委員長 | 高木 けい君 |
副委員長 | たぞえ民夫君 |
副委員長 | 吉田康一郎君 |
理事 | 菅 東一君 |
理事 | 上野 和彦君 |
理事 | 中谷 祐二君 |
福士 敬子君 | |
くりした善行君 | |
斉藤やすひろ君 | |
鈴木 隆道君 | |
田島 和明君 | |
斉藤あつし君 | |
大西さとる君 | |
酒井 大史君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 安藤 立美君 |
経理部長 | 櫻井 務君 | |
契約調整担当部長 | 石井 正明君 | |
主計部長 | 武市 敬君 | |
財産運用部長 | 奥田 信之君 | |
利活用調整担当部長 | 岩瀬 和春君 | |
建築保全部長 | 末菅 辰雄君 | |
技術管理担当部長 | 室木 眞則君 | |
庁舎運営担当部長 | 藤森 教悦君 | |
主税局 | 局長 | 新田 洋平君 |
総務部長 | 目黒 克昭君 | |
税制部長 | 田倉 英明君 | |
税制調査担当部長 | 小山 明子君 | |
調整担当部長 | 須藤 充男君 | |
課税部長 | 木村 芳生君 | |
資産税部長 | 阿南 威彦君 | |
徴収部長 | 宗田 友子君 | |
特別滞納整理担当部長 | 西海 哲洋君 |
本日の会議に付した事件
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十一号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十八号議案 警視庁志村警察署庁舎(二十三)改築工事請負契約
・第百三十九号議案 警視庁有家族待機宿舎東大和住宅(仮称)(二十三)新築工事請負契約
・第百四十号議案 中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約
・第百四十一号議案 都立第五商業高等学校(二十三)校舎棟改築工事請負契約
・第百四十二号議案 東京消防庁日野消防署庁舎(二十三)新築工事請負契約
・第百四十三号議案 黒目川黒目橋調節池工事(その十)請負契約
・第百四十四号議案 国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北-国分寺三・二・八)請負契約
・第百四十五号議案 都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その三請負契約
・第百四十六号議案 都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その四請負契約
報告事項(質疑)
・「平成二十二年度東京都年次財務報告書」について
○高木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査並びに財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
なお、付託議案中、第百三十八号議案から第百四十四号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより主税局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百三十一号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○たぞえ委員 それでは、私から都税条例改正について伺います。
東日本大震災は、巨大地震と津波による莫大な被害の上、東京電力福島第一発電所事故による被害が加わって、我が国の歴史でも未曾有の大災害になりました。災害発生から六カ月が経過しましたが、被災者は、今なお心身ともに苦しみのふちにあり、依然として先の見えない不安のもとに置かれています。きょう、総務局から配布された被災三県の被害状況を見ても、いまだなお多くの身元不明の方がいらっしゃる、そして、まだ瓦れきの山も残り、生活再建の見通しがない。事態は深刻であります。大震災への対応は、当面する被災者の課題にかかわっても難問が山積みしており、復旧、復興のための長い道のりがこれからも必要です。
大震災と原発事故は、国民、私たちが今後長期にわたって正面から取り組み、力を総結集して打開の道を探っていかなければなりません。
まず、八月五日、国会では、東日本大震災に対応するために、全会一致で地方税法の一部改正が成立しましたが、被災住宅用地等に対する特例の概要について伺います。
○阿南資産税部長 災害により滅失、損壊した場合の住宅用地の課税標準の特例につきましては、従来、二年度分に限り適用してまいりました。
しかし、今回の東日本大震災は未曾有の大災害でございまして、被害が甚大かつ広域であることなどから、この期間を被災後十年度分とするなど、新たな特例が設けられたところでございます。
○たぞえ委員 それでは、少し詳しく伺いますが、自分が所有する土地の上の家屋がさまざまな理由でなくなった場合、家屋への課税は、普通にこれを対応すれば、都の制度としてはどのように扱われていくのでしょうか。
○阿南資産税部長 賦課期日でございます当該年の一月一日現在、家屋が存在していない場合におきましては、固定資産税、都市計画税は対象とはなりません。
○たぞえ委員 そうすると、要するに、都市計画税、固定資産税の住宅対応の比率が、割合が大きくなって、課税幅が大きくなって、負担がふえるということになるわけですね。
災害の直前まで、こうした方々が住宅用地として活用しているわけですが、そのために、関係する都市計画税、固定資産税を適切に納付して、そして、この地盤は確かに住宅として使われている、こういうことが間違いなく認証された場合、家屋が残っても利用価値が全くなくとも、住宅として認定されるということだと思います。
この場合に、申告をしなくとも、引き続き住宅用地として課税としては扱われるのかどうか、確認したいと思います。
○阿南資産税部長 家屋が半壊等、居住に適さない状況で、なお住宅の形態を残して存在している場合につきましては、原則として、住宅用地に対する課税標準の特例が適用されます。よって、申告の必要はございません。
○たぞえ委員 東北だけではなく、東京など首都圏で生活、営業をされている方が、災害によって住宅が跡形もなくなり、半壊して住宅としての使い道もない。これはきっと絶望的な気持ちになっているかと思うんですが、したがって、建て直す意欲もわいてこない。
しかし、一方、引き続き住宅用地として使いたいと思っても、申告をしようという気が起こらない、そういうステップに足を踏み出すこともできない、こういう人々に対して、東京都としてはどう対応されるのでしょうか。
○阿南資産税部長 半壊の場合は、先ほど申し上げましたように、住宅用地の特例が継続されますので、申告の必要はございません。
また、家屋が滅失し、なくなっている場合につきましては、法務局から送付されます登記済み通知書などによりまして現地調査を行いまして、被災者の心情に配慮しながら、制度の趣旨等を親切、丁寧に説明しつつ、申告書の提出をお願いしてまいりたいというふうに考えてございます。
○たぞえ委員 登記済みであることを前提に、現地確認を主税局として所有者に確認した上で、申告書を出すように対応されるということです。
しかし、東京でいえば、全壊十三件、半壊百六十四件、一部破損が三千四百二十六件、火災による建物損壊が三十三件、数的にも大変大きいわけです。こういう状況を区市町村は把握していると思いますが、被災者への周知を進める上で、東京都と区市町村の連携が大事だと思います。この連携をどうつくっていくと検討されているのでしょうか。
○阿南資産税部長 個人情報保護の守秘がございまして、区役所から直接、被災者に関する情報の提供を受けることは困難でございますけれども、今回の大震災への対応におきましては、区役所が罹災証明を発行する際には、あわせて都税の減免に関するリーフレットの添付を依頼するなど、被災者への周知徹底が図られるよう、相互に協力しているところでございます。
○たぞえ委員 今のお話を聞いていますと、登記上の建物については、変更が生じれば、そのご本人に親切に丁寧に対応して申告書を提出してもらえるようにするけれども、区市が出している罹災証明が出ている建物については、個人情報保護で、これは直接ご本人には対応しない、リーフレットを区市の窓口で配ってもらう、こういうことなわけです。これは本当に、被災者の思いで解決に力を尽くすということではないのではないかなというふうに思うんです。
今、一番急がれているのは--登記で変更があった方には対応するけれども、罹災の方は区市でリーフレットを配ってやってもらうと。こうなりますと、住宅被災という実態は同じなのに、登記の方での対応と罹災の対応は違うやり方に東京都としてなりかねないのではないか。罹災も、登記も、実態として失われたということは事実なわけですから、この問題については国に対して--罹災関係は区市にお任せで、都は、その対応は登記とは違う状況になっているという国のあり方については、ぜひ国に緊急対策を講ずるように意見を述べてもらいたいというように思います。
住宅を失うということは、衣食住の一つがなくなるというわけですから、これは死活問題です。登記簿上で家がなくなって、しかし、区の方に罹災証明を出してもらった方との対応の仕方が違うということになると、それはやっぱり国の政治のあり方が問われるというふうに私思います。ぜひ国にも、この不一致の部分、これはぜひ改善をお願いしたいと思います。
以上です。
○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
○高木委員長 これより財務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百三十八号議案から第百四十六号議案までを一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○櫻井経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求をいただきました資料についてご説明を申し上げます。
今回、要求がございました資料は一件でございます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、要求資料第1号、都庁舎のエレベーター運行管理システムについてをごらんください。
これは、エレベーターの運行管理システムの仕組み及び改修工事における運行管理システムの改良点をまとめたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○高木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大西委員 私、六月の前回の議会のときも、エレベーターの運行とその安全とか、また、設備を新しくするのみならず、必要とされる機能の付加や性能の向上を図るべきだという話をさせていただきました。それの続編として、きょう、もう一度お伺いしたいんですが、ご存じのようにエレベーターというのは、特に都庁舎のような高層ビルにおいては、その移動に必要不可欠なんですね。先日、僕も二十八階からおりた話をさせていただいて、足が笑ったことをいったわけですけれども、この庁舎のエレベーターを見ていて、不思議だなと思うことが一つあります。
それは、よくどこのマンションとかビルでも何階に行っているかというのは表示されているわけですけれども、残念ながら、庁舎のエレベーターというのは表示がありませんね。そこで待っている人というのは、すごくいらいら感が募るわけです。バスも最近、どこに、隣のバス停に来ていますとか、そういうふうな表示が出て、大分メンタル的には楽に、もうすぐ来るなという気持ちで待つわけですけれども、それ、ここはない。僕も何人かに話を聞いたら、もう頭にきますねという人も多いと。
そういうことで、何で、そもそもかごの位置を表示しないのか、それをお伺いさせていただきたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 エレベーターは、建物における縦方向の重要な移動手段であり、効率的な運行が求められます。このため、エレベーターの基数が多数ある規模の大きな建物などの場合は、エレベーターの分担する階層を分割することとあわせて、一層の効率化を図るため、複数台のエレベーターを一つのグループとして管理する群管理システムを採用してございます。
例えば、都庁第一本庁舎の場合につきましては、庁舎を縦方向に低層階から高層階の四階層に分割いたしまして、各階層、南北各四基のエレベーターで分担し、その四基を一つのグループとして、グループごとに運行管理してございます。
群管理システムにおきましては、複数のかごの中で効率的な動きをするため、かごの動きは必ずしも一律ではなく、移動方向について途中から反転したり、また通過するなどの不規則な動きをすることがございます。したがいまして、このようなかごの動きを乗り場で表示することは、利用者に混乱や心理的ないらいら感を与えることにもなることから、あえてかごの位置表示はせずに、次に来るかごの位置を表示することで、利用者の利便性を確保してございます。
○大西委員 逆に、それをつけない方がいいということですね。
何でそんなこともあわせて聞くかといいますと、今回、議会棟の方、こちらの方でエレベーターが改修されています。議員というか、議員専用の奥のやつですね、あれがこの間、民主党と自民党さんの間にあるやつは、きれいになったんですよ。八階なんですよね。あれは八階動くのに、すごい時間がかかる。乗って、閉じるを押しても、なかなか閉まらない。で、ゆっくり上がっていく。これ、僕はもっときれいになるかなと思ったんですよ。ただ、側面の側は、物すごくきれいになりました。
何があるのかなと。日本エレベーターさんですか、名前を出していいのかわかりませんけれども、その中をきれいにするよりも、その運用というのを、あれを考えていただきたい。特にあそこは、議員と議員関係者用となっているわけでしょう。だったら、ほとんどの人は、やっぱり急いでいる人が多いんですよね。車いすとか、そういう方が乗ることはほとんどないと考えられるわけですから、どうしてああいう運用になっているのかなと思います。
今回のこの付託議案されているやつですけれども、向こうの本庁舎のですけれども、これ随意契約ですよね。当然、随意契約ということは--その意味はわかります。しかし、そこに競争原理というのが働かない。もっとよくしようとか、もっと利便性をよくしようという、最初に、入札のときじゃないので、そういうのが働かない。要するに、修理しましたよ、中をきれいにしましたよ、それだけだと、僕は非常にまずいと思っております。
やはり少しでもそのいらいら感を少なくするために、四十何階まで上がるわけですから、ぜひそういう観点から、見かけだけじゃなしに、安全性、そして運用性というのを考えていただきたいと思うんですけれども、今回の改修によって、その運用システムというのは改善は図られるんですか。それをお伺いいたします。
○藤森庁舎運営担当部長 各メーカーの群管理システムは、技術革新によりまして性能が向上しており、一分以上待つ頻度の低減や、平均待ち時間の短縮などに寄与する機能アップが進められておりまして、メーカーの公表内容によりますと、一〇%程度の待ち時間の短縮が見込まれております。
今回の改修工事におきまして、群管理システムの更新を行うこととしており、待ち時間の短縮が図られるものと考えております。
○大西委員 待ち時間が減るというお話ですので、ぜひそれは期待したいと思いますし、この議会棟の方の、一般の方が使われる、あとの残りの横の二つ、これも当然、我々もよく使うんですけれども、これもまた、二基あるのに異常なほど待たなきゃいけない。上から下まで八階しか、ほとんど使われないのに、何でこんなに遅いのかなと思いますので、その辺の改善もぜひしていただきたいとお願いいたします。
そのほか、今回の改修によって利用者が享受する利便性の向上がもっとほかにあるなら、ちょっと教えてください。
○藤森庁舎運営担当部長 今回のエレベーターの改修におきましては、公共性の高い施設である都庁舎を訪れるだれもが安全で快適に利用できるような設備に更新することといたしております。
このため、一般用エレベーターのすべてのかご内に車いす用の操作盤を設置するほか、視覚障害者に配慮いたしまして、呼びボタンにつきましては、押したことがわかるストローク式を採用するなど、ユニバーサルデザインの観点からの設備導入や、利用者の安全性を向上させる戸開走行保護装置の設置などの対策を講じることといたしております。
○大西委員 ありがとうございます。
大前提として、エレベーターは安全であることは必要であります。そして、今回お願いしたように、運用とか利便性をよくしていただきたい。特に思うわけです。
前回の委員会でも若干述べさせていただきましたけれども、エレベーターが動くに当たって、当然、電力というものが必要になってきますね。この電力に関して、けさの新聞に、都庁の一部電力は、東ガスから調達されるという話が出ておりました。この電力確保について、私たち都議会民主党は、一昨日の代表質問でも、地域冷暖房施設に発電施設を併設することをずっと提案してきました。このことが、きょうの朝の新聞に、都庁を含む西新宿周辺の地域冷暖房施設の発電機能を利用した東ガスからの電力確保を目指す方針が示されているわけですけれども、これは我々が長年主張してきたことがやっとかなったなという気持ちで、お礼もさせていただきたい、そういうふうに思います。我々民主党が目指してきたこの問題、震災時における、災害に強い電力確保、これはやっぱり都民の生命、財産を守るものともいえるものですから、都議会民主党は、この設置をこれからも強く求めていきます。
今後さらに、七十七カ所ある地域冷暖房施設における発電施設の設置検討を、この推進を強力に進めていきたいと思いますので、ぜひとも一緒に検討していただきたいということをお伝えいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員 大西委員の質問と重複を避けたいんですが、かなり論点が似ていますので、上手に聞いていただいて答弁をお願いしたいと思います。
一点目はエレベーターの改修ですが、この件に関しては、うちの菅理事が先般の定例会で聞いているわけでありますが、そのときに、特命随意契約とするというのには理由があり、そして、これについては、エレベーターの安全性、信頼性の観点からということの説明があった。二つ目は、契約の透明性の観点から、契約金額の決定方法についてということであったわけであります。見積もり過程の経過についての説明が、そのときにありました。
都庁舎のような超高層建物で欠かすことのできない設備であり、また改修に当たっては、特に安全性を含めた品質の確保が重要であるというふうに考えられます。エレベーターの改修工事の業者選定においては、当然慎重な扱いがなされ、また、そのことが菅理事の質疑によって披瀝をされたというような記憶をしております。その観点から、特命随意契約を行うことに関しては、私も理解はしております。その認識に立って、今回、私も、その認識の意味も含めてお伺いをしたいというふうに思います。
特命随意契約、今、大西先生もおっしゃったわけですが、しかるべき理由で相手先を特定するわけでありますが、競争入札と異なるのは、当然いわずもがなでありますが、複数者による競争がないということであります。このため、気をつけておきたいのは、予算金額の積算がきちんと行われているかどうかという点が特に重要と考えられます。特命随意契約において、この点が重要であるということを踏まえ、予定価格の積算をどのように行ったのかを具体的にお伺いしたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 エレベーターの工事価格の設定に当たりましては、東京都工事施行規程に定めます積算に関する基準等に基づきまして行っております。
具体的には、標準的な工事内容でないため、見積もりを徴収し、これを参考に予定価格を設定してございます。見積もりの徴収に当たりましては、工事内容を書面で提示し、工事項目ごとの内訳がわかる見積もり内容を求めました。提出された見積もりには、製作者が異なっても同一仕様の設備があることから、この共通部分について見積もり内容の精査を行うとともに、他の部分につきましても、これを参考に内容を精査し、予定価格を設定いたしました。
○鈴木委員 予定価格の積算については適正に行われているという説明がなされ、私も理解いたします。
ところで、先ほど述べましたように、エレベーターは建物には欠くことのできないものであり、安全性を含めた、特に信頼性が求められているものであります。平時にはもちろんでありますが、特に災害時において、防災拠点として最重要である都庁舎の生命線ともいえるべきものであります、このエレベーターというのは。
さきの東日本大震災においても、都庁舎を初め、新宿かいわいの超高層ビルのエレベーターは、軒並み地震管制により停止をしたと聞いております。地震時には確実に停止することは、安全性からいえば必要でありましょう。しかし、重要なのは、その後の迅速に復旧をすることであります。防災拠点としての都庁舎には、特にその機能を維持するということが求められているわけでありますから、その後、迅速に復旧をし、対応していくということが、どのような災害が起こっても、それはすべてシミュレーションされていて対応ができるというようなことが、まさに都庁舎にとっては求められているというふうに思います。
ですから、今回提出された改修工事が、今、私がいいましたように、本当の意味で、エレベーターの安定的な運行や早期の復旧、そして、安全性、信頼性がまさに向上しているのかどうかを改めて伺いたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 今回のエレベーターの改修につきましては、さまざまな人が訪れる公共性の高い施設である都庁舎をだれもが安全で快適に利用できるような設備に更新することといたしております。
このため、地震時にエレベーターが最寄り階に停止した後、早急の復旧が図れるよう、予定している改修に当たって、ロープの絡まり防止装置の設置など、耐震対策も講じることといたしております。
○鈴木委員 ありがとうございました。
ところで、これもまた、前に質問した大西先生と観点が全く一緒で、気が合うのかもしれませんが、きょうの日経新聞などの報道によりますと、都庁舎の一部電力を東京ガスから調達するということであります。都庁舎の電力の供給について、私からも伺いたいというふうに思います。
三月十一日の大震災は、日本の発電施設に甚大な被害を与えました。東電管内の電力供給力は、震災前と比較して約六割にまで落ち込み、計画停電を実施する事態ともなりました。しかし、この計画停電は、都民を初め、多くの国民に多大な混乱と不安を、そして、将来に大きな課題を生じさせたのも事実でありましょう。
こうした電力不足の事態を受けて、都庁舎においても、ピーク電力の二五%削減を目標に、都庁に来庁される方々も含めて、大変暑い暑い節電の夏を乗り越えてきたわけであります。今後も、電力供給が安定しない中にあって、節電を行いながら業務を続けることが必要であるにしても、災害時の防災拠点である都庁舎が東京電力のみの電力に依存している状況は、何とかしなければならない。それが、この大震災を経験した教訓であると考えるのも無理からぬところであるというふうに思います。
であるとすれば、ある面でいえば蓄電社会を、蓄電に対して考えていくということが、庁舎でも当然なされていくべきであろうと思います。
今、都庁の下にも、恐らく鉛電池の大きいのがあって、二十五度以下に抑えなきゃいけない。二十五度以下に抑えるために、クーラーをがんがんかけて実は冷やしているというのが実際のところでありまして、この鉛電池を変えるためには、実は国の法改正が必要であるということもあるわけですね。
ですから、そういうことを踏まえても、今の新しい電池がいろいろ、リチウムイオン電池等があるわけですから、本来はそういう蓄電池を利用するようなことを東京から発信していってもいいでしょうし、また、これから恐らくそういう蓄電社会を、車の動力を使ってでも、または、各家庭にそういう電池が置かれて、むだな電気をきちっと蓄電して、瞬時に切りかえて電力の供給に値するような、そういうような方向が、これから、もしかしたらできてくるかもしれません。
そういうこともあるわけですが、そういう意味で、災害時における電力供給の信頼性を向上させるためには、これまでのように東京電力一者に頼ることなく、新聞記事にあったように、電力供給の多元化を検討することに対しては、私も賛成であります。
そこで、現段階の検討状況と今後の見通しについて、新聞に書いてありますが、改めて伺います。
○末菅建築保全部長 三月の東日本大震災を受けまして、都庁舎における電源確保のリスク分散のため、電力供給の多重化について検討を行ってございます。その方策として、都庁舎の冷暖房の熱等の供給を行っている地域冷暖房センターのガスタービンによる電力を、東京電力からの電力とあわせまして供給を受け、電力の多重化を図ろうとするものでございます。
この電力多重化に当たりましては、電気事業法等の法規制や、電力供給に係る受電設備等の改修並びにその経費など、さまざまな課題がございます。そのため、電力の現在の供給者でございます東京電力や、地域冷暖房センターを運営している株式会社エネルギーアドバンス社等と協議を行っており、現在、その協議がおおむね整いつつあるところでございます。
平成二十四年度には電力の多重化を図る予定をしてございまして、今後は、電力料金や設備改修に要する経費負担など細部について、さらなる協議を行うとともに、協議が整い次第、都庁舎内の受電設備の改修のための設計を始めることといたしております。
○鈴木委員 今の答弁で、都庁舎の安全性、信頼性を確保するという観点からのさまざまな取り組みを行っているということがわかりました。
しかし、これは知事もよくいっていますが、東京は、ものづくり、それからいろんな技術革新が、いろんな町工場、または、いろんな技術を開発する方々によって行われているという拠点でもあるわけで、実はまだまだ、今いったような、これからのエネルギー施策の中で、そのエネルギーを供給していくということでシステムをいろいろ考えられている方もいっぱいいると。そういう方々のぜひ知恵を結集して、やはり守るべきこの都庁、特に防災拠点である都庁は、ここがもし何かあれば大変な混乱に陥るわけでありますから、それに対しては万難を排して、やはりこれからも対応を考え、知恵を出して、東京を守り抜いていく、都民の安心と安全を守り抜いていくという覚悟が必要だというふうに思います。都庁舎が安定的に機能して通常の業務を継続できることが、防災拠点としてはもう当然のことであり、重要なことであります。
最後に、防災拠点としての今いった都庁舎の機能を守る立場から、財務局長から覚悟を伺って、終わりたいと思います。
○安藤財務局長 お話のように、この都庁舎は東京の防災活動の拠点でございまして、想定されます首都直下地震に対しましても、その機能を維持するものでなければならないわけであります。
この都庁舎も築二十年がたちまして改修の時期を迎えておりまして、この議会棟も、今年度から具体的な着手になるということでございますけれども、その折ではありましたが、三・一一の地震がございまして、エレベーターが停止し、あるいは都庁舎も、かつてない大きな揺れに見舞われたところであります。
したがいまして、今回ご提案申し上げておりますエレベーターも含めた機能の更新や、さらには長周期地震動対策など、防災機能の維持に全力を挙げなければいけないというふうに思っております。
さらに、ご指摘のように、防災機能を高める上で、この夏、大変厳しい状況にございました電力につきましても、多重化などの検討を行っていかなければいけないと思っておりますし、その折には新しい技術の活用も必要かというふうに思っております。
今後、いつ来ても不思議ではない大震災に対応するために、可能な限り早期に、都庁舎の防災拠点としての備えを整備していく所存でございます。
○たぞえ委員 今回の三定では、建築工事契約が五件、土木工事契約が二件、設備工事契約が二件、合わせて九件の契約案件が提出されておりますが、契約額は合わせて百七十六億円余ということになっています。そのうち、契約議案では、黒目川の調節池工事では入札は六〇%、志村警察署の改築工事では七五%、都庁舎の昇降機、エレベーターの設備改修工事は一〇〇%など、入札の状況は本当にまちまちです。
こういう状況にありますから、これらの契約を履行する上で、公共工事の工事を施工する際、元請の契約者のほかに、第一次業者、第二次業者など下請企業が、今後、工事に際して加わるというふうに思います。
私は確認の意味で伺いますが、下請業者とのかかわりについて、工事の規模など、契約元請企業から今後施工の計画が示されてくることになるわけですが、これについて、都は、この内容をどう精査して、下請中小企業を含む全体像の適正体制状況を把握していこうとしているのか伺います。
○室木技術管理担当部長 都との契約の相手先となる工事請負者には、建設業法に基づきまして、下請企業などを記載した施工体制台帳の作成、施工体系図の現場掲示及び施工技術者の配置などが義務づけられております。
また、都との契約上も、都に対し、施工計画書や下請負届などを提出することとなっております。
一方、都では、工事現場の適正な施工体制の確保などを図るため、東京都工事施行適正化推進要綱を定めており、この要綱などに基づきまして、下請企業との契約締結状況や施工技術者の配置状況などの点検を行い、工事現場での施工体制を確認することとなっております。
したがいまして、今回の契約案件につきましても、適正な工事施工がなされるよう、同要綱などに基づき対処していくこととなります。
○たぞえ委員 今度の震災を契機にして中小企業の方々の仕事が減り、失業者も、きょうのお昼のテレビニュースによると、大変な数字になっているようです。東京の中小業者の力を大いに引き出す上でも、元請、下請との関係を、大いに都として適正な運用を図れるように要望しておきたいというふうに思います。
次に、今回の契約の中で、財務局が所管する契約についてです。
都庁舎第一庁舎のエレベーター改修については、八月十一日に入札が行われました。都庁舎が二十年前に新築して以来の大規模な改修工事です。私は、このエレベーターは、都庁舎の縦の交通機関であると同時に、来庁者や庁内で働く職員の皆さんにとっても、仕事になくてはならない移動の手段で、したがって、何よりも安全対策を怠ることがあってはならないものだと思っています。
五年前に港区の公共住宅のエレベーター事故が起こり、高校生が亡くなるという痛ましい事故がありました。まさにエレベーターの安全確保は重要な課題だというふうに思います。
新耐震基準に対応して耐震性の向上や、車いすなどへの福祉対策、そして緊急時の素早い対応、また、良好な乗り心地のよい安全への対策のための点検、修繕について、東京都は、この間、どのような対策を講じられてきたのか伺います。
○藤森庁舎運営担当部長 エレベーターは、都庁舎のような超高層建物において、建物利用上、必要不可欠な設備であり、新宿庁舎開庁以来、二十年間、利用者を運ぶ交通手段として、安全運行を第一に維持管理を実施してまいりました。
維持管理に当たりましては、点検項目や点検内容、周期を規定する維持保全業務標準仕様書に従いまして、設備内容を熟知している当該設備の製作者、または製作者の系列の保守会社とフルメンテ契約を締結いたしまして、一定程度の期間を見据えて保守点検を行ってまいりました。
法令で定められる項目、周期で行う法定点検に加えまして、毎月の点検なども行い、点検結果に基づきまして、部品交換、消耗品の補充などを行うとともに、必要に応じて修繕対応なども実施してまいりました。
また、運行の際に異音や振動等の異常が生じた場合には、直ちに運行を停止し、保守会社の点検、確認を行うなど、安全運行の確保に努めてまいりました。
○たぞえ委員 建物の寿命は五十年から六十年といわれています。エレベーターの法定償却耐用年数は、およそ十七年です。計画耐用年数は二十年から二十五年で、これらの年数を経過したエレベーターは、全体としてリニューアルが必要です。それは、長期間使用したエレベーターは、劣化によって故障が増加したり、組み合わさっている部品の調達も難しくなったり、修理に時間を要したり、階数にとまる時間が長時間になるなど、不便がどうしても起こりがちです。建物設備は、日々の使用によって機能の劣化が進むわけですが、これら全体構造物の対策というのは、どうしても必要なわけです。
今回の議案は、契約の相手方を、同一規格を有する製作者であることが必要だというふうに理由をつけています。新都庁舎新設の時点で契約をしたから、今回もそのメーカーでということでありますが、今後、エレベーターの取りつけ部品が生産されなかったり、巻き上げ機や制御盤、そして、かご室、昇降路内の機器の部品の在庫がなくて交換ができない、こういうことも全く予測されないものではないわけです。随時、検証と検討、こういう対策を積み重ねていかなければ、一つの部品がなくて改修がストップしてしまうということは絶対あってはならないわけです。
事業者の製品に対する安全責任とともに、何よりも人命第一の安全対策は欠かせないという立場で最後聞きますが、これまで都内の幾つかの建物で、エレベーターの人災事故が発生したり、地震などで緊急停止することは当然の措置でありますけれども、そのため、安全性を確認するまで動かないことから、移動が困難な人が避難ができなくなってしまった、こういうこともよく聞きます。まさにエレベーターは、さまざまな諸課題を抱えたまま運行がされています。
そういう点でも、安全性の確保は東京都の重要な課題ですけれども、この点での今後の対応はどのように認識されているのでしょうか。
○藤森庁舎運営担当部長 今回のエレベーターの改修につきましては、さまざまな人が訪れる公共性の高い施設である都庁舎をだれもが安全で快適に利用できるような設備に更新することといたしております。
このため、安全性の確保の観点からは、予定している改修に当たって、ロープの絡まり防止装置の設置など、耐震対策も講ずることといたしております。
○福士委員 エレベーターの改修のお話が続いておりますが、私からも、一点だけ質問と、あとは要望をさせていただきたいと思います。
皆さんのところにも、市民の方からお問い合わせがあったことと思いますけれども、エレベーター改修契約でも競争入札にすべきではないかというお話が私のところにも来ました。エレベーターの改修に当たっては、安かろう、悪かろうを防ぐ意味と、それから、もともとのエレベーターを設置した既設メーカーが改修を行う場合は部品調達などが容易であることが予測されることなどから、随意契約となることは、私、必ずしも否定はしてまいりませんでした。
しかし、たまたま私のマンションでも、今、大規模改修に入っておりまして、昨年、エレベーターの改修工事をいたしました。で、やはり価格が高いのではないかということで、全く別の会社と契約をいたしました。ただ、私のマンションは六階建てで、箱も小さいですし、この大きなエレベーターと、必ずしもイコールで比較はできないものというふうに思いますけれども、中堅どころで名前の聞いたことのある会社と契約をいたしまして、かなりお安くなりました。建設時の会社でなくとも改修工事ができるんだなということを、そのとき知りました
それで今回のお話がありましたので、私も、今回のエレベーター改修は、私のマンションの例のように、建設時の会社以外でなぜできないのか、どのような事情があるのか、そのことだけお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○藤森庁舎運営担当部長 今回のエレベーターの改修に際しましては、工事費用を可能な限り抑制することや、庁舎を使用しながらの改修工事であることから、工事期間を短縮して業務等への影響を極力抑えることなどを考慮し、既存昇降機の主要部分を再使用し、部分的な機器類の更新及び一部機能を付加する方式を選定いたしました。
この方式におきましては、既存部品の再使用を行うことから、改修工事後の製品が保証されるよう、再使用部分と更新部分との一体性を確保いたしまして、その責任範囲を明確にすることや、施工において再使用部品と更新部品の取り合いの不都合を生じさせないこと、さらに、計画通知や認定取得の手続におきまして必要とする既存部品に関する詳細なデータの確保を図ることが必要でございまして、これらの条件を満たすのは、既存設備の製作者のみでございます。
○福士委員 エレベーター設置工事、改修、メンテナンス等の適正なコストを把握するということは、税の使途のむだをなくす意味で重要だというふうに私は考えております。今回のエレベーター改修工事では、見積もり経過についての資料は公表されていますが、予定価格の妥当性については、なかなかわかりません。
先ほど、価格決定については質問もありましたし、お答えもありましたので、お伺いいたしませんが、随意契約の場合には、予定価格の妥当性が最も問われるところだと思いますので、予定価格の算定に当たっては、さらなる精度の向上に取り組んでいただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○高木委員長 次に、報告事項、平成二十二年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中谷委員 都税収入がここ一、二年激減をして、昨年のこの年次報告書を見ましたときに、都財政のいわゆる弾力性を示すといわれている経常収支比率が、急激かつ大幅に悪化をしております。一般的には、経常収支比率というのは、八〇%を超えると財政の弾力性を失いつつあるとされております。
今回の大震災と海外景気の悪化などからの影響で、特に経済の先行きが不透明な中で、国では、震災復興増税という形で今まさに議論をされておりますし、都税収入も急激には増収が見込めない、回復しがたい状況であるといったとき、この年次報告書で報告されている経常収支比率が九〇%を超えているという、この数字だけを見ますと、都財政の健全性は失われつつあるのではないかと思われるのですけれども、その認識をお伺いいたします。
○武市主計部長 経常収支比率でございますが、これは、都税収入などの経常的な収入に対しまして、人件費、扶助費、公債費などの経常的な経費の割合を示すフローの指標でございます。
平成二十二年度決算におけます経常収支比率は九四・五%でございまして、前年度から若干改善したものの、九〇%をなお超える水準となってございます。これは、歳入の根幹をなします都税収入が、二十一年度に一兆円以上減少し、二十二年度においても、さらに減少したということが最も大きな要因であると考えております。
ただ、そもそも景気の動向に都税収入が大きく左右されます都財政におきましては、経常収支比率は、税収の動向、さらには景気の動向にも左右される、そのような構造を抱えてございます。
この経常収支比率は、財政の弾力性をあらわします代表的な指標ではございますが、都財政の健全性の評価に当たりましては、こうしたフローの指標だけではなく、基金残高でございますとか都債残高といったような、ストックの情報もあわせて総合的に判断することが必要であろうと考えております。
この新しい年次財務報告書でございますが、こちらは、まさにそうした点を明らかにしていくために作成したものでございまして、その中でも明らかにしておりますように、二十二年度末の時点では、財源として活用可能な基金残高は一兆二千億円を確保してございます。また、都債残高につきましては着実に減らしてございます。
そのようなことから、税収が低迷する中にありましても、都財政は引き続き健全な状態にあると考えております。
○中谷委員 今のご答弁で、一兆円を超える活用可能な基金があるから、それから後は、基金残とか都債の残高を見たときに、そのストック情報からもあわせて判断すれば、都財政は健全であるということだと思います。
ただ、リーマンショックがあって、その立ち直りの兆しを見せてきたところで、このたびの大震災がありました。この経常収支比率の悪化というのは、都税収入が確かに一兆円以上減収したことが大きな原因であることは本当に明らかではありますけれども、今後も、税収が足りない場合に基金で充当するということを繰り返した場合には、将来的には、この一兆円の基金というものも食いつぶしてしまうことになりかねないということだと思います。
都財政の健全性確保のためには、税収が厳しいこの状況下では、やはりいかにその支出を抑えて、徹底してむだを省く、そういう努力を絶え間なく続けていく必要があると思います。
そして、健全化の指標に関して、将来負担比率ということについてもお伺いをしたいと思いますが、将来負担比率というのは、前年度に比べて一六・六ポイント上昇して九三・六%になっております。これ、前々年から比べると、六三・八、七七、九三・六というような数字の経過を見ますけれども、将来負担比率は、都債であるとか、あと債務負担行為による支出、退職手当負担見込み額等も含めて、いわゆる地方自治体の負担を広くとらえているものであると認識しておりますけれども、財政の健全性をあらわす指標の一つであるこの将来負担比率が九三・六%であるということに対しては、どのような分析をされているか、お伺いします。
○武市主計部長 将来負担比率でございますが、理事の方からもお話がございましたとおり、都債ですとか債務負担行為のようなものをカウントいたしまして、将来の負担の割合がどれぐらいか、そういうものを示す指標でございます。
二十二年度の数値でございますけれども、こちらは、分子、分母があるうちの算定上の分子になります将来負担の額そのものについては、前年度から減少をしてございます。しかしながら、それ以上に、分母となります標準財政規模が、こちらも都税収入が減少している--これは先ほどの経常収支比率の高どまりの要因と同じでございますが、その都税収入が減少しているという、そういったことから分母となります標準財政規模が大きく減少いたしまして、その結果、二十二年度の将来負担比率は大幅な上昇をしたものでございます。
ただ、二十二年度で九三・六%でございますが、国の方で示しておりますのは、早期健全化の判断基準としておりますのは四〇〇%でございまして、その四〇〇%と比べると、九三・六%というのは十分低い水準にとどまっていると考えております。
ただ、そもそもこの将来負担比率につきましては、将来需要として、私ども社会資本ストックの更新需要というものが大きな要因であるだろうと思っておりますが、そういったものは算入されてございません。また逆に、東京都では現実には交付される見込みがない地方交付税につきましても、機械的にこの計算の中では計上されている。そういったこともございまして、必ずしも東京都の実態を十分に反映したものではないというふうに私どもは考えております。
あくまでこの指標というものは、全国の自治体を対象にしまして、国が設定しております幾つかの指標の一つであると、そのように考えておりまして、我々財政当局といたしましては、更新需要など、そういった将来負担を的確に把握しながら、今後も引き続き、中長期的な視点に立ちまして、自立的、安定的な財政運営を行っていきたいと考えております。
○中谷委員 今のお話で、要は、国が定める地方公共団体の財政の健全化の指標が、必ずしも実態を反映しているものではないということ。ただ裏を返せば、持続可能な都の財政基盤を堅持していくためには、将来にどの程度の負担があるのかということをはっきり把握をし、示していくことが必要であると思います。
都の将来負担という意味では、今ご答弁をいただきましたけれども、この将来負担比率の中には社会資本ストックの更新経費が含まれていないと。社会資本ストックの更新経費というのは、要は、いろいろな都有施設なんかの建てかえの経費を指しているかと思いますけれども、今回のこの公会計制度というのが五年前から始まって、そのバランスシートを見る限りですと、そこに、昨年度を見ますと三十二兆円の資産があり、そしてまた、負債としては都債が七・一兆円あったり、退職金の引当金が一・二兆円あったり、かなり都財政の将来負担というものがきちっと表現できているのが公会計制度だと思います。
その公会計制度をもう少し突っ込んでお話をさせていただきたいと思うのですけれども、ちょうど導入以来五年目を迎えて、この五年間で、普通会計の貸借対照表において資産と負債のバランスがどういうふうに変わってきているのか、また、それを都がどのように評価をしているのか、お伺いいたします。
○武市主計部長 ご質問の資産と負債のバランス、資産に対する負債の比率でございますけれども、平成十八年度から二十二年度までの五カ年間の推移でございますが、十八年度から順に、三〇・八%、二八・九%、二六・九%、二六・六%、二六・〇%と、一貫して減少してございます。
これは、資産として保有しております社会資本などに関しまして、将来の世代に残しております負担の割合というものが、この間、減少をずっと続けているということを示しているというふうに考えておりまして、負担を将来に先送りすることなく、行政サービスを展開できている状況になっております。
これまでの堅実な財政運営の成果が、数字としてあらわれているものと考えております。
○中谷委員 この間、かなり税収が減っている大変厳しい局面があったにもかかわらず、中長期的な視点では、都債や基金をうまく利用して都財政の健全性が確保されてきたということが、ある意味、証明をされているというふうに理解をしました。
必ずしも民間の企業と公会計というのはイコールではないと思うんですけれども、やはり通常、資産と負債のバランスというのが、その企業においての健全性を極めて端的にあらわしておりまして、この資産と負債のバランスが、五年間一貫してその比率が減少してきているということは評価に値すると思います。
ここで一たん、ちょっと都債の件で一点だけお伺いしたいと思うんですけれども、中長期的な視点で見るならば、都債の発行、そして、それの安定消化ということが、資金調達のサイクルにおいては非常に重要であると思います。都債戦略については、この五年間、着実に都債残高というのは減少してきておりますけれども、今後も厳しい財政状況の中では、引き続き、貴重な財源として都債の活用をやはり有効にしていくということが求められていると思います。
都はこれまでも、近々到来する償還のピークですね、都債の償還のピークは平成二十五年度で九千億程度と認識をしておりますが、その後はピークが余り高い額にならないように、三年債、五年債、七年債などという償還年限の違う都債を発行してきたと。ただ、そうはいっても、経済の浮き沈みというのは必ずあるものですから、きちんと安定消化できるということが非常に大事です。
そのためには、都債の信用力とか信頼性というものを市場で確保しなきゃいけないと思うんですけれども、都債の発行に当たって、投資家はもちろん、あと市場に対してどのようなプレゼンというか、事をしながら、その信頼構築のために取り組みをされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○武市主計部長 お話の都債についてでございますが、都債を安定的に発行していくためには、理事のお話にもございましたように、投資家でございますとか市場の信頼を獲得いたしまして、投資家層の拡大に努めることが重要でございます。
そのために、代表的な我々の取り組みといたしましては、一つには、投資家向けの情報提供、IR活動の充実、それともう一つ挙げますと、都債の商品性や魅力の向上、こういったものを図ってございます。
まず、IR活動でございますけれども、これまで私どもが取り組んでおります堅実な財政運営を今後も東京都としては続けていくんだと、そういったことを市場にしっかりとアピールいたしまして投資家の安心を獲得するということが重要でございまして、毎年、年に数回、全体の説明会を行っているほかに、昨年度の場合は、機関投資家を対象に、約三十者に対しまして戸別訪問してご説明しております。
また、魅力を向上させていくためには、多様な商品を発行していくということが有効でございまして、償還年限の多様化、そういったものに取り組んでございますが、それに加えまして、昨年の二月からでございますけれども、機関投資家の意向をタイムリーに発行条件に反映させるような新しいマーケティング手法というものを組み込んだ都債の発行を、これまで三カ月に一回程度、合わせて六回実施してございます。これにつきましては、投資家の皆様方から好評をいただいておりまして、投資家層の拡大に寄与してきたものと考えております。
今後とも、投資家、市場との信頼関係のさらなる構築のために、さまざまな取り組みを行いまして、市場での都債の円滑な発行、消化につなげていきたいと考えております。
○中谷委員 やはり投資家をしっかりとつかんでおくという努力と都債のファンをつくるという、その両建てが大事だと思いますけれども、ちなみに、今の都債の格付というのが、ダブルAマイナス、ネガティブという格付でございまして、これは日本の国債を上回っての評価というのは、地方債の場合、出ないというルールがあるようでございますから、当然、国債の評価に比例している部分はあると思いますけれども、以前はもう少し高い評価であったと記憶しております。
いかに調達コストの低いお金を集める、また、困ったとき、まあ東京都が困ったときというのは余り想定したくないんですが、即座に集められるという、そういう信頼関係をつくっておくことは非常に大事だと思います。
引き続いて、もう一度、バランスシートから見るストック情報についてお伺いをしたいと思うんですが、このたびの年次報告書を見ておりますと、固定資産について、平成十八年度以降の五年間、少し数字を追ってみました。その中でも特に財産の建物部分に着目をしますと、この五年間で千二百九十一億円減少しているんですね。
これは何を意味するかというと、今後、潜在的に膨大な建物の建てかえの需要が控えていることを示唆するものであると。これは公会計の白書にきちんと書かれていることでありますけれども、要は、膨大な経費が見込まれる都有建物の改築や改修の計画を進めるために策定したのが、平成二十一年の二月でありますが、二年前の主要施設十カ年維持更新計画というのがあります。ちょうど来年度、平成二十四年度からが第二ステージに入りまして、この第二ステージというのが事業規模としては一番大きくて、三千億程度の事業規模で維持更新計画というのを計画しております。
ただ、ここでやはり問題なのは、三月に震災が起きまして、では今までの計画どおりの優先順位といいますか--建物をどういうふうに建てかえをしていくかということが、きちんと計画があったと思います。おおむね築三十五年以上で、平米数が例えば三千平米のものを建てかえましょう、あるいは十年以上経過しているもので一万平米以上のものを建てかえましょうという大まかなルールがあったと思いますけれども、ただ、状況が大きく変わって、防災上の重要な施設というものは建てかえを早めなければいけませんでしょうし、そうはいっても、その経費の見積もりも、三千億という中で消化をしていかなければいけませんでしょうし、計画自体を具体的に見直ししていく用意があるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○末菅建築保全部長 平成十八年度からの新公会計制度の導入によりまして、資産価値の減少分が数字でわかるようになり、潜在的に膨大な建てかえ等の更新需要が存在することが明らかになりました。
主要施設十カ年維持更新計画は、こうした都有施設の経年劣化の進行や設備の更新時期の到来への対応といたしまして、財政負担の平準化を図る趣旨から、平成二十一年に策定したものでございます。事業の実施に当たりましては、施設の老朽度、緊急度など、必要性や優先順位等を精査し、維持更新を進めているところでございます。
本計画の第二期以降における優先順位などの見直しでございますが、例えば耐震補強工事が必要な社会福祉施設などにつきましては、二十五年から二十六年度着手予定を、三月の大震災を受けまして、二十四年度、来年度に着手することに前倒しをすることで調整をいたしております。
また、首都直下地震への備えが急がれる中、今後策定を予定されております東京都防災対応指針への対応など、財政規律に配慮しながら必要な見直しを行うことといたしております。
○中谷委員 都の防災指針は十一月に出るものだと認識をしておりますけれども、それを待ってから動くのであると、ちょっとタイミング的には間に合わないところもあると思いますので、ぜひ見直しをするべきものについてはしっかりと見直しをして、おくれることのないようにお願いをしたいと思います。
それで、この公会計制度とともに、同じように、都の財産を有効活用するときに一つの指針としては、財産利活用の指針というのが平成十九年の六月に策定をされております。その中で、これも書いてあるんですが、適正管理の促進だけではなくて、財産価値の発揮という点から、財務諸表を活用して利活用の状況を検証するという文言があります。つまりは、やはり公会計制度を利用する中で、いかに東京都の持つストックを有効に活用していくかということについては、しっかりと力を注がなければいけないと思うんですね。
そうしたときに、都有財産の有効活用のために、今の財産の利活用の状況を検証して、より効率的に進めるためには、この公会計制度が導入されて今回五年目を迎えておりますけれども、実際、その制度を使ってどのような取り組みをして、どういう成果があったかということについてお伺いしたいと思いますが、たまたま私の地元の練馬の豊玉南というところの都営住宅の跡地は民間の自動車会社に貸したりとか、また、足立の都税事務所は改築をしたりというのは、この二点についてはきちんと報告書で上がっている、いわゆる成功事例として表に出ているかと思います。
五年間という中で、どういう効果、実績があるのかについて、具体的にお伺いしたいと思います。
○奥田財産運用部長 都有財産の有効活用に当たりましては、現在や将来にわたっての行政ニーズが必要となる時期、土地を一たん手放した場合の再入手の可能性、売却や貸し付けの際の収益性などを個々の土地ごとに考慮いたしまして検討し、財産価値を最大限に発揮させるようにしております。
このような検討の中の一つといたしまして、新公会計制度を活用して、効率性や事業効果の検証も必要に応じて行ってまいりました。例えば、従前は積極的な売却を進めてまいりました未利用地につきまして、新公会計制度を活用し、民間へ売却または貸し付けをする際に、将来にわたる収入やコストを算定し、比較を行いました。
また、老朽化した庁舎改築に当たりまして、現地改築と移転改築の長期間にわたるコスト比較等も行ってまいりました。
都有地や都有施設は都民から負託された貴重な財産であることから、今後とも財産の利活用に当たりましては、各財産につきまして、効率性などさまざまな視点から総合的に考慮し、財産の利活用を推進してまいります。
○中谷委員 今ご答弁のとおりなんだと思いますけれども、都が今、平成二十二年度時点で、道路やインフラ資産を除く土地、建物というので、八兆円以上、資産として有しているわけですね。この中で、もちろん有効に使われている資産が圧倒的に多いと思いますけれども、莫大な資産でありますから、やはり一つ一つ検証するというのは手間も時間もかかる話でありますけれども、ただ、税外収入というか、税外財源をふやすという努力の部分でも、この都有資産の有効活用というのには、もっと力を入れていいのかなと思います。
そしてまた、都有地を売却するときに、地方公共団体に売るときには公共減免という形で、最大、多分二分の一ぐらいの減免をするんだと思うんですけれども、それが、例えば都が購入した価格を上回っていれば全然問題ないと思いますけれども、都が購入した価格があって、もし公共減免した場合に、その二分の一の額が都が購入した価格よりも低いときというのは、果たしてそういう事例があるのかどうか、私も確認はしておりませんけれども、ストックという部分では、売却することによって、その取得価格をも下回ってしまうということについては、これから検討の余地があるというか、そういう事例があるのかどうかというのは、後日教えていただきたいと思います。
そしてまた、以前、私がちょっと財産利活用の件で質問していたことについて確認だけ、申し上げたいと思うんですけれども、ちょうど第二庁舎のコンビニが、ことし、たしか契約が満了になると思うんですけれども、当時の答弁で、現在は使用許可だけれども、貸し付けを検討しているというご答弁をいただいておりましたので、その進捗状況についてだけ、ちょっと確認したいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 現在、コンビニエンスストアにつきましては、貸付制度への移行に向けて、貸付条件や選定方法等について検討を進めているところでございます。
展望室の店舗につきましては、来年度から展望室専用エレベーター等の改修工事を予定しておりまして、工事の影響等を考慮し、その間の取り扱いについては慎重に検討を進めているところでございます。
利活用の形態を含めました展望室の活用方法の検討に当たっては、既存の店舗の理解と協力が必要であり、今後とも意見交換を行ってまいります。
○中谷委員 今コンビニについては、貸付制度への移行に向けて検討を進めているということであります。十二月で契約が終わるということは、民間の感覚からすると、あしたで十月ですから、そろそろ次なる条件というか、貸し付けの条件、公募でやるんだと思いますけれども、そういうものも決まってくるんだと思いますけれども、このコンビニに限らず、この議会棟の地下一階のレストランなんかも、使用許可で現在やっていると思いますけれども、将来的には、そこも含めて貸し付けを検討する余地があるんじゃないかと思っております。
そして、最後に質問したいと思いますが、都営住宅なんかを建てかえしたときに出る余剰地とか、あと、都市整備局さんで、都住の今ちょっとあいている空地なんかを一時貸ししているようなものは、実際幾つか見ておりますけれども、まだ幾つかだと思うんですね。そんなに物すごく進んでいるようなイメージではありません。
そしてまた、あの大震災が起きて、今回、防災の視点から都有財産の利活用を特に進めていく必要があると。一昨日の代表質問や、また昨日の一般質問でもありましたけれども、震災時には、都は、帰宅困難者を一時待機施設に受け入れる考えで官民施設を幅広く確保していくという意向があるわけですね。そうすると、いろんな土地があって、今まではちょっと使いづらい、用途を考えづらいような土地であっても、意外と使途が広がっている可能性があるんですね。
瓦れきの処理についても、都は五十万トンを受け入れるといっておりまして、それも、いきなりどこかに埋める話じゃないわけですから、きちんと現場で整理をしてから持ってくるかどうかはあれですけれども、例えば瓦れき処理のためとか、あと仮設住宅の確保、それから、被災地の企業を誘致して、そこで実際仕事をしていただくための用地とか、そういう新たな用途が十分考えられておりますので、ちょうど平成十九年に今後の財産利活用の指針というものが策定をされておりますけれども、そろそろ、震災という大きなことがありましたので、この利活用指針自体、若干の見直しも含めて検討する必要があるのではないかなと思っております。
さまざまな局で、いつ何どき使うかわからない不確定なまま、貴重な財産を寝かせているという状況が若干まだあると思いますので、財務局が総合調整権を発揮してというのは、必ずいつもいわれている話ではありますけれども、本当にこの機会に、例えば、財務局が一元管理を強力に進めていくという時期であるとは思いますが、そのことについて見解をお伺いしたいと思います。
○奥田財産運用部長 都有財産は、基本的に、都政の喫緊の課題解決など都の行政目的を達成するために活用していくものでございます。当面の行政目的を終了いたしました財産のうち、各局が近い将来施策に活用する目的で引き続き責任を持って管理する財産につきましては、短い期間であっても一層の有効活用が図れますよう、さまざまな活用事例を紹介するなど、財務局が各局に対して利活用の支援を行っているところでございます。
また、各局が将来的に活用する見込みのない財産につきましては、速やかに財務局に引き継ぎ利活用を進めていく必要があると思っておりまして、これまで、境界が未確定などの理由によりまして引き継ぎが困難な財産につきましても、一定の整理がついたものにつきましては、財務局が積極的に引き継ぎを受け、未利用財産の有効活用を進めているところでございます。
あわせまして、各局での測量、境界確定等に係る実務に対しまして、財務局がこれまで蓄積いたしましたノウハウや技術力を生かし支援を行い、それを通じて引き継ぎの促進を行っているところでございます。
さらに、今回の震災を契機といたします新たな土地へのニーズに対しましても柔軟に対応していく必要があることから、各局における将来の施設活用の確実性なども勘案の上、今まで以上に各局と綿密な連絡調整を行いまして、未利用地の引き継ぎを進めてまいります。
都有財産は都民から負託された貴重な財産でございまして、その活用に当たりましては、財産価値を最大限発揮させるとともに、都政の喫緊の課題解決に向け利活用を進めていくこととしておりまして、今後とも、震災対策など新たなニーズへの対応も含め、都有地の一層の有効活用を図ってまいります。
○中谷委員 税収は減収傾向で、さらには大震災がありました。税外収入をふやすという意味で、何としても新しい公会計制度を駆使して貴重な都有財産の力を最大限発揮できるように、ぜひ財務局さんが先頭に立って引っ張っていっていただきたいと思いまして、私の質問は終えます。
○菅委員 それでは、私の方からも平成二十二年次の財務報告書について伺います。
この報告書も年を追うごとに内容が充実しておりますし、五年目ということで、経年変化をとらえた財政分析も精緻なものとなってきております。興味深く拝見をさせていただきました。
前年の二十一年度決算では、リーマンショックの影響により都税収入が一兆円もの減収となる、過去に類を見ない激動を経験したわけですが、二十二年度についても、景気回復がままならない中、年度末には東日本大震災が発生するなど、引き続き厳しい財政のかじ取りを迫られてきたのではないかと、こういうふうに思います。
そこでまず、平成二十二年度決算をどう評価しているのか伺います。
○武市主計部長 平成二十二年度でございますが、ただいま理事からお話がございましたとおり、二十一年度には都税収入が一兆円以上減少したものが、さらにまた二十二年度も一・五%減少いたしまして、三年連続で減少となる非常に厳しい状況にございました。
こうしたことから、執行の段階におきましても、歳出を精査しながら、その中で、都市のインフラの整備でございますとか少子化対策、雇用対策の充実などに努めてまいりました。
その結果、実質収支につきましては均衡を図るとともに、基金の取り崩しを抑制いたしまして、平成二十二年度末の時点では、先ほども申し上げましたが、財源として活用可能な基金を、一・二兆円、残高を確保してございます。
このように二十二年度決算では、都民が直面している喫緊の課題から中長期的な課題まで、東京都がなすべき役割をしっかりと果たすとともに、都財政の健全性についても引き続き確保することができた、いわば二兎を追うことができた決算であったと考えております。
○菅委員 今、ご答弁にありましたように、税収は三年連続で対前年度に比べて減収となったというわけでありますが、報告書の中では、減収は景気の影響だけではなくて、二十二年度から平年度化した法人事業税の暫定措置の影響も大きいと、こういうふうに分析されております。
そこで、法人事業税の暫定措置による税収への影響額は実際にはどれほどだったのか、この点について伺います。
○武市主計部長 法人事業税の暫定措置でございますが、これは仕組みといたしましては、まず国に地方法人特別税というものを一度払い込みまして、その後、その一部が国から地方法人特別譲与税という形で再配分をされてございます。その両者の差額が影響額、東京都におきましては実質的な減少額となっております。
平成二十一年度決算におきましては、国に払い込んだ地方法人特別税が二千百四十億円でございまして、国から再配分されました地方法人特別譲与税が七百九十一億円でございまして、差し引き千三百四十九億円の影響が出てございます。
また、影響が平年度化されました平成二十二年度決算では、地方法人特別税三千六百一億円に対しまして、地方法人特別譲与税が千七百四十八億円でございまして、差し引きでは千八百五十三億円の減収と、影響はさらに拡大をいたしております。
その穴埋めは、基金の取り崩しなどで対応せざるを得ない、そういう状況になってございまして、都財政に大きな影響を及ぼしております法人事業税の暫定措置は、地方税という地方自治の根幹をなすような問題に、国がある意味、勝手に口を挟んでいるものでございまして、地方分権というのが大きな時代の流れになっている中で、それに逆行するものであるというふうに考えております。
この法人事業税暫定措置の撤廃は不可欠であるというふうに、私どもは認識してございます。
○菅委員 年間千八百億円を超える額が減収になるということで、改めて、暫定措置が都財政に与える影響は非常に大きい、こういうふうに感じております。
国が不当に奪っている都の財源は、知事がたびたび述べられているとおり、木造住宅密集地域の耐震化、不燃化など、東京を高度な防災力を備えた都市へと進化させていくことに使われるべきだと、こういうふうに、私は改めて申し上げるまでもないと思います。
こうした厳しい状況の中にあっても、都民サービスへの影響をいかに食いとめるかが財政運営の腕の見せどころだと、こういうふうに思います。
ほかの団体では、減収になれば、地方交付税の財政調整により財源補完がされるのに対して、東京都は不交付団体でありますから、そういう措置を受けるということがないわけであります。したがって、税収が減れば、二十一年度決算のように行政コスト計算書の収支が厳しくなるというのが一般的な傾向だろうと思います。
しかしながら、二十二年度決算では、前年度よりさらに税収が落ち込んでいるにもかかわらず、当期収支差額は百七十一億円の増と、改善されております。
具体的にはどのようにして収支の改善をなし得たのか、この点についてもお尋ねしたいと思います。
○武市主計部長 平成二十二年度予算につきましては、たびたび申し上げておりますが、想定を大きく超えるような大幅な都税収入の減少という非常に厳しい状況がございましたので、歳出の精査というのを改めて徹底するとともに、基金の取り崩し、そういった財政の対応力も活用しながら編成を行ったところでございます。
また、その編成した予算の執行段階におきましても、施策の目的というものは確実に達成できるように努めながらも、経費のむだがないかということを絶えず分析、検証いたしまして、年間を通じて、工夫を凝らしながら事業費の精査というのを続けてきたところでございます。
このように自己改革を年間を通じて継続して行ってきたことが、最後の二十二年度決算の段階におきまして、二十一年度と比べて当期収支差額を改善できた大きな理由であると考えております。
○菅委員 一般に、役所は予算を使い切る、こういうふうにいわれておりますけれども、今、部長の答弁のように、都において、歳出の見直しを初め、執行段階における工夫を凝らしたさまざまな取り組みにより収支を改善させていると。このことは非常に評価できるものと私は思います。
さて、都財政は、先ほど答弁がありましたけれども、歴史的に見ても、景気動向の影響を受けやすい極めて不安定な構造にあるという宿命を負っているというわけでありますが、この報告書を読むと、そのような中でも、なすべき施策を着実に実施していくために、都債や基金を適切に活用してこの間の財政運営をしてきたことがよくわかります。
都債に注目をしてみますと、貸借対照表では、平成十八年度から平成二十二年度の五年間で約五千四百億円もの残高が減少している、こういう状況であります。国の借金がこの間、累増し続けているのと比べまして、極めて対照的であると思います。収入がふえない中で借金の残高を減らしていく、こういうことは、民間企業であれ、行政であれ、なかなか難しいことだろうと、こういうふうに思います。
ここで改めて、都債償還の仕組みと、この間の残高減少の要因を説明していただきたいと思います。
○武市主計部長 都債の償還についてのご質問でございますが、現在、一番多く流通している都債というのは十年債、十年満期一括方式と呼んでおりますが、その十年債でございます。これは、発行から十年後に発行額全額が償還時期を迎えるというものでございます。
ただ、その十年後の時点で全額を返済するというものではございませんで、そのうちのおよそ三分の二は借りかえを行いまして、改めてまた十年債の再発行というのを行っております。さらに、その二十年目におきましても、最初の発行額のおよそ三分の一は再度の借りかえを行いまして、三十年目になりましてようやくすべての償還が終わる、そういった仕組みが一番一般的な仕組みとなってございます。すなわち、ある時期に都債を発行いたしますと、その影響は三十年間残ってしまう、そのようなことになっております。
この都債残高の増減は、発行と償還のバランスで決まりまして、当たり前ではございますが、償還額が毎年の新規発行額を上回れば残高は減り、逆に少なければ残高はふえるということになってまいります。
東京都におきましては、平成十二年度以降、財政再建に取り組みまして、都債の発行抑制に努めてまいりました。そういった中で、都債の償還というのも逆にふえておりまして、特に平成十九年度から二十年度にかけましては、都税収入が増加したことを背景にいたしまして、十年目、二十年目におけますような借りかえというものを抑制して償還を進めたことから、都債残高が減少しております。
○菅委員 ただいまの答弁のように、都債償還は長期にわたるものでありますし、都債残高はその時々の発行と償還のバランスによって増減するということであります。
つまりは、一朝一夕には都債残高を減らすことはできないわけでありまして、都債残高の圧縮というものは、財政再建時からの十年にも及ぶ地道な取り組みの成果によるものだと、こういうふうにいってもいいと思います。
報告書によれば、この間の都債の発行抑制により、元金償還金が約二千億円圧縮できたとの試算がありますが、利子支払い額を含めれば、さらに一層、財政負担が軽減されているはずであり、財政の弾力性の改善に寄与している、こういうふうにいってもいいんだろうと思います。
こうした将来を見据えた財政運営により培ってきた財政の対応力を、厳しい財政環境に直面している今こそ適切に活用するとともに、これを可能な限り堅持していくことにも、ぜひ意を用いていただきたい、こういうふうに思います。
このたびの大震災は、東京においてもさまざまな影響を及ぼしており、防災対策を初め、都市インフラの整備など、都は多くの課題に取り組んでいかなければなりません。都税収入の大幅な好転が期待できない中にあっても、今後とも都民の負託にこたえる施策展開を支える財政運営について局長の見解を伺って、質問を終わります。
○安藤財務局長 菅理事には、予算特別委員会で財政運営についてのご質問をいただいて、貴重なご提言をいただいて、その最後の日に震災が起こり、さまざまな変化が生じたということでございまして、今お話しのように、大震災がさまざまな影響を及ぼしているというのは、まさにそのとおりでございまして、大変しみじみと今の事態の重さを感じている次第でございます。
景気の変動というのは避けがたく起こるものでありますから、そういう中で、都財政が非常に景気の影響を受けやすく、年度間の税収変動が厳しいという構造的な特徴にありますので、そうした中にありましても、都政が直面する課題にいかに継続的、安定的に対応していくかというのが、まさに都の財政運営の勘どころであるというふうに思っています。
加えて、今は震災の影響などもございまして、加えて円高や海外の景気動向によりまして、足元はともかくとして、この先の経済情勢には相当厳しいものがあるということになっておりますので、やはり税収の大幅な改善というのは考えにくい状況にあると受けとめざるを得ないと思っております。
こうした中にありましても、防災力の強化という、改めて浮き彫りになりました課題にも取り組まなければいけませんし、少子高齢化対策などこれまで進めてきた施策についても、やはり足踏みは許されないというふうに思っております。
そのためには、これを乗り切るためには、ぜひとも法人事業税の暫定措置については、やはり約束どおり撤廃するように国に強く求めてはまいりますけれども、私どもも自身の努力として、地道ではありますけれども、事業評価の定着、成果の上に立って、施策の効率性とか実効性を向上させる取り組みを、全庁を挙げて不断に徹底することが必要であると思っております。
こうした努力を続けながらも、余力を残しております都債や基金を計画的に活用いたしまして、将来にわたった財政基盤を堅持するという姿勢をベースとして、短期、中長期的に山積する課題にも確実に対処してまいりたいと思っております。
こうした財政運営によりまして、厳しい状況にあります都民の負託にこたえるよう、全力を挙げてまいりたいと思っております。
○上野委員 ことしで年次財務報告書の公表も五回目を迎えました。我が党の東村議員が提案し、導入を強力に推進してきました新たな公会計制度、その一つの成果が年次財務報告書でありまして、これはコスト情報やストック情報など、さまざまな側面から都の財政状況を明らかにする貴重なツールとなっているわけであります。
今回の年次財務報告書において、私が特に関心を持ったのは貸借対照表であります。これを見ますと、この五年間、一貫して資産が増加し、負債が減少し、正味財産が増加しているということがわかります。
貸借対照表とは、非常にすぐれた仕組みでできておりまして、ご案内のことと思いますけれども、バランスシートの名のとおり、資産の額と負債、正味財産の合計額とが必ず一致、バランスするようにできております。このため、ある資産を増加させるためには、バランスさせるために、別の資産の減少や、負債や正味財産の増加を伴うものでありまして、物事を複眼でとらえる仕組みとなっております。
すなわち、貸借対照表の資産や負債などの数値の増減は相互に関連性を持つものであり、その意味では、都の資産や負債等の増減を分析することで、マクロの視点から都の財政運営の傾向を読み取ることができるといえるわけであります。
そこでまず、この五年間の資産の増加、負債の減少、正味財産の増加について、その主な要因をお伺いいたします。
○武市主計部長 理事からただいまお話をいただきましたように、資産はこの五年間でふえてございまして、具体的には二兆三千億円ほどふえてございます。
その要因といたしましては、骨格幹線道路など投資効果の高い社会資本の整備を着実に進めてきたこと、同時に、基金につきましても、税収が比較的好調でございました平成十八年度から平成二十年度にかけまして、財政調整基金などに積極的に積み立てを行ってきたこと、こうした点が主な資産の増加要因であるというふうに考えております。
一方、負債でございますが、こちらは、財政再建を達成した後も、負債の大宗を占める都債の新規発行を抑制し、その償還につきましても積極的に行ってきたことなどによりまして、毎年度減少し、この五年間では八千億円以上、圧縮をしてございます。
このように、資産が増加する一方で負債は減少しているために、その差し引きの結果といたしまして正味財産も増加をしてございますが、この間の事業評価や歳出の徹底した精査を通じまして収支差額の黒字確保に努めてきたことなどが、この財務諸表の数字にあらわれているものと認識をしております。
○上野委員 答弁をお聞きしますと、都はこの間、税収の好調な時期には基金や都債の発行余力という財政の対応力を確保し、また、厳しい時期には基金などをうまく活用して必要な施策を推進したわけであります。それには、事業評価や歳出の精査などを通じた当期収支差額の黒字確保の努力が、一定程度、寄与しているものと理解できるわけであります。
財務諸表を分析すれば、都の財政運営の全体像や、資産、負債の相関関係についても客観的に検証することが可能ということであります。
この五年間、一貫して資産規模が増加しているわけですが、私は、税収が増減する、すなわち景気の変動する中においても、真に必要な社会資本の整備は確実に推進していくことが非常に重要と考えております。そこで、少し視点をミクロにしまして、財務諸表をもとに、これまでの都の社会資本整備の状況について伺ってまいりたいと思います。
従来の官庁会計におきましては、社会資本整備の水準の一つの目安として、投資的経費が挙げられます。一方、新たな公会計制度によるキャッシュ・フロー計算書を見ますと、投資的経費が、行政サービス活動に約三千八百億円、社会資本整備等投資活動に約三千三百億円と、区分して計上されております。
そこで、キャッシュ・フロー計算書における行政サービス活動と社会資本整備等投資活動の投資的経費の違いについて、確認のため、お伺いいたします。
○武市主計部長 新たな公会計手法におきましては、この投資的経費につきまして、これまでになかった新しい切り口で分類を加えてございます。それが理事からお話のございました、行政サービス活動なのか、社会資本整備等投資活動なのかという分類、これが新しい分類でございまして、行政サービス活動に計上しております投資的経費というものは、例えば国直轄事業負担金など、東京都が保有する固定資産の形成には直接寄与しない、そういう経費でございまして、行政コスト計算書におきましては、当該年度の行政サービスに係る費用として計上されております。その結果、貸借対照表、いわゆるバランスシートにはあらわれてまいりません。
一方、社会資本整備等投資活動に計上しております投資的経費につきましては、これは例えば、臨海部に移転をいたします都立産業技術研究センターのような行政サービスの活動拠点となる施設でございますとか橋梁、ふ頭など、都市活動を支えるインフラ整備といいましたような東京都の固定資産の形成に直接寄与する経費でございまして、こちらは、バランスシートにおきましては資産の増加に反映されるものでございます。
○上野委員 新たな公会計制度では、官庁会計と異なりまして、投資的経費について、固定資産の増加にかかわるものと単年度の行政サービスにかかわるものとを明確に区分し、把握、管理されているということであります。
したがって、インフラ資産や行政財産など、都の保有する社会資本の増加につながる投資の傾向を把握するためには、キャッシュ・フロー計算書の社会資本整備支出の額を見ればよいということであります。
そこで、キャッシュ・フロー計算書の社会資本整備支出の額につきまして、過去五年間の推移を伺います。
○武市主計部長 キャッシュ・フロー計算書におけます社会資本整備支出の過去五年間の推移でございますが、平成十八年度は二千九百五十六億円、それから十九年度は三千二百十一億円、二十年度三千四百五十九億円と連続して増加をしてございまして、さらに、二十一年度にはピークとなります三千四百八十六億円を計上してございます。二十二年度は減少に転じたものの、幹線道路の整備など必要な事業を着実に進めまして、三千三百二十六億円と高い水準を維持しているというふうに考えてございます。
この社会資本の整備は、新たな雇用や需要を創出いたしまして、経済への波及効果も非常に高いものでございまして、税収が大きく減少した二十一年度以降も着実に推進をしております。
○上野委員 ただいまの答弁にもありましたように、平成二十一年度以降の税収が大きく減少するまさに厳しい財政環境の中におきましても、都は、ほぼ一定の投資水準を維持し、社会資本整備を着実に推進してきたことが、数値をもって確認できたわけでございます。
つまり都は、厳しい社会経済状況の中だからこそ、景気を刺激し、新たな雇用や需要を創出する社会資本整備、いわゆる公共事業関係費を推進してきたということでありまして、私はまことに正しい取り組みであると、このように思います。
それに比べまして、民主党政権下の国は、この間、公共事業費を大幅に削減してきました。国の公共事業関係費の当初予算は、平成二十二年度は前年度に比べ過去最大の一八%もの大幅な削減がなされておりますし、また、二十三年度はさらに五%削減、先日閣議決定された二十四年度予算の概算要求基準では、さらに一割の削減が求められています。仮に二十四年度予算がそのまま一割削減となれば、政権交代前の二十一年度予算と比べますと、何と三割もの削減となるのであります。
こうした状況に、多くの中小企業は、とんでもないことだ、国は我々中小企業の現場の苦しみは何もわかっていないと怒っている、こういう声が来ます。財政状況が厳しいからといって、やみくもに公共事業を減らしては、中小企業の倒産がさらに増加し、景気のさらなる悪化を招くのは明らかであります。厳しいときだからこそ、しっかりと将来への投資を行うことが、経済の好循環を招くことになると考えております。
さきの答弁のとおり、都は、財政環境が大きく変動する中でも、公共事業を着実に推進しております。また、当初予算ベースで見ても、投資的経費を七年連続で増加させ、平成二十三年度は八千四百四億円、石原都政で過去最高の水準となっております。
こうした都の取り組みに対しまして、私の地元には、多くの中小企業経営者から、東京都は中小企業を守り、景気を少しでもよくしていこうという意欲を感じると、こういう感謝の声が届いているわけであります。こうした都の取り組み姿勢を、私は高く評価しているものであります。
ましてや、このたびの東日本大震災を受けまして、地震や水害などの災害に備えるための社会資本整備の重要性がますます高まっております。そうした中、都民の生命、財産を守ることはもとより、厳しい環境にさらされる中小企業をしっかりと支えるためにも、引き続き真に必要な社会資本の整備を進めていく必要があることを、改めて述べさせていただきます。
さて、社会資本整備支出を行うということは、当然、その分、固定資産が増加するわけでありますが、資産を保有するということは、一方で、維持管理費や老朽化に伴う補修費、また更新経費の増加につながるものであります。
都有資産について、毎年の維持管理や補修にかかわるコストを示すものとしては、行政コスト計算書の維持補修費が、また老朽化の目安としては、毎年の減価償却費の累計である減価償却累計額が挙げられます。
そこで、行政コスト計算書の維持補修費と貸借対照表の減価償却累計額につきまして、平成十八年度決算と二十二年度決算とを比較して、どのように増減しているのか伺います。
○武市主計部長 行政コスト計算書におけます維持補修費は、平成十八年度の五百九十六億円に対しまして、平成二十二年度は七百二十六億円でございまして、百二十九億円、二一・七%の増加となっております。
また、貸借対照表における減価償却累計額は、平成十八年度末の二兆三千六百十三億円に対しまして、二十二年度末は二兆八千九百十二億円となっておりまして、五千二百九十八億円、二二・四%の増加となっております。
○上野委員 維持補修費と減価償却累計額のいずれも、この五年間で大きく増加しているところでありまして、単純にはいえないと思いますが、資産の増加や施設の老朽化に伴い、維持補修費が年々増加しているのではないかと推察されるところであります。
都有施設の多くは、昭和四十年代や平成一けたの時期に整備されてきたものでありまして、老朽化が進む中、今後、計画的な維持更新が不可欠となっております。こうしたことから、財務局では、平成二十一年二月に主要施設十カ年維持更新計画を策定しまして、建物そのものの長寿命化や維持管理コストの低減によりライフサイクルコストの縮減を図るなど、中長期的視点に立って施設の維持更新に努めているところと聞いているわけでございます。
一方、先般の東日本大震災は多くの教訓をもたらしました。今後の維持更新の方針にも、少なからず影響を及ぼすものであったことと思います。都有施設について耐震化を進め、震災時にもしっかりと機能を確保する必要があることはいうまでもありませんが、例えば今般の電力危機を踏まえますと、これまで以上に電力使用量の削減や電源確保を進めていくという視点も重要でございます。
今後は、ライフサイクルコストの縮減はもとより、大震災の教訓もしっかりと踏まえて、より一層効率的、効果的な施設整備を推進していただくよう、強く要望するところであります。
ここまで社会資本整備という観点から質疑を行ってまいりましたが、新たな公会計制度による情報が年々蓄積されてきておりまして、今後とも財政に関するさまざまな情報が財務諸表から得られることと思います。国や他の自治体に先駆けて導入したからこそ、その成果も、どこよりも早く享受することができるものでありまして、進取の精神で公会計制度改革を断行した都の姿勢を改めて高く評価したいと思います。
都民に対する一層の説明責任を果たすとともに、財政運営や事務事業を絶えず検証していくために、蓄積された情報を都政改革のツールとして積極的に活用していくことが今後とも必要であると考えます。
そこで、最後になりますが、新たな公会計制度の一層の活用に向けて、局長からの力強い言葉をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○安藤財務局長 都のすべての会計に複式簿記・発生主義を導入して、五年が経過をいたしました。この間、この新たなツール、これが仏つくって魂入れずにならないように、さまざまな効果的な活用方法を模索しながら取り組みを進めてまいりました。
例えば、今回発表した年次財務報告書では、企業のアニュアルレポートを参考にいたしまして、マクロの視点から都の資産や負債などの財政状況を分析しております。同時に、ミクロの視点からも、予算編成の一環として実施しております事業評価において、発生主義の考え方を踏まえて、複眼的に事業の効果、コスト等を検証することで質を一層高める工夫を凝らすなど、ようやく都庁全体で当然のルールとして定着してきたなというふうに思っております。
財政環境、先ほど申し上げましたけれども、足元はともかく、将来的には厳しい経済状況が見込まれておりまして、税収の改善というのは考えにくいという、こういう財政環境の先行きが不透明な中にございますので、より中長期的な視点に立って健全な財政が求められているわけでございますが、こうした中で、この新たな公会計制度の果たす役割はますます重要になっているというふうに思っております。
理事がお話しされましたように、蓄積されました経年データの分析をさらに深めるとともに、職員一人一人がこの公会計の視点を持って仕事を取り組むように、分析手法でありますとか着眼点の共有を進めることで都庁の自己改革力を高めて、引き続き堅実な財政運営に努めてまいりたいと思います。
○高木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時十一分開議
○高木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○たぞえ委員 財務局の報告事項である年次財務報告書では、貸借対照表という形で、都が保管している資産、負債が示されています。これは今回で五回目ですが、報告書の中では、例えば資産と負債のバランスや、基金や都債残高の推移などについて健全だと評価をしています。しかし、都財政全体の分析はもちろん大切ですが、もう一つの指標の推移をつぶさに見ていくと、いろいろ問題がわかってくると思います。その一つが正味財産変動計算書で、資産として計上している普通財産の推移です。これを見ると、都有財産の利活用上の課題が改めて浮き彫りになります。
普通財産というのは、もともと現時点で行政用途のない土地や建物ですが、十八年度に作成されて以来、例えば普通財産の土地のストックは、二十一年度の六千三百十三億円から、二十二年度六千二百三十八億円と目減りしています。行政財産に移行したものもあるでしょうが、売却されたのも多いんです。
都として使い道がないという理由で売却をする前に、切実な都民要望にこたえるような有効な活用方法はないのか、都有地の利活用のあり方を真剣に検討するべきではないかと考えるものです。
財務局の財産運用部が一体となって知恵を絞り、未利用地ごとに、さまざまな制約や条件も踏まえながら都有地にふさわしい利活用の可能性を具体的に分析し、例えば、この土地は私立学校、病院、社会福祉施設の耐震建てかえの種地になるのではないですか、この土地は地域のイベントなどに一時的に使えるんじゃないですかという検討を行うことが不可欠だと思います。
行政目的の観点から、効果的に利活用を進めるために、今述べたように、都有地を都民要求にふさわしく活用する取り組みを進める必要があると思いますが、財務局の見解と今後の取り組みについて伺います。
○奥田財産運用部長 都有地は都民から負託された貴重な財産でございまして、都民サービス向上のために活用していくものでございます。そのため、一定の行政目的が終了した未利用地につきましては、都政の喫緊の課題解決のために全庁的な視点に立って有効活用を図っていくこととしているところでございます。
財務局では、各局と密接に情報交換を行うことで、施策ニーズと活用都有地がマッチングできるよう調整しておりまして、例えば、福祉インフラの整備や私立学校の耐震化における取り組み支援のために都有地を減額して貸し付けるなど、既に各局の施策を推進しているところでございます。
今後とも、各局との密接な連携のもと、都有地の適切な情報提供を行い、各局の行政ニーズにこたえてまいります。
○たぞえ委員 この点で、財務局が都有地、とりわけ未利用都有地についての情報をきちんと公開していくことが必要です。
私が調べたところによると、大阪市は、市の公有財産情報が閲覧できる公有財産データベースというのを市のホームページで公開をしています。土地と建物、約五千二百件に関する情報を広く公表することで、市民の意見を反映した有効活用を進めているわけです。その内容は、行政区別と公営企業別に、資産の所在地と面積、所管部局などを明記したほか、区ごとの建物位置が確認できる地図も公開をしています。使えるよと、広く市民に公開する、こういう姿勢をとっているわけです。
都有地は、都民の大事な財産です。この点で、財務局が都有地、とりわけ未利用都有地、すなわち、どこにどういう土地があって、実態はどうなっていて、制約条件はどうなっているのか、そういう情報を、例えば施設の名称、所在地、土地の実測面積等、建物一棟ごとの延べ床面積、所管局などの一覧とともに、これを地図上で落として場所がわかるように公表する、このような詳細な都有地の利活用を促す情報を都民に提供することが大事だと思いますが、どうでしょうか。
○奥田財産運用部長 都民の貴重な財産についての情報を都民にわかりやすく提供していくことは大切なことだというふうに認識しております。
現在、都におきましては、ホームページ上で都有地に係る情報を公開しておりまして、内容といたしましては、それぞれ個別の土地、建物についての施設名称、所管部署、所在地、土地の実測面積、建物延べ床面積などを記載し、必要な土地を検索できるようにしております。
また、問い合わせ、連絡先を明記してございまして、個別のニーズについての問い合わせも随時受け付けてございまして、広く都民の方々との情報交換を行っているところでございます。
今後とも、都有地の状況につきましては、引き続き都民にきちんと情報提供できるよう取り組んでまいります。
○たぞえ委員 次に、未利用地の活用についてですが、都民からは、こんな都有地の活用について意見が寄せられています。例えば私立学校からは、校舎などの耐震化を促進する際、あわせて改修を行いたい。そのための大規模な仮移転先の用地が必要だが、用地の手当てがなく、既存の建物の部分改修に制約をされている。ようやく周辺の都有地のめどがついたら、今度は賃料を払わなければならない。賃料を払って、二年後には建てかえたら、仮校舎は使わないで壊さなきゃいけない。賃料と壊し代の財政支出を考えたら、とても耐震化に手が出ない。せめて耐震化のめどがつくまで無償で有効利用させてほしい。こういう要望も、先日、私立中高協会から寄せられました。これは、特別養護老人ホームなどの福祉施設、幼稚園、そして保育園など、震災時に備えての共通の課題になっています。
また、今、交通安全週間が、きょう三十日まで取り組まれていますが、テントを立てて町会の皆さんが詰めている。もっとテントを張りたいが場所がない。町会の一斉掃除での一時資源ごみの保管場所を確保したい。保育園や学童クラブの散歩や課外活動で、遊び場として活用させたい。ボランティアが集まってのまちのバザー、子どもたちのスポーツ活動、高齢者のゲートボール、元気出せ商店街活動などの一環として東北被災地の野菜などの生産物の販売場所など、一定期間を定めた多様な都民の取り組みへの都有地の活用について切実な声が寄せられています。普通財産に位置づけられた土地をどう利活用するか、これは、待ちの姿勢ではなく、また、後は売却するというこれまでのやり方を改善する必要があるんじゃないでしょうか。
そこで、都民の施策に活用していくために、財務局が各局の未利用地に関する情報を提供する取り組みを強め、都民の要望を受けとめながら都有地の活用を進めるべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○奥田財産運用部長 都民要望の施策への適切な反映は、都政運営上、もちろん重要なことと認識しておりまして、そのため都有地につきましては、都における喫緊の課題解決のために全庁的な視点に立って有効活用を図っていくとともに、行政目的での活用までに時間のある場合には、一時的あるいは一定期間を区切った形での貸し付けによる暫定利用によりまして、財産価値を最大限発揮できるよう取り組んでいるところでございます。
これまでも、各局と連携し、福祉インフラの整備や私立学校の耐震化における取り組み支援を実施する一方、暫定活用策といたしましても、都内駐車場確保の観点から自動車、二輪駐車場の設置、また、環境に配慮した住宅展示場の設置や、緑化条件つきの事業用定期借地権での貸し付けといったことにも取り組んでいるところでございます。
さらに、都内部での活用の紹介や、将来的な行政需要の精査の結果、都として将来的に活用見込みのない財産につきましては、都民により身近な自治体でございます区市町村に活用の紹介を行いまして、地域住民のニーズにこたえる形をとっているところでもございます。
今後とも、都民ニーズ等を十分に反映し、各局と密接な連携のもと、各局の行政施策にこたえていくとともに、可能な暫定活用も進めるなど、一層の利活用に向け取り組んでまいります。
○たぞえ委員 ぜひ一層の利活用に向けて取り組んでいただきたいと思います。
私も、地元の方々に、近所に都有地はあるんですか、この都営団地の端っこの三角の場所はずっと使っていないけれども、どうなっているんですかと、こういうことをよく聞かれます。やはりそういうときに、この土地は住民の皆さんに大いに活用していただくというようにお答えするのですが、まずもって、そういう情報がなかなか都民には伝わらない、これが実情です。
必要な情報を提供しているということでありますが、大阪市のように、この地域のこの場所、こういう形の土地が今、一時的に可能だと、そういう情報を提供することが、より一層都民が都政に参加していく身近な入り口になるというふうに思います。ぜひそういう点では、情報を、提供する内容を、より深く大きく検討いただいて、先ほど申し上げたような都民のいろいろなニーズにこたえられるような、そういう都有地活用への努力をしていただきたいというふうに思います。
以上です。
○斉藤(や)委員 私の方からは、年次財務報告書の中身、特に財務諸表を読むというコーナーについて活用させていただきまして、質問をしたいと思います。
私も、この年次報告書、これ、大変ありがたいものでございまして、非常に大きな東京都の財政運営でございますけども、コンパクトに非常に丁寧にわかりやすくまとめられているもので、大変重宝しております。
特にこの二一ページでございますが、財務諸表を読むというコーナーにつきましては、都民の皆様にも説明責任を果たすという意味合いでこのような形で表現されているのだと思いますが、大変有意義でありまして、重要なことと思っております。
今回、このコーナーでは、財政環境が大きく変動する中における財政の対応力というのが重要なキーワードになっていると思います。この対応力の源泉といたしましてクローズアップされておりますのは、ほかの委員からもお話がありましたが、都債と基金でございます。本日は、この二点について簡単に質問させていただきたいと思います。
初めに、都債について伺いたいと思います。
都債でございますけれども、都民の生活環境の向上や魅力ある都市づくりのために、その資金調達の方法でございまして、社会資本整備の財源として、世代間の公平、負担の均衡を図る、そういう機能がこの公債、都債にはございます。
一方で、これを多用いたしますと、元金償還や利払いが財政を圧迫いたしまして、財政の硬直化ということが起こります。都民サービスへの影響も懸念されるようになるわけでございます。借金に依存し過ぎる財政運営の危険性は、国の状況を見れば明らかでございまして、適切な都債の活用が求められるところでございます。
都債の活用状況をはかる指標の一つといたしましては、歳入総額に占める起債収入の割合を示す起債依存度がございます。年次財務報告書の二三ページにわかりやすい棒グラフが出ておりますけども、都債発行の推移を見ますと、キャッシュ・フロー計算書をもとに、平成十八年度以降の起債依存度が記載をされておりますが、二十年度に四・三%であった起債依存度が、二十一年度には七・二%に大幅に増加をしております。一方、翌二十二年度には五・七%に減少しております。
そこでまず、平成二十年度から二十二年度の三カ年の起債依存度の推移につきましてどのように分析しているか、お伺いをしたいと思います。
○武市主計部長 まず、平成二十年度でございますけれども、財政再建期以降、都債の起債の発行抑制を続けておりまして、それを二十年度も続けてございました。その上で、都税収入も五兆円と好調でございましたので、起債依存度は四・三%ということで、比較的低い水準であったというふうに考えております。
次いで、二十一年度でございますが、こちらは、急激な景気悪化の影響などによりまして都税収入が大幅に落ち込むなど、非常に厳しい財政環境の中で、施策に必要な財源をいかに確保するかというのが大きな課題でございました。そうした中にありまして、これまで財政再建に取り組んできた結果、都債の発行余力、先生がおっしゃっていただきました財政の対応力というものを十分に備えていたことから、歳出の精査というものを行った上で、都債につきましては積極的に活用をいたしました。その結果、起債依存度につきましては七・二%と、前年に比べて大きく上昇したところでございます。
また、平成二十二年度でございますが、こちらは、引き続き都税収入が減少する中にありましたが、歳出の見直しというのも徹底したことなどによりまして、起債依存度は五・七%と、適切な発行水準を保つことができたと考えております。
○斉藤(や)委員 税収が非常に大きく落ち込む中においても、都債を適切に活用することで、先ほど上野理事からもお話がありましたけれども、必要な財源を確保したということ。それでも都債の残高は毎年減少しているわけでございまして、都が計画的な財政運営を行っていることが、ここからもわかるわけでございます。
こうした指標を分析するときには、他の団体と比較することも有効と考えます。毎年の当初予算の説明資料では、国や地方全体との比較がなされておりますけれども、決算ベースの比較を余り目にすることはございませんので、そこで、起債依存度につきまして、決算の資料に基づきまして、国や他の団体との比較状況はどんなことになっているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○武市主計部長 他団体との比較でございますが、まず国の起債依存度、こちらは、東京都と比べると本当に一けた違うという状況でございまして、平成二十二年度決算では四二・一%でございます。
東京都以外の地方団体につきましては、こちらはまだ二十二年度の状況が出そろっておりませんで、直近の二十一年度の決算状況で申し上げますと、東京都を除く道府県の合計は、単純平均で一六・四%でございます。個別の団体で見ましても、東京都以外で一番低いのは一一%、そこから二三%の中に入ってございます。
東京都は、国、他の道府県と比べまして、唯一、一けた台でございまして、そうした団体よりも極めて低い水準にあると考えております。
○斉藤(や)委員 わかりました。予算ベースと同様に、国や他の団体よりも低い水準という数字上のご説明でございまして、都財政の健全性が、こうした数値にもあらわれていることがわかりました。
石原都政四期目ということでございますが、都政の歴代の知事、さかのぼると美濃部知事、鈴木知事、青島知事と、さまざまな都政があったわけでございますが、この石原都政は、先ほど、新しい躍動する公会計制度の導入によって都の財政をより強固に、そしてミクロ、マクロと、大変すばらしい状況になっているという評価があるわけでございますが、石原都政における起債依存度、これは今までの歴代の都政と比べてどのような特徴があるかを伺いたいと思います。
○武市主計部長 歴代知事の比較でございますが、それぞれの在任期間中におけます普通会計決算での起債依存度の平均値、単純平均値をそれぞれお示しいたしますと、美濃部都政では一〇・一%、鈴木都政では七・五%、青島都政では一〇・八%となっております。
石原都政におきまして、平成十二年度から二十二年度までの起債依存度の平均値を申し上げますと、こちらは五・五%でございまして、これまでの歴代三知事と比較しましても、低い水準にございます。近年、都債の発行抑制に努めてきた結果が示されていると考えております。
○斉藤(や)委員 過去歴代と比較いたしましても、また他の団体と比較いたしましても、起債依存度は低水準であって、財政再建に尽力し、その達成後も堅実な財政運営に徹してきた石原都政、これは我が東村政調会長の提案もございまして公会計制度の導入もございますけども、その着実な、堅実な財政運営というものがあらわれている、そういう数字であると認識しております。
一方で、冒頭に述べましたけれども、この起債には世代間の負担の均衡を図るという機能がございます。借金というものは、決してそれ自体が悪いものではございません。過度な依存は避けつつも、適切にそういった債権というか、その資金調達の手法を活用していくことが重要であると考えますが、これから本格化していく二十四年度の予算編成におきましても、大変景気も厳しい状況でございますが、税収も大幅な回復は見込めませんけれども、将来世代の受益と負担を踏まえまして、適切に都債を活用されるように要望しておきたいと思います。
次に、財政対応力のもう一つの一翼を担っている基金について伺いたいと思うのですが、都は、財政調整基金や社会資本等整備基金などを、財源として活用可能な基金として位置づけておりまして、これが財政運営上、非常に大きな役割を果たしているわけであります。
年次財務報告書を拝見いたしますと、十九年、二十年度の税収が好調な時期に基金を積極的に積み立て、税収が大きく減収となった二十一年、二十二年度には取り崩しをして財源として活用している、これが見てとれるわけでございます。こういった税収減というのは、ある面では、景気、世界経済の影響などもございまして、なかなか予測も難しい中で、このような基金を活用ができたということ自体、これは大変に大事なことであったと思います。税収の好調な時期において、税を単年度で使い切るのではなくて、将来の財政需要に備えてしっかりと積み立てを行ってきたことが大きな効果を発揮したといえるわけであると思います。
本年五月には、東日本大震災に対応するために、東京都として、東京緊急対策二〇一一、補正予算を策定いたしまして、第二回定例会で、緊急に一般会計から一千二百三十八億円規模の予算措置を講じたわけでございますけども、こういったことからも、ここでも都債、そして基金が財源として活用されております。財源の内訳を見ますと、基金から七百五億円、都債から四百十五億円というふうになっておりました。被災者支援や放射能対策など、必要な対応を迅速に行えたのも、これまで培ってきた、こういった財政対応力があればこそだというふうに高く評価するものでございます。
また、こうした堅実な財政運営がしっかりと図られているがゆえに、非常時だけでなく、日常的な都民生活や経済活動、あるいは研究活動などに対しても、安定的な行政サービスの提供が可能となっているわけでございます。
例えば、先日、私は評議員として、財団法人の医学総合研究所の評議員の一人でございますけれども、その評議員の会合のときに、研究員の方に直接声を伺いました。都立の機関もあり、国立大学とかさまざまある中で、このような東京都が大きく関与している研究所での研究はどうですかと伺いましたら、とにかく研究者にとっては、国立も都立もない、地道な研究活動、基礎的な研究が持続できるという環境自体が大変ありがたいということで、そういった持続可能な研究という点では、強固な財政基盤を持つ都ならではの、そうした研究運営に大変に感謝しているという、うれしい評価がそこにあったわけでございます。
また昨日、一般質問をさせていただきましたけれども、都立の動物園、植物園、水族館、菅理事も質問されておりましたけども、東京都立のこういった動物園も、レクリエーション的な表の面だけでなくて、種の保存ですとか調査研究、教育啓発さまざまあるわけでございますが、こういったところは、都立ならではの高度な繁殖技術、これも大変コストもかかる中で、安定した東京都の財政がそういったものを可能ならしめているわけでございまして、この安定した強固な東京都の財政が、世界にもこういった形で貢献しているということがいえるのではないかと思っております。
しかしながら、今後の税収動向は極めて不透明でございます。このまま基金の取り崩しが続けば、蓄えているといえども、それにも限界があるわけでございまして、できる限り基金を大事に使っていくことが大事だと思います。
ここで確認ですけれども、平成二十二年度は、活用可能な基金はどのくらい取り崩したのかをお伺いしておきたいと思います。
○武市主計部長 平成二十二年度は、これまでも何度か申し上げてまいりましたが、税収減という非常に厳しい財政環境に直面する中にありまして、都債とともに基金も活用せざるを得ない、そういう状況となっておりました。
ただ、しかしながら、予算の編成段階はもちろんのこと、その執行の段階におきましても、事業評価の取り組みでございますとか、その他の経費節減努力、不用額の精査、そういったことを徹底いたしまして、基金の取り崩し額を極力縮減するように努めまして、その結果、最終的には千七百十七億円の取り崩しを行ったところでございます。
○斉藤(や)委員 一千七百十七億円ということでございましたが、さまざまな努力によって極力取り崩しを少なくしたとしても、一千七百億円の取り崩しが発生したということでありますが、この数字、先ほどの法人事業税の暫定措置の影響額の話、一千八百億円という話が出ていましたけれども、都の貴重なこの基金、二十二年度の取り崩しの額とほぼ同水準。一千七百億円の取り崩しをしましたけども、先ほどの、暫定措置で非常に不当な扱いを受けている金額の規模が一千八百億円でございます。ほぼ同水準でありますが、今後、大幅な都税収入の好転が期待できない中におきまして、やはりこの暫定措置、都財政に与える影響の大きさは、はかり知れないわけでございます。
事業評価など、むだを省く努力をこつこつと積み上げている一方で、このような多額の財源を一方的に国の法改正によって奪われていることに大変憤りを感じておるわけでございますが、これまでの計画的な財政運営の努力や、それによって培われてきた財政対応力を不合理に損なう措置がこれ以上長く続くことは、断固として認められません。
将来にわたって財政の健全性を維持するためにも、この暫定措置、何度もこの委員会で各委員からいわれてきましたけども、この大事な秋でございます。暫定措置、何としても即刻撤廃すべきであると私自身思うわけでございますが、そこで、この理不尽な暫定措置の撤廃に向けた今後の取り組み、改めて局長からお話を伺いたいと思います。
○安藤財務局長 この措置の理不尽さというのは、法人事業税の性格からいって不合理であるということに尽きるわけですけれども、これを国が他の地域に再配分するということは、もはや憲法の定める地方自治を侵害するものであるというふうにいわざるを得ないものでございます。
都の税収は、この三年間連続で減、一兆円以上の減となるなど大変厳しい状況にございますけれども、この暫定措置の影響は、やはりボディーブローのように効いてきているなというふうに思っております。
私どもは、国に対しまして一貫してこの措置の即時撤廃を訴えてまいりましたけれども、これまでのところ、残念ながら、国においてはその議論が全くといっていいほど進んでいないということでございまして、極めて遺憾に思っております。
法律では、この不合理な措置というのは、税制の抜本改革が行われる平成二十三年度末までの暫定のものと位置づけておりますけれども、これが万一、継続するということになれば、これは明らかに約束違反であります。
国におきます税制改正は、当面、十月は復興財源に関するものが議論されていくことになると思いますけれども、今後、来年度予算編成に合わせて、年末に向けまして議論が山場を迎えるところの平成二十四年度税制改正におきましては、この暫定措置が約束どおり確実に撤廃されるように、都として、あらゆる機会をとらえて国に一層強く働きかけてまいりたいと思います。
引き続き、都議会のご協力、とりわけ財政委員の先生方のご支援をぜひともお願いをする次第であります。
○斉藤(や)委員 今のご決意、重く受けとめさせていただきました。
そもそも地方自治の課税自主権、そういったお話もこの財政委員会でもさせていただきましたけれども、侵害の疑いがある。租税法律主義という原則がございますけども、国税は国の法律、これは国民に対して、その法律の根拠によって課税をするわけでございますが、地方税の考え方、枠組みは国の方によってつくられて、そして条例をつくっていく、こういう仕組みがございますけども、地方税としての都民税、これは都民のために説明がつく、そういった仕組みでなければならないのは当然でございまして、今回のこういった法人事業税の暫定措置、国の法律によって、都民が本当に許しがたい状況に置かれているといっても過言ではないと思います。簡単に裁判を起こして違憲性の争いをしているようなゆとりはないわけでございまして、この秋、しっかりと取り組んでいきたいと思っているわけでございます。
知事は、防災隣組の話をこの震災に関してされておりました。東京都と他の自治体を考えますと、まさしく隣組。東京都が被災をしたときには、当然、他の道府県からご協力をいただかなければいけません。今回の震災に当たっては、本当に早い段階から、もう発災当初から、東京都は被災県に対して、東京都民の理解を得て、そういった応援をしてきている。まさしく隣組の精神でございます。国の支援が公助だとすれば、都の支援は共助、こういった都道府県としての判断の中で行っていく形、これ、大変わかりやすいわけでございます。
まして首都東京そのものが災害に遭った場合にどうするのか。これからは高度な、防災力の高度化ということで、多額の財源が東京都としても必要になってくるわけでございます。当然、木造密集地域の解消の予算もございます。そういったことも含めまして、高度防災都市を実現するためにも、例えば社会資本等整備基金というのも非常に重要なわけでございます。災害はいつやってくるかわからない。そういったときに活用ができる財源を東京都みずからが蓄えていくということも、都民を守る意味でとても重要な施策であると考えるわけでございます。
私は、今般の政府・民主党、税制改正の動き、大変注視しておりますけども、全力でこの暫定措置を粉砕していきたい。決意を述べ、私の質問を終わります。
○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十三分散会
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