委員長 | 和泉 武彦君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 高木 けい君 |
山内 晃君 | |
大津ひろ子君 | |
柴崎 幹男君 | |
木村 基成君 | |
西崎 光子君 | |
鈴木貫太郎君 | |
鈴木 隆道君 | |
植木こうじ君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 中井 敬三君 |
経理部長 | 奥田 信之君 | |
契約調整担当部長 | 松永 哲郎君 | |
主計部長 | 潮田 勉君 | |
財産運用部長 | 岩瀬 和春君 | |
利活用調整担当部長 | 菊地 俊夫君 | |
建築保全部長 | 室木 眞則君 | |
技術管理担当部長 | 妹尾 高行君 | |
庁舎運営担当部長 | 井上 充君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
会計管理局 | 局長 | 塚本 直之君 |
管理部長 | 松下 隆弘君 | |
警察・消防出納部長 | 植松 淳一君 | |
会計制度担当部長 | 米今 俊信君 |
本日の会議に付した事件
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)
○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○高木委員 私から、まず都の公金運用に関連をして幾つか質問させていただきます。本年度、東京都の歳計現金の平均残高は約九千五百億円、基金の平均残高二兆六千億円となる見込みと聞いております。こうした多額の都の公金は、都民の税金が原資でありまして、その運用は法令に基づき、安全確実が第一に優先されるものと考えているわけであります。
一方、最近、都の公金運用に関連して、知事が公金の一部で株式運用を検討すると発言されているわけでありまして、当然のことながら、株式市場の相場は上下動をするもの、暴落もあり、元本は保証されないので、私は大変心配しております。
そこでまず、現在の公金運用について、現行法の規定はどうなっているのかをお伺いします。私の知る限りでは、株式運用はできないと思いますけども、それについてもお伺いいたします。
○松下管理部長 都の公金には、歳計現金及び基金がございまして、その管理は、地方自治法第二百三十五条の四第一項及び第二百四十一条第七項によりまして、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されております。
この条文の解釈につきましては、所管する総務省の行政実例、通知、それから国会答弁、これらによりますと、金融機関に預金して安全に保管することなど、元本保証のある商品について運用されるとされています。したがいまして、公金の株式運用は、現行の法令上はできないものであります。
○高木委員 今までも、自治法の解釈というのは、そういうことで行ってきたと思いますし、自治体もそれを守ってきたと思います。
これからも、その基本原則は守っていく必要があると思っておりまして、私はいろいろな資料を調べてみましたが、東京都においては、かつて、平成十四年というのが一つのキーポイントになっていたようで、このときに、ペイオフ解禁後の新たな公金管理に向けてという東京都の公金管理に関する検討委員会の報告書が、十四年の一月三十日に出ているわけでありまして、ここに、今後の都の公金管理に当たっての基本的視点というのがあって、公金の安全性の確保を最重要視するということで、公金の安全性を守ることを何よりも最優先すべきであるというふうに書かれています。
この方針というのは当然変わっていないと思いますし、今のご説明でも株式運用というのはできないのだろうというふうに思います。
さて、先日、金融分野の専門家で構成する資金管理・活用アドバイザリーボードが開催されて、公金の運用全般について、知事と委員の意見交換があったと聞いております。その中で、各委員からどのような意見が出たのか、また、それに対する都の見解はどうか、あわせてお伺いいたします。
○松下管理部長 十月二日におきまして、冒頭に知事も出席いたしまして第一回目を開催したところでございます。各委員からは、基金のうち余裕資金に相当する、いわゆる底だまり、あるいは退職給与引当金について、長期運用や株式を含めた多様な運用をといった具体的な提案もございました。
しかしながら、一方で、公金運用は、株式運用を行っているGPIFとは性質が異なるという意見や、あるいは、公金は都民から運用を委託されたものであり、都民が求めているものを十分に検討して、どこに立ち位置を置くべきか検討するといった意見がございました。
そもそも運用を専門としている機関が集める資金と税を原資とする公金とでは、その性質及び組織体が異なるものである、そういった意見もございました。
今回は、委員の率直な考えを聞く意見交換にとどめましたが、確認の必要なものについては、意見の内容を精査いたしまして、今後の資金運用に活用してまいります。
○高木委員 先般の第一回目の会合は、知事と委員の自由な意見交換にとどめたということだと思います。ただ、長期の運用や株式運用の可能性もあると委員の一部から意見があったと聞いております。
そのことがあったからなのかどうかはわかりませんが、これは先般の日経ヴェリタスという雑誌の記事に、舛添知事の写真入りではっきりこういうこと書いてありますね。都の公金についても今は貯金と国債で運用しているが、一部は株で運用できるように変えていくと書いてあるんですね、はっきりいい切っているんで何でこういうことが記事になるのかなというふうに思いますが、それは、ひとまず置いておきます。
今、ご指摘のあった都の資金の底だまりとか、それから退職給与引当金にかかわる委員からの指摘について、本当にそういうことはあるんでしょうか、その事実関係はどうなっているのかお伺いをいたします。
○松下管理部長 ご指摘の底だまりにつきましては、一部基金において、一定年度長期運用できる余裕資金が、これはまさにございますが、既に国債等によるラダー型ポートフォリオを構築いたしまして、効率的な長期運用を既に実施しているところでございます。また、この余裕資金というものは、財政悪化時の緊急財源としても活用されるものであります。
一方、退職給与引当金につきましては、基準により算出した額を固定負債として、貸借対照表に計上しているものの、実際にその額を資産として積み立てるわけではございません。また、特定目的の基金を使って引当金相当額を外部に積み立て長期運用を行う、そういったことは現行法令上できないこととなってございます。
○高木委員 底だまりとか退職給与引当金の問題は、これは職員の皆さんも多分敏感に反応されていると思います。特に公営企業局の人たちは、こういうことに対しては非常に心外だということをおっしゃられている方もいらっしゃると聞いております。
事実関係はわかりましたけれども、長年の都の公金管理にかかわってきた公金管理委員会が、この十月に資金管理・活用アドバイザリーボードに変わったわけであります。このことなどによって、今後、都の公金管理の運用姿勢をどうするのかということが問われていると思いますが、そのことについてお伺いいたします。
○松下管理部長 公金管理の基本方針でございます安全性第一の考えに、何ら変更はございません。しかしながら、その一方で、ペイオフ解禁当時と比べまして、金融機関の経営環境が変化しまして、安定してきている、こういったことも事実でございます。
都はこれまで、預金先金融機関を格付及び財務指標による厳しい基準で選定評価してまいりました。しかしながら、金融機関の破綻リスクは以前と比べると全体としてかなり低減している、こういった状況もございます。また、超低金利の金融環境が続く中、現在の都の厳しい基準をクリアした金融機関だけでは、効率的な公金運用がなかなか難しくなってきている、こういった現状もございます。
今後は、安全性を確保しつつ適切にリスクを管理し、運用の多様化の視点から、例えば、地域金融機関等との連携や、あるいは、地方債、財投機関債等の運用年数の長期化など、こういったことも検討してまいります。
○高木委員 安全性を確保しつつ適切にリスクを管理していく、地域金融機関との連携、あるいは、地方債、財投機関債等の運用年数の長期化、そうしたことも視野に入れていくということだと思うんですが、そういっても、過去には、都の関係団体、あるいは国内の他の自治体などにおいて、資金運用における損害が発生した事例があるというふうに聞いていますし、これは、よく新聞やテレビでニュースになりますから枚挙にいとまがないと思います。
それで、都の関係団体や他の自治体において、都が掌握している中で、資金運用における損害等の発生事例をお伺いしたいと思います。
○松下管理部長 都の関係団体の中では、財団法人東京防災指導協会、現在は公益財団法人東京防災救急協会といっておりますが、これが保有いたしますアルゼンチン国債三千万円分、これが平成十三年のアルゼンチンのデフォルト宣言によりまして回収不能になった事例がございます。
また、いわゆるつくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道株式会社が保有しておりました大手スーパーマイカル関連の社債百十億円分でございますが、これを平成十三年のマイカル経営破綻により特別損失処理した事例がございます。
他の自治体では、千葉県館山市の収入役が昭和六十二年及び六十三年に、NTT株の購入を行い、約四億円の損失が生じた事例や、最近では、仕組み債により資金運用を行っていた兵庫県神戸市や朝来市等の複数の自治体におきまして、平成二十年のリーマンショック当時、多額の含み損が発生した、こうした事例もございます。
○高木委員 安心確実を旨とする自治体の公金運用において、今のような事例というのは、直接自治体のものではないのかもしれませんが、自治体がかかわっている、当時でいえば監理団体とか、あるいは東京都が関係している、今でいうところの報告団体的な団体もあるのかな、やっぱりそういうところは、決してそういう事態を生じさせてはいけないんだろうというふうに思います。
公金運用においては、先ほど確認した法令の規定だけではなくて、それを負託している都民の意思、それから意向というものが、やはり一番重要なファクターになると思います。それらを踏まえて今後の公金運用についても、会計管理局においては、細心の注意を払って、都民の財産である公金の安全を確保していただきたい、このことをとりあえず先に強く要望しておきたいと思います。
さてそこで、都の公金運用における局長の見解をお伺いしたいんですが、先ほど来申し上げておりますように、知事はどうも自治法というものにとらわれない何かものを考えていらっしゃるのかわかりませんが、ちょっと我々には理解できないような方向性を示しているような気がしてならないんですね。
ですから、かつては、自治体には収入役というポストがあったと思いますが、その収入役というポストが廃止されて、今、会計管理局になって、その局長であります会計管理局長ですから、そうした責任において、私が今指摘をしたようなことがないように、都民の税金をお預かりしているということをしっかり認識をした上で、決意をお伺いしたいと思います。
○塚本会計管理局長 貴重な税金を原資とします公金は、都民からその管理を負託されているものでございまして、約四兆円という多額の公金について、安全かつ効率的な運用を行うことは当局の使命でございます。
公金の安全性の確保につきましては、最大限に留意をしていきまして、その中で、金融機関や債券発行体のリスクを適切に管理いたしまして、運用の多様化や競争性の向上というものも図っていきたいと思っております。
従来の定期性預金や国債等による運用だけではなく、元本保証があるという、こういう金融商品の中で、リスクを管理し、少しでも有利な商品というようなものにも運用手法を広げることが必要であると考えております。また、公金運用の視点は、東京の金融活動の活性化という要素も必要でございまして、安全性を確保した上で、例えば、海外金融機関との取引や地元金融機関の取引についても検討していきたいと考えております。
ただ、これはあくまでも安全性が第一、それぞれの金融機関の信用度、リスクをきちんと見た上でやっていくことが非常に重要だと思っております。本日、委員からいただきました意見も踏まえまして、改めてその責任と使命を胸に、今後とも状況に応じ工夫を積み重ねて、公金の安全かつ効率的な運用に一層努力してまいります。
○高木委員 続きまして、会計管理局がこの夏から行うことになったファンド関連業務について質問いたします。
都では、平成二十四年度に、社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築と電力の安定供給に資するために、官民連携インフラファンドというものを組成したのに続きまして、今年度は再生可能エネルギーを都内や東北地方などで普及拡大すべく、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成しました。先日、ファンドの運営事業者を選定したと聞いています。
ただ、このファンドに対しては、企業再生等のツールとして有効な方法という印象がある一方で、かつて一部のファンドが、いわゆるハゲタカといわれたように、否定的なイメージを有する人も存在していることも事実であります。
我が党では、今までも、都に対して官民連携ファンドを手がける意義などについて、再三にわたって確認をしておりますが、改めて、ここで、都がファンドを通じた事業を推進する意義について確認をしておきたいと思います。
○松下管理部長 行政需要の高度化、複雑化に伴いまして、行政だけでは解決できない課題が増加しておりまして、一方、民間企業が努力してもなかなか事業化できない分野も、また存在いたします。官民が協力して、お互いの強みを生かした事業を進め、新たな需要に応えていく必要があると考えております。
また、インフラ整備に係る資金につきましても、都債に依存するだけではなく、民間資金が循環する仕組みが必要でございます。加えて、将来の財政負担の軽減や今後需要が拡大するインフラ更新などに備えまして、新たな行政のツールを確立することも重要と考えております。
こうした状況を踏まえまして、民間資金を活用したインフラ整備のモデルとして、エネルギー分野を対象に、官民連携インフラファンドを立ち上げたものでございます。
○高木委員 行政に対するさまざまなニーズに対して、限られた財源を有効に使うために、民間資金を活用して効率的なインフラ整備を推進するモデルとしてファンドを通じた事業推進を図ろうとしていることは、理解はできると思います。
ただし、ファンドを通じて事業を行う場合には、都がみずからの資金のみで事業を行う場合に比べて、事業に係る関係者がふえることで、事業推進に係るリスクが増加するのではないかという、そういう懸念もあるわけであります。
そこで、都が直営で事業を行う場合とファンドを通じて事業を行う場合のそれぞれのリスクについて、発電事業を例に、具体的に説明をお願いしたいと思います。
○松下管理部長 都が直営で発電所を建設する場合、都の歳出額が、その規模の限界になる、これに加えまして、発電所の建設、維持にかかるリスクは、都のリスクとなります。また、事業により損害を受けた者から訴訟を起こされるリスク、こういったものもございます。
一方、ファンドを通じて事業を行う場合、都の歳出額に民間からの出資額を加えた金額で、都の直営よりも大規模な発電所を建設することが可能となります。また、発電所の建設、維持はファンドの事業者が行うため、リスクはファンドの事業者が負担するものであります。事業の失敗による訴訟リスクも事業者が負担し、都の責任は出資額を限度とする有限責任にとどまります。
したがいまして、都の立場から見ますと、ファンドを通じて事業を行った方が、限定されたリスクの中でより規模の大きい施設整備を行うことが可能となるものでございます。
○高木委員 ファンドを通じて事業を推進した方が、限定されたリスクのもとでより大規模な施設整備を行うことができるという点は、理解をすることができるわけであります。ただし、そのためには、ファンド運営事業者が適切なリスク管理のもと、事業執行を支え、行える体制を有していることが必要になる、これは当然のことだと思います。
都は、先般、金融分野の専門家等により構成される資金管理・活用アドバイザリーボードを立ち上げましたが、都は、官民連携インフラファンドや官民連携再生可能エネルギーファンドの運営監視について、資金管理・活用アドバイザリーボードの意見も聞きながら、適切に行っていただきたいと思っています。
また、舛添知事は、かねてから、官民連携ファンドによる福祉施設の整備について言及されておりまして、七月に都が発表した東京国際金融センター構想への取り組みにおいても、都が先導役となり、再生可能エネルギーファンド等、都の施策に資するファンドの運営等に取り組んでいくとの表現がありました。
私は、都が政策目的でファンド投資を行う際には、利潤追求が全てということではないと思っています。都民にとって真に必要なインフラを提供できるならば、都は、あえてその利潤を求めないということが必要だと思いますし、都有地を安価で提供することで民間資金を集めていくという手法もあるのかなというふうに思います。また、ファンドの取り組みを通じて、民間企業が、福祉社会実現に積極的に関与していくという意識の醸成を図るという、このことが本当はもっと重要なのかなというふうに思っています。
ついては、今後、都がエネルギー以外の分野においてファンド事業を行う際の取り組み方針、基本的な方針、考え方についてお伺いします。
○松下管理部長 民間資金を活用しましたインフラ整備のモデルとしまして、都はエネルギー分野を対象としたファンドを組成、運営しまして、一定の投資実績を上げているところでございます。
東京国際金融センター構想への取り組みにおきまして示されているように、会計管理局では、ファンド事業に取り組んできたノウハウを活用いたしまして、エネルギー以外の分野におきましても、民間資金を活用したファンド利用事業を推進することを今検討しているところでございます。
特に、福祉分野などの事業化が困難な分野におきましては、政策目的の達成に向けまして、ご指摘のように、民間資金が円滑に投資されるようなスキームの構築や、このようなスキームを通じ、福祉社会実現に向けて、民間企業の意識の醸成を図っていく、これが重要だと認識しておりますので、今後、十分検討してまいりたいと思っております。
○高木委員 今後、十分検討ということで、ノウハウも含めて、よく検討していただきたいと思います。要は、利回りという考え方を福祉のところで実現することというのは、なかなかできないんではないかというふうに思いますので、この部分で、どうやったら民間の皆さんにご協力をいただけるのかということには、十分な検討をせざるを得ないだろうなと思います。
福祉分野は、本来、社会福祉法人の経営から構築されておりまして、企業経営が取り入れられてきたのは最近のことといわれています。ファンド投資という最も企業経営側の論理とはなかなか相入れない部分もあるはず。福祉分野などエネルギー以外の分野におけるファンドへの検討状況とともに、事業化が困難な点や問題点があれば、この際、ご披瀝をいただきたいと思います。
○松下管理部長 現在の検討におきましては、福祉分野などのエネルギー以外の分野について、優先劣後の仕組みなどを生かせないだろうか、あるいは施設運営のソフトウエアの面ではなく、施設そのものの整備や運営の視点からファンドを活用した事業ができないか、こういったことを詳細について検討しているところでございまして、現在、広く民間事業者と意見交換を行っている最中でございます。
中でも、ご指摘の福祉分野に関していえば、事業収益性の低さや、株式会社の経営できる範囲が限定される、こういったことで、ファンド投資になじまない点が多々ございます。福祉分野は投資対象として困難性を伴います。しかしながら、官民で取り組むべき政策の意義が非常にあると認識しておりますので、今後とも、官民の英知を結集しまして、課題を克服し事業化を実現してまいりたいと考えています。
○高木委員 福祉分野について、ファンドというその採算性が重視される事業と、例えば、保育施設の運営など、採算のとりにくい事業を結びつけるということは、やはりそう簡単ではないと思います。
ファンドの投資家は一定の利回りを獲得しつつ、保育所などの施設整備を行うには、先ほども申し上げましたけど、都においても、ファンドの組成に当たって、都有地の活用や都がファンドに出資した部分については利回りを求めない、あるいはファンドの運営事業者に対する何らかの税制面の優遇といった工夫が必要ではないか。官民挙げてという意味では、そういう税制のところというのは、東京都は、よく考える必要があるだろうと思います。
こうした工夫を講じることで一日も早く福祉分野に係るファンドを組成して、モデルを一回つくってみたらいいと思います。そのモデルをつくった上で検証を経て、これからの政策に生かしていただきたいということでございます。
ここまで、ファンド関連事業について質問してきました。民間と連携したインフラ施設整備という新しいモデルの取り組みというのは、本当に大事なことだと思います。
しかし一方で、都民の税金が有効に活用されるよう、都は細心の注意をもって事業に取り組む必要があるというふうに思います。
そこで最後に、今後のファンド事業推進にかかわる会計管理局長のお考えを聞いて、私の質問を終わります。
○塚本会計管理局長 民間事業者の資金、ノウハウを活用しました公共事業の推進は、これからの時代の要請であると考えております。都はこれまで、エネルギー分野におけるファンド組成により、官民連携の事業モデルを推進してまいりました。投資という一定のリスクのある取り組みではございますが、ファンド運営においては、常に専門家の意見を聞きながら、都の有限責任の中で最大限の監視体制を維持し、リスク管理を徹底していきます。
今後は、社会福祉分野などエネルギー以外の分野でも、官民連携ファンドの組成を進めることで、都の施策の選択肢を広げるとともに、本事業が東京の地域経済活性化につながるよう一層努力してまいります。
○高木委員 最後に、一つだけちょっとお願いだけしておきます。最近このファンドという言葉が、いろんな、各局で使われているんですが、それぞれ何か意味合いが違う場合があるんですね。それで、このファンドという言葉の定義とか整理とかは、ぜひ一回しておいていただきたいと思います。基金的なものまで含めてファンドというと、いま一つわかりづらいんですね。
ですから、投資効果が上がるものというような、いわゆる一般的な理解の中でファンドといっているものを東京都もファンドというんだよと。基金的な、要するに民間からお金を集めたりしないで運用していくというものについては、余りファンドという言葉を使わない方が、私は整理としてはよろしいのかなというふうに思いますので、文言の整理は、会計管理局の方でぜひしていただきたいということをお願いして、終わります。
○大松委員 私からは、平成二十四年度に創設されました官民連携インフラファンド、そして、平成二十六年度に新設される官民連携再生可能エネルギーファンドについて質問をいたします。
官民連携インフラファンドは、福島の原子力発電所の事故を受けまして、電力の安定供給を目指して、東京都などが出資をして創設されました。そしてこれまで、発電事業者に投融資を行い、その結果、今投資先が各地でメガソーラーや高効率の火力発電を稼働するようになっております。
こうした成果について、公明党が第二回定例会で質問をしましたところ、同ファンドが、福島県や宮城県において太陽光発電に投資する運びになっていると都から答弁がありました。
そこで、まず伺います。官民連携インフラファンドにおける福島県や宮城県に対する投融資の状況について答弁を求めます。
○松下管理部長 官民連携インフラファンドの投融資状況でございますが、平成二十六年六月に直近の案件について発表しております。福島県及び宮城県の案件では、福島県福島市の福島松川メガソーラー及び宮城県栗原市の栗原メガソーラーに投融資したものでございます。
福島松川メガソーラーの発電規模は約二千七百キロワット、栗原メガソーラーの発電規模は約一万五千百キロワットでございます。これは一般家庭の電力使用量に換算いたしますと、福島松川メガソーラーで約八百世帯分、栗原メガソーラーで約四千世帯分に相当するものでございます。福島松川メガソーラーは平成二十七年三月、栗原メガソーラーは平成二十八年四月に運転開始予定でございます。
○大松委員 福島県と宮城県で、このファンドの投融資を受けまして、二つのメガソーラーが運転を開始する予定とのことでございます。このファンドが、需給の逼迫している電力の安定供給、そして、再生可能エネルギーの普及に役立つとともに、被災地の復興支援にも寄与しているものと評価をするものでございます。
その上で、都は今年度、投資対象を再生可能エネルギーに限定をいたしました、官民連携再生可能エネルギーファンドという新しいファンドを組成いたします。その内容及び進捗状況について答弁を求めます。
○松下管理部長 官民連携再生可能エネルギーファンドは、投資対象を再生可能エネルギーに特化するという形で都内を含む再生可能エネルギーの広域的な普及拡大を目指すものであります。
平成二十六年五月に、公募要領を発表いたしまして、八月に募集を締め切ったところ、四事業者から応募があったところでございます。この応募に対しまして、金融分野の専門家等により構成されます資金管理・活用アドバイザリーボードの意見も踏まえまして、審査を実施いたしました。
平成二十六年十月二十四日に運営事業者として、JAG国際エナジー株式会社とスパークス・アセット・マネジメント株式会社の二者を決定して、発表させていただいたところでございます。
今後、運営事業者との間で契約内容の詰めを行いまして、来年二月十三日までにファンド契約を締結し、ファンドを組成する予定でございます。
○大松委員 新たに創設されるファンドは、投資対象が東京都内及び東京電力、東北電力管内の事業ということでありまして、東京の電力確保とともに、被災地支援、こういう位置づけが明確になっております。また、再生可能エネルギーの普及を目指していくというこの趣旨につきましても、評価ができるものでございます。
ところがその一方で、太陽光など再生可能エネルギー発電は、施設の維持管理が比較的容易なことから、発電所が建設されても、地元の振興には余り役に立たないのではないかと、こういう意見もございます。
東京都のファンドによりまして、太陽光発電所が地方に設置されることで期待できる地元支援の具体的な内容について伺います。
○松下管理部長 太陽光発電などの再生可能エネルギーは、自然エネルギーを電気に変えるものでございまして、地方の自然の力に経済的価値を生み出す新たな仕組みでございます。
まず、未利用地を活用して発電設備を設置することによりまして、土地所有者への土地賃借料が二十年間支払われる、これとともに自治体へも固定資産税が納付されるものでございます。また、発電所として電力供給を行うことから、メンテナンスや電気技術者の雇用が地元に発生するものでございます。さらに地元企業が出資した場合、一〇%程度の利回りが想定されますので、地元企業に対し投資による利益をもたらす可能性もあると、こういったところでございます。
○大松委員 太陽光発電所が設置された場合、特に地域の未利用地を有効活用できるようになる、こうしたことは大変大事な視点だと思います。そこで、今、問題になっておりますのが、北海道電力や東北電力などの電力会社が電力の安定供給に支障が生じるという理由から、発電量にむらのある再生可能エネルギーの連系申し込みへの回答を保留する動きでございます。
もし、発電事業者が電力会社に連系できず、発電した電気を買い取ってもらえなければ事業そのものが成り立たないわけでございます。官民連携インフラファンドは、既に投資を開始しておりますし、これから創設される官民連携再生可能エネルギーファンドは、東北電力管内の再生可能エネルギー発電事業に対しても投資を行うことになっております。
北海道電力や東北電力などの再生可能エネルギー申し込みへの回答保留が東京都のファンドに与える影響について、都の見解を求めます。
○松下管理部長 現在、再生可能エネルギー申し込みへの回答保留を行っておりますのは、北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力及び沖縄電力の五社でございます。既に組成しております官民連携インフラファンドにおきましては、投資しているこれら五電力管内の投資案件につきまして、既に運転開始もしくは電力会社が連系を承諾済みの案件でございまして、先ほど申し上げました福島県の福島松川メガソーラーや宮城県の栗原メガソーラーを含めまして、今回の再生可能エネルギーの連系申し込みの回答保留に影響はございません。
一方、これから組成する官民連携再生可能エネルギーファンドですが、都内の再生可能エネルギー発電事業を投資対象とする都内型、それから東京電力及び東北電力間における再生可能エネルギー事業を対象とします広域型の二つのファンドが立ち上がるものでございまして、そのうち、東北電力管内を投資対象といたします広域型におきましては、運営事業者として選定しました二業者が既に電力会社の回答保留の影響を受けない投資予定案件を一定数保有しております。したがいまして、ファンドの創設は可能であると考えております。
○大松委員 既に創設されている官民連携インフラファンドが投資をしている案件については、電力会社の連系申し込みの回答保留の動きによる影響はないと、こういう答弁でございます。
しかし、これから創設する官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、東北電力の回答保留による影響が出ることが心配でございます。先ほどの答弁で、回答保留の影響を受けない投資予定案件を一定数有しているとございましたけれども、これは、東北電力への連系申し込みについて、回答受領済みの案件が一定数存在するということでよろしいでしょうか、答弁を求めます。
○松下管理部長 運営事業者として選定しました二者につきまして、今後、資金調達が必要な二者につきましては、資金調達に必要な数百億円規模の投資予定案件を有しております。うち東北電力管内の案件につきましても、連系申し込みの回答を既に受領済みの状態でございます。これらの投資予定案件は、メガワット級の太陽光発電所や風力発電所でございます。
○大松委員 電力会社への連系については、回答受領済みということでありますけれども、昨日も、この太陽光発電などの買い取り価格引き下げの方向を示唆する報道もございました。今後も、さまざまな環境の変化が想定されるわけでございます。ファンドの原資が都民の皆様方の税金である以上、都は責任を持って、ファンドのリスク管理を厳格に行っていくことが重要でございます。
また一方、福島県など被災地は、東京へ電力を供給していただいている地域でもあり、都としても、今後とも、東日本大震災の被災地を支援する取り組みが求められますし、再生可能エネルギーの普及は、地球環境を守る重要な課題でもございます。
そこで、東日本大震災の被災地支援の視点から、今回の官民連携再生可能エネルギーファンドが果たすべき役割につきまして、そして、ファンドのリスク管理について東京都の見解を求めます。
○松下管理部長 再生可能エネルギーの普及拡大は、CO2排出量の少ないエネルギーの確保につながるとともに、ご指摘のような被災地を初めとする地域経済の活性化につながる施策であると認識してございます。
今後とも、ファンド運営におきましては、専門家の助言や質問検査権の行使など、リスク管理体制をこれまで同様に維持しながら、官民連携再生可能エネルギーファンドにおける投資が、東京と地方ともに発展させる一つの手段として有効に機能していくよう、その管理運営に努めてまいります。
○大松委員 都がエネルギー分野で組成するファンドには、電力の安定供給、再生可能エネルギーの普及拡大への呼び水効果、そして、東日本大震災の被災地支援など多様な効果が期待をされております。都は、二つのファンドの出資者としてファンドのリスク管理をきちっと行い、そして、東日本大震災の被災地振興につながる投資が行われるよう努めることを要望しておきます。
そして次に、東京都の新公会計制度について、全国自治体への普及に向けた取り組み、そして、先ごろ総務省が公表した地方公会計の統一的な基準をめぐる東京都の対応について質問をいたします。
東京都は、公明党、なかんずく公認会計士の東村議員の提案を受け、平成十八年度から、全国に先駆けて新たな公会計制度を導入いたしました。そして、本格的な複式簿記・発生主義による都の新公会計制度は、自治体の財政を、いわゆる見える化することによりまして、都の財政再建に大きく寄与してきました。
さらに公明党は、この東京都方式の新公会計制度が他の自治体においても有効であることを全国に発信し、普及していくために、公会計制度改革に先行的に取り組む自治体同士の連携を提案いたしました。
それを受けまして、都は、新公会計制度普及促進連絡会議を設置するなど、都方式の普及に向けた取り組みを重ねられまして、その結果、東京都方式の採用を決定した自治体が今着実に増加をしてきているところでございます。
一方、国では、ことし四月に、総務省の研究会が報告書を公表いたしまして、その中で、東京都方式の考え方に近い統一的な基準を提示いたしました。これを受けまして、総務省は、来年一月、全国の自治体に対しまして、この統一的な基準による財務書類の作成を要請する予定になっております。
しかしながら、この国の基準は、東京都の方式に近いとはいえ、都方式とは違いまして、課題や懸念があるといわざるを得ないものでございまして、自治体の公会計制度改革は、今、大きな転換点を迎えることになっております。こうした流れの中で、全国自治体への東京都方式の普及の方向性と都の今後の対応について確認をしたいと思います。
まず初めに、我が党の提案を受けまして東京都が設置した新公会計制度普及促進連絡会議の趣旨と、そして、連絡会議のこれまでの取り組みについて伺います。
○米今会計制度担当部長 新公会計制度普及促進連絡会議は、平成二十三年十二月、新公会計制度の全国自治体への普及及び先行自治体間の情報共有、連帯強化を目的として設置いたしました。参加自治体は、当初の五団体から、今年度には、新たに、福島県郡山市が加わり九団体となっております。また現在、都方式を具体的に検討している自治体もございまして、今後も参加団体はふえていく見込みでございます。
連絡会議におきましては、これまで自治体の首長向けパンフレットや導入のためのロードマップを作成したほか、セミナーを計三回開催し、最新の情報を発信してまいりました。
なお、今年度も十一月に、町田市でシンポジウムを開催する予定でございます。
また、総務省研究会における検討におきましては、先行自治体としての経験と実績を踏まえ、これまでの創意工夫や、今後に続く意欲ある自治体の可能性を制約することのないよう、要望を行ってきたところでございます。
○大松委員 実践しているからこそ得られる情報というものがございます。連絡会議に参加している自治体が、これまでの経験から培ってきたノウハウは、机上の議論だけでは決して得られない大変貴重な財産であります。ぜひ、全国の自治体に積極的に情報を提供し、これから本格的に公会計制度改革に取り組む自治体を後押ししていただきたいと思います。
ところで、先ほどの答弁の中で、今年度の活動として、町田市でシンポジウムを開催するとありました。その内容について詳しく教えていただきたいと思います。答弁をお願いします。
○米今会計制度担当部長 連絡会議通算四回目のイベントといたしまして、今年度は町田市でシンポジウムを開催いたします。内容としましては、導入準備段階の江戸川区、今年度から制度を導入しました大阪府吹田市、導入後二回目の決算を迎えた町田市という公会計制度改革の各段階にあります三自治体が事例を発表いたします。
また、自治体マネジメントに真に有効な公会計制度改革とはと題しまして、実際に制度を導入しています町田市長や公会計制度に詳しい公認会計士など、有識者によるパネルディスカッションも行います。
来年一月に予定されております総務省からの要請を前に、これまでになく公会計制度改革への関心が高まっている現在、シンポジウムを通じて最新の情報と都方式の有効性、そして将来への展望を示してまいります。
○大松委員 連絡会議が主催するイベントは、これまでに参加した人たちから、とても参考になったとの声を数多く伺っております。答弁にもありましたように、現在、各自治体は、この分野について非常に関心が高いので、ぜひ、今回のシンポジウムにおいても、全国に力強く情報を発信していただきたいと思います。
一方、冒頭にも触れましたように、総務省の研究会が報告書の中で示している統一的な基準は、複式簿記・発生主義による財務書類の作成や、固定資産台帳の整備を必須としていることなど、東京都方式に近づいたようではありますけれども、税収の取り扱い、こうしたことなどについて考え方が異なる点がございます。
仮に、東京都方式の新公会計制度を既に導入している自治体も含めて、全てこの統一的な基準への変更を余儀なくされるようなことになれば、これまで積み上げてきました実績やノウハウの多くが無駄になってしまいます。そして、先行自治体であったがゆえに、逆に公会計制度改革が後退するというようなことになってしまうのではないかと懸念をするものでございます。
そこで最後に、国の統一的な基準への対応を含めて、今後の公会計制度改革に取り組む局長の決意を伺います。
○塚本会計管理局長 公会計制度改革の目的は、財務諸表をつくることではなく、財務諸表というツールを使いまして、住民や議会の皆様に対する説明責任の充実と財務情報を行財政運営に生かしていくことにあります。
統一的な基準は、これまでの総務省各モデルと比べ、相当程度都方式の考え方に近づいたと評価していますが、税収を行政コスト計算書に計上しないことや、特定の固定資産を一律に一円として計上するなど、わかりやすさや正確性にまだ課題がございます。
また、日々仕訳方式を望ましいとしながらも、期末に一括して仕訳を行う方式も許容するなど、マネジメントへの活用が難しくなるという懸念もございます。
都方式は、企業会計や国際公会計基準に近く、わかりやすいことや、日々仕訳方式や事業別財務諸表により、マネジメントへの活用にも有効であることから、都は引き続き、都方式による財務諸表を作成してまいります。
なお、このことにつきましては、総務省研究会報告書でも、各自治体のそれぞれの創意と工夫による財務諸表を作成することを妨げない旨、明記されているところでございます。
今後とも、先行自治体とも連携しながら都方式の有効性を丁寧に説明し、その普及に全力で取り組んでまいります。
○大松委員 東京都方式による新公会計制度のさらなる普及促進のために、引き続き、全国の自治体に対する一層の取り組みを求めまして、私の質問を終わります。
○曽根委員 私からは、多少のダブりは除きまして、公金管理委員会から、今回、アドバイザリーボードに組織改編を行ったことに関連し、知事の公金の株式運用に向けての発言が繰り返されていることに関連して質問をいたします。
最初に、先ほど基本的な点は、別の委員からもご質問がありましたので、まず第一に、公金管理委員会、今までの組織と、今回、組織改編されたアドバイザリーボードとの役割の、共通点は当然あると思うんですね、それはどういうものか、そして、新たに加わったアドバイザリーボードの役割というのはどういうものかをお聞きしたいと思います。
○松下管理部長 これまでございました公金管理委員会と、この十月に設置しました資金管理・活用アドバイザリーボードは、金融分野における専門家の委員が、会計管理局長に都の資金管理について意見を述べる会議である、この点は同じでございます。
資金管理・活用アドバイザリーボードは、より効率的かつ機能的な運営を可能とするとともに、資金の管理運営の活性化に向けた検討を効率的に進めるため、公金管理委員会及び環境局より移管されたファンドの議論を行います投資評価委員会を改組いたしまして設立したものでございます。
○曽根委員 すると、今までも、歳計現金を初めとする公金の扱いについて意見をいう専門家の役割と、同時にこれからは、環境局が今まで担ってきたエネルギー関係のファンドを、今度は会計管理局で扱い、それに意見を具申する役割をこのアドバイザリーボードが負うという理解でよろしいんでしょうか。
先ほども関連質問がありましたので、そういうことを前提として質問を続けたいと思いますが、そうすると、当然知事からの指示があったと思いますが、どういう内容の指示、もしくはメンバーの推薦があったのであれば、そのことも含めて、アドバイザリーボードの立ち上げについて、どういう指示があったのかをお聞きしたいと思います。
○松下管理部長 資金管理・活用アドバイザリーボードにつきましては、この七月にまとめられました東京国際金融センター構想に向けた取り組み、これにおきまして、投資運用の専門家等で構成されるアドバイザリーボードを整備し、より効率的な運用に取り組むとされたものでございます。
メンバーにつきましては、公金管理委員会からの議論や成果を継続するため、一定のメンバーを再任しております。あわせて幅広い情報を持ったメンバーを新たに加えたものでございます。
○曽根委員 メンバーも八人から六人に減らして、効率的に動けるようにということがあったようですが、同時に、私、この問題では二つの点で今後の動きを注視していきたいと思います。
一つは、公金そのものの扱い、いわゆる都民の税金の管理運用に関しては、地方自治法で縛りがかかっているということは先ほどもお話がありました。しかし、このアドバイザリーボードの構想が、知事の国際金融センター構想の一環として出てきているということなんですね。ということは、東京都の公金もこの国際金融センターに、いわば実践的にも加わっていく投資家としての東京都を想定しているんではないかということは当然あり得ることだし、また、知事もその旨の発言をしているかに聞こえます。
そうすると、そっちの面で、何らかの法的な改定か、もしくは解釈の変更によって、公金そのものをこの国際金融センターに、いわばつくられようとしている新たな市場に、東京都としても、いわば投資家として参入していく手立てに使うという危険を感じるわけですね。この点は、皆さんも認識は同じだと思います。
同時にもう一つは、新たにファンドを担うというこのアドバイザリーボードの意見具申の場や、それから会計管理局の役割についてですが、ファンドというのは、本来、国際金融センターがそうであるように、投資対象というのは制限がないものです。
かつて、ハゲタカといわれたファンドの動きを見てみても、金融機関が抱えたありとあらゆる業種の不良債権をバルクセールで買い取って、その中には、ものづくりの工場もあればラブホテルもある、あらゆる業種で、これは残せるか残せないかを判断して、売るものは売り、処分するものは処分し、生かせるものは生かしていくという、こういう非常にシビアな判断をやったのが、当時の不良債権処理のファンドの役割でした。
これが、全く同じとはいいませんけれども、ファンドというものを、今は、環境局から再生エネルギー関係のファンドとして移ってきていますが、今後は福祉も含めていろいろ考えられる。
そのときに、それぞれの分野を担っている事業局との関係を切り離したままで、環境問題や福祉問題の専門家でない会計管理局が、ファンドを主導的に立ち上げるということができるのかどうかということに、私、大変疑問を感じます。その点での連携がどうしても必要になってくるだろうし、これが際限なく広がっていくと大変危険な印象を受けざるを得ないということはいっておきたいと思います。
それで、最初に申し上げた問題点の第一点目の公金管理の原則についてなんですが、改めて私からも、東京都はもちろんですが、国の方でも、地方自治法が、今の現状である限りは、元本割れをする危険のある分野に、歳計現金はもちろんですが、基金も含めて公金を投資する、もしくは運用することはできないということは明確だと思いますが、この点での解釈に、今後も含めて変更があってはならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○松下管理部長 都の公金運用は、東京都資金管理方針に基づきまして、安全性の確保を第一といたしまして、さらに効率性を求める、そういった原則となっております。
公金の管理は、地方自治法第二百三十五条の四第一項及び第二百四十一条第七項により、最も確実かつ有利な方法により行うという規定がございまして、この条文の解釈は、元本保証のある商品による運用と国の方でも明確に定めております。
同じく都についても同様の考え方でございまして、これまで金融機関への預金や国債等の安全性の高い債券で運用してきておりまして、この方針は今後も変わらないと考えております。
○曽根委員 ただいまの答弁が厳格に守られることを期待したいと思いますが、そういうことが明確であるにもかかわらず、舛添知事が、繰り返し、株式運用の可能性について検討をと述べている。これはどういうことなのかなと。
知事が、今この問題で発言している内容について、会計管理局として認識はどうかということをお聞きしたいと思います。
○松下管理部長 知事は、東京を世界的な金融拠点とする東京国際金融センター構想のその一環として、資金運用の多様化、効率化について発言をしておりまして、その中で公金の株式の運用の検討について、検討ということで言及しているものでございます。
○曽根委員 私たちのひが目であればいいんですけれども、杞憂であればいいんですけれども、知事は何らかの打開策といいますか、公金を何らかの方法で株式投入できる突破口が開ける可能性を何か考えているのかなというふうに、少し勘ぐらざるを得ないんですが、その一つのルーツとして、私はやっぱり、かつて行われた新銀行への投資、このことを思い出さざるを得ません。
というのは、これは偶然でしょうけれども、当時、その投資の準備の舞台となったのは、出納長室なんですね、今の会計管理局に当たるわけですが。こういうところを通じて、銀行を準備する、本格的に始めるときは産業労働局に行きましたが、やっぱり資金運用の道を広げて、拡大解釈で何かをやろうというときに、言葉は悪いけれども、歴史的にいえば使われてしまった経緯がありますので、その点は、特に注意をしておく必要があるということをいっておきたいと思います。
現行の法令では株式運用はできないということは明確です。そこで、今後の問題として、他の自治体の例は先ほど質問がありましたので、私繰り返しませんが、自治体がこうした資金運用で失敗し損失を生み出した場合は、大きな損失を都民に与えるだけではなく、知事の、行政みずからの信頼を損ねるということは、これまでも私たち苦い経験をしたわけですので、その点では、くれぐれも運用については誤りのないようにお願いし、ほかの質問はダブりますので省略いたしまして、私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、会計管理局の事務事業について質問します。
会計管理局長は、知事とは独立した権限で会計事務を行っています。すなわち、任命者は知事ですが、独立しているという以上、その責任の部分については都民に直接負うべきものと考えられますので、大変その職責は重いともいえます。内部による不祥事は当然あってはならないのですが、誤りもなくしていかなければなりません。そのため、知事の補助機関として、会計事務の指導検査を行っているとのことです。
平成二十二年度の決算委員会でも、当時、私も質問しましたが、内部で検査が行われて誤りが減っているという答弁をそのときにはいただきましたが、その後の状況はどうなっているのか、まずは伺います。
○米今会計制度担当部長 平成二十一年度は、会計上の誤りが一部署当たり平均十件程度でございました。平成二十五年度には、二百五十一の部署に検査を実施しまして、誤りは平均七件程度に減少してきております。
なお、誤りの主な内容は、検査確認の印漏れ、リース契約や印刷契約における物品の出納手続漏れなどの事務手続の不備でございます。
平成二十六年度からは、さらに誤りを減少させるため、従来の書面による事務処理の結果を検査するアウトプットチェックから、事務処理過程、内部統制の状況などを確認するプロセスチェックを重視する方向に検査アプローチを転換してきております。
従来の書面審査に加え、ヒアリング等を行い、書面審査だけではわからない潜在的なリスクをあぶり出し、予防、再発防止に取り組んでいるところでございます。
○中村委員 誤りが減少しているということはよいことですし、さらに検査の方法を改善していくということですので、引き続き、この誤りを少しでもゼロに近づけていくようお願いいたします。
さて、公金を扱っているのは、都庁の組織だけではなくて金融機関や私人など外部の機関も扱う場合があるので、その場合にも適正に扱えるかどうか検査を行う必要があります。
とりわけ昨今では、コンビニエンスストアで自動車税や区部では固定資産税等の都税の収納も行われています。忙しくて金融機関に行けない場合も大変便利に支払いをすることができます。
コンビニエンスストアでの収納はかなり大きな金額になっていると思いますが、一体どれくらいの金額を扱っているのか伺います。
○米今会計制度担当部長 都において会計管理局が所管いたします公金の平成二十五年度の収納実績は、一千六百六十七万一千件、五兆四千五百十六億二百万円でございます。そのうち、コンビニエンスストア収納は、件数が三百五十五万六千件、構成比で二一・三%、金額が一千三百十一億八千四百万円、構成比で二・四%でございます。
○中村委員 金額の構成比は二%ですが、件数では全体の二〇%以上と多くの方が利用されていることがわかりました。一方、それだけコンビニエンスストアの店舗数が拡大され、二十四時間など長時間営業できる背景として、短期の非正規労働者も多く、人の入れかわりも激しく、公金の収納を必ずしも店長などの責任のある人が行うわけでもありません。
コンビニエンスストアで公金の収納が適正に行われるかどうかをどのように検査をしているのか伺います。
○米今会計制度担当部長 コンビニエンスストアの検査は、決められた会計手続の適正な履行を確保することを目的として実施しております。都では、毎年コンビニ各社に対しまして検査を実施しており、データ、書面等を集中管理しているコンビニ本部を対象といたしまして、公金の受領から都公金口座への入金状況を書面により確認しております。
コンビニ各社では、収納金額を必ずバーコードで読み込み、レジ画面で納入者に確認していただくなど、POSレジを活用した事故防止策に取り組んでいる状況でございます。
各店舗での事務につきましては、コンビニ本部へのヒアリングを通じて、このような事故防止への取り組みのほか、従業員への指導、業務マニュアルの有無とその内容、守秘義務の取り扱いなどを確認しております。
○中村委員 毎年、各コンビニエンスストアに足を運び、検査をしているとのことでした。今後ますます取扱件数や金額もふえると思いますので、緊張感を持って行っていくためにも厳しく検査の方をしていただきたいと思います。
次に、先ほどからも議論がありましたが、公的資金の活用についてお伺いします。さっきまでは私も検査の話を重ねて質問したんですが、それほどまでに都民の皆様が納める税金というのは貴重であり、これは一円たりとも無駄にしては絶対になりません。
さて、現在、公的資金の活用が議論されています。公金における株式運用について、現状は、地方自治法の解釈でできないとされていますが、これは、今報道等を見ていると、総務省の解釈変更というようなことの議論もあるようですが、そのことだけでやってよい問題なのかどうかということを伺います。
○松下管理部長 公金の管理につきましては、地方自治法によりまして、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されておりまして、これは、行政実例や通知、国会答弁などによりまして、既に確立した解釈となっております。
都におきましても、それに従いまして、金融機関への預金や国債等の安全性の高い債券により公金を運用しているところでございます。この条文の解釈変更につきましては、都は答える立場にはございませんが、総務省からは変更しないと聞いております。
○中村委員 法令でも、最も確実かつ有利な方法ということですが、株式運用では、元本保証もなく、最も確実なとはいえません。答弁では、総務省は条文の解釈変更をしないと聞いているとのことでしたので、引き続き安全な管理を求めるものです。
また、資産の運用のような高度な判断が必要なものが、職員の方々二、三年で異動される方々も多いのでしょうが、そういう方々にできるものなのでしょうか。また、公金管理について専門家の意見を伺うために、東京都公金管理委員会が設置されていましたが、最近、資金管理・活用アドバイザリーボードと名称が変更されました。これまでは、あくまで管理という名称だったのが、管理、活用になりました。
そこで、公金運用におけるアドバイザリーボードの責任というのはどうなるのか伺います。
○松下管理部長 公金管理におきましては、キャリア活用採用選考ですとか、あるいは人材育成などを通じまして、資金運用等に関する実務経験を有する職員を継続的に配置して対応しているところでございます。また資金の運用につきましては、職員の判断だけで決めるのではなく、金融分野の専門家等から成る資金管理・活用アドバイザリーボードを設置いたしておりますので、これにつきまして資金管理についての助言や指導を受けることとしております。
この資金管理・活用アドバイザリーボードは、都の資金管理、活用につきまして、会計管理局長に意見を述べる専門会議でございます。したがいまして、公金の運用責任につきましては、知事及びそれを補助する当局にあるものでございます。
○中村委員 現在でも、実務経験のある職員を継続的に配置し、アドバイザリーボードから助言、指導を受ける体制ということです。これは株式運用ということではなくても、金融機関への預金や国債等でも大切なことですから、決して都民の貴重な財産が毀損されることのないよう、引き続き安全な運用をお願いします。
次に、ファンドについて伺います。
都は二十四年度から、官民連携インフラファンドを運営していましたが、これまでの環境局の所管から執行委任を受けて会計管理局が担当することになったとのことです。
そして、先日、今年度からの新たなファンドとして、官民連携再生可能エネルギーファンドの運営事業者が決定しましたが、ファンドの概要についてお伺いします。
○松下管理部長 官民連携再生可能エネルギーファンドは、投資対象を再生可能エネルギーに特化することで、都内を含む再生可能エネルギーの広域的な普及拡大を目指すものでございます。金融分野の専門家等により構成される資金管理・活用アドバイザリーボードの意見も踏まえまして、運営事業者を先般二者決定したところでございます。
その仕組みでございますが、都は、有限責任の立場でファンドに出資いたしまして、ファンドの運営事業者は、都の出資を呼び水にして民間投資家から資金を集めまして、再生可能エネルギーの発電事業者に対して投融資を実施する、そういったものでございます。
○中村委員 都は、長期ビジョンの中間報告でも、再生可能エネルギーの利用割合を二〇%に拡大することを計画しています。そのための方策の一つとして、新たなファンドは、都が拡大を見込む再生可能エネルギーに特化したのだろうと思います。
ところが昨今、国において、固定価格買い取り制度を見直そうという動きもあります。万が一、投融資が失敗すると、都は、有限責任の立場で出資をしているとのことですが、出資の範囲とはいえ、その出資分を失ってしまいます。
また、仮にも、都の信用で民間の資金を集めようとするならばリスクが高まり、民間の出資者に損害を与えるとしたならば好ましいことではありません。もちろんこれは都の責任ではなく、国の方での固定価格買い取り制度の変更によるものとはいえ、このことがこれから募集するファンドにどのような影響を与えると予想しているのか、見解を伺います。
○松下管理部長 現在、北海道電力、東北電力を初めとする電力会社におきまして、連系接続に関する回答保留の動きが出ていることは間違いございません。また、こうした事態に対しまして国において対策を検討する動きがある、これまた承知しているところでございます。
一方、今年度組成いたします官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、運営事業者として選定された二者ともに、電力会社による回答保留の影響を受けないような投資予定案件を十分に準備しているところでございまして、既に保有しているものでございます。したがいまして、ファンドの創設は可能であると考えております。
○中村委員 今回の新たなファンドについては、影響を受けない案件があるので、創設が可能とのことではありましたが、出資者が制度の見直しから出資に対して懸念を持つ可能性はあります。
もとよりこれはファンドのためだけではなく、今社会全体で再生可能エネルギーの比率を高めようとしているときに、固定価格買い取り制度がその根幹となりますので、これは環境局とも連携しながら、国に対して、こうした動きを減速させるべきではないということを求めていただきたいというふうに思います。そのことを求めまして、質問を終わります。
○西崎委員 私からも、官民連携インフラファンドについてお尋ねしたいんですけれども、現行の官民連携インフラファンドは、創設当初は知事本局、そして環境局、さらに今回、会計管理局へと事務事業が移されているわけですけれども、先ほど来から、各委員からインフラファンド、ファンドの取り扱いについて、いろいろな懸念とか確認点が示されておりますけれども、私もちょっと過去にさかのぼって、確認の意味で何点か質問をしたいと思います。
東日本大震災以降、原子力発電所のほとんどが稼働を停止いたしまして、電気を使う側が省エネに取り組むことはもとより、電気をつくることについても、太陽光や風力など再生可能エネルギー、自然エネルギーの促進やスマートシティーの実現に向けた取り組みが期待されているところです。
こうした中、東京都は、電力の安定供給に直接貢献するインフラ整備のための官民連携のファンドを平成二十四年度に創設いたしました。このファンドは、民間資金の呼び水として、都が三十億円を出資して、民間機関の融資等と合わせて、最初は一千億円規模の事業費を目指すものと創設当初伺っております。
そこで、創設して三年目を迎えるわけですけれども、現行の官民連携インフラファンドについて、これまでの都の取り組みについてお聞かせください。
○松下管理部長 現行の官民連携インフラファンドですが、これは、社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築と、それからあわせて電力の安定供給に資するために、平成二十四年度に創設したものでございます。
ファンドの運営事業者として、株式会社IDIインフラストラクチャーズ及びスパークス・アセット・マネジメント株式会社の二者を選定しているものでございます。二者が運営するファンドは、都の出資三十億円を含めまして、総額で約三百億円の規模に達しておりまして、これまでに約三十万キロワットの電源確保に貢献しているものでございます。
○西崎委員 既に、二者が運営するファンドは、都の出資三十億円を含めて、総額で三百億円の規模に達したということですけれども、その運用は、ファンドマネジャーと民間の企業に委ねていることになります。
都が出資した三十億円は、都民の税金でもあり、インフラファンドが電力の安定供給に有効に活用されているのか、適正に管理されているのか、情報を公開して、都民に対する説明責任を果たすことが求められていると考えます。
そこで、都は現行の官民連携インフラファンドにおいて、情報公開はどのように果たしてきたのかお聞かせください。
○松下管理部長 都はこれまで、平成二十四年十月、二十五年二月、同年八月、それから二十六年六月に、これまでの投資実績といたしまして、具体的な投資先等につきまして、記者発表やホームページなどで公表しているところでございます。
官民連携インフラファンドは、民間の金融手法であるファンド投資という手法を使いますので、その運用は行政の手続ではなくて民間の投資判断、手続となるものでございます。このため、全ての情報を公表することは、他の投資家もいるため難しいことでございますが、今後とも、他の投資家の了解を得た上で、投資先の箇所や規模等、できる限りの公表を行っていくところでございます。
○西崎委員 全ての情報を公表するのは、ほかの投資家もいるため難しいというお話でしたけれども、新銀行東京の経営破綻が起きたときに、何か都議会でいろいろ情報を求めたくても、銀行法で守られているので、なかなか投資家の名前とかいろんなものが明らかにされないというところが、非常に記憶に強く残っているので、やはりファンドを立ち上げるときに、今回は、東京都が全て責任を負うという立場ではないんですけれども、ちょっと心配された点ですので、きちんとした情報公開、都民に対する説明責任というのは果たしていっていただきたいと思います。
先ほどファンドの運営事業者として、株式会社IDIインフラストラクチャーズ、スパークス・アセット・マネジメント株式会社という二者のお名前が挙がりましたけれども、このような会社、どのように選定されたのか、現行の官民連携インフラファンドの運営事業者は、どのような判断で選定されたのかお聞かせください。
○松下管理部長 現行の官民連携インフラファンドにつきましては、平成二十四年四月の募集開始以後、多数の事業者から問い合わせがございまして、四者が実際に応募してまいりました。その中から総合的な評価のもとに、先ほどの二者を選定したものでございます。
ファンド運営事業者の選定に当たりましては、投資、会計、法律分野等の専門家から、その専門的知見に基づく意見を聴取いたしまして、それを踏まえて適切に判断したものでございます。
○西崎委員 創設当初、総務委員会で、生活者ネットワークが質疑で確認した内容によりますと、出資金の中から、ファンド運営費を支出しているということで、ファンド運営者は、ファンド運営費用を含めて、配当等により事業者から資金を回収し、出資者に出資金を上回る額の還元を目指すものだと最初伺いました。
しかし、このインフラ整備に対する投資というのは、結構お金がかかるということで、なかなかすぐに利益を生む状況にならないというふうにも聞いております。都も三十億円を出資し、投資家でもあるわけですから、ファンドの運用状況など、しっかりきちんと監視すべきだと考えています。
そこで、現行の官民連携インフラファンドの運営に対する都の監視の取り組みについてお聞かせください。
○松下管理部長 都は、先ほど申し上げましたが、投資、会計、法律分野等の専門家による検証と確認を受けつつ、運営事業者が意思決定を行う機関のオブザーバーとしての参加、あるいは決算書類等の受領、さらにファンドに対する質問権、検査権の行使、これを通じまして、ファンドの状況を継続的に監視しているものでございます。
今後とも、ファンドの運営状況の監視について万全を期してまいります。
○西崎委員 ここのところ九州電力に始まって、各電力会社が再生可能エネルギーの買い取り制度について、新規の受け入れ保留を発表しております。政府も、固定価格買い取り制度の見直しに入りまして、今後の事業に与える影響が心配されるわけですけれども、これから始まる官民連携再生可能エネルギーファンドへの影響については、先ほど来から各委員から質問が出ておりますし、答弁もこれという答弁は余り期待できそうもないので、この部分は質問を省きたいと思います。
私は、再生可能エネルギーの買い取り制度が、金額が下がったりなんかすると、やっぱりマーケットが縮小されてしまうんではないかという、素人の考えかもしれませんけれども、そういったことが大変心配されておりますし、自治体としては、再生可能エネルギーにある程度シフトを切っていこうというところも結構出てきているんではないかと思います。
関東の知事会でも、普及拡大の機運を失って自治体の施策推進に支障が生じる懸念があるので、再考を求める緊急提案も出されております。
東京都は、二〇二四年ごろまでに、再生可能エネルギーを二〇%にふやす目標を設定しております。地域では、もう既に市民までがお金を出し合って、太陽光パネルを公共施設とか、あるいは大きな屋根貸しとか、そういうところに設置する動きも広がっている中で、ぜひ今後は、NPOが行う再生可能エネルギー、市民グループが行うような、こういった発電事業に対しても投資ができるよう要望して、質問を終わりたいと思います。
○桜井委員 それでは、私の方からは、公会計制度改革の推進に向けた東京都の取り組みについて、改めて質問させていただきます。
公会計制度改革につきましては、これまで都が国に先駆けて取り組んできたわけでありますが、これも先ほどお話がありましたが、去る四月に、総務省研究会から統一的な基準が示されて、今後、全国の自治体は、都と同様の本格的な複式簿記・発生主義による財務書類を作成することが求められるわけであります。
これまで総務省は、独特の考え方に基づく基準モデルや、自治体の作成負担に配慮した便宜的な改定モデルという二つの会計モデルを示し、自治体に財務書類の作成を要請しておりましたが、いずれのモデルもわかりにくい、もしくは使いにくいという難点があり、結果として、自治体の公会計制度改革が停滞する要因となってきたわけであります。
しかし、ここに来て、総務省も統一的な基準において、複式簿記を必須とするなど、遅まきながら、ようやく都の財務諸表の有効性を認める形の新基準を策定したわけであります。しかし、この統一的な基準も不十分なもので、依然としてこれまでの特異な考え方を捨て切れていない部分がある点や、全ての自治体ができるだけ負担なく財務書類を作成できるよう、正確性を犠牲にしてまで簡易な作成方法にこだわっている点など、先行する都方式には遠く及ばない内容となっているのが実態であります。
こうした状況を踏まえ、私としては、都は今後とも、みずからが先駆的に取り組んできた都方式の新公会計制度をさらに普及すべく取り組んでいくべきと考えます。
そこで、最初にお伺いします。東京都方式の新公会計制度について、その特徴とメリットを改めましてお伺いいたします。
○米今会計制度担当部長 都方式の新公会計制度は、企業会計や国際公会計基準に準じておりまして、作成される財務諸表が一般の方々にもわかりやすく、そのため、都民を初めとする関係者に対する説明責任の充実につながっております。
また、取引一件ごとに複式仕訳を行う日々仕訳方式を採用しており、迅速かつ柔軟に事業別財務諸表が作成でき、その結果といたしまして、行財政運営に有効に活用できるという特徴がございます。
加えまして、公会計におきまして国際的に浸透している標準的な財務諸表を作成しております。そのため、海外の投資家にも財務情報につきまして正確に伝えることが可能でございます。
○桜井委員 都方式の特徴とメリットにつきましては、今の答弁で改めて確認させていただきました。私は、公会計制度改革とは、活用できる財務諸表をつくることを前提として初めて取り組むことができるものだと考えておりますので、東京都には、ぜひこの方式を他の自治体にも引き続き広めていっていただきたい、そのようにお願いさせていただきます。
この点については、都はこれまでも、新公会計制度の普及に積極的に取り組んでいると理解をしておりますが、改めて、これまでの普及の取り組みと成果について確認をさせていただきます。
○米今会計制度担当部長 都はこれまで、新公会計制度を全国に普及すべく、みずからの経験に基づく情報やノウハウの積極的な開示のほか、研修員の受け入れや検討組織への出席など、各自治体への導入に向けた取り組みをさまざまな形で支援してまいりました。
その結果、これまでに、大阪府や愛知県、新潟県など、全国九団体が都方式と同様の新公会計制度を導入しておりまして、現在これら先行自治体とも連携いたしまして、全国自治体に対して普及に向けた取り組みを展開しております。
また、都内自治体との間では、東京都会計制度改革研究会を設置し、固定資産台帳の整備など、公会計制度改革を進める上で直面する実務上の課題につきまして共同で研究を行っており、これまでに、固定資産台帳整備の基本手順や都内先行自治体の整備事例集といった参考資料を作成し公表いたしました。
そのほか、特別区長会や市長会などと連携し、自治体間の情報共有と足並みをそろえた取り組みの支援も行っており、こうした取り組みの結果、都内におきましては、荒川区、そして江戸川区が導入を決定しているとともに、町田市が既に導入しているところでございます。
○桜井委員 都が新公会計制度の普及に向けて、各自治体とも連携を図りながら、さまざまな取り組みを進めており、その成果が着実に形になってきていることがわかりました。この有効な制度を引き続き全国自治体に普及すべく尽力してほしいと思いますが、とりわけ都内の自治体に対しましては、より積極的に普及活動を行い、導入する自治体をさらにふやしていってもらいたいと思います。
そのためには、これまでの取り組みに加えて、都として新たなアクションを起こし、公会計制度改革の重要性や都方式の有効性をより直接的に訴えていくことが重要だと考えます。
そこで最後に、新公会計制度のさらなる普及推進に向けた局長の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
○塚本会計管理局長 自治体の公会計制度改革につきましては、これまで複数の公会計モデルが並立し、多くの自治体が様子見となる中、都は、全国標準足り得る会計基準の早期策定を国に要望してきました。この間の議論には時間を要しましたが、ようやくこの四月に統一的な基準が示され、来年一月には、総務省から全国自治体に対し、複式簿記・発生主義による財務書類の作成が要請される予定であります。
その結果、全ての自治体が本格的な複式簿記の導入を迫られることになり、公会計制度に対する自治体の関心がこれまでになく高まっているところでございます。
都としましては、このタイミングを最大の好機と捉え、本日頂戴しました貴重なご提案も踏まえまして、私みずから、都内各自治体の首長さんを訪問の上、都方式のメリットを直接説明し、導入拡大に努めてまいります。
今後とも、企業会計や国際公会計基準の動向を踏まえ、会計基準や制度について絶えず改善を図りながら、都方式のさらなる普及推進に全力で取り組んでまいります。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○和泉委員長 これより財務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○奥田経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり四件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。要求資料第1号、主要施設十ヵ年維持更新計画におけるⅠ期予定施設のうちⅡ期期間中で未着手の施設の一覧でございます。
こちらは、平成二十六年十月一日現在における未着手の施設名及びその理由をお示ししたものでございます。
次に、二ページをお開き願います。要求資料第2号、社会資本ストックの維持更新経費の将来推計の推移及び方法(試算)でございます。
こちらは、平成二十五年度から四十五年度までの社会資本ストックの維持更新経費の将来推計の推移及び将来推計の方法をお示ししたものでございます。
続きまして三ページをお開き願います。要求資料第3号、各種基金の年度別推移(決算)でございます。
こちらは、平成十六年度から二十五年度までの各種基金の年度別の推移を三ページから四ページにかけましてお示ししたものでございます。
続いて、五ページをお開き願います。要求資料第4号、都庁舎の清掃委託契約一覧(平成二十二年度から平成二十六年度)でございます。
こちらは、平成二十二年度から二十六年度までの五年間における都庁舎の清掃委託契約の件名等をお示ししたものでございます。
説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○和泉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高木委員 私からは、本年七月に、旧知事本局から財務局に事業移管をされました工業用水道事業のあり方についてお伺いをいたします。
東京における工業用水道事業は、高度経済成長下における地下水の過剰なくみ上げによる地盤沈下を防止するために、地下水の揚水規制を行い、その代替手段として供給を開始した行政施策であり、対象区域となった製造業者にご協力をいただいてきたという経緯があります。その結果、昭和五十年代には、地盤沈下はほぼ鎮静化をいたしまして、初期の目的は達成している状況と聞いております。
一方で、平成十六年度包括外部監査において、工業用水道事業の廃止などを含めた抜本的な経営改革について検討が必要であるという意見が付されました。都はこれを受けて、関係各局で工業用水道事業のあり方について検討を行っていると承知をいたしております。
そこでまず、工業用水道事業について、廃止を含めた抜本的な経営改革が必要になっている背景についてお伺いをいたします。
○潮田主計部長 理事お話しのとおり、東京の工業用水道事業は、地盤沈下対策としまして、地下水揚水規制の代替水を供給するため、昭和三十九年に江東地区、昭和四十六年に城北地区で給水を開始したものでございます。その後、高度経済成長に伴い、昭和四十年代には六百件を超える事業者からご利用をいただくなど、東京の産業の一翼を担う事業者を支えてきたところであります。
しかしながら、その後、工業用水道の需要は、工場の都外移転や節水の取り組みなどから、昭和四十九年度の日量三十七万立方メートルをピークに、毎年減少を続け、現在は、日量四万立方メートルとなっておりまして、工業用水の契約件数もピーク時の約三分の一の約二百件にまで減少しております。
こうした需要の減少に対応するため、雑用用途への需要拡大を図る一方、四カ所ございました浄水場を三園浄水場に一元化するなど、あらゆる合理化努力を図ってまいりましたが、料金収入が落ち込み、一般会計から補填を行わざるを得ない大変厳しい状況にございます。
また、事業開始から約五十年が経過し、施設の老朽化が進んでおり、引き続き事業を継続するためには、約一千九百億円の更新経費が必要となると見込まれております。仮にこの費用を工業用水道料金で賄うとしますと、試算上は、一般に利用されております水道料金を上回る料金設定が必要となってまいります。
このような状況を踏まえ、今後の工業用水道事業について、包括外部監査等で指摘されているように、廃止を含めた抜本的な経営改革の検討が必要となっているものと認識をしております。
○高木委員 ただいまお示しをいただいたその数字なんですが、契約件数が、ピーク時の三分の一、基本水量においては、ピーク時の九分の一ぐらいまで減少しているという現状は、これは厳しい経営環境を強いられているというのは当然のことと思います。また、事業開始から五十年が経過しておりまして、施設の更新期を迎える中で、この状況を改善するためには、施設の更新費用は大きな課題になるということだと思います。
一方で、工業用水道事業は、東京だけでなく横浜や川崎など全国の自治体でも実施しておりますが、施設の更新期を迎えている自治体は少なくないと思います。実際、平成二十四年には、経済産業省の産業構造審議会地域経済産業分科会工業用水道政策小委員会において審議をされておりまして、高度成長期の産業拡大を支えてきた役割を評価した上で、再構築を前提とした報告がなされていると聞いております。
そこで、再構築を前提としている他の自治体における工業用水道事業と東京都における工業用水道事業とは、そもそも何が違うのかお伺いをいたします。
○潮田主計部長 工業用水道事業は、先ほどの地盤沈下防止の代替水源として整備されたものと、産業基盤として整備されたものに大きく分けられるかと思います。工業用水道の大多数は、その後者の産業基盤として整備されたものでございまして、高度経済成長期の産業拡大による水需要の高まりと工場誘致等による地域経済活性化の目的から、主に製造業が集積をいたします工業団地等の整備にあわせて全国に普及をしていったところでございます。
一方、東京都の工業用水道事業は、ご指摘のとおり、地盤沈下防止を目的とした地下水の揚水規制に伴います代替水を行政施策として供給してきたものでございます。
こうしたことから、都の工業用水道事業は、他の自治体と比較して、一件当たりの契約水量が少ない一方、ユーザーが点在しておりますために、配水管の管理延長が長いという特徴がございまして、再構築費用が、ほかに比べましてかさむ構造がございます。
○高木委員 産業振興を目的に、工業用水道を拡大してきた他の自治体と、地盤沈下防止を主な目的としてきた東京の工業用水道とでは、ユーザーの水利用の形態や施設の特徴も異なるということから、東京の工業用水道事業が特有の問題をはらんでいる、このことが今明らかになったわけであります。
一方で、地盤沈下防止を目的として、ユーザーに利用転換を強いてきた行政施策であったということも、これは事実でありまして、ユーザーからは、工業用水の供給を望む声が現状も多いということは、これもまた事実だと思います。
こうした相反する要請をバランスよく解決に導くためには、さまざまな論点を、慎重に検証、整理をしていくことが必要であろうと思います。
そこで、これまで庁内ではどのような検討を進めてきたのかお伺いいたします。
○潮田主計部長 平成十八年九月、当時の知事本局、それから総務局、財務局、都市整備局、環境局、産業労働局、水道局の関係七局から成ります工業用水道事業のあり方に関する検討会を設置しまして、施設の現状や需要の動向などを踏まえ、さまざまな角度から抜本的な経営改革について検討してまいりました。
平成十九年度には、検討を進めるに当たりまして、今後の需要見通しや工業用水道の使用のために事業者が行ってきた設備設置の状況などを把握するため、ユーザーへのアンケート調査を実施いたしました。
この間、先ほどご答弁申し上げましたとおり、工業用水道事業の厳しい経営状況や施設の老朽化を踏まえ、今後、事業の抜本的な改革が不可避であることから、どのような改革が可能であるか検討を行ってまいりました。その上で、ユーザーに多くの中小企業が含まれることから、抜本的な改革に際し、ユーザーの事業継続のための支援、あるいは工業用水供給地域以外の同業者との公平性などについても留意する必要があることから、解決に向けたさまざまな議論を重ねてまいりました。
また、前回のアンケート調査から七年経過しておりまして、ユーザーを取り巻く経営環境や経営の状況等が変化していることも想定いたしまして、直近のユーザーの状況や意向を的確に把握するため、今年度改めてアンケート調査を実施してございます。これらの結果を踏まえて、今後さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
○高木委員 この問題は、単純に事業を存続するのか、あるいは廃止をすればいいという結論を出すだけでは解決をしないということだと思います。
今までのご議論の中で、少なくとも四つの問題がふくそうしていると考えられます。
一つ目は、再構築費用の問題であります。工業用水道事業の存続を望むユーザーが多い一方で、再構築に当たっては莫大な費用を要するという問題。仮にその費用を利用料金に反映させれば、上水道の料金を上回るということになって、ユーザーにとっては本末転倒ということになります。
二つ目は、廃止を含めた抜本改革が必要であると外部監査等で指摘される中、仮に廃止をした場合、どのような代替水源を確保するのかという問題。仮に、上水道を使うとした場合でも、工業用水道料金との差額をどうするのか、また、上水に含まれる塩素の除去が必要な業種というものがあるというふうにも聞いております。
三つ目は、ユーザーへの支援策というのをどう考えるかという問題であります。地下水の揚水規制の代替手段としてユーザーに協力をお願いしてきたということの歴史的な経緯の上に立って考えますと、ユーザーへの支援というのは当然やらなければいけない。料金を補填するということになれば、それは都民の税金で賄われることになりまして、どのような支援策をどの程度講じるべきかという、そのバランスという問題があります。
四つ目は、そうしたユーザーに対する支援策と工業用水を供給している区域外での、工水より料金の高い上水を利用して同じような事業を経営している同業者と比較した場合の公平性という問題。
こうした、今申し上げた大きく分けて四つの問題を、より発展的、客観的に議論して、行政での検討を次のステップに進めていくためには、庁内関係局での検討だけでなく、中小企業支援や会計の専門家などに意見を聞いていくということも有効ではないのかなというふうに思います。
そこで、今後この問題の解決に向けては、そうしたさまざまな課題を踏まえて、専門家の知見を交えた検討が必要であると考えますが、財務局はどのように考えますでしょうか。
○中井財務局長 この問題の解決には、ただいま理事ご指摘のとおり、さまざまな角度から専門的な検証、そしてまた、その整理が不可欠であるというふうに認識しております。
このため、今後、工業用水道事業のあり方について、有識者から意見をいただくための委員会を設置していきたいと考えております。
この有識者委員会は、公益事業や水道施設の専門家を初め、中小企業支援や法律、会計など、さまざまな分野の専門家で構成し、アンケート調査の結果や、これまでの検討経過なども踏まえつつ、専門的かつ中立的な立場から多角的に検討を行い、工業用水道事業の方向性に関する提言を取りまとめていただきたいと考えております。
さらにその後も、この委員会の取りまとめ結果やユーザーの意向なども踏まえながら、工業用水道事業の課題に関する抜本的な解決に向けて、私どもとして、しっかりと取り組んでまいります。
○高木委員 この工業用水道の問題は、我が党は、かねてから非常に重要な課題として取り組んできました。過去には、公営企業委員会で我が党の宇田川議員が、しっかりと質問をさせていただいたり、あるいはいろいろなところで、この問題は、今後のあり方というものをどうしていくのかということを問いかけてきたわけであります。
ですから、今後、所管がえになって、財務局の所管になったということですので、ユーザーの意向をこれから調査していただくことはもちろんでありますが、専門家の意見も十分に参考にして、さらに、都議会の議論というものもしっかりとさせていただく中で、今後の取り組みに遺漏がないように検討を行っていただきたいというふうに、財政委員会では初めて取り上げる課題だと思いますので、改めて申し上げて、私からの質問を終わります。
○大松委員 私からは、入札契約制度について伺います。
七月の来年度予算見積もりの依命通達を見ますと、経費の見積もりに当たっては、質の確保やサービスの向上の観点も踏まえることとございます。これは、今回新たに追加された内容でありますけれども、この観点は、決して経費の見積もりに限った話ではありませんで、実際に予算を執行する段階におきましても、そして、この入札契約の手続におきましても、発注者として、質の確保、サービスの向上という観点を意識しながら、これまで以上に創意工夫を凝らしていかなければならないわけでございます。
また国の方では、ことし、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法が改正され、公共工事の発注者の責務がより明確化されるなど、公共工事の質の確保への取り組みが強化されることになっております。こうした取り組みは、工事契約の分野だけにとどめることなく、システムの開発保守や建物設備保守など、業務委託の分野にも広げていかなければなりません。
そこで注目されるのが、価格だけではなく、それ以外の要素も評価の対象に加える総合評価制度でございます。
まず、地方自治体における総合評価制度ができた背景、その効果について所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 まず、制度の背景でございますが、地方自治法施行以来、公共調達における落札者決定方式として、最低価格自動落札方式を採用し、競争性を最大限発揮させることを長年にわたっての原則としてきました。
しかし、バブル崩壊以降、デフレの進行や公共調達の量的縮小などを背景といたしまして、著しい低入札が発生するなど、価格のみに着目した最低価格自動落札方式では、品質の確保に懸念が生じることとなりました。
こうした背景から、平成十一年に地方自治法が改正され、最低価格自動落札方式の例外といたしまして、価格と価格以外の要素を評価する総合評価競争入札制度が導入され、十七年には品確法の制定、さらには、副委員長からご指摘のございましたように、ことし六月には、改正品確法の施行がありまして、多様な入札契約方式の中で、総合評価方式が主要な手法の一つとして位置づけられるようになりました。
また、この総合評価方式の効果といたしましては、まず第一点目といたしまして、技術やサービスの提案を審査、評価し、すぐれた民間ノウハウを活用することで、質の向上と確実な履行につなげることができること。
第二点といたしまして、技術やサービスの提案を公募し、それを審査することで、過度な価格競争や不良不適格業者を排除できること。
三点目といたしまして、発注者として仕様書を精査し、提案を公募、評価する過程において、みずからの技術力の向上が図れることなどが効果として挙げられるところでございます。
○大松委員 この総合評価制度は、品質を向上させるなどの効果が期待されるということで、工事契約においては、品確法が制定された平成十七年度以降、各自治体に拡大しつつありますけれども、建設設備保守などの業務委託の分野では、全国的にまだ浸透していないようであります。
業務委託の総合評価につきまして、他の道府県のこれまでの実施状況を伺います。
○松永契約調整担当部長 本年八月に、都が四十六道府県を対象に、システム開発保守や清掃業務など五つの対象業務について調査した結果によりますと、業務委託の総合評価の導入状況について、回答のあった三十九団体のうち三十一団体、約八割において総合評価方式を実施しているとの回答がございました。
この中で、調査対象とした業務のうち最も多かったのが、システム開発保守で三十九団体中二十八団体、次に、清掃業務が十三団体でございました。調査対象の五つの業務分野全てに導入しているのは、都を含め二団体でございました。
○大松委員 東京都以外の他府県では、情報システムの開発や保守の分野において総合評価が活用されております。その一方、その他の業務分野では、それほど活用が進んでいないようでありますけれども、住民の皆様方に、安心して施設やサービスを利用していただくためには、建物維持管理などにも、この総合評価制度を適用していくことが大切でございます。
そこで、業務委託の総合評価につきまして、東京都の取り組み状況について伺います。
○松永契約調整担当部長 平成十三年度以降、情報システム開発については、総合評価方式を導入し、新規及び再構築案件で、後年度の開発やメンテナンスに与える影響が技術上、コスト上、大きいものに適用してまいりました。また、二十一年度以降、病院の建物維持管理業務について順次導入を進めてまいりました。
今年度からは、建物維持管理業務などに加えまして、警備業務や水門管理など、都民の安全・安心の観点から、質の高い履行が求められる重要な施設における業務委託等で実施しております。
今後とも、幅広い業務で総合評価を活用し、業務委託の品質確保を通じまして、都民サービスの向上を図ってまいります。
○大松委員 今、答弁を伺いますと、東京都は、他の道府県と比べまして、情報システムの開発だけではなく、他の業務分野でも導入が進んでおります。サービスの質の向上のために、総合評価を積極的に導入を進める都の姿勢は評価いたします。
その上で、総合評価制度では、落札者を決定する基準を策定し、また、技術提案書を審査するなど、通常の入札と比較いたしまして、多くのプロセスを経て契約するわけでございまして、事務的に入念な準備を行って発注しなければなりません。
こうした総合評価制度が導入されて、その仕組みを機能させて効果を上げていくためには、発注する側も変わっていかなければなりません。
より質の高い業務委託の実現に向けまして、総合評価を実施する際の発注者側の課題について、都の見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 発注者側の課題につきましては、三点、認識しております。
まず第一に、履行の質を高めるための仕様書の適正化でございます。従来の仕様書を踏襲するのではなく、状況の変化に応じまして、受注者の責務や役割、従事者の資格要件などの見直しや詳細化を図ることによりまして、受注者に求める要求水準をより明確にすることができ、履行の質の向上に向けた提案書の適切な評価につなげることができると考えております。
二点目といたしまして、品質の確保に向けた落札者決定基準の策定でございます。この落札者決定基準の中心をなすのは、評価項目の設定ということになりますが、要求水準を満たすための事業者の要件や実績などを具体的に評価する基準を策定し、発注時に公表することで、事業者が都の意図を十分理解し、品質確保につながる技術やサービスの提案を期待することができると考えております。基準の策定に当たりましては、これまでの受注者の履行実績の問題点等を十分に分析し、より実効性のある評価項目として設定する必要があると考えております。
三点目といたしまして、発注者の評価能力の向上でございます。適正な仕様書や落札者決定基準を策定いたしましても、事業者の提案書を適切に評価できなければ、品質の確保につながる契約は実現できません。発注者は、評価者として、事業者の提案内容を、より客観的、専門的に評価するための知識やノウハウを日常的に業務を通しまして修得する努力が必要となると考えております。
これら三点の課題は、いずれも発注者の業務マネジメントに起因する課題でもあり、発注者といたしまして、こうした課題を常に自覚した上で、広く庁内で共有化して、その解決に向けて取り組むことで、総合評価方式を効果的に運用してまいります。
○大松委員 価格だけで落札者を決定する時代ではなくなっております。発注者は、委託内容を十分に熟知して、問題点をきちんと把握しなければなりませんし、都民ニーズや市場の動向などの変化に応じて、継続的に委託内容を見直していくことも必要であります。
発注する側に、評価者としての力量が備わっているのかどうか、事業者側も注視していくわけでございます。契約制度の所管局として、総合評価制度の充実に向けて取り組みを進めていくべきと考えますが、業務委託における今後の取り組みについて所見を伺いまして、質問を終わります。
○松永契約調整担当部長 都の発注する業務委託の品質の向上のためには、これまで実績のない業務分野におきましても、総合評価が有効に機能するための条件を整えながら、積極的に総合評価を活用していくことが重要であると考えております。
そのため、これまで蓄積した総合評価におけるノウハウや、実務上の課題を踏まえ、契約担当者向けの総合評価の手引について、さらに内容を充実していくとともに、各局が効果的に導入できるよう支援を実施してまいります。
今後とも、平成二十七年度契約に向けまして、総合評価方式の一層の運用改善と適用拡大を図ってまいります。
○和泉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時一分休憩
午後三時十五分開議
○和泉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○植木委員 私は、労働環境の改善の角度から幾つか質問します。
この間、公共事業の発注が不調になって再入札をする事例が相次いでいます。特に、大規模開発や大型幹線道路建設などが増加する中で、都有施設やインフラ維持更新計画などが今後も増加するという状況の中で、こうした相次ぐ不調などが、都民生活にかかわるものに影響が出ないようにということをこれまで求めてきました。
しかし、不調は、技術労働者や若年労働者の不足、資材の高騰などで、引き続いて発生率が増加して、深刻な事態は続いています。
そういう中で、さきの国会で公共工事品質確保促進法など三法が改定されました。また都として、こうした状況の中で、入札契約制度改革について取り組んできておりますし、私どもも中小企業が参入しやすい環境づくりや、それから公契約条例などを提案して、公共事業で働く労働者の賃金水準の確保などで雇用につながるよう求めてきました。
品確法の改定に基づく基本方針の中では、発注者の責務、適正な予定価格の設定、若年労働者の担い手確保、育成等々打ち出されて、関連中小企業や建設労働者などからは期待の声が高まってきています。特に、若年労働者の雇用促進と育成について、どう取り組んでいくかということは非常に大きな問題だろうと思うんです。
労働環境の改善は極めて重要ですし、国交省では、中央建設業審議会の中で、特に、若年労働者の新規雇用と育成を重要課題として位置づけて、論議、検討されていると聞いていますが、ここでは、若年技術者や技能労働者の雇用状況を対象にする社会性の項目で加点することなども考えられているとのことであります。
この品確法で重視されている若年労働者の新規雇用と育成について、東京都では、入札制度でどのように具体化する計画か。十二月には、発注者共通の運用指針というのが策定されると聞いていますが、都は、国に先駆けて、これまでも先進的にいろいろ進めてこられたと思いますけれども、この点についてどのように進めるお考えかお示しください。
○松永契約調整担当部長 本年六月に改正された品確法では、若年労働者などの担い手の育成、確保に向けて、公共工事の発注者に対しましても、労働環境改善への配慮義務が新たに課されました。
都はこれまでも、元請に対して下請契約の適正化の観点から、法定福利費を適切に考慮することを初め、低入札価格調査のヒアリング時における若年従業員の育成計画の確認や、一般管理費等のいわゆる五%ルールの厳格化による教育研修費用の計上などを事業者に強く求めてまいりました。
これは、今後とも持続的に都のインフラ整備を進めていくためには、担い手としての若年者を初めとした就業者の入職と定着が重要であるとの考えに基づくものでございます。
今後も、現在進めている入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みを通じまして、担い手の確保、育成の観点も含め、改正品確法の趣旨を総合的に実現してまいります。
○植木委員 ぜひ、積極的な役割を果たしてほしいと思うわけですけれども、実際に、建設関連事業者間で労働環境を改善していかなければ雇用につながらないわけですし、特に新規雇用を確保していく上で、労働環境という面ではとりわけ賃金水準が上がっていかないことには、進まないということも事実だと思うんです。
仕事が確保され、賃金水準が上がるようになれば、新しい雇用につながるわけですから、この点で、東京都は、国の設計労務単価の改定を上回って引き上げてきたことは大変重要ですが、この間の賃金調査でも一部の業種を除いては、賃金に実際には反映されていないという声が依然として出されています。
この点で、現場で支払われている実際の賃金水準が、発注者が積算する設計労務単価に近づくことが大変重要だと思うんですが、そのことについて、総合評価制度においてどのように活用していくのか見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 総合評価方式は、価格のみならず事業者の持つ技術力など価格以外の要素等を総合的に評価し、最も評価の高い事業者を落札者とする方式でございます。
都は、総合評価方式を適用した工事での過度な価格競争を防止するため、昨年六月に、技術力評価型及び技術実績評価型の総合評価方式におきまして、価格点の算定式を見直し、相対的に技術点を引き上げました。
具体的には、極端な低価格な入札を行った事業者がいる場合でも、技術力の高い事業者が逆転できるよう、調査基準価格を超えて低い価格で入札した場合の価格点の上昇率を引き下げ、技術点をより重視することといたしました。このことは、総合評価方式におきまして、技術力の高い事業者がより適正な価格で落札することにより、就業環境の改善にも効果を波及させる要因の一つとして期待できると考えております。
○植木委員 総合評価方式を活用して、評価点を、技術力など高い事業者により適正な価格で落札する、こういうことにして誘導させると、こういうことだと思うんですけども、これはこれで非常に重要な役割を持っているというふうに思うんですけども、実際の現場で、これがどう反映しているかということは、今後の課題だろうと思いますが、ぜひこの点でも、積極的に進めていただきたいというふうに思います。
それで、雇用の拡大を若年労働者だけでなくて、新たに女性の登用についても評価することが重要だというふうに思います。国の方では、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案などが検討されているようですが、これについては、かなめとなる男女の格差の是正や女性に対する差別の撤廃などが前提条件として非常に重要だということはありますけれども、しかしながら、この点を踏まえて、女性の活躍を推進するということは、大変重要なことだというふうに思っています。
そういう点で、公共事業の中で、女性の登用を促進するという面を、どういうふうに評価するかということについて、どのように取り組んでいるかお伺いをいたします。
○松永契約調整担当部長 建設業の担い手を育成、確保する観点からも、女性が現場で力を発揮できるような環境をつくっていくことは重要であると考えております。
本年八月に、入札監視委員会のもとで開催した業界団体との意見交換会におきましても、入札監視委員からは、女性がしっかり力を発揮できるような社会にしなければいけないという趣旨から、受発注者双方が尽力すべきとのご意見をいただきました。具体的な制度設計は今後ということになりますが、女性の活躍推進の観点から、総合評価の活用について検討してまいります。
○植木委員 女性の活用という面で、先日NHKで、若い女性が建設工事の現場責任者を務めて、苦労しながら仕事をやり遂げていったというドキュメント番組が報道されているのを見ました。
こうした女性が建設現場で働くには、子育ても含めた労働時間の問題、それから更衣室やトイレなど、労働環境を整えるさまざまな課題があると思うんですね。そういう点の改善に努めながら、女性の登用を進めるということで、評価点をきちっとしながら、そうした実態についても促進を図っていただきたいというふうに私は思います。
それで、社会保険の加入の義務づけについてですが、国の方では、受注者の必須要件として、既にことしの八月一日から実施されているわけです。社会保険の加入を義務づけることは、基本的な点であり重要だと思います。
これまで都としては、中小企業でいきなり義務づけするということに対して慎重な姿勢をとってこられたというふうに私は見ておりますけれども、このたび、二年後から社会保険の加入を義務づけることを実施するということを発表しました。実施に当たって周知や啓発についてどのような取り組みを開始しているでしょうか、お伺いします。
○松永契約調整担当部長 国が実施する大規模工事とは異なり、都の公共工事の受注者は、その約八五%程度が中小企業でございます。このため、性急な社会保険等への加入義務づけが担い手不足にもつながりかねないという懸念があることから、都では、社会保険等の未加入事業者の解消に向けまして、入札からの排除までに一定の期間を設けた上で、その間に、未加入事業者の加入促進を図っていくことといたしました。
そのため、社会保険等の加入促進に関しまして、都の建設工事等の受注者を対象に、社会保険等の解説や、これまでの都の加入促進の取り組み、相談窓口の案内などを載せた周知チラシを作成し、契約事務担当者向けの説明会を開催するなど、事業者への周知に向けた取り組みを進めているところでございます。
今後、受注者に対して、各局、各事業所の契約窓口において、保険加入が事業者の責務であることの周知や、下請事業者に対する保険加入への指導などについて啓発案内を実施してまいります。
○植木委員 社会保険の加入促進--東京都は、加入率が非常に低いというふうな報道もあります。そういう点で、担い手確保にとって重要な社会保険の加入の問題、さらには、先ほども指摘しました重要な若年労働者の賃金、女性の雇用、賃金の面ではとりわけ設計労務単価の引き上げがどう現場に反映しているか、こういった点が大変大事だというふうに思うんですけども、こうした建設現場の実態を、賃金の実態を含めて調査を行うべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○松永契約調整担当部長 改正品確法では、公共工事の当事者に労働環境改善への配慮義務が新たに課されました。こうしたことを踏まえ、今後、低入札の工事案件を対象といたしまして、受注者側において、賃金や社会保険加入状況等の労働条件がどのような実態にあるのか、社会保険労務士と連携しながらモデル事業を実施してまいります。
○植木委員 私は以前、この財政委員会で、設計労務単価の引き上げが下請など現場にどう反映しているか、そういう実態調査を、書類だけでなく事実確認を行うべきだという質問をしたことがありますけれども、なかなか当時、東京都はそういうふうにまともに答えませんでした。
今回、社会保険の加入など労働環境のモデル調査を通じて、賃金についても調査をするということになったことは非常に重要だと思います。
ただ、日本の建設産業が重層的な構造になっていることを考えると、契約の面ですから、恐らく、事業者それからせいぜい第一次下請、さらに末端はどうするのかという、そういうところまで本当に突き刺さった調査が行われるかどうかが、私は非常に重要だと思うんですね。
やはり数次に及ぶ下請などの現場を押さえた実態把握、こういうところまで突き刺さって行っていただくように要望しますけれども、いかがでしょうか。
○松永契約調整担当部長 モデル調査の内容については、現在、社会保険労務士等々と調整中でございまして、今後の内容の見直しの中で検討してまいります。
○植木委員 日本の産業構造がそういうふうになっている現場ですから、実際の末端の労働者のところへ行くと、幾ら設計労務単価が上がっても我々のところは反映されないよという不満が、依然として大半のところに渦巻いています。一部のところでは、上がっているところもあるようですけども、しかし下請では、そういう状況が比較的多いと思うんです。
さて、こういう品確法の基本方針の中で、公共事業における技能労働者や若年労働者の雇用育成を、これほど明確に重点的に進めなければならない、こういう現状があります。
総合評価制度で改善を誘導していく、優良な企業をそういうふうなところで評価をしていくということは非常に重要だと思うんですけれども、私は、やはり契約の中でも一定のルールをもとに、労働条件の改善につながる方策というものをルール化していくことが必要だということをかねてから主張してきました。
この点で一歩進めて、公契約条例の制定をこれまで提案してきましたけれども、この公契約条例の基本点というのは、労働条件の改善のかなめである賃金について一定の水準を確保し、賃金の底上げを図ることをルール化するというものでありますから、品確法の基本方針の趣旨とも連動するものだと私は思っています。
ことしに入って、都内でも新たに公契約条例の制定が幾つか行われましたし、この流れは、いずれは大きくなってくるというふうに私は思っています。そういう点で、契約の中での改善はもちろんでありますけれども、改めて公契約条例の制定を都としても検討するように要望して、次の質問に移ります。
福祉インフラについての都有地活用などの問題についてお伺いをいたします。
私は、第一回定例会で、日本共産党の代表質問として、福祉インフラの整備に関して都有地の活用ということで、認可保育園や特養ホームを思い切って増設するため、活用可能な都有地で、各局や都の監理団体が持っている未利用地や一定の行政目的があってもまだ利用されていない都有地や都営住宅、公社住宅の建てかえで新たに生まれる土地、また、更新時期を迎える都有施設の建てかえのときに、保育園や特養ホームを合築することなども検討すべきではないかと、こう求めました。そして、全庁を挙げて、福祉施設整備に活用可能な都有地、監理団体の未利用地を洗い出すように求めました。
それから都有地の貸付料についても、無償もしくは十分の一など大幅に低廉な地代での提供、それから国有地の活用についても、無償もしくは大幅に低廉な地代で提供するよう求めました。
当時、私の質問に対して、舛添知事は、都有地や監理団体の未利用地に加えて、国有地、民有地なども含めた広範な土地活用について検討するチームを関係局により設置することを指示したという答弁がありました。財務局長も、検討チームの中で、都有地の貸付料などについても、施設立地の実情の調査、分析をするなど、多角的な視点から検討すると答えていただきました。
その結果、七月に、福祉インフラ整備のための土地活用方策の取りまとめが発表され、二十六年度補正予算でも計上されるなど、日本共産党が求めたことに前向きに応えていただけたことを高く評価しております。
そこでまず、福祉施設整備の推進に必要な土地の問題についてですが、財務局所管の都有地について、二百五十平米以上の面積の未利用地は、現時点でどのくらいの件数になるでしょうか。
○岩瀬財産運用部長 平成二十六年三月末現在、財務局所管の普通財産で、現に恒久的な利用に供していない二百五十平米以上の土地のうち、島しょ部の緑地等として保有している財産を除いたものは百六十六件となってございます。このうち約半数の八十件が暫定活用中でございまして、二十二件は今後の利用計画が決定済みとなっているものでございます。
○植木委員 また、検討チームに加わっています公営企業関係の普通財産は、何カ所、何平米あるでしょうか。
○岩瀬財産運用部長 地方公営企業法第三十三条におきまして、地方公営企業の用に供する資産の取得、管理及び処分は、管理者が行うこととされておりまして、財務局は、公営企業所管の個々の財産の活用や管理につきまして、指示や状況把握をする立場にはございませんので、公営企業局が公表している資料により申し上げますと、交通局、水道局及び下水道局所管の普通財産で、現に恒久的な利用に供していない土地は、平成二十五年十二月末現在、六十三件、約七ヘクタールとなってございます。
○植木委員 こうした財務局所管の都有地、それから公営企業、それから都営住宅などの建てかえの計画があるときには、それにあわせて提供することが示されて、今後十年間で三十ヘクタールを活用するということになっています。国有地、民有地の支援も行う。
こうした中で、やはり保育園や特養ホームなどの福祉インフラ整備の目標を実現していくということになってくると思うんですけれども、実際に、実施主体になるところは、区市町村が大半だと思いますけれども、こうした都の都有地活用の支援の枠組みについて発表したことについて、区市町村から、情報提供や支援のあり方についてどのような要望、意見が出ているでしょうか。
○岩瀬財産運用部長 知事の公約に基づきまして、新たな減額制度を公表して以降、事業を所管する福祉保健局に対しまして、区市町村からさまざまな問い合わせが入っております。おおむね新たな減額制度に対して関心を持って活用に向けた前向きな検討をしていただいている、このように聞いてございます。
○植木委員 いろんな問い合わせがある、それぞれ待機児、待機者が現実にふえている中で、やはり政策的にもそれぞれの課題として非常に重要だと思うんです。
こうした都有地の情報提供について、区市町村や福祉関連事業者が実際に使う場合、やはり提供されてすぐタイミングよく使える場合、あるいは、一定、検討期間があったり、あるいは、区市町村と事業者などの関係などで、どういうタイミングでどう出していくかというのは非常に重要なことだと思うんですね。区市の意見では、定期的な情報提供だとか、少なくとも二年ぐらいのスパンを置いて早目に出してほしいとか、それから、都営住宅については、これは都市整備局が直接担当しているわけですけれども、建てかえ計画の早い段階で調整してほしい、こういう意見も出ています。
それらの意見を反映して、具体化をしていただきたいというふうに思うんですけども、そういう意味で、区市町村が具体化しやすいように、どういうタイミングで、どのような方法で情報を提供するというふうに進めておられるのでしょうか。
○岩瀬財産運用部長 情報提供を行う時期につきましては、未利用都有地の情報整理に要する期間を踏まえつつ、区市町村における予算編成作業のスケジュール等に配慮いたしまして、区市町村の中で十分検討や調整を行った上で手を挙げていただくことが可能となるタイミングで実施していきたいと考えてございます。現在、情報提供に向け、都営住宅を所管する都市整備局など関係局と調整を進めているところでございます。
○植木委員 既に、来年度の予算編成の時期に、それぞれ検討が進められている時期に入っておるわけですし、早目に、情報提供のルールをお示しいただきたいというふうに思います。
いろんな土地があるわけですけれども、長い間使われていない都有地などについて、住民から、一体これどうなっているんですかという問い合わせもよくあります。こうした各局で長期間未利用地になっている土地や、近い将来未利用地になる可能性がある土地などについて、財務局としてどの程度把握しているでしょうか。
○岩瀬財産運用部長 長期間更地になっていて、一見いたしますと未利用地に見える都有地でございましても、道路予定地ですとか、公園予定地など、各局事業の予定地となっている場合がございます。各局の事業予定地は、それぞれの事業の円滑な執行を図るため、行政財産として、用地買収も含めて事業所管局の責任のもとで管理されておりまして、事業予定地という性格上、福祉インフラ整備事業のような長期間の貸し付けを前提とする利活用は、本来の行政目的である事業実施に支障を来すことから困難でございます。
また、各局が行う庁舎等の建てかえに当たりましては、財務局において、建設に必要な土地、仮設庁舎に必要な土地、建設後の土地の取り扱いなどを精査した上で事業化されておりまして、こうした過程で、将来、未利用地になると見込まれる土地につきましては、庁内での利用の照会など、所定の手続を経まして、福祉インフラ整備事業で活用可能と判断した土地は、区市町村に情報提供しております。
なお、事業予定地につきましても、都有地の有効活用の観点から、事業実施に影響がない範囲で、公共工事の資材置き場など、短期間での暫定活用を行っております。
○植木委員 もちろん各局の事業計画をきちんと据えていくということは否定すべきではないし、また、それは非常に重要なことだと思うんですけども、しかしながら、一方で、この政策目標を達成する、あるいは何年も眠っているものなどについて、これまでも都は、公有財産の効率的活用を図るという観点で進めてきたというふうに思うんですね。私は、そのため三月の委員会質疑でも、都有地の管理の一元化ということを求めてきました。
知事が長期ビジョンで打ち出している整備目標が、都有地で--ほかの土地ももちろんあるわけですけども、一体どのくらい確保できるのかということをつかんでいくというのは、やはり計画推進のためにも必要だというふうに思うので、一元的に把握するということは大変重要だというふうに思います。
それらについて、財務局として、福祉インフラに活用可能か精査して、総合的に積極的に進めていく、そして確保していく、そういう姿勢が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○岩瀬財産運用部長 未利用都有地につきましては、これまでも財務局が土地を管理する関係各局と十分に調整した上で、福祉インフラ整備事業に活用可能と考えられる土地を選定し、区市町村に対し適切に情報提供してきております。今後も、引き続き関係各局と十分連携し、個別の土地の状況なども含めるなど、区市町村に提供する情報の充実を図っていくこととしております。
○植木委員 何で改めてこういうことを聞くかというと、長期ビジョンの中間のまとめがされ、最終報告が年内に出てくるということになっているわけですが、そういういろんな政策課題がある中で、とりわけ知事が公約して進めてきた、そういう中で財務局の役割というのは、非常に重要な役割を持っていると思うんですよね。
財務局の事業概要でも、それから東京都の公有財産規則でも、知事の権限に属する公有財産に関する総合調整は財務局長が行うとなっています。さらに、総合調整について財務局長が担うということも明確にされていると思うんです。また、今後の財産利活用の指針の中でも、都有財産利活用推進会議という機関を設定して、会計を越えた全庁的な財産利活用を推進する体制をつくったと、こういうふうに出ているわけですね。
わざわざそういう体制をつくった、そこでの議論がどうなるかということはもちろんあるとは思いますけれども、やはりこうした財務局の役割、権限を生かして、知事の公約である全庁的な政策課題--今回は、福祉インフラについてではありますけれども、整備推進に力を尽くす、こういう点での財務局の役割について改めてお伺いします。
○岩瀬財産運用部長 財務局は、公有財産に関する総合調整権に基づき、土地を管理する関係各局と十分調整した上で、福祉インフラ整備に活用可能と考えられる土地を確保しております。
今後とも、福祉インフラ整備事業を含め、都政の喫緊の政策課題の解決のため、都有地を最大限有効活用してまいります。
○植木委員 今度の検討チームも、その権限の一つの範囲があらわれて調整しているんだろうと思うんですけれども、やはり政策課題を実施するときというのは、財務局の主導的な役割というのは、どうしてもかなめにならざるを得ない。実施主体は、今回は福祉保健局ということになっていますけども、しかし、それぞれの局にまたがって都有財産を一元的に見ていけるのは、やっぱり財務局しかないわけですよね。
そういう点で、改めて財務局の役割と権限を生かして、政策課題の推進に尽くしていただきたいということ重ねて要望して、質問を終わりにします。
○中村委員 それでは、財務局の事務事業につきまして、まず初めに、今後の財政運営及びそれに関係することについて何点か質問をさせていただきます。
開催まであと六年に迫ったオリンピック・パラリンピックに向けては、今後施設整備が本格化し、これが大きな財政需要となって都財政に影響を及ぼすものです。
都では、こうした財政需要に応えるため、約四千億円の基金残高を確保していますが、開催決定前の計画に従って競技会場を整備した場合、総額で一兆円となるとの報道もあり、現有の基金残高では必ずしも十分な水準にあるとはいえないのではないでしょうか。
また、平成二十五年度年次財務報告書では、都に内在する財政需要として、社会保障関係経費と社会資本ストックの維持更新経費に関する将来推計を掲載しています。
社会保障関係経費については、今後二十年間に見込まれる社会保障関係経費の増加額の累計は六・六兆円にも上り、社会資本ストックの維持更新経費では今後二十年間に約六兆円もの需要が見込まれるということです。
一方で、都の歳入の根幹をなす都税収入は、地方法人二税に対する依存割合が高いことから、景気変動等の影響に左右されやすく非常に不安定な構造にあります。右肩上がりの税収増ということに安易な期待を寄せることができない中、財政運営は今後ますます厳しさを増していくものと考えられます。
これらのことを踏まえると、歳入歳出両面にわたって将来への見通しをしっかりと持った上で、今後の都民サービスを安定的に提供していくことが必要であるといえます。
先般、東京都長期ビジョンの中間報告が発表されました。いうまでもなく、長期ビジョンは、今後の舛添都政のかじ取りにおける羅針盤として、施策遂行の大きな柱となるものである一方、ここでは財源については触れられていませんでした。この将来像を絵に描いた餅とせず、実現可能性のあるものとするには、将来にわたり見込まれる財政需要を適切に把握することが必要です。
そこで、さまざまな財政需要が見込まれる中、長期ビジョンの策定に当たっては、裏づけとなる事業費を明らかにし、めり張りのある計画とすべきと考えますが、都の見解について伺います。
○潮田主計部長 年末をめどに公表することとしております長期ビジョンの実施計画では、長期ビジョンに掲げる政策の着実な実現に向け、今後三年間で実施する事業の内容と必要な事業費を明らかにすることとしておるというふうに伺っております。長期ビジョンで選定する事業につきましては、予算等を優先的に措置していくこととしており、めり張りをもって政策の着実な実現を図ってまいります。
○中村委員 ただいまご答弁いただきまして、長期ビジョンにおける実施計画においては、将来に対する見込みをもって進めていかれることは理解いたしました。ただ、さきに触れた都税収入や、とりわけ地方法人二税についての影響が甚大であると考えます。
先般、発表された地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張においては、法人事業税の暫定措置により、これまで一兆円の財源が奪われており、今年度税制改正では、地方法人課税という新たな制度が創設され、これによる都の減収額は、平成二十六年度予算の平年度ベースで約千八百億円とのことです。
さらには、来年度から着手するとされている法人実効税率の引き下げや、消費税率一〇%段階において検討するとされている法人事業税の暫定措置にかわる他の偏在是正措置など、東京の財源を奪う動きは予断を許しません。
こうした動きに対して、都には積極的な主張展開が求められます。国に対してしっかりと都の主張を訴えるとともに、都民にも積極的に伝えるべきではないでしょうか。
そこで、国による不合理な税源の偏在是正に関する議論に対して、東京都における主張展開の方法についてどのように行っていくのか伺います。
○潮田主計部長 都はこれまでも、国による不合理な措置に対しまして、機を逸することなく主張を展開し、それを都民の皆様にもご理解いただけるように努めてまいりました。
先般作成いたしました、地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張につきましても、関係者のみならず、広く都民の皆様にご理解をいただくため、東京都ホームページに掲載するとともに、専門用語が多い地方法人課税や地方財政の問題につきまして、図表やグラフなども活用しながら、可能な限りわかりやすく内容をお伝えするよう工夫を加えているところであります。
今後とも、税源の偏在是正の問題に対し、少しでも多くの都民の皆様にも、都の主張をご理解いただけるよう、引き続き努力してまいります。
○中村委員 地方法人課税をめぐる動きに対しての都における主張展開の考え方は、おおむね理解ができました。国に伍して、しっかりと異を唱え、より強力に主張を展開するとともに、都民にもこのことが十分理解されるよう、さらなる働きかけを進められることを望みます。
さて、都民への説明責任を果たすという観点から、もう一点質問いたします。
東京都の平成二十六年度当初予算は六兆六千六百六十七億円、特別会計、公営企業会計を含めれば十三兆円を超える規模であり、それを構成する全ての事務事業をつぶさに理解することは困難をきわめるものです。
財政規模の違いもあるので、一概に比較できるものではないと思われますが、基礎的自治体である市区町村では、予算段階で詳細に事業を公開し、市民への説明責任を果たしています。こうしたことを考えると、都の予算について、都民への説明という観点からは、改善の余地があるといえるのではないでしょうか。
そこで、予算の都民への説明という観点から、都における取り組みの状況、考え方について伺います。
○潮田主計部長 わかりやすい予算、財政広報の提供は、都民に、都財政を身近なものとしてご理解をしていただくためにも重要であり、これまでも積極的に取り組んでまいりました。
毎年度の予算につきましては、東京都のホームページや「広報東京都」において、広く都民の皆様へのご説明に努めているほか、予算案の発表に当たりましては、冊子、東京都予算案の概要を発行いたしまして、都の予算の全体像とともに、その年度のポイントとなる内容をよりわかりやすくお伝えするよう工夫を凝らしております。
例えば、二十六年度予算では、台風二十六号により被害を受けました大島町の復旧復興に向けた取り組みについて一覧で記載しまして、関係各局で行われるさまざまな取り組みが一目で把握できるようにしてございます。
今後とも、多くの都民の皆様方から都財政に対するご理解をいただけるよう、引き続き改善に努めてまいります。
○中村委員 大島での対応等を含めて都民の皆様が関心があることに対して柔軟に対応していただいたことはよかったと思いますし、また、いろんなことを都民の皆さんが関心を持たれると思いますから、今後ともそういった工夫の方を行っていただきたいというふうに思います。
それでは、次に、新たな個人向け都債について伺います。
十月二十四日に、新たな個人向け都債の発行について発表がありました。その内容として、これまでの円貨建てに加えて、新たに外貨建て債を発行するというもので、通貨はオーストラリアドルで、発行額は五千万オーストラリアドル、日本円では、五十億円相当とのことです。
さらに、これまでの東京再生都債として発行してきた名称についても、国際都市東京にふさわしい名称とするため、東京グローバル都債に変更するとのことでした。
この取り組みは、本年七月に発表した東京国際金融センター構想に向けた取り組みで掲げられた課題である個人金融資産を預金中心からその他金融商品へ運用を拡大する仕組みづくりの一環とのことです。しかしながら、都債は、都政に直面する諸課題に適切に対応するための重要な財源の一つであると認識しています。
そこでまず初めに、都債の役割について改めてお伺いいたします。
○潮田主計部長 都債には、世代間の負担の公平や財政収入の年度間調整を図る機能がございまして、計画的な財政運営を確保する上で重要な役割を担っております。
具体的には、社会資本ストックの適切な形成、更新を着実に進めていくために、世代間の負担の公平を図っております。さらに、平成十一年度以降、二次にわたる財政再建推進プランの取り組みを進めた結果、二十年度のリーマンショックの影響などにより、都税収入が大きく落ち込んだ際には、都債の発行余力を活用し、必要な財源を確保するなど、財源の年度間調整を図っているところであります。
これらの役割は、機関投資家向けであるか、あるいは個人向けであるか、あるいは円貨建て、外貨建て、そういったものにかかわらず、都債にある基本的な機能でございます。
○中村委員 都債の役割については、主に世代間の負担の公平と財源の年度間調整を図るという二つの役割があることを改めて確認いたしました。
一方で、今回国際金融センター構想の一環として、外貨建て債を発行するということは、都債に対して従来からの二つの役割に、都民の投資の新たな選択肢という役割も求めているように思われます。
都債の役割は、世代間の負担の公平の確保などであり、今回、都民などの個人の方の投資の選択肢をふやすためという理由には違和感があるというふうに考えますが、そこで、新たな個人向け都債を発行する意義を改めて伺いたいと思います。
○潮田主計部長 都債が世代間の負担の公平や財政収入の年度間調整を図るといった役割を果たしていくためには、都債を安定的に発行していくことが重要でございまして、都はこれまでも、投資家の信頼を確保するための取り組みに加え、投資家の裾野を広げられるように、都債の魅力の向上に取り組んでまいりました。
従来の東京再生都債につきましても、平成十四年度以降、投資家層を多様化する観点などから、機関投資家向けに加え、個人向けとした発行を始め、これまで、総額三千九百億円を発行しております。
一方で、最近の市況は、国内の金融政策や海外の金利動向等の影響により、金利は低い水準で安定的に推移をしております。そうした中、今後とも、安定的かつ確実な都債の発行を図るため、市場環境などを踏まえて、魅力を確保していくことも必要と考えておりまして、今般、新たな個人向け都債の発行に際して、外貨建て債を取り扱うことといたしました。
こうした都債の魅力向上の取り組みが、都民など個人投資家の運用の新たな選択肢を広げ、東京国際金融センター構想の実現にも貢献できればと考えております。
○中村委員 今回の外貨建て債の導入の意義は理解しましたが、平成十四年度から発行している東京再生都債については、今の答弁にあったとおり、投資家層を多様化し、安定的な資金調達を確保することのほか、都債を都民など個人投資家に身近なものにし、都政に対する理解と参画意識を高めることも重要な意義と認識しています。
個人投資家にとって魅力的な商品を提供していく視点は必要ですが、新たな外貨建て債について、都政への参画意識の高揚に結びつけていくことも重要です。
そこで、新たな個人向け都債の発行に当たり、都債や都財政の状況を発信し、より広範な個人投資家の理解を得られるよう努めることが必要だと思いますが、見解を伺います。
○潮田主計部長 従来より個人向け都債については、資金調達手段の多様化とともに、都民など個人投資家の都政に対する参画意識の高揚を目的として発行してまいりました。今回、新たに発行する個人向け都債においても、それは同様でございます。
このため、本都債については、例年、購入者を抽せんでご招待をいたします船上見学会を実施しており、都の関連施設をご案内しながら、都債や都財政の状況などにつきましてもご説明をしているところでございます。
本年も同様の見学会の開催を予定しておりまして、円貨建てのみならず、外貨建ての購入者も対象に、引き続き都政への参画意識を高められるよう、しっかりと取り組んでまいります。また、これまでも、都債ホームページ上に、個人投資家向けサイトを設けて情報提供を行っておりますが、今後とも積極的に活用してまいります。
○中村委員 安定的な資金調達の確保については理解できましたし、また、都政への参画意識の高揚にも適切に取り組んでいるということでした。東京グローバル都債という新しい名称ですので、今後、都民への認識がされるよう取り組んでいただきたいと思います。
次に、契約事務について何点かお伺いします。
最初に、昨年四月に障害者優先調達推進法が施行されましたが、それへの対応について伺います。
障害者就労施設等の受注の機会を確保し、障害者の自立の促進に資するために制定されたわけですが、法律が施行される直前の昨年三月の予算特別委員会で、都の対応について、これは、一緒に取り組んでいる福祉保健局に対してでありましたが、質問をしました。その後、昨年七月から障害者優先調達が始まりました。障害者の自立支援促進のためには、都も積極的に取り組む必要があると思います。
そこで、都における平成二十五年度の障害者就労施設等からの調達実績と今後の取り組みについて伺います。
○松永契約調整担当部長 平成二十四年に成立した、いわゆる障害者優先調達推進法に基づき、都においても、昨年度から調達方針を策定して、積極的に取り組んできた結果、約五億八千四百万円の調達実績となりました。
今年度の調達方針では、昨年度の実績を上回ることを目標として定め、この目標の達成に向けまして、七月には、福祉保健局、産業労働局と合同で契約担当者向けの説明会を開催し、簡易な印刷業務や、封入、発送、防災用品の買い入れなどの具体的な取り組み事例や、就労施設が提供できるチラシの印刷やデータ入力などの物品、役務リストの紹介を行うなど、実務上の支援を行ってまいりました。
今後とも、各局における発注を具体的に促進できる支援を実施してまいります。
○中村委員 制度導入の初年度であったため、具体的な数値目標はなかったようですが、結果として六億円近い大きな実績があることを伺いました。今年度はその実績を上回ることが目標のようですが、今後、さらにこうした推移を見て計画的に拡大し、障害者の方々の支援につなげていただきたいと思います。
さて、契約事務に関して次の質問です。
ことし九月に水道局の発注工事に際して、公契約関係等競売入札妨害の疑いで元職員が逮捕され、職員も任意で事情聴取を受けるという大変残念な事件が発生しました。都政への信頼を失うことになり、二度と起こしてはならない事件です。
その後、水道局では、水道局汚職等防止対策本部を設置して対応していますが、これは水道局だけの問題ではありません。同様のことが他局でも起こり得るのであり、全庁的な対応が必要です。都庁全体の契約を所管する財務局にその所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 契約手続において、公正性、公平性や透明性を確保することは、都の公共調達が都民の信頼を得る上で極めて重要であり、その点で、最低制限価格などの契約情報の管理を徹底することが不可欠であると考えております。
九月の水道局の事件後、直ちに副知事を委員長とする汚職等防止委員会が開催され、各局に対して、汚職防止等の取り組み方針が示されるとともに、事務の再点検と再発防止の検討が指示されたところでもございます。
契約事務において、最低制限価格などの契約情報が、事案の決定関与者以外に漏えいする余地をなくす観点から、現在、制度所管部署といたしまして、契約事務の再点検と再発防止の検討を実施しております。
今後、全庁的な再発防止策に反映させ、実施していくことで、都民の信頼回復を図ってまいります。
○中村委員 ぜひとも、しっかりとした対応に取り組んでいただいて、都民の信頼回復を図っていただきたいと思います。
また、次の契約の質問です。工事案件については、入札して事業者が決定した後、資材購入費を先に払う場合があります。先に支払った後で委託先の企業が倒産して、都の予算に与える損害というのは幾らあるのでしょうか。財務局所管分だけではなく、委託先が倒産する事例を全庁的に把握しているのでしょうか。
これは他局の事業の話にはなるんですが、都が委託した事業者が倒産して、その破産処理が長引いてしまい、長期間にわたって現場がそのまま放置されているところがありました。近隣に住む関係の住民の方からは、どうなっているのかとたびたび苦情が来ました。もちろん、それぞれの局が担当の工事に責任を持つというのが前提とは承知していますが、委託事業者の経営状況への見るべき視点、破産手続など、契約解除後の各局の対応等について、全庁的な指導というのも必要でないかと考えますが、見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 公共工事において前払い金を受領済みの受注者が倒産し、契約内容の履行が困難となった場合には、前払い金保証契約に基づき、受注者にかわって保証事業会社が都に対して相当額を返還することになっており、都の損失は生じない仕組みになっております。
財務局としては、各局が契約解除をするに当たっての制度面での相談等に応じるなど、今後も必要な支援を実施してまいります。なお、契約解除後の事業執行上の対応につきましては、起工部署が責任を持って対応することとなっております。
○中村委員 また、昨今、公共事業の入札の不調ということがよく見られますが、その原因として、建築資材の高騰とともに、建設労務者の人件費の高騰ということがよく挙げられます。
私も、全ての建設労務者に話を聞くことができるわけではないんですが、それほど大幅に上がったという話を聞くことはありません。実際に賃金が上がっているのでしょうか。積算上、単価が上昇していても、実際の賃金に反映されないのは問題でもあり、そのようにならないのであれば、公契約条例のような仕組みが必要になるのではないでしょうか。
既に多くの自治体で公契約条例を導入していますが、そういう自治体では、労働者側からの求めだけではなくて、低賃金労働を強いて新規参入を図ろうとする企業に対応するため、事業者の側からも求めがあると聞きました。こうした状況にどのように対応するのか、都の見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 個々の労働者の賃金は把握してございませんが、都の公共工事設計労務単価は、平成二十四年度比で約二七%引き上げたところでございまして、本年二月の公共工事設計労務単価の引き上げに際しましては、元請に対して技能労働者への賃金水準の引き上げを適切に含んだ額で下請契約するよう要請しております。
また、本年六月にも、建設業団体に対しまして、下請契約の適正化の観点から、適正な水準の賃金等に加え、法定福利費や一般管理費等の必要な諸経費を適切に考慮するよう周知徹底を要請しているところでございます。
公契約条例に関していえば、そもそも、我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において、対等な労使間の交渉で自主的に決定されるものでございます。都の契約制度もそれに立脚しておりまして、これまでも、我が国の法制度に従い、契約に当たり、受注者に対して契約約款により法令遵守を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってまいりました。
都においては、公契約条例について、労働法制との整合性や入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保など、整理すべき課題があると認識しておりまして、公契約条例を制定する考えはございません。
○中村委員 また昨今では、社会保険未加入の事業者もあるということです。また、そういう厳しい経営環境にあるとは思いますけれども、それでも真面目に加入を行っている事業者もあるだけに、そういう未加入の事業者が都の発注工事の下請や孫請になるという状況には問題があると思います。
適正な労働環境の整備が必要であると考えますが、見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 都では、二年後の資格審査時を目途に、法令遵守や公平性の観点から、社会保険等の加入を必須条件とする方向で、現在具体的な対応を検討中でございます。
今後、受注者に対しまして、各局各事業所の契約窓口において、保険加入が事業者の責務であることの周知や、下請事業者に対する保険加入への指導などについて啓発案内を実施してまいります。
○中村委員 また、昨今では、ワークライフバランスでの取り組みや地域への貢献など、さまざまな指標を盛り込んだ総合評価方式も進められています。さまざま、いろんな企業が取り組むことの中で、そういったことの評価というのも、当然必要なことになってくると思いますので、より積極的な展開が求められます。最後に、この見解を伺いたいというふうに思います。
○松永契約調整担当部長 公共調達の分野において、総合評価を活用して、このような事業者の取り組み実績などを評価していくことは、政策目的を実現していく上で有効な手段の一つであると考えております。
例えば、理事からお話のあった地域への貢献ということでいえば、工事の総合評価において、企業の社会性、信頼性を評価する項目といたしまして、地域における工事実績、地元との災害協定の締結実績、緊急施工工事の実績などを設定することで、地域への貢献度というものを評価する取り組みを都としても実施しております。
今後とも、総合評価方式の効果を活用できるよう、その拡大を積極的に図ってまいります。
○西崎委員 私からも、都の入札契約制度について何点かお伺いしたいと思います。
これまでも各委員から、総合評価制度についてお話がございまして、ちょっと重なる部分があるかと思いますが、質問がなくなってしまうので、ご容赦いただきたいと思います。
昨年の事務事業質疑におきまして、私、公共調達を通じまして、さまざまな政策を実現していく手法に取り組む観点から、入札契約制度に関して質疑を行いました。それから一年経過いたしまして、都の入札契約制度を取り巻く状況は大きく変化しつつあると考えております。とりわけ、発注者が公共調達を通じまして政策を実現するという考え方が、今お話もありましたように、障害者雇用や女性の活躍推進などの分野で、国の法整備、国の政策展開もありまして、従来にも増して注目されていると思います。
今回、第三回定例会の一般質問で山内議員からも質問をいたしましたけれども、私ども生活者ネットワークが、特に重視しています業務委託契約における政策実現のための取り組みについてお伺いさせていただきたいと思います。
国や自治体の政策を踏まえて積極的な取り組みを行っている企業に、入札時にインセンティブを与える手法として、総合評価制度を活用する発注者がふえてきておりますけれども、都も、環境配慮、障害者雇用の分野での例があると伺っております。
発注者が総合評価におきまして、政策的な評価項目を設定する意義について、まず、お聞かせください。
○松永契約調整担当部長 公共調達の目的を実現していく過程において、環境や福祉などの政策目的に対して、入札契約制度を活用して支援していくことは有効な手段の一つであると考えております。
このような考え方に立って、都では、総合評価において、事業者の社会性という観点から、その取り組み状況について評価項目を設定し、法的、社会的要請を満たしている事業者を評価、加点しております。こうした取り組みを通じまして、事業者の自主的な取り組みを促進していくことは、広く都の公共調達における品質の確保にもつながるものと考えております。
○西崎委員 総合評価は、価格以外の要素も評価する制度でありまして、技術面だけではなくて、企業としての社会的責任をどう果たしていくかという側面も評価の対象にするということであります。いいかえれば、成果を得るまでのプロセスについても、企業の取り組みを政策的に評価するということでありまして、施策を推進するためにも、さらに検討を進めていくべきだと思います。
一方で、発注者が、政策目的を評価項目として設定する場合、事業者の経済行動を制約し、受注機会の確保に影響を及ぼす可能性もあります。制度の信頼性を確保するためには、こうした懸念を払拭していく必要があると思います。
そこで、総合評価で政策的な評価項目を設定する際の留意点について所見をお聞かせください。
○松永契約調整担当部長 公共調達は、納税者の負担で行われるため、透明性、競争性、品質の確保の観点から、納税者の理解を得られることが重要であると考えております。
こうした点を踏まえると、まず、政策的な評価の前提となる実現すべき政策目的自体が、立法措置などにより、納税者、国民の合意を基礎に置くべきことが求められます。
また、評価項目に関しましては、発注者の恣意的な運用が排除されるよう、評価基準の客観性、透明性を確保するとともに、競争性の点でも入札に参加する事業者の事務負担を軽減し、評価手続に必要以上の煩雑さを避ける内容とすることも求められております。
○西崎委員 政策的な評価を実施する前提条件として、都民から信頼される入札契約制度の構築が何よりも重要であるということで、制度所管局である財務局で多角的にしっかり制度設計を検討することが大事だと思います。
こうした検討を行った上で、総合評価の積極的な活用を進めていくべきですが、昨年の質疑の中で、工事の総合評価では、環境や障害者雇用への配慮、仕事と家庭の両立支援--ワークライフバランスですね、について、既に企業の取り組みを評価しているとの答弁がございました。
総合評価の政策的な評価について、建物維持管理などの業務委託契約の分野で、都は具体的にどのような取り組みを行っているのか伺います。
○松永契約調整担当部長 都においては、平成二十六年度から、契約事務担当者向けに、新たに委託契約の総合評価の手引を作成し、落札者決定基準における評価項目を例示しております。この中で、障害者雇用率の達成状況や環境マネジメントシステムの認証取得状況など、法的、社会的要請を満たしているかどうかを評価し、加点の対象としております。
また、これら以外にも、各局の施策を普及促進していくという観点から、各局が実施する総合評価方式において、評価項目を独自に設定することも可能としております。
○西崎委員 各局の施策を普及促進していくために、局ごとの実情に応じた取り組みが可能ということですけれども、これは大変意義のあることだと思います。先ほどの留意点も踏まえて、今後、各局に積極的に活用してもらうことを期待したいと思います。また、財務局の各局への一層の支援をさらに進めていっていただきたいと思います。
そこで、業務委託の入札において、政策目的の実現に向けて、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 環境や福祉、また女性の活躍推進など、公共調達の分野でも実施可能な制度構築や効果的な運用を通じて、事業者の自主的な取り組みを後押ししていくということは重要であると考えております。
このため、都の全体方針に基づき、各局の取り組みと連携しながら、発注者として、透明性、競争性、品質の確保を基本とし、総合評価の仕組みの一層の充実に向けて検討してまいります。
また、各局における総合評価制度の積極的な活用とその定着に向けて、契約担当者への説明会などを開催し、周知を図ってまいります。
○西崎委員 何点か入札契約制度についてお伺いさせていただきました。入札に関しては、透明性、競争性、品質の確保は最重要だと思いますけれども、初めの答弁にもございましたように、技術面だけではなくて、企業としての社会的責任をどう果たしていくのかといった側面も、これからは大いに求められる部分ではないかと思います。
今後も、総合評価の仕組みの一層の充実に向けて取り組むよう要望いたしまして、質問を終わります。
○大津委員 都民生活の質の向上のために、公共調達や補助金などの財政の力、このハンドルを握ることにより、都の重点政策の実効性を高めることができます。そうした中で、私は、公共工事の方の入札制度について伺います。
入札制度における技術力評価型などの総合評価方式の意義及び政策目的を実現するための評価項目を導入した経緯についても伺います。
○松永契約調整担当部長 公共工事の入札における総合評価方式については、価格と価格以外の要素を総合的に評価し、最も高い者と契約をすることで、公共工事の品質を確保していくという意義がございます。
価格以外の評価要素といたしまして、構築物そのものの品質にかかわる企業の施工能力等の評価と、都の政策目的の実現にかかわる企業の信頼性や社会性の評価とがございます。企業の信頼性や社会性を評価項目にしていくに当たりましては、平成二十一年度に策定した公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針において、政策目的の実現のための手法として、新たに評価項目を盛り込むこととし、これを具体化するために、二十三年に、事業所管局と客観的な評価が可能な評価指標などについて協議、調整し、環境への配慮、障害者雇用への配慮、仕事と家庭の両立支援への配慮について、評価項目として設定いたしました。
○大津委員 それでは、続いて入札と女性の活躍のハンドルのさじかげんについて、もう少し強めてほしいな、いや、強めていただきたいと思い、伺います。
ことしの秋に、知事が、女性が輝くまち・東京シンポジウムの場で、二〇二〇年、オリンピックの開催される年ですけれども、都庁の課長級以上の管理職に占める女性の割合を二〇%くらいにしたいと発言しました。
また、ことしの一定では、警視総監が、女性の視点を一層反映した警察運営を推進、女性の採用拡大に向けた情報発信活動の強化、各警察署の女性捜査員を対象とした犯罪被害者支援女性警察官専科の新設、そして、性別を問わない能力に応じた積極的な人材登用や被害者支援体制の充実などに努めるとともに、関係する施設整備も推進してまいりますという発言をされました。
一方、東京都の防災対策等の最高決定機関であります防災会議のメンバーは、以前は、全員男性ばかり、約六十五名でしたけれども、本会議やさまざまな場で質問し、また、ほかの女性議員も質問し、二年たち、ようやく六十五名中女性を二人入れてもらうことができました。被災は、男女半々が受けるもので、防災計画から復興においても、やはり男女がともに尊厳、知恵を出し合うべき社会をつくらなくてはなりません。
一方、国全体で見ますと、民間においては、部長級管理職に女性が占める割合は、平成二十六年版厚生労働白書によりますと、昨年、平成二十五年度で、前年より〇・二%上がって五・一%と上がりましたものの、まだまだ、決定をする立場における女性の割合が少のうございます。
そこで、伺いたいのは、女性の活躍推進についての評価項目は、都の採点上ですと、どの分野の評価として区分されているのか伺います。
○松永契約調整担当部長 女性の活躍推進に関連する事業者の取り組みは、現在、総合評価の技術点のうち、企業の信頼性、社会性の分野で仕事と家庭の両立の実績のある企業に対して評価を行っております。技術力評価型総合評価方式では、環境への配慮、障害者雇用への配慮、仕事と家庭の両立支援の三つの評価項目のうち、いずれかで実績があった場合に、五十点中一点を配点しております。
○大津委員 公共工事の入札の評価点、五十点満点加算ですけれども、その内訳には、ISOの取得ですとかさまざまな要素が入っています。
わかりにくいのは、一点加算されると、どのように入札の価格に反映されるのかであり、ちょっとわからないので、担当者に調べてもらいました。例えば、予定価格五億円の工事の場合、この一点の差、つまり一点分は約〇・七五%に相当する計算式があるとのことで、五億円の工事に入札する場合、一ポイント、一点もらえると三百七十五万円に相当するということがわかりました。これは非常に大きな得点だと考えています。
そうした意味で、この政策目的を実現するための評価項目を導入された結果、どのような実績があったのかお伺いします。
○松永契約調整担当部長 平成二十五年度に総合評価方式を適用した工事案件、二百二十三件のうち三十九件で、結果として、環境への配慮、障害者雇用への配慮、仕事と家庭の両立支援に関する評価項目において加点された事業者が工事を受注しております。三十九件の内訳は、環境への配慮が一件、障害者雇用への配慮が三十八件となり、三つの評価項目のうち、障害者雇用への配慮実績のある事業者が大多数でございました。
○大津委員 二百二十三件のうち三十九件というのは、高い割合だと考えられます。実際の仕事と家庭の両立支援という意味で、産労の表彰を受けた企業ということで該当しますが、このワークライフバランスの取り組みの表彰式に私も出席しました。地道にいろいろな努力を各企業がされていまして、この中では、誕生日休暇だとか、結婚日休暇だとか、さまざまなわかりやすいワークライフバランスの制度を取り入れている企業等も表彰されてきました。
今後の課題としては、女性の登用や、その決定権にある立場の割合ですとか、そうした要素をもう少し環境整備を強化してもいいのではないかと考えています。
そんなとき、折しも、国が今月、女性活躍法案ともいわれていますけれども、社会参加を応援するために、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律を閣議決定されました。これは画期的なことであります。
内容的には、女性の採用や昇進の機会の積極的な提供、その活用、そして、仕事と生活の両立、ワークライフバランス、本人の意思を尊重という内容のもので、これは、臨時国会の十一月末までに通すという予定のようで、これが施行されれば、平成二十八年の四月から実行されると聞いております。
これが平成二十八年から実行されることにより、各民間事業主は、女性の採用の比率や、勤続年数の男女差や労働時間等の状況、そして、女性管理職比率などに対して、さまざまな計画を自主的に立て、努力義務の上で実行していくことが実現することになります。
その上で国は、平成二十八年から達成度などに応じて、すぐれた取り組みを行った一般企業、事業主の認定を行っていき、その結果として、入札においても優遇策をとってくれるということになっています。役務、物件の調達に対し、受注機会をふやすという内容でありました。
また一方、最近、外国人労働力が非常に話題になっております。そうした中で、一方、外国人の犯罪増加も件数的には増加傾向にある中、その理由は、やはり背景に文化の違いが挙げられます。例えば、置き引きについても、人の物をとってはいけないという日本の文化、しかし、外国人にしてみれば、手放す、勝手にそこに置いておく方が悪いんだ、その文化の違いから、さまざま融和をしていく努力も重要かと思っています。
そういう中で、急激な外国人労働人口というよりも、徐々に融和しながらのことが重要で、そういう中では、やはり女性の労働力というのは、今後、超少子高齢化社会への人口変化の中で、減っていく生産者人口を充実するという意味では、非常に重要な存在です。M字カーブというのも有名でありますが、大体、二十五歳から三十九歳までの女性がM字カーブのMの底辺の人口の状態になります。つまり、結婚や出産、特に出産で第一子出産のときには、約六割がやめている状況です。
そういう中で、また働きたい、時間とも相談しながら働きたい、そうした要望を満たしていくことで、さらに潤いのある社会になってくると思います。
国の先ほどの法案の状況もありますが、東京都は、既に、国に先んじて独自に平成二十一年から取り組みをしてきました。平成二十三年の大震災の後の六月にそれを実行し、こうした評価を取り入れてきました。
こうした社会状況の変化を踏まえて、評価項目や配点など、さらに充実して組み込んでいくために、オール都庁として、工夫を、実行していくべきではないかと思います。また、女性の活躍推進に向けて、企業の意識を変えていくために、入札を通じた都独自の取り組みを行うべきと考えますが、所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 政策目的を実現する評価項目を設定して、事業者へインセンティブを与えることは、都の政策実現への明確な方針として伝わり、事業者側の行動を変えるきっかけにもなると考えております。
第三回定例会で表明した都の全体方針に基づき、各局の取り組みと連携しながら、女性の活躍を促す仕組みの一層の充実に向けて検討を進めるという都の取り組みの方向性に沿いまして、現在、実務上のさまざまな課題、例えば、総合評価度、価格点と技術点の割合を初め、評価項目とその基準、配点の配分などについて整理しているところでございます。
今後とも、発注者として、透明性、競争性、品質の確保を基本としつつ、総合評価の仕組みの一層の充実に向けて検討してまいります。
○大津委員 私自身も、二十年間会社員をしておりました。やはり企業におりますと、受注ありきで、利益追求はもちろん一番の直近の課題となっており、そういった意味では、ワークライフバランスだとか、女性の社会進出だとか、さまざまな福祉や環境面も後手後手に回りがちであります。
そういう中で、自己改革といいますか、社内におきましては、特に、一部署ですとか組織の中においては、なかなか自浄作用が働きにくいという、それは業界のどこの組織の中も同じだと思いますが、自己改革、自浄作用が非常に働きづらくなってきます。
そういった意味で、何かしらのいい意味での外圧というのは非常に重要で、その機会としましては、こうした公金による発注をする際に当たり、改めて、働きながら人生を生きる中でも、何が大切かを気づかせてくれることも重要であったと思っています。
特に、高度経済成長期とともに、日本は、働き蜂といいますか、社畜とも呼ばれた時代もありましたし、妻の出産には立ち会わないのが男の働く美徳ぐらいなこともいわれた時代に私はずっと働いてもおりましたし、働き過ぎたことに対して、自分自身の人生のバランスを相当失ってきたことに大変後悔もしております。
そこで、最後に局長にお伺いしたいのですが、入札契約制度の活用によりまして、政策をより一層推進していくことについて、局長の展望を伺います。
○中井財務局長 事業者の社会的責任を重視している状況の中にあって、環境や福祉、女性の活躍推進、また防災や災害時における復旧対応など、さまざまな政策目的の実現に向けて、入札契約制度を活用する考え方が、従来にも増して高まっている、そのように認識してございます。
また、政策目標に対する事業者の取り組みを納税者の負担で行われる公共事業の受注者の選定要素として評価の一部に加えることは、社会的責任を果たす優良な事業者の育成にもつながると考えております。
こうしたことから、入札契約制度を通じて、事業者の自発的な取り組みを促していくことは、都の施策を推進する手段の一つとして重要であると考えます。
今後とも、契約制度を所管する財務局として、契約本来の目的を踏まえつつ、政策目的の実現のため、社会的ニーズや事業所管局の課題を的確に捉えながら、入札契約制度の一層の充実に向けて取り組んでまいります。
○木村委員 私からは、土地収用について幾つかお伺いをいたします。
私の地元は小金井市なのですが、かつてはJR中央線が市の南北を分断していました。その中央線の踏切が、あかずの踏切として大変有名でした。現在は、武蔵小金井駅を初め、周辺の整備もかなりの部分が完了し、踏切部分は全て廃止されています。小金井街道は、まだ一部が事業中ですが、こうした都道などを通じて、南北を行き交う人の流れや車の往来がスムーズになり、まち全体の活性化が図られています。
しかし、南北道路を東西方向で結ぶ幹線道路の整備が進んでいないため、地域生活に支障を来しています。日常的な交通渋滞の発生、歩行者の安全な通行の妨げ、災害時の延焼遮断体としての機能が果たせないことなど、多くの問題を抱えています。
このような状況のもと、小金井市が、東西方向の幹線道路である都道一三四号線、通称連雀通りの一部拡幅事業を推進するに当たって、ことし二月に都から土地収用にかかわる事業認定がおりました。
そこで、そもそも土地収用制度とは何か、その土地収用制度全体の中で、財務局がどういう部分を役割として担っているのかお伺いします。
○菊地利活用調整担当部長 土地収用制度は、憲法二十九条の私有財産は正当な補償のもとに、公共のためにこれを用いることができるとの規定に基づき、公共の福祉と私有財産権を調整するための制度でございます。
収用手続は、大きく事業認定、裁決、代執行の三つの手続に分かれております。まず、事業認定は、東京都などの事業認定庁が、当該事業の公益性を認定する手続であります。
次に、収用委員会において、収用する土地の区画や補償金額等を確定する裁決を行います。
しかし、裁決後も、土地等の関係者が期限までに土地の引き渡しを行わず、事業者から代執行請求があった場合には、最終的に、東京都が代執行を行うことになります。
財務局では、これらの三つの手続のうち、事業認定及び代執行の二つを所管しております。
○木村委員 一般的に聞くと強権的なイメージがあったと思います。説明を聞いて、いきなり代執行が行われるのではなく、その前段で慎重な手続があることがわかりました。
それでは、収用手続の最初に当たる事業認定は、具体的にどのように行われているのか。また、都が行う事業認定の対象や過去十年間の実績もあわせて教えてください。
○菊地利活用調整担当部長 事業認定は、当該事業が土地収用法に列記されている道路事業などの収用適格事業に該当するのか、さらに、事業の公益性や土地の適正かつ合理的な利用であるのかなどを審査し、認定するものであります。
都が行います事業認定の対象は、区市町村の事業や都域を超えない民間事業であり、過去十年間で七件となっており、うち六件は、区市が行う道路整備事業であります。
○木村委員 ありがとうございます。意外と少なく感じますが、その理由を教えてください。
○菊地利活用調整担当部長 まちづくりなど、公共の利益となる事業のために土地等が必要な場合には、任意の交渉による売買契約で取得するのが原則であり、土地収用法における事業認定の申請を行うか否かは、事業者の判断に任されております。
また、これまでも区市等から事業認定に関し、事前にさまざまな相談を受けておりますが、検討していく過程で、地元住民との話し合いを優先するという判断などにより、実際の申請に至っていないケースもございます。
○木村委員 事業認定の件数が少ない理由は理解いたしました。また、いろいろな相談を受けていることもわかりました。事業認定に至る場合、相談で終わる場合、いずれであっても、区市町村は、収用手続に関する経験がほとんどないので、当然、所管である財務局に頼らざるを得ないと思います。
財務局は、事業認定庁で厳格に審査、認定をしなければならない立場でありますが、区市町村の立場も十分に理解し、事業認定に関する相談や申請事務が円滑に進むよう、区市町村を支援すべきだと考えますが、見解を伺います。
○菊地利活用調整担当部長 区市町村への支援としましては、これまでも、事業認定の手引を作成し、都のホームページに掲載するとともに、区市町村職員などを対象とした収用委員会事務局が開きます収用制度活用講座の場を利用しまして、事業認定手続の説明をしてまいりました。
また、各区市町村から個別相談を受けた場合には、現地調査を行い、その特性に応じ、申請の準備に必要な助言をしております。ご指摘のとおり、計画的に公共事業を推進する上で相談しやすい環境づくりや、申請事務の円滑化は重要でございます。
今後とも、具体的事例を盛り込む手引の改善や、さまざまな機会を捉えた情報提供などの工夫を重ね、区市町村への支援をしてまいります。
○木村委員 非常に心強い答弁であったと思います。
私は、今後、土地収用制度の重要性が増してくると思っています。やはり東京を世界で一番の都市にするためには、首都直下型大地震に備え、防災対策が喫緊の課題であり、そのためにも、木造密集地域の解消、救急車両の円滑な通行のための道路拡幅などの事業のスピードアップが必要です。また、人と物の流れを盛んにするため、道路ネットワークの整備も進めなければなりません。
このような公共事業を推進する上でも、もちろん、地元への丁寧な説明は必要であり、住民の合意を得て進めていくべきだと私は考えています。とはいえ、一部の土地が取得できないために必要な公共事業が進められず、防災対策や交通渋滞などの緩和などの問題が未解決のまま放置されるという事態は避けなければならないと思います。
私は、計画的に事業を遂行するためには、任意買収が困難な案件について、事業認定から代執行に至る土地収用制度の活用が、時には必要だと考えています。財務局には、土地収用が、土地所有者などの生活に与える多大な影響を十分認識した上で、公共の利益のために事業が円滑に推進できるよう適切に対応することを要望して、質問を終わります。
○曽根委員 きょうは、いい意味で、いろいろ質問項目ダブっていますけれども、なるべく簡潔に、ダブりを避けて質問していきたいと思います。
最初に、前回、第三回定例議会の際、私、年次財務報告書に掲載された社会資本及び社会保障予算の第三者推計についてお聞きしました。今回は、オリンピック・パラリンピック開催の二〇二〇年までに、実際の社会資本整備はどうなるのかということについて、少し具体的にお聞きしたいと思います。
現在までに、計画されたり進行している社会資本整備の大きな事業を見ますと、例えば、幹線道路では、首都高速中央環状線や圏央道の都内部分などは、大方収束段階を迎えていますが、環状二号線や東京港トンネルなどは、まだかなりの残事業があり、さらにオリンピック開催年度までに完成を目指すという外環道、それから臨海道路南北線、特定整備路線などは本格的にはこれからということで、かなりの事業費を費やす事業となります。道路以外にも、都の国際競争力強化のためということで、外貿コンテナふ頭やクルーズ客船のふ頭などが計画されてきております。
一方で、避けて通れないオリンピック競技施設の整備、防災のための水門及び堤防等の耐震耐水対策、集中豪雨対策の地下調節池など、それからまた、都有建築物の維持更新などでも、毎年かなりの規模の都負担が生じます。
そこで、財務局は、これらの大規模な事業について、長期ビジョンの前提となるそれぞれの事業規模、それから、かなり長期にわたる事業となるため、年度ごとの都のかかる負担などについて、かなりきちんとした見通しを持っているべきだと考えますけれども、そういうものを持っているかどうか、いかがでしょうか。
○潮田主計部長 年末に公表されます長期ビジョンの最終報告では、政策の実現に向けて、具体的な政策展開と三カ年の実施計画を策定することとしております。この実施計画では、長期ビジョンで掲げる政策の着実な実現に向け、今後三年間で実施する事業内容と必要な事業費を都として明らかにすることとしてございます。
○曽根委員 年末公表の長期ビジョン、通例ですと三年間の重点事業が、これにあわせて、財政負担も含めて出てきます。ただ、今回の場合、六年後の二〇二〇年までに、かなりの大型事業を完成もしくは半分以上進捗させるという計画がめじろ押しになっており、二〇二〇年までの少なくともあと六年間の財政計画については、どういう形かは別にしても、投資的経費を含め、どのように推移していくのかの見通しは必要だというふうに考えますので、これについては強く要望しておきたいと思います。
今年度の投資的経費を見ますと、常にこの数年ずっと増加してきて、久しぶりに九千億円を超えているわけです。かつて、我が党は、投資的経費全体で一兆円を超える規模になっているという問題について、必要な抑制が欠かせないんだということはいったことがあります。
今、私が先ほど挙げた事業を計画どおり事業化した場合、明らかに一兆円を超えて投資的経費が膨らんでいくことは確実と考えますが、どうか。また、これに対して、ことしの予算の概要を見ますと、かなり肯定的に、東京のいわば潜在需要の発揮になるんだというような評価がされていますが、単純に肯定的な評価だけでは済まない問題が出てくるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○潮田主計部長 社会資本ストックの維持更新など、今後、社会資本整備に係る需要は増大することが見込まれております。そうした中にありましても、長期ビジョン等に掲げられます社会資本整備につきましては、都民の利便性の向上や安全の確保など、都民の暮らしに大きく寄与するものでございまして、活力ある東京を次世代に引き継ぐ上でも重要な事業であると認識しております。
今後とも、限りある財源を重点的、効率的に配分しながら、必要な社会資本の整備について、適切かつ着実に推進してまいります。
○曽根委員 基本的には、限られた財源を必要な分野に適切に配分するというのは、それはそのとおりなんですけれども、私どもの会派で、極めて大まかですけれども、今まで公表された事業費などをもとに試算をしてみますと、例えば、外環道や、それから東京港トンネルなどの港湾の方の道路、また外貿コンテナふ頭、臨海道路の南北線--港湾の道路ですね、それに加えて、都市計画道路の中の特定整備路線、あと六年で完成というものも含めると、毎年、大体少なくとも都負担だけでも一千億円を超える規模の予算が必要になってくる。
加えて水害対策、災害対策などでの地下調節池、それからオリンピック施設建設、これは、かなり今流動的ですけれども、場合によっては四千億円規模の施設建設費が国の補助が余り得られないとなると、これまた、毎年一千億円かそれに近い規模の都負担が生じかねない。
維持更新経費ももちろん今見直し中ですけれども出てくるということでいうと、これまでの二倍とはいいませんけれども、かなりの、財政的にも上回る投資的経費の膨張があり得るわけですよね。
こうなるとやっぱり、全体の抑制をかけていかざるを得ないんじゃないかということで、特に私たちは、新たな投資分野、特に、国際競争力のためということでの施設や、それから延焼遮断帯だということで、かなり反対の世論の強い都市計画道路などについては、全部とはいいませんが、その中のかなりの部分については、抑制もしくは見直しをしていかざるを得ないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○潮田主計部長 国際競争力というお話がございましたけれども、道路の渋滞の解消や港湾機能のより一層の強化といった東京が抱えます大きな課題への取り組みは、都民の利便性や、先ほども申しましたが、都民生活を支える物流機能の向上につながるだけでなく、東京の潜在力を引き出して、国際競争力を高め、東京ひいては日本全体の活力を維持する上で必要不可欠な取り組みでございまして、着実に進めていくべきものでございます。
また、首都東京の防災力の強化も重要な課題でございまして、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化など、災害に強い都市づくりを着実に推進していく必要があると考えております。
○曽根委員 一つ一つの問題について、一々反論する時間はないんですけれども、ただ、先ほど主計部長おっしゃったように、財源には限りがあるわけです。知事のお言葉もかりれば、金は天から降ってこないということでありまして、もちろん、ハードの分野、都債発行という道もあるんですが、これにも、かつて痛い目に遭った経験も東京都は持っております。
したがって、私たちは一千二百万都民と、またその中で、都内で活動する圧倒的多数の中小企業などにとって、今一番必要なものは何かという立場から物を見ていく必要があろうかと思っておりまして、人口がだんだん減っていかざるを得ない、しばらく、当面の間は人口減少が続くもとでも、どうしても必要な事業ということでの厳選な取捨選択が必要になるということは申し上げておきたい。
それで、例えば、オリンピック施設ももちろん当然必要なんですが、この間、私たちも提案して、カヌー競技場を初めとして、幾つか適切な見直しが行われました。他県施設も借りられるものは借りようとかという見直しも行われてきました。
ただ、この中にも、今、基本設計に入ろうとしているボート競技場を初めとする三つの施設など、まだ時間があれば見直しをかけた方がいいんじゃないかと思われる競技場施設もあるわけなんです。
例えば、中央防波堤の東西水路を閉め切ってボート競技をやるという計画で今進みつつありますが、私もよく現場、あそこに行っているんですけど、幅二百メートルの水路を東西で閉め切るための防波堤と水門をつくる、深さは恐らく十数メートルあるわけで、災害にも、ちゃんと丈夫なそれをつくるとなると莫大な費用は間違いなくかかりますし、しかも、あの辺では唯一の東西水路なんですよね。海流の流れなどを防ぐ問題は起きないのかなど、自然環境にも配慮が必要です。
こういう点では、例えば、ほかの自治体で、ボート競技場に手を挙げているところもあるなどについての考慮は、今からでも遅くはないんじゃないかなど、やっぱり必要な見直しをかけていく必要があると思うんです。
そこで、先ほどもお話出ましたが、景気動向に左右される都財政の特徴とか、また、人口減少などに対応するために、適切な投資的経費の圧縮ということを一つ課題として見ていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○潮田主計部長 るるオリンピック施設のお話もございましたけれども、ご指摘をまつまでもなく、既に多くの新聞報道等にもございますように、現在オリンピック施設につきましては、見直しの作業を行っているというふうに承知しております。
東京都としましては、これまでも、先ほど、投資的経費あるいはそのほかの経費についての圧縮、抑制というご指摘ございましたけれども、私どもの方では事業評価などを通じまして、無駄をなくすという視点に立って、歳出の精査を徹底し、社会経済情勢の変化に柔軟に対応しつつ、福祉や医療、防災対策、雇用、中小企業対策はもとより、外環道の整備を初めとする都市機能の充実など、必要な施策に的確に財源を振り向け、都民生活の向上に努めてまいりました。
引き続き、財政の健全性に十分留意しながら、幅広い都政の課題にしっかりと取り組んでまいります。
○曽根委員 最後におっしゃった財政の健全性をしっかり保ちながらというところについては、今後、具体的に、さらに突っ込んだ議論をしていきたいと思いますので、次のテーマにいきたいと思います。
資料もいただきましたので、都の清掃事業について、何点か質問しておきたいと思うんです。
都庁舎についての清掃事業のこの間の入札状況の資料をいただきました。私、前にも、都庁舎、この議事堂も含めての清掃事業の委託費が、ひところから比べて三分の一か四分の一まで減ってしまったということについて質問したことがあります。
清掃事業というのは、契約金額の七割から八割が人件費というのが一般的ですから、受注金額の低下というのは労働条件に影響せざるを得ません。また競争で、毎年仕事をとれるかどうか決まらないために、それまで正規で従業員を抱えていた事業者は撤退して、その後は、パート労働が基本になってきております。議事堂も庁舎も大規模改修の今さなかにありまして、清掃作業やその委託もなかなか複雑な条件になっていると思います。
そこで、最近の動きについて幾つか聞きたいんですけれども、資料によると、庁舎の清掃事業については、単年度契約の場合と長期の契約の場合とが混在しているように見えますが、これはどういうことからでしょうか。
○井上庁舎運営担当部長 複数年をまとめて契約するいわゆる長期継続契約は、同じ仕様内容及びそれに基づく同じ金額で、複数年度にわたり契約する仕組みでございます。
都庁舎におきましては、第一本庁舎で平成二十一年度から二十三年度までの三年間、また、第二本庁舎で平成二十三年度から二十四年度までの二年間にわたる清掃業務を長期継続契約として施行したものでございます。
しかしながら、設備改修工事が本格的に実施されることに伴いまして、清掃面積等が変わり、仕様内容に変更が生じることから、その後は実施しておりません。
○曽根委員 今、複数年度の長期契約を施行したというお話ですが、実際にはこの経過から、単年度と複数年の契約方式を比較検討できる材料が得られたのかどうかをお聞きします。
○井上庁舎運営担当部長 一般的に、長期継続契約は、単年度契約に比較いたしまして、年度の切りかえ時の委託レベルの低下を防ぎ、安定した品質確保を図れるという利点がある一方、例えば、マンネリ化により履行不良が発生するリスクも存在するといわれております。
都庁舎におきましては、長期継続契約を施行した結果、所期の目標を達成したと考えておりますが、件数も少ないことから、長期継続契約の優位性等を結論づけるには至っておりません。
○曽根委員 長期継続契約の場合、安定した品質確保が図れるというメリットがあるんじゃないかと。しかし、まだ結論づけていないということですが、品質確保という点では、先ほど来話が出ている総合評価制度もあるわけです。都立病院などは、この間、清掃業務委託で総合評価方式を採用してきておりますが、他の都の施設では、大体競争入札を基本としているのはどうしてでしょうか。
○松永契約調整担当部長 総合評価については、平成二十一年度以降、病院の建物維持管理業務について、品質の確保の観点から順次導入を進めてまいりました。今年度も、都民の安心・安全の観点から、質の高い履行が求められる重要な施設における業務委託等を対象に実施しております。
今後は、清掃業務も含め、幅広い業務で総合評価方式を活用し、業務委託の品質確保を通じまして、都民サービスの向上を図ってまいります。
○曽根委員 清掃の品質確保という観点から、重要な施設から総合評価を取り入れているということは一定の前進だと思います。同時に、病院は確かに、安心・安全という点では最も清掃のレベルが問われる施設の一つだと思いますが、都庁舎はそうでもないということではなくなってきていると思うんですね。
そういう意味では、私たちは、清掃業務の品質を確保することとあわせて、同時にそれを保証するためにも、清掃作業員の労働環境も安定的に確保され、安心して働ける条件を委託契約の上でも誘導できるような入札制度へと改善するように求めてきたわけです。
契約が競争入札のままということになりますと、どうしても受注業者の従業員に対する雇用条件は配慮されませんので、例えば、事実上の労働基準法違反などが行われていても、発注者側からはなかなかチェックできないという状況になっているんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松永契約調整担当部長 我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において対等な労使間での交渉により自主的に決定されるものです。
都の契約制度もそれに立脚しており、これまでも我が国の法制度に従い、契約に当たり、受注者に対しまして契約約款により労働基準法などの法令の遵守を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってまいりました。
これらのことを前提に、総合評価の仕組みを活用して、作業員配置体制や研修計画など事業者の提案内容を評価することで、引き続き適正な履行体制の確保を図ってまいります。
○曽根委員 今お答えの中で、総合評価方式の活用で、例えば、作業員の配置などをそれぞれ提案させて、無理のないというか、きめ細かいいろんなチェックができる、これだったらば、この体制ならば、清掃作業はきちんと行われるだろうというふうな、品質確保の上での条件を評価できるということだと思うんですが、これはこれで非常に重要な点だと思います。
同時にそのことは、働いている側から見ても、安心して、安定的に仕事ができるということにもつながるわけですので、私たちがずっと求めてきている労働環境をきちんと保障してこそ清掃のレベルも上がっていくよということに、だんだん近づいてきているということはいえると思うんです。
先ほどは、社会保険加入も契約の条件にするというのがありました。現実には、都庁の清掃業者の多くが、パート労働者を社会保険に加入させていないという現実がありますので、この点でも改善がされていく可能性があると思います。
また、最低賃金を守るのはもちろんですが、最近は最低賃金は毎年、十数円もしくは数十円単位で上がっていくということになってきていますので、私の地元北区で一回起こったんですが、契約年度途中に最低賃金が上がったために、契約業者が賃金を維持できなくなって自主倒産するみたいなことが起こったことがありますので、最低賃金ぎりぎりで雇用している業者が契約で入札すると、そういった危険も伴うということになりかねません。
都立の病院の中で恐らく唯一でしょうが、競争入札をやっている墨東病院では、その前の年に比べて半額ぐらいの低入札で業者が落札して、年度途中で案の定、もう雇用が維持できなくなってきつつあるというような問題も、労働者の側から告発が起きているわけです。
こういう問題を解決していく上で、私は、総合評価制度も大きな前進ですけれども、例えば、川崎市で行っている清掃業務について、公契約制度の対象にしているという経験が既に三年目に入っておりまして、これによって何が違うかというと、例えば、作業員は少なくとも、最低賃金を一定程度上回る市が定めた賃金が保障されること、また、労働関係法が守られていることを各現場の段階からチェックされる、これに違反していれば、当然ながら市の方にチェックがいく仕組みになっている、日常的に、労働関係法の遵守が保障されるという仕組みなど、これによって全体に業務のレベルも向上して利用する市民からも、もちろん働いている労働者からも歓迎されているというふうに聞いています。
こうした先行事例を参考にしながら、都庁舎の清掃事業についても、公契約制度を含め、さらなる改善を進めていくように求めまして、私の質問を終わります。
○桜井委員 それでは、最後の質問者ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
私の方からは、先般の財政委員会における質疑の中でも取り上げられましたが、地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張に関して、幾つか質問させていただきます。
地方法人課税をめぐる諸問題に関しましては、第三回定例会において、不合理な偏在是正措置の撤廃と総体としての地方税財源の拡充に取り組むことを国に強く要請する旨の意見書を採択したところであります。
我々都議会としても、この問題の趨勢を注視し、必要な主張を展開していくことが共通の認識とされたところであるわけです。
こうした認識のもと、先般の財政委員会では、我が党の鈴木あきまさ委員の質問により、大変有意義な質疑が交わされました。法人実効税率の引き下げや不合理きわまりない税収の偏在是正措置に関する近年の動向、それらの動きが、今後、東京都に対してどれほどの影響を及ぼすのか。そして、これまで東京都が、どれほどの財源が奪われてきたのかなどの点が明らかになったわけです。
今回、こうした問題について議論する上で重要な鍵を握るのが、消費税率一〇%への引き上げの判断であります。七月から九月期のGDPについては、十一月十七日に第一次速報値、十二月八日には第二次速報値が公表される予定となっており、こうした指標などを踏まえ、引き上げの判断は年内には行われるとされております。
平成二十六年度税制改正では、消費税率一〇%段階において、法人住民税法人税割の国税化のさらなる拡大や、法人事業税の暫定措置の廃止とそれにかわる他の偏在是正措置導入の検討などが示されていることから、与党税制調査会における来年度の税制改正議論がこれから本格化する中、今がまさに正念場なわけであります。
また、この問題は、東京都のみならず、地方税財政全体、さらには、地方分権の根幹をも揺るがしかねない重大事でありますが、そもそも、こうした問題を議論する前提として、まず現在の地方全体の財政状況がどういう状況にあるのかをしっかりと認識した上で、論を交わしていくことが重要であります。
先般報告された地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張の中には、地方の財源不足が十兆円に上るという記載があったと記憶をいたしております。
そこで、都として、地方財政全体の財源不足の状況についてどう受けとめているのか、最初にお伺いをいたします。
○潮田主計部長 平成二十六年度におけます地方財政の財源不足は、社会保障関係費の増加や公債費が高い水準で推移していることなどを背景に、十・六兆円となってございまして、これは、地方財政計画の約一二・七%に達する規模でございます。
地方交付税法では、地方財政に著しい財源不足が生じる場合には、国からの調整財源の見直しを行うとされております。しかし現状は、国は地方に特例として地方債の発行を認めることによって、財源不足を補っている状況であります。
こうした地方債の大量発行による対応は、将来世代への負担の先送りにすぎないばかりか、地方財政を硬直化させる要因となっております。
そもそも地方分権の確立には、国と地方の役割分担に見合う財源が不可欠であるにもかかわらず、実際には、国と地方の歳出比率が四対六であるのに対し、租税収入の配分比率は六対四という逆転現象が生じております。こうした実態から、現状は、地方自治体がみずからの権限と財源により主体的に行財政運営を行うという、本来あるべき真の地方自治の姿にはほど遠い状況にあるのではないかと認識をしております。
○桜井委員 今の説明からも、こうした巨額の財源不足に対しては、都市と地方の財源争いという構図では問題を解決できないことは、まさに明らかでありまして、地方財源全体の充実強化を図ることが重要であることは論をまたないわけであります。
しかしながら、東京都は、都道府県で唯一の地方交付税の不交付団体であり、一口に地方といったくくりの中では、意見の一致を得にくいのも現実で、現にこれまでも、東京対地方といった状況に立たされてきております。
都道府県で唯一、地方交付税なしに自立した財政運営を行っているという状況が、いわゆる東京富裕論を招いて、その結果、地方全体の税財源の拡充という本質的な議論を置き去りにして、富裕団体から財源を移すべきという議論にすりかえられてしまった面があるわけです。
都市と地方の財政力格差の問題から、東京都がこの間失った財源は、累計でおよそ一兆円にも上っており、これが地方法人特別譲与税という形で地方へ配分されてきたのにもかかわらず、こうした事実が、東京以外の地方にとって大きな問題として受けとめられていないように感じるわけです。
正念場である今だからこそ、報告資料の副題にもある地方自治の原点に立ち返った議論が求められるわけでありますが、地方としての問題意識は、これまで一体どのようなものであったのか、この点について確認しておく必要があります。
そこで、主な税財政制度改革に関し、地方全体としてこれまでどのような主張が行われてきたのか、お伺いをいたします。
○潮田主計部長 平成十五年に全国知事会は、三位一体改革に関連しまして、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えている地方消費税の充実を図るべきとの提言を行っております。
しかしながら、いざ実際に地方消費税の引き上げが決定してみますと、地方消費税でも最大二倍の格差があるというように主張しまして、さらなる税源の偏在是正が必要不可欠であるとの提言を行っております。
また、地方法人課税につきましても、平成十九年の十二月導入を決定いたしました地方法人特別税と譲与税、いわゆる法人事業税の暫定措置に関しまして、地方税の一部国税化は、地方分権の基本的方向から見て問題であり残念というように表明をしまして、税制の抜本的改革の際は、速やかに地方税としてもとに復すべきというような声明を発表しておりました。
ところが、平成二十六年度税制改正に際しましては、法人住民税を地方交付税原資化したことと、法人事業税の暫定措置の廃止にかえ、他の偏在是正措置を検討することとしたことについて、一定の評価をする旨の声明を発表するなど、地方税の国税化による偏在是正を容認する方向に主張を変化させてきたわけでございます。
このように、以前は、地方分権の確立に向けて闘う知事会を標榜してきた、そういった時代もございました全国知事会、あるいは多くの自治体が、地方自治の本旨にもとる不合理な税制改正を容認する方向に大きく転じているのが、残念ながら現状でございます。このことから、改めて、地方自治の原点に立ち返った議論が必要であると認識し、先般、都の主張を発表したものでございます。
○桜井委員 地方自治体の間においても、地方財政をめぐる議論が地方全体の財源不足の解消という根本的な問題から、都市と地方の財源争いの問題へと変遷している様子をうかがわせる内容の答弁でありました。
ただ、ここで一つ問題提起したいのは、果たして東京あるいは一部の都市圏が、他の地方と比べて本当に富裕であるのかということであります。国などで地方税収の偏在に関する議論を行う際にしばしば問題になるのが、人口一人当たりの税収という尺度であり、これにより都道府県の比較を行うと、東京に税収が偏っているとしております。
この問題については、先般の財政委員会での議論で、法人事業税の暫定措置を撤廃したとしても、地方消費税が拡充されることにより、税収の偏在度は、暫定措置の導入前の水準を下回ることから、もはや他の偏在是正措置を検討する理由はないというのが、都の見解であったわけであります。また、地方交付税による財政調整後の比較であれば、地方交付税を受けていない東京都は、むしろ全国平均以下ということになるわけです。
そうした東京が現在置かれている状況や実態を事実に基づき、正確に、そして何よりもわかりやすく発信していくことが、こうした議論をしていくには欠くことができないというふうに考えます。
これまでも都は、折に触れ、東京が富裕であるという議論に関連して、都が直面している今後の財政需要について主張してきたところでありますが、改めて、この場で確認しておきたいと思います。
そこで、今後、都が抱える財政需要の先鋭的な事例についてお伺いをいたします。
○潮田主計部長 東京都は、今後、さまざまな財政需要を抱えておりますが、中でも、顕著な事例といたしましては、急速に進行する少子高齢化による社会保障関係費の増加と高度経済成長期などに集中的に整備されました社会資本ストックの維持更新への対応が挙げられます。
まず、少子高齢化について申しますと、今後、六十五歳以上の高齢者人口が、東京都において、平成二十二年の二百六十八万人から、平成五十二年には、地方圏の増加率を大きく上回る四百十二万人に達することが予想されております。それとともに、全国の約四割を占める待機児童の解消などに向けた財政需要が見込まれてございまして、第三者の将来推計によりますと、社会保障関係費は、毎年、平均約三百億円のペースで増加していくと試算をされております。
なお、九月十二日の財政委員会におきましてもご報告をいたしました、地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張の資料集の中でもお示しをしたところでございますが、直近十年間の都の福祉関係経費、これも実際に、年平均三百三十億円のペースで増加しているところでございます。
また、社会資本ストックの維持更新経費につきましても、現在保有している社会資本ストックを将来にわたって維持するという仮定を置いた場合でも、今後二十年間で約六兆円の財政需要が発生すると試算がされております。
○桜井委員 今のお話からもわかりますように、ソフト事業、ハード事業のそれぞれの代表的な事例である社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費など、今後の財政需要はますます増大していくわけであります。
私は思うに、都には、こうした財政需要にしっかりと対応し、都民の安全・安心を守る役割があるだけでなく、日本で最も人口の集積する都市として、日本の首都としての機能を果たし、日本全体を牽引するエンジンとしての役割を担うことが求められています。
首都東京への投資効果は全国へ波及するものであり、三環状道路を初めとする都市インフラの整備、羽田空港の容量拡大と国際線の増枠、日本のゲートウエーとして外国人旅行者を誘致するなどといった取り組みは、あらゆる分野で日本全体の活力を支えるものと考えます。
東京が日本全体を牽引する役割や全国への波及効果という側面を持っていることをわかりやすく説明し、これを地方に理解してもらうことも必要だというふうに思います。
さらにここでは、別の観点から、東京が富裕であるかどうかの検証を掘り下げていきたいと思います。先ほど申し上げた税収の偏在度を比較するための尺度として頻繁に用いられる人口一人当たりの税収といった単位当たりの指標に基づいた自治体間の比較についてであります。
一般的に、人口一人当たりの税収といったときは、夜間人口のことを指しているということですが、都の報告資料では、夜間人口だけでなく、通勤通学による自治体間の人の往来を反映した昼間人口一人当たりの税収での比較や、従業員数一人当たりの税収での比較など複数の観点が示されており、人口一人当たりの税収は、一つの尺度にすぎないという主張がなされておりました。私もこの点については一理あると思っております。
さらにいえば、富裕、つまり豊かさというのは、暮らしの実感の中から得られるものであり、生活の基盤がどの程度整っているかなど、実態的な視点からもきちんと検証する必要があるのではないかと考えます。
そこで、東京が富裕であるとの指摘に対する都の考えについて、暮らしの実感という観点も交えつつ、お伺いをいたします。
○潮田主計部長 本年の四月、財務大臣の諮問機関でございます財政制度等審議会において、東京など大都市への税源の偏在や、都の保有する基金残高あるいは特別区などの行政サービスの水準の高さなどを殊さらに強調する資料が提示されております。例えば、医療費助成の制度につきましては、特別区で過剰なサービスが提供されているかのような記述がされてございます。
しかし、これは全国最低の出生率など東京が直面する課題に優先順位をつけて取り組んでいることの証左でございまして、これこそ、地方がみずからの権限と責任で地域の課題に対処する、地方自治の本来のあるべき姿であるというふうに考えております。
なお、医療費助成は、全国の約三割の自治体が平均的な特別区と同水準のサービスを提供しておりまして、中には、それを大きく上回る自治体もあるなど、東京だけが突出しているというものではございません。
また、暮らし向き、暮らしの実感という面で申しますと、国が公表しております統計データによりますと、東京都は全国で最も物価が高い一方で、一住宅当たりの延べ床面積、あるいは道路交通における平均旅行速度、人口一人当たりの公園面積などは全国で最低水準にあるものも多く、一概に、東京が裕福である、富裕であるということはいえないのではないかというふうに認識をしております。
加えて東京には、首都として特有の行政課題が山積しておりまして、物事の一面だけを捉えて東京が富裕であると決めつけるのは、健全な議論ではないと、かように考えております。
○桜井委員 物事の一面だけを取り上げて、東京が富裕であると決めつける議論に対しては、ただいまの答弁にもありましたように、さまざまな観点から客観的事実を伝え、誤解を解いていかれるように、都には、しっかりやっていただきたいというふうに望むところです。
ところで、現在開会中である臨時国会では、地方創生国会との位置づけのもと、地方創生の基本理念などを盛り込んだ、まち・ひと・しごと創生法案が審議されており、石破大臣も政策を検討する際の五原則を先日発表したところであります。
若者が将来に夢や希望を持てる地方創生に向け、地方自治体の長い将来を見渡せば、この件に関する今後の動きは大変重要であります。しかしながら、目前の課題である来年度税制改正に向けて残された時間はあとわずかであり、限られた時間で有効な手だてを講じていかなければなりません。
ここで一度、これまでの議論を整理すると大きく三つのことがいえると思います。
一つ目は、地方財政全体で巨額の財源不足があり、この根本的な解決に向けては、地方間の財源調整の問題とするのではなく、地方総体としての税財源の拡充を求めていく必要があること。
二つ目は、地方財政の困窮により、地方分権の理念に基づく地方一体となった主張の展開が困難になってしまったこと。
そして三つ目は、東京が抱える膨大な財政需要やさまざまな観点で見た豊かさの比較から、東京が富裕であるとは必ずしもいえない状況にあることであります。
こうした状況のもと、現在、来年度税制改正に向けた議論がいよいよ佳境に入ろうとしております。
そこで最後に、都市対地方という構図に陥っている偏在是正の問題に対し、東京都はどういう形を目指して、どのように世に訴えていくべきか、財務局長の見解と決意をお伺いいたします。
○中井財務局長 ただいま桜井副委員長、ご指摘のあったとおり、地方財政が抱える巨額の財源不足の問題は、都市と地方の間で限られた財源を奪い合う、そういった構図の中では、決して解決の糸口は見出せないというふうに私ども確信をしているところでございます。
地方創生という新たな旗印のもと、地域活性化に向けた議論が活発に行われているわけでございますが、こうしたときだからこそ、大都市と地方それぞれの自治体の実情をしっかりと踏まえた、そういう中で都市と地方がともに栄える、国全体が発展へとつながっていく、それにはどうしたらいいのかということを、大局的な視点からしっかりと議論していく必要があるんだというふうに考えます。
こうした観点から、今、目指すべき方向は、地方自治体がみずからの権限と財源で主体的に行財政運営を行うことができるように、先ほど質疑にもございましたとおり、国と地方の税収比率を歳出比率に見合うものにしていく、そういうことであり、そのためには、地方税の充実強化を全国の自治体が一致団結して主張していくべきだというふうに考えております。
こうした取り組みを行うことが、ともすれば、今、その影が薄くなってしまったのではないかと思われる地方分権推進につながることであり、地方自治体の本来のありように近づくことであるというふうに思うわけであります。
そして、それが、それぞれの地域の特性を生かした、また、創意工夫を反映させた自治体運営につながり、それぞれの地域の発展、都市と地方のウイン・ウインの関係が具体的に実現するんだというふうに思うわけであります。
年内に予定される税制改正に向け、残された時間は少なくなってきているわけではございますが、引き続き、都議会の皆様のお力添えをいただきながら、都が先頭になって、官邸や関係各所への要請を行うなど、あらゆる機会を通じて、私どもの主張をこれからも世に強く訴え、理解が得られるよう全力で取り組んでまいります。
○桜井委員 ただいま財務局長から、この問題に対しまして全力を尽くしていくという強い決意を伺ったわけであります。私ども都議会自由民主党も、極めて重要な問題に対して、都と一丸となりまして、全力で闘い抜いていくことをここにお誓いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和泉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十五分散会
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