けた取り組みに係る経費を合わせると、今後二十五年間の経費の増加額の累計は約十五・二兆円に上る見込みです。
 このように、避けることのできない膨大な財政需要への対応に加えて、都は日本の力強い牽引役として、日本全体の持続的成長へとつなげていくための施策を積極的に展開していく必要があります。
 下段には、東京が世界の都市間競争に勝ち抜いていくための取り組みがもたらす投資効果についてお示しをしております。
 例えば、羽田空港の年間発着枠の拡大は約七千億円、鉄道六路線の整備によるネットワークの強化は約二兆五千億円、外かく環状道路の整備は約三兆九千億円の経済波及効果が発生すると試算をしております。
 今後の財政運営に向けて、東京が抱える課題の解決や東京二〇二〇大会の開催準備の総仕上げを着実かつ効率的に進め、東京が成長を生み続けるためには、強固で弾力的な財政基盤を堅持していく必要がございます。
 しかしながら、平成三十一年度税制改正に向け、国は、都の貴重な財源をさらに拠出させようとする動きを加速しており、懸念される状況となっています。この点につきましては、都議会の皆様方のご協力をいただきながら、東京都の主張を強く展開していきたいと思っております。
 財政環境の先行きを見通すことが困難な中、都といたしましては、今後とも、行政にはない新たな発想の活用により、戦略的な施策を積極的に展開するとともに、事業評価について、コストベネフィットの視点を踏まえた評価を新たに実施するなど、自己改革をより一層推進してまいります。
 その上で、基金や都債を戦略的、計画的に活用し、将来にわたる安定的な財政対応力を堅持し、都政に課された使命を確実に果たしてまいります。
 資料の説明は以上でございます。
 引き続き、都議会の皆様のご支援、ご協力をお願いしたいと存じます。

○初宿経理部長財政企画担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、お手元の資料第3号をごらんいただきたいと存じます。東京都工業用水道条例を廃止する等の条例についてでございます。
 本条例は、工業用水道事業の廃止に伴い、東京都工業用水道条例を廃止するほか、規定を整備するものでございます。
 本条例は、水道局が所管するものであり、公営企業委員会に付託されることとなっております。
 事業廃止に伴い整備する条例が、水道局、財務局それぞれの所管となることから、本委員会に当局からご報告申し上げさせていただくものでございます。
 まず、1、事業廃止に伴い、整備する条例についてです。
 本条例により整備する条例は、次の四つでございます。(1)、東京都工業用水道条例を廃止いたします。(2)、東京都地方公営企業の設置等に関する条例を一部改正いたします。(3)、東京都公営企業組織条例を一部改正いたします。(4)、東京都の工業用水道事業に地方公営企業法を適用する日を定める条例を廃止いたします。
 続きまして、2、施行期日についてです。
 本条例は、平成三十一年四月一日から施行いたします。ただし、(1)、の東京都工業用水道条例を除く三つの条例につきましては、平成三十五年四月一日から施行いたします。
 続きまして、3、経過措置についてです。
 本条例の施行日である平成三十一年四月一日の時点において、廃止前の東京都工業用水道条例の規定により、現に工業用水道の給水契約をしている利用者につきましては、上水道への切りかえを行う期間である平成三十五年三月三十一日までの四年間は、なおその効力を有します。
 続きまして、A4縦の第百七十六号議案をごらんください。一ページ、二ページは議案でございます。
 一部改正が行われる条例の内容につきましては、三ページ、四ページの新旧対照表によりご説明申し上げます。
 三ページをお開きください。東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部改正でございます。
 上段が改正案、下段が現行条例でございまして、傍線を付した部分が改正部分でございます。地方公営企業法の規定の全てが適用される事業であることを定めた第一条第一項二号を削除するものでございます。
 続いて、四ページをお開きください。東京都公営企業組織条例の一部改正でございます。
 地方公営企業法の規定及び当該条例に基づき水道局が置かれております。その管理者の権限により処理をする事務としての工業用水道事業に関することを削除するものでございます。
 続きまして、お手元に配布してございます工業用水道事業の廃止及び支援計画(案)と記載されたA4縦の添付資料をごらんください。
 さきの定例会において、知事から、工業用水道事業については廃止に向けた動きを進める旨を申し上げ、これまでの間、利用者の方々を個別に訪問し、いただいたご意見等も踏まえ、さまざまな角度から検討を進めてまいりました。
 このたび、その結果について、工業用水道事業の廃止及び支援計画(案)として取りまとめましたのでご報告いたします。
 それでは、一ページ目をお開き願います。事業開始の経緯です。
 戦後、工業発展に伴う地下水の揚水量増大により、区部東部地域の地盤沈下が深刻化していました。こうした背景のもと、地下水揚水規制に伴う行政施策として工業用水道を整備し、昭和三十九年に供給を開始しました。さらに、昭和四十八年より雑用水の供給も開始しました。
 次に、地盤沈下の状況です。
 下のグラフをごらんください。こちらは、地下水揚水量と地盤変動量の推移を示したものです。
 青色の折れ線が地下水揚水量、赤色の折れ線が工業用水の契約水量である基本水量、緑色の棒グラフは地盤変動量を示しております。青色の地下水揚水量の減少に合わせ、緑の地盤変動量も減少しており、工業用水道を供給する区域内では、昭和五十年代以降、地盤沈下は鎮静化しております。
 二ページをごらんください。工業用水道の供給状況です。
 下のグラフをごらんください。こちらは、給水件数及び基本水量の推移を示したものです。
 棒グラフで示す工業用水の給水件数は、昭和五十一年度にピークを迎えましたが、平成二十九年度末現在には、ピーク時の三分の一以下の百八十一件となっております。また、折れ線グラフで示す基本水量は、昭和四十九年度にピークを迎え、平成二十九年度末現在では、ピーク時の十八分の一程度の日量約一万九千立方メートルでございます。
 三ページをお開き願います。経営改善の取り組みです。
 厳しい経営状況の中、事業を安定的に運営していくため、費用縮減や収入確保に向けたさまざまな取り組みを実施してまいりました。
 四ページをごらんください。工業用水道事業が抱える課題です。
 ページ上段のグラフをごらんください。こちらは、青色の折れ線が料金収入、赤色が損益収支の推移を示したものです。
 料金収入は昭和五十八年度をピークに減少傾向にあり、一般会計からの補助金がなければ、損益収支は赤字の状況が長期間継続しております。
 次に、中央のグラフをごらんください。こちらは、基本水量及び給水件数の今後の見通しを推計したものです。
 赤枠の部分が示すとおり、今後の需要は減少する見込みです。
 ページ下段のグラフをごらんください。こちらは、漏水の危険性が高いとされる、布設から配水小管は五十二年目、配水本管は六十七年目を迎える管路の年次別延長を示したものです。
 配水管は事業開始から五十年以上が経過し老朽化が進んでおり、網かけ部分が示すとおり、今後、多くの配水管が一斉に更新時期を迎えることになります。
 五ページをお開き願います。包括外部監査報告書における意見の抜粋です。
 包括外部監査では、平成十六年度と二十六年度の二度にわたり、事業の廃止を含めた抜本的な経営改革について意見を付しております。
 次に、有識者委員会の提言です。
 この有識者委員会は、専門家などの経験や見識を活用して検討を進めることを目的に平成二十六年に設置し、本年六月に検討結果を取りまとめた報告書を公表いたしました。
 下段の点線で囲まれた枠内が報告書における提言の要旨です。提言では、工業用水道事業は廃止すべき、ただし、事業開始の経緯を踏まえ、ユーザーに対し十分な支援策を講じるべきなどとなっています。
 六ページをごらんください。事業継続、廃止のコスト比較です。
 事業継続の場合は、老朽化施設の更新費用として約二千三百億円が必要と試算しております。一方、事業廃止の場合は、配水管等の撤去コストなどに合わせて約九百六十五億円が必要と試算しております。
 次に、地下水、地盤沈下の状況でございます。
 地盤沈下は大正の初めごろから進行し、低地部で最大四・五メートルの累積沈下を記録しました。地盤沈下は一度起こるともとの地盤高には回復し得ない不可逆的な現象です。著しい沈下の進行を受け、国は特定用途に法規制、都は条例により区部のみならず多摩地域についても独自規制を行っています。
 七ページをお開き願います。平成二十八年七月に公表された地下水対策検討委員会の検証です。
 地下水については、現行規制を継続しながら時間をかけて丁寧な検証に取り組む必要があるとされております。
 八ページをごらんください。工業用水道事業の廃止についてです。
 四段落目をごらんください。都では、事業の抜本的な経営改革について検討を進めてきた結果、工業用水道事業については、平成三十五年三月三十一日をもって事業廃止いたします。
 また、五段落目にあります事業廃止に当たっては、利用者の経営等への影響を最小限にとどめることが必要であることから、支援計画を策定し、きめ細かく対応してまいります。
 なお、長期的な観点から、事業廃止後も支援の内容や対象につきましては検証を重ねてまいります。
 また、廃止に係るコストにつきましては、工業用水道事業の土地建物、施設利用権等の既存資産を最大限活用し、その圧縮に努めてまいります。
 地下水につきましては、現行規制を継続しながら、丁寧な検証を進めてまいります。
 九ページをお開き願います。お客様への個別訪問の結果です。
 都では、事業廃止に伴う支援計画の策定に当たって、本年七月から八月にかけて改めてお客様を個別訪問しました。その際にいただいたご意見、ご要望を九ページと一〇ページにまとめております。
 九ページ中段の円グラフをごらんください。工業用水をご利用のお客様からいただいた有識者委員会報告書の料金差額支援に対する意見の内訳を示しています。
 切りかえ(料金据え置き)期間に対しては、短いとの意見が五六%、右側の激変緩和(料金引き上げ)期間は短いとの意見が五五%でした。
 事業廃止に関するお客様からの主な要望としては、料金差額に関しては、支援期間を長くしてほしい、一〇ページに移りまして、地下水、井戸については、井戸の設置助成を認めるべきなど地下水利用に関すること、中段の追加支援では、切りかえ工事や節水設備の設置、経営相談など産業支援に関する要望などがありました。
 一一ページをお開き願います。工業用水をご利用のお客様と一般雑用水をご利用のお客様を対象とした支援計画一覧です。
 (1)、料金差額補填、(2)、上水道への切りかえ工事、(3)、設備、産業の三つに区分しています。
 次のページ以降で、それぞれの支援策を説明いたします。
 一二ページをごらんください。料金差額補填です。
 工業用水をご利用のお客様に対しては、切りかえ据置期間四年、据置期間六年、激変緩和期間十年を設定し、上水道料金との差額を都が補填します。
 一般雑用水をご利用のお客様に対しては、切りかえ据置期間は四年ですが、据置期間と激変緩和期間は工業用水の半分の期間となっております。
 一三ページをお開き願います。上水道への切りかえ工事に対する支援です。
 現在布設している工業用水道の給水管を撤去し、かわりに上水道の給水管を設置いたします。
 一四ページをごらんください。設備、産業に関する支援です。
 まず、上水道への切りかえに伴う料金以外の影響への対応です。
 上段をごらんください。受水タンクの設置への支援です。水の逆流防止のための受水タンクの設置を支援いたします。また、希望者にはポンプ設備も設置いたします。
 下段をごらんください。塩素除去装置の設置への支援です。上水道に含まれる塩素を除去するための設備を設置します。
 一五ページをお開き願います。節水対策についてです。
 上段をごらんください。水の循環、冷却等の設備の設置への支援です。料金対策として、使用した水の循環、冷却等節水対策に資する設備を設置いたします。対象は工業用水をご利用のお客様に限ります。
 下段をごらんください。現行の規制範囲内における井戸の掘削及び揚水等に必要な設備の設置費用を都が負担いたします。対象は工業用水をご利用のお客様に限ります。
 一六ページをごらんください。経営、技術支援として、工業用水道の供給区域内に無料の相談窓口を設置いたします。
 一七ページをお開き願います。集合住宅のトイレ用水として工業用水道をご利用のお客様を対象とした支援計画の一覧です。
 次ページ以降で、それぞれの支援策を説明いたします。
 一八ページをごらんください。料金差額補填です。
 一般雑用水と同様に、切りかえ据置期間を四年、据置期間を三年、激変緩和期間を五年設けております。
 一九ページをお開き願います。上水道への切りかえ工事に対する支援です。
 現在布設している工業用水道給水管等を撤去し、下段の切りかえイメージ図にある赤線の管を新設いたします。
 なお、現在、水道局が再度お客様を個別訪問し、支援計画案をご説明しているところです。その結果につきましては、会期中の本委員会で改めて資料をお示ししてご報告いたします。
 資料の説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○曽根委員 最初に、年次財務報告書についてですけれども、本文の三五ページ、概要の四ページに出ております、今後の都の財政需要の試算がグラフであらわされていますけれども、これが最初に出たときは、たしか平成二十五年度の年次財務報告書だと思いますが、このときの試算と、取り上げた分野や試算のもとになったデータが少し違っていると思いますので、その比較がわかる資料をお願いしたいと思います。
 それから一緒に、工業用水の廃止条例についてもよろしいでしょうか、二点お願いしたいんですが、一つは、今回、前回提示された案から据置期間など見直しを行いましたが、その見直しによる金額的な影響の違い、それから工業用水を利用している公共施設のある区との協議経過がわかる資料をお願いしたいと思います。
 以上です。

○宇田川委員 工業用水道条例についてでございます。
 知事、副知事、局長、これは財務局長に限らず全ての局長ですが、もしくは当時の顧問のいずれかが同席して行われた工業用水道事業にかかわる打ち合わせ、ブリーフィング、意見交換等々について、その際に議論、検討、また報告された内容、議事録の全てを、時系列に沿って、平成二十五年度以降くまなくお願いいたします。

○上田委員 年次報告の方でございます。
 東京都方式と総務省方式の違いが比較できるもの。
 経常収支比率の増減について歳出費目別寄与度及び寄与率がわかるもの。
 次に、歳出費目別に義務的経費の構成比がわかるもの。
 キャッシュ・フロー計算書の行政活動キャッシュ・フロー収支差額及び形式収支の年度別実績と今後の見通しがわかるグラフ。
 以上、四点です。
 次、工業用水のあり方について。
 支援計画の各事業について、年度別経費の見込みと受益者負担との関係がわかるもの。
 工業用水道に係る職員数の変化と今後の見込みと任用がえがわかるもの。
 国庫補助金返還金の年度別積算根拠のわかるもの。
 国庫補助金の返還に関する交渉の状況がわかるもの。
 国庫補助金そのものの内訳というか、状況がわかるもの。
 以上をよろしくお願いをいたします。

○まつば委員長 ただいま曽根理事、上田理事、宇田川委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。
 理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十七分散会

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