財政委員会速記録第八号

平成二十三年六月二十八日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高木 けい君
副委員長たぞえ民夫君
副委員長吉田康一郎君
理事菅  東一君
理事中谷 祐二君
理事上野 和彦君
福士 敬子君
くりした善行君
斉藤やすひろ君
鈴木 隆道君
田島 和明君
大西さとる君
斉藤あつし君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長安藤 立美君
経理部長藤原 正久君
契約調整担当部長奥田 信之君
主計部長長谷川 明君
調整担当部長関  雅広君
財産運用部長松本 泰之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長末菅 辰雄君
技術管理担当部長室木 眞則君
庁舎運営担当部長藤森 教悦君
主税局局長荒川  満君
総務部長目黒 克昭君
税制部長田倉 英明君
税制調査担当部長山内 和久君
調整担当部長須藤 充男君
課税部長木村 芳生君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長宗田 友子君
特別滞納整理担当部長阿南 威彦君
会計管理局局長新田 洋平君
管理部長安藤 弘志君
警察・消防出納部長丸山和喜夫君
会計制度担当部長佐藤  敦君

本日の会議に付した事件
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、歳出-財務局所管分、都債
・第百二十号議案 警視庁航空隊江東飛行センター(二十三)改築工事請負契約
・第百二十一号議案 東京国際展示場(二十三)電気設備改修工事請負契約
・第百二十二号議案 都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その一請負契約
・第百二十三号議案 都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その二請負契約
 主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十六号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・東京都都税条例の一部を改正する条例について
 会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成二十二年度資金管理実績(年間)について
・平成二十三年度資金管理計画の策定について

○高木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局及び主税局関係の付託議案の審査、並びに主税局及び会計管理局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、付託議案中、第百二十号議案及び第百二十一号議案の契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分、都債及び第百二十号議案から第百二十三号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤原経理部長 先日の委員会におきまして要求をいただきました資料について、ご説明申し上げます。
 今回要求がございました資料は一件でございます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、要求資料第1号、平成二十三年第二回都議会定例会財務局関係の補正予算に計上した事業の概要をごらんください。
 これは、本定例会に上程した財務局所管分の補正予算案のうち、都有施設における節電対策と都庁舎における安全確保対策における補正予算額とその事業の概要でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言願います。

○中谷委員 私からは、今回の補正の予算で計上されております都庁舎の防災の対応並びに節電行動経費などに関連して、まずは都庁舎のあり方について、そして補正予算全体の考え方についてお伺いしたいと思います。
 まず、今回の補正は、都庁舎の地震観測システムの拡充でありますとか、電源設備の改修工事等を前倒しで進めるなど、防災という観点から、都庁舎の機能のさらなる強化を図っていると思います。
 東日本大震災で、都市防災の面でも大きな教訓を残したと思いますけれども、特に新宿かいわいは帰宅困難者があふれ、知事もJRに対して抗議文を入れ、またJRの社長がおわびをするといった場面もありましたけれども、当時、都の防災計画では想定はしていなかった対応ではありますが、都庁舎を開放して約四千八百人の方の帰宅困難者の受け入れをしたと。いうなれば、都庁舎はまさに、東京都の防災センターを初め、都の防災拠点としての機能を有し、災害時には都民の生命、財産を守る、都市機能の維持を図る司令塔としての役割を果たさなくてはならないということであります。
 震災によって、都庁舎が破損することはもちろんですし、業務が滞ったり、また人的な被害があったりすることがないようにしなければなりません。今回新たに都が取り組みます長周期地震動対策も、平時はもちろん、いざというときに都庁舎が本当に都民の役に立つ、そういう庁舎であることが求められておりまして、また、今回の改築、改修後は、省エネ、節電のモデルケースとして注目されることにもなるわけであります。
 そこで伺いたいのですが、今回の大震災を踏まえて、都庁舎のあり方については、新たな機能と性格がさらに期待されているかと思いますけれども、この改築、改修工事が、震災前と震災後でその取り組みに変更があったのかどうか。そしてまた、今後の進め方についてお伺いしたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎は、今、理事のお話がございましたが、首都を支える行政の中枢でございまして、災害時における防災拠点として、長周期地震動による影響や電力供給不足などの緊急事態におきましても、確実に機能させることが求められております。
 現在計画している都庁舎の設備更新につきましては、その方針でお示しをしましたとおり、設備の老朽化などを改善する一方で、東京の防災拠点としての機能のさらなる向上や、CO2排出量の削減による低炭素都市の実現など、都政の重要課題にも取り組むこととしております。
 今回の大震災の教訓を踏まえまして、設備更新の計画の一部を見直し、建物の耐震化の促進、あるいは電力不足への対応として設備機器等の一層の省エネ化の促進に加えまして、危機管理の視点から、停電時における電力確保の強化などに取り組むことといたしました。
 具体的には、長周期地震動対策につきましては、設備更新工事に合わせまして対策工事を行うよう、本年度、基本設計に取り組むこととしております。
 また、停電時の電力確保をより確実なものとするために、第一庁舎に引き続きまして、第二庁舎の非常用発電機につきましても、発電能力の増強や発電時間の拡張などを図ることといたしまして、現在、実施設計に向けた準備を行っているところでございます。
 都庁舎の設備更新は長期にわたる取り組みでございます。その間の社会情勢の変化などにも柔軟に対応できるように、最新の技術革新の動向等にも注意をいたしまして、必要に応じて計画を見直すなど、適切に対応してまいります。

○中谷委員 取り組みはよくわかりました。
 引き続いて、都庁舎の長周期地震動対策についてでありますけれども、当初は都庁舎の改修費用として七百八十億円を予定しておりましたが、今回新たに四十億円の経費が追加で見込まれております。もともと改修費の財源は、一般財源を極力使わないで都庁舎の財産利活用の収入をもって充てるということでありました。
 ただ、今回、震災という、まさに突発的な、予期せぬ事が起き、財政出動があったわけでありまして、都財政をめぐる環境というのは一段と厳しくなってくると思うのですけれども、そのときに、さきの委員会でも質疑をいたしましたけれども、展望レストランの件、それから第二庁舎の一階のコンビニの件、これが、いわゆる使用許可から貸し付けへの移行も前向きに検討する、また、企業広告の件もあわせて取り組みをするというお話がございましたので、その点については簡潔にご報告だけいただきたいと思います。
 それから、都庁舎に限らず、都有財産全般の有効活用の促進と、その資産全般の広告事業の展開については、おおむね今年度中はどういう計画をもって取り組んでいるのか、ご報告をいただきたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 現在、コンビニ等の店舗を含みます庁舎全体の移転計画について取りまとめるとともに、貸付条件や事業者の選定方法等について検討を進めているところでございます。
 今後、移転計画が定まった段階で、既存の店舗に対しまして、貸し付けへの移行について十分に説明をし、理解と協力を得たいと考えております。
 また、広告掲示につきましては、展望室スペースに加えまして、専用エレベーター内にも掲示スペースを確保することといたしまして、現在、掲示希望者を募っているところでございます。
 なお、都有財産全般の有効活用や広告事業などの展開につきましては、財産運用部長から答弁をいたします。

○松本財産運用部長 ご質問の後段の、今年度中における都有財産全般の有効活用や広告事業などの展開についてでございますが、広告事業につきましては、現在、既に他の自治体の事例や民間企業の需要などを調査しており、それらを踏まえまして、都有施設に広告を掲載する場合の条件整理を行う予定でございます。
 また、都有財産全般ということでは、重点的に福祉インフラ整備を推進するために、順次都有地の所管がえを行うなど、各局と連携をし、有効活用を進めているところでございます。
 さらに今年度は、改めて、震災対策など都政が直面する行政課題に的確に対応していくため、財務局所管の未利用財産だけではなく、各局所管財産の中でも活用可能な部分については積極的に活用していくなど、これまでにも増して各局と密接な情報交換を行い、全庁的な視点から効果的な財産の利活用を進めてまいります。

○中谷委員 今、部長の方から、今年度は、企業に対するニーズの調査と、あと他の自治体がどういう導入事例を持っているかということについても詳細な分析をしているということでございました。やはり都庁舎内に限らず、そういう都有資産の広告媒体というのがどういうものが効果的なのか、また、実際どういう基準で料金を設定しているのかとか、あと法令上の問題をどうクリアしてきたというのは、他の自治体からもいろいろヒアリングをしながら、この部分においては、都はどちらかというとちょっと後発の部隊になっておりますので、ぜひとも効果ある広告事業を展開していただきたいと思います。
 この都庁舎については、特にモデルケースとしてしっかりと成功させることが、必ず次なる都有資産への広告事業の展開となると思いますので、継続的な取り組みを強く要望したいと思います。
 そして、次、補正予算の件ですが、今回千三百七十四億円という、災害対応としては今まででも最も規模の大きい補正予算となったと思いますが、さまざまな事業が出されております。特に緊急対策としての九十五事項、事業規模は三千七百十億円、この中に、本当に効果のある事業、そして、今回何となく便乗型で予算要望しているような事業が本当にないのかどうか、また、この千三百七十四億円という補正が都財政にどういう影響を与えるのかといった視点から、一つ一つの事業を本来しっかりと精査する必要があると思いますが、今回の補正予算に関する基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。

○長谷川主計部長 今回の補正予算は、東日本大震災を踏まえ、五月末に取りまとめた緊急対策の実施に必要な経費について、予算上の措置を講じたものでございます。
 今回の震災の及ぼしております広範な影響を踏まえまして、被災者、被災地支援、電力危機突破に向けた緊急対策、放射能の不安への対応、大震災の影響を受けた産業の再生、高度な防災力を備えた首都東京の実現という五つの柱で構成しておりまして、現に直面する危機への迅速な対応から、将来を見据えた本格対策への準備までについて、今、直ちに都がなすべきことを、この間、全庁を挙げて検討し、具体化した内容となっております。

○中谷委員 続いて、基金の件についてお伺いしたいと思います。
 平成二十年度には一兆五千七百億円ほど基金がありましたが、その後、景気後退によって取り崩しが進み、二十三年度当初では、九千六百億円程度にまで目減りをしていると認識しております。そして今回の補正で、額は七百五億円、財政調整基金と社会資本等整備基金を取り崩した形になっているかと思いますけれども、ここでこれだけ活用可能な基金を取り崩したことによる今後の都政運営に対する影響、影響ないと認識はしておりますけれども、そうはいっても九千億まで目減りしてきた現状を考えたときに、これをどうとらえていらっしゃるか、見解をお伺いいたします。

○長谷川主計部長 今回の補正予算では、国の一次補正予算に伴う国庫支出金を受け入れるとともに、都債を適切に活用するなどによりまして、結果として活用可能な基金の取り崩し額は七百五億円となっております。
 影響ということでございますが、取り崩し後の今年度末における基金残高見込みは、なお約九千億円となっておりまして、財政の健全性は十分に確保できているというふうに考えております。

○中谷委員 九千億のうち、四千億程度がたしかオリンピックの基金だと思いましたけれども、やはり今後、都税収入がこの震災の影響で全くもって予断を許さない状況を考えると、基金の取り扱いについては、特に慎重に対応して取り組んでいく必要があると思いました。
 続いて、今回のこの補正で、財源としては、基金だけではなく、都債を四百億円程度発行しております。都債というのは、もちろん長期の借入金でありますけれども、そのために、都債を発行することによって将来にわたって都財政における負担が続いていくことに十分考慮する必要があると思います。
 今回の補正予算に当たって、都債の発行についてはどういう考えがあって発行されたのか。また、発行余力に対しての影響がないのかどうか。
 また、都債というのは、三年ものとか五年もの、七年、十年といった、その年数が幾つか種類があるんだと思いますけれども、いわゆる償還時期が集中しないように何かしら工夫をされていらっしゃるんだと思いますけれども、その対応を含めてお伺いいたします。

○長谷川主計部長 今回の補正予算において、必要な財源を確保するという観点から、お話のとおり、都債を四百十五億円計上しております。起債の対象につきましては、通常債のルールの範囲内で幅広く洗い出しをいたしまして、将来の財政負担にも考慮しながら、都債の最大限の活用を図っております。
 その上で今後の発行余力ということでございますけれども、都は、石原知事が最初に予算を編成いたしました平成十二年度以降、都債発行を抑制いたしまして、過去の大量発行期の都債償還を進めてまいりました。都債発行額を石原知事就任の前後で比較いたしますと、平成四年度から十一年度までは年平均の発行額が七千六百億円であるのに対しまして、十二年度から二十一年度までの年平均発行額が三千二百億円と、四割の水準にまで抑制されております。また、元金償還を確実に行うことによりまして、都債残高を一兆円以上減らして、将来に向けての発行余力を確保してきております。
 今回の補正予算を反映した後の起債依存度は、当初予算の七・三%から七・九%に、やや増ということになりますけれども、これは国の起債依存度が四七・九%、地方財政全体の起債依存度が一三・九%であるということと比較いたしましても、引き続き極めて低い水準でありまして、発行余力には影響はないと考えております。都債の面からも、都財政の健全性は十分維持されているというふうに考えております。
 また、償還時期が集中しない方策についてのお尋ねもございましたけれども、中心になります十年債のほかに、例えば七年債を発行するというようなことをいたしまして、平成二十八年度から三十年度までにございます償還の谷を埋めるということを行うなど、都債の発行年限を多様化いたしまして、中期債から超長期債までバランスのとれた起債を行うことによりまして、都債発行の平準化に努めているところでございます。

○中谷委員 都債の面からも都財政の健全性は大丈夫だというお話を承りました。
 それで、今回、被災者の受け入れに要する経費の負担と財政措置についてということでちょっと質問したいと思います。
 災害救助法による災害救助費の手続の流れというのは、被災県、例えば福島県でもいいでしょう、被災県の要請を受けて、受け入れ団体である東京都が支払った災害救助に要する費用は、受け入れ都道府県が被災県に求償し、被災県が支払うことになると。つまり、東京都が福島県にこれぐらいかかりましたという求償をして、初めて被災県が支払うと。被災県はもちろん国からいただくわけでありますけれども、この国庫の負担の割合と求償の範囲ですね、受け入れの部分と派遣の日数などについて、かなり細かい取り決めがあるのを資料を見せていただきましたけれども、もともと都が負担すべきものかどうかという観点から、今回の震災に伴うさまざまな事業に対する国と都の費用負担について伺いたいことと、それから、国が負担すべき経費はどのように反映されているのか。
 今回の補正で、現時点では都が支出をしておりますけれども、恐らくまだ求償していないはずなんですね。本来の国の負担分を、つまり後日、都が求償をしたときに被災県から支払われる経費はどれぐらいを想定しているのか。もし現時点で把握をされていらっしゃるのであれば、そこをお伺いしたいと思います。

○長谷川主計部長 被災県からの要請によります避難所の設置費用でありますとか職員派遣に伴う事務費など、都の行う救助に要する一定の経費につきましては、お話がございましたとおり、災害救助法等の規定によりまして、基本的に国が負担することとなっております。
 今回の震災におきましては、その被害の甚大さにかんがみまして、国は災害救助法を弾力的に運用するという方針を示してはおりますけれども、現時点では費用負担の対象となる経費や期間についての詳細が明らかとなってございません。
 そういう意味では、どれぐらいというようなご質問もございましたけれども、今回の補正予算では災害救助法等に係る国の負担については歳入として計上しておりませんが、国への請求については、こういったような事情を勘案いたしまして、今後適切に対応してまいります。

○中谷委員 要は、被災者に対するさまざまな救援の活動というのはまだまだ続くわけでありますけれども、財政当局としても、しかるべき時期にしっかりと求償していくということを認識いたしました。
 続いて、特別交付税について伺いたいと思いますが、これはいうなれば、災害などのときに、自治体が予期しない支出に対して交付するものであります。地方交付税総額の六%という定めがあると思いますけれども、今回は震災の規模が甚大でありましたので、その六%という枠を超えて、恐らく特例的に増額されることと国は判断するんだと思いますが、実際、この特別交付税について、都はどの程度の交付を受けているのか。
 また、もし受けていないとしたら、なぜ特別交付税の交付がないのか、その点についてお伺いいたします。

○長谷川主計部長 特別交付税は、災害など普通交付税の算定では捕捉できない特別な財政需要に対して交付されるというものでございます。災害などに係る財政需要につきましては、市町村の場合は、普通交付税算定上の財源超過額に関係なく、所要額がそのまま交付されるという仕組みになっているのに対しまして、都道府県の場合には、所要額から財源超過額を差し引いた後の額が交付されるという仕組みとなっております。
 平成二十二年度を例にとってみますと、東京都における普通交付税算定上の財源超過額は約三千八百億円となっておりまして、それを上回る特別な財政需要がない限り、東京都に特別交付税が交付されることはございません。
 都が積極的な被災地支援を行いながらも、都道府県で唯一、災害に係る特別交付税の交付を受けることができないということになっているわけでございますが、これは、こうした算定上の仕組みによるものでございます。

○中谷委員 都は、特別交付税の交付を受けることができないという仕組み上の問題だというご答弁でありました。国においては、今後さらに震災に対応するために、恐らく数次にわたって補正予算というものが編成されると思うんですけれども、そうしたときに、いわゆる特別交付税の交付の仕組み自体が、本来は都に支払われるべきものがその仕組みによって払われないということであれば、きちんと措置されるように、これは都議会民主党としても、地方の代表として国に対して積極的に求めていきたいというふうに思っております。
 そして最後に、このような非常に歳出が増大局面のこの折におきまして、もちろん事務事業の見直しを初め、徹底的なむだを排するということは、引き続き努力をしていると思いますけれども、東京の財政力が、やはりこれからもしっかりと堅持をされていくために、今後の財政運営に対する局長の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○安藤財務局長 このたびの大震災は、都政を取り巻くさまざまな分野に根本的な変化をもたらしたものであると思います。
 今般、都としては補正予算を編成いたしましたけれども、これへの対応というのは、二十三年度にとどまりませず、来年度以降も含めた相当息の長い取り組みになるだろうと思っております。
 他方、都財政はもともと景気変動の影響を受けやすいという構造になっておりますが、さらに今回の震災がどういった影響を及ぼすかについては、例えば下期には成長が回復するのではないかという意見もございますが、他方、構造的な変化の進行ということも、巷間いわれておりまして、十分に注視をしていく必要があろうかと思っております。
 こうした中ではございますけれども、都政の使命をしっかりと果たしていくためには、今お話がございましたけれども、財政運営といたしましては、これまで進めてきました堅実な財政運営、財務局はこれしかいわないのかという形になるかもしれませんけれども、やはり堅実な財政運営というのは都政を支えるということは確かでございますので、これを原点にしていくことが重要かなと思っております。
 そのためにも、事業評価などを駆使しまして施策の効率性を高めて効果のある仕事をしていきたいなと思っていますが、やはり基金などの財政対応力を確保する、あるいは、都債についてお話がございましたけれども、都債の計画的な活用などなど、経済社会の大きな変動の中にあっても、中長期的な視点で施策を支えるという財政基盤を維持していくことが非常に大切かなと思います。
 先ほど先生から、民主党としても、東京に対する理不尽な仕組みについては物を申していくという力強いお言葉をいただきましたが、議会の先生方とともに、現在ある課題に都として立ち向かえればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木委員 それでは、私から質問をさせていただきます。
 東日本大震災は、戦後最大の国難というべき甚大な被害をこの国にもたらしました。このような危機的状況下にあっては、国が本来リーダーシップをとり、率先して復興への道筋を示すことこそが本来の姿でありますが、震災から三カ月以上経過した現在も、その道筋をはっきりと示せないでいるのが現状であるというふうに思います。
 こうした国の対応のおくれをよそに、都は、被災地、被災者への緊急支援を初め、震災により影響を受ける都民、中小企業の不安に対しても、手をこまねくことなく、果断に対応されてきました。迅速かつ的確な対応は高く評価できるというものであります。
 現状を見ますと、実は、市町村に対して余りにも国が口を出し過ぎている。それも公平公正という言葉をかりていっているがために、実際の現場の市町村が一番大事にしているきずなも切ったり、そこで本当に互いに協力し合ったり、思いやったりしているようなものが、現実として、その生活の中で生かされていないというような現状があります。
 その辺は私も、かなりの親戚が被災をしていて、現場からいろいろなことを聞いていて非常に残念に思いますが、東京都は、三カ所の事務所を県につくって現場の意見を吸い上げて、そのことを東京都としてできる範囲のことをやっていることは僕は見事だと思いますし、でき得れば、県またはほかの道府県とも連携をとって、宮城それから岩手、福島の県の方にも現場の意見をもっと伝えてもらいたいというような要望を持っていますので、その辺はひとつ東京都でも考えていただければと思います。
 さて、今定例会は、緊急対策に関連し、直ちに必要となる経費の補正予算が提案をされているわけですが、過去には阪神・淡路大震災や三宅島噴火の際にも、都は補正予算を編成されたと記憶しております。
 そこでまず、第一番目にお聞きをいたしますが、過去に大災害が発生した折の都における補正予算の編成状況をお伺いいたします。

○長谷川主計部長 過去に大規模な災害発生に関連して編成いたしました補正予算としては、まず、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災に伴うものといたしまして、国の補正などを受け、平成七年度に三度にわたる補正予算を編成しております。この年の六月には、首都高速道路公団の実施する橋脚の補強工事に対する出資金など三百二十二億、九月には、警視庁、東京消防庁の救助資機材の整備など三十一億、十二月には、首都高速道路公団への追加出資など四十九億、三回の総額で計四百二億円の補正予算を編成しております。
 また、平成十二年度の三宅島の火山活動に関連いたしまして、この年の十二月に、河川災害復旧など三百三十八億円、最終補正において救援物資の購入など二億円、総額で計三百四十億円の補正予算を編成しております。

○鈴木委員 特に今、答弁があった三宅島に関しては、あれ、全島避難があって、補正だけではなくして、その後、本格予算の中でも対応をずっとしていったということでしょう。そういう経験というのは、今回の東京都の対応にも非常に生かされていて、むしろそういうことが、さっきもいった都道府県なり、そういうところで、また東京都の経験としてどんどん皆さんも話していっていただいて、お互いが本当に、知事がいうようにスクラムを組んでこういう災害に対して--補正予算も、心のこもったそういう補正予算にするかどうかというのは、実はその辺にあるような気がしますので、ぜひそういうことも心にとめておいてもらえれば大変ありがたいと思います。
 今回の補正予算が全会計で一千三百七十四億円ですから、過去の補正規模と比しても、今回の大震災が、我が国、そして首都東京に対していかに大きな影響を及ぼし、都がそれに力強く対応しているかがよくわかります。
 都は、従来から当初予算を年間総合予算として編成しているわけですが、過去においても、災害など緊急事態に対しては、迅速に補正予算などの対応がとられてきたわけであります。また近年は、社会情勢の大きな変化に対応し、補正予算が編成される機会がふえてきているというふうに私は認識をしております。
 そこで、近年の六月補正予算の編成状況について、あえて伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 今、委員からお話がありましたとおり、東京都は当初予算を従来から年間総合予算として編成しているということもございまして、過去十年間で六月補正予算を編成いたしましたのは、平成二十一年度と二十二年度の二度だけでございます。
 補正予算の内容を申し上げますと、平成二十一年度は、国の経済危機対策への対応を初めとした中小企業対策や雇用対策など、当初予算編成後に生じた緊急課題への対応として一千三百四十九億円の補正を行いました。
 また、平成二十二年度には、東京マラソン運営主体の法人化やジャイアントパンダの動物舎の整備などで十一億円の補正を行っております。
 今回の補正規模は、一般会計で一千二百三十八億円、全会計では一千三百七十四億円に上っておりまして、近年の六月補正予算としては最も大きな規模となっております。

○鈴木委員 過去の災害関連補正予算と比べても、また六月に編成した予算としても、今回の補正予算規模は、規模としてかなり大きなものであるばかりではなく、年度初めのこの時期に、国の補正予算などと関係なくこれだけの規模の補正予算が編成されたことは異例なことだということがよくわかります。
 したがって、年度当初の補正予算ということもあり、財源の手当てにも苦心されたことと思います。先日の委員会での主計部長の説明では、今回の補正予算の財源は、基金や都債を中心に手当てをされたということでございました。そうした意味では、これまで養ってきた財政対応力を適切に活用しての予算編成であったといえるというふうに思います。
 財政対応力は、非常時において責任ある対応を可能にするものでありますが、まさしく今回のような事態において、その真価が発揮されたといえるでありましょう。まさに我々都議会自民党と知事が、この間、手を携えて取り組んできた財政再建と、それに続く堅実な財政運営のたまものであるといえるというふうに思います。
 さて、この財政対応力に関しては、さきの代表質問において、オリンピック基金を震災対策等に活用すべきであるという主張が見受けられましたので、この際、ここでオリンピック基金について確認をしておきたいと思います。
 改めてではありますが、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の設置目的の説明をお願いしたい。その上で、今回の緊急対策補正予算でこの基金を活用することが実際に可能であったのかどうか、明確なご答弁をいただきたいと思います。

○長谷川主計部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金についてでございますが、条例によりまして、オリンピック・パラリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てることを目的として設置されたものでございまして、具体的には、競技会場や選手村及びその周辺整備、また、オリンピックに合わせて必要となるインフラ整備などへの活用を想定しているものでございます。
 したがいまして、今回の東京緊急対策二〇一一の実施に必要な経費につきましては、この基金の設置目的に当たらないということになりますので、取り崩しは行っておりません。

○鈴木委員 ただいまの答弁にありましたように、基金の設置目的に照らせば、この基金が今回の緊急対策に活用できる財源とはなり得ないことは明らかであります。ほかのものであっても、特定目的基金であれば、その特定目的に使うのはむしろ当たり前であって、それを外すためには、それなりの手続と、それだけのしっかりした議論、そういうようなものを経て、コンセンサスがない限り、知事としてもやるべきではないのでしょう、恐らく。というようなことを思うわけでありますが、今後再び目指していくであろうオリンピックは、震災からの復興の象徴となるものであります。
 知事が、たいまつを消さずにともし続けることは、我が国の将来にとって大きな意義があると表明したとおり、現時点では、再度の挑戦に備えて基金を存続し、一定額を確保しておくことが重要であると私は考えます。
 その意味では、今回の補正予算において、オリンピック基金の残高を維持したことは至極当然の対応であり、私には十分理解できるものであります。都としてなすべき対策は、財政調整基金や都債などでしっかりと手当てをされており、オリンピック基金を今すぐに取り崩したり、ましてや廃止する必要性はどこにもありません。
 今の時点からオリンピック基金を使って、際限なくあれもこれもと主張ばかりしている人たちのいうことを聞いていたら、いざというときには責任ある対応をとることもできなくなるというふうに考えます。真に必要な施策を見きわめ、重点的に財源を振り向けていくことが、今まさに重要なときであるというふうに考えます。
 今回の補正予算が、都として緊急に対応すべき内容がしっかりと盛り込まれたものであることは、我が党の代表質問を通して明らかにしてまいりましたが、その中で財務局長が、大震災への対応は一年、二年で終わるものではなく、中長期にわたる取り組みとなると答弁をされているとおり、今後、大震災の影響が都内にどのように及んでくるのか、引き続き注意深く見ていく必要があると考えます。
 去る六月二十日には、政府が発表した月例経済報告においては、震災後初めて景気全体の基調判断が上方修正されましたが、同時に、雇用情勢の厳しさも指摘をされております。私は、国の対策のおくれが経済を一層疲弊させ、日本を支える人材、企業、技術が流出する、いや、もう既に流出していると考えた方がいいのかもしれませんが、このことを大変懸念しております。日本経済の育成は予断を許さない状況にあるというふうに認識しています。
 こうした中、震災の影響を受けている中小企業に対しては、制度融資の拡充、また原発事故に伴う風評被害対策、BCP策定支援、技術開発、製品開発プロジェクトの支援企業拡大など、まずは緊急対策に盛り込まれた施策を早期に実行に移していただきたいというふうに思います。
 各企業の実態に関しては、ここにいる議員諸君の前ですから、釈迦に説法かもしれませんが、私が今、自分で会社を経営してほかの企業といろいろ議論している中でも、厳しさは、今マスコミがいっているより、はるかに厳しいですよ。だから倒産件数もふえるでしょう。それぞれの企業が、本当に自分の身を切るような思いをして、この経営または今の時期を乗り切ろうとしています。その辺のことをやはりしっかりと受けとめて行政運営をしてもらいたいということは、あえて申し上げさせていただきたいというように思います。
 さらに、芸術文化、スポーツイベントの開催などによる自粛ムードの解消、外環や八ッ場ダムなど、経済波及効果が高く防災力向上に寄与する公共事業の推進等、革新的な技術を有するベンチャー企業の支援、総合特区制度も活用した外国企業の誘致など、東京の経済を活性させることが、ひいては日本全体の再生への近道となるというふうに思います。
 また、今回のような大規模な震災が首都東京で起これば、都の取り組みだけでは限界があることは明らかであります。先月開催された九都県市首脳会議においても、帰宅困難者対策や防災体制の強化について議論がなされており、秋の会議に向けて議論が深まることが期待されます。
 同時に、都においても、本年十一月に策定予定の防災対応指針に向けて、物資備蓄など、今回の震災で明らかになった課題に対し、首都圏の自治体における広域的な相互補完の観点から検討を行うこととしております。これら今後の状況変化や大震災の教訓、調査分析を踏まえたさらなる対応が必要になる場合に備え、時期を逸することなく、実効性の高い対策を講じられるよう、これまでの財政運営のスタンスを堅持していただきたいというように思います。
 また、やはり堅持するだけではなくして、知恵を働かせていくことが非常に大事なことだというふうに思います。さっきもいいましたけれども、企業の中で、今非常に大変な思いをしながら経営をしている中小企業があるわけで、私のところもそうですが、やはりそこが、それだけのものを真剣にとらえてやっているわけで、もう人件費も含めて厳しい思いをしているわけですよ。そういうことを本気で--僕がいわなくてもわかっておりますから、皆さん。わかっていますから、その気持ちを酌んでいただいたところでの財政運営のスタンスを特に堅持してもらいたいと思います。
 そのためには、今こそ法人事業税の不合理な暫定措置の即時撤廃により税収を回復させ、東京に活力を呼び戻す取り組みや、今後本格化していく東京の防災力の強化の取り組みに用いていくべきだと考えますが、昨今の国の税制改革の議論を見ていると、私は大変危惧を抱かざるを得ませんどころではなくして、怒りさえ覚えます。
 現在、消費税や所得税、特に相続税の見直しなどが検討されていますが、特に東京をねらい撃ちにしたような税制改正をしようとしているとしか、私には見えません。事消費税の引き上げに関しては、その前提となる法人事業税の暫定措置の撤廃については議論すらなされていません。先ほど民主党の中谷理事の方からも話がありましたが、やっぱり都議会から、都議会民主党の諸君が国会の方に、政権政党にきちっというべきことをいってもらう。そのときは、我々自由民主党も一緒に国に対して働きかけていく努力はしたいと思います。
 また、増税分の取り扱いについても、地方の声になかなか耳を傾けず、ようやくこのタイミングになって地方にも配分するというような文言が追加されたようであります。
 相続税の税率構造の見直しなど、いずれにしても、国はいかにしてか、みずからの財源不足を解消するという点しか眼中になく、国と地方の役割分担に基づく、根源的な、むしろ一番しなくてはいけない議論は、全くしようとはしていません。
 暫定措置は、その法律にも明記されているとおり、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの、まさに暫定措置だったわけでありまして、国が約束をほごにして暫定措置を撤廃することなく、消費税の増税分も一方的にすべて奪い取るような、いわばだまし討ちが許されるわけがあってはなりません。
 震災復興にせよ、税制のあり方にせよ、問題の本質に真摯に向き合うことなく、その場しのぎの対応に終始する国の無責任さには、あきれるばかりであります。都政を担う皆さんには、国のこのような状況に引きずられることなく、引き続き、震災からの復興を初め、東京から日本の再生を牽引するという気概を持って取り組んでいただきたいというように思います。
 最後に、震災の影響を受けている都民、中小企業の対策を初めとして、引き続き責任ある都政の展開を財政面から支えていく役割を担っている安藤局長の決意を伺って、質問を終えたいと思います。

○安藤財務局長 今回の震災に当たりましては、現地を訪問された先生方から、現地の極めて厳しい状況などを何度かお聞きする機会を得ました。しっかりと支援していかなければいけないなというふうに思った次第であります。
 ただいまは、震災によります中小企業の経営状況の厳しさというものを肉声をもって聞かされたというふうに思っておりますが、今、都政には、まさにそうした都民や中小企業の方々が直面する不安をできる限り払拭するとともに、あわせて、やはり東京を高度な防災力を持った都市にするということが、そして、これを財政面からしっかり支えるということが求められているのだなというふうに思っております。
 今回、取りまとめました緊急対策には、都として直ちにやるべきこと、さらに、将来の状況変化を見据えて今から着手しておいた方がよいと思うことについて、現時点において必要と思われることは可能な限り盛り込んだというふうに考えておりますので、まずは、この緊急対策をしっかりと実行することが重要であるというふうに思っております。
 あわせて、東京の役割ということになろうかと思いますが、被災地の本格復興への切れ目ない支援はもとより、今後のさらなる状況変化にも的確に対応することによりまして、東京がいち早く成長、進化の軌道に乗って発展を続けるための取り組みを重ねることが重要であるというふうに思っております。そのことは、知事がいうところの日本全体の活力を生むことにもつながるというふうに信じておるところでございます。
 こうした息の長い取り組みを支えていくため、今後とも、取り組みいただいておりますけれども、これまで培ってきました財政対応力を計画的に活用するなど、財政運営の堅実さを保っていきたいというふうに思っておりますが、加えて、やはり地方消費税の引き上げを含めました地方税財源の拡充、そして、その議論の前提となります、これは知事も本会議で強く申し上げたところでございますが、法人事業税の暫定措置の即時撤廃もまた不可欠であるというふうに思っております。
 委員お話の、この間の社会保障と税の一体改革などの動きに対しましては、知事コメントというものを発表いたしまして都の主張を広くアピールいたしましたが、あわせて、愛知県、大阪府と連携いたしまして、政府に対して申し入れを行ったりいたしておりまして、時期を逸することなく行動を起こしてきたつもりでございますが、この暫定措置の即時撤廃などにつきましては、やはりあらゆる機会をとらえて国に働きかけていかなければ道は開けないだろうというふうに思っておりますので、引き続き、都議会の皆様方のお力添えをお願いしたいというふうに思います。
 財政環境は、先行きを見通すということは相当困難な状況にあると思っておりますけれども、この震災を乗り越えて、東京から日本の再生を牽引するための取り組みをしっかりと支えるべく、気を引き締めて財政運営に当たっていきたいというふうに思っております。

○上野委員 東日本大震災の発生から三カ月以上が経過したわけでございますが、被災地では、今なお十万人の方が避難所暮らし、また、五月までに三万戸建設すると約束した仮設住宅の建設もおくれております。遅々として進まない災害破損物処理など、被災地の本格復興には、まだまだ多くの困難が横たわっている、これが現状であります。
 被災地支援には、現地のニーズを踏まえた対策を機動的に実施していくことが何より重要であります。こうした認識のもと、都議会公明党はこれまで、現地へ何回かに分けて視察団を派遣して被災状況というものを調査するとともに、被災者の方々の声を踏まえまして、さまざまな要望を石原知事に行ってきたところでございます。
 そうした中、都は発災直後から、この間、我が党の要望も踏まえながら、財務局を初めオール都庁総力を挙げて、被災者、被災地支援を実施してきております。このことを私は高く評価していきたい、このように思っているところでございます。
 都議会公明党の現地視察団の一員としまして、私も五月十九、二十、二十一と三日間、早稲田大学の伊東博士らと、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼、南三陸、女川、石巻、多賀城、名取、閖上等、こういった被災地を地盤工学の専門的な見地から調査してきたわけでございまして、今回の調査で、本当に津波の破壊力の強さというのを目の当たりにいたしましたし、また、津波が来る前に大規模な液状化が発生しているということ、これがよくわかりました。
 例えば、陸前高田港の世界に誇る防波堤、これが津波で破壊されたように報道されておりますけれども、実は、長い地震動によって、液状化でこの防波堤が沈下して不安定な構造のところに、あの破壊力を持った津波というのが襲ってきたと。そこでもろくも破壊されていった、こういったこともいわれておりますけれども、そのことがよく現場でわかりました。本当に液状化はすごい。
 そしてまた、津波の破壊力のすごさというのは、技術者の方だったらよくわかりますけれども、護岸というのがブロックで、そのつなぎ目のところが本来は弱い。ところが、その護岸のブロックが真ん中あたりから剪断破壊している。これは、要するにハンマーでたたいたような破壊をされているという、これを目の当たりにして、本当に津波の怖さというか強さ、破壊力、こういうことを実感したわけでございまして、そうした津波等で、地震で大変な被害を受けられたんだと。こうした現地の被災状況、これをテレビ報道で見るよりもはるかにすさまじい、想像を絶するものがあったわけでございます。
 そうした被災地の状況から見ても、私は、今後とも、東京だからこそできる支援を継続していくことが首都東京の責務であると考えるところでございます。
 さて、先日発表されました東京緊急対策二〇一一には、質、量とも、他の自治体を凌駕する被災地支援策が盛り込まれているわけでございますが、本日はその中から、現在提案されている補正予算案の財源ともなっております震災復興宝くじについて、幾つか質問をしていきたいと思います。
 まず初めに、過去に、震災復興のための宝くじとしてどのようなものが発売されたのか、このことをお伺いいたします。

○長谷川主計部長 復興宝くじは、過去二回、全国くじとして発売しております。
 第一回目は、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災の復興のために発売されまして、二百十六億円の売り上げで約百億円の収益金が被災地の復興事業に充てられております。
 第二回目は、平成十六年十月に発生した新潟県中越大震災の復興のために発売されておりまして、百億円の売り上げで約四十二億円の収益金が復興事業に充てられております。
 今回、都が発売を予定しております東日本大震災復興東京都宝くじは、過去二回の復興くじとは違いまして、全国ではなくて都内のみでの発売ということになりまして、一自治体の地域のみで震災復興宝くじを発売するというのは、全国で初めてということになります。

○上野委員 宝くじが、過去においても震災復興の財源として有効に活用されているということでございますが、今回都が発売を予定している震災復興宝くじは、全国で初めて、一自治体の地域のみで発売されるとのことでございますけれども、その内容についてお伺いいたします。

○長谷川主計部長 今回発行いたします震災復興東京都宝くじでございますが、東京都が、今回の東日本大震災で災害救助法が適用された宮城県を初めとする十一団体と共同して、都内で発売するというものでございます。
 本来、東京都が発売団体となる都域での宝くじに、被災地の自治体を発売団体として今回は加えまして、可能な限り収益金を被災自治体に還元することで被災地の復旧、復興を支援するものでございます。
 具体的には、もともと八月から九月にかけて発売を予定しておりました東京都宝くじ五回分の発売額十七億五千万円を二十五億円に増額して震災復興宝くじを発売いたしまして、当せん金や経費を除きました収益金十億五千万円のうちのほとんど、十億円を被災状況に応じて東京都以外の被災地に配分するという予定でございます。

○上野委員 国の補助金と異なりまして、使途の自由度も高い宝くじの収益金は、被災団体にとっては活用の幅が大きいということから、非常にありがたいことと思います。
 一方で、阪神・淡路や新潟県中越地震の際と同様、全国版の東日本大震災復興宝くじが発売されると聞いております。
 そこで、東京都版には全国版と比べてどのような特徴があるのか、これについてお伺いします。

○長谷川主計部長 今回、お話のとおり、全国くじとしても震災復興宝くじを発行するという予定でございますが、こちらの方は発売額三百億円で、七月三十日から八月九日まで発売される予定でございます。
 発売団体は、東京都版の復興宝くじと同じ被災自治体でございますけれども、同じく災害救助法上の被災団体ということにはなっておりますが、東京都は発売団体になることについては辞退しておりまして、その収益金は、東京都以外の被災団体で配分するということにしております。
 これに対しまして、東京都版の復興宝くじは、本来は都のための発売額、いわゆるそのマーケットを被災団体のために提供しているということが大きな特徴でございまして、全国で唯一、単独で宝くじを発売している東京都だからこそ、発売を企画して表明し、実施につなげることができたというものでございます。
 また、都と被災団体との共同発売という形をとることで、東京都が発売に必要な事務を全面的に担うということで、被災団体の事務負担なくして、復旧、復興作業に専念しながら発売ができるというメリットもございます。

○上野委員 ご答弁を聞いておりますと、本当にすばらしいことをやったなと、このように思います。
 今回のスキームは、被災団体が復旧、復興に追われる中、事務負担を都が肩がわりした上、多額の収益金を被災団体に配分する、こういう非常に被災地への配慮にあふれたものとなっているわけでございます。
 それでは、次に、今回のスキームで都が受け取る宝くじ収入が、補正予算のうちどのような事業に充当されているのか、お伺いいたします。

○長谷川主計部長 先ほど理事がお話しのとおり、宝くじの収益金は使途が特定されないということもございまして、そういう意味で、被災地の団体が受け取る分について非常に有効に活用できるという面があると思いますが、今お尋ねの、今回の復興宝くじの収益金のうち東京都が受け取る分、これにつきましても、全額を都が実施する被災地支援事業の財源に充当するという考えでおります。
 今回の補正予算では、具体的には、産業労働局におきまして、この復興宝くじの収入を財源といたしまして、被災地の観光振興のために都内旅行事業者が行います、岩手、宮城、福島の被災三県などを目的地とする被災地応援ツアーに対しまして、旅行代金の一部を助成するという事業に新たに取り組むこととしております。

○上野委員 これまで伺ってきたとおり、本年夏に発行する復興宝くじでは、都が事務負担を肩がわりして、十億円の収益金を被災地に配分することにとどまらず、都の受け取る収益金も被災地のために使うということであって、いってみれば収益金の全額が被災地支援に充てられると、こういうことでございます。
 その意味では、宝くじという夢を買うと同時に、被災地支援に協力したいという都民の思いにかなったものでありまして、大いに評価できるものでございます。
 一方で、近年は宝くじの売り上げが苦戦しているということを耳にいたします。被災地支援を確実に実施していくためにも、計画どおり宝くじを売り上げることが、これまでにも増して重要でございますので、私も必ず購入したい、このように思っているところでございます。周りにも、この宝くじをアピールしていきたいと思いますので、都としても、局長を先頭に、ぜひ購入していただいて、しっかりと販売促進に取り組んで、多くの収益を被災地に還元することを期待しているわけでございます。
 私は、以前この委員会で、宝くじをオリンピック招致や都の施策のPRに活用することを提案してきました。今回の復興宝くじは、首都東京というマーケットを活用した、東京だからこそできる被災地支援であり、今後も、宝くじというツールの有効な活用に、ぜひとも皆さんの知恵を絞っていただきたいと思います。
 国政が混迷をきわめる中におきまして、被災者、被災地の復興は待ったなしであります。被災地とさまざまな面でつながっている東京として、できることに全力で取り組んでいくことが重要であります。
 そこで、最後に、今後の被災者、被災地支援に向けた局長の決意を伺いまして、私の質問を終わります。

○安藤財務局長 ただいまは、宝くじに対しますエールをいただきまして、ありがとうございます。このシステムは、都民の方に買っていただいた収益金が被災地に回るということで、大変意義深いものがあると私どもも本当に思っておりますので、ぜひこの夏の売り上げのときには先頭に立ってPRしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 東日本大震災で、被災地は、るるお話がございましたけれども、やはり人的、物的被害はもとより、生活とか産業とか、行政の基盤が失われるなど、自力で立ち上がるには困難なほどの厳しい被害がもたらされたと思っておりますが、知事が所信表明で申し上げたとおり、被災地には電力、農林水産物などの供給の多くを依存してきたのが東京でございまして、そこを全力で支援することは当然のことというふうに認識しております。
 これまで、例えば一万七千人の職員派遣など、総力を挙げて支援を行ってまいりましたけれども、本格的な復興に向けては、依然として相当の困難が横たわっているというふうに思っております。
 今後、今回取りまとめました緊急対策の着実な実施に万全を期すことはもとよりでございますけれども、変化をいたします被災地のニーズにしっかりと対応して、被災地が自立的な復興をできるよう力強く後押しをすべく、都としても全力で取り組むことが必要かと思っております。
 財務局としても、今後とも、こうした取り組みを財政面からしっかりと支えていきたいと思っております。

○たぞえ委員 それでは、私からも伺いたいと思います。
 未曾有の大被害となった東日本大震災によって、東北三県の被災地では、生活の基盤までもが根こそぎ奪われ、行政機能も大きく痛手を受けました。被災した人々は、すべての財産を失った、そういう苦しみと悲しみの中で、東京に身を寄せている方も大勢いらっしゃいます。
 東京電力福島原発事故についても、日本と世界の人々に大きな衝撃を与え、原発依存のエネルギー政策をこのまま続けていいのか、重大な問題が突きつけられています。
 この地震は、東北地域だけでなく、首都東京をも震度五強の地震が襲って、東京では、死者七名を含む負傷者百十一名、住宅被害三千件、火災三十三件、液状化七区、水道管の亀裂三百三十一件、そして都立公園施設の破損、深い傷跡が残りました。
 同時に、晴海では津波が一・五メートルを記録するという、こういう事態も発生をしたわけです。
 私が震災後訪ねた都立松原高校、この学校では、教室や事務室の壁に亀裂が走り、グラウンドが液状化で大きく穴があいて、テニスコートは陥没、生徒が通う昇降口のガラス、一枚一メートル掛ける五十ぐらいですが、これが五枚全部落下して割れてしまう。校舎のつなぎ目、ここも切れて校舎が離れてしまう。こういう公共施設を初めとした東京での震災復興の対策が緊急に必要であるということを今でも痛感しています。
 したがって、今後予想される大地震による被害を最小限に抑えるためにも、東京都が総力を挙げて被災地、被災者への支援、そして住民本位の復旧と復興の支援に全力を挙げるとともに、防災都市東京をつくって都民の命と財産を守り抜く、こういう力を発揮するかどうか、これが今、東京都に求められているというふうに思います。
 そこで、初めに、今回の補正予算で提案された都庁舎の震災関連の対策について伺いますが、今度の地震で、四十八階の高さを持つ第一庁舎、超高層建築物でありますが、どのような揺れを記録したのか、状況を報告していただきたいと思います。

○室木技術管理担当部長 三月十一日に発生しました東北地方太平洋沖地震の際に、第一本庁舎において得られた地震観測記録を分析した結果、最上階の四十八階では、揺れが継続した時間はおおむね十五分間程度であり、その揺れ幅は、最大で片側六十五センチでありました。

○たぞえ委員 阪神大震災の場合の地震時間が二十秒、今回の東日本地震では六十秒から八十秒という大変長い時間。ちょうどその日は第一回定例会最終日で、私どもが控室で待っておりましたら揺れ始めて、窓から見たNSビル、それから土地信託をやっているモノリスなどが、ビル同士がぶつかるんじゃないかというほど揺れていました。目の前のNSビルからはどんどん人がおりてきて、中央公園に避難をされている。一体どうなるのかと。部屋の書棚も全部倒れ、一体どうなるのか、皆さんにとっても大変心配な瞬間だったと思うんです。
 この地震による都庁舎の被害は、どういうことがこの地震当日によって発生したのでしょうか。

○藤森庁舎運営担当部長 三月十一日に発生した地震につきましては、その後の余震を含め、都庁舎においては構造体や外壁等の損傷などはなく、人的な被害、並びに業務に支障を来すような被害はございませんでした。
 被害として確認している主なものを申し上げますと、まず、第二本庁舎三十三階体育室、議事堂六階の空調機械室及び第一本庁舎の八階の機械室内における漏水、次に、地震管制によるエレベーターの全基停止、なお、利用者の閉じ込め事故等はございませんでした。
 次に、第一本庁舎と都民広場の間の十一号街路の下の天井ルーバーの一部脱落、その他事務室や廊下の天井ボード、壁パネルの脱落、あるいは防火戸の破損などが確認をされました。
 これらにつきましては、いずれも順次必要な措置を実施してございます。

○たぞえ委員 東京都が掲げている地域防災計画では、こういう地震による都庁舎施設の被害が起こるというふうには書かれておりませんが、今、部長がいわれたようなさまざまな傷跡というのでしょうか、大小の被害、こういうものが都庁舎でもあるというふうに被害の想定をされていたのでしょうか。

○室木技術管理担当部長 一般に、建物の耐震設計の考え方についてでございますが、震度五程度の地震に対しまして、柱や、はりなどの主要な構造体に損傷を与えないことが目標とされております。
 今回の地震においても、都庁舎では構造体への損傷は見られず、設計で目標といたしました性能は十分確保されております。
 また、先ほどの答弁にもありましたように、エレベーターには地震管制装置が備えられており、これも今回の地震の際に十分機能し、閉じ込めによる事故は発生しておりません。

○たぞえ委員 震度五程度に耐え得る設計目標だということでありますが、今回はこれを超えるような地震が発生したわけであって、今後、この五以上の対応策をとっていくことが緊急な課題だというふうに思います。
 こうした地震対策を進める上で、震度の数値を測定するのを、これまでは都としてどういう器具でこれを測定、はかってきたのでしょうか。

○室木技術管理担当部長 都庁舎には、地震の大きさを把握するため、平成三年の竣工時から、加速度検知器や記録装置などから構成されている地震計を設置しております。
 計測地点として設置いたします加速度検知器につきましては、第一本庁舎に八台、第二本庁舎に七台、地中に二台、合わせまして計十七台を設置しております。

○たぞえ委員 東京都の地域防災計画、こういう厚い冊子がありますが、この第9章の地震に関する調査研究の第2節に、震災対策調査研究というテーマがあります。この中で、強震計の観測による重要構造物の地震動の調査研究をやらなければならない、こういうふうに課題を掲げているわけです。
 この中で、主要な構造物その周辺地盤に多くの強震計を設置して強震観測記録の収集を行うこと、また、強震計の観測で得られた地震波形を利用して地盤と構造物の地震動の解析を行うと、防災計画ではこのように掲げているわけです。
 これまでも、小さなというか、震度が今回のようなものでない幾つかの地震が起こったわけですが、その都度、今いわれたこの器具、どういう効果をもたらして、その結果をどう検討されているのでしょうか。

○室木技術管理担当部長 設置されております地震計により、地震が発生したときの地震動の大きさですとか、あるいは建物の揺れの継続時間などを観測し、そのデータを記録しております。これによりまして、建物が受ける地震の影響の度合いを把握することが可能となっております。
 また、先日公表いたしました都庁舎の長周期地震動対策への取り組みに関する調査検討におきましても、このデータを活用してまいりました。
 さらに、今回の地震の際には、観測データの分析から、建物の主要な構造体への影響がなかったことが確認されております。

○たぞえ委員 今回の補正予算で増設を図るということでありますが、この震災があったから増設なのか、それとも建築年数から見ても、さらに、予想される大震災から見ても必要であると、いろんな動機が働いたかと思うんですが、今回の補正での措置は、直接的な要因は何ですか。

○室木技術管理担当部長 都庁舎は超高層建築物であることから、構造体を構成いたします柱や、はりの数が膨大となること、また、建物の規模も非常に大きく、さらに第一庁舎、第二庁舎、議会棟という形で複数棟により構成されていることなどから、地震発生直後の建物や設備の状況を把握するには時間を要することとなります。
 このため、今回の地震の経験を踏まえまして、都庁舎における地震発生直後の建物や設備の状況を迅速かつ効率的に把握するため、加速度検知器の増設などを行い、地震計の機能を拡充するものであります。

○たぞえ委員 冒頭、議論がありましたように、都庁舎そのものが防災拠点であり、震災に強い東京を象徴する建物だという点でも、ぜひこれは増設を図っていただいて対応していただきたいと思います。
 特に、今、十七基あるわけですから、四十八階、一庁だけ考えてみますと、これまでの何階分かがもう少しきめ細かになるわけで、そこで得られた情報というのは、倒れない建物の最も初歩的なデータを発信していくというふうに思いますので、ぜひ早目に設置をお願いしたいと思います。
 次に、補正予算全体について伺いますけれども、まず一点目は、被災地、被災者支援などで、後で国から財源が戻ってくる事業はどういうものがあって、幾らぐらい戻ってくると見込んでいるのか、示していただきたいと思います。

○長谷川主計部長 被災県からの要請に基づきまして行いました避難所の設置費用でありますとか、あるいは職員の派遣に伴う事務費など、都の行う救助に要する一定の経費につきましては、災害救助法の規定によりまして、基本的に国が負担するという仕組みとなっております。
 なお、国は、災害救助法の弾力的な運用についての方針を示しているものの、現時点では、求償の対象でありますとか、あるいは期間などの詳細が明らかとなっておりません。
 そのため、今回の補正予算にはこうした負担について歳入計上しておりませんけれども、ただいま、どれぐらい戻ってくるのかというお尋ねもございましたが、国への請求については、こうした事情をかんがみまして、今後適切に対応してまいります。

○たぞえ委員 今回の補正で、事業の既実施分に充てる事業はどういうものがあって、その予算額はどういう状況でしょうか。

○長谷川主計部長 今回の補正予算のうち、緊急対応として既に着手している事業に対する予算措置といたしましては、発災直後から続けております被災者、被災地支援の取り組みを中心といたしまして、例えば、現地事務所を起点とした被災地への応急対策に二億一千九百万円、被災地からの避難者の受け入れに十六億五千万円のほか、例えば市場における災害対策特別融資事業六十億円などがございます。

○たぞえ委員 東京緊急対策二〇一一で、緊急に予算を要するものについては補正予算を編成してということで今回提案があったわけです。
 その中で、これですね、この反映版という、この緊急対策二〇一一の三八ページに、東京を高度な防災都市へと生まれ変わらせるという予算の張りつきのページがあるわけです。額としては六百十六億円と、補正規模が示されています。
 私は、それ自身といいましょうか、総額自体は少ないと思います。この中に、東京を高度な防災都市へと生まれ変わらせると。何が生まれ変わるのか。
 ずっと見てみますと、企業や家庭における電力ピークカット対策で二百四十九億円、都みずからが行う電力不足に備える率先行動六十九億円、合わせて三百十八億円。そんなにやっていたらお金なくなっちゃうんじゃないかなと見てみましたら、実質的な防災都市対策は、半分の三百三十億円弱になっているんです。
 さらにこれをずっと中を見て、四一ページを見てみますと、大変驚きましたのは、住宅の耐震化に関連する木造密集地域対策、マンションの耐震化では二億六千万円、さらに緊急輸送道路を合わせても六億六千万円、補正予算規模総額の〇・四八%にすぎないという、こういう規模でいいのかなというふうに思うわけです。
 隣の横浜市は、耐震助成額を、東日本大震災を受けて、これまでの一件百五十万円に七十五万円を上乗せして二百二十五万円にしていくという、こういう補正予算を今回提案しました。大きな財政力を持つ東京都が、高度な防災都市に生まれ変わらせる、六百十六億円、しかし、その半分近くは電力の方で、実際の震災対策には三百三十億程度しかない。これでいいのかということが問われるというふうに思います。
 先ほど鈴木委員からオリンピックの意見が述べられまして、私と全く逆だなということを思っておりますが、改めて、鈴木委員とは違う立場で聞きたいと思います。
 これは、二〇一六年のオリンピック招致を目指した基金でした。しかし、今回、二〇二〇年をどうするのかということは、まだ決まっていません。仮に立候補を表明したとしても、実に八年ぐらい先の実施になるわけです。これがまただめだったと、仮にですよ。そうすると二〇二四年、次が二〇二八年、二〇三二年、当選するまで、これ、崩さないで持っていくのか。そのころ、皆さんも私たちもいなくなって、この基金は埋蔵金になってしまうんじゃないだろうか。
 であるならば、被災地や被災者支援、放射能対策、そして防災に強い東京をつくって、世界の方々からぜひ東京にと、そして都民からも、こういう安心の東京になったから、ぜひオリンピックをやってほしい、こういう機運が高まっていくことが、本当は私は大事だと思います。
 とかく自民党議員などから、共産党はオリンピックに反対の政党だというふうに……(「いや、そうは思っていないよ」と呼ぶ者あり)思っていないという、今ご指摘があったとおりなんです。私たちは、オリンピック憲章に基づいて、オリンピックは賛成なんです。しかし、そのための規模だとか、投資だとか、こういう財政投資ですね。それが、今回の震災という大変な莫大な経費が今かかるときに、東京の震災復興のきっかけをつくっていくということで、都民がそうだという声が上がるのかどうか。
 知事は、そこら辺をじっと耳を寄せているそうでありますけれども、しかし、この一千億円を積み上げてきた基金は、東京の開催を決めたその年からの積み立て--前からでしたでしょうか、ちょっと忘れましたけども、いずれにしても、方向が見えてからの基金の積み立てだったんですね。
 まだ開催都市にも決まっていない、立候補も正式にしていない、こういうもとで、私は四千億円をそのままじっと温存させるということは、都民の納得を得ることができないのではないかなというように思いますが、どうでしょうかと聞くと、いつものお答えだと思うのですが、きょうは、そういう点でいっていただかないと、鈴木委員の質問もありましたので、お答えいただきたいと思います。

○長谷川主計部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金につきましては、先ほども答弁いたしましたとおり、条例によりまして、オリンピック・パラリンピックの開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるための基金というふうに位置づけられておりまして、また、二〇一六年への基金ということは、これは条例上はございませんけれども、他の目的のために処分するということはできないということでございます。
 その前段といたしまして、いってみれば、この基金を温存する中で、震災への対応などに対して十分な取り組みがないじゃないかというようなお話でございますけれども、東京都はこれまでも、福祉や医療や教育はもとより、雇用あるいは中小企業に対する施策や都市機能の充実など、都民にとって必要な施策は着実に実施してきているつもりでございます。
 こうした姿勢は、大震災を受けた今回の緊急対策としても、被災地、被災者への復興支援や放射能への対策、あるいは東京の防災力の強化などに迅速に取り組むこととして、全庁を挙げてこの緊急対策を組み立てて補正予算を編成したということからもおわかりいただけるというふうに考えておりまして、今後とも引き続き、都政に課せられたこうした使命をしっかりと果たしてまいりたいと思います。
 それから、高度防災都市について、生まれ変わるといっていながらというようなお話でございましたけれども、今回の緊急対策の中で、例えば電力対策、これはこの夏に向けた対策であるのと同時に、今後のこういった震災などを踏まえる中でも、電力がしばらくの間、需給が不安定であるという状況に的確に対応できるような対応としての意味も大きいということをもちまして、高度防災都市への取り組みの中にも再掲をしておるわけでございます。
 一方で、木密ですとか、あるいはマンションの耐震化など、こういった事業につきましては、やはり今回、改めて、今回の大震災の教訓を踏まえて、さまざまな形での充実に向けた検討をしていかなきゃならないということをもって、全体の緊急対策の組み立てとしても、今すぐ、直ちに、例えば耐震化の前倒しとか、そういったようなものについては事業予算として計上いたしておりますし、中長期的な取り組みに向けて今から準備をしなければならないものについても直ちに着手をするというために、さまざまな検討経費などを計上しているということでございまして、高度防災都市に向けた取り組みというカテゴリーについては、そういったような今後の中長期の本格的な取り組みに向けた経費が計上されているということをご理解いただければ幸いであると思います。
 また、横浜市との比較の話もございましたけれども、東京都は東京都といたしまして、例えば緊急輸送道路関連の耐震化の条例化のように、防災上必要という観点の上で、特定緊急輸送道路の耐震化を促進するための耐震診断の義務化でありますとか、あるいはその費用をほぼ全額に近い助成を行うといったような、非常に思い切った手だてを都の実情に沿って対応しているということでございますので、今回の補正予算での対応の状況だけを見て、それと比較するのは適当ではないと思いますし、今後とも積極的に対応していくつもりでございます。

○たぞえ委員 今、聞いておりまして、どうしてもやはり、いわなければならないというふうに思いました。
 例えば緊急対策二〇一一の木造住宅密集整備促進、これは三千万円ですよ。それから緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の促進、これも三千万、マンションの耐震化促進、先ほどいいましたが二億、木造密集整備に向けた都民への意識啓発、一千万、後ろの方のページになると額が小さくなっていくんですね。前の方は、何十億というお金がいろいろな事業についています。
 しかし、先ほど部長がいいました電力の関係というのは、これは省エネ問題なんですよ。地震に強いまちづくりという点とは違うんじゃないですか、テーブルが。
 液状化の問題、さらには、がけの問題、そして老朽化した水道、下水道管、また道路、橋、地震が襲ってきたときにでも、まちがきちんと残る、こういう対策にこそ、私は--もちろん電力の削減ということも大事なことですよ。しかし、これは東電の原発事故が起こって起こった事態ですから、やはり地震をどうするか、このこともきちんとした予算の対策を講じていかなきゃいけないと思います。
 オリンピック基金についてから、ずっとお話がさっきあったわけですけども、四千億円というのは大変巨額な基金です。私は、一度招致に失敗をした時点でこの条例は廃止して、これをどう活用するかというのは、その都度やらなきゃいけないものではないかなというふうに考えています。年度がついていないから、いつまでもずっと温存できるという基金であるとしたら、重大事態が起こったときに、結局それは手をつけることはできない。廃止をする以外に使い道が出てこなくなってしまう。こういう財政の硬直化というのは、やっぱり今後の都政運営では避けなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。以上です。

○くりした委員 私からは、今回の補正予算における財源の大きな柱となっている都債についてお伺いをいたします。
 今回の補正予算は、被災者、被災地への支援や、震災の影響を受けた産業の再生など、震災発生後の重要な取り組みについて取りまとめられております。一般会計総額の一千二百三十八億円のうち、財源として四百十五億円が都債の活用となっており、都が取りまとめた緊急対策を進める上で、都債の安定的な発行が極めて重要な課題となっていると認識をしております。
 この都債の発行に関する問題に関しては、ことしの二月の財政委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、その際には、国債の格付に影響されて都債の格付が引き下げられたことに関連し、都債の信用力をどう確保するかという観点から質問を行わせていただきました。
 今回、震災の影響を受けて、債券市場にも大きな影響が出たと私は認識をしておりますけれども、福島の原子力発電所問題は収束のめどがまだ立っておりませんし、復興に係る国の費用や財源の問題についての議論も、残念ながら停滞をしてしまっている状況であります。
 こうした中で、都としても、果たすべき役割をしっかりと担うために、貴重な財源である都債の発行を安定的に行っていかなければならない、そう思っておりますけれども、市場が不安定化する中で、都債の信用力を保つために努力が必要であるという観点から、数点質問をさせていただきたいと思います。
 まず、現状の確認でありますけれども、東日本大震災に伴って債券市場の動向にどのような影響が出たのか、お伺いをいたします。

○長谷川主計部長 震災直後は、国債以外の債券の価格がつかない状況になるとともに、計画停電や交通機関の麻痺のため、引受会社も、投資家も、発行体も、一部で出社できないなどの影響で、債券市場は大きく混乱いたしました。
 このため、民間企業の社債の発行につきましては、三月中は見送られ、四月においても、発行額が前年同期と比べて八千億円減少するなど、債券市場は大きな影響を受けております。
 その後、社債の発行は再開いたしましたが、電力債への投資を停止する投資家が多かったことから、原発を持つ電力会社の起債が見送られるなど、一部で震災の影響が続いております。
 一方、地方債市場におきましては、三月の震災直後は、基準となる国債金利に対する金利の上乗せ幅でございますスプレッドが一時的に上昇いたしましたが、その後、投資家の需要が安全資産である地方債に集中することによりまして、スプレッドは急速に低下いたしまして、五月には震災前の水準に並び、六月には震災前を下回る水準での発行となっております。
 今後とも、債券の発行量が例年を大きく下回る見通しの中で、投資家の需要が債券の供給を超過する状況が当分は続くものと見られております。

○くりした委員 今、地方債の発行水準が震災以前の状況に戻っているという話でございましたけれども、さまざまな観点から見ても、やはり影響は大きなものであったと私は認識しております。
 そうした混乱の中にあっては、信用力が比較的高い地方債においても、発行に際してはかなりの影響を受けたのではないかと思っておりますけれども、こうした債券市場をめぐる環境の変化は、都債の発行条件などにどういった影響を及ぼしたのか。また、当初の発行計画を変更せざるを得ない、そういった状況が生じているのか、それについてお伺いをいたします。

○長谷川主計部長 都は、十年債を毎月発行してございますが、三月の都債発行は、震災による市場の混乱を受け、条件決定日を当初予定の三月十五日から十八日に延期をいたしました。
 発行条件に関しましては、震災前後の連続性が失われ、国債金利への上乗せ幅でございますスプレッドは、二月の〇・〇四%から〇・一五%に上昇いたしましたが、他の自治体が起債を見合わせる中で、東京都が先行して十八日に条件決定を行って水準を示したということによりまして、市場の混乱は徐々におさまることとなりました。
 四月以降は、地方債への投資家の需要が多く集まったことで、都債も他の地方債と同様、スプレッドの低下が進みまして、五月には震災前の水準を回復し、六月には、スプレッドは震災前の水準よりも低い〇・〇三%となっております。
 また、五月の五年債、あるいは六月の二十年債の発行におきましては、投資家の需要が当初の発行予定額を大幅に上回ったということがありましたので、当初の予定をそれぞれ増額して発行することとなりました。
 先ほど答弁いたしましたとおり、現在、投資家の需要が安全資産である地方債に集中しているということがございますので、発行体にとって良好な需給環境は当面は継続するという見通しとなっておりまして、都の資金調達への影響は、現時点では小さいものと考えております。

○くりした委員 今のお話をお聞きすると、都債を含めた地方債の市場の動向は、現在のところ堅調に推移をしている、逆に需要が非常に多くなってきているということでありました。
 確かに、地方債、それは国債に次ぐ信用度の高さを持っておりますから、電力債が発行されないという現状においては、比較的購入をされやすいようになってきているのかなというふうに思います。
 しかし、現在、先ほども申し上げましたとおり、国の先行きがなかなか、残念ながら見えづらい状況にある。社会保障と税との一体改革の議論も先行きが見えない中で、本格的な復興に係る財源の問題も相まって、今後の見通しは極めて不透明な状況といわざるを得ません。
 今後、十兆円以上ともいわれる復興財源は、国債を財源とすることになると想定されますけれども、国債の増発懸念の問題など、債券市場への影響も少なくないと考えられます。
 二月の財政委員会の際にも指摘をさせていただいた格付の問題もございます。アメリカの格付会社、ムーディーズは、今後、日本国債の格付を格下げの方向で見直すと、そのようにしており、そうなった場合には、地方債全体の信用リスクの問題にもつながってしまうおそれがあります。
 そこでお伺いをいたしますけれども、国の財政悪化が地方債にどういった影響を与えていくのか、質問をいたします。

○長谷川主計部長 国の財政状況は極めて厳しい状況でございまして、赤字国債の発行に依存する状況が続き、公債残高は年々増加の一途をたどっている中におきまして、さらに、復興に要する費用をどう賄うのか不透明な状況が続いておりまして、今後の大規模な補正予算に伴う国債増発懸念が債券市場を不安定なものにしております。
 将来の償還財源を明確にできないまま国債を増発した場合には、財政悪化に対する懸念により、国債金利が上昇することが予想されます。この場合、地方債市場におきましても、国債金利が基準となっているという事情がございますので、この影響によりまして、中長期的に金利の上昇は免れ得ないというふうにいわれております。
 また、スタンダード・アンド・プアーズ社による日本の国債の格付の見通しは、復興費用の増大によりまして財政悪化が懸念されることがあることから、四月二十七日に、安定的からネガティブに引き下げられております。
 この変更に伴いまして、東京都の格付見通しもネガティブに下方修正されておりまして、今後さまざまな面で、さらに国の財政悪化による影響を受ける可能性もあると考えております。

○くりした委員 現に、今の話では、スタンダード・アンド・プアーズの格付というのは、国の財政状況不安の影響で下方修正をされてしまっているということでありますけれども、いかに都財政が国に比較して健全性を保っているとはいいながらも、国が地方の財政保障を行っている現在の地方債の仕組みの中では、都債も国債の状況悪化の影響を免れ得ないということが今の話でわかったと思います。
 今後、長引く震災の影響と、それに伴う復興財源のあり方をどうしていくのか、また、国家財政の健全化への道のりを考えると、確かに長期金利の上昇といった、そういった問題につながっていくのであろうと思います。
 こうした状況の中で、都債についても、さらなる格付低下の懸念や発行条件の悪化など、環境が急激に悪化をしていく可能性も想定されますが、そこで、不安定な市場環境が続く現在においても、都債の信用リスクが高まって金利の上昇につながらないようにするために、都債の管理という面においては、どういった工夫をされているのかお伺いをいたします。

○長谷川主計部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、現段階においては、民間企業の社債の供給不足が続くという中におきまして、地方債への投資家需要が旺盛であるため、地方債は安定的に消化できております。
 ただ、このような状況は恒常的なものとは考えられないわけでございまして、まずは国が財政再建の道筋を明らかにするということが第一であると考えますが、都みずからも、市場環境の変動に備えて、常日ごろから布石を打っておくことが重要であると考えております。
 このため、まずは、償還確実性に対する市場の信認の一層の向上等を図る観点から、これまでと同様、減債基金への計画的な積み立てを行いまして、将来の償還財源を計画的に確保していくことが重要であると考えております。
 さらに、震災への対応をしっかりと進めていく中にあっても、これまで一貫して進めてきた堅実な財政運営を今後も維持していくということとともに、このことについて市場に対してしっかりとアピールをするということで、投資家に不安をもたらさないということも重要であると考えます。
 加えまして、今月には、金利が低水準で推移しているということから、超長期債である二十年債を四百億円発行することとしておりますが、こうした将来に向けた金利負担の低減にも取り組んでおりまして、金利変動リスクを回避するために、中期債から超長期債までのバランスのとれた起債にも努めているところでございます。
 今後とも、多様な取り組みによりまして、不安定な市場環境が続く中でも、金利の大幅な変動につながらないように備えてまいります。

○くりした委員 今、都債の発行においては、震災の影響も十分に考えながら、引き続き金利変動リスクに備えた取り組みをしているというふうなお話をいただきました。
 また、不透明な状況にあっても信用リスクを顕在化しないためにも、投資家に対する丁寧な説明が必要なのだということもお話をいただきました。
 国の格付変更に引きずられて都債の格付も変わる、そういった可能性があるといった厳しい状況ではあると思いますけれども、引き続き都債の安定的な償還を図っていくためには、やはり市場からの信頼、そして幅広い投資家からの信頼、都債への理解といったものを深めていくことが重要であると思います。
 東日本大震災の混乱の中でも、これまで都が行ってきた財政運営についてもしっかりとアピールをしていくことで、今の比較的状況のよいときにこそ、幅広い投資家を獲得していくことが必要なのではないでしょうか。
 都債が今後、都財政の財政力の一つとしてしっかりと機能していくためには、財政の健全性を確保することはいうまでもなく、あわせて都の財政状況をしっかりとPRし、商品性をさらに高め、都債に対する市場の信頼性を向上させることで投資家層の拡大を図っていく必要があると考えますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○長谷川主計部長 内外の社会経済環境の変化への対応力を高めて、市場において都債を安定的に発行、消化していく上では、発行条件であるスプレッドを安定させることが必要でございます。
 そのためには、投資家の高い人気を集め、有利な条件を引き出すという観点から、IR、投資家向けの情報提供活動のさらなる充実や商品性の向上などを通じて、投資家層を拡大することが重要と認識しております。
 具体的には、投資家との窓口である金融機関のセールス担当者を対象とした説明会でありますとか、あるいは投資家の戸別訪問を積極的に行うなど、投資家との丁寧な対応に努めております。
 同時に、商品性向上の取り組みといたしましては、基幹商品である十年債において、条件決定の時刻をマーケットの取引が活性化している時間帯に変更して投資家が取引を行いやすくするなど、投資家のニーズを踏まえた柔軟な起債運営を行っております。
 今後とも、投資家層の拡大に向けた取り組みを重ねまして、市場での都債の円滑な発行、消化に努力してまいります。

○くりした委員 今、今後の都の取り組みについてご説明をいただきましたけれども、今後、国債の増発に伴う市場環境の悪化といったリスクが見込まれる中においては、どのような市場環境にあっても安定した都債発行が可能となるよう、いわば都債のファンとなっていただけるような投資家との関係を築いていくことが、やはり必要であると思います。
 今ご答弁いただいたような、今後のリスクを見据えた取り組みや投資家とのきめ細かい対話なども今後も着実に推進をしていただき、地方債市場最大の発行団体として、常に他団体の見本となるような、そういった取り組みを継続していただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○菅委員 それでは、私の方からは、今定例会に付議されております都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その一及び、同じくその二についてお尋ねをいたします。
 この新宿の都庁舎は、平成三年に丸の内から移転してきて以来、既に二十年が経過しておりますし、設備の老朽化などを改善するため、現在、平成二十一年度からの長期計画により、設備更新として大規模改修を行っているところであります。
 外壁や非常用発電機など、一部内容については工事を開始しておりますが、多くの都民や職員が目にし、影響を受ける本格的な工事、いわゆる本体工事は、今後、順次着手されていく予定だと伺っております。
 エレベーターの改修については、設備的な更新というだけではなくて、今後の本体工事においての資機材の搬出入を担う設備を整備する、こういう位置づけがあるものでありますし、極めて重要だろうと思います。
 庁舎を使いながら、本体工事の着手予定時期に合わせてエレベーターの改修を完了し、計画どおり本体工事の着手に結びつけていかなければならないという条件のもとで、予定工事を遵守して着実に施工を進めなければならない。厳しい内容を含んでいると思います。
 このように、都庁舎の設備更新を進めていく上で重要な位置を占めておりますエレベーターの改修工事の契約に関してお尋ねしたいと思います。
 エレベーターは、都庁舎のような超高層建物では欠かすことのできない極めて重要な設備でありますし、安全性を含めた品質の確保が重要であると思います。このため、業者選定は慎重に進める必要があると思っています。
 二件の契約案件は、ともに随意契約の案件でありますが、普通地方公共団体の契約締結方法は競争入札を原則としております。随意契約による場合は合理的な理由があると考えられますが、本件を随意契約とした理由についてお尋ねしたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 今回のエレベーターの改修に際しましては、工事費用を可能な限り抑制することや、庁舎を使用しながらの改修工事であることから、工事期間を短縮して業務等への影響を極力抑えることなどを考慮し、既存の昇降機の主要部分を再使用し、部分的な機械類の更新及び一部機能を付加する方式を選択いたしました。
 この方式におきまして、既存部品の再使用を行うことから、改修工事後の製品が保証されるよう、再使用部品と更新部分との一体性を確保いたしまして、その責任範囲を明確化することや、施工において再使用部品と更新部品との取り合いの不都合を生じさせないこと、さらに、計画通知や認定取得の手続におきまして、必要とする既存部品に関する詳細なデータを確保することが必要であり、これらの条件を満たすのは既存設備の製作者のみであるということから、このため、既存設備の製作者と特命随意契約を行ったものでございます。

○菅委員 予定価格に対する契約金額の割合が、二件ともほぼ一〇〇%となっております。
 契約手続は、申し上げるまでもなく、透明性を確保することが極めて重要であり、また、現在、入札経過調書や見積経過調書によって公表されている、このことは承知をいたしておりますが、本件のように金額が高い工事について、より詳細に経過を明らかにする必要があると考えます。
 契約金額はどのように決定されたのか、お尋ねいたします。

○藤原経理部長 随意契約におきましては、事業者から見積書を徴取することによって契約金額を決定しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、徴取した見積書の金額が都が定めた予定価格以下の場合にはこれを採用し、契約金額を決定しております。
 一方、見積書の金額が予定価格を上回っている場合には、事業者に対し、既に提出した見積書を下回る見積書を提出する意思があることを確認した上で、再度見積書を徴取しております。
 こうした際、際限なく見積書の提出を繰り返すことを避けるため、一定の回数を目安として事業者に提出を求めることとしております。
 今回の二つの案件につきましては、いずれも五回目に提出された見積書が予定価格を下回ったため、これを採用して契約金額を決定したものでございます。
 今回採用した見積書は、事業者がそれぞれの経営方針や当該工事に対する元施工者としての意欲などを総合的に勘案して、適切な履行が十分に確保できる金額を積算の上、提出されたものであると考えているところでございます。

○菅委員 よくわかりました。それでは、次に移ります。
 今定例会で付議されている一般会計補正予算(第一号)、財務局分に関連し、都有施設における節電対策についてお尋ねします。
 今般の東日本大震災に伴う電力危機に対応し、都は、ことし五月に東京緊急対策二〇一一及び東京都電力対策緊急プログラムを公表し、その中で、都は都内有数の大口電力需要家であることから、都有施設での節電を徹底する、こういうことにしているわけであります。
 都有施設の中でも、都庁舎はとりわけ大規模で象徴的な建物であり、緊急プログラムにおいて国の目標を上回る高い電力削減目標を設定したことや、率先して節電に取り組む姿勢というものは非常に高く評価できる、こう思います。
 そこで、都庁舎における、ことし夏の具体的な節電取り組み内容について、まずお尋ねをしておきます。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎は既に、平成三年の開庁以来、継続的に節電対策を進めてまいりましたが、今回の節電ではさらに、民間の取り組みを牽引する率先行動といたしまして、ことし夏のピーク電力を、昨年夏と比較し二五%削減することを目標といたしました。
 節電の具体的取り組み内容でございますが、空調設定温度二十八度の徹底や一部区域の空調の停止など、空調設備の運転方法の見直し、照明の間引きによる二分の一消灯及び高効率蛍光管、いわゆるHF蛍光管への取りかえでございます。また、エレベーターの二分の一休止などの実施でございます。
 さらに、職員一人一人の節電に対する意識づけを誘導する、都庁舎の電力使用状況見える化の推進などで、節電対策に全庁を挙げて徹底して取り組んでいるところでございます。

○菅委員 ただいまの答弁で、都庁舎での取り組みは理解いたしましたが、都は、都庁舎以外にも多くの都有施設を管理しておりますし、それらの施設も節電対策に取り組まなければ、都全体としての節電対策の実効性が上がらない、こういうふうに思います。
 設備機器の多くが電気で稼働しておりますし、省エネを進めるには、これら消費電力を抑制することが非常に大切だと思います。
 また、今回の大震災の教訓を生かし、明る過ぎる照明の見直し、最近話題となっておりますLED照明や太陽光発電設備などを都有施設に積極的に導入するなど、むだな電力を省くとともに、多様なエネルギーの活用も検討する必要があると思います。
 さらに、先ほど説明がありました今回の都庁舎における節電の取り組みを、他の都有施設の整備に生かすことも大変重要だと、こういうふうに思います。
 都においては、省エネ化の設計基準として平成十九年に策定した省エネ東京仕様二〇〇七の改正作業を進めていると聞いておりますが、こうした考えを速やかに仕様に反映して、都有施設全体の節電につなげていくべきだと考えます。
 そこで、これまでの省エネ仕様の適用実績、並びに今回の改正方針とその効果、改正時期についてお尋ねをいたします。

○室木技術管理担当部長 平成二十一年に策定した主要施設十カ年維持更新計画に基づく施設の改築、改修においては、省エネ東京仕様二〇〇七を全面的に適用しており、東京都建築物環境計画書制度で定める省エネ評価の最高段階を目指した施設整備に取り組んでおります。
 これまで、本仕様を適用した施設整備は、設計段階のものを含めまして四十二件に上っております。
 本仕様を先行して適用した事例では、改築前後でCO2排出量を約三割削減することが確認され、当初見込みどおりの成果を得たところであります。
 今後、都有施設での電力消費量を削減し、商用電力からの供給を減らすためには、施設の省エネ性能のさらなる向上が必要であります。
 このため、新たな仕様の検討に当たっては、使用用途に応じた最適照度を念頭に置くことや最新の技術革新の動向などを考慮し、現有都有施設で進めておりますLED照明や電力の見える化に資する需要電力監視装置などの導入も、新たな仕様に盛り込むことを考えております。
 また、新たなエネルギー源といたしまして、再生可能エネルギーの導入を促進するため、再エネ設備の整備目標を新たに設定するとともに、太陽熱利用設備や自然換気など、多様な再エネ設備も導入項目として盛り込むこととしております。
 次に、新仕様による整備効果についてでございますが、都有施設の庁舎モデル三千平米と、環境局の地球温暖化対策報告書制度で対象としております都内事務所ビルの平均とを比較した試算では、電力消費量及びCO2排出量とも、約六割削減できる見込みでございます。
 最後に、新たな仕様につきましては、来月を目途に取りまとめを行いまして、平成二十四年度からの施設整備に適用していく予定でございます。

○菅委員 ことし夏の電力危機ということがいわれております。これに対応するということは喫緊の課題だと思いますし、首都東京を支える都有施設の整備について、今後とも着実に取り組みを進めていただきたい、こう思います。
 財務局は、都庁舎の施設管理と都有施設の整備にかかわる設計基準の制定とを所管し、都全体の節電対策のかなめであるといえると思います。
 財務局が積極的に関係各局をリードし、電力危機に対応していくことを要望し、最後に局長の決意を伺って、質問を終わります。

○安藤財務局長 五月に公表いたしました東京都電力対策緊急プログラムにおきましては、過度に電力に依存した社会からの脱却を目指し、また、ことしの夏の節電の徹底とエネルギー源の多様化等を進めるということになっております。
 これを受けまして、財務局は、都庁舎の管理や都有施設の整備を預かる立場でございますけれども、都庁舎におきます節電目標の達成、二五%という高い目標でございますけれども、全力を挙げたいと思います。また、この取り組みを他の都有施設へ波及させまして、一層の電力消費量の削減に結びつけてまいりたいと思っております。
 また、お話がありましたように、先進的な環境対策技術の粋を生かして、改正の準備をしております省エネ仕様に基づきまして施設の整備を行いまして、都全体の節電対策を着実に進めていきたいと思っております。
 緊急プログラム等が目標といたします低炭素、高度防災型都市づくりの実現を目指しまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

○高木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十八分開議

○高木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤(や)委員 私の方からは、第二回定例会の提出議案のうち、平成二十三年度補正予算案、東京緊急対策二〇一一に関しまして、都庁舎の長周期地震動対策について質問させていただきたいと思います。
 大変専門的な内容の取り組みを読ませていただきましたけれども、ちょっと質問が技術的に間違っていれば指摘いただきたいと思いますが、この当該緊急対策には、都庁舎や民間建築物における長周期地震動対策が記載されております。先日の我が党の代表質問では、主に、都庁舎の補強対策の情報を民間建築物に積極的に活用すべき、また、超高層ビル以外の石油タンクの耐震補強、こういったものに対しまして長周期の地震動対策をすべきという観点から代表質問をさせていただいたわけでございますが、本日は、その中で都庁舎そのものに関しまして--この対策二〇一一の中で、発災時に震災対策の司令塔となる都庁舎において、長周期地震動対策について、設備更新工事にあわせて対策工事を行っていくとともに、工事実施までの間、安全対策を講じますと記載されているわけでございますけれども、そういった観点から、特に財務局所管のこの都庁舎そのものにつきまして、長周期地震動対策について伺いたいと思います。
 都は、今回の緊急対策に先立ちまして、去る五月二十日に、都庁第一本庁舎、第二本庁舎における長周期地震動対策への取り組み、これを公表いたしております。
 そこで、まず初めに、この対策に取り組む経緯と基本的な考え方につきましてお伺いをしたいと思います。

○室木技術管理担当部長 長周期地震動は、平成十五年九月の十勝沖地震の際に、苫小牧市内で起きました石油タンク火災の原因として注目され、超高層建築物などへの影響が指摘されております。
 都庁舎は、昭和六十二年の設計時に、構造性能に関します建設大臣の認定を取得しておりますが、当時は長周期地震動の影響は考慮されておらず、短い周期の地震動対策が主体でございました。そのため、その影響を把握する必要があることから、これまで調査検討を進めまして、本年五月に、都庁第一本庁舎、第二本庁舎における長周期地震動対策への取り組みを取りまとめたところでございます。
 この間の調査におきまして、最新の知見に基づいて設定いたしました長周期地震動により、現状の都庁舎への影響を検討した結果、仕上げ材や設備配管の一部脱落や損傷、一部の階の構造部材の応急修理を要するなどの影響が生じまして、業務に支障を来す可能性のあることが明らかとなりました。
 このため、制振装置を設置することによりまして耐震安全性を向上させ、大地震発生後も業務の継続を図り、防災拠点の機能を確保する長周期地震動対策を実施することといたしました。

○斉藤(や)委員 震源地から遠く離れた場所で起こった地震でありましても、超高層ビルなどの特殊な構造を持ちました建物、この固有周期というのでしょうか、固有周期が長いために、長周期地震動の波と共振をいたしまして大きな被害が発生する可能性がかねてより指摘されてきたわけでございます。
 先ほど、休憩前にたぞえ副委員長からもお話がございましたけれども、三月十一日に発生いたしました東日本大震災の際に、都庁舎は激しく揺れたわけであります。庁舎各所にもさまざまな被害が発生しているお話は、先ほどご答弁を伺ったとおりだと思います。
 隣の新宿センタービルなどの高層ビル街ですけども、最長十三分間、最大百八センチほど揺れたとか、先ほどのご答弁によりますと、この第一本庁舎も、四十八階、十五分間、六十五センチ揺れた、このようなお話があったわけでございます。まさしく長周期地震動の危険性を皆が実体験したところだと思います。
 さかのぼって、二〇〇四年に発生いたしましたマグニチュード六・八の新潟県中越地震では、震源から約二百キロメートルも離れたこの都心の超高層ビルでも、震度は三だったにもかかわらず、エレベーターが六基損傷する大変な、最新の話題になった超高層ビルでしたけども、この新潟の中越で起こった地震によりましてエレベーター六基が損傷するなどの大きな被害が出たことが思い出されるわけでございます。
 このような特徴を持つ長周期地震動に対しまして、まず国が率先して対策を示すべきですけれども、国土交通省は、平成二十二年十二月二十一日にようやく対策試案なるものを公表しているに過ぎません。いまだ検討中とのことであります。
 一方、平成二十年度から、調査検討には三年を要し、明確な基準もない中、先駆的に長周期地震動対策に取り組んできたのが東京都であるわけでございますが、そこで改めて、今回の都の取り組みと、この国の動きにつきまして、どのような関係になっているのかをお伺いしたいと思います。

○室木技術管理担当部長 都では、国の検討結果を待つことなく、都庁舎に対する長周期地震動の影響を把握するための調査、及びその対策の必要性につきまして、さまざまな観点から検討を行ってまいりました。
 平成二十年度からは、超高層建築物の構造や地震工学などを専門といたします学識経験者で構成されます耐震安全性調査委員会におきまして調査検討を行い、本年三月に結果がまとまり、これを受け、都としての取り組みを取りまとめたところでございます。
 この調査委員会の委員でございますが、国や建築学会の研究会などにも参加しており、本委員会では、こうした方々の知見を得ながら、国の動向にも注意しつつ、調査検討がなされたところでございます。
 また、国の対策試案の中では、参考として、東海、東南海、南海地震の三連動についての記載がございますが、本委員会ではこれについても検討し、結果を取りまとめたところでございます。

○斉藤(や)委員 すばらしいメンバーによって検討がされてきたということでございますが、国は長らく、例えば東京大学の地震研究所などのように、地震の発生メカニズムを研究し、地震の対策の中心に地震予知を掲げてきた経緯があると思います。
 今後は、理学的なアプローチよりも、むしろ発生する--これ、地球は生きているわけでございますので、必ず地殻の変動がございます。むしろ、この発生する地震に対しまして、いかに災害を減じるかという、工学的なアプローチに力を注いでいくべきであると私は考えてまいりました。まさしく、今回の委員会の委員の先生の中には、地震工学の学識経験者も多数入っておられますけども、これらの先生の知見をいただきまして、東京都の調査委員会が進めてきたこの長周期地震動対策を評価したいと思うわけでございます。
 次いで、この都庁舎が今後進めていく具体的な作業について伺っておきたいと思います。
 今後、新規に建築する超高層の建築物と異なりまして、都庁舎は、既に建っている既存の建物であります。実際に、都政を継続するために使用しているこの事務室内に制振装置を設置するということになりますと、相当、困難なことが予想されるわけであります。
 そこで、納税者に理解を求めつつ、コストへの影響も十分に配慮しながら、さまざまな工夫が必要だと思いますけれども、財務局のこれらに関しましての見解をお伺いしたいと思います。

○室木技術管理担当部長 先ほど答弁申し上げました委員会の調査検討におきまして、都庁舎の構造モデルに、委員会で設定した長周期地震動を入力して解析を実施し、制振装置の必要な数、設置場所などを想定して補強案を取りまとめたところでございます。
 今後、設計段階におきまして、事務室の使い勝手を考慮しながら、制振装置の仕様ですとか、あるいは施工方法などを詳細に検討を進めてまいります。
 また、制振装置の設置に当たりましては、床や天井材の撤去、それに伴う事務室の閉鎖が必要となることなどから、既に計画を行っております設備更新工事と同時に施工することといたしまして、コストや業務への影響を最小限とするよう工夫を行ってまいります。

○斉藤(や)委員 一九九〇年、平成二年十二月の竣工以来、二十年が経過したこの都庁舎でございますが、その特殊な建築物ゆえに、改修費用がかさむことにつきましては、常に一部の納税者、都民から厳しい指摘を受けてきております。それゆえ、改修につきましても、コスト面ではさまざまな努力を払い、工夫を重ねてきた中で、長周期の地震動対策が加わってきたわけであると考えております。大変なご苦労があると思いますが、しっかりと取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
 最後に、この具体的な長周期地震動対策でございますけども、今後の取り組みにつきまして、重ねてお伺いをしておきたいと思います。

○室木技術管理担当部長 早速、今年度から設計に着手いたしまして、構造性能に関します大臣の認定取得など、必要な手続の検討を含め、設計を取りまとめていくこととしてございます。
 また、平成二十六年から予定しております設備更新工事と同時に、補強工事を実施してまいります。
 都庁舎は、発災時の震災対策の司令塔であり、この機能の十分な確保とより一層の向上に向け、今後とも、長周期地震動対策について、的確かつ着実に取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員 巨大地震はいつ発生するかわかりません。地震の発生を避けることはできないわけでございますので、できる限り被害を最小化できるよう、減災対策を急いでいただきたいと思います。
 今回の国の対策試案では、超高層建築物等では長周期地震動によって家具の転倒等による被害が発生するおそれがあるとも想定されておりまして、家具の固定等による有効な転倒防止対策の必要性などが指摘されています。新しい建物については、直ちにこういったものを加味するべきでございますけれども、この緊急対策の中でも、当面の安全対策を講じることになっております。そのように記載されておりますけども、大規模な工事とは別に、現時点で固定されていない、この都庁舎内での事務機や棚の転倒の危険、こういうものがある中で、少しでも人的な被害を少なくするために、直ちにできることは、この工事期、今、平成二十六年というお話でございますけども、平成二十六年の設備更新の工事を待たずに行っていくべきであると思います。
 私の質問は以上で終わりたいと思います。

○吉田委員 私からは、契約案件の都庁舎のエレベーター改修工事二件に関してお伺いをいたします。
 今回、当該工事二件については、いずれも随意契約とされているわけであります。通常、工事の発注は、競争性を担保するため競争入札が行われるものと承知しております。今回は、建設時に設置された設備の更新ということでありますので、これ、建設時においては、当然というか、競争入札で入札をしたんだということだと思いますが、確認のためにお伺いします。

○藤森庁舎運営担当部長 今回の契約案件対象の二工区とも、都庁舎建設時のエレベーター設置に関しましては、指名競争入札により落札者を決定し、契約を行ってございます。

○吉田委員 ありがとうございます。これは当然それで、次に、本当は、今回あえて随意契約とした理由についてお伺いをしようと思ったんですけれども、先ほど菅理事から同じ趣旨のご質問があって、これについて、きちんと特命随意契約とした理由についてご答弁をいただきました。
 このご答弁の内容を私もお聞きしておりまして、なるほど、これはやむを得ない面があるなということで理解いたしましたので、この質問は省略をさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 私はかねがね、公共施設の整備について、トータルコストを考慮した形で行うことが必要であろうというふうに考えております。例えば、工事のやり方によっては、故障の頻度あるいは維持管理の方法に差が生じてくるなど、後々の維持管理に必要とされるコストが異なってくるということが十分考えられるわけであります。
 とりわけ建設当初は、当然入札をするんですけれども、保守管理が今回のように随意契約になる方がいいんだというような場合には、よりトータルコストを考慮した形で、いろいろと検討していくことが大事だと、重要だと考えるわけであります。
 そこで、公共施設の整備においては、ある部分のコストのみに注目するだけでなくて、施設に関するトータルコストを考えて取り組むことが重要だという点について、都のご認識を伺います。

○末菅建築保全部長 公共工事につきましては、計画、建設及び維持管理の各段階におきましてのコスト管理は、トータルコスト、すなわちライフサイクルコストの最少化への取り組みとして重要な視点であると認識しております。
 平成九年度から、全庁的なコスト縮減計画に基づきまして各局が実施計画を策定し、財務局におきましては、三回にわたる実施計画を通しまして、厳しいコスト管理を行ってきたところでございます。
 平成十九年度からは、財務局建築コスト管理二〇〇七に基づきまして、公共建築物におけるライフサイクルコストの最少化とともに、社会的コストなどを含めた総合的なコスト管理の実施に取り組んでおります。例えば、施設の長寿命化に資する設計を行うことによるライフサイクルコストへの配慮や、環境負荷低減などの社会的コストに対する取り組みなどが挙げられます。
 今後も、これまでに実施してきた取り組みを継続しつつ、技術革新やさらなる工夫による新たな取り組みも取り入れながら、着実にコスト管理を実施してまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。都の基本的な、トータルコストの管理と縮減というものが重要だとのご認識があるということをしっかりとご答弁いただきまして、ありがとうございます。
 そこで、このトータルコストに配慮するという面で、今回ご答弁がなかなか難しいかもしれませんので、提案ということをさせていただきたいと思います。
 今回、案件とされているエレベーターなどの設備関係については、設備の設置後、保守管理のための委託を行うことになります。仕様は同じでも、設置者によって保守管理を行う範囲や内容が異なる場合もあります。このような場合、当然、保守管理のコストが違ってきます。さらに、保守管理のコストのみならず、保守の内容によっては、改修までの期間が長い、短いといった差も生じてくることになります。
 つまり、当初の設置費用だけで設置者を決めるという現状のやり方が、トータルコストということを考えるときに、そういう視点で見た場合に、果たして発注者にとって有効なのか疑問だと、こういう問題があるわけです。
 私は、設備設置のためのコストに加えて、保守管理のコストをも考慮したトータルコストの考え方を指標として組み込んで設置者を決定するという方法をぜひ検討していただきたいと、こういうふうに考えている次第です。
 確かに、保守期間が長期にわたったり、技術革新によって将来の保守の内容が変化するということも考えられて、保守の内容をどうやって当初の段階で評価し、そして担保していくかといった解決しなければいけない課題が、大変難しい課題があると思いますが、ぜひ前向きに取り組みをお願いしたいと思います。
 現在の工事などの契約については、各種の法令や分離分割の原則、あるいは専業性の観点などから現状のやり方の姿が形づくられて実施されていることは重々承知をいたしております。ですから、今すぐ変更と、ご答弁いただくわけにはいかないと思いますけれども、この原則的なお立場の中で、トータルコストのメリット、デメリット、どうやったら実現できるか、こうした問題提起だというふうに受けとめていただいて、ぜひしっかりとご検討をいただきたいと思います。
 私も皆様も、発注者にとっての、コストの面でも、品質の面でも、よりよい選択を目指すというところにおいて一致しているということを念頭に置いて、お考えとしては前向きに考えなければいけない問題だというようなご感触を私は共有していると思っております。ぜひご検討をお願いいたしまして、私からの質問を終わります。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方からは、大きく二つのテーマについて伺いたいと思います。
 まず、補正予算全体の枠組みのつくり方に関して伺います。
 一般的に予算編成は、知事がその施策を実現するために、予算編成の方針や計画に基づいて財政当局の精査を経て行われるものでありまして、平常時であれば、補正予算については、国の補正予算で新たに出てきたいろんな事業、もしくはさまざまな補助といったものに合わせて、この補正予算がつくられたり、もしくは、都政をめぐる環境の変化に対応するために、具体的な計画が前もってあって、それをもとに編成をされるのが普通の、一般的だと思います。
 今回、震災ということで、特に、当初から過去に類を見ないほどの規模であると。そしてまた同時に、だんだん日がたつにつれて規模がその後から把握されるという、後から情報が入ってくるというような、そういった部分でも余り例のないような震災の被害、そしてまた復興、復旧の必要性というものがあったと思います。
 まさに今回、このような予測不可能な突発事態に対して緊急的に対応するための施策をつくりながら、なおかつ、それを実行しながらということで予算編成されたと思います。
 当初から前例がないというふうな、報道の面でもいっていたのは少しよかったのかなというのは、どうしても行政の方は、昔からよく、役所は前例主義みたいなことを一般の都民の方からいわれるわけなんですけれども、今回、当初から前例には合わないよということが共通認識だったという点もまた、この予算編成を最初から、今までの形にとらわれずにつくるという姿勢で臨んだことは非常によかったのかなと思います。
 そこでちょっと伺うんですけども、こうした通常の予算編成や補正予算の手続とは異なる状況であったわけですから、今回、補正予算をつくるに当たって、どのようなプロセス、過程を経ながら補正予算を編成していったのか。
 また、あわせて、今回の編成作業を振り返って、主計部長より、率直な感想というか、所感というものを伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○長谷川主計部長 今回の緊急対策の策定と補正予算の編成は、お話にございましたとおり、未曾有の震災を受けて、日々刻々と変化する事態に対処しながら、短期間で質、量ともに骨太のものに取りまとめるという、まさに全庁の総力を挙げた作業であったと思います。
 具体的にこの間のプロセスを申し上げれば、まさに当初予算の議決をいただいた日に震災があったわけですけれども、その震災から半月余が経過した三月の末に、東京の再生ということと同時に被災地の復興支援を行うという、いわば二正面からの作戦の取り組みを拡充すべく、早急に実施すべき具体的な方策について五月末までに取りまとめよという知事からの緊急の指示がございまして、作業に着手いたしました。
 着手した時期は、まさに被災地、被災者への応急の支援ですとか、あるいは震災による都内へのさまざまな影響などへの対応に、全庁が前例のない中で取り組んでいるさなかでございまして、これと並行しての、まさに走りながらの作業でございました。
 現地のニーズの変化でありますとか、あるいは原発事故の深刻化、国の動向などに加えて、電力不足に対する都民の不安でありますとか、都内の事業者の皆さんの経営への影響など、事態の推移を的確に把握しながら、これに柔軟に対応すべく、都がやるべきことは何か、あるいはやれることは何か、現場を持つ都のノウハウを結集して知恵を絞ってまいりました。
 具体的には、この間、各局におきまして、今直ちに行うべきことから、今後に向けて準備すべきことまで、必要な施策の洗い出しを行いまして、その上で、知事本局、総務局とともにいわゆる官房三局で連携いたしまして、二度にわたって、ほぼすべての局からヒアリングを行うなどして、かんかんがくがくの議論を繰り返してまいりました。
 そうした中では、まさに津波の問題ですとか、防災対策の問題だけではなくて、それこそ、先ほどちょっと議論がありましたけれども、電力の問題についても、この夏の電力不足だけではなくて、今回の震災にかんがみると、電力の問題というのは、都市の防災力としても非常にかなめであるというような視点ですとか、それこそ従来から問題としてございます木造密集地域の整備についても、これまでの手法だけではなかなか、そのネックになる合意形成が進まないといったようなことに対して今回何をなすべきかというようなことを、それこそ横ぐしを通していろいろ議論した上で組み立てまして、この五月二十七日に緊急対策としてまとめ上げることができたものでございます。
 今回の補正予算は、このための所要の予算上の措置を行うものでございますけれども、今、都としてなすべきこと、着手すべきことにつきましては、しっかりと盛り込んだものと考えております。

○斉藤(あ)委員 前例にとらわれないという部分で今回補正予算ができ上がっていった部分で、その姿勢を最初から最後まできちんと通してやれたことは非常によかったことじゃないかなと思います。
 ただ、そうはいっても、先ほど走りながらといういい方をしたのですけれども、実際に五月末の時点でいろいろなことを考えて、その部分ではできることというのはかなり、入れられるものについてはやっていったと思うんですが、一方で、五月の時点に比べて、例えば六月なんかを見ると、節電の問題も大きいのですが、放射線に対する一般の方の、都民の方の心配というのは、多分、五月の段階よりも今の方が少し膨らんでしまっている。当時の中では、いろいろな線量計などの中で放射線量をはかったりするということに関してはかなり、その時点では非常に--これ、どういう手法をしたら、一番、都民の皆さんが安心するかというのをなかなか、手探りの中で予算をつくっていった点ではよかったと思うのですが、今つくるとしたら、もうちょっとその部分を手厚くしなきゃいけないなと、また新たな課題が、時間がたったことによって出てきてしまったのは事実かなと思います。
 今回、補正予算によって一定の対応はできるといっても、こういった収束しない放射能の問題や電力対策など、非常に流動的な課題がたくさんございます。国において、今後、数次にわたって補正予算を編成することが見込まれるわけなんですが、一次補正で対応が不足する復旧に係る経費、そして、それ以降の復興を支えるというふうなことにつながっていくんじゃないかと思います。
 東京都においても、こうした流動的な状況を踏まえて、今後の事態の推移をしっかり注視して、必要な対策をチャンスを見てきちんと入れ込んでいくということが必要なんじゃないかと思いますが、こうした状況の中、今後、中長期にわたる震災対策を進めていかなければいけないわけですけれども、財政を預かる者として、今後どのような対応になっていくのか、ご所見を伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 今回の緊急対策では、直ちに対応することのみならず、今後の事態に備えたあらかじめの手だてでありますとか、将来をも見据えた本格対策への準備ということまで含めて、現時点で見込めることは、可能な限り盛り込んだと考えております。
 したがって、まずは、緊急対策を全庁を挙げて着実に実施することが重要でございますけれども、今回の大震災への対応は、来年度以降も含めた息の長い取り組みとなるものでございまして、あわせて、今後のさらなる状況変化にも的確に対応していくことも必要であると考えます。
 今後の財政運営に当たりましては、財政の環境の先行きを見通すことが困難な中にありましても、こうした継続的な取り組みを財政面からしっかりと支えていくことが重要であると認識しております。そのためにも、まず、これまで培ってまいりました基金などの財政対応力を適切に活用すると同時に、将来にわたって、これをしっかりと堅持することが極めて重要であります。
 また、事業評価の取り組みを初めまして、むだを省いて施策の実効性を高める努力も、さらに続けていかなければならないと思います。
 こうした堅実な財政運営に徹することで、震災前を上回る都市力を備えた東京の実現に向けて、庁内各局とともに取り組んでまいります。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。
 それでは、二つ目のテーマで、今度は財産管理の方になりますけれども、都庁舎の電源設備改修が今回入っておりますので、それについて何点か伺います。
 今回、第二庁舎も、BCP、ビジネスコミュニティプラン、事業継続計画ということで、今回の震災を受けてよく使われる言葉なのですが、災害時に限られた条件下で最低限の事業継続をして目標復旧時間内に業務を再開するための計画をつくることなんですが、このBCP対応とするということで、第一庁舎に倣って、第二庁舎も非常用の電源を変えるわけなんですけども、新しくするわけなんですけれども、出力は、現行何kVAからどのぐらいになるのでしょうか。
 実際にまた、今回、電源の、発電機の能力を上げるわけなんですが、設置タンク容量についてはどのようになるか、そこを伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 第二本庁舎の非常用発電機の発電能力を増強させるために、現行の千五百kVA二基を二千kVA程度二基に改修することといたしまして、現在、実施設計に向けた準備を行っております。
 燃料タンクにつきましては、建物内の地下空間に設置をされておりますが、空間の大きさに制約があるために、タンクの容量の増加を予定してございません。
 なお、燃料を確保するため、都は石油供給団体と災害時協力協定を締結しておりまして、都庁舎を優先供給先として指定し、確実に確保することとしております。

○斉藤(あ)委員 今後の展開については後で聞くのですけれども、この前の三月十一日の震災のときの時点で、第一庁舎と第二庁舎、それぞれ燃料タンクにどのくらい燃料が残っていたのか。
 そしてまた、各庁舎の電源の燃費と電力供給可能な時間数、これについて教えていただきたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 三月十一日の地震当日における燃料の残量でございますが、第一、第二本庁舎で、それぞれ百八十七キロリットル及び九十五キロリットルでございました。タンクの容量が、それぞれ二百十八キロリットル及び百九キロリットルであることから、残量割合はおおむね八七%でございました。
 また、燃費についてでございますが、第一、第二本庁舎で、それぞれ一基一時間当たり一・二五キロリットル及び一キロリットルでございまして、地震当日に残っていた燃料で、それぞれ七十五時間及び四十七時間程度のフル稼働は可能でございました。

○斉藤(あ)委員 タンクの方も、一〇〇%いっぱいいっぱいに入れるということは多分ないと思うんですが、恐らく、それ以外にある程度減量している、量が減っているというのは、時々、非常用電源といえども試運転をしているということもあって、その関係で少し量が減っているんじゃないかなと思います。実際に非常用電源の試運転の頻度と試験規模、また使用燃料量、これについて教えてください。
 また、試運転といえども、若干減ってきますと、ある程度の補給もしていると思うのですが、一番少ないときで、どの程度、この燃料の量は残っているような形になるのでしょうか。

○藤森庁舎運営担当部長 試運転につきましては、毎月の試運転と年一回の電気設備点検にあわせて行う試運転がございます。
 毎月の試運転につきましては、運転時間は五分程度で、第一本庁舎の非常用発電機の場合、一基で一回当たり〇・一七キロリットルでございます。年一回の試運転につきましては、運転時間一時間程度で、同じく第一本庁舎の非常用発電機の場合、一基で一回当たり〇・七七キロリットルの燃料を使用してございます。
 燃料につきましては、毎月残量を確認し、残量に応じまして補給を行っております。
 残量が最も少なかった事例でございますが、昨年五月、第二本庁舎におきまして、部品交換時の試運転をした際、残量が九十四・四キロリットルまで使用し、補給したケースがございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。最大量で百九、昨年五月の減ったときに、今回九十五キロリットルだった第二庁舎の方で九十四・四キロ、つまり九十四・四キロがかなり少ないケースだったわけで、それで補給をしたということなんですが、今回も九十五キロリットルということで、かなり三月十一日に少なかったので、実際にこの第二庁舎の非常用電源を使わずに済んだというのは、本当にラッキーだったのかもしれません。一番少ないときに近い量しか残っていなかったので、そこは、本当に不幸中の幸いだったんじゃないかなと思います。
 ただ実際に、仮にこのような非常用電源を使った場合にちょっと気になるのは、今回、幾ら石油の方面で協定を結んでいるといっても、町場のガソリンスタンドを見てわかるとおり、こういう給油の部分については非常に難航を極めました。もちろん、優先的な流通の確保ということはやっているわけなんですけれども、そうはいっても、被災地に送る方の燃料なんかについても大変確保が難しかったわけですから、我先に都庁舎に送るというのが、実際に非常用に送る先の中でもどのぐらいの順位にあったかというのが、ちょっと気になるところであります。
 こういった外部からの補給に関して、想定ではどのように行っていく予定なのか。そして、今回のまさに前例がない震災、そしてまた、あちこちでコンビナートなどの火災などで燃料供給が難しくなってしまったというふうなことを見て、補給に関して、新たな想定や工夫について何か考えがあるのか、所見を伺いたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 非常用発電機の燃料を確保するため、都は、先ほど申し上げましたが、石油供給団体と災害時協力協定を締結いたしまして、都庁舎を優先提供先として指定してございます。
 また、災害時におきましても確実な供給ができるように、緊急通行証の交付による交通規制区域の通行確保などを想定してございます。
 今回の地震の状況を踏まえまして、燃料の補給がより一層確実なものになるよう、所管局におきまして現状の対応方針の検証を進めていると聞いております。
 また、非常用発電機が起動できない場合でも、都庁舎独自に電力を確保するため、電力会社の燃料つきの電源車による緊急の電力供給を受けられるよう、接続装置の設置を行おうとしているところでございます。

○斉藤(あ)委員 今のを踏まえまして、最初にちょっと質問した今回の工事に関してです。
 今、第一庁舎の方も、ある程度新しい電源、発電機の入れかえを進めているということなんですが、第一庁舎の方の電力供給時間というのはどのように変わっていくのでしょうか。
 例えば今、第二庁舎、ほぼ第一と第二が同じような形でBCP対応ということで機械が変わっていくとすると、第二庁舎において千五百kVAだったものが二千kVA、つまり三分の四倍になっていくわけですね。そうすると、使える--逆にいえば燃料タンクの大きさは、さっき地下に埋設ということで、大きさが変えられませんから、同じ燃料を使って発電機の大きさが変わると、当然その燃費というか、持続できる時間が減っていくと思うんですね。三分の四倍になりますから、恐らく時間は、逆の四分の三倍になってしまうんじゃないかと思うんですね。
 ですから、ちょっとその時間が減ってしまって大丈夫だろうかということが気になるんですけれども、現在、既に進めている第一本庁舎の発電機の入れかえに関して、どのように変わっていくのか教えてください。

○藤森庁舎運営担当部長 第一本庁舎におきましては、非常用発電機の発電能力を増強させるため、現行二千五百kVA二基を、四千kVA二基に改修することといたしております。
 改修前と改修後の電力供給時間でございますが、燃料タンクが満杯で無補給とした場合に、改修前でおおむね八十七時間、三日半程度であり、改修後は、当初設置から約二十年経過しての機器更新であることから、燃費の向上もございまして、おおむね七十時間、三日程度になります。
 電力供給時間が短縮されるのは、発電能力を向上させるために、燃料の消費量が高まったものと考えております。

○斉藤(あ)委員 今までが八十七時間で、普通だったら四分の三になるだろうというふうに思うんですが、燃費の向上が大分、二十年たつと性能が上がっておりますので、おおむね七十時間ということで、八〇%程度の燃費の維持ができるということですね。
 先ほど第一庁舎、第二庁舎の部分で、そのとき残っている燃料を使用した場合に、第二庁舎が四十七時間ですから、恐らく、第一庁舎と同じような計算でいくと、三十七・六時間ぐらいは稼働できるというふうなことになると思います。
 さりとて、だんだん少し時間数が短くなってまいりますから、そこは少し心配であります。ただ、BCP対応という部分について、各部局の動きもあって、実際にはそこまで目いっぱいエンジンを回さなければいけないかどうかというのは、恐らくこのBCPの、つまり事業継続計画がどのようになっていくか、各部署でどのように計画をつくるかというところで、多分、この燃費も、持続時間も変わってくるんじゃないかと思います。このBCP対応の際の各部局の動きについての計画は、今現在のところで見れば、計画はどのようになっていくのか、そして、使用電力の予測と電力確保についてはどのようになると考えているのか、そこの所見を伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 非常用発電機の増強によりまして、都庁のBCPにおいて最優先とされております消防設備や防災設備への電力供給に加えまして、各局BCPに必要となる電力をより確実に供給可能とするものと考えております。
 各局のBCPにつきましては、現在作成中と聞いており、発電能力の増強を考慮しながら、内容の調整が進むものと認識をしております。

○斉藤(あ)委員 BCP、細かい計画の部分についてはこれからであります。ただ、今回のように、確かに燃料などの確保が非常に難しいことは、今度震災が起こった場合に、そういう条件が新たにできる--燃料供給がさらに難しくなる可能性もありますので、今後、そのBCP計画を見ながら、同時に、今申しましたように第二庁舎の方が非常に持続時間が短いわけですし、また、全体の時間も少し短くなっているわけですから、それを見て、また新たに燃料補給の方法について、もしくは設備に関して必要があれば、先ほどの補正予算の枠組み全体の話につながってまいりますけれども、今後必要な部分については、また今後の補正予算などで対処することがあるかと思いますので、ぜひそういったことも余裕を持って検討していただければと思います。
 要望として質問を終わります。

○大西委員 財務局関係の補正予算のうち、都有施設における節電対策について、まず伺います。
 今回の東日本大震災では、本当に東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。被災された方に対してお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 この地震により、東京電力管内の電力の供給力が大きく減少し、緊急措置として、三月十四日から計画停電が実施されました。先週の金曜日の一般質問で、私は不平等について取り上げたところでもございますが、その結果、首都圏の電車の数が減り、企業や家庭のエアコンや冷蔵庫がとまりました。また、信号機が消えて、交差点で車が右往左往する光景が見られましたが、このように、計画停電は多くの課題を伴うことが明らかになったところでもございます。
 四月になって計画停電は不実施、これが原則となったわけで、この夏に向けて電力の需給バランスが回復したわけではないわけでございますが、夏場の電力不足に備えて、この七月からは、経済産業省による瞬間最大使用電力の制限が始まることとなります。企業など大口の電力使用量は全体の四割を占め、一般家庭は二割程度にすぎないといわれております。ところが、削減対象である夏場のピーク時の最大使用電力量では、一般家庭が全体の四割強となり、ピーク時の使用量を抑えるには、一般家庭の使用量をいかに削るかがかぎとなるといわれております。
 この七月から九月の節電期に、大口需要家への使用制限遵守に向けた必要な情報提供や、小口の需要家、また都内各家庭における節電行動を促すための対応が求められるという中にあって、電力不足に備え、都庁舎はもとより、都の都有施設におけるみずからの節電の徹底が大きな課題とはなっています。
 そこで、今回の緊急対策における、財務局予算の都有施設における節電対策について伺います。
 この事業の内容というものはどのようなものなのでしょうか。そして、どうやって節電目標を達成しようとしているのかを、まず伺います。

○末菅建築保全部長 都が本年五月に策定いたしました東京都電力対策緊急プログラムでは、都庁舎など、主として職員が利用する施設は、民間の取り組みを牽引する率先行動として、ことし夏のピーク電力を、昨年夏と比較いたしまして二五%削減、また、多くの都民が利用する施設では、同様に一五%削減を確実に実施することといたしております。
 今回の財務局関連の補正予算のうち、都有施設における節電対策は、委員会要求資料にお示しをいたしました三点の内容となってございます。
 まず一点目でございますが、三百カ所の都有施設に需要電力監視装置、いわゆるデマンド監視装置を設置いたしまして、三十分ごとの使用電力量を把握することにより、あらかじめ設定いたしました電力量を超えそうな場合に警告するなど、電力量の見える化により、電力のピークカットに適切に対応できるようにするものでございます。
 二点目の空調遠隔制御方式でございますが、電話回線を利用した遠隔制御により、気象条件に応じて省エネ設定を自動調整するサービスを導入することによりまして、空調機の使用電力を抑制するものであります。
 三点目の空調チューニングでございますが、既設の空調機の制御基盤の設定を変更することにより省エネ運転となりまして、使用電力量を抑制するものでございます。
 都有施設の節電対策は、それぞれの施設で行うことになってございます。それらの施設において施設管理者が節電目標を達成するため、その手助けとなるよう、これらの省エネ機器を導入するものでございます。

○大西委員 節電に向けた方針というのは、ある程度できているみたいなんですけれども、この夏の節電対策自体は大変重要だとは思います。ただ、一方で、都有施設においては、都民向けの施設もたくさんあるわけです。例えば、都民が参加する会議において、節電目標をクリアするために、先ほどのデマンド監視装置が働いて、会議の途中で機械的に冷房をちょっと少なくしたり、照明を落としてしまうといった業務運営があるのかどうか、節電に向けてどのような運用を行おうとしているのかを伺います。

○末菅建築保全部長 東京都電力対策緊急プログラムにおきましては、多くの都民が利用する施設では、都民サービスの観点も含めまして、過大な負担をかけないよう節電目標を一五%に設定しております。
 今回の節電対策で導入する機器につきましても、気象条件に合わせて空調の設定を調整するものや、デマンド監視装置により使用電力を監視しながら電力使用量のピークカットを行おうとするもので、その機械により、自動的に空調や照明を停止させるものではございません。
 節電の取り組みにつきましては、各施設管理者が、都民サービスの観点から施設運営に必要な機能を維持しつつ、節電目標の達成を目指すものでございます。

○大西委員 例えば、変な例かもわかりませんけれども、大きな会議室がありました、そこに都民が集まって会議をします、予想以上に人がたくさん入りました、そうしたら、当然、熱気と体温とかでいろいろ上がりますよと。それが偶然、たまたま電力が一番ふえるときと重なったときに、東京都としてのデマンド監視装置が働いてふえちゃいますよといったときは、そういう人の多いところとか、都民がたくさん使うところはなしにして、例えば廊下とか、ほかのところで節電をする、こういうふうなやり方だと理解していいのでしょうか。

○末菅建築保全部長 都民利用施設の節電対策は、都民サービスに配慮しながら行う必要がございます。
 ご質問にございますように、その施設の使用電力量が設定した限度に達したからといいまして機械的に切るのではございませんで、例えば、その時点で使用していない部屋や、少人数で使用している部屋、共用部分などの照明や空調を制御することにより使用電力を抑えるなど、節電は、あくまでも都民サービスに支障のないよう配慮しつつ、目標達成を目指すものでございます。

○大西委員 ありがとうございます。
 節電は喫緊の課題であります。しかし、一方で、都民サービスへの影響を最小限にする努力も必要だということをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、契約案件としての第二本庁舎のエレベーターの改修の二件に関連して、幾つか質問させていただきます。
 今回の大震災に対して、ここ都庁舎においても、少なからず本当に影響があったと。地震の当日、揺れの影響で、鉄道の運行停止により帰宅困難者が多く発生し、都庁舎においてもたくさんの人を受け入れて対応されたのも、私も一緒にやっていたので見ております。
 一方、幾つかの被害があったということも聞いております。エレベーターが停止したこともその一つだと聞いておりますが、エレベーターは、建物内を移動する際に本当に便利な設備でありますし、大前提として安全に運行されている必要があると思います。
 先ほど、エレベーターの閉じ込めはなかったのかという質問がありました。それで、なかったという話をおっしゃいましたけれども、当日ですか、私もずっと控室で、帰れなくてテレビをちょっと見たときに、たしか報道で、都庁舎で閉じ込めが発生していますみたいなことが出ていたんですけれども、これはなかったということで、もう一度確認させてもらっていいですよね。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎のエレベーターにつきましては、地震時には、管制運転により最寄りの階に停止することになっております。今回の地震の当日、すべてのエレベーターでこの地震管制が働きまして、最寄り階に停止をいたしましてドアが開いたことにより、エレベーター内の閉じ込め事故はございませんでした。

○大西委員 確認として閉じ込めがなかったということで、すごくよかったなと、あれは誤報だったんだなということがわかったことだけはうれしいなと思いますが、この地震によってエレベーターそのものへの影響があったのかどうか、お伺いします。

○藤森庁舎運営担当部長 地震管制により停止したエレベーターは、地震による揺れの大きさによりまして、自動的に運転再開する場合と、保守会社による安全点検を行った後に運転再開する場合とがございます。
 今回の地震におきましては、保守会社の安全点検が必要となる揺れの大きさであったため、安全点検終了後に順次運転を再開いたしましたが、一部のエレベーターにつきましては、ロープが絡まるなど、運転再開に当たりまして保守作業が必要なものがございました。

○大西委員 地震によるエレベーターへの影響については、保守作業によって確認して運転再開に至ったという今のお話でございますが、運転再開までどのぐらいの所要時間、どの程度であったのか、お伺いいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 保守会社の作業員が庁内に常駐をしていないために、保守会社に点検を依頼いたしまして、安全点検により安全性を確認したものから運転再開することになります。
 当日は、作業員が地震発生後約十分程度で都庁舎に到着をいたしましたが、大きな余震が断続的に発生をしていたため、点検作業はなかなか着手できずに、地震の約六時間後から順次運転を再開いたしました。
 一部のエレベーターにおきましては、ロープの絡まりやもつれなどにより、保守作業に時間を要したものもありました。地震発生は金曜日でございましたが、週明けの月曜日の朝の段階で、第一、第二本庁舎のエレベーター七十五基のうち、四十三基について運転可能な状態となりました。
 なお、その日より、電力不足への省エネ、節電緊急対策といたしまして、一般用エレベーターにつきましては、運転台数を二分の一に縮減してございます。

○大西委員 大きな地震においても、乗り合わせた人の安全性の確保とともに、その後の迅速な運転再開ができるような備えをしておくべきだと考えます。
 今回の改修は、設備の老朽化への対応が主なものであると思いますが、せっかくの機会であり、単に設備を新しくするのみならず、必要とされる機能の付加や性能の向上を図るべきだと思います。予定されているエレベーターの改修を行うことで、このような課題は改善されるのかどうかお伺いいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 ただいまのご質問の回の前に、先ほどの答弁の際に、地震発生が金曜日でございまして、週明けの月曜日に、都庁全体で七十五基のエレベーターがあるところ四十三基というふうに間違えまして、六十三基の誤りでございますので、済みません、訂正をさせていただきます。
 今のご質問にお答えします。
 今回のエレベーターの改修につきましては、さまざまな人々が訪れます公共性の高い施設である都庁舎を、だれもが安全で快適に利用できるような設備に更新することとしております。このため、予定しているエレベーターの改修に当たりましては、ユニバーサルデザインの導入や戸開走行防止装置の設置などとあわせまして、ロープの絡まり防止装置の設置など、耐震対策も講じることといたしております。

○大西委員 皆さんもご存じのように、エレベーター、特にこういう高い建物においては、なくてはならないものでございます。四月に入って余震がございました。あのときに私は二十八階で会議をしておりまして、終わった後、エレベーターが全部とまっていたので、早く戻らなければまずかったので下まで歩いたわけですけれども、実は、二十八階なのに、下に歩いて一階を歩いていると、ひざがかくかくかくかくとなりまして、僕だけかなと思ったら、後ろの人もみんな同じようなことをおっしゃっていました。
 おりるときに、下から、はあはあいいながら上がってくる人もたくさん見たわけでございますけれども、エレベーターの重要性というのは、特にこういう高層ビルでは必要だなという気もしますが、せっかくの改修の機会でありますので、着実な改修を行って、エレベーターとしての機能が十分発揮されるよう、当然わかっていると思いますが、改めて申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○高木委員長 これより主税局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○田倉税制部長 第二回定例会に追加提案させていただく予定の、東京都都税条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご報告申し上げます。
 平成二十三年度地方税法改正法案のうち、六月末で期限切れとなる税負担軽減措置等を切り離した新法案が去る六月二十二日に成立し、今月末にも公布される予定でございます。これに伴い、東京都都税条例等の改正が必要となりますので、ご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、東京都都税条例の一部を改正する条例案の概要、平成二十三年第二回定例会追加提案をごらんいただきたいと存じます。
 主な改正内容は三点ございます。
 一点目は、個人都民税の配当割及び株式等譲渡所得割の税率五%を三%としている特例措置について、平成二十五年十二月三十一日まで延長するものでございます。
 二点目は、市街地再開発組合等の不動産取得税の納税義務の免除を廃止するものでございます。
 三点目は、個人事業税及び宿泊税等の不申告や帳簿記載義務違反について、罰則の上限を引き上げるものでございます。
 お手元には、資料第2号、東京都都税条例の一部を改正する条例案関係資料をお配りしておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上、第二回定例会に追加提案させていただく予定の条例案のご報告とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○高木委員長 報告は終わりました。
 本件につきましては、次に行います付託議案の審査の質疑の際に、あわせて質疑を行いますので、ご了承願います。

○高木委員長 付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 第百十六号議案及び報告事項、東京都都税条例の一部を改正する条例についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。

○斉藤(や)委員 三月に発災いたしました東日本大震災は、東北三県を中心に、かつてない大きな被害をもたらしました。また、隠れた被災地とも呼ばれているのは、茨城県を初めとしまして、千葉県、また、東京都内でも甚大な被害が生じまして、各所で液状化現象が発生したわけでございます。
 私は、公明党の都議団として、グループに分けて各方面を視察しましたけども、茨城県を担当いたしまして、六月一日に茨城県の潮来市の被害状況を視察いたしまして、液状化現象による被害の深刻な現状を目の当たりにしてきたわけでございます。
 例えば、電柱がすっぽりそのまま垂直に沈んでいっているような大変ひどい地域、潮来市にございました。家の中にいますと船酔いしてしまうような傾き加減、三%ちょっと斜めになっているだけで、生活する家屋が傾いていますと、健康にも大変大きな影響が出るわけでございますが、こういった液状化現象によります被害は、東京二十三区内でも発生しておりまして、四月二十六日に、上野理事の地元でもあります江戸川区内戸建て住宅なども視察したところでございます。住宅が大きな被害を受けておりまして、修繕費等に苦労されている都民の方が多数おられます。
 我が党は、先日の代表質問でも、被害を受けた世帯に対する支援をしっかりすべきだと訴えたわけでございますが、液状化の被害を受けている方へは、税制面からの支援もしていくべきであると考えるわけでございます。
 そこで、災害によります都税の減免の制度があると思いますけれども、液状化によります被害を受けた場合における固定資産税の減免につきまして、お伺いをしたいと思います。

○堀内資産税部長 固定資産税の減免でございますが、東京二十三区におきましては、災害等により固定資産が滅失し、または甚大な被害を受けた場合、都税条例に基づきまして、固定資産税及び都市計画税について減免措置を講じているところでございます。
 減免には納税者本人からの申請が必要でございますが、個々の被災の程度に応じまして減免を適用しているところでございます。
 家屋につきましては、家屋が損壊、焼失または流失した場合などに、損壊等の被害の程度に応じた減免を行っているところでございます。この損壊には、お話の液状化による建物が傾斜した場合なども含まれております。
 また、土地につきましても、がけ崩れ、地すべり、土砂岩石の流入などにより土地の効用を妨げられた場合、その被害の程度により減免を行うこととなってございます。
 液状化による被害は被災の認定が難しい面がございますけれども、被災の状況の調査等を十分に行い、土地の効用が妨げられていると認められる場合につきましては、減免の適用について適切に対応してまいります。

○斉藤(や)委員 ありがとうございます。被害の程度に応じて、きちんと対応していくというご答弁をいただいて安心いたしました。被災者の立場に立って、しかるべき対応をしていただきたいと思いますが、申請期限というものもございますので、しっかりと広報の方もお願いをしていただきたいと思います。
 近年、南関東、特に東京、首都直下もそうでございますけれども、南関東におきまして大地震が起こる確率が高まっているといわれております。直下型地震だけでなく、東海、東南海、南海三連動の地震の発生も懸念されまして、先ほども議論をさせていただきましたけれども、長周期の地震動などは、遠方で起こった地震の影響がこの東京にも及ぶという被害が想定されるわけでございますが、こういった三連動地震などの発生も懸念されている中にありまして、災害対策を根底から見直すと、石原知事も述べられているところでございます。
 これまでも都は、災害に強い都市を目指して積極的に取り組んできたところでございますけれども、防災はこれまで以上に重要な課題となりまして、今般の補正予算におきましても、東京を高度な防災都市へと生まれ変わらせるという大きな柱が出されているわけでございます。
 中でも木造住宅密集地域の整備促進におきましては、東京緊急対策二〇一一の中で、まちづくりや税制などの施策を組み合わせた効果的な手法により、新たな実効性のある施策を検討すると、このように書かれているわけでございます。しかしながら、木造住宅密集地域の解消には非常に時間がかかります。我が党の代表質問の中でも、インセンティブを高めていくことが重要であると申し上げたところでございますけれども、防災まちづくりの推進におきまして、主税局は既に、住宅の耐震化、こういった耐震化を一層促進する観点から、平成二十年度より耐震化促進ための税制を実施していると思います。
 そこで、耐震化促進のための税制、この制度の創設の趣旨と内容、実績につきましてお伺いをしたいと思います。

○田倉税制部長 耐震化促進税制につきましては、災害に強い東京の実現を税制面から支援するため、平成二十年度に創設したもので、二十三区内において、耐震化のための住宅の建てかえ、または耐震改修を行った場合に、税制上の優遇措置を講じておるものでございます。
 住宅を建てかえた場合は、建てかえ後三年度分の固定資産税及び都市計画税の全額を減免するものでありまして、また耐震改修を行った場合には、一定の床面積相当分までについて、改修を行った時期により、三年度分、二年度分または一年度分の固定資産税等の全額を減免するものであります。耐震改修を早く行うほど、長い期間、税が軽減される仕組みとなっております。
 実績につきましては、平成二十二年度定期課税時点で、建てかえ減免の件数が三千九十九件、耐震改修減免の件数が一千二百五十九件、減免税額は、固定資産税と都市計画税を合わせまして、建てかえ及び耐震改修の合計で約四億六千万円となっております。

○斉藤(や)委員 この税制によって政策を実現していくというのは、大変難しい点があると思います。このような、せっかく税制をつくってやられているわけでございますけれども、木造密集地域の解消にどこまで税制が貢献できるか、これはこれからの議論があるところですが、既に耐震改修につきましては、このようなすばらしい減免制度をつくっていただいているわけでございますが、耐震改修を早めるためのインセンティブを組み込むなど、きめ細かく制度設計をされている内容を今伺ったところでございます。政策税制を用いた主税局としての積極的な取り組みを評価したいと思います。
 私はこれまでも、本委員会におきまして、課税自主権という角度で議論してまいりました。都がみずからの責任と判断で、独自の政策を推進するための政策減税は、活用の仕方によりましては大変効果の高い政策である反面、これを効果的に活用するのが難しいという一面もございます。今の実績も、当初の予定から考えまして、その評価というものは、きょうはいたしませんけれども、せっかくそういう税制をつくっても、その組み合わせによりまして効果があったりなかったりすることは、これはあります。
 今定例会の所信表明におきまして、知事は、木造住宅密集地域対策としまして、まちづくり施策や税制、建てかえ時の生活支援策などを総動員した新たな手法を生み出すと、このように述べられております。これまで以上に前向きな都の姿勢がうかがえるわけでございますが、この都政の課題の解決のために、全庁が所管にとらわれずに一丸となって取り組んでいくことが何よりも重要であると考えます。
 しかし、例えば、不燃化が進まない地域を都市整備局が一定の基準により設定しまして、その地域におきまして、歳出面でその施策を効果的に実施するということとともに、減税を行うことでインセンティブ効果を高めるというようなことは、私は可能であるというふうに考えているわけでございます。
 都政の喫緊の課題への取り組みを事業で推進するのは、都市整備局などの事業局であるということはそのとおりでございますけども、政策減税に過度に期待してはいけないということは理解するものの、税収確保という以外に、主税局が税制面から事業局の施策をバックアップするという重要な役割が期待されているということだと思います。防災まちづくりに向けて、必要に応じて政策減税を拡充することも考えていくべきであると考えます。
 そこで、主税局として、この政策減税の可能性につきまして、都はどのように認識をし、今後どのように取り組んでいくつもりか、局長にお伺いしたいと思います。

○荒川主税局長 私ども主税局の最大の役割は、今お話がございましたような、防災都市づくりを含めまして、都政の推進のためにしっかり都税収入を確保していくということは申し上げるまでもないことでございますけれども、ただ、先生、今ご指摘の政策税制による減免につきましても、納税の段階から都民にインセンティブを与えて事業を推進する、促進するという意味では大変重要であるというふうに認識しております。
 減免の制度は、ご承知のように、低所得者や災害の被災者などを対象にして、納税者の負担能力とか、あるいは資産状況に着目して実施する場合のほかに、その時々の政策目的に応じて政策減税としても減税が行われておりまして、都の場合も、法令で定められたもの以外に、都独自で防災対策や環境政策、子育て支援などを目的に、耐震化促進税制や省エネ環境減税、それから認証保育所の減免などを行っております。
 また、先ほど先生からお話がありましたように、東日本大震災で、東京を直接襲う大規模地震が心配されておりまして、防災都市づくりが都政の喫緊の課題ともなっております。
 主税局としましても、税制面で何をすることが効果的であるかということを検討を始めておりまして、そのため、東京都税制調査会におきましても、新たに防災と税制のあり方について検討していただくことになりまして、先ほどの木密対策も含めて、都税調とよく相談しながら検討を進めて、国に対しても、必要な要求があればしていきたいというふうに考えております。
 ただ、我々自身が気をつけなくてはならないことは、減免する場合も、税の公平、中立、簡素という租税原則がございますけれども、こういった原則に反しないようにしていくことが必要でありますし、また、一たん減免が行われますと、補助金と同様に、なかなかやめることが難しいという面も実際問題としてございます。
 したがいまして、政策税制を導入する際には事前に効果をよく検討し、また、導入後も効果の検証、評価をしっかりやって、見直しが必要であれば見直しをしていくという努力が我々には必要であるというふうに思っております。
 いずれにしましても、以上申し上げましたとおり、税制面から都政の重要課題解決のために行動することは、主税局の大きな使命であるというふうに認識しております。
 都議会の先生方のご支援、ご協力、そしてご指導をいただきながら、今後とも真摯に取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

○斉藤(や)委員 局長から大変力強いご答弁をいただいたわけでございますが、主税局は、防災だけでなく、子育て、環境などの分野におきましても、東京の特殊性を踏まえ、都政の課題に臨機応変に対応されてきていると思います。
 主税局といえば、どちらかといえば縁の下の力持ち、また、税を徴収する役所というと、とかく嫌われがちでございますが、しかし、例えば今年度導入されました自動車税のクレジットカード納税でございますけども、これは都民に大変好評でございます。
 私、街頭に立っておりましても、非常に便利になったということで声をかけていただくこともございましたし、また、ツイッターなどを利用していますと、まさしくこういうことこそやってもらいたかったというようなお声も、よい反応をいただいております。主税局の努力がこのように実っていることを肌で感じているわけでございますけれども、このように主税局は、都民の生活に役立つこうした施策も、地味ながらも着々と進めておられます。
 今回、問題になっております木造住宅密集地域対策としましても、都市整備局から具体的な検討依頼があった場合には、今、局長からもご答弁がございましたけども、積極的にご協議いただけると、このように考えております。また、そのようにしていただきたいと思います。
 今後とも、主税局の存在感を示すべく努力を重ねていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○たぞえ委員 初めに、東日本大震災で亡くなられた方、そして長期の避難生活を余儀なくされている皆さんに、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 同時に、被災者、被災地への支援に、我が日本共産党としても全力を尽くす決意を申し述べるものです。
 家族を一瞬にして失い、財産をなくし、まちが廃墟になり、山積みされた瓦れきの姿を見るたびに、私もいつも心が痛みます。被災者への手厚い支援とライフラインなどの一日も早い復旧、さらには、住民や地元自治体が望む住民本位の生活再建と地域経済の復興はまさに国民的課題であり、国を挙げて取り組む緊急課題です。そして、大きな財政力を持つ首都東京が、この取り組みに大きく貢献することが求められています。
 国では、震災第一次補正予算が提案され、震災の救援と復興のため、極めて急を要する予算が成立しました。同時に、震災関連法案についても改正提案が行われ、地方税法改正案は全会一致で四月二十七日成立をしました。
 これを受けて都税条例改正案が今定例会に提案されていますが、被災者の方々が何を望み、何を願っているのか、どういう方向で自分たちの生活再建を考えておられるのか、今後の復興の方向はどうあるべきか、私は、そういう被災者の方々の気持ちを何よりも尊重する手だてが必要だということを痛感しています。その立場から、改正案について質問します。
 まず、生活の土台である住居の確保です。人々が長年築いてきた家などが津波で流され、地震でつぶされましたが、生きる希望までは流し壊すことはできませんでした。その人々は、生活してきた土地を心に残しながら被災地を離れ、新しい生活の場を見つけ出そうとしています。東京で新居を得るために、力の限り、今頑張り始めています。
 地方税法の改正では、不動産取得税の課税標準の特例が盛り込まれ、大震災で滅失したり損壊した家屋、いわゆる被災家屋の所有者が被災家屋にかわる家屋を東京で取得した場合には、同等の床面積に対して取得税を課さないなど、さまざまな税法上の特例措置が講じられていますが、被災者に制度の活用が伝わっていかなければ、改正した法案の魂は宿りません。
 都として、避難をし、新しい生活の場を東京に求めた方々にどのようにこれを周知しようと対策を講じられているのか、まず伺います。

○目黒総務部長 岩手や宮城など、いわゆる被災五県にお住まいの納税者の方々につきましては、既に納期限の延長措置を講じ、納税通知書の送付は行っていないわけでございますが、自動車税や固定資産税などの納税者の方々に対しましては、納税通知書のかわりにお知らせを送付しておりまして、延長された納期限が確定した後に改めて納税通知書の送付を行うこと、早期に納付いただける方については、その旨のご連絡をいただければしかるべき対応をとることなどの周知を行っているところでございます。
 ちなみに、このお知らせにつきましては、自動車税につきましては約八千三百件のうちの約三%に相当する約二百二十件が、また固定資産税につきましては約二万一千件のうちの約二%の約五百件が、発送はしても納税者へ届かずに都税事務所等に戻ってきた、いわゆる返戻分となってございます。
 このように、一部とはいえ、いまだ郵便事情の悪い地域が存在することや、被災地等に対する税制上の特例措置等の内容をできるだけ速やかに、そしてわかりやすく広報する必要もありますことから、主税局におきましては、被災五県と連絡を密にしながら、ホームページを活用した広報に特に力を入れているところでございます。
 現在、主税局のホームページでは、納期限延長に関する情報はもとより、被災のために代替不動産や代替自動車を取得した場合の不動産取得税及び自動車取得税の非課税措置など、東日本大震災に対応した法改正の内容や徴収猶予の取り扱い等について、きめ細かくお知らせしているところでございます。
 また、都内におきまして、地震や火災などによる甚大な被害を受けた方に適切に対応する必要もありますことから、罹災証明書を発行している区市町村と連携することによりまして、当該窓口において、都税の減免や徴収猶予の制度等をご案内するチラシを配布しているところでございます。
 今後とも、主税局で毎月発行している広報誌「あなたと都税」なども最大限に活用するなど、あらゆる媒体を総動員し、適切かつ効果的な広報に努めてまいります。

○たぞえ委員 財産を失った被災者は、納税猶予となっても、後で納められる見通しもないわけで、延滞金の免除はもちろん、納税力を十分に考慮した判断をするように求めておきたいと思います。
 東京で家屋の取得後に係る固定資産税、都市計画税についても減額を行うことが必要ですが、どう対応するのか、見解を伺います。

○田倉税制部長 今般の震災による被害が未曾有のものであることにかんがみまして、被災者の負担軽減を図るため、地方税法の特例措置が講じられております。
 この措置により、平成三十三年三月三十一日までに、東日本大震災により滅失または損壊した家屋の所有者が当該家屋にかわる家屋を取得した場合、または被災した家屋を改築した場合、固定資産税及び都市計画税は、取得または改築後四年間は二分の一、その後二年間は三分の一が減額されることとなっております。

○たぞえ委員 減免を実施した場合、東京都では税の減収という事態になります。減収分の財政措置について、東京都は国に働きかける必要があると思いますが、どのような認識をお持ちでしょうか。

○田倉税制部長 今回の減額措置のように全国一律に適用される地方税法の改正など、国による制度の創設や見直しによりまして減収となる額については、地方に負担を転嫁することなく国の責任において確実に財源を確保することを、所管局から国へ提案しております。

○たぞえ委員 国会では、片山総務大臣が、歳入欠陥債の元利償還分は一〇〇%国が見ると、せんだって、このように答弁をしておりますので、ぜひ地方自治体の負担にならないように国に求めていただきたいと思います。
 東北各県に限らず、先ほど斉藤委員からも質問がありましたが、東京を含む各地で、地すべりや液状化による地盤被害が起こっております。東京都総務局は、液状化被害は都内七区三十八カ所で発災していると公表しておりますが、東京湾岸部の液状化は、山手線の内側の面積の半分にも達して、まさに世界最大の被害でした。
 最近発表の週刊誌は、液状化大国日本、こういう見出しで、千葉県浦安市は、市域の、市のエリアの四分の三が液状化だったというふうに報道がされています。
 この被害に遭遇し、家屋を失った人、または暮らしていけない、住宅再建が大変厳しい困難な方々、こういう方々に対して、津波被害に対する固定資産税の免税に準じて税制面での支援が必要だと思いますが、どうでしょうか。

○田倉税制部長 二十三区におきましては、災害により家屋が被害を受けた場合、都税条例に基づきまして、固定資産税及び都市計画税について、個々の被災の程度に応じて減免措置を講じております。
 また、所得税及び個人住民税におきまして、住宅や家財などに損害を受けた場合、所得税法に基づく雑損控除等の税の軽減や免除の措置を受けることができることとされております。

○たぞえ委員 液状化という新しい事実が積み重なって、その家から離れなきゃならない、こういう方々の税制面の支援も、特に力を尽くしていただきたいと思います。
 そして、東京電力福島原発事故ですが、日本と世界の人々に大きな衝撃を与え、事故から三カ月が経過しても被害がおさまることなく、日本の災害史上でも類を見ない深刻な災害となっています。
 原発事故は、ほかの事故には見られない異質の危険をはらんでいます。地域を丸ごと失うという社会的問題、いつになったら消えるかわからないという時間的な問題、さまざまな、降りかかってきた--そしてさらに、放射能物質が外部に放出されると、もはやそれを抑える手段がない。どこまでも広がる危険があって、こういう点でも深刻な事態です。
 この計画的避難区域を含む避難指示が十二市町村に出されましたが、自主避難を含めると、約十万人の人々がいつ戻れるかわからない避難生活をされ、東京にも多くの方が避難されています。
 事故を一刻も早く収束して、放射能被害の拡大を食いとめ、子どもたちを初め、国民の健康被害を抑え、避難を余儀なくされた地域社会を再建するためにも、あらゆる力を傾斜していく必要があると思います。
 今回の地方税法の改正では、この福島原発事故による被災者への地方税減免措置については含まれていませんでした。都は、こうした方々に対してはどう対応されるのでしょうか。

○田倉税制部長 原発避難区域の納税者の方々を含め、このたびの大震災で被災された納税者に対しましては、申告、納付等の期限の延長を行うなど、きめ細かく対応しておるところでございます。
 今後、国において原発避難区域の納税者に対する追加の支援策が措置された場合には、それを踏まえまして、都としても適切に対応してまいります。

○たぞえ委員 国会で我が党の議員が原発被災者への対応を求めたことに、大臣は答弁で、今後の推移を見て必要に応じて法案を出すと、このように述べられました。被害実態がまだまだ確定をしていませんが、事態は毎日積み上がっているわけですから、国の支援策が措置された場合という時期を見守るだけではなくて、積極的に地方自治体として国へ働きかけを行っていただきたいと思います。
 さて、未曾有の大被害になった東日本大震災と福島原発事故、日本と世界の人々に大きな衝撃を与えておりますが、納税者の命と暮らしを守るために、主税局長の思いを聞かせていただきたいと思います。

○荒川主税局長 震災が起こりましてから早くも三カ月が過ぎまして、震災直後、主税局は各局と連携しながら、まずは、主要駅周辺の都税事務所を活用しまして帰宅困難者対策を行いました。その後は、被災者がいる都内の避難場所あるいは現地に対しまして職員の派遣を行いまして、被災者、被災地支援に取り組んでまいりました。
 特に職員派遣につきましては、都庁全体の二割から三割を主税局が分担しまして、積極的に取り組んできたというふうに思っております。
 また、税の面では、これまで部長たちが説明しましたように、都税の納税者となっている被災者に対しては、納期限の延長や徴収猶予、減免制度の適用を行っております。
 先日、都庁全体としての当面の緊急対策が発表されましたけれども、被災者支援や電力、放射能対策、産業振興、そして東京の防災都市づくりというのは、今後の都政の重要政策として全力で取り組んでいくことになると思います。
 こうした中で、直接、住民サービスの事業を持たない主税局ではありますけれども、都の組織としては大局でございます。また、課税、徴収という重要な行政手法も持っておりますので、先ほどご答弁しましたように、徴収確保とともに、政策税制というツールを生かしながら、主税局としての役割を大いに果たしていくべきものというふうに考えております。
 とりわけ、万が一にも大規模地震が東京を襲えば、その惨事は想像を絶するものとなりますので、それを少しでも防ぐ意味で、防災性の強化は全局が一丸となって取り組むべき緊急課題でありまして、主税局としましても、都税調などのお知恵をかりながら取り組みを検討し、また、国に対してもいうべきことはいっていくというふうに臨んでいきたいと考えております。
 今後とも、主税局に対する都議会の先生のご支援、ご協力並びにご指導を心よりお願い申し上げます。

○たぞえ委員 荒川主税局長、ありがとうございました。
 最後に、報告された都税条例改正の追加について意見を述べます。
 国会では、会期末が六月二十二日という期限が定められたその二十二日に、参議院総務委員会で地方税法改正案が可決をしました。先ほど報告された、法改正に伴う都税条例改正と宿泊税条例改正の報告部分について、この際、意見を述べておきます。
 今度の二回目の地方税法改正案に伴う都税条例改正案の第一の問題は、個人都民税の配当割、株式等譲渡所得割に係る税率を三%、二年間延長するものです。引き続く、一部大資産家を優遇するものであります。担税力のある大企業や大資産家の減税はやめて、震災復興、地域経済を元気にする措置こそ必要だと思います。
 第二に、個人事業税等ですが、この内容は、罰金刑、懲役刑の上限を引き上げるもので、納税者への罰則強化が拡大するものといわざるを得ません。同時に、人権無視の税務調査や差し押さえなどが広がるおそれがあります。
 会期末の駆け込みで、国民の暮らしが大変なときに減税や罰則というやり方は到底承認することはできないということを意見として述べます。
 以上です。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○高木委員長 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、平成二十二年度資金管理実績(年間)について外一件に対する質疑を行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方から、資料第2号として配られております二十三年度の資金管理計画を見ながら、何点か伺います。
 表紙の方では二十三年三月となっておりまして、表紙をめくりますと、本計画については、東北地方太平洋沖地震の発生に伴う金融、経済情勢や都の財政状況の変化等による影響を見きわめた上で、必要があると判断した場合には修正を行うことがありますというふうに断り書きが書いてあります。読み方も、東日本大震災ではないので、これを入れたときの時期を感じるわけなんですが、三月といっても、三月の上旬もあれば末もあるわけで、実際この計画の中では、三月十一日の震災の影響というものについては全く加味されていないというふうに考えてよろしいのでしょうか、確認をいたします。

○安藤管理部長 三月の計画策定時点でございますけれども、震災が都の財政状況に及ぼす影響というのが不明な状況でございましたので、計画には加味してございません。

○斉藤(あ)委員 今現在、既に六月の末なわけなんですが、現在のこの時点で、例えばこの資料をめくっていきますと、二ページあたりなどには、資金収支の見通しということで、二十三年度一年分が書いてあるわけなんですけども、この震災を受けて、いろんな部分での今後の予測というのは非常に不透明になっている部分もあります。
 また、既にいろんな動きが震災を境目にしてあったりするわけなんですが、この資料2の二ページのあたりの資金収支の見通しといった部分で、計画が現実に沿っていないような部分があるかもしれません。実際に、こういった中で、計画の中で現実に沿っていない部分がありましたら、説明をいただきたいと思います。

○安藤管理部長 計画とこれまでの実績を比べますと、現時点では、年度当初ということもございまして、震災を原因とする大きな乖離は見られてございません。
 ただ、今後の推移を十分に注視してまいりたいと思います。

○斉藤(あ)委員 計画をせっかくつくったところで震災があって、なかなか全体的に先を見通しづらくなってしまったというのは、つくった側としては大変残念な部分かなと思います。
 ただ、年度初めについては余り差がまだないということで、それこそ、むしろこの後の話なのかなというふうなところが今の所感なのかなと思います。
 先ほど財務局の中でも、今回の補正予算において、その財源であります中の活用可能な基金の繰入金七百五億円に対しての財務局側の方の視点での質問、答弁があったりしたんですが、私の方からは、会計管理局側の視点としてぜひ伺いたいところなんですけども、今回、七百五億円、これまで過去二年の中では、おととしは財政調整基金を二百六億円取り崩しまして、また昨年は、実際には基金の繰り入れ、基金を利用して補正予算の財源にしたということはなかったというふうに記憶をしております。
 それに比べて、今回は七百五億円ということで、その三倍以上の基金を取り崩すというふうなことになるわけなんですが、実際に会計管理局の視点で--数字で見れば、過去の比較でいえば大変大きな基金の取り崩しといういい方になるんですけども、会計管理局の方で運用する上で、基金の平均残高について、今回七百五億円という基金の繰り入れが今後どのような影響になっていくのか、ここを確認したいと思います。

○安藤管理部長 資金管理計画におきまして、今年度の基金平均残高として約二兆五千九百億円を見込んでございますが、今回の補正予算における基金の取り崩し額七百五億円は、その約二・七%程度でございます。
 さらに、実際に取り崩す時期等につきましては、収支の状況などに応じて決まるものでございまして、取り崩しが年間の平均残高に与える影響というものは、その時期が年度末に近づくほど小さくなるものでございます。したがいまして、平均残高の減少は二・七%を下回るものと見込まれております。
 今後、取り崩しの時期等の確定を受けまして、残高については精査してまいります。

○斉藤(あ)委員 現在のところは、年度当初ということで余り影響がない。そして、今後、一般的な平年のぐあいでいえば、取り崩しが平均残高に与える影響というのは、だんだん年度末に近づくほど小さくなっていくということで、この後、すごく大きくなるかどうかというよりは、むしろ小さくなるのが過去の前例であるというふうなことです。
 ただ、今後、当然のことながら、いろんな新しい状況の変化というものが恐らく基金運用に出てくると思いますので、その辺は柔軟に対応していただきながら、また、必要があれば計画に関して見直しをするということもあるかと思いますので、そのような用意を持って取り組んでいただきたいと思います。
 以上でございます。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二分散会

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