財政委員会速記録第十六号

平成二十二年十月二十六日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長高木 けい君
副委員長吉田康一郎君
副委員長たぞえ民夫君
理事菅  東一君
理事中谷 祐二君
理事上野 和彦君
福士 敬子君
くりした善行君
斉藤やすひろ君
鈴木 隆道君
田島 和明君
大西さとる君
斉藤あつし君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長安藤 立美君
経理部長藤原 正久君
契約調整担当部長奥田 信之君
主計部長長谷川 明君
調整担当部長関  雅広君
財産運用部長松本 泰之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長金子 敏夫君
技術管理担当部長末菅 辰雄君
庁舎運営担当部長藤森 教悦君
主税局局長荒川  満君
総務部長目黒 克昭君
税制部長田倉 英明君
税制調査担当部長山内 和久君
調整担当部長須藤 充男君
課税部長木村 芳生君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長宗田 友子君
特別滞納整理担当部長阿南 威彦君

本日の会議に付した事件
 財務局関係
事務事業について(質疑)
 主税局関係
事務事業について(質疑)

○高木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑を行いたいと思います。
 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤原経理部長 先日の委員会におきまして要求をいただきました資料についてご説明申し上げます。
 今回要求がございました資料は四件でございます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます要求資料第1号をごらんください。土地信託ビルへの監理団体及び都の機関の入居状況でございます。
 これは、平成二十二年九月末現在、財務局が所管いたします土地信託、新宿モノリス及びコスモス青山への監理団体及び都の機関の入居状況につきまして、それぞれ表にまとめたものでございます。
 なお、両国シティコアにつきましては、監理団体の入居はございません。
 恐れ入りますが、ページを一枚おめくりいただきまして、要求資料第2号でございます。
 これは、同じく財務局が所管しております三つの土地信託ごとに、これまでの信託報酬と信託配当の実績を表にまとめたものでございます。
 次のページをお開きください。要求資料第3号でございます。
 これは、三つの土地信託ごとに、これまでの支払い利息の実績について表にまとめたものでございます。
 次のページをお開きください。要求資料第4号でございます。
 これは、三つの土地信託ごとに、平成二十一年度末におけますそれぞれの借入金残高と、平成十七年度から平成二十一年度までの借入金返済額を表にまとめたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中谷委員 それでは、私の方からは、財産の利活用を中心に何点か質問をさせていただきたいと思います。
 そもそも都庁舎を初めとする都有財産は、都民サービスの源となるものであります。都有財産の利活用とは、その財産を活用して、いかに都民サービスの向上に寄与し効率的に活用するのかという、いわば都民の視点からのメリットと、その財産の運用によって財産収入などの収入をいかに確保していくかという財政当局からの二つの側面があるかと思います。都庁舎を初めとする建物の改修に当たっても、この都民サービスの向上と財産収入の確保という二点を十分認識することが重要であります。都民サービスの向上や効率的な活用の視点から施設のありようを検討し、都有財産をしっかり運用して必要な財源を確保するというサイクルがうまく機能することが財産利活用の目指すべき姿であるかと思います。
 前定例会の財政委員会では、まさにバブルの時代の代物といわれた新宿モノリスビルの土地信託契約の更新か否かが問われました。都税収入も、景気後退の局面で法人二税の落ち込みから、都を取り巻く財政環境は大変厳しいものがあります。だからこそ、今述べましたように、都有財産の利活用を促進し、都民サービスへの効率的な活用の視点、いかに税外収入をふやしていくかという視点が重要であります。
 今回、都庁舎の改修には、総額七百八十億円、各年度で約三十億円から百十億円の工事費を予定しております。平成二十一年二月の都庁舎の設備更新等に関する方針では、その財源については、都庁舎の建設時と同様の考えに基づき、都庁舎の財産利活用収入や未利用地の売り払いによる財産収入の活用など、極力、一般財源を投入しない仕組みを検討する、急激な景気後退の中にあっても、更新に必要な経費を安定的に確保する工夫をしていくとされております。
 私自身は、この考え方は、先ほど述べた財産利活用の目指すべき姿を具体化したものと考えており、都庁舎の改修に当たっては、この点はしっかりと踏まえていただきたいと思います。
 この点から何点か伺います。
 まず、この景気後退局面において、設備などの更新に必要な経費を安定的に確保するために、具体的にどのような工夫をしているのかお尋ねをいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 ただいま理事の方からお話がございました、平成二十一年二月に公表いたしました都庁舎の設備更新等に関する方針において、庁舎改修に必要な経費の確保について取りまとめております。
 まず、第一に、財源については、都庁舎の財産利活用収入や未利用地の売り払いによる財産収入などを充当し、極力、一般財源を投入しない仕組みを検討するとしております。
 また、第二に、工事費についてでございますが、更新設備の範囲や使用資器材の選定、施工方法などにつきまして、今後の設計段階等において一層の費用の圧縮を図るとともに、最も合理的な施工計画を策定し、事業費の平準化を図っていくとしております。

○中谷委員 今のご答弁は、これはネットでも引っ張れますけれども、都庁舎の設備更新等に関する方針という冊子に書いてあることでございます。私が伺いたいのは、要は、景気が悪く法人二税も上がらない、そういう厳しい財政局面で、一般財源を使わないでいかに設備更新に取り組んでいくかという、その具体策を伺っておりますので、もう一度、具体策についてお伺いいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 ただいま理事の方からお話がございましたが、この方針に基づきまして、こういった景気後退の時期でございますので、極力、一般財源を投入しない仕組みということで、財産の利活用収入あるいは未利用地の売り払いによる財産収入などを充当していくことを検討するということを考えております。
 また、一方、費用の縮減についてでございますが、例えば今お話をさせていただきました使用資器材につきましては、可能な限り省エネルギー機器あるいは高効率の機器を導入するなど、また、更新設備の範囲についても、事前調査の結果を踏まえまして、継続使用が可能なものは更新を先送りするなどいたしまして、極力、財政負担の縮減の方向を考えていきたいと考えております。

○中谷委員 利活用の推進と未利用地の売り払いで財産収入を得るというお話でございますから、この後、具体的にそのことについてもお伺いをしたいと思います。
 それから、縮減をするということは、今の時点で目標値が設定されておって、これこれこういう工夫をして縮減をされたという、その数値が当然出てくるべきでありますので、今、七百八十億円という数字が予定されておりますけれども、例えば、当初は八百億円以上の見積もりをしていたけれども、縮減をして七百八十億になったのか、そして、さらにその努力を進めていくのか、引き続き検証していきたいと思います。
 それから、財務局として、都庁舎の現在の空きスペース、未利用スペースというところが、実際どういうところがあいているのかという認識についてお伺いをしたいと思います。
 また、そのスペースが、なぜ空きスペースになったのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 現在の都庁舎におけるまとまった空きスペースでございますが、第一本庁舎南棟四十一階に四百九十平方メートル、第一本庁舎二十七階南側に二百平方メートルのスペースがございます。これらのスペースにつきましては、平成二十一年十一月と平成二十二年七月の組織改正により生じたものでございます。

○中谷委員 いずれも組織の再編、改廃等に伴って生まれた空きスペースでありまして、これは、要はだれが見てもわかる空きスペースなんですけれども、それとは別に、築後十九年経過をいたしまして、その間、さまざまな局の統廃合がありました。また部局の統廃合もありました。そうしたときに、各局に割り当てられた、いわゆる事務室の面積にも多少の不均衡が生じている可能性があります。ぱっと見て、随分広いところにゆったりと使っているなという部局もあれば、すし詰め状態の部局もあるやに伺っております。
 局の中で、いわゆる潜在的な空きスペースというものが、もしかしてあるのではないかと。そのことについて、では財務局は実態を調査しているのか。また、しているとすれば、現状はどうなのか。また、その空きスペースの今後の活用についてお伺いをいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 財務局におきましては、都庁舎の設備更新計画を作成するに当たり、事務室内における什器やコンピューターなどの物品、配置人員、年間事業スケジュールなどを把握するため調査を行いました。この調査によりますと、現状におきましては、定数削減や組織改正などにより、空き机等が点在するなど小規模な空きスペースはございますが、利活用できるまとまった空きスペースはない状況でございます。
 今回の設備更新の完了後に余剰スペースが生じた場合には、来庁者等の利便性向上に結びつく利活用の方策について検討することといたしております。

○中谷委員 設備更新の完了時期と、いわゆる組織の再編の時期とは、必ずしも一致をしないと思います。したがって、余剰地が生まれた場合に、それをいかに正確に把握して有効に使っていくかという、この点についてはかなりの計画性が必要であります。例えば主税局関連になりますけれども、外部に出ている電算センターというものがありますけれども、これも、この機に、もしかしたら本庁舎に戻すという、そういうことも考えられるわけで、いろいろなことを想定して、ぜひともこの余剰地の活用について検討を図られたいと思います。
 続いて、都庁舎内の利活用の具体例として、現在、コンビニであるとか書店、自販機の設置、喫茶店、事務所使用など、いろいろあります。個々の契約形態が実際どのようになっているのか。契約の相手方によっては、賃料、使用料の減免措置があるのかどうか。また、その理由も含めて、現状についてお伺いをいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 ただいま理事お話しの店舗等につきましては、すべて地方自治法第二百三十八条の四第四項の規定に基づく使用許可で対応しております。
 これら使用許可団体の店舗に対する減免措置についてでございますが、東京都行政財産使用料条例に基づきまして、職員の福利厚生や都の事務事業の補佐、代行等、使用目的の公共性、重要性及び都の事務事業に及ぼす影響等を勘案いたしまして、減額または免除を適用しております。
 お尋ねのコンビニあるいは銀行等の店舗などにつきましては、条例に基づきます減免事由に当たらないことから、減額や免除は行っておりません。
 また、職員食堂や書店等の店舗や売店、清涼飲料水の自販機等につきましては、職員の福利厚生を目的としていることから、減額または免除としております。

○中谷委員 行政財産の使用許可の際の使用料については、行政財産使用料条例により算出されていると。使用許可という手法のほかに、平成十九年三月に、改正自治法によりまして、庁舎などの行政財産の貸し付けを行える範囲が拡大をされました。この場合の貸付料は、適正な時価を予定価格とし、落札価格等によって決定をしております。当然、使用許可よりも貸し付けの方が高く使用料が取れる、つまりは、今の使用許可を貸し付けに切りかえるならば、今よりも多くの財産収入が見込めるものと思われます。なぜ現時点で貸し付けが積極的に活用されないのか。
 法が施行されて三年以上が経過をいたしておりますけれども、この貸し付けと使用許可を比較した場合のメリット、デメリットについて、簡潔にご説明をいただきたいと思います。

○松本財産運用部長 地方自治法の改正によりまして、庁舎等の余裕部分について貸し付けが可能となりましたけれども、行政財産は本来、行政目的達成のために利用される財産であり、現時点で余裕部分でありましても、将来、行政目的に利用される可能性がございます。使用許可は、許可期間中ではございましても、行政需要が発生すれば、直ちに処分を取り消し行政目的に利用できますけれども、貸し付けは、民法の規定が原則適用されるため、直ちに対応することが困難でございます。
 行政財産の貸し付けは、ご指摘のように、入札による財産収入の増加、増収可能性というメリットがございますけれども、このような行政需要が発生した場合に即応困難というデメリットがありますために、個々の財産について、この点を検討し適切に対応しているところでございます。
 なお、行政財産の貸し付けは、貸し付けの対象が庁舎等の余裕部分でございますため、面積や形状など、貸し付けに当たって制約がある場合が多く、また余裕部分が独立した形で存在していれば、その部分を普通財産にした上で貸し付け等を行っているということもございまして、行政財産の貸付対象は限られているという事情がございます。

○中谷委員 幾つかのメリットがあり、デメリットがあるというご説明ですが、どうもデメリットの方が強調されているように聞こえました。
 少なくとも、改正自治法が施行されて以来、都庁舎内で使用許可から貸し付けに変えた実績があるのかどうか。冒頭、設備更新の財源は都庁舎の利活用収入で賄うというご答弁でございましたので、積極的に使用許可から貸し付けに変えた実績があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○松本財産運用部長 使用許可につきましては、その許可をするときに、その適否等を勘案し、また、その更新に当たりましても、その適否等を勘案してございます。
 今現在、使用許可から貸し付けに変えたという実績はございませんけれども、貸し付けにつきましては、行政財産の庁舎等の利用状況等をつまびらかに調査をいたしまして、新規に駐車場等で活用しているというような事例がございます。

○中谷委員 貸し付けは一年更新で、最大五年まで可能となりました。今のお話ですと、どうしても何か、使用許可ありきの硬直的な運用を改善していこうという雰囲気は受け取れない。要は、今まで使用許可であっても、ちょうど許可期限というのが到来する物件が幾つかありまして、この機会にその一つ一つを検証して、貸し付けへと切りかえていくべきであると考えております。
 一つだけ具体例を申し上げますと、平成二十二年の十二月ですから、本年十二月に、第二庁舎内のコンビニが一時使用の期限が到来をいたします。例えば本件についての対応はどうされるのか。一時使用のままでいくのか、それとも、貸し付けを現時点で検討しているのか、可能な範囲でお答えをいただきたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 今、理事お尋ねのコンビニの件でございますが、現在、使用許可でいくのか、あるいは貸し付けでいくのかといったところについて検討しているところでございます。

○中谷委員 検討中であるということでございますので、要は、使用許可から貸し付けになったところで、平米数が小さいから大した上がりは上がらないというふうにとらえるのではなくて、一つ一つ検証して、そういう税外収入をふやす努力をしないと、とてもとても七百八十億円なんていうお金を生むことはできないということを指摘しておきたいと思います。
 都庁舎の展望室というものがあります。私もこれを訪れたことがありますが、平成二十一年度で百七十六万人の方が訪れたようでございます。展望室に向かうには直通のエレベーターを利用するわけで、都民はもちろん、他府県の方あるいは外国人の観光者の方も多数おられます。このエレベーターも貴重な都有財産であります。
 エレベーター内のスペースであるとか、あるいはエレベーターのフロア周辺など、いわゆる企業広告等、税外収入を得るスペースがあると私は考えております。具体的に、この本庁舎内、あるいは第二庁舎においても、フロア周りについてはそういう努力をしているとおっしゃるのかもしれませんけれども、実際の現時点での取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎を活用した企業広告等の掲示についてでございますが、都では平成十七年から、庁舎の利活用を図る観点から、北展望室のエレベーター周辺のフロアにおきまして企業広告を掲示できるスペースを設け、対応しているところでございます。
 また、来庁者向けといたしまして、第一庁舎一階のエレベーターホール付近に電光掲示板を設置いたしまして、必要な情報提供をしているところでございます。
 都庁舎の改修に当たりましては、来庁者等の利便性の向上を基本的な視点の一つとしてございます。そのため、設備更新に合わせまして、サイン等について、現状の再点検や再評価を行った上で、庁舎の利活用といった点も視野に入れ、また、他の自治体での事例などを参考にしながら検討していくこととしております。

○中谷委員 来庁者への利便性を図るのは当然のことであります。そしてまた、企業広告の掲示板というものが、実は北棟の展望室にそのスペースがあると伺っております。これは一区画が〇・七五平米で月二千円、都合六区画ございまして月一万二千円、そういう取り組みをしているという報告をいただきました。これをもって取り組んでいるというのは、極めて認めがたい実情でありまして、設備更新に合わせて、ぜひとも民間のアイデアを取り入れるなど、サイン広告など積極的な取り組みで税外収入をふやす努力を続けていただきたいと思います。
 実際、宮城県なんかの例を見ますと、エレベーターのフロア周りだけでも年間一千万円程度の税外収入を得ているという実例もありますので、東京都が本気になれば、それは出先も含めて、さまざまなところでの税外収入を得るという可能性を秘めているわけですから、やはり一つ一つ工夫をしていっていただきたいと思います。
 都庁舎以外の都有施設についても、行政財産、普通財産を問わずに、未利用なものについては引き続き利活用を進める必要があります。財務局として、未利用の建物の実態把握のために、都有建物の利活用に関する調査委託を行っているとお聞きしております。具体的にはどのような調査をし、実態をどうとらえているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○松本財産運用部長 都有建物の利活用に関する調査委託は、都有建物の一部または全部が本来用途以外に活用できる状態になった場合、どのようにすれば利活用が可能になるかの条件を整理することを目的として実施しております。
 その内容でございますけれども、まず、他の自治体及び民間建物における活用事例の収集を行うとともに、並行して、民間事業者やNPO法人等に都有建物のニーズ調査を実施いたしております。さらに、それに加えまして、都有建物を想定で抽出し、幾つかの業態の事業者に対し、具体的な貸し付けの可能性をヒアリングし、活用シミュレーションを行っております。
 こうした調査、検討を通じまして、まだその結果は出ておりませんけれども、都有建物を貸し付ける場合の条件を整理し、今後の建物利活用に生かしてまいりたいと考えております。

○中谷委員 私は、財政委員会の質疑の中で、財産の利活用に当たっては、財務局がもっとリーダーシップをとるべきであるという主張をしてまいりました。今回、都庁舎を初めとする建物についても、いわゆる各局の既得権、そういうものがあり、また課題も多く、その利活用を進めるに当たっては、さらに財務局のリーダーシップが必要であると思います。
 これは昨年来というよりも、もっと前からこの委員会で、財務局長を初め、答弁においては、その方向性というのはいつも示されております。ところが実際は、具体的な取り組みの点では十分に進んでいるとはなかなか思えないと。
 さきの財政委員会でも私は申し上げましたけれども、財産利活用推進会議というものが、前回開催されたのがもう二年前のことでありました。この二年間にも外的な要因はかなり変化をし、さまざまな法律改正がなされている中で、二年間も会議すら開かれていないということは、およそ積極的に取り組んでいるとは思えないのであります。
 取り組みが進まない理由はどこにあるのか。それも私なりに考えてみましたが、一つは、都有財産をめぐる環境の変化というものが十分に認識をされていない。利活用を進める仕組みや制度運用の見直しが進んでいないのではないかと考えられます。
 一つは、都有財産の内容や性質が大きく変化しているということであります。財政再建の利活用の一次プラン、二次プランのときには積極的に普通財産の売却を進めました。その結果、やはり売りやすい物件、さらには--当時、都が恐らく、緊急に現金化してそれを税外収入として入れていかなければいけない、そういう財政状況にあったからだと思いますけれども、いわゆるかなりいい東京都のそういう資産を売却してしまったというのが、当時の一次プラン、二次プランだと思います。したがって、今残っている財産というものが、比較的その利活用が難しい財産が残っている傾向にあります。
 したがって、その中で活用ができるかどうかという、その視点で財産を本気で見直ししていかないと、なかなか昔のように売却推進という方針ではありませんから、その利活用を進めるためには、一つ一つ丁寧に、そして、例えば庁舎の空き床や敷地の余剰スペースなどという空間的な余裕と、あるいは休日とか夜間、そういう事業予定地や駐車場というのは時間的な余裕、そういう部分にもぜひ着手をして利活用を図っていくべきだと思います。
 何年か前に、資産アセスメントというものを財務局で多分実施したと思います。各局が所管する行政財産の使用実態を調査し、効率性、周辺土地利用との整合性を評価すると。約二千件の調査をしたと聞いておりますので、ぜひその調査をもとに、手を加える形で引き続き利活用を進めていただきたいと思います。
 実際は、事業の見直しなどにより行政財産として役割を終えた財産があります。例えば、都営住宅なんかを建てかえした場合に、昔の都営住宅は建ぺい、容積にかなり余裕を持って建てておりますから、建てかえをすれば当然余剰地が生まれると。生まれた余剰地を、なかなか都市整備局は離さずに抱えていくという傾向にあると思います。抱えるというと表現が悪いかもしれませんけれども、要は、都市整備局で将来利用する予定があるということになると、この案件については、なかなか財務局が手を出しづらいというのが現状であったと思います。
 しかし、本気で利活用を進めるのであれば、やはりこの財産をも財務局へ移管していく必要があると思います。なぜならば、財務局は財産の総合調整権というものを有しているわけでありまして、そのことをもっと積極的に使っていく必要があると思います。
 よく我々が地元で相談を受ける中で、例えば、待機児童が練馬区においても四百人以上いると。これは毎年毎年四百人以上いるんですね。にもかかわらず、それが解消されないということは、絶対的なその保育施設が足りていないということであります。また、老人向けの施設も、お金を出せば、それはいいところに入れるのでしょうけれども、安い値段で入れるような高齢者向けの施設も足りていないと。そういったときに、都が保有する財産を暫定利用する、そういう施策をもっと積極的にすることによって--そのためには、都市整備局でもし抱えているのであれば、財務局に移管をしていただく。そういう努力を一層進めていただきたいと思うのであります。
 私がさきの財政委員会で提案をいたしましたが、公的不動産戦略統括会議なるものを設置して、やはり他局が持っている財産についても早期に引き継ぐ体制、そして、過去に局長が多分答弁をされたと思いますけれども、なかなか境界の確定が難しいから財産を移行できない、時間がかかるんですよという答弁が過去にありました。ならば、境界が確定されていない状況で財務局が預かって、財務局のもとで境界確定をするという作業をする、そういうことも取り組みの一つとしてはあるのではないかと思います。
 今回の質疑でも明らかにいたしましたけれども、財産の利活用をめぐる制度改正にもっと柔軟に対応していくことが必要であると思います。行政財産も、実際もう貸し付けが可能となり、普通財産化しなくても利活用が可能になったにもかかわらず、余り積極的に使用許可から貸し付けという方向にはないように思います。長期間減額したままで、法改正がされても、なかなかそれがうまく運用されていないところに、ぜひとも手をつけていただきたいと思うのであります。
 平成十九年六月に、今後の財産利活用の指針の中でも触れております。環境の変化に対応した新たな利活用を進めていくということでありました。二〇一六年のオリンピックの東京招致もなくなったわけで、要は、その際に予定していた都有財産の利活用についても見直しをする時期が来ているのではないかと思います。財務局の方からいわせると、十分認識もしている、取り組んでいるという反論もあるかもしれませんけれども、例えば、私が以前申し上げた未利用の定義についてもおよそ変わったとは思えませんし、データベースというものも、確かに構築はされているけれども、その活用が本当にうまくいっているのかどうか、具体的な進捗が見られないといっても仕方がないかと思います。
 財務局は、財産利活用のわかりやすいマニュアルというものも作成しており、私も見せていただきました。また、庁内ウエブのサイトで公有財産利活用ひろばというものもありまして、これはまさに現場を知り尽くした職員の方が、他局の方も含めて、さまざまな利活用のアイデアを持ち、意欲的に取り組んでいくためには、このウエブサイトというものをもっと活用していくべきであると考えております。
 組織としては、利活用をめぐる二つの環境の変化を十分に認識して、財産の総合調整権の強化を含め、それを財務局として最大限発揮して、都民の共有財産を効果的に活用していくべきと考えております。局長のご答弁をお伺いしたいと思います。

○安藤財務局長 都税収入が減少している際でございますので、それ以外の、財産を活用し収入を確保することは、私どもの重大な役目だというふうに思っております。
 この財産の利活用につきましては、今、先生お話しのとおりに、平成十九年に指針をつくりまして、都有の土地、建物のさらなる有効活用を進めて、財産の価値を最大限に発揮すると。そして、都政の喫緊の課題の解決のためにも、庁内各局と連携しながら利活用を推進していくということを決めたところであります。
 その中でうたわれております都政の課題解決という点で申し上げれば、これまでは緑化条件つきの事業用の定期借地、あるいは私学の耐震改修支援などを行いましたし、お話がありました福祉について申し上げれば、高齢者や少子化対策などについても、福祉インフラ整備等によりまして、施策に連動した利活用を推進してきているところであります。
 お話のありました財産制度の面で申し上げれば、定期借地制度あるいは定期建物賃貸借制度を導入いたしましたが、直近では、十九年四月に、ご議論もございましたけれども、行政財産の民間への貸付制度を導入して、制度としてより広く利活用できるものを整えたところであります。
 他方、利活用実績の紹介でありますとか、利活用推進マニュアルを職員向けに整備して、各局支援の強化を図っているところでございます。
 今後とも、利活用を推進していくためには、庁内各局との密接な連携を深めていくことが重要であると思っております。
 本日、都庁舎をめぐりまして利活用についてのご提言もございましたが、庁舎という使用形態が現にあるわけでございまして、余剰地を使いながらという限定的なものであるがために、使用許可でやるべきか、あるいは貸し付けでやるべきか、それぞれのケースに応じてまず判断していく部分がどうしても出てまいりますが、この建物をつくって以来の更新がございます。その中でフロア等の見直しも一層進むと思いますので、庁舎ではございますが、財産の利活用という趣旨を踏まえるならば、できる限り、収入がふえるものはふえた方がよろしいわけでございますので、それぞれの事情に即して判断をしていきたいと思います。
 都有財産は、都民から負託された貴重な財産でありますので、財産の実態に応じまして、これまで蓄積したノウハウ、あるいは制度改正の趣旨やその活用方策について各局にわかりやすく伝えるなど、各局と適時適切な情報交換をより一層進めまして、積極的に各局の支援を行うことで、お話のありましたように、財務局として引き続き財産の総合調整機能を発揮してまいります。

○中谷委員 財産運用と財政運営、それから建築保全とがしっかりと連携する仕組みを構築していただいて、財務局においては、その財産の総合調整機能をより一層推進する取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終えさせていただきます。

○鈴木委員 私からは、入札契約制度について、久しぶりに質問したいと思います。
 我が党では、公共工事の品質の確保に資する入札制度はどうあるべきか、入札・契約制度改革プロジェクトチームによって、しっかりと我が党の中で議論をするとともに、都の入札契約制度の改善に向けて、さまざまな多岐にわたる提案を行ってまいりました。
 このような提案も踏まえ、都も、昨年十月に公表した公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針、いわゆる実施方針において、公共調達の基本的要請である透明性の高い公平公正な手続のもとで、品質確保を中心とした新たな制度改革を着実に進めていくこととして、入札契約制度改革に取り組んでいることとは思います。
 厳しい経済状況が続く中、公共工事においては、低価格による入札が相次いでおります。これに対応するため、昨年十月からは、一定水準を下回る低価格入札については特別重点調査を導入して調査を強化するとともに、ことし一月からは最低制限価格制度の改正を行ってきたところでもあります。
 これらの低価格入札対策においては、これまで財務局契約分については報告を受けておりますが、平成二十一年度の全庁的なデータもそろったところであると思いますので、公営企業も含めた都全体の現状と成果についてお伺いをしたいと思います。
 昨年十月以降、実施方針に基づき、低入札価格調査制度においては特別重点調査を導入いたしました。また、中小企業が多く受注する価格帯である最低制限価格制度においては、最低制限価格の算定式を市場実態に即した水準に改善するとともに、予定価格の八五%の上限を撤廃いたしました。従前は、この八五%を目安とした入札が横行し、くじ引きが多発したと聞いています。
 まず最初に、これらの制度改正によりどのような効果が見られたのか、状況をお伺いいたします。

○奥田契約調整担当部長 昨年十月から、低入札価格調査制度に特別重点調査を導入するなど、過度な低価格入札の抑制に努めてきたところでございますが、その後の状況です。平成二十一年度におきましては、低入札価格調査制度を適用する価格帯の契約案件四百十件のうち、百九十三件におきまして低入札価格調査を実施し、このうち五十一件におきまして特別重点調査を行いました。結果、平均落札率でございますけれども、特別重点調査導入前の六九・七%に対しまして、導入後は七七・七%に上昇いたしまして、著しい低価格入札には一定の歯どめがかかったと認識しております。
 また、最低制限価格制度を適用する価格帯におきましては、くじ引きについて、制度改正前は一一・四%の発生率でございましたが、改正後は四・八%に減少いたしました。その最低制限価格帯の平均落札率につきましても、八六・七%から八八・四%へと若干ながら上昇しておりまして、制度改正の効果があったと思っております。

○鈴木委員 ただいま昨年度の全庁的な入札結果の報告がありましたが、極端な低価格による入札については、徐々にではありますが、制度改正の効果があらわれてきたものと確認をすることができるのでありましょう。
 第三回定例会の契約案件でも、制度改正前の五〇%などといったような過度な低入札が見られなくなったのは確かであり、一定の抑制効果があったことが認められますが、経済の低迷が続く現状においては、引き続き入札の動向について注視をしていきたいと思います。
 また一方、低価格入札の抑制もさることながら、公共工事においては、品質の確保も重要な課題の一つであることは論をまたないところであります。品質確保の観点からは、価格のみの競争だけによるのではなく、価格と技術をあわせて評価する総合評価方式の活用が大いに期待をされるところであります。
 二点目として、総合評価方式については、実施方針においても適用を拡大していくとうたっておりますが、二十一年度の実績について伺います。

○奥田契約調整担当部長 総合評価方式につきましては、平成二十四年度に、全競争入札案件の約二割、発注件数が多い業種等の約三割を目標として取り組んでいるところでございます。
 平成二十一年度の契約実績ですが、中小規模の工事を対象とする施工能力審査型が三百七件、大規模工事を対象とする技術力評価型が二十三件、高度な技術提案を求める技術提案型が二件でございまして、合計三百三十二件となっております。これは全競争入札の案件の約六・三%でございまして、二十年度の二百八十件に比べ微増でございますが、実績は上がっております。
 また、今年度につきましては、八月末時点で、トータルでございますが、百四十九件の契約実績がありまして、昨年度同時点での七十九件を大幅に上回った状況でございます。

○鈴木委員 今、答弁があったわけでありますが、総合評価方式への取り組みが、わずかながらではありますが、着実に進んでいるということで確認ができたわけであります。
 総合評価方式は、低価格入札の抑制やくじ引きの減少に向け、効果がある制度であるとともに、不良不適格業者を排除し、優良な事業者が適切な価格で受注できるという長所を持ち合わせた制度でもあります。新規参入する事業者を拒むことのないよう、また排除するようなことがないような、競争入札案件とのバランスにも配慮しながら、引き続き適用拡大に取り組んでいくべきと考えています。このことは非常に重要な問題でもありますので、特にその適用拡大に関しては、相当そちらでも重点的に取り組んでもらいたいと思います。
 一方、適用拡大に当たっては、制度上、取り組むべき課題があると、今いったように考えています。実施方針では、平成二十二年度を目途に評価項目の有意性について検証し、工事の規模や種類に応じて見直しを進めるとしていますが、検討状況について、まず伺います。

○奥田契約調整担当部長 総合評価方式のうち技術力評価型について見ますと、施工計画に重きを置いて評価する類型でございまして、審査に時間と手間を要する割には、定型的な工事などにおいて施工計画上の差がつきにくいとの理由から、適用が広がっていないという現状の課題がございます。
 現在、施工計画でなく施工実績を重視するなど、評価項目を見直して、新たな類型を検討しておりまして、総合評価方式の適用拡大に資する制度の構築を目指している最中でございます。

○鈴木委員 今、答弁があったとおりだと思いますね。ですから、より使いやすく、しかも受注者の技術力を適正に評価できる制度であれば、総合評価方式の適用件数も上がっていくというように思います。
 一方、長引く不況を反映し、業界からは最低制限価格制度の適用価格帯の引き上げを求める声も上がるなど、さらなるダンピング対策強化が求められていることも事実であります。本来なら技術力のある事業者が適正な価格で受注できるはずの総合評価方式においても、価格点重視ではないか、より技術点を重視すべきではないかとの意見があるのも事実であります。
 総合評価方式において、技術点が高くても、結局、価格点で勝負が決まるのでは、せっかくの制度の趣旨が生かされません。この点についての対応を伺います。

○奥田契約調整担当部長 ご指摘のとおり、技術力のある者がより適切な価格で応札できることが、総合評価方式の趣旨に合致すると認識しております。こうした観点から、現在、技術力評価型総合評価方式におきましては、調査基準価格を下回る入札につきまして、価格に対する評価値の算定方式を工夫するなどして、より技術力が評価されるよう、評価方法の見直しを検討しているところでございます。

○鈴木委員 価格点の算出方法の見直しを検討中とのことでありましたが、こうした改正については時宜を得たものであると歓迎をしたいと思います。さらなる迅速な対応をお願いしたいと思います。技術力の高い者が適切な価格で受注できる仕組みとなるように期待をしております。
 やはり入札の制度に関しては、今までも随分議論をしてきましたけれども、最初に工事の、要するに基準となる東京都の算定基準が果たして今の時代に即しているのかも含めて、実は考えていかなければならないと。しかも、実はこの東京都の契約制度の見直しに関しては、国、それから地方自治体もかなり注視しているわけです。
 総合評価方式がかなり実績を上げているのは、今の質疑でわかったと思いますけれども、ただ、それであっても完璧ではないわけですね。現実に、やはりそういう契約の中でより品質を確保する、それから、実際にはその品質を確保しながらも、低価格でそれはとらせたい、とりたいというのが、やはり公共工事のある程度考え方にあるでしょうけれども、やはりどうしてもそれは、ダンピング等で安くなれば、安くなった分でいいものなんかできないわけですよ。やはり安かろう、悪かろうになるわけでしょう。だから、そのところの基準というのが非常に難しい。だからこそ、技術点または今までの施工をどのくらいしたかという経験値まで入れていこうというのが議論だったわけですね。
 しかし、実際には、経済状況を考えても非常に悪い中で、そういう建設業に携わっている方々の苦悩と悲鳴みたいなものが下請業者から聞こえてきているわけですよ。そういうものを踏まえた場合に、東京都として、総トータルとして、この契約を本当に考えていくということが今まさに問われているわけでありまして、そういう点で、最低価格の件もそうでありましょうし、事前公表、事後公表の件も踏まえて、東京は一応事前公表ということにしているわけですが、やはりもう一回、きちっと考えるべきところを考えて、東京が全国の指針となるような契約制度に向けてきちっと考えていくと。そしてまた、多くの業界の方々の意見も聞きながら、よりこれが東京が目指す契約制度ということをきちっといえるようなことを目指して、ぜひ努力をしていただきたい。
 最後に、局長の考えを聞いて終わりたいと思います。

○安藤財務局長 公共調達におけます入札契約制度につきましては、納税者の方の負担のもとで行われますことから、透明性、競争性、品質確保の三つの社会的要請のバランスが求められておりまして、こうした要請を踏まえつつも、おっしゃるように、刻一刻変化します市場環境にも迅速かつ適正にこたえていくことが命題というふうに考えております。
 昨年度からの取り組みによりまして、極端な低価格入札への対応については一定の効果を上げてきたというふうに思いますが、他方で、業界の方々からは、品質確保などに向けたさらなる取り組みについても要望が上がってきておるというふうに私も承知しております。引き続き、入札契約制度改革に対しては、さまざまな課題と期待があるものというふうに考えてございます。
 こうした認識のもと、ただいま部長からも答弁申し上げましたが、総合評価方式の適用拡大の検討でありますとか、工事成績評定制度の信頼性の向上など、技術力を持っている者が適切な価格で受注できる環境を整備し、公共調達に求められる品質の確保を図っていく所存であります。
 今後も、昨年定めました実施方針に基づきまして、着実に入札契約制度改革に取り組んでまいります。状況の変化にも迅速に対応しながら、適正な価格と良好な品質の両立という契約制度の姿を目指してまいりたいと思います。

○斉藤(や)委員 公明党の斉藤やすひろでございます。私からは、鈴木委員に重ならない範囲で、入札契約制度改革について質問をしたいと思います。
 たった今、局長のご答弁にも含まれておりますけれども、公共調達は納税者の負担のもとで行われますことから、調達の過程やその結果について、透明性、競争性、品質確保という三点の社会的要請にこたえなければいけない、今の局長のご答弁にもございました。
 昨年の三定以来、私も財政委員会で何度かこの入札契約制度改革、中でも公共工事に係る契約改革について質問をさせていただきました。
 公共工事に関しましては、公共投資の減少に加え、景気後退によりまして民間建設需要が大変冷え込んでいく中で、建設事業者の受注競争は一層厳しさを増しているわけでございます。過度な低価格入札による工事品質の影響が強く懸念されるなど、公共工事を取り巻く状況は極めて厳しい、決していい状況にはなっているわけではない、そういう現実がございます。
 都議会公明党といたしましても、価格のみでなく、技術力の評価を加味する総合評価方式、今質疑ございましたけれども、その拡充など、入札契約制度改革を累次求めてまいりました。
 都は、昨年の十月に、学識経験者等から成ります入札契約制度改革研究会からの提言を踏まえまして、新たな時代の入札契約制度改革を着実に進めていくために、局としても実施方針を定めているわけでございます。また、その成果につきましては、ただいま質疑で私もお伺いさせていただきました。これからも、確実な、着実な前進を望むところでございます。
 この入札契約制度改革は、工事のみでなく、設計の委託等につきましても一定の方向性が定められている。これは六月の財政委員会での質疑でも質問させていただきましたけれども、本年の五月以降に契約された案件から、成績評定制度が本格実施されているところだと思います。
 そこで、本日はちょっと視点を変えまして、設計委託等以外の委託物品関係の入札契約制度について、その実施方針の範囲外となっているわけでございますけれども、この委託物品関係の契約と工事関係の契約の違い、相違点につきまして、改めて確認をしておきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 委託物品関係の契約と工事関係契約の相違点でございますけれども、大きな点といたしまして、委託物品契約につきましては、その履行がなされた時点におきまして履行状況を確認しております。特に業務委託では、随時必要な指示も行いますこと、そういったことから適正な履行を確保しております。
 工事契約ですが、履行の完了までに長期間にわたるケースが多いために、いわゆる不良不適格業者を排除させる方法といたしまして低入札価格調査制度を導入するなど、受注者の決定時に審査を入れることによりまして適正な履行を確保する方法をとっております。
 両者の入札契約制度については、こういった相違点が見受けられるところでございます。

○斉藤(や)委員 ただいまのご答弁の中で、その違いが明らかになったわけでございますけれども、さはさりながら、同じ公共調達でございます。
 特に、病院のような建物管理業務委託や専門性を要する調査委託、または、価格のみだけでない、十分な履行の確保が難しいような業務委託など、さまざまな委託物品関係がある中で、業界団体から、低価格競争からの脱却、あるいは不良不適格者の排除のために、価格だけではなく、やはり技術力などを評価する総合評価方式の導入などの要望が我が党にも多く寄せられている現状がございます。
 次いで、委託契約におきます総合評価方式の導入につきまして、都はどのように考えているのか、お伺いをしておきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 委託契約におきます総合評価方式というお話でございましたけれども、委託の中でも多数を占める建物管理委託のうち、警備とか設備保守等々なんですが、都民の生命を守る重要施設として良質な医療サービスを提供いたします都立病院の建物管理業務委託等につきまして、業務内容等から勘案いたしまして、特に質の高い管理運営、適正かつより一層の良質な履行の確保が求められる、そういった議論がございました関係上、平成二十一年度準備契約から総合評価方式を試行実施しているところでございます。

○斉藤(や)委員 試行実施をしているというお話でございました。
 次いで、病院の管理業務委託等の総合評価方式につきまして試行しているということですが、もう少しその現状について詳しくお伺いしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 病院における総合評価方式の導入の現状でございますが、平成二十一年度の準備契約から、広尾病院建物管理業務委託を一件試行実施してございます。また、平成二十二年度におきましては、昨年度に引き続きました広尾病院建物管理業務委託と、それに加えまして、大塚病院建物管理業務委託、墨東病院警備・電話交換業務委託の計三件を試行実施しております。

○斉藤(や)委員 都民の生命を守る病院の管理業務委託のお話がございました。価格のみでなく、総合的な観点から評価しようという取り組みを行っているということを、ただいまのご答弁で理解いたしたところでございます。
 管理業務委託等の総合評価方式は、品質の確保や不良業者の排除、そしてダンピング、これは大変深刻でございますけれども、こういったダンピングの受注の防止などを図る観点からも、私は、やはり有効な手段ではないかと考えているわけでございます。
 この総合評価方式は、ぜひ今後も進めていくべきだと思いますし、また、よりよい制度を構築していく上でも、総合評価方式につきましては積極的な拡大に向けた検討を今後ぜひ研究していただく、検討をいただく、その要望をしたいと思います。
 大変短い質問ではございますけれども、とても大切な問題でございますので、今後の動向をよく注視していきたいということを申し述べて、本日の私の質問は終わります。

○たぞえ委員 初めに、基金について伺います。
 東京都は、特定の目的のために資金の積み立て、定額の資金を運用するため、基金を設けておりますが、二十一年度末の基金の種類と残高、また活用可能な基金とは何かを説明をいただきたいと思います。

○長谷川主計部長 二十一年度末の基金残高の合計は三兆三百十六億円でございます。このうち、年度間の財源を調整したり、あるいは今後の財政需要に備えるために積み立てている財源として活用可能な基金は一兆三千八百五十二億円、その他、減債基金や国の経済危機対策に関する基金などが一兆六千四百六十四億円でございます。
 財源として活用可能な基金とは何かということでございますけれども、財政調整基金のように年度間の財源を調整するために積み立てたり、あるいは社会資本等整備基金や福祉・健康安心基金など、今後の財政需要に備えるために積み立てたものでございまして、一方で、公債費の償還に充てる減債基金でありますとか、あるいは国の経済危機対策に関する基金など、使途が明確に限定されている基金と区別して位置づけているものでございます。

○たぞえ委員 残高の大きな基金として、財政調整基金四千九百二十四億円、社会資本等整備基金四千四十二億円、そして東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金四千七十七億円、減債基金一兆三千三百八十三億円、この四つで二兆五千四百八億円を占めております。
 そのうちの一つのオリンピック・パラリンピック基金の設置目的を改めて紹介いただきたいと思います。

○長谷川主計部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金についてですが、同基金条例第一条のとおり、オリンピック・パラリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金を充てることを目的に設置した基金でございます。

○たぞえ委員 東京都の施策を進める上で、平成二十二年度予算の発表時の説明で、積み立てた特定目的基金を積極的に取り崩すことで必要な財源を確保しているといわれましたが、そのことはどのような意味合いを持っているのでしょうか。

○長谷川主計部長 二十二年度予算では、大幅な税収減の中にあっても都政の役割をしっかりと果たしていくために、これまで積み立ててきた財源として活用可能な基金を取り崩すことなどによりまして必要な財源を確保しております。
 お尋ねの点についてでございますけれども、その取り崩しに当たって、まず、スポーツ・文化、環境、福祉・医療の三分野を集中的、重点的に進めるために積み立ててまいりました三つの基金や、都市インフラの整備や都有施設の改築、改修の経費に充てるために積み立ててまいりました社会資本等整備基金といった特定目的基金について、優先的に取り崩したという趣旨でございます。
 なお、財源の年度間調整のための財政調整基金につきましては、将来を見据え、取り崩しを必要最小限にとどめまして、残高を極力維持するように努めております。

○たぞえ委員 二〇一六年東京オリンピック招致を目的にした開催準備基金は、平成十八年度から毎年一千億円が積み立てられてきました。基金は、この四年間、同じ額で一千億円で積んできたわけですが、この四年間で取り崩しはあったのでしょうか。

○長谷川主計部長 この四年間で取り崩しはございません。

○たぞえ委員 減債基金や社会資本等整備基金は、毎年、四千億円とか三千億円とか数十億円とか、そういう単位で取り崩されていますが、二〇一六年の開催招致は事実として存在しなかったこのオリンピックに至っては、一度も取り崩しが行われていません。しかも、再び東京にオリンピックを招致しようという都知事の発言はありますけれども、公式の、また正式な施策としての東京招致は現在ないわけです。
 「十年後の東京」実行プログラム二〇〇九を改めて見てみますと、オリンピック、国体につなげるスポーツ振興とか、都民、国民全体で盛り上げるオリンピックムーブメントなど盛りだくさん書かれていましたが、実行プログラム二〇一〇で掲げているのは、だれもが気軽に楽しめる生涯を通じたスポーツの振興とか、世界とつながるスポーツ都市東京を実現する、こういうスポーツ振興策で、招致のその二つの言葉はどこにもあらわれてきません。
 現在積み立てている二〇一六年オリンピック招致を目指したオリンピック基金は、招致そのものが現段階でないわけですから、結局、今残っているのは、使用目的不明積立金というふうにいわざるを得ません。
 そういう基金を、招致が失敗したのに、既に一年以上にわたって長期間保管するということは、積み立てによる利子生み出し基金と都民から指摘されるのも無理ないと思います。
 活用可能な基金であると認識しているならば、一刻も早く取り崩して、都民のさまざまな施策に活用をするべきだと思いますが、これはいつもがっちんこですけど、お願いします。

○長谷川主計部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の取り扱いについてでございますけれども、オリンピック・パラリンピック再挑戦についての今後の議論などを見定めつつ、適切に対処してまいります。

○たぞえ委員 既に二〇一六年オリンピックは存在していないわけですから、この基金は、存在しないところに存在しているということ自身が矛盾です。取り崩して都民施策に積極的に活用を図る議論がいつか来るというふうにいわれていますけれども、ぜひ一刻も早く実施するように要求をしておきたいと思います。
 次に、公共事業の契約のあり方についてです。
 公共事業の縮小が続いたこの十年、民主党新政権のもとでも、公共事業の削減をさらに加速する事態が進んでいます。
 中小企業から、建設業はもう必要ないのか、建設業がどん底までいかないと行政は真剣に取り組んでくれないとか、建設業は雇用の受け皿どころか離職者を生み出す産業、こういう絶望の声が各地で聞こえてきます。
 東京都は、平成二十一年七月二日に、財務局長と産業労働局次長名で、各局長や事務局長あてに、官公需についての中小企業者の受注機会の確保等についてという通知を出しました。この中で、中小企業者の仕事の確保対策などの諸施策を推進すると、こういうふうに述べられています。しかし、実態はどうかということです。
 建設業界では、公共事業の削減と一般競争入札の拡大で、少ない工事に多くの企業が群がる実態が生まれ、大企業などによる採算を度外視した低入札、ダンピング入札は中小企業の受注機会を奪って、下請、孫請企業、労働者への低単価、低賃金の原因になっていると指摘をされています。
 現に、都の契約を追ってみますと、中小企業との契約実績は、平成十六年度十五万三千四百一件、平成十七年度十四万二千百十六件、平成十八年度十二万三千八百二十九件、十九年度十一万九千百九十二件、平成二十年度十一万九千二百八十三件と、がた落ちです。中小への契約比率は一向に上がりません。
 契約が伸びないばかりか、数百億円もの負債を抱えた大企業が倒産して、そのもとで仕事をしていた中小零細業者は、受注の工事代金も受け取れずに同時に倒産してしまう、大変深刻な事態であります。
 これに対して国土交通省は、この十月十五日、各都道府県に対して、経営事項審査の審査基準の改正等についてとする通知を出しました。その内容は、企業実態をより適正に評価できる仕組みに改善することが重要になっている、こういう認識の上に立って、雇用期間の明確化や完成工事高の評点テーブルの修正、また再生企業の減点措置などを示して、建設工事の発注に当たって適切な事務処理に努めるよう指示を出しました。
 この内容の中で、再生企業に対する減点措置が示された考え方について説明をいただきたいと思います。

○藤原経理部長 本年七月二十六日の中央建設業審議会におきまして、再生企業に対する現行基準の課題として、再生企業は債権カット等により地域の下請企業等の経営に大きな影響を与えており、マイナスの評価なしに公共事業への再参入には批判が多いこと、経営事項審査の評価上も、地域貢献等を評価する社会性等において一定の減点を行うことが適当であることを挙げております。
 今回の経営事項審査の審査基準の改正における再生企業に対する減点の措置は、こうした考えに基づいたものであると理解しているところでございます。

○たぞえ委員 要するに、負債を抱えた大手大企業が倒産をしたと。そういう企業が、今度は名前を変えて、再生企業として再び活動を始めたと。その際には、地域の中小企業にどのような社会的影響を与えたか、その点を考慮する必要があるということだと思います。
 法的整理を受けた再生企業は、債権のカットで地域の下請企業に負担を強いたために、具体的な減点措置として、再生の手続から手続終結決定日までは一定の営業年数評価の最高点が減らされて、さらに再生期間終了後は営業年数評価はゼロから再スタートする、こういう厳しい措置です。こうした再生企業への厳格な措置によって、改めて公共事業への参入を認めてよいということを示したのがこの通知です。
 ところが、再スタートするに当たって、中小企業が契約するような代金の低価格な物件を低入札率で契約をとる、そのために下請に安い工事代金で仕事を回して、再生企業は生き延びていく。下請に過大な負担が起こっているというのが、幾つかの事例で今生まれています。
 私はこういうことについて、この再生企業を否定するわけではありませんが、その再生した企業がこれまで以上の下請に対する大きな負担を強いることがないように、これらの企業に対しては、適正な対策をぜひこれからとっていただきたいと要望しておきたいと思います。
 最後に、土地信託についてです。
 去る第三回定例会において、東京都の土地信託事業である新宿モノリスビルの五年間延長という議案が出され、我が党は反対をいたしました。
 東京都の土地信託は、都有地の所有者たる東京都が信託銀行に土地を預けて、建物の建設や資金調達、そして賃料をゆだねるかわりに、収益の一部を信託配当として都に還元してもらう、つまり都有地でもうけることを目的にした制度でありました。
 しかし、土地信託は惨たんたるものになっています。土地神話は崩壊し、予定していた賃料収入は確保できず、財産収入はがた落ちになったことは、さきの定例会でも私から指摘をしたとおりです。
 これに対して、きょう、要求した賃料収入の中にも示されていますように、東京都の監理団体や機関を、わざわざ賃料を払わせて入居させるということまでやってきました。
 きょうは厚生委員会も開かれておりまして、歌舞伎町の土地信託に大久保病院が、都有地の上に建ったビルにその病院が家賃を年間十億円も払っているというものが今取り上げられていると思いますが、こういうことが行われてきたのです。
 一方、東京都は、これまで支払われてきた信託配当は予想を大きく下回る結果になりました。最も配当を上げてきたといわれている新宿モノリスさえ、当初の予想配当の四分の一にも満たない、こういう額にとどまっています。にもかかわらず、都は、モノリスについて信託を五年間延長するという形で、今回の定例会で決定をしました。
 そこで伺いますが、モノリスの信託期間を延長することとした理由を改めて示していただきたいと思います。

○岩瀬利活用調整担当部長 新宿モノリスですが、本件信託は健全な資産運用でございまして、専門家からも同様の評価を受けております。
 これを踏まえまして、具体的に方策を検討し、信託期間を延長することが都にとって最も有効な選択肢であると判断したものでございます。

○たぞえ委員 財務局は今の答弁で、新宿モノリスがこれまで健全な資産運用であったと胸を張ってお答えになりましたが、実態は配当は予想を大きく下回る中で信託を延長するということは、結局問題の先送りでしかありません。
 今後、順次契約満了を迎える土地信託事業は、新宿モノリスよりもさらに状況が厳しくなることが見込まれています。モノリスのように単なる延長策でしのぐという方法では対処できない、こういうものが後に待っているわけです。
 とりわけ、二年後の二〇一二年七月に契約満了を迎える両国シティコアは、そう簡単にはいかないと思います。両国シティコアは、信託配当は、きょうの要求資料によると約六億円とのことですが、当初の予想配当、それに対する実績の割合はどうなっているでしょうか。

○岩瀬利活用調整担当部長 両国シティコアの予想配当は約八十三億円でございます。これに対しまして、配当実績は七・七%でございます。

○たぞえ委員 たった七・七%です。一割にも満たないわけです。都が銀行に土地を預けて、受け取った信託配当は十七年間でたった六億円です。
 確認をしておきますが、都民住宅分として、信託銀行にこれまで賃料と共益費は幾ら払ったのでしょうか。

○岩瀬利活用調整担当部長 平成四年度から平成二十一年度までの住宅棟分の賃料収入については、累計で約三十六億八千七百万円でございます。また、共益費は約一千六百万円でございます。

○たぞえ委員 きょうの要求資料によると、銀行が受け取った信託報酬は約四億円、これだけならまだしも、銀行は、建物の建設資金として貸し付けた借金の利子として、何と五十四億円も受け取っています。都への信託配当が約六億円であるのに対して、銀行は、信託報酬と利払いとを合わせて五十八億円の収入を得ていることになります。
 これでは、都が損をして、銀行だけがもうかる仕組みになっているといわれても仕方がないんじゃないですか。どうなんですか。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託報酬は、信託契約に基づく支払いでございます。一方で、利払いは、建物の建設資金に係る信託と銀行との間の約定に基づく支払いでございまして、これらを単純に合計して都への信託配当と比較することは意味がないと考えます。

○たぞえ委員 意味がないと強弁されましたが、それだけではないんです。
 これも要求した資料に記載をされておりますが、昨年度末において、両国シティコアは四十六億円の借入金の残高が残っています。もう契約期間の満了まで二年しかない時期に来て、四十六億円も残っている。両国についていえば、借入金の返済が完了していないまま契約が満了する可能性が非常に高い。
 その場合、その債務、借入金とテナント入居者の敷金は、土地建物と一緒に都に押しつけられることになるんじゃないですか。どうですか。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託期間満了後の取り扱いの検討に当たりましては、信託としての債権債務のほか、建物の資産評価等も含め、専門家の意見も聞いて、信託財産の評価を正確に行い、把握する必要がございます。その上で、信託期間満了後の取り扱いについて検討してまいります。

○たぞえ委員 借金が残って、都が肩がわりして支払わなきゃならないという事態になるんじゃないか、こういうふうに聞いているんです。都の負担が実際に発生してしまうんじゃないか、そのことについて答えてください。

○岩瀬利活用調整担当部長 繰り返しになりますが、信託期間満了後の取り扱いの検討に当たりましては、信託としての債権債務のほか、建物の資産評価等も含め、専門家の意見も聞いて、信託財産の評価を正確に行い、把握する必要がございます。その上で、信託期間満了後の取り扱いについて検討してまいります。

○たぞえ委員 同じような答弁ですが、どうしても答えたくない、答えていただけないということであれば、私が試算をしますと、昨年度末で借入金残高が四十六億円、一方、昨年度の返済額が六億七千五百万円、信託満了の平成二十四年七月まであと二年四カ月、これを三年と見ても、返済できる額は合計で二十億円です。借入残高との差し引きで、約二十六億円は返済ができないで残ってしまうということになるわけです。これを見ても、両国シティコアが信託事業として破綻をしていることは明らかです。
 両国シティコアの受託銀行はどこですか。

○岩瀬利活用調整担当部長 住友信託銀行、みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行、三行の共同受託でございます。

○たぞえ委員 両国シティコアの受託銀行は、今いわれた三行、新宿モノリスと同じということになりますよね。新宿モノリスは、五年間の延長に当たり、みずほ信託銀行以外の二行は辞退をしました。
 両国シティコアは、期間満了後の取り扱いについて、信託銀行とどのようなやりとりを今しているのでしょうか。

○岩瀬利活用調整担当部長 現時点におきまして、出口策をどうするかというやりとりは具体的にはまだ行ってございません。今後、専門家の意見も聞きながら、事業の総括、検証を行い、その事業特性や地域性を踏まえまして、関係局などとも調整を図りながら出口策の検討を進め、方向性がまとまり次第、協議に入ってまいります。

○たぞえ委員 都の信託事業に対して、銀行としては、モノリスさえ辞退している。つまり責任放棄ですから、もうからない、もううまみがない事業だということではないでしょうか。モノリスよりもっと状況の厳しい両国シティコアについていえば、都は損をして、銀行はもうかるだけもうかって、負債だけ押しつけて勝手に出て行ってしまう、そういう構造になってしまうと思います。これ以上、問題をずるずる先送りするのはやめるべきなんです。
 東京都は、両国シティコアについて、土地信託事業として破綻をしていると認めて、すべての情報を都民に明らかにするべきじゃないですか、いかがですか。

○岩瀬利活用調整担当部長 両国シティコアの出口策の検討に当たりましては、まず、これまでの事業の評価を行う必要があると考えております。両国シティコアでは、オフィスの提供のほか、バブル期に中堅所得層向けの賃貸住宅として都民住宅を六十戸整備し、提供してきております。そうした住宅政策の視点、さらには劇場や地域集会施設なども備え、活用されてきておりまして、そうした地域貢献等の視点、お話の信託事業としての視点も当然含めまして、さまざまな観点から評価、検証を行った上で、関係局や地元区等とも連携して出口策の検討を進めてまいります。

○たぞえ委員 信託配当は当初予想どおりに出ない、借入金だけ残る。銀行は報酬と利払いを約束どおり受け取り、都はそれを監理団体と都の機関の入居で支える、とんでもないことだと思います。このような土地利用は、やはり抜本的に改めるべきだと思うんです。
 両国シティコアについては、今年度じゅうに信託満了後の方向性を取りまとめるというように聞いていますが、モノリスと同じような、これ以上問題の先送りはやめるべきであると重ねて指摘をしておくものです。
 我が日本共産党は、貴重な都民の財産は都民のためにこそ使われるよう、今後も、この関連する問題については、議会で機会を得て追及、問題を明らかにして取り上げていきたい、このことを申し上げて質問を終わります。

○福士委員 それでは、私から二点ほどお伺いします。
 まず最初に、起債についてお伺いをいたします。
 東京都の起債残高は、二〇一〇年度末の見込み額で、総額六・五兆円となっています。借入先は政府資金と民間等資金に分けられ、民間等資金は約九割となっています。国全体の六割に比べると、東京都の民間等資金への依存の大きさがわかります。
 民間資金は、自由度が高い反面、利率の上下、いわゆるスプレッドが重要となります。二〇〇六年、夕張市破綻のショック、二〇〇八年、リーマンショックと、節目には金利が急上昇しています。それぞれの節目では、どのくらいのスプレッドの変動があって、どのくらいの影響があったかを、まず確認の意味でお伺いします。

○長谷川主計部長 地方債の金利の動向を述べる場合に、国債との金利差であるスプレッドであらわすということが行われております。ただいまお尋ねの平成十八年六月に夕張市の財政破綻が明らかになったいわゆる夕張ショックの前後におきまして、東京都公募公債十年債の発行条件におけます国債との金利差であるスプレッドは、六月の〇・〇六五%から、七月は〇・一三%へと二倍に拡大しております。また、平成二十年九月のリーマンショック前後におきましては、九月の〇・〇九五%から、十月は市場環境の悪化により発行を見合わせまして、発行を再開した十一月には〇・一七%と約一・八倍に拡大しております。
 次に、スプレッド拡大に伴う影響でございますけれども、当時の一カ月当たりの発行額ベースにおける利払い額の増加分として試算いたしますと、夕張ショック時には、月五百億円の発行額でございましたので、償還までの十年間を通じて三億二千五百万円の利払い額の増加となりまして、リーマンショック時には、月三百億円の発行額でございましたので、同じく十年間で二億二千五百万円の利払いの増加となっております。

○福士委員 今伺いましたように、起債は借金であり、その使い道の是非はもちろん問われますけれども、起債で事業を行うと判断した後も、どこから借金するか、それはさらに重要じゃないかと思います。
 東京都は、安く資金を調達するという考えをどこまで徹底できるのでしょうか。大変だと思いますけれども、どのような工夫があるのかお伺いをします。

○長谷川主計部長 都債の元利償還には、基本的に税などの一般財源を充てるということから、低い金利で長期間にわたり安定的に発行していくことが望ましいと考えております。そのためには、どのような市場環境であろうと、投資家の皆様が安心して購入できるよう、都債の商品性をさらに向上させ、市場の信頼を得ていくことが重要と考えます。
 市場の信頼を得るためには、幅広い投資家層に支持されることが必要でございまして、これまでも、投資家のニーズに合わせた都債の年限設定や、あるいは発行方式の改善を進めるとともに、IR、投資家向けの情報提供活動を通じまして、都の堅実な財政運営について積極的な情報発信を行ってまいりました。こうした取り組みの積み重ねによりまして、都債は、地方債市場において最も有利な発行条件となっております。
 今後ともこれらの取り組みを進めるとともに、将来にわたる公債費負担の軽減を図るという観点から、銀行等引受債において、定時償還方式を採用して元金償還を着実に進めて利払いを削減するなど、総合的に資金調達コストを安くするような取り組みも行ってまいります。

○福士委員 いろいろ工夫をしていらっしゃることはわかりました。私の周辺で伺っても、都債なら大丈夫よねというような、そういうお声も聞かれることは聞かれますので、そういう意味で、市民の皆さんも、それなりに安心はしていらっしゃるのかなとは思います。
 ただ、その工夫やノウハウを区市町村と共有することも、またこれは重要なことだと思います。東京都のような大世帯に比べ、どうしても財源や経験が貧弱な区市町村とのノウハウ交換が必要じゃないかというふうに私は思うんですが、ホームページへの掲載のノウハウや借入先との交渉方法ノウハウなど、東京都職員による区市町村職員への研修というのはどういうふうになっているのでしょうか。必要な自治体には、ノウハウの提供や技術支援を積極的に行うべきだと考えますけれども、都のお考えを伺います。

○長谷川主計部長 東京都は、財政再建期を含めまして、これまでさまざまな財政環境の中にあって、都債の発行と管理の両面で、中長期的な視点に立った適切な都政運営を行い、必要な財源を確実に確保してまいりました。その過程で、先ほどお話ししたような都債の商品性を高めつつ調達コストを下げる取り組みを通じて多くの経験を積むとともに、市場において高い評価を得てきたと考えております。
 今後、特別区債や市債などを市場公募で新たに発行しようという意欲を持つ都内の自治体にとりましても、都の経験が参考になる面が多いと思われます。これまでもホームページで、都債に関する情報については積極的に提供するとともに、区の職員を研修生として受け入れて、個人向けの東京再生都債の発行の実務などに携わらせているほか、財団法人地方債協会などが行う、新たに市場公募債の発行を検討している団体を対象といたしました実務者研修会などでもノウハウの提供を行っております。
 これからも、区市町村から要望がございますれば、都の具体的事例に沿って説明する機会を設けるなど、これまで培ってきた経験、ノウハウを提供してまいります。

○福士委員 東京再生都債は額もすごく大きいですし、皆さんも喜んでお買いになったとしても、これがここ、ここ、ここというふうに、ピンポイントでなかなかわかりにくいという部分はあるかなというふうに思いますけれども、区市町村の場合は、それこそピンポイントでわかりやすいということがあります。
 調達の仕方として、住民参加型市場公募債という手法というのは、今お話しいただきましたけれども、市民が地域の問題点を財政も含めてきちんと知るという意味でも重要かなというふうに考えております。
 先般、我孫子市の住民参加型市場公募債のお話を伺いました。我孫子市では、住宅開発計画が出された古利根沼周辺の保全事業資金を調達するために、オオバンあびこ市民債というのを公募したところ、国債が〇・八%に対して、市民債は〇・五八という低金利であったにもかかわらず完売したというお話がございました。
 これが可能だったのは、この事業が、貴重な自然環境で、昔の利根川の風情を今にとどめる古利根沼を保全するための用地取得費であるということを市が明示したためだというふうに考えられます。これは市民の方でも、そういう地域のことですから非常によくわかっていて、あそこがなくなったら困るねというふうに思っていらっしゃる方がたくさんいて、このように市場の原理とは別の市民の論理、環境の論理で募集を行えば、市民にも、行政にもメリットがある方式がとれるのではないかというふうに考えます。
 行政の説明責任が不十分ならばお金が集まらないわけですから、いわばお金による事業選択投票といえるものだと思います。これ、これからもうちょっと私も勉強させていただきたいし、この場合は地域がどう考えるかということがありますので、質問にはいたしませんけれども、例えば、地域には、都として災害避難場所がたくさんあります。市民にとって、そこは今のところ、グラウンドとして使ったり、憩いの場となる公園用地が点在しています。杉並では、戦後復興政策の中で、宅地建設を進めながらも、環境的配慮からつくられたグリーンネットワークがあって、公園がずっとぐるっと並んでいる地域が杉並の南の方にもあるんですけれども、しかし、それらの中には民間の所有地も含まれており、災害避難場所とされたところにもマンション建設が進んでいます。このような場合、何とか環境を守りたいと活動する住民が行政に働きかけても、資金難で拒否されてしまう、こういう例が今まで普通でした。この市民公募債という方法がもっと広く市民に知られていれば、自治体の長に働きかけることも可能だったかと思える例があります。
 いずれにしても、首長判断となりますけれども、その場合に、寄附や維持コスト削減に住民が協力するという旧来からの方法に加えて、公募型市民債という方法が存在するということは、政策決断のハードルを少しでも下げることになると私は考えます。
 今地域の中では、訴訟まで起こして、その訴訟のためのお金を何十万、何百万と集めながらやっている例がありまして、そういうことを考えますと、やはり同じお金だったら、訴訟のために集めるのではなく、そういう市民公募債のようなものに出してくださる方をもっと広げていくことはできるのかなというふうに考えました。
 我孫子市のように、同じ借金でも、低利率で発行して資金を賄うという新たな手法をもっと都民や区市町村職員にも知ってもらうことも、そういう意味で私は重要かなと思います。その助けとして、東京都の技術的支援を答弁どおり強化していただくことを要望しますが、決意だけお伺いしておきます。

○長谷川主計部長 住民参加型の市場公募債は、これは例えば財団法人地方債協会のホームページなどを見ますと、全国の都道府県あるいは市町村などでかなりの数がやられております。その中には、お話のような、いわば施策に参加する形でやるようなものもあれば、都道府県レベルですと、東京都のように二百億といったような大きなロットでやっていくことで、これは投資家も含めないとなかなか消化するのは難しいわけですので、もっと広い、緑化ですとか、そういったような目的のもとでやっているというようなものもございます。
 いずれにせよ、こういった形の市場公募の地方債というのは、これからもいろいろな形でふえてくるのではないかというふうに思いますので、東京都がこれまで培ったノウハウを、そのご要望があれば積極的に提供してまいりたいと思います。

○くりした委員 私からは、先ほど、たぞえ副委員長からも質問がございました、財務局が所管をする土地信託事業について質疑をさせていただきます。
 先日の第三回定例会において、新宿モノリスの案件につき、土地信託事業を継続させるという選択が都議会においてとられましたが、東京都が行っているその他の土地信託に関しても、近く更新の時期を迎えるものが存在します。渋谷区神宮前にありますコスモス青山と、墨田区両国にあります両国シティコアであります。新宿モノリスにおいて、バブル崩壊による地価下落の影響もあり、配当が当初の予想を大幅に下回るということがありましたけれども、この二件においては、それ以上に厳しい運用状況が続いております。
 コスモス青山は、予想された配当収入が、平成元年度から平成二十七年度までの間で千四百五十億円であったのに対して、平成二十一年度時点で約三億円、両国シティコアは、平成元年度から平成二十四年度までの間で八十三億円の見積もりに対して、六億円の配当しか得ることができなかったと聞いております。双方において近く更新が迫っていることから、これらの土地信託事業の出口戦略の検討について、より明確にしていくためにも質疑をさせていただきたいと思います。
 それではまず、両信託事業を実施したそもそもの背景について改めてお伺いいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 昭和六十一年の地方自治法改正によりまして、新たな土地活用の手法として土地信託方式が制度化されました。都としましては、バブル期にあった当時の社会経済情勢を踏まえまして、この土地信託方式を採用することにより、都民の貴重な財産である都有地の有効活用を図ろうとしたものでございまして、両国シティコアにつきましては、地域の活性化を目的とした住宅併設の賃貸用業務施設を建設し管理運用することを目的として、そしてコスモス青山につきましては、東京ウィメンズプラザ及び賃貸用業務ビルを建設し管理運用することを目的として、それぞれ実施したものでございます。

○くりした委員 ありがとうございます。両信託は、今お聞きをしたように、公共施設とともに賃貸用業務ビルを建設するというやり方で、東京都の資産活用を図ろうとしたものであったかと思います。
 次は、その資産活用を行うに当たって、信託事業開始当初には、配当金額の予想を見積もったかと思いますけれども、それがどのような根拠に基づいているのかお伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託配当は、賃料収入から管理費等を差し引いた剰余金でございまして、予想配当の積算に当たりましては、それぞれの事業内容や規模等を踏まえまして、賃料水準や管理費等の動向を見込んで算出されたものと認識しております。

○くりした委員 冒頭申し上げましたとおり、かつて行った予測と比較して、実際の配当には非常に大きな隔たり、例えばコスモス青山においては、千四百五十億円の見積もりに対して三億円であるなど乖離があったわけでございますけれども、こういったことがなぜ起こってしまったのか、その理由についてどのような考えであるのか、お伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託配当が当初の予想と比較し大幅に減額となっている主たる要因は、当時、土地価格は一貫して上昇を続けており、バブル経済の崩壊により収入源であるテナント賃料が大幅に下落していくことを想定し得なかったことにあると考えております。

○くりした委員 バブル経済の崩壊による収入減については、この土地信託事業に限らず、不動産を初めとする資産運用事業全般において大きな影響を与えましたので、それについては、一部不可避な面があったかもしれません。しかし、そういった特別な状況下においても、いかにして資産の価値を高めていくかということについて検討がなされていなければなりません。
 それについては、信託受託者である金融機関が直接の責任を負っているわけでありますけれども、その金融機関については、どのような経緯をもって選定をされたのか、お伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 それぞれの土地信託事業を実施していくために最もふさわしい受託者を選定するため、各信託銀行に対しまして土地信託事業計画書の提案を求め、土地信託受託者選定委員会において慎重な審議を経た上で決定いたしました。

○くりした委員 今ご説明をいただいた経緯によって選定をされた信託受託者、そして、その金融機関によって設立をされた管理会社によって、直接的には資産の管理、運用がなされていたわけでありますが、彼らが効率的に事業運営をしているか否かにおいては、東京都もチェックの権利を有するということが土地信託契約書の中にも記載をされているかと思います。
 東京都は、具体的にどういった形でチェックを行ってきたのかについてお伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 土地信託契約書では、毎年、当該年度の事業実績報告及び翌年度の事業計画の報告を義務づけておりまして、その中で、きめ細かなヒアリング等を実施し、信託全般の収支計画を検証していく過程におきまして、管理委託コストの動向などについてチェックしております。また、信託財産に関する調査及び監査についても規定しておりまして、必要に応じて、緊急的工事の実施状況やOA機器等の更新計画など、資料もしくは報告を求め、チェックをしております。

○くりした委員 東京都としては最善を尽くして、チェックに尽力をしてきたという認識であると思いますが、客観的に見て、少なくとも配当額という一面においては、結果が思わしくないというのは明らかであると思います。東京都は、これについてどのように評価をされているのか、お伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託配当の実績が予想配当と大きく乖離しているということはございますが、信託事業の評価に当たりましては、それぞれの信託物件ごとに事業特性や地域性が異なることから、債権債務のほか、行政施策の視点、社会的貢献の視点など、さまざまな観点から総合的に評価すべきものと考えておりまして、今後、専門家の意見も聞きながら、個々に評価、検証を行ってまいります。

○くりした委員 数字としてあらわれない行政施策としての価値も含めて評価をすべきであるといったお答えをいただいたかと思いますが、例えば、これ以上に運用状況が悪化をして、仮に信託満了時に赤字を出した場合にはどのように対応することになるのか、東京都がリスクを抱えないようにどういった工夫がなされているのかについてお伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 土地信託契約書の中に、金銭不足の場合の措置及び信託の終了時に敷金等の返済債務、借入金債務、その他の債務が存在する場合について規定がございます。いずれも、受託者と都において協議をしていくということになってございます。

○くりした委員 信託事業が赤字になった場合の対応については、本格的には今後議論を行っていくというお話でございましたけれども、信託受託者である金融機関が運用の直接の責任を負う以上、都税からの返済という選択がとられることのないように、東京都としても主張していただきたいと、こう思っております。
 先ほどお答えをいただいたとおり、東京都は、信託受託者である金融機関及び設立をされた管理会社をチェックするという立場でもありまして、東京都においては、それが形骸化をしないように、極めて客観的な立場に立つ必要があると思っております。
 そこで、信託受託者及び設立をされた管理会社の役員における都職員OBの再就職状況についてお伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 まず、信託受託者についてでございますけれども、承知をしてございません。
 それから管理会社についてですが、両国シティコアの管理会社である株式会社両国シティコア及びコスモス青山の管理会社である株式会社コスモス青山の代表者は、現職も含めて歴代それぞれ六名が就任しておりまして、いずれも都のOBでございます。

○くりした委員 いわばチェックをされる側である信託受託者及び管理会社の中に、チェックをする側の東京都の一員であった職員OBが在籍をしているということは、公平なチェックを行う上で、これは大きな障壁になり得るのではないかと思います。
 また、チェック機能に不備がなかったとしても、いわば出資者である都民から見て疑念を感じさせるといった点においては問題があると、このように思います。
 疑念を払拭することができるよう、また運用状況を改善に導けるように、今後、東京都は、チェック機能の強化、または人事情報を含めた可能な限りの情報公開を進められるよう努力をしていかなくてはならないと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、これまでも毎年、当該年度の事業実績報告及び翌年度の事業計画の報告を義務づけておりまして、その中で、きめ細かなヒアリング等を実施し、信託全般の収支計画を検証していく過程におきまして、管理委託コストの動向などについてチェックしております。
 また、信託財産に関する調査及び監査を行うことができるとしておりまして、必要に応じて、緊急的工事の実施状況やOA機器等の更新計画など、資料もしくは報告を求め、チェックしております。
 引き続き、管理コストの適正化など、適切な取り組みを進めてまいります。

○くりした委員 今回の契約が満了になるまでは、基本的に、これまでどおりの取り組みを引き続き進めていくというお答えであったかと思いますけれども、契約期間の終了時には、もし契約を更新するのであれば、契約内容についてはもちろん、その内容についても変更が可能になるわけであります。今後さらに都民からの信頼を高めていくために、契約内容に、そういった情報公開あるいは透明性確保の視点も加えられるような、そういった方策についても検討を進めていただきたいと思います。
 さて、最も大切な今後の利活用方針をどうするか、また、どうやって決めていくか、出口戦略についてでありますけれども、この両案件においては、借入金の精算等、特別な課題も存在をいたします。出口戦略については、早期に検討に入らなくてはならないと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 出口策の検討に当たりましては、まず、これまでの事業の評価、検証を行う必要があると考えております。
 その際、債権債務関係だけでなく、住宅などを提供してきた行政施策の視点、劇場や地域集会施設など社会的貢献等の視点など、専門家の意見も聞きながら、さまざまな観点から評価、検証を行った上で、関係局や地元区等とも連携して出口策の検討を進めてまいります。

○くりした委員 今後、専門家の方々との協議も含め、出口戦略の検討を進められるというお答えであったかと思いますが、その中において、現形態の土地信託事業で収益好転がなかなか望みづらい今、ウィメンズプラザや都民住宅といった公共施設のあり方そのものに対して、あるいは不動産市場の分析も含め、信託の継続だけではなくて、あらゆる選択を含めて検討を行わなくてはならないと考えますが、この検討については、大体いつぐらいをめどに行っていただけるか、それも含めて都の見解をお伺いしたいと思います。

○岩瀬利活用調整担当部長 お話のように、コスモス青山にはワンダーサイトやウィメンズプラザ、両国シティコアには都民住宅など、それぞれ行政関連施設が併存し、事業特性が異なっておりまして、その立地についても、それぞれ地域性が異なっております。
 したがいまして、今後の出口戦略の検討に当たりましては、専門家の意見を聞くほか、こうした事業特性、地域性を踏まえて、各事業を所管する関係局などとも十分に調整を図りながら、都にとって最も有利な利活用となるように個別に検討を進めてまいります。
 なお、平成二十四年七月に満了を迎えます両国シティコアにつきましては、本年度末を目途に満了後の方向性について取りまとめていきたいと考えております。

○くりした委員 両国シティコアについて、本年度末をめどに検討を進めていただけるとのこと、ありがとうございます。
 また、最後におっしゃられた部分、東京都、つまりは都民の利益が最優先であるというお答えを聞いて、私も安心をいたしました。
 ということであれば、当然、先ほど申し上げた可能な限りの透明性の確保についてはもちろん、公共施設のあり方についても再点検を行い、あらゆる選択肢の中で検討を進めていくということであり、そういった丁寧な検討を重ねていくことによって、都民の利益をさらに高める一助になると私も確信をいたしております。
 来年度の頭をめどに、専門家と意見交換を含めた本格的な出口戦略の検討を始めるということですけれども、ぜひ都民に対して、また都議会においても、経過における情報共有を密に行っていただいて、今後の議論を充実させていただけますように強くお願いをいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○大西委員 私の方からは、都庁舎の設備更新についてお伺いをさせていただきます。
 財務局所管事業のうち、建物保全については、教育、文化、スポーツ、医療、福祉、庁舎等、さまざまな用途の都有施設の建設あるいは改築、改修などの施設整備を今やっております。私は、これは施設を活用して都民サービスを直接提供するということでは、大変大切な、重要なものであると思います。
 この都有施設にはさまざまな施設がありますが、その中でも最も象徴的なのが都庁舎です。この都庁舎については、現在、大がかりな更新というものの段階に入っているわけでございますが、都庁舎が国内有数の超高層ビルであることから、このプロジェクトは多くの関係者が関心を寄せているところであります。今回は、都庁舎が都民サービスの最大の拠点であるという観点に立って伺います。
 この都庁舎の設備更新は、三つの庁舎を対象とする、計画期間が十年の大変大きなプロジェクトですが、先ほど中谷理事の方からも質問がありましたが、事業費は七百八十億円ということですが、一応確認をさせていただきます。

○藤森庁舎運営担当部長 平成二十一年二月に公表いたしました都庁舎の設備更新等に関する方針にお示ししているように、概算工事費は約七百八十億円を見込んでおり、各年度では約三十億円から約百十億円となっております。
 なお、工事費につきましては、設計段階において具体的な設備仕様や機器の選定、あるいは施工方法などの技術的な検討を行った後に確定させていただくことになります。

○大西委員 対象とする規模が大きくて、事業も大きくなる。その効果も工事費に見合った内容が求められてくると思います。都民が納得するような内容にしていかなければなりません。都民サービスというものがしっかり継続されていく、また質がより向上していくということが必要でございます。
 さて、この都庁舎の設備更新の工事スケジュールでございますが、都議会議事堂が平成二十四年の着手、そして、第一本庁舎と第二本庁舎は平成二十六年の着工と聞いています。今回の設備更新については、空調機を初めとした設備機器等の老朽化に対応するもので、庁舎内の執務環境の改善にもつながるとのことでございますが、こういったことを考えると、三棟とも、できるだけ早期に改修工事に着手すべきだと考えます。
 なぜ議事堂から先に着手するのか、その考え方をお伺いいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎につきましては、平成三年の開庁以来、既に十九年が経過しており、空調機の耐用年数を考慮いたしますと、できるだけ早期に更新工事に着手することが望ましいと考えております。
 工事着手に先立ちまして設計作業等を進めることになりますが、第一本庁舎及び第二本庁舎は、延べ床面積で議事堂の約八倍の面積を、空調機や照明器具では約五倍の台数を有するなど、設計の対象となる設備が非常に多く、現場調査や技術的検討に多くの時間を要することから、第一本庁舎、第二本庁舎の設計作業に要する時間が長くなるということで、このため、第一本庁舎、第二本庁舎の工事着手時期が議事堂より二年程度おくれるものでございます。

○大西委員 今のお話ですと、私はちょっと解せないところがあるんですが、十九年前に建てた今回の大きさは全く変わっていないわけですよね。五倍、八倍の大きさがある、当然それに設計時間がかかるということは、もう、とうの昔にわかっているわけですから、もっと早くに計画を立てれば、少なくとも同時にできるんじゃないですか。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎の設備更新の検討に当たりましては、その必要性や更新に当たっての基本的な考え方、更新対象範囲など都庁舎全体についての方針を定めた上で、設計作業等の詳細の検討を行っております。
 また、繰り返しになりますが、更新工事につきましては、できるだけ早く着手することが望ましいと考えており、設計作業等終了後、速やかに着手するとの考え方により、着手時期を計画したものでございます。

○大西委員 済みません、ちょっと本当に失礼な質問になるかもわからないんですけれども、議員優先とか、議会をまず優先しなければならない、こんな気持ちがひょっとして働いてはいないですか。

○藤森庁舎運営担当部長 私どもは、各庁舎ともできるだけ早く着手をしたいという考えでございますので、そのために、設計作業が終了後、速やかに着手をするという考え方で着手時期を計画したものでございます。

○大西委員 本当に、ちょっと失礼で申しわけなかったんですけれども、ただ私がなぜこんな質問をするかというと、やはり日々、朝の早くから夜の遅くまで、ずうっと働いておられる第一庁舎、第二庁舎の方と、この議会棟の使用率というのは、やっぱり余りにも差があると思うんですね。その中で、やはり議員よりも、第一庁舎、第二庁舎の働く人の環境を整えることが、それがまた都民サービスにもつながるという観点から質問をさせていただきましたが、お答えが、いろいろご答弁いただきましたので、次に……(発言する者あり)そういうこともありますね。いろいろお話あります。
 じゃあ、ちょっと次の話に行かせてもらいます。
 工事期間中のことも気になるところであります。工事範囲は、都庁舎の全フロアにわたるものと聞いておりますので、長時間工事を続ければ、少なからず都民サービスへの影響があるものと思います。影響をゼロとすることはできなくても、少しでも小さくする努力をすべきだと思いますが、都民サービスへの影響を抑えるためにどのような工夫をされているのか、お伺いをいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 今回の設備更新につきましては、空調設備の更新のため空調を停止する必要がございまして、フロア単位で事務室等を閉鎖し、順次、移転、工事を繰り返していくことになります。
 この際、窓口等の閉鎖時期が生じないように配慮するほか、各局業務の年間スケジュール等も考慮しながら、施工順序や移転計画等を計画していくこととしておりまして、現在、都民サービスを継続的に提供し、設備更新の影響を最小限に抑えられるよう検討作業を進めているところでございます。

○大西委員 都民サービスへの影響を重視しながら現在作業を進めているということで、これからも多角的な視点から検証を進めて、都民サービスへの影響を最小限にする努力をしていただきたいと思います。
 次に、先ほどの話からすると、完成してから議事堂は二十二年目、第一本庁舎と第二本庁舎は二十四年目からの工事のスタートとなります。
 一般的に建物の設備機器の耐用年数は、その種類によって五年から四十年程度とされています。小規模な設備機器については個々に修繕で交換するなどの対応は可能ですが、大規模なものや多くの設備機器が寿命を迎える時期になると、大がかりな改修が必要となります。
 しかし、これも時期を誤ると、改修前に設備機器の故障が生じ、建物としての機器が一部とはいえ失われ、場合によっては施設そのものが使えなくなることにもなりかねません。このようなことにならないように、日常の維持管理に加え、計画的な改修を実施することが肝要です。道路や橋などの土木構造物につきましては、アセットマネジメントといった計画保全の考え方が時代の流れになってきております。建物についても同様の考えで、計画的に維持保全をしていくことが必要であると考えられます。
 都民の貴重な財産は大事に使っていくことが求められ、財務局においては、都民の安全・安心や都民サービスの提供の観点から、主要な都有施設を対象として主要施設十カ年維持更新計画を策定し対応していることから、その趣旨は十分理解していると思いますが、今回の都庁舎の設備更新においてはどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎は、首都東京の行政活動や議会活動の中枢であるとともに、都民サービスを提供する拠点、災害発生時の防災拠点でもございます。
 このような認識のもと、都民共有の財産である都庁舎を引き続き適切に維持管理するとともに、さらに機能を向上させ、将来にわたって利用し続けられるよう、良好に保全していくべきだと考えております。
 このため、都庁舎の設備更新に当たりましては、故障してから対策を講じる事後保全では業務に与える影響が大きいことから、予防保全の観点に基づいた取り組みを行うこととしております。この予防保全を適切に実施していくことで事故の発生を予防するとともに、躯体の長寿命化へつなげ、また、限りある資源の有効活用の観点からは、環境負荷の低減に寄与するという効果も見込んでおります。

○大西委員 施設を長期的に安定して維持することで良好な都民サービスを継続するという行政の責任を果たしていくこと、これが大切だと思います。
 今後は、さらに大きな都民サービスの観点から、設備の更新そのものへの取り組みに加え、設備更新に関する情報を適時都民に提供することが大切ではないかと思います。
 そこで、都民への情報発信についての考え方をお伺いいたします。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎の設備更新につきましては、庁舎全体を対象とし、かつ長時間にわたるものでございますので、都民サービスに少なからず影響を与えるものと考えております。この影響を極力抑えることが重要であると認識をしております。
 そのため、設備更新に関し、適切に情報提供することによりまして、少しでも影響を軽減することも考慮する必要があると考えております。
 このため、例えば窓口などの直接都民が来訪する部署や昇降機の改修など、都民サービスの提供に大きな影響のある部分につきましては、工事時期や代替機能をわかりやすく取りまとめるなどしまして、情報発信に努めてまいります。

○大西委員 今、最後に、情報発信に努めていくとおっしゃいましたが、どういうふうな媒体で情報発信をしようと考えておられるのでしょうか。

○藤森庁舎運営担当部長 広報紙やホームページなどの活用を想定しております。

○大西委員 広報紙というのは、新聞を講読されない若い人も多いと思います。また、ホームページに関しては、年配の方はほとんど見ないという状況もございます。
 私は、せっかくの情報発信ですから、もっと効果がある、例えば効果があるかどうかわからないですけれども、つり革広告とか、どこか常に発信して、都庁がこう変わっているんだよということを伝える必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○藤森庁舎運営担当部長 都民サービスへの影響を極力小さくするために、さまざまな都民を想定いたしまして、きめ細かな対応ができるよう適切な手法を検討してまいります。

○大西委員 都庁舎は、都政における象徴的な建物であり、同時に都民サービスに関する拠点でもあります。このため、施設として使用に耐えられるよう維持管理するとともに、拠点としてサービスを継続的に提供し続けることが求められております。何よりも都民サービスの継続、これを第一として今後も取り組みを進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方からは、通告の時間の半分ぐらいで済むように頑張っていきたいと思います。
 今、大西委員の方から、都議会議員が優先か、都民サービスが大事か、都庁職員が先かという議論があったんですが、都民の見た感じの目線で、三テーマの質問をいたします。
 一点目です。今、議事堂の建てかえの話が出たんですが、建てかえをした際に、これちょっと改善してもらえたらいいなという思いで質問いたします。都民ホールについてです。
 これ、都民のためにつくりますという感じの都民ホールという名前、都議会の議事堂の一階のところにありますけれども、これは都民を都庁に招くというような感じの印象を受ける施設なんですが、一般都民が主催するような催事をここで行うことはできるのか、またそういった相談があるのか、まず一点、伺いたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 都民ホールにつきましては、専ら都の行政機関が主催者あるいは共催者となりまして、都民や関係団体、事業者等を対象に、講習会や説明会、各種シンポジウムや会議等の行政活動を行うために設置された施設でございます。したがいまして、一般都民が主催する催事への貸し出し等はできないことになっております。

○斉藤(あ)委員 そうなんですね。私も今回ちょっと、前から気になっていたので調べたんですが、ホームページにもどういうふうに使っているという話は出てこないんです。
 これ、東京都の各局が主催するいろいろな研修会とかにも使っていたりして、私、実際には、座る側、話を聞く側の方で使ったことがあるんですけれども、私、百七十八センチあるんですけれども、そんなに珍しいほど大きいわけじゃないんですが、実際、座ってみると、座面が低いですし、横も隣の席との距離も狭いですし、大変実は座り心地が悪い印象を持っていて、今でもいい印象ないんですね。
 また、私が行ったとき、ちょうど夏の暑い日だったんですけれども、飲食禁止という張り紙が結構べたべた張ってあって、余り都民を信用していないのかなというふうに思うような、ちょっと何か上から目線というか、おまえたち、ちゃんとやらないとだめだぞみたいな感じの視点が、そういった張り紙にちょっと印象がありまして、とても何か、都民ホールという名前に対して違和感を覚えるぐらい、ちょっと窮屈な印象を持っております。
 特に、今いいましたように、局が主催をしたり都が主催をしたりということでありますから、さっきいった事業者の研修会とか、あと、ほかには一般の方をご案内するような--私、小児医療か何かの講演会なんかにも出たことあるんですけれども、場合によっては、慌てて都民ホールがどこだかわからなくて走ってくるような人もいらっしゃいますし、また、事業者の研修会とかになれば、局の方の課長さんあたりが出てきて、いろいろ最初にごあいさつをするんですが、許認可関係で絡みがある事業、業界の研修会ですと、東京都の方の企画したスケジュールに沿ってやっていって、休憩時間にもならないのに途中で抜けて、暑いからといって物を飲みに行くというのは、事業者の立場からするとなかなかできなかったりすると、東京都の方のプログラムのあり方で、集中できたり、一方では、逆に集中力が続かないぐらい長時間になっているというふうなことになれば、当然、なかなか安楽な状態というのは保てないというようなことになっています。
 また、じゃあ、いざ、何かちょっと休憩時間に飲もうと思っても、出たところすぐ、普通の市民ホールだったらロビーでちょっとジュースでもというふうなことになるんですが、表に出ても飲食禁止なんですね、あそこの入り口のところというのは。
 そういうふうなことで、ちょっと最初の印象、私、大変悪かったんですけれども、実際に、担当者のこのホールの座り心地について所見を伺いたいと思います。

○藤森庁舎運営担当部長 都民ホールは、多目的に使用できるように座席を床面の下に格納できる機構を採用しております。
 そのため、いすにつきましては、その機構の規格に基づいた座席の幅や奥行きなどの寸法になっております。このため、座席の下への手荷物の収納や、背もたれが傾くといったリクライニング等の機能を有しているわけでございません。
 こうしたことから、個人差もございますが、使用に際して、多少、狭隘さや不便さ等を感じさせることもあると考えております。

○斉藤(あ)委員 この都民ホール、ホールという名前はついているんですが、財務局管理の会議室として扱われているんですね。それで、一般的な会議室であれば、自前の持ち込んだ飲み物ぐらいであったらば、普通でしたら飲食可能だと思うんですね。
 実際に飲食が不可能になっている、この根拠について所見を伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 委員ご指摘のとおり、都民ホールは、一般会議室と同様に財務局が管理をしております。
 都民ホールの場合、一般の会議室と異なりまして、床面を回転させていすを格納するための機械が床面の下に設置されておりまして、また、この格納をスムーズに行うため、床面と床面の接続部分にすき間を持たせた構造となっております。
 一般の会議室では、主催者の管理のもと飲食を行うことは可能としておりますが、都民ホールは、床面の接続部分にすき間がございまして、このすき間から飲食物やその包装類、紙面等を誤って落とした場合、床面の下の機械に付着等をし、故障の原因ともなることから、飲食を禁止するとともに、床面のすき間から書類等を落とさないように注意を促しているところでございます。

○斉藤(あ)委員 都民ホールという名前があるもので、かえって気にしてしまったのかもしれません。大会議室10とか、そういうふうになっていれば、余り腹も立たなかったのかもしれませんけれども、都民ホールといって、あまねくいろいろな人が来る中で、このような安楽が余りできないという部分で、しかも、なおかつ、ほかの会議室よりも制約が多いというふうになると、これはやはり都民をお招きするという点で、東京都の姿勢が、余りにも都民に対して厳しいのではないかとか、この程度だよ、配慮できるのはというふうに、あきらめられてしまうか、どちらかじゃないかというふうなことで心配をしております。
 ですので、この都民ホールについては、何かもう少し安楽な状態になれるように工夫を検討してみてはどうでしょうか。この辺の所見を伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 現在、休憩場所につきましては、都民ホール入り口のロビーを使用してございますが、今後、受講者の多くがゆったりと休憩できるよう、いすの配置をふやすとともに、主催者の管理のもとで飲み物を飲むことができるよう、庁舎改修工事に合わせまして検討しているところでございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。期待をしております。
 それでは、いい答えをもらえたので、次の部局に移りたいと思います。
 都の所有地について伺います。
 今後の財産利活用の指針というのが十九年六月にも示されているわけなんですが、ちょっと前文をはしょりまして、これまで各局が管理して使っていた土地を売却する場合に、どのように検討しているのか、ちょっと基本的な部分で質問します。

○松本財産運用部長 各局がその所有する財産を行政用途で使わなくなった場合、各局は財務局に用途廃止の協議を行い、土地の境界確認等を行った後、財務局に引き継ぐことになっております。
 財務局では、当局に引き継がれた後、まず、庁内各局に事業用途として活用の可能性がないか照会し、それがない場合には、次に、地元区市町村に活用の可能性がないか照会しております。
 それでもなお活用が決まらない場合は、将来的に確保しておくべき財産か否かの判断を行った上で、民間事業者に売却または貸し付けを行っております。

○斉藤(あ)委員 最後の最後に民間の事業者に売却、貸し付けというふうなことなんですが、では、その最後、民間に譲渡する場合と民間に定期借地で貸し付ける場合、この判断の分岐点にはどのような違いがあるか、そこを確認したいと思います。

○松本財産運用部長 今後の財産利活用の指針に基づく都の財産についての考え方は、財産のさらなる有効活用を進め、財産の価値を最大限に発揮するとともに、都政の喫緊の課題解決のために、各局と連携しながら利活用を推進するというものでございます。
 こうした観点に立ちまして、当該土地を都として広く事業用途等のために将来にわたって保持し続ける必要があるかどうかにつきまして、土地の所在や面積、地形、さらには周辺の都有地の状況等を総合的に検討し、保持しておく土地であるか、売却してよい土地かを選別しているところでございます。

○斉藤(あ)委員 今、伺ったとおり、幾つかの検討、検討というプロセスを経て、最後、民間に行くということなんですね。ですから、その間に、いろいろふるいにかけられて、長年、何十年も持っている東京都の土地ですから、そんな簡単には売却もしくは民間に長期間貸与というふうなことは、なかなかないというふうなことであります。
 実は、私が先月までいました厚生委員会の議論の中で、そういった資産の譲渡のあり方に関して、おもしろいなというふうにちょっと不思議に思った案件が一個ありました。これは、たしか報告事項で出てきた話だったんですが、清瀬にあります障害者の福祉施設、これを民間譲渡するというのが出てきたんですね。
 いろいろ聞いてみると、中のサービスはそのままで、今は指定管理ですかね、今運営をしていただいているところが既に民間になっているということもあるんですけれども、ここのところから、あるときを節目に、一般に、その後引き受けてくれる民間の施設運営者を公募して、そして、そのまま民間譲渡すると。建物については、建てかえが必要になるのは、そんなに遠くない時期に来るので、それまでは今の建物を使ってもらって、建てかえの部分は、その施設の新しい事業者に出していただくというような、そういう譲渡だったんです。
 さっき、ちょっといろいろ聞いた中でのプロセスとは大分雰囲気が違って、サービスはそのままやります、でも、民間譲渡ですというふうな仕組みだったんですね。ちょっと珍しいなと、余りどこでもないなというふうに感じたわけなんですが、この場合は福祉保健局だったわけですけれども、福祉保健局がこうした施策上の判断を行うに当たって、こういった譲渡、財務局との間では、どのような手続というふうなことで理解をしたらいいのでしょうか。そこを確認したいと思います。

○松本財産運用部長 福祉保健局を含めまして各局が施策の方針決定を行う際に、都有財産の管理、運用、処分等がかかわってくる場合には、財務局に事前に協議をし、調整を図った上で、財務局長を委員長とし都庁内の関係部署の部長級で構成する東京都公有財産管理運用委員会にかけて、財産処理等の方針を決定しているところでございます。
 福祉施設の民間移譲につきましても、こうした一連の手続を経て、福祉保健局で方針を決定の上、実施しているところでございます。

○斉藤(あ)委員 ちょっと今、難しいいい方で答弁していただいたので、聞いていると若干わかりづらかったんですが、要するに、各局の事情によって、事前協議をして譲渡したりする場合もあるので、この辺は各局の事情に応じて変わっているので、先ほどの前二問で聞いたものとは若干手続が変わっているというふうなことで理解ができるのかなと思っております。
 こういった部分で、そういいながらも--こういった譲渡に関しては報告ということで、それで委員会に上がってきたんですが、今回の場合は、恐らく条件からしてみても、いろいろな方から批判を受けるような譲渡ではなかったというふうには思うのですが、ただやはり、そうはいっても、やはり東京都の税金による建物ですから、物によっては、報告というようなレベルじゃなくて、やはり慎重に対応していただく場面があれば、そのときは本当にきちんと慎重な議論にかけていただきたいと思います。
 こういう中で、今、どこの土地も大変安くなってはいるんですが、都民から見て、それでも都有地、公共の土地が別のものに活用されるというのは大変注目をされるものです。
 先日も私の地元の小平の方で、児童相談所が小規模の特養になるというときは、大変地域の方が関心を持って、できれば自治会が使える集会所にもしてほしいなんていう話にもなったりして、思った以上に、こういった東京都の土地に対して、都民の目線というのは割と注目度が高いんだなと。同時に、なかなか民間ではお願いしづらいようなものをつくってほしいというのも、当然希望として出てきてしまいますので、大変、都民の目が、ある意味厳しくなりがちだというふうに思っております。
 そういった中で、局によって、物件の売却や貸し付けについては、本当にスムーズに次の公益性の高い施設に移ったりする場合もあれば、空地になってなかなか、何だ、あの土地は、何かに使うんだったら早く使えみたいなことをいわれる場合も多々ございますので、こういった売却や貸し付けのタイミングについて考え方に差があるものなのでしょうか。実際の内容について、都民にわかりやすく、伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○松本財産運用部長 各局が現在の用途を廃止した場合、それを別の用途で使うというときは、各局の判断でなされるわけでございますけれども、それを民間等に売却するというようなときには、先ほどの手続に従いまして、私どもの方に引き継いでいただいて売却の手続をとるということでございます。
 その際のタイミングといいますか、ばらつきがあるというようなお話がございましたけれども、それは基本的には、それぞれの財産の個別の状況が非常に大きく影響をいたします。
 土地につきましては、例えば隣接地権者との境界確認ができているのかいないのか、あるいは、地元地域との関係、先ほど要望があるというようなこともございましたけれども、そういったものも踏まえないといけませんし、それから、関係者との調整状況などもございます。
 私どもの方に引き継がれた財産につきましては、できるだけ速やかに売却あるいは貸し付け等を行っていくということでございますけれども、そのタイミングにつきましては、以上申し上げましたような、さまざまな要素を勘案し、個々に売却等を決定しているところでございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。
 約束の時間まで、あと四分ぐらいしかありませんで、部長も早口で答弁をしていただきまして、ありがとうございました。
 なるほど、財産については、都民の皆さんは早く早くというふうな話ですが、案件ごとに大分事情が違うということで説明をいただきましたので、最後のテーマに移りたいと思います。
 事務事業評価についてです。これは、現行行っている事業とは少し違うんですが、過去の経緯を踏まえて、少し意見をしたいという思いもありますので、質問をさせていただきます。
 平成十七年までは行政評価、平成十八年から財務局で事務事業評価としてこの評価事業が行われたんですが、たまたま私の地元小平市の薬用植物園もこの対象になって、存続が危ぶまれてしまったんです。
 当時、地元の住民以外にも、他市の大勢のこの薬用植物園ファンがおりまして、川崎の方から署名に来たりするような人がいて、結局、市民の存続運動の盛り上げというのもあって、いろいろな紆余曲折を経て、最終的には存続することになって、また一方で、園内に売店ができたり、また勉強会、講演会なども活発に行われるようになって、災い転じて福となすという部分もありまして、いい結果というふうなことで落ちついております。
 そして、市民からは、この薬用植物園の廃止に対する不安そのものは大変大きかったんですけれども、じゃあ、かといって、行政評価はとんでもない、事務事業評価はとんでもないというような批判があったかといえば、実はそれなりに--今でいうところの事業仕分けみたいなものだったわけなんですが、そういう意味合いとしての評価は、かかわった一般の市民の方の言葉の端々を読み取れば、逆に評価をされていたんじゃないかと。その事務事業評価自体が評価されていたんじゃないかというふうに思っております。
 これは、いいことか悪いことか、ちょっと難しいんですが、議会の中で私が少し嫌みをいって、あの施設は要らないんじゃないかといっても、局長あたりから、そんなことをいわれても困るなみたいな顔をされちゃうんですけれども、逆に事務事業評価なんかを見ると、本当に、これ、なくなりそうだみたいな感じがひしひしと伝わってきて、影響力という点では非常に高かったんじゃないかと。監査報告よりも具体的なので、すぐにでもなくなっちゃうんじゃないかというような、そんな印象を受ける、結構、影響が大きかった事業かなというふうに思っています。
 このような事務事業評価の関係部署への影響というのを、終わってみて評価をした場合にどうなっているのか、そこを伺います。

○長谷川主計部長 事務事業評価でございますが、財政再建に取り組む過程において行いました二次にわたる集中的な事業見直しの成果を踏まえながら、財政再建が達成された後も、都庁の組織として継続して見直しを実施していくという観点から、予算編成の一環として制度化したものでございます。
 具体的には、初めに、事業を所管する各局がみずから評価を行うことが基本でございまして、その上で、財務局が全庁的な視点から評価を行っております。
 こうした評価を予算編成と一体的に実施することで、過年度の決算分析を一層充実させ、それを課題の整理へとつなげまして、その結果を翌年度予算に確実に反映することが可能となっているということで、こうしてマネジメントサイクルをより効果的に機能させることにつながっているという面で、事業評価は都庁の組織において定着してきたものと考えております。
 今後とも、限られた財源の中で都が担う役割をしっかりと果たしていくために、事業評価の取り組みを通じて効率的で実効性の高い施策を構築してまいります。

○斉藤(あ)委員 確かに、その評価の示し方については、私もその薬用植物園のことがありましたので、毎年毎年、評価の内容について着目をしていました。大変わかりやすい、また、その分析過程がそれなりに表示された形になっておりますので、そういう点では非常によかったんじゃないかと。一般の市民が見ても読み取れるような内容の評価報告でしたので、その部分では非常にいい広報だったんじゃないかと、私は思っております。
 じゃあ、東京都は、広報、すなわち都民への説明責任の視点から、この事業評価をどういうふうに評価をしているか、そこを、事業評価の評価を伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 事業評価の結果の公表は、評価結果を次の予算に的確に反映させるというマネジメントサイクルの一環でありまして、また、評価の内容を都民にわかりやすく説明するという観点からも重要なことと考えております。
 そうした視点から、東京都では事業評価の結果についてホームページに掲載し、毎年公表をしております。
 公表に当たっては、評価の結論だけではなく、事業の背景や目的、これまでの取り組みや成果、今後の事業のあり方などについて、各局の評価と財務局の最終的な評価を併記いたしまして、その評価に至るまでの考え方や視点を具体的に明らかにするなど、都民に対する説明責任を果たすという視点についても十分に配慮しているものと考えております。

○斉藤(あ)委員 それでは、最後に、今いったように、その公表の部分についても大変気を使っているというか、聞いていて、ぜひどの分野においても、こういうことはやってほしいなと、公表の部分について。そう思う部分であります。
 いきなり植物園一個がなくなっちゃうというふうに都民に知らされてしまうのは、ちょっとそれはそれでショックなんですが、一方で、今みたいに、そのプロセスについてしっかりと理解していただくという部分は、それなりの広報というのは、これはどの事業に対してもお願いをしたい部分です。
 こういった事業評価を今後どのように東京都全体に根づかせていくつもりなのか、そこの所見を最後に伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 事業のむだを一層なくすとともに、事業の効果を高めていくというためには、まずは、事業を実施する各局が主体的に一つ一つの施策を厳しく検証し、評価していくことが重要であると考えます。
 このため、事業評価を予算編成の一環として位置づけて、その結果を公表いたしまして、その公表の中で、評価に当たっての考え方や手法などを明らかにすることによりまして、分析手法などの庁内での共有化を図っております。こういうことを通じて各局の問題意識を高めることで、より効果的な事業実施につなげております。
 また、これまでも、新たな公会計手法の活用や都立施設の改修や情報システムの開発などで関係部局と連携した評価を実施するなど、その強化に努めてまいりましたけれども、来年度予算編成からは、監理団体などを通じて都が実施している事業や、特別会計、歳入についても評価対象に加えておりまして、評価手法や対象をさらに充実させることとしているところでございます。
 こうした取り組みなどを通じて、事業評価によるマネジメントサイクルが都庁全体にしっかりと根づくように、引き続き努力をしてまいります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。

○福士委員 済みません……

○高木委員長 福士委員、今後、忘れないでお願いします。
 どうぞ。

○福士委員 ごめんなさい。
 土地信託関係の質問でたくさん出ておりましたので、ちょっと申しわけないのですが、もう数問だけ質問させていただきます。
 さきの定例会で、モノリスの土地信託期間延長について、情報公開と、それから都民への説明責任ということから質問しました。今回は、残された四つの施設の将来像もあわせて、土地信託という手法そのものについてお聞きをいたします。
 モノリスのような純粋な商業ビルは、よしあしは別にして、議論がすっきりします。しかし、ウィメンズプラザが入っている青山車庫跡地、それから都民住宅が併設されている両国二丁目のように、本来は市民の利益を金銭的利潤のみでとらえるべきではない施設と併設されている場合があります。
 個別の施設については、議案が提出されたときを受けて議論をしたいと思いますが、総括的に、土地信託という手法をなぜ導入したか、お聞きをしておきたいと思います。

○岩瀬利活用調整担当部長 当時、オフィスビルの需要増加に伴い、不動産価格が激しく高騰するなど、地価高騰への対策が行政の最優先課題となっていた中で、昭和六十一年の地方自治法改正により、新たな土地活用の手法として土地信託方式が制度化されました。
 このメリットといたしましては、まず、土地の売買を伴わないため、地価の高騰を招くおそれがないこと、次に、信託期間終了後には、当該土地と建物が確実に都に返還されること、さらに、財源負担を伴わないで、民間の知識、経験を利用し、有効な土地利用ができることなどがございます。
 都としては、当時の社会経済情勢を踏まえ、この土地信託方式を採用することにより、都民の貴重な財産である都有地の有効活用を図ろうとしたものでございます。

○福士委員 当時としては有効活用というふうにお考えになったとしても、土地信託の場合は、二十年という長い期間を業者に委託することになり、土地の活用がその期間は限定されるという部分にも課題があるのではないでしょうか。
 また、モノリスのような商業ビルの場合は金銭的利潤があり、まあ成功の部類とおっしゃったのかもしれませんが、ところが、病院や公営住宅、ウィメンズプラザのような公的な性格の強い施設が同居している場合は問題が複雑になります。
 実際、前回も指摘しましたように、信託財産残高表を見れば、一部の施設では、敷金の返還に備えた資金が不足のところも見受けられます。しかしながら、唐突な廃止は混乱をもたらす危険性があります。
 土地信託では、信託期間終了後は財産が都に戻ってくることになりますけれども、その際、入居していたテナントも、場合によっては出て行っていただくことも予想されます。テナントとして入居している都民住宅の住民やウィメンズプラザの利用者等、地域住民への不安を解消するための努力について、どのようにお考えでしょうか。

○岩瀬利活用調整担当部長 出口策の検討に当たりまして、都民住宅の居住者を直ちに追い出すというような、そうした対応はいささかも想定しておりませんが、モノリス以外の土地信託につきましては、各信託物件の事業特性や地域性が異なることから、専門家の意見を聞くことはもとより、関係局や地元区等とも調整を図りながら、個別に信託期間満了後の取り扱いについて検討を進めてまいります。

○福士委員 今後、信託の満了を迎える両国シティコアやコスモス青山という信託期間満了後の検討に当たっては、市民の利益というものを単に金銭的な利潤のみで判断するのではなく、社会的貢献度など、行政の役割などをきちんととらえ、判断していくことが重要かと思いますけれども、見解を伺っておきます。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託期間満了後の取り扱いの検討に当たりましては、まず、これまでの事業評価、検証を行う必要があると考えております。
 その際、債権債務関係を初め、土地信託事業としての総括、検証のほか、お話のように、都民住宅などを提供してきた行政施策の視点、劇場や地元開放施設などの地域貢献の視点など、さまざまな観点から評価、検証した上で検討を進めていきたいと考えております。

○福士委員 最後に、前回にも申し上げましたけれども、国の旗振りに踊らされた土地信託という制度は、今後は極めて慎重に運用をすべきと再度申し上げておきます。
 国や経済界がいい出すPFI、指定管理、土地信託といった新規手法に安易に飛びついて、痛い思いをしても一向に考慮せず進めるという、こういう姿勢を改めることが何より大切と指摘して質問を終わります。

○高木委員長 それでは、改めてお諮りいたします。
 ほかに発言がなければ、本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時四十一分休憩

   午後三時五十五分開議

○高木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより主税局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 よろしくお願いいたします。
 一昨年秋に発生をいたしました、いわゆるリーマンショックに端を発した世界的な景気の後退により、企業収益が大幅に悪化しまして、都税収入にも大きな影響を与えております。
 平成二十一年度の都税収入決算見込みによりますと、都税総額は約四兆二千九百億円と、前年度に比べ約一兆円の減となるなど、過去最大の減収となっております。また、今年度当初予算では、法人二税の税収が、史上初めて固定資産税、都市計画税の税収を下回ると見込まれているなど、法人二税を中心として、税収の回復にはまだ時間がかかるものと考えざるを得ません。
 この厳しい経済情勢を受けて、都税徴収率も、平成十九年度をピークに二十年度から下がってきている、こういう状況にあります。しかし、このような厳しい情勢にあっても、あるいは、それだからこそ都民の安全・安心を支える都政の事業執行には停滞が許されず、その基礎となる財源を確保する歳入所管局として、主税局の使命は好況時以上に重要なものとなっております。
 そこで本日は、収入確保の中でも苦労の多いと思われる、滞納となった都税の収入確保に関する取り組みについて、何点かお伺いをいたします。
 平成十七年、この委員会の事務事業に対する質疑において、私から差し押さえについて質問をさせていただいたところ、平成十六年度の差し押さえ実績は約二万件、うち電話加入権の差し押さえ件数が、半数近い約九千件とのご答弁でありました。また、財産価値が下がっている電話加入権にかわり、債権の差し押さえを推進していると、こういう答弁でございました。
 これから何年もたっておりますが、その後の現在の実績はどうか、お伺いいたします。

○宗田徴収部長 平成二十一年度の差し押さえ件数は約二万三千件でございまして、平成十六年度実績の約一・一倍となってございます。
 その内訳でございますが、電話加入権が平成十六年度の約三割に当たる約三千件、給与や預貯金などの債権が平成十六年度の約二倍に当たる約九千件となっております。この結果、差し押さえ全体に占める債権差し押さえの割合は、二一%から三八%に上昇しており、より実効性の高い滞納整理の手法が定着したと認識しております。

○吉田委員 ありがとうございます。より実効性の高い滞納整理が進んでいるということであります。
 次に、平成十六年七月から、全国の自治体に先駆けて開始したインターネット公売につきましては、差し押さえ財産の高額落札に効果があり、全国的に新たな公売の手法として定着していると聞いております。
 平成十六年度の実績をお聞きしたところでは、六回実施したとのご答弁でありましたが、これもその後の実績についてお伺いをいたします。

○宗田徴収部長 インターネット公売は、平成十六年七月に、都が全国に先駆けて開始したものでございますが、平成二十一年度は、平成十六年度の二倍の計十二回を実施しております。
 売却金額では、平成十六年度の約五千七百万円に対し、平成二十一年度は一・五倍に当たる約八千四百万円となっております。また、平成二十一年度の見積もり合計金額と売却合計金額を対比いたしますと、見積もり合計金額約四千七百万円に対し、一・八倍の高値で落札されております。
 このように、インターネット公売は、滞納事案の終局的処理を目指した滞納整理に大きな成果を上げているところでございます。

○吉田委員 件数でも二倍、あるいは実績も大変高くなっていて、そしてさらに高値で落札している。非常に効果のある手法として定着しているということがよくわかりました。
 次に、滞納整理の手法の一つとして捜索がありまして、滞納者が再三の催告を無視した場合や、あるいは任意の財産提供を拒んだ場合に行われると聞いております。平成十六年度の実績では四十九回捜索が行われたと、このようなご答弁をいただいているわけですが、これについても、その後の実績についてお伺いをいたします。

○宗田徴収部長 平成二十一年度の捜索実績は、計三百二十八回でございまして、平成十六年度の約七倍となっております。
 捜索は、差し押さえるべき財産の発見等のために行うものでございますが、インターネット公売の活用により、差し押さえ財産の換価が容易になったこと、捜索の着手を端緒として滞納者が自主的な納税に応じるケースが多いなど、滞納整理の促進に大きな効果を発揮しているところでございます。
 今後とも、個々の納税者に応じたきめ細やかな対応を行うとともに、納税に誠意が見られない悪質な滞納者に対しては、さまざまな滞納整理手法を活用し、毅然とした対応を行うなど、効果的で質の高い滞納整理を推進していきたいと思っております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 このように伺ってまいりますと、前回質疑をさせていただいた平成十六年度の状況と比べて、本日は二十一年度をお答えいただきましたけれども、毎年毎年、非常にしっかりと取り組みが進んでいるということがよくわかりました。
 厳しいこの情勢の中、都税を確保し、また納税秩序を守るためにも、滞納については毅然として対応していただかなければなりません。
 他方で、納税意欲はあるけれども、失業や企業業績の悪化といった理由により納税資力のない納税者の方には、徴収猶予や、あるいは滞納処分の執行停止などの徴収緩和措置を適用する、こういう対応もしていただいているわけであります。
 今後とも、個々の納税者の状況に応じて、きめ細やかに対応していただくとともに、公正公平な滞納整理と税務の行政に引き続き取り組んでいただくようにご要望申し上げまして、私の質問を終わります。

○鈴木委員 私からは、駅ナカ課税についてお伺いをしたいと思います。
 いわゆる駅ナカは、どんどん新規展開が広がり、しかも大規模化をしております。飲食店だけではなく、ヘアカットの店舗ができたり、フィットネスクラブやパソコンショップ、書店を併設したカフェ等、多種多様なサービスが提供されるようになっているようであります。駅の利用者が、駅を出ずにさまざまなサービスを受けることができるようになり、駅の利便性が高まる反面、地元の商店街などへの影響も、これまで以上に深刻になっていると考えられます。
 第三回定例会で本財政委員長の高木委員長の方から、一般質問で現状を踏まえた問題提起をし、主税局長が、今後必要な調査、制度の検証を行うと答弁をいたしましたが、財政委員会でもこの問題を継続して議論する必要があると考えて、私から質問したいと思います。
 そもそも駅ナカ課税については、平成十八年の第二回定例会代表質問において、我が党が駅ナカビジネスの活発化に伴う税負担の不公平さについて指摘をし、また、商工団体からも不公平の是正を求める要望が出されたという状況の中で、東京都が課税の見直しを国に強く働きかけたものであります。
 都の問題提起をもとに、国において、地方自治体、鉄道事業者、学識経験者等をメンバーとして鉄軌道用地の評価のあり方について検討が行われ、平成十九年度の見直しに至ったものと認識をしています。
 そこで、駅ナカがある駅について、固定資産税の評価は、平成十九年度の見直しにより従前とどのように変わったのか、改めてお伺いをいたします。

○堀内資産税部長 駅舎を含む鉄道施設用の土地につきましては、従前は、国の定める評価基準によりまして、当該鉄道路線に沿接する土地の三分の一相当で評価していたところでございます。
 しかしながら、お話のとおり、駅ナカビジネスの進展によりまして、駅周辺の商店街との税負担の不均衡が生じていったことから、都が国に強く働きかけた結果、評価基準が改正され、平成十九年度から新しい評価の方法が適用されることになったところでございます。
 具体的には、鉄軌道用地のうち、鉄道施設と商業施設が複合的に利用されている駅舎の敷地などにつきまして、それぞれの利用床面積の割合で面積を案分し、商業施設部分につきましては、付近の土地の価格と同等とするというものでございます。
 この見直しの結果、平成十九年度に約二十二億円の追加課税を行ったところでございます。
 なお、駅ナカ施設に係る家屋、償却資産の評価につきましては、従前から他の商業施設と同様に行っているところでございます。

○鈴木委員 今答弁がありましたように、十九年度の見直しによって、付近の土地と同等という価格になったと。追加課税として二十二億円があったということであります。
 その後も、十九年度の見直し以降も、駅ナカの変化は目まぐるしいものがあるということを感じているのは、私一人ではないというふうに思います。
 東京駅などは、新しい店舗が次々とオープンをしています。また、日暮里駅など、今まで駅ナカがなかった駅においても、駅ナカ施設ができている場合もございます。
 主税局では、各駅の状況についてどのように把握をしているのか、現状をお伺いいたします。

○堀内資産税部長 各駅の状況でございますけれども、各駅につきましては、賦課期日現在の状況を捕促する現地調査、及び条例施行規則で鉄道事業者に義務づけております駅舎等の利用状況の申告に基づきまして、毎年、利用状況の確認を行っているところでございます。
 これらの調査によりまして、商業施設の拡大が確認できた場合につきましては、面積割合の変更を行うなど、評価の見直しを行っているところでございます。

○鈴木委員 答弁がありましたように、一定の見直しが行われたということは評価をしますし、現状を把握していることに対しても、そのとおりだとは思いますが、最近の駅ナカの拡大の現状を見ていると、今の課税状況が本当にそれでいいのかということを考えたときに、まだまだ生ぬるいという声もあるという現実があります。
 鉄道事業者の中には、本来の事業である運輸業の収益が低迷する中で、駅ナカビジネスを積極的に展開しようとしている点も見られているわけであります。駅ナカ施設の土地は、駅前の土地よりも立地上の優位性があり、駅前の土地よりむしろ高く評価することによって税負担がふえてしかるべきであるという意見についてはどのようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。

○堀内資産税部長 土地の評価でございますけれども、土地の価格を形成する重要な要因といたしましては、当該土地の利便性、特に鉄道駅への接近性がございます。しかし、このほかにも、当該土地における高層利用の可能性という要因もございます。
 駅ナカ施設の土地の場合、利便性につきましては、立地上の優位性が高いため、価格に対するプラス要因となります。その一方、駅周辺の土地と異なりまして、高層利用がしにくい場合が多く、これは価格に対するマイナス要因となるところでございます。
 商業施設部分の土地の評価につきましては、こうしたプラスとマイナスの価格形成要因を考慮する必要があると考えているところでございます。

○鈴木委員 今、答弁で、確かにプラス要因とマイナス要因があると。利便性において、また接近性に関しては、それはプラス要因であろうと。高層利用に関してはマイナスの要因になるというようにおっしゃいますが、もし駅全体を再開発して、高度利用も考えて駅ナカをもっと幅広く利用を考えるということを駅全体がしていくということも将来考えられた場合には、マイナスじゃなくてプラスになる可能性がありますね。
 ですから、そういうのは時代の変化に応じて変わっていくということも将来はあるということも含まれているとは思いますが、現状での制度的には、今、答弁があったとおりだということになるかもしれないと思います。
 ほかに打つ手がないのかなと考えたときに、駅ナカについての固定資産税以外の税がどうなっているのか、改めて伺いたいと思います。

○田倉税制部長 地方税は、地域における行政サービスの経費を賄うために、地域住民が受益等に応じて負担するものでございます。いわゆる駅ナカにつきましても、鉄道事業者及びテナントなど駅ナカに関連する事業者に対しまして、固定資産税のほか、法人二税、事業所税等も、それぞれの税目の課税要件に応じまして、適正、公平に課税しておるところでございます。

○鈴木委員 期待している答えがそのまま返ってきたとおりでありまして、それはそのとおりだと思うんですね。固定資産税、法人二税、事業所税等を税目に応じて東京都は適正、公平に課税をしていると。これはごく至極当たり前の答えで、それが正論なのでしょう。
 しかし、駅ナカ課税を見直してから数年経過をしており、その間、世界的な不況による影響もあり、駅周辺の商店街は大変厳しい状況であることも事実であります。駅ナカビジネスの隆盛は、間違いなく駅周辺の商店街や小売店舗の経営を圧迫しているというのが現実だろうと思います。
 駅ナカは、その立地特性から、集客にすぐれるなど優位性があり、その分、付加価値も高い。私は、駅ナカの効用を地域の魅力増大に生かすことができるような、地元商店街と話し合いの場を設けるなど、互いに協力することはできないものかというように思うことがしばしばあります。
 例えば、駅を利用した人が駅周辺の商店街にも立ち寄ることがしやすいような動線をつくるなど、地域への貢献が可能な方法を検討すべきではないのかなというふうに考えています。駅だけで利益を独占するようであれば、行政として何らかの規制が必要だとも考えるのは、至極当然であろうかと思います。
 また、税制面では、近隣商業地との公平性から、駅ナカ課税についても何らかの見直しの検討が必要だと思うとも私は考えています。
 付加価値があるということですから、要するに、国は付加価値税として一般消費税を今やっているわけで、また消費税の議論があるかもしれませんが、地方消費税として東京都は今後どうするのか。今いったように、付加価値に関して、どう税を地方として考えていくのかというのは、実は都税調でも、もしかしたら、おもしろい議論に発展する可能性があるわけですね。駅ナカ課税だけではなくして、その付加価値に対してどう考えるかというのは、当然日本では消費税の議論になっているわけだから。
 そういう議論は世界的にあるわけですから、その辺のところをもう少し考えていくという税のありよう、実際には抜本的な税制改革を全部しなきゃいけないということになるのでしょうが、そのことも踏まえて私は考えていく中で、この駅ナカ課税というようなものもとらえていくのも、おもしろい見方ができるのかなという気がしています。
 主税局長から改めて今後の決意を、この件に関しての決意をお伺いさせていただきたいと思います。

○荒川主税局長 この問題が出てから、私も前回の見直しのときの記録をいろいろ読みまして、当時、国とはもちろんですけれども、鉄道事業者や不動産などの専門家ともかなり激しい議論が行われて、その上で、現在の駅ナカと周辺とは同等であるという仕組みが実現したものであるということがわかりました。
 確かに、ここ数年の駅ナカを見ますと、商業部分の規模はますます大きくなって、地域的にも拡大が見られますし、また今後も、駅舎の改修などに合わせて、その面積の拡大あるいは機能の充実ということが予定されている駅が随分見られます。まさに先生おっしゃるとおり、駅ナカというのは、都内各地の地域や商業、あるいは東京の都市づくりにまで影響を与えるまでになっておりまして、主税局としても十分注視していく必要があるというふうに思っています。
 ただ、同時に、駅ナカと商店街との関係というのは、もちろん税も大事ですけれども、商店街振興とか、あるいは都市計画も含めて、総合的な観点から取り組むべきであるということは、先生の今のお話の中にもあったというふうに思います。
 それから、我々の税について申し上げれば、税そのものは、いろんな人々にも、あるいは事業にも関係しておりますし、また将来にも、一度決めますと、効果も長期にわたりますために、見直しとなると、それなりの事前の検討が十分必要であるというふうに思います。
 そこで、主税局としましては、まずは最近の駅ナカの実態や状況変化、周辺地域との関係などをよく調査、分析して、現行の仕組みについて検証させていただきたいというふうに思います。その上で、周辺との不均衡があり、是正すべきとなれば、見直しに取り組んでまいります。
 今後とも、適正かつ公平な課税に努めてまいります。

○斉藤(や)委員 公明党の斉藤やすひろでございます。
 ことしの一定の財政委員会におきまして、私は課税自主権について質問をさせていただきました。
 中央集権的な地方税財政制度のもとで財源配分がなされまして、税目、税率ともに地方税法などで細かく定められ、地方自治体の裁量の余地は極めて小さい中で、都主税局は、政策税制に果敢に挑戦されていること自体を評価したいと思っております。
 さきの財政委員会で、私は、大変新しい減税として、環境先進都市を目指す東京都が独自に措置した政策減税であります次世代自動車の導入促進税制や中小企業向けの省エネ促進税制について伺ったわけでございます。この措置は、環境政策を推進するため、極めて重要な取り組みであると考えています。
 そこでまず、都独自の次世代自動車の導入促進税制の実績をお伺いしておきたいと思います。

○木村課税部長 まず、自動車税の環境減税についてでございますが、これは、次世代自動車、すなわち電気自動車、プラグインハイブリッド自動車を二十一年度から二十五年度までの間に新車登録した場合に自動車税が免除されるものでございます。
 平成二十二年九月末時点における都内での登録状況は、電気自動車の普通自動車が十四台、プラグインハイブリッド自動車が三十三台登録されておりまして、自動車税を免除しているところでございます。
 次に、自動車取得税の減税についてでございますが、これは、二十一年度から二十五年度までの間に次世代自動車を取得した場合に自動車取得税が免除されるものでございます。しかし、二十一年度から二十三年度の間は、国の定めたいわゆるエコカー減税が適用されまして、非課税措置がとられております。したがいまして、国によるこの措置が終了となる二十四年度から二十五年度において、都独自の免除を行うこととなります。そのため、平成二十二年九月末時点では適用対象車はございません。

○斉藤(や)委員 この独自税制では、平成二十五年度までに登録された電気自動車とプラグインハイブリッド自動車が対象となりますので、これまでのところ、登録台数は少ないと。少ないものの、今後、市場に多く投入されるようになりますれば、次世代自動車の普及拡大の後押しになるものと期待をしているところであります。
 また、もう一つの省エネ促進税制によります法人事業税及び個人事業税の減免についても、実績をお伺いしておきたいと思います。

○木村課税部長 中小企業者向け省エネ促進税制は、地球温暖化対策報告書等を提出した資本金一億円以下の中小法人及び個人事業者が特定の省エネ設備を取得した場合に、その取得価格の半額について、一千万円を上限に事業税額の二分の一まで減免するものでございます。
 法人事業税につきましては、今年度の五月から減免申請が始まっておりまして、九月末までの申請件数は二十三件となっております。
 個人事業税につきましては、平成二十三年八月、来年度でございますが、その定期課税後、減免申請の受け付けを開始することとなります。

○斉藤(や)委員 実績の数字を伺いますと、少ないなという印象を受ける方も多いと思うんですけれども、平成二十一年度に創設したばかりの減税でありまして、評価できる時期ではないというふうに認識しております。今後、利用者がふえるような、さらなるPRも必要ではないかと思っております。
 平成二十年秋のリーマンショック以来、我が国は、いまだかつてない経済危機状況に陥りました。都税収入への影響は、大変詳しくいろいろ書いてありますけれども、この事業概要にも詳しく記されていますが、企業収益や設備投資の減少が過去最大となる中、法人二税も大幅な減収となっている事実がございます。このような中で、中小企業者の方々の設備更新の意欲が乏しくなっているということも、減免申請が少ない原因の一つではないのかなと、私自身は推測しているわけでございます。
 いずれにしましても、この軽減措置につきましては、まだ評価を下すには早いと思います。今後に期待をしたいと思っております。
 このように、都がみずからの責任と判断で独自の政策を推進するために、課税自主権を活用していくことが期待されています。国を先導する使命のある都が目指すさまざまな政策課題を後押しするような税制を構築していくことは大変意義のあることでありまして、都の特性を踏まえた税の活用は重要であると思います。
 そこで、きょうはちょっと角度を変えまして、芸術文化振興を切り口にして、政策減税の有効性について何点かお伺いしたいと思います。
 東京の魅力・東京の文化を世界に発信と、都が目指す姿が「十年後の東京」実行プログラムにも明記されまして、また、来年度の予算要求では、文化の創造、発信都市東京のプレゼンス確立に向けた取り組みのための予算案が計上されているわけでございます。
 昨年の予算特別委員会で我が会派の松葉多美子議員が、質問の中で、一九三〇年代のアメリカのルーズベルト大統領が世界恐慌の中で行ったニューディール政策におきまして、大がかりな芸術文化振興策を実施したことを紹介しました。ニューディール政策といえば、テネシー川流域の総合開発などの巨大土木事業が有名でございますけれども、実は、大がかりな芸術文化振興策が同時に行われたわけでございます。大不況を機に、失業中のアーチストたちに美術、音楽、演劇、文芸などの分野での活躍の場を与え、さらには、こうした芸術文化の振興によりまして、第二次世界大戦後には芸術の中心がヨーロッパのパリからアメリカへと移り、後に、ブロードウェーミュージカルやハリウッド映画といった、今日の米国の文化芸術産業の繁栄をもたらしたともいわれているわけでございます。
 長くなりましたけれども、地方税法におきまして、芸術文化振興のために税を軽減する制度は現在ございますでしょうか、まずお伺いしたいと思います。

○田倉税制部長 文化財保護法では、我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いもの等につきまして、文化財としてその保護、活用を図ることとしており、固定資産税及び都市計画税について、有形文化財のうち、国宝、重要有形文化財等に指定された家屋等は非課税とされております。また、登録有形文化財、登録記念物等である家屋等は課税標準を二分の一とするなど、特例措置が講じられておるところでございます。
 さらに、公益社団法人、公益財団法人が所有する、文化財保護法に規定する、例えば能楽などの重要無形文化財の公演のための一定の施設の用に供する家屋等につきましては、平成二十一年度及び二十二年度分の固定資産税及び都市計画税の課税標準を価格の二分の一とする措置が講じられておるところでございます。

○斉藤(や)委員 それでは、都が独自に行っている芸術文化振興のための税の軽減措置というのはございますでしょうか。

○田倉税制部長 都が独自に実施している軽減措置についてのお尋ねでございますが、固定資産税及び都市計画税では、東京都文化財保護審議会の審議を経て選定した施設で、都民のために無料または低廉な料金で文化財を公開するために用いられている家屋等に対する税額の五割を減免する措置を講じております。
 また、事業所税では、舞台や楽屋等の延べ面積が客席の延べ面積より大きい一定の劇場につきまして、当該舞台等に係る資産割の二分の一を減免する措置を講じておるところでございます。

○斉藤(や)委員 現行の減税の措置については理解をさせていただきました。
 政策減税は、政策誘導に一定程度有効であるとは思いますけれども、税というのは本来、公平であるべきものでありまして、その客観的で明確な基準をつくることが難しい面がございます。
 今も、この基準ということでいえば、文化財、国宝級とか、大変はっきりした位置づけをされているものについての減税措置がなされているということが理解されたわけでございますが、そこで、次に、芸術文化振興という意味合いで、寄附税制についてもお伺いをしてみたいと思います。
 石原都政では、海の森への募金や緑の東京募金、思い出のベンチへの寄附など、募金や寄附を活用した施策を展開してまいりました。こうした募金には、かなりたくさんの都民の方が協力をしてくださっていると伺っております。こうしたことによりまして、寄附文化が都民の間に少しずつ根づいていくことは大変意義のあることであると思います。
 本質的に経済性と相入れない分野である芸術文化振興のためには、寄附のように、社会が支えていく、そういった仕組みが不可欠であると思います。寄附を促進し、日常のこととして社会に浸透させることは、一見遠回りに見えるかもしれませんが、人々と芸術文化のかかわりを深める意味でも重要であると考えるわけであります。そこで伺います。
 芸術文化振興のためには民間からの寄附も重要ですが、一般的な寄附に対する税制は現在どうなっておりますでしょうか。

○田倉税制部長 寄附に対する税制についてでございますけれども、公益社団法人、公益財団法人や認定NPO法人など、特定の団体に寄附をした場合に、税制上の優遇措置が設けられております。
 例えば企業が公益法人等に寄附をした場合、法人税の計算上、一定の額が損金に算入をされております。
 また、個人が寄附をした場合、寄附金の一部につきまして、所得税では所得控除が、個人住民税では税額控除が認められておるところでございます。

○斉藤(や)委員 芸術文化振興におきましては、民間の力を生かしていくために、芸術文化団体への寄附金に対する税制優遇措置を充実させていくことも必要であると考えますが、あわせて所見を伺いたいと思います。

○田倉税制部長 芸術文化団体に対する支援といたしましては、行政の助成制度などに加えて、民間からの寄附を促進する仕組みづくりも有効であるというふうに考えます。
 しかし、一口に芸術文化団体と申し上げましても、公共性の高いものからそうでないものまでさまざまでございまして、一律に優遇措置を講ずることは、税の公平性を損なうなど、幾つかの課題があると認識をしております。
 このため、都では、文化振興にかかわる団体のうち、公益法人や認定NPO法人に対する寄附の税制優遇策の拡充を図るよう、所管局から国に対しまして提案要求をしているところでございます。

○斉藤(や)委員 平成十三年に、我が党がリードいたしまして文化芸術振興基本法が制定されました。この法律によりまして、我が国の文化芸術の振興についての基本理念が明らかにされたわけでございますが、恩恵を受けることができるのは、既に評価が定まったトップの団体やアーチストだけという側面も仄聞します。
 しかし、芸術というものは、すそ野が広いものでございます。私は、石原都政の芸術文化振興施策を評価しています。都庁の壁面を、これからの美術を担う新進気鋭の作家の作品発表の場に提供するトーキョーワンダーウオール事業や、審査に合格したアーチストに公共施設等を活動場所として開放して、都民が気軽に芸術文化に触れる機会を提供していくことを目的とするヘブンアーチスト事業は、ポテンシャルのある若者のやる気を引き出す、そういうものだと思います。
 若い人々にとって芸術文化は重要でありまして、こうした取り組みは、才能ある若者への応援のメッセージにもなっているんだと思います。
 科学の分野では、ことしも日本人が二人、ノーベル賞を受賞いたしました。芸術文化の分野においても、世界に通用するアーチストを育てていくのが国際都市東京の役目の一つであるとも思うわけでございます。
 主税局も、難しいとは思いますけれども、税制の面から、ぜひその応援を頑張ってやっていただきたいと思います。
 最後に、主税局長に芸術文化振興への意気込みを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

○荒川主税局長 かつて私も文化行政に携わったことがございますけれども、確かに芸術文化の振興というのは、いろいろな施策を組み合わせることが大事であるというふうに、これは先生のご指摘のとおりだと思います。
 当時、私も、若手芸術家ですとか、子どもですとか、あるいは芸術団体を対象にしまして、活動の場所の提供ですとか事業助成など、さまざまな形で取り組んでまいりましたけれども、その経験から申し上げれば、本質的には、やはり芸術文化というのは、労働集約的あるいは知的集約型の活動でございまして、一般の産業と比べて、やはり合理化がしにくいとか、あるいは採算もとりにくいというので、外側からの支援が重要だろうと思います。
 それから、その支援のあり方についても、フランスのように行政が大型予算を組んで率先して事業をやっていくのか、あるいはアメリカのように民間の寄附金を集めやすくして自由な活動を促すやり方をとるのか、あるいはそれらの組み合わせになるんだろうと思いますけれども、国全体としては、確かに文化芸術振興法や、あるいは文化庁ができて、それなりに頑張っているとは思いますけれども、まだまだ課題があるんだろうと思います。
 特に我が国の税制について見ますと、先ほど部長からも答弁がありましたように、軽減措置は主に文化財が中心でございますし、それから寄附税制につきましても、特定公益増進法人、まあ公益法人には優遇がありますけれども、対象はまだまだ限定的でありますし、それから、地方自治体が独自に優遇税制をやろうとすることは現行法ではできない状況になっております。
 したがいまして、先生のおっしゃるとおり、芸術文化はすそ野が広くて、その振興には民間の力が大変重要だというふうに思います。
 寄附税制についても、都の文化所管局から国に対して提案要求を行っておりますけれども、主税局としましても、芸術文化振興のために何ができるか、関係局と連絡をとりながらよく検討し、進めていきたいというふうに思います。

○たぞえ委員 それでは、昨日の決算に続いて、今度は事務事業でお伺いしたいと思います。
 初めに、農地に対する固定資産税軽減についてです。
 ご承知のとおり、都市の農業は、都市住民にとって、新鮮な食料や農産物を消費者の食卓に供給する大変身近な存在です。しかし、東京の農地面積はこの十年間で八割、農業従事者は七割に減少をしています。家族経営の農産物の販売価格は、全体の七割が二百万円以下。大変困難な局面を歩んでいると思います。
 これらの都市農地の減少の主な原因になっているのが、農産物の価格は値下がりする一方なのに、固定資産税の負担が重く、農業が続けられない、こういう声や、代がわりの相続税で農地を売り、面積が半分になって、収入がそのために得られる額がない、こういう声があるように、要するに納税負担が大きな弊害になっていると思います。
 そこで、東京都の産業労働局と都市整備局と環境局は、毎年、国に対して都市農地保全のための制度の改善を要望していますが、この中でも、将来東京から農地が消え、都民が求める豊かで潤いのある生活、良好な都市環境の形成に大きな支障を来すことが予想されると、このように率先して旗を振って国に物を申しているわけです。
 昨年十月、この都庁でも、各自治体の長が参加して都市農地保全推進自治体協議会が開かれまして、ここでも、関連する法令や税制を見直して、省庁が連携して都市農地が適切に保全されるよう政策を実施してほしいと、このように求めているわけです。
 都市の農業と農地の保全を実効性あるものにするためにも、固定資産税や相続税の負担軽減が大変不可欠だと思いますが、この点について、まず局の見解を伺います。

○田倉税制部長 固定資産税では、市街化区域内にある農地のうち、生産緑地の指定を受けた農地につきましては、宅地並み課税の対象とはならず、農地として評価、課税されております。
 また、生産緑地農地以外の市街化区域農地におきましては、宅地並みの評価、課税とされておりますが、その場合でも、評価額を算出する際は、宅地の価格を基準として求めた価格から一定の造成費相当額が控除されております。
 相続税につきましては、相続人が農地等を相続し農業を営む場合には、その相続した農地等につきまして、一定の相続額の納税が猶予される特例措置が講じられているところでございます。

○たぞえ委員 都内の農地約八千ヘクタールの六割が市街化区域の農地です。これらの都市農地のうち、市街化区域にある農地に宅地並み課税が課せられないようにするには、どういう方法が講じられているのでしょうか。

○堀内資産税部長 市街化区域にある農地が、宅地並みではなく、農地として評価、課税されるためには、生産緑地の指定を受けた場合に限られるところでございます。
 生産緑地として指定を受けるためには、市街化区域内にある一団の農地等で一定の面積があること、農業の継続が可能であることなどの要件を満たすことが必要でございます。その上で、区市町村長が、所有者、その他権利者全員の同意を得た上で、都道府県知事の承認を得て指定することになってございます。

○たぞえ委員 農地は、生産緑地に指定されない限り、宅地並み課税が課せられてしまうということでありますけれども、その生産緑地でさえ、この五年間で東京で二百二十ヘクタール減少しました。
 実は、私の住んでいる世田谷区も大変農家が多いところで、一方では都市化も進んでおりますが、すぐ近くの農家のおじさんは、年間、ニンジン、里芋、コマツナを耕してつくっている農家の方なんです。近くの保育園や学校にも供給をしておりますが、先日お訪ねしたら、ちょうど肥料をまいているときにお伺いをしました。その畑の中に小屋がありまして、そこには肥料だとか、バケツとか、スコップだとか、ぞうきんだとか、いろいろ置いてあるわけですが、これらがなければ野菜が生産できないという、たったそれだけのものなんだけども、それが決め手です。
 それで、農家の方が、たぞえさん、実はこの小屋は、畑の中にあっても宅地並み課税になっているんですよと、こういうお話なので、私も改めて、その小屋が人が寝るようなものでも何でもないのに宅地並み課税と、びっくりしました。いわば畜舎や機械置き場などは宅地並み課税になっているわけです。仕事をするために、自宅から肥料ですとか工具を、その都度えんやこら運んでくるわけにいかない。常時その小屋に置いておいて仕事をされている、まさに最小限必要なものが置いてあるわけですね。
 そういうのを見ますと、生産緑地内での農機具置き場、農機具といっても、地方の巨大な、お米を刈るようなトラクターとかじゃなくて、まさにスコップだとかそういうものですよ、また肥料、こういうものが置いてある小屋は農地並み課税にするべきだと思いますが、局はどういう政策方針をお持ちなのでしょうか。

○堀内資産税部長 生産緑地指定地区内の農地に、家屋として認定されない農具小屋等がある場合につきましては、農地として評価、課税されているところでございます。
 農業施設等が家屋として認定される場合につきましては、その敷地が宅地となるところでございますけれども、その評価は、生産緑地農地の単価に農業用施設の敷地の造成費相当額のみを加算することとなってございます。

○たぞえ委員 こういう農家の方は大勢いらっしゃるわけで、農協を回ってみましても、これらの声があちこちから聞こえてまいります。ぜひこの点での改善が必要だということを改めて申し上げたいと思います。
 先ほどの農家の方なんですけども、実は、その畑の道路に面したところに桜の木が植わっています。昔は細い木を一本植えたのが、今、十センチぐらいの太い桜になりました。春には咲くんですけれども、実はこの桜、サクランボがならないという桜の木で、したがって課税対象になっています。桜の木の植わっている部分が宅地並み課税。木は勝手に育つわけで、実がなるかどうかは木の判断でなっているわけでありまして、人間世界が、ならないから課税だ、なるから非課税だと、こういう身勝手なことが通用するのかなと思っていますけれども、現実にはこういう問題も農地にはあるんです。
 農家の方は、三百六十五日、毎日農作物を、買っているわけじゃないです、コマツナだって三カ月ぐらいかかるし、その他の野菜も年に何回かしかとれない。それを生産して売って、生活費に充てているわけですよね。こういう木一本、これらについても、今の税制というのは余りにも現実的ではない面があるんじゃないか。何か、農地からいかに税を集めるかということに懸命になっている、このことが非常に印象的でした。
 ぜひこういう点でも、生産緑地指定を受ける場合には、緑地規模が五百平方メートル以上で三十年の営農条件と、こういう条件がありますけれども、都として、都市農地が果たしているこういう環境、防災機能、都市生活に欠かせない多様なこの役割をやはり正面から受けとめて、農地減少をとめるためにも、こうした税制の対策を要請しておきたいというふうに思います。
 最後に、小規模住宅用地の固定資産税、都市計画税の軽減問題です。
 今、小規模事業者を取り巻く環境は、長期的な景気の低迷に続いて、さまざまな危機に立たされています。こうしたもとで、都民の税の負担を軽減ということで、都市計画税の二分の一を軽減する措置が昭和六十三年以来進められ、すっかり都民の暮らしにも定着をしてきました。
 しかし、三年に一度の固定資産税の評価替えの年に当たる二〇〇九年度に、東京都は、税額が前年度の一・一倍を超える土地に対する固定資産税、都市計画税の条例軽減制度を創設しました。ところが、実際は、減額どころか一・一倍までの税額の引き上げを認める事実上の増税でした。
 次の評価替えの三年後は、実は一・三三倍に、この額がなります。土地や家屋を持つ都民の方から、地価が下がっているのに、なぜ固定資産税が上がるのか、こういう声が上がっているのは私は当然だと思います。固定資産税評価額が上がれば、土地や家、マンションの取得や相続に伴う登録免許税や不動産取得税がアップ、連動するという、こういうこともこれから目の前に迫ってきます。
 問題の発端は、固定資産税評価額を地価公示の七割程度とした一九九七年実施の自治省の通達であります。それまで地価公示価格の一割か二割程度だった固定資産税評価額が、この通知によって、商業地を中心に四倍、五倍とはね上がり、大変な事態が、今都心の商店街に押し寄せております。住宅用地は抑える特例がありますけれども、商業地にはないわけです。
 今度の第三回定例会にも、こういう状況の中で、都内の青色申告会などたくさんの団体から、私どもにも軽減措置の継続を求める陳情などが、これは各会派にも届いているかと思います、大きな都民の声になっています。
 この都市計画税、固定資産税、小規模住宅地への軽減、また、これらの都民のこの軽減措置を二十三年度以降も継続することが望ましいと思いますが、見解を伺います。

○田倉税制部長 副委員長からお尋ねのございました小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置、小規模非住宅用地に係る固定資産税等の減免措置、商業地等に係る固定資産税等の負担水準の上限を六五%に引き下げる条例減額措置のあり方につきましては、社会状況の変化や景気の動向などを踏まえまして、不断の見直しが必要であると考えております。
 平成二十三年度以降の取り扱いにつきましても、そのような観点から判断すべきと考えてございます。

○たぞえ委員 ぜひ、団体、都民からの要望でありますので、来年度もこの軽減措置を継続するように検討いただきたいというふうに要望しておきます。
 終わります。

○中谷委員 私からは、都税事務所とTACSSについて何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、都税事務所ですが、法人二税のブロック化とか個人事業税等のブロック化、組織の再編が進んで、また職員の減員もあり、都税事務所内のいわゆる空きスペースというものが生じていると思われますけれども、財産利活用の状況を含めて、現況をお聞かせいただきたいと思います。

○目黒総務部長 主税局では、今後の主税局の業務運営、いわゆる三カ年計画に基づき、平成二十年度に法人二税のブロック化、平成二十一年度に個人事業税等のブロック化を実施するなど、効率的な執行体制を構築してまいりました。
 これに伴いまして、墨田都税事務所や板橋都税事務所など、数カ所の庁舎で空きスペースが生じているところでございます。これらの空きスペースの多くにつきましては、書類の保管スペースや会議室として有効活用を図っているところでございます。
 また、千代田都税事務所が入居しております千代田合同庁舎のように、都税事務所の業務及び庁舎管理に支障のない範囲で、他局の事業に必要なスペースとして行政財産の使用承認をしているものもございます。
 なお、庁舎の空きスペースというわけでありませんが、新宿、中野、八王子の各都税事務所の駐車場につきましては、民間事業者へ貸し付けることによりまして、二十四時間営業のコインパーキングとして活用しております。

○中谷委員 墨田と板橋、千代田について、今、具体例をお話をしていただきましたが、墨田については、平成二十年度の組織変更によって約四百平米ぐらいのスペースがあいている、現況、会議室として使っているということでありました。ここは都営住宅との合築でありまして、このスペースを、例えば都市整備局との連携で、都営住宅も今、かなり限界集落的なところも多いものですから、高齢者向けに利用していただくとか、そういう施策ができないのかどうか、ぜひご検討いただきたいと思います。
 それからまた、板橋については、四階、五階部分を合わせて五百四十平米あきがあると。これは平成二十一年度にレイアウト変更したためにあきが出たということでございますけれども、現況は使用していないということでありますから、この部分についても、都税事務所というその性格上、セキュリティーの問題がありますから、一般の民間利用というのは非常に厳しいのかもしれませんけれども、逆にセキュリティーの問題がクリアできれば、民間への使用許可も可能なのかどうか、その点だけ、ひとつお答えをいただきたいと思います。

○目黒総務部長 都税事務所におきましては、納税者の税務情報が記録された書類等が保管されております関係で、ただいまご指摘いただきましたように個人情報保護の観点がございますので、民間事業者への使用許可等を行うことは困難であると考えておりますが、主税局及び他局等を含めた庁内での有効活用につきましては、引き続き検討してまいる所存でございます。

○中谷委員 ぜひとも、他局との連携も含めて有効活用を検討していただきたいと思います。
 続いて、今度はTACSSについてお伺いをします。
 TACSSは、ティーエーシーエスエスと書いてタックスと読むんだと思いますが、全面稼働をして五年目を迎えていると。現段階では安定稼働をしているということでありますが、平成九年一月から運用開始をしている主税局の電算センターの現状と、今後の移転を含めてどういう計画があるのか、お尋ねをいたします。

○須藤調整担当部長 現主税局電算センターの建物につきましては、平成八年に竣工しておりまして、現在、耐用年数に達した空調設備等の老朽化が進行しております。また、現施設におきましては、システムを稼働させながらの大規模改修が不可能となっておりますので、平成二十五年度中のセンター移転を考えておりまして、関係部局と計画内容や経費につきまして協議、調整中の状況となっております。

○中谷委員 平成二十五年度中のセンター移転を考えているということでありました。
 そして、これはいただいた資料だと、毎年の空調の年間の保守にかかる費用が、平成二十一年度で七千四百万円、平成二十二年度で六千三百万円というのが空調設備の年間保守にかかっているということであります。二十五年にセンター移転を考えるということであれば、あと二年強使用するということでありますけれども、当然、この保守管理というものは必要でありますけれども、その費用の検討もいま一度しながら、慎重に、この部分は余りお金をかけ過ぎないように配慮するべきかなと思っております。
 続いて、センターの移転の件でございますけれども、場所を特定するというのは、こういう内容からしてそぐわないと思いますが、おおむねどういう方向で移転を検討しているのか、お答えをいただきたいと思います。

○須藤調整担当部長 電算センターの移転場所についてでございますが、新しいセンターにつきましては、都庁からの距離、建物の構造、空調や電源等の設備の性能、セキュリティーレベル、そういったことなどを選定条件として考えておりまして、今後、移転場所を検討していく予定でございます。

○中谷委員 都庁舎のいわゆる利活用のところでも実は触れたんですが、都庁舎内の、いわゆる部局の移動に伴って空きスペースが出たときに、このセンターも都庁舎に移転するというのも一案であるかと思います。
 ただ、都庁舎というのが、実は年間二回ぐらい停電をするということらしくて、それ自体がもしかしたらセンター移転の障害になるのかもしれませんが、何といいますか、自力で発電するああいう設備を持って……(「自家発電」と呼ぶ者あり)自家発電ですか、そういうものでもし対応がとれれば、都庁舎内への移転というものも検討の余地があるかと思います。
 そして、現在、システムは安定稼働中であるとのことでありますけれども、新センターでのTACSSの運用体制について、現時点ではどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○須藤調整担当部長 新センターの運用体制につきましては、引き続き安定稼働を維持するために、信頼性のあるサーバー等のハード面での機器構成、安定、確実な運用の確保及び万が一の障害発生時における迅速、的確な対応が可能となる体制が重要と考えております。

○中谷委員 今後、大がかりな税制改正というものが国でも予定をされております。その際に、またシステムの改修も必要となるんだと思います。現場の都税事務所を含めた税務業務の円滑な執行には、TACSSの安定、確実な維持管理、運用管理が必要不可欠だと考えております。また、過去には税務情報の流出事故というものもございました。信頼性の確保が最重要と考えておりますが、以上の観点から、再度、今後のTACSSの運営に関し所見を伺って、私の質問を終わります。

○須藤調整担当部長 理事ご指摘のとおり、TACSSは、歳入所管局であります主税局の税務行政の円滑な執行を支える心臓部でございますので、その安定、確実な運用管理は、迅速かつ的確な業務運営のための必須の条件となっております。
 また、税務情報流出等の事故の防止は、個人情報を保護し、納税者や都民の税務行政に対する信頼を維持する上でも極めて重要であると考えております。
 今後も、最大限の安定性と確実な信頼性を基本としたTACSSの運営を確保していく所存でございます。

○斉藤(あ)委員 私の方からは、今月出ました「地方財政を巡る最近の国の動きについて」という、これは東京都が出したパンフレットに基づいて、ちょっと何点か質問したいと思います。
 まず、こちらの方の問題提起の二つ目の提案として、法人実効税率の引き下げについて書いてあります。この中では、この引き下げについて、税制の抜本的改革全体の中で議論すべきである、その際には地方財政に影響を与えないよう十分な配慮が必要であるということを東京都の方からは提言しているというか、意見提案をしているというふうになっております。
 国の法人税が諸外国と比べて高過ぎるということで、この法人実効税率の引き下げが言及されているわけですが、実効税率四〇・六九%のうち、地方税が占める部分は、四〇・六九%の中の一二・八〇%の法人地方税というふうになっているということです。
 そして、この冊子の中では、東京都は地方財政への影響を考慮すべきとしているわけですが、事業者の高い税負担感を軽減して雇用や投資を促してほしいというふうな形で事業者を応援するというのも、また東京都の役目であることには変わりありません。
 その一方で、法人住民税は地域社会の費用として、この中で一定の意見をしており、今回の国の方の動きについていえば、国の一方的な政策誘導であって、地方においてはなかなかなじまないとするとともに、法人地方税が法人税額を課税標準としているというふうな指摘もしております。
 このようなことで、東京都は法人実効税率の引き下げについて提言をしているわけですが、この法人実効税率の引き下げがあった場合に、効果がどのようになると考えているか、そこの所見を伺いたいと思います。

○田倉税制部長 法人実効税率の引き下げの効果につきましては、企業の国際競争力を向上させるという意見がある一方、国内への投資や雇用機会の増加に必ずしもつながらない、こういう意見もございます。また、法人実効税率の引き下げは、地方財政に多大な影響を与えますため、地方における行政サービスの安定的な提供に支障を来すおそれもございます。
 このため、都としては、法人実効税率を引き下げるとしても、地方税財源の拡充を阻害し、地方における行政サービスの提供に影響を与えることのないよう十分な配慮を行うべきと考えておるところでございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。これ、さらにちょっと深く考えを聞いてみたい部分もあるのですが、余り入り過ぎますと財務局の関係も出てしまいますので、この提言の二つ目の法人税率については今所見を伺ったということで、この後、消費税の提言についてテーマを移したいと思います。
 やはり同じ冊子の四番目の提言として、地方分権に資する地方税源の拡充を図るため、地方消費税の拡充については、直ちに税制の抜本的改革の中で消費税の税率引き上げと一体的に議論を始めるべきであると。ちょっとふわっとした書き方をしているんですが、内容を見ると、社会保障費の増加の予想から、消費税論議と一体化した議論をすべしというふうなことで、この冊子自体は、主税局と財務局が共同して発表しているというふうに聞いておりますので、財務局の意見も踏まえて、このようなことの提言をされているということであります。
 石原都知事が雑誌に寄稿した話でありますが、消費税議論に踏み込んだ夏の参議院選挙において、複数の政党を、踏み込んだということで評価をしつつも、それに対する国民の反応やマスコミの反応を見て、社会保障の財源確保の必要性がわかっていながらも、目の前の痛みを避けるような発想に日本人がなってしまったのではないかと不安になったという旨を示してあります。このあたり、私も長年、福祉に携わっておりますし、社会保障についても研究をしているので、この部分については、ちょっと私も珍しく、都知事と感覚的には同じものを持っております。
 そこで伺うわけなんですが、こういった知事の発言もあって、ちょっとこの提言も、少しこういうふうに踏み込んだものになっているのかなという印象も受けるんですが、主税局としては、地方消費税の拡充を主張するこの提言、この時期に行うということのねらいについて伺いたいと思います。

○田倉税制部長 地方財政をめぐる国の動きを見ますと、法人実効税率の引き下げや国庫補助負担金の一括交付金化など、各論の議論だけが先行し、地方税財源のあるべき姿や税制の抜本的改革の全体像が示されておらない状況でございます。本来国がとるべき道筋は、地方分権改革を推進し、権限に見合った税源移譲や地方消費税率の引き上げを含む地方税財源の拡充に正面から取り組むことであるというふうに考えております。
 しかし、国において、消費税率引き上げの検討には着手したものの、議論は進んでおらず、また地方消費税のことについては、ほとんど触れられていないという状況でございます。そこで、都が積極的に問題提起を行うことにより、地方消費税及び消費税の税率引き上げを含む税制の抜本改革に向けた議論を早急に始めるということを求めるものでございます。

○斉藤(あ)委員 そういう意味で、少し踏み込んだ印象を受けるこの提言の冊子なわけなんですが、またその上にグラフの方も示して、今後、地方の社会保障関係費がどのくらい将来推計で上がっていくのかということをちゃんと示してあるわけですね。こういったものを総合的に見ると、やはり社会保障関係費が予測では上がっていくとなれば、これを読んだ印象としてこういうふうに受け取るだろうということなんですが、現在の地方消費税分一%は、一・三七%へふやす必要が出てしまうのではないかと読み取れるわけですね。または、それ相当の消費税額をふやす、例えば全体を五%から六・八五%にするとか、そういうようなことが考えられるような印象を受けるというものであります。
 具体的に背景となっている数値を示すという点で、大変覚悟を持って提言をしているというのがよくわかるんですが、これぐらいのことを書かないと、本当にその議論を引き起こすというふうな部分では足りないかと思いますので、そういう点では、非常に踏み込んだ、非常に覚悟を持った提言かなというふうに思っています。
 この提言、東京都としては、地方消費税拡充について、今、例えばこれを見ると、ちょっと読んだ印象で、五%を六・八五%に上げるとかということもイメージできてしまうわけですが、こういった消費税の拡充または地方消費税の拡充について、主税局の見解はどのようになっているか伺います。

○田倉税制部長 少子高齢化の進展などによりまして、地方における行政需要が大幅に増加することに加え、地方分権改革の取り組みにより地方の役割もふえることから、地方税財源の拡充が求められております。
 一方、国の財政は危機的な状況にございまして、さらに社会保障関係費の増大が見込まれております。こうした中、国及び地方の税収全体のパイを拡大することが不可欠であると考えております。
 地方消費税、消費税は景気の変動を受けにくく、税収が安定的であり、また、広く消費に負担を求めることから世代間の負担の公平を確保できます。さらに、地域間の偏在が少ないため、地方消費税は、地方分権時代に最もふさわしい税の一つであると考えております。
 こうした状況を踏まえますと、地方消費税、消費税の税率引き上げは不可欠であり、国と地方は、税制の抜本改革の実現に向けて早急に議論を始めるべきと考えております。

○斉藤(あ)委員 お考えについて非常によくわかりました。
 ちょっと実は、この(4)の提言を見て、少し心配になったことが一個ありまして、今その議論の中で、消費税については、ふわっとしたような一般財源みたいな形じゃなくて、目的税的なもので国民に理解をしていただいて、上げていこうというふうな考え方があります。結構、これの部分の方がやはり理解されやすいのではないかというのが雰囲気としてあるわけなんですが、そうしますと、例えば消費税については、五%なのか、そもそも六・八五%なのか、もっとそれ以上なのかというふうなことですが、しかしながら、そのパーセンテージにかかわらず、じゃ全部年金に回していこうとか、全部医療費に回していこうとかというふうなことで、もう全部が社会保障費の財源に充てるべきというふうな形になっていく雰囲気が今のところあるわけですね。
 今、東京都の方で、消費税の議論をもっとやっていこうというふうなことで提言をしているんですが、そうすると、今現在の一%の地方消費税分も、いや、国に渡すからどこに使われるかわからないんじゃなくて、地方に回したって一般財源になっちゃったら何になるかわからないじゃないかと、そういう批判があると、もう五%なら五%丸々、社会保障目的税になってしまう、もしくは六・八五%、一〇%になっても、丸々、社会保障目的税になってしまうと、一%どころか、もう地方に回ってくるのはゼロ%、全く地方に消費税が回ってこないということも税制改革の中でなってしまう可能性もある。世論の方の動きに合わせて消費税は上がったけれども、地方にはその中から全く回ってこないということが起こってしまうんじゃないかという心配があるんです。
 東京都の方としては、年金とか健康保険なんかの部分については、直接タッチをしている部分というのは少ないわけですけれども、むしろそのかわりに、それ以外の現金支給ではない福祉、例えば老人ホームをつくったり、もしくは障害者の施設をつくったり、そういった部分に直接お金を出して、物を、サービスを出していますから、そういう部分では、福祉のことを東京都がやっていないとか、社会保障について何もやっていないということではないので、お金が必要になってくるというのは、私も長年、福祉に携わってきてよくわかっていますので、全くそういったお金を地方に回さなかったら、地方がそっちの面で困ってしまう、福祉に関してやろうと思ってもできなくなってしまうということで影響が出てしまうんじゃないかというふうに心配をしています。
 このような提言をするのは、いい一方で、ややもすると、地方消費税一%さえも失ってしまう可能性があるのではないかという心配がありますので、消費税の全額を社会保障財源に充てるべきという世論の議論もあるわけなんですが、そこについての主税局の見解を伺っていきたいと思います。

○田倉税制部長 ただいま委員のお話にもございましたけれども、地方消費税は、制度創設以来、福祉や教育などの幅広い行政需要を賄う税として位置づけられておりまして、消費税を原資とする地方交付税とともに、地方の重要な一般財源となっております。
 消費税及び地方消費税の税収全額を社会保障財源とする議論もあるわけでございますが、地方消費税は、少子高齢化の進展に伴い増加する社会保障関連の人的サービスや少子化対策、教育、地方公共団体が担う多様で地域の実情に即した幅広い行政サービスの財源として、引き続き一般財源とすることが適当であるというふうに考えております。

○酒井委員 では、私からは、現在、社団法人地方税電子化協議会と申しております団体と、東京都が共同開発をし、平成十七年八月より本格導入をしております地方税ポータルシステム、通称eLTAXについて何点かお伺いをしたいと思います。
 国においては、e-Taxが普及しつつありますけれども、このeLTAXについては、このe-Taxと比べて、普及が若干おくれているという状況が以前より指摘をされております。
 今回ご説明をいただきました事務事業の報告書の中に、法人都民税並びに法人事業税については、平成二十二年六月末現在の利用届け出累計が十四万九千六百九十九件、二十一年度申告が十二万四千百四十九件、申請、届け出が四千百九十三件、また、事業所税並びに償却資産の累計等についても記載がございました。
 そこで、まずお伺いをいたします。事業所税や、また償却資産については大変少ない数でございますので、これについては割愛をさせていただき、法人都民税並びに法人事業税に関して、累計ではなく、電子申告をしている件数と申告総件数、つまり普及率はどの程度になっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、通常、法人等の事業所においては、税理士事務所に依頼していることが多いかと思いますけれども、電子申告している事業所のうち、税理士事務所が代理、代行している数についてもお伺いをいたします。
 さらに、この電子申告をしている中で、電子納税といったものまで利用している、その利用率についても、まずお答えをいただきたいと思います。

○木村課税部長 紙ベースの申告も含めました法人都民税、事業税の申告総件数に対する電子申告の割合についてでございますが、直近の九月末までの一年間の実績で申し上げますと、二一・二%となっております。
 また、このうち税理士が関与している割合は、電子申告利用届によりますと、約九割の電子申告について税理士が関与しているものと思われます。
 また、法人二税の電子申告を行った納税者のうち、電子納税を利用した納税者の割合は一・二三%となっております。

○酒井委員 ただいま現在の普及状況について二一・二%とご答弁をいただきましたけれども、都はもともと目標値をどの程度に設定しているのか、お伺いをいたします。

○木村課税部長 全国の地方団体を会員といたします社団法人地方税電子化協議会におきまして、法人都民税、事業税につきましては、全国の利用率を五〇%とする目標を設定しております。都といたしましても、この数値を基本として普及促進に努めております。

○酒井委員 ただいまの答弁によりますと、目標値は五〇%ということでございますけれども、この普及目標を達成した場合の事業効果、経費削減についてはどのように見込んでいるのでしょうか。また、現在の状況についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。

○木村課税部長 まず、目標を達成した場合の事業効果等でございますが、現在の法人都民税、事業税の電子申告の利用をさらに普及させることによりまして、数値として把握することはなかなか困難でございますが、納税者の利便性の向上はもちろんのこと、税務行政の省力化や事務処理精度の向上が期待できるというふうに考えております。
 また、現在の状況でございますが、都の電子申告利用率は、先ほどお答え申し上げました二一%強でございますが、これを件数で見ますと、十五万七千件の電子申告を受け付けております。この数は、全国でも群を抜いた受け付け件数でありまして、多くの納税者の利便性向上など、相応の事業効果が発揮されているものと考えております。
 また、電子申告の申告率が伸び悩んでいるわけでございますが、その理由は、電子申告の受け皿となる市町村側の準備が必ずしも整っていない、インセンティブがないというようなことが挙げられているところでございます。

○酒井委員 事業効果等については、なかなか数値目標といったものは出しにくいというお話でございました。これは以前、財務局等の電子調達等々のシステムにおいても事業効果がどうかというときに、外部的効果といったものはなかなか出しやすいのだけれども、内部的効果は図りにくいというようなお話があったわけですけれども、やはりこういった電子化をしていく中では、当然、その導入効果といったもの、それは人件費であるとか、また事務量が減ってくれば、その事務量が減った分の人材といったものは、他の仕事に振り分けることもできますので、こういったシステムを導入するときには、その事業効果だとか経費の削減といったものについても、ぜひしっかりと試算をして、目標設定をしていただきたいということをご要望させていただきたいと思います。
 次に、この設定目標に対する普及やまた事業効果についての現在の状況をどう評価するのか、また阻害要因についてお答えをいただきたいという質問をしようと思ったんですけれども、今あわせてご答弁をいただいたので、この点については、同じ質問をしても、予定の同じご答弁が返ってくると思いますので、割愛をさせていただきたいと思います。
 先ほどのご答弁の中で、電子申告が伸び悩んでいる理由について、二点ご答弁をいただきました。この電子申告が伸び悩んでいると。また実際に、阻害要因といったものについては、この二点だけではなく、これから起こり得る問題として、その阻害要因にもなりかねない対応、取り組みといったものが来月にも予定をされております。それは、来月、十一月十八日から二十五日まで予定をされておりますeLTAXの機器等の全面入れかえ作業に伴うサービスの一時停止でございます。このシステム更新自体は将来に備えたものであり、否定をするものではありませんけれども、時期に問題があるわけです。
 通常、金融機関等がシステムを改修するときには、年末年始や休日を利用することが当たり前のこととして行われていると思います。にもかかわらず、今回のこの改修は、平日、それも事業所や税理士事務所がeLTAXを利用する機会が多いと思われる九月期の決算や、また三月期の決算の場合には中間決算にかかわる申告時期であり、また納税の時期でもあります。しかも、月内の中旬から下旬にかけて行うという最悪のタイミングであります。先ほど、税理士さんが関与している件数は九割という、そういった答弁をいただいたわけですけれども、現に、この計画を知った税理士さんからも批判が出ております。
 主税局の方には、この点をたしか八月の頭ぐらいに指摘をいたしまして、約一カ月間にわたって、先ほどの社団法人地方税電子化協議会と交渉をしていただきましたけれども、どうにも時期を変更することはできないということでございました。次善の策として、税理士会等に事情をしっかりとお話しして理解を求めていただくということになりましたけれども、その理解を求めるそういった作業についての進捗状況等々についてお伺いをしたいと思います。

○須藤調整担当部長 eLTAXサービスの一時停止についてでございますが、このシステム停止期間が示された後も、都といたしまして、社団法人地方税電子化協議会に対しまして日程の変更を要請いたしました。
 しかしながら、本システム更新のスケジュールにつきまして、まず、機器等調達方法の変更に伴い、当初予定の九月から二カ月後ろ倒しにされたということ、また、十一月末で現行機器の保守期限が切れるということ、さらには、国税庁からの申告データ配信に伴う大規模システムの稼働が平成二十三年一月に予定をされているということなどから、この日程となった経緯がございます。
 このような大変厳しいスケジュールから、日程変更は無理との判断となりましたので、都といたしまして、さらに、全国レベルでの各関係団体等への再周知やヘルプデスク等での丁寧な対応など、七項目にわたる申し入れを行いました。さらに、各都税事務所におきましても、管内の税理士会支部や法人会に対する周知を徹底するなど、納税者に対しまして理解を求めてきたところでございます。

○酒井委員 ただいまご答弁をいただきました。税理士会への周知、片や、また丁寧な対応の申し入れなどを行っているということでございましたけれども、この十一月のシステム更新、更改中における混乱回避に向けて、さらに取り組みを進めていただきたいと思います。
 そして、この社団法人地方税電子化協議会の、このような現場の状況を顧みない、ピントが外れた対応、これは時期の問題だけではなくて、当初、主税局の方にお話をしたときに、この時期の選び方についても、実際にホームページ上で、要はいろいろな事情を勘案してベストな時期を選んだというような記載がされていました。最悪の時期を選んでいるのにベストな時期を選んだというような記載をされていて、こういった逆なでするような記載は変えた方がいいんじゃないかということもお願いをして、これは主税局の方に対応していただいて、記載を、どうしようもなくてこの時期になってしまったんだというふうな趣旨の言葉に変えていただいたわけですけれども、現場の状況といったものを全くわかっていないような、こういった、この協議会の対応が二度と起こらないように、全国でも群を抜いた受け付け件数を自負する主税局として、もっと怒りをもって意見具申するとともに、適切な対応をとるように要請していただきたいと思いますけれども、見解をお伺いいたします。

○須藤調整担当部長 今回のシステムの一時停止につきましては、機能向上を目的とした機器の入れかえ等に伴うものでございまして、停止期間中には、申告書作成といった準備作業はできるものの、申告書の送信ができなくなりまして、納税者の方々にご不便をおかけすることになります。
 今後とも、社団法人地方税電子化協議会が行います事務事業を的確に把握いたしまして、また、これまで以上に都として適切に申し入れを行うなど、的確な事業運営を促してまいります。

○酒井委員 これまで以上に都として適切に申し出を行っていただけるということでございますので、その対応方については、ぜひともしっかりと行っていただきたいと思います。
 それでは最後に、先ほど伸び悩んでいる分析等々のお話もいただきましたけれども、現状の二一・二%の普及率から目標値の五〇%へと、これを近づけていくための今後の普及促進策について、詳しく具体的にお示しをいただきたいと思います。

○木村課税部長 お答えする前に、先ほどは大変失礼をいたしました。二問について質問されたというふうに聞き間違えまして、大変失礼いたしました。
 今後の普及促進策についてでございますが、都は、地方税の電子申告の普及促進に向け、国に対し、市町村への適切な財政的支援や税制上の措置を講ずることを提案要求しております。電子申告サービスを開始している都内の市町村は、現在、島しょも含めて三十九団体中十六団体でございますが、年内には二十四団体にまで拡大する予定でございます。今後も、社団法人地方税電子化協議会と協力しながら、電子申告サービスの普及に取り組んでまいります。
 また、東京税理士会から、これからは地方税の、eLTAXでございますが、電子申告に力を入れていくというふうにも伺っております。
 今後とも、関係団体と密接に協力しながら、電子申告のさらなる利用率向上に努めてまいります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十八分散会

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