財政委員会速記録第四号

平成二十八年三月十五日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長鈴木 錦治君
副委員長堀  宏道君
副委員長遠藤  守君
理事崎山 知尚君
理事松村 友昭君
理事酒井 大史君
大津ひろ子君
山内れい子君
神野 次郎君
桜井 浩之君
ともとし春久君
宇田川聡史君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長長谷川 明君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務十河 慎一君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長岩瀬 和春君
財産運用部長中村 倫治君
利活用調整担当部長山根 恭子君
建築保全部長久保田浩二君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長井上  充君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長草野 智文君
技術管理調整担当部長鶴松  博君
収用委員会事務局局長目黒 克昭君

本日の会議に付した事件
意見書について
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、債務負担行為-財務局所管分、都債
・第十四号議案 平成二十八年度東京都用地会計予算
・第十五号議案 平成二十八年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第三十九号議案 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
・第四十号議案 東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第二号 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

○鈴木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○鈴木委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十八年度予算については予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十八年三月九日
東京都議会議長 川井しげお
財政委員長 鈴木 錦治殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
財政委員会
 第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中
        予算総則
        歳入
        歳出
        債務負担行為
        都債
        財政委員会所管分
 第三号議案 平成二十八年度東京都地方消費税清算会計予算
 第十四号議案 平成二十八年度東京都用地会計予算
 第十五号議案 平成二十八年度東京都公債費会計予算

(別紙2省略)

○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査並びに財務局関係の付託議案の審査を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○目黒収用委員会事務局長 先般の委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の要求資料第1号をごらんください。過去五年間における起業者別取扱件数についてでございます。
 この表は、平成二十二年度から平成二十六年度までの五年間における起業者別の取扱件数の推移をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松村委員 昨年、事務事業でも質疑を行わせていただきましたが、そのときも収用委員会の役割についての答弁がありました。
 収用委員会は、公益性を有すると認定した事業に関し、個別具体の土地収用に当たり公共事業を施行する者と土地所有者等の権利者との間に立ち、公正、中立な立場である第三者機関として、現地調査や審理などの収用裁決の手続を通して、補償金などについての両者の利害を調整することを職責としていると、そういう答弁がありました。つまり、収用委員会が扱う事案は公共の利益となる事業であり、公共の利益の増進となることが大前提となります。
 さきの委員会で、局長から、この公益性については、収用委員会が公益性があるかどうかを判断するのではなくて、事業認定庁が判断するという答弁がありました。しかし、その前段で、公共の利益となる事業のために必要となる土地等は、任意の交渉による売買契約などの手段でそれらを取得するのが原則となっていることは、土地収用法などの関係法令を読めば、またこの間の長い制度の歴史から見ても明らかだというふうに思います。
 その前段の公共の利益となる事業のために必要となる土地は、任意の交渉による売買契約などの手段でそれを取得するのが原則であるとされておりますが、土地所有者等の権利者が補償金への不満などで買収に応じない場合や売り渡しそのものに反対している場合、また事業そのものに公益性がないというふうに反対している場合であっても、権利者の意思にかかわらず安易に財産権を取得することは許されないと考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○目黒収用委員会事務局長 土地収用法におきましては、事業認定については、今、理事がおっしゃいましたように事業認定庁が、そして裁決手続については、収用委員会が行うように役割分担がされておりまして、収用委員会への申請は既に事業認定、すなわち公益性の判断が事業認定庁において行われているものでありまして、収用委員会において改めて公益性の判断を行うことはございません。
 したがいまして、収用委員会に持ち込まれた申請案件につきましては、収用委員会が公正、中立の機関であるという立場を踏まえまして適切に判断をするものでございます。

○松村委員 公益性があるかどうかは、その認可庁というか、それがやると、それはわかりました。しかし、私はあくまでも土地収用というのは、やはり任意の交渉による売買契約によるものと考えます。では、その任意買収が困難だという判断はどこがするのでしょうか。収用手続によるしかないとの判断はどこが行うのかをお聞きします。

○目黒収用委員会事務局長 裁決申請の判断は、起業者が行う場合もあれば、土地所有者または土地に関して権利を有する関係人から起業者に対し裁決申請を行うよう請求することができる制度になってございまして、これを受けて起業者が申請する場合もございます。

○松村委員 ほとんどは起業者だと思うんです。まれにといいますか、権利者からも裁決申請をする場合もあるということなんですけれども、私がここで聞きたかったことは、前回の委員会でも、事業認可されたら翌日からでも裁決申請を受け付けることができると、書類上の形式審査で受け付けるんだというような答弁もありましたから、そうなると大前提である公共事業といえども任意買収が大前提で、その努力とか権利者の協力とかそういうものが翌日からも受け付けることができて、書類上整っていれば裁定申請を受理して開始されるんだということになってきたら、肝心の任意買収というか、あくまでも公共事業といえども、権利者の保護といいますか、その合意、納得、こういうものが、この収用委員会の手続開始によってなされないんじゃないかと。
 その点は、やはり収用委員会が収用法の大前提であるそういう経過、努力、またそこで提示されたもの、これらを起業者や権利者双方から意見を聞いて、場合によっては申請を受け付けないというか、再度そういう努力をやるべきだと、こういうような判断をどこが行うのかと。私はやはり今のこの収用法の中でいったら収用委員会に期待されるというか、役割だと思いますけれども、再度、その点についてのご見解を伺います。

○目黒収用委員会事務局長 裁決申請がありました場合には、収用委員会は、裁決申請書及びその添付資料の内容及び形式につきまして法令に規定する項目の記載等に欠けているものがないかなどを審査して受理すると、そういう仕組みになってございます。

○松村委員 現在の法体系といいますか、仕組みの中では、今の答弁にあったとおりだということでしたら、私は新たな仕組みというか、権利者というか、やっぱり私有財産、財産を憲法によっても保障されている、本当に神聖にして侵すべからざるものだと思うのですね。それが、でもやっぱり公共事業の必要性ということのために協力するというか、なっております。そのためには、やはり今の答弁では、収用委員会にそのことだけを求めることができないということも明らかになったのですね。今後そういう仕組みといいますか、やっぱり制度改正も含めた見直しが求められるべきじゃないかというふうに思います。
 ところで、資料提出ありがとうございます。このいただいた資料を見ますと、二十二年度から二十六年度、漸減してきたのが、この二十六年度にまた、二十二年度以上にふえているということが--約一・五倍ぐらいですか、急増しています。この二十六年度の取扱件数が急増した主な原因は何なんでしょうか。

○目黒収用委員会事務局長 平成二十六年度の取扱件数が増加した主な原因は、現在事業が行われております東京外かく環状道路の整備に関し、国等からの申請が二十二件あったことなどによるものでございます。

○松村委員 取扱件数の内訳で、国等--これはNEXCOだと思います、というのが、それまでほとんどなかったこういう事業によって、いきなり二十二件という膨大な件数が出てきたと。外環道事業によるものが増加の原因であることは、今のご答弁でも明らかになっております。
 外環道事業は、平成二十六年三月に事業承認及び認可を経て、わずか二年足らずしかたっていないにもかかわらず、既に八割を超える用地買収が行われていると聞きます。
 私の地元練馬の大泉のところに大泉インターチェンジがあります。今ここの関越道のところまでが外環の都心部の乗り入れになっております。ここから東名まで十六キロ。しかし、この間の長年の住民の意向といいますか、反対の意向を反映して凍結されてきたと。石原元知事のもとで、住民生活に影響を与えない大深度地下方式になり、国も法律もつくってですね、そういう意味では大幅に権利者からの用地買収がなくなることになりました。しかし、私の地元の大泉は、関越のところの目白通りから前原交差点というところまでが、大深度ですけれども地下に潜っていくために開削工法になり、この部分、移築の用地買収が必要となって、今土地買収が行われております。
 私、前回の事務事業質疑で行ったときにも、現地をつぶさに見てまいりましたけれども、一昨日改めて現地を見て回った中で、本当に驚くべき立ち退きが起き、急速に進んでいるなという思いもしました。しかし、まだ目白通りから大泉街道と通称呼ばれているところまで二十軒ぐらい住宅が残り、雨の中、引っ越しを業者がやっているところもありました。さらに、大泉街道から前原交差点までがまだ五十軒以上、特に新しく建てた新築の家の方々などがやはりなかなか新たな土地や建物を求められないという状況があることもはっきりわかりました。
 そこで伺いますけれども、これは二十六年度までの数字ですけれども、二十七年度の直近の数字では、取扱件数及び国等の取扱件数の見込みといいますか、どのぐらいの状況になっているのでしょうか。

○目黒収用委員会事務局長 平成二十七年度の取扱件数でございますが、平成二十八年二月末時点で申し上げますと百十二件となってございまして、このうち国等の取扱件数は二十五件でございます。本年三月に入りましてからも新たな申請がありますことから、今年度は昨年度実績を上回る取扱件数となることが見込まれるものでございます。

○松村委員 それも権利者の方が収用委員会のそういうあっせんとか和解とか、そういうのを求めるということの件数増であるならば問題ないんですけれども、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせるというような大号令のもと、こういう事業が進められるということで、今大変私は危惧しております。
 この一、二年の取扱件数の急増は、任意の交渉による売買契約で取得するのが原則としながらも、起業者と権利者の話し合いが思うように進まない状況を反映しているというふうに思います。用地取得を急ぐ余り、慌てて収用委員会に起業者側から申請案件に持ち込まれるというような状況を反映しているんではないかと、こういう結果ではないかというふうに思っております。用地取得を急ぐ余り、十分な交渉もされないまま収用委員会に申請が行われることは本当にあってはならないというふうに思います。
 一方、申請された案件は、収用委員会において審理等の手続を経て裁決が行われることとなります。
 そこで、収用委員会に申請された外環事業の処理状況について伺います。既に二十六年度二十二件、それで今度はもう既に二十五件で、さらにふえている。継続中のものも当然あると思いますけれども、その処理状況について内訳を教えてください。

○目黒収用委員会事務局長 平成二十六年四月以降、平成二十八年二月末までに、東京都収用委員会へ申請があった外かく環状道路関係の新規件数は三十一件ございまして、このうち二十八年二月末までに二十六件が処理されてございます。
 その処理の内訳ですが、裁決を行ったものが八件のほか、和解が四件、協議の確認が八件、申請の取り下げが六件という内訳になってございます。

○松村委員 今のご答弁でも、わずかこの二年足らずで裁決が八件と。これはもう行政代執行がいつでもできる、かけられるという状況。またその中で、代執行にいかなくても、もう出口が閉じられているんですから泣く泣く応じざるを得ないとか、こういう状況になってきているんだというふうに思います。
 この外環の土地の取得は、今いった関越から前原交差点、それから練馬でいうと青梅街道のところの、やっぱりインターチェンジのところが土地買収が必要になります。中央自動車道とか、さらに先の東名、そこからも裁決申請が出されている数字を私お聞きいたしましたけれども、そういう状況の中で、青梅街道のところのハーフインター、杉並はインターチェンジをつくらないと、そういうふうになっているのに、練馬はインターチェンジをつくるということで、これまた大問題で、その該当するというか地域の町会は、もう全てというかこぞって町会の八割九割の方々、やむなしという事情のあった方はみんなもう先行取得やそこから土地を立ち退いていると。こういうところが今、この収用法の適用もされるわけですから、どんな事態になるかということで、本当に起業者に対して、私はきちっと--これ国や東京都もかんでいるわけですから、そういう意味では、収用委員会としても大変な役割だと思いますから、よりそういう状況にあるということをしっかり受けとめながらご努力いただきたいというふうに思うんです。
 さらには、外環ノ2となれば練馬部分、まだこれは事業認定されておりませんけれども、これも大きな、一旦地下になるといっていたのに、その地上部街路もつくるというようなことで、本当にそこに住む方々は、生活再建をどうするかということで、大変なやはり怒りといいますか、声を持っています。そういう公共事業といえども住民の合意がとれないような事業については、収用委員会の立場はそれぞれあると思いますけれども、やっぱりそういう立場に立つ、公正、中立でその間に立っていかれるという役割を求めて、ちょっと時間来ましたので終わりたいと思います。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十四号議案、第十五号議案、第三十九号議案及び第四十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、去る二月十五日の委員会におきまして要求のございました予算案に関する資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。今回予算案に関して要求のございました資料は、目次に記載してありますとおり二件でございます。
 一ページをお開き願います。要求資料第1号、財政調整基金、社会資本等整備基金の推移でございます。
 こちらは、平成二十四年度から二十八年度までの五年間における財政調整基金及び社会資本等整備基金の推移をお示ししたものでございます。
 二ページをお開き願います。要求資料第2号、投資的経費(うち単独事業)の推移でございます。
 こちらは、平成二十四年度から二十八年度までの五年間における投資的経費の推移をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 それでは、私の方から、平成二十八年度予算に関連してお伺いをしたいと思います。
 先日の予算特別委員会で、我が党の田中理事も取り上げられましたが、将来への確かな投資がなければこの先の成長がない、私も全く同じ考えであります。中でも、都民の命を守るための投資はとりわけ重要であります。
 例えば、私の地元墨田区には、木造密集地域のみならず、海抜ゼロメートル地帯も広がっており、一たび首都直下地震が起きれば、被害は甚大であります。東京の不燃化、耐震化、津波、高潮対策などのハード整備は、まさに都民の命を守るための投資といえます。
 このような都民の生命と財産を守る投資、さらには東京の活力と魅力を一層高め、将来世代へと引き継がれる投資、この二つの側面をあわせ持った都市インフラの整備こそが、私は重要だと考えます。
 平成二十八年度予算における投資的経費は一兆円を超える規模であり、現在と同じく税収が上昇基調にあった十年前の平成十八年度と比較しても約一・七倍にふえております。この点は、今回の予算のポイントの一つであると考えます。
 今回の質疑では、この投資的経費について内容を掘り下げ、現在だけでなく、将来にわたって東京の未来を形づくる投資をいかに進めていくかを明らかにしたいと思います。
 最初に、平成二十八年度予算の投資的経費について、どこに重点を置いて財源を配分しているのか、十年前とも比較しながら所見をお伺いいたします。

○岩瀬主計部長 二十八年度予算における投資的経費は、東京二〇二〇大会に向けた施設整備、災害に強い都市づくり、都市機能を進化させるインフラ整備に重点を置いてございます。
 具体的には、オリンピック・パラリンピックに向けた競技施設の整備を着実に進めるとともに、二〇二〇年とその先も見据え、東京の防災力を高める取り組みやユニバーサルデザインのまちづくり、骨格幹線道路の整備など、都民にとって高い効果が得られる事業に重点的に財源を配分いたしました。
 十年前の平成十八年度予算では、日暮里・舎人ライナーや首都高速中央環状品川線の整備、鉄道の連続立体交差化など、今日の東京の活力を生み出している都市インフラの整備に多くの財源を振り向けておりました。
 二十八年度予算を十年前と比較してみますと、とりわけ木造住宅密集地域の不燃化、耐震化や豪雨対策、公共施設の維持更新、無電柱化を含めたバリアフリー化の推進などに重点的に財源を配分している点が特徴的であるといえます。

○桜井委員 投資的経費といっても、十年前とはその内容も変化していることが見てとれます。高度防災化など都民の命を守るための投資や骨格幹線道路など東京の活力を高める投資、バリアフリー化など東京の魅力を高める投資は、いずれも東京の未来を形づくるための重要な投資であります。
 いうまでもなく、こうしたハード整備を進めていくためには財源が必要であり、都債や基金を含め、それぞれの特徴を十分踏まえて、最も適切な財源構成を考える必要があると考えます。
 そこで、平成二十八年度予算における投資的経費の財源構成について、その考え方を具体的にお伺いをいたします。

○岩瀬主計部長 投資的経費の財源構成につきましては、まず、当該事業に充てるべき国庫支出金などを可能な限り獲得しました上で、現在及び将来の財政状況を総合的に勘案して、基金及び都債を活用いたしまして残額に一般財源を充ててございます。
 こうした考え方に基づき、財源を配分した結果、平成二十八年度予算におきましては、投資的経費一兆九百六十億円の財源のうち、三〇%が国庫支出金及び基金などを含む特定財源、三二%が都債、残りの三八%が一般財源となってございます。
 都債や基金には年度間の財源調整を図る機能がございまして、また、都債は将来世代との負担の公平性を図る役割も担っていることから、財源の充当に際しては、これらの機能や役割を十分に考慮した上で適切に活用していくことが重要と考えてございます。

○桜井委員 ハード整備は、将来の世代にも便益が及ぶ投資であり、世代間の負担の公平性を確保するという都債の機能を十分考慮することが重要であります。
 また、都債の発行抑制のために投資的経費を削減すべきとの主張もありますが、これは本末転倒な議論であります。必要な投資の規模と都債発行の規模は、密接に関係しながらも、それぞれの、いわば哲学に基づいて決まるものであり、現に、平成二十八年度予算では、投資的経費が伸びる中にあっても都債の発行額を抑制しております。
 今回、都債発行を抑制した理由や背景について、所見をお伺いいたします。

○岩瀬主計部長 都債は、社会資本ストックを形成する投資的経費の重要な財源でございまして、委員ご指摘のとおり、世代間の負担の公平性を確保する機能を有してございます。
 一方で、都債を発行するに当たりましては、将来世代の受益と負担のバランスも考慮し、過度な負担を残さぬよう、少子高齢化や人口減少に伴う今後の人口構造の変化を踏まえ、適切に活用する視点も必要であると考えてございます。このため、都債は、毎年度都税収入の動向や投資的経費の水準、基金残高等を総合的に勘案しながら戦略的に活用しております。
 こうした考え方に基づき、平成二十八年度予算におきましては、都債を全体として抑制し、将来に向けての発行余力を培うとともに、世代間の負担の公平性を確保するという都債の趣旨に鑑み、その効果が将来世代にわたる社会資本ストックである道路、橋梁の整備や都立学校の改築などについて重点的に都債を活用いたしました。

○桜井委員 投資的経費の削減などにより、画一的に都債の発行抑制を行うのではなく、将来世代との負担の公平性という観点も踏まえながら、毎年度の財政状況などを総合的に勘案し、都債を適切に活用していくべきであります。
 これまでの議論で、十年前との比較による投資的経費のポイント、さらに、財源構成の考え方が確認できましたが、未来に目を移せば、世界で一番の都市東京の実現に向け、都市基盤を強化するための投資は今後も必要不可欠であるわけです。
 二〇二〇年と、さらにその先を見据え、都民に必要とされる投資的事業の今後の見通しはどうなのか、所見をお伺いいたします。

○岩瀬主計部長 道路、橋梁を初め、公園や社会福祉施設の整備など社会資本の整備は、都民の安全・安心や利便性を向上させるとともに、東京の国際競争力や活力の向上などのために必要不可欠な取り組みでございます。
 とりわけ二〇二〇年に向けたインフラ整備は、オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、都民の新たな財産となるものでございます。そのため、バリアフリー化や無電柱化の推進、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化を初めとする都市基盤の高度防災化などに集中的、重点的に取り組んでいかなければなりません。
 さらには、活発な経済活動の土台となる骨格幹線道路や東京港等の都市インフラの整備、社会資本ストックの老朽化対策なども重要な投資であると認識してございます。
 このような社会資本整備に係る財政需要に、将来にわたって的確に対応していく必要があると考えてございます。

○桜井委員 今後も、都民にとって真に必要な投資は、しっかりと行っていかなければなりません。また、子や孫の代にも質の高い都市インフラを引き継いでいくためには、公共投資の発注者として、高い品質を確保する視点も重要であります。安かろう、悪かろうでは意味がないわけです。こうした視点も踏まえつつ、東京のさらなる成長に向けた投資を積極果敢に行っていくこと、都債や基金が持つ機能を十分踏まえて、健全な財政運営を行うこと、引き続きこの二つの両立に全力で取り組むべきであります。
 今後も、しっかりと財源を確保し、都民にとって真に必要な投資を着実に行っていくことが重要と考えますが、局長の見解をお伺いいたします。

○長谷川財務局長 豊かな都民生活の未来を創造して発展を続けていくと、その役割を果たしていくというためには、仕事や子育て、介護などの都民生活の質の向上に向けた取り組みはもちろんのことでありますが、ただいま委員からご意見ございました都市インフラの整備というものも不可欠であるというふうに考えております。とりわけ都市機能が高度に集積しております東京におきましては、必要なインフラ整備を進めるということは、投資効果という面からも大きな意味を持っております。
 こうした観点から、都は、二〇二〇年大会に向けました競技施設の整備はもとよりとして、災害に強い都市づくりやユニバーサルデザインのまちづくり、それから骨格幹線道路の整備など、東京ひいては日本の発展の基礎となる都市基盤の整備を着実に進めていかなければならないと認識しております。
 また、今後二十年間で六兆円という試算もございますさまざまな社会資本の維持更新、これらの対応も都政に課せられた大事な役割でございます。不安定な税収構造にあります都財政のもとにおきまして、こうした使命を確実に果たしていくためには、その財源として、国庫支出金など特定財源の確保に最大限努めますとともに、将来世代の負担や財政の健全性、こういうことにきちんと配慮をしながら、都債や基金を計画的かつ戦略的に用いていくということが重要でございます。
 今後とも、安定的かつ継続的な施策展開を支え得る強固な財政基盤を堅持しながら、東京の未来をつくる都市インフラの整備などの取り組みに全力を尽くしてまいります。

○桜井委員 ありがとうございました。
 ハード整備に関する投資は、東京ひいては日本全体の発展を支えるための、いわば基盤に対する投資であります。中でも、都民の生命と財産を守る防災、減災対策は、国土強靱化の観点からも待ったなしで取り組まなければなりません。
 また、少子高齢化や人口減少など、今後の社会構造の変化を的確に捉え、費用対効果の高い投資を行っていく視点も重要であると考えます。
 こうした点をしっかりと考慮し、また、強固な財政基盤を堅持しながら、今後とも都として、社会インフラに対する投資を着実に進めていくことを求めて私の質問を終わります。

○遠藤委員 それでは、私からも質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 先日の予算特別委員会では、先ほど、桜井委員からもお話がありました、都債と並んで基金の位置づけ、これについても、各会派からさまざまな意見が出て議論が交わされたころであります。
 きょうは、この基金、そして昨年の事務事業の質疑でも私は関心を持って取り上げさせていただきました事業評価、この基金と事業評価二つに絞って質問させていただきたいと思います。
 この基金、きょうは具体的な基金ということで、福祉先進都市実現基金、そして障害者スポーツ振興基金、この二つの基金を取り上げて、具体的な数字等、また役割、活用等について、一歩深掘りをして、その目的や役割等々を明らかにさせていただきたいと思います。
 まず、福祉先進都市実現基金についてであります。
 二十八年度の予算案において、この福祉先進都市実現基金が、一般財源と基金ということで、この基金の中でどう具体的に有効に活用をされるのか、またしようとしているのか、ここをしっかりと見きわめておく必要があると思いますけれども、具体的な活用方針というんですか、状況について、まず、答弁をいただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 福祉先進都市実現基金は、誰もが地域で安心して暮らすことができる社会を構築することを目的に創設したものでございます。
 平成二十八年度予算では、こうした目的の実現にかなう超高齢化社会への対応や子育て家庭への支援などの取り組みに対して活用を図り、七十九億円の取り崩しを行ってございます。
 具体的な活用事例といたしましては、介護人材の育成、定着支援である介護職員キャリアパス導入促進事業に二十六億円を充当してございます。また、賃貸物件による保育所の開設準備経費補助事業に十四億円、妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目ない支援を行う区市町村の取り組みを促すゆりかご・とうきょう事業に十二億円を充当してございます。
 このように、都独自の取り組みに積極的にこの基金を活用し、福祉先進都市の実現に向けた施策展開を財政面からしっかりと支えております。

○遠藤委員 平成二十七年度最終補正には、この基金に二百億円を積み増しております。その結果、残高は今年度末で六百億ということになっております。この現実を捉えて、相変わらずある方々はため込みと、ある方々はね、このような指摘をされているわけでありますけれども、こういった誤った指摘を正すためには、今後、この基金の活用の方向性をしっかり明確に示すべきだと、こういうような方々にもわかるようにしっかりと明確に示すべきだと思います。
 具体的に例にとりながら、説明していただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 長期ビジョンに掲げる施策を着実に展開し、将来にわたって豊かな都民生活を実現していくためには、景気の下振れによる減収リスクや将来にわたる財政需要に対する備えを講じ、財政対応力を強化することが極めて重要でございます。
 こうした観点から、福祉先進都市実現基金は、待機児童解消のような子育て家庭への支援や介護人材の確保を初めとする超高齢化への対応など、ビジョンに掲げる福祉先進都市実現に向けた施策を将来にわたり安定的に推進するために活用することを目的としてございます。
 そのため、本基金は、まずは長期ビジョンの計画期間を目途として、その目的に沿って計画的かつ戦略的に活用していく考えでございます。
 今後も、二十八年度に充当される事業のような先駆的な取り組みの財源として、基金を積極的に活用することで、福祉施策の安定的な展開を図ってまいります。

○遠藤委員 先ほど問い一の答弁で、何のためにこれを使うのかということで、都独自の取り組みに積極的に使うと、さらに今の答弁で、先駆的な取り組みの財源として活用すると、こういうキーワードがありました。
 ここ所管が違うんで、私、改めて福祉保健局の方に、この福祉先進都市の実現に向けた基金充当という、どんなことに充当するんですかということで、あらかじめ聞きました。今、答弁ありましたとおり、おおむね七十八億を三十八の事業に活用するということで、そのうち三十一の事業については、今答弁にもありましたけれども長期ビジョンに示されたものに充当すると、こういう資料でありました。
 特に、子育て支援、さらに高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現ということで、それぞれ七十八億のうち、子育て支援には三十四億円、高齢者が地域で安心して暮らせるための社会の実現のためには三十六億円ということで、おおむね七十八億円のうち七十億をこの少子高齢対策に、中でもビジョンの中で示されている東京都の実態に合ったものにしっかりと使っていくということが、この福祉保健局から得た資料でも私はわかるんだと思います。
 ビジョンの期間は平成三十六年度までということでありますので、二十八年度から逆算すると今後九年ということで、今回七十八億を充てるわけですから、本当にざっくりとすると、おおむね七十億ぐらい、単純計算ですけれども七十億ぐらい毎年取り崩しながら、主に少子高齢の東京都の実態を踏まえた形で着実にこの施策を展開していくのであると、私自身は理解をしておりますので、こうした基金の重要性に鑑み、ため込みという批判は私は全く当たらないと、このように思っております。
 次いで、障害者スポーツ振興基金、これは二十八年度に創設をされるわけでありますけれども、その設置の趣旨または目的についてお伺いしたいと思います。

○岩瀬主計部長 障害者スポーツ振興基金は、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむスポーツ都市東京の実現に向け、二〇二〇年までの集中的、重点的な取り組みを担保することを目的として創設するものでございます。
 この基金を活用することで、東京二〇二〇パラリンピック競技大会に向け、障害者スポーツの普及啓発や環境整備を、景気の動向にかかわらず、切れ目なく着実に進めていくことが可能となります。
 さらには、この基金を核として、障害者スポーツの振興という複数の部局にまたがる課題に対して、各局が垣根を超えて連携しながら、より実効性の高い施策を構築することも目指してございます。

○遠藤委員 主計部長の答弁で、その目的は理解をできました。
 しかし、内容が抽象的で、対象となる事業が漠然としている、こういう気も一方でいたします。いいかえれば、使い勝手がよ過ぎて本来の目的以外に充てられてしまう、こういう危惧も逆に残るわけであります。
 基金の活用にあっては、障害者スポーツ振興基金に限りませんけれども、その本来の趣旨から逸脱することはあってはならないというのは、このスポーツ基金でも当然のことであります。真に都民に必要な事業に活用すべきであります。二〇二〇年までに集中的、重点的にこの基金を活用するということであります。
 財政当局として、その使い道をあらかじめ、さらに明確にしておく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○岩瀬主計部長 障害者スポーツ振興基金の設置目的に基づきまして、実効性の高い施策を展開していくためには、基金を所管するオリンピック・パラリンピック準備局にとどまらず、局の垣根を超え、関係局が連携を図る中で、目的に見合う事業に集中的、重点的に基金を充当し、効果的に活用していくことが必要でございます。
 こうした観点も踏まえ、基金の使い道につきましては、障害者スポーツの普及啓発、機運醸成、場の整備、人材育成、競技力向上など、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむことのできる都市の実現に向けて、各局が実施する取り組みを想定してございます。
 具体的な基金の充当対象につきましては、今後二十九年度以降の予算編成過程におきまして精査し、真に必要な事業への活用を図ってまいります。

○遠藤委員 基金の所管は、オリ・パラ準備局ということであります。
 しかし、今答弁にありましたとおり、その使い道は、障害者のスポーツの普及啓発、さらに機運醸成、場の整備等々、ソフト、ハードいずれにも使えると、こういうことだと思います。
 そういった意味では、最後答弁されました、再来年度ですか、二十九年度以降の予算編成過程において精査、必要な事業への活用を図っていくと、これが財務局の役割だと思います。
 特に、こうしたもの、二〇二〇年までには、それほど大きな議論にならないかもしれませんけれども、この種の話は、大会が終わった後、この歴史の検証に耐えないといけないということがあるんだと思います。
 それも見据えて、財政当局として、真に事後的に検証されたときに、なるほどと、この障害者スポーツ振興基金というのは、二〇二〇大会に向けた基金として、その役割、本来目的にかなったものであったと、このように、事後的に検証されたときに、その風雪に耐えられるような、そういうガバナンスをしていただきたいと思います。
 二点目の事業評価についてであります。
 ことしも含めて、毎年、予算の議論をする中で、新規事業については多くの議論がなされます。議員も、この新規事業については目を皿のようにして見ていますけれども、その一方で、施策をどのように見直したか、また無駄を排除したかといった点については、時間の関係もあり、なかなか十分な目くばせ、さらに議論が尽くされてないと、これは反省も含めてですけれども、あります。
 そこで、昨年に続いて、この事業評価、都庁の自己改革、こういう観点から何点か質問をさせていただきたいと思います。
 事業評価、改めて勉強していますと、都がかつてなし遂げた財政再建の成果の上に立って、施策の検証機能を都庁組織に内在化したもの、このような位置づけをされておるということであります。
 今年度の事業評価の取り組み、これは繰り返しいろんな場で説明を受けておりましたけれども、見直し、そして事業の再構築、件数で三百二十五件、それによって確保された金額は三百億と、このように説明を受けております。
 しかし、三百二十五件、総額三百億円という数字ばかり先走ってしまって、一体、具体的にどのような観点からこの三百二十五件、そして、その総額三百億円というものを割り出したというか、こうした成果、いってみれば成果でありますけれども、上がったのかというのが、いま一つわかりません。
 そこで、具体的にどんな観点から事業評価を行ったのか、説明を求めたいと思います。

○岩瀬主計部長 事業評価を実施するに当たって、今年度は将来にわたって都政の役割を果たしていくという視点に立ちまして、一つ一つの事業が、その目的に対し有効に機能しているかを原点に立ち返って点検し、より充実した事業内容に深化させていくよう評価を実施いたしました。
 具体的には、決算や事業の進捗状況は妥当であるか、発生主義に基づくトータルコストから判断して効率的であるか、組織の垣根を超えて連携できる事業はないか、情報システム関係経費や監理団体等への支出が適正に行われているかなど、あらゆる角度から検証を行ってございます。
 その結果、来年度予算編成において、時代状況の変化など制度創設時の必要性が薄れ、事業終了するものはもとより、事業の見直し、再構築につながるものや行政需要の高まりを背景に事業の拡大、充実につながるものなど、事業の効率性や実効性のさらなる向上を図りました。

○遠藤委員 今の答弁、決算、事業の進捗状況をまず見ると、さらに発生主義に基づくトータルコスト、コストの観点ですね。あともう一つは、それぞれの局でダブった事業をしてないかという、そのダブりの問題だと思います。あと、いわゆる外郭団体、監理団体等への支出が適切なのかどうかと。こういう、主に大きくいうと四つの視点から見ていますということだと思います。その考え方はわかりました。
 じゃあ、どんなことを具体な事例としてやったのかということで、我々にも、また都民にも、具体的にわかるような、イメージが湧くような具体例として、一つ二つ挙げてください。

○岩瀬主計部長 見直し、再構築の一例といたしまして、東京港における貨物集荷輸送補助制度のスクラップ・アンド・ビルドが挙げられます。これまで、東京港の国際競争力を強化するため、貨物の集荷促進を目的といたしまして事業者への補助を実施し、一定の成果を上げてきましたが、その後、施設能力を超える貨物の集中によりまして、交通渋滞や貨物運搬の回転率の悪化などに直面しており、物流のさらなる効率化が喫緊の課題となってございました。
 そこで、従来の補助制度を廃止する一方、国内各港間の船舶輸送に対する補助を拡充することで、トラックによる輸送からのモーダルシフトを促進し、物流の効率化と東京港のさらなる利用促進を図りました。
 また、事業の拡大、充実の一例といたしまして、外国人おもてなし語学ボランティア育成事業の充実が挙げられます。この事業では、東京二〇二〇大会に向けて、目標である三万五千人を着実に育成していくため、これまで都が独自に実施してきた育成講座に加えまして、区市町村や企業などと連携した育成講座も充実することといたしました。
 さらには、募集情報や活動事例といったボランティアに関する情報の発信を目的に、総合ポータルサイトを新たに構築することにより、さらなるボランティアの育成を図り、外国人のおもてなし環境の整備促進につなげていくこととしてございます。

○遠藤委員 時間があるので一つ聞きたいんですけれども、後段が外国人のおもてなしの語学ボランティア、これが拡大、充実の一例としていってもらいました。それは、よくわかりました。
 前段の見直しの、再構築の例として、東京港における貨物の集荷、輸送をちょっと変えましたという話でありましたけれども、これもう少しちょっと、今の答弁だと、トラック輸送等々をしていたものにかなり補助をしていたと。その一方、そうだとなかなか交通渋滞等々があるので、それを緩和するために、港から港、東京港を中心として、いわゆる船舶、船を使って輸送をしていただくと、トラックにかわってと、そういうものに対して補助を切りかえましたというイメージだと思うんですけど、その辺もうちょっと詳しく説明してもらえませんか、補足をしてください。

○岩瀬主計部長 今、先生のお話のとおりでございまして、補助制度として、貨物の集荷ということで、事業者への補助を今まで制度としてつくって、それは毎年毎年実績を上げて、その効果というのは出てきていたんですね。
 しかしながら、最初、導入当時はいい制度であっても、これがずっと年々こう経過してきますと、いろんな状況の変化があると。それが、結果として、先ほど申し上げた交通渋滞につながったりということで、その補助の制度、導入当初はよかったんですけれども、だんだんだんだんその効果が薄れてくるということがございます。
 したがって、ずっと一つの制度をつくってそのままにしておくのではなくて、これをやっぱり随時見直して、必要な方策を新しく検討して、その状況にかなったやり方をしていくということで、モーダルシフトに切りかえてきたと、こういうことでございます。

○遠藤委員 よくわかりました。
 それでは、事業評価というのは、平成十八年度に導入以来、今おっしゃられたとおり、社会もさまざま変化しています。人口の構造や社会資本のストックのあり方等々、年々変化しているわけであります。
 そんな中で、この事業評価の評価軸自体も、やはり時代の推移等々に合わせて変えていかなければならないと思っております。こうした考え方について、都は、どうお思いになるのか、また、今後どうされようとしていくのか、この評価軸自体の改善というか、それについて答弁を求めたいと思います。

○岩瀬主計部長 都政をめぐる環境が大きく変化する中で、副委員長のご指摘のとおり、事業評価自体も時代の変化に適合させる必要がございます。そのため、これまでも、毎年度評価制度を改善し、さまざまな工夫を行ってまいりました。
 具体的には、情報システムの高度複雑化に伴い、情報システムの開発、運用について、専門部局も加わって行う評価を導入したことですとか、監理団体への支出を通じて実施する事業の必要性や有益性を検証する評価、官民連携による事業実施の可能性を検証する評価など、新たな評価手法を適宜追加してございます。
 さらに、今年度は少子高齢化の進展に伴い、自治体が持つ資産の適正規模が全国的に議論となる中で、特に老朽化比率の高い動産についての分析、検証を強化いたしました。
 今後とも、時代の変化に的確に対応する観点から、事業評価制度そのものの見直し、改善を継続することで、より実効性を伴った制度となるよう深化させてまいります。

○遠藤委員 誰にいわれるものでもなく、この自己改革が、都庁また都庁マンの皆さんのDNAだと思います。事業評価制度も含めて、しっかりと自己改革の取り組みをしていっていただきたい、このことを申し述べまして質問を終わります。ありがとうございました。

○松村委員 東京都の基金について伺います。
 二〇一六年、平成二十八年度の予算概要書によれば、財源として活用可能な基金の残高の推移が載っています。平成二十八年度末の見込みは一兆一千五百八十七億円と、二十七年度よりも減るような資料ですけれども、これは平成二十七年度の最終補正予算で財政調整基金四百三十六億円や社会資本整備基金一千億円を積んだ結果であり、平成二十八年度末には、オリンピック・パラリンピック基金を脇においても、別にしても、私は、ここ二十年来、東京都の基金は最高額になるのではないかと見ていますけれども、いかがでしょうか。

○岩瀬主計部長 平成二十七年度最終補正予算におきまして、年度当初に想定されなかった都税の増収や、執行しないことが明らかな不用額の精査などにより生み出された財源を基金への積み立てに活用いたしまして、その結果、財源として活用可能な基金の二十七年度末残高は一兆二千百六十五億円となってございます。
 また、平成二十八年度末残高の予定は、これは一兆一千五百八十七億円でございまして、二十七年度末、最終補正後の額よりは下がっております。
 お尋ねの二十八年度末の基金残高が最高になるのではないかということなんですけれども、これは、今のお話から、済みません、推測いたしまして、税収増ですとか不用額の発生ですとかを前提として、それを積み立てた場合ということなのかもしれませんが、そういった推測に基づくご質問には、ちょっとお答えできないと思います。

○松村委員 二十七年度末も、見込みを九千八百八十億円としていたんですよね。これは、同じつくりをしておりますこの概要書にも、二十七年度末には、基金を取り崩したりした結果、九千八百八十億円という表をつくっておられるんですよね。これがことしの、こっちがその前の年というか。
 この九千八百八十億円が、実際には一兆二千六十七億円というふうになっているところから見れば、このところの都税収増や、これから触れる執行残、不用額などが出ている等という事情で、その前の年には、確かに九千八百八十億円ということで、二十六年度より二十七年度は減ると。実際には、最終補正を入れてみれば一兆二千六十七億円だと。
 私、何でこのことをいいたいかというと、やはり今、都の財政状況はどうなのかと。特に、そういう意味では、使うような基金がどういう状況なのかというと、都民や議会に推測だからいえないというんじゃなくて、示すか、もしくは、こういう減るような図を、見込みだからと、こっちは決算だからと、当たり前といえば当たり前かもしれませんけれども、やっぱり都民にきちっと、議会も含めて、ともに財政というか、予算をどう活用するかというか、判断することにおいて大事な点だから、あえて今のような質問をさせていただいたわけなんです。
 そこで、そうした要因となっているのは都税の税収増がありますが、さらに歳出の精査を行った結果の予算の執行残、つまり不用額が多額に出ていることです。今年度、平成二十七年度の執行状況の精査により二千九百三十億円を生み出したと予算の概要には出ていますが、その主な内訳、また過去三年間のこの不用額の推移と内訳をお聞きいたします。

○岩瀬主計部長 平成二十七年度最終補正予算における予算の執行状況の精査の内訳でございますが、給与費の精査が百九億円、契約差金や補助金の交付実績の減などが二千八百二十一億円でございます。
 予算の執行状況の精査の過去三年間の推移について申し上げますと、二十六年度が二千二百五十九億円、二十五年度が一千六百九十億円、二十四年度が一千三百五十八億円でございます。
 内訳につきましては、給与費の精査は二十六年度が九十二億円、二十五年度が三百四億円、二十四年度が二百八十九億円でございます。
 また、契約差金や補助金の交付実績の減などについては、二十六年度が二千百六十七億円、二十五年度が一千三百八十五億円、二十四年度が一千六十九億円でございます。

○松村委員 今の執行状況の精査、不用額と私は考えますが、三年間さかのぼると、二〇一三年度、平成二十五年度ですか、これが千六百八十九億円、二〇一四年度が二千二百五十九億円、そして二〇一五年度は二千九百三十億円。年々うなぎ登りとはいいませんけど、ふえていますよね。このふえている理由についてもお答えください。

○岩瀬主計部長 最終補正予算における予算の執行状況の精査の金額につきましては、当初予算において必要な予算を計上したものの、執行状況等によりまして、その時点で不用額となることが明らかになったものを計上しているわけでございます。
 なお、金額の増減につきましては、その年々の歳出総額や予算の執行状況に応じて変動するものでございます。

○松村委員 一般的にはご答弁のあったとおりですけれども、中途議決のときにも、私指摘しました。
 例えば、住宅耐震化の大幅な予算の執行残が出されて、それが最終補正では基金に積み立てるとか。その額はやはり中途半端なものじゃないというふうに思うんですよね。財政当局、予算を立てる側もしっかりその年度に執行する、で、実績を上げると。それが都民に対する財務当局というか、予算を立てる側の姿勢というか。やむを得ないものとして、確かに給与の残とか、そういうのは当然出てきます。一〇〇%なんてことはあり得ないと思うんですけれども、でも、このところ明らかに大きな額が執行残として残っていると。こういうことをやっぱりしっかり分析して、次の予算の編成、こういう立場をとっていただくためにも、このことを指摘したいというふうに思うんです。
 もう一つ、繰越金、これがやっぱり少なくない額で出ております。繰越金が歳入確保ということになっていますけれども、二〇一五年度、一千百五十八億円の繰越金、二〇一四年度は、その前は、三百九十六億円だったんです。
 やっぱりこれも大きな繰越金で、やむを得ない繰越金は事故繰越だとかいろんなことで繰越額を除いても、歳入、歳出を差し引いた繰越金が一千百五十八億円と。このことをどういうふうに捉えておりますか。

○岩瀬主計部長 繰越金とは、決算の剰余金のうち翌年度へ持ち越される財源のことでございまして、具体的には決算上の歳入と歳出の差である形式収支から明許繰越や事故繰越など制度繰越に伴う繰越財源を控除した金額を翌年度の歳入予算に編入しているものございます。

○松村委員 そういう答弁で、私も納得できないというか、恐らく都民にも、私からもきちっと説明できない。執行残や繰越金が--ここは決算の場じゃないからそう深入りしませんけれども、今新たな予算を立てて、それを審議中だからあえて指摘するわけですけれども、これどうなんですか。二千億とか、合わせれば三千億という形が、今年度やっぱり使われないでいるという、これを基金等に積み立てることは、私たちもいっておりますけれども、何も否定するものでありません。
 しかし、やっぱり、しっかりとそこら辺は精査して、最終補正だったら、都民が今どういう状況にあるのかと、後でも触れたいと思いますけれども、子供の貧困だとか、本当に都内の高齢者、生活保護以下で、どのぐらいの方々が困窮して、食事を切り詰めるとか、医療にかかれないとか、そういう状況があるんですよ。前には、老人医療費助成制度もありました。それから寝たきり手当というものも都の制度としてあったわけですよね。そういうことを前提として、私は厳しくもっと精査していくべきだというふうに思います。
 そこで、今こういうもとで、この最終補正でも、多額を基金に積んでおります。現在、それにしても、三十八もの基金があるんですよね。これ都民のために、使いやすいようにもっと整理、見直しをすべきだと思いますけれども、いかがですか。

○岩瀬主計部長 基金には、都の施策展開上の必要性から独自に設置しているもののほか、国の施策や法律に基づいて設置されているものもございます。
 それら基金の設置や廃止は、都政をめぐる状況やそれぞれの基金の果たす役割を踏まえ、その時々で適切に判断してございます。現在設置されている基金につきましても、条例の定めるところによりまして、それぞれの基金が特定の目的を持って設置されてございます。したがいまして、これらの基金を理由なく整理する考えはございません。

○松村委員 私も、この積立基金の状況という基金の一覧を見ました。
 それで、今のような、もっと整理して、こういう基金が、計画的に使う、そのための基金だといっても、これいかがなものかというふうに思いましたよ。
 中には、例えば、緊急雇用創出事業臨時特例基金とか、今、介護離職だと、介護の職員の待遇改善だとか、我々も必要なものを提起しておりますけど、そういうように、使えそうな基金もあります。
 もちろん、これは国からのそういう受け皿だというのでつくったという経緯は十分知っています。都民がこういう基金を見たら、何でもっと、そういうことをしっかりやれる取り組みがあるんじゃないかというふうに当然思います。やはり、非正規対策など真に都民が必要とする施策を対象に、基金の積み立てや取り崩しを行うべきだというふうに思うんです。
 改めて、都の基金の積み立てと計画的な、積極的な使用について、私からも改めて伺いたいと思います。

○岩瀬主計部長 都はこれまでも、今お話のありました非正規雇用対策を初めといたしまして、子供と子育て家庭への支援や高齢者への支援など、基金の有無にかかわらず真に必要な施策には的確に財源を振り向けながら、都民福祉の充実による生活の質の向上に全力を注いでまいりました。また、税収の減少や需要の増加に対応するため、財政調整基金など活用可能な基金を約一兆円確保することにより、安定的な施策展開を可能とする備えを講じております。
 現に、リーマンショック後の税収の落ち込みの際には、財源として活用可能な基金を約六千億円取り崩すことで、行政ニーズへの安定的、継続的な対応を図ってまいりました。
 今後とも、財政の健全性に留意しつつ、基金などこれまで培った財政対応力を活用しながら、ソフト、ハード両面にわたる都政の諸課題に着実に取り組んでまいります。

○松村委員 財務局は、よく活用可能な基金を、二〇一六年度末でいえば一兆円余確保しているといいますが、実際にはその三倍、三兆四千二百八十一億円--これは基金総額ですけれども、私は、その基金全部が都民のために使える財源だという考え方をしますが、これについてはいかがでしょうか。

○岩瀬主計部長 基金の残高三兆円、これ全ての基金、積立基金の平成二十八年度末残高を合計しますと三兆四千億円ありますけれども、これは、いずれも都民のために、それぞれ目的に応じて使われる財源でございます。
 そのうち、例えば一兆一千五百八十七億円につきましては、財政調整基金などの使途が限定的でない基金の残高でございまして、これは、都が安定的に施策を展開していくために税収の減収局面などへ備えるという意味におきまして、財源として活用可能な基金としてお示しをしているというものでございます。
 一方で、例えば減債基金は、残高としては一兆三千六百三十九億円ございまして、これは、都の基金の中で最も残高の多いものでございます。一兆三千六百三十九億円。これは、来るべき都債の償還のための財源として積み立てをしているものでございまして、こうした基金本来の目的以外の用途に活用することは適切でありませんし、全くそういう考え方は持ち合わせておりません。

○松村委員 今、お答えがあったように、減債基金は、借金を返す積み立てですから、むやみに手をつけるべきではありませんが、それでも、都税収入が落ち込んだ一九九四年、平成六年度には、財政調整基金と減債基金の残高を全部取り崩してゼロになったという、私もそのとき経験しました。今は一般会計が七兆円を超え、それ以外にも基金が三兆四千億円余もあるというのが、これは現実です。
 当時の、財政再建ということで、財政健全化計画なども立てられました。それで、都民とともに築いてきた福祉施策が、ほとんど今ではないではありませんか。そういうもとで、財政的にもゆとりが出てきたとかいうときに、今、都民生活の状況を見て、可能な手だてをやっぱり尽くして、安心だけでなくて底上げしていくということが、どんなに今後、また都財政にとっても必要なことかというふうに私は主張、指摘しておきます。
 そこで、将来への投資という名目で、主に大規模開発が押し進められていますが、良質な社会インフラの維持更新、これは既に年次財務計画でも出されております。それからさらに、都独自の給付奨学金制度の創設や児童育成手当の単価引き上げなど弱者に対する投資、これを今定例会でも、我が党からは、今こういうことをやるべきじゃないかという提案をしましたけれども、やはり人間の生活や暮らしを守ることこそが、社会基盤の底上げにつながるというふうに思いますけれども、この点についての見解を伺います。

○岩瀬主計部長 都はこれまでも、都民が生涯を通じて安心して生活できる環境を整備することが社会全体の活力をもたらすとの考えから、社会資本ストックの維持更新はもとより、雇用や福祉の充実、教育など、必要な施策に的確に財源を振り向けております。
 二十八年度予算におきましても、将来に対する投資を行うという視点に立ち、非正規雇用対策の強化を初め、子供の居場所創設事業を新たに創設するなど、誰もが活躍できる環境の整備に向けて、都独自に取り組みを強化し、積極的に予算を配分しております。
 一方、外環道を初め、道路や東京港などの都市インフラの整備は、都民の利便性や東京の国際競争力を向上させるだけでなく、その効果が全国に波及することから、日本全体の発展を目指す上でも必要不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要がございます。
 今後とも、ハード、ソフト両面にわたり、山積する都政の諸課題にしっかり取り組んでまいります。

○松村委員 今のご答弁でも、道路などの都市インフラ整備は、利便性や国際競争力を向上させ、日本全体の発展を目指す上でも不可欠などとの答弁がありましたが、さんざん道路建設などに投資を行ってきた結果、今や二十三区の道路率は、パリやロンドンなどの世界諸都市よりも上回っています。
 その一方、世界経済第三位の日本で貧困問題が大問題となっている。この現実を見れば、今どちらに投資を行うのかは明白です。改めて、この逆立ちした都財政の転換を強く求めるものです。
 次に、中小企業の公共事業について伺います。
 資料提出ありがとうございます。提出された五年間の中小企業の受注実績によると、都が発注する工事関係の中小企業への実績が、平成二十二年度に比べて平成二十六年度は減少しています。都は、どのように認識していますか。

○松永契約調整担当部長 提出いたしました資料、中小企業受注実績において、平成二十六年度の公共工事における中小企業の受注件数は、平成二十二年度に比べ減少しております。
 しかし、全体の件数に対し、中小企業が受注する件数の占める割合は、一貫して約八五%であり、五年間を通しましても同じ水準を保っております。
 都の発注する工事の約八五%を受注する中小企業は、道路の補修や河川の改修、学校の改築、改修など、都民の身近な安全・安心の担い手となっており、まさに、都のインフラ整備、維持管理の中核を担う存在でございます。
 都は、これら中小企業の担う役割の重要性を踏まえ、分離分割発注の原則や改正品確法の理念である将来の担い手の育成、確保を図るなど、入札契約制度改革を進めてまいりました。
 今後とも、都は、中小企業の受注機会の確保と人材の育成に向けて、環境の整備を進めてまいります。

○松村委員 毎年減少を続け、五年間で、件数で二千百五十五件のマイナスです。
 都の工事への中小企業への参入を一層図るため、総合評価方式において、区市町村の実績も評価していくとのことですが、どのようなことを行い、どのような中小企業受注拡大の効果があるのですか、伺います。

○松永契約調整担当部長 都内の中小企業の中には、区市町村発注の道路や橋梁工事などの施工を通しまして技術力を培いながら、地域のインフラ整備に貢献している事業者も多く存在してございます。
 一方、都においては、今後増大する身近な社会インフラの老朽化などに対応するためにも、これらの中小企業の技術力を生かしていくことが重要でございます。
 現在、都の総合評価方式では、都発注工事の成績のみを評価の対象としております。
 今後は、都内区市町村発注の工事成績も評価する手法を新たに導入することで、品質確保を図りながら、技術力のある中小企業の新規参入を促し、発注者として、技術者の育成を支援しつつ、持続的なインフラ整備を進めてまいります。

○松村委員 これまで都発注工事の受注機会がなかった中小業者にも受注の道を開くことは、大変重要だと思います。一日も早いこの実施を求めておきます。
 都内でも、今後、オリンピック・パラリンピック関連施設整備やバリアフリー工事、社会インフラ老朽化整備などに対応できる技術力が生かせると期待されます。
 しかし、品確法など担い手三法の改正で、施工者の適正な利潤確保のため、ダンピング抑制、適正価格発注、工期の適正化など、公共発注制度が大改正されましたが、中小企業にはそのメリットは十分でなく、末端の労務単価はさほど上がっていないなど、制度が浸透していない現状にあります。
 建設業の男性生産労働者の--平成二十五年度で、前にご答弁があった数字です、これによると、年収額は三百九十五万円、製造業の四百四十五万円に比べ五十万円少ない、こういう答弁を当委員会でされております。
 現状でも、建設技術者、技能者の不足のところへ、十年後までに百万人の離職が見通され、建設産業の担い手がいなくなる、こういう労務危機が明らかにされている中、大手元請受注者の経営団体である日建連も、処遇改善策として、年間賃金水準を、二十歳代で約四百五十万円、四十歳代で約六百万円を目指す、また、社会保険加入を、二〇一七年を目途に、企業単位では一〇〇%、労働者単位では製造業相当を目指すなど、処遇改善の提言を出しております。
 これは、日建連が長期ビジョンで掲げる処遇改善の提言ということで、今いったことと週休二日を初めとする休日の拡大、もちろん建退共の適用では、公共現場で一〇〇%、民間現場で適用促進とか、本当にこれ評価できる、大手ゼネコンを含めた全建設業、もちろん中小も入る、こういう提言を行っているということは、私は、画期的な、評価できるものだと思います。
 都としても、今まで、要請するというふうに、本委員会でも繰り返し答弁しておりますけれども、やはりこの機を捉え、建設技術者、技能者不足解消に乗り出すべきではないでしょうか。
 その有力な業者の仕組みづくりが、我が党が一貫して求めている公契約条例です。きょうは、改めてこの質疑は行いません。積極的な検討を求めておきます。
 最後に、条例改正について伺います。
 東京都地方公営企業の設置等に関する条例を改正し、泉岳寺駅地区を対象に加える、この趣旨は何ですか。

○岩瀬主計部長 今回の条例改正は、泉岳寺駅地区における市街地再開発事業について、地方公営企業法の規定の一部を適用し、都市再開発事業会計において、事業収支のより一層の明確化を図るため、現行の規定に泉岳寺駅地区を追加するものでございます。

○松村委員 泉岳寺駅地区における市街地再開発事業ということですが、都営地下鉄泉岳寺駅のホームのホーム拡幅と周辺の再開発事業が、隣接するJR東日本の山手線品川新駅周辺の再開発事業と一体となった事業で、総事業費約五千億円以上をかけて、官民一体で新たな東京の顔となる国際的ビジネス拠点を育てるというものです。
 国内屈指の開発規模となり、用地面積は約十三ヘクタールあり、床面積は百万平米ほどになる見込みで、オフィスや住宅をメーンに、ホテル、商業、文化施設などの高層ビルが八棟--三棟がマンション、五棟がオフィスや商業施設が入る複合ビルで、高さが百六十メートル前後となり、これは六本木ヒルズの三倍以上、十万人規模になる見通しの計画であることをJR東日本が明らかにしています。
 東京一極集中をさらに加速させる開発計画で、しかもこの開発絡みで高輪の国会議員宿舎を、都が土地代、解体費用合わせて百六十五億三千万円で買収するなど、今後とも多額の都民の税金投入の危険があるのです。よって、本議案には反対いたします。

○岩瀬主計部長 都が行うインフラ整備は、東京全体の機能を強化するだけではなくて、都民の利便性、東京の活力の向上などにも不可欠な取り組みでありまして、着実に進めていく必要がございます。
 この泉岳寺駅地区における市街地再開発事業につきまして申し上げますと、駅利用者の安全性、利便性や交通結節機能のさらなる強化を図るため、今お話ございましたが、ホームの拡幅など、泉岳寺駅の大規模改良を行うとともに、ホームの拡幅に不可欠な隣接市街地との一体的な整備を実施するものでありまして、都民の安全・安心を守る上でも必要不可欠な取り組みでございます。
 引き続き、東京の発展を支える施策を積極的に展開し、山積する都政の諸課題にしっかり取り組んでまいります。

○松村委員 終わったんですが、私、交通局とか都市整備が必要な範囲においてやるとか、なるだけ都民負担、都民の税金を使わないとかいうんじゃなくて、今、東京の一極集中が本当に問題となっている中、財務当局がみずから、この巨大な計画を積極的に進めるなんて、そういう答弁は絶対許されるものではないということを厳しく指摘して終わります。

○酒井委員 私からは、大きく分けて二点について質問をさせていただきます。
 一点目は、昨年の事務事業質疑でも質問をさせていただきました都有施設の品質管理についてでございます。
 昨年、くい工事のデータ転用が大きな問題となりました。都有施設においても、施工記録の転用をされた事例といったものが明らかになり、財務局でも安全性の確認などの対応に追われたわけですけれども、その際、従来の体制では悪意を持ったデータの改ざんや流用には対応し切れないということがわかりました。
 昨年十一月の財政委員会において、建築保全部長より、都としては、今後同様の事例が発生しないように、施工者に対しては、下請が行う工事を常に点検し、工事の確実な実施や適正な施工記録の作成を指導し、工事監理者に対しても、施工の立ち会いや施工記録の確認を一層徹底させることについて注意喚起を行うとの答弁がなされました。
 そこでまず、その後、この方針に基づき、財務局はどのように対応を行ってきたのか、確認のためにお伺いをいたします。

○久保田建築保全部長 都有施設におきましてもくい工事のデータ転用事例が認められたことを受けまして、施工管理の一層の適正化を図るため、昨年十一月末に、くい工事や躯体工事など、構造上重要な工程を施工しております現場の施工者と工事監理者に対しまして、品質管理の徹底について指導を行いました。
 さらに、十二月には、これらの現場におきまして下請業者が行っているくい工事等におけます元請の施工者による立ち会いや施工記録の点検、また工事監理者による重要な工程への立ち会いなどにつきまして、チェックシートに基づき、都の監督員が緊急点検を実施いたしました。
 この結果、施工者や工事監理者による品質管理の取り組みが適正に行われていることを確認いたしました。
 その後契約した工事につきましても同様に、施工者等に対して品質管理の徹底を指導しており、引き続き施工管理を着実に実施してまいります。

○酒井委員 さらに、昨年十一月のご答弁の中では、施工者、工事監理者に対して、必要な場合には、まず、都の監督員に相談することなどについて周知徹底をするとともに、みずからもこれまで以上に注意深く適正に監督業務を行っていくとの言及もなされました。
 これを受けて、私からも、都有施設の建設に当たっては、元請会社などからの相談や申し出がしやすい環境の整備に腐心をとのお願いをさせていただきましたが、都の監督員への相談について、周知した後の対応状況についてお伺いをいたします。

○久保田建築保全部長 先ほどご答弁申しました施工者と工事監理者に対する品質管理の指導とあわせまして、施工中に疑義が生じた場合に速やかに都の監督員に報告するよう要請するなど、相談しやすい環境の整備をしているところでございます。
 この間、複数の現場におきまして、施工者から、くい工事の支障となるコンクリート塊などの地中障害物や埋設管が発見されたとの報告がございまして、都は施工者と協議の上、工期や工事金額を変更するなど適切な対応を行っております。

○酒井委員 ただいまのご答弁によると、東京都においては、問題が発生をした以降、適切に対応をして、その実績を積み重ねているということがわかりました。
 今回の、このくい工事の問題では、国においても、再発防止の検討がなされているわけですけれども、このような国の状況を踏まえて、都において、来年度以降新たに取り組む事例があるのかどうか、その対応についてお伺いをいたします。

○久保田建築保全部長 国は、昨年十月、基礎ぐい工事問題にかかわる有識者会議を設置いたしました。
 十二月には、基礎ぐい工事に関する適正な設計、施工及び施工管理のための体制構築等について、同委員会が提言をした中間取りまとめ報告書を発表いたしました。さらに、この提言に基づきまして、本年三月四日には、施工者が基礎ぐい工事に際して遵守すべき措置や工事監理者が基礎ぐい工事における工事監理を行うに当たっての留意点などを示しました基礎ぐい工事の適正な施工を確保するための大臣告示とガイドラインを公表したところでございます。
 都といたしましては、これらの国による再発防止策に基づきまして、くい工事を施工する下請業者による支持層到達の判断を元請の施工者や都の監督員が確認することのほか、施工記録が取得できなかった場合の代替措置をあらかじめ定めておくなどの対策を実施してまいります。
 このため、現在、工事仕様書等の関係基準類について改正を進めておりまして、本年四月より適用するとともに、契約済み工事の施工者等に対しましても対応を指導してまいります。

○酒井委員 ことしの四月より適用をしていくということでございます。
 この財務局が発注をする建築工事というものは、とりもなおさず、都民の財産になる、そういった施設でございますので、ぜひ、都民が安心をして利用ができるような施設をしっかりと構築していくために、今後とも、くい工事のみならず、東京都の発注をする建設工事に対する検査、また監督業務については徹底をしていただきたいということをご要望させていただきたいと思います。
 次に、宝くじについてお伺いをいたしたいと思います。
 この平成二十八年度においても、予算の財源として宝くじの収入といったものが計上されております。
 宝くじは、その売上金の約四割が収益金として自治体に収入され、貴重な財源として活用をされております。しかしながら、近年の売り上げが伸び悩んでいるということも聞いておりますけれども、改めて、確認の意味も込めて、平成二十七年度の状況も含めて、最近の宝くじの発売動向についてお伺いをいたします。

○岩瀬主計部長 宝くじの売り上げの推移につきましては、全国自治宝くじ及び東京都などのブロック宝くじを合わせた全国ベースで見ますと、平成十七年度に一兆一千四十七億円と、最大の売り上げを記録した後、年度ごとに増減はあるものの、概して売り上げの低減傾向が続いてございます。
 その主な要因といたしましては、娯楽の多様化により、購入者にとって宝くじ以外の選択肢が広がったこと、また購入者個々の経済事情によるものと考えております。
 また、平成二十七年度は、年度の前半は主力商品であるジャンボくじが振るいませんでしたが、後半になって、オータムジャンボくじや年末ジャンボくじが前年度を上回る好調な売り上げとなってございます。

○酒井委員 ただいまご答弁をいただきましたけれども、最近では、例えばサッカーくじがネットで買えるようになったり、あるいは、競輪等についても、ネットでの購入ができるようになったりと、宝くじ以外のいろいろなくじといったものが手軽に買えるようになっているということもございまして、平成十七年度の最大の売り上げを記録した以降、概して宝くじの全国ベースでの売り上げが低減しているということでございました。
 いうまでもなく、宝くじの収益金は販売をされた自治体の歳入となるため、売り上げが低迷をすれば都の歳入も減ることになります。今年度については、若干ではありますけれども、明るい兆しが見え始めているということでございます。
 これは、年末ジャンボ宝くじが一等前後賞合わせて十億円という、そういったこともかなりアナウンス効果になって、期待感を持って購入をされた方も多いと思うわけですけれども、こういった状況といったものを来年度以降の売り上げ向上につなげていくことも重要であろうと思います。
 また、収益金を少しでもふやすためには、最少の費用で最大の効果を得られるように、販売にかかわる経費を削減することも必要であろうかと考えます。
 そこで、今後の売り上げ向上策と経費の削減についてお伺いをいたします。

○岩瀬主計部長 今後の売り上げ向上策につきましては、宝くじの魅力向上と広報の充実の両面から取り組むこととしてございます。
 例えば、本年一月から、数字選択式宝くじの全ての商品を取り扱うこととなりましたインターネットによる販売を、平成二十八年度は通年で実施するとともに、購入者の要望も踏まえて魅力ある賞金体系の設定をしていくことや、スクラッチくじの図柄に新たなキャラクターの活用を行ってまいります。
 加えて、宝くじの収益金の使途について、さらに幅広く広報していくとともに、新たな顧客の獲得に向け、SNSなどインターネットを活用した広報活動の充実などに取り組み、売り上げ向上に努めてまいります。
 また、宝くじの発売に係る経費に関しましては、平成二十三年度から、広報のあり方を見直すなど節減に努めてきておりまして、経費率は、平成二十二年度から平成二十六年度にかけて、一・二ポイントの減、消費税抜きの額にいたしまして百五十八億円のマイナスとなってございます。
 今後とも、経費の節減等に留意をし、貴重な財源である宝くじの収益金の確保に努めてまいります。

○酒井委員 来年度以降について、売り上げ向上策を考えているということは理解ができました。
 宝くじの売り上げが若干ではあっても伸びているこの時期を捉えて、財政を預かる財務局としてのさらなる努力を期待しているものでございます。
 さて、既にご承知のとおり、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会招致の立候補ファイルに記載のとおり、宝くじで合計百億円の収益を確保し、大会関係施設の建設、整備費用に充当されることとなっています。
 この宝くじが、来年度から五年間にわたり、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の協賛くじとして、全国で発売がされます。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させることは、東京都の最重要の課題の一つでもあり、協賛くじの売り上げ確保についても大きな課題と認識をいたしております。
 二〇二〇年の大会まで継続して協賛くじを発売し、売り上げを確保するためには、まず、スタートである平成二十八年度の発売をしっかりと行っていくことが重要であろうかと考えます。
 宝くじ全体の売り上げが低減傾向にある中で、協賛くじの売り上げを確保することは、これはなかなか容易ではなく、さまざまな工夫を凝らしながら取り組むことが必要と考えますが、オリンピック・パラリンピック協賛くじに関して、売り上げ確保のための取り組みについてお伺いをいたします。

○岩瀬主計部長 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会協賛くじの売り上げ確保に向けては、まず協賛くじの発売意義を広く周知していくことが重要であると考えております。
 オリンピック・パラリンピック招致に際し発売をいたしました東京都宝くじにおきましては、招致ロゴを活用いたしましたが、今般の協賛くじにおきましても、全発売団体で構成する全国自治宝くじ事務協議会におきまして、くじの券面やポスターなどを効果的に活用し、発売意義を発信していくことを検討しております。
 加えて、テレビCMや全国紙及びインターネットを活用した広報宣伝や販売促進に向けたキャンペーンの実施など、さまざまな機会を捉えて協賛くじの発売を周知していくことを考えております。
 今後、都といたしましても、関係機関と具体的な調整を図りながら、協賛くじの売り上げ向上を目指してまいります。

○酒井委員 宝くじの収益金は、発売団体にとっては貴重な財源であり、オリンピック・パラリンピック協賛くじの発売によって、協賛くじの売り上げは伸びたけれども、しかし、その他のくじの売り上げが減るようでは、協賛くじの発売だけでなく、二〇二〇年東京大会について、他の自治体の理解や協力も得られないことになってしまいかねません。このようなことがないように、全体の売り上げが低減傾向にある中でも、オリンピック・パラリンピック協賛くじの売り上げ向上策について、関係機関の調整は必要だろうと思いますけれども、この発売がオリンピックムーブメントにつながり、また、宝くじのイメージアップによる全体の売り上げ向上につながるように、しっかりと取り組むことをご要望申し上げ、質問を終わります。

○山内委員 質問させていただきます。東日本大震災から五年が経過いたしました。復興のおくれが課題となっているところですが、東京でも今後三十年以内に七〇%の確率で起こるといわれております首都直下地震など大規模災害の発災時において、命を守り、中長期的な視点で備えを講じていくことは重要です。
 そこで、二〇一六年度予算において、災害対策はどのように位置づけられ、具体化されているのか、お伺いいたします。

○岩瀬主計部長 都民の安全・安心の確保は、東京で暮らす人々にとって生活の最も重要な基盤でございます。そのため、平成二十八年度予算におきましても、都政の重要課題である防災対策を都民生活の質を高め、一人一人が豊かさを実感できる都市の実現に向けた取り組みの中に位置づけ、積極的に施策を展開しております。
 具体的には、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化や津波、高潮対策、防災教育の推進や帰宅困難者対策など、いつ起こるかわからない災害に備え、計画的かつ重点的に予算を配分するなど、ハード、ソフト両面からさまざまな取り組みを盛り込んでおります。

○山内委員 帰宅困難者対策で、避難所となる公共施設の耐震化が重要です。五年前の東日本大震災では、各地で天井が落下する被害が発生いたしました。多くの都民が利用する都有施設において対策が必要だと考えております。
 都は、昨年、第二次主要施設十か年維持更新計画を策定しました。その計画を推進していく上での取り組みで、防災対策の推進として、天井落下対策の強化を明記しております。
 そこで、都有施設の整備に際して、天井の落下対策についてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○中山技術管理担当部長 都有施設は、災害発生時に防災拠点や帰宅困難者受け入れ施設としての役割を果たすため、建物の機能や安全性を十分に確保することが重要でございます。国は、東日本大震災における天井落下事故を受けまして、脱落により重大な危害が生じるおそれのある大規模な天井について、つりボルトの本数や金物の強度を増すなどの技術的基準を定めた告示を平成二十六年四月に施行しております。
 都も告示にあわせて関係基準の改正を行いまして、現在進めている都立多摩図書館の改築工事や東京都写真美術館の改修工事などにおいて、大規模な天井の設計や施工を適切に実施しております。
 今後とも、都有施設の改築や改修に際しまして、今年度開始した建築技術革新支援事業などによる有用な技術も活用しながら、天井の落下対策を積極的に行い、災害に強い施設づくりを進めてまいります。

○山内委員 発災した場合に、復旧には施設、物資、人員等を迅速に確保することが必要であり、復旧資材の集積や瓦れき置き場等を初め、都有地の果たす役割は大きいと考えます。
 そこでまず、財務局が所管する普通財産のうち、瓦れき置き場などとして使える可能性のある二百五十平米以上の都有地はどのくらいあるのか、お伺いいたします。

○中村財産運用部長 平成二十七年十二月末現在で財務局が所管しております二百五十平方メートル以上の普通財産のうち、貸し付け中の財産や無人離島、緑地など保有を目的とする財産を除きました瓦れき置き場などとして活用できる可能性のある財産は、合計で八十三件、面積は約二十六ヘクタールであります。

○山内委員 実際の活用に当たっては、土地の形状や立地場所などの条件もありますので、これより少なくなると思われ、十分な数とはいえないと思います。
 私の地元国分寺市、また府中市にもまたがっておりますけれども、そこにありました西東京警察病院は二〇一〇年に閉院し、建物の解体工事を行い更地となっております。敷地が三ヘクタールもありまして、地域における貴重な土地となっています。現在の状況を確認すると、警視庁の行政財産であるとのことでした。
 そこで、各局において、施設を廃止した後の都有地が財務局にどのようなタイミングで引き継がれるのか、また、このような財産を財務局がどのように把握しているのか、お伺いいたします。

○中村財産運用部長 各局が施設の用途を廃止する場合には、所管局が財務局に用途廃止の協議を行いまして、土地の境界確認等を行った後、引き継ぐことになります。なお、建物の解体工事や土壌汚染対策などが必要な場合には、これらの対策を実施した上で引き継ぐことになります。この個別の用途廃止の協議に加えまして、毎年、財務局が各局を対象に実施しております引き継ぎ予定地の調査により、財務局では引き継ぎ予定地を把握しております。
 お話の西東京警察病院につきましては、埋蔵文化財の調査を実施中でありまして、その後、地中基礎部分の撤去工事を行った後、財務局へ引き継がれることとなると報告を受けております。

○山内委員 都有地は、自治体との協議のもとで、高齢者施設や保育施設、子供の遊び場や駐輪場などさまざまな用途で活用されております。ご答弁によりますと、活用されなくなった都有地で、財務局が普通財産として引き継ぐ前の土地についても、財務局で把握しているようではございますが、震災時には迅速な対応が必要です。
 東京都震災がれき処理マニュアル--これは環境局のものだということですけれども、これにおいては、震災時には、集積場所とか施設の容量等を把握して、瓦れき処理を決定していくとされております。迅速に対応できるようにするには、財務局は、都有地について一元的に把握した上で、各局と情報共有をすることが重要であると考えます。例えば、帰宅困難者対策において--これも総務局管轄でありますけれども、民間事業者の受け入れが、備蓄倉庫を確保できないために、民間の帰宅困難者の受け入れの目標達成が進んでいないと聞いております。財務局が都有地を把握することで、こうしたニーズに合わせて都有地を有効活用していくことが可能になるんじゃないかと思います。一元的な把握、各局との情報共有を進めていただきたいと思います。
 次に、環境関連についてお伺いいたします。
 まず、都有施設の省エネ対策についてですが、都は、二〇一四年十二月に発表した長期ビジョンで、二〇三〇年までに東京のエネルギー消費量を二〇〇〇年比三〇%削減する目標を設定いたしました。都は率先して都有施設の省エネ化を図るとともに、こうした取り組みの民間への波及を図り、目標の達成を目指すべきだと考えております。長期ビジョンに掲げる省エネ目標の達成に向けて、都有施設の整備にどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○中山技術管理担当部長 都有施設の改築等におきましては、これまでも東京都建築物環境計画書制度の省エネ評価及び再エネ評価などにおいて、最高評価を目指す省エネ・再エネ東京仕様を適用しております。現在、建設中の都立多摩図書館では、二重壁による高断熱化を図っているほか、武蔵野の森総合スポーツ施設では、LED照明を大幅に導入し、自然換気を採用するなど、施設の省エネ化を積極的に進めております。
 またホームページを初め、業界紙への寄稿やセミナーでの発表などを通じて、都の省エネ化の取り組みをPRしています。
 今後とも、最新の技術動向の把握に努め、断熱性能を高める技術や高効率な機器などを積極的に採用し、都有施設の一層の省エネ化を推進してまいります。

○山内委員 では次に、多摩産材の活用についてお伺いしたいと思います。
 貴重な自然環境を維持していくためにも、多摩における林業の振興のためにも、多摩産材の活用拡大が重要です。都有施設に多摩産材を採用することは、PR効果も高く、都として率先して利用を図るべきだと考えております。
 そこで、都有施設の整備における多摩産材利用の考え方についてお伺いいたします。

○鶴松技術管理調整担当部長 都では、産業労働局が策定しました東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針に基づき、木材の持続的生産の促進と森林の持つ公益的機能の維持と増進に資するため、都有施設におきまして多摩産材の利用を推進しております。この利用推進方針に示されておりますように、木材には、調湿効果や吸音効果、また人の心を和ます効果などがあり、これらの特徴を生かせるような箇所で積極的に採用を図っております。
 個々の施設の設計におきましては、施設管理者等と調整の上、コストや維持管理なども考慮しながら、多摩産材を効果的に活用できるよう、設計図書で採用箇所や仕様を定め、その内容に基づき工事を発注しております。

○山内委員 多摩産材が実際に工事で採用されていることにより、工事関係者の理解も深まり、さらに利用が拡大していくのではないかと考えております。
 そこで、過去五年間、財務局で施行した工事における多摩産材の具体的な使用状況をお伺いします。

○鶴松技術管理調整担当部長 平成二十二年度から二十六年度までの過去五年間に財務局で施行しました新築、改築工事におきましては、法令の制限や利用目的などにより、木材の使用が困難な場合を除き多くの施設で多摩産材を使用しております。
 具体的には、学校や庁舎などの四十六施設で使用し、使用した量は木材の体積にしまして、合計で約五百七十立方メートルございます。主な使用箇所は、壁や天井などの仕上げ材、下足入れやカウンターなどの造作材など利用者の目や手に触れる部位のほか、床の下地材などにも使用しております。
 今後とも、施設の特性を踏まえながら、率先して多摩産材の利用を進めてまいります。

○山内委員 国分寺市に現在建設中の都立多摩図書館でも多摩産材が活用されると聞いており、楽しみにしています。子供たちが木の香りに包まれ、直接木に触れることは、保護者からも大いに歓迎されております。
 今後とも、工夫を重ねて、多摩産材の活用を拡大していただきたいとお願いをいたしまして、要望をいたしまして質問を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十五分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大津委員 地元渋谷区にある旧こどもの城は、昨年三月に閉館になりました。平成二十八年度予算案にもあるように、その旧こどもの城がある国有地をこのたび都が取得をするということで予算に入ってまいりました。
 私は、さきの定例会や昨年六月の財政委員会で、旧こどもの城と隣接する旧青山病院跡など周辺都有地の有効活用について質疑をし、さまざまな提案をしてまいりました。今回取得する予定の国有地は、もともとは東京都の電気局、つまり都電の青山車庫だったところで、昭和五十四年に、こどもの城を建設するために都から国へ売却をした経緯がございます。その取得の目的について改めて伺うとともに、用地取得経費として、財務局用地会計で予算計上している理由についても、あわせて伺います。

○中村財産運用部長 都では、災害時における医療提供体制を抜本的に強化するため、広尾病院を移転改築して首都災害医療センター(仮称)を整備することとし、現在、国有地である旧こどもの城と隣接します旧青山病院跡地とを一体的に活用してその整備を行うため、国有地取得に要する経費を平成二十八年度用地会計予算案に計上したところです。
 用地会計は、道路、公園、その他の事業用地の取得を確実に行い、事務事業の円滑な推進を図るとともに、かかる経費を明確にするために設置した特別会計であります。旧こどもの城と旧青山病院跡地とを合わせました敷地の利用の詳細につきましては、来年度所管局において基本構想を策定する病院も含めて、今後検討していくこととなるため、国有地取得に要する経費について、用地会計に計上したものであります。

○大津委員 このたび、この旧こどもの城を民間ではなく都が取得をする予算案が提出されたことは、地元でも安堵と逆に期待感も増しております。
 さて、こどもの城が閉館して間もなく一年がたとうとしています。この一年ずっと廃墟のままでしたので、安全面で大変な不安の声も上がっていました。東京都としてこの国有地を確実に取得をし、そして利活用をし、都民サービスの質の高い都市生活のために役立てていくことが重要です。今後こどもの城跡地の取得に向けて、国との調整をどのように進めていくのか伺います。

○中村財産運用部長 平成二十八年度の予算案の公表後、既に国の関係機関への説明、相談を開始しております。今後、予算成立後には本件地にかかります取得要望書を国に提出しまして、その後、土地の鑑定評価を行っていくこととしております。
 国におきましては、都から提出される取得要望書に基づきまして、本年秋ごろに、外部の学識経験者等で構成し、国有財産の管理、処分等についての調査、審議を行います国有財産関東地方審議会への付議がなされると聞いております。
 財務省関東財務局による売却決定の後、都において適正な価格を評定します東京都財産価格審議会への諮問や契約事務手続等を経て売買契約の締結がなされることとなります。
 いずれにしましても、平成二十八年度中に本件地を確実に取得できるよう、引き続き国と調整を進めてまいります。

○大津委員 ぜひ、質の高い都民サービス、向上実現ができるよう、土地の取得等を進めていただきたいと思います。
 渋谷の旧こどもの城、旧青山病院跡地周辺は、湧水や緑や桜、自然環境を保護し、品格と文化性を尊重するとともに、児童の育成に深くかかわってきた特別な地区でもあります。久邇宮朝彦親王の第四王子守正親王、梨本宮がお住まいになり、今もご子孫が一隅に居住をされている土地でもあります。また、このご子孫は、先月、本会議にも傍聴にお出ましになられました。近くの東京都児童会館は、皇太子明仁親王のご成婚、ご結婚と浩宮徳仁親王のご生誕を記念し、民間の寄附により昭和三十九年に建設されたものでもありました。
 旧青山病院は、近隣で、ここで出産または生まれた方たちも多く、そして児童会館、こどもの城と高度な児童教育施設があった歴史から、病院の整備にあわせては、児童の健全な育成や医療、あらゆる世代間交流を図ることのできる精神性の高い場の創出を願う声が地元から多く寄せられてもまいりました。
 付近では、渋谷駅東側また駅上、宮下等、民間の超高層ビルの建設、開発が次々と行われています。そうした意味では、超高層ビルを通じてのグルメ、ファッション、雑貨、マンション、オフィスビル等、衣食住は相当、十分充実してまいっております。こうした衣食住の前に、まずは都民の命と安全と健康があってのことでもあり、そうした基本的なところを守れるような精神性の高い開発が望まれています。
 今回、取得する国有地と隣接する旧青山病院跡地は、合わせて約二・七ヘクタールの広さを持つ都心に存在する貴重な都有財産であります。その有効活用を最大限に図っていくことは重要な視点です。仮称ですけれども、首都災害医療センターの内容については、来年度事業所管局で具体的な検討を進めていくということです。財務局としましても、財産利活用の観点から、この土地の有効活用に向けてどのように検討を進めていくのか伺います。

○中村財産運用部長 都有地は、都民から負託されました貴重な財産でありまして、都政の喫緊の課題解決のため最大限有効活用していく必要があります。旧こどもの城と旧青山病院跡地とを合わせました土地につきましては、都心に残るまとまった土地として大変貴重であり、平成二十八年度中に病院経営本部が策定する予定の首都災害医療センター(仮称)の基本構想も踏まえまして、財産を最大限に有効活用していくよう庁内各局と連携し、必要な検討を進めてまいります。

○大津委員 旧青山病院跡地の敷地内には、都心では今や貴重な、間もなく開花する立派な桜の木、また貴重な湧水、こんこんと長年にわたり水の湧いている自然の池、それら自然環境は地域の宝でもあります。首都災害医療センター(仮称)の具体的な配置等は今後の検討と思いますが、その整備に当たっては、この貴重な自然環境をセラピーホスピタルガーデンとしてそのまま生かした整備を実現してもらいたいと要望します。
 もちろん病院の中、医療関係者、患者さんにも喜ばれますし、また地元の地域としても、こうした自然の環境は大変重要でもあります。改めてコンクリート等で池をつくると、その維持、また大変でありますし、やはり自然と湧き出るこの池をそのまま生かしながら、精神的にもセラピー、歩きながらもこの庭で憩いながらも、またそこに老若男女が皆さん憩えるような、そんなセラピーホスピタルガーデンもいいのかと思います。
 こどもの城は、昭和六十年の開館以来、子供たちの健全育成のために大きく貢献をし、昨年その役割を終えましたが、この地が首都災害医療センター(仮称)として生まれ変わるとしても、例えば、難病の子供に対する医療機能を整備する、または、子供関係の施設を併設する等、ここに子供の施設があり、御苑で、この土地でずっと育成をされてきたそれらのことが将来に残されていくようなレガシー、そうした活用方法を提案いたします。
 最先端の災害医療、救急医療を提供する病院の移転改築に当たっては、こうした歴史的経緯を踏まえるとともに、東京都は地域住民の皆様の理解や協力を得ながら検討を進めていくことが重要であり、それは本会議におきましても、病院経営本部長からの答弁で確認がされているところでもあります。
 これからも財務局におかれましても、土地の購入ということを通じて、地域住民や地元区と英知を出し合いながら、児童の健全な育成や医療、世代間交流を実現できる精神性の高い場の創出がこの土地を通じて広く全都民に反映をしていくことの中で、地元住民との連携をしながら進めていただきたいと思います。
 以上です。

○崎山委員 本日は、業務委託の品質確保、それから総合評価方式等についてお伺いをさせていただきます。
 一昨年六月に施行された改正品確法の理念として、技術者の中長期的な育成、確保、従事者の賃金、労働環境の改善、ダンピング受注の防止などが追加をされました。品質の確保のための取り組みについては、工事だけでなく業務委託においても同様に重要であります。また、今後、二〇一九年ラグビー世界大会、二〇二〇年五輪パラリンピック大会を成功させ、東京を世界一の都市としていく上でも、都有施設の維持管理やサービスの品質の確保、向上がさらに求められます。
 業務委託の品質を確保するには、まず、発注者である都が委託内容を仕様書等で明確にすることはもちろん、業務内容に見合った適正な予定価格で発注することが重要です。中でも受注者に対して考慮しなければならないのは、適正な利潤の確保、適正な労務単価、そして社会保険の法定福利費が求められています。
 そこでまず、業務委託における予定価格の設定について、都はどのように考えているのかお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 適正な予定価格の設定は、業務内容に見合った必要経費を見積もることにより、仕様書で定めた内容の履行を実現し、品質の確保、向上、都民サービスの向上を進めていくには不可欠の要素であるというふうに考えております。特に、清掃、警備など人件費割合の高い労働集約型業務については、当該業務内容に合致し、かつ客観性のある労務単価に基づき積算することが重要となります。
 そのため、二十八年度の契約案件について、これまで一般管理費等に含めて計上してきました社会保険、労働保険などの法定福利費の別枠表記を徹底し、財務局で契約する業務委託六百二十四件全てについて、積算内容を確認してまいりました。
 また、昨年、主にA等級の八者に対して行った社会保険等の加入状況の確認について、今年度は、主にB等級、十六者を対象に行った結果、全ての落札者から書類の提出を受け、比較的小規模な事業者における着実な加入状況も確認できました。
 さらに、法定福利費を別枠表記する過程で明らかになる人件費、労務費について、業務の特性に応じて約六割が国が定める公共工事設計労務単価や建築保全労務単価を基準にし、約三割が都の職員給料表等を基準に積算していることも確認いたしました。
 今後も、品質確保に直結する研修教育費についても積算状況を確認するなど、業務内容に見合った予定価格の適正な設定を徹底してまいります。

○崎山委員 予定価格に関して一番心配していたのは、例えば、継続的に発注する業務委託について、毎年同様の仕様書を使っているからといって前年度の落札額をそのまま予定価格にしてしまうとか、根拠のない減額、いわゆる歩切りをしてしまうといったことが安易に行われているのではないかということです。発注者が一方的に予定価格を減額する歩切りは法令違反であり、労働条件の悪化や将来の品質、担い手確保にも悪影響を及ぼすことは必定であり、このようなことは絶対にあってはなりません。その観点からも、適正な予定価格の設定の必要性がここにあります。
 先ほどの答弁は、この点に関して、少なくとも九割の案件は、客観性のある単価に基づいて積算されているということでした。聞けば、残る一割も局の基準で独自に設定した単価や事業者から聴取した見積もりをもとに積算しているということであるので、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 また、法定福利費の別枠表記については、発注者として必要な経費を確実にチェックしていくという点でよいことだと思います。今回、特に法定福利費に焦点を当てているようですが、その他の経費も引き続き適切に積算するよう徹底することを求めておきます。
 次に、発注者が適切に予定価格を設定していても、自動落札、いわゆる一番札方式のもとでは、品質確保という点から限界があることはこれまでも指摘してきました。現在、都が業務委託における品質確保に向け、総合評価の導入拡大や改善に取り組んでいることには大きな評価をしております。
 そこでまず、総合評価の現状について確認をさせていただきます。業務委託における総合評価方式の現在の導入実績はどうなっているのか。また、財務局は、その状況をどのように受けとめているのかお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 平成二十一年度からの試行導入以来、その拡大を促進してきました業務委託の総合評価方式は、二十八年度財務局契約分で警備、設備保守、印刷など八種目三十三件となっております。この間、二十六年度には、総合評価の手引を策定し、建物清掃や設備保守など代表的な業務に係る評価項目例や技術審査委員会の設置など、必要な事務手続及び導入スケジュール等を示すことにより、実務担当者が導入の際のマニュアルとして活用できるよう工夫してまいりました。
 また、二十七年度には、価格点と技術点の得点配分を原則一対一から、原則一対二に見直しをするとともに、建物清掃、警備、受付において、価格点に上限設定を可能とするなど、技術点をより重視した制度改正を行い、導入効果を発揮させて、各局の取り組みを促してまいりました。こうした手引の作成、改定、制度の見直しにより、各局における総合評価方式導入促進の支援としての役割を果たしてきたものと考えております。

○崎山委員 平成二十八年度の財務局契約案件のうち、総合評価方式による案件は三十三件とのご答弁がありました。一つ一つ必要なものにはふやしていただきたいというふうに思っております。
 また、確認したところでは、これらの種目別の一件当たりのおおよその契約規模は、例えば、電気、冷暖房設備保守で約六億円、病院給食、学校給食で約一億円とのことでありました。委託料の規模からすると、割と大きな案件と考えられ、一足飛びに件数が伸びないのはこのあたりにも原因があるのかと考えます。つまり、総合評価は通常の入札よりも手続が煩雑ということや発注者側である都のマンパワーの問題で、日々の履行に特に問題が起きなければ通常の入札でよいといった考えがまだまだあるのではないかと考えます。
 ただ、その一方で、やみくもに、総合評価を導入すればよいというものでもないと考えます。総じて必要なことは、発注者のマンパワーも限られている中で、いかに品質確保に向け、都民の安全・安心の視点や業務の特性などを考え、案件や効果的な手段を選択することが大切だというふうに思います。
 そういう意味では、こうした導入実績に対し、答弁にあった手引の活用や制度改正を行い、必要な事務手続等を具体的にわかりやすく示すことで、件数の増加にも効果があったものと理解ができます。
 私は、業務委託の品質確保に向け、必要な業務に、必要な事業に総合評価方式を拡大していくという考えは大変結構なことだと思います。その上で、今後も、さらなる拡大を図ることが必要と考えます。
 そこで、業務委託における品質確保に向け、総合評価方式のさらなる拡大をするために、財務局では、今後どのような取り組みが必要だというふうに考えているのか、お伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 平成二十一年度の導入当初に比べ、現在は、手引の作成、改定により、総合評価方式に対する職員の実務上の知識やその効果への理解も進むなど、制度を有効に機能させる環境が整ってまいりました。
 改正品確法が本格施行されて一年が経過し、国においても一部の維持管理業務の品質確保に向けた取り組み方針が明らかにされるなど、今後は都としても、この間、七年間の試行の蓄積を踏まえ、公共工事と変わらず業務委託についても一層の品質の確保、向上を図っていく必要があります。
 このため、二十八年度からは、第二次主要施設十か年維持更新計画による改築を経た施設等に係る業務委託や業務内容に専門性、困難性が高く、高度な知識と経験が求められる相談業務などを対象業務として各局に示して、これらの業務には、原則として総合評価方式を活用し、業務委託の品質確保とその向上に向けた取り組みを定着させていくことといたします。
 また、総合評価方式とあわせて複数年契約を導入することにより、品質向上が見込まれる業務については、債務負担行為の活用を図ることや提案書の審査等に十分な日程を確保するために導入スケジュールを柔軟に設定する試行を実施することも検討し、引き続き関係部署との調整を通じ、各局の取り組みを支援してまいります。

○崎山委員 ただいま答弁にあった取り組みによって、総合評価方式を受ける都としての方向性や考えが明確になるとともに、限られたマンパワーを重点的に振り向けることも可能となるため、総合評価方式の導入拡大に資するものと考えます。ぜひ、随時、手引の作成等もブラッシュアップをしていただきたいというふうに思っております。
 次に、総合評価方式の政策的評価項目について確認をさせていただきます。
 入札契約制度の原則は、透明性、競争性、品質の確保ということであると思いますが、公共調達には、事業者のさまざまな社会的取り組みを支援することにより、行政の政策の下支えをするという役割も、もう一方にはあると思います。この点から、総合評価方式においても、技術点を構成する要素としての政策的評価項目が重要となります。
 さきのロンドン五輪では、サステーナビリティー、持続可能性という考え方のもとに、さまざまな調達が行われ、二〇二〇年大会についても、組織委員会が既に同様の調達方針を打ち出しています。こうした状況を踏まえると、現在の政策的評価項目の中に持続可能な調達の視点に基づく項目を取り入れることで、二〇二〇年大会に向けた事業者等の取り組みを支援し、推進していく上でも意義があると思います。
 女性の活用や障害者の雇用も含め、サステーナビリティーの推進などを政策的評価項目として積極的に取り入れ、全体として持続可能な調達を実現していくべきと考えますが、所見をお伺いします。

○松永契約調整担当部長 総合評価方式における評価項目は、業務を遂行するための資格や履行体制といった技術面の評価に加えて、環境への配慮や障害者雇用の促進など、都の政策目的の実現を支援する事業者の取り組みについて加点する政策的評価項目も設定しております。
 現在、この政策的評価項目は、環境基本法や障害者雇用促進法などの個別法令の要請があり、かつ認定、認証などにより都が客観的に事実内容を確認できる項目を基本として設定しております。こうした観点から、二十八年度より、新たに女性活躍推進法及び若者雇用促進法に基づく認定並びに障害者総合支援法に基づく難病指定患者の雇用実績を政策的評価項目として追加してまいります。
 また、二〇二〇年大会に向けた持続可能な調達として示されているものは、都が実施しております政策的評価項目の考えと共通するものであり、透明性、競争性、品質の確保という都の公共調達の基本的視点から、今後具体的に検討していくことになります。

○崎山委員 総合評価方式は、清掃、警備、設備保守などの建物管理業務に多く適用されていますが、品質の確保に有効な業務委託の契約方式としては、総合評価方式以外に企画提案方式もあります。
 企画提案方式については、各局とも比較的柔軟に適用しているようでありますが、例えば、東京の伝統工芸品のPR事業や次世代の起業家育成を支援する事業などについては、民間のすぐれたノウハウや企画力を取り入れるという意味で、企画提案方式が最適だというふうに思います。企画提案方式を今後どのように活用していくのか、お考えをお伺いします。

○松永契約調整担当部長 企画提案方式は、発注者である都が契約の目的である事業効果を最大限発揮させるため、基本の仕様書に基づき具体的な手段や運営方法などを民間事業者等からあらかじめ契約目途となる額を示した上で提案を募り、最良の提案を選定することで仕様を完成させ、契約する方法でございます。この方法は、これまで具体的な事例の積み重ねとして運用してきており、民間事業者等が持つ情報、知識やノウハウを生かす海外での事業活動、労働市場での個別マッチング、メディアの活用などに適用してまいりました。
 また、企画提案方式は、最良の提案を選定するため、履行や成果物の品質確保の上では効果も高いものでございます。
 このため、今後は、新たに都のインフラ整備や事業のあり方などを成果物として求める基本計画やマスタープランなどの策定業務にも活用すべく適用要件や事務手続などの点をまとめたガイドラインを策定し、各局での活用を支援してまいります。

○崎山委員 ぜひ企画提案方式もあわせて積極的に進めていただきたい、広げていただきたいというふうに思っています。
 本日は、業務委託の品質を確保するという視点で、まず基本である予定価格の適正な設定、いわゆるPDCAサイクルでいえばP、プランに当たる部分と、価格競争のデメリットを補完する手段として、総合評価企画提案というA、アクションに当たる部分について確認をさせていただきました。
 最後に、本日の質疑全体を通じて、業務委託の品質を確保していくために、発注者である都としてどうあるべきなのか、所見をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 業務委託の品質確保のためには、予定価格の適正な設定を初めとして、技術やサービスも評価していく総合評価方式の導入などの制度面での対応と履行中の業務を点検し、進行を管理し、品質低下のリスクに対処していく業務マネジメントによる対応とを有効に発揮させていくことが必要となります。
 今後は、特に業務マネジメントの強化を図るため、現行の履行成績評定制度の見直しを行い、業務委託の品質を確保、向上させ、発注者としての責任を果たしてまいります。

○崎山委員 ただいま答弁にもありましたように、制度面での対応と業務マネジメントによる対応はどちらも非常に重要であるし、一連の質問を通じて、都が制度面ではしっかり対応していることを確認させていただきました。
 ただ、そのつくった制度がきちんと活用され、職員の間に定着していかなければ真の品質の確保にはつながりません。そのため、財務局としても、いかに事業局を支援し、業務委託における品質の確保が図られるように、担当職員のモチベーションを高めていく必要があると思います。
 本日は、都の制度面における認識や今後の取り組みを確認いたし、今後も多様な入札契約の導入や活用への取り組みに期待して、質問を終わります。

○大山委員 私は、まず最初に、東京都の地方自治体としての本来の役割、つまり住民の福祉の増進を果たすために、来年度予算の使い方について質問します。
 昨年九月に出されましたこの東京都年次財務報告書では、昨年もそうだったんですけれども、社会保障関係経費は、毎年平均三百億円のペースで増加と推計されていることが書かれています。この推計は、現在の施策をそのまま、拡充もせずに継続することが前提になっています。それでも、毎年平均三百億円増加するのですから、その財源を確保することこそ東京都の重要な役割ではないでしょうか。

○岩瀬主計部長 年次財務報告書における将来推計は、決算情報をもとに、少子高齢化など社会情勢の変化によって確実に変化する人口構造などを加味して第三者が試算したものでございまして、施策の拡充や見直しといった要素は盛り込まず、確実に増加が見込まれる財政需要を把握しておく必要があるとの認識からお示ししたものでございます。
 不安定な税収構造にある都財政におきましては、こうした将来の財政需要や将来世代の負担も踏まえた上で、中長期的な視点から財政運営を行っていく必要がございます。こうした考え方のもと、平成二十八年度予算では、事業評価などを通じ、自己改革の取り組みを一層徹底したほか、都債の発行額を抑制し、発行余力を培うと同時に、財源として活用可能な基金の年度末残高を一兆一千億円以上確保するなど、財政対応力の強化を図ることで、強固で弾力的な財政基盤を構築いたしました。
 引き続き、将来にわたって持続可能な財政運営を行ってまいります。

○大山委員 確実に増加が見込まれる財政需要を把握しておく必要があると、これは本当に重要なことだと思います。同時に、持続可能な財政運営ということなんですけれども、第三者機関に委託して推計してもらった数字というのは、福祉関係の施策を全く拡充もせずに実施することが前提です。つまり、自然増の規模がどれぐらいなのかという試算ですね。
 同時に、福祉関係施策というのは、子供の貧困対策に、知事、力入れるんだと、もう力入れて答弁しているわけですけれども、そういう子供の貧困対策に力を入れることだとか、都民の福祉を充実する、それから暮らしを支える、教育を充実するということからも、より拡充することが求められている分野だと思うんですけれども、財務局はどう考えていらっしゃるのですか。

○岩瀬主計部長 都はこれまでも、都民福祉の向上に全力で取り組んでおりまして、平成二十八年度予算におきましても、子供の貧困対策を初め、子育て環境の充実や高齢者の暮らしへの支援のほか、非正規雇用対策など、あらゆる方々が活躍できる社会の実現に向けた取り組みを積極的に展開しております。
 今後とも、強固で弾力的な財政基盤を堅持しながら、活力に満ちあふれ、豊かで安定した都民生活の実現に向けた施策に着実に取り組んでまいります。

○大山委員 都民福祉の向上に全力で取り組んでいると、子供の貧困対策に力を入れたとおっしゃいましたけれども、予算特別委員会の中で明らかになったのは、今年度に比べて子供の貧困対策でふえたのは十億円程度ということですよね。
 前進した部分はありますよ。しかし、国に先駆けてとか、国を先導とかいうんだったら、さらにやらなければならないことはたくさんあります。教育に、知事は力を入れるということだったら、どの子も学校でちゃんと力をつけられるようにするべきです。
 そのためには、他県が率先して実施しているように、全学年に少人数学級を広げていくことなどこそやるべきですし、義務教育無償となっていますけれども、それにもかかわらず、例えば中学校に入学することになれば、制服、体育着、上履き、部活の用品、本当にお金がかかるんですね。本気で子供の貧困対策だというのだったら、東京都自身が率先して、無償に近づけていくことではないでしょうか。
 深刻な保育園の待機児解消だって、保育士不足が重大な問題になっているとき、国家資格が条件の給与とはいえない、全職種平均給与から月額十万円も低い賃金の引き上げを初めとした処遇改善、都が本腰を入れなければならないことです。介護の職についてもそうです。高齢者の貧困も同様に大きな社会問題になってます。
 また、国民健康保険料は、二十三区は毎年値上げが続いて、例えば、知り合いで自営業者なんですけれども、所得税はゼロなんです。しかし、四人家族で年間の国民健康保険料が二十四万九千円、約二十五万円にもなるんですね。昨年の第一回定例会で、私たちが条例提案したように、各区市町村が国保料を減免したらそれに対して東京都が補助をするという仕組みだったら、十分東京都は、区市町村を支援して国保料を軽減することも可能です。
 今、るる述べましたけれども、充実しなければならないもののごく一部です。地方自治体の役割は何といっても住民の福祉の増進です。福祉も暮らしも教育も拡充することを考えたら、財源の確保は欠かせません。
 そこで、二〇一六年度の東京都予算案の概要、この緑色の表紙のですけれども、投資的経費について伺いたいんですけれども、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化に九百四十三億円とあります。今年度は五百八十一億円ですから、来年度は、今年度に比べて三百六十二億円の増額になっています。木造住宅密集地域の不燃化、耐震化の主な事業とその額は幾らになりますか。

○岩瀬主計部長 二十八年度予算におきましては、都民生活の最重要の基盤である安全・安心の確保に向けまして、木造住宅密集地域の不燃化を一層加速していくため、延焼遮断帯の形成や市街地の不燃化促進などの取り組みを集中的、重点的に実施することとしております。
 具体的な内容といたしましては、特定整備路線の整備に、二十七年度四百三十三億円に対しまして、二十八年度は七百十億円、地域と連携した延焼遮断帯形成事業に、二十七年度は二十一億円に対しまして、二十八年度は七十五億円などを計上してございます。

○大山委員 つまり、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化といっても、主な事業は、特定整備路線をつくるということなんですよね。総額は五百八十一億円から九百四十三億円で三百六十二億円の増、特定整備路線とそれに伴う延焼遮断帯の形成事業を合わせれば四百五十四億円から七百八十五億円で約三百三十一億円の増。つまり、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化で増加したのは、特定整備路線整備関係の予算だということなんです。
 来年度の投資的経費は一兆九百六十億円で、今年度より七百八十六億円の増になっています。一方、都債発行は九百六十二億円の減額となっているということは、投資的経費について、起債は減らして一般財源をより多く投入するということなんでしょうか。

○岩瀬主計部長 投資的経費の財源構成につきましては、まず、当該事業に充てるべき国庫支出金などを可能な限り獲得した上で、現在及び将来の財政状況を総合的に勘案して基金及び都債を活用し、残額に一般財源を充てております。平成二十八年度予算におきましても、都税収入の動向や将来世代の負担、基金残高等を踏まえまして総合的に判断しており、都がなすべき施策に対しては適切に財源を振り向けております。

○大山委員 国庫支出金等を可能な限り獲得した上でといっても、今までだって可能な限り獲得してきたわけですよね、国庫支出金は。そして、基金及び都債を活用し、残額に一般財源を充てるとおっしゃいますけれども、都債は減らしているわけですね。特定整備路線に充てる基金というのはどの基金を充てるんですか。

○岩瀬主計部長 防災街づくり基金でございます。

○大山委員 防災街づくり基金は、先ほども松村理事が指摘したとおり、本来だったら住宅の耐震化のための予算。これを使い残して防災街づくり基金に補正で積み立てたわけですね。結局、その基金を使って特定整備路線を整備することに振り向ける。特定整備路線をつくっても、その外には、火はたとえ燃え移らないとしても、特定整備路線の内側の住宅は耐震化しなければ倒壊しますし、火が出れば燃え広がるということなんですね。倒れない住宅にする、火が出ないようにするためには、住宅の耐震化、それから電気火災防止の感震ブレーカー等にこそ力を入れるべきです。
 また、一般財源を注ぎ込むということは、現在の暮らしや福祉に回さないで大型道路に回すということではないんでしょうか。しかも、第四次優先整備路線の計画を発表しましたけれども、ほとんど見直ししていませんね。見直し候補路線は九区間四・九キロでしかありません。なぜこんなことになるかといえば、十五の検証項目の一つでもひっかかれば存続するということになっています。しかし、これは何かに必ずひっかかるようになっています。
 例えば、十五項目の中の地域のまちづくりの支援という項目だけで前回の第三次のときに生き残った北区を通る道路は、熟成された住宅街を抜ける。まちづくりどころかまち壊しで、地元十五の町会そろって反対しています。こういうところは見直すべきじゃないんでしょうか。財務局としてどう考えているんでしょうか。

○岩瀬主計部長 ここは財政委員会ですので、個々の施策の内容につきましては所管の委員会でのマターとなりますので、詳しくは申し上げませんけれども、住宅の耐震化等の問題につきましては、これは自助、共助、公助の原則のもとで、まずは所有者みずからがその必要性を認識して主体的に取り組むことが不可欠でございます。震災時の倒壊による道路閉塞や延焼拡大の防止など、公共的な観点から必要がある場合に、財政的な支援を行っているものでございます。
 一方で、特定整備路線は、市街地の延焼を遮断するなど木密地域の防災力を向上させるために必要不可欠な取り組みでございまして、都民の安全・安心の確保につながるものでございます。防災街づくり基金は、東京を高い防災力を備えたまちとして整備するために設置した基金でございまして、特定整備路線の整備の趣旨を踏まえ、充当対象としているところでございます。
 また、事業を進める上での課題が、今ご指摘ございましたけれども、都民の安全・安心の確保というような大きな目標に向かって事業を進めていく場合には、そのプロセスにおいてさまざまな課題が発生いたします。木造住宅密集地域の不燃化、耐震化の事業につきましては、お話のような居住者の方のコミュニティ等の課題を克服しながら事業を進めていく必要がございまして、このことは、事業を担当する局において適切に対応すべきものと考えております。いずれにいたしましても、誰もが安全・安心を実感できる都市づくりに向け、必要な施策に積極的に取り組んでまいります。

○大山委員 いろいろおっしゃいましたけれども、特定整備路線をつくったとしても、中の家は耐震化しなかったら倒れちゃうんですよね。東京都じゃなくて、例えば静岡県だったら、県と市が一緒になって--大体高齢者のところが必要があるわけですから、一緒に行ってどうしたらいいかというのを一緒に考えて、それで耐震化できるようにしたりしているわけですよね。
 私、今聞いたのは、第四次優先整備路線でまち壊しみたいなところは見直すべきじゃないんですかと。財務局に何で聞くかといったら、財務局がやはりどういうお金の使い方をするかということで、やはり各局は、どこを見直さなきゃいけないかということを判断するわけですよね。個々にいろいろあるわけですけれども、例えば第四次の優先整備路線だったら、私の地元の環状四号線の一部分となっている夏目坂、これ幹線道路網の整備ということで優先整備路線に入っています。しかし、既に道路はあるんですね。渋滞なんか全くというほどありません。しかも、現在二車線の道路を、計画でも二車線です。商店街が削られて、多くの人が、もうどうして今さら拡幅が必要なのか全くわからないといってるわけですね。商店が成り立たなくなってしまう、戸惑いと不安が大きくなったわけです。
 夏目坂というように、夏目漱石の生家の碑も拡幅予定の中なんです。講談で有名な、高田馬場に堀部安兵衛が駆けつけるときに、景気づけに立ち寄ってます酒を飲んだという酒屋さんも拡幅の中に入っているんですね。各路線にはさまざまな矛盾があります。にもかかわらず、何が何でも計画は見直さないというのはおかしいんじゃないでしょうか。
 他都市では、都市計画道路をちゃんと見直しています。廃止した路線は、京都市で四十三路線、五十五キロ、大阪府は二十四路線、三十四キロ、福岡市は二十五路線、約十四キロです。二〇〇九年度予算と比べて、東京都は幹線道路の整備予算は、来年度四二%増加していますけれども、京都市は七五%減、大阪市は七一%減、福岡市は四七%減額になっているんです。
 こういう、やはりきちんと見直すべきことは見直す、福祉や暮らしや、それから教育にお金がかかるというのはもう本来の自治体としての役割なんですね。ですから、きちんと、東京都も都民の立場で、都市計画道路、見直すべきなんじゃないんですか。財務局はどう考えているんでしょうか。

○岩瀬主計部長 都は、これまでも子供と子育て家庭への支援や高齢者への支援、非正規雇用対策など都民福祉の向上に全力を注いでおりまして、二十八年度予算においても充実を図っているところでございます。
 同時に、今お話のありました道路整備を初めとするインフラ整備は、東京全体の機能を強化し、都民の利便性や東京の活力の向上などに必要不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要がございます。
 今後とも、ソフト、ハード両面にわたる都政の諸課題に着実に取り組んでまいります。

○大山委員 きちんと将来予測でも、社会福祉関係は自然増だけでも三百億円ですよ。やらなきゃいけないことがたくさんあります。そのためには、年次財務報告書も、維持管理経費も社会資本ストックの維持更新経費も縮減を図る必要があります、こう書いてありますよね。財務局の冊子ですよ。それをやるためには、きちんと見直すべきことは見直さなきゃいけないわけですね。
 大阪府が見直した観点というのは、一つは、ピークと予想されていた交通量から将来は七割になる、その分減らした、それが一つですね。もう一つは、住民への思いだというんです。
 住宅ローンは返済するのに大体三十年間かかる。そのときに立ち退きになると、経済的にも精神的にも負担が大きいから、三十年でつくるのが難しい道路は見直したとのことでした。京都では、成熟した市街地での地域コミュニティの維持など、地域特性を生かしたまちづくりの必要性が高まっていることを強調しています。学校や歴史的建造物、地域のコミュニティや商店街を分断する道路は、京都では見直しになっているんです。東京都も学ぶべきです。
 財政を大きく圧迫する都市計画道路や特定整備路線について、一本一本検証して、住民の皆さんの意見を聞き、他都市に学び、見直すことを求めます。そうすれば、福祉や暮らし、教育、労働対策、中小企業対策など、より一層拡充できる財源を生み出すことができます。
 次は、聞こえの支援です。
 都庁舎は、都民の皆さんもいらっしゃいます。庁舎管理をしている財務局に、都民にとってよりよい庁舎になるようにという立場で質問をいたします。きょうは難聴者への支援についてです。
 高齢になりますと聞こえにくくなるということは知られていることです。調査がいろいろあるわけですけれども、六十五歳以上だと、約一割の方が、余りよく聞こえない、両耳とも聞こえないということですから、都内だと六十五歳以上の人口は約二百九十万人ですから、二十九万人くらいは余りよく聞こえないという方々だということになります。
 余りよく聞こえないという方々でもきちんと伝わるようにすることは重要です。難聴者への聞こえの支援ということでは、磁気ループが比較的一般的です。財務局が管理している本庁舎で、磁気ループなどの聞こえの支援のための機器の設置状況と活用状況はどうなっていますか。どの局が主に使っているでしょうか。

○井上庁舎運営担当部長 マイクの音を磁力に変えて補聴器で感知する難聴者用磁気ループシステムにつきましては、都議会議事堂の本会議場に常設型を一台、都民ホールや本庁舎の会議室用に移動型を一台配置しております。
 本会議場の常設型は、本会議開催時に常時稼働させておりまして、システムに対応可能な補聴器で利用が可能であります。また、移動型の利用状況につきましては、年間約十回程度でありまして、主に福祉保健局が使用しております。

○大山委員 議会棟の本会議場には、庁舎改修のときに改めて磁気ループを設置、埋め込んでいただいたんですね。それで、本会議開催のときは稼働させていただいていると、これは重要なことだと思っています。委員会室には移動式のものを必要なときに設置することになっています。ですから、ここの委員会室でも必要があればということで設置することはできるわけですね。
 例えば、本会議場で、自分の補聴器で聞くときは補聴器をTモードにする必要があることだとか、補聴器は常時使用していない方には聞くための機器を貸すことが必要ですけれども、ホームページには案内されているものの、傍聴券を配布するときにご案内するなどの配慮も必要だと思いますが、これは議会局ですね。
 ところで、三月十日の平和の日の式典、このときは、高齢者の方々が多かったんですけれども、使用したんでしょうか。

○井上庁舎運営担当部長 都民の日の利用については、財務局所管でございませんので、利用局からは聞いておりません。使用しているのかわかりません。

○大山委員 手話通訳はいらしたということはあるわけですけれども、申し出がなければ、磁気ループは設置しないわけですよね。だから申し出がなかったということですね。手話通訳の対象者と磁気ループの対象者、やはり高齢になって聞こえが悪くなった方は、手話を学習したという方はほとんどいらっしゃいませんから、やはり手話通訳も必要だし、磁気ループも必要だということなんですね。
 先ほどの年間十回程度の利用のうち、ほとんどが福祉保健局ということでした。福祉保健局は、磁気ループについてなれているんでしょうけれども、他局は存在さえ知らなかったり、いかに便利か、役に立つものか知らない局もあるんではないでしょうか。一度体験すれば、快適であることは実感されます。庁内でも効能を知らせて、都民ホールの催しは東京都との共催での実施ですから必ず使用するようにして、多くの方々に使っていただくことがまず重要ではないでしょうか。

○井上庁舎運営担当部長 都民ホールと会議室において磁気ループシステムの利用が可能であることにつきましては、既に関係局に周知しております。また、難聴者の方の利用が可能である旨を会議の開催内容に関するホームページやパンフレット等で積極的に情報提供を行うよう、引き続き関係局に働きかけてまいります。

○大山委員 既に、関係局に周知しているということなんですけれども、高齢者の参加が多いであろうということが容易に想像される平和の日の式典でも使っていなかったわけですよね。式典の後の都響の演奏だって、磁気ループがあるとないとでは、聞こえが悪い方にとって全く違うといわれています。
 特に、都民向けの行事を持っているところの局には、庁舎管理をしている財務局がデモンストレーションをしてみたり、一般的な会議の備品の一つとして、普通のものとして使えるようにしていくことが必要ではないでしょうか。
 聞こえが悪くなっている方が来庁したとき、きちんとお互いの会話が通じるようにすることは基本です。カウンターの窓口に置くことができる磁気ループと同じような役割を果たす機器もあります。区市町村ほど、都民の方々が直接来庁することは少ないんでしょうけれども、必要なときにいつでも使えるよう常備しておくことも必要だと思いますが、いかがですか。

○井上庁舎運営担当部長 第一、第二本庁舎一、二階の案内コーナーでは、難聴の方々に対応するため、二〇一四年度東京都ベンチャー技術大賞で優秀賞を受賞しました卓上型難聴者会話支援システム、コミューンを既に今年度より配置しております。引き続き、難聴の方々等に配慮した都庁舎のバリアフリーの取り組みを継続してまいります。

○大山委員 第一庁舎の受付に私も見に行きました。今月に入ってから配置されたと、配置されたばかりだということで、まだ使いなれていないのでどきどきしますと受付の方はいっていましたけれども、実際聞かせてもらいました。小型のスピーカーが、聞き手の方に向けて、音が広がらないようになっていて、補聴器や受信機も要らないものでした。ただ、受付のカウンターに常時置いているわけではなくて、必要なときに出すようにしているようでしたので、常時カウンターに設置しておいて、必要なときにスイッチを入れるぐらいにした方が、聞こえが悪くなっている方にも何か特別なことをしてくれているという負担感もなくいいのではないでしょうか。
 また、都庁舎の各局の窓口に直接都民の方が来庁することは区市町村よりは少ないかもしれませんが、福祉保健局や都市整備局の住宅分野などには、卓上型の難聴者会話支援システムの設置が必要ではないでしょうか。
 今後、難聴者等に配慮した都庁舎のバリアフリーの取り組みを推進していくことは重要なことです。さまざまな機器が開発されていますから、適切に活用して、誰もが使いやすい都庁になるよう具体化していってください。財務局が、やはり都庁舎の管理をしているという立場で、全庁的な取り組みにしていくということが重要だと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 最後のテーマですけれども、障害者優先調達推進法関連のことです。
 障害者の仕事確保は重要なわけですけれども、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する法律が二〇一三年四月に施行されました。国や地方公共団体に、率先して、障害者就労支援施設等、つまり障害者の作業所などの物品や役務を積極的に、優先的に調達することを努力するよう定めていますが、財務局は、障害者就労支援施設等からの調達を推進する意義について、どう認識していますか。

○松永契約調整担当部長 都では、平成二十五年四月に施行した障害者優先調達推進法に基づき、二十五年度から毎年度、障害者就労施設等からの物品の調達方針を策定しております。この方針では、障害者が就労によって経済的な基盤を確立し、自立した生活が送れるように都として支援するため、障害者雇用を推進する仕組みを整えることや、都が発注する物品及び役務の調達を障害者就労施設等から優先的に行うことにより、障害者就労施設等の受注機会の確保に努めることを定めておりまして、公共調達を通じて、都の政策目的の実現を支援する意義があると考えております。

○大山委員 障害者雇用を推進するというためにも、仕事確保のためにも重要だということですね。東京都は、障害者就労支援施設等からの物品等の調達方針を定めて、その中で、調達等の目標も持っています。二十五年度、二十六年度及び今年度の目標と実績はどうなっていますか。

○松永契約調整担当部長 財務局は、福祉保健局、産業労働局とともに、それぞれの役割のもと連携し、優先調達方針の検討を策定、目標数値の設定、実績集計及び進行管理などを行い、全庁的な障害者優先調達の促進を図っております。
 調達目標といたしましては、初年度である二十五年度は、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に努めることとし、二十六年、二十七年度は、物品及び役務の種別ごとに、前年度の調達実績を上回ることを目標としております。件数と金額の実績でございますが、平成二十五年度は八百四十四件、約五億八千四百万円、平成二十六年度は八百四十三件、約七億六千五百万円となっております。
 平成二十七年度の主な財務局の取り組みでは、総合評価方式を導入する場合の落札者決定基準に障害者就労施設等からの調達実績があることを新たに加え、都の公共調達だけでなく、民間事業者にも障害者優先調達が広がるような仕組みづくりをしております。

○大山委員 総合評価の中に、障害者の就労施設からの調達があるかどうかというのも入れたということですね。都としての重要な役割、そして意義は認めているものの、件数としてはほぼ横ばいという状況です。他県の実績もあるんですけれども、東京都八百件台ですね、八百四十四件、他県でも千件を超えているところが、群馬県や新潟県、鳥取県、高知県などがあります。千件を超える契約をしている県は--例えば東京は、一件当たり平均すると、件数で総額を割りますと約六十九万円です。新潟県は十万円程度ですから、小さくして受注しやすくしているということなんでしょうか。
 もちろん、一気にこの件数をふやすということは難しいと思いますけれども、障害者就労支援施設が受注するためにどうするかは、さまざまな工夫と、どうしたら受注できるのか、発注できるのかなど、お互いに話し合うことも重要です。
 今後も、全庁を挙げて積極的に取り組んでいく必要があると思いますけれども、どう取り組んでいくつもりですか。

○松永契約調整担当部長 障害者優先調達を推進していくため、財務局では、入札契約制度面からこの間、調達に当たっては、障害者施設等の受注能力に配慮しつつ、可能な限り分離分割を行うことを基本とし、政策目的随意契約の活用促進、総合評価方式における障害者就労施設等からの調達実績のある事業者への加点などの制度改正を行ってまいりました。
 二十八年度からは、先日、既に予算特別委員会でご答弁申し上げましたとおり、障害者就労施設等への一層の受注機会の拡大を図ることとし、特に予定価格十万円以下の印刷請負について、障害者優先調達に努めることを全庁的な方針として定め、関係局と連携して取り組んでまいります。

○大山委員 予定価格十万円以下の印刷請負について、障害者優先調達に努めるということを全庁的な方針と定めということですから、つまり来年度の調達方針でそうするということですね。それはもう重要なことですから、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 同時に、例えば新宿区内の作業所でも、大久保病院だとか大塚病院のお絞りの洗濯を長年受注している障害者の作業所があります。安定的な仕事として収入も安定していますから、非常に重要な役割を果たしています。
 これはどうして受注できるかというと、病院のクリーニングも本当に大量にあるわけですけれども、さまざまなものがあるわけですけれども、そういう中で、お絞りを分離分割発注してくれるからこそ、障害者の作業所で受注できる、受けられる仕事になっているんです。ですから、印刷はもちろんのことですけれども、ほかの分野についても分離分割発注を進めるなど全庁的に広げて、引き続き、より拡大していくことができるよう、全庁的に取り組んでいただきたいということを申し上げて終わりにします。

○堀委員 中小企業を中心とした建設業者とその人材育成のためには、適正な価格での発注や、また発注時期の平準化、価格だけによらない総合評価方式の導入など現場に即した制度の改革が必要であり、我々都議会自民党の入札・契約制度改革プロジェクトチームの議論を踏まえた財務局の施策により、その改善は目に見えるまでになっております。これらに加えて、今定例会の我が党の宇田川幹事長による代表質問では、発注者責任という観点から、二点について都の考えを伺ってまいりました。
 一点目は、契約の相手方である元請だけでなく、これまでの取り組みの成果をいかに下請の中小企業に波及させていくのかという点、もう一点は、意欲と能力のある中小企業に、いかに都のインフラ整備への参加を促していくかという点、この二点であります。これらのことを念頭に置きながら、入札契約制度全体について幾つか確認をしていきたいと思います。
 まず、中小を含む事業者全体にとって、人材を獲得して育てていく上でも不可欠な社会保険への加入や就業環境の改善についてであります。東京都の社会保険等の加入促進策が出そろって、その基本姿勢が排除ではなく加入促進であることは、既に、私自身もこの委員会で確認をしてまいりました。このことは建通新聞にも掲載されておりましたので、それだけ重要だということだと思います。
 社会保険の加入状況は、元請から下請事業者に対して、法定福利費を含んだ請負代金がしっかり行き渡っているかどうかを示す一つのバロメーターといえます。公共工事については、ことし秋の資格登録時には、加入義務のある建設事業者の社会保険への加入が必須となり、その結果、二十九年度からは、都の契約の相手方、つまり元請は全て社会保険に加入している状態になります。そして、このような都の取り組みを、次は一次下請、二次下請の加入へと確実につなげ、下請で働く技術者、労働者へもその成果が及ぶようにしていかなければなりません。
 今後、都は、下請等への対応を含め、具体的にどのような取り組みを進めていくのかお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 都は、平成二十五年四月以降本年二月まで、計四回の設計労務単価の改定を行い、対二十四年度比で設計労務単価を約三四%アップしました。二十七年四月からは市場価格とのギャップを解消するため、見積もり単価の設定方法も見直しました。また、臨時的措置といたしまして、WTO未満額まで最低制限価格制度の適用範囲を拡大してまいりました。
 これらの取り組みの趣旨は、改正品確法の理念である品質の確保や担い手を中長期的に育成、確保するため、発注者の責任として実施しているものであり、このことを都は取り組みのたびごとに明らかにしてまいりました。そして、これらの取り組みの成果は、直接の契約の相手方である元請ばかりではなく、下請等の中小事業者とその従事者に及んでいくことにより、建設市場の健全で持続的発展につながるものと考えております。
 このような考えのもと、二十六年度より、二次下請までを対象とした就業環境改善のための調査を社会保険労務士と協力して実施し、二十八年度は、財務局発注案件全てを対象に件数を拡大して選定、実施していくことにしております。これにあわせ、本年四月以降に公表する個別発注案件の入札説明書等を通じまして、改正品確法の理念を実現する受注者の責務として、下請契約の際の法定福利費を別枠表記した見積書の徴収、それを踏まえた書面での下請契約の締結などを受注者である元請に対して改めて要請してまいります。
 また、入札監視委員会のもとで開催している事業者団体との意見交換会におきましては、社会保険等の加入状況や就業環境改善の状況などの報告も受けながら、賃金を初めとした労働条件、労働環境について意見交換を行い、現在及び将来の担い手確保に向けて受発注者双方で取り組む体制を構築してまいります。

○堀委員 答弁の中にございました平成二十五年以降本年二月まで計四回の設計労務単価の改定を行って、二十四年度比三四%アップを実現したことでありますとか、二十六年度より、就業環境改善のための調査に社会保険労務士を活用して改善に取り組むなど、我が党の主張に応えて対応してくださっておりますことを高く評価したいと思っております。
 そして、都の進める取り組みは、下請重層構造といわれる建設産業全体を健全で信頼性のあるものにしていくその第一歩としたいという明確なメッセージとして伝わるものであります。社会保険加入の問題を中心に事業者団体の取り組みも加速しているので、双方で取り組んでいける体制づくりをしていってほしいと思います。
 また、代表質問では、意欲と能力のある中小企業に都の入札への参加を促す方向が示されました。これまで都の入札に参加しようにも厳しい価格競争のみではなかなか参加に踏み切れなかった中小企業にとって、技術力で参加の機会が得られるのは大きな励みとなります。現実に、私の地域の会合等で業界の方にお会いいたしますと、大変に高い評価をいただいております。このような取り組みは、総合評価方式での評価に限らず、資格登録時においても格付などで反映していくことも重要であります。
 入札参加の意欲と能力のある事業者であっても、工事実績が一時的に小さくなると格付が落ち、もとのランクの工事ができない、例えばBランクの能力が証明されているのに、Dランクまで落ちてしまって、都の工事で技術力を磨き、向上させる機会が失われるという極めて残念なことが起きることがございます。意欲や能力のある中小企業が有する技術力、施工力を発揮できるように見直していくべきと考えますが、対応をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 建設事業者の資格審査では、業法に基づく経営事項審査、いわゆる経審での経営状況、経営規模、技術的能力などの評価に加えまして、一定期間における最高完成工事の実績を評価し、格付に反映させております。しかし、等級順位を定める業種では、一時的に受注機会に恵まれず、十分な実績を得られなかった場合も考えられるため、工事実績が小さくなり、一段階下位の等級になる場合でも、経審の評価が前回の審査等級と同等以上であれば、もとの等級を維持できる措置を設けております。
 また、都では昨年十月から、積算能力のない不良不適格業者を排除することを目的に、入札金額の内訳書の提出を義務づけており、意欲ある中小事業者が内訳書を作成し、現在は入札に参加している状況でございます。
 このような中小事業者については、経審の評価が前回の審査等級と同等以上であるにもかかわらず、工事実績により前回の等級から二段階下位の等級になった場合についても、品質の確保を図りながら、もとの等級で再チャレンジできる仕組みを本年十一月に予定している定期申請から導入し、中小事業者の技術力を生かしてまいります。

○堀委員 ありがとうございます。業界もさぞや喜ぶと思います。発注量もふえて、入札に参加しやすい制度上の環境も整い出した今こそ、中小企業が技術力を磨き、将来への布石を打つときだと思います。区市町村の工事実績を評価していくこととあわせ、中小企業の技術力を培う機会を発注者としてこれからもつくっていくことが重要であり、このような柔軟な対応をとることによって業界のやる気や意欲を引き出し、よりよいものをつくり上げていくことにつながっていくものと期待をいたしております。
 次に、業務委託の品質確保策などについてお伺いをいたします。
 先日の予算特別委員会では、印刷請負を契約制度という視点から多角的に捉えて業務全体の品質確保を図ることが示されました。このような視点に加えて、入札契約手続の各段階で、発注者としてどのような取り組みが可能なのかという点を探るためにも、幾つか考えを聞いていきたいと思います。
 都は、二〇二〇年、その先の東京のために長期ビジョンを策定し、時代の転換点に当たって将来を見据えての課題解決に取り組んでいく方針を示しております。そのような中で事業を進めていくために、多くの事業がまず調査委託として発注をされて、その成果物に基づき、政策の具体化などを図っていくことになっております。
 しかし、長期ビジョンに掲げた事業の中には、これまでのようにデータ収集やその分析、課題の抽出というものを超えて、行政の施策展開の方向性の提示まで求めるものも多くなっているのではないでしょうか。そうなると、契約の相手方の選定の仕方によっては、品質の面で十分とはいえないものができ上がってしまう懸念もあります。
 調査委託の成果物の品質を確保して、より施策の効果を発揮していくようにするため、どのような入札契約上の工夫をしていくのかお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 物品買い入れ等の入札参加資格制度では、営業種目を物品購入で三十種類、委託で三十四種類の計六十四種類に分類しております。これは専業性というものを評価することで品質の確保を図ろうとするものでございます。しかし近年、仕様書などの内容を精査、確認していくと、複数の営業種目に精通していることが必要な案件、例えば伝統工芸品展の国際化対応をPRするような案件などが増加しております。
 また、データ収集やその分析、課題抽出という、従来までの調査委託を超えて施策展開の方向性を提示する案件や、さらに、施策の具体策や仕組みづくりまでの提案を求める案件も見受けられるようになってまいりました。
 このような複数の営業種目にまたがり、施策の方向性や具体策などを求める委託業務の品質向上を図るためには、企画提案方式の適用を検討するとともに、総合的営業種目を新設し、当該業務を担う能力のある事業者を募ることが必要となっております。
 このため、平成二十九、三十年度資格審査から営業種目の見直しを実施し、調査委託業務の品質向上を図ってまいります。

○堀委員 専業制は、分離分割発注、中小企業振興につながることに十分な配慮の上、品質の確保を図っていってほしいと思います。また、都の入札参加資格には幅広い事業者が登録し、都の契約の相手になろうとしております。その点では、入札契約手続を広く公共調達のプロセスとして捉えると、単に経済性だけではなく、そこには公共性というものを事業者に求めていくことも必要であります。
 都が総合評価方式で行っている政策目的を支援するものと同様、資格登録時においても、積極的な対応をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 業務委託の入札参加資格では、年間総売上高や従業員数、自己資本額、流動比率及び営業年数に加えまして、営業種目別売上高を審査項目としております。この審査結果に基づき、A、B、Cの三等級に分けて格付を行い、対応する金額の契約案件として発注し、入札を行っております。
 一方、都では、品質確保はもとより、政策目的を支援していく取り組みを進めている中で、入札参加の段階において、障害者法定雇用率達成企業によるモデル入札を試行してまいりました。この試行を踏まえ、実務担当者の間で資格登録時においても可能な取り組みに検討を重ねてまいりました。
 その結果、電子調達システムの既存の機能を生かすことで、障害者法定雇用率を審査項目として取り入れることといたしました。このような職員の創意工夫を、二十八年十月に開始する予定の二十九、三十年度定期受け付けから法定雇用率達成企業への評価という形で新たに導入してまいります。

○堀委員 ただいまの答弁で、資格登録の段階でも、新しい工夫の方向性が示されました。一方で、小規模事業者も多数登録しておりますので、十分な配慮と理解を得ながら、納得のいく具体化を検討していってほしいと思います。
 公共調達というものは、単に市場から物やサービスを必要の都度購入する経済行為ではなくて、行政としての方向性を示して、事業者や市場と価値を共有して関係性を築いていくプロセスでもあると思います。そのような観点から、最後に、公共調達のプロセス全体を通して、発注者として事業者や市場とどのように向き合っていくのか、見解をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 本年四月より、電子調達システム掲載の年間二万件以上の発注情報が、中小企業世界発信プロジェクトのビジネスチャンスナビ二〇二〇を通じまして、全国の中小企業に提供されることになります。
 これにより、今まで以上に都の発注情報に関心を寄せる中小企業が新たに資格申請を経て入札に参加することも期待できます。その際、東京都が資格登録、入札参加、落札者決定の各段階で設定する社会保険等加入などの必須条件や障害者法定雇用率の達成などによる加点優遇措置などは、事業者の行動促進機能を果たし、契約における履行内容や成果物の品質向上に寄与するものと考えております。
 今後とも、公共調達の各プロセスで、事業者の自主的な行動を促しながら、透明性、競争性、そして品質の確保を図り、発注者としての責任を果たしてまいります。

○堀委員 東京都の入札契約制度のあり方は、入札に参加する事業者の起業行動はもちろん、他の自治体、とりわけ都内の区市町村にとって大きな影響力を持っております。私も区議会に十四年おりましたので、痛切に感じております。それだけに、都の役割と責任は大きいのであります。そのことを自覚して、都が前に進んでいくことが新しい道を切り開くことになろうかと思います。
 答弁にもございましたビジネスチャンスナビ二〇二〇などの間口を広げた新しい取り組みについては評価をしたいと思いますし、さらに浸透を図っていただきたいと思います。東京都が進めてきた制度改革や運用改善は、広く自治体、発注者としての責任を果たすモデルケースとなります。レガシーとして残るのは何も形、ハードだけではありません。ソフトとしてのレガシーとして、後に評価されるような制度構築を期待しております。
 東京は、オリンピック・パラリンピックの競技大会の開催都市として責任を持って準備を進め、大会を成功に導き、大会後も首都の公共インフラを継続的に整備、維持する使命がございます。また、都民のみならず世界中から訪れる人々に、今後ますます質の高いサービスを提供することが求められております。
 これら将来に向けて、都の事業の基礎となっていくのが公共調達であり、その重要性を常に認識をして、社会経済状況の変化と市場の動向、事業者の実態を把握しつつ、これまで取り組んできた改革の成果を活用して、その定着を図って、発注者としての責任を果たしていくことを期待しております。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○鈴木委員長 次に、議員提出議案第二号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○大山委員 議員提出議案第二号の提案説明を行います。
 この条例は、平成二十八年六月に支給される東京都議会議員の期末手当を、平成二十七年十二月の改正前の支給割合に据え置くものです。都議会議員の期末手当の額は、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例第六条二項の規定で、職員の給与に連動する規定になっています。
 昨年、第四回定例会で、期末手当の、勤勉手当の支給割合を百分の九十から百分の九十二・五に引き上げる改定が行われました。しかし、現在都民の暮らしの困難が増大している中で、都議会議員の期末手当の引き上げは到底理解が得られるものではないと、第四回定例会で、平成二十七年十二月に支給される期末手当の支給割合を据え置く条例を提案しました。
 ところが、その後も都民の暮らしの困難は改善されていません。実質GDPも年率換算で一・一%のマイナスとなりました。安倍内閣の三年間で労働者の実質賃金は減り続け、労働者に占める非正規雇用の割合は四割を超えました。したがって、平成二十八年六月に支給される期末手当の割合を、昨年十二月の改定前の百分の九十とすることを提案いたします。
 今回の条例案は、都議会生活者ネットワークの皆さんと共同提案させていただきました。各会派の皆さんのご賛同をよろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十五分散会

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