財政委員会速記録第十七号

平成二十六年十二月十九日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長和泉 武彦君
副委員長大松あきら君
副委員長桜井 浩之君
理事中村ひろし君
理事曽根はじめ君
理事高木 けい君
山内  晃君
大津ひろ子君
柴崎 幹男君
木村 基成君
西崎 光子君
鈴木貫太郎君
鈴木 隆道君
植木こうじ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長中井 敬三君
経理部長奥田 信之君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長潮田  勉君
財産運用部長岩瀬 和春君
利活用調整担当部長菊地 俊夫君
建築保全部長室木 眞則君
技術管理担当部長妹尾 高行君
庁舎運営担当部長井上  充君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
主税局局長塚田 祐次君
総務部長西海 哲洋君
税制部長加藤  隆君
税制調査担当部長大久保哲也君
調整担当部長萱場 明子君
課税部長山内 和久君
資産税部長安藤 敏朗君
徴収部長熊谷 克三君
特別滞納整理担当部長藤井  朗君
会計管理局局長塚本 直之君
管理部長松下 隆弘君
警察・消防出納部長植松 淳一君
会計制度担当部長米今 俊信君

本日の会議に付した事件
意見書、決議について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成二十六年度資金管理実績(上半期)について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案  平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入、歳出-財務局所管分
・第二百三十九号議案 警視庁鮫洲運転免許試験場技能試験コース棟・駐車場棟(仮称)(二十六)新築工事(その二)請負契約
・第二百四十号議案  都立高島特別支援学校(二十六)増築及び改修工事請負契約
・第二百四十一号議案 東京国際展示場(二十六)受変電設備改修工事請負契約
・第二百四十二号議案 東京消防庁立川防災施設(二十六)空調設備改修工事請負契約
・第二百四十三号議案 新宿歩行者専用道第二号線Ⅲ期-一工区整備工事(二十六 三-主四青梅街道)その二請負契約
・第二百四十四号議案 石神井川取水施設工事(その一)請負契約
・第二百四十五号議案 当せん金付証票の発売について
主税局関係
報告事項(質疑)
・平成二十六年度東京都税制調査会答申について

○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査並びに会計管理局及び主税局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第二百三十九号議案から第二百四十四号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、平成二十六年度資金管理実績(上半期)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○和泉委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十四号議案、平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分及び第二百三十九号議案から第二百四十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○木村委員 私からは、補正予算についてお伺いをいたします。
 今回の補正予算については、一昨日行われた代表質問において、我が党の高木政調会長が取り上げましたが、この委員会の場でも議論を深めておきたいと思います。
 財務局の資料によれば、今回の補正予算は、世界一の都市東京の早期実現に向け、必要な取り組みを加速させるため、将来の東京を見据えた取り組みのスピードアップと直ちに取り組むべき課題に時期を逸することなく対応するものと明記されています。
 具体的な事業では、オリンピック・パラリンピックへの準備を初め、水素社会や女性が活躍する社会の実現などに向けた取り組み、福祉保健施策の充実、防災や契約不調対策などが計上されています。
 今回の補正予算は、我が党の緊急要望を受け、第三回定例会に引き続き、現下の社会経済環境と都民ニーズを的確に捉え、直ちに施策として具現化しており評価するものであります。
 一方で、翌年度の当初予算案の発表が来月に控える中において、第四回定例会での補正予算は過去に余り例を見ないのではないかと思います。
 そこでまず、第四回定例会での補正予算編成について、過去の状況を確認しておきたいと思います。

○潮田主計部長 第四回定例会での補正予算編成は、選挙等に係る専決処分を除きますと五年ぶりでありまして、直近十年では、平成二十年度と二十一年度の二回のみでございます。
 それら二つの補正予算についてご説明申し上げますと、平成二十年九月のリーマンショックに端を発しました急激な円高の進行や株価の大幅な下落が実体経済にも大きな影響を及ぼし、中小企業の倒産件数の増加や失業者の増大など、都民生活や中小企業の経営は大変厳しい状況に直面しておりました。
 こうした状況を踏まえまして、平成二十年十月策定の東京緊急対策Ⅱに基づき、同年第四回定例会で補正予算を編成いたしました。その後、平成二十一年には、国の経済危機対策に迅速に対応するために、同年の第四回定例会におきまして、再び補正予算を編成したものであります。
 これらの内容としましては、経営難に苦しむ中小企業に対する緊急支援や、不安定な就業環境にある都民の不安を払拭するための雇用確保対策を講じるとともに、子育て支援や雇用創出など、国からの交付金を活用して速やかに事業化を図ったものでございます。

○木村委員 ありがとうございます。当時はリーマンショックの影響を受け、世界レベルで金融危機が連鎖的に発生し同時不況に陥るなど、経済情勢は大変厳しい状況にあったことから、都も緊急対策を二度にわたって作成し、都民生活に深刻な影響が出ないよう、全力で取り組んできたと思います。
 実際、都の税収も、平成二十年から二十一年にかけては、一年で約一兆円落ち込んでおり、都の財政にも大きな影響が出ておりました。現在は、景気の回復に若干の足踏み感は見られるものの、基本的には回復基調にあり、平成二十年や二十一年当時と比べると格段に明るくなっており、状況は異なっております。
 こうした中、今回提案された補正予算は、景気の大幅な落ち込みなどに対応した当時の内容とは様相を異にしており、現下の都政における喫緊の課題に対応したものと思われますが、なぜ今回、さまざまな課題の中で、こうした事業がそれぞれ計上されたのか、しっかりひもといておくことが重要だと思います。
 そこで、今回の補正予算の基本的考え方と事業の選定方針について、改めて教えてください。

○潮田主計部長 東京都は、当初予算を年間総合予算として編成することを基本としておりまして、その年度に必要な施策全般を当初予算に計上することで、都民に対する説明責任を果たすとともに、施策の計画的かつ着実な実施を図っております。
 しかしながら、当初予算の編成後に新たな事由が生じ、特に、緊急性や必要性が高いと認められる場合には、適時適切に施策を追加して実施する必要がございます。
 今回、補正予算に計上いたしました外国人旅行者の受け入れ体制の強化、拡充への取り組みや水素社会の実現に向けた取り組みは、来るべきオリンピック・パラリンピックに向け、その一歩を踏み出すことが求められているものでございます。
 また、女性の活躍を促す環境整備は、生産年齢人口が減少する中で、社会の活力を維持するためにも、速やかに取り組む必要があるものでございます。加えて、福祉保健施策の充実や災害対策の強化、契約不調への対応は、まさに都民が直面している不安を速やかに解消し、都民生活の安全・安心の確保に直結するものであります。
 これらの事業は、いずれも世界一の都市東京の早期実現のために不可欠なものでございまして、山積する課題の中から早急に実施すべき事業を厳選し、補正予算に計上したものであります。

○木村委員 当初予算を柱としつつも、都を取り巻く状況を踏まえ、直ちになすべき課題に対して施策を厳選し、補正予算として手当てをしていくということであり、この視点は大切だと思います。それゆえに、我が党も、先般緊急要望を行い、施策の加速化を都に求めたわけであります。
 オリンピック・パラリンピックの準備は、年が明ければ、開催まで残り五年になります。例えば、多言語表記の推進は、国際都市東京のプレゼンスの向上や観光立国の推進という点からも前倒しで進めていく必要があります。
 また、水素社会の実現ですが、さきの衆議院議員選挙では、国民生活に密接にかかわるエネルギー問題を、原発にイエスかノーかという一点のみのスローガン選挙を行う候補者がいました。社会は、イエスかノーかだけで割り切れるほど単純ではなく、数ある選択肢からよりベターなものを選んでいくものではないでしょうか。
 私なら、夢のある水素社会の実現を目指して、原発反対というネガティブな言葉よりも、今こそ国産の新しいエネルギーを開発しようといいます。そうした意味では、水素社会の実現は、環境先進都市の姿や世界一といわれる日本の技術力を世界に示すことができるので、大変すばらしいことです。
 また、女性の活躍推進ですが、いずれは女性が自分の望む形態で仕事ができるような社会が実現されることを望みますが、このたび、知事が、都における女性の管理職の割合を二〇二〇年に二〇%とする目標を打ち出したことは、環境整備に取り組む都の姿勢として大きな意味があると思います。
 あわせて、災害対策の強化や契約不調対策などは、都民の安全・安心に結びつくものであり、現状をしっかりと直視し、来年度予算を待つことなく対応することは、都政に責任を持つ我が党の立場と軌を一にするものであります。
 ここで、今回の補正予算に関してもう一つこの場で掘り下げておきたい事業があります。先日の知事の記者会見や先般の代表質問によれば、地方創生の観点から、東京都と地方を結ぶ観光モデルルートの作成などの事業を計上したという話がありました。いわゆる地方創生法は、十一月に可決成立したところであり、この法には、人口減少対策や地方の活性化に向け、国と自治体が五カ年計画の総合戦略を策定すると明記されています。
 この地方創生という視点は、今後の日本の将来を考える上で大変重要なことから、改めて都の考え方を確認しておきたいと思います。
 そこで、今回、地方創生という視点から都が事業を計上したことについて、その理由を伺います。

○潮田主計部長 現在、国においては、地方創生という新たな政策のもと、東京への集中を是正しようという動きが見られますが、真の地方創生とは、元気で豊かな地方と世界に伍していく国際都市東京がともに栄え、日本全体に活力を行き渡らせることであります。そのため、今回の補正予算には、東京から提案する地方創生の形を事業として予算計上したものでございます。
 具体的には、都庁展望室で、地方の名産品の展示販売や各地方の観光資源をPRする映像を放映するなど、外国人旅行者に全国の魅力を十二分に伝え、さらに東京を基点とした観光モデルルートを作成し、それをもとに、日本全国に興味を持っていただき、国内を旅行してもらうものでございます。そして、その経済効果を多くの自治体と分かち合い、我が国全体に波及効果が広がっていくことを期待しているところであります。
 そうした意味で、これらの事業は、東京を世界有数の観光都市にするための取り組みであると同時に、東京と地方が協力することにより双方が活性化し、東京と地方がともに発展するウイン・ウインの関係の構築を目指す取り組みでもございます。
 今後とも、真の地方創生の実現に向けて、都としても実効性の高い取り組みを進めてまいります。

○木村委員 都も地方自治体の一つとして、みずからの地域をどうすれば活性化させ、元気にすることができるかという点を考えるのは当然です。もちろん、多摩地域への外国人旅行者の誘導も忘れてはいけません。
 とはいえ、それと同時に東京には、日本の首都として日本全体の成長を牽引するという使命もあります。東京の発展だけでなく地方の発展のことも考え、互いに活性化を図れば、日本全体の成長につながり、まさに両者にとってプラスになるわけであります。
 今後も、今回の補正予算で計上したような事業については、知恵を出し合い、効果的な施策を練り上げるとともに、しっかりと施策の趣旨を都民にもわかりやすく発信していくことを期待したいと思います。
 さて、国では、衆議院議員選挙の実施により、税制改正大綱の決定が年末、二十七年度予算の発表も一月と、例年とは異なる日程で進むことが予定されていますが、こうした中でも、都は都民のために、都政を停滞させることなく、前に進めていかなければなりません。
 課題が山積している現在の都において、都民のために、着実に事業を実施していくには、課題の解決に向けた政策とそれを実現していくための予算は密接不可分であります。そうした意味では、年内での発表が予定されている長期ビジョンや佳境を迎えている二十七年度予算編成は、今後の都政の大きな方向性を決める上で重要な要素になるわけであります。
 そこで最後に、現下の都財政の状況を踏まえ、二十七年度予算編成及び今後の財政運営にどう取り組むか、局長の決意を伺います。

○中井財務局長 都の歳入というのは、ご案内のとおり、景気に大きく左右されるわけでございますが、足元の景気は、全体としては緩やかな回復基調にあるというふうにいわれておりますが、その一方で、海外の景気の下振れリスク、そして、消費税引き上げ以降、消費者マインドが冷え込んでいるというふうな状況もあるわけでございまして、今後の景気動向というのは、そういう面では、引き続き十分な注視が必要であるというふうに考えるところでございます。
 また、委員の方からもご指摘のあったとおり、地方法人課税の不合理な偏在是正を求める声、これは、最近とみに大きくなっております東京への集中というのを是正すべきだといった動きと相まって、この先全く予断を許さないという状況にあるわけでございます。
 その一方で、財政の需要面でございますが、オリンピック・パラリンピックに向けたもろもろの準備を進めていくとともに、世界一の都市東京の実現に向けた取り組みを進めていくということがございます。
 また、社会保障関係費、そして、社会資本ストックの更新、維持経費、これらは、どうしても将来に向けて増大するという状況が避けられないというところであるわけでございまして、このようなもろもろの状況に鑑みますと、地方法人課税の不合理な偏在是正措置の撤廃、復元に引き続き全力を尽くすことはもちろんでございますが、さらに、私ども内部の問題といたしましても、全ての事業において実効性や効率性を高める不断の取り組みを徹底し、さらに、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用していくことが重要であると考えております。
 安定的な財政の対応力を堅持することを常に念頭に置きながら、都民の負託にしっかりと応える二十七年度予算を編成し、二〇二〇年とその先の明るい未来を切り開いていきたいと、そのような決意で、これからも職務に当たっていきたいというふうに考えております。

○木村委員 いよいよ都の二十七年度予算案の発表まで約一カ月であります。今、財務局長から力強い言葉がありましたが、これから最終局面を迎える二十七年度予算編成においても、将来に向けて強固な財政基盤を確保しつつ、山積する課題にしっかりと対応し、都民のために資する施策を適切に予算に盛り込むことを財務局には重ねて要望し、私の質問を終わります。

○鈴木(貫)委員 私からも、今回提案をされました補正予算について、改めて基本認識等を踏まえて、何点か伺っておきたいと思っております。
 時系列的に申し上げますと、本年の九月、我が党が緊急要望を申し入れたことを受け、第三回定例会で、待機児童解消に向けた施策を加速させるための補正予算が編成され、保育サービスの拡充が図られたことは、既に、もう全て周知のとおりであります。
 しかし、福祉先進都市東京を実現するためには、待機児童の解消に向けた取り組みの充実に加え、高齢者や障害者を含めた総合的な福祉施策の拡充が必要であることはいうまでもありません。
 また、近年は、八月の広島での土砂災害、九月には御嶽山の噴火等々の自然災害、各地で大きな被害が頻発しております。防災、減災対策を初めとする都民の安全・安心を確保する取り組みについても、これまで以上に積極的に推し進めていかねばならないと考えております。
 こうした状況を踏まえ、我が党は、先月、福祉施策の一層の拡充や都民の安全・安心を確保する取り組みなどの加速を求める緊急要望を申し入れました。今般、都が第三回定例会に引き続いて、今議会にも補正予算を編成したことは、我が党の要望に時期を逃さず応えてくれたものとして高く評価をいたします。
 加えて今回の補正予算は、福祉施策の拡充とか、都民の安全・安心確保のための取り組みのほか、オリンピック・パラリンピックへの準備、水素エネルギーの普及に資する施策、女性の活躍に向けた取り組みなどについても重点的にスピードアップを図る内容になっており、評価に値するものと我が党は考えております。
 そこで、まず第一番目に伺いたいのは、今回の補正予算の特徴でありますけれども、そのポイントを具体的にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

○潮田主計部長 今回の補正予算は、世界一の都市東京の早期実現に向けて必要な取り組みを加速させることを目的としておりまして、大きく二つのポイントから成っております。
 一つは、オリンピック・パラリンピック開催に向けました準備を初めとした将来の東京を見据えた取り組みのスピードアップを図ることであります。そしてもう一つは、委員からただいまご指摘いただきました福祉保健施策のさらなる充実や防災対策など、直ちに取り組むべき課題に対しまして時期を逸することなく対応することであります。
 また、オリンピック・パラリンピック開催に向けた準備の中では、外国人旅行者が、東京だけでなく地方へも回遊することを目指す施策も組み入れておりまして、東京と地方が協力してともに発展する環境を構築するという都が考える地方創生の一つの形も示しているところでございます。
 このように、世界一の都市東京の実現のため、幅広い分野を俯瞰しつつ、今なすべき施策に厳選していることが、今回の補正予算の特徴であるというふうに考えています。

○鈴木(貫)委員 今回のキーワードはスピードということになるんでしょうね、スピード感。さまざまな課題に対してスピーディーに対応していくという状況、これはもう当然のことであり、了としたいと思っています。若干、これは裏を返せば、現在の都には、将来を見据えたさらに重要な課題、また、迅速な対応を要していく将来の課題、緊急課題、これが数多く存在しているということがあります。よくわかっております。
 こうした状況の中で、現在、急を要する課題を年度末まで引っ張ることなく、いち早く取り組むこと、都民の、私たちの暮らしを支える上で重要であることは、当然、いうまでもありません、冒頭申し上げたとおりだと思います。
 ところで、現下の経済状況に目を向けますと、国内的には、先般発表された七-九月にかけてのGDPが、二期連続でマイナス成長、発表されておるとおりであります。それから、景気回復の動きに足踏み感が見られることは、確かにそのとおりだと思います。加えて、対外的に見ても、ロシアにおけるさまざまな不透明感が世界経済にどう波及してくるか、これはまさに不透明だと思います。
 そういうことを考えてみると、私はこの場で申し上げるんですけども、都の税収の見通しは決して楽観できる状況にはない、こう思っていいのではないか、楽観できる状況ではないと思います。
 でも、どのような情勢の中にあっても、それを展開するための財政的な裏づけがなければ、政策を実行することはできない。まさに財源なくして政策なしであると私は考えております。こんなことを確認する意味でも、今回の補正予算における問題は、この財源、これはどういうふうにして確保してきたのか、基礎的な課題でありますけれども、一遍それを確認しておきたいと思います。
 補正予算の財源の内訳、そしてまた、この考え方、これをお示しをいただきたいと思います。

○潮田主計部長 今回の一般会計補正予算の財源の内訳としましては、国庫支出金、基金の繰入金、そして繰越金でございます。
 財源の考え方としましては、今回、国からの内示がありました国庫支出金を充当いたしまして、地域医療介護総合確保基金を設置し、この基金や安心こども基金を、まずは財源としました。その上で、なお必要となる財源につきましては、経費節減等により生じた昨年度からの繰越金を活用しております。
 このように、今回の補正予算におきましては、年度間の財源調整の役割を持つ財政調整基金など、将来財源として活用可能な基金は取り崩すことなく対応したところであります。そうした点では、財政の健全性にも、一定程度目配せをしたところであります。

○鈴木(貫)委員 かつては財政調整基金が底をつくような時代もありましたけれども、今、それに手をつけないで補正予算を編成し、財政の健全性の維持を図っている、この視点は、とても大事なことだと私は思っています。
 先ほど、財源なくして政策なしと私は申し上げましたけれども、重要な政策を推し進めていくからといっても、やみくもに大事な虎の子の財源を取り崩して予算を編成していく、これはいかがなものかと思います。当然、都民に不安を抱かせてしまうと思います。
 そうした点で、今後見込まれる継続的な財政需要に対して、いわゆる特定目的基金を上手に活用すること、一つ目ですね、これも重要な施策の一つだと思います。ただいまの財源の説明の中にもありましたように、今回の補正予算でも、安心こども基金と地域医療介護総合確保基金という二つの特定目的基金を活用しています。国からのものでしたね。このうち、地域医療介護総合確保基金は、効率的で質の高い医療体制や地域包括ケアシステムの構築などへ向け、今回新たに設置される基金であると私は認識をしております。
 本定例会において、この基金を設置する条例が提案されていることもありますものですから、この場で特定目的基金についてのそもそも論について理解を深めていく必要があると私は思います。
 都におけるこの特定目的基金の概要と活用に対する基本的な考えについて、改めて質問したいと思います。

○潮田主計部長 特定目的基金は、将来の財政需要に備えまして、安定的かつ機動的に施策を展開していくため、それぞれの目的に応じて設置するものでございます。
 都の特定目的基金に関して、基金の財源という観点から大きく分類をいたしますと、例えば、今回、基金設置を提案しております地域医療介護総合確保基金など、国の施策に基づいて、国からの国庫補助金を受けて設置する基金と社会資本等整備基金や東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金などの重要な施策の実現を目的として、都みずからの判断で設置する基金とがございます。
 今回の補正予算の財源であります二つの基金は、いずれも国からの国庫補助金を受けまして設置する基金でありまして、それぞれ国の方針との整合性を図りつつ、都の福祉施策の推進を財政的に下支えをするものでございます。
 いずれにしましても、特定目的基金は、計画的かつ継続的に施策を展開していく上で欠かせないものであり、今後とも重要な財源の一つとして適切に活用してまいります。

○鈴木(貫)委員 今、ご答弁をいただきました地域医療介護総合確保基金は、地域包括ケアシステムの構築に向けた財源を確保するため、国政において、我が党も強く働きかけてきたものの一つであることはいうまでもありません。これを財源とした事業を早期に実施することは評価いたしたいと思います。引き続き、これらの基金を有効に、そしてまた、福祉施策の充実に努めていただきたいと思っております。
 一方、現実に目を向けますと、少子高齢化の進行は待ったなしの状況にあることはいうまでもありません。特に東京などの都市部において、特に顕著にあらわれることが、これからも予想されていることは、いうまでもないと思います。
 本委員会でも議論を万たびやってまいりましたけれども、高齢者人口の増加に伴う介護給付等の急増が見込まれておりますし、待機児童数についても、東京は全国の約四割を占めているともいわれており、今後、子育て環境の整備などに要する経費の増大は避けられないと思ってもいいと思います。
 こうした状況を裏打ちするように、社会保障関係費の将来的な推移については、私も調べましたけれども、平成二十五年度の東京都年次財務報告書にも記載がありますけれども、第三者機関の試算によりますと、毎年平均約三百億円のペースで増加し、今後二十年間における増加額の累計は、何と約六・六兆円にも達すると試算されております。
 また、社会保障関係費のほかにも、都民の安心・安全を守るための防災、減災対策、社会資本ストックの維持更新、これも相当な金額がかかりますね。都は現在、膨大な財政負担を要する課題を幾つも抱えていることはいうまでもないと思います。
 どんな状況下にあっても、都民に対し、将来にわたって安定した行政サービスを提供していくことが都政に携わる者の責務である。こうした課題への適切で着実な対応を可能にする強固な財政基盤を確保し、都民生活をしっかりと支えていかなければならないと考えております。
 そこで、最後になりますけれども、局長に、中長期的な財政運営という観点、それから、安定した行政サービスの提供、それを支える強固な財政基盤の両立に向けた考え方、これをどう思っていらっしゃるのか、財務局長の見解を伺っておきたいと思います。

○中井財務局長 都の歳入は都税収入が根幹をなすということは、都政始まって以来ずっと基本的な構造として続いているわけでございまして、その都税収入が景気に大きく左右されるということも、この東京という地域の変わらぬ特性であるわけでございます。
 最近の例としては、まだ記憶に新しいところではありますが、リーマンショックのときに一年間で一兆円の減収になったという状況があるわけでございまして、こういった大きな変動する歳入構造、それに加えて、東京都は、地方交付税の不交付団体であるということで、そういった厳しい状況に陥った場合でも、国からの財政的な支援が受けられないという、そういう特徴を持っているわけでございます。
 しかしながら、そういった中でも、委員からもご指摘にございましたとおり、安定的で継続的な行政サービスを提供していく、これは、都政にとって避けられない、そして都財政の宿命ともいうべき課題でありまして、こういった点で、基金、そして都債を活用するということが極めて重要な意味を持つわけでございます。
 しかしながら、基金があり、また、都債が活用できるからいいじゃないかということではなくて、やはりその前提として、事業の徹底した見直しということを常に変わらぬ姿勢として持つことが必要なんだろうというふうに考えております。一つ一つの施策の実効性を高める、そういった自己改革努力を常に強化していくということが我々に課された宿命、ミッションなんだというふうに考えます。
 足元の景気は、委員からもご指摘のあったとおり不透明であるというのは私も同感でございます。とりわけ、近年の経済というのは、世界経済の動向に大きく左右されるということでございまして、欧州の経済の低迷、中国経済の影響というようなことが、日本の経済に大きなマイナスの影響をいつもたらしてもおかしくないというふうにもいわれているわけでございます。
 また一方で、政治的、制度的な側面といたしましては、地方法人課税の不合理な偏在是正措置、この動向も東京の財政に大きな影響を与える懸念材料として、今後も予断を許さない状況が続くということでございます。
 こうした中にあって、喫緊の課題であります少子高齢社会への対応など、福祉先進都市の実現、そして都民の安全・安心の確保、さらに東京の将来を見据えたさまざまな取り組み、こういったものを財政面からしっかりと支えていくということが、我々財政を所管する者に課された責務であるというふうに認識しております。
 今後とも、これまで培ってきた基金を初めとする財政対応力を最大限有効活用するとともに、不断の自己改革努力を続け、将来にわたり健全な財政を堅持すべく、引き続き財政運営に努力してまいります。

○鈴木(貫)委員 最後に、今、局長から決意を述べられたものと私は思いますけれども、さはいえども、今、局長が述べられた地方法人課税の問題に加えて、最近、嫌な風が霞が関から流れています。商業地に係る固定資産税の--これも聞くところによると東京バッシングだといわれている、総務省は狙い撃ちをしている。こんなことまでして、東京狙い撃ち、地方対東京、まさに、そういう関係になってくると思います。
 これは潰さなきゃいけないと思いますけれども、そういうこともあるということ、穏やかならざる状況が、今、裏の中でうごめいているという、こういうことは、やはり我々よく知っておかなきゃいけないと私は思いますし、ぜひ力を合わせて、都の財政確立のために、お互いに努力していきたい。
 そのことを申し上げて、なお、先ほど中途半端に申し上げましたけれども、逆オイルショックという状況にもなりかねないと思いますよ、ルーブルの沈下は。そういうことが、国際情勢を大きく揺らぎ、東京にもろにぶつかってくる、そういうことをよく見定めた上で、我々東京論をぶち上げていかなきゃいけないなと、こう思ってこの論を閉じていきたいと思います。
 以上です。

○中村委員 それでは、議案について私からもまず補正予算について質問します。
 第三回定例会において補正予算を編成し、続けて、この第四回定例会でも補正予算を編成しています。これは、過去を振り返っても極めて異例のことです。
 都は常々、年間総合予算が基本だとしている中で、補正予算はあくまでも当初予算から事情の変更があったものや緊急性があるものに限定されてきたものと思います。今回の補正予算は、そういった補正予算の本来の性格に合致したものといえるのでしょうか。
 そこでまず、今回の補正予算の意義について伺います。

○潮田主計部長 今回の補正予算は、都政において山積する重要課題に対応するため、施策の必要性、緊急性を十分精査した上で、真に必要な施策に厳選し、編成したものであります。
 補正予算に計上いたしましたオリンピック・パラリンピック開催に向けた準備や水素社会の実現に向けた取り組みは、二〇二〇年を控え、さらなるスピードアップが求められているものであります。また、保育人材の確保や防災対策、契約不調対策は、現下の都政を取り巻く状況を踏まえれば、時期を逸することなく、機動的に対応することが必要なものでございます。
 これらの事業は、いずれも世界一の都市東京の早期実現のために不可欠なものでありまして、今回の補正予算は、そういった必要性を十分に踏まえて編成したものでございます。

○中村委員 施策の実施を前倒しにして早期実現を図るということは理解はできます。しかし予算に関しては、都が常々主張してきたように、必要な施策は当初予算に全て計上する、そして、その年の都政の全体像を都民、都議会にきちんと示すことで説明責任を果たす、そのことが予算の原則であり、補正予算がその場限りの施策の切り売りとならないよう、首尾一貫した施策体系の中にきちんと今回の補正予算に計上された施策を位置づけながら進めていくことを強く求めます。
 続いて、補正予算を編成する上で財源の問題があります。
 都は、常々歳入について、地方法人二税に対する依存割合が高いことから、景気変動等の影響に左右されやすく、非常に不安定な構造にあるといっています。消費税導入などにより個人消費が冷え込む中、税収の先行きも不透明です。
 一方で、少子高齢化に伴う社会保障施策や防災対策など、都政に求められるサービスは、質、量ともに増加の一途をたどっています。そうであればこそ、安易に基金を取り崩すなど都財政の健全性を危うくするようなことは、なるべく回避すべきです。
 そこで、今回の補正予算の編成に当たり、都の財政規律についてどのように配慮をしたのか伺います。

○潮田主計部長 都の歳入構造は、非常に不安定である一方、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費の増加など、今後、膨大な財政需要に対応していかなければなりません。そのため都は、これまでも常に財政規律を念頭に置きまして、必要な施策の実施を支える財政対応力を堅持することに腐心をしてまいりました。
 今回の補正予算におきましても、財源として、まずは国から交付されました国庫支出金や基金からの繰入金、そして、経費節減等により生じました繰越金を活用することで、財政調整基金など、将来の財源として活用可能な基金を取り崩すことなく対応しております。こうしたことからも、今回の補正予算は、財政の健全性にも目配せをしながら編成をしたところであります。

○中村委員 歳入歳出両面にわたって将来への見通しをしっかりと持った上で、真に必要な施策については、機を逸することなく実施をする、そのための一つの手段として補正予算を活用していただくとともに、あわせて財政規律というものを常に念頭に入れながら財政運営を行っていただくことを求めます。
 次に、当せん金付証票、いわゆる宝くじの発売について質問します。
 本定例会に、来年度の発売限度額が提案されている宝くじですが、その売上金の約四割が収益金として自治体に収入され、貴重な財源として活用されています。ところが、ここのところ売り上げが伸び悩んでいるとのことであり、実際、来年度の発売計画額もマイナスになっています。
 そこで、何点か質問させていただきたいと思いますが、まず確認のため、最近における宝くじの発売動向について伺います。

○潮田主計部長 最近の売り上げ動向でございますが、宝くじの年間売り上げが最大でありました平成十七年度において、全国合計で一兆一千四十七億円の売り上げを記録いたしました。その後、年度ごとに増減の波はありますものの、中期的な状況を申しますと、概して売り上げの低減傾向が続いておりまして、直近の二十五年度においては、九千四百四十四億円の実績でございました。
 今年度は、スクラッチくじなどは堅調な売り上げを確保しているものの、主力商品の一つでありますジャンボ宝くじの一部や、ロト6、ロト7といった数字選択式宝くじが苦戦をしている状況でございます。
 なお、本日ジャンボ宝くじの最終日でございますので、委員の皆様は、ぜひお買い上げいただきたいと思います。

○中村委員 けさもテレビのコマーシャルで最終日というPRもしておりましたので、PRしていることも、しっかりと認識をさせていただいています。
 さて、平成十七年度以降の大きな傾向として、宝くじの全体売り上げが低減し続けており、今年度も主力商品の売り上げが軒並み減少しているということです。宝くじの収益金は、宝くじが販売された自治体の収入になるということです。都内での売り上げが減れば、都に入る収益金も減ってしまうことになるため、都としても、この売り上げの低下の原因を分析していくことが重要です。
 そこで、宝くじ売り上げ低下の原因と、この間、どう対応してきたのか伺います。

○潮田主計部長 まず、ジャンボ宝くじでございますが、発売後に実施したアンケート調査によりますと、お金の余裕がなかった、あるいは宝くじ以外の使い道にお金を使ったといった回答が多く、購入者個々の経済事情によるものと、娯楽が多様化する中で、その一つである宝くじの存在感の低下傾向が顕在化しつつあることが原因の一つとしてうかがえる結果となっております。
 このような中、昨年の年末ジャンボ宝くじから購入者の要望として強い一等賞金の高額化を進めまして、一等前後賞を合わせました賞金を七億円に引き上げたところであります。
 あわせまして、当たりやすさを希望する方のニーズにもしっかりと対応するべく、一等の賞金額を七千万円に抑えつつ、当せん確率を十倍にする新商品、年末ジャンボミニ七千万円を同時に発売するなど、宝くじの魅力向上に努めてまいりました。
 また、数字選択式宝くじでは、昨年、ロト7を新規発売したところ、この相乗効果で、昨年は大きく全体売り上げを伸ばしたところでありますが、今年度に入りまして、新商品効果が一巡したことによりまして、売り上げが伸び悩んでいる状況でございます。

○中村委員 一等の金額の高額という魅力もあるのでしょうが、当たりやすさということを求める方もいらっしゃると思いますので、両方組み合わせてやられるということですので、今後とも検討していただきたいと思います。
 ただ、経済状況による売り上げへの影響というのはなかなか避けがたいものですが、宝くじの存在感の低下というのが構造的な問題として深刻に捉えなければならないのではないでしょうか。今発売している年末ジャンボも盛んに七億円という賞金をPRしていますが、高額賞金の魅力だけでは持続的な売り上げの向上は困難であり、法令にもある地方財政に寄与するという宝くじの発売意義をもっと購入者に理解してもらうなどの努力をすべきではないでしょうか。
 そこで、都における宝くじ収益金の活用状況について伺います。

○潮田主計部長 宝くじの収益金は、地方財政法第三十二条に規定する事業を定める省令の中に掲げられております事業に充当することとなっております。
 平成十五年には、収益金七百三十八億円のうち、主なものとして、公園整備に二百三十九億円、河川整備に百四十三億円、老人福祉等施設整備助成に六十六億円、その他公営住宅建設に五十二億円を充当しております。
 その後、平成二十二年度から、子育て推進交付金に百五十四億円を充当するなど、充当事業につきましては、省令に基づいて、その時々の状況に応じて対応しているところであります。
 平成二十六年度の収益金の予算額は六百六十五億円でございますが、主な充当事業といたしましては、子育て推進交付金に百七十二億円、公園整備に百三億円、都立学校校舎改築、改修に七十二億円など、省令に定めるさまざまな事業に充当を予定しております。

○中村委員 議案の方には、発売目的を公園整備等の費用の財源に充当するためとありましたが、時代とともに変化もし、今年度の収益金の使途については、最も金額の大きいのは子育て推進交付金で、公園整備は二番目ということでした。
 この宝くじの収益金の使途を明らかにして、福祉目的など、購入者の生活のために還元されるということが理解されれば、もっと購買意欲が上がるのではないでしょうか。例えば、今、話にあった子育てになら、喜んで宝くじを買うという都民もいるのかもしれません。
 そこで、宝くじの売り上げ向上のため、収益金活用状況のPRを積極的にすべきですが、見解を伺います。

○潮田主計部長 宝くじの売り上げ向上に向けまして、宝くじの収益金がどのような事業に使われているかをPRすることは重要であるというふうに認識をしてございます。
 そのため、これまでも宝くじのオフィシャルサイトを通じまして、収益金を充当している認証保育事業などにつきまして紹介をしているほか、全国共通のテレビCMにおいて、緑化事業や防災事業などの充当事業を映像で紹介するといった取り組みも進めているところでございます。
 また、今年度から宝くじ売り場に映像機器を設置いたしまして、収益金を充当した事業を紹介するVTRを放映する取り組みを始めたところでございまして、購入者が、その都道府県でどのように宝くじが役立てられているかを理解してもらえるよう工夫をしているところでございます。
 今後とも、さまざまな媒体を活用し、宝くじの社会的な意義について、わかりやすく積極的なPRに努め、信頼感の醸成につなげてまいります。

○中村委員 今挙げられたようなことを一層進めることにより、宝くじの存在感を向上させ、これからも宝くじの収益金がより多くの事業に役立てられるよう、しっかりと取り組んでいただくよう求めて質問を終わります。

○山内委員 私からは、契約に関することを伺う中で、まずは、契約案件に関連をしてお伺いいたします。
 契約案件として、高島特別支援学校の増築及び改修工事が付議されておりますが、この案件については、老朽化した既存の体育館や屋外プールを解体した後に、五階建ての校舎を建設するとともに、既存校舎の改修を行って教育環境を整備するものであります。
 これについて、財務局が設計したものと承知をしておりますけれども、限られた敷地の中で施設規模を拡大しているとのことでありますけれども、この施設の整備において特徴的な内容は何か、まずはお伺いをいたします。

○室木建築保全部長 都立高島特別支援学校の施設整備に関します特徴でございますけれども、まず、既存校舎への採光の確保及び一定面積のグラウンドの確保などの敷地条件の中で、床面積の増加を図りつつ、教育環境に配慮しながら、多くの機能を効率的に組み込んだ平面計画とした点にあります。
 また、環境配慮の観点では、省エネ・再エネ東京仕様を全面的に適用し、環境負荷の低減を図っております。
 さらに、既存校舎の有効活用の観点からは、建築物の長寿命化を図るため、校舎内の諸室の配置がえに伴う内部改修ですとか、あるいは外部改修などを行っております。

○山内委員 施設の整備において、環境負荷の低減や建物の長寿命化を図ることは、都の進める環境施策の推進にも合致し、また、都有施設の有効活用の点からも、大変よい取り組みではないかと考えております。
 しかし、どのような方策によりそれらの取り組みを進めるかによって、結果的に大きな差が生じることになることもあります。建築技術は、日進月歩で日々進化をしております。常に最新で効果の高い技術を取り入れることが非常に重要であると考えております。
 そこで、都有施設の整備に当たって、効果の高い技術を採用する取り組みを講じていくべきと考えておりますけれども、そのご所見を伺います。

○室木建築保全部長 都有施設につきましては、都民から負託を受けた貴重な財産であることから、長期にわたりまして有効に活用されなければなりません。
 このため、施設の整備に当たりましては、施設のライフサイクルを通した環境負荷低減への配慮ですとか、あるいは、長期的な利用を前提といたします長寿命な建物の整備推進などが必要でありますので、それに向けた効果的な工法あるいは材料などを積極的に採用することが重要でございます。
 都が、こうした施設整備に当たりまして、このような取り組みを進めることは、民間の保有する技術の掘り起こし、あるいは新技術の開発を促す効果も見込まれることから、今後、このような技術の採用に向けた仕組みを検討してまいります。

○山内委員 さらに、契約制度に関してお伺いをさせていただきます。
 都が現在進めている入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みについてでありますが、網羅的にこれを取り上げて、その内容を明らかにしていきたいと思います。このような趣旨から、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 現在、公共工事は、入札不調による事業進捗のおくれが大変懸念をされている、そういった状況であります。現実に都における不調の発生率は高どまりをしておりまして、その原因の一つである現場における技術者の不足、これが大変深刻な問題となっております。特に中小企業においては、技術者がまさに少ないといったところから、公共工事などのように技術者の専任要件がある場合、工事が集中をする年度末の時期などには、新たな工事の、いわゆる受注が困難になってくるといったところで、まずは、この喫緊の課題への対策が大変重要ではないかと考えます。
 そこで、都は、技術者不足への対策として、技術者の専任要件の緩和などの取り組みを実施してきましたけれども、現下、不調発生の状況に対し、特に年度末にはさらなる対策をしっかりと実施していくべきと考えておりますけれども、ご所見をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 都の公共工事等においては、原則として工期の開始とともに、技術者の専任配置が求められております。このため、多くの工事が年度末竣工に向けて施工されている二月から三月の時期は、新たな発注工事に対して技術者が配置できないことを理由に、事業者が入札に参加しづらい状況になっております。
 このような中小企業を初めとした深刻な年度末の技術者不足に対応するため、本年度から、いわゆるゼロ都債を活用し発注を前倒しする工事において、年度内においては技術者の配置を要しない技術者配置準備期間を試行的に設定することといたしました。
 これにより、三月末の竣工に向けて工事を施工中のため技術者を確保できない事業者も、年度内契約、翌年度早期着手工事への参加が可能となり、事業者が切れ目なく工事を受注できる環境の整備に資するものと考えております。
 この試行を、今後は、発注の平準化に向けての取り組みとしても活用できるように検討を進めてまいります。

○山内委員 今後とも、入札不調に対しては、実効性のある対策を講じてもらいたいということを要望しておきます。
 市場の変化と、それに伴う課題に対して迅速に対応し、対策を講じていくことも重要でありますし、同時に中長期的な視点を持ち、公正性、そして、透明性、競争性とともに、品質をしっかりと確保できる制度を構築することで、未来に向けて着実なインフラ整備を図ることも重要であります。
 そこで、持続的、そして安定的なインフラ整備に向けて、発注者の責務を果たしていくために、地域の身近なインフラ整備や維持管理の担い手として、都が発注する工事の八割以上を受注している中小企業に対しまして、入札への参加を継続的に促進する将来を見据えた取り組みが大変重要ではないかと考えます。
 中小企業がより安心して入札に参加し、そして、公共工事の品質を一層確保することにつながる取り組みとして、最低制限価格の適用範囲を広げることが大変に有効だと考えておりますけれども、そのあたりのご所見をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 最低制限価格制度は、その適用範囲においては、基準価格を下回った応札者を、品質確保の観点から落札者としない制度でございます。
 都では、平成二十七年四月からJV基準を見直し、意欲と能力のある中小企業が単独で入札に参加できる機会を拡大することにしております。
 このJV基準の見直しに合わせまして、最低制限価格制度の適用範囲を建設工事で五億円未満から六億円未満へ、土木工事で四億円未満から五億円未満へ、設備工事で一億二千万円から二億五千万円へとそれぞれ拡大してまいります。
 この見直しを含め、品質確保の基礎となる最低制限価格制度や低入札価格調査制度については、今後とも、適正に運用してまいります。

○山内委員 最低制限価格の適用拡大は、中小企業からの要望も大変多くて、来年の四月から実施するという答弁は、中小企業の経営者並びに関連する皆さんにとっては、大変に朗報です。
 一方、受発注者のリスク分担の観点からは、工事契約における物価変動のリスクの軽減という課題もあります。
 都は、今定例会の付議案件から、契約前の段階で実勢価格を可能な限り予定価格に反映する予定価格修正方式という独自の取り組みを実施していると聞いております。
 また、契約後の物価変動のリスクを軽減する取り組みとしては、全体スライド条項の活用があります。これまでも、第三回定例会の本委員会で、我が党の高木理事からの質問に対しまして、この条項の見直しについて都は言及しておりますけれども、問題の本質について掘り下げて確認をしたいと思います。
 改めて伺いますけれども、全体スライド条項をなぜ今見直しする必要があるのか、その背景について伺います。

○松永契約調整担当部長 工事請負標準契約書の第二十四条に定めるスライド条項は、契約締結後、賃金または物価の変動により契約金額が不適当になった場合、変動後の単価に応じて契約金額の変更を請求できる制度でございまして、全体スライド、単品スライド、インフレスライドの三種類がございます。
 このうち、全体スライド条項は、契約後の受発注者間の経常的な物価等の変動リスクに対応するもので、スライド条項における基本的な制度となっております。
 この二十年近くの建設産業を取り巻く状況は、建設投資額の減少に伴って就業者数も減少し、技術者の不足、担い手の高齢化など、課題が顕在化してございます。
 一方で、発注者にとっては、既存の社会資本の老朽化への対応や災害への対応など、安定的なインフラ整備が可能な環境を今後も整備していく責務がございます。
 このような背景のもと、改正品確法の理念である中長期的な人材の確保、育成や、その定着、地域インフラの維持発展などを実践していくためには、全体スライド条項について、建設産業が抱える構造的な課題や都の公共工事の発注実態に応じ、受発注者間のリスク分担を適正化していくことが、都民生活に必要なインフラの品質を持続的に確保することにつながると考え、見直しを行うことにいたしました。

○山内委員 建設産業全体の環境変化は我々も認識しているところであり、単価の改正などの臨機応変な対応とともに、契約書の内容にも踏み込んだ将来を見据えた取り組みも極めて重要であると考えます。
 現在の全体スライド条項には、具体的にどのような課題があり、都はいかなる手続によって見直しを検討してきたのか、そのあたりをお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 この条項は、昭和五十年代の初頭において、資本金十億円以上の企業が長期にわたる請負工事を対象に制度化されたもので、そのポイントは、どの程度の期間が経過した工事を対象にするかという適用条件という点と、もう一点、物価上昇分からどの程度をリスク負担として差し引くかという負担率、この二つがポイントになります。
 現在の適用条件は、債務負担行為を用いた比較的長期の工事への適用を前提に、契約後、一般的な賃金改定周期である十二カ月を経過した以降としております。
 また、負担率については、対象となる企業の経常利益率から税金、配当、合理的な内部留保を差し引いた率である一・五%としております。
 今回の見直しに当たり、有識者による検討を行うとともに、これと並行して実施する場合の課題となる国庫補助対象事業における円滑な適用や、工事所管局における現場の事務負担などについて、国や工事所管各局と意見交換をしてまいりました。
 有識者による検討の結果では、工事の規模が小さく、受注者の多くが中小企業である都の実態を踏まえ、現在の適用条件は短縮する、負担率は引き下げるという方向が示されたため、この二点について、制度の実効性、持続性、信頼性の視点から、具体的な見直しをすることといたしました。

○山内委員 全体スライド条項においては、現行の適用条件と負担率に課題があり、見直すに当たり、しっかりとした手続を経て検討してきたことが理解できました。
 そこで、受注者と発注者との間で適正にリスクを分担するという視点から、都は適用条件と負担率をどのように見直しをしていくのかを具体的にお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 適用条件については、現場の職員が変更事務を確実に実施するという発注者の責任を果たすものとして、現行の十二カ月を九カ月に短縮いたします。
 また、負担率については、都の工事の中核を担う中小企業が経営上最小限必要な利益を損なわない負担として、現行の一・五%を一・〇%に引き下げます。
 これらの見直しを、平成二十七年四月一日以降公表分の工事から適用してまいります。これにより、工期のより短い工事に全体スライド条項を適用できるようになりまして、中小企業向けを中心に対象件数が約一・六倍になります。
 都は、全体スライド条項の見直しにより、現在及び将来の現場の担い手の育成や労働環境の改善といった改正品確法の理念を実現し、中長期的なインフラの品質を確保してまいります。(発言する者あり)

○山内委員 今、ほかの委員からも、もう一頑張り必要ではないかという意見もありますので、とりあえず、現行十二カ月を九カ月というところは、都の、非常に高い評価ではないかと思いますけれども、これでまずはやっていただいて、それで、まだまだそういった意味では、現場の方々からいろんな要望があるかと思います。そういう中で、もう一段頑張っていただくようなことがあろうかと思いますから、またそのときは、この委員会でしっかりと要望させていただくような形で、とりあえずは、やっていただきたいなと思っております。
 全体スライド条項を見直すに当たり、制度の持続性と実効性を重視し、現在の適用条件と負担率を都の工事の実態を反映した水準に見直すといった判断は、先ほど申し上げたように、妥当ではあるとは思いますけれども、今後、期待をいたしております。
 次に、入札契約制度を通じた女性の活躍推進について確認をさせていただきたいなと思います。
 本定例会に提出をされた一般会計補正予算では、女性が活躍する社会の実現に向けて十一億円の予算が計上され、女性が生き生きと活躍する社会の実現を目指し、全庁を挙げて多面的な施策が実現されようとしております。
 また、第三回定例会の代表質問で、入札制度における女性の活躍を促す取り組みに関して、我が党の村上幹事長の質問に対しまして、財務局長から、女性の活躍を促す仕組みの一層の充実に向け検討を進めるとの答弁がありました。
 入札契約制度を活用した取り組みも進められようとしている現状でありますけれども、女性の活躍推進という政策目的の実現に向けて、まずは総合評価方式を具体的に活用すべきだと考えておりますけれども、所見を伺いたいと思います。

○松永契約調整担当部長 公共調達のプロセスにおいて、総合評価制度を通じて女性の活躍推進など、事業者の自発的な取り組みを促していくことは、都の施策をサポートする手段の一つとして有効であると考えております。
 そのため、事業者の取り組みを評価する項目として、工事関係の総合評価では、これまで仕事と家庭の両立支援の観点から、東京ワークライフバランス認定企業を対象としてまいりましたが、これに加えまして、女性の活躍推進の観点からも、新たに創設される生活文化局所管の女性活躍推進大賞受賞企業を追加し、あわせて技術点全般の評価項目の見直しを検討してまいります。
 また、業務委託関係の総合評価では、庁内の認定制度や表彰制度に加えまして、厚生労働省が実施する均等・両立推進企業表彰などの認定表彰制度も総合評価に活用できる評価項目例として、各局に対し今月中に周知し、来年四月から契約する総合評価方式の案件に反映してまいります。

○山内委員 女性活躍推進の法制化に先駆けて、都として独自の取り組みを進めようとしていることは高く評価できると思います。
 民間企業の自主的な取り組みを後押しするには、女性の活躍推進に向けた都としての確固たるメッセージを伝えていく必要性があるのかなと思います。多くの事業者が入札参加を通してかかわる公共調達の分野において、実施可能な取り組みを着実に講じていくことが必要であります。
 しかし、業種や企業規模によって、現在の取り組み状況に差があることも事実であります。
 そこで、女性の活躍推進に向けて、入札制度を通じた取り組みの今後の課題について所見をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 総合評価方式を活用して女性の活躍推進を支援するためには、事業者の実績とともに、それを客観的に評価する表彰制度や認定制度などの対象が必要でございます。
 しかし、建設事業者を対象とする表彰認定制度が極めて少ないという現状がございます。
 また、現在、建設業の現場で働く女性技術者が業界全体の三%程度と少なく、特に中小規模の工事現場における女性の就業環境は十分なものとなっていないという現状もございます。
 このような課題は認識しつつも、まずは、さきの女性活躍推進法案で示された認定一般事業主である従業員三百人超の中堅以上の事業者を対象に、新たな制度を検討していくとともに、庁内各局との連携や事業者団体との意見交換などにより、現場の実態に即した実効性のある評価項目を検討し、制度の充実を図ってまいります。

○山内委員 入札契約制度を通じた女性の活躍推進については、まだまだ課題も多いことから、発注者側だけではなく、受注する事業者側でも、みずからのこととして主体的に取り組みを進めていく必要があると考えます。
 これまでの幾つかのテーマについて、基本的な考え方や具体的な内容を聞くことで、都が進める入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みが、喫緊の課題に対する取り組みや将来を見据えた取り組み、さらに、政策目的の実現に資する取り組みなど、総合的な内容を備えていることが理解できました。
 公共調達のあり方への反省や期待などが改正品確法として結実した以上、その趣旨を具体化し、実現していくことが発注者の責任であります。
 また、中小企業の工事が多い都の独自性にも十分に配慮しながら、中小企業が地域の公需で培った強みやノウハウを活用できるように、今後も、さらなる対策をとる必要があると思います。
 東京は世界一の都市を目指して、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備を急ぐことはもちろんであります。オリ・パラは、あくまでも通過点です。それ以降、将来まで見据えた総合的な施策の推進に取り組んでもらうことを要望し、最後に、局長から今後の入札制度の改革についての決意を伺いまして、私からの質問を終わります。

○中井財務局長 都は現在、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催に向け、もろもろの準備を着実に進めるとともに、世界一の都市東京の実現に向けて積極果敢に施策を展開していかなければならない、そういう状況にあるわけでございます。
 こうした都の使命を確実に果たしていくためには、その礎となる入札契約制度が、その時々の課題を克服し、かつ、中長期的な社会環境の変化にも耐え得る持続性を備えたものである必要がございます。加えて、公共調達を進めていく過程においては、政策目的実現にも資する入札契約制度としていく必要が、昨今非常に重要になっているというふうに認識しております。
 今後とも、入札に参加しやすい環境の整備に向けて、事業計画積算の段階から維持管理までのあらゆる過程を通じまして取り組みを進めてまいります。
 とりわけ新たな試み、先ほど委員の方から、新技術を積極的に取り組むべきとのご指摘もいただきましたが、そういうことも含めまして、新たな取り組みに積極果敢に取り組んでいくとともに、中小企業にも配慮した独自性のある取り組みなどをしっかりと行ってまいります。
 発注者としての責任を十全に果たせるよう、今後とも全力で取り組んでまいります。

○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○和泉委員長 これより主税局関係に入ります。
 報告事項、平成二十六年度東京都税制調査会答申についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(隆)委員 私の方から、地方法人課税及び法人税改革に関する東京都税制調査会の考え方についてお伺いをしたいと思います。
 近年、アジア諸国が急速な経済成長を遂げている一方、我が国のプレゼンス、国際競争力が相対的に低下しつつあると私は感じております。日本経済はアベノミクス効果により力強さを取り戻しつつあるとはいえ、少子化による人口減少社会に突入する中、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくことは容易なことではないと思われます。我が国の持続的な成長のためには、東京を初めとする都市、特に首都東京が国の牽引役としての役割を果たしていくことが大変重要であると考えます。
 先月半ば舛添知事は、神奈川県知事などとタッグを組み、日本再興を支える地方税財政の確立に向けてとする提言を行いました。この提言では、日本全体を活性化させ、税収全体のパイを拡大させることが重要であると主張しています。さらに都は、特別区長会、市長会、町村長会とも連携をして要請行動も行いました。
 東京都税制調査会の答申は、こうした一連の流れの中で地方から国に対して専門的な見地から物を申す、そういう大事な役割を果たしているものと私は考えています。
 地方財政が抱える巨額の財源不足を根本的に解決するためには、地方間で限られた財源を奪い合うのではなく、国と地方の役割分担に見合う税財源を確保する必要があります。本来は、つまみ食い的な制度改正ではなく、国、地方全体を考えた抜本的な税制改革をどのように実現していくのかということが最大の問題であるはずです。
 真の地方自治は、地方自治体がみずから権限とそれに対応する財源により、主体的に行財政運営を行うことで初めて実現できるものであります。基本は地方分権であり、今そのありようが問われているというふうに思います。地方分権、または地方分権社会の確立に向け、国と地方の役割分担を見直すとともに、地方の役割に合った財源を確保しなければならないと思います。
 地方分権のあり方について、また、分権をいかに確立するかについては、本質的な議論が求められていると思います。この本質的な議論というのは非常に難しいのでここでは省きますが、今年度、都税調が議論を開始するに当たって、都財政に大きな影響を与える地方財政調整制度や法人実効税率をめぐる議論が活発化する中、知事からの諮問文に、今後の我が国の地方法人課税のあり方という項目が新たに追加をされました。また、今期は、三年間にわたり欧米諸国の法人課税について専門的な調査を行い、企業の公的負担に関する調査報告を答申と同時に公表いたしました。
 そこで最初に、まず一点目として、今年度の都税調答申では、地方法人課税のあり方についてどのような提言をしているのかをお伺いいたします。

○大久保税制調査担当部長 地方法人課税のあり方についてでございますが、地方自治体が行う道路や空港、港湾、上下水道等の都市基盤整備、治安の確保、環境対策等は、企業の生産活動を支える公共サービスでございます。
 都税調答申では、地方法人課税は、これらの公共サービスに必要な財源を賄うため、当該サービスを受ける法人に課するものであり、その負担に配慮しつつも、行政サービスを受ける法人に応分の負担を求めることが必要であるとしてございます。
 また、地方法人課税のうち法人事業税は、法人の事業活動と行政サービスとの幅広い受益関係に着目した税であり、法人住民税は、地域の構成員である法人が個人と同様に行政サービスの経費を広く分かち合うという考え方に基づく税であるとし、これら二つの税は、地方自治体にとって不可欠な基幹税であり、他の税とバランスよく組み合わせながら、引き続きその役割を果たしていくことが適当であるとしているところでございます。

○鈴木(隆)委員 まさに最後でいわれた、地方自治体にとって不可欠な基幹税、地方法人税、それから地方住民税は、今いわれたとおりだというふうに思います。
 我が国の地方自治体は、企業の生産活動を直接支える公共サービスだけでなく、教育、福祉を初めとする広範な分野で、国よりも大きな役割を果たしているといっても私はいいと思います。地方法人課税が地方自治体の重要な財源であることをしっかりと主張していく必要があります。
 一方、国は、成長戦略として、法人実効税率を数年以内に二〇%台に引き下げるとしております。法人実効税率の引き下げは、日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることを目的とするものであるというふうに考えられます。グローバル化の進展を見据えつつ、世界で一番ビジネスがしやすい環境をつくり上げていくためには、税制面でも同じ土俵に立たなければならないとの考えであるというふうに思います。
 ただ、ここは非常に難しくて、世界で一番ビジネスがしやすい環境というのをつくり上げていくというのは、実際には、もう税調でも、もちろん議論になったと思いますが、多様な要素が、この中には複合的な要素が含まれているということでありますので、そこのところは相当議論をしてもらった方が私はいいと思います。あえて、それだけはつけ加えさせていただきたいというふうに思います。
 この趣旨には私は賛同はできますが、地方財政を預かる立場にある我々としては、一つの大きな懸念がある、それは、法人税改革による地方財政への影響であるというふうに思います。
 そこで伺いますが、法人実効税率の引き下げは、地方税財政にも大きな、多大な影響を及ぼすことになると考えますが、都税調答申では、法人実効税率のあり方についてどのような提言をしているのかを伺います。

○大久保税制調査担当部長 法人実効税率は、諸外国との比較に用いられる指標でございますが、税負担の一部が損金算入されることを調整して、国税と地方税の表面税率を合計しただけのものでございます。そのため、企業負担の軽重を比較する際には、課税ベースや租税支出の規模の違いなどに留意する必要がございます。
 答申では、法人実効税率は、企業が投資を行う際の一つの判断材料ではあるが、企業の投資を促進するためには、インフラ整備や進出企業への相談対応の強化など、総合的な支援策も必要であるとしております。
 また、税制の中立性や財源確保の観点から、税率引き下げに当たっては、課税ベースの拡大等を図る必要があるとしております。

○鈴木(隆)委員 答弁の中にも、今ありましたが、企業の投資を促進するためには、インフラ整備、または進出企業への相談対応の強化、総合的な支援策も必要であると、そのほかにも、まだまだいろいろあると思います。国際的な信頼、信用とか、実際日本が持っているそういう人脈を生かして、そういう中での企業融資とか、本来は、まだまだ語られなければいけない点がいっぱいあるというふうに思います。
 課税ベースの拡大による財源確保や企業の投資を呼び込む総合的な支援策が必要であるという、今答弁があったということであります。
 企業の公的負担のあり方に関する調査報告では、欧米諸国における税率の引き下げとあわせ、課税ベースの拡大や企業誘致のさまざまな取り組みが紹介をされています。制度を支える各国の状況は異なりますが、諸外国の示唆に富む制度について、今申し上げたように、今後の議論で大いに参考にしていただきたいというふうに思います。
 法人関係税収は、地方交付税原資を含めると約六割が地方の重要な財源となっています。特に東京では、税収に占める法人課税の割合が高く、恒久的かつ確実な代替財源のないまま、景気回復による税収増のみを期待して税率が引き下げられれば、景気変動による税収減が生じた場合の影響は深刻になることは、今までの経験を見ても予想できることであります。
 なお、法人実効税率の引き下げの議論の中で、外形標準課税の拡大も検討されているようでありますが、中小法人の負担に配慮して慎重に行うべきことは、ここで主張しておきたいというふうに思います。
 一方、地方の法人課税が我が国の法人実効税率が高い理由であり、法人実効税率の引き下げに当たっては、地方法人課税の税率を引き下げるべきではないかといった声を耳にすることもあるが、この点については、どのように考えているか伺います。

○大久保税制調査担当部長 委員ご指摘のとおり、我が国の法人実効税率が高い理由は、諸外国に例の少ない地方の法人所得課税によるものとする議論がございます。
 これに対し都税調答申におきましては、我が国では地方自治体が担う公共サービスの範囲が諸外国に比べて広いことを考慮する必要があるとしてございます。
 また、地方法人課税が公共サービスを受ける法人に応分の負担を課している趣旨に鑑みると、法人税率の引き下げなど、国による政策の影響については、国の責任で対応すべきであると提言をいたしてございます。

○鈴木(隆)委員 都議会においては、今定例会の開会日に、予定されている法人実効税率の引き下げにおいては、全ての地方自治体の歳入に影響を与えないことが大前提であり、確実な代替財源を確保するよう要請するとした意見書を提出したところであります。
 また、法人実効税率の引き下げに関連し、地方自治体が行う法人二税の超過課税を自主的に取りやめるよう求める動きもあると聞いておりますが、この意見書では、地方自治体が行う超過課税は、憲法で保障された課税自主権に基づくものであり、地方自治体の判断が尊重されるべきと主張しております。これは、都税調答申における提言とも軌を一にするものであります。
 先ほども述べましたように、地方自治体が地域の課題を主体的に解決をしていくためには、地方分権をさらに推進し、みずからの権限と財源に基づいて行財政運営を行えるようにすることが不可欠であるはずであります。特に東京では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた万全の準備を初め、社会保障関係費の増加や社会資本ストックの維持更新への対応など、膨大な財政需要が存在をしております。
 それにもかかわらず、国は、地方法人特別税、地方法人特別譲与税の地方税への復元を一部にとどめるばかりか、法人住民税の国税化を既に進めるとの方針を明らかにもしています。このような不合理な偏在是正措置は直ちに撤廃をし、地方税に復元するよう、引き続き国に強く訴えていく必要があります。
 都税調は、国等に主張していく際の論理的な裏づけとなる提言を知事に対して行うという重要な役割を担っていると考えます。国の動向等により、主張すべき必要が生じたときは、時期を逸することなく発信をしていただくことが重要であるというふうに考えます。そのために、主税局は事務局としてしっかりとやっていただきたい、このことを強く要望しておきたいというふうに思います。
 そこで、最後に、真の地方自治を実現するためには、地方税財源の充実強化が不可欠であるが、地方税の充実に向けた局長の決意のほどを伺い、私の質問を終わります。

○塚田主税局長 東京都税制調査会は、平成十二年の発足以来、地方分権の時代にふさわしい地方税制、国、地方を通じた税制全体のあり方について、これまで提言を行ってまいりました。
 今年度の答申では、我が国が人口減少社会に突入し、世界でも類を見ない急速な少子高齢化が進展している現状を踏まえ、持続的な発展に資する税制改革の方向性についての提言があったところでございます。
 この答申でも主張されておりますように、今後、社会保障を初めとする地方の役割がさらに大きくなることは明らかであります。国と地方の歳出純計を見ますと、地方の占める割合が約六割であるのに対し、国税、地方税を合わせた税収全体に占める地方税の割合は約四割にすぎません。ご指摘のとおり、地方がみずからの財源で自主的、自立的に行財政運営ができるよう、自主財源としての地方税の充実を図っていく必要がございます。
 主税局といたしましては、今後も、都税調を活用いたしますとともに、都議会の皆様のご指導をいただきながら、地方分権に資する税制度の確立、地方の役割に見合う地方税財源の拡充に向けて、組織一丸となって全力で取り組んでまいります。

○鈴木(貫)委員 私からも、都税調の答申について関連して伺いたいと思います。
 まず、概論的にこの答申の内容を私も読ませていただき、先駆的な東京都からの発信、これは大変貴重な内容がきら星のごとくちりばめられていると、私も思っております。
 今、鈴木隆道委員さんからもご指摘がありましたとおり、法人実効税率を下げれば進出をするとか、いろんなことが霞が関の方から流れてきているようでありますけれども、実際に東京都が、企業という現場を持つ東京都がですよ、そのわらに乗っかったんでは、私はいけないと思っています。一部そういうことはあるかもしれないけれども、企業活動が活性化するなんていう楽観論、これは戒めなければいけないと原則論を申し上げておきたいと思います。そのほか、この提言をしっかりと政策の課題に結びつけながら進んでいかれることを、私からも建言をさせていただきたいと思い、本題に入っていきたいと思います。
 私が、きょう質問したいのは、自動車税に係る車体課税だとか、さまざまなこと、若干伺っておきたいと思っています。
 まず、我が党も、十月三十日に、再生可能エネルギーの導入拡大策に関する提言、これを都の方に提出をいたしました。たしかこの中にも自動車について、電気自動車とか燃料電池自動車などの次世代自動車の普及を促進すべきと、高らかに提言を行っております。私からは、したがって、環境に優しい税制に関連をして、都税調の考え方を伺っておきたいと思います。
 そこでまず、平成二十六年度税制改正大綱におきまして、自動車取得税の廃止時に実施予定とされておりました自動車税の環境性能課税ということがあります。これは具体的にどういう税なのかお答えをいただきたいと思います。

○大久保税制調査担当部長 自動車税の環境性能課税についてでございますが、消費税の税率一〇%への引き上げ時に廃止されることとされております自動車取得税が、これまで、消費者の購買行動や自動車メーカーの環境技術開発のインセンティブに大きな役割を果たしてまいりました。
 自動車税の環境性能課税は、この廃止される自動車取得税のグリーン化機能を維持強化するために、現行の自動車税が排気量に応じて課税を行っているのに加えて、自動車取得時にだけ、その環境性能に応じて課税を行うものでございます。
 具体的には、経済産業省及び国土交通省が、省エネ法に基づいて基準を定めている燃費値やCO2排出量などを指標として税率を規定する課税の方法が考えられているところでございます。

○鈴木(貫)委員 確かに環境性能の高い自動車を普及させていく上で、車体課税の果たす役割は大きいと思います。当然だと思います。自動車は、エネルギー消費という面でも環境に負荷を与えているということを考慮することは、何よりも大事だと私は思っております。だから、今回の都税調答申においても、税制改革の基本的な考えの一つとして、この一一ページにありますね、ここを読んでみますと、環境重視の社会経済を構築していくためには、公平の観点から環境負荷に応じて負担を求める、環境負荷をコスト化し、その抑制を図るなど、環境重視の考え方を税制の中に組み込んでいくことが必要であると、このように高らかにうたっております。
 さて、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、環境先進都市の構築を目指す我が党としても、都税調答申と同じ考えでありますし、地球温暖化はグローバルな課題であると同時に、その対応策は、東京など、いわゆるローカルで考えなければいけないと思います。いわゆるグローカリズムだよね。グローバル、ローカル、これを造語でグローカルという言葉が出ておりますが、確かにそのとおりだと思います。そういうことを考えなければいけないし、地方税体系を環境重視に改めていこうとすれば、車体課税についても、当然、考えざるを得ないと思います。
 そこで、都税調答申では、車体課税の見直しにおきまして、環境重視の税制の立場から、具体的にどう組み込んでいくべきだとしているのかを率直にお伺いしたいと思います。

○大久保税制調査担当部長 都税調答申では、環境重視の考え方を組み込む際には、自動車の取得、保有、走行の各段階において、より環境に配慮した課税を行うことで、それぞれの段階を通じてインセンティブ機能が発揮されるようにすべきであるとしてございます。
 そのため、初年度の自動車税に環境性能課税を導入するという平成二十六年度税制改正大綱で示された改革の方向につきまして、道路損傷負担金的な性質を帯びていた車体課税が、環境損傷負担金的な方向に向けて移行していく第一歩として評価するとしてございます。
 また、将来的には、初年度に加えてその後の平年度においても、税収確保の観点も考慮しつつ、例えば、課税標準の二分の一を現行の排気量基準とし、二分の一をCO2排出量基準または燃費値とするなど、環境性能に応じた課税を平年度課税にも導入することを検討していくべきと提言をいたしてございます。

○鈴木(貫)委員 その前に都は、たしか平成十一年、国に先駆けて自動車税のグリーン化制度を創設いたしておりました。その後、それが全国の制度となっている。また、平成二十一年度には、次世代自動車の導入促進税制を創設したり、環境性能の高い自動車の普及促進を支援してまいりました。
 そうしますと、今後は、CO2排出量の少ない自動車の増加に加えて、燃料電池自動車などの普及が、これからずっと拡大をしていくでありましょう。当然、オリンピック・パラリンピックを目指しまして高らかにうたっています。
 都税調では、次世代自動車の普及促進に向け、今後、取り組むべき課題、具体策というか課題策を示していかなければいけないと思いますので、具体的な取り組みについて、この中でどう考えているのか具体的にお答えをいただきたいと思います。

○大久保税制調査担当部長 より環境性能の高い自動車の普及促進のためには、技術進歩に合わせて、軽課--課税を軽くする、軽課対象となる環境基準を段階的に厳格化し、軽課対象車を絞り込む制度改正を行っていく必要がございます。
 現行の自動車税のグリーン化特例につきまして、国は、環境性能課税の導入時に、環境性能割が非課税の自動車に対象を重点化した上で、軽課を強化するといたしてございます。
 また、都が独自に実施をしております次世代自動車の導入促進税制につきましては、都税調答申では、車体課税の見直しに伴い、制度のあり方が検討課題になるとの認識をお示ししてございます。
 今後、一層の環境負荷低減を図っていく観点から、燃料電池自動車を初めとする次世代自動車など、環境技術のさらなるイノベーションを促すことが重要でございます。答申では、将来的にCO2排出量の少ない自動車が増加した場合には、環境性能に応じて税制度を組みかえることも必要であると提言をいたしてございます。

○鈴木(貫)委員 だから、こういうところで評価をしておきたいと思います。都税調の答申でうたっているように、将来的に自動車税について、初年度に加えて平年度において、環境性能に応じた課税を導入すべきであると、これまでより一歩踏み込んだ提言をしておりますから、とてもいいことだと思います。
 都税調としても、今後は、環境を重視した税制という観点から積極的に検討を進めていただき、政策的にも導入を考える方向性を示したものだと私は評価をしておきたいと思っております。
 最後に、この都税調答申の基本的な考えの一つとなっている環境を重視した税制という視点を、次世代自動車の普及促進を図る観点から、今後の取り組みについて局長の見解を--あと、私の立場から、改めて伺っておきたいと思っております。

○塚田主税局長 東京都税制調査会は、都が直面する諸課題に関する主張をしてまいりますとともに、将来世代の利益をも踏まえた中長期的な課題にも対応する視点に立ちまして、地方税財政制度のあり方について幅広く検討をしております。
 平成十二年の発足以来、環境に配慮した税制の構築という考え方を一つの基軸に据え、持続可能な発展を実現していくための環境に関する提言を幅広く行ってまいりました。
 東京都といたしましては、豊かな環境を次世代、次の世代に引き継ぐという都市戦略を長期ビジョンの中間報告で掲げておりまして、燃料電池車や電気自動車が普及している水素社会の実現を目指すこととしております。
 主税局といたしましても、環境を重視した地方税制の構築という観点から、今後とも、東京都税制調査会を活用いたしますとともに、関係各局とも連携を図りつつ、お話の次世代自動車の普及に向けた車体課税のあり方について研究を重ねてまいります。

○鈴木(貫)委員 局長の答弁、私たちもきちんと身に置いておきたいと思います。
 それからもう一つ、局長、この論議とはちょっと違った観点で警戒することを私は申し上げなければなりません。確かに、地方法人課税の問題等に加えて、霞が関の方では、今度は東京狙い撃ちという言葉が、何か一部出たと私は仄聞をいたしております。
 それはズバリ申し上げますと、商業地における固定資産税の課税強化の話が出ておるんだそうです。極めて危険だと思います、これは。いわゆる地価の高い二十三区において、全国一律の制度を適用するのは、東京都にとってみれば負担が過重になり過ぎやしませんかということだと私は思いますが、いろんな意味で、これは論議をするに値するテーマだと思っていますので、これから私たちはそのことをしっかりと捉まえながら、都税調答申からちょっと外れましたけれども、危険信号として私はお伝えをしておきたいと、このように思って、この項についての質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○曽根委員 私からも、さきの東京都の税制調査会の答申についての基本的な内容について、我が党の主張と共通する点が多いことから、今回の答申については、私も全体としてこの答申については賛成をしたわけですが、この中で、基本的な論点、幾つかの論点について、我が党の見解を述べるとともに、今後の取り組みですね、特にここでも取り上げております地方法人課税の不当な是正措置の撤回及びもとの地方税としての復活を目指す取り組みの問題について、基本点を絞って質問しておきたいと思います。
 まず、今回の答申については、初めの章で、これからの税制改革の視点として三つの点が挙げられております。
 第一に、地方分権の推進という視点ですが、先ほど局長の答弁にもありましたように、今日、行政サービスの六割を担いながら、地方財源は四割にとどまっている。この地方自治体の全体としての財源不足を、地方自治の精神にのっとった財政調整をしていかなければならないという点です。
 今日、国が一方的に、東京都などからの財源を吸い上げて他の地方に分配するという、いわば自治体間の対立をあおるようなやり方ではなく、全国の自治体がお互いに納得できる調整制度が必要だという点は、我が党も全く共通の立場でおります。
 それから二つ目の視点では、財政の持続可能性の確保という視点です。すなわちその公共サービスに必要な財源を安定的に確保する上で、国民の理解が得られるような給付と負担の適正化を行うということが指摘をされています。
 我が党はこの点では、とりわけ、東京都などが大都市として、企業の活動を支える公共サービスを行っているにもかかわらず、これにふさわしい税の負担を赤字その他の理由で大企業などが十分行っていないという問題の改善が必要であると考えております。
 第三に、時代に対応した公平の実現という点では幾つかの論点が示されております。例えば、働く現役世代への過度な負担がかからないようにするために、広く国民が可能な負担を分かち合うという点。ここでは、我が党は、特に高額所得階層への課税強化が何らかの方法で必要ではないか、高額資産を有する富裕層への新たな課税などを検討すべきであると考えております。
 また、格差拡大と貧困問題への対応のためには、この中でも指摘がありますが、特に、所得に係る地方課税の税率が、以前フラットにされて一〇%一律になっておりますが、個人住民税の累進課税への復元ということも考えなければならないときだというふうに指摘をしておきたいと思います。
 それから第Ⅱ章として、税制改革の方向性については、ここでは、消費税の問題と法人税の問題が取り上げられております。
 消費税については、私どもは、答申とは立場を異にしておりまして、特に地方消費税については、答申では世代間の公平性や地域間の偏在が少ないということが挙げられて、地方の財源としてふさわしいということがいわれていますけれども、我が党の主張としては、前からもいっておりますように、何よりも貧困と格差の是正という点で、大きく消費税は逆行している。また、この間いわれてきた地域間の消費力の格差、これが今後ますます開いていく可能性があるということを考えると、地域間の偏在性についても、必ずしも消費税が小さいとはいえなくなってきているというふうに思います。
 それから、十一月二十五日の本委員会で、消費税一〇%増税の先送りについての影響についてただしましたが、そこで指摘しましたように、消費税の増税は、国民の反対世論ももちろんありますし、景気動向との関係で極めてリスクが大きいということで、今回先送りになったわけですが、ここに、地方の財源依存度を高めていくことは、都民の批判を免れないということも、また、都の税収全体の今後の見通しを立てる上でも極めて不安定であるということも指摘しておきたいと思います。
 地方法人課税については、先ほども述べたように、都や都議会としてのこの間の取り組みと一致しておりますので、繰り返しは避けます。
 そこで、確認しておきたい点は最後の章なんですが、地方財政調整制度について、答申の中で、国との論争点についての都の立場を基本的に述べていますけれども、これは原則的には賛成です。ただ、現実の取り組みの進め方については、答申は必ずしも具体的な有効な手だてを提起しているとは、なっておりません。この間の取り組みの点で二つ確認しておきたいんですが、一つは、十一月の十日付だと思いましたが、都が首都圏の知事とともに、国に対して地方法人課税の是正措置の撤廃と地方税としての復元を求めた。これは、消費税の増税の動向とはかかわりなく復元をという主張をしたのは、先手を打ったという点で時宜にかなったものだと思います。
 しかしその後、安倍首相によって、消費税増税の先送りの決断が下され、税制改革とともに税制が検討されるはずだった地方法人課税問題も、事実上先送りにされてしまっております。報道によると、十二月三十日といわれる税制大綱には、この地方法人課税問題は盛り込まれない公算が強いのではないかというふうに思われます。
 東京都としては、次の手だてもしくはこの主張をしていくことが大変重要だと思いますけれども、東京都としてどう対応していくお考えかをお聞きしておきたいと思います。

○加藤税制部長 法人事業税の暫定措置及び法人住民税の一部国税化は、偏在是正の名のもとに地方税を国税化するものであり、地方分権に逆行する極めて不合理な措置でございます。引き続き都議会のご協力をいただきながら、不合理な偏在是正措置の即時撤廃と地方税への復元を国に対し強く求めてまいります。

○曽根委員 その基本的な姿勢はよろしいんですけれども、どうするのかという点では、まだ具体的ではないと思いますし、やはり、そういう点でも不十分性があると思います。
 我が党としても、国に対して、年末年始にかけての具体的な取り組みも考えていきたいと思っておりますので、このことは申し上げておきたいと思います。
 もう一つ指摘しておきたいのは、税制改革の柱として、消費税のさらなる増税というのを前提としている限り、次の増税問題でも、都が再びこれに振り回されることになるという点です。地方法人税問題というのは、消費税とかかわりなく是正すべきといいましても、国は、もうとにかくない袖は振れないんだという態度をずっとこの間とり続けています。
 したがって、地方自治体として、消費税増税については協力をしない、国の財政再建や社会保障財源は、別の道を探るべきだという態度を私はやっぱりとるべきだと思うんです。
 先日の委員会で指摘しました株取引課税については、今回、一部ですけれども本税に戻ったことで、部分的ですが、都の税収のプラスになりました。これは先日、決算委員会のときに資料を要望していただいたものによると、昨年度では、本来入るべき都税のいわゆる株取引課税の税収が、四百億円以上減収になっていたと。去年は駆け込みがあったようですけども、平年でも百億円程度の減収が毎年生じていたというものが今回は是正されたわけです。このことで、いわれていたような株式の混乱も起きておりません。やればできるということだと思います。
 そういう点でも、新たな税源、財源を求めて、消費税増税にかわる地方の財源も含めた新たな財源対策については、大いに検討していくべきときが来ているということを指摘しまして、答申についての見解と質疑を終わります。

○中村委員 それでは、東京都税制調査会の答申に関連して質問します。
 都税調の答申では、租税教育についても議論をされて、その重要性が記載されています。どのような税を賦課するかを決めるのは議会の最も重要な役割の一つなので、先般行われた衆議院議員選挙の投票率が低かったのは残念ですし、また、地方法人課税が大きな争点にならないのも残念でした。
 税の大切さは、政治教育と密接につながりがあります。租税教育は政治教育と絡めてきちんと行うべきと考えます。このまま地方に都の税がばらまかれている状況はいち早く改善されなければなりません。都税調の答申を受けて、都は、強く国に意見を出す必要があります。
 都税調はメンバーとして、学識経験者、都議会議員、行政の代表者も入っているなど大変重要な機関です。
 そこで改めて、東京都税制調査会の意義と答申を受けての都の今後の対応を伺います。

○大久保税制調査担当部長 東京都税制調査会は、地方分権の時代にふさわしい地方税制のあり方、国、地方を通じた税制全体のあり方等について、都、ひいては地方全体の立場から検討することを目的といたしまして、平成十二年に設置された知事の諮問機関でございまして、毎年、専門的な立場から、都の主張の理論的裏づけとなる提言を取りまとめてございます。
 都といたしましては、都税調答申の趣旨を踏まえ、国等に対して主張すべきことはしっかりと主張し、地方分権に資する税制度の確立や地方税財源の充実に向けて取り組んでまいります。

○中村委員 これまでも都税調が果たしてきた役割は大きく、税制に影響を与えてきました。とりわけ、都の税の地方へのばらまきについては、都議会も、定例会初日に意見書を採択していますが、都もこの答申を受けて、知事を先頭にして、国に対してより一層強く主張していただきたいと思います。
 さて、今回の都税調答申では、都が直面する課題として、地方法人課税が中心的に取り上げられました。地方法人課税についての都の認識を伺います。

○大久保税制調査担当部長 今年度は、都財政に大きな影響を与える地方財政調整制度や法人実効税率をめぐる議論が活発化する中、地方法人課税のあり方を中心的な検討課題としてご議論をいただきました。
 法人の事業活動は、インフラの整備、治安の維持、教育による人材育成を初めとする公共サービスに支えられております。地方法人課税は、これらに必要な費用を賄うため、地方の公共サービスを享受する法人に対し、応益的な観点から課税するものであり、地方自治体の基幹税の一つとしての役割を果たしているものと認識をいたしてございます。

○中村委員 地方法人課税については、地方自治体の基幹税の一つとのことです。答申の中でも、分権は時代の要請であり、税制改革がこれを促進するものでなければならないとあり、暫定措置については、地方自治の根幹を揺るがしかねないと厳しく指摘もしています。先ほども述べましたが、国に早期に撤廃するよう求めていただきたいと思います。
 さて、法人実効税率の引き下げに関し、法人事業税の外形標準課税を拡大するという話がありますが、大企業と中小零細企業とでは事情が違うため、外形標準課税への対応も丁寧に議論しなければなりません。
 答申では、外形標準課税についてどのように提言をしているのか伺います。

○大久保税制調査担当部長 付加価値割、資本割といった外形基準による外形標準課税は、法人の事業活動の規模に応じた薄く広い課税により、公平性を確保するものでございます。
 答申では、法人事業税は、法人の事業活動と行政サービスとの幅広い受益関係に着目した税であり、引き続き、中小法人の負担に配慮しつつ、外形標準課税の拡大により税収の安定化を図るとともに、応益税としての性格を明確にしていくことが適当であるとしてございます。

○中村委員 中小法人の負担に配慮しつつと触れられました。以前の財政委員会でも述べましたが、厳しい経営環境にある中小零細企業にとっては負担が重く苦しくなってしまいかねないため、取り扱いは慎重にしていただきたいと思います。
 さて、今回の答申にあわせて企業の公的負担のあり方に関する調査報告も公表されました。国は企業が負担する税の税率を下げようとしていますが、この調査報告では、他国に比べてそれほど高いわけではないとしています。
 企業の公的負担について調査報告の結果はどうなっているのか伺います。また、それは答申にどのように反映されたのか伺います。

○大久保税制調査担当部長 企業の公的負担のあり方に関する調査報告は、我が国の企業の公的負担は、諸外国に比べて重いのか、受益と負担の関係につき、これまでは十分な考察が行われてこなかったのではないかとの問題意識から、スウェーデン、アメリカ、ドイツ、オランダの四カ国について調査を実施し、その結果を取りまとめたものでございます。
 この調査では、企業が負担する国税、地方税及び社会保険料の合計額の対GDP比などを推計し、企業の公的負担のあり方に関してさまざまな考察を行っております。
 これを受けまして、都税調答申では、我が国の企業の公的負担は、諸外国と比べて必ずしも高いとはいえない状況にあるとし、また、税制度は国ごとに異なるため、企業負担の軽重を比較する際には、課税ベースや租税支出の規模の違いなどに留意する必要があるとしてございます。

○中村委員 我が国の企業の公的負担は、諸外国と比べて必ずしも高いとはいえないという記載があるとのことでした。公平な税制を目指すことが何より大切であるので、この報告を踏まえての議論は大変重要だと思います。
 また政府は、企業が本社機能を都市から地方へ移せば減税するなどといっていると報道されています。本来、都市が地方とともに栄えるように考えるべきですが、これでは都市と地方の対立構造を生みかねないため、政策として問題があります。この案についての都の認識と対応を伺います。

○加藤税制部長 先ごろ、東京などの大都市から地方への企業移転を促進するため、地方創生施策の一つとして、政府において税制優遇措置を講ずる方針との報道があったところでございます。
 地方におけます雇用の確保を初めとする地域経済の活性化といった問題につきましては、我が国にとって重要な政策課題でございますけれども、単に大都市から地方に企業を移転するだけでは、総体としてのパイは変わりません。我が国社会経済全体の活性化にはつながらないものと思います。
 都市と地方がともに活性化していく、本当の意味での地方創生を実現するよう、国や他の道府県等に訴えるとともに、都もみずからできる取り組みを進めていく必要があると考えております。

○中村委員 地方創生という言葉だけを聞くと、よいことのように聞こえはしますが、都市も地方もどちらも疲弊することではいけないと思いますので、国の議論を正しい方向に導いていただきたいというふうに思っています。
 また、今期の都税調に対する諮問において、知事は、少子高齢化の進展、人口減少という大きな問題への対応についての意見を求めています。少子高齢化、人口減少社会における税制のあり方について、答申はどのように述べているのか伺います。またあわせて、それに対する都の所見を伺います。

○大久保税制調査担当部長 答申では、少子高齢化、人口減少社会において、社会の持続的発展を支え、国民が安心して、希望を持って暮らせるような社会経済システムの構築が求められているといたしております。
 税制度は、社会経済状況の変化に応じて変わっていくべきものと認識しておりまして、今後も、少子高齢化、人口減少社会に対応する地方税制度はどうあるべきかについて、国と地方の役割分担、その権限に見合った税財政制度も含めた大局的な視点から、都税調も活用しながら検討してまいります。

○中村委員 今、少子高齢化というのは、あらゆる問題に関連する大きな問題ですので、引き続き税制面からも検討していただきたいと思います。
 さて、答申では、固定資産税のあり方についても問題提起されています。東京二十三区では地価が高く、住み続けたい人には厳しい状況です。
 都は、地域の実情に合わせて国の制度を活用したり、都独自の制度を創設して固定資産税、都市計画税の軽減などを行っています。地方分権時代にふさわしい固定資産税制度のあり方について都の所見をお伺いします。

○加藤税制部長 固定資産税は、東京二十三区におきましては都が課税をしておりますけれども、市町村の基幹税でございます。したがって、公平の観点から、全国一律の制度を基本としておりますけれども、社会経済状況や地価の動向は地域によってさまざまでございます。とりわけ東京二十三区は地価が高く、全国一律の制度では、都民、事業者の税負担感が重くなります。
 このため、理事ご指摘のように、都は独自に、地域に住み続け事業を継続していけるよう、小規模住宅用地、小規模非住宅用地に係る税負担の軽減措置等をこれまで講じてまいりました。
 固定資産税制につきましては、市町村の財源の確保という本来の役割を十分果たすとともに、負担の公平を図りつつ、地域の実情に応じた課税を行うことができる制度が望ましいと考えております。

○中村委員 固定資産税については、今の全国一律の制度のもとでは負担が重くなるため、都は独自に軽減措置を講じています。毎年、状況を見ながら判断するとのことで、議会にも、中小企業関連団体から請願陳情が出され、議会としても決議をこれまでしてきました。現下の状況では、来年度も軽減措置が継続されることを望みます。
 さて、格差が大きな社会問題となっています。この格差の拡大や貧困問題への対応が求められています。特に若い世代での格差の広がりということが、社会に不公平感が漂っています。税の所得再分配機能はもっと重要視されるべきだと思います。今回の都税調の答申では、格差について、また税の所得再分配機能についてどのように認識をし、提言をしているのか伺います。

○大久保税制調査担当部長 答申では、近年、格差、貧困をめぐる議論が活発化しているとした上で、貧困や格差の解消のためには、社会保障、教育、就労支援など包括的な政策が必要であり、第一義的には歳出により対応すべき問題であるとし、税制においては、所得再分配機能のあり方を適切に見直し、社会経済状況の変化などを踏まえ、社会経済の活力を損なわないよう配慮しながら、人々の負担の公平感を高める方向で検討していく必要があるといたしてございます。

○中村委員 格差の解消には、第一義的には歳出により対応すべき課題ではあるということではありますけれども、税の所得の再分配機能においても、一定は是正できるものもあるかと思いますので、今後の税のあり方の中で、格差の解消に向けて検討されることを要望いたしまして質問を終わります。

○大津委員 先日発表された東京都税制調査会答申に関する税制上の諸課題について伺ってまいります。
 今回の答申は、少子高齢化、人口減少社会に対応する税制のあり方という見出しもついており、我が国は、世界でも、すごい速さで少子高齢化が進んでいること、我が国は、また人口減少過程に入るなど、人口構成の大きな変化に直面していることなどが指摘をされています。
 東京都は、アジアの中核都市として、都市外交を積極的に進め、アジア大都市ネットワーク21を通じ、大都市に共通する課題に臨んできた観点から、まず初めに、アジア諸国と比較をした日本の高齢化率の推移と今後の人口推計についてお伺いをします。

○大久保税制調査担当部長 国連のデータによりますと、アジア諸国における総人口に占める六十五歳以上の高齢者の例につきまして、一九五〇年と二〇一〇年を比較すると、我が国が四・九%から二三%となっているのに対し、韓国が二・九%から一一・一%、中国が四・五%から八・四%となってございます。いずれの国も高齢化が進んでいるものの、日本の高齢化の進行は突出したものとなってございます。
 次に、人口推計でございますが、同じく、国連の推計によりますと、二〇二五年、二一〇〇年の人口は、我が国が一億二千三百万人から八千四百万人に対し、韓国が五千百万人から四千万人、中国が十四億四千九百万人から十億八千六百万人となるとされてございます。一方、マレーシア、フィリピンでは二一〇〇年も人口増加が続くと推計されてございます。

○大津委員 日本のこうした急速な高齢化の進展や人口減少社会に突入している状況の中で、国、地方を合わせた長期債務残高は、平成二十六年度末で約千十兆円に達すると見込まれるなど危機的な財務状況にあります。
 内閣府は、今後十年の平均成長率が実質二%、名目三%程度との前提を置いても、二〇二〇年の黒字化目標達成のためには、さらなる収支改善努力が必要としています。
 しかし、この成長率の試算には、既に女性やシニア層の活躍、つまり、女性や高齢者の労働参加率の上昇や技術進歩などの生産性の大幅な向上を前提にした数字でありますので、決して楽観視できる状況にはありません。
 答申では、財政健全化に向けたさらなる取り組みが不可避とされています。行政改革の推進や歳出全般の効率化を進めるとともに、負担のあり方について国民的な議論を進めることも必要だとされています。
 答申で述べている我が国の租税や社会保険料など、国民の公的負担の程度を表す指標であります国民負担率は、アメリカと比べるとやや高いものの、ヨーロッパ諸国に比べると低い水準にある。これは具体的にどのような状況になっているのか、所見を伺います。

○大久保税制調査担当部長 アメリカでは、租税負担率は、我が国よりも若干高くなっておりますが、公的な医療保険制度がないため、合計した国民負担率は我が国よりも低くなってございます。
 また、ヨーロッパ諸国では、総じて我が国よりも国民負担率が高くなっておりますが、国別に見ますと、イギリスやスウェーデンは、消費課税を初めとする租税負担率が高く、一方、ドイツやフランスは社会保障負担率が高いといった特徴がございます。

○大津委員 今回の答申を拝見しますと、税制改革の視点や所得課税の箇所などに所得再分配機能、こうした言葉が何度も出てきますが、税の役割の一つといわれる所得再分配機能には、国税と地方税のそれぞれにおいて、具体的にどのようなものがあるのか伺います。

○大久保税制調査担当部長 国税である所得税では、所得再分配機能の適切な発揮が求められておりまして、高所得になるほど税率が高くなる累進課税を適用するほか、課税最低限や給与所得控除、基礎控除等の人的控除が所得税における所得再分配機能となってございます。
 一方、地方税である個人住民税では、応益性の重視や偏在度の縮小が求められておりまして、税率は一〇%で一定となってございます。ただ、所得税と同様に、課税最低限や給与所得控除、基礎控除等の人的控除が個人住民税における所得再分配機能となってございます。

○大津委員 そして、答申では、最後にその他の検討事項として項目があります。その一つに、公平な徴収を担保する仕組みというテーマで提言されていますが、税務行政上におきまして、国民の税負担の公平や課税の適正が確保されることが重要でありますが、滞納整理の推進についての取り組みも求められています。
 前委員会でも質問させていただきましたが、徴収、滞納における、最後はタイヤロックやミラーズロックなどの取り組みを積極的に行い、徴収率の向上に努めてきたことは評価をする次第ですし、また、税金を徴収するための徴収コストがかからないことも重要であることを、前委員会でも質問させていただいています。
 きょうは、最終滞納徴収に至るまでの最初の一歩の広い間口でもある、納税がありますよというお知らせや、またそうした告知、またさらには、こうした税金の中の一部はこのように使われてこのようになりましたよ、みたいな報告まであれば、さらに納税のしがいもありますし、また、どのように使われているのかわかりますし、そうした一つ一つの広報戦略が信頼関係として積み重なっていくのではないかと思っています。
 具体的には、例えば、テーマ納税ポスターを検討してみますと、鉄道やバス路線の中に車内広告を出しております。そうした中で、公平に広報していく中で、例えば、西武池袋線、西武新宿線、東武東上線、そして西武バスにおいては、そのポスターが全くないために、例えば、西武線だけで新宿までとか、池袋までとか通勤をしている方たち、また通学をしている方たちも、そうした納税のお知らせポスターを全く見ないで通勤をしていることになります。
 また、最初は銀行振り込みではない納税通知書で請求が届く場合には、コンビニ支払いについても、丁寧にいろんな表記がされているわけでもあります。
 しかし、そのコンビニ表記の中には、某コンビニチェーン店系統の名称が微妙に四つの名称に分かれており、それが、中間業者の指定の順番のとおりでやりますと、非常に都民にとってはわかりにくい表記となっています。
 これを一つのコンビニチェーン店のところでまとめて表記をするとか、ちょっとした工夫やちょっとした見直しや、都民の立場からどうわかりやすいかということを念頭に置き、今ある予算の中で、バランスの配分、公平な広報、そして、さらに一歩進んで高度な広報戦略を立てていくべきと思います。
 水道局では、封筒にコンビニを印刷していますけれども、主税局の方は振り込み用紙に入っています。また水道局の方は、中間業者を交えずに直接コンビニエンス各チェーンと契約を結んでいますが、主税局の方は、中間業者が入っています。多分これは、件数と徴収額と手数料とで微妙にコスト計算をすれば、どれが効率的かもあわせてわかるのかと思っています。
 そうした意味で、都民にとっては、納税であろうと、水道、下水の使った使用料だろうと、同じものを東京都に払うという点では、感覚としては余り違いを感じていないと思いますので、次回の印刷物を印刷する時期に、都庁の中の横串も刺しながら、水道局や主税局と連携をしながら、わかりやすい広報にいそしんでいただければと思います。
 中間業者が、その販売パッケージの都合、中間業者の枠の都合、それらを優先することなく交渉をするとか、バランス、配分を見直すとか、ローテーションをするとか、新たなツール媒体をトライしてみるとか、そして、都民にとって公平にお知らせのできる高度な広報戦略を、今後、打ち立てていくべきと思いますが、所見を伺います。

○西海総務部長 税務広報の意義は、積極的な情報発信によりまして、都民の皆様方の税に関する知識の普及と向上を図り、都民の方々と主税局との相互理解を深め、信頼関係を築くことであると認識しております。
 主税局では、これまでも広報誌やポスターのほか、新聞広告、ホームページなど、さまざまな広報媒体を組み合わせることで、効果的な税務広報に努めてまいりました。
 ただいまご指摘いただいた点も参考にいたしまして、例えば、鉄道やバスのポスター掲出については、毎年のように変わる運行形態の変化など踏まえて掲出先を選定するなど、限られた予算をより効率的に活用し、広報効果を高めてまいります。
 主税局では、今後とも、都民の皆様方の税に対するご理解とご協力を得るため、わかりやすい広報に取り組んでまいります。

○大津委員 その他の検討事項の、次に、固定資産税制について伺います。
 今後地価が上昇した場合、固定資産税の負担が重くなる納税者の増加が予想されます。高齢者の単身世帯の増加も予想されていますが、ご高齢者が住みなれた地域で安定した暮らしが営めるよう、高齢社会にふさわしいまちづくりに向け、適切に施策を実施することが重要であります。
 答申で述べている少子高齢社会における固定資産税制を考えるに当たり、税制の問題と住宅政策や低所得者対策を初めとした社会保障の問題を総合的に検討していくことを望みます。
 答申では、空き家の増加について指摘していますが、空き家の増加は、防犯、防災上も深刻な課題になっています。老朽化した家屋を取り壊すには解体費用の負担、また、解体すると住宅用地の特例措置が受けられなくなり、税負担が増加することも、空き家対策が進まない理由の一つです。
 私のところにも、こういった問題について、むしろ、その所有者というよりも近所の方たちからの、都民からの、相談も寄せられているところでもあります。けさほど新聞で、危険空き家優遇廃止という見出しで新聞記事にもあり、三十日の税制改正大綱で織り込まれてくるという記事もありましたが、現段階で、住宅を取り壊して更地にすれば、住宅用地の特例措置が適用されなくなりますが、この場合、固定資産税の税負担は、どの程度増加するのか、具体的にご説明をお願いします。

○大久保税制調査担当部長 仮に、地積百平方メートル、評価額三千万円の土地に空き家の住宅が建っている場合、土地の固定資産税は年額七万円となります。
 この空き家を取り壊して更地になりますと、非住宅用地となり、住宅用地の特例が適用されなくなりますが、この場合でも、都独自の軽減措置が適用されまして、土地の固定資産税は年額約二十二万円と、およそ三倍程度に負担が増加することとなります。

○大津委員 一方、主税局では、事業局とともに災害に強いまちづくりに向けて、耐震化促進のための固定資産税等の減免や、不燃化特区のための建てかえを行った住宅に対する固定資産税、また不燃化建てかえ、減免--施策、税制面からさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 こうした政策税制による軽減措置については、税収確保とのバランスを考慮する必要もあり、あちらを立てればこちらが立たずという関係にもありますが、政策税制による事業効果をチェックする仕組みが必要だと考えます。所見を伺います。

○加藤税制部長 都の施策を支援するための税制措置は、その効果を高めるため、また、社会経済状況の変化に対応するという観点から、事業所管局の事業計画等をもとに期間を限って実施をしております。
 対象期間が経過する際には、事業所管局と連携し、減免の効果、事業の達成状況、税制改正の動向等を総合的に勘案し、その後の取り扱いを判断しております。

○大津委員 高齢社会にふさわしいまちづくりのみならず、高度防災都市の構築など、都が直面する課題に対して、税制面から、財政の力で工夫を凝らす必要があります。課題解決と税収確保のバランスを図り、政策税制等についても、納税者である都民にもわかりやすく説明をし、理解を求めていくことも大変重要であります。
 最初の方で述べさせてもらいましたように、国、地方を合わせた長期債務残高は、平成二十六年度末で約千十兆円に達する見込みであり、非常に危機的な状況にあります。このような危機的状況の中で、やはり私は、借金を減らすこと、これ以上借金をしないこと、それに尽きると考えております。
 きょうは、さまざまな課題を伺ってまいりましたが、こうした国の危機的な状況の中で、都は、これまでも不断の努力で財政再建に取り組んできており、今後も、都がリーダーシップを発揮して、現在、過去、未来を見据えて、アジアをリードして、そして国に先駆けて、危機的状況を是正していくことを期待します。そこで、最後に主税局長に所見を伺います。

○塚田主税局長 現在、国と地方の歳出比率が四対六であるのに対し、租税収入の配分は六対四と逆転しており、地方には十分な財源が配分されておりません。少子高齢化の進展により、介護、医療、子育て支援サービスなどの行政需要が増大し、地方自治体が担うべき役割は、今後ますます大きくなっていくことが予想されております。
 こうした中、地域のニーズや特性に対応した自主的、自立的な行財政運営を実現するためには、地方分権の推進とそれを支える財源が必要でありまして、とりわけ、自主財源である地方税の充実が不可欠であります。
 そのため、地方法人課税に対する不合理な措置の撤廃、安定した税収の確保を図ることができる税制の堅持、経済の活性化を通じた消費の拡大、事業者所得の増加、賃金の上昇等が確実に地方税収の充実につながる税制を築いていくべきであると考えております。

○大津委員 国、地方の危機的な財政状況の中で、主税局の今後の財政制度の構築、そしてまた財政委員会を通じ、それぞれの各地域の委員の皆さんのさまざまなご意見もいただき、都議会として構築をしていきたいと考えます。
 以上です。

○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十一分散会

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