財政委員会速記録第五号

平成二十九年三月二十一日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗山 欽行君
副委員長吉倉 正美君
副委員長松田やすまさ君
理事小松 大祐君
理事とくとめ道信君
理事大西さとる君
山森 寛之君
大津ひろ子君
斉藤やすひろ君
山内れい子君
北久保眞道君
鈴木 隆道君
秋田 一郎君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務十河 慎一君
契約調整担当部長五十嵐 律君
主計部長岩瀬 和春君
財産運用部長中村 倫治君
利活用調整担当部長山根 恭子君
建築保全部長久保田浩二君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長米今 俊信君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
収用委員会事務局局長砥出 欣典君

本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、債務負担行為-財務局所管分、都債
・第十四号議案 平成二十九年度東京都用地会計予算
・第十五号議案 平成二十九年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十四号議案 土地の信託の変更について
報告事項(質疑)
・「都有施設等総合管理方針」について

○栗山委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査並びに財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○砥出収用委員会事務局長 先般の委員会におきまして要求のございました、収用委員会事務局関係の資料についてご説明申し上げます。
 お手元の要求資料第1号をごらんください。過去五年間における起業者別取扱件数についてでございます。
 この表は、平成二十三年度から平成二十七年度までの五年間における起業者別の取扱件数の推移をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○栗山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗山委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○栗山委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十四号議案、第十五号議案、第七十四号議案及び報告事項、都有施設等総合管理方針についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、去る二月二十一日の委員会におきまして要求のございました予算案に関する資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。今回、予算案に関して要求のございました資料は、目次に記載してありますとおり三件でございます。
 一ページをお開き願います。要求資料第1号、財政調整基金、社会資本等整備基金の推移でございます。
 こちらは平成二十五年度から二十九年度までの五年間における、財政調整基金及び社会資本等整備基金の推移をお示ししたものでございます。
 二ページをお開き願います。要求資料第2号、投資的経費(うち単独事業)の推移でございます。
 こちらは平成二十五年度から二十九年度までの五年間における投資的経費の推移をお示ししたものでございます。
 三ページをお開き願います。要求資料第3号、予算編成方針と主な社会情勢等でございます。
 こちらは、平成九年度から二十九年度までの二十一年間における予算編成方針と主な社会情勢等を、三ページから四ページにかけましてお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。

○栗山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 我が党からは、さきの代表質問、そして予算特別委員会で議論を続けてまいりました、豊洲及び築地市場に関する問題について、契約制度や建築技術の分野に絞った質疑を行いたいと思います。
 まず、豊洲市場の建屋三棟については、平成二十五年十一月に入札を行いましたが、いずれも不調となり、その後、平成二十六年二月に改めて入札を行った結果、おのおの三つのJVが落札をしています。
 この青果棟、水産仲卸売り場棟、水産卸棟、三棟それぞれの入札参加者数、落札者、落札金額及び落札率を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 豊洲新市場の主要三棟建設工事の入札経過については、青果棟の入札参加者は、鹿島建設など七つの企業が構成するJV一者で、落札金額は、税込み二百五十九億三千五百万円、落札率九九・九%となっております。
 また、水産仲卸売り場棟は、清水建設などが構成するJV一者が参加し、落札金額は、税込み四百三十五億五千四百万円、落札率九九・八%でございます。
 水産卸売り場棟は、大成建設などが構成するJV一者が参加し、落札金額は、税込み三百三十九億一千五百万円、落札率は九九・七%でございます。

○小松委員 ただいまの答弁を聞きますと、確かに入札結果は俗にいう一者入札、高落札率といえると思います。この数値を殊さらに談合の疑いという向きもありますが、改めて財務局の見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 施工条件が厳しく、採算のとれないおそれのある工事では、不調や一者入札になりやすいと同時に、予定価格を事前公表している現行の入札契約制度のもとでは、入札額が予定価格に極めて近くなる場合もございます。
 したがって、一者入札、落札率九九%以上という結果のみをもって、他に明確な根拠もなく入札契約の公正性を判断することは適切ではないというふうに考えております。

○小松委員 ところで、第一回定例会、代表質問で我が党の高木幹事長が行った、豊洲の地下水モニタリング調査の入札手続に関する質問に対し、小池知事は、公共調達はただ単に安ければよいというものでもなく、品質の確保に十分配慮する必要がある、同時に、都民の貴重な税金を原資としていることから、透明性、競争性などへの対応も求められている、入札契約制度が抱える全ての課題に万全の対応することは難しいと答えていただきました。これ自体は的を射た、まさに正論だと思います。
 個別案件の数値にとらわれて、例えば、九五%以上の落札率は談合の疑いがあるなど、殊さらに騒いだり、品質の確保や中小企業振興などの公共調達の持つ広い意義やその時々の社会経済状況などを忘却した議論が進められているのは、大変嘆かわしいことだと思います。
 次に、築地市場に関連して契約手続等について幾つか確認をしたいと思います。
 昨年十一月に、移転が実施されていれば、既に着手されていたはずの築地市場の解体工事について、それぞれの入札参加者数及び落札金額、そして落札率を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 築地市場の解体工事については、昨年七月二十二日に四件の契約を締結しているところでございます。
 一件目は、JV十五者が参加し、落札金額は、税込み五億三千九百十七万八千百二十円、落札率は七八・〇%、二件目は、JV十三者で、税込み十三億二百七十一万二千六百三十二円、落札率七八・〇%、三件目は、JV九者で、税込み九億六千七百四万二千四百七十六円、落札率七九・〇%、四件目は、JV十三者で、税込み七億七千四百八万一千三百六十円、落札率七八・〇%でございます。

○小松委員 工事は、既に中止をされているということですが、既に三月も下旬となり、四カ月以上も延伸をされています。契約解除を行う予定とも聞いておりますが、現状は、どうなっていますでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 中央卸売市場から四件の解体工事につきましては、昨年九月九日付で、おのおのの工事の一時中止を請負者に通知したと聞いておるところでございます。
 また、築地市場移転を取り巻く現在の状況を踏まえて、各請負者に対して契約解除に向けた協議を行っているところであるというふうに聞いてございます。

○小松委員 では、仮に契約解除が行われた場合、損害賠償等の新たな負担が生じるのではないかという懸念があります。具体的に、どのような負担が想定されますでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 仮に契約解除が行われれば、都は、請負者に発生した損害を賠償することとなりますが、具体的な額につきましては、今後、中央卸売市場が各請負者と協議を行っていくと聞いております。
 解除に伴い賠償すべき損害としては、請負者が契約締結後に調達した材料や作業員の費用等が該当するというふうに考えられます。

○小松委員 この豊洲市場への移転にゴーサインが出ないということで、市場当局は解体工事の着手、契約の履行あるいは中断の手続を判断すべきであるのに放置をしている状況ということであります。公共調達の制度を預かる財務局としてどう考えているのか、伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 中央卸売市場では、豊洲市場の移転時期のめどが立たないことから、昨年九月九日に解体工事を一時中止し、これまで契約約款の定めに基づき、契約解除に向けて事業者との協議を進めていると聞いております。築地市場を取り巻く現在の状況を踏まえ、中央卸売市場において適切な対応を図っていくべきであると考えております。

○小松委員 解体工事の入札経過についても、最低制限価格制度の弊害などと殊さらにいわれますが、さきの豊洲市場の建設にかかわる事業者しかり、この解体工事の入札に参加し、落札した事業者も企業とはいえ、中央卸売市場の移転事業について、重要性を理解するがゆえに、入札にも参加し、突然の、そして予期もしない中止という事態にも耐えていただいているものだと考えます。
 予算特別委員会で、我が党の各委員からの質問にもありましたように、知事は、第一、第二、二つの選択肢について総合的に判断すると発信をされています。ここでの第一の選択肢、つまり豊洲市場への早期移転を選べば、そうした企業の心を無にすることはなかったはずでありますが、現状は、まことに残念な状況であります。
 では、小池知事は、なぜ、この第一の選択肢を選ばないのでしょうか。この点も、さきの予算特別委員会で、るる我が党の各委員から質疑をさせていただいております。ここは、財政委員会でございますので、二つのことに焦点を絞って質問をさせていただきます。
 まず、築地市場の耐震性能について伺います。
 十四日の委員会で、我が党の崎山政調会長から関連質問により、築地市場の建物十六棟のうち耐震補強が行われていないものが六棟あることが明らかになりました。財務局では、平成二十七年度末までに都有建築物の耐震化率一〇〇%を目指すとして計画を進めてきたはずでありますが、現行、つまり平成二十八年度末の進捗率の見込みと、残された建物の棟数を伺いたいと思います。

○中山技術管理担当部長 都では、平成二十年三月に耐震化整備プログラムを策定し、防災上重要な都有建築物四千八百九十六棟のうち、耐震性が不十分と判断された四百七十七棟について、建てかえや耐震補強工事など、計画的に耐震化を推進してまいりました。
 平成二十七年度末の耐震化率は九九・四%で、二十九棟が未完了であり、その後、本年三月末までに九棟の耐震化が完了して、残り二十棟となる予定でございまして、平成二十八年度末の耐震化率は九九・五%の見込みでございます。

○小松委員 未完了の建物が二十棟ということでありました。では、そのうち築地市場関係の建物の棟数を確認したいと思います。

○中山技術管理担当部長 耐震化整備プログラムでは、築地市場における防災上重要な都有建築物十五棟のうち、十分な耐震性が確保されていない棟数は五棟でございます。

○小松委員 十四日に、予算特別委員会の場でいただいた市場長の答弁とは異なる数字だというふうに認識をしておりますが、その理由をお聞かせください。

○中山技術管理担当部長 中央卸売市場が公表している築地市場における十分な耐震性が確保されていない施設は六棟となっておりまして、耐震化整備プログラム中の防災上重要な公共建築物に該当する五棟のほかに、青果部立体駐車場A棟が含まれております。

○小松委員 では、耐震化計画上の五棟それぞれの建物の耐震性能について、財務局として把握されているデータについて伺います。

○中山技術管理担当部長 築地市場における耐震化未完了の五棟は、東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震性にかかわるリストにおいて、十分な耐震性が確保されていないランク、具体的には、Is値が〇・三以上、〇・六未満の評価となっております。

○小松委員 ただいまのご答弁にもありましたが、耐震化未完了のこの五棟については、十分な耐震性が確保されていないというご答弁でありました。
 十六日の市場長の答弁でも、今の五棟に駐車場棟を含む六棟の建物について、このIs値という言葉が出ました。専門用語なので大変わかりづらいと思います。その意味するところによると、一般的な聞き方ですが、例えば、震度六強だと建物はどうなるのか、伺います。

○中山技術管理担当部長 建築物の耐震診断の指針を示す国土交通省の告示において、過去の地震の規模と被害程度の相関関係をもとに、構造耐震指標であるIs値が決められております。
 告示では、このIs値などに応じた構造耐力上主要な部分の地震に対する安全性が示されておりまして、Is値が〇・三以上、〇・六未満の場合には、震度六強から震度七程度の大地震時に倒壊し、または崩壊する危険性があるとされております。

○小松委員 今のご答弁でありますと、震度六強から震度七程度の大地震時には、倒壊し、または崩壊する危険性があるということでありました。
 二〇一三年に、国の有識者会議で発表されましたデータによれば、首都直下地震では、都内の多くが震度六強以上の被災をするというふうな資料が発表されているわけでありまして、まさに今、この築地市場にそうした大きな地震が襲えば、まさにこの五棟そして駐車場棟については、倒壊または崩壊する危険性があるものなんだというふうなことが確認できたと思います。予算特別委員会での市場長の答弁にもありましたとおり、こうした状態がまさに既存不適格ということであります。
 築地市場の施設自体は利用可能であり、全面改修は売り場を分断するなど、無理であるとの市場長の明快な回答もありました。もちろん、行政が管理する施設でありますし、使う限りは必要な改修も行い、発災時の避難誘導などにも万全を期すのは当然であります。
 ここでもう一度、豊洲市場の現状について確認をしたいと思います。
 豊洲市場は、さきに小池東京都知事も認めているとおり、建築基準法上の検査済み証を受けているなど、安全な建物であるといえます。改めて、豊洲市場を含む都有建築物の整備に際しての耐震性の確保に関するお考えを伺います。

○中山技術管理担当部長 都では、都有建築物の整備に当たりまして、構造設計指針などを定め、適切に構造設計を行っております。この指針では、防災拠点や避難所となる建築物、多数の都民が利用する建築物などは、防災上の重要度に応じて建築基準法が定める基準よりも高い耐震性能を確保することとしています。市場施設を含め、一般庁舎、病院、学校などについては、新築、改築の設計時、一・二五倍以上の耐震性能を有することとしております。

○小松委員 ご答弁ありがとうございました。ここまで、幾つかの質問に対してお話を伺ってまいりました。改めて、この築地市場の安全性という面については、甚だ疑問を感じるわけであります。市場移転という自明の答えに、第一の選択肢にたどり着かないのが甚だ疑問であるということを申し上げたいと思います。
 我が党として、いたずらに不安をあおるつもりはありません。しかし、安心の前提はそうした必要な改修や維持管理、ソフト面での設備や警備委託などにも十分な予算をかけていることが必要だと考えます。
 この点について、予算特別委員会での崎山政調会長からの過去五年間の築地市場の修繕費の概算について、市場長からは、平成二十三年度が三億一千六百万円、二十四年度が三億一千五百万円、二十五年度が三億二千八百万円、二十六年度が三億七百万円、そして、二十七年度が一億五千万円というご答弁でありました。これは、移転を予定し、改修を控えていることだと思います。
 一方、予算特別委員会が開催されている、十七日の金曜日に、築地市場の海水ろ過設備が故障をしたとの報道がありました。小池都知事は、築地改修がほったらかしだった、汚い、古いなどと指摘されて十八年間放置されてきたと、これまでの市場関係者や都の対応を行ってきた不作為に当たると批判をされています。この批判的な発言の是非はともかく、修理には時間が大変かかるものと思います。まさに、こうしている間にも築地市場の老朽化は間違いなく進んでいるわけであります。
 小池知事は、企業ならば問題があればリコールや株価下落になる、市場について万全の信頼を得るべきであるが、信頼を得ることは本当に大変だと発言をされています。他人事ではありません。第一の道、第二の道のいずれを選ぶとしても、現に、市場関係者が利用し、都民や観光客など多くの来場者が寄せる信頼の維持のため、全庁の予算や契約など事業執行についてもかかわる財務局にも重い役割があることはいうまでもないということを申し上げまして、私からの質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、先月二月に作成されました都有施設等総合管理方針について、何点か質問したいと思います。
 東京都が所有または管理する学校などの建築物や道路などのインフラは、都民の身近な生活を支えるとともに、災害発生時には活動拠点や帰宅困難者の一時滞在施設としての機能を果たすなど、都民のみならず東京を訪れる全ての人にとって重要な役割を担っております。
 こうした中、現在都は、公共建築物約二千八百八十八万平方メートルを初めとする膨大な施設を管理しておりまして、第三者推計によりますと、都の社会資本ストックの維持更新費用の総額は、今後二十三年間で約七・九兆円にも上ると見込まれています。こうした中にあっても、施設の機能不全や安全性の低下を招くことがないよう、施設の維持管理や更新を計画的に行っていくことが重要であります。
 そこでまず、この都有施設等総合管理方針を策定した理由、目的について伺います。

○中村財産運用部長 我が国において、公共施設等の老朽化対策が大きな課題となっていることを背景に、平成二十六年四月に総務省から、各地方公共団体に対しまして公共施設等総合管理計画の策定が要請されました。
 都では、これまでも各施設ごとに維持管理や更新等に取り組んでまいりましたが、都有施設の長寿命化や機能、性能のレベルアップなどを都全体として着実に進めていく必要があります。
 そこで、中長期的な視点に立って、都有施設の総合的かつ計画的な管理を推進していくため、これまでの取り組みの内容を抽出整理して体系化し、今後十年間の全庁を貫く基本的な方針を都有施設等総合管理方針として取りまとめました。

○斉藤委員 現在のご答弁で、本方針の策定に当たっては、国から要請があったことが直接の契機ということでありますけれども、都はこれまでも国の要請がなくても、都有施設の維持管理について、例えば橋梁に関していいますと、長寿命化など全国に先駆けて予防保全管理の手法を導入しております。長期的な視点を持った取り組みを進めてきたわけです。
 また、都は首都直下地震などの切迫性が指摘される中、平成二十年には、耐震化整備プログラムを策定いたしまして、防災上重要な公共建築物について耐震化を計画的に実施するほか、公共土木等施設についても、東部低地帯の堤防や水門、排水機場等の耐震耐水対策を進めておりまして、さらに、重要なライフラインである水道管路についても、この耐震継手化十カ年事業を推進するなど、公営企業資産を含めまして、さまざまな施設の耐震化を進めてまいりました。
 このように都では、安全で耐久性の高い施設を整備して、点検や補修などを着実に行うことで、都有施設を長く大切に使っていくという考え方が既にDNAとして根づいているものと思うわけであります。
 そこで、今回策定された都有施設等総合管理方針においては、こうした考え方をどのように取り入れられているのかを伺いたいと思います。

○中村財産運用部長 都有施設は、その多くは、昭和四十年代や平成一桁の時代に集中的に建設されており、更新または改修や補修の時期を迎えております。
 このため、都では、これまでも施設の点検や診断結果等に基づき、劣化や損傷が進行する前に適切な措置を計画的に講ずる予防保全型管理の推進による長寿命化を図り、ライフサイクルコストの低減や更新時期の平準化を進めてまいりました。
 また、委員ご指摘のとおり、都は公共建築物を初め、公共土木等施設や公営企業施設含め、計画的な耐震化や改築や改修に合わせた施設の安全性の向上なども図っております。こうした考え方につきましては、施設を所管する局で構成される会議体を設置して意見交換を重ね、都有施設全体の維持管理に関する重要な柱として本方針に取り入れております。

○斉藤委員 首都直下地震、いつあるかわからない、こういった切迫性があります。こうしたことに備えることも含めまして、都は既に国に要請されるまでもなく、こういうことを進めてきたことの一つの集大成として、このような形でまとめたということがわかったわけでございます。
 一方で、本方針では、あわせて財産利活用の実施方針についても示されているところであります。これまでも都は、都有財産につきまして、その時々に置かれた都政の状況に応じて適切に管理や活用を行ってまいりました。
 かつては、適正な管理という静態的な観点が強かった財産に関する見方は、未曽有の財政危機を踏まえまして、有効活用という動態的な視点へと大きく転換をいたしまして、活用の結果生ずる不用財産についても、積極的な売却を進めるなどしたときもありますし、また財産面から財政構造改革を支えてまいりました。
 その後、都は財政再建を達成いたしまして、売却だけでなく都政が抱える課題解決に向けて、民間の知恵や活力も取り入れつつ、例えば、福祉インフラ整備事業など、施策と連動した財産の利活用を進めてきたわけであります。
 私もこれまで、財政委員会の場でたびたび未利用都有地の活用など都有財産の有効活用に対する考え方について取り上げてきたところでありますが、そこで都は、現在どのような考え方に基づいて都有財産の利活用に取り組んでいるのかを伺いたいと思います。

○中村財産運用部長 都有財産は、都民から負託を受けました貴重な財産でありまして、その時々の時代状況に合わせまして、都政の喫緊の課題解決のため、その価値を最大限に高め、有効活用していく必要があります。このため都は、これまでも福祉インフラ整備事業や、私立学校耐震改修等支援事業のほか、まちづくりの支援など、都の施策実現のため都有地を効果的に活用してきております。
 さらに昨年は、深刻化する待機児童対策の一環といたしまして、都有地活用推進本部を設置し、公営企業局を含め、全庁的に保育所等として活用可能性のある土地を洗い出し、区市町村に情報提供をするなど、局や会計の壁を越えた取り組みを強化してきております。
 このような考え方につきましては、施策連動型の財産利活用の一層の推進や、全庁的な財産利活用を進める仕組みの整備として今回の実施方針に盛り込んでおります。
 今後とも、都政の喫緊の課題解決に向け、都有財産の価値を最大限発揮させるとともに、庁内各局と一層の連携強化を図り、全庁的な視点に立って都有財産の有効活用に努めてまいります。

○斉藤委員 私自身は、二十一年の初当選でございます。それ以前から十数年来にわたって、平成十一年ごろから財政再建に本当に苦労し、再建を遂げてきた東京都の財政運営等、これを今の都民の方々にやはりいろいろな角度から知っていただくことが重要であります。また、福祉インフラ、あるいは保育に対する今の施策ニーズに対する財産運用の提供につきましても、決して今すぐに始まったわけでなく、過去においていろいろな知恵を出しながら、この財産利活用、展開をしてきたということが今のご答弁でもわかったわけでございます。都有財産の利活用についての基本的な考え方がわかりました。
 こうした中で、財産の利活用においては、ただいまご答弁ありましたように、区市町村への都有地の情報提供などを積極的に今行っております。また、昨年の事務事業質疑でも、私も質問をいたしましたけれども、公有財産の検索機能の設定を使いやすくしていく、検索機能の設定も速やかに実施されるなど、情報提供の充実強化が図られておりまして、こうした取り組みについて大いに評価をするものでございます。
 一方、今回策定されました方針における都有施設の長寿命化や維持更新の分野などについても、都民の安全で安心な生活を継続的に支えていく上で極めて重要な取り組みでありまして、積極的に情報提供を行い、都民の理解と共感を得ていくことが必要と考えます。
 そこで、都民に対しまして、施設管理の重要性やそれに取り組む方針の内容をどのようにわかりやすく伝えていくのか、これを伺いたいと思います。

○中村財産運用部長 施設の長寿命化や維持更新の分野におけます情報提供につきましては、これまでも各局等において、橋梁の長寿命化や下水道管の再構築などの取り組みを紹介するリーフレットの発行などを行ってきております。また、本方針の策定に当たりましては、素案を事前に公表し、都のホームページやツイッターを活用して意見募集などを行ってまいりました。
 さらに今後は、都有施設の総合的かつ計画的な管理の必要性や重要性につきまして、具体的な事例を視覚的にわかりやすく普及するとともに、各局が策定いたします個別施設の管理計画などとも合わせまして、一元的にホームページで閲覧できるようにしてまいります。
 今後とも、都が進めます施設管理の取り組みについて、都民のより一層の理解促進を図るため、積極的に情報提供を行ってまいります。

○斉藤委員 ぜひ、情報公開、積極的に進めていただきたいと思いますし、また、大きな土地を、価値の高いものを早く売却されておりますけれども、今小さな土地と思われるものも区市町村等にとっては非常に重要な土地でもございます、財産でもございます。ぜひとも、区市町村と連携しながら、しっかりと、また、都民がそれを見えるところで提供いただくことによって共感が進んでいきますので、ぜひとも取り組みをお願いしたいと思います。
 これまでのやりとりの中で、都が公共建築物を初めとする都有施設につきまして、これまでの取り組みを踏まえまして、維持管理更新を着実に推進することで、施設を引き続き長く大切に使っていくことや、都有地を初めとする都有財産を効率的、効果的に活用していく姿勢であることが理解をできたわけであります。
 今後も、この方針を踏まえまして、今は待機児童の解消などもございますが、こういった都民の貴重な財産を都政の喫緊の課題解決に活用していくとともに、良質な社会資本ストックを確実に次の世代に引き継いでいくことを期待しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、東京グリーンボンドについて質問をしたいと思います。
 昨年の十一月の財政委員会事務事業質疑で、東京環境サポーター債について質問をいたしました。その後、十二月にグリーンボンドのトライアルとして東京環境サポーター債が発行されたわけであります。まず、その成果について伺いたいと思います。

○岩瀬主計部長 都では、環境問題に対する世界的な関心の高まりを背景に、昨年十二月に、グリーンボンドのトライアルとして個人向け都債である東京環境サポーター債をオーストラリアドルで百億円相当を発行いたしました。その発行の意義は、都の環境事業に積極的に関与してもらう機会を都民の皆様にいち早く提供すること、都の環境事業に対するオーナーシップ意識を高めることでございました。
 都民を初めとする個人投資家の皆様の関心の高さから、販売は順調に進み、売り出し初日で完売することができました。また、購入者に対するアンケートを行ったところ、今回の東京環境サポーター債の発行意義に七割以上の方が共感したとの結果を得てございます。
 さらに、先月行いました都有施設の現場見学会、これはサポーター債をご購入いただいた方に対するものでございますが、その参加者に対するアンケートにおきましても、多くの感謝、応援のメッセージをいただくことができ、好評を得ることができたと考えてございます。

○斉藤委員 非常に、購入者からも共感を得ているということが今のご答弁でもわかりましたが、初日で完売したと大変話題になりました。この東京環境サポーター債を個人向け都債で発行したことは、個人みずからの判断で環境事業にかかわれること、また、環境事業のオーナーシップ意識の喚起にもつながるという点で非常に意義があったと思います。
 私は、このオーナーシップ意識の喚起に注目しておりまして、民主主義においては都政のオーナーは、これは都民でございまして、都民に環境政策の実現に関心を持っていただくことは当然都民の政治参加にもつながっていくと思います。
 この政治参加の機会をふやすという点では、次元は異なるんですけれども、十八歳選挙権の導入があります。一昨年の公職選挙法等の改正によりまして選挙年齢が引き下げられまして、若い方々がますます政治に参加する機会が増加してくると思います。そのような中で、行政としても施策への参加機会を提供することが望まれると思います。
 ちなみに、この個人向けの都債、東京環境サポーター債は、未成年でも購入できるのかを確認しておきたいと思います。

○岩瀬主計部長 個人向け都債は、口座開設時や取引実施時に親権者の同意が必要となるなど、一定の制約がございますが、取扱金融機関に取引口座をお持ちの方であれば、未成年者の方でも購入可能でございます。
 実際に、東京環境サポーター債につきましては、少ない件数ながら未成年者の方名義での購入実績がございました。

○斉藤委員 未成年者でも購入実績があったということでございますが、特に高校生に対しましては、教育の観点からは、例えば、キャリア教育、社会に出るその直前、非常に重要な教育です。また、納税に関しましては、租税教育の充実などが求められているところですが、ぜひ都債の購入に当たりましても、都民の皆様には若いうちから、特に未成年であっても購入できるということでございますので、都政に興味、関心を持っていただいて、積極的にかかわっていただきたい。
 高校生、大学生などは起業家もおりますし、今東京では、公明党も東京ボイスアクションと称しまして、まち角アンケートなども展開しています。非常に、若い方は機会があれば参加したいという気持ちがあるんですが、いつ、どこで、誰に、どのようにという、そのアクセスのポイントを探っている様子が感じられますので、こういった、きょうは都債のお話ですけれども、ぜひとも若い方々に都政にも興味を持っていただくいい機会にしていきたいな、このように思っているわけでございます。
 さて、都では、二月に新たにグリーンボンドの発行方針を取りまとめまして、公表しているところでございます。先月発表いたしました。これを公表した狙いは何なのかを伺いたいと思います。

○岩瀬主計部長 グリーンボンドのトライアルとして発行いたしました東京環境サポーター債では、都民を初めとする個人投資家の高い関心が寄せられ、購入者の多くから共感を得るなど、ただいま申し上げましたとおり一定の評価を得られたものと考えてございます。
 この取り組みの成果を踏まえまして、先月にグリーンボンドの発行方針をまとめ、名称を東京グリーンボンドといたしまして、来年度予算の中で総額二百億円程度を発行することを予定してございます。
 この方針を公表した意義、狙いでございますが、都民や企業からグリーンボンドへの投資を通じた後押しを受けることで、スマートシティーの実現を目指す都が環境施策を強力に推進すること、また、国内自治体として初となるグリーンボンドを発行することで、グリーンボンド市場を活性化し、他の発行体のグリーンボンドの発行につなげるとともに、国内の貴重な資金が国内の環境対策に向かって活用される流れを創出することでございます。

○斉藤委員 非常に、債券市場でもこのグリーンボンド、世界的にも注目されておりますし、本当に大切な、先駆的な事業であると思いますが、その発行の意義、狙いにつきまして、今のご答弁では、小池都政が目指すスマートシティーの実現に向けて、新たな環境施策を強力に推進することが挙げられていることを確認いたしました。このように、環境施策を従前よりさらに推進する姿勢を示していることを評価したいと思います。
 東京環境サポーター債では、個人投資家が対象でありましたけれども、今回発表した方針を見ますと、投資家層を機関投資家にも広げているようではあります。これによりどのような効果を期待するのかを伺います。

○岩瀬主計部長 グリーンボンドへの投資を通じた後押しにより、都の環境施策を強力に推進するためには、多様な投資家に参加してもらうことが重要と考えております。
 個人投資家については、都の環境事業に積極的に関与してもらうための投資機会を提供することにより、事業への理解を深めてもらい、都民のオーナーシップ意識が高まっていくことが期待されております。
 機関投資家につきましては、こうした投資機会を提供することによりまして、企業の環境配慮意識の高まりや、社会的な評価を受けられる投資環境の整備が促進されることが期待されております。
 また、グリーンボンドは、通常の都債に比べて投資家への訴求力が高いと考えられることから、これまで都債を購入していなかった機関投資家の参加が得られれば、都債の投資家層がより多様化し、安定的な資金調達にもつながっていくものと期待しております。

○斉藤委員 機関投資家を対象とすることで、企業側としては、CSR、これを果たしていくことができますし、都としては施策の推進力、これが強化されるという意義深いものがあるということがわかりました。
 充当事業につきましても、東京環境サポーター債のときから大きく広げています。そこで、どのような考え方でこの対象範囲、広げたのかを伺いたいと思います。

○岩瀬主計部長 東京グリーンボンドの対象事業につきましては、都が実施する環境への寄与が確かな事業であることを前提としながら、予算編成と並行して選定することで事業の対象範囲を拡大しております。
 具体的には、東京環境サポーター債の充当事業として選択した都有施設の改築、改修、公園の整備等の事業に加えまして、都民に身近な事業である交通、上下水道といった公営企業の事業にもその範囲を拡大いたします。
 さらに、都有施設、道路の照明のLED化など、都の環境施策を先進的、加速的に推進していく事業を新規に選定してございます。これによりまして総額二百億円程度の発行額を確保してまいります。

○斉藤委員 私は、公園の整備などにも大変注目しておりますけれども、公園の整備は単に緑の量をふやすというだけでなくて、生物多様性に配慮した公園整備として質を高めていくという観点からも意義があるわけでありますが、東京環境サポート債で対象とした事業に引き続き、今回も対象事業としていることは望ましいことであると思います。
 また、グリーンボンドは都債として発行するものでありますから、地方財政法の規定により、地方債はその財源とできる事業、いわゆる適債事業でなければならないという制約があるものの、環境施策を強力に推進するには、さらに対象を広げていくという視点も必要であろうと思います。
 例えば、自然環境が有する多様な機能を活用することで、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進める。最近ではグリーンインフラという言葉がございますが、このグリーンインフラに関する取り組みという視点を踏まえ取り組んでいくことも大切であると考えます。
 また、今回発表した充当事業には、都有施設の改築も挙げられておりますけれども、施設を新たに建てる際に、再生木材や災害廃棄物などを活用するなどマテリアルリサイクル、あるいは3Rへの貢献といった視点を大事にしてほしいと要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○大西委員 予算編成方針と主な社会情勢等というこの要求資料3号、これは私、出させていただいたんですが、なかなか過去のを振り返ってみるとおもしろいなと思いますね。
 特に、例えば平成十一年度なんかは、財政再建団体への転落を回避する予算なんていうのも出ていますし、その後、財政再建とか財政構造改革とかという言葉がよく使われており、そして平成二十年度にリーマンショックが起こったときには、いかなる状況変化のもとでもその取り組みを支え得る持続可能な財政基盤を築き上げる予算となっていたり、その後には厳しい財政環境が続く中にあってもという言葉が並んだり、そして、ここ三年ほどは、世界一の都市というのが並んでいます。
 そして、ことしは新しい東京の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算と、こういうふうになっているわけですけれども、この平成二十九年度予算では、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる政策の着実な展開に必要な財源として、三つのシティー実現に向けた基金三千三百九十四億円を取り崩すとともに、財政として活用可能な基金の残高は、二十九年度末で六千二百二十九億円を確保しているとしています。二十九年度予算案における基金活用の考え方についてまずお伺いをいたします。

○岩瀬主計部長 平成二十九年度予算案では、三つのシティーの実現に向けた施策展開に必要な財政需要への対応を図るとともに、中長期的な政策展開への備えにも配慮するという考えのもと、基金の戦略的な活用を図りました。
 具体的には、平成二十八年度最終補正予算において、歳出の精査等により生み出された財源三千九十二億円について、将来の財政需要を見据えて積み立てを行ったところでございます。その上で、平成二十九年度予算案では、新しい東京の未来を切り開く施策を戦略的に展開するため、待機児童解消に向けた取り組みの充実や無電柱化の推進などの取り組みの財源として、三つのシティー実現に向けた基金を三千三百九十四億円活用してございます。
 こうした取り組みの結果、財源として活用可能な基金と三つのシティー実現に向けた基金を合わせました、将来に向けて安定的な財政運営を行うための基金の残高は、平成二十九年度末において一兆九千三十五億円を確保できる見込みでございまして、将来への備えをしっかり行ったところでございます。

○大西委員 基金は、あればあるほどいいというわけではないと思いますが、巨大な都財政を運営していく上で、財政フレームに対して一定割合の基金があればいいと思うのは、これはしかるべきだと思います。
 家庭でいえば、銀行預金のようなもので、例えば、四人家族で子供が小さければこれくらい、もうすぐ大学受験ともなればこれくらいは要るなという目安が要ると思います。
 基金が税収の急変や社会経済情勢の変化に機動的に対応できる水準を保っているかは、都民要望にタイムリーに応えていけるかどうかの健全性、弾力性の指標になると思います。
 そこで、財源として活用可能な基金と位置づけられている財政調整基金残高の推移はどのようになっているのか伺います。

○岩瀬主計部長 平成元年度末に三千五百二十二億円であった財政調整基金の残高は、バブル経済崩壊により都税収入が急激に落ち込む中で、財源対策として取り崩して対応いたしました結果、平成九年度末の基金残高は十億円と、ほぼ底をつくこととなりました。
 その後、財政再建の取り組みが実を結び、また、都税収入が堅調に推移したこともございまして、着実に積み立てを行い、平成十九年度末には五千八百七億円の残高を確保したところでございます。
 一方、平成二十年のリーマンショック後、一年間で約一兆円という大幅な減収に見舞われる中で、安定的に行政サービスを展開するため取り崩しを行ったことにより、平成二十三年度末の基金残高は三千九百八十六億円まで落ちてございます。
 その後、都税収入が安定して推移するとともに、事業評価による見直しを継続的に行ったことなどにより着実に基金の積み立てを行い、平成二十九年度の財政調整基金残高は六千二百二十九億円を確保しております。

○大西委員 今、基金について伺いましたが、一方で都債については、来年度の発行額が二千九百八十三億円となっており、都債残高は五兆五千九百八十一億円となります。
 起債依存度は四・三%、国の三五・三%に比較して極めて健全な状態にあると思います。しかし、一つ気になるのは、将来世代の負担水準の推移でございます。都は、平成九年度から都債残高を二割減らし、来年度の都民一人当たりの残高を四十一万円としております。人口減少、超高齢化社会に突入することがほぼ確実となっている中で、若年世代の負担という意味から捉えると、将来負担が過多とならないのか懸念するところでもございます。
 都債には、現役世代と将来世代の負担を分かち合うという役割もあり、道路や公園を初め、今の子供たちの世代が大人になっても使う施設の財源として都債を活用するということは理解もできます。しかし、都債に過度に依存した財政運営が一たび行われてしまえば、背負う必要のない借金を今の子供たちや生まれてくる子供たちに負わせることになりかねません。
 そこで、都債の活用の基本的な考え方について伺います。

○岩瀬主計部長 都債には、将来にわたって便益が及ぶ事業の財源として活用することによって世代間の負担の均衡を図る機能と、安定的な財政運営を行うための年度間の財源調整を図る機能とがございます。その活用に当たりましては、こうした機能を発揮することを前提といたしまして、将来の財政負担も見据え、都税収入の動向や投資的経費の水準、基金残高等を勘案しながら、中長期的な視点に立って活用を図ることが重要であると考えてございます。

○大西委員 都債の活用を考えるときには、都税収入や投資的経費、基金など財政面でのさまざまな要素を勘案する必要があるということでございますが、特に財政的に厳しい場面において、これまでどのように都債の活用を行ってきたのか伺います。

○岩瀬主計部長 バブル経済崩壊後には、先ほどご説明いたしました基金の活用に加えまして、国の経済対策における地方単独事業の増加や税収減を賄うための財政的な対応力といたしまして、最大一兆円を超える都債を発行いたしました。
 その後、財政再建の取り組みを進める中で、起債の対象となる投資的経費を削減するとともに、計画的な都債の活用を図っておりましたが、リーマンショックにより税収が大きく落ち込んだ際には、都債の発行余力を活用して、都民サービスの低下を来すことのないよう対応いたしました。
 このように都債につきましては、その時々の財政状況に応じた活用を図ってきておりますが、過去における大量発行は、都債残高を増大させるとともに、その結果生じた後年度の財政負担に苦慮する要因となったことから、都債の活用に当たりましては、残高にも目くばせしながら活用を図っていくことが必要であると考えてございます。

○大西委員 これまで都債の活用について伺いましたが、一度発行した都債は、繰り上げ償還をしない限り、基本的には二十年、三十年と償還が続くことになります。安易にこれに頼れば大変なことになるのは自明の理でございます。過去には残高の増大も招いており、バブル後の平成十三年度には、都債残高は過去最高となる七兆六千三百八十四億円まで積み上がってしまっています。
 こうした過去の経緯も踏まえ、今後の人口減少、超高齢社会も見据えて都債を活用していくことが必要であると考えます。
 そこで、平成二十九年度予算案における都債計上の考え方について伺います。

○岩瀬主計部長 平成二十九年度予算案では、今後の人口構造の変化や社会資本ストックの維持更新需要などを見据え、将来世代の負担を考慮して、都債の発行額を抑制し、将来に向けての発行余力を培いました。
 その結果、発行額は前年度に比べ五百五十一億円減の二千九百八十三億円、都債残高は前年度に比べて二十二億円減の五兆五千九百八十一億円となってございまして、将来の都債償還で生じる財政負担の軽減も図っております。今後も、都財政の健全性の維持に十分配慮しながら、適切な都債の活用に努めてまいります。

○大西委員 今後も適切な都債の活用に努めていただきたいと思います。
 都は、地方交付税の不交付団体である一方で、歳入の根幹をなす都税収入は、景気変動の影響を受けやすいものです。本日伺った基金と都債を計画的に活用していくことで、今後も安定的な財政運営に努めてもらいたいという要望を出しまして、私の質問を終わります。

○とくとめ委員 昨年の第三回定例会において、知事は、我が党の豊洲新市場の建設費高騰問題の質問に対して、答弁の中で、豊洲市場の建設費については、都民に疑惑を抱かせないよう納得していただける説明、都民に開かれた場において、なぜこのような額になったのか、その理由を明らかにしていくと述べました。こうした答弁も踏まえて、私もその具体化を求めて、昨年の財政委員会で質問をいたしました。
 さらに、我が党は、昨年の第四回定例会の一般質問において、豊洲市場問題や東京五輪の経費節約問題について、限りなく一〇〇%に近い落札率で一者しか入札に参加せず、競争性に欠ける案件が相次ぎ、中には、我が党に談合情報を寄せられた案件も存在していたことを触れました。財政のワイズスペンディング、税金の有効活用が働いているのかと、大きな問題だと指摘をしてまいりました。
 一者入札や予定価格の事前公表などの入札制度の改革については、都政改革推進本部の会議の場において、豊洲新市場の整備費高騰が議論になり、建設単価が高級ホテルをしのぐ高価な建物であることが指摘されています。こうした検討の経過を踏まえて、今定例会の知事の施政方針表明において、入札制度について一者入札、最低制限価格、予定価格の事前公表見直しを検討中ということになったものと受けとめております。こうしたこの間の質疑の到達点を踏まえて、入札契約制度のより具体化の促進と公契約制度に係って幾つか質問いたします。
 まず、昨年の四定での我が党の一般質問に対して、知事は、入札監視委員会の委員選出については、都のOBではない学識経験者を選定するよう、事務方に指示したとの答弁があったことについてです。
 しかし、それから三カ月以上経過した現在でも、私が財務局のホームページを見た限りにおいては、委員長不在のままになっており、人選はどのようになっているんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 入札監視委員会につきましては、委員長辞任のため、設置要綱に基づき、委員長職務代理を置いて運営しているところでございます。現在、検討している委員会の今後のあり方が決まり次第、新委員を選任し、互選により委員長を決めることになるというふうに考えてございます。

○とくとめ委員 委員長不在のもとでも、入札案件は次々とふえており、早急に入札監視委員会の機能回復が求められております。
 さらに知事は、昨年末の四定での我が党の一般質問において、委員選出のあり方とともに、入札契約の審議対象の選定のあり方についての質問に対して、審議対象の選定につきましては、今後、行政から独立した第三者機関として、入札監視委員会全体で合議をいたしまして決定していただくことが望ましい、このように考えていますと答弁をされました。
 そこで、この点で入札監視委員会の役割の改善強化のためには、委員選出のあり方を知事答弁の方向で改善するとともに、入札監視委員会の設置要綱や運営要綱の内容についても、他県での経験などにも学びながら、知事答弁の方向での改善が必要だと思います。そうしてこそ、入札監視委員会の本来的な役割も発揮できるのではないかと思いますけれども、入札監視委員会の設置要綱や運営要領の内容については、どのような改善が検討されているんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 入札監視委員会の今後のあり方につきましては、審議対象や内容の見直し、具体的な審議案件の選定方法、審議件数と質の確保、審議対象に応じた体制の整備など、機能強化に向けて監視委員からご意見をいただいているところでございます。

○とくとめ委員 現在、入札監視委員会の設置要綱や運営設置の運営要領の改善に向けて議論を重ねているということですけれども、年度内という期限を掲げているわけですから、ぜひ早急な具体化を求めておきたいと思います。
 次に、入札監視委員会の開催回数についてですけれども、平成二十六年度は六回の開催、平成二十七年度は五回の開催と比較して、入札契約のあり方への注目、関心が高まっている中で、昨年の平成二十八年度は、前半の二回しか開催をされておりませんでした。どうした理由なんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 入札監視委員会の開催回数が平成二十六年度、平成二十七年度と比較して少ないのは、都政改革推進本部での入札契約制度改革に関する検討が始まり、委員会に付議する制度改正に関する議案が減少したためでございます。
 また、平成二十九年二月には入札監視委員会を開催しており、委員会に関する都議会での議論や知事の指示を踏まえ、入札監視委員会の今後のあり方についてご審議いただいたところであり、先ほどもご答弁申し上げましたように、現在、委員からの意見の集約などを進めているところでございます。

○とくとめ委員 この点でも、年度内という期限を掲げて取り組んでおられるようですから、ぜひ早急な具体化をお願いしたいと思います。
 知事が入札契約問題について検討中と、一定の施政方針で明らかにした入札契約制度の改善の中で、落札率の高どまりの大きな要因の一つと思われる一者入札について、具体的にはどのような検討、改善がされていくんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の平均落札率が総体的に高くなるのは、施工条件が厳しく、予定価格内での応札が難しい工事なので、結果的に落札率の高い一者入札となる場合が多いためであると考えております。
 もとより、できるだけ多くの事業者の参加によって、より競争率の高い入札環境を整えていくことが望ましいということはいうまでもないことから、都は平成二十六年から、入札に参加しやすい環境の整備に向けてというテーマを定めまして、不調を防止し、入札参加者をふやすためのさまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 現在、都政改革本部の内部統制PTにおきまして、一者入札を改善し、入札参加者をふやす取り組みも含め、入札契約制度のさらなる改善についてさまざまな議論を重ねておりまして、年度内に改革方針が出せるよう検討を行っているところでございます。

○とくとめ委員 次に、入札価格の事前公表、最低制限価格などのあり方については、どのように検討がされて、改善されていくんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 入札価格の事前公表、最低制限価格につきましても、現在、都政改革本部の内部統制PTにおきまして、九九%以上の落札や最低制限価格への入札集中の抑制などの議論がされているところでございまして、年度内に改革方針が出せるよう検討を行っているところでございます。

○とくとめ委員 平成二十六年度から入札に参加しやすい環境の整備に向けてというテーマを定めて、不調防止、入札参加者をふやすためのさまざまな取り組みを進めてきたということですけれども、先日の中途議決された契約議案の中にも、工事請負契約の入札状況は、一者入札が十四件中五件、落札率九六%以上が八件、その中でも、一者入札で落札率が九九%以上が三件ありました。こうした実態も分析して、適切な競争性、公平性などが保障される改革方向の具体化の検討をお願いしておきたいと思います。
 知事が検討中と今定例会の施政方針で明らかにした入札契約制度の改善について、この間の都政改革会議の議事録によりますと、財務局長は、今年度中に一定の方向性は出せるものは出していきたいと答えておられます。現状は、もうあと年度内は十日ぐらいしかありませんけれども、こういう迫った年度内に改善方向が具体化されていくんでしょうか、現状をお答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 知事の施政方針等も踏まえまして、一者入札、事前公表、最低制限価格等につきまして、現在、都政改革本部の内部統制PTにおいてさまざまな角度から議論しております。年度内に入札契約制度改革の実施方針が出せるよう検討を行っているところでございます。

○とくとめ委員 ぜひ年度内に入札契約制度の改革方針が具体化されるように求めておきたいと思います。
 入札契約制度の改革に当たっては、もちろんただ安ければよいというものではなくて、品質の確保、中小企業の保護、育成、労働者の賃金、労働条件に配慮しながら、バランスのとれた制度にしていくことが重要であることは当然だと思います。
 いただいた要求資料によりますと、一番新しい資料で二〇一五年度、平成二十七年度の東京都が発注する工事関係の受注件数は、全企業で一万七千七百二件、発注金額では約一兆四百五十九億円です。そのうち中小企業が約八五%、件数では占めております。金額では五千四百五十二億円になっています。
 物品、委託などの発注でも、中小企業が全体の件数でも八五%以上を占めて約七万三千件となっています。発注金額では六二%を占めて、二千九百二十九億円になっています。都民の税金を使っての大規模な公共発注、公共調達が行われております。
 こうした中小企業への工事請負契約や物品、委託契約など、公共発注、公共調達が広がっているもとで、中小企業の経営や下請労働者の賃金、労働条件を改善していく上で、都内で現在約七つの区市で制定が広がってる公契約条例の役割は大変重要だと思います。
 今後も、二つの自治体で、ほぼ議会内での合意が広がり、確実に制定の動きになっていると聞いております。都はこうした公契約条例の制定の動きをどのように認識をされているんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 我が国におけます賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において対等な労使間での交渉により自主的に決定されるものと認識しております。都の契約制度もそれに立脚しておりまして、これまでも我が国の法制度に従い、契約に当たり受注者に対して契約約款により法令遵守等を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってまいりました。
 都としましては、公契約条例につきまして、労働法制との整合性や入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保など、整理すべき課題があるというふうに認識してございます。

○とくとめ委員 現場で働く労働者の賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などを下支えした上で、各企業の労使間の交渉によって自主的に決定されるものだという答弁でした。受注者に対しては、契約約款により法令遵守を義務づけ、適正な労働環境を確保するようになっているという答弁でございました。そして、公契約条例については、さまざまな整理すべき問題もあるという答弁でございました。
 しかし、問題は現場の労働者の実態はどうか。大変劣悪で、ピンはねといわれるような実態も広く存在しているということであります。これを現場に任せたままでいいのかということが、今、問われているんではないでしょうか。賃金の未払い、ピンはねのような実態、ダンピング、ブラック企業のような深刻な事態があるからこそ、ここ数年間に公契約条例を制定することが広がったのではないかと思います。
 中小企業の経営、下請労働者の賃金、労働条件を守るための、自主的な運動の広がりの中で、文字どおり超党派の取り組みとして自治体への働きかけがあって、七つの区、市の自治体で、この公契約条例 の制定が広がってきたものだと思います。
 先日、都内最大の建設労働者の団体に実態を伺いに行きました。東京都への要望交渉も行っているということでしたので、そこの建設労働者の皆さん方がどういう要望をされたのかは、皆さん方もご存じだと思うんです。
 例えば、建設労働者の低賃金の改善のための公共工事の設計労務単価、これは常用大工ということになっておりますけれども、国交省や業界団体の日建連などの取り組みもあって、二〇一一年度以来、労務単価は上昇しています。一万八千六百円から、二〇一五年までには二万五千四百円、約一・三六倍に伸びております。六千八百円のアップになっています。
 しかし、常用大工の実際の賃金は、二〇一一年の一万六千五百円から二〇一五年の一万六千九百六十五円と、ほとんど横ばいで、労務単価の上昇分を反映されていないという実態でありました。労務単価のわずか六七%という水準にとどまっているということでした。
 こうした実態は、豊洲新市場七街区の管理棟建設で働く労働者に対する昨年五月のアンケートの結果でも、百二十六人の皆さんが答えてくれて、日当で一万六千円以下で働いている建設労働者が約六六%いるという結果にもあらわれています。さらに、東京都発注の豊洲新市場の管理施設棟の建設の元請による三次下請、四次下請など、十一社に対して総額五千六百万円の未払い事件が発生したということも聞きました。
 これは幸いにして、組合ぐるみの闘い、交渉を通じて不十分でありますけれども、被害額の八二%までは取り戻せたということでした。
 しかし、都民の税金を活用した、この設計労務単価に基づいた工事単価を決めて仕事を請け負ってるところが、本来支払うべき下請企業や下請労働者に対して、未払いになるなどという事態は絶対に許してはならない。決してこれは民民の問題としては放置できない問題ではないかと思います。
 こうした事例は、たまたま十万人を超える建設労働者を構成員とする団体が存在をして、そこの支援があったからこそ解決したのではないかと思います。しかし、こうした力が、解決の力がないところでは、結局泣き寝入りせざるを得ない。税金が、本来の役割を果たさずに、ピンはね状態になっているということではないかと思います。
 そこで質問ですけれども、中小業者の利益や下請労働者の賃金を守り、労働条件の改善の上で、その実態から見ても、公契約条例のような実効性のある役割を果たす仕組みが必要ではないかと思いますけども、都としては、独自に公契約条例を制定していないもとで、こうした問題をどのように解決をされていくんでしょうか。

○五十嵐契約調整担当部長 中小企業者や下請事業者の労働条件や労働環境の改善を図ることは、都としても重要なことと認識しております。
 平成二十六年に改正されました品確法では、品質確保の観点から、建設労働者の労働条件や労働環境の改善への配慮が基本理念として位置づけられております。
 こうしたことを踏まえ、都は発注者として、工事発注に当たって最新の労務単価を適用した適正な予定価格の設定、最低制限価格の見直し、社会保険等への加入促進、社会保険労務士による特別調査などに取り組むとともに、事業者団体に対して適正な賃金水準の確保の要請を行っているところでございます。
 都は、現行法令のもと、今後とも、こうした入札に参加しやすい環境整備の取り組みを通し、公共工事の担い手の中長期的な育成確保に向けて、建設労働者の労働条件や環境の改善を推進してまいりたいと考えております。

○とくとめ委員 我が党としては、品確法は、品質管理の観点から、建設労働者の労働条件や労働環境の改善を進める基本理念としては大変重要だと思います。同時に、公契約条例のように実効性を持った条例の重要性が今広く理解されて、建設労働者を先頭にして都内自治体でも制定が広がりつつあることは非常に重要だと思います。
 我が党都議団も、毎年の東京都への要望の中で、公契約条例を制定して、請負工事や業務委託契約にかかわる労働者の賃金引き上げ、待遇改善、事業者の育成等を進めることを求めてまいりました。都としても、ぜひ公契約条例の制定について真剣に検討していただくことを強く要望して、質問を終わります。

○山内委員 生活者ネットワークでは、これまでも都有地を積極的に利活用するよう求めてまいりました。都では、緊急対策に基づき、都有地を活用した保育所等の整備促進に取り組んでいるところと聞いております。
 都における待機児童数は、就学前の児童人口や保育所等への利用申込率が増加し、昨年四月の段階で八千人を超えるということです。いうまでもなく、保育所の整備推進に向けては、用地の確保が大きな課題であり、待機児童解消に向けた都の取り組みに期待が寄せられています。
 昨年秋の緊急対策発表以降、半年が経過したところですが、都有地を活用した保育所等の整備促進に向けたこれまでの取り組み状況についてお伺いいたします。

○中村財産運用部長 都は、昨年九月に、緊急対策の一環といたしまして都有地活用推進本部を設置いたしまして、まず十月には、財務局所管の未利用地百二十一件につきまして、保育所等として活用可能性のある土地として、区市町村に情報提供を行いました。さらに本年二月には、公営企業も含めまして、全庁的に都有地を洗い出しまして、ただいま申し上げました財務局所管分と合わせまして、これまでに二百二十八件の都有地の情報を区市町村に提供しております。
 これらの都有地情報はホームページ等で広く公開しておりまして、これらの情報をもとにした民間保育事業者等からの照会や提案の受け付け、問い合わせにも、きめ細かく対応しております。
 また、保育所等の速やかな整備や区市町村の主体的な取り組みを支援するため、区市町村を介しまして、社会福祉法人等に都有地を転貸することも可能とするなどの取り組みも進めております。

○山内委員 都有地活用推進本部を設置して、全庁を挙げた都有地の洗い出しや民間保育事業者等からの問い合わせにもきめ細かく対応することは、保育所の整備に適した場所の確保に苦しむ区市町村にとって、必要な支援だと思います。
 活用可能な都有地の情報を得、容易にアクセスできることが重要です。地元から都有地の情報を調べやすいように、所在地などから検索できるようになると便利だという要望もあり、私は昨年の事務事業質疑において、有効な都有地の利活用に向けて、その充実を図るべきではないかと質問したところですが、その後の対応状況についてお伺いいたします。

○中村財産運用部長 これまで都では、公有財産の情報につきまして、財務局ホームページ上に東京都の公有財産として一覧の形で掲載してきておりました。しかしながら、これらの財産情報は、七万件を超える膨大なデータでありまして、必ずしも使い勝手がよいとはいえないものとなっておりました。
 活用可能な都有地の有効活用を進めていくためには、都民や民間事業者、区市町村等が知りたいという情報を容易に探し出せることが重要であります。そのため、都では昨年十二月、東京都の公有財産に掲載しております土地と建物の情報につきまして、所在地や面積などの条件で検索できる機能を設けました。
 今後とも、都有財産に関する情報のわかりやすい提供に努め、都の有する財産のさらなる有効活用につなげてまいります。

○山内委員 都有地に対する期待は大きく、待機児童対策だけではなく、障害者や高齢者のグループホームや、多世代の居場所、障害者とともに農作業ができる農福連携のための農地にしたいなど、期間限定でもよいから利活用したいというさまざまなアイデアが寄せられています。
 都有地の情報は、年四回程度、区市町村に提供するとともに公表し、日常的にも情報交換を区市町村と行っていると都からは聞いていますが、自治体の意向もあり、なかなか実現できないのが現状です。未利用な都有地を積極的に自治体に提供し、市民のさまざまな要望を自治体と協力して提供していくよう強く要望いたします。
 次に、大規模災害発生後の復旧復興のための財源についてお伺いしたいと思います。
 二〇一七年度予算案では、将来の財政需要を見据えて、二〇一六年度の最終補正予算とあわせて、無電柱化推進基金、イノベーション推進基金の二つの基金を創設しました。
 都財政における基金の役割とは何か、お伺いいたします。

○岩瀬主計部長 都の基金には、財源として活用可能な基金と位置づけております財政調整基金と、福祉先進都市実現基金や防災街づくり基金、無電柱化推進基金などの三つのシティー実現に向けた基金などがございます。
 財源として活用可能な基金は、不安定な都税収入を補い、財源が著しく不足する場合などに取り崩すことにより、年度間の財源調整を図ることを目的とするものでございます。
 また、三つのシティー実現に向けた基金は、ダイバーシティー、スマートシティー、セーフシティーの三つのシティー実現に向け、施策を安定的かつ戦略的に展開していくための財源を確保することを目的としてございます。
 このように基金は、景気変動に伴う大幅な税収減や将来の財政需要などに備え、東京が抱える課題の解決と、より一層の成長創出に向けた施策を展開していくための財源として、都の財政運営上、重要な役割を果たしてございます。

○山内委員 次に、防災街づくり基金の目的と二〇一七年度の活用状況についてお伺いいたします。

○岩瀬主計部長 防災街づくり基金は、都税収入が不安定な中においても、東京を高い防災力を備えたまちとして整備するための取り組みを戦略的に展開していくため、平成二十六年度最終補正予算において創設した基金でございます。
 平成二十九年度予算案では、木造住宅密集地域における特定整備路線の整備や緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化、調節池や分水路の整備等の豪雨対策などの財源として七百五十七億円を活用しており、平成二十九年度末における基金残高は一千八百五十七億円を確保しております。

○山内委員 防災街づくり基金は、東京を高い防災力を備えたまちに整備するための予防的な意味合いの基金です。災害が実際に起こった場合の基金としては、災害救助基金があります。これは災害救助法に基づく基金で、被災者の救済、避難所及び応急仮設住宅の供与、食品の供与及び飲料水の供給など、避難者などへの救助の種類等が決められており、二〇一六年度の残高は百六十三億円と見込まれています。
 また、会計管理局にも保管している流動性預金もありますが、緊急時の資金として全てを使うわけにもいきません。
 広域的な災害に対しては、基本的には国による負担であり、これまでも災害に対しても国費が充てられているとは聞いておりますが、都としても準備を怠ってはいけないと考えます。
 例えば、阪神・淡路大震災からの復興に、兵庫県は二〇一五年度段階で、実績額十六兆三千億円がかかり、そのうちの兵庫県負担額は二兆三千億円との報告もあります。
 生活者ネットワークは、首都直下地震等の大規模な災害が発生した場合の緊急対策以外の復旧、復興のための資金を、都としてしっかり備えておく必要があると考えます。専門家の中には、一兆円を備えておく必要があるという意見もあります。東京都震災復興マニュアルでは、発災後から復興への段取りは決めているが、財政的な考え方、財政的な手当ては盛り込まれていないようです。
 財務局は総務局とも連携して、本腰を入れて財政的な手当てを検討していくことが今後の大きな課題であるということを指摘して、私の質問を終わります。

○大津委員 平成二十九年度予算案について伺います。
 二十九年度予算案は、二〇二〇年に向けた実行プランの実行力を支えるものと施政方針で示されました。私も、来るべき二〇二〇の東京オリンピック・パラリンピック大会を牽引して、都民が切実に思っている政策実現に加速をさせて、ビヨンド二〇二〇、その先の東京の明るい未来に向けた第一歩として、さらに反映していく予算として進んでいきたいと思います。
 初めに、平成二十九年度予算案の特徴について伺います。

○岩瀬主計部長 平成二十九年度予算案は、新しい東京の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算と位置づけまして、東京が抱える課題の解決と、より一層の成長創出のための施策展開を力強く進めるとともに、都民ファーストの視点に立った財政構造改革の一層の推進を図るものでございます。
 具体的には、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる事業につきましては一〇〇%予算化するとともに、喫緊の課題である待機児童解消に向けた取り組みにかかわる予算額を前年度比四百三億円の増とするほか、過去最高となる三百八十二件の新規事業を立ち上げるなど、二〇二〇年とその先の明るい東京の未来をつくるための投資を積極的に行いました。
 一方で、全ての事業の総点検を通じて、無駄なコストは厳しく削減し、一般会計の予算規模は前年度比で五年ぶりのマイナスとするなど、めり張りのついた予算としたところでございます。

○大津委員 多様化する都民ニーズを的確に捉え、新しい政策を実行するためには、事業の不断の見直しを行い、無駄を削減していくという、いわばめり張りのきいた予算となっています。
 その中でも、二十九年度予算案で全ての事業に終期を設定したということは、目標、管理、検証できる、めり張りのある実行予算と位置づけます。
 そこで、今回全ての事業に終期を設定することとした基本的な考え方について伺います。

○岩瀬主計部長 平成二十九年度予算編成におきまして、全ての事業に終期を設定することといたしましたのは、評価時期をルール化し、事業を継続するのか、見直し再構築を行うのか、拡充を図っていくのか、多角的な検証を行うためでございます。
 こうした取り組みによりまして、これまでの事業評価によるPDCAサイクルを一層強化するなど、従来にも増して創意工夫を凝らし、施策の効率性や実効性を高める取り組みを進めたものでございます。

○大津委員 次に、都債について取り上げます。
 私はこれまでも、将来世代への負担に配慮し、負の遺産を残さないよう、都債残高を減らしていくべきと一貫して主張してきました。
 二十九年度予算案では、前年度からさらに発行額を抑制しており、五百五十一億円減の二千九百八十三億円となっています。また、都債残高についても、二十九年度末で五兆五千九百八十一億円と、前年度に比べ二十二億円減と、順調に減らしてきております。
 一方で、国の借金である国債の残高は、二十九年度においても前年度より二十兆円もふえる見込みとなっています。
 平成二十九年度予算案における、都民一人当たりの都債残高は、国や地方全体などと比較して、過去と現在においてどのように変化しているのか、伺います。

○岩瀬主計部長 平成二十九年度予算案では、都債の発行額を抑制したことなどにより、都債残高は、ピーク時から二六・七%減の五兆五千九百八十一億円となってございます。この都債残高を都民一人当たりで見た場合、平成九年度から二十九年度までの二十年間で、五十万円から四十一万円と約二割減少してございます。
 一方で、国民一人当たりの国債残高は、二百四万円から六百八十二万円と約三・三倍に、地方全体の財政計画上の一人当たりの地方債残高は、八十八万円から百五十四万円と約一・八倍に増加してございます。

○大津委員 今の答弁にありました国と都の一人当たりの残高を比較すると、国は都の約十七倍もの借金を抱えており、六百八十二万円を一人一人の国民が返すということを具体的に考えたら、非常に気の遠くなるような問題です。次世代へ負担を少しでも減らすために、国も借金を減らす方向にかじを切るべきです。
 一方、こうした重い負担を背負う国に対して、都では、これまでのたゆまぬ努力によって、都債残高を減らしてきたところでありますが、これからもどんな不安材料があろうとも、英知をかけて削減をし続けていってほしいと思います。
 昨年末に発表された二〇二〇年に向けた実行プランでは、これまで増加を続けてきた東京の人口は、二〇二五年を転換点として減少に転じるとされています。また、二〇二五年は団塊の世代が全て七十五歳以上となる年でもあり、今後、東京の高齢者数は急激に増加していく見込みでもあります。
 都は、こうした人口動向の変化に伴う社会保障関係経費の増大に加え、高度経済成長期などで整備してきた社会資本ストックの維持更新、首都直下地震を見据えた災害に強い高度防災都市づくりなどの課題にも正面から向き合わなければなりません。東京の持続的な発展に向け、今後どのように財政運営を行っていくのか、武市局長の見解を伺い、質問を終わります。

○武市財務局長 いつの時代にも都政にはさまざまな課題がございます。財政的な視点で眺めますと、今の時代は、二〇二〇年東京大会に向けた準備でございますとか、お話にもございましたように、増大する社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費への対応、自然災害への備え、さらには喫緊の課題でもございます待機児童対策など、やはりさまざまな課題が山積をしてございます。
 そのような中で、東京都は景気変動の影響を受けやすい不安定な歳入構造にあり、加えまして、地方交付税の不交付団体でもございます。他の自治体以上に自立的な財政運営を行っていく必要があると考えております。
 そのため、真に必要な施策には積極的な投資を行いながらも、これまで以上に無駄の排除を徹底いたしまして、弾力的で強靱な財政体質の構築に努めてまいります。中長期的な財政運営の備えをしっかりと講じることで、東京の明るい未来に向けた施策展開を財政面からしっかりと支えていきたいと考えております。

○大山委員 私からは、七十四号議案の土地の信託の変更についてということで、質疑したいと思います。
 両国シティコアの土地信託の受託者が、今までは三井住友信託銀行、みずほ信託銀行、それから三菱UFJ信託銀行の三信託銀行だったのを、みずほ信託銀行一行になって、あと五年間、信託契約を更新するという議案ですね。
 この両国シティコアの土地信託は、九二年度からスタートをして、都が受け取る予想配当が八十三億円となっています。つまり二十年間で八十三億円の配当を予測していますから、平均しますと一年間で四億一千五百万円の配当がなければ達成できません。ところが、この土地信託が始まった初年度から、これ予算特別委員会で出してもらっている資料ですけれども、初年度から配当は三億六千八百万円、翌年が一億六百万円、次の年はもう一千万円、二〇〇一年度以降はほとんど五百万円という情けない額になっていると。
 土地信託は、新宿モノリスが九〇年からスタートして、まさにバブル景気の真っただ中に始まったわけですが、両国シティコアは九二年度からですから、スタートしたときからもうバブルは崩壊時期と。
 改めて伺いますけれども、都有地で土地信託事業を始める理由は何だったんでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 土地信託は、昭和六十一年の地方自治法改正により新たな土地活用の手法として制度化をされたものでございます。この制度は、土地所有者が土地を信託銀行に信託し、銀行側が資金調達して、そこに建物を建設し、管理運営するものでございます。
 メリットといたしましては、土地の売買を伴わないことから地価を顕在化させずに土地を有効活用することができ、地価の高騰を招くおそれがないこと、財政負担を伴わずに民間の知識、経験を利用し、有効な土地活用が可能となること、所有権が留保されており、信託期間終了後には土地と建物は返還されるため、将来の行政需要にも対応できることが挙げられます。
 都といたしましては、都内の地価が急激に高騰していた当時の社会経済情勢を踏まえまして、このようなメリットのある土地信託制度を導入したものでございます。

○大山委員 メリットとして地価高騰を招かないといいますけれども、都民の貴重な財産である都有地というのは、都民のために使うというのが本来です。
 私たちは、そもそも土地信託は、土地の所有者である東京都が信託銀行に土地を預け、建物の建設や資金調達、賃料を委ねるかわりに、収益の一部を信託配当として都に還元してもらう。つまり都有地でもうけることを目的にするものです。主にビジネスビルとして利用しないともうからないわけですね。しかも、景気の動向によっては不安定だということが常につきまとうわけです。
 私たち一貫して、都民のために活用すべき都有地をオフィスビルとして利用すること自体、あってはならないことだということを指摘してきました。
 実際、両国シティコアに入居しているのはどういう企業かといえば、三菱製紙関連で四フロア、株式会社ルネサンスが二フロアで、一フロアずつ入居しているのが、IHI建材工業株式会社とか出光クレジット、ライオンエンジニアリング株式会社、エスピック、日本電技株式会社など、結局、都民の大切な都有地を大企業のオフィスビルとして活用しているということなんですね。
 都民住宅も土地信託の一部でしたけれども、現在は土地信託から外れていますが、どのような理由で外したんですか。

○山根利活用調整担当部長 平成二十四年七月の当初の信託期間の満了に当たりまして、都民住宅については、入居者の居住の安定と継続を図るため、当初の契約どおり信託契約を終了し、都へ返還を受け、引き続き公共住宅として管理することとしたものでございます。
 なお、返還を受けた後は、一般会計から公共住宅事業を所管する特別会計へ有償所管がえを行っております。

○大山委員 都民住宅の家賃補助は二十年間ですから、家賃の軽減はない通常の住宅になっているわけですね、今は。その家賃補助もない、市場家賃となった都民住宅を、一般会計から都営住宅等事業会計に土地建物を所管がえをして、そして、都営住宅等事業会計から一般会計にその代金をつけかえたということです。
 二十年間で土地信託の満期を迎えましたけれども、その時点で土地信託事業についてどのように評価をして、継続することにしたのはどのような理由ですか。

○山根利活用調整担当部長 所期の目的であります地価高騰の要因とならない都有地の有効活用、民間の知識、経験を利用した財源負担を伴わない土地活用は達成できたと評価しております。
 また、オフィスやスポーツ施設が入居する賃貸用業務施設ビルとしての役割を果たしてきたほか、当時の行政ニーズを踏まえ、都民住宅を六十戸整備し、安定供給ができたと考えております。
 賃貸用業務施設ビルにつきましては、賃料及び入居率が市場相場で推移していたこと、建物、設備が適切に管理されていたことなどから、今後も安定したテナント賃料収入が見込めると判断し、住宅部分とは切り離して、五年間、信託契約を延長したものでございます。
 なお、当初、信託期間満了前に残存しておりました借入金三十億円につきましては、都民住宅の有償所管がえによる財源や賃貸用業務施設ビルの信託延長に伴うテナント賃料収入により、平成二十七年三月に完済をしております。

○大山委員 借入金は平成二十七年三月に完済したんだといいますけれども、当初の計画では、二十年間で借金は返済する計画でしたよね。ですから、二十四年度で完済する計画だったんです。しかし、完済できずに借入金が三十億円残っていました。ここも当初の見込みとは違うわけです。
 同時に、完済できたのは、先ほどの都民住宅を有償所管がえしたから十三億五千万円受け取ることができて、それも足して、やっと三年かけて完済をしたということなんですね。
 今回も継続するということなんですけれども、どういう理由ですか。

○山根利活用調整担当部長 借入金を完済したこと、入居率は現在一〇〇%でございまして、賃料設定はおおむね市場相場を維持していること、建物設備は適宜修繕を実施して良好であることなどから、引き続き健全な資産運用が可能であり、信託配当を今後一億円に増額することができると認識しており、専門家も同様に評価をしております。
 このように、今回、信託期間の満了を迎えるに当たり、改めて専門家の意見を聞き、売却や信託を終了して都が直接所有することも含め検討した結果、現状では継続が最も有利な利活用であると判断いたしまして、信託期間を延長することといたしました。
 なお、将来の社会経済情勢や都の行政需要の変化の可能性も踏まえると、一定期間ごとに改めて検証することが適切であることから、延長期間は五年としたものでございます。

○大山委員 信託配当を一億円に増額できる、専門家も同じ評価なんだといいますけれども、今までの配当が年間五百万円と余りにも少な過ぎたわけです。それが一億円になったので、私も随分増額できるんだなと思っちゃったんですけれども、ところが、二十年間で予定していた配当は八十三億円ですね、実際に受け取った配当は二十三年間で六億六千二百万円、予想配当のわずか一三%です。今後、毎年一億円ずつ配当を受け取れるとしたとしても、何と予想配当の八十三億円に達するのは七十八年以上かかるということなんですね。
 借金は完済したし、入居率も一〇〇%だし、賃料設定は市場相場を維持しているし、建物設備は適宜修繕をして良好だし、信託期間満了に当たって、売却だとか信託を終了して都が直接所有することも含めて検討したけれども、現状では継続が最も有利な利活用であると判断したんだとおっしゃいましたけれども、にっちもさっちもいかないということなんじゃないんでしょうか。
 このような土地信託事業に都が手を出したために、当初の予想配当が二十年間で八十三億円だったのに、都が受け取った配当はその一三%でしかなかったこと。しかも毎年、今いったように一億円ずつ確実に配当が入ったとしても、七十八年以上も予想配当、受け取るまでにはかかる。
 そして、地方自治体である東京都が、都民のための大切な都有地をこのような土地信託事業に使ってしまったことについて、都として、やはり反省しなきゃいけないんじゃないでしょうか。どうなんですか。都として、反省しなきゃいけないんじゃないですか。

○山根利活用調整担当部長 先ほども申しましたように、現在といたしましては、入居率も一〇〇%でございます。また賃料も市場相場を維持しておりますし、今後、少ないとはいえ信託配当も徐々に上げていけるということから、ほかの手段を含め検討しますと、今後五年間という一定期間を区切って信託を継続することが最も適切であると考えております。

○大山委員 これ、維持するしかないんだということなんですけれども、そもそもこんな土地信託に東京都が乗り出したということ自体を、やっぱりきちんと反省しておくべき、反省しなきゃいけないことだと思いますよ。財務局できちんと反省しておいてください。反省しておいてくださいといういい方、変ですけれども。
 信託配当ですけれども、どこに収入して、どう活用するんでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 一般会計の社会資本等整備基金でございます。

○大山委員 社会資本等整備基金は、その条例で、都市交通基盤整備、社会福祉基盤整備、その他の社会資本等の整備に関する資金に充てる、こうなっています。圧倒的に不足している保育園だとか高齢者施設、それから十七年間も新規建設していないような都営住宅の新規建設、交通のバリアフリー化など、せめて都民の暮らしを応援する社会資本の整備にこそ優先していただきたいということを述べて終わります。

○栗山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗山委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十四分散会

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