委員長 | きたしろ勝彦君 |
副委員長 | 西岡真一郎君 |
副委員長 | ともとし春久君 |
理事 | 秋田 一郎君 |
理事 | 遠藤 衛君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
原田 大君 | |
菅 東一君 | |
高木 けい君 | |
上野 和彦君 | |
桜井 武君 | |
酒井 大史君 |
欠席委員 一名
出席説明員財務局 | 局長 | 村山 寛司君 |
経理部長 | 塚本 直之君 | |
契約調整担当部長 | 竹本 節子君 | |
主計部長 | 真田 正義君 | |
財産運用部長 | 松本 泰之君 | |
建築保全部長 | 金子 敏夫君 | |
技術管理担当部長 | 山本 康友君 | |
参事 | 山藤 敏明君 | |
主税局 | 局長 | 熊野 順祥君 |
総務部長 | 宮下 茂君 | |
税制部長 | 目黒 克昭君 | |
税制調査担当部長 | 宗田 友子君 | |
調整担当部長 | 木村 芳生君 | |
課税部長 | 長谷川 均君 | |
資産税部長 | 堀内 宣好君 | |
徴収部長 | 名倉 衡君 | |
特別滞納整理担当部長 | 松原 恒美君 |
本日の会議に付した事件
主税局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)
○きたしろ委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行いたいと思います。
これより主税局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○目黒税制部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。要求資料第1号、個人都民税における主な税制改正の影響額についてでございます。
この表は、平成十五年度から平成十八年度までの個人都民税における主な税制改正の内容と都税収入への影響額をお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、法人二税における主な税制改正の影響額についてご説明申し上げます。
この表は、平成十五年度税制改正により導入をされました法人事業税の外形標準課税及び平成十七年度税制改正による法人事業税の分割基準の見直しにおける影響額をお示ししたものでございます。
次の三ページは、要求資料第3号、上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額についてでございます。
この表は、平成十五年度から平成十九年度までの上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額をお示ししたものでございます。
次に、四ページの要求資料第4号、資本金区分別法人数及び法人事業税額についてご説明申し上げます。
この表は、平成十五年度から平成十九年度までの資本金区分別の法人数及び法人事業税額等をお示ししたものでございます。
最後に、五ページの要求資料第5号、法人二税の超過課税収入額の推移についてご説明申し上げます。
この表は、平成十五年度から平成十九年度までの法人二税の超過課税収入額等をお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○きたしろ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○高木委員 私は、まず最初に、今後の税収の見通しについてお尋ねしたいと思います。
ご存じのとおり、今日の世界経済の状況は、各国で株価の下落が引き続いております。このところ少しおさまったような気もしないではないですけれども、そうではなくて、恐らく下落傾向というのは、これから上がり下がりを繰り返しながら続いていくのかなというふうに思っています。金融機関への公的資金の注入が行われるなど、極めて深刻な状況にあるんだろうと思われています。米国発金融恐慌ともいえるこの事態が我が国経済へも大きな影響を及ぼすことが危惧をされておりますし、実際、もう既に及んでいるのかなというふうにさえ思うわけであります。
そうした状況を踏まえますと、東京都がさまざまな都民サービスを展開をするための大切な原資であります都税収入の先行きについて、危機感を覚えないわけにはいきません。
そこで、まず伺いますが、主税局は、今年度及び来年度の税収について、どのような見通しを立てているんでしょうか。
○目黒税制部長 まず、今年度の税収見通しについてでございますが、税収規模の大きい三月決算法人による予定申告や中間申告、十二月決算法人の確定申告等の状況を見きわめる必要がございまして、現時点では確たることを申し上げることは難しいものでございます。
しかしながら、我が国の経済情勢につきましては、例えば、先日、政府が発表いたしました十月の月例経済報告におきましては、アメリカ、欧州における金融危機の深刻化や景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動などから、景気の状況がさらに厳しいものとなるリスクが存在するとの見解が示されているところでございます。
また、一時的とはいえ日経平均株価が二十六年ぶりに七千円を割り込む局面もあり、日銀も、明日公表が予定されております展望リポートにおきまして、二〇〇八年度、二〇〇九年度の成長率をともに下方修正する方向であるとの報道がなされるなど、景気が一段と減速するリスクが高まっておりまして、こうした影響を受けやすい都税収入は厳しい状況にあるものと認識してございます。
次に、来年度の税収見通しでございますが、現在精査中ではございますけれども、企業業績の悪化による減収が本格化することに加えまして、法人事業税の一部国税化による影響だけを見ましても、平成十八年度ベースの試算ではございますが、都におきましては約二千八百億円の減収となるなど、来年度におきましては、より一層厳しい状況になるものと見込んでおります。
○高木委員 現時点で減収になる金額というのをはっきりおっしゃられなかったわけでありますが、なかなかそれも今の時点ではわからないというか、いえないのかなというふうに思いますが、全体としては税収の見通しが大変厳しい状況であるという認識が示されたんだろうと思います。
東京都は、法人二税という主要財源ですから、景気の動向によってはいろんな意味で影響を受けるし、相当な部分があるんだと思いますけれども、そのことについて私たちも、上半期の税収見通しの結果を見ても、もうはっきりわかるわけでございまして、大変厳しいという状況は変わらないと思うんですね。
一方で、けさの新聞に、これは産経新聞一紙だと思うんですけれども、見出しで、都税収が一千億円超減収かという記事が載っているわけであります。これはきょうはここで取り上げませんが、少なくとも、きょう財政委員会があるという中で、こういう記事が新聞に出される。すっぱ抜かれるといいますかね、こういうのをね。ですから、こういう記事がどうして出てくるのかなあという疑問があるんですが、そのことはきょうは問いません。全体として厳しい状況にあるということは、私どもも理解をしているつもりであります。
したがって、適切な財政運営を行っていくためには適切な歳入の見積もりが不可欠でありますので、主税局においては、今後も景気動向を十分に注視をしていただきまして、適切な歳入の見積もりにぜひ努力をしていただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。
次に、私は今回、各論として、新築住宅にかかわる固定資産税等の減免措置、そして耐震化促進税制についてお尋ねをしたいと思います。
いわゆる新築住宅減免については、平成二十一年の一月一日までに新築されたものをもって廃止の方針が既に主税局から示されているわけであります。そして、明確にこれと振りかえて実施するとは説明をされておりませんけれども、実質的にはこれと振りかえというような形で、さきの第三定例会で固定資産税等を活用した耐震化促進税制の導入が発表されているわけであります。
まず基本的なスタンスを確認をしたいんですが、主税局は政策税制の見直しに当たって、どのような基本的なスタンスで臨んでいるのか、お伺いをします。
○目黒税制部長 政策税制の見直しに対する基本的スタンスについてのお尋ねでございますが、政策税制は、それらが特定の政策目的のための措置といたしまして、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外として設けられているものでございまして、その政策目的や効果などを十分に吟味しつつ、真に有効な分野への集中、重点化を徹底する必要があると認識をしております。
このような基本的認識のもと、主税局では、政策税制のあり方につきまして、導入後の社会経済情勢の変化、創設目的の達成状況、さらには財政状況等も十分に踏まえつつ、不断の見直しを行っているところでございます。
○高木委員 税の軽減措置というのは、見方を変えれば、マイナスの補助金というような認識なんでしょうか、その効果や導入当時との環境変化も踏まえて、見直すべきものはきちんと見直すというのは当然であると思っています。そういう主税局の基本的なスタンスについては、私もそれはそれでいいと思っているんです。また、耐震化促進の必要性についても、これも異議を唱えるつもりも全くありません。
しかし、現在の非常に厳しい景気動向や住宅市況の落ち込み、こういった状況の中で新築減免を廃止することが適切なのか、この点で私と主税局の間には認識に少なからず差があるように思っています。つまり、今回、新築住宅の固定資産税の減免措置が廃止をされて、新たに耐震化促進税制になる。これははっきりいって間口が狭まるわけでありますから、この間口が狭まるということは、当然税制的な経済効果ということを考えても、これから政府も第二次の補正予算を組んでいくというような状況、また、第三定例会で東京都が大型補正予算を組んだという今の経済情勢に対する認識、そういうものを考えたときに、こういうやり方で果たして本当にいいのだろうかという部分で、恐らく私と主税局との間での認識のギャップがあるんだろう、こういうふうに私は思っているんです。
この新築住宅の減免の実績なんですが、平成十九年度が固定資産税と都市計画税を合わせて二百十二億円、二十年度がおよそ二百十七億円というふうになっているんですが、耐震化促進税制による減収額は、平年度ベースで約六十億か七十億というふうに試算をされているわけです。つまり、およそ二百十億円という新築住宅の減免措置にかかわる減免税額があるとすれば、六十億から七十億というのは、簡単にいえば三分の一だということだと思うんですね。ですから、現下の経済情勢の中で、こういうことが果たして本当にいいのだろうかということを私は問いたいわけであります。
そこで伺いたいんですが、そもそも新築住宅減免の導入目的というのはどういうものだったのか、教えていただきたいと思います。
○目黒税制部長 新築住宅に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置の導入目的でございますが、新築住宅減免は、新築住宅の取得を税制面から支援し、もって景気対策、良質な住宅ストックの形成に資することを目的として、平成十二年度に創設をされたものでございます。
○高木委員 あわせて伺いたいんですけれども、じゃ、今回、この新築住宅減免を廃止する理由というのは何なんでしょうか。
○目黒税制部長 廃止をする理由についてでございますが、平成十九年の建築基準法改正の影響による一時的な落ち込みはありましたものの、制度創設以降の東京における新設住宅着工戸数は趨勢としては高い水準で推移をしており、住宅ストックは量的に充足しつつあることなどから、制度創設時の目的をおおむね達成している状況にあること。
また、住宅施策におきましては、新築住宅のいわゆる量の確保から、耐震化、バリアフリー化、省エネ化など既存の住宅の質の向上や、良質で長期利用が可能な住宅の普及促進等を重視する方向にあること。
さらには、今後の都税収入の動向などを総合的に勘案をして判断をしたものでございます。
なお、都民への周知等の観点から、適用期限を平成二十一年一月一日まで一年延長した上で廃止することとしたものでございます。
○高木委員 先ほど来申し上げていますけれども、私としては、今の答弁ではなかなか納得しがたいものがあるんですね。主税局として、さきに伺った見直しの基本的スタンスに基づく総合的な判断の結果ということだと思うんですが、私は、減免の廃止を決定した時点から現在まで、経済環境等の変化というのも踏まえるとすれば、この新築住宅減免の廃止については再考の余地があるんじゃないかというふうに思っています。
つまり、平成二十一年の一月一日、つまり来年の一月一日に固定資産税、都市計画税の評価基準の起算日があるわけですから、そうすると、そこから一年間は新築住宅減免が継続を基本的にはされるという考え方だと思うんですけれども、二十二年度、二十三年度以降ということになれば、さらに今から経済的な状況が変化をしていく、乖離をしていくんだろうというふうに思うんですね。だからこそ私は申し上げているんですが、間口はやっぱり狭めてはいけないのではないか。すべて間口を広げて、減免、減免でいいのかというと、それはそれでまた違うんだと思いますが、しかし、現下の経済情勢の中で、果たして都政全体の政策の整合性という意味から考えたときに、これが本当にいいのかどうかというのは、ぜひ再考していただきたいというふうに思っております。
そういう意味で、改めて聞きますが、今回の耐震化促進税制を大幅にこれから、新築住宅減免は仮になくなったとしても、もっと拡充をしていくという方向性も、もう一方ではあるのではないかというふうに思いますが、今後そういうことというのは検討する余地があるのかどうか、見解をお伺いをしたいと思います。
○目黒税制部長 耐震化促進税制の今後についてでございますけれども、住宅の耐震化は、「十年後の東京」にも掲げる災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高めるという目標達成のために極めて重要な課題でございます。
一方、政策税制につきましては、公平であるべき税制の例外措置でありますことから、その政策目的や効果などを十分に検証するとともに、今後予想される厳しい財政状況等も踏まえながら、真に有効な分野への集中、重点化を図っていく必要があるものと認識をしております。
耐震化促進税制につきましても、このような観点から、制度導入後の実績等も勘案をしながら、不断の見直しを行ってまいる所存でございます。
○高木委員 ぜひ不断の見直しを行っていただきたいというふうに思っています。例えば、私の地元には木造密集住宅解消事業にかかわっている地域というのも随分あるんですね。つまり、耐震化の必要のある地域。ですから、全都的に耐震化促進税制というのは当然あっていいと思いますので、それはそれとして、例えば政策的に、別の局が、都市整備局やそういうところがやっている一つの政策、例えば木造住宅密集地域、そういうところについては耐震化促進税制が、さらに、例えば減免の大きさが大きいとか、そういう差があるとか、いろんな考え方が多分できるんだと私は思います。
ですから、主税局の方で、耐震化が大事だという認識は私も同じですし、それはそれですばらしい考え方だと思いますから、そういう意味で政策の展開の仕方をもう少しフレキシブルに柔軟性を持って取り上げていただけたらいいのではないかなというふうに思っています。
そういうことを申し上げて、今までの政策的な議論をお聞きになられて、今後、この税制の積極的活用についてどう思うかということを、局長の所見をぜひ伺いたいと思います。
○熊野主税局長 政策税制の活用につきましては、基本的には、都政におきますさまざまな政策課題を解決するに当たりまして、一義的に当該事業を所管する事業局が補助金等の歳出によって支援を行うべきものであると考えております。税制は、これを後方から支援する形で補完的な役割を担うものであるというふうに認識してございまして、今回実施することになりました耐震化促進税制の創設も、こうした認識に基づくものでございます。
先生お話しの不動産につきましては、確かに非常に厳しい状況にございまして、マンションの売れ残りであるとか、ディスカウントしないと売れないとか、あるいは着工件数も若干減少傾向にある、こういった事実は私ども認識してございます。これらの原因につきましては、やはり一つには、姉歯事件に端を発します建築確認の問題、さらには、この間、土地のミニバブルともいうべき地価の高騰、それに伴って鉄とか建築に係る資材の高騰、片一方で、コストが上昇する一方で所得の方はかなり伸び悩んで、なかなか購入が難しいというふうな状況とか、いろいろな要因が複合的に重なって、今の状況が生まれているんだろうと思います。
先生おっしゃるように、確かに景気対策として新築住宅の減免であるとか、あるいは耐震化促進税制の拡大であるとか、これが景気に対して非常に有効な重要な一つの手法であるということは、ご指摘のとおりだと思います。ただ、こういった複合的な要因の中で、これらを実施するに当たりましては、やはり効果がどれぐらい見込めるのかとか、あるいは、その他もろもろの状況を判断した上で税制を創設していかなければいけないというふうに考えております。
いずれにいたしましても、政策税制につきましては、先ほど部長の方からも答弁しましたように、不断の見直しを行って、積極的な活用を検討してまいりたいと思っております。
○高木委員 大変ありがとうございました。つけ加えますけれども、今、政府の方で景気対策として考えられていることの一つに住宅ローン減税の継続というのもあるようでありますから、住宅とか、都市税制ですとか、そういうところにかかわるものというのは幾つかこれからも出てくるんだろうと思っているんですね。ですから、そういう意味でいろいろな側面からぜひ検討していただいて、今後の政策税制の充実をぜひ図っていただきたい、こう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○酒井委員 それでは、私からは、固定資産税等の課税算定根拠に関連をして質問させていただきたいと思います。
ことし三月の予算委員会の折に、家屋に対する固定資産税等に関して課税額の算定根拠書類の開示について質問するとともに、算定根拠に誤りがあり、誤課税がされていたことなどについて質問をいたしました。本日は、この質問の続きとして、賦課税である固定資産税等の透明性、公平性を確保し、正しい課税を行っていただきたいとの思いから、予算委員会での答弁を踏まえ、数点にわたり質問をさせていただきます。
予算委員会における私の質問に対する局長の答弁で、東京都においても、制度にのっとって価格修正を求められた件数については、家屋について再調査を実施した件数、平成十五年度が十五件、十六年度が七件、十七年度は四件、十八年度が六件、十九年度が七件あり、これにより価格の減額修正を行った件数と、その減額税額は、平成十五年度は七件で百五十九万七千八百円、十六年度は四件で一千六百七十三万九千円、十七年度は二件で五十六万五千円、十八年度は四件で九十三万一千二百円、十九年度は六件で九十六万二千七百円であったというご答弁がございました。
このことは納税者の信頼を裏切ることであり、都としては、課税の算定に当たり、より慎重に対応するとともに、このような事態が起きないような対策を講じなければならないと思います。私が質問した以降も、全国的に固定資産税の誤課税や過大徴収が明らかになり、当該自治体が返還をしている事例が多くあります。
そこで、まず、都が所管をする家屋は全体で約百七十万棟あるそうですけれども、固定資産税及び都市計画税を課税している家屋は正確には何棟あるのか、お答えをいただきたいと思います。
○堀内資産税部長 家屋の課税棟数でございますけれども、平成二十年六月の定期課税の時点で、固定資産税及び都市計画税を課税した家屋の棟数は百六十三万四千六百八十二棟でございます。
○酒井委員 次に、ただいまご答弁をいただいた数字のうちで、再建築費評点数計算書、東京都では家屋計算書と呼んでいるそうですけれども、これらの作成対象となる家屋は何棟あるのか。また、そのうち再建築費評点数計算書等、課税の根拠資料が存在している家屋は何棟あるのか、お答えをいただきたいと思います。
○堀内資産税部長 主税局におきましては、一定規模の床面積を超えるもの及び比準評価によることが不適当と認められる家屋を家屋計算書の作成対象としてございます。これまで作成対象となります床面積基準の変更が何度かあったことなどもあり、建築年次の古い家屋につきましては、家屋計算書の作成対象となった正確な棟数を把握することは困難でございます。
家屋の固定資産税の課税の根拠となる資料といたしましては、家屋課税台帳、家屋調査票、家屋計算書などがございます。家屋課税台帳につきましては、所有者、構造、種類、床面積、価格など課税の基本的データが登録されているものでございます。家屋の調査票は、価格の算定に必要な建築年次、単位当たり再建築費評点数、経年減点補正率などの情報が記載されており、家屋課税台帳とともに、課税しているすべての家屋について存在しているものでございます。また、家屋の計算書につきましては、家屋の調査票に記載すべき単位当たり再建築費評点数の算出過程を示したもので、現在保存されている件数は五万一千五百四十一棟でございます。
○酒井委員 ただいまのご答弁では、正確な棟数を把握をするということは困難とのことでした。確かに一定規模の床面積を超えるものといっても、この間、基準地が三千平米以上から二千平米、そして千平米以上と変わってきており、また、基準地以下の建物でも作成している事例があることから、正確な数字は難しいのかもしれませんが、それぞれの基準地ベースでの数は抽出可能であると思いますので、後日でも構いませんから、ぜひともご回答をいただきたいと存じます。
ただいまご答弁いただいた課税の根拠資料に関しては、予算委員会での質疑を通じて、平成八年度作成分までは、課税処分の取り消し等にかかわる期間制限に合わせまして、保存期間を五年としておりました。このため、計算書の作成後五年間を満了したものにつきましては、東京都文書管理規則に基づきまして破棄をしたものでございます。なお、平成六年度の評価基準の大改正以降、固定資産評価に関する納税者からの質問が増加したことなどを踏まえまして、文書保存期間表を改定いたしまして、平成九年度作成分以降の家屋計算書につきましては、家屋の滅失から七年間保存することとしておりますと答弁され、固定資産税は賦課税であるにもかかわらず、その根拠書類が破棄をされていたことが明らかになりました。
しかし、一方で、私の聞いた話では、同一の都税事務所内で、同じ平成六年度基準の書類が、一つは破棄をしていたという通知が来て、もう一つは開示がされている事例がある。この実態といったものを早急に各都税事務所ごとにまとめて報告をさせるとともに、先ほども申したとおり、これは課税の根拠になる書類ですから、もともと捨てるということ自体があってはいけないものだし、多摩地区の市町村では永年保存しており、破棄を直ちに凍結させて保存を図る必要があるということを指摘させていただきました。
これに対し局長は、文書保存期間表の改定を踏まえまして、平成八年度以前の家屋計算書であっても、保存スペースの関係であるとか事務処理の関係で現存しているものにつきましては、現状を把握の上、現在の保存期間表に従いまして、当該家屋の滅失から七年間保存することとなると思いますと答弁をされています。
そこで、ことしの四月以降、この現状把握はどのように進められているのでしょうか。
また、存在している資料のうち、平成八年度作成分までの書類は何棟分あったのか、伺います。
また、先ほどの答弁で、家屋計算書を作成しなければならない家屋数がわからない以上、廃棄分についても把握できていないと推測をしますが、廃棄分は把握しているのか。わからない場合は、廃棄の年月日は記録していないのか、お伺いをいたします。
○堀内資産税部長 保存状況の把握でございますけれども、平成二十年三月に各都税事務所に対して家屋計算書の保存状況の調査を指示いたしまして、現状の把握を行ったところでございます。その結果、平成八年度以前に作成された書類につきましては、区部二十三都税事務所で九千七百四十一件の家屋計算書の保存を確認いたしたところでございます。
なお、文書の廃棄につきましては、東京都文書管理規則に基づいて行っているところでございますけれども、文書の廃棄決定に係る文書自体が既に保存年限を過ぎておりまして、廃棄となっております。このため確認は困難でございます。
○酒井委員 この現状把握において、私は予算委員会の折に、くれぐれも、調べてあったから捨てちゃいましたというようなことがないように、しっかりとその点については通達を出していただきたいと思いますと申し上げましたが、どのような指示を出して調査をしたのか、伺います。
また、これらの書類はどこに保存をしているのか。
さらに、これらの書類は都税事務所ごとに年度別ごとに整理をしていないのか、伺います。
さらに、開示請求を受けたとき、どのように資料を調べているのかもお伺いいたします。
○堀内資産税部長 指示でございますけれども、本年三月に、平成八年度以前作成分の家屋計算書につきましても、平成九年度以降作成の家屋計算書と同様に対象家屋の滅失後七年間保存することを指示した上で、平成八年度以前作成分の家屋計算書の保存状況について調査したところでございます。
書類の保存場所につきましては、各都税事務所の事務室内や書庫、倉庫に保管しておりまして、整理の方法につきましては年度別に整理しており、納税者から資料の説明、提供を求められた場合につきましては、その保存資料を調査、確認の上、的確に対応しているところでございます。
○酒井委員 ただいまのご答弁によりますと、平成八年度以前の作成分に関しましても、滅失後七年間保存するように指示をした上で調査を行ったということと、また、納税者から資料の説明、提供を求められた場合には的確に対応しているというご答弁でございました。
これに関しまして一例を挙げさせていただきたいと存じますけれども、これは、存在をしているのか破棄をしているのか、不明な事例でございます。東京都内のある都税事務所において、平成二十年七月十七日に、平成二年新築家屋の情報開示請求をしたところ、文書規定で平成十二年に破棄したとの回答が、同年八月十八日にあったということです。しかし、この家屋は、平成十四年の五月から六月ごろに、以前に情報開示をされており、平成十二年以降も存在していたと考えられる、そういった事例があります。
このようなつじつまが合わない回答をされますと、納税者からしてみると、再建築費評点数計算書は存在をしているのに破棄をしたとうそをつかれているのではないかという疑念が生じます。本当に現存をしていないとしても、開示請求に対する回答として、当該都税事務所は文書管理が徹底していないということになりますし、また、廃棄記録は、八年が経過し、本来であれば存在をしていないはずなのに、なぜこの平成十二年ごろに破棄したということがわかったのかという疑問も生じます。
以上のことから、文書の管理はもう一度徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○堀内資産税部長 文書の管理でございますけれども、委員がご心配されているような、文書が保存されているにもかかわらず廃棄したと説明するというような対応は行っておりません。ご指摘の家屋計算書の事例につきましては、文書保存期間に定められた期間を超えて保存しているというケースがあることなどから、窓口での対応の中で職員の思い違いなどにより廃棄年度を誤って伝えてしまったということも考えられるところでございます。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、家屋計算書の保存につきましては、本年三月に指示し、適切に管理しているところであり、納税者への対応におきましても、疑念を抱かせることのないよう、今後も引き続き徹底してまいります。
○酒井委員 ただいまのご答弁の中で、引き続き徹底をしていくということですので、納税者からの疑念を受けないように、その管理についてはぜひとも徹底をしていただきたいということを重ねて申し上げさせていただきます。
次に、課税資料を廃棄をしてしまった家屋の納税者が仮に問い合わせに来た場合においては、どのような対処をしているのか、お伺いをいたします。
○堀内資産税部長 問い合わせに対する説明でございますけれども、家屋の課税に係る問い合わせに対しましては、家屋の課税評価の仕組みを丁寧に説明の上、先ほどお答えしました課税の根拠資料であります家屋課税台帳、家屋調査票をもとに、当該家屋の単位当たり再建築費評点数、床面積などによる評価額の算出内容を説明しているところでございます。
○酒井委員 また、あわせまして、この評価根拠資料を廃棄処分にした場合において、家屋に増築や用途変更、資産の移動、変動があった場合は、どのように対応しているのか、伺います。
○堀内資産税部長 増築等があった場合の取り扱いでございますけれども、まず増築の場合でございますけれども、評価基準では、一棟の家屋に増築された部分があるときには、増築された部分と既存部分とに区分して評価することとされております。既存部分の評価につきましては変更を及ぼすものではございません。
次に、用途変更につきましては、変更のあった次の基準年度から変更後の用途による経年減点補正率を適用することとなります。そういうことから、既存部分の評価額に変更を及ぼすものではございません。
また、資産の移動、変動といたしましては、一部滅失、改築などが考えられるところでございますけれども、建物の一部が滅失された場合には、一棟の価格を滅失された部分の面積と残った部分の面積とで案分することになります。また、改築の場合では、改築があった時点の固定資産評価基準を適用して家屋全体の評価を一から行い、改築箇所を含めて評価することとされております。
いずれにいたしましても、既存の家屋計算書の有無にかかわらず、新たな評価額を求める制度となっております。
○酒井委員 次に、今回の存在確認を行ったことで、平成八年度作成分までのものについても書類が存在していることが明らかになったと思います。これらの書類は、局長答弁にもあったとおり、今後、当該家屋の滅失から七年間保存することになると思いますが、これら書類の開示請求を受けたときには、存在する書類として積極的に開示をしていくものと考えますが、どのような通達なり指示を出しているのか、伺います。
○堀内資産税部長 開示の扱いでございますけれども、平成二十年三月に保存を確認いたしました平成八年度までに作成した家屋計算書につきましては、平成九年度以降に作成した家屋計算書と同様に提示、交付を行うよう指示しております。
○酒井委員 今回もるる質問をしてまいりましたが、そもそもこの再調査請求等によって修正をしなくてはならなくなった家屋について、再建築費評点数計算書等がどのような理由で間違ったのか、お伺いをいたします。
○堀内資産税部長 これまで価格の修正を行った事例といたしましては、課税部分から除外すべき床面積の誤■、あるいは床仕上げの評点項目の選定誤■、また、複合用途家屋の用途認定の誤■などがございます。
○酒井委員 こういった課税の間違いをなくすためには、根本的な対策が必要であると考えます。都は、価格の縦覧制度が設けられ、不服がある場合には審査申し出ができる仕組みになってございます、都においては、これに加え、さらに再調査制度を独自に設けており、納税者の理解を求める取り組みは十分に行っているものと考えておりますという答弁が、予算委員会の折、局長からありました。
しかし、この問題は全国的にも問題が発生をしていることを考えれば、この制度が十分に機能しているとはいえず、課税庁がその権限と責任に基づいて行うものと大上段に振り構えていえるような状況ではないと思います。納税者の理解や納得を得て、公正公平な課税を実現していくためには、この東京から国に対しても課税のあり方を発信をしていかなければならないと思います。
例えば、新築時の再建築費評点数計算書の作成は納税者側に作成させて申告し、東京都が審査をする方法も考えられるのではないでしょうか。現行制度においても、納税者が工事内訳書等を貸してくれない場合は、不明確計算として概算計算を行っているのでありますから、東京都が全国に先駆けて申告制にすることで、評価間違い等が減少し、自治体の責任もなくなり、さらに、都税事務所職員の削減等、評価にかかわる経費が削減できるものと考えます。
また、このような複雑な制度を改め、例えば韓国のように、構造、用途別に平米当たりの単価を決め、それに当該建物の面積を掛けるだけの簡易な税制を国に具申していくことも必要なのではないでしょうか。これは一つの提案でありますが、都の見解を伺い、今回の質問を終わりにいたします。
○堀内資産税部長 固定資産の評価につきましては、現行制度では地方税法の規定によりまして、固定資産評価基準の定める方法で固定資産評価員が評価を行い、その結果に基づき市町村長が、特別区においては都知事でございますけれども、市町村長が価格を決定することとされております。
今後の固定資産税に係る税制のあり方につきましては、東京都税制調査会におきましても、複雑で精緻に過ぎる評価制度を納税者にとってわかりやすく簡素な制度へと変えていくことが固定資産税に対する信頼性を高めるために必要といった答申がなされているところでございます。
都におきましても、国への提案要求の中で、評価と課税の仕組みを簡素で理解しやすい制度へ見直すことを求めているところでございます。
○ともとし委員 私は、前に二人の質問者がおりましたので、そこと重ならないような観点から質問させていただきたいと思います。一部変更しての質問になるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
主税局の機能というのがあります。これを読みますと、主税局というのは都政が直面する多岐にわたる課題、その財政的な基盤を支えるものである、歳入の所管局である、こうあります。そして、独創的であり、創意工夫を凝らした取り組みをしている。機能的には、債権確定部門、徴収部門、そして運営管理部門がある、こう書いてありました。中身を見ますと、実に職員数が三千五百二十六人。この人数でいくと、まさに中堅都市、三十万、四十万ぐらいの都市の職員数がいらっしゃるのかなというふうに思います。
膨大な一千二百万の都民のあらゆる基幹的なものを支える部門としては当然かなというふうに思いますけれども、この三千五百二十六人の中には、委託した人数も含まれているんでしょうか。
○宮下総務部長 委託は含まれてございません。
○ともとし委員 今、主税局として委託している人数というのは、おおむねどのくらいいらっしゃるんでしょうか。
○宮下総務部長 委託契約は人数では把握してございません。
○ともとし委員 会社の数はどのくらいですか。
○宮下総務部長 ただいま資料を持ち合わせませんので、正確な数字はこの場では申し上げられませんが、おおむね数十社ということでございます。
○ともとし委員 おおむね数十社と、かなりの会社の数だというふうに思いますが、この事務概要の事務事業説明、この中で委託のそういう人たちに対する具体的な職務その他に対して、どのような位置づけにあるかというのは何ページに書いてあるんですか。
○きたしろ委員長 ちょっと速記をとめてくれる。
〔速記中止〕
○きたしろ委員長 じゃ、始めてください。
○ともとし委員 恐らく答弁はできないんじゃないかなというふうに思うんですが、この中には、私、さっきからずっと調べているんですけれども、委託の会社並びに委託の社員、その人たちがどのような形で、どのような位置づけの中にあるんだ、それを職員の方にどう徹底するのかというのは、この中には全然ないような気がします。あるいは、私自身が見落としているのかもしれませんけれども、現時点ではないような気がするんですよ。もしそういう面で管理監督というか、何らかの意味で研修等のそういうものをやっているというものがあれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
○宮下総務部長 ただいま委員ご指摘の委託について、事業概要の中で取りまとめて記述しているところはございませんので、委託に関する記述は、それぞれのところに、いろんなところに散らばっているかと思います。それを取りまとめて記述はしてございません。
それから、委託業者に関しましては、委託業者における守秘義務につきましては、東京都個人情報の保護に関する条例で定められているところでございます。
○ともとし委員 守秘義務は、当然これは公務員の補助をするわけですから、公務員に準じたそういう状況になるというのはわかるんです。わかるんですけど、今、部長がおっしゃったように、数十社にお願いしていると。人数にすると、これは数百人になるかもしれません。私も把握してませんから、何ともいえないわけですけれども。その人たちに対して、こちら側の都の職員の方に何らかの研修も何もなしに、具体的なその数百人の人たちが同じ職場にいるということになると、これはいろいろと問題が出てくるんじゃないかなというふうに思いますけれども、いかがですか。
○宮下総務部長 委託業者につきましては、委託契約の中で必要な義務というものを定めておるところでございます。
○ともとし委員 その委託契約をしたのは、だれと、だれのもとで委託契約をしているんですか。
○宮下総務部長 東京都と、その委託業者の間で契約を締結しているというところでございます。
○ともとし委員 東京都と、委託業者の会社との委託契約であると。そうすると、職員は、その委託で来ている皆さんに対しての具体的な注意義務とかなんとかいろんな面でのそのものは何にも知らなくてもいいということですね。
○宮下総務部長 補助作業者は、事前に受託者から必要な研修を受けてございまして、基本的な作業手順は習得してございますので、都税事務所職員が補助作業者に直接指示をしなくても作業ができるというふうに考えております。
○ともとし委員 部長、確信を持ってそうおっしゃるけれども、じゃ、何でこういう東京労働局から指摘を受けるようなことが出てきたんですか。
○宮下総務部長 委員ご指摘の東京労働局からの指摘ということでございますが、これは、請負をしていた事業者に対する労働者に対して直接業務遂行の指示を行ってはならないということで、それを行ったという指示、それから、終業時刻、休息時間等に関する時間管理を行っていたということの指摘を受けたものでございます。
しかしながら、これにつきましては、委託業者の地区責任者不在時に、複写業務なんですけれども、そのサイズについて質問されたことに関しまして、A3はA4に縮小してくださいというような回答をしたことが、今回の指摘事項につながったというふうなことでございます。
○ともとし委員 部長、そういうふうにいうけれども、そのことで指摘されたんでしょう。その指摘されたことを事前に職員の皆さんに、委託業務というのはこういうことなんだから、こういうような内容のものはいっちゃいけませんよ、あるいは、いっていいですよというような研修はしているんですか。
○長谷川課税部長 今ほどの、委託業務を遂行するに当たりましては、当然委託業者の方でも研修をちゃんとやっておりますし、主税局の職員に対しても、こういうふうな形でやるということで研修は行ってございます。
○ともとし委員 そういう研修をやるというのは、この事務概要の中のどのページに載っかっているの。
○宮下総務部長 現時点で、事業概要にそのような記述は載せてございません。
○ともとし委員 それ以外のさまざまのことは、事細かく結構載っかっているんですよ、この事務概要の中に。どういう研修をやります、どういうふうにしますと、みんな載っかっているの。ところが、そのことに関しては載ってないんですよ。載ってないのに、そのことで注意されたって、それは職員の皆さん、困りますよ。第一線で働いている職員の人たちは、直接そういうような話なんてほとんど聞いてないんじゃないですか。私はそう解釈していますけれども、どうでしょう。
○長谷川課税部長 今ほどのようなお話につきましては、職員一人一人というよりも、係長を通じてきちんとお話はさせていただいていると思っております。
○ともとし委員 だから、そこが盲点なんですよ。管理職だけ知っていればいいというものじゃないでしょう。この問題は、三千六百有余という全職員が、派遣業務を行っている人たちがいる職場の人たちに関しては、全部知らなきゃいけない問題じゃない。管理職が知っていればいいという話じゃないでしょう。少なくともこの問題は、その第一線の人たちがそういったことを知らないでいってしまったという、ある種、過失の部分があるんじゃないですか。どうですか。
○長谷川課税部長 今ほどの東京労働局から指導された内容について、もう一度お話しをした方がよろしいかと思いますので、ご説明をさせていただきますと、通常であれば、この委託業務に際しては、地区の責任者を通じていろんな話をしているわけですけれども、今回指導をされた内容につきましては、地区責任者がいない場合に、例えば、課税資料の複写サイズをA3はどうするんですかと聞かれて、A3はA4に縮小してください、そういうふうなことを答えたこと、これが指示だというふうなお話をされました。
それから、時間の方ですけれども、お昼の時間になったときに、お昼にしましょうといった声かけをしたこととか、あるいは、きょうはこれで終わりですというふうな会話をしたこと、これが時間管理というふうな指摘をされたところです。
我々はこうした日常会話といわれるようなことがそういうことに当たるとは思っておりませんでしたけれども、東京労働局の方でそのように判断をされて、これは職業安定法に違反するんだというふうな指導を受けたものでございます。
○ともとし委員 全く今、部長がおっしゃったとおりなんですよ。要するに、第一線の職員の人は、普通の会話として恐らくいったんだと思うんです。しかも、その委託されている職員に対しては、ここまでのことはいっちゃいけませんよ、ここまでのことはいっていいですよなんという研修もされていなければ、より普通の会話です。ところが、労働局にいわせると、それは違反ですよ、こうなっちゃうわけですよ。
だから、せめて委託業者が入る、または、そこの職員が入る、そういうところについては、やはりきちっと管理監督をする立場にいる管理運営部門の人ですか、こういう人たちがしっかりした体制をとっておいてあげないと、職員の人がかわいそうですよ。何をしゃべっていいんだかわからないもの、そうなっちゃうと。普通の会話すらできなくなっちゃう。
この辺については、ぜひともこういうようなことがないようにしてあげる体制を、職場をつくってあげることが、双方ともに、職員の方も、そしてまた委託契約を結ばれたそういう会社の社員の人たちも、ともに一生懸命仕事ができる、そういう環境づくりができるのではないかなというふうに思いますので、局長、その辺についてのトータル的な答弁をお願いします。
○熊野主税局長 これから東京労働局の指導に基づいて、私どもとしてはできる範囲で改正をやっていきたいと思いますけれども、いずれにしろ、この事務は年度末の一時期に膨大な事務量がふえるということで、どうしても委託とか、あるいは請負とか、そういった形でやらざるを得ないという状況にございますので、今後は都民の方々から偽装請負でもやっているんじゃないかというふうな誤解を受けないような形で、職員の指導を徹底してまいりたいと思っております。
○ともとし委員 今、局長の答弁を聞かせていただいて安心しましたけれども、冒頭にも申し上げたとおり、人数は膨大な人数を職員としてお持ちになっているわけですから、第一線に至るまで、それこそ明るい職場という形の中で働けるような環境をつくってあげなければいけないなと。それが局長の任務であり、また、部課長の皆さんの任務になってくるんじゃないかなというふうに思うんです。その上で、一生懸命東京都の財政を支えるべく、徴収部門をしっかり支えていただいて財源を確保していただきたい。
それじゃなくたって、外に出ていく人は嫌な思いをしているんですから、徴収をするということは。どなられたりなんかして。帰ってきて、普通の言葉もかけられないなんていったら、もう本当に職場に帰るのすらおっくうになってしまう、そんな感じにもなりかねません。ですから、できるだけ職場が明るくなるように、そうしたことをやっていただきたい。
本当は私は別な質問もしようかと思ったんですけれども、持ち時間が十五分といわれちゃいましたので、以上で終わりたいと思います。
○曽根委員 私は、三月十四日の予算特別委員会の古館議員の質問に続きまして、同じ日に行われました本委員会で、都税事務所が年度末に業務委託している国税事務所での確定申告書類から個人事業税対象分の文書を抜き取りコピー作業をする、この作業が実際上、偽装請負になっているという疑惑についてただしましたが、この間、国からの是正指導が出されたとお聞きしましたので、改めて質問いたします。
私たち日本共産党は、全国に蔓延している大企業を初めとする違法な派遣労働や偽装請負問題を、国会でも、都議会のような地方議会でも一貫してただしてまいりました。それは、この問題が、第一には日本社会に貧困や格差を広げる最大の要因の一つになっている。特に二十年来の労働関係法の相次ぐ改悪、とりわけ派遣労働の原則自由化、この流れが、やはり貧困と格差社会を加速していること。もう一つは、企業でも官庁でも、本来直接雇用でやるべき仕事をどんどんアウトソーシングしていくという流れの中で、若者を中心に非正規不安定雇用と、ワーキングプアといわれる年収二百万円以下という所得階層を大きく広げる温床になってきたというふうに考えているからです。
特に今回の偽装請負というのが問題になるのは、企業でも官庁でも、ある業務を業務委託で外注する場合に、これは法律上でいえば請負契約に当たるわけですが、請け負った企業が必ずその業務で働く労働者について、賃金はもちろん出退勤の管理や業務上の指示など、法律上も実態の上でも、すべてに委託を受けた会社が責任を持たなければならないのに、実際は多くの場合、労働者が雇い主でない企業や官庁の現場で雇用関係のない人から、指揮監督のもとに入り、時には労働条件まで変えられるということが起きている。このことは労働者の無権利状態を広げてしまうということから、職業安定法第四十四条で、これは労働者供給として全面禁止をされているものです。だからこそ、法違反として私は重大だと思います。
この都税事務所のコピー業務というのは、作業自体は単純なコピー作業ですが、その中身は、納税者から国の税務署に提出された確定申告の生の書類から東京都の個人事業税に当たる人の書類だけを抜き出し、それをコピーして都税の申告書類のかわりに使うという納税者の二度手間を省く便利な制度である反面、扱っているのは都税の課税の大もとになる文書であって、納税者のプライバシー保護の上で最も守秘義務が問われる文書である。このことから、本来、都の直接雇用職員が担うべきだと考えますが、しかし、これが委託ということで民間企業に発注されているところに問題の根源があるというふうに考えております。実際の作業も、今ちょっとお話がありましたが、都の職員が委託企業の労働者に直接指示を与えるものとなっています。
したがって、私は、公共サービスを通じて都民利益を守るべき東京都の仕事を安易に民間への外注に出して、個人情報など都民利益を大きく損なう危険を冒しているという点でも問題だし、また一方で、そこで働く労働者の無権利状態を拡大しているという点でも、私は東京都の職場からこういう問題を一掃していくべきだという立場で質問をしたいと思います。
また、これは主税局だけの問題ではなくて、都庁全体にあり得る問題、起きている問題だというふうに考えておりますので、私ども、午前中に主税局長にも申し入れを行いましたが、総務局長あてにも全庁的な点検と見直しを求める申し入れをしてまいりました。
以下、質問したいんですが、この問題で先ほども話のありました、東京労働局が調査の上、都に対して是正指導の文書をよこしていると思いますが、いつこれが通知され、どういう内容なのかを紹介していただきたいと思います。
○長谷川課税部長 東京労働局の指導文書についてでございますけれども、九月の二十九日に東京労働局に呼ばれまして、文書で指導を受けたものでございます。その内容につきましては、先ほどもご説明をさせていただきましたけれども、課税資料の複写サイズについて、A3はどうするんだと質問されたときに、A3はA4にしてください、そういうふうなことを答えたことが直接業務遂行指示に当たると。それと、お昼時間になったときに、お昼にしましょうというふうな休憩時間の声かけや、きょうはこれで終わりですというふうな会話をしたことが時間管理と見なされたと。こうした我々は日常会話の範疇に入るのかなと考えていたことが、そうではなくて指揮監督に当たり、職業安定法の四十四条に違反するというふうな指摘でございました。
○曽根委員 部長、文書の内容は変えないで欲しいんです。ここで指摘されている違反事項というのは、二点指摘をされていますよね。ちょっと読み上げますよ、私。東京都主税局都税事務所が、フジスタッフの派遣労働者に対して直接業務遂行の指示を行っていたこと、これが一つですね。二点目は、東京都主税局都税事務所が、フジスタッフの派遣労働者の終業時刻、休憩時間等に関する時間管理を行っていたこと。この二点になっているわけですね。今のようにA3だのA4だのということは書いておりません、ここには。
この点については後でただしたいと思いますが、この指導文書に基づいて東京都主税局としては、どのようなコピー作業についての見直しを行う、もしくは行う予定なのか、教えてください。
○長谷川課税部長 コピー作業の見直しでございますけれども、閲覧業務の契約形態を見直しまして、平成二十一年の閲覧業務より、これまでの委託契約から派遣会社からの労働者派遣、複写機の賃借、複写用紙の購入、成果品の配送と、細分化した契約に変更していく予定でございます。
見直す理由としては、年々閲覧業務に要する期間が長期化しまして、年度内に終了することがほとんど不可能になっていることや、現在単価契約でございますけれども、なかなか単価契約では業者の採算の見きわめが困難であることから、契約が難しくなっております。また、税務署内という狭い限られたところで作業を行うことから、委託契約では適正な履行を確保することが難しい等の事情があるために見直しをしていきたいと思っております。
○曽根委員 今、契約内容で、契約内容を変更する、派遣に切りかえるというようなお話でしたが、これはコピー作業を行う労働者について、派遣労働者を今後は使っていく、その部分については請負契約ではなく派遣契約にするということですか。もう一度確認します。
○長谷川課税部長 今までのような請負、委託契約ではなくて、労働者の派遣契約にするということでございます。
○曽根委員 先ほど来、法律違反の事項について、コピーサイズについての指示をしたとか、休憩の声かけをしたとか、そういうある意味では常識的な範囲、瑣末な問題というふうに聞こえるようないい方をされていますが、それだけが違法ということであれば、コピーの機械の導入や、その他の紙の導入なんかは請負で残しておいて、コピー作業だけを派遣労働に切りかえるという理由にはならないと思うんです。声かけを注意すれば済む問題ですから。派遣労働にわざわざかえなければならなかったということは、直接指示がこういう瑣末な問題だけではないということを示しているわけですよ。
私たちはその点が重要なので、東京労働局の担当者に聞いて、直接この問題を私たちに告発していただいた方と一緒に行って確認をしました。そうすると、私たちが三月に指摘したとおり、これはコピーのサイズ云々だけではなく、それも恐らく違法なんでしょうけれども、一番大事な委託契約の仕様書に書かれていた委託内容として、東京都の職員が指示する個人事業税に関する資料をプリントする際の補助作業、ここに東京都の職員が指示する文書をコピーする作業と、都の職員が作業員に対して直接指示するという内容が委託契約に書かれてしまっているということは、これは違反じゃないんですかと確認したんですよ。これは違反ですと、はっきり労働局の職員はおっしゃいました。この指示がなければ、このコピー作業は成り立ちません。なぜなら、都の職員しか、どの文書を抜き取ってコピーすべきかはわからないからです。コピーの作業員は全くこの問題では素人ですから、どの文書をコピーするのかは、都の職員が指示しなければできないわけでしょう。そこが違法だというふうにいっているんです。したがって、これは請負では成り立たない作業だと。だから派遣労働にかえるんじゃないですか。
そのことと、もう一つ、出退勤の管理をしているというのは、単に声をかけているだけじゃなくて、私たちもこれも告発の方からお借りしましたが、出退勤名簿に都の職員の方が判こまで押しているんですよ。途中までやっていて、私たちが三月十四日にこの委員会や予特で追及したら、途端にその業務委託を受けている会社の責任者が判こを押すようになった。ここで急に切りかわっているんですよ。明らかにそれまでは都の職員に出退勤を管理させていたんですよ。このことが違法だということなんでしょうといったら、そのとおりだと労働局の方はいいましたよ。
こういう根本的な問題が指摘されているのを、労働局の職員が東京都の職員の方に何をいったかは知りませんよ、私たち、見てないんだから、その場は。しかし、私たちは確認してきました。これはやっぱり請負ではできない内容だということは、改めて確認してください。
○長谷川課税部長 今ほど曽根理事がおっしゃいました点でございますけれども、私どもが東京労働局に呼ばれて文書で指導書をいただいたときに聞いたお話を具体的に、先ほどはさせていただきましたけれども、今ほど曽根理事がおっしゃったようなお話については、我々は聞かされておりません。
出退勤については、確かに話はありませんでしたけれども、現場に聞いてみたら、受託業者から頼まれて、数日間、出勤確認の判こは押していたということは報告は受けてございます。
○熊野主税局長 まず、先生、契約というのは、これは釈迦に説法になりますけれども、その契約書は私どもと請負業者の間の契約なんですよ。だから、東京都の職員が指示するというのは請負業者に対する指示なんですよ。その業者が集めた職員に対する指示なんて、そんな契約書は読めません。それが一点目。
それから、出勤簿に対しては、私が報告を受けたのは、請負業者である東芝から都庁の方でも職員の出退勤について確認してほしいので印鑑を下さいというふうにいわれて印鑑を押して、途中でやめたのは、誤解を生じるといけないのでやめましょうということでやめただけの話であって、そういう事実について東京労働局から私どもには指摘はございません。
○曽根委員 指摘がなぜ主税局の方になかったのかは、私たちは関知できません、これは。その場にいなかったんだから。口頭でしょう、しかも。しかし、私たちは直接確認をしてきたんです。この問題を担当した方に直接聞いたんです。
それで、局長の一番目のご答弁ですね。契約書類上の指示というのは会社との関係なんだというのが、もし仮にそうだとしても、現場で都の職員が、この文書をコピーするように指示を与えていること、このことが違法なんですねと確認したら、そうだというふうに確認されたので、契約書だけではないんですよ。現場の文書を抜き出して、これをコピーしなさいという、これが言葉をいおうがいうまいが、事実上の指示なんだということは確認されましたので、違法だということが確認されましたので、そのことは申し上げておきたい。
それから、後の判この問題ですけれども、はっきりいいまして、私たちが指摘する前に変更していたんだったら、まだいいわけできますよ。だけど、これは日付でいえば、変更したのは十九日からですよ。私たちが予特と本委員会で取り上げたのは十四日なんですから。つまり、委員会で指摘された後に変更しているんです。そういう点でも、私はそういういいわけめいたやり方は不適切だと思いますし、私が指摘したように、現場で職員が文書を指示してコピーさせているということがなしには成り立たない作業なんですから、やっぱり請負ではできないということが実態なんじゃないか。ここは率直に東京労働局の是正指導を真摯に受けとめて、今後、少なくともそういう違法はないようにするように対処していただきたいということが一点。
もう一つは、派遣労働に置きかえるということについては、先ほど来私たちいっていますように、この問題は、自分が雇用されていないだれかのところで、その指揮命令系統に入って仕事をしている労働者の立場というのは極めて不安定なんです。自分の賃金や労働条件を決めているのは雇用主ですが、職場にいるのは全く自分が雇用関係のない相手なんですよ。派遣労働もその中身は変わりませんよ。そこから、労働者が労働する、この問題について、労働条件などについて交渉する相手が目の前にいないという極めて権利上損なわれかねない事態が広範に生まれているから、だから今派遣労働の見直しがかかりつつあるわけですよ。特に日雇い派遣。毎日毎日行く職場が違うとか、短期の派遣。この場合だって、派遣労働に置きかえたって、一カ月単位の短期の派遣になってしまいます。これだって、非常に不安定になるわけですよ、雇用形態としては。
これはやはり一九九九年に派遣労働法が事実上派遣が自由化された前に、私たちは戻すべきだ、基本的に正規労働に切りかえていく方向ですべきなんだということを申し上げておりますので、これは局長に決意をお伺いしたいんですが、やっぱり労働局から指摘されたことについては真摯に受けとめて是正することと、派遣労働は避けて、直接雇用でこの仕事は行っていくというふうに考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○熊野主税局長 何回も申し上げますが、出勤簿は、ご指摘いただいて誤解が生じたら困るということでやめたんで、別に日付がその後であるから実態を隠すためにやめたということではございませんし、また、東京労働局が共産党の調査に対してそういう事実があったということを認めて、私どもに連絡がないというのは非常に不可解な話でございまして、それは調査の上で、いい分が違って事実確認できなかったから、私どもには通知がなかったと。私どもが通知を受けたのは、あくまでもコピー用紙をどうするかという話と、それから、お昼にしましょうよというふうな日常的な、ごくごく人間的な会話が、私どもとはちょっと解釈が違いましたけれども、それが業務指導というふうにとられたというふうに理解をしてございます。
いずれにしても、私どもが東京労働局から指導を受けたのは、先ほど来申し上げている二点のみでございまして、これにつきましては、現場の実情を軽視された形式的な判断で非常に残念な思いもしますけれども、ただ、東京労働局さんがそこまでご判断なさったということでは、私どももそれに基づいて今後是正を図っていきたいとは思います。
しかしながら、東京都の職員で賄えというのはいかにも無理な話でございまして、一時的な作業でございますので、そのために常勤の職員を張りつけるというのは、これはまさに税金のむだ遣いでございますので、そういったことはできないということで、私どもでは中でもできるだけ効率的な運用に、今後努めてまいりたいと思います。
それから、ちょっとご紹介申し上げたいのは、いろいろ偽装請負につきましては議論がなされているわけですけれども、基本的には労働者の保護という視点がなければ、この議論は成り立たないわけでございます。そういった意味で、我々、この件ということではございませんけれども、風潮として、いろいろ、直接業務指導がなされたかどうかとか、あるいは労務管理が直接なされたかどうかということだけに議論の焦点が当たって、なかなか労働者の保護という視点が欠落しているケースも、間々ある。
実は、ちょっとご紹介したいのは、大阪大学のある先生が、問題は行政が現場の実情に合わない硬直的な条件に基づいて適正な請負と偽装請負を区分していることだというふうな意見も述べておりますけれども、いずれにいたしましても、今後、労働者の保護という視点に基づいた議論がなされることを望んでおります。
○曽根委員 労働者の保護の立場から問題の解決に当たっていただくということは、大いに歓迎します。労働者の保護という中には、私は、今、全国的に広がっている派遣労働、これは法律で認められているものでも、余りにも悪質で、それを派遣している企業が業務停止や廃業に追い込まれている例が多々出ているわけですので、法律を守っているから、派遣労働だからいいんだというだけでは済まない問題にまで発展してきているということを指摘したいと思います。
それから、自治体における偽装請負の例というのは、これまでは、例えば私たちは昨年、兵庫県の二つの市の問題は国会で取り上げた経緯がありますが、まだ小さい規模でした。その後、新潟県でも、県レベルで偽装請負が労働局の指摘がありましたが、これも大した大きさじゃないんですよ。今度の東京都の規模は、やっぱり百人規模になるわけですね、偽装請負の対象となっている人数が。東京都としてももちろん初めてでしょうし、大都市の自治体としてこういうことはやはり二度とあってはならない。瑣末な問題では絶対にありません。
したがって、東京都のあらゆる全庁的な仕事の中からこういう問題を二度と起こさない、一掃するという決意で取り組んでいただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
○秋田委員 私からは、個人住民税について、簡単に三つ伺いたいと思います。
平成十九年度の個人住民税は、税源移譲による税率、いわゆる一〇%フラット化の影響もあって、全国的に厳しい徴収状況であったと聞いています。都としても歳入確保のため、さまざまな対策を講じたと思いますが、その内容を伺います。
また、最終的に徴収率はどうなったか、あわせて伺います。
○松原特別滞納整理担当部長 平成十九年度の個人都民税につきましては、年度前半からの徴収率の低下状況を受けまして、昨年十一月二十九日に主税局長を本部長とする個人都民税収入確保対策推進本部を設置し、さまざまな徴収対策を講じてまいりました。十二月には主税局長が一部の区長、市長を訪問し、直接税収確保要請を行ったほか、一月には駅ナカ広告、あるいは、ラジオ、テレビなど各種媒体による納税慫慂の広報を重点的に実施してまいりました。
また、この間、区市町村に対する滞納事案相談会の追加実施、区市町村による現年課税分への集中的な取り組みなど、都と区市町村が一体となって徴収に努めた結果、平成十九年度の個人都民税の徴収率は、前年度を一ポイント上回る九四・七%を確保したところであります。
○秋田委員 区市町村は、区市町村民税とあわせて個人都民税も賦課徴収しているわけで、区市町村が徴収に懸命な努力をされていることは都としても高く評価すべきものだと思います。しかしながら、今年度の徴収環境は滞納繰越分の増加もあって引き続き厳しく、都は区市町村への徴収支援を継続して行う必要があると思いますが、今年度はどのような取り組みを行っているのでしょうか。
○松原特別滞納整理担当部長 今年度は、区市町村から過去最大規模の約四百件、十三億円分の滞納案件の徴収権を引き継ぎ、都が直接滞納整理を行っております。また、年度後半には、二区二市へ都職員を派遣し、派遣先の職員と共同で滞納整理に当たるほか、区市町村職員への滞納整理に関する各種研修を実施しているところであります。
今後、徴収率が大幅に低下するなど厳しい状況が想定される場合には、徴収支援をさらに強化し、税収の確保に努めてまいります。
○秋田委員 現在の経済状況を見ると、本当に大変な状況にあるんだと思います。株安、金融不安に伴うアメリカの金融危機に端を発した世界同時不況に対する警戒感は本当に高まりつつあり、国内でも企業の収益予想が大幅に下方修正されるなど、大きな影響が出始めています。
個人住民税は、自営業者やサラリーマンにも課税されます。サラリーマンは給料から天引きされますが、自営業者の中には、これから年末を控え、資金繰りに苦労される方も相当数出ていらっしゃるんだと思います。個人住民税の徴収は区市町村が行うものですが、これまでと同様に、納税の相談などがあった場合には納税された方の実情を詳しく聞いた上で、徴収の猶予や分割納付など適切に対応していくのが、今の経済情勢を考えると一番いいのかな、そんなふうに思っております。
ところで、現時点における個人都民税の徴収状況はいかがなんでしょうか。
また、税収規模がふえれば一般的に滞納もふえ、徴収が困難になると考えられますが、都の歳入を確保するために、今後も区市町村への徴収支援を継続すべきと考えます。見解を伺いまして、質問を終わります。
○松原特別滞納整理担当部長 本年九月末現在、個人都民税の徴収率は三二・八%で、昨年度を一ポイント上回っている状況であります。
しかしながら、区部の半数、多摩地区の一部では前年度対比で個人の住民税の徴収率が下がっている状況もあり、今後とも徴収状況を注視し、必要な徴収支援を適時適切に行い、区市町村との連携を図りながら、一体となって歳入の確保に努めてまいります。
理事からご指摘のありました納税者からの納税相談などがあった場合の対応については、その方の実情を十分把握した上で適切に対応するよう、研修等を通じて区市町村に働きかけてまいります。
○きたしろ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○きたしろ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
委員会の関係で、おおよそ十五分間休憩をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○きたしろ委員長 それでは、四十五分をめどに再開をいたしたいと思います。
午後二時三十二分休憩
午後二時四十七分開議
○きたしろ委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
これより財務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○塚本経理部長 先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんください。まず、表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり、六件でございます。
一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号、都庁舎における主な改修の実績等について、平成十六年度から平成二十年度をごらんください。
平成十六年度から二十年度までにおける都庁舎の改修、修理の実績をお示ししたものでございます。なお、平成十六年度から十九年度までは契約金額、二十年度は予算額でお示ししてございます。
次のページをお開き願います。要求資料第2号、都庁舎の維持管理に係る委託契約一覧、財務局、平成十六年度から平成二十年度でございます。
平成十六年度から二十年度までにおける都庁舎及び議会棟の維持管理業務委託について、件名、契約者名及び契約金額を十枚にわたりまとめたものでございます。
恐れ入りますが、十枚おめくりいただきまして、要求資料第3号、減債基金積み立て・取り崩しの推移、一般会計でございます。
平成十年度から二十年度までにおける減債基金の積立額、取り崩し額及び残高をお示ししたものでございます。なお、平成十年度から十九年度までは決算額、二十年度は予算額でお示ししてございます。
次のページをお開き願います。要求資料第4号、参考単価(賃金)の推移でございます。
平成十二年度予算から二十一年度予算までにおける臨時職員の参考単価(日給)の推移についてお示ししたものでございます。
次のページをお開き願います。要求資料第5号、都有地売り払いの実績、平成十五年度から平成十九年度でございます。
平成十五年度から十九年度までにおける財務局所管普通財産の売却の件数、面積及び金額、また、売却の相手方の内訳としまして、民間、区市町村等をお示ししたものでございます。
次のページをお開き願います。要求資料第6号、財務局建築保全部が実施した設計VEでございます。
設計の能力向上及びコスト縮減をするための検討手法でございます設計VEの平成六年度から十九年度までの件数、直接工事費、縮減額、縮減率及びVEデータベースの累積数をお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○きたしろ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高木委員 それでは私から、単品スライド条項契約案件についてのお尋ねをいたします。
我が党は、六月と九月の本委員会でも、単品スライド条項の適用について取り上げるとともに、九月には対象資材の拡大と都独自の受注者に配慮した運用基準の策定について要望書を提出をいたしました。東京都はこれにこたえて、九月には対象資材の拡大、受注者負担の抑制、請求時の書類の簡略化などを含む運用基準を策定し、運用を開始したと聞いております。
運用開始に当たって、都はその内容を公表いたしましたが、その際、業界団体、区市町村に対する説明会を行う旨の記載がございました。十月上旬との予定であったので、既に開催が済んでいるものと思いますが、この説明会の状況はどのようなものであったのか、ご報告をいただきたいと思います。
○竹本契約調整担当部長 単品スライド条項の適用開始に当たりましては、円滑な制度運用のために受注者へ十分な内容周知が必要であると考えまして、関係業界団体を対象とした説明会を企画し、十月二日に開催いたしました。
説明会は、公共工事に関連した社団法人東京建設業協会などの九団体を対象とし、単品スライド条項適用の概要について説明を行ったところでございます。運用の取り扱い、適用期日の考え方など、運用に当たっての基本的ルールを計算事例などを用いて具体的に説明いたしました。また、問い合わせ窓口や各局の資料を紹介し、さらには、今回の条項適用の大きな目的の一つである下請企業への配慮について協力要請を行いました。
その際に出されたご質問は、国交省の運用基準との違い、あるいは価格変動後の単価の設定、また、基準額の比較対象単位となる品目の設定、その他の資材の内容などでございます。
また、六月以降には、都内各区市町村さんからも照会を受けていたことでございますので、区市町村を対象にした説明会も行ったところでございます。これは十月二日より後に行いました。その際には、その他の資材の内容や、基準額と受注者負担の考え方、手続に要する期間などについてご質問をいただいたところでございます。
○高木委員 単品スライド条項については、運用の仕方、基準というのがやっぱり大事なんだと思いますので、業界も、あるいは市区町村も、当然東京都の運用基準に従って、みずからどう運用していこうかということを恐らく決めるんだろうと思うんですね。ですから、東京都が行った説明が、これから東京都全体のスタンダードに当然なっていくわけでありまして、だからこそ、東京都の運用基準というのは大事なんだということで、この間、私どもずっとこの問題を取り上げてきているわけです。ましてや、国の一定の運用基準があって、それに準じてというのか、それをさらにレベルアップをして東京都はいろいろな考え方を出されているということですから、まさに全国注目の的でもあるというふうに私は思っているんですよ。
ですから、この問題を再三にわたり取り上げておりますが、これからも私たちは、ぜひ東京都の単品スライド条項の運用基準というものが全国のモデルになるように、そういう心構えで取り組んでいただきたいということを、まず冒頭に申し上げておきたいと思っております。
さて、市区町村から、契約に与える影響をはかる基準額と受注者負担の考え方についても質問が出たようでございますが、前回の委員会のときにもこれは取り上げているんですけれども、やっぱり受注者負担の考え方、それから、単品スライド条項が適用される基準額というところで、東京都の運用基準というのをなかなか理解をするのは難しい、こういう感想を私は持っております。
現在の都の基準額と受注者負担、つまり、一%が受注者負担でルールの俎上にのせる、それが基準額。その基準額の一%ルールの負担を超えたものに対して東京都が補てんをする。そのことに対しても受注者負担が〇・五%。そういうルールになっているわけですけれども、ここに私はやっぱり矛盾点があるのではないかという気がするんですね。
国の基準と比較して受注者負担の部分を軽減をしたという点は否定をするものではありませんし、このことについては評価をしているんですよ。前もこれは評価をしていますというふうにいっていると思うんですね。これは評価をしている。だけども、ルールの俎上にのせるために、もともとあった受注者負担一%というルールは残してしまった。ここにやっぱりこの単品スライド条項の、この委員会でも何度も取り上げている問題点の一つがあるのではないかな、私はこういうふうに思っているんですね。
そこで、改めてお伺いしますが、この基準額と受注者負担の考え方、なぜ基準額が一%で受注者負担が〇・五%という、こういう東京都独自のオリジナルのルールを設定をしたのか、お伺いをいたします。
○竹本契約調整担当部長 単品スライド条項は、その価格変動が契約に大きく影響を与えると判断された資材を対象に契約金額の変更を行い、受注者の負担を軽減するものでございます。国におきましては、影響をはかる基準額、受注者負担、いずれも対象工事費の一%と定められております。東京都では、置かれた状況などに留意し、運用内容を検討いたしました。
一方、工事請負契約上は、資材価格の下降が生じた際にも単品スライド条項が適用できることになっておりますので、検討に当たりましては、資材価格の上昇局面が落ちついた際の取り扱いにも考慮いたしました。このため、今回の適用に当たりましては、契約に与える影響をはかる基準額は、国や他団体と均衡を図って対象工事費の一%とし、都の制度が他団体に比べて安定性を欠くことがないよう配慮したところでございます。
しかし、都の工事契約における中小企業の受注が大きな割合を占めているということを踏まえまして、当初は対象工事費の一%を予定しておりました受注者負担につきまして、経済情勢も考慮し、〇・五%と判断いたしました。これによりまして受注者負担の軽減を図るとともに、関係下請企業へのより円滑な支払い効果も期待しているところでございます。
○高木委員 受注者負担が〇・五%になったことによって、下請に対する配慮とか、そういうことは当然期待ができると思います。それは同感です。ただ、結局はそのルールに乗らなければ、設定をした〇・五%の受注者負担というのも意味をなさないわけでありますから、ここに要するに問題点があるということを先ほど来申し上げているわけです。
財務局の方で試算をしていると思いますが、もともとの単品スライド条項、国が定めておりますのは、受注者負担についての基準額は一%、そして受注者負担も一%というもともとのルールのときに、件数としては二百八十九件、見込み額が約三十六・二億円という数値をはじき出していると思います。
一方、今回東京都が策定をしたルールだと、基準額を一%、そして受注者負担を〇・五%にした場合に、当然基準額の一%は変わりませんから、件数については二百八十九件は変わらない。しかし、見込み額については四十五億二千万という数字になっているわけですね。
ここで私、重要なことは、その二百八十九件というのが、この基準額一%で対象となる工事の数だというふうになるわけですけれども、対象工事の案件数というのは、じゃ一体総体で何件あるのかということになると、この財務局の資料によると、千六十件というふうに書かれております。つまり、千六十件のうちの二百八十九件、大体概算でいうと三分の一弱ぐらいだと思うわけです。パーセンテージでいえば二七・三%ということになるんですが、今回この単品スライド条項というのは、資材価格が高騰したときに、その資材価格の高騰に対して、優良な工事をきちっとしていただこうという意味で、受注者に対するある一定の補てんをし、そして、余りにも資材価格が上がってしまって、その工事自体ができなくなっては困るという中で、やっぱり受注者を助けていこうという制度だというふうに私は思っているんですよ。
ですから、この受注者を助けていこうという制度が、どのような考え方で東京都側が運用をしていくのかというところが実は大事なわけで、できるだけお金を出さないようにしようと思って運用するのか、できるだけ助けてあげようと思って運用するのかというところに、実は差が出てくるんだろうというふうに思っているんです。
そして、前回の委員会のときに、この単品スライド条項の基準額の一%はだれが決めたのかということを私は問いかけました。これは東京都財務局長が決めた、こういうご答弁であったと記憶をいたしております。そして、単品スライド条項のすべての部分については国の方からルールが出されておりますけれども、このルールのどこを読んでも一%の基準というのは、実は明確には書かれていないわけです。全体スライドは一・五%だと、受注者負担の基準額がですよ。単品スライドについては何%を受注者負担にするかということは書かれていない。それは書かれていなくても、いろいろなことで、今、国の方では一%と決めたということですが、法的な担保というのは、実はないわけですよね。
ですから、ここに、東京都がどういう哲学で、どういう考え方で運用していくのかという部分が私は出されるんだろうというふうに思っているので、先ほど来そういう話をさせていただいているんです。
ですから、単品スライド条項が、今回定められたルール、東京都が定めたルールで、要するに、案件数が、適用される案件がふえるわけじゃないんですよね。つまり、一%のルールは変わりませんから、〇・五%はもちろんありがたいと思いますけれども、案件数がふえるわけではない。先ほどいったように、下請企業への支払い等の効果は否定しないけれども、しかし、るる申し上げてきたとおり、いずれにしたって東京都独自の判断を行うんだったら、なぜ、受注者負担は〇・五%にしていただいたのに基準額だけが一%で残っているのか。それを〇・五%にし、〇・五%の受注者負担にした方が、それは、私はよりクリアだというふうに思っているので、この問題をこの間も取り上げましたけれども、今回も取り上げております。
さて、そこで、このような運用基準の策定においてそういう検討というのは行ってきたのかどうか。つまり、基準額を〇・五%にすると対象工事案件数はふえるわけですね、当然ながら。このような検討というのはしているんでしょうか。条件の違いによる影響の度合いとか、あるいはどのぐらい予算がかかるのか、こういう検討をされたのかどうか教えてください。
○竹本契約調整担当部長 基準額を一%とするに当たってどんな検討がされたのかということが一点と、そのときの試算と二点でございます。
先ほども申し上げましたけれども、単品スライド条項を適用するに当たりましては、今回は、資材が著しく高騰したということで、この条項を適用するということでさまざまなルールを決めてきたわけですが、仮に資材価格が下降局面を迎えた場合も、理論上、単品スライド条項の適用は可能でございます。
しかし、だからといって、一方では、政策的な判断として、いわゆる逆スライドを適用しないということも出てくるかとも思いますが、適用しないということであれば、適用停止の決定を行う必要がございます。
この際、契約への影響をはかる基準額が小さければ資材価格の変動に敏感に反応するため、適用に関する停止、再開といった手続を頻繁に行う必要も生じることが予想され、制度運用上の安定性が揺らいでしまうことになります。また、契約の双務性の観点、納税者たる一般都民の視点を考慮すると、このような政策的判断を行う際にもさまざまな課題があることが予想されました。このため、制度をより安定的なものにしていくことが肝要と考え、基準額を国、他団体と遜色のない一%と設定したところでございます。
基準額を一%というふうに設定いたしましたので、この基準額を仮に〇・五とか一%以外にする場合についての試算は行ってございません。
○高木委員 一回してみた方がいいような気がしますけどね。それは今後の課題として、いろいろな状況が考えられるという中での想定ですから、そういうことも一度やっていただいた方がよろしいんじゃないかなというふうに私は思っています。
基準額の条件の差による影響についてははっきりした数字の提示がない、今、答弁でありませんでしたけれども、基準額を抑えればというか低く設定をすれば、対象案件数がふえることは理屈としても明らかであると思います。
今回の基準額と受注者負担について、東京都はさらに踏み込むべき余地を残した内容にとどまっていると私は思っているんですね。私はそう思っている。特に、今、大型補正をさきの第三定例会で組んで、産業振興や中小企業対策という観点からいろんなことをやっているわけですから、そういうことも、東京都政全体の政策を考えたときに、この部分というのはまだまだ考えることができる余地を残しているというふうに思っています。
それから、基準額との関係で、もう一点、私は理屈で説明できない部分があると思っているんですよ。それは、基準額の比較対象となるのが品目ごとの変動額であるという点なんです。それぞれの変動額が一%以下である場合に、現在の仕組みでは、例えば品目が三品目、四品目あったときに、三品目、四品目とも契約の変更の対象にはならないわけですね、それぞれのですから。ですから、そうなってくると、受注者は、全体としてはかなり受注金額との乖離が発生をしてくるので、私は、それぞれのというのをやっぱり外すべきなのではないかというふうにも思っているんです。ましてや、先ほど来いっている基準額自体が工事請負金額全体から割り出されて一%であって、単品スライドといいながら単品に対して一%ではないということですから、いいとこ取りみたいな制度になっちゃっているんですよね。
ですから、そういう意味でいえば、受注者の負担をどう軽減していくかということを考えたときに、合算で、それぞれ上がった金額の対象となる品目をどう定めるかという問題ももちろんありますが、それの合算ということだって考えていいんだと思うんですよ。つまり、合算をした場合に、当然、基準額の一%を超えましたといっても、それぞれの品目として超えなかったら、全部これは受注者の負担になっていくわけですよね。ですから、そういう意味で、理屈として私は不公平感があるのではないかというふうに思いますし、矛盾もあるんだろうと思っております。
そこで、基準額と比較すべきものというのは変動額の合計額であるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
そして、もう一ついいますよ。単品スライド条項の、例の二十五条というものの解説に図面が載っているわけですよ、計算式の図面が。三角形になっている図面があるわけですね。今持っていますけれども、これを見ると、単品スライド条項というのはもともと、私は、制度を設計したときに、この部分というのは合算だったんじゃないかというふうに思っているんですよ、この図面をよく見ると。つまり、この一番下のところに請負金額全体が入っていて、この三角の部分というのは、変動額、資材費のみ対象としておりますけれども、主要資材の変動額というのがあって、この三角の部分の差を単品スライドというのは埋めていこうという制度ですよ。この制度設計をしたときにはそれぞれのではなかったのではないかというふうに私は思っているんです、この図から見ると。その点、いかがなのかと思ってご質問をさせていただきます。
○竹本契約調整担当部長 まず、前段の基準額と比較するものは合計額じゃないかという点に関してでございますが、この間、先生には、もういいよ、くどいよといわれるぐらい説明させていただいておりますけれども、工事請負契約、総価契約でございます。経済情勢や天災などの不可抗力による予期し得ない状況が生じることもございます。そういった場合の契約変更を行うというのが基本的な考え方でございまして、通常の価格変動については当初契約の中に見込まれている、のみ込まれると解釈してございます。
複数の資材の変動の合計額を基準として比較するということは、契約に大きな影響を及ぼさない資材の価格変動についても契約変更に含める結果となりますので、これはこの考え方と矛盾することになります。
したがいまして、今回のように対象資材を限定しない場合には、品目ごとに価格変動が契約に及ぼす影響をはかる基準を設定することが、特定の資材価格の急激な上昇に伴う措置としての単品スライド条項の適用に当たって不可欠なルールと考えました。
例の先生の三角形のチョコレートケーキみたいな絵、あれはたしか、最初に国が単品スライド条項、今回のことについて出てきた説明資料に入っておりました。そのときには、そのような見方もできるかなという感じで私も見ました。ただ、その後、国から出てきた通知におきましては合算という考え方は示されておりませんし、その限りにおいては、品目ごとに基準額を比較するという内容は国においても同様であるというふうに考えております。
○高木委員 これは今後よく考えていただきたいと思いますし、ルール適用というのが今までなかったわけですから、改めて今後の課題として、ひとつ、財政委員会からそういう指摘もあったということも頭に置きながら、ぜひ研究をしていただきたいと思っております。
私は、契約制度について、各契約当事者が定めるものという原則の中で、東京都が行うことは国と必ずしも同様である必要はないというふうに思っています。もちろん、公共工事の中で補助金が入っているものとかいろいろありますから、それは国とのルールを、整合性を図らなきゃいけないというのもわかりますけれども、しかし、できるだけ東京都において決められることは、東京都は東京都なりにやっていく。特に、東京の中小企業を守っていくという判断の中で、できるだけ助けていこうという考え方がもしあるんだとすれば、それはそれなりに、やっぱり運用のルールというのはそういうふうにつくられるべきだろうなというふうに思っておりますので、今後とも、置かれた状況を十分しんしゃくをしながら、的確な判断と迅速な実行を行っていただけるように申し上げておきたいと思っております。
話題は全然変わりますが、最後に一つだけお伺いをいたします。
東京都の持っている財産の関係であります。
今ここに、きょうはこれ、持ってきましたけれども、東京都スポーツ振興基本計画というのがございます。私たち都議会自民党は、東京オリンピック招致もそうでありますが、青少年の健全育成とスポーツ振興に向けて、どういうネーミングにするか、今、政調会で考えているところなんですけれども、本気でスポーツとか、スポーツをとにかくどんどん振興していこう。それによって、東京の活力、あるいは、オリンピック・パラリンピックの招致都市にふさわしいスポーツ都市東京を実現していこう、こういうふうに考えています。
そういう中で、私は、スポーツの振興を図っていくためにはやっぱり場所の確保が必要だろうというふうに思います。今、スポーツ団体にいろいろ聞いてみますと、やる場所がないということが大変大きな課題になっておりますので、それを東京都の財産面から支援をしていく方法はないんだろうか。つまり、東京都が持っている都有地、当面使う予定のない都有地などを通じて、それを暫定的に、あるいは期間限定的に貸し出しをするなどしてスポーツの振興を図ることができないだろうかということを考えておりますが、どうお考えになられるか教えていただきたいと思います。
○松本財産運用部長 都有地は都民から負託されました貴重な財産でありますことから、都の行政目的の達成のために効果的に利用することが重要でございます。また、直接の行政目的に供さない場合でございましても、財産価値を最大限に発揮させるとともに、都の施策にも貢献するよう利活用を図っていくことが必要でございます。
一方、都が推進する二〇一六年のオリンピック・パラリンピック招致に向けて、都としてのスポーツ振興への取り組みと、それによる都民の機運醸成が重要であることを認識しております。
ことし七月に、先生今お話しの、生活文化スポーツ局におきましてスポーツ振興基本計画が策定されました。身近でスポーツを始められる場の提供をスポーツ振興策の柱の一つとしてございます。そのため、財務局といたしましても、他の施策との整合性等を考慮しながら、利活用の予定が当面ない都有地のうち都が定める土地につきまして、運動場等として区市町村に暫定的に貸し付けることのできる仕組みが早急にできるよう施策所管局と協力してまいります。
○高木委員 終わります。
○酒井委員 それでは、私からは、電子調達システムについて何点かお伺いをしたいと思います。
財務局において平成十三年度より導入をされました電子調達システムも、平成十九年度にはついに全庁にわたり導入され、都庁全体で電子調達システムが活用されております。そもそもこのシステムは、入札制度の透明性、競争性を図ることによって公正公平な入札を実現することに寄与するものであり、さらに、入札にかかわる経費の削減をも期待できるものであります。
そこで、まず初めに、コスト面からお伺いをいたします。
過去の質疑においても聞いたことがございますけれども、経費の削減という面からの導入効果について、全庁導入をした現在の状況についてお伺いをいたします。
○竹本契約調整担当部長 電子調達システムの経費の削減というお尋ねでございましたので、現段階で算定してみますと、平成二十年度単年度では、利用者の人件費、交通費等の経費削減効果については十五億円と試算できます。
また、電子調達システムに係るコストと導入効果を比較した収支バランスについては、平成十三年度から二十年度までの開発経費及び運用経費の累計は約三十五億円に上っております。効果につきましては約四十四億円となりますので、現時点におきまして、効果が経費を上回っているという状況でございます。
○酒井委員 ただいまご答弁をいただいた効果は外部効果の数字であると思いますけれども、以前にも増して大変大きな効果が出ており、企業経費の削減に貢献をしているということは大変喜ばしいことであると思います。
ただ、内部効果につきましても、算定がなかなか難しいということはあると思いますけれども、将来的には、このシステムの導入効果といったものを検証していく際には、どうしてもこの内部効果というものも必要になると思いますので、ぜひとも把握に努めていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
次に、利用者の視点からお伺いをいたします。
この電子調達システムの導入に当たり利用者の理解を深めるため、導入当初は、都庁にパソコン等を置き、指導するなどの支援策を講じていたと思いますけれども、この間、利用者のためにどのような対策を行ってきたのか、また、利用者からはどのような要望が寄せられているのか、お伺いをいたします。
○竹本契約調整担当部長 利用者さんのためにどのような対策を行ってきたのかというお尋ねでございます。
平成十五年度に電子入札を実施いたしました。このときから、電子調達システムの利用を促進するためにシステム操作の支援といたしまして、電話とかメールによる問い合わせに対応する窓口となる電子調達システムヘルプデスクを設置いたしました。また、詳しい操作マニュアルや電子入札を模擬的に体験できる電子入札システムナビをシステム上で運営しております。かなりご活用いただいているようでございます。
昨年、十九年度に実施いたしました利用者アンケートによりますと、入札参加資格者の申請業務におきまして、システム導入以前、来庁していただいたわけですが、これに比べると非常に効率がよくなったという回答が約八割でございます。また、電子入札になって、八割以上の利用者の方が、移動時間の減少ですとか、入札事務の効率がよくなったと回答していただいております。
そのほかに利用者から寄せられている要望の主なものといたしましては、操作画面の簡素化や操作性の向上への要望、またOSのバージョンアップへの対応など、ソフトウエア環境やパソコンの設定方法に対する要望、電子証明書等に対する要望などをいただいております。
○酒井委員 ただいまのご答弁によりますと、利用者の八割の方々が効率がよくなったということですので、これは大変利用者にとっても便利なシステムとして活用されているということで、大変喜ばしいことであると思います。
ただ、今のご答弁の中で、電子証明書等に対する要望が寄せられているとありました。これは多分、今日では電子納税による電子証明書の媒体としても利用がされ、機器の購入が控除の対象にもなっているICカード方式ではなく、フロッピーディスクを利用していることを指摘されているものではないかと思われます。
この電子証明書に関しては、行政書士の代理権に関する問題があり、過去に質問した経緯もございますけれども、この問題については請願が出ておりますので、請願の質疑の際にしっかりと質問をさせていただきたいと存じますが、フロッピーディスクを媒体として使っているということは、データの消失という媒体自体の脆弱性という点から問題があり、なるべく早い段階で、ICカードなど、より堅牢な媒体へと変更していただきたいと思います。
そこで、これに関連をいたしまして、システム全体の安全性確保の面からお伺いをいたします。
東京都では、平成十九年度に東京都情報セキュリティーポリシーの改定を行い、情報漏えいや不正アクセス、サイバー攻撃への対応方針を明らかにしました。都民の貴重な情報資産をさまざまな脅威から守ることは東京都の責務でもあります。東京都電子調達システムも膨大な企業情報、個人情報を扱っていると思いますが、現行システムにおけるセキュリティー対策についてはどのようになっているのか、お伺いをいたします。
○竹本契約調整担当部長 電子調達システムにおけるセキュリティー対策というお尋ねでございます。
ご案内のように、東京都電子調達システムはTAIMSの基盤を使用しております。したがいまして、ファイアウオールやクライアントとサーバー間の情報の暗号化などにより、外部からの不正アクセスには対応しているところでございます。具体的には、第三者による文書の漏えい防止のための暗号化通信、入札書の改ざん防止方式の採用でございます。
また、システムの適切かつ確実な運用及びセキュリティーの確保を図るということで、東京都電子調達システム運用要綱を定めまして、ウイルス対策やICカードと静脈認証の併用による中央コンピューター室への入退室管理、サーバーの二重化なども実施しております。
さらに、電子調達システムにアクセスできる職員は契約担当者に限定し、IDパスワードと電子証明書による厳重なアクセス制限を行うなど、さまざまな形でセキュリティー対策には万全を期しております。
○酒井委員 ぜひ、不正アクセスであるとか、またサイバー攻撃等の手口といったものはますます巧妙化をしておりますので、都においても最新のセキュリティー技術等を活用していただくことや、意外と人的なミスで情報が流れてしまうという事例も他の自治体等ではあるということもありますので、そういった点を含めて適切に対応していただきたいと思います。
最後に、これまで指摘した問題や利用者からの要望、また、局によって仕様が違う現在の電子調達システムはなるべく早い段階で改修をしていく必要があると考えますが、財務局としてはどのぐらいの周期で改修を行っていくのか、お伺いをいたします。
○竹本契約調整担当部長 現行システムにつきまして、導入から何年たったら改修するというような、そういった周期というものはございません。開発に当たりましては多額の経費を投入して開発しておりますので、一度開発したシステムにつきましては、できる限り使い続けることが最上であると考えております。
しかし、そうは申しましても、運用している制度が大きく変更され、システムを改修した方が効率的であり陳腐化も防げるというような場合には、費用対効果を含めてシステムの改修を検討する必要があるだろうというふうに考えております。
○酒井委員 ただいまの答弁によりますと、システムの改修は、運用している制度が大きく変更され、システムを新たに構築した方が効果的であり、システムの陳腐化も防げる場合ということですが、都の電子調達システムは、平成十三年度のシステム導入以来、既に八年ぐらい経過をしているということで、また、運用している契約制度も変化を来しております。システム内容も陳腐化をしている可能性といったものも懸念がされます。
そこで、システムの検証をしっかりと行うとともに、改修を行う際には、経費の削減であるとか利用者の利便性の向上、セキュリティー対策に万全を期していただくよう強く要望をいたしまして、今回の質問は終わりにさせていただきます。
○ともとし委員 私の方からは、入札契約制度改革研究会の第一次提言に基づきました入札の契約制度、そうした観点から質問をしたいと思います。
まず、全国的に、今の経済状況でいって、工事の発注量が減少してきているように見えますが、そうした中で、事業者間では大変な競争になっているような感じがいたします。まず、適切な入札競争となるようにしっかり、早急かつ確実に実施していただきたい。
その上で、実施方針で示された取り組みの中から、総合評価方式、この点について取り上げたいと思っております。
これまでは、入札を見てみますと、落札者はほぼ価格のみで決まってきているのかな、こう思うんですが、完成した工事の品質や、それらを実現する事業者の技術力については十分に考慮されていないため、場合によっては、一部の不良不適格業者が入札に参加して落札し、安かろう悪かろうといった工事がまかり通る、そんなことも恐れております。
総合評価方式は、価格とともに事業者の技術力を評価することによって、価格による過度な低価格競争を抑制して、効果が期待されるというふうに思うわけですが、特に、不良不適格業者の落札を防ぐ、工事品質を向上させる、そういう効果があると思います。
こうしたメリットのある総合評価方式、都における実施状況はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。
○竹本契約調整担当部長 ただいまお尋ねいただきました総合評価方式でございますが、価格のみではない、技術力も評価し、最適な落札者を選ぶという制度でございます。
現在、東京都では総合評価方式を三つの類型で実施しております。技術提案型、技術力評価型、施工能力審査型の三つでございます。
具体的に申し上げますと、技術提案型は、技術的工夫の余地の大きい工事を対象に、その工事に必要な技術提案を求め、その内容を評価するものでございまして、平成十三年度から実施しているところです。
次に、技術力評価型は、技術的課題のある中規模以上の工事を対象として、工事成績、施工計画、事業者の信頼性など十一項目により技術力を評価するもので、昨年、十九年度から試行を開始したところでございます。
施工能力審査型は、中小規模の工事を対象といたしまして、工事成績、技術者の実績など三つの項目により事業者の施工能力を簡易に評価するもので、平成十七年度から開始してございます。
このように都では、発注する工事の規模や技術的難易度に適切に対応できるよう、総合評価方式の整備を体系的に進め、試行実施しておりまして、十九年度現在では、この三つの類型合わせまして二百七十一件を実施したところでございます。
○ともとし委員 三種類の総合評価方式がある、工事の規模あるいは内容に応じて設定されて、事業者に対して一定の配慮がなされているということはわかりました。しかしながら、総合評価方式を適用する工事件数が十九年度では二百七十一件だと。都の発注する工事というのは年間五千件を超えるかというふうに思うんですが、その一割にも満たないという現状になると思います。技術力評価型や施工能力審査型、試行を開始してから日が浅いということはよくわかりますが、発注者、受注者ともに、技術資料の作成だとか審査に手間がかかるということから件数が余り伸びていないというふうに聞いております。
工事品質の向上や低価格競争の抑制のためにも総合評価方式を本格実施すべきではないか、できるだけ早く拡大していくべきだというふうに思っているわけですが、本格実施に移行するに当たっては、現行の総合評価方式をよく点検していただいて、技術評価に関する事業者の事務負担が適切かどうか、事業者の技術力が適切に評価できているかなど、質的な面でも充実させていくことが重要だというふうに思っております。
そこで、総合評価方式を質量ともに充実させていくために都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○竹本契約調整担当部長 現在実施しております総合評価方式は試行段階のものも多々あるわけでございまして、ご指摘のように、今後は、これらの試行の結果を踏まえて、制度や運用をさらに改善していく必要があると考えております。
入札契約制度改革研究会では、適切な評価項目や配点の設定、評価制度の向上の仕組みづくり、技術評価に係る事務負担など、制度面での検討を行うとともに、運用面におきましても、技術評価の経過や結果の透明性、説明の充実などについても検討していく予定となっております。
都といたしましては、総合評価方式の拡充に当たって、これらの研究会の議論を踏まえながら、事業者の技術力や努力を適切に評価し、技術評価にかける事務負担が過大にならない制度となるように取り組んでいきたいと思っております。
○ともとし委員 どちらにしても、発注工事の多くを占める中小企業に過大な負担がかからないように、適切な評価がされるように、何のための総合評価方式かというのがきちっとわかるように、その辺のことも考慮に入れながら、しっかり仕組みを取り入れて進めていただきたいというふうに思います。
次に、契約の透明性、公正性の向上の観点から、電子調達システムについて伺います。
いろいろ先ほど来の答弁を聞かせていただきました。非常にメリットもあるようにも思います。そういった観点から、東京都の電子調達システムの導入以来、もう既に十年がたとうとしているわけでございますけれども、電子調達システムを中心になって運用している財務局として、このシステムのメリットそれからデメリット、これをどう評価しているのか、どう認識しているのか、お伺いいたします。
○竹本契約調整担当部長 ご紹介いただきましたように、電子調達システムを平成十三年度から導入しているわけでございますけれども、導入したことによる改善された点といたしまして、入札参加資格の申請、入札参加の希望票や入札書の提出がインターネットでできるようになりました。事業者の方にとっては、来庁に要する交通費や人件費の削減が図られ、経費負担が軽減されているところでございます。また、発注の予定表や入札結果をインターネットで閲覧できますので、利便性の向上も図られているところでございます。さらに、電子調達システムの導入によりまして、入札参加者同士が集まらないで済むということから、談合の防止や競争性の向上、透明性の向上に大きく寄与しているものと考えております。
一方、システムのデメリットといえるかどうかでございますが、事業者の方からは、操作の簡略化やパソコン設定についての改善要望が寄せられておりまして、これらは我々としてもデメリットと受けとめて改善していく必要があるというふうに考えております。
○ともとし委員 メリットがあるということは先ほど来の答弁でよくわかります。しかしながら、デメリットもあるということは、今答弁の中でもいわれたことも含めて、これまたあることも事実でございまして、それはやっぱりきちっと是正していかなければいけないのかなというふうに思います。
それの最たるものは、やはり工事現場についての説明が十分でないということです。今までは、直接職員が現場や工事の概要についてきちっと面前で説明ができたわけです。今はそれがまるっきりありません。そういう意味では、事業者が十分に工事の内容を把握することができたかどうかというのは非常に疑わしい部分があります。設計書等についてもインターネットで送られている、そういう状況もありますので、細かい部分の打ち合わせというのが、事業者と発注者の間の中で非常に意思の疎通が阻害されているんじゃないかな、そういう部分も非常に心配をしております。
透明性がある意味で向上したということについては、これは十分今の答弁でもわかるわけでして、要は、良質な製品あるいは良質な工事、そこのところができなければ、これはまた本末転倒になってしまいますので、デメリットの部分に関して一つの区切りが来ているのかなというふうに思いますので、もう一回具体的に、電子入札制度、電子調達システム、それらについて、もう一回、一つの区切りの中で調整をすることは大事かなというふうに思いますので、このことは要望をしておきたいというふうに思います。
次に、都有地というのは、ある意味では都民にとって貴重な財産だというふうに思っております。都の行政目的を達成するための効果的な利用が大事かなというふうに思っております。現状、我々が見ただけでも、都内の中には未利用の都有地というのはかなりあります。公会計システムが整備されて、ストックも含めて、都民への説明責任というのが現在生じているのかなというふうに思うわけですが、未利用地をこのまま放置しておくことはできないというふうに私たちも思っております。
この未利用地について、件数あるいは面積というのはどのくらいあるのか、お伺いしたいと思います。
○松本財産運用部長 二十年九月三十日現在で財務局が所管の普通財産で現に恒久的な利用に供していない土地は、島しょの緑地等として保有しているものを除きまして三百五十五件ございまして、面積では約二百十八万五千平方メートルとなっております。
○ともとし委員 件数そのものは余り多くないように見えますけれども、実際、都有地の未利用地というのは、別に財務局にかかわらず各局に至っておりまして、大きいのから小さいのまでさまざまなものがあるわけですが、このような未利用地、どういう経緯で未利用地になったのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○松本財産運用部長 財務局が未利用地として保有するに至りました経緯は、大きく次の三つに分類されます。
一つは、都の行政目的の達成のために利用されてきた財産であるものが、事業目的が終了し、用途廃止等により財務局に引き継がれたもの。二つ目は、ある行政目的の予定があるために保有していた財産のうち、状況の変化により事業を断念せざるを得なくなったため、財務局に引き継がれたものでございます。第三に、事業予定があるもののうち、事業開始までにまだある程度の期間があるため、財務局で保有しているもの。以上、三つでございます。
○ともとし委員 三つの要素があって未利用地になっているというふうにご答弁があったわけですけれども、これの年数的な限度というのはないんですか。我々が見ていると、五年も十年も塩漬けになったような未利用地というのがかなりあるような気がするんですけれども。例えば一定の線で、これ以上になった場合はもう他に転用して、何らかの形で再構築してやっていくんだ、そういうような何かの線で割り切る、そういうものはないんでしょうか。
○松本財産運用部長 財務局で保有しております未利用地につきましては、さまざまな、例えば境界等がまだ確定し切れていないとか、また、いろいろ、道路として使われていますとか、そういったものも含まれておりまして、また、他の局がいろんな行政目的に使うというような要望も、どういった場面で出てくるかというふうなこともございます。そういったこともございまして、長いもの、短いものございますけれども、今のところ、一定の基準でどうこうというようなことはやっておりません。
○ともとし委員 経緯はよくわかったんですけれども、いずれにしても、全部都の財産、都民の財産だという前提で物事を判断してもらわないと。一般だったら、そんなに長い年数、草ぼうぼうにしながら未利用地という形で、草ぼうぼうにすれば、草は刈らなきゃいけないんですから。その部分をよく考えていただいて、適切な判断をしていただければなというふうに思います。
財産価値、それをきちっと発揮していただけるような未利用地の利用というものをお願いしたいと思いますけれども、その辺についてはいかがでしょう。
○松本財産運用部長 財務局といたしましても、未利用地の利活用というものは非常に重要だというふうに思っております。そのため、昨年、十九年六月に今後の財産利活用の指針を策定いたしまして、普通財産につきまして、財産収入を確保しつつ都の推進する施策を実現するため、民間の知恵や活力を取り入れた多様な利活用を図っていくことといたしました。
この指針を踏まえまして、未利用地の中から、環境施策と連動した通常の一・五倍の緑地創出を条件とした貸し付けや、私立学校の耐震化促進のための貸し付け等を行ってきたところでございます。本年九月末現在、先ほどの未利用地のうち、件数で百十二件、面積で約八十一万六千平方メートルの土地は暫定利活用を実施しているところでございます。今後も引き続きまして、こうした貸し付け等を積極的に行うことにより未利用地の有効活用に努めてまいります。
○ともとし委員 財務局においてのご答弁ということで、よしとしなければならないというふうに思いますけれども、今後、予算特別委員会あるいは決算特別委員会等で、本当は東京都の未利用地というのは、全庁的に、どこのところがどれだけ持っているのかというのを全部足せば、財務局の今いった数の十倍、二十倍あるんですから、それをトータル的に都の財産という観点から換算すればえらい金額になります。ですから、そういった点から、ある意味では、財務局が中心になってやるべきかなというふうに思うんですが、これは今後の課題ということでやらせていただきます。
次に、東京都というのは、先ほどは主税局があったんですが、そういういろんな、税金の徴収、そういったところで財源をつくったりなんかするんですけれども、みずからがつくれるような財源というのは財務局の中にもあるんですね。例えば宝くじなんですが、この宝くじの収益金、これが公園整備だとかあるいは高齢者の福祉施設の整備など公共事業に使われているわけですよね。貴重な財源になっているわけです。
一点、聞きたいのは、ここ五年間の宝くじの売り上げの推移、この辺についてお伺いします。
○真田主計部長 宝くじの売上額の推移についてでございますけれども、平成十五年度が千七百五十二億円、十六年度が千七百十二億円、十七年度が千七百十億円、十八年度が千七百十七億円、十九年度が千六百二十二億円となっております。
○ともとし委員 一千七百十二億円だとか一千七百十億円とか、ずっと年数別に出されたんですけれども、これは売上高であって、実際に都に入ってくるのはこの中の四割でしたっけ。--四割ですね。はい、了解です。
一番多いときは、この数年間のそういう状況の中でも一千七百五十二億というのが一番多いのかな。それに対して、少ないのが一千六百二十二億、こういうような状況になっているんですが、売り上げが減少していった原因というのは何でしょう。
○真田主計部長 売り上げの減少につきましては、いろいろな原因が挙げられると考えております。
まず、消費者の方々の経済動向でございます。可処分所得の減、あるいは年金問題等による将来に対する不安など、消費意欲を減退させる要因が多く、これらが宝くじの購入動向にあらわれていると考えられます。
例えば、売り場の方々にお話を伺いますと、列の長さはこれまでと変わらないんだけれども、今まで三十枚買っていただいた方が十枚、二十枚と購入枚数を減らしているというふうな状況があるようでございます。このように、ファンの数自体は減っていないんですけれども、お財布がちょっとかたくなってきたということが一つきいているのかなというふうに考えます。
さらに、totoBIGなどの類似商品が発売された、そういったものも影響されているというふうに考えております。
○ともとし委員 四割が収益金となっていろんなものに使われているわけなんですが、先ほども申し上げたとおり、財務局として唯一、唯一というか、これ以外にも若干あるんですが、収益を得られるような、そういう内容になっているわけでして、非常に公共事業の貴重な財源となるわけですから、この売り上げを上げるための何らかの方法というのを考えなければいけないのかなと思うんですが、この辺についてどのようにお考えなんでしょうか。
○真田主計部長 ただいま先生おっしゃられましたとおり、宝くじは公共事業の貴重な財源となってございますので、さまざまな施策を実施して売り上げ増に努力していかなければならないというふうに考えております。
ただいま申し上げましたとおり、ここ数年、売り上げが減少しておりますけれども、くじの種類で見ますと、年末ジャンボくじを初めとしますジャンボ宝くじの売り上げ減が大きく響いております。このため、昨年度からジャンボのイメージキャラクターとしまして、俳優の西田敏行さん扮する西田夢蔵さんに変更してイメージアップを図っております。また、ことしはジャンボ宝くじが誕生して三十年を迎えましたので、ありがとうジャンボ宝くじと銘打ちまして、Tシャツやバスタオルのプレゼントなど各種キャンペーンも実施しております。
また、数字選択式宝くじにつきましては、十九年度から発売時間を午後八時まで一時間延長するなど、購入者の利便性も図っております。さらに、今年度から、ミニロト、ロト6のイメージキャラクターに好感度の高い女優の伊東美咲さんをお願いしまして、若年層へのPRも図っております。
このほか、スクラッチくじを海外の例に倣いまして毎日買えるようにしたり、あるいは、二種類のくじを同時に発売するなどもしております。
また、新商品につきましては、ファンから要望がございました、いわゆる当せん金額は低いんですけれども当せんの確率が高くなるような、例えば百万円とか一万円の賞金に特化しました宝くじとしまして、今年度、ミリオンドリームを発売したりしております。そういうことでいろいろ努力はしております。
今後も、魅力ある宝くじの新商品の開発などを行いまして、収益金の安定的な確保に努めていきたいと考えております。
○ともとし委員 私は、宝くじというのは、都民にとっては、東京都に対しての最も愛される、しかも親しまれる健全な娯楽である、こういうふうに認識しておりますけれども、いたずらに射幸心をあおることなく、売り上げは伸ばしていかなければいけないのかなというふうに思います。
新商品のキャンペーン、これも大事なことだと思いますけれども、やっぱり一にも二にも購入者が買いやすい場所、そういったところが大事かなというふうに思っております。貴重な財源でもありますので、主計部長が担当部長ですから、知的な方でもありますし、ひとつよく考えていただいて、大いに売り上げを上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○曽根委員 私からは、まず最初に、契約制度の改善について質問をしたいと思います。
契約制度の最初は、公共工事の契約のあり方について。
六月に発足しましたこの問題での研究会が答申を最近出しまして、これに基づいて都が実施方針も出しております。この中で、例えば、提言で出されたことにこたえて、主要資材の単価を毎月調査し、一定以上の価格変動があれば直ちに改正を行うこととか、また、施工条件に変更が生じた場合の取り扱いについてガイドライン等を作成するとか、契約制度、工事実態に関して意見交換等を行う機会を業界との間でも設けていく。また、工事発注前倒しなどにより工事施工時期の平準化を図る。また、監理技術者の確認を入札時に変更する。また、最低制限価格を八五%に引き上げなどなど、改善に向けて努力の跡が見られるし、また、研究会の答申にこたえて全体として前向きの方針が出たなというふうに思っております。
ただ、これですべて契約に伴う今抱えている問題が解決するかどうかというのは、今後の実際の実施を見なければなりませんが、現段階で私が若干懸念をしている問題について幾つか聞いていきたいと思います。また、もう少し前向きに業界との協議等を通じて、この場を活用していろんな問題を解決していくという上で、提案も含めて質問したいと思います。
まず第一に、最低制限価格を八五%に引き上げたということは、これは、業界からも少なからぬ大きな前進ということで評価をされているようです。これによって、国の新しい基準なんでしょうか、算出基準でローアーリミットを割り出したときに、現時点でいえば八五%以下におさまるわけですから、今までのように、それを超える制限価格が全部八〇%に張りついてしまうというふうなことはなくなるだろう。そうすると、まじめに積算したときに最低制限価格が八五%以下のどの辺になるかが、やっぱり積算しているかしていないかで違いが出てくるということで、これを見きわめて入札に参加することができるというふうなことがいわれているわけです。
そこで、これで本当に入札不調が一掃できるのか。八五%の制限価格にまた張りついたりしないのか。例えば、資材の値動きが非常に激しく、かつ、多くの企業が大変な建設不況のもとでこれ以上のリスクを抱えられないという状況の中で、入札不調が今後ふえていかないかどうかというのはまだ読めない部分があると思うんです。
もう一つは、国の算出基準も、今回新たな算出基準を出したようですが、時代とともに不変ではないだろう。もし今後、実施する中で入札不調が起きたり、また張りつきによるくじ引きが生まれるようなことがあれば、制限価格の上限を再引き上げすることも今後検討課題とすることがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 最低制限価格、コスト調査に基づいて設定された基準によって算定され、その額は一般的な工事における平均的な採算ラインとされております。
今回、都における直近の工事を抽出して最低制限価格の基準額を試算し、その範囲を検証したところ、ほぼすべての工事が予定価格の八五%以下になるということから、今回、適用範囲の上限を八五%としたものでございまして、引き上げの必要はないと考えております。
○曽根委員 八〇%から八五%に改善したばかりですから、現時点ではそういう都の考え方になろうかと思いますが、ただ、もうとにかく建設不況が日々悪化しているという中で、入札予定額は発表している、したがって、本当の入札による勝負のラインというのはどうしても、最低制限価格のところを積算して読み切って、それ以下のところで入札に応札する。しかし、それは、それぞれの企業が最大限の、赤字ぎりぎりの努力をした上での勝負なんですよね。そういう勝負が、入札がいつまでもできるような状態に特に中小の建設業界がなっているかどうかということが、私、心配があると思うんです。本当に大変なリスクをみんな抱えてやっているわけで、これで公共工事入札不調がまたばたばたと出れば、やっぱり制度というのは今後考えていかなければならないということを申し上げておきたいと思うんです。これは、今後の様子もまた私たちも見ていきたいと思います。
それから、今回、国や業界から求められておりました事前公表制の見直しについて、都は、これは必要ないという態度をとっているわけですが、その理由、根拠について教えていただきたいと思います。
○竹本契約調整担当部長 予定価格の事前公表ですけれども、平成十四年度から工事の予定価格を事前公表しておりますが、これは、予定価格を探る行為などの不正行為を防止し、入札手続の透明性を確保するという点で大きな意義があると考えて実施したものです。積算能力のない事業者の落札というご懸念を防止するという視点で、予定価格の事前公表の導入とあわせて入札参加者の全員に積算内訳書の作成を義務づけ、工事の品質確保も図っております。
過度な低価格とかくじとか、先ほど来、先生おっしゃっていますけれども、こういったことの抑制を図るために、先般の研究会の第一次提言に基づいて策定いたしました当面の改善策の実施方針におきまして、総合評価方式を適用する工事の拡大、また、ただいまご質問もいただきました最低制限価格の上限の見直しを行うことにしたものです。
事前公表をめぐりましては、お話しのような国や業界団体からの見直しのような指摘があることは承知しておりますが、都といたしましては、こうした対策による効果を今後検証し、その効果を踏まえて慎重に対応していくこととしております。
○曽根委員 絶対だめというよりは慎重に対応というお話だったんですが、私、あの実情をぜひちょっと知っていただきたいなと。これは今後懇談会などでも業界から出ると思うんですけれども、公平な競争、積算能力のないところが、ローアーリミットで張りつくだろうからということですぽんと入れちゃう、それを防ぐ。それはわかりますが、中小企業の、中小建設業者の方の積算能力というのには、はっきりいって相当な限界があるんです。ですから、工事の規模が小さい場合、中規模以下の場合、お互いに積算能力に限界のある者同士の入札で争っているんですね。
積算には資格を持った専門家がいるんだそうですけれども、専門家というので実際にそういう仕事を現にやっている方というのは都内でも驚くほど少ないというふうに私も聞いています。大体の中小建設業の方は、現場監督の方が忙しい業務の合間に、出された資料をもとに電卓をたたいたりして何とか計算して、ここぐらいかということで出しているのが実態だというふうに聞いています。
そこで、事前公表制を続けるのであれば、その資料として、今参考に、例えば生コンの数量とか鉄筋の数量とかつけていますよね、参考資料に数量を。この中身をもう少し中小企業向けには親切にしていいんじゃないか。例えば、設計でいう基礎の部分やフロアの部分ごとにどれぐらい使うというふうに、内訳ですね、生コンなら生コン、鉄筋なら鉄筋など、そういうものを出してやることによって、もう少し中小企業でも積算が、電卓たたいても何とか見えてくるようにしても、これはお互いにとって不利益にはならないんじゃないか。正当な積算をいわば都の側でもできる条件を保障するということで、私は双方にメリットがあるのではないかというふうに思っております。
それから、やっぱり現場で長年頑張ってきているのは、小さい企業であっても現場を踏んでいるという強みがあるわけですよ。それは積算能力とは別に、例えば、地盤面が入札している間に大雨でも降ればがあっと下がるとか、GL、グラウンドラインが下がってしまうとか、そういったことが現場ではちょくちょく起きて、設計とのずれが生じるということがあるわけです。そういったことについてやっぱり現場は強い。それから、鉄筋の周りの空間、これが二・五センチを割り込むと生コンが回らなくなるわけです、鉄筋の周りに。そういったことも、実際設計をやっていて見えにくいところも、質問を出す制度があるそうなんですけれども、そういうことも現場に強いからこそ見える部分があるんですよ。
そうすると、もう少し詳しい資料を出してやると、本当にいい建物を建てるという上で現場の業者の方の意見も出しやすくなる。場合によっては、変更が必要な部分が見えてくるということもあると思います。そういう点の改善を、これは私が一方的にいってもなんなので、やっぱり業界との懇談の場などを生かして、率直な声を聞いて、くみ上げていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
今いった点について、もしお考えがありましたら、部長のお考えをお聞きしたいと思います。
○山本技術管理担当部長 建築工事の契約に際してでございますが、数量内訳書を参考資料として事前公表しております。この数量内訳書は発注者が予定価格を算定する際に用いたものでございまして、これより詳細な内訳書は作成してございません。入札のための総価を算定するには十分なものと認識しております。
○曽根委員 そういうことなんですよね、現状は。そこをよく建設の業界の声を聞いていただきたい。私は、大きいところは、ゼネコンさんなんかはみんな、たくさんの積算の専門家を抱えていますので余り心配はしないんですが、家族プラスアルファ程度で頑張っている中小の建設業の方でも、本当にまじめに頑張っているところが報われるような制度の改善をお願いしたいと思います。
それから、公共工事で最後なんですが、下請労働者が結局は低価格入札になった場合の最終的なしわ寄せを最も受けやすい人件費の問題なんですね。私は、これを何とか打開していく上で、今、制度上は余り考えておられないようですが、最終的に現場で働いている労働者のところに都が設計した労務単価相当分がちゃんと支給されるというふうな何らかの方策を今後考えてもいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 工事の受注者が工事の施工に当たって、みずからの従業員にどのような賃金水準で労働条件を定めているかということにつきましては、これは受注者さんの経営上の問題でございますので、東京都が契約条件を通じて関与することは適当ではないと考えています。
また、下請さんとの関係ですが、元下関係は民民関係でございますので、このことに東京都が幾らの賃金を払うべきというようなことも適当ではないと考えております。
○曽根委員 ずばりこのことを聞くとそういうお答えになってしまうんですが、ただ、東京都も、元請から下請に仕事を発注していく場合の配慮については、研究会でも検討されているし、何らかの改善も考えていきたいということですので、その中の一つとして、やっぱり現場に行くと、最終的には人件費というのは一番しわ寄せしやすい分野になってしまっているので、働いている方の犠牲によって何とか公共工事がペイしているというふうなことのないようにしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
それから、もう一つの契約の問題として、庁舎の管理、清掃委託の問題で、これは既に昨年、私、この委員会で取り上げておりますので、ちょっと繰り返しの面もあるかもしれませんが、清掃委託の契約金額というのが、庁舎管理のさまざまな委託の金額、五年分出していただいたんですが、その中でも特に削減傾向が、低下傾向が大きいんじゃないか。
例えば、一番卑近な例として、この都議会議事堂の清掃委託は、平成十六年度、受注者が東京都弘済会、四千四百十万円だったのが、これは二ページに載っていますが、資料の後ろの方の一〇ページに今年度のがあるんですけれども、今年度はワールドクリンアップ株式会社で、金額は三千三十四万五千円ということで約七割に下がっている。わずか四年間で下がっているということであります。
この金額が下がっていく中で、庁舎を初めとして議事堂などの清掃業者の大半が、正規雇用ではなく、実際はアルバイト雇用というふうになってしまっている実態が私は見られると思うんですが、これについて、東京都はこういう状況を把握しているのか。もし把握しているとすれば、どういう認識でいるのかについてお聞きしたいと思います。
○山藤参事 清掃業務などの委託業務契約は、委託者が求めるサービスの内容を、受託者が契約に沿いまして確実に提供することを目的とするというものでございます。現在、都庁舎の清掃業務は主に十班に分かれて行われておりますが、いずれも、仕様書等で定めた内容について適切に業務が履行されております。
委託契約におきましては、業務の内容をどのように実現するかは、例えば、業務の完遂のために何名の職員を充てるとか、またはどのような資機材を用いるかなどについて、すべて受託者の責任と判断にゆだねられております。従業員の雇用形態につきましても、同様に受託者側に属することでございまして、委託者でございます都が把握する立場にはございません。
○曽根委員 昨年の質疑でもちょっと紹介したんですが、この資料に載っている平成十六年度の時点で議事堂の清掃の委託を受けていた東京都弘済会、ここがその後、入札で敗れまして、平成二十年度は、今、別の会社になっております。敗れた弘済会はその後、ビル管理部門から全面的に撤退をして、百五十人の清掃作業員が解雇、もしくは、それまでの正規労働から非正規のアルバイト雇用の清掃会社に移らざるを得ませんでした。東京都弘済会の理事者自身が、都庁のビル清掃は、自分たちのような正規労働者による常用雇用の企業ではもう入札に太刀打ちできないというふうに話しております。
私は、これはやっぱり東京都の--都民の税金による委託ですから当然効率的であるべきですが、働いている労働者が非正規にならざるを得ないほどの低い金額に下がっていく、いわば過当競争ともいうべき事態は避けなければならないだろうというふうに思うんです。
その点で、今後、例えば、低価格入札を防ぐような制限価格をこの分野にも設けるとか、それから、契約額がどんどん低くなっているような清掃などの部門に限ってでも、入札企業に対して、いきなり正規雇用は無理だとしても、少なくとも違法な雇用形態にはならないようにとか、時給を例えば千円以上に引き上げるなどの条件を付すとか、もしくは、こうした内容を含む総合評価による入札の導入を検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 基準を定めるとか、最低の何か、ローアーリミットとかというお話ですけれども、そもそも最低制限価格というのは、当該契約内容の適切かつ確実な履行を確保するために、特に必要がある場合に設定するものでございまして、清掃委託は、日々の履行に当たって、随時その状況を確認し、必要な指示を行うことによりまして契約内容の履行が確保できておりますので、最低制限価格のようなものを導入する必要はないと考えております。
また、違法な雇用形態というお話がございますけれども、違法な雇用形態があれば、それは所管する労働行政等々で摘発等をしていくことでございまして、受託者が委託内容の履行に当たって、みずからの従業員の雇用形態や賃金水準などの労働条件をどう定めるかは、先ほども申しましたけれども、受託者の経営上の問題でございますので、発注者である都が、契約条件ですとか総合評価の評価項目などを通じて関与することは適当ではないと考えております。
○曽根委員 この点は冷たいお答えなんですけれども、ただ、私、関西の方をちょっと調べていまして、この間も紹介しましたが、大阪府その他で既にこうした管理、清掃部門に総合評価の導入というのは始まっておりますので、ぜひ東京都も参考にしていただきたいということだけ申し上げておきます。
最後に、簡単に、東京都が多摩の市町村に貸し付けている土地の賃借料について、ここ数年の間に非常に値が上がっているということで、多摩の方の市の方から、市議会や市長などがこぞって、これはひど過ぎるんじゃないかという声を上げているのを聞いておりますので、都のお考えをちょっとただしておきたいと思います。
具体的にいいますと、調布市と府中市の福祉施設が置かれている立川の基地跡地の都有地です。これは二つの経過が私はあると思うんですが、一つは、基地跡地の総合的な開発の中で六者協というのがつくられて、減額措置がとられているというのは聞いています。四分の三の減額がされている。だから、十分な減額じゃないかというふうな見解だと思いますが、ただ、これについては、やっぱり時代の流れの中で見直すべきものは見直すといことがあってしかるべきですし、何年か前には現地の市長さんからも、減額率の増額という要望も出たことがあるというふうに聞いております。
そこで、こうした市町村に都の普通財産を貸す場合の減額の根拠と、それから、この場所について減額率の見直しということが今後検討できないかどうかについての見解をお聞きしたいと思います。
○松本財産運用部長 市町村に対します普通財産の貸付料の減額は、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例第四条第一項第一号で、地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するとき、時価より低い貸付料で貸し付けることができる旨規定しているところを根拠としております。
また、減額率の見直しでございますけれども、当該施設等の貸し付けております土地の減額につきましては、施設の設置目的、そこで行われる事業目的等を踏まえまして、公有財産管理運用委員会の審議を経て決定しているものでございます。減額率を改定する考えはございません。
○曽根委員 根拠の規定には減額率についての細かい規定はないようですので、これはやっぱり現地の自治体との話し合いというのがあってしかるべきじゃないかということで、ぜひ検討をお願いしておきたいと思うんです。
地元の市議会で議論の様子を聞いてみますと、もう一つ、非常に都のやり方について不満の声が出ていたのは、土地価格の基準となる地価の算定についてなんですね。現在、都は貸し付けるに当たって、基準地価をもとにするのではなく、取引事例を何点か選んで、その時点時点での近傍の取引事例をもとに地価の算定をし、それに基づいて賃借料を決めているということです。
それがこの三年間で、賃借料がこの場所では四割上がったんですが、基準地価でいうと二割しか上がっていない。にもかかわらず、都が選んだ取引事例が全部マンションの建設関係で、三年間の間にばあっと上がったところが選ばれていて、そのために、そこから割り出した賃借料は四割上がっちゃったと。
しかし、これは、ある意味では、市の側から見れば、都が取引事例を選ぶわけですから、都の財産価格審議会が選ぶわけですから、ちょっとブラックボックスじゃないか。もっと公平な基準地価、国の公示地価などをもとに算定すべきじゃないかという意見があるんですが、いかがでしょうか。
○松本財産運用部長 地方自治法第二百三十七条第二項は、適正な対価なくして普通地方公共団体の財産を貸し付けてはならないと規定しており、これを受けまして、東京都公有財産規則第四十七条第一項では、この適正な対価を時価により設定する額と定めております。
お話しの案件等につきましても、近隣の取引事例による比較により、貸付地の周辺環境等を踏まえた上で適正な時価を算出し、貸付料を決定したものでございまして、お話しのような基準地価、路線価の変動率のみに基づきました算定は採用していないところでございます。
なお、こうした算定方法につきましていろいろ声があるということでございますけれども、例えば、今回はかなり大きく上がったところでございますけれども、三年前の十七年度を見ますと、やはり近傍の地価等を反映いたしまして、五二%あるいは一六・八%というような下げ幅で貸付料を下げているというようなことにもなってございます。
○曽根委員 今、下げるときは下げているんだというお話があったので、これは私の計算が間違っているかもしれませんが、お聞きしたところでは、調布の施設、幾つか年次を分けて建ってきていますけれども、最初が平成八年ごろですよね。そのころから借りている特別養護老人ホームの場合、平成十七年度に確かに下がりましたけれども、二割ぐらいなんですね、下がった幅は。ところが、この平成八年から十七年の間に基準地価は四割以上下がっているんですよ。したがって、基準地価が大きく下がっているときには余り下がらない。逆に、基準地価が二割しか上がっていないのに、上がるときは四割上がったというのがこの三年間の経過なんですよ。そこにやっぱり地元の方々の大きな不公平感があると思うんですね。
したがって、地元の皆さんは、福祉施設が集中的に建設されている場所ですから、近傍とはいっても、マンションの地価と比べていいのかということも含めて、どちらを選ぶかは都と市の話し合いで、六者協なりで決めていくべき事柄ですから、やっぱり率直な話し合いをした方がいいんじゃないか。
このまま不公平感を残し、しかも、都にとっては大したお金じゃないかもしれませんが、市にとって一千万円規模の増額が今後また続くかもしれないと思うと、福祉施設の運営そのものも大変になるし、市の問題だけじゃなくて、これから多摩地域にも必要な福祉施設をつくっていく場合、仮に都有地を借りた場合にこういう事態が次々起こるとするならば、これは福祉事業にとっても大きな影響が出ますので、その点はぜひ検討していただきたい。これは要望にとどめておきます。
以上で質問を終わります。
○上野委員 それでは、まず初めに、単品スライド条項の適用について何点かご質問していきたいと思います。
本年六月二日、我が党は、都における公共工事の重要な担い手であります中小企業者が、資材価格の高騰に苦しんで極めて深刻な環境に置かれている、こういう状況を改善していかねばならないということと、あわせまして、公共工事の円滑な執行を確保することが重要であると認識し、それまで適用例がなかった工事請負契約書に規定する単品スライド条項の適用を、知事あてに強く申し入れを行ってまいりました。都は、そうした申し入れを受けまして、六月十六日からの適用を実施し、九月には対象資材の拡充を行うなど、我が党の要望にこたえ、対応を行ってきたことについては評価していきたいと思っております。
ただ、最も重要なことは、適用が着実に行われ、実際に成果を上げることでございます。本年六月の第二回定例会、九月の第三回定例会におきましても、我が党は、強い関心を持ってこの単品スライド条項について質疑を行ってきたところでございますし、引き続き注目していきたいと考えているところであります。
そこで、まず、今回の単品スライド条項適用を検討するに当たりまして、都は工事を受注する企業の多くを占める中小企業者に対してどのように配慮をされたのか、伺います。
○竹本契約調整担当部長 単品スライド条項の適用ルールの検討に当たりましては、特に中小企業者さんに配慮して、受注者負担の設定と請求時における提出資料に配慮を行ったところでございます。
まず、受注者負担の設定に当たりましては、東京都の工事契約における中小企業者の受注が大きな割合を占めているということを踏まえまして、当初は対象工事費の一%を予定しておりましたが、厳しい経済情勢が続いていることにも考慮いたしまして〇・五%としたところでございます。これによりまして、受注者の負担軽減、また、関係下請企業等、よりすそ野の広い中小企業者さんへの円滑な支払い効果も期待しているところでございます。
また、単品スライド条項の請求に際しましては、原則といたしましては、資材購入に関する資料の添付が必要でございます。具体的には、請求対象とする資材に関する購入価格、数量、時期等を証明するため、納品書ですとか領収書などを提出する必要がございますが、建築工事に当たっては、工事を構成する工種が多岐にわたり複雑であるということから、これらの提出を省略し、請求手続の簡素化を図り、受注者が請求しやすいように対応しているところです。
○上野委員 仕組みづくりに当たっての考え方は理解することができましたが、では、九月の運用開始以降、受注者からの請求状況はどの程度あるのか、また今後の請求の見通しはどうなのか、お伺いします。
○竹本契約調整担当部長 単品スライド条項は、九月十二日に適用ルール公表とともに運用を開始したところでございますけれども、この条項の運用に当たりまして、先ほども申しましたけれども、対象資材の数量ですとか価格を確定する必要がございます。したがいまして、受注者からの請求というものは、これらの確定する工期末に行う仕組みとなってございます。このために、それぞれの工事の進捗に応じて請求が出されることになりますので、現在、九月末時点でございますが、四件の請求が出されております。局別では、建設局、下水道局で、いずれも鋼材に関するものでございました。今後、それぞれの工事が進捗するに従って請求はふえてくるものと考えております。
今回、土木系の工事の請求でございました。建築工事につきましては、現時点ではまだ工期が到来していないということもございますので、請求はなされてございませんが、今後ふえてくるものと考えております。
○上野委員 運用が始まって二カ月弱になります。今後、受注者からの請求や実際の適用が出てくる見通しとのことでありますので、期待を持って見守っていきたいと思います。
実績の拡大も大切でありますけれども、これにあわせまして、その内容を充実したものにすることが重要であります。先ほど聞いた条項適用のねらいを実現するため、実際の運用におきまして、今後、中小企業者への配慮として具体的にどのようなことを行っていくのか、お伺いいたします。
○竹本契約調整担当部長 元請さんにとどまらないで、下請協力企業へもその効果が行き渡るということが重要でございます。下請さんは多くが中小さんでございますので、特にその負担に対する手当てが肝要であると考えております。このため、実効性を上げるために関係業界の理解が不可欠と考えまして、業界団体に対して、受注者である元請企業がこの条項に基づく契約変更を行った際には、関係下請さんへの適切な支払いについて配慮するように要請を行ったところでございます。
また、関係下請さんが元請さんの単品スライド条項適用について情報を把握できるように、請求や契約変更の状況について、個別案件ごとに東京都財務局のホームページで公表してございます。今後、受注者である元請企業との契約変更の際には、関係下請さんへの適切な支払いについて配慮を行うよう受注者に対して直接書面で要請していく考えでございます。
○上野委員 この件につきましては我が党も強い関心を持っておりますので、適用状況につきましては今後も継続して注視してまいりたいと思います。都においては、今後、条項の適用状況を検証し、実績が十分上がるようしっかり努力されることを要望いたしまして、次の質問に移ります。
経営事項審査の改正と格付の影響について何点か質問をいたします。
ご存じのとおり、公共工事に参加しようとする建設業者が必ず受けなければならない経営に関する客観的事項についての審査であります経営事項審査、いわゆる経審、本年四月に大幅に改正されたところは承知のところでございます。これまで、企業の実態に合わないなどの問題点が指摘されておりましたけれども、この新経審では、ペーパーカンパニーが過大評価とならないように基準の見直しをするなど、企業の経営実態を反映するよう改正されたと聞いております。
一方、東京都は今年十二月から、平成二十一、二十二年度の競争入札の定期受け付けを開始するとのことでございますが、そこで、まず、東京都が発注する建設工事などの入札に参加するための資格審査における格付方法についてお伺いいたします。
○塚本経理部長 公共工事を発注者から直接請け負おうとする者は、建設業法に基づきまして五年ごとに建設業の許可を受けるとともに、毎年、先ほどお話のありました経営状況及び経営規模、技術能力などの客観的事項につきまして経営事項審査を受けなければならないとされております。
一方、東京都は、発注する建設工事等の入札に参加を希望する者に対し、自治法施行令に基づき必要な資格の審査を行い、業種ごとに等級及び順位を定め、有資格者名簿に登録しているところでございます。
この登録における都の格付は、客観的審査事項と主観的審査事項を用いて行っているものでございます。客観的審査事項といたしましては、建設業法に基づく経営事項審査の総合評点をもとに客観的等級を算定しております。また、主観的審査事項は、過去の最高完成工事経歴をもとに主観等級を設定した上で当該業種の等級を決定する方式をとっております。具体的には、客観等級と主観等級が一致した業種の格付につきましてはその一致した等級とし、相違した場合にはいずれか低い方の当該業種の等級としているところでございます。
○上野委員 今のご答弁にもありましたように、客観点数に基づく客観等級と主観点数に基づく主観等級を比較し、相違した場合はいずれか低い方を当該等級としている、こういうことでございます。
実は、このことで地元の中小企業者が大変心配しているとの声を多く私の方で聞いております。と申しますのは、改正された新経審では、総合評定値、P点が下がるところが結構多い、こういうことがいろいろと耳に入ってきておりまして、書士の方の情報も聞いてみました。すると、やはり百点近く下がっているところも結構見受けられる。ある土木工事業者は百四十四点も下がってしまった。これはもう下手をするとBランクからDランクに落ちるのではないかと心配されている、こういう声も実際にあるわけでございます。
私が懸念しているのは、改正された新経審では、これまでと比べまして、自己資本額、社員数、また技術職員数のウエートというのが高くなっているわけであります。昨今の厳しい経済状況の中で必死に、いわゆる少数精鋭でまじめに努力されて、そして、工事成績も良好に頑張っておられるという中小企業者がいらっしゃる。ただ、そういう中小企業者が今度の制度改正の影響でランクが下がってしまう、こういうことが現実に起こっているということを私の方で確認してきているわけでございます。そこに本来、行政は何らかの救う手だてというのをしなければならないんじゃないか、このように今非常に思っているわけでございます。
そこで、都は経審改正に伴う影響を考慮して格付を行うべきと考えますけれども、所見を伺います。
○塚本経理部長 格付における経営事項審査の影響についてのお尋ねでございますけれども、経営事項審査の改正につきましては、国土交通省は、公共工事の企業評価における物差しとして、公正かつ実態に即した評価基準の確立と、生産性の向上や経営の効率化に向けた企業努力を評価し後押しをするということとしておりまして、個別企業の経営が経営事項審査の結果に適切に反映されるべきものであろうというふうに考えております。
一方、私どもの格付に当たりましては、等級ごとの発注件数と公共工事を担う事業者の数の割合にアンバランスが生じないようにすることが重要であろうと考えております。このため、平成二十年五月一日時点の有資格者を対象にシミュレーションを実施いたしました。その結果、各業種の各等級とも、現行の格付と新しい経営事項審査に基づく格付の事業者の割合に大きな変動は生じていないことを確認したところでございます。このことから、適切な工事発注ができる格付が行えるものと考えております。
○上野委員 財務局さんは一方的なそういった形で確認した等々のお話があるわけですけれども、我々には、実際にそれがどういうふうに確認されたのかというのは明らかにわかりません。そういった意味では、シミュレーションはどのような条件で実施されたのか、また、現行の格付と新経審に基づく格付の試算割合と変動、この数字等を具体的な数字で明らかにしていただきたいと思います。
○塚本経理部長 シミュレーションの方法といたしましては、等級格付を行っている十業種につきまして、既存データ及び事業者への調査によるデータを使用いたしまして、新基準に基づく経営事項審査の総合評点の算出を行い、格付のシミュレーションを実施したところでございます。
調査対象といたしましては、平成二十年五月一日時点の有資格者のうち、全体の三割を対象といたしまして調査を行いましたが、結果として、有資格者全体の二割から回答をいただいております。このいただいた回答をもとに新しい経営事項審査の総合評点を出しまして、今までの私どもが持っておりますデータとあわせまして、等級がどのように変化をしたかということを調査いたしました。
具体的に申しますと、例えば一般土木工事におきましては、A等級からE等級まで等級の格付を行っているところでございますけれども、現在、十九、二十年度の有資格者におきましては、A等級の割合は一三・一%となっておりますけれども、新経審の基準によって試算した値としては一六%ということで、二・九%ほど増加をしております。また、例えばCランクでありますと、現在の基準での割合では二九・四%の者がCランクにおりますけれども、試算によりますと二六・〇%の者がCランクになるということで、これは三・四%ほどCランクの人間が減るというようなことを確認しております。
このような形で各ランクごとの増減を調べましたところ、大きな変動というものはないということで確認をしているところでございます。
○上野委員 大きな変動を生じないことを確認した、このことから、適切な工事発注ができる格付が行えるものと考えている、こういうふうなご答弁が先ほどされましたけれども、それでは、どの程度の変動があれば適切な工事発注ができない格付となると判断されるのか、そのあたりのお考えについてちょっとご説明願いたいと思います。
○塚本経理部長 格付の、各ランクごとの割合について、どれくらいという明確な基準があるわけではございませんが、一方では、例えば、AランクならAランクに非常に大きな変動があって数がほとんどいなくなってしまったとか、あるいは、Eランクに全部が固まってしまったというような大きな変動があれば、当然ながら発注件数とのバランスが悪くなりまして、競争性の阻害と指名ができないというような事態に至りますので、先ほどもお話ししたように、明確な基準があるということではございませんけれども、数のバランスが崩れるというような事態になった場合には、ランクごとの設定の数値を変えていく必要があろうというふうには思っております。
○上野委員 こちらの財務局さんは、そういったアンバランスかバランスかという程度の話で済むと思うんですけれども、中小企業の皆さんからすれば、特に、零細企業で一生懸命頑張っているところにとっては大変な問題なわけですね、これは。そういったところの中で、どうも先ほどのシミュレーションの結果の格付でいくと、AランクがふえてCランクが減っているようなお話がありましたけれども、私の方の情報では、下がっている方が多いと聞いているにもかかわらず、下がっているところは少ないというシミュレーションの結果。机上論でやっているような話なのか、実態というものがわかった上でやっているのか、ここは非常に大事なところなんですね。
中小企業の皆さんからいったら、本当に厳しい状況の中で必死にやっている。それが単純にそういう数字論で、このくらいのパーセントだったら大丈夫だよみたいな、簡単に考える問題じゃないんじゃないか。どうも私が聞いている現場の実態と都のシミュレーションの結果の間にそごを生じているように思えてならないわけでございます。
そこで、都は、入札参加資格申請終了後にすぐ実態調査というのをしっかり実施して、もう一度本当の格付分布というものを検証すべきである、私はこのように考えますけれども、見解を述べてください。
○塚本経理部長 一つは、先ほど格付のご説明でいたしましたとおり、現在の格付につきましては、経営審査事項で出されております等級と、もう一つは過去の最高工事実績と両方の要件を用いて格付を行っているところでございまして、経営事項審査の結果が即格付の変動に結びつくものではないというところがございますので、そこはご理解いただきたいと思います。
その上で、経営事項審査改正によりまして、個々の事業者にさまざまなケースが生じるということは予想されるところでございます。しかし、先ほども申し上げましたとおり、等級ごとの発注件数と事業者数のバランスが私どもの格付にとっては一番重要だと考えておりまして、その視点に立ちまして調査を実施し、格付の基準を定めているところでございます。今後とも適切な格付制度の運用に努めていきたい、このように考えております。
○上野委員 今、経理部長がいわれたような話というのはもう当然わかった上での私の方の質問でございまして、要するに、そういったツーランクも下がるような状況でいくと、先ほどいわれたような主観点数と客観点数、両方を考えてやっていますよというけれども、低い方に引っ張られていく、ここが一番やっぱり業者の方は心配されているわけですね。主観点数がいいからと今までどおり頑張ってきたけれども、客観点数の今回の経審、そこの部分でもし下がってしまえばそっちに引っ張られていく。そのあたりのことについてしっかりと東京都はわかっているんですか、そういう実態をわかっているんですか、こういう話が私の方に来ているわけです。
その意味で、きょうはそういったことを強く申し上げているわけでございまして、特に現下の物価高また金融危機の影響を受けまして、皆さん大変に厳しい経済環境にある。中小企業の皆様にとって、もしもこの経審改正の影響でランクの格付が下がるようなことになればまさに死活問題だ、こういわれている。入っていけないわけですね、入札に参加できなくなってしまう。その意味でも、中小企業を守るためにも、東京都は今後とも実態をよく調査して、環境の変化に的確に対応されるといわれるわけですけれども、そのことにしっかりと対応できるように要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
宝くじの関係で二点伺いたいと思います。
宝くじは、先ほど、ともとし副委員長からもありましたように、都民に愛され親しまれている娯楽であります。また、宝くじの収益金は、公園整備や高齢者福祉施設の整備など、公共事業の貴重な財源になっております。
昨年度の都内での宝くじの売り上げは千六百二十二億円と聞いておりますけれども、発行枚数は相当な数になると思われます。これだけ多くの人が買う宝くじは広告宣伝媒体として極めて有効なことから、この宝くじをオリンピック・パラリンピックの東京招致に向けた広報媒体として活用することについて、十八年度の予算特別委員会で我が党の東村議員から、さらに、平成十七年度決算特別委員会では、同じく我が党の高倉議員から積極的な活用について提案をしたところでございます。当時はまだ東京都が開催都市として申請する前でしたので、券面に招致ロゴなどを使用することはできなかったようですが、オリンピック・パラリンピック招致に向けた宝くじの活用については検討を進めていくという答弁はいただきました。
昨年九月に開催都市として正式に立候補を申請した後、オリンピック・パラリンピックの招致ロゴなどが券面に使用できるようになっております。そこで、開催都市申請後、オリンピック・パラリンピック招致のために宝くじをどのように活用したのか、お伺いします。
○真田主計部長 お話しのように、宝くじは発売枚数が非常に多いことから、広報媒体として非常に有効なものであると考えておりまして、オリンピック・パラリンピック東京招致のため積極的に活用しております。
まず、オリンピック開催都市として立候補申請後の平成二十年一月に発売された第二千三回東京都宝くじ、こちらは二百五十万枚の発行枚数になりますけれども、この宝くじにオリンピック招致ロゴをあしらったデザインを使用しました。(実物を示す)具体的にはこちらでございます。
さらに、本年四月に発売されました第二千十六回東京都宝くじ、こちらはちょうど二〇一六年とごろが合いますので、東京オリンピックのイメージである空、緑、海、命の象徴をあしらいましたデザインを使用しまして、発行枚数は五百万枚でございますが、やらせていただきました。(実物を示す)それがこちらでございます。
○上野委員 ことし四月に発売されました宝くじは発行枚数が五百万枚ということですが、五百万枚すべてが売れるわけではないでしょうけれども、それでも、非常に多くの人が買い、多くの人の目に触れたことになります。オリンピック・パラリンピックの招致機運を高めるためには非常に効果がある、このように思うわけでございます。
来年十月に開催予定のIOC総会でオリンピック・パラリンピックの開催都市が決定されるわけでございますが、この最終決定に向けまして都民の機運の盛り上げが非常に重要なことはいうまでもございません。そのためにも、宝くじを広報宣伝媒体として積極的な活用を望みますが、十月のIOC総会までにオリンピック・パラリンピック招致関係の宝くじの発売予定はどうなっているのでしょうか。お伺いいたします。
○真田主計部長 オリンピック・パラリンピックの招致機運を高めるための宝くじ券面の利用についてでございますけれども、まず、東京オリンピック・パラリンピック招致本部と相談の上、来年四月にIOCの評価委員会が競技会場の視察に東京を訪れる予定でございますので、その時期に合わせまして招致機運の盛り上げをアピールするために、来年四月に発売されます東京都宝くじで図柄を使用する予定でございます。
また、来年十月に開催予定のIOC総会で開催都市が決定されますので、最後の盛り上がりということで、直前の九月に発売されます東京都宝くじで、やはりオリンピック・パラリンピック招致機運の図柄を使用する予定でございます。
○上野委員 多数の販売枚数があり、都民の目に触れる機会の多い宝くじですから、オリンピック招致だけでなく、東京都の行政施策のPRにも効果的であると考えますけれども、所見を伺います。
○真田主計部長 先生お話しのように、宝くじ券面は非常に効果的な広報媒体と考えております。そういうことで、ことしから来年にかけまして、東京の橋シリーズということで、平成になって完成いたしました都の橋を図柄として使用しております。このほか、来年一月からは、東京都の重要施策であります緑の東京十年プロジェクトの図柄をミニシリーズとして四回ほど使用する予定でございます。さらに、平成二十一年度には、少子化対策のPRのために子育て宝くじをミニシリーズで発売する予定でございます。
今後も、都の施策のPR手段としまして宝くじを積極的に活用していきたいと考えております。
○上野委員 宝くじは、都民の皆様に夢を買っていただいて、その収益金が公共事業の貴重な財源となっております。貴重な財源の確保のため宝くじの売り上げを伸ばし、さらに、オリンピック・パラリンピック招致のために積極的に活用していただきたい、このように思うわけでございます。
最近、宝くじの売り上げが悪いということを耳にしますが、私たちもどんどん買って売り上げに協力していきたいと思いますので、都の施策のPRにぜひ積極的に活用していただきますよう期待いたしまして、私の質問を終わります。
○きたしろ委員長 ほかに発言ございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○きたしろ委員長 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○きたしろ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十四分散会
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