財政委員会速記録第四号

平成二十五年三月十五日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長吉住 健一君
副委員長神野 吉弘君
副委員長たぞえ民夫君
理事高倉 良生君
理事高木 けい君
理事増子 博樹君
近藤  充君
福士 敬子君
菅  東一君
鈴木 隆道君
興津 秀憲君
長橋 桂一君
今村 るか君
和田 宗春君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長中井 敬三君
経理部長櫻井  務君
契約調整担当部長石井 正明君
主計部長武市  敬君
財産運用部長奥田 信之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長末菅 辰雄君
技術管理担当部長室木 眞則君
庁舎運営担当部長間庭  修君
収用委員会事務局局長醍醐 勇司君

本日の会議に付した事件
意見書について
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中,歳出 収用委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十四号議案 東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中,予算総則,歳入―財務局所管分,歳出―議会局・財務局所管分,債務負担行為―財務局所管分,都債
・第十四号議案 平成二十五年度東京都用地会計予算
・第十五号議案 平成二十五年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都庁舎改修プロジェクトの取組について

○吉住委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員からお手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については,取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉住委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○吉住委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十五年度予算については予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について,議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十五年三月十四日
東京都議会議長 中村 明彦
財政委員長 吉住 健一殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて,三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので,左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。

1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木曜日)午後五時

(別紙1)
財政委員会
第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中
予算総則
歳入
歳出
債務負担行為
 財政委員会所管分
都債
第三号議案 平成二十五年度東京都地方消費税清算会計予算
第十四号議案 平成二十五年度東京都用地会計予算
第十五号議案 平成二十五年度東京都公債費会計予算

(別紙2省略)

○吉住委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに財務局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分及び第五十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○和田委員 収用委員会に関連をして、今後の都政にかかわる重要課題、これを実現していくために、収用手続において、その委員会が果たす役割というのは大変重要だろうと思っておりますので、その点から質問をさせていただきます。
 先日、IOCの評価委員会,また評価委員による東京都の現地調査が終わりました。クレイグ・リーディーIOC評価委員長も、プレゼンテーションの質も高い、それから熱意を感じたというような感想が述べられました。こういうことの積み重ねで、二〇二〇年のオリンピックの東京開催ということの決定を確実にしていかなければならないんですが、今後、それを前提に、やっぱり人の流れ、物の流れ、これは滞ることがないように、外環道などの交通インフラの整備を進めていかなければなりません。
 また、一方、今週の三月十一日になりましたが、東日本大震災から丸二年がたって、被災地の復興はまだまだでありますけれども、東京都としても、被災地の復興に努力していくということは当然であります。また、東京都においても、いつ発生するかわからない首都直下型の地震に備えなければなりません。そのために、東京都の地域防災計画をしっかり立てておりますけれども、それに基づいて、不燃化、燃えないようにするということ、あるいは耐震化、地震に強いということ、これによって、あらゆる災害に強いまちづくりを進めていかなければなりません。
 とりわけ、木造密集地域の不燃化プロジェクトの実施方針では、燃えないまちということの実現をするために、区が主体となって取り組む不燃化特区を構築いたしました。指定特区も当時は十二ありましたが、先ほどの本会議においても、知事の方からそれを五十にふやすというふうに積極的な展開が明らかにされております。
 それは、何よりも燃え広がらないまち、これを実現するために、どうしても不燃化特定整備路線を指定をし、そしてまた、主要な都市計画道路整備とあわせて、事業を速やかに進めていく必要があります。これは、もう可及的速やかであります。そこで、収用委員会というものの役割が、私は重要だろうと冒頭申し上げました。
 収用委員会というと、どうしても私どもは強制収用という言葉と収用委員会というのが重なり合いまして、強制的に、強引に立ち退き、あるいはその他の強制力を発揮するという、そういう委員会のように受け取られがちでありますが、しかし、土地収用法を根拠とする収用委員会は、法五十一条以下で、都道府県に設置が定められている正当な補償を判断する機関でありまして、そういった事業を進めていく中で、用地買収が難しい状況になった場合に、事業の推進のために、また権利の保全、あるいは権利者の早期の生活再建のために、大いに土地収用委員会が活用されるべきだというふうに私は思いますし、土地収用法でも、そのように規定をしております。
 こういう一様の巷間伝わる誤解のようなものをしっかり解くためにも、土地収用委員会の存在理由、意義というものを確認しておく必要があるだろうというふうに思います。こうした視点から、収用制度について何点かお伺いするわけです。
 初めに、過去三年でありますけれども、取扱件数、委員会が取り扱ってきた件数、事業別内訳について、改めてお伺いいたします。

○醍醐収用委員会事務局長 東京都収用委員会における過去三カ年の収用事件取扱件数でございますが、平成二十一年度百四件、二十二年度百九件、二十三年度百四件と、最近は、おおむね百件前後で推移をしておるところでございます。
 これらの事件を事業別に分類いたしますと、道路事業が、平成二十一年度で八十六件、二十二年度が九十六件、二十三年度九十一件と、全体の約九割を占めておるところでございまして、残りの一割を再開発事業や河川事業、区画整理事業が占めております。

○和田委員 九割が道路事業関連ということであります。さかのぼって、私、申し上げた木造密集地域の不燃化も、おおむねは道路と道路の間というような地域の木造家屋が密集しちゃっているところを不燃化にするということでありますから、面と道路の線とが一体となってこの事業が進められていく。そこにまた,収用委員会がかかわってくるということになり、過去の三年間を見ましても、百件ぐらいを前後しながら収用委員会が発動しているということです。
 しかし、さきに申し上げたオリンピックの,外環のスピードアップ、あるいは木密地域の十二カ所から五十カ所というふうになってくれば、当然、仕事量もふえてくるはずです。仕事量がふえないのは結構なんですけれども、結果としてそうなるかもしれない。そういうことに備えなければならないということも、委員会としては、まず、心得てほしいと思うんです。
 この前の事務事業の質疑の際に、これらの事件を処理するに当たっては、原則として十カ月で処理をするということを、一応、委員会は目標化しています。十カ月でやるという。
 ところが、近年、困難な事件がふえていることから、二十三年度の平均処理日数が、十カ月というと三百日ということですが、三百九十五日ということで、圧倒的に一年を楽々超えた日数で、この処理の渋滞化というか、停滞化が起こってきているということで、目標とする十カ月と、実際は三百九十五日、四百日ということになっていますので、その辺のところを勘案しながら、この目標処理期間を超えてしまっているのは、多分、複雑な案件、要件がそこに内在しているために、当然、四百に近い日にちがかかって、十カ月の目標を大幅に超えてしまっているだろうというふうになるんですが、具体的には、どういう事例があったんでしょうか。

○醍醐収用委員会事務局長 複雑困難な事例といたしましては、収用対象となる土地,建物等に、例えば借地権ですとか、転借地権ですとか、それから抵当権、さらには差し押さえ等々のさまざまな権利設定がなされているものや、大規模なマンションなど権利者が極めて多数となっているもの、また、収用対象地などの相続につきまして親族間で争いがあり、権利が確定できていないものなどといった事件がございます。
 例えばの例で申し上げますと、環状二号線、これは平成二十五年度の交通開放を目指しておるものでございますけれども、新橋―虎ノ門間の再開発にかかわる事件の中で、昨年、裁決を行った案件でございますが、収用対象となったオフィスビルの権利関係が極めて複雑で、参考とすべき前例もない状況の中で、権利の認定ですとか補償のあり方などにつきまして、収用委員会といたしまして、さまざまな調査検討を実施した上で判断を行う必要があったことから、申請から裁決に至るまで七百日以上かかった事例もございます。

○和田委員 個別には、極端な例が七百日ですが、委員会とすると通常目標を十カ月に置いているのが十三カ月になってしまっているというのは、平均的な事務事業の執行の時間だというふうに思います。
 したがいまして、目標は十カ月だけれども、結果として平均的に十三カ月になってしまっているという中には、委員会そのものが丁寧に自分たちの出番が来るまでしっかり待っていて、それで、先ほど冒頭に申し上げた委員会の適正な価格の裁定というか、提示というか、そういうことの応援をしていくという中で、力ではなくて双方のいい分をしっかり聞いた上で、その数字を出していくという、金額を出していくというようなことの丁寧さが、十カ月目標が十三カ月になったのかなとも善意では解釈したいところです。
 しかし、さきに申し上げたオリンピック、あるいは木密の五十カ所増などというようなことになれば、丁寧さに加えて、どうしてもスピードを上げていかなきゃならない要件が出てくると思っているんです。そういうことでもありますから、私は、これからは、新しい観点、新しい視点で委員会は取り組んでいく要件が、オリンピックなり、木造密集地域の指定の地域がふえるということを前提にすれば、考えていかなきゃならないということを申し上げておきたいと思うんです。
 それから、収用委員会の取扱件数なんですけれども、これも全国どこでも収用委員会は存置してありますけれども、大体、件数とすると全国の七分の一を東京都で占めているというふうに聞いております。
 それだけに、案件が都会生活者の中に内在しているということのあらわれだと思うんですけれども、さきに申し上げた、そういう基礎的な要件が整っている中に、外環の整備ですとか、外環整備の交通インフラの問題、あるいは木造密集地域の不燃化の事業というふうに、今日的、緊急度の強い課題がそこに覆いかぶさっていきますから、従来の処理の仕方よりも、もっと密度とスピードを上げていかなきゃならないというふうに思うんです。
 それには、今答弁があったように七百日というふうな事例もあるように、さまざまな権利関係が複雑に絡み合っている、そのような短期に解決困難な事件がこれからも予想されるだろうというふうに思うんです。
 そういう中で、収用委員会がひとり、ほかの部局ができる仕事じゃありませんから、醍醐さんのところで一手に構えなきゃならない宿命があるんですけれども、例えば、その機能を、役割を十分に発揮して、なおかつ公正で迅速な事件処理をしなきゃならないという任務があるわけでありますけれども、今の体制、人員を、後に予算については触れますけれども、そういうことを強化する必要があるのではないのかなと、必要に迫られているという点もあります。先ほどいった外環の問題、木造密集地の問題もあるんですけどね。
 例えば、その事例としてお伺いしたいんですが、体制強化をしなきゃならない事例の一つとして、処理が困難であったという場合の一つの例として、圏央道というのが大変困難だったと聞いておりますが、その際、事件の迅速な処理のために、委員会当局はどんなふうな具体的な努力をされたんですか。

○醍醐収用委員会事務局長 圏央道でございますが、これにかかわる収用の案件につきましては、あきる野事件、それから八王子ジャンクション事件、それから、高尾山事件という三つのステージで、約五十件ほどの処理を行っております。こうした事件数が通常の処理に加えてふえただけでなく、圏央道の場合には、反対する権利者が約二千六百名に及ぶ事業反対運動なども行っていたために、職員を最大限配置をいたしました平成十八年度におきましては、担当部長に加えまして、新たに課長級を含めて職員を増員し、二十四名体制で事件処理を行ったところでございます。
 具体的には、圏央道にかかわる事件を効率的に処理していくために、圏央道専任のチームを五名配置するとともに、補償額算定が的確に進むように課長級職員を別途配置し、対応したところでございます。

○和田委員 圏央道、圏央道と、しきりに生活者の側の方から要望が多い。それに抗する形で反対する住民の方々、団体もいて、五十件近い事件というか、案件として処理しなきゃならなかったという苦労は大変だったと思います。
 そこで、内部的には、専任チームを五名増員するとか、あるいは補償算定額が的確,適正に進むように課長級の職員を別途に派遣するとか、内々の努力は十分されて、結果として表面には片づいてきたというふうに、解決してきているというふうに評価をするのですが、今、醍醐局長のおっしゃったようなことは余り表面に出ません。
 結果として、我々よかったな、また、住民の人の不満もおさまりつつあるのかなというふうに思うわけですが、行政のそういう内にこもった努力というものがあって、圏央道の先行きが明るい見通しになってきているということも、私どもは評価を高くしていかなければならないというふうに思っているんです。
 そういう中でも、やはりこれから、そういうキャリア、経験を積みながらも、先ほど来繰り返しますが、オリンピックにかかわる外環の問題とか、あるいは木造密集地域の急ぐ課題が出てくると、過去のそういう事例の体験や経験を生かしつつも、量的にもっと作業が要求される場面が出てくるのではないか。出てこなければいいんですけれども、案件がふえればふえるほど、皆さん方の出番がふえてくるに違いありません。
 したがって、その執行体制を充実強化していくということが、過去の圏央道事件を参考にするならば、これから、その教訓を生かすべきタイミングに今来ているんではないかなと思っているんです。
 そこで、二十五年度の予算書を見ました。歳出は四億四千七百万円というふうになっていますが、職員費、いわゆる人件費、これについては二億六千三百万円ということで、五九%、六〇%近い人件費が皆様方の歳出の中に我々は見ることができました。
 事務局の体制いかんによって、今後の収用手続が円滑に行われるかどうかという、まさに人間の問題と収用手続、あるいは事務の進展というのは完全につながっています。圏央道対応のときに比べて、現状は、より大きな課題を予想するべき二つのテーマを抱えている中で、どういうふうに人員体制はなってきているのかということを伺います。

○醍醐収用委員会事務局長 収用委員会事務局における現在の体制でございますが、個別具体の事件処理に携わっている職員でございますが、先ほど申し上げました平成十八年度時における二十四名に対応する数といたしましては、十八名が配置をされておるところでございます。
 その内訳につきましては、収用手続の申請にかかわる事前相談や書類審査等を行う職員が三名、それから収用の対象となる土地や物件等の補償額の算定に当たる職員が二名、それから収用手続の申請書の受理から裁決に至る一連の事務処理を行う職員が十三名、合計で十八名となっております。

○和田委員 聞いていて耳を疑ったんですが、圏央道のときに二十四で、今もうそれが終わったせいもあるんでしょう、十八名になって、その内訳も、今、報告いただきました。先ほど来申し上げている圏央道の問題とか、オリンピックや、あるいは木造密集地域というのは、去年の暮れからことしにかけて出てきたテーマでもありますし、今日的なテーマですから、圏央道のときと、すぐに六名減ったとか云々ということは申し上げません。
 ただ、構えとしては、事態がここまで変わってきているということを考えますと、二十六年度以降、すなわち二十五年から、間もなく新しい年度になって、木造密集地域の不燃化、あるいはオリンピックに向けてのいろいろな活動が盛んになってくるに従って、当然、圏央道を含め、推進方が求められてくるということを考えますと、二十六年度以降に双方の、具体的に挙げましたけれども、二つの案件がずっと入り口を求めて急激に事業を推進、進捗せざるを得なくなってくるだろうと思うんです。
 そのときに備えて、先に申し上げた人件費が六〇%ぐらいを占める収用委員会の体制、それも二十四から十八に減ってきてしまっているという中で、しっかり対応できるのかなというような心配もあります。
 それは、一にかかって、オリンピックも、木造密集地域の不燃化も、もうちょっと待ってよというわけにいきません。いつ地震が、震災が来るかわからないという局面、オリンピックには、ある程度時間は限られておりますけれども、それでも、やはり決まってから急ごうかという話じゃなくて、二十五年度のスタートと同時に、しっかりした対応を練っておかなければ、間に合わないということになると思うんです。
 そういう対応を急ぐと同時に、質的にも多分ふえてくる該当者あるいは地権者などを含めまして、それに正当な補償をし、そして、自由な、任意な交渉に基づいて地権者が同意をしてくれるという、ある意味では丁寧な作業をしなければならないのには、人的な、要員が整っていないと、数が少なければ、どうしても性急になって急ぐ、急げば乱暴になる、乱暴になれば、権利者の方々の反発反動なども出てくるかもしれないという点では、質的にも、概観というか、外側の条件も含め、ここのところはしっかり、二十六年以降に、具体的に収用委員会の出番が出てくるかもしれないときに備えて、一種の職員の皆さんのトレーニングといいましょうか、そういう交渉に当たる技術もありましょうし、普通のところからただ増員してきたから、その任が務まるというわけにはいきません。
 したがって、人間対人間の交渉事の中で、皆さん方が培ってきたいろんな技術なり、そういうものを新人の方に伝えていくためには、一定の育成期間といいましょうか、トレーニング期間も必要となってくるとなれば、やはり年度を超えた時点で、そろそろ、二十六年度以降、忙しくなるだろうというような、そういう収用委員会の出番についても心をしっかりして、要求すべき予算なり、あるいは人員なりについては、見通しを立てた上で、しっかり要求をしておくような準備をしておくことは大事だというふうに思います。これは、また、別な機会を通して質問したいと思いますけれども、とりあえず、従来になく収用委員会の役割が重く、かつ大になってきたなということの認識を、局長以下皆さんにしておいてほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○吉住委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉住委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○吉住委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十四号議案、第十五号議案、第五十号議案及び報告事項、都庁舎改修プロジェクトの取り組みについてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○櫻井経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求をいただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
 今回要求がございました資料は一件でございます。恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんいただければと思います。
 表紙をおめくりいただきまして、要求資料第1号、社会資本等整備基金の推移をごらんください。
 これは、社会資本等整備基金につきまして、直近五年間の推移をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉住委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○和田委員 平成二十二年の予算委員会で、私は、公契約条例について質問をしております。それからしばらく時間がたっておりますが、今日的な経済あるいは財政状況を踏まえて、ここで改めて質問をいたします。
 冒頭申し上げたとおり、当時とは経済情勢も、また、政治情勢も著しく変わってきております。特に経済対策を中心に進められている現在の政府の各種政策に対して、社会全体に先行きに対する期待感のようなものがあるようにうかがえます。
 現在、安倍首相が、財界のトップの方々に賃上げ要請を行っておりました結果が、経団連を初め一部大手の企業の責任者の方々から、それにこたえるような、そういう動きが、このところ具体的な動きが出てきているというふうに報道されています。
 これは大きな変化として、先ほど申し上げた事例として、具体例として私は見るべきだと思います。すなわち、デフレから脱却するために、いわば荒療治といっていいかもしれませんが、そういう形で経営者の側の方から賃上げについて積極的に議論がなされるべきだというような認識があって、具体的に大手の企業や、あるいは経済団体の方からも、賃上げについての積極的な議論が巻き起こってきているというふうに解釈をしています。
 私どもの生活の場を見ましても、八百五十円の最低賃金、時給でありますけれども、それの方が生活保護の一時間当たりの支給額よりも低いといったようなことがいわれておりまして、これでは労働意欲がなえてしまう、もっと最低賃金の方を上げるべきだというような声も激しく起こってきていることは当然であります。要するに、労働価値というものをもっと評価していく、そういう世論に、経済界も、ある意味では労働界の方もその点では一致しているような情勢は、今の社会の一つの方向ではないのかなというふうに思っているんです。
 地域に働く中小零細の方々を含め、その方々が働いて家族を養っていくという立場からするならば、その働く方々の公的な場所から得る仕事にかかわる収入なり賃金というものは、ある程度保障されていくべきが、私は今日的な一つの課題だろうということで、公契約条例というのが存在しているというふうに思うんです。
 これまで、大小は別にして、都内でも市が実行している例があることはご承知のとおりです。このように労働者の賃金向上に向けた環境が、とりわけ安倍政権になって、今申し上げた具体的な事例も含めて、変わってきているという認識を当局もお持ちだろうと思うんですが、都としても公契約条例を検討していく、そして労働価値、あるいは働く、賃金ということに、より積極的にかかわりを持っていくべきではないのかなというふうに私は思うんでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○石井契約調整担当部長 賃金や労働条件につきましては、労働者と経営者の自主的な交渉等により決定されることを原則としつつ、最低賃金法や労働基準法等により、最低限の基準を義務づけ、労働者保護を図ることが我が国の労働法制となっております。
 今般の首相の要請につきましても、賃金の引き上げが可能な企業に対して任意の協力を求めるものでありまして、この法制度の範囲内で行われているものと認識しております。
 一方で、公契約条例は、労使交渉で合意、決定した賃金と異なる水準の賃金支払いを、契約を通じて、事実上企業に強制するものでございまして、労働法制との基本的な考え方の整理が必要であるとともに、経営基盤の弱い中小企業では、賃金水準の上昇に伴い、かえって経営が圧迫され、入札から排除されるおそれがございます。
 この公契約条例につきましては、このように、労働政策や産業政策の観点から、整理、検討すべき課題があるものと考えております。

○和田委員 さきに申し上げたセブン&アイ・ホールディングスだとか、ローソンなどの社員の賃金アップに前向きに取り組んでいる企業も、具体的に出てきています。経営者サイドが市場から要請を受け、そして、積極的にその求めに応じるということは、今まで私は聞いたことがありませんし、知り得る限り、経営者の側が賃金を上げるというような、前代未聞な様相を呈してきている経済界のありようも、今まで経験したことはありません。
 最低賃金全体の向上を図っていくためには、確かに国の労働政策や、あるいは産業政策において、積極的な議論、あるいは検討がなされなければならないことは十分認識をしています。
 しかし、これは国だけでいいのかというふうに考えましたら、地方自治、地方分権、地方主権といわれているときに、東京都が東京都の権能範囲の中で、自分たちのできる東京都の公の契約や、あるいはかかわりの中で、今抱えている賃金の劣化といいましょうか、ますます下がっていくというような、そういう局面に何らかの打開策を打つことは、十分政策的にはあっていいはずであります。
 私は、何でも前の石原知事のおっしゃるように、東京が国を引っ張る、東京が地方自治をすべて引っ張っていくという、そこまで意気込む必要はないのかもしれませんが、横並びになって、横を見てほかの道府県がやってないから、うちももうしばらくいいだろうとかというのではなくて、東京の抱えている労務、あるいは労働、あるいは生活、賃金といったようなことを考えたときに、私は国の法制度云々と今答弁がありましたけれども、その隘路を縫って、しっかり東京なりの政策姿勢を出していくときが今なのではないかなというふうに思っています。
 都道府県では、まだどこも実施していないというふうに承知をしておりますけれども、それだけに、寄り寄り検討をした上で私は踏み込むべきときには踏み込んでいくべきだというふうに思います。東京都が先駆を果たせば、当然、それに引き続く自治体も従ってくるということになって、公契約に対する国全体の見方も変わってくるというふうに、まず地方から一定の見識を示していくべきだというふうに考えますし、その先頭に、まず我々東京都が立つべきだというふうに思うんです。
 改めて、東京都のこれからの公契約条例の制定に向けての姿勢なり、意欲なり、展望なりについて伺いを立てるわけであります。

○石井契約調整担当部長 繰り返しになりますけれども、賃金や労働条件等につきましては、労働者と経営者の自主的な交渉等により決定されることを原則としつつ、最低賃金法や労働基準法等により、最低限の基準を義務づけ、労働者の保護を図ることが我が国の労働法制となっております。
 都といたしましては、契約約款によりまして、受注者に対して、最低賃金法等を含む我が国の法令遵守を義務づけており、契約履行に当たっての適切な労働環境の確保を図ってきたところでございます。
 公契約条例につきましては、先ほど申し上げましたような課題もありますことから、今後とも国の動向を注視しつつ、現行法令のもと、引き続き入札契約制度の適切な実施に努めてまいります。

○和田委員 国の動向、国の動向ということを繰り返していらっしゃいますけど、それをするなら東京都は必要ないんでありまして、国の動向ではない東京都流の何かを編み出していく、あるいは既に多摩市ですとか野田市とか、市ができているから東京都がやれるとまで僕は短絡はしませんけれども、いろいろ工夫、努力をしながら、地域の労務環境や労働環境、あるいは自治体と働きの関係、賃金の関係を真剣に考えながら、試行錯誤してやっていらっしゃるところもあります。ですから、自治体の規模の大小にかかわらず、その目的たる、その地域の中の労働なり、生活なり、賃金ということを考えれば、そこに逢着していくことは、私は当然だろうと思っているんです。
 国の動向、動向という、おとなしい、ありきたりな、そういう考え方ではなくて、東京都の現在働いている労働環境、あるいは東京都に出入りをしている企業の契約状況は極めて多岐にわたっておりますし、また、そんなに恵まれているとは思いません。したがって、何らかの形で打開策を練っていくということを、その衝にある部長に強く、これは要求をしておきたいと思います。
 次に、総価契約単価合意方式についてお伺いいたしたいと思います。
 これは、二月の四日に発表になりました総価契約単価合意方式の試行についてということで、財務局契約調整担当の方から、これが公にされたところです。この聞きなれない、見なれない、総価契約単価合意方式というものはどういうものなのか、なぜこれが必要なのかということに先立って、まず、方式について説明をいただきたいと思います。

○石井契約調整担当部長 総価契約単価合意方式でございますけれども、これは、工事請負契約におきまして、通常の入札により工事費の総額で契約をした後に、その後の契約変更に備えまして、工事費の内訳単価等について、受注者間であらかじめ合意をしていく方式でございます。

○和田委員 一たん合意した後に話し合いを持てるという、その話し合いを挿入した部分が、総価契約単価合意方式の新しいうま味といいましょうか、そこに改善したポイントがあるんですよという説明であります。
 従来は、契約が終われば、ぱっとそこで左右に分かれるというか、話し合いもなく、契約以降は仕事、あとそれを監視するという形に分かれるわけですけれども、契約した後にも一つの合意を求めるというのが従来にないということでありますから、私は、今までのいわれる役所仕事というように、やったら、もうそれっきり、お互いにもう何のかかわりもないよというのとは違って、そこに何らかの請け負った業者と都の側に話し合いの可能性があるというだけでも、随分、開かれたものになってきているなというふうに今の説明で思います。
 それでは、この方式に、試行に入った今度は、どんな理由があって、また、その理由を詰めていくと、どういう利点、プラスがあるのかということについてお伺いいたします。

○石井契約調整担当部長 現場の状況に応じまして、契約後に当初の設計を変更することが必要になる場合があるわけでございますけれども、そうした場合の契約変更の金額につきましては、現在、発注者の内訳単価に基づきまして積算しているところでございます。
 しかしながら、受発注者間におきましては内訳単価が相違していることもございまして、金額の変更協議に時間を要する場合がございました。総価契約単価合意方式では、受発注者間で、あらかじめ合意している単価に基づきまして変更金額を決めることから、受注者の技術的な特徴を変更金額に反映できることや、変更協議が迅速化することによりまして、工事の円滑化が期待できるなどの利点があると考えております。
 今回、こうした方式の有効性や課題を検証するために試行することとしたものでございます。

○和田委員 改めて繰り返すこともないんですが、都の積算単価に基づいて今までは積算してきたんでありますけれども、この方式によると、変更金額の合意が今まで随分時間がかかったものが、時間を要さなくなった。要するに、スムーズに合意にいける仕組みになったということが大きく、この合意方式の利点だろうというふうに、私も、今、説明を聞いて思います。
 それから、もう一つは、日進月歩で技術が、例えば土木技術でも何でも進んできておりますから、それを各業者が開発して、自分の企業はこういう利点がありますよということをお披露目する場面なども、この方式では取り入れることができて、それに基づいて契約金額の変更なども可能になってくるというふうになれば、お仕着せたものじゃなくて、企業の持っている特殊技能のようなものをそこに評価してもらって、契約金額の変更にまで至ることができるとなれば、より、今まで静かだったものが動いてくる、動的な契約の方式に私は一歩二歩前進してきたものだとも評価をしたいところなんです。
 なおかつ、さきに申し上げた変更金額の合意に時間かかっていたものがかからなくなるということになれば、協議が速やかになって、工事の円滑化、スピード化が、これによって行われるだろうというふうに思います。
 したがって、今申し上げたようなことを試す意味で試行しているんだというふうに思うんでありますけれども、これは仕事を受けた受注者の方にも今申し上げたような利点は当然あるわけでありますから、それは役所の方の効率化ということもさることながら、仕事を受けるという、今まで受け身で、いただくのだから少しぐらい不満があっても黙って受けちゃおうかなというんじゃなくて、自分のいいところをセールスして、セールスポイントを当局の方に打ち出していって、積極的にその仕事にかかわることを表明できる、表現できるという、そういう場面が、この方式によって保全というか担保できるわけでありますから、私はこの意味でも、受注者の側から見ても随分進歩したものだというふうに思います。
 今までは、公共事業というと、値段だけたたいて、低いけど質は悪いというような風評がなかったわけではありません。しかし、そういうことが、こういう形で技術の開陳などが決定後に行われるというような手法になれば、随分と改善されてくるだろうということになると思います。
 とりわけ、公共施設というと、一種、公が建てる施設ですから、堅牢で、これから震災もいわれているときだけに、中身もしっかりした建物であるはずだというふうに一般都民も思っていらっしゃる節があります。道路にしてもしかりです。ですから、公共施設全体の持っている威信といいましょうか、信頼性というようなものにも、この方式は随分と貢献できるかなというふうに思って期待をしたいと思っているんですが、今回は、あくまでも、二月四日の周知は試行ということでありました。
 現に、小金井という具体的な場所で行われたわけでありますが、契約は結ばれたようでありますけれども、まだ具体的に試行の段階までいかずに、もう少し先に、具体的な、その結果の評価などが出てくるようにも聞いているんですが、今の時点で、今後のこの制度の評価は別にしてですけど、その結果によっては、どういうような手順なり道筋が開かれてくるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○石井契約調整担当部長 委員ご指摘のありましたとおり、この契約につきましては、先日、最初の試行案件で落札者が決定したばかりでございまして、今後、契約手続を進める中で課題等を把握する必要性がございます。
 来年度以降も試行を継続し、効果を見きわめていきたいと考えております。

○和田委員 さきに申し上げましたけれども、私企業においてもそうでしょうが、とりわけ公共事業の受注者というのは、受注する側の方が常に仕事をいただく、お願いしていただくというように、どうしても受け身になりがちなところが民間の場合よりも強くあるように見受けます。
 しかしながら、受注した業者の人が当然の利益を上げて、その結果、また納税をしてもらって、そしてまた、それが公共的な一つの事業として回転をしていくという意味で経済を回していく必要も、東京都の契約を含め、あるわけです。さきに触れた公契約も、そこのサイクルの中に入っているわけです。
 問題は、ただ単に受発注だけを見るんじゃなくて、東京都の中で仕事をしている、あるいは仕事をする中小零細を含めた従事者の側の方が、気持ちよく働いて、利益を得て、納税していただいて、それがまた、公に返ってくるというような、そういう心よいサイクルを都の中につくっていくべきだというふうに思うんです。
 その意味では、受発注者が、先ほど申し上げた協議をしながら新技術の開発なども、そこの中に入れながら合意をしていくという今回のこの方式は、今までと違った、とりわけ小金井の場合、土木の方でしたけれども、土木の工事などに大きな先駆けとなっていくのではないかなというふうに私自身は期待をしたいというふうに思っています。
 これから、今回の案件も含め試行を何回か繰り返すのでありましょうけれども、その結果、受注した方々の方からも、いいという声か、いやそれは困るというような声、いろいろ出てくると思いますが、それを正しく評価をし、検証いただいた上で、今までの契約の仕方に少なからず改善や改良が求められるような今回の方式であるならば、積極的に私は取り入れて--まだ地方自治体では導入してないと聞いております。国は、先鞭をつけていらっしゃるようでありますが、都道府県を含め市区町村では、まだこの手法は取り入れたところがないと聞いておりますだけに、これの結果によっては、今までの契約形態に大きく受注者の声が反映できるといったような側面も生かされる契約の新しい方式が、全国的に地方自治体に広がっていくような素地も残されているだけに、今回の総価契約単価合意方式というこの方式は、私は、それぞれ期待を持って注目している人がいるのではないかなと思うわけであります。
 くれぐれも冷静に、なおかつ積極的な評価をしていただいて、しかるべきときに報告を求めて、私の質問を終わります。

○鈴木委員 それでは、私から質問をさせていただきます。
 平成二十五年度の一般会計の予算規模は六兆二千六百四十億円で、何と平成二十年度以来、減少傾向にあった財政規模は、五年ぶりの増となりました。意図したわけではないでありましょうが、くしくも、この財政規模は、平成二十二年度当初予算と全くの同額であります。
 そして、平成二十二年度から三年の間には、実は東日本大震災や政権交代、また、新知事の誕生など、都政を取り巻く環境に大きな変化が実はありました。同じ財政規模ではあるものの、予算の内容には変化が見られるのではないかというふうに思うわけであります。そこで、平成二十五年度予算と二十二年度予算とを比較しながら、今回の予算の特徴についてお伺いをしたいというふうに思います。
 一点目でありますが、まずは歳出のうち、政策的経費である一般歳出について、平成二十五年度と二十二年度の額がどのようになっているのかをお伺いしたいと思います。

○武市主計部長 委員お話しのように、平成二十五年度の予算規模は二十二年度と同額の六兆二千六百四十億円でございますが、そのうちの一般歳出の額は、二十五年度が四兆五千九百四十三億円であるのに対しまして、二十二年度は四兆六千二百八十九億円でありまして、二十五年度は二十二年度と比較いたしまして三百四十五億円、〇・七%減少してございます。

○鈴木委員 平成二十二年度に比べ二十五年度の一般歳出が減っているということでありますが、それでは、都民サービスは後退してしまったのでしょうか、所見を伺います。

○武市主計部長 二十五年度の一般歳出が二十二年度に比べまして減少しておりますのは、主に、この間の知事部局におけます職員定数の削減、給与の減額改定、さらには退職手当の見直しなどによりまして、給与関係費を六百十一億円削減したことによるものでございます。
 一般歳出から給与関係費を除いて比較をいたしますと、平成二十五年度は二十二年度よりも二百六十五億円の増となっておりまして、直接都民サービスに振り向けるための予算、事業費は、実質的には充実しているものと考えております。

○鈴木委員 答弁がありましたように、二百六十五億円の増、都民サービスのための予算は、実質的には充実をしているということであります。
 ただ、今答弁のあった中に、給与関係費についてでありますが、実は私、昨年の予算委員会でも、この質疑を行っておりますが、都は財政再建に取り組む中で、実は、みずからの判断で給与削減を行うなど、これまで大変な努力をしてきたということがあるわけであります。
 現在、国は地方に対して、交付税を盾にして国に準じた給与費の削減を迫っておりますが、都として見れば、これまで何ら取り組んでこなかった周回おくれの国にとやかくいわれるのは、全くの筋違いというようなことを感じているのは事実だというふうに思います。いずれにしても、実質的な都民サービス向けの予算はしっかりと確保しているわけでありますから、評価をいたしたいというふうに思います。
 では、このように人件費を削減している分、どのような経費を増加させているのかを改めて伺います。

○武市主計部長 この一般歳出の中で大きく増加をしておりますのは、投資的経費でございまして、平成二十五年度予算におきましても、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化でございますとか、社会資本の老朽化対策など災害に強い都市づくり、あるいは都市を発展させる原動力となります骨格幹線道路の整備などに財源を重点的に配分してございます。
 数字で申し上げますと、平成二十二年度の八千百三十七億円から二十五年度の投資的経費は八千六百六十三億円へと五百二十六億円、六・五%ふやしておりまして、さらに、その内訳を申し上げますと、補助事業費が一七・九%減少する中で、単独事業につきましては二三・五%増加させてございます。

○鈴木委員 民主党政権の、これは何度もいっていますが、コンクリートから人へとの方針のもと補助事業は大きく削減されてきましたが、そのような中でも、実は都は、内部努力で財源を生み出して必要なインフラ整備には取り組んできたということが、今いった数字にも顕著にあらわれているわけであります。景気対策という視点からも、引き続き必要な公共事業は行っていただきたい、また、努力をいただきたいというふうに思います。
 投資的経費のほか、先日の説明では、今回、福祉と保健の予算が初めて一兆円を超えたという説明がございました。同じく平成二十五年度と二十二年度を比較して福祉と保健の予算額はどのようになっているのか、二十五年度予算における特徴を交えて説明を願います。

○武市主計部長 福祉と保健の予算額は、平成二十五年度予算において初めて、委員ご指摘のように一兆円を超えます一兆百九十七億円となりまして、二十二年度の九千二百三十六億円と比べまして、この三年間で九百六十一億円、率では一〇・四%と大きく増加をしております。その結果、一般歳出に占める福祉と保健の割合は、二〇%から二二・二%へと二・二ポイント上昇しております。
 これは高齢化の進展などに伴いまして、後期高齢者医療負担金など、国の制度に基づきます都の負担が増加したということも大きな要因ではございますが、そればかりではなく、認知症の早期発見、診断、治療のための新しいシステムの構築でございますとか、小規模保育に対する新たな補助制度の創設など、都民の直面する課題に積極的に取り組んだ結果であると考えております。

○鈴木委員 まさに今、最後に答弁があった直面する課題に積極的に取り組んできた成果であると私たちも思います。三年で九百億円増ということになっていき、年平均三百億円の増加ということにもなるわけでありますが、仮に今後も同じようなペースでこれが伸びるとすれば、実は十年間で三千億円もの支出がふえるという計算にもなります。
 こうした状況を踏まえれば、今後の施策展開の方向性としては、前政権が行ってきたようなばらまきは厳に慎むべきであり、現場感覚を生かして都民のニーズや区市町村の意見を十分に酌み取りながら、実効性の高い施策を構築されるように、これは強く要望しておきます。
 ここまで、二十二年度予算との対比で二十五年予算の特徴を見てまいりましたが、今、取り上げた福祉と保健の経費や、インフラの老朽化対策を含む投資的経費などについては、この先も増加をしていくことは想像にかたくありません。したがって、今後、財源確保が大きな課題になるわけでありますが、こうした中、財政運営の大きな足かせとなっているのが、いつもいっています法人事業税の暫定措置であります。
 この措置は、国が三位一体改革の中で、交付税を大幅に削減して地方の困窮を招いたにもかかわらず、これを都市と地方の税収格差にすりかえて強行したものであります。しかし、先ほどの話じゃないですが、暫定措置が導入された当時と現在では、実は地方財政を取り巻く環境も大きく変化をしてきているのではないのでしょうか。
 そこで、この間の地方交付税の推移を伺います。

○武市主計部長 三位一体改革前の平成十五年度と比較をいたしますと、平成十五年度には十八・一兆円ございました地方交付税の総額は、平成十九年度には十五・二兆円と、約三兆円も削減されておりまして、そうした状況の中で、お話のように、二十年度から法人事業税の暫定措置というのが導入されてございます。
 ただ、地方交付税というのは、税収の減少を補てんする意味合いもございまして、二十年度以降は増額を続けておりまして、二十四年度には十七・五兆円と、ほぼ三位一体改革前の水準にまで回復をしております。

○鈴木委員 都も他の道府県も、リーマンショックによる税収の減少という予期せぬ事態はありましたが、地方交付税の総額は、三位一体改革前の水準をほぼ回復をしており、暫定措置導入時とは、地方財政を取り巻く環境は大きく変化をしてきています。
 ところで、不交付団体の都は、暫定措置の導入が議論された当時、交付税算定上の財源超過額をもって一兆円を超える余剰財源があると、東京富裕論が宣伝されたと記憶をしています。
 そこで、この財源超過額を都はどうとらえているのか、また、最近の状況はどうなっているのかを改めて伺います。

○武市主計部長 そもそも地方交付税の算定は、限られた地方交付税の総額を全国の地方自治体に配分するために、国が定めました基準に基づいて個々の自治体の収入、需要といったものを、いわば機械的に積み上げたものでございます。
 そのため、例えば東京の場合、実際には三百三十五万人にも及びます昼間流入人口が、交付税算定上では七十二万人しか算定されていない、割り落とされていることなど、都の膨大な財政需要が実態をとらえているとはいえない面がございます。
 加えまして、東京都の交付税の算定は、地方交付税法に基づきまして都と二十三区とを一つの団体とみなしまして、道府県分と大都市分を合算するという方式で計算をされてございます。東京都の財源超過額は、あくまでも交付税制度におけます配分技術上の数字でございまして、都財政の実態をあらわすものとはなってはおりません。
 このように、財源超過額は実態と乖離した数字ではございますけれども、それでもなお暫定措置が導入されました平成二十年度には一兆六千七百八億円あったものが、直近の二十四年度では二千五百三十一億円と、六分の一以下に減少をしておりまして、東京都が富裕団体であるとの指摘は全く的外れであると考えております。

○鈴木委員 私も全くそのとおりだと思います。
 この間、都財政は、リーマンショックの影響等により、一年間で一兆円もの税収減となるなど、非常に厳しい状況に置かれてまいりました。バーチャルの数字である交付税算定上の財源超過額ですら六分の一以下に落ち込んでおり、大きく環境が変化していることが読み取れます。
 しかし、そうした変化があったにもかかわらず、都の貴重な財源は、暫定措置により変わることなく国に不当に吸い上げられているわけです。
 そこで、平成二十五年度における暫定措置の影響額、並びに導入時から二十五年度までの影響額が総額で幾らになっているのかを伺います。

○武市主計部長 暫定措置の影響額は、国に払い込みました地方法人特別税と、それを原資に国から配分される地方法人特別譲与税との差額でございまして、平成二十五年度は、都においては千七百四十七億円の減収となってございます。 また、制度が導入されました平成二十年度から二十五年度までの減収額の累計は七千七百八十八億円、およそ八千億円でございます。

○鈴木委員 都は、税収減に加え、暫定措置によって減収となり、まさに泣き面にハチというところであります。実に八千億円もの財源が奪われており、実際には財源が余っているどころか、毎年必死にやり繰りをしているというのが実態であります。
 一方、地方は実はそうでもないという動かぬ証拠があります。暫定措置導入の前後で、財政調整基金の残高がどのように変化したのか、都と他の道府県との比較を交えて説明を願います。

○武市主計部長 リーマンショック以降の景気後退や暫定措置の影響などによる大幅な税収減に対しまして、東京都は、年度間の財源調整機能を持つ都債と基金を有効に活用することで、必要な財源の確保に努めてまいりました。
 その結果、東京都における財政調整基金の残高は、暫定措置導入前である平成十九年度末が五千八百七億円であるのに対しまして、直近の二十三年度決算では三千九百八十六億円と千八百二十億円、三一・四%減少をしております。
 一方、他の道府県では、都と同様に税収は減少したものの、地方交付税が増額されたこと、さらには、暫定措置の恩恵を受けまして譲与税がふえたこと、そういったことによりまして、リーマンショックの影響は緩和されているものと考えられます。
 すなわち、財政調整基金につきましては、この間、着実に他の道府県では積み増しが行われておりまして、十九年度に二千五百九十六億円であった残高は、二十三年度には六千六百九十一億円と、四千九十六億円、一五七・八%の増加となっておりまして、残高を大きく減らした東京都とは、極めて対照的な動きになってございます。

○鈴木委員 都の財政調整基金は減っています。道府県は大きくふえています。大幅な税収減という事態に対し、地方交付税の増額により手厚い補てんを受けてきた地方と、みずからの力だけで対処してきた都では、この間の財政状況に大きな変化があらわれています。
 また、暫定措置により都がとらの子である財政調整基金を大きく取り崩す中、地方は都から奪った財源で蓄えをふやしているという、不合理きわまりないといえるような実態があるということであります。
 さて、ここまでの質疑で、大きな環境変化に直面しながらも、我々都議会と一緒になって財政再建に取り組み、内部努力を初め、見直すところはしっかりと見直し、身の丈に合ったしなやかな財政運営を行ってきた都の姿が改めて浮き彫りになったというように思います。
 今後とも絶えず変化する環境にしなやかに対応しながら、必要な施策を展開していくためには、強靱な財政力を養っていくことが重要であります。
 そこで最後に、財政運営を担う局長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○中井財務局長 都財政のここ五年ほどを振り返ってみますと、リーマンショック、そして、委員のお話にもございました暫定措置、これが始まったのも同時期でございます。こういったものの影響で、お話のとおり、平成二十一年度の税収は、前年度より一兆円減るという状況でございました。これは、都政の長い歴史の中でも、かつてない、まさに激甚といっていい、そういった厳しい環境になったわけであります。
 しかし、こうした中にあっても、都財政の健全性は損なわれることなく、積極的かつ機動的な施策展開を図ることができたわけでございます。これは、これまで都議会の先生方と手を携え、また、ご指導をいただきながら二次にわたる財政再建に取り組み、それを達成した後も緩みのない改革を続け、強固な財政基盤を培ってきたからでございます。
 私どもとしては、こうした経験を踏まえ、平成二十五年度予算においても、事業評価の取り組みなどを通じて施策の効率性や実効性を向上させるとともに、将来の財政負担を考慮して都債の発行額を抑制するなど、中長期的視点に立って財政基盤の強化を図ることとしたものでございます。
 今後も、こうした努力を継続することはもとよりでありますが、委員のお話の中にもございました社会資本の整備、また、福祉や医療への対応、都政に山積する課題は非常に多いわけでございまして、これからもこうした山積する課題に的確に対処していくためには、自主財源の一層の確保が必要であります。こうした点からも、不合理な法人事業税の暫定措置の確実な廃止を国に強く求めていかなければならないと考えております。
 都議会の先生方の引き続きのご支援をお願いする次第でございます。
 財政環境が大きく変化する中にあっても、都民の期待にこたえる、都政を支えられる--今後とも財政委員会の先生方のご指導をいただきながら、堅実な財政運営という基本に立って全力を尽くしてまいりたいと思います。

○長橋委員 それでは、私からも財政運営についてお伺いをしたいと思います。
 今の質疑でも、二十五年度予算の特徴、こんなことも質疑の中で、投資的経費が九年連続ふえていると、こういうことでございまして、局長からの答弁で、都民の期待にこたえていくということは、まさに、一つはこの投資的経費が--その中身はいわゆる都民の期待にこたえるべく我々も主張してまいりましたけれども、木密対策の不燃化、耐震化、また、橋梁の老朽化対策、さらには非常に効果の高い骨格幹線道路の整備など、こういった予算に投資的経費が使われていくわけでございます。
 そういう中で、これは非常に我が党も評価をしておりますし、我が党は一貫して防災・減災ニューディールという、東日本大震災の教訓を生かして、今こそ防災対策に最優先で取り組むべきだ、人の命を守っていくために最優先に取り組むべきだと、こんなことを訴えてきたわけであります。
 そういう中で、先日の予算特別委員会では、この投資的経費がふえているんだけれども、あわせて、特に被災地に特徴的なのが、人件費が高騰している、また資材が高騰している、こういうことによって、特に中小企業は大変な思いもされているんじゃないかと、こんなことを質疑をさせていただきました。予算特別委員会でございますから、局長からは、全体スライド方式などを交えて適切に中小企業を守っていくと、こういったご答弁もあったわけであります。
 そういう中で、もう一つ懸念されるのが、金利の動向であろうかと思います。近年、超低金利がずっと続いているわけでありますけれども、安倍政権になって消費者物価指数の目標を二%に置いて、既に、何といいますか、傾向が出てきておりますので、株高そして円安が進んでいるわけでありまして、今後の安倍政権の政権運営に多くの国民の皆さんは期待をしているんだと思いますけれども、その中で、やはり今まで長年続いた超低金利が今後上がっていくのではなかろうかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 金利が上がることによって、さまざまなことが想定されるんだろうと思いますけれども、まずは、今後の金利の見通し、どのように考えているのか。そして、二十五年度予算では、金利はどのように見込んでいるのかお伺いをいたします。

○武市主計部長 まず、金利動向を見通す際の前提となります経済の状況でございますけれども、昨年の日本経済は、世界経済の減速などによりましてなかなか回復が進まない状況でございましたが、十二月の後半から、先生お話しのとおり、円安、株高の流れが顕著になってございます。
 本日発表されました三月の月例経済報告の基調判断は、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きが見られるとしてございまして、月例経済報告は、一月以降、三カ月連続で上方修正されるなど、景気回復へ向かうことが期待される状況となってございます。
 しかしながら、海外景気の下振れによる景気下押しリスクでございますとか、雇用、所得環境の先行きなどへの注意が必要な状況というのは続いてございます。
 このような中、金利の方でございますが、まず、十年未満の中期、短期の金利につきましては、日銀による一層の金融緩和への期待から低下していくと、そういう予測が強くなっております。
 その一方で、十年を超えます超長期と呼ばれるような金利につきましては、景気好転の期待でございますとか、インフレの予測、今後の国の財政秩序への懸念といったような複数の要因が、金利を押し上げる方向に働くものと考えております。
 このように金利につきましては、反対方向に作用する二つの動きが存在している非常に複雑な状況でございます。これらの要因でございますとか、それを踏まえた投資家の動向などによりまして、今後の金利の動向にはさまざまなシナリオが想定されますので、引き続き市場環境を注視していく必要がございます。
 平成二十五年度予算におきましては、こうした経済の動向でございますとか、過去の金利変動、償還年限等の条件を加味いたしまして、二十五年度発行する都債につきましては、利率を二・五%で見込んでいるところでございます。

○長橋委員 今、二十五年度予算については、発行する都債については利率二・五%を見込んでいると、私はかなり、相当高い見込みだなと感じたわけであります。
 確かに今お話しのとおり、短期、中期については、日銀の対策で上がらない、ただ長期については期待感で上がるだろうと、こういうことでありますので、いろんな動向の中で金利というのは決まっていくわけでありますので、今後注視していかなきゃいけないと思うんでありますけれども、確かにバブルの時代のように、いきなり三%、五%、さらにはその上を行くというようなことは、当面はまだまだないのだろうなと思うわけでありますけれども、ぜひ景気を高めていくというのが、我々都議会の大きな役割でもありますし、理事者とともに、一緒に取り組んでいかなきゃいけないわけでありますが、金利動向によって、予測ができないような事態が起きてくるということも考えられるわけであります。
 そういうことでありますけれども、リーマンショックで受けた日本経済の大きな影響、これはいまだに残っていますし、完全に戻っていないわけでございまして、そういうことで考えますと、金利というのは常に変動して、何かリーマンショックのような大きな出来事によって、上がったり下がったりするということであろうかと思います。
 そこで、収入の分で、いわゆる投資的経費に大きな役割を果たす都債の利率が過去どのような状況だったのか、推移についてお伺いをしたいと思います。

○武市主計部長 一般会計の都債残高の平均利率は、十年前の平成十三年度末には三・一%でございましたが、二十三年度末では一・五%にまで低下をしております。
 この間の発行利率の推移について見てみますと、一番、基幹年限でございます市場公募十年債について申し上げますと、平成十五年六月には〇・五%という非常に記録的な低水準にまで低下をした後、上昇に転じておりまして、平成十八年八月には二・〇四%となってございます。その後は、おおむね低下基調でございまして、平成二十四年度におきましては一%未満で推移しておりまして、平成十五年度以来、九年ぶりの極めて低い水準となっております。

○長橋委員 近年は、もう一%を切る超低金利であったものでありますけれども、十年前、十年一昔前というわけでありますが、そのときには残債、都債残高では平均三・一%あったと、こういうことでありますし、非常に金利が高い時代があったわけであります。
 基幹の十年債で、十年後にそれを、高い利率をお支払いしなければいけないと、これは大変大きな重荷になるわけでありますので、そういったことを考えると、金利の動向というのは非常に大事だろうと思っております。
 今後、お話のとおり、どのように金利が変動するかは極めて不透明であることはわかりましたけれども、仮に都債の金利が上昇すれば、今お話ししたとおり、利払いが増加して、それがひいては都民サービスに大きな影響を与えてしまう、こういうことにもなろうわけでありまして、では、今後金利が上昇するのではなかろうかということで、都債発行を抑制してしまえば、投資的経費が九年連続ふえている中で減ってしまうということになりますので、そう考えると、都債というのは、世代間の公平といった役割を考えると、発行を過度に抑制するとかということも、私はできないのだろうと思うわけであります。
 二十五年度予算においては一定の抑制がされておりますけれども、投資的経費を一定額確保するためには、今後も都債の活用が必要であろうと、こういうふうに思うわけでありますけれども、そこで、将来に備えて、今から手を打っておく必要があろうかと思うわけであります。今後、恐らく金利の変動が予想されますし、大きく変わるという要素も、なきにしもあらずだと思いますけれども、この変動リスク、どのように対応していくのか伺います。

○武市主計部長 金利の変動リスク、とりわけ金利上昇リスクの軽減を図るためには、大きく二つあるのかなと考えております。
 その一つは、都債の商品性を向上させ市場の信頼性を高めることで、投資家が金利の変動に大きく左右されることなく、安定的に安心して都債を購入できるようにすることでございます。
 もう一つが、お話もいただいておりますが、当たり前の話でありますが、都債残高を圧縮して公債費負担の全体の軽減を図る。ただ、これはいろんなバランスを見ながら考えていく必要がある問題でございます。
 そのうち、最初の都債の商品性向上の面でございますけれども、こちらにつきましては、投資家のニーズに合わせた発行年限の多様化に取り組んでおりまして、それによりまして、金利変動のリスクの分散も図っているところでございます。
 具体的には、従来は五年、十年、二十年、三十年、そういった都債を発行していたわけでございますけれども、平成二十年度からは三年債、二十二年度には七年債、二十四年には六年債という形で、新しい年限の都債を発行しているところでございます。
 また、都債の残高を圧縮する取り組みの一つといたしましては、満期に至る前から少しずつ残高が減少してまいります定時償還方式という都債の発行も一部採用しているところでございます。
 今後も、投資家から寄せられる声も踏まえながら、都債の商品性向上に努めますとともに、急激な金利変動が生じた場合にも、迅速に投資家の動向を把握した上で、適切な発行年限、発行方式を選択をいたしまして、資金調達の確実性と調達コストの抑制等を両立させていきたいと考えております。

○長橋委員 リスクを分散をしていくということだと思いますし、そうした取り組みをしながら、特に投資家にとって、都債が魅力のあるものに引き続きなっていかねばならない、このように思うわけでありまして、そういう中で、先ほど冒頭で、二十五年度予算の投資的経費は八千六百六十三億になっていますけれども、そのうち都債の占める割合というのが四六%もある。投資的経費のおよそ半分がこの都債によって、東京都にとって重要施策、これを推し進めていくということでございますので、これから経済状況、また、市場環境が大きく変わっていく中にあっても、都債というのを安定的に発行していくことが、この投資的経費、いわゆる東京都政の特徴といいますか、また、国際競争力に打ち勝つためにも必要になるんだろうと思うわけでございますので、今後、都債を安定的に発行していくためにどのように取り組むのか、伺います。

○武市主計部長 都債の安定的な発行というのは、非常に重要な課題でございまして、都債を安定的に消化をしていくためには、投資家の方々が安心して購入できるように努めていくということが大変重要でございます。
 具体的には、第一には、東京都の堅実な財政運営について、投資家の方に理解をいただくこと。第二には、投資家のニーズに即した都債発行を行うことで都債の魅力向上を図ること。第三には、投資家からの信頼を維持向上できるような起債運営、都債管理を実施すること。この三点かなと考えております。
 東京都は、これまでも都債説明会でございますとか、投資家への個別訪問を通じまして、財政の健全性につきまして周知を図っております。
 また、そうした投資家との対話を通じまして、いろんな声を聞きながら多様な商品設計を行ってまいりました。
 東京都は、市場の動向を踏まえました適切な発行条件を設定をしておりまして、そうした丁寧な起債運営について、投資家からは高い評価を得ているところでございます。
 その一つの実例でございますけれども、市場公募地方債というのは、全国で年間百八十件近く発行されておりまして、そのうち、東京都債というのは二十件ほどございますが、ある経済紙が、毎年投資家のアンケートに基づいて選んでおります起債運営のベストスリーという中に、東京都債というのは二件、ランクインをしているところでございます。
 今後も、こうした取り組みを継続していくことが非常に重要と考えておりまして、引き続き、投資家との対話、信頼関係といったものを念頭に置いた都債運営を行っていきたいと考えております。

○長橋委員 今、最後お話があったとおり、都債は非常に、ある面では、今人気のある商品であるということでありますので、都債を発行すると直ちにいっぱいになると、こんなふうにも聞いているわけでありますけれども、いざ財政運営を誤ると都債の信頼性は落ちるわけでありまして、大変重要な社会インフラの整備に、この都債が役立っているわけでありますから、今、過度な抑制をするわけにいきませんし、信頼性を引き続き高める努力をしていただきたいと、このように思うわけでございます。
 続きまして、私も大変興味のあります都庁舎改修プロジェクト、これについて報告がありましたので、何点かお伺いしたいと思います。
 都庁舎改修プロジェクトの取り組み、これについて冒頭に、都庁舎は、平成三年四月に開庁してから二十年余りが経過をしたと。この間、設備等に関する中長期保全計画を定め、保守管理を計画的に実施をしてきたと、こういうことでございます。
 もちろん、都庁舎自体はまだ二十年ですから、十分にまだまだ大丈夫なわけでありますけれども、いわゆるこの設備関係が老朽化をしてきていると、こういうことで改修プロジェクトがスタートをしたと、このように思うわけでございます。
 ご案内のとおり、後でちょっとお話ししますけれども、今、新宿西口の機能全体の防災機能を高めていこうと、こうした取り組みもある中で、都庁舎は、ある面でいえば東京都のシンボルでもございますし、また、都庁舎全体は、いざ災害のあったときには情報収集の拠点でもありますし、また、防災センターとしての機能を持っているわけでございまして、さらには、大きな都民広場などの広場も持っておりますし、また、都民ホールなどの開かれた交流機能もあるわけでございまして、それからまた、さらには観光の面からいうと、展望室、これも大変有名になってきておりますし、観光情報センター、そういった機能も有しているわけでありまして、非常に重要な、都庁舎の機能というのは多岐にわたっていると、このように思うわけでございます。
 これを、適切に維持管理はされてきたと思いますけれども、さらに機能を向上させて、将来にわたって都民が利用し続けられるように守っていかなければならない、このように思うわけでありますけれども、まずは開庁以来二十年間、この維持管理、どのように行ってきたのかお伺いをいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎の維持管理につきましては、都庁舎開庁以降、設備等に関する中長期保全計画を定めまして、保守管理を計画的に実施しております。これまでは、機器を適切に維持管理することを主眼といたしまして、適時、故障箇所を部分的に修理することによりまして、延命化を図っているところでございます。

○長橋委員 簡単な答弁だったんですけれども、要は適時、故障箇所を修理してきたと、こういうことでございますけれども、これだけの大庁舎でございますから、我々の見えない部分、特に水回りだとか空調関係だとかというところが、さらに老朽化だとか、場合によっては耐用年数も過ぎてきたんだろうと、そういうものを維持管理してきたんだと思うんですけれども、ここに来て、そうした維持管理は適時やってきたんだけれども、ここにあるとおり、これだけ大規模な改修を行う。
 二十年たって、なぜ改修を大規模に行うのか。これから詳しい答弁があるかと思いますけれども、今、これだけの大改修をやる、その目的について伺いたいと思います。

○間庭庁舎運営担当部長 今回の設備改修の主要部分の空調設備を例に挙げますと、空調設備の主体となる空調機は、庁内に約一千台設置されております。これまで、長時間にわたる運転停止や、発火などを伴う重大な故障や事故は発生しておりませんが、空調機のうち約七割はその累積運転時間が、機器製造会社が更新の目安として推奨しております六万時間を超過しており、劣化が進んでおります。同様に、給排水設備や電気設備につきましても、経年劣化による故障が発生しており、各設備の構成部品等が順次生産中止になりつつあり、調達が困難な状況にございます。
 このような状況を総合的に勘案いたしますと、今まさに本格的な更新に取り組む時期を迎えております。

○長橋委員 例えば、空調設備ということでいわれておりましたけれども、庁内に千台設置をされていて、なおかつ、そのうち七割がいわゆる更新時期を過ぎてしまっていると、こういうことでありますから、ある面では非常に大事に使ってきたといいますか、なだめながら使ってきたんだろうと思うわけでありますけれども、そういう中で、それだけ長期間になると、その部品がもうなくなっていると、こんな説明もあったわけでございます。
 そこで、私も決算委員会等で取り上げましたけれども、この設備更新に合わせて、どうCO2 を削減していくのか、電力をカットしていくのか。
 二年前の東日本大震災のときには、エレベーターの長時間停止とともに、私も委員会でいいましたけれども、廊下が真っ暗になったり、真っ暗といいますか、暗くしたりして非常に夏季使用電力を二五%カットする努力をしまして、それ以来、庁舎は、トイレに入るときには、そのときに電気をつけるとか、非常な努力をしておりますし、だんだんと社会全体も、そうした節電の機運というのが高まってきたと。
 それまでは、電気というのは、いつでも自由に大量に使えるんではないかと、そんな意識が大きく変わってきたんだろうと思いますけれども、そこで、せっかくの、この空調設備を中心とした設備の更新でありますけれども、これをいわゆる最新の空調設備に変えるということは、当然、何といいますか、節電効果、省エネ効果、これをきちっとやっていくことが重要であると思いますけれども、その取り組み、どのような節電効果、その効果についてお伺いをしたい。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎のCO2排出量は、その約六割が空調関係で占められているため、設備更新における省エネの取り組みといたしましては、特に空調関係の対策を重視する必要がございます。
 このため、最適な空調システムの導入に向けまして、都庁舎の設備更新仕様等検討委員会を設置し、検討を行い、学識経験者の意見を反映した高効率機器、具体的には大温度差空調システムを導入することといたしました。
 この大温度差空調システムは、空調の熱源として搬送する水の流量や空気の風量を低減させ、ポンプやファン等の搬送設備のエネルギー消費量の削減と、光熱水費の削減を図るものでございまして、このシステムを導入することにより、都庁舎の空調設備につきましては、現状に比べ約三割の節電が期待できるものでございます。

○長橋委員 この大温度差空調システム、これを導入するということでありまして、なかなか理解が、温度の高低をより効率化するということでいいんですかね。--はい。
 大温度差空調システムの導入によって三割の節電が期待できると、こういうことであります。大温度差空調システム、説明を聞いてもよくわからないので、また、改めて教えていただきたいと思いますけれども、そういうことで改修とあわせて、これは当然でありますけれども、節電効果も大幅に期待ができると、こういうことでございます。
 そういう中で、ちょっと改めてお伺いするんですけれども、つい先日三・一一がございました。東日本大震災、その当日は、我々議会は本会議が終わった直後でございましたけれども、都庁にいて、新宿西口には大変多くの超高層ビルがありましたけれども、大変大きな揺れをしておりました。
 都庁にあっても相当な被害があったんではなかろうかなと、こういうふうに私はその場にいて思ったんですけれども、全くゼロではなかったと思います。どんな被害があったのか、改めてちょっとお伺いしたいと思います。

○間庭庁舎運営担当部長 東日本大震災では、構造体や外壁等の損傷などはなく、人的な被害や業務に支障を来すような被害はございませんでしたが、第一本庁舎で最大変位六十五センチ、第二本庁舎で最大変位六十一センチの揺れを観測し、一部の設備等が損傷をいたしました。
 具体的には、一部のエレベーターにおきまして、ロープの絡まりやもつれなどの原因により復旧作業に時間を要したほか、庁舎内の一部におきまして、執務室や廊下の天井ボード、壁パネルの脱落、防火扉ちょうつがいの破損及び空調機機械室内の漏水などが発生いたしました。

○長橋委員 構造物や人的な被害はなかったけれども、いわゆるエレベーターにおいては停止をしたと、こういうことだと思います。その他、若干の破損があったと、こういうことでありますけれども、そういうことを考えると、都庁舎というのは、いわゆる防災拠点として、いざ災害があったときに大きな機能を発揮しなければならない、そうしたときにエレベーターがとまってしまったのでは、これは防災拠点としての機能としては大きく損なわれるんだろうと、このようにも思うわけでございます。
 やはり、情報拠点であるし、また、発信拠点でありますし、そういう意味では、いわゆる都庁舎の改修に合わせて防災拠点を強化していく、今、その教訓も生かしてやっているんだろうと思いますけれども、防災拠点を強化していくための取り組みはどのように行っているのか伺います。

○間庭庁舎運営担当部長 取り組みといたしまして、まず、今後の長周期地震動対策といたしまして、第一本庁舎に九十四カ所、第二本庁舎に六十一カ所の制振装置を設置いたしまして、耐震安全性を向上させることといたしました。
 また、エレベーター設備改修につきましては、東日本大震災ではロープが絡まり、復旧までにかなりの時間を要しましたことから、本体工事に先立ち、平成二十五年度末までに工事を完了して、運行の安全性を早期に確保する予定でございます。
 さらに、スプリンクラーヘッドの損傷を防止するため、配管を、柔軟性を持たせるフレキシブル化するとともに、負圧湿式予作動スプリンクラーを導入いたしまして、配管が損傷した際は放水を抑え、被害の発生を防止いたします。こうした取り組みによりまして、都庁舎の防災機能強化を着実に進めてまいります。

○長橋委員 ありがとうございます。
 ちょっと専門的な言葉が多いので、なかなか理解できないところもあるんですけれども、冒頭あった長周期地震動対策、これを実施をしていくということで、第一本庁舎に九十四カ所、第二本庁舎に六十一カ所の制振装置を設置するということでございます。
 この長周期地震動対策、私も実は去年ですけれども、それの取り組みが既に終わっている新宿センタービル、これを視察いたしました。お伺いすると、最上階でも揺れがほとんど、ほとんどといいますか、全く被害がなかったと。こんなお話を聞いて、耐震化はされていても、超高層の場合には、この長周期地震動対策というのが大変重要であるなと、このように感じたわけでございまして、しかしながら、都内でもこの長周期地震動対策、これをやっている事例はまだまだ少ないと、このようにも聞いております。
 そこで、今回、この都庁舎改修プロジェクトで長周期地震動対策を実施するために、工期を二年間延伸をすると。これは、仕事をしながらといいますか、やりながらこの対策をするわけで、当然、時間もかかるんだろうと思いますけれども、二年間延長する理由、どうしてそれだけ延長しなきゃならないのか、そして、長周期地震動対策の具体的な内容、これについてまずお伺いしたいと思います。

○末菅建築保全部長 長周期地震動対策の内容でございますが、長周期地震動がございますと、長時間の繰り返しの揺れが建物にかかりまして、一部の階におきまして大きな変形が出ましたり、はりなど構造部材の一部に損傷が生じるおそれがございます。このため階の変形が基準値を上回るフロアに、オイルダンパーを用いた制振装置を設置するのが、今回の長周期地震動対策となっております。
 制振装置を設置いたしますと、建物の変形を小さくし、大きな揺れを早くおさめるなど、都庁舎の耐震安全性を向上いたしまして、業務の継続を図ってまいります。
 制振装置を設置するのに必要なフロアでございますが、第一庁舎と第二庁舎それぞれ二十フロアございまして、一フロア当たりの設置数が、少ないところで二カ所、多いところでは六カ所となっておりまして、この各フロアの工事に必要な工事の工期が、空調等の設備更新にかかる工期に加えまして約一カ月から二カ月必要となります。
 このようなことから、全体の工程計画を改めて精査いたしまして、第一本庁舎、第二本庁舎の各工事とも、さらに二年間の工期を要することとなりまして、当初の五年間を七年間といたしまして、平成三十二年度までの工事としたものでございます。

○長橋委員 今の説明で、長周期地震動対策を行うと、こういうことで二年間工期を延長してしっかり取り組んでいくと。
 一昨年、震災のあった年の第二回定例会で、この長周期地震動対策、我が党は本会議で取り上げまして、そのときに、長周期地震動対策の取り組みについて、都内の超高層ビルというのはおよそ千棟あると、全国で約二千五百棟のうち千棟が東京にあると。こういうことで、この長周期地震動対策の取り組みを求めましたし、さらにその他の超高層ビルにも、そうしたことをきちっと情報提供をしていくべきだと、このようにいいましたけれども、この長周期地震動対策、大分なじみになってきましたけれども、実際、都内でといいますか、この対策が行われているのは何件ぐらいあるんでしょうか、お伺いします。

○末菅建築保全部長 既に建っております超高層ビルにおきまして、長周期地震動対策を実施している件数でございますが、公表されている件数は日本全国でも四件しかございませんで、既に対策工事が、実施が終わったものが、先ほど先生の方からお話の出ました新宿センタービルと、浜松町にございますシーバンスS館というのが対策済みでございます。
 現在、対策工事の実施中のものが大阪府の咲洲庁舎、それと同じく新宿西口にございます損保ジャパンの本社ビル、この四件が現在公表されているものでございます。

○長橋委員 まさに、全国でまだ四件しか実施されていないと、二件はまだこれから、実施を始めたと、こういうことでございますので、都庁舎が五番目になるんですかね。そうした意味では、この長周期地震動対策、これを広く周知をして、都庁の役割として、その他の超高層ビルにその取り組みを促していく、こういったことが役割であると思いますけれども、民間等における対策を先導していくことについてどうお考えなのか、お伺いをいたします。

○末菅建築保全部長 既存の超高層建築物の長周期地震動対策は、先ほども申し上げましたとおり、先例も少のうございまして、設備更新をするフロアごとの閉鎖、移転を伴う大規模改修時に合わせ、なおかつ、建物を使用しながら制振装置を設置するということは、工事費の縮減であったり、利用者への影響を最小限にするなどの点において大変すぐれたものでございますので、長周期地震動対策のモデルともなるものでございます。
 このような、都庁舎において長周期地震動対策を進めることの大切さを広く周知していくためにでございますが、まず、どのようなものがつくかということが大事でございまして、室内に、どのような規模、構造の装置が設置されるか、その具体的なイメージをつかむ必要がございます。取りつけられる制振装置の原寸大の模型を私ども建築保全部の中に早々に設置をいたしまして、都庁舎内外の皆さんにごらんいただきながら理解を得てまいるつもりでございます。
 さらに、本工事におきましては、一部の制振装置についてダンパー部分に覆いがございますが、この覆いを透明にいたしまして、装置の見える化を図ります。この見える化の実施により、より一層理解が深まる形に工夫してまいりたいと思っております。
 また、複数の業種が同時期に、かつ短期間に施工していく工事工程となりますので、施工における課題、対応策等をまとめながら、工事施工箇所の安全を確保して、非常に難しいことではございますが、できる限り皆さんにごらんいただくというようなことも考えながら、こうした都庁舎の取り組み事例を、関係部局と連携して、情報提供を図ってまいりたいと考えております。

○長橋委員 今、制振装置の模型を設置をすると、これを広く都庁舎内外に広めていきたいと、見ていただきたいと、こういうことでございますので、急な話ですけど、ぜひ、私は見に行きたいなと思っておりますけれども、委員会の中で希望者があれば、視察をしますかね。じゃあ委員長、済みません、突然な話で。ぜひ今月中に見に行きたいと思っておりまして、財務局のところに設置をされるんですよね。--はい。いつからオープンするんですか、どこにオープンするんですか。

○末菅建築保全部長 十八階の財務局建築保全部の建築保全部長の部屋に来るところの前に、実はつけてございまして、実物そのものというか、いわゆるモデルルームというような形で、張りぼてなんですが、実物大で実際につく位置につくってございます。
 ただ、まだ周りを、いろいろ什器もあるものですから、什器などもきれいに移設をしながら、皆さんの見学に耐え得るような形になって公開をしてまいりたいというふうに考えておりまして、三月の最終の週には、皆様にもごらんいただけるのではないかというふうに考えております。

○長橋委員 じゃ、まだオープンしてないんですね。部長のそばに置いてあるけれども、恐らくマスコミなんかも、興味があって見に来るんだろうと思いますけど。ぜひ見に行きたいと思いますし、皆さんもよければ、ぜひ行きましょう。よろしくお願いします。
 そういうことで、まだ全国で本当にわずかな事例でございますので、都庁舎がその事業を行うということは、本当に先駆的な取り組みであろうかと思いますので、その周知を図っていきたいと思っております。
 先ほど冒頭に申し上げましたけれども、都庁舎が、新宿西口の大きな拠点にも--東京全体のシンボルでありますし、超高層が、大きなビルがたくさん林立する中で、かなり経年しているわけであります。都庁舎でさえ二十年たっている、こういうことで、新宿副都心エリア環境改善委員会というのが活動をしていると、このようにお伺いをいたしております。
 その中のビジョンの一つに、防災機能の向上、また環境交流、こういったことも取り組んでいこうと。超高層ビルが並んでいるわけでありますから、その公開された空地も防災のときに機能を発揮させていこうと、こんな取り組みもあるようでございまして、ぜひ都庁舎は、そうした意味でも先駆的な役割を果たしていただきたいと要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○たぞえ委員 都有地を活用した福祉施設の整備の促進について伺いたいと思います。
 一昨年の財政委員会で、私から、都民要求にふさわしい都有地の利活用について質疑を行い、意見を申し上げました。
 まず、都民要望が強い福祉施設の整備のための都有地の利活用の取り組みについて伺いたいと思います。

○奥田財産運用部長 都は、地価の高い都市部で不足しております社会福祉施設の整備を進めるため、財務局と福祉保健局の連携のもと、都が直接利用する予定のない未利用都有地を民間事業者に貸し付ける、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を実施しているところでございます。
 本事業では、高齢者施設、障害者施設、保育所などの社会福祉施設を整備、運営する民間事業者を対象といたしまして、都有地の貸付料を減額した上で貸し付けを行っております。

○たぞえ委員 福祉施設の整備は、都民の切実な要望であります。特に認可保育所の増設は、待機児童の解消のためにも、都政の緊急の課題だというふうに思います。
 先日、認可保育所に四月から子どもを入所させようと申し込んだけれども、千八百人も入れないと、通知がされた杉並区のお母さんたちが、区の対応は不適切だとして異議申し立てを区に行いました。この参加したお母さんたちは、子どもを持つなということなのかと、こういって、涙ながらつらい気持ちを訴えたわけです。
 これは杉並区だけではなく、大田区でも足立区でも母親の共通の願いです。私たち共産党都議団が行った都内調査で、待機児は二万二千人に上る結果を公表しましたが、ある区の親は、昨年十一月、近くの都営団地内の利用されていない土地に認可保育園をつくるよう、区に陳情を出しました。ところが区は、保育所需要は吸収できると、こういう整備に後ろ向きな姿勢を示したために、その母親から、保育が足りているのなら、なぜ入所が不承諾なのかと、怒り心頭でありました。
 このように事態は深刻ですが、私の地元の世田谷区は、その中でも待機児童数は二千六百三十三人、都内でワーストワンであります。区は当初、一貫して認可保育所はつくらないという一点張りだったんですが、待機児の解消を要求する都民の声に押されて方向転換をしまして、実にこの三年間で二十八施設、認可増設に着手をしたことに、住民からも大変歓迎の声が示されました。
 東京都は、これまでの福祉インフラの整備事業による認可保育所、高齢者施設、障害者施設それぞれの整備実績はどうなっているのか、その内訳を伺います。

○奥田財産運用部長 都有地活用によります地域の福祉インフラ整備事業は、平成十五年度から高齢者施設と障害者施設を対象として開始し、その後保育所を対象に加えるなど、対象施設を順次拡大し、事業の充実を図ってまいりました。
 平成二十五年二月末現在で、運営事業者が決定した施設は、高齢者施設十五件、障害者施設八件、平成二十年に対象施設に加えた保育所は三件でございます。
 なお、保育所三件のうち一件は、今年度、世田谷区内で整備することとなったものでございます。

○たぞえ委員 今のお話の中でも、世田谷区内の都有地の貸し付けが行われたというお話でありますが、実はこの都営住宅の建てかえに際して、私も自治会の方と一緒に福祉施設の併設に取り組んできました。特養ホームとともに保育所も新設されるということで、地域の方から大変歓迎がされています。
 しかし、保育所は依然として不足をしています。保育所の整備は、第一義的には福祉保健局の所管でありますが、財務局として、保育所整備の促進のために、福祉インフラ事業の運用について、どのような改善の努力をされているのか伺いたいと思います。

○奥田財産運用部長 都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業では、区市町村や事業者からの要望を踏まえまして、今年度、認可保育所に関して、都有地の貸付期間を柔軟に設定できるよう見直しを行いまして、地域の保育ニーズに応じた保育所整備の支援に既に取り組んでいるところでございます。
 また、財務局が所管いたします未利用都有地で民間事業者への貸し付けが可能な土地につきましては、これまでも福祉保健局を通じ、区市町村に積極的に情報提供を行ってきているところでございます。
 今後とも、貸し付け可能な未利用地情報を適切に提供し、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業により、区市町村が進める保育所の整備を支援してまいります。

○たぞえ委員 一昨日の予算特別委員会で我が党は、保育園に活用できる五百平方メートル以上の未利用の都有地が都内に百二十三カ所あることを示しましたが、福祉保健局長は、未利用の都有地につきましてはこれからも積極的に活用していきたいと、このように答えたことは大変重要な姿勢だと思います。ぜひ、保育所整備の促進に努めていただきたいと思います。
 次に、都民要求にこたえる都有地活用という観点から、地元世田谷区の都立玉川高校跡地についても何点か伺いたいと思います。
 十九年度に廃止になった玉川高校の跡地は、世田谷区にある未利用都有地としては最大規模で、その利活用について区や区民の関心は極めて高い状況にあります。廃校後の都有地をどのように局は利活用されているのでしょうか。

○奥田財産運用部長 都立玉川高校跡地につきましては、平成二十年度に当時の生活文化スポーツ局による私立学校耐震改修等支援事業で、近隣の私立学校校舎建てかえに伴い、約二年間グラウンドの貸し付けを行いました。
 その後、平成二十三年度から現在に至るまで、廃校後の旧校舎を東京都公文書館建てかえに伴う仮庁舎として利用しているところでございます。
 また、来年度からは、グラウンド部分を世田谷都税事務所の仮設庁舎敷地として利用することとしております。

○たぞえ委員 今お話でも、私立学校の耐震改修支援事業で、建てかえ期間中の二年間グラウンドを貸与するということでありますが、来年度の予算編成に向けての予算懇談会でも、私立の中高協会の方々から、耐震化工事計画をつくっても種地がないと進まないと、代替地要望が提案されています。
 同時に、地元都民からは、早目に本格活用できるよう期待も出されていますが、例えば、玉川高校は、更地ではなくて校舎そのものがあるわけです。残っている高校の教室を活用して、放課後の子どもたちの勉強ルームなどにもぜひ活用してほしいと、こういう要望が出ているわけです。
 現在進めている公文書館や都税事務所の仮設利用はいつごろ終了するのか。また、その後は跡地をどのように利活用していこうと考えていらっしゃるのでしょうか。

○奥田財産運用部長 東京都公文書館の仮庁舎は平成三十年ごろまで、また、世田谷都税事務所の仮庁舎は平成二十八年ごろまでの利用を見込んでございます。
 なお、その後の利活用については現在検討中でございます。

○たぞえ委員 今でも広大な跡地の一部の活用にとどまっているわけですから、残りの敷地の活用が大変期待されます。約三年後以降には、この仮設庁舎の役割は終わるわけですから、その後の都有地の活用についてどう検討するか、そのスタンスが何よりも大事だと思います。
 都の財産だからといって、都だけで決めてしまうのではなく、都民の要望、地元の要望を十分に踏まえて活用を検討していくべきだと思いますが、見解を伺います。

○奥田財産運用部長 一般的には、都有地の利活用に当たりましては、まず都庁内での利活用を検討し、都庁内での利用見込みがない場合には、地元区市町村に区市町村事業での活用を確認しているところでございます。
 都及び区市町村のいずれも利用の見込みがない場合には、民間事業者への貸し付けや売却などを検討していくこととなります。
 玉川高校跡地の今後の利活用につきましては、これまでと同様、都庁内での利用がない場合には、地元区の利用意向や事業内容を確認した上で、利活用を検討していくことに変わりはございません。

○たぞえ委員 区や都の活用が望ましいわけですが、今いわれたように、都や区市町村いずれも利活用がない場合は、民間への貸与や売却を検討するといっておられます。
 しかし、私は、仮設庁舎の利用が五年後に終了した時点で、東京都や区とともに利用の見込みがない場合であっても、十年、十五年後であれば利用する可能性があるかもしれないわけですから、この貴重な公用地についてはすぐに売却をするべきでなく、跡地の利活用の検討に当たっては、長期的な行政需要も見込んで、本格利用までの間、暫定利用しながら長期保有をする。そして、仮にも民間への売却という事態になっても、慎重な対応が求められると思います。見解を伺います。

○奥田財産運用部長 都立玉川高校跡地の利活用方法は、先ほど答弁いたしましたとおり、現在検討中ということでございます。

○たぞえ委員 玉川高校のみならず、都内にある都有地、都も区も利用計画がないと、じゃ売っちゃえと。その瞬間、この広大な財産は都民のものではなく、民間のものになるわけです。民間のものに移行すれば、当然その資産は民間のものですから、これが東京都や区市町村に戻るはずはないわけであります。
 限られた土地を、将来我が東京の都民がこれを使いこなしていく上でも、期限が来た、民間が要求しているから、はいという、このところてん式の処分というあり方をもう一度今再検討しながら、次の世代に残せるような跡地利用を、ぜひ財務が率先して取り組んでいただきたいというふうに思います。
 土地は、面積が限られています。超高層をつくればその分だけ床面積がふえる世の中でありますが、しかし、そこに土を入れても、もとの敷地の大きさは変わらない。貴重なこの敷地の活用というのは、やはり行政の大事な役割だというふうに思います。
 ぜひそういう意味で、玉川高校も含めた都有地等の跡地の利活用については、十分な協議と、そして将来需要も見込んだ検討をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

○福士委員 それでは、私から幾つか質問をさせていただきます。
 二〇〇九年に民主党は、ひもつき補助金を廃止するということを衆議院選マニフェストで掲げ、政権交代後に、ひもつき補助金を地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金に変えていくといたしました。
 その延長線上で、二〇一〇年十二月には当時の政権が、二〇一二年度には一兆円の交付金を目指すという方向を示し、その方向性のもと、二〇一一年は都道府県レベル、二〇一二年には政令市レベルまで一括交付金が導入されました。
 しかしながら、昨年十二月の政権再交代を受け、自民党政権は一括交付金を廃止し、再びひもつき交付金に戻すという方針が示されています。
 そこで、伺っていきたいと思いますが、まず議論の前提として、平成二十三年度、平成二十四年度に一括交付金が都にどの程度来ているのかを再度確認いたします。

○武市主計部長 地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金でございます。その東京都への配分でございますが、二十三年度は二百六十七億円、二十四年度は三百七十九億円が交付をされております。

○福士委員 地方都市が、今伺った金額は、都の予算全体に比べればさしたる金額ではないといっていいのかどうかわかりませんが、一括交付金が廃止されることにより、どのような影響が考えられるのか伺います。

○武市主計部長 一括交付金が廃止されますと、予算の計上方法が一括計上から個別計上に変わってまいりますので、現在、内閣府に計上されている予算が、来年からは各所管省庁それぞれの交付金など別々に計上されるということになってまいります。
 ただし、予算は一括で計上されておりましても、現在、私ども国への申請手続というものは、一括交付金を主管しております内閣府と事業を所管しております省庁の双方に行わなければいけない、そういう状況になっております。それが、廃止に伴いまして、来年度からは事業を所管する省庁だけに一本化、省力化されると、そういうことになってまいります。
 また、それ以外にも、補助メニューを事業別から政策目的別へと大ぐくり化するなど、地方が特色ある施策を実施できるよう運用改善が図れるということになってございます。
 また、一括交付金を活用していた継続事業の執行に支障を来すことがないよう、必要な措置を講じるということも聞いてございます。
 私どもといたしましては、こうした国の動きを注視するとともに、東京都に必要な財源が確実に配分されるよう、引き続き働きかけを行ってまいります。

○福士委員 一括交付金については、交付手続の煩雑さの割には、実質的な地方での裁量の余地がないなど、地方の使い勝手のよい補助金をつくるという制度設立の趣旨とはほど遠い状況にあることを、昨年の財政委員会でも指摘したところです。
 今回の廃止によって使い勝手の悪い部分の改善がなされるなら、まだ理解できますが、一般的に、国の都合でころころ制度が変わることは決して好ましいことではないと考えます。
 不十分とはいえ、ひもつき補助金をなくして、地方の自由度を高めると、そういうことを目的とした交付金であったことを踏まえれば、廃止は混乱をもたらすだけではなく、地方分権という観点から制度の改悪ともいえると思っております。
 そこで、地方分権に資する国庫補助金改革はどのようなものであるべきと考えるのか、都のお考えを伺います。

○武市主計部長 国庫補助負担金改革のあるべき姿を一言で申し上げますと、国が持っている権限と財源をセットで地方に渡すと、そういうことだというふうに考えております。
 地方の自由裁量を拡大いたしまして、国からの依存財源ではなく、最終的には自主財源であります地方税として税源移譲するという、これが基本となってまいります。
 そのためには、国と地方の役割を見直した上で、国の関与が必要ない事務に係る国庫補助負担金は原則として廃止をし、権限の移譲とあわせて、必要な財源が確実に地方に措置されなければならないと考えております。

○福士委員 地方分権ということを突き詰めると、国の不要な関与は廃止して、権限と税源を移譲すべきというのは、そのとおりだと私も思います。
 円滑に税源移譲を進めるには、東京一極集中も改め、各地方が財政的にも自立することで、国依存の体質から脱却する必要があります。そのためにも、国が一方的に制度を見直し、地方に新たな財政負担を生じさせるようなことがあってはならないと私は考えております。
 国の二十五年度予算でも、年少扶養控除廃止による地方税の増収分の活用策として、子宮頸がん等の三つのワクチンの予防接種や妊婦検診に係る国庫補助事業が一般財源化することになりました。
 国庫補助金の一般財源化とは、国庫補助金等を廃止し、そして削減し、これにかわる財源を地方交付税等の一般財源で補てんする措置です。
 補てんといっても、現金で来るものではありません。計算式に入れるだけです。特に不交付団体である東京都にとっては、計算式には入っても、最終的には収入としては反映されないのではないかと思っております。補助金削減のみ、財政負担として押しつけられてしまうことになります。
 今回のケースは、いずれも区市町村事業ということですので、都には直接の影響はないわけですけれども、地方交付税で措置するということは、不交付団体にとっては単に負担がふえるだけということになりますから、今後、国が不交付団体である都をねらい撃ちにした不合理な見直しを行わないとも限りません。
 そこで、国の制度見直しに当たっては、地方の行財政に与える影響を十分考慮すべきと考えますが、その点についての見解を伺います。

○武市主計部長 改めて申し上げるまでもないことではありますけれども、都道府県も区市町村もそれぞれ独立した存在でありまして、地方の行政運営、財政運営、そういったものに影響を与えかねない制度の見直しというのを国が一方的に行うということは、あってはならないというふうに考えております。
 まして、地方に減収だけをもたらしたり、あるいは追加の財政負担だけを押しつけるというようなことは、もってのほかであろうというふうに思います。
 こうした考え方に立ちまして、国策による制度の見直しに際しましては、具体的な制度設計に当たりまして地方と十分に協議を行うこと、また、見直しにより生じる地方財政の負担等につきましては、地方に負担を転嫁することなく、国の責任において確実に財源、最終的には税源を措置するということを引き続き国に提案要求してまいります。

○福士委員 地方の自主裁量を拡大するには、地方側にも自主的な政策をきちんと立案するための考える力というものが要求されると思っております。
 一括交付金廃止の背景として、一部の地方では、自主的に使途を決定するよりも、国からおりてきた政策を実施する方がより負担が少なくて、さらに、事業が失敗した場合も国に責任転嫁できるという事情もあったみたいなところがあります。
 地方の疲弊は、ひいては国全体の地盤沈下につながります。地方分権を後退させないためにも、八ッ場ダムや外環など私もずっと反対をしてきているわけですが、将来的な展望とそれに対する論理的裏づけをせず、大規模開発を国や経済界のもと、先に建設ありきで自主的な検証もしないまま唯々諾々と進めていては、地方の自立は進まないと私は考えております。
 地域に生活する市民にとっても、悲惨な生活を生むことになります。それは、いわゆる首長と議会の姿勢も厳しく問われていることだと思いますし、私たちも心していきますが、行政としても、積極的に施策の是非を判断し、国に声を上げることなくして地方分権が進まないことを指摘して、質問を終わります。

○吉住委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉住委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十一分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る