財政委員会速記録第三号

平成二十六年三月十七日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長山崎 一輝君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長鈴木 隆道君
理事近藤  充君
理事曽根はじめ君
理事酒井 大史君
大津ひろ子君
ほっち易隆君
清水 孝治君
西崎 光子君
橘  正剛君
高木 けい君
鈴木あきまさ君
植木こうじ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長中井 敬三君
経理部長奥田 信之君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長潮田  勉君
財産運用部長岩瀬 和春君
利活用調整担当部長菊地 俊夫君
建築保全部長室木 眞則君
技術管理担当部長山田 雅史君
庁舎運営担当部長間庭  修君
収用委員会事務局局長目黒 克昭君

本日の会議に付した事件
意見書について
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十六年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十八号議案 東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十六年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入―財務局所管分、歳出―議会局・財務局所管分、債務負担行為―財務局所管分、都債
・第十四号議案 平成二十六年度東京都用地会計予算
・第十五号議案 平成二十六年度東京都公債費会計予算
・第百二十九号議案 平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入
付託議案の審査(質疑)
・第四十四号議案 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

○山崎委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○山崎委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十六年度予算については予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十六年三月十四日
東京都議会議長 吉野 利明
財政委員長 山崎 一輝殿
   予算特別委員会付託議案の調査について
   (依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(木)午後五時

(別紙1)
財政委員会
 第一号議案 平成二十六年度東京都一般会計予算中
 予算総則
 歳入
 歳出 債務負担行為 財政委員会所管分
 都債
第三号議案 平成二十六年度東京都地方消費税清算会計予算
第十四号議案 平成二十六年度東京都用地会計予算
第十五号議案 平成二十六年度東京都公債費会計予算
第百二十九号議案 平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中
 予算総則
 歳入

(別紙2省略)

○山崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十六年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分及び第四十八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○植木委員 収用委員会について質疑をいたしますが、収用委員会は、国民の財産権を扱う極めて重要な役割を持っておられると思うんですけれども、まず改めて、収用委員会の果たすべき役割についてお伺いをいたします。

○目黒収用委員会事務局長 憲法二十九条におきましては、私有財産制度が保証されている一方で、公共のために必要がある場合は、正当な補償のもとに私有財産を収用できる旨規定されております。
 また、土地収用法では、この憲法の規定を受けまして、権利者の意思にかかわらず土地を収用できる要件とその手続、損失の補償などについて定めております。
 収用委員会は、この土地収用法及び地方自治法に基づきまして、各都道府県に設置される行政委員会でありまして、公共の利益と私有財産との調整を図るために、公正中立な立場で裁決するという権能が与えられております。

○植木委員 基本は、憲法に基づいて、財産権を侵してはならない。それから、そうはいっても、公共の福祉に適合するようにということをいいつつ、正当な補償のもとに公共のために用いることができるということですから、やはり基本は、財産権というものを重視しろということだろうと思うんです。
 収用委員会は、これまでもいろいろ資料などいただきましたけれども、改めて、どのようなものを扱ってきているのか、それから、この五年間程度の扱いの件数の推移、それぞれお示しいただきたいと思うんですが、いかがですか。

○目黒収用委員会事務局長 東京都収用委員会が取り扱います事件数でございますが、平成二十年度九十一件、平成二十一年度百四件、平成二十二年度百九件、平成二十三年度百四件、平成二十四年度八十八件というように、過去五年間ではおおむね百件前後で推移しております。
 また、事業別で見た場合、道路事業の割合が圧倒的に高く、取扱件数全体の九割近くを占めてございます。
 道路事業以外には、市街地再開発事業、河川事業、区画整理事業などがございます。

○植木委員 おおむね百件程度ということなんですけれども、これが今後どういうふうに推移していくのか。あるいは、道路事業が八、九割を占めているということですけれども、例えば私の中野区なんかでは、全く現道のないところに、四十数年前--もっと前になるのかな、に決めた計画決定で現道のないところに道路を通すと、こういう事態が今生じて、住民の間で大きな運動が起きておられるんです。
 結局、公共のためにということで、住民の皆さんの生活設計も狂う、それから、いろいろな条件が新たに出てきて、家族中が大騒ぎになったり、町が二分されるということで、大きな問題になっています。そういう中で、往々にして、公共の福祉を名目に強制収用されることもあり得るわけです。だから、非常に問題なわけです。
 収用委員会というのは、行政目的がどんなものであれ、どんどん進めていいのかっていうことについては、いずれきちっと論議をしなければいけないことだと思うんですけれども、まず、現時点の関係でいいますと、行政の側の姿勢の問題として、例えば木密地域不燃化十年プロジェクト、不燃化特定整備地区制度の概要の中で、こういうふうにいっています。
 本プロジェクトは、平成三十二年度までの限られた時間の中で、効率的に事業を推進させる必要がある。原則として、土地収用法第三条に規定する収用適格事業とする。こういうことで、収用適格事業にするということを最初から大上段にばあんと出しているんです。そういうことを意思表示、まずしていると。これほど年限を限ることを事業の最初に出して、土地収用すべきと位置づけている事業も、そうないと思うんです。
 しかも、こういうこともいっているんです。住民のライフサイクルによって事業が進むのではなく、必要性がある事業については、行政計画のスケジュールの中で進めるために、収用適格事業として認定する。つまり、行政目的のスケジュールを達成するために、こういうことをいっているわけです。
 もちろん、防災目的とか、いろんな目的を掲げておりますから、それぞれの目的によっては極めて重要なこともたくさんあるわけですけれども、だからといって、何が何でも強制収用という表現に近いものを前面に突き出すということは、それこそ憲法でいう財産権を侵してはならない、それから、公共の福祉に適合するようにといっても、私は意味合いが違うと思うんです。そういう意味で、この行政の姿勢の問題、そうしますと、収用委員会で適格事業とするということになってくる。
 今後、立ち退きとか、いろいろなことも出てくる。それに加えて、外環道だとか環状二号線とかの交通インフラとか、いろんな形が出てくると思うんですけれども、これらの事業に関連するものが急増するというふうに思われると思うのですけれども、その点については、どのように思っているでしょうか。

○目黒収用委員会事務局長 収用委員会は、事業認定そのものを行う機関ではございませんけれども、収用委員会の裁決を求めて申請を行いますのは、公共事業を施行する起業者でありますので、今後の裁決申請数がどうなるか、あるいは、その内容としてどういうものが出てくるかといったことを、公正中立な行政機関である収用委員会、あるいは、その事務局の立場から申し上げることは適当ではないと考えます。

○植木委員 そうですよね。収用委員会というのは、正当な補償を判断する機関として非常に重要な役割を持っているわけですから。だけれども、行政側の方では期限を決めて、それに間に合うように土地収用の適格事業として認定して進めるよと、こういうことを大上段にいってきている。しかも、議会の側でも、これまでの質疑を伺っている中で、こういう発言もございました。
 今日的、緊急度の強い課題がそこに覆いかぶさってきますから、従来の処理の仕方よりも、もっと密度とスピードを上げていかなきゃならない、こういって、木造密集地域、あるいは特定整備路線、外環、オリンピックがあるから、オリンピックの二〇二〇年までに期日どおり審査を行うようにという趣旨の質疑もありました。
 もちろん扱う件数がふえれば、収用委員会として体制を強化しなきゃならないとか、いろいろあるとは思うんですけれども、審査というのは、適正に、権利についての審査や公平適正な補償を行うということが主であると思うんです。
 そういう意味で、収用委員会では、これまでいろんなところで迅速な事件処理、こういうことをいっておられましたけれども、それと、行政需要に間に合うようにスピードを上げろということは、私は違うと思うんです。そのことによって拙速な処理になってはいけないと、こういうふうに思いますけれども、迅速な事件処理ということについての真意を伺いたいと思います。

○目黒収用委員会事務局長 申請から裁決までの期間が余りにも長期化する場合には、当たり前のことではございますけれども、起業者、権利者双方の不利益となりますことから、可能な限り効率的、能率的な委員会運営に努める必要があるという趣旨でありまして、決して、速いことはいいことだという考え方に立ったものではございません。

○植木委員 やはり不利益にならないようにする、特に行政の側の方が強いわけですから、権利を持っていらっしゃる方の方が個々のケースが多いわけですから、そういう意味で、権利者について、きちっと権利の適正な審査が大前提になると思うんです。幾ら行政需要や行政目的を達成するんだからといって、期日までに何が何でも審査を行えというようなことはやるべきではないと思うんです。権利者には、個々の事情があったり、権利関係の複雑な事情があったり、それぞれ千差万別です。権利が制限される土地所有者などに対して、十分な配慮が必要だと思うんです。
 収用委員会の役割は、そうした権利者が不利益をこうむらないように、公正中立な立場で、正当な補償などの判断をすべきだというふうに思うんです。事件が急増した場合には、一件当たりの事件処理に係る審議が十分に尽くされず、結果として、土地所有者などの権利が損なわれることがないようにということを私は強く求めたいと思うんです。
 そのためにも、それぞれの案件について、権利者の立場に立った丁寧な対応が必要だと思いますけれども、ご見解を伺いたいと思います。

○目黒収用委員会事務局長 公共の利益と私有財産との調整を図るという収用委員会に期待される役割が十分に発揮できるよう、土地収用法ではさまざまな制度的な担保が施されているところでございます。
 起業者から収用委員会に、裁決申請、明け渡し裁決の申し立てがありますと、受理された申請書類の写しが、土地の所在する区市町村において公告の上、その日から二週間縦覧に供されること、土地所有者等は、この二週間の縦覧期間中に収用委員会に対して意見書を提出できること、また、縦覧期間が経過した後に提出された意見書についても、収用委員会が相当の理由があると認めた場合には受理される旨規定されていること、縦覧期間が終了すると、収用委員会は裁決手続の開始を決定し、その旨を公告の上、土地登記簿に登記手続を行うこと、収用委員会が当事者から裁決を行うのに必要な事項について意見を聞くために、原則として公開で審理が行われることなどは、その一例でございます。
 また、実際に事件処理に当たる収用委員の任命に当たりましては、知事の不公正で独断的な人事が行われることがないよう、住民の代表である議会の同意が必要とされ、議会の議員または自治体の長、もしくは常勤の職員、短時間勤務職員との兼職が禁止されております。
 現実に、法律、経済、または行政の各分野における識見にすぐれた七名の委員によりまして、公正、中立、能率的な委員会運営が行われているところでございます。
 さらには、収用制度の正しい理解を広げるためのホームページによる情報提供や、起業者、権利者双方からの相談に的確に対応するための相談窓口の充実を図るなどの取り組みを通じまして、能率的かつ効率的な事務処理体制の整備に努めているところでございます。

○植木委員 今、丁寧なお話がありましたけれども、要するに収用委員会は、それぞれ適正な処理のための手続をきちっと全部踏んで、そして、権利者の権利をきちっと守る、もちろん双方の意見を審査する、そういう審査の手続をきちっとやっていく。だから、事業目的がいつまでだから、こうでなきゃいけないということがメーンではないということがはっきりしたと思うんです。そのためにも、人事構成についても適正な手続をとっていくと、こういうことだろうと思うんです。
 いずれにいたしましても、ついオリンピックがあるからとか、いろんな目的を大上段にかぶせて事業を強行に進める、何が何でもそれに間に合わせろということが起きないように、私たちは監視をしていかなければならないというふうに思っておりますので、収用委員会としても、適正な、そして、公平かつ慎重な審議をして権利を守るように強く要望して、質問を終わりにします。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○山崎委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十六年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十四号議案、第十五号議案、第百二十九号議案、平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入及び第四十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○奥田経理部長 それでは、去る二月二十一日の委員会におきまして要求のございました予算案に関する資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。縦長のものです。
 最初に、表紙をおめくりください。今回予算案に関して要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり二件でございます。
 一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号、財政調整基金、社会資本等整備基金の推移をごらんください。
 これは、財政調整基金及び社会資本等整備基金につきまして、直近五年間の推移をお示ししたものでございます。
 恐れ入りますが、一枚おめくりください。要求資料第2号は、投資的経費と、そのうちの単独事業につきまして、直近五年間の推移をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 都議会自民党の清水孝治でございます。私からは、財務局関係で、財政構造と主に都債発行についてお伺いしたいと思います。
 東京都の財政といいますと六兆六千六百六十七億円というふうに、本当に巨大な、ある意味、一国の財政と同じぐらいな規模を誇っているわけでございまして、そういった財政を、私どもというか私一年生議員として、これをつぶさに把握するのはなかなか至難のわざなのかなというふうに感じておる次第でございます。しかしながら、最近の我が国の経済は、アベノミクス効果によりまして緩やかに回復しているところでございます。そういったところから考えますと、総じていえば、東京都の財政も好調なのかなあというふうに感じている次第でございます。
 私も若干でございますけど、膨大な資料の中から、この東京都予算案の概要というのをちょっと拝見しまして、ぱらぱらとめくってみまして、若干の数字を捉えたわけではございますが、来年度の都税収入は前年度に比べまして約三千九百億円、九・一%の増と、久しぶりに大きく増加をしているわけでございます。二十六年度の予算は、こうした税収増も活用しながら、世界一の都市東京の実現に向けまして、一歩を踏み出す予算として編成されたとのことでございます。
 この予算を詳しく見てみますと、財政規模は六・四%伸びていますが、政策的経費である一般歳出の伸びは二・五%にとどまっておる次第でございます。
 そこでまず、税収の伸びに比べて一般歳出の伸びが少ないのは、どのような理由によるものなのか、まずはお伺いしたいと存じます。

○潮田主計部長 委員お話しのとおり、平成二十六年度の都税収入は前年度に比べて三千八百九十四億円、九・一%の増となっておりますが、特別区財政調整交付金や地方消費税交付金のように、税の一定割合は法律等に基づき区市町村に交付されることとなっております。
 こうした交付金等を控除した都が使えます実質的な増収は、いわば見かけ上の増収額の約六割の二千二百四十六億円となっておりまして、これが一番大きな理由かと存じます。
 その上で、この実質的な増収額につきましては、景気変動の影響を受けやすい都財政の特徴を踏まえながら、施策の充実と財政基盤の強化にバランスよく配分することが重要であると認識をしております。
 こうした考えに基づき、来年度予算編成では、都として必要とした施策の実現をしっかりと図りながら、約半分に当たります一千百四十四億円を政策的な経費である一般歳出の増加に活用することとし、残りは今後の財政状況も鑑み、財政調整基金などに積み立てたため、結果として一般歳出の伸びは二・五%の増となっております。

○清水委員 お答えいただきましてありがとうございます。財政構造上、都税収が大きく伸びましても、区市町村の交付金などにより、都が実際に使える金額は少ないというご説明だったと思います。まるで誰かの懐ぐあいのようでございますけど、よくよく私も感じているところでございますが、これは税制改正の議論にもつながる話だと思うんですが、東京都の場合には、見せかけの税収ばかりが注目されているんです。先ほど私が述べました六兆何がしという大変大きな予算規模もそうですが、しかしながら、特別区への財調交付金制度などがあることから、他の道府県と比べて実際に手取りとして残る割合が少ないということ、これ、しっかりと皆さんに説明していく必要があるかと思います。
 特に多摩地域は、特別区の財調交付金制度というのは、多分ほとんどの方が理解されていないかと思いますので、その辺も三多摩の方には特に説明をした方がいいんじゃないかなと、私も都議会議員になって改めて感じている次第でございます。
 さて、次に、歳出の内訳を見ていきますと、大変目を引くのが、投資的経費の大きな伸びでございますが、そこで、今回投資的経費が増額となった理由と、また、近年の推移について若干ご説明をいただければと思います。

○潮田主計部長 都民の安全・安心の確保に向け、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化や社会資本ストックの老朽化対策など、災害に強い都市づくりを推進することは、現下の都政にとって極めて重要な課題であります。
 また、骨格幹線道路の整備など東京と日本の成長を牽引するインフラ整備は、経済活性化の観点からも着実に進めていかなければなりません。
 こうした取り組みに財源を重点的に配分した結果、投資的経費は、前年度に比べ六・〇%増の九千百八十七億円と十年連続で増加し、平成十一年度以来十五年ぶりに九千億円台となりました。
 とりわけ単独事業につきましては、緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修促進事業や河川施設の耐震、耐水対策など積極的に実施することによりまして、前年度に比べ六百二十五億円、一〇・七%の増となっております。

○清水委員 ありがとうございます。ご説明いただきました。
 さきの一般質問で、私は、青梅線の立川から東中神付近の立体化について質問をさせていただきました。このことについては、なかなかその実現の困難性が高いというふうな認識もある中で、さりとて、やはり必要なインフラ整備というのは、これからもしっかりとしていかなければいけない。特に今議会でも、大分三多摩と区部の違いのお話が出ておりましたが、まだまだ多摩地域には南北の幹線道路等の整備がなされていないということを考えると、東京都の財政の役目の一つであります資源配分というのをしっかりと、多摩地域でも、あるいはこれから東京都全体でも、やっていかなければならないかと私は思っているわけでございます。
 ぜひとも着実に進めていっていただきたい、そういったことを思っているわけでございますが、その際重要となってまいりますのは、当然のことながら、その財源をどうやって確保していくのかと、こういったところになろうかと思うわけでございます。
 投資的経費の財源といたしましては、国の補助金等も重要でございます。これをどうやって獲得していくのかというのも、東京都の大きな役目なのかなと思っているわけでございますが、東京都がみずからできる取り組みとして、基金と都債の活用が考えられるのかなと思っております。
 基金の重要性につきましては、さきの七日の当委員会で我が党のほっち委員さんからご質問があったかと思うわけでございますが、私は都債についてお伺いをしたいと思います。
 都債は、ある意味借金でございますので、当然金利をつけて返さなければなりません。金利という点では、最近、銀行に預金を預けてもほとんど利息がつかない。預ける方からしてみれば、ちょっと困っちゃったなというふうな状況でございますので、逆をいえば、都債の金利も同じような状況であるのかなというふうに思っているわけでございます。
 そこで確認いたしたいと思うんですけど、投資的経費の重要な財源ともなる都債の利率がどのような状況に現在あるのか、過去からの推移も含めてご答弁願いたいと存じます。

○潮田主計部長 都債の主力商品である市場公募十年債の利率を満期一括償還方式に移行した平成四年度以降で見ますと、平成九年までは二・〇%から五・九%の間で推移をしておりました。
 その後、平成十年代はおおむね一%台を中心とした水準で変動し、平成二十年のリーマンショック以降は、上下に振れながらも、大きな流れとしましては緩やかな低下傾向にございます。
 直近一年間で見ますと、昨年四月に日銀が打ち出しましたいわゆる異次元の金融緩和策によりまして、金利は強力に抑制をされている状況にあり、利率は〇・六〇%から〇・八七%の間で推移をしております。
 この三月の発行分におきましても〇・六九%と、最近の利率は歴史的に見ましても極めて低い水準でございます。

○清水委員 ありがとうございます。歴史的に見ましても低金利の状況にあるようでございますが、これは油断をしてはなりません。
 都債の残高は、財政再建の取り組みにより大きく減少しているようでございますが、それでも金利が上昇すれば、借金の利払いが増加し、都民施策にしわ寄せが及ぶことも懸念をされているわけでございます。
 さまざまな海外の景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっているというふうな二月の月例経済報告もありまして、いろんな形でこのような市場を大きく変化させるリスクが蔓延しているわけでございます。
 そういった市場環境の先行きが不透明な中、安定的に都債を発行していくためには、どのような取り組みが必要なのかというところをお聞きをしたいと思います。

○潮田主計部長 委員ご指摘のように、市場環境の先行きが不透明な中で都債を安定的に発行していくことは、極めて重要でございます。そのためには、何よりもまず、堅実な財政運営に徹しまして、都債の安全性を高めることが大事だと思っております。
 その上で、まず一点目としまして、そうした取り組み状況をしっかりとPRをしまして、投資家の信頼を得ることでございます。また、二点目としまして、投資家の裾野を広げられるように都債の商品性を向上させていくことが重要であります。
 まず、一点目の投資家の信頼を得るための取り組みとしましては、個別の投資家訪問、あるいは市場関係者を多数招いて開催する都債説明会に加えまして、証券会社などが開催するセミナー等の機会を捉えた周知に努めておりまして、今後も継続的かつ積極的に取り組んでいく必要がございます。
 また、二点目の都債の商品性の向上という面で申しますと、投資家のニーズはさまざまでございます。三年債や七年債の発行など償還年限の多様化に取り組むことで投資家の運用ニーズに応えるとともに、金利変動リスクを分散し、利払い負担の安定化を図っているところでございます。
 今後とも、投資家との対話を重視して、起債運営に取り組むという基本姿勢を堅持し、市場から信頼され、選ばれる都債であり続けられるよう、さまざまな努力を重ねてまいります。

○清水委員 ありがとうございました。都債発行というのは、いわば市場と向き合う仕事でございます。今後も金利の動向に十分注視しながら、世代間の公平性を図るという観点からも、上手に活用していただきたいと思うわけでございますし、また、投資家との対話も重ねていっていただければと思うわけでございます。
 それでは、最後になりますが、知事不在という異例の状況のもと予算編成を進めてこられた局長に、この一年間を振り返っての所感を交えながら、今後の財政運営についての決意を伺って質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○中井財務局長 この一年を振り返りますと、昨年六月には国の経済対策に呼応した補正予算の編成を行い、年末年始には知事不在という事態の中で安藤職務代理者のもと、二十六年度当初予算を暫定案という形でまとめさせていただき、さらに二月に舛添知事就任後は、直ちに知事査定を行って予算案を議会に提出するという、異例ずくめの動きとなったわけでございます。
 こうした中にあって、それぞれの局面において私どもなりに何とか対処してこられましたのも、その都度、都議会の皆様の貴重なご助言や多大なご協力があったからこそと、感謝いたしている次第でございます。
 加えて、この間のことで改めて痛感いたしましたのは、強固な財政基盤を堅持することの重要性であります。二月に新知事を迎え、直ちに公約実現に向けた七十七億円の事業を含む予算を編成できたのも、これまで堅実な財政運営に徹して財政の力を培ってきたからでございます。
 この一年の貴重な経験を踏まえつつ、今後とも事業評価などの自己改革の取り組みを緩めることなく継続するとともに、中長期的な観点から、先ほどご質疑いただきました都債、そして基金の適切な活用を引き続き行うなど、都民の負託に応える財政運営をしっかりと行ってまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

○橘委員 私の方からは、都の公共工事の契約等に関係する官公需適格組合制度について質問をいたします。
 東京都の財政基盤を支える重要な柱でございます法人二税の約三割を占めているのが中小企業でございます。したがいまして、都内の中小企業を育成、強化していくことが、財政基盤の安定にもつながるかと思います。
 その中小企業の経営にとって、公共工事など都の官公需を受注する意義は大きいものがございます。中小企業が官公需の受注機会を拡大していくには、中小企業みずからの工夫や努力は当然のことではありますけれども、あくまでも公平な競争のもとで、企業体力を強化するための制度的な支援を充実させることも必要であろうかと思います。
 そこでまず、官公需の大きなウエートを占めます、都の公共工事における契約制度を活用した、現行の中小企業の主な育成支援策について伺います。

○松永契約調整担当部長 都では、中小企業が地域社会の活力や都民生活の向上に果たす役割の重要性に着目し、従来から入札契約制度においても中小企業への支援を重視して各種の措置を講じ、中小企業の振興に努めております。
 具体的には、工事における大企業と中小企業による共同企業体方式の採用、指名基準において下位の有資格者の指名に配慮すること、分離分割発注の推進に努めることなど、中小企業者の受注機会の確保を図る取り組みを実施しております。
 さらに、こうした制度を周知するために、毎年、財務局、産業労働局の両局長名による官公需についての中小企業者、小規模事業者の受注機会の確保についてという文書、いわゆる官公需通知によりまして、庁内各局に対し、中小企業、小規模事業者の受注機会の確保のための配慮を求めております。

○橘委員 ただいまございました現行の取り組みとして掲げております共同企業体方式、それから分離分割発注、こうしたことによりまして、中小企業の参入機会がふえて、それが経営基盤の強化、技術力の向上につながっていることは、私も中小企業の関係者からよく聞いている話ではございます。
 ところで、答弁の中にございました都の官公需通知、この中には共同企業体方式、あるいは分離分割発注、これらのほかにも都のさまざまな取り組みも盛り込まれております。その中に、官公需適格組合制度の活用推進が掲げられております。この制度自体は国制度でございますし、また、都の官公需通知についても、国の方針が決定して、それを受けた形でこの通知を出すという、こういう構造になっているわけであります。
 ちなみに、昨年六月二十五日に閣議決定いたしました平成二十五年度中小企業者に関する国等の契約の方針、ここの中にはこのような記載がございます。国等は、中小企業庁が証明した官公需適格組合を初めとする事業協同組合等の受注機会の増大を図るものとする、このようにしているわけでございます。
 そして、政府のこの方針は自治体も準拠するように求めていることから、これを受けまして東京都では、昨年七月十二日付で、東京都財務局長、産業労働局長の連名で庁内の各局等に官公需通知を出している、これが先ほど答弁があった官公需通知というふうになるわけです。
 この通知の中に、このような記載がございます。中小企業、小規模事業者の受注機会の増大のための措置という項目がございまして、その中に次のように記載している箇所がございます。競争入札参加者の指名に当たっては、専任技術者の適正配置を確認するなど契約履行上の条件等に注意しつつ、その上で、官公需適格組合を初めとする組合等を積極的に活用すること、特に、官公需適格組合制度については、その一層の周知徹底に努めること、このようにしているわけでございます。
 この文言からも、国も、また東京都も、官公需適格組合の活用に力を入れていることがわかるかと思います。同時に、中小企業の受注機会拡大のために、適格組合がいかに有用な制度として見ているかを物語っているかとも思います。
 そこで、改めて確認しておきたいんですが、この官公需適格組合とはどのような特徴があるのか。そして、東京都が適格組合の活用を促している理由について見解を伺います。

○松永契約調整担当部長 経営規模が小さな中小企業は、一社では大きな規模の契約を受注することができませんが、中小企業が共同して組合を結成し受注することで、より大きな契約も受注することができるようになります。
 こうした組合の中で、官公需の受注に対して特に意欲的であり、かつ受注した契約は十分に責任を持って履行できる体制が整備されている組合であることを中小企業庁が証明しているものが、官公需適格組合でございます。

○橘委員 適格組合の趣旨や制度の仕組みについて、私も東京の中小企業の発展にとって大事な支援策の一つと考えております。
 しかしながら、適格組合の認定を受けている組合と団体等からは、東京都で資格登録をしていても、なかなか受注に結びつかないといったことも時に耳にするわけでございます。中には、活動が休止状態となっていたり、解散を模索している適格組合もあると聞いております。
 そこで、官公需適格組合制度に基づく都内の資格登録者数の推移はどうなっているのか、説明をお願いいたします。

○松永契約調整担当部長 二年に一回行っております都の公共工事入札参加資格登録時での比較になりますが、平成二十三年三月時点と二十六年三月、今月時点での比較では、登録者は百四者から九十五者と減少しております。
 また、国--中小企業庁でございますが、国が官公需適格組合として認定した団体は、平成二十三年九月時点で八百十一者だったものが、二十五年十二月時点でございますが、七百九十九者となっておりまして、都における入札参加資格を行っている団体と同様に減少傾向にございます。

○橘委員 今、答弁にありましたように、国においても東京都においても、いずれも減少しているわけであります。せっかく、このすぐれた制度も、積極的に活用されなければ実効性を発揮できずに、もったいない話であると思います。
 この原因の分析、それから課題、対策等について質疑をしたいんですけれども、その分野は産業労働局の分野になるので差し控えたいと思いますけれども、組合を結成して国の認定を受けることで東京都の官公需における契約上のメリットを、中小企業、小規模事業者に広く知っていただくことが大事であると考えます。
 そのメリットを引き出すような今後の入札制度の工夫について、見解を伺いたいと思います。

○松永契約調整担当部長 都の工事契約の入札参加資格審査におきまして、官公需適格組合は組合員からの対象事業者を複数選任し、その実績を加算する対象事業者方式というものを選択することができ、等級格付の特例を設け、官公需適格組合に対し一定の配慮をしております。
 この特例を活用することで、多くの官公需適格組合が等級格付を上げることが可能となり、入札参加資格におけるメリットがあるものと考えております。

○橘委員 中小企業が、単体では、一社では受注できないような規模の工事についても、組合を結成することで--官公需適格組合でありますが、技術力を高め、財政基盤を強化して、人材を確保する等のスケールメリットによって受注をしやすくしようというのが、この官公需適格組合の意義であろうかと思います。
 現実に作業員がなかなか確保できないとか、技術者がそろわないとか、それで契約がなかなかできないと、そういったことも日常的に私たちは耳にするわけでありますけれども、しかしながら、公共調達における透明性や公平性の観点から、官公需適格組合に優先的に発注できるような、そういった仕組みをつくるということは、公平性からいってもこれは困難であることは十分承知をしております。
 一方で、いろんな工夫の中で、東京都が行っている工事契約の総合評価方式の中では、障害者雇用率、それからワークライフバランス認定企業の受賞実績、また、東京都緑の大賞の受賞実績などを配慮して、企業への加点評価を行うなどの工夫もしているわけであります。
 この官公需適格組合についても、政策上の必要性を踏まえまして、総合評価方式等を参考にしながら、財務局としても、契約制度上の課題として一層の活用促進に向けて検討していただきたいと思います。これは要望にとどめておきます。
 また、適格組合への理解が広がることによって、その信頼性に注目した大手企業から、発注につながったとの話も聞いております。適格組合というのがどういうものかわからなかったけれども、その趣旨とか活動内容を聞きましたら、これは信頼できるということで、大手の企業から発注があったと、そういった実例もあったと聞いております。
 結果的に、そうしたことが中小企業の発展につながる。適格組合の育成に向けて官公需通知を出している財務局としても、関係局との連携を強化していただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○植木委員 契約事務について、特に公契約条例の制定について質問をさせていただきます。
 これまで入札不調や元請あるいは下請の関係、建設業で働く技術者や労働者の設計労務単価の問題について、私は何回か質問をしてきましたけれども、建設業も土木もそうですけれども、仕事そのものがない状況が続く中で低入札が続いてきた。そして、低賃金で建設業で働く技術者、労働者も減少し、特に若い労働者が激減してきた。こういう状況がずっと続いてきた。先の見通しもない状況だと。
 こういう状況の中で国もようやくいろんな対策に乗り出しつつあり、自治体でも、公の仕事の中でワーキングプアの状況を放置するわけにいかないというようなこともあって、二〇〇九年に千葉県の野田市で初めて公契約条例を制定し、政令指定都市でも神奈川県の川崎市が制定をいたしました。先日の委員会の資料でも提出いただきましたように、都内でも二区二市で制定しています。公契約条例に関して根強い要望があり、それだけの社会的な背景が徐々に大きくなってきていることだと思います。
 さらにここに来て、東日本大震災の復興事業を契機に、逆に今度は仕事があっても、建築資材の高騰に加え、技術者を含む労働者が一気に不足する状況も出てきている。こういう中で、改めて公契約条例の制定そのものに関心も高まってきていると思うんです。
 そこでまず、東京都は公契約条例とはどのようなものだと認識しているか、まずお伺いをいたします。

○松永契約調整担当部長 公契約条例につきましては、特に一般的な定義というものはなく、したがって、その目的も各団体によって差異があるというふうに認識しております。
 今お話がありました千葉県野田市の公契約条例では、公契約にかかわる業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現ということを目的としております。

○植木委員 今、野田市の条例についてお示しいただきましたけれども、公契約にかかわる、従事する労働者の適切な労働条件を確保すると。もちろんそのためには、全ての事業でやるというふうにいっているわけではなくて、いろんな公契約を読んでみても、一定の規模の事業、金額を含めて事業だとか、賃金水準とか、非常に研究されて、それぞれの地域に合った内容をつくってきていると思うんです。だからこそ、条例制定の輪が少しずつ広がってきていると思うんですけれども、そういう点で、公共事業の質の確保とあわせて、建設産業の健全な育成、それからワーキングプアをなくしていく、こういうことをさまざまな、その地域に合った目的を持ってやってきたと思うんです。
 私は、今、状況が変わりつつある中で、公契約条例を制定するよい時期だというふうに思っております。ところが、東京都や財務局は、公契約条例について、これまでの質問に対しても、整理、検討すべき課題があるとの指摘もなされているとか、今後とも、現行法令のもとで入札契約制度を適切に実施していくとか答えて、実施に消極的で、研究すらやられていないという状況だと思うんです。
 現時点で都として、整理、検討すべき課題があると、こういうふうにいっている、その中身はどのようなものがあるというふうに考えていますか。

○松永契約調整担当部長 我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法が下支えしつつ、業績等を踏まえながら、各企業が対等な労使間での交渉で合意し、自主的に決定する仕組みになっており、都の契約制度もこうした法制度に立脚しております。
 公契約条例は、こうした各企業の労使間で決定した賃金とは異なる水準の賃金の支払いを契約により義務づけようとするものでございまして、各企業が労使間で決定した賃金に対し、発注者である都が関与することの是非や都が設定した賃金水準が企業の経済活動にどのような影響を与えるのかなど、労働政策や産業政策の観点から整理、検討すべき課題があると、こう申し上げてまいりました。
 特に、契約制度の側面から見ますと、発注者が設定する賃金水準によっては、意欲や技術力があるにもかかわらず、厳しい経営環境のもとで賃金水準を必ずしも高くできない状況にある中小企業は、結果的に入札から排除されてしまうというおそれもあって、入札の公平性や競争性の確保といった観点からも検討すべき課題があると認識しております。

○植木委員 今、幾つか課題についてお示しいただいたんですけれども、限られた時間なので全部やっている時間はありませんので、三つほどの角度で今回は質問をしたいというふうに思っております。
 一つは、公契約条例を法的にどう考えていくのか、前向きに歩を進めていく方向で考えるのか、それとも後ろ向きで考えるのかということが一つあると思うんです。今の話の中にもありましたけれども、法令遵守とか現行法令のもとでとかということで、法令を何か逸脱しなければできないかのような、そういうことをいっているんですけれども、他の自治体で条例が導入されているわけですけれども、法に抵触しているというふうにいい切っていいんでしょうか。

○松永契約調整担当部長 公契約条例につきましては、労働法制上等整理すべき課題が指摘されておりまして、導入した自体はそれぞれの自治体の判断のもとで制定したというふうに認識しております。
 都は、その条例について法令などとの関係についての見解を述べる立場にはございません。

○植木委員 他の自治体は、私は前向きに現法令の中でどうやったら働く人たちの環境を守り、そして質のよい公共事業を確保していくかという観点からつくられてきているというふうに思っています。
 そういう点で考えますと、国政でもいろんな論議があってなかなか解釈が難しい。私も読んでいてなかなかわかりにくいところもたくさんあるんですけれども、最低賃金法と公契約条例との関係について幾つか見解が出されていて、私も見ていますけれども、一つは、最低賃金法における地域別最低賃金額を上回る賃金を労働者に支払わなくてはならないこととすることは、法律上問題となるものではないと、こういうふうないい方で一面では認めています。
 それから、地方自治体の入札に関しても、こういうふうにいっています。総合評価制度などの項目に賃金別最低賃金額を上回る最低賃金を設定することは違法なのかという質問について、入札に参加する企業などの使用者が地域別最低賃金を上回る賃金を労働者に支払っているか否かを定めることは、最低賃金法上問題にならないと考えていますと、こういうふうに法律に違反していないということを答弁すると。
 また一方で、条例制定上の問題点についても指摘をしているわけですけれども、これは他の自治体の例などを含めて研究を前向きにしていくことによって克服するべき課題だとは思うんですけれども、いずれにしても、今の経済状況や契約をめぐる環境の中で改めて考えた場合に、全てだめだと、全て法にのっとっていないかのような表現でやるのではなくて、前向きに捉えて、法令違反だなどということを単純にいわないようにする必要があると思うんですけれども、いかがですか。

○松永契約調整担当部長 都はこれまでも、公契約条例につきましては、労働関係法令に基づき定められた労働者の賃金や労働条件について、それ以上のものを条例で課すことの是非について、労働政策上、産業政策上の観点から整理、検討すべき課題が指摘されているというふうに主張してまいりました。
 お話のありました法律解釈をしている本主意書につきましては、私どもとしては特段の見解はございません。

○植木委員 この問題だけでも大きな課題ですから、もっと突っ込んでいかなきゃいけないだろうと思うんですけれども。
 次に、賃金の問題について、賃金を定めるのは労使間の協議で決定するもの、労使間交渉で決めるものというふうにいっているわけです。これは文書上では正しいわけです。
 ところが、現場でどうなっているかということもやはり考えていかなければいけないと思うんです。契約をされている元請事業者は大手が多いわけですね、とりわけ東京都の場合は。ゼネコンなどの大手企業などが、金額的には大半を占めている。もちろん中小企業もたくさんあるわけですけれども、そういう中で労働契約や労働組合もあったりしている。
 そういうところできちっとやっているところは、それはそれで私は大事なことだし、それを尊重するということは非常に大事なことなんですけれども、例えばゼネコンなんかがやっている現場に行きますと、ほとんど労働者いないですよ。ほとんど下請、二次、三次、四次という状況で、特に日本の建設業界でよくいわれることですけれども、重層的な構造になっていて、二次、三次下請などに行くと、下請企業そのものが発注者のいい値で仕事を引き受けざるを得なかったり、あるいは契約書すら交わしていないで仕事を受注してやっている。ましてや一人親方もいる。そこで働く人たちは低賃金、二次、三次、四次、どんどんどんどん低賃金の人がふえていく。だから、今、労働者不足が問題になっているわけでしょう。
 そういう中で、都は、民民の問題だから労働産業上はまた別の問題として、公契約を考えたときに全て労使交渉に委ねることができる状況だというふうに考えておられるでしょうか。

○松永契約調整担当部長 元請企業と下請企業が締結する契約は、都と元請企業間の契約とは法律上は別契約であるため、その契約内容について発注者として直接関与することはできないというふうに考えております。
 今回、二月に公共工事の労務単価の適用に当たりまして、技能労働者の賃金水準の引き上げ、法定福利費相当額を適切に含んだ額で下請契約するよう、元請等には都のホームページ等を活用して周知徹底をお願いしているところです。
 また、法定福利費や一般管理費等の必要な経費を適切に考慮することなどを記載した下請人等に対する契約の適正化及び支払いの迅速化並びに必要な技術者の配置についてという文書により、建設業団体に対し毎年周知徹底をお願いするとともに、契約担当部署に対しましても、当該文書の掲示及び契約相手方への交付等により周知徹底をお願いしております。
 今後も、下請を含む企業間取引の適正化には努めてまいりたいと思います。

○植木委員 僕は、そういう文書を出すこと自体が、いわゆる一般の契約だけで問題が済まないということのあらわれの一つだろうと思うんです。直接的には元請、せいぜい第一次下請との関係の文書は出されてきているわけですけれども、今、特に問題になっている賃金、あるいは社会保険の未加入問題、こういうものは契約上避けて通れなくなってきていることのあらわれだと思うんです。
 それから、今、設計労務単価の話がありましたけれども、僕はこれもそういう意味だと思うんです。
 というのは、昨年度の改定では全国で一五・一五%引き上げて、東京都では一八・三%と、これまでにない大幅な引き上げでした。その上、今年度も全国では七・一%、東京都はたしか七・三%だったと思うんですけれども引き上げ、しかも二月から前倒しで実施するようにという国の条件までついている。
 こういう今回の改定措置には、どのような意味合いが、あるいはどのような背景があると都は捉えているでしょうか。

○松永契約調整担当部長 国は、最近の技能労働者不足等による労働市場の実勢価格を適切、迅速に反映するとともに社会保険への加入促進を図る観点から、通常四月に実施いたします労務単価の改定を二カ月前倒しして、平成二十六年二月、この二月から実施しました。
 都におきましても、この趣旨を踏まえ、速やかなる労務単価の改定をいたしたところです。

○植木委員 事実経過を聞いたんじゃなくて、その持っている意味合いについて聞いたんです。私は、設計労務単価を引き上げ、しかも前倒しで実施するようにということは、明らかに現在の建設等の技術労働者を確保するには賃金水準を引き上げざるを得なくなってきていることのあらわれの一つだというふうに思うんです。
 今回は設計労務単価を前倒しで引き上げましたけれども、設計労務単価そのものは、国交省が毎年建設資材の実勢価格などの調査と賃金調査を行って、公共事業の発注に当たって活用できるようにということで水準を示しただけなんです。だから、賃金水準を上げるという政策がそこに働いているということではないと思うんです。
 しかし、そういう中で、低い賃金実勢価格が反映されて、設計労務単価が出てきて、長い間には設計労務単価そのものが下がっていった。しかし、ここへ来て、それじゃもう契約ができなくなってきているよ、だから引き上げなきゃいけないんだよと、こういうことじゃないんですか。
 国交省の公共事業設計労務単価についてという書類の中でも、基本的認識、長引く労働条件の悪化、若年層の減少、建設投資の減少に伴うダンピング受注の激化と下請へのしわ寄せによって、技能労働者の賃金が低下、社会保険のこともずっと云々いっています。ここに来て労働需要の逼迫傾向が顕在化、入札不調も各地で増加、この傾向は一時的なものでない。適切な対策を講じなければ、近い将来、災害対応やインフラ維持更新に支障を及ぼすおそれがある。これらの原因になっているのは、近年、若年入職者の減少。構造的な労働需要の逼迫を適切に設計労務単価に反映しなくてはならない。
 だから、労働政策上の考え方が、契約でありながら入らざるを得ない状況になってきていると、こういうことではないのかと私は思うんですけれども、都としてはどうですか、これは。国がいっているんですよ、国が。

○松永契約調整担当部長 私どもは、最近の全国的な不調という公共工事をめぐる状況に鑑みまして、国の方が、人手不足さらにいえば中長期的な入職者の促進というものも含めて、労務単価を改定したというふうに理解しておりまして、それは、現状の都の公共事業をめぐる状況にとっても効果が高いものというふうな判断のもとで、今回速やかな労務単価の改定をいたしたものです。

○植木委員 では、ちょっとだけお聞きしますけれども、設計労務単価というのは、賃金を引き上げろとかそういう政策で設定されてくるものなんですか。そうではないんですか。どうなんですか。

○松永契約調整担当部長 先ほども申しましたように、設計労務単価と実勢価格のギャップが大きくなって、その実勢価格に近づけるために、今回、東京においては七・三%平均の労務単価を改定したということでございまして、それに基づきまして私どもは速やかな対応をしたと、そういうことでございます。

○植木委員 つまり公共工事の設計労務単価というのは、実勢価格を調査して決めているものだから、低くなっていけば低くなるんです。だけど、それじゃ間に合わなくなってきたから、前倒しで実施するということが加わったんです。今回そこが全然違うんです。これは今までと違うんです。引き上げなかったら、公共工事の契約がこれ以上できなくなってくる。労働者も確保できなくなってきている。だから、こういう措置をとったわけです。設計労務単価にそういう意味づけが最初からあったわけじゃないんです。
 だから、何らかのルールをつくっていかないと、今後またそういうことだって起きるんですよ。何らかのルールをつくっていかないと。しかし国の方では、このままずっと続いていったら大変だということをいってるわけでしょう。一時的なものじゃないと。だから、これは契約ではありながら、産業政策や労働政策も加味してこざるを得なくなってきているから、こういう形で前倒しで実施するというふうに変わってきているんです。
 僕は最初からいっているように、公契約というのは、そういう中でどういう水準で、どういう基準でつくるかというのは、いろいろあると思うんです。それから法をクリアしなきゃいけないという問題も当然あるわけだから。しかし、それを研究しなきゃならない段階に来ているんですよということを先ほどからいっているわけです。
 それからもう一つ、中小企業の入札の公平性が欠けて、中小企業が入札に参加できなくなってくるから困るという問題について、もちろん中小企業が入札に参加できなくなるということは、私たちが一番中小企業対策を進めてくれということをいっていますから、例えば最低賃金を決めるときにも、中小企業については支援策をちゃんととりなさいよと、合わせてセットでいっているんですけれども、ここでいっている公契約の中で不公平感があるというのは、それは単純に全部一律にやったらそういうことだってあり得ると思うんですけれども、そこはそうさせないというのが各自治体の一番の苦労のしどころなんです。
 だから、川崎市なんかも、金額だとか、それから研究機関だとか、賃金を決めるときにはどういう組織で誰が審議に加わって、誰がこれを決めていくのかというルールまできちっとつくっているわけです。そういうことを前提にして、私はむしろ、今こそ中小企業の産業の育成の立場から、こうした新たなルールを検討する段階に来ているんじゃないかと思っているんです。
 というのは、低入札の時期には、なかなか逆にしづらいですよ。やるのはかなり抵抗があるかもしれない。今は、事業によっては九十何%という確率で契約ができ、それから国の方でも設計労務単価で賃金引き上げなさいよ、前倒しでやりなさいよと、こういってきている。
 それから、最低賃金の引き上げについても国でも論議がある。そういう条件になってきている中だからこそ、産業を育成する、中小企業の産業を育成していく、そういう人たちが健全な経営体質を持って入札に参画できるという、そういう産業政策、これらは産労の仕事だからここでは聞くこともできないんですけれども、産業政策をとることとセットで考えていくということが、僕は今必要だと思うんです。
 この好機を逃したら、わかりませんよ。もっといい状況が出てくるかはわかりませんけれども、今まさに、国がそういうふうに設計労務単価、前倒しでやらなかったら将来大変だよといっているんですから、そういうときにこそ、産業の育成とあわせてやっていく、産労局などと協力して建設産業の健全な育成で中小企業を育成して、公共事業の質を確保することとあわせて進める、公契約に踏み切る、そういう時期に来ているんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

○松永契約調整担当部長 しかし、公共調達は公平公正な手続のもとで実施されるべきものでございまして、また、賃金水準は企業にとって経営そのものを左右する極めて重要な要因だというふうに考えております。
 したがって、最低賃金法を遵守して労働者の賃金を定めた中小企業が、公契約条例で設定された賃金条件のために入札に参加できなくなるような状況というものを、私どもは容認すべきものではないというふうに考えております。

○植木委員 私は何も中小企業をいじめるという立場ではありませんから、むしろこういうときにこそ、中小企業の産業育成とあわせてやるということが必要だったと思うんです。
 先ほど来何回もいっているように、単純に全部一律にとかという、そういう考えじゃないんですから。(発言する者あり)だから、条例にもいろんな制約やらルール化が必要なんですよ、その中には。当然、当たり前のことですよ、それは。
 そうはいっても、もう時間もありませんので、こういう状況の中で公契約条例についての研究がなされていないというのは事実ですから、これまでのいろんな質疑を聞いていても。そういう意味で、対象事業をどうしたらいいのかとか、賃金水準の検討とか、それから他の自治体でどんな苦労をして経験をつくってきたのか、何年もかけてやっているんですよ。議会でも何回もこの問題だけで論議をしたりしてつくってきているんですよ。
 そういう意味で、公共事業を取り巻く環境に変化が出ているときだけに、都として、課題があるとばかりいつまでもいっていないで、少なくとも研究や検討に着手すべきではないかと私は思っていますけれども、いかがですか。

○松永契約調整担当部長 我が国における賃金や労働条件は、先ほど来から申しましているとおり、最低賃金法や労働基準法で下支えした上で、各企業において対等な労使間での交渉により自主的に決定される法制度としています。
 都の契約制度もそれに立脚しておりまして、これまでも、我が国の法制度に基づき、契約に当たり受注者に対して契約約款により法令遵守を義務づけるなど、適正な労働環境の確保に向けた取り組みを行っております。
 都においては、公契約条例につきまして、労働法制との整合性や入札契約制度の前提である公平性、競争性の確保など整理すべき課題があるというふうに認識しております。
 都としては、都民活動や都民生活に必要な施設インフラの着実な整備に向けまして、入札契約制度を取り巻く大きな状況の変化やそのときどきの課題に対しまして、公契約条例の制定という手段ではなく、現在進めている入札契約制度改革を通して総合的に取り組んでまいります。

○植木委員 公契約の検討の中でやってほしいということを再度申し上げまして、答弁は、またいつも同じ答弁しか出ないので、次に移りたいと思います。
 都有財産を活用した福祉施設の整備を促進するという立場から質問をします。
 私は、日本共産党の代表質問で、認可保育園や特別養護老人ホームを思い切って増設するために、全庁を挙げて、福祉施設整備に活用可能な都有地、監理団体の未利用地を洗い出すことを求めました。また、都有地の賃貸料については、通常の半額、保証金も賃貸料の三十カ月分が必要なので大幅に引き下げること、また、知事が述べていたように、無償もしくは十分の一などの大幅に低廉な地代で提供することを一刻も早く決断するようにと私は求めてきました。
 知事は答弁で、都有地に限らず、国有地、民有地も含めた広範な土地活用策について検討チームを関係部局により設置すると答えました。また、中井局長は賃貸料について多角的な視点から検討すると答弁いたしました。また、予算特別委員会でも取り上げてきました。
 そして、その具体化についてですけれども、いずれも、認可保育園や特養ホーム、あるいは社会福祉施設、それぞれ切実な課題です。区市でも先の見通しを早くつくりたいと思っているわけで、土地の確保への支援の検討は急がれていると思うんです。その意味で、検討チームは大変期待されているわけです。
 検討チームを立ち上げたということですが、既に第一回は開かれたと聞いておりますけれども、いつ開かれ、何を論議して、結論はいつまでに出すという計画でしょうか。

○岩瀬財産運用部長 第一回の検討会は、三月六日に既に開催いたしました。検討作業を進めまして、実施できるものから着手することとしております。

○植木委員 着手できるものは、どんどん着手していきたいという趣旨のことだと思うんですけれども、関係部局といわれましても、どこまで、東京都全体大きいですから、実際の構成がどうなっているのか。また、そのまとめ役である事務局はどこがどう担うのかについて教えていただきたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 検討チームのメンバーは、知事本局計画調整部長、都市整備局都市づくり政策部長と住宅政策推進部長及び都営住宅経営部長、福祉保健局企画担当部長、財務局財産運用部長の六名でございます。その下に課長級の作業チームを設置してございます。事務局は、財務局と福祉保健局が共同で担当してございます。

○植木委員 大変大事なチーム構成になっているというふうに思います。
 検討課題については、どのようなことを今考えておられるでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 都有地につきましては、福祉インフラ整備事業に活用可能な都有地が都内に偏在していること、また、直ちに利用できる土地が限られていることなど、種々の課題が考えられます。

○植木委員 直ちに利用できる土地が限られているというお話がありましたけれども、実際にはどのくらい、少ないという表現なのかわかりませんけど、どのくらいあるというふうに現在は認識しているでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 財務局所管の二百五十平米以上の未利用都有地で申し上げますと、区部に百件、四十万六千平方メートル、多摩地区が五十八件、百一万一千平方メートル、島しょ部、島しょ等が十件で四十七万六千平方メートルでございまして、合計で百六十八件、百八十九万三千平方メートルでございます。
 このうち、八十三件、百六十二万三千平方メートルは暫定利用中でございまして、二十件、十八万七千平方メートルが利用計画を既に決定したものでございます。

○植木委員 二十件は利用計画が決定されているというんですけれども、暫定利用も含めまして百四十件余り、百四十数件がまだあるということです。それぞれ調査をしなければならない課題はあると思いますけれども、その課題を進める上で、都の都有地、それから、各局にある土地など、福祉インフラに可能な土地全体を、答弁でも都有地とか民有地とかいろいろいっていましたけれども、一元的に管理をしないと全容がなかなかわからないと思うんですけれども、一元的な管理についてお示し願いたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 検討チームには、都営住宅を所管いたします都市整備局がメンバーとして、また、公営企業局もオブザーバーとして参加しております。各局が所管する福祉インフラ整備に活用可能な用地に関する情報は、検討チーム内で共有を図っていくこととしております。

○植木委員 検討チーム内で共有するということにしても、具体的な名前が挙がってくれば、やはり一元的に管理しないと、なかなか実際の作業が難しく、複雑になってくるだろうというふうに思うんですけれども、ぜひ、それはやっていただきたいというふうに思います。
 それから、貸付料について、舛添知事は、保育所用地のために都有地を周辺の十分の一の賃料で貸すと、具体的に踏み込んだ考えを述べておりました。実際に施設運営者に話を伺ってみましても、やはり施設を確保するというのはなかなか大変で、土地代が高いということがネックになっている。公有地についても、活用するにしても、そこがネックだと、こういうような話もありましたけれども、この十分の一の賃料で貸すという知事の考え方を具体的に進める立場にあると思うんですけれども、どのように考えておられるでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 都有地の貸付料のあり方の検討に当たりまして、福祉インフラ整備に活用可能な未利用の都有地が、区部東部、北部ですとか、多摩西部に偏在しているとともに、地域間で土地価格に大きな差があること、施設整備を行う民間事業者間の公平性を図ることなど、多くの課題がございます。
 検討チームでは、こうした課題を踏まえまして、施設立地の実情等について調査を行った上で、慎重に検討することとしております。

○植木委員 検討するということで、知事がいった言葉ですから、これは非常に重いと思うので、ぜひ具体化を図っていただきたいし、私たちは福祉施設などについては、用地確保助成条例などで民間の土地の確保についても、いろいろ民間や社会福祉法人などについても提案してきましたけれども、ぜひ、この中で具体化をしてていただきたいというふうに思います。
 それから、民有地についても検討対象として述べていましたけれども、この範囲はどういうふうに認識しているでしょうか。どのように考えておられるでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 民有地等ということでございますが、都有地、国有地以外の土地でございまして、民有地のほか、区市町村所有地、監理団体所有地等を想定してございます。

○植木委員 最初に、私も代表質問の話を述べたように、監理団体も含めて検討をと、そういうことで民有地についても、一般の民有地のみならず、対象を広げて積極的にこれらを進めていただきたいというふうに思うんですが、いずれにしても、これから進めていくに当たって、都有地、国有地、民有地等ということで、広範な土地活用について検討することになるわけですので、これらについての情報提供や、区市町村、それから、事業者、福祉保健局、こういうところの総合調整がこれから課題になるのではないかというふうに思うんですけれども、財務局として中心になって、これを積極的に推進する決意がおありなのかどうか、お聞きしたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 検討チームは、都有地から民有地までインフラ整備に係る土地活用につきまして、広範にわたり検討を行うこととしており、構成メンバーが情報を共有し、連携を図りながら検討を進める中で、それぞれ事情に精通した事項の取りまとめを行うことが、効率的、効果的であると考えております。

○植木委員 いずれにしても、始まったばかりでありますから、これからという課題があるわけですけれども、一定の範囲の広がり、それから、検討のチームの構成、あるいは未利用地についての一定の考え方は、まだまだ不十分ですけれども出ておりますので、いずれにしても、知事が述べてきた課題でもありますので、優先的な課題として今後も積極的に推進し、具体化できるところは直ちに具体化に踏み切っていただきたいということを重ねて要望いたしまして、質問を終わりにします。

○酒井委員 私からは、公契約の役割と可能性について、何点かお伺いをしたいと思います。
 これまでの本会議やこの財政委員会でも、入札不調や低入札の課題が議論をされてきたとともに、同時に、障害者雇用の問題や中小企業の振興、さらには、公契約条例なども入札契約制度との関連の中で議論をされてまいりました。これらの議論全体を踏まえると、賃金のことだけではなく、社会的関与といった面から、公共事業の契約としての公契約の役割と可能性ということも改めて議論をしておく必要があると考えております。
 そこで、都の発注工事の入札契約状況は、労務費や資材価格の上昇などから不調が増加をしている中で、その一方では、これまで過度な低価格競争により、そこで働く方々の賃金にも影響するような、官製ワーキングプアといった懸念も長く続いてまいりました。
 不調に対しては最新の労務単価を速やかに反映し、低入札に対しては調査を強化するなど、都としても対策を実施してきていることは承知をいたしております。これらは、入札契約制度の運用の中で、このような労働者の労働環境を守っていく社会的問題が解決できる糸口があるのは、公契約そのものが多くの可能性を秘めているのではないかと考えております。
 そこで、公契約としての新たな役割として、都が推進をする政策実現への貢献もあると考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 入札契約制度を通じまして、各事業者に対して、政策実現のための自発的な取り組みを啓発、奨励していくことは、一つの手法と認識しております。
 都の工事契約における総合評価の幾つかの累計には、そのような企業の社会性を評価する項目を設定しております。
 例えば、事業者団体等と災害時における協力協定を締結した場合、それを企業の社会性や信頼性として評価すべき項目の一つとしております。ただし、このような評価項目の設定に当たりましても、調達の過程や、その結果におきまして、透明性、競争性、品質の確保を損なうことなく実現するということが前提でございます。

○酒井委員 ただいま答弁にあったように、公共調達という面では、透明性、競争性、そして、品質の確保といったものが重要であることは、これはいうまでもないわけです。そういったことを踏まえながら、いかに政策誘導をしていくのかということが必要であり、東京都の政策の中には、先ほども述べましたとおり、障害者雇用の問題や、あるいは環境対策の問題や、さらには、当然、労働政策の問題もあろうかと思いますけれども、この政策実現の公契約の役割の一つとしては、中小企業の育成支援もあろうかと思います。
 中小企業が発展をしていく過程で、個人事業主から法人事業主として、その活躍の場を広げていく時期がございます。例えば建設業において、その許可を受けている個人事業主が法人化をする場合、建設業法のもとでは許可を引き継ぐことができず、個人事業主として一旦廃業をした後、新たに法人として許可を取得するまでに約一カ月の期間がかかります。また、法人として許可取得後も、公共工事を請け負う際に必要となる経営事項審査にも約一カ月間の期間がかかってまいります。したがって、約二カ月の間、入札に参加できないということとなり、法人としてスタートを切る大切な時期に、企業活動にブランクを生じてしまうという問題がございます。
 こういった点は、法律上、そのようになるということは理解をしているわけですけれども、企業活動の継続を円滑に進めていくため、制度上、対応をしていくことも必要であると考えております。
 そこで、入札契約制度の中では、個人事業主が法人事業主となる場合どのような取り扱いを行っているのか、確認をさせていただきたいと思います。

○松永契約調整担当部長 建設業法の規定に基づく経営事項審査を経まして、東京都工事契約入札参加資格登録をしていただくことになります。
 有資格者である個人が法人設立の際、そのまま代表権を有している場合は、登記簿謄本で内容を確認の上、速やかに登録できるようになっております。
 また、代表権を有していない際は、新規の資格申請扱いとなりまして、毎月二十日までに申請を完了した場合、翌月一日から資格が適用される随時申請の制度を設置しております。

○酒井委員 ただいまのご答弁を解釈すると、新規の登録の場合には、最短で十日から最長で約一カ月という期間がかかるということですけれども、その一方で、既に個人事業主として登録をしているその事業主が、代表者として新たな法人を設立するというときには、登記簿の確認ができれば速やかにということですので、即日か長くても二、三日、あるいは一週間という時間の中では東京都の入札に参加ができるという、そういった取り扱いにしているというふうに理解をさせていただけるのかなというふうに思っております。
 この問題自体、契約の中では、ある一定の制約があって、法律上、どうしても時間がかかってしまうという部分については、これはなかなか財務局さんでは対応ができないことでもあると思いますけれども、これらの点について、これは都市整備局等々の建設業法自体の問題もあるわけですけれども、東京都全体の中で中小企業の支援という面では考えていただきたいというふうに思っております。
 ぜひ財務局においても、入札契約制度の中で個人事業主が法人事業主となる場合、企業活動にブランクが生じないということについて、中小企業の育成支援という政策実現に貢献をする取り組みを引き続き推進をして、間接的に支援をしていただければというふうに思っております。
 この公契約の役割については、入札契約制度を取り巻く環境も大きく変化をしていると思います。最近の不調の発生など、大きく変化する入札契約状況の中から課題を的確に把握をし、解決策を導いていくことが重要であると考えております。
 新聞などのメディアでは、多種多量のデータであるビッグデータの活用ということも多く取り上げられているところです。このビッグデータは、今までは見過ごされてきたデータを解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、これまでにないような新たな仕組みやシステムを生み出す可能性が高まるものとされております。
 都では、電子調達システムにより、平成十五年度から電子入札が順次実施され、入札結果など多くのデータが蓄積されており、これも、ある意味ではビッグデータの一つであるといえるのではないかと考えております。
 そこで、電子調達システムは、入札手続のツールとしてこれまで着目をされてまいりましたけれども、データについても、より一層活用ができる余地があるのではないかと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 電子調達システムは、発注予定などの情報提供など、各種機能から構成されており、事業者の負担軽減、入札プロセスの透明性、公正性の確保などに大きな役割を果たしているというふうに考えております。
 電子調達システムのデータにつきましては、これまでも契約に関する統計情報の処理などに利用してまいりました。新たな電子調達システムの稼働に伴いまして、分かれていたシステムを今般統合し、情報の一元化を図りました。
 新システムでは、総合評価方式もシステム化することによりまして、これまで以上に、契約情報に関する分析を効率的に進めることが可能となりました。
 今後とも、電子調達システムのデータを入札契約制度の課題検討に活用してまいります。

○酒井委員 この入札契約制度を取り巻く環境は常に変化をしてきており、今後ともデータという客観的な状況を把握できる優良なツール等について、一層の活用をお願いしたいと思います。
 最後に、被災地との連携についてお伺いをいたします。
 この三月で、東日本大震災の発生から三年を迎えました。いまだに多くの方々が避難生活をされており、復興は、まだ道半ばであろうかと思います。被災地の復興事業では、技術者、また技能者の不足、資材の不足、入札不調の課題が発生をいたしております。
 新聞などの一部のメディアでは、東京における二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けた準備が、被災地の復興に暗い影を落としているという報道もございます。また、東京のインフラ整備が進むことで、被災地が置き去りにされるのではないかという不安の声も、よく耳にすることでございます。
 このような中で、入札不調への対策を、今後、東京都としても講じていくことになると思いますけれども、東京都の入札不調になった例の中では、再入札をした結果、一・六倍の金額で再入札を行ったというような、一部の事例ですけれどもあるように、都が極端に単価を引き上げるようなことがあると、被災地に、さらに不安をもたらすことも懸念がされます。
 都も被災地も同様に入札不調が発生するなど、共通の課題を持っていると思いますけれども、これらの点について、どのようにお考えなのかお伺いをしたいと思います。

○松永契約調整担当部長 東京の不調発生率は、昨年十二月時点でございますが、一二%ということで、三カ月前の九・七%からさらに上昇しております。宮城県におきましては、全体で二五・七%ということで、大変不調の発生率が高くなっております。そういう意味で、不調という共通の課題を持つため、今後、宮城県及び仙台市等々と意見交換を実施してまいりたいと思います。
 引き続き、震災復興事業を行っている自治体との情報共有をまず行い、契約担当者などと課題解決に向けた話し合いをしてまいりたいと思います。

○酒井委員 都では、さまざまな被災地支援の取り組みを行っているわけですけれども、今ご答弁にもあったように、入札契約制度の面でも被災地自治体との情報の共有などの取り組みを、引き続き積極的に継続、発展をさせていただくことをご要望申し上げます。
 都が当面の課題とは別に、政策への貢献、中小企業の育成、データの活用、被災地との連携など、公契約の可能性と役割を追及していくことが、公共調達の信頼性をさらに高めていくことにもつながろうかとも思いますので、今後とも、しっかりと入札契約、公契約の制度についての改革、改善に取り組んでいただきたいということをご要望申し上げ、私からの質問は終わりにいたします。

○西崎委員 私からは、今回、予算審査ということもありまして、事業評価にポイントを置いて、何点か伺いたいと思います。
 今回の予算編成については、知事不在ということで通年予算として暫定案が公表されるという、大変、極めて異例のものでした。そのため、私どもの会派の方に、知事不在の中でこういった通年予算を編成していいものなのかという批判の声もいただきました。私としましては、大島の復旧、復興や、今後、四月から予定されています消費税の引き上げの対応など、都民のことを第一に考えれば、今回の対応は、時間のない中でやむを得なかったと判断しております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、都民からの批判が出てくる背景には、例えば知事がいないことをいいことに行政が好き勝手に予算を組んで、お金を無駄遣いしているのではないかという、ないとは思いますが、というような誤解や、新規事業は全て新知事のもとで決めるべきではないかということをいわれた都民の方もおりました。
 来年度においては、税収が九%を超えて大幅に増収となる中、政策的な経費は暫定案の段階で二・三%と、むしろ私は手がたい予算案だと感じているところです。こうした手がたい予算案を編成する上で大きな役割を果たしているのが、事業評価であると認識しております。
 そこでまず、事業評価の視点やプロセスが、どのようなものになっているのか伺います。

○潮田主計部長 事業評価は、限られた財源の中で都政の諸課題に的確に対応していくため、一つ一つの施策の効率性や実効性を向上させる継続的な取り組みとして実施しております。
 具体的には、予算編成の一環として、前年度の決算状況や事業の成果などを厳しく事後検証した上で、施策の見直し、再構築などの評価を行い、その結果を翌年度の予算に的確に反映させているところであります。
 評価に当たりましては、事業の必要性や有益性、事業を実施することによる将来への影響などの視点を、事業所管局などと共有を図りながら、多面的な検証を行っております。

○西崎委員 例年、事業評価は、予算の発表にあわせまして一月に公表されておりますけれども、実際には予算編成の一環として、前年度の決算分析から始まり、年明けの予算発表まで、一年を通しての取り組みであることはわかります。
 ただいま多面的な検証という答弁がありましたけれども、さまざまな角度から事業評価を行うために、財務局だけではなく、専門性を持つ部署との連携が欠かせないと考えます。
 そこで、事業評価における関係部局との連携の状況について伺います。

○潮田主計部長 事業評価において、専門的な視点から検証が必要なものについては、知識やノウハウを有する部局と連携しながら評価を行っております。
 例えば施設の整備に当たりましては、財務局の財産運用部や建築保全部と連携することによりまして、財産の利活用や建築コストの適正化など、より専門的な見地から検証を行っているところであります。
 また、情報システムの開発、運用に当たりましては、総務局行政改革推進部と連携することにより、有効性やコスト面などからの検証を行うなど、実効性を高める工夫をしております。

○西崎委員 今お話を伺えば、いろいろな所管と連携しているということはわかりました。
 私は昨年十月の当委員会で、事業評価における新しい公会計制度の活用状況についてお伺いをいたしました。その際、主計部長からは、活用方法の一つとして、事業別財務諸表を活用されているという答弁がありました。
 そこで、具体的な事例を交えながら、事業別財務諸表を活用した評価の基本的な考えについてお聞かせください。

○潮田主計部長 都財政の充実強化を図るためには、全体をマクロ的に捉える視点が大切である一方で、個々の事業がどれだけ効果を上げているのかを検証し、常に改善を図っていくことが重要であると認識しております。
 そうした観点から、都では事業別財務諸表を活用し、個別事業の評価、検証を行っております。
 例えば都立図書館では、建物の老朽化が都の平均を上回って進んでいること、また、蔵書数が収蔵能力に達しつつあることが貸借対照表のデータの方から確認ができました。
 また、行政コスト計算書からは、レファレンスサービスなどの基幹業務については専門性を持った司書が担い、その他については業務委託を進めるなどの見直しを行った結果、蔵書一冊当たりのコストが前年度に比べ減少をしていることが明らかになりました。
 このように、事業別財務諸表から明らかになった情報などを踏まえながら、計画的な設備更新や維持管理コストの見直しなど、個別事業の改善につなげております。

○西崎委員 今回公表されました東京都の予算概要の事業評価の取り組みを見ますと、いろいろ書かれているんですけれども、平成二十六年度予算編成に当たって新たな取り組みといたしまして、職員提案制度等の優良事例を活用した事業評価ということを、実施したと記載されています。
 そこで、新たに導入されました職員提案制度等の優良事例を活用した事業評価を導入した狙いと、具体的な評価事例について伺います。

○潮田主計部長 お話の新たな取り組みは、職員提案制度や東京スピリット賞等の優良事例に見られます、都に内在し蓄積をする知識やノウハウを最大限活用して、効果的な事業の実施に結びつける評価であります。職員提案制度等に基づく見直し内容を迅速かつ的確に予算へ反映させるとともに、同様の見直しがほかの類似事例においても行うことができないか、横断的な検証を実施しているところであります。
 具体例としましては、ホームページを通じた情報発信によりまして都民サービスを向上させたとして、職員提案制度で表彰されました取り組み内容などを踏まえて事業検証を行いまして、これまででは別々でありました医療機関の案内、これは福祉保健局でやっております「ひまわり」というホームページですが、こちらと薬局の検索システムを統合しまして、ワンストップでの情報検索と、それから、運用コストの縮減を図る事例がございます。

○西崎委員 昨年度の監査結果の活用がマイナス面を横串で克服する取り組みとすれば、この職員提案制度はプラスの視点の共有といわれるのではないでしょうか。あらゆる視点から事業評価を底上げしていこうという姿勢は、評価できると思います。このようなすぐれた取り組みを、より多くの都民に知っていただくことが重要ではないかと思います。
 そこで、より多くの都民に、この事業評価というものを見てもらうために、わかりやすさという点も含めて、どのように工夫されているのか伺います。

○潮田主計部長 平成二十六年度東京都予算案の概要においても、グラフあるいは図表を挿入することですとか、分析結果を強調して表示するなど、都民にとって、よりわかりやすい内容となるように工夫をいたしました。
 また、評価結果をホームページにも掲載するなど、都民に対する説明責任も果たせるように努めております。
 今後とも、事業評価の内容がより多くの都民に理解されますよう、わかりやすさという点からも工夫を重ねてまいります。

○西崎委員 平成二十六年度東京都予算案の概要を、私もちょっと読ませていただきましたけれども、確かにところどころグラフとか図表など挿入されていて、昨年よりさらに工夫されているのかと思っております。
 冒頭に、ちょっと衝撃的なことを申し上げましたけれども、でも、都民から、都の財政状況とか、その事業評価ということが理解されることが、やっぱり重要ではないかと思っています。
 これは、ある本を読んでおりましたら書かれていたことなんですけれども、イギリスとかフランスの例なんですけれども、これまでの研究によりますと、予算編成過程がより段階的で透明性の高い国ほど財政赤字が小さいといわれているそうです。
 東京都の予算は、スウェーデンの国家予算にも相当するぐらいの巨額の金額になっております。ぜひ、この事業評価を有効に活用して、事務事業の効率性、実効性を念頭に予算編成を行うとともに、都民にも、この点をしっかりと広報していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時十分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大津委員 東京において、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催が決まり、今後、その準備に向けて、都は、競技施設やインフラの整備を着実に実施していく必要があります。東京都が、こうした事業を着実に進める上で必要な工事の入札は、現在、電子調達システムにより電子入札で行われていますが、きょうは、契約を結ぶ電子調達システムについてお伺いします。
 東京都では、平成十五年度に電子入札が導入され、ちょうど十年が経過しました。当時を振り返ると、インターネットに代表されるITといわれる情報通信技術の飛躍的な進歩もありました。また、契約関係では、入札談合に対する社会的な批判の高まりを背景として、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律が平成十三年四月に施行され、国や地方公共団体等の行う公共工事の入札契約について、透明性の確保や公正な競争等の観点からの取り組みも進んでいたころでした。
 そこで、これまで電子調達システムの果たしてきた役割についてお伺いします。

○松永契約調整担当部長 電子調達システムは、インターネットを利用して、発注予定などの情報提供、入札参加資格の申請受け付け、入札参加希望から落札通知までの事務を行う電子入札の三つの機能から構成されております。
 事業者にとって、電子調達システムの主な効果といたしましては、第一に、事業者が来庁することなく、入札参加資格の申請や入札手続が行えるという利便性の向上がございます。平成二十四年度は、電子入札手続だけでも約一万八千件の実績があり、事業者の負担軽減が大きく図られたものと考えております。
 第二に、入札手続がインターネットを利用して電子的に行えるため、入札参加者が集まらないで済むことや、自分以外の他の入札参加者がわからないなど、談合等、不正行為の防止や競争性の向上に寄与しているというふうに考えております。
 さらに、職員にとっては、契約事務を電子的に行うため、データの共有化やシステムの連携によりまして、事務処理時間が短縮されるなど、業務の効率化が図られております。

○大津委員 談合入札等、なかなか自浄作用がきかない内向型文化を、第三者機関や、こうした制度で見える化を進め、さまざまな防止対策も、これからもますます必要かと思います。
 さて、電子調達システムは、都の調達に効果を発揮し、事業者や都にメリットがあるということでありますが、都の契約は当然都民にも関係があるという点で、都民にとっての電子調達システムは、どのようなメリットがあるのかお伺いします。

○松永契約調整担当部長 都民にとって電子調達システムのメリットは、インターネットを通じて都の契約制度や入札結果を知ることができるため、契約の透明性の確保につながっているというふうに考えております。
 また、発注予定を広く公表することにより、多くの事業者の入札参加が見込まれ、競争性が高まることで、結果として都民の税負担の軽減にも寄与しているものと考えております。
 このように、透明性の確保や競争性の向上により、都の入札契約制度の信頼性を高めることに役立っているというふうに考えております。

○大津委員 東京都の契約を結ぶ電子調達システムの果たす役割は、大きいものがあると思います。
 さて、最近システムを狙ったコンピューターウイルスなどにより、システム障害が起きたり情報が流出するなど、コンピューターのセキュリティーが大きな社会問題ともなっています。もし、電子調達システムがウイルスに感染するなどしてシステムが停止した場合、都の入札契約事務が滞るおそれも、もちろんあります。
 そこで、電子調達システムのセキュリティー対策の取り組みについてもお伺いします。

○松永契約調整担当部長 電子調達システムのセキュリティー対策は、都の基本となる情報セキュリティーポリシーに基づきまして、インターネットを通じて外部接続しているシステムであることから、高度な対策を講じております。
 具体的には、電子調達システムへの不正アクセスの制限、ウイルス対策ソフトによる常時監視、入札に関する情報の暗号化など、さまざまな対策を実施しております。
 また、インターネットを通じて、システムに脆弱性がないかを検査するセキュリティー診断を、四半期ごとに受診することになっております。
 さらに、今年度は、外部専門家によりまして、システム及びその管理運用について、セキュリティー対策が適切に実施されているかを点検評価する情報セキュリティー監査というものも受けております。
 今後とも、システム自体はもとより管理運用面におきましても、セキュリティー対策には万全を期してまいりたいと思います。

○大津委員 電子調達システムのセキュリティー対策は、万全に行われていることがわかりました。
 しかし、今後、新たなコンピューターウイルスが発見されるなど、セキュリティー上のリスクは日々刻々変化もしています。電子調達システムは、都の契約を支える重要なシステム。現状に甘んじることなく、セキュリティー上のリスクに関する情報収集など、適切な対策を講じ、安定的な電子調達システムの稼働に向けて、先手を打てる防人となっていただきたいと存じます。
 次に、都有施設の案内、つまりサインシステムについてお伺いします。
 都庁展望室は、富士山と東京タワーにスカイツリー、そして、レインボーブリッジを初め、東京を一望できる魅力のスポットであります。都庁展望室は、国内外の観光ガイドブックにも掲載され、都民だけでなく、多くの観光客が訪れる観光スポットでもあります。震災前は年間百八十万人、震災後も百五十万近くの多くの人が訪れる観光資源でもあります。
 一方、都議会議事堂正面では、いつもカメラ撮影をしている人が絶えません。平日では、都議会来訪者から場所を聞かれて案内をした件数は、平成二十四年度で一万六千六百二十五件ありました。案内をされている方々の肌感覚では、六割が展望室とパスポートセンターと運転免許更新センターの案内、うち半数は展望室とお伺いをしております。さらに、外国人観光客のほとんどは、やはり展望室と、毎日オープンして、年末年始しか休まない東京観光情報センターだそうです。
 しかし、土日祝日が休みのため、展望室を初め、都民ホール、都政ギャラリー、パスポートセンター、観光情報センターを目指してきましたが、正面玄関前で迷って右往左往している方たちをよく見かけます。
 例えば、小雨の日に五人家族が議事堂正面玄関で雨宿りをしていました。乳母車に幼い乳児を乗せ、若いご夫妻に祖父母様。ガラス越しの奥には都庁が見えるのですが、若いお父さんがあちらこちら探していました。声をおかけすると、展望室はどこですかと聞いてきました。口頭でご案内しましたが、端的な説明はなかなか難しいものがあります。
 晴れた日には一人の女性が、都庁ができたとき上ったのですが、きょう、久しぶりに展望室に来ました。どこでしょうか。無料でしょうか。途中まで、ご案内しました。
 先週末は、わずか十分で五組の方々が訪れました。皆さん、京王プラザホテル側の歩道を横断してきますが、閉まった正面玄関の前で、のぞいて、そして、どこか右に左に動き始めます。五組のうち、二組が金髪の老ご夫妻を初め外国人、三組が日本人でした。
 そうこうして、しばらくすると、今度は約三十人の知的身体障害者のグループが、正面玄関に江東区の方からいらっしゃいました。ドアがあかずに引き戻したので、声をかけますと、都政ギャラリーはどこでしょうか。イベントの心の東京革命十周年HEARTokyoに絵を展示してもらったので、全員で見に来ましたと尋ねられました。回り道が結構難しいため、ご案内をいたしました。
 平日は警備員さんが案内できても、土日は正面玄関も閉まります。展望室を初め、目的地へ行き着くためには、正面玄関から、右と左と、おのおの五十メートル歩き、橋の手前の階段を下るのが実にわかりにくいのです。向かって右の階段から中央通りに下る、向かって左の階段からふれあい通りに下る、どちらかというと、中央通りに下る右側の階段が早道です。
 そこでお伺いしますが、都議会議事堂の景観にもふさわしい順路入りのサイン、案内をすることはできないものでしょうか、所見を伺います。

○間庭庁舎運営担当部長 展望室を初めとした各庁舎への誘導サインにつきましては、これまでも、都民や観光客など来庁者の声を反映いたしまして、増設するなどしてサービスの向上に努めてきたところでございます。
 委員からご指摘をいただきました都議会議事堂正面玄関付近は、第一本庁舎及び第二本庁舎の位置を記した地図はございますが、各施設への道順を記載するなど、直接誘導するものは設置されてございません。
 今後、関係局と連携いたしまして、適切にご案内できますよう表示方法などを工夫してまいります。

○大津委員 ぜひ、都民生活のサービスのためにも、取り組んでいただきたいと存じます。
 一方、警備も重要なので、都政ギャラリーや都民ホールイベント時は、主催者側の人による案内や、場合によっては自主警備の協力をいただける体制もあってもと考えています。
 東京全体には、都庁展望室を初め、観光資源となる施設が多数存在しております。海外からの観光客も東京を楽しむことができるように、多言語によるサインを促進すべきと考えます。
 一時期、外国人旅行客が展望室見学のためバスラッシュだったころ、展望室のトイレは、国によって使い方の文化が違うため、多様な状態になっておりました。その際、迅速に、成田空港と同様のトイレの使用案内を個室に添付していただき、大変ありがとうございました。今のところ、それらの案内は、日本語、英語のほか、中国語と韓国語の合計四カ国語ですが、トイレも含んだ展望室は、今後、オリンピック開催にも鑑みて、さらなる多言語化を検討してはどうかと考えますが、所見を伺います。

○間庭庁舎運営担当部長 多言語化につきましては、国や民間団体などと連携し、多言語対応の推進を目的とする協議会を三月十九日に立ち上げることになっております。
 また、協議会のもとには、交通、道路、観光サービスの三つの分科会を設置し、表示に標識等の具体的検討が行われる予定でございます。
 都庁展望室におきましても、それらの検討を踏まえ、対応してまいります。

○大津委員 東日本大震災から三年がたちました。三・一一の日は、都民ホールに帰宅困難者が避難し、座席が満杯でしたので、八百人は避難できたと聞いております。
 被災時には、都庁と都議会を合わせて約五千名の帰宅困難者を受け入れることになります。都議会議事堂内は、都民ホールと都政ギャラリーと一階レストランを開放します。ただ、土日は、まだ検討中と聞いております。
 今後は、魅力のある観光資源などのサインシステムを東京全体の都有施設にも広げていくとともに、平常時から大切な防災の案内も同時に入れることも、全庁的に検討していただきたいと思います。
 避難通路や避難場所や、その他、その地域その地域で必要なサイン、つまり案内を一緒に示せるサインシステムの確立です。景観にふさわしい品格のあるサインシステムを、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催も意識しながら、今から促進し、わかりやすく、安全に暮らし、楽しめる首都東京を構築していきたいと思います。

○鈴木(あ)委員 先週の予算委員会におきましても、自民党は、世界一の都市東京をつくる、そのために、平成二十六年度の予算について、さまざま議論をしてきたところであります。私からは、投資的経費の主要な部分を占める工事の関係についてお伺いをいたします。
 ここ都庁舎におきましても、都議会議事堂の改修工事が本庁舎に先行して行われており、各会派の執務室等を順次、五階と四階との間を移転するなど、改修工事の現場は時々刻々と変化をしております。議事堂を初めとして、これから始まるこの改修工事には、七百億円弱の予算が組まれております。
 この間、安全通路を設置して、資材置き場として確保するなどの工夫を間近で見ることとなり、時間がかかるなというようなことを思いつつも、反面、都議会の開催中、工事は行わない、そして、平素の私たちの議会活動に支障がないようにということで、さまざまな配慮をしていただきながら、改修を進めていただいていること、そんなことを実感いたしております。
 こうした改修工事では、対象となる建物を使用しながらの工事、いわゆるいながら工事となることが多いのはやむを得ないことだと思っておりますが、利用者に危険な思いをさせたり、過度な不便をかけたりすることはあってはならない、このように考えております。
 都では、主要施設十ヵ年維持更新計画に位置づけられているような大規模な施設の改築、改修にも取り組んでおりますが、こうした工事において、利用者の安全対策やわかりやすい案内の方法について、どのように取り組んでいるのか、まずお伺いをいたします。

○山田技術管理担当部長 施設の維持更新のための改築や改修は、委員ご指摘のとおり、都有施設を効率的、効果的に活用する観点や、当該施設の立地上の制約などから、施設を使いながらの工事となるものが多くございます。こうした工事の現場では、来訪者など、施設利用者の安全を確保するとともに、その利便性もできる限り損なわないように配慮することが必要となります。
 このうち、施工中の安全につきましては、工事の受注者に、現場の安全に関する施工計画の作成を求め、その確認と当該計画に基づく対策の確実な実施を指導し、施設利用者の安全確保を図っております。
 また、施設利用者の利便性への配慮につきましては、工事中であっても、利用目的に応じた場所に確実に誘導されるよう、要所に案内表示を行うなど、施設利用者の視線に立った対策を講じております。
 今後も、施設の改築や改修に当たっては、その工事品質の確保はもとより、現場の運営において、これらの対策を確実に実施し、施設利用者の安全確保と利便性の向上に万全を期してまいります。

○鈴木(あ)委員 今、答弁をいただきましたが、安全に関する施工計画の作成や、わかりやすい案内表示など、利用者目線に立った対応を適切に実施をしていただきたいと思います。
 また、安全にかかわる点検を充実させるとともに、現場の利用者への対策を的確に実施して、安全の確保と利便性の向上に万全を期すようお願いをしておきたいと思います。
 現場の安全確保に向けてのさまざまな取り組みや、工事中にあっても利用者の利便性を確保するなどの取り組みがなされているということは、今理解をいたしました。
 さて、こうした取り組みは、工事が始まってから現場で対応するだけではなく、設計段階からしっかりと検討して、工事の積算等にも反映をさせていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○山田技術管理担当部長 工事中の施設利用者の安全や利便性確保への取り組みにつきましては、設計段階から十分な検討を重ね、設計や積算に適切に反映させていくことが重要と考えております。
 このため、設計段階において施設管理者の意見を聞くとともに、これまでの工事の技術的な経験なども生かしながら、工事区域の設定や、これに基づく仮設物の設置、誘導員の配置など、より実情に即した効果的な対策を設計に取り入れているところでございます。
 今後とも、設計段階での十分な検討と、それに伴う積算を行うとともに、その内容を工事において確実に実施し、施設利用者の安全の確保と利便性の向上に取り組んでまいります。

○鈴木(あ)委員 設計段階からの取り組みが重要であるという認識をお伺いいたしました。予算を適切に執行する観点からも、安全に係る部分については十分な対応をお願いしておきたいと思います。
 さて、ここまで工事の基本的な考え方をお伺いしてきたわけですが、ここからは具体的な事例として、先ほども触れさせていただいた都庁舎の改修について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 都議会議事堂に続き、来年度から第一本庁舎、第二本庁舎についても、本格的に改修工事が始まるわけでございます。第一本庁舎、第二本庁舎の改修工事は、平成三十二年度までの七年間を予定しており、大規模かつ長期間の工事となるというように伺っております。
 工事に当たっては、都民や来庁者への影響をできるだけ抑えるために、庁舎内の執務室などで、順次、閉鎖と移転を繰り返していくというふうに聞いております。都庁舎のような大規模ビルにおいて、フロア移転を繰り返しながらの工事ということになりますと、さまざまな困難が予想されるわけですが、まず、都庁舎改修における各局のフロアの移転は、どのように行われる計画となっているのかお伺いをいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎の執務室の多くは、空調機械室が二つの階層にわたり吹き抜けた構造になっております。このため、改修工事は上下二フロアを同時に施行してまいります。
 工事スペースを確保するための移転につきましても、同様に二フロアを単位として、三カ月から五カ月の工事期間ごとに、順次、執務室の移転を繰り返し行ってまいります。
 七年間の改修工事期間中は、日常業務の継続を前提としておりまして、そのため、具体的には、移転を金曜日の業務終了後から日曜日にかけて短時間で集中的に行いまして、月曜日の朝から平常業務を実施できるように、事前の準備を進めているところでございます。
 また、改修工事におきましては、土曜日と日曜日に加え、夜間工事も伴い、かつ、限られた工事場所で多くの業種の施工者が同時に施工することになりますが、事前の綿密な工事調整により効率的に施工し、短期間に各フロアの工事を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、来庁者への影響をできる限り抑えまして、都民サービスの低下を最小限にとどめるように工夫をしてまいります。

○鈴木(あ)委員 利用者への影響をできる限り最小限にとどめるよう取り組んでいくというような、今、答弁をいただきましたが、今回のこの都庁舎改修は、七年という長丁場での工事であり、工事期間が長い分、それができ上がったときに、都民の期待も、それは大きくなるんだなというふうに思っているんです。
 その間、都庁舎を観光で訪れる方も多いと思います。都庁舎は、それぞれの行政サービスを都民が受けるために、最大限わかりやすい空間にすべきであると、そのようにも考えております。都庁舎のサインを初めとする案内のわかりやすさを、どのように向上していくのか、その点をお伺いしたいと思います。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎のサインにつきましては、庁舎内の各部局のほか、多くの来庁者が訪れるパスポートセンターや展望室の案内に加え、都庁舎と周辺交通機関を結ぶアクセスルートの表示などを行っております。
 開庁以来、新たに運転免許更新センターの開設や、組織再編などにより庁内の利用状況は変わってきております。このため、案内サインは、その都度、利用状況に応じて修正いたしまして、来庁者を確実に誘導するように努めてまいりました。
 今回の改修に当たりましては、庁舎内サインに統一感を持たせ、わかりやすいサインにするとともに、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた表示に努めまして、来庁者の利便性向上に取り組んでまいります。

○鈴木(あ)委員 案内サインということなんですが、ユニバーサルデザインに基づく表示は基本だというふうに考えておりますが、外国語対応、現在、多くは原則二カ国語ということ、日本語と英語ということなんだと思いますが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けて、先ほども議論がありましたが、多言語化も積極的に進めていただきたいな、そんなふうにも考えているところでございます。
 その上で、答弁にありましたが、都庁舎内のサインは統一感のあるというのはわかりますけれども、格好いいけどわかりにくいというのが結構あるんです。ぜひ、わかりやすい表示に努めてもらいたいなと、こんなふうにも考えているところです。
 さて、都庁舎には、都民が利用する施設やサービス窓口も数多く、来年度から改修工事が始まれば、都民への影響も本当に大きいのではないでしょうか。窓口のフロアが変わるということになると、周知をしっかりやらなければ混乱を来す可能性があります。
 そこで、都民など来庁者等に、改修工事期間中において、どのように周知をしていくのかお考えを伺います。

○間庭庁舎運営担当部長 改修工事は、来年度早々から本格的に始まりますことから、まず、この四月に「広報東京都」で第一本庁舎及び第二本庁舎の改修工事が始まることを広く都民にお知らせしてまいります。
 次いで、工事期間中を通して、工事スケジュールや執務室等の閉鎖と移転に関する情報をホームページやツイッターなどを活用して、適切に発信してまいります。
 具体的には、ホームページにおきまして、今後三カ月間の工事と移転の予定や最新フロア状況などを掲載することといたします。
 また、庁舎内のサイン表示におきましても、各局が移転するたびに最新のフロア状況を更新してまいります。
 さらに、総合受付案内でも、工事と移転に関する最新の情報を提供してまいります。
 今後、長期にわたる工事におきまして、来庁者への影響を最小限にとどめるよう、常に最新の情報を職員一人一人に対しても周知に努めて体制を整備いたしますとともに、都民、来庁者の皆様に多様な手段により情報を発信いたしまして、確実に目的地に案内する取り組みを着実に進めてまいります。

○鈴木(あ)委員 ホームページや広報等はもちろんのことですが、総合案内というんですか、受付案内の職員が的確に案内できるよう準備をしていただきたいと思います。
 これまで工事における取り組みについて、もろもろお伺いをしてまいりましたが、工事中の安全性や利便性の確保については、設計段階や工事段階において、さまざまな配慮があること、都庁舎改修においても長期にわたって玉突き工事を繰り返すことから、できる限り合理的な工事の工夫がなされているということを確認させていただきました。
 都庁舎改修は、超高層ビルのいながら改修を、七年間という長期にわたって行う工事であります。くれぐれも来庁者が不便を感じることのないよう努めていただきたいと考えております。
 また、都庁舎は、都民へ最善の行政サービスを提供するため、あるいは危機管理や防災の司令塔としても、長期間にわたっての工事を経て都庁舎が改修されるわけで、冒頭申し上げましたように、約七百億円という工事費用を考えてみますと、この改修を終えた後に、十年、二十年、あるいは二十五年と使えるように、適時適切なメンテナンスというものが必要になるわけでして、その点も、ぜひしっかりと行っていただきたいと思います。都庁舎と同様、他の多くの工事についても、安全に工事を進めるとともに、都民への最大限の配慮を要望させていただきます。
 最後になりますが、都の諸施設は都民の財産であるということはいうまでもありませんが、本当に優秀な都庁マンの皆さんは、都民の宝でもあります。
 本当に、両部長、お疲れさまでございました。ありがとうございました。長年の経験を生かされまして、今後も、都政発展、そして、都民生活の向上のために、各方面でのご活躍をお祈りをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○斉藤委員 私の方からは、災害時における未利用都有地の活用についてを中心に質疑をさせていただきます。
 先日の我が党の中嶋幹事長の代表質問を初め、舛添知事の公約やご発言にございます、現在、都有地の活用というと、少子高齢化に対応する福祉インフラの整備ということで、熱心な議論が行われているところであります。知事は、少子高齢対策の充実強化を図るため、地域の実情に即した土地活用策の検討チームの設置を関係部局に指示したとの発言をされていまして、先ほどの他の委員のご答弁の中で、そのチームのお話があったところでございます。都民から負託を受けました貴重な財産であります都有地を計画的に都の喫緊の課題に活用することは、大変に重要なことであります。
 この財産の利活用の観点につきまして、私も、ちょうど今から四年前の平成二十二年の三月十八日ですけれども、財政委員会で、都有財産の活用について質疑をさせていただいたところでございますが、その際、当時の財務局長からは、財政再建を実現した後の都有財産の政策方針というのは、売却して多額の財源を確保するという、そういう観点から、都の施策への貢献という視点に転換をしていくと、そういう角度のご答弁がございまして、今後より一層の土地の有効活用を目指して、全庁的な、その分野分野における総合調整を財務局として役割をしっかりと発揮していきたいというご答弁もいただいたわけでございます。
 本日は、都有地の中でも、さまざまな事情で現に利用されていない、暫定利用も含めてされていない都有地をどのように活用していくのかという観点から、質問させていただきたいと思うんですが、まず、財務局が保有している未利用都有地は一体どういったもので、どのくらい存在しているのかを伺いたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 財務局所管の普通財産のうち、現に恒久的な利用に供していない土地で、島しょの緑地等として保有されている財産を除いた未利用都有地は、平成二十五年十二月末現在で三百三十二件でございます。そのうち暫定利用に供しているものは百二十七件でございます。

○斉藤委員 現在三百三十二件の未利用都有地があって、そのうち百二十七件は暫定利用中との答弁でございました。差し引きすると二百五件でございますけれども、この土地は利用されていないということになるわけですね、暫定利用もしてないということですから。この土地は見方を変えますと、例えば災害時に、使っていない都有地ですから、有効に活用できるんじゃないかと思ったりするわけであります。
 東日本大震災から丸三年がたちまして、被災地は、現在、風化と風評の二つの風と戦っているところでございますけれども、都も、この災害対策、怠ってはなりません。都は、こうした被災地の支援を継続していくと同時に、東京都におきましても、首都直下地震への備えを急がなければならないわけですけれども、例えば木造住宅の密集地域の解消、これも重要です。さまざまな対策に取り組んでいるところです。
 また、地震以外でも、昨年、記憶に新しいところですと、十月秋に伊豆大島で台風二十六号によりまして、大規模な土石流災害が発生をいたしました。大変な被害だったわけでございます。
 大災害が発生した場合、都民の生命と財産を守るために、都としてありとあらゆる手だてを講じていく必要があるわけであります。そのため、都庁の各局や関係機関が、それぞれの役割に従って、被災状況に応じて、最も機動的な対策を行う必要があるわけでございます。
 そこで、一つの検証といいますか、余り気がつかなかったのですが、三年前の東日本大震災の際には、財務局では、都有地に関してどのような対応をとったのかを伺いたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 財務局では、所管する未利用都有地のうち、被災者のための仮設住宅用候補地として、使用可能な土地のリストを速やかに作成いたしました。土地の選定に当たりましては、仮設住宅が建設可能なおおむね一千坪以上であること、平たん地であること、また、接道する道路の幅員が六メートル以上であること、この三条件に合致する土地として、その件数は十七件となりました。その情報は、総務局総合防災部や仮設住宅確保を担当する都市整備局と速やかに共有いたしました。

○斉藤委員 速やかに未利用都有地の情報を集めて、関係部局と情報を共有したということが今わかったわけでございます。実際には、都内では仮設住宅の建設はなかったわけでございますので、被災者の受け入れは、その時点であいている都営住宅や公共住宅を活用したわけです。そういったことが報道されたわけですけども、実は、その背後には、未利用都有地についていち早く情報を集めて共有したという事実があったということ、これが大事だというふうに思うわけであります。
 非常時には臨機応変に対応していくという点で、都有地を管理する財務局として当然の対応だったといえばそうかもしれませんけれども、また、昨年の大島町の土石流災害の際にも、単に仮設住宅の建設というニーズ以外にも、土砂の一時集積、資機材の場所の確保など、こういったことも必要だったのではないかと思うわけでございます。
 東日本大震災の教訓が生かされたのではないかと推察しますが、そこで、大島町のこの土石流災害の際には、財務局、どのように対応したかを伺いたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 東日本大震災のときの経験を生かしまして、直ちに情報収集や整理を行い、仮設住宅用地などとして活用可能な土地の候補リストを即日中に作成いたしました。
 もともと島しょということで、平たんで使用可能な土地は少なく、件数は二件でございましたが、速やかに都市整備局等と情報を共有いたしました。

○斉藤委員 即日中の作成、とても迅速性、スピードが大事なときでございましたので、評価したいと思いますが、東日本大震災のときの教訓を生かしまして情報を整理し対応したということです。ここまで、ちょっと質問させていただきましたのは、発災後の対応ということでございます。
 ちょっと話題変えますけれども、最近、災害救援型自動販売機、自動販売機なんですけれども、実は、それが災害時には災害救援用に活用できるといったタイプの自動販売機、ベンダーというものを町なかでも見かけるようになってきたわけでございますが、これは、ふだんは通常の自動販売機ですけれども、災害になりますと、例えば停電になった場合は、非常用電源に切りかわりまして、大きさにもよりますけれども、その中にストックされている販売用のものがありますから、五百本程度の商品の取り出しが災害時に可能になって、非常時は飲料倉庫に切りかわると、こういった発想で設置されている災害対応型の救援型自動販売機というものが最近できてきました。
 そこで、財務局でも土地の貸し付けを実施していると思いますけども、このような災害救援型自動販売機、自販機のような着想で、災害発災時に即応するような、何かあってから後というんじゃなくて、その前の備えとして取り組むべき内容として、そういった災害発災時に何ができるかという観点で、工夫を凝らしているような取り組みに関しまして、条件をつけて貸し付けをした実績はありますか。ちょっとお伺いしたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 渋谷区の神宮前、これは青山の共済病院跡地でございますけれども、その都有地を住宅展示場として、現在、民間の事業者に貸し付けてございます。その貸し付けの条件といたしまして、非常時には災害時帰宅支援ステーションとしてステッカーを掲出し、大規模災害時の徒歩帰宅者に対しまして、水道水、トイレの提供、道路情報等の提供、休憩場所の提供を可能な限り行う旨の取り決めをいたしております。

○斉藤委員 災害時帰宅支援ステーション、いろいろマークがあって、協力するところにはステッカーなんか張ってありますけれども、コンビニエンスストアとかガソリンスタンドなど、主に徒歩で帰宅する方、帰宅者に、ラジオなどの情報を提供したり、あるいは休息場所として利用可能な範囲で協力するという性格のステーションでございますけれども、災害時における機能を予定しつつ、都有地の貸し付けを行っているという今のお話、大変意義のある取り組みだと思います。
 次に、今シーズンは地震だけではなくて、雪が大変ひどかったわけですけれども、大雪に見舞われるケースが、先月の二月の八日、二月十五日と、一週間ごとに二回も大雪がありました。
 私の地元目黒区でも、積雪によって立ち木が倒れたり、大変被害がありましたが、また、西東京などの丘陵地域におきましては、本当に坂で立ち往生になったり、大変でした。孤立する集落なんかも、さらに西東京の方でございましたけれども、雪に対する備え、雪国は大変備えているわけですけれども、都心などは、一たび大雪が降りますと、交通麻痺が起こったり、転倒事故などが頻発しまして、経済的に大変な被害をもたらすことにもなります。
 また、今回は特に帰宅困難者なども問題になった点、これは、本会議場でも質疑があったところでございます。このように、雪が公道上などに積もった場合には、未利用都有地などを一時的に貸し付けて、除雪した雪の仮置き場として使うというのもよいかと思います。
 そこで、このような雪害のケースで、都有地を貸し出した実績はありますでしょうか、お伺いしたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 先月の二月十五日の降雪によりまして、多摩西部地域におきまして、除雪した道路上の雪の集積場所として、至近にございました都有地を活用したい旨の話が、西多摩建設事務所と地元自治体からございました。
 財務局では、直ちに関係者との打ち合わせを現地等で行いまして、集積場所として使用するための必要な条件を整理し、対応したケースが一件ございました。

○斉藤委員 これまでは、災害時におきます財務局の対応や未利用都有地の活用法について伺ってきたわけでございますが、初めにも申し上げましたけれども、都民から負託を受けている貴重な財産である都有地でございます。この都有地を計画的に都の喫緊の課題に活用することは、大変に重要であります。今後も、十分に、きちんと進めていってもらいたいと思うわけでございます。
 そこで、こうした災害時など、いざというときであっても、すぐに活用可能な土地を提供して、都民のために役立てていくことが重要であるというふうに思います。見解を伺いたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 都民の貴重な財産である都有地の利活用を進めていくためには、福祉インフラ整備のような政策的に進めていくものはもちろんでございますけれども、お話のように、いざというときであっても即座に対応できるようにしておく必要がございます。
 土地には、面積ですとか用途指定などの基本的な要素のほかに、これまでの使われ方、周辺の状況や近隣との関係など、それぞれに特性がございます。そうした未利用都有地の状況を日ごろから的確に把握するよう努め、効率的、効果的な土地の利活用を積極的に図ってまいります。

○斉藤委員 いずれにいたしましても、財務局が各局の事業をサポートすべく、財務局の持つ総合調整機能、局長を中心に発揮していただきまして、財産の情報把握や情報共有に努めるなど、関係局と密接な連携を図りまして、災害発災時などには迅速な手だてを講じていくことが重要だと思うわけでございます。
 私、自転車施策、一生懸命やっている自負を持っているのですけれども、駐輪場に活用できるような都有地はないのかと。今、福祉の目的では、ある程度まとまった土地が必要ですから、そういったことが条件づけで非常に対象となっておりますけれども、私は、実は都有地の中にも非常に目立たない、これはどう使えるのかなとわからないような土地も、実は見る人が見ると宝になる場合もあるというふうに思っておりまして、そういった観点からいきますと、大きい都有地だけではなくて、それ以外の土地についても、どういったものがあるかを、都有財産、こういうものがあるんだということを、私、この目で、ちょっと現場を見て、利活用につきまして一緒に考えていきたいというふうに思っております。
 引き続き、適切な都有財産の利活用に努めていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

○曽根委員 私からも、今後の都の財政運営について幾つかお聞きしたいんですが、都の課題として、今後数年間、ハード、ソフト、あらゆる面で、かなり大きな仕事、それも新しい分野の仕事に取り組まなければならないと思います。
 特に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを都民の理解と協力のもとに成功させるためには、競技施設を初めとする適切な施設整備を行うとともに、都民生活全体に喜ばれるような財産を残していく、まちづくりの財産を残していくという点でも、暮らしやすいバリアフリーのまちづくりや都民スポーツ環境づくりなど、こういうことをも含めた準備を進める必要があると思うんです。
 また、本会議や予算特別委員会でも私たちも強調しましたが、保育や介護を初めとした都民福祉の分野でも、東京は何よりも施設整備がおくれているという点を取り戻すためのかなりの費用、予算の確保も必要になります。
 さらに、今お話もあったように、防災のまちづくりの課題、また、都の施設の防災も含めた維持更新の課題も切迫しております。
 これらに必要な財源を確保しながら予算運営をしていくと、今まで以上に厳しい計画性が問われていると思うんです。
 そこで、まず最初に、主要施設十ヵ年維持更新計画の進捗状況について、昨年の事務事業質疑で植木委員からもお聞きし、また、本会議質問でも取り上げましたが、まだ実態がよく見えないところがあるということで、少し具体にただしておきたいと思います。
 計画全体の概算の事業費は約八千三百億円と設定され、平成二十一年度から三十年度までの十カ年を三期に分けて進めているところですが、既に二十四年度からは第二期に入っておりまして、計画期間の半ばを過ぎようとしております。一期目は二千七百億円の見積もり、二期目は三千億円の見積もりとされていますが、現在の進捗状況は、それぞれどこまで進んでいるのでしょうか。

○室木建築保全部長 事業の進捗状況を予算ベースで見てみますと、計画期間におきます概算事業費約八千三百億円のうち、一期につきまして、二千七百億円の計画に対して予算が二千五百億円、すなわち約九割が予算化されております。
 また、二期につきましては、三千億円の計画に対しまして、二十四、二十五年度予算及び二十六年度予算案まで含めますと、二千四百億円の見込みとなります。
 したがいまして、一期、二期、合わせて予算化が四千九百億円の見込みとなり、概算事業費全体の約六割となってございます。計画期間が十年のうち、来年度が六年目であることを勘案いたしますと、おおむね順調に推移していると認識しているところでございます。

○曽根委員 金額的には、来年が六年目で、全体も六割が予算化されてきていると。順調のように見えるんですけれども、実態として、一つは、建物の件数について、どこまで件数がこなされたのかという質問を昨年したときに、余りはっきりしたお答えがなかったと思うんです。
 一期目の施設、それから、二期目にもう入っておりますので、それぞれ対象件数に対して何件ぐらいの予算化がされているのかをお聞きします。

○室木建築保全部長 一期の状況につきまして、予算措置の状況から整理してみますと、第一期の計画施設として具体に名前の挙がっているものは二百件でございます。このうち百六十八件が着手しているところでございます。このうちの未着手だった案件につきましても、土地問題の整理、あるいは計画内容の確定など与条件が整い次第、順次着手しておりまして、二十六年度予算案まで含めますと、二期に入って十五件が着手または着手見込みであり、合わせて百八十三件となります。したがいまして、現段階で約九割が着手または着手見込みとなっているものでございます。

○曽根委員 今、一期目のみについて、予算化も九割、件数も約九割ということで、一致しているようなお話だったです。これも、実態を正確に反映しているかどうかということなんです。
 例えば大きい施設もあれば、かなり小規模のというか、中小の規模の施設もあります。今残っている事業で、一期目で残っているのが、例えば国際フォーラムや、それから、国際展示場などは、もう着手はされているという件数に入っていると思いますけれども、実際は、これから残された改修の予算が、かなり残っていると思うんです。で、定着に入っていると。
 それから、江戸東京博物館だとか現代美術館は大規模改修はこれからと。現代美術館は設計段階だとお聞きしましたが、これも大きなお金がこれから出ていくというのが残っているということは、件数でも九割、事業費でも予定の九割はいっているけれども、一期目だけでも、かなり費用が膨らんだ場合には、八千三百億を上回っていく危険性はまだ残されているということを指摘しておきたいと思うんです。
 二期目についてはお答えがなかったんで、まだ件数が積算できるところまでいっていないのかなというふうに勝手に推測しますけれども、都民の立場から、こういう状況を見たときに、防災上も、暮らしの上でも、どうしてもおくらせるわけにいかない都立の病院だとか、学校、その他の身近な施設の維持更新が、お金の面や件数の面で、仮に今後おくれが顕在化してきたときに、しわ寄せを受けるというようなことが絶対にあってはならないと思うんですが、その保障があるかどうかという点についてお聞きします。

○室木建築保全部長 本計画の対象施設につきましては、用途、特性に応じて大きく二種類に整理しておりまして、警察署、消防署、学校、福祉施設などの都民の安全・安心を守るための拠点となる施設と、産業関連、体育施設などの都民サービスを提供していく上で必要な施設とに分類しているところでございます。
 このうち、都民の安全・安心に係る施設について見ますと、一期の計画施設として名前の挙げられている百四十三件のうち、平成二十六年度予算案まで含めますと、百三十四件に着手または着手見込みでありまして、これは百四十三件に対しまして、約九四%に達しているものであります。
 また、耐震化など、都の重要施策の一つとして緊急性の高いものにつきまして、前倒しをして実施しているところでございます。
 今後とも、都民の安全・安心を守るための拠点となる施設を初めとしまして、条件の整ったものから順次着手してまいります。

○曽根委員 今お話のあった一期目の中では、都民の安全・安心にかかわる、例えば地震の際に、いっとき避難場所になる学校の施設とか、そういうものは九割以上予算化されてきているという点の努力は評価したいと思います。
 一つずつの施設を見れば、いろんな事情でおくれたり早まったりということがあることは、こういう長期計画ですから当然だと思いますけれども、今後、さらに後半期に入って、全体の費用が八千三百億円と見込んだ五年前の時期から見て、さまざまな条件の変化が起きているわけです。先ほど来もお話があったように、入札不調が起きるほどの技術者不足や資材単価の高騰、人件費も上げていかなきゃならないということや、また、オリンピック・パラリンピック競技施設の整備が、課題としてのっかってくる。福祉施設も、今度、知事は長期ビジョンをつくるとおっしゃっていますけれども、それに、今までとは同じペースではいかない、さらに大きな計画ものせなきゃならないということで考えると、かなりの逆風が予想されると。
 この中で事業を着実に進めるために、私は、この時期、ちょうど半分が過ぎようとしている時期に、改めて、全体の事業費八千三百億円で全体が完了できるかどうか。そのことも含めて正確に精査をした上で、後半期の対象施設や事業費などについて、見直しを含めた検討計画を策定して、都民に公表していく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○室木建築保全部長 まず、八千三百億円の事業費の関係でございますけれども、ご指摘のように、現段階では一部の資材や、あるいは労務が高騰しております。こういう状況下におきまして、私ども対策としまして、例えば予算見積もりの段階においては、各施設の整備範囲ですとか、その整備の内容について、さらなる精査を行っております。
 また、施設の設計段階におきましては、低コストで調達可能な資材をより多く使用するなど、工夫を凝らしているところでございます。
 今後とも、こうした維持更新の手法ですとか設計などに知恵を絞りまして、全体のコスト管理に努め、総事業費内におさまるよう取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 また、計画事業の実施に向けて、現段階では、各局が維持更新計画のスケジュールに沿うよう、与条件の整理に鋭意取り組んできており、その結果、条件の整った場合には、速やかに設計等に着手しているところでございます。
 また、社会状況の変化に伴いまして、さまざまな基準日の改正ですとか、あるいは新たな行政需要が発生した場合には、個々の事業を推進する中で対応しているところでございます。
 今後とも、各局への技術的な支援などを行うとともに、毎年度の予算編成の段階で精査を行いながら、また、状況の変化にも柔軟に対応してまいります。

○曽根委員 計画全体は見直さないで、その中の個々の局の取り組みの事業の中で、設計などのコスト削減とかに努力をしていくというお話ですけれども、例えば教育庁が、この計画をつくった後に策定したと思うんですけれども、第三次の特別支援学校の整備計画というのが、この後に出ているんです。これは、この第二期の中に、都立の特別支援学校が、一応、分野として載っていますけれども、恐らく第二次の整備計画のときの試算に基づくものだと思うんです。
 第三次は、かなり大規模な、教室をふやさなきゃならないという、この間、予算特別委員会でうちの会派の議員がやりましたけれども、あと二百ぐらい足りないという計画ですけれども、それでも、かなり拡充が求められてくると思うんです。
 これが反映されていないということなどは、かなり金額的にも、対象施設も、教育庁の分野だけでも、そういう大きいものが、その後出てきているということですので、これらを取り込んで、新たなグレードアップした計画にしていくというのは、おいおい必要になってくると思うので、これは、ぜひ前向きに検討していただければということを申し上げておきたいと思います。
 それから、財務局さんに質問することではないので、指摘だけにしておきますが、この計画の中にありますように、子供家庭総合センター、第一期の中で行われました整備が、百人町につくった施設なんですけど、この施設をつくるときに、渋谷にあった東京都児童会館と、それから、戸山にあった児童相談センターかな、福祉保健局の分野などが統合されまして--児童会館は、五百人入れるホールも含めて、年間百万人ぐらいの都民利用がある都立では有数の都民利用施設だったのですが、ホールはなくして、もう極めて機能を縮小した形で、百人町に、この子供家庭総合センターがつくられたと。
 これ今ちょっとはやっているらしいんです。全国の自治体で維持更新を少なくするために、私の住む北区などでは区立の公共施設を一五%削減するというのを行政の側でもう打ち出しているわけなんです。
 こういう中で、もちろん無駄な施設もあるかもしれませんが、例えば北区では、児童館など、子供たちにとっては大事な施設だなと思うものが削減されそうになっているということで、こういうことが東京都であってはならないというふうに思います。もちろん、立川の合同庁舎のように、統合して便利な場所に行って、移って機能も落ちないというような場合もありますから、むげに、全面的に否定はしないんですけれども(発言する者あり)落ちていますか。
 明らかに児童会館の統合については、機能縮小になっちゃったので、このことは指摘しておきたいと思います。
 次に、こうした主要施設の維持更新計画は、都民利用の利便を高めるためにも、着実に進めていっていただきたいんですけれども、それを進める中で、新たな課題もいっぱい出てきているというときに、予算全体の運営について簡潔に聞いておきたいと思いますが、主要施設の十カ年計画については先ほどお聞きしましたが、オリンピック施設の基金も積んでありますが、かなりの財源を使います。
 しかし、既にこの間、来年度の投資的経費は、平成十一年度、九九年度に非常に近づいているというふうに先ほどお話がありました。
 この間、投資的経費が、だんだんふえてきているという傾向にあると思うんですが、この間の動きについてお知らせいただきたいと思います。

○潮田主計部長 投資的経費の当初予算額でございますが、平成十年度が一兆五百八十八億円、十一年度は九千七十四億円でございまして、二十六年度の九千百八十七億円という数字は、十一年度とほぼ同水準、同程度になっております。
 また、投資的経費の当初予算額は、平成十七年度から十年連続で増加をしております。

○曽根委員 そのわかりやすい表が、この予算案の概要に出ているんです。確かに十七年度からずっとふえ続けまして、二十六年度で、ほぼ平成十一年度レベルに達するか、少し超えるかというふうになります。
 私は、この一九九九年、平成十一年度のことはよく覚えていまして、この年は、ちょっと不思議なことがあるんですが、大変財政が厳しかった。たしか平成十年度末には、当時の青島知事の似顔絵入りのパンフレットが出まして、東京都は財政ピンチですというパンフレットまでつくったんです。にもかかわらず、投資的経費は一兆円近く計上されたんです。
 これは恐らく、その直前にあった青島知事の公約であった臨海副都心開発の見直しということで、一年ぐらいかけて、懇談会、検討会をやったけれども、ほとんど見直しがされずに、臨海開発、副都心開発続行になったと。それから、中央環状高速道路は、私の地元北区を通っていた王子線がほぼ終了し、新宿線が、当時、工事が佳境に入った時期だと思います。かなりの出資と貸し付けが行われていました。
 そういう点で、やはり一旦始まった公共事業、開発は、なかなかとまらないというのが象徴的にあらわれた。ですから、財政は厳しかったんですけど、一兆円近い投資的経費を予算上計上せざるを得なかったというのが東京都の当時の流れだったんです。
 一方、借金の返済のために積み立てる減債基金の積み立てというのは、あのときはまだ、この積立方式が、十年一括返済ということが始まったばかりでしたから、積立義務額は約二千二百億円だったと思うんですが、来年度でいうと二千八百億円ぐらいですから、それより少なかったんです。しかし、その積立額さえ積めないで、五〇%、一千百億円しか減債基金積み立てができなかったぐらい、最後の年度末の財政調整は大変だったんです。
 その後、何年か後に、五千八百億円ぐらい一気に減債基金を、たまった分を積んだ年もありましたけど、このときは大変だったんです。こういうことを繰り返してはならないということなんです。
 結局、そのときに、臨海開発だとか高速道路をとめられなかった、削減できなかった分が、何年か後に石原知事になってから、逆に都民の高齢者福祉などが約一千億円規模で削減されるという形で、都民犠牲になってはね返ってきちゃったという経過がありますので、これからのことを考えると、私たちは、オリンピック成功のためのハードの費用も当然ながら必要だと思いますし、都有施設の維持更新も必要、福祉のためのハードの事業も必要と。
 これらが当然出てくる中で、少なくとも不要不急の--私たちは外環をいっていますけれども、そういう事業については極力抑えるということが不可欠だと思うんですが、いかがでしょうか。

○潮田主計部長 社会資本ストックの老朽化対策、それから、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化など、都民の安全・安心の確保に向けた取り組みは、これは着実に進めていかなければならないことはもちろんでございます。また、そうした観点から、これまでもしっかりと取り組んできたところであります。
 また一方では、東京外かく環状道路、あるいは東京港を初めとする都市インフラの整備、これは都民の利便性や国際競争力の向上に大きく寄与するものでありまして、東京の活力を維持向上させる上でも、極めて重要なものだと考えております。
 このため、平成二十六年度予算においても、事業の必要性や緊急性などを十分に精査した上で、こうした都民生活の向上に資する投資的経費に財源を重点的に配分しておるところでございます。
 なお、今年度末、二十五年度の最終補正予算においても、執行状況を踏まえた精査などを行いながら、基金の取り崩し所要額を抑制したことによりまして、平成二十六年度末、先ほどのオリンピック・パラリンピックの基金も別立てにしまして、七千八百二十三億円を確保しておるところでございます。
 今後とも、社会資本等整備基金や都債などの財源を有効に活用しまして、財政負担の平準化、それから、世代間負担のバランスなどに留意しながら、着実に社会資本の整備を推進してまいります。

○曽根委員 予定した時間を使ってしまったので、最後、一言だけ申し上げておきます。
 財政負担の平準化や世代負担のバランスというのが崩れかかった時期がある、それが平成十年、十一年の前後だったわけです。その負担が将来にわたらないためにということで、その後、世代的にいうと高齢者、それから、障害者などの施策が、かなり犠牲になったことは申し上げておきたいと思います。
 それから、東京の国際競争力ということで、経済の牽引車ということがよくいわれますが、私は、経済のどこを引っ張るかというならば、やっぱり中小企業の経営に資する公共工事のあり方なども、ぜひ重点を置いてほしいと。
 例えば、この間の資料でいただきました中小企業の受注実績でいいますと、直近の平成二十四年度では、先ほどいった大型の道路や港湾施設が多い建設局、港湾局の公共工事が約一千四百億円規模あるんです。この中で、中小企業が大体五割ぐらいしか受注できていないんですが、都営住宅が多い都市整備局とか福祉保健局の公共工事は五百億円弱の規模ですけれども、八割から九割ぐらいが中小企業受注という実績になっておるように、私たちは思い切って、こうした福祉関係、教育、都営住宅などに、公共事業の中身にもシフトしていくことを強く求めておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十五分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る