財政委員会速記録第十一号

平成二十五年九月二十七日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長山崎 一輝君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長高木 けい君
理事近藤  充君
理事曽根はじめ君
理事酒井 大史君
大津ひろ子君
ほっち易隆君
清水 孝治君
西崎 光子君
橘  正剛君
鈴木 隆道君
鈴木あきまさ君
植木こうじ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長中井 敬三君
経理部長奥田 信之君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長潮田  勉君
財産運用部長岩瀬 和春君
利活用調整担当部長菊地 俊夫君
建築保全部長室木 眞則君
技術管理担当部長山田 雅史君
庁舎運営担当部長間庭  修君

本日の会議に付した事件
意見書について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 東京都分担金等に係る督促及び滞納処分並びに延滞金に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十一号議案 都立江東地区第二養護学校(仮称)(二十五)改築工事請負契約
・第百七十二号議案 都立小金井北高等学校(二十五)改修工事請負契約
・第百七十三号議案 都立第五商業高等学校(二十五)体育館棟その他改築工事請負契約
・第百七十四号議案 首都大学東京日野キャンパス(二十五)実験棟群改築その他工事請負契約
・第百七十五号議案 首都大学東京日野キャンパス(二十五)実験棟群改築その他空調設備工事請負契約
・第百七十六号議案 中川護岸耐震補強工事(その二十五)請負契約
・第百七十七号議案 平成二十五年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
・第百七十八号議案 若潮橋鋼けた製作・架設工事請負契約
・第百七十九号議案 古川地下調節池換気設備工事(その一)請負契約
報告事項(質疑)
・「平成二十四年度東京都年次財務報告書」について

○山崎委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○山崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百七十一号議案から第百七十九号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案及び第百七十一号議案から第百七十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○植木委員 最初に、第百七十一号議案についてですが、この工事は、相次いで汚染物質であるベンゼンやシアンが基準値を超えて検出されて工事が中断していたものです。これまでも改善を求めてきましたが、工事を再開するに当たっては、校舎、校庭については、土壌を健全土にかえること。校庭工事終了後は、校舎部分とあわせて定期的に環境調査を行うよう要望します。子供たちの健康と安全のために万全の体制をとることを求めて、了承いたします。
 次に、契約案件についてですが、きょうの契約案件の中には三つの低入札案件があります。これまでも低入札については、繰り返し改善の指摘がされてきましたが、三回も出てくるということになりますと、やはり工事の質の確保や下請企業への影響、さらに国が新たに実施した公共工事設計労務単価の引き上げ等が、それぞれきちんと履行されるかが問題になります。
 中川護岸工事については、七一%という一番低い入札になっていますが、十九者が参加して、一者のみ八七%、あとは全部七〇%台ということになっています。明らかに仕事をとるためにぎりぎりの低い入札価格を入れ、競争が激化するという状況になっておりますし、工事の品質が低下しかねない、あるいは下請企業へのしわ寄せも予想されると、こういうことで心配の声が上がっていますが、特に土木工事が、こういう低入札が多いといわれていますけれども、それについては、どのように見ているのか、それからどのような低入札価格の調査を実施しているのかをお示しください。

○松永契約調整担当部長 今回、ご審議をお願いしています九件の契約案件のうち、土木工事が三件、低入札価格調査の対象になってございます。
 まず、土木工事がなぜ多いかということの私どもの分析でございますが、建築工事等と比べまして、やはり土木工事に関しましては、官公需の比率が非常に高いということで、依然、業界の方では、少ない工事をとりにきているということで、価格競争が激しくなっている状況がまだ続いているというふうに分析しております。
 それから、低入札価格調査自体へのご質問でございますが、低入札価格調査は、調査基準価格を下回る金額での入札が行われた場合に、落札を一旦保留いたしまして、積算内容、施工体制、契約実績及び経営内容等について、調査対象者から資料の提出を受けましてヒアリングを行い、積算内訳が合理的かつ現実的なものであるかどうかを詳細に調査いたしまして、契約内容の履行が可能であるか否かを確認するものでございます。

○植木委員 調査をして履行が可能かどうかということを見きわめると、こういうことになっておるんですけれども、最近の状況は、今もお話がありましたように、土木関係、依然として入札が激しく行われる、激化するという、そういう状況の中で、本当にそれが履行されるかどうかというのは、やはり見きわめなきゃいけないというふうに思うんです。
 その一つとして、この四月、現場の労働者の労務費の高騰に対応して、国の方でも、公共工事設計労務単価を全国平均では一五・一%、東京都では平均一八・三%、引き上げになったわけですが、実施されてからは、二定ではたしか三件契約案件があって、今回九件ということですけれども、都は、これにどのように対応してきているのでしょうか。

○山田技術管理担当部長 国の平成二十五年度公共工事設計労務単価が、三月末に決定されたことを受けまして、都では速やかにこの新しい労務単価を工事費の積算に用いる単価に反映いたしました。四月中旬以降発注する工事から適用しているところでございます。

○植木委員 四月から適用されているということですけれども、きょうは細かいことを追及するつもりはないんですけれども、四月一日からということでも、その前から契約したのが、労務費だとか、材料費の高騰に基づいて一定の配慮ができるという、そういう規定もあるようですから、そういう問題もいずれは出てくると思うんですけれども、いずれにしても積算をしていると。
 ただ、実際に受けている企業の方では、全体の規模にもよるんでしょうけれども、一%から三%ぐらいしか上がっていない感覚だと、こういう声も上がっています。
 そういう意味で、調査は実施しているということですけれども、じゃあ、実際に元請は調査に基づいて履行が可能かどうかを判断して決めたということですけれども、これらが下請や働いている人たちにしわ寄せがいくのかどうか。安く入札して仕事ができても、そういうところにしわ寄せがいったのでは元も子もないわけですけれども、そういう点で、下請や労務者に対しての影響については、どのように把握しているでしょうか。

○松永契約調整担当部長 低入札価格調査におきましては、第一次下請の予定業者及び予定下請金額等を調査項目の一つとしておりまして、下請予定者の見積書等において、工事内容が明確になっているか、下請予定者の資材単価、労務単価などが著しく低くなっていないか、下請にかかわる見積書が入札金額の積算内訳に正しく反映されているかとか、また、調査対象者及び下請予定者は、法令に従い社会保険に加入しているか等につきまして調査を行い、下請へのしわ寄せがないことを確認してございます。
 さらに、調査対象者は、全ての下請が法令を遵守するよう、確認指導を行うことについての誓約書の提出を義務づけておりまして、下請代金の支払いを含めまして、工事における法令の遵守の徹底を図っているところでございます。

○植木委員 法令遵守を誓約していると、報告書もとっていると、こういうのですけれども、実は、数年前、これは東京ではないんで立ち入ることはしませんが、夕張のシューパロダムという工事で低入札を行って、後ほどになって、実際は赤字入札だったということが後で発覚して大問題になったことがあります。
 そのときの行政側の低価格理由とその詳細内容という書類を、私、見させてもらいましたけれども、労務費のところは、労務費の縮減というふうに明確に書かれていたりして、赤字入札ですから、当然、下請やそういった労務費は縮減するんだってはっきり最初からうたっていたのに、どうして通ったのかよくわかりませんけれども、そういうことも事実としてあるわけですね。だからこそ、こういう低入札の制度の改善が依然として毎回出てくるわけです。
 そういう状況になれば、下請や労務者の方々も、たまったわけではないですし、特に下請などは、第二次、第三次になってくると丸めて仕事を請け負うと、そうするともう労務単価がどこまでどうなのかというのはわからないと、こういう事情もあると思うんです。
 そういう意味で、工事完了後の確認については、今、誓約書をとっているというんですけれども、私は、書類上の調査だけじゃなくて、きちっと事実確認、こういうところまで必要ではないかなというふうに思うんですけれども、どのように調査しているでしょうか。

○松永契約調整担当部長 低価格での入札におきましては、先ほど申しましたように、下請へのしわ寄せが懸念されるということもございまして、低入札価格調査において労務単価等の調査を実施するということに加えまして、工事期間中も元請企業が賃金の支払い方法を含めまして、全ての下請が法令を遵守するよう確認指導を行うことを求めております。
 さらに、工事完了後におきましては、確認指導の結果を実績報告書という形で提出することも義務づけております。

○植木委員 報告書では、先ほどもいっていましたから、同じなんですよ。やっぱりこの問題は、特に今度は新たに新労務単価の引き上げという問題も加わってきていますので、僕は非常に重要な局面じゃないかなと思っているんです。
 国交省が新労務単価の実施に当たって、新労務単価フォローアップ相談ダイヤルというのを実施して、ずっと継続してやっているんですね。その相談内容を見ていましたら、こういう事例が出てきました。
 大手ゼネコンが単価上昇に見合った見積もりを出したら理解を示さないということとか、旧単価で見積もりをしてくる他社との競合で負けてしまう、こういう意見とか、元請からは労務単価の上昇はわかっているが、こちらも満額で受注しているわけではないと、こういって協議には応じないと、こういう相談が国交省の方に寄せられていますけれども、こういう事例については、どのように認識するでしょうか。

○松永契約調整担当部長 国の労務単価は、改定のときの説明にございますように、元請、下請の賃金を拘束するものではないということがございます。私どもとしますと、先ほどいいましたように、元請企業と下請企業が締結する契約というのは、私ども都と元請企業間の契約とは、法律上、別物ということもございまして、下請で働く労働者の労働条件あるいはその契約内容について、発注者であっても直接関与することはできないというふうに認識しております。
 ただ、仮に元請で働く労働者の賃金や労働条件が法令違反であることが明らかになった場合や、下請企業との契約が違法であることが明らかになった場合、都は発注者といたしまして、指名停止により入札から一定期間排除するなどの措置を講ずるということもございます。

○植木委員 もちろん最終的には、労使間で決まる問題なのですけれども、こういうふうに、新たな労務単価の引き上げというものが具体的に示されているときに、そういう姿勢でいいのかということだと思うんですよ。
 そういう意味では、まだ始まった段階ですから、これから具体的にどう出てくるかというのは、これからの案件を見ていかなきゃならないと思うんですけれども、やはり元請、下請労務者の間で、この考え方がきちっと定着して、労使間で適正な、一定の反映がなされたということを、国の方もずっと、今調査しているわけですよ、九月、十月にかけて。
 だから、東京都としても当然そういう啓発やら企業への指導ということはできるわけですので、私は積極的にやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松永契約調整担当部長 お話がありましたように、国は、二十五年の公共工事設計労務単価の設定に当たりまして、労働市場の実勢価格を適切に反映するとともに、法定福利費等についても必要額を計上しております。
 これを受けまして、都では労務単価の取り扱いについて、建設業団体に対して下請負人等に対する契約の適正化及び支払いの迅速化並びに必要な技術者の配置についてという文書を送付いたしまして、賃金水準の適正化についても配慮を求めるとともに、当文書を各受注者それぞれに配布いたしまして、下請負人に対する契約の適正化など、特段の配慮を求めているところでございます。
 さらに、低価格での入札においては、先ほど来からお話があるとおり、下請へのしわ寄せというものが懸念されることから、労務単価の調査の実施、あるいは工事期間中における法令遵守の確認、さらに、工事完了後の確認指導の報告ということも義務づけるということで対応しております。

○植木委員 とにかく定着するまで、都として--やはり東京というのは、そういう意味では一番入札案件も大きい、金額も大きいし、あるはずですから、ぜひそこは企業に対して、あるいは下請に対して、きちっとした指導をしていただきたいというふうに思うんですね。
 この国の相談ダイヤルの中には、もちろん喜んでいる例もあるんですね。二次、三次下請業者から業務を受けているが、この施策が打ち出される前はひどいものでしたが、施策が打ち出されてからは、交渉しなくても単価を引き上げてくれる、大変感謝していると、こういう声も国の方に寄せられていると、こういうこともお聞きしました。
 いずれにしても、こうした新しいルールをつくったけれど、そのとおりいかない、あるいは末端の下請業者の中には、従業員といっても五人以下だとか家族でやっているところも、下にいけばたくさん入ってくるわけですよね。さらには、社会保険にも加入していない事業者もおられるという中で、そうした下請業者とそれから労務者に対して、きちっと皆さんが指導して、健全な関係がつくられるようにするということが大事だと思うんですね。
 社会保険労務士の方とも懇談してきましたけれども、国からも、社会保険の加入促進だとか労働条件について、ぜひ協力してほしいと要請されているというお話を受けましたし、社会保険労務士の方たちも積極的に協力したいということを懇談の中で私たちに示してくれました。
 そこで、社会保険労務士を活用したモデル調査について検討が行われているわけですが、最初の段階から協力してもらうような、そういうルールづくりなどが必要かと思うんですけれども、どのような考えで取り組んでおられるでしょうか。

○松永契約調整担当部長 公共工事においては、建設業を取り巻く状況を踏まえて、入札契約制度を適切に運用するということで、透明性、競争性、品質確保の三つの社会的要請に応えていくことが重要だというふうに思っております。
 このため、低価格での入札により労働環境が悪化し、工事品質が低下することのないよう、専門家のノウハウを低入札価格調査等に活用すべく、既に、社会保険労務士会から、その事例や手法の意見を求め、現在、モデル事業を検討しているところでございます。

○植木委員 検討しているということですけれども、いつまでというのがなかったんですけれども、いずれにしても、早くしなきゃいけないと思うんですよね。こういう低入札の競争が激しい、それから下請同士の入札も激しいわけですよね、下請と元請との関係も。
 先ほど、相談の事例に出たように、他社との競合で低単価で出さないとかち取れないと、仕事がとれないということで、下請企業の方から低い単価で見積もって出すという、そういう事例もあるわけです。
 そういう意味で、下請や建設労働者へのしわ寄せがないように、そして、労務単価の引き上げがきちっと定着するように、今後も入札に関しては一層厳密に取り組み、そして改善をすることを求めて、私の質問を終わりにします。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○山崎委員長 次に、報告事項、平成二十四年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 私からは、年次財務報告書に関連いたしまして、東京都財政の置かれている現状について何点かお伺いしたいと思います。
 都議会議員選挙の興奮も冷めやらぬ本年七月、ショッキングな報道が飛び込んでまいりました。それは米国ミシガン州のあのデトロイト市が、連邦破産法に基づく破産を申請したというものでございます。負債総額は百八十億ドルを超えておりまして、全米で過去最大の財政破綻であるそうでございます。
 この財政破綻は、自動車産業の衰退とともに、最盛期には百八十万人にも達していました人口が七十万人にも減少しまして、失業者の増加などにより税収が大幅に減ったにもかかわらず、歳出の削減が進まず、多額の財政赤字が常態化したということが主な要因だとされております。
 一方、我が国の総人口も二〇〇九年をピークに四年連続で減少しておりまして、また、東京の人口も、オリンピック・パラリンピックの開催を迎える二〇二〇年には減少に転じると見込まれております。
 こうした状況を踏まえれば、デトロイトの問題は、決して対岸の火事といえるような問題ではありません。都政のチェック機能を担う我々都議会としても、これを教訓にしていかなければならないと思うわけでございます。
 日本における自治体破綻といたしましては、平成十九年の夕張市が記憶に新しいところであり、この財政破綻を契機として、地方公共団体の財政の健全化に関する法律、いわゆる財政健全化法が法制化されたと聞いております。
 そこでまず、財政健全化法の施行目的、内容について確認のためお伺いしたいと思います。過去に議論がありましたら、済みません、一年生なのでお許し願いたいと思います。

○潮田主計部長 先生お話しのとおり、当時、夕張市の問題が非常に大きな問題になりまして、そうした中で、この法律は、早期の是正機能がないなどの課題が指摘されていたそれまでの地方財政再建促進特別措置法、これにかわりまして、地方公共団体の財政状況の悪化を初期の段階で把握をし、健全化に向けた迅速な対応をとるために制定されたものでございます。
 具体的には、健全化判断比率としまして、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率の四つの数値につきまして、監査委員の審査や議会への報告、住民への公表などを行うことが義務づけられております。
 これらの比率のいずれかが早期健全化基準以上になりますと、財政健全化計画を策定し、その実施状況を毎年度議会に報告し、公表することが義務づけられるなど、さまざまな行財政上の措置が講じられることとなっております。

○清水委員 お答えいただきましてありがとうございます。
 さて、今回の年次財務報告書によれば、四つの指標のうち実質赤字比率と連結実質赤字比率は、ないとのことであり、東京都が黒字経営を維持していることを物語るものであります。そこで、残りの二つである実質公債費比率と将来負担比率を通じて、東京都政の健全性を確認していきたいと思うわけであります。
 まずは、この実質公債費比率並びに将来負担比率はどのような指標なのか、再度確認の意味でお伺いしたいと思います。
 また、今回の決算の数値でございます実質公債費比率並びに将来負担比率、それぞれ一・〇%、八五・四%というこの数値を、当局としてはどのように評価されているのか、お聞かせ願いたいと存じます。

○潮田主計部長 実質公債費比率は、自治体の財政規模に対して借入金の返済額の大きさの割合をあらわした指標で、標準財政規模に対する地方債の元利償還金等の割合で算定されるものでございます。東京都の平成二十四年度の決算の数値は、先生、先ほどお話ございましたとおり一・〇%と、昨年度に比べまして〇・五ポイント改善しております。なお、早期健全化比率は二五・〇%というふうになっております。
 また、将来負担比率は、将来自治体が負担することが見込まれる地方債残高あるいは退職手当負担見込み額、それから都が監理団体等との間で設定しています損失補償契約に基づく都の負担見込み額など、実質的な負債が標準財政規模に対してどの程度の割合であるかを示す指標でございます。平成二十四年度の決算の数値は八五・四%と、昨年度に比べて七・三ポイント改善しております。なお、こちらの早期健全化比率は四〇〇%とされております。
 いずれの指標も、財政健全化法に定める早期健全化基準を大きく下回っているところでございます。これは平成十二年度以降、都債の発行抑制に加えまして、いわゆる隠れ借金とか、負の遺産と当時いわれておりました目に見えにくい負債の解消を図るなど、自立的な財政運営に努めてきた結果であると認識をしております。

○清水委員 ありがとうございます。私もこれまでは、立川市議会議員として、外から概観していたわけでございますが、石原知事の時代に血のにじむような財政再建に取り組んでいただきまして、強固で弾力的な財政体質をつくり上げてきていただいたという成果が、現在、今日の数値にあらわれているものといえるのではないかと思うわけでございます。
 ただ、一般的によくいわれるんですが、黒字企業も多く倒産するように、数値だけにとらわれてはいけないということは、もうご案内のことだと思うわけでございます。また今回の数値のように、またテストの点数と同じように、数値がよければ大変喜ばしいという一面もございますが、ややもすると、健全化指標の数値が良好であることをもって、東京が裕福であると決めつけ、財源を奪う動きにも利用されてしまうのではないかと、新たな心配があらわれたわけでございます。
 改めて、現在山場を迎えております法人事業税の暫定措置見直しについては、国に対し、当初の約束をしっかりと守っていただけるように、強く働きかけを求めるものでございます。
 そこで、いろんなことを申し上げましたが、これらの健全化指標を見る際に、財務当局として注意している点があればお聞かせ願いたいと存じます。

○潮田主計部長 実質公債費比率や将来負担比率は、全ての自治体を対象として全国一律のルールに基づいて算定されておりまして、その趣旨には一定の合理性はあるものと認識をしております。
 しかしながら、この指標であらわされる数値を、不交付団体である東京都に当てはめる際には、都財政の実態を必ずしも十分にとらえたものとなっておらず、数値が低く出るという点で注意が必要であるというふうに考えております。
 それはまず、実質公債費比率の算定では、分母となります標準財政規模に、東京都では発行実績がない、いわゆる赤字地方債でありますところの臨時財政対策債の発行可能額が算入をされているという問題がございます。
 また、将来負担比率の算定では、実際には交付を受けていない交付税の基準財政需要額への算入見込み額が分子となる将来負担額から控除されている点に加えまして、今後の社会資本ストックの更新需要などが負担額には含まれていないなどの問題もございます。
 このように、これらの指標は、あくまで財政の健全性をはかる一つの指標にすぎず、単純に他の自治体と比較して論ずることは適切ではないというふうに考えております。

○清水委員 ありがとうございます。結局、指標自体は万能なものではないということを認識した上で、数値の改善には、東京都の地道な努力が背景にあることをしっかりと理解してもらう必要があるかと思うわけでございます。
 さて、ただいまの答弁では、将来負担比率には、社会資本ストックの更新需要が含まれていないとのことでございました。高度成長期に建設されました道路や橋梁などの社会資本ストックは、今後一斉に更新時期を迎えるわけでございます。とりわけ整備時期の早かった東京は、全国に先駆けて本格的な更新期への対応が必要となってまいります。
 この件につきましては、本会議場で猪瀬知事の答弁にも、東京は最もあしたに近い都市である旨の発言がございました。あしたが、全てバラ色なら、これは結構なことでございますが、どうやらそういうことではないように思われます。解決すべき課題が間近に迫っているのが東京でございます。
 そこでお伺いしたいと思います。社会資本ストックの更新需要を加えた将来負担を想像すると途方に暮れるようでございますが、この年次財務報告書では、東京都が所有する資産の老朽化の状況が、財務諸表にどのようにあらわれているのか伺いたいと思います。

○潮田主計部長 資産の老朽化の進行度合いをはかるための指標としまして、有形固定資産老朽化率がございます。これは償却資産の取得額に対する減価償却累計額の割合により、資産の償却がどの程度行われているかを把握するものでして、この割合が高くなるほど資産の老朽化が進んでいるというふうに考えられます。
 平成二十四年度末におけます有形固定資産老朽化率は四一%でございまして、前年度末と比べて一・一ポイント上昇し、新たな公会計制度による財務諸表を作成開始した平成十八年度以降、一貫して上昇しているところであります。
 なお、これらの維持更新への対応というのも、今後の財政運営に当たって留意すべき課題の一つであるというふうに認識しております。

○清水委員 ありがとうございます。財務諸表からも、今後、東京都が取り組むべき膨大な需要が見てとれるということでございます。
 実は、私の地元立川市も、最近までは大量退職世代の職員退職金の確保、そして、今後は簿価で一千三百億を超えるという公共施設の更新需要にどのように対処するか苦慮しているわけでございます。
 立川市は、現在、東京都と同じ新しい公会計制度の導入に向けて研究を始めておりますが、このように、潜在的な資産の更新需要を把握できるという点も、新しい公会計制度のメリットの一つではないかと思うわけでございます。
 さて、人口減少、少子高齢化により、生産年齢人口は減少し、担税力のある層が少なくなる中で、都政には、先ほどの老朽化を迎えた社会資本ストックの更新に加え、増大する社会保障関係費や首都直下型地震への備えなど、取り組むべき課題は山積しているわけでございます。
 そこで、今後、これら大きくふえていくことが見込まれます将来需要に対し、財政当局としてはどのように取り組んでいくのか、最後に局長の決意を伺い、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。

○中井財務局長 都議会のご協力をいただきながら、これまで都が厳しい財政再建に取り組み、これをなし遂げてきましたのは、都民にとって必要な施策を、いつの時代にも安定的、継続的に実施できるようにするためでございます。
 都の健全化指標が良好である大きな要因は、こうした、これまでのたゆまない努力が反映されたものでございまして、清水委員、ご指摘ございましたとおり、都が、財政的に余裕があるというものでは決してございません。
 景気の影響を受けやすい都財政においては、今後、社会資本ストックの更新を初めとする都政の重要課題に対処し、新たな長期ビジョンの描く将来像を実現していくためには、その施策展開を支える強固な財政基盤を堅持していくことが不可欠でございます。
 こうした基本認識に立ち、事業評価のさらなる進化を図るなど、自己改革の取り組みをたゆみなく進めるとともに、基金や都債を適切に活用するなど、中長期的な視点に立った堅実な財政運営を行ってまいる所存でございます。
 なお、清水委員からお話がございました法人事業税の暫定措置については、当初の約束どおり確実に撤廃し、地方税として復元されるよう、都議会の皆様のご協力をいただきながら、国にさらに強く働きかけをしてまいります。よろしくお願い申し上げます。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十九分散会

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