委員長 | 和泉 武彦君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 高木 けい君 |
山内 晃君 | |
大津ひろ子君 | |
柴崎 幹男君 | |
木村 基成君 | |
西崎 光子君 | |
鈴木貫太郎君 | |
鈴木 隆道君 | |
植木こうじ君 |
欠席委員 なし
出席説明員主税局 | 局長 | 塚田 祐次君 |
総務部長 | 西海 哲洋君 | |
税制部長 | 加藤 隆君 | |
税制調査担当部長 | 大久保哲也君 | |
調整担当部長 | 萱場 明子君 | |
課税部長 | 山内 和久君 | |
資産税部長 | 安藤 敏朗君 | |
徴収部長 | 熊谷 克三君 | |
特別滞納整理担当部長 | 藤井 朗君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 目黒 克昭君 |
本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
主税局関係
事務事業について(質疑)
○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより収用委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中村委員 それでは、収用委員会の事務事業について質問します。
土地収用制度は、私有財産制度が認められた日本国憲法のもと、公共の利益と私有財産との調整を図る制度です。それだけに土地の明け渡しという強い権限があるため、委員会には公正中立な運営が強く求められます。
そうしたことを確認する観点から質問します。それでは、まず、一番重要な公正中立はどのように担保されているのか、委員会の独立性について伺います。
○目黒収用委員会事務局長 土地収用法におきましては、収用委員会の公正中立性を担保するためのさまざまな仕組みが定められております。
まず、実際に事件処理に当たる収用委員の任免につきましては、知事の不公正で独断的な人事が行われることがないよう、住民の代表である議会の同意が必要とされるとともに、議会の議員や自治体の職員等との兼職を禁じております。
また、委員に欠格条項とともに職務上の義務違反や非行があった場合など、特定の場合を除いて、在任中その意に反し罷免されることがないよう、身分保障の規定が置かれております。
さらに、起業者や土地所有者等と一定の関係にある委員につきましては、収用委員会の会議や審理に加わり、または、議決することができないとする除斥の規定もございます。
○中村委員 収用委員会の方が独立性を持ち、公正中立な立場であることはわかりました。
それでは、手続面ではいかがでしょうか。公共事業を行う中で、起業者と交渉し解決を見ないものが収用手続に入るわけですから、権利者は補償金について不満があるケースも多いと思います。権利者の意見を出す機会が保障されなければなりませんが、どのように権利者の不満を聞くのでしょうか。また、裁決が出ても、出された補償金に不満のある場合もあると思いますが、その場合の救済措置はあるのでしょうか、伺います。
○目黒収用委員会事務局長 裁決の申請がありますと、土地所有者等は、裁決申請書、明け渡し裁決申し立て書の内容について、二週間の縦覧期間内に、収用委員会に対し、意見書を提出できることになっております。
また、収用委員会は、土地所有者等から裁決を行うのに必要な事項について意見を聞くため、原則として公開で審理を行うとともに、適宜、鑑定人に鑑定を命じ、適正に補償金を算定しております。
さらに、裁決について不服がある場合には、行政不服審査法による審査請求、または、行政事件訴訟法による抗告訴訟や当事者訴訟を提起することができますが、裁決のうち、損失の補償に関する訴えにつきましては、審査請求することができないため、その救済を求める場合には、起業者と土地所有者等の当事者間で争われることになります。
○中村委員 損失の補償に対する不服を理由としては、訴訟はできても審査請求はできないとのことなので、権利者からの意見も聞き、適切な裁決が出されることを望みます。
さて、土地収用法第六十条の二では、収用委員会は、必要があると認めるときは、審理または調査に関する事務の一部を委員に委任することができるという、いわゆる指名委員制度が定められています。
その指名委員制度はどのような必要性から行われるのか伺います。委員会の審理は、原則は全員の合議制だと思いますが、権利者保護の観点から問題ないのか伺います。
○目黒収用委員会事務局長 指名委員制度は、理事お話しのように、審理または調査に関する事務の一部を収用委員に委任できる制度でありまして、昭和三十九年の法改正により創設されたものでございます。
多くの困難事件を取り扱う東京都収用委員会におきましても、効率的に事務処理を進める上で有効であるとの判断から、この制度を活用しているところでございます。
ただし、本制度は、あくまでも審理や現地調査などの事務に限定して活用されているものでありまして、裁決や決定など、その他の事務につきましては、委員全員の合議により行われておりますことから、土地所有者等の権利者の利益を損なっているとの認識はございません。
○中村委員 全委員がそろわないと審理や調査ができないのでは事件処理はおくれてしまいかねないため、迅速な事件処理が権利者の保護につながることも多いことから、現地調査等で指名委員制度を活用されることは必要だとは思います。ただし、裁決は、委員会としての合議での決定なので、指名委員ではない委員も事案を十分に理解し、適切な判断をしていただくことが必要であり、権利者保護の観点からの審理をお願いします。
さて、公共事業で必要な用地が自分の敷地と全て重なっているとは限りません。敷地が事業に係るものの土地が残るという残地について、地形が悪くなる、小さくて使えないといった声を聞くことがあります。そういった使い勝手が悪くなった分は残地補償により補償されるとは承知はしていますが、補償してもらうよりも収用してもらった方がよい場合も多いのではないでしょうか。
残地収用の請求権が制度上認められているようですが、どのくらい利用され、実際に認められているのか伺います。
○目黒収用委員会事務局長 残地収用は、土地収用法上も認められている仕組みではございますが、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときに限定されるため、現実には、請求そのものがさほど多くあるわけではございません。
東京都収用委員会におきましては、過去五年間で六件の残地収用申請がございましたが、このうち収用が認められたのは三件でございます。
○中村委員 権利者にとっては、公共事業で自分の財産が必要となるということは、一生に何度もあることではありません。できる限り早くから相談して、自分が置かれている状況を理解し、自分で考えることができるようにする、これも権利者保護の重要な点だと考えます。
そこで、収用委員会事務局には、相談支援センターが設置されているとのことですが、土地の権利者に対してはどのように周知されているのか、相談の内容はどのようなものなのか伺います。
○目黒収用委員会事務局長 相談支援センターは、起業者だけでなく、土地所有者等の権利者の方々にも、収用制度に対する理解を深め、当該制度を効果的にご活用いただきたいとの趣旨から、平成十七年度に事務局内に創設された相談窓口でございます。
相談支援センターにつきましては、局のホームページや「土地収用のあらまし」というパンフレットを使って案内しているところでございますが、開設以来、起業者や権利者からの来所や電話による相談に対し、きめ細かく対応してございます。
権利者からの主な相談内容としては、自己の権利に係る土地について、起業者に対して収用の裁決を申請することを請求する、いわゆる逆収用に関する手続や補償の種類やその考え方について、さらには、裁決申請から裁決、明け渡しに至るまでの期間や事務手続の流れなど多岐にわたります。
○中村委員 多くのさまざまな相談に答えられていることはわかりました。行政だけではなく、権利者からも相談があり、逆収用の手続もあるようですから、相談支援センターのように相談できる窓口があるのは大切なことです。権利者の不利益にならないよう、引き続き細やかに相談に答えられるようにお願いします。
さて、収用手続を拙速に進めて権利者に不利益があってはならないし、早期の立ち退きが不利益になってはなりませんが、手続の長期化は、権利者や起業者双方に不利益にならないとも限りません。
件数に対応した体制を整備していくことが重要と考えますが、取扱件数の推移について伺います。
○目黒収用委員会事務局長 過去の取扱件数は、おおむね毎年百件前後で推移してきておりますが、直近三年間の取扱件数を見ますと、平成二十三年度が百四件、平成二十四年度が八十八件、平成二十五年度が七十八件と減少傾向にあったところでございます。
しかし、今年度につきましては、十月末までの半年間で八十二件と、既に、昨年一年間を上回るペースで推移しております。
○中村委員 今年度前半は、かなりの件数の伸びが見られたことがわかりました。
三・一一東日本大震災以降、都市基盤整備の重要性が改めて認識されている状況から、この趨勢は今後も継続するものと思われます。
収用委員会事務局は、公正中立な事務を進めるために、どうしてもマンパワーが必要な部分があり、適切に体制整備に努められることを望みます。
二〇一一年に改定された収用制度活用プランは、二〇一五年が最終年次となっている表が記載されています。プラン策定後の状況の変化を適切に踏まえ、これからも公正中立を旨とし、収用制度が適切に都市基盤の整備に活用されることを要望して、質問を終わります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○和泉委員長 これより主税局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○西海総務部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会資料要求の一ページをお開きいただきたいと存じます。
要求資料第1号、資本金区分別法人数及び法人都民税・事業税額でございます。
この表は、資本金一億円以下及び一億円超の区分別に法人数及び法人都民税額、法人事業税額の五カ年間の推移をお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、都税の滞納整理における直近五カ年の差し押さえ件数でございます。
この表は、都税の滞納整理における平成二十一年度から二十五年度までの差し押さえ件数をお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○和泉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○柴崎委員 まず初めに、都民の納税意識の向上に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。
平成二十七年度税制改正の議論が本格化する中、都民の税に対する関心は、従来にも増して高くなっております。こうした中で、都税に対する都民の理解と協力を得るためには、納税者一人一人が租税の意義や役割を理解し、その使途に関心を持つとともに、税金を取られるものでなくて納得して納めるものだ、こういった意識を醸成することが重要であると思います。
そこでお伺いしたいのですが、都民の納税意識向上に向けた主税局の取り組み内容について、まずお伺いしたいと思います。
○西海総務部長 主税局では、「ガイドブック都税」やポスターのほか、新聞、テレビ、ラジオやホームページ、納税通知書に同封するチラシなどによりまして、都税の仕組みや税制改正の内容について、積極的な情報発信に努めてまいりました。
これらの広報に加えまして、「あなたと都税」などの広報誌やツイッターなどのSNSでは、都税の使い道などをわかりやすく解説することで、都民の税に対する関心を引き起こすよう創意工夫を凝らしております。
また、小中学校などに職員が出向いて出前授業を行う租税教室の実施や、中学生の税についての作文に対する支援、協力など、次代を担う児童生徒の納税に対する理解を深める活動に取り組んでおります。
さらに、税務署、区市町村、納税貯蓄組合などの納税協力団体と連携した納税キャンペーンの実施を通じて、都民への税の理解促進を図っております。
○柴崎委員 都民の納税意識の向上に向けては、さまざまな角度から取り組むことが重要だと思います。特に、我々の地元におきましても、今、お話に出ました納税貯蓄組合、あるいは青色申告会、法人会、それぞれの団体が、税に対する、いろいろと地域の中で活動をされていることは、もういうまでもないわけでありますけれども、こうした団体とも主税局が連携をしていただきたいなと、そんなふうに思うわけでございます。
そして、あわせて、こうした納税協力団体相互の連携も効果がございますので、主税局が、各団体のパイプ役となって、ぜひ、連携強化に取り組んでいただきたいなと、こんなふうに思う次第でございます。
こうした中で、納税貯蓄組合についてお伺いしたいと思います。私の地元の練馬区におきましては、二つの納税貯蓄組合連合会がございます。組合員だけでなくて、地域住民を対象とした研修会の開催ですとか、あるいは、納税キャンペーンなどを実施いたしまして、税に対する理解者、協力者の育成、拡大、こういったことに向けた活動を積極的に展開しております。
そこで東京都において、納税貯蓄組合の活動状況についてお伺いしたいと思います。
○西海総務部長 納税貯蓄組合連合会、いわゆる地区連合会は、税務署の管轄ごとに置かれまして、その構成員は、地域の町会や商店会などから成る単位組合でございます。その上部団体といたしまして、都内四十八の地区連合会を構成員とする都道府県単位の組織でございます東京納税貯蓄組合総連合会というものがございます。
この東京納税貯蓄組合総連合会及び地区連合会では、都税事務所や地域の自治体などと連携いたしまして、年間百回を超える納税キャンペーンを実施しており、納期内納税の推進に大きくご貢献いただいております。
また、地元商店街などと連携協力して、振替納税推進のまちづくりに向けた宣言式を開催するなど、まちぐるみの口座振替納税制度の利用拡大にも努めていただいております。
さらに、中学生の税についての作文事業を主体的に行っていただいておりまして、各学校への働きかけを積極的に行うことで、平成二十六年度は、都内全中学校の八割を超える六百九十七校から七万七千四百一編の応募があり、応募校数及び応募編数ともに過去最高を記録したところでございます。
○柴崎委員 今、ご答弁いただきましたけれども、納税貯蓄組合は、地元商店会、あるいは町会、自治会、こういったところを中心に地域に根差した活動を行っております。行政と都民の橋渡し役として大きな役割を果たしているわけであります。
平成二十五年度の都税収入決算額、これは法人二税を中心に前年度を上回る歳入を確保したところでありますが、一方では、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京大会開催の準備がございます。そして、将来の東京を見据えた取り組みのスピードアップを図るために財源対策が必要とされております。このようなときこそ、地域に根差した納税貯蓄組合の地道な活動がますます重要になると思われます。
今後、納税貯蓄組合とはどのような連携を図っていくのかお伺いします。
○西海総務部長 東京納税貯蓄組合総連合会及び地区連合会においては、主税局との緊密な連携のもと、納期内納税の推進や租税教育の充実に向けた活動を展開していただくことで、東京都の税務行政の円滑な推進に多大なるご協力をいただいているところでございます。
特に、主税局の重点広報事項でございます電子申告、電子納税の普及拡大や、個人住民税における特別徴収の推進につきましては、組合員向けの研修会や説明会などを開催していただくとともに、会報に記事を掲載していただくなど、施策への積極的な支援をいただいているところでございます。
今後とも、都税に対する都民の皆様の一層のご理解をいただけるよう、さまざまな場面におきまして、納税貯蓄組合との連携をより強固なものとしてまいります。
○柴崎委員 マンパワーが必要な税務広報活動におきましては、地域に密着した納税貯蓄組合の活動は、主税局の広報活動を縁の下で支えているといっても過言ではないと思います。引き続き、納税貯蓄組合と二人三脚で都民の納税意識の向上に努めていただきたいと思います。
次に、オリンピック・パラリンピックの準備を今進めている、あるいは、急速な少子高齢化も今進んでおります。そしてまた、首都直下地震を想定した防災対策、いずれにいたしましても、世界で一番の都市ということで、東京都が今目指しているわけでございますが、何といっても、やはり強固な財政基盤が必要不可欠でございます。
そのためには、歳入所管局であります主税局が確実に税収を確保していくため、高い徴収率を維持していくことが重要であると思います。その観点から、主税局の取り組み等について幾つか質問をさせていただきます。
まず、都税全体の徴収率は、平成二十五年度決算では九七・七%と聞いております。この平成二十五年度の都税収入のうち、都が直接徴収している分、そして、区市町村から払い込まれる個人都民税について、それぞれの徴収率の推移をお伺いいたします。
○熊谷徴収部長 徴収率の推移でございますが、都税徴収率は、平成二十年度、リーマンショックの影響を受けまして十三年ぶりに低下いたしましたが、その後、組織一丸となった徴税努力を重ねた結果、平成二十三年度から上昇に転じ、ご指摘のとおり、昨年度の徴収率は九七・七%と、過去三番目の水準にまで回復をいたしました。
このうち都が直接徴収する、いわゆる一般分の徴収率について直近の三カ年で見ますと、平成二十三年度九八・三%、二十四年度九八・五%と上昇を続け、二十五年度には過去最高となる九八・八%を記録いたしました。
一方、区市町村が課税徴収し、都に払い込む個人都民税の徴収率につきましては、平成二十三年度の九一・八%から、二十四年度に九二・三%、二十五年度に九三・五%となりまして、二年連続で上昇しているところでございます。
○柴崎委員 ただいまご説明いただきました都税のうち、東京都が徴収している一般分の徴収率は高い水準にあると考えられますが、それに比べますと個人都民税の徴収率は乖離がございます。
そこで、個人都民税の徴収率が一般分に比べて低い原因についてお伺いしたいと思います。
○藤井特別滞納整理担当部長 ご質問の個人都民税は、個人の区市町村民税とあわせて、個人住民税として区市町村が課税徴収し、都に払い込んでおります。徴収部長が答弁いたしましたとおり、平成二十五年度の一般分徴収率は九八・八%、一方、個人都民税の徴収率は九三・五%と、五・三ポイントの開きがございます。
乖離の主な原因は二つ考えられます。一つ目は、個人住民税の課税は、前年の所得をベースに算定されるため、所得があった時期と納付の時期にずれがあります。そのため、納税者によっては、納税資金の準備を失念し、納税通知書等が届いた際に慌ててしまうケースがあるということです。
二つ目は、区市町村では、一般的に税務部門から他部門への職員の異動サイクルが短く、専門性の継承が難しいため、滞納となった事案が長期化、累積化する傾向があると考えられます。
○柴崎委員 個人都民税の徴収率が低い原因を、今説明いただいたわけでありますけれども、平成二十五年度決算では、都税収入は四兆五千億円であり、そのうち個人都民税の収入額は約八千二百億円であります。都税収入全体の約二割を占める基幹税目であることを考えますと、財源確保のためには、個人都民税の徴収率の向上は急務だと思います。
そこで、個人都民税の徴収率向上のために、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。
○藤井特別滞納整理担当部長 個人都民税の徴収率向上のための取り組みについてのご質問ですが、平成十六年度に、個人都民税対策室、現在の個人都民税対策課を設置し、区市町村から徴収困難な事案を引き受け、都で滞納整理を行うとともに、都の徴税ノウハウを生かし、区市町村に対する都職員の派遣、都への実務研修生の受け入れ、各種研修会の開催等、区市町村の徴収部門の人材育成のためのさまざまな取り組みを実施してまいりました。
平成二十四年度からは、都と区市町村が連携しながら、徴収率向上を目指す新たな連携強化の仕組みとして、個人住民税徴収対策会議を発足させ、共通課題に対する対策を検討し、都と区市町村が一体となった取り組みも始めております。
具体的には、毎年十二月をオール東京滞納STOP強化月間として、多様な広報展開、共通ロゴマークによる催告などの取り組みを実施しております。これらの取り組みの結果もあり、個人都民税の徴収率は二年連続で上昇いたしました。
○柴崎委員 都が区市町村と連携してオール東京ということでさまざまな取り組みを行った結果、個人都民税の徴収率は二年連続で上昇したと今ご説明いただきました。
しかしながら、徴収率九三・五%で、収入額が八千二百億円ということは、逆算しますと、課税額は約八千八百億円ということになります。つまり、差し引き約六百億円が徴収されていないということになるわけです。この六百億円といいますと、私の地元である練馬区の平成二十五年度特別区税収入の総額に匹敵するわけであります。したがって、大変大きな額なわけであります。
こうした現状を鑑み、都税収入確保のために、より一層の対応策が必要だと思います。そこで、個人都民税のさらなる徴収率向上のための方策についてお伺いしたいと思います。
○藤井特別滞納整理担当部長 今後、力を入れていくべきと考えている主な取り組みは二つあると考えております。一つは、先ほどの個人住民税徴収対策会議を活用し、徴収の現場における共通課題に対し、連携をより強化し、都と都内の区市町村が一体となって多様な徴収対策に取り組んでいくものです。
具体例として、本年十二月のオール東京滞納STOP強化月間のキックオフイベントとして、十一月二十六日に都民ホールで決起大会を開催いたします。
もう一つは、現在、特に力を入れて取り組んでいるものでありますが、個人住民税の特別徴収の推進であります。
特別徴収につきましては、事業主が従業員の毎月の給与から住民税を差し引き、従業員の居住地の区市町村に払い込む制度であります。この制度は、給与所得者である従業員の一回当たりの負担が軽減され、納め忘れもない等のメリットがあります。
なお、都内の給与所得者のうち、特別徴収されている方の割合は六九・一%で、全国平均の七三・二%より低い状況であります。この実施率を上げることで、個人都民税の徴収率向上が期待できると考えております。
このため、都では、平成二十六年度から平成二十八年度の三カ年を特別徴収推進期間とし、都と区市町村でPRチラシの配布や広報誌への掲載等を通じ、事業主の理解を得るとともに、納税貯蓄組合を初め関係団体への協力依頼などの取り組みを実施し、特別徴収制度の定着を図ってまいります。
○柴崎委員 これまで個人都民税の徴収率向上のため、都が区市町村と連携し、実施してきたさまざまな取り組みについてお伺いいたしました。今後も、区市町村との共同を一層深めていただきたいと思います。
また、都税全体の徴収率向上のためには、区市町村が課税徴収している個人都民税をいかに引き上げていくかが重要であると思います。そのため、特別徴収を推進していく意義もよくわかりました。
特別徴収は、地方税法の原則でありますが、一方、事業主に対しては、従業員の給与から住民税を差し引き、従業員の居住地の市区町村に納入するという、この事務負担をお願いするものであります。したがって、このため推進に当たりましては、引き続き丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
ところで、住民税の特別徴収の対象となる多くの従業員は、自分の居住地とは異なる、都内または近隣県の区市町村が勤務先であります。特別徴収の実施率を高めていくためには、このことを踏まえて、さらなる取り組みを進めていくことが重要だと思います。
そこで、都が今後実施する都内及び近隣自治体との共同取り組みについてお伺いしたいと思います。
○藤井特別滞納整理担当部長 都内の区市町村につきましては、個人住民税徴収対策会議を通して、区市町村と連携し、事業主、関係団体へ丁寧な協力依頼を行ってまいります。
また、首都圏の近隣自治体とは、九都県市の担当部門と連携し、一体となって取り組みを推進してまいります。
先ほど申し上げましたオール東京滞納STOP強化月間のキックオフイベントでは、去る十一月十二日に開催されました九都県市首脳会議を受け、九都県市の担当者による特別徴収推進の共同アピールも実施いたします。なお、決起大会では、都内区市町村及び九都県市のご当地キャラクターも参加し、特別徴収の推進に向け、機運の醸成を図ってまいります。
○柴崎委員 特別徴収の推進は、東京都や都内の自治体の取り組みだけでは難しいと思いますが、こうした首都圏の九都県市が足並みをそろえて取り組むことによりまして、東京のみならず、共同する自治体全体の税収確保につながるものだと思います。
地方自治の確立の観点からも、この意義は非常に大きいと思います。したがって、今後も安定した都税収入及び税の公平性の確保に向けて、歳入所管局であります主税局の創意工夫と組織力を生かした一層の尽力を期待いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○鈴木(貫)委員 私の方から、若干の質問をさせていただきたいと思います。
主税局に絡む問題として、不燃化特区の制度の支援策のことがありますから、それを踏まえてお伺いをさせていただきたいと存じます。
JRの山手線の外周部に、相当な、一万六千余ヘクタールもの、いわゆる木密地域があるわけです。その中で、とにかくやり遂げなきゃいけないということで、七千ヘクタールを対象にして具体的な対策に今入っているし、これからも指定をしなければならないところがあります。
荒川区は、荒川二、四、七、私の住む町屋・尾久エリアが指定されております。知事も、私の隣の町、町屋四丁目、過日視察をしていただきました。俗にいう、けもの道というようなところまで歩いてもらいました。田んぼのあぜ道に従って道路ができているものですから、幅一メートル以内ですよ、奥へ入ると。そういう消防自動車すら入れないエリアがまだ残っているという極めて危険な場所でありましたし、東京都で一番危険な場所という、余り芳しくない指定をしていただいており、これからが勝負だと思っております。
そういう中にあって、この不燃化特区を対象にして、ただ、やれやれといったって進むものでもありません。バックアップする税制の後押しだとか、いろんなものが総合的になければ、これは進む問題ではないですよね。
そういう立場で、まず最初にお伺いをしたいのは、当然やる以上、地元に住んでいる方々も負担をしなければならないし、それをどう支援してあげるか、やはり胸にくるものを、私たちはしてあげなければならないというのは当然の立場だと思っております。がゆえに、この建てかえ、または老朽住宅の取り壊し、それから新築の家を建てた場合に、東京都として、固定資産税等を減免する制度をしっかりと打ち立てて、私たちも要望し、施策ができております。
まず、お伺いしたいのは、二十五年度に制度を定めておりますけれども、現在までの減免制度の実績について具体的に教えていただきたいと思います。初めての質問だと思いますが、よろしくお願いいたします。
○安藤資産税部長 この制度が定められたのは、先ほど、先生おっしゃるとおり、昨年度、平成二十五年度でございまして、当該減免は、今年度から運用開始ということになっております。平成二十六年十月末現在での減免の適用件数は、建てかえが三十二件、取り壊しが一件でございます。
○鈴木(貫)委員 今、この制度は今年度から適用、そして、十月末現在で建てかえ家屋三十二件、老朽住宅取り壊し後の土地が一件、これは多いか少ないかといえば、ここで論議するまでいかないと思います。始まったばかりでございますから、そうですよね。まだまだこれから進んでいかなければならないし、私はこれについて、どうこういう数字ではまだないと思いますが、でも、これはまだ進めていかなければならない、緒についた制度でありますから、大いにやっていかなければいけないと思います。
この制度を、どうやって具体的に、地域の中で、これを浸透させるかが課題なんですよね。いろんな事例がありますから、これらの取り組みの状況等々、どうやっていくべきなのか、また、どうあるべきなのか、ちょっとお答えしていただきたいと思います。
○安藤資産税部長 制度を活用してもらうためには、不燃化特区支援税制があることを都民の方々に知っていただくということが、まず第一だというふうに考えております。
そのため、局のホームページ及び広報誌である「あなたと都税」に、制度について掲載するとともに、都民向けのチラシを作成し、周知を図っているところでございます。
○鈴木(貫)委員 チラシとか、ホームページとかいいましたけれども、やはり、地元ではもっともっと具体的に取り組んでほしいという願望もありますし、それはそれとしてやっていただきたい、これはもう当然のことだと思います。
住民の側からすれば、私の住む荒川区役所の後ろの二、四、七、町屋のゾーンにしても、先ほど申し上げたとおり、きょう、あした、すぐ動いて云々という場所ではありません。
それに、今指摘をしていきますが、二、三週間前に、日光街道沿いの台東区根岸の昼火事で、テレビの画面で住宅の壁がドーンと落ちた画面が出ましたね、ご存じだと思います、昼火事で。ああいうことが現実に起こりかねない地域なんですよ、実際に。あそこは指定されていません。違う場所なんですね、台東区でも違う場所でありました。
そういうことを考えてみますと、理解をしてもらう、またそれをやっていただくという制度というものは、これからまだまだ長い時間がかかっていくと思いますけれども、問題は、区との連携だと思います。
区との連携をどうやっていくべきなのかを具体的にちょっとお答えをいただければと思います。
○安藤資産税部長 区との連携につきましては、区が主催する住民説明会に都税事務所職員も参加し、減免制度の説明を行うなど、さまざまな取り組みを実施しております。また今年度は、特区制度所管の十七区全ての都市整備部門等にお伺いし、情報交換を進めているところでございます。
今後、区作成のチラシなどを取りまとめて、各区に提供するといった情報共有や区と共用で活用できるチラシの作成など連携を強化し、都民に向け積極的な情報発信をしていきたいと思っております。
○鈴木(貫)委員 お答えはそれで結構なのでございますけれども、私としてはもうちょっと深掘りした動きをもっとしていただきたいと思います。
当然、区と連携をしてやっていくのは必要でありますけれども、例えばですよ、局長、皆さんの方から一軒一軒訪ねていくという手法も私はあると思いますよね、現場の調査に。そういうものをやっていく、また、既にやっている区もあると聞き及んでいます。
そういう丁寧な、事業を進捗させるための、ああ、こっちの方も一生懸命やっているんだなというその気脈が通じてこなければ、私はいけないと思っておるがゆえに、あえて踏み込んだ発言をさせていただきたいと思います。
そしてまた、今話題になっている空き家の問題でありますけれども、きのう、国会で通りましたですね、空家等対策の推進に関する特別措置法が、国会で可決、成立をいたしましたから、私は、ちょうどいいタイミングではないかと思います。そういうことで、都からの情報提供等が今後できるようになるのではないかと思いますし、また、特区内でも、ほかにも所有者と接触することができない、困っている場合に、大いにこれは活用すべきだと私は思います。
特に、いろんな方と接触をしているときに、区から、また関係団体の方からいわれることは、都の方と話していると敷居が高いと、ちょっと、敷居が高いという言葉も聞き及びますから、どうか一緒の目線で、庶民目線で取り組んでほしいと、ちょっとそれだけ気になることがあったものですから、あえて付言をさせていただきたいと思います。
最後になりますけれども、私は、もう一つお聞きしたいんですけれども、都の税務に関するいろんな情報というものは、なかなか区に提供できない、しづらいということは、それはわかります。わかっておりますけれども、でも、この周知効果を上げていくために、都の持っている情報をどう伝えていくのか、区とどう結びついていくのか、これはやはり大事な課題だと思いますね、これからも進めていく上で。
ただ、個人情報だから云々で切り捨てるのではなくて、細部にわたった、あるべき姿論というものをもう少し丁寧に、都区でよく打ち合わせをしていただければと思いますけれども、いかがでございましょう。
○安藤資産税部長 所有者などの税務情報は、地方税法による守秘義務が課せられておりまして、お話のとおり区への情報提供は、非常に困難な部分がございます。しかし、この不燃化特区につきましては、区の事業であるとともに、都としても税の減免をしていることから、都の税務事務ということもいえるかと思います。
そうしたことから、都として区が接触できなかった方々に対し、例えば、減免制度を含めた制度周知に係るパンフレット等を送付することは可能だというふうに考えております。ご指摘の点も含め、不燃化特区内の住民に対する漏れのない制度周知を進めていくため、区の状況を踏まえながら対応していく所存でございます。
○鈴木(貫)委員 できる限り、その辺の打ち合わせをして、情報提供をしてさしあげてほしいと思います。
例えば、空き家対策、空き家の問題一つとってみても、こういう事例があります。朽ち果てている空き家、四、五年すれば、これももたないという空き家、修理すれば住めそうな空き家もあるでしょう。土地と建物の所有者が同一のものとそうでない場合も考えられる。土地と建物所有者が、区内の在住の方がどこなのかということもあるでしょうね。所有者が単独かどうか、複数か、こういうことはわからないですよ。地元の建築士事務所協会だとか、他県の皆さんに調べろといったってそれはわからないのでありまして、そういうことが都、区、全てにわたって、いろいろなことで--個人情報の問題もあるでしょうし、きめ細かな手法、できる限りのことをやっていただければ、この事業も私は進捗をするのではないのかなと、こう思ってありますがゆえに、あえて突っ込んだ質問をきょうはさせていただいたわけであります。ご理解いただきたいと存じます。
そのことを申し上げて、この事業が、二〇二〇年という限られた年月の中でやっていくという縛りも、荒川二、四、七ありますけれども、そのほかありますが、どうかこれがスムーズにいくように、主税局としてもお力を賜りまするよう懇願申し上げて、質問を終わらさせていただきたいと存じます。
○植木委員 税の滞納問題についてお聞きします。
ある経営者で、特別区民税、都民税を、景気低迷の中で滞納せざるを得なくなった方の相談についてです。その方は、滞納がたまってしまったので、納付について、区納税課でその時々に担当者と相談を行い、八年間にわたり、月々の金額を相談して分割納入を約束どおり納入してきました。ことしも納付書を本年十月納付分まで発行してもらって、約束どおり納入してきました。そして九月に入ったら、区納税課に伺うという約束もしておりました。
ところが区は、九月二日付で、差し押さえ書を事前の予告もなく一方的に送付し、住宅ローン及び政策金融公庫の融資で抵当権がつけられている事業所兼自宅の不動産を差し押さえ、抵当権者である金融機関に差し押さえ通知を送付しました。
そのため口座は凍結され、さらに手形貸付の一括返済を請求されかねない事態となってまいりました。これは区の担当するものですけれども、都の対応のあり方も含めてお伺いをしたいというふうに思っております。
まず、手続の問題についてですが、やむを得ず差し押さえを行う場合の原則というのは、滞納が明らかになってから十日以内に徴収金を完納しないときには、滞納者の財産を差し押さえなければならないとなっています。
しかし、先ほどもいいましたように、その間に担当者との話し合いが重ねられ、きちんと納税を継続していた。そして、八月には担当者に本人が電話をして、九月に決算書などを持って区納税課に伺うということを約束していたとのことです。差し押さえた後の交渉の中で、区側は、この方の納税姿勢について、納付の意思と誠意があったということを認めております。
にもかかわらず、こうした突然の差し押さえを通告してきたことは、明らかに権力の乱用といえるものではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○熊谷徴収部長 地方税法の規定によりまして、個人都民税の賦課徴収は、区市町村が個人の区市町村民税とあわせて行うこととなっており、個別具体的な納税者への対応は、各自治体がみずからの権限と判断に基づいて実施しているものでございます。
したがいまして、参考に、関係法令の規定に基づきお答えをいたします。地方税法の規定では、納税者が納期限までに納税をせずに、この後二十日以内に督促を受け、その督促を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しない場合は、納税者の財産を差し押さえしなければならないとしております。また、差し押さえに当たって、事前の予告は、法律上必要とされていないものでございます。
○植木委員 法律的には必要ない、だから乱暴なやり方でやってよいということでもないと思うんですね。
しかしその一方で、平成十三年の国税庁徴収課長の滞納整理における留意事項についてという通知では、実に細かく留意事項を挙げています。
その中で、第四項、差し押さえ予告は、法令に規定された滞納処分上の手続ではないがといいながら、滞納者に速やかな納付を促すとともに、財産の差し押さえを実施することを明確に予告するとなっています。この趣旨は、事後の処理、展開を速やかに図るためということが書いてありますけれども、わざわざこういう留意事項として通知していることは、極めて私は重要だというふうに思います。
本人は、区が認めるように、納税の努力と誠意はあるというふうにいっているにもかかわらず、問答無用というやり方をとられています。
東京都は、講習会などで指導援助していると聞いていますが、こういうやり方を指導しているのでしょうか。国税庁の徴収課長の滞納整理における留意事項に基づいた指導をすべきではないでしょうか。
○熊谷徴収部長 ご指摘の平成十三年度の国税庁からの通知でございますが、これはあくまで国税に関する通知でございます。東京都では、差し押さえの実施に当たって、事前に差し押さえ予告を送付するのが一般的でございますが、納税者の資力や財産状況は千差万別でございます。したがって、予告を送付しないで差し押さえを執行する場合もございます。
基本的には、納税者の状況を踏まえたきめ細かな対応に努めており、こうした都が持つ交渉手法や事務処理手順など、徴収に関するノウハウについては、各種研修会などの機会を通じて区市町村に提供しているところでございます。
○植木委員 都としては、こうした場合、予告しているというお話です。その上で、ノウハウを提供しているというのならば、この予告をするということについても、もちろん前提条件は幾つかあると思うんですけれども、提供すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○熊谷徴収部長 基本的には、区市町村における滞納整理につきましては、区市町村が納税者の状況に応じてみずから判断し、実施しているところでございます。
東京都といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、研修会等を通し、都のきめ細かな滞納整理の手法を紹介しているということでございます。
○植木委員 今のは留意事項についてですが、さらに総務省からは、平成二十三年十二月二日に、総務大臣名で、地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等についてという文書を都道府県知事宛てに送付しているはずです。
そこには、経済社会の構造変化に対応した税制の構築を図るための地方税法及び地方法人特別税などに関する暫定措置の一部を改正したという、その中で、処分の理由付記という項目で、不利益処分について、課税庁は、行政手続法の規定に基づき理由を示すこととされた。上記の改正は、平成二十五年一月一日以降にする処分について適用するというふうになったわけです。
これが、法律、非常に難解な文書なんですけれども、私は、処分について通知するというふうに変わったと思っているんですけれども、あわせてこういうふうにもいっています。この知事宛ての文書の中で、市町村に対してもこの旨周知されるよう、よろしくお願いしますとつけ加えているわけです。
これまで行政手続法では、適用除外の対象だったので処分の理由付記はしなかったわけですけれども、しかし、今度は対象になったということですが、このことを都はどう受けとめて進めようとしているのでしょうか。
○熊谷徴収部長 平成二十六年一月二十八日付、総務省の事務連絡、平成二十六年度の地方税制改正、地方税務行政の運営に当たっての留意事項等におきまして、徴収対策として、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で適正な執行に努めていただきたいというようなことが通達されてございます。
都における滞納整理におきましては、こうした趣旨も踏まえまして、納税者の個々の状況に応じ、きめ細かい対応を行っているところでございます。区市町村にも、この通達については到達されておりまして、実施主体である区市町村が、この通達の趣旨も踏まえまして対応しているものと考えてございます。
○植木委員 私の聞いている質問の観点とちょっとすれ違ってしまっているかなというふうに思うんですけれども、不利益処分についての総務大臣名の通知というのは、平成二十三年十二月二日なんです。これは知事宛てに出していて、同時に知事に市町村に対しても周知されるようにと、先ほどお話ししたとおりなんです。
つまり不利益処分について、これがそのままストレートにいくかというのは、行政手続条例の関係もあるので、行政手続条例は、皆さんの所管ではないので、その辺がちょっとどうなるかわかりませんけれども、やはり処分の理由付記というのは、そうはいっても、総務省から総務大臣名で出されているわけですから、きちっと守るという姿勢に立つべきではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○西海総務部長 差し押さえをいたしますと、差し押さえ調書というものが滞納者の方にいくわけでございまして、その中に、当然理由は付記されておりますので、あえてこの平成二十三年度の通達が出たからといって、その扱いを変える必要はないというふうに理解しております。
○植木委員 理由の付記は、その中に書いてあるからいいということで、事前の通知でいう必要はないと、こういうことですか。
○西海総務部長 処分に当たって、滞納者にお届けするのが差し押さえ調書ですね。そこには、当然理由が書いてあるわけです。今、先生おっしゃった事前の通知というものについては、特に、そこに理由を付記する必要はないというふうに考えております。
実際には、その差し押さえ予告通知書には、あなたの滞納がこれだけあるので、この日までに納めていただかないとというようなことは書いてあります。そういうことでよろしいでしょうか。
○植木委員 予告と理由付記は別問題だという、そういう考えなんだろうと思うのですけども、ここで、なぜ総務省が、経済社会の構造変化に対応した通知を改めて出してきたかということは、私はやはり考えなければならない。だから通知は出さなくてもいいんだということにはならない。都は出してるというお話ですから、皆さんはちゃんと忠実にやっていらっしゃるんでしょうけれども、皆さんが指導や援助している区市町村では、事実そうなっていない事例なわけです。
だから、自治体の裁量範囲だ、考慮はする必要はないということには、私はならないと思うんですね。しかも分割納入を進めている最中ですから、分割納入は一切認めない、あなたが悪いんだから差し押さえすると、そういうことで分割納入は認めないという趣旨なんでしょうか。
○熊谷徴収部長 委員ご指摘の区の事例については、都として内容を知る立場にはございません。参考までに都の取り扱いを申し上げますと、分納中でありましても、状況により差し押さえを行うことはございます。
○植木委員 それは状況によりましてはっていえば、どれもそうですよ。しかし、ここではきちっと話し合いのもとに継続されていて、十月分の納付書も送ってもらっている。九月には、話し合いをしましょう、決算書を持っていきましょう、こうなっているんですよ。その状況で、話し合いの前に差し押さえをした。
これは、皆さんがこういう指導援助、どういうことでやっているかわかりませんけれども、指導援助しているんですか。
○熊谷徴収部長 都として、区市町村は、滞納整理について個別に指導する立場ではございませんが、研修等を通じまして、滞納者の状況を踏まえた滞納整理を行うようにという進め方のノウハウの提供はしているところでございます。
委員、ご質問の件でございますが、個別の納税者の状況を知る立場にございませんので、これについて回答することはできないということでございます。
○植木委員 個別の事情だからということで、それは、ある程度仕方ないとは思いますけれども、では、その手続の問題に加えて差し押さえの内容の問題です。
自宅兼事業所の不動産を差し押さえ、抵当権者である二つの取引金融機関に差し押さえ通知が送られました。そのことによって金融機関の個人口座が凍結され、同時に法人の会社に対する手形貸付の一括返済を請求されかねないところまで事態が進みました。こうなれば自己破産を意味することになり、事業の継続はもちろん、生活の維持も困難になることは明らかです。
地方税法第十五条の五では、事業の継続、生活の維持を困難にするおそれがあるときは、財産の差し押さえを猶予し、または解除することができるとなっています。また前提として、総務省がことしの一月二十八日付連絡文書で、滞納者の個別具体的な事情を十分に把握した上で、これは先ほど答弁ございましたけれども、そういう内容から見ても、やはり手続的にも、事業の継続を困難にする、そういう点からいっても私はおかしいと思うんですけれども、いかがですか。
○熊谷徴収部長 法の規定によりまして、財産を差し押さえしたときは、差し押さえた物件の他の抵当権者等に対しまして、差し押さえを実行した旨を通知する必要がございます。その差し押さえ後の対応につきましては、個々の納税者の状況に応じて判断されるべきと考えております。
○植木委員 同じ答弁が繰り返されているんですけれども、区の判断は、そういう面があることは間違いないんですけれども、同時に、交渉の結果、区は、換価の猶予による差し押さえを認めるがといいながら、滞納額が五十万円以上となっているので、担保をとらなければならないということで、二つの条件をつけてきた。今もちょっとその部分が出てきました。
それから、二つの条件で、どちらかのまなければ、換価の猶予、差し押さえ解除は認めないといってきた。
一つは、先日付小切手の問題です。このケースでは、区の担当者は、差し押さえを解除する条件として、月々の返済額を引き上げて、個人の住民税滞納残額を、会社の先日付小切手を切るように求められました。
先日付小切手の発行について、先ほど、そういうことは可能だというお話もありましたけれども、これを十二カ月、一年のうちにということがありますから、それを小切手で十一カ月切るように求められ、十二カ月目の残金の小切手も一括して発行を求められたと。
金融機関からは、十二カ月間のこういう小切手の発行は、決済がおりないのでということで断られるという事態になっています。そうしますと、第三者にというお話ありましたけれども、やはり、これで、また行き詰まっていると、こういう状況についてはどのように考えるでしょうか。
○熊谷徴収部長 一般論でございますが、地方税法上、五十万円以上の滞納額がある場合、換価の猶予に当たりまして担保が必要になります。納税者が本人または第三者の小切手等の有価証券を提供することによりまして、担保の提供があったものとみなすことは可能でございます。この手続につきましても、地方税法に規定されております。
○植木委員 原則は、私も承知はしていますけれども、しかしそれによって、実際に行き詰まりが出てきている。
それからいま一つ、有限会社そのものを担保にするという、今のお話でそういうことがあり得ると、担保にすることで換価の猶予を認めて、差し押さえを解除する。不履行の場合は、その会社の売掛金を没収する、こういう回答をしてきている。
没収ということは、事業の継続にかかわる問題として--売掛金ですよ、事業の根幹になっているわけですね。まさに、先ほど来、留意事項とか、国税庁の通達とか、そういうものから見ても、いかにも乱暴ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○熊谷徴収部長 お話の事例は、区の個別事例でございまして、個別具体的な納税者への対応につきましては、区がみずからの権限と判断に基づいて実施しているものと考えております。
○植木委員 担保について、国税庁の個別通達、納税の猶予等の取扱要領、この中の第三章、換価の猶予、第一節、換価の猶予の要件、保全措置及び差し押さえの猶予の換価の猶予をしようとする場合においてということで、途中ちょっと省きますけれども、次のいずれか一つに該当する場合は、担保の徴取をしないこととして差し押さえないものとし、また、三から五、例が挙げてあるわけですけれども、いずれか一つに該当する場合は、差し押さえの猶予をすることができることに留意する。
差し押さえまたは担保を徴取することによって、事業の継続または生活の維持に著しい支障を与えると認められる場合にも、これが該当すると私は思うんですけども、そうすると担保を必ずしも必要としないことができるはずだと思うんですけれども、この件についてはいかがでしょうか。
○熊谷徴収部長 換価の猶予における担保の徴取に関する質問でございます。
委員ご指摘の通達は、あくまで国税に関するものでございます。地方税の取り扱いは、地方税法第十六条第一項ただし書きに規定がございます。その担保の徴取の必要性は各自治体が行うものでございます。
○植木委員 もちろん国税庁の個別通達という範囲内ではありますけれども、やはり税というのは、そんなに違ってはならないと私は思うんですよね。だからもちろん個別の事情ということになると、いろいろ判断は分かれるんだろうと思うんですけれども、やっぱりこの事例は、必ずしも担保を必要としない事例に当たるのではないかなというふうに、私は思ってきょうは質問しているわけです。
こうした一連の中で、個別の案件だから答えられないというのがずっと続いていますが、都としても先ほどちょっと出ましたけれども、区市町村への援助を行っているはずなんですね。その一つに、納税交渉とそのポイントというマニュアルを見せてもらいましたが、これは、そういう点から見てどのような位置づけになっているでしょうか。
○熊谷徴収部長 納税交渉とそのポイントでございますが、これは納税者とのやりとりを類型化するとともに、その具体的な対応事例を整理したものでございまして、区市町村職員の研修のための教材として活用しているものでございます。
○植木委員 僕はそうだとしたら、先ほどちょっと最初の方で、総務省の法改正について、総務大臣名で不利益処分のことについて紹介しましたけれども、まさにこれは知事に出されて、市町村に対してもこの旨周知されるようよろしくお願いしますと、こういうふうにつけ加えられているということだとしたら、当然、区市町村の研修のための教材ということになるならば、私は、少なくとも、こういう直近の重要事項については入れるべきだというふうに思うんです。そうしないと、今回の事例の紹介のような事態が再び起きかねないというふうに私は思うんですね。
都としては、きちっと通知も出しているし、理由付記もちゃんとやっているということなんでしょうけども、その点についていかがでしょうか。
○熊谷徴収部長 繰り返しになりますが、納税交渉とそのポイントは、納税相談等での納税者との具体的なやりとりの仕方を中心として編集した区市町村の研修参加者用の教材でございます。総務省等からの通達は、東京都の所管部署を通して区市町村には周知されているところでございます。この研修資料にお尋ねの通達を記載する必要はないものと考えてございます。
○植木委員 そうしますと、ちょっとお聞きしますけれども、先ほどの総務省の大臣名での通知は、区市町村に届いているというふうに理解してよろしいでしょうか。
○熊谷徴収部長 総務省からの地方公共団体の行財政運営に係る通知類につきましては、総務局の行政部を通して区市町村に通知されております。
○植木委員 通知をされている、当然、通知をしなきゃならない性格のものでありますから、通知されていなかったら逆におかしいと思うんですけども、同時に行政手続条例との関係も、これはいずれ出てくる、もう既に出てきているのかもしれませんけども、ちょっとそこは、はっきりわかりませんけれども。
いずれにしても、この納税交渉とそのポイントという、これはマニュアルなんでしょうかね、納税者とのやりとりを中心に編集したと書いてあるけれども、原則的な税制については、同時に資料としてついているわけですよ、ついているんですよ。やりとりだけから成っているわけじゃないんです。
だから、少なくともこういう重要事項については、やはりきちっと記載する必要があると私は思うんですよね。そうしないといけないと思うんです。ちゃんと法律関係も出ているんです、原則論が。だから原則論に基づいて加える必要があるというふうに思います。
その点は、やはり国の方で、経済社会の構造変化に対応した税制のあり方について、対処のあり方を、少しずつですけども変えてきている。毎年毎年法令が改正されて、何らかの法令が改正されている、私も見させてもらいましたけども、難解な文章で読み解くのがなかなか大変でしたけれども、いずれにしても、こうした趣旨を滞納整理の中でもきちっと貫いていただきたい。
とりわけ、中小企業をめぐる環境は厳しい状況が続いています。生活実態や事業継続についても実情を正しく把握してというのは当然のことですから、それを進めていっていただきたい。
税のあり方は、納税の義務という点で極めて基本的なことで重要なことです。もちろん不正などは許してはなりませんけれども、同時に、税は生活費にかけてはならない、能力に応じて公平な負担をするという、税制の民主主義のあり方そのものも非常に重要だということを強調して、私の質問を終わりにします。
○中村委員 それでは、主税局の事務事業について質問します。
十八日、GDPの予想以上の落ち込みを受けて、政府は消費税の一〇%への増税を来年十月から一年半延期することを発表しました。経済政策がうまくいっていないからだとは思いますが、ここではその是非についての議論ではなく、都への影響を伺います。都として、消費税は地方消費税も含んでいるので、都の税収入への影響を考えなければなりません。
そこでまず、ことしの四月に消費税が八%になったことで、地方消費税も一・七%になりましたが、都税収入はどうなったのか伺います。また、今回、消費税一〇%への増税が先送りされることになったのですが、都の税収の見込みの影響はどうなるのか伺います。また、消費税の増税に伴い予定されていた税制改正への影響はどうなるのか伺います。
○加藤税制部長 三点質問がございました。まず、消費税率八%への引き上げによる増収額でございます。平成二十六年度当初予算額をもとに試算いたしますと、平年度ベース、すなわち、一年間を通じた影響額で約二千六百億円となる見込みでございます。
次に、一〇%への引き上げによる増収を同様に試算をいたしますと、平年度ベースで約一千九百億円となる見込みでございまして、この増収分が都税に反映される時期は、税率の引き上げが延期されますと先送りされることとなります。
また、税制改正の影響についてであります。昨年の二十六年度与党税制改正大綱において、消費税率一〇%段階で実施することとされていたものは、法人住民税の地方交付税原資化の拡大、地方法人特別税の廃止等、自動車取得税の廃止及び自動車税に係る環境性能課税の導入などでございます。
○中村委員 消費税の引き上げとともに実施するとされていたものも影響があると予想されますが、そのうち地方法人特別税の廃止が先送りされかねないことは大きな問題です。
これまで、地域間の税収の偏在是正を名目に行われてきたこの不合理な措置については、暫定措置とのことだったはずです。ところが逆に今年度からは、地方法人税も導入され、ますます東京都の税収に影響が出てしまいます。
そこで、法人事業税の暫定措置等についての都への影響額を改めて伺います。
今月十七日には、東京都税制調査会の答申も出ましたが、一連の国の税制改正には疑問を呈していました。都は、知事を先頭に、これまでも国に対して強く求めてきたとは承知していますが、引き続き国に対して強く法人事業税の暫定措置の撤廃、不合理な偏在是正措置の撤廃の意見を出すべきだと思いますが、見解を伺います。
○加藤税制部長 まず、都の影響額についてお答えいたします。法人事業税の暫定措置による都の減収額は、平成二十六年度当初予算ベースで約二千億円、平成二十年度の導入当初からの累計は約一兆円に上ります。また、平成二十六年度税制改正によって行われた法人事業税の暫定措置の三分の一縮小、法人住民税の一部国税化によりまして、都の減収額は、平年度で約三千二百億円となる見込みでございます。
これらの法人事業税の暫定措置、それから法人住民税の一部国税化は、偏在是正の名のもとに地方税を国税化するものでありまして、地方分権に逆行する極めて不合理な措置でございます。こうした措置は直ちに撤廃し、地方税へ復元すべきであり、今月十三日には、愛知県など大都市の自治体と連携し、知事から総務大臣に直接要請を行ったところでございます。
また、今月六日には、関東地方知事会会長として、地方分権改革の推進についてということで、これらの暫定措置の廃止も含めた強い要望を、官房長官に対して要請行動を行ったところでございます。
引き続き、都議会のご協力もいただきながら国に強く働きかけてまいります。
○中村委員 さきの都議会定例会では、都議会も意見書を議決して国に送付していますので、都としてもさらなる取り組みをお願いします。
また、法人実効税率引き下げの議論の中で、外形標準課税を拡大すべきという議論もあります。しかし、ただでさえ厳しい経営環境にある中小企業にとっては、より一層負担が重く、苦しくなるともいわれています。そのため、その取り扱いは慎重であるべきだと考えます。
外形標準課税への都の見解を伺います。
○加藤税制部長 外形標準課税は、応益課税である法人事業税の性格を明確にし、負担の公平を図るとともに、税収の安定化に資するものでございます。
ただ、中小企業へ外形標準課税を適用することは課題が多く、慎重であるべきと考えております。現在、既に対象となっている企業に対して外形標準課税の割合を高めることにつきましては、地方税のあるべき姿として方向性の一つと考えております。
○中村委員 中小企業への外形標準課税の適用は慎重であるべきとの答弁もありましたが、中小企業の経営環境はいまだに厳しい状況にあります。そうした中、都議会では、毎年、固定資産税、都市計画税の減免の要請を都内中小企業者の団体から受け、決議を行っています。
都心部において地価が高いための措置ではあると思いますが、まずは、小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置、小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減額する減免措置、商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置の三つの軽減措置について、それぞれ影響がどうなっているのか伺います。
○加藤税制部長 三つの軽減措置に係る適用件数及び減収額を平成二十五年度実績で申し上げますと、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置については、約百六十三万件、約二百八十三億円でございます。また、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置につきましては、約二十七万件、約二百三十二億円でございます。商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置につきましては、約三十三万件、約百六十四億円となっております。
○中村委員 三つの軽減措置で、六百七十九億円と大変大きな金額が軽減されています。
そこで、この軽減措置により、都民の暮らしや事業の状況はどう改善していると受けとめているのでしょうか。軽減率は妥当なのかも含め、改めてお伺いいたします。
○加藤税制部長 具体的な軽減額について、平均的なモデルで申し上げますと、例えば、面積百平方メートル、負担水準九五%の住宅用地で軽減前の税額が約九万円の例ですと、小規模住宅用地に係る軽減措置によりまして、約一万四千円が軽減されることとなります。また、非住宅用地の例でございますが、同じく面積百平方メートル、負担水準六七%の非住宅用地で軽減前の税額が約六十三万円の例では、小規模非住宅用地に係る減免措置及び商業地等に係る軽減措置によりまして、約十四万円が軽減されております。
このように都が行っている軽減措置は、都民の暮らし、中小企業等の経営の負担軽減に一定程度は寄与しているものと認識しております。
なお、この軽減率につきましては、全国と比べた区部における地価、あるいは税負担の水準、税収への影響などを勘案して定めたものでございまして、おおむね妥当な水準であったのではないかと考えております。
○中村委員 軽減措置により負担軽減に寄与しているとのことでした。ただ、これだけの大きな金額を軽減しているというよりも、実態として、都心部における地価の高さが実態とかけ離れているため、単純に税を算定すると大きな金額となっているだけにすぎないとの見方もできます。土地の所有目的が売買ではなく居住や事業の継続である場合には、地価の高騰により税負担が重くなり、必ずしも歓迎すべきでないともいえます。
例外としての減免が長く続いていますが、このまま減免措置を継続するのであれば、根本的な解決手段を検討すべきだと思いますが、見解を伺います。
○加藤税制部長 いわゆる政策税制につきましては、導入後の景気動向や社会状況の変化、創設目的の達成状況、さらには財政状況等も踏まえまして、不断の見直しを行ってきております。したがって、景気動向、社会状況の変化等を勘案して継続の可否を判断していく必要があると考えております。
○中村委員 都度、継続の可否を判断するとのことですが、この事業は長く続けているので、引き続き厳しい状況にあるのであれば、軽減措置を継続していただきたいと思います。
次に、空き家の問題について伺います。
昨今、空き家の問題が顕著になっています。登記簿は、必ずしも所有者の現住所等をあらわしてはいませんが、都は納税者の住所を的確に把握し、固定資産税を課税しているのでしょうか。
また、空き家については、防災上、防犯上、危険な場合もあり、放置されていることへの対応が求められても、持ち主がわからず対応できない場合があり、市区町村では、条例を制定して行政代執行で空き家の除去を行っているところもあるようです。また、空き家を使って、子育てや介護をしたいという地域住民がいても、持ち主がわからないので活用できないという声を聞くこともあります。登記簿を見てもわからないとなると、一番確実にわかるのは、固定資産税の情報ということになります。
そこで、固定資産税の情報を空き家の解消に活用できるような法整備を行うことは可能かどうかも含めて見解を伺います。
○安藤資産税部長 東京二十三区におきましては、毎年度、課税対象となる土地家屋に係る固定資産税、都市計画税の納税通知書を納税者に郵送しております。その中で、納税者に送達されず、都税事務所に返戻された場合には、住民票調査や現地調査などにより所在を確認し、送付し直しております。
この納税通知書の送付先につきましては、地方税法により守秘義務が課せられている税務情報でございますが、昨日国会で、空き家について倒壊のおそれがある場合は、強制的に除去できることなどを盛り込んだ空家等対策の推進に関する特別措置法が可決、成立しております。今後は、詳細な情報収集に努めまして、法の趣旨に沿った対応をしてまいりたいと思っております。
○中村委員 ちょうど昨日、法律が制定されたということなので、空き家の問題解決につながることを期待したいと思います。まだ、法律ができたばかりということなので、今後、国の動向も注視しながら対応を検討していただきたいと思います。
さて、現在、共有資産に対する固定資産税等の納税通知書については、代表者にのみ送られています。都は一定の条件のもと、申請書の提出があれば、分割納付を認めていますが、納税者サービスの観点から、全員に通知すべきだと考えますが、見解を伺います。
○安藤資産税部長 共有物に対する納税につきましては、地方税法において、共有者全員で連帯して納税する義務があることが定められております。また、昭和五十八年の大阪高裁の判決では、代表者のみに告知することの適法性が示されております。
都が実施している分割納付制度は、共有者が遠方に居住しているなどの特別な事情があり、一通の納付書で納めることが困難であると認められた場合に適用しております。これは納付方法の例外的な取り扱いでございまして、これによって、共有物に対する連帯納税義務が解除されるものではないということでございます。
○中村委員 法律で難しいとの答弁でしたが、昨今では家族関係も複雑になってきています。円滑な納税を進める上では、例外の事例の拡大や区分所有のように立法的解決を国に求めるなど、何らかの対応を検討していただきたいと思います。
次に、新たに始まるマイナンバー制度について伺います。
平成二十七年十月に、マイナンバーの付番、通知がされ、二十八年一月からマイナンバーの利用開始とされています。マイナンバー制度に関して、税のための利用は本来の目的ですが、独自利用に関しては、国の動向がわからず、まだ、決まらないとのことです。
現在の準備状況と課題は何か伺います。
○西海総務部長 社会保障・税番号制度は、複数の機関に存在する同一の人の情報を活用し、社会保障、税制度の効率性、透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平公正な社会を実現することを目的としております。
主税局では、規則制定など具体的な手続方法等につきまして、国のスケジュールがおくれる中、関係部門と連絡をとりながら、国への個別照会を行うなど、平成二十八年一月に予定されている番号利用開始に向けて準備を進めております。
○中村委員 このマイナンバー制度、新たに始まっていくわけですけれども、新たな制度の導入で、今後、税務の事務への影響はどのようになるのか伺います。
○西海総務部長 社会保障・税番号制度が導入されますと、都道府県知事は、地方税の賦課徴収に関する事務において、心身の障害や生活保護といった情報につきまして、情報提供ネットワークシステムを使用して情報提供を求めることができることとなります。
そこで主税局では、国民の利便性向上という法律の趣旨に基づきまして、納税者の負担の軽減、例えば、都税の減免申請をする際に、添付資料の一部を省略することができるといったことでございますけれども、こういった方法に向けまして検討を進めているところでございます。
○中村委員 とりあえず、納税者の手続面での負担軽減ということにはなるのでしょうが、所得が低い方への税の軽減につながることが期待されたシステムでもあります。国の対応がおくれているようですが、こうした制度により、都民にとってどのようにメリットとして生かせるのか、検討していただきたいと思います。
とはいえ、やはりこうしたシステムですから、個人情報の取り扱いが懸念されます。情報の一元化は、管理の強化につながるとの懸念や情報漏えいのリスクもあります。
そこで、個人情報保護は適切に対応できるのか伺います。
○西海総務部長 社会保障・税番号制度におきましては、個人番号を含む特定個人情報をシステム上保有しようとするときには、特定個人情報の入手、提供、保管などについて、漏えいや紛失するリスク、アクセス権限がない者によって不正に使用されるリスクなどを分析し、その対策を評価するということとなっております。
主税局では、現在、このシステムの評価を順次進めているところでございます。個人情報の取り扱いにつきましては、従来から厳格に行ってきたところでございますけれども、主税局では、引き続き法令などに基づき、個人情報の保護に万全を期してまいります。
○中村委員 税務事務では、もとより多くの個人情報を扱っているので、その取り扱いには十分注意をしていると思いますが、新たなシステムは多くの情報が集まることから、その運用は、極めて厳格に行っていただきたいと思います。
特に、いかにシステムでカバーしようとも、報道などで見る昨今の個人情報漏えいや紛失は、極めて単純な人為的なミスであることが多いようです。これは新たなシステムのことだけではなく、絶対に、そうしたことから漏えい、紛失がないよう、常に留意していただくことを求めて、質問の方を終わります。
○西崎委員 私からは、まず初めに、環境減税への取り組みについて伺いたいと思います。
東京都は、環境政策を進めるために、環境減税の取り組みを行ってまいりましたけれども、そのうち、次世代自動車の導入促進税制は、地球温暖化対策の一環として、環境負荷の小さい次世代自動車の取得や保有を税制面から支援するために、自動車税及び自動車取得税の免除を行う制度になっております。もう既に導入されて五年以上でしょうか、経過していますので、かなり周知されていると思います。
そこで、次世代自動車促進税制についての取り組みについて伺うとともに、その実績についてお聞かせください。
○加藤税制部長 次世代自動車の導入促進税制は、都の温暖化対策を税制面から支援するため、平成二十一年度から二十六年度までの間に、新車で新規登録を受けた燃料電池自動車を含む電気自動車及びプラグインハイブリッド車を対象に、自動車税については、その登録を受けた年度及び翌年度から五年度分を、自動車取得税については、その全額を免除するものでございます。
これまでの実績ですが、平成二十一年度の制度創設から二十五年度末までで、自動車二税について延べ約一万一千台、約二億円を軽減しております。
○西崎委員 次世代自動車促進税制などによって、低公害車については、かなり普及してきたと思いますけれども、この十二月には、世界で初めて水素を燃料に走る燃料電池車が発売されるということが一昨日報道されております。
また、自動車取得税については、消費税一〇%への引き上げ時廃止と聞いてまいりました。予定では、来年の十月でしたけれども、自民党の一年半先延ばしという発言によりまして、来年度税制改正がどのようになるのか、大変不透明ではないかと思います。
今後も、都の政策誘導型の税制のあり方を検討していっていただきたいと思います。
事業者向けとしましては、中小企業向け省エネ促進税制があります。この制度の概要と実績についてもお聞かせください。
○加藤税制部長 中小企業者向け省エネ促進税制は、都の温暖化対策を税制面から支援するため、温室効果ガス削減義務の対象とならない中小規模事業所における中小企業者の自主的な省エネの取り組みを推進するために実施しているものでございます。
概要を申し上げますと、環境局が指定する省エネ性能にすぐれる空調、照明などの設備や、太陽光発電など再生可能エネルギー設備を取得した場合に、個人事業税、法人事業税の税額から、二千万円までの取得額の二分の一、これは税額の二分の一を限度としておりますけれども、これを減免するものでございます。
減免実績につきましては、平成二十二年度からの累計で、法人は四百八十四件、減免額約七億七千万円、個人は八十四件、減免額約三千二百万円となっております。
○西崎委員 中小企業向け省エネ促進税制については、これまで、環境局、産業労働局合同のチラシの配布のほか、東京都のホームページや広報誌への掲載、関係団体等の説明会の実施など、積極的に行っているようですけれども、今後も、環境局等の関係機関、あるいは関係団体と連携し、さらなる周知を行うよう要望いたします。
次に、ゴルフ場利用税について伺いたいと思います。
先日の新聞記事に、ゴルフ場の未来というタイトルで、ゴルフ場の現状について書かれておりました。バブル景気の中、八七年に施行されました総合保養地整備法、いわゆるリゾート法によって開発のラッシュを迎えるのですけれども、同時に、乱開発や農薬汚染が社会問題になりました。
ところが、少子高齢化が進む中で、現在は、ゴルフ場が余りつつあるという事態を招いており、今後は、ゴルファーの数の拡大やゴルフ場利用税廃止などの活動に経営者が力を入れているという記事が書かれており、大変驚きました。
実は、私もゴルフというスポーツは大好きで、よくこれまでも、友達同士で仲間をつくったり楽しんできたりしていましたけれども、外国に行きますと、もっと気軽に家族や友達あるいは高齢の方がお一人で海外のゴルフ場を回っている姿をよく見かけてまいりました。
しかし、日本では、ゴルフに対する偏見が、何か社会にはあるような気がいたしまして、会社の接待とか娯楽という観点から捉えられている部分が強くあり、スポーツとしての評価が低いように思います。
そこで、伺いたいのですが、ほかのスポーツには課せられていないゴルフ場利用税は、そもそもどのような税なのか、また、都における税収はどのくらいになるのかお伺いしたいと思います。
○加藤税制部長 ゴルフ場利用税は、ゴルフ場が開発許可、道路整備、廃棄物処理など、地元自治体にさまざまな財政需要を生じさせていることや、ゴルフ場の利用者には一定の担税力が認められることから、ゴルフ場の利用行為に対し、一人一日につき定額で課されている都道府県税でございます。
都においては、ゴルフ場の整備状況等に応じて四百円から千二百円までの間の税率で課税しておりまして、平成二十五年度の税収は約六億二千万円となっております。なお、税収の十分の七は、ゴルフ場が所在する区市町村に交付されておりまして、都内区市町村への交付金は約四億五千万円となっております。
○西崎委員 税収の十分の七は、ゴルフ場が所在する区市町村に交付しているとのお話でした。
地方によっては、この税収の金額が大変大きいために大変重要な税収になっているという実態もあるようですけれども、都議会からは、ゴルフ場利用税の見直しに関する意見書が平成二十四年度に提出されております。これは地方自治体の課税自主権の拡大の観点から見直しを求める内容であります。
地方分権の流れからも、税のあり方、特にその地域で何を課税していくのか、自治体で判断できるような見直しの議論というのは、今後必要ではないかと考えておりますので、ここで賛成、反対ということではなく、意見として述べさせていただきたいと思います。
次に、人材育成に関して伺いたいと思います。
税の仕組みは、国において、毎年何らかの税制改正が行われるなど、とても煩雑で複雑であり、専門性が求められます。団塊の世代の方が大量に退職のピークを迎え、税務経験の長いベテラン層から中堅、若手職員が中心となって支える組織への転換期を迎えているのではないでしょうか。
ベテラン職員から若手世代への知識、技術の継承は、全庁的な課題となっており、とりわけ専門性が高い税の賦課徴収を行う主税局では、重要な課題ではないかと思います。
そこで、平成二十六年一月に改定しました主税局人材育成方針の改定の趣旨とその取り組み状況についてお聞かせください。
○西海総務部長 主税局人材育成方針の改定についてのお尋ねでございますけれども、背景をまず申し上げますと、主税局では、先生おっしゃるとおり、団塊世代職員が大量に定年を迎える時期が過ぎまして、毎年百名を超える新規採用職員が配属されるなど、職員構成が大きく変化しております。従前のベテランが支える組織から中堅、若手が支える組織への転換期にあるという認識でございます。
そこで、新たな方針では、これまで培われてきた税の専門知識及び技術を確実に継承、進化させていくとともに、職員一人一人の意欲と能力とを最大限に引き出し、資質の向上を図るということを目的としております。これによりまして、主税局の組織の力をさらに強化してまいります。
具体的な取り組みといたしましては、個々の職員が知識、ノウハウなどを習得する機会を広げるために、例えば、法人の調査部門や資産税の部門などでは、困難事例を取り上げた研究発表会を局内で実施いたしまして、職員の専門性の向上を図っております。
また、徴収の部門では、滞納整理の経験が豊富な、定年を迎えてまた働いてくださっている再任用職員、この人を十三名、アドバイザーに選任したところでございます。各職場では、アドバイザーを中心としてOJTを一層推進し、組織の力を強化していく所存でございます。
○西崎委員 組織的に専門性を維持向上していく取り組みは重要であり、積極的に進めていっていただきたいと思います。
一般の納税者にとりましては、税は複雑でわかりにくいものです。現場では、職員が納税者からいろいろ質問を受けることも多いと聞いております。大切なのは、一つには納税者にいかにわかりやすく説明し、丁寧に対応することではないかと思います。
そこで、納税者に対して、複雑な税の仕組みをわかりやすく説明するなど、丁寧な対応を向上させるためにどのような取り組みを行っているのか伺います。
○西海総務部長 都民の皆様の信頼確保は、税務行政の基本であると考えております。したがいまして、複雑な税制度を納税者の皆さんの目線に立ってわかりやすく説明し、親切できめ細かな対応を行うことは重要であると認識しております。
主税局では、「ガイドブック都税」や広報誌「あなたと都税」を初め、ホームページや近年ではツイッター、フェイスブックなど、ソーシャルメディアも活用いたしまして、都税の仕組みについてわかりやすく説明しているほか、納税者のお問い合わせにつきましては、本庁や都税事務所の相談窓口などで親切丁寧に対応しているところでございます。
さらに、外部講師によるサービス向上のための講義やロールプレーイング、民間企業での接遇体験など、職員に対してさまざまな職場研修を実施しているところでございます。
○西崎委員 今後も、納税者に対して、複雑な税の仕組みをわかりやすく説明するなど、丁寧な対応を行っていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○大津委員 納税をしていく都民、納税者の視点に立った一貫した質問をしてまいります。
私たち都民は、該当すれば五十七種類もの税金を納税していくことになっています。私も、給料天引きという時代が二十年ありましたけれども、特に給料から差し引かれていますと、納税をしているというよりも、徴収をされているという意識の方が高くなり、その背景の理由としては、どんな税金がどのように区や都や国に配分され、どのように使われていくか、意外とわからないからであります。
お米や野菜を毎日食べるものの、どのようにつくるのか体験をしたことがない人の方が多いように、毎日当然のように支払っている税金が、どのような仕組みでいっているのか案外わからないものです。
そこで、まず伺います。先ほどの質問にも既にありましたが、こうした税金の仕組みや行き先について、どのような媒体や窓口相談などを通して広報しているのか、さまざまな答弁がありました。それらに対して、都民にわかりやすく具体的に説明すべきと考えていますが、所見を伺います。
○西海総務部長 主税局では、「ガイドブック都税」やポスター、ホームページなどにおきまして、都税の仕組みや税制改正の内容につきまして、適宜、情報提供をしているほか、「あなたと都税」やツイッターなどのSNSで都税の使い道を紹介するなど、税に関心を持っていただけるよう工夫を行っているところでございます。
また、税務相談コーナーを本庁及び都税事務所に設けまして、電話や来庁による相談に応じるとともに、自動音声によるテレフォンサービスも実施しているところでございます。
引き続き、税に対する都民の皆様方の理解とご協力を得るため、わかりやすい情報提供、相談体制の整備に努めてまいります。
○大津委員 さまざまな媒体で広報を行ってきたということがわかります中で、ホームページやSNSも充実しているようですけれども、一般的に都民の行動、またシニアの方々にとっては、やはり区役所や区民館などに置かれている紙の媒体である「ガイドブック都税」、「あなたと都税」、そうした紙媒体が一番近いのであります。
また、電話相談も受けているということでありますが、私たちのところにも、どうも税金が払えないのでどうしたらいいかとか、そういった相談もたくさん来るわけですから、電話相談のお知らせ、じゃ、どこの電話番号にして、何曜日にやっているのか、何時までは人が出るのか、夜間は音声か、定休日があるのか等も含めて、よりわかりやすいお知らせをお願いしていきたいと思います。
ホームページの情報もかなり豊かでありますが、パソコンの電源をオンして、都庁を開いて、財務局と主税局とどっちだろうとか、主税局開いても四重五重に行き着く方法と、一回で都税の仕組みで行き着く方法もあるのかもしれませんけれども、よりわかりやすい、納税をしているんだ、納税するしがいがあると思うような説明義務というか、報告義務というか、同時に、正しく無駄遣いなく使っていく義務を、報告をするべきだと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
さて、五十七種類ある税金ですけれども、確認の意味で伺いますが、国税、地方税含め、税にはどのようなものがあり、どのように使われているのかの概要を確認いたします。
○加藤税制部長 税には、所得税、法人税、消費税など国が課する国税、道府県民税、事業税、自動車税、地方消費税など都道府県が課する都道府県税、区市町村民税、固定資産税、軽自動車税など区市町村が課する市町村税がございます。
このうち国税には、その一部または全部が地方交付税や地方譲与税として都道府県や区市町村に配分されているものがございます。また、都道府県税には、一定の基準に基づき都道府県内の区市町村に交付されているものがございます。
税は通常、使途が限定されない一般財源でございますけれども、地方税におきましては、こうした普通税のほかに、都市計画税や宿泊税など、法律や条例で使途が特定されている目的税がございます。
一方、国税については、このような制度はございませんけれども、例えば、消費税のように、全額を社会保障政策に要する経費に充てるとされているものなどがございます。
○大津委員 税の大まかな種類については、お答えいただけました。その中で、税の行き先に対して、変化球ともいえる税も多いので、その中から、たばこ税と消費税についてお伺いします。
例えば、たばこ税は、国たばこ税、たばこ特別税、都たばこ税、市町村たばこ税と四種類ありますので、その変化球税としての行き先をわかりやすくちょっと教えていただきたいのが一つと、あした衆議院解散かという本日におきましても、まさにこの消費税解散ですから、消費税の国、都、区の中身、また、使い道等いろんな条件もあるかと思いますが、その二つの事例に関しましてお答えをいただきたいと思います。つまり、消費税や地方消費税、具体的にどのような仕組みで国、地方に配分されるのか、また、同じ対象に課税されていても、国と地方のそれぞれの税収となるものなどについてお伺いします。
○加藤税制部長 消費税及び地方消費税につきましては、消費税率が六・三%、これに一・七%分の地方消費税を加えました八%分が現在の税率でございます。これは全て国があわせて徴収をした上で、地方消費税分を都道府県に払い込むこととされております。
都道府県に払い込まれました地方消費税は、消費に相当する額に応じて各都道府県間で清算をされまして、その結果の二分の一は一定の基準によって各都道府県内の区市町村に交付されております。
それから、たばこ税についてでございますが、たばこ税は、製造場等から移出された製造たばこに対して、国たばこ税及びたばこ特別税が、小売販売業者等に売り渡しをされた製造たばこに対しては、地方たばこ税がそれぞれ課されております。
たばこ一箱二十本入りの例で申し上げますと、国、地方とも約百二十二円が国税、地方税となっております。この地方税百二十二円のうち、約十七円が都道府県のたばこ税、約百五円が区市町村のたばこ税でございます。
○大津委員 たばこの小売価格の約六割が税金ということもよくわかりました。私は、たばこは吸いませんけれども、例えば、我が渋谷区を思うということを考えれば、地元でたばこを買えば、地元の自治体が潤うという、そういう購買行動にも影響を与える側面というのも重要です。渋谷区で買えば都の十七円と百五円で、他府県で買うのだったら東京都内で、東京都内で同じく買うのならば渋谷区内でというそういった仕組みも、わかっている人もいれば、ほとんどそういうことはわからなかったりすると思うからであります。
そうしたいろんな変化球の税金の仕組みなども本当に案外わかっていそうでわからないので、そういったこともわかりやすくお知らせをしていくということも、今後とも引き続きさらにやっていただきたいと思います。
さて、こうした税金は、財源を調達する手段ですが、都政を運営するための貴重な財源はもちろん都税です。国に頼らず都民に直結する大切な自前の政策を展開する上でも、また、納税者にとっての公平性を保つためにも、効率的で公正な徴収が必要不可欠であります。
そこで、都税の徴収率の推移について伺うとともに、全国の地方税の徴収率と比べてどのような水準にあるのかについても伺います。
○熊谷徴収部長 徴収率の推移でございますが、都税徴収率は、リーマンショックの影響を受け低下に転じ、平成二十一年度には九六・八%となりましたが、さまざまな徴税努力を重ねた結果、平成二十五年度の徴収率は九七・七%まで回復をいたしました。
全国の地方税の徴収率は、直近の公表値である平成二十四年度では九五・一%でございまして、都税徴収率は高い水準にあると考えております。
○大津委員 これまでの質問にもより、徴収率が高い水準であることがわかっていますが、これらのさまざまな徴収の努力をしてきた結果だと思います。
これまで徴収率の向上のために、どんな徴収の技術や工夫を凝らしてきたのか、それらが都税徴収率にどのように影響しているのか具体的に伺います。
○熊谷徴収部長 徴収率向上のための取り組みでございますが、まず、滞納を未然に防止するため、従来の金融機関での納付、口座振替に加えまして、コンビニ収納、インターネットや携帯電話で納税できるペイジー収納、自動車税のクレジット収納などを実施し、納期内納税を促進するための環境整備に取り組んでまいりました。
コンビニ収納を例にとりますと、平成十六年度導入当初の収入額は約二百六十億円でございましたが、二十五年度には千三百四億円となりまして、当初の五倍以上に拡大をしております。
また、滞納に至った事案につきましては、早期に解決することを目指し、タイヤロックやミラーズロック、インターネット公売などの新たな滞納整理手法を用いるなど、創意工夫を凝らした取り組みを展開してきたところでございます。このような取り組みが都税徴収率の向上に寄与していると考えております。
○大津委員 利便性上、コンビニの五倍以上の額の拡大というのは、非常に注目をしているところでもあります。そういった意味では、納税をさらにしやすいためにも、それなりの説明の文面ですとか、そういった工夫も必要かと思っています。
例えば、固定資産税、都市計画税、この振り込み用紙ですけれども、そこには、MMK設置店というのも、コンビニエンスストアの名前十五カ所とともに書かれていますが、MMKって何だろうと調べますと、マルチメディアキオスクとなっており、それは何だろうと探しますと、端末機械の名称だそうで、じゃ、そのMMKって、最初はそういうコンビニエンスストアがあるのかと思ったくらいで、じゃ、MMKというステッカーの張ってある店、じゃ、それはどこだろうとまた調べますと、一部の、コンビニエンスストアの一部のお店、または、一部のスーパー、ドラッグストア、家電量販店、売店、例えば病院の中の売店、信金、それらの中の一部のその端末を置いてあるところが、MMKというものだそうです。
じゃ、車税を払おうとすると、十七コンビニエンスストアプラスMMK、じゃ、固定資産税を払おうとすると、十五店舗プラスMMK、税金ではありませんけれども、水道料金、下水道料金となると、また、一カ所くらいずつコンビニエンスストアの種類が違ってまいりますし、同じMMKという説明の仕方も違っていますし、税金とそうじゃないものとありますけれども、払いやすさという点では、来年度の印刷時期に合わせまして、全庁的に、さまざまな局と、こうした表記やもっとわかりやすい説明をお願いしたいと思います。
プラス、二十三区内は、本当にコンビニエンスストアは多いんですが、山間部や島しょ、また少ない地域もありまして、そういうところは、それにかわるどういうものがいいのか、そうしたことも念頭に入れて取り組んでいただきたいと思います。そういうことが、徴収率を別の意味でアップしていくんじゃないかと思っています。
このように、例えば、コンビニで支払うにしても、支払おうと思いながらつい仕事が忙しくて、かばんに入れたまま何日も過ぎて督促状が来ちゃったという例も結構多いと聞いております。
例えば、納期限までに納めないと督促状が来ますが、滞納した場合はどのようになるのか、時系列で滞納整理の流れを最初から最後まで教えてください。また、差し押さえ公売件数、さらに、まことに困窮をしている納税者に対しては、どのような配慮をされているのか、あわせて伺います。
○熊谷徴収部長 納期限までに納税がない場合は、地方税法の規定により督促状を送付いたします。督促状の期限までに納付されない場合、電話や文書によりまして、約二カ月間、納付の呼びかけを行い、自主的な納税をお願いいたします。二カ月を経過しても納税がない場合、訪問などによる催告を行うとともに、納税資力を把握するため財産調査を実施いたします。
納税に誠意が見られない場合は、預金、給与、不動産等の差し押さえ、タイヤロックなどの活用、財産発見のための捜索、公売による換価など、法の規定に基づき滞納処分を行います。
滞納処分のうち、差し押さえの件数でございますが、平成二十五年度は二万四千百四十九件実施しております。また、公売の平成二十五年度の実績は、インターネット公売による売却件数が百八十一件、入札による不動産の公売売却件数は三十一件でございます。
一方で、丁寧な納税者相談を行うとともに、財産調査の結果、納税資力がないと判断した真に困窮している納税者に対しては、滞納処分の執行停止など徴収の緩和措置を行っているところでございます。
○大津委員 健康面や生活面で本当に困窮しているケースもあり、そうした点については十分配慮をお願いします。また、払えるのに払わない、そういった場合には、税の公平の立場から納税をお願いしていくべきと考えます。
納税は、信頼関係が重要で、払う方は、国やさまざまなものに対して信頼があるかないかというのも重要でありますので、さまざまな、先ほど申し上げたいろいろな報告やお知らせも含めながら、地道な努力で信頼関係をつくっていっていただきたいと思います。
このように、徴税の努力によって集めた都税であります。例えば、簡単に百円の税金を納めたとします。そのまま百円分を、都政の政策に使えるのがもちろん理想でありますが、その百円を徴収するのには、人件費や、先ほどのいろいろなコンビニも含めた機関の手数料も入ってくるでしょうし、それなりの徴収費用というのがかかるはずです。
そこで伺いますが、都税収入百円当たりの徴税費用、コストは幾らになりますか、過去との比較もお伺いします。
○西海総務部長 徴税コストについてのお尋ねでございますが、平成二十五年度の都税収入は、約四兆四千九百十億円でございます。一方、同年度の主税局の人件費を含む徴税費は、約六百四十一億円でございます。したがいまして、お尋ねの都税収入百円当たりの徴税コストは約一・四円となります。
過去との比較ということでございますが、十五年前の平成十年度の都税収入百円当たりの徴税コストは約二・一円でございまして、そこから比較しますと約〇・七円の減、パーセンテージでいいますと約三三%の減となっております。
○大津委員 百円の都税の一・四円が徴収費用ということで、大分削減をされてきたというその努力の結果の印象を受けました。これからも徴収率と徴収コストの相互作用を考えながら、これからも取り組んでいっていただきたいと思います。
最後になりますが、少子高齢化、とりわけ生産年齢人口が減少していく中、主税局は、今後、公平かつ効率的な都税の課税、徴収を行っていくべきと考えます。所見を伺います。
○西海総務部長 主税局は、これまで、税務情報の保護などに留意しながら、業務の民間委託や電算システムの活用を進め、スリムで効率的な執行体制の構築に努めてまいりました。
このような少数精鋭体制の中、知識の継承など人材育成を図ることで、さらに、効率的で質の高い業務運営を維持し、今後とも、適正かつ公平な賦課徴収に努めてまいります。
○曽根委員 最後の質問になりますので、よろしくお願いいたします。
先日、十七日に、私も委員として参加した都税調で最終答申が決定されまして、都に提出をされました。私も一部については意見を述べましたが、答申全体の提出には賛成をいたしました。
答申の報告、質疑は、定例会の中で行われるということですので、今回は、これに先立って、この答申の中で示された税制改革のあり方の検討方向を参考にして、これまで、私も法人減税の問題やそれから地方法人課税の問題は質疑をしてきましたので、きょうは、都が税制改革のあり方について、国にどう物をいうべきかという基本点について幾つか質問したいと思います。
答申では、税制改革の方向として三つの検討方向というのを提起しています。その一つは、地方分権を推進する税制改革であること、二つ目に、財源の持続可能性の確保がされること、三つ目に、今日の時代に合った公平性が担保されること、この三つです。これは、時宜にかなった適切な検討報告であるというふうに私たちも考えておりまして、これに沿って基本点を聞いていきたいと思います。
まず、地方分権、地方自治の前進のための税制改革という点で、最大の問題は、かねてからいわれているように、地方自治体が全体としては六割の仕事をしながら税収は四割にとどまっている、この財源不足をどう補っていくのかという問題についてです。
答申案にも提起されているように、地方全体として不足する財源を、できれば、できるだけ自主財源として賄っていくことが必要なわけですが、そのための目標や戦略というのは、東京都においては検討されているのかどうか。そして現状では、大都市部とそれ以外の道府県の足並みがそろっていないという中で、この大きな目標に向かってどう取り組んでいくのかについて、都としての方針が必要になると思いますが、これについての検討状況をお聞きしたいと思います。
○加藤税制部長 地方が自主自立的な行財政運営を行うためには、権限とそれに見合う財源が必要でございます。とりわけその自主財源たる地方税の充実が欠かせないということでございます。その際には、税収が安定的で偏在性の小さい地方税体系を構築することが重要でございます。
また、税源移譲というのがございまして、これまでも、所得税から住民税へ三兆円の税源移譲を行いました。ただ、その結果、地方交付税が大きく減らされて地方が疲弊をしているという現状がございます。特に、財政力の弱い地方自治体に対しましては、税源移譲をしてもまだ足りないということになりますので、地方交付税制度の機能を適切に発揮させ、必要な財源を手当てすべきだと考えております。
こうした地方財源が不足する中、地方が対立することなく一体となって、こうした総体としての地方税財源の拡充を国に求めていく、これが都としての進め方だと考えております。
○曽根委員 この地方と国の財源のやりとり、税源移譲も行われましたが、この中で一貫して東京都は、偏在性を小さくすると、地方の財源において、そういう観点から、例えば、住民税の累進制をやめて、さらに、所得よりも住民の生活そのもの、つまり家計消費に課税する消費税が最も偏在性が今少ない税金の一つとして、ここにより多くの財源を求めるという方向に流れがつくられてきたというふうにいえると思うんです。
そうすると、やはり、低所得の人からの税金が一番取りっぱぐれがないといいますか、逆進性という、いわゆるそういうものが強い消費税に、だんだんと地方の財源を依存していくという、大変国民にとっては危険な方向に進まざるを得ない、ここに大きな問題があるというふうに私達捉えております。もっと究極的に、超公平な頭割りの税金ということになれば、人頭税ということになりますが、これがサッチャー政権の崩壊の原因にもなったといわれております。
こうした方向は、やっぱり住民犠牲を強いていくものとして、根本的な財源確保の方向性の見直しが必要だということを申し上げておきたい。また消費税の問題については、後日、請願陳情の審査がありますので、そのときに譲りたいと思います。
もう一つは、持続可能性の確保、財源が安定的に確保できる、今後も持続するというような点から見てどうかということなんですが、少子高齢化の急速な進行と国、地方の財政危機という中で、財政収入の持続可能性をどう考えていけばいいのか。
この前提として、税制度の改革に当たっては、少なくともその改革によって少子化がもっとひどくなったり、または財政危機が深まるような事態は何としても避けなければならないという、これは大前提の問題ですが、いかがでしょうか。
○加藤税制部長 現在、政府が進めております税制改革は、少子高齢化が急速に進展する我が国において、持続可能な社会保障制度の構築と財政の健全化、日本経済の再生を同時に実現することを目的としております。
○曽根委員 そういうことが目的であり、東京都も基本的にはこれを認めてきているんだと思います。しかし、目的はそうだといい張っても、国の税制改革が、一方では、消費税で庶民に重い課税を進める一方で、大幅な法人減税をこれからやっていこうというふうにしていることは、間違いなく格差は広がりますし、国民の中に貧困率を高めて、広く課税する消費税さえ、行く行くは取りにくくなるような事態を招く危険がある。
こういう点では、財政の健全化を展望しているとは、私はいえないと思います。これまでも財政危機や少子化がなぜ進行してきたのか、この分析や反省が足りないということが大きな問題だと思うんです。
都としても、国と地方における少子化や財政危機の原因をはっきりさせて、その克服と一体で展望を明らかにする必要があります。例えば、東京都としては少子化の克服という点での若干の政策は今出してきていますが、一方で、財政危機の原因というのは、東京都も繰り返し指摘しているように、八〇年代、九〇年にかけて景気対策を理由に膨大な公共事業の借金が積み上がった、これが最大の原因であります。
しかし、これが現在、大震災からの復興ということを理由にして、全国で復活しつつあるということへの認識は、私は、必要だというふうに指摘をしておきたいと思います。
それから、今日の時代に合った公平性という点で、どうしてもやっぱりいわなきゃならないのは、日銀の市場への資金投入だとか、それから円安政策によって、たしか輸出産業、自動車産業を初めとして、円高差益だけでも莫大な利益が上がっているようですが、一方で、輸入品を初めとして物価値上げから見れば、賃上げが追いつかない。しかも実質賃金が下がり続けているのに所得はふえていますので、名目所得への課税はふえてくるという状況があり、やはり国民の側には、大きな、何といいますか、被害も出ているというふうに認識しているわけです。
この点で、この間、株の取引の課税は一部是正されましたが、ずっと減税の恩恵にあずかってきた高額所得者、株投資家、また、大手の企業の法人課税、これは避けて通れない問題だと思います。特に、地方としてできる課税としての法人課税、公平性からいえば、東京で活動する特に大企業などの企業活動を支える東京都の自治体のサービスは莫大なものがありますので、これに応じた応分の企業負担は、今後、適切に拡大していくことは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤税制部長 法人は、その事業活動を行うに当たり、都市インフラなど地方自治体の行政サービスを受けております。諸外国の税制の動向を見きわめつつも、当該サービスを受ける法人に応分の負担を求めることは必要であると考えます。
ただ、今、ご負担をふやすという方向でお話がございましたが、地方税法で法定されている中で、もし負担をふやすということになりますと、都が独自に超過課税を引き上げなければいけないということになるかと思います。
都におきましては、法人事業税及び法人住民税について、大企業や所得の大きい企業に対し、大都市特有の財政需要に対応するため、地方税法で定められた税率を上回る税率を設定し、課税をしております。大企業への負担の拡大は、企業の国際競争力を強化する観点から、法人実効税率の引き下げが議論されておりまして、そうした状況にはないと考えております。
○曽根委員 私がいおうとしたのに先にいわれてしまいましたが、今回、答申と一緒に法人課税の国際比較といいますか、法人負担、実効税率だけではなく、社会保障の負担なども含めた国際的な企業の負担率としては、日本の法人負担は必ずしも高くないというような客観的なデータ、皆さんもお調べになったわけですけれども、出ておりますし、大企業などの、この間の所得の、利益の拡大状況を見れば、税負担能力には十分余裕があるというふうに思います。
超過課税の自主権を最大限、まだ使える余裕があるわけですので、検討すべきだし、また、かつて裁判に負けてやめてしまいましたが、銀行など、金融機関の、私たちから見ると、やっぱり明らかに税金逃れというような部分への課税の検討も含めて、裁判で負けないようなやり方で検討が必要じゃないかということは申し上げておきたいと思います。
それで、企業と同時に、今の住民税の仕組みは、所得の再配分機能が非常に低下しているという状況にあります。国全体の税収の中で、今後、地方税の割合をやっぱりふやしていくということが、私はどうしても必要になると思うんですね。
地方交付税という形での調整もありますが、やはり地方自身がちゃんと自主財源としての税収を確保していくということが必要になると思いますけれども、そうすると、やはり個人住民税についても、改めて高額所得者への累進課税を検討していく必要が出てきているんじゃないかということを考えているのですが、いかがでしょうか。
○加藤税制部長 個人住民税は、かつて累進税率を採用しておりましたが、平成十九年の所得税からの税源移譲に際し、その応益的な性格を明確にする等の観点から、一律一〇%の比例税率とされ、自治体が超過課税を行う場合も、一の税率によるものと法に明確に規定されました。
他方、所得再分配機能は維持するよう所得税の税率構造は累進性が強化されております。こうした経緯を踏まえますと、個人所得に対する課税のあり方というものは、個人所得課税全体で検討すべきものと考えます。
○曽根委員 国税の所得税は、累進が強化され、地方税の方は、税率は一〇%フラットになった。こういう中で、今、人口減少が起きているわけです。東京は間違いなく、全国に少しおくれるものの、しばらくの期間は人口減少は避けられないわけですね。そういう中で、国税の方は所得税の税率に累進がある、しかし、地方税はない。人口はしばらくは確実に減っていく。となりますと、この税率のまま自治体の所得課税をふやしていくということは、極めて困難ではないかと予測されます。
基本的な考え方として、自治体の役割が、国全体の行政サービスの中で大きいわけですから、それにふさわしい地方財源を確保するという場合には、地方や大都市にも普遍的に存在するということだけにこだわるのではなく、所得の再配分機能を大いに発揮して、たとえ人口がしばらく減り続けたとしても、所得の多い方には応分の負担をしていただく中で財源を確保するということも、この住民税の中で考えていかなきゃならないということは、大企業への適切な課税評価とともに、高額所得者への住民税の累進課税を検討するという点を申し上げて、私の質問を終わります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時二十二分散会
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