財政委員会速記録第十二号

平成二十四年九月二十七日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長鈴木 章浩君
副委員長淺野 克彦君
副委員長たぞえ民夫君
理事中山 信行君
理事宇田川聡史君
理事西岡真一郎君
加藤 雅之君
福士 敬子君
田中たけし君
鈴木 隆道君
鈴木 勝博君
松下 玲子君
大沢  昇君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長中井 敬三君
経理部長櫻井  務君
契約調整担当部長石井 正明君
主計部長武市  敬君
財産運用部長奥田 信之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長末菅 辰雄君
技術管理担当部長室木 眞則君
庁舎運営担当部長間庭  修君
主税局局長新田 洋平君
総務部長田倉 英明君
税制部長宗田 友子君
税制調査担当部長小山 明子君
調整担当部長安藤 敏朗君
課税部長木村 芳生君
資産税部長阿南 威彦君
徴収部長西海 哲洋君
特別滞納整理担当部長藤井  朗君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十三号議案 警視庁大塚警察署庁舎(二十四)改築工事請負契約
・第百七十四号議案 都立練馬工業高等学校(二十四)改築工事請負契約
・第百七十五号議案 都立江戸川地区特別支援学校(仮称)(二十四)増築工事請負契約
・第百七十六号議案 都立第三商業高等学校(二十四)改修及び改築工事請負契約
・第百七十七号議案 東京国際フォーラム(二十四)ガラス棟改修工事請負契約
・第百七十八号議案 東京都監察医務院(二十四)本館改築その他工事請負契約
・第百七十九号議案 東京消防庁武蔵野消防署庁舎(二十四)新築工事請負契約
・第百八十号議案  妙正寺川鷺の宮調節池工事(その四)請負契約
・第百八十一号議案 トンネル本体築造工事及び擁壁築造工事(二十四 四-放三十五)請負契約
報告事項(質疑)
・「平成二十三年度東京都年次財務報告書」について
 主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件の上告受理の申立てに関する報告及び承認について

○鈴木(章)委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(章)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○鈴木(章)委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局及び主税局関係の付託議案の審査並びに財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百七十三号議案から第百八十一号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案から第百八十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(章)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(章)委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○鈴木(章)委員長 次に、報告事項、平成二十三年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 さきの委員会で、平成二十三年度東京都年次財務報告書について報告がございました。今回の報告書は、平成十八年度の年次財務報告書から数えて六回目ということでありますが、いうまでもなく、十八年度に新しい公会計制度が導入されたからこそ、このたびの年次報告書が作成されているということであります。
 新しい公会計制度は、各種財務諸表を作成し、分析し、そして、その内容はこの年次財務報告書に記載をされているわけですが、これまで石原知事は、今定例会の代表質問や一般質問でも答弁されておりましたが、複式簿記・発生主義会計の考え方を取り入れた新しい公会計をいち早く導入し、今現在は、他の自治体に対しても導入支援を行っているところであります。
 石原知事は、二期目の平成十八年度に、新しい公会計制度を導入したわけですけれども、導入に当たっては、都知事就任当初の平成十一年の七月に、貸借対照表の試作を行ったり、石原知事が、かつて都知事就任後の最大の実績は、会計制度改革だといわれるくらい力を注いでこられております。
 この導入目的は、資産や負債のストック情報の全体像を把握したり、減価償却や金利なども含む正確なコスト情報を把握し、そしてまた、職員のコスト意識を高め、効率的、効果的な行政運営を行うことに役立てていくためのものであると認識をしております。
 そのために、貸借対照表、行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書、正味財産変動計算書の財務諸表を作成しているわけでありますが、私は、公会計制度を導入し、財務諸表を作成することが目的ではなくて、この財務諸表の分析を行って、現状を把握し、課題を見出し、新たな対策を講じ、そして、次の予算編成に役立てていくことが、まさにこの公会計制度の導入であり、そしてまた、目的であり、その目的を達成する上で、今回の年次財務報告書の作成がなされているものと認識をしております。
 ですので、今後も、この年次財務報告書の内容をさらに充実をさせ、有効に活用していくことが求められているというふうに強く認識をしているところであります。このような認識に基づきまして、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 この年次財務報告書で公表された平成二十三年度普通会計決算に関連してお伺いをいたしますが、二十三年度は、年度当初から、東日本大震災への対応として緊急対策を策定し、六月には一千億円を超える補正予算を編成するなど、都政にとってもまさに激動の一年でありました。このような状況の中、二十三年度決算は、実質収支が四年連続で、ほぼ均衡したとの記載がございます。
 そこでまず、平成二十三年度決算をどのように評価しているのかお伺いをいたします。

○武市主計部長 平成二十三年度は、大震災による経済活動への打撃などによりまして、都税収入が、都政史上初めて四年連続で減少するなど、都財政を取り巻く環境は非常に厳しい一年でございました。
 そのため、予算執行の段階におきましても、歳出の精査を徹底いたしました。
 ただ、そればかりでなく、補正予算を編成いたしまして、大震災へ迅速に対応したことを初め、少子高齢化対策でございますとか、都市インフラの整備など、都政の諸課題に的確に対応してまいりました。
 その上で、これまで培ってきた都債の発行余力でございますとか、基金を活用することで所要の財源を確保いたしまして、実質収支の均衡を図ったところでありまして、国が定める財政の健全化に関する指標も極めて良好な水準を維持してございます。
 また、ただいまお話もいただきましたが、貸借対照表など財務諸表を見ましても、非常に健全な状況を維持できているというふうに考えてございます。
 このように、二十三年度決算は、厳しい財政環境の中でも、施策の積極的な展開と財政の健全性の確保という二つの目標を両立できた決算だったと考えております。

○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、徹底した歳出の精査やこれまで培ってきました都債の発行余力、基金等の財政の力、財政力を適正に活用することによって、四年連続の税収減という厳しい状況にありながら、直面する諸課題にしっかりと対応できてきたものと評価をしたいと思っております。
 さて、この年次財務報告書では、毎回いろいろな視点から財政運営の検証を行ってきております。今回は、平成に入ってから生じた都税の連続減収、これまでに三回あったとのことでありますが、都がそうした状況においてどのような財政運営を行ってきたかについて、詳細に分析がなされており、私も大変興味深く読ませていただきました。
 この中で、特に目を引くのが、歳出面での二期、三期に見られる人件費の削減であります。財政再建団体へ転落寸前の危機的状況にあった都は、石原知事就任後、全国に先駆けて徹底した人件費の削減に取り組んできたと記憶をしております。
 国は、東日本大震災への対処の必要性から、ようやく臨時的に給与削減を実施しておりますが、一部の報道によれば、地方に対しても給与削減を求める声が政府内にあるようであります。
 そこで、確認のためお伺いをいたしますが、都のこれまでの人件費削減の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○武市主計部長 石原知事就任以降、東京都は、二次にわたります財政再建推進プランを策定いたしまして、平成十二年度から十八年度にかけての七年間に、職員定数を一万人以上削減するとともに、職員給与につきましても、当時としては、全国で最も厳しい四%の給料削減を二年以上にわたって実施するなど、徹底した内部努力に取り組んでまいりました。
 また、財産再建を達成した後も、引き続き定数削減など人件費の抑制に努めておりまして、十一年度決算で、一兆八千三十二億円だった人件費は、平成二十三年度決算では、一兆四千八百七十九億円と一七・五%減ってございます。

○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、平成十二年度から十八年度にかけて、一万人以上の削減がなされたということでありまして、石原知事が就任された平成十一年から、決算で二十三年にかけて見てまいりますと、さらにそれ以上の定数の削減があったものと認識をしておりますし、また、ここにかかわる人件費も約三千億円減少していると、切り詰めているということでありまして、石原知事のリーダーシップのもと、東京都は、十年以上も前から、このように血のにじむ努力を積み重ねてきているんだということでありまして、これはしっかりと、国に対しても、また、都民に対しても訴えていく、表明していくべきではないかと思っております。
 一方、ここにきて削減に手をつけた国は、都にいわせれば、いわば周回おくれの状況でありまして、その国が地方に対して足並みをそろえよというようであれば、それは全くの筋違いといわざるを得ません。知事も所信表明で述べられたとおり、国はみずからの意思において、みずから徹底した行政改革に取り組むべきだと思っております。
 次に、歳入についてお伺いをいたします。
 今回の報告書を見させていただきまして、特に注目すべき点は、都債の発行額が前年度に比べて大変大きく増加しているということであります。リーマンショック以降、かつてない厳しい税収環境にあるわけですから、都債の発行がある程度ふえることはやむを得ないものと理解をしております。このような状況は、東京に限らず、恐らく他の道府県においても、同様の税収状況、厳しい状況にあるんだろうと思っておりますが、リーマンショックの前後においての他の道府県の税収動向、また、地方債の発行状況は、都と比べてどのような状況になっているのか、お伺いをいたします。

○武市主計部長 他の道府県におけます平成二十三年度決算が、まだ出そろっておりませんので、平成二十二年度決算とリーマンショック前の平成十九年度決算とを比較いたしますと、税収は、東京都が二三・八%の減少となっております。一方、他の道府県は二三・二%の減少でございまして、税収については、ほぼ同様の傾向となっております。
 一方、地方債の発行につきましては、東京都が一二四%の増加となっているのに対しまして、他の道府県は、三五・八%の増加にとどまっておりまして、東京都の増加が顕著な状況となっております。

○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、税収は、都も他の道府県も同じような厳しい状況にあるということでありましたが、一方、地方債の発行状況を比較いたしますと、東京都と他の道府県では、その増加額、増加幅がかなり開きが出ているということでありました。
 こうした地方債の発行状況の違いは、どのような理由から来ているものと分析をされているのか、お伺いをいたします。

○武市主計部長 東京都と他の道府県の地方債の発行状況が大きく異なっている背景には、東京都が地方交付税の不交付団体であるということが挙げられると考えてございます。すなわち、交付団体では、地方交付税が増額されますので、税収の減少があった場合でも一定程度税収の減が地方交付税の増額という形で吸収されるのに対しまして、不交付団体である東京都は、みずからの責任におきまして財源を確保しなければいけない、そういう状況にございますので、税収の変動が地方債の発行額に与える影響というものは、他の道府県に比べて大きくならざるを得ないのかなと考えてございます。
 こうした都財政の構造的な特徴がある中で、今回の大幅な税収の減少局面におきましては、第一に、税収減が非常に大きな分だけ、それを補って施策の展開を支えるための都債の発行というものが、どうしても他の道府県よりも大きくなってしまうということ、第二に、東京都は、税収が好調な時期に都債の発行の抑制に努めたことから、まだ追加発行する余力が残っているということ、その二点が、都と他の道府県の発行状況の違いを生み出しているものと考えております。

○田中委員 まさに東京都は、不交付団体であり、他の道府県は交付団体である、その違いによるものであるということ等でありました。都は、他の道府県と異なりまして、厳しい税収変動の影響がダイレクトに及ぶということでありまして、それだけ難しい財政運営のかじ取りが求められていることだと思っております。
 また、平成二十年度以降の法人事業税の不合理な暫定措置もまだ継続されておりまして、そういう環境下においても、しっかりとした財政運営を担わなくてはならないということで、大変、今後ますます財政当局の皆さんのご尽力に期待をするところでありますが、震災への対応を初め、さまざまな課題に迅速かつ的確に対応できたのも、これまでの自己改革の取り組みの積み重ねや、基金や都債の発行余力などの財政力を培ってきたからこそであります。引き続き都民の負託にこたえる堅実な財政運営をぜひともお願いをしたいと思います。
 さて、これからいよいよ来年度の予算編成に向けた作業が本格化してくるものと思います。これまでの議論のとおり、平成二十三年度では、都税収入が都政史上初めて四年連続で減となる中、基金はそこそこ残っておりますが、都債の発行もそれなりに伸びている状況があります。こうした中、都政には、今後の備えとして一定程度の財政力を残しつつ、防災や景気対策といった山積する課題にも、しっかりと対応することが求められております。
 冒頭申し上げました今回の年次報告書を作成する意味合いは、現状の分析、認識と同時に、それら課題を解決し、次につなげていくことが、今回の報告書の大きな目的でございまして、それらも踏まえながら、これから来年度予算編成を迎えるわけでありまして、今後の予算編成に向けた局長のご決意を最後にお伺いをして、質問を終わります。

○中井財務局長 我が国の景気は、復興需要等により緩やかに回復しつつあるものの、世界景気の減速等を背景として、その動きには足踏みが見られ、先行きについても、景気を下押しするリスクが見られる状況にございます。
 こうしたことから、都税収入の動向は不透明といわざるを得ず、財政環境の先行きについて、現時点で明確な見通しを持つことは困難な状況にございます。
 しかしながら、こうした中にあっても、新たな被害想定を踏まえた防災対策はもとより、都市インフラの整備や少子高齢化対策、産業の活性化など、山積する都政の諸課題に的確に対応、対処していかなければならないことは、申すまでもございません。
 そのため、私どもとしては、今後も田中委員よりお話ございました公会計制度を活用した事業評価の取り組みなどにより、施策の効率性や実効性を向上させる自己改革を不断に行うとともに、ただいま質疑をいただきました都債あるいは基金を、将来を見据えて計画的に活用することにより、施策展開に必要な財源をしっかりと確保していきたいと考えております。
 これから、来年度の予算編成作業が本格化するわけでございますが、引き続き財政の健全性の維持に留意しつつ、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算となるよう、各局とも連携して、知恵を出し合い汗をかきながら、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 財政委員会の先生方の引き続きのご指導、よろしくお願い申し上げます。

○鈴木(章)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(章)委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○鈴木(章)委員長 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件の上告受理の申立てに関する報告及び承認についてを議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○阿南資産税部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料を二枚めくっていただきまして、一ページ目、資料第1号、固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求事件に関する弁護士費用等をごらんください。
 この資料は、地裁、高裁、最高裁で要する弁護士費用等につきまして金額をお示ししたものでございます。なお、金額は、裁判係争中のため概算額となってございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木(章)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 私からは、この冷凍倉庫事件に関することについて、一定でも行いましたので、裁判のことは裁判にやっていただくとして、この中身は、どういう、何の原因があるのかということについて、少し掘り下げたいということからも質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、一点確認をさせていただきます。これまでの都の主張、この上告受理の申し立ての理由にも書いてありますけれども、基本的に、国家賠償法第一条第一項の過失はないと、我が党の代表質問の際にも、現場職員のことについても言及がありましたが、再度確認をさせていただきます。現場の職員に対して、注意義務違反はなかったということが確かであるということについて見解を伺います。

○阿南資産税部長 冷凍倉庫に係る国の定める評価基準が、当時の制度上、必ずしも明確でない中で、職員は、最大限、職務上の注意義務を払い、適正な評価に努めてきたものでございます。現場の職員には、注意義務違反はないというふうに考えております。
 なお、同種の訴訟事件に係る最高裁判断において、複数用途家屋の取り扱いにつきましては、評価基準に明示されていない以上、各課税団体の裁量による合理的な解釈、運用が許容され、適法、違法の問題は生じないという考えが、本年七月に示されております。

○淺野委員 今のご答弁で、少なくとも都の立場としては、現場の職員の方、現場で評価をされている方々には責任がないということが主張されていることがわかります。
 では、この問題が発端となった平成十八年の調査、この基準年度の調査において、いわゆる賦課税として行われているこの固定資産税、冷凍倉庫にかかわるこの評価が、実際の用途、つまり現実と違いがあったということがわかって、そこで還付金が発生するわけでありますが、その平成十八年の調査で、固定資産評価と、それから実際の用途、ここに間違いが発見されているということについてのご説明をいただきたいと思います。

○阿南資産税部長 従前におきまして、冷凍倉庫に関する定義等が、国の固定資産評価基準におきまして明確に示されていないということのため、各自治体がそれぞれの裁量におきまして対応を図ってきたところでございます。
 都におきましては、通常の冷凍倉庫概念をベースとしつつ、複数の用途を総合的に評価して、特定の用途に位置づけてまいりました。
 しかし、名古屋市の冷凍倉庫問題を契機に、全国的な見直しの機運が高まることを受けまして、都といたしましては、平成十八年度に複数の用途に利用されている倉庫施設につきまして、最も大きな床面積を占める用途を主たる用途とするとともに、保管温度が摂氏十度以下に保たれる倉庫を冷凍倉庫とする基準を定めたものでございます。
 このような経過から、新たな基準に基づいて現地調査を実施しまして、基準改定に伴って見直しが必要となったものにつきまして、用途区分を変更したものでございます。

○淺野委員 今のご説明の中で、要は、この十八年度に基準を変えたということなんですね。東京都は基準を変えて、それでもう一度調査をかけるんですが、その契機となったのは、名古屋市の冷凍倉庫問題と、これを累次にして全国的な見直しの機運が発生したために、都も行ったという答弁でございました。
 これは後ほど、また、お聞きをいたしたいと思いますが、平成十八年に冷凍倉庫の基準が少し変わりまして、それによって、新たに調査をかけた結果、今までは一般倉庫だとか、ほかの用途で認定されたものが、これは冷凍倉庫でいいだろうという認定になったために、そこで評価替えを行って、固定資産税が下がったんですけれども、都は、ここから五年間の還付金を返すということになって問題が発生するわけです。
 この問題が発生した、今回は上告ですけれども、その前の前回一定のときに出されました控訴のとき、出された控訴理由書というのも読ませていただきましたけれども、そこにも書かれていたことでありまして、これは冷凍倉庫、つまり複合用途家屋ということですから、用途がいろいろ分かれているもの、まざっているものですね--事務所だったり、一般倉庫だったり、冷凍倉庫だということが、この場合については、冷凍倉庫として使用もしくは管理されていたというのが、いつからだったのかということが特定できなかったということが書いてあるわけであります。これ、何で新築当初、そんなに建物が変わるとは思えないんですが、新築当初からどうしてそのことが確認できなかったのか、そして平成十八年にそれがわかったというのは、どうしてなのかということについて確認したいと思います。

○阿南資産税部長 新築時には、所有者より借用いたしました建築資料等に基づき評価計算を行った後、原則、所有者、使用者立ち会いのもと現地確認を行い、用途等を位置づけ、建物の用途を初め、評価内容を確認しております。それ以後につきましては、登記情報とともに外観調査や航空写真などを活用しながら、建物の用途変更等の把握に努めてきているところでございます。
 このため、登記の変更や外観上の変化がないといった場合には、使用実態等の変更に伴う用途の変化などについては、所有者からの申し立てがない限り、把握することは困難な状況にあります。
 平成十八年時点における用途の見直しにつきましては、設備自体の変更によるものではなく、あくまで用途認定の基準の変更に伴うものであるというふうに考えてございます。

○淺野委員 今の答弁を聞いていると、新築の時点で立ち会いをしてまず確定をさせ、その後、そこから変更があった場合は、申し立てもしくは登記情報などの変更がない限りは、そのまま行ってきたというところで、都がやってきたというような答弁でございましたが、ここですね、実は大事なことが抜けていると思うんですね。
 私は、前回の委員会、というか一定の委員会のときでも確認させていただきましたが、まず第一に、所有者の方々が立ち会いで現地確認をした際、これが一般倉庫なのか、冷凍倉庫なのかということは、その場では通知されていないんですよね。つまり、現地で立ち会った人は、自分のところがどういう評価をされているかということは、その場ではまず知り得ないという立場にあります。
 そして続いて、これも前回のときにも指摘をさせていただきましたが、納税通知書、つまり賦課決定書ですね、あなたのところが価格が決まりましたといったときも、これは価格の通知だけになっていて、そのとき、あなたのところは冷凍倉庫ですよ、あるいは一般倉庫ですよということも、その中には書いていない、はっきりと書いてはいないという状況があると。つまり、現場で立ち会った方というのは、自分のところが、今現在、冷凍倉庫なのか一般倉庫なのかということを全く知り得ない状態の中で、変更があったら、申し立てがあれば私たちは確認できましたというのは、これは余りにも不親切であると私は思うんですね。
 自分が今どういう状況にあるのかがわからない人が、自分の用途が変更したことを申し立てようという意識になるわけがないのです。自分のところの固定資産税の評価額はわかっている。でも、自分のところが一般倉庫か冷凍倉庫か把握できていないのに、一般倉庫って指定されたけど、うちどう見ても冷凍倉庫でたくさん扱っているんだから、うちは冷凍倉庫で認定してくださいって、その動機が起きないんです。だって、冷凍倉庫で評価されていると思っているかもしれない。それを、あたかも、登記情報の変更もしくは本人からの、所有者からの申し立てがない限り把握は困難だというのは、どちらかというと、所有者自身が、自分が申し立ての必要があるかどうかを把握することが困難な状況にあるんですね。それをまず都は、しっかりと認識をしなきゃいけないと思います。
 そしてもう一つ、最後の答弁にありました、平成十八年時点における用途の見直しは、設備自体の変更によるものではない。つまり建物とか使った云々が変わったのではなくて、用途認定の基準が変わったから、十八年の時点で基準が変わったので、そこで、一般倉庫から冷凍倉庫とかに変わりましたというご答弁でした。だとしたら、どうして五年分の還付金を返す必要があったのか、現実に還付金を返す事態になっているのは、一体何が原因であったのかというふうに考えているか、お答えいただきたいと思います。

○阿南資産税部長 平成十八年、用途の適用等に係る都としての基準の変更によりまして、従来の基準では、一般倉庫としていたものであっても、冷凍倉庫に用途の変更を行う必要なものがあり、こうしたケースについて、冷凍倉庫と見直したものでございます。その際に、納税者にとって最も有利な取り扱いをすべきであるというふうに判断をいたしまして、地方税法が許容する最大限の五年分につきまして返還を行ったものでございます。

○淺野委員 ここですね、納税者にとって最も有利な取り扱いをすべきであると判断して、地方税法が許容する最大限の五年分について返還を行いましたと、非常に誠意がある対応のようにも聞こえますが、ここも、私は結構問題があると思いまして、どういうことかというと、平成十八年で基準が変わって、これ冷凍倉庫として認めていいな、確かにそれまであいまいだったものを明確にしたという努力は認めます。
 しかし、平成十八年というのは、日本に、少なくともこの東京、物流が、さまざまなものが動く拠点となるこの東京において、冷凍倉庫が普及されているというのが、どんなに遅く考えたって昭和五十年、仮にそれを思いっきり遅くして昭和六十年時点だとしても、六十年から平成十八年までで、もうおよそ三十年近い、二十五年ぐらいたっているわけですね。この間に、実は、例えばバブルが崩壊しました。経済環境、土地価格、物すごい乱高下しています。環境が物すごく変わっているんですね。
 そういう環境が変わった中で、もしかしたら倉庫を取りやめた人もいるかもしれません。冷凍倉庫でやるよりも、マンションにしちゃった方がもうかるからとやった人がいるかもしれません。地上げに遭って、倉庫をやめて売っちゃった人もいるかもしれません。そういった方々は、十八年で基準が変わって、五年が還付されても全然助けられていないわけですね。自分たちが過分に納めたものは、ただそのまま納めただけで終わっているという状況が生まれてしまっているんです。
 少なくとも、現場の人たちは、外観だけで判断ができない、あるいは、冷凍倉庫が非常に普及して、至るところで、今まで一般倉庫だと思っていたものが、結構冷凍で使っているなというものもふえてきたというのは見えていたはず、にもかかわらず、二十五年あるいは三十年、場合によっては四十年かもしれない、その期間、全くこの基準を動かそうとしなかったという不作為があったということは、ここで一度指摘をさせていただきたいと思います。
 ところで、前回、私たちが、この控訴に対して賛成をしたとき、二つのことを申し上げました。その一つに、ぜひ名古屋の最高裁、その後の差し戻しの高裁、そのさなかに行われた和解、つまり今まで申し上げたとおり、所有者は、明らかな情報格差があって、知り得ない情報が山ほどあって、更新、申し立てとかができない状況にあったこと、それから、五年では、少なくとも冷凍、物流というものが進化して、冷凍倉庫というものが一般に広く渡り合ってから、少なくとも五年というのは余りにも、さかのぼるとしては短過ぎるんじゃないかということで、できれば和解をしていただきたい。
 つまり、先ほどいったように、現場の職員に注意義務違反がなかったとするならば、じゃあ、国家賠償法上の過失はなかったかもしれない。でも少なくとも、財政上というか、経済上の被害は与えているんだから、それは補てんしてあげる。それが和解じゃないかと私たちは思いましたから、その和解のチャンスをぜひつくっていただきたい、その機会をつくっていただきたいという思いでも賛成をしますということを、本会議でも述べさせていただきました。
 では、これまで、この本件に対して、和解しようとする努力を行ってきたのかについて確認をさせていただきます。

○阿南資産税部長 和解する場合には、原告の主張ですとか、控訴審の判決を一定程度受け入れることが前提となります。
 しかし、本件の場合、控訴審判決の内容は、固定資産評価に係る基礎的かつ重大な法解釈の誤りがあること、さらに本年七月末の最高裁判断に違背するということから、都といたしましては、控訴審の判決を受け入れることはできないというふうに判断をいたしまして、和解を模索することなく、上告受理の申し立てを行ったところでございます。

○淺野委員 今のお話は、今回の上告の受理のタイミングでのお話だと思います。しかし、私たちが考えているのは、少なくとも控訴審判決が出るまでの間に、できれば和解をする努力をしていただきたかったということで、今の答弁の内容からすると、少なくとも、これまでに和解しようとする動きはなかったという判断をさせていただきたいと思います。
 また、そのもう一つの中にありました、もう一件の、これはたしか小牧市だったと思いますが、その最高裁の判決のところ、ここに違背するからこそ受け入れられないんだという話がございました。そのときには、複数用途家屋の取り扱いについては、評価基準に明示されていない以上、各課税団体の裁量による合理的な解釈、運用が許容され、適法、違法の問題は生じないというのがそのときの最高裁判決の中の一文であります。
 ここで、この一文をもし採用するというのであれば、ぜひ考えておいていただきたいことがあります。そもそも、徴税というのは、例えば、債権債務のときに最も順位が上であるということからもわかるように、大きな力を持っています。お金を回収するという中では、最も上に来るのが税でありまして、徴税というのはそれだけ大きな力があります。警察権力なくして国税局が査察ができるのも、そういった力がある、大いなる力があるということをまずわかっていただけると思います。
 そしてさらに、この固定資産税に関していうと、確かに国の基準があいまいだ、不明確だという状況の中では、自治体の各課税団体の裁量が認められているということを述べられています。つまり大きな自由があるということです。大きな自由とか、大きな力には同様に大きな責任が伴うのです。この場合の徴税あるいは裁量権といったものの裏返しにある大きな責任は何か。それは、自分たちで自由に決めていい、評価のやり方、基準で決められた範囲内であれば、その中で裁量権を発揮していいんだよということが、もし法律に定められていて、そのとおりに課税自治体が決めるのであれば、それは常に、現実に即しているのか、実際の徴収される側の人たちと、そごがないのか、そういったことを常に確認しながら、常にビルドアップする、常に更新していく、バージョンアップする、そういった努力を怠らないという責任が発生するんだと私は思います。
 先ほど伺ったように、平成十八年、名古屋で起きた問題を契機に、全国的に見直しの機運が高まったので基準を変えました。外圧的な要因です。私は、首都東京であるなら、率先して全国に対して何の問題も出ないうちから、この冷凍倉庫の今のやり方というのは現実に即していないよね、今、自分たちで評価を決める中で、冷凍倉庫というのは、もう今大分機能も上がっている、外観だけでは判断できない、用途を決めるというのはすごく困難になってきている。だから、こういうやり方をして、できるだけ現実に即していこう、そういう努力を、本来、東京都が見せていかなければいけなかったのじゃないか、それこそが、首都東京だ。
 知事が、日本を引っ張る牽引役である東京都だというのであれば、そういう制度の部分でも、せっかく先ほどの話でもあった公会計制度などで、日本全体の制度のいいところを引っ張っていくんだという意識があるなら、こういう固定資産税の評価のシステムにおいてだって、当然、東京都は、全国に先駆けて、どこかで問題が起きたから変えるのではなくて、自分たちが、冷凍倉庫が普及してから四十年もほうって置くんではなくて、もう五年、十年たった時点で、これ、現実に合っていないから変えましょうという言葉が、現場から起きてくるのか、あるいはそういった基準を考える部署から起きてくるのか、そういう声が上がってくるべきだったんじゃないかと思うんですね。それこそが、先ほどいった、大いなる力、大いなる自由の裏返しにある大きな責任なんじゃないか、それが責任の果たし方なんじゃないかと私は考えます。
 だから、ここでもう一つ確認をさせてもらいますが、国が定める評価基準、先ほどからのお話、あるいは我々の代表質問の答えでもありました、明確な定めがないのであったら、都はもっと早く基準を定めるべきだったと先ほど申し上げたとおりであります。
 なぜ、平成十八年度まで基準を改めることができなかったのか、伺いたいと思います。

○阿南資産税部長 国が定める評価基準に明確な定めがない中で、都といたしましては、平成十八年度以前におきましても、提要、マニュアル等におきまして基本的な事項について定めるとともに、研修等により、取り扱いの統一化を図ってまいりました。
 こうした中で、平成十八年、名古屋市における冷凍倉庫問題を契機といたしまして、全国的な制度見直しの機運を受け、都といたしましても、国に先立ち独自に冷凍倉庫の定義を定め、改めて調査を行った上で必要な見直しを行ったところでございます。

○淺野委員 問題が起きたときの取り組みの早さというのは、一定程度評価をしてもいいとは思います。ただ、先ほども申し上げたとおり、平成十八年度まで、基準を定める、変えることができなかったということは、これは、現場の職員の方々も含めて、主税局にかかわる方々、あるいは、都の職員の皆様方でしっかりと共有をしていただきたい、そのように考えます。
 そしてもう一つ、小牧市の事例が先ほどからちらっと出てきますけれども、小牧市は、あの裁判の話に載っているとおり、県の通達を受けて基準を変えております。
 しかし、都税の中では、東京都は、その基準をつくる役目も担っているわけであります。つまりみずからが基準をつくり、通達を出すというわけじゃないですが、自分の中で、また、その基準に基づいて評価を行っていくということをしているわけですから、少なくとも小牧市よりもさらに大きな責任があるということを、ぜひ自覚をしていただきたいと思います。
 さてここで、仮に、都の主張どおり、都が今までいっていたとおり、国家賠償法上の過失がなかったとして、しかし、過徴収分を五年分だけ還付するということで責任が果たされたと考えているのかを確認したいと思います。
 というのは、私が先ほどから申し上げているとおり、場合によっては、四十年の間、過徴収をされた方がいるというのは想像に難しくない状況なんですね。少なくとも、三十年、二十年という単位で過徴収された方々は絶対にいると思われます。であるなら、五年だけ還付して、それは地方税法で定められている最上限であるからといっても、だからそれでいいんだというのは、どうしても、都が、法律を盾にとって自分たちを守っているように感じてなりません。
 本来、法の枠で守られるべきは、総体的に弱者である都民の側でないかと考えるわけですが、この責任が果たされたのかどうかということについての都の見解を伺いたいと思います。

○阿南資産税部長 今回の訴訟におきましては、冷凍倉庫に係る国の評価基準が、当時の制度上、必ずしも明確でない中で、職員は、最大限、職務上の注意義務を払い、適正な評価、課税に努めてきたものでございます。国家賠償法の過失はないものと考えてございます。
 本件訴訟における過徴収分につきましては、平成十八年度の資産税部長通達に従いまして、同年に行った調査において、新たな基準を適用し、冷凍倉庫として位置づけたことから、納税者にとって最も有利な取り扱いをすべきというふうに判断して、地方税法が許容する最大五年分の還付を行ったものでございます。
 一般論として、固定資産税の評価、課税に当たって、税務職員は責任を持って賦課し、法令や基準に照らして評価内容等に変更があった場合には、速やかに対応しなければならないということは、当然のことであるというふうに考えてございます。

○淺野委員 一般論のところですね、私も同様だと思いますし、正直、現場の税務職員さんは責任を持ってやっていると思います。なぜなら、評価基準は変わっていなかったわけですから、その評価基準にのっとって適正に評価をして、続けてきたと。
 しかし、平成十八年に、その評価基準自体が現実に合っていなかったということで変えた。そこで五年分を返した。これは、本来であれば、基準を変えたところから未来に向かってだけやればよかったものを、都は、やはり、これは現実に即していなかった間の不作為というものを、意識的かどうかわかりませんが、その自分たちの不作為に対する責任感が発生したんだと私は感じたいんです。そう思うなら、五年ではなくて、もう少しさかのぼるという努力もしてよかったんじゃないのかなと私は思います。
 また、今の固定資産税の制度の仕組みの中でいわせていただければ、先ほどの冷凍倉庫とか一般倉庫の違い、これを機能とか用途で評価するというのであれば、そもそも今の冷凍倉庫というのは、外観上は、ほとんど区別がつかないんですね。今の冷凍技術というのは、冷凍倉庫の建物をつくって、それを冷凍で使うか、今はもう基準が変わりましたから冷蔵も冷凍倉庫として扱われますが、冷凍から、冷蔵から、一般の普通の室温まで、すべてスイッチ一つで、中のスイッチ一つで温度が幾らでも変えられるような機構になっているはずです。
 ということであれば、少なくとも航空写真や建物の外観を確認しただけで用途が変わったかどうかということは確認できない、かなり困難であることが容易に想像できます。
 であるならば、今後、今まで基準が変わったとはいえ、やはり用途で決めていくというのであれば、この冷凍倉庫というのをどのように適正に評価をしていくつもりなのかについて伺いたいと思います。

○阿南資産税部長 冷凍倉庫に対する経年減点補正率につきましては、平成二十四年度評価基準において明確化され、これまで定義があいまいでありました冷凍倉庫の用途区分が廃止され、新たに摂氏十度以下という冷蔵倉庫の用途区分が設けられたところでございます。このことによりまして、従来に比べ、用途認定やその後の用途変更の確認も容易になり、事務の適正化が格段に図られるようになったというふうに考えてございます。
 今後は、さらにホームページ等を活用し、資産利用状況等の変更があった場合の手続の周知を図ってまいりますとともに、より細かな用途の把握に関する実務上の取り扱いにつきましても研究をするなど、冷蔵倉庫施設等の一層の評価精度の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○淺野委員 先ほど、少し私も声が大きくなってしまいましたが、税を納める方々の感覚というか、その気持ちを、税務担当者の皆さんは、ぜひ理解というか、非常に自分たちのものとして感じていただきたいと思うんですね。
 何がいいたいかというと、今の、例えばホームページなどを利用しというところも、これまでよりは多分わかりやすくなるんだろうと思います。しかし、前回というか前の委員会で私が指摘をさせていただいた、情報格差をなくすために、課税の通知書の中には価格だけじゃなくて、その人の区分も載せるべきだという話がございましたが、そこだって、よりわかりやすく、より伝えやすくというところの部分、知恵を出す部分は山ほどあるはずだと思います。単純に何かマークを載っけたからいいとか、記号を載せたからいいなどではなくて、何の知識もない--税というのは本当に理解するのが難しい法制度になっています。
 これは、もちろん国がこれからいろいろなところで取り組んでいかなければいけない課題でもありますが、一般の方々が、税について理解するというのはかなり難しい。それは、附則の附則といって追いかけられていくような、これはもう皆さん方当然ご存じだと思いますが、物すごく複雑なものになっています。
 固定資産税だけじゃなく、すべての税制度というのは、とても複雑な法体系になっているのは否めません。それを一般の方々が理解できていない、もしくは理解するのはほぼ不可能だということを十分に自分たちで意識した上で、全く知識のない人が見ても、不利をこうむらないような情報の出し方、そして情報の集め方、評価の仕方というものは、これから一層、研究をしていっていただかなければならない。それは、資産税にかかわらず、すべての税制度についてということを、ぜひともここで強く申し上げておきたいと思います。
 そもそも、このような裁判が起こること、つまり過徴収、過納付、本来だったら納めなくていいはずの税金を納め過ぎてしまって、何年分返せ、五年じゃ足りない二十年だという争いが起こるということ自体が、一番最初に確認したように、現場の職員、あるいは働いている職員の方々に、注意義務違反がないという立場でいくのであれば、当然、制度もしくはこのシステムの構造、ここに何らかの不備があるという証拠になるんだと思います。
 この制度、税制度あるいは徴税制度、評価制度、さまざまなことが考えられますが、この制度の改善に、主税局として、今後どのように取り組んでいくのかということについて伺いたいと思います。

○新田主税局長 冷凍倉庫に係る固定資産評価につきましては、ここ数年来、全国的に大変な混乱状況が続いてまいりましたが、それは、そもそも冷凍倉庫とは何かという定義自体が不明確であったことなど、国の定める評価基準が極めてあいまいであったことが最大の、そして根底的な原因であったと考えております。
 この点につきましては、ようやく今年度の国の評価基準改正で、あいまいであった冷凍倉庫区分が廃止され、新たに明確に定義された冷蔵倉庫区分が設けられるなどの改善が実現し、制度の適正化は大きく前進いたしました。
 国の法令や基準によって、基本的な枠が決められている地方税におきましては、いかに国制度の影響が大きいか、改めて痛感したところでございます。
 今後とも、都としましては、国に対し、簡素でわかりやすい固定資産税制の実現を強く提案要求してまいる所存でございます。その際、都は、数多くの事例やノウハウ等を有していることから、まさに知事のいう、国とは異なり現場を抱えている都の強みを発揮して、単に国に要望するというのではなく、国に対して、あらゆる機会を通じて、資料やノウハウの提供を行いますとともに、具体的提案を行い、より実態を反映した制度の構築に向け、積極的な発信をしてまいりたいと考えております。
 さらに、都といたしましては、こうした制度改正の取り組みとともに、税部門としての責任感を強く意識しながら、税務事務の精度向上や納税者の立場に立った親切でわかりやすい税務事務の推進に向け、都議会の先生方のご指導、ご助言を賜りながら、一層の事務改善や職員の意識改革に取り組んでまいります。何とぞご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

○淺野委員 局長みずからが答弁をしていただきまして、ありがとうございました。その言葉の重みを、ぜひとも他の職員の皆様方も感じていただきたいと思います。
 固定資産税制、確かに国の制度の問題だと私も思います。思いますが、途中で申し上げたとおり、首都東京である以上、自由な裁量が認められる範囲では、できる限り納税者にとって適正で公正な制度となるように、あらゆる知恵を絞って努力を惜しまないということを見せつけていかなければならないと私は考えます。
 少なくとも、今回の冷凍倉庫事件に関して申し上げさせていただければ、それは、余りにも不作為の期間が長過ぎたということが率直な感想であり、また、それをぜひとも皆様方も、ご自身の感覚としてお持ちいただきたいということを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

○鈴木(章)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(章)委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十八分散会

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