財政委員会速記録第七号

平成二十九年四月二十五日(火曜日)
第二委員会室
午後一時一分開議
出席委員 十四名
委員長栗山 欽行君
副委員長吉倉 正美君
副委員長松田やすまさ君
理事小松 大祐君
理事とくとめ道信君
理事大西さとる君
山森 寛之君
大津ひろ子君
斉藤やすひろ君
山内れい子君
北久保眞道君
鈴木 隆道君
秋田 一郎君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務十河 慎一君
契約調整担当部長五十嵐 律君
財産運用部長中村 倫治君
利活用調整担当部長山根 恭子君
建築保全部長久保田浩二君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長米今 俊信君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
総務局局長多羅尾光睦君
都政改革担当部長池上 晶子君

本日の会議に付した事件
財務局関係
報告事項(説明・質疑)
・「入札契約制度改革の実施方針」について

○栗山委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議案法制課担当書記の宮島慎裕君です。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○栗山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、財務局長から紹介があります。

○武市財務局長 四月一日付の人事異動により就任いたしました財務局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 当委員会との連絡等に当たらせていただきます総務課長の菅原雅康でございます。
   〔理事者挨拶〕

○武市財務局長 なお、主計部長の岩瀬和春は、本日、公務のため欠席させていただいております。よろしくお願い申し上げます。

○栗山委員長 紹介は終わりました。

○栗山委員長 次に、所管外の理事者の出席について申し上げます。
 報告事項の聴取に関する所管外の理事者として、総務局の多羅尾局長及び池上都政改革担当部長にご出席いただいております。
 なお、榎本次長及び小暮総務部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。

○栗山委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 資料第1号、入札契約制度改革の実施方針について報告をいたします。
 表紙をおめくりいただきまして、二ページをごらんください。
 まず、今回の実施方針の概要でございます。表の左側には、昨年十二月二十二日の第五回都政改革本部会議におきまして、特別顧問から提言された今後の改革の方向性を記載しております。
 上から順に、予定価格の事前公表の見直し、一者入札の回避、最低制限価格制度の見直し、技術提案型総合評価方式の見直し、調達全般にわたる適正化及びチェック体制の確立の五点となっております。
 これらの提言を踏まえて、内部統制プロジェクトチームにおいて議論し取りまとめましたものが、右側にある今回の実施方針でございます。
 まず、今年度から制度改革第一弾として実施する事項として、(1)の入札参加の促進等による一者入札、九九・九%落札の抑制を図るため、予定価格の事後公表、JV結成義務の撤廃、一者入札の中止の取り組みを実施いたします。
 また、(2)の品質の確保と競争性の向上を図るため、低入札価格調査制度の適用を拡大いたします。
 次に、今年度中に検討、実施する事項として、技術提案型総合評価方式の見直し、公共調達手続や入札結果に関する事前、事後検証の強化、情報公開の充実の三点を挙げております。
 これらの改革の実施方法ですが、財務局契約案件は六月を目途に、各局契約案件は十月を目途に試行を開始いたします。一年間の試行として実施し、半年程度経過後に結果を検証して、翌年度以降の改善につなげてまいります。
 一枚おめくりいただきまして、四ページをごらんください。
 このページからは、各事項の具体的な内容についてご説明いたします。
 〔1〕の予定価格の事後公表ですが、事前公表制度は、予定価格の漏えいによる不正行為の防止という面で大きな役割を果たしてまいりましたが、予定価格とほぼ同額の応札が可能なことから、応札者が一者の場合、競争性に疑念が持たれるというデメリットがございます。そのため試行内容にありますように、原則として予定価格は事後公表といたします。
 ただし、不調が複数回発生している案件については事前公表といたします。また、予定価格及び最低制限価格の漏えい防止策を強化してまいります。
 一枚おめくりいただきまして、六ページをごらんください。
 〔2〕のJV結成義務の撤廃ですが、これまで都におきましては、比較的大規模な工事案件につきまして、構成員に中小企業を加えたJVの結成を義務づけることで、中小企業の受注機会の確保、技術力の育成を図ってまいりましたが、国や他の自治体と比較して、JV結成を義務づけている工事では、入札参加者が少なくなっており、JV結成義務が入札参加に当たって制約になっているものと考えられます。そのため試行内容にありますように、財務局契約案件につきましては、JV結成義務を撤廃し、JVと単体企業のどちらでも参加できる混合入札といたします。
 導入に当たりましては、中小企業を含むJVを自主的に結成する事業者を、総合評価方式において加点するなどにより、入札における競争性の確保と中小企業の育成の整合を図ってまいります。
 一枚おめくりいただき、八ページをごらんください。〔3〕の一者入札の中止です。
 一般に電子調達システムのもとでの一般競争入札では、一者入札であっても競争性はあるとされておりますが、その競争は潜在的で入札経過にあらわれないため、公正性に疑念を生じさせるおそれがございます。
 そのため試行内容にありますように、財務局契約案件につきましては、原則として入札参加希望者が一者の場合は一旦入札を中止し、入札参加要件を精査した上で、入札手続をやり直すことといたします。
 ただし、参加要件を可能な限り緩和して再入札を行ってもなお、入札希望者が一者の場合には、入札を実施することといたします。
 一枚おめくりいただきまして、一〇ページをごらんください。低入札価格調査制度の適用範囲の拡大でございます。
 試行内容にありますように、財務局契約案件につきましては、最低制限価格制度を適用せず、原則として低入札価格調査制度を適用することといたします。これに伴いまして、最低制限価格制度をWTO案件以外の全てに適用している現在の臨時的措置は終了いたします。
 ただし、受注者の約九割を占める中小企業のダンピングや過剰な競争による疲弊を防ぎ、持続可能な公共調達環境を確保するため、比較的規模の大きな工事を中心とする財務局契約案件のみを対象とすることといたします。
 最後に一二ページをごらんください。今年度中に検討を実施する事項でございます。
 (1)の技術提案型総合評価方式の見直しでは、価格点と技術点のバランスをとるため加算式から除算方式への変更を検討するとともに、提案内容や審査体制等についても、記載のような見直しを行ってまいります。
 また、(2)の入札契約手続のチェック体制の強化では、事前検証の仕組みを整えるとともに、入札監視委員会による監視機能の強化により、事後検証の強化を図ってまいります。
 さらに、情報公開の推進では、一者、九九%落札に関する個別情報の公表や入札契約に関する統計情報の公表などにより、都の入札契約の実態や推移を誰もがチェックできるようにし、入札契約の透明性、公正性を高めてまいります。
 以上で説明を終わります。よろしくお願い申し上げます。

○栗山委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○秋田委員 我々都議会自由民主党は、これまで十年間にわたり、建設請負や業務委託などの契約において受注者のダンピングが横行し、社会資本の品質や都民サービスの質が著しく損なわれていく状況を改善すべく、多くの事業者団体との意見交換を積み重ねながら、また、理事者やこの財政委員会を初め、都議会の場で議論をしてまいりました。
 この活動のさなかには、東日本大震災や政権交代、さらに、オリンピック・パラリンピックの招致など、社会経済状況も変遷し、労務費や資材価格も上昇し、需給バランスも崩れ、これを契機として構造的な担い手不足も顕在化してまいりました。都の入札においても、一転して不調が増加する状況にも直面してまいりました。
 このように、変転する状況の中でも、東京を世界で一番の都市にするために、我々はさまざまな提言をし、実現をしてまいりました。
 しかし、今回示された入札契約制度改革の実施方針は、東京都みずからが進めてきた取り組みを全否定するような内容であり、制度が持つメリット、デメリットの両義性を考えることもなく、第一回定例会が閉会するのを待ったかのように公表をされました。
 我々は、この改革と称するものが、いつ、どこで、誰が、何を目的に策定し、何をしようとしているのかを都民の前に明らかにしていかなければならないんだと思います。
 そこで、まず伺いますが、内部統制プロジェクトチーム及び特別顧問には、どのような権限があるのでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 都政改革本部設置要綱におきまして、専門的な課題を検討するためのプロジェクトチームを設置することができるとされておりまして、内部統制プロジェクトチームは、この要綱に基づいて設置されたものでございます。
 プロジェクトチームで検討した内容は、本部会議に報告し議論することになっておりますが、意思決定につきましては、本部の議論を踏まえた上で、知事及び各局長等が行うこととされております。
 また、特別顧問等は、本部長である知事の命によりまして、改革本部において政策的見地から都政の課題について実態調査及び評価、並びに課題の整理及び改善策の検討を行い、知事に進言、助言することを職務としております。

○秋田委員 それでは、このプロジェクトチームで特に影響力を持ってこの方針策定に携わっていた特別顧問は誰なんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 プロジェクトチーム全員から、それぞれの専門的知見に基づきましてご意見やご提案をいただき、財務局といたしましては、大いに議論を交わして改革方針を検討してきたところであり、我々に対して特に誰が影響力を持っていたかということではないというふうに考えております。

○秋田委員 このプロジェクトチームは、いつ設置し、これまで何回、一体開催されてきたのでしょう。

○池上総務局都政改革担当部長 内部統制プロジェクトチームは、知事が平成二十八年九月九日の定例記者会見において、同日付で設置し、契約、入札のあり方等を検討すると発表いたしました。入札契約に関する特別顧問等と財務局との打ち合わせは、これまで十四回行ってまいりました。

○秋田委員 今回の改革について、特別顧問から指示はあったのでしょうか。あったとしたら、どのような指示があったのでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 我々は、特別顧問と検討を重ねてまいりましたが、特別顧問から特に指示を受けたというふうには考えておりません。それぞれの専門的な知見に基づくご意見やご提案をいただき、これに対して財務局としても、先ほども申しましたが、大いに議論を交わして、今回の改革方針を検討してきたところでございます。
 そうしたご意見やご提案は、具体的には特別顧問から昨年十二月二十二日の本部会議において、今後の改革の方向性の提言として集約されておりまして、これに沿いまして入札契約制度の改革について我々と検討を行ったものでございます。

○秋田委員 それでは、今回の入札契約制度改革は、いつ、どこで、誰が、なぜ、どのように決めたんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の入札契約制度改革は、小池知事が進める東京大改革の一環として行われたものでございます。
 具体的には、昨年の九月の第二回都政改革本部会議において、内部統制PTの中で財務局と特別顧問等により、今後の入札契約制度のあり方を検討して改革案を取りまとめるということになったものでございます。
 その後、PTでは、豊洲新市場や東京二〇二〇大会に係る施設の建設工事を中心に検証が進められまして、一者入札、九九・九%落札のような入札結果があったことを踏まえ、都民に疑念を抱かせることがないよう、多くの入札参加者を確保し、適正な競争により契約が締結されたことを都民にも見える形に制度を再構築し、入札の透明性を高めるということを主眼に検討を進めてまいったものでございます。
 都政改革本部会議における計四回の報告を経まして、三月三十一日に開催された第七回本部会議において、今回の入札契約制度改革の実施方針を公表したところでございます。

○秋田委員 この実施方針を三月末に公表するのであれば、第一回定例会において、しっかりと議論すべきだったんじゃないんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 内部統制PTでは、入札契約制度改革の実施方針の年度内の公表を目指し検討を進めてまいりましたが、三月中も内容の調整を顧問の先生方と行っていたため、第一回定例会に成案をお示しすることができず、三月の都政改革本部会議の開催日である三月三十一日に公表することとなったものでございます。

○秋田委員 さらに申し上げれば、業界団体への説明もなしで公表するというのは、手順が違うんではないでしょうか、いかがでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 財務局では、毎年主要な業界団体と意見交換を実施しております。内部統制PTで検討を進めるに当たりましては、そこで伺った建設業界の声を踏まえ進めてまいりました。
 今後、試行に先立ち実施する業界団体への説明会におきまして、制度の運用で事業者に混乱が生じることのないよう、試行の円滑な実施に向けまして丁寧に説明を行ってまいります。

○秋田委員 議会への説明もなし、業界団体への説明もなしで、今回の改革についての最終的な責任は一体誰にあるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 入札契約制度改革の実施方針につきましては、これまでお話ししたように、都政改革本部において取りまとめたものでありますが、これを実施するかどうかの判断は都が行うものでございまして、したがって、その最終的な責任は知事にあるものと考えております。

○秋田委員 次に、オリ・パラ施設と豊洲市場の入札経過について質問をさせていただきます。
 事実を確認するために幾つかの点について、イエスかノーで、端的にお答えいただければと思います。
 まず最初に、海の森水上競技場の入札経過には不正や疑惑はあったんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 我々は、そういう点を調査はしておりませんので、その意味では、このPTにおいては、それはありません。

○秋田委員 有明アリーナの入札経過には不正や疑惑はあったんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 同様な理由でございません。

○秋田委員 豊洲市場の五、六、七街区の建設工事の入札経過には、不正や疑惑はあったんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 前提といたしまして、この都政改革本部におけるPTでは、豊洲あるいはオリンピック施設に不正があったかどうかを調査することを目的としておりません。これらの入札制度について、都民の疑惑等が発生していることから、そうした疑惑を生じないような入札経過を将来にわたってどういうふうにつくっていくかということであります。その意味では、入札制度PTといたしましては、ございませんとご答弁を差し上げます。

○秋田委員 わかったような、わからないようなご答弁なんですけれども、確認させてください。これら五つの契約の入札経過は、公正性が担保されており、不正や疑惑はなかったといってよろしいんですよね。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 不正や疑惑は、PTとしてはありませんというお答えになります。

○秋田委員 PTとしてはという枕言葉なのか何かよくわからないお言葉がございますので、繰り返しお尋ねします。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 我々は、そのことについて調査をしておりません。その意味で、ありませんとお答えをしたい。不正はございません。(「調査していないのにないの」と呼ぶ者あり)調査して--つまりこのPTの目的としてはそれを調査することではありません。

○秋田委員 ごめんなさい、それなりの立場にある方がはっきりいえない状況というのは、逆に都民の皆さんが不信感を抱くと思うんです。そこはしっかりと部長として、ないならないとお答えすべきだと私は思いますが。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これらの入札契約手続は、適正な手続にのっとってなされたものでございまして、その意味で、財務局としては不正はなかったというふうに考えます。

○秋田委員 ここで重要なのは、入札経過の公正性が担保されているということだと思うんですよね。そのことは答弁で確認されたと申し上げてよろしいんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公正性には、いろいろな考え方があると思いますが、その当時の入札の手続にのっとって入札がされたという意味では、公正性が担保されておりました。

○秋田委員 入札経過の公正性は担保されたということを確認していいのかなと思います。
 次に、不調率について確認をさせてください。平成二十四年度の不調率と平成二十五年度の不調率、これはどうなっているんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十四年度が七・二%、平成二十五年度が一三・一%でございます。

○秋田委員 今のお話を聞くと不調率が倍近くになっているわけですが、倍近くに上昇している理由は何なんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十三年に発生いたしました東日本大震災の復興事業の本格化に伴います資材価格の高騰、あるいは技術者不足などの影響によりまして、都においても不調率が上昇したものと考えております。

○秋田委員 平成二十五年度に発注した豊洲市場の建設工事が不調になって、工事費が高騰した理由についてはどのようにお考えでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 やはり同様の理由だというふうに考えます。

○秋田委員 豊洲市場の建設工事の高騰は、当時の社会経済状況が背景となって起こっていると、そう確認できたといってよろしいのかと思います。
 次に、先ほどの二件のオリ・パラの施設について確認をさせてもらいます。
 海の森水上競技場と有明アリーナの契約について、一者入札、九九%の結果、落札額が高どまりしていることを理由に、契約後に減額交渉を行っておりますが、技術提案を募って審査した結果、契約の相手方としたのに、発注者から一方的に減額協議を持ち出したのは、不透明な契約手続であってコンプライアンス上問題があるんじゃないでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私は、その経緯についてつまびらかではありませんが、両者が協議の上、設計を変更し、減額をしたものと考えます。

○秋田委員 では、アクアティクスセンターの場合をお伺いします。
 複数の技術提案者が同一条件で入札したにもかかわらず、契約後に一者とのみ減額協議を行っており、結果として一者だけ、入札条件、施工条件を変えたことになります。これは他の技術提案者との関係からコンプライアンス上問題があるのではないのですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二者が技術提案をして、落札した一者と契約変更あるいは減額の協議をしたということでよろしいんでしょうか。
 落札後に、両者の協議によって設計を変更し減額をしたことが、コンプライアンス上問題になるかどうかということでございますけれども、落札後の協議による契約変更、設計変更というものは、通常あるものでございます。

○秋田委員 コンプライアンス上問題がないということですね。
 今後も、落札率が高いと考えた場合、減額交渉をしていくんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 減額交渉の主体は、恐らく事業局であると思います。財務局の契約においてそのようなことがあるかどうかは、仮定の話としてお答えすることはできません。

○秋田委員 なかなかお答えにくい質問だったのかもしれませんが、今後、東京都が発注する五輪施設は何件あって、それぞれの工期はどのくらいなのか、お答えください。

○小野寺オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 財務局がオリンピック・パラリンピック準備局から委任を受けまして、今年度、工事を発注する二〇二〇大会の競技会場は二会場でございます。
 有明テニスの森公園につきましては、有明テニスの森公園及び有明コロシアム改築及び改修その他工事の契約議案を、本年の第三回定例会に提出する予定の外五件の工事発注を予定しておりまして、工期はそれぞれ平成三十一年七月までの予定でございます。
 また、大井ホッケー競技場につきましては、大井ホッケー競技場新築工事及び改修その他工事の契約議案を、本年の第四回定例会に提出する予定の外四件の工事を発注する予定としておりまして、工期はそれぞれ平成三十一年六月までの予定でございます。

○秋田委員 仮に一者入札で中止となって再発注した場合は、人件費をふやすんですか、それとも工期を延ばすんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一者しか参加者がおらず、入札中止となった場合には再発注を進めることになりますが、工事起工部署と契約担当部署が連携し、個々の案件に応じて入札参加条件や、あるいは施工条件などを再度検討していくこととなります。
 しかし、そうした事態に至らぬよう、あらかじめ十分な配慮をしていくことが大切であり、今回の改革を契機に、入札参加条件を可能な範囲で緩和するとともに、施工条件や内容をより詳細に設計図書に明示するなどによりまして、今まで以上に入札に参加しやすい環境の整備に努めてまいります。

○秋田委員 私、今回のペーパーを見てわからないことがいっぱいあるんですけれども、そもそも一者入札の中止の一者というのは、何の、どういった基準なんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一者入札の中止における一者とは、一般競争入札または希望制指名競争入札に希望申請してきたものが一者しかいない場合をいいます。二者以上の希望申請があった場合には、その後、辞退者が出て、応札者が一者となったとしても開札は中止いたしません。

○秋田委員 それでは、不調が増して、その結果、工事などに遅延が生じることも危惧せざるを得ないんだと思うんですが、実際にどのように対応していくつもりなんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 不調や入札中止により事業進捗への影響が、委員おっしゃるように懸念される場合があります。都は、入札に参加しやすい環境の整備を推進し、市場価格とのギャップのない適正な予定価格の設定、事業者に無理を強いることのない適切な工期や工程の設定など、不調を防止し、入札参加者をふやすための取り組みをこれまでも行っており、さらにこれを強化してまいります。
 また、今回の改革におきましては、事後公表への変更に当たり、入札参加者が適切に工事内容を把握し、積算ができるよう工事案件の公募時に示す設計図書に、施工条件や施工内容を詳細に明示するほか、都の入札参加に当たって制約の一つになっていると考えられるJV結成義務を撤廃して、混合入札とすることなど入札参加者の増加を図っていく所存でございます。

○秋田委員 部長、この点すごく重要だと思うのは、我々議会の人間も、きょう話を聞くまでわからなかった。まして、業者の皆さんもわからない。それで今後進めていくというのは、ちょっと強引過ぎるんじゃないかなという印象がすごくございます。
 我々も重要だけれども、実際工事に当たる皆さんはそういうことを知らずに、今も、もしかしたらいるのかもしれない。そういったことはちゃんと行政の立場として考えなくちゃいけないことだと私は思います。
 それでは、四定で、知事の品確法の改正に至るまでの背景についての理解度や認識度合いを尋ねさせていただきましたが、改めて知事は、品確法が改正された趣旨をどのように理解されているんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 品確法につきましては、中小企業の育成、保護、また、担い手の育成、そうしたことを目的といたしまして、ダンピング防止等を図ることを中止の目的といたしまして、品質を確保するためのさまざまな取り組みを自治体に求めているというものだと理解していると思います。

○秋田委員 同様に、四定で知事はこうおっしゃっているんですね。この入札制度というのは、さまざまな事件などが起こるたびにもう一度見直そうということで、そのたびに内容が違ってきているとおっしゃっている。この事件というのは何のことを指しているんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の入札制度はこれまでさまざまな変遷をたどって改革をしてきております。
 まず、事件と知事がおっしゃったのは、我々が恐らくレクチャーをしたときに話した、汚職ですね、東京都における汚職事件、これを契機に事後公表を全面的に事前公表にした経緯、そういったものをお話ししたことを指しているのだと思います。

○秋田委員 済みません。私、その汚職とかそういった事件、少なくとも私になってから記憶していないんですが、いつごろの話なんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 事前公表に完全に移行しましたのが、平成十四年あたり、十五年か十四年あたりだと思います。その直前に、都庁の汚職事件がございました。たしか島の工事だったと思います。
 また、その前にもさまざまな事件があり、国全体の入札制度の変遷も、談合事件ですとか、あるいは首長の汚職ですとかそうしたものを契機に変わり、また、法令も変わり、それを契機に都も制度を変える、そういったことが背景にあるということを指していると思います。

○秋田委員 知事の発言だけ聞くと、最近あったかのような印象を与えかねないんだと思うので、言葉ってすごく重要だと思いますし、都民の皆さんに間違った印象を与えかねないので、そこら辺はちゃんとご説明されないといけないんだと私は思います。
 同様に、四定で知事は、私といたしましては、何でも安ければいいということはいっておりません、こう答弁されております。
 十二月二十二日に示された方向性では、品質の確保について全く触れていらっしゃらないんですけれども、この方向性が公表されるまで、品質の確保について議論はあったんでしょうか、あったとしたらどのような議論があったんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 内部統制の中におきましては、都の入札が予定価格に非常に近い価格の割合が多いということがございまして、それに基づきまして顧問団からは、まず、ワイズスペンディング、適正な競争のもとでなるべく安く調達をする。その上で、当然、品質も確保しながらなるべく安く調達する、そういうお話がありました。
 我々としても、品質の確保が大切であり、これまでもさまざまな取り組みをそのためにしてきたことをるるご説明をさせていただきました。

○秋田委員 今の部長の答弁を聞いていると、ワイズスペンディングというのは、どうやらなるべく安くという意味なのかなという印象を私は抱きました。
 その中に、中小企業の育成といった概念は、私ども、従前から申し上げていたと思うんですが、行政にはそういった役割もあるんじゃないかといって申し上げさせていただいて、それは財務当局にもご理解をいただいてきたんだと思っておりますが、残念だけど、今の部長の発言を聞く限りワイズスペンディングというのは、安いというのが一番重要で、中小企業の皆さんを育成するとかという部分はちょっと欠けているのかなという印象を正直抱きました。
 次に、築地市場の解体工事はいつ公表をされたのでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年六月六日に公表しております。

○秋田委員 都知事選や都議選を理由に、公表した工事を中止したことはございますか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 通常、そのようなことは考えられないと思います。

○秋田委員 それでは、ちょっと別の聞き方をさせてください。市場と、あるいは高級ホテルという全く異なる用途、異なる構造である施設について、工事費の平米単価を比較して検討することは、合理的あるいは一般的なんでしょうか。

○久保田建築保全部長 通常、私どもが都有施設を整備する場合におきましては、類似施設、学校であれば学校、庁舎であれば庁舎、展示場であれば展示場、これを他の自治体と比較したりするというようなことは通常行っておりますけれども、違う用途のもの、例えば、階高が全く異なるものを平米単価で比較するというようなときには、合理的な理由をちゃんと考えて比較をしているというところが実態でございます。

○秋田委員 部長の答弁は、ちょっと乱暴だったということをいいたいんだろうなと思いますが、解体工事の公表を自分が知事選に出ている最中に行うのはおかしいとか、あるいは、市場と高級ホテルの平米単価を何の疑問も持たずに比較するというのは、私はやっぱりちょっと今のご答弁を聞いても見当違いだったのかなと思わざるを得ません。
 それから、海の森水上競技場、有明アリーナ、豊洲市場の各街区の入札経過は、公平性が担保されていると、先ほど答弁されたと思うんですが、財務局長が就任をされてから行った財務局契約において、入札経過の公正性が担保されていない契約はあったんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全て入札手続のルールにのっとった適正な入札であったと考えております。

○秋田委員 安心しました。予定価格の範囲内で、全て公正性が担保された契約であるならば、都民の疑念につながる入札ではないといってよろしいんですよね。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民の疑念がどういう場合に生じるかというのは私は承知しておりませんが、少なくとも、これまでの入札制度にのっとって、そのルールの中で入札行動をしている限り適正なものというふうに考えております。

○秋田委員 今の部長の答弁は、入札手続等ちゃんと行われて、客観性あるいは公平性というのは担保されている。ただし、疑念というのは念だから、主観的なものだからそれはわかりません、こういうことだったと思う。何か豊洲の話と同じような印象をいただきました。つまり、いずれにせよ、財務局は入札経過の公正性は担保されていて、現在の契約制度に問題はないと考えているということだと私は感じたんですけれども、今回、契約制度の見直しを行うのは、どういった発案なのかなという印象を正直抱きました。
 それでは次に、最低制限価格の廃止について伺います。
 低入札のうち、通常調査で失格となったケースは何件あるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十五年度から平成二十七年度の三年間における財務局契約案件につきましては、通常調査で失格となったケースはございません。

○秋田委員 低入調査のうち、特別重点調査を実施したケースは何件あるんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過去三年間における財務局契約案件における特別重点調査の実施件数でございますけれども、平成二十五年度が十一件、平成二十六年度が十一件、平成二十七年度が一件でございます。

○秋田委員 そういった制度なわけですが、この六月までにどのように見直していくんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで臨時的措置によりまして、最低制限価格の適用範囲をWTO未満の全工事に拡大しておりますが、それを終了いたしまして、低入札調査対象工事を財務局契約案件の全てに拡大するということでございます。

○秋田委員 私はやっぱり、すごく時間がないんだと、大変拙速な印象を受けている次第でございますが、低入札価格調査の件数がふえるのであれば、都側の体制も強化する必要が当然あるわけですが、人員面での余裕はあるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後、低入札価格調査の適用範囲を広げることによりまして、件数がどの程度ふえるか見込むことは難しいところがございますが、低入札価格調査に当たりましては、ダンピングによる品質低下や下請として参加する中小企業に対する不当なしわ寄せが生じないよう、工事施工体制に関する調査を重点的に行うなど、これまで以上に効率的かつ実効性の高い調査を実施いたします。
 具体的には、社会保険未加入対策の強化、契約後の追跡調査の厳格化、工事成績判断基準の導入あるいは特別重点調査の失格基準化など、将来にわたる公共工事の品質確保と、その中長期的な担い手の確保、これに重点を置いた効率的な審査を検討してまいります。こうした取り組みを通じ、限られた人員の中で調査を実施できる体制を整えてまいります。

○秋田委員 印刷や設計業務など、取り組みを開始した品質確保に向けた最低制限価格導入の試行などは中止をするんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度から実施しております印刷業務における最低制限価格導入の試行は、平成二十九年度においても継続して実施してまいります。

○秋田委員 今回の改革は、工事を対象としておりますが、物品や委託などいわゆる二課ものについては、見直しを行っていく予定はあるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都政改革本部における入札契約制度の改革は、工事に係る契約制度を対象としておりまして、物品や委託などに係る契約制度については見直しの議論は行っておりません。

○秋田委員 次に、JV結成義務の撤廃について伺わせていただきたいと思います。
 総合評価方式の直近五年間の導入率はどのようになっているんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十三年度から平成二十七年度の五年間の導入率でございますが、それぞれ一一・一%、一三・一%、一五・八%、一三・四%、一五・四%でございます。

○秋田委員 安ければよい。先ほどワイズスペンディングの際に、安いということは重要なようなお話を大分されたと記憶をしておりますが、安ければよいということならば、発注ランクにかかわりなく全ての案件を体力のある大企業さんに発注していけばいいんじゃないですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 財務局といたしましては、安ければよいというだけのことというふうには考えておりません。
 その競争性を担保し、なるべく安い価格で品質の高いものを調達する。そして、それが中小企業の振興、あるいは担い手の確保につながっていくような制度にも配慮しながら、そうしたものの総合的なバランスで入札制度はでき上がっているものというふうに考えております。

○秋田委員 予定価格の事前公表を取りやめた場合、設計書の一式計上や図面からの拾い出しをやめて、きちんと数量を明示することが最低限必要となると思うんですけれども、これ六月までに準備できるんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 我々も業界の方々からは、そういう特に数量の明示についてはご意見を賜っておりますけれども、六月までの間に、現在、各技術部門と調整をし、そうした大要をつくるように鋭意検討をしているところでございます。

○秋田委員 いった以上は、しっかりとやっていただくしかないんだと思いますけれども。
 次に、豊洲市場への国庫交付金二百八億円を全額返還した場合、さきの市特では、年利一〇・九五%の利息がかかるとの答弁がございましたが、これは一日当たり幾らになるんですか。
   〔発言する者あり〕
   〔十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 「済みません、委員長、一旦時間を」と呼ぶ〕

○栗山委員長 暫時休憩いたします。
   午後一時五十四分休憩

   午後一時五十五分開議

○栗山委員長 再開いたします。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 約六百二十四万円ということでございます。

○秋田委員 何もしなくても一日六百二十四万円かかるというのは、果たしてワイズスペンディングなのかなと思わざるを得ない。
 さて、四定での知事答弁の中に、公開議論をすべしという崎山議員のご提言については、これは大歓迎ということを受けて、我々は申し入れを行いましたが、知事は、四月二十一日の会見で事の重大さに気づいたのか、意見交換の実施を表明されておりますが、関係者との意見交換はいつ、されるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 知事による業界団体へのヒアリングということだと思いますが、現在、五月中旬の開催に向けて日程調整を行っているところでございます。

○秋田委員 先ほど、設計書の一式計上や図面からの拾い出しをやめて等とのお話をしたときに、六月までに間に合わせるようにされるというご答弁をいただきました。実際、そうしていただかなくちゃいけないんだと思うんですが、ちょっと五月中旬に、業界の団体のお話を聞いてですよ、六月にやるというのはやっぱり大丈夫なのかなという心配を我々はせざるを得ない。当事者である業界の皆さんも、恐らく大変なご心配をされているんだと思います。
 今回の改革によって、業界団体にどのような影響があるとお考えですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 このお答えの前に、今私が答弁したのは、知事による業界団体のヒアリングでございますが、財務局といたしましては、早速近々にも業界団体の方々と説明の会を設けさせていただきたいというふうに思っております。
 ただいまの業界団体にどのような影響があるかというご質問でございますが、今回の実施方針の内容は、いずれも国や近隣の自治体で既に導入されている取り組みではありますけれども、その実施に当たりましては、公共工事の品質と中長期的な担い手の確保、ダンピング防止といった改正品確法の理念を踏まえ、制度のデメリットを生じさせないように運用を行っていく所存でございます。
 また、試行の対象は、規模の大きな財務局契約案件が中心でございまして、大企業を中心として中小企業の一部に影響が及ぶことはありますが、小規模な各局、事業所契約案件につきましては、予定価格の事後公表の試行のみといたしまして、中小零細企業等への影響をできる限り抑えるよう配慮をさせていただいております。
 今後、制度の詳細につきましては、先ほども申し述べましたが、業界団体に対する説明会を開催し、運用で事業者に混乱が生じないように丁寧に説明を行ってまいります。

○秋田委員 きょう初めて私もわかったことも多いわけですよ。恐らく議員の皆さんもそうだと思うんですね。
 そうした中、今、部長から、早々に業界の皆さんとも、財務局としては意見交換をしたいというお話をされましたが、知事とお会いするのは半月前でしょう、五月の中旬というと。試行まで半月前のヒアリングにどんな意味があるんですか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 知事が業界の方々とヒアリングをしたいとおっしゃった理由は、知事は記者会見で述べておりますけれども、五月中旬に開催するヒアリングで、六月からの試行を円滑に進めるため、またその先の本格実施にそのヒアリングの結果を生かしていくために現場の貴重な声を伺いたいというふうに述べております。

○秋田委員 本当にそう思うんだったら、もっと早くお会いしておくべきだし、そもそも発表する前に、ちゃんと業界の意見を聞く、あるいは議会とも話す。そういった民主主義って、私、手続だと思うんですよ。手続なくして民主主義って成り立たないはずだから、だからこそ民主主義は時間もお金もかかるんだと思うんですね。その手続なしでやるのは、ちょっと私は何よりも、これから質問させていただきますオリンピック・パラリンピック等々、けつが決まっている事業もある中で、大変な危惧をせざるを得ないと申し上げておきます。
 次に、入札契約制度の改革は、オリンピック・パラリンピックの準備期間はもとより、終了後においても、中小企業の皆さんが活躍できるような制度となるべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都における入札参加資格登録事業者の約九四%、また、契約の相手方の約八五%が中小企業であります。都において中小企業が果たしている役割は大きく、中小企業の受注機会の確保、持続的な経営環境の確保は重要と認識しております。
 今回の試行におきましても、中小企業が受注の大半を占める規模の小さな工事契約につきましては、引き続き最低制限価格制度を適用するともに、分離分割発注により、中小企業が受注可能な規模の工事発注を行うなど、今後とも、中小企業の受注機会の確保と育成に取り組んでまいります。
 加えて、JV結成義務を撤廃いたしましたが、混合入札とすることにより大企業とJVを組まないと入札に参加できなかった中小企業が、一定の能力要件を満たせば、みずからの判断で単体受注できる機会を設けるような仕組みにしてまいりたいと考えております。
 こうした取り組みを通じまして、二〇二〇東京大会、また、その後の持続的なインフラ整備におきましても、中小企業がその力を十分に発揮できるよう、今後とも、時代の状況を的確に捉え、入札契約制度の不断の見直しに取り組んでまいります。

○秋田委員 我々都議会自民党は、これまで、安かろう悪かろうというのはなくそう、それとともに都内の大部分を占める中小企業の育成にも役立とう、そういった、ある意味、高邁な理想のもと改革を皆さんとともに進めてきたつもりです。けれども、今のお話を聞いていても、今回の改革により、今後この二つの理念が守られていくのかということ、すごく危惧している次第です。局長の見解を聞きます。

○武市財務局長 これまで入札契約制度、不断の改革を進めてきておりますが、最近では、平成二十一年度以降一連の改革に取り組んできております。その中で、低入札から入札不調へと状況が変化する中にありましても、一貫して改正品確法の理念でありますインフラの品質確保とその担い手の中長期的な育成、確保を実現していくことを目指して、さまざまな改革を進めてまいりました。
 今回も、入札に参加しやすい環境の整備に向けて進めてきたこれまでの改革と同一の方向で、今回の改革、私どもとしては進めているつもりでございます。技術力のない不良不適格業者の排除、意欲と能力のある中小企業の活躍の場の拡大、より多くの事業者の参加が可能となるような適切な入札条件の設定等については、引き続き私ども意を配しているところでございます。入札参加者をふやすことで不調を抑制し、適正な価格のもとで質の高い公共調達の実現を目指してまいります。
 今回の改革に基づきまして、六月から財務局契約案件について試行開始いたしますが、その試行はもとより、試行後の検証を踏まえた本格実施に当たりましても、工事の品質確保や担い手の中長期的な育成、確保の促進という観点は欠かすこともできない重要な視点であると認識をしております。
 入札契約制度には、これがベストであるという、なかなか絶対的な答えは存在しないのかなと思いますけれども、今後とも、品質の確保、担い手の育成、中小企業保護という、そういった視点につきましては、これを堅持しながら、社会情勢の変化などに的確に対応し得る適切な入札契約制度の構築に、私ども努めていきたいと考えております。

○秋田委員 局長、私どもは、いい改革であれば、ちゃんと応援団として一緒にやっていきたいと思っているんですよ。だけど、今回のは、ちょっと民主主義のロジックからしても無理筋だなという印象と、何よりも果たして改革、改善につながるのかな。特に業者の皆さん、中小企業の皆さんにとっていかがなものなんだろうかな。そういった意味で、わざと今、わざわざ局長にお伺いしたわけでございます。
 二元代表制という言葉がよく使われますけれども、今回の改革、先ほどもお伺いしましたけれども、三月の末ですよね。まさに定例会終わった直後に、我々への説明もなく発表される。あるいは、我々は置いておいても、業界の皆さんの意見を聞かずに進める。果たしてこれでちゃんとやっていけるのかな、現場が混乱するんじゃないかな、それを一番心配しています。
 特別顧問の加毛氏は、四月三日の建設通信新聞で、さらに改革、改善を重ねていく必要がある、こうコメントをされているんですが、これらはどのようなことを示しているんでしょう。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私も紙面でしか知りませんが、入札契約制度改革の実施方針では、今回の改革は一年間の試行として実施し、翌年度以降の改善に向け検証を進めることとしております。その意味で、顧問がさらに改革、改善を重ねていく必要があるとコメントしたのは、今回の試行の検証をしっかりと行った上で改善を図っていくという趣旨であるのではないかと考えております。

○秋田委員 今はやりの言葉でいえば、そんたくされたお答えにしかならないのかなという気がしますが。五月中旬に行われると先ほどおっしゃった業界とのヒアリングの内容報告等は、議会にするつもりはおありなんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 五月中旬に実施するヒアリングにつきましては、インターネット中継を活用して広く公開する予定でございます。また、その議事録につきましても、全文を財務局のホームページに掲載する予定でございます。
 個別のご説明のご要望があれば、もちろん伺いますけれども、あらゆることが全てオープンになったヒアリングの場でございます。

○秋田委員 それでは、六月からの試行状況について、迅速に議会に報告するご予定はあるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 試行の状況につきましては、半年程度経過後に都政改革本部会議で中間報告を行い、翌年度以降の改善に向けた検証を進めることとしておりますが、その中間報告につきましては、議会にも報告を行うつもりでございます。

○秋田委員 大分早いですが、最後にちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。申しわけないです。
 今後、検証の結果まで、都議会においても、現在の中小企業の技術者を含む従事者の賃金を初めとした処遇や労働条件にしわ寄せがないよう、また、そうすることで、将来的な担い手を確保し、都民生活を持続的に変えていく礎となるよう議論をしていくことが必要でございます。工事だけでなく、清掃や警備などの業務委託においても品質の確保は必須になってまいります。
 ようやく始まったこれら業務委託の安かろう悪かろうから脱却を果たすためにも、議会においてしっかり議論をしていかなければなりません。そのためには、東京都参与に新しく就任した飯塚氏と都政改革本部特別顧問の加毛氏に、直接考え方などを聞かなければならないと思います。都議会自民党として、まずお二人の当委員会への参考人としての早期招致を委員長に求めたいと思います。
 オリンピック・パラリンピックを一つの契機として、技術力の維持向上、障害者や高齢者、そして女性の活躍なども促していける契約制度を構築してレガシーとしていくことが、この大会を迎える世代の役割だと思います。このことを強く訴えて、質問を終わります。

○吉倉委員 今回の入札契約制度について質問いたします。
 都政改革本部の内部統制プロジェクトチームは、三月三十一日、都の発注工事に関する入札契約制度改革の実施方針を突然発表いたしました。これは、今後の都の事業や政策展開、さらに受注事業者の経営に直接かかわる重要な課題であり、都議会公明党として、このまま看過できる問題ではないと判断し、四月十三日、関係団体よりヒアリングを行い、意見要望を聴取いたしました。その上で、翌四月十四日、知事に直接、入札契約制度の改革方針に関する申し入れを行ったところであります。
 特に我が党は、申し入れの中で、都の公共事業や中小企業の経営にかかわる重要な問題であることから、知事みずから、直接現場の意見を聞く機会を持っていただきたいと、このように強く要請をいたしました。
 知事は、都議会公明党の要請に応え、早速、五月中旬に二十五団体程度を対象としてヒアリングを実施する旨、先週四月二十一日の定例会見で発表をされました。知事が直接、現場の実態に精通する関係団体より迅速にヒアリングを行うことについて高く評価するものであります。その上で、今回の実施方針について、私は、中小零細企業を守る立場から何点か確認しておきたいと思います。
 都政改革本部は、第一回定例会が閉じた翌日三月三十一日に、突然この実施方針を発表いたしました。しかもその中で、財務局契約案件はことし六月より試行を開始する、また、各局の契約案件はことし十月より試行を開始する、このことを既に決めております。この方針を受けとめ切れない関係業界の方々の心配と驚きは大変大きなものがあります。
 そこで、最初にお聞きいたします。なぜ、この時期に入札制度改革を行う必要があるのか、また今回の方針を決定するに当たり、受注する事業者の立場に立って十分に検証を行ったのかどうか、この点、明確にお答えいただきたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の入札契約制度改革は、小池知事の進める東京大改革の一環として、昨年九月から都政改革本部における内部統制PTにおきまして、特別顧問と財務局とが共同で検討を進めてきたものでございます。
 PTでは、豊洲新市場の建設や二〇二〇大会の施設の建設工事を中心に検証が進められ、一者、九九・九%落札のような入札結果について、都民の疑念を払拭するため、多くの入札参加者のもとで競争が行われ、落札額が適正であることを都民にも目に見える形で制度を再構築し、入札の透明性を高めることを主眼に検討を行ってきたところでございます。
 また、財務局では、毎年主要な業界団体と意見交換を実施しておりまして、内部統制PTにおける検討におきましては、こうした意見交換を通じて把握してきた業界団体の声を踏まえつつ、その声を検討に反映させてきたというふうに考えております。

○吉倉委員 確かに、一者入札、九九・九%落札のような入札結果について、都民の疑念を払拭しようとする努力は理解できます。しかし、公表時期と受注する事業者への配慮を十分に行ったかどうかについては疑問が残ります。
 今回の改革では、さらに具体的な実施方法を一年間の試行として実施し、半年程度経過後に都政改革本部会議で中間報告を行い、翌年度以降の改善に向けた検証を進めると、このようにしております。制度だけを先に決めて試行的に実施する。その中で経過を見ながら改善していくというこういうやり方は、現場を知らない、まさに机上の空論だというふうに思います。
 多くの混乱が予想され、中小零細企業の方々の心配や不安は、はかり知れません。本来であれば、万全な執行体制を整えた上で制度改革を進めるべきであります。
 今回なぜ試行的実施をこのような形で進めようとするのか、見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 一者、九九・九%の落札のような入札結果により、都民に疑念を抱かせることがないようにすることが喫緊の課題と認識しておりまして、入札契約制度に対する都民の信頼を早急に回復する必要があることから、三月末に今回の改革の実施方針を取りまとめ、六月から試行を開始することといたしました。
 今後、業界団体に対しましては、説明会などを通じ、制度の詳細について丁寧に説明を行い、現場での混乱が起きないようしっかりと対応してまいりたいと思っております。

○吉倉委員 答弁いただきましたけれども、制度の詳細について丁寧な説明を尽くすことで、ぜひ中小零細企業の方々の心配や不安を解消していただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 次に、実施方針では、一者入札、九九・九%落札を抑制するために、予定価格の事前公表を見直し、事後公表にするとしております。これは、これまで都が発注者の責務を果たしていくためには事前公表が望ましいとしていたものを根底から改めることになります。
 都はこれまで、事前公表の弊害として指摘されている点を解消するために、総合評価方式への適用拡大や入札金額の内訳書の確認などを行い、技術力の高い事業者を落札してきた経緯があります。
 今回、予定価格の事前公表を撤廃することで、多くの入札不調が発生することはないのか、加えて、不良不適格者の排除が適切に図れるのか、さらに入札契約手続の透明性や不正行為の防止についても適切に図ることができるのか、見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の実施方針において、事前公表から事後公表に変更することにより、落札率九九・九%のような予定価格に近い金額で落札される工事案件が減少すること、予定価格超過者の応札による入札経過の透明性の向上などが図られ、都民の疑念の払拭につながるものと考えております。
 さらに、これまで事前公表の予定価格をもとに、積算せずに入札に参加する技術力のない、いわゆる不良不適格業者が入札から排除されることになるため、工事品質の確保にも一定の効果があると考えております。
 一方、事後公表により、予定価格が事前に公表されないため、事業者が工事内容を十分に把握できない場合には、適切な積算ができず不調が多発するおそれがございます。そのため、工事発注時に示す設計図書について、詳細な施工条件や内容を明示するとともに、十分な見積もり期間が確保できるよう、各局の技術部門と連携して、現在準備を進めているところでございます。
 また、職員に対して、予定価格に関する探り行為の増加等が懸念されるため、これまで以上に情報管理の徹底や研修の充実を図るとともに、新たに整備された公益通報制度や外部からの働きかけ報告制度等を活用し、職員の職務執行に関する対策を強化してまいります。
 また、事業者に対しましても、探り行為に対する指名停止等の罰則の強化を検討するなど、制度改革に伴うデメリットの回避に対してしっかりと対応してまいりたいと考えております。

○吉倉委員 制度改革に伴うデメリットの回避にしっかりと対応していくと、こういう答弁であります。入札不調への対応、そして工事品質の確保などに全力で取り組んでいただきたいと重ねて要望しておきます。
 さらに、実施方針では、再入札時の工期の延長、あるいは制度改変に伴う入札システムの事業者負担など、制度改変に伴う変更の詳細がいまだに不明のままであります。詳細を早急に公表すべきと考えますが、見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 三月に公表いたしました入札契約制度改革の実施方針に基づき、現在、制度改革の詳細についてまとめているところでございます。業界団体には、今現在のところ、四月二十七日以降、順次説明会を開催し、その詳細について丁寧に説明し、六月の施行開始前までに周知を図っていく予定としております。

○吉倉委員 どうぞよろしくお願いします。
 次に、最低制限価格の制度の撤廃について伺います。
 そもそも最低制限価格制度は、公共工事の品質確保の観点に加え、公平性、透明性、競争性及び健全な中小企業の受注を確保するために都が導入したものであります。この撤廃により、約九割の中小企業のダンピングや過剰な競争が起こることが強く懸念されております。こうした点をどう受けとめ、今後どのように対応していくのか見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の実施方針では、最低制限価格制度から、低入札価格調査制度に変更するのは、比較的大規模な工事が対象である財務局契約案件のみであり、平成二十七年度の件数でいえば、五百四十五件、全体の工事の一割強となっております。
 一方で、都の全体の工事件数の約九割弱、四千三百件ほどを占める中小企業が受注する小規模な工事が対象の各局及び事業所の契約案件につきましては、引き続き最低制限価格制度を適用することとしております。
 今後の低入札価格調査制度の実施に当たりましては、調査マニュアルを改正し、社会保険未加入対策の強化、契約後の追跡調査の厳格化、工事成績判断基準の導入、特別重点調査の資格基準化など、将来にわたる公共工事の品質確保と、その中長期的な担い手の確保、ダンピング防止に重点を置いた審査を行うこととしております。

○吉倉委員 ただいま答弁いただきましたが、今回の実施方針では、最低制限価格制度を撤廃し、低入札価格調査制度を実施するのは、大規模工事が対象である財務局契約案件だけであり、各局の契約案件については、従来どおり最低制限価格を維持するということであります。
 こうした内容は、競争環境を高めることを目的としていることはわかりますけれども、一方で、低入札価格調査を行う場合については、下請として参加する中小零細企業に対して不当なしわ寄せが生じないよう、工事施工体制に関する調査を強化すべきであります。
 さらに、低入札価格制度を実効性あるものにするためには、失格基準の明確化を図るべきであります。この点について見解を求めます。

○五十嵐契約調整担当部長 今回、最低制限価格制度から低入札価格調査制度に変更するのは、大規模な工事が対象である財務局契約案件のみでございますが、委員ご指摘のとおり、大規模な工事の下請として参入する中小零細企業に対し、不当なしわ寄せが生じないよう、工事施工体制に関する調査を強化するなど適切に対応する必要があると考えております。
 低入札価格調査制度の実施に当たりましては、そうした視点を踏まえまして、契約時の調査だけでなく、契約後も施工体制台帳の確認等を通して、下請企業に関する工事施工体制の追跡調査を行うとともに、現在の特別重点調査に該当する基準額を数値的な失格基準に改めるなど、低入札価格調査において、失格とする事項と基準を明確に定めることにより、制度の実効性を担保してまいりたいと考えております。

○吉倉委員 低入札価格制度の実効性を担保すると同時に、ぜひ中小零細企業に対して不当なしわ寄せが生じないよう、適切な対応を要望しておきたいというふうに思います。
 ところで、今回の実施方針は、現時点では財務局契約の工事案件を対象としておりますが、設計や印刷、さらに清掃やビルメンテナンスなどの業界の方々は、近い将来、自分たちの業界にまで影響が及ぶのではないかと心配の声を上げております。また、こうした業界は、女性や障害者の方々の雇用の受け皿となっていることから、職場を提供する企業側にも危惧が広がっております。
 そこで、今回の改革は、工事案件を対象としておりますが、物品や委託などの案件、いわゆる二課ものについては、今後見直しを行う予定はあるのかどうか、見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 都政改革本部における入札契約制度の改革につきましては、工事に係る契約制度を対象としておりまして、物品や委託などに係る契約制度につきましては、見直しの対象を行っておりません。

○吉倉委員 ご答弁ありましたが、見直しの議論は行っていないということであります。
 物品や委託にかかわる関係業界の方々が、仮に二課ものにまで影響が及んだ場合、死活問題にまで発展するとして大変心配をしております。こうした危惧をしっかりと受けとめていただきたい、このように考えております。
 今回の入札契約制度改革は、二〇二〇年東京大会を目指す都の公共事業の推進や、あるいは東京の産業を支える中小企業の経営にかかわる極めて重要な問題であります。
 その意味から、最後に、中小零細企業を守るために、入札契約制度改革を目標としている、この都の立場から、今後の改革の方向性と方策について局長に伺い、質問を終わります。

○武市財務局長 入札契約制度は、競争性、公平性、透明性を担保するとともに、品質の確保、中小企業の育成、高齢者や障害者の雇用、女性の活躍の促進など、さまざまな政策課題への対応とのバランスをとりながら総合的に制度を構築していく必要がございます。
 ご指摘のとおり、都内産業の発展の鍵を握りますのは、都内企業の九九%を占める中小企業にほかならず、こうした中小企業に対して、公共工事の受注機会の確保を図ることによりまして、中長期的な担い手の確保と中小企業の育成に寄与していくということは非常に重要な視点でございます。
 今回の実施方針では、競争入札に当たって、できるだけ多くの入札参加者を確保することを目指しておりますが、このことは過当な競争をあおり、落札価格を下げるということを目的としているものではございません。健全な競争性のもと多数の事業者が入札に参加し、落札額が適正に決定されていることを、都民にも見える形で制度を再構築いたしまして、入札の透明性を確保するということを目的としているものでございます。
 予定価格の事後公表など、適用する入札契約制度の形が変わりましても、品確法や官公需法などを踏まえまして、適正な価格、品質の確保、担い手の育成、中小企業の受注機会の確保など、これまでの入札契約制度に関する基本的な考え方には変更はございません。
 五月の中旬には、知事が直接、業界団体の皆様から現場の声をお聞きするヒアリングを実施いたします。そこで得られるご意見なども踏まえつつ、今後とも、よりよい入札契約制度の構築に努めてまいります。

○大西委員 オリンピック関連施設や豊洲市場などの建設費の高騰、一者入札等に対して、都民の問題意識は非常に高まっております。入札改革を六月をめどに実施すると発表されましたが、今回の実施方針では、予定価格の事後公表、JV結成義務の撤廃、財務局契約内案件では、一者しか参加希望のない入札は原則中止、低入札価格調査制度の適用範囲を財務局契約案件全体に拡大する、そしてまた、技術提案型総合評価制度の方式の見直し、事前、事後における検証の強化、情報公開の充実が挙げられております。
 豊洲市場の建設費が六千億円、建物だけで二千七百億円、当初の見込みから三倍近くにもなっております。一般の感覚では、一割、二割高くなっても、なぜなのか、このように考えるのが普通でありまして、二倍、三倍というのは当然理解できないわけです。私自身、こんなにも膨らんだその原因とそれに対する対策は不可欠だと思います。
 そこで、今回のこの入札改革の発端にもなったこの豊洲の入札、契約にかかわる課題について、PTではどう総括したのか、お伺いいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 特別顧問の見解として、平成二十八年十一月の第三回及び第四回並びに十二月の第五回の都政改革本部会議におきまして、豊洲市場の建設工事に関して、予定価格積算の妥当性や一者入札と事前公表の組み合わせにより、高落札率となったことなどが課題として挙げられております。
 一般的に、電子調達システムによる都の現行の入札制度のもとでは、他の入札参加者がいるかどうか知り得ないため、結果的に一者入札となっても競争性はあると考えております。
 また、九九・九%という高落札率についても、入札当時は、東日本大震災の復興事業の影響により、労務費単価、資材価格等が上昇し、日本全国で不調が多発する状況の中で、予定価格の事前公表制度のもと、予定価格とほぼ同額での応札となったと考えているところでございます。
 しかし、PTの検証におきましては、複数の大規模案件の同時発注、六者から七者といった多数の企業によるJV結成の義務づけ、不調後の再発注、予定価格の事前公表などが一者入札、九九・九%の落札という、都民から見て、競争性や公正性に疑念を持たれる結果を生じさせたとし、こうした疑念が生じることのない入札契約制度を構築することが、発注者としての大きな責務であるというふうな形に総括されたところでございます。

○大西委員 この豊洲問題があって今回の入札改革だと思うんですが、この一者入札、九九・九%落札をなくすということで何を狙っているのか、端的にお答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 より多くの入札参加者のもとで競争が行われ、落札額が適正であることを、都民にも見える形に制度を再構築することにより、入札の透明性を向上することが、今回の改革の目的でございます。

○大西委員 多くの参加者のもとでの競争、そして透明性の向上で、都民の疑念を晴らし、都民の理解を得られる行政運営を行うことは非常に大切だと思います。加えて、なぜ一者入札が起きるのか、九九・九%の札が入るのか、きちんと事実に基づいた分析をすべきだと思います。言葉は悪いですが、公共工事にうまみが少なくなって人気がない時代になっているとの話も伺います。
 予定価格を適正水準に保ちつつ、入札参加者をふやす工夫が必要だと思いますが、一者入札の原因をどう捉えて対策をしようとしているのかを伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札に限らず、入札参加者が少なくなる原因としては、予定価格が適正に設定されていない、工期や工程に無理がある、仕様が不明確、同時期に同種の発注が多い、そもそも入札に参加可能な事業者が少ないなど、さまざまな理由が考えられます。
 また、予定価格の事前公表のもとで、採算がとれなくなるおそれがある施工条件の厳しい工事などでは、見積もりの結果、予定価格内での応札が難しいと判断した事業者は入札に参加せず、結果的に一者入札になる場合も多いと考えております。
 こうしたことから都は、平成二十六年から、入札に参加しやすい環境の整備に向けてというテーマを定め、市場価格とのギャップのない適正な予定価格の設定、事業者に無理を強いることのない適切な工期や工程の設定、発注時期の平準化などに取り組んできたところでございます。
 今回の改革を契機に、入札参加者が、より適切に積算できるよう、標準単価や積算基準の公表のほか、施工条件や内容を詳細に設計図書に明示することなどにより、今まで以上に入札参加者をふやすさまざまな取り組みを行ってまいります。
 また、JV結成義務につきましても、入札参加に当たっての制約になっていると考えられることから、今回の改革では、JVと単体のどちらでも参加ができる混合入札を試行することとし、入札参加者の増加と競争性の向上を図ってまいることとしております。

○大西委員 入札参加希望者があれば、結果的に札入れが一者であっても開札する方針と伺っております。これ、ダミー会社、ダミー希望者など、やろうと思えば幾らでも改革を骨抜きにできそうとも感じられます。
 こうしたことを防ぐ手段というのは、どのように考えておられるでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の開札中止に限らず、どのような入札制度であっても、談合のような相手方の悪意によるダミー応札等のリスクはどうしてもあるものと考えております。そうした入札に係る不正を防いでいくためには、入札制度の見直しだけでなく、入札結果を事後に検証していくことが重要と考えております。
 今後、入札監視委員会が行う契約案件の入札手続に関する審議を強化していくことにより、一層の入札の透明性の向上を図ってまいります。

○大西委員 従来、談合の撲滅、歳出削減が主な目的として、入札制度改革が行われてまいりましたが、近年、改正品確法でも求めているように、質の担保と担い手育成も重要な課題です。こうした観点から見ると、予定価格の積算が適切であれば、予定価格にぴたりと張りついたような落札額が多いことは望ましい状態であるという論も成り立つと思います。
 しかし、自由経済において、企業努力やイノベーションもあり、資材、燃料は、為替も含めて非常に変動いたします。また、調達方法や現場の管理監督者、建設機材の繰り回し、工期などの事業者の採算性も大きく変動するという話も実際聞かれます。
 予定価格が高過ぎないようにしなければならないが、予定価格が低過ぎれば、価格オーバーで不調になってしまいます。
 不調対策として、予定価格のあり方については、どのように取り組むのか伺います。

○久保田建築保全部長 適正な予定価格の設定は、発注者の責務でございまして、品質を確保し、入札不調を防止するため、最新の単価を適用し、積算基準に基づき、可能な限り実勢を反映した積算に努めているところでございます。
 そのため標準単価は、資材等の市場動向を速やかに反映できるよう、年四回の定期改正を行っているほか、特に鋼材や配管等の主要資材に関して価格変動が大きい場合には、臨時改正を行っております。また、予定価格の五割前後を占める見積もり価格部分につきましては、複数者の平均値をもとに見積もり単価を設定してございます。
 さらに積算基準につきましては、建設業界の実態に即して適宜改正をしてございまして、本年四月には、国が行った建設企業の財務実態調査結果等に基づき、一般管理費等及び下請企業の経費率を引き上げる改正を行ったところでございます。
 こうしたことに加え、入札参加者が適切に積算できますよう、標準単価や積算基準の公表のほか、施工条件やその内容を詳細に設計図書に明示することなどにより、引き続き入札に参加しやすい環境を整備してまいります。

○大西委員 同じ建物を建てるなら、品質は下げずに安い金額で建てる、これを追求するのは、発注者としての当然の態度ですが、それを落札率だけでははかれません。落札率は予定価格を基準とした率でありますから、予定価格が高くなって落札率が下がっても意味がありません。予定価格の適切さが重要で、予定価格のあり方についても十分検討するように求めておきます。
 高額な契約金額となる財務局案件では、一者入札、九九・九%落札率が多く発生することは、公正な競争のもと、発注者イコール都民に有利な条件で契約を結ぶという入札の意義、機能が低下することにつながり望ましくはありません。一者入札も含めた不調の場合は開札せず、二回ほど再入札をかけて予定価格公表に踏み切る方針と伺いますが、その間、辞退者へのヒアリングなどを行い、見直した予定価格の公表になると思いますが、これがどんどん上がってしまい、初めの予定価格で九九・九%の落札の方が安かったでは都民利益にはなりません。こういったことがないようにする工夫をお伺いいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 当初の入札から市場価格とのギャップのない適正な予定価格を設定することが第一に重要だと考えております。こうしたことで不調を回避する、最初から予定価格をきちんと設定することで、不調を回避していくことが重要というふうに考えております。

○大西委員 予定価格を適切に設定し、入札参加者をふやし、適切な競争が行われることが一者入札や入札不調、豊洲のときに起こったような予定価格の高騰を防ぐ環境づくりにもなると思います。
 入札改革は、ゼロか百かではなく、さじかげん、売り手と買い手の綱引きという面もございます。参加資格のハードルが高過ぎれば参加者が少なくなり、売り手有利に傾いていきます。一者入札や不調を防ぐため、高過ぎるハードルを合理的な範囲内で引き下げることで、施工実績を積みたい、意欲と能力のある事業者にもチャンスがあるような改革を行うべきであります。
 JV結成義務の解除によって、中小が実績を維持できなくなり、単体での参加も難しくなるのではないかという懸念に応えることにもなります。参加者のハードルが高過ぎることのないように見直して、より多くの事業者にチャンスのある公平な競争環境が必要だと思います。
 三月末に予算が成立し、四月から設計して入札にかけるのが通常だと思いますが、一者入札や予定価格オーバーによる不調で再入札が何度も繰り返される、このような状況になると、年度後半に工事が集中し、発注の平準化など多くの参加者を得られる環境づくりとは逆の結果を招きかねない、そのような懸念もございます。
 年度後半に工事が集中することを防ぐためには、そもそもの仕事の仕方を変えなければいけないが、入札契約制度の取り組みはどうするのか、伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 都は、発注者の責務として、時期により大きな開きのある発注件数を可能な限り平準化するため、設計業務を含めた発注の前倒し、十二カ月未満の工事に対する債務負担行為の積極的な適用、それから技術者配置準備期間の設定などの取り組みを進めております。こうした取り組みの強化によりまして、委員がご懸念するような、不調により年度後半に工事が集中するような事態の回避に努めてまいります。

○大西委員 入札不調や中止などが頻発し、工事等の大幅な遅延が慢性的になることは、社会的損失でもございます。東日本大震災からの復興事業が数多く行われている東北の自治体では、一者入札の場合の入札中止を取りやめた自治体が幾つもございます。
 災害復旧工事などのように、入札の不成立による時間ロスがかなり大きな影響を及ぼす案件は、一者入札の例外となるのかどうか、お伺いをいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の原因は、入札に当たって発注者が設定する条件により、入札に参加可能な事業者が限られてしまう可能性があるため生じるもので、一者入札の中止は、そうした条件が適切かどうか再度確認し、入札の競争性と公正性を確保することを目的とするものでございます。
 しかしながら、事業の緊急性、事業の停滞による社会的影響、当該工事の施工困難性など、特別な事情がある場合には、当初の入札から一者入札を認めていくことも必要と考えております。
 今後、財務局契約案件での試行結果を検証し、一者入札を認める場合の実務的な手続や基準などの整備を進め、実施方針の適切な運用に努めてまいります。

○大西委員 災害復旧など緊急性が非常に高い案件においては、即時性を優先すべき場合もございます。適切に判断してほしいと思います。
 しかし、一者入札での中止の例外はどのようなものかと考えたときに、財政委員会に係るこの財務局案件では、各種耐震化や豪雨対策、河川改修や護岸施設など、災害関連といえる工事もたくさんございます。
 災害関連工事と災害復旧工事との線引きはどのようにするのか、伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 そのような線引きを含めまして、今後、一者入札を認める場合の実務的な手続や基準などの整備を進めてまいります。

○大西委員 緊急性、施工困難などの線引きいかんによっては、例外が多くなり過ぎれば、改革の実効性が今度は下がってしまいます。都が都民利益の立場に立って発注できるように、しっかりと取り組んでほしいと思います。
 このほかにも、質の担保、労働環境の確保や技術者配置の要件、そして、同種工事のテンプといった入札者を多くする工夫など、さまざまな課題があります。直接的な入札制度ではありませんが、都の入札において、より多くの参加者を得て、より公正な競争が働くようにするために必要な取り組みを進めてほしいと思います。
 財務局については、最低制限価格を撤廃するとの方針ですが、価格で切るのではなく、低い金額であっても労働者への賃金へのしわ寄せや、また手抜き工事、施工水準の低下がない、イコール適切な企業努力による結果であるならば、発注者側が必要な確認を行って契約すべきだと思います。これをいうのは簡単ですが、実際に精度の高い調査、合理的な線引きをするのは、これまた非常に難しいものだというのもわかっています。
 優秀な都財務局の腕の見せどころだともいえますが、最近三年間の財務局案件で、最低制限価格未満及び調査基準価格未満、それぞれの入札件数の推移はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 財務局契約案件において、最低制限価格未満及び調査基準価格未満での入札があった件数は、平成二十五年度が最低制限価格未満百三十九件、調査基準価格未満三十七件、平成二十六年度が最低制限価格未満が百十三件、調査基準価格未満五十四件、平成二十七年度が最低制限価格未満百三十八件、調査基準価格未満六件でございます。

○大西委員 入札金額は不当な廉価、ダンピングになるかどうか、一件一件、事業者のさまざまな状況によって違ってまいります。
 例えば、A社というのがありまして、当該案件をその価格で落とすことが、ダンピングとまでいわなくても、これを他者から見れば廉価過ぎるということもあり、最低制限価格は一定の機能を果たしているとも伺います。都では、この大規模工事発注案件の増加を踏まえ、臨時的措置として最低制限価格の対象となる契約を拡大してきましたが、今回の最低制限価格の対象を狭め、低入調査対象を拡大する方針となっています。
 今の答弁では、これまで、調査対象案件が数件から数十件であったと。今後は、最低制限価格未満も含めた百数十件に増加するかもわかりません。
 適切な低入調査を行うためにどのような対応を図るのか、お伺いいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 低入札価格調査に当たりましては、下請として参加する中小企業に対して不当なしわ寄せが生じないよう、工事施工体制に関する調査を強化するなど、効率的かつ実効性の高い調査を実施することとしております。
 具体的には、社会保険未加入対策の強化、契約後の追跡調査の厳格化、工事成績判断基準の導入、特別重点調査の失格基準化など、将来にわたる公共工事の品質確保と、その中長期的な担い手の確保及びダンピング防止に重点を置いた審査を検討してまいります。

○大西委員 安かろう悪かろうではだめだというのは子供でもわかることです。いかに適正価格で健全な競争を働かせるかが課題であります。現場の労働者へのしわ寄せなどはもってのほかでございます。建設業界では、いまだに一部の社会保険未加入の課題が残っています。法令遵守はもちろん、担い手の確保、育成の観点からも、下請なども含めた適正な賃金、社会保険加入など、労働環境をしっかりと評価していただきたいと思います。
 そして、もう一つ大切なことは、予定価格の公表をやめてしまうことで漏えい対策がより重要になってまいります。さまざまな方面から、都職員への攻勢、圧力も予測されます。職員を守り、不正に加担させることのないよう、また、疑念を与えられないよう、日ごろの綱紀粛正はもちろんのこと、口ききの記録や通報制度の活用によって、いま一度契約に携わる職員に徹底されたいと思います。
 談合、口きき、利権、情報漏えい、断じてあってはなりません。都民に疑いを持たれるような状況も問題です。現状を打破する改革の実をしっかりと都民に届けられるように取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○栗山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十六分休憩

   午後三時十七分開議

○栗山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とくとめ委員 今回の入札契約制度改革の出発点は、小池知事も認めているように、豊洲新市場の施設建設やオリンピック競技施設の建設の工事契約にかかわって、一者のみが応札して、九九%以上という高落札率が相次いで、談合の疑いがあるのではという都民の不信が高まっているもとで、こうした事態の再発防止策をいかに強化して、税金の使い方について都民の信頼をかち取るかということにあると思います。
 その中で、今回の入札契約制度の改革では、我が党が繰り返し質問も行い改善を要望してきました一者入札の中止や入札価格の事前公表の事後公表への見直し、入札監視委員会の機能強化が図られていることは重要であり、評価するものです。
 しかし一方で、今回の入札契約制度改革には見過ごすことができない問題もあると、率直に指摘せざるを得ません。都や国がこの間、長期にわたる建設投資の削減の影響に苦しむ建設業界が、持続的に発展できるようとってきたさまざまな対策に逆行するような内容もあります。
 最初の質問は、財務局の提案である最低制限価格制度を廃止し、低入札価格制度を適用するという問題です。現在の最低制限価格制度は、平成二十七年度から平成二十九年度の期間は、臨時措置として適用されていたのは、どういう目的や理由からなのか、お答えいただきたいと思います。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 最低制限価格制度をWTO未満の工事に適用する臨時的措置でございますが、低価格入札の防止を徹底することで、事業者の入札参加意欲を高め、喫緊の課題であった入札不調の解消へとつなげるとともに、構造的な人材不足が深刻化する事業者の事業運営を持続的に担保することで、公共工事の担い手を中長期的に確保、育成するという目的で導入したものでございます。

○とくとめ委員 最低制限価格制度を大幅に拡大したのは、低入札を防止して、事業者への参加意欲を高め、喫緊の課題である入札不調の解消につなげるということと同時に、事業運営を持続的に担保することで、公共事業の担い手を中長期的に確保することであるという答弁でありました。
 私は、きょう、財務局が二〇一六年三月、わずか一年前ですが、先ほども理事者から答弁で紹介されましたが、入札に参加しやすい環境の整備に向けてと、東京都の入札契約制度改革、こういう冊子をお持ちしました。ここには、一部に見られる過度な価格競争を抑制して、企業の持続的可能な事業運営を担保することで、担い手となる人材の育成、確保を図り、入札不調の解消につなげるために大幅に拡大したと説明がされています。この冊子の該当する部分の二つの狙いは、一つは担い手の育成確保が主要な目的と書かれています。二つ目が入札不調の確保というようになっております。
 そこで、この臨時的措置の目的は、低価格入札の防止で入札不調の解消へとつなげ、人材不足が深刻化する事業者の事業運営を持続的に担保して、公共工事の担い手を中長期的に確保、育成するということでありました。平成二十七年から平成二十九年までの期間の最低制限価格の適用についてどのように評価をされているのでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 この臨時的措置を含めまして、これまで取り組んできた入札に参加しやすい環境の整備に向けた一連の取り組みにより、不調率の改善や入札参加者の増加など一定の効果があったものと認識しております。

○とくとめ委員 一定の効果があったものという答弁でした。最低制限価格制度の大幅拡大の二つの狙いのうち、入札不調の改善のお話はありましたけれども、担い手の育成、確保については、ご答弁がありませんでしたけれども、担い手の育成、確保の効果についてはどうだったんでしょうか、お答えいただけますか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一連の取り組みによりまして、建設業界全体とまではいきませんが、一定の業績の回復等が図られたものと思います。それにより、担い手の確保も進んできているのではないかと。最近の、大手ではありますけれども、若年者の就業率も上がっているという状況もありまして、一定の成果があったものと信じたいと思います。

○とくとめ委員 一定の効果があったという答弁でした。
 しかし、担い手の確保というのは、短期的に改善できるものでは当然ありません。実際、先ほど紹介した財務局の冊子でも、こうした担い手不足は、バブル崩壊後の長期的な建設投資の抑制の影響によるものだということになっています。ですから、中長期的な視点で取り組まなければ効果が広がらないということは明白だと思います。
 そこで、これまでの臨時措置が一定の効果があったとの答弁でしたが、今回、最低制限価格制度を廃止する理由はどういうものがあるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の改革方針では、公共工事の不調率の一定の改善の状況、また、近年の大手や中堅企業の業績の改善等を踏まえまして、これらの事業者を主な対象とする大規模工事を取り扱う財務局契約案件につきまして、低入札価格調査制度に移行することにより、競争性の確保と工事品質の確保を同時に図っていくこととしたものでありまして、これに伴い最低制限価格制度の臨時的措置も終了するとしたものでございます。

○とくとめ委員 低入札価格調査制度の適用範囲を拡大することによって、工事品質や下請企業の労働条件の改善も確保できると、そういうご答弁でありました。
 労働条件の確保といいますけれども、最低制限価格を設けないことによって、中小零細企業の営業や下請労働者の労働条件、賃金にマイナスの影響が出るようなことはないのでしょうか、どう見ておられますか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほども答弁をさせていただいたことでありますが、最低制限価格制度を廃止するのは、財務局契約案件でございまして、平成二十七年度の実績でいえば、五百四十五件、全体に占める割合は一一%でございます。
 これらの契約において、仮に低入札価格調査を行う場合は、ダンピングや過当競争による工事品質の低下や下請の中小零細企業へのしわ寄せが生じることがないよう、特に工事施工体制に関する調査を強化していくこととしております。
 具体的には、社会保険未加入対策の強化、契約後の追跡調査の厳格化、工事成績判断基準の導入、特別重点調査の失格基準化などによりまして、公共工事の品質の確保と中長期的な担い手の確保、育成に重点を置いた審査を検討してまいります。

○とくとめ委員 問題は、建設現場などの実態だと思うんですね。下請の中小零細企業へのしわ寄せが生じることがないよう、低入札価格調査に当たっては、工事施工体制に関する調査を強化する。あるいは具体的には、将来にわたる公共事業の品質確保、その中長期的な担い手の確保、ダンピング防止に重点を置いた調査を検討するということでした。今回の措置で、中小零細下請企業へのしわ寄せが生じることがないようにしていくということでした。
 しかし、実態は厳しいものがあると思います。三月の財政委員会でも紹介しましたけれども、現場の下請労働者の実態は、現時点の賃金でも、ここ数年、労務単価が引き上げられたといっても、賃金の低迷した状態が続いています。都内最大の建設労働者の団体に実態を聞いたところ、例えば、建設労働者の低賃金の改善のための公共事業の設計労務単価は、国交省や業界の日建連などの取り組みもあって、二〇一一年以来、労務単価は上昇しています。一万八千六百円から二〇一五年で二万五千四百円、一・三七倍の六千八百円の賃金のアップになっています。
 しかし、常用大工の実際の賃金は、二〇〇一年の実際の賃金で一万六千五百円、それが二〇一五年で一万六千九百六十五円でした。一〇三%の伸びにとどまっています。ほとんど横ばいで、労務単価の差は八千円の開きになっています。せっかく設計労務単価で引き上げられてきたのに、労務単価の六七%に現場の賃金はとどまっている。この差は一体どこに吸い上げられていったのか、問われていると思うんです。
 こうした実態は、豊洲新市場七街区の管理棟建設で働く建設労働者の百二十六人に対する昨年五月のアンケートでも、日当一万六千円以下の労務単価よりも九千円も安い建設労働者が、労務単価の約六六%という結果にも明確にあらわれています。机上で考えるほど現場は甘くはない、厳しい実態が広がっていると思います。
 現在の制度でさえ、こういう実態なのですから、この最低制限価格制度という底が抜ければ、下請に一層しわ寄せが広がる危険が拭えないと思います。何度も冊子でも紹介をしておりますけれども、恐縮ですけれども、国だって単なる人手不足対策ではない、将来を担う人材の育成を重視して、担い手三法を改正して公共事業の品質確保と担い手の中長期的な育成確保を図るために、発注者の責務として、予定価格の適正な設定、適正な変更など、公共工事以外の調達にも共有し得る内容がこの冊子の中で明確に示されています。こういう明記された内容から見ても、幾ら予定価格を適正に設定したとしても、最低制限価格制度がなくなれば、価格を支える底が抜けてしまうのではないかと思います。
 私は、三月の財政委員会でも強く要望いたしましたけれども、今都内で七つの自治体、それから目黒、日の出、今新たに公契約条例がつくられようとしていますけれども、そういう仕組み、この縛りがないと幾ら設計労務単価が引き上がっても、現場ではそれが反映していないということは、具体的事実としてぜひ認識をしていただきたいと思います。
 次に、JV結成の義務づけを撤廃して、JVと単体企業のどちらでも参加できる混合入札とする問題について伺います。
 まず、これまで都の発注要件について、JV結成を義務づけるのはいつからで、それはどういう狙いがあってこのJV結成が義務づけられたのか、伺いたいと思います。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、昭和五十年より中小企業の受注機会の確保と大型工事の共同施工を通じた中小企業の施工能力の向上、これを目的といたしまして、一定金額以上の全ての案件について、大手企業と中小企業によるJV結成を義務づけてまいりました。

○とくとめ委員 昭和五十年から約四十年、長期にわたり続けてきたJV結成の義務づけの目的と狙いは、今日、具体的にはどのように実現がされてきているんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 JV結成に当たり、地元の中小企業を構成員とすることを義務づけることなどによりまして、地域の担い手の育成、確保に対して一定の効果を発揮してきたものと認識しております。

○とくとめ委員 JV結成には、中小企業の発注機会を確保すること、それから大型工事を通じて技能を高めること、こういう狙いがあると思います。実際にも一定の効果を発揮してきたとのことです。こうした中小業者の支援と育成は非常に重要な役割が今日もあると思います。
 その一方で、JVについては問題も指摘をされています。
 例えば、豊洲新市場をめぐる契約では、都は土壌汚染対策工事も、施設建設工事も、入札参加条件として六者から七者による建設共同体であることなどを、数まで指摘して、各街区の入札に当たって共同企業体をつくることを条件といたしました。このような多数の参加が義務づけられれば、それだけ調整が必要となり、客観的には談合を助長することになりかねないと思います。
 武市財務局長は、都政改革本部会議の議事録で、そもそも入札制度というものは、競争性それから公平性、透明性の担保が必要だが、それに加えて品質の確保、さらに政策として中小企業の保護、育成ということも踏まえ、総合的にバランスをとりながら構築していくべきものだと発言をされております。
 談合を防止して競争性を発揮させる、かといって、中小企業が排除されずに、むしろ育つように配慮をする、そのバランスが、非常に難しいことですけれども大変重要なことだと私たちも考えています。
 JV制度をめぐっても、都は、バランスを慎重に図って制度を改善してきたのではないかと思います。
 例えば、二〇一五年四月から、都はJV結成が義務づけられる工事の金額を、建築では五億円から六億円に、土木の橋梁では、四億円から五億円に基準額を引き上げました。それ以下の金額の契約に意欲ある中小企業が単体で参加できるようにしてまいりました。しかし、この金額のラインを決める際に非常に慎重に計算をされています。
 先ほどから紹介している、この冊子の中には、各等級別の受注者の受注状況や技術等級等も踏まえて、改正後の状況について、シミュレーションとしてJV基準額を見直したということも書かれています。つまり、この金額までなら意欲ある中小企業が大手ゼネコンに対抗して単体でも参入できる。しかし、それ以上の金額はJVにしないと中小企業は入っていけない、そういうラインがあります。都は実際に、そういうラインを計算しているんじゃないでしょうか。
 ところが、今回の改革では、JVの基準額を全部取り払ってしまうことになっています。百億円、二百億円といった金額の工事に、中小企業が大手ゼネコンに対抗して単体で参入できるとは、とても想定しがたいものだと思います。大手ゼネコンばかりが単体で受注してしまう懸念は拭い切れないと思います。
 そうしたことからも、JVのあり方の今回の改革は拙速過ぎるんではないかと思っています。もっと丁寧に検討を進め、業者からも聞き取りをして、方針を決めるべきではないでしょうか。
 その際に、一方では談合を防止する、もう一方では中小企業の育成と参加を進める、その両方がうまく成り立つよう、ぜひ努力していただくことを強く求めておきたいと思います。
 そこで質問ですけれども、JV結成の義務づけが、地域の担い手の育成、確保に対して一定の効果を発揮してきたということでしたけれども、JV結成の義務づけを撤廃すると、中小業者にとっては、規模の大きな案件の入札に参加する機会が大幅に減少することになるのではないかと思いますが、今回の改革によって、どのような影響が生まれると見ていらっしゃるんでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の改革の主眼は、なるべく多くの参加者のもとで競争が行われ、落札額が適正であることを都民にも見える形に制度を再構築することにより、入札の透明性を向上することにあります。
 都の入札結果を分析しますと、JV結成を義務づけている工事において入札参加者が少なくなっており、一者入札の割合も極端に増加しております。JV結成義務が入札参加に当たって制約になっていることが見てとれるわけでございます。
 こうしたことから、今回の改革では、JVの結成は任意とし、混合入札にすることといたしましたが、一方で、委員ご指摘のように、これまで果たしてきた中小企業の育成、担い手の確保という効果が失われるデメリットがございます。
 そこで、今回の改革に当たりましては、大企業が自主的にJVを結成しやすくするため、JVの第二順位の構成員である中小企業の要件を緩和するとともに、中小企業を含むJVを自主的に結成する事業者を総合評価方式において加点することも検討しております。
 さらに、従来JVの構成員でなければ入札に参加できなかった中小企業が、一定の能力要件を満たしていることを条件に、企業単体で格上の入札に参加できるよう検討してまいります。
 これらの取り組みを通じまして、引き続き中小企業の受注機会の確保を図ってまいります。

○とくとめ委員 このJV結成義務の撤廃を提案するに当たって、大手建設業者などからヒアリングを行っているでしょうかと聞きたいところですけれども、ほとんど聞いていないというような答弁が出ておりました。
 ヒアリングを行った場合、あるいは大手業者の関係者の声を聞いた場合、大手建設業者は、今後も中小企業を含むJV結成を積極的に行っていく意向があったのでしょうか、どうでしょうか。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大手建設事業者からは、時期によっては、JVの相手方を探すことが困難であるということ、あるいは技術者の確保など人手不足への対応としては、JVは有効な場合があるなどのご意見を聞いております。
 今回の改革方針では、先ほど答弁させていただいたとおり、入札結果の分析によれば、JV結成義務が入札参加者数の減少の原因となっていることから、能力と意欲のある中小企業がみずからの判断で上位工事に参加できる機会を確保することを前提に、JV結成義務については撤廃することとしたものでございます。

○とくとめ委員 先ほど、今回の入札改革の施行は、時期尚早ではないかというご意見を申し上げましたけれども、六月と十月から試行した上で、一年間をかけてその実施状況を検証し、見直すということでした。
 どういうことを主な対象にして検証し見直しを進めていくのか、問題が生じた場合は試行を中止するという決断をすることもあり得るのかどうか、お答えください。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 試行開始後、半年程度経過後に都政改革本部会議で中間報告を行い、翌年度以降の改善に向けた検証を進めてまいりますが、仮に検証によって当初の目的と違う、あるいは想定と違う問題が生じた場合には、その原因を詳細に分析した上、必要に応じて適宜見直しを行ってまいります。

○とくとめ委員 そのためには、五月中旬に予定している小池知事による業界関係者とのヒアリングでの声、それから昨年の業界の予算要望の中にもありますけれども、中小零細業者からの最低制限価格制度を堅持してほしい、そういう声も私は聞いております。
 業者との意見交換を丁寧に行うとともに、制度設計した上で、試行を詰めた上で問題が生じた部分については、中止を含む見直しを大胆に行うことを求めておきたいと思います。
 日本共産党都議団は、小池都政に対しては是々非々で臨むことをかねてから明らかにしてまいりました。この入札制度改革においても、談合を防止し、競争性や公平性の確保を進めつつ、品質の確保、中小企業の支援、育成が求められていると思います。その点で、一者入札を中止、予定価格の事前公表から事後公表への変更、入札監視委員会の改革、機能強化は、我が党の要求とも一致するものとして歓迎していきたいと思います。
 低入札価格調査制度の拡大には問題があり、JV結成義務づけの撤廃にも大きな懸念があるということを指摘しておきたいと思います。
 また、予定価格の事後公表に当たっては、都も認めるように、予定価格を探る不正な動きが強まる可能性があります。予定価格などの情報管理の徹底、職員への研修の充実など、職員のモラルの強化、都庁への口ききについての報告、公表制度の強化を求めておきたいと思います。
 さらに、入札監視委員会については、監視委員自身による審議案件の抽出、案件数の増加、高落札率案件の監視強化、そして談合情報の報告などの機能強化を図るとともに、そのための要綱改正など制度改善を早急にまとめることを求めて、私の質問を終わります。

○山内委員 入札契約制度改革の実施方針について、質疑、答弁を伺ってまいりました。私からは意見を述べさせていただきたいと思います。
 入札契約制度の改革を進めることは必要です。東日本大震災の復興、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの施設整備等によって、資材価格の高騰や人材不足の理由のもと、公共工事の入札不調が起きました。豊洲新市場や東京二〇二〇大会の会場の整備費は大幅に膨れ上がりました。その金額は、建設資材、人件費の高騰率をはるかに上回っており、非常に不可解です。
 今回の入札制度改革は、落札率の高さ、入札価格の高どまりを是正しようとする試みであると聞いています。最低制限価格制度の臨時措置を終了するとしていますが、工事の品質確保はできるのか、人件費を確保できるのか、非常に疑問に思っているところは確かです。
 二〇〇五年の公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法の制定、その後の二〇一四年の品確法の改正に基づいて、総合評価方式で、価格だけでなく品質も確保する調達が行われていたはずですが、それをどう評価しているのでしょうか。
 人件費についても、末端まで適切な労務単価が行き届いているのか、処遇改善は進んでいるのか、現場での実態調査が行われているわけではありません。若手人材の不足をどのように解消し、人材育成をしていくのかも見えません。
 また、原則、予定価格は事後公表とするとしました。危惧される予定価格及び最低制限価格の漏えいなど不正については、通報制度、報告制度を活用して防止していくということですが、およそ十年前ほどに起きた入札談合事件のような職員と事業者の事前交渉などが起きる心配は拭い去れません。
 入札契約制度の改革を進めるに当たっては、多様な意見を取り入れ、十分掘り下げた議論が必要であると申し述べ、意見といたします。
 以上です。

○大津委員 入札契約制度改革が、三月三十一日、特別顧問と財務局から成る内部統制プロジェクトチームにより公表されました。この公表の時期は、一定と二定の空白期間であるため、きょうの財政委員会が急遽開催されることになりました。
 入札契約制度については、議会及び財政委員会としても、また、ほかの委員会としても、長年多くの議員が、よりよい改革を目指してさまざまな議論がされてきたところでもあります。
 そこで、この財政委員会などを通じ、議会から、よりよい改革に向けていい知恵を出し合い、昇華し、質の高い丁寧な改革が、そうした案が出たら、都は、その案を入札契約制度改革の実施方針に取り込んでいかれるのか、改めて確認します。

○五十嵐契約調整担当部長 実施方針につきましては、昨年度、都政改革本部において、特別顧問と財務局から成る内部統制プロジェクトチームにおいて、公開の場で議論を重ね、取りまとめられたものでございまして、知事の了解を得て、六月から一年間の試行を開始していくものでございます。
 議会からのご提案につきましては、試行を円滑に進めるための具体的な運用や本格実施に向けた検証など、いろいろな面で生かしてまいりたいというふうに考えております。

○大津委員 私も、これまでの財政委員会の質疑を通して、社会経済状況の変化に的確に対応した公平公正な入札契約制度の改善などをただしてまいりました。
 入札契約制度の本格実施に向けては、議会からの意見も反映をさせて進めていっていただきたいと思います。そういった意味では、試行、試す方の、この漢字の文字が違うと意味も全く違いますが、六月からの、ある意味実験とでもいいましょうか試行、これに関しても、来月、業界からのご意見を伺います。
 こうした私たちの議会の意見も六月の試行に反映をしていただけるのでしょうか、部長、お願いします。

○五十嵐契約調整担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、試行を円滑に進めるための具体的な運用などの面で参考になるようなご提案については、積極的に採用させていただければというふうに考えております。

○大津委員 この入札契約制度改革の実施方針、試行もそうですが、総合評価の見直しは、特にあるのかないのか、非常にこれわかりにくかったので、見直しがあったとしたならばどこの点か、教えてください。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の改革では、JVと単体企業の混合入札の導入に伴いまして、中小企業の育成の観点から、JVを自主的に結成する事業者を、総合評価方式の政策評価項目で加点することとしておりまして、技術力評価型、技術実績評価型の見直しを行うこととしております。
 また、内部統制プロジェクトチームの検討で、技術提案型総合評価方式の落札決定について、価格点と技術点を合わせて評価するための計算方式や、事業者に求める提案内容などの見直しが提案され、現在、その見直しの内容について検討しているところでございます。

○大津委員 総合評価において、政策的な項目を評価すること、これは公共調達のプロセスにおいて、事業者の自発的な取り組みを促すとともに、また社会も促すとともに、東京都の施策をサポートする上でも大変重要で、かつ意義があるものだと位置づけています。
 都の重要な政策を実現するためにも、総合評価は、最も重視して改革をするべき項目と捉えています。
 例えば、環境への配慮、再生エネルギーもそうです。障害者雇用の促進、仕事と家庭の両立支援、ワークライフバランス、女性の活躍推進などです。これらは、改革案に早速取り入れたらよろしいかと思っています。例えば、働き方改革なども、非常に今、社会問題は昔からあったことでしたけれども、休みのとり方、あり方、こうした働き方改革なども総合評価の中で企業に考えてもらうきっかけをつくり、企業としても社会、都政の政策実現のためにも取り入れてもらい、こうした意味では、総合評価制度の改革こそ最重要であると思っています。
 これについて、案を入れていけるかどうかの余地の見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 ただいまお話の総合評価方式における政策的評価につきましては、技術力評価型、技術実績評価型の総合評価方式におきまして、企業の信頼性、社会性の評価項目として取り入れているところでございます。
 具体的な加点項目としましては、環境配慮ではとうきょう森づくり貢献認証制度の森林整備サポート認定等の実績、障害者雇用では法定雇用率を上回る場合の雇用の実績、それから、仕事と家庭の両立支援では東京ライフ・ワーク・バランスの認定の実績、女性活躍推進では女性活躍推進大賞の受賞実績、こういったものに加点を行っているところでございます。
 今回の改正では、女性活躍をより推進するため、新たに女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく厚生労働大臣の認定、通称えるぼし認定の事業者を対象とする方向で検討しているところでございます。

○大津委員 ほとんどは、若干そうした答弁もありましたが、もっと東京都の重要な政策の実現には、改めて入札契約制度の総合評価の改革を重視してほしいと念を押させていただきます。
 それでは、入札契約制度改革の実施方針の中身に戻ります。
 方針では、再入札案件は、入札参加資格を最大限に見直した上で一者でも入札を実施するとありますが、再入札が一者でも可とする、その最終決断は誰が判断をするのか、伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の原因の一つとして、発注者が設定する入札参加条件が厳しく、入札に参加可能な事業者が限られてしまう場合が考えられ、今回の改革では、そうした条件が適切かどうかを確認し、入札の競争性と公正性を確保するため、一者入札の中止を行うこととしております。
 しかしながら、事業の緊急性、事業の停滞による社会的影響、当該工事の施工困難性など、特別な事情がある場合には、一者入札を認めることも必要と考えております。
 一者入札を認める場合の実務的な手続や基準につきましては、第三者による事後チェック体制も含め、試行結果を検証し、早急に整備を進めていくことを考えております。
 なお、再入札を実施する案件につきましては、参加資格を見直しても入札希望者が一者であった場合には、入札を実施することとしているところでございます。

○大津委員 三月三十一日実施方針の公表から、六月に試行というのは、期間が短期的でもありますが、そういった意味では、全てが全て、完全に全部決まっているわけではなくて、これから決めていきますよということも、答弁の中で、きょういろいろと課題があったというのを思っています。
 まだ、完全にこれから六月に向けて検討していきますよという項目と内容を参考までに教えていただきたいと思います。所見を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 六月の財務局契約案件の試行に向けましては、予定価格の事後公表につきましては、契約案件公募時の設計図書への施工条件や詳細な内容の明示、予定価格超過時の再入札の取り扱い、予定価格の漏えい防止対策、こういったものがございます。
 JV結成義務の撤廃におきましては、中小企業の受注機会確保に関する能力要件の設定、総合評価方式におけるJV結成時の加点方法、こういった加点方法がございます。
 それから、一者入札の中止におきましては、先ほどから申し上げていますとおり、一者入札を認める場合の実務的な手続や基準の整備がございます。
 低入札価格調査制度の適用拡大につきましては、社会保険未加入対策の強化、契約後の追跡調査の厳格化、工事成績判断基準の導入、特別重点調査の失格基準など、具体的な内容について検討が必要でございまして、現在、鋭意、中身を詰めている最中でございます。

○大津委員 六月に、これから詳細を具体的に決めていくべき課題と内容があることがわかりました。
 そういった意味では、意見をさまざまなところから酌んでいく余地も、まだ残されていると思います。その認識のもと、改革案の内容を確認させていただきたいと思います。
 基本的なことにもなりますが、縦軸と横軸で、ちょっと検証して共有をしておきたいと思います。
 まず、縦の歴史という点です。
 約十五年前に今のような制度にしました。それをまた、十五年前の形に戻すわけですけれども、歴史は繰り返すのか。一長一短さまざま、その時代その時代での検討の結果だとは思いますけれども、今まで都が、予定価格の事前公表や一者でも入札を実施してきたこと、最低制限価格制度を主とする運用をしてきたこと、決めたからにはその理由が確実にあったわけで、縦軸の検証という意味でそれを確認させてください。

○五十嵐契約調整担当部長 予定価格の事前公表につきましては、都では、平成十四年四月以降、競争入札における不正行為の防止や入札契約手続の透明性の確保の観点から、二百五十万円を超える工事の競争入札案件全てを対象として実施してまいりました。
 また、都では、電子入札システムにより入札を行っており、入札参加者は、他の入札者の存在を知り得ない仕組みのため、結果的に一者入札となっても競争性が担保されていることから、これまで一者入札を認める形としているところでございます。
 また、自治体では、中小企業との契約が大部分を占めているということから、ダンピングによる中小企業の疲弊や下請重層構造の中での低価格受注による中小零細企業へのしわ寄せを防止するため、工事件数の多くに最低制限価格制度を適用してきたところでございます。
 平成二十六年度に改正された品確法において、発注者の責務として、ダンピング防止や担い手育成のための最低制限価格や低入札価格調査制度の適切な運用を求められていることを踏まえまして、中小企業向けの発注が多い都におきましては、最低制限価格制度を中心とした運用としてきたところでございます。

○大津委員 次に、横軸での検証を情報共有したいと思います。
 前の質問で取り上げた予定価格の事前公表、一者入札、最低制限価格制度について、この東京都の制度は、他都道府県や、一方、国と比べてどうなのか、それらについて所見を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 都道府県における予定価格の公表時期の実施状況でございますが、都道府県では、法令の制限がないため、事前公表が十九団体、事前事後公表の併用が七団体、事後公表が二十一団体でございまして、事前公表と事後公表が約四割ずつと同じ割合がございます。
 なお、国は、法令により事前公表が制限されているため、事後公表という形になっております。
 都道府県における一者入札につきましては、全体の約二割に当たる九団体が一般競争入札で一者入札となった場合に入札を中止する制度を取り入れております。残りの約八割に当たる三十七団体と国では、一者入札になってもそのまま開札を認めている制度でございます。
 最低制限価格制度につきましては、都道府県全体では、平均で工事契約件数の約八割に対して最低制限価格を設定しており、国については、法令上の制限により最低制限価格制度は適用できず、低入札価格調査制度で運用をされているところでございます。
 国や他団体が実施している制度につきましては、ただいま申し上げましたように、さまざまでございますが、いずれも自治法や品確法などの諸法令に基づきまして、入札契約の透明性、競争性、公正性の確保、ダンピングの防止、担い手育成など、適正な公共調達の実現に向けて制度の運用に工夫を重ねているところでございます。
 都の今回の改革につきましても、適用する制度が変わっても、これまでと同様、法令や国の方針に基づき適正な価格で品質を確保しながら調達していくという入札契約制度の基本的な考え方は堅持し、今後も適切な調達に向けてしっかりと取り組んでいくつもりでございます。

○大津委員 それでは、この最近の中での検証をさせていただきたいと思います。
 三月三十一日に公表されました入札契約制度改革、これは内部統制プロジェクトチーム発足以降、実施方針が今回出されるまでの検討の経過を総務局にお伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 平成二十八年九月九日に内部統制プロジェクトチームが設置され、同年十二月までは、毎月の都政改革本部で特別顧問等から、主に豊洲新市場等のケーススタディーが報告され、財務局からは、東京都の制度と運用の整理が報告されました。その後、平成二十八年十二月二十二日の本部会議で、特別顧問等から、今回の実施方針につながる改革の方向性が出されました。
 そして、本年一月以降、特別顧問等と財務局とで打ち合わせを重ね、三月三十一日の本部会議におきまして、内部統制プロジェクトチームから、入札契約制度の改革の試行についての実施、方針案を報告し、了承されたところでございます。

○大津委員 そしてまた、都政改革本部の情報公開の目玉ですけれども、その中にある内部統制プロジェクトチームの検討も多々ありました。どこが情報公開されていて、されていないところはどこだったのか、確認させてください。

○池上総務局都政改革担当部長 内部統制プロジェクトチームは、都政改革本部設置要綱に基づき設けられておりまして、今回の契約入札については、特別顧問と制度所管局である財務局とで構成された組織で、内部統制プロジェクトチームの打ち合わせやヒアリング等は公開しておりませんが、内部統制プロジェクトチームの検討内容は、公開の本部会議で、これまで六回にわたって逐次報告をしてまいりました。

○大津委員 いろいろ縦横、さまざま確認をした上で、こうした入札制度改革、間近に迫ったオリンピックの成功、オリ・パラの成功、将来の東京の持続的な発展を支えていくことが重要であると、そういった意味では、こうした委員会を通しまして、社会経済状況の変化に的確に対応した入札契約制度のさまざまな改善を今後もただしていく所存であります。これで質問を終わります。

○北久保委員 先ほど我が党の秋田委員が質問に立ちまして、そして、かぶる部分が大分ありますけれども、秋田委員は財務局にお聞きましたけれども、私は総務局を中心にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、都政改革本部の位置づけについてお伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 都政改革本部は、平成二十八年九月一日付で、都政改革本部設置要綱に基づき設置されたものでございます。同本部は、知事を本部長とし、副知事及び各局長等を本部員とする全庁横断型の都庁内部の会議体でございます。意思決定につきましては、本部の議論を踏まえた上で知事及び各局長等が行うものとされております。

○北久保委員 今回、入札契約制度改革の実施方針を出した内部統制プロジェクトチームは、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにして設置されたのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 内部統制プロジェクトチームにつきましては、知事が平成二十八年九月九日の定例記者会見において同日付で設置し、契約、入札のあり方等を検討すると発表いたしました。
 設置の目的は、都民ファースト、情報公開、ワイズスペンディングの三つの原則に従い、法令遵守し、より適正で効率的な行政運営を行うには、内部統制の仕組みを全庁的に強化する必要があるためでございます。

○北久保委員 都政改革本部には、さまざまなチームがありますが、オリンピック・パラリンピック調査チームなどと比べて、内部統制プロジェクトチームの構成の特徴は何か、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 オリンピック・パラリンピック調査チームは、専門的な課題を検討するために特別顧問等のみをメンバーとして設置されたものでございます。
 一方、内部統制プロジェクトチームは、入札契約制度につきまして、特別顧問等と財務局がメンバーとなり、一緒に検討を進め、都政改革本部に入札契約制度改革の実施方針を報告いたしました。

○北久保委員 都政改革本部の特別顧問等で具体的に内部統制プロジェクトチームのメンバーは誰か、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 入札契約制度改革を検討した内部統制プロジェクトチームのメンバーは、上山信一特別顧問、宇田左近特別顧問、加毛修特別顧問、坂根義範特別顧問、佐藤主光特別顧問、須田徹特別顧問、小池達子特別参与、当時は特別顧問で、現東京都参与の飯塚正史氏の八名でございます。

○北久保委員 内部統制プロジェクトチームは、特別顧問等と制度所管局が一緒になって検討を進めるとの答弁でありましたが、入札契約制度改革に関しては、どのようなやり方で検討、検証したのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 特別顧問等による制度所管局と事業実施局へのヒアリングを中心に、入札契約制度の検討を行ってまいりました。

○北久保委員 それでは、特別顧問等には、どのような権限が与えられているのか、実質的に都の政策を決定しているのではないかと思われますけれども、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 特別顧問等は、要綱により設置されておりまして、本部長である知事の命により、改革本部において、政策的見地から都政の課題についての実態調査及び評価並びに課題の整理及び改善策の検討を行い、知事に進言、助言することを職務としております。
 東京都としての意思決定につきましては、本部の議論を踏まえた上で知事及び各局長等が行うこととなっています。

○北久保委員 入札契約制度等を検討するに当たり、特別顧問等は、主にどのような主張をしていたのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 特別顧問等は、平成二十八年十二月二十二日の本部会議におきまして、今後の改革の方向性を出しました。
 本部会議では、今、痛切に感じていることは、入札手続においてワイズスペンディングという視点がほとんど考慮されていなく、情報公開がとても不十分であると述べ、入札制度の全体を見直し、必要な改革を行うことにより、都民からの信頼を回復することを要請すると主張しておりました。

○北久保委員 入札制度の全体を見直し、必要な改革を行うと特別顧問等は主張したといいますが、特別顧問等は、中小企業対策なども考慮した上で、このような主張をしていたのかお伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 財務局とのヒアリングの中では、東京都がこれまで入札契約において、中小企業、小規模事業者の受注機会の確保に向けた施策を推進していることなどについても議論が行われました。特別顧問等がこのような中小企業対策を含め、総合的にどのように考慮しているのかにつきましては、事務局では承知しておりません。

○北久保委員 事務局では承知していないということですけれども、わかる人に委員会に出てきてもらう必要があるのかもしれませんね。
 それでは、特別顧問等は、今回の改革の一つである予定価格の公表について、どう主張していたのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 特別顧問等は、豊洲市場の再入札時のように、事前公表下で一者入札が見込まれる場合には、落札率はほぼ一〇〇%となることなどから、事前公表では競争性が確保されないとして、事後公表にすべきと主張をしておりました。

○北久保委員 業界団体からは、予定価格を事後公表すると何を頼りに積算するのか不安であるという声が上がっています。
 特別顧問等は、こうした声を理解しているのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 顧問が主張しておりました予定価格を事後公表にすべきということにつきましては、業界団体の積算への配慮を含め、総合的にどのように顧問らが考慮していたかにつきましては事務局では承知しておりません。

○北久保委員 それでは、内部統制プロジェクトチームは、業界団体の意見をしっかり聞いているのか、そのように思えませんが、三月三十一日に、入札契約制度改革の実施方針を発表する前に意見を聞くべきであったのではないかと思いますけれども、意見をお伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 内部統制プロジェクトチームといたしましては、直接、業界団体との意見交換の場を今まで設定はしておりません。
 先ほど財務局から答弁がございましたが、今後、試行に先立ち実施する業界団体の説明会において、制度の運用で事業者に混乱が生じないよう試行の円滑な実施に向けて丁寧に説明を行っていくこととなっております。
 なお、今回の入札契約制度の改革の試行を円滑に進めるとともに、その先の本格実施に生かすため、試行開始前の五月に、知事自身が業界団体の方々から直接お話を伺うこととなったところでございます。

○北久保委員 次に、特別顧問等は、一者入札についてどう主張していたのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 特別顧問等は、平成二十八年十二月二十二日の第五回本部会議におきまして、一者入札の落札率は、複数入札の場合よりも落札率が高いことなどから、一者入札には競争性が認められないとして一者入札は無効にすべきと主張しておりました。

○北久保委員 一者入札を無効にすることで不調がふえることが懸念されますが、工期や都の事業執行への影響を特別顧問等はしっかりと考慮して主張していたのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 一者入札を無効にすべきという顧問の主張につきましては、工期や事業執行への影響を含め、総合的にどのように考慮していたのか、事務局では承知しておりません。

○北久保委員 先ほども承知していないという言葉が出ましたけれども、余りにも多いと思います。
 次に、今回の入札契約制度改革に伴い、実際に不調がふえ、都の事業が滞ったら、特別顧問に責任があるのではないかと思いますけれども、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 特別顧問等の職務は、都政の課題についての実態調査及び評価並びに課題の整理及び改善策の検討を行い、本部長である知事に進言、助言することでございます。

○北久保委員 第一回定例会最終日翌日の三月三十一日に、入札契約制度改革の実施方針を突然発表しましたが、情報公開に問題があるのではないでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 内部統制プロジェクトチームは、発足以来、公開の本部会議で六回にわたって検討内容を報告してまいりました。
 入札契約制度改革につきましては、二月一日の第六回本部会議において、今後議論を深めることが必要であるとされましたが、今年度中には一定の方向性を出すとの見通しが示されました。そして、三月三十一日に開催した第七回本部会議で、内部統制プロジェクトチームから、入札契約制度改革の実施方針が報告されたところでございます。

○北久保委員 改めて、今回の入札契約制度改革は、本当に都民にとって、事業者にとってよいものなのでしょうか。ここまで質問を続けてまいりましたが、今回の余りに唐突な入札契約制度改革について疑念を払拭することができません。しっかりと丁寧に議論を積み重ね、よりよい制度にしていただきたいと思います。よって、秋田委員からも、東京都参与の飯塚氏と特別顧問の加毛氏の両名を当委員会に参考人として招致する要請をいたしましたが、私からも強く求めます。
 同時に、これまでの入札契約制度がどういったものであったか、比較検証することも疑念を払拭する上で重要な要素だと考えます。よって、財務局主催の入札契約制度改革研究会の会長として、従来の入札契約制度の設計に携わってきた郷原信郎氏を参考人として当委員会に招致することをお願いいたします。
 そして、きょう、いろいろな委員から質問が出た際に、試行とか、あるいは一年間の試行とかいろいろ出されましたけれども、オリンピック・パラリンピックを三年後に控えて、今、試行する段階ではないんじゃないかなと思いますけれども、つけ加えまして、私の質問を終わらせていただきます。

○斉藤委員 今回の入札制度改革の実施方針の内容につきまして、重複はできるだけ避けながら、深掘りできるところを見出して伺いたいと思います。
 そもそも、この入札契約制度改革は、一者入札、九九・九%落札が大きな原因になっておりまして、その抑制を狙いにしているということが今までの各委員の質問でわかりました。
 一者入札、九九%落札は、都民から疑念を持たれているという答弁がありましたけれども、一体何をもって疑念としてるのか、むしろ疑念があるんであれば、それを晴らすべきである、このように考えるわけであります。仮にということで、不本意でございますが進めてまいります。
 高い落札率や豊洲新市場の建設費の増加によりまして、都の公共工事は予定価格そのものが高いイメージを持たれている、このようなことだと思います。また、一者入札、九九・九%落札で、高額な仕事、工事では、事業者が不当に利潤を上げているような話まで聞こえてきます。公共工事を担う事業者の方々は、まるでもうけてはいけないかのような話じゃないでしょうか、そう思えてなりません。
 発注者が定める予定価格をもとに、公共工事を施工する者は利潤を考えて施工してはいけないのか。また、適正な予定価格の設定が重要と考えますけれども、それは一体どうなっているのかを伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 平成二十六年に、インフラ等の品質の確保と、その担い手確保を実現するため、公共工事の品質確保の促進に関する法律、通称品確法が改正され、施行されております。この改正品確法は、発注者の責務として、公共工事を施工する者が、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるための適正な利潤を確保することができるよう、適切に作成された仕様書及び設計書に基づき、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めることと定められているところでございます。
 そのため、都が定める予定価格につきましては、積算基準に基づき標準単価のほか、見積もりに基づく単価や市販刊行物を根拠とする単価に、資材等の数量を乗じて求めた直接工事費に現場管理費等の必要な経費を加えて適正に算出しております。
 また、標準単価につきましては、資材等の市場動向を速やかに反映できるよう、年四回の定期改正を行っているところでございます。引き続き、可能な限り実勢を反映した積算を行い、適正な予定価格の作成に努めてまいります。

○斉藤委員 この公共工事に関する品確法の二十六年改正というのは、もう本当に、今までのさまざまな官製談合もございました。さまざまな公共工事にまつわる事件を乗り越えるために、いろんな改革を行ってきた一つの新たなステージとして、この当たり前だと思うことを、あえてこの法文に発注者の責務と書き込んでいるわけですね。
 担い手の育成もそうです。景気がいいときにこそ、本当はそういう人材を育てるべきであったという反省のもと、こういうことを今、一生懸命やっても人材はなかなかすぐに育つものではありません。
 また、ここにあります適正な利潤を確保することができるように、企業が適正な利潤を確保できなければ、それを分配することもできない、そういった当たり前のことを書かなければならないぐらい、この公共工事の内容が非常に劣化している。人を人と思わないような現場があることに鑑み、発注者の責務ということで、あえてこのように法文に書き加えたわけじゃないでしょうか。
 そんなことを考えますと、この予定価格というものは極めて重要なものであって、それにできるだけ近づけるように受注していく努力をしているわけです。こういったことを考えますと、当然その利益というものを勘案して、そういった予定価格ができているということを改めて確認し、その予定価格の重要性をここで確認させていただいたわけでございます。
 今回の入札制度改革では、財務局案件は、最低制限価格制度は適用せず、低入札価格調査制度を適用するといたしまして、その適用範囲を拡大するということです。事業者を競り合わせまして、競争をさせて、価格をもっと値引きすることがその狙いというふうに思えます。ワイズスペンディングという言葉にも、重ねて説明がありましたけれども、そこが狙いである。この低入札調査制度の適用案件数ですが、これは、工種によって、その工事の分野によって違いもあるのではないかと思います。
 そこで、ここ三年間の土木、建築、設備、このそれぞれごとの低入札価格調査制度の適用案件数の推移について伺いたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 財務局契約における低入札価格調査制度の適用件数の推移についてでございますが、平成二十五年度で建築はゼロ件、土木が十九件、設備が十八件の合計三十七件、二十六年度で建築が一件、土木が十一件、設備が四十二件の合計五十四件、二十七年度で建築が一件、土木が五件、設備が一件の合計七件でございます。
 なお、平成二十七年度は、最低制限価格制度の臨時的措置の影響で低入札価格調査制度の適用案件が少なくなっているものでございます。

○斉藤委員 今、平成二十五年度から三カ年の推移の数字が明らかになったわけですが、不調がピークであったのが平成二十五年度であったということは先ほどのほかの委員の質問でもございましたが、平成二十五年で建築がゼロ件、土木が十九件、設備が十八件だったと。これが翌年度、二十六年度で建築が一件、土木が十一件に対し、設備が四十二件、非常に設備がはね上がっているわけであります。二十七年度は、これは適用案件が少なくなったのは、先ほどの臨時措置の影響ということで、ちょっと参考にならない、比較にならないと思いますが、このように、二十六年度では、設備が四十二件と一番多くなっていることがわかります。設備工事は、二十六年度までは一億二千万円以上が低入札価格調査制度の対象でございましたけれども、今回は四千万円以上が対象になっているわけです。
 今回の改革では、この設備の低入札価格調査制度の対象範囲の割合が、土木や建築と比較してふえるということが私は考えられると思いますけれども、どう考えておりますでしょうか。設備工事の基準額の見直しについて、私は検討をすべきであると思いますが、見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の制度改革の低入札価格調査制度の範囲は、各局の委任限度額を超える比較的規模の大きな財務局契約案件において、工事の品質の確保をしつつ、より競争環境を高めるために実施することとしたものでございます。
 低入札価格調査制度の適用範囲を含め、今回の改革についてのさまざまなご提案につきましては、その後の本格的実施に向けた検証などの際に生かしてまいりたいというふうに考えております。

○斉藤委員 きょうの委員会で私は最後の質問ですが、この委員会でさまざまな提案を各委員が行っていますが、その後の本格実施に向けた検証に生かしていく、もうこれはきょうの委員会の内容を生かしていくという答弁をいただいたと、このように認識しております。
 中小企業に配慮するといっておりますけれども、この設備に対する考え方一つ見ても、配慮が足りないんじゃないのかな。四千万円以上ですと、さらにその数が、大変調査の対象がふえるというふうに考えられますので、ぜひとも、きょうの審議の内容を検証に生かしていただきたいと思います。
 結論からいうと、この設備の低入札調査制度の適用範囲の基準額を四千万円からもっと上げていただきたい、このように考えてございます。
 ところで、そもそも最低制限価格制度の運用は何が問題なんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 平成二十六年度に改正された品確法では、発注者の責務として、ダンピングの防止や担い手育成のために、最低制限価格や低入札価格調査の適切な運用を求めており、他の自治体と同様、中小企業の発注の多い都では、最低制限価格制度を中心とした運用をしてまいりました。
 最低制限価格は、法令等により、特に必要があると認める場合に限り設定できるものとされております。内部統制PTの検討におきましては、最低制限価格を各工事契約ごとに定めずに、都の工事契約案件のほぼ全てに対し一律に設定していることが問題とされ、抜本的な見直しを求められたところでございます。
 今回の改革方針では、低入札価格調査は、財務局の工事契約に限り適用し、中小企業が受注する小規模な工事を発注している各局事業所の工事契約につきましては、最低制限価格制度を適用することとしております。
 今回の試行においては、都の発注工事全体の九割弱に、これまでどおり最低制限価格制度を適用することとしております。

○斉藤委員 今、最低制限価格は、法令によりということで法律の説明がございました。今回の契約制度改革を行った内部統制プロジェクトチームの顧問団のお話の中で、リーガルマインドを持った弁護士の方などのご発言があるようでございますが、法律に書いてある、全国で東京以外にも八割の自治体が最低制限価格を実施しているわけですから、これが均衡しているんだったらまだですよ、それが八割、こういう最低制限価格を利用しながら、契約制度、適正な契約を実行している、その実態を考えますと、どこを見て改革を行うのかというふうに思うわけです。
 法律の条文を見て改革を行うのか、それとも、現場に近いところの事業者の方々を初め都民の声を実際に聞いてよりよい改革制度をつくっていくのか、どっちを向いて仕事をするか、その方向性が違うと大きなそごが生まれるわけでありまして、法令が特に必要があると認められる場合に限るというふうにしているために、今回の制度の厳格な運用を図るというならば、法令が現場の実態に合っていない、現場の声をもっと聞けばそういうふうになるわけですから、都が国に訴えていくなど法令を変えていくことが必要だという声を上げていくことも重要だと思います。
 低入札調査の対象はふえることが予想されるのに、しかも、今までのほかの委員のお話を聞きますと、入札契約制度改革を伴う都の契約事務担当者の体制は変わっていない。これは予算を見ればわかるわけですから、今の陣容でこれを年度の途中に行っていくということですから、余りにも準備不足としかいいようがありません。
 その試行につきましては、同僚の吉倉委員の質問がありましたので重複を避けますけれども、こうした制度改革を行うにはもっと時間をかけて、しっかりと現場の声を聞いて行ってくことが基本中の基本だと思います。そのことを改めて、最後に立つ者として訴えておきます。
 また、入札制度改革の一環に、このJVの結成義務の話がありましたが、これも他の委員からお話がありましたので、重複いたしますので省略いたしますけれども(「聞いてみよう」と呼ぶ者あり)聞いていいんですか。(笑声)要するに、中小企業の皆さんの参入をできるだけしやすくする制度をつくろうとしているわけですから、その当事者の声を聞かないでこういうことを変えるというのは、本末転倒というのはこういうことをいうんだろうと思うわけでございます。
 従来、JVの構成員でなければに入札に参加できなかった中小企業が、一定の能力要件を満たしていれば、みずからの判断により云々、能力があるかないか、その現場、その現実、その時点にならないとわからないわけですから、実際に参入できる担保はどこにもありません。そういったことを考えますと、これから新たな取り組みを行っていく、分離分割方式による工事発注を継続して引き続き中小企業の受注機会の確保を図っていくなど、さまざま考えはあるでしょうけれども、実際において、中小企業の受注機会が本当に拡大されていくのかどうか、しっかりとこれも検証していかなきゃいけない、このように思うわけでございます。
 残りの一者入札の不可についても、大西委員と重複するところがございますので、これも割愛させていただきたいと思います。
 しかし、一点だけ要望でございますが、今後、この一者入札を認める場合の実務的な手続の話の中で、第三者という話がありましたけれども、これ要注意ですから、第三者というのは。屋上屋を重ねて、さらに時間をかけるようなことのゆとりがあるのかないのか。よく考えた場合、こういった屋上屋を重ねる第三者委員会のあり方、第三者的な視点の持ち方とか、これも要注意だと思います。自律的に、財務当局がみずからそういうことを行っていくのであれば、まだ今回の改革の話は、これからも議論を深めていきたいと思いますが、この点についても、他に委ねるというよりも、都政みずからが今まで長年積み上げてきたことの議論をしっかりと踏まえて、その連続性の上で改革--革命じゃないわけですから、ぜひともお願いしたいと思います。
 そして、最後になりますけれども、質問ではありません。このような、いろんな観点がこの契約制度改革に入ってまいりました。公正、要するに競争性と、そして透明性、公正さもありますけれども、そこに品質の確保、こういうことに加えて最近は働く担い手の視点から、建設業を担っていく方々の、その人としての暮らしをしっかり支えていく、そういった労務的な視点も入ってきました。
 そして今、内閣を挙げて働き方改革を訴えているわけですから、建設業に携わる方々が、本当の意味で公共事業に誇りを持って携われるような環境をつくるためのそういった視点も、この入札契約制度改革に絶対欠かすことのできない視点であるということを強く訴えまして、私の質問を終わりたいと思います。

○栗山委員長 発言は終わりました。
 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後四時三十九分休憩

   午後六時三十分開議

○栗山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。

○松田委員 本日、財政委員会を通じて新しい入札契約制度についてさまざまな議論をさせていただきました。今まで東京都は、安かろう悪かろうをなくそう、中小企業の育成をしよう、こういった観点からつくり上げてきた今までの制度を根本から覆す制度が、三月三十一日、突如発表され、ことしの六月から試行実施ということになりました。
 先ほどの質疑を通じてもさまざまなご答弁を財務局、そして総務局からもいただきました。特別顧問等がこのような中小企業対策を含めて総合的にどのように考慮しているかは、事務局ではわからない。予定価格を事後公表にすべきという主張について、業界団体の積算への配慮を含め総合的にどのように考慮したかは、事務局ではわからない。一者入札を無効にすべきという主張について、工期や事業執行への影響を含め総合的にどのように考慮したかは、事務局では掌握していない。こういったご答弁がありました。
 我が党の秋田委員からも、こうしたことをしっかりと明らかにするべきという観点から、東京都参与の飯塚正史氏及び東京都特別顧問の加毛修氏、この招致の要望をさせていただきました。また、北久保委員からは、財務局所管、今までの入札契約制度改革研究会の会長を務めてきた郷原信郎氏を参考人として招致を求める、こういった意見がありました。
 よって、この三名を本委員会に参考人として招致を求める動議を提出いたします。

○栗山委員長 ただいま松田副委員長から、参考人招致を求める動議が提出されました。
 本動議は、起立により採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○栗山委員長 起立少数と認めます。よって、本動議は否決されました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時三十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る