財政委員会速記録第十八号

平成二十二年十二月九日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高木 けい君
副委員長吉田康一郎君
副委員長たぞえ民夫君
理事菅  東一君
理事中谷 祐二君
理事上野 和彦君
福士 敬子君
くりした善行君
斉藤やすひろ君
鈴木 隆道君
田島 和明君
大西さとる君
斉藤あつし君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長安藤 立美君
経理部長藤原 正久君
契約調整担当部長奥田 信之君
主計部長長谷川 明君
調整担当部長関  雅広君
財産運用部長松本 泰之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長金子 敏夫君
技術管理担当部長末菅 辰雄君
庁舎運営担当部長藤森 教悦君
主税局局長荒川  満君
総務部長目黒 克昭君
税制部長田倉 英明君
税制調査担当部長山内 和久君
調整担当部長須藤 充男君
課税部長木村 芳生君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長宗田 友子君
特別滞納整理担当部長阿南 威彦君
会計管理局局長新田 洋平君
管理部長安藤 弘志君
警察・消防出納部長稲田 正純君
会計制度担当部長佐藤  敦君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成二十二年度資金管理実績(上半期)について
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十九号議案 警視庁鮫洲運転免許試験場庁舎棟(二十二)改築工事請負契約
・第百八十号議案  都立三鷹中等教育学校(二十二)改築及び改修工事請負契約
・第百八十一号議案 都立北地区総合学科高等学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
・第百八十二号議案 東京国際展示場(二十二)東展示棟改修工事請負契約
・第百八十三号議案 東京国際展示場(二十二)西展示棟改修工事請負契約
・第百八十四号議案 東京国際フォーラム(二十二)ガラス棟改修工事請負契約
・第百八十五号議案 東京国際フォーラム(二十二)電気設備改修工事請負契約
・第百八十六号議案 東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「みやこ」製造請負契約
・第百八十七号議案 妙正寺川鷺の宮調節池工事請負契約
・第百八十八号議案 環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十二 一-環二愛宕工区)請負契約
・第百八十九号議案 街路築造工事(二十二二-環五の一千駄ケ谷)請負契約
・第百九十号議案  高瀬橋(仮称)PCけた製作・架設工事請負契約
・第百九十二号議案 当せん金付証票の発売について
 主税局関係
報告事項(説明・質疑)
・平成二十二年度東京都税制調査会中間報告について

○高木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○高木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査並びに会計管理局及び主税局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、付託議案中、第百七十九号議案から第百九十号議案までの契約議案につきましては、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、平成二十二年度資金管理実績(上半期)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○高木委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十九号議案から第百九十号議案まで及び第百九十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中谷委員 それでは、私の方からは、今回の定例会に出されております契約案件について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回、十二件ございまして、そのうちの十一件が低入札価格調査の対象となっております。
 この十一件の平均落札率について調べますと、約七三%にとどまっている。この数字の評価というのは、落札率が、確かに昔と比べると上がってきたという評価もあるかもしれませんけれども、依然として予定価格の七三%でしかないわけであります。
 工事規模が大きいものについて、その工事施工上の工夫の余地があるから、要は、予定価格に対して、この程度の落札率で仕事が成り立っているというお話だと思いますが、工事施工上の工夫というのは、一つは、スケールメリットの話であるとか、資材をもともと持っていたとか、現場が近かったからとかという、そういう幾つかの要素があるかと思いますが、果たして、その予定価格に対して、実際にその三〇%も工事施工上の工夫の余地があるのか、発注者側の認識をお伺いしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 低入札価格調査制度では、その価格により入札した理由、積算内容、施工体制、契約実績及び経営内容等について、調査対象者から資料の提出を受け、ヒアリングを行いまして、積算内訳が合理的かつ現実的なものであるかどうかを調査しております。
 こうした内容を詳細に調査し、契約内容の履行が可能であることを事業者に挙証させ、確認できたものと認識しております。

○中谷委員 低入札価格調査制度の対象となる案件のほかに、最低制限価格制度の価格帯の工事もあると思いますが、平成二十一年度において、どのくらいの件数がそれぞれあるのか、お答えをいただきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 平成二十一年度では、全競争入札案件のうち、最低制限価格帯の工事は四千八百九十四件、調査基準価格帯の工事は四百十件でございます。

○中谷委員 全競争入札案件の約九二%を最低制限価格帯の工事が占めていると。その落札動向も、もちろん注目しておきたいところでありますけれども、さきの事務事業質疑において、最低制限価格帯の工事については、ことしの一月から最低制限価格の上限を撤廃したということで、平均落札率が八六・七%から八八・四%へと上昇したということでありました。
 最低制限価格は、国の公契連モデルについて算出しているとのことでありますけれども、現在の算式で乗じている、要は掛けている係数があると思いますが、その係数を変えることによって落札率を高めることができるかと思いますが、都独自の施策として検討するべきではないかと思いますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 中央公共工事契約制度運用連絡協議会の調査基準価格の算出式、いわゆる公契連モデルでございますが、国の公共工事に関する最新のコスト調査結果に基づいて算出されたものでございまして、都といたしましては、独自の基準を設定することは現段階では考えておりません。

○中谷委員 ことしの五月から、工事に準じて、測量なんかの業務についても、業務の成果を厳正かつ適正に評定するため、設計等委託成績評定制度というものを都は実施しております。
 その中で、都では工事--工事というのは、実は建築、土木、設備などで、ほかにもありますが、工事については最低制限価格制度を設けておりますけれども、いわゆる設計や測量などの業務には最低制限価格制度を設けておりません。そもそも、最低制限価格を設定できる契約とは何を指しているのか、お答えをいただきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 最低制限価格を設けることができる契約でございますが、地方自治法施行令第百六十七条の十第二項によりまして、工事または製造その他についての請負の契約と定められているところでございます。

○中谷委員 請負の契約ということであれば、設計、測量等の業務にも最低制限価格が設定はできると思いますけれども、都が工事についてのみ最低制限価格制度を設けている理由は何か、お伺いをしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 公共調達の原則は、低いコストで高品質なものを調達することでございます。
 工事について申し上げると、過度な低価格入札によりまして、工事現場での安全対策や下請へのしわ寄せなどの影響が大きいこと、品質に問題があった際の再履行について社会的影響が大きいといったことから、予定価格が一定以下のものにつきまして最低制限価格を設けることといたしまして、品質を確保しているところでございます。

○中谷委員 公共調達の原則は、低コストで高品質なものを調達することというのがあります。
 確かにそうなんですが、そうはいいながら、公共工事というのは、落札した業者が適正な利潤を上げるということが大変大事であります。要は、その企業が雇用を発生して、雇用を確保すること、そして業績としてしっかりと黒字を出して、最終的には、その企業に納税をしていただく、そこまで果たして、その納税された税金が原資となって、再び公共工事を発注できるというのが、いわゆるサイクルであると思いますので、そのサイクルがなし遂げられて初めて、この公共工事、公共調達の目的を達成するものと認識しております。
 実は、東京二十三区における測量に係る入札、最低制限価格の設定状況について調べてみました。そうすると、設定のある区が十一区、設定のない区が十一区、無回答が一区でありました。
 ちなみに、他の道府県でありますと、北海道、愛知、広島、三重、福井県などは、既にこの最低制限価格制度を導入いたしております。
 都において最低制限価格を設けていない、この測量の契約でありますけれども、どうも低価格の落札が多く発生しているとの意見も伺いますが、測量業務について、低入札状況についての都の認識をお伺いいたします。

○奥田契約調整担当部長 測量業務でございますけれども、二十二年度に入ってから財務局が直接契約手続を行った案件だけでの状況でございますけれども、一件当たりの参加者は確かに増加しておりまして、その結果、価格競争は激化していると認識しております。
 また、低い価格で落札している案件が見受けられております。

○中谷委員 低い価格での落札が見受けられるということでありましたが、平成二十一年度は契約件数が二十五件、その平均落札率と、平成二十二年度の上半期十七件の平均落札率との差は、どの程度であると認識をされているか、お答えを願いたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 まず最初にお答えしておかないといけないんですけれども、測量委託につきましては、各局発注の部分も多くございまして、多くの全容を把握してございませんが、今お話のあった財務局の契約分のことでございますけれども、年間発注に変動があることから一概に比較できませんが、おおむね一割強程度下がっているのではないかと認識しております。

○中谷委員 一割強下がっているという認識であると伺いました。
 確かに、建設局であるとか都市整備局分については、一千万円以下については、そこの局からの発注になると聞いておりますので、全体的な把握というのは、現時点で財務局の方でされていないかもしれません。
 ただ、落札価格競争が激化をするとどうなるかといいますと、当然、利益が薄くなって、そのあおりが会社の利益減、すなわち人件費へと波及するということは目に見えておりまして、せっかく日本の測量技術というのはトップレベルでありながら、その技術を有する技術者が、その業界から離れていっているというのが現状であると伺っております。適正な利潤を上げさせるというのが、ある意味、公共調達の意義でもあると思いますので、その入札制度に変えていく努力というものが私は必要であると考えております。
 そして、もう一問、測量業務についても、工事と同様に、最低制限価格などのいわゆる低価格での入札を抑制する仕組みが必要であると考えておりますけれども、都としては何か具体的な手法を考えていらっしゃるかどうか、お伺いをいたします。

○奥田契約調整担当部長 公共調達におけます入札契約制度につきましては、改めていうまでもなく、納税者の負担で行われておりまして、透明性、競争性、品質確保を優先するものでございます。
 低価格での入札を抑制する仕組みというお話でございますが、そういった仕組みの導入につきましては、当該契約における品質が確保されるかどうかといった観点が極めて重要だと認識しております。
 こうした観点から、測量業務につきましては、先ほど申し上げましたとおり、各局独自に契約する件数も極めて多いことから、現場を所管する関係各局とも連携して、状況の把握に努めたいと思っております。

○中谷委員 平成二十年度までの東京都の地籍調査事業の進捗率というのは約一九%でございまして、着手率は全体の六〇%といわれております。
 今ご答弁がありましたけれども、各局独自に契約する件数も多いことから、現場を所管する関係各局と連携をしていきたいというお話でありました。
 よく、他局の財産を移すときに、境界の確定ができないからとか、そういう事由で、なかなか局間の移動ができないというような都の財産があると伺っております。
 こういう測量ということも含めて、積極的に財務局さんが主導して、建設局、そして都市整備局と連携をとっていただいて、特にこの測量の低価格入札ということについては、今後さらに注意をしていただきたいと思います。
 それでは、私の質問は終わります。

○斉藤(や)委員 公明党の斉藤やすひろでございます。私の方からも、この入札契約制度改革関係について何点かお伺いをしたいと思います。
 毎回、委員会で申し上げてまいったわけでございますけれども、公共調達におきましては、競争性や手続の透明性とともに、品質の確保が十分に担保される必要があります。こうした観点から、都議会公明党としましても、受注者の選定に当たりましては、価格競争だけでなく、技術力も評価の対象とする総合的な評価方法を確立して、それを検証した上で、その拡大を図るべきと随時主張をしてまいったところでございます。
 一連の入札契約制度改革の結果、総合評価方式が、徐々にではございますけれども、その適用例がふえて、一定の成果を上げてきていると認識をしております。
 例えば今回、第四回定例会提出の契約案件入札状況を拝見しましても、その事前説明の資料を見ますと、例えば総合評価方式関係では妙正寺川鷺の宮調整池工事、これなどは、価格においては第一位ではないんですけれども、高い技術力を有する事業者が落札しておりまして、総合評価制度が一定の役割を果たしているのではないかと認識をしております。
 さらに、都は、公共工事の入札契約制度におきましては、総合評価制度の適用拡大を進めるとともに、先般の私の事務事業質疑でもお話ししましたけれども、都民の生命を守る病院の建物管理などの業務委託にも総合評価の試行を開始しているというご答弁をいただいたところでございます。
 そこで質問させていただきますが、今年度は三件試行しているという実施例がございましたが、契約に当たって、具体的にどのような評価を行っているのかを確認しておきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 平成二十二年度は、病院の建物管理委託などにおきまして総合評価方式を試行してまいりました。
 評価は、技術点、価格点の二つの点を足し合わせました点を総合評価点といたしまして、予定価格の制限の範囲内で入札した者のうち、最も高い総合評価点を得た者を落札者としております。
 総合評価点のうち、技術点につきましては、配置予定責任者の資格及び経験、履行体制、研修体制を評価しております。
 価格点につきましては、予定基準価格に対する入札価格の割合をベースとした式より算出しております。

○斉藤(や)委員 都民の生命を守る病院の管理業務委託につきましては、当然ですが、価格のみでなく、その履行の確実性を審査するなど、総合的な観点から評価しようとする取り組みを行っていると、今のご答弁で理解をいたしたところでございます。
 今後は、重要な都有施設の管理業務などにつきましても、その品質の確保を図るべく、総合的な評価方式について積極的に取り組んでいくべきと私は考えておりますけれども、都の考えを伺いたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 都立病院など、都民にとって身近で重要なサービスを提供いたします施設の建物管理業務委託等につきましては、優良な事業者が適正な価格で受注でき、質の高い都民サービスを提供する環境を整えるといった観点から、今後も総合評価方式の試行の拡大を検討してまいります。

○斉藤(や)委員 試行拡大を検討されているというご答弁でございました。
 一方で、この総合評価方式というものは、通常の入札手続に比べまして、発注側、発注者及びその事業者の事務負担が大変に大きいと、現場の方では伺うわけでございます。この点につきまして、都の認識をお伺いしておきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 二十二年度の準備契約を例にとりますと、病院では総合評価委員会を設置いたしまして、審査及び評価を行うとともに、提案者のヒアリングを実施するなど、きめ細かに対応していたと聞いているところでございます。
 一方、事業者さんにとりましても、提案書の作成、ヒアリングに出席することなどから、通常の契約に比べて負担は大きくなっている事実もございます。
 こうした点も考慮いたしまして、長期継続契約など、一回の契約手続によりまして複数年契約ができる制度を活用するなど、事務負担軽減の工夫を図ってまいりたいと思っております。

○斉藤(や)委員 とても大切なご答弁でございましたが、この総合評価方式というのは、単にその競争に任せて、非常に単純明快という、そういう形じゃなくて、評価が入るわけでございまして、その高い評価をいただくために、皆さん必死でそういった資料も用意して、その辺は大変手間暇もかかる、事務負担が大きいというお声を私も現場で聞いてきているわけでございます。
 また、公共工事と違いまして、この業務委託系の事業につきましては、決して、その参入規制というか、その参加を阻むような要素をまたつくってはならないというふうに私自身は考えているわけでございますが、あくまでも品質の確保、よりよい仕事を都民にしていただくという意味合いにおきまして、新しい工夫を試みていただきたいというふうに思っております。
 事業者の負担にならぬ創意工夫を重ねて制度を構築されるよう、期待いたします。
 総合評価方式は、繰り返しになりますけれども、価格と品質の確保の観点からは、すぐれた制度でございます。今後は、業務の特性を見きわめながら実施し、適正な価格で、すぐれた都民サービスの提供に努めていただきたいと要望しまして、私の質問を終わります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○高木委員長 これより主税局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○山内税制調査担当部長 先般、東京都税制調査会において取りまとめられた中間報告について、その概要をご説明申し上げます。
 東京都税制調査会は、三年を一期として答申を取りまとめることとしており、今年度は第二年度に当たり、年度の検討状況を中間報告として取りまとめたものでございます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、平成二十二年度東京都税制調査会中間報告の概要をごらんいただきたいと存じます。
 初めに、1、当調査会の基本的立場でございますが、税制の抜本改革を進めるに当たっては、分権を推進し、地方の自主的、自立的な財政運営を確立すること、公共サービスに必要な財源を中長期的に確保すること、少子高齢社会など時代に対応した公平を実現すること、環境重視の社会経済の構築に向け、環境負荷に応じた負担を求めることが重要であり、これら四つの視点に立って進めていくことが必要であるとしております。
 次に、2、税制改革の方向性でございますが、まず、(1)、基本的考え方として、自主財源である地方税の充実が不可欠であり、税収規模の大きい基幹税を国と地方で分かち合うことが適当であるとしております。
 次に、主な税目についてですが、(2)、地方消費税、消費税では、少子高齢社会の安定的な財源を確保するため、地方消費税の充実が必要であり、行政のむだの見直しとともに、地方消費税、消費税率の引き上げの検討を直ちに開始すべきとしております。
 また、(3)、法人二税、法人税では、実効税率の引き下げは、財政状況や企業への影響を見きわめ、慎重に検討すべきとしております。また、産業競争力の強化等は国の責任で対応すべきであり、地方法人課税は、国の政策誘導の手段としてなじまないとしております。
 さらに、(4)、地方財政調整制度では、法人事業税の一部国税化措置は分権に逆行するものであるとし、税制の抜本改革の早期実施という前提は崩れており、法人事業税を直ちに復元すべきとしております。
 また、国庫補助負担金の一括交付金化は、補助金等の総額削減や財政調整の手段とせず、地方の自由度の増加に資するものとすべきとしております。
 恐れ入りますが、一枚おめくりいただき、二ページをごらんいただきたいと存じます。
 3、温暖化対策税の検討でございますが、温暖化対策税は、すべての化石燃料を課税対象とし、燃料ごとに炭素含有量に比例した税率を上乗せする手法を基本としつつ、揮発油、軽油の自動車用は現行税率を維持し、本則税率を超える部分を温暖化対策税に振りかえとすべきとしております。
 CO2排出抑制の観点から、消費に近いところでの課税を原則としつつ、徴税コスト等を勘案し、既存の徴税機構を適宜活用することが適当であるとしております。
 国と地方でどのように税源配分するかについては、温暖化対策における地方の役割等を踏まえ、税源の偏在を考慮し、消費に近い段階での課税を地方税とすべきとし、全国ベースでの導入が適当としております。
 また、我が国のエネルギー関係税の負担水準は、OECD諸国に比べ低く、既存のエネルギー関係税と温暖化対策税を合わせた負担水準を高めていくことが適当としております。
 さらに、家計負担への配慮やCO2総量削減義務対象者への十分な配慮等も必要としております。
 温暖化対策税の検討においては、我が国のCO2排出量の三分の一を占める電力に対する課税をどのように仕組むかが重要であるとしており、それについては、発電段階での化石燃料への課税と、消費段階での電気への課税という二つの考え方があるとしております。特に電気に対する課税を行う場合、新たな課税の仕組みに係る検討が必要であり、主な論点について検討を行っております。
 また、税率、税源配分等を仮に設定し、課税による効果や影響についてシミュレーションを行ったものをお示ししております。
 最後に、4、その他の事項でございますが、ここでは、その他の地方税財政に関する課題として、少子高齢社会における経済成長と税制、所得格差・貧困問題と税制、固定資産税・都市計画税、税務行政のあり方について、主要な課題及びそれぞれに対する意見を紹介しております。
 なお、中間報告の本文につきましては、お手元の資料第2号として配布させていただいておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
 平成二十二年度東京都税制調査会の中間報告の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高木委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方から質問いたします。
 今、東京都税制調査会の中間報告の概要の説明があったんですけども、この前の事務事業質疑のときに、既に十月の段階で、これに多分、内容的にはリンクをしていく全体の方針のような形で冊子が配られておりました。それから読み取れることについて、そのとき幾つか質問させていただきました。
 今回は、さらに少し深く踏み込んだ税制調査会の中間報告ということで、この資料では第2号になると思うんですが、こちらの方が配られておりますので、これに基づいて幾つか、理解を深めるべく質問をさせていただきます。
 この中間報告を見たときに、これを読んだ読み手の印象というか、理解として、現在考え得る税の使い道として、過去の考え方、望ましい税の使い道の分野というものが、その時代時代によってあると思うんですが、これについて今の時代、今回の中間報告のこの時代においては、いわゆる環境対策と社会保障対策、この二つの分野が、今、税財源が必要な、需要が高く、また国民の理解、都民の理解でも、その部分に投資をすることが適当であるというふうに理解される分野としてあるのではないかというふうに、これを読んでいて解釈をしたんですね。
 時代によって、そういった分野というのは異なってくると思いますけれども、少なくとも、中間報告で挙げたこの二つの分野が、いわゆる納税者から見たときに重要な使い道、重きを置く使い道の分野として、しばらく変わらないような必要な分野ではないかと納税者から理解されているんじゃないかと。それゆえに、今回、この二つの分野を割とキーワードとして重要視した中間報告になっているのではないかなと思うのですが、そのような解釈でよろしいでしょうか。

○山内税制調査担当部長 昨年度スタートしました今期の東京都税制調査会は、今回、税制の抜本改革に当たりまして、社会保障など地方自治体が提供する公共サービスに必要な財源の確保、少子高齢化の進展など時代に対応した公平の実現、国と地方が対等なパートナーシップ関係に立つための分権の推進、さらに、環境の負荷に応じて負担を求め、環境負荷をコスト化してその抑制を図る、環境を重視した税制という四つの基本視点に立っております。
 特に今回の中間報告におきましては、ご指摘のありました社会保障につきまして、地方消費税を含めた地方税源の充実、環境対策につきましては、地方の役割を重視した地球温暖化対策税として議論を行いましたが、今後、どの行政分野に重点的に財源を投入すべきかは、時代により変化していく可能性もあると考えております。

○斉藤(あ)委員 答弁として、ちょっと遠回しないい方をされた感じがあるんですが、恐らく、答弁の最後の終わりの方で、今後、どの行政分野に重点的に財源を投入すべきか、時代によって変化をしていく可能性もあると考えるということですから、逆にいえば、今の時代、先ほどいった社会保障と環境対策という二つの分野が、今回は一つ重点的な使い道であろうということは、理解としていいのかなと思います。
 そのこと二つを大事なこととして、前提として読み進めていくうちに、ちょっと五ページを見ていただきたいのですが、この報告書では、日本が諸外国に比べて小さな政府であると示しているんですね。そして、その傾向を若干修正していく、余り小さい政府過ぎてもいけないんだよというふうな、今の傾向を少し修正していくことが適当であるといっているようにも理解できるんですね。
 私、個人的には、社会保障や福祉の方にずっとかかわってまいりましたので、先ほどの大事な使い道として、社会保障がその一つの柱として挙がってくるというのは大変歓迎をしておりますし、また、小さな政府であることが、やり過ぎてはいけないんだよということも、私個人としては非常に妥当だなというふうに評価をしております。
 特にこの五ページの中で、スウェーデンを例に挙げて、国民負担率が六割台半ばに達する国が高い経済成長を達成していることを言及しているわけです。
 ただ、そうはいいながらも、報告の後ろの方の資料集の部分で、資料集の二ページというのがあるのですが、このところには国民負担率と経済成長率との相関というグラフがあるんですね。この中で、日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、スウェーデン、フランスという国が挙がっていて、その中で確かに日本は、この縦軸の国民負担率という点でいえば、アメリカと並んで、どちらかといえば低いところにあると。最終的には小さな政府に近いところにあると。
 ただ、一方で、横軸でありますGDPの成長率からすれば、同じ負担率が低くても、成長率が高い国がたくさんあって、スウェーデンなんかは決して、国民負担率は一番上なんですけれども、成長率で、ではイコール一番上かというと、そうではなくて、せいぜい真ん中ぐらいのGDP成長率。もっと国民負担率は低いのに経済成長している国があるんですが、実はこのグラフを見ると、名前が入っている国というのが白い四角で載っているんですけれども、黒い四角の国というのは、国名が書いていないんですね。
 今申しましたように、国名が入っていない国が何でこんなにたくさんあるのか、そことの--そこがどこだかわからないと、この五ページでいっているように、スウェーデンみたいな国民負担率が高くても経済成長しているよという国が、スウェーデンを例に挙げているところでとまってしまっているのはちょっと解せない。ほかにもう少し違う傾向を示している国もあると。また同時に、小さな政府であっても、経済成長率は低いところから高いところまで、いろいろあるというふうなことになっておりますので、なぜ資料の二ページの方のこのグラフでは、このように匿名の国が幾つもあるのだろうか。
 個人的には、スウェーデンのような、福祉に関してかなりの考察と実績を重ねた国が税制モデル国として挙げられていくことは、私としても喜ばしいと思っていますし、また、日本人の国民性からしてみても、この国をひとつモデルにするというのは、ある程度妥当性があるのかなと思うんですが、しかしながら、こういったことをこの報告の中でいっておきながら、なぜほかの国名未記載の国が幾つもあって、そして税制モデルとして除外されたかという部分については、根拠がよくわからない。資料では根拠がよく読み取れないと思っています。
 ですので、なぜこの国名が未記載の国があるのか、また、なぜ比較の対象外となったのか、そこを踏まえて資料の読み方を教えていただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 参考資料二ページの国民負担率と経済成長率との相関のグラフにおきましては、日本のほかイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスという主要国とともに、負担率が高いにもかかわらず、高い経済成長率を達成し得る国の例として、スウェーデンについて国名を記載したものでございます。
 グラフの中の国名未記載国は十カ国ありますが、オーストラリア、ベルギー、カナダ、イタリア、韓国、メキシコ、オランダ、ポーランド、スペイン、トルコでございます。
 また、この資料は、負担率と成長率の間に明確な相関関係は見られないことを示しており、国、地方の財政を持続可能なものとし、将来的に必要な公共サービスのための財源を安定的に確保するには、国民の負担増について早急に検討し、その理解を得ていくことが不可欠との認識に基づくものでございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。今、答弁の中で、グラフの中にある黒い四角の国というのは、別に名前がわかっていないわけじゃありませんよと。なおかつ、この資料集の二ページのところの一番上を見ると、四角の中の二番目に、国民負担率と経済成長率の間には明確な相関関係は見られないと書いてあるんですね。しかしながら、本文の五ページのスウェーデンのくだりを見ていると、関係があるような、関係を持ったことを前提にした、もしくはそういう国もあるよといういい方ですけれども、それを推奨しているような表現になっていますから、今の答弁だと、私、実は余り納得していないんですね。ただ、実際にこの資料の中を見ると、今いった相関関係は見られないと前提に書いてありますので、じゃ、見られないのに、何でこういう五ページみたいなスウェーデンの評価をできるのかなというような、実は疑問があるんです。
 私個人としては、この本文の中に書いてある方向性というのは、私個人の過去の研究からしてみても、何となく合点がいく部分が幾つもあるんですが、にもかかわらず、それを裏づけている資料というのが余りないというのは、私としては少し不思議なところだなと。これはまさに今、中間報告ですから、最終的な報告の中ではちょっと整理をしていただきたいと思うところなんですね。
 そういったちょっと注文をつけながら、三点目に伺うんですが、こういった方向性でいえば、当然、消費税の増税といったものについて、こまを進めていくという話になるんですけれども、最終的にその消費税などの増額をしていくと、低所得者対策をどうするかという課題も出てくると。
 それについてちょっと一点伺うんですが、一四ページの方で、低所得者対策として、軽減税率よりも給付つき税額控除の手法を有力視して書いてあるんですね。いわゆる、こっちの商品は高級品だから、例えば二〇%の消費税ですよ、こっちは生活必需品だから五%ですよと、こうやっている国があちこちにある。イギリスなどを初め、今、海外では幾つかの国でそういった方法をとっているということは、資料集の中にも紹介されているんですけれども、そういった方法よりも、ある程度シンプルに、同じ税率、統一した税率で、そのかわり、その低所得者に対して還付をしていこうという方が、手法としていいですよと。税額控除した方がいいですよというふうなことを書いてあるんですね、この本文の方では。
 これは、私も実はそうだなというふうに思っています。幾つかの商品ごとによって税率を変えれば、何でうちのこの商品が日常生活品ではないのかとか、うちのこっちの商品とこっちの商品はほぼ同じなのに何で差があるんだとか、もしくは、税率をなるべく下げてもらった方がよく売れるから、何とか政府に働きかけをしようということでロビー活動が盛んになったりして、なかなか正しく客観的に、この商品の税率が正しい、この差は正しいというふうにいい切るのが難しい。かなりその部分で混乱を生じるのではないかと思いますので、税額控除の手法というのはいいかなと思うんです。
 ただ、この控除をする場合は、納税者番号制度の導入議論が必要というふうに書いてあります。これは一四ページの一番下まで行って一五ページの頭に書いてあるんですけれども、恐らくは、この方が的確に低所得者救済の偏差や誤差というものを把握して正しく控除ができるだろうということなんですけれども、このことについて、納税者番号制度導入については、かなり国の研究の部分が大きいとは思うのですが、実際にこの制度を使って税額控除を行うという手法については、どの程度、低所得者配慮に対する調整能力--低所得者配慮を目的としたときに、調整能力がこの制度自体にあるのか、それについてどう考えているのか、所見を伺います。

○山内税制調査担当部長 中間報告では、低所得者層への配慮の方策として、軽減税率と給付つき税額控除を挙げております。
 そのうち軽減税率につきましては、一定の政策効果が期待できるものの、対象品目の合理的な選択が困難であること、納税、徴収のコストがかかる等の問題があると考えております。
 一方、給付つき税額控除は、控除額を所得税額から差し引くことで、低所得者ほど軽減効果が大きくなるものでございます。また、税額を超える控除が認められ、その差額を支給することで、課税対象外のものにも控除の効果を及ぼすものでございます。

○斉藤(あ)委員 それでは、それに、今の税額控除を行うに当たって必要とされる納税者番号制度については、いろいろ課題が多いと思うんですけども、実行するのに、どの程度現実味があると思いますか。その辺の所見を伺います。

○山内税制調査担当部長 納税者番号制度につきましては、一般的に、番号の利用範囲を税務以外の分野にも拡大するのか、プライバシー保護をどうするのか等の課題があると考えております。
 また、給付つき税額控除の検討に際し、あわせて納税者番号制度について議論を深めることが重要と考えております。
 なお、この制度につきましては、最近取りまとめられました政府・与党による社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会の中間整理におきまして、政府として、方針を来年の夏ごろをめどに示し、なるべく早期の法案提出を目指すとのことでございます。

○斉藤(あ)委員 今の話を聞きますと、それなりに、この消費税の部分を増額した場合でも税額控除ができるような準備をある程度進めている状態であるというふうなことがいえると思います。
 恐らく、よくこういった議論の中で、むだ遣いをなくしてから消費税ということをいわれますし、私もそれはすごくそう思うんですけれども、ただ一方で、さっきいった、最初の質問にあったように、社会保障あたりを目的にすると、それこそ、あした、あさって、食うや食わずみたいな話になっている人がたくさんいる中でこの社会保障のシステムを維持していこうと思うと、こっちのむだをなくしてから、あっちのむだをなくしてからというふうに、それからやっと税金を取っていくという形になってくると、結構タイムラグが発生をしてしまって、社会保障はもう少し即応性が必要なんですけれども、その部分に間に合わないということが出てしまう。そういった意味で、消費税を導入するということは、理にかなっているかなと思います。これは、それを優先するというより、むしろスピードの関係でそうせざるを得ない部分が出てくるのかなと思います。
 そのときに一番大事なのは、恐らく主税局の皆さんは、ふだん納税を進めていく上で大変ご苦労をされていますので、どういったことが納税者の方にとって理解をされるか、結局はどういう使い道だったら、納税者の方が、自分たちが払った税金に対して裏切られていないなという感覚を持つかというのは、恐らく主税局の仕事自体に非常に大きく影響する雰囲気みたいなものじゃないかと思います。
 この部分については、主税局の方は多分、徴税という点で、職員の方、大変ご苦労されていますから、ほかの局に比べて、はるかにそのこと、納税者の感覚というのがわかっている局ではないかと思いますので、そういう意味ではぜひ頑張っていただきたいという思いを私は持っております。
 その中で特に、さっき二つのテーマ、環境と、もう一つ社会保障を挙げました。社会保障に長くかかわっていく中で、やはり納税者に説明がきちんとできる福祉にお金を使っていくということも、また福祉の責任であろうということを、最近、特に私は思っております。
 例えば都営住宅をつくっても、そこに高級車、ベンツやBMWが置いてあったら、それはやっぱり納税者の方に対して説明はつかないものです。生活保護をもらっていてもパチンコ三昧で、あの人は何をしているんだと周りからいわれるというのも、またこれは納税者に対して説明がつかない福祉です。
 こういったものが、実は福祉の中で見ても、決して少なくないほどたくさん例がございます。こういったものもきちんと社会保障の中で整理をして、本当にみんなが納得するような福祉の使い道、これはもちろん、福祉に限らず、ほかの分野でもそうなんですけれども、そういったことをしていくのが、使う側の一つのモラルではないかと私は思っております。
 この部分を含めて、消費税の議論というのをきちんと進めていきたいですし、先ほどちょっといいましたように、この中間報告では、少し矛盾というか、ちょっと奥歯に物が挟まったようないい方も幾つかありましたので、ここは最終報告の中ではきれいにしていただいて、こういった方向性で徴税をしていくんだ、そのかわり、こういうふうな還元をしていくんだということを、主税局だからこそいえるような視点で最終報告を出していただきたいという注文をさせていただきます。
 最後に、一問伺うのですが、国民全体の一〇%を抱える東京都ですから、東京都民は国民の一〇%いるわけですから、社会保障財源の確保を意識した消費税増税に関しても、東京都のいろんな納税者感覚、それに対するリサーチというものは非常に大きな意味があると思うんですね。そのことを踏まえて、この消費税の増税に関してどう東京都は考えているのか、所見を伺って質問を終わります。

○山内税制調査担当部長 消費税に関する議論は、税率引き上げ分を社会保障財源に充当することを中心になされていますが、地方消費税は、地方自治体の基幹税目として多様な行政需要を賄う観点から、引き続き一般財源にすることが適当であると認識しております。
 また、今後、少子高齢化の進展に伴い、国、地方を通じて厳しい財政状況にある中、必要となる公共サービスを適切に提供していくために、安定的な財源確保が不可欠であります。そのため、地方消費税、消費税率の引き上げにつきましては、時期や引き上げ幅等の検討を直ちに開始すべきであります。
 なお、引き上げに当たっては、行政のむだ遣いを厳しく見直し、国民の信頼を回復する必要があると考えております。

○鈴木委員 それでは私からは、同じく都税調の中間報告に関連をし、税制抜本改革を速やかに実現すべきという立場から質問させていただきたいと思います。
 近年、国、地方を通じた厳しい財政状況、少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増大など、我が国の社会経済状況はますます厳しさを増しています。こうしたことにより、国民、都民の将来に対する不安が高まっているにもかかわらず、国は何ら有効な対策を示せておりません。私は、福祉と負担のあり方について、今ほど議論が必要だと思っているときはございません。
 我が国の財政状況を見ると、歳出に対する税収の割合は六割程度と低く、租税と社会保障負担を合わせた国民負担率も、諸外国に比べ低い状況にあります。現下の厳しい財政状況の中、低負担で高福祉の社会を実現しようということなどは、どう考えても無理な話であります。
 今後増加が見込まれる社会保障の財源をきっちりと、またきちんと確保し、国民、都民の将来に対する不安を解消し、あすへの希望を持って暮らせる社会を実現するためにも、税制の抜本改革は不可欠であり、待ったなしの状況であると考えています。その際、私は、いわゆる直間比率が一番の問題だと考えています。
 間接税の割合は、例えばイギリスは四〇%、フランスは四七%、ドイツは四八%となっておりますが、我が国は、消費税を初めとする間接税の割合は歴史的に低く、約二八%にとどまっております。イギリスにおいては、日本の消費税に当たる付加価値税の税率を、来年一月に、現行の一七・五%から二〇%まで引き上げるとしております。福祉需要の高まりなど、時代の変化に対応して、国民負担のあり方や税体系の見直しは必要であり、それぞれの国において、自分たちの国にふさわしい税体系の見直しの議論が今まさに行われているところであります。ところが、我が国では、消費税などの間接税を充実する議論には及び腰で、これまでも議論が先送りをされてきました。
 税制の抜本改革においては、特に地方消費税、消費税の充実を図ることが不可欠でありますが、国は参議院選挙後、消費税引き上げ議論を封印し、中長期的課題として先送りするなど、税制の抜本改革に、私はまじめに取り組む姿勢が見られないといっても過言でないと思います。また、そのように私は考えておりますが、都税調は、税制の抜本改革について、これまでも速やかに着手すべきということを訴えてきましたが、改めて地方税制改革の方向についての基本的な認識をお伺いいたします。

○山内税制調査担当部長 地方税制改革の方向性についての認識でございますが、国、地方の財政を持続可能なものとし、将来的に必要となる公共サービスの財源を安定的に確保するためには、国民の負担増について早急に検討し、その理解を得ていくことが不可欠でございます。
 また、行政ニーズが多様化する中、地域特性を踏まえ、住民の求めるサービスの効果的で効率的な提供が求められること、介護、育児等の対人社会サービスの需要が増加することなどから、地方自治体が果たすべき役割は今後拡大していくと考えております。
 地方自治体が自主的、自立的な行財政運営を行い、そうした役割を果たすためには、地方分権の推進とあわせて、地方自主財源、とりわけ地方税の充実が必要でございます。
 その際には、税源が普遍的に存在し、税収規模の大きな基幹税を国と地方でその役割に応じて分かち合うことが適当であると認識しております。

○鈴木委員 今まさに答弁があったように、負担増に関しては国民の理解を得ていくということが大変重要であり、不可欠であると。また、今後、地方自治体が果たすべき役割というのは、拡大の一途をたどるであろうと。ますます先端自治体が果たしていく役割もふえていく、都が果たしていくような役割もふえていくというのは、だれの目で見ても明らかであると思うんですね。
 それで、その財源を、普遍的にある程度考え、税収規模の大きな基幹税を国と地方が役割に応じてきちっと--役割分担が今できていないということが問題なんですが、役割分担をきちっとした上で、それを上手に分かち合って、その財源をきちっと有効に使わせてもらうということが今後大事なんだろうと思います。
 地方分権の推進に向け、地方団体が自主的で自立的な行財政運営を行えるようにするためには、いうまでもなく地方財源の充実が重要であります。
 現政権においても、地方主権改革を改革の一丁目一番地と位置づけていたところでありますが、実態は、こうした看板とは全く裏腹で、何ら具体的な検討がなされていないという状況にあります。
 地方財源の充実に当たっては、今後の少子高齢化の一層の進展も見据え、それにふさわしい税目を基幹税として充実を図ることが必要と考えます。
 先ほどの地方税制改革の方向性の答弁の中で、税源が普遍的に存在をし、税収規模の大きい税を分かち合うことが適当といっておりましたが、都税調として、今後の地方税制改革を進める上での基幹税目をどのように考えているのか、具体的にお伺いいたします。

○山内税制調査担当部長 地方税制改革を進める上での基幹税目でございますが、地方消費税は、税収が安定的で偏在が小さく、地方税としてふさわしい基幹税であり、世代間の負担の公平も確保できることから、地方税制の抜本改革において充実を図るべきと考えております。
 また、地方税は、応益性、安定性とともに、ある程度の伸長性を備える必要がございます。
 法人二税は、応益性とともに、増大する財政需要に対応する伸長性も兼ね備えたものであり、バランスのとれた地方税体系という観点から、基幹税として維持することが適当と考えております。

○鈴木委員 今の答弁を聞いていてもおわかりのように、国民、都民の将来に対する不安を解消していくためには、消費税の引き上げに関する議論から逃げるのではなく、真剣に議論、検討していくことを国に迫っていくことが必要であると思います。
 また、先ほどの答弁では、法人二税を引き続き基幹税として維持することが適当とのことでありますが、平成二十三年度税制改正において、企業の立地促進や国際競争力の強化に向け、法人の実効税率の引き下げが議論の焦点となっております。
 しかし、現在の国の検討状況を見ますと、税率の下げ幅を何%にするのか、新聞等では五%にする、菅総理はそういっていますが、財務省の野田大臣は、いや、そうではないという、そんな記事が新聞に載っているわけでありますが、引き下げによる税収減分の代替財源をどうするかなどの経済活性化という政策目的をそっちのけにし、税収確保の問題に終始をしておるというのが現状だと思います。本来の目的である経済成長戦略の議論が全くなく、置き去りになっているといっても過言ではないと思います。
 法人課税は、地方の重要な基幹税であります。税率引き下げに伴い、地方法人課税も影響を受ける可能性があり、厳しい財政運営に直面する地方自治体にとっては大きな問題でもあります。
 そもそも、地方法人課税について、税収の偏在性や景気変動の影響による税収の不安定性などから、地方税にふさわしくないとする意見もあります。現に、東京など大都市に多くの税収が集まることから、地方に対する財政調整の手段として、法人事業税の一部国税化措置が実施をされました。私は、こうした税の原則を無視するようなやり方は、明らかにおかしいと感じております。
 そこで、東京など大都市地域では、企業活動の拠点が集中をしており、それに見合った公共サービスの受益も大きいと思われます。地方法人課税の必要性、正当性について、都税調においてはどのように考えているのかを伺います。

○山内税制調査担当部長 地方法人課税の必要性、正当性についてでございますが、法人は、事業を行うに当たり、地方の公共サービスに支えられております。特に大都市においては、行政機能や経済機能が集中し、都市基盤整備や防災対策など、集中に伴う大きな行政需要が発生しております。
 地方法人課税は、それら公共サービスを提供するための主要な財源となっており、こうした公共サービスを受けている法人に対し、応益的な観点から課税するものと考えております。

○鈴木委員 法人課税が、特に大都市においてこのように高い必要性があるのであれば、法人事業税の暫定措置は直ちに撤廃するべきであると考えます。
 法人課税のあり方については、企業の競争力や経済成長の視点はもちろんのこと、こうした地方法人課税の意義や重要性も踏まえて、必要な議論がなされるべきであります。
 経済成長戦略に関しても、きちっとした明確なビジョンを国が持ち、また都としても、そのことに関してはしっかりとした議論をして、国にこれははっきりと都から発信をしていく、その戦略に関しても発信をしていくぐらいな姿勢が、私は都に求められるものであるというふうにも思います。
 また、平成二十三年度税制改正において、温暖化対策税の導入も議論の焦点となっています。
 国が考えている課税案は、現行石油石炭税の負担を五割程度引き上げ、二千四百億円の税収を見込んでおります。かつてあれほど廃止すべきと主張していた揮発油、軽油の暫定税率は、ことしも当分の間、維持するとしております。温暖化対策の視点よりも、結局は単に税収を確保することに終始しております。
 この税が、温暖化対策のために本当に導入をされるのか、温暖化対策に効果があるのか、税の目的や理念について、本来されるべき議論が全く尽くされていないと指摘せざるを得ません。表に出てくるのは、特定財源にするか、一般財源にするかといった経済産業省、環境省、財務省の間での縄張り争いばかりとの印象を受けるのは、私一人ではないと思います。
 都税調は、昨年度から温暖化対策税の検討を進めてきたところでありますが、国が考えている温暖化対策税の課税案についてどのように考えているのか、率直な意見を伺います。

○山内税制調査担当部長 国が考えている課税案は、輸入、採取段階での課税であり、すべて国税とされております。
 国の案は、課税段階が消費から遠く、CO2排出抑制効果が弱く、税源配分も、温暖化対策における地方の責任と役割を全く考慮しないといった問題があると考えております。

○鈴木委員 今、まさに答弁でいったとおりだと思います。国が地方主権といって地方分権を進める、そのためには国がいかにその財源を地方にゆだねていくか、または、話し合いを通してお互いに役割分担して、そこのところをしっかりと納税者に対して責任を持って説明ができるような状況にあらねばならないということをかんがみても、地方の責任、役割を全く考慮していないというような判断が出ることに対しては、大変遺憾であるということを申し上げざるを得ないということであります。
 国の課税案は、現行課税を単に焼き直したにすぎず、CO2排出抑制効果や温暖化対策における地方の役割などを全く考慮しておらず、あるべき姿からはほど遠いものとなっています。この温暖化対策税だけではなく、これまで述べてきたように、最近の国の議論は、税制の抜本改革のあるべき姿を提示しないまま、税収確保のみを考える小手先の議論にすぎません。
 加えて、法人実効税率の引き下げや温暖化対策税についても、国税の議論ばかりが先行し、地方の役割が置き去りにされ、地方の立場は軽視あるいは無視をされているといわざるを得ません。国は、主権改革を推進するといいながら、本当にその気があるのかどうか、私は強い疑問を感じるところでもあります。
 これからの時代は地方の時代、地方に期待される役割はますます大きくなっていくと考えます。国から地方への権限移譲だけではなく、それを支える地方自主財源の充実もしっかり行っていかなければなりません。
 また、我が国においては、低負担で高福祉の社会を実現するといった幻想を抱いている方々もおられるようでありますが、その実現は困難であります。
 例えば中負担で中福祉の社会を目指すといった福祉と負担のあり方を定め、福祉に必要な負担を求め、持続可能な財政運営を確立していくことが不可欠であると考えます。
 そのためには、消費税引き上げを中心とした、また付加価値税も含めて税制の抜本改革を考えていく。これはもはや避けて通ることのできない、我が国が進むべき道筋でもあります。
 都は、全国の地方自治体の先頭に立って、地方税の充実や持続可能な財政運営の確立に向けて、税制抜本改革の議論を国に先んじて牽引していく役割があると考えます。都は、税制改革のあるべき姿について骨太の議論を進め、地方税の充実に向け、国をリードする気概を持って取り組んでいくべきと思います。
 最後に、局長の決意を伺って、質問を終わります。

○荒川主税局長 ただいま先生の税制全般にわたる質疑をお聞きしておりまして、やはり今ほど制度がおかしくなっているときはないなというふうに思います。
 その典型的な例が、法人事業税の暫定措置であると思います。これまでも、都としては最重点項目で国に撤廃を要求してきましたし、私も主税局長になってから、都議会の協力も得ながら、国の関係者と会っていろいろ訴えてまいりました。
 ちょっとそのことをお話しさせていただきますと、お会いした皆さん、何人かおられたんですけれども、その中には、暫定措置の理不尽さとか、あるいは即時撤回の必要性ということよりも、やはり今の国の財政状況からして、国の財源確保の方に気持ちが向いているというような気がいたしましたし、抜本改革が先になったこともありまして、政府税調などでも、この暫定措置の撤廃というようなことは話題にはなっていないということも聞いております。
 それから、全国の話ですけれども、全国の都道府県で、暫定措置によって差し引きでプラスで法人事業税をもらっている県が、四十七都道府県の中の三十八、約八割に及んでおりまして、結局、そのもらった県からすれば、それが東京や大阪からの税金であっても、それはそれで有効な財源でありまして、それを即時撤廃されることに賛同するかといえば、現実論としては、なかなか無条件でイエスとはいえないというところが、この問題の難しさだろうと思う次第であります。
 こういう状況にありますけれども、それにしても、今、国で行われている税制改正の議論は、いろいろな過去の経緯ですとか事情があるということはわかりますけれども、今、先生おっしゃったように、余りにも国の財源不足の方を補うことに重点が置かれ過ぎていて、行政サービスの過半を担う地方の財政基盤の強化ということを含めたトータルな税制の論議が抜けているというふうに思います。
 ご承知のように、税制改革は法律改正を伴いますので、どうしても国が主導権を握って、地方は要求するという立場になりますけれども、そうであるならば、逆にこの東京から、おっしゃったとおり、国や全国に向けて、国、地方を通じた税制改革のあるべき姿を打ち出していく意義というのは非常に大きいと思います。
 そういう意味で、都税調が来年秋には最終報告を出す予定になっております。ちょうど国においても、抜本的税制改革の議論がそのころには盛んに行われている時期だろうと思いますので、都税調と協力しまして、あるべき姿を東京から国、全国に向けて提案していきたいというふうに思いますし、そういう方向で、庁内や都税調の委員の先生方とも話し合ってみたいと思っております。
 それから、同時にそれと並行しまして、暫定措置のように、国に対して直接物をいわなくちゃいけないようなものもございますので、これについては、もちろん我々行政レベルも頑張りますけれども、行政レベルだけではなくて、先生方、政治レベルと一体となって運動論を多角的に展開していく必要があるというふうに思います。ぜひ都議会の先生方及び都選出の国会議員の先生方も巻き込んで、一体となって活動を強化していきたいと思っております。
 国との財政調整というのは、財務局が主管になっておりますけれども、財務局などとも連携をして、作戦をよく練って取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ先生方の一層のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

○斉藤(や)委員 今、局長のご答弁を伺いまして、ぜひとも党派を超えて、都議会、そして執行機関と一体となって、この理不尽な国の税制のあり方について声を上げていくべきであると、決意を新たにしたところでございます。
 平成二十二年度都税調中間報告に関連しまして、私の方からは、法人課税のあり方について伺いたいと思います。
 現在、鈴木委員からもご紹介がございましたけども、お話がありましたけれども、平成二十三年度、国の方の税制改正に向けた議論、報道ベースですけども、行われているということが報道されております。法人実効税率の引き下げが、その大きな論点となっているようですけれども、この点について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、都税調の中間報告は、法人実効税率のあり方につきまして、現在の財政状況や企業への影響を見きわめつつ、慎重に検討を行う必要があるとされております。
 この慎重に検討という言葉は、実は、とらえ方によって全く異なったとらえ方ができるわけでございまして、そもそも法人税は、下げること自体とんでもないことである、そういう視点でも使いますし、また逆に、経済成長のために法人税の減税は一つの手段だけれども、その減税のあり方や時期については慎重にという文脈でも使えるというふうに考えるわけでございます。
 そこで、確認でございますけども、まず、当該都税調のおっしゃっている慎重に検討とされた根拠、論拠を確認させていただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 平成二十二年度東京都税制調査会中間報告は、法人実効税率のあり方について慎重に検討を行うべきとしております。
 その論拠は、まず、法人所得課税と社会保険料の事業主負担を合わせた公的負担は、OECD諸国とほぼ同水準であり、これらの国に比べ高いとはいえないこと、次に、都のアンケートによれば、企業の海外展開の主な理由は賃金コストの軽減等であり、企業の立地や投資については、労働市場や消費市場の状況等、他の要因を総合的に考慮すべきであること、さらに、世界各国の国際競争力にかかわる調査において、我が国の懸念材料として、財政赤字や公的負債が挙げられていることの三点でございます。

○斉藤(や)委員 今のご答弁ですと、法人の公的負担といいますか、OECD諸国と比べて高くないということ、先ほどからのご議論でもそうですけれども、首都東京は、アジアのハブ都市、この地位を目指しているわけでございまして、経済成長の目覚ましいアジア圏の国や都市と競っているわけではないでしょうか。
 先ほど民主党の斉藤委員からもお話がありましたように、ヨーロッパ各国のプロットがございましたけれども、アジアがもっとこの税率を下げながら経済成長をなし遂げているんじゃないかと、推測を私もしているわけでございますが、特にアジア諸国の法人実効税率につきまして、日本と比較して現在はどのくらいの水準か、お伺いしたいと思います。

○山内税制調査担当部長 我が国の法人実効税率は、現在四〇・六九%でございます。これに対し、アジアの諸国では、近年、法人税を引き下げる動きがあり、韓国は二四・二%、シンガポール、台湾は一七%、香港は一六・五%などとなっております。

○斉藤(や)委員 韓国が二四・二、シンガポール、台湾は一七、香港は一六・五とか一六%台となっているということですが、経済界からは、日本の国際競争力というか、そういうことを高めるために、この法人実効税率の引き下げについて強い要望がなされているということが報道でもなされているわけですけれども、特に昨日ぐらいから、日経新聞を初めとして各紙、菅首相は、企業の国際競争力を強化するために法人課税五%下げを指示したとか報道されているわけでございます。私は確かに、思うに、企業にしてみれば、法人税は高いより低い方がいいに決まっているわけでございましょうし、国際競争する相手国がこぞってその税率を引き下げる方向で動いている中で、レベル的には最高水準にあると考えられますこの日本の法人税を減税するということ、これ自体は戦略の一つであると考えるわけでございます。しかし、あくまでも国家戦略である以上、国税の調整で減税の財源は考えていくべきであるというふうに考えるわけです。
 しかも、現在の政府の議論は、その財源をめぐって、五%に限るわけではないかもしれませんが、五%だとしますと、その減税に必要な財源約一兆五千億円のうち、既にあるほかの企業向け減税を廃止、縮小して、何とかその財源を捻出しようとしているようであります。七千億とも八千億とも、企業にそれを一方で負担させながら財源を捻出しようと、成長戦略といいながら、かなり迷走している様子でございます。
 まして、いわんや地方税に対してどのような影響があるかということが、全く不透明な中で議論をされているわけでございます。
 先ほど鈴木委員の方からも詳しくご指摘がありましたけれども、地方における法人関係の二税、大変重要な税であると認識しておりますが、都においてこの法人二税が税収に占める割合は非常に高く、重要な税であると思います。
 地方法人課税の意義について、まず、中間報告でどのように整理しているのかをお伺いしておきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 地方法人課税の意義でございますが、法人の事業活動は、インフラの整備、治安の維持、教育による人材育成を初めとする公共サービスに支えられているものでございます。
 また、大都市における経済機能の集中は、法人にメリットをもたらす一方、都では三百万人を超える昼間人口の流入があるなど、集中に伴う膨大な財政需要が生じております。
 地方法人課税は、これらに必要な費用を賄うため、地方の公共サービスを享受する法人に課税するものでございます。

○斉藤(や)委員 先ほど来のご議論でも、また今のご答弁でも、地方法人課税の意義、基幹税としての位置づけ等を踏まえて、この実効税率の引き下げにつきましては、地方、特に東京にもその影響が及ばない方向で議論が行われるよう、積極的に声を上げていくことが重要であると考えております。
 報道ベースの情報しかございませんけども、菅総理の指示の内容では、地方税分の財源は約三千億超とも報道されております。しかし、課税ベース拡大に伴う増収分で法人税率を下げる税収中立のスキームを考えているようでもあるんですけれども、はっきりしません。その場合でも法人住民税の法人税割が減収となるなど、地方財政にも影響が及ぶ可能性は否定できないわけでございます。
 都税調の中間報告では、法人の実効税率の引き下げと地方法人課税との関係につきましてどのように述べているか、お伺いしたいと思います。

○山内税制調査担当部長 法人実効税率の引き下げと地方法人課税との関係でございますが、地方法人課税は、法人の事業と地方の行政サービスとの受益関係に基づくものであり、企業の競争力強化や立地の促進といった国による政策誘導の手段になじむものではなく、これらについては国の責任で対応すべきものでございます。

○斉藤(や)委員 私も、全く今のご答弁と同意でございます。
 今年度の中間報告の基本的な考え方は、地方がみずからの責任で自主的、自立的な行財政運営を行う地方分権、地方主権の確立に向け、地方の自主財源である地方税を充実することにあるものと認識しております。
 地方分権、地方主権ということに対して、今の政府は全くその答えを出している姿勢がないんですけれども、しかし、現行の地方税制は、地方税法の規定等で多くが決められ、課税自主権にも限りがございます。その上、法人事業税は、不合理な、全く不合理な暫定措置により、一部が国税化されたままでございます。
 都のたび重なる撤廃要求にも、先ほど局長からのご報告がございましたけども、何ら動きが見られないどころか、話題にもなっていないという、考えられないようなお話がございましたけれども、国の政策の都合で地方法人課税が影響を受け、都財政が打撃を受けるようなことがあっては決してならないことであると考えます。
 日本経済を牽引しているのは東京、この東京の活力をそぎ、結果的に、みずから掲げる新成長戦略なるものにも逆に支障を来すことにもなる。日本全体の成長という観点からは、この法人事業税の不合理な暫定措置こそ直ちに撤廃し、復元すべきであると考えます。
 また、分権の視点からも全く逆行している。税制の抜本改革の早期実施という前提は既に崩れていると考えますと、早期に直ちに撤廃すべきであると考えます。
 地方の意向にもとる、さらなる不合理な措置が行われることがないよう、都として国に対して強く訴えていくようお願いいたしまして、私の質問は終わります。
 以上です。

○たぞえ委員 私からも、都税調中間報告について伺います。
 私は、昨年の中間報告が示した、消費税、地方消費税増税は世代間の負担の公平を確保する税であるという、こういう見解について、それは違うんじゃないかと。増税は、収入が低い人々に負担をかける大変大きなもので、いかに不公平を拡大していくか。また、低所得者の生活を維持向上する上で、食料品などの生活必需品に対する軽減税率の適用が今日一刻も早く必要だ、それが貧困に苦しむ都民を救済する道であるということを私は指摘しました。
 今、国政では、るる議論がありましたように、税制改正に向けた提案がまとめられていますが、企業の税負担を減らすために法人税実質減税の実施、それから、国民のささやかな楽しみであり、営みであるペットの飼育を登録制にして税金をかける、さまざまな提案が行われております。
 都税調は、四月九日、東京都知事から、国、地方を通じた税制とこれに関連する諸制度のあり方についてということで諮問を受けて、三回の調査会と八回の小委員会が開かれたということでありますが、都税調の委員は、こうした国の動向と世論の動静に大変敏感に反応して議論が行われたと思います。
 昨年の中間報告以降、国では税制改正についてどのような議論がされ、どのような問題があると都税調は考えているのでしょうか。

○山内税制調査担当部長 昨年度の中間報告以降の国における税制改正をめぐる議論についての認識でございますが、税制抜本改革の具体的な検討は進んでおらず、地方自治体の自主的、自立的な行財政運営を支える自主財源たる地方税の充実についても具体的な進展はない。その一方で、法人実効税率の引き下げが議論されているが、代替財源の裏づけもなく、地方財政への影響も懸念されている。
 また、温暖化対策税に係る国の検討は、CO2排出抑制効果や国と地方の税源配分の観点で不十分であるといったことが、その認識の主なものでございます。

○たぞえ委員 自主財源である地方税の具体的な進展もない上に、法人実効税率の引き下げ問題では、地方財政への懸念が自治体から出されている、そういう問題がいろいろな角度で、大変重要なテーマが議論されているというように思います。
 この都税調での議論の過程で、最終的に結論に至らなかったテーマは一体何なのか。また、どういう意見があって結論に至らなかったのか、紹介をいただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 今年度の検討テーマのうち、電力に対する課税については、発電段階での化石燃料への課税、消費段階での電気への課税の二つの考え方があり、それぞれのメリット、デメリットを挙げた上で両論併記となっております。

○たぞえ委員 先ほどの法人実効税率については、地方財政への懸念があるという見解でありますが、都税調は、法人税の引き下げの動向を強く意識されていると思います。法人事業税と法人都民税、いわゆる法人二税の持つ役割について、都税調ではどういう認識に今立っているのでしょうか。

○山内税制調査担当部長 法人二税の役割でございますが、法人は、企業活動を行うに当たり、地方自治体から多大な公共サービスを受けております。法人二税は、これらの公共サービスに必要な財源を賄うため、当該サービスを受ける法人に負担を求めるものでございます。

○たぞえ委員 私も全く同感です。企業が活動を行う場合に、地方自治体から公共サービスを受けるわけですから、その社会的な負担は当然だというふうに思うんですね。ですから、世界各地では、例えばイギリスでは、ことし四月から、証券税制を含めて所得税の最高税率が引き上げられ、アメリカでも、所得税の最高税率引き上げで富裕層への増税を提案していると。これまでの大資産家優遇や多国籍企業優遇の税制の見直しが世界的に積極的に行われている、こういう動きは大変スピード感あるものとなっています。
 ところが、逆に日本では、自公政権時には、国民には定率減税や配偶者特別控除の廃止、高齢者への増税、年間税額にして五兆円以上もの増税を行った一方で、九八年以降十年間に、企業に対しては法人税率や所得税最高税率の引き下げ、さらにその税額から研究開発減税を引き、証券優遇税制を引く、そういうことで、総額で年間八兆円以上もの減税が進められてきました。
 民主党政権に変わった昨年以来、税問題で国民の心配を克服してリフォームしてくれるのかと思いきや、今度は、子ども手当の財源として、人的控除の廃止、縮小、こういう増税が打ち出されたのに続いて、四年間は増税しないといっていた消費税増税や、法人税率の引き下げの方針が明確に打ち出されてきました。
 この背景になっているのは、日本経団連や経済産業省の動きで、今の四〇%の法人実効税率は高いから、二五%から三〇%の幅で引き下げるべきだと主張していることであります。日本経団連の米倉会長は、十二月六日の記者会見で、二〇一一年の税制改正の焦点である法人税の引き下げについて、二、三%では効果が低い、五%がほどほどというのが我々の立場だと、このように述べて、税率の五%下げを重視する考えを示しました。これにこたえて、菅首相は、十二月七日、おとといですが、五%程度引き下げる方向で調整するよう財務大臣に指示したと、このように報じられています。いわばこれは、経済界からの要望が強い五%引き下げの道を実現させる姿勢を受けて打ち出されたものであることは、まさに明らかです。
 これまでも、法人税は、八六年度には四三・三%、八七年には四二%、八九年には四〇%、九〇年には三七・五%、九八年には三四・五%と、次々と引き下げられ、九九年度以降は三〇%にまで引き下げた上、さらに今日、引き下げが要求されています。法人税の実効税率から、さらに研究開発減税や海外子会社からの配当益金不算入などによって、日本の大企業は、平均して税引き前利益の三〇%前後しか税を負担していない、これが事実です。この点でも、財界や政府のいっている、企業の負担は重いというのは、大変私は間違っていると思います。
 財務省の試算でも、日本の大企業の負担は、フランスやドイツの七割から八割にすぎません。諸外国に比べて特に高い数字にないと私は思いますが、都と都税調のそれぞれの見解を示していただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 法人実効税率についての都税調の見解は、法人所得課税と社会保険料の事業主負担を合わせた法人の公的負担は、名目GDP比率で見ると、我が国はほぼOECD諸国の平均水準であり、OECD諸国、それらの国と比べましては、特に高いとはいえないというものでございます。
 また、都といたしましても、実効税率だけでなく、社会保険料等の負担をあわせて議論すべきものと考えております。

○たぞえ委員 盛んに政府がいっているような、この行き過ぎた課税ベースの拡大で経済成長を阻害することがないように留意する必要があるというふうにいっていますが、これは、結局、行き過ぎた課税というのはどこを指しているのかという検証がきちんと理論的にも実践的にもないままで、ともかく高いレベルにあるからという理論は、事実をゆがめるものだと思います。
 現に、大銀行は、〇九年には軒並み業績を回復して、六グループ合計の連結経常利益は一・八兆円という巨額な利益を上げています。企業の欠損金の繰越期間が五年から七年に延長したため、決算が黒字であっても、過去に赤字があれば赤字として扱いを受けるわけですが、このことで法人税がゼロの場合、法人都民税と法人事業税をどう連結しているのか、このことについての都税調の見解を示していただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 欠損金の繰越控除の適用により法人税額がゼロとなった場合、法人税額を課税標準とする法人都民税の法人税割と、繰越欠損金について法人税と同様な取り扱いをする法人事業税の所得割の双方ともゼロになります。
 また、欠損金の繰越控除は課税ベースに影響するものであり、課税ベース拡大の方策として国で議論されております。
 なお、都税調は、法人実効税率を引き下げる場合、課税ベースの拡大等による財源確保に留意する必要があるとしております。

○たぞえ委員 企業の決算書を見ると、去年、三角で赤字になっている、ことしは黒になったと。ところが、過去七年前にさかのぼると、このプラス、マイナスを相殺しますと、数字上では赤だという結論が出てくると、これはもう法人税はゼロだと。したがって、また法人都民税も法人事業税もゼロになるわけですよ。
 例えば、東京都の指定金融機関であるみずほ銀行の場合ですと、この法人都民税、法人事業税の納付はゼロです。国にもゼロだと。体力もあって利益も上げているにもかかわらず、ゼロ。大変驚く実態だと思うんです。
 この間、マスコミでも何度も報道されていますが、多くのサラリーマンがつつましい生活をしている中で、一人の役員だけで一億円以上の報酬が支払われているというリストが先日発表されました。判明しただけでも六十人以上が年間一億円以上で、そのみずほの頭取さんは、年間一億一千四百万円の所得です。一方で、みずほ銀行の行員さんは、賃金は三割減。
 これまで法人税や法人住民税、事業税の引き下げが何度も行われて、そして、都に入ってくるべきこの税金八千億円も、これによって減収になっている。本当に事態は深刻だと思うんですね。
 こういう法人税率の引き下げは、都財政にさらに大きな打撃を受けることになると思いますが、このことについての主税局の見解を伺いたいと思います。

○田倉税制部長 国が法人税率を引き下げた場合には、法人税額を課税標準とする法人住民税の法人税割が減収となってまいります。都といたしましては、地方の行政サービスに影響を与えることのないよう、国は十分な配慮を行うべきであると考えております。

○たぞえ委員 しかも、先ほどからも議論がありましたように、納税ゼロ以外の他の企業から入ってきた法人事業税の一部を、不当な措置で国税化して四割を召し上げる。これによって、都の二十一年度と二十二年度の二年度、そして合計で幾ら召し上げられたのでしょうか。

○田倉税制部長 法人事業税の暫定措置による影響につきましては、平成二十一年度が実質的な初年度でございまして、平成二十二年度には平年度化をしております。
 二十一年度の影響額を決算ベースで申し上げますと、法人事業税が二千百四十億円の減収となる一方で、地方法人特別譲与税が七百九十一億円譲与されております。都財政の実質的な影響は一千三百四十九億円の減となります。
 また、二十二年度の影響額につきましては、当初予算ベースで、法人事業税が三千八百五十九億円の減、地方法人特別譲与税が一千九百五十七億円と見込まれておりますので、差っ引きの実質的な影響は一千九百二億円の減となります。
 二十一年度及び二十二年度の実質的な影響額の合計は三千二百五十一億円の減でございます。

○たぞえ委員 三千二百五十一億円の減収、本当にひどい、絶対許されないというように思うんです。その上、法人実効税率の引き下げが行われれば、年間五千百億円もの減収になるわけです。
 このような法人事業税の不合理な暫定措置の撤廃という都の認識に対して、現民主党政権はどのような認識に立っているのか、都の見解を伺います。

○田倉税制部長 法人事業税の暫定措置は、受益と負担という地方税の原則に反し、地方分権の流れに逆行する不合理なものであります。都は、この措置を直ちに撤廃し、法人事業税を復元するよう、繰り返し国に求めてきたところでございますが、現在、政府におきまして、見直しに向けた具体的な動きはございません。

○たぞえ委員 具体的な動きがないということですから、これは相当、行政も議会も頑張らなきゃいけないというように思うんです。
 そこで、都は十一月に、国に対しての予算要望の中で、財務局、主税局など三局で、直ちに撤廃という要求をしていることは大変重要だと思います。問題は、これまで吸い上げた分を即刻取り戻す、そして、即刻これからはやめさせる、こういう行動に立つべきだと思いますが、どのようなお考えでしょうか。

○田倉税制部長 副委員長ご指摘のとおり、都におきまして、十一月に、国の予算編成に対する東京都の提案要求の重点事項に掲げまして、法人事業税の不合理な暫定措置の即時撤廃を国に要求してきたところでございます。
 改めて申し上げるまでもなく、法人事業税の暫定措置は、本来は国の責任で行うべき地方間の調整を放棄し、都の財源を不当に奪うものであります。しかしながら、都から国に払い込まれました法人事業税を取り戻すとのご指摘は、この暫定措置が現行法制度に基づくものであることから困難ではございますが、引き続き、都議会のご協力を得ながら、即時撤廃を国に強く働きかけていくことが重要であると認識をしております。

○たぞえ委員 先ほどの、鈴木委員から局長に質疑があって、私、大変重要だなと思ったのは、荒川局長が、運動論が必要だというように、さっきおっしゃったんですね。私もそうだと思うんですよ。やっぱり東京都がイニシアチブをとって、例えば税を守る都民集会とか、それから国会に向けてデモ行進だとか、運動論というのは、文書で示すだけじゃなくて、やはり実行力が大事だと思うんです。
 今の部長の答弁で、撤廃ということについての政権の考え方は、見直しに向けた具体的な動きがない、即刻やめろということについては、困難であるが、引き続き頑張りたいということで、どちらもテーブルの外側で声を出し合って、こぶしを上げているという状況だと思うんですね。やっぱり勝負というのは実力なんです。どう行動に立ち上がって相手に迫っていくかと。私、先ほど取り戻せといいましたけれども、それは困難だと。であるなら、これから取られるものは取らせない。そのためのやはり具体的な行動をぜひ示していただきたいと思うんですね。
 例えば、都営地下鉄などを含めて広告を出すとか、それから電光表示もありますし、たまには都庁もアドバルーンを上げるとか、いろんな対策をとって都民の税金を守り、都民のサービスに活用していくという努力があってこそ、納税者は、大した主税局だというふうに思ってくれると思うんですよね、わかりませんけれども。ぜひその点でも努力をしていただきたいと思います。
 最後に、地方消費税、消費税の件でありますが、これについては低所得者対策、配慮しなきゃいけない、こういう中間議論、報告だったわけでありますが、これについては、前回の中間報告に比べて、どのように記述も発展しているのか、ご紹介いただきたいと思います。

○山内税制調査担当部長 少子高齢化により社会保障関係費の増加が見込まれる中、公共サービスを適切に提供するため、安定的な財源の確保が不可欠でございます。
 地方消費税、消費税について、都税調は、昨年と同様、偏在が小さく、税収が安定的で、勤労世代に負担が偏らないことから、基幹税としてふさわしいと考えております。その上で、税制抜本改革が進まない状況を踏まえまして、今年度は、地方消費税、消費税の税率引き上げに向けて、時期や引き上げ幅の検討を直ちに開始すべきとの、より積極的な見解を示しております。
 なお、税率を引き上げる際には、低所得者に何らかの配慮が必要であるとして、軽減税率と給付つき税額控除を挙げております。

○たぞえ委員 今の、消費税の増税の時期や引き上げ率の検討を直ちに開始するべきだと、こういう見解が出されているということでありますが、私はとんでもないと思います。
 現に民主党が、四年間は消費税を上げない、むだを削れば財源ができる、このようにいってきたわけですが、その根本理念が破綻して、消費税増税にかじを切りかえようとしています。もちろん、前政権の自民党も、さまざまな新党も、消費税増税を主張されています。しかも、これらの政党は、いずれも法人税率を引き下げると口をそろえて主張しておりますけれども、仮に法人税を二五%に下げたら九兆円の減収です。消費税を一〇%に引き上げたとしても、増税額は十二兆円ですから、そのほとんどが法人税減税の穴埋めに消えてしまうことになります。
 消費税導入以来二十二年間で、税収は二百二十四兆円にもなりました。二十年目を迎えたときに、普通、私たちであれば、成人式おめでとうとお祝いされる税金ではなかった、みんなから歓迎されなかったという経過もありますけれども、この二十二年間の同じ時期に、企業が納める法人税や法人住民税、法人事業税は、二百八兆円も減ってしまったわけです。
 しかも、この二十二年間に、国と地方の長期債務残高は、二百四十六兆円から八百五十兆円もの三・五倍にふえて、東京都でも十数年来で八千億円以上の減収になっています。これは、法人税の減税の穴埋めのために消費税増税があることは、この歴史を見ても明らかだと思います。
 消費税の増税は、消費を冷え込ませ、景気に大きな打撃となります。所得の落ち込みで苦しい家計から税金を払って、そして都の銀行には税が入ってこない、そして、巨額の内部留保をため込む企業には減税する。こういうやり方が正しいのかどうか、このことが国民的な注目を浴びた税制の方向じゃないでしょうか。
 したがって、都税調で消費税の増税をこぶしを上げて主張することは、私は、自分の、自治体の首を絞めることになると思います。今やるべきは、都税調でもいっているような、食料品、光熱水費、水などの生活必需品には非課税をする、そして、病院や診療所が仕入れる医薬品、また医療機器の消費税課税を外して医療費の負担を少なくしてあげる。当面こうした対策を講じなければ、この不況のもとで、都民はさらに苦労を重ねなければならないというふうに思います。千二百万都民の暮らしを守る上でも、この都税調の一定の方向を評価するものですが、同時に、その方向の中で指摘をしなきゃいけないこともあるということを最後に申し上げて、質問を終わります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十五分散会

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