委員長 | まつば多美子君 |
副委員長 | 小松 大祐君 |
副委員長 | 石川 良一君 |
理事 | おじま紘平君 |
理事 | 増田 一郎君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
伊藤しょうこう君 | |
うすい浩一君 | |
藤井あきら君 | |
清水やすこ君 | |
いび 匡利君 | |
上田 令子君 | |
宇田川聡史君 | |
長橋 桂一君 |
欠席委員 なし
出席説明員主税局 | 局長 | 目黒 克昭君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小山 明子君 | |
税制部長 | 副島 建君 | |
税制調査担当部長 | 栗原 哲治君 | |
調整担当部長 | 笹本 勉君 | |
課税部長 | 安藤 敏朗君 | |
資産税部長 | 大久保哲也君 | |
徴収部長 | 川上 秀一君 | |
特別滞納整理担当部長 | 新井 裕二君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 佐藤 敦君 |
本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
主税局関係
事務事業について(質疑)
○まつば委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより収用委員会事務局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、収用委員会事務局長に佐藤敦さんが就任されました。
佐藤事務局長から挨拶があります。
佐藤敦さんを紹介いたします。
○佐藤収用委員会事務局長 去る十月十六日付で収用委員会事務局長を拝命いたしました佐藤敦でございます。
まつば委員長を初め委員の皆様方には、当局の事務事業につきまして平素よりご理解を賜り厚く御礼申し上げます。
私ども職員一同、公正、中立そして着実に収用事務を進めてまいる所存でございます。
今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○まつば委員長 挨拶は終わりました。
○まつば委員長 事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○佐藤収用委員会事務局長 先般の委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料についてご説明を申し上げます。
お手元の資料をお開きいただきまして、一ページの要求資料第1号をごらん願います。収用委員会の月次開催状況(過去三年分)でございます。
この表は、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における収用委員会の開催状況につきまして月別にお示ししたものでございます。
おめくりいただきまして、要求資料第2号をごらんください。各収用委員会委員の実地調査等、委員会以外の活動状況(過去三年分)でございます。
この表は、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間におきまして、収用委員会の各委員が委員会以外で活動した状況を、委員ごと、活動内容ごとにお示ししたものでございます。
もう一ページおめくりいただきまして、要求資料第3号をごらんください。各収用委員会委員の直近の役職と在任期間、一般職公務員経験の有無とその官公庁名(過去三任期)でございます。
この表は、過去三任期の収用委員会委員の直近の役職、在任期間、一般職公務員の経験等をお示ししたものでございます。
要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 清水やすこと申します。よろしくお願いいたします。
都は、新しい東京をつくるため三つのシティーの実現を挙げています。特定整備路線の整備などに代表されるセーフシティーや、三環状道路を初めとした道路ネットワークの形成などスマートシティーを実現する上で、収用制度の果たす役割は大きいものと考えています。
先般行われました事務事業説明を踏まえまして、収用委員会事務局の事業と人員体制、人員育成における取り組み等について質問をさせていただきます。
まずは、東京都収用委員会が取り扱う収用事件の最近の特徴について改めてお伺いいたします。
○佐藤収用委員会事務局長 収用事件数は、毎年度百件前後で推移してございます。最近の収用事件の特徴といたしましては、土地の相続をめぐって相続人間で争いのあるもの、マンションの敷地など関係者が多いもの、土地の境界が未確定であり所有権の帰属が不明であるものや、土地所有者と借地人との間での権利争いがあるものなど、権利関係が複雑な事件が多く、権利者の特定や事実確認などにかかわる困難性が増しているという状況にございます。また、東京外かく環状道路や特定整備路線など、大規模なインフラ整備や防災対策に伴う事件も数多く取り扱っているところでございます。
○清水委員 ありがとうございます。事業の困難度が増し、また、百件前後の多数の事件を扱っているとのことでした。そうした状況のもとで、委員会の事件処理を支える事務局においては、十分な機能発揮が求められるものと考えます。
そこで、事業概要によれば、平成二十九年度は約三十三名の職員が配置されていますが、そのうち実際に事件処理に携わる職員の内訳を伺います。
また、事件処理に携わる職員の事務経験年数の平均についてもあわせて伺います。
○佐藤収用委員会事務局長 個別具体の事件処理に携わっている職員は二十六名でございます。その内訳といたしましては、収用手続の照会、相談及び調査などを行う職員が五名、土地収用等の事件に係る土地、物件等の評価及び許可に係る調査に当たる職員が四名、土地収用等の事件の処理を行う職員が十七名、この合計で二十六名となってございます。
また、事件処理に携わる職員の実務経験年数の平均についてでございますが、平成二十九年度末でおおむね三・五年となってございます。
○清水委員 ありがとうございます。これまでの質問を踏まえ、収用委員会事務局では、複雑な案件が多い一方、少人数で実務経験年数も一般的な都職員の異動サイクルと同様の体制で事件に対応していることがわかりました。
その状況において、事務局として、適正かつ迅速な事務処理を行うためには、個々の職員が土地収用法を初めとした関係法令の幅広い知識や事件の論点を的確に整理するための論理的思考力を速やかに身につける必要があると考えます。
そこで、適正かつ迅速に事務、事件処理を推進するには、人材育成が重要な役割を果たすと考えますが、事務局としてどのような取り組みを行っているのか伺います。
○佐藤収用委員会事務局長 収用事件の処理は非常に専門性が高く、複雑、困難化する事件に的確に対応していくためには、職員の人材育成に力を入れ、事務局機能を強化することが重要であると認識をしてございます。
このため、新任職員については、事前に課題を提示し、調査や研究を行わせ、一定の見解を発表させる実務型の研修を実施するなど早期の戦力化を図ってございます。
また、OJTを人材育成の柱とし、ペア制による事件処理を通じまして、知識、ノウハウの充実を図るとともに、事件処理に携わる職員による事例検討会の実施など、知識やスキルの共有化にも取り組み、職員全体の能力の底上げを図ってございます。
今後とも、人材育成の充実を図り、職員の事件処理能力向上に取り組んでまいります。
○清水委員 ありがとうございます。質問を通じ、収用制度にかかわる組織の現状と職員を早期に戦力化する取り組みについて確認することができました。
私も、滞納処分をさせていただいた経験がありまして、今後とも、収用委員会事務局に対し、東京のまちづくりを支える収用事務を適正かつ迅速に進める取り組みを期待し、質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
○上田委員 質疑を始めたいと思います。
東京都収用委員会は、都内において行われる公共の利益となる事業に必要な土地等の収用または使用に関し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図るために、地方自治法に基づいて、法律、経済または行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることのできる者のうちから、都の議会の同意を得て知事が任命した七人の委員により置かれています。
収用委員会は、知事から独立して職権を行使することができるとされています。また、収用委員会の事務を整理するために、職員定数三十名の事務局が置かれています。
憲法は、第二十九条第一項で、財産権はこれを侵してはならないとした上で、同条第三項で、私有財産は正当な補償のもとにこれを公共のために用いることができると定めています。すなわち現行憲法は、財産権の保障だけではなく損失補償も憲法上の制度として位置づけています。
この結果、戦後の高度成長期においては、経済活動の基盤となる不動産の価値を維持するとともに、インフラの拡大と都市基盤の整備に向けて、公共用地等を確保していくことができました。
この公共の利益の増進と私有財産との調整を同時に進めていく中核をなす第三者機関が収用委員会であり、戦後の都市基盤整備に大きな役割を果たしてきたと考えております。
さて、一九六四年、前回の東京オリンピックから五十年以上が経過をしております。戦後から高度成長期においては、活発に道路及び都市の整備事業が推進され、それに比例して土地収用も頻発したと思われます。最近は、減少傾向にあるのではないかと思われますが、長期的なターム、二十年程度での東京都におけます土地収用の傾向を事業別にご説明ください。
○佐藤収用委員会事務局長 都の収用委員会が取り扱いました事件件数は、首都圏中央連絡自動車道や東京外かく環状道路などの大規模事業の有無などにより多少の変動が見られるものの、過去二十年間では、おおむね七十件から百二十件前後で推移をしてございます。
これを事業別に見ますと、道路事業がおおむね八割程度を占める傾向が続いてございます。そのほか、市街地再開発事業、公園事業などの件数が一時的にふえた年度もございます。
○上田委員 高度成長期から、ある程度落ちつかれ、粛々と時代に合わせた道路整備が行われていることが確認できました。
ついては、施行者の取り扱いも気になるところです。特定整備路線等、都が事業主体となる事案について内訳と傾向をご説明ください。
○佐藤収用委員会事務局長 都が起業者である取扱件数につきましては、平成二十四年度から二十八年度までの直近五年間で見ますと、各年度五十件程度でございまして、特定整備路線を含む道路事業がおおむね八割から九割を占めてございます。そのほかの事業としましては、市街地再開発事業、公園事業、河川事業などがございます。
○上田委員 取り扱いは、東京都の割合が多いのは、収用委員会の存在が都庁で共有されていることにもよると思われますが、区市町村が事業主体となる事案はどのようなものなのか、ご説明ください。
○佐藤収用委員会事務局長 区市が起業者である取扱件数につきましては、平成二十四年度から二十八年度までの五年間で見ますと、各年度二十件から三十件程度でございまして、道路事業が九割以上を占めてございます。その他の事業としましては市街地再開発事業や公園事業がございます。
○上田委員 区市町村が必要に応じて収用委員会を活用していることが確認できました。そういった活用をしているということは、すなわち相談もあるということで、相談体制について、平成二十八年度の相談支援センターにおけます相談件数は七百九十三件もの相談が寄せられたとのことです。
以前、平成二十七年度の各会計決算特別委員会での答弁で事務局長は、起業者である国、都、区市からの相談は全体の八割、申請に向けた具体的な相談のほか、一般的な収用手続に関するものや補償の考え方などの相談もある、また、権利者からの相談は約二割と述べられておられますが、改めまして相談者と相談内容の内訳を同一人物、あるいは組織からの同一事案の相談を全てカウントしているのかご説明ください。
○佐藤収用委員会事務局長 相談支援センターは、起業者だけでなく、土地所有者などの権利者の方々にも収用制度に対する理解を深め、当該制度を効果的に活用していただきたいとの趣旨から、事務局内に開設している相談窓口でございます。
起業者であります国、都、区市などからの相談は全体の約八割でございまして、申請に向けた具体的な相談のほか、一般的な収用手続に関するものや補償の考え方についてのご相談もございます。
権利者からの相談は約二割でございますが、その主な相談内容は、土地収用とはといった質問を初め、補償の種類やその考え方について、さらには裁決申請から裁決、明け渡しに至るまでの期間や事務手続の流れなど、多岐にわたってございます。また、相談件数は、同一人物や同一事案の相談なども一回の相談を一件として捉えてございます。
○上田委員 また、都は、相談のみならず、アウトリーチ、収用制度の活用促進のための取り組みとして、事務局が区市に直接赴いて行う出前講座、出張相談をやっていらっしゃっていますが、出前講座、出張相談の募集はどのように行っているのか、また、区市からの事業状況、実績について伺います。
さらに、こうした取り組みは、その後の制度活用につながっているのか伺いたいと思います。
○佐藤収用委員会事務局長 出前講座や出張相談は、島しょ部を除く全区市町村向けのアンケートによりまして募集を行い、希望がある自治体と日程等を調整の上、実施をしてございます。二十八年度は一区五市、二十九年度は二区二市から希望がございまして、希望のありました全ての区市に訪問し、実施をいたしました。
出前講座、出張相談を利用した区市からすぐに申請があるというわけではございませんが、数年後に具体的な申請につながるケースもございます。
また、今後とも、こうした取り組みを通し、区市における土地収用制度に対する理解を深め、制度の活用を支援してまいります。
○上田委員 相談と講座について、制度の普及に貢献していることを確認させていただきました。自治体においては関心の高いところとないところがあるのかもしれませんが、それは道路整備の有無などの地域事情もあるかと考えます。幾つかの自治体担当へ確認したところ、当然のことではあるんですけれども、収用委員会の存在は周知されていることも確認しておりまして、都の取り組みの方も頑張っていらっしゃることが理解するところでございます。
次に、都民の私有財産の保護に向けての質疑となります。
補償が不十分であれば訴訟に至るなど問題が長期化することを懸念し、対応策を確認したところ、以前、収用委員会では、裁決申請のあった収用事件に対して、公正、中立な立場から正当な補償額を算定しております。具体的には、裁決に至る過程において起業者及び権利者双方から意見書の提出や審理の場で十分な意見聴取を行うとともに、必要に応じ第三者による土地及び物件の鑑定を行った上で、補償額につきましては裁決書に理由を明記しております。収用委員会においては、適正かつ迅速に事件処理を進めるため、相談支援センターにおける起業者や都民の方々からの相談を受け、先ほど確認させていただきました事業ですが、指名委員制度を活用した事件処理の短縮化、内部研修による事務局職員の事務処理能力向上など、先ほど、同僚委員への答弁にもありましたが、その取り組みですね、さまざまな取り組みを行っておりますという答弁を以前いただいております。
つきましては、補償が不十分であれば、どうしても長期化してしまいますが、こうしたこと、実際に訴訟になった事案について件数や対応状況、内容について把握しているか確認します。把握しているとすれば概要をご説明してください。
○佐藤収用委員会事務局長 収用委員会の裁決した補償額に不服があるとして、起業者を被告として提起された訴訟は現在六件ございます。訴訟の具体的内容につきましては、個人情報保護の観点から申し上げることができませんが、全て収用委員会が裁決した補償額の増額を求めるものでございます。口頭弁論の終結、判決のいい渡し日など、訴訟の状況につきましては、起業者に照会し、把握をしているところでございます。
○上田委員 補償額については、起業者との乖離が発生することも、時にはいたし方がないこともあるかと思われます。もちろん都は適正価格にて額を提示しているとは思うところです。2号資料で確認しましたが、しっかりと収用委員会においては、委員が現場に赴いて--財政委員会の方では、ちょっと行ってないというような協議会もありましたが、しっかり現地へ行っていることを確認させていただきました。
今後も、委員は常に現場を確認することで適正評価をされ、都民の私有財産、先ほど冒頭、憲法のこともいわせていただきましたが、それに向けてのご努力をお願いしたいと思います。
最後に、収用委員会の今後についてお尋ねします。
さきの質疑の中で、指名委員制度を活用した事件処理の短縮化とあるように、要求資料を見る限り、委員は専門性も高く、各実地調査も適宜適正な活用状況ができていることは確認させていただいたとおりでございます。
都収用委員会は、事務局を独自設置しておりますが、業務が縮小傾向の中、行政の効率化のために、事務局業務を他局に移管したり、他県と共同設置したりするようなことは少なくとも法的には可能なのか、これまでこうした議論はなかったのか、ほかの自治体の取り組みを踏まえて検討状況をご説明ください。
また、現在の運用状況を踏まえて事務局長のご所見を伺います。
○佐藤収用委員会事務局長 土地収用法の定めによりますが、収用委員会は、都道府県知事の所轄のもとに設置され、収用委員会の事務を整理する職員は、都道府県知事が当該都道府県の職員のうちから会長の同意を得て任命することができるとされておりまして、他の道府県と事務局を共同設置することは想定されておらず、そうした事例もございません。
また、土地収用法は、収用委員会の事務を整理するため、原則として収用委員会に必要な職員を置くとしておりますが、例外的に都道府県の内部組織において収用委員会の事務を整理させることができると規定もしてございます。
都では、取扱件数が多く複雑な案件が多いことから、円滑な事務の整理を行う体制を確保するため、他の部局から独立した事務局を設置しております。事務局といたしましては、今後とも、職員の実務能力向上に取り組み、収用委員会の円滑な運営を支え、迅速かつ公正な事件処理に努めてまいります。
○上田委員 ありがとうございます。前回もちょっと最後にいわせていただいたんですが、庶民からすると強制収用というと、言葉だけで恐ろしいイメージがありますが、実際は、ご答弁のとおり、憲法に定められた正当な補償、完全な補償のための手続を、正当な手続のもと各当事者の理解と納得をもって進められていることも理解しております。
また、1号から3号資料を見まして、専門性の高い方々が、適正な回数、調査及び活動にてしっかりと携わられていることも確認させていただきました。収用というのは、立ち退く方からしたらたまったもんじゃない部分もあるかもしれませんが、その一軒が、その一カ所が立ち退かないで道路整備事業がとまってしまうというと、不特定多数の都民に非常に大きな損害を与えることとなりますので、ときには大変しんどいお仕事かと思いますが、引き続きのお取り組みをお願いしたいと思います。
また一方、インフラ整備は量から質、さらに老朽化に伴う更新となってきております。都政における土地収用制度の比準も変化しておりますことから、例えば大阪市では、行政委員会事務局の事務分担も始まっております。都においても、事務局の大宗を含めて収用委員会の機能のあり方の検討を求めまして、私の質疑を終わらせていただきました。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○まつば委員長 これより主税局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る九月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
今回要求のございました資料は九件でございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
それでは一ページをお開き願います。要求資料第1号、資本金区分別法人数及び法人都民税・事業税額でございます。
この表は、資本金一億円以下及び一億円超の区分別に、法人数及び法人都民税額、法人事業税額の推移を五年度分お示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、都税の滞納整理における差押件数でございます。
この表は、都税の滞納整理における差し押さえ件数を五年度分お示ししたものでございます。
次に、三ページの要求資料第3号、東京都における超過課税でございます。
この表は、現在、都で実施している法人事業税及び法人都民税の超過課税について、対象となる法人、超過税率及び影響額をお示ししたものでございます。
次に、四ページの要求資料第4号、東京都独自の主な軽減措置でございます。
この表は、現在、都で実施している主な軽減措置について、その軽減内容及び影響額をお示ししたものでございます。
次に、五ページの要求資料第5号、特別区内の生産緑地農地として課税している地積、筆数及び税額でございます。
この表は、特別区内の生産緑地農地につきまして、課税地積、筆数及び固定資産税額、都市計画税額を五年度分お示ししたものでございます。
次に、六ページから八ページまでは、要求資料第6号、特別区内の生産緑地農地として課税している区別の地積、筆数及び税額でございます。
この表は、特別区内の生産緑地農地につきまして、課税地積、筆数及び固定資産税額、都市計画税額を区ごとに、平成二十六年度から平成二十八年度まで、それぞれ年度別にお示ししたものでございます。
次に、九ページ、要求資料第7号、徴税費と都税収入百円に対する徴税コストでございます。
この表は、職員費及び事業費に基づいて、都税収入百円に対する徴税コストを五年度分お示ししたものでございます。
次に、一〇ページの要求資料第8号、都税(一般分)の滞納整理における税目別滞納額及び不納欠損額でございます。
この表は、区市町村が徴収する個人都民税を除く都税の滞納整理における滞納額と不納欠損額を三年度分お示ししたものでございます。
次に、一一ページ、要求資料第9号、東京都税制調査会の委員報酬額及び開催状況でございます。
この表は、東京都税制調査会の委員報酬額と三カ年の開催状況についてお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○まつば委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 引き続き、西多摩選挙区選出清水やすこです。よろしくお願い申し上げます。
本日は六つの大義についてお伺いいたします。
まず一つ目は、地方消費税の清算基準についてお伺いいたします。
今年度、東京都税制調査会では、地方消費税の清算基準やふるさと納税など、都が直面する税制上の課題につき重点的に検討してまいりました。私も委員の一人として関心を持って議論の動向を見ているところでございます。
そこでまず最初に、昨今、新聞等でも報じられている地方消費税の配分見直しについて質問させていただきます。
国の平成二十九年度与党税制改正大綱を踏まえ、現在、地方消費税の清算基準についての見直しが検討されていると聞いております。地方消費税の概要についてお伺いいたします。
○副島税制部長 地方消費税は国税である消費税とあわせて、国において、製造、小売等の各取引段階で賦課徴収され、国から地方に対し、消費税率換算で一・七%相当が払い込まれます。
消費者が消費を行った地域と税収の最終的な帰属地を一致させるため、都道府県間で清算を行うに当たり用いられる消費に関連する基準が清算基準でございます。
清算基準は、統計を用いた小売年間販売額及びサービス業対個人事業収入額により構成される消費指標が七五%、統計で把握できない部分について、人口と従業者数を用いた代替指標が二五%とされております。代替指標における人口と従業者数の割合につきましては、制度創設後、二回の改正を経て人口の割合が高められ、従業者数の割合が低められております。
○清水委員 ありがとうございます。これまでの改正により、代替指標による人口の割合が高められていることがわかりました。清算基準の趣旨を踏まえると、人口の割合の引き上げは、勤務地など居住地以外での消費を軽視することになってしまうかと存じます。
私が知るところでは、典型的なベッドタウンである奈良県に至っては、人口の割合を六〇%から八〇%にまで引き上げるべきという主張をしております。
全国知事会においても、清算基準の見直しが議論になっておりますが、全国知事会での議論の状況と清算基準のあるべき姿について都の見解をお伺いいたします。
○目黒主税局長 全国知事会におきましては、都道府県別の最終消費を把握できない場合に、消費代替指標として人口を用いることにより、人口の比率を高める方向で見直すことを検討すべきとの提言がなされております。
しかし、人口は、あくまで統計で把握できない部分を代替するために用いられる指標でございまして、人口の比率を殊さらに引き上げることは、制度本来の趣旨をゆがめるだけでなく、地方の自主財源である地方消費税を譲与税化することにほかならず、地方分権の流れに大きく逆行するものでございます。また、居住地だけでなく勤務地における消費も考慮すべきでありまして、代替指標としての従業者数には引き続き意義があるものと考えております。
都といたしましては、統計で把握した客観的指標を用いて基準の精緻化を図るべきと考えておりまして、国に対し強く申し入れてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。勤務地における消費は無視できるものではなく、代替指標としての従業者数には一定の意義があると考えています。客観的な指標を用いて、基準を上げることとあわせて、代替指標としての従業者数の意義についても国に強く申し入れることを求めます。
次に、二つ目でございます。ふるさと納税につきまして質問させていただきたいと思います。
ふるさと納税は、ふるさとに対する貢献や応援したいという思いに配慮してできた制度であるはずです。しかし、近年は当初の趣旨からかけ離れて、自治体が用意する返礼品目当てに寄附が大きく増加していると聞いています。
ふるさと納税について、平成二十八年度の東京都と都内区市町村を合計した控除額と寄附の受入額、そしてその差額についてお伺いいたします。
○副島税制部長 平成二十八年度分の個人住民税の課税における都と都内区市町村を合計した、ふるさと納税による控除額は約二百六十億円であり、前年度の五倍を超えております。また、受入額は約九億円となっておりまして、差し引き約二百五十一億円のマイナスとなっております。
○清水委員 ありがとうございます。ふるさと納税により、都全体に大きな影響が出ていることがわかりました。住民税は、自治体の行政サービスの貴重な自主財源であり、この財源に穴があくと都内の行政サービスが立ち行かなくなり大きな問題であると認識しています。
しかし一方で、地方創生という政策の重要性を否定することはできません。地方創生を否定することなく、それでいて東京の行政サービスが打撃をこうむらない方法はないのか、ふるさと納税に関する都の認識をお伺いいたします。
○副島税制部長 ふるさと納税につきましては、本来住民が行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、寄附金を通じてではございますが、他の自治体に移転することになりまして、これは受益と負担という地方税の観点から好ましいものではないと認識しております。
一方で、被災自治体を初め、特定の地域を応援したいという納税者の思いを実現する手段としては、国民に定着しつつあるものとも受けとめております。
○清水委員 ありがとうございました。
三つ目に移らせていただきます。電子納税についてお伺いいたします。
近年では、インターネットの利用やスマートフォンの普及など、都民生活のさまざまな場面において情報通信技術の利活用が進んでいます。税の申告手続では、国税ではe-Tax、地方税ではeLTAXというインターネットを利用した電子申告システムが運用され、いつでもどこでも税の申告が可能なサービスが提供されています。
主税局様においても、eLTAXの導入により納税者の利便性の向上を図っているのは、都民のニーズに応えた取り組みだと考えていらっしゃると思います。電子申告を利用可能な都税のうち最も徴収決定額が大きいのは、法人都民税、法人事業税であり、また、電子申告の利用が最も進んでいると聞いております。
そこで、現在の都における法人二税の電子申告の利用状況についてお伺いいたします。
○安藤課税部長 法人二税の電子申告につきましては、平成十七年八月からeLTAXの利用を開始しておりまして、既に十二年以上が経過しております。利用開始以降、主税局は、関係団体との緊密な連携のもと、説明会の実施や積極的なPRを通じた普及促進活動を行い、電子申告の利用は着実に増加しております。
平成二十八年度の電子申告件数は、四十一万三千四百七十八件でございまして、これは全申告件数の五六・九%を占めております。
○清水委員 ありがとうございます。現在では、法人二税の申告件数の過半数が電子申告になっているとの答弁をいただきました。この点からも電子申告サービスは一定程度の評価をされているものの、納税者の利便性向上のため、さらなる電子申告の普及促進を図っていく必要があると考えます。
また、国においては、行政手続の原則電子化に向けた検討が現在進んでおります。これは、昨年末に成立しました官民データ活用推進基本法において定められた国の方針に基づくものであり、税の分野でも大法人の電子申告義務化などが現在検討されていると聞いています。このような状況も踏まえると、電子申告の普及促進に強く取り組んでいくことは重要であると考えます。
そこで、電子申告の普及促進に向けた主税局の今後の取り組み方針についてお伺いいたします。
○安藤課税部長 電子申告の普及促進に当たりましては、利用者に対するPRなどの普及促進活動をより一層強化していくことが必要であり、引き続き取り組んでまいります。
また、サービス時間の拡大やシステム機能の強化など、利用者の使い勝手の改善も重要でございます。
このため、システムを管理運営している一般社団法人地方税電子化協議会に対して、利便性を実感できる改善を早期に実現するよう働きかけてまいります。
さらに、今後の電子申告義務化などの取り組み状況を見据え、主税局におきましても電子申告利用率一〇〇%の実現を目指し、関係団体と連携して電子申告の普及促進に向けた取り組みを強化してまいります。
○清水委員 ありがとうございました。
四つ目は、滞納整理について伺ってまいりたいと思います。
平成二十八年度の都税一般分の徴収率は、九八・八%と過去最高を更新するなど高い実績となっていらっしゃいます。都が抱えるさまざまな課題を解決していくためには、都税収入の確保は不可欠であり、引き続き、滞納の解消に向けた取り組みを継続することが重要でございます。
そこでまず、都税の滞納金額の近況の状況と滞納整理の一般的な流れについてお伺いいたします。
○川上徴収部長 都税一般分の滞納額は、リーマンショックを契機とする景気後退の影響を受け、平成二十年度には千四百二億円に達しましたが、その後は減少傾向が続いており、平成二十八年度の滞納額は五百八十五億円となっております。
次に、滞納整理の一般的な流れですが、まず、納税者が納付期限までに全額納付しない場合、督促状を発付いたします。それでも納付がない場合、文書や電話、訪問による催告を行うとともに、納税資力を把握するための調査を行います。この調査の過程で捜索を行うこともございます。
納税資力がありながら納税に誠意が見られない場合は、法の規定に基づき、財産の差し押さえや公売による換価を行うこととなります。また、納税の意思はあるが納税資力が十分でない場合には、事情に応じて換価の猶予を行うなど、きめ細かな対応を行っております。
○清水委員 ありがとうございました。滞納整理の一連の流れの中で、財産の差し押さえなどの滞納処分を行うことが重要であることがわかりました。
そこで、滞納処分のうち、直近の年度、二十八年度における財産の差し押さえ及び参加差し押さえの実施件数と、どのような財産を差し押さえされているのか、お伺いいたします。
○川上徴収部長 平成二十八年度の都税一般分における差し押さえの実績は、二万二千五百五十八件であり、その内訳は、債権が六三・〇%、不動産が一〇・二%、その他が二六・八%となっております。財産の差し押さえは、従来、電話加入権や不動産がその多くを占めておりましたけれども、近年は、預貯金など換価が容易な債権も含め納税者の財産状況を見きわめた上で、適切な財産を選定し行っております。
また、参加差し押さえは、滞納者が所有する不動産等の財産について、既に他の滞納処分による差し押さえが先行しているときに行う処分でございます。参加差し押さえの件数の集計は行っておりませんが、参加差し押さえには公売の執行権はないものの租税債権の保全に有効な処分であり、個々の滞納の状況を踏まえて適時適切に実施してございます。
○清水委員 どうもありがとうございました。最後に、直近年度における差し押さえ及び参加差し押さえの実施状況につきまして、引き続きよろしくお願い申し上げます。
税負担の公平性確保と納税秩序の維持のため、差し押さえ等の滞納処分を適切に行うことは重要ですが、一方、差し押さえは、納税者の意思にかかわりなく行われる強制処分でございますので、実施時期や財産の選択を誤れば、納税者の生活の困窮や事業の逼迫を招く危険性もございます。
そこで、差し押さえの実施時期や財産の選択について、どのように判断されているのか、お伺いいたします。
○川上徴収部長 まず、差し押さえの実施時期でございますが、地方税法上は、督促状発付日から起算して十日を経過した日までに全額が納付されないときは、滞納者の財産を差し押さえなければならないと定めてございます。
都では、まず自主的な納税を求めております。具体的には、文書や電話による催告、自宅訪問などにより納税をお願いし、それでも納税していただけない場合に、個々の納税者の置かれた状況や滞納額、滞納に至る経緯など、さまざまな事情を総合的に勘案した上で、差し押さえの実施時期を判断しております。
次に、差し押さえる財産の選択でございますが、第一に第三者の権利を害することが少ない財産であること、第二に滞納者の生活の維持または事業の継続に与える支障が少ない財産であること、第三に換価が容易な財産であること、第四に保管または引き揚げに便利な財産であること、以上の四点に十分留意いたしまして、徴収職員等の合理的な選択のもと行うものとしております。
今後も、納税者の資産状況や生活実態等を把握しながら、個々の納税者の実情に即したきめ細かな対応を行うとともに、納税者の一層の信頼確保に向け、公平、公正な滞納整理に努めてまいります。
○清水委員 きめ細やかな対応でありがとうございました。
次に、五つ目にまいります。五つ目は、固定資産税に係る償却資産についてお伺いさせていただきます。
償却資産に係る固定資産税につきましては、経済対策等の観点から抜本的見直しを求める意見もあるようですが、一方で各自治体にとりましては、税収の四割超となる固定資産税のうち一八%を償却資産が占めており、安定した非常に重要な基幹税源となっていると認識しております。
自治体がみずからの財源で山積みする課題に取り組んでいくためには、現行の制度を維持することが望ましいと考えますが、より一層、納税者の理解が得られるように取り組みを進めていくことが重要と考えます。償却資産に係る固定資産税の申告期限について、事業者の事務負担の軽減を図る趣旨から、法人税及び所得税の申告期限と一致させるべきであるといった税理士会からの要望があると聞いています。
そこでまず、償却資産に係る固定資産税の申告は、どのような制度となっているのか、お伺いいたします。
○大久保資産税部長 償却資産は、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産でございます。土地及び家屋につきましては、不動産登記簿により対象資産を把握することができますが、償却資産については登記制度がないため、所有者から申告をしていただく必要がございます。このため、償却資産の所有者は、地方税法により、賦課期日である一月一日現在所有している償却資産を、その年の一月三十一日までに資産が所在する市町村に申告するよう義務づけられております。
○清水委員 ありがとうございました。
次に、税務は、納税者からの適正な申告とそれに基づく適切な課税がございまして目的の達成ができるものであり、そのためには納税者の協力が不可欠であると考えます。納税者みずからが申告する内容を整理し、正しく申告できるような制度を構築することで、納税環境の整備を図っていくことが重要と思います。
税理士会の要望のとおり、償却資産の申告期限を法人税及び所得税の申告期限と一致することで、事業者の事務負担の軽減が図られ、かつ申告漏れを防ぐことになると思いますが、都の見解を伺います。
○大久保資産税部長 ご指摘のとおり、事業者の事務負担の軽減に加えまして、償却資産の申告漏れを防ぎ、課税の公平性を保つ上でも、償却資産の申告期限を法人税及び所得税の申告期限とあわせていくことは有効と認識してございます。
一方で、申告期限を変更することで現在四回に分けております納期が、例えば、第一期の納期限後に申告期限となるような事業者におきましては、三回ないし二回となってしまう可能性があることなど、検討していくべき課題が種々ございます。また、現在年一回の申告受け付けが一年を通じた期間となりますことで、自治体側の課税事務にも大きな変更が必要となってまいります。
償却資産の申告制度を含めた納税環境の整備につきましては、国も問題意識を持っておりまして、都といたしましても実務を担っている立場から、こうした課題に対する国の検討を積極的に後押ししてまいりたいと考えております。
○清水委員 ありがとうございました。償却資産の事務負担軽減は、都民の大きな要望でございます。都民の事務負担が軽減されることを強く申し入れさせていただきます。事務負担軽減のための一層のご努力をぜひよろしくお願い申し上げます。
続きまして、最後、六つ目でございます。固定資産税の遡及課税について質問をさせていただきます。
都民の方から、固定資産税の納税通知書が届き、過去にさかのぼって課税されたが負担が非常に重いですと、何とかなりませんかといった話を伺います。
さて、ここでこうした遡及課税について、課税対象となる資産の把握が十分でないことも一つの要因と考えますが、そもそも遡及して課税することがないよう資産の把握を適切に行うため、都としてどのような取り組みを行っているか伺います。
○大久保資産税部長 固定資産税の課税に当たりましては、先ほども申しましたが、土地及び家屋では不動産登記簿、償却資産では納税者からの申告に基づいて課税対象資産を把握することが基本となってございます。
しかしながら、登記や申告がなされない場合もありますことから、都では賦課期日である一月一日前後に航空写真を撮影するとともに、計画的に現地調査を行うことにより、対象資産の把握に努めております。
また、資産の調査を実施する上でも、納税者の協力を得ることは重要でございます。そのため、毎年発送する三百万通の納税通知書に、資産の異動があった場合の届け出を行っていただくためのはがきを同封してございます。
こうした取り組みによりまして適正な課税に万全を期しているところでございます。
○清水委員 ありがとうございました。資産の把握方法はわかりましたが、しかし、税理士業務を遂行していく中で、実際に遡及して課税されたという話はたびたび伺います。
例えば、航空写真で移動状況を確認するということですが、現行と前年度との比較のみでは、その年に見逃してしまうと、最悪五年間遡及課税が発生してしまい、結果的に納税者の負担になるケースが、割合的にはわずかですけれども発生しております。
納税者にとっては、みずから申告する申告納税ではなく課税庁側で賦課する賦課課税方式であるため、こうしたケースにおいては、納税者の負担が過度とならないような配慮がなされるべきと考えます。
そこで、遡及課税された場合の納税者に対する納付に係る救済措置について伺います。
○川上徴収部長 法定納期限後一年を過ぎてから遡及課税された場合、納期限までに納税できないときは、納税者からの申請により、一時に納付できない額を限度に徴収の猶予が認められております。猶予の期間は、原則として一年以内でございますが、最大二年まで分割納付が認められております。
また、延滞金の割合は、平成二十九年中の場合、納期限の翌日から一カ月を経過した日以降は九%でございますが、猶予期間中については、特例基準割合の一・七%となるものでございます。
○清水委員 ありがとうございました。遡及課税された場合においては、地方税法上で一定の救済措置があることがわかりました。
今後とも、負担を強いられる都民の視点に立って適正な資産把握に努めていただきたいと思います。
私の質問は以上で終わります。
○うすい委員 よろしくお願いします。
まず初めに、租税教育について質問したいと思います。
日本国憲法三十条には、国民は法律の定めるところにより納税の義務を負うとあるとおり、憲法でも税金を納めることを国民の義務と定めています。これは、勤労の義務、普通教育を受けさせる義務と並んで国民の三大義務とされていますが、その上で自分たちの社会にどのような公共サービスが必要か、その負担をどのように分かち合うかについて住民がみずから決めることは民主主義の原点であると思います。
その一方で、行政としては、住民が納得して納税できるような説明を行っていくことも大きな役割であると考えます。住民にとって身近な行政機関である自治体は、適正で公平な賦課徴収によって、住民の信頼確保に努めると同時に、税の仕組みや税と行政サービスの関係など、自分たちが納めた税金がどのように地域社会を支えているかということをわかりやすく伝えることが重要だと思います。
昨今、消費税率引き上げに関する議論の広がりや選挙権の年齢の引き下げに伴いまして、有権者の拡大を背景に、住民の税に関する関心は今まで以上に高まっていると考えます。
こうした中で、租税教育は、次代を担う児童生徒が社会や国を支える租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として税金を納め、その使い道に関心を持ち、税を通じて社会のあり方を主体的に考えることが目的だと考えますし、その役割は大変に重要と考えます。
そこで初めに、租税教育で東京都が取り組んでいることについてお伺いします。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、税務関係者、教育関係者等で構成する東京都租税教育推進協議会が平成四年に設置され、同協議会が推進母体となり、租税教育の推進や学校の授業等で活用される副教材の作成などの活動を展開しております。
学校現場で、都税事務所などの税務職員や税理士会など納税協力団体の外部講師を招いて税に対する出前授業を行う租税教室につきましては、各団体が協力し、連携して実施しております。
昨年、十八歳選挙権が導入されたこともあり、小中学校だけでなく、社会に出る手前の世代である高校生に対しても、税の重要性や税を通じた社会とのかかわりを伝えていくことが重要視されております。
学校で使用する租税教育用副教材につきましても、これまで小中学生向けのみ作成しておりましたが、ことし九月、主税局も構成員である同協議会におきまして、全国に先駆けて高校生版副教材を作成し、都内全高校へ配布するなど、租税教育の拡充に向け取り組んでおります。
○うすい委員 本年九月から、全国に先駆けて副教材を作成して、社会に出る手前の高校生への租税教育を充実させているということですが、主権者教育の面からも大変に有意義なことだと思います。高校での租税教育がさらに充実していくことを期待しております。
また、租税の意義や役割を正しく理解させるためには、一方的に講義を行うだけでなく、児童生徒の理解度についてはどうなのか、また、要望等など成果の測定を行うことによって、その結果を今後に反映していくことが重要だと思います。PDCAサイクルの流れにより、児童生徒によりわかりやすい内容になるような改善をしていくことが必要であると思います。
そこで、租税教室を充実させるために工夫をしている点と、理解度を高めるための効果の検証についてもお伺いをします。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 うすい委員のお話にございましたとおり、租税教室実施後に、その内容を検証し、今後に生かしていくことは非常に重要な視点だと認識しております。
主税局では、都税事務所職員が租税教室を開催した後には、児童生徒からアンケート調査を行うなど効果の検証に努めております。実際に職員が租税教室を行う際は、過去のアンケート結果等を把握した上で、事前に各学校の先生方と綿密な打ち合わせを行いまして、児童生徒にとって税と日常生活とのかかわりを実感できるよう身近な題材を紹介し、クイズやグループワークを取り入れるなど、授業への興味や参加を促す工夫を行っております。
副教材につきましても、児童生徒の興味や考えをよく知る現場の先生の意見を積極的に取り入れることによりまして、より理解しやすい内容となるよう努めております。
主税局では、実施した事業の内容を踏まえて、教職員や関係機関の職員と意見交換を重ね、今後の租税教室や副教材のより一層の改善につなげてまいります。
○うすい委員 アンケートをとったり、現場の先生の意見を聞くなどの工夫をされて取り組んでいるということで評価をいたします。さらに、租税教室で得た生徒からの意見なども今後の副教材や租税教室にフィードバックしながら、さらなる充実に努めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、私からも、前の委員と重なる部分もありますけれども、都の財源に対する国の動きについて伺いたいと思います。
これまで国は、法人事業税の分割基準の見直しや暫定措置、地方法人税の導入など、都の税収を焦点にして税制度をゆがめかねない動きが続いているように思われます。
さらに次は、地方消費税の清算基準をターゲットとしまして、ある意味、都の税収を、狙い撃ちのような動きもあると思うわけでございますが、そこでまず、地方消費税の清算基準について、概要とこれまでの改正経過について改めて伺いたいと思います。
○副島税制部長 地方消費税の清算基準は、税の最終負担者である消費者が消費を行った地域と税収の最終的な帰属地を一致させるため、各都道府県間で清算を行う際に適用する基準でございます。
具体的な基準といたしましては、消費指標といたしまして、商業統計調査の小売年間販売額と経済センサスのサービス業対個人事業収入額を用い、これら統計で把握できない部分につきましては、代替指標として人口及び従業者数が用いられております。
これまで、平成二十七年度及び平成二十九年度税制改正におきまして、一部の業種を統計から除外し、代替指標における人口の割合を引き上げるなどの改正が実施されております。
○うすい委員 これまでの間、人口を重視したと考えられる見直しが行われてきたことがわかりました。
現在、国において、さらなる見直しの検討が進められているようですが、検討状況についてお伺いしたいと思います。
○副島税制部長 国の平成二十九年度与党税制改正大綱におきまして、平成三十年度税制改正に向け、統計データの利用方法等の見直しを進めるとともに、必要に応じて人口の割合を高めるなど、抜本的な方策を検討し結論を得ることとされております。
この大綱の内容を踏まえまして、現在、国の地方財政審議会におきまして、統計データの利用方法及びカバー率、代替指標などについて検討が進められております。
なお、人口についての都のシェアは、統計でカバーされる範囲や従業者数のシェアよりも低いため、人口の割合を高めますと、都にとっては減収となります。
○うすい委員 次に、現在、税制改正大綱に記載されている内容で検討が進められているということですが、都の税収が減ってしまう、そうした国の動きに対してどのように対応していくのか見解を伺います。
○副島税制部長 現在、国において検討されております清算基準の見直しについてでございますが、そもそも人口は、統計指標でカバーできない部分を補うものにすぎず、人口の比率を殊さらに引き上げることは清算基準の本来の趣旨から逸脱し、地方消費税の制度自体の信頼性を損ないかねないものと考えております。
都は、制度本来の趣旨を踏まえ、基準の精緻化に向け、統計で把握できる範囲と統計の比率をあわせて高めていくべきと考えておりまして、国に対して強く申し入れてまいります。
○うすい委員 今の答弁があったように、人口の比率を高める見直しは、清算基準の制度本来の趣旨を逸脱していると考えますし、地方自治体間の財政調整を目的としたものであるといえると思います。こうした見直しによって、都財政に大きな影響を与えることは明らかであり、引き続き国に対して強く意見をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、商業地に関する固定資産税、都市計画税についてお伺いします。
土地に関する固定資産税等については、負担の軽減を図る観点などから、さまざまな軽減措置が講じられているものと承知しています。例えば、住宅用地については、住宅政策の観点から、評価額を六分の一にする特例措置などが講じられておりますし、ご存じの方も多くいらっしゃるものと思いますが、一方、商業地については、負担の水準によって税負担を少しずつ引き上げたり、逆に引き下げたりする措置が講じられていると承知していますが、こうした負担調整措置は、制度が複雑で一般の納税者には非常にわかりにくく、なかなかなじみがないものです。
そこでまず、商業地における現行の負担調整措置の概要や、その狙いなどについてわかりやすく説明していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○副島税制部長 固定資産税額は、評価額に税率を乗ずることで算出することが原則となっておりますが、土地については、評価額に対し負担調整措置を講じて税額を算出することが、地方税法におきまして全国一律に定められているところでございます。
具体的に申し上げますと、当年度評価額に対する前年度課税標準額の割合を負担水準と申しますけれども、この負担水準が評価額の上昇などに伴いまして六〇%未満となった商業地等につきましては、税負担の急増を緩和するため、六〇%に達するまで税負担を徐々に引き上げることとされております。
次に、負担水準六〇%以上、七〇%以下の商業地等につきましては、一定の幅の中で負担水準の均衡化を図るため、前年度の税負担に据え置くこととされております。
最後に、負担水準七〇%を超える商業地等につきましては、税負担を緩和するため負担水準の上限が七〇%とされておりまして、七〇%相当の税額に引き下げることとされております。
○うすい委員 商業地における固定資産税等の税負担は、負担水準に応じて地方税法により全国一律に、さまざまな負担調整措置が講じられていることを理解させていただきました。
地価の高い都では、こうした全国一律の制度に加えて、都民の税負担に配慮するため、我が党の予算要望も踏まえ、独自に軽減措置を実施しているものと理解しています。
そこで改めて、商業地に関する固定資産税、都市計画税における都独自の軽減措置の概要をお伺いします。また、それらについての今年度の軽減見込み額についても、あわせてお伺いいたします。
○副島税制部長 商業地等に対する税負担の緩和等を目的といたしまして、都が独自に実施している固定資産税及び都市計画税の軽減措置について、その概要と今年度の軽減見込み額を申し上げます。
第一に、個人または中小企業者が所有する小規模非住宅用地に係る固定資産税等を二割減免する措置を実施しておりまして、約二百三十三億円の軽減を見込んでおります。
次に、先ほどご答弁申し上げたように、地方税法上は、商業地等の負担水準の上限が七〇%とされているところ、都におきましては、六五%の水準まで固定資産税等を減額する措置を実施しておりまして、この減額措置によりまして約八十六億円の軽減を見込んでおります。
最後に、商業地等を含む一定の土地につきまして、固定資産税等の税額が前年度の一・一倍を超えます場合に、その超える額に相当する税額を減額する措置を実施しておりまして、約十四億円の軽減を見込んでおります。
これらの措置合計で、平成二十九年度におきましては約三百三十三億円の軽減を見込んでおります。
○うすい委員 商業地に関する固定資産税等について、都独自に三百三十億円を超える軽減措置を実施しており、都民の税負担に配慮していることを理解することができました。
こうした独自の軽減措置を実施し、都民の税負担を緩和する必要があるのは、二十三区における地価の状況が全国に比べて極めて高く、先ほど答弁のあった、全国一律の負担調整措置を行ったとしても、なお、過重な税負担を求められていることが背景にあるものと考えます。
そこで、二十三区と他都市の地価の状況を比較するため、固定資産税における評価額でございますが、二十三区商業地の評価額は、都内市町村平均や全国平均と比較してどの程度なのかをお伺いします。
○副島税制部長 平成二十八年度におけます商業地等の一平方メートル当たりの評価額を申し上げますと、二十三区平均は約六十万円、都内市町村平均は約十一万円、全国平均は約三万円となっております。
○うすい委員 あくまで評価額の平均ということではありますが、二十三区商業地の評価額は、都内市町村と比べると約五倍、全国と比べると約二十倍も高いということがわかりました。
直近の公示地価の動きを見ても、都市部では上昇を続ける反面、地方圏では下落していることから、二十三区の商業地では、来年度さらに過重な税負担が求められるものと思われます。
こうした中、都独自の軽減措置のうち、商業地等に係る負担水準の上限引き下げ及び税額が前年度の一・一倍を超える住宅用地等に対する軽減の二つの条例軽減制度は、法律上の適用期限である平成二十九年度末を迎えることになります。この条例減額制度が来年度以降も継続されるのかについては、今後、平成三十年度税制改正の議論の中で、国において検討されるものと考えられますが、仮に、二つの条例減額制度が地方税法において継続されなかったとすると、都独自に、これらの軽減措置を実施することができなくなるものであり、商業地の評価額が上昇することを踏まえれば、これまでよりもさらに過重な税負担を求められることが懸念をされます。
そこで二つの条例減額制度が継続されなかった場合に都民に与える影響を伺います。
○副島税制部長 二つの条例減額制度が継続されなかった場合における納税者への影響を申し上げますと、まず、商業地等に係る負担水準の上限引き下げにつきましては、都では、負担水準の上限を実質的に六五%としておりますので、負担水準六五%超の商業地等の税負担が、最大で負担水準七〇%相当の税額まで引き上げられることとなります。
次に、税額が前年度の一・一倍を超える住宅用地等に対する軽減につきましては、商業地等も対象となっておりまして、例えば、地価が大幅に上昇し、負担水準が五〇%を下回るような場合におきまして、前年度税額の一・一倍を超える税負担が求められることとなります。
○うすい委員 二つの条例減額制度が継続されないと、平成二十九年度見込みベースでは約百億円の軽減ができなくなるため、特に個人事業者や中小企業にとっては大変に大きな影響が生じると断言するものであります。
そこで最後に、都の条例減額制度に対する必要性について、決意を込めた局長の見解を伺います。
○目黒主税局長 商業地をめぐる地価の状況につきましては、先ほど税制部長からご答弁申し上げましたとおり、自治体ごとに大きく異なってございます。また、本年三月に公表されました地価公示における全国の地価動向によりますと、都市部では上昇を続ける反面、地方圏では下落してございます。特に、評価額が極めて高い特別区におきましては、上昇率も全国と比べて高い水準となっておりまして、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、中小企業者等の負担感への配慮も必要でございます。
都といたしましては、商業地等に係る固定資産税制のあり方を検討する際には、こうした状況を十分勘案し、各自治体の判断で税負担の緩和や急増の抑制を図ることができる仕組みを設けることが重要であると認識しております。
このため、実施の可否を自治体が判断できる選択肢として、二つの条例減額制度を継続することが必要不可欠であると認識をしておりまして、国に対し強く要望しているところでございます。
○うすい委員 決意、ありがとうございました。条例減額制度については、国においては国土交通省なども景気面で見込まれる影響も踏まえて、継続する税制改正要望を行っていると聞いているところですが、都も、この条例減額制度を必要不可欠であると認識しているとのことですので、今後とも引き続き、国に対して強く意見していただきたいことを強く申し上げ、私の質問を終わります。
○伊藤委員 それでは、主税局の事業概要について質問をさせていただきます。
都税収入と都財政についてこのように記載がありました。平成二十八年度都税収入の決算額は、緩やかな景気回復基調が続いたことに加え、堅調な業績を反映して五年連続の増収となった。しかし、都税収入は、そもそも景気の動向に左右されやすい不安定な構造にあるため、中略しますが、先行きは予断を許す状況にはない。今後も、社会情勢に的確に対応しながら施策を確実に実施していくためには財政基盤の強化を図る必要がある。そのためにも、歳入の根幹をなす都税収入の確保が不可欠であり、主税局の役割は極めて重要であるとのことでありました。
そこで、徴収率の向上と滞納整理、人材育成についてお尋ねをいたします。
平成二十八年度の決算で、都税収入は五兆二千三百六十億一千万円、構成比の上位順でいいますと、固定資産税が一兆一千八百十一億三千万円で二二・六%、法人事業税は一兆四百三十六億五千万円で一九・九%、個人都民税は八千七百八十七億六千万円で一六・八%となっています。
まず、確認のため、都税収入は、そもそも景気の動向に左右されやすい不安定な構造とはどのような状況を意味するのかお答えください。
○副島税制部長 都税収入の約三分の一を占めます法人都民税及び法人事業税のいわゆる法人二税は、特に経済情勢と密接に関連する企業収益を反映し、その税収が大きく増減する不安定な構造となっております。
これまでも、バブル期やリーマンショックなどの景気変動期に大きく増収と減収を繰り返しておりまして、平成二十一年度には、法人二税が約一兆円を超える減収となっております。こうしたことから、景気の動向に左右されやすい不安定な構造という表現としているものでございます。
○伊藤委員 お答えいただきました。日々変化をする経済情勢によって税収も大きく影響すると、こういうことでありました。
そこで徴収率についてお尋ねをいたします。
こちらの事業概要の過去の都税収入の伸び率と国内の経済成長率の推移を見てみますと、平成十年から二十八年決算まで約二十年間で、先ほどお話のあった都税収入と法人二税の状況については、平成十六年にそれぞれ七・八%、一八・七%と、平成二十七年には九・四%、七・三%と高い増加率となった一方で、平成十四年にはそれぞれマイナス九・五%、マイナス一五・七%、平成二十一年にはマイナス一八・八%、マイナス四三・二%と、まさにジェットコースターのような状況を示しておりました。
すなわち、都税全体のパイは、景気の動向で大きく左右される中で、確実に都民サービスを実施するために、年度ごとの徴収努力が極めて重要であります。平成二十八年度、昨年度決算で、都税の徴収率は九八・八%と極めて高い成果が出ています。本来一〇〇%が理想ですが、現実としては、この徴収率の成果は高いといえます。
それでは、全国の自治体と比較してどのような位置づけにあるのか、東京都より上位の道府県はあるのか、その理由や、何かを学んでいるのかお答えください。
○川上徴収部長 他の自治体とは徴収する税目や規模が異なることから、単純な比較をすることはできませんが、現在公表されている平成二十七年度の全国地方税の実績資料をもとに徴収率を算出いたしますと、東京都の平成二十七年度徴収率は九八・五%であったのに対しまして、全国地方税は九七・〇%でございました。
また、総務省の資料によりますと、道府県税徴収率が東京都を上回っている道府県は、島根県、新潟県、佐賀県でございます。これら上位の県は、個人県民税の徴収率が高いという特徴がございます。
このうち、例えば近年、個人県民税徴収率を伸ばしてきました佐賀県では、県と市や町が滞納の一部を共同処理いたしましたり、差し押さえ強化月間を設けたりと一体となった取り組みを進めているとのことでございます。
都におきましても、既に同様の取り組みを実施しているところではございますが、他県より人口の移動が激しいことなどから、上位県の水準には達していない状況でございます。
今後、都内区市町村との連携をさらに強化し、徴収率の向上を目指すとともに、他の自治体のすぐれた取り組みについては取り入れていきたいと考えてございます。
○伊藤委員 お答えいただきました。全国の平均より一・五%高いということなので、東京都は頑張っているなという感じがいたします。
それでは、都税収入の徴収率向上に向けて、主税局がこれまでどのような取り組みを行ってきたのかお尋ねをいたします。
事業概要を見ますと、納税者ができるだけ納付しやすい環境を整えるため、口座振替制度、コンビニ収納、マルチペイメントネットワーク収納、自動車保有関係手続のワンストップサービス、クレジットカード収納など、多様な収納、納付方法に取り組んできましたが、これらによってどのような成果が出てきたのか、また、現在の課題はどのようなものがあるのかお答えください。
○川上徴収部長 納付方法の多様化によりまして、時間や場所を問わずに納付できるよう納税環境を整備してまいりました。
納期内等収入率は、コンビニ収納を開始した平成十六年度の九五・九%から、平成二十八年度は九八・四%へと二・五ポイント上昇しており、徴収率の向上に大きく貢献しております。また、督促状の発付件数も、直近十年間で約十九万件、約一三%圧縮するなど徴収コストの削減にもつながっております。
課題といたしましては、インターネットの普及など社会状況の変化に対応し、より一層納税者の利便性向上を図っていく必要がございます。
○伊藤委員 これまでの成果と課題についてもお答えをいただきました。東京都は、いろんな先駆的な取り組みを行ってきて、成果も出ているということであります。
課題として、インターネットなど社会状況の変化に対応し、より一層納税者の利便性向上を図っていく必要があると、こういうお答えでしたが、そうすると、これまでもさまざまな取り組みを行ってきましたが、今おっしゃったような課題には今後どのように対応されるのかお答えください。
○川上徴収部長 納付方法の申し込みや納付に当たっては、紙媒体から電子化できるような仕組みをつくっていきたいと考えております。具体的には、口座振替の申し込みについては、紙媒体での申請のみではなく、インターネットを利用した申し込み手法を導入し、手続に要する期間も短縮することで、納税サービスの向上を図ってまいります。
このように、ICTを活用した納税環境の整備によって、納税者にとって利便性の高い納付方法の検討に取り組んでまいります。
○伊藤委員 より納税しやすい環境整備に取り組んでいただきたいと思います。
さて、高い徴収率を目指すため、個人都民税の徴収率向上にも努力をされてこられました。先ほど、全国の状況をお聞きしたときにも、東京より徴収率の高い道府県というのは、この個人都道府県民税に努力をしているというか、工夫をしていると、こういうご答弁もありました。
平成二十八年度の決算額では、個人都民税は八千七百八十七億六千万円で、都税全体の一六・八%を占めています。本来、個人都民税は、市区町村が個人の市区町村民税とあわせて賦課徴収し、東京都に払い込んでいますが、他の都税の税目と比較をして徴収率が低い水準にあったそうで、都も対策室を設置して努力を行ってまいりました。
それでは、どのような対策を行ってきたのか、また、市区町村との連携にどのような工夫をされてきたのかお答えください。
○新井特別滞納整理担当部長 都では、個人都民税の徴収率向上のために、主税局がこれまで蓄積してきた徴税ノウハウを生かし、市区町村に対しまして徴収困難な事案の引き受け、都の職員の派遣、各種研修会の実施や実務研修生の主税局への受け入れなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
また、市区町村との連携についてでございますが、全市区町村へ都職員が訪問し、市区町村ごとの課題やニーズの把握に努め、解決の方向性を示す巡回相談を年三回実施しております。
さらに、徴収研究会を開催するなど市区町村との連携強化に努めております。徴収研究会につきましては、市区町村の職員同士がテーマごとに集まり、情報共有する場の提供としております。
このような取り組みによりまして、平成二十八年度の個人都民税の徴収率は、前年度を〇・七ポイント上回り、九六・一%となっております。
○伊藤委員 お答えいただきました。そのような努力をされて、個人都民税の徴収率の向上に努められたということでありますので、引き続き市区町村との連携も図っていただきたいと思います。
続いて、都税の滞納整理についてもお尋ねします。
滞納整理とは、ご案内のとおり、税金が期限までに全額納付されない場合に行う一連の徴収手続であります。納税主体である個人や法人に対して、収入や利益、資産などに応じてさまざまな税負担をお願いしておりますが、それぞれご家庭の事情や事業の状況により、時には納税したくてもなかなか難しいときもあるのが現実です。よって、滞納整理の前には、都民に寄り添った丁寧な納税相談や対応を要望いたします。
一方、同時に、担税力が十分ある場合には、公平、公正な取り組みとして滞納整理にも着実に対応していただきたいと思います。都税の滞納繰越額は、平成六年のピーク時には累積で二千四百七十八億円であったものが、二十八年度決算では百十三億円と、ピーク時の九五・四%圧縮してきたことは高く評価をいたします。
それでは、これほど大幅に滞納繰越額を縮減するために、どのような取り組みをされてきたのかお答えください。
○川上徴収部長 徴収部門では、平成七年度以降、滞納整理を促進するため、組織体制と業務運営の両面において抜本的な改革を行ってまいりました。
具体的には、各職員が滞納案件について解決に至るまで責任を持って処理する自己完結型から、滞納整理の流れに沿った機能分担型へと組織と業務分担を改めるとともに、運営においても具体的な数値目標の設定と進行管理の徹底を図ってきたところでございます。
日々の取り組みといたしましては、文書や電話、訪問などによる積極的な納税催告を行うとともに、納税資力を把握するために財産調査を着実に実施し、納税者の実情を踏まえた親切できめ細かな対応を図ってまいりました。
また、資力がありながら納税に誠意のない者に対しては、迅速かつ的確に滞納処分を執行するなど、毅然とした徴収を行ってまいりました。
さらに、新たな滞納整理の手法として、インターネット公売などの多角的公売手法の活用、差し押さえた自動車の車輪に車どめ装置を装着するタイヤロック、同じく差し押さえた自動車のドアミラーに運行を禁ずる旨の公示書を取りつけるミラーズロックなど、創意工夫を凝らした先駆的な取り組みを展開してきたところでございます。
○伊藤委員 組織や体制も抜本的に改革を行って、これだけの成果を上げてきたということでありました。ご紹介ありましたとおり、創意工夫による滞納整理の取り組みとして、タイヤロックやミラーズロックなど差し押さえた自動車の確保のための装置の活用や、インターネット公売など多角的公売方法の活用と実績で、かなりこれだけの実績を上げていると。このことについては本当に評価をするんですが、一方で、金額でいえば百十三億円の滞納繰越額があります。これに対する滞納整理は、今まで培ってきたさまざまなノウハウや取り組みでさらに順次解消可能なのか、新たな課題はあるのかお答えください。
○川上徴収部長 先ほども申し上げましたけれども、納税者の資力を把握した上で、それぞれの実情を踏まえたきめ細かな対応を行っております。このような対応を行う中で、納税資力を、調査中の事案、納税交渉中の事案、換価の猶予などにより、分割納付中の事案などは翌年度へ繰り越されることとなります。
また、過去を振り返りますと、リーマンショックを契機に法人二税の滞納が増加し、滞納繰越額も大きく増加いたしました。滞納額も都税収入額と同様、法人二税を中心に景気動向に大きく左右される傾向がございます。
このようなことから、滞納繰越額を全て解消することは難しいことですが、これまでの取り組みを継続するとともに、時代の変化に応じた柔軟な取り組みを推進し、引き続き滞納繰越額の圧縮に取り組んでまいります。
○伊藤委員 おっしゃるとおり、滞納繰越額全てをゼロにというのは物理的に難しいと思いますし、また、この百十三億円というのも全く手つかずかというと既に交渉に入っていたりという、ある時期で整理をしなきゃいけない額として出てきてしまうと、こういうことだと思います。
しかしながら、平成二十八年度決算額で、都税全体の収入額は、先ほどもお話ししたとおり五兆二千三百六十億一千万円となっています。よって、徴収率一%で約五百二十四億円、市町村の自治体でこれだけ年間税収額があるというのは、全国でも道府県含めてそんなに多くないわけでありまして、一%でなくて〇・一%でも五十二億円、〇・〇一%でも約五億円となります。なかなか、自治体の独自課税の制度というのは、制度上あっても新規の税負担というのは難しい中で、歳入確保の要点は、徴収率の向上と現年をしっかり対応することによって繰り越しをなるべく残さないと。それが繰越額の解消にもつながるということになりますので、ぜひ引き続き徴収努力を頑張っていただきたいと思います。
続きまして、地方自治体全体への人材育成の寄与についてもお尋ねをいたします。
税務の達人プロジェクトについてお尋ねをいたします。
主税局の事業概要によりますと、全国地方自治体の税収は約三十九兆一千億円、地方税収の確保が重要である一方で、各自治体では短期間で人事異動や職員配置が不十分など困難な状況の中での徴収率の向上など実務面での課題がある、賦課徴収のノウハウが自治体ごとに蓄積されているため、自治体間で共有する仕組みが構築されていない、こういった背景により全国自治体から東京都に対し、東京で実務を経験し、みずからの職場に生かしたいと声が寄せられ、この平成二十八年度から税務の達人プロジェクトを開始したということでありました。
自治体同士の交流や共通の課題への対応というのは、これまでもそうでありますけど、これからも極めて重要であろうかと思います。よって、このような先駆的な取り組みは、すばらしいと思います。
それでは、実際にどのようなプロジェクトなのか、また、都の政策目的や意図はどのようなものなのかお答えください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 税務の達人プロジェクトは、都が道府県税とあわせて市町村税も所管するなどの特性を生かしまして、法人調査、資産評価、滞納整理の三部門におきまして、全国の税務職員を都税事務所などに半年から一年程度受け入れ、自治体からのニーズが高い専門的な知識やノウハウの習得を支援する取り組みでございます。
具体的には、地元での実務に活用できるよう、大企業の決算資料調査、最新の大規模建築物の評価、納税交渉や捜索による現場調査などのプログラムを実施しております。
また、現場での実務体験に参加できない自治体につきましては、都の多様な経験を積んだ専門職員が各自治体へ研修講師として伺う出張セミナーも実施しております。
こうした取り組みを通じ、自治体間の税務行政のノウハウ共有に努め、地方自治体全体の人材育成に寄与するとともに、地方全体の財政基盤の強化へつなげていくことを目的としております。
○伊藤委員 プロジェクトの内容や政策目的等をお答えいただきました。
それでは、実績についてもお尋ねをいたします。
ことしで二年目ということになりますが、お話のあったとおり、実務体験の受け入れは、法人調査、資産評価、滞納整理の三部門ということになりまして、平成二十八年度では、順番にいうと、二自治体で二名、同じく二自治体で二名、九自治体で九名となっております。今年度は、三自治体で三名、資産評価の方は受け入れはなしで、滞納整理については九自治体十名となっています。お聞きしたところ、北は東北から南は九州まで全国の県や市の職員を幅広く受け入れておられます。
それでは、実務体験を経験した職員の方々の評価や感想はどのようなものがあるのか。
また一方、全国から期待が寄せられていた割には、実績が若干少ないようにも感じますが、その理由や都はどのように評価しているのかお答えください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 税務の達人プロジェクトに参加した職員からは多くの声が寄せられております。幾つか紹介させていただきますと、法人調査において、都では掲示板や事例発表会などで事例を共有し、組織の中に知識が蓄積されることで強固な組織を構築しており、地元自治体でもこの手法を取り入れたい、滞納整理では、捜索において学ぶことが多く、プロジェクト参加期間中にも地元自治体で捜索を実施し、地元で初めてとなる現金、自動車の差し押さえを行うなど、早速地元への還元が行えた、このプロジェクトには全国各地の職員が参加しており、互いに情報交換を行うなど貴重な時間を過ごせたといった税務の達人プロジェクトへの参加が有意義なものであったとの声をいただいております。
なお、プロジェクト開始に当たりましても、多くの自治体からこの取り組みへの賛同の声をいただいておりました。一方、各自治体における税務部門は組織の規模が小さく、参加するための人員確保が困難なことから、参加を見送るケースもあったとのことでございます。
都といたしましては、こうした自治体に対してもノウハウの共有を行うため、引き続き出張セミナーを実施いたしまして、地方自治体全体への人材育成に寄与してまいります。
○伊藤委員 お答えいただきました。一年半程度ですけど、既に地元に戻って実績を上げたり、評価がかなり高いということなんですが、一方、この十年、二十年で自治体も行革でなかなか人員を減らしてきましたので、派遣をする余裕がないというのも正直な感想なんだと思います。ぜひ、そういった出張もやられているということなので、それで東京都が手薄になってしまっては困るんですけど、そのバランスをとりながら対応していただきたいと思います。
それでは、今後このプロジェクトはどのように展開をさせていくのか、東京都の施策にどのように反映するのかお答えをいただきたいと思います。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京と地方がともに栄える真の地方創生を目指すという観点から、私ども主税局といたしましては、自治体間の人的交流の場として、引き続き全国の自治体から税務職員を受け入れていきたいと考えております。
また、これまで行ってきました出張セミナーの取り組みにつきましても、引き続き実施していくことで、職員の派遣が困難な自治体へも寄与してまいります。
なお、こうした取り組みによりまして、交流のあった職員を通じて、実務に関する質問や相談への対応等、継続的な支援を行い、人的交流の輪を広げてまいります。
これらのフェース・ツー・フェースの人間関係から自治体間のネットワークを構築いたしまして、知識、経験を共有することで、都としても、さらなる税務スキルの向上を目指し、都政運営を支える財政基盤の強化を図ってまいります。
○伊藤委員 当初お聞きしたときに、たしか地方創生の取り組みの一環というお話も聞きましたので、先ほどの他の委員から、法人税や地方消費税ですか、また東京富裕論で地方にというような話もあるそうなので、こういう努力をしているということも、地方や国にもお伝えいただきたいなと思います。
次に、租税教育への取り組みと広聴広報についてお尋ねをいたします。
先ほど、徴収率向上や滞納整理についてお尋ねしましたが、その前、その前段として都税に対する都民の理解を深めることも重要であります。なかなか税を身近に感じるというのは難しくもありますが、税務相談や広聴広報活動に対しても、東京都はさまざまな取り組みを行っているようです。
税務相談の受け付け件数は、この資料、過去三年を見ますと、一万七千百五十七件、二万三千五百四件、二万九千九百四十四件と急増しております。内容をお聞きしたところ、税務相談に限らず、都政全体に対するご意見、ご要望、苦情も含まれているそうです。クレーマーのような存在には時には厳格に対応する必要もありますが、税務相談についてはより丁寧な対応が求められます。
そこでまず、税務相談についてお尋ねをいたします。
都議会に来て感じましたことは、市役所と違いまして、都庁と都民はやっぱりちょっと距離があるなと感じております。特に、一般の都民が本庁舎に相談に来るという機会はなかなかないと思いますので、こういった税務相談も都税に対する理解を深め、都の説明責任を果たすと同時に、都民の生の声を聞くいい機会でもあると考えております。
それでは、この税務相談に、都としてどのような工夫をしているのか、また、寄せられた声には、主税局として、また他の部局にはどのような対応を求めているのかお答えください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 税務行政を円滑に推進するためには、都税に対する都民の理解と協力を得ることが不可欠でございます。そのため主税局では、広報のみならず、広聴活動も都民の税に対する理解を得るための重要な役割と位置づけまして、納税者に、より相談しやすい環境を提供するため、本庁及び二十五の都税事務所に都税相談コーナーを設置しております。
また、主税局ホームページにご意見、ご要望欄を設けまして、インターネットを利用した広聴活動も展開しております。いただいたご意見につきましては、局内各部門とも連携し改善につなげております。
なお、税以外の都政課題等に対するご意見につきましても、他局の広聴部門と適切に連携するなど組織横断的な対応を行っております。
○伊藤委員 寄せられた声にはしっかり対応していただいているということなので、引き続きお願いします。
次に、広報活動についてもお尋ねいたします。
都税について正しい理解を得るための広報活動も大事であります。広報活動については、こちらの事業概要を見ますと、ポスターやガイドブック、広報紙の配布のほか、メディアやSNSなど、さまざまな手段を講じています。一千三百万都民に幅広く広報活動をしていく努力は、これは大変かと思いますが、特に近年力を入れている活動はどのようなものがあるのか、また、広報活動の課題というのはどのようなものがあるのか、あわせてお答えください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局では、伊藤委員お話しのとおり、ポスターやガイドブックなど紙媒体の広報に加えまして、ホームページやデジタルサイネージなど都民の利便性の高い電子媒体を活用し、積極的かつ効果的な広報活動を展開しております。
今年度は、月刊広報紙やポスターなどを活用いたしまして東京都の施策を紹介するなど、税の使い道についてより理解していただけるよう、わかりやすくお伝えする広報に取り組んでおります。
都民の税に対する関心が高まる中、税への理解を一層進めていただくために、複雑な税の仕組みをよりわかりやすく伝えていくとともに、納税者が知りたい情報へ、より一層スムーズにアクセスできるよう改善を図るなど、納税者の視点に立った情報発信を行っていくことが重要であると考えております。
○伊藤委員 お答えいただきました。広聴広報について、引き続きしっかり努力をしていただきたいと思います。
続いて、先ほど他の委員からもありましたが、租税教育のさらなる推進について、私からもお尋ねします。
納税者となる前の小中学生または高校生、大学生への租税教育も大事な課題であります。過去四年間の各租税教室の開催実績を確認したところ増加傾向にあり、昨年度では、都内の小学校九百十五校、中学校二百九十七校、高校七十校、大学など八十九校という実績ということでありました。これは公立のみなのか、私立も含めた実績なのか、また、中学や、特に高校での開催実績が少ない理由は何かお答えいただきたいと思います。
あわせまして、学習指導要領に準拠して、小中高と各教材と教員用の参考資料も作成しております。高校生については、ことし初めて全国に先駆けてということなんですが、その配布方法や活用方法もどのような対応をしているのかお答えください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 伊藤委員からご説明のありました租税教育の開催実績は、公立だけでなく私立も含めた数字でございまして、小学校に比べ学習カリキュラムが過密な中学校、高校では、開催校がふえづらい状況がございます。
副教材につきましては、小学校、中学校、高校など各段階に応じた内容で構成されており、都では、税務関係者、教育関係者等で構成する東京都租税教育推進協議会において、毎年、内容を検討し作成しております。
この副教材につきましては、都内の各学校の生徒へ直接配布されております。先生が社会科で税に関する授業を行う際の補助教材となるほか、租税教室でも使用されておりまして、児童生徒が税の意義や役割を学ぶために活用されております。
○伊藤委員 租税教育に関して、公立私立問わず児童生徒に向けて取り組んでいるということでありました。私らの時代には多分こういうのはなかったんだと思いますが、これ見させていただいて、非常にわかりやすくて、小中高と内容も、何というのですか、変えてあるというか、いいことですし、しかもすぐ読めるというか、余り時間がかからずにできるということなので、継続してやっていただきたいなと思います。
このような活動は、行政だけでなくて民間団体、あるいは他の団体とも連携が重要であると思いますが、東京都はどのような団体と協力しているのか、あわせてお答えください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどご答弁申し上げた中にあります東京都租税教育推進協議会、こちらは東京都庁の中では、主税局のほか、教育庁、総務局、生活文化局が構成員でございまして、そのほか東京国税局、東京税理士会も構成員となっております。また、賛助会員として、公益財団法人東京税務協会や東京納税貯蓄組合総連合会、一般社団法人東京青色申告会連合会、東京法人会連合会などが参加しておられます。各団体とは租税教室の講師派遣や税に関する作文の募集など、さまざまな租税教育を連携して実施しております。
○伊藤委員 お答えいただきました。税に関係する団体だけでなくて、経済界等も含めて協力をしているということでありました。
私の知り合いにも、小学校の租税教室ですか、とても先生には見えない人なんですけど、講師で行ったということでお聞きしまして、多分こういうのを一緒にやっているのかなと思いました。
それでは今後、租税教育については、今までのような実績も踏まえて、どのように取り組むのか最後にお尋ねをしたいと思います。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民の皆様から税をお預かりするに当たっては、税の仕組みや使い道などについて、できる限りわかりやすく説明し、納税者に納得して納めていただくことが重要であると考えております。
主税局では、子供から社会人まで段階に応じた租税教育が必要であるという認識のもと、小中学生はもとより、高校生向け租税教育の充実や新社会人へ向けての税務広報を展開してまいりました。
また、昨年度からは、住宅展示場を訪れた方を対象にセミナーを開催いたしまして、不動産購入時に必要な税の仕組みを説明するなど、都民のライフステージに応じた税情報の発信も行っているところでございます。
今後も、都民のライフステージのさまざまな場面を活用するなど、一層の創意工夫を凝らし、幅広い租税教育の充実を図ってまいります。
○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
午後三時十分開議
○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○曽根委員 私からは、今後の小池都政の二回目の予算編成に向けて、都政に専念するという知事の取り組みの方向が都民からは厳しく問われることになると思いますので、税制の上でこれをどう具体化していくのかについて、何点かお聞きしたいと思います。
今後、小池都政にとって、一つは、安倍政権がこの間の選挙で公約した消費税の一〇%の増税、これを再来年に控えて、これがいよいよ具体化していくことになると。一方でこの間、法人税、約四%以上減税をしていますが、こういう路線に東京都として従うべきなのかと。それから一方で、昨年小池知事が誕生した際に約束した都民ファーストの立場、これに立った都税収入確保のための真の改革の路線があるんじゃないかということで、こういう新たな税制の改革の路線がとられるのかどうか、この点について、幾つか国との間でこの間、論争ともなり、問題となってきたテーマに沿って質問したいと思います。
これからの消費税増税に向けての問題に関連しまして、ことしはちょうど十年になりますけれども、二〇〇八年以来、国による不当な地方税の収奪が行われてきたと。おととしぐらいまでは、私たち都議会も、それから都庁も、これに対して少なからず物をいい、論文も出し、私たちは国会にも行ってきました。ここのところ全然下火になっちゃっているんです。
いよいよ再来年、もし消費税一〇%になるとするならば、これと引きかえに、東京都の地方税に対する不当な格差是正措置が大きく拡大することになるんじゃないかと思いますが、この問題について、二〇一五年の六月に閣議決定された内容が、その年度の末に国会で法的に決定をされているわけですね。これは消費税の一〇%増に伴って、政府方針として、これまでの税制の、地方税の見直しは一部圧縮されるけれども、東京都から新たな財源を奪うという不合理な措置が拡大し、法的に固定されてしまうという形になるわけです。
二〇一五年の十二月に、東京都は当時の影響予測額を出していますけれども、今年度当初予算をもとにして試算すると、都財政へのこの消費税増税に伴う格差是正措置の影響額はどういうふうになるのかをお答えいただきたい。
○副島税制部長 地方法人課税におけます偏在是正措置の都財政への影響額でございますが、平成二十九年度当初予算ベースで試算いたしますと、平年度で約四千九百億円となると見込んでおります。
○曽根委員 平成二十七年十二月に東京都が出した試算では、当時の都税収入の規模を反映して四千六百億円という試算だったと思います。都税収入がふえていることはいいことなんですけれども、それを反映して、平年度ベースで四千九百億円、約五千億円近くになると。二年間連続してやられますと、同じ税収だとすると二年で一兆円近くになってしまいます。三年、四年たつと、これまで十年間で東京都から国へ持っていかれた、大体二兆円ちょっと超えるぐらいですか、その財源を四年間でとられてしまうぐらいの大規模な格差是正措置になるわけです。
これは、すぐに実施されるわけじゃないんで、二〇一九年の十月でしたか、消費税増税が行われると。その後どういう段階を経て平年度化していくことになるか、そのテンポといいますか、経過をお知らせください。
○副島税制部長 消費税率引き上げに伴います新たな偏在是正措置につきましては、平成三十一年十月一日以降に開始いたします事業年度から適用されることとなりますので、平年度化いたしますのは平成三十三年度からとなります。
○曽根委員 この時期はどういう時期になるのかというと、オリンピックが平成三十二年、二〇二〇年ですので、その翌年に平年度化すると。今の税収を前提にすると約五千億円が本来の都税収入から国に吸い上げられる、この分は戻ってこないわけですよね。実質分が五千億円、四千九百億円吸い上げられる。この年は恐らく、多くの方が予測しているように、どの程度になるかわからないにしても、東京オリンピック後の景気の一定の後退は避けられないだろうといわれております。
それから、当然ながら、再来年、二〇一九年度から増税される消費税の影響が、もう前年度にわたって出てくる年です。国民、都民の消費、それから小売業への影響、そしてこれを租税で納めなきゃなりませんよね。この納税額がまた上がるわけですね、一〇%分に。この影響がもろに出てくるときに、同時に、平年度分として今の規模でいっても四千九百億円の都税収入になるべきものが持っていかれると。
これは都税収入にも物すごい影響があると思うんですが、このオリンピック後の経済状況の予測とあわせて、都税への影響をどう見ているのかをお願いします。
○副島税制部長 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会後の経済状況につきましては、現時点では不明でございますけれども、仮に理事お話しのような状況になれば、都税収入につきましても影響を受けると考えております。
○曽根委員 消費税増税で都民生活に追い打ちがかけられた上に、オリンピック後の不況のおそれが高い二〇二一年、平成三十三年に、国の不当な税収の収奪が最大規模になっていくという点では、これは都政にも、そして都民にも二重に影響が大きくなると思います。このまま国の方針どおりに進めることは私は許されないと思います。
まだ時間があるわけです。少なくとも消費増税の実施延期を含めて、少なくとも、我々消費増税にはもともと反対なんですが、消費増税の実施延期も含めて、再検討を国に強く求めるべきだということを申し上げておきたいと思います。
これまで、都が国に対して主張してきた是正措置の問題点として、この間いただいた文書にもありますように、地方税の原則に反するというふうに東京都が主張している点、それから、国が地方創生といって掲げてきた理念にも逆行しているじゃないかと、そういう財源は、こっちの地方から持ってきてあっちの地方へという問題じゃないだろうと主張してきた点、それから、先ほどもちょっとお話ありましたが、東京都の大都市需要を十分踏まえていないんじゃないかという点などは、この是正措置で緩和されるのか、それともますます矛盾を深めるのか。私は当然金額的な規模からいっても、矛盾が深まるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副島税制部長 平成二十八年度税制改正で拡大することとされた法人住民税の一部国税化は、地域の構成員として、企業が行政サービスの負担を分かち合うという法人住民税の役割を失わせるものでございまして、さらに、地方税の応益性の原則に反するなど多くの問題点を抱えておるものでございます。
真の地方自治を実現するためには、限られた財源の奪い合いではなく、地方税財源の拡充と安定的な地方税体系の構築が必要でありまして、その実現に向けた改革を引き続き国に訴えてまいります。
○曽根委員 今おっしゃった点ですね、まずは、応益性の地方税の原則に反するという問題、私もそのとおりだと思うんですよ。消費税が上げられた場合、自分でちゃんと商品の代金を払って物を買うという、基本的には応益ではない、益のない行為に対しては一〇%の課税がかかっちゃうわけですが、一部とはいえ、今、大企業なんかは、さっきの指標でいうと七五%近く、四分の三ぐらいの企業が利益を上げているわけですよね、法人事業税払っているわけですよ。そういうところに対しての課税や、それから株の取引の課税などは、これ税金が下がっていくというのはおかしいじゃないかと。地方税の原則から見ても、地方税は、少なくともこの原則でもっと確立をしていくべきだということ、それから大都市需要の問題点も当然あるわけです。
それで、私としては、引き続き国への要求について、都の努力を、先ほどもお話があったように求めていきたいと思いますし、最近動きが余り見られないので、ことしは論文も出ていませんし、レポートも出ていませんし、その点では努力を求めていきたいと思いますから、その点をお願いしたいと同時に、今後増大が予想される社会保障財源や都有施設の維持更新の財源、財務局などが発表していますこの財源の確保のためにも、オリンピック後の不況対策のためにも、都独自に可能な税制の見直し改革を行うべきであるというふうに考えます。
それで、都の独自の税制の見直しのあり方について、幾つか質問していきます。
まず、先ほどお話のあった地方税の応益性の原則の観点から見て、この間の税のかけ方は逆行しているんじゃないか。先ほどもお話ししましたように、やはり応益性の薄い庶民の消費に対する課税に一〇%、地方税も今、個人都民税などは一〇%一律になっていますが、それと同率の課税を消費行為にかけると、こうなりますと前回八%に上げてから、たしか三十数カ月、もう間もなく四十カ月の統計が出ると思いますけれども、ほとんど前年比割れしているわけですよね。家計消費で平均大体二万円ぐらいの消費の後退になっているわけです。
こういう問題をやはりクリアしていかなきゃならないという点で、私は特にこの間、収益を上げている大手の企業、ここでいうと統計上、資本金が一億円の事業者に対する課税の強化や、それからこの間、市場が非常に好調だということから、株取引に対する課税の強化が必要だと思いますけれども、今年度予算では、個人都民税収を若干予算で減額しています。お聞きしたところ、株取引課税の落ち込みが原因だというふうにいわれました、今年度当初ですね。しかし、その後の推移はそうではないように思うんです。これは昨年の実績をもとにしたものだと思いますが、実際の株取引課税の推移というのはどうなっていたのでしょうか。
○副島税制部長 個人都民税は、均等割、所得割、配当割及び株式等譲渡所得割の四つで構成されております。
このうち平成二十八年度予算における株式等譲渡所得割につきましては、当初予算約三百九十億円から約百七十億円に減額補正いたしました。その理由でございますけれども、二十八年前半の円高やイギリスのEU離脱問題等を背景に、おおむね年間を通して、関連指標でございます日経平均株価が低調に推移したことによるものであります。
なお、実際には、平成二十八年度決算における株式等譲渡所得割は約百六十億円となっております。
○曽根委員 確かに、これを見る限り株取引に対する課税は安定しないわけです。去年の段階では、もともと三百九十億円の予算を組んだのに、最終的には百六十億円ですから半分以下になっちゃっていると。これを踏まえて、今年度予算は減額して予算を組みました。ところが、株式は最近でいうと二万二千円を市場平均、株式の平均は超えて、一番長く景気がよくなっているんじゃないかとさえいわれるぐらいになっていると。当然、来年度予算については、また修正がかかるでしょう、恐らく増収に。
このように不安定だからということで、これまではこの課税を控えてきたという傾向があるんですけれども、これはあくまで応益課税ですので、株で損した人にはかからないわけですから、基本的にはこの税金というのは。
したがって、応益性を重視してきた原則に立って、地方税としては、地方税としてはですよ、こうした株取引に対する課税は、本来は強化されるべきだというふうに、これ考え方として持つべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○副島税制部長 所得税及び住民税におきましては、株式等の譲渡による所得について、利子所得等との間における税制の投資中立性を図る等の観点から、他の所得と区分して課税し、また、その税率につきましては、金融所得の一体化、簡素化及び貯蓄から投資への実現に向けまして、合わせて二〇%の税率を適用することとされております。
○曽根委員 国と地方を合わせて二〇%課税になっているんですが、私の記憶が正しければ、たしか、ほんの数年前までは特別措置で一〇%でしたよね、株取引の課税が。ようやくこれはあんまりだということで二〇%になったのが、たしか十年はまだたっていないと思うんですよ。これぐらい優遇されてきたのは本当に異常だと思うんです。しかも、この中で地方税は五%しかないわけです。つまり、一般の都民にかかる個人都民税は一〇%、今、税率が一律になっていますので、それよりも、地方税としてみれば五%の分離でなければ、総合課税ならこの倍は株取引から地方税が入ってきたんじゃないかと。もちろんこれはいろんな違いはありますよ、都民税は東京都分と区市町村分がありますからね。これは、都道府県税としてのみですので、そういう意味では違いはありますが、やはり株取引に対する課税は、先ほど貯蓄から投資への実現に向けてとか、また、要するに利子所得等との中立性ということはいわれましたが、こういう税金に限っては、貯蓄から投資への、いってみれば誘導のためにとか、これ不安定だからとかいう理由で課税を抑える傾向は強かったんです。
しかし一方で、安定していることを理由に消費税にはがあっとかけてくるというと、結局は多額の株取引に乗り出せる高額所得者などには税制優遇がずっと続いていってしまうということになってしまうわけです、現にそうなっているわけです。
したがって、この株取引課税についての強化を、東京都としても、これは独自にはなかなか難しいですから、国との関係で、国に働きかけるなどの取り組みが必要だということを申し上げておきたい。
一方で、安定財源を理由に一般都民への課税を強化するというのは、これは私は都民の収入や暮らしの中でも、避けて通れない食費だとか生活必需品への出費に、さらに負担をしわ寄せし、ますます追い詰めると。この点では、東京の地域経済という点から見ると悪循環を招くことになるんじゃないかと思いますが、消費税増税を初めとする、この安定財源を理由とした庶民課税の強化について、東京都の考え方をお聞きしたいと思います。
○副島税制部長 少子高齢化が急速に進行する我が国におきまして、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が不可欠であります。広く消費に負担を求め、世代間の公平を図ることができる消費税の税率引き上げにつきましては、将来的には避けて通れないというふうに考えております。
○曽根委員 安定せざるを得ないぐらい、もう最低限のところまで消費傾向が落ち込んでいるということの反映だと私はいいたいと思うんですが、一方で、企業の収入、法人の課税については、不安定だといわれながらも、この間は、安定的に収入が伸びているわけです。その一部は海外のタックスヘイブンなどにも逃げている部分があるというのが、最近また新たにされたところです。
この間、東京都は、海外企業の進出意欲を高めるためなどの理由で、特定の地域を決めて法人減税をすると。それから、大企業に対しても国と並んで、地方として開発地域への進出を誘導するための減税措置などを行ってきました。
その中で、私ちょっと率直に指摘したいんですけれども、特定地域、ここでいえば臨海地域など、海外からここへの企業進出については、これまで東京都は、法人事業税の減免措置も適用してきたと思いますが、結局この制度は適用がないまま終了したというふうに聞いていますが、いかがでしょうか。
○副島税制部長 都は、アジアヘッドクオーター特区におきまして、グローバル企業のアジア統括拠点及び研究開発拠点の誘致を進めております。税制におきましては、こうした多国籍企業の誘致を支援するため、国税である法人税の所得控除措置に加え、独自に、都税である法人事業税を減免する措置を講じてまいりました。
この減免措置につきましては、平成二十八年度税制改正で、法人税の所得控除措置の廃止を受け廃止したところでございますが、適用実績はありませんでした。これは、減免措置の対象法人が専ら統括事業、研究開発事業を実施すること、特区内にのみ事務所等を有することなどの要件を満たすものに限られていたためと考えております。
○曽根委員 最後に条件のことをおっしゃいましたけれども、これは主税局のお仕事とはまた別ですということは重々承知の上で申し上げるんですけど、海外企業の進出を図るという点では、当然ながら、これは公的にいえば、都政への何らかの貢献という条件をつけざるを得ません。公共の税金を、最も根幹的なその企業からの税収を減免するわけですから、当然条件がつかざるを得ないと。しかし、その条件をつけることも含めて、実際には、日本への企業進出、海外への企業進出というのは非常に難しいと。これ難しいのは、日本の税制が高過ぎるんだって、さんざん今までいわれてきましたが、私、違うと思うんです。それは、日本の法人税が、実質的には国内企業に対して非常に税率が下がるように、実質的に下がるようにできているからじゃないですかね。
これまでも私たち、さんざん指摘しましたが、日本の企業に対しては研究開発に対する実質減税とか、さまざまな減税措置があります、これは国内企業に対して。海外にはそれは適用がないわけですので、実質的には、国内企業では本当に一〇%を切るぐらいの税金しか払っていない企業はたくさんあるわけです、大企業でも。こういうところに実際は障壁があるにもかかわらず、海外企業も出てくるんでしたら税金下げますよといって、そっちで減税競争をやるということ、それをやってもなかなか成功しないという点で、大企業に対する課税という点では甘過ぎるということを申し上げておきたいと思うんです。
それで、海外企業の進出や大企業の利益の還元を期待しても、実際には効果が上がっていないことは、この間の取り組みで明らかですので、東京都としては、改めて超過課税の拡大を検討すべきではないかと思います。
きょう、資料でも、たしかいただいたと思いますが、これまで超過課税では、法人住民税とともに法人事業税については一・〇五、つまり五%の超過課税を行っておりますが、これはたしかあと一〇%分の課税の--あと一五%ですか、課税の限度額、何というか制限税率は余裕があるわけですので、こういうことも含めて課税を検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副島税制部長 我が国の法人実効税率は、諸外国と比較いたしまして低い水準にあるとはいえず、また、政府におきまして、企業の国際競争力や国の立地競争力を強化する手段の一つといたしまして順次引き下げが行われている状況、こうした状況を踏まえますと、法人事業税の税率を引き上げることは適当でないと考えております。
なお、法人事業税は、所得の算定上、損金に算入されますために、都において超過課税により税率をさらに引き上げることとした場合、国あるいは他の地方自治体の税収が減ることとなります。
○曽根委員 今、お話のあったような、日本の法人税率が決して低いとはいえないといわれますけれども、先ほど申し上げたように、税金だけではなくさまざまな補助金も含めると、実質税率が非常に低く抑えられているという実態について、以前は都税調でもかなり、私も委員になったときに解明されるというような努力もされましたので、これは東京都自身もよくわかっていると思います。
一方で、消費税の増税による影響は、この三年余りの間に駆け込み需要というのは八%になる前にありましたけれども、それ以降は全く消費が冷え込んだままという状況を見ても、消費税増税の影響は、結局は、最終的には国や東京都の税収にまでマイナス影響になってくるということも明らかになりつつあると思います。
そういう点で、多国籍企業への減税での立地競争力の引き上げというのも実際は困難だと思いますし、こうした点で、いつまでも国への追随ではなく、東京の実情に合った、そして東京には、やはり地の利から多くの企業が集まってきている、これに対する正当な利益に対する課税というのは、私は、やはり独自に考える余地があるだろうと思いますので、超過課税の税率の見直しも含めて、税収増と財源確保の独自策を検討すべきであるということを申し上げて、質問を終わります。
○上田委員 それでは始めたいと思います。
東京都の財政規模は、平成二十九年度一般会計予算で六兆九千五百四十億円です。このうちの約七三・二%を占める五兆九百十一億円が都税収入であります。主税局は、都の収入の約四分の三を占める都税について、税制の企画、課税、徴収の最前線に立っています。
都の特例として、本来は市町村税である住民税の法人分、固定資産税、都市計画税なども特別区においては都税となるため、都の税務関係の組織、人員は、ほかの道府県と比べかなり大きなものとなっております。毎年の徴収率の高さも、国やほかの自治体に比べて評価できるものであります。都財政の根幹をなす都税について主管し、税務政策の執行者として、財政の基盤確保に日夜精励されている主税局に対し、以下、伺ってまいります。
徴税コストについてです。
資料7号によれば、徴税コストは妥当な金額と考えており、高く評価をするものです。
都の徴税活動に係る職員と、その徴税費用と徴税率についての評価、いかに定量化しているのかご説明ください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都税徴収率につきましては、平成に入って以降、最も低かった平成七年度は九〇・二%でございました。その後、上昇傾向となり、平成二十八年度には過去最高の九八・八%を達成することができました。
一方、人件費を含む徴税費につきましては、平成七年度は約一千五十二億円でございまして、その後、減少傾向とし、平成二十八年度では約六百七十三億円となりました。この間、都税徴収率は八・六ポイント上昇したのに対しまして、徴税費は約三百七十九億円削減しております。これは人件費を初め、徴税コスト削減に努めながらも、職員の職務遂行能力の向上を初め、効率的、効果的な取り組みを行うなど徴税努力を重ねてきたことが寄与したものと認識しております。
今後も引き続き、効率的で質の高い業務運営を目指しつつ、適正かつ公平な賦課徴収に努めてまいります。
○上田委員 熱心なお取り組みが理解できました。
続きましては、徴税状況と滞納整理の現状、取り組み状況と成果をご説明ください。
○川上徴収部長 平成二十八年度の都税一般分の滞納額は五百八十五億円でありまして、主な税目別の内訳は、固定資産税、都市計画税が二百四十四億円、法人二税が二百二十億円、自動車税が六十億円となっております。
徴収部門では、納税者の資力に応じたきめ細かな対応を図る一方、不誠実な滞納者に対しては、差し押さえや捜索を行うなど、質の高い滞納整理を推進しております。その結果、平成二十八年度の滞納繰越額は百十三億円と、平成以降最小となったものでございます。
なお、都税一般分に係る平成二十八年度の差し押さえ件数は二万二千五百五十八件、捜索件数は四百六十六件であり、滞納整理における行動量は引き続き高い水準を維持しております。
○上田委員 状況につきましては、要求資料8号でも共有させていただきたいと思います。
これらの結果を踏まえましてのご所見を求めたいと思います。
○川上徴収部長 徴収部門のこれまでの創意工夫を凝らした取り組みと積極的な実践行動により、先ほど申し上げたような成果を上げることができたと認識をしております。
今後も、職員一丸となって着実に努力を積み重ね、徴収率の向上を図ってまいります。
○上田委員 以後、確認させていただきますが、職員のスキルが一番のツールではないかと見ています。また、タイヤロックなどは、近隣住民に知られることとなり、納税意識が否応にも高まり、ハードウエアの工夫も功を奏しているところでありましょう。
そのインフラ整備の一環として進められたICT化について確認します。電算化から今日に至るまでの取り組み状況、経過と成果、課題をご説明ください。
○笹本調整担当部長 主税局では、昭和三十九年より順次、事務の電算化を進めてまいりました。平成二年には、税務総合オンラインシステムを稼働させまして、主要な税目の課税から徴収までを一貫して処理する仕組みを構築いたしました。そして、平成十七年には、その範囲を全ての税目に拡大いたしまして、リアルタイムで情報を反映する現行の税務総合支援システムを稼働させたところでございます。
これによりまして、課税や都税の還付などの事務処理の迅速化、省力化を図るとともに、ICTを活用した電子申告や電子納税などにも対応いたしまして、納税者の利便性の向上を果たしてまいりました。
一方で、税務総合支援システムは、マイナンバー等を含む重要な個人情報でございます税務情報を取り扱うシステムとなっておりますので、システムの安定稼働とともに、情報セキュリティーの確保が最大の課題でございます。そのため、主税局では、これらの対策を講じるための継続的な改善や取り組みを行うことで、その万全を期しているところでございます。
○上田委員 セキュリティーシステム、システムは本当に重要なところだと思いますが、そのシステムの納入元についても、これまでの経緯と現在の状況、入札をやっているのか、随契ではないのかについてもご説明ください。
○笹本調整担当部長 税務総合支援システムの開発、運用に当たりましては、それぞれの業務に応じた委託契約を行っているところでございます。平成十三年の現行システム開発時におきましては、プロジェクト全体の管理業務の受託者を企画提案方式により決定いたしまして、その後の開発業務を三分割した上で、それぞれ競争入札により受託者を決定いたしました。
現在は、そのシステムを引き続き運用しておりまして、安定稼働に必要なソフトウエアの保守につきましては随意契約を、また、サーバーや端末機などのハードウエアにつきましては機器の更新ごとに競争入札を実施するなど、各業務の性格を踏まえた契約としております。
○上田委員 お取り組み、承知いたしました。
今後のことも踏まえ、今後のご所見等を求めます。
○笹本調整担当部長 税務総合支援システムは、効率的な事務処理のみならず、納税者に適正、迅速に対応するためにも不可欠なものでございます。今後とも、システムの安定稼働とセキュリティーを確保しつつ、ICTの技術の進展を踏まえた改善に努めるほか、競争性のある契約方法によりまして経済性を発揮してまいります。
○上田委員 小池知事のまさに肝いりで進めております入札改革の理念に沿っており、基本的に競争入札を念頭に置いていることを確認させていただきました。また、いまだ過渡期にありますマイナンバーの運用には、慎重かつ確実に進めていくようお願いを申し上げます。
こうしたICT化が推進されたことで、新たな納入方法を、また推進することができたと考えます。対応する納付方法につきまして、口座振替、コンビニ収納、マルチペイメントネットワーク収納、OSS収納、eLTAX電子納税、クレジット収納等々ございますけれども、取り組み状況、経過と成果、課題につき、ご説明をください。
○川上徴収部長 これまで、口座振替、コンビニ収納、クレジットカード納税など、さまざまな納付方法を導入してまいりました。
口座振替につきましては平成二十八年度の収入件数は五百八万件で、収入件数に占める割合は約二九%でございます。
コンビニ収納の収入件数は四百八十五万件で、割合は約二八%でございます。
マルチペイメントネットワーク収納の収入件数は六十万件で、割合は約三%でございます。
OSS収納の収入件数は二十万件で、割合は一%でございます。
eLTAX電子納税の収入件数は一万件で、割合は約〇・一%でございます。
クレジットカード納税の収入件数は五十万件で、割合は約三%でございます。
○上田委員 数字になると大変おもしろく、コンビニ収納と口座振替がほぼ同じというところが非常に興味深いところでございます。
これらの取り組み結果につきまして、当初想定したとおりなのか等々ご所見を求めたいと思います。
○川上徴収部長 納付方法の多様化によりまして、納期内納税の促進、納税者の利便性向上を図ることができたと考えてございます。
今後も、インターネットの普及や社会状況の変化に対応し、ICTを活用した納税環境の整備に取り組んでまいります。
○上田委員 今後は、電子マネーなど次世代通貨も登場する中で、ICT化により臨機応変に柔軟な対応が打てるよう着実な準備が進んでいることが確認できました。
続いては、主税局のソフトウエアともいえる人材育成について伺います。
主税局では、税務のプロとして高い気概と専門性をあわせ持ち、適正、公平な賦課徴収義務を実現できる職員を目指すべき職員像とされています。選抜して育成する視点のもと、どのように選び、育成をしているのか、局研修、職場外研修などにつき、時系列で具体的に説明を求めます。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局では、団塊の世代の退職を経て、毎年約百五十名の新規採用職員が配属されまして、近年、税務経験の浅い職員の占める割合が多くなっております。
一方で、課税徴収の業務において、自力執行権や調査権などを行使する適正な判断や複雑多様化した建築工法で建てられた家屋の評価など、高度な専門性も必要でございます。
こうしたことを背景に、新規採用職員など未経験の職員には、税目ごとに基礎科の研修を設け、基本的な知識の習得をサポートしております。その後、一定の実務経験を経た職員には、応用科で実践的なスキルを学ばせた後、より高度な内容を学ぶ専攻科を用意し、経験の浅い職員でも、順次、段階を踏みながら高度な内容を受講していく体系としております。
専攻科からは指名制とし、一定の実務経験を加味した上で、高い職務意欲を有し、中核職員としての組織運営力、業務遂行力が備わっている者について、所属長が推薦し、受講者を決定しております。
さらに、長期にわたって税務運営の核となる職員を育成するため、専門科、長期専門科の研修を実施しております。
○上田委員 その専門科、長期専門科で選抜して育成するのはどのような人材か、事例も含めご説明ください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 法人課税部門と滞納整理部門では専門科研修を、資産税部門では長期専門科研修をそれぞれ実施しております。
滞納整理の専門科研修では、全ての実務研修を修了した主任級及び課長代理級職員のうち、牽引役となって活躍することが期待される職員を、所属長または徴収部長が指名いたします。研修生は、延べ八十四時間の研修を通じて滞納処分のエキスパートとしての理論と実務を学んでおります。
資産税部門の長期専門科研修では、主任級及び課長代理級の職員で、実務経験が三年以上あり、牽引役となって活躍することが期待される職員を、所属長または資産税部長が指名いたしております。研修生は、約八カ月の間、研修に専念し、評価基準などの改正経緯や過去の判例等も含めて高度で専門的な知識を得られるよう、税務のプロとして鍛えられます。
なお、今年度における受講者は、隔年で開講する法人二税コースを除きますと、滞納整理の専門科研修で十二名、資産税部門の長期専門科研修で三名となっております。
○上田委員 手塩にかけて育てた職員というようなのが読み取れます。その手塩にかけた職員たちの皆様が、その後の対応につき、ほかの部局との異動等の問題はどうなっているのか、人事交流はどのようにしているのかご説明ください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の制度上、主任試験合格者は他局への異動をいたします。このため、主税局に主任以上の職級で在職している職員を、長期にわたり育成が可能で、今後、核として活躍が期待できる職員と位置づけ、本人の意向にも配慮しながら、専門科、長期専門科の受講者として指名をしております。
異動につきましては、例えば、資産税部門の長期専門科研修を修了した職員は、大規模家屋が多い資産評価部門の現場に配置され、建築工法が複雑な家屋の課税調査など、多岐にわたる実務経験を積みながら、評価実務のアドバイザーや人材育成の担い手として現場で能力を発揮しております。
さらに、本庁指導部門において、複数の都税事務所の事務指導などを経て特に適性が認められる者は、現場実務の指揮運営や専門的な見地からの人材育成アドバイスなどを担う部門の管理職である専門課長として登用しております。
現在、主税局における専門課長は、法人調査部門で四名、資産評価部門で十五名、滞納整理部門で十六名となっております。
○上田委員 主税局のいうところの若手職員を全庁共有財産と位置づけるのは大変よい考え方です。
どのようにして、その資質を共有、提供しているのか、取り組みを具体的に伺います。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 若手職員の育成には、都民と接する機会を通じて電話対応などのビジネスマナーの基礎を学ぶこと、さらに、多くの都民の声に耳を傾けながら都民目線の都政運営を考える機会とすること、また、都庁の各部署で必要な根拠法令等に基づいた業務遂行を身につけることなど、現場の第一線で経験していくことが重要でございます。
このため、主税局へ配属された新規採用職員は、まず、都税事務所への配属を原則としております。その後、主任試験などで他局へ転出することを踏まえまして、広く都政で活躍するスキルを付与するため、例えば、庶務や経理、本庁での部門間調整などの経験が得られるような配置を行い、育成しております。
研修においても、都政人としての基礎研修として、都の職員が身につけておくべき総務部門の事務処理知識を習得する研修の実施や、新規採用三年目職員が対象の三年目職員研修として、都の多岐にわたる施策について、外部講師を招いての講義やグループワークによる研修を行い、若手職員の課題発見解決力、発想力の能力向上を図るとともに、幅広い視野の涵養を図っております。
○上田委員 続いて、職員の自己啓発支援制度の活用状況につき、過去三年の資格取得者数と資格保有者の総数を分野、種別ごとにご説明ください。また、費用についてもご説明ください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過去三年に主税局において自己啓発支援制度を活用して資格を取得した人数は、総数で百五十八名でございます。分野、種別ごとには、日商簿記検定二、三級が五十九名、宅地建物取引士が三十二名、ITパスポートなど情報処理関係が二十六名、ファイナンシャルプランナー二、三級が十九名、その他、自治体法務検定、法学検定、統計検定等が二十二名でございます。
また、平成二十八年度における主税局の資格取得者の総数は九百十名でございます。分野、種別ごとには、日商簿記検定合格者は五百九十五名、宅地建物取引士は百六十三名、ITパスポートなど情報処理関係は八十一名、ファイナンシャルプランナーは四十三名、その他、自治体法務検定、法学検定、統計検定等が二十八名でございます。
費用につきましては、過去三年の資格取得に対する支援金は、平成二十八年度が九十八万一千七百円、平成二十七年度が六十九万三千五百円、平成二十六年度が九十二万六千七百円となっております。
○上田委員 頑張る姿が見えるようです。
自己啓発と資格を有することにいかにインセンティブを持たせるか、資格取得へ向けて学ぶことの成果を具体的事例を挙げてお示しください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 資格や能力を有している職員は、例えば、簿記を持っている職員を法人調査担当に配置するなど、当該資格や能力を活用できる所属へ配置するようにしております。
また、主税局の業務につきましては、専門性が高いものが多く、資格を生かせる部門で新たに仕事がしたいという職員よりも、むしろ現在の業務の中で専門知識を深めたい、仕事に生かしたいという意欲から、自己啓発や資格取得に取り組む職員が多い傾向にございます。
具体的には、法人課税部門で決算書を分析する機会が多く、みずから簿記の知識の必要性を感じて資格取得を目指したり、徴収部門で納税相談を数多く受ける中で、より有効なアドバイスをしたいという思いからファイナンシャルプランナーの資格を取得するといったケースが多うございます。
その結果として、事務処理能力が上がり、効率的な職務遂行に資することになるとともに、職員のレベルアップにもつながっております。
○上田委員 続いては、税務の達人プロジェクトについて予定をしておりましたが、同僚議員が同様の質疑をしたということで、ちょっとこれ割愛させていただきたいと思います。
人材育成については、多忙な日常業務を漫然とこなすのみならず、意欲ある職員個々が技術向上に努め、そのインセンティブを引き出す取り組みがありますことを評価いたします。
資格取得は実力が可視化でき、人事評価にも、また、本人の意識向上にも寄与するものと考えます。福沢諭吉はその著書「学問のすゝめ」の中で、公務員は、在野に出てもすぐれた仕事ができる人材であるべきとしていましたが、まさにそれを実現しているということを確認させていただきました。
今後も、日本全国の地方自治体へ東京都のスキルを共有していくことで、国の借金を減らしていくこと、都が大きく貢献していくことを期待するものでございます。
続きまして、都税の歩みについてです。
地方分権推進法施行から早くも二十年がたちました。概要七〇ページ、内訳で現状がありますが、短期、中期では、内訳バランスは変動していると考えます。普通徴収の個人都民税、個人事業税、不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税と法人事業税、法人都民税の税収バランスの構成比の変化と安定財政への連関につき、現状と推移をご説明ください。
○副島税制部長 ご指摘の六税目と法人都民税及び法人事業税のいわゆる法人二税の構成比の推移についてでございますけれども、地方分権推進法が成立いたしました平成七年度当時は、六税目が五〇・五%に対しまして法人二税は三六・三%でございました。その後、景気変動の影響を受け、法人二税はポイントの増減を繰り返しておりますが、直近の平成二十八年度決算では、六税目四八・二%に対しまして法人二税は三六・一%という現状でございます。
○上田委員 二十年がたったところでございまして、今ご報告いただいた結果につきましてのご所見を求めたいと思います。
○副島税制部長 都税収入は、景気の動向に左右されやすい不安定な構造となっておりまして、特に法人二税におきましては、これまでも、バブル期やリーマンショックなど景気変動の影響を受けまして、大きく税収の増減を繰り返してまいりました。
引き続き、社会経済、国の税制改正の動向等を見きわめながら、都税収入を確実に確保していくことが重要であると考えております。
○上田委員 その都税収入の少なからぬ財源でありますたばこ税は、今回、条例も制定されましたが、今後、受動喫煙防止施策の展開によって確実に税収減が見込まれると思います。受動を含む喫煙の減少は医療費の抑制につながる一方、歳入減の影響、その功罪につき、ご所見を求めます。
○副島税制部長 先般の平成二十九年第三回定例会におきまして、東京都子どもを受動喫煙から守る条例が成立するなど、都といたしましても、受動喫煙防止対策を推進していることは、私どもも承知しているところでございます。
こうしたことによりまして、たばこの消費量が減少した場合におきましては、税制面から見ますと、税収減につながるというふうに認識しております。
○上田委員 続きまして、都市計画税は、特別区では特例により都税、多摩地域では市町村税として課されております。二十三区では、小規模住宅用地に対して二分の一負担軽減とする不均一課税を昭和六十三年から実施しているものであります。
資料4号でも取り寄せさせていただいていますが、その恩恵と効果、今後の対応につき、ご所見を求めます。
○副島税制部長 委員ご指摘のとおり、都におきましては、昭和六十三年度より、小規模住宅用地に係る都市計画税を二分の一とする軽減措置を独自に実施しているところでございます。平成二十九年度におきましては、約三百六億円の軽減を見込んでおりまして、過重となっております二十三区の住宅用地における税負担の緩和を図っております。
また、本軽減措置につきましては、不断の見直しを図るということから、一年に限り継続しているところでございまして、来年度における対応につきましては、社会経済状況の変化、景気の動向に加えまして、都の財政状況などを踏まえ、税負担の公平等の観点から、今後検討を行ってまいります。
○上田委員 民間でいえば、税収増、収益となる税収アップは当然ありがたいことではあるんですけれども、都民が豊かに暮らせる生活を支えることも行政運営には必要というダブルスタンダードに悩むところが読み取れたものでございます。
税軽減措置で税収が減っても、都民がマイホームを買って働きやすい環境を整えるときは、長期的なことは長期的な安定財源ともなるともいえます。たばこ税については議論百出ですが、先ほど申しました個人的には税収より健康と、税収が減っても健康となることで医療福祉費が抑制されて、最終的には、収支が結果的にプラスになるよう、逆に医療福祉のばらまきを見直す等の抑制をすることで、何とか均衡を合わせていただきたいと思うものでございます。
次は、資料5号から6号の生産緑地についてです。
生産緑地を税制優遇する妥当性について、まず、改めてお尋ねいたします。
○大久保資産税部長 生産緑地地区に定められた農地は、生産緑地法によりまして、原則三十年間、農地として管理することが義務づけられておりまして、建築物の新築等の行為が制限されております。こうした転用制限の強化などが講じられた生産緑地につきましては、課税の基礎となる適正な時価を算定する際に、宅地化されることを前提とした市街化区域農地とは異なりまして、一般農地として評価をした上で課税を行うこととされているものでございます。
○上田委員 昨今、都市農政の振興も踏まえた税制改正が行われる見込みとなっております。今までの歴史的背景も踏まえたものだと思いますが、都においては、財源確保のためにも税制優遇されている生産緑地の耕作放棄地に、適正課税をしていく必要があるのではないかと考えております。そのためにも、都は放棄面積相当の歳入への影響額について把握すべきではないかと考えますが、ご所見を伺います。
○大久保資産税部長 生産緑地農地は、保全する農地として宅地への転用制限等の措置が講じられておりますことから、固定資産税におきましては、一般農地としての評価課税を行うこととされているものでございます。
都におきましては、継続的に現地調査を行いまして、利用状況を確認しております。仮に、耕作していないと見られた場合には、農地利用状況調査及び農家への指導などを行っております区の農業委員会の判断も参考にいたしまして、適正に評価し、課税を行っているところでございます。
○上田委員 適正な課税ということでございますが、耕作放棄をしている生産緑地に、例えば、主税局は実態課税をすることもできると思いますが、運用について具体的にご説明ください。
○大久保資産税部長 生産緑地につきましては、生産緑地法におきまして、農地として管理することが義務づけられておりますが、農地法におきましては、現在は耕作されておりません場合でも、耕作しようとすればいつでも復元可能な状態である休耕地や不耕作地につきましても、農地として取り扱われることとされております。
主税局といたしまして継続的に現地調査を行っておりますけれども、仮に耕作していないと認められた場合でありましても、農地として容易に復元可能かどうかは、にわかに判断することは困難なことから、農業委員会の意見も聞いた上で判断を行っているところでございます。
○上田委員 江戸川区で私が発見した悪質な耕作放棄の生産緑地は、テニスコートだったのを生産緑地にして、そのまま草ぼうぼうというようなもので、新聞報道になって、この問題を知るに至ったわけでございます。私は、区議会議員時代に、東京が固定資産税を取りっぱぐれて、都に損害を及ぼしているのはないかということで、監査請求させていただいたこともございます。
国の法改正に伴い生産緑地には関心が集まっておるところでございます。本来、生産緑地法は、都市農業を支援する志高いものでした。今後、こうした法の悪用ともとられかねない運用がなされぬよう、各農業委員会と情報共有し、実態把握とともに指導、場合によっては実態課税を強く求めるものでございます。
続きまして、税制改正の動きでございます。
配偶者特別控除の見直し、平成三十一年以降について適用されるものにつきまして、都税収入への影響につき、見通しをご説明ください。
○副島税制部長 配偶者控除及び配偶者特別控除の改正につきましては、平成三十一年度課税分から適用されますが、平年度における影響額は約十五億円となるものと見込んでおります。
○上田委員 十五億円ということでございました。
脱労働調整を目指し、税収アップとなるか、専業主婦層の反発は気になるところではありますが、長期的には女性の労働力確保や地位向上に寄与すると考えております。
見込みとご所見をお示しください。
○副島税制部長 平成二十九年度税制改正における配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しにつきましては、働く意欲のある者が就業調整をしなくて済む仕組みを構築する観点から行われたものでございます。
具体的には、配偶者特別控除について、対象となる配偶者の合計所得金額の上限を引き上げるとともに、配偶者控除及び配偶者特別控除につきまして、納税義務者の合計所得金額に応じて控除額を段階的に縮小する見直しが行われました。
○上田委員 続きまして、地方税財源の偏在是正措置について質疑をする予定でありましたが、同僚議員が同様の質疑をしっかりとしていただいたため、割愛させていただきたいと思います。
税制の歩みについてですが、出産、育児のために退職を余儀なくされた、実はポテンシャルの高い主婦が労働調整をしてしまうことが逆説的に女性の社会進出を阻害する要因となります。配偶者控除制度をつくったときに、働く女性やワーキングマザーがきっとそのメンバーにいなかったのではないのかなと私は考えております。
今後は調整することなく、主婦も青天井で働いていただいて納税をしていただき、そして税収もアップし、主婦も経済的な自立ができると、もう一石二鳥ともいうことでございますので、主税局におきましては、その理解を進めていただくことを期待するものでございます。
また、不合理な措置については、引き続き知事部局とともにお力を合わせて一丸となり、論文、エビデンス等を示し、国への働きかけをお願いしたいと思います。
次に、子育て支援に向けた税制支援です。
民有地を活用した保育所整備促進税制について、五年度分に限り十割減免する措置を新たに創設するとしております。その詳細についてご説明ください。
○大久保資産税部長 今回の減免措置でございますが、待機児童の解消に向けまして、民有地を活用した保育所等の整備促進を税制面から後押しすることを目的といたしまして、土地に係る固定資産税及び都市計画税の減免を図るものでございます。
減免の対象となる土地の要件は三つございまして、第一に、認可保育所、認証保育所等一定の保育所などの用途に供されていること、第二に、保育所等の設置者にその土地が有料で貸し付けられていること、第三に、平成二十八年十一月一日から平成三十三年三月三十一日までの間に土地に係る賃貸借契約を新たに締結し、かつその締結後に保育所等を新規開設することでございます。これらの要件に該当した場合、土地の所有者の固定資産税及び都市計画税を五年度分、十割減免する仕組みとなってございます。
都政の喫緊の課題でございます待機児童解消のため、保育所等への民有地の供給が促進されるようインセンティブを働かせるものである一方、貸付料を得ている所有者の税負担を軽減するという極めて例外的な措置であることから、他の非課税措置及び減免措置との公平性の観点より五年度間の時限措置としたものでございます。
○上田委員 前向きな施策でございますが、この新たな制度の周知の方法、問い合わせや申し込みの実績、また、福祉保健局や二十三区との連携につき、取り組み状況をご説明ください。
○大久保資産税部長 まず、周知の方法でございますが、保育の実施主体であります二十三区と連携をいたしまして、各区のホームページへの掲載や保育の所管窓口における土地所有者への案内などにより、広く周知を図ってきたところでございます。
また、土地所有者に対して、候補地の供給をより広く喚起できるよう、既に主税局ホームページへの掲載はもとより、土地所有者と保育所設置者との賃貸借契約を仲介する不動産業関係の団体に対しまして周知の協力を依頼したところでございます。
今後も、二十三区と連携いたしまして、関係窓口でのチラシの配布を行ってまいります。
次に、実績でございますが、問い合わせにつきましては、本制度創設を発表いたしました一月以降、減免要件に適合するかなどの問い合わせは多数あったと承知をしております。
また、申し込みにつきましてですけれども、平成二十九年度の減免対象は、平成二十八年十一月一日から平成二十九年一月一日までの間に、保育所などを新規に開設した者等となっておりまして、これに当てはまる適用実績はございませんでした。
現在の取り組みでございますけれども、平成三十年度の減免適用に向けまして、福祉保健局の情報も得ながら、平成二十九年四月一日開設の保育所等を中心に対象の把握を進めているところでございます。
○上田委員 まだ適用実績がないようですが、該当すれば、事業者、あるいは所有者に大きな恩恵になると思います。殊に、事業者においては、経費が助かった分、保育士、子供たちにも還元できると思いますので、主税局、福祉保健局、二十三区協力のもと、制度の普及をお願いしたいと思います。
次に、環境減税についてです。東京版環境減税についてです。
中小企業向け省エネ促進税制の対象税目の検討経過を伺います。
○副島税制部長 この軽減措置は、平成二十年度の東京都税制調査会の答申を踏まえまして、都の地球温暖化対策を税制面から支援するため、環境局と連携を図りながら創設したものでございます。
具体的には、環境局が導入推奨機器として指定する空調設備等を導入した資本金一億円以下の法人または個人に対する事業税を減免するものでございます。
環境性能が高い設備への更新は、付加的な費用が必要になりますが、この軽減措置は、そうした設備への更新を税制面から支援するためのものでございまして、自主的なCO2削減の取り組みに対するインセンティブになっているものと認識しております。
○上田委員 続きまして、次世代自動車導入促進税制の成果を伺います。
○副島税制部長 次世代自動車導入促進税制は、環境負荷の小さい次世代自動車の取得を税制面から支援するため、平成二十一年度から平成三十二年度までの間に新車新規登録を受けた燃料電池自動車を含む電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車を対象に、自動車二税を課税免除するものでございます。
具体的には、自動車税については登録年度及び翌年度から五年度分、自動車取得税につきましては全額を免除しておりまして、本税制が創設された平成二十一年度から平成二十八年度までの累計で、自動車税及び自動車取得税合わせて約十億円の課税免除を行ったところでございます。
また、都内におきまして次世代自動車は、平成二十一年三月末時点では約七十台だったのに対しまして、平成二十八年三月末時点では約一万一千台まで普及しておりまして、他の補助制度とあわせて本税制が次世代自動車の普及に向けて一定のインセンティブとなっているものと認識しております。
○上田委員 ご答弁ありがとうございました。これらご答弁を踏まえまして、環境減税のあり方、意外とさまざまな議論がされているんですけれども、東京都ではどのような考え方、あり方に関してお持ちなのかご所見を求めます。
○副島税制部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、都では、中小企業者向け省エネ促進税制及び次世代自動車導入促進税制の二つの環境減税を実施しております。都の重要施策である地球温暖化対策を税制面から支援しているものでございます。
一方、環境減税を含めました政策税制は、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外として設けるものでございまして、規制や補助金等を補うものでございます。したがいまして、その活用につきましては、税の公平性、政策の重要性やインセンティブ効果、税収への影響など、さまざまな観点から検討していく必要があると認識しております。
○上田委員 環境と税という難しいところで、しかしながら、税制の基本原則の例外として設けるものというご自覚があっての政策であることを確認させていただきました。
小池知事は、環境大臣も務められ、実績も残された関心の高い分野であり、一定の成果が出たことと、また評価をさせていただきます。
一方、中小零細企業さんは、事務負担がふえることをどうしても避けがちですので、税務署を通じ、法人会や青色申告会等と連携し、身近な主税局が導入に向けて、まず、中小企業さんを特にサポートしてくださることを期待したいと思います。
続きまして、インターネット期日公売の状況でございます。
取り組み状況と成果、金額を含めてご説明ください。
○川上徴収部長 東京都が実施している公売につきましては、インターネット公売と入札による公売との二種類がございます。
平成二十八年度の実績としては、インターネット公売は八回実施いたしまして、売却件数は百二十三件、売却金額は約三千六百万円となってございます。また、入札による公売は、不動産については五回実施いたしまして、売却件数は二十四件、売却金額は約三億一千四百万円となっております。
○上田委員 ご報告いただきましたが、ちょっと多いのか少ないのか、トレンド等とかも、ちょっと私、この数字だけでは把握しかねるので、これらの成果に対するご所見を求めたいと思います。
○川上徴収部長 インターネット公売につきましては、平成十六年に都が全国に先駆けて実施いたしまして、買い受け人の利便性が向上し、公売参加者の増加につながりました。
また、平成二十七年度からは、それまで都と区市町村が別々に実施しておりましたインターネット公売の下見会を合同で実施することで、集客効果、周知効果を高めることができたと考えてございます。
これらの創意工夫の取り組みが、現在の成果につながっており、引き続き税収確保のため公売の活性化に努めてまいります。
○上田委員 続きまして、債権回収の取り組みと成果の確認をさせていただきたいと思います。
この取り組みに関しての支援状況の実績、推移を伺いたいと思います。
○川上徴収部長 各債権に係る事業を所管する局が債権を放棄する場合には、東京都債権管理条例に基づきまして、あらかじめ主税局と協議する旨の規定がございます。
主税局では、債権放棄を予定している事案について、毎年度ヒアリングを実施しております。ヒアリングの対象事案は、平成二十四年度が四百四件、約二億三千万円であったのに対し、平成二十八年度は一千七十一件、約二億七千万円となっており、相談件数は増加傾向にございます。
また、定例の事案ヒアリングのほかにも、これまで培ってきた主税局の豊富な徴収ノウハウを生かしまして、個別の問い合わせに対する対応や研修講師の派遣などを行っております。
○上田委員 各局が抱える多種多様な債権回収業務について支援している姿を把握させていただきました。
次に、税務相談でございます。
税務相談の直近の実績、推移をご説明ください。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民から寄せられる声は、主税局本庁及び都税事務所の相談コーナーにおきまして、経験豊かな職員が丁寧に対応しております。
平成二十八年度、主税局における都民から寄せられた声の受け付け実績は、二万九千九百四十四件ございました。うち税務に関する相談等が二万二千三百二十三件、税務以外の都政全般や国、他自治体の施策等に関するものが七千六百二十一件となっております。また、都税に関する相談では、固定資産税、都市計画税に関するものが五千三百八十七件と最も多く、次いで法人都民税、事業税に関するものが四千九百十四件となっております。
続きまして、過去三年間の税務相談等の受け付け件数の推移についてでございますが、平成二十六年度が一万七千百五十七件、平成二十七年度が二万三千五百四件、平成二十八年度が二万九千九百四十四件と増加傾向にございます。
○上田委員 これらの数字、実績を踏まえて、相談というのはリアルな内容を都民から受けるわけでございますので、今後、どのように主税局は対応していくのか、ご所見を求めます。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都政の税に対する関心は、従来にも増して高くなってきております。税務行政における説明責任もますます重要となってきているものと認識しております。
このため、主税局では、広報のみならず、都民から寄せられる相談、意見、要望、苦情などに対する広聴活動については丁寧かつ迅速に対応し、税に対する都民の理解と信頼を深められるように、積極的に取り組んでいるところでございます。引き続き、きめ細かな広聴活動に努めてまいります。
○上田委員 続きましては、寄せられた徴税事務への苦情の内容と対応につき、現状とそれに対する所見を求めます。
○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 徴税業務に対する苦情の内容には、税制度に対する不満や都が行う滞納処分に関する意見などが挙げられます。
これらの大半につきましては、職員の対応により、その場にてご理解を得ているところでございまして、また、必要に応じて主税局内の関係部署とも緊密に連携を図るなど、相談者に納得していただけるよう、丁寧、適切に対応しているところでございます。
引き続き、丁寧できめ細かな納税者対応に努めるとともに、相談等で得た都民の皆様の声を真摯に受けとめ、今後の業務運営や広聴活動に生かしてまいります。
○上田委員 昨今では、ネットオークションが詐欺事件になるほど普及している状況ですが、今日的なよい取り組みで成果につながっていることは頼もしい限りでございます。
債権回収に至っても涙ぐましい各局の奮闘が目に浮かぶようでございます。主税局が引き続き後方支援をしていただければと思います。
税務相談は、徴税業務のまさに入り口ですから、相談者の情報は、納税に至るまで参考にし、支払う側の要望も受けとめ、適正納税へ帰結することをお願いしたいと思います。
次に、税の推移の展望です。
平成二十九年度の都税収入における法人二税の占める割合は約三四・四%、法人二税は景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定な形で増減を繰り返すため、今後の税収動向を慎重に見きわめながら適切な財政運営をしていくと、何度もご説明をいただいております。
しかし、小池百合子知事は、六月九日の定例記者会見で、アジアの金融ハブを目指す国際金融都市構想の骨子を正式に発表、金融とITを融合したフィンテックの先端企業や新興資産運用業者などの外資誘致の促進に向けて、都税の法人二税軽減の検討を盛り込みました。
これはアジアの金融ハブを目指す改革としてはぜひとも進めていただきたいところでありますが、主税局としては、国際金融都市構想によって法人二税が軽減することによって、法人二税にかわり得る税財源の見込みと対応状況について、私も気になるところでございますので、財政当局との協議の状況も踏まえてご説明ください。
○副島税制部長 国際金融都市東京の実現に向けました対応状況についてでございますけれども、これまで都では、国内外の金融の専門家等により構成されます国際金融都市・東京のあり方懇談会を設置いたしまして、金融の活性化に向けた課題と、その解決に向けた抜本的対策について幅広く議論してまいりました。この懇談会から、ことし十月に最終取りまとめが報告されたところでございまして、この取りまとめをもとに、この秋に都としての最終構想を公表する予定と聞いております。
なお、金融産業の活性化に向けました政策税制の活用につきましては、公平性とのバランス、経済効果、他の支援措置との役割分担などを十分に踏まえながら今後検討してまいります。
○上田委員 さきの衆議院議員選挙では、企業の内部留保に課税する政策の是非が問われました。この課税政策には、著名経済学者から一斉の批判の声が上がったことも耳目に新しいところです。国際金融都市とするのにこのような政策を打ち出しては、一気に外資系は東京を選択の外にすることと考えられます。
今後は、この国際金融都市・東京のあり方懇談会の最終報告は今後公表されるということでございますので、問題点を明確に記載し、世界標準の経済学的理論に即した税政策のもと、国際金融都市構想を着実に進めていただくことを望むものでございます。
最後に、税務政策のグランドデザインと経済財政政策との連関についてお尋ねします。
先ほど、税制の歩みにてご答弁いただきました財務局の事務事業質疑にて確認しましたが、都は、二〇一七年に、東京の社会保障関係費が年平均で三百から四百億円のペースでふえ続け、二〇三八年には十五年度より七千億円以上多い一兆七千三百三十二億円に膨らむとの推計が委託した監査法人によってまとまりました。
平成二十七年度の決特第一分科会において、膨らみ続ける社会保障関係費について質疑し、このままでは二〇二八年には、法人二税イコール福祉となると私も指摘をさせていただきまして、こうした答弁にも、課題に的確に対応するため、事業評価の取り組みにより一つ一つの施策の効率性や実現性を高めるとともに、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用するなど、将来を見据えた財政運営を行うとしています。今後、税政策と経済財政政策の強固な一体的取り組みが低成長社会については不可欠と考えるものでございます。
先ほど来、議論をされました不合理な偏在是正措置には、四千六百億円、五百億円ともいわれる都の税収が召し上げられるというような状況にございまして、最後に、今改めまして税制の地方分権化も含めた局長のご所見をお聞かせください。
○目黒主税局長 地方分権の目的は、住民に近く、より効果的な行政サービスを提供できる地方自治体が、地域の実情に応じ、みずからの責任と財源において自主的な行財政運営を実現していくことでございますが、現状におきましては、歳出における国と地方の比率が四対六である一方で、租税収入における国と地方の割合は六対四と逆転してございます。
このような状況下にありましても、都におきましては、課税自主権を活用し、大都市特有の財政需要に対処するため、法人事業税及び法人都民税の超過課税を実施し、さらに国際都市東京の魅力を高め、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、法定外目的税として宿泊税を創設するなど、自主財源の確保に努めてきたところでございます。
しかし、現行の地方税制は、地方税法で税目や税率等が細かく定められておりまして、地方が独自に定めることができる余地は極めて小さく、必要な財源を課税自主権の活用のみで確保することには一定の限界がございます。
地方の真の自立のためには、地方が担う事務と責任に見合うよう、国と地方の税財政制度を抜本的に見直し、地方税財源の充実を目指すとともに、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することが重要であると認識してございます。
○上田委員 ありがとうございました。本当に泣き面に蜂といいますか、千二百万人を抱える日本最大の都市であります東京におきましては、世界における日本といいますか、日本における東京は、何かこうジャイアンにお小遣い召し上げられるのび太君のようで、本当に苦労がしのばれるというふうに局長の問題意識を共有させていただき、安心をいたしました。
また、タックスヘイブンで、新たにパラダイス文書の件も報道されております。先ほど指摘させていただいたように、これほど世界の金融は、税制をインセンティブに、そしてセンシティブに動くのでございます。
世界を牽引する東京とするためには、局長がおっしゃるように真の地方の自立が必要であります。そのために、地方分権の理念のもと、課税自主権を強化し、地方が担う事務と責任に見合うよう、局長旗振りのもと、東京都が率先して、国にイニシアチブと都の税金を奪われることなく、安定的で持続可能な地方税体系の構築を牽引していくことを強く望みまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○小松委員 今、局長からも、都における税制のあり方についてのご所見をいただきました。
私の方からもそれに関連して、都税調について、そして政策税制について伺いたいと思います。
先日の総選挙を踏まえて、消費税の増税分の使い道のことであったり、また、地方消費税の清算基準であったり、来年度の税制改正に向けて、国の方でも、この税の議論が高まりつつあるなというふうに思っております。
そこで、やはり都の税制のあり方を検討されている東京都税制調査会について伺いたいと思います。
この設置要綱によりますと、東京都税制調査会は、地方分権の時代にふさわしい地方税制のあり方、国、地方を通じた税制のあり方等について検討することを目的として設置されたとあります。平成十二年当時、地方自治体として税制調査会を設置したのは、この東京都が初めてであったというふうに聞いております。また、詳しく全部を調べたわけではありませんけれども、今なお恒常的に、こうして機能させている税調があるというのもまた極めて珍しい例であって、これは東京都が大変、誇るべきことだというふうに思っております。
国では、議員だけの税調がありますけれども、この都の税調は、学識経験者、そして議員が一体となって提言を行う東京都税制調査会、これの発信力というのは非常に大きく、これまでもさまざまな場面で税制に大きく影響を与えてまいりました。
例えば、先ほどもお話出ていましたけれども、所得税から個人住民税への税源移譲や宿泊税の導入、そして最近では不燃化特区支援税制の導入などもこの都税調の提言が具体化されたものであるというふうに聞いております。
今年度は、三年を一期として検討を行う東京都税制調査会の最終年度となります。ことし、平成二十九年度の検討事項について伺います。
○栗原税制調査担当部長 平成二十九年度は、直面する税制上の諸課題に関することといたしまして、ふるさと納税を含む個人所得課税、地方消費税、資産課税などを中心に検討を行うこととしております。
また、真の地方自治の確立に向けた税財政制度等に関することといたしまして、地方自治体の自主、自立的な行財政運営のために必要な総体としての地方税財源の拡充と安定的な地方税体系のあり方などを中心に検討を行うこともしております。
○小松委員 事前に担当の課の方からも、この税調のあり方、そして今の運用についてもお話伺いました。これ短期的な、まさに顕在化した直近の課題についても、この潜在的な長期的な課題についてもあわせて検討されているというふうなお話を聞いております。
この都税調がつくられた平成十二年度の第一回目の税調での石原都知事の挨拶の中にも、やはり国の中長期といえば、七、八年から長きにわたっては二十年ぐらい、こうしたことを見据えていかなければいけないけれども、東京都はそれに手をこまねくのではなくて、率先してこの課題について取り組んでいくんだというかたい決意が述べられております。大変これは重要なことだというふうに思っておりますので、引き続きこうした志を踏まえて取り組んでいただきたいというふうに思います。
この税というのは、皆さん基本的にはすごく関心はあるんですけど、大変難しい話題でもありますので、なかなか詳しく知ることがないわけでありますけれども、一方で、都民の生活に直結する大変重要な問題であります。
時代の変化、そしてやはり思うのは、少子高齢化もそうですけれども、人口の構造の変化、そして今だと雇用の形態、こうしたさまざまな社会的な変化が絶えず今起こっているわけでありまして、それにうまく順応して税制を調整していく努力が求められているというふうに私は考えております。
国と地方の税財政制度にどのような問題があった、また、どう改善、そして修正をしていくべきなのか、この都税調の議論を通じて、都民に問題の所在が明らかになっていくということを願うわけであります。
さて、この少子高齢化の進行に伴って、東京都においては、医療、そして介護等の社会保障に関する経費が年間で約三百億円、または四百億円のペースで増加していくという試算が既に示されております。加えて、今後三十年間で数兆円もかかるというふうにいわれているこの社会資本ストックの維持更新、また、防災にかかわる財政需要、こうしたことについても、今後はさらにそれぞれ増加が見込まれているわけであります。
都民が安心して、希望を持って暮らせる社会を実現する、この思いは、都政に携わるここにいる我々全員の思いだと思いますが、一方で、行政サービスを十分かつ継続的に提供し続けていくため、また、役割と権限に見合った財源をしっかりと確保するということが同時に求められていることだと思います。
一方で、近年、東京都を初めとした大都市を富裕団体視化して、国による地方財源確保の問題を地方自治体の税収格差の問題にすりかえる、こうした議論があります。
地方法人課税については、平成二十八年度の税制改正において、地方法人特別税は廃止し、法人事業税に復元することとされましたが、一方で、消費税率一〇%の引き上げに伴い、法人住民税法人税割の交付税原資化がさらに拡大をされたわけであります。これらの不合理な偏在是正措置による都への影響、これは委員もお話しされていましたけれども、この平成二十年度から平成二十九年度までの累計で約二・二兆円というふうに見込みがあるというふうに伺いました。これらは本来であれば、東京都のさまざまな施策に充てるべき財源であります。都の重要なこの基幹税を国税化されるということは断じて許されるべきものではないというふうに思います。
こうした観点からも、次に、地方消費税の清算基準について伺ってまいりたいと思います。
この地方消費税は、少子高齢化が進む中で、地方が提供する行政サービスの財源を確保するという目的のもと、平成九年の消費税五%の引き上げ時に創設されたものであります。地方消費税の賦課徴収は、消費税と一体のものとして国が行っているため、ふだんの生活の中で意識することは余りないわけであります。そうした税でありますけれども、消費税の八%のうち一・七%分が、今、この地方消費税であって地方の重要な財源となっています。
地方消費税の税収は、平成二十七年度決算額で四兆九千七百四十二億円という大変大きな金額であります。各都道府県間で、消費に相当する額に応じて清算する仕組みとなっている、これが現行の制度であります。
この清算基準のあり方については、国において平成三十年度の税制改正に向けた検討が今まさになされております。そして連日、紙面をにぎわせているわけであります。
先日開催された財政制度等審議会の分科会においても議題として取り上げられていました。その内容は、消費額に応じた配分の比率を下げて、人口基準の比率を大幅に高めるなど、抜本的な見直しが必要といったものであったというふうに聞いております。人口の比率を大幅に引き上げるということは、大都市から地方への税収移転を意図するものと考えております。
しかしながら、清算基準は、あくまでも税収を最終消費地に帰属させるための指標であります。この点を無視した議論が行われていることについては、私も強い違和感を覚えるところであります。
加えて、消費とは関係のない基準で税を配分するということは、譲与税と変わりがなく、地方消費税を地方税として獲得してきたこれまでの、このたゆまぬ努力を無にするものといわざるを得ないと思います。
そこで、今年度の東京都税制調査会では、この清算基準のあり方が検討事項として既に取り上げられておりましたが、どのような議論が行われてきたのかを伺いたいと思います。
○栗原税制調査担当部長 都税調における議論では、地方消費税の清算基準の見直しにつきまして、地方財源として地方消費税の重要性を今後も高めていくのであれば、清算基準の信頼性を高めることが大事である、あるいは適切な統計の使い方を重視した改革を進めるべきとの意見がございました。
また、本来の地方消費税の考え方や、その消費の捉え方については、応益課税としての観点から、最終消費に応じた清算を行うという原理原則にできるだけ立ち返った考え方をしていくべきとの意見もございました。
○小松委員 こうした、今ご答弁いただきましたけれども、この都税調における議論というのは大変もっともな話だと思います。消費額と人口はイコールではないということは明らかな事実であって、消費という課税ベースに応じた客観的かつ合理的な基準という観点から議論を行うべきであると思います。
次に、地方消費税の清算基準の見直し議論に対する東京都の見解についても伺いたいと思います。
○副島税制部長 地方消費税の清算基準の制度趣旨は、最終消費地と税収の最終的な帰属地を一致させることでございます。人口の比率を高めるべきとの意見もございますけれども、統計により把握できない部分を補うための指標にすぎない人口の比率を殊さらに引き上げることは、清算基準の本来の趣旨からは逸脱するものと考えております。
清算基準を可能な限り経済活動の実態を踏まえたものとするには、客観的な指標を用いて基準の精緻化を図ることが不可欠でございまして、統計で把握できる範囲と統計の比率をあわせて高めていく方向で検討がなされるべきと考えております。
○小松委員 地方消費税の清算基準の見直しについては、国においても、慎重な検討がなされることを望むばかりであります。
さきに述べた地方法人課税や地方消費税などは、本来であれば都の施策に充てるべき財源であります。国が一方的に地域間の財政力格差の縮小という目的のために見直すことには合理的な理由は見つかりません。
一方で、国、地方ともに財政状況が厳しい中、このような傾向は今後も続くことが想定されます。今後、都税調の果たす役割というのは一層大きなものとなります。
そこで、今後、東京都税制調査会に求められる役割についてどのようにお考えか伺います。
○目黒主税局長 東京都税制調査会では、これまで、都が直面する諸課題への対応はもとより、将来世代の利益をも踏まえた中長期的な課題に対して、東京都という一自治体の立場にとどまることなく議論を重ね、地方全体の立場から地方税財政制度のあり方について提言を取りまとめていただいております。こうした都税調の提言は、都の主張の理論的裏づけとなるものでございまして、極めて重要なものだと認識しております。
これまでも、都税調の提言をもとに、所得税から個人住民税への税源移譲の実現や法人事業税における外形標準課税の導入など、都が発信してきた地方税財源の充実への取り組みは着実に成果を上げてまいりました。
一方、依然として地方自治体の責任と役割の大きさと権限及び税財源の配分との間には大きな乖離がございます。少子高齢化の進行に伴い、特に社会保障分野において、地方自治体の役割はますます大きくなります。必要な行政サービスを十分かつ安定的に提供していく上では、地方税財源のさらなる充実が不可欠でございます。
主税局としては、今後も都税調を活用するとともに、地方分権に資する税制度の確立、地方税財源の充実に向けて全力で取り組んでまいります。
○小松委員 これまでのやりとりの中で、さまざまな、国とのやりとりの中で対峙する部分が非常に多い。国や地方と対峙する、こうしたことが都の宿命とされているんじゃないかなというふうに思うわけであります。
そのためには、国や地方と対峙していくためには、やはり都が見解を一にして、一つにしてやはり向き合っていかないといけないなというふうに思っております。そういう意味では、この都税調であったり主税局がしっかり議論をしてリードしていただきたいというふうに思います。
税に限らず、さまざまな分野で、知事や顧問がメディア等々で発言されるときに、しっかりとそのコンセンサスがとれないまま発信されることがこの一年間幾つかあったわけであります。国や地方としっかりと議論を進めていく中でも特に大事なこの税制度についてのあり方については、ぜひこうした慎重に臨まれていただきたいということを要望したいと思います。
次に、個人都民税の一〇%減税について伺いたいと思っているんですが、これは、我々都議会自民党が、七月の東京都議会議員選挙におきまして打ち出した政策の一つであります。それに先立って、高木けい前都議が代表質問で取り上げた分野であります。
平成二十九年度の予算編成に当たって、我々都議会議員の議員報酬の削減など率先して議会も取り組んで、七百二十億円もの歳出削減が行われたわけであります。その成果を直接都民に還元するということは、この改革の成果を都民に体感してもらうことにつながるのではないかという思いから、我が党では、二千億円の特別支援プログラムを打ち出したわけであります。その中の一つが直接、都民生活と都民福祉の向上につながる個人都民税の一〇%減税という提案でありました。
本年の第一回定例会において、高木議員が代表で小池知事に質問させていただきました。知事の方からは、改革の成果は政策という形で還元をしているということ、そして高額所得者ほど減税額が大きくなる、個人都民税が課されない方々には効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものというふうにご答弁をされました。
我々は、この個人都民税一〇%減税すると消費拡大の呼び水になるのではないか、そしてGDPの押し上げに寄与できるのではないかという考え方であります。
例えば、これは東京都産業連関表等によって我々が独自に算出したものでありますけれども、二千二百億円もの経済波及効果も期待できるのではないか、そして一万九千人規模の雇用創出効果も期待できるのではないか、国税、地方税合わせて三百八十億円の税収効果も見込まれるのではないか、そうした考えからであります。
同様に、名古屋市の方では、現在、住民税の五%減税というものを行っておられますが、東京都においても、この個人都民税の減税について、具体的に検討を行うべきなのではないかなというふうに思いますが、改めて都の所見を伺います。
○副島税制部長 さきの都議会第一回定例会におけます知事答弁の繰り返しになりまして、まことに恐縮でございますけれども、個人都民税の減税につきましては、高額所得者ほど減税額は大きくなる一方で、個人都民税が課されない方々には効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識しております。
具体的に申し上げますと、高校生の子を一人持つサラリーマン世帯をモデルケースといたしまして、個人都民税一〇%減税を行った場合の効果についてでございますけれども、例えば、年収が一千万円の場合は、都民税の減税額は二万一千五百円になりますけれども、年収が五百万円の場合は、減税額が七千百円というふうになりまして三分の一以下となります。また、ただいまのモデルケースにおきまして、年収二百六万円未満の方につきましては住民税が課されていないため、恩恵が及ばないということになるところでございます。
○小松委員 同時に、この二千億円プロジェクトの中では、個人だけではなくて企業、特に中小企業に向けての税制の政策も訴えたところであります。これがまさに事業所税の五〇%減税という提案であります。
ご存じのとおり、東京の経済をより活性化するためには、企業の前向きな投資活動を促進し、いかにそういう政策をつくっていくかということが大事だと思います。地域住民の雇用の確保に積極的な企業の負担を軽減する必要がある、そうすることで東京の経済の発展につながるものと、そうした思いからこのプランを考え、提案をしているところであります。
そのためには、中小企業の税負担をいかに軽減するかということが重要であると思います。二十三区や都内の一部の市では、一定規模以上の事業所等に対して事業所税が課され、特に中小企業にとって負担になっていると考えられております。
まず、この事業所税の概要、そして都の税収規模について伺いたいと思います。
○副島税制部長 事業所税は、昭和五十年度に創設された目的税でございまして、人口三十万人以上の都市等が都市環境整備に必要な財源を確保するために課されるものでございます。
事業所税は市町村税でございますけれども、特別区内におきましては、都税として都が賦課徴収を行っております。都内では、都のほか武蔵野市、三鷹市、八王子市、町田市において課税を行っております。
都の事業所税の税収規模でございますけれども、平成二十九年度当初予算ベースで約一千三十二億円でございます。
○小松委員 こちらも、我が党の試算によれば、事業所税を五〇%減税することで、事業所税自体は減収をしますが、九百億円規模の経済波及効果や六千人規模の雇用創出効果が生まれ、国税、地方税合わせて百四十億円程度の税収効果が見込まれるというふうに試算をしているところであります。
これ調べてみると、例えば、群馬県前橋市などにおいては、この事業所税の二分の一の軽減措置を現在実施されているようであります。類似のケースがほかにも幾つかあるようであります。
このように、経済効果が期待される事業所税五〇%減税について、これもあわせて具体的に検討を行っていくべきではないかというふうに考えますが、都の見解を伺います。
○副島税制部長 事業所税の税率でございますけれども、地方税法上は、地方自治体が税率を変更できない一定税率とされておりまして、まず、独自に税率を変更することはできないものとなっております。
また、二十三区内の事業所の延べ床面積が一千平方メートル以下、合計従業者数が百人以下の事業所につきましては、納税義務を有さないこととするという免税点制度が設けられておりまして、中小企業の負担に配慮した制度設計がなされているところでございます。
お話のございました群馬県前橋市でございますけれども、事業所税の課税団体となった初期段階に限定した軽減措置といたしまして、段階的に六分の一ずつ負担をふやしていき、一定期間経過後には、本来の税負担を求める措置を設けたものと聞いております。この措置につきましては、税負担の急増を緩和することで、事業所税を制度として定着させるためのものと聞いておるところでございます。
〔発言する者あり〕
○小松委員 我々の提案に対しても幾つかハードルがあるということがわかったわけでありますけれども、知事がいうように、この改革の成果を政策で還元していくんだということについては大いに賛成をするものであります。
しかし、政策税制を有効に生かしていく、また、局長も先ほどおっしゃっていましたこの課税自主権の話もありますが、こうしたことをしっかりと有効に機能させることで展開のスピード、そして発展の速度が上がってくるものというふうに思っております。
今、宇田川委員からも声が出ていましたけれども、知恵をどうやって絞っていくのかということが問われていると思いますので、ぜひこの思考をとめずに、お互いに知恵を出し合ってこの議論を進められればいいなというふうに思っております。
最後に、農地保全についても質問をしたいと思います。
まず、私がこの農地保全で主張したいのは、今、東京都において、農地の重要性というのは、もはや産業振興の問題だけではないということであります。今、農業政策の話をすると、全部産業労働局さんがこれまで担当されていましたが、そういうことじゃないというふうに思っています。つまり、都市計画の問題であり、同時に税制の問題であるということであります。よって、農地保全の問題というのは、全庁的なまさに政策課題であると思います。そして、税が課題の一つである以上、主税局には、さらに主体的に問題意識を持ってやっていただきたいと思うわけであります。
この都市計画の問題というふうにいっているのは、例えば、世田谷なんかそうなんですが、高度成長期の時代に無秩序に都市計画がなされたので極めて狭い、緊急車両が入れない、そうした宅地が、まだたくさん残っているわけであります。東京都がこの木造密集地域の対応をとっていただいていますけれども、それで全てがかなうわけではありません。これは世田谷に限らない話だと思います。
一方で、もう少し大きな、バブル時代にあったドーナツ化現象、こうしたときには、逆にいえば、都心からかなり離れた地域の畑を一気に宅地化したわけでありまして、そこが今ゴーストタウン化しているというふうにも課題として出ているわけであります。
このように、やはりしっかりとこの農地の問題も考えていかないと、農地保全だけではなくて、まさに行政サービス全体にかかってくるのではないか、これを解決するためには、まさに税の問題をしっかり解消していかないといけないんじゃないか、そういう思いからであります。
国において、都市農業振興基本法ができて、ようやくこの税について言及されたわけであります。まさに今、具体的な議論がなされているというところであります。
一方、東京都では、昨年の事務事業質疑において他党からも質問がありましたけれども、関係局や区市町村、そして生産者団体と検討会を立ち上げて、効果的な施策を検討していますというふうに都からは答弁をいただきました、この現在の進捗について伺いたいと思います。
○副島税制部長 ただいま副委員長からご指摘がございましたとおり、都では、産業労働局におきまして、主税局を含む関係局や区市、生産者団体等と検討会を立ち上げまして、昨年度は四回開催いたしました。農地に係る税制を含めました効果的な農地保全策について議論を行ったところでございます。
この検討会での議論も踏まえまして、本年五月、都は、東京農業を取り巻く社会情勢が変化する中、将来を見据えた実効性ある農業振興施策を展開していく新たな東京農業振興プランを策定したところでございます。
本プランにおきましては、東京農業が抱える問題に、後継者不足や相続税の重い税負担などがあると指摘しておりまして、貸借された生産緑地に対する相続税納税猶予制度の適用などの税制度の改善も図る必要があるといたしておりまして、産業労働局より国に対して提案要求をしているところでございます。
○小松委員 繰り返しになりますが、最後に申し上げたいと思いますが、これ決算委員会のときにも、主税局さんにはお話をさせていただきました。この農地保全にまつわるテーマについては、ぜひ都税調の方でも、これから二〇二二年の生産緑地の三十年の期限がやってくるに当たって、これからのまさに重要なテーマだというふうに思っておりますので、ぜひそれを念頭に入れていただいて、これから取り組んでいただきたいと思うんです。
全庁的な問題だというふうにいいましたが、畑がやはり急激に宅地化しますと、まさに行政サービスが極めて大きな影響を及ぼすということであります。保育園に入れないのみならず、地元の小学校にも入れないと、校庭がなくなって校舎だらけになってしまう。しかもそれは、未来永劫であればもとより、わずか十年か十五年間、子育て世代が急激にふえたその一時期だけに集中すると、そのような問題もあるんじゃないかというふうに思います。
また、長寿命化されてきているわけですから、高齢者の方に長生きしていただく、そうしたときに高齢者施設が非常に少なくて誰も入れない、サービスを受けられない、そうした行政サービスにも大きく影響すると思っているんです。
そうした意味で、秩序ある都市計画であったり、都の行政サービスの品質維持、こうした観点もこの農地保全のところには重要なテーマで入ってくるのだということで、これから検討していただきたいと思うんです。
こうしたことがさまざま絡み合って、都政の発展と都民の豊かな生活が実現するものと思います。これも全ては税につながってくるわけでありますので、主税局長を中心に、これからもぜひ東京都に知恵をいただいて、我々と闊達な議論をさせていただきたいということを申し添えて、私の質問を終りにさせていただきます。
○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○まつば委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時七分散会
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