財政委員会速記録第十四号

平成二十九年十月十七日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長小松 大祐君
副委員長石川 良一君
理事おじま紘平君
理事増田 一郎君
理事曽根はじめ君
伊藤しょうこう君
うすい浩一君
藤井あきら君
清水やすこ君
いび 匡利君
上田 令子君
宇田川聡史君
長橋 桂一君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小室 一人君
契約調整担当部長五十嵐 律君
主計部長松川 桂子君
財産運用部長山根 恭子君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長永島 恵子君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長米今 俊信君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
会計管理局局長土渕  裕君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中澤 基行君
警察・消防出納部長吉野 孝行君
会計制度担当部長野口 毅水君

本日の会議に付した事件
理事の辞任及び互選
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)

○まつば委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、上田令子理事から、理事を辞任したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、申し出のとおり、上田令子理事の辞任は許可されました。

○まつば委員長 次に、ただいまの上田令子理事の辞任に伴い、理事一名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○藤井委員 委員長の指名推薦の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○まつば委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、おじま紘平委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、おじま紘平委員が当選されました。

○まつば委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、会計管理局長に土渕裕さんが就任されました。
 土渕局長から挨拶があります。
 土渕裕さんを紹介いたします。

○土渕会計管理局長 昨日十月十六日付で会計管理局長を拝命いたしました土渕裕でございます。
 まつば委員長を初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りまして、都の会計事務をつかさどる役割と責任をしっかり果たしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 挨拶は終わりました。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る九月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 今回要求のございました資料は、目次に記載していますとおり四件でございます。
 まず、一ページをお開きください。要求資料第1号、平成十四年度から平成二十八年度までの公金管理実績でございます。
 上段は、年度の資金平均残高を歳計現金等、基金及び準公営企業会計資金に分けて記載してございます。下段は、運用収入及び運用利回りを年度別に記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。要求資料第2号、官民連携ファンドの状況についてでございます。
 官民連携インフラファンド、官民連携再生可能エネルギーファンド、官民連携福祉貢献インフラファンドのそれぞれについて、年度別の都の出資額及び都の資金回収額を記載してございます。
 次に、三ページをお開きください。要求資料第3号、予算成立から決算認定までの流れでございます。
 予算成立後、会計年度中、出納閉鎖後のそれぞれの事務の流れを記載してございます。
 最後に、四ページをお開きください。要求資料第4号、官民連携ファンドの投融資案件についてでございます。
 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについて、投融資案件の運営会社、所在地、発電方式及び出力を記載してございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○うすい委員 それでは、トップバッターで質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
 まず、官民連携ファンド等について伺いたいと思います。
 我が党では、かねてより、再生可能エネルギーの普及や被災地支援等の観点から、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについて取り上げてきたところでございます。その実績等について質問をしたいと思います。
 まず、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドを設立した経緯についてお伺いをしたいと思います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、平成二十四年度に東日本大震災後の喫緊の課題である電力の安定供給等のために、全国を対象とし、官民連携インフラファンドを組成いたしました。
 平成二十六年度には、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等のために、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象として、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成いたしました。
 これらは、おのおのの政策課題に対応するため、民間の資金やノウハウを活用したファンドという手法を取り入れたものでございます。

○うすい委員 電力の安定供給や再生可能エネルギーの普及という政策課題の実現のための官民連携ファンドとのことでございますけど、これまでの発電所への投融資実績、特に、東日本大震災において被害が大きかった岩手、宮城、福島の被災三県に対するファンドからの投融資実績についてお伺いをしたいと思います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンドにおきましては、これまで十七件、約四十万キロワットの発電所へ投融資をしており、そのうち被災三県においては、福島県福島市の福島松川メガソーラー及び宮城県栗原市の栗原メガソーラーの二件に投融資を実施いたしました。
 官民連携再生可能エネルギーファンドにおきましては、これまで十一件、約十四万キロワットの発電所へ投融資しており、そのうち被災三県におきましては、福島県南相馬市の南相馬メガソーラーの一件に投融資を実施いたしました。この発電規模は約三万六千八百キロワットを予定しております。

○うすい委員 この二つのファンドが結成以来、東日本大震災の被災地も含め、着実に実績を積み重ねているということを理解させていただきました。特に、福島県南相馬市の南相馬メガソーラーへの投融資は、本年九月に報道発表されておりますけれども、発電規模も大きく、被災地への貢献という意味からも注目をしているところでございます。
 そこで、南相馬メガソーラーについて、その整備を通じて、被災地へどのような貢献が期待されるのかをお伺いします。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 南相馬のメガソーラーにつきましては、東日本大震災時の津波による被害を受けた田畑を事業用地として活用し、固定資産税の支払い等を通じた地域経済への貢献が見込まれるところでございます。また、原発事故により使われなくなった送電線を活用し、首都圏へ電力を供給することも予定しております。
 太陽光発電所の整備により、再生可能エネルギーの導入促進に加え、震災後の地域の振興と活性化に期待できます。

○うすい委員 南相馬のメガソーラーについては、被災地の地域経済への貢献が見込まれ、また、被災地の震災後の地域の振興と活性化にも期待が持てるということがわかりました。
 一方で、ファンドという手法を使っているわけですから、投融資を実行して発電所を整備する一方、整備した発電所が安定した収入を生み出し、その収入がファンドを通じて配当の形で出資者である都に適切に還元されることも重要であると考えます。
 そこで、ファンドからの資金の回収状況について確認するために、平成二十八年度における官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドからの都の資金回収金額及びこれまでの累積回収金額についてお伺いをします。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンドは、二十七年度までに約六億八千七百万円の資金を回収しております。二十八年度に約五億八千百万円を回収し、累積回収額は約十二億六千八百万円でございます。
 官民連携再生可能エネルギーファンドは、二十七年度に回収が始まり、約二千万円を回収しております。二十八年度には約二千三百万円を回収し、累積回収額は約四千三百万円でございます。

○うすい委員 官民連携インフラファンドについては、回収が大幅に伸びていること、また、官民連携再生可能エネルギーファンドについても、資金の回収が順調に進んでいることが確認をすることができました。
 ここまでは、主に投融資実績と資金回収実績について確認をしてまいりました。これまでも、我が党においては、都の官民連携ファンドは、発電施設の整備を通じて再生可能エネルギーを含む電力の安定供給に寄与するのみならず、投融資により地域経済の活性化に寄与することの重要性を主張してまいりました。引き続き再生可能エネルギーを含む発電施設整備に向けた投融資が進むことを期待したいと思います。
 最後に、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについて、これまでの評価と今後の取り組みについて局長にお伺いをしたいと思います。

○土渕会計管理局長 官民連携インフラファンドは、電力供給の安定化に貢献するとともに、発電所の整備を通じて東北地方の被災地支援にも貢献しています。
 また、官民連携再生可能エネルギーファンドは、再生可能エネルギー発電の普及促進と、こちらのファンドにつきましても東北地方の被災地支援に貢献しております。
 今後とも、発電所への投融資やその安定的な運営がなされ、都への配当が順調に行われていくことを期待しているところでございます。そのためにも、都としては、これらのエネルギーに関する二つのファンドにつきまして、引き続き運営監視に注力し、拠出した資金の回収を進めてまいります。

○うすい委員 この官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドは、政策目的の実現と同時に、拠出した資金の回収を目指す意欲的な取り組みであると受けとめています。
 都は、今後とも、しっかりとファンド運営の監視に努めていただくとともに、今の答弁にもあったとおり、今後とも、順調に資金が回収されることを期待して、質問を終わります。

○小松委員 私からも、官民連携ファンドについてお伺いをいたします。
 今の、うすい委員への答弁、また、要求資料にもございましたが、官民連携インフラファンドは、これまでに十七件、約四十万キロワットの発電所へ投融資を実施し、二十八年度には約五億八千百万円を回収、累積回収額は約十二億六千八百万円、そして官民連携再生可能エネルギーファンドについても、これまで十一件、約十四万キロワットの発電所へ投融資され、平成二十八年度は約二千三百万円を回収、累積回収額は約四千三百万円であるということが、それぞれ確認をされました。
 それでは、もう一つのファンドであります平成二十八年二月から開始された官民連携福祉貢献インフラファンドについては、どのような実績があるのか伺います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携福祉貢献インフラファンドは、子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備促進を目的として、平成二十八年二月に組成したものでございます。
 本ファンドは、一つでも多くの福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献という政策目的と資金回収目的を同時に実現することを目指しております。
 ファンド組成以来、投融資の実現に向け、プロジェクトの適地を探すとともに、福祉貢献型建物に組み入れる施設の組み合わせや、その収益性等の観点から検討を進めているところでありますが、現在、投融資には至っておりません。

○小松委員 この福祉貢献インフラファンドは、まだ実績がないということでありました。
 都のホームページによれば、東京都会計管理局は、官民連携ファンドの運用状況の監視等に取り組まれているというふうに書かれております。都が有限責任組合員として出資をしているこの三つのファンドについての目的を見ますと、それぞれ、官民連携インフラファンドについては、社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築と喫緊の課題である電力の安定供給に資するためとあり、また、官民連携再生可能エネルギーファンドは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを都内や東北地方などで普及拡大するためとあります。
 そして、今ご答弁いただきましたけれども、この官民連携福祉貢献インフラファンドは、都内における子育て支援施設や高齢者向け施設を含む福祉貢献型建物の整備促進、福祉関連分野における新たな資金循環システムの構築などを目的というふうに書かれてあります。
 当初、このインフラ整備、官民連携ファンドを組成されたときには、まさに東日本大震災の被災地支援であったり、地域振興などの大義があったものと認識をしています。
 改めて伺いたいのですが、東京都が官民連携ファンドを行う意義、そして目標というものはどのように認識されていますでしょうか。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携ファンドは、民間のみでは進まない領域において政策目的を促進するため、直轄事業や補助事業といった政策手法とは別に、行政と民間の連携による新たな政策手法としてパイロット的に実施しているものでございます。
 出資金を回収することにより、都の実質的な資金負担はゼロで政策目的の推進が可能であり、また、民間がちゅうちょしている分野に、都の資金を呼び水に民間の資金も合わせた形で事業を機動的に推進することが可能となっております。

○小松委員 民間企業等の、いわゆる資産運用、収益の最大化を目的としたファンドとは、今ご答弁いただいた、行政が担うこの官民連携ファンドというのは、やはり目的、意義が違うんだろうということが確認できたと思います。まさに、この政策課題に対応して、民間の資金やノウハウを活用する、この官民連携ファンドというものの意義とか目的や目標というものをしっかりと踏まえていかなければいけないなというふうに思います。その点を踏まえて質問を続けさせていただきたいと思います。
 このファンドの組成に当たって、運営する事業者の選定方法、そして評価基準などはどういった観点でされているのか、それぞれ伺いたいと思います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、三つの官民連携ファンド事業それぞれについて、事業の目的を実現するため、公募によりファンド運営事業者を選定いたしました。
 公募に当たりましては、都の政策目的及びこれに対応する投資方針を明確にした上で、運営事業者の経営の健全性や信用力、投資案件の発掘能力、投資案件の管理能力などを評価した上で、法律、会計、投資分野等の専門家から意見を聴取しながら審査を行い、選定をいたしました。

○小松委員 今の答弁で、都がこのファンド運営事業者の評価や選定をどのように行っているか確認ができました。
 では、それぞれのファンドの投資先の選定、いわゆる個別の案件については、この選択に都はどの程度関与されることができるのか伺います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本ファンド事業は、民間のファンド運営事業者が運営する民主導のスキームでございます。ファンド運営事業者が民間のノウハウに基づき、みずから投資対象事業を発掘、選定しております。
 一方、都は、出資者の一人として専門家の意見を聴取しながら、ファンド運営事業者が投融資に係る意思決定を行う機関にオブザーバーとして参加して意見表明を行うことができます。

○小松委員 ありがとうございます。つまり、個別の案件の選択について、都は直接的に指定をするような関与はできないということなんだと認識をしました。
 なぜ、この確認をさせていただいたかといいますと、一つには、このファンドを当然運用するわけでありますから、収益性とか事業継続性の確保、こういったことは大変重要だと思います。当然高度なリスク管理のもとで、この投資の意思決定を行える、そうした能力を有する事業者選定というのが極めて重要であるというふうに思いました。
 もう一つ、このことがより大事だと思っているんですが、やはり東京都がこの官民連携ファンドを行う意義、そして目標を見失ってはならないということの危惧であります。つまり、各ファンドのそれぞれの投資先が、東京都が出資している意義や目標と整合性がちゃんと図られているのかどうか、どのように担保されているのかどうか、当然事業が大きくなって件数がふえていくに従って、気づいたら当初の目的や目標とは投資先が乖離していたなどというようなことがあってはならないものというふうに認識しているからであります。
 都が、官民連携ファンドを具現化し、我が国の先駆的役割を果たすということは、今後のインフラ投資のファイナンス環境を整備する上で極めて意義がある。だからこそ、こうした危惧も払拭してほしいというふうに願うものであります。
 さて、インフラ投資でいいますと、規制や制度の変更であったり、長期的な需要予測や災害などの不確実性といった、投資事業にはさまざまなリスク要因があろうかと思います。東京都は、この事業リスクについてどのように捉えているのか伺います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本ファンド事業は、民主導のスキームであり、市場原理に基づき投融資を行うものであります。したがって、投資回収に関してのリスクは、当然存在するものと認識しております。

○小松委員 やはりリスクがある以上、先ほど申し上げた事業者選定というのは極めて重要なんだろうというふうに思います。
 平成二十七年度以降、会計管理局がこの官民連携ファンド事業を所管することになった経緯、それはこの事業が新たな取り組みであり、全庁的なノウハウの蓄積に向けたパイロット事業として位置づけられ、金融知識を有する職員が配置されているからと過去の質疑の答弁で理解をしております。また、それに伴って、この監視体制も強化すべく組織拡充をされたというふうにも伺っております。
 実績が着実に積み上がる中で、今後も、先ほど管理部長からもあった、ゼロにはならないこの事業リスク、それを最小化するべく、都は現在どのような施策を講じているのか伺います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、リスクを低減するため、ファンド運営事業者等の選定に当たって、専門家から意見を聴取しながら審査を行い、リスクを抑えるノウハウのある者をファンド運営事業者等に決定いたしました。
 また、本ファンド事業におきましては、出資を有限責任の形とすることで、都のファンドへの出資に対するリスクを抑制しております。
 加えて、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、ファンド契約において、都が優先的に配当を受け取り、出資金の毀損リスクを抑える仕組みを導入しております。
 さらに、都は、ファンドに対する質問権、検査権を確保しており、専門家の意見を聴取しつつこれを行使し、ファンドの運営状況を監視しております。

○小松委員 ただいまの答弁からもさまざまなリスク管理、そうした対策を講じていらっしゃるというようなことがわかりました。また、引き続き、その品質向上に向けて、さまざまな打ち手をぜひ研究していただきたいというふうに思います。
 引き続き、納税者である都民に対して説明責任を果たせるよう監視に努めていただくとともに、あの投資先ちょっとおかしいんじゃないか、そうした声が上がらないように、常に本来の、この設立のときの意義や目的に立ち返りながら、この貴重な事業を育んでいただくことを期待して質問を終わります。

○曽根委員 同じく、官民連携の三つのファンドの問題について、私からも質問させていただきますが、特に、資料の二ページにあるように、最初につくった官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについては、都の資金回収の実績があると。しかし、三番目の一番新しい福祉貢献インフラファンドについては、これを見る限り実績が上がっていないようなんですけれども、先ほど、運用実績がまだないという質問がありましたので、ダブりを避けまして、要は、なぜ実績が上がらないのかについて率直に都の考えをお聞きします。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携福祉貢献インフラファンドからの投融資については、地域のニーズに対応した子育て支援施設の整備に向け、収益性を確保しつつ用地を確保していく必要がございます。
 しかしながら、必ずしも区市町村に子育て支援施設設置の意向がある地域において、投融資候補地が発掘できないこともあります。その背景としましては、昨今の金融緩和の影響を受け、市場における不動産投資に対する意欲は旺盛な状況にあり、用地の確保は容易ではないという状況がございます。そのため、投融資案件の実現には相応の時間を要しているというふうに認識しております。

○曽根委員 ちょっと素人の私にはわかりにくい答弁だったんですが、つまり区市町村では、今、子育て支援施設、保育施設などについては、待機児童問題の解消を含めて、恐らく福祉で最優先で取り組んでいることは間違いありませんよね。そのためには、さまざまな方法が考えられる。当然、この福祉貢献インフラファンドについても何らかの検討の対象になったと思うんです。例えば自治体や、もしくは別の民間からの問い合わせがどれぐらいあったのかと、それから実際にこれ、検討したものもあると思うんです。
 たしか設立するときには、もう検討は具体的にできそうな、案件がありそうな話もあったんですが、どれぐらいの件数が、問い合わせや具体的な検討であったんでしょうか。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ファンド組成後、ファンドマネジャー二者は、投融資案件の実現に向けて、都内のさまざまな案件について検討してきたと聞いております。
 なお、具体的な件数につきましては、守秘義務の関係もありお答えすることは困難でございます。

○曽根委員 具体的な件数は答えられないとはいうものの、いろんなケースを当然ながら検討していますよね。何しろ実績が上がらなければ、ファンドマネジャーは報酬を受け取っているわけでしょう、これ、額は公開されてませんけど、報酬分が何年も何年も経てば、それは都も含めて民間も出資しているその額から削られていくわけですよね。全額回収は難しくなっていくわけです。
 したがって、これはファンドマネジャーが必死になっている問題だと思いますが、なぜ実績が上がらないのかという点で、先ほどお聞きしたように、区市町村が保育施設をつくりたい。これはもう最優先でそれぞれが取り組んでいると思いますけれども、その土地を確保するというときに、このファンドを使って土地を確保するという需要が民間にはないと、ここに一番大きな原因があると思うんです。
 その点でいうと、私たち共産党は、土地を確保する、例えば、都有地や国有地などの公有地の活用というのを申し上げましたし、民有地を活用するときも、こういうファンドの問題のほかにも、やっぱり東京都や自治体、国からの援助も必要なんじゃないかということも繰り返し要望してきましたけれども、こういう制度が充実すれば、何もこのファンドに頼らなくても、さまざまな支援の道を使って、保育施設、もしくは今後重要な問題になってくる介護施設などの施設はつくることができるわけです。
 最初は、たしか認可保育園だとか特養ホームは、何かその対象にならないような話があったかに、私、財政委員会で記憶があるんですが、今は認可保育園でも、特別養護老人ホームでも、これは対象になるんだよというお話になったようですけれども、それでも実績が上がらないというのは、こういうところに、やはりこの問題は、民間の市場ベースではなく公共の自治体などがもう優先的に支援をして、福祉施設というのは整備していく、土地の確保も進めていく、これがやはり一番なんだということを私は示しているんじゃないかと思います。
 問題は、今後なんですけれども、上の二つのファンドは一定の実績が上がっているから、直ちにやめろということはないでしょうけれども、官民連携福祉貢献インフラファンドについては、これは設立のときから、財政委員会でも、もろ手を挙げて賛成した会派は、たしか私、なかったと思うんですよ。ここに委員だった自民党の方も、かなり強い疑問を呈していたと思います、三年前ですけれども。そういう点からも、やはりいつまでも実績が上がらないようであれば撤退を検討しなきゃならないときが来ると思います。
 撤退の場合、都の出資はどうやって取り戻すのか。それからその場合、どういう考え方や基準をめどに、場合によっては考えなきゃならない、撤退ということも検討されるのかお聞きします。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ファンドマネジャー二者は、投融資案件の実現に向け、都内のさまざまな案件について検討しているところでございます。
 本ファンドは、民間の契約に基づくものであり、関係者全員の意思が一致すればファンドを解散することは可能な仕組みとはなっております。ただし、本ファンドは、都が子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備を目指すべくファンドマネジャーを公募し、組成したものであり、都としては、一日も早く第一号投融資案件が実現することを期待しているところであり、現時点におきましては撤退を検討しておりません。

○曽根委員 実は、三年前に、これ、福祉インフラのファンドを立ち上げようという話があったときに、都議会で当時私たちはもちろん反対しましたし、これは民間の市場ベースに乗りにくいんじゃないかという話は各党からあったと思います。
 ところが、翌年のちょうど今どきの秋の財政委員会の議事録を読み直しましたが、私ども共産党以外の各党から期待の声が寄せられているわけです。一年たって、いよいよファンドマネジャーも決まったと、引き合いも来ているような話もありました。そうすると、やっぱり各党期待しちゃうわけですよ。最初に疑問を呈したときのこの疑問をちゃんと受けとめてくれないと、あとはもう、一旦予算が決まって、ファンドマネジャーも選んじゃうと、これ、いくしかないっていうふうになっちゃうんですよ、だから最初が大事なんですよ。
 各党から疑問が出たということは、これは福祉の分野までは、このファンドの性格上難しいんじゃないかと、このときの議会が出した疑問にちゃんと十分検討していれば、これは今後やめるとしても、私、被害は免れないと思うんですよね。
 ファンドマネジャーゼロってわけいかないですよ、報酬がね。もちろんマネジャーとしての能力がどうだったのかとかいろいろあるでしょうけれども、しかし、東京都が主導して、ほかの出資者も募って、マネジャーを選んで、それでやっているわけですから、東京都の、やはり出資分の毀損は、三十七億余りを出資していますけれども、毀損は免れない。新銀行東京の例もありますけれども、これはそれほど大きくはないとはいっても、東京都にとっては、金額としては億単位になる可能性があります。
 そういう点では、こういうファンドという民間ベースの、本来やっている事業に東京都が公金を投じて行うということは、私は厳に慎重でなければならないということを申し上げておきたいと同時に、出資したお金については、都民への、いわば出資金を回収できるという見通しのもとに東京都が出したわけですので、できるだけ全額回収に全力を挙げると、絶対に損害を出さないという立場で、今後努力をしていただきたいことをお願いして、質問を終わります。

○上田委員 都政を私物化して前知事が退場をしまして、小池都政になりまして、都有財産は全てにおいて都民のものだということが明示をされました。こちらにいる皆さん、職員の皆さんも、この議事堂も、見えるものの全て都民のものだという意識でおります。
 この会計管理局が管理するものは、見えないもの、キャッシュですよね、お金、こちらの方の管理について、やはり私は着眼点を持って三点お尋ねさせていただきたいと思います。
 先ほど来、各委員の皆様からも官民連携ファンドについての期待と、そして不安な点の議論がなされてまいりました。電力の安定供給、再生エネルギーの普及、そして子育て支援インフラの促進ということを目的といたしました、鳴り物入りの官民連携ファンドでございます。
 しかしながら、ある投資プロジェクトをしたとき、そのプロジェクトを継続させるか撤退させるかは、先ほど撤退への懸念もありましたが、投資額と投資リターンを比較するものであります。しかし、官民ファンドにおきましては、投資リターンにどうしても、税金の事業でございますから、公益が加わり、投資プロジェクトの撤退時期の判断の正確性が鈍ってしまいます。
 なお、公益については、投資リターンのような、民間のような計算可能な数値ではあらわせられないのも特徴の一つであります。
 活用されている事業者の現状と評価、今後の展望、見通し、現状についてご報告をまずいただければと思います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 三つのファンドがございますが、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきまして、ご答弁申し上げたいと思います。
 官民連携福祉貢献インフラファンドは、都の資金を呼び水として、民間の資金とノウハウを導入し、子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献という政策目的と資金回収目的を同時に実現することを目指しております。
 これまでファンドマネジャー二者は、プロジェクトの適地を探すとともに、福祉貢献型建物に組み入れる施設の組み合わせや、その収益性等の観点から検討を進めてきており、現在も引き続き各プロジェクトに投資するに当たって、資金の回収を見込みながら取り組んでいるところと認識しております。
 都としては、ファンドからの投融資が一日も早く実現されることを期待しております。

○上田委員 私も、保育園待機児童をきっかけに議員になりまして、公益と、そして回収という、まさに、アブ蜂取らずにならないような管理を引き続きお願いをしたいと申し上げまして、次は公金管理に移りたいと思います。
 あと、皆様方には、こちら資料の方で二ページに、官民連携ファンドの状況について金額がしっかりと議事録に残り、公文書として残るこの現状の回収の状況を可視化してありますので、各委員の皆様におかれましても、今後のご議論にお使いいただければと思います。
 公金管理につきましては、資料の一ページ、取り寄せさせていただいております。こちらをごらんになりながら確認をしていきたいと思いますが、公金管理に当たっては、安全性の確保、流動性の確保、効率性の追求が当然求められ、これらを確保することこそが公金管理の三原則として、常に会計管理局も認識をしており、私もそういうものだということで見させていただいております。
 公金運用の責任は、知事及び会計管理者が負っておりまして、善管注意義務を果たさねばならないものですが、公金を毀損した場合の損失部分の補填方法などについて、実は法的な定めはありません。ゼロ金利時代に当たって、これまでの管理実績への評価と今後の課題、留意事項について、取り組み状況と課題認識を伺います。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十五年四月の日銀による量的、質的金融緩和の導入以降、極めて低い金利状況が続いており、公金の管理、運用環境としましては、現在も非常に厳しい状況が続いております。
 このため、近年の運用収入については、漸減傾向、いわゆる次第に減っていく傾向にありますが、よりきめ細かな預金設定や確実な利回り確保に向けた債券ポートフォリオの見直しなど、さまざまな工夫を凝らすことにより、減少幅は最小限に抑えることができたものと認識しております。
 今後につきましては、海外経済の不確実性などのリスクが見込まれる上、国内の金融機関につきましても、マイナス金利政策の導入により、本業である貸出金の利ざやが大幅に縮小し、中長期的にも収益力の低下が懸念されております。
 こうした状況を踏まえ、今後とも、最新の金融情勢の把握と公金の預け先に関する評価、分析手法の精緻化、専門家の知見の活用など、リスク管理体制のさらなる充実化を図り、安全性の確保を最重要視した上で流動性を保持し、公金の適切な管理に努めてまいります。

○上田委員 都の事業でございますから、チャレンジがしたくてもできないような状況であることは理解をするものであります。
 今、世界情勢も非常に危機感を持って動いておりますところですので、引き続きましての緊張感を持った管理体制を望むものでございます。
 そして、やはりお金全体の流れをしっかりと把握をする新公会計制度、これまで東京都は、制度を全国に先駆けて推進し、会計基準については、東京都方式、総務省方式の統一に向けての努力をされてきました。私ども江戸川区におきましても、いち早く導入し、東京都のご指導をいただきながら、東京都方式で推進をしているところでございます。
 その結果、総務省から統一基準が示され、ここのところ、この一期四年、私も確認をさせていただいておりましたが、本年、いよいよ各自治体において統一基準に基づいた財務諸表の整備がなされます。
 都のこれまでの、ほかの区市町村への取り組みや連携状況と課題、今後の見通しについてお示しください。

○野口会計制度担当部長 都は、新公会計制度の普及に努めてまいりました結果、都内自治体では、十の区と市がいわゆる東京都方式の制度を導入することとなりました。今年度、そのうち三十年度に運用を開始いたします都内三区、世田谷区、品川区、板橋区、こちらの庁内の検討組織に都の職員が出向きまして、確実な導入に向けて、会計基準やマニュアルの整備などの実務的な課題に対する支援を実施しているところでございます。
 また、昨年度から、総務省が示した統一的な基準を採用する自治体との間で意見交換会を開催しておりまして、昨年度は十二回、今年度は六回開催し、都内では対象となる五十二の区市町村の六割強に当たります三十三の区市町村が参加したところでございます。都からは、決算実務に係る負担軽減策など、これまで培ったノウハウを生かしまして、円滑な制度導入に向けて助言をしているところでございます。
 こうした取り組みの中で、新公会計制度につきましては、導入後の活用が重要との認識が高まっていることから、引き続き財務諸表の整備や公表に向けた支援を行いますとともに、先行自治体の活用事例等の情報提供を進めることなどによりまして、都内自治体との連携を強化してまいりたいと考えております。

○上田委員 以上、公金管理のあり方、運用につきまして三点質疑をさせていただきました。
 最後は全て都民の血税を原資として賄われるものでございます。運用に当たりましては、引き続き透明性の確保を進め、よもや都民の共有財産を毀損したり、将来世代に負担を残してしまったりすることのなきよう、引き続きの取り組みを求めます。
 また、新公会制度につきましては、日本全国の導入事例の好例として、リーダーシップをとり、賢い収支管理の手段としての普及と、乾いた雑巾を本当に絞っている地方自治体、実は二十六市もそうだと思うんですけれども、財政改善に向けて活用ができるよう、引き続いてのサポート、節税意識の向上への貢献を期待いたしまして、私の会計管理局への事務事業質疑を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私から、自治体決算のあり方について、会計事務を統括する会計管理局にお尋ねをいたします。
 会計管理局の事業概要を見ますと、会計事務の柱の一つに決算事務があります。その中ではこのように書いてありました。
 決算は、一会計年度内の歳入歳出予算に対する実際の収支を明らかにした実績表である、決算の役割は、議会や都民に対して、予算の執行を通じて行政目的が効果、効率的に達成されたかを検証するための判断材料を提供すること、そして、その結果を次年度以降の予算編成につなげるなど、行政運営に的確に反映させることであるとありました。
 第三回定例会において、各会計決算特別委員会並びに公営企業会計決算特別委員会が設置をされ、今週から質疑が始まりますが、決算の目的と意義を各局質疑の前に明らかにしていくことは重要であります。
 さて、民間企業における決算は、損益状況や財政状況を把握するために実施され、その結果は、株主などの出資者や債権者などに報告されます。そして、把握した情報に基づき、今後の企業戦略に結びつけていきます。
 一方、自治体における決算は、収益を上げることを目的とはしていないため、そもそもの考え方は民間企業と異なっております。会計年度の歳入歳出予算の執行を明らかにすることにより、計算に間違いはないか、支出命令に符合しているか、収支は適法であるかなど、議決を受けた予算が適正に執行されているかどうかを確認することであります。
 ここ十数年の間に、この議会での決算審議においても、一括方式であったものを分科会方式に変更して効率化を図るなど、取り組みを行い、また、決算の成果を次年度予算に確かに反映するために、議会提出時期を執行機関と調整した上で決算審査も前倒しをされたとお聞きをしております。
 それでは、東京都としてはどうであったのか、責任者が出納長から会計管理局長へ編成がえが行われたこともありましたが、会計管理局としての現在までの取り組み状況を改めてお伺いいたします。

○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 会計管理局では、説明責任を一層果たし、決算審査をより充実させるため、平成十八年度決算から、決算書等の法定決算資料だけでなく、全国に先駆け、複式簿記・発生主義会計に基づく財務諸表や年次財務報告書を作成し、議会に提出しております。
 また、決算特別委員会における決算審査の中で、各局の施策内容を多角的に検証できるよう、局ごとの財務諸表につきましても、各局が分科会に提出しております。
 さらに、こうした議会提出資料の充実に加えまして、決算の重要性に鑑み、都民に対して積極的に情報公開を推進する観点から、今年度より、決算に関する情報につきましては、二カ月以上前倒しをしてホームページに公開をいたしました。
 同じく今年度から、都民向けの財務諸表概要版において、制度導入以来の財務諸表からわかる指標を新たに追加し、公表するなど、都民への情報提供の強化に取り組んでおります。

○伊藤委員 ご答弁をいただきました。一年間の行政サービスの結果である決算について、さまざまな取り組みを東京都が行ってきたということは理解をできました。今後も、しっかり説明責任を果たしていくよう、不断の努力を要望いたします。
 次に、予算と決算の関係ですが、民間企業におきましては、利益追求が目的であるために、予算における事業の適正性よりも結果が重視されます。これは当然のことです。
 それでは、自治体における予算と決算の関係性はどうであるのか。限られた財源を行政目的に応じて、いかに効果、効率的に行政サービスに結びつけられるか、この予算統制が非常に重要であることはいうまでもありません。だからこそ、予算は、議会制民主主義の中で縛りをかけているのであり、二元代表制の大きな意義の一つであります。よって、次年度の予算編成に生かすべく決算審議を行い、目的達成を検証することは当然であり、決算の審議に対しても相応の重きを置かねばなりません。
 そこで、自治体の決算のあり方について、会計管理局の経験も長く、造詣も深い土渕局長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○土渕会計管理局長 自治体における決算の役割は、都民への説明責任を果たすため、予算として具体化された施策や事業を執行の観点からつまびらかにするものであり、ただいま、委員がご紹介いただきました事業概要に記載のとおり、議会や都民に対して、予算の執行を通じて行政目的が効果的かつ効率的に達成されたかどうかを検証するための判断材料を提供することであります。
 その役割をPDCAサイクルのこの一連の流れに当てはめてみますと、決算とはC、すなわちチェック、一会計年度における事務の評価に当たります。次に、その審査はA、すなわちアクト、予算執行の成果と課題を具体的に検証し、改善すべき点を明らかにすることに当たります。この決算における評価と改善を適切に行うことによりまして、初めてそれにより得られた教訓を翌年度以降の予算編成につなげ、施策や事業に的確に反映させていくことが可能になるものと考えております。
 このように重要な役割を持つ決算ですが、自治体など行政機関においては、民間企業と比較すると、予算の方を重視する傾向があるというふうに考えております。
 こうした状況も鑑み、当局はこれまで、決算審査において多角的な検証ができるよう、さまざまな参考資料を提出するとともに、都民の目にも都の予算執行状況や財務実績をわかりやすく提供してきました。
 具体的には、先ほど管理部長が答弁したとおり、財務諸表等を議会に提出するとともに、都民向けの概要版を公表するなど、さまざまな工夫や改善に取り組んできたところでございます。
 今後とも、予算、事業執行、決算、その検証に基づく改善、次年度予算への反映といったPDCAサイクルが有効に機能するよう、決算事務を総括する立場からその責任と使命を十分に自覚し、決算に対する意識の向上を図るとともに、決算資料について不断の改善を行うなど、円滑かつ十分な決算審議に取り組む決意でございます。

○伊藤委員 新局長としての決意も含まれた答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 決算とは、その審議から得られた検証結果を次の予算編成に確実に結びつけ、より効果、効率的な事業運営につなげる極めて重要な役割を担っています。同時に、執行の成果を都民に示す説明責任も負っています。新たな公会計制度や財務諸表もしっかり活用するとともに、今後も不断の改善に取り組まれるよう要望をしておきます。
 事業運営においては、コストのみを重視する余りに、安かろう悪かろうに決してなってはなりません。このことで不利益を受けるのは、ほかならぬ都民です。結果として行政サービスの低下を招くことがないように、我々都議会自民党は、今後もしっかりとチェック機能を果たしてまいりたいということを最後に一言申し上げ、質問を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○まつば委員長 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 今回要求のございました資料は、記載してございますとおり十二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、基金の一覧でございます。
 こちらは、各種基金の名称、根拠法令等につきまして、一ページから二ページにかけてお示ししたものでございます。
 続きまして、三ページをお開き願います。要求資料第2号、東京都入札監視委員会の開催状況でございます。
 こちらは、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における東京都入札監視委員会の開催状況を、三ページから五ページにかけてお示ししたものでございます。
 恐れ入りますが、六ページをお開き願います。要求資料第3号、談合情報検討委員会の開催状況でございます。
 こちらは、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における談合情報検討委員会の開催状況を、六ページから七ページにかけてお示ししたものでございます。
 八ページをお開き願います。要求資料第4号、都の用地購入の年度別推移(財務局契約分)でございます。
 こちらは、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における都の用地購入のうち、財務局契約分の推移をお示ししたものでございます。
 九ページをお開き願います。要求資料第5号、都有地の売却及び等価交換実績の年度別推移(財務局契約分)でございます。
 こちらは、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における都有地の売却実績及び等価交換実績のうち、財務局契約分の推移をお示ししたものでございます。
 一〇ページをお開き願います。要求資料第6号、都有地の無償貸与の状況(財務局契約分)でございます。
 こちらは、平成二十九年九月三十日現在における都有地の無償貸与のうち、財務局契約分の状況をお示ししたものでございます。
 一一ページをお開き願います。要求資料第7号、財務局所管の附属機関の委員報酬額及び開催等状況でございます。
 こちらは、財務局所管の附属機関の委員報酬額及び平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間における各附属機関の開催等の状況をお示ししたものでございます。
 一二ページをお開き願います。要求資料第8号、第二次主要施設十か年維持更新計画の進捗状況でございます。
 こちらは、平成二十七年度から平成三十六年度までの十カ年における概算の事業費をお示ししたものでございます。
 一三ページをお開き願います。要求資料第9号、各種基金の年度別推移(決算)でございます。
 こちらは、平成十九年度から平成二十八年度までの十年間における各種基金の推移を一三ページから一四ページにかけてお示ししたものでございます。
 一五ページをお開き願います。要求資料第10号、財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積でございます。
 こちらは、平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間における財務局所管の普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積をお示ししたものでございます。
 一六ページをお開き願います。要求資料第11号、財務局所管普通財産(土地)の活用実績(一般会計)でございます。
 こちらは、財務局所管の普通財産のうち、土地について、平成十九年度から平成二十八年度までの十年間における活用実績を活用方法別にお示ししたものでございます。
 一七ページをお開き願います。要求資料第12号、都内の公契約条例等制定自治体でございます。
 こちらは、平成二十九年九月二十二日現在、公契約条例等を制定している都内の自治体をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○おじま委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まずは、都有地の活用、これに関連した保育所等の整備について、何点か質問をさせていただきます。
 都有財産の利活用については、都の財政にとっても大きなテーマとなってまいりました。都有施設等総合管理方針の中でも、都政を取り巻く喫緊の諸課題に対応するためとしっかりと位置づけられております。
 一方で、都内の待機児童数、ことしの四月一日時点で八千五百八十六人、去年より百二十人ふえております。カウントの基準の変更による影響もあるので単純な比較はできないけれども、依然、東京では、多くの待機児童を抱えておるわけであります。
 こうした中で、都は、昨年九月の待機児童解消に向けた緊急対策を発表されました。これを踏まえて、保育所整備についても、都が保有する土地について最大限活用していくということで、全庁横断的な会議体として都有地活用推進本部、これが副知事をトップとして設置をされました。ここでは、未利用地の洗い出しを進めているところであります。昨年十月の財務局管理のものに続いて、本年二月からは全庁的にやっていただいております。その情報を区市町村に提供をしているということであります。
 特に、未利用都有地の情報提供--区市町村も保育所というと、それを建てる用地の確保に困っているわけでありまして、これを財産面からサポートをする効果的な取り組みであります。極めて重要なものと認識をしております。
 そこでまず、確認ということでお尋ねをさせていただきます。
 都はこれまでも、この未利用都有地について、区市町村に対しての情報提供はやってきたと伺っております。この都有地活用推進本部ができてから、今申し上げたこれまでとどう違うのか、これまでの情報提供のあり方とどのように違うのか、これをまず伺います。

○山根財産運用部長 東京都はこれまで、主に財務局が所管する普通財産の未利用地や都市整備局が所管する都営住宅等の建てかえに伴う創出用地について、それぞれ年一回、区市町村に情報提供を行ってまいりました。都有地活用推進本部では、この取り組みを拡充し、情報提供の充実強化に取り組んでおります。
 具体的には、保育所等として活用可能性のある都有地について、公営企業を含む全ての局等が所管する土地も対象に加え、これまでの三百平方メートルから、百平方メートルまで対象を拡大いたしまして情報提供をしております。
 さらに、これらの情報については、更新を年一回から年四回程度にふやし、きめ細かく提供するほか、都のホームページでも公開し、いつでも誰でも閲覧できるようにしております。

○おじま委員 対象が広がって情報量も多くなった、更新頻度も上がったということであります。
 一方、この本部ができて、取り組みが始まってから約一年でございます。先ほど触れました緊急対策、この発表当時の資料によると、これまでの都有地活用の取り組みだと、平成十五年度から二十七年度までの貸し付け実績、保育所としては公募ベースで十一件でございます。
 保育所なので、一朝一夕でできるものでないことは理解しておりますけれども、一方で、新しくできたこの本部における取り組みも、そろそろ成果が出てくるのではないかと期待をしております。
 そこで、都有地活用推進本部における全庁的洗い出しの取り組みと、これまでの情報提供の実績、また、情報提供した都有地の中でも保育所等の整備に向けて進捗をしているもの、動いているもの、この状況について伺います。

○山根財産運用部長 都有地活用推進本部では、全庁的な洗い出しに当たって、事務局である財務局から各局等に対し、それぞれが所管する行政財産を含め、可能な限り情報提供してもらえるように依頼しております。各局等においても、所管の都有地を幅広く調査し、活用可能性のある土地について精力的に洗い出しを進めました。
 その結果、これまで四回にわたり庁内十一の部局から二百四十六件の都有地を掘り起こし、区市町村に情報提供をしてまいりました。直近では、九月十五日付で、前回からの継続分二百二十八件に新規分七件を追加し、計二百三十五件の都有地の情報を区市町村に提供しております。
 こうした中、本年九月一日現在までで区市町村から保育所等としての活用の意向が三十三件示され、そのうち既に杉並区に情報提供した水道局の都有地で事業者が決定し、来年四月の開設を予定しているほか、平成三十一年度または三十二年度の開設に向け、区市町村から土地を借り受けたい旨の申し出も十一件ございました。
 今後とも、庁内各局等と連携を密にし、都有地を活用した保育所等の整備推進に向け、積極的に都有地の洗い出しを進めてまいります。

○おじま委員 現在、具体的に保育所の開設が予定されているものが杉並の一件、三十一年度、三十二年度の開設に向けて調整中なのが十一件、今後、順調に進んでいけば、これまでの過去の実績をすぐ超えられるということになるかと思います。成果につながるよう引き続き期待をしております。
 関連してでありますが、この保育所整備に向けた都有地の貸し付けに当たって、区市町村を介して事業者に貸し付ける転貸制度、これを導入されたようでございます。制度面からの新たな取り組みでありまして、まず、制度としてどのようなことなのか、導入後の活用状況についても気になるところでございます。
 まず、この転貸制度の導入、その狙い、これについて確認をさせてください。

○山根財産運用部長 これまで都有地を活用した保育所等の整備に当たりましては、都が直接公募を行い社会福祉法人等の事業者に土地を貸し付けてまいりました。そのため、区市町村の望む事業化の時期に必ずしも合わないなど、都有地を活用しにくい状況もあり、こうした中、一部の区市町村から、みずから事業者の公募を行うなど、より積極的に関与したいとの声もあったと聞いております。
 そこで、区市町村の適切な関与を条件に、事業者への転貸を前提とした区市町村への都有地の貸し付けも可能といたしました。これにより、区市町村が主体的に事業を組み立てることができるとともに、工事着工までの期間が短縮されるなどの効果が期待できると考えたものでございます。

○おじま委員 今ご答弁いただいたとおり、区市町村への配慮もありつつ保育所の整備を迅速に進めていく。その意味でも、これまでの直貸しより効率的であるということだと思います。
 一方、これについても、緊急対策に伴って導入された制度ということで、約一年が経過をしようとしております。この転貸制度について、区市町村からの具体的な活用意向、これがどの程度あったのか伺います。

○山根財産運用部長 本年九月一日現在で都有地活用推進本部の取り組みとして情報提供した都有地のうち、先ほどご答弁申し上げました事業者決定があった一件と土地を借り受けたい旨の申し出があった十一件全てで、区市町村から転貸の活用が要望されておるものでございます。
 加えて、都有地活用推進本部における取り組み以前から、区市町村に情報提供し、既に保育所等としての活用意向が示されていた土地等についても、同じく九月一日現在で転貸の活用が六件予定されておりまして、既に五件で地元自治体において事業者の公募も行われております。これらを合わせますと、本年九月一日現在までに、保育所等の整備に向け、計十八件で転貸の適用を予定しております。
 今後とも、都有地の全庁的な洗い出しや、きめ細かな情報提供などとあわせて転貸も有効に活用することで、区市町村の主体的な取り組みを支援し、都有地を活用した保育所等の速やかな整備につなげてまいります。

○おじま委員 計十八件ということで、この転貸制度導入の意義もまた大きいものと思います。今後も、この都有地活用本部の取り組みが具体的な成果としてあらわれて、ひいては都内各区市町村の待機児童解消に大きく寄与することを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、工業用水道事業についてであります。
 東京都における工業用水道事業は、地下水のくみ上げに伴う地盤沈下防止のために行った揚水規制の代替措置として整備がされて、昭和三十九年度より給水が開始されたものと伺っております。これまでの間、そもそもの地盤沈下対策はもちろんのことながら、東京の各種産業を支えるという観点からも大きな役割を果たしてまいりました。一方で、この事業には、現在大きな課題がございます。
 第一が、工場の都外移転などによって使用水量が大きく減少傾向にあること。昭和四十九年度がピークで三十五万立方メートル、これに比較して平成二十八年度、二万立方メートルでございます。ピーク時の十七分の一になっているわけでございまして、いわゆる需要が大きく減っております。それに伴って料金収入も大幅減、厳しい経営状況、赤字基調が長く続いてきているということでございます。
 第二が、事業開始が昭和三十九年度でございまして、五十年以上がもう経過をしていて、配水管などがもう老朽化をしていると、施設自体が更新期に差しかかっていることでございます。
 このような課題もある中で、平成九年度には、東京都工業用水道事業経営改善計画が実施されて、料金改定や合理化の経営努力も講じられてまいりました。大幅な人員削減もやったということでございます。
 しかし、依然として厳しい。今後、経営状況が好転するということもなかなか考えにくい、見通しにくい。一般会計からも二十八年度は六億ですか、毎年、何億の補填がされていて、これにより事業を維持している。そういう中で、施設の更新時期は間近の状況。これに関しては、包括外部監査でも意見をされた、事業の廃止も含めた抜本的な経営改革を判断しなきゃならない、その時期が迫っているということであります。
 こういう状況の中で、都は、この工業用水道のあり方について数年前から議論をしている。有識者委員会を設けて検討を進めておられるということでございますが、その具体的な内容について、これをまず伺います。

○松川主計部長 工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会は、水道施設はもとより、中小企業支援や法律、会計など、さまざまな分野の専門家を構成メンバーとして平成二十六年度に設置し、工業用水道事業のあり方について、専門的かつ中立的な立場から多角的に検討を実施しております。
 具体的には、工業用水道事業を取り巻く環境やユーザーへのアンケートなどによる実態把握、事業を継続、廃止した場合の課題やコスト試算など、抜本的な課題解決に向けてさまざまな観点から検討を行い、今後、事業の方向性に関する提言をまとめていく予定でございます。

○おじま委員 専門的かつ中立的な立場から検討ということで、いずれにせよ、事業の廃止も含めた抜本的な経営改革を検討されているなと思います。
 この検討に当たって、特に、そもそも事業を継続するのか廃止するのかの判断に当たっては、いずれにしてもコスト、これは避けて通れない重要な問題だと思います。
 そこで、仮に前者の継続案、施設を更新して事業を継続しますといった場合に、どの程度の経費が見込まれるのか、これを伺います。

○松川主計部長 工業用水道事業は、事業の開始から五十年以上が経過し、配水施設を初めとした施設全般の老朽化が進んでおります。例えば、配水管につきましては、総延長約三百四十四キロメートルのうち、約六割が法定耐用年数の四十年を超えており、その中でも、幹線である配水本管は九割以上が耐用年数を超えて使用されております。
 また、工業用水の浄水処理を行っている三園浄水場につきましても、電気、機械設備の多くが耐用年数を超えて使用されており、これらの老朽化した施設を更新した場合には、配水施設で約二千二百六十億円、浄水施設で約七十億円、合わせて約二千三百三十億円が必要であると見込まれております。

○おじま委員 継続の場合は二千三百三十億円が、まずは、この巨額の施設更新経費がかかることがわかるわけでございます。
 そもそもこの事業は、本来独立の会計でやっていて、一般会計からの補填とかではなく、独立で採算がとれるようにするというのが原則ですから、例えば、料金にこの二千三百三十億円の全額を転嫁することも理論上は可能ではあるけれども、ユーザーの負担を考えるとこれは現実的ではない。であれば、廃止、この選択肢についても考えなければならないわけでございます。
 しかし、この廃止の場合に問題となるのが、各種産業、ユーザーへの影響でございます。悪影響にならないようにどのように支援を行っていくか、ここが重要でございます。
 現行の料金は、上水道の料金と比べると安いわけでございます。ユーザーの多くも中小企業、これを加えてユーザーにとってのマイナスはフォローしなければならない、納得が得られるような支援策の構築が必要であります。
 また、そもそも事業が始まる発端であった揚水規制も重要なテーマであります。これもあわせて多角的に検討を進めていくべきだと考えます。
 仮に事業を廃止した場合、この支援策をどのように講じていくべきとお考えか伺います。

○松川主計部長 仮に事業を廃止せざるを得なかった場合のユーザーに対する支援策の構築に向けて、まずは、ユーザーや業界団体の意見、要望を丁寧に聞き取り、把握することが重要でございます。その上で、ユーザーの多くが中小企業であることを踏まえ、急激な経営環境の悪化を招かぬよう十分な経過措置期間を設けたり、きめ細かな支援メニューを構築していく必要がございます。
 こうした点に留意しつつ、有識者委員会における検討状況や提言内容も踏まえた上で、水道局、産業労働局を初めとした関係各局と横の連携を十分にとり、検討を進めてまいります。

○おじま委員 この工業用水道事業の当初の目的であった地盤沈下対策については鎮静化傾向ということで、これはもうほぼ達成をされていると考えております。施設の更新判断が待ったなしである状況を踏まえると、事業のあり方そのものの検討について集中的に行っていただいて、早期にこの方向を定めるべきと考えます。
 ただし、継続するのか廃止するのか、いずれにしても、各種産業、業界団体やユーザーの声には真摯に、丁寧に応えていかなくてはならない。特に、廃止の場合には、ご答弁をいただいたように、きめ細やかな支援策が必要になります。
 財務局はもとより、水道局、環境局、産業労働局、都市整備局、各局との連携調整をしっかりしていただきながら、しかるべき結論と、それに伴う対策を講じていただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
 最後に、入札契約制度改革についてでございます。
 これは都政改革の大きな柱の一つでございます。入札の競争性、公正性をこれまで以上に高めるための取り組みとして評価できるものと考えております。これは引き続きしっかりと前に進めていただきたいと思っております。
 一方で、この制度改革が公表されて試行が始まってからこれまでの間、事業者や業界団体からは、この改革によって中小企業の受注機会が減ってしまうのではないか、ダンピングが横行して、将来的には業界全体が疲弊してしまうのではないかといった不安の声もございます。我が会派の議員も、それぞれ地域でそのようなご意見をいただいているところでございます。
 いずれにせよ、この制度改革は、現時点では試行段階でありまして、これから検証を行っていくということでございます。丁寧な検証を行うとともに、こうした各方面の声にも真摯に耳を傾けていただいて、そこで見直すべきところがあれば見直しながら、よりよい制度にしていただきたいところでございます。
 さきに公表された実施方針の中では、六月の試行開始から半年程度が経過したところで、試行結果の中間報告を行うということになっております。私としても、この中間報告を受けて、それを注視して、より議論を深めていきたいと思っております。
 そこで最後に、この入札契約制度改革を実効性のあるものにして、よりよい制度にしていくためにどのように取り組んでいくのか、財務局長に意気込みを伺って、私の質問を終わります。

○武市財務局長 今回の制度改革では、豊洲新市場やオリンピック・パラリンピック競技施設の工事などで見られました一者応札で、かつ落札率九九・九%といった入札結果が都民に疑念を抱かせる可能性があるという、そういった問題意識のもとで、より多くの方に入札に参加してもらい、競争が適切に行われていることを誰の目にもわかりやすく示すことを主眼に置いて再構築をしているものでございます。
 もとより公共調達は、都民からお預かりした税金を原資としておりまして、競争性、公平性、透明性の確保などは大前提でございますけれども、お話にも出てきましたが、中小企業に関していいますと、中小企業の保護、育成でございますとか、過度な低価格競争の防止による品質の確保、さらには女性活躍や若手育成などの社会的要請にも応えていく必要がございます。
 入札契約制度は、こうしたさまざまな要素のバランスをとりながら、時代時代に適合させつつ、適切に運用していくことが重要であると考えております。
 これから実施をいたします今回の制度改革の検証作業の過程におきましても、第三者機関であります入札監視委員会のお力をおかりしつつ、さまざまな角度から検証を行うとともに、業界団体の皆様からもご意見を聞かせていただきながら、本格実施に向けまして、少しでもよりよい制度に近づけられるよう取り組んでいきたいと考えております。

○うすい委員 私からも、入札契約制度改革についてお伺いをしたいと思います。
 九州では、昨年は熊本地震がございまして、さらに、ことしの七月には北部豪雨によります大きな被害が出ています。また、東北の秋田でも本年七月の記録的な豪雨によりまして河川が氾濫をし、広い範囲で被害が出ました。地震や豪雨などが全国各地で発生しているこの現実を考えた場合、東京都の防災や減災にかかわる公共工事がおくれると、都民の安全、そしてまた安心が脅かされることになっていくと思います。
 前回の財政委員会で、入札契約制度改革の一者入札の中止については質問しまして、都からは、まずは希望者が一者とならないよう取り組むとともに、中止となった場合には、速やかに再発注を行うとの答弁を受けましたが、こうした自然災害への応急対応や早期復旧を行う公共工事は、人の生命にかかわる工事であり、おくれてはならないとも考えます。
 そこで質問しますけれども、一者入札の中止の制度は、都の入札契約制度改革の実施方針の中でも、一者入札を認めることも必要と考えると記載をされておりますが、試行を行う中で、この制度の課題や今後の見直しなどの方向性について、どのように東京都は考えているのかをお伺いしたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の制度改革におきましては、競争性が都民から見えにくい一者入札を中止し、入札の競争性、透明性を向上することを目的としているところでございます。具体的には、一者入札及び希望制指名競争入札におきまして、申請時に希望者が一者以下であった場合には、再発注を除き例外なく、以降の入札手続を中止しているところでございます。
 その一方で、事業の停滞による都民生活への影響を最小限に抑えることが重要だというふうに認識しております。お話の災害発生時の復旧作業のような緊急性を有する工事や、施工に当たって特殊な技術、機材などを必要とし、複数の入札参加者の見込みが低い特別な事情が考えられる工事などは、今後、試行結果の検証を通じ、一者入札中止のあり方について検討してまいりたいと考えております。

○うすい委員 都民の安全、そしてまた安心のためにも、事業の進捗に影響が出ないように、ぜひ検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、建設産業、とりわけ都内の中小建設企業は、インフラの整備、維持管理はもちろん、災害対策など、地域の守り手として大きな役割を果たしております。そうした中で、首都直下地震は、今後三十年以内に約七〇%程度の確率で起こるともいわれております。都の地域防災計画を見ましても、民間団体は、震災時に応急復旧業務を円滑に進めるため協力する役割を担っており、都内の中小企業が衰退しては、災害時に活動できる体制がなくなってしまうと考えます。
 公明党の代表質問を受けまして、知事は、制度改革の本格実施に当たっては、こうした役割を担う中小建設業者の意見を聞き、検討を進めるとの回答をされております。
 そこで、今後、入札契約制度改革の本格実施に当たって、中小建設業など、業界団体との意見交換を実施するとのことでございますが、具体的にいつごろ意見交換を実施するのかをお伺いします。

○五十嵐契約調整担当部長 入札契約制度をよりよいものにしていくために、発注者と業界団体との間で契約制度や工事技術に関し、意見や情報の交換を行うことが重要だと認識しております。
 試行開始前、四月から五月に実施した業界団体との意見交換では、さまざまなご意見をいただき、最低制限価格制度の適用範囲の見直しを行ったところでございます。例年、定期的に実施している建設業界団体の意見交換会は、今年度は一月ごろ実施する予定でございまして、この意見交換の中で、現在試行中の入札契約制度改革についての意見を伺うこととしております。
 さらに、一年間の試行の後に、本格実施の前にも、改めて業界団体との意見交換を実施し、中小建設業者を初めとした現場の声をしっかりと把握してまいりたいと考えております。

○うすい委員 入札契約制度改革には、都が現場の声をしっかり聞いて進めていくことを再度念を押させていただきます。
 ところで、入札契約制度改革については、中小企業の方から、JV結成義務の撤廃に関して見直しを求める声が聞こえていることも前回の委員会で話をさせていただきました。
 そこで、昨年度、平成二十八年度の財務局契約案件について都に確認をしてみたところ、中小企業とのJV結成を義務づけられており、もし新制度を適用した場合に、混合入札となる対象件数は百十三件あり、この百十三件には百五社の中小企業がJVとして参加していたことがわかりました。
 JV結成義務の撤廃は、入札参加者をふやす目的もあることはわかるのですが、JV結成義務の撤廃について悪い見方だけをするわけではないですが、現実として中小企業の方からは、JV制度の再考を求める声も少なくありません。
 大手と中小を組ませるJV制度によって、中小企業にとっては、ふだん経験できない歴史に残るような建設工事にかかわることができて、企業の社員の士気向上や誇りにもなっていたのではないかと考えます。
 そこで、JV結成義務の撤廃による中小企業の育成、それから人材育成や受注機会への影響をどのように考えているのかをお伺いしたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の改革では、大規模で技術的難度の高い工事に課してきたJV結成義務が、かえって入札参加の制約になっているのではないかという課題認識のもと、JV結成義務を撤廃し、JVでも企業単体でも入札に参加できる混合入札の制度を導入したものでございます。
 現在、財務局で試行中の混合入札における入札参加者数を見ますと、昨年度のJV案件と比較し増加傾向を示しているところでございますが、今後、事例を積み重ねていく中で、さらに検証を進めてまいりたいと考えております。
 一方で、地域経済を下支えし、災害発生時でも大きな役割を担う中小企業の育成や受注機会の確保は、これまで同様、重要な視点であるというふうに認識しております。
 試行に当たりましては、中小企業への影響を抑え、入札参加機会を確保するため、総合評価方式において、中小企業を含むJVを自主的に形成する場合に加点することや、一定の条件を満たした中小企業が単体で入札に参加することができるようにするなどの工夫を行っております。
 今後行う試行結果の検証作業の中で、入札参加者数の増加や中小企業の入札参加機会の確保の視点に加えまして、中小企業の人材育成や技術向上などの視点も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

○うすい委員 人口減少時代を迎える中で、中小企業を含む都内の建設産業が今後も持続的にその役割を果たすには、将来における担い手を確保していくことが重要であると思います。一者、九九%を改善することも大事なことですけれども、都民にもわかりやすい入札契約制度を構築し、事業者がより入札に参加しやすい環境を整備していってほしいと思います。
 今、答弁ありましたとおり、入札契約制度改革については、都の一層の努力を期待しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、宝くじについて伺いたいと思います。
 宝くじは、昭和二十年の発売以来、国民の間にも定着をしておりまして、よく夢を買う商品として、今日まで広く都民、そしてまた国民に親しまれてきたと思います。
 また、全国の自治体の貴重な財源として、東京都においても公園整備を初めとする公共事業など、さまざまな施策に活用されているところであり、さらに、昨今では、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会に対する支援にも、宝くじの収益から財源を確保していくことになっています。
 しかしながら、近年は、その発売の状況が減少し、東京都の収入も減少傾向にあります。
 そこで伺います。
 まず、宝くじの発売の状況と減少の要因についてお伺いします。

○松川主計部長 宝くじは、昭和二十年の発売開始以来、七十年以上にわたり、健全な娯楽として国民の間に広く定着しております。その発売実績額は、全国ベースで、平成十七年度に一兆千四十七億円と最大の売り上げを記録いたしました。しかしながら、その後は、一時的に売り上げが増加したことはあるものの、徐々に低減している傾向にあり、直近の平成二十八年度の発売実績は八千四百五十二億円となっております。
 その主な要因につきましては、購入者個々の経済事情のほか、娯楽の多様化などにより選択肢の幅が広がったことなどがあると考えております。

○うすい委員 売り上げが減少傾向であるという要因が、いろいろあるということが今示されましたけれども、宝くじ収入は、東京都を初めまして全国の自治体にとっても貴重な税外収入でありまして、幅広く活用される財源であります。全国の自治体でもこうしたことを意識して、収入確保に努めているところだと思います。
 今後も、東京都のさまざまな事業に貴重な宝くじ収入を活用していくために、全国の自治体と協力をしながら売り上げをふやしていく必要があると思います。
 そこでお伺いします。
 売り上げ向上のために、今後どのような取り組みを行っていくのかをお伺いします。

○松川主計部長 今後の売り上げを向上させる取り組みに当たりましては、商品の魅力向上に加え、購買層の拡充が必要であると考えております。
 商品の魅力向上におきましては、主力商品であるジャンボくじについて、賞金にめり張りをつけ多様なニーズに応えるほか、季節のイベントに合わせた名称への変更や、お祭り感のある広報宣伝などを行い、商品としてのイメージを高めてまいります。また、数字選択式宝くじにおきましては、ロト7の最高賞金額を十億円としたほか、本年四月より四年ぶりの新商品となるビンゴ5の発売を開始いたしました。
 購買層の拡充につきましては、手軽に買えることから宝くじの入門編として向いているスクラッチくじにおきまして、人気アニメのドラゴンボールを活用したキャラクタースクラッチを販売するとともに、スクラッチくじが毎週発売開始となるスケジュールを検討してまいります。
 加えまして、インターネットを活用したSNSによる発売初日イベントや抽せん会の情報を発信するとともに、インターネットによる宝くじ販売の拡充を検討してまいります。
 今後も、全国の宝くじファンの期待に応えられるよう取り組んでまいります。

○うすい委員 今答弁ございましたとおり、都民に対しては、宝くじが東京都にとって貴重な収入であるという理解をさらに広げる取り組みをまた進めていただくとともに、引き続き、宝くじが都民、国民に愛され、さらなる売り上げ向上につながるよう全国の自治体と協力をして、より魅力的な商品をつくり上げていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私から財務局関連について、テーマ二点について質問をさせていただきます。
 まず、都有地の活用についてお尋ねをいたします。
 財産運用部の概説といたしまして、公有財産の取得、管理、処分とあわせて保有財産については、一般競争入札等による売却を行うほか、事業用定期借地などにより利活用を図るとありました。都有地については、長い年月にわたり、時代背景や経済状況に鑑み、ある行政目的のため、取得や管理、売却など、さまざまな経過があったと思います。
 私の経験でも、今から二十年ぐらい前の話ですが、地元のある場所の、のり面の都有地の購入をしたいという陳情の相談がありました。当時、都の担当者の方に確認をしたところ、そこは一切売りません、売却の意思はありませんと回答をいただいて、その方にお答えをしたんですが、それから数年後、全く同じ場所が、都有地が売りに出されておりまして、相談者からお叱りをいただいた記憶もあります。要するに、時代によって都有地に対する都のスタンスも変化するということを実感しております。
 それでは、これまでの都有地の利活用の変遷のあらましは、どのような経過があったのか、お答えください。

○山根財産運用部長 東京都におきましては、バブル崩壊後続いた未曽有の財政危機への対応といたしまして、平成十二年及び平成十五年の二次にわたって、財産利活用総合計画を策定し、未利用地の売却等を進めてまいりました。その後、都財政は財政再建を達成し、平成十九年三月の地方自治法改正による行政財産の貸し付け範囲の拡大など、都有財産を取り巻く諸環境の変化に対応し、新たな財産利活用推進に向けた考え方として、平成十九年六月に、今後の財産利活用の指針を策定し、施策に連動した財産利活用の推進など、一層の財産の有効利用に取り組んでまいりました。
 最近では、平成二十八年九月の待機児童解消に向けた緊急対策に基づきまして、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、都有地活用推進本部を設置し、保育所等として活用可能性のある都有地を全庁的に洗い出し、区市町村に情報提供するなど、都有財産のさらなる利活用を進めております。

○伊藤委員 お答えいただきました。時代によって、東京都もお財布が厳しいときには資産を積極的に売ってしまう、少し余裕が出てくると、ほかの活用方法も考えよう、今、待機児童解消に向けていろんな施策を練ろうと。そういった、時代によって状況も変わってきているのかなと思います。
 それでは、続いて都有地の実態についてお尋ねします。
 財務局が所管する普通財産の都有地の数や全体面積及びその中で未利用地になっている都有地はどのくらいあるのか、確認のためお答えください。

○山根財産運用部長 平成二十九年三月末日現在で、財務局が所管している普通財産の都有地は、合計で二千九十六件、面積は約四百七十八ヘクタールでございます。
 この中には、戦前から借地権等が設定されており事実上の利活用が難しい長期の貸付財産や、保全緑地など保有すること自体を目的とする土地が含まれ、こうしたものを除いて未利用となっている普通財産は、平成二十九年三月末現在で、合計で三百二十件、面積は約百八十七ヘクタールでございます。

○伊藤委員 お答えいただきました。未利用となっていて、しかも使える土地といったらいいんでしょうか、ことし三月末で三百二十件、百八十七ヘクタールということで、東京ドームが約四・七ヘクタールですので、東京ドーム四十個分と面積でいえば広いということになりますが、三百二十カ所ありますので、都内各地に点在をしているんだろうと思います。これは土地の状況も異なり、また、財務局所管以外の都有地のケースもありますが、いずれにしても、未利用地の有効活用は、都民の貴重な財産の活用、そして管理のあり方なども重要なテーマであると思います。
 例えば、八王子の都税事務所は、京王八王子駅と極めて近い場所にありまして、コインパーキングとしても、特に土日利用者の方からは好評を得ているところであります。
 それでは、未利用地の有効活用にはどのように取り組んでいるのか。例えば、暫定的な利用がされている土地はどのぐらいあるのか、また、利用されていない未利用地はどのような状況にあるのか、お答えください。

○山根財産運用部長 庁内各局での利活用や区市町村などへの売却、貸し付けまでに一定の期間がかかることから、その間に駐車場や公共工事の資材置き場の用途などで一時的な貸し付けを行っているもの、また、住宅展示場としての貸し付けなど暫定的な利用に供している例がありまして、その規模は、平成二十九年三月末日現在で、合計で百二十二件、面積は約百六十一ヘクタールでございます。
 また、先生お話しの八王子都税事務所のように、行政財産の貸し付けという手法を利用した財産利活用にも取り組んでおります。
 なお、残りの未利用地につきましては、山林や狭小な不整形地、傾斜地などが多く、売却や暫定利用ともに困難という実態がございます。

○伊藤委員 利活用できる百八十七ヘクタールのうち百六十一ヘクタールが何らかの利用をされているということで、残りは土地の形状や余り使えないと、事実上使えない土地ということなので、かなり未利用地も活用しているのかなというふうに思います。
 さて、財務局の所管ではありませんが、京王八王子駅のすぐそばに、旧繊維試験場跡地というのがありまして、八王子駅と京王八王子駅を結ぶ放射線沿いで一番人通りが多いところに面した抜群の立地条件にあります。ここは産業交流拠点を含む都の合同庁舎の整備が間もなく始まりますが、更地となってからかなり長い間未利用の状態であり、その間、地域でイベントで利用したいというようなときでも、なかなか東京都は貸してくれず、ハードルが高く、駅前の一等地であるのにもったいないなと感じておりました。
 それでは、そもそも都有地の活用のルールや方針というのはどうなっているのか、お答えください。

○山根財産運用部長 未利用財産の利活用の検討に当たりましては、原則として、まず、都の行政施策としての利活用を検討し、次に、庁内で利用の意向がない場合には、地元区市町村に情報提供をしております。その上で、区市町村における行政需要もなく、都にとっても不用と判断した場合には、競争入札による民間への貸し付け、売却等を検討することになります。
 狭小地や不整形地といった活用の難しい土地については、隣接の地権者に売却交渉するほか、宅地として活用可能な土地は、競争入札により売却をしております。
 なお、先生お話しの八王子市明神町の旧産業技術研究所八王子庁舎敷地、これはその以前は、旧繊維工業試験場であった土地でございますが、これについては、地元市との丁寧な調整、協議を経て、産業交流拠点、合同庁舎等の整備に向けて、現在、計画を進めておると聞いております。

○伊藤委員 原則として、未利用地はもちろん都有地ですから、東京都で使えるかどうかを検討して、そうでない場合は、市区町村でいかがですかという情報提供をしていると。それでも需要がない場合に、しかも都にとって不用な場合には、貸し付けとか売却を検討すると、そういうルールになっているということでありますが、ちょっと所管が違いますが、財務局さんは東京都の財産を管理運営する意味では、他の部局にも影響があるんだと思いますので、多少柔軟性を持って、地元で、しかも地元市とか間に入って使うときには、柔軟性を持った対応も考えていただきたいなと思います。これは指摘をさせていただきます。
 それでは、都有地の実態、利用のルールを確認しましたので、今後の未利用地の有効活用についてもお尋ねをいたします。
 先ほどの答弁にもありましたが、現在、待機児童の解消に向けた緊急対策に向けて、都有地活用推進本部を設置して、保育所などの整備促進に向けて情報提供しています。これはこれで、喫緊の課題への対応として必要性は理解をいたしますが、もちろん都有地の活用は、保育所整備の視点だけに限らず、都有地利用のあり方に取り組むべきことはいうまでもないことであります。
 例えば、地元では、八王子市の東浅川という場所の旧畜産試験場浅川分場というところは、二十五年間の事業用定期借地として民間に貸し付けています。このように、普通財産も行政財産も、最大限の活用を図ることは重要であると考えます。
 それと、先ほどの未利用地の活用のルールでお聞きをいたしましたが、現在不要である場合に、可能なものは売却という可能性が高いわけでありますけれども、一方で、今必要な需要のことも大事ですけど、中長期的に、今後、社会情勢がどのように変化をしていくのか、どんなニーズが発生するのか、都有地でも一等地にあって、一回売ってしまえば、これもう手元に戻らないわけでありますから、そういった中長期的な視野も取り入れてもいいんではないかと思います。
 時代の変化や都政を取り巻く課題に的確に対応することは重要でありますけれども、今後の未利用地の活用について、どのような見解をお持ちなのか、お答えください。

○山根財産運用部長 都有地は、都民からの負託を受けた貴重な財産であり、都政の課題解決のために最大限有効活用していくことが必要でございます。
 昨今では、特にまとまった規模の未利用都有地については、民間の開発意欲が旺盛であることなどから、売却によって一度手放すと、今後、行政需要が生じた際に再取得するのは難しいと考えられます。個々の都有地の立地条件、周辺の状況等も総合的に勘案した上で、将来の行政需要に備えて引き続き保有することも含め、都有地の効果的な利活用に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、二つ目のテーマ、入札契約制度についてお尋ねします。
 先ほど他の委員からも質問がありました。前回の第三回定例会の委員会の際にも、議案の審議で、この観点からも取り上げさせていただきました。
 今回、自治体の入札契約制度の考え方の変遷を改めて所管に確認をしたところ、大きな流れは以下のとおりでありました。
 昭和二十二年、地方自治法の創設により、競争性を最大限発揮させる仕組みができました。平成十一年には、自治法の改正により、総合評価制度の導入、平成十二年には、入札契約適正化法により、透明性向上に向けた取り組みの強化、平成十七年、品確法により、品質確保に向けた取り組み強化、そして平成二十六年、品確法改正により、インフラの持続的な品質確保と担い手の中長期的な育成、確保ということでありました。すなわち、戦後の最低価格自動落札方式から、品質、サービスの向上へと時代の要請や社会環境や経済動向の変化により入札契約制度も変遷をしてきました。
 我々都議会自民党は、この入札契約制度に関しても、都内の中小企業とその人材を育成することが最も大事なポイントの一つだと思っております。
 そこでまず、入札契約制度についてお尋ねする前に、確認のため、公共工事に対する都の認識をお尋ねします。公共工事で、都民生活に必要なさまざまなインフラを整備いたします。それでは、公共工事はどうあるべきと考えているのか、その大切さをどのように認識しているのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 都民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備する公共工事は、社会経済上、重要な意義を有しているというふうに認識しております。
 こうした公共工事の財源は、都民が納めた税金であることから、その入札及び契約に関しましては、都民の疑惑を招くことがないよう、その手続に適正性が求められていると考えております。
 それと同時に、社会資本が効率的に整備され、その機能が長期にわたって維持確保できるよう、適正な施工による高い品質が求められているというふうに考えております。

○伊藤委員 今、都の認識をお答えいただきました。
 さて、公共工事は、当然でありますが、都が直接現場を施工するのではなく、入札により民間事業者と契約を行い、対価を支払うかわりに民間事業者に施工していただきます。
 それでは、入札契約制度で、東京都が重視するポイント、要点は、どのようなものがあるのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 入札契約制度を考える視点としましては、競争性、公平性、透明性の確保とともに、品質確保のため、高い技術力や施工能力を有する事業者を選定することが重要と認識しております。
 また、さらに、中小企業育成、障害者雇用、女性活躍、環境配慮などの社会的要請にも応えていく必要がございまして、こうしたさまざまな要素のバランスをとりながら、社会経済状況の変化に対応した入札契約制度となるよう、制度改善に努めているところでございます。

○伊藤委員 東京都が契約制度で重視するポイント、お答えいただきました。
 それでは次に、ことし六月末から導入された新たな入札制度についてお尋ねします。
 この新たな入札制度については、先ほど他の会派の委員の方からもご指摘がありましたが、各業界から不安や不満の声が多数寄せられておりますが、今回の制度の変更点や意図の概要確認のため、お尋ねをいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の制度改革は、豊洲新市場や東京二〇二〇大会にかかわる施設の建設工事等について、一者入札、九九・九%落札のような入札結果があったことを踏まえ、都民に疑念を抱かせることがないよう、より多くの入札参加者を確保し、適正な競争により契約が締結されたことを都民にも見える形に制度を再構築し、入札の透明性を高めることを主眼として制度改正を実施したものでございます。
 具体的には、入札参加の促進等により、一者入札、九九%落札の抑制を図るため、予定価格の事後公表、JV結成義務の撤廃、一者入札の中止について制度改正を実施いたしました。
 また、競争性の向上とともに、低価格入札における品質確保や下請へのしわ寄せを防ぐため、一定規模以上の工事につきましては、低入札価格調査制度の適用範囲を拡大したところでございます。

○伊藤委員 ご答弁いただきました。
 それでは、具体的にまず、一者入札についてお尋ねをいたします。
 これは前回の委員会でも何点かやりとりしましたので、その質疑の答弁を参考に質問させていただきます。
 前回、一者入札を中止した理由を質問したときの担当部長の答弁は、以下のとおりでありました。
 都の入札では、電子入札を実施しており、入札参加者は開札されるまでほかに誰が入札に参加していることを知ることはできず、結果として一者入札になったとしても、潜在的に競争がなされていると考える、一方、入札の結果が一者入札で、かつ落札率が九九・九%であった場合には、その競争の過程が都民に見えにくいことから、都民に疑念を抱かせるおそれがあると認識している、そのため、今回の制度改革では、競争入札における契約の透明性、公正性を高めるため、案件公表時に参加希望者が一者以下の場合には手続を一度中止し、より多くの方に参加してもらえるよう参加条件などを再検討した上で再発注を行うとしたものであるということでありました。
 すなわち、要約しますと、電子入札による都の入札は、参加者は開札されるまで他の事業者の参加の有無を知ることができない仕組みのため、結果として一者入札でも、可能性として他者が参加できる状況にあるため、競争がなされているということでありまして、まさにそのとおりだと思います。
 つまり、競争の過程が都民に見えにくいから都民に疑念を抱かせるおそれがあるのは、入札に参加する事業者ではなく、都の説明不足にあるのではないかとも思います。疑念を抱かれないように、電子入札の仕組みをきちっと説明して、なぜ導入したのかをもっと説明する方が先決ではないかと、このように思いますが、都の見解をお答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 ただいまお話しのありましたとおり、電子調達システムを利用した電子入札では、たとえ結果として一者入札になったとしても、潜在的に競争がなされているものと認識しており、この点につきましては、これまでも、都政改革本部や都議会の場におきまして説明を行ってまいりました。
 しかしながら、公共工事は、都民の税金により行われるものでございまして、入札結果について、制度上の仕組みを説明するだけではなく、入札の経過についても都民にわかりやすく説明できることが重要だというふうに認識しております。
 予定価格の事前公表制度のもとでの競争入札におきましては、その潜在的な競争が都民にはわかりにくいことから、予定価格の事後公表や一者入札の中止等の制度を試行することといたしまして、競争過程を見える化することにより、これまで以上に都民の理解が得られるよう、見直しを行ったものでございます。

○伊藤委員 それと、もう一つお聞きします。
 一者入札で、かつ落札率が九九・九%であった場合には、都民に疑念を抱かせるおそれがあると認識しているなら、落札率何%なら疑念を抱かせることを防げるのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 落札率につきましては、適正な競争が行われている限り、落札率がたとえ九九%であっても適正であり、率が高いか低いかということ自体は問題ではないというふうに考えております。
 今回の制度改正の目的は、競争入札の過程が適正かどうかを都民が判断できるように見える化し、制度の透明性を高めることでございまして、予定価格の事後公表や一者入札の中止は、その取り組みの一つとして試行を行っているところでございます。
 したがいまして、落札率が何%以下ならよいというような考えは、都として持っていないところでございます。

○伊藤委員 そうしますと、制度改正前の一者入札も、電子入札で潜在的な競争もあり、また、落札率が高い低いかというのは、競争が行われていれば適正であり問題ないということなので、変える必要はないんじゃないかとそもそも思うわけであります。
 それでは実際に、制度改正後、六月末の公表以降の案件になりますが、一者入札の中止の状況はどうなっているのか、そのことにより、どのようなことが起きているのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止の状況でございますが、九月末時点におきまして、対象案件百六十八件に対しまして、三十一件が希望者一者以下で中止となっております。
 中止となった工事につきましては、入札状況を見直し、速やかに再発注の手続を進めておりますが、今後、中止後に再発注された案件の状況等も踏まえ、入札参加者や事業執行への影響等について検証を実施する予定としております。

○伊藤委員 そうしますと、実際に今、六月以降で約五分の一が一者入札以下で中止と、こういう実態だということであります。
 前回も指摘をしましたが、たとえ特殊技術や施工能力など、いろんな要件によって、どうしても随意契約や特命で一者入札となる場合には、理由は理解できても、公平、公正な競争という点では課題があるんだと思います。
 しかし、広く公募をして、本来複数の事業者の参加機会が保障されているにもかかわらず、結果として一者入札になった場合には、さきの定例会の案件のように、入札を認めるべきと前回も指摘をしました。よって、都民の疑念を払拭するために一者入札を中止するのは、目的と手法が一致していないと考えております。
 今回、百六十八件中三十一件が一者以下の入札で中止となった状況であり、八月に異例の臨時会まで招集して、急いで補正予算を組んだ豊洲市場の安全対策工事の九件のうち四件が一者入札で中止となり、再入札した四件のうち一件がゼロ者入札で、またまた中止となりました。
 昨年の知事の判断で市場の移転が延期され、ことし六月に移転が決定し、都が自身で行った制度の変更により、自分で自分の首を絞めているんではないかと、そのように思うところであります。
 一者入札の中止で、結局何が改善されたんでしょうか。都民サービスの実施がいたずらにおくれるだけではないかとも感じます。もとの制度に戻して、仮に一者入札でも競争性が担保されていることを丁寧に説明すればいいと思いますが、再度、この考えをお聞かせください。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止の試行は、都が入札に当たって設定した条件が、事業者の入札参加を制約している可能性があることから、条件を見直した上で再入札に付すことで、より多くの入札参加者を確保し、入札の透明性、競争性を高めるために実施するものでございます。
 今回の試行を通じ、競争の見える化とともに、事業執行や事業者に与える影響などについて検証を行ってまいります。

○伊藤委員 何も私は一者入札を推奨しているわけではないんですが、東京都が設定した条件が参加しにくい条件になっているから一者入札になる可能性があるんで、再入札という、非常に極めて苦しい答弁のようにもお聞きします。そうであるならば、最初から参加しやすい条件に設定しておけばいいわけでありまして、その点も指摘をしておきたいと思います。
 続いて、JVの結成義務の撤廃についてもお尋ねをします。
 これも前回、委員会で質疑を行いました、先ほどの他の委員からも質疑がありました。この結成義務の撤廃の意図を尋ねたところ、都の見解は前回このような答弁でありました。
 入札参加の九割以上が中小企業であり公共工事の担い手としての役割も大きいため、大規模案件では、昭和五十年から中小企業を加えたJVの結成を義務づけてきた、その結果、中小企業が大規模工事案件に元請として参加する受注機会の確保に加え、技術力の育成などにつながり、担い手の育成、確保に一定の効果を発揮してきたと、一方、JVの結成を義務づけてきたが、国や他の自治体と比較して入札参加者が少なくなり、かえって中小企業の入札参加の制約になっている面もあると、そのため、単体でもJVでも応札可能な混合入札を導入することとしたと、こういうことでありました。
 それでは、JV結成義務の撤廃という制度改正以降の状況はどうであるのか、その点をお答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 JV結成義務の撤廃の状況についてでございますが、九月末時点において、混合入札を行って落札者を決定した二十一件のうち、企業単体で落札となった案件が十二件ある一方で、JVが落札者となった案件は九件となってございます。まだ対象案件も少ないことから、今後、試行を積み重ねた上で、中小企業の受注機会への影響等につきまして検証を実施してまいります。

○伊藤委員 今後、試行を積み重ねた上で、影響について検証を行うということですが、どのようにその検証を行うのか。我々は、中小企業の受注に悪影響が出ていくと考えますが、都は、どのような状態になったら悪影響と認識するのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 検証の具体的な内容につきましては、今後、第三者機関である入札監視委員会の意見も踏まえつつ決めていくことになりますが、JV結成義務の撤廃により、JV案件の入札参加者が少ないという課題が改善されたのかどうかということや、入札参加希望に占める中小企業の割合がどう変わったかなど、そういったものが想定されるところでございます。
 制度改革による中小企業への影響については、JV結成義務の撤廃だけではなく、中小企業の入札参加要件の緩和や予定価格の事後公表などの影響も含めて、総合的に分析していく必要がございます。
 現在、第三者機関のお力もいただきながら、検証を本格的に実施しようとしているところでございまして、影響の是非につきまして言及できるような段階にはないというふうに考えているところでございます。

○伊藤委員 前回の委員会でも、東京都が、都内の事業者、議会の声に耳を傾け、再度入札制度を見直すべきとお尋ねをしました。
 そのときの答弁では、競争性、公平性、透明性の担保や品質の確保、中小企業の育成など、バランスをとりながら制度を運用していく必要があると認識をされておられていると、今回、賛否両論あることは認識しているが、まずは検証を行って、それをもとに業界団体との意見交換や議会でも議論をさせていただきながら、よりよき制度となるよう改革に取り組んでいくと、こういうことでありましたが、既によくない点の方が明らかに出ていると思いますが、これこそ、できるだけスピード感を持って改善に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、都の見解をお尋ねします。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の入札契約制度改革につきましては、六月下旬以降に公表した財務局契約案件を対象に試行を開始しております。今後、十月下旬からは、各局契約案件について予定価格の事後公表の試行を開始する予定となってございます。
 財務局の案件につきましては、八月から開札した案件の結果が出始めているところでございます。それらの業種や価格帯、発注時期など、さまざまな観点から分析を行う必要があるというふうに考えておりまして、入札監視委員会のご意見もいただきつつ、しっかりと検証を進めてまいりたいと考えております。
 若干繰り返しになりますが、その上で、検証結果をもとに、業界団体との意見交換や議会での議論もさせていただきながら、よりよい入札契約制度になるよう改革に取り組んでまいりたいと考えております。

○いび委員 では、私からは、財務局の事務事業に関して、低価格入札について伺います。
 近いところでは、第三回定例会の契約議案の案件では、低価格入札の案件が二件ございました。私は、第三回定例会で、一者入札、高落札率の問題をただすための質疑を行いました。公共の仕事である以上、競争原理が働くことによって、効率のよい財政支出が行われると同時に、仕事をとりたいがために下請や労働者にしわ寄せされるような形で、極端に入札の価格が抑制されることは正しくないと考えております。そういう点では、低価格入札も克服すべき大事な課題であると認識しております。
 そこでまず伺いますが、第一に、行政が予定価格を決めるときの基準は何か、それをもとにどのような手続で予定価格を決めるのか。
 二つ目に、過度な低価格競争によるダンピング受注にはどのような課題があると認識をしているか、また、それを防ぐために、どのような取り組みを行っているか。
 以上、大きく二点伺います。

○永島建築保全部長 適正な予定価格の設定は、発注者の責務と考えております。数量積算や単価設定、諸経費などの工事費の積算のルールを積算基準に定め、それに基づき適切に算出をしております。
 具体的には、図面や仕様書などの設計図書により仕様、数量を確定し、標準単価や見積もりによる単価を乗じた上で、現場管理費等の必要な経費を加算するものでございます。

○五十嵐契約調整担当部長 後段についてのご質問についてお答えさせていただきます。
 いわゆる過度の低価格競争によるダンピング受注につきましては、工事の手抜きによる品質の低下のみならず、下請事業者へのしわ寄せによる賃金を初めとした労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、建設工事の担い手育成及び確保に支障を来すものと認識しております。
 このため、都におきましては、予定価格が建築工事で四・四億円以上、土木工事では三・五億円以上、設備工事では二・五億円以上の案件につきましては、低入札価格調査制度、この金額未満の工事には最低制限価格制度という二つの制度を適切に活用することで、ダンピング受注の防止を図っているところでございます。

○いび委員 適正な入札のために積算基準があり、それに基づいて予定価格の決定を行っているという手続についてはわかりますが、しかし、そうした仕組みが、現実の公共事業において有効に機能しているかどうかという点です。
 第三回定例会で議案として提出された中に含まれていた二件の低価格入札の事例を見ても、応札した企業がそろって低価格入札であったということが特徴となっております。つまり、一者のみが突出して低価格であったわけではなく、入札に参加した企業が、そのほとんどが同程度の低価格入札だったわけです。
 こうした事例がある以上、そもそもこの行政の予定価格そのものが相場に合っていないという可能性はないのか、行政が持っている積算基準や公共工事設計労務単価などが、実は相場に合っていなかったということがないのか。また、それがどのように検証されるのか。
 まず、以上、二点について伺います。

○永島建築保全部長 積算基準につきましては、建設業界の実態に即して適宜改正しており、本年四月には、国が行った建設企業の財務実態調査結果等に基づきまして、一般管理費及び下請企業の経費率などを引き上げる改正も行っております。
 標準単価のもととなる労務単価につきましては、公共工事設計労務単価として、国が公共事業労務費調査に基づき毎年設定をしております。
 標準単価の資材等の部分につきましては、市場動向を速やかに反映できるよう、年四回の定期改正を行っているほか、特に鋼材や配管などの主要資材に関しましては、価格変動が大きい場合には臨時改正を行っております。
 さらに、予定価格の五割前後を占める見積価格部分につきましては、複数者の平均値をもとに、取引実態を考慮して見積単価を設定しております。
 こうした取り組みにより、可能な限り実勢を反映した積算に努めております。

○いび委員 今のご答弁を伺っておりまして、適正な入札のためにさまざまな仕組みを設けて、実勢を反映した積算を行うべく努力してきたということは大変よくわかりますが、繰り返しになりますが、応札した企業がそろって低価格入札だったということが現実に起こっているわけですから、行政が行った予定価格の算出が相場に合っていなかったんじゃないか、これは当然そういう疑問が湧いてくるわけです。
 この行政の積算の根拠となるものについて、これは検証することが必要ではないかと思うわけですけれども、もう一度お願いします。

○永島建築保全部長 繰り返しになりますが、積算基準につきましては、建設業界の実態に即して適宜改正をしております。
 標準単価のもととなる労務費単価につきましても、公共工事設計労務単価として国が毎年設定をしております。
 標準単価の資材等の部分についても、市場動向を速やかに反映できるよう、年四回の定期改正を行っているほか、主要な資材につきまして変動価格が大きい場合には臨時改正を行っております。
 見積価格部分につきましても、複数者の平均値をもとに、取引実態を考慮して、見積単価を設定しております。
 適正な予定価格の設定は、発注者の責務と考えてございます。今後とも可能な限り実勢を反映した積算に努めてまいります。

○いび委員 さまざまな努力を行っているというふうに思いますけれども、近いところで、実際この低価格入札があったというのも事実であります。
 これで終わりますけれども、公共事業である以上、財政の効率的な運用の観点は欠かせませんが、同時に品質も保証されなければなりませんし、そこで働く人たちの賃金や労働条件も適正に保障されなければならないのは当然です。
 そこで、行政の積算基準の算出の根拠となっているものや算出の方法が適正であるかどうか、これは決定的な要素であると考えております。
 そういう点で改めて申し上げますが、行政の積算基準や公共工事設計労務単価が適正なものになっているかどうかの検証は、やはり必要ではないかということと、もう一点、安く落札したことのしわ寄せで、現場で下請いじめが行われているようなことはないのか、こうした観点を常に持って検証し、必要なことは、正していくようにしていただきたいということ、そして最後に、そのためにも、かねてから日本共産党が求めてまいりました公契約条例を東京都として制定するべきである、また、国に対しても、公契約法の制定を働きかけていくべきではないかということを申し上げまして、質疑を終わります。

○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時三十六分開議

○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 まず、財政規律を中心にお伺いします。
 都の社会保障関係費が、二〇三八年度には一兆七千三百三十二億円に膨らむとの推計を、六月に都がまとめました。東京は今後、百万人以上ふえる高齢者をどう支え、そのための巨額の財源をどのように確保するかという課題に直面します。さらに、都債残高は、平成十三年度のピーク時、七兆六千三百八十四億円より二六・七%減少しましたが、いまだ四兆六千五百四十七億円あります。
 リーマンショック、世界不況下においては、都の税収が、平成二十年から二十一年度にかけてわずか一年で一兆減収となるという事態を経験し、また、今後はオリ・パラのさらなる準備の加速、中長期的には少子高齢化の進行や老朽化するインフラの維持更新など、税収の減収と社会資本コストの増加が懸念されるところです。
 次世代への税収の依存は控え、中長期的には身の丈の範囲内で事務執行を行う、いわゆる中長期的なプライマリーバランスを意識した財政運営は大前提であると考えます。国家財政がアベノミクスからの明確な出口戦略を描けない今、都財政における過度な負債への依存と返済負担の将来への先送りは避けなければなりません。
 次に必要な視点は、情報公開による衆知の結集でございます。
 東京大改革、一丁目一番地である情報公開の一環として、一般会計、特別会計、公営企業会計の全二十七会計の公金支出情報が、大阪府、市、新潟、千葉、岐阜、香川、長崎県に続き、平成二十九年九月一日より公開されました。これは、職員の意識向上が図られるとともに、住民サイドからも公開された情報を活用した知恵が出されることにより、まさに都民ぐるみの賢い支出が実現することとなります。
 東京で得られた知見が日本全国津々浦々に波及し、まさに東京大改革が国民全体を巻き込んだ全国的な大改革につながることを期待するものです。もとより、現在、全国で整備が進んでいる新公会計制度の先鞭をつけたのも都であります。
 改めまして、厳しさを増す環境のもと、財政規律をどう確保し、現役世代のみならず、未来世代も守っていかれるのか。就任以来、ワイズスペンディングを推進してきた小池知事のもと、財務局における財政規律の考え方を明確な基準設定という視点からお示しください。

○松川主計部長 都財政につきましては、都税収入が景気の動向に大きく影響されるという財政構造のもと、将来にわたり安定的に都民サービスを提供していくため、強固で弾力的な財政基盤を堅持していくことが不可欠でございます。
 平成二十八年度の予算執行や平成二十九年度の予算編成におきましては、ワイズスペンディングを徹底し、全ての事業に終期を設定するなど、事業評価の取り組みを強化してまいりました。その上で、基金や都債を戦略的かつ計画的に活用してきたことなどにより、例えば、起債依存度、起債残高といった指標は、国や地方より大幅に低い水準を維持しており、今後も、こうした指標に留意しつつ、健全な財政運営に努めてまいります。

○上田委員 国や地方と比べ起債依存度が低く、残高は国よりも低いということでございますけれども、私は、江戸川区議会議員時代から、起債を恒常的にするに当たって行政側が説明する、世代間の不公平をなくすという理由には疑問を持っております。
 若年世代は、長引く不況による、中高年世代とは違う失われた時代を生き、年収も低く、年金受給額の格差も指摘され、もう十分に不公平を受け入れているからです。その観点から質疑をさせていただくものでございます。
 昨年、各会計決算特別委員会にて資料要求をいたしまして、過去十五年の法人二税の推移をお出しいただいたところ、最も低かったのは平成二十三年度の一兆二千三百三十八億円、最もよかったのは平成十九年の二兆六千百六十二億円と、一兆三千八百億円ほども税収に差が出ていました。先ほど、ご説明いただいた不安定な増減を繰り返しているということでございます。
 一方、福祉保健費は、どのぐらい支出しているのかといいますと、平成二十三年度の八千九百三十九億円から平成二十七年度の一兆五百五十三億円と、右肩上がりで増加しております。平成十九年度からこれまで平均して四・四二%増加し続けており、仮に、平成二十八年度の法人二税、一兆八千百二十五億円を一定額とし、これから福祉費が毎回、四・四二%ふえ続けるとした場合、十二年後の平成四十年には、法人二税イコール福祉費という計算になります。
 先般発行されました東京都年次報告書の三〇ページにもあるように、社会保障関係費は、平成五十年度までに累計九・五兆円増加、社会資本ストックの維持更新費は三・二兆円、防災経費は平成三十年度から十年間合計三・二兆円という巨額の将来財政需要も試算しています。年次報告書の概要の四ページにもあります。
 このような予想のもと、少なくとも都において、約十二年後には、都税収入の三四・八%を占める法人二税で福祉費用が賄えなくなってしまうのかもしれないということ、しかもその前の二〇二五年、現在八百万人といわれる団塊の世代が七十五歳である後期高齢者を迎え、現在、一千五百万人程度の後期高齢者人口が約二千二百万人まで膨れ上がり、全人口の四人に一人は後期高齢者という超高齢化社会が到来をいたします。
 そこで、決算委員会で資料要求したデータをグラフ化してみたところ、深刻な実態を把握するに至りました。バブル崩壊の平成三年あたりから、都債発行額が元金償還額を上回り、都債残高は、平成三年の一兆六千九百四十一億円から平成十三年の七兆六千三百八十四億円と、十年間で五兆九千四百四十三億円もの多額の借金をふやすことになったわけです。
 国も同様に、バブル崩壊後、国債残高がふえて、今日一千兆円となり、にっちもさっちもいかなくなっていることは、賢明なる皆様はご承知のとおりでございます。
 財務局答弁のとおり、財政再建達成後も施策の見直しを努力され、リーマンショックの影響で都税収入が一年間で一兆円減少したときも、安定的に必要な行政サービスを提供できたことは大いに評価しておりますが、状況は年々深刻になってきているわけでございます。
 私が財政につき何度も疑義をただしてきたのは、答弁で繰り返される、引き続き強固で弾力的な財政基盤を堅持していくということができない状況が、すぐそこにあるのではないかと考えたからです。
 小池知事は、私の決算審査にどう臨むかとの一般質問に対し、決算は予算に計上された施策や事業の執行結果を計数的に明らかにして、行政目的が効果的、効率的に達成されたかどうかの判断材料を都民に提供するのであり、決算審査を通じて施策や事業の成果、そして課題を具体的に検証、今後の予算編成に生かすなど、PDCAサイクルを踏まえた取り組みにより、都民ファーストの都政の実現を目指すと答弁をいたしました。さきの会計の資料の3号の方にも、その決算に当たる図解もあるのでご参考にください。
 世界金融のこのところの不安定さを鑑みても、さきに述べた二〇二五年問題、法人二税イコール福祉費用という約束された将来を鑑みますと、まさに借金返済のPDCAサイクルを踏まえ、可及的速やかに都財政構造改革を断行しなければ、未来の子供たちに借金という大きな負の財産を相続させることになりますまいかと考えます。本来は可能な限り、そのときそのときでの均衡財政を目指すべきではないでしょうか。
 つきましては、以上を踏まえて、財政規律に当たりましての都の中長期的な展望、短期的な具体策、今後の考え方につき、お示しください。

○松川主計部長 平成三十年度予算編成におきましては、これまで着実に実績を積み重ねてきた事業評価につきまして、客観的指標を用いたエビデンスベースによる評価を新たに実施するなど、自己改革の取り組みを一層強化してまいります。
 あわせまして、戦略的な施策展開に必要となる基金の残高確保に努めるとともに、将来世代の負担を考慮し都債の発行額を抑制するなど、今後の財政運営への備えをしっかりと講じてまいります。
 引き続き、中長期的な視点から財政の健全性を堅持しつつ、東京二〇二〇大会の成功と、その先の未来に向け、東京が持続的成長を続けていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。

○上田委員 具体的に、都債の発行においては、単に発行額の目標を定めるだけではなく、償還期間、発行通貨、機関投資家向けか個人投資家向けかなど、その時々の市場環境を見ながら少しでも支払い金利を抑え、無駄なコストの削減に努めなければなりません。
 特に、史上初めてのマイナス金利という状況にある現時点において、金利と手数料を含めた都債発行コストの圧縮抑制策について、どのようなお考えをお持ちか、対応状況、今後の見通し、幾らまで圧縮するのが適正と考えているのか、そのスケジュールと金額を踏まえた上での具体的な所見をお願いいたします。

○松川主計部長 都はこれまで、有利かつ安定的な資金調達に努めるとともに、この低金利環境下におきましても、基幹となる十年定例債や償還年限三十年の超長期債等を適切に活用し、計画的かつ柔軟で機動的な起債運営に努めてまいりました。
 また、発行条件、決定方法の見直しや商品性の改善を進め、引き受け金融機関のリスクや事務量を軽減することなどにより、発行手数料を引き下げてまいりました。
 今後も、投資家ニーズを機敏に捉え、市場との信頼関係を確保しながら有利な資金調達を追求するとともに、適切な手数料水準の設定に努め、都債発行コストの圧縮について総合的に管理してまいります。

○上田委員 厳しい環境にありながら、ご答弁のようなご努力をして、財政の柔軟化を維持すべく奮迅しているのは理解しておりますが、さらに都債だけでなく基金の積み立ても行わなくてはならないということになります。資料1号にありますように、各局それぞれの需要に応じてつくっていますが、決定するまでの経緯と、これ、時限があるのかないのか、財源をどう担保するのか、必要性が少しわかりづらいものもございます。
 既に、元知事らの置き土産的な役割を終えて陳腐化したのではないかなと指摘されるもの。例えば、都市外交人材基金、尖閣諸島活用基金のようなものについて必要性を担保できるのか、するのか、ご説明をください。

○松川主計部長 都の基金には、財源として活用可能な基金と位置づけている財政調整基金と福祉先進都市実現基金や防災街づくり基金、無電柱化推進基金などの三つのシティー実現に向けた基金などがございます。
 財源として活用可能な基金は、不安定な都税収入を補い、財源が著しく不足する場合などに取り崩しますとともに、年度間の財源調整を図ることを目的としております。
 また、三つのシティー実現に向けた基金は、二〇二〇年に向けた実行プランで掲げた目標の達成に向けまして、施策を安定的かつ戦略的に展開していくための財源を確保することを目的としております。
 このように基金は、毎年度、予算編成時に、計画の進捗状況や税収動向等を踏まえながら適切に管理しており、都の財政運営上重要な役割を果たしていると考えております。

○上田委員 引き続き不断の財源の見直しと、今回、予算、非常にわかりやすい資料を都民に提供していただきましたけれども、情報公開、そして賢い支出の具現化を求めるものでございます。
 次に、入札適正化についてお尋ねします。
 入札制度改革が、本年三月から進められていますが、取り組み状況につきまして伺いたいと思います。
 まず、入札参加者の状況では、大企業が五百八十三社、中小企業が八千七百十五社であったのですが、いかにも中小企業が多いというふうに思いますが、金額にするとお幾らぐらいになるのでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 平成二十八年度の実績では、東京都全体の工事件数一万六千八百四十件に対しまして、中小企業が受注する件数は一万四千三百四十件で、全体に占める割合は約八五%でございます。
 また、金額については、全体金額が一兆六十九億円であるのに対し、中小企業が受注する金額は五千百三十六億円で、全体に占める割合は約五一%でございます。

○上田委員 金額的には多分、一社当たりは大企業が大きく占めるのかなということを確認させていただきました。つきましては、JV結成義務撤廃は、各委員さんも懸念されていますが、大手中心で下請を泣かせることがない健全な契約を実現するための改革と理解したいところでありますが、実際に中小企業が直接入札に参加できる環境が懸念するところであります。
 中小企業はこれまでどおり入札に参加できるか、悪影響はないのか、対応状況、今後の見通しについて所見を含めてお尋ねいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 JV結成義務の撤廃の試行に当たりましては、中小企業への影響を最小限に抑え、意欲と能力のある中小企業の活躍の場を拡大するため、総合評価方式において中小企業を含むJVを自主的に結成する場合には加点することや、一定の能力要件を満たした中小企業は、単体で入札に参加できるようにするなどの工夫を行っているところでございます。
 今後行う試行結果の検証作業の中では、入札参加数の増加や中小企業の入札参加機会の確保の視点に加えまして、中小企業の人材育成や技術向上などの視点も踏まえて検討してまいります。

○上田委員 そもそもの改革の理念は、適正品質、適正価格の事業者を公平、公正、公明かつ透明性を持って選定するものと考えております。
 災害時の対応を鑑み、地元企業を優先し、そのための総合評価の加点措置を活用することは一定の理解を示すものではございますが、こうしたサポート支援の考え方と適正入札のバランス、意外と難しいかなと思っております。どうとっていくのか、ご所見を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 中小企業は、都の発注する公共工事の約九割を受注し、災害や事故への緊急対応による地元貢献や災害発生に備えた体制準備などにより、都民の身近な安全・安心の担い手になっているというふうに認識しております。これらの中小企業を積極的に評価するため、中小規模の工事を対象とする施工能力審査型総合評価方式では、評価項目として、企業の社会性、信頼性の項目を設定し、都と災害協定を締結している企業に対して加点措置を行っているところでございます。
 配点につきましては、総合評価方式の本来の目的である工事品質の確保の観点から、企業の施工能力の項目を、企業の社会性、信頼性の項目より高目の配点とすることとし、工事品質の確保と地元中小企業の受注機会とのバランスを考慮した制度としているところでございます。

○上田委員 利益誘導ととられかねないように、慎重になさっている都の選定能力の確保の重要さを確認させていただきました。
 そもそも公務員倫理というものは厳しく守られるべきですが、殊に調達行政、入札に関しては厳しく問われるものです。
 過去、平成二十六年に、水道局OBが庁舎内で価格を聞き出す入札妨害事件がありました。その二年前にも、同局発注の工事で入札情報などを教えた見返りに賄賂を受け取った係長が収賄容疑で逮捕される汚職事件が発生しております。
 各局でも倫理教育もなさっているとは聞いておりますが、事この財務局では特に重要とし、また、各種入札手続に係る建築関係資料は、確認、点検、比較するには専門性も問われるところです。
 例えば、一級建築士などの資格を持つ職員を配置するような専門的職員体制と研修教育を実施しているのか、具体的にお示しください。あわせて、各局でも入札は実施していることから、こうした入札に係る技術、ノウハウの共有を図っているのか、また、図っているとすればいかなる取り組みがされているか、局間で成果は共有されているかにつき、具体的にお示しください。

○永島建築保全部長 都有施設は、都民がさまざまな行政サービスを受ける施設であるだけでなく、災害発生時には、防災拠点や帰宅困難者受け入れ施設としての役割を果たすなど、東京を訪れる全ての人々にとっても重要な施設でございます。整備に当たっては、担当する職員の技術力の向上が重要と認識をしております。
 技術職としての基礎的な能力向上を図るため、毎年新規採用者などに対して、設計、積算業務の実務など、さまざまなテーマごとの技術研修を実施しております。また、予定価格の事後公表に伴い、秘密情報の厳格な取り扱いが一層重要となっていることから、コンプライアンス研修を悉皆で実施をしております。
 財務局は、都における技術管理の中心的役割を担っており、設計工事に関するさまざまな技術的基準等を所管しております。そのため、各種基準類の制定、改正時期には、工事関係基準協議会等を通じて各局の工事主管部署との情報の連絡及び共有を図っております。

○上田委員 職員教育も実施されていることが確認できました。
 漏えい事件を受けて再発防止システムを改修したことは評価できますし、公正、公平の担保に当たって、電子入札方式では、応札業者は、当該入札に何者参加しているか知ることなく札入れができる仕組みとなっており、競争性が確保されていると毎々答弁されていますが、結局、情報漏えいも汚職も、システムがあっても発生してしまいました。
 水道局OBは、組合で重鎮にいたとのことですが、こうした現職とOB、あるいは現職と事業者の癒着をなくすための課題認識と、それに対する取り組みを具体的にお聞かせください。

○五十嵐契約調整担当部長 どのような制度、システムであっても、汚職などの意図的な行為につきましては、完全に防止することは困難でございますので、制度やシステム等を運用する職員に対する法令遵守、コンプライアンスに関する研修等が重要であると認識しております。そのため、汚職防止研修等では、契約に直接関係する職員は毎年、その他の職員は三年に一回の受講を義務づけ、情報漏えいや汚職に対する注意喚起を図っているところでございます。
 また、水道局での汚職事件後の平成二十六年十二月には、入札契約事務にかかわる情報管理の徹底のため、事業者への対応は必ず二人以上で行うこと、OBも含めた部外者に対する入室制限を徹底することなど、事業者への情報漏えい防止の取り組みの徹底を図ったところでございます。
 さらに、予定価格の事後公表制度の試行に伴いまして、平成二十九年六月には、予定価格を記載した書類の封印処理など、厳格管理情報のさらなる管理の徹底を図るとともに、事業者に対しても予定価格等を聞き出そうとする、いわゆる探り行為につきましても、新たに指名停止等の措置の対象に加えたところでございます。

○上田委員 内部の管理体制、確認しました。
 次は、外部委員会ですね。入札監視委員会についてですが、開催状況について、資料三ページ、2号がお示しされました。
 審議内容や議題については、どのような傾向や同種の課題があるのか、審議を受けて局としてどう対応しているか、実績を受けての具体的な対応策と評価を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 入札監視委員会では、契約の入札及び契約手続等の運用状況の審議や、その時々の入札契約制度にかかわる課題や社会状況に応じた制度改正についての審議を実施しております。
 入札監視委員の各委員には、建築、土木技術に詳しい大学教授、元企業経営者、元会計検査院、弁護士などのさまざまな分野の専門家にご就任をいただいており、おのおの専門的な見地から、東京都の契約制度に対して意見をいただいております。
 財務局といたしましては、そうした入札監視委員会からの意見等を踏まえまして、制度改正や運用改善を図っているところでございます。

○上田委員 ありがとうございます。その委員会において、利害関係者からの苦情申し立てもあるようですが、その詳細と件数、対処状況についても詳しく説明してください。

○五十嵐契約調整担当部長 入札監視委員会が所管する苦情申し立ての審査は、工事契約における入札契約手続、指名停止措置、暴力団等対策措置等を対象としておりまして、平成二十六年度以降では、暴力団等対策措置要綱に基づく排除措置に関する苦情が一件ございました。
 具体的な内容につきましては、同要綱別表第五号の暴力団等親交者に該当したものと認定されて排除措置を受けた事業者が、排除措置の取り消しを求めたものでございます。苦情申立人に対して、入札監視委員会では、排除の手続が要綱に基づき適正に執行されたことを確認したところでございます。
 なお、当該申し立てを受けた排除措置につきましては、その後、措置の原因となった事実が解消されたことが確認できたため、一年後に排除措置を解除したところでございます。

○上田委員 また、同委員会では、談合情報検討委員会における入札談合情報の審議条項においての審査もなされています。
 まず、この委員会について、通報あるいは内部告発など、どのような状況で情報を得て、何を根拠に開催し、その後どのようになっていくのか、時系列でご説明ください。

○五十嵐契約調整担当部長 談合情報の通報を受けた場合は、談合情報取扱要綱に基づき、その内容のいかんを問わず調査の必要性を判断するため、当該契約部署において速やかに談合情報検討委員会を開催しております。
 談合情報は、そのほぼ全てが匿名の手紙や電話等で内容の確認が困難であることから、調査が必要と判断した場合には、入札に参加を予定している事業者から直接事情聴取を行った上で、再度、委員会に付議し、入札執行の是非を判断しているところでございます。委員会において入札を執行すると判断した場合には、入札参加予定者から誓約書を徴取した上で入札を執行しております。
 なお、調査を行った談合情報につきましては、入札を執行したかどうかにかかわらず、全て公正取引委員会に報告を行っているところでございます。

○上田委員 平成二十六年二月に私のところにやはり談合情報が寄せられまして、即この委員会が立ち上がりました。資料3号、六ページにあるように、割と思ったよりも隔月程度に開催されているようでございます。
 検討委員会と同じく、どのような傾向や同種の課題があるのか、審議を受けて局としてどう対応しているのか、具体的な対応策と評価を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 平成二十六年度から二十八年度に開催されました談合情報検討委員会の対象案件では、路面補修工事、空調設備工事、施設建設工事、バス契約、業務委託など多岐にわたっており、特定の業種、地域、案件への偏り等の傾向は見受けられない状況でございます。
 談合情報検討委員会では、談合の事実について事業者から事情聴取を行っておりますが、独占禁止法等に基づく調査権限がなく、その調査には、おのずと限界があることから、調査を行った談合情報につきましては、全て捜査権限のある公正取引委員会に対して速やかに報告しておるところでございます。
 さらに、談合情報に関する事務処理のより一層の適正性を確保するため、談合情報のあった案件につきましては、平成二十九年度より第三者機関である入札監視委員会に対して報告をし、審議を受けることとしております。

○上田委員 談合情報に関しては、監視委員会に報告するようになったというように日進月歩で制度を整えている、ご努力をしていることが確認できました。
 談合以上に厳しく対策を講じなければならないのは、暴力団等反社会的行為者を都の契約から排除することだとも考えます。先ほども、利害関係者からの申し立ての中にありましたが、近年、具体的な事案があったかなどを踏まえて、東京都の契約関係で、暴力団等対策連絡協議会の開催状況や、審議されている事項や対策について、差し支えない範囲でご説明ください。

○五十嵐契約調整担当部長 東京都契約関係暴力団等対策連絡協議会は、主に、警視庁が排除措置への対象者と認定した入札参加有資格者に対しまして、排除措置、排除措置の解除及び継続を行う必要がある場合に開催しており、開催回数は、平成二十六年度に二回、平成二十七年度に三回、平成二十八年度に一回となっております。
 都におきましては、協議会の設置後の平成二十二年以降、排除措置は八者、排除措置の解除は五者に対して行っており、排除措置を受けた事業者は、解除をされるまでの間、都の入札には一切参加できないこととしております。加えて、暴力団等が実質的に経営を支配している事業者が排除措置を受けた場合におきましては、都と契約をしている案件がある場合には、契約を解除し、違約金を課すこととしております。
 暴力団の介入に関して通報があった場合には、速やかに警視庁へ照会するとともに、国や他県における排除措置状況等を定期的に確認しているところでございまして、今後とも、都が締結する契約に暴力団等が介入することがないよう、引き続き、契約事務の適正な執行に努めてまいります。

○上田委員 華やかに見える緒についた入札改革ですが、こうした積み上げで行われているということがわかりました。引き続き、談合防止の取り組みや公正な競争の確保による適正価格の実現と、都民への情報公開を基本として進められることを期待するものです。取り組み状況と成果については、随時、当委員会にもご報告していただけることを願っております。
 次に、議会関係事務についてでございます。
 財務局では、地方自治法第百一条、百二条、百四十九条一号等に基づき、都議会の招集や議案の提出などを分掌しております。中でも、都議会及び議会局の連絡に当たっているほか、各局への通知、連絡事項を行っています。
 小池都政は、古い都議会を新しくを政策に訴えて誕生いたしました。これまでの硬直ともいわれかねない議会との調整連絡体制について、財務局として改善した点などあれば、ご説明ください。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 議会との連絡調整につきましては、これまでも委員会での質疑の質を高めるため、局の事務事業の説明や情報提供などを通じて、議員の方々と積極的に意見交換等を行ってきたところでございます。
 具体的には、例えば、委員会への報告事項につきましては、案件へのご理解がより深まるよう、事前にご説明をさせていただいたり、質疑につきましては、ご質問の趣旨をよく受けとめ、それに沿うような答弁とするため、直接お会いしたり、メールを活用するなどして、丁寧かつ密に意見交換や情報提供をさせていただいております。
 引き続き、こうした議会の場での議論などを通じて、さまざまなご意見、ご指導をいただき、それらを適切に局の事務事業に生かすことで、都民目線に即した効率的な施策を展開してまいります。

○上田委員 実態として、今まで行われていた答弁調整は、議会審議を学芸会とやゆされるような指摘がされていることもありました。
 事前の調整がなければ答弁できないのか、局側理事者の答弁スキルの向上についてのご所見を伺います。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご答弁申し上げたとおりでございますが、委員会における質の高い質疑などを通じて、事務事業の向上につなげるためにも、直接お会いしたり、メールを活用して、ご質問の趣旨を十分確認させていただいた上でご答弁させていただいております。適切かつ十分な意見交換などを行うことは非常に重要なものであると考えております。

○上田委員 議会審議の形骸化が昨今指摘されていますが、各局をリードすべき財政当局といたしましては、闊達な議会審議を通じて、都民、納税者へのアカウンタビリティーに資することを期待するものです。よもや水面下の調整で審議の方向性が決まって、ブラックボックスと都民に指摘されてしまうようなことがなきよう願うところでございます。
 次に、グリーンボンドでございます。
 昨年トライアルで発行した東京環境サポーター債についてですが、リターン価格、償還期間につきましては、利率年二・七四%、価格額面金額の一〇〇%、償還日は平成三十三年十二月三日までの五年となっており、発行金額は一億二千五百万オーストラリア・ドル、百億円相当とのことです。
 このトライアルの経験値をどう生かし、東京グリーンボンドの本格稼働をしていくか、課題と見通し、ご所見をお示しください。

○松川主計部長 昨年十二月に発行いたしました東京環境サポーター債では、都民を初めとする個人投資家の高い関心が示され、購入者の多くの方から発行意義への共感を得るなど、一定の評価を得られたものと考えております。一方で、いち早く投資の機会を提供するため、グリーンボンド原則に推奨されている第三者機関による認証等は取得しないことといたしました。
 この経験を踏まえまして、今年度発行する東京グリーンボンドにつきましては、適格性と透明性の確保及び投資家への訴求力を向上させるため、第三者機関からの認証等を取得し、グリーンボンド原則への対応をより深めることといたしました。既に世界的な実績を有するドイツのESG調査機関から良好との評価結果を取得しており、都の環境施策に対する理解や共感をさらに育む東京グリーンボンドの発行につなげてまいります。

○上田委員 続いて、財産運用についてです。
 売却、購入についてです。資料八ページ、4号によりますと、二十八年度の用地購入の額は、総務局総合防災部で、都の多摩広域防災倉庫としての活用を開始した旧立川政府倉庫の購入により、例年に比べふえたとのことです。抑制的に全般を見ますと、必要に応じて購入していることが確認できました。
 一方で、売却できる土地は適宜売却している様子も見てとれます。購入、売却の考え方を改めてお示しください。

○山根財産運用部長 財務局が購入する土地につきましては、将来、公共用もしくは公用に供する用地などとして、各局の事業を行うに当たって必要とする土地について、それぞれの局からの依頼を受けて用地取得事務を行っております。
 売却につきましては、都や区市町村などの公共利用が見込めない場合に行っております。

○上田委員 東京都は、土地バンク電算システムで、昭和の時代から公有財産把握に努めてきましたが、さらに都が国やほかの自治体に先駆けて推進してきた新公会計制度によって、財務諸表の作成に不可欠な財産情報を財務会計システムから横引きすることにより、大いに貢献したと高く評価をしております。
 つきましては、売却するまでの公有財産の選定から手続まで時系列に、そして売却先や、その後の活用がどうなっているのか、ご説明ください。

○山根財産運用部長 都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産であり、その財産価値を最大限発揮させるとともに、都政の問題解決のために利活用を推進していく必要がございます。
 まず、行政用途が廃止された都有地につきましては、財務局に引き継ぐことになります。その利活用に当たり一般的には、まずは、都の事業での活用の意向を各局に確認し、有効活用を検討いたします。利用の意向がない場合には、地元区市町村に情報提供をいたします。その上で公共利用が見込めない場合には、民間への売却等を検討していくことになります。
 売却された都有地のその後の活用は多岐にわたりますが、区市町村等に売却した場合には、それぞれの行政目的に沿って活用されていくことになります。

○上田委員 その布石、土台があって小池都政となり、一歩踏み込む都民へ、都有財産を有効活用する保育園待機児童対策と直結するとうきょうほうれんそうが展開、都有地活用推進本部が設置されました。全庁を横断して検討した組織ということで、これまでは、全庁で資産を洗い出すということをこのような形で実施したことはなかったと思うことから、この経験値が現場でどのような変化をもたらしたか、ご説明ください。

○山根財産運用部長 都は、都有地活用推進本部を設置し、事務局である財務局から公営企業局も含め、各局等に対し、保育所等として活用可能性のある都有地を可能な限り情報提供してもらえるように依頼しております。各局等におきましても、所管の都有地を幅広く調査し、活用可能性のある土地について精力的に洗い出しを進めております。
 こうした都政における喫緊の課題を踏まえ、現在、庁内各局等が連携を密にし、保育所等の整備推進に向けて積極的に都有地の有効活用に努めているところでございます。

○上田委員 さて、保育園や福祉施設として区市町村が都有地を活用したいと堂々と手を挙げて、前向きな議論が今のような取り組みでできるようになったと思われます。
 都が一方的に示すのみならず、区市町村は、自分の自治体の土地は把握していますことから、逆にここが欲しいというリクエストはあったか、あった場合の事例と今後そのような要望、要請があった場合の対応をお示しください。

○山根財産運用部長 都は、より積極的に未利用都有地について情報提供してほしいという区市町村からの要望に応え、保育所等として活用可能性のある都有地を可能な限り洗い出し、区市町村に情報提供しております。また、情報提供した土地については、区市町村に活用意向を確認し、活用を希望する場合には、保育所等の整備に向け具体的に調整を行っております。
 なお、都有施設の移転改築等が予定されている土地などについては、早くから都に対し問い合わせを行う区市町村もあるなど、地元自治体からは、各局や財務局に対し日常的に都有地の状況について照会がございます。財務局におきましても、照会があれば、可能な範囲でその土地の状況、その後の利用計画等について情報提供を行っているところでございます。

○上田委員 江戸川区もいろいろと需要があるようでございますので、真摯に対応をお願いできたらと思います。
 事ほどかように、慎重に管理していただいている都有財産ですが、東京都財産価格審議会、東京都土地収用事業認定審議会ですが、一一ページ、7号資料によりますと、過去三年間、現地調査はゼロ回となっているんですね。監査委員も、本来しかるべき監査をしていれば、豊洲の盛り土も監査委員が発見することができたはずではないかと現地調査の重要性を感じております。
 改めまして、現地調査の実施状況を確認しますとともに、課題認識と対応につき伺います。

○山根財産運用部長 東京都財産価格審議会は、東京都財産価格審議会条例に基づき、東京都の公有財産の管理及び処分並びに財産の取得及び借り入れに関し、適正な価格及び料金を評定するための知事の附属機関でございます。
 また、東京都土地収用事業認定審議会は、東京都土地収用事業認定審議会条例に基づき、公共事業のための土地収用に係る事業認定の判断を行うに際し、その中立性、透明性を高めるための知事の附属機関でございます。
 両審議会における現地調査につきましては、審議において必要がある場合に実施しており、過去にも実施した例もございます。
 なお、両審議会とも現地調査の実施が行われない議案についても、現地の状況がわかる写真などを参考資料として添付することにより補完しております。今後とも必要に応じ、現地調査を適宜実施してまいります。

○上田委員 次に、事業概要の八一ページの土地信託についてです。
 両国シティコアは、ことし七月契約満了となっております。物によっては老朽化もしております土地信託の全体的収益状況、更新状況など、現状の報告と今後の対応、課題についてご説明ください。

○鈴木利活用調整担当部長 財務局が所管しております三信託につきまして、平成二十八年度の信託事業に基づく全体的収益は、信託配当として新宿モノリスが十二億円、両国シティコア及びコスモス青山が各一億円の配当を受領し、安定した収入を確保しております。
 契約更新状況につきましては、新宿モノリスは、平成二十二年十一月に当初の信託期間の満了を迎え信託期間を延長し、さらに平成二十七年十一月に再度五年間期間を延長しております。両国シティコアは、平成二十四年七月に当初の信託期間の満了を迎え信託期間を延長し、さらに平成二十九年七月に再度五年間期間を延長しております。コスモス青山は、平成二十七年九月に当初の信託期間の満了を迎え、五年間の期間を延長しております。
 老朽化に伴う建物等の更新状況につきましては、三信託とも建築から二十年以上を経過しておりますが、これまでも適宜修繕を実施し、状況は良好であると専門家からご意見をいただいているところでございます。また、修繕積立金の積み立てを適切に行い、大規模修繕工事を実施して建物資産価値の毀損を防ぎ、競争力を維持することにより、テナント賃料収入の維持、増加に努めております。
 土地信託の今後の対応、課題につきましては、信託期間満了時に、専門家の意見を聞きながら事業の運営状況を精査し、契約更新のほか、売却、都による土地建物の直接保有など土地信託以外の具体策、社会経済状況の変化、都の行政需要など、さまざまな観点から検証、総括を行い、都にとって最も有利な利活用策を検討してまいります。

○上田委員 一等地にある物件も多いし、私も実はモノリスに入っている企業に勤めたこともあります。管理状況もよく、収支も安定していて、毀損がされていないということを確認させていただきました。
 財産運用につきましては、グリーンボンドを初め、債券の発行に当たっても、公有資産の管理運用に当たっても、最終的には、都有財産、都民の血税につながることに常に心がけ、財政の健全化と透明化に引き続き果敢に取り組まれることを期待いたします。
 次に、社会資本ストックの維持更新についてです。
 都の公会計情報などをもとにして、第三者が行った社会資本ストックの維持更新経費の将来推計によりますと、平成五十年度までの経費の増加額の累計は約三・二兆円にも上ると予測されております。これは、一般会計の半額に上ります。今後、老朽化が進むインフラと人口減による税収の減少という長期的なトレンドに向う中、どのような形で財源を確保していくのか懸念するところです。
 まず、毎年の決算、予算を鑑みて短期的に講ずること、中長期的にすべき対策と見通しにつき、想定金額を含め具体的にお示しください。

○松川主計部長 都が抱える社会資本ストックの維持更新を安定的、継続的に実施していくことは、財政運営上の重要な視点の一つであり、長期的な人口減少に伴う施設の適正な規模や防災対策など、都が掲げる諸施策の実現に向けて、本年二月に、都有施設等総合管理方針を取りまとめております。
 今後の社会資本ストックの財源確保に向けましては、この方針や第三者の推計を踏まえながら、各局事業の事業評価の取り組みを加速、徹底するとともに、基金や都債を計画的かつ戦略的に活用することで、世代間の負担のバランスなどにも十分配慮しながら、しっかりと対応してまいります。

○上田委員 社会資本総合整備計画につきましては、道路や港湾、市街地再整備など、社会資本総合整備計画の対象事業についても、今後、膨大な財政需要が見込まれる中、事後評価の結果なども踏まえて、財務局として今後どのように対応していくのか、あわせて具体的にご説明ください。

○松川主計部長 道路や港湾、市街地再整備などのインフラ整備は、国際競争力の向上や都民の安全・安心の確保、東京の活力向上などに必要不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要がございます。
 このため、各局において実施している社会資本総合整備計画における事後検証など、事業評価の取り組みを活用しながら事業の必要性や経費の内容などを厳しく精査し、見直すべきものは見直しを行った上で必要な投資は積極的に行い、東京の持続的発展の基盤づくりに努めてまいります。

○上田委員 引き続き、財政当局におかれましては、必要な財源の確保、優先度の明確化と適正な事業評価を事業局とともに進められることを求めておきます。
 次に、庁舎等の都有資産管理でございます。
 まずは、庁用車です。私は、かねてより、議会公用車の利用実態を初めて明らかにし、廃止を求めているのですが、知事部局の庁用車の運用状況の詳細についてご説明ください。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 庁有車は、都政において重要な職責を担う者が、緊急時等において迅速かつ適切な行動がとれるなど機動的手段を確保し、その職責を全うするために万全を期す必要があることから運用しております。
 財務局では、知事、副知事を初めとする特別職及び局長等の庁有車として二十七台を運行管理しております。

○上田委員 舛添前知事は、庁用車の使用について都民から大きな批判を受けましたが、その反省を踏まえた現在の運用についてご説明ください。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 前知事の庁有車の利用が都民から厳しい批判を招いたことを受け、こうした事案を再発させない仕組みをつくるため、遠隔地への頻繁な送迎、用件の公務性に係る問題などについて、都政改革本部の内部統制プロジェクトチームで検証を進め、あるべき対応を基本ルールといたしました。
 具体的には、原則として移動先は自宅と公務場所に限定する、遠隔地への頻繁な送迎や移動途中における長時間の立ち寄りは行わないなど、厳格化したルールに即して庁有車の運用を行っております。

○上田委員 改善が確認できました。
 次に、都庁舎でございます。
 現在も、あちこちで修繕をしている都庁舎ですが、バブルの塔といわれ、一九九〇年竣工から早いもので二十七年がたちます。初期投資、これまでの維持費、修繕費、今後予定される修繕費等、金額を入れて時系列で説明を求めます。

○米今庁舎運営担当部長 初期投資である第一本庁舎、第二本庁舎及び都議会議事堂の建設費は千五百六十九億円でございまして、平成二十一年度から平成三十二年度まで実施予定の都庁舎改修プロジェクトは約七百六十二億円でございまして、現在、改修工事を進めているところでございます。
 また、建物維持管理に必要となる修繕費は、平成十年度から平成二十七年度まで四十四億円であり、一年当たりの平均にいたしますと二億四千万円でございます。
 なお、平成二十七年度の光熱水費、清掃委託などの都庁舎維持管理経費は三十五億円でございます。

○上田委員 非常に、ランニングコスト及び修繕費がかかっていることが確認できました。賢い支出はもとより、得られる収入もふやしていきたいところでございます。
 都庁舎のうち、千八百平米を占める職員組合事務所十二団体に竣工以来、約二十七年間、無償貸与をしております。労働組合法第二条にて、この法律で労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他、経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織している団体としており、最小限の広さの事務所の供与のみが認められるとしております。
 労働紛争も激減し、労働者への人権も守られるようになってきた今日において、改めて賃料徴収あるいは転居していただき、民間へ貸与をしてはどうかと考えますが、財務局の、この都民のものである都庁舎という観点に立った所見を伺います。

○米今庁舎運営担当部長 都の職員団体は、地方公務員法に基づき、勤務条件の維持向上を図る目的で結成された団体であり、適法な交渉を通じて適切な労使関係を維持することは、都政の円滑な運営にも資することから、現在の事務室を無償で使用許可しております。
 使用許可に当たりましては、事務事業に支障のない範囲において許可しておりまして、財産管理上適切であると認識しています。

○上田委員 次に、都有建築物の整備でございます。
 都有建築物の管理、営繕に当たっては、企画、計画段階から建設目的を明確にし、適切な条件整備を図っていくことを重要とし、基本計画に基づき工事設計がなされているとのことです。どこに建設するにあっても区市町村の要望を聞く、可能であれば総合施設とするなどの連携は不可欠に思われます。計画段階から落成までの区市町村との連携状況をご説明ください。

○山根財産運用部長 都では、都有施設の更新に当たりまして、都有財産を最大限有効に利活用する観点から、庁舎の合同化を進めてまいりました。例えば、平成二十八年七月に竣工した世田谷都税事務所におきましては、計画時から、地元区や国と協議を重ね、区の世田谷図書館、世田谷保健福祉センター分室や国の世田谷税務署、東京法務局世田谷出張所との合築を行っております。
 引き続き、区市町村や国とも公共施設についての情報を共有し、適切な規模、配置や効果的な利活用のあり方を検討してまいります。

○上田委員 具体的なよい事例をありがとうございました。
 この都庁舎等、庁用車も含めた運用の仕方ですが、前の知事の公用車使用問題は極端な例ですが、常に都の資産の利活用に当たりましては、財政当局のみならず全庁を挙げて、この点を徹底されることを重ねて求めるものでございます。
 都の資産は、いうまでもなく都民全体の共有財産であり、その全てが有効かつ最適に都民福祉の増進に供されるべきものでございます。都庁舎が民間貸し出し相当の金額で組合事務所に賃貸したとすると、その床面積だけで単純計算しますと月額五千三百万円になるということは一般質問でもさせていただきました。財政管理上、適正かどうか、冒頭の財政問題の状況を踏まえ、その有効活用のあり方について、都度、検討していくことを求めます。
 次に、財務局所管の附属機関についてです。
 要求資料によれば、各審議会委員の選任に当たっては、公務員就任歴は全ては確認していないということです。ただ、公務員経験者が第三者的な立場として審議会に加わることは、いわゆる天下りと都民から受け取られかねませんし、以前の職場との利益相反が生じる懸念もございます。先ほどの、OBから金額を聞いてしまうというようなこともありました。
 公務員就任歴の確認は必須と考えますが、現状の確認状況と、それでよいのかのご所見を求めます。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 財務局所管の附属機関におきましては、専門的知識や経験を有する学識経験者等を委員に選任し、行政の公正性の確保を図っております。
 委員の選任は、専門分野などを踏まえ、委嘱基準に基づき行っております。その経歴は民間企業や大学教授などさまざまでございますが、公務員経歴の有無は選任の条件としておりません。また、議事に直接利害関係を有する委員は、その表決に加わることができない旨規定しており、公正かつ中立な審議がなされているものと考えております。

○上田委員 公正かつ中立ということでございましたが、公務員就任歴が確認できないことはちょっと遺憾でございます。このような状態が明らかになったことを受けまして--仮に、選任した委員と関係部局との間に利益相反が生じた場合における対応につき、解任や排除等を含め、いかなる対応が考えられるのか、運用とその根拠、ご所見を教えてください。

○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご答弁申し上げましたように、議事に直接利害関係を有する委員は、その表決に加わることができない旨規定してございます。公正かつ中立な審議がなされているものと考えております。
 今後とも、附属機関委員の専門的知識や経験を十分に活用し、公正な行政執行に努めてまいります。

○上田委員 都民の財産を預かる局でございますので、今後も、より一層の情報公開を進めるべく、お金から、箱物から、こうした委員について、全てにおきまして、小池都政が進めます一丁目一番地の情報公開を進めていただき、善処されることを強く求めまして、私の財務局への事務事業質疑を終わらせていただきます。

○小松委員 私からも、宝くじについて伺いたいと思います。
 宝くじは、四十七都道府県と二十の政令指定都市が共同して発売される全国自治宝くじと東京都宝くじなど四つのブロックのくじがありますが、まず、この宝くじの発売の仕組みについて伺います。

○松川主計部長 宝くじを販売できますのは、宝くじの法律でございます当せん金付証票法の規定によりまして、四十七都道府県と二十政令市のみとなっております。
 発売に当たりましては、四十七都道府県、二十政令市の合議体でございます全国自治宝くじ事務協議会におきまして、年間の発売総額等を定めた発売計画を合議により決定し、各発売団体は、その計画に基づき、議会の議決を得た範囲内において、総務大臣の許可を得た上で発売しております。
 宝くじの種類といたしましては、年末ジャンボくじや数字選択式宝くじのロト7など、四十七都道府県及び二十政令市が共同して全国で発売している全国自治宝くじのほか、東京都が単独で発売している東京都宝くじなど、特定の地域で発売されているブロックくじがございます。
 平成二十八年度の発売実績は、全国ベースで八千四百五十二億円、東京都の収入実績は四百七十一億円となっております。

○小松委員 今の説明で東京都の収入実績というのは、四百七十一億円であったということでありました。調べたら、この宝くじの売り上げのうちの約四割が自治体の貴重な財源になるというふうなことで、さまざまな事業に充てられているわけであります。確かに、まちを歩きますと、宝くじのプレートのついたベンチとか、公衆トイレなどを見かけるわけであります。
 そうしたときに、高齢者の急増や、またインフラの老朽化、子育て支援など、行政需要が年々増加している中で、各自治体にとっても、この宝くじによる財源というのは大変貴重なものだということはいうまでもありません。
 この宝くじの収益金は、具体的にはどのような事業に充当されるものなのか伺います。

○松川主計部長 宝くじの収益金は、地方財政法第三十二条の規定により、公共事業のほか、総務省令で定める事業への充当が可能となっております。法令に基づき、各発売団体は、どの事業に宝くじの収益金を充当するかを判断してございます。
 東京都におきましては、公共事業に充当する例として、中小河川や都立公園の整備、都立学校校舎の改築等に充当しております。また、省令に定める事業に充当する事例として、子育て推進交付金等に充当しております。あわせて、ラグビーワールドカップ二〇一九大会の開催準備にも充当しております。

○小松委員 今の説明にもあるように、さまざまな事業に充当されることを確認することができました。そしてまた、いずれも大変、今後の東京都政に重要な事業であるというふうに思います。
 先日、五輪の都外経費を、宝くじの売り上げを充てることで、開催自治体も負担の回避に安堵といった報道がありました。今回、この宝くじの収益金というのは、オリンピック・パラリンピックにかかわるこの事業に充当することができるのか伺いたいと思います。

○松川主計部長 宝くじの収益金は、地方財政法第三十二条の規定によりまして、公共事業の財源として充当が可能であることから、過去に長野冬季オリンピック大会の施設整備に充当した実績がございます。また、平成二十八年度までに、東京二〇二〇大会に対する宝くじでの支援につきましては、全発売団体の合議体でございます全国自治宝くじ事務協議会におきまして、百二十六億円の支援が決定しております。大会を支援する宝くじの発売に当たりましては、既存の発売額に支援分を上乗せすることや広報宣伝などにより、他の発売団体の収益に影響が出ないよう配慮しております。
 また、ラグビーワールドカップ二〇一九大会につきましては、全発売団体の合意をいただき、本年四月から発売したビンゴ5での支援を実施しております。
 東京二〇二〇大会につきましては、全国自治宝くじ事務協議会における決定後、平成二十八年度に、全国自治宝くじでございます東京二〇二〇大会協賛くじを発売し、その収益金の一部を武蔵野の森総合スポーツプラザの整備に充当いたしました。
 今後とも、法令の趣旨にのっとり、宝くじの収益金を適切に活用してまいります。

○小松委員 ただいまの部長からの答弁で、長野五輪の実績を踏まえて充当することは可能だということの確認がされました。法令の趣旨にのっとって、収益金を適正かつ公正に活用していただきたいと思います。
 この話は、なぜ、させていただくかというと、ご存じのとおり、世論には根強い東京一極集中等のご批判があります。こうした中で、東京都や開催地だけが配当されるのではないかなど、それら、いわゆる開催地や東京都以外からの自治体の反発が懸念されるんじゃないかなというふうなことを思ったからであります。
 今のご説明の中で、そうした点、配慮されるというふうなお話がありましたけれども、この収益配分の決定機関というのは、例えば、どういったものなんでしょうか。

○松川主計部長 宝くじの収益金の配分は、四十七都道府県及び二十政令市の合議体でございます全国自治宝くじ事務協議会におきまして、合議により決定しております。

○小松委員 この全国自治宝くじ事務協議会の会長というのは、小池東京都知事がお務めをされているということでありますが、この間、新聞報道で見ても、経費の総額が充当分よりもさらに膨らむ可能性があるんじゃないかということや、この十数年間でも販売額が年々減少傾向にある中で、宝くじが売れ残ってしまったらどうするんだという懸念がないわけでもないというような報道もありました。
 そうした中で、ご答弁いただきましたけれども、当初は、施設改修等に百二十六億円をこのオリンピックでも計画をされていた中で、今回、宝くじの活用額が三百四十億円ぐらいに膨らむことになったというふうに新聞等で説明も書かれておりました。この配分の方法次第で、反発とか新たな混乱が生じるおそれを懸念していたので、今回質問させていただいたわけであります。
 首都東京が他の自治体を惑わせることなく、本件についても、関係部局と緊密に連携されて進めていただくことを要望して、私からの質問を終えます。

○曽根委員 私からは、未利用都有地の有効活用、とりわけ喫緊の課題である保育所、あるいは特別養護老人ホームなど介護施設などへの都有地の提供について、この間の経過を踏まえて質問したいと思います。
 私たちが都有地の福祉施設への活用というのを強調し始めたのは大分前になるんですけれども、やっぱり保育所が足りないという大変切実な保護者の方からの要求が各区役所などに突きつけられるようになってから、都有地の活用も進み始めたのが事実だと思います。
 その中で、都有地、どういうところがあいているんだというのを、たしか二〇一三年に、財務局にそのリストを出していただくと、このときは普通財産になっているものでしたけれども、それに基づいて私たちも手分けして、その都有地が活用可能かどうかも具体的に調べながら提案もしてきました。
 それから、その翌年二〇一四年の二月に舛添知事になりまして、最初は保育所整備に大変意欲的な発言をしていたんですが、途中から、都有地活用については、使える用地が余り残っていないというような発言を知事がされたので、これは知事の認識違いであると、使える用地はまだまだたくさんあるということも強調いたしました。
 その後、東京都も新たな制度として、二〇一四年の八月に、保育所などへの都有地の提供については、賃貸を条件に都内平均地価を超える部分については九割減額を行うという思い切った措置をとりましたが、この制度の実施の前後で、保育所等への都有地の提供はどの程度変化したか、この制度の実施の前三年間と実施後の三年間の比較ではどうなるでしょうか。

○山根財産運用部長 福祉インフラの整備に当たりましては、土地の貸付料だけでなく、施設自体の需要や開設時期など、地域の実情を踏まえ、都有地の活用が検討されていると聞いております。そのため、その時々の地域の課題に応じて、区市町村における都有地活用のニーズも変化するものと考えております。特に、近年では、喫緊の課題である待機児童問題を踏まえ、保育施設の土地需要自体が高くなっております。
 こうした前提の中、減額率を拡大することとした平成二十六年八月以降、本年七月までの三年間で、福祉インフラ整備事業のスキームを活用して事業者を公募した実績は公営企業を含めて二十件あります。それ以前の三年間である平成二十三年八月から二十六年七月までで、同じく事業者を公募した実績は十四件でございますので、件数として増加しております。

○曽根委員 この件数で増加したのは当然ですけれども、その制度以前の十四件というのは、明らかに使える土地からどんどん使っていったと思うんですが、やっぱり大きなネックは、知事のいうように、使える土地が少ないからではなく、その後の二十件を見ても、これは土地が高いということが大きなネックになっているんだと。しかし、保育所には当時、用地費補助は、公有地の場合では半額補助はありますけれども、民有地の場合は用地費補助がないという制度の限界が大きなネックになってるんだというのが、私たちの主張だったわけです。
 それで、ちょうどこの制度が始まった後の、多分、第一号か第二号が、その前年に私が代表質問で提案した北区の旧赤羽警察跡地だったんですね。この例でいうと非常にわかりやすいんですけれども、もう本当に土地としてはいい場所にあるんですよ、ですから逆に土地代が高いんです。千二百平米ぐらいだったと思いますが、当時からあったこの半額制度を使っても五億円以上の土地代がかかるんですよね。今ほとんど、認可園というと福祉法人ですから、福祉法人がこの土地代を借りるなり負担して保育園を経営したとしても、借金を返す--通常の融資だと、これは限界超えてると私は思います。大体二億円台か、せいぜい三億円ぐらいじゃないと返せなくなっちゃう。それで、やっぱり実際は手が出ない。恐らく放っておけば、マンションか何かに売られたんじゃないかというふうに勝手に推測していますが、今度の制度が適用されましたので、半分以下になったんです。それは都内の平均地価の三十四万円のところまでは半額補助ですので十七万円になると、それを超えた分については九割減額ですから、ほとんど数億円で済むので、全体で二億円台におさまったと思います。
 この制度ができて、やはりその後の二十件、これもまだまだ十分とはいえないと思いますけれども、やっぱり用地費の大きな支援が始まったということがその後の進んだ大きな原因だと思います。
 実は、私のいる北区では、この数年前、二〇一二年ごろですか、四つの共同保育園、つまり認可外の、いわゆる東京都でいうと保育室に当たるものですが、その共同保育園が、認証保育園に進む道もあったんですけれども、その道をとらずに四つ共同して認可保育園をつくったわけです。大変だったんですけど、私も含めてそのOBですね、その共同保育園は半世紀ぐらい前にできたものですから、数十年間にわたる、この保育園を利用したOBの保護者に全部借り入れというわけにいかないので、福祉法人立ち上げる場合、自分の資金じゃなきゃいけないので、全部募金で集めたわけですよ。それが二億円以上の募金を集めて立ち上げると、物すごい苦労したんですね。
 しかし、やっぱり共同保育園で、みんな保育のために頑張ってきた人たちですから、園庭が欲しいと、この園庭、もう猫の額みたいなものなんですけど、この園庭だけで億近くがかかっているわけです。これだけの用地費の苦労があって、この制度ができてから、そこは民有地だったんで、この制度はもちろん使えなかったんですが、その後、民有地についても大きな減額措置がとられるなど、やっぱり一定の前進が図られてきたなと思います。
 さらに、昨年二〇一六年の九月に、都有地活用推進本部を都は設置しまして、ことし二月には、財産利活用の実施方針を示しました。これによって、福祉施設への都有地提供がさらに促進されることを期待するんですが、とりわけ私たち注目しているのは、財務局が持っている普通財産だけじゃなくて、事業局などの行政財産についても、使えるものは出してくださいという掘り起こしをやっていることなんですね。これは結構、使えるものなのに、客観的に使えるものなのに、まだ自分ところの局に置いておこうという抱え込みがあると思いますので、それについての促進はどのようになっているかについてお聞きします。

○山根財産運用部長 都は、待機児童解消に向けた緊急対策における取り組みの一つとして、都有地活用推進本部を設置し、都有地を活用した保育所等の整備推進に向け、行政財産を含め、全ての局等が所管する都有地を対象に洗い出しを行っております。
 これまで四回にわたり、庁内十一の部局から二百四十六件の都有地を掘り起こし、区市町村に情報提供いたしました。直近では、九月十五日付で、前回からの継続分二百二十八件に新規分七件を追加し、計二百三十五件の都有地の情報を区市町村に提供しております。この中には、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を初め、事業所の敷地の一部などの行政財産も含まれており、各局等において事務事業の執行に支障がないか適切に判断され、洗い出しが行われているものと認識をしております。

○曽根委員 都営住宅の建てかえなどによる創出用地と、ここは私たちも随分、具体的にはつかんでいて、当然、都市整備局の用地で建てかえ事業が、近隣の建てかえがあるから、そこにまた使うかもしれないので、半分用地が出てもそれは確保しておきたいという話が、もう随分あるんですよ。
 しかし、実際は近隣の建てかえもどんどん進んで、もうここは大体あいてくるだろうということが見通しが立ってきたと。現段階では都市整備局の行政財産だけれども、実際は使えるじゃないか、もうこれだけ保育園用地が大変なときなんだからということで、洗い出しをしてほしいということをお願いして、実際そこまで進んできたということは、私は大変重要な前進だと思います。
 さらに、北区でこういう例があるんですが、建ってから半世紀以上たっている王子アパートという北区で最も古い都営住宅は、なぜか建てかえがおくれて半世紀たっているんですね。それは、底地が国有地と民有地がまざっていて境界が確定していないんですよ。使っているのは都営住宅なので、東京都の建物なんですけれども、底地が国有地であるために、建てかえ事業がいつまでたっても計画されないと。しかも、民有地の境界確定がもう面倒だからということでずるずるおくれて、ほかの、さらに新しい都営住宅が建てかえが進んでいるのにそこだけ残っちゃったという--これが三年前にようやく取り壊しがされまして、住んでいた居住者はほかの都営に移って、それで土地があいてきたと。こういうところの場合、やっぱりその国有地を活用するということも、地元としては福祉施設に大いに活用できるんだけれども、都の用地じゃないのでリストに載っていないという問題があります。
 そこで、区市町村に点在する活用可能な公有地、特に国有地などの情報についての提供や区市町村での福祉施設への活用促進のために都が支援すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○山根財産運用部長 都は、昨年十一月から、未利用国有地を管轄する関東財務局とも相互に連携し、情報提供の充実強化を図っております。
 具体的には、都の公有財産のホームページと関東財務局の国有財産の公的利用情報とで相互にリンクを張り、未利用都有地などの情報とともに、国において公用、公共用の取得等の要望を受け付ける物件をあわせて閲覧することを可能としております。
 また、国では、未利用となる国有地について、三カ月間、地方公共団体からの取得等の要望を受け付けておりまして、地方自治体の意向を尊重した土地活用を進めております。
 都も、国有地を活用した社会福祉施設の整備が進むよう、国に対し、土地の貸付料の減額や貸付条件の見直しなどを求めてきております。

○曽根委員 都のホームページで土地の情報を見ると、そこには、国の情報もリンクでつながっているということは大変重要だと思います。さらに、もっと利用しやすい、わかりやすい情報提供を工夫していただきたいと思います。
 私が強調したいのは、この情報を見ているのは行政関係者だけじゃないということなんですよ。例えば、北区では、おととし特別養護老人ホームの二百人規模の定員のところが、地方から出てくる予定の法人が撤退しちゃってだめになったんですね、二百人の定員がですよ。それで慌てて適地を探すというときに、区民の中から、ここに国有地があいているじゃないかという情報があって、北区は、その国有地を使った特養ホームを、その後、計画したということがあります。
 したがって、こういう福祉施設が、本当に喉から手が出るほど欲しいと思っている区民、住民の方々がこういう用地のリストを見ているわけです、みんな公表されていますから。こういう点でも、公有地の活用、とりわけ都有地の活用については、ぜひ今後も、行政関係だけではなく都民全体への情報提供ということ、利便を図っていただくことをお願いしまして、私の質問終わります。

○宇田川委員 先ほど他の委員のやりとりがありましたけれども、工業用水道事業について質疑をいたします。私も久しぶりなので、まずは、改めて過去の経緯を振り返っていきたいと思います。
 昭和三十年代から四十年代、戦後復興が加速しまして、日本全体が高度成長期に突入、産業が発展に次ぐ発展をなし続けた時代において、区部東部を中心に地盤沈下が刻々と、着実に進んでいったわけでございます。さまざまな業種、業態で水を使用する量はどんどんふえ続け、地下水をくみ上げる量も急増していったわけでございます。この揚水が地盤沈下の原因となっていることがわかった時点では、時既に遅しでありまして、例えば、江東区の南砂では、四メートル以上地盤が沈下した地域が広がったわけでございます。
 地元の江戸川区役所の建物を見ますと、一階部分は道路面と本来同じ高さじゃいけないのに、五段、六段こう階段があって、それが継ぎはぎでつくられているんですね。くいをしっかり打っている建物は全く沈まないで、道路だけが沈んでいって、一、二メートルの差が出ていると、これはまさに地盤沈下、もう目で見てわかるような状況であります。
 地盤沈下が揚水が起因だということの検証が出され、もうおくればせながらでありますが、地下水の過剰なる揚水を規制し、五十年代には、ほぼ地盤沈下は鎮静化したんですが、産業振興のために、地下水の代替水として供給を始めたのが工業用水道なわけでございます。これは紛れもなく行政施策であります。いいですか、行政施策なんです。
 東京都、そして都議会のここ十数年の議論を見てみますと、先ほどもありましたが、平成十六年度の包括外部監査において、工業用水道事業の廃止などを含めた抜本的な経営改革の検討が必要であるという意見が付されました。これを受けて、行財政改革実行プログラムに基づいて関係各局と検討すると、こうなっていました。
 これを受ける形で、平成十九年五月と平成二十年の一月に、二度にわたって工業用水道利用者に対してアンケートを実施しております。ゼロメートル地帯に住んでいる私は、当時よりこの件に問題意識を持っていましたので、アンケート実施直後の平成二十年二月の本会議一般質問でこれを取り上げました。時の水道局長、東岡さんでございましたけれども、利用者、利用水量の減少は続き、事業の統合などの合理化を行っているが経営は厳しい状況であること、老朽化の進行、施設更新時には多額の経費が必要となること、こうしたことから庁内横断的に検討を進めていく、こういう答弁でありました。しかし、残念ながら、その検討は遅々として進まず、時間だけが過ぎていったわけです。
 五年の歳月が経過しまして、依然として方向性が示されないため、平成二十五年十一月だったと思うんですが、改めて委員会質疑を行いました。二度にわたるアンケート実施から既に五年が経過して、この間に利用者を取り巻く経営環境等も変化したことが考えられ、よって、再度実態調査をすべき、そう提言をしました。この提言を受けて平成二十六年にアンケートを実施したと思います。その結果について、まず、報告をいただきたいと思います。

○松川主計部長 ユーザーへのアンケート調査につきましては、事業者が利用を開始した経緯や今後の使用水量の見通し、工業用水道事業の経営改革に対する意見などを把握するため、平成二十六年度に実施をいたしました。
 まず、工業用水道の利用を開始した経緯につきましては、水道料金の節約という回答が最も多く全体の約半数を占めており、続いて、地下水からの転換が約四分の一を占めておりました。
 次に、今後の使用水量の見通しにつきましては、現状のまま推移という回答が最も多く全体の約八割を占めており、続いて、減少または使用をやめるが合わせて約一割を占めておりました。
 工業用水道事業の経営改革につきましては、継続、廃止に関する意見が全体の約半数を占め、そのうち約八割が継続を希望するとの回答でございました。また、廃止をした場合の意見、要望が全体の三割以上を占め、そのうち約六割が料金差額等に対する支援を希望するとの回答でございました。

○宇田川委員 実に八割が継続を希望するというこの結果、非常に重いと考えています。これを受けとめつつ、厳しい経営環境をどう改善していくか、ここに、事業存続か、あるいはいたし方なく廃止に向かうのか、単純な二択ではないという解決の困難さがあるんだと思います。
 次に、現代の経営状況について伺いたいと思います。
 一つは、工業用水道の利用者数、平成二十六年で約二百件だったと記憶しているんですけれども、現在の利用者数、もう一つは平成二十六年には四万立米だった日量水量、それぞれお聞かせください。

○松川主計部長 工業用水道の需要につきましては、工場の閉鎖や都外への移転、工場内における水利用の合理化などにより、年々減少が続いております。こうした状況を受け、工業用水の利用者数を示す契約件数につきましては、昭和五十一年度の六百六十四件をピークに、平成二十八年度は百八十五件となり、約四分の一に減少しております。
 また、料金収入に影響する基本水量につきましては、工業用水と洗車などに用いる雑用水の合計で、昭和四十九年度の日量三十七万立方メートルをピークに、平成二十八年度は三万七千立方メートルとなり、約十分の一に減少しております。

○宇田川委員 百八十五件、三万七千立米、二年間でも減ってきていると、こういう話であります。
 次に、トイレ用水、洗車用水とか、修景用水などのいわゆる雑用水についてですが、雑用用途への需要拡大を図る努力をする、こういう話がありました。私が二十年ちょっと前に結婚して初めて住んだ公団の団地は、いわゆる中水道、工業用水道がトイレ用水でした。ですから、洗浄器つき便座は置けないんですが、料金が安かったことだけは覚えています。それはそれとして、現在、雑用の需要がふえたという話は一切聞きません。現状をお聞かせいただきたいと思います。

○松川主計部長 都の工業用水道事業では、工場などに供給する工業用水のほか、経営の安定化を図るため、施設の余剰能力を活用して、昭和四十八年度には、洗車用水などの雑用水の供給を開始するとともに、五十一年度には集合住宅のトイレ用水の供給を開始いたしました。
 雑用水の契約件数につきましては、現行の配水管による給水が可能な区域において着実に需要の拡大を図ってきた結果、平成二十二年度にはピークとなる三百六十六件にまで増加いたしました。その後も、新規のお客様には、雑用水のメリット等を丁寧に説明するなど、引き続き利用の働きかけに取り組んではいるものの、平成二十八年度では三百五十四件となっております。
 工業用水道は、その水質上の要因により、身体に触れる用途が認められていないため、近年における洗浄装置つきトイレの普及など、生活用水の変化等を踏まえますと、今後の雑用水の需要拡大を見込むことが困難な状況にございます。

○宇田川委員 利用者とか、基本水量が減少しているんですから、料金収入は当然に減少の途をたどっているんだと思います。損益収支を考えれば、一般会計から繰入金で補填している状況が続いているわけでございます。二十五、六年当時、さっきの当時ですが、二億、三億と記憶しているんですが、現在は、先ほども六億という数字が出ていました。現在の料金収入とあわせて、その額を改めて教えてください。

○松川主計部長 工業用水道事業の料金収入につきましては、昭和五十八年度の二十九億円をピークに、契約件数や使用水量の減少が続き、平成二十八年度には七億となっております。このように、事業規模や事業量が落ち込む中におきましても工業用水道事業の経営を安定的に維持していくため、一般会計から補填を行っており、平成二十八年度には六億円の繰り出しを行っております。

○宇田川委員 料金収入は七億で、補填が六億と、このままスピード感なく検討を続けている場合じゃないということが改めて確認できた気がします。
 先ほども申し上げましたが、平成十六年、包括外部監査の意見を受けた当初、一定のスケジュール感を持ってこの検討が始まったはずであります。しかし、残念ながら先へは進んでいない。
 先ほどの質疑にもありました有識者委員会ですけれども、この検討内容の答弁があったところですが、次の質問との関係もありますので、改めて伺います。今までの開催結果等も含めてお答えをいただければと思います。

○松川主計部長 工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会は、工業用水道事業のあり方について、専門的かつ中立的な立場から多角的に検討を行うために、水道施設の専門家を初め、中小企業支援や法律、会計など、さまざまな分野の専門家を構成メンバーとして平成二十六年度に設置をいたしました。平成二十七年三月に第一回を開催して以降、これまでに三回、委員会を開いており、工業用水道事業を取り巻く経営環境やアンケート結果などを踏まえたユーザーの実態把握、事業継続、廃止した場合の課題やコストなど、さまざまな観点から検討を行っているところでございます。

○宇田川委員 この工業用水道事業、地下水揚水に起因する地盤沈下の代替として、行政施策として始まった。よって、この地下水揚水のあり方と密接な関係があるわけです。
 環境局では、これからの地下水保全と適正利用に関する検討と称して、揚水規制のあり方、地下水保全とのバランス、学術的調査とモニタリング、非常災害時の地下水利用について等々、検討していると聞いています。
 現在、水源林の確保などの施策が行われてはいますが、コンクリートとアスファルトで覆われた東京において、地下水保全だけではなく、地下水の涵養にも力を注ぐべきです。雨水が浸透し、地下水となるには数十年の歳月を要する。将来に向けて雨水浸透ますを増設する等も含めて、いかに地下水を涵養するのかもしっかり取り組むべきだということを申し上げておきます。
 ちなみに、給水の一〇〇%を地下水で賄っている熊本県におきましては、冬場の未使用の田んぼに水を張って、地下水の浸透を促すなどの取り組みを進めていまして、これには県の補助金が入っています。くみ上げる量以上に地下水涵養を行うことを実際に実践しているサントリーなどの民間企業にも協力いただいて、地下水涵養に努めているんですね。
 十年、二十年先を見据えた今後の地下水施策の方向性等について、所管は環境局でありますが、これ、密接な関係がありますので、財務局として答えられる範囲で結構ですから答弁をいただきたい。
 また、この検討内容は、先ほど出た有識者委員会に報告されているのか、あわせてお答えください。

○松川主計部長 過去、都内において著しい地盤沈下が進行したことから、都では、法の規制に加え、条例による独自の揚水規制を行ってきており、近年、地盤沈下は鎮静化しつつございます。しかしながら、地盤沈下は、不可逆的な現象であり、過剰な揚水が行われれば、再び地盤沈下が進行する可能性があることから、適切な揚水規制は不可欠であると聞いております。
 一方、近年では、地下水利用に対する社会的な関心は高まっており、国の水循環基本法や水循環基本計画を踏まえ、地下水の保全と適正な利用との調和を図る必要がございます。
 環境局では、地下水対策検討委員会の議論を踏まえ、地下水の実態を把握するため、引き続き揚水規制を継続しながら、科学的データの収集、蓄積を進めていくと聞いております。
 こうした内容につきましては、有識者委員会に報告いたしますとともに、現在、関係各局におきましても情報共有を行っているところでございます。

○宇田川委員 工業用水道の経営は厳しさを増す一方です。施設老朽化には、当然ストップをかけるわけにはいきません。減少しているとはいえ、今なお利用者の中には、工業用水道に頼った経営をされている方もまだまだいらっしゃる。
 もう一点、課題があるんですね。同業種であっても、工業用水道を使っているところと既に上水道を利用している事業者、現時点でも何倍もの料金の差が出ているわけでございます。不公平感があるという話ですね。これは工業用水道供給地域に限る話じゃなくて、区域内にももちろん存在するし、区域外は当然、工水はないわけですから、不公平感があるという話があるわけです。
 これ、私が初めて質問、問題提起をしてから既に十年がたとうとしているんですが、この間、関係局の努力もやってられることはわかっているんです。しかし、多くの課題が存在しているだけに、より慎重に進める必要があることもわかっているんです。
 ただ、しかしながら、スピード感がどうしても伝わってこない、これが残念でならない。ここ数年間の動きを見ても、まだまだやれることがあったんじゃないかと思っています。もはや限界ぎりぎりの状態は明らかです。新たな一歩を踏み出すのは今しかない、今後の対応についてお尋ねいたします。

○松川主計部長 工業用水道事業につきましては、料金収入の減少など、厳しい経営環境が続く中、施設の老朽化が進行し、配水管を初めとした施設全般の更新期が到来しつつあるため、今後の経営改革の方向性につきまして、検討を加速化していく必要がございます。
 このため、まずは、事業を継続、廃止した場合の事業者への影響や各事業者の要望などを詳細に把握することが重要であることから、現在、改めてユーザーアンケートを実施しております。仮に、事業を廃止せざるを得なくなった場合には、こうしたユーザーや業界団体の意見、要望を踏まえた上で、事業者などの納得を得られる支援策を構築していくことが必要でございます。
 今後、ユーザーから寄せられた意見や有識者委員会における議論の状況などを踏まえつつ、水道局、産業労働局を初めといたします関係各局と横の連携を十分に図り、スケジュールにも留意しながら経営改革の検討を進めてまいります。

○宇田川委員 まさに都庁横断的に検討を進めていただいて、新たなステップを早く踏み出していただきたいと思っています。
 加えて、工業水道利用者の経営支援、こうしたことも必要だと考えています。これは、この事業がどういう方向に進もうとも有効でありますし、今すぐできることなんですから、したがって、専門家の派遣等も視野に入れていただきたい、このことを申し上げて、次にいかせていただきます。
 先ほど来、多くの議員から質疑があった入札契約制度について、私からも質問させていただきます。
 三月三十一日、突如として発表された入札契約制度の実施方針、表紙には、内部統制プロジェクトチーム、特別顧問、そして財務局という名前が並んで書いてあります。四つの大きなテーマでなされた制度変更について、業界団体からは、制度改悪だとの声が日に日に高まっていることは紛れもない事実であります。
 三月三十日に第一回定例会が閉じたんです。その翌日に、なぜあえて発表したのか、議会での議論から逃げるためではないか、そんな印象を持ったのは私だけではないと思っているんですけれども。六月二十六日の公表案件から試行期間が一年、試行をしつつ検証する、半年たった時点で都から、これは財務局からということになるんだと思いますけど、都政改革本部に中間報告を行う、こう聞いております。
 何をどう検証するんですか、まず、お答えをいただきたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 試行の検証に当たりましては、より多くの入札参加者を確保するなどの改革について、狙いどおりの結果が出ているか、あるいは中小企業の受注機会の減少やダンピング受注の発生など、改革による弊害が出ていないかなどについて、さまざまな観点から分析を行っていくことを考えております。
 具体的な検証の手法としては、試行開始後の入札参加者数、落札率、不調発生率などのデータ分析を行うとともに、その結果を踏まえて、業界団体の皆様から現場の声をヒアリングさせていただくなどの取り組みを行う予定としております。
 また、学識経験者や弁護士など、専門的な知見を持つ第三者の立場である入札監視委員会の委員からもご意見をいただき、検証作業の客観性を担保しながら多角的に検証を進めていくこととしております。

○宇田川委員 先ほども、どなたかの答弁にもありましたけれども、第三者の意見という言葉が何度か出てくるんですけど、変更前の制度、これこそが第三者の意見をしっかりと聞いて、じっくり時間をかけて確実に反映をさせて制度をつくったんですよ。積み上げた結果だと、私はそう認識をしています。
 数値、データ分析、数字を並べる、このことに意味がないとはいいませんけれども、例えば、なかなか発注の平準化ができないことによる発注時期、例年比較するとしても、発注量の差や発注金額に差がありますし、もちろん工事内容なども、さまざまな前提をしっかり捉えて検証しないといけないんだと思っています。
 JV結成義務の撤廃における効果は、入札参加者の増加と競争性の向上だと、このようにうたっています。検証した数値で入札参加者が増加したら、まさにすばらしい改正だったというんですかね、検証数値で入札参加者が減少していたら、愚策だったとするんですか。減少した際には、まさかと思いますが、今、私が申し上げたさまざまな前提が異なるので、一概には効果がなかったと見えるが云々なんてことはいわないでほしい、ぜひお願いしたいと思います。
 今、JV案件の話をしました。中小企業の影響、中小企業の懸念、非常に膨らんでいます。なぜ今までJV適用を拡大してきたのか、ほかならぬ中小企業の受注機会、入札参加機会をふやすためですよ。
 今はなき民主党政権下で、コンクリートから人へという言葉で公共事業が激減しました。都内に限らず、中小業者は廃業の道を歩まざるを得なくなったり、技術者等の育成がままならなくなったりしてきました。東日本大震災の復旧、復興事業、これで現場の担い手不足にならざるを得なくなったという現実もあります。このままでは、中小企業育成も技術承継もできなくなる。そこで、特に、都内中小事業者の後押しという産業振興施策の観点も加味をされて、若手技術者の育成もバックアップする、こうした意味、意義があったからこそ、JVの適用範囲を広げたり、総合評価方式を拡大してきたはずです。
 変更された制度のもとで、業者、技術者の育成は本当にできるんですか。公共事業の品質確保、その担い手の中長期的な育成、確保をどのようにしていくのかお考えを伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 公共工事につきましては、都民生活や経済活動の基礎となる社会インフラの整備、維持更新において非常に重要なものでございまして、また、その実際の施工を担うのは建設事業者でございます。将来にわたって適切に工事を行っていくためには、その担い手の確保や技術の承継など、業界全体の健全な発展が必要不可欠であると認識しております。
 都は、改正品確法の理念でございます公共工事の品質の確保と、その担い手の中長期的な育成、確保の実現に向けまして、これまで入札契約制度についてさまざまな改革を進めてまいりました。
 重要なことは、工事発注に当たって適正な予定価格を設定すること、また、ダンピングのない適正な価格による受注が可能となる競争環境を整備することと考えております。
 具体的には、最新の労務単価や資材価格を適用した予定価格の設定、低価格による工事品質の低下や下請事業者への不当なしわ寄せが生じないような最低制限価格制度等の適切な運用、総合評価方式による技術力、施工能力の高い事業者の受注機会の拡大、社会保険への加入促進、週休二日モデル、女性活躍及び若手育成モデル工事などによる建設業の労働環境やイメージの改善など、さまざまなことに積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、改正品確法の理念を踏まえ、入札契約制度の適切な運用に努めてまいります。

○宇田川委員 次に、予定価格の話なんですけれども、予定価格の一〇〇%にほど近い落札に疑念が生じると実施方針に記載をされています。先ほど来、幾つかの議論はあったんですけど、それでは伺いますけれども、予定価格というのは一体何なんでしょうかね。
 発注サイドの事業局なり財務局の皆さんなりが、その技術者が、先ほども建築保全部長の答弁にもありましたけれども、資材価格だとか人件費、労務単価だとか、管理費だとかいろんなものを現場、現状に見合った価格をしっかりと積み上げて計算されたものが予定価格のはずですよ。だとすれば、これはすなわち、私は適正なる価格だと思っています。局の見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 工事契約案件ごとに設定される予定価格につきましては、設計図書等に基づき、工事を施工するに当たって必要とされる標準的な費用を見積もった額で、法令上は入札額等の上限額とされております。また、落札額は、その予定価格と最低制限価格等の範囲内で、入札による価格競争で決定されることになります。
 競争入札が適正な価格の範囲で行われるためには、先ほどもちょっと申し上げましたが、予定価格を適切な水準に設定することが重要だと認識しておりまして、積算基準等を所管する各局の技術管理部門と連携しながら、工事現場の施工環境や資材価格、社会経済状況などを適時適切に反映させた予定価格の設定に努めてまいりたいと考えております。
 また、あわせて、事業者がより正確な積算ができるよう、工事にかかわる詳細な数量の提示や十分な積算期間の確保などに取り組んでおりまして、より多くの方が入札に参加しやすい環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

○宇田川委員 私的には、この積算には二つ課題があると思っているんです。
 一つは、今、答弁の中にも設計図書という言葉が出ましたが、これが残念ながら現場の状況と合っていない状況であって、実態と見合わない、すごい残念な結果なんですが、こういうのがあります、実際に。
 もう一つは、これ、積算だけじゃないんですが、都の技術者不足です。他の自治体の範となる技術者の職員がいっぱいいらっしゃった。水道事業なんかは国際貢献までしているわけですよ。世界に誇れる技術者が東京都の職員の中にいたんです。この技術承継まで危惧されるほど技術者の人減っちゃっているんですよ。ですから、今申し上げたとおり、実態に見合わない積算が出てきたりというのも、こういうのに一つは起因していることなんです。ですから、ぜひ技術職の育成も改めて求めておきたいと思います。
 一者入札、先ほど来、何人かお話がありました。これについて私もお聞きします。
 実施方針には目的、理由としてこう書かれています。一者入札であっても競争性はあるとされているが、その競争は潜在的で入札経過にあらわれないため、公正性に疑念を生じさせるおそれがある。これ、なぜ一者しか入札してこないのか、まず、このことを検証し、それに対応することが最初にやるべきことだし、一番重要なことなんだと思います。
 一者参加となってしまう理由は幾つかあるんだと思います。
 先ほどいった、まずは発注の平準化。これ、新年度当初から徐々に、五月ぐらいから公表がされて、皆さん、業者が札を入れ始めて、秋ごろになるとおなかいっぱいになってくるんですね。今、抱えている工事がいっぱいになってきて、もうこれ以上受けられないという実態が秋口ぐらいからだんだん出てきます。こうなると、次の工事は、今の工事が完了するまで入札参加できないねということもあります。
 それとか、工事の困難度、難しさですね、これによってそもそも参加できる企業、技術を持った会社が少ない、こうした案件もあると思います。
 また、専門分野であって、そもそも請け負える業者の絶対数が少ない。港湾関係に多いんですが、しゅんせつなんていうのは、都内で本当に一握りしか会社がありませんから、もともと参加が少ないわけです。
 そして、その予定価格では到底受けられない。要は、残念ながら実勢価格より予定価格が下に幅振れして、簡単にいうと、利益が出ないからこんな工事は受けられないということもあるんだと思います。
 こういった案件は、ともすれば不調を招いてしまうことがありますけれども、結果として、一者でも手を挙げてもらった、よかったな、こう受け取るときもあるんだと思いますよ。
 なぜ一者となってしまっているのか、財務局としての受けとめと、一者とならないための努力、対応をどうしてきたのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の原因につきましては、発注する案件やその時期などによってそれぞれ異なると考えられますが、今、委員からお話しございましたが、一般的には入札参加者が少なくなる場合としては、同時期に同種の発注が多数あり、事業者が他の案件に分散すること、あるいは事業者の手持ち工事が多く必要な技術者が確保できないこと、施工に当たって特殊な技術や機材が必要であったり、工事現場に制約が多いことなど施工の困難性などが考えられます。また、こうしたことが複合的に影響いたしまして、結果として一者入札になるものと推測しているところでございます。
 このため、都では、施工の実態を的確に反映した予定価格の設定、事業者に無理を強いることのない適切な工期、工程の設定、発注時期の平準化による技術者の有効活用や同種工事の同時発注の回避など、入札参加者をふやすための取り組みをこれまで進めてまいりましたが、それでもなお、一定割合で一者入札が生じているということでございます。
 今回の制度改革の取り組みの一つである一者入札の中止は、そうした一定割合で一者入札が生じているという現状を踏まえまして、結果的に入札参加者が一者となった場合でも、その競争の適正性が確認できるよう、一旦、入札を中止し、入札参加条件を緩和した上で再度入札を行うとしたものでございます。
 その一方で、一者入札の中止は、事業の停滞による都民生活への影響も考えられることから、今後の検証作業におきましては、特別な事情が考えられる工事などにつきましては、一者入札の中止のあり方について検討してまいりたいと考えております。

○宇田川委員 答弁にもありましたけれども、一者入札にならざるを得ない要因というのはあるんですよ。だから、総花的ではなくて、せめて案件を選択するべきだったんです。こうしたところに机上論だなというところが見えてきちゃっているんです。
 次に、低入札価格調査制度の適用拡大を行ったことについてお話しさせていただきます。
 その結果、最低制限価格対象の工事が激減をしたわけであります。方針にはこの件で、中小企業のダンピングや過剰な競争による疲弊を防ぎ、こう書かれています。しかし、この件は、中小企業のほぼ全ての方が口をそろえて批判しているんです。最低制限価格の適用拡大は、まさにダンピング防止のために行ったことで、過剰なたたき合いが減ってよかった、こう評価されていたんです。また、不良不適格業者の排除にもつながり品質確保もできた、こういう意見が多々あるんです。
 今回の制度変更、予定価格の事後公表への変更、発注等級の変更、低入札価格調査の拡大、こうしたことが逆にダンピング助長になっている、こうした事態を引き起こしていることは、もう既におわかりなんじゃないですか。試行期間は一年としていますが、その間にも検証を続けると聞いています。いま一度、業界の、まさに都民の声を早急に聞き取って、間違った制度変更であったことを認めるべきです。半年後にも中間報告がなされるようですが、一年を待たずして検証を早期に取りまとめ、問題があった変更は速やかにもとに戻し、進めるべき他の改革に着手すべきと考えます。
 知事は、都の入札が抱える課題の解決に向けて、国やほかの団体で既に導入している制度などを参考にしながら制度の構築を行ったものと、さきの本会議で答弁をしましたけれども、東京が他に先駆けて制度改正してきたものを、今、他の自治体でやっている、いわば二十年前に制度を引き戻しただけですよ。このことを一番よく理解しているのは、ほかならぬ皆さん方じゃないですか。
 知事側近、顧問がつくった机上論、現場を知らず、現場をわかろうともせず、議会への報告も後手後手、大きな問題ですよ。財務局ともさまざまなやりとりがあった。ありていにいえば抵抗されたとかということもちらちら聞いています。それは、この制度変更に問題ありとの認識だったからだと推察します。
 もう一つの問題は、この机上論のよしあしも判断できず、顧問の考えをうのみにした知事にもある、そういわざるを得ません。
 入札契約の制度運用並びに制度改正、品質確保や担い手確保、今後の進め方について、財務局としての考えを局長に伺います。

○武市財務局長 東京都は、これまで入札契約制度につきまして、今回の改革というわけでなく、それ以前から不断の改革を進めておりまして、特に、平成二十一年度以降につきましては、低入札から入札不調の増加に転じるなどのそういった状況が変化する中におきまして、品質の確保と担い手の中長期的な育成、確保、その実現に向けましてさまざまな改革を進めてまいりました。
 一方、今回の改革におきましても、そうした観点もきちんと踏まえまして、低入札価格調査制度の適用範囲の拡大に当たりましては、適切な履行の確認がとれない場合には失格にする、そういったことで制度の厳格な運用を徹底するなど、ダンピングに対しましても引き続き厳しく対処していく、そういった考えでございます。
 同時に、予定価格の事後公表や一者入札の中止などを通じまして、より多くの方が入札に参加をし、適正な競争により契約が締結されたことを、それを都民にも見える形で再構築するなど、入札に参加しやすい環境整備にも取り組んでいく必要があるというふうに考えてございます。
 現在、この新しい制度につきましては、試行期間中でございますが、その試行の検証につきましては、さまざまな観点からの分析とそのためのデータの蓄積も必要でございます。一定の期間が必要であるというふうには考えておりますが、今後こうした検証を踏まえまして、品質の確保、担い手の育成、中小企業の保護、育成というそういった視点につきましては堅持をしながら、同時に、今スピード感を持ってさらなる改革に取り組んでいきたいと考えております。

○宇田川委員 そもそも公共事業とはどうあるべきか。中小事業者の事業承継、人材育成とか技術継承、都内中小企業の育成のためには、次世代に引き継ぐことができる環境を整えることが必要であり、それをしっかり後押ししていくことが都の責務です。
 都として、競争性、透明性を担保しながら適正な価格で発注し、都民サービスの向上を果たしていく、業者は適正な価格で受注し、現場を踏まえた高い品質の工事を完了させ、企業として適正なる利益を得る、そして利益に基づいた都税にて還元する、これが正しい公共事業のあり方だと私は思っています。
 今回の制度変更は、現場に苦悩と混乱をもたらしています。災害時等の支援体制を整えて、東京都に、そして地域に貢献しつつ、公共工事を担っている業者の皆さんと東京都は信頼関係があって初めてこの事業全部が前進するんですよ。このことは、都民サービスの向上に直接つながっていることであります。このことを改めて申し上げて、質問を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十一分散会

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