財政委員会速記録第十一号

平成二十一年九月十七日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長中屋 文孝君
副委員長原田  大君
副委員長たぞえ民夫君
理事鈴木 隆道君
理事上野 和彦君
理事西岡真一郎君
福士 敬子君
西沢けいた君
関口 太一君
斉藤やすひろ君
中谷 祐二君
菅  東一君
吉野 利明君
石毛しげる君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長村山 寛司君
経理部長藤原 正久君
契約調整担当部長奥田 信之君
主計部長長谷川 明君
参事関  雅広君
財産運用部長松本 泰之君
建築保全部長金子 敏夫君
技術管理担当部長山本 康友君
参事山藤 敏明君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十五号議案 警視庁本所警察署庁舎(二十一)改築工事請負契約
・第百三十六号議案 東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修工事請負契約
・第百三十七号議案 都立総合芸術高等学校(仮称)(二十一)改築及び改修工事請負契約
・第百三十八号議案 都立武蔵野北高等学校(二十一)改修工事請負契約
・第百三十九号議案 都営住宅二十一CH-一〇二東(葛飾区高砂四丁目・葛飾区施設)工事請負契約
・第百四十号議案  環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一 一-環二新橋第二工区)請負契約
報告事項
・「平成二十年度東京都年次財務報告書」について(説明・質疑)
・東京都債権管理条例に基づく取り組みと私債権の放棄について(質疑)
・私債権の放棄について(財務局分)(質疑)

○中屋委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中屋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○中屋委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項の聴取を行います。
 なお、付託されました契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十五号議案から第百四十号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、今回の付託された議案に関して、特に低価格の入札の件に関して、何点か私から質問させていただきたいと思います。
 都民生活の安全性を支え、サービスを提供する大切な財産である社会資本は、都民の血税をもとに整備をされ、完成後は、何十年も都民に供用され続けるものであります。このために、安かろう、悪かろうではだめであり、適正な価格で高品質であることが求められていると考えるのは、適切な判断であろうというふうに私は思います。
 私は、平成十七年から十九年にかけて当財政委員会に所属をいたしましたが、当時も、低価格の入札が見られたことから、品質確保の観点から何度か質疑を行いました。
 また我が党では、一昨年から、入札・契約制度改革プロジェクトチームにおいて、入札契約制度について検討をしてきております。昨年の公共工事、また公共事業の正しいあり方について、報告書を取りまとめたところでもあります。現下の経済情勢のもと、公共事業の低価格入札が増加しており、さらにその度合いが著しくなっていると聞いております。工事品質の確保や、下請の中小企業へのしわ寄せが非常に懸念をされるところでもあります。
 今回の契約案件六件について、五四%の落札、また五七%の落札もあり、全案件とも予定価格の八五%に満たない低価格入札であります。
 昨年後半のリーマンショックに端を発する経済情勢の悪化により、建設市場が冷え込んでおり、いまだ好転の兆しは見えていない状況とはいえ、提案された全契約案件が低価格入札であるとは、余りにもひどい状況であるといわざるを得ません。
 私が前回財政委員会にいた当時、財務局契約における低価格入札の発生件数は、年間三十件前後で推移をしておりました。若干の増加傾向であったわけであります。
 そこでまず、お伺いをいたしますが、その後の状況も含め、最近の財務局契約における低価格入札の現状を最初に伺います。

○奥田契約調整担当部長 財務局契約におけます低入札価格調査案件数でございますが、平成十七年度までは年間三十件前後でございましたが、平成十八年度は四十四件、平成十九年度は三十三件、そして平成二十年度は四十件と推移してございます。
 このように、平成十九年度に一たん減少いたしましたが、平成二十年度に再び増加に転じており、平成二十一年度においては、八月末時点で二十三件と、昨年度の同時期と比較いたしますと十七件の増でございまして、増加傾向が続いている状況にございます。

○鈴木委員 今答弁にもありましたように、低価格の入札の推移については、昨年後半から増加の度合いが急激になっているようであります。建設市場の全体の動向と同様に、経済情勢を反映しているものと考えられます。民間工事を含む工事件数が減少した一方、業者数は減少しておらず、このための需給バランスが崩れたことにより、受注競争が厳しくなって、一部にはダンピングに近いケースも生じているのではないのでしょうか。
 低価格入札は、工事品質、採算性の面から懸念がありますが、東京都は低価格入札に関して、改めてどのような認識を持っているのかをお伺いをいたします。

○奥田契約調整担当部長 公共工事によりまして整備される施設等については、完成後、数十年の長きにわたりましてその機能が維持される必要がございます。工事品質の確保は極めて重要な課題でございます。
 一方、これらの施設が都民の税金を財源として整備されるという観点から、適切な価格でその整備が行われなければならないという面もあわせ持っております。よって、品質の確保と価格とのバランスを保ち、その両立を図る必要があると考えております。
 しかし、昨今、低価格による入札案件数の増加のみならず、これまでに見られなかったような著しく低い価格での入札も生じている状況があり、こうした状況が続けば、工事現場における労働安全対策費の切り下げや、下請企業への不当なしわ寄せを生じさせるおそれが高く、中長期的にも優良な事業者の減少や技術力の低下を招くなど、今後の公共事業の品質確保に悪影響が生じることが懸念されると認識しております。

○鈴木委員 今の答弁を聞いていて、今回の契約案件について、工事自体の品質の確保には問題はないということを、都は恐らくいいたいとは思いますが、それが都の説明であるというような理解をせざるを得ないという状況にあるということも、我々は考えなければいけないと思っています。
 さきの我が党の代表質問においても触れましたように、このような状況が続くようであれば、中長期的には、企業体力の消耗により技術力の維持が困難になるなど、将来の公共工事の品質確保に支障が生ずるおそれがあります。財務局長は低入札価格調査制度について、労働安全対策などの法令遵守、その徹底や中長期的な工事品質の確保の観点に立って、速やかに強化を図っていくとの答弁をされました。具体的にどのような強化策をとっていくのかをお伺いいたします。

○奥田契約調整担当部長 強化策でございますけれども、企業責任を重視した調査手法の採用、労働安全関係費や下請関係費などについての詳細な調査、調査内容の事後検証など、調査手法や調査内容の強化、厳格化を図る、いわゆる特別重点調査の導入を予定しております。
 特別重点調査とは、極端な低入札を行っている入札者に対して、工事品質の確保、労働環境の確保、安全な施工環境の確保の観点から、詳細な資料を求めるとともに、資機材調達や下請関係の費用が手抜き工事や下請へのしわ寄せ等の懸念を生じさせることなく、現実的に実施可能であることを、明確な積算根拠、実績などの具体的な根拠資料により説明させ、工事の履行の可能性について、従来の調査よりもより厳しい基準で確認するものでございます。
 具体的には、履行能力等の確認に関する二十四項目など、全二十七項目を設定いたしまして、特に労務費、品質確保体制、労働安全管理体制に関する内容について、手厚く求めることを考えているところでございます。

○鈴木委員 詳細な調査により、入札者に履行可能かどうかの説明をさせるとのことでありますが、下請に関する点が一番の心配でもあります。下請も、一次だけではなく二次、三次と重層化している状況があり、下請関係については民々関係でもあり、発注者としては直接介入できないという限界は承知をしておりますが、元請が下請からの見積もりを適切に入札価格に計上していることが第一歩であります。最初から下請の費用を低減するような積算を許容すれば、それは下請への支払いをしなくてよいと認めることと同じであります。
 公共工事において、適切な下請への支払いを担保していくことは必要条件であり、この点は、契約にあってしっかりと確認をしていくべき点であるというふうに考えます。下請業者へのしわ寄せをさせないために、今回の強化策ではどのような対応をするのかを伺います。

○奥田契約調整担当部長 特に下請業者等に関する対応についてですけれども、下請業者等へのしわ寄せの懸念を払拭し、その見積もりが合理的かつ現実的なものであることを明らかにさせるため、労務費、資材費などに関し、下請予定業者の見積もりの根拠となった給与明細表または賃金台帳や、取引実績を示す契約書などを資料として求めることを考えております。

○鈴木委員 今回の契約案件に関する低入札価格調査制度が適用されるような大規模な工事案件については、調査内容の強化を図り、改善を図っていくことが確認できました。
 しかし、低価格入札の問題は、こうした大規模工事だけの問題ではありません。中小規模の工事にも同様に低価格入札の問題が生じており、受注者が経営体力に乏しい中小企業がある分、問題はさらに深刻であると考えられます。
 中小規模の工事では、最低制限価格制度が適用され、入札価格が一定の水準、すなわち最低制限価格を下回った場合は自動的に失格しています。そのため、中小規模の工事では、落札率は低くてもおおむね八〇%台で、今回の議案のような五〇%台にはなっておりません。
 しかし、中小規模の工事は、大規模工事と異なり、もともと経費を節減する余地が少ない工事であります。落札率が八〇%台だからといって、受注者の採算がきちんと確保されていて、低価格入札ではないとは必ずしもいい切れないわけであります。落札率の問題ではなく、最低制限価格が公共工事のコスト水準を適切に反映をし、事業者が採算のとれる水準に設定されているかどうかが重要なことであります。
 都は昨年十一月に、最低制限価格制度の見直しを行い、設定上限を八〇%から八五%に引き上げており、そのこと自体は評価をいたします。しかし、工事によっては、採算基準による価格が八五%を超える場合もあり、その場合は、最低制限価格は上限の八五%に引き下げられると聞いております。昨年度後半からの景気の後退など、都の入札制度を取り巻く環境は大きく変化をしております。国においてはこうした状況を踏まえて、本年四月に、最低制限価格等の算定式や設定範囲の再見直しが行われたということでもあります。
 現在、入札契約制度改革研究会で検討を行っていると聞いておりますが、今後予定されている研究会の報告を踏まえ、最低制限価格を市場実態に即した適正な水準となるよう、早急な制度改革を強く要望しておきたいと思います。低価格入札に関する今回の議論を通して、入札契約制度についてはさまざまな課題があることが判明をいたしました。現在、入札契約制度改革研究会でさまざまな課題について議論をされ、今後その結果が報告されるようでありますが、入札契約制度の改革について、行政が責任を持って的確に対応策を講じていくべきであると私は考えています。
 入札契約制度に関する我が党の代表質問に対して、財務局長は、研究会の報告を踏まえて諸施策を総合的に進めていくとの答弁をされました。最後に、改めて入札契約制度の改革を進めるに当たっての、局長の決意を伺いたいと思います。

○村山財務局長 ただいま理事の方から、現在の入札契約制度における、とりわけ低入札の現状及びその問題点、今後の改善の必要性についてご指摘をいただいたところでございます。
 それらの点につきましては、今後、迅速かつ的確に、しかるべく対応をしてまいりたいというふうに思っております。まず、この点について申し上げさせていただきたいと思います。
 その上で、でございますけれども、入札契約制度でございますが、これは、いうまでもなく公共調達というのは、都民の税金をお預かりして、それを社会インフラに還元していくという、そういう仕事でございますので、あくまでも納税者の負担ということで行われておりますので、やはりこれらを運用していくに当たりましては、透明性、競争性、そして、品質の確保という、この三つの要素について、その社会的要請を踏まえてやっていくということが私どもに求められている役割だろうというふうに思っております。
 したがって、いつの時代におきましても、入札契約制度全体として適正に機能させていくためには、経済社会状況の変化に対応しながら、この三つの要素をバランスよく組み合わせて、総合的に制度を運用していかなければならないと考えておりまして、東京都といたしましても、この十年間を振り返ってみましても、この三つの観点から、電子調達システムの導入であるとか、あるいは競争入札制度の改善であるとか、あるいは総合評価方式の導入、拡大といった、時代状況に応じたさまざまな手だてを、この間講じてまいりました。
 同時に、近年さらに状況が変化する中にあって、さらに入札契約制度の整備をしていかなければいけないという問題意識に立ちまして、昨年来、入札契約制度改革研究会におきまして、さらに検討を重ねてきておるところでございまして、昨年の秋には第一次提言を踏まえて、既に一部を実施しているところでございます。
 さらには、昨年の後半以降、特に顕著な、先ほど来ご指摘のような事態も生じているわけでございまして、私どもといたしましては、研究会におきまして、これらの事態全体を含めてさらに議論を深めていただいているところでございまして、遠からずその報告をいただけるものではないかというふうに期待をいたしております。もちろんそこで目指しておりますのは、先ほどの透明性、競争性、品質確保と三つの行政のバランスということになるわけでございますけれども、そこにおきましては、果断な対応もまた必要だというふうに決意をいたしているところでございます。
 今後、研究会の報告などを踏まえまして、全国の自治体等の範になるような、公共調達における入札契約制度の改革に全力で取り組んでまいります。

○斉藤委員 公明党の斉藤やすひろでございます。
 今回私は、議案として提案されている六件の契約案件につきまして、総合評価方式という観点から質問させていただきます。
 この契約案件の落札率を見ますと、先ほど自民党の鈴木理事からもお話がありましたが、六〇%台が一件、五〇%台が二件と、相当低い価格で落札されているものも見受けられます。効率的な財政運営を行っていくとの観点、及び局長のご答弁にもございましたが、公共工事の入札のあり方の経済性の原則から考えれば、落札価格が低いこと自体は歓迎する一面もあるのかもしれません。しかし、このような低い価格できちんとした工事ができるのかという、その品質確保が大変心配なところでございます。
 また平成十七年には、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる公共工事品確法ができたわけですが、競争入札においても、価格だけの競争ではなく、事業者の技術力を合わせて評価して、価格と品質のバランスのとれた工事契約を行うという、この総合評価方式の仕組みが整えられたわけでございます。
 この総合評価方式を採用することで、技術力のある優秀な、優良な事業者の受注機会が広がり、工事品質の確保とともに低価格入札の抑制にも一定の効果があるのではないかと期待されているところでございますが、今回提案された契約案件には、一つも適用されていないようでございます。まず、都の総合評価方式の現在の実施状況について伺いたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 総合評価方式につきましては、工事規模や技術的難易度に応じまして、技術提案型、技術力評価型、施工能力審査型の三つの類型を整備し、適用の拡大を図ってまいりました。
 平成二十年度の実績は、施工能力審査型二百五十七件、技術力評価型二十三件の計二百八十件でございまして、二百五十万円以上の競争入札に付した工事全体の占める割合は、約五%となっております。
 なお、技術提案型は高度で複雑な工事を対象としているため、これまで適用件数は年間数件となってございまして、二十年度につきましては、残念ながら適用工事はございませんでした。

○斉藤委員 大変低い適用状況の数字を伺いましたが、本格的な導入が始まってまだ三年程度ということでありますから、まだまだこれからという側面はありますが、しかし、今回の議案のように、低価格入札がふえる中で、やはり工事品質を確保するために総合評価方式の適用拡大をしていくべきだと思います。
 そのことについて、この適用拡大に向けての東京都の考え方をお伺いしたいのと、また、その低い理由、拡大しないその一番の理由は何なのか、どのように認識されているか伺いたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 都は、先ほど申し上げましたとおり、今までも総合評価方式の拡大に向けて努力を続けてきたところでございまして、そういったものがふえることについては是としているものでございます。
 この総合評価方式における競争入札でございますが、通常行う価格入札に加えまして、技術評価を行うため、入札参加者に対して所定の技術評価資料の提出を求め、その資料を審査することになっております。
 都は、事業者から提出されました技術資料の内容を逐一確認いたしまして、その内容に不備がある場合には、再度提出を求めるなど、技術審査にかける事務の負担が避けられない状況でございます。
 また、限られた人員体制の中で総合評価方式の適用工事案件が大幅に増加した場合、審査事務を円滑に行うことが事実上難しい面もございます。
 一方、事業者におかれましても、都に提出する技術評価資料を作成する負担は、やはり生じるということでございまして、総合評価方式を適用した工事案件への入札参加には、必ずしも積極的ではないという意見も出ている状況ではございます。こうしたことが総合評価方式の適用拡大の支障になっていると考えているところでございます。

○斉藤委員 確かに総合評価方式は、普通の価格競争入札を行っていないような技術評価や、さまざま手間がかかるような仕組みになっているとは思いますけれども、また限られた人員の中での作業ということで、総合評価方式の適用工事を直ちに二倍、三倍と大幅にふやしていくことは、確かに困難だとは思います。しかし、やはり公共工事の経済性、つまり納税者からのこの大切な税金を、できるだけむだをなくして、使わないという視点と同時に、高い品質を確保することが、かえってそれは納税者にプラスになるわけでございますので、やはり総合評価方式の拡大を図っていく必要があると思います。
 今ご答弁いただいた総合評価方式の、三類型、三つあるということでございますが、技術提案型は複雑な工事の内容を対象としていることもあり、なかなかその適用の機会というのはないのかもしれませんけれども、この技術力評価型ですね、この適用件数はもっと活用されてもよいのではないかと。もっとふえて、ふやしていくべきでないのかと考えます。
 今回の議案のような中規模、大規模の工事の適用対象、それを目指しているものであると考えておりまして、品質確保や低価格入札の抑制のために、もっとこの技術力評価型を積極的に活用していくべきではないのかと思います。
 なかなか件数が広がらないのは、それの理由もあると思うのですが、なぜこの適用件数がまだ広がっていかないのか、少ないのかという点について、もう一度ご答弁いただきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 総合評価方式、一般に技術審査に係る事務負担が過大となっていると申し上げましたけれども、とりわけ技術力評価型では、こうした負担に加えまして、施工計画のヒアリングを行うなど、入札手続に要する期間が通常に比べて約三週間ほど余計にかかる仕組みとなってございます。このことが適用件数がふえない大きな一因となっていると考えております。
 また、技術力評価型は、工事施工上で技術的課題のある工事を対象とした総合評価方式でございますが、そもそも対象とすべき工事が、私ども当初想定したよりもちょっと少なかったのかなということも、適用案件の少ない原因ではないかと考えております。

○斉藤委員 今のご答弁で、予想されているような内容のものがないとか、あるいは事務コストがかかると、納期が非常にきつい状況の中で三週間と大変時間がかかって、それは使い勝手が悪いのかもしれません。こうしたことを無視して、とにかくいたずらに適用拡大をふやせ、ふやせといっているわけではございません。工事の性質や内容に応じて技術評価にかかる適当なコスト、この評価項目の内容を十分に検証して、優良な事業者を選定するのに有効な評価項目を、大変なのであればむしろ厳選してチェックしていくべきではないかと、私などは思います。
 技術力評価型については、適用件数自体が少ない中で、今すぐ見直すという、その即効的な、なかなか知恵等もないかもしれませんけども、今後この総合評価方式の適用拡大を進める中で、この評価項目に着目しまして、その検証を進めていくべきであると、私は思います。
 また、限られた人員の中で、総合評価方式の適用工事を全体的にふやすことができないのであれば、逆に、その評価方式が必要とされている工事の方を絞り込んで、重点的にむしろ適用していくことによって、効果的に、効率的に、この方式を拡大していくのも一つではないかと提案したいと思います。
 現在都では、先ほど局長からもご答弁がありましたが、入札契約制度研究会を設置し、この制度改革に取り組んでいると伺っております。九月末ごろには最終的な報告が出てくるとも仄聞しておりますけれども、総合評価方式に関して、今後どのように取り組んでいくのか、その方針をお聞かせいただきたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 総合評価方式につきましては、現在、入札契約制度改革研究会におきまして、審査事務体制の整備なども含めまして、そのあり方の議論を行っているところでございます。
 総合評価方式は、低価格入札の抑制とともに、工事品質を確保していくための有効な手法の一つと認識してございます。引き続き、適用の拡大を進めていく必要があると思っております。
 今後予定されております研究会の提言も踏まえまして、総合評価方式の一層の適用拡大に向けて、関係各局と連携協力いたしまして、重点的に適用対象とする工事を定め、適用目標件数を設定するといった工夫などをいたしまして、計画的に取り組みを進めてまいりたいと思っているところでございます。
 また、特に技術力評価型つきましては、品質確保や事務負担緩和の観点から、評価項目の優位性について再度検証を行いまして、工事の規模や種類に応じて評価項目の簡素化などの見直しを検討してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。簡素化というのは、とても大切な視点であると思います。
 最後に、この総合評価方式の項目についてですが、都の総合評価方式の中に、既にISOの一四〇〇一認証取得、これは環境負荷への低減の取り組みの評価でございますが、ほかにも、災害協定締結の有無、あるいは地域における実績や社会貢献、地域貢献などにどのように取り組んでいるのかなどを、事業者をそういう観点から評価する項目も設けられていると聞きました。これらの取り組みを評価していくことについて、昨年公表済みの第一次提言の中でも、入札契約制度に求められている社会的な要請として、これは大変評価されるものでございます。
 契約本来の目的は決して矮小化されてはなりませんけれども、契約本来の目的と政策目的の両方を同時に実現していくという、こうした取り組みは今後拡大させていく必要があるとも思います。
 この事業者の社会貢献活動や、都が推進する政策目的に合致した事業者の取り組みへの評価の是非、総合評価方式の評価項目の対象の拡大の議論は、本日の議案から離れてしまいますので要望にとどめておきますけれども、私の方で、全国のほかの各道府県で、どのようにこの総合評価方式における政策目的実現、貢献度を見ているかということのチェックをしてみましたところ、さまざま多彩にいろんなものをやっていることがわかりました。
 災害協定の締結や災害時の出動の実績とか災害関連などを評価しているもの、また雪の降る地域では除雪に対する貢献、また環境ですね。そして清掃や維持管理のボランティア、また地元の地産の資材をどのように使っているかという観点、県内企業や地元の企業をどのように産業育成の観点で使っているかという視点、また障害者や高齢者、女性などの雇用促進、そして、先日我が党の長橋議員の代表質問にもありましたが、少子化対策の観点からライフ・ワーク・バランスの推進などに取り組む、そのようなことを含めた労働条件、労働安全の視点など、全国さまざま多彩な角度から評価をしているところでございます。
 もちろん、本来の工事契約内容とは直接関係ない項目でございますので、いたずらにその評価水準や評価方法の設定を広げることによって、本来の入札すべき方々を絞り過ぎたり、過度に制限したり、あるいは中小の事業者に過度な負担をかけては絶対にならないと思いますが、しかし、公共工事が税金というとても大切なものによってあがなわれていることを踏まえれば、既に実施されている環境のみならず、福祉施策や少子高齢対策などまじめに取り組んでいる事業者を、営業コストの面では最低の札を入れることができない、そういう事業者であっても、公共工事を担うにふさわしい事業者として契約相手を選定し、ある意味そのような視点を持っている企業、事業者を育てていくということも重要なことであると私は考えております。
 今後予定されております研究会の報告を踏まえて、都としてしっかりとした実施方針を作成して取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○たぞえ委員 日本共産党のたぞえ民夫です。契約案件の低価格入札について、幾つか伺いたいと思います。
 今回の選挙で国民の審判が下された構造改革路線、この路線は、バブル崩壊後の長期不況のもとで、生活密着型公共事業の縮小という追い打ちをかけてきました。その結果、東京を含む関東圏の建設分野の投資額は、九二年の三十一兆四千億円に比べて、〇八年の見込みでは十七兆二千億円と、五割台に落ち込ませました。
 最近、中小企業家同友会がこの春に行った全企業を対象にした調査では、経営状況が、少し悪い、かなり悪いが六割、また過去一年で大企業との間に生じた不正取引、例えば一方的なコストダウン、これが六四%、価格の改定、工期の前倒し、不払いが一八%という驚くべき状況です。
 大工で生計を立てているある労働者の方からは、仕事ががた減りで、賃金も上がらず、生活に困っている、こういう声も寄せられました。また、価格競争が激しく、経営を圧迫している。低価格入札に歯どめをかけてほしい。最低価格制度を採用してほしい。こうした安ければよしとする現在の競争入札制度に対して、品質を担保することができないとの声が多く示されています。
 こうしたもとで、今回の契約は、建築工事で五件、土木工事で一件、合わせて契約金額は百五十八億四千五百二十三万円という税金が都から業者に支払われるわけです。
 六件の契約議案を見ると、予定価格は合計で二百二十八億七千八百万円ですから、落札率の平均は六八%ということになります。
 例えば議案になっている環状二号線新橋・虎ノ門地区の地下トンネルの場合、これまで契約済みの東新橋工区の場合九六・七%、新橋第一工区では八〇・六%、西新橋工区は六二・五%でしたが、今回の工区の落札率は五四・〇二%で、過去の契約の中でも最低で、平均の落札率と比べても一四%低いわけであります。
 私、先日その環二の現場を建設局の方からのご案内で見てまいりましたけれども、工法も同じ、幅員も深さも同じと。どこを見ても同じ構造なのに、なぜこんなに落札率が変わってしまうのか。実は地下の埋設物がいろいろあるだとか、地下鉄であるとかそういう要件があるんだという話がありましたけれども、それにしても、それによる落札額は数十億円も違うということに大変驚きを禁じ得ませんでした。
 今回、葛飾区内に建設する都営住宅の工事案件でも、議会にかかる九億円以下を含めて五件契約をされますが、五億円台が落札率一〇〇%、六億円台が一棟で九〇%台、八億円台が一棟で八〇%、今回の十四億円のこの都営住宅は六〇%台ということで、最低の価格入札になっているわけであります。
 契約金額が低ければ落札率が高いという現象、それから同時に、大手でも九億円以下の場合は割と落札率が高いと、こういう状況を考えてみますと、財務局としては、この低価格入札の状況をどのようにとらえているのか、まず伺いたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 低入札価格についての認識でございます。先ほどもご答弁いたしましたが、公共工事は完成後数十年にわたりまして都民に利用される社会資本を整備するものでございまして、工事日数の確保が重要でございまして、また都民の税金により整備されることから、価格と品質のバランスを保ち、その両立を図る必要があると考えております。
 しかしながら、著しく低い低価格で入札することにより、工事現場での労働条件の切り下げ、あるいは中長期的に優良な事業者の減少や技術力の低下を招くおそれといったものが懸念されまして、今後の公共工事の品質の確保に悪影響が生じることを懸念しております。

○たぞえ委員 今回のように低価格契約がどの契約議案でも起こるのは、企業がブランドを守るために何としても仕事を確保しようと、そしてゼネコン企業同士の競争を激しくさせて、たたき合い、最低価格でJVが獲得するという図式です。
 そもそも日本の建設業のシステムは、大手ゼネコンを頂点に重層的な下請構造になっていて、仕事の丸投げや低単価発注、工事代金の支払いの先延ばしなど、下請業者にしわ寄せが押しつけられることが目に余る状況にあります。
 公共事業受注をめぐる現場からも、受注価格が低く、とれば赤字になる、こういう声も多く聞くところです。
 同時に、低価格によって、第一に、下請の工事で働く人々の賃下げなどのしわ寄せが避けられません。第二に、労賃が低いと働くなり手がふえないだけではなく、熟練技術者が育たない、そのために技術力の低下を招くなどいろんな問題が起こります。三つ目に、品質の確保にも悪影響が出ることが懸念されています。行政側にとっても、低価格だと何度も契約事務をしなければならない。
 このような低価格入札が持っている負の遺産、この連鎖というんでしょうか、これについてはどのようにお考えでしょうか。

○奥田契約調整担当部長 確かに、低価格につきましてはいろいろな懸念が生じることでございまして、私どもも、現在、現行でも低価格入札の関係では調査をしているところでございます。
 しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、公共工事につきましては税金を投入しているものでございまして、価格と品質のバランスというものを保ちながら、その両立を図る必要があると認識しております。
 入札契約制度は、透明性、競争性、品質確保の三点の要素が社会的に求められている中で、バランスをとりながら、そういった調査をしていく必要があると思っています。

○たぞえ委員 東京都発注の契約についても、契約後に設計変更を行って、新たな経費をふやすことで実際の低価格を引き上げるということも指摘がされています。これは、九億円以上の契約の場合には議会にかけるわけですが、以下はかけないわけでありますので、契約後その設計変更等が起こると議会側からチェックすることもできない、こういう問題もあります。
 都の入札制度を、工事価格だけでなく、それ以外の技術水準や防災、地域社会貢献、公正な労働基準、適正な下請業者との取引などを含めて、品質確保のためにも総合評価入札制度に、できるだけするということではなく、すべてに対応する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○奥田契約調整担当部長 総合評価方式自体は、先ほども答弁いたしましたが、非常にすぐれた点があることは認識しておりますが、ご指摘のように、すべてというのはなかなか難しいかなと認識しております。
 しかしながら、今後予定されております研究会の提言を踏まえまして、一層の適用拡大に向けて、関係各局と連携協力して、計画的に取り組みを進めていきたいと思っております。

○たぞえ委員 先ほどからの議論でも、低価格入札のしわ寄せというは、下請にも流れ、影響受ける。そして、発注者である東京都が委託した仕事が、適正にそれが実行されるかという問題、こうしたいろんな問題を考えますと、低価格契約であればこそ十分な関与が必要でありますし、元請した大企業を含めて、適切な指示、直接的な監督が極めて重要な分野であると思います。
 都民の暮らしから見ても、安ければそれはこしたことないというのはありますけども、しかし、他の地域では、低価格入札のために、でき上がった建物が通常の耐用年数より前に補充をしなきゃならぬと、こういうことも聞くところであります。中身も、そして量も、適切な契約になることが都民の願いだと思います。
 そういう点で、今回、六件すべて落札率は低いというもとで、今後こうした企業体への適切な対応は十分に都としてとるよう求めて、質問を終わります。

○中屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中屋委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○中屋委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○長谷川主計部長 それでは、お手元の資料第1号によりまして、平成二十年度東京都年次財務報告書についてご説明いたします。
 平成十八年度から導入いたしました複式簿記・発生主義による新たな会計システムによりまして、本格的な財務諸表の作成が可能となりました。
 本報告書は、これを活用し、都の財政状況を明らかにすることにより、都民に対する説明責任の一層の充実を図るために作成したものでございます。
 本報告書は、今回で三度目の作成となるものでありまして、三カ年の数値の変化を踏まえた分析を行うとともに、図表や特集記事を掲載するなど、よりわかりやすくするよう心がけております。
 恐縮でございますが、表紙をおめくりいただきまして、目次をごらん願います。
 全体の構成は三部構成になっております。第一部では、平成二十年度普通会計決算の状況を従来の官庁会計方式と新たな公会計手法によりまして、それぞれ分析しております。第二部では、公営企業などを含めた東京都全体の財務状況を、新たな公会計手法によりまして分析しております。第三部では、全体の総括としまして、今後の財政運営について述べております。
 なお、本報告書は、都財政全体をマクロの視点から分析するものでございまして、事業ごとの財務分析につきましては、この第三回定例会に決算書類として提出いたします冊子、主要施策の成果の中で明らかにし、決算の認定に当たりましてご審議いただくこととしております。
 それでは、以下、詳細にわたりますことから、お手元にその概要版を、A3の資料でおつけしておりますので、以下、これに基づきましてご説明させていただきます。
 まず、参考資料の資料一枚目の左側上をごらん願いたいと思います。平成二十年度普通会計決算の概要でございます。
 最初に、従来の官庁会計手法による分析の結果についてですけれども、まず、決算収支等の表をごらん願います。
 実質収支はプラス八億円となり、収支はほぼ均衡となっております。また、財政構造の弾力性を示す指標でございます経常収支比率は八四・一%、公債費負担比率は一三・〇%、都債現在高につきましては五兆八千九百五十六億円で、前年度比六・三%の減となっております。
 次に、歳入の表をごらん願います。
 都税収入が、法人二税の減少などによりまして三・七%の減、都債につきましては、必要な施策の財源確保のため、将来の財政負担を考慮しながら発行余力の範囲内で活用した結果、九三・二%の増となりました。
 次に、その下、歳出の表をごらん願います。
 一般歳出では、中小企業支援など都政が直面する諸課題への対応などにより五・九%の増、このほか、税連動経費等が、平成十九年度の最終補正予算において新たに創設した法人事業税国税化対策特別基金積立金の減などにより一五・七%の減となっております。
 次に、その下の財政健全化法に定める比率の表をごらん願います。
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律により、昨年度から財政の健全性に関する比率の報告、公表が義務づけられております。具体的には、表に記載のとおり五つの指標でございます。上段に東京都の二十年度の数値、下段に財政健全化法に定める早期健全化基準などの数値を記載しております。
 まず、左から、実質赤字比率及び連結実質赤字比率につきましては、一般会計等の決算が黒字でありますことから、該当する数値はございません。
 次に、公債費負担の状況を示す指標でございます実質公債費比率につきましては五・五%、その右の公社、三セクなどを含む都の将来の負担見込みを示す指標でございます将来負担比率につきましては六三・八%となっております。
 それと、一番右は、公営企業会計ごとの資金状況を示す指標の資金不足比率でございますが、各会計とも資金不足の状況にはありませんので、該当数値はございません。
 次に、資料の右側をごらん願います。新たな公会計手法により分析した普通会計の状況についてご説明いたします。
 まず、一番上の貸借対照表についてご説明いたします。貸借対照表は、年度末時点における資産、負債、正味財産の状況を表示したものでございます。
 最初に、資産の部でございますけれども、基金積立金やインフラ資産の増加などにより、九千二百七十九億円増加しております。次に、負債の部でございますが、都債の償還が発行を上回ったことなどによりまして、三千五百三億円減少しております。この結果、負債の部の下にございます正味財産の部でございますけれども、一兆二千七百八十二億円増加しております。結果、資産に対する負債の割合は二ポイント減少しております。
 次に、行政コスト計算書でございますけれども、行政コスト計算書は、一会計年度における行政活動に伴うすべての収入と減価償却費及び退職給与引当金繰入額などを含むフルコストベースの費用を表示したものでございます。
 通常収支の部は、収入が六兆一千二百十六億円であるのに対しまして、費用は五兆四百十二億円で、この結果、通常収支差額は一兆八百四億円、収入が費用を上回っております。これに特別収支差額を加えた当期収支差額は、一兆九百三十四億円となっております。
 続きまして、キャッシュ・フロー計算書についてご説明させていただきます。
 キャッシュ・フロー計算書は、一会計年度における現金等の流れの状況を示すものでございまして、これを行政サービス活動、社会資本整備等投資活動、財務活動の三つに区分しております。
 行政サービス活動収支差額は一兆一千三百七十六億円でございまして、社会資本整備等投資活動収支差額はマイナス八千百四十六億円となっております。この二つを合わせた行政活動キャッシュ・フロー収支差額は、三千二百二十九億円の収入超過となっております。
 次に、その下の財務活動収支差額につきましては、三千九百八十六億円の資金不足となっておりますけれども、これは先ほどの一つ上の行政活動キャッシュ・フロー収支差額と前年度からの繰越金により対応が可能でございまして、資金的には、都債の償還に十分対応できている状況となっております。
 財務諸表から平成二十年度の財政運営を分析いたしますと、その下に掲載してございますけれども、都税収入が減少する中、都政が直面する諸課題に対応するとともに、基金の積み立てや都債の償還も進めるなど、財政構造の強化に取り組んだと考えております。
 二枚目をごらんいただきたいと思います。
 年次財務報告書におきましては、財務諸表を分析した特集記事を二つ掲載しております。
 一つ目は、平成二十年度の財政運営というテーマで、キャッシュ・フロー計算書により平成二十年度の財政運営がどのように行われたかを分析しております。
 二つ目は、将来の財政需要に備える取り組みというテーマで、将来への視点から資産や負債の推移などを中心に、これまでの三カ年の財政運営の分析を行ったところでございます。
 続きまして、資料の右側をごらん願います。
 これまでご説明いたしました普通会計に、公営企業会計及び監理団体などを加えました東京都全体の財務諸表の状況でございます。
 資産が四十六兆一千三百五十九億円でございます。一方、負債は十五兆七千百六十五億円でございまして、その差額である正味財産は三十兆四千百九十四億円でございます。正味財産比率が六五・九%と前年度より二・七ポイント増加しておりますけれども、普通会計の方は七三・一%となっておりますので、これと比較いたしますと約一割程度低く、負債の占める割合が高くなっております。
 こうしたことから、公営企業や監理団体を含めまして、東京都全体として、引き続き経営努力が必要と考えております。
 また、経営主体別の経営状況でございますけれども、公営企業会計につきましては、十一会計のうち九会計が経常収支で黒字となっております。また、監理団体のうち、株式会社である九団体合計で経常収支が黒字となっております。
 今後とも、東京都全体の財務状況を正確に把握して、将来にわたる東京都の財政負担を適正なものとしていくことが重要と考えております。
 資料の右下をごらん願います。最後に、全体のまとめといたしまして、今後の財政運営についてでございます。
 今後想定される厳しい財政環境の中で都がなすべき役割を着実に果たすためには、財政の対応力を計画的に活用しつつ、中長期的に施策を支え得る財政基盤の確保にも目を配ることが必要でございます。
 そのためには、財務諸表を分析し、現役世代と将来世代の受益と負担のあり方などを検討することにより、より中長期的な視点も踏まえた財政運営を行うことが重要になってくるものと考えております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○中屋委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、既に説明を聴取しております報告事項、東京都債権管理条例に基づく取り組みと私債権の放棄について及び私債権の放棄について(財務局分)に対する質疑とあわせて、一括して行います。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○西岡委員 それでは、まず最初に、東京都債権管理条例に基づく取り組みと私債権の放棄について伺ってまいりたいと思います。
 平成十八年度の年次財務報告書において、事実上回収の可能性が極めて低い債権が多く含まれていることが明らかになりまして、その結果、平成二十年第一回定例会には東京都債権管理条例が策定をされ、七月から新しい債権管理体制がスタートいたしました。これも、先ほど説明がありました年次財務報告書を策定したことによる財政処理を行う上での一つの効果と考えます。
 各私債権にかかわる詳細質疑は、所管委員会において議論されておりますので、主管局である財務局には、総括的に伺ってまいりたいと思います。
 今回は、条例施行に伴い、庁内の横断的組織を立ち上げ、体制を強化したことにより、回収不能となった債権の整理が行われました。
 では、条例施行される前においては、私債権の放棄がどのように処理をされていたのか、伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 債権を放棄するには、地方自治法の規定により議会の議決が必要とされておりますので、条例が施行される前においては、個々の債権ごとに議会に提案し、議決を経た上で放棄しておりました。

○西岡委員 今回は、新たな条例のもと、平成二十年度の三月三十一日時点において回収不能となった二億八千九十七万円の私債権が既に放棄されたこととなっております。
 この放棄されたものは、財務諸表などにおいてはどのように処理をされることとなるのか、伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 平成二十年度に放棄した私債権につきましては、平成十九年度末時点の貸借対照表において、収入未済として資産に計上されております。そして、その中の一部につきましては、時効の完成などにより回収不能となる可能性があるため、あらかじめ過去の実績に基づきまして不納欠損引当金を計上しておりまして、今回実際に放棄した私債権につきましては、会計上の処理として、平成二十年度決算においてこの引当金を取り崩す処理を行っております。

○西岡委員 不納欠損引当金を計上して、既に取り崩して処理をしたということでございます。
 一般的に、この債権は東京都の都民の財産でもあるわけですから、債権放棄されるということは、当然のことながら決して望ましいことではありません。これまで議会の議決事項であったことからも、明らかであります。
 しかしながら、企業倒産などによって回収不能となった債権は、これからも発生してくるものと考えられます。まず、今後の見通しについて伺ってまいりたいと思います。
 そして、最も重要なことは、回収不能とならないために、時効ぎりぎりまでの当局の、所管局の徴収努力が求められているということだと私は思います。債権回収に向けた取り組みも、一方で大変重要であります。財政当局においては、どのようなことが検討されているのか、伺っておきたいと思います。

○長谷川主計部長 お話のとおり、都の財産の一つであります債権の放棄につきましては、適切に債務を履行されている都民からの信頼を損なわないという観点からも、適正に行う必要がありまして、単に時効を迎えたかどうかだけではなく、でき得る限り回収努力をした上でもなお、どうしても回収可能性の見込みがないものに限って行うべきものと考えております。
 この間、平成十六年度から始まった主税局による債権回収事業を通じて蓄積されたノウハウをもとに、それを標準的なマニュアルとして取りまとめ、各局におきましては、個々の債権の精査や回収に当たって、このマニュアルを活用しながら、債権管理者を先頭に積極的に取り組み、適正な処理を進めているところでございます。
 今後の回収不能債権の発生の見通しにつきましては、現段階でどの程度見込まれるか、確たることを申し上げることはできませんけれども、引き続き債権管理調整会議などの場を活用し、情報の共有化などを一層図りつつ、全庁的に連携して債権管理のレベルをさらに高めてまいりたいと考えております。

○西岡委員 ご答弁いただきました。今後の見通しについては、確たることは申し上げられないという答弁でありましたけれども、確かに景気の動向や今後の回収努力の取り組み次第という面もありまして、一概にいえないというのは理解できます。
 しかし、適正な債権の管理を進めるためには、各局において、今後どれぐらい債権が発生するのか、どれくらいが回収不能となる見込みなのかをできる限り把握をした上で効果的に取り組むとともに、場合によっては事業そのものの見直しも含めて検証していくことが必要だと私は考えます。公平公正な行政を確保する上でも、条例を所管する財務局においては、ぜひ各局にその旨をしっかりと伝えていただくよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、東京都年次財務報告書に関連し、都の財政指標や財政運営などについて伺ってまいります。
 今回の年次財務報告書は、初めて報告書を作成した平成十八年度決算から数えて三度目の公表となり、さまざまな角度からの決算情報が、徐々にではありますけれども、蓄積されつつあります。これによって、経年の財務状況についてより深みのある分析が可能となるものと考えます。
 最初に、基本的な指標に関して何点か伺ってまいります。
 自治体財政の健全度をはかるバロメーターとして、代表的なものが経常収支比率であります。この指標は、バランスのとれた財政運営を行うため、一般的には七〇から八〇%台が望ましいと考えられております。
 都の経常収支比率は、ここ数年改善してきましたけれども、平成二十年度決算になって三・九%上昇し、八四・一%となりました。この原因は、急速な景気悪化による法人二税の減収にあると指摘されております。
 景気動向に左右されやすい都財政を考えますと、行政サービスの提供や新たな財政需要にも対応可能な健全な財政を維持するため、この指標を適正な水準に保っていくことが求められていると思います。
 そこで、最新の経常収支比率の動向とともに、今後の財政運営におけるこの数値目標、経常収支比率の数値目標について伺っておきたいと思います。

○長谷川主計部長 経常収支比率につきまして、この十年間の傾向を見ますと、平成十一年度の一〇四・一%をピークとして、平成十六年度までは九〇%台、平成十七年度以降は八〇%台で推移しており、中長期的に見ると下落傾向にございます。これは、平成十二年度からの財政再建推進プランに基づき内部努力や施策の見直しなどに取り組み、歳出を大きく見直した結果であると考えております。
 一方、単年度ごとの動きを見ますと、都税収入が景気動向に影響されて変動幅が毎年大きいこともありまして、経常収支比率もその動きに左右されております。
 二十年度は、お話のように昨年度より三・九%上昇し、八四・一%となっておりますけれども、これも主に、都税収入が昨年度に比べて約二千億円減少したことによるものでございます。
 また、十九年度の都道府県平均九四・七%と比べますと、相当程度低い水準にありまして、この間の傾向を見ても、引き続き強固で弾力的な財政基盤は維持できているものと考えております。
 なお、経常収支比率の今後の目標についてお話がございましたけれども、税収の動向に左右されるというものでありますので、一概に目標を設定できるものではないというふうに考えております。

○西岡委員 動向についてご答弁いただきました。経常収支比率については、一概に目標設定できるものではないというご答弁だったんですけれども、東京都も、石原知事が就任した当時は大変厳しい財政状況で、財政再建プランの中では九〇%以下という目標もありました。
 私の地元の小金井も大変な財政難の時代がありまして、平成八年度決算、大分古い数字ですが、当時一一一・四%という経常収支比率を記録しました。その後、市も議会も挙げて財政再建に取り組みまして、当時、小金井市も経常収支比率の目標を掲げまして、その目標に向かって一丸となって頑張っていたという経過があります。
 私は、この経常収支比率というのは、一定の財政再建を達成したからもう目標を持たなくてもいいというものではないと思うんです。やっぱり経常収支比率なるものは、常に目標を掲げて、一丸となって財政再建を行っていくべきだと思っていますけれども、改めてもう一回伺いますが、今後この目標を設定していこうというお考えは、部長、ないでしょうか。

○長谷川主計部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、都税収入に非常に大きく左右されるということでございますので、数値の目標としてこれを掲げるということはなかなか難しい面がございますけれども、常にこの経常の収支比率を適正な範囲内におさめるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

○西岡委員 一方で、平成二十年に成立した財政の健全化に関する法律に定められた新たな数値比率も掲載されております。そのうち実質公債費比率と将来負担比率に関しましては、指標の算定項目が、必ずしも都財政の実態を反映したものではないという主張が記載されています。実態を反映していない数値ならば、同様の見解を持つ自治体も存在をして、私は国に改善を求めていくべきではないかなという考えにも至りますが、都の財政当局が、国が定めた自治体の新たなこの財政指標がふさわしいものではないという認識に立った理由について伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 お話のありましたこの指標につきましては、そもそもすべての自治体を対象として、財政の悪化を早期に把握し改善を図るための基準となるものでございまして、その趣旨には一定の合理性があるものと考えておりますが、その指標であらわされる数値が、東京都の実態と比較して財政負担が過小に評価されているということから、問題があると認識しているものでございます。
 まず、実質公債費比率でございますけれども、東京都は交付税の不交付団体であるにもかかわらず、この比率の算定に当たっては、交付税の不足を穴埋めする臨時財政対策債について実際に都は発行していないにもかかわらず、その発行可能額がそのまま算入されるなど算定上の問題がございます。
 次いで、将来負担比率につきましては、実際には受ける見込みのない交付税を機械的に算出しまして将来負担額から控除している点、また、今後見込まれる社会資本ストックの更新需要に係る経費などが、将来負担として算入されていない点などの問題がございます。
 こうしたことから、これらの比率は都財政の実態を適切にあらわす指標とはなり得ず、都としては、これらの指標のみに左右されることなく、将来の負担要素などを適切に把握しながら、引き続き自立的、安定的な財政運営を行っていかなければならないと考えております。

○西岡委員 国が定めた指標が都財政の実態を反映していないということであれば、また誤った東京都富裕論なるものが持ち出されてしまうのも、ちょっと怖いなという思いもいたします。
 そういう意味で、私は、この点に関しては、東京都としてやっぱり改善を求めていくということも必要になってくるのではないのかなというふうに思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 この年次財務報告書の中の二四ページ以降、ここが大変重要なんですけども、この三年間に蓄積された決算情報を踏まえまして、将来の財政需要に備える取り組みについての分析が行われております。この報告書の中でも極めて重要な視点が示されています。
 そこでは、基金積立金の増加額と各年度の行政コスト計算書の当期収支差額の推移を明らかにした上で、平成十八年度から二十年度までの三年間において、都債を償還して後年度の都民負担を軽減するとともに、将来の財政需要に備え基金への積み立てを行っているということを示しています。
 この背景には、これまでの財政再建の取り組みの成果であることはもちろんですが、景気が好転した平成十六年度から十九年度まで都税収入が一貫して増加したことがあると思います。しかし、平成二十一年度予算における都税収入を見ますと、急激な景気の悪化に加え、平成二十年度税制改正における法人事業税の暫定措置の影響によって、法人二税が、前年度と比べ、何と七千七百億円という過去最大規模の減収となりました。
 このように景気の変動を受けやすい東京都の歳入構造を踏まえますと、都税収入が大きく変動しようとも、都民の期待にこたえ得る行政サービスは安定的に提供していくことが大きな課題となっています。
 今後、我が党が東京マニフェスト二〇〇九で掲げた政策をしっかりと実現していくためにも、基金積み立てなどの将来への備えとともに、行政のむだを排することによって財源を生み出していくことが極めて重要であると考えております。むだを排するということは、単に、都民の皆さんから預かった大事なお金を大切に使うという意味だけではなくて、使うべきときには、短期集中でしっかりと財源を投下するということも大事です。現在、本当に疲弊して逼迫している都民生活や都民福祉を再建するための積極姿勢が重要であります。
 平成二十年度においては、緊急経済対策ということで二度の緊急補正が行われ、我々も、新銀行東京関連の減債基金五百四十億円の積み立て以外の緊急対策には、都議会民主党も賛成をしてまいりました。つまり財政当局の予算編成のあり方も問われているんだと思います。
 そこでまず、強固で弾力的な財政基盤の確立に取り組みながら、都は、積極的な姿勢で都民生活を再建し、都民の福祉の向上に寄与していくための財政運営を展開していく必要があると考えますが、どのような取り組みが必要と考えるのか、財務局の見解を伺います。

○長谷川主計部長 今、お話の中にもございましたけれども、平成二十年度におきましては、急速な景気後退が都民生活に深刻な影響を与える中にありまして、二度にわたる補正予算を切れ目なく編成いたしまして、一体となって都民生活を守る有効な施策を展開し、経済情勢の変化に迅速に対応してまいりました。
 東京都は、これまで二次にわたる財政再建推進プランを策定し、施策の見直しなどに全力で取り組み、平成十七年度には実質収支が黒字に転換するなど財政再建を達成するとともに、その後も引き続き強固で弾力的な財政基盤の確保や構築に努めてまいりましたけれども、こうした取り組みは、まさに都民が必要とする施策を安定的、継続的に展開するためのものでありまして、これまで、この成果を生かしながら、将来の東京を見据えた中長期的な取り組みや、ただいま申し上げた補正予算の編成を含め、現下の都民が直面する課題への対応を財政面から支えてきたものと考えてございます。
 今後とも、都財政に課せられた役割をしっかりと果たしていくため、中長期的に施策を支え得る財政基盤の確保に十分に目を配りつつ、事業の必要性や有効性を十分検証するなどを通じて、引き続き効率的で実効性の高い施策の構築に努めていくことが重要であると考えております。

○西岡委員 民主党は、国民の生活が第一というスローガンを掲げております。都民生活の再建のための財政当局の努力を、改めて求めておきたいと思います。
 都は、これまでも国に先んじて財政再建に取り組み、成果を上げたことはよく理解していますが、これは、いわば財務局が旗振り役として、厳しいシーリングを設定して達成したものであるとも理解をいたしております。そのかいあって、平成十七年度の決算では、元年度以来十六年ぶりに黒字決算に転換して、一定の財政再建を達成したわけでありますけれども、その後十八年度、十九年度と続けて都税が増収となる中、都庁全体において、事業の自主的な見直しを図る機運が衰えていないかどうかが、大変気になるところであります。一定の財政再建を達成した後においても、各局が主体的に歳出のむだを省くことによって初めて継続的に財源を確保することが可能となります。
 私も、行政は、打ち出の小づちではないんですから、新しい政策を導入したり、現在の制度を増強するためには財源が必要となります。財政再建への不断の努力が必要であるということは、十分認識をいたしております。そして、財政再建は未来永劫続くものであるとも思います。
 そこで、新たな段階を迎えた都は、どのようなツールを使って歳出のむだを省く取り組みを行っているのか、伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 東京都は、財政再建を達成した後も、将来にわたり必要な行政サービスを着実に実施するための強固な財政基盤の確立を目指し、引き続き施策の見直し、再構築に全力で取り組んでまいりました。
 この間、各局の自主的、自発的な取り組みのもと、あらゆる角度から施策の検証を徹底するとの観点から、従来からの取り組みに加えまして、例えば事務事業評価を財務局が所管することとして、予算編成の中で評価を行う効果的な仕組みに再構築するとともに、ストック、コスト情報の欠如といった従来の官庁会計の欠点を補完するため、新たな公会計の視点も取り入れるなど、さまざまなツールを最大限活用することによりまして、より効果的な施策の構築に努めておるところでございます。

○西岡委員 都は、新たな公会計制度の視点を取り入れながら、事務事業評価を実施しているということであります。
 公会計制度や事務事業評価の考え方が都庁全体にどれだけ根づいているのかという点では、大きな組織である都庁内には、まだまだ改善の余地があるものだと思います。導入から三年が経過しておりますけれども、新たな公会計そのものに、まだなじめない職員の方もいるのではないかと推察をいたします。
 公会計制度の導入は、確かな第一歩でありますけれども、自治体にこの制度を導入しさえすればすべてうまくいくというような考えがあるとすれば、それは間違っております。今、自治体には、この公会計制度をどのように行政運営に活用するのか、庁内組織で一体となって取り組んでいるのかどうかが問われているんだと思います。
 そこで、都が新公会計制度を導入し、年次財務報告書を作成する前後において、マクロで見た場合、都の行財政運営に具体的にどのような変化をもたらされたのか、伺います。

○長谷川主計部長 年次財務報告書では、コスト情報、ストック情報、さらにはキャッシュの流れをマクロ的な視点から明らかにしまして、資産に対する将来世代の負担割合など、より多面的に都の財政状況の実態を明らかにすることができております。
 こうした情報をもとに、将来の需要や世代間の負担バランス、財政負担の平準化などを踏まえ、将来の備えとして、例えば平成二十年度に社会資本等整備基金を初めとして基金への積み立てを積極的に行うなど、財政基盤の強化に努めたところでございます。
 また、資産の内訳として、多額の未収債権の存在が明らかになったことから、昨年東京都債権管理条例を制定し、債権管理のより一層の適正化を進めるとともに、最大限の徴収努力を尽くしてもなお回収不能の債権につきましては、適正に欠損処理を行いまして資産価値の的確な把握に努めております。
 このように、新たな公会計手法で明らかになった情報によりまして、組織全体にコスト意識等が一層醸成されるとともに、それらを活用しまして具体的な取り組みへとつなげることで、効率的な行財政運営に向け、一歩も二歩も進むことができたというふうに考えております。

○西岡委員 今のご答弁で、財政運営においてはコスト意識を醸成することができたと。このことは極めて大事なことであります。それだけではなくて、事業の検証に活用するなど、具体的な成果も求められているんだと思います。
 新公会計制度の導入とともに、歳出のむだを省くツールとして期待され、事業が妥当であったかどうかを評価できる事務事業評価については、知事本局から財務局に所管が移って今年度で四年目になります。
 一方、国においては、政権交代を実現した民主党は、事業仕分けや複数年度予算という新たな手法も加味して、徹底的にむだ遣いのチェックに取り組む方針が示されております。
 事業仕分けは、既に幾つかの自治体において導入されております。事業仕分けについては、別の機会で改めて議論させていただくこととして、都が取り組む事務事業評価についても、当初財務局が想定していたような取り組みが全庁的に浸透しているのかどうか検証する必要があるんだと思います。
 そこでまず、現在の都における事務事業評価について、評価の視点や評価のプロセスを伺います。

○長谷川主計部長 事務事業評価は、各局と財務局とが連携しながら、すべての事務事業についてきめ細かい事後検証を行いまして、評価結果を次の予算編成へと的確に反映させていく取り組みでございます。
 事務事業評価の実施に当たりましては、その事業の必要性や有益性、事業を実施することによる将来への影響、民間、国、区市町村との役割分担など、お話のありました事業仕分けと同じような考え方に立つ視点に基づきまして、事業の経費や費用対効果などについて、まず各局が事業を所管する立場から自主的、自立的に分析し事業の評価を行った上で、財務局が全庁的な視点で評価することで、予算編成に的確に反映し、その結果を公表しているものでございます。

○西岡委員 事務事業評価においては、評価の視点を明示し、さまざまな角度からの評価を実施していることについては理解できますが、先ほども申し上げましたけれども、次のステージでの施策の見直しは、この仕組みを生かして、各局がどれだけ主体的に歳出のむだを省くことができるのかにかかっているんだと思うんです。
 都庁を挙げた見直しの環境づくりによって、必要な財源がしっかりと確保されることが重要なのであって、財務局がいろいろいうから仕方なくやっているというのでは、仏つくって魂入れずだと思います。本当の意味でのむだを省く仕組みにはならないんです。
 そこで、事務事業評価がより効果的に機能するために、制度を所管する財務局として、今後どのように運用し、庁内全体に働きかけていくつもりなのか、伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 事務事業評価の目的は、単に歳出を削減するためだけではなく、むだがなく実効性の高い施策を練り上げていくことにあると考えております。
 そのために、評価の実施に当たりまして、各局と十分な意見交換や問題意識の共有化を図りながら、評価の考え方や視点についてさらなる浸透を図り、より効果的に機能させることが必要でございます。
 分析手法におきましても、新たな公会計手法を活用したコスト・ストック分析などについて、職員向けの説明会やマニュアルの内容を充実させていくとともに、評価結果につきましても、分析手法を共有するという観点から、今後も積極的に公表するなどし、各局の自主的な取り組みをこれまで以上に支援いたしまして、事務事業評価を軸とするマネジメントサイクルを確立してまいりたいと思っております。

○西岡委員 最後に、意見と局長に質問です。
 国においては、政権交代によって、これまではなかった仕組みにより、むだを省く取り組みがいよいよ行われようといたしておりますが、東京も常に進化をしていかなければなりません。
 今後、都においては、我々議会からの監視、そして財務局の厳しい指摘とあわせて、各局がみずから問題意識を持って、常に時代状況の変化に合っているかをみずから検証し、事業の見直しを積極的に展開していくという素地をどのようにつくっていくのかが、これからのかぎであります。
 本日議論してわかりますのは、マクロの視点からは、年次財務報告書の作成を通じて、都財政全体の状況が公会計手法によって分析をされ、一方、ミクロの視点からは、事務事業評価を通して、各事業の必要性や費用対効果などが検証されているということであります。
 今回、年次財務報告書の中では、この三年間の財政運営の分析も行われており、例えば資産に対する負債の割合が、三年間で三〇・八%から二六・九%と、三・九ポイント改善したと説明されています。人口減少社会に突入した中、今後の財政運営に当たっては、この年次財務報告書の分析を踏まえ、将来世代に過大な負債を残さないといった視点にも十分目を配りながら、より中長期的なスパンで大きな方向性を示していくことが必要であります。
 と同時に、こうした全体の方向性だけでなく、各局と財務局が連携して実施する個々の事業に対する事務事業評価の取り組みとが相まって、東京版マネジメントサイクルをしっかりと確立し、都民の目線で継続的に歳出のむだを見直すとともに、我々が都議選で掲げたマニフェストの実現など、行政サービスの質を高める努力がなされなければならないと考えております。
 最後に、都財政の課題を的確に把握するとともに、従来にも増して厳しい目で施策の点検を行うためには、年次財務報告書での分析と事務事業評価を財政運営にしっかりと根づかせていくことが重要であると考えますが、この点について、最後、局長に伺って、質問を終わりたいと思います。

○村山財務局長 最初に、ちょっと一点だけお話しさせていただきたいんですけれども、東京都は、この十年間、石原都政になって以降ですけれども、平成十二年度から十五年度まで、それから十六年度から十八年度まで、二回にわたって財政再建推進プランというのを実行してまいりまして、それによって財源的には約八千億円程度の財源を生み出してまいりました。
 そのときの手法でございますけれども、事業の目標の達成度とか、あるいは費用対効果の分析、それから最少のコストで施策の目的を達成できるよう、本来的な行政の目的を実現する上で、そもそも行政でなすべきことなのか否かと、そうでないものはやめてしまう。それから、もし行政としてやるべきことであっても、それは東京都が自分でやるべきなのか、区市町村なのか、民間なのかと。民間に委託してやるのかとか、そういう役割の分担の問題。それから、その上でさらにその事業手法の効果性というような点について、すべての事業を厳しく点検をして、もちろんシーリングという方式もとりましたけれども、シーリングという方式をとる中でそういう中身の点検をやってきて、むだを排して実効性の高い施策を構築しようということで、七年間にわたってやってきて、それでさっきご指摘いただいたように黒字化を達成、財政的にはしたわけでございますが、そこの過程で、今申し上げた、やってきたその手法というのは、まさに、先ほど先生ご指摘いただいた、今回国において手をつけようとしている事業仕分けというものの基本的考え方そのものにも通じるものでございまして、ある点では、私どもといたしましては、東京都は既に十年前から、国や他の自治体にはるかに、あえていわせていただければですが、はるかに先んじて、採用して、取り組んできているわけでございまして、その点では、私ども、この分野においては先進的であるというふうに自負をしておりますので、その点、まず一言、いわせていただきたいというふうに思っております。
 とはいえ、もとより私ども、それに甘んじて、もういいんだというふうに思っているわけでは毛頭ございませんで、先ほど来いろいろご議論も出ていますけれども、都財政を取り巻く環境は、昨年来、非常に厳しさを、これまでになかったような激しさで増してきておりまして、私どもとしては、当面大きく好転することは想定しないんだという覚悟で財政運営に取り組まなければいけないというふうに思っておりまして、そういう点では、現在置かれている環境については厳しく受けとめておりまして、こうしたときだからこそ都政が果たすべき役割を果たしていく上では、さらに厳しい目で施策の点検というものをしていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、ご指摘いただいたように、マクロ的な視点と、それから事務事業評価というミクロ的な視点と、両方をさらに強化、定着させていく必要があるだろうと思っております。
 その際、財務局がいうからしようがないやというようなスタンスでの見直しではなくて、自主性というものが一つ大事な動因になっていかなければいけないというご指摘もございましたけれども、本会議でもご答弁申し上げましたとおり、私ども、来年度の予算編成の大きな一つの柱に、この事務事業評価というものを新たに位置づけてきておりまして、そういう面では、各局の自主的な取り組みとして、予算編成の過程の中でこれに取り組んでいこうという方針で、二十二年度予算の編成に取りかかりつつあるところでございます。
 こういった形で、各局と十分連携をとりながら、こういう手法について、お話しいただきましたように、都庁全体に、いわば普及といいましょうか、根づかせていくということが非常に重要だという認識は、私どもしっかりと持ったつもりでございますので、ご指摘を受けとめさせていただきまして、今後想定される厳しい財政環境のもとにあっても、必要な施策、この必要な施策が何であるかということについてはちょっと置いておくとしてですけれども、着実に進めていけるように、より強固な財政体質の確立に取り組んでまいりたいと、かように考えております。

○菅委員 それでは、私の方からも、年次財務報告書で公表されました平成二十年度普通会計決算についてお尋ねをいたします。
 百年に一度といわれる昨年来からの経済危機に対して、我が党は、都民の不安解消と中小企業を守るための緊急支援を強く要望させていただきました。これを受けて、東京都は、切れ目なく、九月、そしてまた十二月と二度の補正予算を編成し、都民や中小企業を守る有効な施策を適切かつ迅速に講じていただきました。財政運営を行う立場からすると、景気の悪化に伴い、法人二税を中心に、歳入の減少が見込まれる中にありながら、一方で、都政が直面する諸課題に、迅速かつ的確に対応していかなければならないという、非常にかじ取りの難しい一面であったのではないか、こう思います。このような状況においての二十年度決算であります。まず最初に、平成二十年度決算をどういうふうに評価しているのかお尋ねをしておきます。

○長谷川主計部長 お話のありましたように、二十年度当初予算編成時点では、十九年度最終補正時の税収から〇・三%の増と、ほぼ横ばいの税収を見込む中において、「十年後の東京」計画の実現に向けた取り組みを加速させるとともに、都民生活が直面する課題に適切に対応することとしておりました。その後、昨年夏の経済危機以降、都民の不安に迅速に対応し、九月の補正予算、十二月補正予算と切れ目のない対策を講じてまいりました。
 一方その後、歳入の根幹をなす都税収入が減少する中で、都民生活にかかわりが少ない経費の抑制を図るなどによりまして財源を確保し、収入を均衡させたものでございます。
 都財政を取り巻く環境が厳しさを増す中において、こうした対応を可能といたしましたのは、この間の財政再建の取り組みとともに、堅実な財政運営を続ける中で、これまで財政の対応能力を着実に蓄えてきたからであると考えております。
 なお、二十年度の経常収支比率は八四・一%と、昨年度と比べればやや上昇しておりますけれども、財政再建に区切りをつけた二年前の十八年度の水準を下回っておりまして、引き続き強固で弾力的な財政基盤を維持しているというふうに考えております。

○菅委員 都税収入が二千億円も減少した中で、都政が直面する諸課題に積極的に対応しながら、さまざまな努力によって収支を均衡させ、財政の健全性も維持してきたと、これは非常に高く評価できると、こういうふうに思います。
 思えば、石原知事、先ほどお話がありましたように、就任した当時は、財政再建団体への転落も危惧される状態でありました。二十年度決算は、まさに、石原知事がこの十年間で築き上げた財政運営のノウハウを最大限活用した成果であるといえるのではないかと、こういうふうに思います。
 一方で、歳入の内訳を見ますと、ここ数年抑制してきた都債の発行額が千五百億円も増加しておりまして、十九年度のおよそ二倍となっております。都債の発行、都債の増発は、将来の財政負担を増大させ、財政の硬直化を招き得るもので、千五百億円の増加が都政財政に与える影響が気になるところであります。そこで、平成二十年度における都債活用の考え方と、都財政への影響についてお尋ねをいたします。

○長谷川主計部長 都債には、世代間の負担の公平、あるいは財政収入の年度間調整を図る機能がございまして、計画的な財政運営を確保する上で重要な役割を担うものでございます。平成二十年度におきましては、都税収入が大幅に減少した中にありまして、安易に基金を取り崩すのではなく、赤字債を発行しない範囲で都債を活用し、将来にわたり都民の重要な財産となるインフラ整備など、必要な施策の財源をしっかりと確保しております。
 都債の活用に当たりましては、将来の財政負担を十分に考慮いたしておりまして、平成二十年度普通会計決算におきましても、都債償還を積極的に進めたことも相まって、都債残高は、前年度対比で三千九百七十億円減少しているなど、引き続き財政の健全性は維持されているというふうに考えております。

○菅委員 都債発行額が増加したものの、現在高は減少をしていると、まさに発行余力の範囲内で都債を活用されたということがよくわかりました。
 都債の関係でもう一点気になるところがございます。年次財務報告書には、公債費に係る財政負担を示す公債費負担比率が掲載されておりますが、この比率が、昨年度より悪化しているところであり、この比率は、財政硬直性を直接示すものであり、やはり都財政への影響が心配されるところであります。そこで、公債費負担比率の上昇が都財政に与える影響についてお尋ねをしておきます。

○長谷川主計部長 公債費負担比率とは、公債費に充当される一般財源等を、一般財源等の総額で除したものでございまして、この比率は十九年度の一一・三%から二十年度は一・七ポイント上昇し、一三・〇%となっております。これはかみ砕いて申しますと、分母となる一般財源等の総額の減については、都税収入が減少したこと。また分子となります公債費充当一般財源等の増加につきましては、借換債の発行抑制などによりまして公債費が増となったことによるものでございまして、一時的な要素がございます。
 一方で、都債残高につきましては、元金償還を進めたことから、前年度対比で六・三%減少しておりまして、将来の都債の償還による財政負担は、むしろ軽減されていることから、都財政の健全性には問題がないというふうに考えております。
 ただ、先生ご指摘のとおり、この比率が高くなることは、一般には、財政の硬直化を意味することから、いたずらに上昇することのないよう、引き続き将来の公債費負担に十分配慮し、発行余力の範囲内で都債を活用してまいりたいというふうに考えております。

○菅委員 先ほどの質疑とあわせて、都債に関する決算数値を総括しますと、一見悪化したように見えるものが、その実は、都税収入が落ち込む中にあっても、将来まで見据えた極めて思慮深い財政運営の結果であったと、こういうふうに評価してもいいのではないか、こういうふうに思います。
 続いて、いわゆる財政健全化法で公表が義務づけられた資料についてお尋ねをします。十九年度決算、つまり昨年度の年次財務報告書から五つの指標の公表が義務づけられ、二十年度決算からは、指標が一定の基準より悪化した場合、健全化に向けた計画の策定が義務づけられております。
 ことしからは、この二十年度決算における将来負担比率は六三・八%となっております。十九年度決算から大きく改善されており、公表されている昨年度の他団体の数値と比較してもぬきんでて良好なものであります。数字だけ読み込みますと、都財政は盤石である、こういうふうに見えますが、年次財務報告書をさらに読み込みますと、社会資本ストックの更新経費などは含まれておらず、都財政の実態をあらわすものではないという説明がございます。そこで、都としてはこの数値をどう評価しているのか、確認の意味を込めて、含めて詳しくご説明を願います。

○長谷川主計部長 これまで、都債の発行抑制など将来負担に配慮した自律的な財政運営を行ってきたことによりまして、東京都の将来負担比率は、法に定める早期健全化基準等を大きく下回っております。しかしながら、この比率については問題点がございまして、都の実態に比べれば、将来負担を過小に評価されているものと考えております。
 具体的に申しますと、東京都は、交付税の不交付団体であるにもかかわらず、受ける見込みのない機械的に算出された交付税算入見込み額が、分子の将来負担額から控除されているなど算定上の問題がございます。仮に、交付税算入見込み額を将来負担から控除せずに試算をしてみると、東京都の将来負担比率は約一七〇%となります。これは昨年度の全国の都道府県の平均値である二二二・三%と比較しても、健全性の高い数字であるということはいえますけれども、他県に比べて一人ずば抜けて高い数字というふうにはなっておりません。
 またお話のように、これは他県においても同様のことではございますけれども、今後確実に見込まれる社会資本ストックの更新需要に係る経費などが、将来負担として算入されていないといったような問題もございます。このように、この数値は、国が定めた財政の健全性を図る一つの指標ではございますけれども、この比率をもって単純に他の地方公共団体と比較して論じることは適切ではなくて、まして、決して東京都が富裕であるということをあらわしているものではないというふうに考えております。

○菅委員 都民にわかりやすい指標という形で財政状況を公表することは、透明性や説明責任の観点からは極めて重要であるというふうに考えております。一方で、数字の怖さを認識し、数字だけがひとり歩きすることのないように、引き続き適切に説明を行っていただく、このことを望んでおきます。
 これまで平成二十年度の決算について議論したわけでありますが、非常にうまいかじ取りを行われた一方で、これまで肌で感じていた都財政を取り巻く環境の潮目の変化が、実質収支や経常収支比率などに反映され、数字として決算にも出てき始めているというふうにも読めます。さらに、決算からは直接読み取れない今後の社会資本更新経費への対応なども必要だろうと、こういうふうに思います。
 足元を見てみましても、平成二十一年度当初予算においては、緊急な景気悪化と法人事業税の暫定措置により、都税収入が七千五百二十億円と、過去最大の減となっているなど、今後の都財政を取り巻く環境は予断を許さないものがある、こういうふうに思います。
 先ほど来お話がありましたけれども、最後に、今後ますます難しくなるであろう財政運営をどのように行っていくのか、再度、局長の決意を伺って質問を終わります。

○村山財務局長 今、二十年度決算について、るるやはり戒めとも受け取めるべきいろいろご指摘をちょうだいいたしました。二十年度決算について考えるときに、やはりその前提となる二十年度予算について、今お話を伺いながら、私も振り返っていたわけですけれども、十八、十九と税収が伸びてきたわけですけれども、二十年度予算を編成するときに、これはもうピークアウトだなというのが、基本的な、二十年度予算を編成するときの環境認識で、私どもとしては、ありました。
 いずれにしても、二十年度をピークとして、あとは落ちていくだろうなと。それが都財政というものの、もう宿命であるという、過去の、数十年来の法則的にそうなるだろうというふうに思って、それで、予算編成方針の中でも、二十年度のですけれども、二十一年度、二十年度のときにも、もう既にそういうものとして認識をして、ピークアウトをするものということで予算編成をさせていただいた、その中での編成の基本的考え方は、積極的施策を推進する攻めという部分と、それからそういう状況認識に立って基金などをちゃんと積み立てていくという備えというこの両面でやっていくんだという予算、当初予算の編成方針を立ててあの編成をさせていただいたわけでございます。
 二十年度が始まってまいりまして、事態は、私どもの想定を、相当程度はるかに超えた展開で、当たっていたといいましょうか、ピークアウトどころではなくて、例の、一年前のリーマンショック前後のあたりから急速に落ちていたわけでございまして、実は、リーマンショックが生じる前から、どうも税収の動向にはもう既に落ちていくというような気配もございまして、そういう中で、私どもの想定を超えた事態になりました。
 それは税収の動向もさることながら、さることながらというよりも、税収が落ちていくのは非常に我々としては困るわけですが、そういう中にあって、非常に都民生活に甚大な影響が、経済にも及ぼすことになって、都政としては、まずそのことにどう対応していくのかということが非常に大きな課題と、去年の八月ぐらいになったわけでございまして、それで、九月、十二月、そして最終補正というふうに、事業費の補正としては、過去にほとんど例のない三回連続という補正予算、矢継ぎ早に編成をさせていただくというところに、まず、全体としての財政運営の力点を置かせていただいたわけでございまして、それなりに、私どもとしては、都民生活、東京の経済に対して貢献ができたかなというふうには思っているわけでございますけれども。その財源面のことになるわけですけれども、そこについては、まさにご指摘いただいたいろいろな形にあらわれていますように、都債発行の増大で、千五百億円ほど増発させるということによって、ハード的な世界については対応すると。それから基金についても活用するということで、あと、経費の削減についても、あわせて年度途中ながらさせていただいて対応することといたしました。
 その二十年度の財政運営を振り返るにつけても、一つはやはりこの十年間、先ほど来もお話はさせていただきましたけれども、財政再建推進プランに基づいて二度にわたってやってきたという努力というのが非常に大事だったなと、改めて思っているのと同時に、税収が上り調子で上がっていくときにも、基金積み立てもそうですし、都債の抑制ももちろんそうなのですけれども、全体として堅実な財政運営をしたことが、こういう火急の局面に当たって、財政的に余り、もちろん黒字も確保できましたし、財政的な体質も悪く余りならないような形で、二十年度について決算を打つことができたのは、こうした結果だというふうに、私ども思っております。
 また、このスタンスは、これからも大事だなというふうに、改めて認識をしているところでございます。しかし、るる今ご指摘いただきましたように、この先のことを考えますと、先ほど来お話に出ておりますように、こうなりまして、こうなっていくというよりは、こうなってこうなっていっちゃう、後どうなんだろうというのが、今の、ちょっと議事録にならないのですけれども、いうのが今の客観的な置かれている我々の環境でございまして、そういう中で、それでもなお東京の将来、あるいは、現時点における都民の生活にしっかりどうやって対応するのかということに、支えていくというその財政運営としてどうするかというのは非常に重要な課題になってきていると思いますので、今後とも、ただいまいただいたご指摘を踏まえて、しっかりと堅実な財政運営に努めてまいります。

○上野委員 私からは、平成二十年度年次財務報告書について何点か伺ってまいりたいと思います。
 この年次財務報告書は、民間企業で申しますと、経営成績や、あるいは財政状況を株主や投資家に報告するアニュアルレポートに相当するものであります。つまりコスト情報、ストック情報、さらにはキャッシュの流れをマクロ的な視点から分析し、より多面的に都の財政状況をあらわすものであります。
 我が党は、かねてより複式簿記・発生主義会計による公会計制度の導入を主張してきたところでございますが、この新たな公会計制度の成果を活用して、都の財政状況をつまびらかにした年次財務報告書は、東京都の公会計制度改革の一つの到達点であり、これまでの改革の取り組みが結実したものであるといっても決して過言ではないと、このように思っている次第でございます。
 年次財務報告書の発行は、今回で三回になり、回を重ねるごとに進化、発展しておりますが、そうした事例として、例えば、年次財務報告書の一一ページを見ますと、貸借対照表、行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書、正味財産変動計算書の四つの財務諸表の関連性について、イラストを活用しながらわかりやすく説明されております。それぞれの財務諸表を有機的に関連づけながら分析することは大変重要であります。本日はそうした観点から幾つかの質問をしたいと思います。
 そこでまず、一五ページの行政コスト計算書におけます当期収支差額について伺います。民間企業であれば、損益計算書の収益から費用を差し引いた収支の黒字をふやすことを目的に経済活動を行っているわけでございますが、行政コスト計算書における収支差額は、民間企業における収支差額とは当然のことながら意味合いが異なっております。今回の行政コスト計算書の当期収支差額の収入超過額、約一兆一千億円、これについて、ともすると、この金額をもって単純に行政としての財務状況が良好で余裕があるとの誤解がなされかねないわけでありますが、こうした誤解は、東京富裕論を招きかねないので注意が必要であります。ここでは、行政コスト計算書の収入超過部分の意義は何であり、それをどのように活用してきたかが重要であります。そこでまず、行政コスト計算書の当期収支額の収入超過額の意義と活用状況について、わかりやすく説明していただきたいと思います。

○長谷川主計部長 行政コスト計算書における当期収支差額は、経常的な行政サービス活動にかかる収入と費用との差し引きを示すものでございまして、ここには、社会資本の整備などの資産の形成にかかる収支は含まれてございません。したがいまして、当期収支差額がプラスであるということは、経常的な行政サービス活動の費用が税収などの範囲内で賄われているということを示しておりますけれども、その黒字額自体が財政上の余剰を示すものではございません。
 当期収支差額の収入超過額は、財務諸表上、貸借対照表の正味財産の増加に反映するものでございまして、二十年度の正味財産の増加は、そのほとんどが、この当期収支差額の増加によっております。正味財産の増加は、資産の増加と負債の減少によって生ずるものでございまして、具体的には、資産の増加は、主に都市インフラの整備、更新や将来の需要に備えた基金の積み立て。負債の減少は、主に都債残高の減少でございますので、当期収支差額は、これらに寄与しているものというふうに考えております。

○上野委員 ご答弁ありましたように、この当期収支差額の収入超過額が、財政上の余剰を示すものではなくて、都民にとって必要な都市インフラ整備や基金積み立て、都債残高の圧縮など、将来への備えに有効に活用されてきたことが理解できたわけでございますが、ここで重要だと思うのが、行政コスト計算書の当期収支差額が、基金や都債、社会インフラ整備という形で、単年度の財政運営という枠を超えて、将来世代の財政運営にも影響を及ぼしている点であります。
 今回の年次財務報告書の二七ページには、新たに、財務諸表から見る受益と負担のイメージという観点からの分析が行われております。ここでも指摘されておりますように、都債残高の圧縮は、将来世代の負担の軽減につながるものであり、基金積立金は、次年度以降の受益として成立することができます。また、当期収支差額を活用した社会インフラ整備の便益は、将来世代も享受することになりますが、同時に、維持管理や更新にかかわる負担も生ずることになるわけであります。
 従来の官庁会計は、単年度主義に根差しておりまして、こうした将来世代の受益と負担という中長期的な時間軸の中で、財政運営をとらえることが困難でありました。このイメージ図では、行政コスト計算書と、貸借対照表を有機的に関連づける中で、中長期的な時間軸の中での財政運営を視覚的に整理しておりまして、大変有意義な分析であると思います。
 将来世代の受益と負担と関連いたしまして、今後の都政の大きな課題に社会資本ストックの維持更新の問題があります。これも先ほどの意見等もありましたけれども、今後、高度経済成長期やバブル期を中心に整備された社会資本ストックの老朽化が進んでまいります。そのため、機能維持のための維持管理コストが増大していくことが見込まれます。それとともに、計画的な更新も必要になってくるわけであります。その一方で、今後急速に少子高齢化が進んでまいりますと、将来世代の負担能力は長期的には低下していくことが見込まれるわけであります。したがいまして、このような状況にあっては、新たな公会計制度の視点を取り入れながら、現役世代と将来世代の受益と負担のバランスにも配慮して対応する必要があると考えますけれども、見解を伺います。

○長谷川主計部長 ご指摘のとおり、道路、橋梁などのインフラ資産、あるいは行政財産といった社会資本ストックの維持更新は、今後の都政における非常に大きな課題の一つでございます。社会資本ストックの更新の必要性は、一定の目安ではございますけれども、財務諸表上、減価償却累計額となってあらわれてまいります。減価償却累計額は、年数の経過による社会資本ストックなどの資産価値の減少コストである減価償却費が貸借対照表上に累積計上されたものでございまして、社会資本ストックが老朽化していることを意味するものでございますけれども、十八年度からの三年間の推移を見ますと一貫して増加しております。
 減価償却累計額の増加は、将来の社会資本ストックの更新需要の増嵩を意味しておりまして、したがって、将来必要な財源をどのように確保するかが、財政運営上の課題となってまいります。
 一方、お話のとおり、今後生産年齢人口の減少が予測され、将来世代の負担能力が長期的には低下しているということが見込まれる中にありまして、こうした需要に的確に対応していくためには、将来世代の受益という観点とあわせまして、世代間の負担の公平性を考慮することがますます重要になってくると認識しております。
 このため具体的には、資産の長寿命化や維持管理コストの低減などによる将来世代の負担そのものの軽減を図ること。これとともに、財務諸表の分析などを通じまして、世代間における受益と負担のバランスに留意しながら、基金の積み立てや都債発行の抑制などで培ってまいりました財政の対応力を効果的に組み合わせて活用することによりまして、都民の共通財産であります社会資本ストックの維持更新を着実に行っていくことが必要と考えております。

○上野委員 ただいま、ご答弁いただきましたように、新たな公会計制度の視点を取り入れながら、中長期的視点に立って基金や都債を適切に組み合わせ、将来に向けて、現役世代がしっかり準備しておくべきものと、将来の我々の子どもや孫に任せるべきものとのバランスを、少子高齢社会の中で十分に考慮することが大変重要であると思います。
 次に、東京都の資金の状況について伺います。キャッシュ・フロー計算書は、資金の流れを、行政サービス活動、社会資本整備等投資活動、財務活動、この三つに区分しておりますが、各区分別に現金収入と現金支出の流れを整理することで、従来の官庁会計とは異なり、より多面的な分析が可能となったわけであります。そこでまず、一九ページの図にあります行政活動キャッシュ・フロー収支差額、いわゆるフリー・キャッシュ・フローの推移について質問したいと思います。
 行政活動キャッシュ・フローの収支差額は、通常の行政活動や社会資本整備にかかわる現金収支でありまして、ここには、都債の借り入れや償還など、財務活動に関する部分は含まれておりません。この行政活動キャッシュ・フロー収支差額は、十八年度時点では約九千億円あったわけでございますが、十九年度時点では、約四千億円、二十年度時点を見ますと約三千億円にまで減少しております。そこで、十八年度から二十年度にかけて、行政活動キャッシュ・フロー収支差額が大幅に減少している、この点につきまして、どのような分析評価をされているのか見解を伺います。

○長谷川主計部長 ちょっとかみ砕いて申し上げさせていただきますと、行政活動キャッシュ・フロー収支差額、これを経常的な行政サービス活動に伴う収支と、社会資本整備等投資活動の収支の二つの側面に分けて分析いたしますと、十八年度から二十年度にかけて、社会資本整備等投資活動の収支差額に大きな変動がございます。十八年度の社会資本整備等投資活動収支差額は、約四千億円の支出超過でございましたけれども、十九年度は約九千億円の支出超過、二十年度は約八千億円の支出超過と、十八年度に比べて支出超過額が拡大しており、これが行政活動キャッシュ・フロー収支差額の減少に大きく寄与しております。
 この要因といたしましては、そもそも社会資本整備等投資活動収支においては、基金への積み立ても支出として計上されておりまして、この三年間を見ますと、基金の積立額が、十八年度が二千億円だったのに対しまして、十九年度は約七千億円、二十年度は約五千億円と大きく増加したことによるものでございます。このように、行政活動キャッシュ・フロー収支差額が大幅に減少しているということでありますけれども、決して資金繰りが悪化したということではございませんで、むしろ将来を見据えた財政基盤の強化に積極的に取り組んだ結果であるというふうに評価できるものと考えております。

○上野委員 よくわかりました。
 次に、キャッシュ・フロー計算書の財務活動収支差額の推移についてお伺いいたします。
 一九ページの図にあるとおり、十八年度から二十年度にかけて、いずれの年度も財務活動収支差額はマイナス、すなわち支出超過になっておりますが、十八年度の財務活動収支差額が約八千億円の支出超過となっており、また十九年度、二十年度の支出超過額に比べますと際立って高い水準にあります。そこで、十八年度から二十年度の財務活動収支差額の推移から、どのような分析、評価をされているのか見解を伺います。

○長谷川主計部長 財務活動収支差額は、十八年度から二十年度にかけて、お話のとおりいずれの年度も支出超過になってございますけれども、このことは、都債の発行額を都債の償還額が上回っていることを意味しております。特に十八年度の支出超過額が約八千億円と高い水準にありますのは、減債基金の積立不足の解消に努めたことなど、一時的に支出が増加したことによるものでございます。
 減債基金の積立不足につきましては、これは過去において臨時的な財源対策として、積み立てを行わなかったということによって生じたものでございますけれども、十八年度末までに積立不足の大半が解消されまして、十九年度末までに全額が解消されたところでございます。これによりまして、一時は、約一兆円にも達しておりました、いわゆる隠れ借金、これの処理もおおむね完了したものでございます。
 いずれにせよ、この間の財務活動収支差額の推移からもわかりますように、これまで都債発行の抑制や着実な償還により、都債残高の圧縮に努めてきておりまして、これによりまして、将来世代の負担の軽減が図られているというふうに認識しております。

○上野委員 財務活動収支差額の推移にも、減債基金積立不足の解消などの財政健全化に向けた取り組みが反映しているということがわかりましたし、また、行政コスト計算書や貸借対照表の分析に加え、キャッシュ・フロー計算書の分析評価をお聞きいたしまして、これまで都が直面する諸課題に積極的に対応しながらも、基金を着実に積み立て、都債の発行余力の確保にも努めてきたことがよくわかったわけでございます。このことは、まさに行政コスト計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書が相互に有機的に関連していることを物語っているものと思います。
 これまで答弁いただきましたように、従来の官庁会計では把握できなかった情報が、複式簿記・発生主義会計による公会計制度の導入によって明らかとなりました。多面的な分析が可能になったわけでございます。特にストック情報やキャッシュ・フロー情報を把握することで、中長期的な時間軸の中での財政分析を行うことが可能になったことは極めて重要なことであると考えております。
 これまで東京都は、地方自治体における公会計制度改革のパイオニアとして走り続けてきているわけでございますが、パイオニアであるからこそ必然的に苦労も大きく、同時に注目を浴びる存在でもあるのだと思います。
 今回の年次財務報告書は、内容的にも一層充実改善が図られております。より質の高い分析が行われているわけでございますが、今後とも、新たな公会計制度の成果を高めていくためにも、この充実改善の歩みをとめることなく一層の努力を重ねていただきたいと思うわけでございます。
 最後に、今後の公会計の活用に向けました局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○村山財務局長 公会計制度の活用についてのお尋ねでございます。三年目になりまして、今のご質疑の中でも、三年間の数字を、いわば並べてのご質疑をいただいたわけでございますけども、三年目になりまして、私、公会計の活用のステージが少し変わってきたといいましょうか、バージョンアップしてきたんだなというふうに、今伺いながら、非常にその感を強くいたしました。
 公会計制度が導入されたことによりまして、減価償却累計額であるというような、いわばこれまでの官庁会計のみでは捕捉することができなかった時間のコストといいましょうか、時間の影響というふうなことについて把握できるようになりまして、これによりまして、ご指摘をいただいた、現状というものが将来にどういう影響を与えるんだと、それを踏まえた上で、今日それに対してどう対応していかなければいけないのかというようなことについても、計数として把握をし、それに基づいた具体的な議論を、中長期的な時間軸の中で議論をし、方針を立てることが可能となり、またそれが求められることがはっきりしてきたということがいえます。
 あわせて、今日都財政が置かれた状況をより客観的に把握できるようになった結果、少子高齢化で、ありていにいえば、税金を納めていただける方が、将来、余り多くなくなっていくというような状況も想定しなければならない中で、主計部長からご答弁申し上げたように、現役世代と将来世代が、受益と、それからそれに対応する負担についてどういうふうに役割を分担していかないと、安定的な東京づくり、あるいは東京の維持管理、あるいは都民生活の安定、それから都財政、それを支える都財政の安定というものが実現できるのかできないのかというふうなことについても、そういった時間軸の中で分析を深めて考えていくことが可能になったというふうに思っております。
 同時に、その行政活動キャッシュ・フロー収支差額や財務活動の収支差額の推移などについて、三年間の数字をご指摘をいただいたわけでございますけれども、そういう意味では、経年変化を分析する中にあって、この間、東京都が、将来そういう想定されるいろいろな変動要素に備えて、実際に何をやってきたんだよと、中長期的な施策を支える強固な財政基盤といつもいってきている、申し上げてきているわけでございますけれども、そのためにどういうことを、どういうふうに具体的にやってきて結果を残してきたんだということが、いわゆる官庁会計ではわからない部分も含めて、ここでは明らかになってきているわけでございまして、私どもにとって見ると、なかなかつらい会計システムが定着しつつあるなという印象を、率直に申し上げれば、そういう面もないわけではないぐらいに、よくわかるようになってきたというふうに感じているところでございます。
 そういう意味では、私ども今日、都財政を取り巻く環境が非常に厳しくなって、将来に向けてもいろいろなことがあるわけでございますけれども、そういう外部環境の中で、これからどうしていくのかということについて、我々にとって非常に必要不可欠な手段であるとともに、それらの点について、議会の皆様方、都民の皆様方からご評価をいただいてご議論いただく上でも、非常に有意義な、そういういい方をすれば、あえて申し上げればツールというような意味においても大切だということが、私としては非常に実感を、今回三年目になりまして、しているところでございます。
 もちろん、ご指摘いただきましたように、データを示すだけではなくて、そのデータ自体を評価検証して、関連づけて、複眼的な視点で分析をするということが大事で、バージョンアップをさらに強めていかなければいけないというふうに思っておりますので、先ほど申し上げましたように、本定例会の代表質問で質疑がございましたように、事務事業評価というものにおいて、公会計手法も活用した分析を取り入れるなど、そういう意味での活用方法のさらに広がりというものも今後追求してまいりたいというふうに思っておりますので、いろいろご指摘、厳しいご指摘をいただきつつ、私どもとしても、よりちゃんと腹を据えた財政運営に取りかかる手法として、今後ますます公会計制度の活用、あるいは開発向上に努めてまいりたい、かように考えております。

○中屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中屋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時七分散会

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