委員長 | 栗山 欽行君 |
副委員長 | 松田やすまさ君 |
副委員長 | 吉倉 正美君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | とくとめ道信君 |
理事 | 大西さとる君 |
山森 寛之君 | |
大津ひろ子君 | |
斉藤やすひろ君 | |
山内れい子君 | |
北久保眞道君 | |
鈴木 隆道君 | |
秋田 一郎君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 十河 慎一君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 岩瀬 和春君 | |
財産運用部長 | 中村 倫治君 | |
利活用調整担当部長 | 山根 恭子君 | |
建築保全部長 | 久保田浩二君 | |
技術管理担当部長 | 中山 衛君 | |
庁舎運営担当部長 | 米今 俊信君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
会計管理局 | 局長 | 浅川 英夫君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 中澤 基行君 | |
警察・消防出納部長 | 吉野 孝行君 | |
資金活用担当部長 | 鈴木 誠司君 | |
会計制度担当部長 | 野口 毅水君 |
本日の会議に付した事件
財務局関係
事務事業について(質疑)
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
○栗山委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局及び会計管理局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより財務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のありました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりください。今回要求のありました資料は、目次に記載してありますとおり六件でございます。
一ページをお開き願います。要求資料第1号、第二次主要施設十か年維持更新計画の進捗状況でございます。
こちらは、平成二十七年度から平成三十六年度までの概算の事業費をお示ししたものでございます。
続いて、二ページをお開き願います。要求資料第2号、各種基金の年度別推移(決算)でございます。
こちらは、平成十八年度から平成二十七年度までの各種基金の推移を二ページから三ページにかけましてお示ししたものでございます。
次に、四ページをお開き願います。要求資料第3号、財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積でございます。
こちらは、平成二十三年度から平成二十七年度までの五年間における財務局所管の普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積をお示ししたものでございます。
続いて、五ページをお開き願います。要求資料第4号、財務局所管普通財産(土地)の活用実績(一般会計)でございます。
こちらは、財務局所管の普通財産のうち土地について、平成十八年度から平成二十七年度までの活用実績を活用方法別にお示ししたものでございます。
続いて、六ページをお開き願います。要求資料第5号、障害者優先調達に係る局別実績(過去三年間)でございます。
こちらは、平成二十五年度から平成二十七年度までの障害者優先調達の実績を局別にお示ししたものでございます。
続いて、七ページをお開き願います。要求資料第6号、宝くじの発売実績額及び発売益金の推移でございます。
こちらは、宝くじの発売実績額及び発売益金について、平成十七年度から平成二十七年度までの推移をお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○栗山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○小松委員 まず、都庁舎について伺いたいと思います。
この都庁舎ができたのは平成三年ということで、私がちょうど中学生だったんですけれど、小田急線から初めてこの新宿の都庁を見たときに、本当にびっくりしたことを今でもよく覚えております。
この都庁舎が既に築二十五年を迎えたわけでありますが、いつまでたっても--この行政機能や議会の機能は当然ですが、災害時の司令塔としての機能、そして地域のランドマークとしての機能というさまざまな機能があって、何を優先すべきかということについてはさまざまな意見があります。
私が都議会議員になって以来、この築二十五年たった都庁舎は、大改修がずっと行われてきておりますが、設計期間も入れますと、二〇〇九年から二〇二〇年まで十二年にも及ぶ改修工事なわけですが、これだけの高層ビルを利用しながら改修するということは大変なことと考えます。
まず、今回のこの改修工事の概要について伺います。
○米今庁舎運営担当部長 都庁舎は、竣工から二十年以上が経過し、機器の運転状況や耐用年数から、設備機器の本格的な更新を迎えております。このため、庁舎機能の維持や安全確保のため、平成二十一年二月に、都庁舎の設備更新等に関する方針を定め、これに基づき各局等の理解と協力のもと、平成二十三年度から計画的な設備更新に取り組んでいます。
あわせて、東日本大震災の経験を踏まえた耐震性能の強化並びに誰でもトイレの整備拡充やサイン類の抜本的な見直しなど、来庁されるお客様の利便性の向上を図っているところでございます。
○小松委員 今回の改修工事が設備機器の更新が中心であるということがわかったわけでありますが、都庁舎のような高層ビルは、個人の家とは異なって、このような設備がないと全く機能をしないわけであります。
このような設備が多数入っていると、光熱費を初め、いわゆるランニングコストが相当かかるというふうに思います。これは聞くところによりますと、都庁舎ができた当初は年間六十億円近くかかっていたようでありますが、現在では三十五億円程度となっていると伺いました。
今回の改修工事では、このランニングコストについてどのような配慮をされたのか、伺います。
○米今庁舎運営担当部長 本改修におきましては、都庁舎のランニングコストの低減対策として、空調設備更新の際に、冷水量や送風量を低減できる大温度差空調方式を導入することで、循環ポンプや送風機で消費する電力の削減を図っています。
また、照明のLED化を進めることで、照明に使用する電力も低減させています。さらに、取り外しの容易なグリッド型システム天井の導入や空調機器を天つり型から床置き型に変更するなどにより、メンテナンス性の向上を図っております。
○小松委員 これまでの都の取り組みによって、こうしたランニングコストが圧縮できたことは大変すばらしいことだと思いますので、引き続きこの努力を続けていただきたいというふうに思います。
都庁舎は、首都直下地震でも、都民の生命、財産の保全のため、司令塔としての機能が期待されているわけであります。東日本大震災でも、帰宅困難者を受け入れるとともに、東北地方への支援に当たり、情報収集や支援物資の手配等重要な役割を果たしてきたというふうに伺っています。
一方で、長時間エレベーターが利用できなかったことや一部被害があったことも報告をされております。また、新宿地区では実施されなかったようですが、東京電力による計画停電もあったことを記憶しています。震災時の電力確保の重要性というものが非常に教訓となったと思います。
そこで、今回の改修工事の中で、この災害時の司令塔としての機能をどのように確保するのかという点について、今回どのような配慮をされたのか、伺います。
○米今庁舎運営担当部長 近年、課題となっております長周期地震動対策としまして、第一本庁舎に九十四カ所、第二本庁舎に六十一カ所の制振装置を設置することで耐震性能の向上を図っています。また、つり天井やスプリンクラーなど、建物の揺れに伴い被害を受けやすい施設について、重点的に耐震性の向上を図っております。
加えて、エレベーターについては、主ロープの絡まり防止装置を強化、地震時により細かく管制制御ができるよう、感知センサーを増設するなど、耐震性や安全性の向上を図っています。
災害時の電源対策としましては、電力供給の多元化のため、平成二十四年十二月以降、新宿地域冷暖房センターから三千キロワットの電力を調達しております。また、第一本庁舎の非常用発電機更新により、七十二時間の運転時間を維持しつつ、出力を一・六倍に増強するなど、停電に対しても業務の継続性向上を図っているところでございます。
○小松委員 過去の大規模災害からさまざまな教訓を取り入れて、今回のこの施設整備、更新について取り組まれているということは安心するわけでございますが、これは、どこまでいっても十分といったものはないわけでございますので、引き続きの創意工夫と努力を要望したいというふうに思います。
次は、都庁舎のランドマークとしての機能面から伺いたいと思います。
先日、政府から、二〇一六年の外国人観光客が、十月の末日までで初の二千万人を超えたという発表がございました。日本の誇る建築家でもある丹下健三の設計によるこの東京都庁舎は、展望台や観光情報コーナーを備え、連日、外国人観光客でにぎわっていることはご存じだと思います。
私も先日、オリンピックのバッジを買いに展望台に行きましたけれど、本当に多くの方がエレベーターに並ばれていらっしゃいました。この多くの外国人観光客が都庁舎の特徴的な外観の前で記念写真を撮っている姿もよく見ますし、また、展望台から東京の景色を楽しまれてもいらっしゃいます。
いうまでもなく、二〇二〇年には、これまで以上の外国からの観光客が東京に訪れ、この都庁舎にも足を運ばれることが想像されます。迎え入れるこの都庁舎としても、おもてなしの心で応ずるべきと考えますが、都庁舎の外国人観光客の対応についてのお話を伺いたいと思います。
○米今庁舎運営担当部長 展望室の来場者数は昨年度二百万人を突破するなど、都庁舎は多くの都民や内外観光客が訪れる都のシンボルとなっており、おもてなしのサービスの充実に向けた取り組みを推進しています。
具体的には、平成二十七年度から総合受付案内にコンシェルジュを配置し、英語のほか、中国語及び韓国語で多種多様な問い合わせや案内に対応しているほか、案内サインの多言語表示の充実を図っており、デジタルサイネージでも同様に多言語による庁内案内を放映しております。
また、平成二十九年六月までには、観光客等から要望の多かった二店目のコンビニエンスストアを都議会議事堂地下一階に公募により設置していく予定でございます。
今後も、関係局と連携し、外国人観光客を初めとする来庁者に対する一層のサービスの向上に努めてまいります。
○小松委員 これまでの答弁で、都庁舎については、建設以上に手間のかかる改修工事を着実に施行されているということがわかりました。同時に、さまざまな進化を続けていることも確認ができました。
ここからは私見でありますけれど、都庁舎が都のシンボルであるというならば、都の中心地こそのコンテンツとして、例えば、東京都全体のジオラマがあって東京都の新たな魅力に気づけたり、また、昨年の秋に東京タワーに設置されたソーラー充電スタンドのシティーチャージを都庁舎内にも設置して、CO2の削減とか省エネといったメッセージを都庁舎からも発信できることに期待したいなと思います。
平成二十一年に出されたこの都庁舎の施設整備更新等に関する方針を読んでも、平成十九年の時点ではありますが、都庁舎のCO2の年間排出量が、つくられた平成三年に比べると約三割程度削減されていることなど実績があるわけですから、何かそういうような取り組みも期待したいというふうに思います。
さて、都庁舎は改修でありますが、さきのオリンピックを契機に、大量に整備された我が国の社会資本、高速道路や鉄道といったさまざまな行政施設等が更新期を迎えております。
二〇二〇年大会の競技施設を初めとする大規模な建設も、いよいよ本格化してまいります。東京の社会資本の整備や維持管理を担う建設業は、二〇二〇年大会後もレガシーを引き継ぎ、東京が持続的に発展するために不可欠な存在であるというふうに私は考えております。
しかし、建設工事の現場では、経営環境の悪化から、労働環境の整備に手が回らないという話も聞いておりますし、新たに就業する人材が不足していて、技能者の高齢化、また若年入職者の減少という課題に長年の間、直面をしています。
我が党も、この事態を重く鑑み、昨年の第四回定例会の代表質問で、秋田委員からも、建設業の人材の育成、確保に向け、女性や若者が働きがいと魅力を感じる環境づくりに向けた取り組みを発注者として進めていく必要があるという観点から質問をいたしました。その際、財務局長から、都が発注する工事の中で、女性や若者の現場進出を支援する取り組みを実施するとの力強い答弁をいただいております。
さきの第三回定例会に提出された都立江北高等学校改築工事で、財務局における女性活躍モデル工事の第一弾として発注をされたというふうに聞いていますが、今後の具体的な取り組みについて伺います。
○中山技術管理担当部長 公共工事の品質を確保するためには、建設業界の将来を担う人材の確保が不可欠であり、現場に新たな人材を受け入れ、育成していくための環境整備の推進が重要でございます。
女性の現場での活躍を支援する取り組みとして、平成二十八年度は、都立江北高等学校改築工事を皮切りに、東京都現代美術館改修工事、都立府中療育センター改築工事の計三件の財務局施行工事で女性活躍モデル工事を実施します。
具体的な取り組みとしては、監理技術者、現場代理人または担当技術者のいずれかに女性技術者の配置を義務づけるほか、現場事務所には、女性専用の更衣室、水洗トイレ、また洗面台等を設置した、いわゆるパウダールームを女性専用設備として整備します。これらのモデル工事における効果や課題を検証しながら、女性の現場活躍に向けた取り組みを継続、拡大してまいります。
○小松委員 建設現場の労働環境は、以前より改善されつつあるものの、決してよい状態とは、まだまだいえないというふうに思います。女性が安心して働ける環境を整えていくことが重要であると考えます。
このような取り組みにより、建設業への女性入職がふえていくことを期待するところでありますが、現状では、各企業とも、現場に配置できる女性技術者の数は限られているということも事実であろうというふうに思います。
このような状況でモデル工事を試行するには、入札参加者の負担を軽減することが必要と考えます。どのような点に配慮して発注をされているのか、伺います。
○中山技術管理担当部長 女性活躍モデル工事の試行に当たりましては、建設会社における女性技術者の人数や職種などの状況について調査を行いました。
この調査を踏まえた上で、入札参加者に負担を与えないため、現場事務所に設置する女性用設備について、必要な経費を予定価格に計上して発注いたしました。
また、工事の途中で、当初配置された女性技術者が出産等の事情により交代する場合に、かわりの技術者に女性が配置できなくてもペナルティーは与えないこととし、その旨を入札条件に明示しております。
○小松委員 実現性においてさまざまな観点から検討された上で、モデル工事の試行に踏み切られているということが確認できました。
なお、女性技術者の配置義務づけについては、業界の実態を考慮する必要があると思います。例えば女性専用トイレの設置など、できることから積極的に取り組んで、女性が活躍できる建設現場の整備をさらに推進していただきたいと要望をいたしたいと思います。
さて、担い手確保モデル工事としては、昨年度から建設局の工事で試行が始まった週休二日モデル工事があります。若年者の入職を促進し離職率を低減させるためには、休日の確保は極めて大切であるというふうに考えます。
建築工事では、一つの現場で複数工種の工事が同時に行われるなど、週休二日の導入に当たっては、業種間の工程の調整というのは本当に大きな課題であるというふうに思います。
そこで、財務局施行の工事における週休二日モデル工事についての取り組みを伺います。
○中山技術管理担当部長 現場における週休二日の確保を推進し、ワークライフバランスの改善を図ることは重要でございまして、本年度、災害対策職員高田馬場住宅における建築、電気設備、給排水衛生設備の三件の改修工事で週休二日モデル工事を実施します。
具体的には、東京都の休日に関する条例で規定する休日である土曜日、日曜日、祝日及び年末年始には、近隣への配慮や危険の防止などの特段の事情がない限り、現場作業だけでなく事務作業も認めないことを入札条件としました。
また、理事からお話がございました週休二日を実現する上での課題である建築工事の進捗に影響を受けやすい設備工事の工程を確実に確保できるよう、各工事の現場代理人が都の監督員とともに、綿密に業種間の工程調整を行っていきます。
このモデル工事では、このような現場の現状と課題の把握を目的にしているため、休日に工事を行った場合でも、工事成績評定で減点対象とせず、週休二日を遵守し、工事を良好に終えた場合には加点するものです。
これらの試行で、週休二日を実現する上での方策や施工に当たっての制約条件の有無などを検証しながら、今後も継続して対象拡大を図るなどして、担い手の確保に向けてモデル工事を実施してまいります。
○小松委員 ただいまご答弁いただいた週休二日モデル工事や先ほどの女性活躍モデル工事、これらは始まったばかりではありますので、さまざまなこの取り組みの中から課題を抽出して、さらによりよい取り組みに進化できるように、これからも工夫をお願いしたいというふうに思います。
建設業は、いわゆる三K、きつい、汚い、危険といわれる職場の代表のイメージとして、これまでもいわれてまいりました。これは、どうやら日本だけではなくて、英語でもいろいろといわれているわけで、日本だけの課題ではないんだろうというふうに思います。
実際は、給与や待遇、安全面での改善というものは、これまでもさまざまな取り組みとしてされてまいりましたが、十分ではなく、建設業のイメージの改善はまだまだ大きな課題を抱えています。
かつて、土方は地球の彫刻家である、パナマ運河、スエズ運河をつくったのも土方であると、建設業の重要性を訴えた総理大臣がいらっしゃいましたが、まさにそのとおりだと思います。我が日本は災害大国であり、建設業は我が国を支える基幹の産業であることを常に忘れてはなりません。
そういったことも踏まえて、財務局は発注者として、今年度の試行結果を生かすとともに、建設業界の担い手確保のために取り組みをさらに拡大すべきと考えますが、最後に局長からのご見解を伺いたいと思います。
○武市財務局長 財務局では、都庁舎の維持保全のほか、平成二十七年に策定いたしました第二次主要施設十か年維持更新計画によりまして、老朽化した都有施設の計画的な改築、改修を行っているほか、オリンピック・パラリンピック競技施設の整備などに取り組んでいるところでございます。
こうした都有施設は、都民生活の利便性、快適性の向上や安全・安心に資する大切な社会資本でありまして、将来にわたりその品質を十分に確保していくためには、公共工事の将来を担う人材の中長期的な育成、確保というものが非常に重要な視点であると考えております。
そのため、東京都では、発注者として現場に新たな人材を受け入れ、育成していくための環境整備に向けた取り組みを始めたところでありまして、先ほど部長の方からも答弁申し上げましたように、財務局といたしましても、今般、一つには、初めて週休二日モデル工事を実施しております。また、こちらは、東京都としても初めて女性活躍モデル工事にも取り組んだところでございます。
今後、今年度の試行結果を踏まえまして、建設現場での女性用トイレの設置の原則化など、内容の充実、拡大を検討してまいります。
建設工事現場は、先ほど理事の方からもお話ありましたように、三K職場といわれるように、とかく若者が敬遠しがちな職場でありますけれども、若者の現場進出を支援する取り組みや、担い手の候補となります学生などに対する建設業の魅力や技術を発信する取り組みを順次拡大するなど、東京都といたしましても、担い手確保と建設業のイメージ改善に積極的に取り組んでまいります。
そうしたことで建設業界の発展の一翼を担いまして、それをさらに都有施設の長期安定的、継続的な活用というものにつなげていきたいと考えております。
○斉藤委員 財政委員会は、私二年ぶりになりますが、私からはまず、都の入札契約制度改革について伺いたいと思います。
平成二十五年、二十六年度は、景気対策の公共工事、東北の復興事業、五輪関係を見込んだ民間開発などが重なりまして、資材価格や人件費の高騰、技術者の不足と高齢化を原因とする公共工事の入札不調が大きな社会問題となりました。
国は、単なる人手不足対策にとどまらず、将来を担う人材の育成を重視した施策を展開いたしまして、二十六年に、品確法を初め関連する三法を改正しております。
一方、都では、二十六年から入札に参加しやすい環境の整備に向けてというテーマを定めまして、制度改革を進めてまいりました。
そこで、これまでの都の発注工事における入札状況と制度改革の効果について伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都の公共工事における入札時の不調の発生率は、平成二十四年度が七・二%であったものが、東日本大震災の復興事業の本格化に伴う資材価格の高騰や技術者不足などの影響により、平成二十五年度は一三・一%、平成二十六年度は一三・五%と大幅に悪化いたしました。
都では、こうした不調への対策や平成二十六年度に改正された品確法の理念である担い手の中長期的な育成、確保を図るため、事業者の入札への参加意欲を高める取り組みを行ってまいりました。
具体的には、積算標準単価の四半期ごとの適宜改定や、製造業者等からの見積もり単価は平均値をもとに設定するよう見積もり単価の設定方法を見直し、市場動向を反映した適正な予定価格の設定に努めてまいりました。
また、意欲と能力のある中小業者の活躍の場を支援するため、事業者単独で入札に参加できるようJV基準額を引き上げるとともに、契約後の労務単価や資材価格の高騰による経費増のリスクを軽減するため、全体スライド条項の改正などにも取り組んでおり、平成二十七年度には不調発生率は九・八%となり、全体的に好転している状況でございます。
○斉藤委員 数字上からも、この不調発生率は下がっているということを確認できました。この間の入札契約制度改革の効果があらわれていると評価をしたいと思います。
一方、改正品確法の基本理念には、公共工事に準じまして、調査及び設計についても、品質の確保がなされなきゃならないと規定があります。
都議会公明党は、これまでもたびたび、特に委託契約の品質確保の重要性を訴えてまいりました。なぜならば、工事の品質を確保するためには、それ自体の施工も重要ですが、その前段階の、実は当該工事に直結する設計や調査段階からしっかりとした仕事をしなければならない、つまり設計や調査の品質を確保する必要があると考えるからであります。
そこで、工事の前段階に当たる設計委託業務の品質確保の重要性につきまして、財務局ではどのように認識をされていて、どのような取り組みを行っているのかを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 改正品確法の基本理念にある品質の確保は、工事系の設計及びコンサルタント委託の面においても実現していくことが重要と認識しております。
特に、設計等委託は、後続の建設工事等の与条件を決定するための重要な業務であり、その内容が粗雑になれば後の工事にも影響を与えかねない問題でございます。
このため、都は発注者として、設計等委託におけるプロポーザル方式の拡大を図るとともに、設計委託における総合評価方式の本格的な導入に向けて検討をしているところでございます。
○斉藤委員 設計委託の品質確保の取り組みにつきまして、今伺いましたけれども、改正品確法に基づく品質確保は、工事関係の委託だけの課題ではないと思います。
例えば、建物管理業務や各種調査などの業務委託につきましても、品質確保は重要であります。やり直しをさせればよいという問題ではないと思います。
そこで、業務委託の品質確保のため、契約制度面からどのような取り組みを行ってきたのかを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 業務委託においても、品質の確保を図るためには、単なる価格競争だけではない契約方法を導入することが有効と認識しております。このため、個々の契約の内容、特性に応じて、総合評価方式や企画提案方式を活用しているところでございます。
総合評価方式は、事業者決定に当たり、より質の高いサービスを提供するために必要な業務実績や実施体制などを重視するもので、病院の建物管理業務や給食調理業務等に適用してまいりました。本年四月には、総合評価方式に係る適用方針を制定し、総合評価方式を適用する業務委託契約のさらなる拡大と定着に向けて取り組んでいるところでございます。
また、企画提案方式は、さまざまな実施手法のある事業をより効果的に実施するために、民間事業者が持つ専門的な情報やノウハウの活用を重視するもので、就業支援、創業支援業務等に活用してまいりました。本年四月には、ガイドラインを策定し、新たに行政運営の指針となる基本計画やマスタープラン等の策定支援業務にも活用を図っていくこととしております。
○斉藤委員 本年四月からガイドラインを作成して、またそのマスタープラン等にも活用を図っていくということです。始まったばかりですので、その成果をしっかり見守っていきたいと思いますが、私は、非常に重要な視点だろうと思います。業務委託の品質確保のための契約方法については理解いたしました。
品質確保のためには、契約方法の工夫だけでなく、所管部署が実施している成績評定も重要であろうと思います。業務委託の成績評定をより効果的に行うために、どのような運用を行っているのかを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 業務委託の品質を確保するためには、契約方法の工夫に加え、日常の履行状況の適切な管理が重要と認識しております。
従来の成績評定は、全業務共通の評定項目により行うなど、多様な業務に応じた業務マネジメントの点で課題があったため、本年四月に見直しを行ったところでございます。
具体的には、品質確保に必須となる着眼点に基づき、評定項目の内容を詳細化するとともに、個々の業務特性に応じ、現場で工夫して独自の項目を設定できるようにすることにより、結果の評定だけではなく、日常の業務点検による品質管理にも生かせるようにしたところでございます。
こうした見直しにより、履行中の問題の早期発見と解決を図るとともに、次年度以降の契約において、評定結果を踏まえた仕様書の検討を進め、業務委託の中長期的な品質向上へつなげていくこととしております。
○斉藤委員 建設業界では、改正品確法におきまして、これは先ほど他の委員からもございましたが、担い手の中長期的な育成、確保が基本理念の一つとして掲げられ、社会保険未加入事業者の解消に向けて、事業者の加入促進、これを図っていると仄聞しております。
業務委託におきましても、この品確法の理念は通ずるものがありまして、社会保険など未加入事業者の解消に向けて、事業者の加入促進を図っていくことが必要であろうと、このように考えるわけであります。
そこで、契約制度改革のテーマの最後でございますけれども、工事や設計、業務委託の社会保険加入促進策についてお伺いをしたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 社会保険等への加入は法令事項であるため、未加入事業者は排除すべきという考えもございますが、中小企業が入札参加資格登録者の約九割を占める都におきましては、未加入事業者の排除を性急に進めると、かえって公共工事や業務委託の担い手を失うことにもなりかねないため、これまでは加入を促進する取り組みを進めてきたところでございます。
工事につきましては、平成二十六年十月から加入促進用の周知チラシを作成し、電子調達システムに掲載するとともに、受注事業者に配布するなど、契約窓口での啓発や案内を強化した結果、本年八月末の加入事業者の割合は九九・三%となっております。
そのため、平成二十九年度からは、都の全ての入札参加に当たって社会保険等への加入を必須の条件とすることといたしまして、現在、これを踏まえて平成二十九年、三十年度の資格審査定期受け付けを行っているところでございます。
一方、設計委託や建物管理等の業務委託についても、平成二十八年一月から、受注事業者に対し周知チラシを配布して加入促進に取り組んでおりますが、本年五月末の時点での加入事業者は九〇%台前半程度でございます。
そのため、平成二十九年度からは、規模が比較的大きな財務局発注案件の入札に当たって、設計委託については、社会保険等への加入状況を確認し、未加入者への指導を個別に行うとともに、建物管理等の業務委託につきましては、加入事業者のみによる入札を先行的に実施してまいります。
今後、設計や業務委託についても、社会保険等への加入を入札参加の必須条件としていくため、引き続き加入促進に取り組んでまいります。
○斉藤委員 契約制度改革は、急速にいろんなことに手をつけますと、そういったゆがみも出てくるということで、バランスをとりながらやっているということは非常によくわかりました。匍匐前進をしていくという、そういう姿勢は重要であろうと思います。
事業者も大変苦労しながら頑張っている加入状況の話もございましたが、引き続き中小企業に対する配慮もしながらも、決してその競争に任せれば、物事が済むという考え方は、私はとりたくありません。品質の確保、透明性、さまざまな観点から、この契約制度改革を進めてまいりたいと思います。
ここ数年間の改革の歩みについて、都議会公明党の提案も踏まえていただきまして前進していることが今ありました。今後とも、堅実に改革していきたいと要望して、次のテーマに移りたいと思います。
次は、都有地の未利用地の利用、活用についてお伺いしたいと思います。
いうまでもなく、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産でありまして、都政の喫緊の課題解決のため、その価値を毀損させることなく、効率的、効果的に発揮させていくことが重要であります。
こうした中、都は、かつての財政再建期には約二千百億円に上る不用財産を売却いたしまして、財産面から財政構造改革をさせてきた歴史があります。また、財政再建をなし遂げて以降は、都は平成十九年に、今後の財産利活用の指針を策定いたしまして、未利用地について売却するだけでなくて、さまざまな施策の実現に向け、より一層効果的に利活用する方策を検討することとしております。
私自身も、平成二十二年の財政委員会において、より強力に施策を実現するための財産利活用の考え方について質疑をさせていただきました。当時、財務局長からは、売却して多額の財源を確保する方向から、都の施策の実現に向けて利活用を図る方向に転換していくというご趣旨のご答弁がありました。そのような考え方を踏まえまして、現在は、竹芝地区におけますステップアップ事業や福祉インフラ整備事業などの施策に連動した都有地有効活用が行われております。
我が党としましても、施設が不足している認知症グループホーム、これは、当時は痴呆症高齢者グループホームという名称でしたけれども、こういったものや保育所の整備につきまして、以前より都有地活用を求めてまいりました。
そこで、都有地を活用した福祉インフラ整備事業の取り組みについて、経緯と実績についてお伺いしたいと思います。
○中村財産運用部長 都は、地価の高い都市部で不足しております社会福祉施設の整備を図るため、財務局と福祉保健局との連携のもと、都が直接利用する予定のない未利用都有地を民間事業者に貸し付ける都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を、高齢者施設、障害者施設を対象に平成十五年度より実施しております。
その後、平成十九年度に保育所などが対象に追加されまして、平成二十六年度には都有地貸付料の新たな減額制度の導入など、その充実を図っております。
その実績といたしましては、平成二十七年度までに事業者が決定したのは、高齢者施設は二十二件、障害者施設は十一件で、保育所は十一件、合計四十四件となっております。
○斉藤委員 最近、この保育所の不足を補う意味で大変注目されている都有地活用でございますが、平成十九年度に保育所などを対象に追加していると、こういうこともわかったわけでございます。
福祉インフラ整備事業は、一定の実績が上がっており、評価したいと思います。私の地元目黒区でも、平成二十五年に、目黒区から認可保育所用地としての、都に対しての要望がございまして、それを契機に、平成二十六年二月、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業として事業公募がなされまして、ことしの四月に認可保育園として開園したところです。大変区民に喜ばれております。目黒区内で初めての都有地活用の例となることになりました。
こうした中、都は、本年九月に、待機児童解消に向けた緊急対策として、都有地活用推進本部を立ち上げまして、都有地を活用した保育所の整備などの一層の推進を図ることとしております。
そこで、都有地活用推進本部を設置した趣旨とその取り組みについて伺いたいと思います。
○中村財産運用部長 都は、待機児童解消に向けた緊急対策の一環として、都有地を活用した保育所等の整備を推進することを目的に、全庁横断的に活用方策を検討し、取り組みを実施するため、副知事をトップとする都有地活用推進本部を設置いたしました。
この都有地活用推進本部では、公営企業を含めます全ての局等が所管する都有地を対象に土地を洗い出し、活用可能性を検討した上で、区市町村に対してそれらの土地の情報について提供するなど、情報提供の内容を充実させていくほか、地元調整に関する区市町村支援の実施や、民間保育事業者等からの都有地に関する照会や提案に対応する体制の整備など、待機児童解消に向け、都が保有する土地を最大限活用した取り組みを進めていくこととしております。
○斉藤委員 待機児童解消に向け、積極的に都有地を活用する都の姿勢を確認することができました。
私も以前、当委員会で都有地の積極的な情報提供を要望していたところであります。ただいまのご答弁で、区市町村に対する情報提供を充実するとのお話がありましたが、全庁的な洗い出しのほか、どのように充実させるのかを伺いたいと思います。
○中村財産運用部長 都はこれまで、財務局所管の普通財産の未利用地のうち三百平方メートル以上の土地を対象にして、年一回情報提供をしてまいりました。
今後は、区市町村からの要望を踏まえまして、都有地活用推進本部での検討を経て、情報提供の対象を百平方メートル以上に拡大するとともに、一時的に使用しております土地や過去に提示いたしました土地も含めまして、年四回程度、きめ細かく情報提供を行い、適宜ホームページに公開し、誰もがいつでも閲覧できるようにしてまいります。
○斉藤委員 これも以前申し上げたことですが、一定規模の未利用地だけでなくて、より小規模であっても施策に有効に使えそうな未利用地については、地域の状況や社会的ニーズなどさまざまな要素を勘案しまして最大限活用すべきでありまして、情報提供の範囲を三百平方メートルから百平方メートルまで対象を拡大した取り組みは評価したいと思います。どういうニーズがあるか、それは現場次第でございますので、非常に重要だと思います。
ところで、今回の待機児童対策では、百平米以上の土地の情報提供をするということでありますけれども、都の保有する未利用地は、百平米未満の狭小地など、都では活用が難しいと思われているものがあると思います。これらの未利用地は、福祉施設として活用することは難しいとしましても、今申し上げましたように、区市などが、例えば防災倉庫などとして、地域の課題解決に有効に活用できる場合もあると思います。
都で活用する予定のない、より小規模な都有地の利活用を図っていくため、区市町村が自主的に地域の課題解決のために利用できるよう、例えば、今ホームページとお話ありましたけれども、ホームページ上の東京都の公有財産に掲載されている情報をよりわかりやすくするなど、情報提供の充実強化を図ることが有効と考えます。見解をお伺いします。
○中村財産運用部長 都有地は、都民から負託を受けました貴重な財産でございまして、土地の規模や所在にかかわらず、可能な限り最大限の有効活用が必要であります。
都では、活用困難な狭小な土地でありましても、道路用地ですとか公共施設の隣接地など、地元にとって公共目的で活用可能性がある場合には、これまでも地元区市町村に情報提供を行ってまいりました。このように狭小な土地であっても、区市町村が抱える課題は多様であり、さまざまな用途で活用できる可能性はございます。
このため現在、財務局のホームページにおきまして、東京都の公有財産の情報を掲載しておりますが、今後は、所在地や面積などの検索機能を設け、都有地の情報を調べやすく、区市町村での検討も容易になるよう利便性の向上を検討してまいります。
こうした情報提供の充実強化を通じまして、地域の課題解決に主体的に取り組む区市町村をサポートするなど、今後とも小規模な土地も含めた都有地の有効活用を進めてまいります。
○斉藤委員 今、現在の取り組みと同時に、今後は所在地や面積などの検索機能を設けると、非常に調べやすくするというお話もございました。各区市町村にもしっかりとPRをしていきたいと思います。
一方、保育所の整備に必要な場所の確保は、都有地の活用だけで解決できるものではありません。
こうした中、国におきましても、ことし六月に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランを踏まえまして、待機児童解消に向け、一千平方メートル未満の国有地を洗い出しまして区市町村に情報提供を行うなど、都と同じく、国有地の有効活用による保育の受け皿確保に努めているところです。
国も都と同様の取り組みを進めている今こそ、保育の実施主体である区市町村や民間保育事業者との連携を強化していく絶好の時期だと考えます。
そこで、保育施設の整備に必要な土地を探す区市町村や保育事業者の立場に立ちますと、都有地と国有地の情報閲覧が容易になるよう、国と連携することや都有地に関する問い合わせにきめ細かく対応していくなど、情報提供のさらなる充実強化を図っていくことも重要と考えますが、いかがでしょうか。
○中村財産運用部長 待機児童解消に向けまして、国も国有地の情報提供を強化する中、委員ご指摘のとおり、相互に連携を強化し、情報発信をしていくことは、都内における未利用の国公有地の情報をより多く区市町村や保育事業者に提供することが可能となる効果的な取り組みと認識しております。
そこで、都有地活用推進本部では、都内の未利用国有地を管轄します関東財務局と相互に連携しまして、情報提供の充実強化を図ることといたしました。具体的には、都の公有財産情報のホームページと関東財務局の国有財産の公的利用情報のページとで相互リンクを張りまして、未利用都有地などの情報とともに、国において公用、公共用の取得等要望を受け付けます物件をあわせて閲覧することを可能といたしました。
また、先月からは、民間保育事業者の問い合わせを一元的に受け付ける窓口として、とうきょう保育ほうれんそうを福祉保健局において開設しており、都有地の活用に関する相談にきめ細かく応じております。
今後とも、保育所の整備促進に向けまして都有地の情報提供の充実を図ってまいります。
○斉藤委員 国との連携も大変重要であろうと思います。せんだって、国有地を東京都が都営住宅のために借りていた土地が更地になって返還されました。直ちに国の財産に返されたわけですが、そこに直ちに、今度は区市町村である目黒区が保育園としてその土地を求めるという、この連係プレーですね、都が借りた土地が国に返る、返った瞬間に区が今度国にそれをお願いすると、こういった連携もあるわけでございまして、大変重要な連携であろうかと思います。
これまで、財産の利活用の取り組みを福祉インフラ整備事業や狭小地の利活用を中心に伺ってまいりました。情報提供を充実させ、都有財産の利活用に取り組んでいくという積極的姿勢は評価したいと思います。
民間の力を生かした財産の利活用や地域の課題解決をサポートするための財産の利活用を進めるためには、都が方策を考えるとともに、より積極的に情報提供を推進していくことが重要です。活用策や要望などを聞くことも有効です。引き続きまして情報提供を進めていただきまして、区市町村などと協力して、より一層の都有財産の利活用に努めていただきたいとお願いして、最後のテーマに移りたいと思います。
次いで、先日発表されました東京環境サポーター債について伺いたいと思います。
この東京環境サポーター債は、個人向け都債として発行するということですが、まず確認を含めまして、これまでの個人向け都債の発行状況についてお伺いしたいと思います。
○岩瀬主計部長 個人向け都債は、住民参加型市場公募地方債として、平成十四年度から発行しております。当初は、東京再生都債として、平成十四年度から二十五年度までに総額三千九百億円を発行し、平成二十六年度からは、東京グローバル都債といたしまして、従来の円貨建て債とあわせて外貨建て債を発行し、この二年間で総額四百億円相当を発行してございます。
調達した資金は、渋滞対策や防災対策など都の重要施策の推進に活用することで、個人投資家に対して、都政への参画意識の醸成や施策のPRを図るとともに、資金調達手段の多様化という観点からも効果を得てきたと考えてございます。
○斉藤委員 これまでに個人向け都債を継続して発行し、調達資金をその時々の都の重要施策に充当することで、都の事業を着実に推進してきた、都政に対する都民の理解と関心を高めてきたということで、大変私は意義のある取り組みになっていると思います。
そうした中で、これまでは渋滞対策や防災対策などを充当事業として発行してきたこの個人向け都債を、今回は環境に特化した形で発行するということだと思います。
そこで、東京環境サポーター債を発行する意義について、お伺いをしたいと思います。
○岩瀬主計部長 住民参加型市場公募地方債には、住民の行政参加意識の高揚、住民に対する施策のPR、資金調達手段の多様化、個人金融資産の有効活用などの発行目的がございます。
一方で、環境分野においては、世界的にグリーンボンドの発行がふえてきており、投資を通じて環境をよくしていくという流れが債券の発行市場において進んできております。
こうしたことを踏まえ、今回の東京環境サポーター債については、個人向け都債のメリットを生かしながら、グリーンボンドのトライアルとして発行することといたしまして、その発行の意義は、環境分野で先進的な取り組みを行う都が、資金調達の手段も活用し、その取り組みを促進すること、都の環境事業に積極的に関与してもらう機会を都民にいち早く提供すること、さらに都の環境事業に対する都民のオーナーシップ意識を喚起すること、この三点としてございます。
○斉藤委員 今答弁ございましたが、このグリーンボンドというのは、企業や地方自治体などの発行体が、再生可能エネルギー事業など、地球温暖化を初めとした環境問題の解決に資する事業に資する、その資金を調達する発行手段というか、そういう債券だということが確認できましたが、私はその発行において最も重要なのは、やはり対象事業、どういうことに対してそれを使っていくのかということだと考えています。
そこで、東京環境サポーター債で調達する資金を充当する事業について、お伺いしたいと思います。
○岩瀬主計部長 都債を充当することができる事業は、地方財政法の規定によりまして、地方債をその財源とすることのできる事業、いわゆる適債事業であることが条件となります。今回発行いたします東京環境サポーター債では、その中から、都が実施する環境への寄与が確かな事業を選定し、調達資金を充当することとしてございます。
具体的には、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー化の観点から都有施設の改築、改修等に合わせたエネルギー使用の合理化を図る事業に、また都市の緑化の観点から、公園の整備による生物多様性に配慮した新たな緑を創出する事業に、さらには気候変動の影響への適応の観点から、河川の整備や高潮防御施設の整備のための事業に、それぞれ資金を充当することとしてございます。
○斉藤委員 こういった目的に対して財源を確保する点では、税の世界では目的税というものがございますし、税というのは、一般的に都民全体に、この支えていただく側に立っていただくということですが、これ債券として事業に向ける、適正なその事業に対して資金を調達する、これは非常にこれからも伸びが期待される、都民にぜひ参加していただきたい重要な資金調達方法であろうと、このように理解しているわけでございます。
今回はトライアルということでありますけれども、調達する資金が環境への寄与が確かな事業に充当されるということが今確認できました。
一方、対象となる事業の範囲につきましては、今回のものに限らないのではないかと私は考えております。例えば、気候変動、環境への影響の適応という観点からは、今回は、河川の整備や高潮防御施設の整備を対象としていますが、例えば、このヒートアイランド対策とか、これも気候変動というか、そういったものの影響を受けている一つの都市の事象だと思いますが、こういったヒートアイランド対策にはどうかとか考えられるのではないかと思います。
法令に規定される適債事業でなければならない点は、確かに制約となるわけですけれども、グリーンボンドとして発行する以上、できるだけ都民に身近な事業などにも対象事業を広げていただきまして、都民の参画意識を高めていくことも必要であろうと考えます。こうした点を踏まえまして、今後の検討を進めていくということを要望しておきたいと思います。
さて、グリーンボンドにつきましては、グリーンウオッシュと呼ばれている、その声があります。これはあたかも環境に配慮しているかのように見せかけているだけであって実態を伴わないもの、生じかねないことが懸念されていると聞いております。
そのため、国際的にはこのグリーンボンドの透明性や開示を促進し、グリーンボンド市場の整備に寄与することを目的としたグリーンボンド原則、要するに、まがいものを本当に排除して、市場の信頼性を高めるという意味で、このグリーンボンド原則と呼ばれる業界の自主的なガイドラインが作成されていると仄聞しております。
そこで、今回の東京環境サポーター債におけますグリーンボンド原則への対応について、お伺いをしておきたいと思います。
○岩瀬主計部長 お話のグリーンボンド原則は、二〇一四年一月に、欧米の金融機関が中心となって策定されたものでございまして、投資家に訴求力のあるグリーンボンドを発行するためには、これに準拠するのが一般的でございます。
この中では、調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定されることを明確にすることなど四つの項目への対応を求めていることに加えまして、その対応の妥当性を確認するため、第三者機関による認証等を推奨してございます。今回発行いたします東京環境サポーター債では、この四つの項目に自主的に対応することで、グリーンボンド原則の求める透明性を確保してございます。
一方で、いち早く都民の皆様に投資を通じて東京の環境をよくすることに参画していただく機会を提供するため、第三者機関による認証等は取得しないこととしたため、今回はグリーンボンドのトライアルとしているところでございます。
○斉藤委員 ただいまの答弁によりまして、今回の東京環境サポーター債は、グリーンボンド原則の四項目めに自主的に対応していると。グリーンボンドと位置づけてもよいレベルのものになっていることがわかりました。
今回はトライアルということですが、都として取り組む以上は、国際的に認知されているグリーンボンド原則に準拠いたしまして、第三者機関による認証などの対応を含めて、さらに高いレベルのものを目指していただきたいと思います。
そこで、第三者機関にはどのようなものがあるかを伺っておきたいと思います。
○岩瀬主計部長 第三者機関につきましては、国外の機関、具体的には、環境に関する専門の調査研究機関、監査法人系機関、格付機関などが中心となってございますが、近年では国内におきましても、調査研究系の民間企業や格付機関などがサービスの提供を始めております。日本国内では、グリーンボンドを発行した日本政策投資銀行など五つの発行体のうち四つの発行体が、国内外の第三者機関の認証等を取得してございます。
○斉藤委員 質問は以上にしておきますけれども、最後に一言だけ、第三者機関は国内外にさまざまな機関がありますことから、今回の東京環境サポーター債で、第三者機関を拙速に選ぶことなく、トライアルとしたことは賢明な入り方だと私は思います。
投資家からの信頼を得ながら、都が発行するグリーンボンドにふさわしいものとしていくためには、第三者機関が重要となってくることはいうまでもございませんが、慎重に対応していくことを要望しておきたいと思います。
本日の答弁で、今回の東京環境サポーター債を発行する意義やグリーンボンド原則への対応状況がわかりました。
今、世界では、COP21におけるパリ協定の採択を初め環境に配慮していくことは国際社会の潮流であります。そうした中で、世界一を目指す国際都市東京が環境分野においても世界に貢献していく姿勢を示していくことは、国際的に東京の都市のプレゼンスを高める意味で重要な施策であろうと、このように思うわけでございます。今回の東京環境サポーター債は、その意味で大変意義深いものと評価したいと思います。
私自身も、再生可能エネルギーの普及や生物多様性に配慮した都市の政策推進など取り組んでまいりましたが、これまで以上に、このサポーター債とともに歩みを大きくしていきたいと思います。引き続き、この取り組みは、今後財務局に対して質問をしていきたいと思います。本日の質問は以上で終わりたいと思います。
○とくとめ委員 この間の豊洲新市場やオリンピック・パラリンピックの施設建設をめぐって、費用の高騰と談合疑惑が取り沙汰されてきました。多くの都民が、暮らしが厳しい中での税金、公金の使い方の問題として、大きな怒りと批判とともに注目と関心を高めています。
そこで、財務局関係の事務事業にかかわって、入札契約問題について、この間の都の入札契約制度の改革の努力を認めつつ、より適正な競争性や透明性、公正性に向けた改善を求める立場から、幾つかの点について質問いたします。
まず、さきの第三回定例都議会での我が党の豊洲新市場の建設費高騰の質問に対して、知事が答弁において、豊洲市場の建設費については、都民に疑惑を抱かせないよう納得していただける説明が必要と、都民に開かれた場で、なぜこのような額になったのか、その理由を明らかにしていくと述べました。
現在、こうした批判の焦点になっている問題について、都としての改善に向けた具体的な検討はどのように進められているのか、お聞きしたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 都政改革本部の内部統制プロジェクトチームにおいて、契約入札が検討テーマとして指定されており、その中で豊洲新市場の入札契約状況がケーススタディーの一つとして取り上げられ、現在さまざまな角度から議論をしているところでございます。
○とくとめ委員 都政改革本部の内部統制プロジェクトチーム会議の検討のテーマとして、指摘した豊洲新市場などの入札契約問題が取り上げられて、さまざまな角度から議論が行われているということでした。
そこで質問ですけれども、こうした内部統制プロジェクトチームで検討されている中身と、この場の正規の会議としての財政委員会の場での入札契約問題にかかわる質疑を行い検討した内容との関係は、今後どのように整合性がとられていくのか、お答えいただきたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 都は、平成二十六年から入札に参加しやすい環境の整備に向けてというテーマを定め、不調対策、品質確保、担い手の育成、確保等に対する総合的な取り組みを進め、この財政委員会の場においても議論を重ねてまいりました。
入札契約制度は、競争性、公平性、透明性を担保する必要がございますが、それに加え、品質の確保や中小企業の保護、育成などの政策課題にも配慮するなど、バランスをとりながら総合的に制度を構築していかなければならないと考えております。
都民ファーストの都政を実現していくためには、時代背景に応じた不断の改革が必要であり、今後、都議会の先生方を初め、都政改革本部を含めたさまざまな角度からご意見を頂戴し、入札契約制度がよりよいものとなるよう努めてまいります。
○とくとめ委員 今後、都議会の委員会を初め、都政改革本部も含めたさまざまな角度からの意見を踏まえて、多くの都民からも、また業者からも信頼される入札契約制度の不断の改革を進めていただきたいと思います。
今問題になっている豊洲新市場の三つの主要施設の建設費は、一回目の入札はいずれも不調となり、直後の二回目の入札では、予定価格が一・六倍以上、約四百億円も増額して、三施設の建設費は総額一千億円を超えました。このように一回目の入札が不調となり、二回目以降の入札において当初の予定価格よりも数十億円、数百億円も予定価格が上昇したり、豊洲新市場の施設のように一・六倍以上など予定価格が極端に膨れ上がるような契約事案に対して、財務局としては、どのような対応を行ってこられたのかを伺いたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 財務局では、工事の契約不調案件の再発注に当たりましては、起工担当部署で検討した不調対策の事項、各不調対策における費用の増減、工期や施工手順の変更の内容、こういったものを再入札の手続に必要な所定の事項として確認を行っているところでございます。
○とくとめ委員 しかし、豊洲新市場の主要な三施設の一・六倍を超える建設費の高騰について、根拠が不明で、官製談合ではないかと疑われても仕方のない実態があるのではないでしょうか。
そもそも公共事業などにおいて、事案を提案する起工局から契約締結依頼を受けて入札する際、それぞれ局から上がってきた予定価格の積算の妥当性について、どのような検証が行われているのか、伺いたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 予定価格の積算につきましては、積算基準に基づき、直近の標準単価や建設資材定期刊行物、市場動向を反映した見積もり価格などをもとに、各局の起工担当部署が責任を持って行っているところでございます。財務局では、起工担当部署からの契約締結依頼を受け、各局の事業とは独立して契約の手続を進めているところでございます。
○とくとめ委員 財務局として、予定価格の積算の妥当性についての質問に対して、予定価格の積算は各局の起工担当部署が責任を持って行っていると。さらに、一定額以上の案件については、財務局が各局の事情に影響されないよう一元的に契約実務を処理しており、予定価格の積算内訳の確認を行っているということでした。
しかし、例えば、豊洲新市場の施設建設費は、一回目の入札が行われた二〇一三年十一月から二回目の入札が行われた二〇一四年二月まで、わずか三カ月間の間に、予定価格が一・六倍にも増額するということになっています。余りにも大きな増額だと思います。
このことを我が党のかち都議が経済・港湾委員会の集中審議でただしました。しかし、担当部長は、予算単価や労務単価が、平成二十五年から平成二十八年の中で、一・三倍から多いものは一・四倍にアップしたなどと説明をいたしました。しかし、契約金額は一・六倍、先送りした工事分も含めると一・九倍という指摘まであるのに対して、起工局である中央卸売市場の説明は説得力あるものではありませんでした。
さらには、一般財団法人経済調査会の資材価格調査では、この間の上昇分について八%という情報が紹介されております。契約を提案する側の局は、工事を期日までに早く進めたいという思いが先行しがちになるのではないかと思います。
一連の契約案件について建設費が高騰した事例のように、そうしたときに財政を管理する財務局が、一定のチェック機構としての役目を果たすことが極めて重要だということを教えているのではないかと思います。入札契約制度の改革の一つとして、今回のような事例をチェックする仕組みづくりについて真剣に検討していただくことを強く要望しておきたいと思います。
次に、近年の都発注の入札契約における平均落札率の状況、一者のみの入札の割合と平均落札率、複数者入札の平均落札率についてお答えをいただきたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 平成二十七年度の予定価格二百五十万円を超える競争入札案件の工事契約の全体の平均落札率は九一・一%となっております。また、平成二十七年度の一者入札の割合は、全体の二二・三%で、平均落札率は九六・六%、複数者入札の平均落札率は八九・五%となっております。
○とくとめ委員 適正な競争性のない一者入札だった場合は、落札率が九六・六%に高どまりして、複数者入札の平均落札率の約八九・五%と比較しても七%以上高く、予定価格の事前公表のもとで数百億円規模の大規模な事業費の場合には、落札率が数%違っても、数億円から数十億円も都民の税金、公金が節約できる可能性が失われてしまうのではないかと思います。
そこで、公正取引委員会が二〇一一年の九月に出した官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査報告書では、一者入札、同一事業者による長期継続受注、落札率一〇〇%案件を不自然な入札結果として、入札談合等の予防、発見の取り組みをより実効あるものにするためには、入札結果の事後検証に取り組むことが望まれるとしていますけれども、都は、こうした指摘をどのように受けとめ、どのように取り組んでおられるのでしょうか。また、一者入札について、入札談合とのかかわりで都の問題意識をお伺いしたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 財務局は、契約制度を所管する立場から、公正取引委員会による報告書の内容なども踏まえ、研修の実施、各局の実態調査、不正情報に対する体制整備等、契約事務の適正な執行に向けた取り組みを行っております。
落札率一〇〇%などの高い落札率についてでございますが、都は、予定価格を事前公表しておりますため、施工条件が厳しく、採算がとれないおそれのある工事などでは、入札額が予定価格に近づくことは不自然なこととはいえないというふうに考えております。
また、一者入札については、都の入札手続が参加資格を満たしてさえいれば、誰でも入札が参加可能であることに加えまして、電子調達システムによる入札手続により、入札参加者は他に参加者がいるかどうかを知り得ない仕組みとなっておりまして、結果的に一者入札となったとしても、仮想の参加者と価格競争を行っていることになり、競争性は確保されているものと考えております。そのため、高い落札率や一者入札という結果だけで、入札契約の公正性を判断することは適切ではないというふうに考えております。
しかしながら、公共調達におきましては、できるだけ多くの事業者が入札に参加しやすい環境をつくることが重要だと考えておりまして、都はこれまでに、市場価格と予定価格のギャップを埋めるために、積算標準単価の年四回の定期改定、契約後の資材価格の急騰に対する全体スライド条項の改正など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
今後、都政改革本部の内部統制PTの意見も踏まえ、透明性、公正性、競争性を高めつつ品質も確保できる入札契約制度となるよう改善に努めてまいります。
○とくとめ委員 競争入札では、一者入札であっても、仮想の参加者と価格競争を行っているんだから競争性は確保されているという答弁でございました。
しかし同時に、今後とも都政改革本部の内部統制プロジェクトの意見も踏まえて、透明性や競争性を高めつつ品質も確保できる入札契約制度となるよう改善に努めていくということでもありました。
しかし、本当に競争性が十分に確保されているならば、一者入札の落札率が九六%で、複数者入札に比較して七%以上も高どまりにはしないのではないかというふうに思います。ましてや全て一者入札となった豊洲市場の三つの主要施設費は、青果棟が九九・九五%、水産仲卸棟が九九・八七%、水産卸棟が九九・七九%と、限りなく一〇〇%に近いという結果でした。これではおよそ競争性は発揮されているとはいえないのではないかと思います。
私は、複数者が参加する制度改革を進めるとともに、公正取引委員会が提案しているように、少なくとも数十億円以上という巨額の契約案件において、一者入札かつ落札率も九九%という競争性が働いていないことが強く疑われるような案件については、事後検証に取り組む、そのために制度や組織の確立などを真剣に検討されることを要望しておきたいと思います。
東京都には、事後検証のための組織として入札監視委員会があります。私はその議事録を読ませていただいたのですけれども、一年間でチェックするのは、代表事例として選ばれた二件の案件だけです。随分少なくて緊張感も生まれるようなものではないのではないかと思います。例えば、最高裁の入札監視委員会では、半年間の契約期間から九件の事例を抜き出して検証が行われています。事後検証のためのシステムとして、東京都入札監視委員会の活動強化なども、ぜひ検討していただきたいと強く要望をしておきたいと思います。
東京都の談合情報取扱要綱の中で設置されている談合情報検討委員会は、どういうメンバーで構成されているのかをご答弁いただきたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 談合情報検討委員会は、契約に関する事務を行う各局等に設置され、当該局等の課長級以上の職員のうちから、委員長及び委員若干名をもって構成することとしております。
この要綱の制定に際し、指名業者選定委員会を設置している場合は、当該指名業者選定委員会をもって談合情報検討委員会にかえることができるものとしており、財務局におきましても、指名業者選定委員会の委員をもって談合情報検討委員会としているところでございます。
○とくとめ委員 談合情報検討委員会の構成メンバーは、要綱によりますと、契約に関する事務を行う各局等に設置をされ、当該局の課長級以上の職員によって構成されているということです。
職員以外の第三者は入っているんでしょうか。第三者が入っていないとしたら、第三者の委員が不可欠ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○五十嵐契約調整担当部長 入札前に談合情報を受けたときは、当該契約部署において速やかに談合情報検討委員会を開催し、調査が必要と判断した場合には、事業者からの事情聴取等を行った上で、再度同委員会に付議し、入札執行の是非を判断しているところでございます。こうした手続には、迅速な判断、機動的な対応が必要なため、当該契約の内容や契約手続を熟知する職員で構成するものとしているところでございます。
また、談合情報検討委員会は、公正取引委員会とは異なり、独占禁止法等に基づく調査権限を有しているものではなく、調査には、おのずと限界があるところでございます。
こうしたことを踏まえ、都においては、第三者を談合情報検討委員会のメンバーとはせず、談合情報検討委員会での一連の調査結果について、捜査権限を有する公正取引委員会に対して速やかに報告することとしているところでございます。また、公正取引委員会から調査協力を要請された場合には、情報提供など可能な限り協力をしているところでございます。
○とくとめ委員 談合情報検討委員会に第三者を入れた場合は、客観性が高まるといった効果が期待できると答弁されつつ、契約部署の職員の方が迅速な判断、機動的な対応が可能との答弁でした。
しかし、第三者の目でチェックを受けて客観性を高めるということは重要なことだと思います。どういう第三者がふさわしいか、どういう役割を果たしてもらうかというのは検討が必要だと思いますけれども、ぜひ、真剣に第三者を委員会に加えることを検討してもらいたいということを要望しておきます。
入札契約は、ただ安ければよいというものではないと思います。財務局が述べているように、品質の確保、中小企業の保護、育成には配慮しながら、バランスのとれた制度にしていくことが非常に重要だと考えております。
しかし同時に、大手ゼネコンによって契約金額の高どまりがなかったのか、談合はなかったのか、あるいはそういうものをどのようにして防止していくのかという問題が、今、問われていると思います。
繰り返しになりますけれども、多くの都民が暮らしが厳しい中で、公正で透明な税金、公金の使い方を強く求めております。都民の期待に応えるために、一層の入札契約制度の改善を求めて質問を終わります。
○大西委員 私は、宝くじについて、まず伺います。
宝くじは、四十七都道府県と二十政令指定都市が共同して発売する全国自治宝くじと東京都宝くじなど四つのブロックくじがあり、法律などの定めにより売り上げの五割が当せん金として支払われ、四割が自治体の収入となっています。買った人に五割しか還元されていない、要するに期待値が百円に対して五十円ということでございます。
私はこれはとても低いなと思いますが、これは昭和二十三年にできた当せん金付証票法という古い法律によってずっと前から決まっているということなので、なかなか当たらないとはわかっていても、宝くじは夢のある商品として国民に愛され、定着してきているなと思います。
しかしながら、今回要求した資料を見ると、発売実績額が全国と東京都の両方とも減少し、自治体に入る収入も減少してきております。
そこで、まず初めに、宝くじの売り上げが減少傾向にある要因について伺います。
○岩瀬主計部長 宝くじは、健全な娯楽として国民の間に定着し、その発売実績額は、全国自治宝くじと東京都宝くじなどのブロックくじを合わせた全国ベースで、平成十七年度に一兆一千四十七億円と最大の売り上げを記録してございます。
直近の平成二十七年度は、年末ジャンボくじの賞金を一等前後賞合わせて十億円に引き上げた効果などもありまして前年度の売り上げを上回りましたが、ここ十年間をトータルで見ますと一時的に売り上げが増加したことはあるものの徐々に低減してきている傾向にございます。
その主な要因につきましては、購入者個々の経済事情のほか、娯楽が多様化することにより選択肢の幅が広がったことなどがあると考えてございます。
○大西委員 年度ごとの増減はあるものの、平成十七年度をピークとして売り上げが低減傾向にあるということでございます。さまざまな要因があるとはいえ、バブル経済の崩壊をも乗り越えて売り上げを伸ばしてきたこの優等生が成績を落としてしまっている状況に陥っているということではないかと思います。
自治体にとって宝くじ収入は貴重な財源であり、都においても、公園整備などの公共事業や子育て支援などのソフト事業に活用されています。この貴重な財源を生かして、今後も都のさまざまな事業に宝くじの収入を活用していくためには、いうまでもなく売り上げをふやしていくことが必要でございます。
これは都だけの課題ではなく、全国自治体の課題でもございます。売り上げをふやしていくためには、宝くじそのものの商品としての魅力を向上するとともに、効果的な広報宣伝を行うことも有効と考えます。
そこで、売り上げ向上のために、今現在どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○岩瀬主計部長 商品の魅力向上策としては、最高賞金額が八億円のロト7を平成二十五年度に発売開始し、昨年の年末ジャンボくじにおきましては、先ほども申し上げましたが、一等前後賞合わせた賞金を十億円とするなど高額賞金のくじを発売するとともに、スクラッチくじでは、人気アニメのワンピースやちびまる子ちゃんなどを活用したキャラクタースクラッチの発売なども行ってございます。
広報宣伝といたしましては、人気タレントを活用したCMを毎年実施してきておりまして、今年度は、ジャンボくじでは、宝くじでおなじみとなっている所ジョージさんと綾野剛さん、数字選択式宝くじでは、柳葉敏郎さんと妻夫木聡さんを起用してございます。このほかにも、宝くじ幸運の女神を活用した発売イベントや、一定金額以上購入してくださった方に抽せんでプレゼントが当たるキャンペーンなどを行ってございます。
○大西委員 売り上げ向上に向け、商品の魅力向上とタレントをCMに起用した広報宣伝の両面からの取り組みを行ってきているということです。
タレントの起用については、高額な出演料が発生しているのではないかと思われるので、費用対効果についてもよく検証していただきながら進めていただきたいと思います。
さて、全国自治宝くじは、四十七都道府県と二十の政令指定都市が協議会を設置して共同で発売をしており、その事務局は、代々東京都が担っているということでございます。協議会ということなので、全国の発売団体の合意を得ながら進めていく必要があると思いますが、一方で、東京都は事務局を担っている立場にあるので、宝くじの売り上げ向上に向けた取り組みを東京都がイニシアチブをとりながら進めていくことができるのではないかと思います。
先ほど売り上げをふやしていくことは、都だけの課題ではなく、全国の自治体の課題であるとも申し上げましたが、全国の自治体のためにも、東京都がさまざまなアイデアを考えて売り上げ向上につなげていくことが必要であると考えます。
そこで、今後の売り上げの向上に向けた取り組みについて伺います。
○岩瀬主計部長 今後の取り組みに当たりましては、これまでの購買層を維持していくことに加えまして、若者や女性などにアピールするなど、購買層の拡充を図っていくことが必要であると考えてございます。
そのため、ことしの年末ジャンボくじでは、一等前後賞を合わせて十億円のジャンボと一等一億円のミニに加えまして、新たに一等一千万円のプチを販売し、購買層の幅を広げていきたいと考えてございます。
また、来年度に向けましては、年間で五つあるジャンボくじの賞金にめり張りをつけることや、それぞれのジャンボくじに合わせた季節感やお祭り感のある広報宣伝などを行い、商品としてのイメージを高めていくことを検討しております。
さらに、手軽に買えることから、宝くじの入門編として向いているスクラッチくじを購入された方にオリジナルのプレゼントを検討するなど、若者や女性へのアピールを意識した取り組みを行っていきたいと考えてございます。
お話のございましたCMにつきましては、購買層の定着と拡充の両面から起用するタレントとCMの内容などを、他の発売団体を初め、関係者とともに検討してまいります。
今後とも、全国の宝くじファンの期待に応えられるよう取り組んでまいります。
○大西委員 少子高齢化が一層進んでいく中で、宝くじの売り上げをふやしていくには、さまざまな角度から今後の方策を検討していく必要があると思います。私も、いいアイデアができれば、ぜひお伝えしたいと思います。ぜひ皆さんも、いいアイデアを考えていただきたいなと思いますが、事務局を担っている東京都が、これからも全国の発売団体をまとめながら頑張ってもらいたいというエールを送らせていただき、次の質問に入らせていただきます。
次ですが、入札契約制度に関してお伺いいたします。
改正品確法では、発注者が市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めることとしています。受注者は、適正な額で下請契約の締結、労働者の育成及び確保、賃金その他労働条件、労働環境の改善に努めなければならないとされ、発注者も適切な措置を講ずることとされています。
このような中で、現場では、設計労務単価と乖離した低賃金の実態が確認されているなどの問題も出ており、受発注者双方が労務費が現場の労働者に行き渡っているかを確認していくことが必要なのではないかと考えています。
そこで都は、公共工事の発注者として、建設現場における下請労働者の労働環境の改善についてどのような認識を持っているのか、伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都は発注者として、都民の生活を支えるインフラ整備を将来にわたって着実に進めるため、受注者である建設事業者が主体的に取り組む労働条件や労働環境の改善の動きを支援し、公共工事の担い手を中長期的に確保していくことが重要と認識しております。
そうした認識のもと、入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の取り組みの中で、市場価格とのギャップを埋めて予定価格を適切に設定するため、設計労務単価の引き上げや年四回の定期改定、市場資材単価の随時改定などに取り組んでまいりました。
また、今年度の事業者団体との意見交換会では、都が取り組んできた設計労務単価の引き上げに対する建設労働者の賃金改定や下請契約への反映などの対応状況について事業者団体から報告を受け、今後の改善に向けた取り組みについて両者で意見交換を行っているところでございます。
○大西委員 建設市場の健全な発展のためには、契約の相手方である元請ばかりでなく、下請を含む建設事業全体の発展を支援することが重要でございます。
都は、下請の実態を把握するため、二十六年度から専門的な知識を持つ社会保険労務士と連携した特別調査を実施しておりますが、二十七年度の調査の目的は何かを伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 低価格入札案件では、下請事業者へのしわ寄せなどが発生するおそれが強いことに鑑み、該当する案件の中から幾つかの工事を選び、契約前の書類調査では把握できない賃金を初め、労働条件、労働環境について、現場の実態を法令遵守の観点から調査しております。
平成二十七年度は、元請事業者及び一次、二次の下請事業者について、社会保険等への加入状況や休日の付与、労働時間の管理、賃金の支払いなど、就業規則や賃金台帳を中心とした調査を行ったところでございます。
○大西委員 二十六年度に社会保険労務士に委託して実施した特別調査では、社会保険未加入の存在が問題だと聞いております。この二十七年度の調査結果はどうだったのか、伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 平成二十七年度の調査結果では、まず、社会保険等の加入状況については、元請事業者及び下請事業者、合計二十六社の全てが優良という評価となり、都や事業者団体が一丸となって取り組んできた社会保険未加入対策の成果があらわれているものと考えております。
本年八月末の都の工事登録事業者の社会保険加入状況は九九・三%となっており、平成二十九年度以降の入札参加において、社会保険等への加入を資格審査要件とする環境が整ったものと考えております。
一方、労働条件、労働環境については、元請事業者はおおむね良好でございましたが、下請事業者では、工事現場における労働時間の管理、振替休日の運用や割り増し賃金の算定に一部不備が指摘されているところでございます。
○大西委員 社会保険は、働く人を守るものであり、元請事業者及び下請事業者全てが優良ということで、加入を促進しているともいえます。
一方で、下請事業者の工事現場における労働時間の管理、振替休日や運用、また割り増し賃金の算定に一部不備が指摘されているということですが、二十七年度の調査の結果を踏まえ、現場での課題はどのようなものがあったのか、伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 労働時間の管理の不備についてでございますが、建設現場においては、元請事業者が工事の工程に合わせて下請事業者の従業員を集めて仕事を進めているため、一部の下請事業者では、従業員の勤務状況と工事工程との確認が徹底されず、労働時間の管理が不十分となっているとの指摘を受けております。
このことは、元請事業者と下請事業者との間で、工事工程の情報や労務管理情報の共有化が不足しているということが原因でございまして、元請事業者の下請事業者へのマネジメントの改善が課題というふうに考えております。
○大西委員 下請事業者の労働環境の改善は、発注者はもちろんのこと、元請の関与も必要であるということだと思います。これまでの調査を踏まえて、二十八年度の調査はどのように取り組んでいくのか、伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 平成二十八年度の特別調査は、これまでの低入札案件を対象とする調査から、対象を拡大して財務局契約の全ての案件を対象として、その中から選定していくこととしております。
調査の実施に当たりましては、下請事業者に対しては、引き続き労働条件、労働環境の実態調査を行う一方、元請事業者には、建設業の現在及び将来の担い手確保に向けて、下請労働者の処遇改善にどのように取り組んでいるのか、その現状と課題について調査し、下請事業者へのマネジメント強化や積極的な関与を元請事業者に対して求めることを検討していくこととしております。
今後とも、社会保険労務士による特別調査や事業者団体との意見交換を踏まえ、建設業界全体で主体的に労働条件等の改善に取り組んでいけるよう環境整備に努めてまいります。
○大西委員 東京オリンピック・パラリンピックを四年後に控え、関連施設の建設工事も本格化してまいります。現場で働く労働者の賃金引き上げ、処遇改善については、全建総連などからも要望を受けており、いまだに厳しい状況であると伺っています。
こうした処遇改善について、一義的には受注者の責務であることは承知しておりますが、都も公共工事の発注者として、社会保険労務士の専門的な知見を用いたこのような調査を今後も継続的に行うことで、現場の実態を把握し、現場で働く労働者の処遇改善につなげていっていただきたいということを要望させていただいて質問を終わります。
○山内委員 私からは、事務事業八一ページにございます公有財産に関する総合調整に関して、都有地の利活用についてお伺いしていきたいと思います。
都の公有財産規則によりますと、総合調整とは、公有財産の取得、管理及び処分について必要な調整を行うこととありますが、財務局が各局からの財産をどのように引き継ぎ、どのようにその後の利活用を検討するのか、お伺いいたします。
○中村財産運用部長 都有財産は、都民からの負託を受けました貴重な財産でございまして、その価値を最大限発揮させるとともに、都の喫緊の課題解決のため、各局と連携しまして全庁的な観点に立って総合的な調整を行っております。そのため、各局等において利用が終了いたしました行政財産は、用途廃止された後、普通財産として財務局に引き継ぎまして次の用途の検討を行うこととなります。
利活用の検討に際しましては、都の行政目的での利活用について各局の意向を確認した上で、都としての利活用予定がない場合には、地元区市町村に照会を行うこととしております。
○山内委員 地元では、地域における公共的な用途で都有地を活用したいという声がございます。都としての利活用予定が特段なければ、地元の区市町村とよく調整をし、地域の行政課題の解決に資する利活用がなされると有効だと思います。
今回、喫緊の課題として、待機児童の解消として九月に都が発表した緊急対策を受けて、財務局は、都有地活用推進本部を設置したと聞いております。この本部を通じ、都有地の利活用についてさらに各局と調整していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○中村財産運用部長 都は、都有地を活用いたしました保育所の整備を進めるため、副知事をトップとし、公営企業も含めました全庁横断的な都有地活用推進本部を設置いたしまして、九月にその第一回を開催しております。
その中では、各局所管の行政財産も含めまして、都有地の洗い出しと活用可能性の検討を各局に依頼しておりまして、そこで得ました都有地の情報は、年四回程度、区市町村に提供するとともに公表することとしております。
○山内委員 待機児童解消のためにと限定はされているといえ、都有地活用推進本部が全庁横断的に組織されているということは重要と考えます。
都庁全体で、行政財産も含めて、都有地を洗い出し、活用可能性の検討を進めていっていただきたいと思います。活用可能な土地については、きめ細やかに地元の区市町村に情報の提供がなされ、福祉インフラ整備事業等を通じて地域のニーズに合った保育所整備が進むことを期待しております。
先日の報道によりますと、待機児童解消に向けた緊急対策に関連し、早速、第一号の事例が出たとも聞いております。その具体的な内容についてお伺いするとともに、都有地を活用した保育所等の整備に関した区市町村等からの問い合わせにどう対応しているのか、お伺いいたします。
○中村財産運用部長 緊急対策では、都有地を活用いたしました保育所等の整備を一層進めるため、区市町村を介して事業者に都有地を貸し付けることも可能となるよう制度を拡充しております。
お話の点につきましては、公営企業所管の土地になりますが、このたび台東区に所在いたします約二百八十平方メートルの水道局用地につきまして、台東区に貸し付けた上で、区から保育事業者に対して定員九十名程度の認可保育所開設予定地として貸し付け、整備することが決定したところと聞いております。これは緊急対策に盛り込みました新たな貸付制度を適用する第一号となります。
なお、都有地の利活用につきましては、これまでも日常的に地元区市町村から相談を受け、調整を行っております。
さらには、都有地を活用した保育所等の整備に向けまして、このたびの緊急対策に基づきまして区市町村への情報提供を充実させるとともに、区市町村や民間保育所からの照会、提案にも対応する窓口を福祉保健局において設置しております。
○山内委員 知事部局ではなく、むしろ公営企業の土地が第一号となったことは、都が総力で待機児童解消に取り組むという意思の一つのあらわれではないかと評価するものです。
公営企業各局の判断にはなるかと思いますが、福祉インフラ制度と同様、減額を行ってもらえば、公営企業所管の土地についても保育所等の設置が進むものと期待しております。
また、このたび都有地活用推進本部での取り組みにおいて、区市町村からの相談、提案を受け付ける窓口がつくられたことも、保育所等の整備に向けた区市町村との連携を深めていくわけで重要であり、評価したいと思っております。
地元では、近所にあいている都有地があると、そこをさまざまな用途に利活用したいという要望があります。しかし、その都有地の状況を知りたくても、問い合わせがよくわからなかったり、膨大な情報の中からその土地を探すのは難しいという現状があります。調べやすいように所在地などから検索できるようになると便利だという声をいただいております。
そこで、現在都のホームページで、東京都の公有財産として、都の持つ膨大な公有財産の情報が掲載されておりますが、活用可能な都有地について有効に利活用を進めていけるよう、その充実を図るべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
○中村財産運用部長 先ほども申し上げましたとおり、都有地は、都民の貴重な財産でございまして、可能な限り最大限の有効活用が必要であります。
このため、現在財務局のホームページに掲載しております東京都の公有財産の情報につきまして、今後は、所在地や面積などの検索機能を設け、都有地の情報を調べやすく、区市町村での検討も容易になるよう、利便性の向上を検討してまいります。
これまでも、地元区市町村とは日常的に情報交換を行っているところでありますが、今後とも適切に連携を図り、都有地の有効な利活用に努めてまいります。
○山内委員 検索機能を設け、利便性の向上を検討するとの前向きなご答弁をいただきました。よろしくお願いいたします。
地域における行政課題は非常に多様です。さまざまな課題に対し、地元の区市町村と連携を図って、都有地の有効な利活用に一層取り組んでいただくよう、さらなる仕組みの充実を要望いたします。
次に、入札契約関係についてお伺いいたします。
この間、問題として取り沙汰されております豊洲新市場の建設工事においても、一回目の入札が不調になり、再発注までの間に事業者に対しヒアリングなどを行ったと聞いております。
そこでまず、入札不調に関する点について伺いたいと思います。一般的な建設工事で入札不調が発生した場合に、再発注に向けてどのような事務手続や調整を行うのか、お伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 入札者がおらず不調となった場合、契約担当部署では、入札辞退者が提出した辞退理由が記された辞退届を契約で使用した起工書類一式とともに工事起工部署へ送付いたします。
送付を受けた工事起工部署では、再発注に向けた不調対策を講じるため、辞退届に記された理由を確認するほか、必要に応じて辞退者などに対して、資材価格、工法それから工期等の見積もり方法や技術者の確保の状況などについて、改めて確認しているところでございます。
これらを踏まえ、工事起工部署では、不調となった原因に応じて、予定価格、工程、施工方法、入札参加資格要件などの見直しを行った上で、改めて契約担当部署に契約締結請求手続を依頼することになります。
こうした事務手続を経て再発注するまでの期間は、議会に付議する工事契約では、おおむね六カ月程度、それ以外の財務局契約案件では、二、三カ月程度を要しているところでございます。
○山内委員 一たび入札不調が発生しますと、単に入札をやり直せばよいという問題ではないと思います。
先ほどご答弁の中に、工事起工部署で辞退届に記された理由を確認したり、辞退者に対して、資材価格や工法、工期等の見積もり方法とか技術者の確保の状況などについて改めて確認したりするということでしたけれども、この内容というのは入札に関する重要な情報です。本来ならば、公文書としてしっかりと保存しておくことが必要だと考えております。ぜひ、財務局もほかの部署とともに連携をしながら、こういった保管について検討していただきたい、そのように思っているところです。
財務局には、引き続き入札不調をなるべく出さないような工夫、速やかな再発注に向けての事務作業や関係部署との適切な調整に努めていただきたいと思います。
次に、豊洲新市場にしても、オリンピック・パラリンピック競技施設にしても、当初計画より建設コストの高騰が問題になっております。また、入札不調率も最近は減少傾向にあるとは聞くものの、この数年、工事契約で不調が多発したのは、東日本大震災後の建設物価高騰が要因の一つと聞いております。
そこで、東日本大震災の発生した二〇一一年以降の資材価格と労務費の動きについてお伺いいたします。
○中山技術管理担当部長 東日本大震災の発生した平成二十三年以降、資材価格全体は、平成二十四年末ごろから上昇に転じ、平成二十六年半ばまで上昇を続け、その後は高どまりから若干低下の傾向にあります。
この動向の目安の一例となります一般財団法人建設物価調査会の建設資材物価指数は、東京エリアで、平成二十四年十一月から上昇し、二年後の平成二十六年九月までの間に約六・四%上昇しました。特に主要資材については価格変動が大きく、価格が上昇した時期では、鉄骨工事で使用されるH形鋼は、平成二十五年一月から平成二十六年五月までの間に約二八%、鉄筋工事で使用される異形棒鋼は、平成二十五年一月から平成二十六年六月までの間に約三〇%、コンクリート型枠用合板は、平成二十四年八月から平成二十六年六月までの間に約四二%、それぞれ上昇しております。
労務費については、国土交通省及び農林水産省が毎年設定する公共工事設計労務単価によると、平成二十三年以降、職種ごとの変動率を全職種で平均した値は毎年上昇しておりまして、平成二十三年四月時点と本年四月時点とで比較すると約三六・九%の上昇となっております。
○山内委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、東日本大震災以降、建設資材の高騰や労務費について、約三、四割ぐらいですよね、六割、七割の上昇とか、あるいは数倍にも及ぶ高騰ではないと思います。これまで、やはりこういった貴重な、積算というのは本当に重要なことだと思っております。
これまで財務局からは、入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の取り組みを進めているとの説明をその都度受けております。実勢価格と予定価格が乖離しないようにすることは重要です。
そこで、適正な予定価格を設定することの重要性について、改めて認識をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 平成二十六年に施行された改正品確法では、適正な予定価格の設定は発注者の責務の一つとされており、市場における労務や資材等の取引価格、経営管理に必要な一定の利潤などを予定価格に適正に反映させることは、品質確保や公共工事の担い手の育成とともに入札不調の防止のために重要と認識しております。
そのため、予定価格の積算に当たっては、国に準拠した客観性のある積算基準を基本とするとともに、年四回定期的に積算標準単価を改正するほか、主要資材単価については、臨時改正も適宜実施し、直近の積算標準単価を反映させているところでございます。
また、建築工事では、予定価格の五割前後を占める内外装材や設備機器など、積算標準単価で積算できない部分につきましては、資材メーカーなどの見積もりの平均値をもとに見積もり単価を設定し、積算に反映させているところでございます。
今後ともこうした取り組みにより、予定価格が市場価格と乖離することがないよう適正な設定に努めてまいります。
○山内委員 次に、障害者優先調達の取り組みについてお伺いしたいと思います。
障害者優先調達法は、二〇一三年四月に施行して、ことしで四年目を迎えました。障害者就労支援施設で就労する障害者、在宅就業障害者の自立の促進という法の目的を達成するためには、障害者就労支援等における受注努力だけではなく、公共機関の積極的な取り組みが重要です。
都では、各区市町村の障害者就労施設のネットワーク連携強化や情報発信を行うとともに、毎年度、調達方法を定めて、庁内の障害者優先調達の推進に取り組んでおりますが、一方で、局によって取り組み状況に温度差が出ているのではないかと思っております。
今後、庁内の連携を一層強化し、障害者優先調達に取り組んでいくべきだと考えますが、今年度の東京都の調達方針の策定に当たり、全庁的な調整役を担う財務局として、その点をどのように認識し反映させたのか、お伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 障害者就労施設等への優先調達については、福祉保健局、産業労働局と連携して、平成二十五年度から毎年度、調達方針を定めて取り組んできているところでございます。
昨年度までの三年間は、具体的な数値目標は設定せず、都全体として前年度実績を上回ることを調達目標として掲げ、取り組んでまいりましたが、自主的な取り組みの中で、各局の調達実績にはばらつきが生じている状況でございました。
そのため、今年度は、三年間の調達実績を踏まえ、調達方針をより実効性の高いものとするため、各局が具体的な数値目標を掲げた調達計画を策定するとともに、新たに十万円以下の印刷請負については、原則として障害者優先調達とすることにいたしました。
今後とも、障害者就労施設等への優先調達を通じた障害者の自立促進に向け、各局と連携して取り組んでまいります。
○山内委員 今年度、調達方針といたしまして、財務局と福祉保健局、産業労働局が連携をして、区市町村の障害者就労施設で構成されたネットワークの連携強化を図るとともに受注にかかわる取り組みを広く発信するということによって、企業や官公庁からの発注の促進及び受注の拡大に努める、つまり障害者の就労施設のネットワークの連携強化というものを加えました。
地元で働く場を求めている障害者は大変多くいらっしゃいます。一つの作業所ではなかなか受注できない仕事も、幾つかの作業所で連携をしながらならばできることもあります。
例えば、今、お話がありました印刷もそうですけれども、植栽の手入れなどもその一つで、四、五団体で自治体の仕事を請け負っているということが既に実現しております。
ところが、都立施設などと勝手が違うようで、大きい施設のためなのか、なかなかそこに入っていけないというようなことがあるようです。来年オープンする都立の多摩図書館、ここで植栽の手入れも入札に参加したいという地元の声がありますけれども、どう申請したらいいのかよくわからないとか、あるいは大きな企業が請け負っているために地域につながらないという声があります。こうした地域の声がなかなか東京都には届かないという現状があります。
障害者が地元で働くことができるように門戸を広げる工夫、入札方法をわかりやすくするなどの検討や自治体の現状などをぜひ聞き取って、東京都の施設でも働けるよう努めていただきたいと思っております。
次に、グリーンボンド発行についてお伺いしたいと思いますが、この発行に向けては、トライアルとして発行する東京環境サポーター債についてお伺いしたいと思います。
今回、円建て債を採用せずに、オーストラリア・ドル建て債のみとしたのはなぜなのか、お伺いいたします。
○岩瀬主計部長 個人向け都債につきましては、昨年度、円貨建て債と外貨建て債としてのオーストラリア・ドル建て債の両方を発行してございます。今年度も円貨建て債と外貨建て債の両方を検討いたしましたが、円貨建て債につきましては、現在の低金利環境下で、個人投資家にとって魅力ある商品性の確保は困難な状況にあるため、外貨建て債のみを発行することといたしました。
金利水準の状況を申し上げますと、現状、大手銀行における三年物円定期預金金利は年利〇・〇一%でございまして、同じく三年物の機関投資家向けの円貨建て債を発行した場合、年利で〇・〇〇一%、これは百万円に対して一年でたった十円の利払いしかつかないという、そういう利率でございますけれども、こうした水準かそれ以下となることが想定されているという状況でございます。
通貨につきましては、為替相場の状況に加え金利水準、通貨の安定性、投資家需要、売り出し外債の規模等を総合的に勘案いたしまして、昨年度と同じオーストラリア・ドルを選定いたしました。
○山内委員 日銀の金融政策による低金利が個人向け都債の発行にも影響しているということがよくわかりました。オーストラリア・ドルは、安定性があるとはいっても、外貨建ての債券は為替変動によるリスクは否めません。せっかく発行するグリーンボンドだから、投資してくれる都民にとって利息以外の価値に魅力が必要であります。環境をよくする具体的な事業に自分の出したお金が使われること、すなわちオーナーシップ意識が参加意欲を促すものと考えます。
今回の対象事業を見ますと、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー化など、幾つかの区分のものも組み合わせています。対象事業はどのような観点から選ばれたものか、また事業ごとの債券を発行するなどしてオーナーシップ意識を高めることが効果的と考えますが、いかがでしょうか。
○岩瀬主計部長 都債を充当することができる事業は、地方財政法に規定されました適債事業であることが条件となります。
今回、発行いたします東京環境サポーター債では、その中から都が実施する環境への寄与が確かな事業を選定いたしまして、調達資金を充当することとしております。
具体的には、お話のございました再生可能エネルギーの導入、省エネルギー化のほか、都市の緑化、気候変動の影響への適応でございまして、それぞれの観点から事業に資金を充当することといたしております。
事業の選定に当たりましては、適債事業であること、環境への寄与が確かな事業であることの二つが条件となりますが、こうしたことを前提といたしながら、今回の東京環境サポーター債の発行意義の一つでもある都民のオーナーシップの意識の喚起につながるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。
○山内委員 グリーンボンドは都債であるため、さまざまな制約があるということですが、再生可能エネルギーや緑地の保全など、都民から見て明らかに環境に寄与するグリーンとわかりやすい事業に、より積極的に活用すべきだと考えます。
例えば、多くの市民に愛されている緑地を購入して公有地化するために自治体が公募債を発行すると投資したお金の使い道がはっきりいたします。都の場合は、もっと規模が大きくなるために、事業ごとに債券を発行するのは難しいかもしれませんが、都民のオーナーシップ意識の喚起という面から検討していただきたいと思います。そして、グリーンの考え方と参加を広めるという意味でも個人投資家へのわかりやすい説明が必要です。
そこで、投資家への報告はどのように行われるのか、お伺いいたします。
○岩瀬主計部長 今回の東京環境サポーター債発行に当たりましては、グリーンボンド原則に自主的に対応いたしまして、原則の求める透明性を確保することとしており、その一つとして投資家への報告にも適切に対応してまいります。
具体的には、事業への資金の充当状況や進捗状況等をホームページ上で開示することを想定してございます。これに加えまして、東京環境サポーター債をご購入いただいた方には、抽せんで、今回充当する都事業の現場見学会にご招待をいたしまして、充当事業の進捗状況を実際にご案内する予定でございます。
○山内委員 生活者ネットワークはこれまでも、いろいろな方法を使って都心に再生可能エネルギーをふやすことを求めてまいりました。中でも、都有施設での太陽光発電設置は、機会があるたびに積極導入を要望しております。事業の選択に当たっては環境局と連携することが必要であると考えます。
今後、グリーンボンドによってエネルギーや緑施策が充実するよう期待をいたしまして、私の質問を終わります。
○大津委員 都債について伺います。
都債とは、定義でいえば、東京都が資金調達に伴って負担する債務で、その償還が一会計年度を超えて行われるものとされています。わかりやすくいえば、東京都が一年を超えて外部から資金を借り入れる、いわゆる借金であります。
平成二十八年版厚生労働白書によると、日本の将来推計人口では、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口の割合は、二〇一四年の六一・三%から二〇六〇年の五〇・九%へと減少し、それ以外の年少人口と老年人口を合わせた人口とほぼ半々となる社会が到来することになります。
私はこれまで、借金でもあります都債については、少子高齢化が進み人口減少社会を迎えつつある社会環境の変化を踏まえ、将来世代への負担のあり方など常に配慮しながら負の遺産を残さないことが大切であると訴え、そのため、都債についてはその残高を着実に減らしていくべきという視点で質問をしてまいりました。
そこでまず、都債残高の推移について伺います。
○岩瀬主計部長 一般会計の都債残高につきましては、バブル経済崩壊後、国の経済対策における地方単独事業の増加や、税収減を賄うための財政的な対応力として都債を活用したことから、平成十三年度に七兆六千三百八十四億円の最高額に達しました。その後、財政再建の取り組みを進める中で、起債の対象となる投資的経費を削減するとともに、都債発行そのものも抑制基調としたことで、平成十三年度以降は残高の減少傾向が続いてまいりました。
しかしながら、リーマンショックにより税収が大きく落ち込んだ際には、財政再建を通じて培った都債の発行余力を活用するなどして、都民サービスの低下を来すことのないよう対応を図ったことから、平成二十年度から二十四年度にかけて残高が増加傾向に転じました。その後は、税収が好調に推移する中で新規発行債を抑制するなど、将来世代への負担にも配慮するとともに、税収減に備えて都債の発行余力を確保する取り組みを行ってきた結果、都債残高は着実に減少しておりまして、平成二十七年度決算では五兆六千百六十億円となってございます。
○大津委員 都債残高が平成十三年度の七兆六千三百八十四億円をピークに五兆六千百六十億円まで着実に減らしてきていることは大いに評価できるものであります。都民一人当たりの都債残高は、普通会計ベースで、平成二十七年度は三十六万円となっており、平成十二年度の六十四万円と比べ四割以上も減少しており、これまでの財政再建の成果が明確にあらわれてもいます。
同じ時期の国民一人当たりの国債残高が、二百九十万円から六百三十四万円と二倍以上にふえていることからも、いかに東京都が都議会とともに努力を重ねてきたかがわかります。
しかし、人口減少や少子高齢化に伴い、今後ますます人口構造が変化していく中にあって、東京都の生産年齢人口も既に減少局面に入っており、都の推計によれば、二〇一〇年の六八・二%から二〇六〇年には五三・四%に減少する見込みとなっています。担税力を持った人口一人当たりの都債残高は、今後、増加していくことが想定される状況にあります。これらを踏まえ、減少してきた都債残高を今後も着実に減らしていくことこそが、私ども現役世代の責務であると思っています。
今年度予算では、社会資本ストックの維持更新需要などを見据え、投資的経費が増加する中にあっても、将来世代の負担を考慮して都債の発行額を抑制したとされていますが、都債発行に関する考え方を伺います。
○岩瀬主計部長 都債には、世代間の負担の公平性を確保する機能と、財源の年度間調整を図る機能などがございます。これらの機能を果たすことを前提といたしまして、各年度の予算において、都税収入の動向や投資的経費の水準、あるいは基金の残高などを総合的に勘案し、都債を適切に活用しているところでございます。
また、税収が比較的好調な時期にありましては、少子高齢化や人口減少が進むことを踏まえまして、将来世代の負担にも配慮して発行の抑制に取り組んでおります。こうした取り組みの積み重ねが、先ほどご答弁申し上げました都債残高の推移にあらわれてきているものと認識しております。
○大津委員 答弁にもありましたとおり、都債の役割の一つは、世代間の負担の公平性を確保する機能でもあります。公共施設などを整備するには、現役世代だけではなく将来世代もひとしくその恩恵を受けることから負担を分かち合う必要があるものの、しかし一方では、このことは将来の世代が自分たちで選択することのできない借金の返済義務を負うことを意味するものでもあります。
そして、都債のもう一つの役割である財源の年度間調整を図る機能については、税収が大きく落ち込んだときに行政サービスを急激に低下させないという視点に立てばこの役割も理解できますが、しかしこのことも、都債を大量に発行すれば残高はあっという間にふえてしまうのに比べ、一旦ふえた残高を減らしていくには年月もかかり、社会背景もあり、困難であるということを忘れてはなりません。
したがって、都債残高にも目くばせをしながら都債の活用を図っていくことが必要だと考えており、都議会と一体となって生み出してきた財政再建の成果を無駄にしないためにも、都債残高を今後も着実に減らしていくことを強く要望しておきます。
都債の残高を減らしていくことと同時に、発行した都債の償還に備えることも重要です。都債の償還を着実に行うための財源としては減債基金がございます。減債基金とは、地方債の償還のための資金を積み立てている基金であり、家計に例えれば、借金返済のために毎年少しずつ積み立てている貯金といいかえてもよいと思います。
そこで、減債基金の役割について伺います。
○岩瀬主計部長 減債基金は、都債の償還及び適正な管理に必要な財源を確保し、財政の健全な運営に資するために設けられた基金でございます。
具体的には、満期一括払いの十年公募債が主流となっている都債発行の中で、世代間の負担の公平性を期することなどを踏まえまして、償還に必要となる財源をあらかじめ定められたルールにのっとって、この基金に毎年積み立て、償還時に取り崩しているものでございます。この基金にルールどおりの積み立てを行うことが、都債の償還を安定的に行うことや都債の信用力の向上に結びついております。
○大津委員 減債基金への積み立てが都債の確実な償還だけでなく、都債の信用力の向上にもつながるということでありますが、この基金が特に重要なのは、都債を発行すると同時に、将来に向けた備えを行うことができる点にあると思います。
そうした点からも、ルールどおりの積み立てが不可欠であり、積立不足が生じることは、本来ならば将来世代のために果たすべき義務を現役世代が果たしていないことにほかならないということにもなります。
そこで、減債基金の積立状況について伺います。
○岩瀬主計部長 減債基金につきましては、現在はルールどおり満額を積み立てておりまして、今年度末の残高見込みは一兆二千百七十二億円でございます。今は満額を積み立ててございますが、過去には積立不足が生じていたことがございます。
具体的には、バブル経済崩壊後、長引いた景気の低迷による都税収入の落ち込みなどによりまして、平成九年度から積立所要額の計上を一部見送り、以降、平成十五年度まで毎年度積立不足が発生しておりました。
しかしながら、二次にわたる財政再建推進プランの取り組みによりまして、平成十九年度末までに積立不足を解消することができたものでございます。今後も確実に積み立てを行い、都債償還の安定性や都債の信用力向上を図ってまいります。
○大津委員 今でこそ減債基金は満額を積み立てることが当たり前とはいえ、過去には積立不足が生じていたこともありました。税収が落ち込んだときには、行政サービスの水準の切り下げを避けることを優先せざるを得ないため、この減債基金への積み立てが後回しになった過去もあります。
財政再建団体への転落の危機から、さまざまな努力によって財政を立て直してきた、これらの財政再建の成果をさらに生かして、将来の世代へ過度な負担を残すことなく、将来にわたり必要な施策を展開していく財政的な余力を培っていき、今後も現在の財政状況に安住することなく、堅実な財政運営を行っていただきたいということを申し上げまして、次の質問に入ります。
私はこれまで、財政委員会も四年目になり、多くの質疑を重ねてまいりました。財政委員会は、都庁の各局が事業を進めるために必要な税や各局を束ねる会計制度など、かなめとなる事業や課題に取り組むことができる、やりがいのある委員会であります。
とりわけ都財政をつかさどる財務局は、バブル経済の崩壊やリーマンショックなどの社会経済状況の変化のある中、長期的な視点から強固で弾力的な財政基盤の構築を進め、都政の持続した維持と発展を支えてきたと考えています。
また、財務局や私たち財政委員会は、入札契約制度や都有財産管理やオリンピック・パラリンピック施設など、都有建築物の整備についても統括するなど、各局、各部門を管理監督する力を持つ局であり、委員会であります。
私も委員会での質疑を通して、将来の東京の持続的な発展を支える財政運営のあり方、その手法としての事業評価制度による不断の自己改革、社会経済状況の変化に的確に対応した入札契約制度の改善などをただしてまいりました。
また、単なる財産管理ということだけでなく、都や区市町村の事業を支える都有地の利活用の積極的な展開や都民の安全・安心を支える都有建築物一〇〇%耐震化や着実な整備など、さまざまな質疑を通じ、都民のための都政の構築に向け、都議会としても力を注いできたと思います。
しかし、この半年、ワイドショー型、劇場型都政報告により、さまざまな都民の方たちからの思いやご意見を伺う機会もさらに増してまいりました。これまで財政委員会で議論してきたこと、進めてきたことの成果を考えれば、都政への理解や信頼が揺らぐことはあってはならない、都も、議会も両輪として真剣に立て直していくことを考えています。
これらの課題解決に向けては、都庁の各局を財政や契約、財産、技術の面からも束ねる財務局にもその真価を発揮していただくことを望んでいます。
今後も、当委員会でのこうした質疑を続けていきたいとも思いますが、そこで、きょうの事務事業質疑での私の質問の結びといたしまして、都政への理解と信頼の維持に向け、各局を束ねる武市財務局長としての見解を伺いたいと思います。
○武市財務局長 現下の都政におけますさまざまな課題解決のため、財政構造改革の一層の推進に積極的に取り組むとともに、予算、契約制度、財産管理、施設整備など、局の持てる力を発揮いたしまして、各局の事業を全力で支援していくこと、これが我々財務局の責務であると考えております。
財務局はこれまでも、お話にもございました事業評価の取り組みなどによる強固な財政基盤の構築、競争性、透明性、公平性の確保に加え、品質の確保にも配慮をした入札制度の構築、都民福祉の向上に資する都有地の活用、都民の安全と安心を支える都有建築物の着実な整備、更新などの取り組みを各局との連携のもと継続して進めてまいりました。
今後も、各局がその所管する事業を滞りなく円滑に進められるよう支えていくことが財務局の重要な役割と認識をしております。この認識のもと、都政への理解、信頼の維持を図り、新しい東京の未来に向けた自己改革の取り組みを不断に進めていきたいと考えております。
○栗山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十七分休憩
午後三時三十五分開議
○栗山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○吉倉委員 それでは、私から最初に、財政運営における複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度の活用について質問いたします。
増加する待機児童の解消に向け、百二十六億円に上る補正予算が第三回定例会で成立いたしました。こうしたスピーディーな対応が可能なのも、基金に象徴される強固な財政基盤があればこそであります。
しかし、現在の都財政の健全性は、きのうやきょう簡単に確立したものではありません。かつて都は、多額の赤字を計上し、財政再建団体に転落寸前の危機に直面いたしました。そうした中で、徹底した内部努力だけでなく、施策の見直しを進め、財政再建を達成したという歴史があります。
財政再建の苦い経験を踏まえ、再び都財政が財政赤字に陥ることがないよう、都議会公明党が提唱し、都が全国に先駆けて導入したのが複式簿記・発生主義に基づく新たな公会計制度であります。
この新公会計制度は、これまでの官庁会計では把握することができなかった資産、負債などのストック情報や、金利や減価償却費などを含む真のコスト情報を明らかにしたという点で、地方自治体会計に変革をもたらす画期的な取り組みであり、施策の分析、監査業務の充実という点でも大きな成果を上げてまいりました。さらに、制度導入以来、職員のコスト意識が高まるなど、庁内の意識改革は大きく図られたといわれております。
ことしは、新公会計制度を導入してちょうど十年を迎えます。改めてこの間、新公会計制度が財政運営においてどのように活用され、いかなる成果を上げてきたのかを伺いたいと思います。
○岩瀬主計部長 都は、複式簿記・発生主義に基づく新たな公会計制度を活用して、決算を多面的に分析し、貸借対照表や行政コスト計算書などの財務諸表を全国に先駆けて公表するなど、アカウンタビリティーの充実を図ってまいりました。
また、新たな公会計制度によって得られるストック情報や減価償却費や金利なども含めたフルコストの情報を、事業評価の取り組みにおいて事業の分析ツールとして活用することで、施策のマネジメントサイクルの強化という点においても成果を上げてきております。
このように、新たな公会計制度は、財政のアカウンタビリティーの充実とマネジメント力の強化という点から、財政運営において重要な役割を果たしております。
○吉倉委員 都財政のアカウンタビリティーの向上はもとより、マネジメントサイクル強化のツールとして浸透し、活用されているということであります。これまでの都の取り組みにより、リーマンショックの際も、都民サービスに影響を及ぼすことなく乗り越え、今日、都財政は活用可能な基金約一兆二千億円に象徴される無駄のない筋肉質な体質に改善されております。都財政が再び財政危機といわれる事態に陥ってはならないという我が党の思いが、この制度の活用を通じて現在の健全な財政運営に結実していることを高く評価するものであります。
今、都政をめぐる社会経済情勢は大きく変化しております。人口構造や産業構造の変化などに対して、今後都政がどのように対応していくのかが問われていると思います。また、将来に目を向ければ、二〇二〇年東京大会の準備や少子高齢化対策、これまで都民の生活や経済活動を支えてきた社会資本ストックの維持更新など、都政には膨大な財政需要が見込まれます。
今後、真に必要な都民サービスを着実に、かつ機動的に実施していくためには、財政基盤をより一層強固なものにしていくべきであります。
そこで、新公会計制度を活用しつつ、今後どのような財政運営を行うのか、伺いたいと思います。
○岩瀬主計部長 今日の都政は、子供や女性、高齢者など、全ての人々が生き生きと生活し活躍できる環境の整備や、二〇二〇年東京大会の成功、さらには日本全体の成長につながる施策などを積極的に講じていくことが求められております。
都税収入が景気変動の影響を受けやすい不安定な構造にある中、東京が抱えるこうした課題解決に向けて積極果敢に取り組み、未来への成長創出に向けた改革を進めていくためには、財政面の備えをしっかりと講じていかなければいけないと考えております。
そのため、複式簿記・発生主義による新たな公会計制度も活用しながら、全ての事業の総点検を実施し、無駄の排除を徹底して行うとともに、今後の人口構造の変化や将来世代への負担などにも配慮し、都債と基金をより計画的かつ戦略的に活用するなど、強固で弾力的な財政基盤を構築し、持続可能な財政運営を行ってまいります。
○吉倉委員 答弁ありがとうございます。二〇二〇年東京大会までの四年間は、十年後、二十年後、ひいては百年後の東京、日本を形づくる重要な時期であります。将来にわたる積極的な施策展開を図るためには、財政の力が最も必要であります。答弁にもありましたが、新たな公会計制度を活用しつつ、将来にわたり都の施策展開を支え得る財政基盤の強化を強く求めて、次の質問に移ります。
次に、入札契約制度について質問いたします。
いうまでもなく、東京都の施策は、都民のみならず多くの国民からも注目されております。特に、税の使い道に直結する公共調達には常に厳しい視線が注がれていることは当然であります。
こうした中で、最近、多くのメディアが、豊洲新市場や二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会施設における建設コストの増大を取り上げ、あたかも大手ゼネコンを中心とした受注が不適切であり、一者入札で落札率九九%は全て談合であるかのように報道されております。これは、大手ゼネコンを初め、多くの事業者の方々に対して大変失礼な報道内容であります。受注した事業者の中には、心を痛めている方もいるのではないかと思います。
そこで、一者入札で九九%の高落札率の入札結果は談合の疑いがあると指摘する報道に対して、財務局は実際にどのように認識しているのか、見解を伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都では、電子調達システムにより入札を行っており、入札参加者は、他の入札者の存在を知り得ない仕組みのため、結果的に、一者入札となっても競争性は担保されていると考えております。
また、予定価格を事前に公表していることから、施工条件が厳しく、採算のとれないおそれのある工事では、不調や一者入札になりやすいと同時に、入札額も予定価格に近づき、場合によっては落札率が一〇〇%になる場合もございます。一者だから落札率が高いというより、不調と一者入札というのは紙一重でございまして、ぎりぎりのところで不調にならなかったものというふうにも考えられます。
こうしたことから、一者入札九九%という結果のみをもって入札契約の競争性や公正性を判断することは、適切ではないというふうに考えております。
もとより、より競争性の高い入札環境としていくためには、一者入札よりもできるだけ多くの入札参加者がいることが望ましいことでございますので、都は平成二十六年から、入札に参加しやすい環境の整備に向けてというテーマを定め、市場価格とのギャップのない適正な予定価格の設定、事業者に無理を強いることのない適切な工期や工程の設定など、不調を防止し、入札参加者をふやすさまざまな取り組みを行ってまいりました。
現在、都政改革本部の内部統制PTでは、特別顧問とさまざまな角度から議論しておりまして、今後、よりよい入札契約制度の構築に向けて検討を行ってまいります。
○吉倉委員 丁寧なご答弁ありがとうございます。今後とも、談合などと誤った報道がなされないように、よりよい制度を目指していただきたいというふうに思っております。
また、ただいま答弁のありました都政改革本部の内部統制PTについては、先週十一月一日の会議において、上山特別顧問はこういっているんです。賢い支出、無駄のない支出という意味のワイズスペンディングは、競争性を最も重視することであり、それが都民ファーストにつながると、このように主張しておりましたが、品質の確保や担い手の育成など、都がこれまで精力的に取り組んできた入札に参加しやすい環境の整備、この一連の取り組みには全く触れておりませんでした。
私は、こうした都政改革本部の価格競争を過度に重視する動きについて心配する業界団体や事業者の意見を多く聞いております。PTの報告の最後に、武市局長から、最少の経費で最大の効果を上げることや競争性や透明性の点、品質の確保や政策的な取り組みである中小企業の育成などを踏まえ、総合的にバランスをとりながら構築する必要があるとの発言を聞いて、少し安心したという声もございました。
今後、PTで検討が本格的に始まると思いますが、これまでの都の取り組みをしっかりと踏まえ、その上で、さらによい入札契約制度となるよう期待したいというふうに思っております。
次に、業務委託契約に関する都の取り組みについて確認したいと思います。
都のさまざまな事業を支えている業務委託は、工事契約と同様に、品質の確保が重要であります。特に、清掃、警備など人件費割合の高い労働集約型の業務については、その業務内容に合致した労務単価に基づいて積算することが求められております。
そこで、都の業務委託における品質確保に関し、特に総合評価方式によるこれまでの取り組みについて、改めて伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都では、病院の建物管理や給食調理など、特に質の高い履行が求められる業務委託には、平成二十一年度から総合評価方式を試行として導入し、以後、拡大に努めてまいりました。
平成二十七年度には、価格点と技術点の得点配分の、原則一対一から原則一対二への見直し、建物清掃及び警備、受付における価格点への上限設定など、技術点を重視した制度改正を行い、より質の高い履行や都民サービスの向上を図るため、各局に対して、総合評価方式による契約について積極的な取り組みを促してまいりました。
また、業務を遂行するための資格や履行体制といった技術面の評価に加えまして、政策的評価項目として、環境への配慮、障害者雇用の促進、女性活躍推進などを設定いたしまして、都の政策目的の実現に寄与する事業者の取り組みも評価しているところでございます。
本年四月には、これらの取り組みを踏まえて総合評価方式に係る適用方針を制定いたしまして、業務委託における総合評価方式のさらなる拡大と定着に向け、取り組んでいるところでございます。
○吉倉委員 総合評価方式は、事業者の履行体制なども評価できることから、業務の品質確保に効果があると思いますが、多くのエネルギーを費やして契約の相手方を選んだとしても、単年度契約では、受発注者双方にとってもメリットが少ないのではないか、特に事業者は、初期投資や中長期的な人材育成を行うことが難しいのではないかというふうに考えております。
質が高く、安定的な履行の確保を図るためには、総合評価方式とあわせて複数年度の契約を活用することが有効と考えます。
そこで、業務委託における複数年度契約の活用についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 業務委託の品質を確保する目的で総合評価方式を導入した場合でも、その契約期間が単年度であると、業務の履行で事業者が得たノウハウが蓄積、継承されないこと、事業者が従事者を安定的に雇用しづらく、従事者に対する中長期的な観点から教育訓練が十分に行えないことなど、総合評価方式のメリットが生かし切れないことがあると考えております。
従来、複数年度契約については、パソコンのリース契約や庁舎の設備保守委託等に限定しておりましたが、平成二十一年度以降は対象を拡大し、建物清掃、給食調理業務、スクールバス運行業務等の一部の業務委託において試行をしてまいりました。
今年度は、これまでの試行結果を踏まえ、複数年度契約の考え方や適用対象業務を新たに整理し、総合評価方式と複数年度契約をセットで適用することで事業効果の向上等が期待できる業務について、予算の事業評価制度の中で妥当性を判断し、年明けの、来年度の準備契約案件から複数年度契約の活用に積極的に取り組んでまいります。
○吉倉委員 ご答弁ありましたが、業務委託については、平成二十九年度予算要求分から新たに事業評価対象とするということで、事業の妥当性等をあわせて判断するということでございました。今後とも、業務委託の品質確保のために、複数年度契約の拡大を期待して質問を終わります。
○大山委員 私は、都有地活用をさらに進めるという立場で質問をします。
都有地活用推進本部が設置されて、その設置要綱には、各局が所管する都有地を最大限活用する方策を検討し、全庁横断的に取り組みを実施することを目的とすることが明記されています。
私たちは、より実効性のある都有地活用を進めるために、全庁的な組織を設置すべきと要望していたことからしても、都有地活用推進本部の発足は歓迎です。
待機児解消に向けた緊急対策が発表され、その第一の柱であります保育所等の整備促進の中の対策の一つに都有地活用の推進が位置づけられています。この間、やっと本格的に保育園の増設が位置づけられ、認可保育園は今まで以上に増設されています。二〇一五年四月時点で、前年度に比べ百六十五カ所、二〇一六年四月時点には百五十八カ所の認可保育園がふえています。
それでも保育要求は大きくて、待機児は依然として増加し、ことし四月時点では八千四百六十六人となっています。しかし、この八千四百六十六人の中には、保育園にも入れないために育児休業を延長したり、認可保育園に希望しながら入れなかったために認可外の保育園に入っている子供たち、いわゆる隠れ待機児といわれるものですけれども、厚労省の資料では、都内の待機児は、ことしの四月一日時点で二万七千人を超えています。やはり東京都としては、この二万七千人ということに注目しなければならないと考えています。それだけに、都有地活用推進本部の役割は非常に重要だといえます。
そして、都有地活用推進本部の座長が財務局担当の副知事、具体的な事業を実質的に進めていくワーキンググループの座長が財務局の財産運用部長さんですから、財務局の果たす役割は大きいわけですね。頑張ってほしいという願いを込めて質問したいと思います。
まず伺いたいんですけれども、都有地活用推進本部が設置されたわけですけれども、今までの都有地活用の福祉インフラ事業から改善した点はどこですか。
○中村財産運用部長 都では、平成二十六年の土地活用検討チームで取りまとめました方策に基づきまして、財務局所管の未利用地や都営住宅などの創出用地を活用して福祉インフラ整備を推進してきております。
さらに、都有地活用推進本部では、これまでの活用方策を検証した上で、都有地を活用した保育所整備を一層推進するため、都有地の全庁的な洗い出しや区市町村への情報提供の充実のほか、地元調整に関する区市町村支援の実施や、民間保育事業者等からの都有地に関する照会や提案に対応する体制の整備などの取り組みを実施することとしております。
○大山委員 都有地の全面的な洗い出し、それから区市町村への情報提供、これ非常に重要だと思っています。今まで、問い合わせの窓口についても、どこに問い合わせたらいいのか、どこでもいいんですよというような対応だったわけですから、相談窓口も明確にしたということも重要な前進だと思っています。引き続き、その活用方策を検証して、常に改善をしていっていただきたいと思います。
今回の待機児解消に向けた緊急対策では、今までの計画の目標よりも五千人分ふやして、年度内に一万七千人分の保育サービスを整備することとしています。この目標を達成させるために、都有地活用推進本部が積極的に貢献することが求められていますけれども、整備目標が上がったのですから、その目標を達成するために、都有地を提供する目標を持つことが必要だと思いますけれども、都有地提供の目標というのはどうなっているでしょうか。
○中村財産運用部長 都有地活用推進本部では、都有地を全庁的に洗い出しまして、活用可能性のある都有地の情報を区市町村に提供するなど、保育所の整備促進に向けた都有地の活用について、さまざまな取り組みを実施することとしております。
しかしながら、保育所の整備は保育の実施主体であります区市町村が地域の実情に応じましてさまざまな取り組みを行うものでございまして、都が都有地を活用した保育所の整備のみに着目して、一概に目標設定することにはなじまないものと認識しております。
○大山委員 もちろん実施主体は区市町村です。都有地のみに着目してというよりは、増設するために大きな柱の一つなんですよね、都有地を活用する。その都有地を活用して区市町村を応援するために都有地活用推進本部があるわけですよね。
例えば、都有地活用で認可保育園がどう整備されたか調べてみますと、二〇一二年、二〇一三年、二〇一四年四月開設では、それぞれ都有地活用をして開設したところは一カ所ずつでした。二〇一五年の四月開設が二カ所にふえました。一六年四月開設が三カ所です。つまり、一四年に土地活用推進チームが都有地の積極的活用を位置づけて、貸し付けの際の減額を拡充して以降、ふえているといっていいんじゃないのでしょうか。来年四月開設予定でさらに三カ所整備中ということです。せめてこの実績は超えようという目標を持って、そのためにはどうしたらより活用できるようになるかということを区市町村とも協議してほしいと思います。
都有地の提供目標を唯一持っているのが都市整備局です。都市整備局が都営住宅などの創出用地で十年間で三十ヘクタールを提供することになっていますけれども、現在までの実績と、この三十ヘクタールという目標は引き続き変わりないのでしょうか。
○中村財産運用部長 都営住宅などの創出用地を活用しました福祉インフラ整備の実績といたしましては、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームで取りまとめた方策の発表後の平成二十六年八月以降、平成二十七年度までの期間における事業者決定件数としては五件となっております。
委員ご指摘の老朽化した都営住宅等の建てかえに伴い創出される土地につきましては、都市整備局からは特段変更したとは聞いておりません。
○大山委員 平成二十六年八月以降、認可保育園整備のために五件、これはどれぐらいの面積かと調べましたら、合計約六千九百八平方メートルでした。もちろん一朝一夕にできることではありませんけれども、引き続き積極的に提供できるように取り組んでいただきたいと思います。
大規模団地の場合、都市整備局で、全体の建てかえが全て終了しなければ提供できないといって、地元区が要望していても遅々として進まないところもあります。都有地活用推進本部がリーダーシップを持って、全ての建てかえが済まなくても、それからあの広大な土地の一部分だけ活用すればできるんだというような場合、可能性はないのかなど、所管局と、それから地元自治体とともに検討するべきではないでしょうか。
○中村財産運用部長 都有地活用推進本部では、既に各局等に対しまして、行政目的で利用がなく、保育所用地として活用可能性のある土地について、行政財産も含めまして主体的に洗い出しの検討を行うよう依頼しておりまして、こうした中で、所管局等において適切に判断が行われるものと認識しております。
○大山委員 ぜひ広大な土地が何年も何年もあいているのになかなか進んでいないというのはどうした原因なのかということも、一緒にリーダーシップを持って解決して、提供できるようにしていっていただきたいと思います。
公営企業局も都有地活用推進本部のメンバーになっています。公営企業局も知事部局と同様に、提供できる場所を情報提供するということでいいわけですね。その際、暫定利用しているところについても情報提供に加えることが重要です。また、知事部局や教育庁も、現在は普通財産になっていなくても、普通財産にする予定の場所は、率先して情報提供すべきですけれども、どうですか。
○中村財産運用部長 都有地活用推進本部では、既に公営企業局も含めました各局等に対しまして、行政目的で利用がなく、保育所用地として活用可能性のある土地について、主体的に洗い出しの検討を行うよう依頼しております。
こうした中で、各局等が暫定利用を行っております土地や行政財産から普通財産に変更する予定の土地の洗い出しについても、各局等において適切に判断が行われるものと認識しております。
○大山委員 各局において、多分間もなく行政財産から普通財産に変更するものについても判断するだろうという認識なんだということです。予定としてやはり把握できると、その間に準備できることは多いんですよね。だから基本設計ができたりして、土地があけばすぐ使えますから、非常に効率的でもあると。暫定利用していても、今後普通財産になるところにしても、なるべく事前にわかるように対応していただきたいと思います。
自治体によって都有地があるところとないところがあります。先日発表された活用可能な都有地リストを見ましても、例えば、中央区と新宿区は一カ所ずつしか出ていなくて、港区は二カ所と少ないわけです。例えば国有地ですと、新宿区内でも宿舎跡地などなどがありますので、比較的あります。国有地の情報についても、最近、都と国で都有地と国有地の情報について、相互にリンクを張って情報提供を始めたということは重要です。同時に、国有地は広い所も多くて、区市で全部借りるということには二の足を踏んでしまうことも多いのが現状です。都が国から買い取って都有地にして、都有地活用として貸し出すことが必要だと思いますけれども、どうですか。
○中村財産運用部長 区市町村は、独立した基礎自治体として地域行政の中心となる責任と役割を担っておりまして、区市町村にかわりまして都が土地を購入することは、これらの点で課題がございます。都としては、区市町村との役割分担のもと、今後とも関係局と連携し、適切に支援を行ってまいります。
○大山委員 今、関係局と連携して適切に支援を行っていくということなんですけれども、具体的に適切な支援というのはどういうことなんでしょう。
○中村財産運用部長 区市町村は、地域行政の中心となる責任と役割を担っておりまして、都は、区市町村との役割分担のもと適切に支援を行っております。都はこれまでも、福祉インフラの整備に当たりまして、都有地を事業者に貸し付ける場合、減額を行い、事業者の負担軽減を行っております。
また、都有地の未利用地は地域的に偏在しているということですから、都有地活用推進本部の取り組みの中で、これまでの三百平米以上から百平方メートル以上へと情報提供の範囲を拡大しております。
また、国有地に関しましては、国から区市町村に情報提供を行っていると聞いておりますが、先ほどもご指摘ございましたように、都有地活用推進本部においてもホームページに相互にリンクを張るなど、情報提供の充実を図っております。
なお、都は、事業者が国有地を借りて新たに認可保育所等を整備する場合に、開設後の借地料の一部を補助する制度を設けておりまして、あわせまして、国に対して、これまで貸付料の減額や貸付条件の見直しについても、関係局において要望しているところでございます。
○大山委員 今ご答弁された情報提供することだとか、それから国に対して減額を引き続き求めたりするというのも重要ですし、それから国有地を借りる場合の借地料の補助というのも非常に重要な施策です。都が土地を購入するというのは、都の行政需要があるから購入するということですよね。切実かつ緊急な待機児解消のために都有地を減額して、区市町村に貸し付けるという施策というのは、都として重要な位置づけを得ているものなんです。
さらにいえば、特養の場合は、そもそも整備が都道府県の責任です。都独自に国有地を確保して都有地にする。確保したその都有地を活用してもらうということに何の矛盾もないと思っていますので、ぜひ検討していただきたいということを要望して、質問を終わります。
○栗山委員長 ほかにございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○栗山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了をいたしました。
以上で財務局関係を終わります。
○栗山委員長 これより会計管理局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○北久保委員 それでは、都の公金管理に関する質問を行います。
ここ二、三年の金融情勢を振り返ると、デフレ脱却と物価安定に向けて、日本銀行により数回にわたり金融緩和政策が打ち出されました。ことし二月には、日本の金融政策の歴史上初めてとなるマイナス金利政策が導入され、九月には、金融緩和強化のための新しい枠組みとして、長短金利操作つき量的、質的金融緩和が導入されました。
このように、金融環境が大きく変化している中、都の公金運用額は、平成二十八年度公金管理計画によれば、歳計現金等が約一兆二百億円、基金が約三兆三千八百億円、準公営企業会計資金が約五千二百五十億円、これらを合わせ、合計で約四兆九千二百五十億円となる見込みとなっています。
こうした多額の都の公金は、いうまでもなく都民の税金が原資であり、安全確実に管理しなければなりません。都は、公金を管理するに当たり、三つの基本原則を定めているとのことですが、公金管理の基本原則としている安全性、流動性、効率性の確保とは具体的にどのようなものか、伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、公金管理の基本原則とその管理手法等を公金管理ポリシーとして定めておりまして、その基本原則は優先度の高い順に、安全性、流動性、効率性の確保としてございます。
まず、安全性の確保とは、元本の安全性の確保を最重要視し、資金元本が損なわれることを避けるため、安全な金融商品により保管及び運用を行うとともに、預け入れ先の金融機関の経営の健全性に十分留意するものでございます。
流動性の確保とは、支払い等に支障を来さないよう必要となる資金を確保するとともに、想定外の資金ニーズに備え、資金の流動性を常に確保するものでございます。
効率性の確保とは、安全性及び流動性を十分確保した上で運用収益の最大化を図るとともに、資金に不足を来した場合には効率的な資金調達に努めるものでございます。
○北久保委員 ただいまの答弁にもあったように、公金管理は、安全性の確保が最優先されるべきであります。資金元本をしっかりと確保した公金の管理に取り組むことが肝要であります。
さて、平成二十八年度公金管理計画においては、公金の具体的な運用方法として、歳計現金等及び準公営企業会計資金については全額を預金で、基金については七九%を預金、二〇%を債券、一%を金銭信託で運用することになっています。公金の大部分が預金にて運用されている状況でありますが、都は、どのようにして預金の安全性を確保しているのか、お伺いします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 預金の安全性を確保するには、預金先金融機関の経営の健全性に十分留意する必要がございます。都では、預金先金融機関の経営状況につきましては、四半期ごとに、健全性、収益性等の財務分析を行いますとともに、その推移や金融機関同士の比較などの把握に努めております。
また、格付等を日常的に監視し、経営状況の変化の兆候を早期に察知できるよう努めております。さらに、金融機関の決算説明会への参加や財務担当者へのヒアリングなども行っております。
こうした多面的な視点からのリスク管理を行うことにより、預金先金融機関の経営状況の把握に努めております。
○北久保委員 預金の安全性の確保のため、さまざまな視点から預金先の金融機関の経営状況の把握に努めていることがわかりました。
一方、債券での運用は、基金のうち二〇%でありますが、ことし二月のマイナス金利政策導入以降、期間十年の国債の利回りがマイナスになるなど、債券の運用にとっては非常に厳しい金融情勢が続いています。
このような中、債券での運用における安全性の確保について伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 債券運用につきましては、元本を確保した上で安定した利回りを確保できることが重要でございます。しかしながら、都の運用対象となる残存期間十年以内の国債は、現在マイナス利回りであり、満期まで保有した場合には元本を毀損することになります。このため、平成二十八年度公金管理計画では、国債での運用からプラスの利回りを確保できる地方債や財投機関債での運用に重点を移すことといたしました。
こうしたことを踏まえまして、債券種別の想定割合は、国債が平成二十七年度実績の四〇%から平成二十八年度計画では三〇%へ、地方債が三六%から四〇%へ、財投機関債が四%から一〇%へと、バランスに配慮した構成としてございます。
○北久保委員 預金及び債券での運用において安全性を確実に確保できるよう、引き続きリスク管理にしっかりと取り組んでいただきたい。今後も、日銀による金融緩和政策の継続が見込まれる中、金融機関の預金金利がゼロ%近くまで低下する等、先行き不透明な状況が続いています。
このような金融情勢の中、今後の公金管理に係るリスクについてどのようなものが考えられるのか、お伺いします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員ご指摘のように、金融環境の先行き不透明感が増す中、金融機関の預金獲得ニーズがさらに低下するなど、運用上の困難性が増すリスクが考えられます。また、銀行や債券の発行体の財務状況によりましては、公金の安全性の確保に支障が生じるリスクなど、公金管理に係るリスクはさらに増大するものと考えております。
○北久保委員 ただいまの説明では、今後リスクは増大するとのことでありますが、こうした増大するリスクに対し、金融市場の動向を踏まえながら、より多面的な視点から把握、分析を実施し、一層精緻にリスク管理を行うことが重要であります。こうしたリスクへの対応も含め、最後に、今後の公金管理に当たっての要諦となる考え方を局長に伺い、質問を終わります。
○浅川会計管理局長 貴重な税金を原資といたします五兆円近い都の公金につきましては、都民からその管理を負託されており、安全性を最重要視して管理を行うことは当局の使命でございます。
これまで経験したことのない昨今の金融環境下では、公金管理について、より一層リスク管理の強化の必要性が増しております。
金融市場において増大するリスクに対しては、最新の情報をいち早く収集、分析を行い、公金の運用先における財務状況の変化の兆候を見逃すことなく、早目早目の対応を行うことが重要でございます。また、運用先のリスクを分散することも公金の安全性を確保していくためには重要であります。
都は、預金や債券といった金融商品の構成が公金全体でバランスのよいものとなるように引き続きリスクの分散を図っていきます。
今後も、金融政策や金利、債券市場等の動向をこれまで以上に見きわめながら、リスク管理や運用先の分散に努め、安全性の確保を最重要視した上で、あわせて流動性、効率性の確保に万全を期してまいります。
○斉藤委員 我が党ではかねてより、再生可能エネルギーの普及や地域振興などの観点から、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについて取り上げてまいりました。その実績などについて質問したいと思います。
まず、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドを設立した経緯について伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 都では、東日本大震災を契機として、平成二十四年度に、喫緊の課題である電力の安定供給等のために、全国を対象とし、官民連携インフラファンドを組成いたしました。
また、平成二十六年度には、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等のために、東京電力及び東北電力管内を対象として、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成いたしました。
これらは、おのおのの政策課題に対応するため、民間の資金やノウハウを活用したファンドという手法を取り入れたものでございます。
○斉藤委員 平成二十七年度以降、会計管理局が官民連携ファンド事業を所管することになった経緯についても、重ねて伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携ファンドに関する事業は、新たな取り組みであり、全庁的なノウハウ蓄積に向けたパイロット事業として位置づけられてございます。ファンドスキームの構築や運営監視を円滑に行うため、金融知識を有する職員が配置されている会計管理局において所管することとされました。それに伴い監視体制を強化するため、組織を拡充したところでございます。
○斉藤委員 会計管理局にこの担当があるということ、公金管理が非常に重要な会計管理局ですので、ファンドに対する取り組みというのは挑戦的な施策であると思いますが、ファンド創設以来、この間の発電所への投融資実績、これを伺ってみたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携インフラファンドがこれまで投融資した発電所及び発電出力の合計は、全国におきまして十七件、約四十万キロワットとなります。
また、官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、東京電力管内及び東北電力管内において五件、約四万キロワットとなります。
○斉藤委員 確実に件数がふえているのではないかと思います。このエネルギーに関するファンドの配当の仕組みですが、これがどのようになっているかについても伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 一般的に、エネルギーに関するファンドは、発電所の運営会社に対して投融資を実施し、運営会社は、電力会社から一定の売電収入を得た後、ファンドに対して継続的に配当いたします。
また、ファンドが、いわゆるエグジットと呼ばれるように、投融資資産を売却した場合も、その売却代金から配当が行われることになります。
○斉藤委員 金融の専門用語ですが、エグジットというような手法もあるということであります。
この官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドから、東京都の資金回収金額及びこれまでの累積回収金額、これは都民にとっても非常な関心事だと思いますが、どのぐらい回収しているか伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携インフラファンドは、平成二十六年度までに約二億二百万円の資金を回収し、平成二十七年度には約四億八千五百万円の資金を回収したことから、累積回収額は約六億八千七百万円となります。都の出資額三十億円に対する割合は約二二・九%となっております。
また、官民連携再生可能エネルギーファンドは、組成して翌年度の平成二十七年度に回収が始まり約二千万円を回収したところでございます。
○斉藤委員 今のご答弁ですが、官民連携インフラファンドの方が先に組成しているわけですけれども、出資に対して二二・九%という回収であると。そして、まだ組成間もないこの再生可能エネルギーファンドについては、二十七年度から数字が出ておりまして、約二千万円ということで、順調に回収が始まったと。ファンドは長期的な視点が重要ですので、将来的には、これは大変大きく期待されるところでございますが、景気の動向などもありますので、ファンドをしっかり育てていきたいなというふうに思っております。
このファンド運営について、運営事業者に丸投げしてはならないと、私はこのように思うわけですけれども、都としてしっかり監視していくことが大切であろうかと思います。
二つのファンドに対する都の運営監視の枠組み、これについて伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 都は、投資、会計、法律分野等の専門家の意見を聴取しながら、ファンド運営事業者が意思決定を行う機関へオブザーバー参加し、意見を表明してございます。また、監査法人に対して、ファンドの業務執行状況の調査を外部委託しているところでございます。
こうしたことなどにより、出資者として質問権や検査権を行使しながら、ファンドの状況を継続的に監視しているところでございます。
○斉藤委員 出資者として、質問権や検査権などを行使するというお話がございましたが、この運営監視について、さらに具体的に、どのようなことを既に行っているのか、行ってきたのかを伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 ファンドの運営全般につきましては、監査法人への外部調査委託により、ファンド運営事業者の業務執行体制や組合財産の管理状況あるいは投融資後案件のモニタリング状況等を確認しております。
例えば、業務執行体制の確認におきましては、関連資料の閲覧やヒアリング等を通じてガバナンス体制やリスク管理体制を確認しているところでございます。また、個別の投融資案件につきましては、ファンド運営事業者が提案する個別の案件につきまして、専門家の意見を聴取し、案件の採算性や適法性等を確認しているところでございます。
このように、さまざまな観点から運営監視を行うことにより、ファンドが適切に運営されていることを確認しております。
○斉藤委員 この都が、公金というか、都民からいただいている税金、こういったものを使ってファンドにそれを託していくというのは、非常に、なかなか都政の歴史の中でも新しい取り組みなのですが、こういった監視というのは非常に重要であると同時に、監視といっても限界もあろうかと思いますが、果敢に、都民に納得いただけるように監視をしっかりしていただきたいと思うんです。この二つのファンドを今、組成しているわけですが、現時点でどんなふうに評価しているか、伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 まず、官民連携インフラファンドにつきましては、東日本大震災後の電力供給の安定化に貢献するとともに、再生可能エネルギー発電所の整備を通じて、東北地方における被災地支援にも貢献してきております。この間、着実に実績は積み上がっており、今後は、引き続きファンドへの運営監視を行いつつ、拠出した資金の回収を推進してまいります。
また、官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、エネルギー消費地である大都市東京の責務として、再生可能エネルギー発電の普及を促進するとともに、雇用創出等の地域振興にも貢献してきております。
契約後約一年半を経過した段階であり、引き続き投融資案件の発掘を進め、再生可能エネルギー発電の普及促進に努めてまいりたいと考えております。
○斉藤委員 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドが、エネルギー施設の整備を通じて被災地支援も含めた地域振興にも貢献してきたことが、今の答弁でわかりました。
一方で、これらのファンドは、主に固定価格買い取り制度を活用していることもありまして、資金回収に当たりましては、景気変動による影響が比較的少ない、そういうことだと思いますけれども、いかに都が出資した資金を着実に回収するかの視点もあわせて重要であろうかと思います。
今後の資金回収の見込みとあわせまして、都の所見を伺いたいと思います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、電力の安定供給や再生可能エネルギーの普及という政策目的と出資した資金を確実に回収するという収益目的とを両立させることが重要であります。
したがって、引き続き政策目的に資する投融資案件の発掘を進めるとともに、ファンドの資金の原資は税金であることから、ご指摘のとおり、着実に資金を回収していくことが必要でございます。
そうした観点から、ファンドの運営は民間事業者が行っているため、資金回収の具体的な見込みについて述べることは困難でございますが、今後も、発電所の安定的な運営により、定期的に都への配当が行われるとともに、運営事業者が有する専門的なノウハウやネットワーク等に基づき、投融資資産の売却が行われ、都への配当につながることを期待しているところでございます。
都としましては、引き続き専門家や監査法人等の外部の知見を活用し、ファンド運営の監視に努め、将来にわたって順調に資金が回収されることを期待しているところでございます。
○斉藤委員 ファンドについての質問は以上にしたいと思いますが、この官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドは、政策目的と収益目的の両立を目指すものでありまして、意欲的な取り組みであると受けとめております。特に今後の資金回収につきましては、納税者である都民の関心事でもあります。したがって、この都民に対しまして、しっかりと説明責任を果たしていくことも必要であろうと思います。
都は今後ともしっかりと、ファンド運営の監視に努め、今ご答弁、部長からございましたとおり、将来にわたって順調に資金回収されることを期待して、次の質問に移りたいと思います。
次は、新公会計制度についてでございます。
財政運営の観点からは、財務局に対する、同僚議員から質問ございましたが、会計制度そのものについて質問したいと思います。
これまで、この新公会計制度につきましては、都議会において数多くの質疑を行ってまいりました。都と国の基準の違いも明らかにいたしまして、我が党からは、都方式の推進を何度も提案し、都も全力を挙げて普及促進に努めてまいったと思います。十年を迎えたというその節目でございます。
他方、総務省は、全国自治体に対して、統一的な基準による財務書類を作成して公表するよう要請しておりまして、公会計制度をめぐっては、今、大きな転換点にあろうかと思います。
私は、昨年度の決算特別委員会において、新公会計制度の普及啓発の取り組みについて質問をいたしましたけれども、本日は、各自治体の現状を明らかにしながら、都の取り組みの成果と今後の方向性について確認したいと思います。
そこでまず、会計基準についてですけれども、国の統一的な基準では、自治体の主要な財源である税収を企業会計の損益計算書に相当する行政コスト計算書に収入として計上しないために、収支の状況は非常にわかりにくいという問題点があります。
今回、局で作成しています東京都の財務諸表概要版で改めて説明を受けたところですが、東京都の行政コスト計算書では、昨年度、収入が税収を含めて約七兆三千億円であるのに対しまして、費用は六兆六千億円でありまして、他の金融関係の収支等も含めまして、収支差額は六千四百億円となっておりまして、行政サービスの費用が当年度の税収などの収入によって賄われ、しかも、ここ三年、増加傾向にあると。そのようなことが、さまざまな努力によって財政の健全性が向上している状況が一べつできる、もう見てぱっとわかるわけでございます。
他方、国の基準では、収入に計上するのは、税収が入っていませんので、使用料ですとか手数料のみとなりまして、都に当てはめると六兆円の赤字に見えてしまう。いかにも不合理に思えるわけですが、国の基準では、この税収の問題のみならず、日々の会計処理を行わずに、決算期末に一括して仕訳を行うという手法です。簡易な方式も容認していますので、自治体運営へ有効活用することもなかなか難しいというふうに思っております。
国がこうした基準をもって、全国自治体に財務書類の作成を要請していることにつきまして、会計管理局、都は、どのように受けとめているか、認識を伺いたいと思います。
○野口会計制度担当部長 従来、公会計の基準といたしまして、全国自治体の多くが採用しておりました国の改訂モデルでは、官庁会計決算の数値を事後的に組みかえる処理で財務諸表を作成するために、その精度に難点がありまして、作成にも時間がかかっておりました。
平成二十七年一月に示された国の統一的な基準におきましては、委員るるご指摘いただきましたとおり、税収の取り扱いが非常にわかりにくく、期末一括仕訳を許容するなど不十分な点が残されてはいるものの、固定資産台帳の整備や複式簿記の処理を必須とするなど、全体としては、従来と比べて都方式に近づいていると考えております。
今回、国から全ての自治体が本格的な新公会計制度の導入を要請されたことを契機といたしまして、各自治体は、複式簿記・発生主義会計につきまして真剣に検討をし始めておりまして、結果として全国における取り組みは前進しているというふうに受けとめております。
○斉藤委員 この優劣は、本当に一べつできる、私のような者でも--私、都民に大変近い感覚だと思いますけど、東京都の方式を、ぜひぜひ全国に推進していきたいと思っておりますが、全国自治体に対しまして要請が出され、全体として取り組みは進んでいるというふうに前向きに捉えていることがわかりました。
しかし、国の基準が十分でないという認識のもと、東京都は、我が党の提案を受けて、都方式の先進自治体と連携して、新公会計制度普及促進連絡会議、こういったものを設置いたしまして、都方式の普及啓発に努めてきたはずであります。
そこで、これまでに都は、都方式の新公会計制度の普及に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、その結果、導入状況は今どうなっているかを伺いたいと思います。
○野口会計制度担当部長 都方式の会計基準でございますが、民間の企業会計に近くてわかりやすく、日々の会計処理をその都度行う日々仕訳方式を採用しておりまして、それによって事業別財務諸表が作成しやすく、マネジメントにも活用しやすいという特徴がございます。
一方で、正確な財務諸表を作成するための、この日々仕訳に対応するシステムへの改修が必要となりまして、導入自治体は時間をかけて準備しなければならないというために、都も先行自治体と連携して詳しい説明を心がけてまいりました。
国の要請によりまして、各自治体で会計基準の選択が必要になったこともあり、都は二十六年度以降、精力的に普及活動を行うことといたしまして、全国的な取り組みとして自治体マネジメントへの活用事例等を紹介するセミナーを開催したり、多様な事業別財務諸表の分析方法について解説をいたしました指標分析ガイドを作成し、日々仕訳方式による都方式のメリットの説明に努めてまいりました。
この結果、平成二十三年度に、新公会計制度普及促進連絡会議を設置いたしました当時は、都方式を採用しているのは五つの自治体のみでありましたが、これらの取り組みによりまして、二十七年度には、全国で都を含めて合計十七の自治体となりました。
○斉藤委員 この十七の自治体の中には大阪府も入っていると思います。東京都の改革の先頭に立っている学者の方も、東京都の方式がすぐれているからこそ、この方式を大阪で採用したと、このように私は認識をしております。大いに宣伝をしていただきたいと思っております。
この先行自治体との連携などによりまして、さまざまな取り組みを進めまして、その結果として、都方式を採用している自治体も着実に増加してきたことが、今の数字、推移でわかりました。この流れで、これからも採用自治体をさらにふやしていってもらいたいところではございますけれども、一方で、せっかく都方式を導入した自治体が、国の基準による財務書類の作成を要請されたことで、これまで積み上げてきた努力が無駄にならないかという、その心配、懸念の声も聞くところでございます。こういったことはないようにしてほしいのですが、各自治体は、採用する方式を選ぶステージを越えて、選択した方式による財務諸表の作成に、もはや待ったなしで取り組んでいると、もう選択をして、ルビコンを越えているというような自治体でございます。
都は、各自治体の現状を踏まえ、さまざまな支援をしていくべきと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○野口会計制度担当部長 全国の自治体は、現在は、どの方式で財務諸表を作成するか既に確定をいたしまして、平成二十九年度からの公表に向けて、固定資産台帳の整備、さらには財務会計システムの改修など、これまでに経験したことのない作業に多忙をきわめている状況にございます。
現在、都方式を導入する都内自治体に対しましては、それぞれの自治体内部に設置された検討委員会に都の職員が参画し、固定資産の評価の仕方や財務会計システムとの連携方法など、実務面での具体的な支援を行っております。
なお、都方式を導入した場合、国の要請に対応するために、これまでの努力が無駄にならないかというご指摘がありましたが、都方式で作成した財務諸表を国の統一的な基準に組みかえて財務書類を作成することは十分可能でありまして、こうした方法についても助言しているところでございます。
また、都方式でなく国の統一的な基準を採用する自治体との間では、制度導入や運用に向けまして意見交換をする中で、これまでに培ったノウハウを生かした情報提供を実施しておりまして、都としては、こうした各自治体の取り組みの状況に応じましたきめ細かな支援や情報交換を引き続き行ってまいります。
○斉藤委員 かなりきめ細かく支援をされていることがわかりました。各自治体への実務支援を引き続き行っていきたい、そういう注力していることを理解いたします。
東京都は、この制度の先駆者でございますけれども、これからも存在感をしっかり示していただきたいと思います。
この質問の最後でございます。都は、将来的にどのような方向を目指して取り組んでいくのかを、その決意も含めまして、会計管理局長にお伺いしたいと思います。
○浅川会計管理局長 総務省の要請を契機に、全国の自治体が複式簿記・発生主義による会計制度を導入することで、初めて見えてくる実情や将来の見通しがございます。これらに対して、それぞれの自治体が経営の視点に立って創意工夫を行い、より効率的、効果的な行財政運営を実現させていくことは、都としても採用する会計基準の違いはあろうとも、制度推進のよい機会であると考えます。
都方式の普及拡大という観点からは、平成二十七年度、一定の到達点に至りましたが、当面、初めて本格的な新公会計制度に真剣に向き合っている各自治体に対して、着実に導入していくことができるよう、実務レベルでの支援を行ってまいります。
基準につきましてもご議論いただきましたが、都が引き続き企業会計に近く、わかりやすい新公会計制度を追求していくことは、今後も変わりはございません。国の要請で、多くの自治体が統一的基準を選択してはおりますが、今後、各自治体が財務諸表を作成し、活用を進めていく中で、何がわかりやすいのか、どのような運用をすれば有効に活用できるのかという観点から、さまざま課題をみずから認識することになります。そうした状況になれば、より広範に基準のあり方について議論がなされることになると考えます。
都といたしましては、都方式の自治体とは、これからも緊密な連携を図り、基準が異なる自治体とも情報交換を行い、中長期的な視点を持ちながら、真に自治体経営に役立つことのできる新公会計制度を揺るぎなく目指してまいります。
○斉藤委員 今の認識を伺いますと、また局長の決意をお伺いしますと、国も、東京都にぐっとこう歩み寄って議論の土俵ができたと、その土俵の中で、これからも中長期的な視点を持ちながら、真にその自治体に役に立つ、効果のある公会計制度というものを育てていくというか、発展させていくということだと思います。
これからも多くの自治体と連携しながら、先々も見据えながら、新公会計制度のあるべき姿--これはゴールではありません、今の国の状況もゴールだということではないということの認識だと思いますが、これからも、そのあるべき姿を追求していくということのお話を伺うことできました。
引き続き、全国自治体における新公会計制度を牽引していくことを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
○大山委員 私からは、官民連携福祉貢献インフラファンドは、都民の税金を注ぎ込む先ではないという立場で質問をします。
昨年の事務事業質疑でも、私、この問題を取り上げましたが、わかったことは、福祉貢献といって、日本版CCRCなどともいっていましたけれども、結局、最低限の条件は、子育て支援施設、つまり保育園か学童保育をどんなに小さなものでも入れればいいということです。あとはオフィスビルでも、商業ビルでもいいんです、ということですね。つまり、不動産としての子育て支援施設だということです。
二〇一五年五月に、官民連携福祉貢献インフラファンドのファンドマネジャーを募集して、十月に、ファンドマネジャーを決定しました。このときは三者でした。その後、ことしの二月に、ファンド契約を二者と締結しました。昨年十月に、ファンドマネジャーを決定したときは三者に決まったはずですが、ことし二月にファンド契約は二者になったというのは、どういう理由で、どういう経過でしょうか。
○鈴木資金活用担当部長 昨年十月に選定いたしましたファンドマネジャー三者のうち、スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社は、平成二十八年二月八日付で選定を辞退いたしました。その辞退理由は、ファンド組成及び運営に係る参画企業間の調整を整えることができず、選定時提案したスキームの構築が困難となったためと聞いております。
○大山委員 つまり、企業グループでやろうとしたんだけれど、まとまらなかったので辞退したということですね。総合的に、しかも利益が上がるようにやろうとすれば、なかなか大変だということです。
ことし二月の官民連携福祉貢献インフラファンド契約の締結についてという会計管理局の発表文書ですけれども、今さっきご答弁した一者が辞退したことに対する対応が書いてあります。何と書いてあるかといいますと、今回の選定基準により、ファンドマネジャーとして的確な事業者を新たに見出すことは困難、だからファンドマネジャーの再募集は行わないとしています。これは賢明な判断だと思います。官民連携福祉貢献インフラファンド組成以来、現在までの経緯はどうなっていますか。
○鈴木資金活用担当部長 都は本年二月に、ファンドマネジャー二者とファンドを組成し、まずは、ファンドの名称やファンドの契約締結までの流れなどについて発表したところでございます。
ファンド組成後、ファンドマネジャー二者は、投融資案件の実現に向け、都内のさまざまな案件について検討しているところでございます。
○大山委員 ファンド組成後、ファンドマネジャーの二者は、投融資案件の実現に向けて都内のさまざまな案件について検討しているということなんですけれども、その検討というのはどこまで進んでいるのでしょうか。
○鈴木資金活用担当部長 都内におきまして、特に利用者のニーズや地元区市町村の意向等を踏まえ、事業として成立可能性が高い地域を対象に、現在、検討を進めていると聞いております。
○大山委員 現在、進めているということなんですけれども、具体的には、どこまで、どういうふうに決まっているんですか。
○鈴木資金活用担当部長 現在、検討しているところでございますが、なお、個別の検討している具体的な内容につきましては、守秘義務の関係がありまして、現在お答えすることが困難でございます。
○大山委員 検討しているらしいと。しかし、具体的な内容は個別案件だからいえないというわけですね。
昨年の五月に、ファンドマネジャーを募集して、それから一年半ですよ。都民の皆さんの税金が使われている案件について、どのような計画なのか、どこまで進んでいるのか、それからどこにつくろうとしているかということも全くわからない、こんなことでいいのでしょうか。
守秘義務といいますけれども、ファンドへの出資は、都民の皆さんの税金を原資とする公金の使い方として不適切ではないのでしょうか、どうなのでしょうか。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携ファンドは、行政と民間の連携による新たな取り組みとして、全庁的なノウハウ蓄積に向けたパイロット事業として位置づけてございます。
都としては、福祉貢献型建物の整備による待機児童解消への貢献という政策目的実現のため、ファンドの運営監視に努めるとともに、民主導のスキームであることから、ファンド契約上定められた守秘義務を守りながら情報発信にも努めてまいりたいと考えております。
○大山委員 結局、運営監視に努めるといっていますけれども、守秘義務を守るんだから、中身は都民の皆さんにはしゃべれませんということですよね。
パイロット事業です、つまり試験的に先行して行うということなんでしょうけれども、官民連携福祉貢献インフラファンドで、具体的には、どういうノウハウを蓄積するというのでしょうか。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携ファンドにつきましては、東京都が呼び水として資金を拠出いたしまして、民間のノウハウ、また資金を活用して政策目的を実現していく手法として考えております。また、あわせて、ファンドという手法を用いることから、資金の回収にも取り組んでいきたいと思っています。
政策目的及び資金の回収、収益目的、こうしたものを両立させる手法として、現在、取り組んでいるところでございます。
○大山委員 つまり、ファンドのノウハウを蓄積するための先行的な事業だということなのでしょうか。都民の税金を投資しても、都民にどのような内容なのか全く公開できないことを、先行的に、福祉連携を口実に行うということなんじゃないのでしょうか。
ファンドマネジャーを募集するときも、決定したときも、ファンド契約を締結したときも、発表文書には必ず東京都長期ビジョン事業と書いてありますが、長期ビジョンにおける官民連携福祉貢献インフラファンドは、どのような位置づけなんですか。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携ファンド事業は、長期ビジョンの中で、国際金融センターの実現の中の一項目として位置づけられております。
官民連携福祉貢献インフラファンドは、子育て支援施設の整備が喫緊の課題であることを踏まえ、政策総動員の一つとして、都の資金を呼び水に、民間の資金とノウハウを導入することで、子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備を促進しようとするものでございます。
また、こうした取り組みを通じまして、民間事業者に投資機会が提供され、その結果、資金を呼び込み、経済の活性化につながることにより、国際金融センターの実現にも貢献するものでございます。
○大山委員 今の最後に、また、ということで答弁されていましたけれども、長期ビジョンでの位置づけは、世界をリードするグローバル都市の実現、日本の成長を支える国際経済都市の創造で、この官民連携福祉貢献インフラファンドの記述がある項目の題名は、東京がニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融センターとしての位置へと復活、その中に、具体的に官民連携福祉貢献インフラファンドがあるわけです。つまり、官民連携福祉貢献インフラファンドの設置の目的は、東京にお金を呼び込むということなんじゃないのでしょうか。
伺いますけれども、先ほどの答弁で、待機児解消は喫緊の課題なんだと。待機児解消への貢献を強調していましたけれども、認可保育園を幾つつくる目標なのでしょうか、待機児解消にどれほど貢献されるつもりなのでしょうか。
○鈴木資金活用担当部長 繰り返しになりますが、本ファンドは、喫緊の課題である待機児童解消に対し、施策を総動員する中の一つでございます。
都としましては、一つでも多くの福祉貢献型建物を整備し、待機児童解消に貢献していきたいと考えております。
○大山委員 一つでも多くといいますけれども、結局、目標もなく、都の施策に貢献といっても、結局つけ足しになってしまうんじゃないのでしょうか。
ファンドに三十七億五千万円も出資するよりも、補助金などの形で実行した方が、早く効率的に子育て支援施設も認可保育園も整備できるんじゃないのでしょうか。
○鈴木資金活用担当部長 本ファンド事業は、待機児童解消に向け、さまざまな施策を総動員する中で、一つでも多くの福祉貢献型建物の整備をすることを目指すと同時に、ファンドという手法を活用することから、ファンドへの出資金の回収を図っていきたいと考えております。
本ファンドは、こうした二つの目的を、両立を目指すものでございまして、したがって、直接施行や補助金と比較することは適切ではないというふうに考えております。
○大山委員 さまざまな政策を総動員する中で、一つでも多くの福祉貢献型建物を整備する、それが目標なんだって、目指すといっていますけれども、結局このファンドの、官民連携福祉貢献インフラファンドの最低条件は、どんなちっちゃくてもいいですから子育て支援施設を入れてください、東京都はたくさんつくってほしいといっているけれども、結局ほかは、オフィスビルの中にちょっとだけあればいいですよと、それが最低条件なんですよ。主な目的は、保育支援施設を増設することではなくて、ファンドのノウハウを蓄積するんだということなんじゃないのでしょうか。
一年半経過しても、影も形もわからない、どのようなことを検討しているかさえわからない。しかも、その条件は、保育園か学童保育をどんな小さくてもつくればいいということなんです。
例えば、百人規模の認可保育園で、最近の整備費の平均的な建設費、大体百人規模だと二億五千万円です、それで試算しました。待機児解消緊急対策で整備費高騰加算も都独自につきましたから、それを含めますと、東京都の補助額は約八千四百万円です。三十七億五千万円投資したわけですけれども、その投資額があれば、百人規模の認可保育園が、東京都の負担でいけば約四十五カ所増設できるんですよ。約四千五百人分の増設と。計画から二年もあれば認可保育園は完成できます。直接施行や補助金と単純に比較することは適切でないとおっしゃいますけれども、都民の税金の使い方からいっても誤りだということを指摘して質問を終わります。
○山内委員 質問が重複するものもございますので、割愛しながら伺っていきたいと思います。
私からは、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについて、これまでの実績についてお伺いいたします。
○鈴木資金活用担当部長 平成二十四年度に、喫緊の課題である電力の安定供給等のため、官民連携インフラファンドを組成いたしました。
また、平成二十六年度に、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等のため、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成いたしました。二つのファンドの投融資実績については、官民連携インフラファンドは十七件、約四十万キロワット、官民連携再生可能エネルギーファンドは五件、約四万キロワットとなっております。
○山内委員 官民連携再生可能エネルギーファンドについては、都内での再生可能エネルギーの導入促進も目的としておりますけれども、その実績についてお伺いいたします。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携再生可能エネルギーファンドの都内投資促進型ファンドについては、東京都から二億円を出資しており、これまで、武蔵村山市で出力約四百二十キロワットの太陽光発電への投資を行っております。
○山内委員 今、ご答弁いただきました武蔵村山市の太陽光発電施設については、既に稼働しているのか、お伺いいたします。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携再生可能エネルギーファンドから投資を行った武蔵村山市の太陽光発電施設については、平成二十七年十二月に運転を開始しているところでございます。
○山内委員 官民連携福祉貢献インフラファンドについて、昨年度選定されたファンドマネジャー三者のうち一者が辞退した理由を改めて確認したいと思います。それとともに、現在の状況をお伺いいたします。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携福祉貢献インフラファンドにつきまして、昨年十月に選定したファンドマネジャー三者のうち、スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社は、平成二十八年二月八日付で選定を辞退したところでございます。その辞退理由は、ファンド組成及び運営に係る参画企業間の調整を整えることができず、選定時提案したスキームの構築が困難となったためと聞いております。
この二月のファンド組成後、ファンドマネジャー二者は、現在、投融資案件の実現に向け、都内のさまざまな案件について検討しているところでございます。
○山内委員 生活者ネットワークといたしましても、しっかりとチェックしていきたいと考えております。
都内には、市民がお金を集めて、地産地消のエネルギーをつくり出す市民共同発電所に数多くの市民団体が取り組んでおります。官民連携インフラファンドや再生可能エネルギーファンドを都がつくったときに、こうした市民団体からは投資を受けることができるんじゃないかという期待の声も出されておりました。しかし、実現には至っておりません。
実際の再生可能エネルギー事業は、ファンドマネジャーの判断によって案件が手がけられているというふうに聞いておりますけれども、再生可能エネルギーの量をふやすことはもちろん重要だと思いますが、民間だけでなく、東京都の資金を入れているんですから、投資先をもっと広げるべきだと考えております。ぜひとも、市民による発電事業、応援するよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大津委員 平成二十八年度の都税収入は、約五兆二千百億円と、二年連続で五兆円を超える膨大な金額となる見込みです。都税は、個人や法人の都民税や事業税に加えて、固定資産税や都市計画税、自動車税など計十六種類にわたっています。都民が納めた十六種類にも及ぶ全都税は、細心の注意を払い適切に管理されなければなりません。
そこで、都税は、公金管理の枠組みの中でどのように管理されているのか、伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民から都税として収入された現金は、まず、歳計現金として管理されます。歳計現金は、地方公共団体の歳入歳出に属する現金であり、都民へのサービス提供を行う際に必要となる資金としての性格を持ちますことから、安全、確実に保管する必要がございます。
そのため、都の基準をクリアした安全性の高い金融機関への預金にて保管するとともに、日々の支払いに支障を来さないよう支払い準備金を手厚くし、流動性の確保に万全を期しているところでございます。
また、歳計現金を通して、各種基金、例えば、財政調整基金や防災街づくり基金、福祉先進都市実現基金などとして積み立てられましたものは、各基金の設置目的を踏まえまして、安全性及び流動性を重視した上で、柔軟かつ効率的な運用を実施しております。
都では、こうした公金の管理につきましては、その方針を定めました東京都公金管理ポリシーに基づきまして、歳計現金や基金などの公金を安全かつ効率的に保管、運用することに努めております。
○大津委員 都税は、都民へのサービス提供の原資となるため、適切な管理と報告が求められます。平成十四年四月に、ペイオフのルールが解禁され、預金者にとって保護される金額の上限額が、一つの金融機関につき元本一千万円とその利息までとされました。これは、都においても適用されるため、公金管理の重要性が従前に比べさらに増してまいりました。
ペイオフ解禁以降の公金の運用利回りを見ていると、最低値は、平成十六年度の〇・〇五七%であり、最高値は平成二十年度の〇・七三二%でありました。こうした最低値及び最高値を記録することとなったそれぞれの要因は何でしたでしょうか。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成十六年度に、公金の運用利回りが最低となりましたのは、平成十三年三月に、日銀が市中に資金供給する量をふやす量的緩和政策を導入し、市場金利が低下してきたことによるものでございます。
一方、平成二十年度に、公金の運用利回りが最高となりましたのは、平成十八年三月に、それまで続けられてきました量的緩和政策が解除されまして、それ以降、断続的に政策金利の引き上げが行われたことによるものでございます。
このように、都の公金の運用利回りは、日銀の金融政策の動向によるところが大きいということでございます。
○大津委員 都の公金の運用利回りは、平成二十年度に〇・七三二%の最高値を記録したものの、平成二十年九月に、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻し、世界的金融危機が続いた、いわゆるリーマンショックが発生しました。それ以降は、国内の景気を下支えする目的で、日銀が政策金利の引き下げを開始したことにより、公金の運用利回りは低下傾向にあります。
そして、ことし二月には、金融機関が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利を適用するというマイナス金利政策が導入されました。これを受けて、普通預金の金利が〇・〇〇一%まで下がるなど、市場金利は大幅に低下しており預金者にとっては大変厳しい状況となっています。また、マイナス金利と聞いて、預金者の中には、不安や懸念を示される方も多かったように思われます。
先ほどの答弁にもございましたように、都の公金の運用利回りは、日銀の金融政策の動向に左右されるとのことですが、そこで、マイナス金利政策により、都の公金管理はどのような影響を受けたのか、伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日銀によりマイナス金利政策が導入されましたことし二月以降につきまして、預金や国債などの市場金利は過去最低水準まで低下し、長期金利の指標となる残存期間十年の国債の利回りは、マイナス利回りが恒常化してございます。このため、都では、現在、新たに国債での運用が困難な状況になってございます。
また、都が行う日々の預金入札では、金融機関の提示金利が大幅に低下しているだけでなく、預金入札への参加そのものを辞退する金融機関の数もふえてございます。
このため、今後の運用利回りは大変厳しいものになると思われます。
○大津委員 今までの答弁にありましたように、今後は、さらなる運用利回りの低下が見込まれる中、公金の管理には、より一層の注意が必要となります。
最後に、公金管理に携わる者、会計管理局として、浅川局長の決意を伺い、質問を終わりにしたいと思います。
○浅川会計管理局長 公金管理の原点に立ち返ってみますと、都が行っているさまざまな行政活動は、都民の福祉の増進を図るために都民の皆様から税金をお預かりし、それを都民の皆様に行政サービスとして還元していくということで成り立っております。
公金管理とは、税金をお預かりしてから都民の皆様へのサービス提供として支出されるまでの間、公金として安全かつ確実に管理することであり、それが当局に課せられた役割、責務でございます。
したがいまして、公金の管理に当たりましては、法令及び東京都公金管理ポリシーに基づいて、安全性を最重要視して管理を行うとともに、あわせて、流動性及び効率性の確保に万全を期していくことが重要と考えます。
公金を取り巻く環境は、先ほど来お話にありますとおり、日銀によることし二月のマイナス金利政策の導入、この九月には、新しい枠組みとして長短金利操作を導入するなど刻々と変化しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
こうした金融政策や景気の動向などに特段の注意を払いつつ、今後ともしっかりと公金管理に取り組み、公金を預かる重責を全うしてまいります。
○山森委員 都は、全国に先駆けて本格的な複式簿記・発生主義会計を導入してまいりました。この新公会計制度運用から十年が経過いたしましたが、この間、都は、東京都方式の会計基準の普及に努めてまいりました。平成二十七年一月には、総務省から全国自治体に、統一的な基準による財務書類作成が要請され、さまざまな基準論争を経て、今や各自治体が複式簿記・発生主義会計の導入に向けて鋭意準備している状況と聞いております。
先ほど、他の委員からも質疑がございましたが、私からも、都方式の普及促進の状況について、特に都内の自治体に対して、今どのように支援をしているのか、また新公会計制度をどのように推進していくのか、質問してまいります。
まず、都の新公会計制度は、民間の企業会計に近くてわかりやすく、効率的な行政運営を推進する上で有力なツールであるとして普及を進めてきたところでございますが、都内自治体への導入促進に向けたこれまでの取り組みと現在の導入状況についてお伺いをいたします。
○野口会計制度担当部長 国は、全国の自治体に対して、平成二十七年一月に、統一的な基準による財務書類を二十九年度までに公表することを要請したために、その作成の準備期間を考えますと、二十七年度が会計基準の選択のリミットとなっておりました。
都の新公会計制度は、いわゆる日々仕訳方式による本格的な複式簿記・発生主義会計によるものでありまして、事業ごとの財務諸表も迅速かつ正確に作成できる活用しやすい仕組みであります。一方で、このために財務会計システムの精緻なつくり込みが必要となりまして、改修規模が大きくなるという側面がございます。
こうしたことから、都は、都内自治体に対しまして、特別区長会あるいは東京都市長会と連携をいたしまして、研究会や研修等におきまして、都方式の特徴や検討課題、活用の可能性、導入に際して都が全面的に支援を行うことにつき説明をするとともに、各自治体を個別に直接訪問いたしまして導入する意義を強調するなど、都方式による制度導入を促進してまいりました。
これらの取り組みによりまして、都方式を採用するに至りました都内の自治体は、以前から導入を決めていた町田市と江戸川区に加えまして、二十六年度には、荒川区と福生、八王子市の三自治体、二十七年度には、中央、渋谷、板橋、世田谷、品川の五区が加わりまして、都内では計十区市となったところでございます。
○山森委員 実務的な不安を丁寧に解きほぐしながら、精力的な取り組みを行ってきたことにより、都方式を導入する都内の自治体は着実に増加しているということでございます。
しかし、いまだ財務書類作成に不安のある自治体もあると思います。いずれにいたしましても、全ての自治体は、総務省からの要請により、財務書類を作成しなければならないわけですが、都内の自治体の現状に対して、都はどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。
○野口会計制度担当部長 多くの自治体では、初めて本格的な新公会計制度を導入することになりまして、自治体内部の体制整備や財務諸表作成のノウハウが不足している状況にございます。
このため都は、都方式を採用することを選択した都内の自治体との間では、個別に支援協定を締結いたしまして、それぞれの自治体内部に設けられた検討組織に都の職員が出向いて、固定資産台帳や財務会計システムの整備などの面で実務的な助言を行っているところでございます。
また、都方式でなく、国の統一的な基準を採用した都内の自治体に対しまして、本年五月と六月ですが、制度導入に関して個別に実務面での相談を受ける機会を設けましたところ、二十三の自治体が参加しております。これは、対象とした自治体の四割を超えるものでありまして、特に市では六割近くが参加をいたしまして、制度導入に伴う実務負担について不安を持っていることが示されたというふうに考えております。
これに対して、来年度公表という期限が近づく中で、事務負担をできるだけ簡素化して台帳との照合や数値の点検を進めていくことなど、運用上、留意すべき点を助言いたしたところであります。
この取り組みは、年内に再度、都内の自治体に向けて行うとともに、近隣県の自治体にまで対象を広げまして、実務上の課題について意見交換を行っていく予定にしております。
○山森委員 作成の期限が目前に迫る中、これまでに都が積み重ねてきた経験やノウハウ、都内各自治体に対する実務的で具体的な支援をさらに進めていただきたいと思います。
同時に、各自治体は、どのように財務諸表を作成し、公表まで取り組めばよいかを考えることで手いっぱいだと思われます。しかし、財務諸表は作成すること自体が目的ではなく、それをツールとして、いかに行財政運営に生かしていくかが重要であります。
そこで、財務諸表の活用という面では、都は、各自治体に対し、現在どのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。
○野口会計制度担当部長 財務諸表は、委員ご指摘のとおり、自治体経営にいかに活用していくかが非常に重要であります。しかも、このことを作成した後に考えるのではなくて、制度導入のときから具体的に組み立てていく必要があるというふうに考えております。そして、各自治体が財務諸表の活用策を検討するには、先駆的な取り組み事例を参考にすることが極めて有効であるというふうに考えておるところでございます。
今月十一月には、都方式を採用する全国の自治体で連携いたしました新公会計制度普及促進連絡会議の主催によりまして、財務諸表の有効活用をテーマとしたシンポジウムを江戸川区において開催いたします。このシンポジウムでは、先行して取り組んでいる町田市や大阪府吹田市による事例紹介等を予定しておりまして、こうした協働した取り組みを通じまして、既に制度を導入済みであったり、準備中の自治体にも、その活用を明確に視野に入れておくべきことをメッセージとして発信していきたいと考えております。
○山森委員 時宜にかなう有意義なシンポジウムになりますよう、都はしっかり準備して情報発信をしていただきたいと思います。
今、導入に苦労している自治体も、財務諸表が有効に活用されて初めて制度が生かされるわけでございますが、最後に、各自治体における活用という観点から、今後都は、新公会計制度をどのように推進していく考えであるか、局長にお伺いをいたします。
○浅川会計管理局長 現在、都方式を導入した一部の自治体の間では、国の統一的な基準を採用する自治体と連携し、財務諸表を用いて個別事業のコスト比較を行う試みが始まっております。総務省も、この十月、地方公会計の活用のあり方に関する研究会報告書を取りまとめ、これからはつくって見せるという段階から、活用する段階に制度のステージが変わるとしており、財務諸表活用の動きが広がりを見せ始めております。
財務諸表を個々の事業のマネジメントや中長期的な視点に立った財政基盤の強化等に活用する自治体がふえていくことは、これまで先行して制度を推進してきた都といたしましても歓迎すべきものと捉えております。
都としては、これらの取り組みが深化し、さらに多くの自治体に広がるよう、これまで蓄積したノウハウの提供や先駆的な取り組み事例の発信を進めるとともに、財務諸表の活用の面においても、ネットワークづくりを促進していきたいと考えております。
こうした取り組みを通じて、各自治体における財務諸表を活用した効率的、効果的な行財政運営の推進に寄与してまいります。
○栗山委員長 ほかにございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○栗山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十八分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.