委員長 | まつば多美子君 |
副委員長 | 小松 大祐君 |
副委員長 | 石川 良一君 |
理事 | 増田 一郎君 |
理事 | 上田 令子君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
おじま紘平君 | |
伊藤しょうこう君 | |
うすい浩一君 | |
藤井あきら君 | |
清水やすこ君 | |
宇田川聡史君 | |
長橋 桂一君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小室 一人君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 松川 桂子君 | |
財産運用部長 | 山根 恭子君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 永島 恵子君 | |
技術管理担当部長 | 中山 衛君 | |
庁舎運営担当部長 | 米今 俊信君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 佐藤 敦君 |
本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
財務局関係
予算の調査
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、債務負担行為-財務局所管分、都債(質疑)
・第十五号議案 平成三十年度東京都用地会計予算(質疑)
・第十六号議案 平成三十年度東京都公債費会計予算(質疑)
・第百二十号議案 平成三十年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則(説明・質疑)
付託議案の審査(質疑)
・第三十八号議案 東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 東京都社会資本等整備基金条例の一部を改正する条例
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第三号 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
○まつば委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査並びに財務局関係の付託議案の審査を行います。
これより収用委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○佐藤収用委員会事務局長 先般の委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料についてご説明申し上げます。
お手元の資料の一ページをお開きいただき、要求資料第1号をごらんください。収用委員会の月次開催状況(過去三年分)でございます。
この表は、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における収用委員会の開催状況につきまして月別にお示ししたものでございます。
おめくりいただきまして、要求資料第2号をごらんください。各収用委員会委員の実地調査等、委員会以外の活動状況(過去三年分)でございます。
この表は、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間で、収用委員会の各委員が委員会以外で活動した状況を、委員ごと、活動内容ごとにお示ししたものでございます。
おめくりいただきまして、要求資料第3号をごらんください。各収用委員会委員の直近の役職と在任期間、一般職公務員経験の有無とその官公庁名(過去三任期)でございます。
この表は、過去三任期の収用委員会委員の直近の役職、在任期間、一般職公務員の経験等をお示ししたものでございます。
おめくりいただきまして、要求資料第4号をごらんください。収用委員会事務局の部別の少額随意契約の金額帯別件数と合計金額(過去三年度分)でございます。
この表は、収用委員会事務局におけます少額随意契約の金額帯別件数と合計金額を過去三年度分お示ししたものでございます。
要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 四ページ、部別の少額随意契約の金額帯別件数と合計金額三年分をお示しいただきました。過去に、過度な分割発注におきましての指摘があったと思います。
監査委員によります指摘を含めた収用委員会の分割発注の確認件数、金額を契約件名別にお示しください。
○佐藤収用委員会事務局長 資料請求のございました平成二十六年度から平成二十八年度、過去三年度におきまして、収用委員会事務局では、少額随意契約で分割発注に該当する契約はございません。
○上田委員 ないということでした。
少額随意契約においてですが、収用委員会事務局では、毎年度四百万円前後の契約金額となっていますが、その件数、金額における、物品契約、委託契約、工事はないと思いますけれども工事請負契約について、それぞれ契約種類別の内訳をお示ししていただきたいと思います。
○佐藤収用委員会事務局長 平成二十六年度の少額随意契約では、物品の借り入れ契約が二件で百九十二万余円、物品の買い入れ契約が二十四件で二百七十五万余円、委託契約が八件で八十一万余円となっており、工事請負契約の実績はございません。
次に、平成二十七年度の少額随意契約では、物品の借り入れ契約が一件で五万余円、物品の買い入れ契約が二十六件で二百七万余円、委託契約が五件で百万余円となっておりまして、工事請負契約の実績はございません。
続いて、平成二十八年度の少額随意契約でございますが、物品の借り入れ契約が一件で五万余円、物品の買い入れ契約が二十七件で二百九万余円、委託契約が七件で百七十一万余円となっており、工事請負契約の実績はございません。
○上田委員 適正管理をしているようですが、契約時におけます分割発注に対するチェック体制について、確認させてください。
○佐藤収用委員会事務局長 収用委員会事務局におきましては、総務課におきまして、局全体の契約事務手続を一元的に管理しておりまして、財務局からの通知を踏まえ、適切にチェックを実施してございます。
今後も引き続き適切に契約事務を執行するよう努めてまいります。
○上田委員 収用委員会がこれまで取り扱った事件件数は、首都圏中央連絡自動車道や東京外かく環状道路などの大規模事業の有無などにより多少の変動は見られるものの、過去二十年では、おおむね七十件から百二十件前後で推移され、事業別に見ますと道路工事がおおむね八割の傾向、このほか市街地再開発事業、公園事業などの件数が一時的にふえた年度もあったようです。
都が起業者である取扱件数については、平成二十四年度から二十八年度までの直近五年度で見ますと、各年度五十件程度、特定整備路線を含む道路事業は、おおむね八割から九割を占めております。ほかには、市街地再開発事業、公園事業、河川事業となっております。
高度成長期からある程度落ちつかれ粛々と時代に合わせた道路整備を行っていることを事務事業質疑にて確認させていただきましたが、セーフシティーを目指す小池都政においては、防災対策を踏まえたまちづくりがスピーディーに行われていくと思います。
都内において行われる公共の利益となる事業に必要な土地等の収用または使用に関し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図るため、実行プランに連関して発生するであろう土地収用ですが、財産権の補償は確実にできたのかという観点からの平成二十八年度決算を終えての評価と、新年度に向けてのご所見をお示しください。
○佐藤収用委員会事務局長 平成二十八年度におきましては、九十三件の収用事件を取り扱ってございます。その中で補償額の算定に当たりましては、憲法及び土地収用法に明記されております正当な補償の考え方に基づき対応しております。
正当な補償とは、最高裁判例によれば、完全な補償、すなわち収用の前後を通じて被収用者の財産価値をひとしくならしめるような補償とされてございます。これを担保するため、東京都収用委員会では、原則として、専門家である鑑定業者に鑑定をさせ、その結果を踏まえた補償額の算定を行ってございます。加えて、補償の考え方を含め、収用制度の理解促進を図るため、今年度、制度概要のパンフレットであります「土地収用のあらまし」を権利者によりわかりやすくとの観点から改定をしたところでございます。
収用委員会は、東京のまちづくりを支えるため、公正、中立な立場で、公共の利益と私有財産との調整を図るという大きな役割を担ってございます。新年度におきましても、権利関係が複雑なものなど困難事件を含め、数多くの事件を取り扱うことが見込まれますことから、収用委員会がその責務を全うできるよう、事務局として引き続き収用委員会の円滑な運営を支え、迅速かつ公正な事件処理に努めてまいります。
○上田委員 資料の1号、2号を見て、委員の皆様方もしっかりと活動をしていただいているということも確認させていただいております。まちづくりを進めることと、やっぱり都民の私有財産を守っていくということは、なかなか難しいハンドリングが必要ではございますが、「土地収用のあらまし」も権利者にわかりやすくとの観点から、時代に合わせて改定をしているということで、引き続きまして、必ず財産権の補償を念頭に入れました収用事業の推進に向けてのご尽力をお願いしたいと思います。
以上です。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○まつば委員長 これより財務局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
初めに、第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十五号議案、第十六号議案、第百二十号議案、平成三十年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、第三十八号議案及び第三十九号議案を一括して議題といたします。
本案のうち、第百二十号議案について理事者の説明を求めます。
○松川主計部長 それでは、資料第1号によりまして、今回提案をしてございます平成三十年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
城北中央公園調節池一期工事及び境川金森調節池工事の仮契約解除に伴い、再度工事契約手続を行うための債務負担行為を三十年度予算に追加計上するものでございます。
本事業に係る債務負担行為として、三百八十三億九千四百万円を計上しております。
補正予算の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
なお、その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のございました資料は、記載してございますとおり十三件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、財政調整基金、社会資本等整備基金の推移でございます。
こちらは、平成二十六年度から三十年度までの五年間における財政調整基金及び社会資本等整備基金の推移をお示ししたものでございます。
二ページをお開き願います。要求資料第2号、投資的経費(うち単独事業)の推移でございます。
こちらは、平成二十六年度から三十年度までの五年間における投資的経費の推移をお示ししたものでございます。
三ページをお開き願います。要求資料第3号、基金の一覧でございます。
こちらは、各種基金の名称、根拠法令等につきまして、三ページから四ページにかけてお示ししたものでございます。
続きまして、五ページをお開き願います。要求資料第4号、東京都入札監視委員会の開催状況でございます。
こちらは、平成二十六年度から二十八年度までの三年間における東京都入札監視委員会の開催状況を、五ページから七ページにかけてお示ししたものでございます。
恐れ入りますが、八ページをお開き願います。要求資料第5号、談合情報検討委員会の開催状況でございます。
こちらは、平成二十六年度から二十八年度までの三年間における談合情報検討委員会の開催状況を、八ページから九ページにかけてお示ししたものでございます。
一〇ページをお開き願います。要求資料第6号、都の用地購入の年度別推移(財務局契約分)でございます。
こちらは、平成二十六年度から二十八年度までの三年間における都の用地購入のうち財務局契約分の推移をお示ししたものでございます。
一一ページをお開き願います。要求資料第7号、都有地の売却及び等価交換実績の年度別推移(財務局契約分)でございます。
こちらは、平成二十六年度から二十八年度までの三年間における都有地の売却実績及び等価交換実績のうち財務局契約分の推移をお示ししたものでございます。
一二ページをお開き願います。要求資料第8号、都有地の無償貸与の状況(財務局契約分)でございます。
こちらは、平成二十九年十二月末現在における都有地の無償貸与のうち財務局契約分の状況をお示ししたものでございます。
一三ページをお開き願います。要求資料第9号、財務局所管の附属機関の委員報酬額及び開催等状況でございます。
こちらは、財務局所管の附属機関の委員報酬額及び平成二十六年度から二十八年度までの三年間における各附属機関の開催等の状況をお示ししたものでございます。
一四ページをお開き願います。要求資料第10号、今後の都債償還額の見通し(一般会計)でございます。
こちらは、一般会計における今後三十年間の都債償還額の年度別見通しをお示ししたものでございます。
一五ページをお開き願います。要求資料第11号、財務局の部別の少額随意契約の金額帯別件数と合計金額でございます。
こちらは、平成二十六年度から二十八年度までの三年間における財務局の少額随意契約の件数及び金額を金額帯別にお示ししたものでございます。
一六ページをお開き願います。要求資料第12号、地方税財政に関する知事と副知事の国への働きかけの経緯でございます。
こちらは、地方税財政に関しまして、知事及び副知事が、平成二十九年度中に国への働きかけを行った際の要請先等を、一六ページから一七ページにかけてお示ししたものでございます。
続きまして、一八ページをお開き願います。要求資料第13号、平成二十九年度「東京グリーンボンド」発行状況でございます。
こちらは、平成二十九年度の東京グリーンボンド発行実績と充当予定事業の予定額及び環境効果見通しをお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○増田委員 それでは、私の方からは、都債に関する事項としまして、主に、今資料にもございましたグリーンボンドのあたりにつきましてご質問させていただきたいと思います。
平成三十年度の一般会計予算の編成方針等につきましては、本会議及び予算特別委員会で既に再三説明されているところでございまして、三つのシティーの実現、あるいは一層の無駄の排除のためのワイズスペンディングの推進等がその柱となっているところと理解しております。また、財政運営におきましては、都債に関連する事項としましては、発行額の抑制というところが盛り込まれているところでございます。
そうした中、こちらの発行状況にもありますように、昨年十月に機関投資家向け五年債及び三十年債、合計百億、そして十二月には個人投資家向けにオーストラリア・ドル建て、豪ドル建てですね、約百億円相当のグリーンボンドが発行されたというところでございます。
そこで、まず初めに、東京都の場合、通常の都債をもう経常的に発行しているわけですけれども、その中で、あえてグリーンボンドという形態で発行したその意義について確認をさせていただきます。
○松川主計部長 東京グリーンボンドを発行する意義は、主に次の五点が挙げられると考えてございます。グリーンボンドへの投資を通じた後押しにより、スマートシティーを目指す都が、さまざまな環境施策を強力に推進すること。グリーンボンド市場の国内における活性化と他の発行体の参入促進につなげるとともに、国内の貴重な資金が国内の環境対策に向かって活用される流れを創出すること。機関投資家に対しては、企業の環境配慮意識の醸成に寄与するとともに、社会的な評価を受けられる環境の整備を促進すること。個人投資家に対しては、投資機会を提供することにより、事業への理解を通じてオーナーシップ意識を喚起すること。グリーンボンドの発行を通じて、発行体としての都が、新たな投資家へのアクセスを通じた投資家層の多様化が図れることでございます。
○増田委員 今のご説明で、世界的に環境意識が高まる中で、スマートシティーを目指す東京がグリーンボンドを発行するその意義というものが確認できたと思います。
一方で、都民にとりましては、その意義もさることながら、その発行そのものが、通常の都債に比べてやはり高くつくものであってはならないと思います。
そこで、今回の発行体たる東京、ひいては都民にとっての、このグリーンボンドを出すそのメリットといいましょうか、その利益、それについてお伺いしたいと思います。
○松川主計部長 第三者機関からの評価も得た本格的なグリーンボンドの発行により、機関投資家向けにつきましては、約四倍の需要を得るとともに、発行の意義に共感する投資家から二十一件の投資表明を得ることができました。また、これまで都債を購入したことのない投資家にもご購入いただくなど、魅力的な都債として評価されたと考えてございます。
個人向けにつきましては、昨年度発行した東京環境サポーター債より購入者数が一割ほど増加し、多くの個人投資家の賛同を得るとともに、東京環境サポーター債同様の外貨建てとすることにより、発行コストの面においても、円貨建て都債との対比ではメリットを享受することができたと考えております。
このように、機関投資家向け、個人向けともに、都債の高い商品性を改めて市場に示すことができたと考えております。
○増田委員 今のご説明で、環境意識の高い新しい投資家さん、そういった方々の共感も得て、新たに投資家が入ってこられた、投資家の裾野が広がったと、そういうようなメリットがあるということかと理解いたしました。
この点についてもう少し、ちょっと詳しく伺ってみたいんですけれども、今回、特にこの三件の発行の中で目を引きましたのは、個人向けの商品を出しているということと、その個人向けの商品が円建てではなくてオーストラリア・ドル、豪ドル建てになっているというところでございます。
理解するところでは、東京都の場合、都債、外貨建ての発行については、その場ですぐに通貨スワップを組んで、円建てにその後の元利払いというのを全て変換して、為替リスクをとっていないと、こういう理解をしておりまして、本件もそういうことだろうと思うんですけれども、その円建てに変換した後のコストが、通常の都債に比べて割高になっていないかどうかというのはちょっと気になるところであります。
また、通常の都債に比べまして、業者に払う手数料ですとかそういった初期のコストにつきましても、普通の都債に比べて今回のグリーンボンドが割高になっていないかどうかというところは、やはり気になるところでございます。
そこで、今回、豪ドル建てを選択した背景ですとか、利率ですとか、手数料、そういった面を含めてのコストがどのようになっているか、これについてご説明をいただきたいと思います。
○松川主計部長 歴史的な低金利環境下におきまして、円貨建てでは、個人投資家にとって魅力的な利回りの確保が困難であることを踏まえ、金利水準、通貨の安定性、投資家需要や売り出し外債の規模等を総合的に考慮して、豪ドル建てで個人向けを発行いたしました。豪ドル建てでの表面利率は二・五五%でございまして、円貨建てで発行した場合と比較して高い利回りを投資家に提供してございます。
一方、都は、為替変動リスクを受けないよう、元利償還額を円ベースで固定するスワップ取引を実施しております。引受手数料などを含め全体のコストは、同時期に同年限の都債を円建てで発行した場合の想定コストと比較して低くなっており、より有利な条件で発行しております。
○増田委員 ただいまの説明で、通常の都債の発行と比べまして、今回のグリーンボンド、諸費用、条件が高いものではないということを確認させていただいた次第でございます。恐らく、調査機関の初期費用なんかは余計なものが、都債と比べるとかかっているとは思いますけれども、それは今後、全体の発行金額あるいは今後の発行の中で消化されていくのかなというように考えるところでございます。
昨年からの東京環境サポーター債、そしてグリーンボンドの今回の発行と、こう流れがきているわけですけれども、実際に発行してみて、そのメリットなんかも踏まえ、今後、グリーンボンドについて、どういうような方針で発行されていくのか、そこについて今後の方針をお伺いしたいと思います。
○松川主計部長 平成二十九年度の東京グリーンボンドは、第三者機関からの評価により、その適格性や透明性を確保した上で、多くの投資家の賛同を得て発行し、国内の貴重な資金が都の環境施策に向かって活用される流れを創出することができたと考えてございます。
今後も、スマートシティーを目指す都が、投資家からの後押しにより、さまざまな環境施策を強力に推進していくことを目指し、適宜検証も行いながら継続的に発行していく予定でございます。
また、民間企業などの発行もふえ、国内グリーンボンド市場の活性化が徐々に進んでいると認識しておりますが、引き続き他の地方公共団体等への情報提供を行い、より一層の市場の活性化を促進してまいります。
○増田委員 全体の説明を伺いまして、そのメリットですとか、意義ですとか、恐らくこれは時代の趨勢もありますので、進めていくものではないのかなというふうに思っているところでございますが、都債の議論をするときには、とかく発行残高の方ばかりに目がいってしまいがちですので、残高もさることながら、その発行条件についてもきっちりと、モニターを私はしていきたいと思っております。
やはり、そのコストというのは、都民の負担に直結いたしますので、今現在は、あらゆる金融商品の利回りというのが本当に低く、今は抑えられていて、余りコストの安い高いというのが問題になる局面ではないんですけれども、今後、もし金利が上昇局面に転じるですとか、あるいはリーマンショックのときのように、市場の流動性が著しく低下してしまうような局面がありますと、やはり発行条件のいい悪いというのは顕著に出てきます。そういう本当に困ったときにこそ、しっかりいい条件でこの都債が出せるようにしておくというのが、不断の、IRの今されているようなご努力だったりとか、このように今回グリーンボンドということで、今までに都債を買っていなかった新しい投資家さんが大分入ってこられたということで、これは非常に意義のあることだと思います。
そのようなことで最悪の時期に備えての備えを、今、マーケット状況がいいときに、その日からやっておくということが重要なのではないかなと思う次第でございます。その点申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。
○うすい委員 初めに、事業評価についてお伺いをいたします。
今後の都財政は、東京二〇二〇大会の開催準備のみならず、本格的な少子高齢、人口減少社会の到来や、都民の生命と財産を守るための防災対策など、ますます財政需要が増大していくことが見込まれているところでございます。
こうした中においても、都民生活をしっかりと守っていくため、財政の健全性を確保していくことが重要であり、これまでの都の財政運営におけるさまざまな工夫に一層磨きをかけていく必要があると考えます。
予算特別委員会の質疑でも、我が党の橘政務調査会長から取り上げましたけれども、公明党が提唱し、全国に先駆けて導入した新たな公会計制度も活用した事業評価の取り組みによって、平成十九年度からの累計で約九千六百億円の財源確保へとつながっているということでございます。
こうした努力の積み重ねがあったからこそ、今日の健全な都財政があり、また、基金への積み立てや福祉と保健の分野を初めとした積極的な施策展開が可能になっていると思っております。
そこで、この事業評価の取り組みについて、今年度、新たな評価手法としてエビデンスベースによる評価を導入しましたが、その内容や成果について確認をしておきたいと思います。
今年度、新たに導入したエビデンスベースによる評価の具体例や成果についてをお伺いいたします。
○松川主計部長 エビデンスベースによる評価は、施設の整備、改修や重要資産の購入等に当たり、統計データや技術的指標などの客観的事実に基づき、事業の妥当性等を分析、検証する取り組みとして、平成三十度予算編成から新たに開始したものであり、今回は十八件を対象に評価を行っております。
具体例を挙げますと、老朽化が進む大田都税事務所の施設改築に当たりまして、単独で現地改築を行うと容積率に余剰が発生するため、大田区施設との合築による改築を行うことで、効率的な整備や行政機能の集約化による住民サービスの向上を図ることといたしました。
この事例では、施設面積を事業費で割った平米単価について、他自治体が合同庁舎を整備した際の単価等と比較し分析を行ったところ、事業費に妥当性があると判断できたため、今後の費用増加に留意しつつ、現計画に基づく整備を推進していくことといたしました。
引き続き、客観的指標を用いて経費の妥当性を検証するなど、賢い支出を徹底し、将来を見据えた財政の健全性を確保してまいります。
○うすい委員 特に施設の整備、また改修や重要資産の購入など大きな支出を伴う事業の実施に際しましては、新たな公会計制度により、分析やエビデンスベースによる評価により、他自治体の事例等との比較を行うなど、しっかりと分析を行っていただいた上で経費の妥当性の判断を行っていただきたいことを要望させていただきます。
次に、歳入確保の取り組みとして、宝くじ収入についてお伺いをいたします。
宝くじは、全国の自治体の貴重な財源として、東京都においても、公園整備を初めとする公共事業などさまざまな施策に活用されております。
先日の報道によれば、仮称ですが、平成三十年度に、ユニバーサルデザイン化推進くじを発売すると聞いております。
そこで、まず初めに、ユニバーサルデザイン化推進くじとは、どのような目的で発売される宝くじなのかをお伺いいたします。
○松川主計部長 仮称でございますが、ユニバーサルデザイン化推進くじは、宝くじ発売の許可権者である総務省からの提案を受け、宝くじを発売する全ての団体から意見を聞いた上で、全国自治宝くじ事務協議会で発売を決定いたしました。
発売の目的は、収益金を活用して、公共施設等のバリアフリー化などのユニバーサルデザイン推進の取り組みを、それぞれの団体が進めることでございます。
都はこれまでも、都道などのバリアフリー化に率先して取り組んでおり、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、この宝くじの発売を通じて、ユニバーサルデザイン推進に向けた機運が社会全体に一層広がることを期待するとともに、引き続き、全国の発売団体を初めとする関係者と連携を図りながら、宝くじの発売促進に取り組んでまいります。
○うすい委員 発売の目的が、道路のバリアフリー化を初めとするユニバーサルデザインの推進や東京オリンピック・パラリンピック競技大会におけるユニバーサル社会の構築に向けた機運の醸成を図る宝くじであることがわかりました。
では次に、この宝くじの発売額と発売期間についてお伺いいたします。
○松川主計部長 発売額につきましては、東京二〇二〇大会協賛くじと一体で発売することとしておりまして、ユニバーサルデザイン化推進くじ分として五十五億円、東京二〇二〇大会協賛くじ分として二十五億円、合計八十億円を予定してございます。
また、発売期間は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の二年前となる平成三十年の八月二十二日から九月十一日を予定しておりますが、くじの名称、発売金額及び発売期間につきましては、今後、総務大臣の許可を得て正式に決定することとなります。
○うすい委員 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会には、国内を初め、海外からもさまざまな方が訪れるわけでございます。多くの方々が快適に過ごすことができるよう、ユニバーサルデザイン化の推進に、ぜひこの宝くじの収益金を有効に役立てていただきたいことを要望させていただきます。
次に、宝くじのインターネット販売について伺います。
昨年十月の財政委員会の事務事業質疑において、宝くじの売り上げが減少傾向にある中、売り上げ向上を図るためにどのようなことを実施していくのかを伺いました。その際に、商品の魅力向上やSNSによる情報発信の実施に加え、インターネットによる宝くじ販売の拡充を検討するとの答弁がありました。
そこで、インターネット販売の拡充について、その後の検討状況を伺います。
○松川主計部長 宝くじのインターネット販売拡充の検討状況でございますが、他の発売団体や総務省などの関係者と検討を進めた結果、去る一月二十四日に開催されました全国自治宝くじ事務協議会におきまして、平成三十年十月からインターネット販売を拡充することを決定いたしました。
これにより、現在インターネット販売を実施している数字選択式宝くじに加え、ジャンボくじなど、ほぼ全ての宝くじを公式サイトにおいてインターネットで購入することが可能となります。また、二十四時間販売やクレジットカード決済の導入などにより、顧客利便性が向上いたします。
引き続き、売り上げ向上を図るため、関係者との調整を行い、十月の発売開始に向けて着実に取り組んでまいります。
○うすい委員 今答弁いただきましたけれども、売り上げが低迷しているということですので、少しでも売り上げを回復できるよう、インターネット販売の拡充に期待をしております。
また一方で、売り上げを回復するためには、宝くじ売り場での販売が重要であります。これまで宝くじの売り上げを支えてきたのは、まさに宝くじ売り場の存在が大きいわけであります。今後、インターネット販売が好調となったとしても、売り上げでの販売が落ち込んでは、全体として売り上げの回復につながらないと考えます。
そこで、売り場とインターネット販売とが相互に補完し合う仕組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。
○松川主計部長 売り上げを回復するためには、インターネット販売だけでなく売り場での販売も重要と認識しております。
売り場は、単に宝くじを販売するだけではなく、存在自体が広報宣伝の役割を果たしており、インターネット販売の拡充に加え、引き続き、売り場にも足を運んでもらう取り組みが必要でございます。
今回のインターネット販売の拡充に合わせて宝くじ会員制度の導入及び購入者へのポイント付与を実施することから、売り場とインターネット販売との相互増客が可能と考えております。
今後も、売り上げ向上に向けて、売り場での販売とインターネット販売が相乗効果を発揮できるよう、他の発売団体と協力して取り組んでまいります。
○うすい委員 宝くじは、東京都にとって貴重な収入であり、それを長年にわたって支えてきたのが売り場であります。売り場もインターネット販売も、相互に売り上げを伸ばせるよう取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
建設業界では、慢性的な人材不足が続いており、担い手の確保に向けた働き方改革が喫緊の課題となっております。
特に新たな担い手として、女性や若者の建設現場への進出は不可欠であり、現場の環境を整えていくことは重要な取り組みであります。このため、現在、財務局では、さまざまなモデル工事に取り組んでいることと思います。
初めに、現在取り組んでいる建設業の担い手育成のための女性活躍、若手育成、週休二日のそれぞれのモデル工事の試行について、改めて導入に至った経緯と現在の進捗について伺います。
○中山技術管理担当部長 建設業の現場では、技術者の高齢化や若年入職者の減少といった問題が生じていますが、公共工事の品質を確保していくためには、建設業界の将来を担う人材を確保することが重要です。
発注者として、現場に新たな人材を受け入れ育成していくための環境整備に向けて、昨年度から女性活躍モデル工事、週休二日モデル工事を試行しておりまして、本年度からは若手育成モデル工事の試行も開始しました。
女性活躍モデル工事については、契約した件数では、昨年度は、都立江北高等学校など三件、今年度は、東京都公文書館改築工事など四件、合わせて七件について実施しておりまして全て工事中でございます。
週休二日モデルについては、昨年度、職員高田馬場住宅改修工事の関連工事三件で実施し、いずれも昨年十一月に竣工しました。今年度は、西多摩保健所改築工事及びその他、その関連工事など七件について実施しておりまして、そのうち小平南高等学校グラウンド改修工事一件が完了しています。
若手育成モデルについては、今年度から二件実施し、それぞれ年度後半に工事に着手したところでございます。
○うすい委員 若手育成については、まだ端緒についたばかりであることを確認させていただきました。
それでは、昨年度から取り組んでいる女性活躍と週休二日についてお尋ねします。女性活躍モデル工事について、現場での実施の状況と見えてきた課題を伺います。
○中山技術管理担当部長 女性活躍モデル工事の概要については、監理技術者や現場代理人など、受注者の技術者のいずれかに女性の配置を義務づけるほか、現場事務所に女性専用の更衣室、パウダールームなど、女性に配慮した環境整備を行うこととしております。
配置された女性技術者の声を聞いてみると、女性専用の設備が整って非常に働きやすいこと、また、それがきっかけで、現場内外の一層の環境美化にも取り組んでいるとのことでした。女性技術者の配置により現場全体が気持ちよく働け、さらに周辺の環境整備にもつながるなどの効果もあると感じているところでございます。
一方で、事前の各種業界へのヒアリングによれば、電気設備工事などではまだ女性技術者が少なく、モデル工事の試行に当たっては、慎重に工事の特性や規模を見きわめていく必要がございます。
○うすい委員 女性技術者の普及には時間がかかる業種もありますが、女性活躍のモデル工事の実施により、建設工事現場内外の環境整備によい影響を与えていることがわかりました。私も、工事現場における女性の目線は、快適な労働環境の確保に必要な視点と考えています。
次に、週休二日モデル工事については、既に完了しているものもあるとのことですが、週休二日の達成状況と課題を伺います。
○中山技術管理担当部長 昨年度契約した職員高田馬場住宅改修工事については、建築、電気、給水衛生の関連工事全てにおいて、土日祝日を休む完全週休二日を達成することができました。
本件は、内装材と設備配管をやりかえる、いわゆるスケルトン改修でございます。利用者との調整が不要であったことや、天候に左右されやすい躯体工事がなかったことなどから、関連工事の調整も含め、予定どおり工事が進められたと考えます。
一方、今年度契約した都立小平南高等学校グラウンド改修工事については、一月の積雪の影響が長引いたことなどから、数日の休日作業をせざるを得ませんでした。
このような同種の工事での週休二日の試行に当たっては、施設管理者、利用者との調整や予想を上回る天候不順への対応などが課題になると考えております。
○うすい委員 週休二日モデル工事を通じて、工事特性により結果が異なるものがあることがわかりました。
これまで、女性活躍、週休二日のモデル工事の実施状況について伺ってまいりました。それぞれ課題はあるものの、着実に効果を上げていると考えます。一朝一夕で実現できることではないと思いますが、試行錯誤を重ねながらも、ぜひ建設業の担い手育成の取り組みを進めていただくことを要望させていただきます。
今後の取り組みについて、都の所見を伺います。
○中山技術管理担当部長 女性活躍モデル工事は、財務局が都として先駆的に始めた取り組みでございます。配置された女性技術者からも高い評価を受けておりまして、女性技術者の育成などにも寄与しているものと考えております。
今後も、業種による女性技術者の偏在などの課題も考慮しながら試行を拡大してまいります。
また、週休二日モデル工事については、試行を通じて、さまざまな施工現場の現状を把握するとともに、工事の進捗に影響を受けやすい関連設備工事との工程調整など課題の整理が必要です。来年度も、対象業種や発注時期などを考慮しながら試行を拡大してまいります。
今後とも、将来の担い手を育成し確保していくため、積極的に取り組んでまいります。
○うすい委員 次に、待機児童対策に関連した都有地の活用について伺います。
都は、待機児童の早期解消に向け、平成二十九年度からの三年間で、保育サービス利用児童数を六万人確保することを目標に掲げるなど、来年度以降も、待機児童対策に一段と力を入れることとしております。
こうした中、都は、平成二十八年九月から、都有地を活用した保育所等のさらなる整備推進に向け、都有地活用推進本部を設置し、財産面から積極的に待機児童対策に取り組んでいるところと思います。
この本部の取り組みでは、都から区市町村への都有地の情報提供を充実強化するだけではなく、とうきょう保育ほうれんそうという窓口を設置し、都有地について、保育事業者や区市町村などからの照会や提案にも対応することとしております。
都は、以前から、都有地を活用した保育所等の整備を進めてまいりましたが、これまでは、どちらかというと未利用都有地に関する都から区市町村への一方向の情報発信という側面が強かったのではないかと思います。
そこでまず、本部の取り組みとして、このとうきょう保育ほうれんそうを設置した目的と、これまでの取り組みについてお伺いいたします。
○山根財産運用部長 個々の都有地に関する各種問い合わせ等につきましては、例えば、都立高校の敷地であれば教育庁、都営住宅の敷地であれば都市整備局というように、土地を所管する局が窓口となり、関係部署とも連携しながら回答を行っております。そのため、保育事業者や区市町村にとっては、土地の照会等に当たって、窓口となる所管局の特定などに時間を要することもあったと聞いております。
そこで、都は、喫緊の課題である待機児童問題を踏まえ、都有地活用推進本部の取り組みといたしまして、都有地活用について、保育事業者や区市町村などからの照会や提案を一元的に受け付ける窓口として、福祉保健局に、とうきょう保育ほうれんそうを設置したものでございます。
この窓口では、具体的な都有地の照会に関して、保育所用地としての活用可能性等について、土地の所管局に速やかに確認し回答するなど、平成二十八年十月の開設以来、平成三十年二月一日現在で九十九件の問い合わせを受け付けております。
また、この窓口では、こうした取り組みのほか、区市町村から活用意向が示された土地につきまして、保育所等の速やかな整備に向け、所管局とも連携し、土地の状況確認や区市町村との調整も機動的に実施しております。
○うすい委員 都有地活用推進本部では、未利用都有地の情報提供だけではなく、一元的な窓口も設け、保育事業者や区市町村からの問い合わせにもきめ細かく対応するなど、都有地の活用に向けた支援にもしっかりと取り組んでいることが理解できました。
こうした中、これまで本部では、六回にわたり、保育所等として活用可能性のある土地を全庁的に洗い出し、計二百五十四件もの都有地の情報を区市町村に提供してきたところでございます。
そこで、こうした情報提供の充実や、とうきょう保育ほうれんそうなどの取り組みにより、保育所等の整備が一層進んでいくことが期待できますが、今後、都有地を活用した保育施設がどのぐらい開設される見通しなのか、これまでの実績とあわせてお伺いいたします。
○山根財産運用部長 都有地を活用した保育所等の整備につきましては、福祉インフラ整備事業により、保育事業者や区市町村に土地を貸し付けてきております。この福祉インフラ整備事業が開始された平成十九年度以降、平成二十九年度までの十一年間で、このスキームに基づき都有地を貸し付け、保育所が開設された件数は十二件となっております。
今後につきましては、既に、このスキームにのっとって、区市町村への都有地の貸し付けに向け、具体的に手続に着手している土地がありますので、平成三十年二月一日現在の見込みですが、これらの土地について順調に手続が進めば、平成三十年度からの三年間で、二十一件の都有地で保育所が開設される予定でございます。
○うすい委員 これまでの実績と比べても、多くの保育所が開設される見込みであり、今後とも、都有地活用推進本部の取り組みを着実に継続し、都有地を活用した保育所等のさらなる整備推進につなげていっていただきたいと思います。
こうした本部の取り組みは、ともすれば縦割りになりがちな行政運営の中で、待機児童対策という都政の喫緊の課題に対し、全庁的な協力体制を構築できた大変よい事例であると考えます。
そこで、この都有地活用推進本部における全庁的な取り組みの経験を生かして、今後、未利用都有地のさらなる有効活用を図るべきと考えますが、都の所見を伺います。
○山根財産運用部長 都はこれまでも、都有地を活用した保育所等の整備のため、財務局が所管する普通財産の未利用地や都市整備局が所管する都営住宅の建てかえに伴う創出用地等を区市町村に情報提供してまいりました。都有地活用推進本部では、全庁一丸となって都有地を活用した保育所等の整備に取り組むこととし、これまで十二の局等から土地の情報提供を受けたほか、各局等においては、区市町村から活用意向のあった、みずからの局の土地について、関係部署とも連携し、保育所等の整備に向け、きめ細かく調整をしております。
このように、本部の取り組みを通じて、全庁を挙げて都政の喫緊の課題である待機児童解消に向け、未利用都有地を有効に活用しているところでございます。
今後とも、都有地活用推進本部の取り組みを着実に継続するとともに、本部で培ったノウハウなども生かしつつ、未利用都有地のさらなる有効活用に努めてまいります。
○うすい委員 これまでのやりとりの中で、都が都有地活用推進本部において、庁内各局が有機的に連携し、都有地を活用した保育所等の整備に向け、全庁を挙げて取り組んでいることや、本部で培ったノウハウを生かし、未利用都有地の有効活用に努めていく姿勢を確認することができました。
いうまでもありませんが、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、今後とも、都民生活のさらなる向上のため有効に活用していくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員 それでは、私から、入札制度改革試行の今後についてお尋ねをいたします。
この問題は、我が党の秋田幹事長からも、三月一日の代表質問にて取り上げさせていただきました。六月から試行された制度の変更は中小企業育成どころか、積算時の負担増やダンピング傾向の助長、中長期的経営計画の困難増など、多くの悪影響を与えていると指摘し、現場の声と有識者の声に真摯に耳を傾け、制度の見直しを早急に行うべきと知事の見解をただしました。
知事からは、中小企業の積算に係る負担が増加しているというご意見や、JVが貴重な技術研さんの機会であったという意見については重く受けとめている、こういった答弁がありました。
それでは、最初に確認をいたしますが、昨年三月末に、入札契約制度改革の実施方針を決定した責任は誰にあるのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 入札契約制度改革の実施方針は、特別顧問と財務局から構成される内部統制プロジェクトチームにおいて取りまとめたものでございますが、その実施の判断につきましては都が行っており、一義的な責任は制度を所管する財務局、最終的な責任は知事にあると考えております。
○伊藤委員 まさにそのとおりだと思います。特別顧問が取りまとめをして、最終責任は知事にあると確認をしましたので、そのことを念頭に置いて順次お尋ねをいたします。
そもそも、昨年三月に内部統制プロジェクトチームが示した実施方針の問題意識は、豊洲新市場建設などに見られる一者しか入札に参加せず、しかも予定価格九九・九%で落札されるという結果が、都民から見ても競争性や公正性に疑念を持たれるのではないかということでありました。そのため実施方針として四つの項目が挙げられました。すなわち、入札参加の促進などによる一者入札、九九・九%落札の抑制として、予定価格の事後公表とJV結成義務の撤廃と一者入札の中止の三点であり、品質の確保と競争性の向上として、低入札価格調査制度の適用拡大、こういった内容でありました。
しかし、昨年五月に、我が党が実施方針に対する見解で示した懸念のとおり、特に中小事業者から、実態に基づく制度の改善を求める声が多数寄せられております。
さて、これまでの試行結果と団体へのヒアリングを踏まえて、先週に第七回入札監視委員会制度部会が開催され、制度の検証と、今後の方向についての議論がなされました。報道によりますと、その結果は、三月中に策定する報告書に盛り込み、都に仕組みの見直しを促す方針であるとのことです。そこで順次、四つの実施方針について伺います。
まず、一者入札の中止については、一律中止は弊害が大きく抜本的に見直しの方向とのことです。そもそも結果としての一者入札は、実勢価格との関係で、予定価格自身が競争を促すものになっていないケースが多く、また技術的にも規模的にも競争市場が成り立ちにくいケースも存在するため、検討すべきは、予定価格の設定のあり方や多様な入札契約制度をいかに機動的に運用するかが大事であると、我が党は指摘してまいりました。
事業者の立場でいえば、人気がない工事、すなわち一者または希望がない工事は工事費用が安い、工期が短い、工事が難しいの三点であります。
よって、応札者が一者であることをもって、一律に入札手続を中止するのではなく、それ以前に、案件ごとの仕様や設計、予定価格がそもそも現場の実態とかけ離れていることを認識し、改善を図るべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止につきましては、入札監視委員会の制度部会におきましても、一律に中止するのではなく、希望者が少なくなっている原因を分析し、当初から、一者入札にならないような工夫をすることが重要との意見もいただいているところでございます。
もとより、改正品確法の理念である公共工事の品質確保と、その担い手の中長期的な育成確保の実現に向けましては、工事発注に当たって適正な予定価格を設定すること、ダンピングのない適正な価格による受注が可能となる競争環境を整備することが重要でございまして、そうした取り組みがより多くの事業者の入札参加を促進し、一者入札を抑制することにつながるものと考えております。
とりわけ、お話の予定価格を適切な水準に設定することは、競争入札が適正な価格の範囲で行われるために必要な要素でございまして、今後とも、予定価格を積算する各局機構部門と連携しながら、工事現場の施工環境や資材価格、社会経済状況などを適時適切に反映させた予定価格の設定に努めてまいります。
○伊藤委員 そもそも、一者入札にならないように工夫をすることが重要ということで、これ再三指摘をさせていただいているんですが、それでも結果として、これだけ一者入札の中止というのが続いているわけですから、方向性としては抜本的に見直しということなので、ぜひその方向で進めていただければと思います。
次に、予定価格の事後公表については、原則継続とのことですが、工事規模などによっては、事前との使い分けも視野に入れ、中小企業への配慮が必要とのことでした。
我が党は長年にわたり、案件によっては事後公表にすべきと主張してきました。しかし、財務局は、かたくなに制度の変更を拒絶し、変更しようとしませんでした。それにもかかわらず、昨年三月に唐突に変更を行ったのは、現場を知らない知事や特別顧問に押しつけられたとしか思えません。来月から、おもしがなくなりますので、中小企業に寄り添った制度の再変更を改めて行っていくべきと考えます。
試行の状況として、大手などからは、事後公表でも構わないとの意見もあるようですが、いわゆる中小企業からは、負担増に対する不満と事前公表へ戻すことを強く求められています。また、都から提供される積算に必要な情報が少なく正確に算出できないとの声も寄せられています。
さて、制度部会の試行状況についての検証を見ますと、入札参加者の影響については、応札者が一者である案件は大幅に減少しているが、予定価格の公表時期との関係は不明と。落札率については、一〇〇%近くの落札率が大きく減少したことだけはいえるが、平均落札率は、むしろ上がっており、財務局案件で比較すると二十八年度の九三・二%から、二十九年度の試行後の状況は九三・八%と上昇しております。また、不調も多く発生をしております。
この結果は、事後公表にした目的を達成していないと考えますが、それなのに、なぜ事後公表を原則継続するのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 今回の試行は、より多くの入札参加者による適正な競争が、都民の目に見えるようにすることが大きな目的となっておりまして、落札率自体を下げるということを主眼としたものではございません。
これまでのところ、予定価格を事後公表にしたことなどにより、一者応札の割合や九九・九%のような予定価格付近の高落札が減少するという効果が出ていると認識しております。これに加え、不良不適格業者の排除、それによる品質確保といった事後公表のメリットや、国も事後公表を推奨していることなどを踏まえまして、先日の入札監視委員会の制度部会におきましては、原則として事後公表を継続するべきというご意見をいただいたところでございます。
一方、主に中小企業が参加する各局契約案件におきましては、不調率が高まっていることを受け、積算の負担を軽減する方策を講ずるなど、中小企業への一定の配慮の必要性について理解できるという意見を頂戴しているところでございます。
○伊藤委員 予定価格の事後公表については、先ほどもお話ありました、積算努力の促進と不良不適格業者の排除だと繰り返し主張されますが、いかにも都の入札制度全体を理解していない人が考えた答えだとしか思えません。
そうならば、不良不適格業者を排除し、かつ品質も確保できる総合評価方式などを拡大運用するなどの対応をなぜ考えないのでしょうか。また、工事規模によっては、事前との使い分けも視野に入れ、中小企業への配慮が必要との方向もあるようですが、いわゆる中小企業が申し込む案件は、ぜひ事前公表に戻すべきと考えますが、あわせて伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 総合評価方式は、価格以外の技術力などの要素も考慮するもので、品質の確保につながる取り組みとして、事業者の新規参入にも配慮しながら、適用対象の三割、工事全体として二割を目標に徐々に適用範囲を増加させてきたところでございます。
今回の制度改革に総合評価方式の適用拡大の取り組みは含まれておりませんが、今後とも、公共工事の品質と中長期的な担い手の確保に向け、総合評価方式の適用を積極的に推進してまいります。
また、少し繰り返しになりますが、予定価格の公表時期につきましては、業界団体との意見交換におきまして、中小企業の積算にかかる負担がふえ、都の入札への参加意欲が減退し、事前公表に戻すことを望む意見が寄せられたところでございます。
一方で、予定価格の事後公表は、事業者の積算努力を促すものでございまして、積算を行わず入札に参加する不良不適格業者を除くことができるという効果が期待されるものでございます。
今後、入札監視委員会からの検証報告を踏まえつつ、改めて業界団体の意見を伺った上で、予定価格の公表時期のあり方について検討してまいります。
○伊藤委員 もう一回だけ、しつこくお聞きをいたしますが、中小企業の声に耳を傾ける、意見も聞くということなんですが、一月の下旬に行ったヒアリングの五つの業界団体は、ほとんど大手といっても過言でないんじゃないかなと思っております。
知事も、中小企業の積算に係る負担が増加している意見を重く受けとめと、答弁をしています。最終責任者である知事が、そうお答えになっているわけですから、再度、事前公表へ戻すことを求めますが、もう一度、都の見解をお尋ねします。
○五十嵐契約調整担当部長 現在、入札監視委員会において進めている制度改革の検証結果が、今月末に報告される予定でございまして、その後、来月にも、知事みずからご出席の上で、業界団体からのヒアリングを実施し、ご意見を再度伺うこととしております。入札契約制度に詳しい学識経験者、現場実態に詳しい業界団体からの多様な意見を踏まえながら、試行において明確になった課題に対する改善策を検討してまいります。
○伊藤委員 ぜひ試行をここで見直す機会なので、中小企業の声をしっかり受けとめていただきたいと思います。
次に、JV結成義務の撤廃については、引き続き、JVでも単体でも入札に参加できるのが望ましいと。ただし、中小担い手の育成対策には並行して取り組むとのことでありました。
この点も、制度部会の試行状況についての検証を見ますと、入札参加者数や落札率の影響については、平均希望者が大きく増加する効果が出ているが落札率は余り変わっていない、中小企業の受注機会への影響については、単体で申し込む事例も見られ、受注実績は余り変わっていないが、中小企業の技術力向上の機会が失われる強い懸念が業界から示されたとのことでありました。
中小企業が単体で申し込む事例も見られ、余り受注実績は変わっていないということですが、それでは、その単体で落札した中小企業の平均の資本金や従業員数また企業の所在地は、都内なのか都外なのか、お答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 平成三十年二月末までに混合入札で発注した案件のうち、中小企業が単体で落札したのは四十七件でございまして、計四十一社が契約の相手方となっております。その四十一社の資本金の額の平均は約一億四千万円、従業者数の平均は百二十四人でございます。また、四十一社のうち、都内に本店を置いているのは三十一社、都外は十社となっており、この都外に本店のある十社については、都内に支店や営業所などを設けているところでございます。
○伊藤委員 前回も指摘をしましたが、中小企業基本法で定める要件としては、建設業も資本金が三億円以下または従業員三百人以下が中小企業で、それ以上が大手の会社となっています。
しかし、実態として、地域のさまざまなインフラ整備にご尽力をいただいている、いわゆる中小企業は、資本金数千万円以下、従業員も二、三十人程度の会社がほとんどです。JV結成義務を撤廃した後に単体で申し込む事例の中小企業の実情は、ご答弁によりますと、資本金の額で平均約一億四千万円、従業員数の平均でいうと百二十四人ということですので、これは実態としては、中堅から大手のような事業者ともいえるわけです。
また、一時的には、希望者がふえるかもしれませんが、中長期的な育成の視点を怠れば、必ず担い手が減少し、結果として希望者が減ることも懸念されます。よって、試行後の状況を検証するに当たり、いわゆる地元中小企業の切なる声を受けとめてほしいと思います。
知事も、JVが貴重な技術研さんの機会であったという意見については重く受けとめると答弁をしております。JV結成義務の復活を求める中小事業者の声にどのように対応するのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 今回の入札契約制度改革におきましては、JV結成義務が入札参加の制約になっているのではないかという問題意識から、結成義務を撤廃し、単体企業でもJVでも入札参加を可能とする混合入札を導入いたしました。
これまでの試行において、入札参加者が増加するという効果が見られる一方で、業界団体からは、JVに参加することが人材育成の貴重な機会であったとの意見をいただいているところでございます。
今後の東京のインフラ整備の着実な推進に向けて、都内の中小企業が果たす役割は引き続き大きいというふうに認識しておりまして、中小企業の人材育成は重要であると認識しております。今月末の入札監視委員会の検証報告が出された後、来月にも、都として業界団体から意見を伺う予定でございまして、現場の声をしっかり聞きながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。
○伊藤委員 入札契約制度に、極論すれば、百点満点というのはないのかなと、私も思います。都民に必要なインフラ整備を、公平、公正を基本に、景気の動向や社会情勢、案件ごとの事情、事業者の育成など、さまざまな要因を勘案しながら、制度設計をこれまでも行ってきた歴史があるんだろうと思います。
しかし、本来は、きちんと現場の声に耳を傾け、丁寧に制度変更をすべきだったのではないでしょうか。拙速と迅速を知事は履き違えているとしか思えません。試行開始後二月末までに、希望者が一者以下で中止になった案件数は、六十一件もありました。都は、積算努力を促す制度改革だといいますが、事業者の努力は自動的に無駄骨に終わります。
また、その結果、工期がおくれるなど、試行という名のもとに不利益をこうむっている人がたくさんいます。都庁の皆さんの業務もふえますし、中小企業は、ある意味、いじめに遭っているようなものだとの声も寄せられています。
結果として、都民に大きな不利益が生じているとしか思えませんが、この責任は誰にあるのか、最後に伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 これまでの試行により、不調や一者入札の中止により契約手続におくれが生じている一方で、九九%以上の高落札率や一者応札の減少、入札参加者の増加という効果が出ていると認識しております。
入札契約制度改革の試行に関する一義的な責任は制度を所管する財務局、最終的な責任は知事にあるというふうに考えております。
○伊藤委員 なぜ、私が中小企業そして都内企業にこだわるのかといえば、工事施工の際、現場で働く人材、現場で稼働している重機、現場に資材を搬入するトラックなど、ほぼ全てを中小企業で賄っているといっても過言ではありません。
ですから、仮に、大手ゼネコンさんが単体で落札しても、現場では、中小企業が本当に頑張っています。また、忘れてはいけないのは地域貢献、中小企業の皆さんの地域貢献です。三・一一の東日本大震災の後にも、都内の中小事業者が復旧作業に力をかしてくれましたし、また、毎年の降雪時にも、重機などによる除雪を俊敏に対応してくれます。これから予想される首都直下地震など有事の際にも、大きな力を発揮してくれると、信頼と期待を寄せております。
だからこそ、インセンティブを与える必要もあるでしょうし、ましてや、こうした業者の皆さんの参加意欲をそぐような制度には絶対すべきではないと思っておりますので、最後に、この試行をぜひそれぞれ改善していただくよう求めて、私の質問を終わります。
○曽根委員 それでは、私からは、今回、東京都の予算案の概要の中で、都の財政にとって、今後避けて通れない財政需要として、一つは、社会保障関係費の将来推計の試算が提示をされておりますが、これについて何点か質問をしていきたいと思います。
たしか最初に、こうした試算を出したのは二〇一四年、平成二十五年度の年次財務報告書が初めてではないかと思いますが、このときに将来推計、社会保障関係費については、今後二十年で、たしか毎年約三百億円ずつの増額が必要になるという試算だったと思います。
しかし今回、予算案の概要、昨年出された年次財務報告書も同様ですが、毎年の増額幅が約三百億円から四百億円というふうに幅を持たせており、実質的に増額になっています。
毎年の増額幅がふえるわけですから、二十年以上たちますと、さらに大きな、増大になっていくということで、こうした毎年の増額幅が社会保障関係費で拡大したという将来推計が行われた、その要因は何でしょうか。
○松川主計部長 不安定な歳入構造のもと、新しい東京の創出を目指し、東京の無限の可能性を引き出す取り組みを積極的に推進していくためには、都財政にとって避けることのできない中長期的な財政需要を認識していくことが重要でございます。
こうした観点から、平成二十六年度に実施した社会保障関係経費の推計について、その後の新たな施策展開を盛り込むとともに、最新の国勢調査に基づく人口構造の変化を加味した上で、二十八年度に試算を改定したものでございます。
今回お示ししております社会保障関係経費の推計は、二十八年度に実施した推計をベースとして、直近の決算値に、基礎数値を置きかえ、更新したものであり、二十九年度予算におきましても、三百億円から四百億円の増と記載してございます。
なお、二十六年度に実施した当初の推計と今回の推計を比較し、増額幅が拡大した主な要因といたしましては、待機児童対策や高齢化対策など、この間、新たな施策展開を図った事業を推計に盛り込むとともに、推計を行うに当たり、保育サービス利用者数や要介護者数の将来見込みを新たに加えたことが挙げられます。
○曽根委員 たしか四年前にも、この財政委員会だと思いますが、指摘をしたと思いますが、その当時の保育の事業の予算規模や、それから特別養護老人ホームについても、都民要望は非常に強いと、我が党はずっと一貫して強調していましたが、それに見合ったものに十分なっていなかったと。もしくは土地代の助成がちょうど打ち切りになってしまって、特養ホームを建てるのに土地代の補助が出ないというのも、非常に大きなネックになっていた時期です。
したがって、この将来推計は、今後、制度そのものの充実をさせる中で、当然ふえていかざるを得ないだろうと、毎年の増額幅もふえるだろうというふうなことは指摘をしたことがあります。
実際、その後、都民要望が非常に高まって、保育、待機児問題も、つくってもつくっても追いつかないほど、やはり需要が広がっていく、また期待も高まっていくと。それで保育士さんも不足して、これに対する待遇策もかなり充実させなきゃならないというふうなことで、毎年の、さっき新たな施策展開というお話ありましたが、そういった制度の充実によって、今後の増額幅も大きくなっていくと。これはある意味で都民要望に基づく施策ですから、当然のことだと思います。
その中で、私たちは、二〇一六年十二月、おととしに、小池知事になって初めての実行プランが策定されましたが、ここでも保育事業や特養ホーム整備などの目標を引き上げているわけですね、今後の目標を引き上げている。
このプランの実施にかかわる費用は、今回の試算には当然含まれていると思いますが、確認をしておきたいと思います。
○松川主計部長 本推計は、現行の制度下で既存の事業を継続するという前提で、高齢者分野や子供家庭分野など各分野の事業ごとの二十八年度決算額に、人口推計などの変数や物価上昇、保育サービス利用者数や要介護者数の将来見込みを反映するなどして試算したものでございます。したがいまして、実行プラン事業の経費につきましても、待機児童対策や高齢者対策など、主要な継続事業については本推計に含まれております。
○曽根委員 当然のことですけれども、小池知事になって最初の実行プラン、もう目標引き上げましたよね、これが含まれていると。したがって、それも増額分の中には織り込まれているというふうに思います。
ただ、この保育園の目標は、今、保育サービス全体の拡大というのを提起しているんですが、私どもは、認可保育園中心にならざるを得ない、現に、認可保育園が新しい保育園建設の大半を占めていると。それは都民要望に基づくものです。こういったことや、それから特別養護老人ホームは実際、待機者の数にまだ見合った目標まで引き上がっているとはいえないという点から、特に福祉施設整備の目標が十分に都民要望を反映しているとはいい切れないという点から、今後もさらに求められてくる拡大があるだろうと。
それから、介護についても保育についても、また障害者施策についても、今、次々とやはり新しい課題が提起されていて、実際には、障害者の手当についても、今、拡大をしつつあるわけです。
こういったものを見ますと、今後も、さらに福祉予算の拡大が制度として必要になってくる可能性は高いと思いますが、今後、社会保障関係費の増額幅ももっとふえていくことが想定されるとすれば、それに備えた、今回見直したように、さらに将来推計の見直しや改定を行っていく必要も出てくると思うんですが、いかがでしょうか。
○松川主計部長 東京の六十五歳以上の老年人口が平成二十七年から三十年間で約一・四倍に増大するなど、社会構造の大きな変化が見込まれる中、社会保障に係る膨大な財政需要をしっかりと把握することは重要な視点であると考えております。このため、社会保障関係経費の推計につきましては、平成三十年度予算の発表に合わせまして、今回基準とする数値を最新の平成二十八年度決算に時点修正するなど必要な見直しを行っております。
今後とも、社会構造の変化に対応し得る持続可能な財政運営を行っていくため、適切に対応を図ってまいります。
○曽根委員 社会保障関係費は、今後、東京の人口もオリンピック後には頭打ちになっていくといわれていますが、しかし、高齢化率は高まっていくわけで、他の地方は、既に高齢化が進んでいるのに比べて、これから高齢者対策を初めとした福祉関係予算、社会保障予算が必要になってくるわけですから、これは当然、そういうことも予想して、適時見直しをしていく必要があると思っております。
同時に、将来推計で、今、三種類やっていますよね。一つは社会資本、都有施設の維持更新経費です。これについても私、実は、もうおととしぐらいになりますけれども、決算でずっと出されてきた建設局や港湾局、その他の土木関係の都有施設の維持更新経費を引っ張り出して十年間集計してみたんですね。そうすると、多分二〇一五年度だと思いますが、その決算までの十年間で、大体、維持更新経費も一・五倍にふえていました。都有施設関係も新しい施設も当然ふえますし、道路もふえていくわけで、それに伴っての維持更新経費もふえてきているんですね。
今後も、今までのペースかどうかわかりませんが、十年間で一・五倍ふえているわけですから、こちらの方もやはり増額していく可能性があると思いますし、それから防災対策の費用、今回、昨年から新たに加えていますが、これについても本当に防災に何が必要かというのは、まだまだ発展途上の分野ですので、今、私たちが要求しているのは、新耐震基準になった後も、熊本地震の教訓からすれば、壊れている住宅が出てきていると。ですから、西暦二〇〇〇年以前のものは、やはり耐震診断や耐震補強の助成が必要になってくるだろうというようなことも含めて、全体として、東京都としての財政需要は大きくなっていくと。将来推計も拡大せざるを得ないんだと。このことを、大事なのは国に対してきちんと突きつけていくということだと思います。
東京のように大都市の抱えている、都道府県でいいますと首都圏の各県、今、消費税の分配率の問題でもって足並み乱れているんですけれども、大都市需要としては、自治体はこれだけ大変な問題を将来に抱えているんだということを、やはり連携を強めて、国に物申していく必要があると思いますが、いかがですか。
○松川主計部長 都は、歳入の根幹をなす都税収入が景気変動の影響を受けやすく、不安定な財政構造にある中、少子高齢、人口減少社会到来に伴う社会保障関係経費の増大を初め、都市の老朽化への対応、災害に強いまちづくりなど膨大な財政需要に対応していかなければなりません。
こうした都の現状を知ることなく、国は、平成三十一年度税制改正で、これまで繰り返してきた不合理な税制度の見直しについて、さらなる拡大を検討する動きを見せております。
このような都民生活を脅かす不合理な財源収奪の動きに対しましては、広く都民の皆様の理解を得て、国に訴えていくことが重要と考えておりまして、今回、国の主張の問題点に加えて、都が抱える財政需要をまとめたPR冊子を、予算案発表とあわせて公表させていただきました。
今後とも、都議会の皆様のご協力をいただきながら、オール東京で一丸となり、あらゆる機会を捉え、都の主張を強力かつ戦略的に展開してまいります。
○曽根委員 国に対して、当然ながら今回のパンフレットも若干は今の将来推計のことも指摘をされていますけれども、引き続き声を上げていく必要があると。
消費税の問題があってから、都内の区市町村とは連携するということは非常に強調されるんですが、首都圏の自治体同士もしくは全国的に自治体が抱えている財政不足、財源不足を、やはり国に対して連携していっていかなければ、本当に大きな力にはならないという点は私、大事だと思います。
それから、都として独自にも、国の収奪を許さないだけではなくて、不要不急の、特に大きな新規の公共事業などは、やっぱり厳正に適切に抑制をしていくということが重要だと思います。
実は先日、私、予算特別委員会で質問し切れなかったんですが、建設局に、来年度予算で外環道の予算が減っているわけですよね。昨年まで四年連続二百九十五億円ぐらいだったのが、新年度については百三十三億ですか、ぐらいに減っているわけです。何で減ったのかということをお聞きしたら、去年の、これまでの事業の進捗が進まなかったということを反映して、来年度予算については減額せざるを得なかったといっていました。
じゃあ、今年度、二〇一七年度は進捗しているのかと。これは当然、進んでいないのは当たり前です。去年の四月ごろに談合疑惑が出て、九月には入札が中止になって、その後、本線のトンネルもなかなか工事が始まらないという状況で、これもおくれているし、五千億円規模の中央ジャンクションの入札がいまだに行われないわけですから、この事業は今後もずっとおくれていくと。その談合疑惑になっている大成建設を初め四社が、リニア談合でも指名停止になっていますから、これが一年間続くわけですよね。
ほかにも談合が出るかもしれないという中で、私、こういう事業は、もう本当に根本から見直した方がいいと思うのと同時に、こうした構造的な問題を抱えた大型幹線道路、特に地下トンネル工事の道路についての見直しなども含めて、大型事業に対する厳しい見直しを求めていきたいと思っております。
巨額の事業費を要する大型開発、道路事業にメスを入れて適切に抑制を図っていくという点で、財務局の見解を伺っておきたいと思います。
○松川主計部長 東京の都市機能を支えるインフラ整備への投資は、東京の持続的発展の基盤となり、都民の利便性と生活の質の向上を図る上でも不可欠であることから、見直すべきものは見直しを行った上で、真に必要な取り組みを着実に進めていく必要がございます。
こうした観点から、平成三十年度予算案におきましても、中長期的な視点を踏まえて、必要な投資は積極的に行うとともに、執行状況を踏まえ、特定整備路線の整備に係る予算額を、前年度比で減とするなど、賢い支出を徹底しております。
今後とも、事業評価の取り組みなどにより、事業の必要性や経費の内容を厳しく検証しつつ、都政の諸課題にしっかり取り組んでまいります。
○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時三十二分休憩
午後二時四十五分開議
○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○上田委員 財務局ということで、多岐にわたりますから、端的に全体の質疑をさせていただきたいと思います。
最初に、入札についてでございます。4号、5号資料、五ページから八ページの方を出していただきました。ありがとうございます。
入札参加者の状況なのですが、大企業が五百八十三社、中小企業が八千七百十五社ということですが、いかにも中小企業が、数から見ると多いふうに思いますが、金額にするとどのぐらいの比率になるか確認させていただきます。
○五十嵐契約調整担当部長 平成二十八年度の実績では、東京都全体の工事件数一万六千八百四十件に対しまして、中小企業が受注する件数は一万四千三百四十件、全体に占める割合は約八五%でございます。
また、金額につきましては、全体金額が一兆六十九億円に対しまして、中小企業が受注する金額は五千百三十六億円で、全体に占める割合は約五一%でございます。
○上田委員 件数割合が八五%ですが、金額は半分ということでありました。
中小企業の受注については、各委員も危惧するところでございます。これまでどおり入札に参加できているのか、悪影響はないのか、入札制度改革におきまして、対応状況、今後の見通しにつきまして所見を含めてお尋ねします。
○五十嵐契約調整担当部長 中小企業は、地域社会の活力や雇用の創出、災害時の機動的な復旧活動などを担っていることから、安心して活躍できる環境の整備は重要な視点と認識しております。このため、都はこれまでも、競争性、公平性、透明性などの公共調達に求められる視点を踏まえつつ、都の中小企業の受注の機会の確保を図るため、工事規模に応じた等級別の発注、工事における分離分割発注などを実施してまいりました。
引き続き、そうした取り組みを徹底するとともに、今回試行している入札契約制度に関しましても、入札監視委員会から、契約制度としての原則を踏まえつつも、入札参加に際しての負担軽減など中小企業への一定の配慮の必要性を理解する意見があることを踏まえながら、中小企業が十分に力を発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。
○上田委員 配慮があるということでございます。
一方、入札改革においては、価格とともに公共調達の本来の目的である都民福祉の向上という観点が必要でございます。やはり、どうしても低コストでよい仕事を、コストは抑えてよい仕事をということでございます。
つきましては、総合評価方式により、都民益をどのように実現をしていくのか、現状の取り組みにつきましてご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 総合評価方式は、経済性に配慮しつつ、技術力など、価格以外の多様な要素を考慮し、価格及び品質が総合的にすぐれた内容の契約を行う方式でございます。
総合評価方式の適用工事では、公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が施工することにより、工事目的物の性能の向上や施工不良の未然防止等による総合的なコストの縮減など、工事品質の確保や向上が図られることとなり、そうしたことが都民利益の実現につながるというふうに考えております。
総合評価方式の適用に当たっては、事業者の新規参入にも配慮しながら、適用工事の三割、工事全体としては二割を目標に設定し、積極的に推進しているところでございます。
○上田委員 新規参入の配慮、重要な点でございます。
昨年の事務事業におきましては、まず総合評価方式に当たっては、企業の社会性、信頼性に基づくとのことでしたが、どのように定義し、配点に反映するのか、考え方を具体的にご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 都の総合評価方式は、価格点と技術点で構成され、技術点の中には、企業の社会性、信頼性の項目を設定しているところでございます。
例えば、施工能力審査型総合評価方式での企業の社会性、信頼性の項目は、一つ目として、都と災害協定等を締結しているかどうか。二つ目として、道路維持など施設維持に係る単価契約工事や災害時における緊急施工工事を完了した実績を有しているか。三つ目として、施工地域周辺における工事施工実績を有しているか。この三項目を設定し評価を行い、それぞれに該当する場合に各一点の加点を行い、合計三点の配点としているところでございます。
○上田委員 いずれにしろ、公平、公正であるかなというところを確認させていただいているんですが、工事品質の確保と地元中小企業の受注機会とのバランスについての考え方を具体的にご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 将来の公共工事の品質を確保するためには、適切な競争入札のもとで、適正な価格で、優良な事業者が受注できる環境を構築していくことが重要と考えております。
また、都の入札に参加する事業者の九割以上が中小企業であり、単に公共工事の受注者ということであるだけではなく、地域社会の雇用、経済活動を支え、災害時の復旧活動などを担うなど、中小企業の果たす役割は非常に大きいと認識しておりまして、将来の担い手として育成する必要があると考えております。
都では、こうした工事品質と地元中小企業の受注機会の双方を確保していくための制度の一つとして、総合評価方式を活用しているところでございます。
具体的には、評価項目として、工事成績などの企業の施工能力のほか、先ほども申し上げましたが、災害復旧などの協定や緊急施行工事の実績などの項目を設定し、中小企業の中でも、より積極的に地元貢献に取り組む地元企業をより高く評価することとし、工事品質の確保と地元企業の受注機会のバランスをとった仕組みとしているところでございます。
○上田委員 地域貢献とコストと、あとは新規参入というバランス、非常に難しいところでありますが、引き続きましてご報告いただく等、情報公開することで適正に行われていることを確認させていただきたいと思っております。
財務局では、予定価格の事後公表に伴い、秘密情報の厳格な取り扱いが一層重要となっているため、コンプライアンス研修を悉皆で実施しているというご答弁をいただいておりました。
その後、小笠原支庁における価格漏えい事件が明らかになりました。本件を受けて、原因解明、調査の状況、関係職員の処分についてご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 本件事案につきましては、総務局及び関係局による調査は既に終了しておりまして、平成二十九年十一月二十九日に、契約情報を事業者に漏らしたとして、職員の懲戒処分がなされた旨が、総務局のホームページで公表されているところでございます。
公表されている情報によりますと、直接関与した事故者に対しましては、停職一月から六月、管理監督者等八名に対しましては、減給や戒告などの処分を行ったところと聞いております。
○上田委員 本件に関しては、職場風土、殊に慣習化していたと仄聞をしておりますが、職員、先輩後輩関係による拘束、官製談合が助長され、引き継がれてきたのではないかということを懸念するものです。
また、ほかの部署では類似の状況がないのか、確認をさせていただきます。
○五十嵐契約調整担当部長 お話の他の職場における職員の服務や職場風土に関する内容につきましては、財務局としては把握しておりませんが、財務局としては、不適正な契約事務が行われないよう、毎年度、各局に対しまして実施している契約事務に関する研修等の機会を捉えまして、引き続き適正な契約事務の執行に向けて周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○上田委員 本件もありまして、私が当選してからも何件か、水道局でしたか、いろいろと服務に関する事案があったと思います。
殊に本件を受けて、問題を全庁的に共有し、再発防止にどうつなげていくのか、来年の取り組みについてご説明いただき、局長の意気込みをお示しいただければと思います。
○武市財務局長 契約事務は、予定価格を初めとするさまざまな秘密情報を扱うことから、各局に対しまして、厳格管理の徹底を求めてまいりましたが、そうした中で、一部の事業所で予定価格の漏えいがあったことは残念でございます。痛恨のきわみでございます。
こうした事故の再発防止は、制度のみで対応することにはどうしても限界がございます。契約事務に携わる職員一人一人の自覚と意識づけを徹底していくことが必要と考えております。これまでも種々の取り組みを実施をしてございますが、来年度も各局等に対する通知、研修などを繰り返し行っていくことで、契約事務におけるコンプライアンスの徹底を図ってまいります。
○上田委員 コンプライアンスの徹底あっての入札制度改革ということでありましょうか。
予定価格の事後公表制度が試行されております。入札改革に向けまして、小池知事の英断でチャレンジを試みたことは高く評価するものでありますが、つきましては試行の成果と課題、今後の取り組みについてご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 予定価格の事後公表の試行の結果としましては、一者入札や落札率九九%以上の落札が大きく減少しており、都民に対して入札が適切に行われていることを示すことができたと認識しております。
一方、課題としましては、不調率が財務局契約案件で約二〇%、各局契約案件で約三〇%と制度改正前と比較して増加していることがございます。
ことし一月に実施した事業者団体との意見交換では、事後公表の継続を求める声もあった一方で、中小企業では、積算事務の負担の増大等により、都への入札参加意欲は減退しており、事前公表に戻してほしいとの意見も寄せられたところでございます。
現在、入札監視委員会でのご意見や業界団体との意見交換を踏まえて検証を進めているところでございまして、こうした現場の声を受けとめながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。
○上田委員 チャレンジが痛みとならぬよう、引き続きのお取り組みをお願いいたします。
事後公表制度の試行に当たっては、予定価格を記載した書類の封印処理など、厳格管理情報のさらなる管理の徹底を図るとともに、事業者に対しても、予定価格等を聞き出そうとする、いわゆる探り行為につきましても、新たに指名停止等の措置の対象に加えたとのことですが、実際にそのような事案は把握されたのか、管理の厳格化とともに状況と今後の対応をご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 昨年六月の予定価格の事後公表の試行開始から現在までに、いわゆる探り行為による指名停止を受けた事業者はございません。
今後とも、都民の信頼を損なわないよう、情報管理を徹底するとともに、探り行為を初めとする指名停止要綱に該当する行為があった場合には、手続に従って適切に対応してまいります。
○上田委員 探り行為はなかったということではございますが、三月六日の報告と中途議決で、本日の百二十号議案にもなりましたとおり、リニアの問題で一つ補正予算も出ました。
また、十三号地のふ頭ターミナルの電設工事も、低入札で調査票を出さない業者さんが複数いらしたということや、そもそも辞退が非常に多いということで、大きな制度改革も重要ではございますけれども、一つ一つの入札を丹念に見ていくという積み重ねが大きな制度改革になるということで、今後も一つ一つの入札につきまして、チェック機能と、あとはやはり辞退と、書類を出さないということに関しての調査とそれに対する対案を重ねていっていただきたいと思います。
次に、財産運用についてです。
前回の事務事業質疑におきましては、保育所等の都有地の有効活用につきまして、各局等に対し、保育所等として利用可能性のある都有地を可能な限り情報提供してもらえるように依頼、各局におきましても、所管の都有地を幅広く調査、活用可能性のある土地について精力的に洗い出して進めるとのご答弁がありました。
その後の取り組み状況と来年度の推進体制、目標の設定につきましてご説明ください。
○山根財産運用部長 都では、平成二十八年九月に、都有地活用推進本部を設置し、保育所等として活用可能性のある都有地を全庁的に洗い出し、区市町村に情報提供する取り組みを実施しているところでございます。
昨年十月の事務事業質疑以降につきましては、事務局である財務局から二回調査を実施し、計五つの局等から新たに八件の都有地を洗い出し、昨年十一月及び本年二月に区市町村に情報提供いたしました。
本部発足後、これまで六回にわたり十二の局等から、計二百五十四件の都有地を洗い出し、区市町村に情報提供してまいりました。
来年度におきましても、都有地活用推進本部における全庁的な都有地の洗い出しなどの取り組みを着実に継続し、都有地を活用した保育所等の整備推進に努めてまいります。
○上田委員 数値目標の方も把握させていただきました。
たしか文京区だったかと思います、一般質問でも、保育園プラス福祉施設というような区市町村の要望を聞いて、都が柔軟に対応している状況も確認をさせていただいているところですが、区市町村を含めたニーズの把握の状況と、公有地全般の活用状況などの実態把握がどのように進んでいるのか、また、来年度の取り組みについても改めてご説明ください。
○山根財産運用部長 都有施設の移転改築等が予定されている土地などについては、早くから都に対し、問い合わせを行う区市町村もあるなど、地元自治体からは、各局や財務局に対し、日常的に都有地の状況について照会がございます。
また、財務局に引き継がれた未利用地の普通財産の都有地につきましては、原則として、庁内での利用の意向がない場合、改めて地元区市町村に情報提供し、活用の意向を確認しております。
さらに、都有地活用推進本部では、行政財産を含め、保育所等として活用可能性のある都有地について、公営企業局も対象に全庁的に洗い出し、区市町村に情報提供するとともに、保育所等としての活用の意向も確認をしております。
このような取り組みを通じて、区市町村における都有地の活用の意向や都有地の利用状況の把握に努めております。来年度も、こうした取り組みなどにより未利用都有地の有効活用を図ってまいります。
○上田委員 確かに、私ども江戸川区でも、児童相談所の移管につきましては、都の、公営企業でございますけれども、下水道局の土地を活用させていただき、今後も、江戸川区庁舎も非常に古いということで、東京都の方にご協力をいただいていくことになるかと思います。今後とも、連携と情報提供をお願いしたいと思います。
次に、土地信託の全体的な収用状況、更新状況など、現状の報告と今後の対応につき、前回事務事業質疑でも確認させていただきましたけれども、その後、何か変更事項や新たな課題が発生しているか、予算編成にあっての措置、来年度の対応について、ご説明ください。
○鈴木利活用調整担当部長 財務局が所管しております三信託の現在の運営状況は、空き床の解消、適切な賃料設定など、適宜信託銀行へ報告を求めることで、入居率は、ほぼ一〇〇%を維持しているとともに、建物、設備は適宜修繕を実施し、良好であり健全な運営状況にあると考えております。
また、都は、信託銀行から、当該年度の事業実績報告及び翌年度の事業計画の報告を義務づけてヒアリングなどを実施し、信託全般の収支計画を検証していく過程の中、大規模修繕計画の実施に関する創意工夫の情報を共有化することで経費の節減や建物の資産価値の維持などに努めております。
来年度の対応につきましては、コスモス青山が信託期間満了の三年前を迎えることから、信託契約上、受託銀行と協議を行うこととなっておりまして、不動産鑑定士や弁護士など専門家の意見を聞くための委託契約を進めてまいります。
また、残りの二信託も含め、都は必要に応じて修繕計画の検証、緊急的な工事の妥当性、省エネ化の推進など、資料または報告を信託銀行に求めながらチェックを行ってまいります。
こうした取り組みを通じまして、土地信託事業として安定的な事業運営がなされるよう、今後とも、適切な運営に努めてまいります。
○上田委員 入居率一〇〇%、安定的な事業運営を確認させていただきました。こうした安定的な財産管理の次は、今後の社会資本ストックの財源確保の方にちょっと関心があります。
昨年度決算の実績と評価と予算編成に当たりまして、財源確保に向けてのご所見を伺います。
○松川主計部長 平成二十八年度決算では、都市機能の強化、災害に強い都市づくりなどの課題に積極果敢に取り組む一方、歳出の精査などにより生み出された財源を活用し、新たに創設した無電柱化推進基金に七百億円の積み立てを行うなど、戦略的な施策展開のための財源を確保いたしました。
平成三十年度予算では、エビデンスベースによる評価を新たに導入するなど、事業評価の取り組みを一層促進し、過去最高となる八百七十億円の財源確保へとつなげる一方で、これまで計画的に積み立ててきた基金を社会資本ストックの維持更新などの施策を進めるための財源として積極的に活用しております。
具体的には、街路や都立学校などのインフラ整備のために、社会資本等整備基金を九百六億円、耐震化や不燃化、豪雨対策のために、防災街づくり基金を九百九十四億円取り崩し、活用することといたしております。
引き続き、都民の貴重な財産である社会資本ストックの維持更新等を安定的、継続的に実施していくため、財政対応力をしっかりと堅持してまいります。
○上田委員 エビデンスベースによる評価を新たに導入する事業評価の取り組みを一層推進されたということでございますが、事業評価の取り組みを活用しながら事業の必要性や経費の内容などを厳しく精査し、見直すべきものは見直した結果の説明と、必要な投資は積極的に行い、東京の持続的発展の基盤づくりに向けての予算編成と来年度への展望を伺いたいと思います。
○松川主計部長 平成三十年度予算編成では、終期を迎える事業に対する事後検証を徹底するなど、事業評価の取り組みを一層促進し、六百七十六件の見直し、再構築を行うなど、過去最高となる八百七十億円の財源確保につなげるとともに、執行状況を踏まえ、木造住宅密集地域整備事業に係る予算額を前年度比で減とするなど、見直すべきものはしっかりと見直しを行いました。
一方で、こちらも過去最高となる四百七件の新規事業の構築や待機児童解消区市町村支援事業、特別養護老人ホーム整備費補助の大幅な拡充、無電柱化や豪雨対策など、災害に強いまちづくりに向けた取り組みなど、新しい東京の創出を目指し、東京の持つ無限の可能性を引き出すため、必要な投資に対しては積極的に予算を措置しております。
今後とも、将来を見据えて財政の健全性を堅持しつつ、都政に課せられた使命を確実に果たすとともに、東京のさらなる発展を、日本全体の持続的成長へとつなげてまいります。
○上田委員 財源確保に向けての確認をさせていただきました。
次は、お膝元の都庁舎の維持管理についてです。
都庁舎ですが、初期投資である第一本庁舎、第二本庁舎及び東京都議会議事堂の建設費は千五百六十九億でございまして、平成二十一年度から三十二年度まで実施予定の都庁舎改修プロジェクトは約七百六十二億円でございました。現在、改修工事を進めているところであります。
また、建物維持管理に必要となる修繕費は、平成十年度から二十七年度まで四十四億円であり、一年当たりの平均にいたしますと二億四千万円、平成二十七年度の光熱費、清掃委託などの都庁舎維持管理費は三十五億円ですが、二十八年度の実績と三十年度の見通し、また、それが適正であるかどうか、根拠を示した上で所見を伺います。
○米今庁舎運営担当部長 平成二十八年度の光熱水費、清掃委託などの都庁舎維持管理経費は三十二億円、三十年度予算額は三十三億円であり、予算額については過去の実績をもとに計上しております。
なお、ランニングコスト低減対策としては、都庁舎改修工事において、例えば、空調設備更新の際に、冷水量や送風量を低減できる大温度差空調方式の導入、照明に使用する電力を低減させるLED化などを実施しております。また、清掃業務委託においては、二十八年度より総合評価制度を順次導入することにより、品質確保をあわせて行ってきております。
このような取り組みにより、引き続き都民サービスの向上や施設維持管理の効率化を図るとともに、可能な限りランニングコストの低減にも努めてまいります。
○上田委員 そうですね、サグラダ・ファミリアのように、常にどこか工事をしているという感じでございまして、ぜひランニングコストの圧縮はお願いしたいと思います。
毎度、済みませんけれども、千八百平米、職員組合事務所十二団体が二十七年、足かけ二十八年、無償貸与をしておるというところでございます。
資料の8号、一二ページの区市町村への無償貸与につきましては、大変意義がある内容ではありますけれども、こちらについての賃料をいただくとか、民間に貸すとかということの検討をお願いしまして、次に移ります。
都債発行です。一四ページの10号資料でございます。
史上初めてのマイナス金利という状況にある現時点において、金利と手数料を含めた都債発行コストの圧縮抑制策について、どのような考えをお持ちか、対応状況、今後の見通し、幾らまで圧縮するのが適当と考えているのか、そのスケジュールと金額を踏まえた上での具体的な所見をお願いします。
○松川主計部長 都はこれまで、有利かつ安定的な資金調達に努めるとともに、この低金利環境下におきましても、基幹となる十年定例債や、三十年の超長期債等を適切に活用し、計画的かつ柔軟で機動的な起債運営に努めてまいりました。また、発行条件、決定方法の見直しや商品性の改善を進め、引受金融機関のリスクや事務量を軽減することなどにより、発行手数料を引き下げてまいりました。
発行コストにつきましては、市場の相場により変動するため、圧縮に関する具体的なスケジュール、金額をお示しすることは困難でございますが、今後も、投資家ニーズを機敏に捉え、市場との信頼関係を確保しながら、有利な資金調達を追求するとともに、適切な手数料水準の設定に努め、都債発行コストの圧縮について総合的に管理してまいります。
○上田委員 今後も確認させていただきます。
少額随意契約についてです。
11号、一五ページになりますが、財務局の金額帯別件数と合計金額をお示しいただきました。今回、財政委員会で質問させていただいているんですが、昨年の十一月二十八日、質疑において契約調整担当部長が、少額随意契約において、過度な分割発注の抑止を、財務局が各契約所管部署宛てに通知をしたというご答弁をいただいております。
その後の私の文書質問に対しましても、少額随意契約における過度な分割発注への対応として、今後とも、各局の契約事務担当者を対象とした研修、説明会などの機会を捉えて周知を実施する旨の回答もいただきました。
財務局での通知及び研修、説明会は実施されているようでありますので、過去にかなりの件数の過度な分割発注があったやに思われ、監査委員による指摘を含めた各局別の分割発注の確認件数、金額を契約件名別にお示しください。
○五十嵐契約調整担当部長 監査委員による分割発注に関する指摘につきましては、過去三年間の監査報告書を確認いたしましたところ、年度別に申し上げますと、平成二十七年定例監査では三件で、病院経営本部発注のワゴン外二十三点の購入、契約金額は約一千百万円、交通局発注の大江戸線TID通信設備工事、契約金額が約一千五百万円、教育庁発注の文化祭ポスター外二点の印刷、契約金額が約四十六万円でございます。
平成二十八年定例監査では二件でございまして、福祉保健局発注の構内樹木管理育成作業委託で、契約金額が約二百万円、病院経営本部発注の厨房内浄水器カートリッジ交換、契約金額が約三百四十万円でございます。
平成二十九年定例監査では一件で、建設局発注の転落防止柵の補修工事で推定総金額が約一千万円でございます。
○上田委員 毎年、どこかで発生しているということを確認しました。
この分割発注抑止の通知は、過去一件だけだったのか、また、同様の分割発注抑止に関し、毎回通知を繰り返しているのか、お示しいただければと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 入札で実施すべき規模の契約を安易に分割して随意契約とするなどの取り扱いは、厳に慎む旨の通知を、過去十年程度では二回発出しているところでございます。
具体的には、一回目は、平成二十四年十二月十一日付、二四財経総第一七一一号、契約事務の執行に当たり留意すべき事項等についての第七、二回目は、平成二十九年五月二十六日付、二九財経総第五八一号、入札契約制度改革の実施方針により実施する具体策に係る基本的な取り扱いについての第四の七により通知しております。
なお、こうした通知を踏まえまして、委員からもご指摘がございましたけれども、毎年、財務局が実施している契約事務の研修の中で、こういったことにも触れて注意を促しているところでございます。
○上田委員 五年ぶりに注意喚起が出たということで、入札契約制度改革が、この少額随契にまでいったのだなということがわかりました。
この少額随契ですけれども、財務局では、毎年七千万から八千万前後の契約金額となっております。その内訳について、契約種類別の内訳をお示しくださればと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 財務局におけます少額随意契約につきましては、そのほとんどが物品の買い入れとなっております。
年度別に見ますと、平成二十六年度全体で契約件数が四百三十六件、契約額でいえば総額で約八千万円、以下同様に、平成二十七年度全体で四百二十六件、約八千万円、平成二十八年度全体で四百二十七件、約六千七百万円でございます。
平成二十八年度の契約種別の内訳でございますが、物品の買い入れは、契約件数が二百七十四件、契約額は総額で約三千六百万円、一件当たりの契約の平均額は約十三万二千円でございます。以下、同様に、物件の借り入れにつきましては三十一件、約四百七十万円、一件当たり平均で約十五万三千円、財産の売り払いは三件、約三十三万円でございまして、一件当たりの平均は約十一万円となっております。
委託等につきましては、全体で百十九件、約二千六百万円で、一件当たりの平均は約二十二万一千円でございます。
なお、工事関係、物件の貸し付けについては、過去三年間で、いずれの年度も契約実績はございません。
○上田委員 契約時における分割発注に対するチェック体制も、あわせてお示しください。
○五十嵐契約調整担当部長 都におきましては、契約部署と事業実施部署を完全に分離しておりまして、事業実施部署から契約部署に対して、契約締結請求があったときに、契約部署において契約事務を行っており、財務局も同様の事務となっております。契約部署では、発注に際して発注単位が適切かどうかも含めて確認をしているところでございます。
○上田委員 ちょっと私も、ん、と思ったんですけれども、一つの事例として、港湾局の工事施行規程実施細目第三条は、工事の実施計画は、原則として一件ごとに設計、起工及び施行時期を定めるものとするとの規定がありますけれども、この理念が分割発注を禁止する明確な規定のように思われますが、実態を踏まえて見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 ただいまお話にございました工事施行規程実施細目は、港湾局におけます工事施行規程の取り扱いを定めるものでございまして、契約の規模を定めるものではございません。
また、その三条につきましては、工事の実施計画を複数の工事にまとめて計画をつくるということではなく、工事一件ごとに設定するということを求めているものでございまして、分割発注を禁止する趣旨の規定ではないというふうに認識しております。
○上田委員 各局も健全な発注、そして受注につきましてもご努力をしているとは思うんですけれども、これだけ少額随契にフィーチャーされたこともないと思いますが、やっぱりこういったところで無駄をなくしていく、不正をなくしていくということが私は重要だと思っております。
都庁における契約事務総体を踏まえまして、少額随意契約が適正に執行されていると考えていらっしゃるのか、財務局の見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 少額随意契約につきましては、全体としては適正に運用しているというふうに考えておりますが、一部の局や事業所におきまして、監査委員から分割発注に関する指摘を受けたことについては、大変残念に考えておりますし、その中でも、入札すべき規模の契約を分割して少額随意契約としている、幾つかの過度な分割発注の事例に関しましては、契約の公正性や経済性を損ねることから、しっかりと改善していく必要があるというふうに考えております。
一方で、競争入札における契約を適切な規模で分割発注することは、官公需法で求められている中小企業の受注機会の確保につながるものでございまして、都の政策である中小企業の保護育成にも寄与するものであるというふうに考えております。
今後も、過度な分割発注とならないよう、契約制度所管局として全庁に対し、研修や説明会等の機会を通じまして、繰り返し周知徹底を図ってまいります。
○上田委員 ありがとうございます。財務局としては、過度な分割発注は、契約の公平性や経済性を損ねるという強いご自覚があることを確認させていただきました。
続きまして、東京グリーンボンドについてでございます。
一八ページ、13号の資料でございますが、さきの事務事業におきまして、都の環境施策に対する理解や共感をさらに育むことを、東京グリーンボンドの発行の目的とご答弁いただきました。
まず、理解や共感をいかなる方法で把握するのか、具体的にご説明ください。
○松川主計部長 これまで、グリーンボンドの発行方針の策定、投資家への説明会やリーフレットの配布などを通じ、東京グリーンボンド発行の趣旨を投資家に伝えてまいりました。その結果、機関投資家向け及び個人向けに発行した東京グリーンボンドにおいて、理解や共感をいただくことができたと考えております。
具体的には、機関投資家向けでは、発行額に対して約四倍の需要を得るとともに、意義に共感いただいた投資家から二十一件の投資表明を得ることができました。
個人向けでは、昨年度発行いたしました東京環境サポーター債よりも購入者数は一割ほど増加した上で、昨年度と同様、売り出し初日に完売となりました。
また、個人向け購入者へのアンケートでは、九割以上の方から発行意義に共感したとの回答があり、共感した割合が、昨年度の東京環境サポーター債からさらに増加いたしております。
このように、投資家からの需要や投資表明、アンケート結果等の手段により、東京グリーンボンドへの理解や共感を確認しております。
○上田委員 四倍の需要もあったということであります。
要求資料の二〇ページですが、脚注で、想定される環境効果とは、各事業の実施により得られる環境への好影響を指すとご説明いただいておりますが、環境効果の定義と各環境事業区分への充当の根拠とその考え方をお示しください。
○松川主計部長 東京グリーンボンドにおける環境効果とは、調達した資金により実施された事業から得られる環境への好影響のことでございます。
充当の考え方は、環境効果が想定される事業を抽出し、その事業に要する費用について、都税収入を初めとする財源全体の収入状況を十分見きわめながら計上することとしております。
なお、東京グリーンボンドを含む都債は、原則として地方財政法第五条などを根拠とし、世代間の負担の公平性の確保や財政支出と財政収入の年度間調整を図るという都債の機能を考慮した上で、投資的経費の財源などとして計上しております。
○上田委員 環境大臣まで務められた小池百合子知事が、本当に情熱を込めて始められている事業でございますが、地財法五条を根拠にする税金事業でございますので、しっかりと確認をさせていただくところでございます。
事業、予算、効果の関連性について、具体的な方法を踏まえてご説明ください。
○松川主計部長 事業、予算、効果の関連性につきましては、各局が実施を予定する事業に対し、都税収入を初めとする財源全体の収入状況を十分見きわめながら都債を充当し、事業を実施した結果、環境効果の発生が想定されるという関係にございます。
環境効果の例といたしましては、再生可能エネルギーの使用量などが挙げられます。その想定値は、研究機関が既に公表している算出式に当てはめ、その効果を算出したものでございます。
○上田委員 これまでのご答弁を踏まえまして、東京グリーンボンドの今後の活用と財産保持と環境効果の最大化に向けた意気込みをお示しいただきたいと思います。
○松川主計部長 平成二十九年度の東京グリーンボンドは、第三者機関からの評価により、その適格性や透明性を確保した上で、多くの投資家の共感を得て発行し、国内の貴重な資金が都の環境施策に向かう流れを創出できたものと考えております。
民間企業などの発行もふえ、国内グリーンボンド市場の活性化が徐々に進んでいると認識しておりますが、引き続き他の地方公共団体等への情報提供を行い、より一層の市場の活性化を促進してまいります。
商品の多様化や格付の維持向上などにより、地方債市場においてベンチマークとなっている都債の価値を一層高め、都債購入者の財産価値を保持できるよう努めるとともに、今後も、各局が実施する予定の事業から環境効果がより多く想定される事業を抽出し、都税収入を初めとする財源全体の収入状況を十分見きわめながら、東京グリーンボンドを効果的に発行してまいります。
○上田委員 費用対効果をしっかりと見ていただきながら、慎重に進めていただきたいと思います。
最後に、財務局議案課の事務とされている、議員待遇者についてお尋ねします。
議員待遇者会の活動状況、入会するとどのような特典があるのか、収支の状況、都や職員の対応状況や運営、人員の都の施設の利用状況など気になるところです。
議員待遇者の事務をなぜ財務局が所管しているのか、また、議員待遇者について現状、把握している状況があればご説明ください。
○松川主計部長 都議会議員待遇者とは、都議会議員を退職された方のことを指しております。財務局主計部議案課では、都議会に対する執行機関側の窓口としての事務を担っており、その一環として議員待遇者からの各種問い合わせ等にも対応するため、東京都組織規程の中で分掌事務にその旨を記載しております。
近年は、議員待遇者からの問い合わせ等は皆無となっているため、組織規程から当該文言は削除することとしており、既にその手続を進めているところでございます。
なお、議員待遇者会は、議員待遇者の一部有志による任意団体と承知しておりますが、執行機関としてその運営等には関与してございません。したがいまして、お尋ねの議員待遇者会の状況につきましては把握してございません。
○上田委員 では、もう規程から削除をするということで、手続に入っていることを確認させていただきました。
議会審議の形骸化が、昨今、指摘をされているところでございます。各局をリードすべき財政当局にあられましては、闊達な議会審議を通じて、都民、納税者へのアカウンタビリティーに資することを期待するものでございます。
情報公開が一丁目一番地、東京大改革のもと、水面下の調整で審議の方向性が決まって、ブラックボックスと、都民に三たび指摘されてしまうようなことがないよう願うところでございます。
小池百合子知事も、12号、一六ページの資料にあるように、地方消費税の清算基準の見直し、国による不合理な税制度の見直しに奔走をされております。しかしながら、努力むなしく年一千億円の減収となれば、十年で一兆円です。二〇三八年には、都の社会保障関係費が一兆七千三百三十二億円に膨らみまして、法人二税では賄い切れず、そのとき少子高齢化は今より進み、税収も景気も予断を許さない状況になっていると勘案します。
都の有する税金も土地も、そして施設も職員も全て都民のものであります。平成三十年度予算が十四兆円に膨らんだことへの評価は、私は複雑な思いもあります。好景気、税収アップに甘んじず、こういうときだからこそ、財政のお財布のひもをびっと引き締め、殊に次世代への税収依存を厳しく戒め、速やかな、中長期的プライマリーバランスを大前提にした、身の丈の範囲内での事務執行及び財政運営を強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○藤井委員 入札契約制度は、三十年度予算の使い方にもかかわる重要な内容でもあり、質疑をいたします。
今回の入札契約制度改革は、豊洲新市場やオリンピック・パラリンピックの施設整備などにおける一者、九九%を超える入札が、都民の注目を集めたことを契機にしております。
一般的に、公共工事においては、競争性、透明性、公正性の三つが重要だとされています。加えて、我が会派の伊藤都議の予算特別委員会の質問に対して、小池知事は、工事品質の確保、都内中小企業の振興、そして建設労働者の労働環境の向上、担い手の確保、育成などさまざまな観点からの検討は必要であると述べております。
入札契約制度改革について、その成果と課題を整理し、明確になった課題は速やかに改善することが必要と考えております。
私は、ことし一月の入札監視委員会制度部会の業界団体ヒアリング、五団体のうち三団体に参加してまいりました。東京都電設協会、東京建設業協会、そして東京都中小建設業協会です。加えて先週、三月十二日の制度部会の報告も直接、傍聴してきましたその観点から、質問をいたします。
まず今回、都が意見交換した建設業界団体は、どのような考えで選ばれているのか、お伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 今回、意見交換を行った五団体につきましては、平成二十一年の公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針に基づき、現場の声を反映した公平、公正な制度構築の参考とするため、平成二十二年度より、継続的に意見交換を行ってきた団体でございます。
都の工事発注が多い代表的な業種と事業者規模を選び方の基本といたしまして、建設土木の団体として、大企業から中小企業まで幅広い会員が所属する東京建設業協会、中小企業を中心とした東京都中小建設業協会の二団体を建築土木の団体としております。
設備の団体といたしましては、電気工事関係で、大企業を中心とした東京電業協会と、中小企業を中心とした東京都電設協会、給排水衛生工事関係では、大企業から中小企業まで幅広い会員が所属する東京空調衛生工業会の三団体の、合わせて計五団体としているところでございます。
○藤井委員 これまでも継続的に意見交換を行ってきた、そして中小企業から大企業まで代表的な業種をカバーしているということを理解できました。
厳しい論調の報道が多かったですが、実際に一月の業界団体との意見交換を傍聴すると、試行中の入札契約制度改革について、改革に対する評価のコメントも多くいただいていたと思います。どういった点が評価されていたか、お伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 予定価格の事後公表に対する評価の意見につきましては、大企業及び設備系事業者団体に多く、しっかりと積算した上で入札に参加することが望ましい、従前から要望もしていたという声がございました。
JV結成義務の撤廃に対する評価の意見は、設備系事業者団体に多く、JVの下位グループで工事に参加した場合、技術者を専任配置する負担に比べて売り上げ等のメリットが小さいため、JVを組まず、単体でも参加できる混合入札を歓迎するとの声がございました。
低入札価格調査制度の適用範囲の拡大に伴って調査を厳格にしたことにつきましては、ほぼ全ての事業者団体が評価し、ダンピング防止のために引き続き厳格な調査を求めるとの意見を多くいただいたところでございます。
○藤井委員 予定価格の事後公表については、きちんと積算した上で入札に参加する企業が評価されるという点、そしてJVの場合、下位のグループでは、負担に比べて売り上げ等のメリットが低いという点、低入札価格調査については、調査の厳格化など評価されたということがわかりました。
入札監視委員会の報告書案でも、事後公表に関しましては、一〇〇%近くの落札案件が大きく減少し、不良不適格業者の排除、品質の確保など、その制度そのもののメリット、国も事後公表を推奨していることなどを考え、今後も原則として事後公表を継続すべきとしております。
そしてJV結成の義務の撤廃に関しましても、競争を活発にするという点と、中小企業が単体で大規模な案件にチャレンジできる環境の整備は、意欲と能力のある中小企業を応援すること、品確法で定める将来の担い手の確保、育成に寄与するものであり、引き続き進めるべきとの意見が出されております。
一方で、業界からは課題も挙がっておりました。業界団体から課題とされた点をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 予定価格の事後公表の課題につきましては、主に中小企業の団体から、積算の負担が重く、都の入札への参加意欲が減退しているとの声が多く寄せられたところでございます。
JV結成義務の撤廃につきましては、JVが担ってきた中小企業の技術向上のための機会が失われたこと、総合評価方式においてJVを結成した際の加点が少なく、インセンティブが働かない、こういった意見が課題として挙げられたところでございます。
一者入札の中止につきましては、中止により事業がおくれる、入札準備が無駄になる、中止後の再発注の際、適正な工期が確保されていないといった意見が課題として挙げられており、全ての事業者団体が制度の撤回を求めているところでございます。
○藤井委員 予定価格の事後公表や事前公表に関しては、業界、そして企業の規模などによってさまざまな意見があることがわかりました。また、景気などを反映した時期によってもさまざまな意見があると伺っております。
私も、地元府中の建設業者から、今回の入札契約制度改革によって、案件によっては、特に事後公表によって、その積算する情報が足りずに困っているという話だったり、一者入札の中止では、中止になるリスクを避ける業者が出てくるだろうといったような話を伺っております。加えて、中小の会社では、社長が現場作業が終わった夜や週末に積算の対応をするなど、負担が大きいという話は、業界団体からも指摘されていたとおりだと聞いております。
続いて、質問を予定しておりましたが、ほかの委員からも質問ありましたので省略をさせていただきます。中小企業の受注実績について質問する予定でしたが省略をいたします。都全体での中小企業の工事の件数は約八五%、金額で五一%受注しております。改めて、都のインフラ整備における中小企業の果たしている役割が大きいことがわかるかと思います。
予算特別委員会では、我が会派の小池知事への質問で、入札制度の基本的な考え方について問いました。知事は、中小企業がその力を十分に発揮できる環境をつくる視点が重要だと述べています。
都として、中小企業の活躍の機会を確保すべきと考えますが、見解をお伺いします。
○五十嵐契約調整担当部長 地域社会において、雇用を創出し、活力を生み出し、東京の持続的成長の基盤などを担う中小企業が安心して活躍できる環境の整備は、重要な視点であると考えております。
そのため、都はこれまでも、工事規模に応じた等級別の発注や、業種や営業種目別の分離分割発注、地域要件の設定などにより、都内中小企業の受注機会の確保に努めてきたところでございます。
こうした中、本年一月に実施いたしました業界団体との意見交換の中では、予定価格の事後公表について、事業者の積算業務の負担増の問題など、実際の試行を通じてより明確になった課題も、都内中小企業の現場の声としていただいております。
今後、入札監視委員会の試行の検証結果や、こうした業界団体からの意見を受けとめながら、よりよい制度の構築に取り組んでまいります。
○藤井委員 都として、中小企業に目を向けた入札契約制度のあり方を検討していることがわかりました。
入札契約制度の改善策を検討する際には、都内の中小企業の振興の視点を踏まえて、必要な改善策を講じていただくことが重要だと考えております。入札監視委員会制度部会では、業界からのヒアリングを行いながら、客観的にデータを整理し、中立的に検証をしております。
よりよい公共調達の実現には、現場を知る業界団体への丁寧な説明と意見交換、そして有識者からの客観的な評価、審議の継続が重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 入札の競争性、透明性を高め、品質を確保しながら、都の公共工事を計画的に推進していくためには、より多くの事業者が入札に参加し、優良な事業者が適正な価格で受注できる環境を整備することが重要でございます。
そのため、都は平成二十二年度以降、事業者団体との意見交換を通じて、現場の生の意見を把握するとともに、第三者機関である入札監視委員会の意見を踏まえ、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいりました。
また、制度を変更した際には、事業者が改正内容を理解し、安心して入札に参加できるよう、施工までに一定の周知期間を設けた上で、ホームページやチラシ等により公表するとともに、都庁での説明会、事業者団体への出張説明などを重ねて実施し、丁寧に周知を図ってきたところでございます。
都と建設事業者との関係は、都民の生活基盤を支える公共工事をともに担う立場として信頼関係を構築すると同時に、発注者と受注者としての一定の緊張関係を保つことも重要であると考えております。
今後とも、事業者からの現場実態を踏まえた意見、入札監視委員会など専門的な見地からの意見を踏まえ、多様な視点から制度検討、制度改正の説明、周知徹底などを引き続き進めてまいります。
○藤井委員 公共調達は、都民の貴重な税金を原資としており、よりよい公共調達の実現には、都民の信頼を得るために、競争性、透明性、公正性の確保に万全を期さなければなりません。
引き続き、入札契約制度の改革については、貴重な都民の血税を大切に活用するというワイズスペンディングの視点を忘れることなく、都民ファーストの視点に加え、中小企業の保護、育成も踏まえた不断の改革を行うことを求め、質問を終わらせていただきます。
○小松委員 私からは、中途質疑に引き続き予算及び財政運営について伺いたいと思います。
第一回定例会は、当初予算を審議する場であることから、当然、三十年度予算の中身を一つ一つしっかりとチェックしていくことが必要であることはいうまでもありません。同時に、歳入歳出両面にわたって、現在だけではなく将来を見据えて、あるいは将来世代に対して責任の持てる予算となり得ているのか、世代間の公平性も踏まえて、掘り下げて確認していくことが重要だというふうに思っています。
こうした観点に立って、過去から学び、あるいは過去を踏まえつつ、まさしく将来への投資である投資的経費とその貴重な財源である都債に関連して、五点ほど質疑を行いたいと思います。
そのために、まずは、予算の全体像を確認させていただきたいと思います。
来年度予算案の一般会計総額は七兆四百六十億円と二年ぶりの増加でありました。財政規模としては、ピークであった平成四年度の予算とほぼ同レベルだというふうに伺っております。このうち、肝心のいわゆる政策的経費である一般歳出ベースを見ますと、こちらは、平成十年度予算とほぼ同水準にあるとのことですが、その総額が、表向き同水準にあったとしても、二十年もの前と比較をしますと、人口の構造、また、社会経済情勢、都民のニーズも大きく変わっているのではないかなと予見されるわけであります。となると当然、予算の内訳、使い道も変化しているんだと思います。
実際、私が議員になった平成二十年初頭の世田谷区、当時民生費は約三割といわれていました。金額でいくと七百数十億円だったと思うんですが、今、ことしの予算は一千四百二十七億円ということで、ほぼ倍増しているわけであります。民生費が四七%、目黒区は、この間チラシを見たら五三%というふうに書いていまして、この十年で、もう大きくこの構造が変わっているんだなということに気づいたわけであります。
そこでまず、平成三十年度予算と平成十年度の予算とを比較した場合、一般歳出の構造には、どのような違いや特徴があるのか伺いたいと思います。
○松川主計部長 平成三十年度予算における一般歳出は、五兆千八百二十二億円で、平成十年度予算の五兆千四百四十億円と同水準となってございますが、その分野別予算の内訳は大きく変化してきてございます。例えば、道路整備を初めとする都市の整備分野につきましては、平成十年度予算では一兆千二百二十四億円と、金額、構成比ともに最大でございましたが、公共交通網の整備などの事業の進捗に伴い、三十年度予算では八千八百三十九億円まで低下してきております。
一方、福祉と保健分野につきましては、平成十年度予算では七千六百二十億円でございましたが、少子高齢化の進展などによる社会保障関係経費の増加等に伴い、三十年度予算では一兆二千四十八億円と、金額、構成比ともに最大となっております。
このように、時代とともに変化する都民のニーズを的確に把握した上で、限られた財源を必要な施策に適切に配分してきております。
○小松委員 予想もイメージというものはあったものの、具体的な数値で聞きますと、やはり二十年も経過しますと、予算の使い道が想像以上に大きく変化したということが改めて確認されました。その中でも少し意外だったのは、平成三十年度予算の投資的経費は一兆一千百二十一億円、調べてみますと、平成十年度は一兆五百八十八億円で、投資的経費総額が同水準にある中で、都市の整備の割合が大きく減少していることが明らかでありました。
投資的経費は、将来世代に財産として引き継ぎ、将来世代も便益を享受するものに対する投資である以上、今、何に重きを置いているのかを明らかにすることは、世代を問わず重要なことであります。
今回、この都市の整備が減少した、このこと自体について取り上げるつもりはないんですけれども、質問を続けますが、そこで、平成三十年度予算の投資的経費について、どこに重点を置いて財源を配分されたのか、平成十年度予算とも比較をしながら見解を伺いたいと思います。
○松川主計部長 平成三十年度予算における投資的経費は、待機児童対策や高齢社会対策、災害に強いまちづくり、そして二年後に迫った東京二〇二〇大会の開催に向けた施設整備などに重点を置いております。
具体的には、保育所の整備等を支援する待機児童解消区市町村支援事業や特別養護老人ホーム整備費補助等の充実を図るとともに、無電柱化や豪雨対策等、東京の防災力を高める取り組みを積極的に推進するなど、都民にとって高い効果が得られる事業に財源を重点配分いたしました。
一方、平成十年度予算では、日暮里・舎人ライナーや多摩都市モノレールの整備など、今日の東京の活力を支えている公共交通網の整備に多くの財源が振り向けられておりました。
このように、投資的経費は、将来の社会の基盤づくり、東京の活力や都民の安全・安心の確保につながる重要なものであり、引き続き時宜にかなった財源配分を行ってまいります。
○小松委員 投資的経費の中身、これもやはり時代に応じて変化していることが改めて確認できました。
一方で、こうしたハード整備を着実に進めていくためには、いわずもがなですが、安定的な財源の確保が重要で、その中心となるのが都債であると認識しています。ここからは、都債について議論を進めたいと思います。
歳入の根幹をなす都税収入についていえば、小池知事のもと、不利な闘いを強いられた結果、一千億円を超える財源を国に奪われたわけであります。来年度の税収は五兆円を超える高い水準、こうした恩恵もあって、来年度予算の起債依存度は三%と過去最低レベルであります。
少し違和感を覚えるのは、来年度予算では、先ほど触れた投資的経費が、前年比で三%以上もの高い伸びを示している中にあって、都債の発行額自体は三〇%近く減少していることであります。
借金をできるだけしないという考え方に反対する人はいないと思います。しかしながら、都債には、年度間の財源調整という機能だけではなく、特に、投資的経費の財源として世代間の負担の公平性という重要な役割もあるというふうに思っています。
そこで、投資的経費の財源として重要な都債について、平成三十年度予算における発行の考え方を伺います。
○松川主計部長 都債は、年度間の財源調整と世代間の負担の公平性を図るという二つの機能をあわせ持つ社会資本ストックを形成する投資的経費の重要な財源でございます。
こうした前提のもと、三十年度予算案の都債は、今後の人口構造の変化や社会資本ストックの維持更新需要などを見据えつつ、将来世代の受益と負担のバランスを考慮した上で、税収動向も踏まえながら、全体として発行を抑制することを基本的な考え方として発行額を設定しております。
具体的には、環七地下調節池の整備や鉄道の連続立体交差化など、長期にわたり事業効果が継続する事業には、都債を適切に活用する一方で、更新サイクルが比較的短い交通安全施設の整備など、将来世代の負担が低い事業については発行を抑制しております。
今後とも、将来世代の負担を考慮しつつ、世代間の負担の公平性という観点にも十分留意しながら、都財政を支える貴重な財源として、都債を活用してまいります。
○小松委員 税収が高水準にあるからといって、世代間の負担の公平性という役割を顧みず、都債をやみくもに抑制しているということではないということが理解できました。
もう一点、絶えず気にとめておかなければならないことがあると思います。それは、都債が都財政を支える重要な財源であるのと同時に、借金であることから、発行の年度やタイミングによって、発行利率、つまり利払い費が大きく左右されることであります。
長期金利についていえば、長年にわたり、特に、日銀のゼロ金利政策以降は、驚くほど低い水準にあり、いつの間にかそれが当たり前に感じてしまうこともありますが、少し前を思い出せば、三%を超えるといった水準も珍しくなかったはずであります。
来年度予算において、発行額を三割減らしたとはいえ、それでもほかの自治体と比べて、発行額自体が大変大きい東京都においては、一たび金利が上昇しますと、利払い費も一気にはね上がるリスクを抱えているわけであります。それだけに、都は、ほかの自治体以上に、発行利率については常に敏感でなければならないというふうに思います。
そこで確認となりますが、都債の利率について、直近の状況とこれまでの推移について具体的に伺います。
○松川主計部長 都債の主力商品でございます十年都債の利率は、満期一括償還方式に移行いたしました平成四年度以降、平成九年度までは、二・〇%から五・九%の間で推移いたしました。その後、おおむね一%台を中心に推移しておりましたが、平成二十五年四月に日銀が打ち出したいわゆる異次元の金融緩和策以降、都債の利率は一段と低下し、平成二十八年一月債は〇・三七〇%にて発行いたしました。マイナス金利導入以降の平成二十八年七月には、史上最低となる〇・〇三〇%を記録いたしました。直近、本年三月では〇・一七五%で条件決定しており、現在のところ、歴史的に見ても極めて低い水準で推移しております。
○小松委員 現在の都債の発行利率が、長期的に見ても最低水準にあることを、具体的な数値をもって確認ができました。しかしながら、将来もこのままの水準にあるということは誰も保証ができないわけであります。既にアメリカでは、金利が緩やかながらも上昇局面に突入しており、先週の木曜日の新聞報道でも、いわゆる出口戦略として、そろそろ日銀が金融緩和政策の幕引きを模索しているとの臆測の報道もありました。
市場経済は生き物でありますので、いつかは金利は上昇するということに対して、都としても備えが必要だと改めて申し上げたいと思います。
国に一方的に押し切られる形で一千億円超の税収を失ってもなお、アベノミクスの成果によって、今は幸いにも税収は五兆円を超える恵まれた状況にあります。しかしながら、一たび税収が大きく落ち込み、同時に金利が上昇しますと、都財政にとってはダブルパンチとなり、一気に苦境に立たされるリスクもはらんでいるわけであります。結果として、将来に向けて必要な投資が行えなくなるばかりか、都民サービスの安定的な提供にも影響を及ぼしかねません。
税収は、景気の影響を受けやすく、ましてや国からの交付税措置のない東京都において、都財政を支える貴重な財源として都債が担う役割は、ほかの自治体以上に大変重要なものだと思います。こうした前提に立ち、いかに経済環境が変化する中にあっても、安定的かつ有利な条件で都債を発行していけるよう、現状に安穏とすることなく、都として取り組めることを進めていくことが必要不可欠であります。
そこで、最後になりますが、市場環境の先行きが不透明な中、今後も安定的かつ有利な条件で都債を発行していくために、都として、どのように工夫しながら取り組まれるのか、見解を伺います。
○松川主計部長 今後も、都債を安定的かつ有利な条件で発行していくためには、都財政の健全性を堅持し、都債の安全性を高めることはもとより、投資家の信頼を得て裾野を広げられるよう、商品性のさらなる向上が必要でございます。
こうした観点から、投資家の信頼を得るため、個別投資家への訪問や多くの市場関係者を招いて行う都債説明会、証券会社のセミナー等を継続的かつ積極的に実施しております。
また、商品性の向上のためには、基幹年限である十年債を中心としつつ、二十年債や三十年債などの超長期債を戦略的に発行するとともに、国内の地方公共団体初の東京グリーンボンドや外債の発行など、投資家の運用ニーズに応える都独自の戦略的な取り組みや工夫を行うことで、金利変動リスクを分散し、利払い費用を安定化しております。
こうした取り組みを初め、投資家との対話を重視して起債運営に取り組むという基本姿勢をしっかり堅持し、市場から信頼され、選ばれる都債であり続けられるよう、さまざまな努力を重ねてまいります。
○小松委員 最後に意見だけ述べさせていただきたいと思います。
都債の継続的かつ安定的な発行に向けて、さまざまな取り組みを進め、また努力を重ねているということに対して、率直に評価をしたいというふうに思います。都債を初めとした財政基盤というのは、都政の肝心かなめであります。
一方で、グリーンボンドを初め、先進的、先駆的な取り組みは、先ほどもご質問ありましたけれども、もちろん重要でありますが、都債本来の役割に基づいた戦略性と確かな見通しを持って進めるということが、大変重要だというふうに改めて申し上げたいと思います。
目先にとらわれたり、行き当たりばったりに陥ることなく、将来世代に対して、きちんと戦略性を持った、堅実かつ責任ある取り組みを進めてもらいたいと思います。
きょうは、この予算、財政運営の中でも、将来を見据えて、どのように財政運営されてくるのかということを中心に議論を進めてまいりました。しかし先日の代表質問で、小池知事の答弁では、今回のこの三十年度の予算について、まさしく東京の今を生きる都民の目線に立って、真に都民の利益にかなう予算を練り上げたと自負しておりますという答弁でありました。
今の小池知事にとっては、都民ファーストというのは、今を生きる都民の目線でしかないようでありまして、我々は、今も大事ですけれども、将来も見ながらいかなければいけないわけだと考えております。そのことに大変危惧をしているわけであります。
財務局の皆さんの賢明な財政運営を期待するとともに、私も議会人の一人として、研さんに努めてまいることをお伝えして、質問を終わります。
○清水(ひ)委員 特命随意契約についてお伺いいたします。
十五日の予算特別委員会における我が党の尾崎委員の質疑でも問題にしましたが、指名停止中の特命随意契約について、改めて確認しておきたいと思います。
私たちは、この問題で、独自に、全ての都道府県の調査をいたしました。指名停止措置に関する要綱などにおいて、指名停止中の事業者との特命随意契約の禁止を定めていないのは東京都だけでした。これは、お認めになっていると思います。
このことに対してどう考えるのかという問いに対し、財務局長の答弁の趣旨は、他府県も例外規定を設けており、全ての特命随意契約を一切認めないということではないというものでした。
都が定める規定と他の府県の規定を比べると、都では、指名停止中の相手方とは競争的な随意契約は禁止となっているが、特命随意契約は認められることになっています。一方、他府県は、競争的な随意契約も特命随意契約も含めて原則禁止だが、例外として、特にやむを得ない場合などは随意契約ができるというように読めるものです。
この問題で、大阪の堺市の裁判の判決を紹介いたしました。堺市は、みずから定める要綱で、指名停止中の事業者との随意契約の制限を定めているにもかかわらず、その規定に違反して随意契約を行ったため、違法とされていたものです。
こういうことから見ると、東京都でも、他の府県と同じように、まずは、競争的な随意契約も特命随意契約も含めて、全て随意契約は原則禁止にした上で、例外的な場合のみ随意契約を認めるというような規定に変更すべきだと、改めてお伺いいたしますが、いかがですか。
○五十嵐契約調整担当部長 堺市に係る裁判の判決では、今、委員お話しの指名停止中の随意契約の禁止をみずから定めているのにもかかわらず、随意契約を行ったことが違法ということではなく、競争入札を実施する時間的余裕があるのに、漫然と特定の事業者と随意契約を行ったことが、堺市みずからが例外として定める、特にやむを得ない場合には当たらず、規定に違反してなされた契約であるため違法とされたものでございまして、指名停止中の事業者との特命随意契約自体を違法と判じているものではないというふうに理解しております。
すなわち、堺市の事例では、契約相手方の可能性が複数ある中で、特定の事業者と、当初から特命随意契約を締結したことは不適切であるということでございますが、さきの予算特別委員会でお話のあった豊洲七街区の追加対策工事では、三回の入札に付したが落札に至らなかったというものでございまして、その時点で契約相手方が大成建設しかいない状況のもとで、特命随意契約を締結したものであり、堺市の事例とは全く状況が異なるものというふうに考えております。
また、国土交通省では、他府県と異なり、原則禁止ではなく、会計法第二十九条の三第四項に規定する場合は、指名停止中の事業者との特命随意契約を認める旨を明文で規定しているところでございます。
重要なことは、案件ごとの必要性や理由をしっかりと吟味した上で、特命随意契約の可否を判断することでございまして、その点で、都と他県、国と差がないものと認識しております。
都では、特命随意契約に当たって、指名停止の有無にかかわらず、工事等施工者選定委員会において、案件ごとの必要性や理由を適切に吟味しており、規定を変更する必要はないものと考えております。
○清水(ひ)委員 他県との差はないとかですね、全く状況が異なるといいましたが、堺市の事例と全て同じだとはいっていません、私は。それは私たちも承知をしております。
しかし、堺市が持っている要綱に基づいて、規定に違反してなされた契約であるため違法という判断がされたのは事実でしょう。それは事実、そちらもお認めになりました。それは、要綱を持つことの重要性が改めて示された結果です。
先ほど、必要性や理由をしっかりと吟味した上で可否を判断するんだと、案件ごとの判断するんだといいましたが、しかし、豊洲の工事についても、結果は、予定価格の四百億以上という結果になりました。経過についても、都民の目からは不透明です、十分ではありません。
私はここでお聞きしますが、この豊洲の案件を特命随意契約という手法をとろうと提案したのは、財務局ですか、市場ですか。伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 特命随意契約の締結に当たりましては、市場当局より、特命随意契約による契約締結請求がございまして、それに基づきまして、財務局の選定委員会の中で判断し、特命随意契約で契約することを決めたものでございます。
○清水(ひ)委員 財務局は、先ほど来議論がありますが、入札改革を進めたばかりなんでしょう。そういう最中に、なぜ、この入札改革は一体何だったんだろうというような職員の声も紹介されていましたよ。そういうやり方をやるということに対して、本当に私は、改革に逆行するんじゃないかというふうに思います。
東京都のやり方は結局、何もフィルターにかかっていないんですよ。やはり原則禁止としている他の府県が--全て原則禁止している、そして、やむを得ないというような要綱につけ足して、それはやむを得ない事情があるからやらなければ仕方がないというようなことが、判断されなければならないと思います。
私は、まず、指名停止中の随意契約を原則禁止した上で、例外的に認めるといった、そういう規定のあり方にすべきだということを改めてお伺いいたしますが、いかがですか。
○五十嵐契約調整担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、私どもは、重要なことは、案件ごとの必要性や理由をしっかりと吟味した上で、特命随意契約の可否を判断することだと考えております。要綱の書きぶり、表現の仕方はいろいろあるかと思いますが、本質はそういった部分で、都と他県に差はないものと考えております。
また、今回の豊洲七街区の追加対策工事について申し上げれば、仮に、堺市と同じような規定を設けていたとしても、特命随意契約として認められるようなものになっているというふうに判断しております。
○清水(ひ)委員 入札改革というならば、こうした大問題になっている東京だけがやられていないことについて、議論をしていただきたいというふうに強く要望しております。
次は、公共工事設計労務単価についてです。
さきの一般質問で、公共工事設計労務単価と賃金の実態の乖離についてただしましたが、賃金台帳から転記しているという答弁がされました。
しかし、国土交通省の通知では、工事の下請業者において、技能労働者の賃金は低い傾向となっており、技能労働者の賃金の引き上げを図ることとされています。実際に、公共工事設計労務単価に賃金が反映されていないということの証明ではないですか。伺います。
○永島建築保全部長 国からの通知ですけれども、ことし三月から適用する公共工事設計労務単価の公表に伴い、国土交通省から各都道府県知事宛てと建設業団体の長宛てに、技能労働者への適切な賃金水準の確保について、それぞれ通知がありました。
都道府県知事宛ての通知の内容は、新労務単価の早期活用、適正な工期選定に伴う必要経費の確保などとなっております。都は、この通知を踏まえ、今後公表する工事案件については、速やかに新労務単価を適用することなどの対応を行うとともに、受注者に対して、新労務単価上昇を踏まえた技能労働者への適切な賃金水準の確保等を要請いたしました。
お話の技能労働者の賃金水準の引き上げを図ることについては、建設業団体宛ての通知の中で、雇用主が行うこととしております。
○清水(ひ)委員 そういうことをやっておられるということは認識しています。しかし、一般質問では、東京都発注の建設労働者団体のオリンピック・パラリンピック工事現場での賃金実態アンケートの結果を紹介いたしました。聞いておられたと思います。労賃は、設計労務単価の七割、六割で働いていたという実態を現に示しています。こういう実態を示しても、あくまで強調するのでしょうか。
埼玉県議会での最近の我が党の質問に対する答弁では、現場の労働者の賃金が十分な水準に達していない理由の一つとして、重層構造により、下請に賃金が行っていないとのことでありました。そういう認識に、まず都自身が立つ必要があるんじゃないですか。
○永島建築保全部長 国が実施する公共事業労務費調査では、全国の約一万一千二百件の工事、約十万人の賃金の支払い実態を調べた賃金データをもとに、公共工事設計労務単価を決定しております。この調査では、調査対象となった工事については、全ての下請、いわゆる重層構造の三次以下の下請を含め、建設労働者の賃金について、労働基準法に基づく賃金台帳等から調査票へ転記しており、賃金実態が適切に反映されていると認識をしています。
○清水(ひ)委員 東京都自身が、実際の賃金実態を把握していないから、そうした答弁をするんですよ。先ほど紹介したでしょう。実際の賃金は、七割、六割だったと。一番重要な工事でもそういう実態です。
設計労務単価と現場の賃金実態が乖離している点について、東京都として実態を把握すべきだと思いますが、改めてお伺いいたします。
○永島建築保全部長 繰り返しになりますが、公共事業労務費調査では、賃金の支払い実態を調べた賃金データをもとに、公共工事設計労務単価を決定しております。この調査では、調査対象となった工事については、全ての下請を含め建設労働者の賃金について、賃金台帳等から調査票へ転記しており、賃金実態が適切に反映されていると認識をしております。
賃金は、各企業において対等な労使間での交渉等により自主的に決定されるとともに、経験、技能など個人の能力によっても異なるものであり、同職種であっても一律になるものではないと考えております。
○清水(ひ)委員 さっきの埼玉県の紹介でしたけれども、二十五年に実際に賃金実態調査を行っているんですね。調査対象工事の受注者に対し、契約締結時に、賃金実態調査を協力依頼し、紙を配布して、後日調査票を回収するというものです。その年は、対象事業者百十七社に配布したそうです。
このアンケートには、建設労働者の現状についてとして、技能労働者の賃金水準の低下や、その結果、就業先に建設業を選択する者が減少し、技術者のほか技能労働者の人手不足が大きな問題となるとともに、他業種以上に建設労働者の高齢化が進行している、こうした中で、この実態調査を行ったものであると、前書きしていました。
今、お答えで、各企業において対等な労使間での交渉などによって自主的に決定するといわれましたが、そんな悠長なことをいっていていいんですか。建設業の実態、高齢化など、今本当に、先ほどありました人材確保とか、そうした問題を解決するのは東京都の役割じゃないですか。建設業の、産業としての育成を行うようにということを、私たちは毎年要望しています。
もちろんこれは、財務局だけに要望しているものではありません。東京都全体として、建設業を産業として育成しなかったらどうなるのかということで求めているわけなんですけれども、やはり今契約を担当している財務局、建設業の育成をしてこなかったことが、今日の人手不足とか、高齢化とか、産業としての存続までいわれるような事態になっているのではないですか。私は改めて賃金実態をきちんと把握しておくようにということを求めておきたいと思います。
そして、周知徹底の点では、財務局が、こういうポスターを掲示しているということは、局長の一般質問の答弁でありましたよね。このポスターの掲示の目的は何ですか、お伺いいたします。
○永島建築保全部長 都では、発注工事の現場において、技能者の休憩所など身近なところに、労務単価に関するポスターを掲示しております。ポスターには、当該現場が、新公共工事設計労務単価の適用現場であることや社会保険の加入の徹底、適切な賃金水準の確保などについて記載されており、公共工事設計労務単価が適切に取り扱われるよう周知徹底を図っております。
○清水(ひ)委員 これはその意味では、何の保障にもならないということではないとは思いますが、私たちはこれを見たときに、本当に必要なことが書かれていないんじゃないかというふうに思いました。
新労務単価は反映されていますかと、労働者の皆さん、新労務単価が皆さんの賃金に反映されているんですかということを、一言この中に書く必要があるんじゃないですかと。これは国土交通省が書いたんだと、つくったんだといえばそうなんですけれども、東京都財務局が発注ということになっていますから、やはりこれ、企業にだけいうんじゃなくて、そういう現場ですよということを、公の前でいっているのかもしれないんですけれども、そうしたら、労働者が自分たちの賃金に、今度の新労務単価が反映されているんでしょうかということを、そうでなかったら、ここに連絡してくださいとかいうようなことを、これに書き加える必要があると思います。求めておきたいと思います。
それで周知徹底の点では、足立区が、一般質問で質問しましたけれども、元請に対し、下請企業の技能労働者の賃金水準が引き上げられるよう請負金額を見直すと、誓約書をとって、さらに証拠となる書面の提出を求めています。
都は、元請企業に対し、下請との契約見直しにかかわる書類の提出を求めて徹底する必要があると思うんです。この質問を相談しているときに、そこまでできないでしょうなんていうようなことをいっていましたけれども、やっぱり本当に、これからの大事な建設業にかかわる労働者の環境を整える、暮らしがきちんと保障されるという賃金水準にする必要があるということは、ここまでやらないといけないと思うんですけれども、いかがですか。
○五十嵐契約調整担当部長 先ほどの答弁と一部重なる部分があるかもしれませんが、賃金は、現在の法制度上、各企業において対等な労使間での交渉等により自主的に決定されるものでございまして、経験、技能など個人の能力によっても異なることがあるというふうに認識しております。
改正品確法におきましては、受注者に対して、適正な価格での下請との契約や技能労働者の賃金を含めた労働環境の改善を求め、発注者には、予定価格の設定に当たって、市場における労務及び資材等の取引価格等を的確に反映した最新の積算基準等を適用すること、それから競争入札でのダンピング受注の防止などを求めているところでございます。
こうした発注者と受注者の役割分担のもとで、都は、発注者として設計労務単価の引き上げに伴って、特例措置やインフレスライド条項による契約変更を行うとともに、事業者団体との意見交換において、事業者が受注者の責務として、労働者の賃金改定や下請契約の変更に対して適切に対応することについて要請してきたところでございます。
将来にわたる公共工事の品質確保とその中長期的な担い手の確保、育成のため、技能労働者の労働環境の改善は重要であると認識しております。
今後とも、意見交換会などの場を活用し、建設労働者の賃金引き上げなどの適切な対応を受注者に対して要請してまいります。
○清水(ひ)委員 足立区がそうした誓約書をいただいているということで、ほかの区や市もちょっと調べたんですけれども、そうしたら、八王子市もやっておりました。八王子市が、賃金水準の変動を含む契約金額の増額がなされた場合には、下請契約金額の見直しや技能労働者への賃金水準引き上げ等について適切に対応することを誓約しますということで、変更請求書と兼誓約書ということで、これを提出していただくというように、担当者からも電話で伺いました。こういうことをして、徹底しているんです。
それでも、最近、建設労働者の団体が、いろいろ総会をやるというお知らせが来ますよね、皆さんもお知らせが来ると思うんですけれども、その中には、労賃が上がっているのに、現場の自分たちには、その感覚がないと、そういう賃金水準になっていないというふうに書かれているんですよ。だからやはり現場の労働者の実態というのはそういうものなんですよ。そうしたことを、行政ができること、財務局ができることを、やはり徹底してやっていただきたいというふうに思います。
要求して質問を終わります。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○まつば委員長 次に、議員提出議案第三号を議題といたします。
本案について、提出者の説明を求めます。
○曽根委員 私から、日本共産党都議会議員団、かがやけTokyo、都議会生活者ネットワーク、日本維新の会東京都議会を代表いたしまして、議員提出議案第三号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例案の提案説明を行います。
この条例は、平成三十年六月に支給される東京都議会議員の期末手当を、平成二十九年十二月の改定より前の支給割合に据え置くものです。
都議会議員の期末手当の額は、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例第六条二項の規定で、職員の給与に連動するとされています。したがって、ことし六月に支給される議員の期末手当については、昨年末の定例会で可決された条例改定によって、職員の勤勉手当の支給割合が、百分の九十五から百分の百に引き上げられたことに連動することになります。
都議会の前期十九期に、私たちは、全会一致で都民の生活実態に鑑み、議員報酬の二割の削減を実行いたしました。
このように、都議会議員の報酬は、みずから決めるべきことであり、期末手当についても、職員への支給に自動的に連動させるべきものではありません。また、今回も昨年に続き、引き上げの対象は職員の勤勉手当でありますが、もともと私たち都議会議員に勤勉手当という規定はふさわしくありません。
この引き上げが採択された昨年の第四回定例議会で、私たちは、今回と同様の据え置きの条例提案をいたしましたが、否決となりましたので、本年六月に支給される期末手当を引き上げ前の支給割合に据え置くために、今定例会でも、再度条例案を提案するものです。
以上、提案の理由の説明とさせていただきます。議員各位のご賛同を心からお願いいたします。
○まつば委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、議員提出議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十七分散会
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