財政委員会速記録第五号

平成二十七年三月十九日(木曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長和泉 武彦君
副委員長桜井 浩之君
理事中村ひろし君
理事曽根はじめ君
理事高木 けい君
山内  晃君
大津ひろ子君
柴崎 幹男君
木村 基成君
西崎 光子君
鈴木貫太郎君
鈴木 隆道君
植木こうじ君

欠席委員 一名

出席説明員
主税局局長塚田 祐次君
総務部長西海 哲洋君
税制部長加藤  隆君
税制調査担当部長大久保哲也君
調整担当部長萱場 明子君
課税部長山内 和久君
資産税部長安藤 敏朗君
徴収部長熊谷 克三君
特別滞納整理担当部長藤井  朗君
会計管理局局長塚本 直之君
管理部長松下 隆弘君
警察・消防出納部長植松 淳一君
会計制度担当部長米今 俊信君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 会計管理局所管分
主税局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為 主税局所管分
・第三号議案 平成二十七年度東京都地方消費税清算会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十三号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成二十七年度地方税制の改正について
請願陳情の審査
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
(1)二六第一六号
(2)二六第一七号
(3)二六第一八号
(4)二六第一九号
(5)二六第二〇号
(6)二六第二一号
(7)二六第二二号
(8)二六第二三号
(9)二六第二四号
(10)二六第二五号
(11)二六第二六号
(12)二六第二七号
(13)二六第二八号
(14)二六第二九号
(15)二六第三〇号
(16)二六第三一号
(17)二六第三二号
(18)二六第三三号
(19)二六第三四号
(20)二六第三五号
(21)二六第三六号
(22)二六第三七号
(23)二六第三八号
(24)二六第三九号
(25)二六第四〇号
(26)二六第四一号
(27)二六第四二号
(28)二六第四三号
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情
(29)二六第八九号
(30)二六第九〇号
(31)二六第九一号
(32)二六第九二号
(33)二六第九三号
(34)二六第九四号
(35)二六第九五号
(36)二六第九六号
(37)二六第九七号
(38)二六第九八号
(39)二六第九九号
(40)二六第一〇〇号
(41)二六第一〇一号
(42)二六第一〇二号
(43)二六第一〇三号
(44)二六第一〇四号
(45)二六第一〇五号
(46)二六第一〇六号
(47)二六第一〇七号
(48)二六第一〇八号
(49)二六第一〇九号
(50)二六第一一〇号

○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び主税局関係の予算の調査並びに主税局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松下管理部長 先般の委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。一ページをお開きください。
 要求資料第1号、他の地方公共団体が出資している官民ファンドの事例でございます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が公表している情報に基づきまして事例を抽出し、作成したものでございます。現在、六府県が官民ファンドを組成し、出資しております。
 これらは平成十五年度から平成二十四年度にかけて創設されたものでございます。いずれのファンドにつきましても、地方自治体の出資は有限責任で行われております。また、資料の下部に、会計管理局が所管しております平成二十四年度から平成二十六年度にかけて組成された二種類の官民連携ファンドについても記載いたしております。これらにつきましても、都の出資は、同じく有限責任で行われております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。

○和泉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○曽根委員 最初に、今ご説明もあった資料にも出ております東京都の、この間の最初の官民連携ファンドであります電力供給についてのインフラファンドについて、IDIインフラファンドが、海外、アジアの国に二件投資をしていたと。これは首都圏の電力安定供給というファンドの目的から外れているんじゃないかという指摘があり、それに対して、都が運営会社に決める前からこれは標榜されていたんだということや、海外に行くと発送電分離などのノウハウが学べる可能性もあるというふうなことがいわれているわけですけれども、やはりこういう、投資先についてもわからないわけですね、これは、公表されていませんので。非常に、外国だということも含めて、都議会としては、今後、これにどう対処していいかという道がないわけです。それで、まずこのIDIインフラファンドは、もう一社ありますスパークスに比べても、事業内容の公開をほとんどしていないという点でも対応が全然違うんですね。スパークスの方は、大体重立ったことについては公開されているんですけれども。そういう点で、東京都が今お答えできる範囲でいいんですが、IDIインフラファンドについて、東京都からの出資額がどこまで来ているのか、それからファンドの投資状況は、国内外でどういう状況なのか、見返りの配当はどうなっているのかなどについて、現状を確認しておきたいと思います。

○松下管理部長 IDIインフラファンドについてでございますが、都は、出資を契約しております十五億円のうち、約十億円を出資済みでございます。一方で、既に投融資を行っている案件からの配当が始まっておりまして、平成二十五年度と二十六年度の累計で約一億六千万円の配当を受領しているところでございます。都がファンドを組成いたしました目的の一つでございます新しい資金循環システムの構築の面で、これは一つの成果が出ているものでございます。
 また、IDIインフラファンドは、これまで国内において十万キロワット級のガス火力発電所や太陽光発電所など計約二十万キロワットの発電施設を整備しており、公表しております。都がファンド組成の目的としております電力供給の安定化への貢献の面でも成果があるものでございます。
 なお、海外にも投融資を行っている案件でございますが、その件数及び金額は二件で約六億円、これは約二百億円のファンド規模に対して約三%と低い割合であり、大多数は国内エネルギー事業への投融資であります。

○曽根委員 国内のガス火力発電所や太陽光発電所は四件とお聞きしておりますが、それで正しいのかどうかを確認したいことと、それとあわせて、これから取り組もうとしている福祉貢献インフラファンドについても質問を進めていきたいんです。
 我が党は、福祉施設整備を急速に進める必要から、民間資金の活用も否定はしないという立場です。ただし、公的資金と民間資金を合わせて活用する場合、民間は利益を保護するために素早く動けるわけですが、公的資金の方は、もとが税金ですから、当然ながら議会の決定、予算の縛りがあり、簡単には身動きができません。だからこそ安全確実が求められるということと、目的外の流用についても強い警戒が必要だということは論をまたないところであります。さらに、この間のファンドの創設を見てみると、舛添知事の金融センター構想と結びついているという点にも、我が党は、疑問を持っております。
 金融センターは、本来、行政の都合と主導で構築されていくものではないだろうし、もしそれが一部でも進んだとすれば、その後に、逆に公共団体として大きなしっぺ返しを受けかねないと危惧もしております。
 それで、確認をしておきたいんですが、東京都の金融センター構想関係の文書では、金融センターをつくっていく上で、金融市場にさまざまな金融商品やファンドが参入してくることが重要と指摘されております。官民連携ファンドは、その一つという位置づけがあると思いますが、いかがですか。

○松下管理部長 まず、IDIインフラファンドの国内投資の確認でございますが、東京湾岸に十万キロワット級の発電所を二カ所、これは施設整備と運営でございます。さらには、ガスエンジンの発電所を一カ所、さらに再生可能エネルギーの発電所一カ所、計四カ所でございます。
 それから、国際金融センターの位置づけでございますが、平成二十六年七月に発表されました東京国際金融センター構想に向けた取り組みの中におきまして、国内外からの資金を、今後国内で成長が見込まれる分野へ呼び込む仕組みづくり、これの一環といたしまして、都の施策に資する官民連携ファンドの推進、これが記載されております。
 都といたしましては、この取り組みを進めることで、都の施策が推進されるとともに、国内のファンド事業への投資が活発化し、国内の資金循環を活性化することを期待しているものでございます。

○曽根委員 かつての一千億円を投入した新銀行に比べれば、まだ数十億円の単位であるということで、東京都にとっては、有限責任でもあるし、もし、問題が起きても傷は浅いというふうに踏んでいるのだとすると、大きな誤りだと思います。
 その先には、金融センター構想が待っているわけですので、その呼び水としての役割は、舛添知事は非常に重視してこれを位置づけているはずですから、ここの問題でのトラブルや、もし、方針がやっぱり違っていましたとなれば、知事の構想全体にも大きな影響があるだろうし、私たちは、その点でも金融センター構想全体含めて、問題提起をしていきたいと思います。
 それで、この新銀行の失敗については、会計管理局は直接は責任はありませんが、大きな一つに、一千億円東京都が投資すれば、出資すれば、民間も同額程度出てくるだろうと思っていたのが三百億程度しか集まらず、結局は、破綻したときに都が出資分の多くを失うという結果になりました。その二の舞にならないという保証は、この官民連携ファンドではどういうところにあるのかと、お聞きします。

○松下管理部長 会計管理局といたしましては、新銀行関係の動向につきましてはコメントする立場にはございませんが、本ファンドの投融資対象事業につきましては、福祉関連施設が低収益であることを踏まえまして、福祉関連施設を収益施設と一体的に整備して、全体として民間投資を呼び込める収益性を確保すること、これを想定してございます。
 なお、ファンドへの出資がリスクマネーである以上、出資金の毀損リスク、これは必ず存在いたします。しかしながら、ファンドの場合、金融機関や有限責任組合など、リスクの異なる関係者が事業をチェックすることで、都が単独で事業を行う場合として、事業の安全性は向上し、より大規模な事業展開を行うことが可能であります。
 都はこれまで、ファンドの関連の金融専門家を含む民間事業者からのヒアリングを通じまして、本ファンドの投資スキームは成立可能と判断しているものでございます。

○曽根委員 このファンドについては、いろんな今までの説明を聞くと、何らかの建物をつくって、その中に福祉施設が入るというケースが多くなろうかと思います。そうすると、考えられるのが不動産投資で、不動産投資の収益性を確保しながら、その中で収益性が低い、むしろ政策的な位置づけの福祉施設を導入するということになっていくかと思いますが。私も、数少ない人脈の中で不動産投資を手がけている人に聞きますと、不動産投資の見返り配当、年利で一〇%以下だと魅力が少ないと、低いと。しかし、二〇%、三〇%ということをいってくる業者は大体がこれは詐欺まがいだと。大体適切な見返り配当が、その間ぐらいのところじゃないかというような話を聞きました。
 そうすると、この一つの建物の中に福祉施設を導入する場合、少なくとも、その建物全体は、東京都が投資するに足るものであり、しかも、主な目的が福祉施設をつくることなんだよといえるようにするためには、少なくとも事業費の半分以上は福祉施設に使うんだと。しかし、利益確保のために不動産部分もあるというぐらいの、かなりきついとは思いますが、規制をかけないと、際限なく福祉施設が相対的に小さくなっちゃって、ほとんどがもう不動産投資だというような事業に投資するようなことになったら、これは東京都としても、何だということになりかねないので、この辺の規制をかけられるかどうかということなんですが、いかがでしょうか。

○松下管理部長 本ファンドの第一の目的でございますが、これは地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む、こういう建物を整備促進していくことでございまして、建物全体に占める福祉関連施設の床面積比率などを重視し過ぎる余り施設整備が進まないような事態がおきますと、これは避けていかなければならない状況でございます。
 また、本ファンドの投融資対象事業の収益性につきましては、前提条件が、実施条件によってかなり違いますので、一概にいうことはできません。さらに規制に関しましては、建築物や施設としての、区市町村を初めとします指導監督等を受けているものでございます。したがって、都としましては、本ファンドにより、地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む、こういった建物の整備を進めていきたいと考えております。

○曽根委員 基本的には、こういう規制はかけられないということなので、今いったような心配は誰でもすると思いますけれども、これにどう応えるのかというのは引き続き問われると思います。あわせて、福祉の立場からいいますと、利益を一定程度確保するためには、つくる福祉施設のレベルがどうなるかということも気になるわけです。例えば、保育園の場合には、認可保育園、認証保育園、さらには、もっといろいろ規制の弱いベビーホテルなどの施設も含めると、さまざまな水準があるわけです。少なくとも、やはり東京都が出資をして保育園を整備する場合、認可保育園の水準を下回らないぐらいの、何らかの縛りがかけられるか、もしくは、それが当然とされる基準が必要だと思いますし、特養ホームなどつくる場合でも、今日の高齢者福祉の課題にちゃんと応えられるものになっているのかどうか、また一般庶民が利用できるようなものであって、何かお金持ちしか入れないような施設ができてしまうんじゃないかという、現にそういうものもありますので、そういった意味での、都民のいわば信頼に応えられるものにしていくということをどの程度配慮できるのかということもお聞きしておきたいと思います。

○松下管理部長 本ファンドにおきましては、特別に高い水準の施設を想定するのではなく、地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む建物、これの整備推進を図ることが重要だと考えております。
 子育て支援施設でいいますと、待機児童解消に少しでも貢献できるよう、認可保育園あるいは認証保育所、これを問わず整備されることを想定しております。
 また、高齢者向け施設でいえば、現行法上の運用では、社会福祉法人が民間から施設を賃借することはできないため、本ファンドにおいては、社会福祉法人が運営することを前提としております特別養護老人ホームを整備することはできません。
 しかしながら、認知症グループホームや、あるいはサービスつき高齢者住宅、あるいは介護つき有料老人ホームなど、幅広い高齢者向け施設を含む建物を整備することを想定してございます。
 このため、都といたしましては、ファンド運営事業者の公募に際し、福祉関連施設を含む建物の整備に当たっては、地域のニーズに十分対応するよう求めるとともに、ファンドの事業実施に当たっては、区市町村と十分連携していくことを求めていくものでございます。

○曽根委員 大変心配な点が多いんですけれども、少なくとも、例えば、私がおります北区は、保育園整備に関しては、認可保育園を最優先するという区民との間での約束があるんですね。やっぱり、ずっとそれで--約束というと、ちょっときついか。基本的にそういう立場をずっととってきているんですよ。これはいいことだと思っているんです、私たちは。北区の保育のいろんな伝統もありまして。だから、できるだけ認証保育園よりは認可保育園にという方向で、こういう区市町村のいろいろな方針や政策については、それにそぐわないようなものが、その地域でできることのないようにというふうなぐらいの区市町村との連携の仕方をしていかないと、何だということに、こちらでもならざるを得ないかもしれないので、この点でも、一言申し上げておきたいと思います。
 ファンドで整備された施設については、私は、整備前の段階から、こういう地域のこういう施設に投資をしますということを公表して進めるのが最もいいんじゃないかと思いますが、このファンドの性格上、それはなかなか難しいというお話ですが、少なくとも、建物ができた後に、多くの福祉施設にもありますように、プレートで、どの資金を使ったと。多くは、厚生年金の資金を使った場合には表示されますよね。それぐらいのことをちゃんと公表させないと、せっかく、例えば意義あるファンドになったとしても、それがどの施設のどういうところに使われているんだということがわからないのでは、東京都がファンドを創設したことの最終的な成果が、一般都民には全く見えないということになりますし、個人投資家も必要だというようなことも知事もおっしゃっているんですけれども、個人投資家だって自分の投資したファンドの一部がこういうところに使われたんだよということが全く見えないと、公表もされないと、投資家だから内々には知らせるのかもしれないけれども、公にならないということでは、やはり何というのですか、意欲を高める上では、逆に弱点にもなりかねないのじゃないかという点ではいかがでしょうか。

○松下管理部長 ファンド契約におきまして守秘義務が課されていること、これがございますので、本ファンドの投資内容に関する情報開示につきまして、有限責任組合である都の意向を全て反映して、全てを公表するということはやはり困難でございます。
 しかしながら、本ファンドが整備する施設、これにつきましては、地域がまさに求める施設を含むものである以上、本ファンドの投融資案件につきましては、でき得る限り情報発信に努めていきたいと考えております。

○曽根委員 最後に、やはり当初の都との契約に違反した場合、運営事業者はもちろんですけれども、投資する相手も含めて、契約違反があった場合のペナルティーについては、何かモデルがあって、基準があるんでしょうか。

○松下管理部長 本ファンドにおきまして、都は、投資事業有限責任組合、これに有限責任組合員として出資することを予定しております。経済産業省が示しておりますこの投資事業有限責任組合、これのモデル契約というのがございまして、これによりますと、ファンドの運営事業者である無限責任組合員が契約に違反した行為を行った場合、有限責任組合員は、この無限責任組合員を除名することができると規定するとともに、契約違反に基づく損害賠償請求を行うことが可能となっております。本ファンドにおきましても、都はモデル契約に準じた内容の契約を締結する予定でございます。

○曽根委員 少なくともそれぐらいの、モデル契約の基準は必要だと思いますが、それにしても、東京都の予想を超えて、逆に、民間の出資が集まった場合については、東京都の出資額が五割を切って、権限がその分だけ小さくなるのは当然だと思いますので、そういう点でも、東京都の主張が必ずしも一〇〇%、出資者としての主張が通るとは限らないと、こういう点もあろうかと思います。
 私どもは、福祉施設をつくっていく上で個人の篤志家の方も含めて、民間の資金を大いに協力を募るという発想自体は、これからの時代はあってもいいと思うんですね。しかし、そこにはやっぱり公的な資金にあわせて、善意の方々が恐らく大多数でしょうから、その善意を無駄にしないためにも、民間企業の投資というのは、やはり利益を確保するために出していくんだということを厳しく見て、今私が申し上げたような規制や縛りは、少なくとも考えて、万が一のために備えておかないと、このファンドは、やっぱり確実にうまくいくという保証はないと思います。
 そういう点では、来年度予算で、もう予算五十億積んで、さっきの電力供給の方のファンドの残りの五億円と合わせて五十五億の予算、もう計上されているわけですけれども、できるならば、時期尚早というべき段階であって、もう少し中身について検討してからでも遅くはないということは意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○中村委員 それでは、官民連携福祉貢献インフラファンドについて質問します。
 本件は、さきの予算特別委員会で民主党の田中議員が質問し、舛添知事からもご質問感謝いたしますとの異例ともいえる発言がなされました。新規の事業だけに、議会でもさまざまな問題点について一つ一つ議論を深めていくことの大切さを知事が述べていましたが、田中議員は特に金融面から詳しく質問し、新銀行東京のような失敗をしないかという懸念も示していたかと思います。
 私の方では、ファンドの目的である福祉的な面を中心に質問したいと思います。
 まず、コンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティの略であるCCRCについて伺います。まだ日本語の訳もない新しい住まいのあり方です。
 知事は、施政方針で、今後、新たに設置する官民連携福祉貢献インフラファンドも活用し、例えば、子育て支援施設や高齢者向け施設、賃貸住宅などを集約しました東京都版CCRCともいえる建物の整備を支援するなど、多方面に取り組んでまいりますと表明していました。そこでまず、この東京都版CCRCはどういうものなのか、東京都版が一般的なCCRCとどのように異なるのか、伺います。

○松下管理部長 官民連携福祉貢献インフラファンドの目的は、地域のニーズに対応した子育て支援施設や高齢者向け施設といった福祉関連施設を含みます建物の、都内における整備推進でございます。そして、整備する施設の理想形として東京都版CCRCの整備を目指しているものでございます。
 CCRC発祥の地とされる米国におきましては、CCRCとは、高齢者が要介護等になっても、同じ地域内で暮らせるための施設群を備えたコミュニティ全体を指しております。これに対しまして、今回整備を目指す東京都版CCRCにおいては、一つの建物に高齢者向け施設のみならず、医療施設、商店、住宅等の民間施設が入り、さらに、子育て支援施設を加えることで、多世代がともに暮らし、家族で長く住み続けることが可能となるものでございます。
 また、東京都版CCRCにおいては、地価が高い東京の特性を踏まえまして、広大な敷地への平面的展開ではなく、立体的展開を想定するほか、待機児童解消が喫緊の課題であることに鑑み、子育て支援施設の併設を想定する点などが米国のCCRCと異なっているものでございます。

○中村委員 ほかの国には、CCRCがあるのですが、日本では、まだ政府が検討しているという段階です。東京都でも、福祉保健局として具体的に取り組んでいるのでもないようです。このような中で、官民連携ファンドを通じて、東京都版CCRCの整備を推進するということですが、このCCRCに関する都の具体的な方針もないまま、これはとりあえず民間にやらせてみるということでうまくいくのでしょうか、見解を伺います。

○松下管理部長 CCRC、これにつきましては、官主導で形成されるものではなく、民間主導で形成されるコミュニティの一つのあり方と考えております。本ファンドは、官が民の資金とノウハウを活用し、民間主導で整備を推進するものでございまして、同じく民間主導で形成されるCCRCの整備推進に適合したものであると考えております。
 本ファンドの投融資対象事業につきましては、福祉関連施設が低収益であることを踏まえまして、福祉関連施設を収益施設と一体的に整備する、全体として民間施設を呼び込める収益性を確保する、こういったことを想定しております。都としましては、ファンド関連の金融専門家を含む民間事業者からのヒアリングを通じ、本ファンドの投資スキームは成立可能であると判断しております。

○中村委員 民間が主導でCCRCの整備を進めたいということです。ただ、この東京都版CCRCについて、具体的な整備場所は想定しているのでしょうか。CCRCの入居者としてどのような対象を想定しているのか、伺います。

○松下管理部長 本ファンドを通じて整備いたします東京都版CCRCにつきましては、これに含まれる福祉関連施設が地域のニーズに対応することは重要であるため、都内の具体的な立地場所や利用者について、特段の想定は今行っていないところでございます。都内の幅広い地域で、多くの都民が利用可能な施設整備を推進できるよう、ファンドの運営事業者と連携して努力し、期待に応えてまいりたいと思います。

○中村委員 今回のファンドでは、まだ場所は決まっていないということのようですが、アメリカのような広大な敷地での平面的な展開ではなく、東京都版は立体的な展開を想定しているようですので、もとより都内を対象にしているとは思いますが、例えば、都民が一人でも入れば都外につくってもよいということにはならないよう、都内でということを改めて確認させていただきました。
 次に、東京都版CCRCの整備を目指す官民連携福祉貢献インフラファンドについて伺います。まず、具体的に都はどのような事業の進め方を考えているのか、伺います。

○松下管理部長 まず、ファンドの組成でございますが、東京都がファンドに対し、有限責任性を確保した形で五十億円の出資を行います。それに民間投資家からの出資を加えることで、百億円以上のファンド規模を目指してまいります。その後、ファンドと金融機関から福祉関連施設を含む建物の整備事業に対して投融資を行う、このことによりまして建物整備に係る全体の事業費は二百億円程度を想定してございます。ファンドにより整備する建物数につきましては、建物の立地条件等によって事業費は変わってくるため、一概にいうことはできませんが、想定では、五、六棟程度の建物を整備することを考えております。
 スケジュールといたしまして、来年度前半に公募要項を発表いたしまして、その後、申し込みのあった事業者に対する審査を経て、運営事業者を決定いたします。その後、来年度中にファンドを組成する予定でございます。

○中村委員 先ほどの答弁の中で、官民連携福祉貢献インフラファンドの目的について、地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む建物の、都内における整備推進という発言がありましたが、例えば、公共施設が入っていれば、ほんの一部であっても整備対象として認めてしまうのでしょうか。福祉関連施設を一部しか含まない建物にファンドが投融資を行うのは問題ではないかという見方もありますが、見解を伺います。

○松下管理部長 地域のニーズに対応した福祉関連施設を含んでいる建物の、都内における整備推進を図っていくためには、本ファンドの投融資対象事業につきまして、低収益の福祉関連施設と収益施設を一体的に整備する、これが条件でございますので、全体としまして、民間投資を呼び込める収益性を確保していく必要があると考えております。また、建物全体として民間投資を呼び込める収益性を確保するための条件、これは、立地環境、場所によって大きく異なっていると考えております。
 したがいまして、本ファンドの投融資対象事業につきましては、福祉関連施設の床面積比率等を定めるということではなくて、地域のニーズに柔軟に対応した福祉関連施設を含む建物の整備を、区市町村の指導などを含めて進めてまいりたいと考えております。

○中村委員 先ほど答弁の中で、このファンドについては、民間主導でのファンドという趣旨の発言がありましたが、今回のファンドが民間主導であるということであると、福祉関連施設を含む建物の、都内における整備促進という都の目的がきちんと反映できるかということについては、しっかり考えていかなければなりません。
 また、都の目的の反映という観点からは、ファンド新設が適切であるというふうに考えます。ファンドの新設の方がいいと思うんですけれども、既存ファンドへの参加の可能性というのがあるのでしょうか、伺います。

○松下管理部長 ファンド運営事業者の公募に際しましては、都は当該目的にかなう投資を行うファンドであることを求めてまいります。このため、都の方針に沿ったファンドが形成され、ファンドの投融資対象事業は、都内に限定されることになってきます。
 基本的には、ファンドの新設につきまして想定しているところでございますが、本ファンドの目的に適合する場合であれば、必ずしも既存ファンドへの参加を排除するものではないと考えております。

○中村委員 既存ファンドへの参加を排除しないとの答弁でしたが、もとより都の目的に合うファンドであればという可能性について述べているものと解釈したいと思います。
 民間のファンドで、都の意に沿い、かつ投資目的が達成できるようなファンドが存在するなら、わざわざ都が出資をすることはないのでしょうから、都の参加により出資目的を都の要求のとおりに全文を書きかえるぐらいのことがなければ、既存ファンドへの参加は慎むべきではないかと考えます。
 ファンドに関する情報開示は重要です。さきの予算特別委員会において、知事や会計管理局長より、本ファンドで整備した施設については、できる限り情報発信に努めたいとの趣旨の発言がありましたが、ファンドを設立する際に、情報公開を条件としていることを考えているのか、伺います。

○松下管理部長 官民連携ファンドは、行政が直接施設を整備するような従来手法と全く異なる新しい手法でございます。そのメリットといたしまして、民間の資金を集め、行政だけではできない大規模な事業を遂行することや、民間のノウハウの利用が可能になることなどが挙げられます。
 一方で、ファンド契約上守秘義務が課せられるため、情報開示につきまして有限責任組合である都の意向を全て反映することは困難でございます。ただし、今回のファンドが整備する施設が、知事が求める施設を含むものである以上、ファンドの投融資案件について、できる限り情報発信に努めてまいりたいと考えております。
 また、守秘義務の制約はございますが、ファンド運営事業者の公募に際しまして、整備された福祉関連施設の概要について、できる限り公表するよう求めていくものでございます。

○中村委員 ファンドが効果を都民に示すためにも、情報公開の視点は大変大事です。できる限りということではあったのですが、ファンドにより整備された福祉関連施設の情報公開を都として注力するように求めます。
 特に、先ほど、一部でも福祉施設があればよいのかという質問をした際に、床面積比率等は定めないという答弁でした。どのくらいの割合ならいいということは一概にはいいにくいにせよ、福祉施設がごく一部だけになってしまわないようにしていただきたいと思います。
 そのためには、この情報公開が何より重要であり、後で違法でないからよいのだということにはせず、適切な評価ができるようにしていただきたいと思います。しかもその評価は、事後ではなくて事前に評価できるような仕組みを構築していただきたいと思います。
 また、そもそも福祉関連施設の整備は、これまで補助金で進めてきた分野でもあり、施設が足りない中では効果的な手法ではありました。これに対してファンドは、新たな取り組みということもあり、福祉関連施設整備を推進する効果は明らかではありません。子育て支援施設の整備についても、ファンドで幾つか施設を整備するだけでは解決できませんし、施設の整備に時間がかかるのであれば、知事の話を踏まえると、そのころには待機児童はゼロになっているのではないでしょうか。
 そこで、待機児童の解消という政策目的を達成するための政策手段として、五十億円の都のファンドの出資と五十億円の補助金のいずれが効果的と考えるのか、五十億円を通常の保育園の整備に使った場合の保育規模とあわせて伺います。

○松下管理部長 官民連携インフラファンドは、民間の資金とノウハウを活用いたしまして、行政だけではできない規模の事業を遂行することが可能でございまして、また、資金を回収するスキームとなっております。したがいまして、直接施行や補助金と単純に比較することは適切でなく、むしろ行政の施策として共存すべきものと考えております。
 さらに、土地を確保する段階からプロジェクトを進めることにこのファンドの存在意義があると、そういうふうに考えてございます。
 今般、待機児童解消に向けてさまざまな政策手段を総動員する中、金融技術を活用したスキームのモデルとして、本ファンドを利用して福祉関連施設を含む建物整備を促進することといたしました。一人でも多くの待機児童が施設に入ることができるよう、ファンドの運営事業者と連携して努力し、期待に応えてまいりたいと考えております。
 なお、五十億円を補助金等として通常の保育園の整備に使った場合の保育規模につきましては、ケースによって異なるため、これは一概にいえないと考えております。

○中村委員 また、都は、さきの予算特別委員会で、このファンドは、政策目的と収益目的の両立を図るというような答弁をしていましたが、そもそも市場原理だけで話が済むのであれば、既に民間がこの分野に取り組んでいるはずです。過剰な緩和をしてほしいという趣旨ではないのですが、規制産業に民間資金を導入するなら、規制緩和が適しているのではないでしょうか。例えば、都の認証保育所は認可と違い、園庭はないのですが、民間の参入を呼び込み、保育園の待機児童解消に大きなインパクトも与えました。そこで、福祉関連施設整備推進のために、都があえてファンドという手法を使う意味は何なのか、伺います。

○松下管理部長 子育て支援施設や高齢者向け施設といった福祉関連施設を含む建物の整備は非常に急務であるとされておりますが、商業ビルなどに比べまして収益性が低く、収益モデルが確立されていないことから、実際には建設が進んでいないものでございます。そのため、過去のファンド創設に係るノウハウを生かしまして、福祉関連施設の整備促進という政策目的実現のため、一つの収益モデルの確立に向けましてファンドを創設することとしたものでございます。
 なお、本ファンドは、建築規制等の規制緩和による投資促進効果を取り込むことで、より一層福祉関連施設の整備推進を図ることが可能になると考えております。

○中村委員 福祉関連施設の整備推進において、ファンドという政策手法は有効とのことでしたが、これはファンドが福祉関連施設の整備に大きな効果を上げた場合、都が引き続き第二、第三のファンドを立ち上げて、継続的に事業を推進していくことを意味しているのでしょうか。
 そこで今回、このファンドを通じた福祉関連施設の整備が不調に終わった場合は、都は、ファンドから撤退するのでしょうか、逆に成功した場合はファンドを増額するのでしょうか。また、いずれは都が資金を拠出しなくとも、民間だけでできる枠組みにつなげることを考えているのか、今度の展開について伺います。

○松下管理部長 本ファンドは、パイロット事業として実施するものでございますので、今後のファンドの組成、投資状況などを見ながら、次の展開につきまして検討していきたいと考えてございます。
 また、議会の方にご報告させていただきながら、十分ご議論いただきながら、検証してまいりたいと考えております。
 都といたしましては、本ファンドの取り組みがその後の展開を通じまして、地域ニーズに対応した福祉関連施設を含む建物の収益モデルが確立されれば、いずれは民間のみでこれらの施設の整備が進むようになることを期待しているものでございます。

○中村委員 今回のファンドにより整備を目指す高齢者向け施設については、都の出資金が都民の税金を原資とする以上、このような施設を求めている層への支援につながることが必要ではないでしょうか。
 現在、保育園と並んで待機者が問題になっているのは特別養護老人ホームです。しかし、現行の制度では、ファンドの枠組みでは特別養護老人ホームは運営できません。そこで、今回のファンドによる高齢者向け施設の整備推進が施設への入居を求めている層への支援につながるのか、伺います。

○松下管理部長 本ファンドは幅広いニーズに対応するものでございまして、対象となる施設としましては、認知症グループホームあるいはサービスつき高齢者住宅、介護つき有料老人ホームなど、その他ございますが、多様なメニューを持った高齢者向け施設を含む建物が整備されることを想定してございます。
 また、ファンド運営事業者の公募に際しましては、福祉関連施設を含みます建物の整備に当たっては、地域のニーズに十分対応するよう求めていくものでございます。施策を総動員して福祉関連施設の整備を図る中、その一環として、ファンドという手法を活用し、高齢者向け施設の整備を推進してまいりたいと考えております。

○中村委員 今回のファンドにより整備する施設のもう一つの柱である子育て支援施設についてですが、収益性という点では、保育園などは収益性が低い事業であり、ファンドの整備対象にはそもそもなじまないはずです。
 そこで、収益性の低い子育て支援施設をどのように今回のファンドの枠組みに組み込んで整備推進を図るのか、お伺いします。

○松下管理部長 本ファンドの検討に当たりまして、子育て支援施設の収益性が低い、これを前提としてございまして、一つの課題としております。この課題を克服するために、このファンドをむしろ組成するものでございます。一つの建物において、子育て支援施設を収益施設と一体的に整備すると、建物全体としては民間投資を呼び込めるような収益性を確保していきたいと考えております。

○中村委員 今回のファンドは、会計管理局が所管局となっていますが、なぜ公金管理などの業務を行っている会計管理局が福祉分野のファンドに取り組もうとしているのかという思いはあります。そこで、会計管理局が福祉分野の今回のファンド事業をなぜ担うことになったのか、今後どのような事業を実施するのか、伺います。

○松下管理部長 本事業は、新たな取り組みでございますので、全庁的なノウハウ蓄積に向けたパイロット事業としております。会計管理局には、金融知識を有する人材がそろうとともに、資金管理・活用アドバイザリーボードなど、専門家の助言を受ける体制も確立されております。また、公金管理のノウハウも利用可能でございますので、こうしたことから、当面の間、関係局と連携しつつ、実際に協議会などを持ちまして、会計管理局が事業局として予算要求等を行うこととなった次第でございます。当局は、今後とも関係局と連携しつつ、事業を進めてまいります。

○中村委員 会計管理局が今回のファンドの所管局ということでした。ファンドを通じて福祉関連施設を地域のニーズに合わせて整備できるよう、関係局との適切な連携は必要かと思います。
 最後に、都以外のファンドへの投資家について質問します。
 知事は、さきの予算特別委員会において、ファンドに対する個人投資家による出資についても言及していましたが、今回のファンドは、民間投資家として、個人投資家も対象にしているのでしょうか、伺います。

○松下管理部長 本ファンドに出資する民間投資家は、ファンド運営事業者が募集することになります。通常は、機関投資家が募集対象になりますが、一定の資金を保有する個人投資家も、これは十分募集対象になり得ると考えております。
 また、本ファンドの投資回収方法の一つといたしまして、上場型のREITなど、上場ファンドに本ファンドの持ち分が譲渡されることも将来あり得ますが、その場合には、広く一般個人投資家が上場ファンドに投資することが可能となるものでございます。

○中村委員 これまで、官民連携福祉貢献インフラファンドに関して確認すべき点について質問してきました。都が全ての力を合わせて、子育て、高齢者支援への対応を行わなければならない状況ではあるのですが、その方策の一つとして、ファンドという手法が適しているかはまだまだ未知数です。特に、政策目的だけではなく、投資目的と両方を追い求めるということですので、情報公開による事前のチェックや事後の評価がなされ、都の目的に沿った運営が確保されなければなりません。引き続き議会として注視をして、チェックをしていきたいと思っております。
 以上で質問を終わります。

○西崎委員 私からも、官民連携インフラファンドについて伺いたいと思います。
 この三月で、原発事故から四年が経過いたしました。東京都は、原発事故が起きた翌年、原発事故によって電力の供給が不安定になっているため、首都圏を中心とした電力の安定供給に直接貢献するインフラ整備のための官民連携インフラファンドを創設いたしました。
 このファンドは、民間資金の呼び水として、都が三十億円出資し、民間機関の融資等と合わせて一千億円規模の事業費を目指すものと、創設当時は伺いました。初めは、所管が知事本局、平成二十五年四月に環境局、昨年の平成二十六年には会計管理局の所管となりました。一年ごとに所管が移動し、本来の目的やこの事業に関する情報などを適正に維持管理されているのか懸念されます。
 そこで、引き継ぎは適正に行われてきたのか、伺います。

○松下管理部長 ファンド事業につきましては、そもそも平成二十三年度の検討段階から、知事本局が所管しておりましたが、最初に取り組んだファンドがエネルギー分野に関するファンドであったため、平成二十五年四月から所管が環境局に移されたものでございます。その後、平成二十六年七月に発表されました東京国際金融センター構想への取り組みによりまして、エネルギー分野以外のファンド組成に取り組むこととなりまして、同月に会計管理局に執行事務を移管したと、このように計画的に移管が行われているものでございます。
 事務の移管に基づく引き継ぎ作業は適切に行っておりまして、秘密保持を有する文書の取り扱い等につきましても、関係局と連携して適切に管理しているものでございます。

○西崎委員 今の答弁ですと、昨年七月に発表された東京都国際金融センター構想への取り組みがあり、エネルギー分野以外のファンド組成に取り組むため、環境局から会計管理局に移動したとのことでした。
 確かに、先ほども質疑がされましたけれども、来年度は、官民連携福祉インフラファンドなどが提案されていますが、そうなりますと、会計管理局は三つのファンドを管理することになり、単に利益追求だけに終わらないのか、本来の政策目的がきちんと果たされているのか心配されます。
 先日、ファンドの運営事業者、株式会社IDIインフラストラクチャーズについて、海外投資の報道がありましたけれども、これまで海外の案件に投資する可能性があるということについては、議会で説明がなされていないと思います。この点について所見を伺います。

○松下管理部長 投融資案件等につきましては、ファンド運営事業者との契約の中で、原則として全ての情報に秘密保持条項が定められております。そのため、個別案件の全てを都の意思のみで公表することはできないことになっておりまして、これまで関係者の了解を得たものについて公表してきたところでございます。
 IDIインフラファンドの投資につきましては、都の目的にかなったものではございますが、中小企業基盤整備機構の出資後、都が既に設立されていたファンドに出資した経緯もございまして、他の関係者が望まない中で、海外案件の公表やご説明をすることは困難でございました。
 都は、官民連携インフラファンドの目的であります社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築、これと東日本大震災直後の喫緊の課題でございました電力の安定供給、これに加えまして、再生可能エネルギーの実現可能性の検証、これらを議会等でお示しいたしまして、首都圏を中心に十万から三十万キロワット級の発電所を整備するなど、具体的な目標とともに、その期待される効果についてご説明してまいったところでございます。

○西崎委員 今のお答えですと、IDIファンドについては、都が既存ファンドに出資したために、当時、ほかの関係者が望まない中で、海外案件の公表は困難だったということで、議会には示していないということですよね。だけれども、目的は外れていないから、まあ、いいじゃないかというふうに、今の答弁は理解したんですけれども、それでは、先ほどの曽根委員との質問ともちょっと重なるんですが、IDIインフラストラクチャーズが運営する官民連携インフラファンドについて、都からの出資額と、都への配当額は幾らになるのか伺います。

○松下管理部長 都は、出資を契約しております十五億円のうち、約十億円につきまして既に出資済みでございまして、今後はIDIインフラストラクチャーズからの要請に合わせまして、残りの約五億円を出資していくこととなります。
 一方で、既に投融資を行っている案件からの配当が既に始まっておりまして、平成二十五年度と二十六年度の累計で約一億六千万円の配当を受領しているところでございます。結果、都がファンドを組成した目的の一つである、新しい資金循環システム構築の面で成果を上げているところでございます。

○西崎委員 創設当初、総務委員会で確認した内容によりますと、出資金の中からファンド運営費を支出し、ファンド運営者はファンド運営費を含め、配当等により事業者から資金を回収し、出資者に出資金を上回る額の還元を目指すものだと聞いておりました。都は既にそのIDIインフラストラクチャーズには十億円を出資していて、来年度の予算にその残りの五億円が含まれるというふうに聞いておりますけれども、ファンドの運用状況については、出資しているわけですから、都はしっかりと監視していかなければならないと思います。
 ファンドの運用については、私も素人で余りよくわからないのですが、円建て、ドル建て、現地通貨、そしてそのミックスで行うもの、さまざまあると聞いております。その内容は情報公開をされていないので、どのような内容かわかりませんが、少なくとも海外への投資となれば、為替のリスクが生じるのではないかと思います。
 アジアにおいては、過去には通貨危機を迎えた国もあったことを考えますと、為替リスクが生じるような海外案件は適切ではなく、本来の目的からも逸脱しているのではないかと考えますが、見解をお聞かせください。

○松下管理部長 IDIファンドにおきます海外案件の件数及び投資金額は、二件で約六億円でございまして、これは約二百億円のファンド規模に対して約三%と低い割合になってございます。個別投資案件につきましては、守秘義務の関係もございまして、詳細についてお話しすることはできませんが、投資の専門家によりまして、為替リスクへの対策などもとられておりまして、その内容は適切と判断されてございます。
 一方で、IDIインフラファンドはこれまで、国内におきまして十万キロワット級のガス火力発電所や太陽光発電所など計約二十万キロワットの発電施設を整備しており、都がファンド組成の目的としております電力安定供給化への貢献、この面では成果を上げているものでございます。
 さらに、スパークスを加えました二つのファンドで、三十万キロワットの発電所の確保につながっておりまして、先ほど述べました事前の議会へのご説明の内容をほぼ達成しているものでございます。

○西崎委員 IDIファンドにおける海外案件の規模は約六億円、ファンドの規模の三%と低い割合ということが先ほどありましたけれども、IDIインフラストラクチャーズの会社概要をホームページで見てみました。既に、バンコク、タイ、ジャカルタ、インドネシア、ホーチミン、ベトナムに駐在事務所を開設して事業を行っております。今後もファンドから海外への投資が行われるかもしれません。東京都は、今後どのように管理していくのか伺います。

○松下管理部長 先ほど申し上げましたとおり、都は有限責任組合の立場で出資しておりますので、先に出資しております国の機構などの意向も踏まえながら、投資案件の選定は基本的にまた無限責任組合員であるIDIインフラストラクチャーズが決定するということになってございます。
 都は、今後とも、外部専門家の意見も聴取しつつ、質問権や検査権を行使いたしまして、目的にかなった投資が行われるよう、ファンド運営を適正に監視してまいります。

○西崎委員 都が出資した三十億円は、都民の税金でもあります。インフラファンドが国内の電力の安定供給に有効に活用されているのか、適正に管理されているのか、できるだけ情報を公開して、都民に対する説明責任を果たすことを求めまして質問を終わります。

○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○和泉委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為、主税局所管分、第三号議案、第四十三号議案及び報告事項、平成二十七年度地方税制の改正について並びに請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(28)までの請願二六第一六号外二十七件の同内容の請願及び整理番号(29)から(50)までの陳情二六第八九号外二十一件の同内容の陳情を一括して議題といたします。
 請願陳情について理事者の説明を求めます。

○加藤税制部長 今般、財政委員会に付託されました主税局所管の請願陳情についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、財政委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 初めに、請願二六第一六号から第四三号までの各号、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願についてご説明いたします。
 この請願の趣旨は、小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置を平成二十七年度以後も継続すること、小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減額する減免措置を平成二十七年度以後も継続すること及び商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置を平成二十七年度以後も継続することを求めるものでございます。
 小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置は、地価高騰に伴う負担緩和の見地より、昭和六十三年度から実施してきたものでございます。
 小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税を二割減免する措置は、過重となっている二十三区の非住宅用地の税負担を緩和するとともに、厳しい経済状況下における中小企業への支援を行うため、平成十四年度から実施してきたものでございます。
 商業地等における固定資産税及び都市計画税の税額を負担水準六五%の水準まで減額する措置は、負担水準の不均衡を是正するとともに、全国に比べ過重となっている二十三区商業地等の負担の緩和を図るため、平成十七年度から実施してきたものでございます。
 これらの軽減措置につきましては、都民の税負担感に配慮する必要から、平成二十七年度においても引き続き実施することとし、本定例会において、所要の条例改正をお願いしているところでございます。
 なお、商業地等の税額を負担水準六五%の水準まで減額する措置につきましては、地方税法の適用が平成二十六年度までとされており、現在、本措置の継続が盛り込まれた地方税法改正案が国会において審議中であることから、同法案の成立後、速やかに所要の条例改正を行うことといたします。
 次に、五ページをお開きください。陳情二六第八九号から第一一〇号までの各号、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情についてでございます。
 この陳情の趣旨は、さきの請願と同じでございますので、改めての説明は省略させていただきます。
 本件請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○和泉委員長 説明は終わりました。
 予算案、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加藤税制部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第2号、財政委員会要求資料の一ページをお開きください。
 要求資料第1号、平成二十七年度税制改正における法人税改革による影響額でございます。この表は、平成二十七年度税制改正における法人税改革による法人都民税及び法人事業税の影響額の試算をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、法人事業税の税率の推移でございます。この表は、平成十六年度から平成二十六年度までの法人事業税の税率の推移をお示ししたものでございます。
 次に、三ページの要求資料第3号、法人都民税の税率の推移でございます。この表は、平成十六年度から平成二十六年度までの法人都民税の税率の推移をお示ししたものでございます。
 次に、四ページの要求資料第4号、法人二税の超過課税収入額でございます。この表は、平成十六年度から平成二十五年度までの法人都民税及び法人事業税の超過課税分の収入額をお示ししたものでございます。
 次に、五ページの要求資料第5号、上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額でございます。この表は、平成十六年度から平成二十五年度までの上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○和泉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 それでは、私の方から、平成二十七年度税制改正における法人税制改革について、お伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、確認のためですが、平成二十七年度税制改正における法人税制改革の概要について、最初にお伺いいたします。

○加藤税制部長 平成二十七年度税制改正におきましては、法人実効税率を引き下げるため、法人税率が一・六%引き下げられるとともに、欠損金の繰越控除の見直し等課税ベースの拡大により、代替財源の確保が図られることとなりました。
 地方税におきましては、資本金が一億円を超える大企業について、法人事業税の所得割の税率が引き下げられ、相当分の外形標準課税が拡大されております。

○桜井委員 今回の法人税制改革は、我が国の立地競争力、そして企業の国際競争力を高める観点から、政府・与党において進められているものでありまして、アベノミクスによるデフレ脱却、健全な成長への重要な柱であると認識しているわけでありますが、我が国の財政の健全化もまた大変大きな課題でありまして、いかにして、代替財源を確保しながら成長促進的な法人税制へと改革していくか、絶妙なかじ取りが求められているところだと思います。
 地方法人課税は、地方自治体の重要な基幹税でありまして、法人実効税率を引き下げる場合には地方の財政運営に支障が生じないよう必要な税財源を確保すべきと、都議会は都とともに、国に対して訴えてきたわけでありますが、そこで、今般の法人税制改革が地方全体及び都の税収にどのような影響を与えるのか、お伺いをいたします。

○加藤税制部長 法人税率の引き下げによりまして、法人税額を課税標準とする法人住民税が減収となります。一方、課税ベースの拡大等によりまして、法人住民税及び法人事業税が増収となります。
 地方全体におきましては、両税合わせて約二百七十億円の増収となると見込まれておりますが、都におきましては、約六十億円減収になると見込まれます。これは東京は、所得の大きな法人の割合が全国と比べて高く、実効税率引き下げによる影響が大きく出ているためでございます。法人事業税の外形標準の拡大につきましては、地方全体、東京都ともに税収中立とされております。

○桜井委員 平成二十七年度税制改正では、代替財源が一定程度確保されたことにより、税収はおおむね中立ということであるということでありますけど、しかしながら、法人実効税率二〇%台に向け、さらなる税率の引き下げが見込まれている中、今答弁にありましたように、都には引き下げの影響が強く出るとのことであり、引き続き財政に影響が出ないよう、代替財源の確保を強く求めていくことが必要であります。
 また、都財政への影響という観点から見過ごせないのが、与党税制改正大綱に、法人事業税の分割基準のあり方について検討すると明記されている点であります。法人事業税の分割基準は、これまでも不合理な改正が繰り返されてきたものと認識しております。そこで、これまでの法人事業税の分割基準の改正内容と都税の影響額をお伺いいたします。

○加藤税制部長 分割基準は、複数の自治体に事業所等がある法人につきまして、税収を企業の経済活動が行われている地域に正しく帰属させるために設けられております。
 例えば法人住民税は、従業者数をもとに関係道府県に法人税額を分割しております。法人事業税につきましても同様に、原則として従業者数で分割基準を設けていたところでございますけれども、これまで財政調整を意図いたしまして、都市部の配分を小さくする不合理な見直しが繰り返し行われてまいりました。
 具体的には、昭和三十七年度改正におきまして製造業の、昭和四十五年度改正において非製造業の本社の従業者数を二分の一とする措置、また平成元年度改正におきましては、工場の従業者数を一・五倍とする措置が設けられております。また、平成十七年度改正におきましては、非製造業の分割基準二分の一を事務所数で分割すると、こういった改正が行われてきたところでございます。これらの分割基準の見直しによる都税への影響額は、平成二十七年度当初予算で約一千六百億円に上っております。

○桜井委員 遺憾なことではありますけど、今回の税制改正では、都が一貫して求め続けてきた法人事業税の暫定措置や法人住民税の一部国有化といった不合理な偏在是正措置の撤廃が見送られることになりました。これらの措置は、受益と負担という地方税原則に反し、地方分権に逆行するものであり、速やかに撤廃し、地方税に復元すべきであります。
 法人実効税率の引き下げや分割基準の見直しなども含め、都の財源を脅かす不合理な動きに対しては、志を同じくする自治体や都選出の国会議員とも協力し、国等に対し、強力に働きかけるなど、一層力強く取り組んでいくことが必要であります。
 これまで、税制改正による都財政への影響を伺ってまいりましたが、地方の立場からは、財政とともに地域経済を支える中小企業の視点から税制を考えることも重要であり、この観点から幾つか質問をいたしたいと思います。まず、今回の税制改正における実効税率の引き下げと課税ベースの拡大は、中小企業にどのように影響をするのかお伺いをいたします。

○加藤税制部長 平成二十七年度税制改正におきましては、法人税の税率が二五・五%から二三・九%に引き下げられますが、この税率は、大企業のほか、中小企業におきましても、年間八百万円を超える所得に適用されます。八百万円以下の所得は、もともと低い税率が適用されておりまして、今回この税率は改正されておりません。
 また、課税ベースの拡大につきましては、財源確保策の過半を占める欠損金の繰越控除の見直しは、もともと中小企業には適用されておりません。事業税における外形標準課税の割合の拡大につきましても、現行の対象となっている大企業に対するもののみでございます。

○桜井委員 平成二十七年度の改革内容は、主として大企業を対象に行われ、中小企業への適用は限定的であることが今の答弁でわかりました。それでは、中小企業に対する税制のあり方については、今回の税制改正でどのような議論となったのか、お伺いをいたします。

○加藤税制部長 与党税制改正大綱におきましては、中小法人の実態は大法人並みに多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人までさまざまであること、中小法人のうち七割が赤字であり一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、中小法人課税の全般にわたり、引き続き幅広い観点から検討を行うとされております。
 もともと、資本金一億円以下の中小法人につきましては、軽減税率や各種の政策税制があるなど、多くの制度において大法人と異なる扱いが決められているところでございます。

○桜井委員 強く申し上げたいのは、中小企業は都の雇用の六割を担うなど、都民生活を支える重要な役割を果たしております。その一方、内部留保が少ないため大企業と比べ財務基盤が弱く、景気変動による影響を受けやすいという特徴もあるわけです。
 法人課税を広く薄く負担する構造に転換していくという改革の趣旨から、中小企業への外形標準課税の拡大や課税ベースの拡大といった議論になっているのだろうと思いますが、しかしながら、税制改革においては、中小企業の地域における役割やその経営状況を十分に踏まえる必要があり、大企業と同列に議論することは適当ではありません。
 外形標準課税は、景気がよいときは所得も拡大するため税負担は小さくなりますが、景気が悪くなって赤字に転換してもなお税負担が発生し続けることから、財務基盤が弱い中小企業は負担に耐えられない場合もあり、安易に中小企業に拡大することは絶対あってはならないことだと思います。そこで最後に、外形標準課税の拡大など中小企業に対する課税のあり方について、局長の見解を伺いまして質問を終わります。

○塚田主税局長 現在の所得を中心とする法人課税では、赤字企業が七割に上るなど、税負担が一部の事業に偏っているとの指摘がございます。また、大企業と並ぶほどの収益を上げている中小企業もあり、資本の規模だけで課税を区別すべきでないとの意見もございます。
 他方、中小企業は、副委員長お話しのとおり、都の雇用の六割を担う地域経済の担い手となっておりますほか、内部留保が少なく財政基盤が脆弱であるとともに、企業収益に占める人件費の割合が大企業に比べて高くなっているといった特性がございます。外形標準課税の中小企業への拡大は、こうした中小企業の実態を踏まえると課題も多いと考えております。
 中小企業に対する課税のあり方につきましては、軽減税率や租税特別措置も含め、中小企業が地域において果たす役割やその経営実態とともに、法人課税全体のバランスも勘案し検討されるべきであると考えております。

○曽根委員 私からも、この間の地方法人課税についての問題と、また今回の法人実効税率引き下げによる影響について、前の方とダブりを避けて幾つか質問したいことと、あとは徴税問題について何点か質問させていただきたいと思います。
 資料にもいただきましたし、今質疑でもかなり詳しくありました。この法人実効税率引き下げによる都税収入への影響については約六十億円の減収となると。しかし、全国の、自治体全体としては増収の影響が出るということですが、もともと東京都は、繰り返し国に対し法人実効税率の引き下げをやるのであれば、都の財政、税収に影響のないようにということをいってきたわけで、六十億円といえども今後展開はわからないですから、何らかのを相殺する方法または対抗措置というのは考え得るんでしょうか、その点をまずお聞きします。

○加藤税制部長 今回の税制改正における法人実効税率の引き下げと課税ベースの拡大は、おおむね中立で設計されたものと認識しておりまして、特段の措置を検討することは考えておりません。

○曽根委員 当初の予想では、やっぱり外形標準課税の課税ベースが下がるんじゃないかと。つまり中小企業に食い込んでくるんじゃないかということがいわれて非常に危惧されたわけですね。今回もし代替財源が、これでおさまらないというようなことに--国全体としては、たしか二千億ぐらいの差がまだあったと思うんです、ギャップが。これがもし残されていってしまうとすると、次に出てくるのは、外形標準課税の中小企業への課税ベースの拡大ということが引き続き危惧されますので、今お話のあったとおり、東京都としては、東京の経済を支えるまさに中心である中小企業への外形標準課税という、赤字でも税金かけるという負担は起こらないように、ぜひ、取り組んでいただきたいことを申し上げております。
 次に、法人住民税については、もう既に一部国税化は行われて、今年度は影響はほとんどないんですけれども、来年度からこの影響が本格的にあらわれてくると思います。しかも都の税収だけではなく、都区財調にも影響します。それで、平成二十七年度、来年度の法人住民税の国税化の影響はどういうふうな影響が出るのかについて教えてください。

○加藤税制部長 法人住民税の一部国税化による影響でございますが、平成二十七年度は法人都民税として九百十四億円の減収と見込んでおります。このうち、市町村民税相当分は約五百三十億円でありまして、この五五%に当たる約二百九十億円が都区財政調整制度を通じて、特別区分の減収になると見込んでおります。

○曽根委員 二十三区共通財源として、都と区で五五%という割合を決めて、今行われている都区財調についても、区側から見てもいろんな要望が、要するに、単価標準に入れてほしいというようなものがありますので、それが逆にこの財源が下がってしまうということになると影響は避けられないと思います。幸い今個人住民税の方が伸びておりますので、今のところは伸びておりますので、全体と都区財調の減額分とはそれほど大きくはないんですけれども、今後影響は出てくる可能性があるということで、この点についても、国の方は当然ながら次の消費税の増税に、再来年になりますか、予定している一〇%への増税といわばセットで考えるんだという態度をとり続けていると思いますが、都としてはこの消費税問題とは切り離し、直ちに是正を国に求めるべきが当然ですが、いかがでしょうか。

○加藤税制部長 法人事業税の暫定措置及び法人住民税の一部国税化は、偏在是正の名のもとに地方税を国税化するものでありまして、地方分権に逆行する極めて不合理な措置でございます。こうした不合理な措置を直ちに撤廃し、地方税に復元するよう、これまでも国に対し要求しております。今後も都議会のご協力をいただきながら、引き続き国に対し強く求めてまいります。

○曽根委員 ぜひお願いしたいと思います。もちろん、法人事業税の方も、まだ中途半端に国税化部分が残されているということもあわせて、東京都としての国への主張を、これはもう何度でも強く求めていく必要があると思いますので、申し上げておきたいと思います。と同時に、口でいっているだけじゃなくて、何らかの態度、対応で示すことも、この際考えていいじゃないかという点でいいますと、資料の二ページにありますように、超過課税という税率が、国からもかかっていますけれども、私たち地方自治体の権限として独自に決められるという超過課税の税率が、法人事業税についてはまだ若干残っているということでありますので、こういったものもやるやらないは最終的には判断は要りますけれども、できるんだぞということも国に対してアピールすることはあってしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤税制部長 都は、法人事業税及び法人都民税につきまして、一定の法人に対し、地方税法に定めた標準税率を上回る税率を設定して課税をしております。この定例会には、法人の都民税につきまして、現在、制限税率いっぱいまで課税をしておりますけれども、超過課税の五年延長を提案しているところでございます。
 一方、我が国の法人実効税率は、諸外国と比較して高い水準にあるとされておりまして、政府は立地競争力や企業の国際競争力の観点から、今後も引き下げを進めるとしております。こうした中、都が法人事業税の超過課税をさらに引き上げることは適当ではないと考えております。

○曽根委員 日本の法人税がまだ高いという判断については、私たちは異を唱えておりますが、それにしても、地方自治体の権限をやはり明記していく、明示していくということは重要ですので、決して弱腰にならないような対応をお願いしたいと思います。
 それでは次に、都税などの徴収の問題について、簡潔に何点かお聞きしておきたいと思います。
 以前のたしか事務事業質疑だと思いましたが、私は、都税もしくは区市町村民税も含めた税の徴収に当たって、都の徴収に関するマニュアルといいますか、QアンドAのような資料があるということで、これをもとにしながら若干の質疑を行いましたが、その際東京都の答弁の中で、通帳を差し押さえる場合、そこに入っているお金がもともとは差し押さえ禁止の財産である、例えば児童手当のようなものであっても、一旦預金通帳に入ってしまえばこれは個人の資産となるので差し押さえが可能であるという趣旨の答弁をたしか行ったと思います。そのすぐ後なんですけれども、鳥取県で広島高裁の判決を受けて、いわゆる滞納整理マニュアルを改定いたしました。
 私たちは、現地の県議会の方でこの資料を入手をいたしましたが、都の主税局はこの内容について、鳥取県の滞納整理マニュアルの改定内容について知っているかどうかについて確認しておきます。

○熊谷徴収部長 鳥取県の滞納整理マニュアルは公表されておりません。したがって、その内容及び改定内容については承知をしていないところでございます。

○曽根委員 この改定が行われるまでは、平成十年の二月十日最高裁の判例があって、鳥取県も恐らく東京都も、この判例に基づいて預金口座の差し押さえを執行してきたんだと思います。
 鳥取県には、これによると、昭和四十五年三月に出された総務部長通知で県税徴収事務合理化要綱という名前の文書があって、平成十年の二月の最高裁判例に基づいて、それまでは一旦通帳に入ったものは、たとえもともとが児童手当など差し押さえてはならない公的手当であっても、これは個人資産とみなして差し押さえてよいという解釈で執行してきたと。
 しかし、この鳥取県の冒頭では、平成二十五年十一月二十七日に最高裁判例の例外的事案として、新たな法的解釈が示されたところであると、ついては当該判決の趣旨を踏まえ、預金の差し押さえについては原則次のとおり取り扱うこととするとしまして、マニュアルもいろんな問題があるんですけれども、預金口座の差し押さえの部分について全面改定を行ったということです。
 その改定の主な内容は、第一に、一般財産管理用口座の認定ということで、つまり、差し押さえようとする相手の人が、金融機関に対して、事前の預金調査の結果、一カ月間に平均でおおむね四回以上のお金の出し入れが繰り返されている預金口座については、これは一般財産を管理するための生活口座として認定し、それを踏まえて差し押さえをやる場合には執行することということが一つ。生活口座については、児童手当などの特別法による差し押さえ禁止、債権の入金の有無については十分に確認をすることと、預金債権差し押さえの執行に際しては、事前に当該預金口座の履歴を原則三カ月分徴取すること、口座の履歴を調べて三カ月の間に児童手当等が入金されている場合には、それを除いた金額について差し押さえを執行するようにということで、三カ月という期間を改定で定めております。
 それまでは、とにかく預金に入れば、直ちに資産になるという解釈だったんですが、三カ月ぐらいは児童手当として入ったものが使えるという、その人の生活のサイクルの中で三カ月ぐらいは様子を見るのが当然という立場に、これは常識的に当たり前のことだと思いますが、そういうふうに改定をされました。
 私は、この考え方、鳥取県のとった改定の内容というのは、やはり社会の良識にようやく合致してきたかなというものだと思いますが、東京都としては、こうしたものを参考にしながら、これは私たち議員も手に入れることができたわけですから、当然東京都も入手可能な文書ではないかと思いますので、入手して参考にし、もし必要ならば都のマニュアルについても改定をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○熊谷徴収部長 まず、理事からお話のあった広島高裁の判決でございますが、判決では、訴えに係る差し押さえにつきまして、鳥取県が口座に児童手当が振り込まれることを認識した上で差し押さえをしたと認定し、実質的に差し押さえ禁止財産である児童手当受給権を差し押さえしたと同様の効果が生じるものと評価し、県に対して児童手当相当分の返還を命じております。ただ他方、高裁は、従来の最高裁の判例を踏まえ、差し押さえ禁止債権が預金債権に転化している以上、当該差し押さえそのものは許されるとも判断をしております。
 東京都では、従来から、納税相談や財産調査により把握した納付資力を見きわめながら、自主的な納付、納税がなければ差し押さえを行っております。一方で、預金の差し押さえにより生活に支障があると認められる場合には、法の規定に基づきまして、差し押さえた預金の取り立てを猶予するなどの対応をしており、引き続き丁寧かつきめ細かな滞納整理に取り組んでまいります。

○曽根委員 鳥取よりはましな対応をしてきているんだという話なんですが、確かに鳥取県は、差し押さえたお金をもう預金からおろしちゃって、税金の穴埋めに使ったと。東京都は、差し押さえする、本人は使えなくなるわけですね、口座はね。使えなくはするけれども、話し合いに来てもらえれば、相談の上でと、即税金の方に穴埋めにはしてませんよという話ですよね。
 しかしはっきりいえば、生活の上では、例えば児童手当なり、年金なり、生活にどうしても欠かせない給与などの差し押さえをされて使えなくなってしまえば、即日から生活に困るというような人も大勢いるわけで、そういう方々が本当に払いたくなくて意図的に滞納しているのか。払いたいんだが生活がきゅうきゅうで払えないのかという事情をよく調べもせずに押さえてしまうというやり方は、やっぱりやられているんじゃないかと思うんです。
 そういう点では、私は、鳥取県のマニュアルはぜひ参考にしていただきたいし、私の地元北区ですけれども、翌日になったらもういいんだと、当日はまずいけど、翌日ならいいんだというような解釈もなんか出たみたいですけど、そういう問題ではなく、その人の生活の少なくとも基本サイクルに合わせた口座の判定をするように強く求めておきたいと思います。
 それから、やはりこれは区市町村の話ですけれども、例えば仕事や生活にどうしても欠かせないバイクだとかそういうものまで差し押さえて持っていってしまうというようなことも行われているという話も聞きますし、やはり区市町村段階でのこうした理不尽な話は後を絶たないという現状です。
 東京都は直接ではありませんが、区市町村の研修、さまざまな技術支援を行っている立場から、こうした鳥取県の決断、改善についてもできるだけ普及していくように努力する立場じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○熊谷徴収部長 区市町村における滞納整理は、地方税法等の規定に基づき、各自治体が、みずからの権限と判断に基づいて実施しているものでございます。主税局では、区市町村からの要望に応じて、研修会や実務研修生の受け入れなどを実施しており、これらを通じまして、都が行っている納税者の状況に応じたきめ細かな滞納整理のノウハウなどを紹介しているところでございます。

○曽根委員 一日も早く世間の常識に見合った、理不尽な取り立てのない徴税のやり方、それが都内でも各自治体含めて行われるように改善を進めるよう求めて私どもの質問を終わります。

○中村委員 初めに、来年度の税収見込みについて伺います。
 来年度の税収見込みは、五兆二百十六億円で、今年度より三千五百十七億円の増収が見込まれています。そのうちの多くを占めているのは地方消費税ですが、法人二税も三・二%増、個人都民税も七・八%増となっています。来年度の税収見込みで、法人二税と個人都民税の増収の要因について具体的に伺います。

○加藤税制部長 東京都の場合、法人二税におきましては、サービス業など非製造業の占める割合が全国に比べて高い傾向にございます。平成二十七年度の法人二税収入は、平成二十六年度に引き続き、各業種とも堅調に推移しておりまして、特に金融業やサービス業が大きく伸びる見通しであることから、平成二十六年度当初予算対比で五百九億円、三・二%の増を見込んでおります。
 また、個人都民税は、都民の所得の総計を反映して増減するため、都内の雇用者数や平均給与等の動向を踏まえ見込んでおります。平成二十七年度は、雇用者数と平均給与がいずれも前年度に引き続き伸び、特に雇用者数の伸びが前年度を上回っております。このことが、給与総額を押し上げることに加え、堅調な企業収益等を反映して配当所得なども伸びる見通しであることなどから、平成二十六年度当初予算対比で六百五十五億円、七・八%の増を見込んでおります。

○中村委員 全体的にはよくなっているようですが、まちを歩いてみても、まだまだ実感がないという人の声をよく聞きます。全ての企業や全ての都民が一様によくなっているということは考えにくいこともあり、企業収益や都民の収入の状況もさまざまだと思います。主税局としての税の面からの企業の状況、都民の暮らしについて分析し、都庁全体での施策に生かし、今後の都における政策や国への意見の提言などに反映させていただきたいと思います。
 次に、来年度の国の税制改正について伺います。
 地方創生という名のもとに、東京から地方へと、本来都に入るべき税がばらまかれています。これまでも、法人事業税の暫定措置や不合理な偏在是正措置の撤廃については質問しましたが、今回はふるさと納税について伺います。
 今回の税制改正では、ふるさと納税について特例控除額の上限を所得割額の現行一割から二割に引き上げられました。まずは、ふるさと納税がどのような仕組みでの税の控除がなされるのか、さらには、都税への影響額を伺います。

○加藤税制部長 いわゆる、ふるさと納税と申しますのは、個人所得課税における寄附金控除でございます。地方自治体への寄附金のうち二千円を超える部分について、所得税と個人住民税から控除する仕組みでございます。これによる都の減収額は、平成二十五年度において約五億円となっております。

○中村委員 ふるさと納税は、納税とサービスとが一致しないという点で問題だと考えています。影響額は、税収全体に占める割合では大きいといえませんが、本来であれば、都民のために使える税収が目減りをしていることはやはり問題であり、都は国に対してそのことをしっかり主張することが必要だと思います。そこでふるさと納税についての都の見解を伺います。

○加藤税制部長 本来、行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が寄附金を通じてではございますけれども、他の自治体に移転するということは、受益と負担という地方税の原則の観点から好ましいものではないと認識しております。一方、特定の地域を応援したいという納税者の思いを寄附という形で実現する手段としては、少しずつではありますけれども、国民に定着しつつあるものとも受けとめております。

○中村委員 好ましくないとしながらも定着つつあるとのことでした。日本において、寄附文化がもっと醸成された方がよいとは思いますが、他の自治体に寄附すると、住んでいる自治体の税から控除されるのは仕組みとして好ましいとは思いません。控除されるのを自治体からはなく国税だけにするとか、個人の思いを反映しつつ、受益と負担という点からどういう形が望ましいかについては、都税のインパクトは小さくとも問題提起することが必要だと思います。
 地方創生というブームの中であるべき税制がゆがまないよう、都としてしっかりと主張していただきたいと思います。
 次に、固定資産税について伺います。
 今回の国の税制改正には、空き家対策が入っています。空家等対策の推進に関する特別措置法が制定されたことから、今後、地方税法の改正により、住宅用地に係る課税標準の特例措置の対象から除外されるとのことです。そこで、都の税収としてどのような影響があると見込まれますか、また固定資産税の情報をどのように区に提供していくのか、伺います。

○安藤資産税部長 特定空き家に対する措置等が国から示されるのは、平成二十七年五月下旬の予定でございまして、現時点で影響を見込むことは困難でございます。また、固定資産税の情報につきましては、区からの依頼に基づき、所管の都税事務所から提供しております。既に依頼があったところにつきましては対応いたしております。

○中村委員 まだ国の方針が示されてはいないようですが、情報提供により空き家の利活用にもつながると思いますが、防犯防災上の課題など、所有者が特定できることにより対応できることもあるかと思います。
 空き家の問題は、自治体でも大きな課題になっていますので、連携しての取り組みをお願いします。
 次に、固定資産税、都市計画税の非課税措置に関連して伺います。
 これらの税には、さまざまな非課税措置がありますが、公共の用に供する道路として使用されている土地は、申告により固定資産税、都市計画税が非課税となっています。そこでどのような場合に、固定資産税、都市計画税が非課税となるのか、あわせて申告によって非課税となっている道路の件数はどのくらいあるのか、伺います。

○安藤資産税部長 公共の用に供する道路として、地方税法の規定に該当する場合には非課税となります。具体的には、所有者において何らの制約も設けず広く不特定多数の方の利用に供されている場合でございます。なお、道路非課税の件数は、平成二十六年度の定期課税時点で約四十五万筆でございます。

○中村委員 都内においては、住宅街において道路が狭いため、日常的にも交通が不便であり、また、自動車が入ってくると歩行者が壁に張りつくように避けないといけないような状況のところが多く見られます。震災が起きた際には、建物が延焼したり、緊急車両が入れないなどの問題も起こり得ます。
 昨今では、杉並区で道路に置かれた私物を撤去する条例の制定が検討されています。狭隘道路でセットバックしても、私有地だからと私物を置いていることが問題になっていることが背景のようです。仮に固定資産税が非課税となっている場合に私物を置いたらどうなるのでしょうか、伺います。

○安藤資産税部長 非課税となるのは、何ら利用上の制約なく不特定多数の利用に供されている場合でございます。したがいまして、プランター等の私物を常態的に設置しているような場合は非課税としては認められません。

○中村委員 強制的に私物を撤去するということはできないということのようですが、私物が置かれているのに非課税を適用するとすれば不公平な状況です。都は非課税の申告を受けたときには、当然、現地の調査を行っているとは思いますが、一旦非課税にした後も調査をしているのでしょうか、また問題があれば非課税を取り消すなどの措置をとっているのか、伺います。

○安藤資産税部長 道路非課税の確認調査につきましては、当初の非課税認定の際に行う現地調査以降においても、所管の都税事務所が定期的に行う土地の現況調査に合わせて利用状況を確認しております。それにより要件を満たしていないことが確認された場合には非課税の取り消し処理を行っております。

○中村委員 二十三区内においては、固定資産税は都が徴収をしているんですが、狭隘道路は区が管理しています。税の情報の目的外使用は認められていませんが、区と連携して適正なあり方を図るための法整備の検討も行っていただきたいと思います。
 現在、杉並区でも、条例が憲法が保障する財産権との関係について議論をしているようですが、その結論が出る前にでも、むしろ税を非課税にしていることから考えると、すぐにでも非課税にしている私有地についての私物を撤去するように検討していただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○西崎委員 私も空き家対策についてなんですが、空き家対策については、予算特別委員会で質疑を行いましたが、空き家対策を進めるための空家対策推進特別措置法が一部施行されました。この法律では、国や地方公共団体が、必要な税制上の措置を行うとされており、今回の税制改正で、特定空き家には、住宅用地の特例措置がなくなると聞いています。空家対策推進特別法に基づき、具体的にどのように税制改正が行われるのか伺います。

○加藤税制部長 昨年十一月に公布されましたいわゆる空家等対策推進特別措置法では、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態や著しく衛生上有害となるおそれのある状態の空き家等を、特定空き家等と位置づけまして、当該特定空き家等に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言または指導、勧告、命令が可能とされております。
 現在、国会で審議されております地方税法の改正案では、この特別措置法に基づく除却等の勧告の対象となった特定空き家等に係る土地につきましては、固定資産税の課税標準を六分の一ないし三分の一に軽減する住宅用地の特例の対象から除外する措置が講じられております。
 なお、都市計画税についても同様でございます。この特別措置法は、本年五月二十六日に完全施行される見込みでありまして、この税制上の措置も、平成二十八年度分の固定資産税から適用される予定でございます。

○西崎委員 特定空き家のガイドラインが五月に明らかになり、空き家対策が本格化します。この措置が影響するのは、平成二十八年度分の固定資産税から適用されるのはわかりました。地域を回りますと空き家がふえているのに大変驚きますが、まだ使える空き家の活用を行うことや、特定空き家を除去した空地を活用していくことが重要だと思います。
 文京区では、危険空き家の除去費用を補助して、区が所有者から借り受けて、跡地を行政目的で活用する事業を行っています。空き家や空き地にも、固定資産税が課税されていますが、それらを区役所が所有者から借り受けて、防災広場や地域のコミュニティ拠点など、行政目的に使用した場合、固定資産税や都市計画税の取り扱いはどうなるのか伺います。

○安藤資産税部長 空き家や空き地を所有者から区などが無償で借り受け、区などの予算において維持管理されている場合には、公用、公共の用に供していることから、翌年度分からの固定資産税、都市計画税は、地方税法の規定により非課税に該当することになります。
 なお、区などが無償で借り受けた年度の固定資産税、都市計画税につきましては、実質的に区などが使用開始していることから、所有者からの申請があった以降の納期限分の税額を減免しております。

○西崎委員 空き家対策についての税政制度については、今のお話でわかりましたけれども、この三月は、確定申告の時期となりまして、私も以前、住宅改修を行った際に申請手続を行ったことがありましたが、なかなか一度で事務作業が終わらず、何度も都税事務所に足を運んだことがございました。
 その申請内容は、自宅をリフォームした際に、省エネ改修が要件を満たせば固定資産税が軽減されるというものでした。そこで、住宅に省エネ改修工事を行った場合の固定資産税が軽減される制度はどのようなものがあるのか、お聞かせください。

○加藤税制部長 省エネ改修に伴う固定資産税の減額措置につきましては、平成二十年度税制改正で創設されております。これは床面積百二十平方メートル相当までを限度といたしまして、工事完了の翌年度分の固定資産税額の三分の一を減額することとされております。
 その要件でございますが、まず、平成二十年一月一日以前から所在する賃貸部分を除く住宅であること、次に、同年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に、窓の断熱改修工事等の一定の省エネ改修工事を実施し、それぞれの部分が新たに省エネ基準に適合することとなること、そして、当該工事の費用が五十万円を超えることとなっております。

○西崎委員 先日、主税局で配布しております「不動産と税金」という冊子を見せてもらいました。固定資産税には省エネ改修のほかにも、バリアフリー改修や耐震改修など、さまざまな軽減制度があるようですけれども、所有者はもちろん、工務店などでもこうした軽減制度を知らない場合が実際にあります。土地や家屋などの不動産に関する税について、どのようなPRを行っているのか伺います。

○西海総務部長 主税局では、固定資産税など不動産に関する税金の軽減制度につきまして、今お話のありました「不動産と税金」などの冊子あるいはポスター、「あなたと都税」などの広報紙、ホームページなど、さまざまな広報媒体を組み合わせることで、広く都民の皆様方に伝えてまいりました。
 また、建築住宅関係の団体などを構成員といたします耐震化推進都民会議、こちらで固定資産税等の軽減制度について紹介を行い、会議に参加した業界団体を通じまして、加盟企業様への制度等の周知を依頼しているところでございます。
 こうした取り組みに加えまして、平成二十七年度からは、建築住宅関係の団体に対する「不動産と税金」の提供先や部数を拡充いたしまして、一層の制度周知に努めてまいります。
 主税局では、引き続きさまざまな媒体やツールを活用いたしまして、必要な情報を都民や納税者の皆様へ確実かつ効果的に提供できるよう広報を行ってまいります。

○西崎委員 税制についてはなかなかわかりにくく、いつも税金を払わされているという負担感がつきまとうものですけれども、いろいろな税の仕組みを理解して、住宅改修のときに固定資産税の軽減制度など使いこなしていけるよう、都民に情報提供を行っていくよう要望して私の質問を終わります。

○大津委員 地方税制の改正につきまして、都民の視点から、今回の改正がやはり難しいので、都民にどのような影響を及ぼすのか質問をしてまいりたいと存じます。
 まず、たばこ税について確認をいたします。
 昨年、事務事業質疑でも確認しましたが、一箱のたばこ、このたばこ税は、国と地方でその税収を分けて入っていく仕組みになっておりましたが、都や区市町村にとっても一方大切な税であります。今回は、例えばわかば、エコーというような、いわゆる旧三級品と呼ばれるたばこのたばこ税が引き上げられるということでありますが、これまで旧三級品の税率が低くなっていた経緯と、今回引き上げられた理由についてお伺いをいたします。

○加藤税制部長 旧三級品の紙たばこといいますのは、かつて専売時代に、低価格で販売されていたたばこでございます。これは原材料等が一級品と違うということで価格を下げられていたものございますけれども、これまで高齢者を中心として長年親しまれていることなどから、いわゆる旧三級品以外のたばこと比べましてその税率はおおむね半分とされてきたところでございます。
 今般の改正につきましては、厚生労働省の税制改正要望、この内容は、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制すべきというものでございますけれども、こういった税制改正要望等を踏まえて行われたものと認識しております。

○大津委員 私自身は、たばこは吸えないんですけれども、周りでは年配の方を中心に、やはりわかばやエコーの愛煙家がたくさんおられます。日本たばこ協会の統計を見ても、平成二十五年度の銘柄ランキングでは、わかばが八位、エコーが九位となっていまして、これら二つの銘柄が全体に占める割合は、四・二%となっていました。税率が引き上げられますと、当然のことですが、たばこ一箱の価格も値上がりになります。が、税率の見直しにより、旧三級品のたばこ一箱の値段は--値段です今度は--どのように今後変わっていくのか、また、都の税収にはどのような影響があるのか伺います。

○加藤税制部長 わかばの例で申し上げますと、現在の小売定価は一箱二十本入りで二百六十円となっております。税抜き価格を一定として単純に試算した場合、軽減税率の廃止及び消費税率の一〇%への引き上げなどによりまして、平成三十一年度からは、小売定価は約四百十円程度になると思われます。また、都の税収への影響でございますけれども、軽減税率が廃止されることによりまして、平年度ベースで約二億円の増収となる見込みでございます。

○大津委員 JTの調査によりますと、成人男性の喫煙率は、ピーク時の八四%から平成二十六年には三〇%と年々大分低下していますが、そういう中においても、今のを単純に計算しますと、一箱当たり約百五十円の値上げとなりまして、一日一箱喫煙する方の場合には、年間で約五万五千円もの税負担がふえるということになります。健康推進という立場もあります一方、愛煙家のさまざまな事情もありますし、そういった意味で、今後、吸うと健康にいいみたいな、本当にそういうたばこの開発の望まれるところでもあります。
 次に、ふるさと納税について伺います。
 先ほど、何点か出ましたので、私の方からは、寄附した自治体からのさまざまな豪華な返戻品が話題となっているところであるこのふるさと納税ですが、今回の改正では、寄附した場合の控除額が引き上げられ、また手続も簡素化されるそうであります。
 お伺いしたいのは、例えば、給与所得による年収八百万円の夫婦のみの世帯で--これは平均年収に比べてはるかに高いんですけれども、仮にこの年収八百万というケースで伺ってみます。夫婦のみの世帯で、妻が専業主婦である場合、最大限税が控除される寄附額は逆に幾らになるんでしょうか、改正前と改正後の額についてお伺いします。

○加藤税制部長 いわゆる、ふるさと納税は、地方自治体への寄附金を、所得税と個人住民税から控除する仕組みでございます。今回の税制改正では、委員ご指摘のように、個人住民税における特例控除額が所得割額の一割から二割に引き上げられました。また、手続についても、確定申告を要しない形も認められることとなっております。
 この制度を適用して最大限控除が受けられる場合、寄附者の自己負担額は二千円ということになります。お示しのケースにつきまして、社会保険料控除を年収の一〇%として試算をいたしますと、自己負担が二千円にとどまる寄附金額は、改正前は六万六千円程度であったものが、改正後は約二倍、十三万一千円程度までになると見込まれております。

○大津委員 そもそも住民税というのは、どういうものだろうかという、そういった意味合いを考えるということも大切であります。一方、ふるさと納税は、受益と負担の観点から、さまざまな影響もあるということも考えていかなくてはなりません。ただ、逆を考えた場合、例えば東京に寄附をする方たちもいると思うんですけれども、そうした場合には、東京としては、五年後のオリンピックを控え、この一年一年も重要な都市を形成するための準備期間となりますが、こうした寄附を逆にしてくれた方たちへの東京としての還元の中身やその質、有益な情報等、そういったことにもさまざまアイデアを出していただきたいと思います。
 次に、車、自動車税について伺います。
 今回、都がこれまで独自に行ってきた自動車税、自動車取得税の軽減措置を継続するとの条例が提案されました。市場に出始めた電気自動車や燃料電池自動車の普及を後押しするためであります。再生エネルギーということで、そこでですが、電気自動車や燃料電池自動車に対する減税について、トータルでどのぐらいの負担減になるのか、改めて確認をいたします。

○加藤税制部長 燃料電池自動車等の次世代自動車に係る軽減措置につきまして、取得価格六百七十万円の燃料電池自動車を、例えば九月に取得した場合の例で申し上げます。地方税法上、約十八万円の自動車取得税が非課税となるほか、取得の翌年度の自動車税約二万二千円が軽減されます。また、今回提案をしておりますけれども、都独自の措置によりまして、取得時の月割り分及び翌年度から五年度分の自動車税約十四万円が全額免除となります。さらに国税となりますけれども、自動車重量税につきましても、初回と二回目の車検時にかかる約五万円が免除されるため、全部合計いたしますと約三十九万円の負担軽減となります。

○大津委員 さまざまな減税の効果もある一方、新しい自動車の普及のためにも、充電設備の普及、走行距離の問題等、さまざまな要因も考えていかなくてはなりません。
 そこで、軽自動車についても、わかりにくいのですが、軽自動車税、昨年の税制改正では、税率の引き上げとともに古くなった軽自動車に対して税を重くするという仕組みが導入されました。今回の改正では、さらに、環境に優しい軽自動車に対して税を軽くする仕組みが導入されるとのことですが、たび重なる改正で、自分の車、都民一人一人の皆さんも、税負担がどうなるのかなかなか理解しにくいという声もあります。軽自動車税に関する一連の改正により、軽自動車の税負担はどのようになるのか伺います。

○加藤税制部長 軽自動車税の税率につきまして、四輪の自家用乗用車を例として申し上げますと、平成二十六年度以前に新車を取得した場合には、年額七千二百円でございます。一方、平成二十七年度以後に新車を取得した場合には、年額一万八百円となります。
 ただし、環境性能にすぐれた車、例えば、平成三十二年度燃費基準を二〇%以上上回るなどの要件を満たす車につきましては、平成二十八年度に限り、おおむね五〇%軽減となります五千四百円となります。
 なお、新車登録後十三年を超えた経年車につきましては、昨年度の税制改正で、おおむね二〇%重課することとされておりますため、平成二十八年度以降、一万二千九百円となります。

○大津委員 新しく購入する軽自動車から税率が上がると。また、燃費のいい車は軽減されるということがわかりました。この軽自動車税は、毎年、区市町村から課せられる税でありますが、購入した際には別途、都道府県税として自動車取得税が課税をされます。自動車取得税は、これまでの説明では、消費税が一〇%になった段階で廃止されると聞いていましたが、消費税の引き上げ延期により先送りとなったわけです。
 そこで、消費税の税率引き上げの延期により改正が見送られ、今後検討することになった課題にはどのようなものがあるのか、伺います。

○加藤税制部長 平成二十七年度税制改正では、消費税率の引き上げ時期が延期されたことに伴いまして、二十六年度与党税制改正大綱で規定されておりました消費税率一〇%段階の自動車取得税廃止や、自動車税に係る環境性能課税の実施について、平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得るとされました。
 また、消費税率一〇%段階の地方法人課税の見直しにつきましても、平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得るとされております。

○大津委員 大きな改正が先送りをされた印象も受けますが、都民としては、今後どのような改正が行われるのか、関心を持つことも大切ですし、また、関心を持っても、どうも税金や保険の説明だけは、昔からわかりにくい流れの中に来ていると思います。
 当然、都としても国の議論を見きわめ、必要なときは国と対峙していくべきと考えます。そこで最後に、平成二十七年度の地方税制の改正をどのように評価しているのか、また今後、検討が予定されている課題について、どのようなスタンスで臨むのか、局長の見解を伺います。

○塚田主税局長 今般の税制改正では、法人実効税率引き下げに伴う代替財源が一定程度確保されはしたものの、都が撤廃を求めてきた法人事業税の暫定措置や法人住民税の一部国税化については議論が先送りされました。
 また、自動車取得税の廃止など、車体課税の見直しにつきましても、代替財源についてはいまだ明らかにされておりません。こうしたことから、地方法人課税の不合理な暫定措置を撤廃するため、そして、法人実効税率のさらなる引き下げや車体課税の見直しに伴う代替財源を確保するため、国における議論の動向を注視いたしますとともに、都議会の皆様のお力もおかりしながら、適時的確に対応してまいります。

○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三分散会

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