財政委員会速記録第二号

平成二十三年二月十八日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高木 けい君
副委員長吉田康一郎君
副委員長たぞえ民夫君
理事菅  東一君
理事中谷 祐二君
理事上野 和彦君
福士 敬子君
くりした善行君
斉藤やすひろ君
鈴木 隆道君
田島 和明君
大西さとる君
斉藤あつし君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長安藤 立美君
経理部長藤原 正久君
契約調整担当部長奥田 信之君
主計部長長谷川 明君
調整担当部長関  雅広君
財産運用部長松本 泰之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長金子 敏夫君
技術管理担当部長末菅 辰雄君
庁舎運営担当部長藤森 教悦君
主税局局長荒川  満君
総務部長目黒 克昭君
税制部長田倉 英明君
税制調査担当部長山内 和久君
課税部長木村 芳生君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長宗田 友子君
特別滞納整理担当部長阿南 威彦君
会計管理局局長新田 洋平君
管理部長安藤 弘志君
警察・消防出納部長稲田 正純君
会計制度担当部長佐藤  敦君
収用委員会事務局局長藤井 芳弘君

本日の会議に付した事件
 主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳入、歳出 主税局所管分
・第百三号議案 平成二十二年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
 会計管理局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 会計管理局所管分
 収用委員会事務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 収用委員会事務局所管分
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百一号議案 平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、都債
・第八十五号議案 都立板橋学園特別支援学校(仮称)(二十二)改築工事請負契約
・第八十六号議案 東京芸術劇場(二十二)改修工事請負契約
・第八十七号議案 東京消防庁金町消防署庁舎(二十二)新築工事請負契約
・第八十八号議案 中央環状品川線南品川換気所建築工事請負契約
・第八十九号議案 東京芸術劇場(二十二)改修電気設備工事請負契約
・第九十号議案  東京芸術劇場(二十二)改修空調設備工事請負契約
・第九十一号議案 警視庁鮫洲運転免許試験場庁舎棟(二十二)改築空調設備工事請負契約
・第九十二号議案 白子川地下調節池工事(その五)請負契約
・第九十三号議案 環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十二 一-環二汐留工区)請負契約
・第九十四号議案 古川地下調節池取水施設工事請負契約

○高木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局、会計管理局、収用委員会事務局及び財務局関係の中途議決に係る付託議案の審査を行います。
 なお、付託議案中、第八十五号議案から第九十四号議案までの契約議案については、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより主税局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 須藤調整担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 付託議案の審査を行います。
 第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳入、歳出、主税局所管分及び第百三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○高木委員長 これより会計管理局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○高木委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○高木委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百一号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局、財務局所管分、都債及び第八十五号議案から第九十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。

○中谷委員 それでは、平成二十二年度の最終補正予算案についての質疑を幾つかさせていただきたいと思います。
 十五日に行われました都議会民主党の代表質問におきまして、最終補正予算案を編成した都の基本的な考え方はお伺いをいたしました。今回の補正予算案の柱は二点ありまして、活用可能な基金残高を確保するということ、それと国の補正予算を効果的に活用していくと、その二点でありました。きょうは、それぞれについて、もう少し詳しく議論を行ってまいりたいと思います。
 平成二十二年度の当初予算は、大幅な税収減に直面し、厳しい財政環境の中で、都財政の健全性を堅持するとともに、都がなすべき役割を積極的に果たす予算と位置づけられ、編成をされました。
 平成二十二年度の一般会計最終補正予算案は、七百七十四億円の減であります。これは、平成二十年度の一般会計最終補正予算一千二百八億円の減、二十一年度の二千八百四十一億円の減に引き続き、三年連続の減額補正となっています。
 他の自治体では、決算を待たずに減額補正すること自体が、余り例がないと認識をしております。平成二十年度、二十一年度は、年度途中の大幅な税収減に直面し、その財源を確保するために、事業の徹底的な見直しを行った結果、減額補正となったものであります。
 一方、平成二十二年度の都税収入見込みは、厳しい税収減に見舞われた平成二十年度、二十一年度とは異なり、当初予算と比較しても、十三億円と、小幅ながらも増加をしております。
 それでは、平成二十二年度の最終補正予算案においても、なぜ不用額を精査し、歳出を減額補正する方針となったのか、所見をお伺いいたします。

○長谷川主計部長 二十二年度の都税収入につきましては、全体として、当初予算で計上した額をほぼ確保する見込みでございますけれども、対前年度で約一兆円もの減収となった二十一年度決算と比べますと、さらに下回る水準となっております。
 このように、依然として厳しい財政環境に直面する中にありまして、今後も都政の使命を継続的、安定的に果たしていくためには、基金残高の確保など強固な財政基盤をいかに堅持していくかが、都財政にとって大きな課題となっております。
 そのため、今年度予算の執行状況を踏まえまして、不用額となることが明らかな事項などをしっかり精査して財源を生み出すことによって、基金の取り崩し額を、当初予算に比べて八百三十四億円縮減しております。
 このように、今回の歳出予算の減額補正は、都財政を取り巻く厳しい環境を見据えながら、強固な財政基盤の確保に向けた取り組みを、当初予算の編成だけではなく、予算の執行段階においても積極的に進めたものでありまして、その結果、基金残高は平成二十三年度末で九千六百三十五億円を確保したところでございます。

○中谷委員 ことし一月に菅内閣で閣議決定をされました平成二十三年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度によりますと、今年度の我が国の経済は、今後、踊り場を脱し、国内総生産の実質成長率は約三・一%程度と、三年ぶりのプラス成長が見込まれております。
 しかしながら、都民生活の現状は依然として厳しく、若年層を中心に失業率が依然として高水準で推移をするなど、厳しいものとなっております。
 加えて、国内ではデフレ、円高、そしてヨーロッパ諸国の信用リスク、新興国のインフレ懸念と、国際経済動向は、国内景気の下押しリスクがあることについても予断を許さない状況であります。
 歳入が景気情勢に左右されやすい都財政において、可能な限り活用可能な基金残高を確保することは、自立的な都財政の運営にとって不可欠なことであります。今回の補正予算は、可能な時期に少しでも基金残高を確保し、財政の健全化を高めようという財政当局の意思表示であると理解をし、評価するところであります。
 次に、基金と並んで、もう一つの都の財政対応力の柱となるのが都債であります。厳しい財政環境の中で、都債を財源確保のために当初予算で四千七百八十六億円と活用している局面であるにもかかわらず、都の起債依存度は七・六%にとどまっており、国や地方財政計画に比べますと、極めて健全な水準を保っております。
 今回の補正予算においては、歳出の精査により都債の発行額を見直す一方、必要な事業には減収補てん債を発行し、結果、都債は五億円の減になったということであります。
 そこで、最終補正予算における都債計上額について、その内容とあわせて、財政健全性の観点からの都債の適切な活用について所見をお伺いいたします。

○長谷川主計部長 先ほどご答弁いたしました不用額の精査によりまして、建設事業費なども減額したことから、その財源となる都債も二百五十億円減額しております。
 一方で、都税と地方譲与税を合わせた一般財源では、当初予算に対して二百九十九億円の減収となっておりますことから、これまで培ってまいりました都債の発行余力を活用して、減収補てん債を二百四十五億円計上しております。これは、いわゆる赤字債ではなく、減収補てん債の発行ルールに基づいて、建設事業費等の財源のうち、定められた充当率を超える一般財源部分に充当したものでございます。
 この結果、補正後の都債計上額は、当初予算と比較して、差し引き五億円の減額となったものでございます。
 財政健全性の観点からの都債の適切な活用についてでございますけれども、都債は社会資本ストックの形成や更新などの重要な財源でありまして、将来、社会資本ストックを利用する世代が公債費を負担するという世代間の負担の公平を図る役割と、元利償還として経費を平準化するという年度間の財源調整を図る役割をあわせ持っております。
 財政環境の変化に的確に対応していくには、この二つの役割を計画的に活用することが必要でございまして、今回の補正予算におきましても、その考え方に沿って、将来負担を見据えて適切に活用したものでございます。

○中谷委員 将来にわたって継続的に、また安定的に都民サービスを提供していくためには、堅固な財政基盤の堅持をしていかなければなりません。都議会民主党は、これまでも都に対して、徹底的なむだの排除と、将来にわたる財政力の堅持について繰り返し求めてまいりましたが、今後もこうした都の財源を確保する取り組みを続けていくように求めていくものであります。
 次に、国の補正予算の活用についてお伺いをいたします。
 昨年の十月、国において閣議決定をされました円高、デフレ対応のための緊急総合経済対策を受け、十一月には、雇用、人材対策や新成長戦略の推進を盛り込んだ平成二十二年度の補正予算が成立いたしました。
 この中で、国は、地域経済の元気回復のために、地域の目線に立ったきめ細やかな支援を行う仕組みとして、二つの地域活性化交付金を創設したところであります。地方がみずからの責任をもって地域のニーズに応じていくことは、これまでの中央集権型の社会から、その漂う閉塞感を打ち破り、地方から元気な日本を復活させると、そのことにつながる大変大事な施策であると考えております。
 そこで、この地域活性化交付金の活用について、都の基本的な考え方をお伺いし、あわせて、具体的な充当事業とは何であったのかをお伺いいたします。

○長谷川主計部長 地域活性化交付金は、国の経済対策に基づきまして、地域の実情に応じた事業に活用できるものとされており、きめ細かな交付金と住民生活に光をそそぐ交付金の二つから構成されております。
 都における活用でございますが、きめ細かな交付金につきましては、地域活性化のいわば土台として不可欠な都民の安全・安心を確保するために活用することといたしておりまして、具体的には、テロ対策の強化などのための資器材の増強といった警察力のさらなる充実、また、大規模災害への対応力強化などのためのはしご車や救急車の配備といった消防力のさらなる強化に充当しております。
 また、住民生活に光をそそぐ交付金につきましては、その趣旨を踏まえまして、女性相談センターのセキュリティー強化といったDV対策や自殺予防対策などの事業に充当しております。
 これらの措置を講ずることで、都がこれまで実施してまいりました取り組みと相まって、都民の安全・安心の確保に資するものと考えております。

○中谷委員 地域活性化並びに地方から日本の元気を復活させるという国の補正予算の趣旨を十分に踏まえて、都が施策に活用しているということが理解できました。
 しかし、そもそもこの地域活性化交付金は、その趣旨からいっても、どうしても人口の少ない地域でありますとか、財政力の弱い地域に重点的に配分されるものであり、実際は鳩山政権下で創設された地域活性化・きめ細かな臨時交付金においては、そうした趣旨に基づく配分でありました。
 ところが、今回のこの地域活性化交付金では、首都東京として都民生活や政治経済の中枢を守るといった、首都東京の実績に応じた必要な事業を計上した結果、これまでの交付金の配分率を上回る二十一億円となっており、私どもとしても、実際の交付金配分が気になるところであります。
 国の内示はこの二月であると伺っておりましたけれども、地域活性化交付金の都への配分額は、一体、最終的に幾らであったのか、お伺いをいたします。

○長谷川主計部長 二月十日に国から正式な通知がありまして、きめ細かな交付金の都への交付額は十六億円、住民生活に光をそそぐ交付金の交付額は五億円となって、二つの交付金の都への交付額は合わせて二十一億円でございます。

○中谷委員 都が必要と見込んだ事業費が満額交付されたということが確認できました。これは二十一年度の配分率を上回ったということでもあります。この事実は、安全・安心など東京特有の行政需要や、都が国の成長戦略の中で果たすべき役割についても、国が積極的に評価をしていることのあらわれであると思います。
 政権交代後の、この国の経済政策の方向性を具体的に示した昨年六月の新成長戦略においても、我が国の成長の牽引車としての大都市の役割を重視しております。都議会民主党としても、日本の成長の牽引車である東京から日本の元気を回復させると、そういう思いで、都への戦略的、重点的な投資がさらに促進されるように、国に対しても積極的に働きかけていきたいと思います。
 財務当局におかれましては、今回の交付金事業に限らず、都民生活の税金を原資とするすべての施策ができるだけ広く都民に還元され、首都東京が直面する課題を解決し、そして地域経済の活性化に直接結びつくように、各局の事業実施を進めていっていただくように求めるところであります。
 今回の最終補正予算案において、基金残高のさらなる確保や都債発行額の縮減を実現し、都財政の健全性を堅持する姿勢を明らかにする一方で、国の補正予算を活用して都民サービスの充実を図っており、当初の予算編成方針が一貫した都の姿勢として最終補正予算にも示されているものと理解をいたしました。
 我々が都に対して求めていることでありますが、予算編成の段階においても、今後の執行の段階においても、むだの排除を徹底し、堅実な財政運営を堅持していただくという意識を都庁の組織内においても徹底していただくように求めまして、補正予算についての質問は終わらせていただきたいと思います。
 これからは、契約の件について幾つかお伺いをしたいと思います。
 昨年の二定以来、二定、三定、四定、そして今回の定例会、この四つの定例会を合わせて、議会案件というのは三十六件、契約案件が上がってきて、そのうちの三十一件が低入札でありました。
 かつては、都でも、国の通知に基づいて、平成十年からは予定価格の事後公表を実施しておりましたけれども、平成十四年度から、予定価格、すなわち契約制限価格を探る行為などの不正行為を防止し、入札手続の透明化を確保するために、競争入札を行う工事については、すべて予定価格の事前公表をしております。ただし、これはあくまで東京都の契約事務規則及び財務局長通知により例外的に公表しているという認識であります。
 そこで、お尋ねをいたしますが、本年一月二十四日に国土交通省が発表いたしました二〇一〇年度の入札契約制度に関する調査結果によりますと、予定価格を事後公表にする自治体が増加傾向にあるとのことであります。
 都として、この国の方向性に対する意見と、今後の対応についてお伺いいたします。

○奥田契約調整担当部長 国では、公共工事の予定価格につきまして、建設業者の見積もり努力を損なわせ、くじ引きが多発するなどの理由から、事前公表しないこととしております。
 一方、都におきましては、昨年一月に実施いたしました最低制限価格の上限撤廃により、くじ引きが減少しており、また、事前公表を見直しても、低価格入札の抑制には効果が期待できないと考えているところでございます。
 したがって、一昨年の入札契約制度改革研究会の提言にもございますとおり、総合評価方式の適用拡大、特別重点調査の導入など、不良不適格企業の排除や低価格入札へ対応していくことによりまして、引き続き手続の透明性を高める事前公表を継続していくべきであると考えております。

○中谷委員 そもそも公共調達というのは、国は会計法、予算決算及び会計令で、地方自治体は地方自治法において、予定価格を作成し、その予定価格の範囲内で最低価格者と契約することが義務づけられておりまして、要は、予定価格を一円でも上回った場合には契約ができなかったのであります。入札価格が予定価格を少しでも上回れば、最低価格であっても落札できないという、いわゆる予定価格の上限拘束性のために、入札不調の数が相当数に上っており、公共工事の適正化を妨げる要因であると指摘もされております。
 そこで、予定価格の上限拘束性についてお伺いをいたします。
 現在の予定価格水準を仮に参考価格に置きかえ、予定価格をそれよりもやや高目に定めるという二重価格の設定は、入札契約の手法として考えられないのかどうか。予定価格が明らかに不合理であったと判明した場合など、予定価格を上回る落札を認める上限拘束性の緩和を、地方分権が今強く叫ばれている中でありますから、地方自治体の権限として認めることができないのかどうか。
 なぜならば、入札契約制度改革研究会、今、部長がおっしゃいましたけれども、これは財務局長によって委嘱された七名の委員で構成をされているものでありますが、この研究会においてもその指摘がありました。
 もしできないということであれば、その理由と、できた場合の効果についてお伺いいたしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 地方公共団体が競争入札によりまして工事等の契約を締結する場合は、地方自治法第二百三十四条第三項の規定によりまして、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申し込みした者を契約の相手方とすることとされております。
 したがいまして、予定価格を超えての落札は、法律の改正がない限り不可能でございます。

○中谷委員 地方自治法の改正がないとできないということでありますが、予定価格の上限拘束は、発注者側の設計や積算が常に適正であるということが大前提となっているわけであります。入札者の最低価格が予定価格をわずか一円でも上回れば入札不調となってしまう、そのことに対して、果たしてどれだけの合理性があるのかどうか。発注者の予定価格の積算が果たして絶対的なものなのかという疑問があるわけであります。
 例えば、年間に数本でも予定価格を上回る価格での入札が可能になれば、落札率に与える影響は極めて大きいと思いますので、法の改正も含めてご検討いただきたいと思います。これは国に対してでありますけれども。
 極端な低入札価格は、契約の内容に適合した履行がされず、品質確保に悪影響を及ぼすおそれがあります。最低制限価格制度をなぜ測量の契約に導入しないのか、お伺いをいたします。

○奥田契約調整担当部長 工事の場合は、その性質から、施工が不適切であるため、やり直すような事態が生じた場合に、社会経済的な損失が大きく、予測のできない損害をこうむるおそれがございますため、入札時に最低制限を設けて品質の確保を図っているところでございます。
 一方、工事と異なりまして、測量等の業務につきましては、履行がなされた時点におきまして検査を十分行うことにより適正な履行内容が確保されることから、最低制限価格制度は導入してございません。

○中谷委員 行き過ぎた低価格入札が、公共工事の品質面に支障を来すことがあってはなりませんし、品質を維持しつつ過度な低価格受注を続けるということは、受注企業を疲弊させ、社会基盤整備のための技術力の維持すら困難になりかねないのも現実であります。
 測量委託については、実は前回の財政委員会でも、私の質問に対する契約調整担当部長のご答弁は、各局独自に契約する件数も多いことから、現場を所管する関係各局--建設局や都市整備局からの発注が多いですが--とも連携をして、状況の把握に努めていくとのことでありましたが、どのような結果が出ているのか、お尋ねをしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 平成二十一年度及び二十二年四月から十月末までの島しょなど特殊な条件を除く競争入札案件の契約状況につきまして、測量関係の委託の状況につきまして、公営企業も含めまして調査いたしました。
 まだ速報値でございますけれども、まず契約件数について見ますと、平成二十一年度が三百五件、うち一千万円以上の財務局契約分が三件でございます。平成二十二年十月末までが二百十一件、うち同じく財務局分が五件となってございます。落札率の平均は、平成二十一年度が約五八%、平成二十二年十月までの分で約五三%となってございます。

○中谷委員 今のご報告のとおりでありますが、平成二十一年度、三百五件で、平均落札率が五八%、そのうちの財務局発注分、一千万円以上が三件ということは、要は、一千万円以下の工事が三百二件、圧倒的に多いわけです。平成二十二年度も、上半期でありますが、二百十一件のうち、財務局発注分は五件。ということは、残りの二百六件は一千万円以下の工事であります。つまり、利益も薄いと思われる一千円万以下の工事が圧倒的に多いというのが、測量の分野での現状であります。
 このような落札状況を把握して、最低制限価格制度の導入あるいは失格基準の策定などを都としては具体的に検討していただけないのか、お伺いをいたします。

○奥田契約調整担当部長 現段階では各局の状況を取りまとめているところでございますが、概況といたしましては、落札率の高いものもあれば低いものもございまして、一様ではございません。また、現時点では、履行上の問題は生じていないと承知しているところでございます。
 今後、品質の低下などがないかなど、落札率の関係等を詳細に分析してまいります。

○中谷委員 低価格受注で良質の工事を維持することが、企業の体力を低下させ、将来的な技術力の低下をもたらすということに、ぜひとも気づいていただきたいというか、認識をしていただきたいと思います。
 だから、今、落札率が高いものもあれば低いものもあると、そのとおりでありますけれども、現実として平均落札率が五〇%台の低価格入札をできなくする仕組みをつくるために、今の契約方式に手を加える必要があると、強く主張をいたしておきます。
 測量委託については、施工体制の確認型総合評価方式もなければ、特別重点調査もありません。ですから、今の契約制度について、少し見直しの必要があるとお訴えをするところであります。
 最後に一問、公共調達は、さまざまな社会的な要請を負っておりまして、雇用や労働者福祉への配慮、災害復旧への貢献度、環境への配慮などコンプライアンスにかかわる要素は、公共工事受注業者の評価要素として極めて大事なことと考えますが、所見をお伺いいたします。

○奥田契約調整担当部長 公共調達におきましては、法令に基づき、透明性、競争性、品質確保の三つの社会的要請のバランスが求められるところでございます。
 こうした要請を踏まえつつ、入札契約制度の本旨に反しない限りで、契約の内容、性質、趣旨等を考慮した上、価格だけではなく、企業の社会貢献度などの要素を評価することは可能であると考えております。

○中谷委員 履行品質の極端な低下が確認できないから問題でありまして、そのことは先ほども指摘をいたしました。
 入札業者は、低入札を重ねて利益の縮小が続けば、人材確保や技術開発が大変難しくなってまいります。そして、それがいずれ経営に響いてきまして、その結果がやがて会社の決算にあらわれてくると。それは都の税収減へと直結している話であります。
 昨年の十二月には、現場を所管する関係各局と連携して状況の把握に努めたいとのことでありました。そして二カ月が経過をして、今回のお答えは、落札率は一様ではなく、履行上の問題は生じていない、品質の低下がないか、落札率との関係を詳細に分析するとの部長のご答弁でありましたが、確かに、前に進んでいないとはいいませんけれども、ぜひとも、もう少しスピード感を持って取り組みを続けていただきたいとお訴え申し上げまして、質問を終えます。

○菅委員 それでは、平成二十二年度最終補正予算に関連してお尋ねをいたします。
 先日の代表質問で我が党の三宅幹事長が取り上げましたように、二十三年度において、都庁の自己改革力の向上を初めとしたさまざまな取り組みにより、将来を見据えた財政の健全性を堅持していくと、このことを高く評価いたします。
 同様の取り組みが、本日の質疑の対象である平成二十二年度最終補正予算からも見てとれます。そこで、財政の健全性という観点から、今回の補正予算のうち、基金、都債といった、いわゆる財政の対応力について、幾つか質疑を行いたいと思います。
 初めに、基金について伺います。
 今回の一般会計補正予算は、不用額などの精査によって七百七十四億円の減額補正となっておりますが、財源を見ますと、繰入金の八百六十九億円の減額が目につきます。これは、主に基金の取り崩しを八百三十四億円縮減した、このことによるものであります。
 いいかえれば、不用額の精査により生み出された財源を、新たな歳出に回すのではなく、基金残高の確保に充てたということであります。その結果、二十三年度予算での取り組みと合わせ、財源として活用可能な基金残高を二十三年度末で九千六百三十五億円確保しております。もし今回の補正予算での取り組みがなければ、基金残高は二十三年度末で九千億円を割り込んでしまうという結果になっておりました。
 二十三年度予算でも約二千二百億円の取り崩しを行っているわけでありまして、そう考えますと、一見、地道ではありますけれども、基金残高の確保に向けた不断の取り組みは大変評価できる、こういうふうにいってもいいと思います。
 そこで、都は、今回の補正予算での取り組みにより、結果として、二十三年度末で一兆円にも迫る基金残高を確保できた、このことをどう認識しているのか、まず最初に伺います。

○長谷川主計部長 都財政におきましては、歳入の中心を都税収入、とりわけ景気変動の影響を受けやすい法人二税が占めておりまして、平成二十一年度決算で都税が一年で一兆円もの減収となりましたように、極めて不安定な歳入構造にございます。
 加えまして、都は、地方交付税の不交付団体であることから、自立的な財政運営が必要でございます。
 したがって、将来にわたって継続的、安定的に都政の役割を果たしていくためには、年度間の財源調整に留意して基金を計画的に活用していくことが、財政運営上の大きな課題であるというふうに認識しております。
 また、今後、都税収入の大きな伸びが期待できない中にありましては、基金残高の確保の努力を、お話のように、地道に、また、いかに不断に行っていくかが一層重要となっているものと認識しております。
 こうした考えに基づきまして、今回の補正予算では、今年度予算の執行状況を踏まえ、不用額となることが明らかな事項などの精査を行いまして、これによって生み出された財源を活用して、基金の取り崩し額を当初予算に比べ縮減することで、基金残高をできる限り確保したものでございます。
 このような取り組みを通じて、厳しい財政環境にあっても、財政の健全性を保ち、この先も積極的な施策展開を支える財政基盤を堅持することができたのではないかというふうに考えております。

○菅委員 それに続きまして、都債についてまた伺います。
 今回の補正予算の都債については、事業費減に伴う減額と減収補てん債発行による増額が相まって、マイナス五億円となっております。今回は、減収補てん債についてお尋ねをしたいと思います。
 減収補てん債は、税収等の減収に対して発行するもので、三年連続の発行になりますが、今回は都税そのものは伸びておりまして、これまでとは趣が違うところもあります。都債は、将来の元利償還を伴うものでありまして、慎重な発行が必要だと、こういうふうに思います。
 そこで、減収補てん債発行の基本的な考え方を確認したいということとともに、この減収補てん債の発行が将来に与える影響についてお尋ねをします。

○長谷川主計部長 減収補てん債は、景気の悪化等により地方税が減収見込みとなった場合、その減収見込み額の範囲内で、財政状況等を総合的に勘案して発行する地方債でございます。
 減収補てん債には二種類ございまして、一つは、地方財政法第五条に定める通常債の対象となる建設事業費等の適債事業の財源のうち、定められた充当率を超えた一般財源部分に充当する通常分でございます。
 また、もう一つは、通常分を発行してもなお財源が不足する場合に、いわゆる赤字債として建設事業費等以外の一般的な経費への充当が認められる特例分でございます。この特例分は、単年度の経常的経費を賄うためのものでございまして、借金だけを将来の世代に残して、世代間における受益と負担のバランスを崩す要因となるものでございます。
 このたびの最終補正予算では、都税が小幅ながら増加するものの、地方譲与税を合わせた一般財源では二百九十九億円の減収が見込まれることから、事業実施に必要な財源を確保するため、減収補てん債として二百四十五億円計上いたしましたが、これはあくまでも、先ほど述べた二つのうちの通常分としての計上でございまして、かつ発行可能額の範囲内で最小限にとどめたものでございます。
 また、最終補正予算では、同時に、事業費の減額に伴いまして都債を二百五十億円減額しておりまして、この合計では五億円の減額となっております。
 この結果、起債依存度は、当初予算と変わらず七・六%と、全国的に見ても低い水準を維持しております。
 このように、減収補てん債を含めまして、都債については、安易に依存することなく、将来の財政負担も踏まえて適切に活用しておりまして、引き続き財政の健全性を維持しているものと考えております。

○菅委員 ただいまの質疑で明らかになったように、今回の補正予算は、これまで我々自民党と都が手を携えてしっかり取り組んできた、将来を見据えた堅実な財政運営の一環であるということが、しっかりと見てとれると思います。
 今や若い人たちは就職に困り、ますます進む少子高齢化の中で、社会には閉塞感が漂っております。ところが、こうした課題に向き合うべき国政の混迷ぶりは、まさしく目を覆うばかりであります。しかし、目を覆ってばかりではいられません。このようなときだからこそ、東京は、都民が抱える不安の解消に努め、都民にさらなる活力を与えていかなければならないと思います。
 そのためには、思い切った施策のできる裏づけが必要でありまして、何といっても積極的な施策展開を支え得る財政基盤が求められるわけであります。都の財政運営が、知事の強いリーダーシップのもと、このような認識に立って進められていることを高く評価したい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

○たぞえ委員 私ども日本共産党都議団は、昨年の三定以来、深刻化している雇用対策なども含めた補正予算を編成するように要求してきましたが、これまでの議会への編成提案はありませんでした。
 今回、年度末に当たって、二十二年度当初予算の補正が提案されましたが、今回の最終補正予算では、国の補正関連を除いて、都民施策の充実はどういうものがあったのか伺います。

○長谷川主計部長 都は、当初予算を年間総合予算として編成しておりまして、その時点で必要と判断した施策はすべて確実に計上しております。
 今年度についても同様でございまして、現下の厳しい社会経済情勢を踏まえて、これまで予算の趣旨に沿って着実に執行しているところでございまして、状況の変化などに対しても、可能なものについては執行段階で適切に対応してきております。
 その前提でございますけれども、今回の補正予算では、新たに予算措置が必要となった事項について迅速に所要の措置を講じたものでございまして、お話の都民施策の充実という点では、国の補正に係るものを除きまして、例えば母子福祉資金貸付金について、貸付実績の増に対応するため、増額補正を行いまして、母子家庭の生活に支障が生じないよう対処しております。
 また、独立行政法人福祉医療機構から施設整備等に要する資金を借り受けた社会福祉法人等に対する利子補給につきまして、償還期間が延長されることに伴って、都の利子補給期間もあわせて延長する必要があることから、所要の予算措置を講じております。

○たぞえ委員 最終補正予算で、都債発行は五億円の減額になっていますけれども、局ごとの歳入を見ますと、例えば都市整備債で五十七億五千四百万円、産業労働債で三十六億四千三百万円など増額の局もあれば、一方で、福祉保健債で三億六千六百万円、また、港湾債で十八億百万円、教育債で三十九億三千百万円、警察債で二十億七千万円と、ふえたところと減っているところがあるわけでありますが、なぜこういうことになったのか。

○長谷川主計部長 都債につきましては、不用額の精査による事業費の減額に伴いまして、その財源となる都債が二百五十億円の減額となる一方で、一般財源が二百九十九億円の減収となっておりますことから、減収補てん債を二百四十五億円計上しております。
 この結果、差し引き五億円の減額となっているわけでございますが、ただいまお尋ねの局ごとの増減についてでございますけれども、まず、事業費の不用額の発生額は事業ごとに異なるということがございます。
 また、減収補てん債につきましては、もともと個々の事業で一般財源の大きさはさまざまでありますことから、そこに充当する減収補てん債の計上額もおのずから異なるということになりまして、こうしたことで、局ごとに都債の増や減が発生したというものでございます。

○たぞえ委員 確認も含めて聞きますけれども、最終補正予算で減収補てん債の発行は幾ら増額したのか、理由を伺います。

○長谷川主計部長 二百四十五億円計上しております。

○たぞえ委員 例えば首都高速道路整備事業出資金などがありますが、これらの事業で都債を増額する予算が計上されているのはなぜなのか、理由を伺います。

○長谷川主計部長 若干繰り返しになってしまいますけれども、減収補てん債は、一般財源で減収が見込まれる際に、発行ルールに基づきまして、地方財政法で定める適債事業でございます建設事業費等の財源のうち、通常の充当率を超えて充当することができるものでございます。
 今回についても、お話の首都高速道路整備事業出資金も含め、このルールに基づいて、適債事業に該当するものに対して充当を行ったものでございます。

○たぞえ委員 終わります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

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