財政委員会速記録第十七号

平成二十四年十月三十日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長吉住 健一君
副委員長神野 吉弘君
副委員長たぞえ民夫君
理事高倉 良生君
理事高木 けい君
理事増子 博樹君
福士 敬子君
菅  東一君
鈴木 隆道君
興津 秀憲君
長橋 桂一君
今村 るか君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局局長松田 芳和君
管理部長土渕  裕君
警察・消防出納部長丸山和喜夫君
会計制度担当部長副島  建君
収用委員会事務局局長醍醐 勇司君

本日の会議に付した事件
 収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
 会計管理局関係
事務事業について(質疑)

○吉住委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせをしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び会計管理局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、質疑をさせていただきたいと思います。
 日本の首都、世界の大都市東京は、都民生活向上のための都市インフラ整備、基盤整備がいまだ十分とはいえず、道路、公園、河川などにおいて多くの未完成の都市計画や事業中の計画があります。
 私の地元町田においても、道路、河川、そして土地区画整理事業など、多くの公共事業が進められておりますが、中には、何十年と事業中であることも珍しくはありません。例えば、道路整備事業では、総事業費のうち事業用地取得費の割合が多くを占めることは珍しくなく、その用地取得に多くの時間がとられることが多いといわれております。
 そこで、こうした都市基盤整備、公共事業の早期完成のため、収用制度をもっと活用すべきとの観点から質問をいたします。
 まず、公共事業の用地取得が進まない場合の解決手段として、収用制度の活用がありますけれども、改めて収用制度の意義と収用委員会の役割について伺います。

○醍醐収用委員会事務局長 土地収用制度でございますが、私有財産は、正当な補償のもとに、これを公共のために用いることができると定めた憲法第二十九条に基づく制度でございます。
 これを立法化した土地収用法は、権利者の意思にかかわらず、土地等を収用できる要件とその手続及び補償などについての規定を設けております。
 土地収用制度は、私有財産との調整を図りながら、公共の利益を実現することで、公共事業の効果の早期発現を図る制度であります。
 収用委員会は、今申し上げました土地収用制度の目的を達成するために、収用の対象となった事業につきまして、適正な補償額や明け渡し期限などを裁決して、利害の調整を行う役割を担っておるところでございます。

○今村委員 憲法、法の規定のもと、公共の利益の増進と私有財産との調整を図る大切な、そして重要な役割を持った制度であるということが認識をできました。
 土地収用制度は、公共事業の用地取得が極めて困難なときに積極的に活用されるべき制度であり、それが現実に使われ、都市基盤整備、公共事業が早期に完成し、事業効果が発揮されることが重要であることも確認をできました。
 では次に、収用制度を活用することによって、事業効果が発揮をされた具体的な事例についてお伺いをいたします。

○醍醐収用委員会事務局長 用地取得が極めて困難となった事例の一つといたしまして、圏央道の建設事業がございます。
 圏央道の建設事業に関しましては、大規模な事業反対運動が行われ、反対する権利者は合計約二千六百名にも及ぶ中、あきる野区間、八王子ジャンクション区間、高尾山区間の三つの事業区間に分けまして、収用手続の申請が順次なされました。
 収用委員会におきましては、審理を延べ二十三回実施するなどいたしまして、第三者機関として、公正中立な手続を経て裁決をしたところでございます。
 裁決後は、それぞれの事業区間で道路建設事業が完成し、本年三月には、最後の高尾山区間が供用されるなど、幹線道路ネットワークとして機能していると認識をしているところでございます。

○今村委員 収用制度の活用によって、圏央道の案件のように事業が効果的に進む事例がある一方で、都市計画事業認可があってから十年以上経過している公共事業もあります。
 特に圏央道は、私の地元町田にとっては、高尾山インターが数百メートルしか、境界境から離れておりませんし、東名につながる大変大切な道路ともなりますので、現在、神奈川県下においても、事業が進捗をしている状況でありまして、早期の開通を望んでいるところであります。
 このように、大変地域からも待望をされている公共事業を推進をしていかなければならないわけでありますけれども、起業者は、国や都の各局だけではなくて、市区町村や鉄道事業者などの民間事業者もあるというふうに聞いております。
 そこで参考に、収用制度の申請を行った起業者と、過去十年間の申請状況についてお伺いをいたします。

○醍醐収用委員会事務局長 平成十四年度から平成二十三年度までの十年間におきまして、国及び東京都以外に収用手続を申請しました自治体及びその申請件数でございますが、特別区が十区、六十五件、それから市が七市、十四件でございまして、その内容は、道路事業や土地区画整理事業などでございます。
 それ以外にも、鉄道事業者ですとか、UR、都市再生機構、それから中日本高速道路株式会社、再開発組合等の民間事業者から申請がされておりまして、その内容は、鉄道連続立体交差事業や道路事業、それから市街地再開発事業でございます。

○今村委員 今、自治体の数、件数について答弁をいただきましたけれども、もう少しあるかなというふうに考えておりましたので、少し、私自身は、少ない印象を持ちました。
 多摩の自治体においては、都市計画税を取っていない自治体もありますし、自治体によっても、都市基盤整備の進捗率などにも差があるので、違いはあるのでしょうけれども、収用制度を活用していない区市もまだ多いのではないかと考えます。また、公共事業を行っている民間事業者は、まだたくさんあるのではないかとも思うわけであります。
 これらの各起業者は、公共事業を進める上で、用地取得の進捗が期待できない場合には、収用制度を積極的に活用するべきではないでしょうか。収用委員会においても、二〇一一年三月には、収用制度活用プランを改正しているというふうに聞いておりますけれども、起業者が収用制度を円滑かつ速やかに活用できるように、広く起業者に対し、さらに積極的な取り組みを図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○醍醐収用委員会事務局長 ただいまお話のございました収用制度活用プランに基づきまして、当事務局といたしましては、起業者に収用制度を活用してもらえるよう、幅広い起業者を対象とした研修を実施し、収用制度の概要から申請手続まで学べる場を提供しているところでございます。
 また、起業者等の支援を目的として開設しました相談支援センターにおきまして、各起業者から収用制度の活用に向けた相談を受け付けております。
 さらには、ホームページでも、収用制度の正しい理解のためのPR活動を行うなど、収用制度の円滑な活用が図られるよう、現在努めておるところでございます。

○今村委員 収用委員会事務局としても、収用制度が積極的に活用されるよう広く起業者に対し取り組んでいることは理解ができました。
 しかしながら、公共事業の早期完成には、起業者が早期に収用手続に移行する仕組みづくりや働きかけがさらに必要と考えます。質問の最後に、局長の見解をお伺いをいたしたいと思います。

○醍醐収用委員会事務局長 現行の土地収用制度におきましては、収用手続に移行するか否かは、あくまでも起業者である都や区市町村等の判断によるために、公正、中立な立場にある第三者機関としての私ども収用委員会が、起業者のこの判断に関与することはできません。
 しかしながら、先ほど来申し上げておりますとおり、事務局といたしましては、起業者が収用手続を円滑かつ速やかに活用できるように、収用制度の正しい理解を深めるための各種取り組みを実施しておるところでございまして、今後とも引き続き、これらの取り組みを進めてまいります。

○今村委員 都市基盤整備、公共事業の早期完成は、事業全体のコスト削減や経済活性化につながるものであり、大変重要な課題です。収用制度の活用による事業の早期実現は、起業者にとってメリットがあるばかりでなく、権利者にとっても早期に生活再建を図ることができるなどのメリットがあると考えます。用地取得の進捗が期待できない公共事業については、収用制度が早期に活用される仕組みづくりが必要と再認識をさせていただきました。
 例えば、国交省の公共事業では、事業認定の適期申請のルールが定められておりまして、用地取得率八〇%、あるいは用地幅くい打設から三年以上のいずれか早い時期に収用手続に移行するというふうにしています。
 いいかえれば、用地取得率でいえば、八〇%までは、起業者の責任で早期にその取得率を高めていくことと同時に、最後の一番難しい残り二〇%に至ったときには、早期に収用手続に入るようなことを積極的に利用すべきではないかというふうにも、私は考えているところでありますし、各自治体、それから当然、東京都もそうでありますけれども、民間起業者についても、引き続き、利用の広報をしていただきたいというふうに思います。
 起業者が早期に収用手続に移行できるような仕組みを構築していくことが、最終的には、公共事業の早期完成に必要であり、今後この仕組みを構築していくためには、私も起業者を所管をする関係局に対しても、議会の場で議論を深めていきたいと考えております。
 以上で私の質問を終わります。

○鈴木委員 それでは私から、東京の防災都市づくりの推進に向けた収用制度の活用という観点で質問をしたいというふうに思います。
 本年四月に発表されました東京都の新たな被害想定では、東京湾北部を震源とする首都直下型地震が起きた場合、死者が約一万人、建物の全壊棟数は約三十万棟に上るなど、極めて甚大な被害を予測しているところであります。
 こうした被害を抑制するために、九月に発表されました東京都地域防災計画修正素案では、死者、全壊棟数のいずれも約六割減らすことを目標とし、木造住宅密集地域の不燃化や交通ネットワークの確保など、地震に強いまちづくりを進めていくこととしております。
 また、「二〇二〇年の東京」に掲げられている外かく環状道路などの三環状道路や、区部、多摩の骨格幹線道路の整備についても、被災時の緊急輸送力を向上させるという観点からも、事業を着実に前進させていく必要があると感じています。
 このような防災都市づくりの観点から、都市基盤を整備していくに当たっては、必要に応じて収用制度を積極的に活用しながら、迅速で計画的な用地取得を推進していくことが重要であると考えます。
 一昨年の事務事業質疑において、我が党の菅東一議員が、より一層公正かつ迅速な事件処理が進められるよう、平成十六年度に策定をした収用制度活用プランの見直しに取り組むべきという趣旨の提言をいたしました。これを受け、この収用制度活用プランを昨年三月に改定したとの説明がありました。くしくも、災害に強いまちづくりがクローズアップされるのと時を同じくして、プランの改定が行われたわけであります。
 今後の防災都市づくりを進める上で、収用制度の利用拡大を図ろうとするこのプランの持つ意味は非常に大きい、まさに大きいといわざるを得ません。
 そこでまずは、改定後のプランに基づいて、事務局として、収用制度の活用に向け、どのような点に力を入れて取り組んでいるのかを伺います。

○醍醐収用委員会事務局長 ただいま委員よりお話のありました木造住宅密集地域の不燃化ですとか、それから幹線道路ネットワークの整備など、東京を災害に強いまちへと変えていくためには、状況に応じて収用制度を適切に活用していくことが必要であるというふうに私どもも認識をしております。
 制度のさらなる活用促進を目的としまして、昨年に改定をしましたプランでは、三つの柱として、一つ目に制度のPR活動、それから、二つ目に起業者、権利者への支援、最後に、制度活用に向けた基盤づくりを掲げてございます。
 このプランに基づきまして、区市など事業を行っている起業者や、収用の対象となっている権利者等に対しまして、収用制度の正しい理解を広げるための情報提供ですとか、収用手続を円滑に進めるための支援策などにつきまして、現在重点的に取り組んでおるところでございます。

○鈴木委員 プランの改定を契機に、収用制度の活用に向けた取り組みをさらに加速をしていただきたいと思います。
 東京都地域防災計画修正素案では、地震に強いまちづくりのために、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進が掲げられております。このプロジェクトは、特別の支援により不燃化を推進する地区を不燃化特区として、また、延焼遮断帯を形成する主要な都市計画道路を特定整備路線として位置づけ、両者を組み合わせた集中的な取り組みにより、燃えないまち、燃え広がらないまちを早期に実現しようとするものであります。
 私の地元である目黒区では、原町一丁目と洗足一丁目が不燃化特区制度の先行実施地区に、また、目黒本町五丁目付近の補助第四六号線などが特定整備路線の候補区間に選定をされ、地元でも木密対策への関心が非常に高まっているところであります。
 先般、この地区で、東京都と目黒区が一緒になって防災訓練が行われたことが、より地元にとって見たらば、そういう意識を高めるというのか、そういう意識が非常に強くなってきて、このまちをどういうふうにしようかと、まちづくりに対して積極的に区民の方々が考えるというような状況が、実は整ってきているところでもあります。
 それがゆえに、木密地域で実際に考えられるのは、今いった収用手続に関して、皆さんも大変な努力をしなければならないこともありますが、やはりそういう住民の方々の理解を得て、都と区が連携をいかにして、そして、今いった木密地域を具体的にどのように進め--要するに、より安全な地区としてのまちづくりを進めていくかということが、恐らく今後、大切なことになっていく。まさにそれを、一つ、その防災訓練を通して東京都民全体に知らしめたのかなというふうな思いもありますが、やはり収用制度の大切さを改めて認識をさせられたという一面があったということを感じているところでもあります。
 このような取り組みは、都だけで完結するものではなく、今いいましたように地域のまちづくりを担う区の取り組みも重要であるというように思います。
 今後は、区市においてもこの十年プロジェクトと連動した形で、災害に強いまちづくりを迅速に進めていくことが重要であると考えます。そのためには、区市において収用制度の活用も視野に入れながら、計画的な用地取得を進めていけるかどうかが、一つの重要なかぎになるというふうに考えています。
 事務局では、前プランを策定した平成十六年度を境に、区市に対して制度活用に向けた支援を強化してきたとのことでありますが、区市による収用制度の活用状況について、プランの策定前後で、何か変化が見られるのかどうか、改めて伺います。

○醍醐収用委員会事務局長 収用委員会で取り扱っている件数でございますが、事務事業概要にも掲げてございますけれども、平成十二年度以降、おおむね百件前後の事件を取り扱っているところでございます。
 この取り扱い件数における、お尋ねの区市の活用状況でございますが、プランを策定した平成十六年度は、百四件中十一件と、区市からの申請は全体のわずか一割程度でございました。
 しかしながら、平成二十三年度の実績では、同じく、件数百四件中三十五件と、三割を超えるまでに増加をしているところでございます。

○鈴木委員 答弁がありましたように、近年、区市からの申請がふえているということは、収用制度活用プランに基づいた取り組みが、一定の成果を上げているといえるのではないかというふうに思います。
 収用制度の活用により、用地買収をめぐる長期の紛争が解決されることは、起業者、権利者双方に大きなメリットをもたらすというふうに思います。今村議員も、先ほどそのことを主張されておられましたが、この収用制度の実績の少ない区市においては、収用という言葉が持つマイナスイメージが先行してしまっているのではないかというふうにも感じます。この制度のメリットが、十分に理解されていないのではないかという懸念を持たざるを得ないところもあります。
 東京の防災都市づくりを迅速に進めていく上では、道路事業等、地域のまちづくりを担う区市が果たすべき役割というのは、今いいましたように非常に大きくなってきているといえます。事業に必要な用地の取得が難航するような場面では、収用制度をタイムリーに活用していくことができるよう、区市が収用制度に対して一層の理解を深めていくことが重要であると考えます。
 そこで、これまで事務局として区市に対してどのような取り組みを進めてきたのかを伺いたいと思います。

○醍醐収用委員会事務局長 ご指摘のとおり、収用制度には、一般的には、依然として強権的などのマイナスのイメージがつきまとっていることは事実でございます。
 したがいまして、収用制度のより一層の活用を進めるためには、制度に対する正しい理解を広げることが不可欠であるというふうに認識をしておるところでございます。
 このため、事務局といたしましては、職員が区市に直接赴き、例えば、その区市の用地所管部署に対しまして、収用制度の説明や実務相談などを行ってきたほか、今年度は、収用制度の活用実績のない区市の首長さんを訪問いたしまして、制度のPRを行ってきたところでございます。
 また、平成二十二年度からは、区市の用地事務を担当する職員を対象といたしまして、収用手続に関する知識、ノウハウを学ぶことのできる研修を開催しておるところでございます。

○鈴木委員 区市に対して、収用制度の理解を深めるために、さまざまな取り組みを行っているという話でありましたが、実は私も、目黒区の四六号線のところで、これは桐ヶ谷の斎場へ向かう道のところですが、都議会に入ったときから、ある一軒のお店が全くどかない。そのために、ずうっと、その一軒のために、非常に住民の皆さんが困った状況にあったと。しかも、都が裁判を起こし、それですべて勝ち、収用手続もすべて終わって強制撤去もオーケーというような状況があっても、なおかつ一年数カ月にわたって居座って、やっと、その後、具体的にはいいませんが、東京都の皆さんの相当な努力、それから区との連携によって相当努力をしていただいて、話し合いを通して、いろいろ紆余曲折ありましたが、やっと、最近どいて、道路が開通して、今、地元は大変喜んでいるというような状況にあるわけです。
 個人のわがままに対して、なかなか強権で、いざ法律的なものすべてが整って、すべてできるといっても、今いったように、実際にどいてもらうのにそれだけの時間がかかったという実例があるわけで、やはりその辺は、しっかり、東京都も決断すべきところは決断して、行動に出ると。強制撤去やむなしというときは、強制撤去するぐらいなものも必要なのかなという思いも片一方にありますし、かといって、やはり地元住民の人のことを考えますと、話し合いを通して、時間をかけてでも解決しなければならないという面もある。非常に複雑なものを私もこの収用に関しては感じたところでもあります。長い年月かけて、大変都の方もご努力をしていただいて、解決したことには心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 理解が進んだというだけでは、今いいましたように制度の活用につながらない面があります。いつか必ず起こるであろう首都直下型地震に備え、東京の防災力を高めることは、一刻を争う都政の緊急課題であり、災害に強い都市基盤の構築に当たっては、収用制度を適切に活用していくことが求められていると思います。特に複雑で難解なイメージのある収用手続に当たっては、区市が、収用制度を活用するとしたときに、円滑に申請手続に入れるよう、実務面でのきめ細やかな支援を行っていく必要があるというふうに思います。
 収用制度の円滑な利用を図るために、区市に対して、さらに一歩進んだ支援に取り組んでいく必要があると考えますが、見解を伺います。

○醍醐収用委員会事務局長 区市による収用制度の利用拡大をさらに推し進めるために、事務局といたしましても、支援策の一層の充実を目指しているところでございます。
 先ほど申し上げました区市の職員を対象とした集合研修でのアンケート結果などでも、より実践的な内容の研修を求める声が寄せられておるところでございます。
 そこで、年明けには、区市等におきまして一定の用地実務経験のある職員を対象といたしまして、権利関係が複雑な事件における収用手続の実例等を紹介しながら、手続を円滑に行うための実践力を身につけてもらう研修を新たに開催する予定でございます。
 今後とも、区市等のニーズを吸い上げながら、柔軟な支援を展開してまいります。

○鈴木委員 引き続き区市への積極的な支援をお願いしたいと思います。
 再三、申し上げてきましたが、東京を災害に強いまちへと変貌させていく上で、収用制度の活用というのは不可欠であるというように思います。先月、外かく環状道路の練馬-世田谷の建設工事が始まったところでありますが、災害に強い道路ネットワークの構築や、燃えないまち、燃え広がらないまちを早期に実現するために、今後は都だけではなく、区市においても、収用制度が積極的に利用され、事業の進捗が図られることを期待をしていきたいと思います。
 最後に、制度の活用促進に向けた局長の決意を伺い、質問を終わります。

○醍醐収用委員会事務局長 災害に強いまちづくりが都政の喫緊の課題となった今、収用制度の運用を支える事務局が果たすべき役割は、ますます大きくなっております。
 改定いたしましたプランに基づきまして、収用制度がまちづくりを進める起業者にとってより使いやすく、そして権利者にとってもわかりやすいものとなるよう、引き続き制度のPRや実務面での支援、それから都民への情報発信に取り組んでまいります。
 また、いかなる収用案件でありましても、公正、中立、そして迅速に解決に導いていけるよう、事務局職員の実務能力の向上に向けた不断の取り組みを進めてまいります。

○長橋委員 私からも、収用制度の活用について質問をさせていただきます。
 ただいま鈴木委員からもお話があったとおり、木密地域不燃化十年プロジェクト、これが発表をされまして、東京都の最大の課題の一つがこの木密対策だ、こういうことで、新たに特定整備路線、これが二十三路線、選定をされまして、また、去る第三回定例会においては追加もしていくと、すべてを追加していくということで、新たに五区間、指定をされると、このように聞いているわけであります。
 鈴木委員も地元目黒区のお話をして、非常に注目が高まっていると、こういうお話もございましたけれども、私の豊島区でも、現在指定されている特定整備路線、二十三路線のうち七区間が指定されて、これまた大変に、私の地元でも話題になっておりますし、不燃化特区におきましても、東池袋四、五丁目が指定をされているわけでありまして、ぜひ、二〇二〇年までに完成をしていくと、こういうことでございますから、収用制度の活用が、より重要になってくると思いますし、また、そのスピードというのが、何といいますか、問われてくるんではなかろうかなと。もちろん、収用委員会の役割というのは、公平公正にやっていくわけでありますけれども、大変重要な局になってくるんだなあと思っております。
 いわゆる都市計画道路、これは昭和二十一年に計画をされまして、その後、たびたび改定をされて、平成十六年には、さらにその中で絞って、優先整備路線というのを指定したわけです。それも、一次、二次、三次と続けてきましたけれども、これもなかなか、地域によっては進まない地域がある。それをさらに特化して、特定整備路線ということですから、これから収用制度の活用、大変重要になってくるということで、それについて質問をさせていただきたいと思っております。
 そこでまず、昨今の収用事件、今も困難な事例等がございましたけれども、特に、都市東京の困難事例というのは特化した部分もあるかと思いますけれども、まず、どのような特徴があるのか伺いたいと思います。

○醍醐収用委員会事務局長 収用委員会の取扱件数は、先ほど申し上げましたとおり、ここのところおおむね年間百件前後の事件を取り扱っておるところでございますが、そのうち約九割が道路事業というふうになっております。
 取り扱う事件の特徴といたしましては、例えば、環状二号線など大規模なインフラ整備に伴う事件ですとか、それから土地境界や借地権など権利関係が錯綜している、または争いのある事件ですとか、さらには、大規模なマンションの敷地で権利者が多数存在し、手続に時間を要する事件など、内容が複雑化、困難化しておりまして、事件処理に当たり、より専門性を問われる案件がふえております。

○長橋委員 今、局長からも話がありましたとおり、複雑化、困難化していると。複雑化、困難化しているということは、当然その収用手続の期間も長引いてきているんではなかろうかなと、こういうふうに思うわけでございまして、今ご答弁がありましたとおり、おおむね百件、事業概要を見ると、昨年二十三年度は百四件の取扱件数、処理件数は五十九件です。そういうことを考えますと、どれだけ短縮をしていくかということも、この収用制度活用プランに、その取り組みについて記載がされているわけでありますけれども、スピード化を図っていくというだけではなくて、やはり公共の利益を実現されるためには、起業者と権利者、これは双方が、合意をするといいますか納得をするといいますか、先ほど鈴木委員がいったとおり、結論が出たのに、また、それから時間がかかってしまったという経緯もあるわけでありまして、そうすると、そこら辺には、どうしても専門性が必要になってくるのかなと思うわけであります。
 この収用制度活用プランに、収用手続に要する期間として十カ月程度を目指しているということで記載がされておりますけれども、起業者それから権利者、両方ともに申請が出せるそうでありますけれども、十カ月を目標にしているけれども、実際はどれくらいかかっているのか、お伺いをいたします。

○醍醐収用委員会事務局長 収用の手続でございますが、起業者からの申請を受け、起業者、土地所有者等の権利者から、意見書を、まずは徴取した後に、双方の意見を聞く審理を開催し、必要に応じて土地や物件の鑑定をした上で、裁決を行うのが手続となっております。
 これら一連の事件処理に要する日数は、先ほども申し上げましたが事件の困難性ですとか複雑性、あるいは権利者の人数など、事件の種類や内容によって長短さまざまではございます。
 このような手続を行う収用事件のうち、今、委員からもお話がありました、起業者と権利者双方で話し合いがつき、和解や取り下げとなったケースを除きますと、裁決に至った事件の平均処理日数でございますが、直近の平成二十三年度で三百九十五日というふうになっております。

○長橋委員 十カ月程度ということは、およそ三百日ということであります。ところが実際は、複雑性、困難性、こういうことがあって、直近の平成二十三年度では、三百九十五日かかった、およそ四百日かかっているということでありまして、その百日というのは、相当な期間であろうかなと僕は思うわけであります。
 この活用プランを見ますと、平成十二年度以前は、事件処理に平均十六カ月程度かかっていた。ところが、平成十三年度、この収用制度の大改正があって、そこで導入された指名委員制度の活用、さらには事務の見直しなどを通して、平成十三年度以降は、平均一年程度で処理されるようになった。一年程度といいますから、三百六十日ぐらいかなと思ったわけでありますけれども、今のご答弁だと、およそ四百日かかっている。
 そういうことを見ますと、やはり大都市特有の困難さ、複雑性から、平成十三年度の大改正からも、若干その手続の期間がふえているのかなと思うんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

○醍醐収用委員会事務局長 昨年三月に改定をいたしました収用制度の活用プランでは、目標といたしまして十カ月程度での処理ということを掲げておるところでございます。
 今の委員のご指摘のとおり、その十カ月、三百日を超えて事件処理が長期化する背景といたしましては、個々の事件の複雑性、困難性によりまして、収用手続の過程におきまして、起業者の申請に必要な書類ですとか、あるいは起業者、権利者双方からの意見書、これらの提出がおくれることなどが主な要因となっております。
 なお、収用委員会が円滑で迅速な手続を進めていくためには、事務局の体制として、事件を担当する職員の専門性を継続的に確保していくことも課題の一つというふうに認識をしておるところでございます。

○長橋委員 今ご答弁があったとおり、平成十三年度以降導入された指名委員制度で短縮が図られたと、こういうことでありますけれども、目標は三百日、そういう中で、平成十三年度以降も、この活用プランには、平均一年程度で処理されるようになったと記載されているわけでありますけれども、近年また、日数がかかっているのかなと、こういうことでございまして、特に意見書を提出をする、これに私は時間がかかっているのかなと、こういうふうに思うわけでありまして、その意見書を踏まえて、双方から審査をしたりするわけであります。
 そういうことを考えてくると、もちろん収用委員の先生方が、専門家の先生方がいらっしゃるわけでありますけれども、事務局の体制もさらに専門性を高めていく、そういったことも必要であるというようなことも、今、課題としていわれているわけでありまして、そういう意味で、事務局の職員の体制、これをしっかりと高めていくことによって、委員会審議を円滑、さらには迅速に進めることができるんだろうなと、こう思うわけでありまして、事務局の職員も、土地収用法など、各種法令だけでなく、土地評価や物件補償などの専門知識に精通をしていることが不可欠であろうかと思うわけでありまして、これは一朝一夕にできるものではないわけでありますけれども、東京都の職員という立場で、先ほどは区市に対しても、しっかりと講習をしていく、研修をしていく--区市は、取扱件数が年に一件とか二件とかということになるんでしょうから、そうした意味では、区市からも、さまざまな状況に応じて、アドバイスを受けたい、こういうことも来るでしょう。
 実際に、今回の不燃化十年プロジェクトの特定整備路線、これは全部完成をするに当たっては、事業は都がやっていくわけであり、もちろん区市と一緒になってやっていくわけでありますけれども、都が主体的にやっていくということになるわけでありますから、そうした意味では、さらに、この三百日という目標を掲げるに当たっては、あとは事務局の体制を--今までももちろん取り組みをされてきた、この収用制度活用プランを見ますと、そういうことがうかがえるわけであります。しかしながら、さらに、事務局の体制の強化といいますか、そういったものを図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○醍醐収用委員会事務局長 ご指摘のとおり、事務局職員の事件処理能力の向上を図り、事務局の体制を強固にすることは、事件の迅速かつ適正な処理を行っていく上で重要であるというふうに認識をしておるところでございます。
 これまで事務局では、ベテラン職員が有する知識、業務遂行ノウハウの共有化や継承に取り組んできたところでございますが、やはりここ数年、ベテラン職員はどうしても減少傾向にございます。
 このため、事務局の現状を踏まえつつ、公正かつ迅速に収用手続を図るために、職員が必要とする能力を検証し、新たな人材育成方策を昨年度に策定したところでございます。
 今後は、より一層組織的に人材を育成する手法を充実させまして、職員の育成を図り、万全の体制で事件処理に当たってまいります。

○長橋委員 昨年、新たな人材育成方策を策定したということで、ベテラン職員が減少する中で、専門性を高めていこうと、そういう取り組みをしっかりと行っていただきたいと思いますし、また、それぞれ木密に対して、都議会議員、各地元の議員は、そうした現場で、そういった事件案にも直面する場合があろうかと思います。私もそうした場合には、職員の皆さん方と打ち合わせをさせていただきたい、また、アドバイスをいただければと、こう思っておるところであります。
 さらなる努力をお願いしまして、質問を終わります。

○吉住委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉住委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○吉住委員長 これより会計管理局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○興津委員 それでは、会計管理局の質疑をさせていただきたいと存じます。
 会計管理局の三点の重要な課題といたしまして、適正な会計事務の確保、公会計制度改革の推進、安全で効率的な資金管理というふうにされております。その中におきまして、資金管理についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
 まず、この資金管理の基本的な取り組みといたしましては、東京都資金管理方針を策定、そして、この方針に基づいて資金管理計画を策定、安全性及び流動性を十分確保した上で、運用収益の最大化を図り、また、効率的な資金調達に努めていらっしゃるというふうに承っています。
 まず、ここで質問ですが、歳計現金と基金の保管、運用方法が異なっております。この異なっている趣旨につきまして、まずはお聞かせください。

○土渕管理部長 歳計現金は、地方公共団体の歳入歳出に属する現金であることから、一年以内での保管が原則となっています。また、支払い準備金としての性格を持つことから、日々の支払いに支障を来さないよう細心の注意を払いつつ、流動性の確保を重視して保管する必要があります。
 一方、基金は、特定の事業目的のために現金を積み立てる目的の財産であることから、その残高は比較的安定しており、年度を越えて長期にわたって運用することが可能となります。

○興津委員 わかりました。ありがとうございます。
 この歳計現金と基金の性格の差というのが、ここにあらわれているということなんだろうと思います。
 次に、歳計現金の保管方法について、当座預金というのがあります。この当座預金を使う理由につきましてお聞かせいただきたいと存じます。

○土渕管理部長 地方自治法及び同法施行令において、地方公共団体の支払い方法として、小切手払い、現金払い、隔地払い、いわゆる銀行振り込みである口座振替払いなどがあります。
 都では、その支払い方法の一つである小切手払いに対応するため、当座預金口座を設定しています。また、当座預金口座を資金決済のための口座としても使用しています。

○興津委員 わかりました。支払いにおきまして、小切手払いというものがあるということによって、当座というものが準備されているんだということなんだと思います。
 最近の民間企業におきましては、当座を使うというよりも、今、ほとんど振り込みが主流になっているのかなというふうにも、私は感じているんですが、現在、小切手における支出の件数、年間どれぐらい発生していらっしゃるのでしょうか、その件数と金額をお示しください。
 また、この資金決済口座で当座預金の期中の平均残高、そして経年の変化をお示しいただきたいと思います。

○土渕管理部長 平成二十三年度の小切手払いの実績は、件数で五十三件、金額で約三百二十八億四千七百万円となっています。
 資金決済のための口座としての当座預金の過去五年間の期中平均残高は、平成十九年度約百五十六億円、平成二十年度約百五十七億円、平成二十一年度約二百十六億円、平成二十二年度約百九十六億円、平成二十三年度約百六十六億円となっています。

○興津委員 ありがとうございます。平成二十三年度においては、百六十六億円の期中平均残高があるというご答弁でした。
 小切手払いのための当座預金であれば、考え方ですけれども、小切手を発行した段階で当座に資金を移動すればいいのではないかと思うんですね。ということであれば、当座預金というのは、当然ですが、利息がつかない預金ということになりますので、歳計現金だったとしても、少なくとも普通預金に資金を置いておいて、小切手を発行するという必要があった場合には、その段階で当座の方に移していくという方法も考えていくべきではないかと思っているんですね。
 その形にかんがみまして、多少でも普通預金に置いておいて、市中金利を、利息をいただけるような方法というのを考えてみてはいかがでしょうか。

○土渕管理部長 当座預金には、今ご説明しました小切手払いや口座振替など、日々の支払いに必要な額のほかに、緊急な支払いなどに必要となる額を加えた必要最低限の額を見込んで預金額を置いてあります。
 その他の余裕資金につきましては、可能な限り、日々、普通預金及び短期の定期性預金を設定することで、歳計現金の効率的な保管に努めているところでございます。

○興津委員 ご答弁ありがとうございました。
 効率的な保管ということに努めていらっしゃるというご答弁でありましたので、きちっと運用していただける方法を、日々研究を進めていただきたいということを重ねてお願いさせていただきたいと思います。
 また、この資金管理計画によりますと、支払い準備金は、流動性預金で保管をする、余裕資金は、定期性預金を中心に可能な限り長期間保有するんだ、運用するんだというふうに書いてあります。
 現時点での歳計現金及び基金の運用方法、運用先の実態はどのようになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

○土渕管理部長 歳計現金は、年間を通じて資金残高の変動が大きく、預金設定の期間につきましては短期間にならざるを得ないことから、当座預金、普通預金、短期の定期性預金での保管となります。したがいまして、一定規模の資金量を有するなど、預金を受け入れる体力が相対的に大きい都市銀行が預金先となっています。
 基金につきましては、比較的まとまった資金残高があり、支払い準備金をそれほど考慮する必要がないことから、ある程度長期の定期性預金及び債券での運用が可能となり、預金先としては、都市銀行、信託銀行、地方銀行などとなっています。

○興津委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、無論この資金というのは、安全であるということが最優先であるということであろうと思います。
 しかし、その中でも、ある意味、キャピタルゲインというんでしょうか、戦略的に資金運用を図るということも考えていくべきではなかろうかと思っておりますが、この基金の運用実績の推移というものをお聞かせいただきたいと存じます。

○土渕管理部長 基金の運用収入は、平成十九年度の百三十九億八千四百万円から、平成二十年度には二百十三億八千万円と大きく増加しています。これは、国の経済対策により、基金平均残高が前年比で約七千百億円増加するなどの影響によるものであります。その後の運用収入は、平成二十一年度百六十三億五千二百万円、平成二十二年度は八十八億六千三百万円、平成二十三年度は七十七億七千八百万円と、市中金利低下の影響を受けて毎年減少しています。
 都では、こうした厳しい運用環境のもとでも、できるだけ長期間の運用を行うことや、複数の金融機関による引き合いを実施することなどにより、運用利回りの向上を図っているところでございます。

○興津委員 ご答弁ありがとうございました。
 この平成二十三年度と二十一年度を比較してみますと、確かに市中金利の低迷というのが影響を及ぼしているのだろうとは存じますが、八十五億七千四百万円減収なんですね。運用先というのを適時適切に図っていただきまして、先ほどもいいましたけど、戦略的に稼ぐというか、そういった方法も少し考えていただければと思うんですが、最近では、例えば、外資系の銀行あるいはインターネット専業銀行等も興隆している現在であります。ハイリスクではない効率的な運用先も検討するべきときが近づいてきているのではないかと思います。
 現実的には、この具体的な判断は、東京都公金管理委員会の意見を拝聴した上で行われるということになると思いますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○土渕管理部長 公金の安全性を確保するために、預金先金融機関の選定方法につきましては、東京都資金管理方針に定められています。
 その内容をご説明しますと、都市銀行や信託銀行、また、委員から今お話のありました外資系の銀行やインターネット専業銀行など、こういった金融機関の種別によって選定するのではなく、格付、自己資本比率及び預金量などの指標や、その他の定性的な評価により、一定の水準を上回ると判断した金融機関について選定を行い、金融分野の専門家により構成する東京都公金管理委員会の意見を聞いた上で、最終的に預金先として選定しているところでございます。
 その上で、外資系の銀行、あるいは、いわゆるインターネット専業銀行などにつきましては、営業基盤となる本国や親会社の状況、預金保険の対象となるかなど、検討すべき事項が多く、安全性の確認については、慎重な対応をとる必要があることから、引き続き、今後の社会情勢の変化等を注視してまいりたいと考えているところでございます。

○興津委員 ご答弁ありがとうございました。
 先ほど申し上げましたとおりに、安全な運用ということが最大の要件であるということは、これは論をまちませんが、一番最初にご答弁いただきました、基金運用に関しまして伺いますと、年度を越えて比較的長期に運用することが可能になるというご答弁もありました。
 その中で、いただきました資料の二十四年版ですけれども、基金想定の配分ということで考えますと、預金、債券合計で一年未満というのが六三%を占めているという形になります。そういったことも含めまして、一年ということでありますと、当然金利も下がってくるということになります。
 例えばなんですけれども、オリンピック・パラリンピック開催準備基金とか、基金の目的にもよろうかと思うんですけれども、安全な運用を心がけつつも、できる限り長期の運用を図っていただきまして、キャピタルゲインを図っていただきたいということを再度重ねてお願いさせていただきまして、質問を終わります。

○鈴木委員 それでは、私からは、事務事業質疑に当たり、会計管理局が重点課題として第一に掲げます適正な会計事務の確保について、何点か伺いたいと思います。
 都政運営において、会計事務が適切に行われることにより、事業が円滑に執行されることを考えれば、会計制度は、まさに都政運営のインフラであり、都民の信頼は、その適正な運営を基礎にして成り立っているといっても過言ではありません。
 公金を取り扱うという重要性をかんがみても、適正な会計事務を行い、事務処理上の誤りを防止するための取り組みは、極めて重要であるといわざるを得ません。
 会計管理局は、会計事務全般を総括し、いわば全庁的なとりでとして、各局の会計事務について厳正なチェックを行う機関であります。こうした観点から私は、平成十九年第一回定例会財政委員会で、執行体制について確認を行い、その後も動向を注視してきたところであります。
 適正な会計事務の確保のために具体的に各局、各事業所の会計事務処理を検査していると思いますが、改めて、現在、各局、各事業所に対する検査制度はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○副島会計制度担当部長 各局、各事業所に対する検査制度といたしましては、会計管理局が行う定期検査と、各局長がみずから行う自己検査との二本立てとなっております。
 定期検査は、約五百カ所に及ぶすべての本庁の部と事業所に対しまして、二年に一回の割合で実施しております。この検査により、事務処理上の誤りが発見されました場合には、当該局長に対し結果を通知いたしまして、是正すべき誤りにつきましては是正要求を行い、速やかに改善状況等に関する報告を求めているところでございます。
 また、自己検査は、各局が当該局の全部所に対し、年一回は検査を実施することになっておりまして、検査結果につきましては、会計管理局に対し報告することになっておりまして、会計管理局は、その内容を各局に対する指導に活用しております。
 さらに、平成二十四年度から検査方針を見直しまして、会計管理局で行う定期検査と各局で行う自己検査の検査対象を整理いたしまして、それぞれの重複を解消することにより、より広範な検査を実施することといたしました。
 このように、会計管理局と各局が連携して検査を行うことにより、会計上の誤りを抑止する体制を強化しているところでございます。

○鈴木委員 会計管理局が、各局と連携をした検査体制をとっていることに加え、最近、制度の見直しも行っているとのことであります。組織内部の検査は、毎年行ううちに緊張感がなくなったり、効果も薄れがちになるということも考えられます。そのためには、制度の見直しは今後も適宜行っていく、そういう気持ちでいてほしいというふうに思います。
 検査では、個々の会計事務処理をチェックをし、誤りについては是正をするということで、会計事務処理上のミス防止や不適正な取り扱いに対して、当然、一定の抑制効果があるとは考えられます。一方、日々の会計事務を行う各局職員が適切な事務処理能力を有するようにするということが、適正な会計事務確保の根本だというふうに考えます。
 会計管理局は、会計事務の検査によって、各局職員の事務の誤りを指摘するのみならず、各局職員の事務処理能力の維持向上を図るため、会計事務の指導を行っていくことが同時に求められると思います。
 会計事務の指導という面で、どのような取り組みを行っているかを伺います。

○副島会計制度担当部長 新たに、会計事務に携わることになる各局、各事業所の職員に対しまして、収支命令者研修や会計事務研修、審査事務研修、金銭出納員研修といった研修を、平成二十年度から全庁的な研修として実施することといたしまして、新任会計事務担当者のレベル向上を支援しております。
 四つの研修を合わせまして、平成二十三年度は約一千八百名が受講しておりまして、これらの研修が全庁的な研修と位置づけられる以前の平成十九年度の受講者数が約一千名でありましたので、この間、規模を大幅に拡充してきたところであります。
 また、日々、各局、各事業所から寄せられる会計事務に関する照会、相談等は、年間四千件以上にも上りますが、これらに迅速かつ適切に指導、回答するように努めております。
 さらに、TAIMSを活用いたしまして、問題事例に関する質疑応答集や、初心者向けの会計事務用語集を掲載し、利便性かつ実用性の高いツールの提供を行うなど、各局職員一人一人の適正な会計事務の執行に寄与するさまざまな取り組みを行っているところでございます。

○鈴木委員 今、答弁で、TAIMSを活用してというようなことで、それぞれ問題事例に関する質疑等々、恐らく掲示板等をつくり、その中で対応しているんだと思いますが、その前の研修も含めて考えた場合に、各局または会計管理局の中で情報をいかに共有をし、そしてお互いの、要するに、何というのかな、意見交換または情報交換ができるようなものをもっとつくるような場を、コンピューター上でもつくっていくようなことがよろしいのかなというような気がします。
 例えば、ウエブサイトみたいな、テレビ会議がありますけれども、そういうものをもっと活用するとか何かして、各局の連携を深められるようなことがあればいいなというようなことを今、答弁を聞いて感じましたが、それに対しては答弁は要りませんが、なるべく、情報処理をスムーズにする、または早める、または情報を共有して対応をスピーディーにするというようなことも、考えられるとよろしいのかなというふうに思いますが、私の考え方というふうに聞いてもらえれば結構であります。
 そうした統一的な取り組みはもちろん有効であるというように思いますし、会計事務と一口でいっても、都政の現場は多種多様であろうというふうに思います。例えば、土木部門、福祉部門とでは扱っている事務の内容も異なります。各局の実情に合わせた指導も必要ではないかというふうに思います。
 より効果的な指導という観点からも、日ごろから適正な会計事務処理の重要性について、各局が、今もいいました共有したり、同じような意識を持つようなこと、またそういうような働きかけも、会計管理局としてすべきと考えます。
 各局の状況に合わせた検査、指導について、改めて見解を伺います。

○副島会計制度担当部長 委員ご指摘のとおり、各局によって実情は異なっておりまして、各局職員のスキルアップのためには、それぞれの現場に合わせた指導を行うことが求められております。
 そのため、平成十八年度から、各局、各事業所単位で、それらのニーズに合わせて実施するオーダーメード研修や、定期検査の結果に応じて、会計管理局の職員が出向いて直接指導、相談を行う事業所訪問などもあわせて実施しているところでございます。
 また、本年度から、定期検査の結果、必要があると認めた部または事業所に対しまして、再度検査を行います再検査制度を導入しているところでございます。これは、定期検査における誤りの指摘や改善状況を報告させるのみにとどまらず、時期を逸することなく再検査を実施いたしまして、会計管理者みずからが直接是正状況を確認しているものでございます。
 これまで申し上げましたように、定期検査や会計実務研修等の取り組みを継続的に実施することに加えまして、オーダーメード研修等の各局に対する、よりきめ細かな取り組みによりまして、定期検査における会計上の誤りでございますけれども、平成十八年度には、一部所当たり三十件以上もあったものが、ここ二年間は十件を切る水準にまで大幅に減少しているところでございます。

○鈴木委員 会計事務の検査、指導の結果、事務処理の誤りが減少していることは大変望ましい傾向であるというふうに思います。
 ちょっと観点を変えて意見をいいたいんですが、会計管理局、それから監査、外部監査等ありますね。そうすると、実際に、連携というか、お互いがどういう役割を担っていくのか、目標は同じですね、やはり税金のむだ遣いをなくし、税金が適切に使われているかどうかも含め、または財政的な考え方、ある程度使われ方といっていいのかな、そういうようなものも含めて、恐らく評価をしていくことにもつながっていくんでありましょう。
 例えば、よくいわれることでありますが、予算のとおりにすべて執行したと、それが果たして、どう評価されるかというのは非常に難しいところがあるというふうに思います。各部署が努力をして、ある程度経費節減をして、ある程度減らしてきたと、それが果たして、今いった会計管理局もそうでしょう、監査、また外部監査で適正にそれが本当に評価をされているのか。または使い切った局が、本当に使い切ったことが適正だったのか、もっと努力ができたのではないか。使い切った局が、使い切ればいいという考え方があって、来年度の予算を要望するときに、使い切っていないと、また予算要望ができないとか、へんちくりんな考え方が、もしかしたら中にはあるかもしれませんが、それがために使ってしまうということがあっていいのか。
 そういうことも含めて、実は、私は会計管理局と監査、それから外部監査等を含めて、何かの形でそれが結びついて、より執行がきちんとし、また、職員の方々が努力をしたことが評価されるようなものがきちんと、その中に入ってこないと、私は会計管理局また監査があっても、そのことがすごく必要じゃないかなというように思っていますので、そういうことが評価されるような、また、ある程度、予算の反映に生きていくというのかな、これは表現がちょっと難しいんですが、そういうことも、ぜひ会計管理局で、また考えていただければありがたいのかなというような気がしています。
 しかし人事異動によって、毎年、新たに会計事務にかかわる職員が出てくるということも考えれば、今までの取り組みが一定の成果を上げているとはいえ、今後も同様の成果が上がるという保証はない。現状に満足することなく効果的な体制を構築すべく、たゆまぬ努力を続けることを先ほどもいったことも含めて、強く求めておきたいと思います。
 会計事務というのは、適正な執行が当然であり、不適正な取り扱いがあった際に、都の事業、都民の信頼に与えるダメージは、はかり知れないものがあります。会計管理局の仕事は、その意味では目立たない業務ではありますが、大変な努力をして、また、都政に対しての信頼の根幹をなしているといっても過言ではありません。
 皆さんの日ごろの職務に対しては、まことに私は敬意を表したいというように思いますし、この都政のインフラを支える立場として、今後も、本当に頑張ってほしいということでエールを送りたいというふうに思います。
 そこで最後に、適正な会計事務の確保に向けた会計管理局長の決意を伺いたいというふうに思います。

○松田会計管理局長 ただいまの委員のお話のとおり、会計制度は、都政運営のインフラともいうべきものでございまして、都民の信頼を損なわないために、適正な会計事務を確保していくことは極めて重要な職務でございまして、これは当局の使命であると認識をしてございます。
 また、実際の実務を担う各局との連携が非常に重要でございまして、常に、各局、各事業所の会計事務の実態をさまざまな方法を駆使しまして把握するよう努めるとともに、それを踏まえまして、工夫を凝らした取り組みを行いまして、その検証を進めてまいる所存でございます。
 今後とも、気を緩めることなく、検査、指導体制の一層の充実強化に向けて、不断の見直しを行いまして、適正な会計事務の確保に取り組んでいく決意でございます。

○高倉委員 それでは、公金の収納についてお伺いをいたします。
 一般会計と特別会計を合わせて約十兆円に迫る決算規模を持つ東京都におきまして、その財源を確保するためには、公金の収納を適切に実施することが必要不可欠であります。加えまして、都民の利便性を考慮した収納であることが極めて重要であるというふうに思います。
 そこで、会計事務を総括する会計管理局に対しまして、公金収納についての現在までの取り組みについて確認をしたいと思います。
 まず、都の公金収納について、現在どういった方法があるのか、また、その実績についてお伺いをいたします。

○副島会計制度担当部長 公金収納方法につきましては、従来の窓口収納や口座振替による収納のほか、マルチペイメントネットワークを活用した公金収納、コンビニエンスストアにおける都税の収納、そして、インターネットを通じた自動車税のクレジットカード納付がございます。
 収納実績でございますが、平成二十三年度は、収納件数全体で約一千六百二十三万件であります。収納方法別に見ますと、金融機関等における従来の窓口収納が約三百八十五万件、口座振替が約五百七十五万件でございます。加えて、コンビニによる収納件数が約三百三十一万件、自動車税のクレジット収納が約九万件、そしてマルチペイメントネットワークを介した収納件数が約三百二十四万件となっております。

○高倉委員 公金収納の方法につきまして、従来の窓口収納、それから口座振替、またコンビニによる収納、それからクレジット収納、そしてマルチペイメントネットワークを使った収納と、多彩な収納について説明がございました。
 特に、このコンビニ収納でありますけれども、大手だけで、都内で五千店舗以上あるというふうに伺っておりまして、これについては本当に、都民にとっては、収納の利便性が向上したといっていいのではないかと思います。
 こういった、コンビニ収納、あるいはパソコンの画面からカード番号を入力をして納税をするクレジットカード収納、こういったことは容易に想像がつくわけでありますけれども、今、説明があった中で、マルチペイメントネットワークという収納の方法が説明されましたけれども、これは、わかりやすくいうとどういったものなのか、また、今三百二十四万件という収納があるというふうに説明がありましたけれども、この詳しい実績がありましたらば、説明をいただきたいと思います。

○副島会計制度担当部長 マルチペイメントネットワークとは、自治体などの収納機関と金融機関とをネットワークで結ぶことによりまして、従来の窓口での収納に加え、税金、公共料金等を支払う利用者が、ATM、パソコン、携帯端末を利用して支払うことを可能にするシステムであります。
 このシステムが整備されている金融機関におきましては、窓口で受け付けられたものにも、ネットワークにより情報処理されることとなっております。
 都では、平成十六年一月より、このネットワークを用いた収納を開始しているところでございます。
 また、マルチペイメントネットワークの収納件数三百二十四万件の内訳でございますけれども、ネットワークに対応した窓口収納が約二百八十二万件、ATMやパソコン及び携帯端末の合計収納件数は、約四十二万件となっております。

○高倉委員 今、マルチペイメントネットワークというものについて、自治体と金融機関をネットワークで結んだものであると、そしてそれを活用して、利用者が、ATM、パソコン、携帯端末を利用して支払いをすることが可能になるシステムであると、非常にわかりやすく説明をいただいたところであります。
 それでは、このマルチペイメントネットワークによる収納を用いた場合に、具体的にどういった効果があるのか、このことについてお伺いをいたしたいと思います。

○副島会計制度担当部長 従来の窓口収納につきましては、都や金融機関にとって、納入通知書の回付など、その取り扱い等の事務負担が大きい上、収納状況の把握に時間がかかるということとなります。
 これに対しまして、マルチペイメントネットワークでは、自治体と金融機関をネットワークで結ぶことによりまして、収納情報が電子化され、収納照合等の事務処理の削減と効率化、ペーパーレス化が可能となる上、公金収納日数の大幅な短縮化が実現されるところでございます。
 加えて、都民にとっても、窓口だけではなく、ATM、パソコン等による支払いが可能となり、自分に適した場所、時間を選択して支払うことができるというものでございます。

○高倉委員 このマルチペイメントネットワークについては、特に、都民の利便性を向上する、それから都や金融機関にとっては、今説明がありましたけれども、事務処理の効率化を図っていくと、こういった利点があるということであります。
 特に都民の利便性ということにつきましては、今説明がありましたけれども、窓口だけではなくて、このネットワークを介しての収納という中で、ATM、あるいはパソコンによる支払いということ、これは本当にある意味では、いつでも、どこでも、さまざまな都民の生活環境に応じて支払いができるというようなことだと思います。
 そうした中で、先ほど答弁がございましたけれども、二十三年度の収納実績から、時間的な制約の少ない支払い方法であるATM、それからパソコン等の利用が四十二万件というお話がありまして、この数字を聞いた感じでは、実績が低いようにも感じるわけでありますけれども、この原因はどういったところにあるかということについて、お伺いしたいと思います。

○副島会計制度担当部長 ATMによるマルチペイメントネットワークの対応には、新たに金融機関側のシステム整備が必要であることから、現状は、一部の大手金融機関に限られておりまして、ネットワークに対応しているATMが全体の約四三%にとどまっているところでございます。
 また、パソコンのインターネットバンキング等によりますマルチペイメントネットワークにつきましては、多くの金融機関で対応可能となっておりますが、インターネットバンキングの利用者数がいまだに低い状況にあり、こうしたことが原因となっております。

○高倉委員 今、原因についての説明がありました。特に、このマルチペイメントネットワークについて、金融機関にとっては、新たなシステム整備が必要である、その結果として、今、一部の大手金融機関に限られているといったような状況であります。これはなかなか大変なことなのかなと思っております。そしてまた、インターネットバンキングの利用者数が、いまだ低い状況であると、こういった点の説明をされました。
 したがって、こういう課題が、課題といいますか、原因があるということを考えるならば、このマルチペイメントネットワークを介した公金の支払いというんでしょうか、これについては、まだまだ利用実績が上昇する余地があるんではないかと、一方、こういった見方もできるんではないかと思います。
 現在、公金に限らず、さまざまな私たちの生活の中で、いろいろな支払い方法がある中で、特に今、ITが、情報通信環境が飛躍的に向上する中で、本当に多用な支払いの方法があると思います。
 都においても、新たな収納方法の検討といったことを考えていく場合に、例えばですけれども、Suicaとか、あるいは楽天のEdyでしょうか、こういったものを使っての支払いがあるわけですけれども、例えば、比較的低い金額の施設使用料といったようなものに、こういったものを私は十分活用できるんではないかなというふうに考えているわけであります。
 今後のマルチペイメントのさらなる普及と電子マネーなどの公金収納の多様化に向けた取り組みにつきまして、見解をお伺いしたいと思います。

○副島会計制度担当部長 マルチペイメントの普及につきましては、収納企業や金融機関及び官公庁などが会員となっております日本マルチペイメントネットワーク推進協議会が実施しているところでございます。
 今後、協議会に対しまして、ATM対応金融機関数の拡大促進を要請してまいります。
 さらに、協議会や関係各局と連携し、マルチペイメントの一層の周知徹底を図り、その利用実績拡大に努めてまいります。
 また、理事ご指摘の電子マネーでございますけれども、一定額以上は入金できない上限額があること、収納手数料が定額でなく定率制であることから、金額によっては多額の手数料が生じること、さらに、端末設置の初期費用等が必要なことなど、解決や検討しなければならない課題が幾つか存在しております。
 これらの課題を踏まえつつ、今後とも、新たな収納方法に対する都民ニーズ及び社会動向を注視するとともに、費用等と効率性や利便性を勘案しながら、必要な収納方法の多様化につきまして、引き続き検証してまいります。

○高倉委員 会計事務を総括をする会計管理局であればこそ、収納につきましては、都民の立場に立つ利便性の向上と、収納事務の簡素、効率化の両面にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 マルチペイメントネットワークの利用者の拡大や、今、質疑をしましたけれども、新たな収納方法の検討などを、今後も十分に進めていただきまして、真の意味で、いつでもどこでも、都民が公金の支払いを行えるようになることを期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○神野委員 私からは、会計管理局における物品の管理について、お伺いをしたいと思います。
 まず、確認の意味ですけれども、会計管理局では、東京都物品管理規則を定めて、都庁の物品管理をつかさどっていらっしゃいますが、都庁における物品管理の行い方、そしてその考え方についてお伺いをしたいと思います。

○副島会計制度担当部長 地方自治法では、地方公共団体の所有する財産を、公有財産、債権、基金、物品の四種類に区分しております。
 このうち、物品の出納及び保管を行うことは、会計管理者の権限であると地方自治法に規定されておりますが、都においては、東京都物品管理規則を定め、各局、各事業所に置いた物品出納員にその権限を委任いたしまして、物品の受け入れや払い出しといった出納手続に係る事務を行わせているところでございます。
 物品につきましては、公金たる地方公共団体の金銭によって取得したものでありますので、その経済的価値を損なうことなく維持保存することに努め、常にその有効活用を図る必要があるものでございます。
 そのため、日々、各局、各事業所において使用しております物品の日常の管理につきましては、各課に物品管理者を置きまして、適正かつ効率的に使用されるよう責任を持って管理させるとともに、定期的に物品の状況確認を行っているところでございます。

○神野委員 今、ご答弁にもありましたように、物品は、公金たる地方公共団体の金銭によって取得したものでありますから、まさに、適正かつ効率的に使用されるよう責任を持って管理をしていただかなければいけないわけであります。
 物品の中にも、備品、消耗品、材料品、動物、不用品、そして借用動産、これらに分かれるとのことでございます。そしてその中で、備品と消耗品では五万円という金額が設けられて、そして五万円以上の備品と、五万円未満の消耗品とに区分をされて、その管理の仕方も違うということであります。
 しかし、この金額だけを区分の基準にした場合に、同じ消耗品でも、比較的高額で、短期間には消費されない、例えばカメラとか、ビデオカメラ等、これが五万円に一円でも満たなければ、消耗品として、鉛筆だとかの文具等と同じ管理レベルで扱われるのは、私は適切とは思えないんですね。
 民間では、企業会計上経費として仕分けをされて、会計処理上は、資産計上しないものであっても、管理台帳をつくって、現物管理をするのが通常であります。なぜなら、比較的長期に使用するものについては、次年度以降の調達計画の策定に活用するため、その物理的な状態や使用状況というものを会社として適切に把握する必要があるからであります。
 今申し上げた金額の基準で、あるものは固定資産に計上され、あるものは消耗品として費用計上されたとしても、民間では有効な予算執行、将来の予算執行のために、現物管理を徹底をしております。
 そこで伺いますが、この五万円という金額で、備品と消耗品を区分いたします基準の妥当性はどうなっているんでしょうか。

○副島会計制度担当部長 都において使用いたします物品は、備品、消耗品にかかわらず、すべて適正に管理しなければならないものでございます。
 備品、消耗品の定義を申し上げますと、備品は、比較的長期間にわたってその性質または形状を変えることなく使用に耐えるものであり、また、消耗品は、短期間または一度の適正な使用により消費されるもの等としているところでございます。
 都におきましては、現物照合の確実な実施という目的に加えまして、日々の管理を可能とする適正スパンという観点から、基準額を設定しているところでございます。
 平成二十三年度現在、約百万点という多数の備品が存在しておりますことから、合理的な管理を図るために基準額を設けているものでございます。ただし、基準額に満たない物品につきましても、消耗品適正管理指針にのっとり、その性質等に応じた適正な管理に努めております。
 なお、平成二十五年四月一日より、備品となる基準額を十万円に引き上げる予定となっております。

○神野委員 今のお話の中で、消耗品適正管理指針を設けられて、消耗品といえども、適正管理に努めていらっしゃるということでありますが、ただ、五万円に満たない消耗品と区分をされた物品は、管理台帳にも登録をしないため、局として把握をできていらっしゃらないし、現物照合も義務づけられていないということであります。台帳に登録して管理をしなければ、担当者の記憶のみによる管理となっているんじゃないでしょうか。
 備品、消耗品の区別を、五万円という金額基準だけではなくて、同じ消耗品の中でも、比較的高額で長期にわたって使用される物品、また、その重要性の有無をも考慮した、幅広く新たな基準を設けて、その管理を行うべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○副島会計制度担当部長 消耗品適正管理指針におきましては、持ち運んで使用する物品や比較的高価な物品の亡失等の防止や有効活用のため、管理方法を提示しております。
 具体的には、消耗品であっても、複数の職員が共同で使用する物品につきましては、各課において、物品としての台帳である使用記録簿を記帳することによりまして、いつ、だれが、何を使用し、返却したかを明示する方法、また、ラベル貼付により、東京都が所有する物品であることを明示する方法などが示されております。
 さらに、各局各課の課長である物品管理者が、特に管理が必要であると判断するものにつきましては、たとえ消耗品に区分されるものであっても、使用時以外は施錠可能な保管庫等に保管するなど、亡失等の防止に必要な措置を提示しております。
 こうした方法によりまして、各局各課においては、消耗品に区分されるものであっても適正に管理を行っているところでございます。
 なお、各所属で物品の亡失もしくは損傷があった場合には、消耗品、備品の区分にかかわらず、物品亡失もしくは損傷報告を作成し、知事に提出しているところでございます。

○神野委員 消耗品でも、高価なもの、それから長期にわたって使用されるものについては、適正に管理を行おうとされていらっしゃるというご努力についてはわかりました。
 今のお話で、各課の物品管理者が、特に管理が必要であると判断をするものということでありますので、統一的な基準として、その管理が必要かどうかという判断がなされていないんじゃないかというような疑問も持ちました。
 今後、備品、消耗品の基準が、先ほどのお話で、五万円から十万円に引き上げられるとのことでありますから、新たに消耗品に区分される中にも、これまで、備品として管理されてきた、要するに五万円から十万円の間の物品というものが数多く含まれるわけでありまして、その中で、その管理の効率性というものも当然考えていただかなければいけないと思います。
 すべての消耗品を全く備品と同じように--これも点数の問題もあるし、効率性の問題もあるのはよくわかっているんですけれども、当然、備品、消耗品という区分をするに当たって、やはり金額だけでそれを区分するんではなくて、その物品のいわゆる特質ですよね、性質、そういうちょっと別の基準なり、統一的なルールというものも考えて、管理というものを、今後、行っていっていただくことをご検討をしていただきたい、そんな要望をさせていただきたいと思います。
 ちょっと話は変わりますけれども、今申し上げてきた物品のうち、百万円以上のものについては、重要物品として管理をされているということです。今回の新公会計制度で、重要物品というのは資産計上をされております。その数字が広く都民に公表されているわけです。都民が都有財産の状況というものを正しく理解をする上で、極めて重要なこの貸借対照表、BSの信頼性というものを担保するためには、計上した数字の裏づけというものをしっかりと行うべきだと考えます。貸借対照表に計上されている数字でも、実際見てみたら、本来あるべきものがなかったりとか、含まれていないのにあったりとか、そういうことがあったんでは、貸借対照表の信頼性というものが、根本から揺らいでしまうんですね。
 お話を伺うと、各課の物品管理者が、年に一回、現物照合を行っていることを、会計管理局の検査の際、確認されているということなんですが、私は、よりその信頼度を増すためにも、貸借対照表に登録されている重要物品については、会計管理局による、みずからの現物照合というものを行うべきなんじゃないかというふうに考えます。
 公会計導入以後、一度もそれを行っていないということでありますが、数字の裏づけをはっきりさせて、そして、現在、各課で現物照合作業を行っているわけですが、その作業に、より一層の緊張感を持たせる意味でも、会計管理局みずからによる現物照合を行うべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○副島会計制度担当部長 使用しております物品の状況を適切に把握するため、会計管理局では、各局に対して、物品の現物照合を行うように指導しております。
 具体的には、各局、各事業所の物品管理者が、現物照合の実施計画を作成いたしまして、毎年一回、備品の現物と管理帳簿の照合を行っております。このうち、特に重要物品につきましては、毎年三月末日に、物品管理者が現物照合を行っているところでございます。
 なお、物品管理者が現物照合を毎年確実に行っていることを、会計管理局が行う検査の際に、物品管理者別物品一覧表において確認しておりまして、会計管理局がみずから現物照合を行うまでもなく、適正に管理していると考えております。
 このように、会計管理局は各局と連携いたしまして、重要物品につきましても、管理の適正性を確保しているところでございます。

○神野委員 今のご答弁では、各局各課の物品管理者が、毎年確実に行っていることを、検査の際、確認をされていらっしゃるから大丈夫、そんなご趣旨のご答弁であったかと思います。
 ただ、毎年行われております監査委員による監査ですとか、それから外部監査の結果、私、結構この監査報告ですとか、外部監査の報告、いつも見ているんですけれども、各局で、物品の登録漏れであったり、それから過大登録、つまり、本来ないものが登録されているとか、そういったものが散見されるんですね。本当に大丈夫なんでしょうか。
 先ほども申し上げたんですけれども、これは公会計制度ということで、今、都でつくっていらっしゃるこの貸借対照表の数字に関しては、その信憑性というものが、しっかりと担保されなければいけないんだと思うんです。いわゆる物品の金額が違えば、すべての数字が違ってきてしまうわけでありますから、これまで大丈夫だったとはおっしゃるけれども、今後は、この公会計制度の数字の信頼性というものを担保するためにも、やはり最大の、そういった注意義務というものを、私は果たしていかれるべきではないかと思います。記載された数字のしっかりとした裏づけを担保するためにも、これ要望となるでしょうけれども、会計管理局の方で、この現物照合、ぜひ行っていっていただきたいと思います。
 最後に、今たまたま公会計制度の貸借対照表の数字についてお伺いをしたんですけれども、同じくBSには、固定資産として土地、建物が計上されております。こういった価格に関しては、どのような価格が計上されていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

○副島会計制度担当部長 土地や建物などの公有財産につきましては、財産情報システムに、これまで取得し現存している財産の取得価格が登録されております。新公会計制度の貸借対照表には、このシステムに登録された取得価格を計上することとしております。
 なお、土地の取得価格には、土地の購入費に加え、土地工事に係る測量費などが含まれ、また、建物の取得価格には、新築、増改築時の建築工事費や設計費などが含まれております。

○神野委員 お話を伺ったところ、財務局では、こういった土地、建物に関して、行政財産等の自己点検及び実地調査実施要綱というのを新公会計制度の導入に合わせて、平成十九年に決定をされて、実際この土地、建物の実地調査、通常は各局でやるんですけれども、各局の実地調査のルールを定めて、そして財務局みずからその点検も行っていらっしゃるというお話を伺っております。
 つまり、この新公会計制度のいわゆる財務諸表というのは、ただ、つくったからいいというのじゃなくて、やはりその数字の中身に関しては、しっかりとその信頼性というものを担保される必要があるんだと思うんです。
 今、申し上げた物品もそうですし、それから発生主義会計ということで、やっていらっしゃるということですけれども、貸倒引当金、退職給与引当金、さまざまな引当金であったり、さまざまな事象の計上基準であったり、こういったものも、常に不断に注意を及ぼしながら、その会計処理というものを見直しをしていただいて、東京都がせっかくつくっているこの新公会計制度のさまざまな財務諸表の数字の信頼性というものを担保していただくよう、これからも仕事をしっかりやっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○吉住委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉住委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十二分散会

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