財政委員会速記録第八号

平成二十八年六月十日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長鈴木 錦治君
副委員長堀  宏道君
副委員長遠藤  守君
理事崎山 知尚君
理事松村 友昭君
理事酒井 大史君
大津ひろ子君
山内れい子君
神野 次郎君
桜井 浩之君
ともとし春久君
宇田川聡史君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長長谷川 明君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務十河 慎一君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長岩瀬 和春君
財産運用部長中村 倫治君
利活用調整担当部長山根 恭子君
建築保全部長久保田浩二君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長米今 俊信君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長草野 智文君
主税局局長小林  清君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務西海 哲洋君
税制部長加藤  隆君
税制調査担当部長池田 美英君
調整担当部長笹本  勉君
課税部長山内 和久君
資産税部長大久保哲也君
徴収部長安藤 敏朗君
特別滞納整理担当部長譲原 秀晃君
会計管理局局長塚本 直之君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務片山  謙君
警察・消防出納部長吉野 孝行君
資金活用担当部長鈴木 誠司君
会計制度担当部長野口 毅水君

本日の会議に付した事件
意見書について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十七号議案 都立臨海地区特別支援学校(仮称)(二十八)新築工事請負契約
・第百三十八号議案 都立板橋高等学校(二十八)改築工事請負契約
・第百三十九号議案 警視庁下谷警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
・第百四十号議案  都営住宅二十八CH-一〇一東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事請負契約
・第百四十一号議案 都営住宅二十七H-一〇三東(荒川区町屋五丁目)工事その二請負契約
・第百四十二号議案 都営住宅二十七H-一一九東(江東区豊洲四丁目)工事請負契約
・第百四十三号議案 平成二十八年度岡田港船客待合所及び津波避難施設新築その他工事請負契約
・第百四十四号議案 平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約
・第百四十五号議案 平成二十八年度新砂水門(再整備)門扉製作据付工事請負契約
・第百四十六号議案 今井水門耐震補強工事(その二) 請負契約
・第百四十七号議案 平成二十八年度辰巳排水機場(再整備)建設工事(その一) 請負契約
・第百四十九号議案 土地及び建物の買入れについて
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成二十七年度公金管理実績(年間)について
・平成二十八年度公金管理計画の策定について

○鈴木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局及び主税局関係の付託議案の審査並びに会計管理局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百三十七号議案から第百四十七号議案までの契約議案については、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十七号議案から第百四十七号議案まで及び第百四十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○堀委員 今定例会には、提出議案として十一件の工事請負契約が提案されております。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年に向けて、事業者にとっては事業量が十分に確保されている今こそ、若い技術者や女性技術者の活躍を促しながら、その育成、確保と定着を図る絶好のチャンスであると考えております。また、二〇二〇年以降は、九〇年代に整備してきた道路や橋などの身近なインフラも四半世紀が経過し、その多くは老朽化が進み、計画的な更新が不可欠となっております。
 このような認識のもと、我々都議会自民党は、財務局とともに、市場価格と予定価格のギャップの解消など入札契約制度改革に取り組んできたわけでございますけれども、その中でも特に最低制限価格制度について、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 WTO未満額までの工事に最低制限価格制度を適用する臨時的措置を平成二十七年度から実施いたしておりますが、その意義は何かについて改めてお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 都においては、平成二十五年夏以降、議会付議案件を初めとした契約案件の入札不調が増加し、施設の耐震化や都立学校の建てかえなどの事業効果の発現がおくれる懸念が生じておりました。
 このため、二十七年四月から、最低制限価格制度の適用範囲をWTO未満額まで大幅に拡大する臨時的措置を実施いたしました。最低制限価格は入札参加者にとって失格となる下限値であり、その設定に際しては、予定価格についても市場価格とのギャップを埋め、これらをあわせて競争促進的な価格帯を設定いたしました。
 この臨時的措置は、低価格入札を防止することで事業者の入札参加意欲を高め、喫緊の課題である入札不調の解消へとつなげるとともに、構造的な人材不足が深刻化する事業者の事業運営を持続的に担保することで、公共工事の担い手を中長期的に確保、育成する意義を有しております。
 このような意義を有する最低制限価格制度を積極的に活用し、二〇二〇年大会に向けて、都の事業を着実に進めるとともに、その後の持続的なインフラ整備を可能とする環境を整備してまいります。

○堀委員 最低制限価格の臨時的措置には、今ご答弁もございましたけれども、入札不調対策という短期的な視点と、それから建設業の担い手の確保という大事な中長期的な視点がございますけれども、まずは、短期的な視点である入札不調対策について、その成果は、現在までの入札状況にどのようにあらわれているのかについてお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 最低制限価格制度を適用する臨時的措置を開始してから一年が経過いたしました。この間の入札契約の全体状況を不調発生率で見ていきますと、二十七年度は全業種平均で九・八%となり、前年度の一三・五%と比べ改善しております。
 また、入札参加者数で見ていきますと、二十七年度から新たに臨時的措置を適用した価格帯の建築工事について二十六年度と比較いたしますと、二十六年度は一者入札の案件が五八%を占めていたのに対し、二十七年度は三四%と大幅に減少しております。
 さらに、落札率の分布を比較、分析いたしますと、二十六年度は予定価格付近の九八%以上で応札した案件が五五%を占めていたのに対し、二十七年度は九五%未満で応札があった案件がほぼ同率の五四%となっておりまして、落札率は低下する方向にシフトしております。
 個別案件の具体例を取り出して比較してみますと、予定価格約七億八千二百万円の都営住宅新築工事におきまして、最低制限価格のない二十六年度は、一者九九・七%の入札結果であったところ、最低制限価格を設定した二十七年度の同種同規模の案件では、五者入札で九二・二%の入札結果となっております。
 このように、臨時的措置により、最低制限価格制度を積極的に活用するとともに、市場動向を反映した予定価格の設定と組み合わせることによって、事業者の応札意欲が高まり、競争性の発揮という効果もあらわれるなど、最低制限価格制度の有効性を改めて確認することができました。

○堀委員 今、入札不調については、さまざまな数字のデータで改善が見られるようでありまして、成果が出ているのかなと確認できました。
 もう一方の、中長期的な視点である将来にわたる担い手の育成と確保についても、改正品確法の理念として新たに加わったように、取り組みを進めていくべき重要な課題であろうかと思います。
 最低制限価格制度を活用することにより、持続的な事業運営を担保することが、都の直接の契約者である元請に対して有効であることについては理解をしております。しかし、この成果が将来にわたる担い手の育成と確保に向けて、一次下請や二次下請にまで及んでいくことが何より不可欠であります。
 都は、下請の実態を把握するため、二十六年度から社会保険労務士と連携した特別調査を実施しておりますが、二十七年度の調査の成果と課題についてお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 ただいま、堀副委員長の方からお話のありましたこの特別調査は、低入札案件の中から、契約前の書類調査では把握できない賃金を初め、労働条件、労働環境についての現場の実態を法令遵守の観点から実施するものでございます。
 具体的には、社会保険への加入状況や休日の付与、労働時間の管理及び賃金支払いなど、就業規則や賃金台帳を中心に、元請事業者及び一次、二次の下請事業者について調査しております。
 二十七年度の調査結果でございますが、まずは社会保険の加入状況につきましては、元請事業者及び下請事業者合計十六者の全てが優良という評価となり、都を初めといたしました、国や事業者団体の社会保険未加入対策の成果があらわれているものと考えております。現に、本年六月一日現在、都の工事登録事業者の社会保険加入率は九九・二%となっており、二十九年度からの資格審査の要件化に向け、準備が整いつつあると考えております。
 一方、労働条件、労働環境につきましては、元請事業者は、おおむね良好でございましたが、下請事業者は、労働時間の管理、振りかえ休日の運用や割り増し賃金の算定に一部不備が指摘されております。報告書の中で指摘されたこの記録の不備の背景には、建設現場においては、元請が工程に合わせて下請を集めて仕事を進めているため、下請事業者は、工事現場に各自で集合している従業員への労働条件等の配慮や管理が十分ではないという実態がございます。
 このため、下請事業者の労働条件、労働環境の改善に向けましては、元請事業者が下請事業者も含めた労務管理情報の共有化を図るなど、元請事業者の現場における下請へのマネジメントの改善も大きな要素になると考えております。

○堀委員 事業者全体にとって、社会保険への加入や就業環境の改善は、人材を獲得して育てていく上で何より大事かなと思っております。我々も下請の労働条件の改善に向けて、元請が積極的に関与していくことが必要だと常々考えております。
 そこで、これまでの調査を踏まえて、二十八年度の調査は、中長期的な担い手を確保するためにどのように取り組んでいくのかについてお尋ねいたします。

○松永契約調整担当部長 二十八年度の特別調査は、これまでの低入札案件を対象とする調査から対象を拡大して、財務局契約の全ての案件を対象として、その中から選定していくこととしております。二十八年度の調査の実施に当たりましては、次の三点を踏まえながら調査を行っていくというふうに考えております。
 第一に、労働条件、労働環境の改善に向けては、建設局による週休二日制確保事業の拡大実施や、産業労働局による工事現場の女性用仮設トイレやロッカー、仮眠室などへの助成金制度の新設など、事業者による人材の確保、育成、活躍を支援する体制が整いつつあること。
 第二に、二十八年度調査に先立ちまして、賃金を初めとした労働条件、労働環境につきまして、建設業全体の改善状況を把握するため、設計労務単価上昇に伴う下請契約への反映状況や基本給及び初任給の引き上げ状況などを事業者団体を通じて調査し、これをもとに入札監視委員会のもとで事業者団体との意見交換を行う予定であること。
 第三に、先ほどご答弁申し上げましたとおり、二十七年度の調査では、下請事業者の労働管理に不備が認められ、その要因が元請事業者の現場マネジメントにも起因していると考えられること。
 これらを踏まえ、今年度の特別調査は、下請事業者には引き続き労働条件、労働環境の現場調査を行うとともに、元請事業者に対しましては、下請事業者の処遇改善にどのようにかかわっているのか、その際の課題も含め、ヒアリング調査を中心に実施していくことで、建設業の現在及び将来の担い手の確保に向けた元請事業者の積極的な関与を求めることを検討しております。
 都は、今後とも、建設業全体の就業環境の改善に向けまして、事業者みずからが下請事業者を含む処遇の改善に自主的に取り組んでいくための環境整備を進めるとともに、現場を含め、職員一人一人が発注者としての自覚と責任を持って、持続的なインフラ整備に向けた取り組みを進めてまいります。

○堀委員 これまで取り組んできた入札契約制度改革の成果を現場レベルにもしっかり定着させていくことが事業者側の理解や協力にもつながってまいりますし、社会資本の持続的な整備にも必ずつながっていくものだと考えております。つまり、発注者は発注者の責任を果たし、そしてまた、受注者は受注者としての責任を果たしていくことが、都民のための社会資本を持続的に整備していくためには不可欠であります。改めてこのことを強調して私の質問を終わります。

○松村委員 第百四十四号、平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事契約について伺います。
 臨港道路南北線は、国の事業であり、総事業費一千百億円もの大型公共事業です。中央防波堤外側の外貿コンテナふ頭と連動して推進する事業です。
 国直轄事業でありながら、なぜ東京都が中防内側陸上トンネル工事を請け負うのか、所管の港湾局に伺いましたら、国は廃棄物の埋立地のトンネル工事をやったことがないから東京都の工事としてやることになった旨のことを伺いました。
 二〇一四年、平成二十六年三月に出された東京港土質調査報告書、これは国交省関東地方整備局東京港湾事務所とコンサルタント株式会社が出したものですが、施工箇所で土壌汚染対策法の基準を超える汚染土壌が確認されています。私もその報告書をいただいて、そのことを確認しました。
 例えば、フッ素化合物とか、それから鉛またはその化合物、それからヒ素またはその化合物など検出された、その図面と、深さとかそういうのが出ております。
 これらの施工箇所では、過去に埋め立てられたごみを掘り返すことが懸念されますし、これらのごみには、法規制のない時期に埋め立てられたアスベスト、医療廃棄物等が含まれている可能性もあり、作業員への健康被害や二次汚染拡散も懸念される、これらの懸念を十分予測することができるにもかかわらず、仕様書にはこれらを明記していないとの声が私どもの方にも寄せられています。
 少なくとも、国の事業から、そして国もこういう調査をやって土対法の基準を上回るものが出たから、私は契約前に改めて、例えば、東京都もこういう土壌調査をやるとか、環境アセスをやるとか、それまで契約を見合わせるとか、そういうことも考えられるのかなという思いがして、この議案を検討いたしました。
 もちろん、これ所管局は、発注者は港湾局ですから、港湾局にもお聞きし、仕様書等もいただきました。そこでは、今後対応を図るとのことですけれども、私は、財務局、これは契約事務の統括者である財務局長のもと--事務事業の手引では、財務局では契約にかかわる諸制度面における整備及び改善並びに事務処理にかかわる指導及び調整を行っているという、こういう機能が書かれております。また、最近ではというか、品確法が出されて改正され、発注者は、現在及び将来の公共工事の品質が確保されるよう、公共工事の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、仕様書及び設計書並びに予定価格の作成その他発注関係の事務を適切に実施することというふうにされておりますし、そういう指導、それから発注者の港湾局とか、統括する財務がやはりかかわってこの契約を進めていくということになるので、今私が、都民の声がそういうことであって紹介したんですけれども、この点については、財務局としてはというか、契約としてはどのように受けとめるというか、見解というか、あったら、ちょっとお答えいただきたいと思います。

○松永契約調整担当部長 契約所管局であります財務局は、各局の契約締結依頼に基づいて、適正かつ迅速に契約事務を進めるというのが役割だというふうに認識しております。
 そういう中で、今指導というお話が出ましたが、入札契約手続上のさまざまな公平性、公正性のようなものに関する、著しくそういうものを欠くような場合につきましては、全庁的な調整ということになりますが、今、松村理事がおっしゃいました内容につきましては、それぞれの所管局で、その内容について把握するということでやっておりますので、財務局の所管といたしましては、入札契約手続上の適正な事務を執行するということでございます。
 さらにいえば、改正品確法のお話が出ましたので、仕様書を整備するということでございますが、これは、受注者側に余分な負担をさせないという意味で、履行内容をきちんと仕様書に書き、それに基づく予定価格を反映した形での入札契約をすべきであるという、それが現在及び中長期的な人材の確保、育成につながるということでありまして、あやふやなもの、あるいは、まだこれから予見されるかどうかわからないようなものを契約書に整備するということとは趣旨が違っているというふうに理解しております。

○松村委員 いずれにしても、入札に当たっては、入札の公告、それからまた広く、応札する方々に、こういう調査結果に基づくものがあるんだということをこの仕様書などにも明記するとか、私はもちろん素人ですから、少なくともそういう必要性も感じますし、工事やってみて、例えば、アスベストとかいろいろなものが出たとか、そうしたらまた工事を中断して、追加工事だとか工期が延びるとか、過去にもいろいろな、そういう予測しないものがあるものでの契約の案件を私たちも多数審議しました。
 そういう意味では、少なくとも、国の調査によってそういうことが明らかになってきているわけですから、そこのところは、契約に当たる前に、もちろん所管局が中心ですけれども、十分調整するなり、都民のそういう懸念に応えることも役割じゃないかというふうに私は思います。
 いずれにしても、この事業の必要性を説明する国土交通省が示した資料では、二〇四〇年代の初めで周辺発生予測交通量は二十万台であり、当事業による環境影響評価書に示された予測交通量は二〇三〇年代の後半で十三万三千台との乖離が二倍近くもあって、信憑性が問われるものです。
 今後、人口減少、少子高齢化社会に進む中で、巨大コンテナふ頭整備や新たな道路建設など大型公共事業は見直すべきであります。よって、本工事請負契約には反対です。
 以上です。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○崎山委員 質問に入る前に、舛添知事の一連の公私混同疑惑などご本人が招いた都政の混乱について一言述べさせていただきたいと思います。
 舛添知事の一連の問題が発覚して、都庁には苦情の電話が殺到して、職員の間からは、仕事にならないと悲鳴の声が寄せられております。主税局の皆さんも疲労こんぱいは増すばかりだというふうに思っております。
 笑い話にもならないんですけれども、我が控室にかかってきた電話は、別件で都民の声に電話を入れたがかからない、なかなかつながらない、電話がつながらないことへの苦情の電話が来る始末です。まさに都政の停滞どころか後退しているありさまであります。
 そして、あと三週間ほどで六月三十日を迎えます。何の日だかわかっていると思います。期末手当の支給日です。特に、税金を徴収するセクションにとっては、矢面に立って、都民の皆さんからさらに厳しい声や視線を受けることになると思います。ぜひ、頑張って乗り切っていただきたいというふうに思っております。
 加えて、今定例会で何度も舛添知事に対して発せられた言葉、出処進退という言葉です。この言葉、私は、猪瀬前知事にも申し上げさせていただきました。近所の住職さんに教えてもらった言葉です。河井継之助さんの言葉で、出ると進むは人の助けが要るが、野におると退くはみずから決すべきことというふうにおっしゃっていただきました。知事はいませんけれども、賢明な判断に期待をしたいと思います。
 さて、質問に入らせていただきます。
 東京都条例の改正のうち、固定資産税について伺います。
 太陽光など再生可能エネルギー発電設備の特例措置について、条例でその軽減割合を定めているということであります。これまでこの割合については、国によって地方税法で定められ、全国一律に適用されていたところ、いわゆるわがまち特例が導入されたことにより、軽減割合を地方自治体で決定できるような仕組みになっていると聞いています。
 そこでまず、そもそもわがまち特例とはどのようなものであるか、制度の概要について伺います。また、これまでどのような資産にこの特例が導入されてきたのか、お答え願います。

○加藤税制部長 いわゆるわがまち特例とは、固定資産税等に係る特例措置につきまして、通常は国が地方税法で一律に規定しているところを、地方自治体が地域の実情に応じて自主的に判断し、法が定める一定の幅の中で条例で定める仕組みのことでございます。
 毎年度の税制改正におきましては、期限切れとなる特例措置等について、その内容を踏まえ、わがまち特例の導入の是非が検討されております。また、これまでに導入された例といたしましては、都市再生特別措置法に基づき認定事業者が取得する公共施設等や一定の業務用冷凍冷蔵機器、これはコンビニ、スーパー等にあるショーケースでございますけれども、こういったものでノンフロン製品であるもの、こういったものが対象となっております。

○崎山委員 制度の概要については理解することができました。
 それでは、具体的に対象となる再生可能エネルギー発電設備の特例措置、これはどういうものなのか、また、今回わがまち特例が導入された理由についてご説明願います。いかがでしょうか。

○加藤税制部長 本特例措置の概要を申し上げますと、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電設備のうち、国の認定等を受けるなど一定の要件を満たし、事業者が新たに取得したものにつきまして、償却資産に係る固定資産税の課税標準を三年度分、一定の割合に軽減するものでございます。
 再生可能エネルギー導入加速に向けた取り組みは地方自治体によってさまざまでございまして、地域の実情に応じて地方自治体が判断できるようにすることが望ましいことから、今回の期限切れに伴い、わがまち特例が導入されました。

○崎山委員 わがまち特例は、一定の幅の中で軽減割合を定めるという制約はあるものの、地方自治体が税制を通じて、これまで以上に地域の実情に応じた政策を展開できるよう導入された制度ということであります。したがって、軽減割合を条例に定めることは、地方自治体の各事業を推進する姿勢を示すものといえ、その理由を明確にする必要があります。
 今回、再生可能エネルギー発電設備について、その軽減割合を法律の枠内で最大値とするということになっておりますが、その理由についてお伺いをいたします。

○加藤税制部長 電力の大消費地であります東京は、気候変動に対応し、都市の持続可能性を高めるため、低炭素なエネルギーの拡大は不可欠でございます。
 本年三月に策定されました東京都環境基本計画では、再生可能エネルギーの電力利用割合を二〇三〇年までに三〇%程度に高めるという意欲的な目標を掲げ、事業を推進することとしております。
 こうした状況のもと、償却資産に係る固定資産税については、軽減の規模を最大とすることで事業者の負担軽減を図り、再生可能エネルギー導入拡大の着実かつ計画的な事業展開を税制面から後押ししていこうとするものでございます。

○崎山委員 我が党も提言しておりますが、後世に誇れるクリーンで美しい東京をつくっていくためには、国を上回る意欲的な目標の達成に向けて、あらゆる手段を講じなければならないというふうに思っています。
 このような中、わがまち特例を活用して事業者の税負担を最大限軽減すると判断したことは、再生可能エネルギーの普及拡大を進めていく上で評価するものであります。
 環境対策やまちづくりなどは、その優先順位や政策目標が地域によって大きく異なることから、地域の実情に応じて自治体が自主的に軽減割合を決定できるわがまち特例は、地方分権社会に根差した制度の一つといえます。
 都が、さまざまな施策を推進していくためには、このわがまち特例のような税制面からの支援も大変重要であると考えています。また他方、地方分権を推進し、真の地方自治を実現するために最も重要であるのは、地方自治体がみずからの財源とみずからの責任に基づいて自主的、自立的に行財政運営を行うことであります。
 今後、少子高齢化のさらなる進行に伴い、社会保障費も増大し、地方の果たすべき役割が大きくなることは明らかであり、その役割に見合った財源を確保できる税財政制度の構築が不可欠であると考えます。
 そこで最後に、地方分権を推進するには課税自主権の活用が重要と考えますが、局長の見解をお伺いいたします。いかがでしょうか。

○小林主税局長 地方分権の目的は、住民に近く、より効果的な行政サービスを提供できる地方自治体が、みずからの責任と財源において、自立的な行財政運営を実現していくことでございます。
 そのためには、国から地方への権限や税源の移譲とあわせまして、地方自治体がみずからの権限に基づいて課税内容を決定する、ただいまお話がございました課税自主権を行使することが重要になるというふうに考えております。この課税自主権は、行政サービスの提供に必要な財源確保という、こういう目的のほかにも、特定の施策を誘導する手段としても有効であるというふうに考えております。
 こうした観点から、これまで都では、法人二税の超過課税による財源確保を図るとともに、防災対策を後押しする耐震住宅促進減免や不燃化特区支援減免などの政策支援税制を行ってまいりました。この政策支援税制につきましては、今年度の東京都税制調査会において、検討項目の一つとしてございます。事業を進める関係各局との連携を強化し、税に関する要望等を把握した上で、議論を深めていただくということとしてございます。
 今後とも、歳入所管局といたしまして、都政を財政面から支える都税の収入確保に努めるとともに、税の公平性等を見きわめつつ、都の重要施策について税制面から支援を進めていくなど、地方自治の確立に向けて課税自主権を活用してまいります。

○崎山委員 ありがとうございます。東京都税制調査会において、政策支援税制について検討するということでありました。ぜひ議論を深めていただきたいと思います。
 主税局には、最大の使命である都税収入の確保、そしてさらにもう一つには、都政の重要施策を推進するための課税自主権の活用も視野に入れながら、税務行政を推進していただきたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員 では、よろしくお願いします。先ごろ、三菱自動車による燃費不正問題が発覚をいたしました。この問題は、我が国の、いわゆる技術を、その信頼性を根底から覆す非常に重大な事案であると思います。
 現在、国交省の中で、さまざまなこれの対処等が検討されておりますけれども、今回、都税条例の改正案はこれに関連する中身になっておりますので、確認を含めて質問させていただきたいと思います。
 今回の改正案には、自動車税のグリーン化特例について、その適用期限を一年間延長する、この内容が含まれております。このグリーン化特例とは、燃費性能等のすぐれた環境負荷の小さい自動車の税を軽減し、軽くして、その一方で、一定年数を経過した自動車の税を重くするという、こういう制度であるわけでありますけれども、まず、きょうの質疑の前提として、この制度は、どんな理由で、どんな経過で導入をされたのか、改めてお伺いしたいと思います。

○加藤税制部長 東京都は、平成十二年度に、当時の東京の厳しい大気環境の実態を踏まえまして、自動車排出ガス規制の強化、あるいは都が中心となっておりましたディーゼル車対策等と相まって、低公害車の普及促進を税制面から支援するため、国に先駆けてグリーン化特例を導入することとしたものでございます。その後、地方税法が改正されまして、全国共通の制度となっております。
 なお、制度の創設に際しましては、軽課による減収額と重課による増収額が同じくらいの規模になることを前提としておりました。

○遠藤委員 都が先駆けて、それが全国の共通の制度になったということであります。前の前の知事の強い思いがあって、それが背景となってつくられた制度であると、このように思っております。
 制度の創設当時は、税制の税収、入りと出、行ってこいということで、税収の中立を前提としていたと、こういう答弁であったと思います。
 それでは、現在、都内に、都にはおよそ自動車が三百十五万台あるということでありますけれども、この軽課と重課が適用されている車は、それぞれ何台ぐらいいて、その影響の額は幾らぐらいになるのか、答弁を求めたいと思います。

○山内課税部長 平成二十六年度の実績では、軽課--税の負担が軽くなる対象は約十八万台、約二十九億円の減収となっているのに対して、重課の対象は約四十四万台、約十五億円の増収となっております。

○遠藤委員 今、部長から示された、答弁に示されたこの数字は、グリーン化特例が自動車メーカーの技術開発に向けた努力を促して、環境性能のいい低公害車が社会に普及する、こうしたことに非常に大きく貢献したことを数字が物語っているんだと思います。とはいえ、冒頭お話ししましたとおり、企業間で、いかに燃費のいい車を製造するかという激化を促したその副作用として、今般の三菱自動車のような不正問題が起こったとも考えられるわけであります。
 ところで、報道の発表によりますと、当該自動車の総数は、平成二十五年六月以降に生産がされた約六十二万五千台、六十三万台に近いという膨大な台数であり、当該自動車メーカーのみならず、日本車全体の燃費の基準について、そして冒頭申し上げましたとおり、自動車産業というのは日本の技術の粋を集めたものと、こういわれております。そういった意味では、日本全体、そして消費者の信頼を損なうような重大な社会問題となっているわけであります。
 現在、国交省の調査結果によっては、納税者の税負担が変わるということも考えようによってはあるわけでありまして、その場合には、納税者にとっても、またその税をつかさどる行政側にとっても、非常に厄介というか、重大なことになる、こういう懸念があるんだと思います。
 それで、ここから先は仮の話で大変申しわけないんですけれども、報道されているとおり、仮に、燃費の基準が一〇%程度悪くなったと仮定した場合には、税にはどんな影響が生じるのか、お答えいただきたいと思います。

○加藤税制部長 現行制度におきましては、自動車の燃費性能等に応じて自動車取得税及び自動車重量税においてエコカー減税、自動車税及び軽自動車税においてグリーン化特例を実施しております。
 これまでのところ、対象は軽自動車とされておりますけれども、この場合、都税では、仮に燃費値が悪化し、エコカー減税の適用区分に変更が生じる際には、自動車取得税の税額が増加する可能性がございます。
 軽自動車に係る自動車取得税につきましては、平成二十五年度までは税率三%でございました。二十六年四月から二%となっておりますので、この二%を前提に試算をさせていただきますと、例えば、取得価額百二十万円の軽自動車を新車で取得した場合に、自動車取得税のエコカー減税が、燃費値の変更によりまして、非課税から八〇%軽減の区分に変更になったといたします。こういたしますと、一台につきまして約五千円の負担増となる可能性がございます。

○遠藤委員 都税では、自動車取得税のみ影響するということで、おおむね五千円の負担増と、こういう答弁だったと思います。
 しかしながら、国税である自動車重量税のエコカー減税、この部分と、区市町村税である軽自動車税のグリーン化特例の区分、この変更も含めれば、納税者の影響額は、当然、より増加するということが十分に考えられるわけであります。
 いずれにしても、燃費値が悪くなることで特例措置の適用区分が変更となり、追加納税の義務が発生しかねないということが、今の答弁でわかりました。
 そこで、またこれも仮の質問で、想定で恐縮ですけれども、仮に、この自動車取得税のエコカー減税の適用区分が誤っていた場合には、税としてどんな手続をしなければならないのか、納税者がということでありますけれども、これについて詳しくお答えをいただきたいと思います。

○加藤税制部長 自動車取得税は、納税者が申告することで税額が確定し、納付していただく申告税目でございます。このため、申告内容に誤りがあったことがわかった場合には、納税者からの修正申告、あるいは東京都の調査による増額更正処分をする必要がございます。
 なお、増額更正を行った際には、納税者に対しまして、正しい税額等を文書で通知することとなります。

○遠藤委員 申告内容に誤りがあった場合には云々とありましたけれども、これは何も納税者が意図的に過とうと思ったということではなくて、そもそもの前提が、今回の三菱の件で崩れていたということであります。その上で、修正申告は、原則として、納税者がみずから窓口に足を運ぶことから、納税者に要らぬ手間をさらにかけてしまうということにつながるわけであります。
 さらに、行政側にとっても、修正申告や増額更正のいずれにしても、多大な新たな事務負担が生じるわけでありまして、結果的にそれを支えているのは、その経費は税金であるわけなので、その税金の無駄遣いにもなるということで、納税者も迷惑、その仕事をする行政も迷惑、そしてその事務負担を負っている一般の国民、都民も迷惑と、こういう状況にあるということであります。
 改めていうまでもないことですけれども、今回、このメーカーが示した燃費値等を信頼して購入した自動車の購入者、納税者ということでありますけれども、責任は全くないわけであります。むしろこの三菱自動車は、ふえた分の税負担はもとより、仮に、新車で買ったユーザーが中古車としてこの車を売却した場合の価値の目減り分、さらには余計に支払ったガソリン代など、ドライバーがこうむる被害というものは積み上がっているというか、いろいろあるわけでありますので、ここを全面的に補償すべく、こういう責任と役割がメーカーにはあるんだと、このように思います。
 そこで、追加納税が必要となった場合、納税者の負担をできるだけ軽くするということが重要であります。三菱側が納税者にかわって直接納付するというような、こういったことはできるんでしょうか。

○加藤税制部長 税について追加納付が必要となる場合には、まずは個々の納税者に対する税額の確定手続が必要となってまいります。その手続を行った後は、納税者以外の第三者である三菱自動車等から申し出があれば、地方自治体に対して自主的に納付することは可能でございます。

○遠藤委員 制度的には可能だということでありますけれども、燃費不正の対象は膨大な数に上ることも考えられ、その場合、行政庁側が個々の納税者の税額の確定手続を行うというのは、なかなか現実的には難しいのかなと、このように思います。そこで、税によらない解決策というのも一つの方法として、選択肢として考えられるのではないかと思っております。
 いずれにしても、国土交通省、国交省による調査結果が明らかになって、対象車種や正しい燃費値との差というものが、今後確定をされるんだろうと思います。それによって適用区分が変更となる当該車数の規模も、正確な規模が見えてくるんだろうと、このように思います。
 今後、国交省の調査が、そしてそれにメーカーがどう対応していくのか、これは今後の経緯を見守っていかなくてはならないと、このように思っております。
 しかしながら、発言力の大きい東京、先ほど対象車が数十万に上るとありましたけれども、何でも東京都は全国の十分の一という、こういうことでありますので、大変都内のユーザーが多いのだと思います。そういった意味で、発言力の大きい東京都が、この問題についてしっかりユーザー側の立場に立って声を上げていくということは非常に大きな意義があると同時に、非常にこの問題に対するインパクトがあるのだろうと、このように思っております。
 ぜひ主税局としても、責任の全くない納税者への負担を最小限にとどめるとともに、東京都を初めとする自治体に過大な負担が生じないように、この問題に、主税局として適切に対応していただきたいのと同時に、国とも、また場合によってはしっかりこのメーカー側とも、さまざまな協議を重ねてやっていただきたいと、このように思っております。
 最後に、今回の問題を受けて、改めて、主税局としてこのグリーン化特例の制度についてどう評価をするのか、そしてこの問題について、都としてどうかかわろうとしているのか、小林局長の見解を求めて質問を終わりたいと思います。

○小林主税局長 地球温暖化等の深刻な環境問題を解決し、持続可能な都市の発展を実現していくために、温室効果ガスの削減は喫緊の課題でございまして、都が国に先駆けて導入いたしましたグリーン化特例は、環境に配慮した自動車の普及促進や税負担を通じた人々の環境に対する意識改革に大きく寄与してきたものと認識をしております。
 なお、お話のありました、先ほど来、質疑がございました今回の燃費不正問題における具体的な対応方法につきましては、現在、国において検討をしているものと認識をしておりますが、私どもといたしましては、副委員長お話しのとおり、今回の問題に責任が全くない納税者への負担を最小限にとどめるとともに、地方自治体に過大な負担を生じさせないようにすることが最も重要なことであると考えております。
 今後とも、国の動向を注視しつつ、現場を所管する都の立場から、そして発言力の大きいというお話ございましたが、そうした意味から東京都といたしましても、適切な対応をとるよう国に申し入れをしてまいります。

○松村委員 百三十号議案、それと専決処分案件を一括して質疑を行います。
 この両案件は、三月二十九日に成立しました平成二十八年、二〇一六年度の地方税法等の一部を改正する法律の施行に伴い、東京都都税条例の一部を改正するものであります。改正の中身は多岐にわたっております。例の法人事業税の廃止及び法人事業税への復元に伴うもの、または自動車取得税を廃止し、自動車税に環境性能割を設けるなどなどがありますが、私は最も大きな問題に絞って質疑を若干行いたいと思います。
 まず、この改正によって、法人実効税率を引き下げるという理由で、法人事業税の所得割の税率が引き下げられ、一方、資本金一億円以上の普通法人にかかる外形標準課税の拡大がされております。資料第3号を見ますと、これまでの地方法人特別税を含めた所得割の税率の推移、これを見ますと、平成二十七年三月までは七・二%だったものが、二十七年四月からは六%、そしてこの改定によって二十八年四月からは三・六%まで下がっています。
 このように、法人事業税の所得割税率はここ数年で大きく下がってきており、法人実効税率の引き下げに寄与していると思われますが、そもそも我が国の法人実効税率は、近年どのように推移しているのかお示しいただきたいと思います。

○加藤税制部長 平成に入ってからの状況で申し上げますと、我が国の法人実効税率は、平成元年に五一・〇四%でございましたが、その後、約十年間は四九・九八%という税率で推移しておりました。直近を見てみますと、平成二十四年度に、それまでの三九・五四%から三四・六二%へ、平成二十七年度に三二・一一%まで引き下げられております。平成二十八年度税制改正におきましては、さらに二〇%台まで引き下げを行うこととされ、平成二十八年度には二九・九七%、三十年度には二九・七四%となります。

○松村委員 五一・〇四%ですか、それがついに三〇%を切って二九・七四%までに引き下げられていると。よく我が国の法人税の実効税率、欧米諸国に比べ高過ぎるといわれますけれども、実際、やはり大企業などが負担しているのは、戦後一時期といわれた租税特別措置法などの、例えば優遇になっている研究開発費、トヨタ一社だけでも莫大な減税になっていると、それによって減税になっているということで、決して払っている実効税率は高過ぎないという指摘もされております。
 その法人実効税率が順次引き下げられたことによって、大きな収益を上げる企業ほど税負担が軽減されるようになっております。一方、税負担が軽減された大企業は、それを設備投資や賃金に回すわけでもなく、資本金十億円以上の大企業の内部留保金、いわゆるため込み金の類ですけれども、三百兆円をついに超える水準にまで達しているのが現状です。
 こうした状況を踏まえれば、法人実効税率の引き下げではなく、こういう利益を上げている企業にこそ応分の負担を求めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤税制部長 法人実効税率の引き下げは、国におきまして企業の国際競争力や国の立地競争力の強化を目指して行われているものと認識しております。なお、法人実効税率の引き下げに対しましては、法人税における設備投資減税の打ち切り、減価償却制度の見直し等による課税ベースの拡大など、また、地方税におきましては、法人事業税における外形標準課税の拡大などにより、代替財源を確保することとされております。

○松村委員 その減った分というか、それを法人事業税における外形標準課税の拡大によって代替財源を確保するという、これがやはり大きな問題だと思います。法人実効税率引き下げに、外形標準課税の割合を今後さらに高めていくということになれば、所得の発生しない赤字法人にとっては一層の負担が増すことになります。
 また現在、資本金一億円超の企業を外形標準課税の対象としていますが、この先、その対象が経営体力のない中小企業にまで拡大されかねない状況も生まれてきております。そのことは、与党の大綱には、資本金一億円以下の中小企業への外形標準課税の対象拡大についても、昨年度同様、検討すると明記されており、外形標準課税の拡大は、中小企業への対象拡大の流れをつくるものとなるおそれもあります。大企業の税負担を軽減する一方で、厳しい経営環境にある赤字法人や中小企業の税負担が拡大されるようなことがあっては絶対ならないということも強く指摘しておきたいと思います。
 また、大企業が利益をふやすことができれば、それが賃金上昇、雇用の拡大につながり、その結果、果実が家計に回ってくると、いわゆるトリクルダウンですか、アベノミクスというふうにいわれているこの効果は、もはややはり通用しないというか、完全に失敗しているということも明らかだというふうに思います。
 また最近では、もう一言いえば、いわゆるパナマ文書、この問題に端を発して、大企業がタックスヘイブンといわれる租税回避地にペーパーカンパニーをつくり、そこに所得を移すことで課税を逃れている実態などが明らかとなっております。個人の消費支出が伸び悩み、一向に景気が回復しない現状を踏まえれば、生活に苦しむ庶民に重い負担を強いるのではなく、負担ができる能力がある、そこにやはり応能という税の大原則を課して税財源の確保を図るべきであると、それがやはり税の本質だということを強く指摘して質疑を終わります。

○山内委員 法人事業税の暫定措置が、二〇一六年度税制改正で廃止されることが決まりました。一方、企業版ふるさと納税という新たな制度が創設されました。それに先立って、二〇〇八年四月、個人のふるさと納税が創設されました。個人のふるさと納税は、返礼品競争が過熱している、富裕層に納税の減額効果が多いなど、制度のひずみが出ているとの指摘もあります。
 そこでまず、個人のふるさと納税についてお伺いしたいと思います。総務省は、これまでに全国の自治体に豪華な返礼を自粛するよう自治体に通知を出したといいますけれども、どのような観点からの見直しが行われたのか教えてください。

○加藤税制部長 昨年四月、総務省から各地方自治体に対しまして、自治体への寄附という経済的利益の無償の供与を通じて豊かな地域社会の形成等に寄与するというふるさと納税の制度の趣旨を踏まえ、換金性が高い返礼品の送付を行わないよう要請が行われたところでございます。
 また、本年四月には、制度の趣旨に沿った運用をさらに進める観点から、換金性の高い返礼品として、商品券や電気、電子機器などの具体例が総務省から明確に示され、各自治体に良識ある対応が要請されているところでございます。

○山内委員 ふるさと納税は、税収の地域格差是正のためというには、小手先のその場しのぎだという批判があります。個人版ふるさと納税について、このような問題が指摘される中、今年度から企業版ふるさと納税が始まります。
 そこで、そもそもこの新たに創設された企業版ふるさと納税とは具体的にどのようなものなのか、制度の概要についてお伺いいたします。

○加藤税制部長 企業が寄附を行う場合には、法人税における所得計算上、その一定額を限度として損金算入されますが、国や地方自治体に対する寄附については、その全額が損金算入の対象となっております。
 地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税は、内閣府の認定を受けた一定の地方創生に資する事業に対し、平成三十一年度までに行った寄附について、これまでの損金算入措置に加え、寄附金額の三〇%を法人事業税、法人住民税及び法人税の税額から控除する制度でございます。
 なお、東京都や特別区など首都圏の地方交付税不交付団体や企業の主たる事務所が立地する地方自治体への寄附は対象外とされております。

○山内委員 これまでも、企業が地方自治体へ寄附を行う場合には寄附金の全額が寄附控除されていますが、企業版ふるさと納税の創設によって、税負担の軽減額がさらに上乗せされるということです。企業の場合、個人に比べて寄附する額が大きくなると考えられます。
 そこで、お伺いいたしますが、これまでの損金算入措置と企業版ふるさと納税の制度の目的は何でしょうか。また、企業版ふるさと納税の制度ができることによって、企業の税負担は実際にどれくらい変わるのかお伺いいたします。

○加藤税制部長 企業が国や地方公共団体に対して寄附を行う場合、公益的な観点から、その全てに対し現行の全額損金算入制度が適用されます。一方、企業版ふるさと納税は、地方創生を推進するという趣旨から、内閣府の認定を受けた地方自治体の一定の事業に対する寄附を対象としております。
 これまでの損金算入措置では、法人税額が所得に約三〇%の税率を乗じて算出されるものであることから、寄附金額の約三〇%が税負担の軽減額とされておりました。企業版ふるさと納税の創設により約六〇%にまで軽減額が拡大することになります。
 具体的には、企業が二百万円を寄附した場合、これまでの損金算入措置では、法人税等において、おおむね六十万円の税負担が軽減されておりましたが、企業版ふるさと納税の創設により、一定の限度額はあるものの、さらに法人事業税から最大約二十万円、法人住民税や法人税から最大約四十万円が控除され、税負担の軽減額は百二十万円程度まで拡大をいたします。

○山内委員 企業版ふるさと納税創設によって、企業の税負担の軽減額が拡大するということだと思います。これから先、どのぐらいの企業がふるさと納税をするかはわかりませんが、やはり税収への影響も大きいのではないかと思われます。
 都は、企業版ふるさと納税の制度についてどのように認識をしているのか、見解をお伺いいたします。

○加藤税制部長 企業版ふるさと納税につきましては、受益と負担という地方税の原則を損なう点や企業への便宜供与につながるおそれがある点など、問題が多いことをこれまで都は指摘してきております。
 先ほど答弁しましたとおり、この制度は、国において地方創生を推進するという趣旨で導入したものとされておりますけれども、東京都や特別区などを対象外とするなど、実質的には自治体間の財源調整の手段として用いられているものといわざるを得ません。
 いずれにいたしましても、内閣府による地方創生に資する事業の認定がことしの夏以降始まることから、今後とも動向を注視してまいります。なお、企業への便宜供与につきましては、地域再生法施行規則において、寄附を行う企業に対して自治体が代償として利益供与を行うことを禁ずる規定が設けられております。

○山内委員 企業版ふるさと納税の利用が活発化して寄附金がふえると、地方の財政難や税収格差などが改善するのではないかと期待されているようですけれども、国が認定した事業だけが対象であり、補助金の箇所づけのようで、本当に自治体を応援することになるのかは疑問だと思っています。寄附という手法は安定性がありません。自治、分権の観点からも、格差是正の観点からも、抜本的な税制改革を検討する必要があるというふうに申し述べ、私の質問を終わります。

○大津委員 自動車に関する税を中心に質問します。
 今回の都税条例改正案では、自動車取得税を廃止し、新たに環境性能割を設けるとありますが、自動車のユーザーにとっては、そもそも自動車の税金はわかりにくいものです。購入するときには多くの方がディーラー等に代行してもらっており、その税についても理解しにくい点があるからです。
 そこで、自動車を所有することによってどのような税金がかかってくるのかをまず伺います。

○加藤税制部長 自動車を新規に取得した場合、国税である自動車重量税及び都道府県税である自動車取得税が課税されます。また、自動車を保有しておりますと、毎年度、都道府県税である自動車税または区市町村税である軽自動車税が、さらに車検更新等の際には、自動車重量税が課税されます。加えまして、自動車を走行させるために使用する燃料に応じて、国税である揮発油税や都道府県税である軽油引取税が課税されております。

○大津委員 自動車には、取得時のほか保有時や走行時にもさまざまな税金がかかってくることがわかりました。ユーザーはこのほかに保険料も支払っており、自動車を持つことに伴う負担感は結構大きいものもございます。
 現在は、自動車取得税を軽減するエコカー減税があります。地球温暖化対策の観点から設けられた仕組みで、燃費のよい車の場合は、その程度に応じて税金が軽減されるとのことです。エコカー減税は、ユーザーがどの車を購入するかへ対してだけではなく、自動車メーカーの商品開発に対しても、高いインセンティブ効果を発揮しているとは思います。
 今回、この自動車取得税を廃止して、新たに自動車税に環境性能割を創設するとのことですが、環境性能割の概要とその影響額について伺います。

○加藤税制部長 自動車税環境性能割は、取得価額を課税標準として燃費性能等に応じて非課税から三%までの税率で課される税でございます。現行制度に比べて燃費性能の高い車種の軽減割合を高めるなど、エコカーを導入するインセンティブが強化されております。自動車取得税を廃止するだけでは、もともと税負担がない、あるいは小さいエコカー減税の対象者に新たなメリットがない一方、環境負荷が高い自動車の税負担が大幅に軽減されることとなることから、自動車税において環境性能に応じた課税が実施されることとなりました。
 また、都における平年度ベースの影響額でございますが、自動車取得税廃止により約百五億円の減収、環境性能割導入により約七十七億円の増収と見込まれております。

○大津委員 より環境に優しい車を購入するために、現行制度に比べて燃費性能のよい車に重点化しており、さらなる環境改善につながることを期待しています。と同時に、先般起きました三菱自動車における燃費値不正問題、こうした公金、税金をつぎ込んだ事業を行う各ものづくりメーカーは、高い意識を持ち、責任を持ちやっていただけるよう、また時々こうした公金を投入している事業への、会社先に対してもチェックの機能を果たすべきだと考えます。
 さて、さまざまよい制度ができた場合、自動車を購入する人が、その中身も知っていることが意味があることでもあり、貴重な税金を納付してもらう立場から、わかりやすい広報を着実に実施をしていただきたいと思います。これまで、また三月の財政委員会でも、納税者の視点を取り入れた広報の拡充について質問してまいりました。これまで具体的にどのような改善が進んだのかお伺いをいたします。

○西海総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民の皆様から税をお預かりするに当たりましては、税の仕組みなどをできる限りわかりやすく説明し、納得してご納税いただくことが重要であると認識しております。
 自動車税につきましては、毎年五月に納税通知書を発送いたしますけれども、今年度はこれに同封するチラシの内容を納付方法や納税証明書など都民のお問い合わせの多い項目に絞り込みまして、また文字を大きくするなど、見直しを行いました。
 また、今年度、主税局では、月刊広報紙「あなたと都税」や主税局ホームページなど広報媒体のリニューアルにも取り組んでございますけれども、特に「あなたと都税」五月号は、自動車税特集といたしまして、イメージキャラクターを使った自動車税のQアンドAやグリーン化税制の解説を掲載するなど、紙面構成を一新いたしました。
 今後とも、都民の皆様、納税者の皆様からのご意見をいただきながら、わかりやすく効果的な広報に努めてまいります。

○大津委員 確かに、自動車税の納税通知書が手元に郵送で届いたときにも、変わったなということが一目でわかりました。納税通知書は、結構皆さんよく読みますし、また、こうした一人一人に郵送する絶好の機会でもありますので、こうした機会を捉えてさまざまわかりやすいお知らせを駆使していくことも大切です。また、「あなたと都税」も、実際に拝見しますと、あれ、おかしいな、こういう場合どうすればいいんだろう、そういう一人一人の視点に立ったわかりやすいものに改善をしていたことを高く評価もしたいと思います。
 ところで、今回の自動車に関する税制の見直しは、消費税率引き上げの再延期が発表されたことで、予定どおり来年四月から行われるのかどうか、さまざまな報道がなされています。改正内容をわかりやすく広報するとともに、こうしたこともいつから行われるのか、そのタイミングを逃さずに、留意をしながらお願いしたいと思います。
 これらの状況に加え、自動車に関する税について、来年度税制改正に向けてさらに見直しが検討されていると伺います。
 そこで最後に、今回の見直しに対する認識とともに、来年度の税制改正に向けて、自動車に対する課税のあり方について小林局長の見解を伺います。

○小林主税局長 平成二十八年度税制改正で創設されました環境性能割は、エコカー導入へのインセンティブがより強化されていますことから、温室効果ガス削減に一層寄与するものと認識をしております。一方で、自動車取得税廃止に伴います減収分につきましては、環境性能割導入により一部が補填されるものの十分な代替財源が確保はされておりません。
 さらに今、ご指摘ございましたように、平成二十八年度与党税制改正大綱では、平成二十九年度税制改正において、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講じることとされております。自動車の使用は、道路施設の利用、交通行政サービスの享受、環境負荷の発生等を伴うものでございます。とりわけ道路施設につきましては、新たな建設だけではなく維持更新の必要性も増しております。
 地方自治体がそれらの対応に要する社会的コストにつきましては、自動車の所有者に一定のご負担を求めます車体課税として、安定的に確保することが不可欠でございまして、今後とも、税収規模を維持するよう国に対して要望してまいります。

○大津委員 来年度税制改正に向け、税収規模の検討とともに、より環境対策に資するとともに、ユーザーから見てわかりやすい税制、またどういうものに使われ、どう役立っているのか、さまざまな広報も取り組みながら、今後また進めていっていただきたいと思い、質問を終えます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、平成二十七年度公金管理実績(年間)について外一件に対する質疑を行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○神野委員 まず、ここ二、三年の金融情勢について振り返りたいと思います。
 日銀は、長らく続いてきたデフレからの脱却と二%の物価安定目標の実現に向け、平成二十五年四月に、異次元緩和と呼ばれる大規模な金融緩和政策を導入しました。この政策は、金融機関から年間五十兆円のペースで国債を購入することにより、市中へ資金供給をふやすことを柱とするものでしたが、平成二十六年十月には、国債の購入を年間八十兆円に増額するなどの追加の金融緩和が行われました。
 さらに本年、平成二十八年一月には、金融機関が日銀に預ける当座預金の残高が一定水準を超えた場合に、その超過部分にマイナス金利を適用するというマイナス金利政策の導入が決定されました。この決定を受けて、市場金利も低下し、短期、中期だけでなく、期間十年の長期国債の利回りまでもがマイナスとなるなど、以前であれば想定さえされなかった状況となっております。
 このように、金融市場の情勢が大きく変化する中において、都には、歳計現金や基金等を合わせた四兆八千億円を超える資金を管理し、安全、確実な保管、運用を行うことが求められております。
 こうした中で、昨年十月の財政委員会で、公金管理を取り巻く環境の変化に対応するため、平成二十七年度より、基金のポートフォリオでは新たな運用商品や運用方法に取り組むとの説明がありました。また、平成二十七年度の公金管理実績が先月公表されましたが、平成二十七年度より開始した新たな取り組みについて改めて確認するとともに、その実績について伺います。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日銀の金融緩和策の長期化など、公金管理を取り巻く環境は大きく変化しており、この状況に柔軟に対応するため、平成二十七年度公金管理計画では、安全性を確保した上での公金運用の多様化の視点から、新たな運用商品の開発及び運用先の拡充を行ってまいりました。具体的には、元利保証型の金銭信託、外国銀行への預金及び外債・ユーロ円債の組成を新たに取り入れたものでございます。
 実績でございますが、基金ポートフォリオに占めるこれら新たな取り組みの二十七年度年間平均残高につきましては、元利保証型の金銭信託は、基金全体の〇・八%、約二百四十六億円、外国銀行への預金は基金の預金全体の八%、約一千八百六十六億円、外債は債券全体の一・一%で約八十六億円となっております。

○神野委員 新たな運用商品を含めた基金のポートフォリオは、四月に公表された平成二十八年度公金管理計画にも昨年度に引き続き明記されております。このうち金融商品別ポートフォリオは、預金七九%、債券二〇%と、昨年度とほぼ同程度の配分となっている一方で、債券種別ポートフォリオは、国債の比率の引き下げ等の変更が行われています。
 そこで、本計画のポートフォリオの資産配分を策定した際の都の考え方を伺います。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都が有する基金につきましては、都財政の元来不安定な構造に備えるための基金など、その目的からして比較的短期間の運用となるものが多くを占めているため、引き続き預金での運用比率が高くなっております。
 債券運用につきましては、長期的に安定した利回りを確保できることが重要でございますが、都の運用対象となる国債は、現在マイナス利回りでありまして、満期まで保有した場合には元本を毀損することになります。このため、国債での運用から利回りの確保できる地方債や財投機関債での運用に重点を移すことといたしました。これによりまして、債券種別ポートフォリオでは、国債の比率を四〇%から三〇%に下げております。

○神野委員 金融環境が大きく変わる状況では、ポートフォリオ構成を柔軟に変えていくことは大変重要なことであり、これは公金管理にも通じるものであります。また、今後も市場状況を考慮しながら適切な対応をしていただくことを要望いたします。
 さて、平成二十七年度の公金管理実績によりますと、運用利回りは〇・一一四%に低下しており、マイナス金利政策の影響が既に出始めていることがうかがえます。今後も、マイナス金利政策が継続されるようであれば、資金運用の難しさはさらに増すものと考えられます。
 そこで、今年度の公金管理実績の見通しについて伺います。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度の公金管理実績の見通しでございますが、平均残高は、基金の積み増し等により、二十七年度の約四兆八千億円から約四兆九千億円程度に増加する見込みであります。
 運用利回りにつきましては、平成二十七年度は、マイナス金利導入前に設定した預金が大部分を占めていたため、影響は限定的でございました。しかし、預金や国債などの市場金利がさらに低下している影響を受け、今年度の運用利回りはさらなる低下を見込んでおります。
 この結果、運用収入についても、平成二十七年度の約五十五億円から相当程度の減少は避けられない見込みでございます。

○神野委員 市場金利の低下を受けて、今年度の運用利回りの低下は避けられないとのことでしたが、公金管理においては、安全性と流動性の確保が運用利回りの向上よりも優先されるべきです。
 都の制定した公金管理ポリシーにおいても、元本の安全性の確保を最重要視し、資金の流動性を常に確保した上で効率性を確保するとしています。金融環境の先行きが極めて不透明な中であっても、元本をしっかりと確保した公金の管理に着実に取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 最後に、都の公金管理に取り組む局長の決意を伺い、私の質問を終えます。

○塚本会計管理局長 都の公金管理は、いかなる金融環境にあっても、安全性及び流動性を大前提に効率性も追求していくという難しい命題を絶えず抱えております。
 都はこれまでも、平成十四年のペイオフ解禁や平成二十年のリーマンショックといった困難な状況の中にあっても、金融環境の変化に応じまして適切な公金管理を実施してまいりました。しかし、先ほど委員お話しのとおり、現在は、十年国債の金利までもマイナスになるなど、これまで経験したことのない金融環境下にございまして、公金管理については、より一層注意深い取り組みが求められております。
 このため、現況におきましては、効率性は多少劣っても、預金、債券等のバランスや運用先の分散などリスク管理の強化を徹底してまいります。また、マイナス金利が預金先金融機関の経営に及ぼす影響を注意深く見ていき、変化が生じた場合には迅速に対応してまいります。
 今後とも、金融環境の変化に的確に対応し、公金管理の原則である安全性、流動性の確保に万全を期してまいります。

○山内委員 ことし二月にマイナス金利政策が導入されて以来、十年国債の利回りがマイナスを記録するなど、都の公金管理は厳しい状況に直面していると考えます。
 私は、昨年本委員会の委員になってから、約四兆円に上る公金の管理について、機会を得るごとに質問をしてきました。ことし三月の財政委員会では、日本銀行の異次元緩和策、そして、これまでに経験のないマイナス金利政策の導入による影響やその対応の一つとしてことし二月に開始した米ドル建ての為替予約つき外貨預金について質問いたしました。それに対し、預金入札への参加そのものを辞退する金融機関の数もふえていることなどの答弁がございました。
 新たに開始したこの為替予約つき外貨預金の今後の見通し、あわせて現在の預金入札の状況と対応についてお伺いいたします。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 為替予約つき外貨預金につきましては、現在の金融情勢では組成しても利回りの確保が厳しい状況であり、金融機関からの条件提示が困難な見通しとなっております。また、都が行う日々の預金入札につきましては、金融機関の提示金利が大幅に低下しているだけでなく、入札への辞退率も引き続き高い状況にございます。
 このため、金融機関が預金を受け入れやすい金額や運用期間について情報を収集し、入札そのものが成立しないという事態には至らないよう努めているところでございます。

○山内委員 適切な公金の保管、管理を行うには、これまで以上に細心の注意が必要となっていると思います。都では、公金管理計画をどういったプロセスを経て策定しているのか、お伺いいたします。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金管理計画は、公金管理の基本原則と方法等を定めた公金管理ポリシーの原則に基づき、当年度の公金の収支や残高の見通しを立て、具体的な管理、運用手法を定めるものでございます。
 策定のプロセスといたしましては、法人二税及び固定資産税等税収の状況並びに基金の積み立て、取り崩し予定等を把握することにより、運用残高の見通しを立ててまいります。あわせて、経済情勢や金融政策に鑑み、具体的な公金の管理、運用方法を決定してまいります。さらに、これらについて、金融分野の専門家等で構成する資金管理・活用アドバイザリーボードの意見を伺い、公金管理計画として策定をしております。

○山内委員 ありがとうございます。今年度の公金管理計画の基本的な考えについてお伺いいたしたいと思います。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度の計画の策定に当たりましては、これまでになく金融環境が不透明であるため、引き続き景気の動向や金融政策の先行きに特段の注意を払っております。
 都の日々の収支を支える歳計現金においては、都の基準をクリアした安全、確実な金融機関へ預金にて保管するとともに、日々の支払いに備えるための支払い準備金を手厚くし、流動性の確保に万全を期しております。
 基金におきましては、各基金の設置目的を踏まえ、金融商品及び運用期間を設定いたします。金融商品別ポートフォリオは、分散運用を基本とし、金融環境の変化に応じて柔軟に運用いたします。
 これらにより安全性及び流動性を重視した上で、柔軟かつ効率的な運用、保管を実施することに努めてまいります。

○山内委員 新聞報道によりますと、三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者、いわゆるプライマリーディーラーの資格を返上する見通しであることが報じられています。マイナス金利政策のデメリットがあらわれてきているものと考えられます。こうした金融環境の変化を都はしっかり情報収集し、判断していかなくてはなりません。
 都の公金運用額は約四兆八千億円にもなり、その一%を他の金融商品に移しただけでも、約五百億円もの資金が動いたことになります。この計画において、金融商品のポートフォリオを見直す場合には、この影響の大きさも考えていく必要があります。金融市場の変化や金融政策等の情報収集に感度よく細心の注意を払い、都民の税を原資とする公金を安全かつ確実に保管、運用していただくよう求め、私の質問を終わります。

○大津委員 都の公金は都民の血税であり、私たち行政、議会は、これを安全かつ確実に管理する責任があります。ところが、東京のトップリーダーとなりました舛添知事は、就任後わずか半年後、こうした血税、公金に株式投資をして、個人的な利殖をまぜ、運用していこう、公金に手を突っ込もうとしたことがありました。
 おととしの平成二十六年八月二十五日、日経新聞のインタビューですが、このように述べています。公金の株式運用をやっていい、金融センター構想で日本経済を活性化するにはこういうことが必要だ、総務省に働きかけようと思っている。法的枠組みがおかしい、法の解釈を変えればできるのではないか。こう述べていますが、法的枠組みはおかしくなく、どんな時代にどんなリーダーがあらわれようと法的な縛りをかけるという点で、この地方自治法があるわけで、正式には、この法を変えるには、憲法の定めにない法でもありますが、地方自治法を一部改正する法案というのを出して、衆参両院で出席議員の過半数において可決をされないとこれは成立しないことであります。それを解釈をもって株式投資ができるようにしようとしました。
 その翌月、平成二十六年九月十七日、今度は産経新聞のインタビューで、こう述べています。都の公金の四兆円のうち一%でもよいので株式投資を行い、仮に損が出たとしても、全体の運用収入の中でペイすればよい、日本の自治体が皆株式運用すれば市場は活性化する、こう述べています。四兆円の一%は四百億ですので、四百億の株式投資になります。仮に損が出たとしても--これは仮にも出てはいけないものでもあります。
 東京のトップリーダーは四十七都道府県にも影響を及ぼしますので、日本の自治体が皆株式運用を進めるのは非常に迷惑でもありますし、市場は活性化する、この視点は、市場の活性化よりも、本来は都民生活の向上や都民サービスにおける活性化をトップは考えるべきであります。
 そこで、私たち財政委員会も本当に警鐘を鳴らしました。翌平成二十六年十月三十日、全委員が警鐘を鳴らし、各会派さまざま意見をいいました。都民の財産である公金の安全を確保することを強く要望する。会計管理局、東京都は、こうした私たち財政委員会の意見をもとに専門家のアドバイスも取り入れて、翌平成二十七年の三月に東京都公金管理ポリシーを策定してくれました。その中で、公金管理の原則として、元本の安全性の確保を最重要視し、資金元本が損なわれることを避けるため、安全な金融商品により保管及び運用を行うと定めてあります。
 地方自治法、そして、こうした都独自の公金管理ポリシー、この二重の縛りをしっかりと今後堅持をしていくべきであると考えます。未来永劫、安全な運用をするに当たり、どんな時代にどんなリーダーが出ようと、そのときのリーダーの個人的な趣味、嗜好、考え方により、大きな影響を公金にも及ぼすからです。
 そうした観点から質問をさせていただきます。ここ数年は、管理する資金の残高は増加傾向にあり、ことしは約四兆八千億円まで積み上がる一方、日本銀行の金融緩和策等で市場金利は低下し続け、都の公金の運用利回りは、平成二十七年度には〇・一一四%へと低下しています。五年前と比較して市場金利はどのように変化しているのか、公金管理の実績の変化とともにお伺いします。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいま委員から、公金の株式運用についてのご指摘がございましたけれども、都における公金の管理は金融機関への預金や安全性の高い債券等で運用しており、この方針は今後も変わらないものでございます。
 また、ご質問についてでございますが、預金や国債などの市場金利は低下をし続けており、十年国債の利回りを例にとりますと、平成二十三年度の平均利回りは一・一%台だったものが、二十七年度には〇・二%台まで低下をしており、さらに現在は、マイナス〇・一%前後というふうになっております。
 都の公金管理における平成二十三年度の平均残高は、約三兆七千四百五億円でございました。その後、社会資本等整備基金等の積み増しにより、平成二十七年度の平均残高は約四兆七千八百四十三億円に増加をしております。
 一方、運用利回りについては、平成二十三年度の〇・二二七%から、平成二十七年度は〇・一一四%に低下をしてございます。この結果、運用収入につきましては、平成二十三年度の約八十五億円から平成二十七年度には約五十五億円と減少いたしました。

○大津委員 公金の運用について、これまで利回りを追求するため、リスクのある運用をもっとすべきではないかという意見もあったことがありますが、公金、すなわち税に対する認識が薄いのではないかと考えます。今後、どのような金融環境であっても、税が原資である元本を毀損することがないように運用していかなくてはなりません。こうしたことからも、冒頭にも述べましたけれども、公金管理の原則である安全性の確保を何よりも重視すべきと考えます。
 公金の安全性を確保するための都の具体的な取り組みについて伺います。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金の安全性を確保していくためには、運用先のリスクを分散することが重要でございます。都は、預金や債券といった金融商品の構成が公金全体で最適なものとなるよう努め、リスクの分散を図ってございます。
 このうち、預金については、格付や自己資本比率等を組み合わせた都の定める基準を上回る金融機関を対象に広く分散して預け入れを行っております。また、債券につきましても、国債、地方債、財投機関債等、安全性の極めて高い債券に限定し、債券市場の状況に応じて適切に分散、運用を行っているところでございます。

○大津委員 運用先のリスクの分散など、あらゆる手段を駆使して、公金の安全性を確保していっていただきたいと存じます。しかし、経済金融環境は、日々目まぐるしく変化もしています。その時々で公金の預け先である金融機関の経営状況も大きな影響を受けることがあります。金融環境の先行き見えづらい中にあっても、公金の預け先の監視も必要であることが求められます。
 そこで、金融機関の経営状況をどのように把握しているのかを伺います。

○片山管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 預金先金融機関の経営状況につきましては、四半期ごとに健全性、収益性等の財務分析を行うとともに、その推移や金融機関同士の比較などの分析、把握に努めております。また、格付等を日常的に監視をしております。これらの結果は、資金管理・活用アドバイザリーボードに報告し、評価を受けるなど、専門家による判断も活用しております。また、金融機関の決算説明会への参加や財務担当者へのヒアリングなども行っております。
 こうした多面的な視点からリスク管理を行うことにより、預金先金融機関の経営状況の把握に努めております。

○大津委員 公金は、都民の税そのものでもあり、これを毀損しないよう引き続き運用先の分散とリスク管理の徹底を要望します。また、未来永劫、安全に管理をするため、どんな時代にどんな人がトップになろうと、地方自治法、そして東京都独自の公金管理ポリシーを堅持し、先ほど局長の決意もありましたので割愛しますが、これからも安全運転でお願いをしたいと思います。
 以上で終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十三分散会