委員長 | まつば多美子君 |
副委員長 | 小松 大祐君 |
副委員長 | 石川 良一君 |
理事 | 増田 一郎君 |
理事 | 上田 令子君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
おじま紘平君 | |
伊藤しょうこう君 | |
うすい浩一君 | |
藤井あきら君 | |
清水やすこ君 | |
宇田川聡史君 | |
長橋 桂一君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小室 一人君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 松川 桂子君 | |
財産運用部長 | 山根 恭子君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 永島 恵子君 | |
技術管理担当部長 | 中山 衛君 | |
庁舎運営担当部長 | 米今 俊信君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
主税局 | 局長 | 目黒 克昭君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小山 明子君 | |
税制部長 | 副島 建君 | |
税制調査担当部長 | 栗原 哲治君 | |
調整担当部長 | 笹本 勉君 | |
課税部長 | 安藤 敏朗君 | |
資産税部長 | 大久保哲也君 | |
徴収部長 | 川上 秀一君 | |
特別滞納整理担当部長 | 新井 裕二君 | |
会計管理局 | 局長 | 土渕 裕君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 中澤 基行君 | |
警察・消防出納部長 | 吉野 孝行君 | |
会計制度担当部長 | 野口 毅水君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成二十九年度公金管理実績(上半期)について
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 東京都都税総合事務センター設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成二十九年度東京都税制調査会答申について
財務局関係
報告事項(質疑)
・「国の不合理な措置に対する東京都の主張-地方消費税の清算基準の見直しに向けた反論-」について
付託議案の審査(質疑)
・第百八十六号議案 警視庁本部庁舎(二十九)大規模改修工事請負契約
・第百八十七号議案 東京消防庁調布消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
・第百八十八号議案 東京都公文書館(二十九)改築工事請負契約
・第百八十九号議案 大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他工事請負契約
・第百九十号議案 東京都公文書館(二十九)改築空調その他設備工事請負契約
・第百九十一号議案 平成二十九年度十三号地新客船ふ頭ボーディングブリッジ製作据付工事請負契約
・第百九十二号議案 大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他電気設備工事請負契約
・第百九十三号議案 東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「やしお」製造請負契約
・第百九十四号議案 平成二十九年度十三号地新客船ふ頭岸壁建設工事(その一)請負契約
・第百九十五号議案 下高井戸調節池工事請負契約
・第百九十六号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十八)請負契約
・第百九十九号議案 当せん金付証票の発売について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第二十号 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
○まつば委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査、会計管理局、主税局及び財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
なお、付託議案中、第百八十六号議案から第百九十六号議案までの契約議案については、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより会計管理局関係に入ります。
報告事項、平成二十九年度公金管理実績(上半期)についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十一月二十八日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
今回、要求のございました資料は目次に記載しておりますとおり一件でございます。
それでは、おめくりいただき、一ページをごらんください。
要求資料第1号、保有債券に関する償還年限別残高(平成二十九年九月末現在)でございます。
保有債券の償還年限別の区分と、その区分ごとの債券残高を記載してございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○増田委員 それでは、公金管理の実績につきましてご質問させていただきます。
まず、資金の預け先の金融機関あるいは債券の発行体につきましては、ひところの、例えば、九七年の山一危機、北海道拓殖銀行が潰れたり、長期信用銀行が破綻したり、日債銀が潰れたり、今そのような金融危機が起こっているという時代ではございません。そういった意味では、安全性ということにつきましては、特段今何か喫緊の問題があるわけではないということは申し上げられると思います。
一方、一つ特筆すべきこととしましては、やはり今、足元の金利が歴史的にも最も低い水準にあるというところでございます。
お手元に、参考資料としまして二つのグラフを配布させていただいております。
こちら二つのグラフの上の方ですけれども、ひとつこれは、最近の長期金利の動きを示しているものでございます。代表的な長期金利の指標である十年物の国債、これの過去十年間の推移を示しております。これも申すまでもなく、今、ずっとこの十年間かけて下がってきておりまして、そして昨年よりは少し底を打っているものの、現在も歴史的には最も低い水準にあるということが見ていただけるかと思います。
そしてもう一つのグラフでございますけれども、こちらは、いわゆる国債の期間別の金利の水準を示しております。いわゆるイールドカーブと呼ばれているものでございまして、こちらの方は見ていただきますと、一年物から八年物までが、今現在マイナスの水準になっております。いかに今の足元の金利が低いかということが、この二つから見ていただけるのではないかと思います。
そういった意味では、安全性ということにつきましては、今何か喫緊の問題があるということではないものの、非常にいわゆる運用の、都がいっている三つの原則ですね、安全性、流動性、そして効率性というのがございますけれども、効率性すなわち利回りを求める上では非常に厳しい状況にあるということがいえるかと思います。
それを踏まえまして、私の方から幾つか基本的な運用の状況について確認をさせていただきたいと思っております。
まず最初なんですけれども、この公金の預け先、金融機関あるいはその購入する債券の発行体の信用力につきまして、都としてどのような基準を設けて運用しているのか、そして、その基準につきましては、何か信用力に変化があった場合、定期的な見直しというのが行われているのか、そのルールについて、まずお伺いいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の預金先につきましては、複数の適格格付機関が付与した格付を初め、自己資本比率や預金量の推移等を組み合わせた厳格な基準を設定し、一定水準を上回る金融機関のみを対象としております。
また、債券につきましては、国債、地方債、政府保証債、財投機関債など、極めて安全性の高い機関が発行する債券のみを購入対象としております。
これらの基準につきましては、経済金融情勢や金融制度の変化等に応じて適宜見直しを実施しており、その際は、金融アナリストや公認会計士など、金融分野の専門家で構成される東京都公金管理アドバイザリー会議の委員の意見を聞くなど、専門家の意見や判断を適切に活用しております。
○増田委員 いわゆる格付機関については、一者だけではなく複数の格付が付与され、かつアドバイザリー会議の意見も必要に応じて聴取されているということで、安全性が確保されているというふうに理解をしたところでございます。
効率性という点についてなんですけれども、やはり運用の金額は何しろ五兆円という、これ非常に巨額な金額でございますので、その運用のいわゆる巧拙、うまい下手によりまして、その果実が大きく変わってまいります。
例えば、五兆円でございますので、仮に年間〇・一%違っただけでも五十億になります。〇・〇一%でも五億という金額になります。これは本当にその金額を、もし仮に税金で取ろうと思ったらと考えますと、非常にやはり大きな金額が、都民の財布に直結してくるということで、やはりその運用というのは、常に安全性を図りつつもベストのものを追求していただきたいと思うんです。
次にお伺いしたいのは、新たなその運用原資、運用資金が生じた場合、あるいは今までの運用が期日を迎えて新たに運用していくという場合、期日を迎えた場合ですね、そのときに、どんな商品、そして何年の商品、どんなところの信用力をとるのか、あるいはどのような利率を求めていくのか、そのような投資の判断というのをその時々でどのように行われているのか、それについてお伺いいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たに運用可能な資金が生じた場合や、満期が到来し再運用する場合におきましては、毎年度策定してございます公金管理計画上のポートフォリオ配分などに基づきまして、都として、その時々の金利状況等に応じて適切な運用商品や運用期間を選択しております。
○増田委員 その時々のさまざまなファクターで、一概にはいえないことと思いますけれども、ベストの運用を施行されているというふうに理解をいたしました。
先ほど見ていただきましたように、今、マイナス金利でございます。特に、運用期間の短いものほどマイナスの幅が大きいという状況になっておりまして、先ほど、資料の方で年限別の残高というのも示していただいておりますが、恐らく今、新たにこの資金を運用するとなると、やはりこのマイナスの幅の大きいところは避けなければならない。おのずと、やはりやや長い方に運用というのはシフトせざるを得ないのかなというところを想像するところなんですけれども、このようなマイナス金利のマーケット、この環境下で、それでも最低限の利回りを確保するために、やはりそれまでと運用上何か工夫をしたりとか、あるいは何か大きくマイナス金利だからということで運用方針を変えたような点、そういったものはございますでしょうか、それをお伺いします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 預金での運用に関しましては、預金先金融機関との間で、預金の受け入れ可能な金額や期間について個別に調整を行うとともに、新規預金先の発掘にも注力し、なるべく利回りの有利な金融機関で預金を設定しております。
一方、債券での運用に関しては、現在、ゼロ%近辺の金利で推移している国債や政府保証債での新たな運用は一旦取りやめ、比較的利回りが見込める地方債や財投機関債での運用に重点を移しております。
○増田委員 少しでも利回りの高いもの、信用力を犠牲にしない範囲で追求されておるということで理解をさせていただきました。
投資の上で、いわゆるリスク回避の基本というのは、常にいわれておりますのは分散投資といわれております。東京都のポートフォリオの中におきましても、恐らくやはり特定の金融機関に集中しないように、あるいは特定の債券発行者に過度に残高が集中しないように、そのような基準を設けられているのではないかと思いますが、そのような上限についてのルールがあればご説明いただきたいと思います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 預金先金融機関や債券発行体の経営状況に応じまして、運用金額や運用期間などに制限を設けております。
○増田委員 いわゆる分散を意識した、一行一者当たりの上限というものが運用されているということかと思います。
さて、次の質問なんですけれども、いわゆる外貨建ての債券、これは東京都も過去にいわゆる外貨建ての債券、幾つも発行しております。また、先週も、最初のグリーンボンドが発行され、条件決定されたというところがリリースされたところでございます。これはオーストラリアドル建てだったと承知しております。
そのように、東京都が外貨建ての債券を出して、外貨を一旦獲得しますと、そのような外貨建ての資金というのは、そのまま外貨で運用されているケースというのはあるのでしょうか。あるいは、全て円建てに換算して運用しているのか、つまり為替のリスクというのを東京都としてとっているのかどうか、そこについてお伺いいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在都の公金運用においては、外貨で運用しているものはございません。為替変動リスクを有しているものもございません。
○増田委員 そうしますと、外貨建ての債券を出して外貨で調達したとしても、それは全ていわゆる円建てに置きかえて、為替リスクは東京都としてはとっていないということで理解をいたしました。
次に、私、冒頭、信用力という意味では、安全性という基準では、今喫緊の課題はないと申し上げたんですけれども、今後、一つだけ起こり得るとすれば、いわゆる地銀ですね、地方銀行の再編というのは、これは起こり得るのかなと。
昨今、金融庁の森長官が盛んにおっしゃっているのは、今は地銀が多過ぎるのではないかと、本当に地域貢献をしている地銀というのは少ないのではないかというところで、かなり大胆な策というのを今後出されてくる可能性がありますと。
そういうときに、例えば、地銀のA行、地銀のB行それぞれに、東京都として枠いっぱいの運用をしていますと、その二つが合併しましたというと、当然その上限を超えてくるわけであります。また、やはり同じようにA行、B行合併したときに、A行はすごく信用力が高いけれども、同じ地域のB行というのは信用力というのがすごく低いかもしれない、だけれども一緒にならなければいけないかもしれない、合併した後の銀行というのは信用力がもともとのA行よりも大分低い銀行になってしまうかもしれない、そのとき東京都の基準を満たさなくなってしまうかもしれないということは考え得るのかなと。
そのような再編が起きたときに、機動的に、東京都も、運用を柔軟に対応できるような体制ができているか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都においては、預金先金融機関の経営状況に応じまして、運用金額や期間、運用商品に制限を設け、安全性がしっかりと確保できる範囲で預金を設定しております。
万が一、預金先金融機関の信用力が著しく低下した場合には、公金管理アドバイザリー会議の委員の意見を聞いた上で、運用金額の上限や運用期間の変更、新規預金の停止など、安全性を確保する措置が素早くとれる体制を整えております。
○増田委員 もちろんそのようなことが起こるかどうかというのはわかりませんけれども、いろんな事態に応じて、機動的な体制をとっていただければと思います。
最後に、先ほどお示ししました金利環境でございますけれども、恐らくそう簡単には変わらないだろうというふうに見ている方が多いのではないかと思います。資金を運用する側に立っては非常に厳しいマーケットが続くというふうに思われております。
そのような超低金利が続くという前提で、当面どのような運用方針をとられるのか、これは局長の方針をお伺いしたいと思います。
○土渕会計管理局長 都はこれまでも、金融環境の変化に応じまして、適切な分散運用やリスク管理を行うなど公金の安全性の確保を最優先した公金管理を実施してまいりました。
日銀による金融緩和政策が今後も維持される方向にあることを踏まえますと、現在の歴史的な低金利状況は当面継続することが想定され、公金の運用環境といたしましては、依然として極めて厳しい局面が続くものと考えております。
また、安全性の確保という面では、預金先となる金融機関において、マイナス金利政策の導入以降、本業である貸出金の利ざやが大幅に減少するなど、中長期的にも、収益力の低下による経営の悪化が懸念される状況にあります。
こうしたことを総合的に鑑み、都といたしましては、引き続き国の金融政策や金利動向を注視しつつ、金融環境の変化に的確に対応し、安全性の確保を初めとする公金管理の三つの原則に沿った適切な公金の保管、運用を徹底してまいります。
○増田委員 ありがとうございました。東京都の場合、やはり一番大事なことは安全性といいましょうか、決してロス、損失をつくらないということが、これはもういうまでもなく最大の、最も重要なことだと思います。
一方で、先ほど申しましたように、少しの運用の巧拙によりまして、本当にその運用益というのは大きくぶれてまいりますので、やはり都民目線ということでいえば、少しでもいろいろな工夫を凝らして、利回りを可能な限り上げていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○うすい委員 よろしくお願いします。
私の方から、今年度上半期の公金管理実績を振り返りまして、安全で効率的な公金管理に関する状況や、今後の運用環境と公金管理の方向性についての基本認識を伺いたいと思います。
このたび提出された資料によりますと、今年度上半期の公金全体の平均残高は五兆三千三百四十四億円とあり、前年度上半期と比べますと約二千八百億円増加する一方で、公金全体の利回りは〇・〇七四%から〇・〇四五%へと低下をしております。その結果、全体の運用収入は約十二億円余りと、前年度の上半期と比べ約六億八千万円の減少となっております。
公金全体の平均残高は増加したものの利回りが大きく低下したことが、運用収入減少の要因とのことでございますが、この間の市場金利の推移に目を向けますと、前年度から今年度にかけては、ほぼ横ばいの水準で推移をしております。
例えば、日本銀行が公表している資料によりますと、短期金利の指標の一つである普通預金の平均年利率は、前年度の上半期時点で〇・〇〇一%であり、現在もその水準から変わっておりません。また、先ほどほかの委員からもありましたが、長期金利の標準的な指標である十年物の日本国債の金利は、財務省が公表している国債金利情報によりますと、前年度上半期ではほぼマイナス圏にありましたが、今年度は日銀が初めて導入した長期金利の誘導政策によって、おおむね零%から〇・一%の間にあり、長期金利についてもほぼ横ばいの状況でございます。
そこで、まず最初に、市場金利は、前年度の上半期からほぼ横ばいで推移をしているにもかかわらず、なぜ利回りが前年度に比べて低下したのか、その要因について伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 利回りが前年度の上半期と比べて低下した要因でございますが、現在の金利水準よりも高い金利の預金と債券が今年度に満期を迎えまして、これらを再運用する際の金利が低かったため、公金全体の運用利回りが低下したことによるものでございます。
○うすい委員 今回の運用収入の低下は、簡潔にいえば、過去に運用をスタートさせた預金及び債券の金利と、それが満期を迎えた後に再運用する際の金利の差が利回りの低下につながったものと理解できました。
都の運用収入の構造について、平成二十九年度上半期実績によれば、全体の運用収入が約十二億円あり、その内訳は、歳計現金が約四千七百万円、基金が約十一億三千百万円、準公営企業会計資金が約二千二百万円と基金の運用収入が大部分を占めていることが確認できます。このことから、今後も公金全体の運用利回りや運用収入に大きな影響を与えるのは、基金における運用であるといえます。
そこで、基金の運用についてどのような方針で都は取り組んでいるのか、基本的な考え方を伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 基金の運用につきましては、各基金の設置目的を踏まえ、それぞれの基金の積み立て及び取り崩しの計画に沿って、最適な運用商品や運用金額、運用期間を設定することが重要であると考えております。
具体的には、運用期間が短期であれば定期性預金を中心に、中長期であれば債券を中心に運用するなど、各基金の積み立て及び取り崩しの計画を精査した上で、最も安全性が高く効率的な運用方法を選択しております。
○うすい委員 平成二十九年度上半期の公金管理実績によれば、都の公金全体に占める基金の割合は約七割と群を抜いて高く、運用している商品を見ても、歳計現金や準公営企業会計資金と違って、預金のほかに債券が入っていることが大きな特徴といえます。
また、預金での運用は、定期性預金にほぼ集中しておりますけれども、債券にはさまざまな発行体があるため、運用対象となる債券の種別が多岐にわたっており、しかも預金に比べると運用期間が長くなる傾向があります。そのため債券に関しては、より多面的な視点から安全性を検証していくことが重要と考えられます。
そこで、債券の安全性を確保するために、具体的にはどのような対応を行っているのか伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 債券の安全性を確保するためには、債券を発行する機関の経営の健全性を精緻に分析し、経営状況や財務内容をしっかりと把握することが必要であります。
都では、運用対象となる債券を国債、地方債、政府保証債、財投機関債などの極めて安全性の高い機関が発行する債券に限定した上で、適切に分散運用を行っております。その上で、債券発行体の格付の確認や経営状況及び財務内容の分析、国債との金利差を初めとする注意シグナル指標の日常監視など、さまざまな角度からリスク管理を実施しております。
さらに、東京都公金管理アドバイザリー会議において、金融分野における専門家の知見を活用するなど、幅広い視点から安全性を検証することにより、債券の安全性の確保に万全を期しております。
○うすい委員 債券の運用については、安全性に関する高い基準を設けた上で二重、三重のチェックを行うリスク管理の仕組みがしっかりと整えられていることがわかりました。
さて、ここまで今年度上半期の公金管理実績について、全体的な運用収入の動向や運用収入の中核をなす基金の運用内容に着目して、都の公金運用に関する基本認識や安全性の確保に向けた対応を確認してきました。
最後に、今後の都の公金管理の全体的な方向性についてお尋ねをしたいと思います。
現在のような歴史的にも極めて低い金利状況の中で、公金を毀損させることなく一定水準の運用収入を確保していくことは、現実的には非常に難度の高い課題であると認識をしております。その上で、今後も引き続き、低金利環境が続くことが予想されるとともに、国内外の経済情勢の先行きについても依然として不透明な状況にあると思います。
そこで、中長期的な視点からの公金の運用環境の動向と、それを踏まえました公金管理の方向性について局長の認識と決意を伺います。
○土渕会計管理局長 公金管理を取り巻く国内の金融環境について、日銀は二%の物価安定の目標が達成され、それが安定的に持続するまで現行の金融政策を継続する方針であり、現在の日銀の見通しを踏まえますと、委員ご指摘のとおり、少なくともこの先一、二年は超低金利の状況が続く可能性も否めないと考えているところでございます。
また、こうした特異な金利状況にあっても、企業の資金借り入れニーズは伸びず、多くの金融機関が預金の活用先に窮したことが慢性的な資金余剰の状態につながっており、金融機関全般において、新たな預金の受け入れを回避する流れが今後も続くものと想定しております。
このような状況を総合的に踏まえたとき、都の公金管理につきましては、今後、さらに一段と難しい局面を迎えることも覚悟しておかなければならない、このように認識をしております。
こうした現状認識のもと、都の公金を預かる立場にある者として、厳しい運用環境の現状を冷静に直視した上で、安全性と効率性という二つの命題を両立させていくことが、今後の都における公金管理の重要な課題になるものと捉えております。
公金管理を取り巻く環境がどのように変化しようとも、安全性を最重要視した上で流動性を確保し、効率性を追求していくことが、都の公金管理の要諦であることに何ら変わりはなく、これからも職員一丸となって知恵を結集し、創意工夫を凝らすことにより、直面するさまざまな課題を克服していく決意でございます。
○うすい委員 公金は都民の税そのものでございまして、細心の注意を払い適切に管理されなければなりません。経済情勢や金融環境は目まぐるしく変化するものですが、会計管理局にはこれまで以上にリスク管理を徹底し、安全かつ効率的な公金管理に一層力を注いでいただくことを強く要望しまして、私の質問を終わります。
○伊藤委員 それでは、私から、平成二十九年度公金管理実績についてお尋ねをいたします。
公金管理とは、税金をお預かりしてから都民の皆様へサービス提供として支払われるまでの間に、公金として安全かつ確実に管理することであります。東京都における公金管理の三つの原則は、安全性の確保、流動性の確保、効率性の確保となっておりまして、中でも安全性の確保が最重要視されております。
今回提出された今年度の上半期の公金管理実績によりますと、公金全体の平均残高は約五兆三千三百億円となっています。こうした多額の資金について、元本を毀損することなく、安全、確実に管理することが公金管理には求められていると思います。
そこで最初に、公金の安全性の確保に対する都の基本的な考え方について、改めて確認をさせてください。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、公金管理の基本原則を東京都公金管理ポリシーで定めており、優先度の高い順に、安全性、流動性、効率性を確保することとしております。そのうち、最重要視される安全性の確保とは、資金元本が損なわれることのないよう安全な金融商品により管理するとともに、預金先となる金融機関や購入対象となる債券発行体の経営の健全性に十分留意するものでございます。
都の公金管理におきましては、厳しい選定基準をクリアした安全性の高い金融機関への預金や国債を中心とした信用力の極めて高い公共債で適切に管理してございます。
○伊藤委員 ただいまご答弁にありましたように、安全性の確保には、公金の運用先の経営の健全性に十分留意することが肝要であります。それと同時に、常日ごろから金融動向に対して細心の注意を払い、金融情勢に的確に対応した管理を行うことも必要であります。
さて、その金融情勢について、過去二十年程度の中長期的なスパンで振り返りますと、平成九年十一月に発生した山一証券の自主廃業を初めとした金融危機、平成十四年四月のペイオフ解禁、平成二十年九月のリーマンショック、そして平成二十五年四月の日銀による異次元の金融緩和政策の導入など、ほぼ五年単位で大きく変化をしております。
また、金融行政のスタンスも、当時の大蔵省による護送船団方式は姿を消し、金融機関の自助努力による経営の健全性確保に重点を移しております。この間、銀行同士の合従連衡が続き、かつては十三行あった都市銀行は、現在ではほぼメガバンク三行に集約されております。
このように変化の激しい金融環境において、的確な公金管理を行うための適時適切な状況把握や正確な判断が求められ、金融情勢の変化に対し臨機応変に運営体制の見直しを行い、充実強化を図っていく必要があると考えております。
そこで、金融情勢の動きに的確に対応するため、都の公金管理の運営体制は、これまでどのように変化し、至っているのかお答えください。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成十四年四月のペイオフ解禁により、公金といえども預金の保護対象から外れることとなったため、都は、外部の専門家の活用と都自身の行政組織の強化という二つの視点から、公金の安全性の確保に向けた体制の充実化を図ったところでございます。
まず、外部の専門家の活用につきましては、ペイオフ解禁前の平成十四年三月に、金融分野の専門家の経験と識見を活用して、公金管理に関する適切な判断と対応を行うため、東京都公金管理委員会を設置し、公金管理を強化する体制を早急に整備いたしました。
なお、東京都公金管理委員会は、その後、平成二十八年十一月に東京都公金管理アドバイザリー会議となっております。
一方、都自身の公金管理に携わる行政組織の充実強化につきましては、平成十四年四月のペイオフ解禁を機に、当時の出納長室内に、これまで係単位であったものを課単位に引き上げて、新たに公金管理課を設置いたしました。この公金管理課におきましては、金融の専門知識を有する職員を配置して、金融機関の経営状況や運用商品についての詳細な分析を行うなど、安全性の確保に向けたリスク管理の充実強化を順次図ってございます。
○伊藤委員 ご答弁にありましたように、金融情勢の大きな変化に的確に対応しながら組織の運営を図ってきたと、こういうことだろうと思います。
組織的な運営体制に加えて、実務面においては、所管の業務の運営力を高めていくことも大切なポイントであり、そのためには、何よりも組織の人材配置が重要となっております。
東京都の公金管理を所管する公金管理課においては、専門的知識を有する職員を配置しているということでありますが、具体的にはどのような人材を配置し、専門性の高い業務を行っているのか伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、専門的知識やスキルのニーズが高い分野ごとに、民間企業の経験者から人材を採用するキャリア活用採用制度を設けております。この制度により採用された資金運用、財務等の専門性の高い職員は、現在、公金管理課に多数在籍しており、その構成は、金融機関経験者や公認会計士、証券アナリスト、国際公認投資アナリストなどと多種多様でございます。
さらに、このキャリア活用採用に加えまして、現役の金融機関在籍者を特定任期つき職員として採用しており、金融分野の最前線の知識や実践的なスキルを共有できる体制となってございます。
これらの人材を有効に活用しまして、金融情勢の動向や金融機関を初めとする公金運用先の経営状況をきめ細かく把握し、公金の安全性の確保に万全を期しているところでございます。
○伊藤委員 多種多様な専門人材を活用して、公金の安全性の確保に向けて、実践的な運営体制を整えているということを理解いたしました。
さて、現在の金融機関の経営を取り巻く環境に目を向けますと、先ほど、他の委員からもご指摘ありましたが、超低金利状況や資金需要の低迷が続く一方で、金融とITの融合によるフィンテックなど新たな動きが展開され始めております。
こうした中、最近発表された金融機関の中間決算は、メガバンクを初めとして、全体として厳しい決算内容になっているとのことであります。さらに、メガバンクでは、大幅な人員削減により、経営の効率化を加速させようとしている一方で、地域の金融機関については、金融庁が持続可能なビジネスモデルの構築を促すなど、金融機関を取り巻く環境は、今まさに大きなターニングポイントも迎えようとしております。
このように、ますます多様化、複雑化する金融環境において、引き続き適切な公金管理を行っていくためには、これまで以上に有用な人材を確保し、そして育成していくことが重要になると考えます。
最後に、公金に係る組織運営体制の一層の充実強化に向けた考え方について、特に人材育成という観点を踏まえ、局長に見解を伺いまして、私からの質問を終わります。
○土渕会計管理局長 都の公金管理を取り巻く金融環境につきましては、委員お話しのとおり、公金の預け先である金融機関の経営環境が大きな転換点に差しかかりつつあるなど、今後の趨勢を左右するような変化の兆しが顕在化してきております。
このような認識の中で、これまで以上に適切な公金管理を行っていくためには、金融情勢の動向に対する感度をさらに高め、情報をいち早く察知するとともに、直面する課題を深く洞察し、必要な対応について時期を逸することなく実施していくことが重要であります。
そのためには、環境変化に対して柔軟かつ的確に対応できるよう、公金を管理する体制を常に進化させていくことが必要であり、それを強力に下支えするための優秀な人材をより多く確保し、育成していくことが不可欠だと考えております。
こうした考えから、ただいま管理部長が答弁しましたキャリア活用採用や特定任期つき職員採用を積極的に活用することに加えまして、公金管理の任に当たる職員の業務スキルの向上や金融知識の習得を積極的に促すとともに、実践的な研修の充実や金融機関出身者による効果的なOJTを通じて、多様なマンパワーが持つ能力を最大限引き出し、その相乗効果により公金管理に係る組織力を一層高めてまいります。
組織運営の原点は人であります。数ある経営資源の中でも人材ほど重要なものはないという視点に立ち、今後とも、精力的にその育成に努め、不透明な金融環境が依然続く中におきましても、適時適切な公金管理を実施してまいります。
○上田委員 私も、平成二十九年度公金管理実績、こちらの方の資料を拝見させていただきまして、公金の運用収入の対前年同期比は、マイナス六億八千四十一万円でございました。公金運用にあっては、マイナス金利下において、るるほかの委員も議論をしてきましたけれども、私は常に前年同期比プラスにならなければならないという考えはないということを前提に以下の質疑をしたいと思います。
平成二十九年度公金管理計画にのっとり、公金運用は計画どおりに進まれていたのか、また、計画どおりだったこと、計画どおりではなかったことについてお示しいただきたいと思います。そして、その計画のでき、ふできの理由についての自己分析の方もしていただけたらと思います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金管理計画は、公金管理の基本原則や方法等を定めた東京都公金管理ポリシーに基づき、当年度の公金の収支や残高の見通しを立てた上で、具体的な管理、運用方法を定めているものでございます。
平成二十九年度上半期時点では、基金のポートフォリオや公金全体の平均残高見込みなどの主要項目について、全体的に計画どおりの進捗となっております。これは、運用資金全体のポートフォリオの状況を日常的に検証するとともに、公金管理計画に対する進捗状況を月次レベルでしっかりと管理することで、その時々に応じた最適な金融商品の選択や運用期間の設定ができていることが主な要因と認識しております。
○上田委員 全体として計画どおりということを確認させていただきました。
平成二十八年第二回都議会定例会の私の文書質問趣意書におきまして、公金を毀損した場合の損失部分の補填方法などについて質疑をさせていただきましたところ、地方自治法によって、公金管理が最も安全かつ有利な方法で行うと規定され、公金を毀損させないことが前提となっており、都としては、損失部分の補填方法などについて定める予定はありませんとご答弁されましたが、運用収入の対前年同期比は、先ほど申し上げましたマイナス六億八千万という結果を鑑みまして、公金管理ポリシーに基づく公金管理の原則、ご答弁にあった地方自治法の規定にそごはなく、この半年間は運用できていたのか、お示しいただきたいと思います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の公金は、安全性の高い金融機関への預金や信用力の高い機関が発行している債券等で運用しており、東京都公金管理ポリシーに基づく公金管理の原則や地方自治法の規定に沿って、最も安全かつ有利な方法で公金の保管、運用を行っております。
○上田委員 ほかの委員のご答弁にあったように、ポリシーに基づいて安心・安全に運用をされていることでございました。確かに、このマイナス六億八千万円ということなんですけれども、それでも公金自体には毀損が生じたわけではないということは確認させていただいたところでございます。
前回、事務事業のときの資金残高の推移、平成十四年度は約二兆円だったものが、今、五兆円になり、そして運用収益及び運用利回りの推移は、それに反比例するように非常に下落しているという大変状況が厳しい中、局長も先ほど、日銀の金融政策、マイナス金利政策についても懸念とご努力をお示しされ、そして公金管理課におきましては、キャリア活用採用をしたり、専門家、公認会計士等、金融のプロを随時活用し、人材育成もされているというところも確認をさせていただいたことでございます。
今後も、東京都公金管理ポリシーに基づく公金管理の原則や地方自治法の規定に沿って、最も安全かつ有利な方法で公金の管理、保管、運用を行うようにお願いを申し上げます。
また、その内容につきましても、随時、一応きちっとホームページにも載っておりますけれども、都民にわかるような形で、これまでどおり、またわかりやすく情報公開をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○まつば委員長 これより主税局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百六十七号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○まつば委員長 次に、報告事項、平成二十九年度東京都税制調査会答申についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十一月二十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
今回要求のございました資料は三件でございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
それでは一ページをお開き願います。
要求資料第1号、地方消費税に関する東京都税制調査会における審議の論点と委員の意見でございます。
この表は、地方消費税に関する東京都税制調査会における審議の論点と委員の意見について概要をまとめたものでございます。一ページには平成二十四年度から平成二十六年度まで、二ページには平成二十七年度から平成二十九年度までをお示ししております。
次に、三ページの要求資料第2号、ふるさと納税に係る個人住民税の寄附金税額控除額でございます。
この表は、ふるさと納税に係る個人住民税の寄附金税額控除額について、都内区市町村別に、平成二十八年度分及び平成二十九年度分をお示ししたものでございます。
次に、四ページの要求資料第3号、所得税からの税源移譲に伴う個人都民税影響額でございます。
この表は、平成十八年度税制改正において行われた所得税から個人住民税への税源移譲による個人都民税への影響額を年度別にお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水(や)委員 清水やすこです。よろしくお願いいたします。
まず、東京都税制調査会答申についてお伺いいたします。
税は、人々の生活や社会経済に極めて大きな影響を与えるものでございます。そのため税制度は、原則を踏まえつつも、社会経済の変化を敏感に感じ取りながら、常に変化させていかなくてはならないものと認識しております。
本年度の答申は、この点、時代の変化に対応した税制のあり方を的確に提示しており、大変評価したいと思っております。その中でも、まず、所得格差拡大に対応した税制についてお伺いいたします。
我が国では、再分配前の所得の格差が拡大し続けているほか、相対的貧困率はOECD平均よりも高い状態にあります。所得格差の拡大は、社会の活力と安定を阻害しかねないものであり、社会保障を初めとした歳出面と税制により、再分配機能を適切に発揮させていくことが不可欠と考えています。
そこで、答申では、所得再分配についてどのような議論が行われ、具体的にどのような提言が行われたのか、お伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 委員ご指摘のとおり、所得格差の拡大は、社会経済の活力と安定を阻害しかねない問題でありまして、その解決に向けては、社会保障や教育、労働政策などの取り組みの充実とあわせ、税制においても、所得再分配機能を適切に発揮していくことが求められるものと認識しております。
都税調における議論では、我が国の社会保障は税よりも社会保険料に頼りがちであるが、社会保険料が逆進的であることから若い世代の活力を阻害しかねない、また、所得税を中心に、所得再分配機能が適切に発揮される税制をどう設計するかということを考える必要があるとの意見がございました。
こうした議論を踏まえ、答申では、所得格差拡大の解消に向けて、若年層、低所得層の生活基盤を確保する観点から、個人所得課税の見直しを検討していくべきとし、具体的には、高所得者ほど控除額が大きくなる現行の所得控除を再編するとともに、税額控除を積極的に導入すべきであり、給付つき税額控除も一つの方策であるとしております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。確かに、個人所得課税において、所得控除から税額控除に転換していくことにより、再分配機能をより発揮することができますが、所得が少なく、税額控除が全額適用できない方にはメリットが限られます。
その点、給付つき税額控除は、所得が少ない方であっても控除の恩恵が受けられます。つまり、キャッシュインフローがあるという点で、積極的に社会で弱者の方を支えられるよい制度であると思います。
さて、私は、国際課税に携わってまいりました。諸外国では、例えば、韓国やアメリカ、カナダ、フランス、イギリスなど、既に給付つき税額控除を導入している国もあると伺っております。
給付つき税額控除は、所得や税額が低い方々には好ましい税制ですが、答申では具体的にどのような事例があり、導入する際、さらには導入後にどのような課題があるとしているのか、導入が始まっているマイナンバー制度の利活用とあわせて伺います。
○栗原税制調査担当部長 答申では、諸外国において導入されている給付つき税額控除は、その導入目的により、主に三つに分類されるとしております。
第一に、就労インセンティブを高めつつ、低所得者対策を行うことを目的とする勤労税額控除、第二に、母子家庭の貧困対策や子育て家庭への経済支援を目的とする児童税額控除、第三に、消費税が持つとされる逆進的な性質の緩和を目的とする消費税逆進性対策税額控除でございます。
また、給付つき税額控除の導入における課題について、答申では、既存の社会保障制度や税制との役割分担の明確化、所得の正確な捕捉と管理、執行機関や関係機関の間における情報共有、不正受給の防止などがあるとしております。
その上で、こうした課題の解決に向けた方策の一つとして、社会保障・税番号制度の活用が不可欠であるとし、確定申告書や法定調書等を個人番号で名寄せ及び突合することにより、適正な課税や還付が可能となるとしております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。答弁にあったとおり、課題はさまざまであり、一朝一夕に導入するとはならないものと思いますが、ぜひ都からも声を上げていただき、給付つき税額控除の導入への機運を盛り上げていただきたいと思います。
シングルで子育てを頑張っている親御さんや障害などをお持ちの方は、そもそも所得や税額が低い場合が多く、制度が制定されても適用されない場合が非常に多いと聞きます。所得の正確な捕捉や不正受給の危険もあるとは思いますけれども、そこは背中合わせと思いますが、マイナンバー制度も利活用し、税制がしかるべき所得再分配機能を発揮することを望みます。
三つ目にまいります。税制のグリーン化について伺います。
温室効果ガスの削減は、地球全体にとって喫緊の課題であり、全世界が協調して取り組んでいかなくてはなりません。そうした中、平成二十七年十二月には、国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。
我が国においても、パリ協定を踏まえ、平成二十八年五月に、地球温暖化対策計画を閣議決定し、二〇三〇年度において温室効果ガス排出量を二〇一三年度比約二六%減の水準にするとの中期目標を設定しています。
こうした中、税制においても、地球温暖化等の環境問題を解決し持続可能な社会の発展を実現するため、環境重視の考え方を組み込んでいくこと、すなわち税制のグリーン化をさらに進めていただく必要があると認識しています。
そこで三つ目でございます。
都税調、都の税制調査会では、税制のグリーン化について、どのような議論が行われ、答申にどのように反映されたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 世界的な環境意識の高まりの中で、環境重視の社会経済への速やかな移行を実現するためには、人々の意識変革、技術開発、規制、排出量取引、税制など、多様な政策手法を組み合わせることで、環境施策を積極的に展開していく必要がございます。
都税調における議論では、環境税は地球温暖化の防止や有害物質の排出抑制に効果があり、外部不経済の内部化という役割を果たす、また、環境税は基本的には価格インセンティブを重視した税であり、汚染者負担や受益者負担の観点から負担を求めるという側面も持つとの意見がございました。
こうした議論から、答申では、環境保全に取り組むことにより、持続可能な社会の発展を目指すには、各種の規制や歳出による対応のほか、税によるインセンティブ機能も重視するべきであり、税制の一つの基軸に環境を据え、税制のグリーン化を推進していくことが不可欠であるとしております。
○清水(や)委員 我が国の温室効果ガス排出量は、約九割がエネルギー利用に由来するCO2が占めています。今後、温室効果ガスを抜本的に削減していくためには、中長期的にエネルギー由来のCO2の排出抑制対策を強化していくことが不可欠であると考えます。
こうした観点のもと、平成二十四年度税制改正においては、石油石炭税にCO2排出量に比例して、上乗せして課税する地球温暖化対策のための税が創設されました。しかしながら、これは諸外国におけるCO2排出量への課税を見ると、フランスでは日本の約十四倍、スウェーデンでは日本の約五十四倍となるなど、温暖化対策税の規模は小さいものといわざるを得ません。
四問目の質問です。
温暖化対策を一層進めていく観点からは、温暖化対策税の充実を図っていく必要があると考えますが、答申では、温暖化対策税についてどのような提言を行っているのか、お伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 いわゆる温対税は、化石燃料の輸入、精製段階において、石油、石炭、天然ガスなどのあらゆる化石燃料に課税していた石油石炭税に、炭素含有量に比例した化石燃料課税を上乗せするものでございます。また、その税収は、エネルギー対策特別会計に繰り入れられ、エネルギー起源CO2排出抑制対策に充てられております。
温対税は、税率の水準が諸外国と比べて著しく低いほか、税収の使途がエネルギー起源CO2対策に限定され、事実上の目的税に近いものとなっており、必ずしも使い勝手がよいとはいえないという課題がございます。
こうした課題について、答申では、化石燃料に対して、今後はより一層CO2排出量に応じた税負担を求めていく必要があり、その現実的な課税方法は、温対税のさらなる税率の上乗せが妥当であるとしております。そして、その場合には、国と地方で適切に税収を配分するなど、地方自治体の役割に見合った財源確保のあり方を検討する必要があり、その使途は、地方自治体の裁量に委ねることを検討するべきとしております。
○清水(や)委員 ありがとうございました。
引き続き、環境と自動車関連税についてお伺いいたします。
地球温暖化対策に関する自動車の技術は急速に進歩しており、諸外国も電気自動車などの普及に向けた取り組みが活発化しています。我が国においても、こうした世界的な動きを踏まえつつ、環境負荷が小さい自動車を選択するインセンティブを一層高めていくことが必要と考えます。
さて、答申では、車体課税について、環境重視の考え方を税制に組み込むべきとしていますが、具体的にどのようなことを提言しているのか、お伺いいたします。
○栗原税制調査担当部長 答申では、今後の車体課税改革においては、欧州諸国と同様に課税標準をCO2ベースに切りかえた課税へと変革していくことが考えられるとしております。
また、平成二十八年度税制改正で、自動車税及び軽自動車税に導入することとされた環境性能割は、自動車の取得段階におけるインセンティブ付与には効果があるものの、環境重視の考え方の定着化を図るためには、保有段階における環境性能割の導入を積極的に検討することが望ましいとしております。
さらに、現行の乗用車の税率区分では総排気量が採用されておりますが、環境重視の考え方を税制に組み込むべきという観点からは、総排気量のみを税率区分とすることが適正といえるかどうかについて検討していく必要があると提言しております。
○清水(や)委員 ありがとうございました。確かに、税制をグリーン化していくことにより、環境負荷の小さい社会をつくっていくことが必要ではあります。一方で、これらの原資である税は、私たちの社会を支えている側面もあり、グリーン化による減税ばかりでは貴重な財源が失われていくことを懸念せざるを得ません。さらに、課税標準をCO2排出量ベースに切りかえていった場合、将来的に電気自動車の普及が進めば、税収が大きく落ち込むことが容易に予想されます。
そこで、この十年間における自動車関連税の減収額及び地方税収総額に占める割合の変化を確認させてください。
○栗原税制調査担当部長 平成十九年度決算額における自動車税、自動車取得税、軽油引取税、軽自動車税の四税の地方全体の合計税収は約三・三兆円、地方税収総額に占める割合は約八・三%でございます。
一方、平成二十九年度地方財政計画におけるこれら四税の合計税収は約二・八兆円、地方税収総額に占める割合は約七・二%となっております。十年前と比較いたしますと、四税合計で約五千億円の減収となっておりまして、地方税収総額に占める割合は約一・一ポイント低下しております。
○清水(や)委員 ありがとうございました。決してインパクトは小さくないことがわかりました。
さて、答申では、自動車関連税の充実確保に向けて、どのような提言を行っているのか確認させてください。
○栗原税制調査担当部長 答申では、地方自治体は道路行政、交通安全行政、環境行政等を担っており、これらの歳出を考慮すれば、自動車の使用に係る社会的コストは自動車関連税の税収を上回っていると考えられる、そこで、自動車の所有者に対して適正な負担を求めていくことが必要であり、地方自治体では、今後、自動車関連税を充実確保することが重要な課題となるとしております。
その上で、地方揮発油税や軽油引取税の燃料課税については、欧州諸国と比較して税率が低い水準にあることや化石燃料の消費が地球温暖化に与える影響、燃料課税が地方自治体の安定的な財源となっていることなどを踏まえ、当分の間の措置とされている本則税率を上回る現行税率を当面は維持するべきとしております。
また、国税である自動車重量税についても、区市町村に譲与される財源であることを十分に考慮し、安易な負担軽減のための見直しを行うべきではないとしております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。イギリスやフランスでは、二〇四〇年までにガソリン、ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出しているほか、世界各国でも、電気自動車の普及に向けた動きが起きつつあります。
都の税制調査会におきましては、こうした動きを敏感に捉えつつ、車体課税について、環境への貢献と財源確保とのバランスも含め、さらに研究を深めていくことを要望させていただきます。
また、地球温暖化への対応という点では、温室効果ガスの吸収源である森林--私は西多摩選出であり、森林は極めて重要な課題であることを痛感しておりますが、国におきましては、森林環境税の導入が検討されており、報道でも取り上げられているところであります。税制上の課題もあるとは思いますが、森林の効果が温室効果ガスの吸収を初め、水資源の確保などを通じて都市部の生活にも及んでいることを踏まえますと、森林環境税については積極的に評価をしたいということを申し述べさせていただきます。
続きまして、個人事業税について取り上げます。
個人事業税は、所得税で事業所得が生じた事業全てが対象になるわけではありません。これは事業者間の公平性の観点から、私は問題があるのではないかと思います。
そこで、個人事業税の課税対象についてお伺いいたします。
○副島税制部長 個人事業税は、個人が営む事業のうち、地方税法等で規定されました七十の業種に限定して課税されるものとされております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。今答弁がございましたように、課税対象の業種は、国が法令で規定しており、地方自治体が独自に変更できないものとなっていることが理解できました。
消費税法上の事業の概念を引用し、網羅したり、または所得税法上の事業所得の定義と解釈をかりれば、今後どのような業種が出てきても、スピーディーに取り漏れなく対応できるのではないでしょうか。
平成二十六年六月から、都は、個人事業税の課税方式の見直しに関する国への提案要求を行っていらっしゃいますが、この間にも課税漏れが生じ、結果として事業者間の税負担の公平性が確保されていません。
なぜ、課税対象業種の限定列挙方式が改められないのか、都の見解をお伺いいたします。
○副島税制部長 IT事業など以前想定されていなかった業種が、近年相次いで発生しており、事業性があるにもかかわらず課税されない状況が生じているほか、就業形態の多様化、複雑化に伴い、課税対象事業の認定が実務上困難をきわめております。
こうしたことから、都といたしましては、課税の公平性を確保するため、委員ご指摘のとおり、対象事業を法令に限定列挙する現行の方式を見直すよう国に提案要求しており、今後とも、実務上の課題を丁寧に説明するなど、実現に向けまして、国に対して働きかけてまいります。
○清水(や)委員 ありがとうございます。これまでと同じ要望をしていても実現は難しいと考えられます。具体的に取り漏れた減収額の試算を行い、国に提示するなど、要望に当たっては、さらなる工夫に努めていただきたいと思います。
最後に、償却資産の申告期限についてお伺いいたします。
償却資産は、土地、家屋のように登記制度がないこともあり、毎年一月一日時点で所有している資産を一月末日までに申告することとされています。一カ月ありません。他方、法人税などの申告は、原則として事業年度の終了の翌日から二カ月以内、時には三カ月以内の間に申告してくださいと規定されています。こうした申告期限の違いにより、事業者は、資産の把握に係る業務負担を二重に負うだけでなく、深刻な誤りを発生させやすい原因の一つともなっています。
また、税理士会からの毎年の要望でも、償却資産の申告期限を法人税と一致させるべきと提出されてもいます。納税者の利便性を高めていくためには、課税庁の事務負担も考慮しつつ、納税者の申告しやすい制度にしていくことが必要と強く思います。
そこで、都の税制調査会では、償却資産の申告期限について、どのような議論が行われ、答申へどのように反映されたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 償却資産に対する固定資産税は、納税義務者が一月一日の賦課期日現在所有している償却資産を、一月末までに申告することとされております。事業者にとっては、償却資産の賦課期日と法人課税の決算日が異なることや両者の申告時期が異なることから、過度な事務負担を強いられているという指摘がございます。
都税調における議論では、償却資産の申告期限である一月末は事業者にとって給与支払い報告書や法定調書の提出などの税務事務が集中して多忙である、また、償却資産の申告時期が事業者の決算時期と異なることで申告漏れが発生しやすいなどの意見がございました。
こうした議論を踏まえ、答申では、償却資産に対する固定資産税について、わかりやすい簡素な制度とするため、申告時期について法人課税と整合性をとることも考えられる、その際、決算期が異なる事業者間の公平性や制度改正に伴う歳入への影響、市町村の事務負担等に留意するべきとしております。
また、所得税、法人税における申告に、減価償却の基礎となる個別の資産の取得価格、取得年月日等も含めることにより、あわせて償却資産の申告を行えるようにするなど簡素化に向けた整備を図っていくことが必要であるとしております。
○清水(や)委員 ありがとうございました。最後の簡素化に向けた整備は、今後の方向性として極めて重要だと思います。例えば、法人税の申告様式の見直しとあわせて、電子申告などICTを活用することで、事業者と課税庁がともに負担を軽減できる方策も考えられると思います。
また、償却資産の申告期限に限らず、地方消費税の清算基準の見直しや、ふるさと納税、地方法人税、これは累積金額が二兆、三兆とも影響額がなってきますと事態は重大です。これはどうして起こるかと申しますと、国による法令が定められているからです。つまり、イニシアチブが地方にないということで、これは国による法令の改正が必要となるものであり、都民や全国を巻き込みながら、その機運を高め、国へ働きかけていくことが必要だと強く感じます。
私は、都の不正軽油に関する広告を中央線の車内で見かけたことがあります。都の財源というテーマについても、少なくとも不正軽油の半分ほどのエネルギーは注げないかなと個人的には思っています。
私も、ささやかですが朝の駅頭などで、こういう内容を申し上げていくと少しずつ違っていくのかなと頑張ってまいりたいと思います。
例えば、「あなたと都税」等の広報紙を通じて都民の理解を深めていくほか、自然に視界に入る戦略として、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどのメディア、ウエブサイト、交通広告を利用するなど、あらゆる機会を捉え、都の考えを発信していく必要があり、こうした取り組みを一層進めていただくことを要望します。
以上で質問を終わらせていただきます。
○うすい委員 私の方からは、東京都税制調査会の答申について伺いたいと思います。
最初に、不合理な偏在是正措置の見直しについて伺います。
国は、地方自治体間の財政調整を目的として、平成二十年度の地方法人特別税の導入以降、行政サービスの受益に応じて税を負担するという地方税の原則を大きくゆがめる改正を繰り返してまいりました。
近年の偏在是正措置の規模は、目をみはるものがありまして、地方法人税、地方法人特別税による都への影響額は、平成二十年度から二十九年度までの累計で約二兆二千億円になります。また、地方消費税の清算基準の見直しなど、地方法人課税以外にも都の税収を奪う動きも活発化しております。
都民が納めた都税は、都民のために使われるべきものでございまして、さらなる不合理な見直しが行われることは断じてあってはならないと思います。東京都税制調査会におきまして、この問題を取り上げて議論したことについて評価をしたいと思います。
そこで初めに、不合理な偏在是正措置について、都税調では、どのような議論が行われ、答申にどのように反映されたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 都税調における議論では、都税調には、地方税全体として税源の偏在性をどのように是正すべきかという観点と、都民の負託に応えて、都として税制のあり方をどのように打ち出していくかという観点の二つがある、税収が配分されることにより、国全体としては偏在性のバランスが図られる一方で、都の社会保障施策を賄うはずであった財源が消えてしまうことについては、きちんといわざるを得ないとの意見がございました。
こうした議論を踏まえ、答申では、地域間の偏在是正と財政力格差の縮小という目的のために、地方自治体の重要な基幹税を国税化することに合理性はないとしております。加えて、地方財政に必要なことは、限られた財源の奪い合いではなく、地方税財源の拡充と安定的な地方税体系の構築であるとしております。
さらに、地方法人課税などの地方税制度を地方自治体間の財政調整の手段として用いることは応益原則に反するものであり、そのような措置は税体系を崩しかねず、結果として、税への信頼を失わせるとしております。
○うすい委員 答弁を伺いまして、私の認識とも一致していることを確認させていただきました。
本来、地方自治体への財源保障は国の責務でございまして、しかし、都を富裕団体視しまして、国が行うべき地方財源確保の問題を地方自治体の税収格差の問題に変えて、不合理な偏在是正措置を行おうとしております。
私自身も、この議論が行われる過程で常に感じることは、どうしても、都の財政需要に対する視点が大きくかけ離れていると思います。答申にも書かれていますが、高齢化の急速な進行、それから東京都の医療、介護などの社会保障に関する経費、また、毎年そうしたものが三百億円からのペースで増加をするといわれております。
そのほかにも東京は、首都直下型地震への備え、防災対策、そうした経費にかかることは膨大でございまして、財政需要がそうしたことであるわけでございます。税源の偏在是正を議論する上では、こういった大都市である東京都特有の財政需要についてもしっかりと考慮に入れて考えていく必要があると思います。
そこで、東京における財政需要について都税調ではどのような議論がなされたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 委員ご指摘のとおり、首都機能を担う東京には、人口や企業が集中し、約一千三百万人の都民生活のみならず、約三百万人の都外からの通勤、通学者、約六十五万の事業所の活動を支えているなど、大都市特有の膨大な財政需要が存在しております。
都税調における議論では、各地方自治体は、子育て支援や高齢者福祉等のさまざまな課題を抱えている、こうした財政需要が高まっている中で、地域の施策に充当していくための財源をしっかりと確保していく必要があるといった意見や、多摩の町村や島しょ地域においては、道路整備が十分でないなど多くの財政需要があるとの意見がございました。
○うすい委員 地方自治体間の財政調整を目的とした、いわゆる納得できない措置は枚挙にいとまがないわけでございますが、先般、東京都が地方消費税の清算基準見直しに向けた反論書を取りまとめたわけでございますが、現在、国で行われている清算基準の見直しの議論も、大都市から地方への税収移転を意図としていることは明らかであります。
清算基準は、あくまでも税収を最終消費地に帰属させるための指標であるにもかかわらず、消費とは関係のない基準で税を配分する議論がなされている現状は、地方消費税を地方税として獲得してきたこれまでの努力を無にするものと思いますし、地方分権の流れに大きく逆行するものと思います。そういう意味では、都民のために必要な財源ですから、しっかりと、いうべきことは都として主張していくべきだというふうに考えます。
次に、ふるさと納税について伺います。
このふるさと納税も、都市から地方へ税源を移転することを意図とした、ある意味、不合理な措置の一つともいえるものでありまして、かねてより問題も多い制度だと感じております。
東京都内のふるさと納税の控除額は平成二十九年度はおよそ四百六十六億円でございまして、この一年間でほぼ倍増しております。私の地元足立区においても、平成二十九年度は六億円を超える減収となっておりまして、区の財政運営にも大きな影響を与えております。
そこで、ふるさと納税について、都税調ではどのような議論が行われたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 ふるさと納税による寄附金につきまして、地域の活性化や被災地の復興支援に寄与しているものの、近年は地方自治体による過剰な返礼品競争が行われるなど、さまざまな問題が指摘されております。
都税調における議論では、現状の返礼品の問題点がクローズアップされているが、そもそも税の原則に対してどのような問題があるかをきちんと発信していくべきとの意見がございました。
また、税の負担を減らしたいという高額所得者の要望に応える制度ではなく、本来的な意味での寄附文化を育てる制度にしていくためには、どうするべきかを発信していくことが必要であるとの意見がございました。
○うすい委員 今答弁いただいたとおり、単に税の負担を軽減したいとか、返礼品がすばらしいとか、行き過ぎた返礼品競争ということではなくて、寄附の文化をしっかり育てていくことが大事だと私も思います。
そこで、答申におけるふるさと納税の問題点についての認識及び提言内容について伺います。
○栗原税制調査担当部長 答申では、ふるさと納税の利用者の多くは、実質二千円で得られる返礼品を目的としており、無償であることが前提の寄附とはかけ離れた実態となっているとしております。そして、ふるさと納税は、寄附額のうち二千円を超える部分の全額が控除され、その他の寄附金税額控除と著しくバランスを欠いているという意見もあるとしております。
また、ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けた場合、本来は、所得税から控除する分も含めて寄附者の居住する地方自治体の個人住民税から控除されることについて、地方から国への財源の移転と同じであり、不合理であるとしております。
さらに、そもそも個人住民税は、地域社会の費用を住民が広く負担する税であり、居住地でない地方自治体への寄附により、居住地である地方自治体から税額控除を受けるふるさと納税は、受益と負担の関係をゆがめる制度であるとしております。
こうした認識をもとに、答申では、ふるさと納税は抜本的に見直し、寄附の本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとしております。
○うすい委員 私は、このふるさとを応援するという制度の趣旨を正面から否定するつもりはありませんが、それにしても現行の制度では、無償であることが前提の寄附とは大きくかけ離れたものとなっております。今回、いわゆる返礼品の問題だけではなくて、受益と負担の関係をゆがめる制度であるなど、税の原則に対する問題点を指摘したことは重要であると思います。
日本の寄附の実態ということで、日本ファンドレイジング協会というのがありまして、編集した寄付白書二〇一七という本があるんですけれども、それによりますと、昨年一年間の日本の個人寄附の総額は七千八百億円で、海外の個人寄附を調べてみますと、米国が三十兆円を超えておりまして、ぬきんでております。国内総生産、GDPが日本の約半分の英国ですら一・五兆円であります。日本は七千八百億円であります。
東京大学の総長だった小宮山宏氏は、こういわれております。民間資金の流れをつくることができれば、少子高齢化、年金、医療やエネルギー、環境、格差など、山積みする課題の緩和に、ある意味で結びつくというふうにいわれています。
高度経済成長がある意味終わりまして、以前の仕組みが続かない昨今では、寄附は民間の力で解決していく一つの指標だと思いまして、寄附の考え方としてこうした視点も大事だということで話をさせていただきました。
これまで、国による不合理な措置について質問をしてきましたが、都民生活を守るためにも、これらの措置に対する反論をしっかりと展開していく必要があると思います。
一方で、残念ながら、全国的に見てこの問題について問題意識を持っているのは、都を初めとした大都市のみというのが現状でございます。東京都が繰り返しあるべき税制のあり方を主張していかなければ、都民、国民が余り気づくことがなく議論が進んでしまうおそれがあると思います。そうした意味では、問題を埋もれさせることのないよう、問題の本質を見える化して、都民、国民を巻き込んだ議論を喚起することが必要だと考えます。
そこで、東京都税制調査会の答申を受けまして、今後どのように答申を活用していくのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 平成二十九年度の答申は、三年を一期とする検討期間の最終年度の答申であり、将来世代の利益をも含めた中長期的な課題に加え、地方消費税の清算基準など、都が直面する喫緊の課題についてもご提言いただいております。
主税局は、この答申を国等の関係機関や都選出国会議員、全道府県及び全政令指定都市等に送付したところでございます。さらに、各種広報紙等に答申の記事を掲載するなど、国や地方全体へ都税調の提言を広く発信してまいります。
今後とも、都税調答申の趣旨を踏まえ、都として、国等に対して主張すべきことは確実に主張し、地方自治体の役割と権限にふさわしい、地方税財源の充実に向けて取り組んでまいります。
○うすい委員 東京都税制調査会の取り組みと答申の内容がしっかりと都民、国民に伝わるように積極的に発信をしていただきたいと思います。
人口減少社会が到来して、経済のグローバル化が進展する中で、税制度も時代の変化に対応したものへと変化することが求められてくると思います。
都税調においては、東京都という一自治体の立場にとどまることなく、地方全体及び国全体を俯瞰するよりもさらに高い視点から、地方税制度なり、あるべき姿について検討し、発信していくことを期待しまして、質問を終わります。
○小松委員 私からも、東京都税制調査会の答申について幾つか伺いたいと思います。
現在、国においては、平成三十年度の税制改正の議論が大詰めを迎えようとしております。地方消費税の清算基準や固定資産税の見直しなど、まさに都民生活に大きな影響を与える内容も含まれており、予断を許さない状況にあるところでございます。
これまでがまさにそうであったように、この税制改正というのは、さまざまな政治的配慮が議論の流れを左右するといっても過言ではありません。だからこそ、この東京都税制調査会のように、税の専門家のみならず、都議会議員、そして都庁も一体となって検討を行う組織があるということは、東京都の最もすぐれた強みであるというふうに思っておりますし、意義のあることだと思っています。
初めに、この平成二十九年度の都税調の答申では、どのような点を中心に議論を行われたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 東京都税制調査会は、地方税財源の充実を目指すという基本的立場から、地方分権の時代にふさわしい地方税制や国、地方を通じた税制全体のあり方に関する事項を検討することを設置の目的としております。
あわせて、国の動向等に適切に対応するため、都の直面する税制上の課題にも焦点を当てた検討を行っております。
平成二十九年度は、ふるさと納税を含む個人所得課税、地方消費税の清算基準のあり方、固定資産税の見直しなどを中心に議論を行い、提言をいただいております。
○小松委員 ただいまの答弁から、今年度、都として主張しなくてはならない幾つかの内容がしっかり踏まえられているという点が確認できました。
続いて、固定資産税の見直しについて伺ってまいりたいと思います。
二十三区の地価は、全国に比べて極めて高いということはご承知のとおりであります。商業地の評価額を例にとれば、一平米当たりの全国平均は約三万円であるのに比べ、二十三区の平均では約六十万円と、およそ二十倍もの開きがあります。当然、固定資産税額も地域によって大きく異なってまいります。
平成三十年度の税制改正においては、この商業地等における特例の負担調整措置の見直しが争点となっています。都市部の地価が上昇傾向にある中、この特例を廃止するということは、とりわけ個人経営の方々や中小企業に極めて大きな影響を及ぼします。税負担への影響が地域によって異なることを踏まえる、そうすると全国一律の見直しを行うということは適当とは思いません。
また、都独自の軽減措置のうち、商業地等にかかわる負担水準の上限引き下げ及び税額が前年度の一・一倍を超える住宅用地等に対する軽減の二つの条例減額制度は、平成二十九年度末に法律上の適用期限を迎えることとなっております。これらについても、平成三十年度税制改正の議論の中で、国において検討がされているところであります。
そこで、この固定資産税の条例減額制度の継続について、答申における提言内容と東京都の見解を確認させていただきたいと思います。
○栗原税制調査担当部長 答申では、商業地等の負担調整措置に関しましては、条例で定める負担水準により算定される額まで一律に減額できる条例減額制度の延長が、今後も不可欠であるとしております。
都といたしましても、評価額が極めて高い特別区においては、地価の上昇率も全国と比べて高い水準となっていることから、中小企業等の負担感への配慮も必要であると認識しております。
こうした状況を十分に勘案し、国に対し条例減額制度の継続を強く要望しているところでございます。
○小松委員 都も条例減額制度の必要性を認識されているということが確認されました。
引き続き、都税調の答申をもとに、国に対して制度の継続を積極的に働きかけていただきたいと思います。
次に、地方消費税の清算基準について伺います。
地方消費税の清算基準については、過日、都議会自由民主党は自由民主党東京都支部連合会とともに、宮沢洋一自由民主党税制調査会長に対して、東京都民の理解が得られる税制改正となるように求めてきたところであります。
地方消費税の清算基準に関しては、人口の比率を大幅に高める方向で議論がなされているわけでありますが、これは、大都市から地方への税収移転を意図しているとも考えられます。
そもそも地方消費税の清算基準は、消費者が買い物などをした最終消費地に税収を帰属させるための仕組みであります。人口で配分することは制度本来の趣旨から外れた考えといえます。
地方消費税の清算基準について、この人口の比率を高めるとする国の考え方に対して、答申ではどのように認識をされているのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 答申では、現行の統計で都道府県別の消費額を正確に把握できない業種や販売形態は、統計から除外して人口に代替するべきとの意見があるが、地域ごとの消費性向や購買力などを無視したものであるとしております。
また、人口の比率を引き上げることは、大都市から地方への税収移転を引き起こすと考えられるが、清算基準は、あくまでも税収を最終消費地に帰属させるためのものであり、都道府県間の財政調整のために用いるべきではないとしております。
さらに、地方消費税の引き上げ分が社会保障財源に充てられることをもって人口の比率を高めていくべきとの意見もあるが、地方消費税は、本来、地方自治体の多様な行政需要を賄う一般財源であり、清算においてその使途を考慮すべきではないとしております。
○小松委員 ただいまの答弁から、人口は、あくまで統計で把握できない部分を補うための代替指標として用いられているということ、そして、一つの要素ではあるものの、地域ごと、また、年齢層によって消費支出は異なることから、消費の実態を反映する指標として人口を用いることが適切でないことが確認できました。
では、地方消費税の清算基準の見直しについて、都税調の議論が答申に対してどのように反映されてきたのか伺います。
○栗原税制調査担当部長 答申では、清算基準の制度本来の趣旨は、最終消費地と税収の最終的な帰属地を一致させることであるという点を踏まえ、消費という課税ベースに応じた客観的かつ合理的な基準という観点から議論を行う必要があり、清算基準の精緻化に向けては、統計で把握できる範囲と統計の比率をあわせて高めていく方向で検討がなされるべきであるとしております。
○小松委員 国による不合理な偏在是正措置は、平成元年度に、税制改正で実施された法人事業税の分割基準の見直しにさかのぼるわけであります。
先日の本会議の小池知事の答弁でもございましたけれども、この地方法人課税の偏在是正措置と分割基準の見直しによって、東京都の法人二税は、平成に入って以降、累計で五兆二千億円もの税源が奪われてきたというご発言がありました。
新聞報道によれば、国は今後、地方自治体のさらなる格差是正に向けて、地方法人課税分割基準の変更等を視野に入れた検討を行うというような記事もありました。
地方法人課税の分割基準について都税調ではどのような議論が行われ、答申にはどのように反映されたのか確認したいと思います。
○栗原税制調査担当部長 法人事業税の分割基準につきましては、従業者の数に加えて、事務所または事業所の数を基準として導入するなどの見直しがなされ、実質的には大都市に不利益な財政調整手段として使われてまいりました。これによる都への影響額は、平成十九年度から平成二十八年度までの十年間の合計で約一・五兆円に及んでおります。
都税調における議論では、法人の事業活動規模をあらわす付加価値をどのように地域間で分割し、税収を配分したかという観点から、ふさわしい指標について議論すべきとの意見がございました。
また、従業者の数を分割基準に用いることは合理性があり、財政調整の手段として、事務所または事業所総数を分割基準に導入したとすれば、不合理な見直しであるといわざるを得ないとの意見がございました。
こうした議論から、答申では、財政調整の手段として分割基準を用いることは、行政サービスの受益と法人の事業活動との対応関係をゆがめ、基準そのものに対する信頼を失わせることになるため、断じて許されないとしております。
○小松委員 これまでの都税調の答申についてのご説明も含めて、都の見解、ご答弁いただいてまいったわけであります。
平たくいえば、国は税収を取れるところから取ろうという考えのもと動いているように、私自身も認識をしております。そして、今ご答弁にもありました、これまでのご答弁にもありましたが、この先、東京都は、オリンピック・パラリンピックの競技大会の成功に向けた準備や、急速に進んでいる少子高齢化への対応や、さまざまなインフラ整備、そうした都市機能の向上に向けてのさまざまな取り組み、つまり行財政の大きな需要、膨大な需要があるということも共通の認識として確認がされているわけであります。
しかし、ここで忘れてはいけないのかなと思っているのが、この答申を読むたびに、私も共感できるものが多いわけでありますが、これはあくまで東京に住み、そして東京都政に携わる者の主張として共感できるものであって、先ほど、うすい委員のお話の中にもありましたけれども、やはり忘れていけないのは、国と東京都が思いを一にできない、利益が相対することも間々あるわけであります。そして、実際に今は、国の側の主張の方にこそ共感を覚える自治体の方が多いわけでありまして、東京一極集中や東京ひとり勝ちといった議論が世論を変えられていないのは、まだまだ我々の努力の余地があるのかなというふうに思っています。
そうしたことをしっかりと踏まえていかなければ、東京はこれからこういう膨大な行政需要がありますと、おかしいじゃないかということを幾らいっても、それを共感していただかなければ何も状態は変わらないのかなということを危惧するところであります。
今後、この都税調のさまざまな議論の中で、こういったロジックだけではなくて、我々とは立場を異なる側に立ってみて、どういう東京都であれば、それに共感して、東京都とともに地方分権の話ができるだろうか、東京都に加担して、国としっかりと対峙して、あるべき地方自治、そしてあるべき地方税財源のあり方を、ともに東京都と歩もうと思ってくれるだろうかということに、これから議論を振り向けていかなければ、毎年、こうしてさまざまなこの都税調でも議論されていますけど、毎年、国と、このパイの取り合いに東京都は立ち向かわなければいけないわけであります。
これまで、先輩方のお話を聞けば、鈴木俊一さんのときには、ご自身が地方自治をつくったその自負の中で、東京都のリーダーとして国と対峙もしてきましたし、そして石原都政の中では、ここにいらっしゃる先輩方もそうでありますけれども、しっかりと国と渡り合いながら東京都の政策を前に進められる、そのための条件をしっかりと確保してきたんだと思うんですが、この一年間は、ともすれば東京の主張は東京が主張するんだけれども、地方自治のリーダーとしてふさわしい議論、政策、そうした展開ができたのかなと思えば、なかなかそうはいえないんじゃないかなというふうに思っています。
オリンピックの施設整備のこともそうですし、豊洲市場のこともそうですし、多くの地方自治体の方々からは共感を得られていないのもまた事実であって、そういうことも踏まえながら、この都税調の中での議論展開を今後要望しまして、私からの質問を終えます。
○曽根委員 私からも同じく、都税調の答申について幾つか質問させていただきます。
この都税調に対する諮問は、地方分権の時代にふさわしい国と地方の税制についてというものです。地方分権に向けて、かつては国からの一定の財源移譲が行われたこともありますけれども、その後は、一貫して国の赤字を理由に、東京など大都市の地方法人への税収を国が収奪して、これを他の自治体に分配するという動きが続いております。しまいには、都などの地方税の税収の本来のあり方に反するこの税源の収奪が、国からの交付金財源に入ってしまうということまで行われているわけです。
あわせて指摘しておきたいのは、今、この国の大都市に対する不公平な、不公正な是正措置が二〇〇〇年ごろから始まったという話がありましたが、私の記憶では、本格的に国が地方税収そのものを奪っていくということが始まったのは、二〇〇七年暮れに当時の福田総理と石原知事の協議の上で、外環道などの凍結解除を条件に、地方法人税の一部を国税化するという非常に乱暴な措置を容認したことに始まると思います。
この後、外環道については、直ちに国幹会議が開かれて凍結解除が行われ、巨額の事業費が、これは当時、本来ならば高速道路株式会社に責任が負わされるところが、大赤字になるということで、その大部分を国と都が負担するという方向にねじ曲げられ、その事業費が今膨らみ続けて都の財政についても影響を及ぼしていると。
さらに、外環ノ2の地上道路も都道として事業化する計画が押しつけられており、さらには外環道の東名以南の延伸構想まで出てくるという事態で、私たちが口を酸っぱくして申し上げているように、今後の東京都の大型公共事業の中で大きな負担を残すことになりかねないわけです。
したがって、今後の税制について論じる場合、本来の課題である地方自治体全体が共通して財源をふやしていくための取り組みをどうやって連携をとって進めるのかという検討が、今もちょっとお話ありましたが、この検討こそ、非常に重要になってまいります。
今回の答申を見ますと、こうした全国の地方自治体が共通して抱えるこの財政不足をどう打開していくのかという点での具体的な記述がどうも見当たらないように思うんです。
人口減少、高齢化が進んでいく、誰もがこれはもう避けられないと思っている中で、東京など大都市にも、ほかの自治体にも共通した地方財源全体の不足について、大きな方向性としてどう打開していくのか、その上で、これまでの都税調ではどう検討されてきたのか、このことについて伺います。
○栗原税制調査担当部長 現状の地方財政におきましては、財源保障に必要な地方交付税総額は確保されておらず、地方財政計画上、本来交付税措置されるべき財政需要が赤字地方債である臨時財政対策債により充足されております。
都税調の議論では、地方の財源について各地方自治体は、子育て支援や高齢者福祉等のさまざまな課題を抱え、こうした財政需要が高まっている中で、地域の施策に充当していくための財源をしっかりと確保していく必要があるなどの意見がございました。
答申では、少子高齢化、人口減少の進行に伴い、地方自治体には一層の役割が求められる、地方自治体がその役割を適切に果たしていく上では、地方税財源の拡充とともに課税自主権の活用を図るなど、安定的、持続的な財政基盤の構築が必要であるとしております。
○曽根委員 確かに答申の初めの方には、今、内閣府が試算しているアベノミクスに基づく経済成長率が実質二%以上確保されると、名目三%という、私たちどう見てもこれは甘いと思いますが、これが確保され、かつ消費税率が平成三十一年十月、再来年ですが、一〇%に引き上げられることを前提としてもなお、平成三十二年度に国、地方の基礎的財政収支は八・二兆円の赤字になるというふうに見て、これが結局は、地方財源の不足となって、国からの交付金で十分な穴埋めがされているとはいえない状態が続くということであります。
このために、課税自主権の活用や安定的、持続的な財源、財政基盤の構築というようなことを答申では述べているということですが、しかし、具体的に今進行しているのは、今後、地方の財源を安定的、持続的な財源ということで、私たちから見れば、消費税のように、税負担で一番苦しい思いをしている一般の都民の方、住民の方、取りやすいところから取るというやり方で、さらに安定財源の収奪をされていくという方向をとっていくことは、日本全体の、かつまた特に地域経済の今後にとって非常に大きな影を落とすんじゃないかということであります。
答申では、消費税は安定財源というふうに、もう最初から決めつけていますけれども、消費税は、日本の場合あらゆる消費に課税されるという原則から、低所得者に影響が非常に深刻であり、また、きょうも資料が出ていますが、地域経済にとっても消費税の増税というのは、消費不況の深刻な影響を及ぼしかねないんじゃないかというふうに思います。
この点についての答申、もしくは都税調の見解、都の見解はいかがでしょうか。
○副島税制部長 経済がグローバル化いたしまして、世界情勢が目まぐるしく変化する今日におきましては、景気変動は、さまざまな要因が複合的に重なって起こるものでございまして、消費増税のみを取り出して景気に与える影響を判断することはできないものと考えております。
○曽根委員 部長のお答えは、いってみれば世界の国際的ないろんな金融、さまざまな経済の動きが、直接反映する日本の株式市場や為替市場などを中心にした話だと思いますが、確かにそういう影響は、私たち国民生活にも一定の影響を与えることは事実ですけれども、しかし、経済、GDPなどでも国民の消費が六割を支えていますから、ここに直接的な影響のある、特に影響の大きい消費税の増税というのは、かつて九七年に行われた五%への増税、その後も八%の増税、そうした増税の後の数年間は、消費と景気が物すごく落ち込むというのは例外なく経験済みのことであります。
しかも、都税調の資料をいただきましたが、この中でも、例えば、かつては八%増税の前には、民間の研究機関の方が都税調に来られて、八%、一〇%の増税が行われれば、GDPでいうと二%前後の大きな影響があると、マイナス影響があるというようなことも明確に予想として述べられたり、さまざまな議論がありました。
最近では、どうも都税調ではこういった議論がされていないというのが私は問題だと思いますし、最近でいえば、小池知事自身も、やはり景気回復の実感がないということから、増税の凍結を政策としても掲げている以上、知事周辺を含めて、東京都が消費税増税の是非について何の議論もないということでは、私は、都民から非常に信頼を失うことになると思います。
その点で我が党は、増税は再来年十月に今度はやるというふうに政府はいっていますけれども、増税はきっぱり中止すると同時に、少なくとも、現行消費税についても負担が重いわけですから、食料品非課税など当面の措置を講ずるべきだということを主張し、また今回も意見書案を出させていただきました。
低所得の世帯ほど生計費の中で食料品費の割合が高く、しかも、最近その割合、いわゆるエンゲル係数の割合が非常に高くなってきている、つまり貧困化が進んでいるということも明らかですので、低所得者に減税効果のある消費税の食料品非課税については、真面目に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○副島税制部長 消費税率の引き上げが行われる際には、これまでも負担に配慮する措置が講じられてきておりまして、消費税率一〇%への引き上げ段階におきましては、酒類、外食を除く飲食料品などに対し、軽減税率が導入されることとなっております。
○曽根委員 今検討されている軽減税率というのは八%の据え置きにすぎません。しかし、食料品を分割して複数の税率を設定できるということが、次第に具体化されつつあることは重要だと思いますので、私たちは、改めて増税の中止、現行消費税については、当面、食料品などの非課税措置、将来は廃止を目指すべきだということを強調しておきたいと思います。
時間の関係で、あと一問だけお聞きしますけれども、地方税の格差拡大が進む中で財源を獲得していくということは、これは多くの自治体の中で、今後も議論を深めていかなきゃなりませんが、同時に、個人所得税など、または個人事業税の話が先ほどありましたが、こうした高額所得者の払っている税金が個人所得税では、低所得者と同じく一〇%にフラットになってしまっている地方税の個人課税のあり方について、累進性を強める必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○副島税制部長 所得再分配機能につきましては、応能的な性格を有する国税である所得税の役割であるとされておりまして、平成二十五年度税制改正におきましては、最高税率の見直しが行われるなど、累進性の強化が図られております。
一方、地方税である個人住民税は、地域社会の会費として、住民がその能力に応じ、広く負担を分任するという応益的な性格を明確にするなどの観点から、一律一〇%の比例税率とされております。
国の平成二十九年度与党税制改正大綱では、個人所得課税においては、所得再分配機能の回復を図ることが重要であり、各種控除等の総合的な見直しを丁寧に検討していく必要があるとしておりまして、都は今後とも、こうした議論の動向を注視してまいります。
○曽根委員 控除の見直しも幾つかは必要なものがあると思いますが、財政的な影響は極めて小さい、税収全体に対する影響は。これに対して、かつて国からの財源移譲が行われた際には、国の所得税の累進性を高めることによって、その差額を地方税に回すという大胆な税源移譲が行われたことがあります。こうしたことはやればできるわけなんです。私は今、国の個人所得税の最高税率四五%程度だと思いましたが、以前のレベルに近づけていくと同時に、その上昇分を地方に回すというようなことも含めた大胆な地方税の税源移譲、特にこの累進性を高める中での税源移譲というものも国に対しても働きかけ、検討をしていくべきだということを申し上げておきたい。
また、現在二〇%にすぎない株式の配当利益や株取引の課税についても引き上げ、そしてその引き上げ分を地方に回すなどが必要だということを指摘して、質問を終わります。
○上田委員 平成二十九年度東京都税制調査会答申についてお尋ねをいたします。
初めに、私が要求しました要求資料第2号のふるさと納税の方からお尋ねしたいと思います。
国と地方の財政力格差是正を目的に、この十年で二・二兆円もの巨額の財源を既に奪われている上に、ふるさと納税は四百六十六億円という金額に急増していることが、この資料からも見てとれます。十万都市の年間予算に匹敵する額が流出しているということになります。
私の選挙区の江戸川区は約八億円ということで、それでなくても財政力指数が低く、財調に本当に頼らねばならない我が区においても大きな打撃となっております。地方消費税の不当な奪取に加えて、まさに東京都としては泣き面に蜂という状況ではないでしょうか。
さて、答申では、ふるさと納税は、受益と負担の関係をゆがめる制度であり、抜本的に見直すべきとされておりますが、都市にとっても地方にとっても、ふるさと納税の使われ方を重視した改善を図ることで、より機能する制度になるのではないかなというふうにも考えるものでございます。
そこで、都税調の議論において、ふるさと納税に対して積極的な評価をした意見はあったのかどうか伺いたいと思います。
○栗原税制調査担当部長 ふるさと納税に関する都税調の議論では、受益と負担の関係をゆがめる、また、本来的な寄附となっていないなど、税制度上の問題点を指摘する意見が多かったものの、ふるさとのない都民が地方に関心を持てるようにするよい機会と捉え、積極的な形で見直していくべきとの意見もございました。
○上田委員 東京都は、三多摩から島しょもあって、また、各区でも結構、江戸川区だとコマツナとか、コマツナに関するようなお菓子があったりしますけど、名産品も事欠かないし、幾つかの自治体も実際にふるさと納税の取り組みをしているところもあります。ゆえに、東京も、都内の各区市町村も地方の一つであることは変わりがないということでございます。
その点で、東京を含む各自治体が、先駆的な政策に目的を掲げて寄附を募る、奪い合いではなくて、本当によい取り組み競争、税制競争をすることによって寄附が集まって、結果として、地方自治体の前向きな政策形成力の向上につながっていくものと、この点に関しては考えております。積極的な形で見直していき、奪取をとめていくというようなアイデアを、ぜひまた議論ができていくといいと思っております。
さて、私がちょっと着目をしましたのが、答申の中の三三ページの固定資産税でございます。ここにあるように固定資産税は、資産の保有と市町村の行政サービスとの受益関係に着目して、その行政サービスの財源を調達する機能を有しており、税源の普遍性や税収の安定性に富む点で地方税としてふさわしい税であるというふうにされております。
現在は空き家問題が、東京都だけでなく大きな都市課題となっておる中、固定資産税の不納欠損の状況についてちょっと連関しているのかなと思いまして、確認をさせていただきたいと思います。
○川上徴収部長 固定資産税、都市計画税の不納欠損額につきましては、平成二十六年度は約十一億五千二百万円、平成二十七年度は約十三億六千万円、平成二十八年度は約八億一千六百万円となってございます。
○上田委員 税金というのは、不当に奪われてもならないですし、取りっぱぐれてもならないということでございますね。固定資産税及び都市計画税については通常の場合は、納税者としての登記簿上の所有者がいるわけでありますが、納税者がわかっている中で、年間八億のときもあって十三億もありましたが、なぜ不納欠損となっているのか非常に注視するところです。
税負担の公平性の観点及び財産価値のある不動産が現存している状況で、預金調査、差し押さえ、競売等々の徴収手段を含め、地方税法等の関係法令に照らし、真にやむを得ない不納欠損処分であったのか一応確認させていただいたところ、空き家問題と不納欠損との間に余り関連性がないというようなことでも読み取れますが、年間八億円から十三億円の不納欠損の理由は、どのような理由を根拠として不納欠損処分を行ったのか伺います。
○川上徴収部長 地方税法の規定では、滞納処分する財産がないとき、滞納処分をすると生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき滞納処分の執行停止をすることができるとされております。そして、この執行停止の状態が三年間継続したときには納税義務が消滅いたします。また、徴収することができないことが明らかであるときには、三年を待たずに納税義務を消滅させることができるとされてございます。
固定資産税等が不納欠損に至る事例としては、所有していた不動産等を処分してもなおローン等の債務が過大であり、所得もなく、ほかに税に充当できる財産を保有していない場合などがございます。
○上田委員 今の話を伺いまして、滞納処分の執行停止が三年間継続し、納税義務が消滅した過去三年間の件数、金額をお示ししていただきたいと思います。
○川上徴収部長 滞納処分の執行停止は、税負担の公平性の観点から、納税者の生活状況や資産の保有状況などを十分に調査し、あらゆる徴収手段を講じた上でも納税資力がないと判断した場合に厳格に行ってございます。
滞納処分の執行停止が三年間継続し、納税義務が消滅した過去三年の件数及び金額でございますけれども、平成二十六年度は一万九千七百六十一件で約七億一千二百万円、平成二十七年度は一万九千六件で約八億三千六百万円、平成二十八年度は一万四千四百五十六件で約六億二千九百万円となってございます。
○上田委員 毎年一万件を超えるということでございますが、滞納処分の執行停止が三年間継続しますよね、それで納税義務が消滅した場合、調定及び不納欠損の取り扱いはどのようにしているのか、お示しいただきたいと思います。
○川上徴収部長 納税義務が消滅した場合、その額を調定額から減ずるのではなく、不納欠損額として計上してございます。
○上田委員 別々で計上しているということでありますね。
なお、確認ですが、平成二十六年度から二十八年度の不納欠損額において、各年度での不納欠損最高額事例の金額をお示しいただきたいと思います。
○川上徴収部長 各年度での不納欠損した滞納者一人当たりの最高額でございますが、平成二十六年度は約六千二百万円、平成二十七年度は約一億一千六百万円、平成二十八年度は約四千四百万円となってございます。
○上田委員 実態がイメージできました。
過日行われた事務事業質疑におきまして、主税局は、非常に専門性が高い人材を育成しているということで、税の達人プロジェクトなどの研修を実施されておられ、また、創意工夫の滞納整理あるいは多様な納付ということで、徴収に向けて非常に日夜励んでいらっしゃることは確認させていただいておりますので、引き続きましてのお取り組みをお願いしたいと思います。
石原都政のときに誕生したこの税制調査会でございますが、やはり政府に向けて一定のプレッシャーを与える存在になってきたと思っております。国による不合理な措置や税源奪取、ふるさと納税の問題を鑑みますと、ますますもって存在意義が高まると考えております。
ついては、これまでの実績を踏まえ、今後国への働きかけ、都民への納税意識の向上と情報公開に向けて、いかなる方向性を持っているのか、ご所見をお聞かせください。
○栗原税制調査担当部長 東京都税制調査会はこれまで、都が直面する諸課題への対応はもとより、将来世代の利益をも踏まえた中長期的な課題に対して、東京都という一自治体の立場にとどまることなく議論を重ね、地方全体の立場から、地方税財政制度のあり方について提言を行ってまいりました。
これまでも提言をもとに、所得税から個人住民税への税源移譲の実現や法人事業税の外形標準課税の導入など、都が発信してきた地方税財源の充実への取り組みは着実に成果を上げてきたものと認識しております。
本年度の答申は、総務省を初めとする国等の関係機関を初め、都選出国会議員等にも送付したところでございます。
都といたしましては、答申の趣旨を踏まえ、今後も国の不合理な措置に対し強く対抗してまいります。
また、納税者の意識の向上に向けては、都民の税への理解を深めていく必要がございまして、そのためには、情報公開及び情報の発信は不可欠でございます。東京都税制調査会においては、会議終了後、資料をホームページに速やかに掲載するほか、議事録の全文も公開してまいりました。また、答申の記事を広報紙に掲載するなどにより、都税調の提言を広く発信しております。
今後も、ホームページの構成の見直しなどにより、さらにわかりやすく情報を伝えられるよう努めてまいります。
○上田委員 ありがとうございました。政府とは、本当に対等に議論を進めていっていただきたいと思います。
資料第3号の方で、所得税から個人都民税へ税源移譲したときはどのくらいなのかということを、年間三千億で十年で三兆円ということになりまして、事ほどかように、財源に影響を与えると、その逆もまたしかりということでございます。
九五年の分権推進法施行以来、制度や行政のいろいろな権限の移譲はかなり行われてきたと思います。本来は、財源の移譲も速やかに行われるはずでございますが、このように逆行するような状況となっております中、小池都政は、政府ファーストではなく都民ファーストの理念を掲げ誕生しました。都民の税源を守ることこそが、東京大改革の税政策の一丁目一番地の理念というか、政策ではないかと私は思っております。
小池百合子知事、旗振りのもと、主税局の皆様も一丸となりまして、この答申の結果を受けましてのさらなる取り組みを要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十五分休憩
午後三時三十分開議
○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより財務局関係に入ります。
初めに、報告事項、国の不合理な措置に対する東京都の主張、地方消費税の清算基準の見直しに向けた反論についてに対する質疑を行います。
なお、本件については、関係する主税局の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました報告事項に関する資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回、報告事項に関して要求のございました資料は、要求資料第1号の一件でございます。
一ページをお開き願います。要求資料第1号、地方税財政に関する知事と副知事の国への働きかけの経緯でございます。
こちらは、平成二十五年度から平成二十九年度までの五年間における地方税財政に関する知事と副知事の国への働きかけの経緯を、一ページから四ページにかけてお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 国の不合理な措置に対する東京都の主張、特に、その地方消費税の清算基準の見直しについての質疑をいたします。
与党税制調査会の平成三十年度税制改正大綱が近々発表されます。その中で、地方消費税の清算基準の見直しによって、都の減収額は約一千億円程度になるとされております。これは、都民生活に大きな影響を与えるものであり、議論の詳細について確認を行わせていただきます。
十一月の総務省地方消費税に関する検討会の報告書には、地方消費税の税収を帰属させるべき最終消費を把握するに当たっては、できる限り統計を活用し正確に最終消費の額を把握し、それを用いることを基本とすべきであるとあります。さらに、清算基準たる統計データとして利用することが適当でないものについては除外する必要があると書かれております。
一見すると、都の考えと国の考え方に大きなずれはないように聞こえますが、国は、最終消費地と統計から除外すべきものをどのように考えているのかお伺いいたします。
○副島主税局税制部長 国は、最終消費地につきまして、実際に物品やサービスを使い尽くした場所を基準とすべきと考えております。その上で、購入した物を他県にある自宅で消費する持ち帰り消費が相当程度含まれるとする百貨店や家電大型専門店など、統計の計上地と最終消費地が乖離していると推定されるものを統計から除外すべきとしております。
なお、統計で把握できない部分を補う代替指標につきましては、人口を基本とし、従業者数を廃止する方向で検討がなされております。
○藤井委員 国は、できる限り統計データを用いることが基本といい、持ち帰り消費を統計から除外すべきとし、大都市に不利な税制改正を行おうとしていることがわかりました。
百貨店や家電大型専門店などが都心部に集中することは、ある意味、自然なことであります。それにもかかわらず、こうした消費に関する税収が都心部に帰属しない、これは、にわかには納得できない論理であります。
最終消費地に関して、実際に商品が使用された場所を基準とすべきとの国の主張に対して都の見解をお伺いいたします。
○副島主税局税制部長 国の最終消費地の考え方の基礎となります使い尽くすという行為は、消費者の主観的判断に左右する部分が多く、客観的に捉えられるものではございません。
本来、地方消費税の課税根拠は、購入地である市場の安全を守る行政サービスの対価でございまして、経済学におきましても、消費とは、市場から物品サービスを購入することを意味しております。したがいまして、都といたしましては、地方消費税における最終消費地は購入地であると認識しております。
仮に、国の考え方に沿ったといたしましても、国が主張する持ち帰り消費は全体の一部にすぎず、一部の事象を強調して統計から全体を除外し人口に置きかえることは、かえって消費の実態からかけ離れることとなります。
また、一日の活動時間を踏まえますれば、紳士服やスマートフォンのアプリなどは勤務地等で使用する時間が長く、居住地の人口で代替することは不合理であり、勤務地等での消費活動を反映する指標といたしまして、引き続き従業者数を代替指標として用いるべきであると考えております。
○藤井委員 ただいまいただきました紳士服やスマートフォンのアプリなど、そういった勤務地等で使用する時間が長くといったような例、大変わかりやすく理解することができました。
一部の例外事例を殊さらに強調して、消費の実態をあらわしているとはいいがたい、人口の比率を高める、このような改正は、不合理な措置といわざるを得ません。こうした税の仕組みは極めて複雑であり、精緻な理解、そして分析に基づいて丁寧な議論がなされるべきものであります。
都は、国、地方を通じた税制全体のあり方に関する事項を検討するために、東京都税制調査会を設置しており、我が会派の増子幹事長、山内政調会長、そしてここにいる税理士である清水議員も特別委員として加わり、税の専門家の方々と議論を深めてまいりました。
先日発表された都税調の答申によれば、現行の統計で消費額を正確に把握できない業種や販売形態は統計から除外して人口に代替すべきという意見があるが、地域ごとの消費性向、そして購買力などを無視したものであるという意見が出ております。
そして、清算基準の精緻化に向けて、統計で把握できる範囲と統計の比率をあわせて高めていく方向で検討がなされるべきであるという内容になっております。これはまさに都の主張を専門家の方々も後押ししているものと考えております。
一方で、こうした税負担の影響を直接こうむるのは、ほかならぬ都民の皆様であります。こうした税制改正をめぐる議論を都民の皆様にしっかりと理解できるよう、わかりやすい形で示すことが、今後必要になってくると考えております。
今回の都の主張を作成するに当たり、これまで議論してきた最終消費地、その論点など、都民の皆様へわかりやすさという観点、視点から、どのような工夫を行ったのかお伺いいたします。
○松川主計部長 今回の反論書では、見ればわかると題し、都民の皆様にとってなじみの薄い地方消費税の清算基準の仕組みや今回の見直しに関する国、東京都の考え方について、わかりやすく説明することを心がけました。
具体的には、難しくなりがちな税理論について、最終消費地の捉え方など国の主張を三項目に、都の反論を八項目に整理し、論点ごとに図表やイラストを用いて一枚で簡潔にまとめるとともに、コラムと題して必要な情報を補足しております。
また、より手にとりやすい資料として、反論書のポケット版を作成するなど、都財政や都税をめぐる議論などについて、都民の皆様により身近に感じていただけるよう、さらなる工夫を凝らしております。
○藤井委員 今回の反論書は、そのハンディー版も含めて、詳細かつ丁寧な説明がなされており、論点など非常にわかりやすいものとなっていると評価をしております。
今後は、例えば、税に興味のない、また理解のない子供たちでも一目でわかるような概要版の作成、そして動画などでわかりやすく説明するものも用意されてはどうでしょうか。
都民の皆様の理解を得るため、よりわかりやすい形で説明を尽くしていくことは大変重要であり、今後もしっかりと取り組んでいただきたい。
今回の清算基準をめぐる議論は、都として承服しがたい内容であるが、さらに来年度、平成三十一年度の税制改正において、都から、さらなる税源収奪が行われるという報道もなされております。これらの報道がもし事実であるならば、国が地方間の税源の調整という旧来の発想に固執し、地方が抱える財源不足を東京に穴埋めさせようとする行為が続けられていることを意味します。地方財政にとっては大きな危機といえるのではないでしょうか。
こうした状況に対して、地方自治の本旨に立ち返り、必要な主張を行っていく必要があります。
そこで、偏在是正の名のもとに、繰り返し都の財源の収奪を企てる国に対する都の姿勢、そして決意についてお伺いいたします。
○松川主計部長 これまで繰り返されてきた偏在是正措置はもとより、さらに不合理な見直しが行われることは、都民生活を守る観点からも、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の準備を着実に進める観点からも、断じて看過できるものではございません。
そもそも地方間での限られた財源の奪い合いでは、地方が抱える巨額の財源不足の根本的な解決にはつながらず、真に必要なことは、国から地方への税源移譲を進め、地方の役割に見合った地方税財源の拡充を図っていくことでございます。
こうした認識のもと、東京対地方の構図をいたずらにあおり、東京から財源を不当に収奪することで、都民生活を脅かす不合理な措置に対しては、あらゆる機会を捉えて断固として反対してまいります。
あわせて、地方税財政制度のあり方について、原点に立ち返った議論がなされるよう、今後とも、都議会の皆様や他の自治体とも一体となり精力的に取り組んでまいります。
○藤井委員 今回の質疑の中、そしてこの資料を読み込む中で、これまでも偏在是正の名のもとに、何度も何度も国の税制の見直しが行われてきたことがわかりました。
都民生活を守っていくため、こうした国の不合理な税制改正に関しては、都議会としても断固として反対をしていかなければなりません。
今回の地方消費税の清算基準の見直しに関しても、都議会では、我が会派、都民ファーストの会の呼びかけにより、国の動きに反対する意見書を全会一致で可決し、議長、副議長が国会議員に直接働きかけを行うなど、都民生活を守るため、まさに議会一丸となって取り組み、国に訴えてきたところでございます。
今後とも、本課題に対しては、行政、議会、会派関係なく力を合わせ、東京都一体となって国に働きかけをする必要がございます。都から不当に財源を奪う動きに対しては、小手先の財源調整ではなく、地方財源の拡充など地方分権の視点から、本来あるべき姿に向けた議論がなされるよう、引き続きしっかりと都の主張を展開していくことを強く求めて、質疑を終了させていただきます。
○うすい委員 よろしくお願いします。
地方消費税の清算基準の見直しの反論としての、国の不合理な措置に対する東京都の主張を拝見させていただきました。現在、大詰めを迎えている平成三十年度税制改正において、地方消費税の清算基準の見直しが議論をされており、都税収入への影響は、総務省案で一千億円に上るというふうにいわれております。
国は一体どのような理屈で、都からこのように巨額の財源を奪おうとしているのか、まず、その論点について伺います。
○副島主税局税制部長 国は、物品やサービスを使い尽くした場所を最終消費地として捉えることを前提に、統計の計上地と最終消費地が乖離しているとして、都のシェアが高い一部の業種を統計から除外し、その上で、代替指標として従業者数を用いてきた理由は、消費譲与税の譲与基準などに用いられてきた経緯にすぎないとして、人口に一本化する方向で見直しを検討しております。
国は今回の見直しを、地方消費税の税収を最終消費地により適切に帰属させるためのものであるとしておりますが、都といたしましては、地方間の財政調整を意図したものと考えております。
○うすい委員 地方消費税の清算基準の指標のうち、都が全国に占めるシェアが総体的に低い人口の比率が高まれば、都の税収が減収となるわけでございますが、一千億円もの巨額の減収を生じさせるような税制改正とは、答弁をいただいたように、いわゆる偏在是正を目的とした側面が強いのではないかと感じざるを得ないわけでございます。
国は、住民一人当たりの地方税収が最大の東京都と最小の沖縄県とで二・五倍の格差があるという主張をして、地方間の税収格差を強調しているわけでありますが、都道府県間の税収格差を清算基準で調整すべき地方消費税は人口に応じて配分すべきとの国の主張に対して都の見解を伺います。
○松川主計部長 まず、国が主張する地方間の税収の格差は、住民一人当たりの地方税収のみで比較を行っており、この場合、最大の東京と最小の沖縄とで二・五倍の格差が生じております。
一方、地方税収に税収格差の調整機能を果たす地方交付税を加えた住民一人当たりの一般財源を比較いたしますと、都と全国平均の金額はほぼ同水準であり、沖縄は東京を大きく上回る結果となります。
また、国が主張する地方消費税を人口で配分すべきという点については、地方消費税は、消費活動を支える公共サービスの対価として課税されていることから、地方税の大原則である応益性をゆがめ、地方消費税を譲与税化することにほかなりません。例えれば、地方自治体が郊外へのショッピングモール誘致などにより消費活動を活性化させたとしても、その成果が税収に反映されにくくなり、頑張る自治体の努力が報われないこととなります。
このように、税収格差を殊さらに強調し、地方税の大原則をゆがめる今般の見直しは、極めて不合理なものだと認識しております。
○うすい委員 今答弁いただいたとおり、地方間の税収格差は、既に地方交付税で調整されているとのことですが、それにしても、これまでも国は、地方間の税収格差を主張して都の財源を奪ってきたわけでございまして、都は、地方法人課税の偏在是正措置など不合理な税制改正により、既に十年間で累計二・二兆円もの巨額の財源を国に奪われてきております。
平成二十年度税制改正における法人事業税の暫定措置導入の際にも、国はこうした地方間の税収格差、いわゆる東京富裕論を主張していたと認識をしております。
そこで、法人事業税の暫定措置が導入された当時の東京は、本当に東京のひとり勝ちといった、そういう状況であったのかどうか伺います。
○松川主計部長 法人事業税の暫定措置が導入された平成二十年度当時の都財政は、国や他の自治体に先駆けて必死に財政再建に取り組み、バブル経済崩壊後の危機的状況からようやく脱したところでございました。
一方で、当時、地方財政は全国的に困窮しており、その要因は、第一に、国がバブル経済崩壊後の景気対策として地方債を財源とする公共事業の実施を全国の自治体に求めたこと、第二に、三位一体改革の名のもとに地方交付税が大幅に削減されたことに起因していると考えております。
東京に税収が偏在しているとする、いわゆる東京ひとり勝ち論は、こうした本質的な現状を顧みず、あたかも東京と地方との財政力格差が地方の財源不足の原因であるかのごとく論じられたものであります。
こうした国の理論は、都の財政再建の努力を無にしかねないばかりか、東京特有の財政需要や歳入構造などを全く踏まえない、取りやすいところから財源を搾り取ればいいという理不尽かつ安易な理論であり、都として断じて容認できないものと認識しております。
○うすい委員 今あったように、取りやすいところから財源を搾り取ればよいというのは、まさに安易な理論だと思います。
現在の都は、健全な財政運営を確立していると思いますが、これはいわゆる諸先輩の方々の血のにじむような財政再建に向けた努力の結果でございまして、こうした努力によりかち得た成果は、都民のためにも還元されるべきものであると考えます。
そもそも、国がいうところの自治体間での税収格差は、先ほど申し上げましたが、地方交付税で既に調整されているわけで、もとより都民の皆様が納めた税金が、都民生活、東京の発展のために使われることは当然のことと思います。
私は、ある意味、問答無用で都税が奪われている実態を納税者たる都民の皆様に広く知っていただくことが重要だと思います。
また、首都東京は、日本の経済成長を牽引する原動力であり、その東京から財源を奪うことの不合理さをつまびらかにして、世の中の共感を得ていくべきではないかと考えます。そのためには、先ほど他の委員からありましたけれども、都民の皆様へのわかりやすい説明が重要であると思います。
今回の都の主張には、こうした税財政をめぐる問題を都民の皆様にわかりやすく伝えていく、そして理解をしていただくという視点が大事であると思います。そうしたことがどのように今回反映されているのか、具体的に伺います。
○松川主計部長 都の主張の作成に際しましては、今回の地方消費税の清算基準についての議論のみならず、国によるこれまでの不合理な見直しの経緯や増加する社会保障関係経費など、今後の都財政の課題についても掲載し、税財政をめぐる問題全体の中での今回の見直しの位置づけが伝わるよう工夫をいたしました。
また、わかりやすく伝えるため、この十年間で都が国に奪われた二兆二千億円が、特別養護老人ホーム六万人分、保育施設七万人分の建設費等に匹敵する金額であることなど、イメージしやすい具体的な事例を挙げて示しております。
さらに、都道府県別の住民一人当たりの地方税収を比較したグラフと、これに地方交付税を加えたグラフを見開きのページで示し、地方間の税収格差は既に調整済みであることが一目でわかるようにいたしました。
今後とも、都財政や税金をめぐる議論などについて、都民の皆様にしっかりとご理解いただくため、さまざまな工夫を凝らしてまいります。
○うすい委員 引き続き、都民の皆様にわかりやすい説明について力を入れて取り組んでいただきたいことを要望しております。
今、増加する東京の社会保障関係経費について言及がありましたが、本格的な少子高齢、人口減少社会の到来により、東京都の少子社会対策予算というのは十年間で約二・三倍、高齢社会対策予算は十年間で約一・四倍、今後十年間の防災にかかわる経費の合計は直近十年間の合計の約一・七倍にも膨れ上がるわけでございます。
さらにいえば、東京の都市インフラの整備による便益を初め、東京二〇二〇大会の経済波及効果では、全国で四・七兆円もの税収増が見込まれるなど、東京の取り組みによる便益は広く全国に及ぶものでございます。
このように、東京から恒久的に財源を奪うことは、東京の活力をそぐばかりか、日本全体の活力低下にもつながるということは重要な視点でございます。
こうした将来にわたる財政需要などを踏まえて、今後どのような財政運営を行っていくのか、局長の決意を伺います。
○武市財務局長 東京都の歳入は、法人二税の占める割合が高く、景気変動を受けやすい、そういう不安定な構造にございます。
加えまして、先ほどもお話に出ておりますように、地方交付税の不交付団体であることから、他の自治体以上に自立した財政運営を行っていく必要がございます。
さらには、お話しいただきましたように、東京都は、待機児童の解消ですとか超高齢社会への対応、災害に強い都市づくりなど、直面する課題の解決に着実に取り組むとともに、二〇二〇年東京大会に向けた開催準備など、日本全体の持続的成長につながる施策を積極的に展開していかなければならない、そのような状況にございます。
歳入の根幹をなす都税収入が常に減少リスクにさらされる中、国の不合理な動きには断固たる姿勢をとりつつも、それと同時に、いかなる財政環境にあろうとも、課せられた使命を確実に果たし、都民生活に影響を及ぼすことがないよう、施策の安定的、積極的な展開を財政面から支えていくこと、これが財務局の責務だと考えております。
こうした認識のもと、これまで着実に成果を積み上げてまいりました事業評価について、さらなる進化を図り、一つ一つの施策の効率性や実効性を高めていくとともに、基金や都債を積極的かつ計画的に活用することで、さらに強固で弾力的な財政基盤、その構築に向けまして全力を尽くしていきたいと、このように考えております。
○うすい委員 今、局長から、今後の財政運営について力強いご決意をいただきました。
今後とも、都民の皆様に対してわかりやすい財政広報に努めていただくとともに、また、高度防災都市づくり、子育て、高齢者支援など、都民の安心・安全、そして命を守る取り組みを待ったなしで進めていくためにも、これまで以上に盤石な財政運営を行っていくことを強く求めさせていただきまして、質問を終わります。
○小松委員 私からも、この国の不合理な措置に対する東京都の主張について伺いたいと思います。
この問題は、さきの我が党の代表質問でも触れさせていただきました。そして、先ほどの主税局の際も触れさせていただきました。
一言でいえば、本来あるべき税制度の趣旨をゆがめ、都の財源を狙い撃ちにした不合理なこの見直しは、これまで国が何度も強行されてきたところであります。
こうした国による東京都への財源収奪の歴史的な事実を踏まえることなく、今回の清算基準の見直しだけを取り上げても、問題の本質には迫れないというふうに考えておりますので、そこでまず、東京都の財源をこうして収奪してきたこれまでの国の不合理な税制度の見直しの内容について、都の見解を改めて伺いたいと思います。
○松川主計部長 国はこれまで、都市と地方の財政力格差の是正を名目に、地方税の応益性の原則を顧みず、地方間の財源の奪い合いに終始するような、税制の本旨をゆがめる不合理な改正を繰り返してきました。
地方法人課税の偏在是正措置として、平成二十年度には、法人事業税の一部を国税化し、課税根拠とは無関係に譲与税として都道府県に配分する法人事業税の暫定措置が導入され、その後、二十六年度には、法人住民税の一部を国税化し、課税根拠とは無関係に地方交付税として自治体に配分する法人住民税の交付税原資化が実施されました。これらの見直しにより、都はこの十年間で二兆二千億円もの財源を奪われてまいりました。
これに加え、平成元年度及び十七年度に導入された法人事業税の分割基準の見直しや、ふるさと納税による影響額も加味すると、国による不合理な税制度の見直しにより都が奪われた財源は、平成元年度以降の累計で五兆二千億円にも上ります。
このように、都から巨額の財源を不当に収奪することは、都民生活を脅かす行為にほかならず、都として、断じて看過することはできないものでございます。
○小松委員 国がいかにこの不合理な見直しを繰り返し、その結果、都から巨額の財源を奪い続けてきたのか、改めて共通の認識をさせていただいたところであります。
この歴史というのは、そもそもさかのぼれば、戦後のこのシャウプ勧告、このころから国と地方財源との闘いもあったわけでありまして、今まさに、この問題というのは、地方消費税の話のみならず、地方自治体のあり方、地方財源のあり方そのものにかかわる大きなテーマだというふうに思っています。
今回この地方消費税のみならず、国は、地方消費税の清算基準という新たな手段を使って東京都の財源収奪をもくろんでいるといえるわけでありますが、これ先ほども確認しましたけれども、消費活動を客観的に示す統計の比率を引き下げる、一方で、消費の代替指標にすぎない人口の比率の引き上げを検討しているというわけであります。これは国がまさに、なりふり構わずに大都市からの財源収奪だけを目的とした極めて不合理なものだということを確認できているところだと思います。
あるべき見直しの方向性というのは、税収の最終的な帰属地を一致させるという本来の趣旨に基づいて、客観的な指標である統計を可能な限り用いて消費の状況を精緻なものとしていくことだと思います。
安易に人口の比率を高める今回の見直しというのは、税収の帰属を決定する清算基準をゆがめることにつながり、ひいては、地方消費税そのものへの信頼を傷つける行為だということを改めて指摘したいと思います。
そもそも、国と地方の税収比率が六対四と国に多くの税収が配分されながら、歳出ベースでは四対六と地方が多い逆転構造にある中で、今まさに必要なのは、国から地方への税源移譲を進め、地方の役割に見合った税財源を確保していくことだと思います。このことは、きょうこれまで各委員が質問されておりますが、おおむね共通の認識だというふうに理解をしております。
こうした大きな視点に立ったとき、今回の見直し案に対して、地方分権の流れにも大きく逆行するんだという都の主張は大変重要な指摘だと考えます。
そこで、地方分権の流れにも大きく逆行するという主張について、今後どのように国に訴えていくつもりなのか見解を伺います。
○松川主計部長 国と地方の税収比率六対四と歳出比率四対六が逆転し、地方の財源不足が恒常的に発生している現状において、地方間の財源の水平調整を幾ら行っても、地方が抱える巨額の財源不足の根本的な解決にはつながらないことは明白でございます。
平成二十年度に強行された法人事業税の暫定措置をめぐる国と地方の攻防の際には、一部の自治体が、国の理念なき財源調整を地方分権を妨げる毒まんじゅうと断じるなど、地方分権の方向に反する税制の改悪であるとして、四十七都道府県が一致して強く反対をいたしました。
しかし、それから十年、地方間の財政調整のみが進めてこられた結果、国民一人当たりの地方交付税を含めた地方税収入と国税収入については、平成十九年度から二十七年度への推移を比較すると、地方税収入が十九万円から十八万円に減少する一方、国税収入は四十万円から四十四万円に増加するなど、国と地方の税収格差は拡大しております。
こうした状況も踏まえ、今後は、地方間で限られた財源を奪い合うのではなく、今こそ地方が再び一丸となって地方の役割に見合った税財源の拡充を国に訴えていくことが必要であり、都議会の皆様や他の自治体ともしっかりと連携しながら、あらゆる機会を捉えて都の主張を展開してまいります。
○小松委員 今回の国の見直しが本質を顧みないものとはいえ、いかに都が正論を声高に主張しても、一人で声を上げるだけでは、国は全く聞く耳を持たないのも事実であります。今ご答弁の中にも連携というふうにありましたけれども、まさにそのことが大事だと思います。
国に対抗していくためには、いかに地方自治体全体で足並みをそろえて一致団結できるか、国がしむける東京対地方という対立構造に陥らないかということが重要だと考えています。
そのためには、これも我が党の代表質問で言及したところでありますけれども、東京と地方の共栄共存を図る姿勢というのがとても重要だと思います。限られた財源の取り合いに陥ることなく、地方全体が一丸となって地方税財源の拡充に向けて志を一つにして行動するには、東京と地方の強固な信頼関係の構築が必要不可欠だと考えます。
例えば、先ほど主税局さんのときにもいいましたけれども、東京都は、今後の都におけるこの膨大な行財政の需要、このことについて強く訴えています。この資料の中にもいろいろこうして訴えている。これは都民にとって、また、都政に携わる我々にとっては確かに正論でありますが、しかし、それがどれほどほかの地域や国から共感を得ることができているのかということにも思いをはせないといけないというふうに思っています。
過疎地には過疎地の、そして子育て世代の人口増地域には、その地域それぞれに行財政需要が増大する背景もあるわけでありまして、財政規模は、大きく東京都とは乖離するかもしれませんけれども、こうした問題というのは都に限ったことではないわけであります。こうしたことも踏まえながら、コミュニケーションをしていかなければ理解は得られないんじゃないかと、そのように思っているわけであります。
都は現在も、東京都と各地を結ぶ観光ルートの設定や都内はもとより地方の中小企業のすぐれた技術、技能を集めた全国一体となった展示会の開催など、地方との結びつきを強化し、共栄共存の関係を構築するための独自の取り組みを、これまでも、そしてこれからも積極的に行っているところだと思います。
そうした中、今回の都の反論では、東京は大都市特有の膨大な財政需要を抱えており、その分、多くの財源が必要であるとの主張を展開したわけであります。こうした主張は都民の共感を得られるわけでありますが、このような訴えだけを幾ら行っても、疲弊が進む一部の自治体からは理解を得られていないということを今ご指摘したところであります。
都のこうしたさまざまな取り組み、そのことが日本全体の発展、そして各地域の地方経済にも貢献できているんだということについて、もっと理解を深めてもらうことが重要だと思います。
そこで、都の施策が、地方ひいては日本全体の活性化につながる、そのことをしっかり主張していくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
○松川主計部長 都が重要課題として進めている取り組みの多くは、東京だけが便益を享受するものではなく、日本全体の発展や社会機能の向上に大きく寄与するものでございます。
例えば、開催都市として都が進める二〇二〇大会の成功とレガシーの構築に向けた取り組みは、全国に三十二兆円を超える経済波及効果と四兆七千億円の税収効果をもたらし、このうちの三兆四千億円が国税の効果となるなど、日本全体の活性化に大きく貢献するものでございます。
また、首都高都心環状線の走行車両の約六割が通過交通であり、全国に年間約三千億円に上る経済波及効果を生み出すなど、都が進める都市インフラの整備に伴う便益は、広く全国に及ぶものでございます。
こうした地方の活性化と日本全体の持続的成長につながる都の役割や取り組みについては、先般公表した国に対する反論書にもわかりやすく盛り込んでいるところであり、都民の共感を得つつ、他の自治体からも幅広い理解と協力を得られるよう、引き続き積極的に主張を行ってまいります。
○小松委員 ありがとうございます。本当に、今東京都、そして行政マンである皆様方とともにやっていることは、これは東京だけよければいいということではないんだという確認もできました。
改めていいますけれども、私自身も、そして我々自民党も、国の地方消費税、清算基準の見直しの動き、このことについて改めて断固反対するものであります。
しかし、返す返すもですけれども、この一年間、五輪施設の調整においても、せっかく地方都市から東京都を応援する、また、東京都と関係をしっかりとつくっていく、こうしたチャンスにも限らず、そうした動きが見られることもなく、そして、むしろ信頼関係を損なうこともあったように思います。
そして、市場移転による膨大な延期コストの発生については、東京都さんはお金持ちだねというような嫌みも各地方の長からもいわれたりしたわけであります。
日本各地から聞こえてくる、この東京ひとり勝ち論を助長するものばかりの一年間でもあったんじゃないかなというふうに思います。
地方からのみならず、隣接する県からも、東京の医療費や授業料の無償化、こうした動きに対して自治体間格差について厳しい指摘の声もあります。こうした東京都との行政サービスの格差是正解消のために国が国費を投じて底上げを図って、結果として国の財政が膨張している一因になっているんだと、最終的には国民の負担増につながる悪循環の元凶になっているというような発言を隣接する県の副市長が主張されたりもしているわけであります。
やはり東京は大変注目されているわけで、一挙手一投足さまざまな政策で、東京都のあり方をそういうふうにネガティブな印象を持って見ている自治体もあるんだということも踏まえながら、一方で、そうした地方自治体ともしっかりとスクラムを組める東京都でなくては、一致団結して国に対抗する地方自治体のリーダーとしての東京都政はあり得ないと思います。
ぜひこのことを肝に銘じて、ともにすばらしい政策をつくりながら地方自治体のリーダーとしての新しい地方と分権、そして地方税財源のあり方を検討していきたいと、そのように思っております。それをすることで、不合理な税制、このさまざまな措置に対して、近い将来、東京都の主張がより多く通るものになるということを期待して、発言を終わります。
○曽根委員 今回の地方消費税の清算基準の見直しに向けた反論文書について、これまでも、主税局にも財務局にも、それぞれ共通した内容の質問がありましたので、ダブりを避けてお聞きしていきたいと思います。
最初に聞こうと思ったのは、最終消費地の考え方の都の根拠についてですが、これはもう既に質問が何度もありましたので省略をいたします。
それで問題は、今もちょっとお話ありましたように、この見直しによって都への影響は大変大きく、一千億円ともいわれていますが、一方で、国の押しつけは許せないというのは当然ながら、しかし、これまで一緒に国の偏在是正措置のあり方について物をいってきた首都圏の自治体の間でも足並みが乱れつつあると、消費税の財源配分をめぐって、首都圏の中の大都市の間でさえ足並みが乱れているという大変な問題だと思います。
もともと消費税は、税の負担者と、それから納税者が異なるという特殊な税なんです。最終的な消費税の負担者は消費者ですけれども、消費者から税を預かって小売業者が税務署に納税をすると、こういう仕組みから、どうしても最終消費地のあり方をめぐっては議論が起きやすい条件があるわけです。この点について、やはり足並みが乱れる原因の一つになっている、そこを国が分断策動をしやすいという問題があります。
そういう点で私たちは、今回の消費税を一〇%に引き上げること自体が、もともと地方財源で、苦しい、その中でも特に生活苦にあえいでいる都民や、それから各自治体の住民の暮らしを脅かす税金を引き上げることについて、根本的にこの是非を問うという議論が、やはり地方議会ではありますけれども、もっときちんと行われるべきだろうということは申し上げておきたいし、また、我が党は、もともと消費税の一〇%は、例え、繰り返し、延期はもうこれ以上できないんだという安倍内閣の主張にもかかわらず、今回についても景気の回復の実感が都民にとって全く感じられない以上は、税制の見直し、一〇%増税についてはきっぱり中止をすべきだということを意見として申し上げておきたいと思います。
こうした問題を解決する上で、私、注目しなければならないと思うのは、今回、消費税の増税に伴って、さらに地方税の、特に法人税について国が収奪を強めるという動きが税制全体の改革という名のもとに行われる危険性があるということです。これに向けての議論はまだこれからだと思いますけれども、こういうときに首都圏の自治体の足並みが乱れては絶対ならないと。
したがって、今後予想される国の地方財源の収奪に対して、結束して地方自治体が共通の利益に向かって取り組んでいく、この点での東京都としての姿勢と、どういうふうに取り組んでいこうとしているかについてお伺いしたいと思います。
○松川主計部長 今般の地方消費税の清算基準の見直しは、地方間の税収格差の是正という観点から、都市部の税収を不合理に収奪しようとするものであり、断じて看過できるものではないと考えております。
真に必要なことは、こうした地方間の財源の奪い合いではなく、国から地方への税源移譲などにより、地方の役割に見合った地方税財源全体の拡充を図ることでございます。
こうした認識のもと、これまで全国知事会議や九都県市首脳会議、関東知事会議において小池知事が都の考え方を主張し、他の自治体に理解と協力を求めてきたところでございます。
また、愛知県や大阪府、都内区市町村とも連携し、地方税を所管する総務大臣や税制調査会のメンバーに要請を行うとともに、全ての東京都選出の国会議員に対する働きかけを精力的に行ってまいりました。引き続き他自治体ともしっかり連携しながら、都として強力に主張を展開してまいりたいと思っております。
○曽根委員 姿勢はいいんですけれども、具体的な行動がやはり伴っていないと。特に今回消費税をめぐって、今のお答えにちょっとありましたので申し上げておきますが、大都市といっても、人口が集積している大都市と商業集積が進んでいる大都市では、今回この消費税の配分をめぐっては違ってくるわけです。それで、東京とか近郊の千葉、神奈川、埼玉、この自治体間の分断が図られているわけです。
これが共通の利益で団結するためには、連携していくためには、やはりこの問題を超えた地方自治体としての大きな財源不足をどう補うのか、埋めていくのかということでの率直な議論が必要なんです。ここのところを強調しておきたいと思います。私たちも改めて、今後、この連携を進める上での具体的な提案もしていきたいと思います。
東京都には、もちろん大都市特有の財政需要があり、不交付団体扱いされているのは極めて不当なことです。しかし、実際の自治体間の財政不均衡はどう調整していくのか、自治体間の新たな調整の仕組みを目指していくという立場もやはり重要だと考えております。
同時に、今後東京都が貴重な税収の使い道をどうしているのかということも厳しく問われてまいります。その点で各道府県では、例えば、都市計画決定され事業化された公共事業であっても、やはり財源が厳しい中では見直しをせざるを得ないと、関西の方では、多くの自治体が二割、三割と公共事業を削減していると。中には事業化されたものであっても途中でとめるということも決断されてきていますが、東京都はほとんどそういった動きは見られません。
東京都の今後必要な社会保障の財源、そして現在もう既にある社会資本の維持更新費用など、今後の財政需要に見合った財源をどう確保していくのか、この点でのやはり厳しい財政運営がもう迫られているわけですが、その点についての都の姿勢を伺います。
○松川主計部長 不安定な歳入構造にある都財政におきまして、将来の財政需要や将来世代の負担も見据えた上で、中長期的な視点から財政運営を行っていく必要がございます。
このため、今後の財政運営に当たりましては、事業評価について、これまでの取り組みに加え、新たに客観的指標を用いたエビデンスベースによる評価を実施するなど、自己改革の取り組みを一層強化してまいります。
あわせて、年度間の財源調整や、施策の戦略的展開を図るための基金の残高確保に努めるとともに、将来世代への負担を考慮して都債の発行額を抑制し、将来に向けた発行余力を培うなど、今後の財政運営に向けた備えをしっかりと講じてまいります。
引き続き、将来にわたり安定的に施策を展開できる強固で弾力的な財政基盤を堅持し、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費など、避けることのできない財政需要に確実に対応してまいります。
○曽根委員 最後に、少し具体的に申し上げておきますが、例えば今、東京都は大型客船ふ頭の整備に力を入れています。当初は百億円程度といわれた事業費が三百億円以上に膨らもうとしています。
しかし、これは横浜港の今の客船ふ頭整備と明らかにバッティングをしている。今後、本当に今の二倍以上にも大型客船クルーズの需要が広がっていくなら別ですけれども、もう頭打ちじゃないかという説もありますので、こうしたところで首都圏の県同士で、都や県同士で、こうした、いわば財政需要の奪い合い、財源の奪い合いになるような事態を極力避けていかなきゃならないという点も申し上げておきたいと思います。
そして一方で、各県が取り組んでいる社会保障制度の中での国保制度を初めとして、非常におくれている部分を国がどう補っていくのか。また、給食費の無償化問題などのように、今後新たに子育て支援でどうしても必要になってくる財源をどうやって共通して、それを検討していくのかという点で、大いに首都圏の自治体間の交流や知恵の出し合いをやっていく必要があると思うんですよね。
そういうことも含めて財源を確保していくと、国にも要求していくと、こういったダイナミックな動きがなければ、単に税金を奪われているのをやめてくれというだけでは済まない時代がもう来ているんだということは申し上げておきたいし、私たち共産党都議団としても、そうしたものも含めた今後の提案をしていきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。
○上田委員 国の不合理な措置に対する東京都の主張、地方消費税の清算基準の見直しに向けた反論についてお尋ねをいたします。
さきの知事記者会見でも、政府、自民党都連にも要請に行くというような報道もされておりました。私が取り寄せたこの資料がございます、1号ですね。大体、小一年ぐらいのタームで、猪瀬知事は直接行かれたのはゼロ回、舛添知事時代も五回、小池知事は去年は就任直後ということで去年の実績はないものの、もう既に十二回ご自身がしっかりと働きかけをしているような状況にあります。
この資料にも歴史的な流れがある中で、これまでの東京都及び知事と国との、この問題についての攻防を含めた経緯について確認させていただきたいと思います。
○松川主計部長 国は、平成三十年度税制改正に向けて、税収を最終消費地に帰属させるための地方消費税の清算基準の見直しに関する議論を進めております。今般の見直しは、本来あるべき税制の姿をゆがめ、都市部の税収を不合理に収奪しようとするものであり、断じて看過できるものではございません。
このため、都は、全国知事会議や九都県市首脳会議など、あらゆる機会を捉えて都の主張を強く訴えるとともに、愛知県、大阪府、都内区市町村とも連携し、地方税を所管する総務大臣に対する要請を行いました。
また、総務省の地方消費税に関する検討会での検討状況に合わせて、国の主張に対する反論書を発表し、税制調査会のメンバー、全ての東京都選出の国会議員に対して精力的に働きかけを行うなど、国の不合理な税制度の見直しに対し、都の主張の正当性を繰り返し訴えてまいりました。
○上田委員 総務大臣を初め、働きかけをなさってきたということを確認させていただきました。
そうして東京都本当に頑張ってきた、一丸となってやってきたんですが、平成二十年度、これ石原さんのときです、あと二十六年度、これ舛添さんのときだと思うんですけど、税制改革のときに、総務大臣は知事選にも挑戦された増田総務大臣時代だと思うんですが、容認したわけではないと思うんです。結果的にはやらざるを得なくなってしまったと、受け入れざるを得なくなってしまった。この経緯につきましてもご説明いただければと思います。
○松川主計部長 我が国においては、地方税の仕組みの根幹は、法律によって国が定めることとされているため、各地方自治体が主体的に税制度を決定する権限は極めて限定されております。そうした中にあって、都は当時も不合理な偏在是正措置の導入阻止、即時撤廃を訴え、国の主張に対する反論書の発表や国への働きかけ、他の自治体との共同要請など、あらゆる機会を捉えて、できる限りの反論を行ったところでございますが、都の再三再四の反論にもかかわらず国が法改正を強行し、導入されたものであり、都としてこうした措置を容認したわけではございません。
例えば、石原元都知事は、平成二十年度税制改正での法人事業税の暫定措置の導入決定について、国家権力の一方的な発動と強く非難するとともに、その後も四都府県共同で速やかな廃止を求める要請活動を行うなど、あらゆる機会を捉え、この措置の即時撤廃を訴え続けてまいりました。
また、猪瀬元知事は、平成二十六年度税制改正での法人住民税の交付税原資化の導入決定に際し、地方分権の時計の針を逆戻りさせるばかりか地方交付税への依存度を高め、不交付団体をふやしていくという政府の方針にも反するものである、さらには、その影響は区市町村にも及ぶものであり到底承服することはできないとのコメントを発表しております。
○上田委員 経緯がわかりました。
やはりこの議論があって、今、主税の方でも議論させていただきました。やはり石原知事が大変な憤りを持たれたということもあって、問題意識の中で、きっと税制調査会というものも誕生してきたのでないのかなというふうに受けとめてございます。
今までも、るる議論もありました。そもそも消費税は、もう本当に原点に立ち返れば、地域の財政需要を地域で満たすためのものなのでございます。人口規模も大きく、防災、少子高齢化と待ったなしの需要がふえ続けることは、もう議員全員、オール都庁、オール都議会が認識しているところでございます。これ、約束された将来でございます。
不合理な措置による財源収奪を拒否できればいいんですけれども、このような問題意識の中、それがどうしてもかなわなかったとき、行政サービスの維持のための財源確保の考え方をお示しください。
○松川主計部長 都としては、こうした不合理な税制改正の強行を断固阻止すべく、最後まで国に対して働きかけを行っていくことが何よりも重要でございます。
その上で、いかなる財政環境のもとにあろうとも、安定的、継続的に施策展開を図り、都民生活に影響を及ぼすことのないよう、財政面からしっかりと支えていくことが重要であると認識しております。
そのため、事業評価の取り組みを加速、徹底することで財源の確保に努めるとともに、今後の人口構造の変化や将来世代の負担にも配慮しながら、基金と都債を戦略的かつ計画的に活用するなど強固で弾力的な財政基盤を堅持し、持続可能な財政運営に努めてまいります。
○上田委員 事業評価の取り組みは本当に進めていただきたいと思いますし、これから外郭団体の方の改革にも着手をするということでありますので、随時、斬新な東京大改革を進めていっていただきたいと思います。
さて、ミニパンフレットもできました。この見ればわかるの資料は、都民万人が理解と賛同を示すものではありますが、具体的に知事及び東京都がこれからどうしていくのか都民は知りたいと思っております。
今後の戦略論について、先ほど来も上がっておりました東京富裕論の評価と反論も含め、最後に、局長の見解を伺いたいと思います。
○武市財務局長 いわゆる東京富裕論は、これは東京の大都市特有の膨大な財政需要、これを一切顧みることなく、税収の規模でございますとか基金残高などの一面だけを取り上げて、あたかも東京と地方の財政力格差が地方の財源不足の原因であるかのように論じるものでございまして、これは極めて乱暴かつ理不尽な論理でございます。
そもそも東京都は、景気の変動を受けやすい不安定な歳入構造にありまして、かつ地方交付税の不交付団体でもあるために、基金の適切な運用など他の自治体以上に自立的な財政運営を行っていく必要がございます。
かつて都財政は、平成十年度決算におきまして財政再建団体への転落が目前に迫るような、そういう危機的な状況に陥って以降、二次にわたる財政再建プランに基づく取り組みでございますとか、その後の事業評価の取り組みなど、都民、都議会の皆様のご協力をいただきながら、血のにじむような努力を積み重ねてまいりました。そのたまものが今日の都財政の健全性にもつながっているものであると考えております。
一方で、将来に目を転じますと、先ほどこれも申し上げましたが、東京都には待機児童対策や超高齢社会への対応、災害に強い都市づくりなどの課題解決に着実に取り組むとともに、日本全体の持続的成長につながる施策を積極的に展開していく必要がございます。
こうした都の状況などを全く踏まえない、地方間の財源の奪い合いにつながる東京富裕論にはくみすることなく、地方がみずからの権限と財源においてその役割を果たせるよう、国に対して地方税財源の拡充を他の自治体と一体になって求めていくべきでありまして、他の自治体からも東京の主張に共感を得られるよう努力を続けてまいります。
○上田委員 ありがとうございました。本当に血のにじむようなという言葉が身にしみるのが、この資料の詳細版の四ページの方で、やっぱり東京都がどれだけ努力をしているかということは、もう如実にわかると思います。
私、よく駅の演説で、旦那と息子にお小遣いを渡して、余ったお金を返すといわれたことはありません、税金は渡せば渡すほど使っちゃって、まだ足りない、もっとちょうだいになるので、しっかりと財源確保していかなきゃいけないし、チェックをしていかなきゃいけないというのを、常に私は有権者の皆様にお知らせをしているところでございます。
江戸川区は、先ほど来いっていますが、財調のお世話になっておりまして、私は区議会議員時代から、都から財調もらえるからどんどん使えじゃなくて、やっぱり節税意識を持って取り組まねばならない、あるものではなくて、余ったら返すぐらいの区政運営をするべきだということを常に常に口を酸っぱくして指摘をしてきた次第でございます。
こうしてまた地方に渡すことで、本当に地方が自立するのかということは、私は多分違うと思うんですね。真の地方の自立政策を国はしっかりやった上で、こうした不合理なことをやる前にやるべきことがやはりあると思いますので、それをリーダーシップを持っていっていくのは、もう東京都をおいてほかになく、これから東京都が、そして日本が元気になっていく、新たなステージに入っていく、これはもう政局を超えた大きな大きな財政政策の闘いになると思います。
小池知事が先ほど来、総務大臣も経験された増田さんに勝って当選されて、こうして自民党さんにも今、足しげく通って、何とかこの不公平を是正しようと奮起されている中、ぜひ、都庁も一丸となり、我々都議会もここは政局を超えて一丸となりまして、局長のまさに力強いご答弁が実現しますよう力を合わせていく、都議会で取り組んでいきたいと思っております。
以上で私の質疑を終わらせていただきます。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○まつば委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第百八十六号議案から第百九十六号議案まで及び第百九十九号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先日の委員会におきまして要求のございました付託議案に関する資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回、付託議案に関して要求のございました資料は、要求資料第2号、第3号の二件でございます。
それでは、恐れ入りますが、五ページをお開き願います。要求資料第2号、低入札価格調査の概要でございます。
こちらは低入札価格調査の概要につきましてお示ししたものでございます。
続きまして、六ページをお開き願います。要求資料第3号、平成二十九年第四回都議会定例会契約案に係る入札参加条件及び辞退理由でございます。
こちらは本定例会に提出いたしました契約案の入札参加条件及び辞退理由をお示ししたものでございまして、六ページから一四ページにわたりまして入札参加条件を、一五ページに辞退理由を記載してございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○おじま委員 よろしくお願いいたします。
私からは、四定に提出をされました工事請負契約議案について伺います。
今定例会には、船舶製造の請負の一件の外十件の工事請負契約議案、建築が四件、設備が三件と土木が三件かかっております。前回の三定の案件は、旧制度、従前の入札契約制度で手続を行ったものでありまして、今定例会、四定の議案は、いずれも入札契約制度改革後、新制度によるものであります。
制度改革の効果を知る上でも、全体の特徴を確かめておく必要があると思います。今定例会にかかってきた案件で、落札率や、あるいは入札参加者数など、前定例会にかかっていた案件と比較するといかがでしょうか、伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 四定の船舶製造を除く工事請負契約議案は十件に対しまして、三定の工事請負契約議案は十五件でございまして、内訳は、建築工事が七件、設備工事が三件、土木工事が五件となっております。
まず、落札率の平均でございますが、三定では約九一%に対しまして、四定では約九四%と増加しております一方で、九九%を超える高落札率の案件は、三定が三件二〇%に対し、四定ではゼロ件ということで減少しております。
次に、入札参加者数の平均でございますが、三定では四・一者に対し、四定では七・二者と増加しており、また、一者入札は、三定では四件二七%に対しまして、四定では一件一〇%と減少しているところでございます。
また、落札者に占めるJVの数と割合についてでございますが、三定では十三件八七%に対しまして、四定では三件三〇%となり、減少しております。
一方、混合入札に伴って導入いたしました入札参加条件の緩和による中小企業の単体落札につきましては、三定ではゼロ件であったのに対しまして、四定では二件あったところでございます。
最後に、低入札価格調査の対象となる案件でございますが、三定では三件に対しまして、四定では全案件十件が対象となっているところでございます。
○おじま委員 三定で十五件で、四定で十件なので、サンプルと申しますか、件数がそもそも少ないので、単純には比較はできないかもしれませんけれども、新制度の特徴としては出てきているのかなと思います。
不調がふえたという話ばかりが取り沙汰されがちなんですけれども、本質はそこではないと思っていまして、入札契約制度改革は、現在、試行段階であるということが大前提であって、試行状況の検証から分析、軌道修正、そして本格的な運用に至るというところまでフェアな視点が必要なのではないかと思います。
我が会派の代表質問でも申し上げましたけれども、検証は全体像を捉えた上で客観的に行うべきもので、木を見て森を見ずということになってはいけないと思います。
議会のほか、入札監視委員会、都政改革本部、業界団体との意見交換、ヒアリングなど段階を踏みながら多角的な議論が進められてきております。
改めて、これまでの経過と今後のスケジュールを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 今回の試行のもととなる入札契約制度改革の実施方針につきましては、都政改革本部における四回の報告を経て、三月三十一日に開催された第七回本部会議において公表いたしました。
この実施方針に基づく試行を円滑に進めるため、五月十五日、十七日、二十二日、建設業を中心といたしました二十六団体への知事のヒアリングを実施しております。
試行に当たりましては、中小企業への影響を考慮いたしまして、低入札価格調査制度の適用範囲の見直しを行った上で、六月二十六日以降に公告等を行う財務局の契約案件から開始したところでございます。
試行結果の検証につきましては、第三者委員会である入札監視委員会の制度部会で行うこととしておりまして、先日、十一月二十二日に第一回制度部会を開きまして、これまでの試行状況につきまして報告を行ったところでございます。
今後は、都政改革本部に対し試行結果の中間報告を行った後、一月下旬に事業者団体との意見交換、三月に入札監視委員会での検証結果の取りまとめを行い、その後、都政改革本部へ取りまとめの報告を行う予定としてございます。
○おじま委員 財務局契約案件が六月の下旬、六月二十六日からなので、もうすぐ半年、折り返し地点であるということであります。中立、公正たる入札監視委員会と、そのもとの制度部会において試行状況の傾向分析を客観的に行っているということであります。
財務局でも、この制度部会に試行状況をまとめたデータを報告したということでありまして、これは、この財政委員会に係る議会案件だけではなくて、財務局契約の全ての案件が対象になっているようでございます。
今回の四定議案には、制度改革によるこの変化が顕著に出ているようですけれども、議会にかかっていないほかの案件も、全体として同じような傾向が出ていると見ていいのかどうか。参考までに、財務局契約の全体ではどうだったのか、制度部会に報告したデータではどのような傾向があったのか、これを伺いたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 十月末までの入札結果でございますが、不調率の上昇の一方で、一者入札、九九・九%となるような案件の大幅な減少や、入札参加者数の増加などが数値としてあらわれておりまして、四定議案の特徴とほぼ同じ傾向を示していると考えております。
試行は始まったばかりでございまして、検証は入札監視委員会で行うことになっておりますことから、今後、入札件数が積み上がっていく中で、さらに検証を進めていくことが重要と認識しております。
○おじま委員 この入札契約制度は、制度そのものの性質上、メリットもデメリットもあるということでして、その時々の時代背景に即した形で制度を変えていくための、そのための試行でもあります。
今のところ、当初の目的である入札参加者をよりふやして、高落札率を抑制するというところの効果は、これはあらわれてきているように思います。一方で、中小企業さんへのこの影響の面は十分に検証して、安心して東京都の入札に参加していただけるようにしなければならないわけであります。
また、不調による工期のおくれ、特に緊急を要する案件や特殊性が高い案件への対応は課題であります。豊洲市場の土壌汚染対策に関する追加工事、いわゆる七街区については、報道もされておりますけれども、三回目の不調になりました。これは公表時に不調になったということで非常に残念であります。
この不調の原因は入札契約制度だと、新制度に瑕疵があるから不調を呼んだのだという指摘も一部あります。これも非常に残念だと思っています。三回目の、都が出した四億一千九百万という予定価格に対して五億三千八百万という札が入って、結果、不調というところがクローズアップされがちなんですけれども、入札経過調書を見れば、一回目から、都が出した予定価格と業者側が入れてきた価格との間に大きく乖離があるわけであります。
こういう特殊な案件と、その他大多数の案件を同じテーブルに並べて議論をしていくというのは、これは違うのではないかと思っております。全体像を捉えて、冷静に客観的に検証を行っていくというのが本筋であると思っております。
今回は、不調や一者入札の中止もあって、四定に付議できなかった案件もあるようですけれども、制度設計の大枠は本旨から外れないようにしながらも、一方で、先ほども触れたとおりですけれども、緊急を要する案件、特殊性が高い案件に関しては柔軟に対応していくという必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
○五十嵐契約調整担当部長 入札契約制度につきましては、都民の疑念を招くことがないよう、競争性、透明性、公正性に十分留意して運用していくことが求められております。
お話の緊急性や特殊性の高い案件で、通常の契約手続では契約締結することが困難な場合に対して、やむを得ず例外的な契約手続を行う際には、法令等との整合性を図り必要な手順を踏むとともに、その判断基準や意思決定過程を明らかにすることにより、契約の公正性、透明性を確保することが重要であると考えております。
○おじま委員 当然、例外的な手続をとる際には、これは法令等に従った手順が必要であって、その乱用は厳に慎むべきでありますけれども、一方で、その要がある際には、これは速やかに手続がとれるように備えておくべきと考えます。
そのためには、例えば、例外規定だったり、細則を制度にビルトインすることも考えていかなければならないと思っております。試行段階での課題も教訓に、ぜひここはこれから検討をしていただきたいと思います。
いずれにせよ、入札契約制度改革は、試行段階の折り返し地点でございまして、この後の経過もしっかりと見守っていかなければならないと思っております。財務局としては、この後も丁寧に中小企業からのヒアリング、意見交換を行う中で、現場の生の声も聞いていただいて、入札監視委員会や都政改革本部とともに試行、検証、分析を進めていただきたいと思います。ぜひ、産みの苦しみとして踏ん張っていただくことを期待しております。
最後、報道にもありましたけれども、大型工事における大手ゼネコンの入札不正、これは偽計業務妨害の疑いで、今、東京地検特捜部が捜査に着手をしたということでございます。都としては、こういう事件も注視しながら、引き続き適正な契約手続に努めていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○うすい委員 それでは、私の方から、第四回定例会に提出された工事請負契約議案について伺います。
今回の議案は、入札契約制度改革後の新制度により契約手続を行うもので、その中で、警視庁本部庁舎(二十九)大規模改修工事は、一者入札の中止後、再発注を行った議案とのことであります。さきの委員会でもただしたとおり、一者入札の中止は、事業のおくれや災害復旧に影響のおそれがあることなどについて指摘をしてきたところでございます。今回は、その一者入札中止について、再発注をする際の要件の見直しの内容について確認をしておきたいと思います。
従前の制度では、一者入札であっても契約手続を継続しているため、当初求められている仕様、性能などが変わることはなかったわけです。
しかし、新制度により、希望が一者以下で中止をした案件については、再発注の際に参加要件などを見直すこともあると聞いています。参加者をふやしたいがために、必要以上に完成物の品質を下げるようなことがあってはならないと思うわけでございます。
そこで、この案件の見直しについてですが、一者入札の中止後、工事の再発注を行う際に当初必要だった仕様などを変えていないかどうか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止は、競争入札における契約の競争性、透明性を高めるため、入札希望を申請してきたものが一者以下の場合、入札手続を中止するものでございます。
入札手続が中止となった場合は速やかに再発注を行っておりますが、仕様については、都が法令の基準等を踏まえ、公共インフラの整備に必要な水準を定めたものでございますため、基本的には当初発注と同じ内容として変更はしておりません。
一方、入札参加条件につきましては、事業者の入札参加を促すため、事業者の所在地等の地理的要件の緩和や過去の施工実績による要件の一部緩和、最新の単価を用いた積算の見直しなどを行っているところでございます。
お話の警視庁本部庁舎の工事につきましても、再発注に当たって最新の単価を用いた積算の見直しは行っているところでございますが、仕様の変更は行っておらず、耐震性能の向上など今回の改修工事が目指す水準は何ら変わるところはございません。まずは、一者入札の中止に至ることがないようにしていくことが重要でございまして、引き続き、より多くの事業者が入札に参加しやすい環境の整備に努めてまいります。
○うすい委員 今答弁ありました一者入札中止の見直しでは、入札の参加者をふやすために、仕様を変えて品質を下げてはいないことは確認できました。
公共工事は都民の貴重な税金を使うものでありますから、一者入札の中止で透明性は確保できても、全体として見ると、事業が停滞していたり、品質が悪くなったりするなど、制度がマイナスに働いているのではいけないわけでございます。
さきに述べた警視庁本部庁舎の改修工事は、一者入札の中止後、単価の見直しをしたとのことですが、結果は一者入札でありました。セキュリティーの高い特殊な施設の上、いながら改修という難しい施工条件などが原因で、事業者が入札参加を敬遠されたのではないかと都から聞いています。
入札契約制度改革は試行の状況を検討中とのことでございますが、こうした事実からも、一者入札には施工条件の困難性など何らかの理由がうかがえます。一者入札の全ての案件を中止する制度には疑問が多いと思います。
現在は検証を行っているとのことですが、一者入札となった理由や再発注の際にどのように見直したかなどを丁寧にしっかりと分析し、都民の生命と財産を守るインフラ整備が、一者入札の中止による停滞や品質の低下などを招かぬように、よりよい制度改善を行っていただきたいことを要望しまして、質問を終わります。
○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時五十四分休憩
午後五時十分開議
○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○伊藤委員 それでは、契約議案百八十六号議案から百九十六号議案、合計十一件についてお尋ねします。
合計金額は約二百七十億円です。船舶製造を除いた建築設備、土木工事の十件についてお尋ねをいたします。
入札制度改革は、財務局契約の六月二十六日以降の公表案件から試行されましたので、先ほどもありましたが、議案としては今回が初めての審議となります。そもそも今回の、いわゆる入札契約改革のきっかけを見ますと、豊洲新市場建設などに見られる一者しか入札に参加せず、しかも予定価格九九・九%で落札されるという結果が、都民から見て、競争性や公正性に疑念を持たれているのではないかということであるようです。
そこで、実施方針として大きく四つの項目が挙げられました。一つ目、予定価格の事後公表、二つ目、JV結成義務の撤廃、三つ目、一者入札の中止、四つ目、低入札価格調査制度の適用拡大と、以上になっております。
我々都議会自民党は、入札契約制度に関しては、都内の努力する中小企業と人材を育成することが大事だと思っておりますので、順次確認をさせていただきます。
まず、予定価格の事後公表についてお尋ねします。
私どもは、そもそも積算能力のある事業者と契約すべきで、不良不適格業者の排除による品質確保のための予定価格の事後公表が必要と主張してまいりましたが、当初、最低制限価格の廃止とセットで安値競争が目的としか考えられないと、そういう見解を示しておりました。
今回の定例会で提案された議案を見ると、第三回定例会よりも確かに、一者入札、落札率九九%以上の案件は減少しております。これは予定価格を事後公表にしたので、当然落札率も下がるわけであります。
一方、予定価格の事後公表により、事業者、特に中小企業の積算に係る負担増や不調率の増加も懸念されておりますが、そもそも事後公表することにより、どのような効果を期待しているのか、確認のためお答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 予定価格を事前公表から事後公表に変更することによりまして、落札率九九・九%のような予定価格に近い金額で落札される工事案件の減少、結果として予定価格超過となった場合には、それも含めて応札結果を入札経過調書に示すことによる透明性の向上などが図られているものと考えております。
また、事前公表では、予定価格をもとに積算せずに入札に参加する技術力のない不良不適格業者が入札から淘汰されることとなるため、工事品質の確保にも効果があるものと考えております。
一方、事後公表では、事業者が工事内容を十分に把握できない場合には適切な積算ができないおそれがありまして、工事発注時に示す設計図書などについて詳細な施工条件や施工内容を明示するとともに、十分な見積もり期間を確保しているところでございます。
○伊藤委員 事後公表と事前公表で、それぞれメリット、デメリットをお答えいただきましたが、大事なことは、適切な予定価格を発注者である東京都がしっかり示すことだと思っております。
次に、JV結成義務の撤廃についてお尋ねします。
そもそもJV制度の活用は、中小企業の受注機会の確保や大規模工事経験の少ない中小企業の育成を目的に進められてきました。
そこで、まず確認ですが、今回JV結成義務を撤廃して、JVでも単体でも応札できる混合入札といたしましたが、議案では土木三件のみJVで、あとは単体での応札となりました。この結果は、JV結成義務撤廃の意図である入札参加者の増加につながったのか、お答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 本定例会に提出いたしました契約案件、計十一件のうち、混合入札の対象となる業種の工事における平均希望者数は七・八者、平均応札者数は六・七者となっております。案件が異なっているために一概に比較は難しいところではございますが、平成二十八年度に契約いたしました財務局契約のJV案件百七十件の平均希望者数が三・三者、平均応札者数二・九者と比較いたしますと増加しているところでございます。
今後とも、データを積み重ねて傾向を注視してまいりたいと考えております。
○伊藤委員 今のお答えのとおり入札参加業者はふえていると、こういうことでありますが、一方、契約の相手方を見ますと、制度改革試行前の第三回定例会では十五件中十三件がJVであったのに対して、本定例会ではJVは十件中三件のみとなっております。
JV結成義務の撤廃により、すなわち、今後もJVを結成する事例が減少いたしますと、中小企業の技術力育成や受注機会に悪影響を及ぼし、将来の担い手の確保にも支障を来すことになると考えますが、都の見解はいかがでしょうか。
○五十嵐契約調整担当部長 お話のありましたJVが落札者となる事例が減少する一方で、中小企業の受注機会の確保のため、一定の能力要件を満たした中小企業が単体で大型案件の入札に参加できるよう改正を行った結果、中小企業が単体で落札するケースも出てきておりまして、中小企業の受注金額の割合につきましては、昨年度と同水準となっているところでございます。
もとより、地域経済を下支えし、災害発生時にも大きな役割を担う中小建設企業の育成や受注機会の確保は、これまで同様、重要な視点であると認識しております。
今後行う試行結果の検証作業の中で、入札参加者数の増加や中小企業の入札参加機会の確保の視点に加えまして、お話のありました中小企業の人材育成や技術向上などの視点も踏まえて検討してまいります。
○伊藤委員 ご答弁によると、今のところ中小企業の受注金額の割合も昨年と同水準と、まだ試行が始まったばかりでありますけれども、そのような答弁でありました。
ただ、今まで二十年以上にわたって中小企業の育成を目的に、JV結成の義務を果たした結果が今出ていると、こういうことなんで、これから中長期を見たときには、やはりよくない影響が出てくるのではないかという懸念が残るわけであります。
次に、一者入札の中止についてもお尋ねします。
今回、いわゆる一者入札の中止で再公告して落札した案件が一件、残りは希望時点で数者の申し込みがあり、可ということでありました。
そもそも希望時点での一者入札が中止という根拠は何なのか、また、再公告後に一者入札なら中止はしないと、オーケーという理由は何なのか、改めてお答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 一者入札につきましては、その競争の過程が都民に見えにくく、都民に疑念を抱かせるおそれがあることから、競争入札における契約の透明性、公正性を高めるため、案件公表時に入札参加希望者が一者以下の場合には、入札手続を一度中止しているところでございます。
一回中止した後の再発注の際には、より多くの方が入札に参加してもらえるよう、入札参加条件の緩和などの措置をとっておりますが、その上で再度、参加希望者が一者であった場合には、条件見直しの上で再発注を行っても希望者が一者であるというその事実を踏まえまして、事業の停滞を防ぐため再度の中止は行わず、入札手続を続行することとしているところでございます。
○伊藤委員 十月十七日の財政委員会のときに、我が会派の宇田川委員から、財務局は一者入札にならないための努力や対応を今までどうしているのかと、こういった質問に対して、担当部長はこのように答弁をされておられました。
一者入札の原因については、一般的に同時期、同種の発注が多数あり事業者が他の案件に分散すること、あるいは事業者の手持ち工事が多く必要な技術者が確保できないこと、また、施工の困難性などが考えられる。このため、東京都では、実態を的確に反映した予定価格の設定、適切な工期、工程の設定など入札参加者をふやす取り組みを進めてきたが、それでもなお、一定の割合で一者入札が生じていると、こういうことでありました。
要は、前回のご答弁では、一者入札にならないよう、より予定価格や工期など、事前の準備をしっかりやると、こうお答えをされておりました。
それでは、今回、一者入札で再公告となった警視庁本部庁舎の大規模改修工事が、結果として一者となった理由はどのように考えているのか、お答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 警視庁本部庁舎の案件は、耐震補強を含む大規模な改修工事でございまして、既存の構造を熟知した上で施工を行う必要があること、それから、業務を継続しながら改修工事を行う、いわゆる、いながら工事でございまして、工事に伴う振動や騒音の対策等が必要であることなど、施工の困難性の高い工事と認識しております。
そのため、本案件では、結果的に警視庁本部庁舎を建設した当時の事業者による一者入札になったものと推測しております。
○伊藤委員 この一件の案件だけでは全てを語るわけにはいかないと思いますが、要は、いろんな要件の中で、こういった一者入札もあり得るということなんだろうと思います。
今回、議案の審議に当たりまして、事前に、六月二十六日の制度試行以降の一者入札の状況をお聞きしたところ、十月末時点で、公表件数の対象二百二十九件のうち三十九件、約二〇%で一者入札の中止が発生しており、再発注による影響は工期のおくれで平均二十日間ということでありました。
今回のこの警視庁の本部庁舎の工事については、工期のおくれは、たまたまないということでありますが、このようなことが今後も続いていけば、工期のおくれが都民サービスの低下につながることや、結果として事業者へしわ寄せがいくことも考えられますが、悪影響が出ないのか、お答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止は、競争入札における契約の透明性、公平性を高めることを目的に実施するものでございます。中止がたび重なる場合には、事業の停滞による都民生活への影響なども考えられるところでございます。こうした事態を回避するためには、事前に一者入札にならないような取り組みを進めていくことが重要と認識しております。
具体的には、適正な予定価格の設定、発注時期の平準化、設計図書に施工条件や内容をより詳細に明示することなどにより、引き続き、これまで取り組んできた、より多くの事業者が入札に参加しやすい環境整備に努めてまいります。
それでもなお、希望者が一者以下で入札が中止となった場合には、工事所管部署と連携いたしまして、入札参加条件などを再度検討した上で速やかに再発注を進めることで、事業進捗に大きな影響が出ないよう努力してまいります。
○伊藤委員 制度が始まって、試行されて六カ月ということになりますが、あれだけ指摘をして、予定価格の適正なあり方とかいろんな条件を踏まえても一定以上出てくるということは、これはやっぱり課題として大きく残っているんだろうと思います。
次に、低入札価格調査制度の適用の拡大についてもお尋ねします。
今までの低入は予定価格二十四・七億円以上で、最低制限価格はそれ以下ということでありました。試行後は、その線引きとなるラインを引き下げて対象を拡大して、例えば、建築工事では四・四億円以上で、最低制限価格はそれ以下ということになっているそうです。
今回の議案では、低入札価格調査制度により、三件の契約で対象となった合計十一者が全て失格となっております。これはダンピング防止策としては機能しているということも捉えられますが、一方、調査の実施に当たり事業者や、また、発注者である東京都の事務負担も大きくふえると、こういったことが懸念をされておりましたが、状況はどうなのか、お答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 低入札価格調査では、事業者から工事費の積算内容や施工体制に関する資料などの提出を受けまして、事業所管部署と契約担当部署が連携し、工事品質を低下させることなく工事が確実に履行可能かを審査しているところでございます。
今回の制度改正における適用範囲の拡大に当たりましては、工事の品質確保とともに、ダンピングや下請事業者への不当なしわ寄せの防止に向けた制度の実効性を確保するため、過去の社会保険の加入状況を確認するとともに、数値的失格基準や工事成績失格基準を導入しているところでございます。こうした失格基準の導入は、調査の効率化にも寄与しておりまして、事業者及び都職員の双方の負担減につながっているものと考えております。
○伊藤委員 それぞれ四つの項目について、今回の議案を通じて確認をさせていただきました。
入札契約制度改革の今回の試行に関しては、業界団体の皆様からも悲痛な声が寄せられております。例えば、建設業協会などからは、今回の方針に関して、業界内では今回を契機に過度な価格競争や中小建設業者の受注減少など不安は拭い切れていない、試行に伴う影響については十分に検証、分析を行い、改革に伴う課題については迅速に改善を図っていただきたい、こういった声も寄せられております。
私どもは、こういった入札契約制度については、木を見て森を見ずでなくて、木も森も見ることが大事だと思っておりますので、いろんな要素を踏まえて、しっかり一年間の試行期間の終了を待たずに速やかに見直しに着手すべきと、このように考えておりますが、東京都の見解をお聞かせください。
○五十嵐契約調整担当部長 今回の改革につきましては、一年間の試行として実施することとしておりまして、試行の状況につきましては、第三者機関である入札監視委員会におきまして来年三月の検証結果の取りまとめを目指し、先月から本格的な検証作業を行っているところでございます。
新制度における案件の開札が始まってから約四カ月が経過したところでございますが、今後データを積み上げながら、さらに検証を進めていくこととしております。
また、来月には入札監視委員会におきまして、建設業界団体からの現場の声を聞かせていただく機会も設ける予定でございまして、現在試行中の改革の取り組みについても、そうした現場の声を踏まえ、しっかりと検証を進めてまいります。
○伊藤委員 ぜひ、しっかり検証をしていただければと思います。
次に、第百九十九号議案、当せん金付証票の発売、いわゆる宝くじについてお尋ねをいたします。
当せん金付証票法の第一条においては、この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もって地方財政資金の調達に資することを目的とするとありました。
宝くじ発売の仕組みは、発売主体となる東京都など四十七の都道府県及び二十の政令市が、発売額について議会の議決を経て、総務省の発売許可を得た上で受託銀行に発売を委託し、受託銀行から納められた収益金を公共サービスに充当していると、こういう仕組みになっているそうです。
宝くじの発売金額の内訳は、四六・八%が当せん金として購入者に支払われ、一三・六%がくじの印刷費や宣伝費など発売にかかわる経費に充当され、残りの三九・六%が発売益金として各自治体の収入になっております。
平成二十八年度の東京都の決算では、発売益金が約四百七十億五千万円であり、当せんして一年間引きかえに来なかった場合の時効益金や運用利益も合わせると約五百億九千万円と貴重な財源となっております。そして、今回の議案において、平成三十年度の発売益金の見込みだけで六百三十五億八千九百万円となっております。
初めに、発売計画額についてお尋ねします。
平成三十年度は、今年度と比較して発売計画額が約八十五億円の増額となっています。一方で、宝くじの全国でのここ十年の発売実績を見ますと、平成十七年度に一兆一千四十七億円と最大の売り上げであったのに対して、平成二十八年度では八千四百五十二億円と減少傾向になっております。
そこで、増額を見込んだ理由についてお答えください。
○松川主計部長 宝くじの発売計画は、過去の実績や売り上げ動向、今後の施策などを踏まえて作成しております。お話のとおり、ここ十年間で全国における売り上げは減少傾向にございます。
来年度に向けた売り上げ向上策として、異なる三種類のスクラッチくじの常時販売、数字選択式宝くじロト6及びロト7の賞金条件の改定、また、初心者でも手軽に購入しやすいよう、数字選択式宝くじにおけるクイックピックパッケージ販売の開始、さらに、ジャンボくじにおける連番、ばら以外の券組みの多様化などの施策により、売り上げ増を見込んでおります。
○伊藤委員 あわせて、議案にあります発売目的についてもお尋ねします。
議案の発売目的を見ますと、公園整備等の費用の財源に充当するためとありますが、これまでどのような都民サービスに宝くじの財源を充当してきたのか、使途に制限はあるのか、公園整備等は具体的にどのような使途を考えているのか、お答えください。
○松川主計部長 宝くじの収益金は、地方財政法第三十二条の規定により、公共事業のほか、総務省が地方財政法第三十二条に規定する事業を定める省令に規定する十の事業に財源充当が可能でございます。東京都におきましては、公共事業として公園整備や都立学校校舎改築等に充当しております。
また、総務省令に定める事業への充当例としては、省令第一号の国際交流その他の地域の国際化の推進に係る事業として、東京国際映画祭や都立学校の外国青年招致事業、第三号の地域における人口の高齢化、少子化等に対応するための施策に係る事業として子育て推進交付金、第五号の美術館、図書館、文化会館等芸術文化活動の拠点となる施設の運営の充実その他の地域による芸術文化の振興に係る事業として文化財の保護等に充当してまいりました。
さらに、公共事業ではございますが、スポーツ分野への充当事例として、ラグビーワールドカップ二〇一九大会の開催準備のための事業に充当しております。
○伊藤委員 発売目的についてお答えをいただきました。公園整備等の費用の財源ということですが、少子化あるいは国際交流、スポーツ分野、ハード、ソフト、いろんな分野で充当されるということであります。
議案にはこれしか書いていなかったと思うんですが、今までの慣例でこうなっているかもしれないですけど、議決案件ですから、もうちょっと、少し詳しく書いてもいいのかなと思っております。
次に、宝くじの販売についての現状や課題についてもお尋ねします。
宝くじは、都道府県と政令市が共同で全国で発売するジャンボくじやナンバーズ、ロトなど全国自治宝くじと、東京都が単独で都内のみで発売する宝くじがあるそうです。今回、試しに東京都の宝くじを購入しましたが、そこについてきたチラシを見ましたら、発行時期や種類も非常に多様であると実感をいたしました。
そこで、宝くじ販売の現状と課題はどのようなものがあるのか、また、今後課題に対してはどのように取り組んでいくのか、お答えください。
○松川主計部長 宝くじ販売の現状は、全国ベースで平成十七年度に一兆千四十七億円と最大の売り上げを記録いたしましたが、その後、一時的に売り上げが増加したものの徐々に減少し、平成二十八年度の発売実績は八千四百五十二億円となっております。その主な要因につきましては、購入者個々の経済事情のほか、娯楽の多様化により選択肢の幅が広がったことなどがあると考えております。
今後の売り上げを向上させる取り組みに当たりましては、商品の魅力向上に加え、購買層の拡充が必要でございます。ジャンボくじについては、賞金条件にめり張りをつけるほか、季節のイベントに合わせた名称への変更と広報宣伝などにより、商品のイメージと魅力を高めてまいります。また、数字選択式宝くじにおきましては、ロト7のキャリーオーバー発生時の最高賞金額を十億円としたほか、本年四月より四年ぶりの新商品となるビンゴ5の発売を開始いたしました。
さらに、購買層の拡充に当たりましては、手軽に買えることから宝くじのエントランス商品であるスクラッチくじにおきまして、人気アニメキャラクターの活用や毎週スクラッチくじが発売開始となるスケジュールを検討してまいります。
加えまして、インターネットの活用として、SNSによる発売初日イベントや抽せん会の情報発信のほか、インターネットによる宝くじ販売の拡充を検討してまいります。
今後も、全国の宝くじファンの期待に応えられるよう取り組んでまいります。
○伊藤委員 それでは最後に、今後の宝くじについてお尋ねをいたします。
先ほども述べたとおり、全国の自治体の中でも政令市を含めて六十七の自治体しか宝くじを発売することはできませんが、発売額はもちろん、発行枚数でも全国でトップは東京都であります。
本来の使途目的を外してはいけませんが、そもそも宝くじは地方財政資金の調達に資することを目的としておりますので、東京都の取り組みや工夫を通じて、全国の自治体の応援も間接的にできる場面もあるのではと考えます。もちろん都民サービスに還元するための役割が第一でありますが、今後、宝くじ事業にどのように取り組むのか、お答えください。
○松川主計部長 宝くじは、公共事業や総務省令で定めた事業に充当する必要がある場合に、当該自治体の地域内で発売が可能でございます。しかしながら、発売団体の間で協議が調った場合には、他の自治体の区域でも発売することが可能でございます。
これまでも、平成二十三年度には、東日本大震災復興支援のために、宮城県を初めとした被災地の十一県市が共同で発売した宝くじ及び全国の発売団体が被災地支援のために共同で発売した東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじを東京都内で発売いたしました。加えて、東京都独自の取り組みとして、東京都宝くじを活用した被災地支援を行っております。
また、平成二十八年度には、熊本地震の被災地である四県市を支援するために、全国の発売団体が共同で発売した熊本地震被災地支援ドリームジャンボ宝くじを東京都内で発売いたしました。
今後とも、都民サービスに資する取り組みに加え、宝くじを通じた自治体間の連携に取り組んでまいります。
○曽根委員 私からは、十一件の契約案件について何点か質問させていただきます。
今回の十一件の入札結果については、入札契約の制度改革の具体的な反映があるというふうに思いますが、その内容についての特徴は先ほど質問がありましたので、ここでは低入札価格調査についてお聞きしていきたいと思います。
今回の契約議案の中で、何件か低入札価格調査を実施している例がありますけれども、今回の特徴として、その全てが失格になっております。これはやはりダンピング防止のためには、低入札価格についてはきちんと調査をする必要があるし、また、下請いじめにならないためにも、その点については審査は必要だと思います。
同時に、中小企業を必要以上に振り落とさないための配慮もまた必要だというふうに思いますので、この十一者全てが失格になった、その中の特徴というのはどういうものがあるでしょうか。
○五十嵐契約調整担当部長 今回の制度改革における低入札価格調査の適用範囲の拡大に当たりましては、過度な競争による工事品質の低下や下請事業者へのしわ寄せなどの防止を図るため、失格基準の設定など調査を厳格化することといたしました。
今回の議案十一件におきましては、実際に低入札価格調査に至った案件は三件でございまして、低入札価格基準を下回った調査を実施した事業者は十一者でございまして、この十一者に対して厳格な低入札調査を行ったところでございます。その結果、十一者全ての事業者が失格となったというところでございます。
これらの失格理由につきましては、調査票等の提出がなかったものが五者、数値的失格基準に該当したものが四者、工事成績失格基準に該当したものが二者というふうになっております。
○曽根委員 工事成績や、また、数値的な失格基準はともかくとしても、調査票が提出できなかったケースでどういう問題があったのかなというのが気になるところなんです。これ五日間の期限で出すことになっていて、その中身というのは、きょう資料でいただきましたが、現場監督を含めて、かなりいろいろな登録をしなきゃならないと。
中には八九%で低入札調査の対象になり、九〇%をちょっと超えた企業は落札するというような例があったので、ここは低価格調査のラインが、これは見積もり価格の九〇%だったんだろうなというのはわかるんですけれども、八九%でも一旦調査の対象になりますとかなり大変な対応になるので、厳しいなという感じはいたします。
それで、ダンピングの防止の上では、低入札価格調査は当然必要なんですけれども、結果を見てみますと、やはりこの中小企業を本当に育てていくという観点から、いろんな配慮が必要な場合があるんじゃないかと。
一つは、予定価格を事後公表にしたことでもって、入札のときの見積もりは厳格にやらなきゃならなくなりましたから、これは当然なんですけれども、ぎりぎりまで見積もりを出してきているという業者について、その努力をある程度酌み取るようなことも必要なんじゃないかということで、今後ぜひ検討してもらいたい問題として、東京都の総合評価制度の中に過去の実績についての評価を行うというものがあるわけですよね。
こういうものを含めて、例えば、都営住宅の工事の中には、高層は別ですけれども中層住宅などの場合、地元でのこうした公共住宅の建設実績をきちんと評価して、地元の業者を入札にも参加できるようにしていくなどの工夫が必要な場合というのがやっぱり私はあると思うんです。そういう点では、過去の実績の評価を重視する、これは今、全入札の中の一五、六%しかないようなので、ここを少し拡大していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
それからもう一つは、ジョイントベンチャーの結成義務についての撤廃を今回したわけですけれども、今回の入札というわけではありませんが、これもやはり中小企業が必要以上に振り落とされないための工夫が今後必要になってくると思います。この点についての東京都の取り組み、工夫についてお聞きします。
○五十嵐契約調整担当部長 今回の制度改革におきましては、JV結成義務が入札参加の制約になっているのではないかという問題意識から、結成義務を撤廃し、単体企業でもJVでも入札への参加が可能となる混合入札を導入しております。
また、あわせて地域の産業の基盤となり地域の発展を支えるとともに、将来の公共工事の担い手となる中小企業を保護、育成していくことが重要な視点だと考えております。
そのため、混合入札では従来に比べて入札参加要件を広げ、中小企業がJVでなくても単体で入札に参加できるようにするなどの工夫を行い、中小企業の受注機会の確保を図っているところでございます。
今後、試行の検証の中で、こうした点につきましても実施の効果を確認するとともに、客観的なデータをもとに、さまざまな角度からよい面、悪い面の両面について確認をしてまいります。
○曽根委員 これも要望にとめておきますけれども、ジョイントベンチャーについてはこういう意見が来ているわけです。つまり中小建設業者にとっては、単体で落札した企業の、大体ゼネコンになりますよね、結局は下請に入るということが多くなってくるのではないかと。これは、ジョイントベンチャーに加わるのと下請に入るのでは全然立場が違う、やはり物がいいにくくなるということは、もう多くの中小の建設業者から来ているわけです。
そこで、一つの打開の方法として他の自治体でも例があるんですけれども、単体で応札して落札した企業については、その後、ジョイントベンチャーを地元の企業と組むことを入札の条件とするという方法もあるわけです。これは、入札の段階から、最初からジョイントベンチャーを組むことを前提にすると、業者間での話し合いを認めるということになりますので、入札前の話し合いというのは非常に談合の危険もやっぱり高くなるわけなので、落札した企業に対して、地元企業とジョイントベンチャーをきちんと組むという形も考えられるのではないかと。
今後、検証の中で、さまざまな可能性、入札の改善につながる、ありとあらゆる、いろいろな意見を酌み上げるような努力を改めて求めておきたいと思います。
今回の入札の案件は、初めての具体化ですから、この中であらわれた問題についても、細かい点も含めて検証することを求めて、質問を終わります。
○上田委員 私も契約議案について質疑をさせていただきます。
さきの陳情質疑におきまして、入札に関する過去の上田の質疑も踏まえ、公明性、公正性について疑義をたださせていただきましたところ、これまでの制度並びに運用において問題はなく、各局において適正な取り扱いがなされているとのご答弁をいただいておりました。
しかしながら、その翌々日に残念な報道がありました。競売入札妨害の疑いで、都庁の三人が停職の懲戒処分、小笠原村の公共工事におきまして情報漏えいがあったということであります。
また一方、前回も話しましたが、豊洲市場移転の前提となっている追加対策工事九件のうち、水産卸売り場棟の地下ピットにコンクリートを敷設する工事一件の入札が行われたものの、参加した業者は、事前に公表された予定価格より一億円以上も上回る金額で応札して、またしても不調になってしまったと。
入札改革の目玉だった一者入札回避が何となく難しい、暗礁に乗り上げるのではないかと都民も見守っている中、一者しかとれないということをしないために、改めまして、入札条件を満たす登録業者は一体何者あるのかということを確認したいと思います。契約案件おのおのについてお答えください。
○五十嵐契約調整担当部長 入札条件を満たす登録業者数につきましては、東京都電子調達システム、それと一般財団法人日本建設情報総合センター提供のデータベース等により確認をしているところでございます。
提案している議案の個々の契約案の登録業者数につきまして、資料第3号、財政委員会要求資料六ページの番号1番の順番に従ってご説明申し上げます。
まず、六ページの番号1、警視庁本部庁舎でございますが、こちらは、単体またはJVの第一順位となれるものについては十七者でございます。
七ページの番号2、調布消防署につきましては、単体が二百八十九者、JVの第一順位が三百九者でございます。
八ページの番号3、公文書館改築は、単体またはJVの第一順位となれるものは六十二者でございます。
九ページ、番号4、大井ホッケー競技場新築は、単体が二百六十五者、JVの第一順位となれるものが九十一者でございます。
一〇ページの番号5、東京都公文書館の空調は、単体で四十一者、JV第一位となれるものが三十六者でございます。
同じく一〇ページの番号6、ボーディングブリッジは、単体のみとなっておりまして、こちらは三十五者ございます。
一一ページの番号7、大井ホッケー競技場の電気は、単体が五十一者、JVの第一順位となれるものが五十五者でございます。
同じく一一ページの漁業調査指導船「やしお」の製造は、単体のみとなっておりまして、こちらは四者でございます。
一二ページの番号9、十三号地岸壁は、単体が九者、JVの第一順位となれるものが九者でございます。
一三ページの番号10、下高井戸調節池は、単体またはJVの第一順位となれるものが二十三者でございます。
一四ページの番号11、綾瀬川護岸耐震補強は、単体で四十八者、JVの第一順位となれるものが六十八者というふうになっております。
○上田委員 委員の皆様と資料の方も共有させていただきました。あわせまして、要求資料では、入札参加条件をここに書いてあります。この入札参加条件を満たす業者数につき、今ご報告をいただいたところでございます。
見ておりますと、8番及び9番の業者数が十者以下となっております。日本の大手業者のほとんどが業者登録していると思われる東京都において、かなり少ない感じがいたしますが、その理由は何かを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 工事の発注に当たりましては、工事品質や確実な工事の履行を確保するため、工事の内容を踏まえ、必要に応じて入札参加条件を設定しております。
8番の調査指導船「やしお」製造の入札参加条件につきましては、同じ船型の船舶の製造実績、9番の十三号地岸壁建設につきましては、工事用大型船舶の所有または保有に加えまして、同種工事の施工実績を付しております。
具体的には、8番の船舶製造につきましては、過去十年間に本件と同種のまき網探索船の製造実績を有していることを確認できた事業者としており、こちらが四者となっております。
9番の岸壁工事につきましては、施工に当たって日本に数隻しかない大型くい打ち船が必要でございまして、その船舶の所有、保有を確認できている事業者は二十三者、かつ本件工事と同種の直径一・五メートルの大型鋼管ぐいを海上で打設した工事実績を有している事業者は九者ということでございます。
○上田委員 かなり特殊な技術がなくてはなかなか工事ができないというような事例、よくある、余人をもってかえがたい業者さんだということだと思うんですが、この特殊な例はおいておいても、それぞれ工事実績を入札参加条件と、こういうふうにしているんですけれども、それぞれの業者は、現在は実績があるけれども、全者とも最初は実績がなかったはずですよね。私も新卒で勤めた、あの日本最初の超高層ビルの霞が関ビルを建てた鹿島建設も最初は実績がなかったものでございます。
また、東京都が発注する工事は実績がないと入札に参加できないとした場合、より規模の大きいものや特殊な技術を要するものなどに挑戦しようとする事業者ファーストペンギンを結果的には否定することになってしまい、過去の実績も本当に大切なんですけれども、都においては、現状に存在しないものは未来永劫発注できないということになるのではというふうな思いもあり、引き続き研究をさせていただきたいと思います。
しかしながら、その厳しい条件をクリアして、事業者ファーストペンギンの排除でもないですけど、新規参入がなかなかできない中、せっかく入札に参加しようとしているのに、何で辞退者が出てしまうのかということを毎回私は思っていた次第で、今回は資料の一五ページで辞退理由を調べていただきました。こちら、委員の皆様に見ていただきながら、この辞退理由の確認の方法を確認させていただきたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 契約につきましては、発注者と受注者が対等の立場で行うものでございまして、入札辞退は入札参加者が入札書を提出するときまでは、理由を問わず、いつでもできることとしております。
辞退理由につきましては、入札の辞退届を提出する際に、電子調達システムで任意に入力できるようになっておりまして、これにより確認しているところでございます。
○上田委員 任意確認ということで、あえて辞退理由は聞かないという状況をちょっと確認させていただきました。
それで、この理由とかいろいろお聞きしますと、施工体制が整わない、技術者の確保が困難という理由が散見されておりますが、かなり大きな工事でありますし、希望申請日から入札まで短期間であるにもかかわらず、もう体制が整わない、人が足りないというような状況に変化するというのは、ちょっと考えられないし、頻発していることを懸念しているところでございます。
この点につきまして、どのように分析しているのかご説明いただきたいと思います。
また、仮に落札後辞退をするとどのようなペナルティーがあるのかもご説明ください。
○五十嵐契約調整担当部長 都の入札に参加する事業者の多くは、都発注工事だけではなく、国、他県、区市町村あるいは民間の発注工事も受注しているところでございます。
辞退理由で最も多いのは、技術者の配置が困難になったというものでございまして、これは都発注以外の工事を受注し、都の工事に対して専任する技術者がいなくなったケースなどが考えられるところでございます。
辞退に対するペナルティーにつきましては、事業者が落札後に辞退した場合は、標準で指名停止六月、契約締結後に事業者の都合で契約解除に至った場合には、二年間の入札参加禁止としております。
○上田委員 ペナルティーがしっかりあるということでございますが、技術者の配置が困難になったというのが多いようですが、この配置困難とする技術者の種類は、どんな種類の技術者であるのか、今、技術者不足というところで伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 建設業法では、公共工事の元請事業者につきまして、専任の技術者の配置を求めております。
具体的には、建設業法に基づき業種ごとに配置すべき技術者の種類が決められておりまして、土木工事業、建設工事業、左官工事業、とび、土木工事業、石工事業、屋根工事業など、工事の内容に応じた種類、全二十九種が定められているところでございます。
○上田委員 基本的なところを確認させてもらいますが、指名競争入札とは、地方公共団体が資力、信用その他について適切と認める特定多数を通知によって指名し、その特定の参加をして入札の方法によって競争させ、契約の相手方となる者を決定し、その者と契約を締結する方式とされております。
また、入札参加資格としては、地方自治法施行令第百六十七条の十一第一項で準用されている地方自治法施行令第百六十七条の四第一項において、契約締結能力を有しない者等を参加させてはならないとされています。
したがって、技術者の配置が困難になったとの理由で入札辞退者が相次ぎ、公契約におけるより適切な競争入札が遂行されていないと思われる状況においては、事前に確認すれば、理論上は、その理由による辞退者を回避できることから、技術者の配置が困難になったとの理由は、先ほど申し上げた地方自治法施行令第百六十七条の十一第一項で準用されている地方自治法施行令第百六十七条の四第一項において、契約締結能力を有しない者等を参加させてはならないに該当するものとして、都は、技術者配置の有無について事前確認をすべきではないかと思料いたしますが、見解をお示しください。
仮に、事前確認を必要としないとするのであれば、指名競争入札の定義となっている地方公共団体が資力、信用その他について適切と認める特定多数を通知によって指名し、適切と認めるとの定義に反しているのではないかと思料しますが、見解をお示しください。
なお、業者登録に際しては、それぞれの技術者の数も登録されているものであることから、指名委員会において、その技術者の登録数と各指名業者の受注工事数も指名の判断材料とすべきではないかと思料いたしますが、見解をお示しください。
○五十嵐契約調整担当部長 まず、地方自治法施行令第百六十七条の四第一項において規定する契約を締結する能力を有しない者とは、民法に定める成年被後見人や未成年などを指しております。また、適切と認める者とは、入札参加者名簿への登録に加えて、工事施工実績などの入札参加条件を満たし、品質が確保された履行が可能な能力を有している者のことを指しているところでございます。
今回提出した契約議案は、全て一般競争入札で執行されておりまして、入札参加希望申請時点において配置予定技術者を申請させておりますが、都の発注工事に対して、いつでも応札し、受注できる準備を整えさせるため、技術者を常に拘束しておくという趣旨のものではございません。
繰り返しになりますが、契約は、発注者と受注者が対等の立場で行うものでございまして、入札という競争が前提の都発注工事におきまして、入札参加者が確実に落札でき、受注できるという保証がない中で、都発注工事の辞退を認めない、他の自治体や民間が発注する工事への参加を制約することは、かえって都の発注工事への入札参加意欲を失わせることになるのではないかというふうに考えております。
○上田委員 都の見解もよくわかりましたが、一応、私たちは議会の立場として、不調と一者入札を回避していくという観点の方から、あとは辞退者をできればやはりなくしていきたいというふうな観点から確認をさせていただきました。今後、今のご答弁の解釈に合わない行政事例や判例等々なんかも、ちょっと自分で調べていってみたいと思います。
豊洲の不調の問題を鑑みますと、再発防止を含めた体制が重要とやはり考えております。予定価格を算定するまでには、マニュアルにのっとって積み上げているのは十分承知しておりますが、最終的に決めるときにご留意している点についてご説明をいただきたいと思います。
○永島建築保全部長 適正な予定価格の設定は発注者の責務であり、数量積算や単価設定、現場管理費等の経費などの工事費の積算ルールを積算基準に定め、それに基づき適切に算出をしております。
具体的には、図面や仕様書などの設計図書により仕様、数量を確定し、標準単価や見積もりによる単価を乗じた上で、現場管理費等の必要な経費を加算しております。
標準単価の資材等の部分につきましては、市場動向を速やかに反映できるよう、定期改正を行っているほか、特に鋼材や配管等の主要資材に関して、価格変動が大きい場合には臨時改正も行っております。
予定価格のうち見積価格部分につきましては、複数者の平均値をもとに、取引実態を考慮して見積単価を設定しております。
こうした取り組みにより、可能な限り実勢を反映した積算に努めております。
○上田委員 今、適時適切な資材や労務単価の改正を随時行っていることは確認させていただきましたが、よって、それに基づいて予定価格も適切に算定されているものと思料をいたします。
しかしながら、現実には入札不調事案が数多く見受けられています。そうすると、適切な予定価格による入札を執行したにもかかわらず、入札不調が発生していることに、都民は違和感を感じるのではないかと考えております。
発注者である地方公共団体としては、地方自治法に規定する最少経費、最大効果の原則からすれば、事業を進めなければならないことを優先して、安易な予定価格の増額変更は許されるものでもないと思っております。
そこで、適切な予定価格による入札を執行したにもかかわらず、入札不調が発生をしていることの原因は何なのか、また、そのような状況を解決し、事業をより適切に遂行する方法は何かを最後に伺いたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 不調となる原因は、発生する案件やその時期などによりましてそれぞれ異なると考えられ、個別具体的に分析することは難しいところでございますが、価格以外の要因といたしましては、同時期に同種の発注が集中し事業者が他の案件に分散すること、事業者の手持ち工事が多く必要な技術者が確保できないこと、施工に当たって特殊な技術や機材が必要であることなどが考えられるところでございます。
このような要因を取り除くには、発注時期を平準化し、工事の発注を分散することで、事業者が入札に参加しやすい環境を整備すること、現場の施工条件を勘案したきめ細かな積算により適切な予定価格を設定することなどが重要と認識しているところでございます。
○上田委員 分析が難しいということで、予定価格が原因になるのかならないのか、あちこち入札見積もりを出して、ほかに決まってキャンセルになるか、非常に、やっぱり一般的にはいま一つ理解しづらいような状況であると思いまして、確認をさせていただいている次第でございます。
今、制度改革の真っただ中でありますし、内部統制プロジェクトチーム、特別顧問と財務局が共同によりまして進めていくということで、こうした大きな制度改革も非常に大切なことでありますが、財務局としては、外部の委員会とか外部人材との折衝も大変ご苦労なこともあると思いますが、私はやはり小笠原の例も--事務事業質疑で私は、財務局がしっかりと人材育成と規律意識や公務員倫理の醸成について、全庁にわたって担っていることも確認をさせていただいております。
外部の目も、また、こうした大きな制度改革も大切ではありますが、入札についてもご答弁いただいた、本当にきめの細かい日常作業に従じているということでございますので、この規律意識、公務員倫理、そして入札にかかります手間暇をかけていくこと、日常作業も私は非常に重要視をしているということで、引き続き、入札の不調、それから一者応札、また、るる話題になりました入札制度改革におきまして、中小企業の皆様が、迷惑でもないんですけれども、大変混乱をしていることも踏まえまして、引き続きの取り組みをお願いしたいことを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○清水(ひ)委員 財務局の付託議案についてお伺いいたします。
入札制度改革が開始され、知事部局全体の契約案件が初めて出されました。先ほど全体の報告がございましたが、今回の契約案件については、一定の効果が出されているというようなことが報告されました。
今後の制度の検証を今行っているということですけれども、議会がこの改革を前進させていくために、しっかりと検証をしていただきたいと思います。
一点だけ内容についてお尋ねをいたします。
建設産業においては、週休二日制の導入など働き方の改革を進めることが重要です。そのために適切な工期を設定し、その費用をきちんと見るべきです。
例えば、今回の契約議案であります第百八十八号の東京都公文書館改築工事請負契約について、工期をどのように設定しているのか、お伺いいたします。
○永島建築保全部長 東京都公文書館の工期は、平成三十一年十月三十一日まででございます。工期につきましては、規模や施工条件など、工事の状況を適切に考慮し、算定をしております。
施工条件の一つとして、都の工事標準仕様書におきまして、土日祝日と年末年始は原則として工事を行わないこととしております。
なお、天候不良による工程のおくれなど工事を進める中でさまざまな理由により、監督員の了解のもと休日作業を行う場合もございます。
○清水(ひ)委員 今ご説明がありましたが、適切にこの工事についての工期を設定したということではありますが、工期の長さは工事費に影響すると思いますけれども、どのように予定価格に反映されているのか、お伺いいたします。
○永島建築保全部長 予定価格の設定に当たりましては、数量積算や単価設定、現場管理費等の経費などの工事費の積算ルールを積算基準に定め、それに基づき適切に算出をしております。
公文書館の工事においても、設定された工期に応じた仮設の費用や現場管理費等の経費などを含め、工事費を積算しております。
○清水(ひ)委員 今の説明についてはわかりました。
今、国土交通省では、受注者の希望によって週休二日制を試行する取り組みが進んでいると聞きますけれども、東京都の工事において、週休二日制の確保に向けて、どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○中山技術管理担当部長 将来にわたって公共工事の品質を確保するためには、多くの人材を受け入れ、担い手の育成が図られるように、建設現場において週休二日が確保できる環境の整備を推進することが重要でございます。
財務局では、昨年度から週休二日モデル工事を試行しておりまして、昨年度は三件実施し、今年度は七件で実施する予定でございます。
モデル工事においては、近隣の配慮や災害対応など、特段の理由以外は休日施工を認めないこととしておりまして、試行を通じて施工現場の現状を把握し、工事の進捗に影響を受けやすい関連設備工事との工程調整など課題を整理しております。
週休二日の実現に向け、引き続き施工に当たってのさまざまな制約条件の有無などの検証を進めるため、モデル工事を実施してまいります。
○清水(ひ)委員 今ご説明がありましたモデル工事を、事業を進めているということですけれども、先ほどのご答弁では、昨年度は三件で、今年度は七件だということですが、国交省の地方整備局の中には、七月から原則全工事で実行されているということも聞きました。都のモデル工事の数は少ないのではないかというふうに思います。
今、地域建設業は、新規学卒者の就職率も低くて、人材確保が課題となっております。これはもうどなたも承知をしていることです。全国建設業者の団体は、この働き方の改革に当たって指針となる憲章を決めておりますが、その施策で提起している長時間労働をなくすための職場風土の改革とか、就労環境整備に当たって経営者が率先して対応するとしている週休二日制確保、所定外労働削減に向けて、そして短工期、低価格のダンピングは慎むことを明記していると聞いています。
全体として、産業界全体もそうなんですけれども建設業界が、こういう方法でなければ人材確保が難しい、若い人材が集まってこないという実態を痛切にお話をされております。
最近も、十人の職人の方がいたんだけれども、半分やめてしまったという経営者の方のお話を聞きました。また、娘さんと結婚したいんだけれども、結婚の相手が建設労働者で監督もやっているんだけれども、休みが不安定なために親が結婚を認めなくて、結局仕事をやめたという経営者の話を聞きました。
今の時代、本当にこういう土日を休日にということが実施できなければ、若い人がついていけないと、若い人が安心して仕事につけないということで、都としても、モデル工事をやっているというんですけれども、早期に原則全工事を土日を休日にするというそのための取り組みを行うことを求めますがどうですか、伺います。
○中山技術管理担当部長 財務局では、建築工事や設備工事の週休二日モデル工事を、都において率先して進めております。繰り返しになりますが、モデル工事の試行により施工現場の現状を把握し、工事の進捗に影響を受けやすい関連設備工事との工程調整など課題を整理しております。
引き続き、施工に当たってのさまざまな制約条件の有無などの検証を進めるため、モデル工事を実施するなど適切に対応してまいります。
○清水(ひ)委員 建設業に若い人や女性が魅力を感じて就業意欲を持たせるためには、都は、若者や女性が働きやすい現場、職場の条件を入れ、工事発注時に快適なトイレを、それから現場の安全衛生を、そして週休二日制、更衣室などを入札条件に定めることが必要だと思います。どのように考えますか、お答えください。
○中山技術管理担当部長 女性の現場での活躍を支援する取り組みとして、財務局では、女性活躍モデル工事を試行しておりまして、昨年度は三件実施し、今年度は東京都公文書館改築工事を含め四件の工事で実施する予定でございます。
具体的な取り組みとしては、監理技術者、現場代理人、主任技術者または担当技術者のいずれかに女性技術者の配置を義務づけるとともに、現場の事務所には専用の更衣室や水洗トイレ、洗面台等を設置した、いわゆるパウダールームを女性用設備として整備しております。
また、今年度からは、快適な工事現場の環境整備の充実に取り組んでおりまして、原則として全ての建築工事を対象に、現場事務所に女性作業員向けの更衣室や男女それぞれの作業員が快適に利用できる水洗洋式トイレを整備することとしております。
さらに、総合評価方式の評価項目に、企業の女性活躍推進の取り組みを加点項目に設定しております。
○清水(ひ)委員 若い人や女性が積極的に就業が可能になるような、そういう条件を整備していただきたいと思います。
そして、入札制度改革をさらに充実させた取り組みを進めていただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○まつば委員長 次に、議員提出議案第二十号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○曽根委員 それでは、私から、日本共産党都議会議員団、かがやけTokyo、都議会生活者ネットワーク、日本維新の会東京都議会を代表いたしまして、議員提出議案第二十号、都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例案の提案説明を行います。
この条例は、平成二十九年十二月に支給されます東京都議会議員の期末手当を、平成二十八年十二月に決められた現行の支給割合に据え置くものです。都議会議員の期末手当の額は、都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例第六条二項の規定で、職員の給与に連動するとされています。
したがって、今定例会に提出の第二百二十六号議案で、職員の勤勉手当の支給を百分の九十五から百分の百に引き上げる改定が可決されますと、議員もこれに連動することになります。
本年、私たちは、みずから都民の生活実態に鑑み、議員報酬の二割の削減を実行いたしました。このように都議会議員の報酬は、みずから都民の負託に応える使命を果たすにふさわしく、みずから決めるべき事柄であり、期末手当についても、職員の勤勉手当に連動させるべきではないとの立場から、期末手当を現行水準に据え置く条例案を提出するものです。
議員各位のご賛同を心からお願いいたします。
以上です。
○まつば委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、議員提出議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時二十四分散会
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