委員長 | 和泉 武彦君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 高木 けい君 |
山内 晃君 | |
大津ひろ子君 | |
柴崎 幹男君 | |
木村 基成君 | |
西崎 光子君 | |
鈴木貫太郎君 | |
鈴木 隆道君 | |
植木こうじ君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 長谷川 明君 |
経理部長 | 奥田 信之君 | |
契約調整担当部長 | 松永 哲郎君 | |
主計部長 | 潮田 勉君 | |
財産運用部長 | 岩瀬 和春君 | |
利活用調整担当部長 | 菊地 俊夫君 | |
担当部長 | 五十嵐 律君 | |
建築保全部長 | 久保田浩二君 | |
技術管理担当部長 | 中山 衛君 | |
庁舎運営担当部長 | 井上 充君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 草野 智文君 | |
主税局 | 局長 | 塚田 祐次君 |
総務部長 | 西海 哲洋君 | |
税制部長 | 加藤 隆君 | |
税制調査担当部長 | 大久保哲也君 | |
調整担当部長 | 笹本 勉君 | |
課税部長 | 山内 和久君 | |
資産税部長 | 安藤 敏朗君 | |
徴収部長 | 熊谷 克三君 | |
特別滞納整理担当部長 | 藤井 朗君 | |
会計管理局 | 局長 | 塚本 直之君 |
管理部長 | 松下 隆弘君 | |
警察・消防出納部長 | 植松 淳一君 | |
資金活用担当部長 | 久原 京子君 | |
会計制度担当部長 | 米今 俊信君 |
本日の会議に付した事件
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十三号議案 東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成二十六年度資金管理実績(年間)について
・公金管理ポリシーの策定について
・平成二十七年度公金管理計画の策定について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十九号議案 警視庁麻布警察署庁舎(二十七)改築工事請負契約
・第百四十号議案 警視庁東大和庁舎(仮称)(二十七)新築工事請負契約
・第百四十一号議案 警視庁単身者待機寮代々木警察署靖心寮ほか(二十七)改築工事請負契約
・第百四十二号議案 警視庁単身者待機寮城東警察署城東寮(二十七)改築工事請負契約
・第百四十三号議案 警視庁単身者待機寮新川寮(仮称)(二十七)改築工事請負契約
・第百四十四号議案 東京都墨田都税事務所(二十七)改築工事請負契約
・第百四十五号議案 多摩動物公園アジアゾウ舎新築工事請負契約
・第百四十六号議案 小名木川排水機場耐震補強工事請負契約
・第百四十七号議案 新小名木川水門耐震補強工事(その一)請負契約
・第百四十八号議案 地下トンネル築造工事(二十七 四-環五の一雑司が谷)請負契約
・第百四十九号議案 妙正寺川整備工事(その二〇一-二)請負契約
・第百五十一号議案 土地の信託の変更について
○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査並びに会計管理局関係の報告事項に対する質疑を行います。
なお、付託議案中、第百三十九号議案から第百四十三号議案まで及び第百四十五号議案から第百四十九号議案までの契約議案については、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより主税局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百三十三号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○曽根委員 私からは、第百三十三号議案の東京都都税条例の一部改正ですが、この中には幾つか要素がありますけれども、法人事業税の減税の措置について何点か質問いたします。
今回のこの都税条例案では、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の開発における公共スペースなどについて、これまでの減税措置をわがまち特例の制度を使って、さらに一割ずつ減税額をふやしてやるというものですけれども、この事例は大都市に限られていると思いますが、ほかの自治体での先行例というのはまだないということでしょうか。
○加藤税制部長 都市再生に係る課税標準の特例措置の割合は、これまで一律地方税法に規定されておりました。本年三月の地方税法の改正によりまして、特例割合については、課税団体が一定の幅の中で条例により定めるいわゆるわがまち特例が導入されたところでございます。
このため、関係する各自治体とも、都と同様に現在条例改正の手続中または準備中でございまして、それぞれの自治体の設定状況につきましては、現時点では把握しておりません。
○曽根委員 昨年度のこの減税措置、これまでは地方税の中に入っていたということですが、この減税措置の対象物件のそれぞれの減税実績はどれほどなのか、また仮に、同じ規模の減税対象が今年度出てくるとした場合に、減税額はどれほどふえるのか教えてください。
○加藤税制部長 平成二十六年度における実績でございますが、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の合計で、不動産取得税につきましては六棟で十二億二千万円、家屋に係る固定資産税及び都市計画税につきましては九棟で約一千四百万円、償却資産に係る固定資産税については五事業者で約三百万円でございます。
また、昨年度の実績をもとに改正案の特例割合で単純に試算した場合、この減税額は不動産取得税で約十四億七千万円となります。二億五千万円程度減税額がふえることになります。また、固定資産税等につきましては合計で約二千万円となりますので、おおむね三百万円程度減税額がふえる見込みでございます。
○曽根委員 やはり法人事業税の減税の影響は大きいですけど、十数億円、それが二割さらに減税が増額となると。固定資産税であっても一千万円規模の課税ですから、我々庶民が住んでいるような住宅とは二桁ぐらい違う、かなり都心で高地価で、しかも公共スペースを提供したという部分にしても、開発にとっては非常に大きな効果がある減税になるんだと思います。
これまでも減税の措置を受けていたにもかかわらず、さらに上乗せをすると。しかも相手は都市再生緊急整備地域の開発ですから、もう間違いなく大手なわけで、そういうところにさらに減税してやると。一割ずつとはいえ大きな減税額になりますので、こういう意義と効果というのはどういうところにあるのか教えてください。
○加藤税制部長 この措置は、今回、わがまち特例が導入されたことを除きまして、適用要件等に変更はございません。
都市再生事業につきましては、国際的な都市間競争に勝ち抜き、日本経済を牽引するため、国際的ビジネス環境の整備に向けて推進する必要がございます。こうしたことから、軽減の規模が最大となるように特例割合を設定いたしました。
○曽根委員 もともと都市再生緊急整備地域、小泉内閣当時から構想されて具体化されてきたもので、この間、減税措置、相当行われてきたわけですが、これが東京のそのほかの中小企業を含めた都民生活はもちろんのこと、都市のいわば全体の機能を大きく引き上げたということには、私たちは、ならないと思っておりますし、しかも、こういうところは減税をしてやらなくても十分な利益を今までも得てきているという点から見ても、減税の上乗せを何でやるのかということで、ほかの自治体の例を探してみましたが、都内でも幾つかこのわがまち特例の減税を行っているところはありますよね。
それから、埼玉を含めて、被災地の女川町などの例も見たんですが、ほとんどは環境対策に取り組んでいる中小企業などの固定資産税、償却資産の減税なんですよね。何とか立ち直ろうとしている女川町などの被災地、または都内や近郊で頑張っている中小企業の経営を助けながらも、環境的な減税効果が上がるということを狙っての減税措置だと思うんですけれども、こういうところに、つまり中小企業を対象に絞ってわがまち特例を適用すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤税制部長 この特例措置につきましては、都市再生緊急整備地域において、国土交通大臣の認定を受けた大規模で優良な民間都市開発プロジェクトが対象となるものでございまして、事業者の規模によって限定されるものではございません。
○曽根委員 都市間競争というのも大事なんでしょうけれども、しかし、都市再生地域で今も優遇を受けている大企業にこれ以上優遇したからといって、都市間競争に強くなるという根拠は、私、ほとんどないと思うんですね。しかも、それが利益を多少ふやすでしょうけれども、東京全体の都民や中小企業まで還元されることもこの間なかったというのも、既に十数年の経済状況から証明されておりますので、こういうことにわがまち特例を使うのであれば、むしろ、先ほども紹介したように、各市町村で苦労しながら頑張っている中小企業に何とかその減税の恩恵をということで、環境対策に効果のある減税措置を行っている例を参考にしながら、中小企業にもメリットがあり環境対策でも効果がある減税に取り組むべきだと、東京都がこういうことに取り組めば、これは全国に与える影響も大きいと思います。ぜひ、その方向を検討していただきたい。今回の措置については反対であるということを申し上げて質問を終わります。
○中村委員 それでは、都税条例の改正及び専決処分に関して質問をします。
知事は所信表明演説の中で、わがまち特例について述べられました。五月二十二日には、都は国に対して、国際競争力の強化を図る観点から、池袋駅周辺地域について特定都市再生緊急整備地域への指定を申請しました。
そこで、今回の特例措置でどのような効果を期待しているのか、また、これまでの成果もあわせて伺います。
○加藤税制部長 今回の特例措置は、地方税法の改正によりまして、これまでの法律で一律に定める方式にかえて、いわゆるわがまち特例が導入されたものでございます。新たな特例割合の設定により、都市再生の一層の推進と良好な都市空間の確保に寄与していくものと考えております。
また、これまでの成果でございますが、平成二十六年度の実績で申し上げますと、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の合計で、不動産取得税につきましては六棟で約十二億二千万円、家屋について係る固定資産税、都市計画税につきましては九棟で約一千四百万円、償却資産に係る固定資産税については五事業者で約三百万円となっております。
○中村委員 今回のこの特定都市再生緊急整備地域の課税標準からの控除は、国が示す自治体で決めてよい幅の中で最大の数値ということになっています。
しかし、もう一方のサービスつき高齢者住宅の方の割合については、今後まだまだ需要が高まると思われますが、その税の減額措置については、わがまち特例があっても参酌基準のままになっています。最大限減額をしてサービスつき高齢者住宅を整備促進することも考えられたはずですが、特例割合を決めた考え方を伺います。
また、これまでどのくらいの件数があり、減額されたのか、実績をあわせて伺います。
○加藤税制部長 この特例措置につきましては、平成十三年度の税制改正で導入されて以降、一般の優良賃貸住宅よりも軽減割合を高めている中で、既に一定の供給が進んでいることなどから、現行と同様の割合としたものでございます。
平成二十六年度の実績で申し上げますと、三十六棟、約四千五百万円の減税となっております。
○中村委員 サービスつき高齢者向け住宅等の整備については、都は長期ビジョンで二〇一三年度末で一万四千百八十一戸だったのを二〇二五年度末には二万八千戸にするとの目標があります。既に一定の供給が進んでいることは、そのことそのものはよいことなんですが、超高齢社会に向けて引き続き順調な整備が求められ、都でも長期ビジョンで重要課題として取り組むべく目標を定めていますので、最大限の支援が必要と考えます。わがまち特例として都で減額措置について決められるのですから、今後もその整備状況を見て、税の面から整備が促進されるよう求めます。
また、特定都市再生緊急整備地域はもとより、現在、都においては、東京駅周辺など各地で大規模再開発が行われており、固定資産税の対象となる大規模家屋の増加が見込まれます。
先日、この財政委員会としても、固定資産税に関する視察を行いました。そこで、今後増加が見込まれる大規模家屋の評価上の課題と、その対応について伺います。
○安藤資産税部長 オリンピック・パラリンピックの開催に向け、都内各地で大規模開発やインフラ整備が加速しており、今後、大規模家屋の増加が見込まれております。
大規模家屋の評価につきましては、膨大な工事関係資料の中から評価に必要な情報を抜き出す作業などに非常に時間がかかります。また、地中熱などの自然エネルギーを利用した冷暖房設備を備えた家屋や既存建物の一部を残しつつ新たに高層建築物を増築した家屋など、評価の困難性の高いものが多くなってございます。
主税局では、これらの課題に対応するため、大規模家屋の評価を本庁で集中的に行い効率化を図るとともに、そこで蓄積したノウハウを研修等で事務所へ還元しながら、今後とも適正な評価に努めてまいります。
○中村委員 大変大きな物件がふえてきたので担当の方には大変だと思いますが、まさしく適正な評価というのは大切なことですから、これからも引き続き担当者の方のご努力を望むものです。
次に、たばこ税について伺います。
たばこに関しては、オリンピックに際して受動喫煙防止に関する条例については都の有識者の検討会が開かれましたが、結論は今のところ先送りになっています。
たばこ税については、税収だけの問題ではなく、健康問題から喫煙を抑制する意味合いもあり、増税が進んできました。自治体の大きな収益になるという主張もありますが、健康を害すれば医療費が上がるという考え方もあります。
過去、税率が上がった場合に、単純に現在の数量で税収がふえるのではなく、抑制効果も一定程度あったのではないかと推測をされます。これまでのたばこ税の増税と売上への影響について所見を伺います。
○加藤税制部長 一般的には、商品の価格が上がりますと販売数が減る傾向にございます。しかしながら、たばこの場合、都を例にとりますと、平成五年度を境に一貫して売り渡し本数が減少しております。この間、数度にわたり増税等に伴う価格改定はあったものの、価格の上昇が売り渡し本数にどの程度寄与しているのかということにつきましては、必ずしも明確ではございません。
ちなみに、平成二十二年十月には、国税、地方税、あわせて二十本当たり七十円と大幅な税率引き上げが行われました。翌二十三年度の都内でのたばこの売り渡し本数は、前年度比一一・九%の減となっております。
○中村委員 平成五年度以降、一貫して減っているということは、都民の健康への意識の高まりと関連していると思います。今回のたばこ税の増税は、さきの委員会の議論で、厚生労働省から国民の観点からたばこの消費を抑制すべきとの税制改正要望があったためとのことでした。
また、確認ですが、海外との喫煙状況がよく比べられますので、ここで、主要国のたばこ一箱当たりの価格及び税額について伺いたいと思います。
○加藤税制部長 若干古い資料で申しわけございませんが、総務省が公表しております資料をもとにご説明いたします。
平成二十五年一月現在の主要国主要銘柄で申し上げますと、各国の紙巻きたばこ一箱当たりの価格は、日本が当時は四百十円、イギリスでは約千二十円、ドイツ、約五百二十円、フランスで約六百三十円となっております。
また、各国の一箱当たりのたばこ税額は、日本が約二百四十円、イギリス、約六百円、ドイツ、約三百円、フランス、約四百十円でございます。
なお、当時の為替レートは一ドル八十一円程度でございますので、現在は若干これよりは高くなるかと思います。
○中村委員 今お話のあったような価格を比べてみると、他国に比べて日本の価格そのものは決して高額とまではいえないようです。税率そのものは国が決めたとおりに都のたばこ税が決まるだけなので、都に裁量の余地はないようですが、都民の関心も高まっていることから、都として都民の健康、受動喫煙の問題などに関して国に意見を出していく際においては、税の視点からも意見を出すことも検討していただきたいと思います。
次に、専決処分された不動産取得税について伺います。
不動産取得税による中古住宅の流通促進について、二年間につき減額が創設されました。中古住宅の流通促進、空き家の活用の観点からは有効な税制だと思われますが、この措置の趣旨を伺います。
○加藤税制部長 この特例措置は、これまで形成されてきた住宅ストックを有効活用しながら質の高い多様な住宅を供給することで、中古住宅流通の活性化を図るため創設されたものでございます。
買い取り再販事業者が中古住宅を買い取り、住宅性能の一定の向上を図るための改修を行った後、住宅を個人に再販売する場合に、事業者に課される不動産取得税につきまして、個人が住宅購入をする場合と同様に、住宅の価格から一定の額を控除する制度でございます。
○中村委員 空き家がたびたび問題にもなってきますけれども、この中古住宅の評価方法が、手法が確立をせず、流通が市場としてまだまだ未成熟といえます。新築と中古の流通が両立することが望ましいといえます。
今回の減税は、不動産事業者が強く求めてきたといわれていますが、事業者の税負担が減れば、個人が購入する価格が安くなり、恩恵を受けることにもつながります。今回の税制改正の中で目立つものではないようですが、中古住宅の改修が促進され、良質な住宅が都民に提供されるよう、事業者への広報を行っていただくことを求めて質問を終わります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
○和泉委員長 これより会計管理局関係に入ります。
報告事項、平成二十六年度資金管理実績(年間)について外二件に対する質疑を行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中村委員 それでは、公金管理ポリシー、公金管理計画、資金管理実績について質問します。
今回は、ペイオフ対策以来の大幅な見直しになります。国は多額の借入金があるので、インフレの政策によって円の価値を下げ借金を減らそうとしております。都は健全経営をしていたので、何もしないと資産価値が下がることになってしまいます。国内金融機関の預金の利率は低く、国債も入手が困難と聞きます。政府の政策や経営状況も含めて、今回の見直しの背景を伺います。
○松下管理部長 平成十四年に策定いたしました資金管理方針及び都におけるポートフォリオから既に十年以上が経過しておりまして、この間、世界的な超低金利状況や国内の金利状況の変化など、都の公金を取り巻く国内外の環境は大きく変動しております。
公金管理におきましても、安全性、流動性の確保を大前提にしつつ、こうした金融環境の変化に柔軟に対応するため、これまでの資金管理方針を一部見直しまして、新たに公金管理ポリシーとして策定したものでございます。
あわせまして、日銀の大規模な金融緩和などにより、国債のマイナス金利や需給逼迫、あるいは預金の運用利回りが極めて低い水準で推移する中、運用商品の多様化の視点から、運用商品の具体的な管理、手法を定めました平成二十七年度公金管理計画を策定したところでございます。
○中村委員 知事は所信表明演説の中で、効率的な公金管理と同時に国際金融市場の活性化も図っておりますと述べられたものの、安全性についての言及がなかったのは不安であります。
ポリシーの項目の中の保管及び運用の基本的な考え方というところで、これまでは、安全性の確保を最重要視し、流動性を確保しつつとあったんですが、これが、安全性、流動性を確保しつつになり、安全性が最重要という表現ではなくなったのも懸念材料です。
国際金融センター構想の資料を見ると、今後は国際金融活性化の視点も踏まえ、安全性を確保しつつ、適正にリスクを管理し、より効率的な運用を行う必要があるとありました。
本来、公金の管理の大前提は安全であることですが、この適正にリスクを管理という意味は何なのでしょうか。改めて、今回のポリシー見直しに当たっての公金管理の安全性の確保についての考え方を伺います。
○松下管理部長 公金の管理につきましては、地方自治法第二百三十五条の四第一項及び第二百四十一条第七項、これに明文で規定されておりますが、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されております。安全性を最重要視する基本原則に一切変更はございません。
しかしながら、預金先金融機関や債券発行体が元本保証をした商品であっても、預金先や発行体自身が破綻するリスクや、あるいは流動性リスクなども含め、どのような運用商品にも当然リスクは存在するものでございます。このため、運用においてのリスク管理は必須項目であり、その旨を記載したものであると考えております。
なお、預金先や発行体の評価におきましては、新規追加の時点や各決算期におきまして、財務諸表の分析やIR説明会等を利用いたしまして経営評価を行い、資金管理・活用アドバイザリーボードの専門家の意見をその都度聞いているものでございます。
また、株価やスプレッド等の日常監視も日々行うなど、安全性の確認を行っているところでございます。
○中村委員 安全性については最重要という言葉はなくなってしまったんですけれども、それでも基本原則には一切変更ないということは確認させていただきました。
それでは、この今回変わったことの内容について、具体的に、前の公金方針と今回の公金管理ポリシーや計画でどのように変わったのか伺いたいと思います。
○松下管理部長 公金管理ポリシーにつきましては、安全性及び流動性を担保した上で、先ほどご説明いたしました国内外の金融環境の変化に応じまして適切にリスクを管理し、柔軟かつ効率的な運用を行う旨、総則及び考え方の部分に記載するとともに、基金の運用商品のメニューにつきまして、円建て外債を追加するなど、金融市場の変化を踏まえて一部見直したものでございます。
また、平成二十七年度の公金管理計画につきましては、同様に昨今の金融情勢の変化を踏まえまして、公金全体の金融商品の構成が最適なものとなるよう、元利保証型の金銭信託、外国銀行への預金、円建て外債・ユーロ円債の三つの新たな取り組みにつきまして、具体的な運用商品や運用方法を追加記載したものでございます。
○中村委員 今回、具体的にこの三つの新たな取り組みが始まったということですので、それをまず確認したいと思います。
まず初めに、元利保証型の金銭信託についてですが、公として初めての手法とのことですが、元利保証だけではなく予定配当率は国債以上の利回りを確保する予定ともされておりますが、どのような仕組みで安全性が確保されているのか伺います。
また、信託の投融資先として国内向け貸付、海外向け貸付、国内債券、外国債券とありますが、ここに株式は入らないということは確約をされているのか伺いたいと思います。
○松下管理部長 元利保証型の金銭信託は、都と信託銀行が共同開発した運用商品でございまして、都が信託した資金は国内外の投融資で運用されますが、この投融資には安全性の高い信託銀行の銀行勘定による元利保証がついておりまして、公金の安全性は担保されているものでございます。
また、都と信託銀行との金銭信託契約は、いわゆる指定金銭信託でございまして、都は国内外の貸し付けや債券購入という投融資の種類の運用指図を信託銀行に対して行っておりまして、予定配当率は国債以上の利回りを想定しているものでございます。
なお、株式運用は変動が大きく、元利保証をつけることは困難でございますので、投融資先には株式は含まれないものであります。
○中村委員 新たなポートフォリオについては、金銭信託の割合は三%ということで、新規として注目するには割合としては低いのですが、あくまで目安とは思います。
しかし、そのことで数字として一千億円という金額が出されていることは重いと思っています。この目標金額を一千億円とした理由は何か伺います。
○松下管理部長 都はこれまで、五年以上の比較的長期で運用可能な資金につきましては、国債等の数千億円単位の大規模な運用などによりまして、安全かつ効率的な運用を行ってきたところでございます。
しかしながら、前述のとおり、国債はマイナス金利や需給逼迫により一定額 以上の購入は困難な状況になっております。そのため、預金、債券と並ぶような大規模な運用の柱といたしまして、今回の元利保証型の金銭信託の運用を開始したところでございます。
また一方、信託銀行は元利保証型の金銭信託を成立させるためには、一定以上の金額を確保し、あわせてリスク分散を行う必要もございます。これらの観点から、スキーム設立の検証を進めていく中で一千億円という本年度の目標設定額を定めたものでございます。
○中村委員 先ほどの質問の中でもお話をしましたけれども、元利保証というだけではなくて、予定配当率は国債以上の利回りを想定するということですから、それに向けて取り組んでいただきたいというふうに思っています。
また、次の手法として外国銀行の預金入札参加についても伺います。
銀行自体の経営ということもしっかり見なきゃいけないんですが、その銀行自体がよかったとしても、その国が政情不安であればリスクもあります。政情不安な国の銀行だとカントリーリスクもあるわけですが、どうやって安全性を確認していくのか伺います。
○松下管理部長 預金入札に参加いただく外国銀行につきましては、金融分野の専門家等で構成する資金管理・活用アドバイザリーボードなどを活用いたしまして、安全性を確認しているところでございます。
具体的には、銀行自体の経営評価に加えまして、ご指摘のカントリーリスクを初めとしまして幅広く本国の社会経済状況などが及ぼす影響も含めて総合的にリスクを勘案した上で、安全性の高い金融機関に限定して選定しているところでございます。
○中村委員 しっかりと見定めていただいて、本当に安全性の確保というのが最重要というのは繰り返しておりますけれども、引き続きそれはお願いいたします。
また、三つ目の手法として、円建て外債、ユーロ円債の組成を新たに行うようになるということです。これは、海外の債券発行体をどのように選ぶのでしょうか。政府や金融機関と違い、選定するのにわかりにくいのではないでしょうか。組成の仕組みと安全性について伺います。
○松下管理部長 円建て外債、ユーロ円債につきましては、市場で供給される発行額に比較しまして機関投資家を初めとする投資家のニーズが非常に高いため、現在の公債市場では一定額以上の購入は困難であると、そういった状況ございます。
そのため、海外の債券発行体の選定につきましては、格付等の信用力は極めて高い発行体に限定いたしまして、国内外の証券会社を通じて調査、照会をかけ、条件面の折り合った発行体に対して東京都向けの債券発行を働きかけているものでございます。
なお、円建て外債、ユーロ円債のいずれも円建てで発行される債券であるため、為替リスクはございません。
○中村委員 新たな三つの手法について、それぞれ仕組み、安全性について確認させていただきました。
また、こうした手法全体について、今、東京都の方もアドバイザリーボードを設置しています。アドバイザリーボードからは、今回の見直しについてどのような意見があったのか伺います。
また、アドバイザリーボードの意見を聞くというのは、計画を定めるときなどのようですけれども、どのような運用先にするのかといった具体的な場面で意見を聞くことはしないのでしょうか、お伺いいたします。
○松下管理部長 資金管理・活用アドバイザリーボードの委員からは、運用方針や運用計画だけではなく、具体的な運用先の考え方等も含めまして、適時、金融分野の専門家等の立場から意見をいただいており、その意見を反映して今般のポリシーや計画を作成したものでございます。
なお、アドバイザリーボードにおける個別具体の議事内容については、委員の自由な議論を確保すること等のため、非公開としておるものでございます。
○中村委員 議会の方でも個別の運用のことまではなかなか確認ができないので、アドバイザリーボードの方々がいて、きちんとその指摘を受けてちゃんとやっているということの仕組みを確認させていただいたつもりでございますので、その点はしっかりとやっていただきたいと思っています。
さて、知事は、国際金融センター構想を進めようとしています。経済政策として海外の資金を呼び込みたいわけでしょうが、都みずからが公金を利用してプレーヤーになるというのは、安全性の問題から慎重でなければなりません。これまでの財政委員会での議論でも、公金の株式投資については多くの委員から反対の意見があり、知事は今のところ思いとどまっています。
ポリシーは、これは局長の決定ということになっていますが、今回のポリシーの見直しは、国際金融センター構想でどういう位置づけになっているのかも含めて、最後に公金管理についての考え方を局長に伺いまして質問は終わります。
○塚本会計管理局長 今回、新たに公金管理ポリシーと平成二十七年度公金管理計画を策定いたしましたが、公金の安全性を最重要視するという考え方にいささかも変更はございません。
しかしながら、国債市場で五年国債が一時マイナス金利になるなど金融環境が大きく変動しており、これまでの預金と国債中心の運用では効率的な運用が困難になっているのも事実でございます。
このため、今回、新しい取り組みを開始したところでございますが、運用先や商品の選定に当たりましては、今までと同様、厳しい基準を設け、安全性の確保を図っております。
一方、国際金融センター構想の推進は、都政の重要施策の一つであろうと思っております。今回の取り組みが結果としてセンター構想の推進に少しでも寄与できればと、このように思っております。
いずれにしましても、公金は税金を原資とするものでございまして、安全性の確保を第一に考えながら、効率的な運用に一層努力してまいりたいと考えております。
○西崎委員 私も、平成二十七年度公金管理計画の策定に関して、何点か質問をしたいと思います。多少中村理事と重なる部分もありますけれども、確認の意味でお尋ねをさせていただきます。
まず初めに、今回新たに公金管理ポリシーを策定し、平成二十七年度の公金管理計画の中で金銭信託、外国銀行への預金、円建て外債などの運用に取り組むと伺いましたけれども、従来の資金管理方針や資金管理計画を一部修正して見直した理由についてお聞かせください。
○松下管理部長 前回の計画から十年以上が経過いたしまして、その間に日銀の買い取り強化による国債のマイナス金利や需給の逼迫、あるいは企業貸付の伸び悩みによる金融機関の預貸率の低下に伴う預金ニーズの減少など、都の公金を取り巻く環境は大きく変化しております。
こうした環境の変化を受けまして、これまでの資金管理方針を一部見直し、公金管理ポリシーとして策定したものでございます。引き続き安全性、流動性の確保を大前提にしつつ、多様化の視点を加えて、国内外の金融環境の変化に応じた柔軟かつ効率的な公金運用を行えるものにいたしました。
さらに、昨今の金融情勢を踏まえ、公金全体の金融商品の構成が最適なものとなるよう、戦略的なポートフォリオを構築いたしました。
具体的な取り組みといたしまして、金銭信託、外国銀行への預金、円建て外債等を新たに取り入れた公金管理計画を作成したものでございます。
○西崎委員 都は、平成二十七年度の公金管理計画で約三兆円の基金のポートフォリオについて、預金七五%、債券二二%、金銭信託三%といたしました。従来は預金と債券でほぼ半分ずつ運用してきたわけですけれども、超低金利が続く状況を踏まえて、より高い運用利回りを期待できる金銭信託を新たに導入いたします。今後は、一千億円を目標に金銭信託に振り分け、信託銀行と共同で実質元本保証型の仕組みを構築することが示されております。先ほども質問が中村理事からも出ていましたけれども、そこで、この元利保証型の仕組みについてお伺いしたいと思います。
都は、信託銀行についての運用を大枠で指示することになっておりますけれども、具体的に、だれの責任で、どこまでの指示を行うのか。また、公金管理計画のスキーム図は大変複雑な仕組みに見えますけれども、満期は何年を想定していて、その間の流動性はどのように確保するのか。どのような仕組みで実質元本保証型となるのか。これらの仕組みが確実に機能し、公金の管理は担保されるのか伺います。
○松下管理部長 元利保証型の金銭信託は、都と信託銀行が共同開発した運用商品でございますが、都が信託した資金は国内外の投融資で運用されます。この投融資には、安全性の高い信託銀行の元利保証がついており、公金の安全性は担保されているところでございます。
また、一般に金銭信託の種類は、委託者が運用の目的物を具体的に特定する特定金銭信託と、それから運用の目的物の種類を指示する指定金銭信託に分類されます。
今回の元利保証型の金銭信託は指定金銭信託であり、都と信託銀行との契約の中で、都は信託資金の投融資の運用について国内外の貸し付けや債券購入という大枠での運用指図を信託銀行に対して行い、個々の具体的な投融資については信託銀行に委ねているものでございます。
なお、公金運用の責任については、知事及び会計管理者が負っているものでございます。
さらに、運用の期間につきましては、三年から五年を想定しておりますが、もともとこの期間で国債により運用していた資金を充てるため、資金繰りなどの問題は発生せず、流動性は確保されているものでございます。
○西崎委員 今の答弁で、この投融資には安全性の高い信託銀行の元利保証がついており、公金の安全性は担保されているというお話でしたけれども、当然保証料をお支払いになるということで、利回りの中にこの保証料が含まれるというふうに伺っております。今後、どのくらいの利回りがつくのかわかりませんけれども、保証料とそのバランス、どのくらいの割合になるのか、そういったところもしっかりと見ていく必要があるのではないかと思っています。
都は、公金の運用先に外資系金融機関を加えるわけですけれども、地方自治体で外資系を活用した本格的な資金運用に乗り出すのは初めてだそうです。そのことは、先月の日経新聞に書かれておりました。
これまで都の預金先は国内の銀行に限られておりましたけれども、外国銀行も預金先を決める入札に参加できるようになります。公金管理計画によりますと、平成二十七年は預金の五%、金額にいたしますとおよそ一千百二十五億円は外国銀行向けになることが示されております。外資系の銀行であるからといって、円預金に高い利回りを期待することは難しい状況だと思いますが、平成二十七年に新たに外資系銀行を入札に加えることの意義についてお聞かせください。
さらに、円建て外債、ユーロ円債など債券の発行段階から積極的に働きかけ、効率的な運用に必要な金額を確保するとなっていますけれども、この組成とはどのようなものなのか、どのように公金の安全性は担保されるのか、また、効率的な運用、高い利回りと外債市場の活性化のどちらを目的とされているのか教えてください。
○松下管理部長 これまで邦銀中心に預金をしてきたものでございますが、前回の方針策定以降、統廃合などによりまして銀行数が減少したことに伴いまして、預金入札における競争性が低下しております。また、預貸率低下により銀行の預金ニーズが減少し、銀行が提示する預金金利も低下しているという現状にございます。
このような状況を踏まえまして、預金引き合いの競争性を確保する観点から、預金対象先に安全性の高い外国銀行を加えるものでございます。
次に、円建て外債についてですが、これは海外発行体が日本国内で発行する債券であり、また、ユーロ円債は、国内外の発行体が自国外の市場で発行する債券であります。いずれも円建てで為替リスクはないものでございます。
この円建て外債、ユーロ円債は、市場で供給される発行額に比較しまして機関投資家を初めとする投資家のニーズが非常に高いため、現在の公募市場では一定額以上の購入は困難でございます。そのため、国内外の証券会社を通じて、東京都向けの債券発行について発行段階から積極的に働きかけることで、都が必要な金額を確保するものでございます。
なお、日本国債と同等以上の格付を有するなど信用力が極めて高い発行体に限定することで、安全性は担保されております。
円建て外債の購入は、安全性を確保した上で効率性を追求するものであり、こういった取り組みを進めていくことが、結果としまして外債市場の活性化にもつながるものと考えております。
○西崎委員 今回の新たな運用については、資金管理アドバイザリーボードで意見を聞くというふうになっています。委員会はメンバーも公表されておりますけれども、公正、公平な立場で運用についてのアドバイスを行う必要があると思います。
そこで、委員の任命はどのような選定基準で行われ、任期はどのようになっているのか伺います。
○松下管理部長 資金管理・活用アドバイザリーボードは、金融分野におけます専門家等が会計管理局長に対しまして都の資金管理、活用について意見を述べる専門家会議でございまして、委員六名につきましては、金融分野に経験と識見を有する学識経験者、金融アナリスト、それから公認会計士、弁護士など、幅広い分野から選任しているものでございます。
また、委員の氏名や所属、資格については全て公表しておりまして、任期は二年で、会計管理局長が委嘱し、再任は妨げないものとなっております。
○西崎委員 最後に、これからの取り組みの報告については、都民にどのように情報公開されるのか伺います。
○松下管理部長 公金管理ポリシーにおきまして、四半期ごとに、直近四半期の公金管理の実績を取りまとめて公表するとしております。これまでも都のホームページ等で公表してきたところでございますが、今後とも引き続き定期的に公表してまいります。
○西崎委員 平成二十七年の基金は約三兆円にもなります。その公金管理や運用については、しっかりと責任を持って、都民にも、都議会にも、しっかりと情報公開をして対応していくことを要望いたしまして質問を終わります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○和泉委員長 これより財務局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百三十九号議案から第百四十九号議案まで及び第百五十一号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○奥田経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます要求資料第1号をごらんください。こちらは、「コスモス青山」の賃料収入、信託報酬及び信託配当の実績についてでございます。
これは、平成七年度から平成二十五年度までの年度ごとに、テナント等の賃料収入、受託銀行への信託報酬及び東京都への信託配当をそれぞれ表にまとめたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○和泉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料も含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○柴崎委員 初めに、工事契約に関連して幾つか確認させていただきます。
今定例会では、提出議案として十一件の工事請負契約案件が提出されております。また、今定例会における桜井副委員長の一般質問の質疑でも触れられましたように、都の工事の発注においては分離分割発注方式が大原則であると認識をしております。定例会の議案である十一件の工事案件も、それぞれ建築工事、設備工事、土木工事と業種が分けられております。
ところが、一昨年の第四回定例会の我が党の代表質問に対する答弁では、都は、オリンピック・パラリンピック、これらの施設の整備については、設計施工一括発注方式、いわゆるデザインビルド方式を検討することを明らかにいたしました。そして、昨年の六月に取り扱いを公表するとともに、現在、一部の競技施設について制度を適用していると聞いております。
そこで、まず、分離分割発注方式とデザインビルド方式の違いについて伺います。
○松永契約調整担当部長 都の工事発注は、分離分割発注方式を原則としております。分離分割発注は、発注者である都が設計を発注し、基本設計や実施設計を完成させ、設計の成果品をもとに発注資料を作成した後、建築、電気、空調、給排水衛生など異なる業種ごとに工事を発注するものでございます。設計受託者や業種ごとの施工者は、それぞれに専門性の高い技術を有しており、それらを都が工程に従って適切に発注、監督、検査することで、工事目的物全体を一貫性のあるものとものとして完成させ、公共工事の品質を確保することにつなげております。
これに対し、都の実施するデザインビルド方式は、オリンピック・パラリンピックの競技施設の一部に適用するもので、先行して発注した基本設計が完了した後、異なる業種も含んだ事業全体の実施設計と工事を一括で発注するものでございます。このため、入札参加者は、いわゆる異業種JVを結成して受注に臨むことになります。
○柴崎委員 工事の発注は分離分割方式が原則であることを、今改めて確認ができたわけであります。こうしたことから、デザインビルド方式は設計と各業種の施工を一括で発注する工事であり、分離分割の原則に反しているように見えるわけであります。
昨年の六月に都のデザインビルド方式の取り扱いが公表されたことで、一部の関係者からは、これを機に都が工事の発注をデザインビルド方式に切りかえるのではないかと心配する声がありました。その後、多くの事業者団体などと意見交換が行われていると聞いております。
そこで、都がデザインビルド方式による発注を検討するに当たり、事業者団体などとどのような意見交換や協議を行ったのか説明を求めます。
○松永契約調整担当部長 都は、昨年の六月に、デザインビルド方式に関する取り扱いを公表するとともに、業種別事業者団体向けに説明会を開催いたしました。
実際に発注するに当たりましては、デザインビルド方式に対する十分な理解が不可欠であると考え、事業者団体ごとに、適用する工事の要件、リスク分担のあり方、設計の独立性・一貫性の確保、異業種JVの構成、受発注者及び基本設計者間での役割分担、発注者責任のあり方など、広範なテーマに関して意見交換を実施し、協議を重ねてまいりました。
これらの成果をまとめ、補足、詳細化した内容を加えた取り扱いを、今後公表してまいります。
○柴崎委員 今ご説明いただきまして、各方面と手順を踏んだ丁寧な意見交換が行われたことがわかりました。この制度に対する理解が進んだということだと思いますが、今後も、事業者から質問等あれば、十分な対応をお願いしたいと、このように思います。
そして、デザインビルド方式について、実際どのような工事に適用するのか、適用する要件と対象施設についてお伺いいたします。
○松永契約調整担当部長 デザインビルド方式の対象は、オリンピック・パラリンピック競技会場にある施設のうち、特殊な施設または施工難易度の高い施設で、設計段階から施工者の高度な技術力の活用が要求され、設計、施工の効率化で工期内の確実な履行完了が要求されるものとしております。
具体的な対象としては、特殊な自然条件下での工事となる施設や仮設部分の大規模な減築等を含む特殊な施設で、設計の段階から施工を行う上で不可欠な資材の調達、技術者の確保などを計画的に行い、大会に向けて確実に整備すべき有明アリーナ、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場の三つの競技施設でございます。
○柴崎委員 都がデザインビルド方式で発注する競技施設は三施設であることが、今、確認できたわけであります。今回、デザインビルド方式を行うことにより、設計と施工の効率化が図られるということであります。
しかし、実施設計終了後の発注ではないために、発注時に最終的な仕様あるいは機能などを確定することが難しいと思われます。こうした中で、事業の実施について受注者に委ねる領域が大きくなってしまう。したがって、発注者による状況把握及び意思決定がより重要になると思います。
これらの課題も考える中で、デザインビルド方式の品質確保に対する都の考え方をお伺いいたします。
○松永契約調整担当部長 都のデザインビルド方式は、大会に向けて確実に整備すべき特殊で限定的な事例に適用するものであり、その前提として都の技術力で全ての過程をマネジメントすることにより、工事の品質を確保していく必要がございます。
そのための具体的な内容としては、従来の基本設計以上に詳細な発注資料を作成し、予定価格を算出するとともに、施設の整備水準や設計、施工条件を明確にした上で、不確定要素に係るリスク分担の考え方、発注者、基本設計者、施工者の役割分担を事前に明示してまいります。
また、発注者である都の一連の業務を支援するアドバイザリー業務を基本設計者に委託し、その支援のもと事業の監理を行うなど、制度の整備に努めました。
デザインビルド方式での施工に当たっても、これまでの制度改革の成果を生かし、計画段階から履行完了に至るまで、発注者の責務を果たしてまいります。
○柴崎委員 今、答弁いただきましたように、確実に整備すべき特殊な施設に対する発注ということであります。したがって、デザインビルド方式を円滑に実施することが求められていると思います。都の技術力、組織力を結集し、品質を確保することを要望いたします。
次に、工事契約に関連して中小企業対策についてお伺いいたします。
オリンピック・パラリンピック開催に伴う施設の整備が本格的に始まる一方で、これまで同様、都民生活に密着した社会資本の整備や維持管理も着実に進めていかなければならないわけであります。
都は、一般質問への答弁において、分離分割発注の意義として、中小企業の受注機会の確保を挙げております。現在、地域における防災、減災、コミュニティの維持などの重要性が増している中で、身近な社会資本の維持管理を支え、同時に地元の雇用も担っているのが中小企業であります。したがって、既に各方面でもいわれておりますように、このような中小企業の中には、幅広く高い技術を継承している事業者も数多く存在しております。
しかし、まさに都の事業の根幹を支える立場であるこれら中小企業では、現場の担い手である技術者の不足、あるいは高齢化が進んでいるわけであります。都民の安全・安心、これを確保していくとともに、活気ある地域社会に支障が生じてしまうおそれが出てきているわけであります。
そこで、地域における中長期的な担い手確保の観点から、より地元に貢献している中小企業を評価する取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 都の発注する公共工事の約八五%を受注し、道路の補修や河川の改修、学校の改築や改修など、都民の身近な安全・安心の担い手となっているのが中小企業でございます。
このような中小企業の中には、公共工事の施工に当たって、通学路の安全確保や夜間工事の施工方法などの工夫により、住民生活にきめ細かく配慮し、高い履行成績をおさめている事業者も少なくありません。
また、災害や事故への緊急対応による地元貢献や災害発生に備えた準備体制などにより、将来にわたり地域の期待に応えようとしている事業者もふえております。
これらの中小企業を積極的に評価する方法として、従来からの地域精通度という考え方を改正品確法の施行を踏まえて再構成し、中小規模の工事を対象とする総合評価方式にこの評価項目を新たに加え、七月一日以降公告を行う案件から適用してまいります。
○柴崎委員 総合評価方式は、価格と価格以外の要素と総合的に評価する契約方式であります。工事におきましては、企業の技術力や信頼性、社会性などを評価していると思います。
今回、中小規模の工事を対象とした総合評価において地域精通度の評価項目が加われば、地域のインフラ整備や維持補修を担う地元の中小企業にとりましては、大きなプラス効果をもたらすと期待するわけであります。
そこで、地域精通度を具体的にどのように評価に反映させるのか、お伺いいたします。
○松永契約調整担当部長 対象とする総合評価方式は、施工能力審査型総合評価方式でございまして、これまで地域の安全確保の取り組みとして、緊急施工工事の実績や災害協定の締結実績などについて、それぞれ技術点の加点対象としてまいりました。
今回、これに加え、日常の安全管理や地域の個別事情に精通した中小企業が将来においても活躍でき、新たな担い手を育てられる環境を整備していくことが重要と考え、地域における施工実績も評価の対象といたしました。
具体的には、過去三年間に完了した都の工事で、当該工事施工場所の属する区市町村及びそれに隣接する区市町村において一定以上の成績を有する場合、実績として技術点を加点してまいります。
この取り組みを通しまして、地域インフラの品質と中長期的な担い手の確保を図ってまいります。
○柴崎委員 ことしの四月に本格施行されました、いわゆる改正品確法では、地域における公共工事の担い手の育成及び確保について配慮がなされることによりまして将来にわたり確保されなければならないという理念が加えられたように、地域の担い手の育成、確保は極めて重要な課題となっております。今回の取り組みは、この改正品確法の新たな理念にかなっていると考えられます。
工事における総合評価方式は、単に価格だけで競争する入札ではなく、事業者の持つ技術力やこれまで行った工事の実績、そして担当技術者の経験なども評価して、発注者にとって最も有利なものを決定することができるわけであります。加えて、発注者が公共調達を通じて政策を実現するという考え方を反映し、地域の安全対策や担い手の確保、障害者雇用などの社会性ということも評価する動きが広がっております。
これらの動向を踏まえて、都は、工事における総合評価方式を積極的に推進し、工事の品質を確保するとともに、企業の社会的役割への取り組み意欲を高めてほしいと思います。
このように、総合評価方式の役割が重要さを増す中、都では総合評価方式を適用した工事がどのくらいあるのか、近年における実施率を伺います。
○松永契約調整担当部長 現在、都では入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の取り組みを進めており、その一環として、総合評価方式についても適用の拡大を図っているところでございます。
総合評価方式は、企業が持つ技術力や実績を有効に活用する観点から、予定価格一千万円以上の工事を対象とし、適用する工事の選定に当たっては入札の際の競争性に配慮して選定しております。
対象工事に対する実施率は、平成二十二年度以降一貫して増加し、平成二十五年度には一九%となりましたが、平成二十六年度には一五・九%に低下いたしました。その理由としては、入札不調が増加し、再入札の際に総合評価を外して発注することがふえたためと考えられます。
本年四月以降、不調対策を含む一連の制度改革の多くを開始し、中小規模の工事向けに地域精通度の評価項目を加えたことも受け、改めて全庁に対して総合評価方式の必要性を強調し、積極的な適用拡大を促しているところです。
今後とも、都は、公共工事の品質と中長期的な担い手を確保するため、総合評価方式の適用を積極的に推進してまいります。
○柴崎委員 都は、まず、入札不調などの対策も大変だと思いますが、総合評価方式を初めとした品質確保のため、取り組みを着実に進めていただきたいということと、そして、入札に参加しやすい環境の整備に向けて、一連の制度改革の成果をしっかりと活用して発注者の責務を果たすようにしていただく、この二点を強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
議案として提出されているコスモス青山の土地信託についてお伺いいたします。
都は昭和六十二年に初めて土地信託制度を取り入れ、信託銀行を受託者として、これまで五つの事業を実施してまいりました。土地信託は土地の売買を伴わないため、当時、社会問題になっていた地価高騰を顕在化させることなく、都有地の有効活用が図られました。そして、信託終了後には、土地、建物が都に戻ってくるという利点があるわけであります。
既に新宿モノリス、両国シティコア、大久保病院のあるハイジアの三つについては、それぞれ二十年間の信託期間が終了し、五年間の延長を行っております。そして、ことしの九月には、コスモス青山が信託期間満了を迎えるわけであります。
そこで、コスモス青山の信託事業について、これまで同様しっかりと検証、総括した上で、五年間の信託延長という結論になったかと思われます。そこで、検証、総括の仕方も含めて、その内容についてお伺いいたします。
○菊地利活用調整担当部長 検証、総括につきましては、不動産鑑定士、弁護士、市場調査会社、建築士など専門家の意見を聞きながら実施いたしました。
まず、所期の目的であります地価高騰の要因とならない都有地の有効活用、民間の知識、経験を利用した財源負担を伴わない土地活用は達成できております。
加えまして、建設に要した借入金は今月末に完済予定であること、建物、設備は適宜修繕を実施して良好であること、賃料設定はおおむね市場相場を維持していること、入居率は信託開始以降おおむね九〇%を維持し、現時点で約九九%であることから、今後はより安定した資産運用が見込めると考えておりまして、専門家からも同様の評価を得ております。
○柴崎委員 今、お話ありましたように、専門家から一定の評価を受けているということでありまして、借入金、債務を残すことなく、都はこれまで堅実な事業運営に努めてまいりました。当初の計画どおりには運ばなかった点もあると思います。
そこで、信託配当の実績についてでありますが、この信託配当は当初予定していた配当と実績を大きく乖離しているようであります。その要因について、まずお伺いいたします。
○菊地利活用調整担当部長 信託配当につきましては、当初の予想配当は約一千四百五十億円となってございます。これは、当初の事業計画におきましては、信託期間内に安定したテナント賃料収入が確保される前提となっておりまして、賃料が大幅に下落することが想定されていなかったためでございます。
しかし、バブル経済の崩壊により、土地価格に連動して収入源であるテナント賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要因となりまして、これまでの配当の合計は約四億円となってございます。
○柴崎委員 今の答弁からも、バブル経済の崩壊が日本経済に与えた影響というのは、本当にはかり知れないものだということがわかりました。予想配当と実績との乖離の大きさが、そのことを如実に物語っているわけであります。
こうした予想に反した困難な環境を乗り切るために、都はどのような対応をしてきたのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
○菊地利活用調整担当部長 テナント収入を確保するため、受託銀行が知識、経験を活用し、テナント誘致や賃料交渉等を鋭意実施してまいりました。
都は、空室の解消、適切な賃料設定、管理コストの適正化に向けた取り組みにつきまして適宜報告を受け、検証するとともに、収益を堅実に確保する運営を受託銀行に強く求めました。
借入金の金利につきましては、当初固定金利四・九%でありましたが、その後の市場金利の急激な低下を踏まえまして、受託銀行との協議を経て金利の引き下げを行い、実勢に基づく金利となってございます。
○柴崎委員 借入金につきましては、約定に基づき利子を支払うことは当然のことでありますが、銀行と協議して、どのくらいだかわかりませんけれども、金利の引き下げを行ったということは非常に評価できるものと思います。
今回の五年間の信託期間延長という判断は、延長以外のさまざまな具体策についても検討した上でのことだと思います。そこで、この具体策の検討内容、これについてお伺いしたいと思います。
○菊地利活用調整担当部長 土地信託契約の満了を迎えまして土地、建物を売却することや、土地信託を終了し、都が直接土地、建物を所有することを検討いたしました。
売却につきましては、当該土地は都心の一等地にある極めて貴重な都有地でありまして、直ちに売却することは適切ではないと判断いたしました。都が直接商業ビルを所有することに関しましては、土地、建物だけではなく、賃貸借契約も都が承継することになるため、テナント管理等を直営で行う場合には課題が多くございます。
一方、土地信託を延長した場合、引き続き健全な資産運用が可能であり、また、不動産市況等にも柔軟に対応できることから、五年間延長することが適切と判断したものでございます。
○柴崎委員 これからは、建設した建物が築二十年を経過し、経年劣化への対応が問題となるわけであります。これまでの借入金返済を重視した信託運営から、大規模修繕を実施しながら収益確保を図る運営に軸足を移していかなければならないと考えます。
この意識が不足しますと、建物の劣化がテナントへのサービス低下につながっていくわけであります。結果的には、優良テナントがほかのビルへ移転してしまい、収支悪化を招いてしまうわけであります。そして、五年後の選択の幅を狭めることになるわけであります。
したがって、これからの五年間、資産価値を維持し、収益確保に努めなければならないわけであります。そして、あわせて信託の出口策をしっかり検討すべきだと思いますが、所見を求めます。
○菊地利活用調整担当部長 建物の経年に応じた維持管理は、資産価値の毀損を防ぎ、健全な信託運営に不可欠であるため、既に作成いたしました大規模修繕計画を確実に実施することによりまして利便性を高め、テナントの確保につなげてまいります。
また、信託の出口策につきましては、専門家の意見を聞きながら、大規模修繕の実施状況、賃貸ビルとしての競争力、土地信託事業の収支など、多面にわたる調査分析を行いまして、検討を十分に行ってまいります。
○柴崎委員 バブル経済の崩壊によりまして、都心の一等地にあるコスモス青山であっても、厳しい運営状況であったことがよくわかりました。
そのような状況においても、受託銀行、管理会社を含めて、関係者の努力によりまして借入金を完済するなど、健全な形で信託事業を運営し、その上で、今回信託期間の五年延長の考え方が示されたわけであります。
これまでの説明を聞きまして、五年の延長という都の判断は十分理解をできました。したがって、しっかりと取り組んでいただきたいと改めて申し上げる次第でございます。
そしてまた、都が初めて土地信託をスタートさせた新宿モノリスが竣工してから約二十五年が経過したわけであります。この間、都は、土地信託の委託者として事業のかじ取りに苦労してきたと思いますが、五つの信託事業それぞれについて、経済状況等に応じ適切に対応し今日に至っているわけであります。
そこで、土地信託事業の今後の方向性について局長のご見解をお伺いし、質問を終了とさせていただきます。
○長谷川財務局長 土地信託方式は、売買を伴わないために地価高騰を招かないこと、そして、民間の知識、経験を生かして財源負担を伴わないこと、また、信託の終了後、土地、建物が都に返還されるということのこうしたメリットがありますことから、地価高騰が社会問題でございました当時の情勢を踏まえて、都は都有地の有効活用策として採用いたしました。
しかしながら、この間、ただいまいろいろとお話がございましたとおり、バブル経済の崩壊など社会経済状況の大きな変化に見舞われる中で、都は受託銀行とともに、信託事業の健全な経営に向けた懸命な取り組みを進めてまいりました。
五つの信託事業いずれにつきましても、建物、設備は適宜、計画的に修繕を実施して良好でございまして、借入金につきましては、コスモス青山が今月末に完済を予定しておりまして、他の四つの信託は既に完済をしております。
今後の土地信託事業につきましては、こうした努力を継続して安定したキャッシュ・フローを享受しながら、一層堅実な運営に努めてまいります。
また、それぞれの信託につきましても、信託期間の満了を迎えるに際しましては、改めて専門家の意見も踏まえながら、さまざまな観点から検証、総括を行いまして、東京都にとって最も有効な利活用となるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○大松委員 今定例会には、工事の契約案件十一件が提案され、財政委員会に付託されています。これらの中には、以前入札中止や不調になった九件の再入札も含まれておりますけれども、今回の競争入札では、少しではありますが、参加者が増加しております。予定価格修正方式の導入など、これまで実施してきた不調対策などが効果をあらわしてきているものと考えます。
ただ、先日公表されました平成二十六年度の工事契約状況を見ますと、不調発生率は、まだ一三%台で高どまりしておりまして、公共工事の発注については、依然として厳しい状況が続いていることには変わりはありません。都は不調対策として、これまで以上に入札に参加しやすい環境の整備を進めていただきたいと思います。
こうした状況の中で、公共工事の入札では、価格競争だけではなく事業者の技術力を評価するなど、品質の確保を目的とした入札契約制度が広がっています。こうした制度を工事開始前のプロセスであります設計や測量などにおいても導入をしていくべきと考えます。そのことによりまして、工事発注資料の精度を高め、工事そのものの品質をさらに向上させることができるようになるからであります。
そこで、工事の前の段階にあります設計、測量、地質調査などの委託業務につきまして、品質確保の取り組みの現状と今後の方向性を確認していきたいと思います。
まず、都における設計等の委託業務に用いられる入札について伺います。
○松永契約調整担当部長 設計、測量、地質調査の委託業務においては、実際に構造物のできばえ等を確認できる工事と比較いたしまして技術力の評価方法が困難であったため、これまで価格競争による入札を原則としてまいりました。
しかし、設計等の委託業務においても技術提案や技術者の実績などに着目して評価する取り組みが進むとともに、その重要性が認識されるようになってまいりました。
また、委託の成果品の品質が工事の内容のみならず完成した構築物や施設の品質に深く関係することから、都においても、現在、価格による競争だけではない入札契約制度を推進しているところでございます。
○大松委員 設計等の委託業務につきましては、設計図など成果品の品質を確保する観点から、技術力を評価する取り組みを重視しているとのことでございます。こうした東京都の姿勢は、昨年改正され本年度から本格運用されております品確法の趣旨にものっとっているものと考えるものでございます。
また、価格だけではなく技術力を重視することで、設計等の分野の将来を担う人材を育成し、確保できる環境の整備を目指す東京都の姿勢を強く示すものにもなっております。
こうした品質確保の取り組みといたしまして、東京都が全庁的に実施しておりますのが、技術提案や技術者の実績等を評価して落札者を決定する設計プロポーザル方式です。この設計プロポーザル方式につきまして、制度の特徴と近年の実績について伺います。
○松永契約調整担当部長 設計プロポーザル方式は、技術者の経験、知識、構想力、応用力などが要求されるWTO案件などを初めとした大規模な新規工事の設計者選定において全庁的に実施しております。
内容としては、省エネルギーなどの環境対策や近隣住民への配慮など、案件ごとに設定した課題に対する技術提案を評価し、あわせて担当技術者の過去の同種設計業務の実績評価などを加えた合計点数が最も高いものを特定するもので、手続の基本的な事項は財務局が平成十八年度に定めております。
適用実績といたしましては、平成二十五年度三十八件、平成二十六年度五十五件でございます。
○大松委員 この設計プロポーザル方式は、規模の大きな設計案件に適用する制度でありまして、対象となる事業の多くは、難易度が高く、周辺の環境への影響が大きいものになります。全庁的な制度の所管局であります財務局としては、それぞれの案件ごとの課題をきちんと把握して、的確な契約ができるよう努めていただきたいと思います。
一方、この方式は対象となる工事が限られるため、今後、件数が大きくふえることはないと考えられます。これに対しまして、今後、さらに件数をふやせる余地がありますのが総合評価方式でございます。より規模の小さい工事の委託業務を対象に、建設局が平成二十五年度に開始して、まだ二年であり、適用されるべき業務が多数あります。
そこで、設計等の総合評価方式について、取り組みの現状と実績について答弁を求めます。
○松永契約調整担当部長 設計等の総合評価方式は、財務局が平成二十四年度に庁内の検討を踏まえた取り組み方針を示した後、平成二十五年度、建設局が委託業務の品質を高め、不良不適格業者の参入防止を図ることを目的として、主に自転車道の整備や河川の改修など地域に身近な工事を対象に試行を開始いたしました。
制度の適用対象は、設計に加えて、測量、地質調査としており、内容は、入札価格を評価する価格点と過去の成績評定や担当技術者の実績などを評価する技術点とを加算して、合計点数が最も高い者を落札者とする方式でございます。
適用実績といたしましては、平成二十五年度十五件、平成二十六年度四十七件でございます。
○大松委員 制度の対象には、現地の位置や高さを調査する測量や地盤の強さを確認する地質調査など、工事の設計に必要な委託業務も含まれるとのことです。これらの品質の確保を図ることも重要です。
ただ、総合評価方式を実施しているのは建設局だけでありまして、東京都全体から見ますと、まだ取り組みが限定されております。財務局は取り組み方針をまとめたとのことでありますけれども、総合評価方式の一層の推進を図るため、さらに主導的に取り組むべきと考えます。所見を求めます。
○松永契約調整担当部長 総合評価方式では、技術点で過去の成績評定を評価するため、実施する段階においては、対象企業に対する評定実績の蓄積が必要となります。
財務局では、総合評価方式を適用するに当たり全庁的な検討会議を設置し、平成二十二年度から開始した成績評定制度の定着に合わせて導入する方針を示したところ、建設局では既に先行して独自の成績評定を実施していたため、他局に先駆けて平成二十五年度から試行を開始することができるようになりました。
現在、一定程度の評定実績が蓄積される中で、財務局は、建設局の試行状況を確認するとともに、事業者団体との意見交換を通じまして制度の課題を把握することに努めるなど、本格実施に向けた検討を継続してまいります。
○大松委員 本格実施に向けて検討しているとのことでございますので、積極的に取り組んでいただきたいと考えます。
また、総合評価方式を実施する部署を建設局以外にも広げていくよう要望をしておきます。
設計等の委託業務の品質は、技術者の能力や経験に大きく左右されます。そして、でき上がった図面、構造、計算書、仕様書などの設計図書の内容や調査業務の報告書の精度が、それらをもとに行われる工事、そして、完成した構築物や施設、その使い勝手や将来の維持管理まで、事業全体にわたり大きな影響を与えます。そのため、東京都は、設計図書や調査報告書などの品質を高めることにより、公共工事全体の品質の確保、さらには、設計等を担う人材の育成確保のために、設計プロポーザル方式や総合評価方式を積極的に推進していくべきと考えます。
最後に、設計等の品質向上に向けた今後の方向性について都の所見を求め、質問を終わります。
○松永契約調整担当部長 都の工事は、発注者である都が測量、地質調査などの成果品を活用し、設計受託者と連携しながら設計図書を完成させ、完成した設計図書に基づいて発注仕様を整え、工事を発注しております。
したがって、工事の前段階で作成する設計図書の内容が、工事の工程や工期、難易度、そして、完成する構築物や施設等の形状、強度、耐久性、利用のしやすさなど、工事全体の品質に大きくかかわっております。
都は今後とも、設計等の委託業務に対し、単純な価格競争ではない入札手法を拡大することで、一方では、受託者の技術力向上に対する意欲を高め、また一方では、ダンピングのような過度な価格競争や不良不適格業者の排除につなげてまいります。
このような入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の制度改革を通じまして、今後とも、都民生活に不可欠なインフラの品質を確保し、公共工事を幅広く支える将来の担い手の育成、確保という発注者の責務を果たしてまいります。
○和泉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時二十六分休憩
午後二時四十五分開議
○和泉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○植木委員 最初に、コスモス青山土地信託の五年延長の問題について質問します。
これは都民の貴重な財産のあり方が問われる重要な案件だと思います。現在都有地の有効活用が進められていますし、保育園や特養ホーム、教育施設、スポーツ施設など都民生活に役立つものに活用するのが行政財産の目的のはずだと思います。
ところが昭和の後半からバブル経済期の右肩上がりの時期に、中曽根民活路線の中で東京都は、都有地の民間信託に乗り出しました。そして新宿モノリスから始まって今回のコスモス青山など五カ所で始めてきたわけです。
私はちょうど元年に都議会議員になったので、ちょうどそのころからでした。そのころは、金融機関からお金を貸すからといわれて大量のお金を借りて、バブルの崩壊とともに悲惨な結末になった例はたくさんありました。土地バブルにおごったわけです。行け行けどんどんで先行きのことなど考えずに進んでいった。私ども日本共産党は、行政が不動産業に手を出すべきではないと反対をいたしました。官から民へということに全て反対するわけではありませんけれども、都民の行政財産は都民の施策に活用すべきと、土地信託に反対をしたわけです。
当時残念ながら与党の皆さんは、民間活用の一形態だといって絶賛して賛成して進めてきたわけです。そして、ちょうどコスモス青山がテナントを貸し出し始めたころ、平成七年のころ、民間が大変になり始めました。それでも官から民へという方向で逆の道をずんずん進んでいったわけです。
コスモス青山の信託契約を結ぶときも、失敗したときにはどうするのかというスキームや契約期間が終了する時期にはどのようなスキームで都に返還するのかも、その時点では全く考えもせずにやってきたわけです。今日になって、今後の見通しも示せないまま五年間の延長という提案になっていると私は思います。
コスモス青山についてですが、都交通局の青山車庫跡地を土地信託という手法で信託銀行に預けて、都と信託銀行と契約を結んで、契約満了時に土地と建物を返還させる約束でスタートいたしました。そこで、この土地信託の目的と手法というのは、本来どういうものでしょうか、お答えください。
○菊地利活用調整担当部長 昭和六十一年の地方自治法改正により、新たな土地活用の手法として土地信託制度が制度化されました。本制度は、土地所有者が土地を信託銀行に信託し、銀行側がそこに建物を建築し、管理運営するものでございます。
メリットとしては、土地の売買を伴わないことから地価を顕在化させず、土地の有効活用が図れ、地価の高騰を招くおそれがないこと。財政負担を伴わずに民間の知識経験を利用し、有効な土地利用が可能となること。所有権が留保されており、信託期間終了後には土地と建物は返還されることなどが挙げられております。
都としては、都内の地価が急激に高騰していた当時の社会経済情勢を踏まえ、このようなメリットのある土地信託制度を導入したものでございます。
○植木委員 つまり金融機関に都民の土地を預けて、建物の建設あるいはテナントビルの管理などを任せて、そして土地代、当時の時価とすれば相当な金額だったろうと思うんですけれども、その権利を無償で移転させて、地代のかわりに収益の一部を配当として受け取ると、こういうことだったろうと思うんです。コスモス青山の契約時の信託配当について、当初の予想配当は幾らで、実際の配当は幾らになったのでしょうか。
○菊地利活用調整担当部長 信託配当につきましては、当初の予想配当は、約一千四百五十億円となってございます。これは、当初の事業計画におきましては、信託期間内に、安定的なテナント賃料収入が確保される前提となっておりまして、賃料が大幅に下落することが想定されていなかったためでございます。しかし、バブル経済の崩壊により、テナント賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要因となりまして、これまでの信託事業実績に基づく配当の合計は約四億円となってございます。
○植木委員 地価の下落が一切想定なかったと。でもね、コスモスが賃貸を始めた平成七年ごろというのは、既に先ほどもちょっといいましたけれども、賃貸料が下がり始めているんですよね。下がり始めているんですよ。だから、当初は配当がなかったときも、たしかあった。それが直接かどうかは僕は正確にはわかりませんけれども、しかし、下がり始めたということは事実なんです。
この一千四百億円という巨額な配当があるということで、当時は土地バブルということで、誰もが舞い上がっていたという面はもちろんありますけれども、それを前提に全て計算していると。だから配当が三億、先ほど約四億という話がありましたけれども、この資料によれば二十五年度までに三億六千六百万ということです。ですから、予想配当のわずか〇・二五%、一%にも満たないわけですよ。だから単純に二十年間で計算すれば、年に七十億から、よければ八十億ぐらいの配当を見込んでいたということですよね。七十億から、この資料は五百万ですよ。本当に問題にならない、どういうずさんな計画をしていたのかということですよ。
それで、本来業務のビジネスビル賃貸業ですけれども、コスモス青山に入居している都関連施設はどのような施設が入っているのか。賃貸部分について、賃貸対象の面積に占める割合は何%になるでしょうか。
○菊地利活用調整担当部長 現在、東京ウィメンズプラザ、産業労働局のインキュベーション施設、東京都住宅供給公社が入居しております。貸出可能面積に対する監理団体を含めた都関係団体の占める割合は約五六%となってございます。
○植木委員 半分以上五六%、しかもこの間、国連関係の施設が入っていたり、ワンダーサイトが入っていたりした経過もあって、ワンダーサイトが出たから今度インキュベーションということで、慌ててかどうかは知りませんけれども、入れたと。いずれにしても都関連施設が五六%になっていると。いろいろ決算だとかそういうのを見させていただいたり、事前にもいろいろこの賃料についてお聞きしましたけど、明らかにしないんですね。過去の議事録を見るとほとんど明らかになっているんですけれども、明らかにしない、なぜかわからないんですけれども。私は独自にちょっと計算をしてみましたけれども、この二十年間で賃料、幾ら東京都と関連施設が払ってきたのか。これは、今でも答えられないんですか、教えてください。
○菊地利活用調整担当部長 賃料にかかわる賃貸条件などにつきましては、信託銀行とテナントであります賃借人の契約内容にかかわることでございます。また、受託銀行の信託経営に関する情報であるため、お答えはできません。
○植木委員 過去の新聞や議事録を見るとほとんど出ているんですね。平米単価が民間の賃料よりも四割ぐらい高い賃料を払っているというようなことだとか、面積も全部出てるんですよ。私はそれを見ていろいろ計算してみたけれども、面積的にはウィメンズプラザよりもJKKの方が大きい。それに伴って賃料も大きいと。ただ、ウィメンズプラザはつくるときの経過があって非常に高い、一般の民間の賃貸よりも、それこそ四割から二倍ぐらいの高さを当初払っていた。そういう中で、床面積は五六%だけれども、そういう資料を全部計算しますと、都関連施設の賃料というのが、全体の賃料収入の恐らく七割を超えるんじゃないかと私は見ているんですよね。つまり五六%の面積で七割前後の賃料を都の関連施設で払っていたと。一方では、配当は、ほとんどないということだと思うんですよね。賃料相場から見て、低くても三割、高いのでは四割高い賃料を払っていると。この点について、私の指摘についてどう答えますか。
○菊地利活用調整担当部長 賃料に関するご質問でございますが、賃料につきましては、賃貸人である信託銀行とテナントであります団体との契約内容にかかわることでございまして、また、受託銀行の信託経営に関する情報であるため、お答えできません。
○植木委員 私いろんな新聞の切り抜き持ってきたんですけど、全部出てるんですよ。その情報が正確かどうかは、今の答弁ではわかりませんけれども、私が計算する根拠は、こういうマスコミを通じて出されたものと都議会の財政委員会、その前の財務主税委員会、この議事録には全部出ているんです。なぜここで出せないのか、私は非常に不思議でたまらない。
少なくとも五年延長するんだよというときに出せなくて、延長いいですよと、誰がいえますか。都民の財産ですよ、もともと。今は権利は移っていても、今度は、期間が満了すれば、当然都の財産ですから何もいえないというのはおかしいと思いませんか。もう一回お答えください。
○菊地利活用調整担当部長 賃貸建物、土地につきましては、受託銀行の所有する建物でございます。信託銀行とテナントとの契約内容にかかわることであり、また受託銀行の信託の経営に関する情報であるため、申し上げることはできません。
○植木委員 少なくとも、ウィメンズプラザは都の施設でしょう。結局、金融機関を助けるために都の関連施設を五六%も入れて、この土地信託の失敗を繕ってきたんですよ、この間。そういうことではないんですか、私はそう思いますよ。都民から見たら、常識的に見たらそうですよ、どうですか。
○菊地利活用調整担当部長 都関連施設の入居の経緯でございますが、コスモス青山はオフィスが入居する業務施設部分と東京ウィメンズプラザが入居する公的施設部分から成る複合施設として建設されました。
東京ウィメンズプラザは、男女平等社会を実現していくためのセンターとして早期に建設できることから、当初より入居が決定しておりました。多目的ホールや図書館を設置するなど希望する仕様を整備したため、通常のオフィスビルとは異なる賃料設定となっておりまして、賃料については妥当な水準と考えてございます。
業務施設部分は、ビルの所有者であります信託銀行がテナントを募り入居を決めておりまして、その一テナントとして産業労働局のインキュベーション施設、東京都住宅供給公社が入居しております。賃料は市場相場で他のテナントと同様の扱いと聞いております。したがいまして、ご指摘は当たらないと考えます。
○植木委員 ご指摘は当たらないったって、資料がなければ判断できないでしょう。明らかに都関連施設を入れることで、土地信託の救済を図ってきた二十年間だったと、こういうことですよ。じゃあ土地信託を請け負ってきた信託銀行の方はどうですか。契約している金融機関、信託銀行はどこで、そこで得た利益、つまり信託報酬は幾らで、この間の支払い金利は幾らになるのか。この間の借入金利は何%で総額は幾らになるのか、教えてください。
○菊地利活用調整担当部長 受託銀行は、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行でございます。平成二十五年度まで累計で信託報酬は三億五千三百万円、借入金利息は五十一億三千九百万円となっており、その総額は約五十五億円でございます。
借入金の金利につきましては、当初は固定金利四・九%でありましたが、市場金利の急激な低下を踏まえまして、受託銀行との協議を経て金利の引き下げを行いまして、実勢に基づく金利となってございます。
○植木委員 金利引き下げるのは当然ですよ。私も当時、自分の土地をあれしたんですけれども、金利が当然ね、途中で変えるわけです、みんな。当たり前のことです、それは。結局、配当と金利で合計五十五億円の利益を得ながら、配当計画の方はさっぱりやってこなかったと、ゼロに等しい、こういう結果だけが残ったんですよ。私は受託銀行の責任は極めて重いと思うんです。この経営責任は誰にあるんですか。銀行に責任をとってもらうという強い姿勢で臨むべきだと思うんですけれどもいかがですか。
○菊地利活用調整担当部長 信託報酬は、受託契約に基づき受託財産を効率的に運用していくための対価として支払うものでございます。
借入金利息につきましては、建物の建設資金に係る信託と融資銀行との約定に基づく支払いでございます。一方、信託配当は、賃料などの収入から管理費などの必要経費のほか、借入金返済額を差し引いた剰余金であります。したがいまして、信託報酬の額は、都への配当額と比較して定める性格のものではないと考えております。
また、コスモス青山は、建物、設備が適切に保全され、入居率や賃料設定も市場相場を維持していることから、健全な資産運用であると専門家からも評価されております。このようなことから、受託銀行が契約責任を果たしていると考えられますので、信託報酬、借入金利息の多寡をもって銀行に責任を求めることはできないと考えます。
○植木委員 普通の会社でね、こんなこと許されますか。株主であれば、配当がないことについて経営責任を求めるのは当然でしょう、違うんですかね、私の常識の方がおかしいんでしょうか。一千四百五十に対して、わずか四億弱しか入らない。それで経営責任果たしたといえるんですか。
もう一つ問題があると思うんです。コスモス青山に天下りしている都の幹部、歴代の社長、多分都の幹部だったと思うんですけれども、天下りの総人数と、その賃金の合計、わかる範囲で教えてください。
○菊地利活用調整担当部長 コスモス青山の管理会社、株式会社コスモス青山の代表者は、現職を含め歴代七名、いずれも都のOBであると聞いております。代表者以外に再就職した都のOBの人数及び賃金につきましては、都と出資関係がないなどの会社でございまして把握してございません。
○植木委員 ある新聞によりますと、財務局長が社長になっていたり出納長が社長になっていたりという、その七人が一貫して都の幹部ですよ。僕はこの人たちの責任もあると思うんですよ。そうしないとね、誰も責任とらないで延長だけ認めろと、こんなおかしな話は世間では通用しないと思うんです。
五年延長するということですけれども、問題は、どういう理由か、そして、土地信託のメリットはなかったわけですから、そういう中で配当などの改善があるのか、それから五年後に東京都の土地になった場合にどうなるのか。こういうことをはっきり示さないで、今回の中身が全然わかんないんですよ。それは専門家で検討しているという話だけで、それはもうこの契約の中では、三年前から検討してなきゃいけなかった問題なんですよ。今出てないということの方がおかしいんですよ。問題の先送りをみんなに認めろということといわれても仕方がないと思うんですけれども、いかがですか。
○菊地利活用調整担当部長 コスモス青山につきましては、建設に要した借入金は今月末に完済予定でございます。建物、設備は適宜修繕を実施して良好であること、入居率は信託開始以降、おおむね九〇%を維持し、現時点では約九九%であることなどから、今後はより安定した資産運用が見込めると考えてございます。土地信託を五年間延長し、都にとって最も有効な土地の利活用策を検討していくことにしており問題の先送りとは考えてございません。
○植木委員 それじゃあお聞きしますけれども、延長した場合、都の配当は幾らになるのか、今年度は幾らになるのか、五年間で幾らになるのか、お示しください。
○菊地利活用調整担当部長 信託配当は、五年間で約二千五百万円を想定しております。これは、都が信託銀行から情報を得て、専門家の意見を踏まえ、収支試算したものでございます。
○植木委員 二千五百万ということは毎年五百万、今までと変わらないわけですよ。だけど、残債は返すわけです、今月。そうなると、支払い金利は要らなくなるはずなんですよね、これどこへいっちゃうんですか。
私はね、今月で完済するというのなら、今後は新たな金利負担が出てこないわけですから、金融機関はこれまでの支払い金利も含めて責任をとるべきじゃないか、一部を。もちろん皆さんもとるべきなんですけれども。そして何よりも一千四百五十億円という、これに見合うものはもうないんですけれども、少なくとも配当額をふやさせるべきではありませんか。そうしないと責任を誰もとらないまま、五年間延長しろということになってしまうんですよ。いかがですか。
○菊地利活用調整担当部長 信託銀行は、契約責任を果たしていることから、銀行に負担を求めることはできないと考えてございます。受託銀行に対しましては、今後とも管理費等の支出につきまして報告等を求め、きちっとチェックを行い、可能な限り管理コストの抑制に努めてまいります。
○植木委員 金融機関に一切責任がないというんですね。金融機関がつくった会社、ここに責任はあるし、都の幹部の皆さんの責任もあるし、一千四百五十億というのを議事録で幾ら見ても、この配当額は社会資本整備基金に入れて、関連施設や大規模施設に使うと、こういうことが答弁されているんですよ、当時。これ契約でやってきたわけでしょう。誰も責任とらない、都も責任とらない、金融機関も責任とらない、これでいいんですか。私は納得できないと思うんですけれども、改めてお願いします。
○菊地利活用調整担当部長 コスモス青山につきましては、建設に要した借入金は今月末に完済する予定でございます。建物、設備は適宜修繕を実施して良好でございます。入居率は信託開始以降おおむね九〇%を維持し、現時点では約九九%でございまして、今後もより安定した資産運用が認めると考えております。土地信託を五年間延長し、都にとって最も有効な土地の利活用策を検討していくことで考えてございます。
○植木委員 よくわかりません、はっきりいって。先行したモノリスも五年間延長してますね。五年間延長して何か改善が図られたという実例はありますか。
○菊地利活用調整担当部長 新宿モノリスにつきましては、信託を延長しまして、各年度の信託配当の歳入額をほぼ計画どおり受け取ってございます。また、適宜修繕を実施しており、建物自体も良好でございますし、入居率は現時点で九九・七%になっておりまして、信託運営は順調であると認識してございます。
○植木委員 配当は変わってないんですよ。さっきのここのコスモスと同じなんですよ、仕組みがね。今後も五百万円ずつ五年間配当、こういうスキームが全く同じなんです。土地信託はご存じのように、コスモス青山だけでなくてモノリス、ハイジア、勝どきサンスクエア、両国シティコアなど五カ所の信託をやってきた。中には、都が最終的に負担をすると、こういうところもあります、惨たんたる状況ですよ。だって、皆さんは、土地信託はいい仕組みだと、必ず利益が出る、民間がノウハウを生かせるといっていた、どこも生きていないですよ、この二十年間。平成七年のときに、ようやく配当、七年、八年、九年かな配当が入った。そのときにはもう下落し始めている。でも何も手を打っていなかった、そのときに。当時の議事録を見ると、そのことがありありとわかる。民間活力といいながら、柔軟な対応なんて何にもないんですよ、はっきりいって。だから私は、平成元年ごろから始めたわけですから、この二十六、七年、この責任、そして反省、これがどうしても必要だと思うんです。
大体、東京都が土地信託を導入するときのメリットにいつも挙げているのが、先ほどもお話ありましたけれども、財政負担を伴わないで民間の知識、経験を活用しながら都の方針に沿った有効な土地利用が図れると、言葉はそうでしょう。しかし一方で、賃料七割も払って何で財政負担が伴わないということいえるんですか。
みずからの建物ならそういう高額な賃料はなかったはずです。信託も入らない、経営目標は達成できない、それでもいい経営だったと力説される。全く納得できないです。
結局、こういう土地活用のスキームを、この東京都の信託に関しては全く崩れ去ってしまった。それから地価の高騰を防ぐ目的だといっていますけれども、土地神話はとっくにもう崩れちゃっているんですから、今、そういうメリットは全くない。これ以上問題を先送りするということは、やはりおかしいと。もし先送りするとしたら三年前から検討しているはずだから、もっとちゃんとしたものを都民にわかるような内容で出さなかったら、誰も納得しないと思います。
都民の財産は、都民本位の土地利用に努めるべきだと。行政財産、行政目的をきちっと果たすべきだと。私たちはそういう意味で、土地信託事業について引き続き厳しく調査し、検証していくことを主張して、この問題については全く納得はしませんけれども、とりあえず終わりにします。
次に、契約議案に関連して質問をさせていただきます。第一回定例会の三月二日の財政委員会で、改正品確法に基づいて、契約議案の質疑を私は行いました。その中で、設計労務単価の改定を行ってきたが、実際の賃金にどう反映されているのか、実態をつかんでいるのですかと、事業者に協力を求めるべきではないですかと伺いました。そのとき財務局は、低入札価格の調査の案件について実態調査を行ったという答弁がありました。
そして、二月に報告書が出てるんだけれども、三月二日の財政委員会では、まだ内容を精査しているというお話でしたので、きょう改めて伺いたいと思います。実態調査は、どのような目的で、どのような調査対象だったのか。それから、また対象になる企業の件数、下請についてはどこまで調査を行ったのか。そして、働く人たちは合計何人にわたって調査を行ったのか、教えていただきたいと思います。
○松永契約調整担当部長 今回の調査は、中長期的な人材の確保、育成やその定着を図るという改正品確法の理念のもと、下請事業者へのしわ寄せが懸念される低入札価格での工事を対象に、公共工事の従事者の社会保険などへの加入状況や労働環境、労働条件の実態を社会保険労務士の知見を用いて把握することを目的として行いました。
調査対象としては、低入札価格調査を行った案件から三件の工事を抽出し、工事期間中で、かつ調査に協力が得られる元請、一次下請及び二次下請を対象に、一案件、各一社、合計九社、従業員につきましては、この九社から三名ずつ、計二十七名を抽出して調査を行いました。
○植木委員 社会保険の未加入についての調査を行ったということですけれども、どういう調査結果だったのでしょうか。内容について詳しく教えてください。
○松永契約調整担当部長 社会保険への加入状況については、まず調査対象となった九社に対し、社会保険の適用事業所となっているか、加入要件を満たす従業員に被保険者資格を取得させているかについて調査を行いました。また、調査対象となった二十七名の従業員については、賃金に見合った社会保険料を事業者が負担しているかについての調査をあわせて行っております。この結果、一部の事業者において被保険者となるべき一部の従業員に対して被保険者資格を取得していない事実が確認されました。
○植木委員 取得されていない方がおられたというんですけど、こういう場合はどういうふうに是正を行うでしょうか。
○松永契約調整担当部長 当該の未加入事業者は、都の資格審査を経た登録事業者ではないため、工事所管局である建設局に対しまして調査結果を通知し、元請事業者に対して適切に指導するよう文書で依頼いたしました。元請事業者からの指導の結果、本年四月一日付で、当該事業者の従業員が全員被保険者資格を取得したとの報告を建設局から受けております。
○植木委員 社会保険未加入問題は、当然やらなきゃいけないとはいいながら、事業者によってはなかなか負担もあって進まないときもある。こういうので一つ一つ努力を積み重ねて、特に中小企業の場合よく配慮しなきゃいけない面もありますけれども、ご努力をお願いしたいというふうに思います。
それから賃金の方についても実態調査を行ったといいますけれども、対象によってどういうふうになるのかわかりませんけれども、調査内容、結果について教えてください。
○松永契約調整担当部長 労働条件、労働環境に関する調査の項目の一部として、調査対象となった二十七名の従業員について、賃金の支払い状況等を確認いたしました。
具体的には、最低賃金を遵守しているか、二点目として、時間外手当等を適切に支払っているか、三点目として、賃金の遅配がないか、この三項目について調査を行いました。この結果、当該工事の施行において、最低賃金の遵守、時間外手当等の支払い、賃金の遅配の有無、これら全ての項目について問題はございませんでした。なお、時間外手当の扱いなどの実態について、一部に書類だけでは判断できない事例もございました。
○植木委員 初めて、調査を本格的にやっていただいたという点では大変いいことだと思うのですけれども、最低賃金を上回っていたと、だけれども、今品確法で求められている水準は最低賃金でいいと、こういうことではないというふうに私は見てるんですけれども、どうなんでしょうか。
○松永契約調整担当部長 本調査は、法令遵守の観点から、賃金の実態について、先ほど申しましたように、最低賃金を遵守しているか、時間外手当を適切に支払っているか、賃金の遅配がないかについて調査を行ったものでございます。
賃金は、各事業者において対等な労使間の交渉により自主的に決定されるものでございますから、本調査においては、その結果である賃金について、法令に照らして、都は最低賃金が遵守されているかという点から実態を調査したものであって、最低賃金以外の基準で賃金を判断することはしておりません。
○植木委員 そうしますとね、この間三回にわたって、都でいえば三〇%の設計労務単価の引き上げが行われたと。しかし実態は確認できなかったと。最低賃金を上回るということは調査を行ったと。これで本当に、調査目的を、いわゆる品確法に基づいてと、こういっているわけだから、調査目的果たせたというふうにいえるんでしょうか。
○松永契約調整担当部長 今回の調査は、中長期的な人材の確保や育成、その定着を図るという改正品確法の理念のもと、公共工事の従事者の社会保険などへの加入状況や労働環境、労働条件の実態を社会保険労務士の知見を用いて把握することを目的として実施しました。このため、賃金は労働条件を構成する重要な要素の一つでございますが、本調査は賃金のみならず法令遵守の観点から、勤務時間が適切に管理されているのか、社会保険に適正に加入しているかといった労働条件、労働環境等全般について調査したものでございます。
○植木委員 今回の調査については十分わかりましたよ。それでいいのかということなんです、問題は。結局設計労務単価は国で基準を設けてくれてて、東京都もそれに基づいて、都の基準も三〇%、三回で上げてきた。そして企業にもお願いの通知は出した。しかし実態はわからない。これが今の現状だと思うんですね。調査もしなければ、当然現状がわからないですから、次に手を打とうという気持ちにもならない。最低賃金で、あとほかの三つをやればいいという先ほどのお話ですから。
私はね、ここには幾つかの問題点があると思うんです。つまりね、先ほどからの答弁で、この問題は労使の問題だと。確かに法律上は労使の問題となっています。しかし、品確法で求めている賃金の問題というのは、別の角度があってしかるべきだと私は思っているんです。最低賃金を判断しないということだけでは都の責任は果たせないと思っています。労使交渉の問題だといい続けている限りこの問題は解決しない、改善は進まない、相変わらず毎年申し入れだけやると、こういうことになると思うんです。
建設産業が重層的な低賃金構造を克服することについて、私は、この委員会でも何回も建設業の発展と公共事業の質の確保につながる、そういう思いで何回も聞いているんです。現に、設計労務単価三〇%上げたけど実態はどうか。全建総連東京都連が、昨年賃金調査を行いました。それによると、設計労務単価を二度引き上げた後、つまり去年の段階ですけれども、調査で、大工の一日の常用賃金、公共事業に携わった大工です、常用賃金は四%しか上がっていない、二度引き上げた後で四%しか上がっていない。その結果、当時の賃金、つまり四%上がった賃金と設計労務単価の差が七千九百八十五円と広がっている、こういう調査結果なんです。必要であれば後でお見せします。だから企業にお願いして通知を出しているだけでは進まないということだと思うんです。
これまでも私いろいろいってきましたけれども、労使交渉の問題というんじゃなくて、まず第一に、建設産業の実態の問題があると思うんです。国交省が出している公共工事設計労務単価の引き上げについてや技能労働者への適切な賃金水準の確保についてという文書の中で、現状についてあれこれ書いています。その中で、建設労働者不足に対して、建設投資の減少に伴うダンピング受注の激化と下請へのしわ寄せによって技能労働者の賃金の低下が進んでいる、若年者が建設業への入職を避ける一番の理由は、全産業の平均を賃金で二六%も下回る、この給与水準の低さにある、こういっているんです。それともちろん社会保険のこともいっています。
ある区の調査では、生活保護を新たに受給申請をした方の中で、四人に一人が建設産業の従事者だったという結果が出て、関連している人たちは驚いたそうです。
二つ目は、そうした建設業の現状の中で、これはどうなるか、このことについてこういうふうにいっています。今適切な対策を講じなければ、近い将来、災害対策対応やインフラの維持更新に支障を及ぼすおそれがある。こういう危機意識を国交省の方ではいっています。私はこの危機意識を持たなきゃいけないと思うんです。
三つ目は、こうした建設産業の発展にとって、賃金の引き上げの重要性について、国交省が設計労務単価について、労働者における支払賃金を拘束するものではないと述べていることは私も重々承知をしていますが、一方でこういうふうにもいっています。構造的な労働需要の逼迫を適切に単価に反映する必要性がある。この単価は明らかに賃金です、と私は読めます。
また、国交省の各界に出した文書、技能労働者への適切な賃金水準の確保についてという文書の中でもこういうふうにいっています。新労務単価は、公共事業の円滑な執行にさらに万全を期するとともに、この上昇が技能労働者の賃金に反映され、処遇改善が進むことへの期待を背景にしていると、こういうことをいっているんですよ。ここまで僕はいっているとは思わなかったんですけれども、なぜ設計労務単価の引き上げに努力してきているかということについていっているわけです。だから、私は労使交渉の問題だといい続けている限り、この問題は解決しないというふうに見ています。
改めて伺いますけれども、建設産業の発展、担い手確保、育成のために、労使交渉という面だけでなくて、設計労務単価を賃金に反映させる、そのために仕組みをきちっと設ける努力をする、こういうことなしに進まないと思いますけれども、今までの延長じゃ進まないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○松永契約調整担当部長 国土交通省の公共工事、設計労務単価の説明には、下請契約等における労務単価や雇用契約における労働者への支払い賃金を拘束するものではないというふうに明記されております。
賃金は、各企業において対等な労使間での交渉により自主的に決定されるものであるというのが基本的な考えにあるんだろうというふうに考えております。一方で、都民生活に必要なインフラの着実かつ継続的な整備のためには、技能労働者の賃金水準の改善や社会保険への加入などを通して、公共工事の中長期的な担い手を確保することも不可欠でございます。
このため都では、公共工事設計労務単価を予定価格へ適切かつ迅速に反映した上で、受注者に対し、新労務単価の上昇を踏まえた技能労働者への賃金水準の引き上げ及び法定福利費相当額を適切に含んだ額での下請契約の締結について、入札情報サービス等を通して周知するとともに、事業者団体への直接要請も実施してまいりました。
さらに具体的にいえば、低入札価格調査において、人材の育成を図るために、一般管理費等につきましては、五%以下での入札の事業者に対しては、例外なく失格にする、いわゆる五%ルールの厳格化を初め、入札監視委員会のもとでの意見交換として、将来の担い手確保ということで、若年労働者、あるいは女性の活躍等を含めました事業者団体との課題の共有に努めたり、予定価格修正方式におきまして、速やかに設計労務単価を反映した予定価格での入札に臨めるような仕組みもつくってまいりました。
全体スライド条項につきましても、都独自で、中長期的な人材の育成、確保のために、改めて受発注者間のリスク分担の見直しを行うなど、この間さまざまな取り組みを行ってまいりました。この三月には、最低制限価格制度の適用範囲をWTOの対象以下まで拡大する取り組みもあわせて行っております。これらの取り組みは、人材の確保、育成にその効果が極めて高いものだというふうに私ども考えております。
今後とも、改正品確法の趣旨を実現するため、入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みの中で、公共工事の担い手の確保の取り組みなどを通しまして、都民生活に必要なインフラの整備を着実かつ継続的に進めてまいります。
○植木委員 私はね、本気度が問われていると思うんです、今、本気度が。もちろん入札制度についてさまざまな改革をされているということを、私はこの財政委員会になっていろいろ学ばせていただきました。総合評価やスライド制を初めとしてですね、それはそれでよくやっているというふうに私は思っています。
ただ、今、先ほどの三点にわたって述べた今の建設産業における重層的な低賃金構造、ここを打開して健全な建設産業を育成すると、そして、働く人たちが生き生きとしなかったら、この公共工事に関する先行きが大変だといっている危機感、これを持つこの本気度、改めて私は皆さんに求めていきたいというふうに思っています。以上で質問を終わります。
○中村委員 初めに、十一件の工事請負契約議案について総括的に伺います。
この委員会でも何度も議論されてきましたが、建築資材の高騰などにより、入札の不調が発生していることが問題になっています。昨年度、平成二十六年度の都の発注工事では、開札件数五千六百四件中、不調件数は七百五十六件と、一三・五%になっています。しかもこれは開札件数であり、申請者がなく開札されなかったものもあると聞いていますので、かなり大きな問題です。
社会経済状況の変化の中で、担当者の方にも制度の改善を含めさまざまな取り組みをされていますが、不調による事業のおくれが都民生活に影響を与えることを考えると常なる改革が必要です。
今回の十一件の議案については、申請者がなく開札されていないものも含めて、いわゆる不調を経たものが九件と聞いています。そこで、これらの経過について伺うとともに、各事業所管部署の対応ではありますが、今回の契約までの対応についての概要を伺います。
○松永契約調整担当部長 今回ご審議いただいております十一議案のうち九件につきましては、平成二十六年末までに契約手続を進めていたものでございますが、入札参加者が辞退したなどの理由により、契約の相手方が決まらなかった事案に係る契約案件でございます。このため、それぞれの契約案件について、事業所管部署で工事内容や積算内容を精査した上で、施行範囲の見直しや工期の変更、材料単価の見直しなどを実施し、最新の労務単価を反映した積算を行って再度契約手続を行ったものでございます。
○中村委員 契約が一旦不調になると、再入札までに相当の期間がかかります。今回の案件でも最も長いものは三回目の手続で契約になったのですが、最初の手続から落札まで一年半かかっています。そもそも不要不急の事業を行っているわけではないのですから、不調が与える影響は大きいともいえます。
時間などの損失のほか、当然都の事業にも影響があります。都の職員の方も、契約が落札されていればないはずの膨大な仕事が追加で発生します。また、民間なら土地を確保すれば収益が入るまで利子負担も発生しますが、都は収益事業ではないとはいえ、事業のために確保した土地は、利益を生むことができる資産がそのままにされているわけですから、重く受けとめていかなければなりません。改めて入札不調が事業に与える影響に対して都の見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 都の事業は、都民生活への必要性から実施されるものであり、これらの事業を着実に推進していかなければなりません。しかし、事業に係る契約案件について、受注を希望する者がない場合、あるいは全ての参加者の入札価格が予定価格を上回る場合、競争入札が成立せず入札不調となります。公共調達における入札において不調が起きた場合、一般的には、再度入札を行い、落札者を決定するため、計画的な事業執行に遅延が生じるおそれがございます。
再入札までにかかる期間といたしましては、例えば、議会付議案件の工事の場合では、通常六カ月程度が必要になると考えております。都は、都民の安全・安心を守り快適な住民生活に不可欠な行政サービスを遂行するため、こうした入札不調等を原因とする事業のおくれが発生した場合、応急的な対策も含め、計画事業の一部修正を検討するなど、都民生活への影響を最小限にとどめることが重要だというふうに考えております。
このような入札不調を未然に防ぐためには、都発注事業に対する事業者の応札意欲を高める対策が必要であり、そのため、これまでも入札契約制度の改革など積極的に進めてまいりました。
今後とも、入札契約制度改革の成果を効果的に活用し、着実な定着が図られるよう努めてまいります。
○中村委員 入札契約制度の改革を推進するとの答弁を改めていただきましたのでしっかりとやっていただきたいと思います。
とはいえ、時間がないからといって労務費などを適切に対応しないと、結果としては不調や品質の低下を招いてしまいますし、労災事故がふえるようなことはあってはなりません。オリンピック・パラリンピック施設の関連工事が本格化をすると、一層の労務単価の上昇や人材の不足も懸念されます。これらのことから、市場動向を適切に反映した予定価格の設定など、発注者としての不調対策の具体的な取り組みを伺います。
○久保田建築保全部長 工事の予定価格の積算に当たりましては、最新の単価を適用し、可能な限り実勢を反映する必要がございます。このため都では、最新の労務単価を含む積算標準単価について、年四回の定期改正を行うほか、生コンクリートや鋼材などの主要資材単価について、市場動向を反映した臨時改正を適宜行っております。内外装材や設備機器など予定価格の五割前後を占める見積価格部分につきましても、平均値をもとに見積単価を設定するよう、本年四月に積算基準を改正いたしました。
また、入札参加者が現場の実情に応じ入札価格を適正に積算できるよう、施工条件や内容をより詳細に設計図書に明示するとともに、施工に際して現場の実態が設計内容と乖離している場合は、工事変更をより円滑に行えるよう、本年四月に設計基準及び監督基準などを改正いたしました。こうした取り組みにつきましては、庁内の工事関係基準協議会などを通じて関係局に周知をしており、引き続き適正な予定価格の設定など発注者の責務を果たしてまいります。
○中村委員 常に改善をしていただいていることは理解はしつつも、常にコスト意識を持ちつつ安全管理もおろそかにせず、都民のための事業が適切に行われるよう求めまして次の質問に移ります。
次に、土地信託の契約の変更について質問します。今回の議案は、コスモス青山に関する土地信託の契約期間の延長ですが、まず最初に、当初見込んだ配当と実際の都の配当、その差が生じた理由を確認したいと思います。また、これまで信託銀行は幾らの収入を得ているのか、こちらも確認のため伺います。
○菊地利活用調整担当部長 信託配当につきましては、当初の予想配当は約一千四百五十億円となってございます。これは当初の事業計画におきましては、信託期間内に安定的なテナント賃料収入が確保される前提となっておりまして、賃料が大幅に下落することが想定されていなかったためでございます。
しかし、バブル経済の崩壊により、テナント賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要因となりまして、これまでの信託事業実績に基づく配当の合計額は約四億円となってございます。信託銀行の報酬につきましては、平成二十五年度までの合計で、信託報酬が三億五千三百万円、このほかに、ビル建設に伴う借入金の利息として五十一億三千九百万円となってございます。
○中村委員 今のご答弁では、都の配当の合計は約四億円、信託報酬は約三億五千万円ということで比較的両者が近い数字ということでした。
信託契約を結んだ平成元年は、まさにバブルのときで契約を結んでいます。これまでも信託の議案での議事録を見ていると、バブルのため当初見込んだほど配当がなかったという答弁が多くあるのですが、契約後早い段階でバブルも崩壊しています。これまで途中で信託報酬の算出について契約は見直されていなかったのでしょうか、伺います。
都心の一等地で近隣の同様のビル経営が全てうまくいっていないとは考えにくいため、信託銀行に信託報酬を払い過ぎたのではないでしょうか。また、今回の議案で契約の延長をするのですが、契約の内容は見直されないのでしょうか、伺います。
○菊地利活用調整担当部長 信託報酬は、信託契約に基づきテナント募集、賃貸借契約の締結、収入管理、建物設備管理など、信託財産を効率的に運用していくための対価として支払うもので、賃料収入の一%となっておりまして、途中で契約の見直しは行っておりません。専門家も妥当な水準と評価しておりまして、延長の際にも契約の見直しは予定してございません。
○中村委員 今回の議案では、五年間の延長ということの提案ですけれども、当然これまでの二十年間のコスモス青山について検証、総括をしていると思います。その検証、総括の結果を伺います。
○菊地利活用調整担当部長 所期の目的であります地価高騰の要因とならない都有地の有効活用、民間の知識、経験を利用した財源負担を伴わない土地活用は達成できております。建設に要した借入金は今月末に完済予定であること、建物、設備は、適宜修繕を実施して良好であること。入居率は、信託開始以降おおむね九〇%を維持し、現時点では約九九%であることから、今後はより安定した資産運用が見込めると考えておりまして、専門家からも同様の評価を得ております。
○中村委員 ご答弁では、所期の目的の土地活用は達成して、借入金は完済予定とのことですが、最初の質問の答弁のように、配当予想が一千四百五十億円見込んでいたのが四億円ということですから、もう少し厳しい総括が必要ではないかと思います。
さて、コスモス青山は、東京ウィメンズプラザの仕様に合わせて建設されていますので、万一、信託が終了するという判断になった場合には、信託物件を都に戻したとしても、次の場所が準備されるまでは、このままコスモス青山に入居することも必要と考えますけれども、見解を伺います。
○菊地利活用調整担当部長 仮に信託が終了することとなった場合、そのことにより必ずしも東京ウィメンズプラザがコスモス青山に入居できなくなるものではございません。信託を終了する場合には、東京ウィメンズプラザの事業に支障を来すことがないよう所管局と連携し、適切に対応してまいります。
○中村委員 今回、五年間延期するという議案ですけれども、将来、信託が終わるのか、ビルそのものが老朽化するとか、どちらかには必ずなりますが、都の男女共同参画の政策を推進するための重要な施設である東京ウィメンズプラザについては、必ず所管局とも連携をとり、場所がどこになろうとも切れ目なく事業が展開されるようにしていくことを引き継いでいっていただきたいというふうに思います。
また、当初とは経済状況が変わったとはいえ、民間のビル事業者は経営をしているわけですから、都だけが特別厳しいということではないはずです。そこで、コスモス青山の入居率と賃料について、近隣の同様のビルと比べてどうなっているのか、伺います。
○菊地利活用調整担当部長 コスモス青山の入居率は、周辺エリア内で比較した場合、おおむね平均入居率よりも高い水準で推移してございます。また、賃料につきましては、ほぼ平均賃料と同等の水準となってございます。このことにより、専門家から、コスモス青山は、入居率、賃料ともに一定以上のパフォーマンスを発揮していると評価されております。
○中村委員 入居率が九九%で、数値としてはいい数字なのかもしれませんが、実際に入居しているのは、都及び監理団体を含めた関係団体が借りているようです。都と関係団体が占める面積の割合はどうなっているのでしょうか。
コスモス青山には、東京ウィメンズプラザや東京都住宅供給公社が入居していますが、賃料について信託の収益状況改善のために、世間相場より高い水準になっているということはないのでしょうか、伺います。
○菊地利活用調整担当部長 貸出可能面積に対する都及び監理団体を含めた関係団体の占める割合は約五六%となってございます。東京ウィメンズプラザは、信託契約当初から入居が決定しており、多目的ホールや図書室等を設置するなど、希望する仕様によって建築がなされているため、通常のオフィスビルとは異なる賃料設定となっておりまして、現在の賃料水準は妥当であると考えてございます。東京都住宅供給公社の賃料水準は、市場実勢に基づき適正に設定されていると信託銀行から聞いております。
○中村委員 このコスモス青山の物件以前にも、都議会でさまざま議論があったんですが、新宿モノリスの土地信託に関する議会での議論の際、平成二十二年三月の予算特別委員会で、民主党の和田委員から当時の村山財務局長に質問したところ、専門家チームを発足させて総括、評価をし、しっかりとした出口戦略をつくると答弁されておりました。あれから五年以上も経過をしたわけですが、コスモス青山について延長以外に考えられた出口策はどのようなものだったのでしょうか。少なくとも原則どおり契約が切れた場合の対応と延長の場合の検討はされたはずですが、いかがでしょうか。また五年後にどうするのかの見込みは立っているのでしょうか、お伺いします。
○菊地利活用調整担当部長 土地信託契約の満了を迎えまして、土地、建物を売却することや土地信託を終了し、都が直接土地、建物を所有することを検討いたしました。売却につきましては、当該土地は都心の一等地にある極めて貴重な都有地でありまして、直ちに売却することは適切ではないと判断いたしました。
都が直接商業ビルを所有することに関しましては、土地、建物だけではなく、賃貸借契約も都が承継することになるため課題が多くございます。一方、土地信託を延長した場合、引き続き健全な資産運用が可能であり、また不動産市況等にも柔軟に対応ができます。
したがいまして、土地信託を五年間延長し、都にとって最も有効な土地の利活用策を検討していくことといたしました。
○中村委員 その時々の社会経済状況というのは変わっていくものではありますが、だからといって、当初見込みより大きく収益が減ってしまっていますし、これでよしということだけでもいけないと思いますので、都民の貴重な財産の管理のあり方については引き続きしっかりと検討していただくことを求めまして質問を終わります。
○大津委員 私の地元渋谷区の神宮前五丁目にあります都有地の土地信託と周辺の都有地の利活用についてお伺いをします。
土地を所有しながらの土地信託方式で五カ所、都は土地信託方式で利活用をしてきました。たくさんの質問がきょうはありました。その中で、コスモス青山を含めて五カ所の都有地が土地信託で利活用されていますが、コスモス青山の信託配当は五百万円とのことでしたが、ほかの土地信託の信託配当はそれぞれ幾らでしょうか。また、コスモス青山の信託配当が配当計画を下回った要因もあわせて一遍にお伺いします。
○菊地利活用調整担当部長 平成二十五年度の信託配当の歳入額は、新宿モノリス十三億八千万円、両国シティコア五百万円、ハイジア一千六百万円、勝どきサンスクエア一千四百万円となってございます。
コスモス青山につきましては、信託ビルが竣工したのが平成七年と遅いこと、また、近傍の公示地価がピークより約八五%下落しておりまして、バブル経済による影響を強く受けた結果、収入源である賃料は大幅に下落し、信託配当に大きな影響を与えたことが要因であると考えてございます。
○大津委員 更新をするからには、今後、有形無形の工夫も必要になってくるかと思います。首都東京を代表するこの渋谷の、また青山通りのちょっと後ろ側に位置をしますので、どうしても奥まったところに役所が建っているイメージがあり、また駐車場なども、コスモス青山の駐車場に向かって入ったつもりがなぜか隣のビルの駐車場の中に入っていってしまうほど、やはりアクセスの工夫やサインシステムといいますか、看板等も含めて呼び込むというさまざまなビジネス工夫も今後必要になってくるかと思います。
コスモス青山は、オフィス、店舗以外に、公共的施設として東京ウィメンズプラザも入居をしています。有形無形としましては、よっぽどこの東京都の政策実現、見えない形の大きな利益を生む土地として努力をしていかなくてはなりません。男女共同参画社会の育成、住宅サービスなど、広く都民のための、また地域にも根づいた施設として、土地信託の資産価値だけでは語れない価値をもっと有効利用するべきです。公有地の活用として、収益確保も大事ながら都政の政策の実現のための空間として、また都民や地域のシンボル的な存在として、まちづくりに貢献していく機能を確保することも大事です。
このコスモス青山と、実は四つ隣接しておりますのがあります。都有地としては、このコスモス青山と隣の旧青山病院跡地、そして隣の国連大学、これは都有地を国に貸しているものです。そしてさらに隣接している、これは国有地ですが、この春で閉鎖をされました旧こどもの城の跡であります。その四カ所が全部土地として隣接をしていまして、全体では四万五千百四十六平米と、この首都東京の一等地に恵まれ、広大な敷地を有しています。
この四カ所に加え、このコスモス青山周辺に、都有地が三カ所、実はあります。青山病院跡地、そして児童会館跡地、そして宮下にあります都営住宅、宮下アパート跡地、この三カ所がございますが、コスモス青山を除くこれらの都有地の状況と隣接の国有地の状況をあわせて伺います。
○岩瀬財産運用部長 国連大学につきましては、平成四十一年までその用地を貸付中でございます。宮下町アパート跡地、児童会館跡地、青山病院跡地の三都有地につきましては、都市再生ステップアッププロジェクトにおいて連携した活用を行うこととされておりまして、中でも、開発機運の高まっている宮下町アパート跡地を第一号として、今後順次事業化を図っていくこととなってございます。
現在、児童会館跡地は、渋谷区に仮設庁舎用地として平成三十年度末まで貸し付けておりまして、青山病院跡地は、住宅展示場として平成三十年六月まで活用していく予定でございます。
なお、国有財産でございます旧こどもの城につきましては、ことし三月に閉館し、国からは現時点では今後の取り扱いの方針を決定していないと、このように聞いてございます。
○大津委員 その都有地三つ、児童会館跡、宮下都営住宅跡、青山病院跡地は、平成二十三年、都市整備局がステップアップ事業として、一回構想を出しておりました。その第一弾が宮下の都営住宅跡で、民間企業に貸し付けての再開発が行われ、工事に入るところであります。
しかし、この平成二十三年からきょうに至るまで、この五年で大きく変わった点があります。一つ目は、東日本大震災です。これらの建物は、全てその震災の起きる前からの設計で多少増強したにしても、こうした大震災を、千年に一度のものを私たちが受ける以前の計画でずっと来ております。二つ目には、二年前にオリンピック・パラリンピック二〇二〇年大会が誘致できたことです。この二つ、震災とオリンピック誘致の二つが、やはり、この五年にはなかったことで、今後のまちづくりについては、この二つを考えながらのまちづくりにするべきです。
児童会館跡地や青山病院跡地は、何と新国立競技場から直線距離でわずか二キロと大変近距離にあります。また、周辺区を見回しても、これだけまとまった都有地というのは、この渋谷の神宮前地区にしかありません。二〇二〇年、あと五年後のオリンピックを控えたタイミングにこの土地があくことになります。遅速な活用をすぐ行わず、オリンピックを盛り上げるにぎわいスペース等に活用すべきと考えるので、さまざま提案をしておきたいと思います。
今お話にもありましたように、渋谷区役所の建てかえ工事で、仮庁舎を児童会館跡に三年借りるので、三年後にこの契約が終わります。同時に、青山病院跡地は、あけておくのも、都民財産ですから、セレブ展示場といいますか、TBSが落札をしまして住宅展示場として貸し付け、これも三年後に契約が終わります。そうしますと、二つの広大な敷地が三年後にちょうどあくことになっています。その後の、五年後にオリンピックを見据えた残りの暫定の二年間においては、オリンピックのにぎわい施設、さまざま活用をすることにより、無形の収益を上げていくことも一つの手ではないでしょうか。
例えば、防災として帰宅困難者も推定できますし、そういった防災関連、またはオリンピックに当たって、またそれまででも備蓄、備蓄のさまざまな拠点、そして再生エネルギーとして水素エネルギーのコジェネレーションを、例えばこうしたところから始めていくとか、オリンピック機運の盛り上げ、ムーブメント、これはさまざま各地で盛り上げてきますし、オリンピックの二年前になりますとカウントダウンウオッチと、だんだんカウントダウンもしていきますし、来年のリオのオリンピックが終わったら本格的に動いていく雰囲気になってきます。
また、一千三百万人都民と同じぐらいの数の観光客が、昨年、この東京を、日本を訪れました。そういった意味で、外国人観光客のさまざまなエリア、立ち寄るメッカ、そして加えて、私たちの日本人の食の文化、おいしさ、そうしたものを産官学やNPOや都主導やさまざまな形で伝統文化のお披露目を発信する場、未来を創造する場としても使えるのではないかと思います。そして、そのオリンピックが終わった五年後に、じっくりオリンピックのいいレガシーも残しながらの土地活用を本格的に行っていくその中に、コスモス青山も五年後の九月に、オリンピック、ちょっと終わっちゃっていますけれども、五年後の九月に、この次の契約更新の検討時期に当たるわけです。
そして、五年後本格的に、都の土地利用をするに当たりまして、さまざま地元の住民の方たちや地元のさまざまな関係団体の方や、また地元区としてもいろいろな夢や希望も持っております。例えば、青山病院跡は、ここで生まれた方たちも多く、また病院にしてくださいなんていう意見も相当多かったのですが、それは、都としても病院を検討して閉鎖をしましたので丸々病院にはできない。しかし、その青山病院の中には、番町皿屋敷の、お岩さんの伝説も、確かな証拠はないけれども、そういった池が今も残っていますし、立派な桜の木も残っております。どんな開発をするにしても、その自然の池や桜を大いに活用しながらの再開発をしてほしいというのは、もう五、六年前から口頭でいろいろとお願いをしているところでもあります。
そしてそこは、昔の東京市電気局、今の交通局の都電車の駐車基地でもありました。そうしたさまざまな歴史、えにしを再開発するときには、どこかの一部に展示するとか、いわれを書くとか、また、唐突でないオブジェをつくるならば、小型のそうした縁のあるものをつくるとか、さまざま活用していっていただきたいと思います。
もう一つは、児童会館跡地であります。児童会館跡地というのは、実は隣が美竹公園、隣が美竹の丘と、両方とも渋谷区の敷地に囲まれております。加えて、この周辺では、子供の施設が、このこどもの城と児童会館ということで一遍になくなってしまいました。東京都の児童会館は、大変高度な児童教育の場と施設として、大変広域的にたくさんの利用者を得て貢献していました。例えば、こうした児童会館の跡は、一部子供たちの遊ぶ広場を設けるとか、例えば、子供の診療室といいますか、クリニックとかをさまざまな再開発の中のどこかに、病院という形ではなくて診療室という形で先進的なものを入れるとか、外国人対応のも入れるとか、そうした子供の施設だったいろいろな特色を踏まえていただきたいという夢と希望があります。
ここら辺の地盤といいますのは、江戸時代から大名屋敷が多く、そして明治時代は、美竹の丘周辺は梨本宮邸がありました。この宮邸の下に位置したところから宮下という、都営アパートがあったところは宮下という名前にもなっています。こうした品格と歴史と文化を尊重した地域、また、そうしたところを開発してきた歴史的背景を見落とさずに、今後ますます持続可能な東京のまちづくりを進めていっていただきたいと思います。
この児童会館は、片側を美竹公園、片側を特別養護老人ホームの美竹の丘・しぶやと保育園、ベネッセ美竹の丘保育園に囲まれております。したがって、今後東京都と渋谷区とも連携をし合いながら、一貫的に補充しながら、また相乗的につくり上げていただきたいと思います。
また、緑の環境の中で、児童と大人と高齢者間の、及び地元住民や外来者間や国際間の有機的でバランスのとれた社会システムと空間の創出を図っていただきたいと思います。
また、経済最優先のファッションタウン構想は、もう民間の力で十二分繁栄をしてきました。おいしい世界一のグルメ、そしておしゃれな雑貨、そしてすばらしいファッション、文化、その先端を民間の力で大分担い、開発し、このオリンピックの間までだけでも、渋谷駅周辺さまざまな開発の事業計画が七個ぐらいあります。次に私たちの望むものは、もう衣食というよりも精神的な高まりであります。次は緑の環境のもと、快適な居住と活性化した世代間交流というバランスのとれた未来のライフスタイルこそ、都有地等を通じ、日本全国に提示できるモデルコンセプトとしてもらいたいと思います。
コスモス青山の信託終了は、ちょうどオリンピック終了と重なります。隣接する青山病院跡地と一体として、また、児童会館施設跡とも一体とした都有地有効利用の可能性や都民の憩いの場としての活用などの考え方もあります。一方で、渋谷地区は、ファッションやグルメの衣食は十分充足をしており、都有地の活用に当たっては、民有地での開発と異なり利益を追求するよりも、むしろ先進的なものを満足させる視点からのまちづくりが必要です。その際、まちづくり協議会のような形で、都と区と、都民と区民と国民と連携をし合いながらできるまちづくりができるような体制づくりをお願いします。都の所見を伺います。
○岩瀬財産運用部長 コスモス青山の用地のほか、青山病院跡地など周辺の都有地は、都心に残るまとまった土地として大変貴重でございまして、有効な活用を図っていくことが重要と認識してございます。これらの都有地の活用に当たりましては、お話のようなまちづくりの視点などを踏まえ、多様な活用策を今後検討してまいります。
○大津委員 コスモス青山もワンダーサイトがなくなり、あのころは若手芸術家を育成しようということで、今度は起業家支援ということで産労の施設が入ります。そうした施設も今後数年で見直しながら、さらなる東京都の政策実現のために最大限に力を出していってほしいと思います。
まちの開発の中では、この五年で、食べるもの、着るもの、もう本当に満足しています。ありがとうという感じで、次はやはりボランティアだとか、貢献をしたいとか、心の満足、魂の高揚、クリエーティブというか、つくる、またはものもつくる、学ぶ、交流、自然、緑、こうしたものを次期の世代に都有地を活用していってほしいと思います。最後になりましたが、公有財産であります都有地の有効活用について、長谷川局長の抱負を伺います。
○長谷川財務局長 本日、委員の皆様方からさまざまなご意見をいただきました。改めて申すまでもなく、都有地は、都民から負託をいただきました貴重な財産でございます。
一方、都政には、少子高齢化対策としての福祉インフラ整備や木密対策のまちづくりを初めさまざまな課題がございます。こうした課題の解決に向けて都が推進する施策と連動して、都有地活用を図っていくということが重要と認識しております。
今後とも、都政の課題の解決に向けまして、地元区市町村との連携も図りながら、都有地の活用を積極的にかつ適切に推進してまいります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時十二分散会
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