委員長 | 和泉 武彦君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 高木 けい君 |
山内 晃君 | |
大津ひろ子君 | |
柴崎 幹男君 | |
木村 基成君 | |
西崎 光子君 | |
鈴木貫太郎君 | |
鈴木 隆道君 | |
植木こうじ君 |
欠席委員 一名
出席説明員財務局 | 局長 | 中井 敬三君 |
経理部長 | 奥田 信之君 | |
契約調整担当部長 | 松永 哲郎君 | |
主計部長 | 潮田 勉君 | |
財産運用部長 | 岩瀬 和春君 | |
利活用調整担当部長 | 菊地 俊夫君 | |
建築保全部長 | 室木 眞則君 | |
技術管理担当部長 | 妹尾 高行君 | |
庁舎運営担当部長 | 井上 充君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 目黒 克昭君 |
本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十四号議案 東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、債務負担行為-財務局所管分、都債
・第十四号議案 平成二十七年度東京都用地会計予算
・第十五号議案 平成二十七年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十号議案 東京都人に優しく快適な街づくり基金条例
・第四十二号議案 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・第二次 主要施設十か年維持更新計画について
○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
平成二十七年度予算については予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成二十七年三月十六日
東京都議会議長 高島なおき
財政委員長 和泉 武彦殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(金)午後五時
(別紙1)
財政委員会
第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中
予算総則
歳入
歳出 債務負担行為 財政委員会所管分
都債
第三号議案 平成二十七年度東京都地方消費税清算会計予算
第十四号議案 平成二十七年度東京都用地会計予算
第十五号議案 平成二十七年度東京都公債費会計予算
(別紙2省略)
○和泉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより収用委員会事務局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分及び第四十四号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○目黒収用委員会事務局長 二月十六日の当委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料についてご説明申し上げます。
お手元の資料をごらんください。過去三カ年における取扱件数等についてでございます。
これらの表は、平成二十四年度から平成二十六年度までの三年間に、当局で取り扱いました事件数の内訳をお示ししたものでございまして、それぞれ、1、事業別取扱件数、2、年度別処理件数、3、年度別訴訟件数となってございます。
要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○和泉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○和泉委員長 これより財務局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十四号議案、第十五号議案、第四十号議案及び第四十二号議案並びに報告事項、第二次主要施設十か年維持更新計画についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○奥田経理部長 それでは、去る二月十六日及び三月二日の委員会におきまして要求のございました予算案及び報告事項に関する資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりください。今回、予算案及び報告事項に関して要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり五件でございます。
それでは、まず、一ページをお開き願います。要求資料第1号、財政調整基金、社会資本等整備基金の推移でございます。
こちらは、平成二十三年度から二十七年度までの五年間における財政調整基金及び社会資本等整備基金の推移をお示ししたものでございます。
次に、二ページをお開き願います。要求資料第2号、投資的経費(うち単独事業)の推移でございます。
こちらは、平成二十三年度から二十七年度までの五年間における投資的経費の推移をお示ししたものでございます。
続いて、三ページをお開き願います。要求資料第3号、性質別歳出の推移(一般会計予算)でございます。
こちらは、平成十八年度から二十七年度までの十年間における性質別歳出の推移をお示ししたものでございます。
続いて、四ページをお開き願います。要求資料第4号、「第二次主要施設十か年維持更新計画」対象施設のうち、前計画で具体的に名前があがっている施設で、未着手の施設一覧でございます。
こちらは、新計画の対象施設のうち、前計画で具体的に名前が挙がっている施設で、未着手の施設名を第Ⅰ期から第Ⅲ期までの期ごとに一覧でお示ししたものでございます。
恐れ入りますが、七ページをお開き願います。要求資料第5号、「主要施設十か年維持更新計画」で具体的に名前があがっている施設のうち、対象外となった施設一覧でございます。
こちらは、前計画で具体的に名前が挙がっている施設のうち、新計画で対象外となった施設名を一覧でお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○和泉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○桜井委員 それでは、私の方から何点か質問をさせていただきたいと思います。
東京都の重要課題の一つとして都市更新が挙げられますが、その中で、三月二日に発表された第二次主要施設十か年維持更新計画についてお伺いをしたいと思います。
都有施設は、都民がさまざまな行政サービスを受けることのできる身近な施設であるだけでなく、災害発生時には防災拠点や帰宅困難者受け入れ施設としての役割を果たすなど、都民のみならず東京を訪れる全ての人々にとっても重要な施設であります。
これらの施設は、昭和四十年代と平成一桁の時期に、その多くが整備され、前者については施設そのものの老朽化が進行し、後者については設備を中心とした改修時期を迎えているわけであります。このような状況の中、施設の機能不全などにより行政サービスに影響を与えないよう、計画的に維持更新を図ることが重要であります。
そのため都は、平成二十一年二月に主要施設十カ年維持更新計画を策定し、都有施設の計画的な整備を進めてきたわけでありますが、そこで、現在の十カ年計画の実施状況はどうなっているのか、最初にお伺いをいたします。
○室木建築保全部長 前計画である主要施設十カ年維持更新計画の策定から六年が経過し、その間、関係機関調整が完了し事業着手の条件が整った施設や、耐震化推進の必要な施設などを積極的に前倒しするなど、柔軟性も確保しながら、計画的な施設整備を進めてきたところでございます。
また、個別事業の実施に当たりましては、利用者の利便性や快適性の確保、省エネ、再エネの推進なども行ってきました。
その結果、六年間におけます進捗状況としては、計画施設として具体的に名前が挙がっているもののうち、六割強の施設で事業に着手しております。
また、予算ベースでは、概算事業費八千三百億円程度の約六割に当たります約四千九百億円が予算化されました。
これらのことから、前計画はおおむね順調に推移してきたと認識しております。
○桜井委員 ただいまの答弁で、計画策定から六年の間、維持更新が着実に進めてこられたことは確認させていただきました。
しかしながら、計画の策定後、さらなる社会インフラの長寿命化や環境負荷の低減などの新たな取り組みが求められており、こうした中、昨年の第二回定例会の我が党の代表質問に対し、財務局長から、平成二十七年度からの新たな十カ年計画を今年度中に策定する旨の答弁があったわけであります。
そこで、なぜ計画の見直しが今の時期なのか、また、新たな計画を推進するに当たっての主要な取り組みについてお伺いをいたします。
○室木建築保全部長 計画策定から六年が経過し、その間に新たな行政課題も発生しており、これらに適切に対応するため、改めて十カ年の維持更新計画を策定いたしました。
次に、今回策定した第二次の維持更新計画における主要な取り組みとしては、まず、建築物の長期的な使用に対応可能な施設整備上の工夫、適切な保全を実施するなどにより建築物の長寿命化を推進することや、次に、防災対策や省エネ、再エネなどの行政施策を反映して施設整備を推進すること、さらに、都の施策と連動した都有財産の利活用を推進することの三点を基本的な柱として取り組んでまいります。
○桜井委員 今回発表された新たな十か年計画では、前計画の第Ⅲ期計画分を含めた形で、平成二十七年度から平成三十六年度までの十年間で、選定対象施設は合わせて三百五十六施設、その総延べ床面積は一般会計で管理する施設の約三一%に当たる約三百万平方メートルとなっております。
また、今回、新たに都有施設の目標使用年数を六十五年以上と設定するとともに、記念性や芸術的価値のある施設などは、さらに長期的な使用も目指すとしているわけであります。既存建物を工夫しながら生かすことは大切なことであり、長く使い続け、次世代に価値のある資産として継承していくことは重要なことだと考えます。
そこで、今後どのようにして長寿命化を推進していくのか、お伺いをいたします。
○室木建築保全部長 都有施設は都民の貴重な財産であることから、長期にわたり良質なストックとして有効に活用していくため、建築物の長寿命化を推進していくことが重要であります。
長寿命化を推進するに当たっては、設計段階においては、設備、間仕切りの変更などが容易となるよう平面計画や設備計画に柔軟性を確保することに加え、施工段階においては、一層の品質確保に向けた取り組みを実施するなど、施設整備上の工夫を図ってまいります。
また、維持管理の段階におきましては、施設の点検、修繕、改修など、メンテナンスを着実に実行するなど、適切な維持管理と保全を行う予防保全型維持管理を積極的に実施してまいります。
これらの取り組みなどを適切に進めることにより、今後、維持更新していく都有施設の目標使用年数を原則として六十五年以上としてまいります。
○桜井委員 ぜひ、設計、施工段階からさまざまな工夫を図るほか、予防保全型維持管理の積極的な展開などにより、建築物の長寿命化を推進していっていただきたいと思います。
次に、新技術等の積極的な採用についてお伺いをいたしたいと思います。
本計画では、施設整備に当たって長寿命化の推進や省エネ、再エネの利用拡大など、さまざまな取り組みを推進するために、民間が開発する新技術や既存の有用な技術を積極的に採用することとしております。
そこで、今後、新技術を都有施設へ採用していく意義についてお伺いをいたします。
○室木建築保全部長 今回策定いたしました第二次の維持更新計画におきましては、施設の長寿命化の推進や、省エネ、再エネのさらなる推進などを計画に示したところでございます。これらを進めるには、既存の有用な技術のみならず、民間が保有する新技術を積極的に活用するなどしていく必要があります。
このため、来年度から、建築技術革新支援事業を実施いたします。この事業の実施によりまして、都有建築物の一層の性能の向上が図れるほか、民間企業にとりましては、みずからが保有する最新の技術などが都有施設の整備に活用されますので、その技術の普及や各企業の開発意欲の高揚、さらには、技術開発の促進につながっていくものと考えております。
○桜井委員 今回の計画期間における概算事業費は、七千五百億円程度が見込まれておりますが、前回計画が八千三百億円程度であったから、約一割の削減になっております。折しも建設費の高騰が続いており、現段階でどのような改修、改築を行うかがはっきりしていない施設もある中、十年後の経費を見込むことが難しいことは想像できるわけであります。
そこで、十年先までの将来的な経費である今回の七千五百億円という概算事業費の積算に当たって、例えば昨今の建設費の高騰などは織り込んでいるのか。また、本計画の実施に当たっては、選定対象施設の老朽度合いの詳細な調査や地元調整などの状況を踏まえ、柔軟に対応していくことも必要であると考えておりますが、あわせて所見をお伺いいたします。
○室木建築保全部長 まず、概算事業費については、過去に実施された類似施設の維持更新費用などを参考にいたしまして、資材価格の高騰や労務費の上昇を加味して単価を設定したり、直近の建設単価を採用するなどいたしまして、最近の建設環境を踏まえた単価をもとに試算したものでございます。
次に、事業実施上の柔軟性についてでございますが、第二次の維持更新計画を進める過程におきましては、事業着手に向けた関係機関調整の早期終了や、老朽化が進行し維持更新の必要性が高まるなど、計画外の状況も発生することも考えられます。その際、各局で作成いたします事業計画の内容、現況調査などから、維持更新の必要性の検討などについて技術的支援を行うなど、柔軟に対応してまいります。
このような施設を維持更新する場合におきましても、本計画に示した趣旨を踏まえながら、長寿命化や環境対策を初めとしたさまざまな取り組みを進めてまいります。
○桜井委員 過去、都有施設の維持更新が都政を取り巻く社会経済情勢の変化に翻弄されたことを踏まえ、今後どのように対応していくのか、将来を見据えた長期的な計画の策定は重要であります。そのためにも、今回策定した新たな十か年計画に基づき、都民の貴重な財産である都有施設の維持更新を着実かつ適切に進めていただきたいと思います。
次に、平成二十七年度予算に関連してお伺いをしたいと思います。
我が党の高木政調会長が先般の予算特別委員会で取り上げましたが、積極予算として編成した今回の予算のポイントの一つとして、投資的経費が前年度に比べ一〇・七%増加し、十七年ぶりに一兆円台となったことが挙げられます。これは、オリンピック・パラリンピックに向けた競技施設等の整備や災害に強い都市づくりなどに財源を重点的に配分した結果であろうと思います。
国は、かつて民主党政権下で、コンクリートから人へという理念のもと公共事業費を減らしてきました。安倍政権になって以降、国土強靱化を進める方向に方針を転換してきたわけでありますが、ここ十年で見れば、当初予算ベースで二割減となっております。
一方、都は、投資的経費を十一年連続で伸ばしてきており、そこには明らかな方針の違いがあるようにうかがえます。
そこで、都は、今年度どういう考え方に基づいて投資的経費をふやし、一兆円台まで伸ばしたのか、改めて確認をしたいと思います。
○潮田主計部長 都民の安全・安心を確保し、日本経済を牽引していくためには、災害に強い都市づくりや都市機能を進化させるインフラ整備などを着実に進めることが重要でございまして、東京都はこれまでも、こうした事業に財源を重点的に配分してまいりました。
平成二十七年度予算におきましても、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化や、社会資本ストックの老朽化対策のほか、骨格幹線道路の整備や鉄道の連続立体交差化の推進など、高い効果の得られる事業を積極的に推進していくこととしてございます。
こうした取り組みにより、投資的経費は前年度に比べ一〇・七%増の一兆百七十四億円となり、とりわけ単独事業につきましては前年度に比べ一四・三%増となってございます。
○桜井委員 都民の安全・安心の確保や東京を快適な都市にしていくためには、先ほどご答弁のあった木密対策の推進などは、いずれも重要な施策であり、我が党がこれまで強く要望してきた事業であります。こうした取り組みを着実に推進していくことを評価したいと思います。
私の地元の墨田区でも、京成押上線で鉄道連続立体交差事業が進んでおりますが、地元の住民からも大いに期待する声を聞いております。こうした事業の財源には貴重な税金が充てられるわけですが、それとともに、重要な財源が都債です。
道路の整備や橋梁の改修といった事業は、完了までに相応の費用を要する一方、その便益は将来に及び、都債でその事業費を賄うことにより、今の住民と将来の便益を受ける住民とが公平に負担をすることになるわけです。また、景気変動などで税収入が落ち込む場合には、都債を活用することで財源不足を補い、安定的かつ計画的な事業の執行を担保しております。つまり、都債は単なる借金ではなく、世代間の負担の均衡と財源の年度間調整という機能を持つ重要な財源なのであります。
緊急輸送道路の整備など、防災対策を初めとしたさまざまな社会資本の形成を進めていくためには、都債は欠かすことのできない財源であり、ただやみくもに抑制すればいいというものではありません。一方、今後、少子高齢化や人口減少が進む中にあっては、将来の財政負担を考慮するという視点も不可欠であります。
そこで、投資的経費の財源としての重要な都債について、その平成二十七年度の発行の考え方をお伺いいたします。
○潮田主計部長 東京都は、今後、オリンピック・パラリンピックに向けた準備を初め、社会資本ストックの維持更新への対応、都市防災力の強化など、多岐にわたる重要課題に取り組んでいく必要がございます。
こうした中にあって、災害に強い都市づくりや都市機能を進化させるインフラ整備の財源を安定的に確保するためには、都債の活用は極めて重要でございます。
あわせまして、今、副委員長からご指摘ございましたように、少子高齢化や人口減少が進むことも踏まえ、将来世代の負担にも十分に配慮しながら、都債を活用していくことも欠かせない視点でございます。
そうした観点から、平成二十七年度一般会計予算におきましては、投資的経費は大きく伸びてございますが、都債は前年度と同水準の四千四百九十五億円とし、その効果が将来世代にわたる社会資本ストック形成にしっかりと反映されることとなります。
なお、こうした発行を行いましても、起債依存度につきましては六・五%と前年度よりさらに低い水準となっております。
○桜井委員 毎年度の起債依存度を抑えていくことは重要でありますが、同時に、都債残高についても常に注視していかなければなりません。バブル崩壊後の財政運営の歴史を振り返れば、平成四年以降、都税収入が大幅に減少する中にあっても都民サービスを急激に低下させないよう、歳出水準を維持する必要がありました。そのために、投資的経費は少しずつ減少をさせながらも、急激な削減には至らず、その財源を都債の積極的な活用等により賄ってきた結果、都債残高は大幅にふえ、一時は約七・六兆円にまでなりました。その後、二次にわたる財政再建の取り組みにより、施策の見直し、再構築などを進め、二十年度には約六・三兆円というピーク時から約二割の削減ができました。
しかし、平成二十年九月に発生したリーマンショックの影響で大きく落ち込んだ都税収入を補うために、都債を活用して必要な財源を確保せざるを得なかったことから残高は再び増加に転じましたが、その後の都税収入の持ち直しや事業評価の取り組みなどと相まって、都債の残高を減少傾向とすることができたわけであります。
二月に公表された財務局の発表資料では、平成二十七年度も都債発行は抑制基調となっているものの、結果としては、年度末の残高が六兆一千七百三十六億円と前年度に比べ〇・七%の微増となっていることから、その要因を確認していきたいと思います。
平成二十七年度末の都債残高の増加が見込まれる理由と現在の残高について、どう認識しているのか都の見解をお伺いいたします。
○潮田主計部長 財政再建の取り組みや事業評価を通じた事業全般の不断の見直しなどを得まして、今、副委員長からるるお話ございましたけれども、近年、都債残高は低水準で推移をしているところでございます。
その中で、毎年の都債残高の増減は、その年度の発行額が償還額より少なければ減少いたしますし、逆に、発行額が償還額より多ければ増加するという仕組みとなっているところでございます。
平成二十七年度末の都債残高につきましては、過去の発行抑制によりまして、償還額が減少する中でのものであることから、差し引きで申しますと、結果としては微増となっているというところでございますが、引き続き低水準であるという見込みでございます。
なお、長期債務残高を国や地方全体と比較しますと、都は六・二兆円で税収の一・二倍、国は八百七兆円で税収の十四・八倍、地方全体で申しますと百九十九兆円で税収の五・三倍となっております。このことから、都債残高の水準は国や他の自治体と比べましても低い水準にございまして、都財政は高い健全性を維持しているところでございます。
今後とも、都債残高に十分留意しつつ、中長期的な視点に立って健全な財政運営を行ってまいりたいと考えております。
○桜井委員 現在の都債残高を見れば、都財政は健全性を保っていると考えます。
国は現在、財政の健全化に向け動き出してはいるものの、国と地方の借金は二十七年度末で合計一千兆円を超えており、このままでは我が国も、欧州の幾つかの国のように、財政危機に陥るのではないかという懸念も生じております。いたずらに子や孫の将来世代にツケを回すようなことがあってはならず、負債の残高には常に目くばせをしていくことが重要であります。
税収が不安定な都財政においては、都債を安定的な行政サービスを行うための重要な財源として活用しながらも、その一方で、将来の財政負担を十分考慮するという二つの命題を両立させていかなければなりません。
今後も、中長期的な視点に立って、将来を見据えた健全な財政運営を引き続き行うよう求めておきたいと思います。
ここまで、平成二十七年度予算の一つの特徴である投資的経費について、その考え方と財源である都債の重要性について論じてまいりました。
東京が、その活力を高め、日本全体を牽引していくためには、都市インフラの整備や都市防災機能の強化、都有施設の維持更新などを着実に進めることが不可欠であります。日本経済が上向きつつある今こそ、東京はみずからがなすべき役割をしっかりと果たして、日本の先頭に立って引っ張っていかなければならないわけであります。
そこで、最後に、東京、そして、日本全体の発展に向け、都市インフラ整備などの重要課題に着実に対応するため、その財源を今後どう安定的に確保していくのか局長の見解をお伺いいたします。
○中井財務局長 ただいま副委員長からご指摘ございましたとおり、東京の活力を高め、持続的発展を実現していくためには、それを支える確固とした原動力、すなわち、都市インフラや経済インフラの整備などが必要となってきます。
外環道を初めとした骨格幹線道路や東京港の整備などは、東京の産業活動を活発化させ、国際競争力を高めることに大いに資するものであり、東京の将来の可能性を最大限に引き出し、日本経済を牽引する力となるものでございます。
しかしながら、不安定な構造にあります都の財政状況におきましては、こうした事業を中長期的に安定的かつ着実に実施していくことはたやすいことではございません。
このため、後年度の負担や財政の健全性に十分配慮しながら、都債や基金を適切かつ効果的に活用していくことが極めて重要であると考えております。
今後とも、社会経済情勢の変化による税収動向などを十分に見きわめながら、安定的かつ継続的な施策展開を支える財政の対応力の堅持に努め、都の重要課題を着実に解決し、東京、そして、日本全体の発展に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。
○桜井委員 今後は、少子高齢化や人口減少に伴う社会構造の変化なども待ち受けておるわけでありますので、また、今月民間のシンクタンクが発表した大企業の意識調査では、オリンピック・パラリンピックの開催後に、公共工事の減少や消費者心理の冷え込みを懸念している声も多く出ているようであります。こうした点もしっかりと考慮し、引き続き都債や基金を適切に活用しながら、東京の活力を支える都市インフラの整備などを着実かつ安定的に進めていくことを求め、私の質問を終わります。
○鈴木(貫)委員 私の方から、予特、また代表質問等で基本的な御局に属する論議はしておりますので、きょうは、論点を一つに絞り質問をしたいと思います。テーマは、第二次主要施設十か年維持更新計画についてのみ質問をさせていただきたいと存じます。
いうまでもありません。世界一の都市東京の実現を目指す我々の東京は、良質な社会資本ストックを次の世代にどのように継承をしていくのか。当然、各種インフラ、都有施設の整備を着実に行っていく必要があるということはもう論をまちません、当たり前のことであります。とりわけ都有施設は、都民生活、私たちにとって、さまざまな行政サービスを受ける、また、都はサービスを提供するための拠点でありますから、先ほどもテーマにあった事後保全の立場ではなくて、私は、あくまでも予防保全の立場からこれをきちっと、都有施設を計画的に維持更新をしていくこと、これは大変な都民の財産を預かる上で重要な考え方だと思います。
また、皆様方の先輩であられた方も、この種の論文を何個か出していますので、私もよく読んで理解をしているつもりでありますけれども、もっともっと深掘りをしていきたいと、こんなふうに思っております。
そこで、きょうは、まず第一点目にお伺いしたいんでありますけれども、この印刷物を読んでみたときに、新しい概念、ZEBですか、ゼロ・エナジー・ビルディングと、こういう言葉もちりばめられている今回の報告書でありますので、先ほどあったとおり十カ年維持更新計画の策定から六年が経過をし、当然、私たちの住む東京の環境も大きく変化していることはもう論をまちません。
こうした中で、今回の計画の大きなポイント、これは那辺にあるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
○室木建築保全部長 今回策定いたしました第二次の維持更新計画におけるポイントでございますが、二点と考えております。
まず一点目でございますが、建築物の長寿命化でございます。
都有施設は都民の貴重な財産であり、長期にわたり良質なストックとして有効に活用することが重要なため、原則として六十五年以上の使用を目指してまいります。
次の二点目でございますが、環境負荷のさらなる低減でございます。
これまでも、施設整備に当たり最新の省エネ・再エネ東京仕様を全面的に適用するなど、環境負荷の低減に向け取り組みを行ってきましたが、今後もさまざまな環境対策に取り組んでまいります。
○鈴木(貫)委員 ポイントは二つ、長寿命化と環境負荷の低減という、この二つの位置づけというものはよくわかりました。
そこでまず、私の方からは、長寿命化について承っておきたいと思います。
建物の使用年数、建物の用途や規模によって異なることは当然だと思います。例えば学校施設、文科省の資料等によりますと、改築までの平均年数は、鉄筋コンクリートの場合、おおむね四十二年と私は承っておりますけれども、この年数と比較しても、今回の計画では今後六十五年以上を目標に取り組むとしておられるわけですね。
都民の貴重な財産を長期にわたり使おうとする東京都の姿勢は私もよくわかりますし、大事に使っていこう、それを行政サービスとして提供していくという、そのコアの部分はよくわかりますけれども、建築物の長寿命化を推進することによって、各分野で非常に大きな効果が発揮されるのは今申し上げたとおりでありますから、改めて私が聞きたいのは、この効果、具体的にどういうふうに期待されるのか、もうちょっとわかりやすくお示しをいただきたいと思います。
○室木建築保全部長 建築物の長寿命化を推進することによる効果でございますけれども、まず、解体周期が長くなることによりまして、建築物の解体時、もしくは改築時に発生する廃棄物や二酸化炭素の排出量の低減が図られます。
また、建設資源の有効活用、埋立地の延命化などの効果も発生いたします。
また、建築物の企画から解体するまでの間に要する費用、いわゆるライフサイクルコストでございますが、このコストにつきましても、低減に寄与するものでございます。
○鈴木(貫)委員 承っていますと、いいことずくめのようでございますね。それはそれとしてわかるんですけれども、しかし、古くなった建築物を単に数十年前の建築時の状態に戻すだけでは、建築物自体の耐用年数は長期化したとしても、建物の機能向上、都民サービスの向上につながっていくのかどうかという、当然こういう疑問を持つ人も出てくるでしょう。改築をしたと同等な水準までを可能な限り確保することが重要ではないのかなと、こう私は前置きをしておきたいと思います。
そこで、長寿命化のために行う、今度は施設整備の基本的な考え方、これについてお答えをいただきたいと思います。
○室木建築保全部長 長寿命化を図るべきとした施設におきましては、所要の時期に改修工事を行うこととなります。
その際、老朽化に伴う機能回復にとどまることなく、施設の用途などに応じまして、窓や壁の断熱性能の向上や高効率設備の導入などによる省エネ化、再生可能エネルギーの活用、防災性能の向上、あるいは多摩産材の利用ですとか、バリアフリー化に向けた昇降機設備の設置などを行っていく予定でございます。
すなわち、委員ご指摘のありました機能回復のみならず、既存建築物といった制約があるものの、可能な限り改築する場合と同様な性能と機能を持ち、都民サービスの向上に資するよう、今回の第二次の維持更新で示しました取り組みを推進してまいります。
○鈴木(貫)委員 具体的なことは、今お聞きして、よくわかったつもりであります。
皆様方の先輩が書いた論文を私も読んでみて、なるほどなと思いました。お名前はあえて申し上げませんけれども、予防保全の考えの中でも、私も読んでわかるのは、時間基準保全だとか、状態基準保全だとか、これ技術を持っている方でなきゃなかなかわからない言葉でありますけれども、しかし、これの補足の言葉を見ると、時間基準保全、時間の経過に合わせて定期的な更新などを行っていく、なるほど、こういう意味なんだなということ。それから、状態基準保全という言葉が出ています、いろいろなビルに伴う機器等の状態に応じて修繕等を行っていくべきだと。そういうものを予防保全の中に入れて、それからまた、事後保全とどう組み合わせていくか、これをしっかりとやっていく、こういう考え方を持つべきだと、こういう考え方もありましたね。
いずれにしても、いろんな考え方を持ち、今お答えいただいたことを気にしながらやっていただけるものと、私はこのように思っていますから、よろしくお願いをしたいと、こう思います。
それで、次の二つ目のポイントの二つ目でありますね。次は、環境問題についてです。
さっきZEBという言葉を、新しい概念の言葉として私は使わせていただきました。これは専門用語でありますから、パソコン等で開いてみても、飛島建設だとか、大成建設だとか、三建だとか、高砂熱学とか、企業の名前出して申しわけないんですけれども、いろいろなものにZEBという言葉がきちっと羅列をされて、私たちも読んでみて、なるほどなと、そういう思いは素人でもよく読んでみてわかるような感じを、きょうは、この勉強をする、質問をするに当たって、私も感じ取ってまいりました。しっかりとこういう面も取り組んでいただく、これがやはり、民間では進んでいるようでありますけれども、東京都のレベルになったときに、ここにも書いてありますけれども、具体的に、このZEBとはどういうものなのか、そしてまた、東京都として現在どんな状況の取り組みをなさっているのか、おわかりであればお答えをいただきたいと思います。
○妹尾技術管理担当部長 ZEBとは、英語で、ゼロ・エネルギー・ビルディング、その頭文字をつなげた略称でございます。年間のエネルギーの消費量の収支を、ゼロまたはおおむねゼロとする建築物であります。
都有施設をZEBとするには、大幅な省エネ化を実現した上で、太陽光などの再生可能エネルギーを利用して、施設内で消費するエネルギーを全てつくり出す必要がございます。
委員からもお話のありましたように、民間ではZEBの実現に向けて研究が進んでおりますが、現時点では道半ばでございまして、都では、こうした民間における研究の進展状況や、最新の省エネ技術や再生可能エネルギーの利用技術などについて情報収集を行って、都有建築物におけるZEBの実現の可能性について検討を進めているところでございます。
○鈴木(貫)委員 しっかりやっていただきたいと、私からも懇願をさせていただきたい、こう思っております。
この項について、以上の質問が二つ、ポイントが二つということを私も聞いたものですから論を進めてまいりましたけれども、長寿命化の推進また環境負荷の低減などを進めていく上で、今後の取り組みについて、いろいろ私も確認をさせていただきました。
そうはいうけれども、これからの取り組みを展開していくためにも、当然それなりにコストがかかってくると思います。先ほどもありましたとおり、資材や人件費の高騰なども大きくのしかかってくると私は思います。人件費等々は、これは我々としても当然やっていただきたいテーマでもありますから、当然だと思いますけれども。そこで、でも計画された事業が概算事業費内におさまるためにも、やはり具体的に、どうやってこれを動かしていくべきか、動かさざるを得ないのか、その辺をちょっとお答えいただきたいと思います。
○室木建築保全部長 最近、建設資材の価格や労務費が高騰しているのは事実でございます。
この状況下における対策といたしまして、例えば予算見積もりの段階におきましては、各施設の整備範囲ですとか、整備すべき内容、あるいは整備の手法などにつきまして、さらなる精査を行っていく必要がございます。
また、施設の設計段階におきましては、標準品や汎用品の採用、あるいは工事用製作資材の有効活用などを図りまして、低コストで調達可能な資材をより多く使用するなどの工夫を凝らす必要がございます。
こうした維持更新の手法ですとか、内容の精査、設計上の工夫など、コスト管理におきまして有効な取り組みをより多く重ね、概算事業費内におさまるように努めてまいります。
○鈴木(貫)委員 そうですよね。全体のコスト縮減をどうやって図っていくか、十カ年計画の総事業費内におさまるようにしっかりと組み立てて、これを行っていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
最後に、局長に伺いたいんでありますけれども、今まで何項目か、二つのポイントを中心にしてやってまいりましたけれども、財務局の持つ建築技術、財産の利活用、予算、それから、契約といった機能をフルに発揮して各局をサポートしていくことが私は大事ではないのかなと、こう思いますね。財務局、そして、打って一丸となって、最後に、局長の決意を承りたいと思います。
○中井財務局長 都有施設は行政運営を支える基本的な施設であり、都民サービスの拠点となるとともに、災害時にも大事な役割を果たすことから、その機能を十分に発揮できるよう、常に老朽化などへの適切な対応が必要でございます。
一方で、こうした取り組みは多額の財源が必要となることから、都有施設の維持更新を進めるに当たっては、都民の理解を得られるようにすることが必要不可欠でございます。
こうしたことから、都有施設については、長寿命化によるトータルコストの削減、省エネ、再エネによる環境負荷の低減、さらには、統廃合などの推進による施設の最適化などを実現し、都民サービスの向上や、施設の効率的、効果的な整備活用を常に追求していく必要があると考えております。
その取り組みに当たっては、財務局が持つノウハウを最大限発揮し、企画構想の段階から予算編成、契約、施工管理に至るまで、さまざまなステージで各局と密接に連携し、十分な調整と的確な支援を行っていくことが重要でございます。
また、来年度から実施する建築技術革新支援事業を活用して、民間の新技術も積極的に取り入れ、都有建築物の一層の性能向上にも努めてまいります。
今後とも、施設の維持更新を着実かつ適切に進め、都有施設が最少のコストで最大の効果を発揮できるよう、財務局一丸となって全力で取り組んでまいります。
○植木委員 私は、三月二日の財政委員会で提案された契約案件に関して、品確法に基づいて検討し、発表された運用指針の適切な運営について質問をしてきました。その上で、きょう改めて伺いたいというふうに思います。
現在の公共事業を取り巻く状況というのは、オリンピック施設整備や東日本大震災復旧事業、建築物、施設、あるいはインフラの維持更新などで、公共事業そのものが増加している。その一方で、これまでの建設産業政策の弱点から、人手不足、技術者不足というところがあらわれてきた。三K職場であり、賃金も安い職場として人手不足が常態化してきた。このまま担い手不足を解消しないで進めると、公共事業の品質にもかかわる問題が起き、事業そのものが成り立たなくなるという根本問題に直面して、品確法など、いわゆる担い手三法改正になってきたと思っています。いわば社会的な要請があり、時代の背景が後押ししているわけです。
だから、公共事業の入札契約という仕組みの中で、担い手確保のために設計労務単価を三年にわたって引き上げ、賃金引き上げなどを企業にお願いをする。そのために企業の利益についても触れざるを得ないなど、多くの手だてが必要になってきていると、こういうふうに思っていますが、このような状況は、都の財務局としてはどう考えているでしょうか。
○松永契約調整担当部長 建設現場の担い手不足や若年入職者の減少を踏まえ、改正品確法の理念である担い手の中長期的な育成、確保を実現していくことは、将来にわたって公共工事の品質確保を図っていく上で重要であると考えております。
こうしたことから、国は、労働市場の実勢価格を適切に反映するとともに、社会保険への加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額を反映させた新労務単価を決定し、都においても、二月から適用しているところでございます。
今後とも、新労務単価の改定を踏まえた技能労働者への賃金水準の引き上げや法定福利費相当額を適切に含んだ額での下請契約となるよう、事業者団体に対して引き続き要請してまいります。
○植木委員 しかし、今後も、公共事業そのものが増加していくという状況にあるかどうかという問題だと思うんです。オリンピックの後にも、今の延長線上に建設市場が右上がりで続くとは限らない、あるいは逆のベクトルになるということもあると思うんです。その状況によっては、賃金水準や設計労務単価も、右肩上がりがずっと続くということではないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○松永契約調整担当部長 賃金に限らず、将来の経済情勢を見通すことは、そう簡単ではございません。そうした中にあっても、都の公共調達は経済状況などによる低入札や不調の増加などの短期的な状況変化や、担い手不足などの中長期的な構造の変化へも対応しながら、そのプロセスにおいて都の政策実現にも寄与していくことが重要であると考えております。
今後も、このような考え方に基づいて、入札契約制度改革や運用改善への取り組みを続けてまいります。
○植木委員 入札契約制度の改善、これは当然のことですけれども、ここでは品確法運用指針の基本的な考え方、それから、どうするかという具体的な手だても含めて出された、その点が非常に重要だと思うんです。そういう点から見ると、やはり賃金水準の維持などについて、公契約に関して一定のルールが必要だということを私はこれまでも主張してきましたけれども、そういうルール化の問題についてはいかがでしょうか。
○松永契約調整担当部長 持続的なインフラ整備のため改正品確法が施行され、本年四月からは、各自治体が発注者共通の指針である、いわゆる運用指針にのっとって取り組みを進めていくことになっております。この改正品確法では、品質確保の観点から、公共工事従事者の労働条件や労働環境の改善への配慮が新たに受発注者相互の基本理念として位置づけられました。
こうした認識のもと、事業者団体に対しまして、適正な賃金水準の確保を要請するなど、担い手の中長期的な育成、確保につながる取り組みを実施しております。
都は、現在進めている入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みを通じまして、改正品確法の趣旨を総合的に実現してまいります。
○植木委員 今の答弁にもありましたように、運用指針にのっとって、公共工事従業者の労働条件、これらに対しての配慮、それから、受発注者の基本理念とまで答弁がありましたけれども、そういう水準が求められてきていると思います。しかし、いつまでも事業者にお願いを繰り返す、あるいは実態調査を行って実際に行われているかを誘導する、そういう範囲でいいのか。この問題に今、私は、直面せざるを得ないというふうに思っています。
私は、公契約に関して、業務の質の確保や公契約の社会的な価値の向上のために、担い手確保、育成が急がれているし、賃金などの労働条件の改善を進める必要から公契約に一定のルールが必要だ、そして、都として、公契約条例について検討に踏み切るべき時期に来ているというふうに、私は、これまでの質疑の中で、たびたび訴えてきました。
千葉県の野田市が最初に公契約条例を制定しましたが、その後、条例は、県段階では奈良県が昨年七月に制定され、政令指定都市では川崎市、都内では渋谷、世田谷、足立、千代田、多摩市、国分寺など六区市、全国で十三自治体が条例制定をしてきました。
公契約条例を最初に制定した千葉県野田市では、公共事業におけるダンピングや低入札価格が繰り返される中で、下請の事業者や業務に従事する労働者にしわ寄せが行われ、ワーキングプアが常態化し、若年労働者が減少していくことに危機感を抱いて、本来国がこうした状況を改善すべきだ、ところが国が何もやらないなら自分たちでやる、こういって、公契約条例を制定したという経過があると思うんです。
そして、今日のように品確法ができ、企業の利益、設計労務単価の引き上げ、社会保険の加入義務化、こういうふうに一定の新しい観点が盛り込まれてきて、そういう意味で、公契約条例を制定するよい機会になっていると私は思っています。
ところが、財務局は公契約条例について、これまで私どもの質問に対して、整理、検討すべき課題がある、こういって、賃金や労働条件につきましては、労働者と経営者の自主的な交渉により決定されることを原則としつつ、最低賃金法や労働基準法などにより、最低限の基準を義務づけ、労働者の保護を図ることが、我が国の労働法制となっておりますと繰り返し答えて、実施に非常に消極的な態度を繰り返してきました。
そこで、まず、お伺いしたいと思うんですけれども、この品確法の趣旨は、賃金が最低賃金水準でよいといっているわけなのでしょうか、どうなのでしょうか。
○松永契約調整担当部長 我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において対等な労使間での交渉により自主的に決定されるものと考えております。
都の契約制度も、それに立脚しており、これまでも我が国の法制度に従い、契約に当たり受注者に対しまして、契約約款により法令遵守を義務づけ、適正な労働環境の確保を図っております。
改正品確法では、品質確保の観点から、公共工事従事者の労働条件や労働環境への改善への配慮が基本理念として位置づけられており、都は、事業者団体に対しまして適正な賃金水準の確保を要請するなど、担い手の中長期的な育成、確保につながる取り組みを実施しております。
○植木委員 同じ内容ですけれども、違う角度でお聞きしたいと思います。
平成二十一年の国会で、最低賃金法と公契約条例の関係に関する質問主意書というのが提出されました。公契約条例の中で、地域別最低賃金を上回る最低賃金と罰則を規定する場合について、最低賃金法からいかなる制約を受けるかという質問に対して、閣議決定された政府答弁では、当該条例において、地方公共団体の契約の相手方たる企業などの使用者は、最低賃金法第九条第一項に規定する地域別最低賃金において定める最低賃金を上回る賃金を労働者に支払わなくてはならないこととすることは、同法上問題となるものではないと明確に答えておりますが、これについてはどのように受けとめているでしょうか。
○松永契約調整担当部長 都は、これまでも公契約条例については、労働関係法令に基づき、自主的に定められた労働者の賃金に関して、それ以上の支払いを条例で課すことは、労働政策上、産業政策上の観点から、整理、検討すべき課題が指摘されていると主張してまいりました。
ご指摘の法律解釈については承知しており、これまで国による立法措置上の課題として、その動向を注視してまいりましたが、この点について、改正品確法には反映されておりません。
都は、引き続き現行法令のもと、入札契約制度の適切な実施に努めてまいります。
○植木委員 反映されていないというふうにばっさり切っていますけれども、政府答弁についても、承知しているという程度のものじゃないと思うんですよ。政府見解のように、最低賃金以上の賃金を支払うことを条例で決めるということは、明らかに労基法に違反するものではないということが示されたわけです。
都は、公契約条例によって、公平性、公正性が損なわれるとも主張して、技術力はあるが、経営力が十分でないため、賃金水準を高くできない中小企業が入札に参加できない可能性があると答弁してきました。
これは、二月に出された運用指針の立場から見ると、非常におかしいと思います。指針では、予定価格の設定に当たっては、公共工事の品質確保の担い手が中長期に育成及び確保されるための適正な利潤を、公共工事を施工する者が確保することができるように、適切に作成された設計図書に基づき、経済情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行う。こういって、さらに、実際の取引価格と乖離しないよう、可能な限り最新の労務単価、資材等の実勢価格を適切に反映すると、こういうふうにしておりますように、賃金水準を高くできない、経営状態というのはそれぞれの企業によって違いますけれども、少なくとも契約ですから、皆さんは。契約の中では、きちっと積算をしていますよ、だから賃金を上げなさいよと、こういうふうに企業に求めていることではないんでしょうか。
○松永契約調整担当部長 改正品確法の趣旨は、適正な予定価格の設定を通じまして公共工事の品質を確保するとともに、中長期的な担い手の育成、確保を実現することでございます。
これまでも都は、最新の労務単価を適用するなど、適正な予定価格の設定に努めてまいりましたが、担い手確保の観点からも、こうした取り組みを進めていくことは重要であると考えております。
今後とも、担い手の中長期的な育成、確保に向けまして、公契約条例の制定という手段ではなく、現在進めている入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みを総合的に推進してまいります。
○植木委員 私は今の答弁を聞いていて、こういうことではないかなと思うんです。一つは、労基法には明確に違反していないと国が判断をしていると。ところが、きょうの答弁は、ちょっと去年の答弁と違ってきているんですけれども、去年はこういっているんです。公契約条例で設定された賃金条件のために入札参加できなくなるような状況というものを、私どもは容認すべきではないと、こういうふうにきつくいっているんです。容認すべきではないと。しかし、違反をしていないわけですから、容認すべきではないという、それをとるかどうかは都の判断ですから、当然あり得るとは思うんですけれども、容認すべきではないということとは違うという国の解釈だろうと思うんです。
それから、都自身が、私は、ある意味では介入していると。介入といういい方がおかしいですけれども、介入といういい方はちょっときついと思うんですけれども、労使間で自主的に決定されるものと、こういうふうにいいつつ、事業者に対して、労働者が既に経営者と賃金が決定されている、そういうはずの賃金に対して、もっと引き上げなさいよ、設計労務単価をやったんだからもっと引き上げなさいよと。明らかに、金額そのものをストレートにはいっていないけれども、設計労務単価という設計に必要な積算根拠を明らかにして利益を確保して、そして、賃金を誘導すべきだと、配慮しろと、こういうふうに明確にいっているわけですよ。そういうことだと私は思うんですけど、いかがですか。
○松永契約調整担当部長 改正品確法の趣旨は、繰り返しになりますが、品質確保の観点から、公共工事従事者の労働条件や労働環境の改善への配慮というものが基本理念として位置づけられておりますので、都は事業者団体に対しまして、適正な賃金水準確保を要請するなど、今後の都のインフラ整備のための担い手の中長期的な育成、確保につながる取り組みを実施しているところです。
○植木委員 明らかに公契約条例というものは、必要な時期に来ていると私は改めて思う次第であります。
本来、野田市のいっているように、これは国がルールをきちっとしないと、なかなか、都だけで進めるというのは困難なことは私も承知しています。しかし、国がやらない。野田市が先鞭をつけて今広がりつつある。建設産業を育成する。本来、産労局がやるようなことを、契約という中で品確法や運用指針に基づいてやっているところに、なかなか皆さんが踏み切れないところがあるんではないかという、これは予測をするわけですけれども、しかし、社会的な要請は、そこに来ているということは間違いないと私は思うんです。
私は、公契約条例を施行してきた自治体に対してアンケートを行いました。入札契約に関して、公平性、公正性が損なわれる問題があるか、または事業者から指摘されたことがあるかという質問もいたしました。
その中で、例えば多摩市や厚木市などでは、賃金下限額が設定されたことによって、入札に参加しづらいなどの事例はないなど、全ての回答が、そういう事実はないという回答でしたけれども、これについてはどのような感想をお持ちでしょうか。
○松永契約調整担当部長 公契約条例は、労働法制上あるいは入札の公平性、公正性などから整理すべき課題が指摘されておりますが、導入した自治体は、それぞれの自治体で判断しているものであり、都が他の自治体の回答について見解を述べる立場にはございません。
都は、現在進めている入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みを総合的に推進していくことで、改正品確法の趣旨を実現してまいります。
○植木委員 自治体から回答をいろいろもらってきましたけれども、その自治体も独自に、それぞれの自治体でアンケート調査も行っている自治体がありまして、そこからアンケートも一緒につけてきました。正式な回答とアンケートとセットで送られた自治体もあります。
こういうふうなことが確かに事例として出ていました。労働者の権利は重要ですが、雇用する企業が潰れたら意味がないのではないかといいつつ、こういうふうにもいっているんです。同じ質問の答えの中で、公契約条例とあわせて、受注者にも適正な競争で適正な利潤を確保する適正な積算を行ってくださいと。これ、まさに品確法や運用指針の理念だろうというふうに思うんですね。理念が必要だということをいっている。つまり、公契約条例とあわせて、受注者に適正な競争で適正な利潤を確保する。そうすれば、働く人に賃金もちゃんとやれますよというふうに、逆に、このアンケートの回答はいっている。つまり、繰り返しになりますけれども、品確法や運用指針の精神、基本理念だというふうに思うんですね。
いずれにいたしましても、公共事業がどうなろうと、やはり中長期的に担い手の育成、確保ができるような契約におけるルール、公契約条例が必要だということを改めて私は思います。
全国建設産業労働組合総連合という建設産業で働く労働者の団体が、大手ゼネコンとの賃金交渉などを毎年行っています。その報告書などを読ませていただきますと、その中で、企業側の幹部から、公契約条例について、このようにいっているそうです。現場の働き手のことを考えると有効である、公契約条例は否定するものではないというように、かつての否定的な考え一本やりではなく、変わってきているんですね。
変わってきているという点では、東京都の公契約条例に対する答弁も、先ほど一例を示しましたけれども、昨年の答弁と大分変わってきている、否定的ばかりではない、随分変わってきたなと私は思います。
ゼネコンの団体も、技能労働者を中心にではありますけれども、賃金の引き上げを決議をして上げていると、こういうような社会的な状況になってきていますので、やはり契約に関して、公契約条例について研究し、条例制定に前向きに取り組むよう重ねて要求いたしまして、この質問を終わりにします。
次に、第二次主要施設十か年維持更新計画、これについて質問をさせていただきます。
まず、主要施設十か年維持更新計画の意義、目的について、それから、先ほど来答弁がありましたので、あわせて、第一次の計画がおおむね六割で、おおむね順調に進めてきたとなっていますけれども、どのような総括をし、第二次計画策定に当たって、どのような改善、充実、あるいは新しい観点を打ち出してきたのかをお聞きします。
○室木建築保全部長 まず最初に、第二次計画の意義と目的でございます。
今回策定いたしました第二次の維持更新計画における意義あるいは目的につきましては、前計画と基本的に同様と考えております。
まず、意義につきましては、都有施設の老朽化の進行による更新施設の増加や、更新時期の集中などが及ぼす影響を軽減するとともに、十カ年の維持更新事業に見通しを持った計画としている点にございます。
次に、目的でございますが、十カ年におけます計画的な維持更新の実施に当たって、その目標や方向性を明確にすることにあります。
続きまして、総括並びに改善、充実の関係でございますが、六年間におきます進捗状況としては、計画施設として具体的に名前が挙がっているもののうち、六割強の施設で事業に着手してまいりました。
また、予算ベースでは、概算事業費八千三百億円程度の約六割に当たります四千九百億円が予算化されました。
これらのことから、前計画はおおむね順調に推移してきたと認識しているところでございます。
次に、第二次計画で改善、充実を図った点についてでございますが、まず、前計画では、設計段階での長寿命化への配慮を求めておりましたが、今回の計画では、それを含めまして、建築物のライフサイクル全体の保全の実施や目標使用年数を明らかにしたこと、同様に、環境対策では、二十六年度に改正した省エネ・再エネ東京仕様を全面適用したこと、さらには、長寿命化や環境対策を推進するため、民間の新技術を積極的に取り入れていくこととした点などが挙げられます。
○植木委員 先ほどの質疑の中で、ちょっと気がついたんですけれども、投資的経費が一兆円台になったというお話がありました。こういう維持更新計画、一次、二次と今回なってきているわけですけれども、財政面で、どういう効果、あるいはどういうことを期待しているのか、あるいは全く期待をしていないのか、その点についてお伺いできたらというふうに思います。
○室木建築保全部長 財政面の関係でございますが、先ほど委員のところでご説明申し上げましたように、都有施設の老朽化の進行により更新施設が増加してまいります。あるいは、更新時期が集中してきますと、財政上の負担が高額になってくるわけでございます。
そういう点を踏まえまして、それらを軽減するため、十カ年の維持更新見通しを立てたというものでございます。
○植木委員 幾つか、三点ほど、長寿命化の配慮、省エネ、再エネ、それから民間技術の積極的な取り入れという観点が出されて、新しい計画がされたわけです。もちろん長寿命化ということは、大変私はいいとは思っているんですけれども、必要なものまで先延ばしするということになれば、それはそれで問題だろうというふうに思うんですね。
きょう、資料に出していただきましたけれども、第一次更新計画で計上しながら、第二次主要施設十か年維持更新計画では計上しなかった三十四件、これについて主な理由を教えてください。
○室木建築保全部長 計画策定から六年が経過する間におきまして、各局の事業環境の変化が発生しているものもあり、それに適切に対応しながら、今回の第二次計画を策定したところでございます。
その結果、第二次計画で対象外となった施設もございまして、その主な理由でございますが、施設整備に向けた計画自体の見直しが発生したものや、耐震化整備プログラムに位置づけられた施設で耐震診断を実施した結果、必要な体力を有し補強などが不要となったもの、または民間へ移譲したものなどが主な理由でございます。
○植木委員 第二次計画から外れてしまったということですね。そうすると、ここにきょう資料もらったのは、一つは、先延ばしをしたもの、二次計画にはのっていると。それから、二次計画から外されたものと、この二つがあると思うんですね。
それで、まず、都立学校関係、ちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、私は、これまで維持更新について、大規模施設について大分問題にしたことがたしかありました。結果として、学校施設や都民の暮らしにかかわる問題に影響が出ないようにということをその当時いってきたと思うんです。
ここでは、第二次計画に先延ばしされた事例の中で、中野工業高校、第四商業高校、それから大泉桜高校、これなどが第二次計画の、Ⅱ期になっているんです。ですから、三十一年から三十三年に着手されるということだろうと思うんですけれども、特に生徒などの安全を確保し、災害時の避難場所にもつながる教育施設の維持更新が十年以上も先延ばしになるのは問題だというふうに思うんですけれども、長寿命化によって、こういうふうになったのか、それとも何か理由があるのか、機械的な先送りになってはいけないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○室木建築保全部長 前計画に位置づけがあったものの事業着手に至らず、今回の第二次の維持更新計画に位置づけた施設も存在しておりますが、これら事業着手に至らなかったものの多くは、土地問題で関係機関調整が未了であったり、工事期間中の仮移転先の確保が未了であったり、施設計画の与条件整理に時間を要しているなど、さまざまな理由が存在しておりまして、機械的に先送りしたものではございません。
例えば、委員からお話のありました中野工業高校についてでございますけれども、ここにつきましては、周辺道路が狭隘であるため工事用車両等の進入が課題となっており、工事用道路の確保に向けた調整が進められているところでございます。
また、第四商業高校及び大泉桜高校につきましては、敷地内に存在します赤道(あかみち)などの処理につきまして、地元区と調整が進んでいるところでございます。
こうした施設につきまして、現在も事業着手に向けた与条件整理の作業継続中のものでございまして、準備が整い次第、事業着手してまいります。
○植木委員 今、例示した三校については、与条件というんですか、与条件の整理に取り組んでおられるということで、中断しているんではないんだというご説明がありました。確かに私の地元中野工業では、周辺道路が細くて何とかしなきゃいけないと、妙正寺川を利用するのかとか、いろいろ出ていますし、隣の区立の中学校の跡地をどうするのかとか、いろんな課題があって、これは確かにそういう理由が明確だろうというふうに思うんです。
もう一点、都立広尾看護専門学校の改築が延期されたと、ホームページ見ましたら赤字でずっと出ています。都立広尾看護専門学校は、改修工事のため平成二十八年度から平成三十年度まで板橋看護専門学校旧校舎に仮移転を行う予定でしたが、改修工事及び仮移転は延期になりましたと、こういうふうになっているんですけれども、これは、理由は把握しておられるでしょうか。
○室木建築保全部長 都立広尾看護学校につきましては、平成二十五年度、福祉保健局より基本設計の執行委任を財務局が受けまして、財務局で基本設計を実施したところでございます。
通常であれば、引き続きまして実施設計や工事の施工に移行するところ、基本設計終了後に委任局から事業の延期が告げられたため、その後の作業は実施しておりません。
○植木委員 先ほど、第二次に対象外になった主な理由が三つほど挙げられていました。計画の見直しなのか、耐震診断を実施して、結果、補強が不要となったもの、あるいは民間へ移譲したものなどという理由が挙げられているんですけれども、これについては、何か理由は、はっきりしているんでしょうか。
○室木建築保全部長 先ほど説明させていただきましたように、私どもとすれば、事業の延期が告げられたのみでございまして、その理由については把握しておりません。
○植木委員 おかしいですよね。私、関係者に聞きましたら、なぜ延期になったのかわからない。もし延期になるんであれば、当然、耐震補強をするのか、長寿命化ということなら、それなりの措置がとられるのか。それもわからないまま計画から外れるということになると、この十年間、どうなるかが今全く未定なんですよね。十年先になるのか、あるいはもっと先になるのか、計画そのものが変わるのか、何も把握してないというそれ自体非常に私はおかしいというふうに思うんですね。
これは老朽化のため、第一次計画の中で既にもう出ていたものの一つなんですよ。それ、きちっと理由を調べていただきたいと思うんですけど、いかがですか。
○室木建築保全部長 理由については、先ほどご答弁したとおり、内容につきましては把握していないところでございます。
仮にの話でございますけれども、仮にでございますが、施設整備の条件が整ってきたような場合には、私どもは、柔軟に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○植木委員 第一次、第二次となってきて、先送りした事業があって、その中でも、理由がはっきりしているもの、していないもの、いろいろまじっていると。私は、少なくとも、都立の主要施設の維持更新計画というのならば、全てを明らかにしていただきたいというふうに重ねてお願いしたいと思います。
いずれにしても、長寿命化は、それ自体は大事なことです。きちんとした方針があればいいわけです。新規事業にするのか、計画の見直しなのか。先ほど幾つか、三点、出されましたけれども、そこをはっきりさせる必要がある。第一次では、平成二十一年度から三十年度まで、十年間で八千三百億円と見込んでいたのが、六年間で五千七百億円の見込みが四千九百億円、おおむね六割しか進まなかった。残事業は八百億円が先送りになった。それが今の二つの先送りの中にあらわれているんだろうと思うんですけれども、第二次計画は、十年間で七千五百億円ということが示されております。これで維持更新計画は終わるのかどうかということですよね。
私は前から、新規の箱物建設は抑制し、維持更新を重視すべきだと、こういうふうにいってきました。実際に、オリンピックを初めとした新規建設がずっとある。そのために維持更新が抑制されるということがあってはならないと私は思うんですよね。それで、先ほどちょっと財政的な効果のことも聞いたんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○室木建築保全部長 先ほどもご答弁申し上げましたように、今後、この施設整備を進めていく過程におきましては、さまざまな取り組みを実施しながら、全体のコストが概算事業費内におさまるよう努めてまいります。
○植木委員 ぜひ、そういう努力をしていただきたいと、新規建設やめて維持更新に力点を置くということをですね。
それで、環境問題についても一言お伺いしたいと思うんです。最も環境負荷の少ない東京の実現を掲げて、太陽光発電など再生エネルギーの利用促進を掲げています。都財務局の計画では、施設ごとに発電量が十キロワット以上となっています。余りにも少ない発電量に驚きました。これは家庭用の発電量とほぼ変わらない発電量しか目標に掲げていないわけです。もちろん、施設の規模や既設の建物で無理なやつはもちろんあります。しかし、少なくとも改築の場合は、設計も含めてやるわけですから、可能だというふうに思うんですね。
教育庁にお聞きしましたら、独自にこれまで二十五キロワットを基準にしていたそうですが、実際には、それ以上の発電もしているところもあると聞いています。そういう意味で、改築の場合などには、設計段階からその検討を行って、可能な限り発電量をふやすように関係局に働きかけるべきだというふうに思うんです。そういう努力なしに環境負荷の少ない東京の実現などといっても、これは大上段にはとてもいえる中身ではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○妹尾技術管理担当部長 都は昨年の六月に、都有建築物の改築等に当たって適用しております省エネ・再エネ東京仕様の改正を行い、可能な限り再生可能エネルギーの利用の割合を高めるよう検討することといたしました。
この改正を受けまして、各局の営繕担当者が出席する東京都建築協議会などの場におきまして、主要な内容について周知を図っております。
また、財務局が各局から施行委任を受けて行う工事につきましても、同様に利用の拡大を図ることとしておりまして、個々の施設の特性や立地状況等に応じて、太陽光を初めとした再生可能エネルギーの利用拡大を検討し、引き続き、その結果を踏まえて委任局と調整を行ってまいります。
なお、これまで整備した都有建築物におきましても、太陽光発電設備について、例えば、学校では三十キロワットや四十キロワット、一般の庁舎でも三十キロワットなどを整備した実績がございます。
○植木委員 実績はあるわけですから、大胆に、本当に環境負荷の少ない東京と大上段に掲げているわけですから、十キロワットなんていう程度で済ますわけにはいかないと思うんですよ。ぜひ、これは推進を積極的に各局に働きかけることをお願いしたいというふうに思います。
さて、第一次、第二次の維持更新という計画が出されてきましたが、東京全体では、もっとたくさんいろんな維持更新にかかわるものがあると思うんですね。平成二十五年度東京都年次財務報告書の中で、社会資本ストックの維持更新経費の将来推計、この試算が出されています。二十年間の累計では六兆円が見込まれるとなっています。この主要施設の維持更新と比較するために、今後十年で、この社会資本ストック維持更新の総累計が、この十年間で幾らになるでしょうか。
○潮田主計部長 昨年民間の監査法人に依頼をしまして行いました試算によりますと、今後十年間の社会資本ストックの維持更新経費は約二・六兆円となっております。
○植木委員 二・六兆円、そうしますと、そのうち主要施設維持更新費用が七千五百億円、これを、単純な計算ですよ、差し引きますと、道路、橋梁などのインフラ施設が一兆八千五百億円もあることになる、二・五倍ぐらいになるわけですね。その後は、まだ維持更新とインフラで四兆円残っている。これは、もちろん法定耐用年数どおり更新すると仮定しての試算であるので、単純にいかないのは私も承知しておりますけれども、道路、橋梁などのインフラ施設の維持更新計画が作成されたという話は、私は聞いたことはないんですけれども、東京都全体の社会資本ストックについて、推計だけではなくて、インフラ施設について全庁横断的な維持更新計画を策定すべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○潮田主計部長 道路や橋梁など、個々個別な維持更新計画につきましては、従前より所有する公共施設等について各局がそれぞれ必要に応じまして計画等を策定しているというふうに認識をしております。
例えば橋梁でいいますと、橋梁の管理に関する中長期計画を建設局は以前出していたかと思います。
引き続きそれぞれの計画等に基づきまして、維持更新等を行ってまいります。
○植木委員 私は、各局任せでは、これはまずいんじゃないかと思うんですね。主要施設については、きちっと一次、二次、これは財務局が直接管理できるものが大半ですから、そういうことがあるんでしょうけれども、インフラについては、十年間だけでもそれの二・五倍あるわけです。財政需要をきちっと計画的に把握する上でも、私は、財務局がこれについてきちっと指導権を、指導権といったらおかしいですね、指導をしていかないと、実際には財政需要に見合って、しかも維持更新を着実に進めると、こういうことにならないんではないかというふうに思うんですね。
だから、新規建設がいまだにどんどんどんどん進められていて、維持更新がおくれたり、あるいは問題なのは、天井が剥落したり老朽化して事故が起きると社会的に大騒ぎをする。こういうことになっては、維持更新の責任を果たせないというふうに思うんですね。そういう意味で、維持更新計画について、きちっとした策定を私は改めて求めていきたいと思います。
いずれにいたしましても、どちらも、新規建設中心ではなくて、やはり維持更新というものをしっかりやった上で、必要なものは必要なものとしてやっていくという、そういう観点を全体に貫いていただきたいということを重ねて申し上げまして終わりにします。
○中村委員 それでは、最初に、来年度の予算について伺います。
来年度予算の特徴として、二十六年度最終補正予算と合わせた七つの基金の創設があります。将来にわたって安定的かつ継続的な都民サービス提供の基盤を構築するという都の姿勢については、率直に評価をしたいと思います。しかし、財政規律の観点からすれば、基金の目的に重複があったり、充当先が曖昧であったりすることで、まるで余ったお金をとりあえず貯金しただけではないかという疑念を都民に抱かせるようなことはあってはなりません。
そこで、人に優しく快適な街づくり基金について確認します。
条例の条文には、公共交通及び道路の安全確保、都市景観の向上等、東京を誰もが安心して快適に過ごすことができるまちとして整備するためとありますが、これだけでは既存の社会資本等整備基金とのすみ分けなど、基金の位置づけが不明確ではないかと感じます。
そこで、まず、人に優しく快適な街づくり基金を設置する意義について伺います。
○潮田主計部長 世界一の都市東京を実現するためには、東京で暮らす都民、あるいは東京を訪れる誰もが安心して快適に過ごすことができる都市を構築することが必要でございます。
人に優しく快適な街づくり基金は、景気の動向にかかわらず、鉄道、道路のバリアフリー化や自転車走行空間の整備などの快適なまちづくりを集中的、重点的に進めていくための財源として確保することを想定したものでございます。
具体的な充当対象事業、あるいは取り崩し額につきましては、来年度以降の予算編成を通じて検討してまいります。
なお、社会資本等整備基金につきましては、広く社会資本ストックの整備や維持更新を中長期にわたり着実に進めていくことを目的としておりまして、本基金とは性格を異にするものでございます。
○中村委員 この基金では、鉄道、道路のバリアフリー化や自転車走行空間の整備などを進めるためとのことでした。いずれも重要な課題ですが、税収が減ると道路そのものの整備だけが先行しがちです。幅広い社会資本の整備が求められる中で、快適なまちづくりのために予算の確保をするというのは、方向性を示す点で評価したいと思います。
バリアフリーも自転車の安全についても、私たち民主党から求めてきたことですので、ぜひとも財政的な面からも着実に推進されるよう要望いたします。
次に、歳出の面から、財政規律が保たれているのか検証したいと思います。
歳出面から見た二十七年度予算編成の大きな特徴として、削減額の二倍まで予算要求を認める仕組みの導入があります。事業の見直しをすれば二倍の予算を出すということですが、そもそも予算は必要があるところに必要なだけ措置をするものではないでしょうか。
そこで、平成二十七年度予算編成において、二倍の予算要求を認める仕組みを導入した理由について伺います。
○潮田主計部長 都が将来にわたり安定的、継続的に課された使命を果たしていくためには、事業全般について時期を逸することなく、必要な見直し、再構築を図ることで、都政改革を絶え間なく推進していく必要がございます。
平成二十七年度予算編成においては、知事の発意により、各局がみずから見直しを行った場合、削減額の二倍まで予算要求を認めるインセンティブの仕組みを導入することで、施策の新陳代謝を積極的に促すこととしたところでございます。
今後とも、自己改革の取り組みを徹底することにより、効率性、実効性の高い施策を構築するとともに、多様化する都民ニーズに応えられる強固で弾力的な財政基盤の確保に努めてまいります。
○中村委員 今回の取り組みは、好調な税収を背景に、そのインセンティブを高めるための仕組みの一つであったことは理解します。しかし、都政を時代に即した柔軟な対応を可能にする体質に改善するためには、常に施策の新陳代謝を促すことは重要です。こうしたインセンティブがあってもなくても、必要なところに必要なだけの予算をつけるのが原則ですし、逆に削減だけを迫って各局を萎縮させて、本当に必要な施策の提案がなされなくなっても困ります。これは財政当局に求められると思うんですが、各局への常なる改革を促し、施策の新陳代謝を不断に進めていき、都民にとって本当に必要な予算編成をされるよう、さらなる工夫を要望いたします。
また、歳出面で、公債費について伺います。
平成二十七年度の公債費は四千七百七十九億円となっています。この金額は、昨年度と比較して四百八十八億円減少しており、歳出総額に占める公債費の比率も下がっています。しかし、これは過去に発行した都債の償還に係る費用です。都債を世代間の負担の公平のために発行しているのは承知をしていますが、利子もあるのであり、将来支払う公債費のことを考える必要があります。
そこで、都債について、将来負担をできるだけ減らしていくことが重要だと考えますが、所見を伺います。
○潮田主計部長 都債は、世代間の負担の公平性を確保する役割とともに、年度間の財源調整を図る重要な機能を担っております。
発行に当たりましては、将来負担を考慮して、その時々の経済環境や事業動向等を踏まえ、中長期的な視点に立って判断をしていくことが重要であると考えております。
平成二十七年度予算では、投資的経費は大幅に伸びているものの、都債の発行額は前年度とほぼ同水準の四千四百九十五億円でございまして、将来の財政負担を考慮して都債の活用を行ったところでございます。
なお、お話しの公債費の減少については、今お話しございましたとおり、過去の発行抑制などによる効果でございます。
今後とも、後年度の財政負担等、都財政の健全性に配慮しつつ、適切に都債の活用を図ってまいります。
○中村委員 税収がふえたから、単純に借金を返せばいいという構造にはなっていないことは理解をしていますし、過去の都債の発行抑制によって、今年度の公債費が減少したこともわかります。ただ、もちろん都債の世代間の負担の公平化ということはあるわけですが、将来高齢化が進むと、都債という目に見える形だけではなくて、社会保障ということで今の若い方に大きな負担がのしかかってもいきます。公平性ということが、何をもって公平なのかということが問い直されるときも来るかと思います。将来を見据えると、負担はできるだけ軽減していけるような予算編成を心がけていただきたいということを申し述べて、次の質問に移ります。
次に、契約について伺います。
この財政委員会でも、たびたび入札の不調や建設労働者の賃金の問題を取り上げてきました。しかし、大手企業の賃金の向上とは違って、建設労働者の低賃金の改善というのは、なかなか実現をしません。こうした状況の中で、昨年、国において品確法と呼ばれる公共工事の品質確保の促進に関する法律、入契法と呼ばれる公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、そして、建設業法と、いわゆる担い手三法が改正されました。
この担い手三法が、この四月から施行されますが、都の対応を伺います。
○松永契約調整担当部長 昨年六月、国は、いわゆる品確法を初め関連する入契法、建設業法の改正を行い、本年四月から本格的な運用が開始されます。
この中で、特に改正品確法では、現在及び将来の公共工事の品質確保と担い手の中長期的な育成、確保を図るため、発注者の責務として、予定価格の適切な設定、適切な設計変更、計画的な発注などが明確化されました。
都は、これまでも予定価格修正方式や全体スライド条項の見直し、債務負担行為の効果的な活用などの入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の取り組みを進めてまいりました。
今後とも、これらを総合的に実施することが、改正品確法の趣旨を実現することにつながると考えております。
○中村委員 都は、これまでも法律の施行に先立ち、さまざまな取り組みをしてきたとのことです。ぜひとも各局とも協力をして、法律の趣旨がきちんと浸透するよう取り組んでいただきたいと思います。
建設労働者の労務単価というのを都は引き上げてはいるんですが、それが実際に働く建設労働者の賃金にどう反映をされているのでしょうか。現状をどう把握しているのか、また、調査をすべきと考えますが、見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 本年二月、昨年に引き続き労務単価の前倒し改定が行われ、都は直ちに、これを反映した新単価を適用するとともに、予定価格の修正、新単価を用いた設計変更及びインフレスライド条項の適用などの措置を実施することといたしました。
単価の改定に際しましては、元請事業者に対しまして、現場技術者への適切な賃金水準の確保や、法定福利費相当額を適切に反映した額での下請契約など、現場の労働条件の改善について徹底するよう要請を行いました。
また、制度の趣旨と手続の詳細は、電子調達システム上の入札情報サービスを通して、全ての事業者に周知するとともに、特に建設関連の事業者団体に対しましては、直接話し合いの場を持ち、制度の趣旨を徹底するよう要請したところです。
このような取り組みを継続的に行うことにより、賃金の支払い状況を含めた労働条件の改善を図り、公共工事の担い手の中長期的な育成、確保につなげてまいります。
○中村委員 労務単価を上げてはいただいているんですが、まだまだ実態とは乖離があるようです。私も以前のこの委員会の中では、公契約条例の制定等は必要だということは述べておりますが、また、そのためにも、ぜひとも、その前提として、都としても実態調査を行って現状を把握し、その改善に努めていただきたいと思います。
次に、社会保険の問題について伺います。
建設業に若い労働者に入っていただくためには、社会保険にきちんと加入できることが大切ですし、同時に、零細事業者も事業が継続をしていかなければなりません。
そこで、社会保険の未加入の問題において、単に守らない事業者を排除するだけではなくて、下請を含めて、きちんと加入がされるような仕組みが必要であり、そのことは、働く人の待遇改善だけではなくて、適正な競争の確保にもつながります。
法定福利費の明示された標準見積書の活用が必要と考えますが、見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 都の発注工事は、中小企業が受注する小規模工事の割合が大きいことから、直ちに社会保険未加入事業者を入札から排除するのではなく、国が許可業者の加入率一〇〇%達成の目標時期としております二年後の資格審査時を目途に、社会保険等への加入を入札参加の必須条件とすることといたしております。
現在、加入促進用のチラシを入札情報サービスに掲載の上、受注者には直接手渡し、社会保険への加入を案内しているところです。
事業者団体が進めている標準見積書は、従来の総額単価による見積もりとは異なり、小規模事業者も含め、法定福利費を別枠として明示するものでございます。
これを受けて都は、下請事業者等の労働条件の改善を図る観点から、現在、低入札価格調査のヒアリングにおきまして、元請事業者に対し下請事業者から標準見積書による見積もりを受けているかを確認し、実施していない事業者に対しては、社内外での取り組み体制を構築し、標準見積書の徴取を促すよう働きかけております。
今後とも、これらの取り組みを通じまして、公共工事の担い手確保につながる現場の労働条件、労働環境の改善を図ってまいります。
○中村委員 二年後をめどにということになりますので、これは他局になるかもしれませんけれども、事業者の方の育成ということも、都庁としても、ぜひとも連携しながら行っていただきたいと思っておりますし、また、働く人の視点という点から見れば、標準見積書の徴取を促すということではあるんですが、これはぜひとも制度として活用されるよう検討をお願いしたいと思いまして、次の質問に移ります。
次に、第二次主要施設の十か年維持更新計画について伺います。
都有施設は、都民サービスを行うための拠点であり、災害時には都民の安全を守るための重要な施設にもなりますので、計画的に維持補修が必要であり、計画を策定されたのはよいことだと思います。
そこで、まず、今月発表された第二次計画に先立ち、平成二十一年二月に策定された第一次計画について、その達成状況を伺います。また、課題として何を捉えて第二次計画を策定したのか、あわせて伺います。
○室木建築保全部長 平成二十一年度を初年度といたします主要施設十カ年維持更新計画に基づき、計画的な施設整備を進め、既に六年が経過したところでございます。
この六年間におきます計画の達成状況でありますが、予算ベースで見た場合、概算事業費八千三百億円程度の約六割に当たる約四千九百億円が予算化されるなど、おおむね順調に推移してきたと認識しております。
また、計画策定から六年が経過いたしまして、例えば、公共建築物の長寿命化や再生可能エネルギーの利用拡大など、計画策定以降の新たな課題も発生しております。これらの課題に適切に対応するため、このたび、第二次の維持更新計画を策定したところでございます。
○中村委員 おおむね順調だったということですが、委員会からの要求資料で見ると、未着手のものも多くあることがわかりました。進んだものやおくれたものということがあって、トータルで順調だということなのかもしれませんけれども、これは二次の計画の方に、一次の方がどうだったのかということがちゃんと載っている方がわかりやすいと思いますし、これはもう決まったものだと思うんですが、今後計画をつくるときには、前の計画の達成状況等が見てわかるようにしていただければというふうに思います。
また、近年、建築資材の高騰があり、入札の不調や事業費の拡大が起きていますが、第二次計画には、予定どおりの予算で予定どおりの事業ができたとありますが、影響はなかったのか伺います。また、第二次の計画には概算で七千五百億円とありますが、事業費の高騰が反映されたものなのか伺います。
○室木建築保全部長 維持更新事業の執行に際しまして、早期の事業着手に向け、条件の整った施設などについては、柔軟性を確保しながら、前倒しして事業着手してまいりました。
一方、条件整備に時間を要し事業着手に至らなかった施設もあるが、こうした施設につきましては、業務に与える影響を抑えるため、引き続き早期着手に向けた検討や調整が重ねられており、条件が整い次第、事業着手してまいります。
次に、第二次の維持更新計画におきます概算事業費につきましては、過去に実施された類似施設の維持更新費用などを参考にいたしまして、資材価格の高騰や労務費の上昇を加味して単価を設定したり、直近の建設単価を採用するなど、最近の建設環境を踏まえた単価に基づき試算したものでございます。
○中村委員 労務費の上昇を加味したとのことですので、先ほどの契約の質問にもかかわりますけれども、ぜひとも適切な見積もりをお願いしたいと思っています。
さて、基準面積以下の場合の施設というのは、この計画には入ってはいないのでしょうか。維持更新をやらないということなのか、それとも必要ではないということなのか、全貌を示す必要があると思いますが、見解を伺います。
○室木建築保全部長 第二次の維持更新計画の策定に当たっては、老朽化の進行による更新施設の増加や、更新時期の集中が及ぼす影響を軽減するため、今後十年間の維持更新事業費の見通しを持った計画とする必要があります。このため、全体事業費に大きく影響を与える施設として、一定の経過年数や規模の適用範囲を定めまして、計画対象施設の絞り込みを行ったものでございます。
なお、計画対象施設以外でも、老朽化などにより維持更新が必要となった場合には、各局で作成する事業計画の内容、現況調査などから、維持更新の必要性の検討などについて技術的な支援を行うなど、柔軟に対応してまいります。
このような施設を維持更新する場合におきましても、本計画に示した趣旨を踏まえながら、長寿命化や環境対策を初めとしたさまざまな取り組みを進めてまいります。
○中村委員 都民の安全を守るために、都みずからの建物の建て直しには、その優先順位の説明もすることが必要です。例えば市区町村では、子供の安全を守るために、かつ住民の避難所になるので、学校の耐震化を役所の建物よりも優先させているところもあるようです。
多くの民間建物の耐震化がまだ進んでいるとはいえない状況の中で、これは例えば美術館とかのように、居住とか安全とかに直接は関係しないような施設もあります。もちろん、そこに来館する方や働く人の安全ということも大事なんですが、優先順位をどのようにつけていくかということは大切だと思いますが、どのように考えるのか伺います。
○室木建築保全部長 第二次の維持更新計画における計画対象施設の整備時期などに関する優先順位につきましては、事務事業に責任を持ち、かつ施設を最も熟知している所管局で一義的に検討がなされたものであります。
検討に当たりましては、施設の劣化状況はもとより他の事業との関連性、施設整備の与条件の整理状況、行政ニーズなどの判断要素を加味して行われたものでございます。
財務局といたしましては、各局に対しまして一定の方針を示しながら、技術的支援や実現可能性などを調整いたしまして、今回の維持更新計画を策定したものであります。
○中村委員 各局での判断ということがあるとは思うんですけれども、ある局の最も重要なものという判断と、また別の局が最も重要なものとして挙げてきたものが同列であるということは限らないわけですから、例えば財務局が指導しながら、全庁的に見て、どれが一番本当に緊急なのかということの判断等することも大切かと思いますので、そういった視点も持っていただければというふうに思っております。
また、公共施設は、都民がサービスを受けるために、そこに存在しているということが大切なこともあります。集約をするということなのかもしれませんが、集約をし過ぎて都民の利便性が落ちてはなりません。例えば、かつて三鷹市にもあった労働情報相談センターは国分寺市に集約されましたが、今回さらに八王子市の施設と統合して立川市に集約されます。もちろん統合されれば、そこに資源が集約されて質は向上するかもしれませんが、都民にとっては利便性も当然大切な要素です。そもそも公の施設は経済効率だけでは決められません。公共施設の集約と公的役割についての考え方を伺います。
○岩瀬財産運用部長 公共施設の配置に当たりまして、都民サービスを確実に提供するためには、その施設の特性を踏まえ、位置や規模等を判断していく必要がございます。
一方で、費用対効果の観点も重要でございまして、都有施設が点在する地域におきましては、例えば施設を改築する機会等を捉えて合同庁舎化を検討することで、建築コストやランニングコストの縮減につなげていく工夫も必要と考えております。
そのほか、建てかえを円滑に進めることで、切れ目のないサービス提供をしていく視点、あるいは集約により創出される用地を福祉インフラ整備など喫緊の課題解決に新たに活用していくことも重要でございます。
こうしたさまざまな視点を複合的に捉えまして、具体的な配置を適切に判断していくべきものと考えてございます。
○中村委員 なかなか東京都の施設の場合、市区町村と違って範囲が広いので、それぞれの地域の声というのが反映しにくいものがあるんですけれども、ぜひともこういった都民の皆様の利便性ということは、ぜひとも加味して判断していただきたいと思います。
さて、都の施設というのが、バブルのころに建てられた建物というのもいろいろありますけれども、例えば、時期はいろいろ前後しますが、都庁であったりとかビッグサイトとか、いろんなデザインが優位なものがあって、機能という点で、いろいろと、どうなんだろうかというふうに思うものもありますし、それは維持補修にお金がかかるという場合もあります。機能性を重視して、余りにも華美であるという必要はないとは思っていますし、これは更新計画の考え方に、後年度負担についても金額を明示すべきだというふうには思います。
今、国立競技場で維持管理費がかかり、後年度負担が問題になっていますが、例えばオリンピックの施設でも、後年度の負担を少なくしようというふうに議論しています。個々の公共施設全体の維持管理費を示すとともに、今後の維持更新に際して、後年度負担の軽減にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○室木建築保全部長 今回の計画は、都有施設の改築や改修などの維持更新を計画的に実施するために作成したものであります。このため、施設の運用管理の段階におきます維持管理経費は対象外のため算定しておりません。
しかし、維持更新後に要する維持管理経費の縮減も重要なことから、施設整備の設計段階においては、設備、間仕切りの変更などが容易となるよう、平面計画や設備計画に柔軟性を確保するほか、メンテナンス性にすぐれた材料や省エネルギー設備の導入などを図ってまいります。
さらに、運用管理の段階におきましては、ライフサイクルコストの低減に資する予防保全型の維持管理を推進してまいります。
これらの取り組みによりまして、将来コストの縮減に努めてまいります。
○中村委員 例えばこの都庁舎も、本当に後で維持の管理費もかかっています。少なくとも、大きな主要な施設等については、試算することも検討していただきたいというふうには思っています。そういう意味では、光熱水費ということも当然関係あるわけですし、エネルギーということも、そういった維持管理費の一つにはなってくると思います。そういう中で、省エネルギーや再生可能エネルギーというのは積極的に推進すべき施策でもありますので、今回、公共施設においても、その取り組みを進めることは重要です。この第二次計画には、その利用促進が記載されているのは当然ともいえます。
そして、ここでは、まず、新技術の採用についての見解を伺いたいと思います。例えば、燃料電池などについては、知事が常々いっている水素社会の推進に寄与するものであり、都の建築物への導入検討が必要と考えます。現段階で実現性は低くても、技術革新が進み、数年先には導入環境が整うかもしれません。このような新技術の採用についての見解を伺います。
○妹尾技術管理担当部長 都は、都有建築物の省エネ化と再生可能エネルギーの利用を一層推進していくために、昨年六月に、省エネ・再エネ東京仕様を改正するなど、最新技術の反映に努めております。
理事からお話のありました燃料電池につきましては、家庭用の燃料電池、いわゆるエネファームの普及に見られますように、社会的に認知されつつございます。
都有建築物においても、施設の用途によっては燃料電池も検討の対象となり得ますが、現段階では、必要な出力やコストの点で、都市ガスを直接燃焼させて動力とするコージェネレーションシステムの方が有利な場合が多い状況でございます。
しかしながら、燃料電池も含め、このような分野の技術は日々進歩しておりますことから、さまざまな新技術の動向を常に注視し、有効な技術については都有建築物の整備に反映を図ってまいります。
○中村委員 技術の方は日々変わっていきますので、ぜひともそういったところにも注目しながら取り組んでいただきたいと思います。
さて、次に、多摩産材の活用について伺います。
今は花粉症がひどい時期で、多くの都民が苦しんでいるため、その対策が求められています。花粉症の対策としての多摩産材の活用ということもあるかと思います。さきの予算特別委員会でも、民主党の総括質疑でも、花粉の少ない森づくりを含めた森林循環の維持に向けた都の認識ということを問いながら、知事からは、現行の花粉発生源対策を再構築し、来年度から新たな事業を開始するとの前向きな答弁も得られました。
公共施設においては、積極的に多摩産材を活用していくことが大切かと思います。この多摩産材の活用について、第一次計画の建物ではどのような取り組みを行い、その成果はどうだったのでしょうか。あわせて、第二次計画ではどのように進めていくのか伺います。
○妹尾技術管理担当部長 多摩産材につきましては、これまで室内の壁や天井などの仕上げ材、家具やベンチなどの造作材、床の下地材などに使用しておりまして、財務局で施工した主要施設十カ年維持更新計画の対象施設における使用実績は、平成二十一年度から二十五年度までの合計で約五百立方メートルとなっております。また、今年度、平成二十六年度は約八十五立方メートルの見込みとなっております。
都の基本方針であります東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針におきまして、施設の特性を踏まえて積極的に多摩産材を使用するものとされていることから、今後とも、各施設の整備に当たっては、その使用に努めてまいります。
○中村委員 都の施設で、こういったものを積極的に活用していくことはPR効果もあると思いますので、積極的に検討していただきたいと思います。
先ほどのエネルギー、新技術の話も含めて、やはりいろんな取り組みを都が率先してやっていくということが、市場を先行していくこともありますので、そういったことも検討しながら、今後、この公共施設の維持管理計画を進めていただきたいということを申し述べまして質問を終わります。
○和泉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三分休憩
午後三時二十分開議
○和泉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西崎委員 平成二十七年度予算に関連いたしまして何点か伺いたいと思います。
今回の予算は、東京を世界一の都市へと飛躍させる予算として、政策的経費である一般歳出が八年ぶりに三%を超える伸びとなりました。投資的経費も、十七年ぶりに一兆円台になっております。その中でも、今回の予算のポイントの一つとしては、平成二十六年度の最終補正予算も含め、七つの基金を創設したことが挙げられると思います。そこで、今回創設される基金も含めまして、基金全般に関して質疑をしていきたいと思います。
まず、平成二十七年度予算における都の基金全体の状況についてお聞かせください。
○潮田主計部長 今回、世界一の都市東京の実現に向け、都独自の七つの基金を創設しまして、二千五百八十億円の積み立てを行ったことなどによりまして、平成二十七年度末で合計三十九の基金、残高合計は三兆円強、三兆六百五十六億円となる見込みでございます。
この三兆円強の内訳でございますが、財政調整基金や社会資本等整備基金など、いわゆる財源として活用可能な基金は九千八百八十億円を確保しております。
また、都債の償還などに充てます減債基金が約一兆三千億円となっております。
そのほか、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金などの各種特定目的の基金のほか、国からの交付金を受け入れて造成した基金などを合わせまして約七千八百億円となってございます。
○西崎委員 今回七つの基金に関しましては、既に予算特別委員会で質疑がされておりましたので、その理由や考え方については、ある程度わかりました。景気に左右される都財政の不安定さを考えますと、集中的、重点的に取り組むべき重点課題に対して、景気動向に影響されることなく事業を進めていくよう、前もって財政的な備えをする。それもわからないわけではないのですが、今回、七つの基金を合わせまして基金全体が三十九にもなり、大変複雑というか、都民から見てもわかりにくいのではないかと思います。今後、七つの基金が、どのように取り崩され、予算化されていくのか。適切に効果的に活用されるよう、都議会もしっかりとチェックしていかなければならないと思っております。
財源として活用可能な基金の残高については、平成二十七年度末で九千八百八十億円とのことですが、今回、積極的な予算を編成した中にあっても、一定水準の備えを行ったものと考えます。
そこで、今回、財源として活用可能な基金の残高確保について、どのような取り組みを行ったのか伺います。
○潮田主計部長 平成二十七年度予算ではゼロベースで事業全般を検証し、必要な見直し、再構築を図ることで、施策の効率性や実効性を高めるとともに、施策展開に必要な財源として中長期的な視点に立ち、基金を活用することとしております。
同時に、平成二十六年度の最終補正予算におきましても、歳出の精査などにより、基金の取り崩しを抑制するとともに、そこで捻出した財源と増収となった都税収入を用いて、今後の社会資本ストックの維持更新への備えとして社会資本等整備基金へ一千億円の積み増しを行うこととしたところでございます。
こうした取り組みにより、財源として活用可能な基金を平成二十七年度末で九千八百八十億円確保する見込みとなっております。
○西崎委員 今回、最終補正予算で社会資本ストックの維持更新への備えとして積み増しを行ったというものの、道路や橋梁などの都市インフラについては、維持管理の時代に入っており、施設のメンテナンスはもちろん長寿命化や更新などの対策は不可欠です。
先ほども話がありましたが、平成二十五年度の東京都年次財務報告書における将来推計によれば、現有する社会資本ストックを維持するだけでも、平成二十六年度からの二十年間で約六兆円という莫大な費用が必要と試算されています。あわせて東京の重大な課題の一つは、二〇二五年問題に象徴されますように、高齢化対策であり、人口の構造の大きな変化に伴い、社会保障にかかわる費用も確実に増加していきます。
このように、今後、不可避的に財政需要が拡大していく可能性がある中で、景気の変動に左右されやすい都財政においては、財政調整基金のような使途の限定されていない柔軟性のある基金をしっかりと確保して、財政的な備えとしていくことも重要なことだと考えます。そこで、今後の財政運営における基金の活用の考え方について伺います。
○潮田主計部長 景気の荒波にさらされてきた都財政の歴史を顧みますと、基金は将来の財政需要への備えであるとともに、安定した行政サービスを提供するための財源として重要な役割を果たしてまいりました。
都税の増収局面においては、将来の財政需要に備え、積極的に基金の積み立てを行う一方、都税収入が厳しい折には、適切に基金の取り崩しを行い、都民サービスを維持するために活用をしてきたところでございます。
今後も、直面する諸課題に対する積極的な施策展開と将来への備えを両立させるべく、基金を初めとする財政対応力を堅持してまいります。
○西崎委員 都は、かつて平成二十年に発生しましたリーマンショックの影響で、都税収入が一年で約一兆円も落ち込み、その後、都政史上初となる四年連続の減収という厳しい経験を味わいました。今、答弁にもありましたように、都税収入が厳しいときには適切に基金の取り崩しを行い、都民サービスを維持するように活用してきたと思います。だとするならば、社会資本等整備基金に一千億円の積み増しを行ったように、財政調整基金のような使途の限定されていない基金に積み増しを行ってもよかったのではないかと考えます。今後、都財政における基金の重要性をしっかりと認識し、景気変動に耐え得る強固な財政基盤の堅持に努められるよう要望しまして、次の質問に移ります。
入札契約制度について伺いたいと思います。
私ども生活者ネットワークは、これまで都の入札契約制度に、政策目的を実現するための仕組みを反映させることを求めてまいりました。昨年の事務事業質疑においても、政策実現の観点から入札契約制度について質疑を行い、業務委託における総合評価方式の活用の考え方や方向性などについて詳しく伺いました。その後、新年度に向けたさまざまな取り組みを進めていらっしゃると思いますが、今回は、具体的な取り組みについて質問してまいりたいと思います。
まず、仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進の観点から伺います。
業務委託の総合評価におきましては、両立支援などの観点から、企業の自主的な取り組みを評価する仕組みを充実していくとのことでしたが、財務局が仕組みをつくっても、各局が活用しなければ効果がありません。その意味で、今後、どのように各局の事業に反映させていくのかが重要になってくると思います。
そこで、両立支援や女性の活躍推進などの評価項目の活用を、具体的に、どのように進めていかれるのか伺います。
○松永契約調整担当部長 昨年十二月に、各局の取り組みを促進する目的から、総合評価方式の政策的評価項目として活用可能な項目例を各局に通知いたしました。その中で、環境マネジメント、障害者雇用、仕事と家庭の両立支援、女性の活躍推進などの分野について評価項目や評価のための確認書類を例示いたしました。
両立支援や女性の活躍推進については、これまでの東京ワークライフバランス認定企業に加えまして、厚生労働省が実施する次世代育成支援対策推進法に基づく認定、いわゆるくるみんマークなども評価項目として位置づけ、より幅広い観点での評価が可能となるよう努めてまいりました。
平成二十七年度の準備契約においては、都の施策を加速させる観点から、各局での活用が進み、都立病院の警備、電話交換業務委託など九件の総合評価で新たな評価項目が反映されました。
今後とも、各局が実施する総合評価の取り組みに活用されるよう、積極的に定着を図ってまいります。
○西崎委員 具体的な取り組みをご紹介いただきまして、ありがとうございます。その取り組み状況が着実に進んでいることは大変評価するものです。まずは、都が契約制度面で先駆的に取り組むことで、区市町村にも波及していくことが期待できると思います。今後も、各局への働きかけをしっかりと行っていただきたいと思います。
次に、障害者就労施設等からの優先調達についてお伺いいたします。
平成二十五年四月に施行されましたいわゆる障害者優先調達推進法に基づき、地方自治体においても、物品やサービスの調達に当たって優先的に障害者就労施設等から調達するよう求められています。法律が施行されまして二年目となる今年度の都の調達方針を見ますと、調達額において前年度の実績を上回ることを目標としております。
障害者の働く場をよりふやしていくためには、行政として、さまざまな運営主体の就労施設などに対して、受注可能な仕事を積極的にお願いし、実績の底上げを図っていくことが重要です。
そこで、確認のために、平成二十五年度の優先調達実績額について、運営主体の種別ごとの内訳額をお聞かせください。
○松永契約調整担当部長 平成二十五年度の調達実績の総額は五億八千四百万円でございました。その内訳は、社会福祉法人が三億九千九百万円、特例子会社などの株式会社が一億五千四百万円、NPO法人が一千七百万円、公益社団法人が一千四百万円となっております。
○西崎委員 今のお答えをお伺いしますと、受注実績の全体の七割近くを社会福祉法人が占めており、NPO法人への受注割合はまだ低い状況です。社会福祉法人を中心とした大規模な施設に受注が集中することは、履行確保の観点で、やむを得ない事情もあると思いますけれども、今後は、都が受け手の施設規模や提供できるサービスに応じて、発注しやすい環境を整えることで、担い手の裾野を広げていくことが重要だと思います。
そこで、各局が優先調達の仕組みを積極的に活用するための課題と、今後の取り組みについて所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 今年度、私ども経理部で社会保険加入促進用のチラシを八千部印刷する案件を発注し、障害者就労施設と契約いたしましたが、その際、見積書を徴取する相手方を選定する過程で、実務上、大変な苦労がございました。例えば色の仕様によっては対応できない場合や、納品方法において発注元による回収を希望する施設があるなど、発注者が予定した仕様を十分満たすことができないケースもございました。
こうした実態を踏まえますと、優先調達の拡大のためには、業務内容に応じて発注者のニーズと受注者の意欲や能力とをうまくマッチングさせる取り組みが重要であると考えております。
このため、各局が見積書を依頼する施設等を選定する際に参考としてもらうことを目的として、過去の発注情報を全庁的に有効に活用できるよう、施設等の受注実績をリスト化するとともに、担当者向けの説明会で周知してまいります。
今後とも、障害者就労施設等の受注機会の確保に向けて、契約制度や情報提供などの面で各局の優先調達を積極的に支援してまいります。
○西崎委員 いろいろご苦労があると思いますけれども、制度所管局が具体的な実務を通して課題をしっかりと捉え、実際の運用にフィードバックしているところは評価したいと思います。
きょう取り上げました仕事と家庭の両立支援、女性の活躍推進や障害者雇用はもちろん、その他の分野においても、都の政策目的の実現に向けまして、民間の自主的な取り組みが欠かせません。こうした民間の取り組みを後押しするために、入札契約制度の活用は有効な手段の一つであると思います。今後、都においても、具体的な取り組みを着実に進めながら、よりよい制度を構築していただくことを要望しまして私の質問を終わります。
○大津委員 財政運営について何点かお伺いします。
平成二十七年度予算は、世界一の都市東京へ本格的な一歩を踏み出す重要なものでもあります。都税収入が四年連続の増収で堅調に推移していることもあり、今回新たに創設した基金を合わせた目的別の予算額は、全ての分野で前年度を上回る積極予算になっています。そこで、今回の予算について、税金を納めた都民の皆様が、身近にその成果や生活の質や幸せを実感できるものとなっているのか確認をしていきたいと思います。
まずは、今回の予算編成に当たって、財政運営という観点から、基本的な考え方について、改めてわかりやすく説明をしてください。
○潮田主計部長 平成二十七年度予算は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催準備に万全を期すことを初め、世界一の都市東京の実現に向けた積極果敢な政策展開を図っております。一方、都政には歳入の根幹をなす都税収入の減収リスクが常に存在している上、急速に進行している少子高齢化や社会資本ストックの老朽化への対応など、さまざまな課題が山積しております。
このため、施策の見直し、再構築などによる都政改革を推進するとともに、都債や基金の適切な活用など、中長期を見据えた財源措置を講じ、戦略的かつ安定的な政策展開を支える財政基盤の構築にも注力をしていくことになります。
○大津委員 政策展開を積極的に図りながら、その裏づけとなる財源を担保し、全ての分野にバランスをとり、予算づけをしておりますが、国、地方の借金が一千兆円を超えている中にありまして、税収が伸びているからといって、いたずらに歳出をふやし、さらには、将来世代に過度の負担を強いることはあってはなりません。
そういった意味で、将来の財政需要を見据えて財源対策をしていることは基本的に評価はいたします。一方、歳出面について、ただいまのご説明では、なかなかまだ難しく、やや抽象的ですので、都民が聞いても、日々の生活にどのような影響があるのかイメージがしにくいのです。
そこで、今回の予算の特色や魅力がどのように盛り込まれているのかお伺いします。
○潮田主計部長 平成二十七年度予算は、東京を世界一の都市へと飛躍させる予算としまして、二〇二〇年と、その先の明るい未来に向けてさまざまな分野で積極的な施策構築を図るとともに、オリンピック・パラリンピック大会終了後も将来世代に引き継がれるレガシーを創造するべく、果敢な事業展開を行うこととしております。
あわせて、都民福祉の充実による生活の質の向上や日本を牽引する経済の活性化などに向けた取り組みに財源を重点的に投入することで、都民一人一人が安心して豊かに暮らせる社会の早期実現を図ることとし、予算編成を行ったところでございます。
○大津委員 この間、私は、次世代にどのような東京を引き継ぐのかという視点で、環境やエネルギー分野での対策を都に求めてまいりました。都は、これまでエネルギーを大量に消費する都市として、キャップ・アンド・トレード制度など、温室効果ガス削減対策のため、先進的な取り組みに取り組んできました。次世代の子供たち世代が、安全・安心に暮らせる都市を受け継ぐため、クリーンなエネルギーシステムへの転換と、低炭素、快適性、防災力を同時に実現をし、まことのスマートエネルギー都市へと昇華すべきときを迎えています。
そこで、平成二十七年度予算編成で環境やエネルギー分野について、どのように位置づけ、具体化されているのか伺います。
○潮田主計部長 平成二十七年度予算においては、東京の将来の礎を築き、持続的発展が可能な都市を実現すること、こちらを予算の柱の一つとしてございます。その上で、水素エネルギーの活用、拡大に向けた支援や東京の特性を踏まえた再生可能エネルギーの導入拡大のほか、地球温暖化、ヒートアイランド対策など、さまざまな取り組みを盛り込んでいるところでございます。
○大津委員 こうした都民にとって身近な施策を具体的な効果が実感できるものとして、着実に推進していってもらいたいと思います。
一方、前回の事務事業質疑や今定例会の一般質問でも取り上げましたように、超高齢化という大きな社会構造の変化が東京に到来しつつあります。平成二十七年度でも、社会保障関係経費の増大を背景に、福祉と保健の分野で三年連続一兆円を超える予算を計上していることを大変評価をしています。
特に我が国では、世界に例を見ない速さで高齢化が進んでいます。東京においても、国の人口推計によれば、今の都民の五人に一人から十年後には四人に一人が高齢者になると推計されております。こうした高齢化社会においては、都市生活のあらゆる場面で、より一層安心や安全を守り、地域社会の中で、ご高齢者を初め全ての人が生き生きと暮らしていくための仕組みや、適切かつ迅速な対応が必要であると考えます。
そこで、今回の予算編成において、これから迎える、既に入っていますけれども、超高齢化社会への対策をどのように位置づけ、具体化されたのか伺います。
○潮田主計部長 高齢者人口が今後急速に増加すると見込まれる中、平成二十七年度予算では、一人一人が幸せを実感し、夢と希望を抱くことのできる都市の実現、こちらを柱の一つとしておりまして、高齢者が住みなれた地域で安心して生活し続ける環境を着実に整備することとしております。
そこでは、医療、介護、予防、生活支援サービスが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築や、特別養護老人ホーム等の整備、支援、空き家等の有効活用など、高齢者の多様なニーズに応じた施設や住まいの整備などに取り組むこととしております。
○大津委員 環境分野や高齢化対策は、成熟社会における持続的な成長を考える上で根源的な重要課題であります。しかしながら、東京の抱える課題はこれだけではありません。新たに発表されました森記念財団の都市生活の快適さや安らぎなどの要素によるランキングでは、東京は総合第一位となったものの、これまでの世界の都市総合ランキングでは依然として第四位にとどまっています。その中で、他都市との比較を見ますと、居住コスト、集客資源、自然環境、国際交通ネットワーク、交通利便性などについて、東京が改善すべき課題が浮き彫りになってきています。こうした世界のランキングを意識する中でも、海に囲まれた島国としてのこの日本、東京のよさというのを残して大切にしていくことも一方では必要だと思っています。
最後に、これらの課題を克服し、将来の東京の持続的な発展を支える財政運営のあり方について局長にお伺いします。
○中井財務局長 先ほど来、委員の方からお話がございましたとおり、東京には、まださまざまな課題がございます。また、オリンピック・パラリンピックに向け、その準備を遅滞なく着実に進めていくという大きな課題もございます。
こうした中で、都は昨年末に長期ビジョンを策定し、こうした課題の解決への道筋をお示ししたところでございます。
また、現在ご審議をいただいております二十七年度予算案では、長期ビジョンをスタートダッシュさせる予算として、多くの新規事業や各種事業などを盛り込んでございます。
世界一の都市東京の実現に向けては、こうした実効性の高い施策を継続的に展開していく必要がございますが、そのためには、それを支える強固な財政基盤が必要不可欠であります。
今後とも、事業評価制度による不断の自己改革に努めつつ、基金や都債を効果的に活用しながら、将来にわたる東京の持続的発展を支える財政対応力の堅持に、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○柴崎委員 都有地を含めた財産運用についてお伺いしたいと思います。
二百五十平方メートル以上の未利用の都有地は、区部、多摩、合わせまして百五十二件、百四十ヘクタールあるとのことであります。土地の形や立地場所のよしあし、あるいは暫定活用中のものも半分以上あるなど、実際すぐに利活用可能な未利用地はさらに限られていると思いますが、利活用できる土地はできる限り利活用を進めていくことが重要だと思っております。
まず、未利用の都有地、この利活用をどのように今進めているのか、その方針について確認をしたいと思います。
○岩瀬財産運用部長 都有地は都民から負託された貴重な財産でございまして、未利用地につきましても、公共用地にふさわしい適切な利活用を行う必要がございます。
そのため、利活用に当たりましては、公共用地であることを踏まえまして、第一に、行政ニーズに資する活用の可能性を検討することとしております。
具体的には、都事業での活用につきまして庁内各局に対して意向の確認を行い、都での利用見込みがない場合は、地元区市町村に対して利用意向の確認を行うこととしております。その上で、区市町村においても利用意向がなく、都にとって不要と判断した場合や行政需要が想定されない小規模用地につきましては、最終的に、民間への売却等を行ってございます。
その際、都心などの貴重な用地は売却せず、定期借地制度を活用し、保有したまま利活用する方針としてございます。
○柴崎委員 都有地の利活用に当たりましては、都のみならず、地元区市町村での活用も含めた公共目的での再利用や利活用を図ることを優先するという今のご答弁、都の方針は、都有地が都民の負託によりまして、もともと行政目的のために取得されて所有しているという点を踏まえれば、ある意味では当然のことであろうと思います。
また、将来的に行政利用が見込みにくい用地は、売却していくという方針とのことであります。民間に売却することで都の収入を確保するということだけでなく、大きな視点で見れば、限られた資源である土地を行政が長期間抱え込むのではなくて、民間の知恵と工夫により、社会全体で再利用することにつなげていくことは重要だと思っております。
こうした、公共目的で活用する方針のもとで、過去三年間に財務局が区市町村に対して売却した件数と、その用途の実績を伺います。
○岩瀬財産運用部長 平成二十三年度から二十五年度までの過去三年間におけます未利用都有地の売却実績は二百件ございまして、このうち区市町村等への売却は二十九件となってございます。
用途といたしましては、公園、庁舎、図書館、福祉施設、スポーツ施設、道路、駐車場、駐輪場整備など、区市町村の行政需要に応じ多岐にわたってございます。
区市町村等への売却実績を面積別に見ますと、二十九件中、一千平米以上のものが十四件、五百平米以上一千平米未満のものが五件となってございます。
一方、民間への売却実績は百七十一件と件数は多くなってございますが、百平米以上五百平米未満のものが六十一件、百平米未満のものが百二件と、ほとんどが小規模用地となってございます。
○柴崎委員 今ご説明いただきましたけれども、公共用途として活用可能な一定規模以上、この未利用地につきましては、きちんと区市町村で活用されているということでありまして、行政利用が難しい小規模用地、これにつきましては、民間に売却する形で社会的に再利用されている、こういうことが数字上確認できました。
こうした中で、保育所などの福祉施設の不足が大きな課題になっている中で、東京都は、未利用都有地を活用した福祉インフラ整備事業について、貸付料の減額率を土地価格に応じて拡大するなどの見直しを実施しているとのことであります。この事業は、区市町村への売却とは異なりまして、民間事業者に対して未利用の都有地を貸し付ける事業でありますが、必要な福祉施設の整備、運営に資するもので、地域の行政ニーズに応える公共用地にふさわしい活用策であると考えております。
これまでの福祉インフラ整備事業での活用実績、これについてお伺いしたいと思います。
○岩瀬財産運用部長 福祉インフラ整備事業を開始いたしました平成十五年度以降、平成二十七年一月までの契約実績は、高齢者施設が十九件、障害者施設が九件、認可保育所が六件と合計三十四件となってございます。
○柴崎委員 私の地元の練馬区におきましても、さまざまな取り組みによりまして待機児童対策を進めておりますけれども、依然として四百名を超えるような待機児童がいるわけであります。引き続き大きな課題となっているわけであります。
こうした中で、約一千四百平米、この規模でのいわゆる未利用都有地、これをこの四月に福祉インフラ整備事業によりまして活用した認可保育園が開園となるわけでありまして、これは区の中でも定数、定員が百三十一名ということで非常に大きな規模の保育園であります。こうした都の積極的な取り組み姿勢に対しましては、大変高く評価しているところであります。
こうした取り組みによりまして、最近は、都有地の活用方法として、福祉インフラ整備事業に特に注目が集まっております。福祉施設整備は重要な課題でありまして、引き続き整備促進をしていく必要があることには何ら異論はないと思います。冒頭に触れましたように、現実的には、活用可能な未利用地は限られております。こうした中で、住民福祉全体の向上のために、福祉以外の分野、つまり道路ですとか公園、あるいは学校、それぞれさまざまな行政分野への目くばせをし、バランスのとれた利活用をこれから進めていただきたい、このように思っているところでございます。
都で利用予定のない未利用地の活用につきましては、地域の事情に精通し、そして、地元関係者間の調整役を担う区市町村が状況を見きわめながら、検討を進めていくことになるわけでありますが、そのためには、区市町村が、必要十分な情報、これを把握することが不可欠だと思っております。したがいまして、都は、昨年七月に行った福祉インフラ整備促進のための土地活用策の取りまとめの中で、情報提供方法についても見直しを行うことを公表しておりますが、区市町村が他の活用方法も含めて検討を進められるように配慮すべきかと思いますが、見解を伺います。
○岩瀬財産運用部長 都は、これまでも関係各局と十分に調整の上、個々の未利用都有地につきまして区市町村に活用の意向を確認し、調整を図りながら、区市町村の行政施策に活用してまいりました。
福祉インフラ整備事業につきましては、活用可能と考えられる都有地の情報を、随時、区市町村に対して提供してまいりましたが、今後は、都営住宅の建てかえによる創出用地などを含めるとともに、活用の検討に際しまして必要な個々の土地の状況についても、情報の充実を図った上で、定期的に区市町村に情報提供を行うこととしております。
また、区市町村に福祉インフラ整備事業での利用意向がない場合には、地域の行政ニーズを踏まえまして、最も効果的な活用策を検討できるよう、区市町村内部での情報共有化にも配慮し、福祉部門に限らず、財産管理部門や企画部門にも同様の情報を提供することを検討してまいります。
○柴崎委員 区市町村にとりまして、最も有効な活用策を検討するためには、必要な情報が個々の事業部門の壁を越えて組織的に共有されることは大変重要だと思います。情報提供方法を工夫して、都有地の活用をより一層進めていただきたいと思います。
また、あわせて地元におきましては、よく都有地を活用して、商店街のイベントとして、会場として使わせていただいております。こうした借り方につきましても、スムーズに借りることができるような、そんな形で今後ともお応えをいただきたい、そんなふうに思っているところでございます。
ところで、更地になっている都有地があるわけでありますが、更地になっているので、一見すると財務局が所管をしている未利用地であると思ってしまうわけでありますが、中には、道路だとか、公園、区画整理事業等々、各局が将来的に行政用途として使う予定の土地や、道路建設で移転をお願いしなければならない住民のために用意している事業用の代替地などもあると聞いております。こうした各局の事業計画に基づく事業予定地につきましては、財産上の取り扱いや事業に活用されるまでの管理はどのようになっているのか伺います。
○岩瀬財産運用部長 各局の事業計画に基づきます道路や公園などの事業予定地につきましては、行政財産として取り扱いまして、当該事業の円滑な執行を図るため、用地買収から工事着手までの期間も含めまして、事業所管局の責任のもとで管理してございます。
事業予定地という性格上、他の用途への転用ですとか、長期間の貸し付け等は行ってございませんが、都有地の有効活用のため、工事着手までの間は財務局の未利用地と同様に、公共工事の資材置き場ですとか、臨時駐車場など、事業実施に影響がない範囲で、できる限り暫定活用を図ってございます。
○柴崎委員 私の地元練馬区におきましても、道路や河川事業用の用地、その代替地があります。こうした土地は、その場所に長年住んでいらっしゃった都民の方から、公共事業のために移転や買収に応じ、ご協力いただいた土地や、その移転先を確保する土地であるために、見かけ上はあいているからといって、安易に他の目的に転用することが難しいということは理解できるわけであります。
また、こうした事業予定地以外で都の施設廃止後に更地となっている土地につきまして、将来も見越した都庁内での利活用の検討や、地元自治体、近隣住民との関係もあり、その取り扱いを決めるのに時間がかかり、一朝一夕に解決するのは難しい面もあるようでございます。とはいえ、都民のためになる形で有効に利活用できるようにするためには、地元の意見を踏まえた上で、できるだけ施設廃止後の遊休期間を短くすることや、先ほどの公共事業用の代替地も、周辺の公共事業が終了した場合に他事業への転用を進めるなど、手続を速やかに進めていくよう、より一層努力をしていくことが重要だと思います。
私の地元練馬区におきましては、今後幾つかの都有地について、福祉インフラ整備や区立公園整備のために都有地の貸し付けや売却を求め、都と区で協議をしていると聞いております。早期実現に向けて、財務局を筆頭に関係局とスピード感を持って取り組んでいただきたい、そのように強く思うわけであります。
都や区の抱えるさまざまな喫緊の行政ニーズに応えるためには、全庁的な視点で各局が所管する都有地や施設、これを横断的に精査し、未利用都有地の利活用に取り組んでいく必要があると思うが、財務局長の決意をお伺いします。
○中井財務局長 都市機能の集積が高度に進んだ東京におきましては、未利用都有地はとりわけ貴重な都民共有の財産でございまして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催や、さらに、その先の人口減少時代を見据えて直面する諸課題を解決し、東京を世界一の都市としてさらに発展させていくために、最大限有効に活用することが不可欠であると認識しております。
都は、これまで、福祉インフラ整備や区市町村の公共用途への売却以外にも、木造住宅密集地域の解消や緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化の種地として提供するなど、都や区市町村の重要な施策の支援に未利用都有地を活用してきております。
これらの取り組みをさらに加速させるため、将来を見据えて必要な行政ニーズを見きわめ、都営住宅など都有施設の更新計画における早い段階から検討調整を始めることで、個々の土地の特性を踏まえながら、スピード感を持って新たな利活用につなげてまいります。
その際、各局や区市町村との連携を特に留意し、財務局として積極的に各局の支援を行うことで、未利用地の引き継ぎを促進するとともに、区市町村に対しては、効果的に情報提供を行うなど、迅速に有効活用が図れるよう、財産の総合調整機能を十分に発揮しながら全力で取り組んでまいります。
○柴崎委員 今、局長から、東京を世界一の都市にするために都民共有の貴重な財産である都有地を最大限活用するというご答弁をいただきました。まさに、そのとおりだと思います。
先日の予算特別委員会で我が党が主張しましたように、東京のポテンシャルをさらに高めていくために、都市づくりのグランドデザインを検討する上でも、自由に使える土地が非常に少ない東京にありましては、都有地の活用というのは欠かすことのできない重要な要素なのであります。
都有地にも、大きい土地、小さい土地、都心の一等地にある土地、あるいは地域の暮らしに密着した住宅街にある土地、いろいろあると思います。それぞれの土地の特性を十分に踏まえながら、東京の将来をしっかりと見据えた都有地の有効活用が図れるよう、ぜひ、財務局が先頭に立って取り組んでいただくことをお願いいたしまして質問を終わります。
○曽根委員 私からは、一つは、来年度の新設される基金について、あと、私からも、社会資本の維持更新等の問題について聞いていきたいと思いますが、なにしろ予定時間十分ということなので、簡潔なご答弁をお願いしたいと。
それで、初めに、新年度予算に含まれている財務局所管の基金、人に優しく快適な街づくり基金というこの基金の活用について聞いておきたいと思います。
これは、東京を誰もが安心して快適に過ごせるようなまちの整備という、こういう目的ですが、曖昧さを残しますと、例えば不要不急の新設道路や大型開発の促進剤的に使われてしまいかねない、明確に活用目的を絞っていく必要があるんじゃないか。例えば新しい都市基盤については、新しい基盤の予算の中にちゃんとそのバリアフリーの予算は入れると。この基金の活用は、どちらかというと既存の都市基盤のバリアフリー化や自転車走行空間の整備などを重点にしていくなどのような、使い方の絞り込みが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○潮田主計部長 人に優しく快適な街づくり基金は、東京オリンピック・パラリンピックを五年後に控え、公共交通及び道路の安全確保、都市景観の向上等、東京を誰もが安心して快適に過ごすことができるまちとして整備するため、今後の集中的、重点的な取り組みを支える財源として確保することを想定したものでございます。
主な充当対象事業としては、鉄道、道路のバリアフリー化や自転車走行空間の整備などを考えておりますが、充当対象や取り崩し額については、来年度以降の予算編成を通じて具体的に検討することとしております。
○曽根委員 取り崩しは、来年度は積み立てですので、平成二十八年度以降という予定だそうなので、検討をぜひお願いしたいんですが、例えば私の地元北区赤羽西地域で、今、補助七三号線、その今整備しているのは約八百メーターで、その南側は今度特定整備路線にされている十条地域の道路計画があるんですが、この赤羽西の道路計画は、住民の反対もなく割と順調に道路整備が進んできましたが、十年ぐらいかかっているんです。
ここで、最近、その方針が発展したということで、自転車走行空間をつくろうということになって、予算も若干上積みしてやる方向で今検討中ということを聞きました。そうすると、予算が、そこで、バリアフリーや自転車のロードのための予算がついていくということになると思います。こういうところに、つまり新設道路に計画を上乗せする形でつけますと、その部分に基金が使われると。ここは工事の途中で入ってきたということですけれども、これからつくる道路については、最初からそういうのを織り込んで予算を組んでいくべきであり、私はむしろ、やっぱりこういう自転車ロードなどが必要になっているのは、既存の道路が非常に自転車が安全に走行しにくいという問題が山積みしておりますので、そういうところを重点にすべきじゃないかと思います。
というのは、例えば新設道路の計画でいうと、特定整備路線は二十八路線、今事業認可を全部とって、延長二十数キロ、これを全部、恐らく全部自転車ロードをつくるでしょうから、それだけでも場合によっては百億単位の予算がそれでふえることになりますので、そういうところに使っていくと、四百億といえども、どんどんなくなっていくということになります。
そうした新しい都市基盤については、極力私たちは慎重にという対応であると同時に、既存のところに大いに使っていかなきゃならない基金として考えるべきじゃないかというようなことも、より慎重に適切な使い道ということを考えていただきたいことが、まず一点です。
それから、もう一つ気になるのは、昨年出された、先ほど来話題に上っております年次財務報告書で、今後の社会保障関係費や社会資本ストックの維持更新が大きく増大せざるを得ないという試算が示されましたが、来年度予算の編成で、この試算は、どういう形で生かされているのかについてお聞きしておきたいと思います。
○潮田主計部長 年次財務報告書にお示ししましたように、第三者による試算により、改めて今後都が直面する社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費の大きさが明らかになっております。
そうしたことからも、平成二十七年度予算では、事業評価などの手法を活用しながら、施策の効率性や実効性を一層向上させるとともに、社会資本の長寿命化や更新経費の精査などにより、経費の平準化や縮減を図っているところでございます。
また、歳入面におきましては、将来の財政需要に前もって備えるため、福祉先進都市実現基金の創設や、社会資本等整備基金への積極的な積み立てなども、平成二十七年度当初予算、あるいは二十六年度最終補正予算において行っているところでございます。
○曽根委員 適切な経費の縮減や、また、計画の見直し、これは当然やっていただきたいと思うんですが、先ほど植木委員からも指摘しましたように、都民に最も身近な、また必要不可欠な公共施設、学校、医療関係の施設、その他については、こういう将来的に莫大な費用がかかるんだということの推計のために、かえって最も必要な都民施設についての維持更新や、または、建てかえなどの費用が抑制されてしまうというようなことがあってはならないわけで、そういう点では、適切な将来推計の活用ということを、ぜひ要望しておきたいと思います。
来年の予算については、既に我が党都議団の談話を発表しておりますけれども、やはり外かく環状道路や、また、特定整備路線など、この中には、特定整備路線の中には、私たちが賛成しているものももちろんありますけれども、全体としては住民の反対の強い道路が多いということについては、やはり安易にどんどん促進していくという立場ではなく、慎重な検討をして、住民合意の上で、こうした大型の開発や公共事業については進めていくという立場がやはり必要不可欠だというふうに思いますが、この点で、都民施策とのバランスをとっていくという点では都の姿勢はどうかということをお聞きしておきます。
○潮田主計部長 これまでも、必要な維持更新経費、これにつきましては着実に実施してきたところでございまして、また一方で、先ほどお話、例示としてございました外環道路、こういったものにつきましても、都市インフラの整備、これも都民の利便性、あるいは国際競争力の向上、そして、東京の活力の維持更新など、こういったものに必要不可欠な取り組みであるというふうに考えております。
七日にオープンしました首都高の中央環状品川線、これが開通したことで、中央環状線が全線開通したということで、その内側を走る首都高の渋滞、混雑量が半減したということが、きのう発表されておりました。
こうした高い効果の得られる事業を積極的に推進をしてまいります。
○曽根委員 時間もありませんので、最後に意見だけ述べますけれども、首都高の混雑五割減という大きな記事が、きょう、紙面に踊っているのですが、私も都議会結構長いもんで、レインボーブリッジが開通したときも、相当都内の渋滞解消、都内の中央高速の一部なんですけれど、いわれて、実際、そのときに、瞬間には、確かにちょっと渋滞なくなったんですけれども、やっぱりその後の臨海開発の位置づけ、その他によって、現在では、ここに渋滞がまた再燃しているというふうに、今後のことはやっぱりわからないわけです。そういう点では、私は、中央環状線が開通した現在、これによる交通ネットワークの変化や改善が進むのであれば、外環道についても改めて見直すこともあってしかるべきだということは申し上げておきたいと思います。
いずれにしても、都の財政は、現在は順調ですけれども、ことしの六月あたり、ギリシャの経済破綻がどうなるかなどによって、世界的な財政の危機が再燃しないともいえないという状況のもとで、都財政も景気の動向に大きく影響されるわけですから、今後の財政運営については、改めて都民施策を中心に慎重に進めていくことを求めて質問を終わります。
○木村委員 私からは、入札契約制度についてお伺いします。
第三回定例会の財政委員会において、我が党の高木理事が建設業者の社会保険未加入問題について質問をいたしました。これに対して都からは、低入札での工事案件を対象として、社会保険未加入状況等の労働条件がどのような実態にあるのか、社会保険労務士と連携しながら、モデル調査を実施するとの答弁がありました。東京都社会保険労務士会と連携して、現場の実態調査が初めて実施されたと思いますが、この点について質問をさせていただきます。
まず初めに、今回の社会保険労務士を活用した調査結果についてお伺いします。
○松永契約調整担当部長 今回の調査は低入札での工事案件を対象として、社会保険などの加入状況、労働条件などの実態調査を目的に実施したものでございます。
低入札価格調査を行った工事のうち、抽出した三件の工事について、一件につき、元請、一次下請、二次下請、各一社の合計九社、それぞれの労働条件や労働環境を調査したところ、全体的には法令に照らして重大な違反が認められるものはございませんでした。
しかしながら、低入札調査時点では下請業者として予定していなかった一部の企業において、社会保険加入に関して、被保険者となるべき一部の社員に対して被保険者資格を取得していない事実が確認されました。
当該未加入業者は、都の資格審査を経た登録事業者ではないため、工事所管局に対しまして調査結果を通知し、元請業者に対して適切に指導するよう文書で依頼したところでございます。
○木村委員 社会保険の加入状況は、元請から下請業者に対して、法定福利分を含んだ請負代金がしっかり行き渡っているかどうかを示す一つのバロメーターだと思います。
今回は社会保険労務士のお力をお借りして、一部の企業で社会保険の未加入の社員がいたことが明らかになったわけですが、建設工事は、工事の進捗に応じて下請業者が入れかわります。契約を締結するときに、全行程を通じて正確に実態を把握するのはとても困難だと思います。とはいっても、施工段階で社会保険の未加入者がいたことは紛れもない事実であります。建設業は社会に不可欠な産業ですから、こうした実態を十分踏まえて、都の取り組みに生かしていく必要があると考えます。
そこで、調査結果を踏まえた今後の取り組みの方向性について、所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 社会保険加入については、法律に基づき、事業所で常時雇用されている者は全員被保険者となるルールとなっておりますが、今回の未加入事案では、必要な手続を怠り、一部の社員が被保険者となっていないケースでございました。
こうした事実は、実際の施工段階において労働者名簿と社会保険関係の申告書を突き合わせるなど、詳細な調査を通じて初めて明らかにできるものであり、専門的な知見を有する社会保険労務士の知識やノウハウが不可欠となります。
このため、今回の調査結果を踏まえまして、より実効性の高い調査手法等について東京都社会保険労務士会と合同で検討していくとともに、調査件数を拡大するなど、調査内容の充実を図ってまいります。
○木村委員 今の答弁で明らかになったことも含め、低入札調査だけではフォローし切れない現場の実態もしっかり把握することが、改正品確法の趣旨を踏まえた入札契約制度の構築に向けて重要となってくるのではないでしょうか。今回は初めての試みということでしたが、これからも、こうした専門家による調査を積み重ねていただいて、技能労働者を初めとする担い手の育成や確保に取り組んでいただきたいということを要望して次の質問に移ります。
続いて、入札不調の問題について伺います。
来年度予算では、オリンピック・パラリンピックの競技施設の整備などによって、投資的経費が十七年ぶりに一兆円を超えるということで、来年度の工事発注はさらに増加すると見込まれるわけです。その一方、受注を希望する企業がなく競争入札が成立しない不調の発生率は、平成二十五年度以降、依然として高い水準にあります。結果として、計画的な事業執行に影響が生じています。都民生活に必要があって予算に計上された事業ですから、その事業を円滑に実施しなければなりません。この入札不調の問題を速やかに解決していくことが重要であります。こうした観点から、現状と課題について質問させていただきます。
まず、直近の入札不調の状況について伺います。
○松永契約調整担当部長 入札不調の発生率は高どまりの傾向が続いておりまして、建築工事で二二・一%、土木工事で一六・一%、設備工事で四・一%となっております。
また、前年同月時点の実績と比較すると、建築工事や設備工事の率がやや改善する中にあって、発注工事の半数を占める土木工事の率が上昇しております。
不調の発生要因といたしましては、依然として予定価格と実勢価格との間に乖離が生じていることや、技術者や技能労働者が不足していることが挙げられております。
○木村委員 建築工事の五件に一件で入札が成立していないというのは極めて異常な事態ですが、それにも増して目を引くのが土木工事の状況悪化です。これまでは、民間発注工事と競合関係にある建築工事で不調が顕著でした。民間と競合関係にない土木工事の分野でも不調が増加しているというのは、今までの傾向と違う点です。土木工事の不調発生率が上昇しているということですが、過去との実績比較を含め、どのように分析しているのでしょうか。
○松永契約調整担当部長 都全体の土木工事の不調発生率は、平成二十六年度第三・四半期分が上半期分と比べて二・四ポイント増の一七・五%となるなど、悪化しつつあります。
これは公営企業局の率が高どまりする中にあって、知事部局の率が上半期分と比べて五・九ポイント増の一六・九%となったことが原因であります。
また、十二月末現在の金額帯別の不調発生率を前年同月と比較いたしますと、予定価格が四億円未満である最低制限価格制度の適用工事は二・五ポイント増の一五・六%であるとなる一方で、四億円以上である低入札価格調査制度の適用工事は九・一ポイント増の二一・八%と大幅に上昇するなど、この金額帯での事業者の応札力の低下が特に顕著になっております。
○木村委員 土木工事に関しては、これまで公営企業局の不調発生率が高い水準でしたが、ここに来て知事部局も含め低入札価格調査制度を適用する工事でも不調が増加しているということです。これは、事業執行上大変憂慮するべき事態であると思います。冒頭の質疑で改正品確法の趣旨の実現に向けて低入札価格調査制度の懸案も明らかになりましたが、企業の公共工事に対する選別が厳しさを増している中、先を見越した対応が必要だと考えます。
そこで、現在の低入札価格調査の制度上の課題について、所見をお伺いします。
○松永契約調整担当部長 現在の低入札価格調査制度は、適正な履行の確保を本来の目的としており、工事の品質確保に一定の効果があるものの、調査対象事業者が予定している下請契約や従事者の労働条件等が適切かどうかについて、契約前の段階で実効性の高い調査を実施することには制約がございます。
また、調査結果の事後検証の仕組みがないため、調査後の下請業者の追加や変更などをフォローすることが難しくなっております。加えて、工事の履行の確保を判断する材料は、調査対象事業者から提出された積算内訳等のみで行わざるを得ないという現状もございます。
このように、本制度は、履行の確保の観点からは有効でございますが、品確法の理念である担い手の中長期的な育成、確保を実現する観点からは、発注者と受注者の双方にとってさまざまな課題を有していると考えております。そのため、本制度の適用工事体の不調発生率を踏まえつつ、その運用方法の見直しも含め、総合的に検討してまいります。
○木村委員 今の答弁でも明らかになった点も踏まえて、現在の経済社会情勢に適応した入札契約制度の構築というものが必要だと思います。といっても、不調対策の本筋は適正な予定価格の設定であることはいうまでもありません。予定価格と実勢価格との間に乖離があることだとか、契約後のリスクに対する不安感というものが不調の要因となっていることは事実ではないでしょうか。
私は十年近く会社員として建設業界で働いていましたが、工事現場は実際にあけてみないとわからない部分があります。予定価格と実勢価格との乖離による入札不調の場合、積算上においてどの点に課題があるのか、契約後における課題についても、あわせて所見を伺います。
○室木建築保全部長 積算単価については、これまでも対応してきたように、定期改正や主要な資材などの価格動向に応じた臨時改正を行うなどして、市場動向を反映することが重要であると考えております。
予定価格の算出に当たっては、このような実勢を反映する取り組みのさらなる拡大をすることが課題であると考えております。例えば、予定価格の五割前後を占める見積もり部分においては、これまでは取引実態を考慮して価格の設定に当たってきましたが、昨今の資材価格や労務費などの変動する経済環境にあっては、これに加え、価格動向も総合的に考慮して適切に設定するための仕組みづくりが必要と考えております。
一方で、工事の進捗に伴って生じるさまざまな設計図書と現場実態などとの乖離があった場合においては、受注者が安心して施工できる環境づくりも必要であり、そのための契約後の設計変更に関する対応方法についても、検討してまいります。
○木村委員 予定価格と実勢価格のギャップ解消、設計変更への対応といったものについて、都は発注者として速やかに是正策を講じていただきたいものです。こうした取り組みを進めていくことが、地域のインフラを着実に整備し、しっかり維持管理するための基盤づくりになります。
建設業就業者の労働条件が低下して新規就業者が激減するなどしております。現下のような厳しい状況が生じたのは、人とコンクリートを同列で扱った単純なレッテル張りが少なからず影響したことは否めない事実であります。
また、九〇年代後半のように、ゼネコンクライシスなどのタイトルで経済雑誌などが頻繁に発行されていたころは、建設投資が減少し、建設業にとっては長期的な経営計画が立てにくかったと思います。とはいえ、今後は、将来を見据えた担い手の育成をしっかり行っていただきたいと思います。
発注者、受注者、双方で、それぞれの責務を十分果たしていかなければならないと考えます。その意味でのこれまでの取り組みの延長ではない思い切った手だてを講じなければ、オリンピック・パラリンピックの準備はもとより、都民生活や都内経済、ひいては日本全体の経済にも大きな影響が生じかねないという危機感を持たなければならないと考えます。
最後に、入札不調について現状の認識と今後の対応について、局長の所見をお伺いして質問を終わります。
○中井財務局長 入札不調の現状は、先ほど担当部長の方からご答弁申し上げたとおり、建設コストの先高感や人手不足などを背景に、建築工事の不調発生率が高どまりするなど、深刻な状況が続くとともに、都の発注工事の半数を占める土木工事の発生率が急増するなど、不調発生の傾向が変化しつつ、全体としては、さらに厳しいものになりつつあると認識してございます。
こうした状況の中にあって、都民にとって必要なインフラを着実に整備していくためには、構造的な環境変化を見据えつつ、喫緊の課題に的確に対処するための手だてを迅速かつ大胆に講じていくことが必要であると考えております。
このため、現下の厳しい環境を踏まえ、入札不調の解消に向け、設計、積算や入札契約制度に関して全庁的な緊急対策を直ちに検討してまいります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十二分散会
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