財政委員会速記録第五号

平成二十三年三月二日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高木 けい君
副委員長吉田康一郎君
副委員長たぞえ民夫君
理事菅  東一君
理事中谷 祐二君
理事上野 和彦君
福士 敬子君
くりした善行君
斉藤やすひろ君
鈴木 隆道君
田島 和明君
大西さとる君
斉藤あつし君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
主税局局長荒川  満君
総務部長目黒 克昭君
税制部長田倉 英明君
税制調査担当部長山内 和久君
調整担当部長須藤 充男君
課税部長木村 芳生君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長宗田 友子君
特別滞納整理担当部長阿南 威彦君
会計管理局局長新田 洋平君
管理部長安藤 弘志君
警察・消防出納部長稲田 正純君
会計制度担当部長佐藤  敦君

本日の会議に付した事件
 会計管理局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出 会計管理局所管分
 主税局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為 主税局所管分
・第三号議案 平成二十三年度東京都地方消費税清算会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十二号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・第四十三号議案 東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成二十三年度地方税制の改正について
請願陳情の審査
 固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
(1)二二第一三号
(2)二二第二一号
(3)二二第二二号
(4)二二第二六号
(5)二二第二七号
(6)二二第二八号
(7)二二第二九号
(8)二二第三〇号
(9)二二第三一号
(10)二二第三二号
(11)二二第三六号
(12)二二第三七号
(13)二二第三九号
(14)二二第四〇号
(15)二二第四一号
(16)二二第四二号
(17)二二第四三号
(18)二二第四四号
(19)二二第四五号
(20)二二第四六号
(21)二二第四七号
(22)二二第四八号
(23)二二第四九号
(24)二二第五一号
(25)二二第五二号
(26)二二第五三号
(27)二二第五五号
 固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情
(28)二二第七〇号
(29)二二第七一号
(30)二二第七二号
(31)二二第七三号
(32)二二第七九号
(33)二二第八〇号
(34)二二第八一号
(35)二二第八二号
(36)二二第八三号
(37)二二第八四号
(38)二二第八九号
(39)二二第九〇号
(40)二二第九一号
(41)二二第九二号
(41)二二第九三号
(43)二二第九四号
(44)二二第九六号
(45)二二第九七号
(46)二二第九八号
(47)二二第九九号
(48)二二第一〇〇号
(49)二二第一〇一号
(50)二二第一〇二号

○高木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び主税局関係の予算の調査並びに主税局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、ご了承願います。
 これより本案に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○吉田委員 よろしくお願いいたします。私からは、公会計制度改革について伺います。
 東京都が平成十八年度から全国に先駆けて導入した複式簿記・発生主義会計、これは、率直にいって石原都政の最大の業績の一つであると思います。
 石原知事は、知事就任前から、単式簿記・現金主義の従来の官庁会計のシステムに問題があることを指摘し、一期目の選挙の公約の中にも、都のバランスシートをつくり、新しい発想で都の財政を立て直すということを掲げ、平成十一年に知事に就任すると、早速、貸借対照表を試作し、十三年には機能するバランスシートを公表、十四年に本格的な複式簿記・発生主義会計の導入を表明し、平成十八年度から全国に先駆けて複式簿記・発生主義会計を導入したわけであります。
 ここで全国の取り組みを見ますと、総務省が同じ平成十八年の五月に、何だか帳じり合わせのような感が否めないわけですが、基準モデルと総務省方式改訂モデルという二つの公会計モデルを提示し、全国の自治体に対して財務諸表の作成を要請しているわけであります。
 そこでまず、全国の自治体の直近の取り組み状況はどうなっているのか、具体的にお伺いします。

○佐藤会計制度担当部長 平成二十一年度決算につきましては、全体の作成状況は明らかになってございませんが、総務省が行いました平成二十年度決算の財務諸表作成状況の調査によりますと、全国の都道府県及び区市町村千七百九十七団体のうち、九割以上であります千六百四十団体が何らかの財務諸表を作成してございます。
 そのうち、約八割に当たります千三百二十八団体が総務省方式改訂モデル、約七%に当たります百十五団体が基準モデルで財務諸表を作成してございます。
 なお、都道府県では、東京都と大阪府以外は総務省のモデルで財務諸表を作成してございます。

○吉田委員 ありがとうございます。都道府県と区市町村を合計すると、約八割が総務省方式改訂モデルで財務諸表を作成していると。それもけげんな感じもするんですが、なぜ全国の自治体の多くが総務省方式改訂モデルによって財務諸表を作成したり、作成中であるのかでありますが、この都の新公会計制度--総務省の提示している二つの会計モデル、それぞれ特徴があって、比較考量の結果、多くの自治体が総務省方式改訂モデルによって財務諸表を作成することを選んだのだと思います。
 そこで、総務省のモデルと都の方式の違いについて、改めてお伺いいたします。

○佐藤会計制度担当部長 まず、総務省方式改訂モデルは、官庁決算の組みかえ方式でありまして、本格的な複式簿記ではございません。
 また、基準モデルや総務省方式改訂モデルは、例えば税収を行政コスト計算書に計上していないなど、国際公会計基準とも大きく異なる考え方をとってございます。
 この国際公会計基準でございますけれども、これは世界約百二十カ国の会計士協会が加盟をしております国際会計士連盟の機関であります国際公会計基準審議会が策定したものでございまして、東京都会計基準はこの考え方を取り入れておりまして、税収についても行政コスト計算書に計上しております。
 さらに、日本公認会計士協会が公表しております地方公共団体の会計に関する提言でも、総務省のモデルに対しては否定的な見解になってございます。

○吉田委員 これまでもいろいろ質疑があったと思うんですが、改めてお聞きをしましても、多くの自治体が採用しているというこの総務省方式改訂モデルは、そもそも複式簿記でなくて、簡便に作成できることから、とりあえず作成していると。財務諸表を作成しているという状況ではないと思います。また、基準モデルの方は、国際公会計基準からかけ離れているとのご答弁であります。
 いうまでもなく、民間の企業会計においても、国際会計基準、IFRSですね、これに合わせていくという国際的な流れになっておりまして、公会計につきましても、国際公会計基準、IPSAS、この考え方を取り入れた制度、これ、都も--この新公会計制度は、総務省のモデルに比較してすぐれておりまして、全国の自治体のスタンダードとなるのにふさわしいものであります。ぜひこの都の方式を全国に普及させていくべきであるわけですが、これまで都は、国や他の自治体に対してどのような働きかけを行ってきているのか、改めてお伺いいたします。

○佐藤会計制度担当部長 ご指摘のとおり、総務省のモデルは、国際公会計基準とも異なり、全国標準的な会計基準にはなり得ないと認識しておりまして、国に対しては、長年にわたり、国際公会計基準を踏まえた会計基準の整備を要求してまいりました。
 また、他の自治体に対しましては、平成十八年の制度導入以来、全国自治体の職員を対象としました説明会やフォーラムの開催を初め、個別の自治体への説明など、昨年度までに延べ千五百を超える自治体等に対しまして説明を実施してまいりました。
 さらに、昨年は、新たに首長向けに「複式簿記の導入が必要です!」と題しましたパンフレットを作成いたしまして、これを活用して、五月の九都県市首脳会議、七月の全国知事会議や都内の市長会、八月の区長会で配布するなどの普及活動を実施しております。

○吉田委員 ありがとうございます。都のこの方式の普及に向けて、さまざまな働きかけを行っていることはわかりました。これまで言及されませんでしたけれども、大阪府とも共同してシンポをやるなど、いろいろ取り組んでいただいていることは私も承知しております。大阪府とも協力しつつ、積極的な働きかけを展開していただきたいと思います。
 次に進む前に、この広報に関して、一つだけ申し述べたいと思います。
 ただいまご答弁のあった、会計管理局で作成している「複式簿記の導入が必要です!」というパンフレットでございます。わかりやすく、よくできていると思いますけれども、このパンフレットの表紙と中のページに、置いてきぼりの日本、世界の公会計の状況はと題して、複式簿記・発生主義会計を導入または導入予定の国別の状況を示した世界地図のページがあります。
 この地図は、世界の多くの国が複式簿記を導入していることを示すわかりやすい地図なのですが、これ、南樺太の部分がロシアの領土であるように表示されています。これはミスだと思いますが、南樺太は、中千島、北千島と同様、帰属未定の地域であり、これは日本政府の公式見解であります。
 最近、北方領土についてもロシアの不愉快な行動が続いておりますが、こういう外交に直接かかわるような部分については、厳密に、正確に記載すべきであります。今、印刷してあるパンフレットを廃棄して新しく刷り直せというようなことはいいませんけれども、次の版を作成する、あるいはさまざまな広報普及の材料をつくる際には必ず改めていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤会計制度担当部長 パンフレットの改定に向けましては、掲載する情報の精査など、適切に対応してまいりたいと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、国や他の自治体への働きかけのみならず、外部から、特に国際的にどのようにこの都の制度が認識、評価されているのかということも重要であります。
 そこで、この都制度について、国際的にどのように認識されているのかお伺いいたします。

○佐藤会計制度担当部長 都では、英語版の財務諸表を作成するなど、海外向けにも情報を発信してまいりました。そして、都の制度を自国の制度の参考にするため、海外、特にアジア地域から、インドやインドネシア、スリランカ、タイ、マレーシア、ラオス、都市ではバンコクから、財務部門や会計検査部門の担当者の方が、JICAの研修制度などを活用して視察に訪れております。
 また、昨年三月に行われましたOECDのシンポジウムにおきまして、国際公会計基準審議会の議長から、地方政府が独自に国際公会計基準を取り入れている例といたしまして、ドイツのヘッセン州やスイスのチューリヒ州などと並びまして東京都が紹介されております。

○吉田委員 ありがとうございます。東京都のこの公会計制度が海外からも関心を寄せられ、自国の制度の参考にするために、視察も受けているという状況がわかりました。
 都の制度をスタンダードとして普及させていくためには、国や自治体に、直接、制度の優位性を説明していくことは当然でありますが、第三者である海外の機関、政府、専門家などからも、都の制度が総務省のモデルよりもすぐれた、国際公会計基準と整合性のあるものであることを認識、評価してもらうことが重要であります。
 海外からの視察も、積極的に働きかけ、受け入れていくことはもちろん、先ほどご答弁いただいたような国際的なシンポジウムなどを初め、さまざまな場あるいは出版物で取り上げてもらう必要があります。
 このためには、ただ待つのではなく、JICAやOECD、あるいは国際会計士連盟、IFACなど、内外の関係機関の動向を積極的に把握し、みずから働きかけていくことが重要だと考えます。
 そこで、都の制度について、海外においても一層認識あるいは評価が深まるよう、広報を国際的に行っていくことも必要だと考えますが、見解を伺います。

○佐藤会計制度担当部長 都は、新公会計制度につきまして、全国の自治体への普及に向けて積極的な広報活動に取り組みまして、国際的にも、これまで、英語版の財務諸表の公表や海外からの視察の受け入れを行ってまいりました。
 副委員長ご指摘の点も含め、広報のあり方をより幅広い視点から検討し、今後とも引き続き、さまざまな機会をとらえて、都の制度の広報活動に取り組んでいきたいと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。一般論として、日本人は海外に向かってアピールすることが非常に苦手であります。あるいは下手であります。自分の側に正当性がある、あるいはすぐれている、あるいは公正である、こういうふうな場合でさえ、それを国際的に共有される認識にしていく、あるいはその認識に基づいて国際的な物事を決めていく、進めていく、こういうことがなかなか実現できておりません。
 例えば、金融規制のBIS規制についても、あるいは二酸化炭素の排出削減についても、あるいはスポーツのレギュレーションにしても、他国に都合よくルールが変更される、あるいは決められてしまう。これは、日本がアピール下手であることと、そして、何よりも国際的に働きかけていくことについて認識と行動が足りないこと、これが国際社会で主導権を握れない、そして、多くの得られてしかるべき利益を得ることができない--これには他者の利益にも資する公益、こういう場合も多々あるわけですが、こういう大きな要因であります。
 東京都では、都債の適切な発行による安定的な資金調達のために、投資家や格付機関への説明など、国内だけでなく、国際的なIR活動も行っています。会計の分野についても、会計管理局がもっと国際的な働きかけを行っていただきたい。
 我が国の公会計制度改革が、都のすぐれた制度が普及していくという望ましい形で進んでいくよう、国際的な評価と支持をてこにしていく、こういう着眼を持って国際的な広報活動を積極的に行い、公会計改革をリードしていただきたい。このように意見を申し上げ、質問を終わります。

○上野委員 先日の予算特別委員会におきまして、我が党の東村政調会長から、新公会計制度について質疑を行いましたが、その内容に関連いたしまして、新公会計制度の普及について質問をしてまいりたいと思います。
 都は、国や全国自治体に先駆けて、本格的な複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度を平成十八年度から導入いたしまして、予算編成にも活用してきたわけでございます。
 今回提出されている平成二十三年度予算案でも、事業評価に活用し、発生主義の視点から、将来にわたるコストパフォーマンスや資産、負債などのストックの状況についてきめ細かい分析、試算を行うなど、着実な成果を上げているわけであります。
 また、先ほどの話があったとおりで、都は、改革がおくれている全国自治体への普及活動にも取り組んでいらっしゃいます。その成果として、大阪府と町田市が本格的な複式簿記を導入することとなりました。
 さらに、公会計制度改革を進めるべく、大阪府との共同プロジェクトを立ち上げ、昨年十一月には公会計制度改革シンポジウムを開催いたしまして、公会計改革白書を作成するなど、積極的に取り組んでいるところで、評価するところであります。
 昨年のシンポジウムは、私も参加いたしました。会場は、国、地方の全国の行政職員、議員を初め、公認会計士など専門関係者が多数参加されておりまして、大変盛況でございました。
 石原都知事、橋下大阪府知事の話を真剣に聞く聴衆の雰囲気を感じながら、改めて、これを機に公会計制度改革をさらに進めていくべきだと認識したところでございます。
 さて、私は、昨年十月の財政委員会で、公会計改革白書について何点か質問をいたしました。その中で、会計管理局より、この白書を発信力のあるものとし、さまざまな場面で活用していく、こういう答弁がございました。
 そこでまず、昨年十一月に白書を公表してから、これまでどのように活用しているのかお伺いしたいと思います。

○佐藤会計制度担当部長 お話の公会計改革白書でございますが、まず、昨年十一月のシンポジウムに参加をされ、講演やパネルディスカッションの議論などを聞いていただいた方々にこれを読んでいただくことによって、より公会計制度改革に関する理解を深めてもらうため、会場において配布をいたしました。
 次に、シンポジウム直後に行われました九都県市首脳会議におきましては、石原知事から県知事、市長に紹介をし、複式簿記の必要性をアピールしたところでございます。
 また、総務省が設置いたしました今後の新地方公会計の推進に関する研究会におきましても、今後の議論に資するよう、紹介をしたところでございます。
 さらに、ホームページに掲載するとともに、他自治体等への普及活動に活用しております。

○上野委員 ただいまの答弁にあった白書は、日本の公会計改革のこれまでの取り組みや、現状と課題の分析、海外事例の調査、さらには今後の公会計制度の検討の方向性の提言も盛り込まれておりまして、複式簿記の必要性、有用性がよくまとめられていると思います。今後も、ぜひとも積極的にこれを活用していただきたい、このことを期待するものでございます。
 我が公明党でも、昨年の十二月には、党内で、区議会、市議会議員が参加した公会計フォーラムを開催するなどいたしまして、財政の見える化という観点から、自治体の新公会計制度普及に力を入れているところであります。
 このような取り組みの中で、予算特別委員会で東村政調会長の質疑にもありましたが、都内の区市町村に話を聞くと、必要性はわかるけれども、ハードルが高くて新公会計制度を導入できないという声が聞こえております。
 その理由としては、二つあり、一つは、新公会計制度を導入すると、現行の官庁会計のシステムに加え、複式簿記のために新たに別のシステムを構築しなければならず、職員の処理も二度手間になると、こういうものでありました。また、二つ目は、会計基準の策定やシステム構築を行うための人材がいないというものでありました。
 一点目につきましては、予算特別委員会で会計管理局長から、実務的な面も含め、実に具体的な職員の会計処理について答弁がありまして、二度手間にならないということが明らかになったわけでございます。さらに、東村政調会長が、都の財務会計システムは二度手間にならない仕組みになっているという点について、細かくパネルを使って解説いたしました。
 二度手間にならないという点では、都のシステムはすぐれております。これをもっとアピールすべきだと思います。他の自治体職員に理解してもらう必要があると、このように考えておりますけども、見解を求めます。

○佐藤会計制度担当部長 ただいまの理事のお話のとおり、予算特別委員会でご説明申し上げましたように、都の財務会計システムは、複式簿記の処理を行うために別建てのシステムを構築したものではございませんで、一つのシステムの中で、官庁会計の処理と複式簿記の処理を同時に行うものでございまして、職員の二度手間になることがなく、作業負担も極力ふえないように工夫をしてございます。
 先ほども理事からお話のございました、昨年十一月に開催をいたしましたシンポジウムや公会計改革白書などによりまして、都の新公会計制度に対する自治体の関心も高まっており、問い合わせや視察の申し込みもふえてございます。
 その中で、実際に視察をいただいた方からは、二度手間にならず、実際の操作も容易であるという都のシステムの運用状況について、よく理解できたというお話をいただいております。
 このことが導入を検討する際の不安解消にもなりますことから、今後も積極的に視察などを受け入れるなど、導入検討のきっかけになるよう、支援と普及に取り組んでまいります。

○上野委員 実際にシステムを見れば、官庁会計の処理のほかに複式簿記の処理を二度手間でやる必要もないことや、職員の作業負担もほとんどないということが理解できると思います。今ご答弁にあったように、他の自治体職員などの視察を積極的に受け入れて、都のシステムがすぐれているということを自信を持ってアピールしていただくよう期待するものでございます。
 次に、導入できない理由の二点目の人材不足ということですが、確かに区市町村では、東京都や大阪府のような体制は難しいかと思います。ノウハウやマンパワーも少ない自治体にとって、導入を進めるためには支援が必要であると考えます。
 予算特別委員会で、都は、人的支援も含め、実情に応じたきめ細かな支援を行うと答弁がありました。
 そこで、区市町村に対し、具体的にどのような支援を行っていくのか、この点について伺います。

○佐藤会計制度担当部長 現在、町田市に対しましては、市が設置をしております新公会計制度導入検討委員会に都の職員をアドバイザーとして派遣しておりまして、月一回程度の会議に出席をし、会計基準の策定や財産の評価、全体の進行管理等について助言をしてございます。
 また、本年の四月からになりますが、市の担当職員を都に派遣研修という形で受け入れまして、都の職員と一緒に作業をする中で、財務諸表作成の実務を実地に学んでいただく予定でございます。
 システム面におきましても、システム開発の打ち合わせの場などに都の職員が参加をし、アドバイスも行ってございます。
 さらに、町田市のように具体的に導入を進める自治体ではなく、研究段階の自治体でありましても、当該自治体が行う職員向けの研修や勉強会に、都職員を講師として派遣しております。
 都といたしましては、今後も同様に、道府県から市町村まで、さまざまな自治体に対しまして、当該自治体の実情に応じた支援を行ってまいります。

○上野委員 今のご答弁を聞きますと、これまでも都は、さまざまな支援を行っているということでございます。このようなきめ細かな支援を都が行っているということは、導入を検討しようとしている自治体にとって非常に心強いことだと思います。都は今後も、都がこのような支援を行っているということをさらにアピールして、新公会計制度の普及に取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、この新公会計制度の普及に向けた局長のご決意を伺って、質問を終わります。

○新田会計管理局長 新公会計制度を着実に普及させていくためには、全国自治体の皆さんに複式簿記・発生主義会計導入の必要性を理解していただくことが、まずもって重要であることはいうまでもございません。
 しかし、必要性を理解するだけでは現実に事が運ばないわけでございまして、単式簿記・現金主義の官庁会計の経験しかない自治体職員が未知の複式簿記・発生主義会計に対してどうしても抱いてしまう不安を解消することが、同時に不可欠でございます。
 そのためには、ご指摘のように、都のシステムは操作も容易で職員負担が軽微である点や、導入に際しては都がさまざまな自治体支援を行い得ることを、さらにアピールしていく必要があると考えております。
 こうしたことから、昨年公表しました公会計改革白書におきましても、今後の公会計制度改革の方向性といたしまして、導入のための支援策や体制を整備していく必要があると提言したところでございます。
 東京都は、大阪府に対する支援に続きまして行いました今回の町田市への導入支援を通じまして、道府県レベルだけでなく、市レベルの自治体に対する支援のノウハウも蓄積することができたものと考えております。
 都といたしましては、このような経験を生かしまして、今後とも、導入に前向きな自治体に対し、それぞれの自治体の実情に応じたきめ細かな支援を積極的に行いますとともに、都の取り組みを広く発信し、公会計制度改革の推進に寄与してまいります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○高木委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為、主税局所管分、第三号議案、第四十二号議案から第四十四号議案まで及び報告事項、平成二十三年度地方税制の改正について、並びに請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(27)までの請願二二第一三号外二十六件の同内容の請願及び陳情二二第七〇号外二十二件の同内容の陳情を一括して議題といたします。
 予算案、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料及び請願陳情について理事者の説明を求めます。

○田倉税制部長 まず、先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、財政委員会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 要求資料第1号、平成二十三年度都税収入予算案(主要税目)の算定根拠についてでございます。
 この表は、平成二十三年度都税収入予算のうち、主要税目について、予算額の見込みに使用した算定根拠等をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、法人事業税の一部国税化による都への影響額についてでございます。
 この表は、法人事業税の一部国税化による都の減収額と、これを原資として国から譲与される地方法人特別譲与税額、そして両者を通算した実質的影響額をお示ししたものでございます。
 次に、三ページの要求資料第3号、資本金区分別法人数及び法人都民税、事業税額についてでございます。
 この表は、資本金一億円以下または一億円超の区分別に、法人都民税額と法人事業税額の五年間の推移をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 続きまして、今般、財政委員会に付託されました主税局所管の請願陳情についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第2号、財政委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 初めに、請願二二第一三号外二十六件、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願についてご説明申し上げます。
 この請願の趣旨は、小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置を平成二十三年度以後も継続すること及び小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減免する減免措置を平成二十三年度以後も継続すること、並びに商業地等における固定資産税及び都市計画税について負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置を平成二十三年度以後も継続することを求めるものでございます。
 小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置は、住民の定住確保、地価高騰に伴う負担緩和の見地から、昭和六十三年度から実施してきたものでございます。
 小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減免する減免措置は、過重となっている二十三区の非住宅用地の税負担を緩和するとともに、極めて厳しい経済状況下における中小企業への支援を行うため、平成十四年度から実施してきたものでございます。
 商業地等における固定資産税及び都市計画税について負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置は、負担の不均衡を是正するとともに、全国に比べ過重となっている二十三区商業地等の負担の緩和を図るため、負担水準が六五%を超える場合に、条例により六五%の水準まで税額を減額するものであり、平成十七年度から実施してきたものでございます。
 これら三つの措置の平成二十三年度の取り扱いにつきましては、納税者に対し、いまだ税負担増を求める時期ではないこと等から、引き続き軽減措置を講ずることといたしまして、所要の条例改正をお願いしているところでございます。
 次に、五ページをお開きいただきまして、陳情二二第七〇号外二十二件、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情でございます。
 この陳情の趣旨は、さきの請願と同じでございますので、改めての説明は省略させていただきます。
 本件請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高木委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 ご発言願います。

○大西委員 平成二十三年度当初予算における都税収入は、海外経済の減速や円高の影響に加え、繰越欠損金控除による税収減などにより、四兆二千二百五億円と、昨年度に比べて一・七%、六百九十二億円の小幅な伸びにとどまるなど、引き続き厳しい状況に置かれているのは、皆さんもご承知のとおりだと思います。
 このように税収が伸び悩む中にあって、東京が持つ可能性や潜在力を引き出し、新たな成長へ結びつけていく戦略的な事業を進めるためには、歳入所管局として、課税された都税を確実に徴収することが、これまでにも増して重要になってくると思われます。
 そこで、本日は、私は都税の滞納整理に関して何点か質問をさせていただきます。
 まず、税金が納期までに支払われなかった場合の滞納整理の一般的な流れはどのようになっているのかをお伺いいたします。

○宗田徴収部長 滞納整理の一般的な流れでございますが、まず、納期限までに納税がない場合には、督促状を送付いたします。それでも納税がない場合は、催告書の送付や電話、直接訪問しての納税交渉で納税を促すとともに、財産調査や所得調査など、滞納者の状況を把握するための必要な調査を行います。
 その上で、資力がありながら納税に誠意の見られない滞納者に対しては、法の規定に基づき、財産の差し押さえ、公売による換価などの対応を行ってまいります。

○大西委員 今、滞納整理の一般的な流れについてご説明をいただいたわけでございますが、では、滞納の金額、滞納者数というのは今どのようになっているのか、ピーク時と比較してご説明をお願いいたします。

○宗田徴収部長 最も都税の滞納が多かった平成六年度末の滞納額は二千四百七十八億円、滞納者数は四十万千人でございました。
 その後、局を挙げて滞納の圧縮に取り組んだ結果、直近の平成二十一年度末の滞納額は、ピーク時の約五分の一に当たる五百一億円、滞納者数は三分の一以下の十一万九千人でございます。

○大西委員 滞納額、滞納者数とも、これまで大きく圧縮されたということでございます。でも、まだ十一万九千人、五百億円以上あるわけでございますね。頑張っていただいたそのことはわかるんですが、この過程でさまざまな創意工夫があったと思いますが、都の具体的な取り組みについて伺います。

○宗田徴収部長 主税局では、平成八年度以降、滞納整理の組織を見直し、事案ごとに滞納の発生から最終処理までを一人の職員が担当する仕組みから、事案横断的に、例えば電話による督促などの初期段階、その後の交渉段階、公売等の最終処理段階など、段階ごとに複数の職員で分担し、より計画的、効率的な処理を行える仕組みに改めました。
 あわせて、目標管理手法の導入、進行管理の徹底など、業務運営を抜本的に見直し、事案の早期処理を目指した積極的な滞納整理を展開してまいりました。
 さらに、滞納整理を効果的に進める取り組みとして、平成十六年度にインターネット公売、平成十七年度にタイヤロックを全国に先駆けて開始いたしました。
 インターネット公売では、昼夜を問わず、自動車や美術品、不動産などの入札を行うことができ、入札者数が飛躍的に増加し、見積価額を大きく上回る高額での売却が可能になりました。
 タイヤロックでは、二週間以内で約七割が納付に結びつくなど、大きな成果を上げているところでございます。

○大西委員 今、タイヤロック、おもしろいなと思うんですけど、でも、頑張っているにもかかわらず、二週間で七割というのは何かちょっと少ないような気もしますが、納税せずにベンツに乗っている不逞やからがいっぱいいるわけですから、そんなやつをどんどんタイヤロックしていただきたいなと思いますが……(発言する者あり)まあベンツは一つの例ですけど、僕は乗れないので……。そういうふうな、それよりもっと悪質な、意図的に財産隠しや、流出をさせて逃げ得を図ろうとする不届きな滞納者も中におります。
 昨年十月に新聞記事で、ある商工ローンというか、悪質な問題がここに出ているんですけど(資料を示す)、これ、簡単にちらっと読みますと、とあるところが破産手続中、法人二税など約十六億八千万円を滞納していた問題で、東京都が、同社元会長云々の親族企業の債権を差し押さえ、約七億円を回収したと。同社は、破綻直前に被告の親族企業に安価で資産譲渡したが、都はこれを悪質な納税逃れと見て、譲渡された親族らに納税を負わせる第二次納税義務制度を適用した、こういうふうなことが報道されたわけでございます。
 こうした悪質な滞納者に対して、どのように対応しているのかお伺いいたします。

○宗田徴収部長 お話のとおり、滞納者の中には、財産を隠したり、故意に滞納処分を逃れようとする者もおります。こうしたケースにおいては、居宅や事務所の捜索等を行い、財産の発見に努めております。
 また、滞納者が無償または著しく低い価格で関係者に財産を譲り渡し、滞納処分を逃れようとした場合には、譲り受け人に対し第二次納税義務を課すなどにより、滞納金の徴収に努めております。
 税負担の公平確保と納税秩序の維持を図るため、今後とも、逃げ得を許さないとの決意のもと、こうした取り組みを強力に行ってまいります。

○大西委員 今、答弁の中で捜索という言葉がありましたけど、要するに、隠したお金を見つけるわけですね、相手方の家に行って。これは皆さん、「マルサの女」という映画を見たことある方も多いかと思います。私なんか、マルサの女が出てくる、こんなイメージがあるんですけど、捜索とは一体どのようなもので、その具体的な内容、また年間どのぐらい実施しているのかお伺いいたします。

○宗田徴収部長 捜索とは、滞納があった場合に、滞納者の居宅、事務所などに対して差し押さえるべき財産の発見のために行う強制処分でございます。
 捜索は、マルサの女のお話がございましたけれど、脱税を摘発する犯則事件の調査とは異なりまして、裁判所の許可を要せず、国税徴収法に基づき、自力執行権の行使として行うものでございます。
 なお、捜索を行う場合には、捜索を受ける滞納者または家族等を立会人としなければならず、これらの者が不在や立ち会いに応じないときは、市町村職員や警察官等の立ち会いが必要とされております。
 都では、平成二十一年度には延べ三百二十八回の捜索を実施しております。

○大西委員 大体の雰囲気がつかめたんですけど、捜索に臨んだとしても、玄関にかぎをかけられているときもありますね。また、金庫を見つけても、かぎがかけられている、そんな場合もあると思います。こういう場合、どうされるのか。
 また、ちなみに、部長もそういうのに参加されたことがあるのかも、ちょっと伺ってみたい。

○宗田徴収部長 捜索は、国税徴収法に基づきまして、必要に応じて玄関、金庫なども強制的に開錠することができます。税は、国や地方公共団体の公共サービスの基盤となるものでございますので、その徴収には、ただいま申し上げた捜索を含め、強い権限が与えられております。
 私自身は、捜索に立ち会ったことはございません。

○大西委員 今、伺ったように、実は、ある意味ではマルサの女以上に権限を持っている、捜索令状、裁判所の令状なしで玄関や金庫までも強制的にあけることができるという、大きな力を持っているわけですね。これだけの力を持っているわけですから、納税している大多数の納税義務がある納税者と、こういう不届きな人間との公平さを確保するために、最大限この力をもっと行使して、徹底した納税の整理をお願いしたいと思います。
 ところで、一方で、納税の意思があっても、そのお金がない、払えない、滞納した都税を払わない納税者も実際には存在すると思います。こうした納税者には、どのような措置を講じているのかお伺いをいたします。

○宗田徴収部長 滞納整理を進めるに当たっては、財産調査等に加え、滞納者のお話をお聞きするなどにより、滞納者の状況を的確に把握いたします。その上で、企業業績の悪化や個人所得の減少などにより、一時に支払うことが困難であると判断される場合には、分割納付や徴収猶予制度を適用しております。
 また、滞納処分により納税者の生活を窮迫させるおそれがある場合には、滞納処分の執行停止などの徴収緩和措置を講じております。
 今後とも、納税者の実情に応じたきめ細やかな対応をしてまいります。

○大西委員 今こんな質問をしていると、私の両サイドから、議員も落ちたら、そんな意味で大変になるんだぞというやじも飛んできちゃうわけでございますが、先ほども申し上げましたが、すごい権力が、権限があるわけですから、それを徹底的に、納税率を上げていただきたいということをお願いし、そして一方では、優しさも、寛大な気持ちも持っていただいて、これからも個々の状況に応じてきめ細やかに対応していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○鈴木委員 私からは、税制改正に関する質問をさせていただきたいと思います。
 我が国は、戦後、短期間のうちに世界第二位の経済大国までに上り詰めたといってもいいと思います。しかし、今やGDPは世界第三位に転落をし、若者たちは仕事につくことができない。また、庶民は、国民、都民といってもいいかもしれませんが、将来の生活に不安を覚え、中小企業者はさらなる発展への意欲も奪われている、希望の光も見えないような、そんなような現状にあると。まさに、この国は衰退の一途をたどり始めたといっても過言ではないという現状にあると思います。
 この危機をどのように乗り越えるのかということを考えたときに、その政策をきちっと総合的にも、また戦略的に機動的な展開を考えて、当面の経済を回復させ、成長戦略を持って、再び成長路線に乗せることがまずは必要であるというふうに考えます。
 ところが、今回の税制改正の内容は、相も変わらず、税体系のあるべき姿についての議論が全く置き去りになっているといわざるを得ません。表向きは改正のための美辞麗句を並べているものの、実のところは既に破綻しているといわざるを得ない。マニフェストを強引に実行するための、単なる財源確保のためのつじつま合わせに終始をした、継ぎはぎだらけの改正と、私はいわざるを得ないと思います。
 現政権から、現下の厳しい経済状況に対処しようという意気込みが全く感じられません。財政再建に本気で取り組もうとせず、有権者におもねるための、いたずらにばらまき給付を続けることは、将来世代への責任放棄であると私は思います。
 そこで、きょうは、重要課題に絞って問題を明らかにしていきたいというふうに思います。
 まず、都民の生活に直接かかわる個人所得課税について質問をいたします。
 個人所得課税は、国の所得税で約十三兆円、都道府県と市町村を合わせた個人住民税収で約十一兆円、これらは国、地方を合わせた租税収入の約三割を占め、改正の影響も極めて広範囲になります。
 それでは、一問目として聞きますが、今回の改正では、子ども手当の上乗せ財源を確保するために、給与所得控除の見直しや成年扶養控除の廃止などが行われようとしておりますが、改めて、改正の趣旨及び概要についてお伺いしたいと思います。

○田倉税制部長 給与所得控除につきましては、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、給与収入が一千五百万円を超える場合の控除額に二百四十五万円の上限を設け、また高額な役員給与に係る給与所得控除を縮減することとされました。
 また、成年扶養控除につきましては、本来、成年者が基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえ、障害者、高齢者、学生など特定成年扶養親族を有する場合などを除き、控除を廃止することとされております。

○鈴木委員 本来、個人所得課税については、税制抜本改革の一環として、所得税体系のあるべき姿という見地から検討していくべきであると考えます。
 特に各種控除や税率構造は一体として見直し、時代に合った制度へと見直すべきであると考えます。
 さらに、個人所得課税には、このほかにも年少者扶養控除や配偶者控除などがありますが、それらについてはどのようになっているのかをお伺いいたします。

○田倉税制部長 十六歳未満の年少扶養親族に係る扶養控除につきましては、子ども手当の創設に伴い、平成二十二年度税制改正において廃止をされております。
 また、配偶者控除につきましては、平成二十三年度税制改正大綱で、配偶者控除をめぐるさまざまな議論、課税単位の議論、社会経済状況の変化等を踏まえながら、平成二十四年度税制改正以降、抜本的に見直す方向で検討することとされております。

○鈴木委員 今、答弁がありましたように、財源あさりのための、所得税体系を壊す改正が次々と行われようとしています。しかしながら、所得税、住民税については、税の組み立てや構造次第では、家族の結びつきやきずなを根本から揺るがしかねない。したがって、見直しに関しては、個人の価値観やライフスタイル、家族構成等の視点からも議論を行うことが不可欠であるというふうに考えます。
 さらに、今回の改正には、所得の多寡によらず、役員のみに負担を押しつける控除の見直しや、労働組合員費を控除の対象に追加するなど、税の公平感の観点からも不適切な改正が含まれています。そのことは申し上げておきます。
 次に、国税である相続税について確認をさせていただきたいと思います。
 今回、相続税についてはどのような改正が行われたかを伺います。

○田倉税制部長 相続税につきましては、平成二十三年度税制改正大綱におきまして、格差固定化の防止、相続税の再配分機能、財源調達機能の回復等の観点から、基礎控除を、現行の一千万円に法定相続人数を乗じた金額に五千万円を加えたものを、六百万円に法定相続人数を乗じた金額に三千万円を加えたものへ引き下げるなど、課税ベースの拡大を図り、また、高額の遺産取得者を中心に負担を求める観点から、最高税率を現行の五〇%を五五%へ引き上げるなど、税率構造の見直しを図るなどとされております。

○鈴木委員 もともと相続税に関していえば、我が国の相続税の税率は、世界的に見ても非常に高い。とりわけ地価の高い東京においては、今なお相続税は大きな負担となっているといってもいいと思います。
 特に都市において、貴重な農業の事業継承や緑地保全が阻害をされている側面もあるということをいわざるを得ないと思います。
 また、そうした中、今回の相続税の増税は、個人所得課税の増税額を上回る二千九百億円となっています。基礎控除の引き下げを通じ、課税対象者はこれまでの約四万人から七万人に広がり、地価の高い三大都市圏での影響が特に大きいと見込まれています。
 こうした増税は、東京がこれまで進めてきた中小企業者の事業継承や緑地保全、また都市農地の保全の取り組みに、まさに逆行しています。
 相続税は、課税ベースや税率構造を見直し、負担の適正化を図るべきであります。このことに関して、都は強く国にいって、きちっと都の姿勢をはっきり私は示すべきだと思っています。ぜひそう願いたいものであります。
 次に、法人課税の問題点についても触れたいと思います。
 今般の税制改正においては、法人実効税率を五%下げる反面、研究開発税制や減価償却の大幅縮減など、企業の成長を阻害するような改正を行おうとしています。雇用の場の確保、経済の活性化のためには、企業の活力が不可欠、企業が活動しやすい環境をつくり、企業の海外流出を防ぐ必要があります。
 法人税については、税制の抜本改革を視野に、社会保険料を含む企業の実質的な負担の軽減を図るべきであると私は考えます。
 また、税制の抜本改革の際に見直す約束で強引に導入をされた、法人事業税の不合理な暫定措置について、今回の税制改正では議論が全くなされていません。これはもう言語道断だといわざるを得ません。
 いうまでもなく、この暫定措置は、地方の税収を国税として召し上げ、地方に再分配するという、受益と負担の原則に反し、地方の課税権を全く無視した極めて悪質なものであると。民主党の方々も、野党時代に反対をしていたはずであります。それにもかかわらず、地域主権改革を一丁目一番地と標榜している政府・民主党が、今回の改正でも議論の俎上にすらのせなかったことには全く苦しむところでもあります。
 ところで、税制改正大綱では、地域主権改革を推進する中で、地方がその役割を十分に果たすため、地方税を充実し、財源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方財政体系を構築していくとしております。
 また、菅首相は、去る一月二十四日の施政方針演説において、地域主権改革の推進といっておりますが、私は地方分権だと思っています。主権は在民にある、国民にあると思っているわけでありますが、これは、まあそういうことですね。一括交付金の創設、基礎的自治体への権限移譲や総合特区の創設、そして国の出先機関の地方移管に言及をしています。しかし、肝心かなめの地方税財源の充実の確保には全く触れられておりません。
 そこで、今回の税制改正による都税収入への影響をあえて伺います。

○田倉税制部長 平成二十三年度地方税制改正では、国税の改正に連動するものが大半でございまして、都税収入への影響額は、初年度ベースで約十億円の減収、平年度ベースでは約二百八十億円の減収と見込んでおります。
 なお、都税及び地方譲与税を合わせた影響額は、法人税の税率引き下げに伴う課税ベースの拡大によりまして、地方法人特別譲与税が増収となりますことから、初年度ベースで約二億円の増収、平年度ベースでは約百八十億円の減収となります。

○鈴木委員 答弁からも明らかとなっており、国が主張する地方税の充実というのは、他の政策と同様、何の裏づけもなく美辞麗句を並べたにすぎない、無責任きわまりないものであるといわざるを得ません。
 こうした中、都における平成二十三年度予算案は、厳しい財政環境が続く中にあっても、都民の不安を払拭し、東京の新たな成長につなげる取り組みを確実に進めるものであるといえると思います。
 日本のダイナモである首都東京は、閉塞感に覆われている日本の先陣を切って、活路を開いていく必要があるというふうに私は考えます。いうまでもなく、都税収入というのはその根幹をなすものであります。
 あえていわせてもらえば、国が税財政改革の抜本改革をして、その視点の中には、地方の声をしっかり聞いて、そしてこの国をどういう国づくりをしていくのか、この国の骨格を明らかにしていくような、そういう幅広い議論を今の民主党政権には求めたいと思います。
 我々も、もしそうした議論があれば、都議会の場からしっかり参加をしていきたいということを申し上げたいと思いますが、最後に、都税収入の確保に向けた局長の決意を伺って、質問を終わります。

○荒川主税局長 都税収入は、ピーク時と比べまして一兆円減ったわけですけれども、それでも四兆二千億円、一般会計の七割をしっかりと占めておりまして、まさに東京の成長戦略を支える重要な財源だというふうに思います。
 この四兆円を超える都税を、都民の皆さんが本当に苦しい中でも払っていただけるというのは、ただいま先生おっしゃったとおり、都政に対して安心・安全や東京の成長を期待しているからこそであって、我々、税を徴収する立場の人間としては、このことをよく肝に銘じて納税者と接しなければならないというふうに思っております。
 ただ、もっと根本的に見れば、やはりこれからの少子高齢社会をしっかり支えていくには安定的な税収構造が必要であり、それは先生のご指摘のとおりでございますけれども、どうも最近の状況を見ますと、例えば昨年末に税制改正案が出されましたけれども、現在のように日本のあり方あるいは社会のあり方が問われているときに、その議論をしないで税制改革がなされるというのは、どうも筋違いではないかと。やはり、まずは、そういった議論がなされるのが本筋だというふうに思います。
 その点からすると、今回の税制改正というのは、基本的に、議論が途中の段階で出されたものだというふうな感じがします。
 また、最近ですけれども、国会を中心に、社会保障や税制の内容については、確かに議論が行われるようになってきておりますけれども、どうも関係大臣が、消費税を引き上げた場合の地方への配分については地方にという考え方はだれもおっしゃらないというふうに答弁なされたというふうに聞きます。これはやはり、これまで都や全国自治体が主張してきたことを全く無視するものでございまして、危機感を感じざるを得ないところでございます。
 このような状況や、あるいは先生が今ご指摘になったことを踏まえまして、今後、主税局としましては、都議会や都税調と連携を密にしまして、税制全般にわたりまして問題点やあるべき姿を検討して、国や全国に対して提案していくべきだというふうに考えます。
 また同時に、都政を支える都税収入を確保するために、公正公平な税の執行と創意工夫に努めまして、納税者の理解と協力を得てまいりたいと思います。
 今後とも、都議会のご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

○上野委員 私ども都議会公明党は、平成二十三年度税制改正に対しまして、強い危機感を持っております。それは、税制の抜本改革に向けた明確な理念や全体像がないままに、どうもマニフェスト実現に向けた財源確保に終始した、場当たり的財源あさりの税制改正であるように思えてならないからであります。
 今回の税制改正の目玉である法人実効税率の引き下げにおきましては、成長戦略に基づく明確な位置づけも行われないまま減税を行うこととしております。しかし、減税の効果は明らかでなく、一方で家計への増税メニューが並ぶなど、そのしわ寄せをサラリーマン世帯や個人事業者などに強いるものとなっていると。
 地方税収に関しては大きな影響がないとされていますが、その実態は、地方交付税の一括交付金化や法人事業税の暫定措置の廃止の先送りなど、都のみならず、地方にとって今後の税財政運営の大きな影響や負担がかかるおそれのある内容となっております。
 こうした問題意識のもと、改めて、平成二十三年度税制改正における法人関係税の改正の概要についてご説明願います。

○田倉税制部長 平成二十三年度税制改正における法人関係税の改正概要についてでございますが、国内の投資拡大や雇用創出を促進するため、現在三〇%である法人税率を二五・五%に引き下げるとともに、法人税額を課税標準としている法人都民税についても、実効税率を〇・八七%引き下げることとされております。
 また、財源確保のための課税ベースの拡大といたしまして、減価償却の見直しや、大法人に係る欠損金の繰越控除の一部制限などを行うこととされております。

○上野委員 次に、この法人税率引き下げにかかわる国、地方及び都に対する影響額について、どのようになっているのか伺います。

○田倉税制部長 国税におけます法人税の税率引き下げ及びこれに伴う課税ベースの拡大等の影響額は、初年度で約四千三百億円、平年度で約七千八百億円の減収とされております。
 一方、都税につきましては、法人二税の減収に加えて、法人税率引き下げに伴う都道府県と市町村間の増減収調整のため、都たばこ税が減収となります。これらの増減収を通算した影響額は、初年度で約二十億円、平年度で約三百三十億円の減収と見込んでおります。
 なお、これに地方譲与税を合わせた影響額は、初年度で約三億円、平年度で約二百三十億円の減収となります。

○上野委員 今回の改正は、法人税率を引き下げる一方で、その財源探しに終始し、研究開発税制の改悪を行うなど、企業の競争力の回復や景気への効果も乏しいと見られております。
 また、個人所得課税と資産課税においては、子ども手当の財源確保として、給与所得控除の縮小や成年扶養控除の縮小、廃止などの見直しなどにより五千億円の増税、地方分を含めると、さらに八百億円を超える負担がふえます。こうした家計に対する増税は、法人税減税などの財源確保のためのつじつま合わせにすぎず、取りやすいところから取る安易な手法であると、このように考えております。
 本来、企業減税は、中長期的な成長戦略に基づいて実行されるべきものでありますが、国にはその展望が見えません。さらには、効果の検証も行われておりません。まさに理念なき税制改正といわれるのも当然でございます。
 政府の税制改正大綱では、地域主権改革を推進する中で、地方がその役割を十分に果たすため、地方税を充実し、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築していくと、このようにしております。
 しかし、実際には、子ども手当の地方負担や一括交付金による地方財源の削除など、国のばらまき施策の負担を地方に押しつける改正にほかならず、ましてや、先ほどの鈴木委員からもありましたように、法人事業税の暫定措置の廃止には一切触れられておらず、極めて問題があると、このように思っております。
 今回の改正においては、地方税にはほとんど手がつけられずに済みましたが、菅総理は、本年を平成の改革元年にするといたしまして、企業の国際競争力を高めるため、TPP、環太平洋戦略的経済連携協定など、貿易自由化に向けた交渉や協議を本格化する考えを表明しています。今後の展開によっては、地方法人課税を巻き込んだ、さらなる法人実効税率の引き下げが議論の俎上に上る可能性があります。
 こうした国の施策は、地方に影響を与えないようにすべきであると考えますが、地方法人課税の意義について、都の認識をお聞かせください。

○田倉税制部長 地方法人課税の意義についてでございますけれども、法人住民税は、地域社会の費用について幅広く負担していただく税でございまして、また、法人事業税は、行政サービスの利用に対して応分の負担をしていただく税でございます。いずれも、地方税として重要な役割を担っております。
 特に東京には経済機能が集中しており、法人の活動を支えるための道路等の都市基盤や環境の整備に係る膨大な財政需要が発生しております。法人二税は、これらの財政需要を賄うために不可欠な税でございまして、国による一方的な政策誘導の手段としてなじむものではないと考えております。

○上野委員 ご答弁からも、地方法人課税は地方の基幹税となっておりまして、都において極めて重要な税源であることが明らかであります。
 しかし、最近の報道では、消費税の議論において、地方への配分がふえないようなことがあれば、東京の税収の再配分を求める東京富裕論が再燃する可能性もあるなどといわれております。このままでは、都と都議会が要求してきた法人事業税の暫定措置の即時撤廃どころではなく、またしても大都市の財源が、国庫補助負担金の一括交付金化などを通じて、国の財源捻出や地方間の財政調整の手段として利用される危険性もあるということでありまして、地方自治の本旨にもとる本末転倒の議論が進められようとしているのでございます。
 片や、東京都におきましては、これまで主税局の皆様が創意工夫を凝らした徴税努力を積み重ねてこられました。その努力を私は評価しているところでございます。そうした努力と、国や他の自治体を上回る行政改革を断行する中で、財政基盤が強化されてきたわけでございます。
 平成二十三年度予算においては、厳しい財政環境が続く中にあっても、都政の使命を確実に果たし、中長期的な施策を支え得る財政基盤を堅持しながら、東京の新たな活力と成長へと結びつける戦略的な取り組みを進めるとしております。
 今回の請願陳情の対象である固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続は、現下の厳しい経済状況の中で、都民や中小企業の固定資産税の負担の実態に配慮して、都民の定住確保や過重な負担を軽減するものでありまして、国のばらまき施策とは一線を画す、真に必要不可欠な施策であり、その継続に賛成するものでございます。
 もとより、こうした強固な財政基盤に裏づけられた行財政運営ができるのも、これまで都及び都議会が一体となって堅実な改革を着実に実施してきた結果であります。
 民主党政権下での二回の税制改正を見てみますと、やはり民主党マニフェストは破綻しているように思えてなりません。二十二年度改正において、マニフェストに反する年少扶養控除の廃止、特定扶養控除の見直しを行い、二十三年度の改正では、子ども手当の財源に充当するとしていた配偶者控除の見直しを先送りしました。私には全く一貫性に欠けているとしか思えません。
 また、ガソリン税の暫定税率も、政権をとる前までは、ガソリン値下げ隊までつくって、廃止するといっておりましたが、今もって維持されたままであります。あのガソリン値下げ隊はどこへ行ってしまったのでしょうか。
 このような、その場しのぎの税制改正では、国民生活に混乱を来すばかりか、今後の地方分権の実現や経済の活性化につながらないことは明らかであります。
 最後に、国や地方を牽引してきた東京都の立場から、平成二十三年度の税制改正を踏まえた今後の地方税制のあり方について局長の見解を求めまして、質問を終わります。

○荒川主税局長 ただいま質疑でもご指摘がございましたけれども、今回の税制改正というのは、総じて国の税収確保が優先されまして、また、法人課税の効果につきましても、いろいろな評価が出ているようでございます。
 いずれにしましても、これからの国づくり、社会づくりにおいては、大きな役割を担うのは地方自治体でございまして、そのために地方分権の確立あるいは財政自主権の確保と強化ということは、だれしも認めるところであると思います。
 税制改正においてもそれが大前提であるというふうに思いますけれども、残念ながら今回の改正では、地方の意見は余り考慮されていないのが実態じゃないかというふうに思います。
 それで、これからの地方税制のあり方で重要なことでございますけれども、私は、受益と負担の関係を一致させるという地方税の大原則が重要であるというふうに思っております。この点から、法人事業税の暫定措置は、この原則と全く反するものでございまして、都議会の先生方や我々が繰り返し撤廃を主張してまいりましたけれども、税制調査の場では議論が行われていない状況でございます。
 また、地方にとって景気に左右されない安定的な税制が強く望まれているところでございまして、そのために、地方消費税の拡充を含めた抜本的な税制改革が行われるべきと考えます。
 それから、注視しなければならないのは、地方消費税の税率を上げるかわりに法人事業税を恒久的に国税化するという税源交換の議論が行われる可能性があるということでございます。これは大変危険なことでございまして、つまり、ご承知のように、法人というのは、事業活動をする際に、その地域の道路や交通等の社会資本や行政サービスを利用して活動しておりまして、それに見合う対価というのを地方税として負担していただいているところでございますけれども、それを暫定措置の撤廃どころか、恒久的な国税として国が吸い上げてしまっては、それこそ地方自治、地方主権の原則に反するものであると思います。
 今後の税制改革論議において、こうしたことが現実とならないよう、我々としても主張すべきことは主張していきたいというふうに思います。
 ことし秋には、都税調の最終答申がまとまる予定でございます。それらの議論も踏まえながら、地方分権、地域主権の立場から、税制全体についてあるべき姿をしっかりと物申していきたいというふうに考えております。都議会の先生方のご支援、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

○たぞえ委員 最初に、二十三年度予算の編成に当たっての都税収入の考え方について伺います。
 法人二税や個人都民税など、主要税目の税収はどのように算定したのか。特に変動の大きい法人二税は、具体的にどのように見積もったのか、まず伺います。

○田倉税制部長 平成二十三年度都税収入予算は、直近の税収実績等に基づく平成二十二年度の最終見込み額をベースに、企業収益や雇用者報酬など、税収と密接な関連を有する関連経済指標の動向等を勘案して算定しております。
 特に法人二税につきましては、企業収益に加えまして、中間申告や繰越欠損金などの状況も勘案いたしまして算定をしております。

○たぞえ委員 昨年七月二十一日、副知事の二十三年度予算の見積もりについてという依命通達が出されましたが、この中で、来年度、二十三年度の都税収入は大きな好転を期待できない、こういう内容で各局に編成作業を命じました。
 各局から出てきた予算要求は、一般会計などを含めたすべての会計で、二十二年度当初予算比に比べて六千三百六十二億円も減り、知事査定後の予算原案ではさらに二百十九億円の減で、合わせて、二十二年度比で六千五百八十一億円減の予算案が今定例会に提案されました。
 ところが、二十三年度予算の編成の末、発表された都税収入を見ると、六百九十二億円の小幅な増、その中でも法人二税は四百三十五億円の増だと、このように明記されています。
 都税収入の見通しは、経済動向などをにらんで、予測はなかなか難しいという要素を持っていますが、しかし、補正予算と二十三年度予算の歳入の見込みは、時期的に接近しているにもかかわらず、依命通達で大きな好転は見込めないといいながらも、税収は小幅な増収で見込んでいるわけです。
 二十三年度予算での小幅な増が今後どう推移していくのか、これをどう見ているのでしょうか。

○田倉税制部長 直近の政府の月例経済報告によりますと、現在の景気は、一部に持ち直しに向けた動きが見られるものの、今後の見通しにつきましては、海外景気や原油価格の動向、国内のデフレの影響などの懸念材料も指摘がされておりまして、不透明な状況となってございます。
 また、税制面でも、企業の繰越欠損金制度の影響もございまして、都税収入の先行きにつきましては楽観できないというふうに認識をしております。

○たぞえ委員 都税収入の先行きは楽観できないということは確かにいえると思います。
 そこで、具体的に財源確保にかかわって伺いますが、まず法人事業税についてです。
 二〇〇七年十二月十一日に石原知事は緊急記者会見を行い、法人事業税を一部国税に変えて、譲与税という形で地方に補てんする旨の発言を行い、政府と合意した旨のことを発表しました。この当時の福田元首相との会談で、東京が取り組んでいる重要施策を具体的に挙げ、国も力を尽くすことを強く求めたところ、前向きの返事がされたと。これを踏まえて、今回の措置を税制の抜本改革までの暫定措置とすることを条件に協力するということがコメントで出されました。
 この発言の中で、首都東京の重要施策といっている事項について、コメント部分を読んでみますと、臨海道路の整備、三環状の整備促進、外かく環状道路の早期着工、認証保育所制度の承認、東京オリンピックへの財政保障と招致活動支援、こういうことが表明されて、いわば国に理解と協力を知事が求めたわけです。この提案に協力する、こういう約束をさせたことは、この一連の経過からも事実そのものです。その結果、法人事業税の一部国税化を知事が承認しました。
 この経過と事実は、羽田空港や外環など、本来国が行うべき事業の一部を都が肩がわりして、そのために法人事業税の一部国税化と交換条件ということになったと、当時のマスコミでも報道がされています。
 地方財政の死活にかかわるこうした財政の構造決定が、こんなにも軽々しく決められた、本当にあいた口がふさがらないといわざるを得ません。
 国と約束をして、都に戻ってきていっていることといえば、法人事業税の不合理な暫定措置を直ちに撤廃し、地方税として復元すると、二十三年度の政府予算への東京都予算要望でも明記をしています。一部国税化は認めるが、一方、撤廃せよと。これでは、やっていることが正反対ではないでしょうか。
 本当に主税局の皆さんは、撤廃という、こういうかたい意思をお持ちなんですか。

○田倉税制部長 法人事業税の暫定措置につきましては、受益と負担という地方税の原則に反し、地方分権に逆行するものとして、当初から反対をしてまいりました。
 国におきましては、税制の抜本改革もいまだになされておりません。都は、この不合理な暫定措置の即時の撤廃を強く求めているところでございます。

○たぞえ委員 議論の俎上にも上がらないというのは、本当にひどい話だと思うんですね。しかも、東京都は毎年文書で撤廃を要望しているわけですから。しかし、交換条件だということをいわれれば、都民から、本心なのか、本気なのかと、こういう批判が出てくることもうなずけると思います。新年度を迎えるに当たって、この問題の核心にぜひ迫ってほしいというふうに要望したいと思います。
 さて、国は、社会保障と税の一体改革の名で増税計画を推進しようとしています。財界からも、消費税増税を速やかに行い、二〇二〇年代半ばまでに一〇%後半の税率まで増税するように求め、社会保障の給付減まで出されています。こんなにも短期間で、しかも異論が唱えられている消費税の増税を行ったら、暮らしも経済も奈落の底に突き落とされて、そして、単価が切り下げられ、身銭を切って消費税を納めている中小企業はとてもやっていけません。
 経済を悪化させれば所得税も法人税も一層減少し、そのための景気対策予算も必要になり、財政はむしろ一層悪化することになります。社会保障を抑制して消費税を増税するやり方は、まさに、一体改革どころか、一体改悪といわざるを得ないと思います。
 我が党は、こうした税率の引き上げにはきっぱり反対を、導入以来ぶれることなく貫いておりますけれども、仮に消費税が増税になった場合、東京都は、地方自治体に配分される地方消費税はどのような配分になると分析し、予想しているのでしょうか。

○田倉税制部長 都はこれまで、地方消費税の拡充につきまして、税制の抜本改革の中で、消費税の税率引き上げと一体的に議論を進めるべきであるというふうに主張してまいりました。
 国は、地方の担う役割の重要性を踏まえて、地方消費税を含めた地方税財源の充実を、拡充を進めるべきであるというふうに考えております。

○たぞえ委員 地方消費税の税率を上げた場合に、かわりに、先ほど局長がおっしゃっておられましたが、法人事業税を国税化するという税源交換ともいえる考え方も可能性があるということでありますが、それについて改めて都としての考えを聞かせていただきたいと思います。

○田倉税制部長 法人住民税及び法人事業税は、東京の膨大な財政需要を賄うために不可欠な地方税でございます。東京都は、不合理な法人事業税の暫定措置の即時撤廃を求めておりまして、税源交換という考え方は到底受け入れられるものではないというふうに考えております。

○たぞえ委員 東京で経営される企業法人は、一法人団体ではありますが、都の行政サービスを受けている。この点で、法人が納めている事業税が国に吸い上げられ、自治体の税はゼロ、その分、都民は消費税アップで税を負担しなきゃいけない、こんなことは到底許されません。こんな不合理な措置はない、このことを強く述べておきたいと思います。
 次に、財政上の不合理な措置の問題の二つ目に、外国施設への課税の問題です。
 首都東京には、都心部を含めて米軍基地が八カ所存在しています。私たち日本共産党は、基地撤去を掲げている政党です。
 都内に米軍基地があることによって、米軍は税制上の優遇を受けていると聞きますが、どのようなものがあり、どうなっているのか示していただきたいと思います。

○田倉税制部長 合衆国軍協定の実施に伴う地方税法の臨時特例法によりまして、合衆国軍隊が日本国において所有する固定資産に対する固定資産税及び都市計画税の非課税措置、合衆国軍隊の所有する自動車に対する自動車税の非課税措置などが規定されております。

○たぞえ委員 米軍基地については、国有提供施設等所在市町村助成交付金という制度があって、国から十分の三の交付金が出ています。来年度の一般会計予算説明書、東京都のこの予算説明書を見てみますと、助成交付金額が欄で記載をされておりまして、国から二千四百十二万円の交付金収入を見込んでいます。
 都内の外国の大使館や領事館、たくさん点在しているわけですが、この交付金の対象にはなっていません。これらの大使館など外交施設は、日本政府との外交上欠かせない施設で、その役割は大変大きいというふうに思うんです。
 都内にありながら、こうした大使館所有の施設に対して、税制上はどういう措置になっているのでしょうか。

○田倉税制部長 地方税法におきまして、外国の政府が所有する大使館、公使館または領事館等の施設の用に供する固定資産に対しましては、固定資産税及び都市計画税を課することができないというふうに規定がされております。

○たぞえ委員 今おっしゃったように、非課税措置によって固定資産税、都市計画税は免税され、東京都では、その分、税収減、減収が余儀なくされているということであると思います。
 こうした大使館や領事館などの施設は、都内に幾つあって、課税すればどれだけの財源が都として確保できるのでしょうか。

○田倉税制部長 大使館等の施設に対する固定資産税及び都市計画税につきましては非課税となっておりますことから、現時点における正確な施設の数及び当該施設に課税をした場合の税額につきましては把握をしておりません。
 なお、平成十二年の財政委員会におきまして、財務局から、都内には百二十超の大使館等があり、免除されている税額は約三十億円であるとの答弁がされております。

○たぞえ委員 私もその議事録を読ませていただきましたが、当時百二十、そして、課税した場合の金額が、今答弁されたような金額が発生するだろうというふうに財務局の部長が答弁をされています。
 そういう固定資産税や都市計画税については、ウィーン条約によって日本の大使館が海外で租税の免税を受けると。それと相互主義で、都は取らない、こういう仕組みになっているわけです。非課税措置によって都にとっては減収になっていることを広く--都民や企業には固定資産税や都市計画税が課税されているのに比べて、日本の領土内で外国政府には非課税措置が許される、余りにも不合理な現象だと思います。税負担を免除されている部分は、交付金なりの形で補てんをするのが、国と地方のフェアな財政関係だと思います。
 国の責任、具体的には外務省として減収相当分を地方に補てんさせるべきだと思いますが、都の対応を伺います。

○田倉税制部長 東京都は、国に対しまして、大使館、領事館等に対する非課税措置により減収となっている固定資産税、都市計画税相当分を補てんすることを提案要求しておるところでございます。

○たぞえ委員 ぜひ引き続き、外務省等にこの件については働きかけていただきたいと思います。
 最後に、不合理な徴収のあり方についてです。
 政府は、税務行政手続を定める国税通則法を今通常国会で見直し、税務調査手続などを具体的に法律に明記するための法改正を準備しています。あわせて、納税者権利憲章の内容を通則法の中に法定化するということも明らかにしております。
 先進国でこうした納税者憲章がないのは日本だけで、この法定化は関係者の長年の要望でした。納税者の権利が擁護されないこれまでの税法の抜本的な改善が、憲章によって図られることが急がれます。その象徴ともいえるのが、第一に納税者への対応の姿勢です。
 東京都では、都民が税金を滞納した場合、罰則金などのようなものが設定されているのでしょうか。

○宗田徴収部長 都税を納期限までに完納しなかった場合でございますが、地方税法の規定により、納期内に納税した方との公平性を確保するため、罰則的遅延利息として延滞金がかかることとされております。

○たぞえ委員 延滞金は、仮に一カ月の滞納の場合と一カ月以上の滞納の場合では、どのような率で加算が行われているのでしょうか。

○宗田徴収部長 延滞金の率でございますが、滞納本税の額に一定割合を乗じて課せられることとされておりまして、その年率は一四・六%でございます。
 ただし、納期限の翌日から一カ月を経過するまでの間の率は、商業手形の基準割引率に年四%の割合を加算した率とされ、平成二十三年中は年率四・三%でございます。

○たぞえ委員 そうしますと、滞納額を完納しても、滞納期間と額に応じて、引き続き延滞金を納付しなければならないということですね。そして、延滞金の完納まで、滞納者としての、何というのでしょうか、烙印というのでしょうか、あなたは滞納者だよということが消えないわけです。一日でも滞納が発生すれば四・三%、一カ月以上の滞納者には税率一四・六%。
 きょうも電車の中で見てみましたら、サラ金広告を見ていましたら、東京都は高いななんて思いましたが、実に、一カ月を超えれば三倍以上の延滞金がかかってくる。納税者にとっては、滞納額を完納しても、本当に悩ましい期間が続いているということだと思います。
 これは近年、国だけではなくて、自治体でも、税金の滞納に対して厳しい取り立てや差し押さえで自殺に追い込まれる悲劇などが報道されています。生きた人間の生活の足を根こそぎ取り上げてお払い箱にする、こんなことをやっていたら東京の納税の力がなくなってしまう、このことをいわざるを得ません。
 一カ月四・三%、それを超えたら、一カ月一四・六%、こういう罰則は、何とか引き下げをできるように私は求めておきたいと思います。
 第二に、重大な問題は、全国の自治体で、住民税などの滞納の解決を目的に滞納整理推進機構などが設置されて、強引な徴税が行われているということです。このような機構は、回収率アップのために五つのポイントなどを示しまして、滞納整理額や差し押さえ件数など数値目標を設定して進行管理することが有効とか、まず差し押さえから実施、少額分納は原則認めない、こういうことまで掲げて徴収指導を市町村で行っているところもあります。
 東京都は、都や国が滞納をなくすということで、ご本人と協議をして完納のために頑張っている。分納して都民が納めている、こういう方に、突然会社に差し押さえの通知を送るなどということはないでしょうね。

○宗田徴収部長 都税は一括納付が原則でございますが、資金繰りの悪化等により納期限までの納付が真に困難な場合には、納税者との交渉により、計画的な分割納付を認めております。双方の約束に基づいた分割納付が誠実に履行されている限りにおいては、差し押さえを一方的に行うことはございません。

○たぞえ委員 今ご答弁のように、そういうふうにぜひ今後も力を尽くしていただきたいと思いますし、納税者本位の税務行政を確立することが、私は本当に大事だと思います。納税する側に立って、しかし、それは先ほど議論があったように、悪質な滞納ですとか、逃れるとか、逃亡するとか、これは厳格にやらなきゃいけないです。しかし、払う意思を持っても払い切れないという方に対する丁寧な対応というのは、本当に大事だというふうに思っています。
 そこで、ちょっと話を戻しますが、国会では、国税通則法改正案の中でも、現行のとおり取り扱いを法制化するとして、滞納者の実地調査の際には事前通知を行うということがこの改正内容に出されています。税務の職員が突然住民の自宅に押しかけて強引な調査例が後を絶たない中で、事前通知を法律で義務づけることは当然必要です。
 しかし、見直しで、一定の場合には事前通知を行わないとも述べていまして、事前通知をしなくてもよい例外を広く認める規定を設けるため、通知なしが合法化されるという懸念も指摘がされています。
 また、改正案では、現行の調査実務上行われている物件の預かり、書類ですとか通帳、そして返還に関する規定を法律上明確化する、このようにもうたわれています。税務職員による根拠のない修正申告の強要や帳簿書類の不当な持ち帰りが行われている実態を合法化する規定であるというふうに危惧をします。納税者の権利を守る立場からも、これらは是正が必要です。
 私は、納税環境を整備することは否定しませんが、強権的になってはならないというように思うんです。しかし、東京の徴収事務について、最近読みました東京税務レポートの新年号で紹介された発言はちょっと気になりますので、紹介したいと思います。
 あるレポートでは、一斉に給与を差し押さえることもある、滞納後の一律的な一斉差し押さえは有効ともいえる、このように述べています。また、私たちは必要な差し押さえ処分などの強制執行をためらうことはありませんという感じで、こういうふうにもここで書かれているのを読んで、ため息が出ました。
 税務に係る都の職員の税務研修を主税局は行っていますが、徴収部門に転入した職員の研修や個人都民税対策研修などで、完納しなければ差し押さえは解除しないという教育が仮にあったとしたら、やってはならないんじゃないかというふうに思います。このことを大変危惧しています。
 滞納者の多くは、今の不況下の苦しい生活の中で、払いたくとも払えない都民です。ですからこそ、こうした都民に、大変ですねと、この一言から始まり、信頼関係を積み重ねていくような徴収姿勢が、私は今後も求められていると思います。
 まず差し押さえありき、こういうこのレポートに書かれているようなことですと、納税者は非常に、感情的にも、徴収側に対する好意ではなく、反発心を持つと思うんです。やはり預けて納めて安心、そして預かって安心と、この信頼関係が何よりも税収確保の土台だと思います。
 そこで、最後に聞きますけれども、滞納者の生活実態の把握などに努めた上で、生活の維持や事業活動の継続を困難にすると認められるような場合には適切な猶予措置等を講ずることが必要だと思いますが、部長の見解を伺います。

○宗田徴収部長 滞納整理に当たりましては、財産調査だけでなく、滞納者や滞納法人から生活や事業の状況などをお聞きするなど、その実態把握に努めております。その結果、一時に納めることが困難であると認められる場合や納税資力がないと判断される場合には、徴収猶予制度や滞納処分の執行停止などの措置を適時適切に講じております。
 税務行政におきましては、税負担の公平確保ときめ細やかな対応、この両方が大変重要だと思っております。今後とも、そのバランスをとりながら、個々の納税者の実情に応じたきめ細やかな対応を行っていきたいと考えております。

○たぞえ委員 昨年、私のところにも、他の区の方から、滞納者ですけれども、ご相談があって、担当するセクションの皆さんにご相談しました。大変な滞納額が続いて、延滞金がその後ろにくっついて、また滞納が発生して、いわば滞納とそのお金がくっついてどうにもならない。で、ご相談の結果、その方は、分納で、しかも家計が破綻するような仕方ではなく、きちんとした将来希望を持てるような分納措置を協議で講じていただきました。その方も、最近は元気よく納税をきちんと行い、そして、家計の再建、ご商売の再建ということで頑張っていらっしゃるという話を聞いて、やはり人と人との関係が納税の原則ですから、温かい思いやりあるそういう対応で、ぜひ課税につきましては、私、るるいいましたような、強権的とかそういうふうにならない、本当に心を持ち合った対応を今後ともぜひ進めていただきたいということを申し上げて、終わります。

○福士委員 東京都では、税制についての調査会を二〇〇〇年より発足させ、真の地方自治のためには、地方みずからの手で税財政のあり方が検討されるべきという理念のもとに、答申という考え方をまとめてきました。二〇〇九年度からは、新たな期として第四期をスタートさせ、三年をかけて答申を取りまとめ、提言を行う予定とのことです。
 二〇一〇年度の議論として、十一月に中間報告が出されました。評価をしつつ、今後ぜひ議論を深めていただきたい点と、逆に不足しているのではないかという、そして、ぜひ新たに議論を開始していただきたい点があることを述べてまいりたいと思います。
 昨年の十二月、菅内閣による国の税制改正大綱では、成長と雇用の実現、社会保障改革と財源の確保を掲げ、国際競争力を目的とした法人税五%減税を打ち出しています。菅政権は、六月までに消費税も含めた税制の抜本改革案をまとめる方針とのことです。
 一方、都の税制調査会からの中間報告では、法人税減税に関して、国の見解と真っ向から対立する見解をまとめています。ぜひ、この議論を深めていただきたいと思います。
 我が国の法人実効税率が国際的に高い水準であるという間違った認識について、中間報告では、豊富な国際データ比較をもとに、特に高い水準とはいえないと指摘しています。課税率が低いといわれているアメリカでも、社会保険料の事業主負担が高く、その点もあわせて考慮すべきだということです。これは貴重な指摘だと私も思います。
 また、国際競争力との比較についての項では、競争力への懸念材料としては、財政赤字や公的負債の方がウエートが高いこと、他国での法人税率の引き下げ事例では、課税ベースの拡大を図りつつ、税収としては変わらないようにしていることなどが指摘されています。これもまた貴重な指摘だと私は思います。
 法人税に限らず、市民税についても、私は、やみくもな減税ではなく、納めるべき税はきちんと納めるべきだと考えます。
 そこで、ちょっと横道にそれますが、名古屋市で行われたトリプル選挙などで、減税に対する評価が高まっているような風潮があります。これについて、主税局としてはどうお考えでしょうか。
 他の自治体のことではあり、法人税についての軽減ではありませんが、税の根底にある意味からお考えをお示しいただければと思います。

○田倉税制部長 住民税の税率につきましては、各地方団体において、課税自主権に基づきましてそれぞれ変更することができるというふうにされております。
 名古屋市の市民税減税につきましては、個人市民税及び法人市民税を一律一〇%減税するものと聞いております。減税につきましては、各地方団体の財政の状況や政策目的などを踏まえまして行われるものと認識をしております。

○福士委員 確かに、北欧のように、高負担だけれども老後は安心な制度をとるのか、目の前の安さに浮かれてサービスがどうなるか、赤字債権の増加も含めて、市民の自治権にかかわるものです。
 それにつけても、財政全体は市民には見えにくいものです。杉並区でも、前山田区長は減税自治体を掲げました。必ずしも受けていたかどうかというのは不明な点がありますし、都がこのような減税策をとるとは思えませんが、情報の正しい公開というのはぜひ必要だと思いますので、常にそれを目指していくよう申し上げておきます。
 さて、私自身は、昨年度も超過課税について質問いたしました。インフラ整備や社会保障など必要な支出のためには必要な負担を求めることは、ある意味当然であり、税制議論から安易に逃げるべきではないと考えております。しかし、だれに負担を求めるかは、しっかりと議論しなくてはいけません。評価できる今回の中間報告ですけれども、付加価値割など外形標準課税の拡大との方向性も打ち出しています。
 外形標準課税について、銀行へのねらい撃ち課税については、税の公平性に反する意味から、私は一人、反対をいたしました。その後、銀行協会の訴訟を受け、事実上敗北ともいえる和解をした経過があり、その経過をもとにして議論を進めるべきだと思います。
 私も、外形標準のあり方すべてを否定するものではありません。どう考えておられるのか、お伺いをしておきます。

○田倉税制部長 都の銀行外形課税は、地方団体の長年にわたる悲願であった外形標準課税が平成十五年度税制改正において導入される契機となったものと認識をしております。
 銀行外形課税に対する訴訟では、都の主張のほとんどが認められたところでございますけれども、外形導入前の税負担と導入後の税負担が均衡を欠いているという判決を受けまして、その趣旨を踏まえて和解したものでございます。
 現在、外形標準課税は定着しておりますけれども、今後は、さらに中小法人の負担に配慮しつつ、地方税収の安定化、税収偏在の縮小という観点から、外形基準の割合を高めていくことが望ましいというふうに考えております。

○福士委員 私も、外形標準課税は広く浅く、しかし、特に中小企業への負担への配慮は重要と考えておりますので、そこはしっかり議論をしていただきたいというふうに思います。
 続きまして、寄附税制の推進について伺いますけれども、抜け落ちている議論として、昨年度も質問しました寄附税制です。
 市民自治を基本とする社会実現に向けて、新しい公共政策の動きは注目されるべきと考えます。
 具体的に、既に二〇一〇年度の国の補正予算では、都道府県に新しい公共支援基金を設置し、新しい公共の担い手育成を打ち出し、ガイドラインも示しました。
 また、国の二〇一一年度税制改正大綱において、市民公益税制として、認定NPO法人への寄附について、草の根の寄附を促進するため、所得税において新たに税額控除を導入、所得税と個人住民税で合わせて五〇%までの税額控除を可能とすることが記載されています。
 一月二十五日には、法律案として国会に提出されました。今のねじれ国会の中、どこまでが実現可能か不透明ですけれども、政府として寄附税制の充実に大きく踏み込んだことは評価しております。
 私は、寄附税制に関して、二〇〇八年度答申に盛り込まれていたせっかくのいい記述が、二〇〇九年度では抜け落ちていることを、昨年三月の財政委員会でも指摘いたしましたけれども、二〇一〇年度中間報告においても記載されておりません。
 今まで答申に盛り込まれた議論は、寄附を推進するための環境整備の一つとして、税制の果たす役割も重要とか、寄附金控除の対象となる優遇団体はいまだ、中略して、少なく、寄附者の選択を狭め、寄附へのインセンティブを弱めている、あるいは所得税で認められている範囲に限られており、自治体の裁量は狭いものとなっているなどということが議論されておりました。
 国等の動向や社会経済状況を踏まえて、緊急度、優先度の高いものを中心に議論を行ってきたという中間報告にしては、せっかくの新しい公共の議論が抜け落ちており、とても残念に思っています。
 ことしの最終答申に向けてですが、議論を行っていただきたいと思いますが、どのような状況なのかお聞きしておきます。

○山内税制調査担当部長 平成二十年度の都税調答申では、先ほどお話がございましたが、寄附を推進する観点から、所得税だけでなく、住民税の寄附金控除対象となる団体の拡大などを提言しております。
 従来、認定NPO法人が住民税の寄附金控除とされていましたが、今回の平成二十三年度の税制改正におきまして、それ以外のNPO法人であっても、地方自治体の条例で指定する団体が寄附金控除の対象に加えられる予定になっておりまして、都税調が提言した寄附税制のあるべき方向が反映されております。
 寄附税制につきましては、現在、国において認定NPO法人の認定事務のあり方などの検討が引き続き行われており、都税調はこれらの国の検討状況を踏まえながら検討を行ってまいります。

○福士委員 諸外国では、教会を中心とした助け合いという形が長くとられていて、住民も寄附をするということが割と当たり前の形、それから、それを簡易な形でやれるということがあります。
 二〇〇八年の都税調答申では、イギリスでは給与から天引きする寄附制度、ペイロールギビングですが、これにも触れています。日本で簡単にそういう形がすぐにとれるかどうかわかりませんけれども、それでも、日本でもかつては、沖縄などで結いのような労働提供や生活援助など、お互いさまの地域の助け合いのきずながありました。今は、それを現代的に、金銭にかえてというような助け合いが求められているのではないかというふうに考えております。
 私の周辺でも、女性のDV対策をしているグループとか、福祉活動あるいは環境保護活動をしている地域の活動団体が、次々とNPO法人となりました。しかし、補助が受けられる最初はいいんですけれども、どの団体も、活動を維持するために寄附集めにすごく苦慮しております。それでも頑張っているそういう団体、あるいは年金からも寄附をして支えている市民の思いを受けとめる施策として、何らかの対応があればと思っております。
 例えば国の認定NPOは、わずか二百弱ですよね。そんなところで、全国で二百弱、東京に幾つあるか、私もちょっと忘れましたけど、そんなにたくさんありません。それ以外にも、都でもNPOに対して認定を行い、寄附控除を行うことを検討すべきだと思います。
 実際には、認定の段階からさまざまな問題があると思いますし、今のNPO法人を見ておりますと、何年かに一度ぐらい、だあっとNPO法人を取り消したところもたくさんあります。そういう意味では、簡単にNPO法人の中身が見えるとは思いませんが、何年か続いているNPO法人、そして、それがまじめに仕事をしているNPO法人というのは、活動報告を毎年提出していただくわけですから、それで大体予測はつくものというふうに思いますし、チェックも絶対に不可能といえる団体ということにはならないと思います。
 そのように、さまざまな問題があることは承知しています。だからこそ、早く議論が始められるように要望しておきたいと思います。
 そして、市民自治を基本としつつ、新しい公共が生まれる社会実現に向けて、人口減、高齢社会の中での模索は、早ければ早いほど安心社会となることもあわせて申し述べておきます。
 何かおっしゃることがあれば、お答えいただきます。なければ、意見といたします。

○高木委員長 よろしいですか。--この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時十四分開議

○高木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言願います。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方から大きく二点伺います。
 秋の事務事業のときは、大変、全体的な話をさせていただいたので、今回、少し細かいようですけれども、都税事務所の話について細かく確認をしたいと思います。
 けさ、私の地元の東村山税務署へ行ってきたのですが、数十万単位で、ある程度追徴をするにしても、税務署にいざ行ってみたときに、対応が非常にいいと、意外と、余り悪い気もしないものというか、払うのに、ちょっと抵抗感がなくなるというのがあるんですけれども、東村山税務署、やはりどうしてもこの時期に一回ぐらい行くことがあるのですが、だんだん相談に来る人たちに対する対応が非常に効率的になってきて、上手にさばいているし、また嫌な感じもしない、細かい臨機応変な対応を、問いかけに対して、質問に対してしているなと。一々、書類を何でも書かせるというわけではなくて、口頭で確認したいことが簡単なことであれば、すぐ全部メモ書きでちゃんと答えてくれるというふうな、かなり臨機応変な対応をしていて、短時間で質問が済むというような感じで、だんだん少し、肩ひじ張らない、やわらかい対応になってきたなというのを、毎年行くたびに感じております。
 その点で、都税事務所もぜひそういうふうにしてほしいなということでちょっと伺うのですが、何でこんなことを聞くかというと、最近、市役所の市民課などについては、一階に、フロアに、場所によっては、うちの小平市なんかもそうですけれども、民間委託の案内のスタッフがおりまして、ちょうど銀行のフロアの係のような人が一人、二人おりまして、これは、実は隣の小金井市なんかに行ったときもそういう担当者がおりまして、結構ご年配の方なんかが久しぶりに書類をとりに来るとか、若い人なんかも、なかなか市役所はふだん使わないので、いざ戸籍謄本をとるときにちょっと悩んだりと、非常に単純なことであっても、やっぱりふだん行かないとどうしても、自分がとって来ないといけない書類はこれでいいのかなという意味で悩んだりする場合があるのですが、そういうときに、割とスタッフの方が積極的に声をかけて、何かわからないことはありますかみたいな感じでいってくるんですね。
 よく昔、市役所の職員なんかは、職員が多すぎて、暇にしていてよくないみたいな話をいわれたのですが、でも、逆に本当に困っているときに、そういうふうに市民のために近寄ってくる、市民のために声をかけてくれるという人に対しては、割と一般の市民の方も、正直助かっているのではないかと。
 また、市役所なんかについても、そういった市民課など、本当にまだワンフロアだけで、上のフロアなんかはこれからだったりするのですけども、それでも、そういうところに人が配置されるについては、ご年配の方や、小さなお子さんを連れていて、手続をすぐ済ませようと思っても、どうしても子どもを連れていると、なかなか短時間に用事が済まないという方なんかについても、大変助かっているのではないかと思います。
 つい先日、私、立川の都税事務所に行く時間がなかったので、新宿の都税事務所にちょっと行ってきましたら、ちょうど地元の小平にあります花小金井の支所と同じころの年代の、少し建物が古い都税事務所だったんですけれども、どうしてもつくりが古い関係で、中の部屋に入りますとカウンターが非常に高いんですね。今だともうちょっとカウンターが低くなるのでしょうけれども、昔のつくりなのでカウンターが高いんです。なおかつ、事務をする、つまり都の職員の場所というのは結構広くとってあるんですけれども、だんだん都民が来る側のところが通路みたいになってしまって、ほとんど立って申請をして相談をしなければ、まず座る場所がないような場所も中にはあるんですね。
 そうすると、都税事務所に来る方というのは、これから納税を、やっと納税できるとか、やっと納税するお金がそろって来ましたとか、もしくは納税をしたので証明書が欲しいとかということで、さっき、いわゆる滞納の話がありましたけれども、比較的前向きに納税をする意欲がある、もしくは納税をしなければいけないということをよく認識されている、いい納税者なわけですから、その方に対してのサービスという点では、せっかく来ていただいたわけですから、気持ちよく納税をしていただくということが、やっぱり大事になってくるのではないかと思います。
 今、市役所の例や東村山税務署の話を出したのですけれども、都税事務所に関して、そういった方たちに対して、久しぶりに来た方、身障者の方、ご高齢の、経営者の方なんかでもご高齢の中小企業の社長さんというのは多いですから、そういった方に気持ちよく申告や納税、納税証明をとっていただくためにどのような対応をされているか、そのサービスについて伺いたいと思います。

○目黒総務部長 委員がごらんになられました新宿都税事務所を初め、一部の庁舎を除いて、ほぼすべての都税事務所におきましては、庁舎の入り口付近に総合案内窓口が設置をされておりまして、初めてお見えになったお客様も迷うことがないよう、ご案内申し上げております。
 また、お客様を目的とする部署へ適切に誘導するためのツールといたしまして、各フロアや階段、エレベーターなどに適宜、庁舎案内図を掲示しております。
 さらに、各フロアにおきましては、例えば評価証明や納税証明を発行するカウンターはもちろんのこと、常時受付担当が置かれていない係におきましても、お客様がお困りのご様子である場合には、積極的に声かけを行いましてご用件をお伺いし、ふなれなお客様につきましては、傍らについて丁寧にご説明をさせていただいているところでございます。
 また、新宿都税事務所のように、やや古い建物で構造上に若干の制約がある場合には、お客様にご迷惑をおかけしないように、例えば身障者の方で通路が通りにくいというような際には、職員が付き添いまして誘導して、ご不便をできるだけおかけしないように心がけているところでございます。
 なお、法人都民税、法人事業税のように、特定の時期に申告が集中するような場合には、臨時の窓口を設置するなどの工夫も凝らしているところでございます。
 今後も、お客様の声に耳を傾け、改善すべきところは改善し、来所された納税者の皆様の都税に対する理解と信頼が得られるような接遇に努めてまいります。

○斉藤(あ)委員 今このような質問をしたのは、私のさっきの話でいいますと、地元の花小金井の都税事務所なんかは、支所ですので、そんなに業務自体がないんですね。そうすると、どうしても、一般の都民のお客さんというのがそんなにたくさん来ないんです。火災が少ない消防署なんかも、なかなかそのスキルを維持するのが非常に難しい。逆に、しょっちゅう出場があるところというのは、私がいた消防署なんかもそうなんですけども、しょっちゅう出場があるところの方が、やっぱりふだんの対応というのは早くなってくるんですね。逆に、火災の件数が少ない消防署というのは、何も起こらない中で自分たちの技術やスピード感というのを維持するのに大変苦労をしなければいけない、工夫をしなければいけない、そうしないと維持できないというものです。
 これは全く一般の東京都のすべての役所についてもそうなんですけども、しょっちゅうお客さんが来ている中で、もう少し効率よくできたらいいなと、いろいろなお客さんが来る中で、いろいろトラブルの中で磨いていく工夫というのがあるので、逆に都税事務所のように、お客さんが少ないからいい対応ができるというよりは、むしろ、ちょっと少ないがゆえに、いろんなトラブルがないために、何となく職員ペースで物事が進んでしまう。もしくは、何となく、事業者が多いのだから、業者さんが多いのだから、土地を持っているのだから余裕がある人が多いのだからといった中で、これぐらいはわかるだろう、これぐらいは会社だったら当然理解できるだろうというふうな、そういった思い込みもどうしても出てしまうのではないか。そうすると、職員がたくさんいない、社員がたくさんいない小さな企業の方とか、もしくは、前はできたけど、高齢になってしまったがためにだんだん手際が悪くなってきたという、そういった方に対しては、どうしても対応が悪くなってしまうのではないか。そういうことを大変心配したので、私は質問をさせていただきました。
 そういった中で、どうしても、今申しましたように、職員の方はたくさんいるけども、お客さんの数はそんなに多くないというところについては、やはりきちんとした研修などをしていって、接遇のスキルアップをしていかなければいけない場面もあるのではないかと思うんですが、そのような接遇のアップのための工夫をどのようにしているか、そこを伺いたいと思います。

○目黒総務部長 常に都民の皆様の視点に立ち、個々の状況に応じた親切できめ細かな対応を行う上で、接遇サービスは重要なものと認識をしております。このため、各都税事務所におきましても、接遇サービスに関するさまざまな研修を行ってございます。
 一例を申し上げますと、立川都税事務所では、百貨店のお客様窓口担当者による接客実践講座や、ホテルへの職員派遣による接客体験を実施しております。
 そのほかにも、各都税事務所におきまして、民間企業のお客様サービス担当者などによる接遇サービス向上のための講義やロールプレーイング等、さまざまな研修を行っているところでございます。
 こういった研修によりまして、主税局職員の接遇サービスのスキルアップが図られ、都税事務所における案内表示の改善や、窓口への来庁者に対する工夫を凝らした誘導等の取り組みにつながっているところでございます。
 また、電話対応や納税者宅を訪問する際など、さまざまな場面で研修で培ったものが生かされておりまして、今後とも、接遇サービスのより一層の向上に努めてまいります。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。
 来客は決して多くはないけれども、今申しましたように、民間のお力もかりて研修をしているということで、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 今申しましたように、それぞれ各局とか、もしくは、一方は税務署だったり、一方は市役所だったり、ふだんそれぞれを一遍に比較するということは、職員の側から見るとなかなかないことなのですが、一方で納税者の方は、あっちの税務署に行ったり、こっちの市役所に行ったりする中で、ああ、こっちの都税事務所はやはりきちんと対応してくれるなと、支払っていて、きょうはいい対応をされたから、嫌な気がしなかったなというふうに思って帰っていただくということが、次の納税の負担感というものを少し減らせると思いますので、ぜひ今後とも、こういった小まめな、職員のまさに質の維持管理というものをやっていただきたいと思います。
 それでは、次のテーマに移りたいと思いますが、付託されている議案の中で、固定資産の評価審査委員について伺います。
 今回の委員の報酬改定、大変、小幅なものでございますが、この金額が高いのか少ないのか、このあたりが、小幅な改定というのはわかっても、では、この二万八千四百円なりが、ちょうどいいところにあるかどうかがわからないと、なかなかこれは、幾ら変化が小幅であっても、いいとか悪いとかいえないわけです。
 そこで、実際に、各委員がどの程度この審査に関して拘束時間、拘束を受けているのか、このあたりによって評価が変わってくると思います。評価審査委員について、何回程度、月に開催されているのか、そして何日程度拘束されているのか、一日当たりどの程度拘束時間があるのか、ここを伺いたいと思います。

○須藤調整担当部長 固定資産評価審査委員会は、九人の評価審査委員の中から、それぞれ三人をもって構成されます三つの審査会で、原則として毎週開催をされております。
 この三つの審査会の開催回数につきましては、合計で、平成二十一年度は七十八回、平成二十二年度は、本年二月末現在で七十九回でございます。
 各評価審査委員の拘束日数につきましては、各審査会における審理の進行状況に応じまして月によって異なりますけれども、平成二十一年度は、月平均にいたしますと二・二日、多い月で五回となっております。
 また、このほかに、原則毎月一回、すべての委員による全体会議を開催いたしまして、各審査会の審理状況の確認、及び必要に応じて審理内容について報告等を行っております。
 次に、一日当たりの拘束時間についてでございますが、審査会は、通常午後二時から開会され、審理による案件数によりまして拘束時間は異なりますけれども、平均いたしますと、一回当たりおおむね三時間程度となっております。

○斉藤(あ)委員 そうしますと、委員は三つのグループに分かれているということなので、月平均で二・二回に加えて、毎月一回全体会議がありますので、三・二日が大体平均の拘束日数。そしてまた拘束時間に関しては、二時ぐらいからおおむね三時間ということですので、ほぼ午後は全部つぶれてしまうというふうな感じで理解できるかなと思います。
 では、各委員について、どの程度のスキルが要求される業務というふうに考えたらいいのか、ここはちょっと、なかなか想像しづらいところなのですけれども、ぜひ教えていただきたいと思います。

○須藤調整担当部長 評価審査委員会は、固定資産の価格が地方税法及び評価基準等に即し適正に評価され、その結果が適正、妥当な価格であるか否かにつきまして審査決定を行うものでございます。
 このため、評価審査委員には、評価基準を正しく理解し、公平、中立な判断を行う能力があるということ、また、税制度、都市計画法、建築基準法、行政不服審査法、不動産鑑定などにつきまして、相当の知識を有する者であることが求められます。東京都固定資産評価審査委員会におきましては、こうした観点から、都議会の同意をいただき、不動産鑑定、建築、法曹、税務会計及び行政経験の各分野に精通する適任者を選任しております。

○斉藤(あ)委員 この固定資産の評価審査委員については、今の示し出されている金額が、それだけのスキルを持っている人がいて、審査委員にならなければ、どのくらいその人が自力で稼ぐ金額の部分と乖離があるかどうかというのはちょっと気になるところであります。非常にほかで頑張って、もっと報酬が得られるような仕事がありながらも、時間を割いて東京都の委員になっていただけるという部分があれば、やはり多少なりとも高い金額を出していった方がいいですし、また一方で、よく私ども都議会議員も参加する審議会などでも、審議会によっては、余り前後に勉強しなくても何とかなってしまうような審議会なんていうのは、状況によってはあったりする場合があるんですけれども、一方で、それを終わっても、まだ個々の審査委員同士がけんけんがくがく、そのテーマに関して自分の持論を展開するという審議会もあったりします。
 もちろん、勉強していった方が一番いいというのはあるんですけれども、ただ、実際、いろいろな審査会だとか、いろんな委員会の中で、大分雰囲気が違っているということは、事実あったりするのではないかと思います。
 そういった中で、どの程度この審査委員会が、中身が濃い、また高いレベルの結果を求めているかというところが、恐らく一番重要なことで、これについては余り、一般的な文書などを見ても、その熱のこもり、熱の持ち具合というのは、推測するのは難しいところだと思うんですね。
 そこで、ちょっと最後に確認したいのですけども、拘束時間だけで業務が説明できる、もしくは業務が遂行できるということは、必ずしも、会の中身によっては限らないわけですね。そこで、拘束時間以外にも、各自で資料の読み込みなどを委員さんが行うということがあるのではないかと思うのです。
 そこで、どの程度準備時間が必要なのか、そこを伺って、どの程度ハイレベルなものを目指す委員会か、そのあたりを確認したいと思いますので、教えていただきたいと思います。

○須藤調整担当部長 個人情報が記載された個別の審査申し出事案に関する資料等は、納税者の方の個人情報を保護する観点から、審査会以外の場への持ち出しを制限しております。そのために、基本的に、各評価審査委員が審査申し出事案に関する資料を審査会以外の場で事前に読み込むということはございません。
 なお、例えば各審査会における審査の過程で、各評価審査委員が、専門的な観点から理論、判例等を自主的に調べて持ち寄るといった対応は経常的に行われておりますけれども、このような場合の所要時間というのは、一様でないというのが実情でございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。
 今、答弁の中で、各自で調べて持ち寄るといった対応というものが普通に行われているということで、その部分では大変熱がこもった、また、各自の委員が大変自分たちに責任を持って対応しているということが理解できましたので、以上で質問を終わりたいと思います。

○斉藤(や)委員 斉藤が続きますけれども、本定例会では、固定資産税等の軽減措置の継続の案件が提案されております。
 東京都独自の政策減税の一つでございますけれども、毎年、各地の青色申告会などから継続の請願陳情が出されております。私も鈴木委員も目黒で同じですけれども、目黒区青色申告会の請願の紹介議員になっておりますが、納税者からは大変感謝され、喜ばれている減税措置の一つでございます。
 今回の措置は、現下の経済状況や納税者の税負担の状況など、都の実情を踏まえて実施するものでありまして、都議会公明党としても大いに賛同するものであります。
 東京都は、こうした地域の実情に即した政策減税を積極的に活用してまいりました。その際、大きな役割を果たしてきたのが、東京都の税制調査会であると思います。国には政府税制調査会がありますけれども、地方においてこのような調査会を設けたのは、恐らく東京都が初めてではないかと思います。地方から、国や他の自治体に対して、時代を先取りしてあるべき地方税制を発信するということは画期的なことでございまして、我が党の働きかけにより実現した新公会計制度と並ぶぐらい、石原知事の大きな功績であると考えております。
 東京都税制調査会は、来年度が答申の年に当たるそうでございますけれども、都税調のこれまでやってきたこと、そして、都税調、さらには都としてこれからなすべき取り組みを中心に伺いたいと思います。
 まず第一に、都税調について、改めてどのようなねらいをもって組織されたかをお伺いしたいと思います。

○山内税制調査担当部長 東京都税制調査会は、平成十二年、地方分権を進める上で不可欠な地方税源の充実が進まない中、地方分権の時代にふさわしい地方税制のあり方等について、都及び地方の立場から検討し提言することを目的に設けられたものでございます。学識経験者、都議会議員、特別区長会や東京都市長会等の会長、都の副知事など、多様な立場の方を構成員としており、幅広い視点から実効性の高い提言を行うことを目指して取り組んできたものでございます。

○斉藤(や)委員 都議会議員も入っているという、本当に、学識経験者などで研究会などをつくるような自治体はほかにも見られますけれども、大変さまざまな立場で、執行機関の方も入っております。
 こういった都税調、とても大切だと思いますが、この東京都の税制調査会が組織される前年に、実は地方分権一括法が成立していたわけでございますけれども、肝心の国から地方への税源移譲は中長期の課題ということで先送りされてしまっております。そのような時期に、東京だけでなく、地方の代表として国に切り込んで行ったのが東京都税制調査会だったと認識いたします。
 さて、この東京都税制調査会でございますけれども、この十年間、さまざまな答申や緊急アピールをしてきましたけれども、その答申に基づいて実現した税制も少なくないと思います。
 そこで、主にどのようなものが実現されてきたのかをお伺いしたいと思います。

○田倉税制部長 平成十二年度の東京都税制調査会答申では、全国に先駆けて、国から地方への税源移譲が提言されまして、いわゆる三位一体改革で所得税から個人住民税への税源移譲につながったものでございます。
 また、平成十四年度から法定外目的税として実施している宿泊税につきましては、同じく平成十二年度の答申を踏まえて導入されたものでございます。
 さらに、平成二十年度の答申では環境税制改革が提言され、これを踏まえて、平成二十一年度に、東京版環境減税といたしまして、中小企業者向け省エネ促進税制及び次世代自動車の導入促進税制が導入されております。

○斉藤(や)委員 ただいまご答弁ございましたけども、平成十二年は大変画期的な答申をされております。都税調では、既に平成十二年度におきまして、所得税から個人住民税への税源移譲を具体的に提言しております。
 その当時のことを考えますと、税源移譲が本当に実現すると信じた人はほとんどいなかったのではないかと。それが平成十九年に三位一体改革の一環として実現したわけですから、都税調の答申が国に与えた影響というものは、非常に大きかったのではないかと思うわけでございます。
 地方分権時代にふさわしい地方税制、国、地方を通じた税制全体のあり方につきまして諮問を行った石原知事の先見性に改めて感服するものであります。
 また、平成十一年度の地方分権一括法成立によりまして、地方が法定外目的税を創設できるようになったことを受けまして、今ご答弁ございましたが、都は平成十四年度に宿泊税を創設いたしましたが、これも都税調の答申を踏まえて実現されたということを今確認いたしました。
 そこで、宿泊税のもととなったこのホテル税ですね、この課税につきまして、都税調でどのような議論があったのかを簡単に紹介していただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 ホテル税の課税についての東京都税制調査会での議論についてでございますが、当時、都におきましては、国内外からの旅行者数の増大を図ることが、都市の活性化、経済波及効果の観点から重要な政策課題として位置づけられておりました。
 こうした中、東京都税制調査会におきましては、旅行者等に対し、都が提供している行政サービスに対する負担を求め、得られた財源を東京の魅力を高める施策に振り向けていくことが国際都市の東京のポテンシャルをさらに高めていくことにつながり、重要な意義を有するとの議論がなされていました。
 その上で、旅行者等が都内のホテル等に宿泊することに着目し、都内のホテル等の宿泊者に対するホテル税の課税が具体的に提言されました。

○斉藤(や)委員 制度上、可能になったとはいいながらも、税を新しくつくるわけですから、宿泊税という全く新しい税をつくり上げるためには、非常に大きなエネルギーが必要であったと思います。
 新たな負担を今度納税者にお願いすることになりますと、国民、都民の方々は非常に敏感でありまして、少なからず抵抗感というか、抵抗もあるんだと思いますけれども、それを何のために使っていくのか、その目的ですね、そして理由をきちんと都民や国民に説明すれば、必ずしも反対のための反対ということはないという、これが納税者の賢明さであるというふうに考えているわけでございます。
 宿泊税の場合、ホテル業界、旅行業界など、関係者のご理解が不可欠となっているわけですけども、こうした方々への十分な説明や協議を行って宿泊税の創設に至るまでの主税局職員皆様のご苦労も、並大抵のことではなかったと推察いたします。
 この宿泊税は、毎年約十億円の税収を上げています。答申の翌年の平成十三年には、都の観光担当部署は、生活文化局にもともとその部署はあったんですが、産業労働局に移管されまして、さらに、宿泊税の創設された翌十四年度には観光部が設置されました。
 このように、東京都の観光施策は、主税局が宿泊税を創設、徴収し、そして産業労働局が施行するというように、局間の連携により、その観光施策が推進されている例でございます。大変画期的な大切なことだと思います。
 さて、冒頭、都税調のねらいにつきましてご答弁いただきましたけれども、都税調は、国に対してどんどん物をいっていく大きな使命があると思います。地方自身による、あるべき地方税制につきまして議論をリードしていく役割を担っている。国に何かを期待しても、自分たちに不都合なことをするわけもないわけでございまして、むしろ主体的に地方から物をいっていくということが非常に重要であると考えるわけですが、今般の政府によります税制改正についていえば、先ほど我が党の上野理事がただしたとおり、法人事業税の暫定措置の対応一つ見ましても、地方分権の動きは、この十年間で、前進するどころか、むしろ大きく後退しているのではないかとさえ思うわけでございます。
 現政府は、社会保障と税制の一体改革を掲げていますけれども、具体的な姿、形は一向に見えていないのが実情、これは皆さん、共通の認識ではないかと思います。
 さらに、地域主権とみずからおっしゃっていながら、地方税の充実の配慮すらない。消費税の配分の議論につきましては、今のところ、地方にという考えはだれもいわない。先ほど局長からご答弁があった部分でございますが、こういった発言までなされているわけであります。
 都税調は、これまで一貫して地方税の充実を訴えてきましたけれども、都税調の設立から十年を経過しまして、新たな十年のスタートに当たりまして、本年は、来年度の秋に答申を出す節目の年度に当たると思います。今後議論を深めていただきまして、ぜひ地方の立場、東京の立場から、地方税制のあるべき姿について、しかるべき答申をお願いしたいと思います。
 特に来年度は、税制の抜本改革の議論が本格化しまして、地方消費税のあり方が大きな議論の的になると想定されます。都におきましては、これまでの答申や来年度の答申を効果的に活用しまして、他の自治体とも連携を図りながら、ともに国と戦って地方税の充実を勝ち取っていく必要があると考えます。
 最後になりますけども、都税調の取り組みと答申の活用につきまして、局長の見解をお伺いします。

○荒川主税局長 私、都庁に入ってもう三十年以上になるんですけれども、地方分権、それから地方主権、で、最近は地域主権という言葉が使われておりますけれども、なかなかそういう状況が進んでいないというのが実感でございまして、そういうような日本社会をつくり上げていくのには、何よりもやはり課税自主権の拡大ということが必要だというふうに思います。
 しかしながら、現行制度では、今、先生もご存じのように、地方税法で大枠が決められておりまして、自治体が課税自主権を行使する余地というのは実際は小さいというのが実情でございまして、今回の税制改正を見ましても、地方の意見がなかなか反映されないというのが実態でございます。
 こうした状況は以前から続いておりまして、それに対して東京都は、地方の立場から税制のあるべき姿を発信するために都税調を設置したわけでございまして、実際の成果としても、先ほど質疑がございましたように、所得税から住民税への税源移譲、それからホテル税などの法定外税が答申され、それがその後の地方税の税制改正をリードする役割を果たしてきたというふうに考えております。
 現在、都税調では、分権と環境の視点から地方税制のあるべき姿を検討していただいておりまして、ことしの秋には最終答申をいただく予定になっておりますけれども、その中で、これからの社会づくりで大きな役割を担う地方自治体の財源である地方税の充実を図ることを、都税調は強く主張していくものというふうに思っております。しかし、現実を見ると、地方税の大きな改革というのは、平成十九年の税源移譲以来なされておりませんで、期待された抜本改正もまだ先送りというような状況でございます。
 いずれにしましても、地方税の充実というのは、すべての地方自治体の悲願でございまして、都税調の答申に期待されますのは、東京都だけではなくて、全国の地方自治体にも役に立つ提言であるというふうに思います。その提言を踏まえまして、他の自治体と連携を図り、また都議会とも連携を強化しまして、一丸となって国に迫っていきたいというふうに考えます。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○斉藤(や)委員 ぜひ戦う都税調、頑張っていただきたいと思います。
 新公会計もそうですけども、東京はえてして、富裕団体とか特別な都市というか、そういう見方が片方ではあるのも事実でございますけれども、同じように地方自治体の中で、縛りのきつい地方税法の中で、一生懸命、自主財源を研究されている方々も全国におられるわけで、ぜひ東京がリードして、地方分権、税源移譲という角度からも、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 質問を終わります。

○酒井委員 それでは私からは、固定資産税に関連をいたしまして質問をさせていただきたいと思います。
 この固定資産税に関しては、過去数回にわたり質問をさせていただく中で、課税算定根拠や、また誤課税にかかわる問題点を指摘し、改善方を求めるとともに、課税の間違いが起こらないような簡易な課税の仕組みへと、制度の見直しを求めてまいりました。
 また一昨年、平成二十一年三月の財政委員会では、複合構造家屋への課税にかかわる問題点について指摘をし、経年減点補正率の適用について、公平性に欠けている事例があることを質問いたしました。前回の質問から二年が経過をし、当時、答弁をした事項の処理状況等を中心に質問させていただきたいと思います。
 都においては、平成十八年、基準年度評価替えから、新築、既存とも、構造ごとに経年減点補正率を適用することとし、構造が鉄骨鉄筋コンクリートづくり、以下SRCづくりと申します。鉄筋コンクリートづくり、以下RC造といいます。また、鉄骨づくり、これについてはS造とさせていただきますけれども、これらのうち二種類以上の組み合わせから成る家屋に加えて、複合構造家屋である可能性がある一定規模以上で地下階のある家屋をまず抽出し、これらの抽出した約一万九千棟の家屋について、関係書類や登記簿等との照合などを行い、また、必要に応じて現地調査を行い、対象家屋を絞り込んだとし、その結果、千二百七十九棟の評価方法の変更をしました。
 しかし、その後も、平成十九年度に納税者からの申し出により一棟、平成二十年度にも申し出による三棟を含め二十二棟の処理を行い、十九年度には約一億円、二十年度には約十億六千万円を納税者に返還しています。そして、平成二十一年三月当時、処理中が二棟あり、当時の部長の答弁では、四月中に処理を終了するとのことでございました。
 そこで、まず確認をいたしますが、この未処理であった二棟について、平成二十一年四月中に処理が完了したのか。また、処理した結果、納税者に返還をした額は幾らだったのか、お伺いをいたします。

○堀内資産税部長 お尋ねの二棟とも、平成二十一年四月中に処理が完了してございます。
 納税者に返還した額は約一億五千八百万円でございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁によりますと、その二件については処理を完了しているということでございます。そのこと自体についてはよいと思いますけれども、今の答弁の中では約一億五千八百万円返還をしているというご答弁でございます。
 ちなみに、この還付加算金は幾らであったのか、お伺いをいたします。

○堀内資産税部長 還付加算金の額につきましては約一千八十万円でございます。

○酒井委員 今の質問で、平成二十一年三月当時に処理が終わっていなかった案件については、すべて処理が終了したということではございますけれども、その後、平成二十一年四月以降、新規に納税者から申し出や相談があった事例、及び審査申し出に至った事例、並びに都が申し出等がある前に発見した事例があれば、その件数についてお伺いをいたします。
 また、そのうち処理が完了しているもの、完了していないものの件数についてもお答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 平成二十一年四月以降、複合構造家屋の評価について新規に納税者から申し出があった事例は一棟、審査の申し出があった事例は二十六棟でございます。都が発見した事例はございません。
 現在、納税者から申し出があった事例については、損害賠償請求訴訟ということで係争中でございます。審査の申し出があった事例につきましては、すべて固定資産評価審査委員会において審理中でございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁では、納税者からの申し出が一棟、審査の申し出が二十六棟で、都が発見をした事例はないということでございましたけれども、この申し出に至る前に相談を受けて、都がみずから自主的に是正をしたものがあるのかどうか、お伺いいたします。

○堀内資産税部長 平成二十一年四月以降、複合構造家屋の評価につきまして、お尋ねのような相談を受けたものはございません。

○酒井委員 現在も二十七棟については訴訟中と審理中とのことで、さらに、申し出に至る前に都が是正をしたものはないということでございますので、すべてがまだ処理が完了していないということになろうかと思いますけれども、その理由と、終了目途についてお伺いいたします。

○堀内資産税部長 先ほども申し上げましたとおり、問題の案件につきましては、訴訟あるいは審査申し出中ということでございまして、訴訟となっている一棟につきましては、一棟全体を鉄骨鉄筋コンクリート造で評価している家屋について、建築当初から一棟全体を鉄骨造で評価すべきという主張でございます。
 審査の申し出のあった二十六棟につきましては、既にこれは構造別に分けて評価しているものでございますけれども、相手方が一棟全体を鉄骨造で評価すべきと主張しているものが二十五棟、一棟全体を鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造で評価しているものについて、構造別に分けて評価すべきと主張しているものが一棟でございます。
 いずれの場合につきましても、現在の都の評価は適法と考えてございまして、訴訟等の中で、適法に評価している旨、都の主張をしているところでございます。

○酒井委員 今のご答弁によりますと、訴訟を起こされている一棟、並びに審査申し出で審理中の二十六棟のうち二十五棟については、これはいわゆるS造で判定をすべきだという主張でございます。
 この問題については、東京都では構造別に適用するということになっておりますけれども、近隣では、日本の国内では、例えば大阪市であるとか、あるいは福岡市では、これは一棟単位で行って、主たる構造の判断に当たっては、最も大きい面積を占める構造によるという判断もしているところでございますので、これは東京都の主張と相反するということで訴訟になったり、また審理中であるということは理解できるわけですけれども、ただいまの答弁の中で、その審理中の一棟については、一棟全体をSRC造プラスRC造で評価しているものについて、構造別に分けて評価すべきと主張しているものが一棟あるという、そういったご答弁でございました。
 これについては、現行の都の取り扱いと主張を一にしているものであると思いますけれども、なぜ都は是正を行わず審査申し出を受けているのか、お伺いをいたします。

○堀内資産税部長 本件につきましては、審査申し出の中で、構造認定に係る主張だけではなくて、他の事項についても主張してございまして、現在、固定資産評価審査委員会において審理中のため、個別具体の話については差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。

○酒井委員 個別具体の話については、審理中であるから差し控えたいということでしたので、これ以上はその点についてはお聞きはしませんけれども、一点だけ確認をさせていただきたいと思いますけれども、この案件については、大田都税事務所で扱っている案件についてのことでしょうか。

○堀内資産税部長 ちょっと確認はできてございません。

○酒井委員 今、確認はできていないということなので、それについては後ほどお答えをいただきたいと思いますけれども、実際にそういった審理を受けている物件、一件プラス二十六件ですか、お答えをいただいているのであるならば、それぐらいのことは、どこの都税事務所の管轄にかかわるものかということぐらいは、存じ上げていて当たり前だと思いますので、ぜひそれについては後ほど教えていただければと思います。
 では、引き続き質問させていただきますけれども、最初の、実際申し出を受けているその一件については、現在係争中ということでございましたけれども、裁判に至るまでになってしまった原因はどこにあるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、その案件については、どの都税事務所に属する家屋のものか、お答えいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 本件につきましては、一棟全体を鉄骨鉄筋コンクリート造で評価している家屋につきまして、建築当初から一棟全体を鉄骨造で評価すべきという主張でございますけれども、現在係争中でございまして、個別具体の話につきましては、申しわけございませんけれども、控えさせていただきたいと思います。
 なお、本件家屋の所管事務所は文京都税事務所でございます。

○酒井委員 これも係争中ということで、なかなか詳しいことについてはお答えをいただけないわけでございますけれども、これについては文京都税事務所に所属をしていた建物ということで、これは、平成二十二年に国家賠償法に基づいて訴えを起こされている事件のことであると思いますけれども、この固定資産税の評価にかかわる問題について訴えを起こされているのは、本当にこれ一件だけでよろしいですか。

○堀内資産税部長 お答えいたします。
 固定資産税につきましては、別にこの複合構造家屋にかかわらず、いろいろな評価の問題、課税の問題、非課税の問題とか、そういった種々問題がございますので、訴訟となっている案件はほかにもいろいろございます。

○酒井委員 では、改めてお聞きをいたしますが、複合構造家屋に関して訴えられているものに関しては、この一件だけですか。

○堀内資産税部長 この複合構造家屋の構造認定の問題ということに関していえば、この一件でございます。

○酒井委員 認定に関してはと断られましたので、それについてはそのとおりであろうと思いますけれども、実際には、この固定資産評価審査決定取り消し訴訟といったものも起こされていますね。かなり大きな会社が相手方と思うんですけれども、平成二十年に起こされているもので、これは千代田都税事務所扱い分で、企業の名前をいうと、かなり大きい有名な企業にかかわる案件についても、これは先ほどお話をしていた、審理をされて、それについて認められなかったものについて、その固定資産の資産評価の審査の決定に対して異議を申し立てて、取り消しを求めている訴訟が起こされていると思いますので、それについては、ぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。
 ただいまご答弁をいただいていることを考えますと、平成十八年に是正した以降も、申し出等が行われているわけです。そもそも、必要に応じて現地調査を行ったと、以前、部長は答弁をしておりましたけれども、一万九千棟のうち、実際には何棟の現地調査を行ったのか、お伺いをいたしたいと思います。
 この調査に当たっては、登記簿等で確認を行って、その他必要書類等も見たということでありますけれども、実際には、現地を見なければなかなか、この内容といったものは明らかにならないと思うわけですけれども、その確認の仕方といったものについて不十分であったのではないかと考えるわけですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 若干、抽出方法等につきまして詳しくご説明させていただきますけれども、是正対象家屋の抽出方法につきましては、構造が鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造のうち二種類以上の組み合わせから成る家屋に加えまして、複合構造家屋である可能性がある、一定規模以上で地下階のある家屋をまず抽出いたしました。その数が約一万九千棟でございます。
 約一万九千棟の中には、そもそも複合構造ではなかったもの、あるいは既に構造別に分けて経年減点補正率を適用していたもの、あるいは、登記上、鉄骨造が含まれていないものが約一万七千棟ございました。それを差し引いた結果、対象家屋を約二千棟に絞り込んだところでございます。その約二千棟につきまして、関係書類の確認や現地調査を行ったものでございます。
 現地調査を行った棟数については記憶してございませんけれども、これは新築等の家屋の調査とあわせて調査を行うことが通常であったというような事情もございます。ただし、今申し上げましたとおり、登記簿だけで確認したわけではなく、その他関係資料や現地調査等に基づき対象を絞り込んだものであり、対象となった家屋については適正に処理を行ったと考えてございます。

○酒井委員 ただいま、二年前よりもかなり詳しく、絞り込みの仕方についてご答弁いただきましたので、念のため確認だけさせていただきたいと思いますけれども、この平成十八年度、基準年度以降に処理をした、先ほど最初にご答弁をいただいた二棟も含めて二十五棟が処理をされているわけですけれども、この二十五棟はすべて、ただいま説明の中にあった絞り込みを行った二千棟の中にあったものなのかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 平成十八年当時のことで、数も多いものでございまして、そこが二千棟の中に含まれていたものかどうかにつきましては、今現在、ちょっと確認はできません。

○酒井委員 今せっかくご丁寧にご答弁をいただいたので、あえて確認をさせていただいたわけですけれども、都の側としては、先ほどのご答弁の中では、適正に処理を行ったと考えているということで、二千棟を絞り込んだ中にすべてこの二十五棟が入っているのであるならば、その絞り込みの仕方もよかったし、その結果、何らかの原因で、現地調査もなかなか十分できなかったとか何とかということで漏れてしまったということもいえると思うんです。
 ただ、これ、二千棟の中に入っていなかったとするのであるならば、初めの絞り込み方が不十分であったといわざるを得なくなるわけです。この点については調べられますか。この場ですぐに出てこなければ、後ほどでもいいわけですけれども、調べられるか、られないかだけお答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 当時の資料がどの程度残っているか、そこら辺を見ながら確認はしてみたいというふうに思います。

○酒井委員 ぜひ調査をしてご報告いただきたいと思います。
 この主税局、都税事務所の持っている資料については、以前も、ある年度が過ぎたものについては破棄をしていたということがあって、その保存については、現行あるものはすべて保存しておくようにということでご要望をさせていただいた経緯もありますので、これは納税者にとっては、自分の家屋に対する課税の根拠になる大変重要な書類等も含まれているわけでございますので、しかも、こういった問題になっているものに関しては、しっかりと保存してあって当たり前のことであると思いますから、ぜひその点については、後ほどご報告をいただきたいと思います。
 では、質問を続けさせていただきたいと思いますが、先ほど、現地調査を行った記録はないということでございましたけれども、そもそも主税局としては現地調査に消極的であったのではないかと私は思っております。その考える根拠としては、平成十七年十二月十五日に固定資産評価課長が出した通知の中に、原則として、対象家屋の特定に当たっては現地調査を行わない旨の記載があります。こういった記載は、二年前、資産税部長が答弁をして、必要に応じて現地調査を行ったとしていたわけですけれども、随分スタンスが違うように思いますが、見解をお伺いいたします。

○堀内資産税部長 答弁につきましては、先ほどの話ですけれども、確認という意味では、抽出家屋にどういった過程の処理の状況や何かの資料とか、そういったものを含めて確認しなければいけませんので、家屋の台帳とか調査票とかというもののほかに、そういった資料も確認したいという意味でございます。
 ただいまのご質問の答弁でございますけれども、原則として、対象家屋の特定に当たっては現地調査を行わないと、確かに通知文でそうしてございます。しかしながら、対象家屋を特定するに当たりまして、関係書面だけでは判断できないものがございまして、先ほど申し上げましたように、絞り後の二千棟を中心に、結果として相当数の家屋について、必要に応じて現地調査を行っているという意味でございます。

○酒井委員 それでは、また一つ確認をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど質問をいたしましたSRC造プラスRC造という、東京都と考え方を一にしているのではないかというこの案件については、実際に現地調査を行ったのでしょうか。
 また、一般的に、現地調査とはどのような方法で行っているのかもお答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 先ほど申し上げましたとおり、調査につきましては、通常の家屋調査とあわせて行うことも多く、本件につきましても、現地調査の記録はしてございません。現地調査でございますけれども、一般的に現地調査とは、立入調査、聞き取り調査、外観調査などがございます。

○酒井委員 今、一般的に現地調査とは、立入調査、聞き取り調査、外観調査などがあるというお話でございます。立入調査であるとか、また聞き取り調査というのは、そういったことをすると、より詳しくわかるのかなと思うわけですけれど、外観調査というのは、言葉だけを見ると、外から眺めることを外観というのではないかなというふうにも思うわけですけれども、今、この外観調査というお言葉がございましたので、外観調査といったものはどういうものなのか、この外観調査だけで実際にわかるものなのかどうかといったことについてお答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 通常は、新築の家屋等につきましては、中に入って調査するということが通常でございますけれども、それ以外の調査で、現地に行って、その建物の状況、そういったものを外観から確認すれば十分という調査もございまして、そういった意味で外観調査というものでございます。

○酒井委員 外観調査をすれば十分というお話ですけれども、実際には、今お話に出しているのは、例えば地下階がSRC造で地上階がS造といったものなど、周りが覆われていたら、中がどういう構造かというのは、外を見ただけではわかるわけがないんですよね、実際。だって、関係書類を見て、実際に中がどういう構造になっているのかということを見なければ、外から眺めただけでこれがどういう、鉄骨でつくっているのか、また鉄筋コンクリートなのかということはわからないと思うんですけれども、普通に常識的に考えて。
 そういう思いがあるのですが、その点についてどうなのかということと、あと、実際に、これは大田都税事務所が東京都固定資産評価審査委員会に出している弁明書のあるものなのですけれども、その中にも、この家屋の調査については外観調査を行いという、外観調査しか行っていない事例があるんですよ。これは多分、審理にかかっているものですから、それについて評価委員が都税事務所に対してどうだったのですかと聞いたものに対して弁明書を出しているもので、で、外観調査を行いと書いてあって、外観調査だけでわかるのかと。どうですか。感想でも構いませんのでお答えください。

○堀内資産税部長 お話の件につきましては、審査申し出で審理中の案件にもかかわる事項があると思われまして、個別具体的な話は避けさせていただきたいと思いますけれども、外観調査だけではなくて、この複合構造の不均衡是正のときの調査では、聞き取り調査等も行ったものもございます。
 平成十八年当時の不均衡是正につきましては、大量なものをある程度短期間に行ったということもございますし、通知の中で、なかなか難しい場合については、地下階を鉄骨鉄筋、SRCですか、地上部分はSというような形で評価していくというような、いろんな手法を使って当時の処理を行ったところでございます。

○酒井委員 では、次の質問に移らせていただきたいと思いますが、一般に、納税者は申し出に当たって、所有する家屋の評価状況を確認することになると思います。実際、都税事務所では、各基準年度における価額の算定書、これは基準年度というのは三年ごとですね、これを見せなくなったり、あるいは計算資料の開示請求に対して、説明をするから見に来るようにと指導して、その際に納税者が希望する専門家の立ち会いも拒んでいるということを耳にしました。
 なぜ都は、評価資料等の請求があった場合、郵送で対応せずに窓口でしか対応していないのか、その理由をお伺いいたします。また、いつからどのような通達を都税事務所に出しているのかも、あわせてお伺いをいたします。

○堀内資産税部長 納税者に対する評価内容の説明の一環としましては、必要に応じて評価資料の交付を行っているため、郵送ではなく窓口で対応してございます。
 また評価資料につきましては、個人情報を記載した資料でございまして、個人情報保護条例に基づく情報開示と同様な取り扱いとしてございます。
 個人情報保護条例に基づく開示請求につきましては、請求に係る個人情報の本人またはその法定代理人であることの確認を厳格に行うこと、開示については、実施機関が指定する場所において行うこととされてございまして、このため、全庁的な取り扱いとして、原則として郵送による開示を行っていないところでございます。
 開示の取り扱いにつきましては、平成十九年度に通知を出しているところでございます。

○酒井委員 また確認をさせていただきたいと思いますが、今のご答弁の中では、資料の交付は必要に応じてとしておりましたけれども、必要に応じてとはどういう意味でしょうか。
 これは、納税者が求めれば交付をするというふうに解釈していいのか。納税者の必要に応じてなのか、都税事務所側の必要に応じてという意味なのか、その必要に応じての意味についてお答えいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 まさしく必要に応じてでございまして、納税者に対してご理解をいただくために必要があればということかと思います。
 あとは、その資料につきましては、どの程度の資料なのかと、説明できるような資料なのかというような、そういった観点、いろいろな観点から、その都度判断していくということだと思います。

○酒井委員 普通、必要に応じてというときには、これは納税者に説明をして、納税者が自分の課税を受けている建物、家屋の状況について説明を求めに行っているわけですよ。それに対して、納税者が求めているにもかかわらず、これを交付しないという理由があるのかということは大変疑問に思いますので、その点についてはぜひ考えていただきたいと思います。
 先ほどの答弁の中では、個人情報保護条例に基づいて云々という話があったわけですけれども、先ほども申し上げましたが、納税者が専門家を同席させることも拒んでいたり、また、今のご答弁からもうかがえるように、自分の家屋に対する課税の根拠となる資料の写しの交付にも消極的なことは、これは専門家ではない納税者が、例えば一級建築士等の専門家に相談する機会を制約していることになって、明らかに納税者の権利を軽視していると理解をされても仕方がないと思います。アンフェアだと思います。専門家の同席を拒む根拠はどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 拒んでいるということではございませんけれども、ただし、我々のケースとして考えているのは、税理士、公認会計士、弁護士以外の者が、業として税務代理等の税理士業務を行うことは税理士法で禁止されてございます。このため、税理士等以外の者が税務交渉等を行ったということから、税理士法違反と判断いたしまして、同席をお断りしたというケースはございます。

○酒井委員 今のご答弁ですと、税理士法に違反と判断をし、同席を断った場合があるとのことでございますけれども、その案件の当事者は税理士法違反で有罪が確定をされている方なのでしょうか。当事者である納税者のアドバイザーとして同席をし、納税者の求めに応じてアドバイスをすることに何の問題があるのでしょうか、根拠を示していただきたいと思います。
 また当然、一般論として、一級建築士等がアドバイザーとして同席することに何ら問題がないと思いますが、確認のためにお伺いいたします。

○堀内資産税部長 先ほども申し上げましたとおり、税理士等以外の者が、業として税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うことは、これは税理士法で禁止されているところでございます。
 若干、法律の解説じみたお話でございますけれども、業とするとは、これらの行為を反復継続して行い、または反復継続して行う意思を持って行うということをいいまして、営利目的の有無、ないし有償、無償の別を問わないとされてございます。
 また、税務代理につきましては、税務上の主張、陳述を行うことが含まれるというところでございます。
 先ほど申し上げました事例でございますけれども、税務代理行為を繰り返し行っている建築士が、調査における立ち会いにおいて税務上の主張、意見陳述を行い、再三、税理士法違反の件につきまして注意したにもかかわらず、その行為をやめなかったため、やむなく同席をお断りしたものでございます。

○酒井委員 では、一般論として、税理士法に違反をしていない場合については、同席を拒むわけではないですか、お答えください。

○堀内資産税部長 税理士法に違反しないという場合においては、同席を拒むものではないというふうに考えてございます。

○酒井委員 今、税理士法に違反しない場合においては同席を拒むものではないとご答弁をいただきましたが、その点についてはよろしいかと思うわけですけれども、そこで一点確認をさせていただきたいと思いますけれども、税理士法に違反をしない場合において同席を拒むものではないということで、この税理士法に違反をしているかどうかというのは、だれが判断をする権限を持っているのか、お伺いをしたいと思います。
 私も副業で行政書士をやっていて、その職務上においては、例えば弁護士法に触れないようにとか、あるいは他士業の域に触れないようにということで注意をして行っているわけですけれども、一般的に非弁活動であるとか、例えば私がやっている行政書士では、非行政書士活動を行った場合においては、そういった方々を、それぞれの行政書士会なり弁護士会がピックアップをして、問題があれば、それを訴えるという形をとることになろうかと思いますけれども、都主税局としては、この税理士法違反といったものについては、だれが判断をし、そしてその権限を有していると考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 法律に、その行為が税理士法に違反するというふうに判断される場合につきましては、行政として違法状態を放置するわけにはいかないということで、注意喚起をするなり、そういった行為が、違法状態が続かないように防止するということは必要とされるというふうに考えてございます。

○酒井委員 というご答弁をいただきましたが、ということは、東京都がその権限を持っている、税理士法違反ということを認定する権限を持っているというふうに理解をしていいのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
 あわせて質問をさせていただきますけれども、先ほど、都税事務所においては、各基準年度における価額の算定表を見せなくなった事例があると申し上げましたが、納税者の納得を得るためには、しっかりとした評価内容を説明すべきであると思います。当初の評価額から、基準年度ごとに構造、用途がどのようになっており、それに基づいてどのような計算を行った上で課税標準が出されたのかについて記載をした資料を納税者に渡すべきと考えますが、以前はこのような資料を都税事務所で交付していたというふうにも聞いておりますけれども、いかがでしょうか。

○堀内資産税部長 資料の件でございますけれども、納税者の理解を得るため、毎年度、納税者に対し、納税通知書とともに、課税明細書、チラシ等を送付してございます。
 また必要に応じて、都税事務所の窓口におきまして、家屋調査票等の詳細な資料を提示しながら適切に即説明を行っているところでございます。
 ただし、ご指摘のあったような、建築当初からの課税の経緯をまとめた資料については作成していないところでございます。

○酒井委員 今、作成をしていないというお話でございましたけれども、なぜ作成をしていないのでしょうか。

○堀内資産税部長 固定資産税につきましては、地方税法に基づく縦覧制度がございまして、家屋につきましては、構造、床面積、価格等を記載した家屋価格等縦覧帳簿を作成し、当該区市町村内に家屋を所有する納税者に対して、縦覧に供することとなってございます。
 都におきましては、四月一日から六月三十日までの三カ月にわたり、各都税事務所において縦覧を行い、納税者に対して、毎年度の価格について適切に説明を行っているところでございます。
 ご指摘のような書類につきましては、法的に定められたものではなく、作成は現在行っていないものでございます。

○酒井委員 今のご答弁ですと、法的に定められたものではなく、作成をしていないという答弁でございましたけれども、ただいまお示しをいたしましたが、この各基準年度における価額の算定書につきましては、先ほど、訴訟がほかにないのかというお話をさせていただいた件があろうかと思いますけれども、この千代田の都税事務所が扱っていた家屋について、今、この行政不服の訴訟が起こされていると思うわけですけれども、この訴訟書類の中に、各基準年度における価額の算定書というのがあって、所在地があって、所有者があって、構造が書いてあって、あとは、これは平成五年に建築をしたものであるわけですけれども、その乗率から経年減点補正率までずっと一覧になっているものがあるんですよ。
 これは明らかに、この細かいところを見てみると、行政がつくっている文書ではないのかなというような文言があちらこちらにちりばめられていて、これ、法的にはつくる必要がないものかもしれないのですけれども、もしかしたら、これ、都税事務所でサービスの一環としてつくっていたということがあるのではないですか、どうでしょうか。

○堀内資産税部長 作成していないのは、現在作成していないということでございまして、委員お話しのとおり、過去にはそういった資料があったということは聞いております。ただし、それは個別に、個々のケースにおいてそういった資料をつくっていたこともあったというものでございます。

○酒井委員 では、質問はこれで最後にしますけれども、今、過去においては個別にこういった資料についてはつくっていた可能性があるということで、私が先ほどから繰り返し申し上げているように、これ、納税者にちゃんと納得をしていただいて、その理解の上に納税をしていただくということが基本だと思うんですね。ですから、自分の家屋がどういった形で評価をされているのかということを、わかりやすく書面にしてお渡しをするということも、これは主税局の責務であると私は思います。
 今つくっていないとしても、過去につくっていたのであるならば、つくれるわけですよ。ということは、求めがあれば、つくって渡していく必要があると思いますけれども、この点について、主税局長に、その渡していく考えが持てないのかということについてお伺いをしたいのと、また、この賦課税である固定資産税の評価値を、課税庁である主税局は、間違いのない課税をすることはもちろんでありますけれども、納税者から、繰り返しになりますが、疑問を抱かれないような対応をしなければならないし、正しい課税に向けて納税者に理解を求めるだけではなく、納税者の請求申し出には真摯に対応し、もし間違いがあれば、一日も早く対応することが還付加算金の支払い--先ほどの例では約一千八十万円も、都民の、ほかの善良な納税者の都民の税金から、これは都の判断ミスによってお金を渡さなくてはいけない、そういった事例が起こっているわけです。
 こういった事例を避けることにもつながるわけですので、ぜひとも都民の税金をむだに浪費しないという姿勢にもつながる、これは主税局の責務であると思います。
 先ほどの、今お話しをした説明資料、また、こういった各基準年度ごとの資料等も含めて、これらの交付を含め、対応方の改善を求めたいと思いますけれども、局長の見解をお伺いいたします。

○荒川主税局長 今、幾つかご質問をいただきまして、まとめてお答えさせていただきたいと思いますが、税務に携わる人間として基本的なことを申し上げれば、住民の皆さんが払う税金で成り立っているのが自治体でございまして、その課税庁たるものは、我々は、常に公平公正の原則にのっとって適正な課税、徴収に努めまして、仮にも納税者に疑問がわいたならば、真摯に対応することが最大の責務であるというふうに認識しております。
 しかし、税制全般についていえることでございますけれども、今日のように世の中が非常に多様化し、資産の持ち方もいろいろと複雑になってきますと、それを公平公正に税制に反映しようとしますと、結果的に制度自体が複雑になってしまうというところがございます。
 特に、今、質疑のございました固定資産税は、それが顕著だと思いますし、先ほど先生も冒頭にお話しになったように、非常に複雑になっているというところございます。
 主税局の職員も、法令や国の基準に基づいて適正な評価、課税に全力を挙げておりますし、また納税者から質問があれば、関係資料をお示ししながら、できるだけ丁寧な説明に努めているところであるというふうに思っております。
 ただ、課税、徴収という個人の財産、権利、義務に直接かかわる仕事でございますので、納税者に対応する際には、他の行政分野以上に神経を使い、さまざまな配慮をしなければならないところがあるというふうに思います。
 また、主税局の体制も効率的な体制を組んでおりまして、実施面で限界があるというところもあることもご理解願いたいと思います。
 しかしながら、対応に不十分なところがあれば、すぐにそれを正し、また万が一、評価した価格が修正すべき事態が生じた場合には、速やかに修正していくと。そして、必要な資料はきちっと残し、納税者が必要だと思うものについての資料提供をしていく。こういうことが権限を持って税を徴収する者の責任だというふうに考えております。
 主税局員もそのことをよく認識しているものと確信しておりますが、改めて私から督励をしたいというふうに思っております。
 また、国に対しましては、簡素で理解しやすい固定資産税の制度に改めるよう、強く提案要求していきたいと思います。
 今後とも、都税、都議会のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十一分散会

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