財政委員会速記録第五号

平成二十一年三月十八日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長きたしろ勝彦君
副委員長西岡真一郎君
副委員長ともとし春久君
理事秋田 一郎君
理事遠藤  衛君
理事曽根はじめ君
伊沢けい子君
原田  大君
菅  東一君
高木 けい君
上野 和彦君
桜井  武君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
主税局局長熊野 順祥君
総務部長宮下  茂君
税制部長目黒 克昭君
税制調査担当部長宗田 友子君
調整担当部長木村 芳生君
課税部長長谷川 均君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長名倉  衡君
特別滞納整理担当部長松原 恒美君
収用委員会事務局局長野口  孝君
審理担当部長太田雄二郎君

本日の会議に付した事件
 収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
 主税局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為 主税局所管分
・第三号議案 平成二十一年度東京都地方消費税清算会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十二号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・第四十三号議案 東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成二十一年度地方税制の改正について
請願陳情の審査
小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
(1)二〇第一五号
(2)二〇第一八号
(3)二〇第二一号
(4)二〇第二四号
(5)二〇第二七号
(6)二〇第三〇号
(7)二〇第三五号
(8)二〇第三八号
(9)二〇第四二号
(10)二〇第四五号
(11)二〇第四八号
(12)二〇第五一号
(13)二〇第五五号
(14)二〇第五八号
(15)二〇第六一号
(16)二〇第六四号
(17)二〇第六七号
(18)二〇第七二号
(19)二〇第七五号
(20)二〇第七八号
(21)二〇第八一号
(22)二〇第八四号
(23)二〇第八七号
(24)二〇第九〇号
(25)二〇第九三号
(26)二〇第九六号
(27)二〇第九九号
小規模非住宅用地の固定資産税・都市計画税の減免措置の継続に関する請願
(28)二〇第一六号
(29)二〇第一九号
(30)二〇第二二号
(31)二〇第二五号
(32)二〇第二八号
(33)二〇第三一号
(34)二〇第三六号
(35)二〇第三九号
(36)二〇第四三号
(37)二〇第四六号
(38)二〇第四九号
(39)二〇第五二号
(40)二〇第五六号
(41)二〇第五九号
(42)二〇第六二号
(43)二〇第六五号
(44)二〇第六八号
(45)二〇第七三号
(46)二〇第七六号
(47)二〇第七九号
(48)二〇第八二号
(49)二〇第八五号
(50)二〇第八八号
(51)二〇第九一号
(52)二〇第九四号
(53)二〇第九七号
(54)二〇第一〇〇号
商業地等の固定資産税等の負担水準上限を六五%に引き下げる軽減措置継続に関する請願
(55)二〇第一七号
(56)二〇第二〇号
(57)二〇第二三号
(58)二〇第二六号
(59)二〇第二九号
(60)二〇第三二号
(61)二〇第三七号
(62)二〇第四〇号
(63)二〇第四四号
(64)二〇第四七号
(65)二〇第五〇号
(66)二〇第五三号
(67)二〇第五七号
(68)二〇第六〇号
(69)二〇第六三号
(70)二〇第六六号
(71)二〇第六九号
(72)二〇第七四号
(73)二〇第七七号
(74)二〇第八〇号
(75)二〇第八三号
(76)二〇第八六号
(77)二〇第八九号
(78)二〇第九二号
(79)二〇第九五号
(80)二〇第九八号
(81)二〇第一〇一号
小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情
(82)二〇第四七号
(83)二〇第五二号
(84)二〇第五五号
(85)二〇第五八号
(86)二〇第六三号
(87)二〇第六八号
(88)二〇第七一号
(89)二〇第七四号
(90)二〇第七七号
(91)二〇第八〇号
(92)二〇第八三号
(93)二〇第八七号
(94)二〇第九〇号
(95)二〇第九三号
(96)二〇第九七号
(97)二〇第一〇〇号
(98)二〇第一〇三号
(99)二〇第一〇六号
(100)二〇第一一一号
小規模非住宅用地の固定資産税・都市計画税の減免措置の継続に関する陳情
(101)二〇第四八号
(102)二〇第五三号
(103)二〇第五六号
(104)二〇第五九号
(105)二〇第六四号
(106)二〇第六九号
(107)二〇第七二号
(108)二〇第七五号
(109)二〇第七八号
(110)二〇第八一号
(111)二〇第八四号
(112)二〇第八八号
(113)二〇第九一号
(114)二〇第九四号
(115)二〇第九八号
(116)二〇第一〇一号
(117)二〇第一〇四号
(118)二〇第一〇七号
(119)二〇第一一二号
商業地等の固定資産税等の負担水準上限を六五%に引き下げる軽減措置継続に関する陳情
(120)二〇第四九号
(121)二〇第五四号
(122)二〇第五七号
(123)二〇第六〇号
(124)二〇第六五号
(125)二〇第七〇号
(126)二〇第七三号
(127)二〇第七六号
(128)二〇第七九号
(129)二〇第八二号
(130)二〇第八五号
(131)二〇第八九号
(132)二〇第九二号
(133)二〇第九五号
(134)二〇第九九号
(135)二〇第一〇二号
(136)二〇第一〇五号
(137)二〇第一〇八号
(138)二〇第一一三号

○きたしろ委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の予算の調査並びに主税局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言をお願いいたします。

○ともとし委員 収用委員会事務局の二十一年度予算案に関連して、質問をさせていただきます。
 収用委員会は、非常に公共性の高い道路事業あるいはまた任意の用地買収が困難な場合に、公正な、あるいはまた迅速な紛争処理を行う、事業に必要な用地取得を可能にすることで事業を前進させるという、ある種の重要な役割を担っていると思います。
 首都圏については、道路のネットワークの一翼を担う圏央道の事業について、かなりいろんな観点からご努力をされたということも聞いておりますが、一つ一つ解決をさせることによって、圏央道の都内区間の完成にめどが立ってきているのかなというふうに思っております。
 私の地元は足立区なんですが、この足立区でも、都内でも有数な舎人公園というのがあるわけですが、ここは震災があった場合、即、救助活動の拠点ともなるべき場所にもなっております。しかしながら、同様な趣旨でいまだに買収に応じない、そうした場所等もあるわけですが、現状、既に収用委員会等にお願いしたものについてはすべて解決がついているというふうには聞いておりますけれども、今後、「十年後の東京」計画等も示されているように、さまざまな道路あるいは公園など都市インフラの整備が必要になってくると思います。ある意味では、収用委員会が働かざるを得ないような、そういう場面も今後とも出てくるのかなというふうに思いますけれども、二十一年度の予算の質疑でもありますので、まず、二十一年度の取扱事件数などをどのように見込んでいるのか、お伺いしたいと思います。

○太田審理担当部長 まず、取扱事件数の見込みでございますが、当委員会は、近年、「十年後の東京」計画で掲げられている区部環状道路の整備や鉄道連続立体交差事業の推進に伴う収用事件などを中心に、毎年度、おおむね百件を超える事件を取り扱ってまいりました。二十一年度は、これに加えまして、区のまちづくり事業関連で大量の裁決申請が予定されております。このため、取り扱う事件処理の件数は、過去最高でございました十四年度の百四十三件と同じ水準の事件数を見込んでおります。
 次に、取扱事件の内容でございますが、マンション事件のように、敷地が共有となっているため、権利者が多数存在し、意見の確認などにかなりの時間を要する事件や、土地の境界が未確定なもの、土地所有者と借地人との間で補償額の配分をめぐって争いがあるものなど、権利関係が複雑な事件がふえております。
 さらに、市街地再開発事業では、権利者が再開発に伴う従前資産の評価額に不満を持ち、収用委員会に適正な評価を求めて裁決申請するものなど、他の道府県の収用委員会ではほとんど取り扱うことのない事件も増加傾向にあります。
 このように、平成二十一年度は、取扱事件数の増加とともに、事件の内容から見て、複雑、困難な案件も増加していくことが見込まれております。

○ともとし委員 今、ご答弁があったように、複雑、しかも中身の厳しい、そういう内容の事件あるいはまた事案が、今後ともに多くあるのかなと。しかも、こうした事案は、年々多くなってきているというご答弁もいただいたわけですけれども、我々が今一番役所あるいはまた一般的な面でも危惧しているのは、団塊の世代というか、そういった人たちがどんどんどんどん定年退職していく。ある意味では、こういう収用委員会の事業というのは、専門性あるいはまた経験というものが物すごく重要視される職場かなというふうにも思っているわけですが、こういう仕事に本当に必要な知識あるいはまた経験を踏まえた人たちがどんどん卒業していってしまう、そういったことに対して、どのようにして専門性あるいはそういう知識を、後輩に、あるいはまた現在一生懸命職務を遂行していただいている人たちに承継しているのか、そういったことが非常に気になってきているわけですが、委員会として、事務局の職員体制の確保、と同時に事件処理能力の向上などについてどのように取り組んでいるのか、お聞かせ願いたいと思います。

○太田審理担当部長 先ほども申し上げましたように、二十一年度は過去最高水準の取扱事件数が見込まれることから、職員定数につきましては、全庁的に極めて厳しい状況にある中でございますが、定数増を認めていただくことによりまして、必要な職員体制の確保に努めてまいりました。
 また、当事務局の事務は専門性が非常に高いことから、十六年度に事務局の行動計画である収用制度活用プランを策定し、評価実務や法令解釈などの専門研修、過去の事件を素材として分析、検討を行うなど、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 さらに、昨年四月、事務局の人材育成基本方針を策定いたしまして、新たに他局から職員を受け入れる場合は、法律や補償に関する知識、用地事務の経験を有するなど、専門性の観点から一定水準にある職員を確保できるよう、庁内公募制人事などを積極的に活用しております。また、収用実務に関する専門的な知識を習得できる、より実践的な研修を実施いたしまして、さらに事件処理を検討する会議をOJTの場として活用するなど、職員の事件処理能力を高める取り組みも鋭意進めているところでございます。

○ともとし委員 事務局として、そうした知識の継承あるいはまた具体的なそうした一つ一つの出来事に対しての継承、さまざまな角度で努力されているということはよくわかりました。
 冒頭にも申し上げたように、非常に専門性の高い内容でもありますので、引き続き、職員のそうした体制づくりについてはご努力をしていただきたいというふうに思っております。
 何としても、相手も人であり、こちらも人であるという、その部分で、機械的にすべてを終わらすということのできない事業でもあると思いますので、よろしくお願いしたいなと思います。
 一六年のオリンピック・パラリンピック招致を目指して、今、東京都は挙げて十月二日を目指して招致運動を展開しているわけですが、この招致運動が功を奏して、具体的にそれらを実現させるということになると、三環状問題が当然出てくるのかなというふうに思います。
 知事も、国交省に対して、みずからが陳情に行く、そういったこともやっておりますし、これらのことを考えますと、インターチェンジや何かもあるというふうに、あるいはジャンクション等もあるわけですが、聞くところによると、四十ヘクタールの土地の取得がそういった場所については必要である。しかし、そこには約千棟からの建物があるというふうにも聞いております。それらについての移転だとか、さまざまな問題の交渉、これは大変なことになるなというふうに思うんですが、こうしたことを招致運動が功を奏したときには相当力を入れてやらざるを得ないという現状にあるのかなというふうに思います。
 今後の東京のまちづくりを推進していく上においても、収用委員会の役割というのはこれまた相当高くなるのかなというふうに思います。しかしながら、あくまでも、先ほども申し上げたとおり、相手は人ですから、人権を無視するようなことのないように、あるいはまた相手の意見を、十分に聞いているとは思いますけれども、それにも増してしっかり聞いていただきながら、納得いく内容の中で進めていくことが大事だというふうに思います。
 公平、公正な、しかも迅速な処理というものを、時間がまた追ってくるわけですので、そのことも踏まえながらお願いしたいと思っております。
 そうしたことの重要案件が引き続きこの二十一年度でもあるということを前提にいたしまして、最後に局長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○野口収用委員会事務局長 ご指摘いただきましたように、公正かつ迅速な事件処理と申しますのは、公共事業の円滑な推進という収用委員会に課せられました社会的要請にこたえるものでございまして、いずれにしましても、収用委員会が東京のまちづくりに果たすべき役割は非常に大きいものと認識しております。
 先ほども担当部長から答弁させていただきましたけれども、二十一年度は過去最高水準の事件数が見込まれるとともに、マンション事件など、これまでに比べ、複雑かつ困難な事件が増加しておりまして、収用委員会が直面する状況は一段と厳しくなっております。
 これに対処していくためには、事務局として必要な体制を確保するとともに、実践的な研修や職場内研修の取り組みの強化などを行って、事件処理能力の一層の向上を図るなど、あらゆる工夫を積み重ねていくことが必要でございます。
 東京のまちづくりに果たすべき重要な役割を踏まえまして、事務局といたしましても、収用委員会の活動をしっかりと支えまして、今後とも公正かつ迅速な事件処理に万全を期してまいります。

○きたしろ委員長 ほかに発言は……。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○きたしろ委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為、主税局所管分、第三号議案、第四十二号議案、第四十三号議案及び報告事項、平成二十一年度地方税制の改正について、並びに請願・陳情審査件名表に記載の整理番号1から138までの、請願二〇第一五号外二十六件の同内容の請願、請願二〇第一六号外二十六件の同内容の請願、請願二〇第一七号外二十六件の同内容の請願、陳情二〇第四七号外十八件の同内容の陳情、陳情二〇第四八号外十八件の同内容の陳情及び陳情二〇第四九号外十八件の同内容の陳情を一括して議題といたします。
 予算案、付託議案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮下総務部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、財政委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。要求資料第1号、個人事業税等の集約化に伴う職員体制の状況についてでございます。
 この表は、個人事業税等に関する事務を、区部二十三都税事務所から九都税事務所へ集約したことに伴う職員定数の状況をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、都税の軽減措置についてでございます。
 この表は、固定資産税等の軽減及び東京版環境減税について、対象件数及び影響額等をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○きたしろ委員長 次に、請願陳情について理事者の説明を求めます。

○目黒税制部長 お手元の資料第2号、財政委員会付託請願・陳情審査説明表に基づきまして、ご説明申し上げます。
 初めに、請願二〇第一五号外二十六件、小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置の継続に関する請願、請願二〇第一六号外二十六件、小規模非住宅用地の固定資産税・都市計画税の減免措置の継続に関する請願、請願二〇第一七号外二十六件、商業地等の固定資産税等の負担水準上限を六五%に引き下げる軽減措置継続に関する請願、陳情二〇第四七号外十八件、小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情、陳情二〇第四八号外十八件、小規模非住宅用地の固定資産税・都市計画税の減免措置の継続に関する陳情、陳情二〇第四九号外十八件、商業地等の固定資産税等の負担水準上限を六五%に引き下げる軽減措置継続に関する陳情についてでございますが、いずれも固定資産税及び都市計画税の軽減措置に関する内容でありますので、一括してご説明申し上げます。
 これらの請願及び陳情の趣旨は、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置、及び商業地等における固定資産税及び都市計画税の負担水準の上限を六五%に引き下げる軽減措置につきまして、平成二十一年度以降も継続することを求めるものでございます。
 恐れ入りますが、資料の一ページをお開きください。小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置の継続に関する請願でございます。
 この軽減措置は、住民の定住確保、地価高騰に伴う負担緩和の見地から、昭和六十三年度より、その税額の二分の一を軽減してきたものでございます。
 次に、五ページをお開きください。小規模非住宅用地の固定資産税・都市計画税の減免措置の継続に関する請願でございます。
 この減免措置は、過重となっている二十三区の非住宅用地の税負担を緩和するとともに、極めて厳しい経済状況下における中小企業への支援を行うため、平成十四年度から実施してきたものでございます。
 次に、九ページをお開きください。商業地等の固定資産税等の負担水準上限を六五%に引き下げる軽減措置継続に関する請願でございます。
 この軽減措置は、負担の不均衡を是正するとともに、全国に比べ過重となっている二十三区商業地等の負担の緩和を図るため、負担水準が六五%を超える場合に、条例により六五%の水準まで税額を減額するものであり、平成十七年度から実施してきたものでございます。
 これら三つの措置の平成二十一年度の取り扱いにつきましては、納税者に対し、いまだ税負担増を求める時期ではないこと等から、引き続き軽減措置を講じることといたしまして、所要の条例改正をお願いしているところでございます。
 なお、商業地等の負担水準の上限引き下げにつきましては、地方税法の適用が平成二十年度までとされており、現在、本措置の継続が盛り込まれた地方税法改正案が国会において審議中でございますので、同法案の成立後、速やかに所要の条例改正を行うこととしております。
 ただいま請願についてご説明申し上げましたが、一三ページの、小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情、一七ページの、小規模非住宅用地の固定資産税・都市計画税の減免措置の継続に関する陳情、そして二一ページの、商業地等の固定資産税等の負担水準上限を六五%に引き下げる軽減措置継続に関する陳情につきましては、それぞれ同趣旨の請願についてご説明した内容と同じでございますので、改めての説明は省略をさせていただきます。
 本件請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○きたしろ委員長 説明は終わりました。
 これより、先ほどの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
 ご発言をお願いいたします。

○高木委員 私からは、環境減税のことについてお伺いしたいと思います。
 都は、独自の政策減税として、本定例会に条例提案をされている次世代自動車の普及促進税制、それから中小企業等の省エネ促進税制を行うこととしております。そこで、改めて、今回、この二つの減税を行うことという方針を立てたこと、このことの考え方についてお伺いをしたいと思います。

○宗田税制調査担当部長 東京都税制調査会は、平成二十年度の答申において、温暖化など環境問題は喫緊の課題であり、環境配慮の視点を税制の仕組みの中に組み込むこと、できるところから実施していくことが重要であるとしております。
 今回の減税は、この答申を踏まえ、都の温暖化対策を税制面から支援するため、環境局と連携を図りながら実施するものでございまして、産業・業務部門向けの施策として、環境性能のすぐれた設備を取得した中小企業者に対する事業税の減免、運輸部門向けの施策として、次世代自動車に対する自動車税、自動車取得税の免除を行うものでございます。

○高木委員 今回の減税は、主税局が、都の重要な政策課題の一つである温暖化問題に対応するため、局間連携を図りながら行うというふうに聞いております。
 また、中小企業等の省エネ促進税制は、資本力や資金力の面で、大企業と比べれば対策がおくれざるを得ない状況にある中小企業等の温暖化促進策を求めてきた、これは我が党がずっと求めてきたことですけれども、その我が党の要望に沿うものであると考えておりまして、大変評価をしているわけであります。
 ところで、中小企業等の省エネ促進税制については、いまだ具体的な対象設備など制度の詳細が明らかになっておりませんが、今後、これがどのような制度になるのか、簡単に説明をしていただきたいと思います。

○宗田税制調査担当部長 中小企業等の省エネ促進税制は、中小企業等の自主的な省エネの取り組みを促進するため、中小企業等が環境確保条例におけるCO2削減義務対象外の事業所において、環境性能のすぐれた一定の設備を取得した場合に、一千万円を限度に、取得費用の二分の一を事業税額から免除するものでございます。
 対象となるのは、空調、照明等の設備で、今後、環境局が定める環境性能に適合する機器として指定されたものでございます。
 また、減税の適用に当たっては、環境確保条例に定める地球温暖化対策報告書制度と連携し、同報告書を提出していることを要件とする予定でございます。

○高木委員 このところの、昨今の経済環境のもとにおいては、中小企業の設備更新等はなかなか厳しい状況にあろうかなと思っております。この減税の効果をどのように見込んでいるのか、お伺いします。

○宗田税制調査担当部長 減免の対象となる空調、照明等の設備は、オフィス、工場等において広く設置されている設備でございまして、環境性能のすぐれたものに切りかえることにより、相当程度のCO2削減効果があるとされております。
 お話のとおり、経済環境は極めて厳しいところではございますが、この減免は、今後五年の間に取得した設備を対象としてございまして、省エネ診断や省エネ設備導入に係る融資など他の環境施策とあわせ、インセンティブ効果を発揮し、多くの中小企業の方にご利用いただけるものと期待しております。
 また、この減免の適用件数及び減収額でございますが、現存設備の耐用年数や減免対象設備の水準、中小企業の納税状況等を勘案し、五年間の累計で約四万件、二百億円を見込んでございます。

○高木委員 今、お話があったとおり、ぜひとも多くの中小企業の方にこの制度を活用していただきたいと思います。そのためには、税の減免の手続を含めて、できるだけ早く制度の詳細が明らかにされて、十分に周知をされることが重要であろうというふうに思っております。
 今後、PRを含めてどのように取り組んでいくつもりなのか、お伺いします。

○宗田税制調査担当部長 より多くの中小企業の方にこの制度を活用していただくためには、制度の詳細を早期に明らかにするとともに、効果的なPRを行っていくことが重要でございます。
 今後、環境局と連携を図りながら、中小企業団体や納税者団体等を対象とした説明会をできるだけ早く開催するとともに、ホームページ、パンフレットなどの広報媒体を積極的に活用し、周知を図っていきたいと考えております。

○高木委員 ぜひPRに積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、この制度をさらに実効あるものとするには、区市町村との連携も極めて重要であると思っております。例えば、次世代自動車の導入促進税制については、軽自動車税の軽減もあわせて実施するということが、当然、有効なんではないかと思っておりまして、課税自主権の問題もありますけれども、区市町村への働きかけをぜひしていただきたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○宗田税制調査担当部長 お話のとおり、軽自動車税は、区市町村が課税権を有しておりまして、各自治体が課税自主権に基づき判断することとなりますが、温暖化対策の推進には、都民、事業者に身近な区市町村との連携が重要でございます。今後、関係局に働きかけてまいりたいと考えております。

○高木委員 一つの事例ですけれども、私のところの北区で、電気自動車の軽自動車税の減免という、かつて条例があったんですよ。そのときに、実は軽自動車の電気自動車というのは開発されておりませんで、平成六年にたしか条例廃止になったというふうに私は記憶しているんですが、今回改めて、東京都でこういう制度をおつくりになられて、やられるということになりましたので、先般の区議会で、私どもの自由民主党の区議団に、私、お願いしまして、ぜひ区議会でもこの問題を取り上げてほしいと。軽自動車税の減免について、東京都がこういう制度をつくるんで、北区でもやってほしいということを問題提起してもらいました。
 ただ、課税と税収とのこともありますし、当然、予算も組んでおりますから、なかなかいいお答えをいただけないんですけれども、しかしながら、東京都がこういうことをやっていくということをきちんと丁寧に説明していけば、各区市町村でも、それだったら、CO2削減、環境対策という意味で、東京都と歩調を合わせてこういうことをやっていこうかという動きも、私は出てくるのではないかなというふうに思っておりますから、ぜひその点、ご留意していただいて、PRに努めていただきたいし、区市町村にも、課税自主権の問題というのがありますから、どこまで働きかけができるのかということがありますけれども、ぜひ連携して取り組んでいただきたいなというふうに要望しておきたいと思います。
 もう一つ、環境減税とは別なんですが、二十一年度の国の方の税制改正との関係において、幾つか質問させていただきたいと思います。
 現在、国会において、予算及び予算関連法案が審議されておりまして、二十一年度の税制改正で地方に大きな影響のあるものというのが幾つかあるように思いますが、どのようなものがあるのか、教えていただきたいと思います。

○目黒税制部長 平成二十一年度税制改正のうち、地方税関係の主なものといたしましては、個人住民税において、所得税の住宅ローン控除適用者を対象に、所得税から控除し切れなかった住宅ローン控除額につきまして、一定額を限度に、翌年度分の個人住民税から控除する制度を創設すること。固定資産税、都市計画税において、宅地等に係る負担調整措置及び商業地等に係る条例による減額制度を継続すること。また、商業地等及び住宅用地について、新たな条例減額制度を創設すること。道路特定財源の一般財源化に伴い、自動車取得税及び軽油引取税を目的税から普通税に改め、使途制限を廃止すること。自動車取得税において、低燃費車及び低公害車等の取得に係るものについて、三年間に限り、新車の電気自動車等は全額免除するなどの拡充を図ることなどがございます。

○高木委員 都は、去る一月十六日に、固定資産税等の三つの軽減措置を継続することと同時に、近年の地価上昇による税負担を緩和するため、新たな条例減額制度を実施することを明らかにされたわけであります。
 そもそも、この新たな条例減額制度は、我が党が昨年の第三定例会及び第四定例会で東京都に強く要望してきたことでありまして、その制度が国の税制改正に盛り込まれ、それを都が最大限活用して実施することになったという流れであると私は理解しておりまして、これも大変高く評価しているところであります。
 これに関して幾つか質問するんですが、まず、新たな条例減額の概要についてお伺いをします。

○目黒税制部長 新たな条例減額制度は、平成二十一年度税制改正で新たに創設される予定の制度でございまして、地方団体が定める条例により、税額の上昇割合を一定の範囲内まで抑制することができるというものでございます。
 具体的には、固定資産税、都市計画税について、平成二十一年度から平成二十三年度までの税額が、前年度税額に一・一倍以上で、条例で定める割合を乗じて得た額を超える場合には、当該超える額を減額することができる措置でございます。
 したがいまして、条例で税負担の上限割合を一・一と定めた場合、税額上昇率を一〇%で頭打ちにすることができるものでございます。

○高木委員 次に、この制度を都が導入することの意義と背景を改めて伺います。

○目黒税制部長 足元の地価は下落傾向にあるものの、平成二十一年度の評価替えでは、都心部を中心に区部のほぼ全域で評価額が上昇し、これに伴い、税額も上昇する見込みとなってございます。特に、二十三区の商業地等におきましては、約九割の土地で税負担が引き上げとなり、また、約六割の土地で一〇%以上の税額上昇が見込まれるところとなってございます。
 こうした状況は、全国では商業地等の約九割、住宅用地の約八割の土地で、税負担が据え置きまたは引き下げとなるのとは対照的なものでございます。
 地価が下落傾向にあり、また景気悪化により都民の税負担感が高まる中、税額上昇率を一定水準以下に抑える今回の措置を導入することは、極めて有効であると認識しております。

○高木委員 ただいまの答弁で、こういう制度、この措置を導入することが、現下の情勢の中で極めて有効だと、まさにそのとおりだと思うんですね。
 私は、今回の制度ができたということは、税制において大変大きな一歩だというふうに思っているんです。ですから、冒頭に申し上げたように、高く評価をしているんですね、この制度ができたこと自体は。
 ただ、これ、突き詰めて考えていきますと、先ほど環境税制のところで申し上げましたけれども、課税自主権とのかかわりの中で、国が上限を一・一に決めているというのは、税理論として私はおかしいんじゃないかとずっと思っているんですよ、この話を聞いたときから。このことをどこかでブレークスルーするというか、本来的にいえば、打ち破ってほしいな。つまり、一〇%ということではなくて、本来的には、もっと低くしたっていいじゃないかとか、そういういろんなアイデアがあっていいんだと私は思うんですよね。
 ですから、このことというのは、一つの大きな一歩だったというふうに私は評価していますし、ぜひこれからも続けていただきたいと思うんですけれども、根本的に、課税自主権とのかかわりの中で、こういうことがこれからもきっと出てくるんでしょう。その時々に、いろんな意味で問題提起をしながら、やっぱり、地方は地方できちっと税制を統括していく。課税自主権があり、そして地方の実情に応じて税の効果を図っていく、そういうことが私は必要だと思いますので、これは意見ですけれども、申し上げておきたいと思います。
 都がこれからこの制度を実施することによって、具体的にどういう効果が期待されるのか、お伺いをしたいと思います。

○目黒税制部長 新たな条例減額制度導入の効果を最大限に発揮するため、都では、国会での法案成立後直ちに、専決処分により、税額上昇率を一〇%で頭打ちにする条例を制定する予定でございます。
 これにより、約六割の非住宅用地の税負担が緩和され、二十三区の非住宅用地の平均税額上昇率は、制度の適用がない場合の約一四・二%の上昇から、約九・五%の上昇にまで抑えられる見込みでございます。
 これに伴う減収額でございますが、固定資産税、都市計画税の合計で、約二百億円と見込んでございます。

○高木委員 環境減税も新たな条例減額も、社会経済情勢の変化や都民の税負担感を踏まえた、先導的できめ細かい対応であるというふうに評価したいと思います。
 百年に一度といわれる世界的な金融危機のさなかで、極めて厳しい景気状況において、大幅な税収減が見込まれる中、今後、こうした減税措置が続けられるのかということも、一方では私たちは心配をいたしております。
 新たな措置をこれから講じ続けることができるのか、この政策減税を今後どういうふうに取り組んでいくのかということを、基本的な考え方、決意も含めて、局長に最後にお伺いしたいと思います。

○熊野主税局長 政策減税は、一義的には都政の重要課題の推進を税制面から支援するというものではございますけれども、税制自体にとっても、地方分権という観点から、非常に重要な意義を有するものと考えております。それは、一言でいえば、先ほど先生からご指摘のありました、私どもに与えられた限られた課税自主権の行使という点でございます。
 ご承知のとおり、残念ながら、現行税制、その仕組みのほとんどが、国によって決定される中央集権的な税制となっておりますけれども、そうした中で、我々自治体に与えられた独自の税制の手段というのは、法定外税とか、あるいはこの政策減税、ごくごく限られたものが現実でございます。
 そうした中で、政策減税は、社会経済状況の変化に臨機応変に対応すること、また、東京の地域特性を踏まえた税制の手法としては極めて有効なものであるというふうに考えております。
 今回の固定資産税等の軽減措置の継続、それから先ほど来お話のありました条例減額制度、さらには耐震化促進税制あるいは東京版の環境税制なども、現在の景気動向や納税者の生活環境といった社会経済状況を踏まえた措置でございますし、また東京の地価の特性であるとか、あるいは東京で今何が重要課題であるか、そういった東京の地域性に根差した対応でございます。
 もとより、政策減税の実施に当たりましては、税収全体との関連に注意する必要がございますし、また、減税の効果あるいは税の公平性の問題等を十分吟味する必要がございます。また同時に、そういったことから、不断の見直しを行っていく必要があると思いますけれども、主税局といたしましては、税の確保に全力を挙げる一方で、政策減税に対しましても、関係局と連携しながら、今後ともその活用について検討していきたいと思っております。

○高木委員 今、局長からおっしゃられたことがすべてだと思いますけれども、改めて申し上げておきますけれども、当然、都政の政策と連動しながら、減税措置あるいは税制をいろいろな意味でつくり変えていくんだと思いますが、一方で、歳入の確保という部分でも大事なことですから、よく局長がおっしゃられる、東京都政の中で唯一の歳入主管局としてぜひ頑張っていただきたい。
 激励をさせていただいて、私の質問を終わります。

○原田委員 私から、東京都都税条例の一部を改正する条例に関して、特に自動車税、自動車取得税の減免を内容とする部分について質問をいたします。
 今、最後、局長の方からもありましたけれども、政策減税といったこと、当然、国においてもあるいはこうした自治体においても、しっかりと考えていかなければならないことでありますけれども、特に最近、ポリシーミックスといったような考え方も非常に強く出てきておりまして、さまざまな施策と組み合わせてやっていくと。物によっては、税制単独で何か効果を生むものもあるかもわかりませんけれども、そうした中で、政策減税といったものに対するとらえられ方、これまで以上に期待も大きくなっているし、また、求められるものもさまざまなものになってきているのではないかなと思っております。
 改めて、そもそも政策減税について主税局としてどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。

○宗田税制調査担当部長 都政におけるさまざまな政策課題は、先ほど局長が述べたように、第一義的には所管の事業局が施策により解決すべきものでございます。
 一方、税制は、課税自主権の行使として有効な手段でございまして、また、政策減税が政策目的を達成する上で有効な手段の一つとなる場合もございます。
 政策減税につきましては、減税の効果と税の公平とのバランス、税以外のより効果的な手法の可能性、税収への影響等を十分吟味し、行うべきものと考えております。

○原田委員 政策減税ということもあるんでしょうけれども、税の場合には、当然、課税ということもあるわけでございまして、そうしたことも含めて、今の税体系というものが社会にどういう影響を与えているのか、そして、物によっては今の税体系そのものを動かしていくことが、社会全体のさまざまな均衡を動かしていくことにもなるかと思いますので、例えば、税金を単なる補助金と同じような形で減税だけ見るということじゃなくて、全体の中でさまざまとらえていくといった視点もまた必要になってくるんじゃないかなと思っております。
 そうした観点も含めて、都の税収についての影響についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この自動車税、自動車取得税、それから軽自動車税だとか自動車重量税もあわせて車体課税ですよね。これは地方の重要な、貴重な財源になっているわけでございまして、これをきちんと確保していくといったようなことも大切であります。
 一方で、国の方の議論でも、特に自動車関係については、車体課税から燃料課税へ、そもそも体系そのものをシフトさせていこうといったような議論もある中で、今回のものについては、特定の車についてのみのものでございまして、全体的なものではございませんけれども、一部そうした流れにも乗っているような形のものでもあるわけでございます。
 そこで、そうしたことも踏まえてお伺いしておきますが、この政策目標及び都の税収への影響についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○宗田税制調査担当部長 今回の自動車関係の減税の対象でございますが、次世代の電気自動車と、プラグインハイブリッド、次世代の自動車でございますが、これは平成二十一年中に市場投入の予定でございます。
 環境当局においては、五年後に都内新車販売台数に占めるシェアを二%とするとともに、五年間の普及台数を約一万五千台とすることを目標としてございます。
 今回の減税は、この目標達成に向けて、環境局と連携して行うものでございまして、税収への影響額は、累計で、自動車税と自動車取得税合わせ、約三十億円と見込んでおります。

○原田委員 環境局の方で五年後にシェア二%といったような目標も立て、また普及台数が一万五千台、そのもとで計算すると、約三十億円の減収となるということでございますけれども、当然、貴重な地方の税収でもあるという観点も踏まえて、さまざまな手を打っていかなくてはならないわけでございます。
 今回も、ほかに、例えば別の部分でこの減収分を課税するということではなくて、減税分を先行させながらということでございますけれども、平成二十年の都税調の答申においても、さまざま環境税について議論されている中で、昨今の状況等も踏まえて、減税の方を先行させながら導入していくといったような趣旨のことがあるかと思います。当面、課税に優先して政策減税を検討するといったような文言だったかと思います。
 この都税調の答申、これまでさまざま出てきたわけでございますけれども、その中で、すぐ実行に移されているものもあれば、また引き続き検討されているといったものもあるかと思いますが、今回の改正に際して、都税調の答申がどのように参照されたのか、お伺いいたします。

○宗田税制調査担当部長 平成二十年度の都税調答申は、二十一世紀は環境の世紀ともいわれており、先ほど先生がおっしゃられたように、環境負荷の大きいものに対する課税強化とともに、環境に望ましいものに対する税の軽減など、幅広く検討していくことが必要であるとしてございます。
 また、我が国が目指すべきは、今後も、環境技術のトップランナーとして、世界の温暖化対策をリードすることであり、先端技術の開発、高性能製品の普及への支援が重要である旨を答申してございます。
 今回の減税は、こうした都税調答申の趣旨を踏まえつつ、環境局と連携を図りながら行うものでございます。

○原田委員 今回のものは、趣旨を踏まえつつといったことでございますけれども、せっかくいろいろな方々が集まって研究をされているわけでございますから、これからも、東京都全体の税制政策にとって資するものであると思いますので、活用していただければと思っております。
 ここでちょっと視点を変えてお伺いしたいんですが、そもそも、燃費のすぐれた自動車の導入というのは、経済的にそれを行う者にメリットを与えるものであります。当然、空調設備の更新でありますとか、新しい照明器具を入れるといったこともそうなわけでございますけれども、特に環境投資の中でも、コストの方が上回るというものではなくて、投資をすることによって得られる利益の方がそもそも上回っているものであると思います。いろいろコストカーブの研究などもされておりますけれども、大体、コストカーブで見ても、燃費のいい自動車の導入というのは、一般的に、コスト的なメリットもあるというふうなものとして受けとめられていると思います。
 減税によって、こうしたものに対して、さまざまなインセンティブを与えていこうということであれば、普通であれば、コストがかかるがために、なかなか民間ではそのままじゃ着手できないといったようなものに対して、それをまず減税のターゲットにしていくといったことが普通に考えられるのではないかと思いますが、こうした点についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

○宗田税制調査担当部長 燃費のすぐれた自動車が、燃料費の削減などコスト面でメリットがあることはご指摘のとおりでございます。
 今回、減税予定の電気自動車、プラグインハイブリッド自動車は、平成二十年中に市場投入が予定されているものでございまして、一般のガソリン車やハイブリッド車と比べていまだ高額でございます。燃料費の削減を織り込んでも、購入者の負担は相当大きいと見込まれております。
 都の普及目標である五年間で約一万五千台を達成するためには、何より購入者の負担軽減が不可欠でございまして、国や都の購入費補助等と連携して、減税を実施することが有効であると考えております。

○原田委員 こうした、そもそもコスト面でメリットがあるというものでありますので、税制部分の寄与度といったものがどの程度普及に対してあったのかといったことについては、ほかのものよりもはかっていくということが難しいわけでありますけれども、逆に、税収減ということを受けてまでこうした対策を行うということでありますから、その減税の効果をきちんと把握し、分析して、次に生かしていくといったことが大切になってこようかと思います。
 今回の減税の効果をどのように把握、分析しようとお考えなのか、伺います。

○宗田税制調査担当部長 政策減税につきましては、実施に当たり、その効果を十分に吟味するとともに、実施後において、所期の効果を発揮しているか、検証することが極めて重要でございます。
 今回の減税についても、適切な時期に、次世代自動車を購入した方に対するアンケート調査や販売業者への聞き取り調査を実施するなど、さまざまな方法で減税の効果を分析、検証したいと考えております。

○原田委員 そうした中間での調査でありますとか、あるいは今回、五年間の時限措置ということですので、終わった後の調査でありますとか、こうした調査は、本当に、非常に大切になってくるかと思いますので、ぜひきちっとした形で取り組んでいただければなというふうに思います。
 そうした中で、先ほどの質問ともちょっと関連しますけれども、そもそもハイブリッド車、今の現行のハイブリッド車が出てきたときにも、国の方で減税制度などもあったわけでございますけれども、当時は、そもそも、エコ対応の車といったものが市場にほとんど出回っていない中での減税でありました。今回、特定の車種を挙げることになってしまいますが、ホンダのインサイトという車が出てきて、この不況の中にあっても、予想を上回る受注実績を示しているといったようなことも聞いております。また、そのことによって、ライバル会社の方も価格を下げるであるとか、そういった市場メカニズムが今どんどんと働いてきていると。環境自動車全体に対して、そういった流れがあるように受けとめております。
 こうした社会的認知が高まっている中で、減税政策そのものの効果については、環境対応の自動車が出てきた当時そのものと比べれば、必要性は低下しているともいえるわけであります。その中でも、先ほど車体価格がまだまだ高いというお話もありましたけれども、そうであるならば、効果があるわけでありますが、きちんとこの辺の環境対応の車の市場の流れといったものを踏まえた上で、制度設計をこれからやっていかなければいけない時代に入ってきているのじゃないかなと思います。その辺の、どのような受けとめ方をされているのか、お伺いをいたします。

○宗田税制調査担当部長 ご指摘のとおり、エコカーに対する社会的認知は非常に高まっておりますが、今回、減税の対象となる次世代自動車は、そうしたエコカー、低燃費車の中でも、とりわけCO2排出量が少なく、環境負荷が低いため、その早期普及が自動車部門の温暖化対策として効果的であるとされております。
 一方、先ほど申し上げましたように、その価格はいまだ高額でございまして、例えばプラグインハイブリッド車の想定価格は四百万円と聞いております。
 また、次世代自動車は、お話のとおり、各自動車メーカーが先進技術を駆使し、開発を進めているものでございまして、その普及促進は、次世代をリードする環境ビジネスの振興にも資するものと考えております。
 こうしたことから、現在、購入費補助など、国、都を挙げてその普及促進に取り組んでいるところでございまして、今回の減税も、そうした環境施策と相まって、初期費用の軽減に大きな効果があり、必要性が高いと考えているところでございます。

○原田委員 最後にお伺いいたしますけれども、今おっしゃられているように、全般的にはあるけれども、その中でも、絞って見てみると、いろいろとまだまだ政策的に取り組む余地のある部分があるといったことも、今のお話のようにあるかと思います。ただ、そのことも、中間あるいは事後的に見直しを進めていくことによって、より市場動向に合わせていくといったことも必要かと思います。
 また、根本的に、そもそも、先ほど述べたような、例えば生物ディーゼルの導入でありますとか、バイオマス発電、風力とか、こうした現段階では投資額の方が上回ってしまうといったものに対する減税措置あるいはその他の措置の検討などもしっかりとやっていかなければいけないわけでございまして、今後、より税制上の取り組みが効果が上がる分野をきちんと研究し、そうした分野で施策を打っていくことが非常に大切だと思っております。
 税収においては、国税と地方税の差でありますとか、さまざまな制約条件があるかとは思いますけれども、都もできる範囲で、そうした本当に効果が出る分野を研究して、きちっと主税局としても税制対応としても施策を打っていくべきと思っておりますが、所見をお伺いいたします。

○宗田税制調査担当部長 今回の環境減税は、いずれも対象を絞って、関係局と連携を図りながら、また、ポリシーミックスという言葉がございましたが、他の環境施策と相まって行うものでございまして、インセンティブ効果を発揮するものと考えております。
 税の役割は、都の施策に必要な財源の確保でございまして、政策税制は、公平、簡素などの税の原則の例外として、真に効果的であると考えられる場合に限って、集中的に投下されるべきものと考えております。
 政策税制の活用につきましては、今後とも、こうした視点に立ちつつ、都税調を活用し、関係各局とも連携を図りながら、積極的に検討していきたいと考えております。

○ともとし委員 今までのお二人の質問等で重なる部分もありますので、私の方からは、そうしたものは割愛しながら質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど来の答弁を聞いていますと、減税策の中で、例えば環境減税一つ見ても、約二百億からの減税が見込まれている。あるいはまた、今、陳情請願、そうしたもので固定資産税等のそうしたものについても、これは毎年のようにやられているわけですが、二十一年度についてもおおむね五百億ぐらいのものが見込まれているのかなと思います。
 これは、毎年やられているこういう状況を見ますと、私たちの議員のうちにも、毎年のようにこの時期になりますと数十枚以上の、何としてもこれを継続してもらいたいというようなはがきが来るわけですが、できればこういったものは、もし毎年ということが慣例みたいな形になるのであれば、恒久化するという、そういった考え方もあるのかなというふうに思いますが、まずその辺についていかがでしょうか。

○目黒税制部長 固定資産税に係る三つの軽減措置を初め、都がこれまで継続している軽減措置の中には、商業地等の固定資産税及び都市計画税の負担水準の上限引き下げ措置のように、その根拠法自体が時限措置となっているものもございます。
 また、主税局では、いわゆる政策税制につきまして、導入後の景気動向や社会状況の変化、創設目的の達成状況、さらには財政状況等も踏まえまして、不断の見直しを行ってきているところでございます。
 したがいまして、固定資産税等の三つの軽減措置等につきましても、こういったものを恒久化するのではなく、今後とも一年ごとに景気動向や社会状況の変化等を勘案いたしまして、継続の可否を判断していきたいというふうに考えてございます。

○ともとし委員 国のそういったものが関連するわけですから、やむを得ない措置といえばやむを得ない措置かもしれませんけれども、こういうように毎年同じことの繰り返しということについては、これは担当局としてでも、国に対してやはりきちっというべきことはいっていくという、都民にとってそうしていただくことが、ある意味では非常にそういった時間帯を割くこともできるわけなんで、ぜひともお願いしたいなというふうに思いますが、相手は国でございますので、ひとつ知事でも動かしてやっていただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、今までの議論を聞いているだけでも、例えば先ほど来出ている環境減税だって二百億、固定資産税を初めとする三つの軽減措置で五百億、そのほかいろんなものがあるわけですが、そういったことを考えると、それじゃなくても経済状況が非常に厳しい中で、都税収入も大きく落ち込んでいるのが現状だというふうに思います。二十一年度も相当きつい、そういう内容になるかと思いますので、国に対して昨年三千億でしたっけ、出したところの例えば地方法人特別税ですか、こういったことに関しては、ある意味では取り返すというぐらいの気概で国にいっていくことも大事かな、そういうふうに思うんですが、四十七都道府県があるわけですが、首都東京でもあって、やはり他とは違うそういう内容のものもあるわけでして、財源を確保するということは非常に大事かというふうに思っています。
 その主管局であります主税局として、引き続き頑張ってもらわなければいけないわけですが、その辺の、高い徴収率を維持はしておりますけれども、そういったことも含めながら、局長の決意を聞いて終わりにしたいと思います。

○熊野主税局長 まず、お話にありました地方法人特別税についてでございますけれども、昨年、地域間格差の是正という名目のもとにこういう措置がとられたわけでございますけれども、一年もたたないうちに、そうした小手先だけの対応では何の効果もないということが露呈いたしまして、それに加えて、国もやはり交付税の増額という手当てをせざるを得なくなったということで、地方財政の困窮の原因はやはり交付税の削減にあったということが明らかになったと思っております。
 しかしながら、現実的には、この地方法人特別税は法律上抜本的な税制改正が行われるまでの暫定措置ということになっておりますけれども、その抜本的税制改正がいつになるのか、非常に不透明な状況になっておりまして、私どもも、いつまでこの措置がとられるのかという非常に危惧をしております。
 そうした中で、基本的には、この間の急激なリセッションの進行によって、都税収入もこういう状況になってまいりました。まさに去年の状況とは、もうこの措置の根底から変わってしまった、状況が変わってしまったというふうに認識しております。したがいまして、法律上は抜本的な税制改正が行われるまでの間という暫定措置ではありますけれども、その前提が大きく崩れた今、そういった改正を待つまでもなく、この措置の早期解消に向けて頑張っていかなきゃいけないと思っております。今後、都議会のお力もかりながら、国に強く働きかけていきたいと思います。
 それから、肝心の税収につきましては、やはり非常に厳しいという一言でございます。私どもといたしましては、税額の確保それからこれまで好調であった徴収率の維持、こういった面につきまして、さらなる徴税努力が必要であると認識してございます。
 昨年十二月に、こういった状況を受けまして緊急税収確保対策推進本部というのを局内に設置いたしまして、各都税事務所等に早期課税、早期調査の徹底、さらには区市町村との連携を指示したところでございます。今後とも、創意工夫を凝らしながら、全力で税収確保に向けて取り組んでいく所存でございます。

○曽根委員 最初に、減税の問題について何点かお聞きしたいと思います。
 まず、一昨年来私たちが主張しております個人都民減税の構想をもう一度ということについては、これは意見として申し上げておきたいんですが、この不況のもとで、東京都が一たんは構想し、また具体的な対象も明確にした個人都民減税については、改めて光を当てなければならないときに来ていると思うんです。というのは、生活保護以下の実質的な収入しかない世帯が都内に少なくとも八十万世帯ぐらいあって、しかも一方で生活保護世帯が急増している。やはり、汗水流して税金を納めていながら、実質生活はそれ以下になっているという方々が現に七%ぐらいの人口比でいるということは、私は非常に問題があると思うんです。
 それを一たん認めているわけですから、そこに対して、たとえ個人個人に減税される額は年間に一万円に満たないかもしれませんが、しかしそういう方々からは、つまり生活費まで税金が食い込んでいるわけですから、生活非課税という憲法の原則にのっとって、税金は、少なくとも東京都の税金はいただきませんと、この一たん確立した考え方をぜひ復活させていただきたい。財源的には七十億円という推計が出ています。東京都の全体の財政から見れば、確かにそんなに楽じゃないにしても、可能な額であるというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから二つ目に、請願陳情でも出されております固定資産税、都市計画税の減免の継続については、私どもは大いに賛成です。これは先ほども質問がありましたので、多くは申し上げませんが、現在の減免制度でも、都心のみならず、私の地元北区の方々、とりわけこの中で頑張っている中小商工業者の方々からは、現在の減免制度でもまだ苦しいという声が聞こえております。
 というのは、昨年秋からの急激な景気の悪化で、本当に仕事がない。半分以下もしくは全く注文がないなど、今までにちょっと考えられなかったような事態が中小企業の中に広がっていること。しかも、昨年秋までは、八〇年代のバブルほどではないにしても、地価の上昇がずっと続いておりまして、固定資産税にはこれからその地価上昇の影響がおくれて出てくるということで、ますます深刻さを増している状況ですので、ここについては改めて負担増を抑えるような努力、先ほどもありましたが、国への働きかけも含めて充実を求めておきたいと思います。
 それで、お聞きしたいのは、環境減税で、今回自動車について出されました。これについては私たちも大いに歓迎するんですが、私も都税調の一員で、税調の、環境税制についてはかなり積極的な答申が出たわけですね。政策減税として、エコ住宅、住宅に関する環境減税についても前向きの考え方がやはり示されていると思うんですが、この住宅に関する環境減税についても積極的に検討していっていいんじゃないか、一般論としてはどうかという点をまずお聞きしたいと思います。

○目黒税制部長 政策減税は、いわゆる減税ということで、例外的な措置を講じるものでございますので、政策目的をにらんだときに、どういう形で実施するのが一番効果的なのかといったこと等を、いろんな観点を踏まえて、できるだけ効率的な措置が講じられるようにというような視点で臨むのが基本的なスタンスというふうに認識をしてございます。

○曽根委員 それで、先ほどもちょっと出ていましたけれども、つまり、固定資産税の減額措置は非常に助かっているんだけれども、まだ決して十分というわけじゃなくて、六割ぐらいの方が一〇%以内の範囲ではやはり増額になってしまうわけですよね、今度の制度が実施されても。この増額自体だって相当重いわけです。
 そういうことに対して、さらなる固定資産税の何らかの減免措置ができないかということと、あわせて、東京都が今喫緊の最重要の課題の一つとしている環境問題での対策で、例えば環境確保条例の改正に伴って、太陽光パネルの設置に対して助成の制度が今度本格的にスタートするわけですが、それでも自己負担は出るわけですよね。この自己負担が出ることについて、今非常にやはり需要にブレーキがかかっているわけなんです。購買意欲が減退している。
 それで、この不況の中で、昨年環境確保条例を改正したときにはなかった事態として、この不況での、環境に非常にプラスになるとわかっているんだけれども、そういう設備を新たに導入することに対するブレーキがかかっていることを、もう一つ後押しすることによって、インセンティブを与えることによって促進できないかということが一つ。
 それから、私もマンション族の一人なんで痛感をしているんですが、マンションのように都内の世帯の四割以上を占めている集合住宅にこういった太陽光パネルなどの環境の設備を導入しようとすると、自己負担が伴うということについて、区分所有者が多数いるわけですね。なかなか足並みがそろわないというのが現実で、今の制度のままでは、確かに前進しているんですが、なかなか集合住宅への普及がまだまだ難しいんじゃないかという実感を持っています。
 そういう点で、もし固定資産税の一定期間でも減税が実現をすると、区分所有者がそれぞれ払う固定資産税のところで減税が行われるという意味では、非常にインセンティブになるんじゃないかというふうに思うんですが、具体的に例えば太陽光パネルを設置する上で、助成制度もありますけれども、残った負担をさらに軽くするための減税措置を、限定期間、いろんな条件をつけてでも導入するお考えはあるかどうか、お聞きします。

○目黒税制部長 固定資産税に限らず、政策税制といいますか政策減税につきましては、先ほども少し申し上げましたが、都の政策課題の実現を支援するために、事業部門における施策を補完するものだという認識が基本的なところなわけですが、せっかく太陽光パネルの話が出ましたので、それに当てはめて申し上げますと、家庭における太陽光パネルの設置につきましては、標準的な三キロワットの太陽光パネルを例にとって申し上げますと、平成二十一年度におきましては、国が二十一万円、都が三十万円、合わせて五十一万円の設置費補助が行われることとされておりまして、このほか、多くの区市町村におきまして設置費補助等を実施または検討中とされているものが結構ございます。
 また、国におきましては、電力会社による電力買い取りの義務化を盛り込んだ法案を今国会に提案しておりまして、買い取り価格につきましても、現行の二倍程度に引き上げる方針というふうに聞いてございます。
 さらに、こういった設備を設置いたしますと、電気料金の削減効果が生まれますので、そういったもろもろのことを考えますと、既に一定の環境は整っているのかなというふうに考えております。

○曽根委員 これから実施されるので、これでどの程度普及が進むかということも見ながら、政策減税については、先ほどもお答え、積極的に前向きに取り組むという姿勢も示されているので、引き続き、このパネルに限らず、今後新たなまた環境技術が恐らく開発されてくるでしょうし、開発されてこないと困るわけで、そういう点も含めて検討をお願いしたいと思います。
 次に、増税の話をします。
 東京都が行っている大企業などに対する法人事業税の超過課税は、たしか区市町村税の方は目いっぱいかけているということでしたよね、企業に対する。それで、法人事業税の方が、限度額が二割超過までかけられるんだけれども、現在五%ですか、やっている。それで、ここに国への法人事業税の国税化というのが入ってきて、やはりこの超過課税の仕組みも大きな影響を受けることになったわけですが、現在、制限税率いっぱいまで超過課税を行ったとしたら、どれぐらいの課税ができて、増収が可能なのかをお聞きしたいと思います。

○目黒税制部長 仮に制限税率で法人事業税の超過課税を行ったとした場合の、現行の超過課税による税収との差額につきましては、平成二十一年度当初予算ベースで申し上げますと、六百五十億円の増収になるものと見込まれます。

○曽根委員 これは、国税化されていなければ、法人事業税というのは来年度、東京都にどれぐらい見込まれたんでしょうか。

○目黒税制部長 法人事業税の一部国税化というものがなかった場合の状況を想定して試算をいたしますと、超過課税を目いっぱいやった場合の、今の超過課税をやっている水準からしてどれぐらい増収になるかというのを仮に試算いたしますと、千五百八十億円程度の増となると思います。

○曽根委員 国税化というのは影響がいろいろ出ているわけですが、これは仮にの話であって、まだ目いっぱいかけていないわけですが、やはり私たちは、国の問題が大きいですけれども、雇用破壊をもう率先して大企業はやっている。最初はやはり大企業が、経団連も持っているし、もう少しモラルを発揮していいんじゃないか、経団連としてもということを、経団連に乗り込んで申し入れもしたわけですよ。しかし、全然モラルを発揮してくれない。引き続き三月いっぱいまで、物すごい数の大量解雇、それから正社員まで今度は手をつけるという動きですよね。
 ですから、それでもって一方で内部留保があるということもはっきりしているわけですので、それをきちんと、法の範囲内で可能な課税でもって国民に還元させる。東京都でできることはこの超過課税がまず第一ですので、独自に課税できるわけですから、法人事業税の方で二割の限度額までかけて、少なくとも今の制度でも六百五十億円、国税化をなくせば千五百八十億円ですか、かけられるわけですので、これは本当にやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○目黒税制部長 法人事業税の超過課税は、大都市特有の財政需要に対応するため、一定の法人に対し、標準税率による通常の負担を超えた特別の負担を求めているものでございます。
 法人事業税の暫定措置の導入に伴い、都においては、各法人の法人事業税と地方法人特別税とを合わせた税負担に変更が生じないよう、超過税率を設定しているところです。
 お尋ねの超過税率の制限税率までの引き上げにつきましては、景気が急激に悪化している我が国経済の状況や法人の国際競争力の維持の観点から、適当ではないというふうに考えております。

○熊野主税局長 少し補足をさせていただきます。
 そもそも税については、税収が減ったから、税を取れるところから取ればいいという話では、そういう単純な話ではないというのはまずご理解いただけると思います。
 それで、大企業の場合には、大勢の従業員を抱え、その人たちの給料を払い、その人たちがまた消費に回し、また大規模な設備投資をして、それを請け負う業者がいて、また下請もたくさん抱えて、そこにはたくさんの従業員がいるというふうなことで、社会経済というのは非常に有機的につながっているということをまず忘れてはならないんだろうと思っております。
 そうした意味で、大企業の税負担がふえるということは社会全体に大変大きな影響を与えることになりますので、個人の増税と同様、やはり増税については慎重であるべきであろうというふうに基本的には考えておりますし、また、大企業といえども、やはり税負担についてはご理解をいただいた上で納税していただくというのが税の原理だと。そこが重要であろうというふうに考えております。

○曽根委員 今まで、目黒部長がお答えになったように、国際競争力の維持の観点から適当でないというのを、私、財政委員会になってからもう何年になるんでしょうか、四年か、ずっと聞かされてきて、まあそういう面もあるかなという感じはしていたんですよ。
 しかし、今日、国際競争力とは一体何ぞやと。輸出でもって大きく伸ばしてきた日本の産業が、今輸出に頼り過ぎたということでへこんでいるというときに、じゃ内需拡大じゃないかとみんながいうわけですよ、口をそろえて。しかし、その内需拡大は全然耕してこなかったというところに、やはり大企業にも社会的責任を持って目を向けてもらう、その何らかのインパクトのある政策が必要だろうということが一つです。
 それから、局長もお話しになりましたが、当然、税制をかける上では、それをちゃんと負担してもらうだけの適切な担税能力やそれから社会的な合意、それは当然です。それで、社会的合意という点では、私は、かつてに比べてもはるかに大企業の持っている内部留保についての国民的な認知が進んで、しかも株主優先的な経営のやり方など、国民の批判も非常に強いということで、ここの課税の条件は、環境は非常に整ってきているということは強調しておきたいと思います。(発言する者あり)
 いろいろご意見はあると思いますが、私どもは、やはり大企業はちょっとやり過ぎている。国民、特に非正規でさんざんもうけさせてもらって、不安定雇用の人を雇用してきた。このことに対する今の仕打ちは何だということは、私はいわせてもらいたいと思います。
 それで、最後にもう一つ、やはり都が持っている税制の仕組みの中で、大規模な企業の社会的責任を果たしてもらう方法がもう一つある。それは、法人事業税のいわゆる外形標準課税部分の拡大なんですね。これはやはり、何といいますか、東京都としても、大規模な事業展開をしている都内の企業が使っている公的なサービスなどに見合った課税がされていないということから、たしか課税のあり方の中で外形標準部分をふやしてきたんだと思うんです。こういう点からいうと、今日改めて外形標準課税部分の拡大充実を考えていくということも必要かと思いますが、いかがでしょうか。

○目黒税制部長 外形標準課税は、長年にわたる地方自治体の悲願が平成十五年度税制改正で実現をしたものでありまして、導入後約四年間経過をいたしまして、制度として定着してきたところでございます。地方税収の安定化を図り、税収の偏在を縮小するという観点からも、将来的には外形標準課税の割合を高めていくことが望ましいと考えております。
 しかしながら、現下の厳しい経済状況におきましては、現行制度を維持することが適当であると考えておりまして、今後、社会経済状況等を見据えて検討されるべき課題であると認識しております。

○曽根委員 現在のところは現行制度でと、しかし拡大をしていきたいというお考えのようなので、積極的にその方向での検討をお願いして、質問を終わります。

○桜井委員 先ほど来の質疑を承っておりまして、きのうの財政委員会は、自民党の面々の質問の中に、東京都の財政が極めて健全性を保ってきているということを非常に強く強調されておりましたが、全くそういう極めて健全な財政体質が現在の東京都にあるからこそ、さまざまな政策減税等もあると思うのでございますが、そういったものがやれる、またもっとやれというような議論も出てくるんじゃないかな、こう思いまして、改めて今までの、これはもう主税局もそうでございますけれども、長年にわたって東京都の財政の健全化に全力を挙げて努力をされてきたことに対しまして、改めて敬意を表します。
 きょう質問するのは、別に改めてのことではなくて、毎回毎回質問していることの念押しみたいなものになりますが、今回は二十一年度予算に関連しまして、法人事業税の暫定措置と税制の抜本改革について何点か伺います。これももう今まで何回も何回も伺ってきたことでございますけれども、極めて重要な課題でありますので、都度都度、確認を兼ねて質問をさせていただきます。
 平成二十一年度の都税収入の減収は、だれがいわれたのかは知りませんが、今は百年に一度といわれる経済危機の中で、七千五百億円の減収だということが見込まれる、過去最大である、こういうふうにいわれております。こうした中でありますと、さらに看過できない、見過ごすことができない、極端にいえば許すことができないということもいえるのは、法人事業税の暫定措置による減収があるわけでありまして、まず、法人事業税の暫定措置の概要と、それによって受けている東京都への影響を改めて答弁をお願いします。

○目黒税制部長 法人事業税の暫定措置は、地域間の税収格差の是正を名目に、平成二十年度の税制改正において創設をされたものでございまして、法人事業税の一部を地方法人特別税として国税化するとともに、その全額を地方法人特別譲与税とし、人口と従業者数を基準に全国都道府県に配分をするというものでございます。
 この措置による都への影響でございますが、平成二十一年度につきましては、法人事業税の一部国税化による減収が二千七百億円、譲与される地方法人特別譲与税額が一千億円でありまして、差し引き一千七百億円のマイナスというふうに見込んでございます。同様に、平年度ベースでは、現在の税収規模をもとに試算をいたしますと、約二千三百億円のマイナスというふうに見込んでいるところでございます。

○桜井委員 法人事業税の暫定措置は、当時の言葉を使いますと、地方を助ける。地方を助けるというふうに称して、東京など大きな都市から財源を吸い上げようとしたものでありまして、これはもう紛れもない事実です。しかしながら、その大都市が現在、景気悪化--景気悪化なんてものじゃないですが、その直撃を受けたため、地方を助けるという、そのためのいわば元手、すなわち地方法人特別税収も、当初の見込みよりたしか一兆円近く落ち込んでいると聞いております。一兆円近く落ち込んでいるんですね。当てにしておりました元手そのものが極端に少なくなってしまっているのが現実であります。
 きのうの新聞にも、総務省が発表しておりましたけれども、地方の財政の硬直化というんですか、非常に困っているということが書いてありましたけれども、地方の困窮という問題は、もはやこういうような小手先の手法で解決できないというところまで来ているわけであります。そればかりか、この措置が今後も長く続くようなことがあれば、東京ひいては日本全体が活力を失ってしまうことになりかねないと思います。
 経済危機という新しい状況に直面した今、知事も所信表明で述べておられますけれども、法人事業税の暫定措置の撤廃、これを改めて、今に始まったことじゃありませんが、改めて国に強く求めることが必要でありますが、この点についてはいかがですか。

○目黒税制部長 現下の経済危機に伴いまして、全国の法人事業税も大幅な減収となり、ただいま委員からご指摘がありましたとおり、都市から地方への移転財源の規模そのものも縮小しているのが実態でございます。また、国はこの間、地方交付税の総額を大幅に削減してきておりましたが、地方の困窮が深まる中、来年度予算におきましては一兆円を復元せざるを得なくなっております。こうした状況は、もはや都市の財源を奪うという小手先の手法では、地方の困窮やこの経済危機を乗り切ることができないことを意味するものでございます。
 このため、主税局におきましては、分権に逆行する法人事業税の暫定措置の撤廃に向け、都税調を活用するとともに、関係各局とも連携し、また都議会の皆様のご協力もいただきながら、国に対し強く働きかけるなど、全力で取り組んでまいります。

○桜井委員 全力を挙げてお願いをいたします。
 あわせて、問題の本質的解決に向けましては、地方が自主的、自立的に財政運営ができますように、税制の抜本改革の早期実現が不可欠であります。これも前から前からいわれてきて、ずっといわれ続けていることでございますが、私がいつも、最近つくづく思うんですが、この税制の抜本改革という言葉もなになんでございますけれども、表現は同じことをいっているんですが、だけれども、中身は国と地方で、あるいは地方の中でも東京都と他の道府県、あるいは区市町村で、意味していること、考えていることが違っているように思われるんですね。
 そこで、一例として伺いますけれども、国は、今国会に提出中の税制関連法案において、税制改革の基本的方向性を示しております。ここに示された税制改革の方向性と昨年十一月の東京都税制調査会の答申は、大きく異なる点があると思うんでありますけれども、あるのかないのか、その点をお願いします。

○宗田税制調査担当部長 お話しの所得税法等の一部を改正する法案は、地方税制の方向として、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税のあり方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めるとしております。一方、東京都税制調査会の平成二十年度答申は、地方消費税の充実を図るとともに、法人二税を引き続き地方の基幹税の一つとして維持していくべきとしております。
 このように、国と東京都税制調査会では、地方消費税の充実という方向においては軌を一にしてございますが、地方法人課税については、税源の偏在等を問題視する国と、地域の行政サービスから受ける法人の受益と負担の関係を重視する東京都税制調査会とで立場を異にしているところでございます。

○桜井委員 翻っていいますと、いわゆる三位一体の改革も、地方の自主的、自立的な財政運営の確立を目指したものではありました。目指したものではありましたが、国の財政再建が結局のところ優先されまして、財源移譲を大幅に上回る国庫補助金、地方交付税の削減が行われたわけでありまして、地方の財源不足をそのため招きまして、分権に逆行する法人事業税の暫定措置の導入につながっていったわけであります。
 来るべき税制の抜本改革において、同じ轍を踏まないという保証は全くないんですね。東京都は、改革が地方分権を推進し、都民、国民のための改革となるよう、これも国に強く迫ることが必要であり、東京都税制調査会の役割はますます重要になってきております。税制調査会は来年度から新しい期がスタートするということですけれども、どのような検討を行っていくのか、伺います。

○宗田税制調査担当部長 東京都税制調査会は、中長期的な視点からの答申を三年ごとに取りまとめており、来年度から新しい期がスタートいたします。年度早々には検討を開始させたいと考えております。
 国は、経済状況の好転を前提として、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講じるとしております。国に改革の早期実現を促すとともに、改革が分権の推進に資するものとなるよう、東京都税制調査会には、消費税率やその配分の問題にとどまらず、地方法人課税や環境税の問題も含め、国、地方を通じた税制全体のあり方について積極的な検討を行い、具体性のある提言をいただきたいと考えております。

○桜井委員 最後ですけれども、税調には、踏み込んだ検討を行って、十分にその役割を発揮していただきたいと重ねてお願い申し上げます。
 危機のときだからこそ、主税局の役割はますます重要になってまいります。最後に、先ほどちょっと局長がおっしゃっておられましたけれども、足元の歳入確保、さらには都政を支える安定的な税収構造の構築に向けた局長の決意を伺いまして、質問を終わります。

○熊野主税局長 現下の経済危機によります都税収入の大幅な減少が見込まれてございますけれども、こうした中においても、都政は直面する多岐にわたる課題に適切に対応して、都民サービスの向上に努める必要がございます。主税局の使命は、都の財政基盤を支えるために着実に税収の確保を実現することでございますので、歳入所管局としての創意工夫を凝らしながら、一丸となって税収確保に取り組んでいく覚悟でございます。
 また、制度面について申し上げますと、現行の中央集権的な税財政制度の改革がいわれて久しゅうございますけれども、分権の推進と、それを支える地方の自主、自立的な地方税財政制度の確立は、少子高齢化やグローバル化など社会経済の構造が変化する中で、都民、国民の安心を支え、地域経済ひいては我が国経済の活力を維持していく上で不可欠な改革であると思っております。
 また、税制は、ご負担いただく都民、国民が公平であると感じるとともに、わかりやすさ、効率性などを兼ね備えたものであることが必要でございまして、制度改革に当たっては、以上申し上げた視点から、社会経済の現状を踏まえつつ、十分な議論を行うことが重要でございます。
 地方法人特別税のような小手先の対応の繰り返しではない、真の税財政制度の改革の早期実現に向けまして、引き続き都税調を活用するとともに、都議会の先生方のご協力も賜りながら、全力で取り組んでまいりたいと思います。

○酒井委員 最後の質問者でございますので、なるべく予定時間よりも早く終わるように質問をさせていただきたいと思います。
 私からは、固定資産税に関して質問をさせていただきたいと思います。
 家屋に関する固定資産税等については、昨年の予算委員会並びに財政委員会の事務事業質疑において、課税算定根拠やまた誤課税にかかわる問題点を指摘し、改善方を求めるとともに、課税の間違いが起こらないような簡易な課税の仕組みへ制度の見直しを求めてまいりました。
 今議会に提案されている予算案では、来年度の固定資産税は一兆六百四十四億円と、今年度当初比二百九十五億円増加しており、引き続き安定的な税収として都税の根幹をなしているとともに、ことしは三年に一度の評価替えの年にも当たりますので、正しい評価そして課税を行っていただきたいとの思いも込め、固定資産税にかかわる問題として、評価に関してお伺いをいたします。
 まず初めに、前回の固定資産評価替えは平成十八年に行われておりますけれども、このとき都は、通常の評価替えとは違う理由で相当数の建物の価格を下げております。該当者には平成十八年六月一日付のお知らせというプリントを同封して説明を行ったようでありますけれども、その内容及び理由についてお伺いをいたします。

○堀内資産税部長 基準年度におけます家屋の評価替えにつきましては、新築当時の基準によって求めた価格に、その後の建築物価の変動を反映した乗率と経過年数を反映した経年減点補正率等を乗じる方法により求めることとされているところでございます。
 平成十八年基準年度評価替えにおきましては、構造が鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造と鉄骨構造の組み合わせとなる家屋、いわゆる複合家屋といっておりますけれども、そのうち、新築当時の基準に従い、一棟全体で構造判定し、経年減点補正率を適用されているものにつきましては、構造ごとに適用されているものとの価格の均衡を図る必要があると認められたため、固定資産評価基準に基づき、通常の評価替えの方法によらず価格を求めることとしたものでございます。
 そのため、この措置を適用した家屋につきましては、通常の評価替えを行った場合よりも低い価格となっていることをお知らせしたものでございます。

○酒井委員 私の手元にも、これは新宿の都税事務所が発行したお知らせというものがありまして、今のお答えをいただいた内容の事柄が書いてあるわけですけれども、一言でいえば、複合構造家屋の評価の仕方を変えたということになると思いますけれども、この平成十八年評価替え時に是正をした家屋の棟数と是正した結果の評価額、また内訳として、是正したことによって減額をされた評価額及び是正したことによる平成十八年度の固定資産税、都市計画税等の減額金額、及び逆に増額をされたそれぞれの額についてお伺いをいたします。

○堀内資産税部長 平成十八基準年度に、価格の均衡を図る目的で通常の評価替えの方法によらなかった家屋の棟数につきましては、平成十八年度定期課税時で千二百七十九棟であり、その評価額の合計は約二兆三千億円でございます。
 これらの家屋につきましては、固定資産評価基準に基づき、通常の方法とは別の方法により評価替えを行ったものであり、通常の評価替えを行った場合との評価額及び税額の正確な差額については算定しておりませんけれども、一定の条件による試算では、評価額合計で約二千三百億円、税額で約四十億円の減額と推計しているところでございます。
 なお、対象となった家屋はすべて減額でございまして、増額となった家屋はございません。

○酒井委員 ただいま件数についてはご答弁をいただきましたけれども、この是正した家屋の抽出方法はどのように行い、抽出漏れはないのか。また、その調査、再評価の費用は幾らかかったのか、お伺いをいたします。

○堀内資産税部長 抽出の方法につきましては、まず、構造が鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造のうち二種類以上の組み合わせから成る家屋に加えまして、複合構造家屋である可能性がある一定規模以上で地下階のある家屋をまず抽出いたしました。これらの抽出した約一万九千棟の家屋につきまして、関係書類や登記簿等との照合などを行い、また必要に応じて現地調査を行い、対象家屋を絞り込んだところでございます。このような方法を実施したことにより、今回の措置の適用対象となる家屋の把握はできたと考えております。
 また、費用につきましては、評価替え業務の中で対応しているものでございまして、特段の算出は行っておりません。

○酒井委員 ただいまのご答弁ですと、今回の措置の適用対象となる家屋の把握はできたと考えているというご答弁でございましたけれども、この平成十八年の評価替え時に是正が間に合わなかった家屋や、また納税者の申し入れにより是正を行った家屋が数棟あるのではないでしょうか。
 平成十八年、十九年、二十年の各年度において処理した件数と返還額、及び現在においてもまだ未処理の件数を明らかにしていただきたいと思います。

○堀内資産税部長 平成十八年度は、定期課税後の処理実績はございません。十九年度に一棟、二十年度に二十二棟の処理を行い、その返還額につきましては、十九年度が約一億円、二十年度約十億六千万円でございます。また、処理中の件数につきましては、現在二棟となってございます。
 なお、処理前に納税者からの申し入れ、相談等があった家屋は、十九年度に一棟、二十年度に三棟でございました。

○酒井委員 ただいまのご答弁によると、処理前に申し入れがあったものが十九年度に一棟、二十年度に三棟ということと、また、現在でも二棟に関しては処理が継続中であるというご答弁がございましたけれども、この残りの二棟については、いつまでに対応するのでしょうか。来年度は二十一年度の評価替えの通知を行う、そういった時期でありますけれども、この評価替えの通知をするまでには対応ができるのか、確認をさせていただきます。

○堀内資産税部長 未処理の二件につきましては、平成二十一年四月中に終了する予定でございます。

○酒井委員 今、四月中に終了する予定であるということで、この処理に関する過誤納還付金等については来年度の予算の中で対応をするということになると思いますが、ぜひともこの問題については早く処理をしていただきたいと思います。
 これは、処理がおくれればおくれるほど、過誤納還付金として利息もつけて返さなくてはならないということで、都の出費がふえるということになりますので、ぜひ早急に対応をしていただきたいということと、後々、今二件だけということでしたけれども、申し出によって新たに発覚するようなことがないということを信じて期待をさせていただきたいと思いますが、そもそもなぜこのような複合構造家屋といったものを、構造ごとではなく一棟全体として判定をしていたのでしょうか。このような問題が生じた理由をお伺いいたします。

○堀内資産税部長 評価の基本となります固定資産評価基準におきましては、複合構造家屋についての経年減点補正率の適用方法については規定されていないことから、具体的な適用に際しては、各自治体の判断で運用されているところでございます。
 このため、都といたしましては、固定資産評価基準の基本的考え方が一棟を単位としていること、また、複合構造家屋であっても取り壊しが通常一棟を単位として行われることから、基礎と一体となっている地下階または低層階の構造により、一棟単位で経年減点補正率の適用を行ってきたところでございます。
 その後、全国的にこの複合構造家屋の建築棟数が増加してきた実態等を踏まえまして、国サイドから、各構造別に経年減点補正率を適用するという運用を行うことも差し支えないという考え方が示されまして、これを受けて、東京都におきましては、新築家屋の評価に際して、その考え方を採用することとしたところでございます。
 このように、固定資産評価基準に定めがない中で、その時点における判断として妥当な経年減点補正率の適用を行ってきたものでございます。

○酒井委員 ただいまご答弁をいただきましたけれども、新築の家屋については平成十五年から構造ごとの判定ということで、その時点でその判定の仕方が変わっていたのに、なぜ既存の家屋の是正といったものは十八年からなのでしょうか。税法上は五年間遡及をしての還付をすることになっているのですから、せめてこの平成十五年まで既存の建物についても遡及すべきではなかったのでしょうか。
 何度もいうようですけれども、固定資産税は賦課税であり、都民は都を信頼して納税しているのですから、そのあたりについて、均衡を失するような取り組みといったものはいかがかと思うわけですけれども、見解をお伺いいたします。

○堀内資産税部長 先ほど申し上げましたように、複合構造家屋に係る経年減点補正率の適用については、固定資産評価基準に定めがない中で適切に運用してきたところでございますけれども、平成十八年基準年度におきまして、経年減点補正率の適用方法の違いにより評価の差が拡大していくため、価格の均衡を図ることが必要と判断し、評価替えの中で今回の措置を実施したものでございます。
 したがいまして、価格の誤りを修正したものではなく、遡及して還付を行うような事由には該当しないものでございます。

○酒井委員 ところで、ただいまのこの問題といったものは、平成十五年に東京都の固定資産評価委員会へ、複合構造家屋を一棟全体として判定していたことにより評価額が高く設定された旨の審査の申し出があり、認容裁決がおりた経緯があると思いますけれども、その内容をお伺いいたします。
 また、この十八年からの取り扱い変更にこの裁決は関係をしていないのでしょうか。

○堀内資産税部長 お話しの審査の申し出につきましては、特殊な工法を用いた複合構造家屋の経年減点補正率の適用方法が争点となったものでございまして、構造別に経年減点補正率を適用する方法に一定の合理性があるものと申し出を認容する裁決があったものでございます。なお、裁決は他の事案について直ちに効力を及ぼすものではございません。また、並行して提起されていた同一物件に係る不当利得返還請求訴訟におきましては、都側が勝訴しているところでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、今回の措置は、あくまでも都として平成十八基準年度の評価替えにおいて実施が必要と判断したものでございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁では、この裁決後の裁判によって都の主張が認められたという趣旨のお話もあったわけですけれども、これは東京都の固定資産評価委員会の判断と裁判所の判断といったもの、これは同じ建物についての判断で、これは普遍的な判断ではないと思うわけですけれども、そういった判断が並行をしているという事実がございます。
 また、今問題はなかったという話ですけれども、平成十五年から十八年、変えるまでのこの三年間においては、同じ都内において同じような構造の建物に関して二つの基準があったということになるわけです。先ほどお示しをいただいた千二百七十九棟ですか、評価替えのときに、その評価額を変えることによって約四十億円の税金といったものが減額をされたということで、これを割り直してみますと、平均して一棟当たり約三百万円強の税金をこの東京都の取り扱いによって多く払っていた、そういった建物の所有者がいるということになるわけです。そういったことも含めて、私は、やはりこれは均衡を欠いているということを、これは都と見解が違うかもしれませんけれども、改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 また、東京都としての取り組みの方針といったものはわかりましたけれども、これについては、税法上明確な規定がない中で、東京都の裁量の範囲内という趣旨のことであると思いますけれども、都としては、これに関して統一的な取り扱いを示していたということの通達なりなんなりを当然文書として出していたと思いますので、ぜひとも、その十五年に新築時の建物の評価の仕方を変えたときの判断とそれ以前の判断、さらには十八年で既存の建物についても評価の仕方を変えた、その時点でのそれぞれの当時の通達を、後日でも構いませんので、ぜひ出していただきたいと思います。これはお願いでございます。
 最後に、この質問の結びといたしまして、前回の財政委員会のときでも質問をいたしましたような計算書の破棄の問題であるとか評価の間違い等もあわせまして、今回のようなこういった構造上の問題によって判断が分かれ、解釈が異なることがないようにするためにも、やはりこの固定資産税については、簡易な税制あるいは納税者の側から申告制にしていただくことによって、そうすることによって都側の責任といったものがある程度回避をされるとも思いますので、ぜひとも簡易税制等を積極的に推し進めていっていただきたいと思いますけれども、局長の見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。

○熊野主税局長 固定資産税評価の算定につきましては、税の公平性を図る観点から、より客観的な指標に基づいて、より精緻に行うという必要がございます。こうした要請にこたえるために、国においても私どもの基準においてもたび重なる改正が行われてまいりまして、実際には複雑かつ精緻に過ぎる制度になっているというのは、一部で否めない事実があろうかと思います。一方で、税は納税者の理解を得ることが非常に重要でございますし、固定資産税というのは賦課税でございますので、そういった意味でもその重要性は大きいのではないかというふうに考えております。
 こういったことを踏まえまして、都税調におきましても、評価制度を簡素な制度へ変えることが固定資産税に対する信頼性を高めるために必要であるという答申をいただいております。また、私どもも、国に対する提案要求の中で、評価と課税の仕組みを簡素で理解しやすい制度へ見直すことを強く求めております。
 地方分権の一層の推進のためにも、基幹税目である固定資産税を簡素でわかりやすく、納税者の納得が得られる制度として維持発展させることが現時点では重要であると考えております。

○きたしろ委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時散会

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