財政委員会速記録第十三号

平成二十五年十月二十二日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長山崎 一輝君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長高木 けい君
理事近藤  充君
理事曽根はじめ君
理事酒井 大史君
大津ひろ子君
ほっち易隆君
清水 孝治君
西崎 光子君
橘  正剛君
鈴木 隆道君
鈴木あきまさ君
植木こうじ君

 欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長中井 敬三君
経理部長奥田 信之君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長潮田  勉君
財産運用部長岩瀬 和春君
利活用調整担当部長菊地 俊夫君
建築保全部長室木 眞則君
技術管理担当部長山田 雅史君
庁舎運営担当部長間庭  修君
収用委員会事務局局長目黒 克昭君

本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)

○山崎委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 この際、さきの台風二十六号によりお亡くなりになられました伊豆大島などの方々、皆様に対し、心より哀悼の意を表し、謹んで黙祷をささげたいと思います。
 皆さん、ご起立をお願いいたします。
 黙祷。
   〔全員起立、黙祷〕

○山崎委員長 黙祷を終わります。ご着席願います。

○山崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 私からは、東京のまちづくりの推進に向けた収用制度の活用という観点から質問をいたします。
 道路や公園等、公共事業が都や区市などで行われています。更地に新たに建設するときにはやりやすいのですが、そこの場所に生活をしている、代々住んでいらっしゃる住民の方々がいる場合、任意での買収ができないために、いろいろな問題も起きています。公平公正、中立な制度として収用制度の活用も考えられますが、私の地元である渋谷区においても、収用制度の活用により、幾つかの場所で道路の拡幅が行われるなど、まちづくりが進んでいます。
 中野通りや明治通りの拡幅も、ずっとこの三年行ってきております。用地買収も、まだまだおくれながら続いています。そういう中で、商店街の魚屋さんが、この立ち退きを機に廃業をしたり、また明治通り沿いのビルオーナーは、たくさんのはやりのテナントを抱え、中長期的なビル経営で、なかなか計算がしにくいという声もあり、またアパート経営をしていた方は、同じ家でも、その中で僕たちは利益があるんだよ、また町会が変わったので、もう渋谷で活動できなくなっちゃったよ。そんな声を三年間聞き続けてまいりまして、とても心が痛んでおります。この方たちは、ほとんどが交渉で、話し合いで、皆さん別の土地に引っ越しをされました。
 しかし、こうした地域のまちづくりを担う都や区や市に対して、事業の推進に有効な収用制度の理解をより一層深めるとともに、お互いにお互いが理解できる、そうした解決も必要だと考えています。
 これまで、事務局として、区市に対してどのような取り組みを進め、どのくらい効果が上がったのかお伺いをします。

○目黒収用委員会事務局長 収用制度の活用を進めるためには、制度に対する正しい理解を広げることが不可欠でありまして、そうした取り組みを区市に対しましても積極的に行うことが重要であると認識しております。
 事務局といたしましては、これまで職員が区市に直接赴き、収用制度の説明や実務相談を行ってきたほか、今年度は、収用制度の活用実績のない区市の首長を訪問いたしまして、制度のPRを行ったところでございます。
 また、区市等の用地事務を担当する職員を対象として、収用手続に関する知識やノウハウを学ぶことのできる研修や実践的な課題演習を行う研修を開催してございます。
 こうした取り組みによりまして、区市からの申請は増加しておりまして、平成二十四年度の実績では、区市からの申請数は五年前の平成十九年度十八件の約一・七倍となります三十一件となってございます。

○大津委員 さまざまな取り組みで申請件数が増加していることがわかりました。
 地元渋谷区の収用制度活用の実績はどうでしょうか、また、それにより、まちづくりにどのような具体的な効果があったのかお伺いをいたします。

○目黒収用委員会事務局長 渋谷区が起業者として申請した事件は、最近五年間では、平成二十年度に、都市計画道路補助第六〇号線の関係で一件、平成二十二年度から二十三年度にかけまして、都市計画道路補助第一九号線の関係で四件の計五件ございます。
 収用委員会として、あるいは事務局といたしまして、事業の効果について総括をしたり感想を述べることは、なかなか難しいわけでございますが、起業者であります渋谷区から提出された申請書によれば、公益の目的といたしまして、補助第六〇号線につきましては、渋谷駅周辺の交通渋滞解消や歩行者の安全を確保するとともに、魅力ある副都心を形成し、円滑な都市活動を確保するもの、また、補助第一九号線につきましては、渋谷区恵比寿地域周辺における健全な市街地を形成し、円滑な交通機能を確保するものと記載されてございます。

○大津委員 まちづくりの推進がされる一方、土地所有者など権利者に対しては十分な配慮が必要です。その点、収用制度はどうでしょうか。
 我が国では、不動産の価値が高く、厳密な登記制度が設けられています。例えば、お隣同士の土地所有者同士の境界が定まらない場合、結構これも多いんですが、みずからの土地の分筆登記をすることができず、公共事業に賛成でも協力できないという事態も、一方生じてもいます。
 その場合、最終的には、収用制度を活用することにより解決が図られ、早期の解決は権利者のためになる、それも期待をしたいと思います。
 そこで、権利者にとっての収用制度活用のメリットは何かお伺いいたします。

○目黒収用委員会事務局長 収用制度におきまして、土地に関する補償額は、事業認定の告示の日で固定されることになっておりますが、収用事件の大半を占める都市計画事業におきましては、この価格固定日が、用地買収交渉期間が長引いた場合には、一年ずつ繰り越される仕組みになってございます。
 このため、例えば土地価格下落局面におきましては、権利者側からいたしますと、早期に解決し、補償金を得たいというインセンティブが働くことになります。
 土地収用法では、権利者から起業者に対し、裁決申請を行うことを請求することや、裁決前に補償金の支払いを請求することが権利として認められるなど、早期に解決したいという権利者側の意向を酌み取ることのできる制度的保障がなされております。
 また、土地建物所有者が事業に賛成の場合でも、借家人等が事業に反対の場合には、土地建物所有者は補償金を得ることができず、生活再建が進まないということになりますけれども、収用制度を活用することにより、こうした問題を解決することも可能になるものでございます。

○大津委員 地元渋谷区でも、先ほど述べました中野通りの拡幅、明治通りの拡幅が、これからも続いていきます。昔から何代にもわたり住みなれてきた土地を離れるのは苦渋の決断でもありました。また、セットバックの準備を計画のためにしてきていたものの、なかなかそのとおりに実行することにも、いろいろな思いをはせる方たちも多い状況です。
 収用される側の権利は、最大限に保障されなければなりません。権利の保障としては、補償額の適正な算定こそが重要であると考えます。
 そこで、土地、建物などについて、それぞれどのような考え方で、どのように算定をされているのかお伺いをいたします。

○目黒収用委員会事務局長 土地の収用に当たりましては、憲法及び土地収用法に明記されていますとおり、正当な補償を行うということが基本的な考え方となっております。
 この正当な補償の具体的内容でございますが、まず、土地の補償につきましては、近傍の類似した土地の取引価格などを考慮して算定をすることとなっておりまして、その算定に当たりましては、事業認定の告示日を基準日として、その基準日時点の土地価格に、裁決のときまでの物価変動に応じた修正率を乗じて計算することになっております。
 また、収用する土地に建物などの物件がある場合、通常これを移転するための費用が補償をされることになっております。具体的には、建物を移転するための建物補償、塀や門扉などの建物以外の工作物を移転するための工作物補償、引っ越しに要する費用である動産移転補償などでございまして、客観的かつ合理的に、移転先と移転方法などを考慮しながら算定が行われております。
 これら土地、建物の補償額につきましては、いずれも法律、経済または行政の各分野における識見にすぐれた委員で構成される収用委員会が、起業者とは別に、信頼の置ける不動産鑑定士等へ鑑定命令を行いまして、その鑑定結果などを総合的に勘案することによりまして、公平かつ適正に判断をしているところでございます。

○大津委員 地元の方々と話をすると、生活再建が難しいという声もあれば、はたまた、こうなった以上、早くもう売却をしちゃいたいんだという方もおられますし、そういう意味では、個別個別のいろんな事情や案件において、両方の声に応えられる努力を収用委員会にお願いをしまして、質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○山崎委員長 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○奥田経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり三件でございます。
 一ページをおめくりいただきまして、要求資料第1号をごらんください。
 こちらは、社会資本等整備基金について、直近五年間の推移及び主な充当事業をまとめたものでございます。
 次のページをお開きください。要求資料第2号は、九月末日時点での主要施設十ヵ年維持更新計画における平成二十五年度新規工事着手状況一覧を表にまとめたものでございます。
 一ページ、おめくりください。要求資料第3号は、平成二十年度から二十四年度までの五年間における財務局所管の五百平方メートル以上の普通財産の売り払いの件数、面積及び金額をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 私は、宝くじについてお伺いをしたいと思っております。
 宝くじは、長年にわたり国民の娯楽の一つとして定着しており、夢を求めて年末ジャンボ宝くじを買い求める人々の行列などは、師走の風物詩の一つとなっています。こうした顔を持つ一方で、販売元である地方自治体にとって、宝くじは、その収益金がさまざまな分野の公共事業に活用される貴重な財源という一面を持っております。都においても、平成二十四年度において五百五十五億円もの宝くじ収入があり、少子化対策や公園整備事業などに活用されているとのことであります。
 その一方で、気がかりなことに、近年、宝くじの売り上げが伸び悩んでおり、収益金も減っているというお話も聞いております。景気回復の効果がまだまだ宝くじの売り上げにまでは及んできてはいない面もあるかとは思いますが、宝くじ収益金という貴重な財源を確保するため、何とか売り上げを向上させていく必要があり、そのためには、積極的な販売戦略に打って出ることも必要と考えます。
 例えば、先般オリンピック・パラリンピックの東京招致が決定しましたが、この経済波及効果のみならず、オリンピック・パラリンピックを宝くじの売り上げ向上の機会としても活用することが考えられます。実際、立候補ファイルの中では、大会施設整備の財源の一つとして、この宝くじが挙げられています。
 そこでお伺いをしますが、宝くじが過去のオリンピック大会において果たした役割と、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会における取り組みについて、具体的にお伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 冬季を含めまして、我が国がこれまで開催をした三回のいずれのオリンピックにおきましても、財源として宝くじは活用をされてございます。
 例えば、一九六四年の東京大会では、宝くじ券面にオリンピックマークを印刷しまして、その使用料として四億二千万円余が大会組織委員会に支払われております。
 また、一九七二年の札幌大会の方では、北海道が発行します宝くじを全国で発売することで売り上げ向上を図りまして、その収益金四億円がオリンピック資金財団に交付されております。
 さらに、一九九八年の長野大会では、全国くじでありますグリーンジャンボ宝くじをオリンピック協賛くじと位置づけまして、その収益金の一部八十億円が長野県に配分されまして、大会施設整備等に活用されました。
 二〇二〇年の東京大会におきましても、長野大会と同様に全国宝くじを活用することとしておりまして、既に、この方針は、発売団体で構成されます全国自治宝くじ協議会におきまして決定をされてございます。
 具体的な発売形態等は未定でございますが、二〇一七年から二〇二〇年までの四年間で収益金百億円を見込んでおりまして、大会施設整備に充てる予定となってございます。

○ほっち委員 今後、協賛宝くじを販売する予定ということでありますけれども、実際にオリンピック・パラリンピックの施設整備が進むのは、まだもう少し先の話であり、この協賛くじも二〇一七年からということであります。オリンピックに向けても宝くじが活用されるという点をアピールすることにより、宝くじのイメージアップにもつながると思うので、今のうちから、そのあたりはしっかりアピールをし、より幅広い国民に宝くじを買ってもらい、宝くじ購入層の拡大につなげる一つのきっかけにしていただきたいというふうに思っております。
 ところで、宝くじに関する基本的な話として、宝くじの売り上げは、一部が当せん金に充てられ、一部が地方自治体の収益金になるということでありますけれども、事務事業質疑ということであり、改めてお伺いをいたしますが、宝くじの仕組み、すなわち、全体売り上げに対する収益金の割合などについてお伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 宝くじは、全体売り上げのうち、当せん金や各種経費などを除いたものが、収益金として、発売元である全国都道府県及び二十指定都市へ配分をされまして、さまざまな分野の公共事業に充当されてございます。
 平成二十四年度の実績でいえば、宝くじの全体売上額は九千百三十五億円でございまして、このうち四千二百八十四億円、率にいたしますと四七%が当せん金として当せん者に支払われております。
 また、宝くじの証票の印刷費、あるいは販売業者に支払う手数料などの各種経費は、全体の一三%の千百七十六億円となっております。
 これらを除きました三千六百七十五億円、率にいたしますと四〇%が収益金として地方自治体に配分をされております。

○ほっち委員 宝くじの売り上げのうち、収益金として約四〇%が自治体の収入になるということであり、この点からも、いかに宝くじが自治体の財源確保に貢献をしているかということがうかがえる数字であると思います。
 そうした意味で、やはり足元の売り上げ動向が気になるところでありますけれども、最近の宝くじの売り上げ動向について、具体的にお伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 全国の宝くじの売り上げは、平成十七年度の一兆一千四十七億円をピークに年々減少傾向にございます。平成二十三年度に一時的に一兆円を回復したものの、昨年度は九千百三十五億円にとどまるなど、一兆円を下回る売り上げとなっております。この傾向は、都内での売上実績を見ても同様でございます。
 平成二十五年度上半期は、数字選択式の宝くじの新商品でございますロト7の発売もございまして、全体で、昨年度実績を上回っているものの、一方で、サマージャンボ宝くじなどの売り上げが昨年度より若干減少したことによりまして、上半期の売り上げ全体で三千九百二十五億円となっておりまして、昨年同時期の三千七百六十八億円に比べまして、百五十七億円余の増加にとどまっております。

○ほっち委員 ロト7のテレビCMというのは、私も見たことがありまして、大変おもしろい内容だなというふうに感じておりますけれども、新商品という話題性もあり、ロト7の売り上げは好調ということはうなずけます。
 一方、気がかりなのは、今年度のジャンボ宝くじの売り上げが低調であるとのことですが、ジャンボ宝くじは、冒頭でも話したとおり、最もポピュラーな宝くじとして多くの国民に親しまれているものと認識しており、ジャンボ宝くじの売り上げ低下は、宝くじにとって大きな問題であるというふうに考えます。
 では、ジャンボ宝くじの売り上げ不振の原因について、どのように捉えているかお伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 この夏のサマージャンボ宝くじ発売後に実施をされましたアンケートによりますと、宝くじを購入しなかった理由のうち、ジャンボ宝くじの購入意向はあるものの、旅行など他の用途に資金を使うために購入を見送ったとの回答が大分ふえてございます。
 また、同時に、売り場からの声を聞き取った話によりますと、ことしの四月に、一等賞金が四億円、キャリーオーバー時にはジャンボ宝くじを上回る八億円という高額賞金が設定されましたロト7、こちらが新たに導入されまして、高額当せん金を志向しますファン層がジャンボ宝くじの方からロト7の方へ流出したことも一因となってございます。
 ジャンボ宝くじの売り上げ不振の原因が、単に景気動向や個人年収の問題なのか、一過性のものなのか、構造的な問題なのか、あるいは趣味の多様化が進んでいく中で、なかなか詳細な判断は困難でございますけれども、いずれにしましても、宝くじの発売団体としまして、現状を深刻に受けとめておりまして、引き続きその推移を注視するとともに、さらに、要因分析を続けてまいります。

○ほっち委員 ぜひ慎重な分析を進めて、構造的なものと諦めるのではなくて、積極的に打開策を打ち立ててもらいたいというふうに思っております。
 また、お話の中にもありましたけれども、購入を見送った層に再び宝くじを購入してもらうためには、ジャンボ宝くじの賞金条件などの見直しによってマンネリ化を防ぐとともに、販売促進プロモーションの強化などの取り組みも必要と考えております。
 来月には、宝くじの最も売り上げが大きい年末ジャンボの販売が控えています。私が調べたところ、年末ジャンボの昨年の売り上げは約千七百九十五億円で、一昨年は千七百七十一億円と横ばいではありますけれども、ことしは、ぜひ現状に甘んじることなく、売り上げ増加を目指してもらいたいと思っておりますが、今年度の年末ジャンボについて、どのような売り上げ向上施策を行っていくかお伺いをいたします。

○潮田主計部長 まず、宝くじ購入者からの要望として非常に強い、一等賞金の高額化を進めてまいります。年末ジャンボ宝くじにつきましては、昨年、十三年ぶりに、一等前後賞を合わせた賞金を六億円に引き上げまして、売り上げ増となる効果がございましたが、ことしは、さらにこれを引き上げまして、ジャンボ宝くじ史上最高の七億円といたすことになってございます。
 また、当たりやすさを希望する方のニーズもしっかりと酌み取りまして、一等の賞金額を七千万円に抑えつつ、当せん確率を十倍にする新商品、年末ジャンボミニ七千万円を同時に発売をいたします。
 こうしたダブルラインナップを柱とします大幅な商品改定とともに、購入者向けのキャンペーン、あるいは企業とのコラボ企画などを充実させまして、話題づくりも含めました効果的な販売促進策を強力に推し進めまして、売り上げ増につなげてまいります。

○ほっち委員 一等前後賞が七億円のくじと新商品ということで、二種類のくじが販売されるということで、好みに応じて買えるということでありますけれども、年末ジャンボの売り上げを大幅に伸ばして、ぜひ、年間の宝くじ全体売り上げ一兆円の回復を、最後まで目指していただきたいなというふうに思っております。
 宝くじの果たす地方自治体財政への寄与というものは、今後ますます重要なものとして、安定的な貢献が求められるものと認識しています。
 そのためには、都を含む販売団体の側も、宝くじの社会貢献性、すなわち、どのような使途に使われているかを真摯にアピールし、理解を求めてもらうなど、継続した販売努力が必要であると思いますが、最後に、東京都として、宝くじの売り上げ向上に、どのように取り組んでいくのかお伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 委員お話しのとおり、宝くじの売り上げ向上に向けまして、宝くじの収益金がどのような事業に使われているかをPRすることは、非常に重要であるというふうに認識をしております。
 これまでも、宝くじのオフィシャルサイトを通じまして、例えば、都において収益金を充当している認証保育事業などについて紹介をしておりますが、今年度からの新たな取り組みとしましては、テレビCMを活用しまして、タレントが緑化事業や防災事業などの充当事業を映像で紹介する取り組みも進めております。
 引き続き、さまざまな媒体を活用し、宝くじの社会的有用性について、わかりやすく積極的なPRに努めまして、信頼感の醸成につなげてまいります。
 同時に、先ほど申しましたとおり、商品性の向上も必要でございますので、賞金条件の多様化を初めとします商品の見直し、あるいはキャラクターを使用したくじ、また、話題性を高める商品の工夫など、購入者の意向をしっかりと把握しながら、魅力的なくじの開発に取り組んでまいります。

○ほっち委員 宝くじの販売努力は一過性のものではなくて、息の長い取り組みが求められると思います。宝くじの売り上げの減少傾向が続くことは、自治体の財政運営上も大きな影響が出るものでありまして、販売団体による全国協議会の事務局を務める東京都は、今後も、中長期的な視点から、宝くじの売り上げの向上施策に前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。

○斉藤委員 私からは、事業評価と入札契約制度改革についてお伺いをしたいと思います。
 オリンピック・パラリンピック東京大会の招致成功の要因はさまざまあると思いますけれども、私は、東京都のこの強固な財政基盤が開催実行能力が高い都市として評価されたこと、それが、その要因の一つであると考えているものでございます。
 その東京都の強固な財政基盤の象徴が、四千億円の基金であります。都はこれまでも、大きな税収変動の波を、基金を弾力的に活用しながら施策に必要な財源を確保してまいりました。とりわけ二十一年度以降、都税収入が四年連続で落ち込む中で安定的な施策展開を支えたのは、都債や基金などの財政の対応力でありました。
 ここ数年は、過去に蓄えた財政の力を活用する時期でありましたけれども、昨年末の政権交代によって誕生いたしました自公連立政権の経済対策によって、日本経済の回復の兆し、これが顕著に見られる今、国の成長戦略と連携しながら、日本経済の成長を都が牽引していくとともに、来るべき経済変動に備えて、都財政のいわば健康管理に努めていく必要があるのではないかと思います。
 その際に、基金残高を回復することはもちろんのこと、積み立てた基金を大切に使っていくという視点に立ちまして、一つ一つの施策を厳しく検証し、無駄を排除していく地道な取り組みが必要でございます。大切でございます。その意味で、重要な取り組みが、この事業評価であると考えております。
 そこで、これまでの事業評価の取り組みにつきまして、最初に、お伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 事業評価は、二次にわたる財政再建推進プランに基づきまして、集中的に実施しました事業見直しの成果を踏まえまして、財政再建を達成した後も、自己改革を継続して進めていくための仕組みとして再構築をしたものでございます。
 具体的には、予算編成の一環としまして、各局と連携しながら、事業の成果や決算状況などを厳しく検証した上で、各事業につきまして、見直し、再構築あるいは拡大、充実などの方向づけを行いまして、その結果を予算等に的確に反映をしてまいりました。
 平成二十五年度予算編成におきましては、新たな取り組みとしまして、監査結果に基づく見直し内容を評価し、迅速かつ的確に予算へ反映する仕組みを導入したところであります。
 また、発生主義の視点から、コストパフォーマンスや資産、負債等のストック状況などについて、きめ細かく分析、試算を行う新たな公会計手法を用いましたコスト分析を積極的に活用するなど、評価の取り組みについて、一段の底上げを図ったところであります。
 なお、これらの取り組みによりまして、約二百三十億円の財源確保につなげておるところでございます。

○斉藤委員 自己改革の取り組みとして、財政再建を達成した後も、手綱を緩めることなく努力を続けてこられたことは評価いたします。
 しかし、自己改革を継続するといっても、簡単なことではございません。特に財政再建を達成した後の改革は、あくまでも都民にとりましても、行政サービスが向上しているのか、量のみならず質が高まっているのかといった視点が重要であると考えるものです。あえて厳しく注文するならば、現在の事業評価制度に安住するのではなく、よりよくするための新たな仕組みづくりが必要だと考えます。
 そこで、平成二十六年度予算編成に当たりまして、事業評価制度のレベルアップ策についてお伺いをしたいと思います。

○潮田主計部長 来年度予算編成に当たりましては、これまで進めてきた取り組み内容を検証しまして、評価手法の強化、改善をさらに図っていくこととしております。
 例えば、先ほどご答弁申し上げました監査結果を活用した評価につきまして、監査事務局において新たに事例マニュアルを作成いたしまして、横断的な検証が可能となるような事例をより多く提示することなどによりまして、取り組みのさらなる進化を図っているところであります。
 加えまして、新たな取り組みとして、職員提案制度等の優良事例を活用しまして、類似事例の横断的な検証を行うとともに、職員提案制度等に基づく見直し内容を評価し、予算へ迅速かつ的確に反映する仕組みを導入していきたいと、このように考えております。
 今後とも、事業局や関係部局との連携を密にいたしまして、これまで以上に創意工夫を凝らすなど、都庁の自己改革努力として、事業評価の取り組み強化や、さらなる活用を図ってまいります。

○斉藤委員 さまざま、新たな取り組みについてお伺いをしました。職員提案制度等に基づく見直しなど、大変期待をするところでございます。
 都政の質的転換を進めていくためには、社会状況の変化に応じた施策の見直しを図っていくことは重要でございます。
 一方で、景気の影響を大変に受けやすい東京都の歳入構造でございますけれども、こういった都財政だからこそ、社会状況の変化に動ずることなく、いわば北極星のような財政運営の基本を堅持していくことも必要だと考えます。
 その観点からも、我が党がリードして実現をいたしました新しい公会計制度を積極的に活用しながら、事業評価を行う側の力量がますます問われる重要な段階に都財政が入ったと認識しております。ぜひとも、財務局には、都民に対する責務を全うしていただきたい、このように思います。
 事業評価については、以上でございます。
 次いで、入札契約制度改革について何点か質問をしたいと思います。
 さきの第三回定例会代表質問でも指摘をさせていただきましたが、入札制度改革、さまざまございます。昨今の公共事業量の削減に伴う建設職人などの減少や、東日本大震災の復興の本格化による労務費、資材価格等の急騰などによりまして、今後の先高感もありまして、契約の入札不調がふえるのではないかといった懸念も聞こえてくる昨今でございます。
 今後は、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催準備に向けたさまざまな施設整備や、高度防災都市づくりをさらに着実に実施していく必要があります。
 我が党の提案を受けまして、都は、入札契約制度につきましては、平成二十一年度に実施方針をまとめて以来、さまざまな制度改革を行ってまいりました。特に公共工事における品質確保は、契約制度に求められる重要な要素の一つであります。
 そこで、都はこれまでどのような方針で具体的な取り組みを行ってきたか、まずお伺いをしたいと思います。

○松永契約調整担当部長 副委員長ご指摘のとおり、公共調達における品質確保は、納税者である都民のインフラ整備という観点から、透明性、競争性と並んで、広く社会から要請されているものというふうに考えております。
 平成二十一年度に策定した入札契約制度改革の基本方針では、公共工事の品質確保を果たすため、低入札価格調査を強化することといたしました。
 具体的には、著しい低価格入札を対象とした特別重点調査を導入いたしまして、企業の技術力の開発や維持向上、人材育成や確保に充てられる一般管理費等が、入札額の五%に満たない場合は失格とするという基準を設定いたしました。今年度からは、この基準を特別重点調査以外の通常の調査においても拡大して適用しているところでございます。
 また、公共工事の品質を確保する上では、適正な競争環境を整備し、公平な受注機会を確保するとともに、優良な事業者を適切に評価していくという視点が重要でございます。このためには、価格だけでなく工事成績など、事業者の技術力等を評価する総合評価方式というものが有効であることから、これまで、工事の規模や特性に応じまして、総合評価方式を整備し、適用拡大に取り組んできたところでございます。
 今後とも、低入札価格調査制度や総合評価方式など、入札契約制度を適切に運用し、公共工事の品質確保を図ってまいりたいと思います。

○斉藤委員 平成二十一年度の実施方針に基づく取り組みについては、理解をさせていただきました。
 では、このような品質確保策によりまして、どのような状況になったのか。例えば、低入札価格調査の実施件数や落札率の状況など、二十一年度以降の数字はどのように推移しているか、変化があったのかを確認させていただきたいと思います。数字を教えてください。

○松永契約調整担当部長 財務局で契約締結を行った競争入札の案件における低入札価格調査の実施状況では、平成二十一年度が百七件、二十二年度が百三十一件、二十三年度が九十四件、昨年二十四年度が六十八件でございます。
 また、低入札価格調査の適用案件の平均落札率は、平成二十一年度が約八三%、二十二年度は八四%、二十三年度は八七%、昨年二十四年度に関しましては九一%でございます。

○斉藤委員 なるほど、低入札の価格調査の実施件数は、平成二十二年度をピークに減少傾向が見えているようであります。今後、さらに数字が減少していくことを期待するものでございます。
 また、落札率でございますけれども、年々上昇している。平均で、平成二十三年度は約八七%でありましたが、二十四年度、直近は九一%と、九〇%の大台に乗ったわけでございます。
 私が、当委員会で初めて入札契約制度につきまして質問をさせていただいた、平成二十一年の第三回定例会で提出された契約案件の資料を繰って調べてみましたら、財務局が起工局となっている案件だけでも、例えば七七・五八%、五八・一一%という数字も、そこに確認できたわけでございますから、平成二十四年度のこの約九一%平均という落札率は、かなり上昇をしてきたと評価をいたします。
 工事におけます品質確保の取り組みにつきましては、必要な対応を行いまして、具体的な成果が上がってきていることを数字の裏づけをもって確認をさせていただいたわけであります。
 平成二十一年の十月、特別重点調査の導入などによりまして、過度な低価格入札に歯どめがかかってきていると、このように私は認識をするものであります。
 その一方で、工事に先立つ、今度は設計でございますが、設計等の業務委託につきましては、多くが低価格で契約されていると仄聞するところもあります。設計の成果品は、でき、ふできが工事に影響を与えまして、低価格による設計委託が工事の品質の低下をもたらすのではないかと懸念をしているものであります。
 そこで、設計委託等におけます品質確保については、どのように取り組んでいるのかを伺いたいと思います。

○松永契約調整担当部長 設計などの工事関係業務委託の品質についても、公共工事の品質確保を図る上で重要なものというふうに認識しております。
 そのため、委託における品質確保の取り組みといたしまして、都では、現在、主に建築工事の設計業務委託については、優良な企業を選定できるよう、発注者が病院や学校など個別の施設の特性に応じて提示した課題への考え方や、業務の実施体制などを審査するプロポーザル方式により、技術力を重視した設計者の選定の試行を行っているところでございます。
 土木工事の設計業務委託等につきましては、橋梁や道路など、類似の設計業務委託に対する成績評価結果を契約に活用いたしまして、工事と同様に、価格と事業者の技術力を総合的に評価する総合評価方式を、今年度から建設局が発注する案件から選定して、試行的に実施することといたしております。

○斉藤委員 今、土木工事の設計業務委託等につきましては、建設局が発注する案件から選定して、試験的に実施をするとのお話でございました。これは、去る九月十八日発表されたばかりの制度でございますから、今後の契約結果を注視していきたいと思います。
 ただいまは、設計委託の品質確保策についてお伺いをいたしました。それ以外の、例えば、委託契約さまざまございますけれども、建物管理業務などの業務委託についても、今どのような取り組みをしているのかをお伺いしたいと思います。

○松永契約調整担当部長 平成二十一年度に入札契約制度の実施方針を策定以来、都立病院など、都民の生命を守る重要施設の建物維持管理業務において、より高い品質の確保を図るため、広尾病院を初めといたしまして、複数の施設で総合評価方式による入札を行ってまいりました。
 このことにより、価格のみならず、より技術力のすぐれた事業者が受注することを可能にし、安定的で良質な品質の確保は担保されるなど、高い効果があったものと認識しております。
 現在は、病院施設における総合評価を継続するとともに、防災拠点としても重要となる施設の設備保守について総合評価を試行導入し、引き続き拡大を図っているところです。
 あわせて、債務負担行為や長期継続契約を活用することで、履行能力の高い事業者による良質なサービスの提供を複数年にわたって安定的に確保できるように対応しているところでもございます。
 優良な事業者が適正な価格で受注でき、良質で安定的な都民サービスを提供できる環境を整えていく観点から、今後とも関係各局と連携しながら、業務委託における総合評価、複数年度契約の活用の拡大を図ってまいります。

○斉藤委員 今お話しいただきました、さまざま拡大されているということでございますが、一般的に業務委託につきましては、その履行がなされた時点で、求められるレベル、その履行が果たされているかを、いろいろ確認をしていくことができるわけでございまして、必要に応じて手直し、やり直しを指示するなど、日々の確認などにおいて品質の確保は図れるという、そういった特徴があります。
 できるだけ多くの事業者にチャンスを提供する、この競争性も非常に重要でございますので、競争性を発揮していただくといった公共調達の原則に基づいて実施がされていると認識をしているものであります。
 一方で、これまでも、さまざまな業界団体からヒアリングを行いますと、業務委託にありましては、低価格競争からの脱却や、価格だけでない技術力の評価を行うような仕組みの構築を求める声が当会派にも多く寄せられているところでございます。
 我が党は、以前から、業務委託における総合評価の取り組みについてお伺いをしまして、積極的な拡大を要望してまいりました。その結果、どうなっているかという今のご答弁で確認ができたわけでございますが、病院などの重要施設における建物管理業務委託など、さまざまな拡大が見られているというお話でございました。
 総合評価の仕組みを導入することによって、業務の特性に応じまして、経済性と品質確保のバランスを配慮した入札契約の手法を今後も継続していっていただきたいと思うものでございます。
 ほかにも、さまざまな業務委託がございます。本日は、時間の関係で質問は割愛いたしますけれども、政策実現のための調査委託研究などは、まさしく事業評価によって厳しく成果が問われるようなものであります。契約の制度そのものの範囲をちょっと超えるものでございますけども、こういった委託調査研究などもございますし、こういった調査委託研究が政策立案にしっかりと結びついていくような、質の高い委託調査を行う実力がある調査会社を、実績や成果品の品質の評価をしながら、今後も、さらに、その参加を促していただきたい、このように要望をしておきたいと思います。
 公共調達におきまして、透明性や公正性、経済性の確保といった社会的要請は当然といたしまして、一方では、法や政策の要請に対しまして、政策実現のための手続として、契約が果たす役割も、また重要であると認識をしております。
 最後に、その観点から、障害者就労施設優先調達法の施行に伴いましての取り組みをお伺いしたいと思います。
 障害者が普通に地域で暮らし、地域の一員としてともに健常者と生活できる社会、いわゆるソーシャルインクルージョンといわれるような社会的包容力を持った都市東京、これがオリンピック・パラリンピックを招致する都市として非常に重要であると考えるわけでございますが、例えば、就労を通じて障害者の自立を高めることが肝要であります。このため国レベルでは、障害者雇用促進法の改正によりまして、本年四月から、障害者の法定雇用率が引き上げられました。自治体や各企業も、これまで以上に障害者の社会参画を積極的に支援することが求められています。
 そのような状況の中、本年四月には、我が党のリーダーシップによりまして障害者優先調達推進法が新たに施行されました。障害者が働く施設等から物品を調達したり、役務の提供を受け、障害者の自立をさらに後押ししていくことが、国及び東京都に求められることとなりました。
 都におきましては、法律の施行に合わせ調達の方針を策定して、本格的に取り組み始めたと聞いております。一般的に障害者の就労施設は小規模なところが多く、受注できる能力にも限界があります。このため、発注に当たっては配慮が求められます。
 一方で、都における公共調達の大きな柱である中小企業の受注機会の確保についても、十分な配慮が必要でございまして、この適切なバランスを意識していくことが重要であると考えるわけであります。
 そこで、それらを踏まえまして、今後、都の公共調達の中で、どのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○松永契約調整担当部長 本年四月に、障害者優先調達推進法が施行されたことに伴いまして、関係局である福祉保健局、産業労働局と連携を図りながら、この七月に都としての調達方針を策定し、庁内各局に周知を行ったところでございます。
 この方針では、庁内各局に対して、新たに発注の必要があるときは、障害者就労施設等からの調達をまず検討すること、また、地方自治法施行令に規定される、いわゆる政策目的随意契約を活用して、障害者就労施設等からの物品等の調達に努めることとしております。
 あわせまして、総体的に小規模な障害者就労施設でございますから、そこからも調達が可能となるよう、可能な限りの分離分割発注の実施に努めるとともに、受注施設に対しましては、発注者が求めている性能や規格などを十分に説明することといたしております。
 そのため、まず、本年度は、受注する側である障害者就労施設等が、具体的にどのような物品や役務の提供ができるのか、どの程度の数量の受注が可能であるのかなどの情報につきまして、発注する庁内各局に対して周知を図ることが重要であるということから、これら基本となる情報の把握と、把握した情報の提供の機会を設けていくことなど、引き続き、三局で連携しながら対応していくこととしております。
 その上で、来年度は、今年度の実績を踏まえて具体的な目標を定め、それらを周知し、実際に調達を推進し、その状況を取りまとめた上で公表することにしております。
 今後、具体的な調達を進めていく中で、本方針に基づく障害者就労施設等の受注機会の拡大に努めてまいります。

○斉藤委員 私からの質問は以上でございますが、結びに、障害者の施策について一言申し上げます。
 先日、私は地元の区議会議員とともに、目黒区立の目黒本町福祉工房を訪問させていただきました。障害者の仕事づくりに取り組むNPO法人RE機構という、そういった機構がございますけれども、清野眞里惠理事長に紹介されまして、同工房での使用済みコルク、そのコルクのリサイクル商品の作業現場を視察させていただきました。
 コルクは、高級なワインのコルクでございまして、これを低温で高級レストランやホテルに配送するオンリーワン企業、リファーシステムジャパンという会社がございますけれども、この企業が無償でコルクの回収に協力をして実現している事業の一つであります。
 障害者の就労支援は、人体に例えれば血管の大動脈みたいな大資本が、大規模な生産、大規模な消費といったようなサイクルで、それを得意としているスケールではありますけれども、こういった障害者の施策というものは、いわば毛細血管と毛細血管をつなぐような、とても地道で小規模な取り組みが重要であると思います。
 こうしたNPOや企業、個人の真心によって支えている、こういった障害者の就労支援でございます。都の発注におきましても、中小企業の受注機会の確保の配慮など、適切なバランスを意識しつつも、都において、この障害者の就労支援サイドとよく連携をとっていただき、ぜひとも、障害者就労支援事業のいわゆるつくったものの出口戦略、それをどのようにいろんな人に届けるかといった出口戦略について協力をお願いしたい。
 猪瀬知事が掲げる構造的福祉、私、勝手に考えておりますけれども、まさしく、そういった観点からも検討の余地があるのかなというふうに考えておりますので、ぜひ財務局を挙げて検討をお願いしたいと思います。
 以上、質問を終わります。

○植木委員 私は、東京都の主要施設の十ヵ年維持更新計画にかかわって、幾つか質問をさせていただきます。
 二〇〇九年にこの計画が提案されて、既に四年たつわけです。この間に状況の変化がさまざまありました。まず一つの変化は、この間に、二〇一一年の三・一一東日本大震災、この被害が大きく出て、東京での被害想定も出され、耐震補強や長周期地震動など、新たな課題が出されるようになってきました。そうして、こうした状況の変化を反映させるべきだという議論も、これまで多々ありました。
 それから、やはり東日本大震災以後、福島原発事故も含めて、エネルギー確保に向けての取り組みの強化が求められるようになってまいりました。
 維持更新に当たっては、こうした状況の中で、一つは、この更新計画の中で省エネ東京仕様二〇〇七、これが掲げてあるわけですが、こうした地球温暖化対策も含めたさまざまな仕様について、特に都施設に太陽光パネルなどの設置を促進することが求められておると思いますが、現在どのくらい設置をされているかお伺いいたします。

○山田技術管理担当部長 平成二十一年二月に策定いたしました主要施設十ヵ年維持更新計画では、都が進めるCO2排出量削減の先導的役割を果たすため、省エネ仕様の最高水準である省エネ東京仕様二〇〇七を全面適用し、施設整備に当たることといたしました。
 その後、平成二十三年三月に発生した東日本大震災以降、再生可能エネルギーの導入の重要性が改めて見直されたこともありまして、省エネ東京仕様二〇〇七を全面改正し、太陽光発電設備を初めとする多様な再生可能エネルギー設備の導入を盛り込んだ省エネ・再エネ東京仕様を同年七月に策定いたしました。現在、この仕様を全面適用し、施設整備に当たっております。
 財務局で執行した建物での太陽光発電設備の設置状況についてでございますけれども、例えば、平成二十四年度に竣工した建物では、都立学校を中心に十カ所設置しております。

○植木委員 都立学校を中心に十カ所設置をしたと、これは非常に前進だと思うんですけれども、全体の計画からしてどうなんでしょうね。全体で、都施設たくさんあるわけですけれども、これをどう把握しているのか。環境局も、恐らく最近の状況しかつかんでないと思うんですけれども、せっかく維持更新の中で先導的役割を強調しているわけですから、一体これをどこで把握して、今後どうしていくのか。これについては、私も一層の設置促進を図るべきだと思うんですけれども、こういう点についてはいかがでしょうか。

○山田技術管理担当部長 基本的には、全ての施設において太陽光発電設備を設置することとしております。
 ただ、学校以外の庁舎や病院などの建物は、都市部に立地しておりますため、屋上の面積が狭いだけでなく、空調機器などの設備スペースや、緑化の面積を確保するための屋上緑化のスペースを確保しなければならない場合がございます。さらに発電効率を高めるためには、建物の屋上部分に十分な太陽光が当たる立地上の条件も必要となっております。
 こうしたことから、主に学校以外の都有施設において太陽光発電設備を設置する場合、場所の確保ができず、設置が進まなかった場合もございます。
 今後とも、条件の整備の整ったものから太陽光発電設備の設置の導入を検討し、施設整備を進めてまいります。

○植木委員 確かに、それぞれの建物で状況が違いますから、機械的にこれをやると、全然効果がないところに、効果のないちっちゃな規模のをつくっても、これは意味はありませんから、適切な箇所に進めていくのは当然だと思うんですけども、しかし、そうはいっても、都施設、非常に多いわけですから、私は、財務局がこれをつかむのか、環境局がつかむのか、どこでつかむのかちょっとわからないですけれども、せっかく先導的な役割を訴えたわけですから、この辺の仕分けも、どうでしょう、今後検討するのかを含めて、促進方、図っていただきたいと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。

○山田技術管理担当部長 省エネ設備のことでございますので、環境局とも連携しながら適切に設置してまいります。

○植木委員 適切にはそうなんですけども、きょうは、所管が決まっていないのが現状だというのはわかりますので、連携をしながらも、今後はきちっと、どことどこに設置されていて、どこが可能なのか。一般的に民間でも屋根貸しというような話も出てきているわけですから、ぜひこれは、この維持更新の中で掲げて、先導的な役割とわざわざ強調したわけですから、今後きちっとしていただきたいと思います。
 それから、もう一つですけれども、コスト削減することは大事なんですけど、やっぱり必要なものはしていく。この太陽光パネルもそうですけれども、バリアフリーなどのユニバーサルデザインの導入の問題も、その一つだというふうに思うんです。かねてから障害者や高齢者が利用しやすいようにと、東京都の、たくさん都民が利用するような施設、こういうところを利用しやすいようにしてほしいという要望がたくさん寄せられています。
 今日では、バリアフリーについても考え方がどんどん進んでおりまして、国交省では、高齢者、障害者等の円滑な移動に配慮した建築設計標準というのを、昨年、改めて改定して、新たなものも盛り込まれました。
 これまでの都立建築物ユニバーサルデザイン導入ガイドライン以降の進んだ内容も幾つか盛り込まれています。私も気づかなかったんですけれども、障害者の団体からいわれて、なるほどなというのがいろいろ出てくるんです。
 例えば、肢体不自由の会の方からは、この設計標準に、トイレなどを利用するときに、子供さんだけの小さなベッドというんじゃなくて、肢体不自由の方々が利用できるような大型ベッドつきトイレの設置、これが国の設計標準に盛り込まれた。ぜひこれを東京都としても、全体として進めてほしいという、こういう我々から見るとささいなことのようですけれども、やっぱり当事者にとってみると非常に重要だと、こういうものが、さまざまな設計標準の中には盛り込まれています。
 そういう意味で、こういうさまざまな障害者の実態に合わせて国交省が新しい設計標準を改定しているわけですから、都施設でのガイドラインに盛り込むなど、最新のものに改善すべきだと、改善できるところは改善すべきだというふうに思いますが、どのような検討をしているでしょうか。

○山田技術管理担当部長 都は、誰もが安全かつ円滑に建物を利用できるよう、平成十九年三月に、都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインを策定し、ユニバーサルデザインの視点に立った都立施設の整備を行ってまいりました。
 このガイドラインの中には、先ほど委員がご指摘しました国土交通省のバリアフリーのガイドラインでございます、高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準がございます。ご指摘の大人用大型ベッドにつきましても記載されており、誰でもトイレを設ける場合には大型ベッドの設置について検討すべきものとしております。
 このため、施設の用途や規模、利用状況等を勘案し、条件の整った施設について同様のものを設置することとしております。

○植木委員 この国の新しい改定基準に基づいて、条件の整ったところは設置を促進するとお答えいただきました。障害者団体の方々も、非常に、それぞれ該当する障害者の方々は大変喜ぶと思うんですね。ぜひこれは大いに促進をしていただきたいというふうに思っております。
 それから、二十一年に維持更新計画はできて、先ほどいいましたように四年たちました。実施状況の変化が二つ目にいわれると思うんです。それで、概算の事業費が八千三百億円として、三期にわたってこれらを進めてまいりましたが、これまでの期ごとの、つまり一期、二期、三期です、年度と実施状況、これはどうなっておるでしょうか。

○室木建築保全部長 予算ベースで見ますと、全体計画約八千三百億円のうち、一期につきましては、二千七百億円に対しまして二千五百億円と約九割が予算化されております。
 また、二期につきましては、まだ、期間の途中でございますが、三千億円に対しまして千七百億円が予算化されております。
 したがいまして、一期、二期合わせて全体の約八千三百億円のうち約四千二百億円、すなわち約五割が予算化され、おおむね順調に推移していると認識しております。

○植木委員 第一期が二千七百億円のうち二千五百億だから、九二%ですね、進んできているということですが、第二期に今入っているわけです。第三期も含めて、それぞれの期間に何件が対象で、そのうち実施した件数は何件になるでしょうか。

○室木建築保全部長 まず、本計画におけます各期におけます施設の棟数でございますけれども、全体で八百五十二棟計上されてございます。これが全体でございまして、一期につきましては四百十棟、二期につきましては二百五十四棟、第三期につきましては百八十八棟を予定しているところでございます。

○植木委員 それで、実施した件数、棟数、お願いします。

○室木建築保全部長 先ほど説明申し上げました計画策定時には、おおむね約三十五年を経過しております延べ床面積三千平方メートル以上の施設、おおむね築十年を経過しております延べ床面積一万平方メートル以上の施設などに該当いたします施設の建物を対象として計上したものでございます。
 しかしながら、更新事業の実施に当たりましては、敷地内にある複数の建物の集約化や、対象として挙げられた建物以外の附属棟もあわせて工事を実施したり、他施設の合築など、さまざまな手法により維持更新を進めてまいったところでございます。また、計画策定後に、民間移譲などの事例が発生しているものもございます。
 したがいまして、当時の棟数の考え方と、これまでに整備した棟数との関係性の薄いことから、棟数での整理はいたしていないところでございます。

○植木委員 当初の棟数はわかった。しかし、現時点でどこまでいっているかわからない。でも、九割の執行、始まっているわけですよね、第一期でいえば。もうほぼわかるわけですよ。一体幾つ一期で残っているのか。それはどうですか。さっきの話だとわからないわけですよね。じゃ、なぜ九割も、もう執行しているんですか。二千七百億に対して二千五百億、もう執行しているはずだと、にもかかわらず棟数がわからない。何でこれだけの費用がかかったんですか。私、理解できません。

○室木建築保全部長 先ほども説明申し上げましたように、更新事業の実施に当たりましては、敷地内にある複数の建物を集約するとか、あるいは対象として挙げられた建物以外、その周辺にございます附属棟もあわせて工事を実施する。さらに、他施設の合築などによりまして建物も減少する。そういったさまざまの手法によりまして、維持更新事業を進めてきたところでございます。
 したがいまして、当時の棟数の考え方と実際に進めてきました建物の棟数との関係性がないことから、整理を行っていないというものでございます。

○植木委員 じゃ、逆の点から伺いますけれども、残って、着手をした、あるいは着手してない、第一期で残った大規模な施設がたくさんまだあると思うんですけれども、主なものを挙げてみてくれますか。

○室木建築保全部長 現在のところ残っている大きなものでございますけれども、東京都江戸東京博物館、東京都現代美術館などが代表かと考えます。

○植木委員 第一期と私いったのは、第二期も含めてスタートはしているものもたくさんあるわけですけれども、特に大きいのだけ、私、挙げます。国際展示場、いわゆるビッグサイトといわれるもの、国際フォーラム、それから、東京都江戸東京博物館、東京都現代美術館、東京辰巳国際水泳場などが、主なものとして、大きなものとして残っていると思うんですけれども、これは、当初どのくらいの費用をかけて建てられたものか、そして、実際の維持更新費はどのくらい見込んだのか、そして、執行は幾らなのかお示しください。

○室木建築保全部長 建設当時の工事費につきましては、当時の資料によれば、東京国際展示場が千八百四十九億円でございます。東京国際フォーラムが千六百十三億円、東京都江戸東京博物館が三百八十二億円、東京都現代美術館が四百三億円、東京辰巳国際水泳場が百八十一億円となってございます。
 次に、維持更新の見込み額でございますけども、各施設の整備費用につきましては、計画全体の概算事業費を算出するため、当初建設費や類似の施設の維持更新費用などを参考に試算したものでございます。このため、それらの施設が、改築だとか、あるいは改修かなどの実際に行う維持更新工事の内容を反映したものでなく、また、施設ごとに確定したものではないため、公表になじまないものと考えてございます。
 次に、実際にかかった事業費を予算ベースでご説明申し上げますと、国際展示場、国際フォーラム、辰巳国際水泳場につきましては、二十五年度までに、それぞれ二百十六億円、二百五十五億円、十七億円が計上されております。

○植木委員 私、おかしいと思います。だって、二〇〇九年の三月の財政委員会で、当時の村山財務局長はこういっているんです。基本的には実施計画だという性格が強い、少なくともと、こういうふうにちゃんといっています。少なくとも第一期の三カ年は、これはもうしっかりやるということで予算化も前提としていると、こういうふうに答弁しているんです。これは当時の財務局長です。一つ一つ積算して八千三百億円を試算、計算して、第一期については二千七百億円と、これは、少なくとも予算化も前提にしているといっているんですから、今の答弁、違うんじゃないですか、あるいは財務局長が違うことをいったんですか、どちらでしょうか教えてください。

○室木建築保全部長 先ほど申し上げましたような施設につきまして、基本的には事業着手に向けた条件整備につきまして、各局がスケジュールに沿うよう事業実施に向けて鋭意調整中であると伺っております。
 これは、例えば、催し物を行う施設であるならば、それを閉館する期間を定めなければなりません。そういったことについて、施設の関係者等々に調整を図りながら、そういう全体のスケジュールを決める必要があり、各局がスケジュールに沿うよう調整しているものと考えてございます。

○植木委員 そうすると、当時の財務局長の村山さんの答弁がおかしいということになるんですよね。そう思いませんか。局長、どうなんですか。当時の村山局長と現局長との関係はどうなんですか。

○室木建築保全部長 先ほど説明申し上げましたように、平成二十一年当初におきまして計画を立ち上げた段階では、そのようなスケジュールに沿うよう関係局あわせ連携し、最大限努力していくということで計画をつくられたことと考えます。
 しかしながら、その後、先ほど申し上げましたように、調整過程におきまして、さまざまな問題、課題等が発生し、現在、その課題、問題に取り組んでいるところというふうに考えているところでございます。

○植木委員 二〇〇九年の三月十七日の議事録、先ほど前半を読みましたけど、基本的には実施計画だと。三カ年についてはしっかりやるということで予算化をしていると、現実的にこれだけやると、どれだけのお金がかかるのかということをちゃんとお示しした上でないと、計画としての実効性が伴わないため、積算自体はなされていると、局長答弁ですよ、これ。局長答弁というのは重いんですよ。そんな簡単に、部長が変えていいものじゃないと私は思うんですけど、いかがですか。

○室木建築保全部長 先ほども申し上げましたように、計画を変えたという話ではなくて、当初つくったスケジュールに沿うよう関係局が最大限努力していると、その結果として、まだ条件の整わないものがあることから、未着工という状況でございます。今後、条件が整えば、速やかに設計等の着手を図っていくというものでございます。

○植木委員 この中には、二つ問題があるんですよ。一つは、財政状況がわからないのに、積算したといってスタートしている。もう一つは、ちょっとお聞きしますけどね、じゃ国際フォーラム、国際展示場はもう既に始まっているわけですね。これのもとの見込み額、事業費、わかる範囲で教えてください。

○室木建築保全部長 先ほども、ご答弁申し上げましたように、当時の維持更新の見込み額でございますけれども、それについては、改修の範囲等につきまして確定した上で算出しているものではなく、計画全体の概算費を算出するため、当初建設費や類似施設の維持更新費用などを参考といたしまして試算したものでございます。また、確定したものではないというものでございまして、公表にはなじまないものと考えてございます。

○植木委員 公表にはなじまないというお話、何回もやっているから、もうあれなのですけれども、私が関係者や専門家からお聞きしたお話ですと、国際展示場、ビッグサイトですね、大規模改修費が約三百二十億円、国際フォーラムの大規模改修費が約三百八十億円見込まれていると私聞いてきたんですけれども、これは間違いありませんか。

○室木建築保全部長 先ほど申し上げました施設におきましては、基本的には、各局の方で積算をし、それに対し、私どもの方で技術支援等を行ってまとめたものと存じます。そういう点におきまして、各局の数字については私どもの方からお答えすることはできません。

○植木委員 各局が積算したからと今度答弁変わっちゃったんですが、あるんですよ、ないんじゃないんですよ。なければこんな積算はできないわけですから。私は、さっきいったように、関係者から聞いてそういうふうになっている。そうしますと、今いったビッグサイトとフォーラムで合わせて七百億円ですよ、大変な金額ですよ。それに、先ほどいわなかった江戸東京博物館、現代美術館、辰巳国際水泳場、これを合わせますと、九百億円から一千億円以上かかるのではないですか、そのぐらいと私見ているんですけれども、いかがですか。

○室木建築保全部長 ただいま委員の方からご指摘のありました数字については、私どもの方では把握しておりません。

○植木委員 うそでうそを塗りかえちゃいけないと思うんですよね。把握していないで計算ができるわけがないんです。積み上げたって局長が答弁しているんですから。だから、そういう意味で、答えないわけですけれども、今いった五つの施設で、約一千億円の維持改修費がかかる。既に執行も始まっているのもある、第二期。それで第一期の分は、もう九割以上終わっている。第一期に入っていたものが、これから第二期にかぶさってくるわけですよね。今いった五つの施設、ほかにもあるんですけれども。大きなものでいえば、この五つの施設が第二期にかぶさってくるんですよ。
 そうするとどうなるかということなんですよ。この全体の八百四十でしたっけ、八百四十の施設のうち、都民の施策にかかわるものに影響が出ないかということなんですよ。つまり、財政というのはそういうものでしょう。一千億円からの維持改修費が大規模施設でかかる見込みだと、しかもそれは第一期の中ではほとんど入っていなくて、第二期から若干入っているのか、正確に教えてくれませんからわかりませんけれども、恐らく第二期以降にずれ込んできて、第二期ももう半分執行しているんですよ。これがそれにかぶってくる。
 そうしたら都民の、教育施設だとか、福祉施設だとか、都民のかかわる施設、たくさんあるわけだ、八百幾つの中では。そういうものに影響が出てはいけないと私は思うんですよ。だからこの五つ、ちゃんと出してくれといってるんですよ。何もね、でたらめを出してくれということじゃないんです。財務なんですから、どうですか。

○室木建築保全部長 先ほども答弁申し上げましたように、私どもとしまして、その見込み額につきましては、改修の範囲等を精査した上で事業費を積算したものではないというふうに考えてございますし、また、その見込み額が確定したものでもないというふうに考えてございますので、そういう数字について、公表するにはなじまないというふうに考えているところでございます。

○植木委員 何も確定したものを全部示せなんていう乱暴なことを私いっているんじゃないんですよ、見込み額を示せと。何回いっても、これ答えませんから、これ以上いたしませんけれども、いずれにしても、見込み額と、それから実施計画になった段階になって驚いたんじゃやっぱりだめなんですよ。財政当局が、そんなことでは執行能力がないといわざるを得ないんですよ。
 第二の実施状況の変化、それから第三の状況変化、加えてさまざまな状況変化があると思うんです。今日の経済状況、それから東日本大震災の復興などにかかわる公共事業もたくさんめじろ押しになってきて、これとの競合関係がこれから出てくる可能性もあるし、オリンピックの問題も新たな課題として出てきました。
 例えば、東京辰巳国際水泳場などは、維持更新費でやるか、別に新しい費用でやるかなんていうことまでいわれるような状況になってきているわけでしょう。新しいお金がどこでかかるのか、維持更新でかかるのか、建設費でかかるのかわかりませんけれども、そういった状況。それから資材の高騰、人件費の高騰、技術者不足、こういった今の経済や、それから公共事業にかかわる動向が、さまざまな変化が予想されると思うんですね。
 その動向と実際の契約不調がどういう状況になっているのか、その点についてお聞きします。

○山田技術管理担当部長 資材価格の変動についてお答えいたします。
 資材価格の変動でございますけれども、主要資材である鋼材とコンクリートを見ますと、鋼材につきましては、原料価格の上昇や需給関係の変動から、穏やかな上昇基調が見られております。また、コンクリートにつきましては、東北方面を除き、その他の地域につきましては、安定基調が続いております。
 それから、労務費につきましては、国の分析によりますと構造的な労働者不足が顕在化しているとしておりまして、今後も強含みで変動するものと思われます。
 なお、工事における不調の状況でございますけれども、個々の工事の案件の特性や他の自治体や民間による工事発注の状況等さまざまな影響があるため、業種ごとの状況は異なっております。

○植木委員 労務やそれからコンクリート資材等について述べられましたけれども、不調については述べなかったんですけれども、直近でも、維持更新ではありませんけれども、五輪会場ということで、多摩地区の武蔵野の森総合スポーツ施設、これが第一回目は不調に終わっていると。第二回目で、労務単価などの引き上げを含めて、何%か引き上げて落札がされたということを初めとして、入札業者が決まらないという事例がたくさん今出てきているのは、これはもう否定できないわけですよね。今日の時点で、そういう状況が出始めたのか、それからもうこれが限度なのかといえば、恐らくこれで終わりではないと思うんですよね。今後も、こういう状況が出てくると思うんです。
 ですからこうした、私は三つの状況変化を挙げましたけれども、一つは、社会的に、大震災や原発問題、それからバリアフリーの問題などのいわゆる切実な要求の問題。それから実施状況の変化の中で、大規模開発だけが、かなり金額的に大きいものとして残ってきている。三つ目は、そうした経済状況。
 こうした状況を考えますと、維持更新の十ヵ年計画、このまま推移をすれば、都民の施策に影響が出てくる。学校施設も耐震化しなきゃいけない、福祉施設も耐震化しなきゃいけない、避難場所に当たる施設、そういったところが、なおざりにされないように維持更新計画そのものを見直す、そういう段階に来ているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○室木建築保全部長 三点の関係でございますけれども、まず社会情勢の変化の関係でございますが、例えば、地域防災計画の見直しによりまして、帰宅困難者対策の一環として、都有施設の一部に、一時滞在施設を設けるという形もとられております。そういう関係で、備蓄倉庫を備えるという新たな施策も発生しているところでございます。
 また、委員ご指摘のありました再生可能エネルギーの普及促進のために、省エネ・再エネ東京仕様を全面的に適用しまして、再生可能エネルギーの利用拡大も図っていかなきゃいけない。さらに、地震の関係におきまして、天井材の耐震促進という関係で、来年の四月から施行予定でございますが、そういう強化も始まっていくというさまざまなものがございますけれども、こういったものの社会変化に伴いまして、さまざまな基準の改正ですとか、新たな行政需要が発生した場合には、これまで個々の事業を推進する中で対応してまいりましたし、今後とも対応していきたいと考えているところでございます。また、先ほど来、議論ございますように、資材の高騰ですとか、あるいは労務の高騰といった新たな要因も発生しているところでございます。
 この状況下における対策としまして、当然ながら、これまで以上に対策が必要になるわけでございますけれども、予算見積もり段階では、例えば、各施設の整備範囲と内容につきまして、より精査していくこと、あるいは設計段階におきまして、標準品ですとか汎用品の採用、あるいは工場制作資材の有効活用などを図りまして、低コストで調達可能な資材をより多く使用することなどが有効な方策の一つであると考えているところでございます。
 こうした取り組みをより多く重ねることにより、全体のコスト縮減を図りながら、十ヵ年計画の総事業費内におさまるよう取り組んでいきますとともに、計画の推進に当たってまいりたいと考えているところでございます。

○植木委員 ぜひそういう角度を、都民の施策が本当に犠牲にならないようにするのが財政当局の一番のコントロールのかなめですから、そこはしっかりとしていただきたい。
 時間もありませんので、最後の質問に移りたいと思います。
 それは、同じ維持更新の問題なんですけれども、都庁舎の維持更新の問題です。これは、マスコミの報道などでは、当初一千三百億というお金もかかるというような報道がされたり、あるいは都の委託事業、委託見積もりの中では一千億というような見積もりが出たりというような報道がされていますけれども、実態はどのようになっているのか、改修費についてお示しください。

○間庭庁舎運営担当部長 改修事業費につきましては、平成十九年度の調査委託によりまして概算額を把握をいたしました。これは、国、地方公共団体及び民間企業の多くが使用する更新周期をもとに試算したものでございます。したがいまして、個々の設備等の劣化状況を反映したものではございませんが、この調査委託による概算額は約一千億円でございます。
 また、改修におきましては、地球温暖化対策等の社会的要請に応えるとともに、設備の劣化状況を勘案し、効率的、合理的に設備更新を進めるため、平成二十一年二月に、都庁舎の設備更新等に関する方針を策定し、概算工事費として約七百八十億円を公表いたしました。
 その後、東日本大震災の教訓を踏まえまして、長周期地震動対策などの新たな課題にも対応し、平成二十五年二月に、都庁舎改修プロジェクトの取り組みについてを公表し、約七百六十二億円の総事業費の見込みを改めてお示ししたところでございます。
 また、こうした事業費の縮減に当たりましては、可能な限り既存配管類などの再利用を進めるとともに、標準仕様の採用や汎用製品の導入拡大などに取り組んでいるところでございます。

○植木委員 当初の見込みが一千億、一千三百億というのはどうもマスコミがどういうリークしたのかわかりませんけれども、公式なものではないようですが、それでも一千億が、七百六十二億ということで縮減が可能になると。先ほどの維持更新についても、当然こういう大規模な施設は縮減を図っていく必要があると思うんです。
 いずれにしても、これらの施設というのは、私が今挙げた施設は、一九九〇年代に、当時バブルの計画の中で--私、有楽町の庁舎を経験していますけれども、有楽町時代に、バブルの塔といわれて都庁舎の建設費が掲げられて、そして、ビッグサイトに至っては、都庁舎よりも大きな金額一千八百四十九億円、国際フォーラムも、都庁舎より高い一千六百十三億円という莫大な金をかけてつくって、平常時のランニングコストも、それぞれ七、八十億円かかるものもあるわけですよね。ましてやこういう維持更新費になると、七百億だとか巨額なお金になってくる。だから、都の施設だから何でも金をかければいいというものでは、私はないと思うんです。
 今後も契約工事はいろいろあると思うんですけれども、そういう意味で、都民の生活を考えたものに、私はしていくべきだというふうに思っております。もうこういう一九九〇年代のようなバブルの発想は今後やめてほしいと思うんです。
 ただ、心配なのは、オリンピックで、また何でもかんでもつくっていくという傾向がありますので、私はあえてこの質問で指摘をしたいというふうに思っております。
 それから、これは本当の最後の質問になりますが、都庁舎においても、この議会棟も、バリアフリーになっているところが何カ所か、新しいものがあって、先ほど事例に挙げた肢体不自由者などが使える大型などの多目的ベッドも、この議会棟の一階に一カ所だけ設けられているというのを、先日、見ましたけれども、こうした国交省の新しい設計標準なども生かして、改修に当たっては、もちろん必要のないところもありますけれども、必要なところには配置できるようにという考え方で臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎におきましては、これまで、関係法令、基準類や利用者の要望を踏まえ、バリアフリー対策を進めてまいりました。現在の改修におきましては、年齢、性別、国籍、個人の能力にかかわらず、誰もが安全で快適に利用できるように配慮したユニバーサルデザインの考え方に基づき工事を施行しているところでございます。
 国土交通省のガイドラインの対応につきましては、既に多目的ベッドやベビーチェアは設置済みであるとともに、改修においても、さらに拡大を計画しております。
 多目的ベッドにつきましては、第一本庁舎、第二本庁舎及び都議会議事堂のそれぞれに設置をし、合計四台でございます。今後、改修により、合計十二台に拡大し、誰でもトイレの多様な利用者の利便性向上などにつなげてまいります。
 また、このほか改修では、エレベーターの呼びボタンのストローク式への変更、誰でもトイレにオストメイト対応水洗器具の増設、サイン類のカラーユニバーサルデザインの導入などにも取り組んでおります。

○植木委員 改善に早速取り組んでいただいているようですし、トイレの改造については、十二カ所ということもお示しいただきました。今後とも、鋭意努力をしていただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わりにします。

○西崎委員 私からは、まず初めに、事業評価について伺いたいと思います。
 先ほど事業評価についてもお話がございましたけれども、ここ数年の都財政を振り返ってみますと、リーマンショックの影響で税収が大きく変動する中にあっても、都民生活へ大きな影響を与えることなく、必要な施策を実施できているという印象を私は持っております。
 こうしたことができたのは、都債や基金を使って財源を確保したこともありますけれども、私は、都政が過去に比べて無駄な事業など見直し、スリムで効率的な行政運営などを行われてきたことが大きな要因ではないかと考えております。
 こうした都政の体質改善を進めていく上で重要な取り組みが、公会計制度改革と事業評価の二つであったのではないかと思います。
 そこでまず、事業評価を行うに当たり、新たな公会計手法をどのように活用されているのか伺います。

○潮田主計部長 事業評価では、新たな公会計手法を主に次の三つの観点から活用しております。
 第一に、事業別財務諸表を活用した分析でございます。例えば、客船ターミナル、あるいは図書館など、個別事業ごとの財務諸表を活用しまして、事業の現状や課題について、主としてコストや効率性の面から分析をしております。
 第二に、ストック情報を用いた財政の有効活用の視点からの分析であります。例えば、施設等の活用につきまして、売却や貸し付けなど、中長期のスパンでどのような方法が最も有効かというような検証も行っております。
 第三に、事業費に人件費も加えましたフルコストという視点からの分析であります。具体的には、減価償却費や金利、退職給与引当金繰入額などの従来の官庁会計では明らかにならなかったコストも取り入れた上で、事業の検証を行っております。
 このように、新たな公会計手法を積極的に活用することによって、事業のコストや効率性、将来への影響など、多面的に分析、検証を行っております。

○西崎委員 新たな公会計から得られる情報も含めまして、さまざまな角度から施策を評価できるようになったことは、大きな前進だと思います。
 さて、事業評価に関する財務局の資料を見てみますと、二十五年度予算の編成に当たりまして、新たな取り組みとして、監査結果を活用した評価を実施されたと記載されております。
 そこで、監査結果を活用した事業評価を導入した狙いと、具体的な評価事例をお聞かせください。

○潮田主計部長 平成二十五年度予算編成では、各種監査報告を活用いたしまして、他の類似事例の横断的検証を行うとともに、監査結果に基づきます見直し内容を評価した上で、迅速かつ的確に予算へ反映する仕組みを導入しまして、評価の取り組みについて、一段の底上げを図ったところであります。
 具体例といたしましては、重複をします委託内容は共通化をすべきとの監査報告を活用しまして、委託契約の見直しを行った事例がございます。これは二つの海底トンネルで別々に行ってきた自家用の受変電設備、こちらの保守点検委託につきまして、委託内容が同種のものであったことから、それらを一本化をいたしまして、使用する機器の効率化を行うことで、約一千三百万円の経費縮減を図ったものでございます。

○西崎委員 監査結果の報告を見てみますと、一つ一つの事業の見直しというのは小さいものもありますけれども、東京都の事業数はかなりの数があるので、その積み重ねが大きな金額になると思います。せっかくいい取り組みをされているのですから、私は、それをもっと都民に広く目にしてもらうことによって、都の事業や都財政に関心を寄せてもらうことが重要だと考えております。
 より多くの都民に見てもらうためには、わかりやすさという点も含めて工夫が必要だと思いますけれども、都の所見を伺います。

○潮田主計部長 事業評価の結果につきましては、都民への説明責任を果たすという観点から、ホームページにも掲載をしまして、広く都民に公表しております。
 公表に当たりましては、評価結果だけではなく、事業の背景や目的、これまでの取り組みや成果、今後の事業のあり方などにつきまして、事業所管局の評価と財務局の最終的な評価を併記しまして、その評価に至るまでの考え方や視点を具体的に明らかにするなど、都民に対する説明責任を果たせるよう十分な配慮に努めてまいりました。
 今後とも、事業評価の内容を都民によりわかりやすく公表するよう心がけてまいります。

○西崎委員 私は、以前、区議会議員だったときに、北海道ニセコ町を視察したことがございます。ニセコ町は、東京都と比べると大変人口規模も小さいですし、やっている事業数もかなりの差があると思うんですけれども、ただ私は、このニセコ町を視察したときに大変いいなと思ったところは、予算を解説した予算説明書を写真入りで町民に配布したところ、とても好評で、自治体の財政や事業などに興味を持ってもらえたという話を伺って、早速、世田谷区で取り入れてもらった例があるんです。
 なぜいいかというと、市民には、いろいろな市民がいて、わがままな市民もいると、やはり自分の自治体の財政や、やっている事業について市民一人一人が理解することによって、大事な税金をどうやって使っていったらいいのかというところまで考えが及ぶということが非常に重要なことではないかと思います。
 それぞれの自治体の実情に応じて住民へ施策の内容をわかりやすく伝えていく努力が真の地方自治が実現する前提となるのではないかと思っています。その意味で、事業評価が果たしていく役割は非常に大きいと思いますので、引き続きよりよい制度となるように取り組むことを要望しておきます。
 次に、入札契約制度について伺います。
 入札契約制度は、税金で賄われている以上、最少の経費で最大の効果が求められます。一般競争入札では、公正性と機会均等性を確保できますけれども、昨今では、経済性を中心とした入札の考え方に対して、先ほどもお話出ましたけれども、総合評価方式を取り入れる自治体がふえてまいりました。
 環境配慮、そして斉藤副委員長がおっしゃったように障害者就労などの行政が率先して取り組むべき課題に対して、それらの政策実現をとる企業に対して、インセンティブを与える契約方法などがあると思います。広く社会全体の利益を最大化することを目標として、入札を行う契約手法について、さらに検討していくべきだと考えております。
 そこで、公共調達における政策目的実現への考え方について見解を伺います。

○松永契約調整担当部長 入札契約制度を通じまして、各事業者に対して、政策実現のための自発的な取り組みを啓発、奨励していくということは、一つの手法であるというふうに認識しております。都の工事契約における総合評価の幾つかの累計では、このような企業の社会性を評価する項目を現に設定しております。
 一方、公共調達は、納税者の負担のもとで行われるため、調達の過程やその結果について、透明性、競争性、品質の確保という三つの社会的要請を果たしていくことが大切だという点もあります。
 公共調達におきまして、政策目的を入札参加資格要件や評価の項目として設定する場合、受注者の経済行動を制約し、受注機会の確保に影響を及ぼす可能性があることから、当該契約が直接目的とする履行内容以外の要素を課していくためには、このような公共調達に求められる社会的要請とのバランスに十分に配慮するとともに、法令などの客観的な基準が求められるものというふうに考えております。

○西崎委員 実現すべき政策として、環境や障害者雇用など、いろいろあると思いますけれども、とりわけ私ども生活者ネットワークが長い間要望してきたものは、今の時代では、女性が貴重な働き手として社会で活躍することが、企業のみならず、さまざまな分野で求められていると思います。
 安倍政権でも、女性の活用がうたわれておりますけれども、女性を積極的に雇用し、男性が育児や家事に積極的にかかわることを支援するために努力している企業も多く、このことが少子高齢社会において重要な施策になると考えます。
 例えば、ワークライフバランスに積極的に取り組んでいる企業の経済活動を支援することも、男女共同参画社会を実現していく上では必要なことでありまして、十年前から私どもも、契約制度の中で、こういった雇用の取り組みを評価すべきと主張してまいりました。
 そこで、このような事業者等に対して、現在、都の契約制度の中でどのような取り組みを行っているのか伺います。

○松永契約調整担当部長 都の工事契約において、東京都技術力評価型の総合評価方式と、それから東京都技術実績評価型総合方式というものをやっておりまして、そこでの実績点といたしまして、環境への配慮、障害者雇用への配慮と並びまして仕事と家庭の両立支援への配慮について、実績のある企業に対しまして評価することとしております。これは、男女共同参画社会基本法などに基づく事業者の具体的な取り組みの成果として、東京都が認定しています東京ワークライフバランス認定企業として認定されている企業に対しまして、その実績を評価しているものでございます。
 今後とも、契約の原則である透明性、競争性、品質の確保を基本としつつ、入札契約制度を適切に運用してまいりたいと思います。

○西崎委員 入札契約制度は、まずは、公平性、公正性、透明性を確保することは重要だと思いますけれども、さらに、さまざまな政策実現ができる手法についても取り組んでいかれるように要望しておきます。
 最後に、都有地の利活用について伺いたいと思います。
 平成十九年度に策定した利活用の指針では、都の施策を推進していくために、政策連動型の未利用都有地の利活用を図ることとしています。私の地元の世田谷区では、残念ながら保育所が不足しておりまして、待機児童数が都内でも一番多いという大変な状況になっておりますが、福祉インフラ整備事業によりまして、都営住宅の建てかえあるいは都営住宅の跡地に、保育所に加え障害者施設、高齢者施設の整備も進めております。施設整備用地の確保に苦労している区市町村にとりましては、こうした都有地の利活用の仕組みは、公共用地の使い方として大変効果的で適切な方法だと評価しております。
 区市町村にとっては、福祉事業に限らず、学校、図書館、住民集会施設、公園など、施設整備に当たっては土地が必要となることが多くて、未利用の都有地の活用は、そうした面からも重要であると考えます。
 そこで、区市町村から未利用都有地の買い受けを求められた場合の対応について、過去五年間の区市町村への売却件数について伺います。

○岩瀬財産運用部長 都が利用する予定のない土地につきましては、区市町村の利用目的が公用または公共用目的の場合は減額の上で売却しております。平成二十年度から二十四年度までの過去五年間における区市町村への売却は、五十六件でございます。民間への競争入札による売却を含めた全体の約七割が、区市町村への公用または公共用目的による売却でございます。区市町村の主な利用目的は、道路、公園、学校、福祉施設などでございます。
 その他、売却ではございませんが、お話のあった福祉インフラ事業による福祉施設整備に伴う貸付実績は、平成二十年度から二十四年度で十六件ございます。

○西崎委員 多くの未利用都有地が区市町村に対して、公共、公用目的で売却され、利用されているということは今のお話でわかりました。土地の確保が困難で、価格も高い都内の区市町村にとっては、こうした優先的な売却や減額措置は大きな支援になっていると思います。
 未利用地といっても、公共用地であることには変わりはありません。都は、都有地を公共目的で利活用するこのような取り組みを、今後も継続していくことを要望いたします。
 一方、区市町村でも利用しない未利用都有地は、売却することで民間企業がみずからの事業のために活用していくことになると思います。
 そこで、確認の意味で伺いますけれども、過去五年間における競争入札により、民間企業等への都有地の売却件数、売却先での利用用途についてお聞かせください。

○岩瀬財産運用部長 平成二十年度から二十四年度までの過去五年間における競争入札による民間企業等への売却実績は二十五件でございます。売却先は、不動産業十七件、建設業一件、製造業一件、個人等が六件となってございます。
 売却先の利用目的は、直接把握はしてございませんが、売却した都有地の形状、面積、近隣状況や法令による用途規制等を踏まえますと、戸建て住宅の建設販売や自社敷地の拡張などで利用するものと推測されます。

○西崎委員 今のお話ですと、この五年間に売却した都有地で、既存市街地での大規模な開発が行われていないように察します。大規模開発が全て地元区市町村や市民の要望を無視した乱開発になると決めつけるつもりはないんですけれども、既存市街地などで都有地を利用した大規模な開発が予想される場合には、売却手続を進める前に、地元が検討する時間を十分にとっておく必要があるのではないかと思います。
 また、川のそばや道路脇にある狭い都有地については、活用が難しくてそのまま放置されている状況が多いと聞いております。自治体との調整のもとで、地域住民の人たちが花を植えて楽しんでいる例もあるようですので、このような工夫もできるのではないでしょうか。
 都は、地元の区市町村だけではなく、市民の声にも直接しっかりと耳を傾ける機会を設けることを強く要望して、私の質問を終わります。

○大津委員 日本の少子高齢化は、世界で例を見ない速度で進んでいます。国立社会保障・人口問題研究所が発表している将来推計によりますと、平成二十七年には四人に一人、またその二十年後の平成四十七年には三人に一人が六十五歳以上の高齢者という、世界でも類を見ないスーパー、超高齢化の社会が到来することが予想されています。
 一方で、東京の人口は、当分は増加を続けるものと予想されているものの、平成三十二年ごろをピークに減少に転じるものとも推測されており、また、一方では、出会い、経済、仕事忙し過ぎ等の理由から独身者が増大をしました。平成二十三年、厚生労働白書では、二〇三〇年には生涯未婚率が男性で約三〇%、女性では約二三%と見込まれ、生涯独身人口がふえていくことが予想されています。
 こうした超少子高齢化がもたらす中、現役世代、また働き手が少なくなることから、経済の成長への懸念、また社会保障の費用がふえることで、若い世代の方たちの負担が大きくなることも想定されています。そこで、超少子高齢化が見込まれる中、都財政への影響という視点からお伺いをいたします。
 まずは、人口減少社会が到来する中、私どもにできることは、将来世代に負の遺産や借金を残さないことが大切だと考えています。都は、平成十年度決算における一千億円の赤字決算以降、財政再建の取り組みを進めてまいりましたが、都民一人当たりの借金である都債残高は、当時と比べてどのようになってきたのかお伺いをします。あわせて国の状況もお答えください。

○潮田主計部長 平成十一年度末に、都民一人当たり六十四万円であった都債残高は、二次にわたる財政再建推進プランの取り組みの中で新規発行を抑制しました結果、二十五年度末には五十万円と約二割ほど減少をする見込みであります。
 一方、国の状況ということでございますけれども、国債残高は、国民一人当たりに換算いたしますと、平成十一年度末の二百六十二万円から、二十五年度末には五百八十九万円へと二倍以上に膨れ上がっております。

○大津委員 この十数年の間に、国の方でいえば国民一人当たりの借金が二倍に膨れ上がり、今、若者で年収三百万という方も多い中、その若者の二年分の年収を返していくのかということは、非常に気が遠くなりそうでもある中、東京都は、人件費の見直しなど、私たち都議会と東京都で一体となって財政再建に取り組んできた結果、都民一人当たりの借金が二割減少ということでありまして、これはまことに評価できることだと思います。これからも借金をゼロに向けていくべきです。
 今後、防災対策の強化、老朽化した社会資本ストックの計画的な更新、オリンピック・パラリンピックの関連施設の整備、そうしたコストも必要となってまいります。これらに対応するためにも、貯蓄である基金の確保も重要な視点となってまいります。
 そこで、平成十一年度当時の活用可能な基金残高と、二十五年度末の基金残高はどうなっているのか、また、この間の残高のピーク時と比べてどのようになっているのか伺います。

○潮田主計部長 平成十一年度末の財源として活用可能な基金の残高は、バブル経済崩壊以降の税収減への対応などのために、基金の取り崩しを行った結果、一時は、一兆円を超える基金残高がございましたけれども、それが八百六十九億円へと大幅に減少いたしまして、ほとんど底をついたという危機的な状況にございました。ちなみに、これは平成元年に一兆五百九十億円だったわけですけれども、十年ほどで一兆円減少したということだと思っております。
 その後、財政再建の取り組みを通じまして、歳入歳出を徹底的に見直すとともに、税収が好調な時期には、積極的に基金の積み立てを行うことなどによりまして、平成二十年度末の残高は一兆五千億円台まで回復をいたしました。
 一方で、平成二十一年度以降でございますが、リーマンショックなどの影響によりまして税収が大きく落ち込みましたが、行政サービスを安定的に提供するために、これまで積み立てをしてきました基金を計画的に活用しました結果、平成二十五年度末の残高見込みは八千七百四十一億円となっているところであります。

○大津委員 蓄えもふえているようでありますが、ピーク時と比べると、リーマンショックの影響とはいえ、わずか五年間で七千二億円も基金が減少しており、将来に向けての備えも必要であると感じます。
 猪瀬知事は、第三回定例会での冒頭、先に横たわる少子高齢化、人口減少社会という根本的な問題に取り組んでいくため、構造的福祉プロジェクトチームを立ち上げ、将来を見据えた中長期の視点で検討を進め、待ったなしの問題や、すぐに手をつけることができるものは、来年度予算に反映するとの発言もありました。
 財務局では、これから来年度予算の編成作業に取りかかると思いますが、こうしたプロジェクトチームで検討された効果のありそうな施策、また検討されていなくても、各局の上げてきた重要かつ早急、将来を見据えた重点施策を財務局が将来を見据え、貯金と借金をバランスよく計画的に運用していくことが重大だと考えます。
 そこで、人口減少などの社会経済状況の変化が見込まれる中、将来に向けて、安定的な財政運営を継続的に行っていくため、この貯金と借金をどのような考えを持って活用していくのか伺います。

○潮田主計部長 都財政は、歳入の大宗を占めます都税収入が、先ほどお話ございましたように、わずか一年で一兆円もの減収となった実績があるなど、景気の動向に左右されやすい不安定な構造にございます。このような財政構造を前提としまして、急速に進む少子高齢化への対応や、社会資本ストックの更新需要の増加など、都政の諸課題に的確に対処していくためには、基金や都債を適切に活用していくことが重要となってまいります。
 今後、東京におきましても、生産年齢人口が減少していくことを踏まえつつ、世代間の負担の公平性という観点から、過去の世代からの貯金であります基金や、将来世代の負担となります都債を、中長期的な視点に立ちまして、戦略的かつ計画的に活用していく必要があると、このように考えています。

○大津委員 将来世代への負担という観点から、借金や貯蓄を計画的に活用することはとても重要な視点であります。
 私は、今回のこの質問の中で重要視をしているのが分母であります。社会構造の変化が見込まれる中、東京都の総人口を分母としたこの分母の支証のみに頼ることなく、例えば、この分母の中身も重要で、分母の中身が生産年齢人口なのか、若者なのか、そうした比率人口などにも注目することが重要だと思うからです。今、状態がいい財政と思っても、その分母が減ることや、分母の中身の人口の比率が変わることで複雑な計算式と化すからです。
 長期ビジョンの策定に当たっては、財務局もこうした視点を持って、さまざまな支証を多角的に検証しながら、早目早目の将来推計を行った上での財政を行ってほしいと思います。
 都民の血税を大切に、無駄を省きながら使うことはいうまでもございませんが、今後も、日本の心臓である東京が、都民の質の高い幸せに向けて、東京の財政という力を通して、重点施策や事業を、優先順位を決めて早目早目に有機的に施策を結びつけて実行していただきたいと思います。都民の期待に応え、日本を財政の力で牽引をしていきましょう。
 さて、次ですが、東日本大震災から二年半が経過をしました。高度な防災都市東京へ向けて、私も防災対策特別委員長として、委員会と、昨年秋の防災計画の修正に皆さんとともに携わってまいりました。地震、雷、火災、台風、竜巻とあらゆる防災対策を施していくことが重要です。
 そこで、東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化についてお伺いをしたいと思います。現在における都の耐震化の進捗状況について伺います。

○山田技術管理担当部長 都は、平成十九年度に策定いたしました耐震化整備プログラムに基づきまして、消防署、警察署、学校、病院を初め、震災時に震災対策指示や応急復旧を行う施設、多数の都民が利用する施設など、都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化率を、平成二十七年度末までに一〇〇%とすることを目標として耐震化に取り組んでまいりました。平成二十五年三月末時点の耐震化率は、既に九六・八%となっており、着実に耐震化を進めております。

○大津委員 渋谷区内でも、過去、原宿警察署などが対象となっておりましたが、現在は建てかえられ、耐震化が進んできております。今後も区内における、また、都内における防災上重要な公共建築物の耐震化をどんどん進めてもらいたいと思います。
 耐震化の取り組みは、現在のところ好調に進んでいるといえますが、平成二十七年度まで残り二年であり、耐震化率一〇〇%に向けて課題もあると考えています。耐震化を完了させるための今後の取り組みについてもお伺いします。

○山田技術管理担当部長 耐震化整備プログラムに基づく目標を達成するには、工事中の施設運営に関する調整や、仮移転先の確保、都以外に共有者がいる施設における費用負担の調整など、施設の特性に応じた条件の整備を進めていくことが不可欠でございます。
 今後とも、関係各局と連携し、条件の整備に引き続き努めるとともに、早期に設計及び工事に着手するなど、防災上重要な都立建築物の耐震化の取り組みを推進させてまいります。

○大津委員 ぜひ九六・八%から一〇〇%に向けて、ともに頑張っていただきたいと思います。
 東日本大震災では、柱や壁などの構造物だけでなく、非構造物であるとされた天井の落下が大きな問題となりました。学校では、文部科学省がガイドラインを発表し、東京都でも、公私立の高校や小中学校の体育館などの天井の落下対策が進められてきました。
 学校以外の建築物についても、震災以降、国の取り組みにより、天井の落下防止基準が整備されつつあると聞いておりますが、東京都、都有の施設における天井の落下防止のための取り組みについても、今回お伺いいたします。

○山田技術管理担当部長 東日本大震災での天井落下被害を受けまして、国は大規模な天井の脱落防止について、今年度中に技術基準を定める予定でございます。都は、このような状況を踏まえまして、現在、都立建築物において、技術基準の対象となる大規模な天井の存在状況についての実態調査を進めているところでございます。今後は、この実態調査などをもとに、天井脱落防止について適切に対応してまいります。

○大津委員 迅速で効率的な取り組みを期待しています。
 建物の安全といえば、先日の福岡県の病院火災が思い起こされます。直接の発火は温熱器からと見られていますが、防火戸が閉まらなかったことが被害を拡大させたともいわれています。本来機能すべき防火戸が全く機能しなかった。これは被害も甚大でありました。
 また、二〇〇九年の三月には、群馬県の渋川市にある、たまゆら、ここで火災があり、この中で都民が七名亡くなりました。このときには、スプリンクラーがなかった施設でした。
 いつも事故があり、人が亡くなり、人の命が亡くなって初めて法改正をして変わる法律でした。本当は、未然防止、これが一番でありますが、未然防止だとなかなかわかりにくいために、いつも後手に回ってまいりましたが、この事前防止策が一番重要なことであります。
 防火対策は、施設管理者の務めにもなってまいります。きょうは財務局に対する質問なので、財務局が管理をしている都庁舎について伺います。この都庁舎について、スプリンクラー、防火戸、また、そのほか主要な防災設備についての管理は万全であるかどうか、再確認させていただきます。

○間庭庁舎運営担当部長 建物の防災設備には、火災を早期に発見する火災報知設備、火災を抑制するスプリンクラー等の消火設備、炎や煙の広がりを防ぐ防火戸や排煙設備、有効な避難を確保する避難誘導設備などがあり、これらの設備が一体として機能し、被害を最小限にとどめるものでございます。
 報道のありました防火戸でございますが、都庁舎では、エレベーターホールのように開放された空間を、火災発生時に自動的に閉鎖する随時閉鎖型防火戸につきましては、消防法の規定で年二回実施している火災報知設備点検の中で、火災報知機の感知と防火戸の作動との確実な連動を確認するとともに、防火戸本体が自動的にスムーズな閉鎖を完了するかの動作確認を行っております。
 また、非常階段の出入り口のように、通行するたびに開閉する常時閉鎖型防火戸につきましては、月一回、全ての設置箇所で開閉がスムーズか、閉鎖時に自動的に最後まですき間なく閉鎖を完了するかなどの動作確認を実施しております。
 都庁舎では、その他の消火設備、排煙設備、避難誘導設備などについても、消防法などの法令規定に基づき、定期的に点検、報告を実施し、また、誘導灯など多くの防災設備を法令規定に基づき適時に順次更新を進めております。
 さらに、風水害等の災害に関しましても、基本的に都庁舎は、建物として、台風などに対して十分な強度を有しており、立地的にも水害を受ける心配はございません。
 今後とも、防災設備に関して確実な管理を行いまして、都庁舎における火災や風水害等の不測の事態に万全の体制で備えてまいります。

○大津委員 万全の体制で備えているこの都庁舎を初め、都有施設の防災対策や防火管理について、これらは、民間への影響や四十七都道府県の影響が強く、大きく波及をしていく効果があると考えています。これからも都民の安全・安心の確保に努めることとともに、高度な防災都市東京に向けて尽力をされることを希望いたします。
 以上です。

○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十四分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○清水委員 私からは、財産運用関係につきまして何点か質問させていただきたいと存じます。
 事業概要の八九ページによりますと、都有財産の利活用についてとございまして、平成十二年度以来三回にわたり計画を策定し、計画的に利活用を図ってきたと書いてあります。計画では、都有地を単に売却して収入を得ることのみならず、暫定的に活用を図ることで歳入を確保したり、都の重要な施策への活用を図ったりなど、貴重な都有財産をさまざまな視点で活用しているようでございます。
 現在の計画は、平成十九年の今後の財産利活用の指針で示されておりまして、これに基づき行われているわけでございますが、今後の財産利活用の指針の中で新たな視点として、先ほど、さきの委員の質問にもございました民間の活力を生かした施策連動型の財産利活用の推進と新しい項目が書いてございますが、その内容について、私、新人議員でございますので、改めてお伺いをしたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 環境や福祉、まちづくりなど、従来、主に行政が受け持っていた分野につきまして、現在、民間企業やNPOなどの民間団体が公共的役割を担うケースがふえてございます。
 例えば、需要の高い保育所等の福祉インフラ整備などへの迅速な対応も、民間の力を積極的に活用する必要があるとともに、東京の都市競争力を高める市街地の更新にも、民間のノウハウや資金を活用する必要がございます。
 このため、未利用都有地を活用し、具体的には、福祉保健局と連携した福祉インフラ整備事業や都市整備局と連携した都市再生ステップアップ事業等を実施してございます。

○清水委員 利用していない都有財産を活用することによりまして、効果的な施策を実施していることが、よくよくわかったわけでございますが、次に、未利用の都有地の活用について何点かお伺いをしたいと思うわけでございます。
 まずは、財務局が所管している未利用地の件数と、未利用地を利用するに当たっての面積要件など、基本的な考え方についてお示し願いたいと存じます。

○岩瀬財産運用部長 未利用になっている都有地には、例えば、道路予定地のように、事業用地として買収しても、事業が開始されていない場合もございます。そのようなものを除きまして、行政用途が終わった土地で利用用途が決まっていない土地につきましては、原則として、普通財産として財務局に引き継がれてまいります。
 平成二十五年四月一日現在、財務局所管の未利用地は三百三十五件、駐車場などで暫定活用中のものや、端切れ地等の行政目的に活用できない五百平方メートル未満の狭小地を除いた実質的な未利用地は五十五件でございます。
 その活用に当たりましては、第一に庁内利用、次に、区市町村での利用を検討した上で、いずれも利用の見込みがない場合は、民間への売却処分となるというのが基本でございます。なお、都心などの貴重な用地は売却せず、定期借地制度を活用し、保有したまま利活用する方針としてございます。

○清水委員 ありがとうございます。五百平米未満の土地を除いたというその基準につきましては、ちょっと私も初めて知ったわけでございますが、率直な感想といたしまして、直ちに活用可能な未利用地が五十五件、東京都の面積をただいま調べてみましたら、二千百八十八キロ平米と膨大な面積なんですね。立川市が二十四キロ平米なんでその百倍と。その中で五十五件しかないというふうなことを聞かせていただきますと、思ったほど多くないということがよくよくわかったわけでございます。
 しかしながら、利用に当たっての基本的な考え方が、民間への売却処分を行う前に、区市町村で利用することを検討されている点は、評価できるものでございます。
 現在、先ほどもございましたが、区市町村も行政需要に対応するための用地の確保に大変苦労をしているわけでございます。
 そこでお伺いしたいと存じますが、現在使えるかどうかだけではなくて、今後のことも含めて、都が持っております未利用地の情報を、区市町村に積極的に提供することが重要となってまいるというふうな課題があるとございますが、どのように取り組まれているのかお聞かせ願いたいと存じます。

○岩瀬財産運用部長 区市町村への情報提供でございますが、従来は、問い合わせがあったものに対して適宜対応してまいりましたが、平成二十二年度より、福祉施設整備を一層推進するために、積極的に時点ごとに活用可能な未利用地の情報を整理して提示するとともに、委員ご指摘のとおり、各局所管の行政用途を廃止する予定の行政財産や、暫定活用が終了する普通財産をあわせて提示することといたしております。また、区市町村からの問い合わせについても、引き続き随時対応しております。

○清水委員 ありがとうございます。区市町村への情報提供につきましては、引き続き頑張って行っていただきたいと思うわけでございます。
 ところで、都有の未利用地の情報を広く公開すべきという意見も多々あるように思うわけでございます。私も、基本的には公開できる情報ならば、これは公開すべきだと思うわけでございますが、一方で、都の情報を何でもかんでもあけっ広げに公開すべきものがいいと限るわけではございません。やはり公の情報の持つ重要性のことを鑑みますと、取り扱いについて、これは十分慎重な対応が求められるわけでございます。
 また、その取り扱いの裁量につきましては、これは便宜裁量、自由裁量でございますので、行政の方に委ねられているわけでございますから、慎重に行使をしていただきたいと思うわけでございます。
 この情報公開の点についての見解を求めたいと思います。

○岩瀬財産運用部長 未利用地の情報は、行政用途での利活用について、区市町村の検討に役立てるために整理し、情報提供しているものでございます。広く一般に公開した場合は、民間への売却、貸し付けが可能な財産であると誤解されるおそれがあるとともに、区市町村の利用計画策定に当たっては、地域住民との事前の調整が重要であることなどから、委員ご指摘のとおり慎重な取り扱いが必要でございまして、このため広く一般に公開することは行ってございません。

○清水委員 ありがとうございます。そのとおりだと思うわけでございます。
 地元の話で恐縮なんですが、立川市にも東京都の未利用地がございまして、かなり広大な土地なんでございますが、もう既に、防災公園ができるんではないかというふうなうわさが流れている始末でございます。したがって、やはりその情報の取り扱いについては、地元の自治体を中心に、慎重な取り扱いをしていただければと思います。
 特に、未利用地情報が公開されることで、近隣の住民の中でも要らぬ心配を、あるいは要らぬ期待をされる方もいらっしゃることでしょうし、区市町村もその活用を入念に検討できなくなるおそれがあると思われるわけでございます。
 やはり地元区市町村との連携をきっちりととって未利用地の検討を進めていくことが必要だと考えられますので、ぜひ財務局として、丁寧に地元区市町村とのやりとりをしていただきたいと要望をしたいと思います。
 次に、今後の財産利活用の指針の中の視点の三番目に書いてございます財産価値の保全と向上についてでございます。この中に、老朽化した既存庁舎の建てかえに際して合同庁舎化を推進するとございます。
 先ほど、要求資料の中に、立川の合同庁舎の件が記されてございました。立川ではそのようなことをやっているというふうなことを確認できているわけではございますが、そのほかで、どこで実施されているのか、お聞かせ願いたいと存じます。

○岩瀬財産運用部長 合同庁舎化は、平成二十一年二月に、主要施設十ヵ年維持更新計画を策定して計画的に実施しているものでございます。
 具体的には、立川合同庁舎、府中合同庁舎が実施中でございまして、また、世田谷都税事務所では、国や区施設との合築で整備を進めているところでございます。

○清水委員 ありがとうございます。また、私の地元の話で恐縮なんですが、地元立川にも、東京都の出先機関が本当に多く集まっているわけでございます。せっかくでございますので、立川合同庁舎の計画はどのようなものなのか、その概要ですとか、進捗のぐあいをお示し願えれば幸いに存じます。

○岩瀬財産運用部長 立川の合同庁舎の計画は、現在、合同庁舎に入居している都税事務所と環境事務所に加えて、建てかえを機に、多摩建築指導事務所と、多摩教育センターを入居させ集約化を図っていくものでございます。今年度から建築工事に着手しており、平成二十七年度の供用開始を目指してございます。
 また、多摩立川保健所、立川児童相談所、健康安全研究センター多摩支所は、立川福祉保健棟として集約化を図る方向で検討を進めております。

○清水委員 ありがとうございます。ただいまご説明がありました立川合同庁舎を含む立川駅の南口は、北口に比べますとにぎわいが不足しており、これらの合同庁舎等が引き続き南口に整備されることを、確実に進めていく必要があると私も強く思っているわけでございますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 また、合同庁舎以外にも、立川駅南口から徒歩三分ぐらいのところに、五十八街区と呼ばれている地区がございます。その土地につきましても、立川市の駐輪場等とあわせた庁舎の整備が計画中と聞いております。駅周辺では、慢性的に駐輪場が不足している状況にもございますので、整備に当たっては、市と十分な調整をお願いしたいと思います。要望とさせていただきます。
 さらに、合同庁舎へ集約化した跡地については、今後、地元市からも要望を踏まえた上で利活用していただくことを重ねてお願い申し上げたいと思います。
 ちょっと短い間でございましたが、このやりとりにおきまして、都有地の利活用の方針につきましては、よくよくわかったわけでございます。
 最後に質問させていただきたいと存じますが、さきの第三回定例会の代表質問で、我が党の吉原修幹事長は、都の抱えるさまざまな喫緊の行政需要に対応するためには、全庁的な視点で、各局が所管する都有地や施設を横断的に精査し、施策に必要な用地をあらかじめ確保するなど、戦略的に土地を生み出していく手法が必要であると指摘させていただきました。私も、少子高齢化の急速な進展により、福祉インフラの需要は今後ますます増加すると考えております。
 改めて、財務局長の都有財産の有効活用についてのご決意をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○中井財務局長 都有地は、都民から負託された貴重な財産でございますので、都政の喫緊の課題解決のために最大限有効活用していく必要があると考えております。
 都はこれまでも、都有地を高齢者、障害者向けの福祉インフラ整備や、私立学校の耐震改修のために貸し付けるほか、木造住宅密集地域の解消に向けた種地として提供するなど、都の重要な施策の支援に活用してきております。
 今後は、こうした取り組みをさらに推進、促進するため、総合調整権を担っている財務局として、都営住宅など都有施設の更新計画における早い段階から、検討、調整を始めるとともに、庁内各局との連携を一層強化してまいります。
 また、清水委員からお話のございましたように、区市町村との十分な情報交換や調整にも引き続き努めてまいります。
 こうした取り組みにより、福祉施策はもちろんのこと、都の重要施策のさらなる支援強化にしっかりとつなげてまいる所存でございます。

○橘委員 私からは、国の直轄事業負担金について、それから都の全般的なPFI事業の二つのテーマについて質問いたします。
 初めに、国の直轄事業負担金について質問いたします。この負担金については、過去において、事業と直接関係のないような国の出先機関の庁舎等の建設費、あるいは国の職員の人件費に使われていたとか、あるいは退職金や年金保険料まで含まれていたことなどが指摘されまして、大きな問題となったわけでございます。
 このようなずさんな内容の経費まで国から請求された額を支払わざるを得ないということに対し、制度上の問題点など、地方からさまざまな指摘がされて、その都度折々に改善要望が出され、前進をしてきたわけであります。そうしたこともあって、今この制度というのは徐々に改善されつつあるわけですけれども、実際は、まだ、抜本的な改善まで、改革までは至っていないのが現状であると認識しております。
 事実、東京都が来年度の国の予算編成に対して予算要望されておりますけれども、その中の説明の中にも、改善はいまだ十分でないとの認識も示されているわけでございまして、そうしたことからも、この負担金については、もっともっと改善を強く要望していかなければならないと考えております。
 その観点から、以下、質問をするわけですけれども、どの部分がどの程度改善されたのか、都がどう取り組んできたのか、その辺を中心に何点かお聞きしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、この質問の前提といたしまして、直轄事業負担金の支払いの法的根拠について確認をしておきたいと思います。

○潮田主計部長 直轄事業負担金は、地方財政法第十七条の二に基づきまして支払う負担金でありまして、国が道路や河川等の新設、改良などの直轄事業を実施した場合に、地方自治体が、個別の法律または政令の定めるところによりまして、その経費の一部を負担することと定められております。

○橘委員 今、答弁にありました地方財政法の十七条二項、ここには支払わなきゃならないという、そういった規定がございます。法律等にこの支払いが義務づけられているということは、仮に支払わなかった場合、これは常識として延滞金が発生するわけですね。したがいまして、財政的に厳しいときでも、我が自治体ではかなり厳しいという事態でも、国の直轄事業、この事業が行われる場合は、負担金として、財政的に厳しいけれども優先的に対応せざるを得ないという、こういった構造になっているわけでございます。
 この直轄事業の財政負担が過大なものになれば、財源にはもう限りがあるわけですから、その分、東京都の場合に置きかえてみれば、東京都がどうしても必要とする事業、これは絶対やりたいと思うけれども、その負担が大きければ、回せる予算を減らさざるを得ないという、こういう構造にもなっている。これは自由度がきかない自治体も全国的にはかなりあるわけでございますけれども、こういった課題もあります。
 東京都は、どうしたかというと、財政再建期、財政再建をしなきゃならないという、こういう厳しい時期がございました。このとき東京都も、直轄事業負担金の問題点を、この国の制度として問題点を指摘をいたしまして、早くから国に改善を求めてきたというふうに私は記憶しております。
 そこで、これまで都が要求してきた直轄事業負担金の見直しに関しまして、どのような項目が実現されてきたのか伺います。

○潮田主計部長 都はこれまで、直轄事業負担金に関しまして、国と地方の経費分担の原則に反する維持管理負担金の廃止や事業箇所の優先順位など、地元意見の反映に向けた事前協議の法制化、事務費負担に係る基準の明確化などを国へ改善要求をしてまいりました。
 その結果、直轄事業負担金の内訳や事業計画などにつきまして、国からの説明が少し充実されるなど、手続面での一定の改善が図られてきたところであります。また、都が国に対し強く要求してきました維持管理費に係る負担金につきましては、平成二十二年度から廃止をされているところであります。

○橘委員 理屈に合わないような維持管理費負担金が廃止されたこと、これ自体は改革の一歩として大きく評価できると思います。ただし、今、答弁でもありましたけれども、事前協議の法制化、それから事務費負担の基準とか、明確にすることとか、そういったことについては、まだ、手続的には、この協議についても、ある部分では少し前進したようではございますけれども、まだ法制化にまでは至っていない、手続面での改善はなされた、ある程度透明化されたということで、前進はしているようでありますけれども、まだまだ、まだ道半ばかというふうな印象を持っております。
 ではまず、具体的になりますけれども、維持管理の負担金が廃止されたことによって、都の負担額にどのような影響が出たのかということで、答弁お願いします。

○潮田主計部長 直轄事業負担金には、大きく建設費分と維持管理費分がございましたが、そのうちの維持管理の負担金について申しますと、維持管理負担金が廃止される直前の平成二十一年度決算は六十二億円でございました。それ以前も、おおむね維持管理費につきましては同水準で推移してきたことから、維持管理負担金の廃止によりまして、年間約六十億円の負担軽減につながったのではないかというふうに考えております。

○橘委員 この維持管理費の負担というものが一つ改善された。この項目が改善されただけでも、東京都だけで六十億前後、これがもう負担が軽くなっていくわけですね。その分だけほかの事業に持っていくことができるという大きな前進かと思います。
 さて、この負担金でございますけど、一部には、この直轄事業負担金を不要不急の公共事業の象徴として支払いを停止すべきだという主張も見られるのが事実でございます。しかし、直轄事業により、地域住民に便益が及ぶことを考えれば、現状におきましては、地方が一定の負担をすることは、私は妥当性があるのかなと考えております。
 仮に、この地方負担がなくなれば、単純に考えれば、地方負担はなくなった方がいいと思いますけれども、それは違いますね。これはなくなった瞬間に国が全部やるとなりますと、地方は負担しなくていいというふうになりますと、もう陳情合戦が激しくなるということが目に見えているわけです。そういった弊害が出てきます。
 それから、国の財政制約によって、かなり国の財政がまた厳しくなった。そうしますと、地方としては、この事業はどうしても必要だ、けれども国が財政的に厳しいからできないということは、結果的に実施されなくなるという、地方がまたおくれてしまうという、そういった弊害もあるわけです。
 したがいまして、地方が一定の負担、便益を受けるということ、それについては、地方も一定の負担をすることは妥当性があるかと私は考えております。
 そこで、直轄事業に対する負担について、都の基本的なスタンスを伺っておきたいと思います。

○潮田主計部長 東京の都市基盤の整備状況は、いまだ十分ではございませんで、都市活動や都民生活を支え、東京の活力を向上させていくためには、今後とも、着実に都市基盤整備を進めていかなければならないというふうに認識しております。
 国の直轄事業についても、同様に、東京にとって必要な事業については着実に進めていくことがやはり重要でございまして、これに対し、都が一定の負担をすることは合理性があるものと、かように考えております。

○橘委員 私も、直轄事業負担金そのものの合理性は認めつつ、地域住民に対する説明責任などの視点から、引き続き国に対して制度の改善を働きかけていくべきであると考えております。
 そこで、今後、国に対してどのような制度見直しを具体的に求めていくのか、この点について見解を伺います。

○潮田主計部長 直轄事業負担金制度の見直しにつきましては、先ほど来の議論にございましたように、一定の進展は見られましたものの、委員のご指摘のとおり、まだ道半ばでございまして、地方分権の観点からは制度のさらなる改革が必要であるというふうに考えております。
 そのため、地方が地域の課題に主体的に対応できるよう、国と地方の役割分担に応じました国直轄事業の範囲の見直しですとか、あるいは計画段階で、地方自治体と事前協議を行う仕組みの法制化、また、直轄事業負担金の不適切な支出の防止、返還の仕組み、こういったものの検討など、引き続き国に強く求めてまいります。

○橘委員 この事前協議の法制化であるとか、直轄事業負担金の不適切な支出を防止するための取り組み、これはもう概括的にこれからも強化していく必要があろうかと思います。
 負担金を支出する以上は、まずは、事業箇所の優先順位とか、それから事業の内容について、都の意見が的確に反映される制度としていくべきであろうと私は考えます。その上で、国と地方の役割分担を明確にし、国が担うべき事業は国の全額負担により実施する。
 また、地方が担うべき事業は、権限と財源を具体的に一体的に移譲をし、地方がみずからの判断で、主体的に事業箇所の選択ができるように、最終的には、建設分野に関するものであっても、直轄事業負担金についても、これは将来的には廃止を目指していくべきであろうと私は考えております。
 引き続き、あるべき姿の実現に向けて着実に歩みを進めていただくように要望しておきたいと思います。
 以上で国の直轄事業負担金についての質問を終わりますけれども、次に、東京都のPFI事業全般について質問をいたします。
 六月五日に、政府は成長戦略の第三弾としまして、民間活力の爆発をキーワードとする施策を発表いたしました。この中身として掲げられましたのは、主に規制改革でございまして、その一つの施策として、PPPそれからPFI、この推進を掲げております。
 PFIは、東京都でもかなり導入が進んでおりますので、身近に感じられるものでありますけれども、これは行政が計画をつくりまして、その実施については民間から募集をして事業を推進していく、これが基本の方式でございます。
 これに対してPPPというものは、同じPFI方式の一形態ではございますけれども、企画、計画の段階から民間企業が加わって、そして民間の独自のノウハウなんかを生かしていくと、そういう運営の方式であると認識しております。つまりいいかえれば、PFIをさらに民間中心にして進めていった形がこのPPPというふうにいえるかなと思っております。
 こういった形態があるわけですけれども、この方針を受けまして、政府は、PPPそれからPFIの抜本改革に向けたアクションプランを公表いたしました。このアクションプランにおきましては、PPPとPFIを二〇二二年までに十二兆円規模に拡大することを目指しているわけです。この財政規模でもわかるように、国がかなりこのPFIという方式、こういった類いのものにかなり力を入れて推進していくという決意のあらわれが、この十二兆円という規模にもあらわれているかと思います。
 東京都におきましても、これまで、病院やユース・プラザなど多くの施設でPFI事業を活用してきているわけですけれども、高知医療センターを初め、最近では仙台市など多くの先行事例がありますけれども、この中でPFI事業の運営上の問題も明らかになってきているのも事実でございます。
 私、高知の医療センター、課題が見えてきたときに、経営が難しくなってきた、そしてそれをどうしようかというときに、実は視察に行ってまいりまして、そこで少し学んだことがございました。というのは、私自身も、ちょっとまだ勉強不足だったんですけれども、PFI事業自体が、行政の合理化であるとか税の節減に本当にいいものだというふうにした認識が私の頭の中にありましたけれども、高知の医療センターに行っていろいろ課題なんかを伺いましたら、もろ手を挙げて推進するというわけにはいかないなという、そういったことも学んできた次第でございます。事実これは、この後も仙台市の例に見るように、いろんな課題が、また問題点も浮上してまいりました。
 このPFI事業というのは、民間資金の活用や民間ノウハウの活用によって、経費の節減やサービスの向上が期待できる、そういう一方で、このように契約期間中に、PFI事業者の経営が悪化して事業に支障を来すなどといった問題も発生しております。この方式の導入に当たっては検討すべき点も多いと思われます。
 東京都は、これまでのPFI導入施設の事業方式で見てみますと、多摩総合医療センターや精神医療センターなどはBTO方式、それから区部ユース・プラザはBOT方式、それから多摩ユース・プラザやがん・感染症医療センターはRO方式というのをとっております。
 そこでまず、さまざまな形式があるわけですけれども、この事業方式の内容と、この施設はなぜこういう方式にしたのか、その特質、そういったものを簡略に説明をお願いします。

○奥田経理部長 今、委員のお話の中にございましたとおり、PFI手法には、BTO、建設移転運営方式、BOT、建設運営移転方式、RO、改修運営方式などがございます。
 BTO方式、いわゆる建設移転運営方式でございますが、民間事業者が施設を建設した後、行政に施設を移管し、民間事業者が管理運営を行うものでございまして、施設の建設が完了した段階で建設費を一括払いするケースが多く、経費の金利負担が低く抑えられ、固定資産税などがかからなくなるといったメリットがございます。
 BOT方式、いわゆる建設運営移転方式は、民間事業者が施設を建設し、管理運営を行った後に、行政に施設を移管する方式でございまして、施設の所有まで民間に委ねることで、維持管理面で民間の創意工夫を生かせるといったメリットが考えられます。
 また、RO、いわゆる改修運営方式でございますが、既存の施設を改修し、管理運営を行わせる方式でございまして、既存施設を効果的に活用する場合に適してございます。
 これらの各事業方式の特性と対象事業の特性を踏まえまして、事業所所管局の意向に基づき最適な事業方式を判断することとなるということでございます。

○橘委員 今、概括的な説明がございましたけれども、要するに、東京都として財政運営的にどの形式が一番メリットがあるのか、それから利用者にとってどのやり方が一番メリットがあるのか、その辺を勘案しながら、いろんな形態、方式を採用しているという、そういうものだろうと思います。
 したがいまして、このPFI方式、手法を効果的に活用すれば、低廉で良質なサービスが提供できるといった、行政それから業者双方にメリットが期待できることもあります。
 しかしながら、事業を担う民間事業者の経営難に陥る可能性もある。そうしますと、サービスが滞っているにもかかわらず、ある方式によりますと、使用料を払い続けなきゃならないといった、そういった弊害も出てくる可能性もあるわけです。こういった面での課題もございます。
 したがって、東京都のPFI導入には、可能性も大きい、けれども、また一方では、十分な、また慎重な検討も必要と考えますけれども、各局が発案してきた事業がPFI事業として決定されるまでの庁内手続、ここがおろそかになりますと、しまったということが後で起きかねないというのがこのPFI方式でもございますので、この庁内手続についてどういうふうになっているのか説明いただきたいと思います。

○奥田経理部長 PFI導入の庁内手続でございますが、原則といたしまして、予定総事業費五十億円以上の施設整備事業につきまして、事業を実施する局がPFIの採用について検討し、その上で、知事本局、総務局、財務局の関係部長と、法律、金融に関する外部の専門家で構成いたします民活手法検討委員会で協議することとなってございます。
 そのため、事業実施局は、協議を行う以前にコンサルタント等とアドバイザリー契約を締結し、PFI導入可能性調査を実施し、その中で、直営の場合との経費の比較、想定される各種リスクなどの分析を行っているところでございます。
 民活手法検討委員会では、この調査を踏まえた局のPFI導入方針の妥当性に関する審議を行い、導入が妥当との判断がなされた場合、事業実施局がPFIで事業を実施する旨を決定いたしまして、契約上の入札公告等の手続に入っていくことになります。
 PFI導入の妥当性を判断する際には、直営と比較し、経費の低減に資するものであるか、過大なリスクが存在しないか、行政サービスの向上に資するノウハウを民間事業者が有しているか、民間事業者の長期的、安定的な運営が可能かなどの観点から、多角的に検討を行っているところでございます。

○橘委員 今の答弁でわかるように、本当に導入を決定するまでは、かなり慎重な検討をされていることがよくわかりました。
 次に、少し角度を変えて質問いたしますけれども、PFI事業に関する最近の国の動きに関連してであります。国は、今月七日に、官民連携インフラファンドを所管する民間資金等活用事業推進機構を創設いたしました。これは、国や自治体、金融機関、証券会社等が出資や融資を行って、官民連携インフラファンドを創設しまして、PPPあるいはPFI事業への出資等を行うものであります。これによって独立採算型のPFIを推進することが目的という説明がなされております。そして、政府が百億円の資金を投入し、民間からも百億円規模の出資を募る計画というふうに説明をされております。
 東京都におきましても、これまで、PFI事業を着実に実施してきておりますけれども、今後、民間資金等活用事業推進機構の官民連携インフラファンドを、都が、これを効果的に活用することで、さらにPFI事業を安定的に実施することができる可能性があるのかどうか、この点について見解を伺います。

○奥田経理部長 都のPFI事業における国の官民連携インフラファンドの活用についてでございますけれども、民間資金等活用事業推進機構は、主に、独立採算型の国や地方公共団体のPFI事業の事業者に出融資するために設立されたものでございます。
 独立採算型のPFI事業とは、民間事業者が徴収した利用料金により、公共施設等の整備、運営を行う事業でございまして、機構の出資の目的は、独立採算型等のPFI事業を推進することに加えまして、事業の収益から一定のリターンを得ることにあると考えられます。
 国では、現在、空港や高速道路など一定の利用料金が見込まれる施設を対象とし、独立採算型のPFIによる民間資金の活用等が検討されておるところと聞いておりますけれども、都におけるこれまでのPFI検討対象事業におきましては、整備運営費用を利用料金で賄うことができる独立採算型事業がないのが現状でございます。
 民間資金等活用事業推進機構は、委員お話しのとおり、今月七日に設立されたばかりでございまして、現時点では、今後の出融資の方向性等明確ではないため、今後、機構の動きを注視してまいります。

○橘委員 この推進機構の出資また融資の対象となる事業が限定される、限られるという、今説明でございました。確かに、国の事業と東京都の事業の違いはございます。しかしながら、国がこれから二〇二二年までに十二兆円というこういった事業規模を考えているということは、かなりこれが注目を浴びてくるし、これがまた応用するという、そういった事態も考えられるわけでございます。
 したがいまして、現時点では、東京都の事業にそのまま通用する、適用できる、そういった事態ではございませんけれども、これはやはり今後の可能性も含めまして十分検討をしていく価値はあるのかなと。そしてまた、それには、税金を投入するわけですから、慎重な判断も必要になってくるわけですけども、そういった面も含めまして、慎重かつ十分な検討をこれからも続けていっていただきたいと考えております。
 それでは、最後に、局長に伺いますけれども、今、質疑を通しまして、PFIの可能性、それからPFIの課題、いろいろな面を少しずつ短時間ではございましたけれども、浮き彫りにしたつもりでございますけれども、このPFIの導入に向けた基本的な局長の考えについて伺いたいと思います。

○中井財務局長 PFI手法は、公共施設等の整備運営に当たって、民間の資金と創意工夫を活用することにより、効率的で質の高い公共サービスの提供が期待できると、そういった利点があるわけでございますが、委員からもご指摘ございましたとおり、その一方で、やや問題ありというようなところが、これまでの各種の事例からもうかがわれるわけでございまして、具体的には、事業期間が長期にわたるということから、将来のリスクの予想が難しい、あるいは環境の変化に対して柔軟性に乏しいといった面もうかがわれるというところがございます。
 そのような点からまいりますと、一般的に、PFI事業は、行政需要が安定していて、サービス内容についても変化が少ない、そういった事業が比較的向いているのではないかというふうに考えられます。
 いずれにいたしましても、今後とも、国等の動向を十分注視するとともに、公共施設等を整備運営していく手法は、PFIに限らず、多岐にわたってございますので、各事業の特性を十分に踏まえながら、さまざまな要素を総合的に評価する中で、PFI手法の導入の可否について、それぞれのケースに沿って、個別に検討、判断をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 私からは、大きくは、基金の活用と都有地の利活用問題について質問しますので、時間も限られており、前の質問者との趣旨がダブる点などは割愛をしていきたいと思います。
 まず、昨年来のアベノミクスの進行で、株式市場や輸出企業などの業績を中心に景気が好転していると盛んに宣伝されていますが、都内の地域の中小企業や商店街、勤労市民や年金生活者などには実感がない、むしろ、今後、社会保障の負担増などで暮らしへの切り込みが厳しくなってきているという状況だと思います。
 これに対して都の財政の現状はどうなっているか、また、都民施策の充実をどのように図っていくのかという点で質問をしていきたいと思うんですが、先ほど、八千七百億円余りの今年度の基金残高が見込まれるという話がありましたが、昨年度について見れば、決算で、年度末活用可能な基金残高が、予算より大幅に増額となっていると思うんですが、その総額は幾らか。予算よりふえた額となぜふえたのか、あわせてお聞きします。

○潮田主計部長 昨年度の基金でございますが、財政調整基金など財源として活用可能な基金の残高は一兆一千五百八億円でございます。これは、当初、予算ベースで申しますと八千三百六十九億円でございましたが、その後、平成二十四年度の最終補正予算段階で、当初の予算対比で税収の伸び等があったこと、あるいは、都市再開発事業会計等さまざまなほかの要因がございまして、そこの積み立て、それから最終補正時の取り崩し、こうしたものがあったというのが一点でございます。
 それに加えまして、二十四年度決算でさらに積み立て、それからもう一点は取り崩しではなくて、取り崩しの抑制ということが税収の伸び等によってございましたことを踏まえまして、最終的に、一兆一千五百八億円ということで、当初予算で対比しまして三千百三十九億円の増という状況になっております。

○曽根委員 今、要因についてもお話ありましたが、三千億円以上、上回り、これまで都税収入の減が続いた中で、昨年度から、いわゆる景気回復といわれるような動きが、都税の上でも反映してきているということなんですけれども、その内訳は、財務報告書に決算出ていますが、やはり法人二税が一千百二十五億円の増額になっていると。都税全体の一千七十三億円の増額を上回っているということは、法人二税が大きく伸びて、そのほかの個人都民税などは、逆にじり貧状態が続いているんだと思うんです。
 明らかに、アベノミクスの効果が、都税収入に、大手の企業が中心になる黒字企業には反映しているよと。しかし、七、八割が赤字の中小企業や、都民の個人都民税などを見ますと、やはり都民全体としては、都税収入を払える状況は悪くなっているというふうにいわざるを得ないと思うのです。
 背景として、この一年間で、私の計算ですけど、勤労都民の収入は、年間で十万円近く落ちているわけで、それが全都民的に見れば、数千億円の減収になります。それから、これから始まる三年間にわたる年金の二・五%の減額が、北区の計算では二十八億円影響する。すると都内では、北区の倍率でいくと一千億円規模での年金生活者の減収がこれから三年間続くと、三年間でそのぐらいになるということで、これに加えて、来年の春の消費税増税もありますので、予定がありますので、格差が上と下でどんどん開いていく方向じゃないかというのを大変心配しているわけです。
 格差の底辺の階層では、貧困と同時に生活破綻が広がってくる危険があるということで、東京都は、こうした事態を機敏に捉えて、あらゆる施策を通じて、国にも物を申すと同時に、格差の拡大を防ぎ、暮らしの防衛に当たる必要があるというふうに考えます。
 都民税は、現在一〇%でフラット税率ですので、いってみれば、所得の再配分の効果が非常に小さい、累進性がありませんので、したがって、都民施策の中で、暮らしの応援としてどういうことができるのかということを最大限考えていく必要があると思います。
 その立場から、一つは基金の活用ということで、基本的な姿勢について、きょうは限って質問したいんですが、基金については、財調基金を初め増額になっている、この多くは、法人税が反映しているわけですが、私たちからいわせると、都民の暮らしを犠牲にしながら、企業がもうけを上げているという面が大変あるので、自治体としては、都民に何らかの還元策を考える。
 かつても、雇用失業対策や中小企業対策、もしくは物価対策などで基金の活用というのがありました。また一方で、東京都は、オリンピックに向けての準備も必要になってきます。
 その中で、都民の暮らしが落ち込み続けている中では、オリンピックの成功もあり得ないと、この点を肝に銘じて、オリンピック準備基金も含めた都民に活用できる基金の、都民生活とオリンピック成功を両立させる立場での活用を考えていくべきだというふうに思うんですが、この基本的な姿勢についてお答えいただきたい。

○潮田主計部長 まず、基金でございますけれども、景気の影響により激しい税収変動を繰り返す都財政を運営していく上で、年度間の財政調整機能を持ちます基金の活用ということが重要なポイントであるというふうに私ども考えておりまして、今後、オリンピック・パラリンピック開催の準備を進めていく中にありましても、基金、それぞれ条例で定めたものがございますので、その定めに沿いまして、そのもとで基金を有効に活用するとともに、これまでもしっかりと、福祉施策、医療施策、教育施策そういったものはもとより、中小企業対策ですとか、東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策の財源については、しっかりと確保した上で、都政に課せられた使命を確実に果たしていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 以前からも申し上げているように、オリンピック準備基金についても、基金の目的は決められておりますが、万やむを得ない場合には、都民生活にも活用するというようなことも含めて、基金全体の、本当に全体を見渡しての活用ということを強く要望しておきたいと思うんです。
 あわせて、私、先日、大島の方にも行ってきたんですが、大島の災害復旧、町田も含めてですけれども、予想以上の費用がかかる可能性があるというふうに感じました。きょうは予定しておりませんでしたので、要望にとどめますが、災害対策の面でも、必要な場合は、この基金の活用も含めた都財政の機敏な運用をお願いしておきたいと思います。
 そして次に、基金とともに、すぐに活用ができるという点では、都有地の活用、これは、私、以前からも強く会派としても求めてきたように、とりわけ切実な介護や福祉、保育施設の整備拡充に活用を進めるべきだと考えています。
 それは、介護施設を充実させることによって、家族介護の負担を減らし、今まで、親の介護で仕事を離れていた人たちが社会復帰できるようにすることや、保育施設は、むしろもっと直接的に職につくために、どうしても保育園に預けなければならない方々が待っているという点でも、この都有地の活用によって、こうした福祉施設の整備促進が図られる必要があると思っております。
 この点で、この間の取り組みについては、これまでも質問がありましたが、福祉施設という点について、この十年間の取り組みがあったと思うんですが、どのような活用がされてきたでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 財務局と福祉保健局が連携し、平成十五年度より、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を実施し、未利用都有地を、高齢者施設、障害者施設等に貸し付け、施設の整備促進に取り組んでまいりました。福祉インフラ整備事業による平成二十五年八月までの都有地の契約実績は三十七施設でございます。

○曽根委員 三十七施設が福祉施設にこれまで活用されてきたと。これはたしか、平成十五年に、福祉インフラ整備事業が実施され始めてからの、ことしでいえば足かけ十一年になりますか。その経過を見ますと、最初の八年間では、十三施設の契約でしたが、平成二十三年度、二十四年度、今年度の一カ所も含めて、この二年とちょっとで二十三施設の契約がいっているように資料を見るとわかるんですが、つまりこの数年の間に、保育所などを含めて、都民の中で大きく、都有地の活用という点での世論やさまざまな運動が広がってきたということが、このことに影響しているのは間違いないというふうに思うんです。
 そういう点で、やっぱり都有地というのは、これは先ほど質問がちょっとありましたけれども、自治体間だけで情報が交換されているというだけでは、このような世論は起きないんですね。なぜこれが起きてきたかというと、国が未利用の国有地について情報公開して、誰にもわかる形に公表したからなんですよ。これが大きなきっかけになって、都有地だってあるじゃないかということになって、こうした契約が促進されると。やはりバックには、都民の強い要望や世論があるわけなんです。
 そういう点で、まだまだ残されている都有地があるという点で、先日、我が党都議団として、財務局や公営企業三局にもご協力をいただいて、約二百三十カ所の五百平米以上で使える未利用地について、情報を発表いたしました。
 こういう情報は、本来、東京都が、区や市町村はもちろんですが、もっと広範に情報を提供してこそ活用が促進されるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 区市町村による行政利用検討の際の参考としてもらうために、これまでも区市町村に対して、都有地情報を提供してきております。財務局の普通財産には、既に庁内各局での再利用や、区市町村への売却、貸し付けが予定されているものなど、一時的に財務局が保有しているものも含まれているため、情報提供に当たっては、そうした都有地を除き、実際に売却、貸し付け可能な都有地を選定しております。
 都といたしましては、行政利用の検討に当たりましては、区市町村への情報提供で十分でございまして、一般に広く公開する必要はないと考えております。

○曽根委員 ここは、先ほどの質問者と立場が全く異なるんですが、私、先日の代表質問でも、具体的に名前を挙げさせていただいて恐縮だったんですが、北区の赤羽警察跡地について、これも私もちょっと驚いたんですが、この十年間、実際に何も使われていないまま、以前は下水道局などが借りて、借地で使っていたらしいんですが、有料駐車場などになっていただけで、聞いてみたら、もう普通財産になっているということで今回取り上げたんですが、非常に形もよく、千二百平方メートルで、赤羽駅にも近く、これが何でこのまま眠っていたのかと、十年近く放置されているというのは、本当に都有地としてはもったいないことだと思うんです。
 これはやはり行政間ではやりとりがあったのかもしれません。しかし都民に見えないところで、幾ら行政間で水面下のやりとりがあっても、それは、その地元の住民や都民的にはわからないわけで、実際には、北区に聞いても、東京都に聞いてもはっきりした答えも出てこないし、微妙にいうことも違うということで、やはり都民要望に基づいて、これはどういうふうにすれば一番活用できるのかということは、もっと公開の場で示した上で議論をされるべきだということを申し上げておきたいと思います。
 さらに、財務局の普通財産だけではなく、他の局の行政財産についても、事実上未利用の場所はありますよね。例えば、都市整備局が都営住宅の建てかえなどで使っている土地、長い期間、もう建てかえが終わるか、とまっていて使っていない、今後どうするのかもはっきりしない、そういう土地の場合は、一定の期限を設けて、財務局が実態をつかみ活用を検討していくと、こういうことは可能だと思うんですが、どうでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 財務局は、既に各局に対して、定期的に未利用地調査等を実施し、行政財産の用途廃止が予定されている段階から用途廃止後の財産の利活用等について検討を行っております。
 今後も、都有施設の更新計画における早い段階から検討、調整を始めるなど、庁内各局と連携し財産の利活用を進めてまいります。

○曽根委員 大変早口な答えで、よく趣旨がのみ込み切れなかったんですが、私どもも調べましたら、都内で今、都営住宅の団地六十四カ所で建てかえ事業が進行中もしくは間もなく始まる計画が出ているという状況だそうで、私のおります北区には八カ所の団地が、大体全部、地元ですからわかりますけれども、建てかえ事業にかかっております。
 その面積が、北区は大きな団地も、桐ヶ丘という団地もありますので、何と十四ヘクタールぐらいあります。この半分が高層化などで、土地が今後生まれてくるとすればですよ、財務局の持っていた普通財産などの土地、先ほどちょっと少ないというお話がありましたが、はるかに大きい土地の活用というのを検討できる余地がある。しかも都営住宅は、建てかえで建物の一階に福祉施設を入れるということも可能なので、そういう意味でいえば、土地の活用度の利用度も高いということで、こうしたことは、ぜひ今後、財務局としても、局間の連携で進めていっていただきたいということを申し上げておきます。
 最後に、貸し付けについては、お聞きしたところ、要綱があって、公共目的では五割減額ということが原則になっているようですが、もとの条例からいいますと、大幅な減額ができるという規定になっておりますので、目的によって、緊急性の高いものは四分の三減額、もしくは無償貸付などが行われるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○岩瀬財産運用部長 区市町村への都有地貸付に当たりましては、区市町村が整備する学校、公園、公民館の整備など、公用または公共用目的の場合は貸付料を減額してございます。
 特に認可保育所など不足している福祉施設整備に当たりましては、その緊急性や重要性に鑑み、区市町村みずからが整備するのではなく、民間事業者が整備する場合であっても、都有地活用による福祉インフラ整備事業として、特別に区市町村と同様に民間事業者への貸付料を減額することとし、負担軽減を図っております。
 区市町村との適正な役割分担のもと、都は広域的自治体としての立場から、引き続き適切に区市町村を支援してまいります。

○曽根委員 最後に、意見要望にさせていただきますけど、先ほどいった赤羽警察跡地千二百平方メートル、ここから三百メートルぐらい離れたところに、代表質問でもちょっと紹介しましたが、無認可共同保育園が四園集まって福祉法人を設立して、土地を買ってつくった認可保育園、つちっこ保育園といいますが、それがあるんです。面積は四分の一です。二億三千万円の土地代、もう必死になって集めてつくったわけです。
 これにもし、私たちが提案したような条例があると四分の三補助で大変助かると同時に、もしあそこの赤羽警察の土地が、無償もしくは大幅減額で貸していただくことができるんだったら、もっとスムーズにもっといい場所に、本当に保育のことを真面目に取り組んできたそういう関係者が保育園をつくっていくことができるという道が大きく開けてくるんですね。
 こういう道が、現実問題として、今、非常に必要になっている分野で可能となるように、ぜひ頑張っていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十分散会

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