委員長 | 鈴木 章浩君 |
副委員長 | たぞえ民夫君 |
副委員長 | 馬場 裕子君 |
理事 | 中山 信行君 |
理事 | 西岡真一郎君 |
理事 | 宇田川聡史君 |
加藤 雅之君 | |
福士 敬子君 | |
淺野 克彦君 | |
鈴木 勝博君 | |
田中たけし君 | |
鈴木 隆道君 | |
大塚たかあき君 | |
大沢 昇君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 安藤 立美君 |
経理部長 | 櫻井 務君 | |
契約調整担当部長 | 石井 正明君 | |
主計部長 | 武市 敬君 | |
財産運用部長 | 奥田 信之君 | |
利活用調整担当部長 | 岩瀬 和春君 | |
建築保全部長 | 末菅 辰雄君 | |
技術管理担当部長 | 室木 眞則君 | |
庁舎運営担当部長 | 藤森 教悦君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 細野 友希君 |
本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)
○鈴木(章)委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより収用委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木(勝)委員 道路整備や市街地再開発などのまちづくりを進めていく上で、個人の財産権を規制する収用委員会の果たす役割は非常に大きいと考えられますが、その活動状況、実態については、都民には十分に認知されていないように思われます。国においても地方においても、行政の中立公正を担保するために、また行政の適正化を保障するために、できるだけの行政の可視化が叫ばれているところです。そこで、本日は、収用委員会や収用委員の動向を可視化していくという観点から、幾つか質問をさせていただきます。
まず最初に、確認する意味で、収用委員会の果たすべき役割、その役割を果たしていく上での原理、原則、そして、収用委員会の委員はどのようなメンバーで構成され、どれくらいの報酬が支払われているのか、あわせてお伺いをいたします。
○細野収用委員会事務局長 収用委員会は、公共の利益となる事業について、事業を施行する起業者と土地所有者等の権利者との任意の契約交渉が不調の場合等に、土地収用法に基づき、起業者と権利者との間に立ち、補償金額等についての両者の利害を調整し、裁決あるいは和解などを行うことを職責としております。
このように、収用委員会は、公共利益の実現と財産権の保障との調整を図っていくことから、公正中立な立場で職務を遂行することを求められております。
収用委員は、土地収用法では、法律、経済または行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命することと規定しております。
現在、都の収用委員会では、これらの各分野における識見にすぐれた大学教授、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士の、合わせて七名で構成されております。
また、収用委員の報酬は、条例で月額を定めており、会長は五十二万八千円、委員は四十三万二千円となっております。
○鈴木(勝)委員 ただいまご説明があったように、収用委員に対しては、その対価として、年収に換算しますと、会長であれば約六百万円、そして、委員であれば約五百万円、総額にしますと年間四千万円近い委員会費用が支出されているということになります。
収用委員は、公共の利益の実現のために、権利者への正当な補償のもと、個人の財産権を規制し、権利者の意思にかかわらず、土地等を収用するための役割を担っているわけであり、その意味で、収用委員は非常に重要な職責を負っていると理解はできますが、委員の活動の実態はどのようになっているか、都民の税金が有効に使われているのかどうかという点では、私は気になるところです。
収用委員の活動の実態に関しては、先日の事務事業説明において、年間四十六日の委員会への出席のほか、個別事件ごとの指名委員としての活動が、委員合計で五十七日との説明がありました。指名委員としての活動状況については、委員一人当たりの換算で直しますと、平均活動日数は年間八日という結果になりまして、委員によっては、年間一日も活動がなされていない委員もいると伺っております。
十月三十日付の東京新聞にも、行政委員会の委員の報酬についての各都道府県の見解についての記事が掲載をされていました。二十九の道府県で、できるだけ委員の活動内容と業務に見合う報酬への見直しがなされているところです。
都は、行政委員の月額制の報酬から日額制の報酬へと制度改革をしている自治体が加速している中で、収用委員会の委員の報酬についてはどのように考えていらっしゃるのか、月額制が妥当なのかどうかも含め、見解をお伺いします。
○細野収用委員会事務局長 収用委員は、公共の利益の実現と財産権の保障との調整を図るという極めて重い職責がございます。また、収用委員会の会議への出席のほか、指名委員としての活動など多岐にわたる業務を行っております。また、東京都で取り扱う事件数は、昨年度でいえば百九件と、これは全国の六分の一を占めておりまして、多くの収用事件の処理に取り組んでおります。
このような職責と業務量等を勘案すれば、月額で報酬を行うことが適当であると考えております。
○鈴木(勝)委員 今、お話しいただいたように、肝心なのは、その対価に見合う活動をしているのかどうか、活動内容が重要であることは理解ができました。
そこで、収用委員が、収用手続の中で具体的にどのような活動をされているのか、その点についてお伺いいたします。
○細野収用委員会事務局長 収用委員の具体的な活動でございますが、起業者から土地の収用についての申請がなされますと、収用委員会では、審査をした上で受理し、あわせて、委員を指名して今後の事務の一部を委任した後、裁決手続の開始決定を行います。
指名された委員は、起業者、土地所有者等、当事者双方から提出される意見書の主張内容を確認するとともに、現地調査を行います。また、審理の場で、損失の補償や権利取得の時期などについて、当事者から直接意見も聞きます。指名委員は、このような手続を通じて、当事者双方の主張の整理や争点の明確化を図り、また、収用委員会としての裁決案の検討や、事務局に対するさまざまな指示を行っております。
また、収用委員会では、必要があれば、土地の価格や物件の補償などについて鑑定を行うこともあります。
このような指名委員の調査や鑑定の結果などを踏まえ、収用委員会は、裁決に向けた方針等を審議した上で裁決を行います。
以上が収用委員の主な活動でございますが、さらに、案件によっては、委員の専門分野からの調査検討も個別に行われております。
なお、事件によっては、裁決に至らず、当事者同士の合意が調い、和解や取り下げという形で終結する場合もございます。
さきの委員会の事務事業説明でご説明しました収用委員会開催日数や指名委員活動日数は、これらの一連の収用手続の一部でございまして、会議や現地調査、審理等、これらを一部の日数のみをカウントしているものでございまして、収用委員は、そのほか、公正中立な判断を下すため、多岐にわたり活動もしております。
先ほど、指名委員としての活動日数がない収用委員もいるとのお話がありましたが、たまたま二十二年度においては、指名された案件で現地調査や審理が行われず、活動日数のカウントとしてしなかったということでございます。
このように、収用委員は多様な活動を行っていることから、月収ということも妥当かと、そのように考えております。
○鈴木(勝)委員 今、お話をお伺いしますと、公益の実現と財産権の保障、この二つの同時達成に向けての公正中立な判断を下すため、委員会への出席等といった定量的な活動のほか、丁寧な都民に対する対応をしていただいているのは、よく理解ができました。
しかし、都民の感情から、活動日数がゼロの委員が実際におられるということは、なかなかこれは、月額制を納得していただくことは非常に難しいのではないかなと個人的には思います。ぜひとも対価に見合う活動を各収用委員がしっかりとされるように、報酬改定を視野に入れて、委員会の活動がより都民に理解されるように可視化を進めていくよう、強く要望をまずいたします。
さて、まちづくりを進めるための事業者と土地所有者との交渉が暗礁に乗り上げたときの切り札ともいえますこの収用制度、収用委員会の活動内容そのものが都民に正しく理解されているかといえば、まだまだ不十分なのではないでしょうか。収用手続そのものが個人の財産権にかかわるプライバシーにかかわり、その取り扱いや情報発信する内容は慎重でなければならないということは私も理解をしますが、収用委員会での取り組みを都民にもっと理解してもらうことが、今後さらに重要であると思います。
そこで、東京都では、都民等のニーズにこたえた迅速な情報提供や行政サービスを行うこととしていると思いますが、収用委員会事務局においてはどのような情報公開、情報発信をしているのか、お伺いをいたします。
○細野収用委員会事務局長 収用制度について都民等の理解を得ていくことは大切なことと認識しております。
都民にとって収用制度は、当事者になるといったことでない限り、なじみの薄いものでございます。そのため、制度の理解を深めていただくといった観点から、収用制度についてわかりやすく解説したパンフレットを作成し、配布しております。また、ホームページにおいても、収用制度の概要や収用委員会の活動実績等を掲載するなど、個々の収用事件の内容の掲載はプライバシーの観点から制約がある中で、工夫しながら積極的に情報発信の取り組みを行っているところでございます。
なお、収用制度は個人の財産権にかかわることを取り扱うものであり、合議で行う収用委員会の会議そのものは非公開としておりますが、当事者双方の意見を聞く審理につきましては、公正中立な審理が行われることを担保するという観点から公開となっております。
○鈴木(勝)委員 私は、情報発信や、今お話しいただいた情報公開、収用制度が常に公正中立に行われているかの検証につながるという意味でも、とても意義のあることだと考えております。
また、それだけではなく、都民にもっと情報発信をして収用制度の見える化を図ることは、収用制度のタイムリーな活用、手続の迅速化をもたらし、まちづくりの円滑化に大変寄与することになると考えております。
パンフレットやホームページで、制度の概要や活動実績を発信しているとのことですが、都民がどういう情報を求めているのかといった、都民の目線で考えていただいて情報発信をしていくことにより、収用制度の活用につなげていくべきと思いますが、所見をお伺いします。
○細野収用委員会事務局長 これまで収用制度についてPRを行ってきたことによって、都民の間に、徐々に理解が浸透してきたと考えております。
今後、収用制度の意義やメリット、効果について、さらなる周知を図っていくことによって、収用制度の一層の活用につなげていくことが大切であると考えております。
このため、権利者にとっての収用制度のメリット等を具体的にイメージできるような事例や、収用制度の活用によってまちづくりが進んでいる事例を示すなど、権利者、都民の視点で、情報発信の内容充実の取り組みを現在進めているところでございます。
○鈴木(勝)委員 ありがとうございます。
収用委員会や収用委員の動向についていろいろお聞きをしましたが、収用制度においても、その透明性を高めることが、事業効果を高めることにつながっていくと思います。
また、近隣県などとも収用手続についての有用な情報交換をするなどして、手続の効率化、迅速化を図っていくことも重要です。
決して従前の取り組みにとらわれることなく、収用制度に期待されている責務の大きさを認識し、都民にわかりやすく粘り強く情報発信をしていくことで収用制度が適切に活用される取り組みを推進していくことを要望しまして、私からの質問は終わります。
○田中委員 私も、先日ご説明がありました収用委員会事務局の事業概要に関しましてお伺いをいたします。
その中でも、都市基盤整備を行うに当たりまして、収用制度の利用促進という視点から、何点かお伺いをしたいと存じます。
さきの東日本大震災は、改めて都市の防災機能を考えさせられる大変大きなきっかけとなりました。東京においても、木造住宅密集地域の整備促進等に向けた取り組みや、震災時における緊急輸送道路の機能確保など、まちづくりの観点から、一層、防災の視点からの整備が求められているところであります。
私の地元、品川区におきましても、幾つかの地区で木造住宅密集地域での整備事業が行われております。木造密集対策におきましては、一般的には、延焼遮断帯などを目的とした道路整備も必要となってまいります。また、その用地を取得するに当たりまして、任意の交渉による売買契約が進められておりますが、なかなか難航している、そういった場面も目にしているところであります。そのような視点から事業が停滞してしまっているというような状況も多々見られているところであります。
東京のまちづくりを推進していくためには、今も議論がありましたけれども、公共の利益の実現を速やかに図っていくといった視点と、時には収用制度を効果的に活用していく、公共の利益を実現するという視点から収用制度を効果的に活用していくということが必要なんだろうと思っております。そういった意味で、収用委員会は、公平公正な判断のもとで公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、災害にも強い都市基盤の整備を円滑にかつ着実に進めるという大きな役割を担っているものだと思っております。
先日の事務事業概要の説明でもありましたけれども、取扱件数等の推移について説明がありました。改めて、収用委員会における最近の新規の申請件数の推移がどうなっているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○細野収用委員会事務局長 ご指摘のように、収用制度は、都市基盤の整備に重要な役割を担っております。
お尋ねの新規申請件数ですが、平成十八年度、六十件、十九年度、四十八件、二十年度、五十一件、二十一年度、六十一件、二十二年度、四十七件と、おおむね五十件前後で推移してきています。
申請される事件の傾向につきましては、「十年後の東京」に掲げられている三環状道路や幹線道路の整備、鉄道連続立体交差事業に伴うものなど、大規模なインフラ整備に伴うものが増加しております。
また、権利者が多数存在するマンション敷地の収用事件や、土地の境界が未確定で境界をめぐって争いのあるものなど、権利関係が複雑で事件処理が困難な、いわば大都市特有の、特性を反映した事件もふえております。
○田中委員 ここのところの件数の推移、そしてまた、大都市特有の課題点、問題点というのもご答弁をいただきましたが、毎年、おおよそ五十件程度の申請があるということでございました。この件数が、多いと見るのか、少ないと見るのかというところでありますが、「十年後の東京」計画に掲げられました事業の推進や、都や区市が取り組んでいる都市計画道路の事業化計画に掲げられました対象路線の事業推進を考えていきますと、全体での収用制度の活用といった視点でいうと、まだまだ不十分なような気がいたしております。
品川区におきまして、中央環状品川線を初め、推進がされておりますが、「十年後の東京」や、区部における都市計画道路の整備方針にある事業等では、用地買収や工事が着々と進められております。まちづくりを担当している職員や事業に係る権利者、そして、都民に対する収用制度の周知が若干不足をしているのではないか、収用制度の周知が不足していることによって、収用制度の活用が図られていない、そういったことにつながっているのではないかという思いをしております。
実際に、区の職員あるいは地元の方々などのお話を聞きますと、やはり収用という言葉、表現には、強制収用といったイメージがどうしてもそこに入ってしまいまして、その活用をちゅうちょするとか、余り協力したくない、また、収用に係る手続がわからないといった、そんな話も伺います。
公共事業を担当している市や区の職員、自分の土地や建物が公共事業の対象となっている都民に対しまして、収用制度の内容、仕組みといったものを十分に理解してもらいつつ、これら事業にかかわっている方へ、何らかの支援を展開していくことこそが必要不可欠なのではないかと思っております。
先週の事務事業概要の説明では、事務局において、収用制度の周知及び活用促進を図り、東京のまちづくりに一層寄与するため、平成十六年に収用制度活用プランを策定し、起業者等への周知や相談対応等の取り組みを行ってきたとのお話もございましたが、これまでにどのような取り組みを行ってきたのか。また、その取り組みによりましてどのような成果があったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○細野収用委員会事務局長 私ども事務局においては、収用制度の活用を図るため、平成十六年にプランを作成し、それに基づき、収用制度の活用を促進する取り組みを進めてきたところでございます。
まず、都内の区市等に対しては、市長、区長などの首長や用地部署を訪問し、収用制度の意義や効果等についてPR活動を行うとともに、出前講座や出張相談により、担当職員に対する制度活用に向けた支援を行ってまいりました。
一方、土地の所有者等の権利者に対しては、相談支援センターを開設し、事前相談を実施するなど、収用制度の理解を深め、支援する取り組みを行っているところでございます。
プラン策定前は、全体の一割程度しかなかった区市等からの取扱事件数の割合が、平成二十二年度は三三%を占めるまでにふえてきており、これまでの取り組みの成果が上がっているものと考えております。
○田中委員 今、ご答弁にありましたように、以前は一〇%台だったものが、三〇%台にまで増加してきているということでございまして、このことは高く評価をしていきたいと思いますが、収用制度にふなれな区市町へ支援を図っていくことも、非常に意義のあることだと思っております。
我が党では、昨年の事務事業質疑において、区市も含めた東京全体の都市基盤整備を底上げしていくという視点に立って、都民の理解も得ながら、公正かつ迅速な事件処理が進められるよう、収用制度活用プランの見直しに取り組むべきとの指摘を行いました。
収用制度の活用促進に向けた取り組みをさらに強化していくべきと考えておりますが、ことしの三月に改定されたプランには、どのように反映されているのでしょうか。改定したプランの考え方と、その具体的内容についてお伺いをします。
○細野収用委員会事務局長 「十年後の東京」に定められた計画の実現や、都市計画道路の整備方針に基づく道路整備の推進のためには、計画的かつ効率的に用地取得を進めることが必要であり、収用制度の周知と適切な活用が一層必要となります。このため、まさにまちづくりを底上げしていくという視点でプランを改定したものでございます。
改定したプランにおいては、従前のプランに基づく成果や効果も検証し、収用制度のPR活動、起業者、権利者への支援、収用制度の活用に向けた基盤づくりを三つの柱に、取り組みを充実させたところでございます。
区市等への取り組みとしては、これまでの用地部署訪問や出張相談、出前講座を今後も継続して行うとともに、新たに、実務担当者の多様なレベルに合わせた研修カリキュラムの実施や、わかりやすい申請の手引の提供等を行ってまいります。
また、広く都民に対しても、相談支援センターにおける支援等を継続するとともに、ホームページの活用や利便性の向上を図ることなどによって、一層の理解の促進に努めてまいります。
さらに、人材育成の充実により、事務局機能の強化等を図っていくこととしております。
○田中委員 収用制度の今日的に果たすべき役割、これまでの成果や今後の課題を踏まえプランの改定を行ったということは現実に即しておりまして、評価をするところであります。
日本の首都東京がその都市機能を十分に発揮するためには、円滑な都市活動のための道路ネットワークの早期形成が不可欠であります。また、防災の観点からも、早期に東京のまちづくりを進めることが喫緊の課題となっております。
まちづくりの担当者は、公共の利益の実現に向け、日夜、土地の権利者等との交渉に苦労されていると思いますが、一つの事業が、たった一人の権利者の理解が得られないことにより、多くの都民が長期間にわたり、当該公共事業の効果、便益を享受できないケースも幾つか見られます。計画の速やかな実現のためには、第三者機関としての収用委員会が有効に活用されることは、災害に強いまちづくりを進める上でも極めて重要であろうと認識をしております。
改定したプランに従い、収用制度の活用に向けて、さまざまな取り組みをなお一層粘り強く行っていくことが大事であろうかと思っております。収用委員会が東京のまちづくりに貢献することを期待してやまないところでありますが、改めて局長のご決意をお伺いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○細野収用委員会事務局長 田中委員ご指摘のとおり、「十年後の東京」を実現し、震災に強いまちづくりを着実に進めていくためにも、収用制度が適切に活用されることが重要であります。
一方、東京における収用案件では、権利者が多数存在する、あるいは権利関係が複雑であるといった大都市特有の困難な事案が増加することが予想されます。
このような状況の中で、収用制度の一層の活用を図り、公正で迅速な事件処理を促進していくためには、都や区市等の起業者だけでなく、土地所有者や都民に対して、収用制度の意義や効果について正確にご理解いただき、ご協力を得ること、そしてまた、担当職員の実務能力の向上を図ることなど、事業者への支援を強化することなどが求められております。
収用委員会事務局としては、東京のまちづくりに果たす役割を十分認識し、今後とも、活用プランに定めた内容に全力で取り組み、東京のまちづくりの実現に向けて貢献してまいりたいと考えております。
○鈴木(章)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木(章)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○鈴木(章)委員長 これより財務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○櫻井経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求をいただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
今回要求がございました資料は、五件でございます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
最初に、まず表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は、目次に記載がしてございますとおり、五件でございます。
もう一枚ページをおめくりいただきまして、まず、要求資料第1号をごらんください。
これは、財務局が所管をしております三つの土地信託ごとに、これまでの信託報酬と信託配当の実績を表にまとめたものでございます。
また、次のページをお開きください。要求資料の第2号でございます。
これは、三つの土地信託ごとに、これまでの支払い利息の実績を表にまとめたものでございます。
さらに、もう一ページおめくりください。要求資料第3号は、三つの土地信託ごとに、これまでの借入金の返済額の実績と、平成二十二年度末におきます借入金残高につきまして表にまとめたものでございます。
さらに、もう一ページおめくりいただきまして、要求資料第4号をごらんください。
こちらは、社会資本等整備基金につきまして、直近五年間の推移をお示ししたものでございます。
そして、次のページ、最後のページでございます。要求資料の第5号でございます。
こちらは、財源として活用可能な基金の残高につきまして、直近五年間の推移をお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木(章)委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○西岡委員 財務局の事務事業に関して伺ってまいります。
まずは、東京都の都債について伺わせていただきます。
都税収入は、景気の影響を直に受けまして三年連続の減となっており、さらに、震災の影響、海外経済の動向、昨今の円高の状況を見ましても、この先、伸びを期待することは非常に難しい状況になっております。こうした中で、都政がその役割をしっかりと果たしていく上で、どのように財源を確保していくのかが、これがますます重要な問題になるものと認識をしております。
法人事業税の暫定措置の撤廃も、もちろん、その一つだと思っております。その上で、都債の果たす役割は大きく、適切な活用を図っていくことが求められますが、一方で、将来の負債であることも踏まえれば、発行の規模に関しても、将来を見据えた議論を行った上での活用を進めることが必要であると思います。
また、東日本大震災の影響により、電力債の代替需要として、今、地方債の利回りが低下しているという情報もあります。ある意味、発行主体である地方自治体にとっては、地方債を発行していくチャンスでもあると見られますが、しかし、市場の動向は刻一刻と変化するものであり、いつまでも都にとって有利な状況が続くとも限りません。
こうした中で、都としての貴重な財源である都債をどのように活用し、さらに財政の健全性維持との両立を図っていくのか、また、国の動向なども踏まえて、どのように戦略的に都債管理を行っていくのかという観点から、数点、質問させていただきます。
まず、二十三年度予算の歳入における都債は、補正予算後の数字で見ますと五千億円近くになっておりまして、増加傾向にあります。平成二十三年度における都債活用の考え方について、まず最初に伺います。
○武市主計部長 都債には、世代間の負担の公平あるいは財政収入の年度間調整を図る機能があり、計画的な財政運営を行う上で重要な役割を担っております。
かつてバブル経済が崩壊して以降、都は積極的な財政運営を行いまして、都債もかなり大量に発行を続けたことから、石原知事就任直後、都債残高は七兆円を超える規模にまで膨らんでおり、都債の管理は急務を要する課題でございました。そのため、平成十二年度以降は、都債の新規発行を抑制することによりまして、都債残高を大幅に減少させてまいりました。
ただ、平成二十一年度以降は、リーマンショックの影響などによりまして、都税収入が再び大幅に落ち込んでまいりましたため、財政再建の成果であります都債の発行余力を活用すること、すなわち、都債の発行を増額することで必要な財源を確保いたしました。
平成二十三年度も引き続きまして、財源確保の手法として都債を活用し、一般会計予算における都債の発行額は、補正予算を含めて四千九百九十六億円となっております。
○西岡委員 過去の発行水準を見てみますと、抑制基調であった平成十二年度から二十年度までの間の起債の水準に比べると、非常に高くなっているんだと思います。平成二十一年度に都税収入が一兆円も落ち込んで以降、都債の活用は、いわば積極路線に変わってきているんだと思います。債券発行は、やはり負債を抱えることと同じでありますから、適切な水準については検証が必要になっているというふうに思います。
この点について、都はこれまで都債の発行余力を培ってきたということを、時にお話しをされますが、この発行余力を具体的にとらえるということは非常に難しいものと認識をしております。
そこで、都は、この発行余力をどのように培ってきたのか、また、発行余力というものを具体的な効果としてとらえると、どのような説明になるのか伺ってまいります。
○武市主計部長 都債の発行余力、すなわち、どれぐらい都債を発行する体力を都財政が備えているかということでございますが、この発行余力というものは、幾つかの指標を複合的に見て判断すべきものかなと思っております。
まず、フローの面で見ますと、現在の予算が過剰に都債に依存をしていないかどうか、そこがポイントになるのかなと考えておりまして、平成四年度から十一年度までにおける都債の年平均発行額が七千六百億円でありましたのに対し、平成十二年度から二十二年度までにおけます都債の年平均発行額は三千二百億円と、四割の水準にまで抑制をしてまいりました。
また、ストック、都債残高の面で見ますと、今の残高が将来の財政運営の圧迫要因となっていないかどうかという点がポイントでございまして、平成十九年度から二十年度にかけまして、都税収入の増加を背景に、過去に発行した都債の借りかえを抑制し、元金償還を確実に進めるとともに、平成十五年度には五千億円を超えていた減債基金の積立不足を、平成十九年度にはすべて解消いたしました。その結果、普通会計における都債残高が、平成十二年度の七兆六千億円をピークに、平成二十二年度には五兆七千億円と二兆円減少しており、公債費、元利償還金の支出も、あわせて減少してございます。
このように、財政再建の取り組みを通じて、着実に都財政の体力の回復、発行余力の拡充を図ってきた結果、現在は十分な発行余力を備えているものと認識しております。
○西岡委員 ありがとうございます。
減債基金の積立不足を十九年度にすべて解消もしているということでありました。確かに、過去の大量発行を続けていた場合に比べますと、公債費の縮減が図られていることは一定の成果であるといえます。しかし、とはいっても、これは平成十九年度までの起債抑制の効果であって、いつまでもその効果が続くわけではありません。
来年度の予算編成についてはこれからの話でありますが、具体的な発行水準について、現時点では数字がないと思いますけれども、景気の動向を考えれば、大幅な都税収入増が見込めるとは到底思えないわけであります。そうなると、現在と同様の都債の積極活用路線が続いていくのではないかというふうに懸念をするわけであります。
現在の発行水準は、補正予算を経て五千億円近くになってきておりますが、この水準で、今後、都財政の健全性が維持されていくといえるのかどうか伺っておきたいと思います。
○武市主計部長 先ほども申し上げましたとおり、補正予算を反映した二十三年度の都債の発行額は五千億円近くになっておりますが、それでも起債依存度は、まだ一けた台であります七・九%となっておりまして、これは、国の起債依存度四七・九%、あるいは地方財政全体の起債依存度一三・九%と比べますと、極めて低い水準にあるのかなと考えております。
また、その元利償還の水準をはかる指標であります実質公債費比率を見てみますと、こちらは、都道府県の平成二十二年度の決算値が、最も高い団体では二四・一%、都道府県平均ですと一三・五%となっているのに比べまして、東京都は、全都道府県中最も低い二・二%にとどまっております。
こうしたことから、都債の発行水準は、現在の五千億円という水準は適切な範囲におさまっているというふうに考えておりまして、都財政の健全性は維持されているものと認識をしております。
○西岡委員 都債の活用も、返済能力を超えた水準までいってしまうということになれば、将来に大きな負担を残すことになり、これはもう絶対に避けなければいけないと思います。
また、適切な状況を超えた財政運営を行ってしまえば、現在、都債が得ている市場の信認、これ、都債には市場の信用が大変重要でありますけれども、この信認も失ってしまうことになりかねないわけであります。仮に信認を失えば、利率も上がり、結果として、公債費の負担が将来的に増加するという悪循環になってまいります。
こうした都債の発行条件を決めるのは、まさに債券市場ではありますが、現在では、都債の発行条件は大変いい状況にあると聞いております。東日本大震災の影響で、地方債の利回りが低下しているということでありますが、都債の発行について具体的にどのような影響があったのか伺います。
○武市主計部長 地方債市場におきましては、三月の震災直後は、基準となる国債金利に対します上乗せ幅、これはスプレッドと呼ばれておりますけれども、このスプレッドが一時的に上昇をいたしましたが、その後の投資家需要が地方債に集中するということによりまして、スプレッドは急激に低下し、七月以降は過去最低水準での発行が続いております。
都債におきましても、地方投資家を中心に多くの需要を集めまして、基幹商品であります十年都債のスプレッドは、七月以降、〇・〇二%という過去最低を維持しておりまして、非常に好条件での発行が続いております。
これは、冒頭、先生の方からもお話がございましたが、債券市場の約五%を占めておりまして、安全性が高く流動性がある銘柄と位置づけられておりました電力債への信頼が、東日本大震災を機に一変いたしまして、電力債の起債自体も途絶えると、そういった状況の中で、電力債にかわる安全な銘柄として地方債への人気が集まっていることが、主なその要因であると考えております。
○西岡委員 今、答弁にもありましたが、電力債が出ないという状況によって、非常に地方債への需要が高まっているとありましたけれども、こうした状況がいつまでも続くとは限りません。適切な財政運営を行っていなければ、すぐに市場の信認を失ってしまうのではないかとも考えられます。
これからも適切な発行条件で都債を安定的に消化していくためにも、適切な発行水準を保っていくことはもちろんでありますが、一方で、国の動向など外部環境の影響も十分に予測しながら起債運営を行っていかなければなりません。
都債発行には、信認度をはかる指標として格付というものが用いられております。東京都の格付は、平成二十年三月にスタンダード・アンド・プアーズから格付を取得いたしまして、外債及び国内債とともに、これはダブルA、安定的でありました。その後、日本国債格付の変更を理由に、平成二十二年一月に、見通しがネガティブに変更となり、平成二十三年一月には、ダブルAマイナス、安定的に格下げ、同年四月には、見通しがネガティブとなりました。他の自治体と比べると、しかし、東京都は、最も高い水準で現在に至っていることも事実であります。
一方、平成十九年二月に取得したムーディーズ・インベスターズ・サービスは、平成二十一年五月に、格付方針を国格付を上限とする方針に一方的に変更したため、都は、そのとき撤回を依頼しましたが、八月にはムーディーズの格付をすべて取り下げたという経過もあります。
都債の市場への信認度をはかる指標として格付があるわけでありますが、国の財政運営が東京都債の格付に与える影響はどのようになっているのか伺います。
○武市主計部長 先生からも今お話がございましたとおり、海外の大手格付機関でありますムーディーズは、平成二十一年、自治体の格付は国債格付を上限とする方針に見直しを行いまして、しかも、一方的かつ十分な説明もないまま、東京都を含む地方自治体の格付を同時に引き下げております。
また、ムーディーズと並びます二大大手格付機関でありますスタンダード・アンド・プアーズ、SアンドPも、これまでに三度、東京都の格付や見通しの変更を行っておりますが、これは、いずれも国債の格付が変更となったことを受けて変更されたものばかりでございます。
SアンドPは、東京都につきまして、財政基盤が最も強固で、財政内容の健全性も最高水準にあるというふうに認めていながら、一方で、日本の地方財政制度が大きく転換し、国から独立した自立的な財政運営が可能とならない限り、格付が国債格付を上回る可能性は低いという説明をしております。
こうしたことから、今後も都の格付は、国債格付の変更を唯一の理由として格下げとなる、そういった影響を受けることが懸念されております。
○西岡委員 ありがとうございます。
地方債は国の制度の中にあるために、国の基準を超えられないというのは仕方のないことでありますけれども、やはり都財政の健全性は、そういう格付会社の状況があるならば、独自に健全性を広く対外的にアピールしていくことも、これは極めて重要であろうと。また、格付だけに頼ることなく、都が独自に努力して、東京都として発信をしていくということも必要だろうと考えております。
これからは、地方が主体的に財政運営を行う上で、財政健全化に十分配慮した運営を行うことはもちろんのこと、起債についても、みずからの責任でより機動的に、また戦略的に行っていくことも必要であります。地方債を発行するには総務大臣への協議が必要でありますけれども、民主党政権の中で、地域主権改革の一環として協議制を見直す方向となっております。財政状況の良好な団体は協議が不要となるなどの動きがあります。
現在の協議制における起債運営上の課題は何なのかを伺っておきたいと思います。
○武市主計部長 現在、地方債を新規発行するには、国との協議が必要であります。その協議の結果、国の同意が得られた地方債は地方財政計画に反映されることによりまして、地方交付税制度を通じた国の財源保障が得られるというのがありまして、これは地方にとってはメリットであろうというふうに思います。
一方、総務省が告示で示した協議スケジュールにのっとって手続を進めますと、国の同意が得られるのが九月中となりまして、新年度が始まってから約半年間は、実質的に新規の地方債を発行することができない。すなわち、市場の金利の動向にかかわらず、年度後半に発行を集中せざるを得ないということになっておりまして、これが最大のデメリットであろうというふうに思います。
なお、国では、地方分権の一層の推進を図る観点から、協議制から事前届け出制への移行を進め、法律を八月三十日に改正いたしましたが、その法の施行時期や事前届け出制の対象となる団体の条件など、そういった詳細につきましては政令等に委任をしておりまして、手続、スケジュールも含めまして、その内容はまだ明らかになっておりません。
○西岡委員 ご答弁をいただきましたように、この協議制の見直しは、これまで護送船団方式で行ってきた地方の自主性、自立性を高めるものであり、健全財政に尽力している都にとっては、資金調達を容易にするものであるとして、私は地方分権の観点からも歓迎されるべきものであると思います。
また、この協議制の見直しにより、事務負担が大幅に軽減をされますし、発行までの期間が短縮されることとなり、また発行時期が多様化することとなれば、投資家の方々の選択の機会がふえることになるなどのメリット、利点があるものと思います。
したがって、国の動向によっては、より機動的な起債が可能になることも想定をされ、地方自治体の起債に対する責任は、その分、ますます重くなってくると思われます。都は、これからも適切な水準を維持しつつ、市場の信頼を得て、円滑に消化できる体制を構築していかなければならないと考えます。
最後に、円滑な都債の発行を進める上で、市場の信頼をどのように得ていくのか伺ってまいります。
○武市主計部長 市場の信頼を得るためには、大きくいいまして、二点必要かなと考えます。
まず一つは、例えば、税収の変動にも十分対応できるような強固な財政基盤を持続していくことにあるというふうに考えています。
さらに二点目といたしまして、その堅実な財政運営について、投資家の方々に対し日ごろからアピールすることによりまして、都債に対する安心感を持っていただくということでございます。
例えば、その具体的な活動といたしましては、先月、機関投資家を対象とした都債説明会を開催いたしまして、約百四十名の方にご参加をいただき、二十二年度決算を中心に都の財政状況についてご説明をいたしました。また、機関投資家の個別訪問を積極的に行いまして、都政の最新情報を提供するなど、投資家との丁寧な対応を継続して実施しております。
今後とも、堅実な財政運営を行いながら、積極的なIR活動、投資家情報提供活動を継続し、投資家の皆様方からの信頼を保つよう努めてまいります。
○西岡委員 都債の発行条件は、現在、地方債の中でもよいレベルであるということであります。今後ともこうした努力を続けていただいて、また、将来世代への負担のことも十分考慮に入れつつ、今後とも都債の活用を引き続き検討していただきたいと思います。そして、次の質問に移ります。
次に、主に防災面からの都庁舎の管理について伺ってまいります。
まず、都庁舎の長周期地震動対策について伺います。
東日本大震災は、新宿副都心の超高層ビルに長周期地震動を引き起こしました。四十八階建ての東京都庁第一庁舎、片側で六十五センチメートル揺れ、五十四階建ての新宿センタービルは、十三分間にわたり、片側で五十四センチメートル揺れたとのことであります。
震災後、都議会民主党の防災対策の検討会では、最近、東京消防庁が導入した、いすに座るだけでリアルな地震体験ができる地震動シミュレーターというもので、我々も実際に地震波を体感いたしました。私もそのいすに座りまして、とてもリアルな長周期地震動を体感しましたが、本当に驚くほど長く、そして左右に移動する、信じられないような怖い揺れを体験いたしました。都庁の職員の方も、大勢の方が体験してしまったんだと思います。
東京には、最近の耐震技術の進展によって、六十メートルを超す超高層建築物は千棟を超え、超高層マンションも急増し、四百棟を超える数となりました。
一方、東京の地下構造が長周期地震動を増幅させる地盤であることを考えれば、都が最も被害を受ける長周期地震動の対策を十分に行っていかなければなりません。
そこで、五月、都は、国の対策試案の方法による東海、東南海、南海の三連動地震の影響を踏まえ、耐震安全性調査委員会での検討結果を踏まえ、都庁舎の長周期地震動対策を発表されました。その内容は、平成二十六年度からの都庁舎の更新に合わせて、およそ四十億円の経費をかけて対策を講じていくものということで発表されております。
都庁舎の対策は、制御装置であるオイルダンパーというものの設置を対策の中心に置いておりまして、第一庁舎のオフィス内で九十四カ所、第二庁舎で六十一カ所設置する対策となっております。
この取り組みによる都庁舎における具体的な効果の検証、このオイルダンパーを設置することで、実際にどのように長周期地震動の抑制につながっていくのか、その具体的な効果の検証について伺っておきたいと思います。
○室木技術管理担当部長 都庁舎の長周期地震動対策についてであります。
長周期地震動による超高層建築物などへの影響が指摘される中、都では、都庁舎への影響を把握する必要があるため、耐震安全性調査委員会を設置し、調査検討を進めてまいりました。
この委員会において、最新の知見に基づく長周期地震動の設定や、それによる現状の都庁舎への影響を検討した結果、長時間の繰り返しの揺れにより、一部の構造部材で損傷が生じる階の発生や、仕上げ材及び設備配管の一部脱落や損傷が生じ、一部の業務に支障を来す可能性のあることが明らかになりました。
このため、大地震発生時において、建物の変形を小さくし、大きな揺れを早くおさめるなど、都庁舎の耐震安全性を向上させることを目的に制振装置を設置することといたしました。このことによりまして、大地震発生後、構造体を補修することなく都庁舎が使用でき、業務に支障を来す仕上げ材や設備配管などの損傷に至るような大きな変形が生じないことが確認されております。
○西岡委員 具体的な効果を確認しているということでありますので、着実にこの対策を打っていただきたいと思います。
また、都内の超高層建築物は、多くの人々が生活し活動する場所でもあるため、対策の普及啓発を図っていくこと、都庁舎の成果を常に情報発信していくということ、また、都民や関係団体に的確に情報を提供していくということを求めておきたいと思います。
人々の生命、財産を守る取り組みを積極的に行うとともに、災害時の拠点である都庁舎の安全確保に万全を期すことを求めておきたいと思います。
次に、都庁舎への地震計の設置について伺います。
平成三年の都庁舎竣工時に、加速度検知器、記録装置などから構成される地震計が都庁舎には設置されています。加速度検知器は、第一本庁舎で八台、第二本庁舎で七台、そして地中に二台となっており、計十七台が既に設置をされています。都庁舎では、設置されている地震計により、地震が発生したときの地震動の大きさや、建物の揺れの継続時間などを観測し、そのデータを記録しております。
そして本年六月の東京都の補正予算によって、加速度検知器を第一本庁舎と第二本庁舎に増設することになっております。この増設状況及び増設による都庁舎の地震対策にどのような効果が期待できるのか伺います。
○室木技術管理担当部長 都庁舎におきます地震計についてでございます。
都庁舎においては、地震の大きさを把握するため、平成三年の竣工時から、先生のご指摘にありましたように、加速度検知器や記録装置などから構成されております地震計を設置しております。
今回の緊急対策では、現状設置されております加速度検知器は十七台でございますが、新たに十台を増設いたしまして、計二十七台にすることなどによりまして、地震計の機能を拡充するものでございます。これによりまして、今回のような大地震の発生直後に、建物や設備の状況を早期に把握することが可能となり、都庁舎の復旧活動など、初動態勢の早期確立や二次災害の防止ができるようになります。
こうした取り組みから、来庁者や職員などのより一層の安全確保を可能としていくとともに、防災拠点である都庁舎の機能確保を図ってまいります。
○西岡委員 今、初めて数値が発表されたと思うんですけれども、今年度内に十台地震計が増設されて、合計二十七台になるということであります。来庁者や都民の安全確保、災害時のかなめとなる都庁舎の安全対策に、ぜひ万全を期していただきたいというふうに思います。
次に、都庁舎の節電対策について伺っておきたいと思います。
特に、ことしの夏の節電対策と、これから来ることしの冬への対策について伺います。
ことしの夏の節電は、本当に都庁舎の皆様方も大変ご苦労され、ご努力されたことと思います。都庁舎でのことしの夏の節電対策は、政府目標の一五%を大きく上回る二五%減が達成されたことが発表されており、電気代も三千四百万円の節約になったと発表されました。
計画停電という事態などは初めて体験する事態であり、都庁舎としては、民間への模範的な存在であることから、とても熱心に取り組んだことと思います。都庁舎は、昨年までに既に、かなり一定の取り組みを行っていたわけでありますから、ことしの取り組みは相当な努力の結果と受けとめております。
これらの取り組みの結果、照明などにおいては、健康に悪影響を及ぼすことなく、今後も継続して常時取り組める課題ではないかということが明らかになるなど、新たな発見もありました。
一方で、来年の夏以降やことしの冬に向けて、さまざまな総括をすることも必要なのかなと考えています。
今後も電力の供給状況は厳しい局面が続くため、当然、これからも節電の努力は必要でありますけれども、ピーク時以外の取り組みに関しては、都民全体の模範的立場である都庁舎として、ピーク以外のときにどうあるべきなのかということは検証をしておいた方がいいのかなという思いも実はあるんです。
今回の節電対策について、都庁舎としてどのような課題があったのかお伺いしたいと思いますし、また、もう間もなく冬が来ます。ことしの冬の都庁舎の節電対策については、どのような方針なのかを伺っておきたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎におけるこの夏の節電対策につきましては、東京都電力対策緊急プログラムを受けまして、国の削減目標の一五%削減を上回る二五%削減を目標にし、主に空調、照明、昇降機関係の節電対策を講じることにより、この目標値を上回る削減を達成することができました。
しかしながら、例えば、朝や昼の時間帯におけるエレベーターの混雑など、来庁者や職員に対しまして、いわゆる我慢の節電を強いてきた面もあったことは事実でございます。今回の震災に伴う電力不足は今後も予断を許さない状況でございまして、この夏の節電対策の検証等を踏まえまして、エレベーターの稼働台数をふやす一方で、照明の二分の一消灯など、効率的で無理のない節電対策について、引き続き継続してまいります。
さらに、この冬に向けてでございますが、都庁舎が機密性のある建物でございまして、職員やOA機器などから発生する熱による室温上昇を抑制する空調運転が必要なため、今後、空調運転の試行や検証を進めながら、冬場の効率的な運転方法や室温設定などについて検討していくこととしております。
○西岡委員 ぜひ引き続き検証していただきたいと思います。
私も、この冬の対策をいろいろと調査する中で初めてわかったのですが、都庁舎は、真冬でも逆に冷房を入れて冷やさなければいけないときもあるというぐらい、独特な都庁舎の特徴があるようでありまして、なかなか一般的な、普通に考える対策とまた違った感覚が必要なんだなということも理解をしたところであります。
いずれにしても、私が申し上げたいのは、ことしの夏はもちろん頑張らなければいけなかったわけであります、常時。しかし、このピークカット以外に、例えば健康面、都庁舎の話ではありませんけれども、夜の防犯灯になるようなところまで消してしまっていたりとか、いろいろと反省すべき面もあるし、そのピーク時以外--ピーク時はもちろん、みんなで何としても計画停電を阻止するために頑張るわけですが、それを乗り越えた一定の、例えば夜間とかは、その節電の仕分け、やれるものはもちろんやるんですけれども、やはり常識的な範囲の中できちっと守るべきものもあるのではないかという思いもありまして、ぜひ都民の目線からも、また職員の目線からも、さまざまな面から、来年の夏も同様に厳しい夏が来るといわれておりますので、ことしの経験をぜひ総括していただいて生かしていただきたいし、先ほど我慢の節電という言葉がありましたけれども、できる節電というのでしょうか、適切な節電、そういう考え方でまた取り組んでいただきたいと思います。
次に、都庁舎の電力確保について伺っておきたいと思います。
先日の新聞報道によりますと、都庁舎で使用する電力に関して、東京電力からのみではなくて、新たに電力の一部を東京ガスから購入する方針が固まったとのことであります。そこで、この方針は、来年度からの導入となっておりまして、都庁舎全体の最大需要電力一万一千キロワットのうち、まずは三割程度となる三千キロワットを確保すると聞いております。
この取り組みは、災害時のリスク分散による都庁機能の確保というふうに認識をいたします。電力は、新宿新都心地域冷暖房設備の天然ガスによるガスタービンコージェネレーションからの電力供給を購入するとされています。今回の取り組みによって、東京電力、東京ガス、そして非常用自家発電という三系統の電力が確保されることになります。
都庁舎は、東京ガスから電力の購入を検討しているということでありますが、現在、この件についてどのような検討を行っているのか、また、今後の見通しについて伺います。
○末菅建築保全部長 都庁舎の電力は、東京電力から供給を受けております。その東京電力からの供給に加えまして、都庁舎などに冷暖房の熱等を供給している地域冷暖房センターから、ガスタービンにより発電した電力の供給を受け入れる電力供給の多重化を現在検討しているところでございます。これは、先生がお話しのとおり、地震等災害時における都庁舎の電源確保についてのリスク分散を図るものでございます。
電力の多重化を行うに当たりましては、電気事業法などの法規制や発電設備などの改修経費など、さまざまな課題がございまして、こうした課題について、東京電力や、地域冷暖房を運営している東京ガスの子会社であります株式会社エネルギーアドバンス社などと協議を行っているところでございます。
今後は、さらに電気料金や設備改修に要する経費の負担などの協議も行い、こうした協議が調い次第、都庁舎の受電設備改修のための詳細な調査を実施の上、設計に着手し、平成二十四年度に電力の多重化を図ることといたしております。
○西岡委員 これ、大変よい取り組みでありまして、評価できるものだと思います。ぜひ着実に協議を進めていただきたいと思います。
また、この取り組みは内外から大変注目をされています。今後、最終的な電力の確保割合、供給量、新宿新都心地域冷暖房設備や都庁舎における設備更新、どういう設備更新が必要になってくるのか、今後のスケジュール、また、どれぐらい都庁としての予算を確保する必要があるのか、電気使用量はどうなるのか、設備更新の負担のあり方はどうなるのかなど、具体的な取り組み内容の協議が調い次第、この財政委員会にも明らかにしていただきたいと要望しておきます。
また、新宿新都心地域冷暖房設備は、都庁舎とほぼ同じ時期に開設した設備であるため、施設や設備の耐震対策など、震災対策の安全性を高めることも重要だと認識しております。今後とも、この取り組みを注視してまいります。
一方で、この取り組みが終了するのは、報道上では平成二十七年ということになっているようであります。そう聞いておりますが、東京に影響を及ぼす地震は、いつ起きてもおかしくない状況でありますから、それまでの間に、打てる対策を構築していくことも必要であります。
また、最悪の場合には東京電力が、また、この取り組みが軌道に乗った後に、東電さんと東ガスの双方から電力供給が絶たれた際には、最後は、やはり頼りになるのは非常用自家発電であります。
しかし、停電によってこの電力送信が途絶えた場合には、自家発電による電力確保が必要となりますけれども、現時点での非常用自家発電による電力の供給率は、第一庁舎、これは議事堂も含めますが、使用電力のおよそ七〇%、二庁では五〇%と聞いております。災害対策のかなめとなる都庁舎でありますから、早急な増強対策が求められていると思います。
これで、時間の関係で最後の質問になると思いますが、現在、都庁舎の更新にあわせて自家発電設備の増強が行われておりますが、その増強策によってどの程度にまで電力供給が増強されるのか、伺っておきたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎におきましては、設備更新の一環といたしまして非常用発電設備の増強を行うことといたしまして、現在、第一本庁舎の非常用発電設備につきまして、二千五百kVA二基を四千kVA二基に増強する改修工事を行っております。
非常用発電設備による電力供給は、あくまで災害時等の非常時の対応であるため、まず消防設備や防災センターへの供給を最優先といたしまして、次に、非常用エレベーターや照明、コンセント電源に必要最小限の範囲で供給いたしまして、その後、事務室の空調、一般用エレベーターなどへ、順次負荷を確認しながら供給していくこととしております。
今回の工事によりまして、従来の非常用発電設備と比較いたしまして、例えば、事務室の照明は、四分の一の点灯から二分の一点灯まで拡大できるように増強することとしております。また、OA機器等の稼働に必要なコンセント電源は、十分の一程度から二分の一のコンセントが使用できるよう増設することといたしております。
次に、改修工事のスケジュールですが、来年の夏前までに工事を完了することといたしております。
○西岡委員 第一庁舎について、ぜひ着実に、そして早期に進めていただきたいと思います。
また、第二庁舎に関しては、今後の取り組みになっておりまして、来年度以降の取り組みになると思います。当然のことながら、第二庁舎も大変重要な都庁機能が入っておりますので、二庁も一〇〇%補強することが可能となる自家発電設備の導入を着実に予算化するよう求めまして、質問を終了いたします。
○田中委員 私は、財務局事業の中で、財産運用事務について何点かお伺いをいたします。
平成二十二年度末における東京都の公有財産の現況を見ますと、公営企業なども含む全体で、価格にして二十六兆一千七百八十二億円もあるということでありました。公有財産と一口にいっても、土地、建物だけではなく、工作物、立ち木、船舶、航空機、さらには地上権や出資による権利、株式、信託の受益権など、非常に幅が広いものであります。
この中でも特にボリュームが大きいのは、やはり土地であります。価格にすると八兆五百十一億円と伺っております。これら都有地はさまざまな活用がされており、庁舎の敷地や都民住宅や学校、福祉施設など、さまざまな施設の敷地として使われているものもあります。あるいはまた、公園やスポーツ施設用地などとして使われているものもあります。
行政用途としてさまざまな形で使われておりますが、これらの財産は、いわゆる行政財産というくくりで事業を行う、それぞれの局において責任を持って管理しているところであります。
一方で、ある局の事業用途を終了した都有地につきましては、次の何らかの事業で使用するために、次に使用する局に所管をかえて使用しているということであります。次の局が、次の事業で使用するまでのタイムラグが生じる間は、あるいは、その中でも、所在や形状、面積などの要件が事業ニーズにマッチしないなど当面利用予定がない、そのような場合には、各局から普通財産として財務局に引き継がれているものも多いと伺っております。
そこでまず確認をいたしますが、ある局の事業用途を終了して、当面、次の利用予定がなく財務局に引き継がれた、いわゆる未利用都有地はどの程度あるのか、お聞かせをいただきます。
○奥田財産運用部長 財務局所管の普通財産でございます土地のうち、一定の事業用途を廃止して、当面、次の事業用途として使用するまでに間のある、いわゆる未利用都有地でございますが、三百四十六件ございまして、価格にして約千五百億円でございます。
○田中委員 今のご答弁にありました、いわゆる未利用の都有地が三百四十六件、約千五百億円ということで相当な金額だということでございました。
これだけの未利用都有地がある中で、財務局は、都有財産の利活用にこれまでも大変力を入れてきているんだろうと思っております。平成十九年度には、今後の利活用の指針も含め、行政財産の民間事業者への貸し付けといった新たな法制度も十分に活用しつつ、民間活力を生かし、都の重要施策に貢献する都有地利活用の取り組みを進めていることであります。
これまで、財政の苦しかった平成十二年度から十八年度までには、東京都では約二千百億円もの財産を売却してきたと伺っております。
一方で、現在、都心地域に残る大規模な都有地は数少ないものと思われます。都心部で新たな土地の取得が難しい中では、今残されている貴重な都有地は確保しつつ、できる限り、都政の緊急課題への対処や、今後増加する施設更新などのために使っていくべきだろうと思っております。都有地を都施策に連動して活用することは、震災を乗り越え、発展していく新たな東京の将来を目指すに当たっても、大いに期待をされるところであります。
そこでお伺いをしてまいりますが、こうした未利用都有地について、これまでどのような施策に活用してきたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○奥田財産運用部長 都有地は都民から負託された貴重な財産でございますので、財産価値を最大限発揮させるとともに、都民サービス向上など、都政の喫緊の課題解決のために活用していく必要があると認識しております。
都ではこれまで、こうした当面の未利用都有地を活用いたしまして、高齢者向けや障害者向けの福祉インフラ整備、私立学校の耐震改修支援のために、民間事業に都有地を減額して貸し付けるなど、都の重要な施策をバックアップしてまいりました。
また、都市緑化推進の観点から、緑化条件を付し、事業用定期借地による貸し付けや、駐車場としての貸し付けを実施するとともに、環境に配慮したまちづくり推進の観点からも、太陽光発電など環境に配慮した住宅を普及させるための住宅展示場の設置など、各局と連携し、さまざまな工夫により都施策に貢献したところでございます。
今後とも、各局と密接に連携し、財務局が財産の総合調整機能を十分に発揮することで、積極的に都有地を有効活用してまいります。
○田中委員 今ご説明いただきましたように、福祉インフラ整備、私立学校の耐震改修支援、あるいは環境に配慮した住宅を普及させるための住宅展示場の配置などなど、都民ニーズに迅速に対応できるよう、各局と連携をして、さまざまな工夫を行って都有地を活用してきたということで、改めて理解をさせていただきました。
こうした取り組みを続けていけば、都民サービスの一層の向上にも役立つことと思っております。今後の積極的な都有地活用の取り組みに大いに期待をしているところでございます。
さて、今の答弁の中でも、特に注目すべきは、福祉インフラ整備への都有地の活用であります。平成二十一年度の予算特別委員会で、我が党の野島議員の質疑の中で、未利用の都有地を福祉施設建設のために一層活用すべきだとの提案を行いました。その提案に対しまして、財務局からは、より積極的に都有地を貸し付けていくように取り組んでいくといったご答弁もいただいております。
それまでも一定の成果があったと思っておりますが、その質疑以降、一年余りが経過をいたしております。この間の福祉インフラ整備に向けた都有地利活用の取り組みには、非常に私ども注目をしているところでございます。
そこでお伺いをいたしますが、この間、福祉インフラ整備のための都有地活用として、特にどのような取り組みを行い、具体的にどのような成果があったのかお伺いをいたします。
○奥田財産運用部長 都有地の活用によります福祉インフラ整備の実績でございますが、都ではこれまで、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業実施要綱を定め、都有地を五〇%減額して貸し付けることで、制度開始以降、十六施設について事業を決定したところでございます。
しかし、福祉施設は依然として不足しておりまして、また、これまで、区市町村等からの要望を受け、初めて貸し付けを検討するという手順をとっていたため、財産利活用の面から、やや受け身であった面は否めないところがございました。
そこで、民間事業者による福祉施設整備を一層推進するため、二十二年度から二十三年度にかけまして、都から区市町村に対し、貸付対象財産を積極的に提示すること、各局の一定の行政用途を廃止する予定の行政財産をあわせて提示すること、比較的小規模な都有地も対象に含み提示することで、重点的な取り組みを実施いたしました。
この重点的な取り組みの結果、区市町村から活用要望がございまして、財務局から福祉保健局に対し利用を承認した件数は十五件、福祉保健局が区市町村に具体的な活用の意向を調整中のものが六件となってございまして、このおよそ一年間での重点的取り組みの成果が十分にあらわれているというふうに思っております。
今後とも、福祉保健局や区市町村と連携し、福祉インフラ整備を着実に実施するとともに、都政の喫緊の課題解決に向け、積極的な都有地活用を目指す所存でございます。
○田中委員 今、お伺いをいたしました重点的な取り組みの成果としてお話をいただきましたが、その結果、都有地を活用した福祉インフラ整備が一層推進されたということで、我が党の主張が具体的な成果としてあらわれていることを大いに評価したいと思います。
今後とも、福祉インフラ整備を初め、さまざまな視点から都の施策への貢献ができるよう、都有地の積極的な有効活用を望むものでございます。
さて、都有地の有効活用ということでは、土地信託事業も大きな都有地活用策の一つであります。都はこれまで、五つの土地信託を導入し、公有地の有効活用に努めてきているところでありますが、制度発足から二十年以上が経過し、順次契約満了を迎える時期が到来してきております。
昨年、信託契約の満了を迎えた新宿モノリスは、信託契約を継続し、これまで同様、年間十四億円余りの信託配当を受けていると伺っております。これは全国的に見ても、他の自治体でこれだけの実績を出している土地信託の事例は、ほとんどないのではないかと思っております。
ところで、来年の七月に信託期間の満了を迎える両国シティコアは、新宿のような一等地に立つ新宿モノリスとは地域性も異なり、また、商業ビルのほか、スポーツ施設や都民住宅も併設されていることから、新宿モノリスと同様の取り扱いとはいかないんだろうと思っております。
新宿モノリスは、当初契約の満了時点では、建設資金等の借入金は全額返済済みでありましたが、両国シティコアの状況はどのようになっているのか。先ほども資料要求の中で一部説明がありましたが、状況をお伺いいたします。
○岩瀬利活用調整担当部長 新宿モノリスにつきましては、お話のように、当初契約の満了時点で借入金はすべて返済し、配当につきましては、昨年度までに五百四十七億円の実績を上げてございます。
これに対しまして両国シティコアにつきましては、契約満了まで一年三カ月余となる平成二十二年度末におきまして、建設資金等の借入金残高は約四十億三千万円となってございます。平成二十三年度、今年度でございますが、返済可能な約十億二千万円を差し引いても、今年度末におきまして約三十億円の借入金が残存してしまう見込みでございます。
○田中委員 今ご説明ありましたように、借入金が三十億円も残ってしまうという状況でございます。両国シティコアは、新宿モノリスとは違い、比較できないほどの大変厳しい状況であるということでございました。
借入金が約三十億円残存してしまうということですが、信託契約が満了すると、その債務は一体どうなってしまうのか。また、借入金が完済できない要因を、都としてどのように分析しているのか、お伺いをいたします。
○岩瀬利活用調整担当部長 このまま信託契約が終了いたしますと、土地、建物がテナントつきでそのまま都へ返還され、借入金の債務約三十億円も、全額、都に承継されることとなります。
現在、専門家の意見も聞きながら、これまで二十年間の事業運営について詳細に検証、分析をしているところでございますが、この土地信託は、昭和六十三年、バブル景気の最中に計画されたものでございまして、当初予定していた計画と実績とが大きく乖離してしまいました。
その理由といたしましては、バブル経済の崩壊によりまして、周辺の地価は約十分の一に下落し、収入源であるテナント賃料も約六割程度に減少したこと、また、この建物の建設に着手した平成元年以降、建設資材の物価騰貴などの影響によりまして、当初予定していた建物の建設費が約三十五億円増加したことなどが、借入金を完済できなかった主たる要因であると考えております。
○田中委員 信託契約が満了いたしますと、借入金の債務が、約三十億円、すべて都に承継されるということでございました。
そのような状況が明らかになった以上は、速やかにその対応策をまとめるべきであろうと思います。だからといって、安易に都民の血税を充てるわけにはいかないと思っておりますが、現時点では、両国シティコアの信託期間満了後の取り扱いについてどのように考えているのか、お伺いをいたします。
○岩瀬利活用調整担当部長 借入金債務の三十億円は、土地信託による資産運用で残った負債でございまして、その処理は、可能な限り速やかに整理していく必要があると考えております。
現在、その取り扱いにつきまして、本信託財産としての資産価値を最大限活用していくことを前提に、土地信託契約に基づき、受託者と都において鋭意協議を進めているところでございます。
また、両国シティコアにつきましては、商業ビルのほか、スポーツ施設や都民住宅なども併設されていることから、専門家の意見を聞くことはもとより、資産価値の検証など、関係者とも一丸となって、さまざまな観点から可能性を追求し、その具体的な検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、ご指摘の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいります。
○田中委員 両国シティコアにつきましては、ぜひ受託銀行、関係局とも一丸となって、都にとってベストな対応策として、一刻も早く対応策、対応案をまとめていただいて、そして提示をしていただきたい、これは強く要望しておきます。
東京都の土地信託事業は、現在、経済情勢の変化など、さまざまな要因を受けて厳しい状況になっているところもありますが、導入当時は、喫緊の社会問題でもあった土地高騰を引き起こさないための利活用の手法として採用され、それなりの成果をおさめてきたものと思っております。
また、東日本大震災の被災地で、学校や病院など公共施設の再建を迅速に進めていくため、財産の利活用策として、これまで公共施設の建設を認めていなかった公有地の土地信託についても、この制限を緩和する動きもあると伺っております。
つまりは、社会経済の動向を的確に把握した上で、どこに重点を置いて政策的なねらいを定めていくのか、そのような視点を抜きにして財産の利活用はあり得ないだろうと思っております。いいかえますと、財産をむだにせず、また、その持てる価値を最大限に活用することはもちろんのこと、都の施策に活用し、都政の喫緊の課題を解決していくためにも、さまざまな形で都有財産を有効活用していくことが重要だろうと思っております。
これまで、我が党が石原知事と足並みをそろえてつくり上げてまいりました都の重要施策、そして、今般の震災を受けた防災対策等を、今後、都と一体となって迅速に取り組まなければならない施策を進めていく上でも、都有財産を有効に活用し、財政面からのバックアップが不可欠だろうと思っております。
都においては、今後も引き続き、都有財産の価値を最大限発揮できるよう、積極的な都有財産の利活用に取り組んでいただくことを切に願いまして、私からの質問を終わります。
○中山委員 私は、大きく二点、都施設の環境貢献と入札契約制度改革について質問いたします。
まず、都庁施設や都施設全体の環境性能向上への取り組みについてお伺いいたします。
都は、平成二十一年に主要施設十カ年維持更新計画を策定し、経年劣化が進む施設について、計画的に改築や設備の機器更新に取り組んでいらっしゃいます。都庁舎の設備更新事業も進めており、この議会棟も、今年度から本格的に工事に入ると聞いております。
私は常々、都は環境行政の先進的自治体として、都有施設について、民間ビルの環境性能を上回る模範的環境建築に挑戦するべきであると考えてまいりました。
都は、平成十九年に策定した、都有施設の省エネ化の設計基準である省エネ東京仕様二〇〇七を、ことし七月に改正し、新たに省エネ・再エネ東京仕様を発表しています。
そこでまず、旧仕様である省エネ東京仕様二〇〇七の適用状況と、その適用により、どのような省エネ技術の導入が図られたのか、お伺いをいたします。
○室木技術管理担当部長 省エネ東京仕様二〇〇七の適用状況についてでありますが、平成二十一年に策定いたしました主要施設十カ年維持更新計画に基づく施設の改築、改修工事において本仕様を全面的に適用しており、東京都建築物環境計画書制度で定めます省エネ評価の最高評価を目指した施設整備に取り組んでおります。
本仕様につきましては、昨年度末までに、設計段階のものを含め、四十二件の施設整備に適用してまいりました。
本仕様を適用した施設整備では、建物の熱負荷を抑制するため、壁や屋根の断熱材を厚くすることや、複層ガラスを採用いたしました。
また、設備システムを効率化するため、高効率な照明、電気設備や空調設備を導入するとともに、照明の適正な照度調整や空調設備のタイムスケジュール制御など、設備の最適運転制御システムを採用いたしました。
さらに、太陽光発電設備についても、三十二件の施設におきまして、計画または整備を行っております。
本仕様を先行して適用した事例では、改築前後でCO2排出量を約三割削減することが確認され、当初見込みどおりの成果を得たところであります。
○中山委員 今、都有施設の省エネ化の整備状況についてご答弁がありました。
本年三月に東日本大震災があり、エネルギー政策の見直しが国家的な喫緊課題となり、その目指すべき方向性や具体策が盛んに議論されております。
中でも、大震災に起因するこの夏の電力不足の逼迫が大問題でございまして、国は、電気事業法による使用制限令で、とりあえずピーク時の使用電力について、昨年夏比、先ほどもご質問がありましたけれども、一五%の削減方針を打ち出しました。
都は、大震災発生直後の都議会公明党などの申し入れにこたえ、早くから夏の電力不足への対応策に取り組み、中心的都有施設である都庁舎においては、国の削減目標を上回る二五%の削減を目標に節電に取り組み、見事達成されたと報道されております。
私は、昨年の第三回定例会で、都庁舎の省エネについて、日本の超高層建築技術及び環境貢献技術における都庁舎の象徴的役割の重要性に着目し、設備更新の機会を生かした省エネ、省資源対策の前進を訴えました。まさに都庁舎の設備更新は、節電対策としても効果的な機会であります。そこで質問いたします。
都庁舎は、その規模面、首都行政の中心をなす機能面、ミシュランの観光三つ星にも輝く社会的役割の面からいっても、都有施設全体の中でも象徴的存在でありますが、どのように節電対策に取り組んできたのか、具体的な内容についてお伺いをいたします。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎におけるこの夏の節電対策につきましては、東京都電力対策緊急プログラムを受けまして、使用電力の上限値を昨年夏のピーク電力比二五%減に設定をし、進めてまいりました。
基本的には、三月の東日本大震災以降の対策を継続しながら、季節変動などを考慮した節電メニューで対応してきたところでございます。
具体的には、空調設定温度二十八度Cの徹底や一部区域の空調停止など空調設備の運転方法の見直し、照明の間引きによる二分の一消灯、エレベーターの二分の一休止などの実施でございます。
さらに、職員のパソコンに、一時間ごとに都庁舎の電力使用状況を表示する見える化を実施いたしまして、職員一人一人の節電に対する意識づけを誘導するなど、全庁を挙げて徹底して取り組んだところでございます。
○中山委員 パソコンにそういう表示をするというのは、非常にプレッシャーをかけるといいますか、大変なことだと思いますけれども、全員に税金である都の消費電力にかかる費用を意識していただいて、また、東日本大震災への取り組みという面で心を同じくしていただくという面で、大事なことではなかったかと思います。
ご答弁にありましたとおり、空調、照明、昇降機など各設備における対策を組み合わせ、工夫を凝らし取り組んだからこそ、結果としての二五%達成に結びついたものと考えます。図らずも二五%という因縁めいた数字になりましたが、大きな目標数値を掲げたことだけで満足することなく、国とは異なり、都庁が着実に達成して見せたことを高く評価したいと思います。
そこで、先ほど説明がありました節電に向けたさまざまな取り組みがどのように目標の達成に結びついたのか、具体的な効果をお伺いするとともに、また、今回の節電対策によりまして、結果的に電気使用量も小さくなり、電気料金の削減にもつながったのではないかと思われます。先ほどもご指摘がございましたけれども、この点もあわせて、具体的にどの程度、電力経費上の効果があったのか、お伺いをいたします。
○藤森庁舎運営担当部長 削減目標に向けた取り組み結果についてでございますが、電気事業法の電力使用制限令の対象期間でございます七月一日から九月九日におけるピーク電力は、八月十一日の七千八百二十四キロワットでございまして、この値は、昨年夏のピーク電力一万一千百キロワットの二九%減に相当するものでございます。
また、空調、照明、昇降機等、設備別の消費電力を検証しましたところ、空調関係で全体の六五%、照明関係で二五%、昇降機関係で八%という結果でございまして、この三つのカテゴリーで削減量のほとんどを占めておりました。
また、この節電対策によりまして、ピーク電力の抑制にあわせ、使用電力量も減少しており、七月から九月の電気料金は、昨年に比べまして約三千三百万円の削減が図られました。
○中山委員 大変な取り組みであったと思います。
さて、今回の節電対策は、震災被害の対応として緊急避難的に求められたものであります。企業の経営者やそこで働く人々にも、さまざまな我慢を重ねていただいた上での結果であり、気軽に来年も再来年もと継続をお願いできるものではありません。ましてや、この夏の節電成果を軽々しく、今後の電力需要のベースにとらえて考えることなど、ある意味、もってのほかではないかと私は考えております。むしろ都庁舎においては、開庁以来、地道に省エネ対策に取り組んできたからこそ、二五%削減という大きな成果に結びついた面も多分にあったはずであります。そこで質問いたします。
従来から取り組んできた省エネ対策が、今回の節電の取り組みにおいて結果的に貢献した部分があったと思いますが、省エネ東京仕様二〇〇七との関係も含めて見解をお伺いいたします。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎におきましては、CO2排出量の約六割が空調関係で占められていることが特徴でございます。このため、省エネの取り組みに当たりましては、空調関係の対策を重視いたしまして、都庁舎の設備更新の検討と並行して進めてきたところでございます。
これまでの省エネ対策のうち、例えば平成二十一年度に一部で先行実施し、その成果、効果を確認した上で二十二年度に本格的に実施した、空調用の冷水循環ポンプにインバーターを設置する取り組みが、今回の消費電力の削減に寄与したものと考えております。
これは、空調機の運転を効率的に行うために、冷水の流量に応じまして効率的にポンプを稼働するものでございます。これにより、循環ポンプの使用電力量を大きく削減できたものと考えております。
また、照明の間引きを行うに当たりまして、必要な照度を確保する観点から、蛍光管を、従来のタイプから高効率蛍光管、いわゆるHf蛍光管に取りかえを行いました。Hf蛍光管は、省エネ東京仕様二〇〇七のメニューとしても掲げられており、同じ照度を得るための電力が小さく抑えられる効果がございまして、照明関係での消費電力の削減は、Hf蛍光管の採用による成果だと考えております。
○中山委員 Hf蛍光管というのは、この四本のもののうち、二つでも十分同じ明るさがとれるということですよね。ここが違うんですかね。--ちょっとわからない。
要するに、このHf蛍光管に取りかえるというときには、そのもととなる器械があって、それが何でもHf蛍光管に取りかえられるわけではないんですよね。もともと都庁舎は努力されて、経年劣化して、だんだん電気使用量が大きくなってきた、もとの器械をあらかじめ取りかえていたからこそ、今回、Hf管に取りかえることができたということですよね。
そういう省エネ東京仕様二〇〇七という省エネ対策が、節電においても一定の効果に結びついているということが明らかになったと思います。
同時に、大きな節電目標を達成できた背景には、都庁の来庁者や職員の理解、協力なくしては実現が難しかったと思います。改めて、その理解、協力をたたえたいと思います。
しかし、残念ながら、電力供給状況は、東京電力管内にとどまらず、全国的に厳しさが増す状況にあります。この夏の取り組みにより目標を達成できたとの内容で満足せず、夏の検証結果を生かして、継続して節電対策に取り組んでいただきたいと思います。
さて、先ほどご答弁いただきました都庁舎の率先した取り組みを他の都有施設にも生かすとともに、先進的環境技術を積極的に取り入れ、節電や再生可能エネルギーの導入に配慮し、都有施設を整備していくことが重要であります。
そこで、ことし七月に改正した省エネ・再エネ東京仕様の策定のねらいと具体の仕様についてお伺いをいたします。
○室木技術管理担当部長 世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するとともに、今回の大震災に伴います電力危機にも資するため、都有施設の電力使用量を削減し、都有施設の省エネ性能のさらなる向上が必要であると考えております。
そこで、最新の技術革新の動向をとらえ、LED照明設備や空調設備など、高効率な省エネ設備の導入を拡大するとともに、電力の見える化に資する需要電力監視装置も仕様に盛り込みました。
また、再生可能エネルギーの導入を促進するため、自然換気システムや太陽熱、地中熱利用設備など、多様な再エネ設備を仕様に追加するとともに、新たに、東京都建築物環境計画書制度の最高評価を得ることを再エネ設備の導入目標として設定いたしました。
新しい仕様による整備効果でございますが、都有施設の庁舎モデル三千平米での試算では、東京都地球温暖化対策報告書制度の対象でございます既存の都内事務所ビルの平均と比較し、電力消費量及びCO2排出量ともに、約六割削減できる見込みであります。
新しい仕様につきましては、平成二十四年度からの施設整備に順次適用してまいります。
○中山委員 先ほどの答弁でもありましたけれども、今回の新しい仕様では、再生可能エネルギーの導入目標を新たに設定しています。従来から取り組んできました建物の熱負荷の抑制や、設備システムの効率化の導入目標とあわせ、建築物環境計画書制度の最高評価を目指した高い省エネ水準への到達を目指す施設整備方針は、大変意欲的なものであります。
都は、このような模範的な取り組みを他の自治体や民間建築物へ波及させるべきと考えます。今後の省エネ化の取り組みについてお伺いをいたします。
○室木技術管理担当部長 東京を世界最先端の低炭素都市の構築に向け、都内の自治体や民間の建築物に、都の先進的な省エネの取り組みを普及させることは重要であると考えております。
このため、今回改正した新しい省エネ、再エネ仕様を普及させるため、既に都内自治体の営繕、環境政策担当職員に説明会を開催したほか、新聞、雑誌、ホームページなどを活用いたしまして、都民、事業者に新しい省エネ、再エネ仕様の普及、理解に努めているところであります。
今後とも、関係機関と連携いたしまして、省エネ、再エネ仕様の普及に取り組むとともに、省エネ技術などの技術革新の動向に十分注意し、費用対効果の高い新しい環境技術を仕様に採用するなど、都有施設の省エネ化の取り組みを促進してまいります。
○中山委員 丁寧にそうした取り組みの成果を他に広めていくということは、非常に大事なことだと思います。現場を持つ東京の強みということでいえば、環境貢献ということを通じて--都庁舎という現場の、現実の施設を通じて、日本の技術、東京の技術というものを広められるということは、ある面では経済波及効果も大きいのではないかと期待しております。
今後もこうした取り組みを着実に継続するとともに、今後本格化する都庁舎の設備更新においても、国内外の超高層ビルの設備更新の模範となるよう、節電、省エネの観点からの取り組みをしっかりと進めていただくなど、環境行政の先進自治体としての役割も果たしていただきたいと要望を申し上げて、次の質問に移ります。
次は、入札契約制度について伺います。
平成二十一年十月に入札契約制度改革の実施方針が出されてから、この間、都は、我が党の主張なども踏まえ、さまざまな入札契約制度改革に取り組んできています。
まず、この機会に、総合評価方式の適用拡大や特別重点調査の導入など、契約制度改革の取り組みが一定の効果を発揮していることを改めて評価しておきたいと思います。
一方、制度の改正や新たな制度の導入に当たりましては、それが真に効果があり、適正なものとなっているのか、第三者による公平公正な観点からのチェックも重要であります。
そこでまず、入札契約制度におきましては、公平公正な観点からのチェック機能はどのように担保されているのか、その点の確認からお伺いしたいと思います。
○石井契約調整担当部長 公共調達につきましては、都民からお預かりいたした税金をもって行うものでございまして、中山理事からご指摘をいただいたとおり、制度の改正等に当たりましては、公平公正な観点から第三者のチェックが不可欠でございます。
このため、制度改正等に当たりましては、公平公正な立場の東京都入札監視委員会の意見を聞くなどして、入札契約制度の客観性や透明性の確保に努めております。
この委員会は、契約制度または工事施工技術全般に関しまして専門知識を有する学識経験者など、外部委員七名以内で構成されておりまして、公共工事に係る入札契約制度の審議や、入札契約手続に係る利害関係者からの苦情申し立てについての調査検討を行っております。
○中山委員 制度の改正に当たりまして、公平公正な立場の第三者の視点が生かされていることがわかりました。
一方、制度改正に関する意見具申という観点からのみでなく、実際の入札契約手続に即した運用の段階においても、公平性、透明性、競争性が図られているのかの確認が必要ではないかと思います。どのような方策を講じているのかお伺いいたします。
○石井契約調整担当部長 先ほど申し上げました東京都入札監視委員会では、都が行う公共工事の入札及び契約手続の運用状況等につきましても審議し、改善すべき点があれば意見の具申を行うこととなっております。
具体的には、毎年度一回以上開催される定例審議において、実際に契約された工事案件を抽出して審議を行うほか、入札契約手続等に係る利害関係者からの苦情申し立てについて調査検討し、報告をしております。
このような入札監視委員会の審議概要につきましては、都のホームページでも公表されており、広く都民への情報提供にも努めております。
○中山委員 制度の運用に際しても、第三者によるチェック機能が働いていることが確認できました。また、委員会の審議概要等については、広く都民にも情報提供されているとのことでありますので、その点での透明性は、ある程度確保されているものと考えます。
入札契約制度は複雑であり、ともすれば都民にはわかりにくいものとなっております。常に一般の都民や公平公正な第三者の視点を意識することは重要なことであります。
一方、都では、工事だけでなく、都立病院など都民にとって身近で重要なサービスを提供する施設の建物管理業務委託等についても、我が党の主張を踏まえ、総合評価方式の試行拡大を行っているところであります。
工事契約での低価格入札の増加は、工事の品質保証などの点で都民に不利益をもたらすおそれがあるほか、取り組み事業者の経営体力の低下、下請業者への不払い、未払い、払い渋りなどの悪影響の上から、都としても積極的な抑制策を講じているところであります。
同じように、施設の建物管理業務委託等についても、低価格入札の増加は、事業者の経営体力の低下だけでなく、額に汗して働いても報われない人々の拡大につながりかねないおそれもあります。
その意味で、総合評価方式などを適用する契約対象の拡大は、低価格入札の抑制などの点で、工事契約以外でも、ある程度期待を集めているものと考えられます。それだけに、契約制度の改善の試みが適正に実施されているかどうかが大切であります。そこでお伺いします。
こうした業務委託においても、工事と同様に第三者の確認が必要であると考えますが、業務委託における第三者のチェックはどのように行われているのか、お伺いいたします。
○石井契約調整担当部長 現在、建物管理等の業務委託の総合評価方式の試行に当たりましては、落札者決定基準を定める際などに、個別に学識経験を有する者から意見を聴取しているところでございます。
今後、業務委託における総合評価方式の本格実施に向けましては、試行結果全般にわたっての検証や分析が必要でございます。こうした検証を行うに当たりましては、第三者の意見を求めることにつきましても検討してまいります。
○中山委員 ご答弁いただきました点のほかにも、試行を実施する案件の決定や提案書に対する評価を行う際などにおいても、学識経験者からの意見聴取を行っている例もあると伺っております。
一方、低価格入札の抑制などを目的に、入札方式からプロポーザル方式への切りかえを進めた結果、契約相手が決定する過程がかえってブラックボックス化し、都民、関係者の不信を高めては意味がありません。
事実、都の例ではありませんけれども、入札方式からプロポーザル方式への切りかえが進んでも一向に落札業者が変わらないので、ある人が落札業者の提案書について開示請求を行ったところ、多くの箇所が黒く塗りつぶされた提案書の写しが開示され、一層疑念が広がってしまったという話を私自身伺った経験があります。
あらゆる角度に照らして百点満点という改革は難しいと思いますけれども、せっかくの取り組みでありますので、より多くの都民から、さすが日本の首都東京の改革だと、信頼を高めるものに仕上げていただきたいと願っております。
いずれにしても、工事に限らず、総合評価方式の適切な拡大を推進する上でも、第三者の目を大切にすることは重要であります。今ご答弁いただいた前向きなご答弁は、大変価値があるというふうに思っております。
今後も、第三者の目を活用したチェックの仕組みを厳正に適用し、公共調達における一層の透明性、公平性、競争性の確保を図り、品質確保に取り組んでいただくこと、あわせて、その成果を都内自治体、他の道府県にも広めていただくことを要望して、質問を終わります。
○たぞえ委員 東京都の土地信託事業、両国シティコアについて伺います。
さきの第二回定例会に、土地信託事業にかかわる毎事業年度の経営状況を説明する資料が、わずかに二ページのペーパーですが、提出されました。
それによると、昨年度末における両国シティコアの借入金残高は四十億三千六百万円、それに対して今年度の借入金返済計画はわずか十億二千万円です。引き算をしてみますと、三十億一千六百万円が今年度末に残ることになります。
まず、正確を期すために伺いますが、両国シティコアの信託契約の満了日はいつですか。
○岩瀬利活用調整担当部長 平成二十四年七月二十八日をもって信託契約は満了いたします。
○たぞえ委員 ちょうど一年前ですけれども、この財政委員会の事務事業質疑において、私は、この土地信託事業において借入金が返済できないのではないか、私の試算では、おおむね二十六億円の借入残高が残ってしまうのではないかということを指摘しました。その際の答弁で、財務局は明言を避けましたけれども、実際には、かねてから私が指摘していた懸念が現実のものになって、平成二十四年七月二十八日に契約の満了を迎える両国シティコアが、今年度末の時点で、その満了時に三十億円もの借入金が残ることが現実のものとなりました。
平成二十四年四月から契約満了の四カ月間に今年度計画並みの返済を行うとして、返済額は、十億二千万円の三分の一としてみれば、三億四千万円にしかすぎません。結局、約二十七億円の借入金が残ってしまうということになるじゃないでしょうか。
次に、信託配当はどうでしょうか。両国シティコアの信託配当は、昨年度までの十八年間で約六億円とのことですが、昨年度の決算を踏まえて、当初予想配当とそれに対する実績割合はどうなっているのか伺います。
○岩瀬利活用調整担当部長 両国シティコアの予想配当は約八十三億円、これに対しまして、これまでの配当実績は六億円でございまして、その割合は約七・七%でございます。
○たぞえ委員 契約期間をおよそ一年後に残したこの時期に至っても、予想配当は八十三億円に対して、得られた配当はたったの六億円、七・七%です。しかも、この十年間の信託配当は五千二百万円、年間わずか五百二十万円にしかすぎないわけです。
一方で、住宅供給公社は、昨年度までの十八年間に、銀行に対して、都民住宅等の賃料として三十六億八千七百万円、共益費を一千六百万円支払っていることが、昨年の事務事業質疑で明らかになっています。
銀行は、信託報酬を受け、さらに建設資金として貸し付けた借金の利子を受け取っています。きょうの委員会資料によりますと、銀行が受け取った信託報酬の累計は約四億円、利払いの累計は約五十五億円ですから、合計で六十億円近い金額を手にしたことになります。
都の受け取った信託配当は約六億円、それに対して銀行が受け取ったのは六十億円ですから、何と十倍もの金額を受け取っているわけでありますが、その中でも銀行の巨額な利子収入は、これは無視することはできません。
そこで伺いますが、銀行の借入金は、当初幾ら借りていて、金利設定はどうなっていたのでしょうか。
○岩瀬利活用調整担当部長 建物の建設資金として、当初約百四十七億円を借り入れました。金利につきましては、当初五%の金利設定であったものを、経済状況や経営状況を踏まえ、これまで二度の見直しを行い、現在は長期プライムレートマイナス〇・三%という、信託にとって有利な金利水準となってございます。
○たぞえ委員 今の答弁で、これまで金利は二回見直しをしたと。現在、有利な金利水準になっていると答えられましたけれども、利子の支払いが実質的には軽減され--平成十三年度以降だけでも十二億一千五百万円の利子を銀行へ支払っています。この間、銀行が受け取った信託報酬は一億九千七百万円です。
一方、この間に都が受け取った信託配当は、わずか五千二百万円にしかすぎません。
結局、銀行がもうかる、こういう結果になっているのではないでしょうか。
土地信託事業で、契約満了時にこうした負債が残ってしまった場合、どういうことになってくるのですか。
○岩瀬利活用調整担当部長 信託契約が終了いたしますと、土地、建物がテナントつきで都に返還され、残った債権債務も、すべて都に承継される仕組みとなってございます。
○たぞえ委員 今の答弁で明らかなように、両国シティコアの土地信託事業で残される借入金約二十七億円は都が負担する仕組みになっている、こういうことが明らかです。
このままでは、銀行にさんざんもうけ上げさせただけではなく、事業の失敗による借金は都がかぶるということになります。余りにも不公平じゃないでしょうか。
両国シティコアの信託事業を受託している銀行を改めて確認しますが、受託銀行はどこですか。
○岩瀬利活用調整担当部長 住友信託銀行、みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行、三行の共同受託でございます。
○たぞえ委員 三つの大銀行が共同で受託をしているわけですが、事業による収入を十分確保できなかった、配当も当初の予定どおり実現できなかった、それにもかかわらず信託報酬は確実に受け取っていたことなど、受託銀行としての責任は重いものがあります。
これらの銀行を相手に、場合によっては裁判も辞さないぐらいの強い姿勢で、その責任を追及していくべきだと考えますが、どうでしょうか。
○岩瀬利活用調整担当部長 土地信託は、受託者の善管注意義務の履行を前提といたしまして、最終的には委託者である都にリスクが帰属する仕組みとなってございます。
両国シティコアにつきましては、建物、設備等も適切に保全されておりまして、空室率や賃料設定についても地域相場を維持しているなど、信託契約に基づく受託銀行の役割を銀行側はきちんと果たしている、そのように認識してございます。
そうしたことを踏まえまして、今後、専門家の意見も聞きながら信託契約満了後の対応策を検討してまいります。
○たぞえ委員 どういう専門家か、大いに疑問を感じるところでありますが、余りにも銀行に甘い評価ではないでしょうか。銀行は、適切な運営に努力するなどその役割をきちんと果たしてきたというなら、東京都は、責任を挙げて都が負うべき、こういうことになるんじゃないでしょうか。とんでもないと思います。
借入金を約二十七億円も残して、大失敗のうちに契約満了を迎えようとしているにもかかわらず、都の姿勢は余りにも弱腰だと思うんです。
都は、現在も今後の対応策を検討しているということでありますが、当然のことながら、受託銀行の相当の負担を求めていくべきだと思います。約二十七億円の借入金の残高であれば、これまで銀行が得た利子収入、利息収入、五十五億円ですが、それでも十分穴埋めができる金額です。借入金の額を都が負担する必要など全くないんです。
そうした無用な負担を都がしなくてもよい対応策を取りまとめる必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。
○岩瀬利活用調整担当部長 先ほども申し上げましたとおり、信託契約が終了いたしますと、土地、建物が都に返還され、借入金の債務についても、都に承継されるというのが信託事業の仕組みでございます。
また、事業を行うための資金調達に当たりまして、適正な水準の金利負担をしていくことは当然のことでございまして、両国シティコアの土地信託事業においても例外ではございません。
今後の両国シティコアの対応策につきましては、現在、専門家の意見を聞き、受託者を初め、関係者とも十分に調整を図りながら検討しているところでございます。
○たぞえ委員 土地信託事業は、貴重な都民の財産である都有地を民間銀行に信託し、建物の建設や資金調達、賃料収入をゆだねるかわりに、収益の一部を都に還元してもらうという仕組みです。つまり都有地でもうけることを目的にしています。
そもそも貴重な都有地は、信託などを行わずに、直接都民サービスを提供するために活用するべきなんです。土地信託事業は、その点からして既に問題があるわけでありますが、両国シティコアについていえば、銀行に土地を信託した上に、さらに赤字を出してしまうという、惨たんたる状況です。信託配当が三割にも満たなかった新宿モノリスよりも、さらに悪い結果になっています。
新宿モノリスは、信託配当が当初計画の三割にも達していなかったにもかかわらず、五年間の契約を延長してしまいました。配当がきちんと出ないにもかかわらず、むやみに貴重な都有地を銀行にただ同然で貸し付けるのではなくて、都民本位の土地利用に改めていかなければならないと思います。
今後、両国シティコアの対応策については、銀行のいいなりにならずに、都民本意の解決策となるよう強く要望しておきます。したがって、契約期間を延長し、問題の先送り、先延ばしをすることは許されない、このことを私と我が党はさらに厳しく検証していくことを述べて、質問を終わります。
○鈴木(章)委員長 質疑の途中ではありますけれども、暫時休憩といたします。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十一分開議
○鈴木(章)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
○福士委員 それでは、施設の電気代のコスト削減について伺います。それ一点に絞りますので、なるべくきちんとお答えいただきたいと思います。
ことしは、夏の節電対策を受けて、量を減らす方法はさまざまに考えられ、実行されてきたと思っております。私も、地産地消でロスの少ない送電と、電力料金の競争力も考えるべきと思っています。そこで、今回は特にコスト削減に絞って伺います。
同じ電気料の契約でも、東京電力一つをとってもさまざまな契約の方法があります。高圧か低圧か、主に使用するのは平日なのか週末なのか、また、時間帯も昼間なのか夜間なのか、そして、ピークに合わせて契約をするデマンド契約なのか、ピークにこだわらない協議制なのか、また長期契約割引という方法もあるようです。これに、九月の一般質問でも触れましたPPSを組み合わせれば、さまざまな選択肢が可能になります。
東京都のように大きな器の自治体ですと、財政当局がすべての部局にわたり調査をし、指示をするということは難しいかと思います。しかし、一方で、各局がコスト意識を持って電力契約を行っているかどうかの問題があります。そこで質問です。
以前いただいた資料では、都の施設でPPSを導入しているのは、特養老人ホームや中央卸売市場などわずか三カ所です。どのような経緯でこれらの施設の選定が行われたのでしょうか。
当初、電力小売自由化に伴い、見積競争入札、これ、正式には競争入札といわないんですよね。競争方式の導入を決めた施設の選定方法と、その施設の直近の入札状況をお伺いいたします。
○櫻井経理部長 電力供給契約を結ぶ事業者の選定に競争方式を導入した施設の選定方法についてでございますが、東京都は平成十五年度、電力小売の自由化に対応するため、特別高圧電力の供給を受けている施設のうち、特に経費削減効果が高いと考えられる施設といたしまして、都立大学、板橋ナーシングホーム、大田市場及び東村山老人ホームの四つの施設を競争方式を導入する対象施設として選定いたしました。
そして、平成十五年十一月に、都立大学において初めて競争方式を導入して以降、他の三施設につきましても競争方式を導入してまいりました。
次に、これらの施設の直近の状況でございますが、公立大学法人となりました都立大学を除きます三つの施設につきまして、今年度も競争方式を導入いたしましたが、特定規模電気事業者、いわゆるPPSの辞退等によりまして、いずれも不調となっており、現在は東京電力と随意契約を締結しているところでございます。
○福士委員 ことしまでは、割と順調に何者か、多いときは八者前後、それから、大体四、五者ぐらいは競争入札に参加しているわけですよね。ことしの不調は、三・一一の東日本大震災関連の特殊事情があって、やむを得ないのかなというふうに思いますし、ちまたではいろいろな話も飛び交っておりますが、ここで不調の原因を伺っても、そこは余りお話しいただくようなことでもないので省きますけれども、都がPPS導入を開始した二〇〇三年時点では、電力自由化は、契約電力が二千キロワット以上の需要家が対象になっていました。今年度入札を行った三施設も、二千キロワット以上の特別高圧契約の施設ですよね。
しかし、電力自由化の基準は、二〇〇四年に五百キロワット、それから二〇〇五年に五十キロワットと、段階的に引き下げられております。現在、PPS導入の対象となる施設はもっと多いのではないかと思いますけれども、国も各省で取り組んで--各省でというか、全省ではないですね。防衛省がたしか、春の入札じゃなくて、八月ぐらいとかというちょっと変な時期なので、私もそこだけは調べておりませんけれども、今までは防衛省は東京電力でした。ことしがどうなったかというのはわかりませんが、でも、国は、各省で大体PPSを取り組んでおります。
これをなぜこの東京でも広げなかったのか、よくわかりませんし、このことはお伺いしても、何かどうもお答えをいただけそうにもないということで、あえて伺いませんけれども、これ、局長にちょっとだけお願いしておきますけど、どんな単純な質問でも、もしお答えいただいて、ほかの問題に波及して困るようなことがあれば、お答えいただかないことがあってもいいと思いますけれども、単純な答えのときにはぜひお答えいただけるようにお願いをしたいと思います。
財務局の所管では、例えばこの都庁舎は財務局の所管ですけれども、都庁舎関連についてはPPSを使うかどうかの考えはなかったのかどうか。大き過ぎるということはあるかなと思いますけど、都庁舎の電力契約はどういうものになっているかお伺いします。
○櫻井経理部長 都庁舎の電力契約についてでございます。
現在、都庁舎の電力契約は、競争方式ではなく、東京電力との特命随意契約で三年間の長期継続契約を結んでいるところでございます。
これは、東京電力が開庁以来安定した供給実績を有すること、災害時においても迅速な対応が期待できたことなどから、東京電力と電力供給契約を締結したものでございます。
○福士委員 長期継続契約ということで、一通りの支出チェックというのかな、それはされていると思いますけれども、多分お安くなっているでしょうね、三年ということであれば。
ちょっと話が飛んで恐縮なんですけれども、多摩の地域では、私の仲間である立川市議の提案で競輪場にPPSを導入したところ、二六%余り、金額にして年間千七百万円ぐらい安くなったそうです。地域の財政にとっては千七百万円というのは大きな金額で、有効に使える費用ができたという意味でも効果があり、ことしは小中学校にも導入されました。そして、今、多摩の地域では他市にも広がっているようです。
特に学校などは、一般的に電力ピークになる時期が夏休みで、その間の突出部分、一般の電気がぴゅっと上がるときに学校は夏休みになるわけですから、電力をなだらかにするという意味でも、値引き対象として有効というのが、三多摩の地域の行政の調べでも挙げられています。
東京都は財政的に豊かであるために、実際に契約を行う各部局において電力コスト削減に対する意識が、これは低くなりがちといっていいのかどうかちょっとわかりませんが、低くなりがちなのかなというふうに思います。
都庁では、主税局における滞納整理など、庁内研修などを通じて知識の共有化を図っている例がありますね。こういうような情報交換によって、財務局がPPSにしなさいというような強制的な話じゃなくて、少しでも経費を節約するために、そして、何よりも電気というものに対して敏感になるためには、強制しなくても、情報の共有化と実践の積み上げが必要と思います。
知事も、天然ガスによる電力発電については、地域分散型発電導入を提唱されました。新聞記事でもちらっと拝見しましたが、近くの東京ガスからの電力導入も検討されているようですが、災害時対策としても、電源を幾つかに分散する考えは、福島の電源喪失の二の舞にならない意味からも重要かなというふうに私も思います。
都庁舎は、自家発電などの上に、二重、三重の予防策をとられることは結構ですし、近くの東ガスからお買いになるということは、送電線も東電の送電線を使わなくていいわけですから、そういう意味からも非常に結構だなと思いますし、財源節約の上からも、PPS導入の可能な出先施設に対しては、せめて再度情報提供して判断してもらうようなことはあってもいいかなというふうに思います。
先ほど申しましたように、今や五十キロワット以上の施設でPPS導入可能なわけですから、現在、競争方式をとっているのは、当初応じた二千キロワット以上の施設だけで、三施設からふえていないんですよね。最初の四施設のうちの都立大は、学校法人となって、このカウントされる対象になっていないということだけですので、有効利用は、多少を問わず考えるべきだというふうに思いますが、その辺はいかがなんですかね。
先ほど西岡委員のお答えのときに、電力の多重化を図るというようなお話がございました。これは、PPSも含めて競争方式というか、考えるという、そういう意味だったのでしょうか。それともそうじゃないのか、そこだけちょっと確認をさせてください。
○末菅建築保全部長 先ほど申しました電力の多重化と申しますと、私どもの考えている電力多重化は、電力を発生するためのエネルギーを何に依存するかということで電力多重化と考えておりまして、東京ガスのガス、東京電力のいわゆる商用電力、それから、私どもにある油で起こす非常用発電ということで、PPSで購入いたします電力については、東電の送電線を使ってまいりますので、PPSで東電と違うところから電力を買うことになっても、結局は東電の送電線を利用することになりますので、私どもとしては、東京ガスと非常用発電、それから商用電力ということの電力多重化ということで考えております。
○福士委員 東京都も発電しますとか、天然ガス発電と知事もおっしゃっていましたけど、送電線分離ができない限りは、なかなかいろんな問題はちっとも解決されないまま、先ほどの、ことしの電力が不調に終わったというのも、その辺あたりに問題があるんじゃないかと思うんですね。
だから、一方では、国の方に発送電分離ですか、そういうものをしていくように、知事あたりも要望するおつもりはおありのようですが、そういう形でやりながら、東京都のPPSの一つのいいところは、グリーン電力導入がきちんとされております。
したがって、九月の議会答弁では、CO2の大きな、余り芳しくない電気もあるのでみたいなことがお答えの中にもちょっと入っておりました。それでPPSを余り進めたくないみたいなことがありましたけれども、少なくとも東京都の場合は、グリーン電力導入ということが確保されているわけですから、それを広げたといって、PPSは今、CO2に関していえば、余り東電の原子力発電のCO2と変わらない。しかも、東電の原子力発電の場合は、原子力発電所をつくるときからのCO2は、一切その中には勘案されていないわけですから、電気を起こしているだけの期間のCO2で考えれば、確かにクリーンといういい方は可能なのかもしれませんが、全体的に見れば、放射能も含めてちっともクリーンじゃないし、CO2も本当は幾らぐらい出ているのかというのがわからないような部分もありますので、PPSは、どんどんどんどん進めていけるのかどうかも、相手があってのことですのでわかりませんけれども、もうちょっと広げていってもいいんじゃないのかなと。
それから、しつこくいえば、お金は、多分、地方都市のように小さなところでは、一千万、二千万、三千万というのはすごくありがたい金額だと思うんですが、東京都だと、そのぐらいだと余り安くなったという感触もないのかなというのがちょっと気になるところなんですね。
どの施設も税金で賄われているわけですから、一つ一つは都から見れば小さくても、各局でそういう施設にたくさんもし取り入れることができれば、かなり税の有効利用ということも、多少を問わず考えるべき問題として浮き上がってくるんじゃないのかなと思います。
それから、学校の方に関していえば、先ほども申し上げたみたいに、金額の問題だけじゃなくて、一般的にピークになるときに、学校はとんと電気が要らないという、そのでこぼこをならすという意味でも、学校にはぜひ勧めてみて、やってくださいというんじゃなくて、こんなのがありますよ程度の情報でもいいですから、お勧めいただけたらなというふうに思います。
私も、ちょっと教育庁の方にも、そんなのはどうですかみたいな話はしておいたのですが、有効というのは金額的な問題だけじゃなくて、環境全体も考えて、財務局といえども、ぜひご努力をいただきたいと思います。
ほかは、質問も重なる部分もありましたし、全部落としましたので、これだけにしました。また次のときには、ぜひぜひいろんな細かいことにもお答えをいただきますようにお願いして、質問を終わります。
○淺野委員 私からは、事業評価と、それに関連しまして成果指標、いわゆるアウトカム指標の導入について伺いたいと思います。
事業評価の歴史をひもときますと、もともと知事本局が行っていた行政評価を、予算編成とリンクさせて、より効率的で実効性の高い施策を構築するために、平成十八年度に財務局に移管したというように伺いました。
それ以来、この制度は、限られた財源の中で徹底してむだを排する、そうすべきだという、昨今、行政に特に求められていることにこたえるためにも、都政の重要なツールとして仕組みを進化させてきたんだと思います。
特に平成二十一年度以降、急激な都税収入の減収を背景に、事業評価によって事業の不断の見直しを行って、財務局を先頭に、都財政の健全運営に全庁を挙げて取り組んできたということについては一定の評価をさせていただきます。
そこでまず、これまでの事業評価の取り組みについて、都としてどのように評価をして、そして、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか伺いたいと思います。
○武市主計部長 事業評価は、財政再建の取り組みの中で集中的に実施をいたしました事業見直しの成果、あるいはノウハウといったものを財政再建達成後も継続していくために、新たな仕組みとして立ち上げたものでございます。
具体的には、一連の予算編成の流れの中に事業評価を組み込んだものでございまして、事業の成果あるいは決算状況などを厳しく検証した上で、見直し、再構築でございますとか、拡大、充実などの評価を行い、それを翌年度の予算に反映させていくものでございます。
この間、新たな公会計手法に基づくコスト分析や、関係部局と連携したより専門的見地からの検証を行うなど、評価手法を充実させるとともに、昨年度からは、新たに特別会計や監理団体を通じて行う事業も評価対象に加えるなど、そのレベルアップを図ってまいりました。
このところ、税収の大幅な減収が続くなど、厳しい財政環境が続いてございますが、そうした中にあって、財政の健全性を損なうことなく、必要な施策を展開し続けることができたのも、こうした地道な取り組みが都庁内に根づいてきた一つの証左であると考えております。
今後も厳しい状況は続いていくものと想定されますが、これまでの事業評価の取り組みを着実に進めながら、来年度予算においては、「十年後の東京」計画での取り組みも評価の重点対象として新たに加えるなど、事業評価が持つ施策の分析、検証機能をさらに強化することで、引き続き施策の効率性や実効性を高める努力を継続してまいります。
○淺野委員 今のお話で、翌年の予算にも反映されていくということですから、こういう事業評価の取り組みを行うことによって、実は、全庁的にさまざまな意識づけというか、そういったことが可能になっていくんだろうというのは思います。だからこそ、この仕組みをどのように進化させていくのか。今のままで満足することなく、どの程度完成度の高いものにしていくのかというのは、この都の、将来の都政を担うためにも非常に重要なことなんじゃないかなと思います。
特に、その具体的な中身についてお話をさせていただきますが、例えば、直近の月例経済報告によりますと、日本経済の先行きというのが、いろんな問題がありまして、依然として不透明だというところがあります。都財政も引き続き厳しい状況が続くと考えられます。
こうした状況の中で、都民の貴重な税金をむだなく効率的に使うためにも、この事業評価、こういったことの取り組みを初めとして、施策を徹底的に検証していく、そのことが非常に重要でありますし、すなわち、ふやすべき事業をふやす、つまり、いいものはとことんお金をかけて、どんどんどんどんやっていくべきですし、削る事業は削る、だめなものは即座にとめるぐらいの、めり張りが非常に大切だと思っております。
残念ながら、行政のあり方、今の事業を見直す取り組みとして、今の事業評価が本当に十分なのかといわれると、私は違うんじゃないかなと思っております。国においては、このあり方にいろいろ賛否の意見はあると思いますけれども、事業仕分けという形で、第三者を交えた客観的な事業の評価を行おうという、そういったことをやっておりますけれども、私は、この第三者を交えて客観的な事業の評価を行おうという、その理念は決して間違っていないと思っております。
ただ、もちろん、その第三者の中にはいろんな人がいるわけですから、民間の第三者が参加して行う事業仕分けにおいて、参加する人の資質によって、本当に責任を持ってその事業に切り込んでいけるかどうかというのは、確かに疑問が残る場合もあるかもしれません。
ただ、逆に、提案というか、私が思うのは、そこで同じ第三者といっても、行政内部において当該事業に従事していない他の部署あるいは他の事業を行っている職員さんを評価者としてそこに加えていくということによって、事業に係る評価について、行政のプロとしてのある程度一定の責任を担保するとともに、行政を熟知する者が参加することで、きめ細かい評価を実施できるんじゃないかなと思っております。
他県では実際に、その事業にかかわっている人たちだけで見て財政再建をするときに立て直しを図ろうと思うと、一割ぐらいしか出てこないものが、他の部署の人間を交えて、本当にその事業が必要かどうか、あるいはその予算が本当に必要なのかということを検証することによって、四割の削減が成功するというような事例も報告として上がっております。
ですから、都としても、今後、この事業評価において、そういった当該事務に従事していない、参加していないんだけれども、都の職員としていろんな仕事をされている方々を第三者として評価者に加えることによって、今やっている事業評価の実効性をさらに高めていくことができると私は考えておりますけれども、それについての見解を伺いたいと思います。
○武市主計部長 事業評価は、まずは事業を所管する各局が評価を行い、その上で、財務局が全庁的な視点なども踏まえて最終的な評価を行っております。
事業評価の手法につきましては、先ほど関係部局との連携ということを申し上げましたが、具体的には、例えば施設の整備に当たりましては、財務局財産運用部、建築保全部と連携いたしまして、財産の利活用や建築コストの適正化など、より専門的な見地から検証を行い、またあるいは、情報システムの開発、運用に当たりましては、総務局行政改革推進部と連携し、有効性やコストの観点からの検証を行うなど、その実効性を高める工夫を行っているところであります。
その第三者を評価に加えるという点でございますけれども、この事業評価は、みずからを改革する力、すなわち自己改革力を都庁組織に内在化させまして、行政自身の体質を変革していこうとする取り組みであります。
したがいまして、第三者ではなく、まず、事業を実施する各局が主体的に一つ一つの施策を厳しく検証し、評価していくことこそが重要でありまして、また、息の長い、年間を通じた取り組みでもございます。事業評価のプロセスに単に第三者を入れていくということは、私どもの制度には、なかなかなじまないものであると考えております。
いずれにせよ、これまでの事業評価の定着、成果の上に立ちつつ、評価内容の充実を図るなど、予算の見積もりから執行段階までを通じ、引き続き都庁の自己改革力をさらに高めてまいります。
○淺野委員 今、都庁の自己改革力をさらに高めていくというお話がありましたけれども、逆にいうと、都庁の中における職員の方々というのは、別に一生涯、入ってから退庁されるまで同じ部署にいるわけじゃないですよね。人事異動もされるわけで、それは当然、局間の異動だってあるわけです。そういうことで考えますと、いろんな立場の状況があるとは思いますが、他の部局の仕事について、逆にその仕事を知らない観点から見るという経験が、結果的に、後で自分がその部局あるいはその事業に携わることになったときに、外から見て、いわゆる一般の都民の方々から見てどういうふうに映るのか、それがどういうふうに事業の検証というのが映っていくのかということを意識させるいい機会になると思うんですね。自分がかかわっている事業を一生懸命検証することだけが自己改革力の顕在化につながるわけではなくて、時には、全く関係のないところを自分のこととしてチェックすることというのが自己改革力につながっていくというのは、当然あり得る話だと思います。
また、聞いたところによりますと、全庁的に、局をまたいで総務課長レベルで集まってやる会議というのがあるというのも伺っております。であるならば、例えば、自分の局である事業について検証を行った結果というのを、そういう全庁的な課長の会議や何かでちゃんと報告をしてみて、実際にその検証というのは本当に十分なんですかというのを他の部局の人に対して示してみる。そうして、そのときに出てきた意見や何かを聞くことによって、なるほど、自分たちがいっていたことが正しかったんだという自信につながるのか、あるいは場合によっては、自分たちがやったことはまだ足りなかったなというふうにつながるのか、そういったことを確かめるということも、時にやる必要があるんじゃないかと。今やっている取り組みだけがいいのではなくて、その取り組みによって、どのくらい自己改革力が、よりついてきたのかというのを確かめるという取り組みにもチャレンジしていただきたいなという思いがあります。
それを踏まえまして、結局、その成果指標ということを私は導入すべきだということをずっと思っているわけでありますけれども、昨年の決算の特別委員会でも同じようなことを指摘させていただいておりますが、やはり一つ一つの事業というのを検証していくためには、あらかじめ設定された目標、そして、その目標に対する達成度というのを検証しなければいけないということだと思います。
単純にわかりやすくいいますと、事業の報告、先ほどの質問の答えにもありましたけれども、例えば監理団体の方も全部含めて見ると、予算に対して、ある事業に対して、こういうことをやっています、こういうことをやっていましたと、ずっと羅列されています。でも、一番大切なことは、何をやっているかではなくて、それをやったことによってどういうふうになったんですかということが一番重要だと思うんですね。このどうなったのかというところが、いわゆる成果指標だと私は思いますから、この成果指標というのをちゃんと出さなければ、そのためには目標設定をちゃんとしなければいけない。それがつながってくることだと思います。
そして、こういう成果指標を、さらに目標の段階から含めて都民に広く公表することによって、都の事業に対して、どういうふうにやっているんだろうとか、どういう効果が生まれているんだろう、あるいは、こういうことをやっているのは何の目的でやっているのかという、都民の関心も高まるというふうに思いますし、また逆に、いただいている税金をこういうふうに使っていますよという説明責任を果たすという意味でも、非常に大切なことだなというふうに思います。
そして何よりも、実際に、例えば評価をされる、職員の方々が自分のやっている仕事の結果について評価をされるときに、あらかじめわかった目標があって、どういう評価をされるのかということがわかっていれば、少なくとも、じゃ、自分たちはこういう結果を出していかなきゃいけないんだな、そのために、やることが今ので本当にいいのかどうかと、さっきいった自己改革力という話からいっても、今やっていることが本当に最初の目的に合っているのかどうかという検証をするためには、そういうことがはっきりしている方が、より取り組みやすい。都庁の中の仕事における、いわゆる効率化とか実効性を高めるインセンティブの向上にもつながっていくんだなと私は思うわけです。
そこで、何度もいっている話なんですけれども、改めてもう一度伺いたいと思います。
この成果指標の導入ということに対して、昨年の決算委員会を受けて、どのように認識をされていて、そして、その後、どのような工夫がなされてきたのかを伺いたいと思います。
○武市主計部長 事業評価の取り組みを含め、予算編成過程において決算を分析する際には、まさに成果とコストの両面から一つ一つの事業を精査しており、その内容についても、できる限りわかりやすく伝えることが必要と認識をしております。
そうした点から、事業評価の結果を公表するときにも、事業の内容に応じ、目標と実績を数値で示せるものは極力数値化するよう努めており、また、決算書類の一部である主要施策の成果におきましても、今年度、データの追加をするといった見直しを行うなど、工夫を凝らしております。
ただ、指標というものは、わかりやすい反面、その指標の動きが、事業の直接的な効果によるものなのか、あるいは社会経済情勢などの外部要因によるものなのか、さまざまな要因が複合的に関係していることもあり、おのおのの事業との因果関係を分析することが難しいという課題もございます。また、事業によりましては、数値化、指標化すること自体がなかなか難しいというものもございます。
いずれにいたしましても、施策の効率性や実効性をさらに高めていくためには、今後とも、成果指標の考え方も含む、より多角的な視点から事業の検証を引き続き徹底し、都民に対しましても、その成果について、しっかり説明責任を果たしていくことが重要であると考えております。
○淺野委員 今の指標についてのお話もありましたけれども、確かに、行政のやっている仕事というのは、実際の生活と結びついているわけですから、当然のことながら、数値化するのが難しいものも、もちろんあるでしょう。それから、その事業による効果なのかどうかが判別しづらいものがあるのも、もちろんそうだと思います。
ですが、大切なことは、一つ一つのさまざまな角度からのデータを常に集めておいて、それを常に表に出せる状態にしておくことによって、何かこれをちょっと事業を検証しなきゃいけない、あるいは、こういう角度で新たな事業を起こさなきゃいけないと思ったときに、そういうデータがまさに蓄積されたものとなって参考になるわけだと私は思うわけですね。
ですから、難しいから集めない、公表しないではなくて、とりあえず、どういう分析ができるかというのはわからないんだけれども、そのデータを蓄積しておこうという姿勢は、ぜひ財務局から率先して取り組んでいく、やってほしいなと思っております。
その点からいきますと、財務局がやっていることについても、まず、みずからやっていけるんじゃないかと思うところがありますので、質問させていただきます。
財産の利活用についてでありますけれども、いろんな、やり方は確かに、成果指標という先ほどのやり方があるとは思うんですが、この都有財産の利活用というように、数値化しやすいものというのが実際あると思います。
例えば、平成十九年に策定された財産の利活用指針というものにおきましては、二次にわたる財政再建プランのような、財産の売却、つまり財源を確保しなきゃいけない、あるいは財政再建をしなきゃいけないための売却ではなくて、財産の保有をしながら、それを前提として、都の施策に貢献する財産の利活用に取り組んでいこうというようなことが書いてあります。
で、この間、ここで掲げた利活用、どの程度進んでいるのかと思うところでありますが、特にこの指針の中では三つの視点というのが挙がっておりまして、一つ目が、民間の力を生かした施策連動型の財産利活用の推進だ、二つ目が、コスト感覚を持った各局の主体的な財産利活用の推進なんだ、三つ目が、財産価値の保全と向上というふうに書いてあります。ただ、先ほどいいましたように、結構、数値化、数値目標とかにしやすいものだなと思う割には、こういう言葉では書いてあるんですけれども、具体的な数値での目標というのは、この指針の中にも出てこないわけですね。
今のところ、本当はその数値目標を確認したいところでありますが、まずは、具体的にその取り組み内容を検証するためにも、これらのこういう三つの視点での方向性というのがありましたが、この三つの方向性について、具体的にどういうような成果を上げてきたのかということについて伺いたいと思います。
○奥田財産運用部長 都有財産は、都民から負託された貴重な財産でございまして、その財産価値を最大限発揮させるとともに、都政の喫緊の課題解決等に向けて活用していくことが重要でございます。
都では、この基本的認識のもと、今お話がございました三つの視点をもちまして財産利活用を推進し、着実に成果を上げているところでございます。
一つ目の民間の力を生かした施策連動型の財産利活用の推進でございますが、緑化条件つきの事業用定期借地による貸し付けや、違法駐車対策としての駐車場設置などを行っております。
二つ目のコスト感覚を持った各局の主体的な財産利活用の推進でございますが、財産の自己点検制度や実地調査制度を通じて、各局がみずから財産の管理及び利活用の状況を点検し、財務局が技術的支援等を通じて各局の財産管理をフォローアップする仕組みを導入しておるところでございます。
三つ目の財産価値の保全と向上でございますが、主要施設十カ年維持更新計画に基づきまして、都有施設の計画的な改築、改修等を実施し、財産価値を保全、向上する取り組みを推進しているところでございます。
今後とも引き続き、着実に財産の利活用を推進してまいります。
○淺野委員 今のお話、確かに取り組みのやり方ということについては具体的に説明をいただきましたけれども、ただ、やっています、やっていますといっているだけで、実際、本当にどのくらいの活用が進んでいるのかというような数値データは一つもないわけで、そういわれても、多分、恐らく、それを見る一般の都民の方々も含めて、なかなかぴんとこないのかなと。本当にその取り組みというのは進んでいるんですかと、この指針をもとに、どんどんどんどん利活用が進んでいるのかどうかというのを確認のしようがないわけですよね。
本当だったら、例えば、都が所有する未利用地というのが実際にはどの程度の量があって、そのうちどのくらい使われていて、そして、どのくらいこういうふうに有効活用されています、この分野についてはこうなっていますというような、そういう事例が、また数値と一緒になって、はっきり示されていって初めて、ああ、進んでいるのかな、ある年次においてから今の年次がどのくらい進んでいるのかなという確認がとれるものだと私は思います。
ただ、こういったいろいろな資料を見ましても、どうやっても、その未利用の都有財産がどこにどれくらいあるかということすら全く把握できない状況なわけですね。ましてや、実際に、今後その都有財産がどのような都施策に対してどの程度の貢献をしていくのか、あるいはさせていくつもりなのかということ、これは、具体的な数値によっての目標や達成度が見えないから、それを都民がどうやって評価すべきなのか、把握しようとしても全く困難であるといわざるを得ません。
本来だったら、私も、都民に対して、まず未利用地の実態ということを広く明らかにしていくべきだと考えておりますが、今の時点でそれが難しいというのであれば、少なくとも、財務局として、この指針の方向性にのっとって着実に財産の利活用を推進していくために、都有財産の実態、特に未利用都有地の実態をきちんと把握しておくということは、当然、最低限必要なことだと思います。
そこで、今のこの未利用都有地という実態をどのように把握して、利活用に向けた取り組みをどのように行っているのか伺いたいと思います。
○奥田財産運用部長 一定の事業用途を終えまして財務局に引き継がれた未利用都有地については、日ごろの現場実地調査による確認や、関係者との調整記録を明確に残しておくことで現状を把握しているところでございます。
財産の価値を最大限に発揮するため、土地の一部であっても暫定活用を進めていけるよう事業者等にヒアリングを行う、あるいは、活用に向けて土地境界の確認をとるため隣接地権者と調整をするなど、地道な取り組みを実施しております。
今後も、こうした地道な取り組みを着実に行うことで、財産利活用の推進を図っていきたいと思っております。
○淺野委員 今の答弁でも、先ほど田中委員からの質問にあったように、三百四十六件あって、千五百億円分の未利用都有地があるわけです。今の説明をもし聞いた人は、実際、じゃそれで、未利用都有地といって、千五百億円分の何億円分ぐらいがそういう活用をされているのかなということが全く想像ができないわけですね。極端な話をいえば、一つの事例につき一件だけやっていたって、今のような事例をたくさん並べられるわけです。三百四十六件あるうちの、例えば十件ぐらいそういうことをやっていて、やっていますといえるわけですし、三百四十六件の三百件のいろんなやり方でそういうふうにやっていても、今のような説明を同じようにできるわけなんです。
それを客観的に見せるのがまさに数字の目標、あるいは数字のデータによる示し方であって、例えば、土地の面積なり、あるいは土地の価格なり、どんな指標でもいいですけれども、さまざまな、どうにかした指標で、表に向かって、このぐらい進んでいるんですよというのを示していけなければ、見ている側としたら、何か進んでいるんだか進んでいないんだかわからないよという状況が、ずっともやの中を進んでいくように見えているだけというのが、今の私が答弁を聞いての実感として生まれてきちゃうわけですね。
ですから、それは財務局としても、今後それをもっともっと、こう客観的に見られるようなやり方というのを研究していっていただきたいし、それをちゃんと検討して出せるようにしていっていただきたいなと思うわけであります。
また、この財産の利活用という意味では、当然、土地だけじゃなくて建物というのもありまして、そういう、これまでの財政委員会の中でもいろいろと議論をされているようでありますけれども、この建物という利活用について、ことし六月の財政委員会の質疑の中でも、例えば、都庁舎などのこの建物の利活用の一つについて、広告事業ということを挙げているわけであります。この広告事業についても、今年度中には検討します、そして、やりますよという前向きな答弁をいただいております。
しかしながら、例えば、エレベーターホールの片隅に申しわけ程度に広告を掲載して、やりましたといっても、確かにやったことはやったでしょうけれども、それは本当に広告事業というやり方なんですかというふうになってしまうと思うんですね。
特にこの広告事業については、他の自治体が先進的に取り組んでいるところが幾つかあるというところであって、また、そうした自治体がどういうやり方で、あるいは、どんなような条件で広告事業を行っているのかというのは、非常に研究する価値があるでしょうし、都庁舎などに対しても、どの程度、民間の需要があるのか、あるいは、実際にやるとしたら課題は何かということを十分に調べる必要があると思います。
六月の財政委員会では、こうした点についても調査を行っていますよという答弁がありました。この調査結果を十分に生かして、広告事業をこれからいろいろ実施していくための条件整理を進めて、積極的に財産収入を得るという姿勢を示していかなければいけないと思います。
そこでまず、都において、これまでの調査の現状について伺いたいと思います。
○奥田財産運用部長 都の庁舎における広告事業の展開につきましては、現在、他の自治体の事例や民間企業の行政施策への広告需要などを調査中でございます。
今後、調査を踏まえまして、都有施設に広告を掲載する場合の条件整理などを行う予定でございます。
○淺野委員 調査自体は、当然、今年度内に調査を完了していくということでありますけれども、また、この結果を踏まえてどういうふうにやっていくかというときも、一定の数値目標、それから、具体的にいつまでにやっていくのかということを、はっきりと示していただくようにお願いをしておきます。
この後の計画が立てられるときに、結局これは指針ですから、先ほどの財産の土地の話でもありました指針は、指針ですから、確かに方向性を示しただけといえますけれども、本来であれば、この指針を受けて、いつまでにどういう形にまで持っていくという目標を定めていって、それをちゃんと公表して、ある意味、自分たちを追い込みながら仕事をするという姿勢も必要なんじゃないかなと思うわけであります。
これが最後の質問になりますけれども、こういった財産の利活用について、既に、この財産利活用の指針も、策定してから五年が経過しているわけですね。もちろん、状況、社会状況は本当に変わっているわけですし、ことしのように東日本大震災など、本当に環境の著しい変化というのもありました。そう考えると、そろそろこの指針も、またいろいろと考え直して、つくり直していかなければいけない持期に入っているのではないかなというふうに思います。
先ほどからずっと何度もいっていますけれども、そういうつくり直すときに、さっきいった成果指標や、あるいは数値目標、時間的な期限とか、そういったものを導入することによって、より仕事としては非常に厳しくなりますけれども、今あるこの財産の活用指針から、もっともっと一歩も二歩も前に出て、都民が見て、利活用の目標とか目的とか、あるいはその成果をわかりやすく理解できる、あるいは都から見て説明できるというような状況にしていくことが必要だと思います。
中にはもちろん、特に調整が進まないというような、直ちに使うことができない、活用することが難しい財産においても、それをあきらめてほうっておくみたいな、時間を経過させるだけというふうになっては絶対にいけないと思うわけですね。
この未利用の都有地については、個々の事情がいろいろあるでしょう。だから、例えばさっきいった三百四十六件あれば、三百四十六通りのいろんな事情があるんだと思います。そういうことはわかりますけれども、ただ、それぞれの財産について、少なくとも取り組みの目標、あるいは取り組みの状況、そして利活用の成果ということについて、先ほどもいいました、表に出せないのであれば、少なくとも財務局の内部では、きちんと明確化して取り組んでいく必要があると思います。ですから、この点について都の見解を伺いたいと思います。
○奥田財産運用部長 都内に残された貴重な都有地につきましては、財産価値を最大限に引き出し活用していくことが重要でございます。
未利用都有地につきましては、わずかな期間であっても、可能な限り有効活用を図るということが大切で重要でございます。そのため、個別の土地につきまして、関係者との交渉記録や現地調査をもとに、年度当初に、当該年度に取り組むべき目標を明確にし、例えば、土地全体の境界が確認できていなくても、貸付可能な部分を暫定活用するなど、できるところから、さまざまな手法で調整しているところでございます。その結果、暫定貸付などの成果が出た場合につきましては、各局に事例周知するとともに、ホームページで紹介するなどの取り組みも実施しております。
未利用都有地の暫定活用件数を少しでもふやしていくことも含めまして、今後も利活用に向け、明確に目標を持って取り組むとともに、成果も紹介してまいります。
○淺野委員 今、具体的にはっきりといっていただきました。この暫定利用の件数を少しでもふやしていくんだという姿勢を示していただきましたけれども、実は財務局、先ほどいった事業評価の中でも、次年度の予算を分け与えるに当たって、各局が非常にいろんなことを説明しなきゃいけないという状況をつくっていく必要があるんだと思うんですね。それは、より厳しいものにしていかなければ、各局も、例えば財務に対して、この事業をやった結果、こうなってきているんですということをちゃんと示せないと、どんどんどんどん継続しての予算というのはそう簡単にはつかないんだよという姿勢が、都にとって非常に理想的な環境になるんじゃないかなと私は思います。
そういうような体制をつくっていくためには、やっぱりまず財務局自身が、自分たちでやっていることに対しては非常に厳しい視点で目標を設定して、数値が公開されて、だれからいわれても客観的な指標ですべて説明ができるという状況の中で、より厳しい環境の中で財務局自身が仕事をしてこそ、他局に対して、より厳しいものを求めていける。そして、結果的に、都民全体から見て、客観的でわかりやすい都政というのが実現できるんだろうと私は思っております。
そういった、たどり着くのは確かに大変難しいかもしれませんが、いま一歩を踏み出すことは大変重要だと思いますので、ぜひ財務局からそういう一歩を踏み出していく努力を、まず始めていただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○宇田川委員 私からは、入札契約制度について質疑を進めていきたいと思っております。
初めに、総合評価方式についてお伺いをさせていただきます。
先ほど来、三・一一の東日本大震災の話が出ておりますが、各地各所に大きなつめ跡を残したわけでありまして、特に被災された東北三県については、いまだに復旧のめども立たないという状況で、大変苦しんでいる方が多いんだと思います。
東京都においても、大規模ではなかったにせよ、大きな被害はありました。私、地元は江戸川区でありますが、液状化が江戸川や江東等々で起こりまして、一戸建てが傾いたり、道路に液状化の砂が噴出したり、そういう被害が出たわけであります。江戸川区の場合は、そうなったときに、地元の業者が率先して、その道路なり歩道の復旧工事に携わっていただきまして、わずか数日のうちにすべてを完了していただいた、こういうことが事実であります。
災害時はもとよりですが、日常の道路の管理、維持については、こうした小回りのきく地元の業者が、やっぱり私は大事なんだろうなと思っています。こうした業者を都として育てていくというのも重要でありますし、かつ地元の業者に対して、いろいろやった貢献をしっかりと評価してあげる、こうした仕組みも必要なんだと思っております。単に災害協定を結んでいるから、そのインセンティブを与えるということでは私はないと思っています。
今、申し上げたとおり、江戸川区の業者はそうやって動いてくれた。動いてくれた人に対しては、お礼じゃないですが、貢献に対して評価を与えてやる。この災害協定というのが業界団体と締結されているわけでございまして、その業界団体に入っていればインセンティブを与えられる、こういう単純なものじゃないと思います。災害協定を結んでいる土木建築業者が、もしかしたら、その災害が起こったときに自分たちが被災してしまうかもしれませんし、そのインセンティブを欲しいがために組合に入るということも、否定は私はできないんだと思う。
だからこそ、大変センシティブな部分を含んでいると思っているんですが、いざの有事に役立つ業者の、先ほど申し上げた育成と、その際の貢献をしっかりと評価した上で、アドバンテージを与えていく仕組みづくりというのは重要だと思っています。
東京都の入札契約制度において、今後どういう取り組みをしていくのか、まずお尋ねをいたします。
○石井契約調整担当部長 これまで、主に大規模な工事を対象といたします総合評価方式におきまして、企業の災害協定の締結実績や、緊急施工工事等の実績を評価し、優良な事業者が適切な価格で受注できる環境を整備してまいりました。
今後は、主に中小建設業が入札に参加できる規模の工事を対象とする施工能力審査型総合評価方式においても、緊急施工工事の実績などを評価項目に加えることを検討してまいります。また、災害協定の締結実績につきましても、評価手法の見直しなどを踏まえ、導入を検討してまいります。
優良な事業者を総合評価方式において適切に評価することにより、中小建設業を育成するとともに、日常の維持管理や、震災時等の応急復旧活動の最前線における担い手として確保してまいります。
○宇田川委員 今お話しの制度、すごく大事なことだと私は思っています。価格のみで落札を決めるということではなく、総合的な観点から、いろんな評価を見て業者を選定する、これは当然に品質確保につながることだと私は確信をしているので、制度の中で十分機能させていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
次に、成績評定の活用についてお尋ねをいたします。
我が党は、入札・契約制度改革プロジェクトチームというのを立ち上げまして、私もメンバーですが、既に四年以上にわたって、入札契約制度、指定管理者制度などについても検討を重ねてきたわけでありますが、これらを受ける形で、財務局で新たな入札契約制度について進めてきた取り組みも多いと。我々、それだけ成果を上げたと自負をしているところでございます。
入札契約制度というのは、建築とか土木、こういった工事に関することだけではない。皆さん、よくおわかりのとおりであります。物品はおいておきまして、工事に関連した業種があります。例えば、設計とか測量、解体などなど、さまざまな関係業務があるんですが、ここにおける品質確保も、また重要なんだと思います。
新聞に出ていましたが、基本設計を百円でとって、そのまま随契で本設計をとるなんて、とんでもない契約が横行しているんですね、事実として。百円ですよ、基本設計、落札額が。人件費も何もあったものじゃない。しかし、それをとれば本設計がとれるからといって、そういう制度がまかり通っているのが今現実にあるわけでございます。
こうした工事関係業務における品質確保を、先ほども申し上げたとおり、しっかりやっていかなければいけないと思うんですが、どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。
○石井契約調整担当部長 都では、平成二十二年五月から、設計等の工事関係業務において、成績評定制度の本格的な実施を開始いたしました。約一年半が経過し、制度も定着してきたことから、工事と同様に、成績評定結果の優良点及び不良点の基準を定め、今後、契約制度に活用してまいります。
具体的には、成績評定結果に基づく指名停止、または優先指名の制度を導入し、技術力のある事業者にインセンティブを与えることを考えており、平成二十四年一月以降に契約する案件を対象に適用する予定でございます。
さらに、工事と同様に、成績評定結果を活用した総合評価方式の導入についても検討し、工事関係業務における品質の一層の向上を図ってまいります。
○宇田川委員 次に、今後の入札契約制度の改革の進め方というか、そういった形で質問させていただきます。
百年に一度といわれるリーマンショック、経済に大きな影響を与えたわけでございます。国の公共事業費の削減などによって、日本経済は大きなダメージを受けているのも事実だと思います。さらに、ヨーロッパ、欧州危機などを背景に続く歴史的な円高を初めとして、日本経済をめぐる情勢は、今、刻一刻と変化をしている。決していい方に変化はしていないと思うんですが、変化を続けているのだと思います。
一方、東京では、昭和三十九年東京オリンピックに向けて、高度成長期といわれる時代に急速に整備をされたインフラ社会資本が更新期を迎えてきております。間もなく五十年、五十年以上経過したところもあると思います。
今後、東京の都市づくりを進めるに当たっては、新たな社会資本への投資と、今申し上げた、既にある社会資本の維持更新のための投資が十分にかみ合って、計画的に投資がなされることは大変重要だと思いますし、震災後の高度防災都市づくりというものを掲げて、我々、東京都と協力しながら動いているんですが、このあるべき都市づくりの姿のためにも大切なことなんだと思っております。
このような状況下において、工事の担い手が、健全な競争のもとでお互いの技術、腕を磨いて力を発揮していただくことが、防災都市づくりにおいても、経済や雇用の面においても好影響を及ぼしていくと、そう考えているところでございます。そのためには、公共調達の仕組みの改善はとても重要であると認識をしております。
これまでの入札契約制度の改革、その手綱を決して緩めることなく、社会経済情勢の変化や時代の要請に対応しながら、引き続き改革をしっかりと進めていくべきだと考えておりますが、今後のこの制度改革の進め方について、局長よりお考えを伺えればと思います。
○安藤財務局長 ただいま理事からお話のありましたように、今後、高度な防災都市をつくっていく上で、あるいは東京がさらに発展していくためには、やはり着実な社会資本の整備が必要かと思いますが、そのためにも、質の高い公共工事を実現し、かつその担い手を確保する、私どもが所管しております公共調達の仕組みが極めて重要であるというふうに思っております。
平成二十一年の十月でありますけれども、入札契約制度改革の実施方針を策定してまいりましたが、それ以降、低価格入札の抑制でありますとか、工事の品質確保への取り組みなど、制度改革に取り組んできたつもりでございます。その結果として、過度な低価格入札には一定の歯どめがかかりつつあるなというふうに思っておりますし、また総合評価方式についても、着実に適用の拡大を進めているところでございます。
また、先ほど部長から答弁いたしましたけれども、地元の中小企業の方々の育成という点も含めまして、総合評価方式の評価項目を新たに追加することによりまして、優良な事業者の確保を図る、さらには、工事関連でありますけれども、設計などの業務につきましても成績評定制度の評定結果を活用した総合評価方式を導入して、工事につながります業務の品質の確保を図っていくというふうなことも予定しているところでございます。
公共調達におけます入札契約制度につきましては、納税者の方の負担のもとで行っておりますので、透明性、競争性、品質確保という要請にこたえることが求められているわけでありますけれども、他方、お話がありましたように、経済情勢は大変目まぐるしく変化をしているところでありまして、これにつきましても迅速かつ適正に対応していくということが、財務局としての課題であるというふうに考えております。
着実に入札契約制度改革に取り組みつつ、最近の状況の変化にも迅速に対応しながら、引き続き、適正な価格と良好な品質の確保という契約制度の姿を目指して取り組んでいきたいと思っております。
○宇田川委員 局長より丁寧なご答弁をいただきまして、ありがとうございました。我々も引き続き、入札・契約制度改革PTにおいていろいろ検討を重ねていきたいと思っておりますし、また、今、局長からお話があったとおり、いろんなことで改善を続けてくださっているんだと思います。低入改善にも役立っているし、くじ引きも圧倒的に少なくなったと聞いています。しっかりとした品質確保をした上で、入札制度についても確実に歩を進めて、よりよい制度づくりをしなきゃいけないと思っていますし、まだまだ我々も問題意識を多く抱えておりますので、またの機会を通じて、いろいろ議論を深めさせていただければと思っていますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思っております。
次に、TPP関連なんですが、入札契約制度にTPPがいかに影響を与えるのかということを少し話をしておきたいと思っています。
環太平洋パートナーシップ協定交渉、いわゆる今申し上げたTPP協定交渉ですが、ここのところ、大分マスコミがTPPという言葉をにぎわせているわけであります。一部マスコミが初めに農業を取り上げまして、農業が自由流通になると農家が大変な打撃を受けるじゃないかと、こんな話ばかりしていたわけですが、しかし、この農業に与える影響というのは、私はごくごく一部だと思っています。二十一分野とも二十四分野ともいわれるいろんな分野で、このTPPが影響を与えていくわけでありまして、その中で、公共工事の契約制度に与える影響についてちょっと話をしたいと思います。
TPPに入る前に、ちょっとWTOの話をさせていただきますが、世界貿易機関という国際的な機関がありまして、自由貿易推進の立場で国際的なルールがこの機関の中で決まっているわけでありまして、関税引き上げとか、数量の制限を緩和していくとか、こうした動きをしているわけであります。農産物等々の物を、最初、規制緩和の動きをしたんですが、最近になって、WTOもいろんなことに影響が出始めています。金融とか通信とか、それから特許、著作権なんていう知的財産に及ぶまで、WTOが今影響を与えているということでありますが、申し上げたとおり、TPPの議論をする前に、現在の世界的な国際的ルールがある中のWTOの特定調達契約、WTO契約の概要について、工事を例として内容をお聞かせいただきたいと思います。
○石井契約調整担当部長 工事につきましては、平成二十二年度は、総務省の告示によりまして、予定価格二十三億円以上のものが特定調達契約の対象とされており、財務局契約分について見ると十五件が対象となっております。
特定調達契約の場合、入札の四十日前までの公告が義務づけられていることや、公告の一部については英語でも行わなければならないことなど、手続の面でも通常の案件とは異なっております。
また、参加要件の設定に当たっては、Aランク、Bランクといった競争入札参加資格の等級区分が適用できないなど、参入障壁となる可能性がある要件を付さないよう配慮が求められているところでございます。
○宇田川委員 特定調達契約が、通常の契約に比べて期間を要することとか、例えば英語で記さなければいけない、参加要件などについて日本の制度とは異なっているのが現実だということがわかりました。
予定価格が二十三億円以上ということですから、もちろん国から発注されるものは結構あるのでしょうが、他の道府県の発注はそんなにないのかなと。ただ、我が東京においては、恐らく相当な影響を受けてきているのが今現実だと思っています。
既にTPP協定が発効しているシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、こうした四カ国があるんですが、四カ国の基準が都の工事に仮に適用された場合に、影響はどの程度あるのか、お尋ねをいたします。
○石井契約調整担当部長 平成二十二年度の財務局契約の工事について見ますと、特定調達契約の対象案件は、先ほど申し上げたとおり十五件でございますけれども、仮にTPP加盟四カ国による協定、いわゆるP4協定の基準を適用した場合は、特定調達契約の対象金額であります二十三億円以上から、七億六千五百万円以上に引き下げとなりますことから、特定調達契約案件と同様の手続を踏まなければならない案件数につきましては六十一件となります。
○宇田川委員 仮にP4基準を適用した場合であっても、特定調達契約案件の約四倍の件数になる、こういうご答弁でありました。TPP協定に基づく契約手続が現行のWTO対象案件並みになるとするならば、件数が増加をする上に、手続の煩雑化がかなり出てくるんだろうなと。当然に事務量がふえてくる、こういうことになるわけであります。
しかし、ここで大切なこととして申し上げておかなければいけないのは、理事者の立場の皆さんは、仮の話ばかりじゃ、なかなか答えられないと思っているので私からお話ししますが、内外無差別というTPPの基本的な考え方を加味すると、これまで公共調達において当たり前のように行われてきた、加えていえば、先ほど局長答弁にあったとおり、いろいろ試行錯誤を繰り返した中でよりよい制度をつくってきたものが壊れちゃう可能性が出るということなわけです。
例えば、JV結成時における地域企業活用を今、義務づけている。こんなものもなくなってしまうだろうし、先ほど質問した総合評価方式等における成績評定の活用、こんなこともできなくなる。想像にかたくないことだと思っています。さらに、分離分割発注や発注ロットの細分化、これは我々が中小企業支援のために進めてきた大事なところなんですが、この中小企業の受注機会増大に配慮してきた公共調達の仕組みも壊されてしまう可能性があるんです。
低価格競争を防止するための特別重点調査制度も、私は機能しなくなってしまうと。なぜなら、競争性を阻害するということで、海外企業は、徹底的にこんなのは外しなさいという攻撃があるんじゃないか。これはおそれの話ですが、私は今、可能性についてお話をさせていただいているのでお許しをいただきたいと思います。
公共工事に関することじゃなく、先ほど二十一とも二十四ともいわれる分野で検討が重ねられるという話をしましたが、わかりやすいところでいえば、例えば医療、この委員会に関係ないので、答弁はもちろん求めませんが、医療制度を見ると、二十一項目の中に労働というのが入っていて、看護師、介護士の労働を流入していいよと、こんな話が出ています。
今、インドネシア、フィリピンと協定を結んでいる中で、介護士人材を育てようということで、日本の資格を取らせるために、インドネシア人、フィリピン人を日本に連れてきて、いろいろ勉強してもらっているんですね。それを考えれば、外国から看護師がぽんと流入してくれれば便利じゃないかと。そうじゃなくて、もう一歩踏み込んで考えれば、実は外国で取ったライセンスでいいよと、こういう話になるんですね。日本のライセンスでいいよということじゃないんですよ。そうすると、日本の看護師、介護士のサービスがばらばらになっちゃうことは明らかでありまして、絶対に医療サービスの低下につながるんだと私は思っています。
保険も自由化ですよ。国民皆保険制度が全くめちゃくちゃに壊されてしまう。こんなことがやっぱり簡単に許されてはならないわけでありまして、アメリカと日本は同じ立場だというアメリカの主張がありますが、これも私は間違いだと思います。日本はこの協定交渉にオーケーを出せば、日本じゅう全部に影響を及ぼしちゃう。しかし、アメリカは、アメリカの国が了承しても州法で守られちゃっているんですよ。各州で、うちはノーよと、突き飛ばせば終わる。これがすごく肝になる話でありまして、知事は、金曜日、反対だと表明をされておりましたが、しっかりと一つずつ分野を細かく議論を重ねていけば、簡単に賛意を示すなどということは、私は絶対にできないことだと思っています。
こうした今、懸念をいろいろ申し上げてきたわけですが、現段階では情報が全く欠落しているんですね。文章で、このTPPについて何もないという状況で検討しろとアメリカがいってきているわけで、情報不足でありますから、正確に判断をすることは大変難しいことなんだと思っています。しかし、今申し上げたようなことを一つずつ、しっかりと検証をしていって、深く考え込んでいかなければいけないんだと思うんです。予想される事態、それに備えて対応を考えていくべきだと、この場で申し上げさせていただきます。
今後もぜひに、いろんな情報が入ってくるんだと思うんですが、冷静に判断をいただいて、都としても慎重に対応していっていただきたい。もう四十四道府県が反対の意を示していると、こんな新聞記事もありましたが、東京都もあらゆるもの、金融なんか、もうめちゃくちゃになりますよ。そういったものを一つずつ検証を重ねていただいて、慎重な姿勢をとっていただいた中で、いうべきときにはきちっというと、こういう姿勢を貫いていただきたい。ぜひにお願いしまして、私からの質問を終わります。
以上です。
○加藤委員 先ほどの中山理事の質疑の中で、平成十九年の省エネ東京仕様二〇〇七、さらには、ことし七月に策定した省エネ・再エネ東京仕様についての論議がありました。
この東京都の仕様には、LED照明についても記載があります。その二〇〇七と、ことし七月の省エネ・再エネ東京仕様、主な改正点として、高効率の省エネ設備の導入拡大というところで、LED照明や高効率空調設備など最新の省エネ設備を仕様に追加ということで、LED照明の記載があります。そこで、私は、都有施設におけるLED照明の導入に絞って、関連の質問を行います。
東日本大震災後、今回の電力不足に対応するため、都民が一丸となって首都東京の電力使用抑制に努力した結果、幸いにも、ピークとなる夏場の電力不足については、どうにか乗り切ったところです。しかし、電力不足は今後も続き、長期的かつ抜本的な節電対策が不可欠になっています。
都では、これに対応するため、既に、ことし五月に策定した東京都電力対策緊急プログラムにおいて、節電対策の一つとして、照明のLED化を推進することを表明し、電力に過度に依存しない社会を目指していく取り組みを進めております。
LED照明への切りかえは、投資効果にすぐれ、確実な電力削減効果が得られます。例えば、四十ワット型の従来型蛍光灯百本をLED化した場合、年間の電力使用量、電気料金、CO2発生量を約五〇%削減可能であるというふうに聞いております。その理由は、LED照明が、半導体である発光ダイオードを利用した照明であり、発光ダイオードはエネルギーをそのまま光に変えるため効率がよいと、そういう点にあるようです。また、製品の寿命が長く、電球に比べ交換頻度が少なく、トータルコストが低減できます。加えて、水銀を使用していないため、廃棄の際にも環境負荷が軽減されるなど、すぐれた特徴を有しております。
しかし、LED照明は、単なる電球の代替品ではなく、すぐれた節電効果などそのメリットを生かすには、LEDを半導体として理解し、導入、維持管理していくことが不可欠であります。このLEDの性質を誤って理解していると、そのすぐれた特徴を活用できないばかりか、設置後、さまざまな障害を引き起こすことともなります。例えば、ある自治体では、庁舎内の蛍光灯をLED照明に交換したところ、ちらつきなどによる健康障害が発生し、問題のあるLED照明二千五百五十本、相当な数ですが、設置し直すこととなりました。こうしたトラブルの原因は、LED照明の規格や基準の法整備が進んでいないことにあるとの指摘があります。
そこで、基本的なことから伺いますが、LED照明は、企業や店舗、家庭で急速に普及が進んでいますけれども、LED照明の現状について伺います。
○室木技術管理担当部長 LED照明の普及状況でございますが、社団法人日本照明器具工業会の調査によりますと、LED照明器具の国内向けの出荷台数でございますが、二〇一一年上期は約二百八十七万台でございまして、昨年の二〇一〇年上期の約二・七倍となっております。また、全照明器具の出荷台数に占めますLED照明器具の割合でございますが、二〇一一年上期では約一六%を占めるに至っております。
一方、安全性や信頼性の面につきまして、LED照明の多くが電気用品安全法の対象外で、かつJISなどの規格が未整備な状況にあるため、製品の品質は製造メーカーごとの社内規定によっている状況でございます。このため、委員のご指摘にもございますように、健康障害を初めとして、テレビ、ラジオの受信障害や発火、落下などの事故事例も報告されている現状でございます。
○加藤委員 今、二〇一一年上期は、二〇一〇年上期の約二・七倍ということで、猛烈な勢いで普及しているのがわかります。LED照明の出荷台数に占める割合も、全体の四分の一に迫る状況で、今後もさらに価格が下がって普及していくというふうに思います。
しかし、一方で、今あった健康障害の問題、それからテレビ、ラジオの受信障害、これは恐らく、商店街で街路灯をLED電球に切りかえた例だというふうに思うんですけれども、どういった製品を入れるか、これが非常に大変大切になってまいります。
そこで、このLED照明について、現在の都の仕様の中でどのように記載をされており、今後、その仕様に基づいて、都有施設にどのように導入、設置するのか伺います。
○室木技術管理担当部長 都では、LED照明を含め、製品の規格が制定され、安全性や信頼性及び汎用性が確認された照明につきましては、東京都電気設備工事標準仕様書への記載を行っております。
この仕様書に記載された製品の中から、トータルコストあるいは使用条件などを勘案いたしまして、使用場所ごとに最適な照明器具を選択しております。
この結果、LED照明につきましては、玄関ホールや廊下などを中心といたしまして、ダウンライト型やスポットライト型の照明を採用するなど、都有施設への導入が図られております。
今後は、蛍光灯など、事務室の主要な照明であるベースライトにつきましても、技術開発や価格動向及び規格化の進展などを踏まえまして、都有施設におけるLED化を進めてまいります。
○加藤委員 CO2削減に加えて、大震災を契機とした節電の要請が今後も続くと考えられ、ますますLED照明にスポットライトが当たる中にありまして、今後、都有施設の事務室などにもLED照明を導入する時期が、すぐにも到来すると考えます。一刻も早くLED照明に関する法の空白地帯が解消されるように、国にも精力的に働きかけることが必要と考えます。
国際競争、価格競争が激しい中にあって、日本のLED製品が規格を主導し、グローバルスタンダードを確立していけば、日本のものづくりを有利に展開していくことにもつながります。そうしたことを、都としても国に促していくことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
先ほども質疑のやりとりがありました、来年七月に信託契約の満了を迎えます両国シティコアにつきまして、私からも何点かお伺いしたいと思います。
私の地元墨田区にある案件でもありますので、一層関心を持っております。生活者の視点からも、重ねて伺いたいと思います。
ご存じのとおり、墨田区の両国は、江戸時代からの歴史あるまちであります。現在、両国シティコアの建っているあたりは、かつては本所松坂町と呼ばれていたところであり、赤穂浪士の討ち入りで知られる吉良邸もこのあたりにありました。こうした歴史あるまちの一角に、大正九年、旧両国国技館が建設され、戦後も、国際スタジアム、その後、日大講堂と名前は変わりましたが、地域のシンボルとして存在してきました。その跡地を都が取得し、両国シティコアはそこに建設されたわけです。
平成元年に土地信託契約が締結され、平成四年に建物は竣工いたしました。バブル経済のただ中、オフィスビルとあわせ、当時、やはり不足していた住宅を、信託の手法を活用し、都民住宅として提供するという取り組みでもありました。
さて、昨年の第三回定例会での当委員会にて、我が党の斉藤やすひろ委員から、幾つか両国シティコアについて質問をさせていただきました。その際、両国シティコアについては、今申し上げたとおり、都民住宅も併設されていることから、居住者の生活も考慮し、より一層慎重な検討を行っていく必要がある旨、お願いをしてあります。
それに対し、信託契約満了後の出口戦略の検討に当たっては、専門家による検証チームの充実はもとより、現在の居住者の生活も考慮し、都民住宅を所管する部署との緊密な連携と、地元との協議、調整など、専門的、多角的な見地から検討していかれるとお約束をいただきましたが、現在の検討状況について伺います。
○岩瀬利活用調整担当部長 来年七月に信託期間満了を迎える両国シティコアにつきましては、委員ご指摘のとおり、商業ビルのほか、都民住宅など直接都民にかかわる施設も併設されていることから、専門家の意見を聞くことはもとより、住宅政策を所管いたします都市整備局のほか、関係者とも十分に調整を図りながら、入居者の居住の安定も含め、その対応策について検討を進めているところでございます。
○加藤委員 今回は、その検討内容に少し踏み込んでお聞きしたいと思います。
まず、現在の都民住宅には、何世帯の居住者がいらっしゃいますでしょうか。
○岩瀬利活用調整担当部長 両国シティコアに併設している都民住宅の総戸数は六十戸でございまして、本年九月末現在、五十九世帯の方が居住しておられます。
○加藤委員 あわせてお聞きいたしますが、実際の部屋の広さ、間取りはどのようになっていますでしょうか。
○岩瀬利活用調整担当部長 いずれも二人以上の世帯向け住宅でございまして、専有面積はおおむね五十六平方メートルから九十一平方メートル、間取りは一LDKから三LDKとなっております。
○加藤委員 今お聞きした中で、ほぼ満室状態ということもあります。そして、この両国シティコアの信託事業が始まった当時は、バブル経済で、我が墨田区でも、大変住宅に困っていた時期でありました。そうした中で、都民住宅という形で世帯向けの住宅が六十戸供給されたというのは、大変タイムリーな形で実現されたと評価されるものだったと思います。
ただいまご答弁いただいたように、世帯向けの住宅ということですが、このあたりには、幼稚園、小学校、中学校、さらには私立の高校も近くにありまして、子育て世帯には住みやすい地域であります。今住まわれている五十九世帯の方々が不安になることがないように、都として責任を持って対応していく必要があるかと思います。
今後の具体的な対応策は、現在、関係者と調整しながら検討しているということですので、土地信託の制度として伺いますが、一般的に、信託契約が終了すれば、財産が都に戻ってくることになると承知をしておりますけれども、住宅についても、基本的にはそういう位置づけということで理解してよろしいのでしょうか。
○岩瀬利活用調整担当部長 信託契約が終了した場合、土地、建物及び債権債務など、都にそのまま承継されることになってございます。両国シティコアに併設されている都民住宅につきましても、それに含まれる財産であると認識してございます。
○加藤委員 居住者の中には、地域の学校などに通っているお子さんたちもいることと思います。引き続き安心して住み続けられるように対応していただくよう、お願いをしておきます。
今、墨田区では、来年五月の東京スカイツリーの開業を控えまして、新たなまちづくりが進んでおります。この両国は、スカイツリーから少し離れておりますけれども、観光の回遊性の観点もあり、区内循環バス、これは墨田区として三ルート走らせることになりまして、南部ルートがここに当たるんですけれども、スカイツリーと結ばれることになっております。江戸東京博物館や国技館のある両国に、新たな人の流れができるものと期待されています。
そうした中で、この両国シティコアの都有地は、貴重な土地であることに変わりはなく、むしろ将来の利活用の可能性はさらに広がっていくものと考えます。間違っても、この時点で、都が明確な政策目的もなく売却してしまうようなことがないよう、今住んでおられる方々の居住の安定ということはもちろんのことですが、まちづくりの視点からも、歴史あるこのまちの土地を、都が引き続き所有していけるようにしていただきたい。そうした対応策を検討してほしいと思いますが、都の考えを伺います。
○岩瀬利活用調整担当部長 両国シティコアにつきましては、信託事業の中で、これまで、必要に応じて適宜修繕やメンテナンスを実施し、建物、設備等は適切に管理されていることから、今後も十分に活用可能でございます。
こうした実態を踏まえるとともに、お話のとおり、この土地は貴重な都有地でございまして、契約満了後の取り扱いにつきましては、現在入居されている方々の居住の安定の視点、また、将来のまちづくりに向けた視点などを十分に踏まえながら、都としてこの土地、建物が最も有効な利活用となるよう、ご指摘の趣旨も踏まえまして、今後の対応策を検討してまいります。
○加藤委員 ぜひそういうふうにしていただきたいというふうに思います。都としての責任ある対応、これを強く要望しまして、質問を終わります。
○鈴木(勝)委員 私からも、都財政について、その取り組みのあり方、そういったことについて数点ご質問をさせていただきます。
国では、このたび国家公務員の給与を平均で七・八%減額することを閣議決定いたしたところです。人事院勧告の実現の有無については、国会でもこれから、いろいろ議論を呼んでおりますが、この場でその適否を論じることはしませんが、日本の国家財政が現在危険水域に達している現状では、国家公務員が率先して給与を下げ、そうした内部努力を契機として、これから大いに歳出削減をしていくことが、国においても大変重要であると考えております。
一方、東京都の人事委員会では、先週の金曜日に、今年度の職員の給与に関する報告と勧告を公にしました。この勧告の取り扱いは、今後、労使の協議を経て決まっていくのでありましょうけれども、先日、石原知事も記者会見で話をしたとおり、都は、今般、国と連動しての特別な給与削減は行わないということを公にされております。
知事は、国の給与削減は、当然、都の今まで行ったことの周回遅れにすぎないといった趣旨の発言をされました。確かに、都は、財政再建の取り組みの過程で、平成十二年度から平成十五年度までの都合四年間に、職員給与を四%、後半は二%カットを実行してきました。このような内部努力を行わないと、財政再建を進める上でも都民の理解は得られないでありましょうし、こうした努力が一つのきっかけとなって、多くの事務事業の見直しや、歳入確保などの取り組みが進んで、結果として、平成十七年度決算において財政再建が達成されたと認識をしております。
そういう意味では、都のこれまでの取り組み、このことについて、我々民主党も、これから本格的な国家財政の再建に向けまして、参考になる点が幾つかあるのであろうと考えております。
そこで、改めて、都が果たしてきた今までの財政再建の取り組みについてお伺いをいたします。
○武市主計部長 東京都では、平成十年度決算で、過去最悪となります一千六十八億円もの赤字を計上するなど、財政再建団体への転落が現実視される危機的な状況に陥っていたことから、平成十一年度から、二次にわたる財政再建推進プランに取り組んでまいりました。
この財政再建推進プランでは、内部努力、施策の見直し、歳入の確保、地方税財政制度の改善という四つの柱を立て、財源の確保に向け、全庁総力を挙げてきたところでございます。
そこでは、まずは、都民の皆様のご理解をいただくためにも、当時としては全国で最も厳しい給与カット、あるいは職員定数の削減を通じまして、委員お話しの給与関係費や管理事務費の削減、監理団体に対する支出の見直しなど、内部努力を徹底的に実施いたしました。
同時に、時代状況の変化や、民間、区市町村との役割分担などの観点から、経常経費、投資的経費を問わず施策の見直し、再構築を進めたほか、さらには歳入面におきましても、都税の徴収努力を重ねて徴収率を向上させるとともに、使用料、手数料といった受益者負担の適正化なども積極的に行ってまいりました。
このような取り組みによりまして、平成十七年度決算では、実質収支が黒字に転換するなど財政再建を達成いたしまして、平成十一年度末には一千億円を下回っていた基金残高も、平成二十年度には一兆六千億円近くにまで達するなど、将来にわたって積極的な施策展開を支えるための財政基盤の強化を進めることができたと考えております。
○鈴木(勝)委員 ありがとうございます。いわゆる財政再建をするには、大変厳しいことも内部でどんどん取り入れながら、課題に一つ一つ取り組んでまいる、これが大変重要であるということを改めて理解しました。
都が取り組んできました財政再建の内容は、そういう意味では、広い範囲にわたりますが、単なる歳出削減にとどまらず、歳入確保にも力点を置いてきたことも、今後取り組むべき、今の国家財政の再建に参考になると思います。
さて、九月に公表されました平成二十二年度の年次財務報告書を読みますと、三年連続で都税収入が減となり、財政再建後の都税収入が好調であったときに積み立ててきました基金、この基金を取り崩すような状況になっているのがわかります。こうした状況が今後数年続くと、せっかく今まで基金をためてきたものを食いつぶすということになるかと思います。
それが現実味を帯びてくるという状況にも今後なってくるのであろうと思っておりますが、そういう意味で、その経営という視点では、これは会社の経営でも自治体経営でも変わらないと思いますけれども、常に起こり得る可能性に対してリスクを予見し、そのリスクを回避していく努力を怠ってはならないということが、経営を任された者の責務であると思っております。
したがって、再び財政状況が暗転し、再建への取り組みに着手するような事態になる前に、しかるべき手だてを打つべきと考えますが、現下の状況において、財政当局としてどのような取り組みを進めていくのか、所見をお伺いします。
○武市主計部長 都財政は、もともと景気変動の影響を受けやすく、年度間の税収変動が激しいという構造的な特徴を抱えており、そうした中にありまして、過去の財政危機と同じ轍を踏むことなく、都が担う役割をいかに継続的、安定的に果たしていくかが、財務局としてこれまで腐心をしてきたところでございます。
例えば、財政再建で取り組んだ施策の見直しの成果を、これを組織として継続していくために、平成十八年度からは、事業評価の取り組みを予算編成の一環として組み込み、実績を重ねてまいりました。また、歳出全般にわたりましても、過年度の決算分析などに基づく精査を徹底するなど、予算編成から執行までを通じ、経費の節減に努めております。また同時に、財源の確保に当たりましては、都債が重要な役割を担っていることから、今後とも、将来の負担に十分配慮しながら節度をもって都債を発行することで、引き続き財政の健全性を維持しながら、都政の諸課題にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○鈴木(勝)委員 事業評価の取り組みや経費の徹底的な精査に取り組んでいるということですが、ここでも、かつての平成十一年から始めた財政再建の取り組みが、今なすべきことのノウハウとして機能していることがわかりました。緩めることなく、全局で、全庁で取り組んでいただきたいと思います。
自治体の事業は、いずれも住民生活に密着したものがほとんどです。大胆な見直しも必要ではあるものの、住民生活の影響を考慮しますと、都が取り組んでいる地道な精査というものを、まずきちんとやっていくことが求められますし、都は、こうした事業評価のノウハウや成果を他の自治体にも伝えていくべきではないかと考えております。
さて、先ほど申し上げたとおり、現在の日本の景気動向でございますが、税収が今後大いに好転することがなかなか期待できない状況にある中、一方では、都政が取り組まなければならない課題は山積をいたしております。例えば、前定例会まで私も参加しておりました総務委員会で議論をしました防災計画の新たな指針では、東日本大震災が発生しまして、東京の防災力を改めて見直さなければならない点が多く浮上し、建物の耐久化は急がなければならないところもありますし、知事のいう木造密集地域の改善も大変重要なテーマでございます。津波対策、液状化対策など、挙げれば切りがない状況です。加えて、あの震災発生日に起きました帰宅困難者の問題など、制度設計をどうすべきかということは、今後、大いに都議会の場でも議論されるべきでございますが、いずれにしても、こうした課題にきちんと都政が向き合い、克服していくことを側面から支えることが財政の果たすべき役割と考えます。
つまり、今後の財政運営は、増収がなかなか見込めない状況を切り抜けることだけではなく、新たな行政需要にも取り組むための算段まで求められるということと思います。そうして、この新たな行政需要としては、今申し上げた防災力の向上だけではなく、例えば、高齢化の進行に伴う介護サービスや医療サービスの増大や、社会資本ストックの更新といったことが挙げられ、いずれも中長期的な課題として、財政面でも強く認識されるべきものです。
これら中長期的な課題に対して、都が財政運営で踏まえておく点、こういったところについての所見をお伺いします。
○武市主計部長 委員がお話しのとおり、この先、高齢化に伴う社会保障関係費や都市インフラの更新経費など、避けられない財政需要の増加が見込まれております。また同時に、東京を高度な防災力を備えた都市へ変えていくとともに、東京が持つ可能性や潜在力を引き出し、新たな成長に結びつけていく施策、そういったものを着実に進めていく必要がございます。
これらの取り組みを支える都財政は、先ほども申し上げましたが、そもそも年度間の税収変動が激しいという、そういうリスクがある中にありまして、現下の経済情勢を見ましても、震災の影響やヨーロッパでの金融不安、円高の動向など、さまざまな下振れリスクが存在しており、当面、税収の大幅な改善というものは考えにくい状況にございます。
こうした中で、中長期にわたりまして継続的かつ安定的にサービスを提供していくためには、事業評価などを通じた自己改革を徹底するとともに、それぞれの事業について、後年度の負担をしっかりと見通し、計画的な財政運営に努めることが必要であります。また、財政の対応力という点で申し上げますと、税収の好調な時期には基金の残高の確保を図るなど、都債と基金という、年度間の財源調整機能を果たすこの二つの都債と基金を有効に活用していくことが、中長期的な視点から見て重要であろうと認識をしております。
○鈴木(勝)委員 ありがとうございます。私は長く企業経営に携わってきておりますが、企業経営と自治体経営は、当然、目的も違いますし、多くの点で異質なものと思いますが、両者は、似ていないようで実は似ているところも何点かあります。
それは、今の経営者に求められる最大の資質と能力は、売り上げを拡大するということもさることながら、財務に対する鋭い見識を求められるということです。トヨタを初めとしますグローバル企業では、どんなに売り上げを伸ばしても、円高為替で、例えば一円、二円、三円と、円が高くなれば、数千億の赤字がすぐに発生するという要因になります。財務体質を強くし、どんな状況にも備えていかなければ、企業は生き残れません。つまり、企業経営においては、常に企業がいかにコストをコントロールするかというのは非常に重要な意味を持つということですが、行政においても、むだを省くということは、先ほども答弁にありましたとおり、非常に重要な位置を占めております。
都財政において、税収減に備えた財政力をいかに確保するかということは、企業がリスクをコントロールすることに通じているのではないかと思います。企業は、コストとリスクをコントロールすることによって収益をふやしていくわけですが、コストとリスクを、むだを省くことと財政力を確保することに置きかえて見れば、両者を進めることにより、行政にとっての収益、つまり、都においては都民のサービスの向上を勝ち得るということができるんだと思います。
財政当局におかれては、今後も常に中長期的視点に立ってコストとリスクをコントロールしていただいて、都政にとっての収益、すなわち都民サービスの向上に努めていくことが肝要であると思います。
一方で、これはむしろ、知事本局や事業を所管する各局にもお願いすべきことだと思いますけれども、こうした内向きの健全性に向けた努力だけではなくて、積極的に都民生活や中小企業の経営を支える施策を講じることも重要ではないかと考えます。
都財政を支えるのは都民や中小企業であり、都民の元気が、やがては都税収入の増加という形で都財政の健全性をもたらすものだと思います。国においては、事業仕分けを初めとする行政刷新や、社会保障と税の一体改革などによって財政健全化を進める一方で、新成長戦略により、例えば、先般、都が国に申請しましたアジアヘッドクオーター特区などを実現する総合特区制度を整備したり、鉄道や水事業などのパッケージ型インフラの海外展開を支援する仕組みづくりなど、民間の成長を促す取り組みを大胆に進めております。いわば両者が国家財政運営上の車輪の両輪となって、元気な日本を復活させるという、私ども民主党の原点を実現する取り組みにもなっています。
都においても、今後、オリンピック・パラリンピック開催を通して、震災から立ち直った日本の姿を世界に示すため、東京の今後の進むべき方向性を盛り込んだ「二〇二〇年の東京」を策定するとお伺いしております。その際には、単に内にこもった都財政の健全性を守るためにきゅうきゅうとするのではなく、都財政を根本のところで支える都民や中小企業の元気を復活させるために、積極的な財政出動を含む、いわば外向きの健全策をとっていただくよう、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○大沢委員 財務局主計部の事務事業の一つであります、そしてまた、都財政の収入源の一つであります宝くじ発行事務について、何点かお伺いをさせていただきます。
宝くじについては、年末の宝くじを購入するために長蛇の列ができているという映像がテレビのニュースなどで映し出されることがございますが、一方で、ここ数年、売り上げが落ち込んでいるという状況でもあるようであります。景気の悪い状況が続いていることから、なかなか宝くじに回せるお金がないということかもしれませんが、このままこのような状態を放置し、手をこまねいていれば、売り上げの落ち込みに歯どめがかからないことも想定ができるわけでございます。
東京都においては、平成二十三年度では約六百四十八億円の収益を見込んでおるわけでございますから、これは大きな一つの収益の柱ですといっても過言ではございません。宝くじは自治体にとって貴重な収益であり、何らかの策を打ち出して、売り上げの増を図っていく時期に今、来ているのではないか、そのように私は考えます。
国では、川端達夫総務大臣が音頭を取って、宝くじ活性化検討会を立ち上げて検討を開始したと聞いておりますが、この機会に、今後の宝くじのあり方について、再度見直すことが必要ではないかと私は考えます。
そこでまず、最近の宝くじの売上状況の推移と、今、東京都が携わっております宝くじと競合商品と考えられるスポーツ振興くじ、いわゆるtotoの売り上げはどのようになっているのか伺います。
○武市主計部長 まず、宝くじの最近五年間の推移でございますが、平成十八年度が千七百十七億円、平成十九年度が千六百二十二億円、平成二十年度が千五百四十四億円、平成二十一年度が千四百五十二億円、平成二十二年度が千三百三十六億円となっておりまして、平成十八年度から四年連続で前年度実績を下回っております。
一方、スポーツ振興くじの売り上げの推移についてでございますが、公表されているデータによりますと、平成十八年は百三十二億円、平成十九年が五百十二億円、平成二十年が九百四十九億円、平成二十一年が七百五十五億円、平成二十二年が九百三十七億円となっております。スポーツ振興くじの売り上げが大きく伸びたのは、平成十八年九月に、一等賞金が六億円となるtoto BIGを導入したことによるものと考えております。
○大沢委員 今の答弁を聞きますと、このスポーツ振興くじの売り上げが毎年のように、一部の例外を除いて大きく伸びているのは、平成十八年九月に、一等賞金が六億円となるtoto BIGを導入したということでございます。
その一方で、東京都が携わっております宝くじにおいては、四年連続で売り上げの状況が落ちているということは、やはり宝くじの内容が時代のニーズに合ってきていないということのあらわれではないか、そのように私は考えます。
現在、宝くじについては、平成二十一年の年末ジャンボ宝くじでは約六億五千五百二万枚が販売をされておりまして、赤ちゃんからお年寄りまで、日本人一人当たり五・一枚ずつ購入したことになるわけでありまして、それなりの固定のファンが存在をしているということは思いますが、例えば、女性や若者といった世代に対して、どれだけの魅力がある商品となっているのか、今後、東京都が発行事務を携わるこの宝くじについては考えていく必要があると思います。
そこで、先ほど触れましたが、国の宝くじ活性化検討会においては、どのようなテーマについて、どのようなスケジュール感で議論を行っているのか、お示しをいただきたいと思います。
○武市主計部長 近年、宝くじの売り上げが低迷していること、あるいはインターネット販売がほとんど行われていないなど販売方法が時代にマッチしていないことなど、そういった指摘などを踏まえまして、消費者目線に立った宝くじ運営の改革を進め、宝くじの売り上げの増加を図るために、十月十三日に、総務省に宝くじ活性化検討会が設置をされたところであります。
そこでの主な検討課題といたしましては、一つには、インターネット販売やコンビニエンスストア販売のあり方など、消費者の利便性の向上及び販売方法の効率化、第二に、受託業務の競争性の確保、第三に、宝くじの魅力の向上となっております。
現在は、インターネット販売を実施しております日本中央競馬会やtotoを運営している独立行政法人日本スポーツ振興センターなどにヒアリングを行っているところでありまして、十二月の上旬には、一定の方向性を提言として取りまとめる予定になっております。
○大沢委員 確かに、今の時代にインターネットで購入できないというものは、ややもいたしますと、時代の流れに非常におくれているように思えるわけでございます。しかし、この売上益の配分を考えたときにおいては、今のこのシステムでありますと、ひょっとしたら、都にとっては、インターネット販売がマイナスになる可能性もあるやに聞いております。しかしながら、全体の底上げを考えたときには、インターネットも、私は有効なツールであると考えております。
また、新商品がここ数年出ていないのも、魅力という面では、私はかなりのデメリットなのではないかと考えております。
国の検討会では、販売チャンネルの拡大といったところに重点が置かれているようでございます。今、部長からご答弁があったように、インターネット販売やコンビニエンスストアの販売のあり方など、消費者の利便性の向上及び販売方法の効率化といったご答弁がありましたが、コンビニ等での販売、コンビニと聞きますと、主税局で行ったコンビニの納税というものが大変便利に利用されていて、大きな結果をもたらしているということを私は過去に聞いたことがあります。また、多くの方々が目に触れる、そしてまた、購入できる機会がコンビニエンスストアを通じてできれば、私は、非常に販売の窓口が広がっていくのではないか、そのように思っておりますが、それはそれで非常に重要なことではありますが、やはり一方では、新たな魅力を高めること、例えば高額の賞金が当たるなどといった新しい要素が私は今求められているのではないかと考えております。
競合商品でありますスポーツ振興くじtotoについては、先ほどご答弁にもありましたが、当せん金が六億円といった高額商品のBIGの人気が高いと聞いております。もちろん、射幸心をあおり過ぎないように十分に注意をしていく必要がありますが、新しい宝くじのファン層を獲得するためにも、こうした魅力ある商品を考えていくことが私は重要であると考えます。
そこで、宝くじの売り上げ増に向けた抜本的な改革が求められると考えられますが、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○武市主計部長 インターネット販売やコンビニエンスストアでの販売といった新たな販売チャンネルの獲得は、若者でありますとか女性といった層の拡大、また購入者の利便性の向上に寄与するために、今後、積極的に取り組んでいく必要があると思っております。
ただ、さらにそれ以上に、宝くじの売り上げの増加に直結する取り組みとしましては、委員もご指摘されたとおり、宝くじとしての商品の魅力アップが必要であると考えております。しかしながら、国民に広く周知されております年末ジャンボの賞金は、平成十一年度に、一等、前後賞を合わせて三億円になって以来、十三年間もそのままとなっておりまして、若干色あせているのかなというふうにも思います。また、平成十二年に発売されたロト6も、法律で当せん金倍率の上限が定められていることから、四億円が最高金額となっておりまして、それに対して出てきております競合商品でありますスポーツ振興くじのtoto BIGは、最高賞金金額六億円でございます。また、競輪の方では、最高賞金が十二億円の商品も発売をされております。
宝くじの購入者の方々には、当たりやすい宝くじを求めるファンの方もいらっしゃれば、高額の当せん金が当たる宝くじを求めるファンの方もいらっしゃいますので、それぞれのニーズに応じた多様な商品を用意する必要があると考えております。
その商品多様化の一つといたしまして、魅力ある高額商品の宝くじを販売するということも、大きな私どものテーマとなっておりまして、現在の法律では、その上限であります証票金額百万倍となっておりますので、これをさらにもっと上限を高めていく、そういった制度改正を国に求めていくとともに、発売団体で構成しております協議会でも、東京都が中心となりまして、高額商品が当たる新商品の開発に取り組んでまいります。
だれもが買いやすく、また夢のある商品として、より一層多くの人に親しんでもらえるよう、商品の魅力の向上、利便性の向上といった宝くじ改革に全力で取り組んでまいりまして、売り上げの向上を図ってまいりたいと考えております。
○大沢委員 宝くじは、ギャンブルとはまた異なった健全な娯楽として、戦後から、多くの人々の暮らしの変化に応じながら、さまざまな歴史を積み重ねて、長い間、国民の中に定着をしてきたと私は考えております。
宝くじを購入する人の多くは、夢があるからという理由で宝くじを購入されており、今後、より夢のある宝くじとして多くの方々が買いたくなるような商品としていかなくてはならないと思います。
法改正が必要な事項もあるとは思いますが、十三年間もそのまま据え置きとされていれば、商品の魅力も、時とともに薄れ、いわゆる色あせてくると思います。国も検討に取り組んでいる今が、この魅力を向上させる抜本的な改革の絶好の好機だと私は思います。このチャンスを生かして、より一層の活性化を図っていくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○鈴木(章)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木(章)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時二十一分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.