委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 西岡真一郎君 |
理事 | 宇田川聡史君 |
理事 | 秋田 一郎君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
原田 大君 | |
高木 けい君 | |
野上ゆきえ君 | |
遠藤 衛君 | |
東野 秀平君 | |
桜井 武君 |
欠席委員 一名
出席説明員財務局 | 局長 | 村山 寛司君 |
経理部長 | 塚本 直之君 | |
契約調整担当部長 | 竹本 節子君 | |
主計部長 | 真田 正義君 | |
財産運用部長 | 松本 泰之君 | |
建築保全部長 | 金子 敏夫君 | |
技術管理担当部長 | 山本 康友君 | |
参事 | 山藤 敏明君 | |
主税局 | 局長 | 熊野 順祥君 |
総務部長 | 宮下 茂君 | |
税制部長 | 目黒 克昭君 | |
税制調査担当部長 | 宗田 友子君 | |
調整担当部長 | 木村 芳生君 | |
課税部長 | 長谷川 均君 | |
資産税部長 | 堀内 宣好君 | |
徴収部長 | 名倉 衡君 | |
特別滞納整理担当部長 | 松原 恒美君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
主税局関係
報告事項(説明・質疑)
・耐震化促進税制の創設について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十七号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入、歳出-財務局所管分
・第百五十八号議案 平成二十年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
・第百六十五号議案 東京オリンピック開催準備基金条例の一部を改正する条例
・第百八十八号議案 都立久我山学園特別支援学校(仮称)(二十)改築その他工事請負契約
・第百八十九号議案 都庁第一本庁舎(二十)防災設備改修工事請負契約
・第百九十号議案 都庁第一本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
・第百九十一号議案 都庁第二本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
報告事項
・「平成十九年度東京都年次財務報告書」について(質疑)
・入札契約制度改革研究会の第一次提言について(説明・質疑)
・入札契約制度の当面の改善策の実施について(説明・質疑)
○鈴木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑並びに主税局及び財務局関係の報告事項の聴取を行います。
なお、付託議案中、第百八十八号議案の契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより主税局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○目黒税制部長 このたび新たに創設をいたします耐震化促進税制について、その概要をご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料第1号、耐震化促進税制の創設についてをごらんいただきたいと存じます。
まず、本税制の目的でございますが、二十三区内において、昭和五十六年までの旧耐震基準に基づき建築された家屋の建てかえ及び耐震改修を税制面から支援することにより、「十年後の東京」が目指す災害に強い東京を実現しようとするものでございます。
税目、手法は、固定資産税及び都市計画税の減免でございます。
対象でございますが、二十三区内において、昭和五十七年一月一日以前から所在する家屋を、一律に旧耐震基準に基づき建築されたものとみなすこととし、東京都耐震改修促進計画の目標年次である平成二十七年までに建てかえた場合、または耐震改修した場合に、固定資産税及び都市計画税を減免するものでございます。
建てかえ及び耐震改修による固定資産税及び都市計画税の合計減収額は、平年度で約六十から七十億円程度と見込んでおります。
以上申し上げましたとおり、本税制は、建てかえ及び耐震改修の二本立てとなっておりまして、内容がそれぞれ異なっておりますので、建てかえと耐震改修に分けまして内容をご説明させていただきます。
まず、建てかえでございますが、こちらは都独自の措置でございます。減免要件の(1)といたしまして、建てかえ前後の家屋の所有者が同一であること、両家屋がともに二十三区内に所在すること、建てかえ前の家屋の取り壊しと建てかえ後の家屋の新築が一年以内に行われたものであることとしております。
このような要件を満たすものにつきまして、取り壊した家屋一戸につき、新築した家屋一戸を減免することといたしました。
減免要件の(2)といたしまして、平成二十一年一月二日から平成二十七年十二月三十一日までの間に建てかえが完了することを要件といたしました。
減免内容、減免期間につきましては、建てかえられた家屋の床面積にかかわらず、三年度分について、固定資産税及び都市計画税の全額を減免することといたしました。
次に、耐震改修でございますが、こちらは、平成十八年度から実施されております地方税法上の耐震減額制度に上乗せするものでございまして、国の制度趣旨を没却しないよう、要件は国に準拠しております。すなわち、耐震改修に要した費用の額を一戸当たり三十万円以上とし、平成二十七年十二月三十一日までの間に耐震改修が完了することを要件といたしました。
減免内容も、国の制度と同様に一戸当たり百二十平方メートルの床面積相当分までとし、その範囲で固定資産税及び都市計画税の全額を減免することといたしました。
減免期間は、耐震改修を早く行うほど長い期間、税を優遇するものでございまして、平成二十一年までの耐震改修につきましては三年度分、平成二十四年までの耐震改修につきましては二年度分、平成二十七年までの耐震改修につきましては一年度分といたしております。こちらも国の制度と同様でございます。
以上で、耐震化促進税制に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
ご発言を願います。
○桜井委員 耐震化促進税制についてお尋ねをします。
毎年のように、大きな地震が日本国内で起きています。建物の耐震化を促進することは、行政が緊急に取り組むべき課題であり、今回、耐震化促進の税制は地方自治体の課税自主権を活用したもので、まさに地方分権の時代にふさわしい政策であると考えます。今、税制部長から、制度の目的、概要について説明がありましたが、何点か質問させていただきます。
石原都政は、今にも赤字再建団体転落寸前の東京都政を、今のようなすばらしい健全な財政に立て直した。そういった視点に立って、恐らく、これから財政出動を重要科目に限ってやっていくに違いないと思いますが、その一環だと思います。
まず、耐震化促進税制の減免対象を昭和五十七年一月一日以前から所在する家屋に限った理由、これについて質問します。
○目黒税制部長 減免対象を昭和五十七年一月一日以前から所在する家屋とした理由についてでございますが、現行の耐震基準は昭和五十六年六月一日に導入されたものでございます。それぞれの家屋につきまして個別に耐震基準を満たしているかどうかを判断するのは非常に困難でありますことから、現行の耐震基準施行後、最初の賦課期日であります昭和五十七年一月一日に着目をいたしまして、それ以前から所在する家屋を一律に耐震基準を満たさない家屋とみなすことといたしたものでございます。
○桜井委員 質問の冒頭にいうべきだったんですが、二十三区に限っておりますが、なぜ多摩地区は入れないのかということ。これ、事前にいっていませんが、答弁できなけりゃいいですけど、答弁できれば……。
○目黒税制部長 今回の措置は、固定資産税、都市計画税の減免という手法をとります関係上、両税とも市町村税目でありますことから、そういったことになるわけでございます。
○桜井委員 多摩のこともしっかりとお願いいたします。
次に、現行の耐震基準施行後、最初の賦課期日である昭和五十七年一月一日をもって、一律に耐震基準を満たさない家屋とみなすということですけれども、耐震化促進税制の適用を受ける住宅戸数は、大体ある程度の見込みをしていると思うんですけれども、どのくらい見込んでおりますか。
○目黒税制部長 耐震化促進税制の適用を受ける住宅戸数についてでございますが、東京都耐震改修促進計画に基づきまして、平成二十七年に住宅の耐震化率の目標でございます九〇%を達成するための計画数というのをベースに試算をしているところでございます。
この試算に従いますと、平成二十七年までに適用を受ける住宅戸数は、建てかえが約十八万戸、耐震改修が約二十万戸、合わせて約三十八万戸と見込んでいるところでございます。
○桜井委員 後で高木けい先生も質問されると思うんですけれども、この制度ですと、考えようによっては建てかえの促進をおくらせる、みんな改修にいっちゃうんじゃないかというか、そういった可能性があるんじゃないかということを一応付言しておきます。
次に、耐震化促進税制の対象となる住宅は、築後二十六年以上経過しており、建てかえを考えている人もいれば、改修して長く住もうという人もいると。今回、建てかえと改修の両方を対象としているので、納税者の側で選択はできるわけです。
ところで、税制部長の説明の中で、建てかえ前後の家屋の所有者が同一でなきゃいかぬということですけれども、それが減免要件になっていますが、相続などにより、家屋の所有者名義が親から子どもに変わったというような場合には、どういう取り扱いになるのか伺います。
○目黒税制部長 相続などがあった場合の取り扱いについてでございますが、耐震化促進税制の要件といたしまして、建てかえ前後の家屋の所有者が同一であることとしておりますが、厳密に所有者の同一性を求めるのは現実的でないと考えてございます。
このため、代がわりや相続等の事情によりまして所有者名義が変更された場合でも、同一所有者とみなして軽減措置が受けられるよう、今後、具体的な要件を検討していく所存でございます。
○桜井委員 検討ということでありますので、ぜひ前向きに検討をお願いします。
古い住宅の所有者は一般的に高齢者、私もそうですけれども、高齢化が進んでおりますし、住宅を建てかえる場合、代がわりや相続が絡むことが多いと思います。これについては、なるべく弾力的に対応していただきたいと思います。
墨田区、私が住んでいるところですけれども、例えば京島地区、有名ですが、建物の倒壊や火災の危険度が高い木造住宅密集地域が数多く存在しております。防災に対する区民の関心は高いのでありますが、実際には、資金面等の事情から耐震改修に踏み切れないというのが現状だと思います。
今回、東京都の耐震化促進税制の創設によりまして、税制面の優遇措置が加わることで住宅の耐震化、特に墨田区の住宅の耐震化がより一層推進されるものと期待していますが、実施に当たっては、この制度創設の効果をより一層高められるよう、十分周知、広報を行うよう要望させていただいて、質問を終わります。
○原田委員 それでは、私からも、耐震化促進税制について質問をさせていただきます。
この資料によりますと、建てかえと耐震改修合計で、減収の見込み額が平年度ベースで約六十から七十億円というふうになってございます。先ほどのご答弁の中で、七年間で三十八万戸ということがございましたが、一年間でいうとどのくらいの規模になるのか、その試算の根拠とともにご説明いただければと思います。
○目黒税制部長 年間の対象戸数についてでございますけれども、東京都耐震改修促進計画に基づき試算をしているところでございますが、私どもの試算では、年間で見ますと、建てかえにつきましては約二万六千戸、耐震改修については約二万四千戸を見込んでいるところでございます。
○原田委員 今の数字ですと、大体、この計画ができた当初、都内の住宅の総数が五百五十八万戸あり、もう既に耐震化基準を満たしているものが四百二十五万戸といったことで数字が出ておりました。そうすると、大体七十七万戸が対象になってくるわけでございますが、そのうち、もう三年間たっておりますので、改修が進んだ分でありますとか、あるいは多摩地域であるがゆえに、東京全体の数から見ると外れてくる部分等あると思うんですけれども、その七十七万戸のうちでこの三十八万戸というのは、どういう計算で年間二万六千戸、二万四千戸というふうに計算されているわけでしょうか。
○目黒税制部長 三十八万戸の根拠でございますけれども、耐震化促進計画に基づきまして試算をしたわけでございますけれども、その計画上では、多摩地域を含めた東京都内全部の数字でございますし、計画そのものが平成十八年から二十七年というスパンの計画でございますので、私どもの税制の対象としております平成二十年から二十七年までとは若干食い違いが生じるものでございます。そういった関係でございます。
○原田委員 私の方で計算してみたところ、十年間のうち三年間たっているので、大体三割ぐらいはもう進んでいるだろうということで、残りの七割程度のうち、二十三区内約七割と、多摩の方、三割ぐらいというような計算で計算しますと、大体三十八万戸ぐらいが残るというようなことで、多摩の方に、あと残りで十六万戸ぐらい残るというような計算になってきて、年間にならすと、それを七で割ったような数字になるかと思うんですが、そうした認識でよろしいでしょうか。
○目黒税制部長 それでよろしいかと思います。
○原田委員 こうしたことで、多摩の方でも約十六万戸ほど残るということでございますので、今回の件につきましては税制を活用したと。特に都市計画税、固定資産税にかかわるものということなので、多摩については別途の施策が必要となってくるかと思いますが、これは所管外になるかと思いますので、都全体として、この部分についても目を配っていただきたいということの要望だけさせていただきたいと思います。
次に、こうした耐震化促進税制という手法でございますけれども、都が施策を実施する場合には、その施策の目的を達するためにとり得るさまざまな手段の中から、最も効果的な手段を選ぶといったことが必要になってくるかと思います。そうした意味で、施策の段階でどれだけコストがかかるのか、どれだけの便益が得られるのかといったことを明らかにした上で、ほかの施策と比較して、実際にコストベネフィットにすぐれた施策を採用していくということが重要だと考えております。
そうした意味におきまして、ほかの耐震化促進関連の施策との関連という意味におきまして、コストベネフィットをどのように分析をされて、どのようにほかの施策と比較をされているのか伺います。
○目黒税制部長 他の耐震化促進施策との比較でございますけれども、耐震化促進に向けた主たる取り組みといたしまして、耐震診断や耐震改修に対する助成事業などがございますが、耐震化促進税制はこうした取り組みを補完するとともに、相乗効果、それからアナウンスメント効果によりましても、住宅の耐震化を促進することを期するものでございます。
こうした耐震化促進税制の性格から、特にこの施策単独のベネフィット、すなわち便益を定量的に算定することは相当に困難でございまして、そうした意味からも、コストベネフィットによる比較にはなじみにくいものと考えております。
○原田委員 今、総合的な施策の中での一環の位置づけだというようなことで理解させていただきますけれども、できるだけそうした分析というのをしつつ、ほかによりよい手段がある場合は、そうした手段をとっていくといったことが、これからまた財政逼迫が予想される中にあって非常に大切なことだと思いますので、そうした視点は常に持っていただきたいと思います。
その裏返しになるわけでございますけれども、こうした総合的な施策ということで、何でもできることをやっていくといったことの裏には、なかなかこの耐震化が思うようには進んでいないと。そうした意味で、これまでもさまざまな施策をやってはいるわけですが、追加的な施策として必要になってきている側面もあるのではないかというふうに思っております。
都の施策、やれば何でも利用されるというわけではないわけでございまして、極端な例でいいますと、ここの局の問題ではございませんけれども、チャレンジ支援特別貸付事業、低所得世帯の子どもの学習塾費用を負担するような制度ができましたけれども、過日の報道によりますと、〇・一%ぐらいの利用率にとどまっているといったようなことも報道をされておりました。
このように、制度をつくってみましても、利用されなければ意味がないわけでございまして、この耐震化促進税制につきましても、都民に向けてしっかりとPRをしていくことが必要かと考えます。その点につきましてどのように考えていらっしゃるのか伺います。
○目黒税制部長 都民向けのPRについてでございますけれども、東京都のホームページや各種広報紙による広報活動を初めといたしまして、納税者向けのパンフレットを作成するなどして都民に周知してまいりたいと思います。
また、都市整備局など関係局とも連携しながら、積極的にPRを行っていく所存でございます。
さらに、関係事業者に対し、耐震化促進税制の普及啓発活動への協力要請等を行っていくことも検討してまいりたいと思います。
○原田委員 そうした形で、ぜひ積極的にPRに努めていただければと思っております。
先ほどの試算の前提でも、二十七年までに九〇%と、これを確実に達成するという前提のもと推計をされているわけでございますけれども、こうしたことを達成するためにも、しっかりとPRをしていかなければ難しい場面も出てくるのではないかなというふうに思っております。
政策税制ということになるかと思いますけれども、さまざまな政策目的を達するために税制を活用するということも非常に有効な手段であり、私も積極的に活用していくべきだとは思っておりますけれども、税の基本的な原則、公平性ですとか中立性ですとかそういったところからしますと、これはイレギュラーなものというような形でとらえられるかと思います。
そうした側面において、主税局は、政策税制についてどのような基本的なスタンスで臨んでいらっしゃるのか伺います。
また、あわせて、この耐震化促進税制につきましては、政策の効果の発現状況というものを見つつ、場合によっては、しかるべき時期に見直しをしていくといったことも必要になってくるかと思いますが、こうした見直しについてはどのように考えていらっしゃるのか伺います。
○目黒税制部長 政策税制の基本的スタンス等についてのお尋ねでございますけれども、政策税制は、特定の政策目的を遂行するための措置として、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外として設けられているものでございまして、その政策目的や効果などを十分に吟味しつつ、真に有効な分野への集中、重点化を徹底する必要があるものと認識をしております。
主税局では、政策税制につきまして、導入後の社会経済情勢の変化、創設目的の達成状況、さらには財政状況等も十分に踏まえつつ、不断の見直しを行っているところでございます。
耐震化促進税制につきましても、こうした基本的スタンスを踏まえた上で、導入後の実績、耐震化率の達成状況等を勘案しながら、適切に見直しを行っていく所存でございます。
○原田委員 ただいまのご答弁のとおり、基本的には公平、中立といった立場で都の大枠の税制は考えていかなければいけないわけでございまして、その中で、政策の、どれだけの効果を生んでいるかということをきちんとフォローしていきながら、この制度の今後についても見ていかなければいけないところだと思います。
そうした意味におきまして、制度を導入して終わりということじゃなく、きちんとフォローをしていただけるようお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○高倉委員 今回創設される耐震化促進税制については、私ども公明党も、代表質問等を通じまして強く実施を求めてきたものであります。私も昨年十二月の当委員会において、税制を活用して都の政策を前進させていくという観点から、耐震化のような大きな課題についても、税制の面から都として積極的に取り組んでいくべきという質問をさせていただいて、去る三月の当委員会においても、実現に向けた取り組みについて改めて見解を求めたところでありまして、今回の都の取り組みを高く評価をするものであります。
先ほど質問もございました、今回の耐震化促進税制の創設によって想定をしている適用戸数は、三十八万戸ということでありました。そこで、本税制の影響が平成三十年度まで及ぶのではないかと思いますが、その減収額、つまり施策の実施を推進する上での減免額の規模について明らかにしていただきたいと思います。
○目黒税制部長 減収額の規模についてのお尋ねでございますけれども、建てかえが平成三十年度課税分までの合計で約四百二十億円、耐震改修が平成二十八年度課税分までの合計で約六十五億円、合わせて約四百八十五億円と見込んでいるところでございます。
○高倉委員 先ほど来の質疑の中でも耐震化促進計画のお話があったわけでありますけれども、平成二十七年度までに住宅の耐震化率九〇%の達成を目指しているということでありますけれども、この耐震化促進計画の中には、促進税制ということについては具体的には言及をされていなかったようにも思いますけれども、この耐震化促進計画の目標達成に対して、今回の耐震化促進税制がどう寄与することになるのか。私は、この計画を加速させる新たな要因になるのではないか、このようにも思いますけれども、その点についての見解をお伺いいたします。
○目黒税制部長 東京都耐震改修促進計画への寄与についてのお尋ねでございますけれども、この計画では、耐震診断や耐震改修の助成事業など、耐震化促進のための直接的な取り組みを実施することとしております。
耐震化促進税制は、こうした取り組みを補完いたしまして、耐震化をさらに加速させていくものとして、同計画の達成に寄与するものと考えております。
○高倉委員 この耐震化の促進につきましては、国制度もあるわけであります。今回の促進税制では、耐震改修について国制度に上乗せをして実施をするというふうな形になっていると思いますが、都民にとって、ややわかりづらい側面もあるかと思います。
既に私どもの方にも、この創設について新聞報道がありました際に、都民の方からも具体的なお問い合わせ等もいただいているわけであります。先ほど原田委員からも質問があったと思いますが、この耐震化促進計画の目標を達成するためにも、創設をされる促進税制の効果を上げていく必要があると思います。
そのために、さまざまな広報活動、普及啓発によって、都民や事業者に周知を図るべきと思います。また、申請の具体的な手続に至るまで、できるだけ丁寧に都民に説明を心がけるべきではないかなと、このように思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
○目黒税制部長 都民への周知方法等についてのお尋ねでございますが、東京都のホームページや各種広報紙による広報活動を初めといたしまして、納税者向けのパンフレットを作成するなど、都民に対しまして周知を図ってまいりたいと思っております。
また、都市整備局など関係局とも連携をしながら積極的にPRをしていくとともに、関係事業者に対しましても、耐震化促進税制の普及啓発活動への協力要請等の方法も検討してまいりたいと思います。
また、減免を受けるための手続についてでございますけれども、耐震化促進税制による減免を受けるためには、納税者の方に対しまして、所管の都税事務所への減免申請手続をお願いすることになるものでございます。
○高倉委員 先ほど来の質疑でも触れられておりましたけれども、今回の耐震化促進税制は二十三区に限られたものでありまして、同じ都内でありながら、市町村は関係がないというようなことであります。これも新聞報道でありますけれども、今回の新たな促進税制の創設に当たって、市町村からいろいろな意見が表明をされているようであります。
これは当然のことでもあろうと思いますけれども、今回の耐震化促進税制の創設の市町村に与える影響、このことについてどういう認識を持っておられるのか、このことをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○目黒税制部長 市町村への影響に対する認識についてでございますけれども、東京都は、市町村に対する固定資産税及び都市計画税の課税権を有しておらず、こうした制度的な限界がありますことから、今回の措置は必然的に二十三区に限定したものとなるわけでございます。
このため、市町村が同様の措置を行うかどうかは、各市町村の課税自主権にゆだねざるを得ないといえるわけでございます。市町村への支援につきましては、多摩リーディングプロジェクトの改定など、総合的な取り組みの中で考慮されるべきものと考えます。
○曽根委員 私からも、ダブりを避けながら、耐震化促進税制の今回創設ということで、何点か簡潔にお聞きしたいと思います。
最初に、都独自の措置としての建てかえを、本当に実質的に耐震基準を満たしていないような個人住宅や、共同住宅も含めて、耐震化基準を満たすようにさせていく上での有効な政策というふうにしていくためには、幾つかやっぱりネックがあるだろうと思っています。全体としては、これは非常に重要な政策を進める上での税制の制度ですから、ぜひその辺を検討して、必要な緩和はするということが必要だと思うんです。
一つは、ちょっと先ほども出ましたけれども、高齢世帯が多いんですよね、古い住宅は。かなりの割合で高齢世帯になっているんじゃないでしょうか、ひとり暮らしとか老人夫婦だけというふうなことが多いわけで。したがって、年金収入しかなくて、固定資産税を払うのがやっと、とても建てかえの資金は出ませんというような世帯を、どうやって耐震基準を満たすようなものにしていくのかということになりますと、やはり子どもさんの世代が代がわりしたり相続をしたりするときに建てかえになるケースが多いので、その辺への配慮は--同一所有者ということになるとひっかかってくる、どこまで緩和できるのかなと。建てかえて実質的にその住宅に住んでいる方々が、前の方から同じ方が住むのであれば減免できるというふうな緩和策が必要だと思いますが、どうかということ。
それから共同住宅、アパートなどの場合、これも木造の賃貸アパートでかなり危ないと思われるものがあるんですが、例えば結構戸数がある場合は、取り壊しから建てかえまで一年以内というのはかなり難しい場合もあると思うんですね。ここも緩和が必要だと思いますが、どうか。
それから、今、課税権の問題が前の方の質問で出ましたけれども、つまり、もとの住宅と新しい住宅がどちらも二十三区内であることが条件になっています。場合によっては、多摩から二十三区に建てかえで移る場合とか、他県から移る場合。でも、できる住宅が二十三区であれば、課税権の問題はクリアできると思うんです。そういう場合でも、やはり耐震化基準を満たすという点では大きな前進になるわけですから、そういう場合での適用というのも考え得るんじゃないかなど、この建てかえの要件について、柔軟に考えていくことができないかどうかについてお答えいただきたいと思います。
○目黒税制部長 建てかえに係ります要件緩和に関するお尋ねでございますけれども、まず、建てかえ前後の家屋の所有者が同一という点につきましては、先ほども申し上げましたけれども、基本的には所有者が同一であることを要件とするものでございますけれども、代がわりや相続等につきましては、要件を緩和する方向で今後検討してまいりたいと思っております。
それから、取り壊しと新築が一年以内という点につきましては、通常一年以内の建てかえが困難と考えられる共同住宅などにつきまして、その取り扱いを今後検討してまいりたいと思っております。
それから、二十三区内での移動に関しての緩和という趣旨のご質問でございましたけれども、これは先ほど来申し上げておりますように、東京都が課税権を有するのは二十三区内ということもございまして、ほかの団体とこういった取り組みを同時に進めようとしますと、課税データ等を保有してないというようなこともございまして、難しいというふうに認識をしております。
○曽根委員 ちょっと三番目の話だけもう一度確認しておきたいんですが、他県や多摩などから建てかえで移ってきて、二十三区内に新築の住宅ができるという場合には、その住宅への課税については都に課税権があると思うんですよね。そういう場合に適用というのは、この場合、要するに老朽家屋から新築になって耐震基準を満たすという意味では前進なわけですから、それに対するインセンティブという意味では可能だし、やるべきじゃないかという点をお聞きしたんですが、いかがでしょうか。
○目黒税制部長 今回の税制の目的は耐震化の促進ということでございまして、建てかえの関係につきましては、二十三区内に所在する古い家屋をとにかく取り壊していただきまして、それで新しいものに建てかえていただく、こういったものに対しましてインセンティブを与えようという趣旨で実施をするものでございます。
○曽根委員 ちょっと懐が狭いかなというふうに思うので、首都圏は、そういう意味では災害が起きたときには、同じ被害のいろんな想定が、共同して今訓練をやっているわけですから、そういう観点からいいますと、首都圏の、他県も含めて、課税権がある部分についてはそういった配慮も必要じゃないかということは、意見として申し上げておきます。
それから、先ほど来出ていますように、市町村への、余り過去には例がないかもしれませんが、多摩の住宅は、この制度は適用がないよと、国の制度は適用になるんでしょうけれども、都の独自制度は適用がないよということで、やっぱりまた格差ができてしまうというのは非常に残念なことですので、何らかの財政措置でもって多摩の方もカバーできないかということは、要望しておきたいと思います。
あわせて、昭和五十七年以降につくられた住宅でも、その後に起きた阪神震災以降の地震の経験から、例えば壁が少ない住宅やピロティーなどについては、危ないということが最近いろいろな角度からわかってきて、新しい住宅でも必ずしも安全ではないということがあり得ると思うんですね。そういう点についても、これはこの制度の中でなかなか難しいかもしれませんが、配慮をしていくということで、今後もさらに政策的には前進をさせていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
○鈴木委員長 これより財務局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算第二号中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分及び第百五十八号議案、第百六十五号議案並びに第百八十八号議案から第百九十一号議案までを一括して議題といたします。
本案につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
ご発言を願います。
○宇田川委員 補正予算についてお伺いをいたします。
ここ数カ月の経済状況は、原材料や原油高に伴うインフレ傾向の中で企業業績の悪化が進んでおりまして、いわゆるスタグフレーションの様相を呈してきております。そこにアメリカ発の金融不安が追い打ちをかける形となりまして、重苦しい閉塞感を生み出しております。出口の見えないトンネルのような状態だとは思いますが、昨日、麻生総理が打ち出した景気対策、経済立て直しに期待をさせていただくとともに、我々都議会自民党としても、これをしっかり支えていこうと思っているところでございます。
都民は、生活物価の値上がり、雇用不安や賃金カットなど、生活の根幹にかかわるさまざまな不安におびえている状態でありまして、さらには頻発する地震ですとか、いつ上陸してもおかしくない新型インフルエンザなど、安心・安全の確保においても危険な状態にさらされていると思っております。
我が党は、中小企業対策や耐震化促進といった都民が直面している不安の解消について、早急に対応すべきとの要望を出したところであり、その要望をしっかりと受けとめた形で、補正予算の中で誠実に対応していただいたと思っております。
第三回定例会に緊急対策的な補正予算を組むのは十年ぶりだと聞きました。それだけに、特別な補正予算であるといえるんじゃないでしょうか。代表質問でも、我が党の高島幹事長が知事に補正予算編成の基本的な考え方を尋ね、ご答弁をいただいたところです。
しかしながら、本会議でも他会派から、新銀行のための補正予算であるかのような、ある意味、的外れな発言もあったところではありますが、改めて今回の補正予算の基本的な考え方を説明いただきたいと思います。
○真田主計部長 今日、都財政には、都民を取り巻く厳しい状況にしっかりと向き合い、それを解消していくための施策の展開を財政面から支えていくことが求められているというふうに認識しております。
こうした認識に立ちまして、今回の補正予算におきましては、現下の都民が抱える不安に対しまして施策を厳選し、緊急かつ積極的にこたえること、あわせて義務的経費についても迅速に対応することを目的に編成いたしました。
補正予算の主な柱でございますけれども、先生方からいただいたご要望も踏まえまして、最終的には、まず一つ目は、緊急安全・安心対策ということで、大流行の危険性がある新型インフルエンザへの備え、あるいは小中学校等の耐震化、地球温暖化対策を推進し、都民の不安に迅速にこたえること、これが一つ。
それから、緊急中小企業支援・雇用対策ということで、原材料の高騰や資金調達などに苦しむ中小企業、あるいは不安定な雇用環境にある非正規雇用者の不安に積極的にこたえること。あわせまして、新銀行東京の減資に伴う減債基金への所要額の義務的積み立て、これを行うこととしたところでございます。
○宇田川委員 今のご答弁の中で、施策を厳選してというお言葉がありました。大変広範にわたる都民の不安に対応するため、この補正予算だけで果たして十分なのかというところは議論が必要だと思っております。ただ、限りある中で今回の補正予算の事業を選んだ、その考え方と、その他の対策についてはどのようにお考えなのか伺います。
○真田主計部長 私どもは、年間総合予算という形で当初予算を編成しておりますけれども、そういう年間総合予算でございます当初予算におきまして、都民にとって必要な施策はしかるべく財源措置してございます。しかし、当初予算編成後の都民を取り巻く環境の急激な変化に対応するため、全庁挙げて都民の不安解消に向けた緊急対策を実施することといたしまして、その中でもとりわけ早期に取り組むべきものにつきまして、今回、補正予算に計上したところでございます。
都民が抱える不安解消に向けましては、ただいま申し上げましたとおり、年間総合予算として編成いたしております当初予算、それから今回編成いたしました補正予算の着実な執行によりまして、しっかりと成果を積み重ねていくとともに、現在編成中でございます来年度予算におきましても、確実に対応してまいりたいと考えております。
○宇田川委員 今お話があったとおりで、補正予算の項目だけで判断せずに、二十年度当初予算だとか二十年度の補正予算、また二十一年度の当初予算、それぞれ役割に応じてトータルでやってきたこと、これを判断しなければいけない、こういったことだと思います。
続いて、補正予算の各論の議論をさせていただきたいと思います。
個別事業はそれぞれの所轄委員会での議論でありますので、財務局案件である減債基金の積立金に絞ってお伺いをいたします。
本会議での代表質問、高島幹事長が行いましたが、そのときの局長答弁がございました。私なりに整理をしてみると、一つ目は、法の趣旨に基づく義務的経費であるということ。二つ目は、法の趣旨などを踏まえると、早期に対応することが望ましいということ。三番目に、早期の対応が財政上のメリットがあるということ。四番目に、新たな追加負担ではなく、決算余剰金の充当義務であると、この四つになるのではないかと思っています。
ここでは、重要な論点について掘り下げた質問を行わせていただいて、代表質問の局長答弁が正当性があるものなのか、いかがなものか、きちんと検証させていただきたいと思っております。
まず初めに確認をさせていただきたいのは、今回の減債基金への積み立ては義務的経費としていることだと思います。ここは重要なポイントですので、なぜ義務的経費なのかを、法的な根拠を示して、わかりやすく説明をいただきたいと思います。
あわせて、義務的経費であるならば、その時期について法は規定しているのか、いつまでに対応しなければならないといった決まりがあるのかをあわせて伺います。
○真田主計部長 まず、お尋ねの第一点、義務的経費であるという点についてでございますけれども、地方財政法第五条第二号には、出資金の財源に充てるための地方債の発行を認めておりますけれども、これは償還財源としての出資金が、当該地方公共団体の財産として、将来にわたり出資先に維持されることを前提として発行されるものでございます。
今般、新銀行東京の減資が決定したことによりまして、出資金が出資先に維持されなくなったため、この場合には繰り上げ償還、または繰り上げ償還できない場合には、減債基金積み立てなどの措置を講ずる必要が出てまいります。
今回、出資債として発行しました都債は、市場公募債という形で多数の投資家にご購入いただいておりますため、繰り上げ償還ができませんので、今回は減債基金の積み立てということで対応することになります。
したがいまして、今回の積み立てにつきましては、地方財政法の趣旨に基づきまして地方自治体が対応しなければならない義務的経費でございます。
次に、お尋ねの第二点目、積み立ての時期についてでございますけれども、積み立ての時期までは、法上の明文の規定はございません。しかし、東京都といたしましては、今申し上げましたような法の趣旨、あるいは今回早期に積み立てることによりまして安定的な財政運営に資するということは、財政規律の観点からも必要だというふうに考えられること。
そういったことなどを踏まえますと、速やかな対応が適当であるというふうに判断いたしまして、将来世代へのツケを残さないよう、直近の定例会である第三回定例会に提案したものでございます。
○宇田川委員 お尋ねいたしました義務的経費になるのかどうかということは、そうだということで理解をさせていただきました。
加えて、積み立てる時期まで法的に決まっているわけではないんですが、早く積み立てる方が望ましいと、こういった考えによって、この定例会で提案をされたということだと思います。
この対応についてなんですが、法律や会計上の仕組みとの関係でどうなっているのかを伺います。
○真田主計部長 まず、法律との関係についてでございますが、法の趣旨にのっとりまして直近の定例会に提案するという今回の都の判断は、適切な対応であるという見解を国からもいただいております。これは、法は積み立ての時期までは明文化しておりませんけれども、この積み立てが地方財政法の趣旨に基づく義務的経費であることから、直近の第三回定例会に提案したことに対する国の見解でございます。
次に、会計上の仕組みとの関係についてでございますけれども、民間企業におきましては、企業会計におけます減損処理の考え方がございまして、これに基づき、減資があったような場合には、経営規律上の観点から直ちに減損処理します。しかしながら、単式簿記である従来の官庁会計には、このような考え方はございません。
都といたしましては、早期に減債基金積み立てという予算上の措置を講ずることによりまして、将来世代にツケを残さないという財政規律上の観点から、必要な対応を今回行ったものでございまして、これはまさに財務情報の積極的公開という都民への説明責任を果たすものであるとも考えてございます。
このように、今回の定例会に補正予算を提案いたしまして、可能な限り早期の対応をとるということは、法律上も、また会計上の観点からも、適切な対応であるというふうに考えております。
○宇田川委員 法に照らし合わせてみたり、会計の観点、視点から見ても、速やかに対応することが適切であるということだと思います。地方財政法を所管する国も、早期の対応が適当であるとの見解を示している、会計的にも対応することが適当であるということがわかりました。
さらに、知事の発言なんですが、先日の本会議で、財政的にも効果があるので今回の補正予算を計上したと、こう発言をされております。そのことでお伺いをいたしますが、どのような財政上のメリットがあるのか、具体的な数字をお示しいただいて、説明をいただきたいと思います。
○真田主計部長 今回、補正予算の財源として活用させていただきました決算剰余金についてでございますけれども、補正予算を組まなければ歳計現金として運用することになりまして、この場合は、普通預金ですとか短期の定期預金などで運用することになります。
しかし、今回のように基金に積み立てることによりまして、より長期の定期預金ですとか国債などでの効率的な運用が可能となります。今年度の例えば第一・四半期の資金管理実績をベースに試算してみますと、例えば歳計現金の利回りは〇・二六九%、基金は〇・八八三%でございます。これに当てはめて、五百四十億円を半年分運用したということで試算いたしますと、利子の差が約一・六六億円、一億六千六百万円と試算されます。
また、新銀行東京への減資などの早期の対応が、都債の発行条件の悪化防止につながるかということで、八月に金融機関にアンケート調査をさせていただきました結果、二十社に照会をかけましたけれども、二十社すべてが、そう思うというふうに回答してございます。
仮に都債発行の最小単位でございます〇・〇一%でも、発行条件が改善したというふうな場合で試算いたしますと、下半期の発行予定額が約三千億円、都債はございますので、これに係る金利の改善効果は、一年間で三千万円、十年間で考えますと三億円ということに試算されます。
○宇田川委員 基金に積み立てをすることによって、お話ですと、運用益が一億六千六百万円増加するということ、また、今後発行する都債の金利も改善がされているので、少なくとも三億円の効果があるというお話でありました。
アメリカ発の金融危機が世界的に不安視されている現状でありますが、リスクを抱える債券が大きく下落するのは当然のことだと思います。金利や株価は、当然のように市場が決めているからにほかならないと思っております。かつて、都債でも不安要因があったときは、〇・四%金利上昇した例があるということも聞いておりますが、お話の〇・〇一どころで済むのか済まないのか、これもつけ加えていっておきたいと思っております。
いずれにいたしましても、速やかに対応することが、財政運営上もメリットがあるということだと思います。
もう一つの重要なポイントですが、新聞などの報道で五百四十億円の追加負担、こういう言葉が出てきておりますが、三月の当委員会では、新たな負担ではないという答弁をいただいているところです。私は、その質疑をやらせていただいた中で、追加負担ではないという理解をしているところなんですが、残念ながら理解されていない方もいらっしゃるようでございますので、改めて、追加負担であるのか、そうではないのか、明快な答弁をお聞かせいただきたいと思います。
五百四十億という大きな額でありますから、財源が確保されている必要も当然にあるわけでございます。今回、決算余剰金を財源として活用することにした理由もあわせてお伺いをいたします。
○真田主計部長 まず、お尋ねの第一点目、追加負担であるかどうかという点についてでございます。
都債は償還年限に合わせて返済しなければならないものでございまして、その償還財源につきましては、一定のルールに従いまして、毎年度、減債基金に積み立てることとしております。
新銀行東京の減資に伴います減債基金の積み立ては、この毎年度積み立てていくべき支出につきまして、その時期が前倒しになったというものでございまして、支出の時期を早めただけでございます。そういう意味で、トータルに見ますと、何ら積立額が変わるものではございません。そういう意味で、これは追加負担というべきものではないというふうに考えます。
次に、もう一つのお尋ねでございます決算剰余金についてでございますけれども、地方財政法第七条で、剰余金のうち二分の一を下らない金額は、積み立て、または償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てなければならないと規定されております。今回の減債基金積み立ては、この償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に該当いたします。
新銀行東京の減資に伴います五百四十億円の積み立てに当たりましては、他の都民サービスを減額いたしましたり、あるいは都の重要な施策に充当するための基金を取り崩すことではなくて、今回、決算剰余金を活用することによりまして、そういった影響を最小限に食いとめた補正予算を編成することができたというふうに考えております。
こういう観点からも、地方財政法に基づく決算剰余金を財源として活用したということでございます。
○宇田川委員 決算剰余金だけではなくて、基金をもっと使った方がいいんではないかという意見も一部ではあるようです。基金だけでなく、過去の例を振り返りますと、都債なども補正予算の財源となっているときがございました。
決算剰余金を活用した理由は先ほど伺いましたけれども、ここでは、なぜ基金や都債を財源としなかったのか、その点についてお伺いいたします。
○真田主計部長 昨今の景気後退によります税収の減ですとか、あるいは不合理な法人事業税の暫定措置による影響などによりまして、今後の都財政を取り巻く環境は一層厳しくなることが予想されております。また、ご案内のとおり、都は景気変動による影響を受けやすい歳入構造でございまして、また地方交付税の不交付団体でもございます。
そうした中にありまして、厳しい財政環境のもとでも必要とされる都民サービスの水準をしっかりと確保していくためには、できる限り、基金ですとか都債の発行余力を蓄えておくことが重要であるというふうに考えております。
一方、先ほどご説明いたしましたとおり、決算剰余金というのは財政運営の成果として生じたものでございまして、都民のために有効かつ適切に活用すべき財源でございまして、その二分の一以上は、法律に基づき、基金積み立て等に充当することが義務づけられております。
こうしたことから、都民の抱える不安の解消に必要な施策を実施する今回の補正予算の財源といたしましては、基金ですとか都債の発行によることなく、決算剰余金を活用することが適切であるというふうに判断したものでございます。
○宇田川委員 将来の財政運営の足かせとなることを避けつつ、都民生活の影響を最小限にとどめる、これは当然の考え方だと思うんですが、これは都財政のこれまでの堅実な財政運営の成果の有効活用であるものと評価をしているところでございます。
るる説明を伺ってきたんですが、さまざまなことの中で、正当性があるんだなということがクリアになったんだと私は思っております。我が会派自民党としては、法制度や事実関係に基づいてきちんと審議を行った上で、都民の皆さんのことを第一に考えての都政運営を行っていくことが、我々責任ある政党として最も重要であるという考えをあえて主張させていただきます。
最後に、今回の補正予算は、都民の直面する緊急課題に対応した予算でありまして、減債基金の積み立ても、義務的経費であるがゆえに早く整理した方がいいと。こうしたことも考え合わせますと、まさに個々にかなった補正予算であると考えているところです。今回の補正予算だけにとどまらず、現在各局で編成作業に入っている二十一年度予算編成も含めて、都民の不安を解消し、安心と安全を与える都政を目指してもらいたいと思います。
これまでの議論を踏まえ、予算編成の実務を取り仕切っている財務局長、ぜひ今回の補正予算に込めた思い、今後につながるしっかりとした決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○村山財務局長 るるご指摘をいただいたわけでございますけれども、東京都は、従来から年間総合予算という考え方で、その年に必要な事業、施策については、可能な限り当初予算にあまねく計上して、そのためのしかるべき財源を措置するという方針でやってきております。
今年度の場合には、ご指摘もありましたように、非常に急激な景気後退の本格化、それが都民生活あるいは中小企業等に与える影響が非常に深刻な様相を呈するという状況が生じたために、ここは都庁全体を挙げて、都民のそういう不安解消に緊急対策をやらなきゃいけないんじゃないかという知事のご指示をいただきまして、その中で、とりわけ早期に予算化して実行しないといけないものにつきましては、異例の措置ではありましたけれども、あえて予算上の対応をとろうということで、今回の補正予算編成ということに踏み切ったわけでございます。
もとより財政運営というのは、現在の足元の状況における都民生活が直面する課題への対応という視点と、それから、中長期的な将来の東京をどうやってしっかりつくっていくのかという、この両方の視点がともに重要なわけでございます。現在、都財政は、全体として非常に転換点に財政面では遭遇してございまして、これから財政環境は非常に厳しくなるところでございますけれども、この二つの視点に立った場合に、こういう時期だからこそ、財政が厳しくても、そこで直面している都民の喫緊のニーズについては、的確に、迅速に対応するということがまず必要であるというふうに思っております。
同時に、それを今後、将来にかけてずっと継続的に続けていくためには、それを続けていくために足りるしっかりとした財政力というものが必要なので、そのためには、そのときそのときに必要な義務的な経費については、後手を踏まずに、あるいは先送りをせずに、そのときにしっかり措置をしていくという両面に立って、しっかりとした財政運営をしていかなきゃいけないというふうに、私どもは改めて決意をいたしております。
そういう中で、現在、今回の補正予算を今ご審議いただいているわけでございますが、ぜひともご議決をいただいて、それを着実に執行すると同時に、現在編成作業を進めつつございます二十一年度予算においても、今申し上げたような決意を持っていい予算にして、それをもって都民生活にしっかりと我々は向き合いながら、今後の都財政、都政運営に資する財政運営をやっていきたい、かように決意しているところでございます。
○西岡委員 議案第百五十七号、補正予算財務局所管分の新銀行東京の減資に伴う減債基金五百四十億円の積み立てに関連して伺ってまいりたいと思います。
都議会民主党は、九月二十五日に行われた代表質問におきまして、景気後退の懸念が高まる中、今定例会に提案された補正予算案の約六割が新銀行東京の損失処理であり、全体としては新銀行の損失処理のための予算が真相であることを主張し、さらに、新銀行や都の責任が明確にされず、決算や再建計画が妥当かどうかわからない中、減債基金への積み立てを今急ぐ必要はなく、今行うことは、かえって都の財政規律を無責任にするものであるということを主張させていただきました。
しかし、知事及び財務局長からのご答弁は、減債基金への積み立ては、早く実施することは財政的なメリットがあり、先ほども宇田川委員への質疑の中で述べられておりましたけれども、地方財政法の趣旨に基づく義務的経費であり、早期積み立ては財政規律の観点から適切で、都債発行条件の改善や運用益の増加など財政効果を生むもので、指摘には当たらないということでありまして、議論は平行線でありました。
私は、今定例会での減債基金への積み立ての是非というのは、やはり知事の総合的な政治判断によって最終的に決定されるものであるというふうに考えております。現時点においても、新銀行東京に対する都民の不安、不満は大変大きいものがあります。しかし、新銀行東京が一千十六億円もの資本金を毀損し、減資を行ったことで、都民の税金である八百六十一億円が失われ、出資目的が果たされなかったことへの経営者の責任、そして東京都知事としての発案者、旧経営陣の任命者の責任が、いまだに果たされてはおりません。
さらに、金融庁の検査が現在も継続中でありますから、その経営実態が明らかにされず、決算内容には金融庁の検査内容も反映されてはおりません。
一方、極めて重要な旧経営陣への訴訟に関しては、年内めどという新銀行東京の姿勢を見守って、また東京都も検討中ということで、あれだけ問題視され議論された四百億円の追加出資が議決されて半年が経過しても、責任追及の具体的な目に見える進展が全くない状況であります。
去る九月二十六日、新銀行東京をテーマとして、金融庁や日本銀行を交え、民主党本部金融対策チームが開催をされ、私ども都議会民主党も参加をしまして、金融庁の新銀行東京への検査に関してヒアリングを実施しました。その中では、金融庁から、七月二十五日の検査終了から三カ月以内の十月二十五日までには検査結果の通知を出すことが明確に述べられておりまして、その検査結果は極めて重要であります。この検査結果を真摯に待つことが重要だと思っております。
減債基金の積み立ては、いずれは必要な手だてであることは、私どももルール上否定するものではありません。基金に積めば、平成二十年度資金管理実績第一・四半期で発表された〇・八八三%の利回りで財政的運用にも寄与するということならば、財政調整基金も同じ利率であります。
今一番大切なことは、都知事としての新銀行東京に関する都民への説明と責任を全うすることと、減債基金を財政的メリットによって早期に積み立てるということを比較すれば、現時点での積み立ては、血税を毀損させた都民に対していささか作法を欠いた行為といわざるを得ず、時期尚早であると考えます。
したがって、私たちはこの五百四十億円は、地方財政法にも準拠する財政調整基金に積み立てることが望ましいと考えておりまして、そこで、何点か伺ってまいりたいと思います。
まず、国が定めた地方債同意等基準においては、新銀行東京への七百億円の都債による出資金が、都の財産として将来にわたり維持されるという合理性、都がこの責務を負うことが定められておりますが、それが三年で失われてしまいました。東京都の財政当局として、この責務に関する見解をまず伺いたいと思います。
○真田主計部長 まず、財政上の基本でございますけれども、事業の財源の選択に当たりましては、その時々の財源の状況、事業や財源の性格、将来の財政状況に及ぼす影響などを総合的に勘案して判断する必要があるというふうに考えております。
今回の銀行に対します出資が決まりました平成十六年度当時の状況でございますけれども、経済環境の悪化のもとで、都財政も厳しい状況に直面しておりました。こうした中にあって、全額一般財源を充当するのではなくて、出資債が認められる七〇%相当の七百億円につきましては、都債を発行して財源とすることが適当であるというふうに判断したものでございます。
実際の発行に当たりましては、都債による出資金が都の財産として将来にわたって維持されるという合理性を含めて協議を行いまして、十六年十月に国から許可の内示を得ておりまして、適正な処理であったというふうに考えております。
○西岡委員 大変厳しい財政状況の中、都債を発行したわけですけれども、私は、今現在合理性が失われているということに関して、東京都の今の財務局としての責任についてご見解を求めているんですが、もちろん当時は適正な処理であったと思われたわけで、そして総務省と同意をしたわけですからわかるんですけれども、今現在、この合理性が失われているわけですね。その責務についてはご答弁いただけておりません。
また同時に、都債の発行の適正管理についても伺っていかなければなりません。地方財政法によると、都など地方自治体は、債券発行に制限がつけられています。これは自治体の財政運営の健全化を図るために必要なものであります。この制限事項の中に、出資金の財源とする場合、都債を発行できるとして、資本的な役割を果たすものへの起債が認められています。
都は、団体に対する出資のために都債を発行した幾つかの事例が存在しておりますけれども、総務省と東京都の間では、銀行が適債事業として適当かどうか、多くの議論が費やされたと考えます。出資を行う場合の事業については、法令上、何の制限もありません。しかし、出資金の元金及び配当が自治体に当然回収されていると、配当が自治体に当然回収されているとしている一方、先月末、新銀行が減資を行ったことによって、都債六百三億円が三年で消失したことが確定をしたわけであります。
東京都は、出資金が失われた事例として、過去にこういった事例があったのかどうか、まず伺っておきたいと思います。
○真田主計部長 お尋ねの、都の出資金に出資債を充当しまして、その後、今回のように繰り上げ償還等を行った事例は、今回が初めてでございます。
○西岡委員 出資債を発行して出資金が失われたことはないということですから、まさに異例の初めての事態であったわけであります。
東京都は、平成十六年度、減債基金の積み立ての一部六百十二億円の計上を見送って、他会計からの借入金の返済六百億円を繰り延べるなど臨時的な対策を行って、極めて苦しい財政運営を行っていました。副知事名で、各局には都債発行の抑制も通達されていた時代であります。
そのような中、都は石原知事の公約、東京発金融改革、負の遺産のない全く新しいタイプの銀行の設立のために都債七百億円を発行、一般財源三百億円を合わせて一千億円を出資して、新銀行東京を新設しました。予算議会においては財務当局からも、都財政も非常に厳しい状況に置かれていたが、出資をして設立したと述べています。
財政的に非常に苦しい中、都は債券を発行してまで出資を決断したわけですけれども、決断の後には、地方債許可制度における総務大臣と知事との協議と同意の許可が必要でありました。しかし、自治体が銀行に出資するのは史上初めてということで、通常の協議から許可までに要すべき時間である一カ月を優に超える半年間を費やしたと聞いておりますが、都のご見解を伺います。
○真田主計部長 平成十六年度の出資金に都債を充当する際には、銀行に対する出資債が初めてのケースであることから、私どもとしましても国と綿密な協議を行いましたし、また、国も慎重に協議に応じたところでございます。
その結果、当初予算が可決してからおおむね半年後の十六年十月に許可の内示を受けまして、以後、十月から十七年一月に、四回に分けまして都債を発行しているところでございます。
○西岡委員 平成十六年度の四月から十月までということで、約半年間にわたって協議が行われたわけですが、その具体的な中身は、東京都が新銀行マスタープランをもとに総務省に説明をしたというふうに聞いています。この新銀行東京の根幹をなした部分でありますね、それはどのような説明だったのか、また当時を振り返って、現在もその説明が妥当な説明であったと考えているのかどうか、ご見解を伺います。
○真田主計部長 国の同意等基準におきましては、出資金に充てるための地方債は、地方債の償還財源としての出資金が、当該地方公共団体の財産として将来にわたり出資先に維持される等、地方債の財源として出資を行うことに合理性があるものであることとされております。
新銀行東京への出資債につきましては、この基準を満たすかなどにつきまして国と協議を行いまして、国からの許可を受けたものでございます。
したがいまして、この処理は適正であったというふうに考えております。
○西岡委員 当時の処理は適正だったと。当時はそう思うと思うんです、当たり前なんですが。しかし、今振り返ってみて、前例のない事態ですから、今、四年前を振り返ってみて、そのとき総務省に説明した中身が妥当であったかどうかという評価を聞いているんですね。このことに関しても、ご答弁はいただけておりません。
あれから四年が経過をしたわけですけれども、銀行が果たして適債事業として適当かどうか、新銀行だけが例外なのか。知事も、銀行は非常に難しいと思うと述べていますけれども、都債発行の適正管理の点から見解を伺いたいと思います。また、今日までに他の自治体が銀行に出資した事例があるのか伺います。
また、先ほどの、現時点での評価を聞いているんですね、その点についてもあわせてご答弁を求めたいと思います。
○真田主計部長 まず、今お尋ねいただきました点についてでございますけれども、新銀行東京の出資債に係る国との協議は適正に行われておりまして、適債事業であるということには変わりないというふうに考えます。
他の自治体が銀行に出資した事例につきましては、銀行法の規定によりまして、一般的に持ち株数が多い場合、十一番目以下の出資者は非開示となっているため、詳細はわかりかねます。
なお、自治体が銀行に出資し、出資債に充当した事例はないというふうに聞いております。
また、追加でご質問がございました点でございますけれども、一応四年前に協議を尽くしまして、国から許可をいただいたということでございますので、その協議は適正なものであったと今でも考えております。
○西岡委員 先ほどの再質問した件ですけれども、都債を発行するのが財務局さんの見解として、もちろん産業労働局さんの見解まで踏み込もうと思っていません、ただ、都債の発行の事業は財務局の大事な仕事ですけれども、やっぱり教訓としていただきたいと思うんですが、その教訓ともなっていないと。過去は適正であったということの繰り返しの答弁では、これから先、前に進まない。都債発行事業を東京都が行っていく上で、どういうものに対して都債を発行するのがいいのかどうかという議論につながっていかないのではないかということを大変危惧するわけであります。
新銀行東京の累積損失一千十六億円の減資の完了に伴って、東京都は五百四十億円を減債基金へ早期に積み立てて、一般財源二百五十八億円は消失しました。
また、その他の株主では、総額出資金百五十五億円が毀損されました。民間企業ですね。総務省の地方債の総合的な管理についての通知では、出資事業の中止等償還を行うべき事由が発生した場合にあっては、中止ですね、当該事由に相当する部分については、減債基金に積み立てることなどにより対応されたいとあります。
では、新銀行の累積損失とは事業の中止でしょうか。私たちは、事業の失敗によるものだと思っております。三年で事業に失敗し、配当も全くなく、都債六百三億円分を初め八百六十一億円を毀損したわけですね。新銀行の損失による都債の償還を行うべき事由とは、私どもは事業の失敗であるというふうに認識をいたしておりますが、東京都の見解を伺いたいと思います。
○真田主計部長 まず、この減資につきましては、先ほどの本会議で知事が、都の出資を含む資本を毀損したことについては重く受けとめているというふうにお答えしてございまして、財務局としては、その是非についてお答えする立場にはございません。
なお、今回提案いたしました五百四十億円の減債基金への積み立ては、こうした減資の決定に伴いまして、出資先において出資金が維持されなくなることから、義務的経費として積み立てなければならない性格のものであるというふうに考えております。
○西岡委員 減資の決定に伴って積み立てなければいけないと私たちもわかっているんですが、事業の失敗ということに関してはお答えする立場にはないと思うんですけれども、都債のすべての管理をしている財務局がこういうことに関して評価しなければ、逆に、じゃ何でも出してしまうんですかというふうに思ってしまうわけですよね。だから、財務局としてここはきちっと評価を、あの四年前の都債発行が本当にどうだったのかという評価を、財務局としてもするべきだと思うんですよね。そのことが、ずっと先ほどから平行線なんですね。
また、新銀行の累積損失によって、都債の大半がいわゆる死に金となってしまいました。都は、債券発行時に約束した総額百億三千百万円の利息の残金六十三億円というものを、今後、平成二十六年まで債権者に支払い続ける義務を負っています。こういうことは否定していません。当然のことだと思っています。しかし、今となって目的を失ってしまった都債に対して、財務当局としての見解を改めて伺いたいと思います。
○真田主計部長 今回の事例におきます起債上の取り扱いにつきましては、基本的には、まず繰り上げ償還が基本でございますが、先ほどご説明しましたとおり、本件につきましては市場公募債であるため、繰り上げ償還ができないものでございます。
そういうことで、都債としましては市場に流通しているわけでございまして、市場に流通している以上、利子は満期まで円滑に支払う義務がございます。これは都債の信用確保の観点から、また投資家との契約でもございます。
このように、都債が市場に流通している以上、利子を投資家に支払う義務があるということは都債管理上のルールでございまして、減資の有無にかかわらず、利子負担は当然に生じるものでございます。
○西岡委員 目的を失った都債ということに関しても、明確なご答弁をいただけない状態であります。
伺いますが、石原知事の査定によって、新銀行東京による一千十六億円の減資に伴う減債基金の早期積み立てが今定例会に提案されているわけですけれども、国の通知では繰り上げ償還の規定があるのみで、期限は一切切られてはおりません。私たちは、新銀行が減資を行った今となっては、遅くとも年度内には減債基金への積み立てを行わなければならない、年度内にはやるべきだというふうには考えているんです。
東京都は、いつまでに公債費を減債基金に積み立てねばならないというふうに認識しているのか、伺っておきたいと思います。
○真田主計部長 先ほどもお答えしましたけれども、新銀行の減資の決定によりまして、出資債のうちのいわゆる減資割合に相当する五百四十億円を減債基金に積み立てることとなりましたが、これは地方財政法の趣旨に基づく義務的な経費であるというふうに考えております。
また、その積み立ての時期につきましては、これもお答えしましたとおり、法上の明文の規定はございませんが、今申し上げた地方財政法の趣旨を踏まえ、早期に積み立てることが適当であると考えますし、また、早期の積み立ては財政規律上も適切でございますし、財政上の効果もございますことから、今回、第三回定例会に提案したものでございます。
○西岡委員 ですから、法上は、この第三定例会でやらなければいけないということを明確にしているわけではないわけですよね。
そして一方、過去を振り返ってみたいんですが、この減債基金というものを最終年度補正以外で積み立てた事例というのは、東京都の中であるんでしょうか、伺っておきたいと思います。
○真田主計部長 減債基金を最終補正で積み立てたことはございますけれども、最終補正以外で積み立てた事例はございません。
○西岡委員 最終補正以外で積み立てた事例はないということで、非常に特別な対応をしているわけでありますね。
新銀行東京の累積損失による減資対応に対する査定当時の知事の見解について伺いたいと思います。
○真田主計部長 知事は、予算案発表に当たっての記者会見におきまして、今回の減債基金の積み立ては、もともと順次積み立てるべきものを時期を前倒しして積み立てるものであり、やるべきものは早く行う方が財政的にもベターであるとの発言をされております。
査定も、こうした考え方に基づいて行われたものと認識しております。
○西岡委員 知事は会見で、もともと順次積み立てるべきものを前倒ししてやった、早くやった方が財政的にもベターであるというふうに答弁したわけですね。じゃ、今まで、なぜ減債基金の積み立てはいつも最終補正だったんですか。そういうふうに答弁するんであれば、常にこういう減債基金の積み立ては前倒し、前倒しでやっていった方がいいという議論になると思うんです。今回だけ特別にそういうご発言、ご答弁をされたわけですけれども、今まで一度もこういうことを財務局としてもやってこなかったわけですよね。
ですから、今回だけ際立たせて財政的メリットがあるというふうに主張するのは、私は、今までのことを否定していることにつながってしまうのではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。
知事は所信表明において、新銀行東京の減資に伴う減債基金の義務的積み立てを行う、必要なものは早く積み立てることが財政的なメリットと判断をし、前倒しでやったというふうに判断を示しています。また知事は、減資で身軽になってね、かかってくる税金が軽減されると述べていますけれども、その税金は都税の法人事業税資本割であって、今述べた基金の運用利回りを相殺するほどの金額であって、そういう都税に本来入ってくるべき税収とも考えてみれば、財政的なメリットは既に失われているわけですね。
ただ、この件は、財務局さんですから、主税局さんではないので見解は求められませんけれども、そういう意味では税ということを考えれば、財政的なメリットは十分効果を果たしていけてないのではないかというふうに指摘をせざるを得ません。
昨年度の剰余金を現金で運用するよりは、基金として運用する方が利回りとして〇・六一四%有利であって、半年間で一・六六億円分メリットがあるとした考えですけれども、財政調整基金に積み立てても利回りは同様です。既に述べた都民の財産を毀損した責任をまずは明確にしていくべきであると思いますが、東京都のご見解を伺います。
○真田主計部長 今回の減債基金への積み立ては、先ほどもご答弁いたしましたが、法の趣旨に基づきまして、地方自治体が必ず歳出として計上しなければならない義務的な経費であるという点が重要であると考えております。
そういった法の趣旨から見ましても、また財政規律の観点から見ましても、早期の対応が望ましいことは間違いございません。決算剰余金という財源も確保されております以上、あえて先送りする理由はないと考えております。
○西岡委員 財調とも同じ利率であるということであれば、やはり総合的な判断から、ここは一たん財調に積んで、新銀行東京に対する都民への責任を全うすることの政治判断を優先すべきだというふうに思わざるを得ないわけです。
東京都は、去る八月、東京都の公募債を引き受ける銀行や証券業二十社に対して、都債に関するアンケートを行いました。その中で都は、財政的懸案事項に迅速な対応を講じる。例えば新銀行東京の減資などへの早期の対応が、都債の発行条件の悪化防止につながると思うかということで、肯定的な回答が予想される設問を引き合いに、迅速な積み立てを主張しているというふうに感じております。
しかし、新銀行設立に都債七百億円を起債した平成十六年度においても、六百十二億円の減債基金への積み立てを見送っていたり、過去に減債基金の積み立て不足の状況が続いていました。これらのときは、債券発行団体としての東京都の格付や都債の対国債スプレッドの推移などが大きく変動して、都債発行への悪影響が顕在化していたんでしょうか。そうでなければ、理由にならないと思います。また、減債基金が長い間赤字が続いたということもはっきりしているわけですね。
そういう意味で、今回は五百四十億円の減債基金への積み立てが提案されていますけれども、どの程度の都債への悪影響を見越しているのか。また、投資家が都債へのクレジットを分析するならば、私は、東京都の財政全体を見渡して評価するのが通例だと思います。減債基金に幾ら積んであるかということだけではないと思うんですが、東京都の見解を伺いたいと思います。
○真田主計部長 新銀行東京につきましては、新聞報道等でも大きく取り上げられたため、都債説明会ですとか個別投資家訪問でも質問を寄せられることが多うございまして、投資家にとっても重要な関心事項になっているというふうに考えております。
また、法の趣旨に基づきまして、やるべきことを早期にやるという都の対応が、都債の発行条件の改善に資するものと考えております。
金利は市場が判断するものでございまして、自治体が自由に決められるものではございませんけれども、アメリカ発金融危機の影響で市場が今大きく揺れ動いている状況にございまして、その中で投資家にとってのリスク要因を解消するように努めまして、発行条件の悪化を最小限にとどめていくことが重要であるというふうに考えております。
こうした中、私どもとしましては、今後の起債戦略を検討するため、この八月に起債を取り扱う金融機関にアンケート調査を行ったところでございます。その中で、新銀行東京の減資などへの早期の対応が都債の発行条件の悪化防止につながるかという問いに対しまして、二十社中二十社が、発行条件の悪化防止につながると答えているものでございます。
○西岡委員 そろそろ最終の意見にしたいと思いますが、都債発行した発行団体の主管の財務局さんから、四年前のきちっとした評価が行われていないということが、まず一つ、極めて残念だなというふうに思っております。はっきりと申し上げられないということが非常に残念だなというふうに思っております。
今回、東京都が、新銀行の減資に伴う会計処理、減債基金への積み立てを議会に提案していますが、東京都は、出資金を支出した責任を都民に対して果たしているのでしょうか。まさか、都の財産であった出資金の損失をすんなり受け入れることが、筆頭株主として責任を果たすことと勘違いをしていないと考えます。
まずは、都財政に八百六十一億円の損失を負わせた知事が、報告に改ざんや粉飾があったといった旧経営陣の経営責任を問うとともに、新銀行の設立構想者である石原知事の政治的、道義的責任を明確にする。そして、十月二十五日までに通知される新銀行に対する金融庁の検査結果を、知事は真摯に受けとめるために待つことが、都民への説明責任をまずは果たすことと考えます。知事も平成十五年の議会で答弁していますけれども、都民も間接的な株主であります。
私たちは、この減債基金以外に盛り込まれた緊急対策については肯定的に受けとめております。しかし、五百四十億円の繰越金は、当面、財政調整基金に積み立てることが今最も適切な判断であると考えます。財政調整基金であれば利回りも同額であり、また、都税収入の減収など厳しい局面を迎えることが否定できない都財政を考えるならば、当面の措置ということで、財政調整基金に積むことの方が望ましいと考えます。
答弁はどこまで行っても平行線でございます。したがって、我が会派としては、議会ルールにのっとりまして、この新銀行東京の減資に伴う五百四十億円の減債基金の積み立てに関しましては、組み替え動議によって今後の対応を図っていくことを表明し、質問を終えます。
以上です。
○高倉委員 補正予算についてお伺いいたします。
先ほどから、今回の補正予算についての議論が行われておりますけれども、年度半ばのこの時期に事業を伴う補正予算というのは、確かに珍しいことだと思います。東京都は、当初予算を年間総合予算として編成をし、補正予算といえば、原則として、翌年第一回定例会の最終補正予算として編成をしていたはずであります。この例外として今回の補正予算があるわけでありますけれども、特別な措置であることにスポットを当てて、補正予算の意義、必要性を明らかにしたいと思います。
まずは、都として、一般的に補正予算を編成する際の基本的な考え方、スタンスというものをお示しいただきたいと思います。
○真田主計部長 東京都は、先ほど財務局長の方からもお話し申し上げましたとおり、かねてから当初予算を年間総合予算として編成しておりまして、その年度の必要と見込まれる施策につきましては、基本的に当初予算にすべて盛り込んで対応しております。
これは、年間を通じまして都民が必要とする施策を着実に実施いたしまして、都民に対する責任を全うすること、また、都民や議会に対しまして予算全体の姿をお示しし、よく議論していただくこと、そういったことが目的であるというふうに思います。
しかし、当初予算の調整後に特段の必要が生じた場合には、過去におきましても、例えば国の景気対策関連ですとか、あるいは個別の事案処理との関連ですとか、そういったことも含めまして必要性、緊急性を十分精査した上で、必要な場合には補正予算を編成したところでございます。
○高倉委員 今の答弁で、年間総合予算で対応できない場合に補正予算を編成するということについてはわかりました。
したがって、これまでの事例も少なかったのだと思います。しかし、他の道府県においては、定例会ごとに補正予算を編成している団体が多いというふうにお聞きをしていますが、他の道府県で補正予算が多いというのはなぜなのか、このことについてご所見を伺いたいと思います。
○真田主計部長 他の道府県で補正予算編成が多い理由は、それぞれの自治体の置かれた状況によりまして千差万別でございますので、なかなか一概にいえないのかなという感じもいたしますが、ただ、一つ大きくいえることは、歳入構造の違いが大きな要因の一つをなしているのかなということでございます。
まず、そのほとんどが地方交付税の交付団体でございまして、かつ地方交付税の依存度が高い自治体が多いということが挙げられるかと思います。普通交付税は、例年七月ごろに交付額が確定することに加えまして、特別交付税につきましては十二月と三月に交付されます。また、年度に入ってからの国庫内示の状況によっても、調整が必要になる場合も多いこともあるのかなというふうに考えます。
このように、他団体の場合には自主財源の割合が高い都とは異なりまして、当初予算の編成段階で年度の歳入を確定的に見込むのが困難な状況にあるため、年度途中の補正予算の編成が多いのではないかなというふうに考えております。
○高倉委員 他の道府県では、過度に地方交付税等に依存をして、財政の自由度が狭まっている異常な状態であるということに対して、地方交付税の不交付団体で自主財源の比率が高い東京都では、当初予算で対応ができる幅が大きいということだと思います。
だからこそ、都はこれまで、年度中途に細々とした補正予算を組むのではなくて、年間総合予算として当初予算を基本としてきたということについては、よく理解できるわけであります。
一方で、本当に必要なときに、集中的かつ効果的に財源を投入できるということも、ひとり立ちをした財政運営をしている東京都の特徴であろうと思います。今回の定例会で提案をされた補正予算については、国を先導する自主的な、あるいは自立的な対応であろうかと思っております。
今回は我が党も、年長フリーター対策を初めとした切実な都民要望に対して迅速に対応してもらいたいということで、もう既に要望も提出をしたところであります。これは、現下の都民が、原油高あるいは原材料高を中心としました身近な生活物価の高騰、あるいはアメリカ発の金融危機から波及する中小零細企業を中心とした業績の悪化、雇用不安等々、極めて厳しい危機的状況に陥っている状況があります。
さらには、いつ発生をするかわからない地震、あるいはインフルエンザ対策といった大規模な災害に対する備え、これもまだまだ十分とはいえない状況にあろうかと思っております。
こうした状況において、手をこまねいているということではなくて、積極的に手を差し伸べるべきというふうに考えたからこそ、私たちも強く要望をしてきたところであります。私の記憶でも、都の単独財源で、国の景気対策などに直接連動することなく都独自の施策をこれだけ盛り込んだ補正予算は、石原知事になってからも最初であろうと思います。
それだけ現状に対する危機感を持っているということのあらわれというふうに考えますけれども、あえてこの時期に異例ともいえる補正予算の編成に踏み切った理由について、現状の認識も含めて所見をお伺いしたいと思います。
○真田主計部長 先ほども申し上げましたとおり、都はかねてより、都民にとって必要な施策を年間総合予算として編成しているわけではございますが、当初予算編成当時の予想をはるかに超える事態によりまして、都民や中小零細企業の不安や、また閉塞感が急速に高まっているというふうに考えております。
お話にもございましたとおり、景気の悪化に伴いまして中小零細企業の資金繰りは逼迫しておりますし、また、非正規雇用者の雇用環境も厳しさを増しております。また、大地震、新型インフルエンザ、地球温暖化といった都民の安全・安心を脅かす危機も増大しております。
こうした都民に広がる不安の解消に向けた実効性のある対策を迅速に実施することこそ、現在の都政に求められている役割であると認識してございまして、先般もそういった危機意識の中で、先生方からもいろいろご要望をいただいたと考えております。
そういうことを踏まえまして、今回、各局と連携して緊急対策を実施させていただきましたけれども、中でも、とりわけ早期に対応すべき予算措置を必要とする施策につきましては、年度半ばではございますけれども、この時期、あえて補正予算を編成したものでございます。
○高倉委員 ただいま主計部長の答弁をいただきまして、都民の不安解消に向けた実効性ある対策の迅速な実施ということの具体的な補正予算ということについては、評価をしたいと思います。提案された補正予算のように、いざというときに都民のために適時適切に対応するということが、今まさに現在の都政に最も求められていることであろうと思います。
景気後退局面の中で、今後の財政運営のかじ取りは、大変困難を伴ってくるというふうに考えております。今後の財政運営において、どのように都民の不安に向き合い、また財政面から支えていかれようとしているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
○真田主計部長 都財政には、先ほど申し上げましたような、現下の都民が抱える不安を解消する取り組みの実施、また東京の将来を見据えた先進的な施策展開、これも同時にやっていくことが求められているというふうに考えております。
そのため、これまでも、隠れ借金の解消ですとか基金の積み立てなど、財政基盤の強化に努めまして、先行きの需要増や税収減に対応できる力を蓄えてきたところでございます。
都財政をめぐる環境は一段と厳しさを増すことが見込まれておりますけれども、そのような中にありましても、こうした役割をしっかりと担っていくため、都財政の体力強化がより一層重要になると認識してございます。
このため、引き続き、基金の充実など都財政の体力を増強する取り組みを着実に進めるとともに、必要なときには、そういった蓄えた力を有効に活用しまして、都民生活にとって真に必要な施策の実施を財政面から支えていきたいと考えております。
○高倉委員 これまでの質疑で、我が会派の要求を踏まえて、今回の補正予算が都民生活に真に必要なサービスをタイムリーに施策をしてきたということについて、理解をいたしました。
あわせて、新銀行東京の減資に伴う減債基金の積み立てについても確認をしておきたいと思います。今定例会での我が党の鈴木貫太郎議員の代表質問にもありましたとおり、新銀行東京の経営については、きちんと決算情報等を公開するとともに、都との連携も強化をしながら再建計画を全うして、四百億円を一円たりとも毀損をさせないということが最重要の課題であろうと思っております。追加出資、そして減資、それに伴う今回の減債基金の積み立てという一連の流れは、再建計画に新銀行が取り組むための前提条件になり得るものだと思います。
また、この五百四十億円の基金積み立ては義務的な経費であり、追加負担ではないというふうに、これまでの質疑もありまして理解はしております。しかしながら、この金額が巨額でもあることから、私の支持者の方からも、他の都民サービスや都財政には影響が及ばないんですかと、こういう心配する声も寄せられているわけであります。
第一回の定例会で、仮に減債基金を積み立てる場合には、財政への影響を最小限にとどめて都民サービスの低下を招かないようにすると、こうした答弁もいただいているところでありますけれども、今回の補正で、それについてどう対応されたのか、財務局長にお伺いしたいと思います。
○村山財務局長 確かに減債基金積み立ては義務的経費ではあるわけでございますが、お話のございましたように、それをどういうふうに積み立てを実施していくのかという点につきましては、五百四十億円という金額、あるいは法律、財政規律を遵守しなきゃならないというようなことを踏まえながら、どうやって都民サービスへの影響、都財政への影響というものにマイナスの影響を及ばさないようにするのかということが、非常に大事なポイントでございます。
その場合、その点について、私どもといたしましては、二つの点に留意したつもりでございます。一つは、まず、そのためにどういう財源をどういうふうに使うかという点でございまして、それを支出するために、例えば、当初予算で計上したサービスのどこかを減額して、その分を回すというようなことは許されないわけでございますので、その点をどうするかというのが一つの問題でございました。
このため、今回補正予算を計上するに当たりまして、十九年度決算の剰余金の二分の一以上は積み立てる、あるいは繰り上げ償還の財源に充てなければならないという法律がございますので、そういう意味におきまして、今回の減債基金積み立てというのが、その繰り上げ償還の財源に充当するということに当たるということによりまして、こうした事態を回避することができるのではないかというのが一つでございます。
もう一つの問題は、将来への財政運営の影響でございまして、今回の措置をとることが、将来における都民サービスの低下になるべく影響を与えない、そういうことを招かないようにするというのがもう一つのポイントでございました。
その点については、私どもとしては、今回の義務積み立てを先送りすることなく早期に積み立てることが、将来負担を少なくし、安定的な財政運営に資するものとなって、そのことが、長期的な視点に立った場合に最も都財政の運営に対する影響を少なくすることができ、都民サービスへの影響もまた回避することができるというふうに考えたわけでございます。
以上の点を踏まえて、今回の補正予算において、減債基金の積み立てを剰余金の一部を活用して積み立てるという、予算の一項目として計上するというふうに判断をいたしたわけでございまして、都民サービスの確保と将来にわたる財政運営の両面から考えて、最も適切な対応であったというふうに考えております。
お話にございましたように、都財政を取り巻く環境というのは一層厳しさを増しているわけでございますけれども、今後とも私どもとしては、都民サービスの確保と健全な財政運営両面にわたって、両々実現すべく、全力で取り組んでまいります。
○高倉委員 今、局長の答弁をいただきまして、都民サービスあるいは都財政に影響を及ぼすことのないように十分配慮されたというようなお話、そして、今回の積み立てが義務であり、財政面や法の趣旨からも早期に対応することが必要であるというようなご答弁だったと思います。また、財政規律をきちんと守るべきという観点について、私も大変に重要であろうかと思っております。先送りをすればいいというのではなくて、決算剰余金という財源も確保されているわけですから、必要なことはきちんと対応すべきである、このようにも考えます。
これまでの都財政は、負の遺産の処理などに時期を失することなく、ガバナンスのきいた対応をしてきたからこそ、今の財政の健全性が維持をされている、このように思っております。
いずれにしましても、今回は都民サービスへの影響を最小限にとどめたということですけれども、今後の財政運営に当たっても、都民の声をしっかりと受けとめていただきまして、時宜にかなった都民サービスが提供できるよう、さらにより一層のご尽力をいただくよう要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○曽根委員 補正予算について質問しますが、予定していた質問の順番をちょっと変えまして、先ほど来の質問の中で補正予算全体の評価についてのご意見や質問もあったので、最初にそっちの方を先に聞いておきたいと思うんですが、どなたかから、今度の補正予算は、中心はやっぱり新銀行の処理じゃないかと、私どももそういっているんですけど、それは的外れだという話がありました。
同時に都民向けの施策、事業、こういうものについては、規模がどうなのかということについては議論があるだろうというお話もあったので、全体の規模は繰越金の財源の枠と。その中で半分以上を、六割近く銀行処理が占めていると。これを見れば、だれもが銀行処理が補正予算の中心だなというふうに思わざるを得ないと思うんですが、これが果たして的外れだというふうになるんでしょうか、いかがですか。
○真田主計部長 先ほど来、今回の補正予算の編成の考え方をご説明してございますけれども、今回の補正予算は、都民が抱える不安の高まりに緊急かつ積極的に対応していくために早期に実施すべき諸施策を厳選して計上させていただいておりますし、また新銀行の減債基金の積み立てにつきましては、必要なものは早く実施することが財政的にメリットがあるということでやったわけでございます。
このように今回の補正予算は、直ちに手を打つべき必要な施策をそれぞれ計上したものでございまして、例えば新銀行の方のウエートが高いとかいうことは、金額面では確かにそうかもしれませんけれども、内容的にはそういった考え方で、都民の不安に十分こたえられる予算がお示しできたものというふうに考えておりますので、ご理解いただきたいと思います。
○曽根委員 それでご理解してくれというのは、ちょっと無理があると思うんですね。
今のご答弁を受けてお聞きしたいのは、先ほどもちょっと指摘しましたが、実際に事業に使う予算の方は三百数十億ですよ。これで、緊急限定というふうなお話がありましたが、今日、今、都民に必要な施策として十分だというふうに自己評価を持っておられるのかどうか。
でないとすると、繰越金の財源以外にもいろんな財源は使うことができたはずだと思うんですが、その点の評価と、それから、銀行が金額では大きいけど、銀行が中心とはいえないんだというふうにいうんであれば、なぜ繰越財源から銀行の金額を除いた残りの額で都民向けの事業をやるということになるのか。そういう順番が、どう考えたって銀行の金額を先に除いて、その残りを都民事業ということになっているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○真田主計部長 まず、規模が小さ過ぎるんじゃないか、都民の暮らしを守るために小さ過ぎるんじゃないかということについてでございますけれども、先ほど来ご答弁申し上げましているとおり、私どもの予算当局の考え方は、まず、年間総合予算で予算を組んでいると。年間総合予算の中で、都民にとって必要な施策については、まず基本的にはしかるべき財源措置をしていると。その執行に今全力を挙げて都民の不安に対処している、これがまず大前提でございます。
さらに、当初予算編成後に都民を取り巻く環境が急激に変化しておりまして、それに対応すべく、全庁挙げて、都民の不安解消に向けた緊急対策を実施しております。それの中には、予算を伴うもの、伴わないもの、それぞれございまして、予算を今回伴うものにつきましては、とりわけ早期に取り組むべき事項に厳選した上で、予算措置を必要とするものについて計上させていただいたところでございまして、当初予算と両々相まって、都民不安には迅速に対応できた内容になっているというふうに考えております。
さらに、現在編成中の二十一年度予算におきましても、そういった都民予算に積極的に対応するという考え方でこれから予算を組んでいきたいというふうに考えておりまして、二十年度当初予算、今回の補正予算、それから二十一年度予算、トータルで都民の不安にこたえていきたいという考え方でございますので、今回の補正予算がその中で三百数十億、小さ過ぎるんじゃないかというご指摘は、全く当たらないというふうに考えております。
それから、今回の補正予算の財源、新銀行は五百四十で都民施策は三百何がしということにつきましては、新銀行のあれを五百四十億円まず確保して、それを残した金額の範囲で都民施策の方に回したという先生のご指摘ですけれども、そういった考えでは全くございません。必要なものについては必要な予算を確保するということで、たまたま今いったような費用の案分になっているということでございます。
○曽根委員 たまたまということなので、だれも納得しないお答えだということはいっておきますよ。
もう一つ聞きます。国の方は、二兆円近い補正予算というか総合対策、緊急対策をきょう補正予算で発表しましたね。その中には定額減税も入っています。国でさえ、財源厳しい中でもやらざるを得ないと。減税も踏み込んだというときに、これは単年度だけで不十分だというふうに私たちは思っていますが、都の規模が全体でも国の二十分の一ですか、都民事業といえるものにすれば、五十分の一ぐらいの規模ですよ。確かに景気対策の中心は国がやらなきゃならないというのは都もおっしゃっているけれども、しかし、それにしても都の財源の今の状況、それから都民の求めているさまざまな分野、特に減税や直接支援ですよ。今回、直接支援がほとんどないわけですよね。
そういう点で、本当に十分だと思っているのか。先ほど的確に対応できたというお話でしたけど、国との関係でいってどうなんでしょうか。
○真田主計部長 私どもの今回の補正予算の編成の考え方につきましては、るるご説明してきましたとおり、都民の安全・安心確保のために緊急に対応すべき施策を厳選したものでございまして、規模ありきでその中身を議論していただくのは心外でございます。
また、国がやるから何でも都がやるべきだというスタンスに私どもは立っておりませんで、都として必要な施策、例えば耐震化などは、早急な対策をさらに推進すべきという立場で、国を先導する施策を今回の補正予算に計上したというふうにも考えております。
ちなみに、かつて国の景気対策につき合わされたことで、多くの自治体が膨大な借金を積み重ね、現在非常に厳しい財政運営を強いられているということは、ご案内のとおりかと思います。
そういうことで、東京都は東京都の置かれている状況にあって、東京都の責任と判断において今回の予算をお願いしているということでございまして、国の少なくとも十分の一の規模がないとおかしいとか、そういう議論は全く私どもには理解できません。
○曽根委員 規模だけじゃないんだと、中身を見てくれというお話なんで、中身に入りたいと思うんですけど、まず、大宗を占めている銀行の問題を取り上げざるを得ません。先ほども議論がありましたが、ダブりを避けまして、先ほど、東京都として出資債を発行して、毀損した例は過去にないというお話でしたけど、他の自治体については、先日、私、資料をお願いした。そうすると、他の自治体では、出資債を発行したこと自体がどうもなさそうだということですね、少なくとも都道府県レベルでは。
という点でいっても、やっぱり都の、銀行という、これは自治体としても過去にも例がなく、私たちにいわせりゃ、中小企業のためだといいながら、実際にはそのためにもなりそうもない銀行に、借金までして出資をしたということの愚かさということを逆に証明しているんじゃないかと思うんです。
それでは、ほかの道府県で、破綻処理をした、法的整理を行った三セクだとか外郭団体の例はどれぐらいあるか、ちょっと紹介していただきたいと思います。
○真田主計部長 総務省の方から、第三セクター等の状況に関する調査ということで調査結果が発表になってございますが、例えば十七年から十九年までの各年度の調査を調べましたところ、七つの事例が出ております。
○曽根委員 総務省の方からの七つの事例のデータがあるということで、私もそれを調べまして、各道府県に一個一個聞きました。これは破綻処理を行ったケースですから、東京の場合は破綻処理する手前で踏みとどまって、追加出資をして、今、経営をまた支援しているわけですよね。そういうものは例があるのかと聞いたら、ほとんどの場合、公共交通。ローカル線として、どうしても住民の足を守らなきゃならない。黙っていれば破綻するんだけれども、追加出資なりをして支えると。これはわかりますよ、話が。ほとんどそれです。
東京のように銀行で、都民からも、ある意味ではだれもが早く処理してよといっているにもかかわらず追加出資をしたところは、全く皆無です。最終的に破綻処理をしたところを聞きましたけど、例えば北海道の倉庫開発というところでは、出資した二千万円を失ったと。しかし、処理する段階でまたお金を出したというようなことは絶対ありませんと。茨城県の場合は、勤労福祉事業団というのがつぶれたので、欠損金は出たんですけれども、そのうち四百万円は、うちは取り戻しましたと。それから、ほかにも取り戻したところがありましたが、徳島の観光協会、これも破綻処理をした際に、追加出資をするんじゃなくて数千万円の債権放棄はせざるを得なかったというふうに、とにかく公費ですから、県や道の財源を守るために真剣に取り組んだということがわかりました。
例外的に、七カ所のうち一つだけ大阪府のりんくうゲートタワービル、これは規模が大変大きいんだと思うんですけど、十七年ですから二〇〇五年になりますか、四月に会社更生法を申請したということで破綻処理したんですが、百五十億円のうち、府の出資は五十一億円、三四%の全額は毀損したと。さらに債権を持っていたんですが、これもほとんど失って、さらにその上に、これは府が企画したビル、三セクだったので、その責任をとって、今後数十億円の財政負担を、ビルは民間に売却されて、今後も続けなきゃならないということで、数十億円の府の財政負担が残ったと。どうしたんですかと聞いたら、十年間の分割で何とか負担しているということでした。
ですから、自治体の責任が大きい三セクの場合、財政負担が残っちゃう場合もあるわけですが、それでも、一遍に数十億円の負担はやっぱりできないわけですよ。ですから、十年間でいろんな形で、分割してやっているんですよ。東京ぐらいですよ、早目にできるからといってお金を出すというのは。
こういう各道府県での努力のありさまと、東京都のこの間の財政のやり方との違い、やっぱりこれは、明らかに東京の方が私は異常だと思うんですが、いかがですか。
○真田主計部長 ただいま先生からお話がありました七つの団体における、それぞれの団体に対する対応のあれにつきましては、それぞれの県の事情もございますでしょうし、財政状況とか出資の経緯だとかもろもろの状況があって、それぞれがそれぞれの責任でそういう対応をされたんだというふうに認識しておりまして、東京の場合は東京の考え方で、今回、減資の五百四十億円についてお願いしているところでございます。ご理解いただきたいと思います。
○曽根委員 各道府県は、東京ほど財政の余裕がないのは事実ですよ。だから、逆にいうと、そういう支出、新たな支出は抑えたいということにもなるわけです。ただ、なぜ各県が苦しいかというのはいろんな原因はありますけれども、国からもいじめられているんですけど、大阪府だって、今、橋下知事でかなりドラスチックなことをやっていますけど、それでもまだ、老人医療費助成は六十八歳、六十九歳やっているんですよ。シルバーパスの無料、これは大阪市ですけど、無料化を守っていると。
こういう福祉を、東京よりは辛うじて守っている。財政の負担に耐えながら、こういうところの出費は押さえている。ここにやっぱり--いろいろ各県、弱点はありますよ。問題もあるけれども、東京よりはましだなということを痛感させられたんです。(発言する者あり)一言申し上げておきたいと思います。反論があれば、幾らでもどうぞ。
残った財源で、たまたま一致したんだというかもしれませんが、三百数十億の中で行っている都民向けの施策。さっき申し上げましたように、中には、私たちが提案してきた学校耐震の拡充とか、環境対策の太陽光パネルの助成だとか、提案が一部実ったものがありますが、やはり都民への直接支援という点での減税政策、それから、大きいところでいうと農漁業や中小企業への原油高に対する直接の補助、そういったものが残念ながら含まれていない。私たちは、そのことから、やはり補正予算の組み替えを提案していきたいと思っております。
先ほど民主党さんからもありましたが、私たちは繰越財源に戻すと。直ちに都民のために使うために、積みかえではなく繰越財源に戻すということを提案し、残念ながら、今回予算特別委員会がないために、この財政委員会の所管局以外の使い道については、ここでは議案提案できないものですから、使い道については、私たちはこういう内容を持っているということはあわせて紹介させていただきながら、組み替えを提案していきたいというふうに思っておりますので、ぜひこの点については各会派のご理解をいただきたいと思っております。
最後に、銀行の問題の処理という点で、先ほど来、今の時点で財政的にはこれが一番メリットがあるし、財政運営の原則にかなっているんだというお話がさんざんやられましたけれども、もとをただせば、ことしの二月二十日、銀行側から四百億円の追加出資の要請が来たと。午前中の銀行の会議で決定され、午後一番で東京都に通知が来て、その日の夕方には財務局の全部稟議を通って、知事名で起案、提案が出たと。わずか数時間の間に財務局を通過していっていると。このときに、財務局は当然主計部としての判断があったはずだということは、この春にやりました。その責任を全く反省もなく、今日の時点に立てば、財政的にはこれが早いんだといういい方は、都民が納得するはずがないという点についてだけはいっておきたいんですが、これについてのお答えがありましたらどうぞ。
○真田主計部長 私どもの今回の補正予算で、その中の一つに銀行の減資に対する対応が入ってございますけれども、これにつきましては、八月二十九日、たまたまその認可日と今回の予算の発表日が一致してございますけれども、私どもは、その認可の通知を受けてから補正予算の編成を始めたわけではございません。
当然六月三十日に新銀行東京の株主総会での減資の決議がございまして、その効力が八月三十一日に生じる見込みであるということが示されている中にありまして、減債基金に対する積み立ては義務的経費でもあるし、財政規律の観点からも早期に対応することが適切であるし、財政効果も見込まれるという中で、その対応については、そういう中で六月二十九日、一日でその対応を決めたということではなくて、その前から準備を進めてきた上で進めたものでございまして、そういう意味では手続が一日でなされた--前回もいろいろお話いただきましたけれども、そういったふうなことで今回の予算が組まれているわけではございませんので、よろしくご理解いただきたいと思います。
○曽根委員 最後に、今の答弁も聞いて感じるんですが、四年前にこの都議会で、一千億円という膨大な出資を出して銀行をつくると。当時は、民間も同じぐらいの出資が出るだろうという話も都側からありましたが、ふたをあければ百八十億しか出なかったという、銀行設立のときの責任が、私、都議会には重く問われているというふうにいわざるを得ないことと、しかしその後も、ありとあらゆるストップをかけ、歯どめをかけるチャンスを逃してきたと、今また逃そうとしているということを強調し、補正予算を組むならば、銀行の財源も含めて、さらに積み立てもあるんですから、都民のために少なくとも国の十分の一以上の規模でやるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○真田主計部長 先ほどの曽根委員の最後の質問で、私、六月二十九日と申し上げたのは八月二十九日の間違いでございました。ちょっと訂正させていただきたいと思います。
○桜井委員 私は、工事契約の案件で質問します。
今回、工事契約の案件が四件出されておりますが、都庁舎に係る案件が出されたのは、平成三年に都庁舎がここに移ってきてから初めてのことだと思うんですね。
そこで、これに関連して何点か伺います。
まず、都庁舎の契約案件に係る工事の概要について伺います。
○山藤参事 今回ご審議いただいている都庁舎関係の契約案件は三件ございます。その一件目の第一本庁舎の防災設備改修工事は、火災の発生をとらえる煙感知器や熱感知器、また、これらからの信号を伝える中継器盤及び中央監視室の防災監視盤の取りかえなどを行うものでございます。
また、第一及び第二本庁舎のそれぞれのビル管理設備改修工事は、主要インフラである空調、照明、電力等の設備機器などの運転状況を中央監視盤から遠隔操作で監視、制御するための各制御装置やセンサー類など、これらを取りかえるものでございます。
これらの設備につきましては、これまで、日常の点検、修繕等を適切に行い、延命化にも努めてきたところでございますが、しかし経年劣化の影響は否めず、最近では故障事例も多く発生しております。電子部品が多用されているこれらの設備は、耐用年数を既に経過しておりまして、保守部品の調達が困難になりつつあります。
そのため、今回、三年間かけて改修を行うものでございます。
○桜井委員 見た目はすばらしく豪華でありますが、大分老朽化してきているようであります。都庁舎の機能を停止させないように維持管理することは、もちろん必要であります。着実に改修を進めてくださいませ。
さて、私は、以前から都市更新のことについて、都度都度触れさせていただきました。今度の都政の大きな懸案課題になります都市更新という観点を話してまいりましたけれども、そうした観点から、幾つか質問をいたします。
六月の財政委員会で、大規模施設等の改築・改修に関する実施方針が示されました。ここでは、二十年度中に主要施設の改築、改修計画を策定する予定であること、計画期間は十カ年である、所要額はおおむね八千億円程度の需要が見込まれることなどが明らかにされております。十年間といえば、いろいろと都庁を取り巻く状況も変わってくると思いますが、着実に計画を進めていくことが東京都としての責務であると考えられます。
そこで、主要施設の改築、改修計画を今後どのようにして実効性のあるものにしていくのか、お考えを伺います。
○金子建築保全部長 主要施設の改築、改修計画につきましては、現在、関係各局と調整をしながら策定作業を進めているところでございます。
この計画は、十カ年という中長期的なスパンのもとで、都民サービス提供のために不可欠な都の主要な施設につきまして、改築、改修工事を確実に進めていくためのものでございます。
十カ年のうちには、都政を取り巻く状況も大きく変化していくことが予想されます。そのため、本計画の期間につきまして、第一期を二十一年度から二十三年度、第二期を二十四年度から二十六年度、第三期を二十七年度から三十年度ということで三期に分けまして、おおむね三年間で見直すことを予定しております。
これによりまして、各施設における工事着手に必要な条件整備の状況ですとか、都財政の状況などの変化に適切に対応いたしまして、改築、改修工事を着実に進めてまいります。
○桜井委員 ぜひとも大規模施設の改築、改修を着実に進めていただきたいと思います。
都市更新の考えというのは、道路や車などの都市インフラに限らず、警察署とか消防署とか、当然この都庁舎も対象になるわけであります。
ちなみに、都庁舎は災害対策の拠点となる施設でもありますし、都政の中枢機能を担っている施設でもあります。そして、首都東京のシンボルにもなっている都民の重要な財産でもあります。大規模施設の実施方針においては、都庁舎について、別途、改修方針を検討するということでございました。今回提案の防災設備やビル管理設備は、都庁舎に設置してある設備機器のほんの一部であり、都庁舎には、空調機や照明器具など非常にたくさんの設備機器があるはずであります。耐用年数などから考えまして、他の設備も同様に改修時期を迎えつつあると当然考えられますけれども、今後どのような設備がその対象になっていくのか、伺います。
○山藤参事 都庁舎には、建物としての機能を維持するために多くの設備機器が設置してございます。これらのビル管理設備と同様に経年劣化が確実に進んでおりまして、今後改修を迎えるもの、具体的に申し上げますと、第一、第二本庁舎、都議会議事堂の三棟の合計で約一千台の空調機、約六万台の照明器具、また多数の配管やポンプ類を含めました給排水衛生設備などが挙げられます。
一般に空調機などの設備機器の耐用年数は、二十年から三十年といわれております。今後十年程度の間に大量の機器が更新時期を迎えることが見込まれます。
○桜井委員 空調設備も対象とのことでありますが、都庁舎のような超高層ビルは、いわゆる密閉型の建物でありまして、一たび空調設備が故障すれば、ビル管理法で定められている執務環境を維持できなくなりますし、職員や来庁者への悪影響ははかり知れないものがあります。都庁舎は重要な施設であり、機能を停止させないという改修を進めてもらいたいと思います。
今後、主要な設備機器が同時期に、かつ大量に改修時期を迎えるとのことですが、改修するからには、単に設備の機能維持だけではなく、「十年後の東京」というスローガンで進めている環境問題に対する先駆的な取り組みなど、社会や時代の要請を踏まえ、適切に対応する必要があります。それらの課題に対し、どのように取り組むのか、お考えを伺います。
○山藤参事 改修に際しましては、都政の課題を踏まえることも重要でございます。現在検討を進めている主なものとしまして、次の三点がございます。
一点目は、環境負荷低減の視点でございます。今後の改修に当たりましては、省エネ機器や高効率型製品の導入を積極的に図りまして、CO2排出量を削減することでございます。
二点目は、安心・安全の視点でございます。都庁舎は、万一の災害時には災害対策の司令塔となる最重要施設であり、災害時の事業継続、いわゆるBCPの視点も踏まえまして、非常用発電能力を増強し、災害対応力の向上を図ることでございます。
三点目は、利用者の利便性向上の視点でございます。都庁舎はこれまでも、福祉のまちづくりの考え方に基づきまして整備してまいっております。今後の改修では、さらに時代の要請にこたえ、年齢や障害の有無、文化、言語の違いなどにかかわらず、多くの人が利用しやすいように、ユニバーサルデザインの視点を充実していくことにございます。
○桜井委員 今伺いました空調機、照明器具等の改修に当たりましては、当然ながら、天井をいじる工事となりまして、該当部署は引っ越しが必要になるというふうに考えられます。職員もさることながら、窓口等を利用される都民の皆さんへの影響を極力生じさせないようにしなければならないと思います。したがって、工事は効率よく、かつ計画的に進めなければなりません。
また、改修には相当の経費が必要と考えられます。もちろん、改修に必要な経費は当然かけなければならないわけでありますが、経費の節減に努めることも当然であります。その上で、庁舎の機能を維持するために必要な経費については、都民に十分に理解していただくようにしなければならないわけです。
これらを踏まえまして、今後の都庁舎改修についてどのように取り組んでいくのか、お考えを伺います。
○山藤参事 今後も多くの設備が同じ時期に更新時期を迎えることから、改修工事も同時期に集中することが見込まれます。中でも、空調や照明設備の改修工事は、天井を解体して行うため、日常業務や利用者へ与える影響が大きいものとなります。したがいまして、施工の範囲や手順、時期などを十分に検討し、日常業務への支障だとか、また都民サービスの低下を引き起こさない形で最も効率的、合理的に工事を遂行できるよう、改修の基本方針を策定することが不可欠でございます。本年度末を目途に、現在、鋭意策定中でございます。
また、経費でございますが、民間の改修事例なども十分に参考にしながら、真に改修が必要な設備を厳選するとともに、イニシアルコストはもとより、ランニングコストを含めたトータルコストが最少になるよう検討いたしまして、都民のご理解が得られるよう努めてまいります。
○桜井委員 最後になりますけれども、計画を策定してということでありますけれども、都庁舎の改修工事についても、冒頭で話しました都市更新の視点を持って進める必要があります。先般報告を受けました平成十九年度東京都年次財務報告書によれば、長らく続いた危機的状況を脱したとはいえ、平成二十一年度には税収減が確実に見込まれるなど、都財政をめぐる環境は明らかに非常に厳しい方向に転じているというふうに考えられます。こうした中にあっても、これまで築いてきた都民の貴重な財産を次世代に適切に引き継いでいかなければならないわけであります。
このような状況を踏まえまして、今後、都庁舎改修にどのように取り組んでいくのか、局長のお考えを伺います。
○村山財務局長 この都庁舎、シティ・ホールという考え方に基づいて建設をされて、非常に象徴的な建物であり、東京の文化あるいは国際性を--シンボルになるような建物でございまして、あるいは災害時の拠点ともなるという、そういう意味では都民共有の貴重な財産であるというふうに私どもも思っております。
この都庁舎は、建物自体としては百年以上使用可能ということになっているわけでございますけれども、内部の設備機器というのは、やはり建物本体に比べますと寿命が短うございますので、そういう百年スパンという中では二回ないし三回ぐらいの、設備によってそれぞれ違う面があると思うんですけれども、改修をしっかりやってこそ、そういう庁舎としての機能を果たしていくことができることになろうかと思います。それが、この数年後にはいよいよ第一回目の設備関係の改修時期を迎えるというのが今日の状況でございます。
この工事は、ご指摘いただきましたように、いろいろ天井とかそういうところに手を入れなければなりませんので、やはり該当部署については一定期間引っ越しをしてもらうというようなことにもなりますし、ある期間、このフロアにあったはずのものが違うところに移るというようなこともあり、職員はもとよりですけれども、来ていただく都民の皆様あるいは関係の業者の方々等々に影響が出るおそれがありますので、その辺をしっかり考えて、マイナスの影響が出ないようにやっていかなければならない。そういう意味では、計画的な改修というものが不可欠だろうというふうに思っております。
その改修に際しましては、したがいまして、効率性をちゃんと重んじて、維持管理経費などを含めて、財政環境がご指摘のように厳しくなる中でのことでございますので、トータルコストの縮減を努めながら、しかしながら、建物、設備の機能としてはしっかりとしたものにしていかなければ、結局は都民にご迷惑のかかることになりますので、都民サービスの向上という観点に立っても、しっかりとそこのところは貴重な財産として改修を進めて、都民や都庁を訪れる方々にとって役に立つ建物としていかなければいけないというふうに思っております。したがいまして、さまざまに工夫を重ねながら、都議会の皆様方、都民の皆様方のご理解を賜りながら、この事業を着実に推進してまいりたい、かように思っているところでございます。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十八分休憩
午後三時四十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
報告事項、平成十九年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
ご発言を願います。
○秋田委員 年次報告書、いわゆるアニュアルレポートで公表された平成十九年度普通会計決算について伺います。
この報告書によると、まず第一点として、企業収益が堅調に推移したことによる法人二税の増収などにより、都税収入が大幅に伸びたこと、第二点として、今後、集中的、重点的な施策展開が見込まれる分野において基金を創設するなどの取り組みを行ったことが書かれています。
そこで、まず、都として平成十九年度決算をどのように評価しているか、伺います。
○真田主計部長 平成十九年度普通会計決算は、所得税から個人都民税への税源移譲や、堅調な企業収益による都税収入の増などによりまして、実質収支が九百五十六億円、三年連続の黒字決算となりました。また、財政構造の弾力性を示す経常収支比率も、税収増に加えまして、減債基金積み立てなど公債費の減によりまして、前年度比で四・三ポイント改善いたしまして八〇・二%となるなど、引き続き健全な財政状況を維持しております。しかしながら、黒字幅は、昨年度と比べまして四百十四億円縮小しまして、平成十四年度以来五年ぶりに減少しております。
また、景気の潮目が変わってきておりまして、こうした影響を受けやすい都税収入の動向に、法人事業税の国税化による影響なども加わりますほか、歳出面では、少子高齢化対策や社会資本ストックの更新など、財政需要の増大も見込まれております。今後、都財政を取り巻く環境は一層厳しくなるものと認識しております。
このようなことから、平成十九年度決算数値自体は非常に良好な状況でございましたけれども、この数値をもって単純に今後も都財政が安泰であるとはいえないというふうに考えております。
○秋田委員 十九年度決算は、黒字額が減少したとはいえ、引き続き黒字を維持していることに変わりなく、一見バラ色の決算に見えます。しかしながら、法人二税の減収という、まさに今部長がおっしゃったように潮目が変わった、あるいは潮目の変化があらわすように、十九年度決算の数値と、我々が町中で肌身で感じている不況感との間には大きなギャップがあるのだと思います。黒字決算を維持したとはいえ、こうした歳入面での懸念に加え、今後、社会資本ストックの更新などに膨大な費用が見込まれるなど、決して都財政は安泰とはいえません。あくまでも十九年度決算と今後の財政状況は異なるということを前提にして、年次報告書の内容について、さらに深く伺っていきたいと思います。
まず、今回の報告書には、地方公共団体の財政の健全化に関する法律、いわゆる財政健全化法に基づく指標が掲載されています。十九年度決算は、法律施行後の最初の決算となります。そこで、まず、この法律の特徴について伺います。
○真田主計部長 この法律は、これまでの地方財政再建促進特別措置法にかわるものとして制定されたものでございます。この法律の主な特徴といたしましては、まず、連結という視点から、対象を普通会計だけではなくて、公営企業や一部事務組合、公社、第三セクター等にまで拡大したこと。それから次に、発生主義の視点から、ストック面にも配慮した新たな財政指標が導入されたこと。それから、事前予防という観点から、財政状況の悪化を初期の段階で把握して、健全化に向けた計画を策定することが義務づけられたことなどが特徴かなというふうに思います。
この財政指標の公表は平成十九年度決算から、また、法に基づく計画策定義務等は平成二十年度決算から適用されます。
○秋田委員 今の部長の答弁で、この法律の三点にわたる特徴については理解いたしました。
さて、財政健全化法では、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の四つの指標で地方自治体の財政分析をするということですが、実質公債費比率は十七年度決算から導入され、おなじみでございます。また、決算の赤字の比率である実質赤字比率や、公営企業会計と連結した連結実質赤字比率はイメージがしやすいのですけれども、将来負担比率というのは余りなじみのない指標です。
この将来負担比率については、最近マスコミ等で話題となっておりますが、どのようなことをあらわすものなのか、確認のために伺います。
○真田主計部長 従来の財政指標が、ある一時点での財政状況を断面的にあらわすものであったのに対しまして、この将来負担比率は、ストックの概念から、自治体の将来の負担の状況をあらわすものでございます。これまで、将来の財政負担といえば、主に地方債残高でとらえてまいりましたけれども、今回の将来負担比率は、地方債残高に加えまして、債務負担行為に基づく支出予定額あるいは退職手当負担見込み額あるいは地方独立行政法人等の負債の額などを含めまして将来負担ととらえまして、この負担額と標準財政規模との比率をあらわしております。
○秋田委員 今の部長のお話を例えていうならば、新たに導入された将来負担比率などは、家計に例えれば、ローン残高が年収の何倍あるかというようなことをあらわしているものなのかな、そんなふうに理解をさせていただきました。
年次財務報告書によれば、都の将来負担比率は八二・九%となっています。これだと、今の例えでいえば、ローンが一年の収入の八割程度で完済してしまうことになります。既に公表されております他県のものと比較すると、よい値が出ているようであります。一部には、こうした事実をもって、やっぱり東京都の財政というのは富裕なんだな、そういった論調もありますけれども、都としては、これらの数値をどのように評価されているのか、伺います。
○真田主計部長 ただいまお話しいただきましたように、都の将来負担比率は、法律の定める早期健全化基準を下回っておりますが、これは、他の自治体がこれまで国の政策誘導によりまして地方債を増発し、それが重い財政負担になっているのに対しまして、都は、これまでの都債の発行抑制など、将来負担に配慮した自立的な財政運営を行ってきたことによるものであると考えます。
ただし、この比率につきましては若干問題がございまして、まず第一に、将来負担が極めて限定的にとらえられておりまして、例えば、目前に迫った大規模施設の更新経費などが算入されておらないことが第一点。第二に、また、将来負担としてとらえた額から、機械的に算定した交付税算入見込み額を控除して算定されておりますが、不交付団体である東京都の場合、この控除された額に相当するものにつきましては、みずからの責任と財源によりこれらの負担に対応しなければならないということでございまして、そういう算定上の問題がございます。
例えば、今申し上げました第二の交付税の算入見込み額、これは実際には東京都には交付の、受ける見込みがないものでございますので、これを将来負担から控除しない場合、簡単に試算させていただきましたけれども、約一九四%程度に、この数値が一挙に悪化することになります。この一九四%というのは、今公表されている時事通信の手元にあるデータでいきますと、例えば高知県ですとか長崎県なんかのレベルに匹敵します。このように東京都の財政状況の見方が一挙に変わるような、例えば一つとってみてもそんなようなものでございます。
このように、この数値はあくまで財政の健全性をはかる一つの指標にすぎないということで考えておりまして、単純に他の自治体と比較して論じることは、今申し上げましたとおり適切でなく、また、決して都が富裕であるということをあらわしているものではないというふうに考えます。
○秋田委員 先ほど私は、将来負担比率というのは、家計に例えれば、ローン残高が年収の何倍あるかというようなことをあらわしているものなんだろうというふうにお話をさせていただきましたが、今の話を伺いますと、都の場合は八二・九%だから、一年で借金を完済できると思うのは大きな誤解で、ここが肝要なところだと思うんですけれども、交付税算入見込み額という、入ってこない収入まで計上して出た数字が八二・九%だということですよね。これまでも、交付税算定における財源超過額など、実態をあらわしていない指標や数値を根拠に、都はさまざまな不合理な財政措置を受けており、その意味でも、今回の数値がひとり歩きをし、東京は金持ちだという短絡的な議論に悪用されることがないか、大変な危惧をしております。
東京都としては、これまでも身を切るような財政再建努力を行ってまいりましたが、まじめに財政再建に取り組む正直者がばかを見るようでは、財政の健全化を促すという法の趣旨にも反することになります。指標のとらえ方は十分注意が必要だということを指摘しましたが、私は決して数値がよいことを否定的にとらえているわけではなくて、これまでの堅実な財政運営が指標をよくしていることもまた事実です。都財政を取り巻く環境の潮目が変わっていることなどを踏まえれば、やるべきことはしっかりと都民のために施策を実施していくとともに、今後も堅実な財政運営を行うことが重要です。
最後に、今後の財政運営をどのように行っていこうと考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○村山財務局長 財政健全化指標についてのさまざまな論点からのお尋ねでございました。東京都はこれまで、国や他団体に相当先んじて厳しい行財政改革に取り組んできておりまして、それが財政再建という形になっているわけでございますけれども、そこに至るまでの過程での我々としての、ありていに申し上げれば、苦労というのは、それなりに我々としては大変なものだというふうに思っているわけでございまして、ご指摘もいただきましたように、今回の数値の中に体現されている東京都の財政指標のよさというものの相当割合はその成果であると、そこについては、私どもとしては自負を持っているわけでございます。
ただ、そのことが、富裕論といいましょうか、そういうようなもののまた新たな根拠というふうになる危険性については、お話のとおり、私どもも十分警戒していかなければいけないというふうに心に思っているところでございまして、そういう中で、先ほど来、主計部長からお話がございましたように、やはり東京都からすると、今回の指標というものについては、一つは将来についての楽観的な見通し、それから過去に対する甘さ、この両面が結実している指標ではないかというふうに思っておりまして、将来の大規模施設の更新、これは東京だけではなくて全国にもあるわけでございますけれども、そういうものについては織り込まれていないこと。しかし一方では、バブル崩壊期前後以降、膨大な借金を地方にさせてきてしまったわけでございますけれども、それについて、地方交付税で見ているんだからといって分子からとっちゃうという、ある面では過去に対するいいかげんなところというのは、ご指摘のとおり非常に手前勝手といいましょうか、国のご都合みたいなところもあって、不交付団体については、実態よりも何か軽く見えるという世界もあるし、あるいは今後のことについて見ると考慮されていないという点で非常に問題が大きいというふうに率直に私どもとしては受けとめております。
また同時に、各自治体、東京のような不交付団体以外の自治体からすると、借金しろ、借金しろといわれて借金してきて、ここまで来たら突然、おまえら、こんなに借金多いぞといわれて、もっと健全化しろみたいな、手のひらを返したように、今度、健全化で頑張れみたいなしりのたたき方みたいな風情もいささか感じられなくもないようなところもございまして、その点についても我々、地方の立場から、全体から見てもいかがなものかという面が少なくない指標ではございます。
その辺について、私ども、独自の公会計制度等も含めて改めて分析をしながら、東京都独自のいろいろな指標についても考慮に入れながら、東京都としてのあるべき姿というものをみずからしっかりとつくり上げていくと同時に、全国の自治体に対しても、財政運営についての新たな手法について発信を行うなどしながら、長期的な観点に立って、都と地方が対立しないような形での今後に向けた財政運営のありようについて、今後とも考えていきたい、かように考えております。
○原田委員 今回、平成十九年度東京都年次財務報告書について報告がありました。この間も公会計制度改革が進展しているかと思います。国や他自治体との比較という点につきましては、さきの定例会におきましても意見書が出されましたとおり、公会計基準等の問題もありまして、なかなか難しい点もあるかと思いますが、少なくとも二年間そろったということで、経年での比較等はできるようになってきているかと思います。
そこでお伺いいたしますが、今回の年次財務報告書でどのようなことがわかり、そして、そのわかった情報をどのように今後のことに活用していこうと考えていらっしゃるのか、伺います。
○真田主計部長 新たな公会計制度を導入した目的は二つございまして、一つは、都民に対する説明責任の充実でございます。もう一つは、東京都のマネジメント力の強化、そういった二点でございます。
こういった観点に立ちまして、まず、わかることについての活用でございますけれども、まずマクロの視点からは、この間もご説明させていただきましたが、東京都年次財務報告書におきまして、都財政全体の状況を分析し、そこからいろいろ課題等を抽出し、今後の財政運営の参考にしているところでございます。
それからもう一つ、ミクロの視点からは、これは決算資料と一体として今回お出ししてございますが、主要施策の成果という冊子におきまして、個別事業の財務情報を掲載するとともに、また事務事業評価、私ども財務局の方の所管で行っておりますけれども、それと連動させることによりまして、施策のブラッシュアップにも役立てております。
○原田委員 今、決算資料と同時に、主要施策の成果という冊子においてもというお話がありましたけれども、まさに都の場合は、成果をいかに広くアピールしていくかということが大事なのでありまして、営利を第一とする民間企業の場合は、まさに企業の目的たる利益というのは財務諸表上に数字としてあらわれてくるわけでございますけれども、都財政の場合は、都の目的としていることは必ずしも金銭という数字にあらわれてくるものではないわけでありまして、そういった意味で、都が使ったお金がどのような成果を生んでいるかといった情報ときっちりセットでわかるような形にしていかなければ、都民に対する説明責任を果たしたことにもならないでしょうし、また、知事を初めとする執行機関に対し経営情報を上げるという意味を果たすことにもならないというふうになってくるのかと思います。一部税収というような形で、例えば景気対策の結果というものが反映されてきたりということはあるかもしれませんが、それ以外の定性的なものも定量的なものも含めて、いかに成果の指標を充実させるかが重要になってくるのではないかと思います。
そうした中で、事務事業評価等々も一つの情報にはなっているわけでありますけれども、まだまだすべての事業について行われるわけでもないわけでありまして、情報の整備という点ではまだまだこれからも取り組むべき点は残っているのではないかと思っております。特にこれからの都政の方向性を見ていく上で、お金をたくさんかけてでも成果を伸ばしていくべきものか、あるいは成果は少なくてもいいから、予算も減らしていく、あるいはその中間でいろいろあるかと思いますけれども、そういった大きな方向性というのをきちんと示していくといったことが、都民とのコミュニケーションという点でも大切かと思いますが、こうした成果との絡みで、今後どのような事業分析、その評価、事務事業評価等も含めて、どのようなことを行っていこうと考えていらっしゃるのか、伺います。
○真田主計部長 主要施策の成果におきましては、決算審議や、あるいは事業分析に活用できるよう、これまで事業ごとに把握することが難しかった減価償却費ですとか都債利子を含むフルコスト情報をもとに、一規模当たりの行政コストを明らかにするとともに、資産を形成する事業につきましては、ストック情報も掲載しております。とりわけ、平成二十年度予算編成から、その一環として本格実施しております事務事業評価におきましては、これまでの定性的な分析に加えまして、財務諸表から得られたコスト情報などによりまして、より多面的な事業分析、評価が可能となっております。
とはいえ、新たな公会計制度は導入二年目でございまして、さらなる分析の高度化、精緻化が課題であると認識しております。まずは、さまざまな分析事例を積み重ねまして、今お話がありました成果との関係なども含めて、その内容を都民や庁内にわかりやすく示しながら、評価等のツールとして有効に活用していく必要があると思っております。
○原田委員 今おっしゃっていただいたように、これからまたより財務諸表を含め都政の方向性を判断するための資料というものを、整備を進めていただければと思っております。その中で事務事業評価等の充実というようなお話もありましたけれども、局別の財務諸表といったものも、報告書もこれからつくるようなことを聞いておりますけれども、こうした局別あるいは事業別ですとか、より細分化されたものができてまいりますと、より都政の状況がよくわかるような形になってくるかと思いますので、また三年目以降、そうした点においても努力を続けていただければなというふうに思っております。
ここで少し話を中身の方に移しますけれども、都全体の資金の流れについてお伺いしたいと思うんですが、今回出していただいた中に、キャッシュ・フローの計算書もございました。そこで、平成十九年度のキャッシュ・フローはどのような状態であったと分析されていらっしゃるのか、伺います。
○真田主計部長 行政サービス活動収支差額が約一兆三千億円、それから社会資本整備等投資活動収支差額がマイナスの約九千億円。したがいまして、行政活動キャッシュ・フローは、収支差額、その差っ引きでございますけれども、いわゆるフリー・キャッシュ・フローは約四千億円でございます。このフリー・キャッシュ・フローと前年度からの繰越金約三千億円で、財務活動収支差額のマイナス約五千億円に対応してございます。
○原田委員 今おっしゃっていただいたみたいに、これまでの会計、官庁会計とは、行政サービス活動収支、それから社会資本整備等投資活動収支、財務活動収支といった三つに分けて活動の内容がわかるといった点で、これも非常にわかりやすい資料になっておりまして、その合計が今プラスになっているということで、十九年度決算においては、健全な状態を維持しているといったことがよくわかるかと思います。
そして、今おっしゃっていただいたように、翌年度繰越金が二千四百十八億円ということでございまして、景気の潮目というような話もありましたけれども、この報告書の中では、減速傾向が加速というようなことで書かれておりますけれども、明らかにもう後退局面に入ってきているといってもいいような状況ではないかと思っております。そうした中での法人事業税の動向、それから法人事業税の一部国税化で、平年度で約三千億円の減収が見込まれるというようなことを勘案いたしますと、繰越金二千四百十八億円程度であるというようなことを考えると、まさに都のキャッシュ・フローが今後も安心というわけではないというような状況ではないかと思っております。
そこでお伺いいたしますけれども、今後、法人事業税の一部国税化に伴う減収ですとか、あるいは景気の悪化に伴う減収といったものが--キャッシュ・フローの悪化というものにどのように取り組んでいくのか、そしてまた、そうした影響や取り組みといったものが、来年度以降のキャッシュ・フロー計算書にどのようにあらわれてくると考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○真田主計部長 ただいまお話ございました法人事業税の暫定措置によりまして都税収入が減少いたしますと、その結果、行政サービス活動収支差額が悪化いたします。また、これに加えまして、景気後退による税収減が加わりますと、フリー・キャッシュ・フローは、例えば、これはどうなるか試算してみないとわかりませんけれども、可能性としては、マイナスとなり、都債発行などによる対応が必要となることも想定されます。
こうした影響を最小限にとどめるべく、都はこの間、例えば法人事業税国税化対策特別基金を初めとした基金の充実も行ってまいりましたし、また、起債の発行余力の確保につきましても努めてきたところでございます。
今後とも都民に必要な行政サービスを安定的に供給していくためには、引き続き財政の対応力を強化していくとともに、一刻も早い暫定措置の解消に向けても取り組んでまいりたいと考えております。
○原田委員 今おっしゃっていただいたように、本当にこの数字を見てみますと、キャッシュ・フローがすぐマイナスになりかねないというような状況が明らかになるわけでございまして、基金を取り崩したとしても、そう何年ももつような額が今こうして見えてくるわけではないということが明らかになってくるかと思います。そうした意味において、国の方におきましても、我が党も再三主張しておりますとおり、法人事業税の暫定措置等の早期撤廃等々含めたことを求めていくこと、それから、都としても健全な財政運営にこれからもまた取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○東野委員 多少重複いたしますけれども、何点かお伺いします。
平成十八年度にスタートしました複式簿記、それから発生主義による新たな公会計、そしてそれを踏まえて作成された年次財務報告書、これは前年度に引き続き、今回二回目になるわけでございますけれども、前回の第一回目の報告書で、これまでの会計方式ではどうしてもとらえることができにくかった資本とか、それから負債ですが、コストが明らかになっていって、引き続き債権管理条例の制定など、財政運営に大いに役に立っていると、私はそう思っております。
また、前回の報告書は、第一回目ということもあり、苦労も大変多かったというふうには聞いております。そこで、昨年の本会議質問では、都民にわかりやすく財務報告書を作成することが今後の課題ではないかと、こういうふうに指摘したところでございますけれども、今回第二回目の報告書をつくるに当たっての工夫された内容をお示しいただきたいと思います。
○真田主計部長 前回は作成初年度ということもございまして、これまでの官庁会計にはなかった減価償却費ですとか退職給与引当金などの概念や、あるいは民間とは異なる財務諸表の数値の持つ意味などを丁寧に説明することに力点を置いたため、結果として、文字ですとか表が中心となりました。
今回は、よりわかりやすくという先生方のご指摘を踏まえまして、例えばグラフを用いて視覚に訴えるとともに、コラム形式で論点の解説を加えるなど、より多くの人が報告書を身近に感じ、また、都の財務状況を正確に理解していただけるよう工夫を行ったつもりでございます。
また、経年比較を行うことが今回から可能となったことから、貸借対照表ですとか、あるいは行政コスト計算書などにおきまして、主な増減ですとか指標の推移につきまして分析を行うとともに、今後の社会経済状況の動向等も見据えながら、中長期的な財政運営について、一定の方向性等もお示しさせていただいたところでございます。
○東野委員 確かに、前回にはなかったグラフを活用されたりとか、都民に対して非常にわかりやすく説明しようというふうに工夫された努力が見受けられるわけでございますけれども、またもう一つは、前年度と比較すると、先ほどから話題になっていますが、基金積み立ての増加や都債残高の減少などにより、将来世代の負担の減少を図っているということが非常にわかりやすいものになっているのではないか、このように思います。
一方、本会議では、一部に、基金がたまっているから、あれもやれ、これもやれという、そのような意見も見受けられましたけれども、今部長の方から答弁ありました中長期的な財政運営、この視点から、なぜ基金積み立てや負債の圧縮に取り組む必要があるのか、当たり前なんですけれども、ここで改めて伺っておきたいと思います。
○真田主計部長 ご案内のとおり、収入の大半を占めます都税収入は、景気動向の影響を非常に受けやすく、過去には三年間で一兆円もの減収を記録するなど、非常に不安定でございます。これに法人事業税の不合理な暫定措置も加わりまして、今後、都財政を取り巻く状況は一層厳しさを増すことが予想されております。
過去におきましては、バブル期の急激な税収減によりまして、一兆円あった基金が一気に底をつきまして、また、そのとき大量発行した都債の償還が、その後の財政運営の桎梏となったという経験を我々はしてございます。
こうした経験を踏まえますと、将来にわたり都民のための施策を安定的かつ継続的に実施していくためには、基金の一層の充実や起債余力の確保が不可欠でございます。また、今回コラムでもお示ししましたとおり、都内の生産年齢人口は間もなく減少に転じると予測されておりまして、仮に都税の減少局面で過去のような都債の大量発行という手法をとったといたしますと、将来世代の負担が多大なものになるおそれもございます。こうした観点から、基金の充実、負債の圧縮を図る必要があると考えております。
○東野委員 まさにマネジメントのしどころというか、常にそういうことを強いられる部局であるわけですけれども、また一つ大きな山場を迎えつつあるのかなと、そういう実感でございます。
ただいま答弁のありました基金の充実という点では、先般報告がありました大規模施設等の改築・改修に関する実施方針、これにおきましては、今後おおむね十年間で約八千億円の更新経費を見込んでいるわけでございます。その中で、平成二十年度予算では社会資本整備基金に二千五百億円積み立てを行っていまして、今年度末における基金残高は合計で約四千億円になるというふうに見込まれているわけです。
ところで、この報告書を見させていただきますと、減価償却累計額、これが約二兆五千億円となっておりまして、これは一つの目安とはいえ、潜在的に膨大な需要が見込まれている社会資本の更新という課題に対しまして、心して臨まねばならないなというふうに思うわけでございますけれども、これに対する取り組み、まだ漠としておられると思いますけれども、ご意見を伺いたいと思います。
○真田主計部長 東京の発展を支える基礎でございます社会資本の更新需要は、今後、相当長期間にわたり高い水準で推移することが見込まれておりまして、今後の都財政にとって大きな課題であると認識しております。
この課題に対しましては、まずは社会資本の適正水準はどのぐらいなのか、また、形成された社会資本をどのぐらいのサイクルで更新すべきかなど、関係部局とも連携し、更新需要の適正化、平準化を図っていくことが重要であると考えております。
また、財政面からは、基金を一層充実するとともに、都債を適切に活用するなど、世代間バランスにも配慮しました安定的な財源確保に努めまして、社会資本の着実な更新に取り組んでいきたいと考えております。
○東野委員 将来にわたって安定的、継続的な財政需要に対応していくためには、ただいま答弁にありましたとおり、安定的な財源の確保を図ることが大切であるわけですけれども、一方、むだを省いた、効率的、効果的な行財政運営も必要不可欠である、このように思うわけでございます。財政当局としては、各局と連携をしながらも、実効性を高めていくことが重要となるわけでありますが、報告書にもあるように、新たな公会計を活用していくことが一つ、非常に有効だというふうに思うわけでございます。
最後になりますけれども、今後の公会計の活用に向けた局長のご決意を伺い、質問を終わりたいと思います。
○村山財務局長 公会計制度二年目ということになるわけですけれども、去年は一年だけのデータだったわけですが、ことし、二年目ということで経年変化が見られるようになったわけでございまして、そのことの意味は、予想外にというといけないんですけれども、予想していた以上に大きいなというのは、その年のいろいろな財政運営上の努力といいましょうか、事業面あるいは財政運営面の努力がそのまま動きになって出てくるといいましょうか、キャッシュ・フロー・ベースのいろいろな動きが、それがストックの変化になってあらわれてくるという意味においては、やはりこの会計制度をしっかり活用するということは非常に有効だなというふうに思っております。
例えば、今ご指摘の中にもございましたように、マクロ面で申し上げれば、減価償却累計額がどういうふうに変わっていくのかということが、その年のいろいろな社会資本整備の結果でもあるし、あるいは今後の社会資本整備の課題というものもあらわすことになってまいりますし、また負債の面でいけば、将来世代の負担の状況と、それがどういうふうに変わっていくのか、それへの備えがどういうふうになされて、どこが十分で、どこが不十分なのかというふうなことが数字になってしっかり認識されながら毎年度の総括ができて、翌年度以降の方針が考えられるという意味においては、非常に有効であるなというふうに改めて認識をしております。
また、ミクロの面におきましても、事業のきめ細かい事後検証というふうなことが可能になり、むだを省いて事業の効果を上げるというご指摘いただいた点についても有効な、マネジメントサイクルが確立し得る上で効果があるなということを実感いたしております。
そういう面を踏まえながら、今後、マクロ、ミクロ両面につきまして、公会計制度を活用いたしまして、さらに深めていきながら、いわば広がりと深みのある財政運営手法の開発、向上に努めていきたい、かように思っております。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○鈴木委員長 次に、理事者から、入札契約制度改革研究会の第一次提言について外一件の報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○竹本契約調整担当部長 去る六月三十日に設置いたしました入札契約制度改革研究会から第一次提言を受けましたので、その内容をご報告申し上げます。
お手元の資料第1号をごらんください。参考資料を折り込んでございます。こちらでご説明いたします。
第一次提言は、過度な低価格競争や入札不調が増加するなど、入札契約制度を取り巻く環境が大きく変化する中で、都に対して直ちに取り組むべき当面の対策を提言するとともに、今後の抜本的な改革に向けて、検討課題とその視点を取りまとめたものでございます。
左上、入札契約制度改革に当たっての基本的認識をごらんください。研究会の基本的な考え方を示したものでございます。
制度に対する社会的要請として四項目、また、制度を有効に機能させる条件として、発注者と受注者双方に求められる能力等を二項目挙げております。
次に、その下、入札契約制度の現状と問題点をごらんください。研究会では、建設業界団体とのヒアリングを実施し、その結果等を踏まえて整理したものでございます。
主なものを挙げますと、競争入札制度でございますが、近年の低価格競争に関して、予定価格の事前公表や最低制限価格等が問題点として挙げられております。
また、工事価格の積算、工事発注の集中でございますが、最近増加している入札不調に関して、発注者側と受注者側で単価や施工条件のとらえ方に乖離があることが問題点として挙げられております。
こうした現状と問題点を踏まえ、課題解決に向けた提言を資料中央、資料右側に記載してございます。
まず、資料中央、直ちに実施すべき当面の対策をごらんください。実際に事業執行に影響が生じており、都が緊急に取り組むべき事項として、研究会からいただいた九つの提言でございます。
提言内容につきましては、後ほど、資料第2号によりまして、都の改善策とあわせて詳しくご説明いたします。
続きまして、資料右側、制度改革の視点をごらんください。こちらは、制度の抜本的な見直しに向けて、今後、研究会で検討すべき八つの課題と、課題検討に当たって十二の視点を示したものでございます。
主な検討課題ですが、競争入札のあり方では、一般競争入札の適用範囲の拡大を可能とする仕組みなどについて検討してまいります。
総合評価方式の拡充では、適切な技術評価の仕組みと技術評価に係る事務軽減等の検討、また、技術評価能力の向上や迅速な評価事務の処理体制の整備もあわせて検討してまいります。
過度の低価格競争への対応では、総合評価方式や最低制限価格制度の適切な運用による総合的な対策を踏まえ、予定価格の事前公表の検証など行ってまいります。
さらに、予定価格のあり方では、上限拘束性の意義や妥当性を、都施策の推進への寄与では、災害復旧、高齢者・障害者福祉など、事業者が行う社会貢献活動の評価のあり方について検討してまいります。
こうした課題について、研究会では、来年夏ごろを目指して、最終提言を取りまとめることとしております。
入札契約制度改革研究会第一次提言の説明は以上でございます。
引き続きまして、お手元の資料第2号をごらんください。提言を受け策定した、都の入札契約制度の改善策の実施方針についてご報告申し上げます。
この実施方針は、入札契約制度改革研究会の第一次提言で示された、直ちに実施すべき当面の対策、九つの提言に基づき、希望制指名競争入札の透明性、競争性の向上と品質の確保、入札不調の解消、過度の低価格競争の抑制を目的として策定した改善策について定めたものでございます。
参考資料によりご説明いたします。
提言1、希望制指名競争入札の指名業者数の拡大による入札手続の透明性の向上でございます。
都の改善策としては、入札参加希望者が多数の場合には、指名者数を一律十者に制限するのではなく、指名基準の範囲内で弾力的な対応を図ってまいります。
提言2、工事成績などを重視した業者指名による工事品質の向上でございます。
希望者が十者に満たない場合に行う追加指名において、施工困難な工事や技術力を要する工事などについては、工事品質を確保する観点から、工事成績上位者から指名を行うよう改善してまいります。
以上二点は、本年十月より、財務局発注工事で試行実施いたします。
提言3は、積算単価の改正サイクル短縮による市場実態に合った予定価格の設定でございます。
これまで臨時改正しておりました主要資材の積算単価について、今後は価格調査を毎月行い、一定以上の価格変動があった場合には経常的に改正するよう改善してまいります。十月より実施いたします。
提言4、工事施工の条件、発注者と受注者の責任負担の一層の明確化でございます。
工事の仕様書に施工条件を明確に記載するとともに、実際の工事において施工条件に変更が生じた場合の取り扱いなどについて、ガイドラインを作成いたします。施工条件の明確化については十一月より試行実施し、ガイドラインは、二十一年三月を目途に作成いたします。
提言5、契約制度や工事に関して建設業界と意見交換する場の拡充でございます。
契約制度や工事実態に関して意見交換などを行う機会を定期的に設けてまいります。十月以降実施してまいります。
提言6、工事平準化を図るための起工、契約、予算など事業執行手続の改善でございます。
工事発注の前倒しや、債務負担行為を引き続き活用することにより、工事施行時期の平準化を図ってまいります。こちらは二十一年四月より実施してまいります。
提言7、監理技術者の確認要件の緩和でございます。
従来は入札参加申し込み時に行っていた監理技術者の確認を、入札時に変更し、事業者の入札機会を拡大いたします。十一月より、財務局発注案件で試行実施いたします。
提言8は、総合評価方式を適用する工事件数の拡大でございます。
当面、全工事の二割程度を目標として、総合評価を適用する工事を段階的に拡大してまいります。
提言9は、実態に即した最低制限価格等の基準と適用上限の設定でございます。
契約内容に適合した履行、工事品質の確保を価格面から担保するため、最低制限価格等の算出基準を改めるとともに、適用上限を予定価格の八〇%から八五%に引き上げてまいります。こちらは二十年十一月より試行実施してまいります。
以上が入札制度改革の改善策の実施方針でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木委員長 報告は終わりました。
これより本件について一括して質疑を行います。
ご発言を願います。
○高木委員 入札契約制度についてお伺いをいたしますが、質問に入る前に、冒頭申し上げておきますけれども、私たち東京都議会自由民主党は、昨年十一月、入札契約制度改革プロジェクトチームを発足させまして、ここにきょう持ってまいりましたが、第一回の報告書を取りまとめさせていただきました。この間、勉強会、ヒアリング、意見交換会など、合計約二十回程度の会合を重ねまして、九月一日に、本報告書、公共事業(工事)の正しいあり方についてという報告書を発行させていただいたわけであります。
この間、東京都の入札契約制度がいろいろな問題点を抱えていることを指摘し、さらに、よりよい制度の構築を願う立場から、プロジェクトチームのメンバーが中心となって、さまざまな場面で発言をしてまいりましたが、私たちはこれからも入札契約制度のあり方を検証し、第二回、第三回の報告書を作成するつもりでおりますので、財務局が主催をする入札契約制度改革研究会が、私たちの報告書も参考にしながら、よりよい制度構築に向けて努力されることを大いに期待をいたしております。
それでは、質問に入ります。
まず、九月十二日に出されました、都道府県、区市町村に対する国土交通省と総務省からの八項目の緊急要請について、都の対応はどのようになっているのか、お伺いいたします。
○竹本契約調整担当部長 建設業における安心実現のための緊急総合対策について、国から要請を受けたところでございますが、都としては、既に実施している措置に加えて、今般の研究会の提言を受けて策定した改善策を実施することにより、おおむね対応できると考えております。
八項目の要請のうち、前払い金制度の適切な運用、支払い手続の迅速化、資材価格の実勢価格への反映、単品スライド条項の適用については、既に対応済みでございます。また、工事の早期発注、工事成績等に基づく業者指名、最低制限価格制度の適切な見直し、施工条件が変動した場合の適切な契約変更についても、今回策定した改善策により早急に対応していくこととしているところでございます。
予定価格の事前公表については、低価格競争の原因の一つとされ、その廃止を要請されているところでございますが、低価格競争抑制のための改善策として、最低制限価格の見直しや総合評価方式の拡充を実施し、研究会でその効果を検証していくこととしているところでございます。
今後、契約の透明性、公正性の確保の観点もあわせて、そのあり方を慎重に検討していくものでございます。
○高木委員 今申し上げた国土交通省と総務省が合同で出した八項目の緊急要請というのは、これは国土交通省の方が、新聞報道で談話で載っておりましたけれども、かなり異例の措置であるということが書かれておりました。今回その八項目の中で、かなり具体的にいろいろな、絞られた中での今の入札契約制度に対する問題点の指摘が行われているんですけれども、私は、国の方針が、とにかく地方自治体に対してこういうことを要請してくるというのは、国の方も、公共工事、公共事業に対していろんな意味での悩みや、改善しなければいけないということを考えていらっしゃるんだろうな、こういう感じを持たせていただいたわけであります。
その中にも幾つか書かれておりますので、順次質問をしていきたいと思いますが、まず最初に、単品スライドのことについてお伺いをさせていただきます。
今ご答弁にもありましたけれども、国土交通省の、総務省と合同の緊急要請にもありましたとおりで、単品スライドに対しては適切な措置をとるようにと、こういうお話でございます。九月十二日の八項目の要請が出される二日前の九月十日、国土交通省は、単品スライドの運用拡充についてという新しい考え方を出されたわけであります。それを受けて、私たち都議会自民党は、九月十二日、知事あてに緊急要望を提出いたしました。その後、東京都は、私たちの要望を受けて、単品スライド条項の新たな運用ルールを公表したと認識をいたしております。
対象資材の拡大や受注者負担の軽減など、さきの財政委員会、六月十九日に私が質問をしたと思っておりますけれども、さきの財政委員会で私たちが指摘し、求めてきた方針を参考に、その早急なるルール改正の動きについては評価をいたしております。ただ、この改正には実は大きな問題があることも事実でありまして、そのことをまずお伺いしたいと思っておりますが、単品スライド条項の契約変更の条件が、対象工事全体の金額の一%を超えなければいけないということがもともと国土交通省の考え方で、それを踏襲していたと思います。
東京都から今回新しく出された、九月十二日の東京都の通達--通達というのかな、運用についてというこの書類を見ますと、受注者負担については〇・五%にするということになっております。今まで私たちは、受注者負担が全体工事金額の一%という認識の中で、東京都は〇・五%にしますよということを聞きましたので、東京都も思い切ったことをしていただいたなと。これは民間の中小企業を初めとする、公共事業をやっていらっしゃる方々にとっては大変な朗報だなというふうに私は思ったんです。
ところが、これはだれも教えてくれなかったんですけれども、単品スライド条項の契約変更をする際には、受注者負担は確かに〇・五%にするけれども、ルールの俎上にのせるためには、もともとのルールと同じように基準額一%というルールがあるんですよと。つまり一%を超えないと単品スライド条項の契約変更には至らないんですよ、一%を超えて初めて〇・五%のいわゆる受注者負担になるんですよという、よくわからないというか、私は、〇・五%にしますよということをいわれたので、〇・五%が受注者の負担であり、〇・五%を超えた人たちについてはすべて単品スライド条項の規定に当てはまって、契約変更に至るものだと思っていたんですけれども、どうもそうではない。一%を超えないと結局俎上にものれないんだと、こういうルールになっているわけですよ。ですから、私は、これは理論的におかしいんじゃないかというふうに思っているんですが、このことに対する都の見解というのをまずお伺いをさせていただきます。
○竹本契約調整担当部長 基準額の一%と受注者負担〇・五%の関係というお尋ねでございます。
単品スライド条項は、その価格変動が契約に大きく影響を与えると判断された資材を対象に契約金額の変更を行い、受注者の負担を軽減するものでございます。このため、まず、資材価格の変動が契約に与える影響を判断する基準として、対象工事金額の一%と設定したものでございます。
この基準でございますが、公平性の観点から、国や他団体との均衡を考え、一%としたものでございます。九月十二日付の通知の契約変更、資材価格の変動額が基準額、対象工事金額の一%を超えた品目を対象とあるところの一%でございます。
また、価格変動に関するリスクについては、契約の双務性の観点から、受注者、発注者双方で負担すべきものでございます。現下の経済情勢を考慮し、また都の工事契約においては、中小企業の方々に多くの工事を受注していただいておりますので、六月には、対象工事費の一%を予定していた受注者負担について、今回、国に比べて低い水準の〇・五%といたしました。これにより、先生も今おっしゃっていただきましたけれども、受注者のリスク軽減を図っているところでございます。
○高木委員 一つの大きな理由として、国や他団体との均衡上、一%というルールを残しましたというご答弁だったんですが、均衡上ルールを残すんだったら、〇・五%にすること自体が理論的に矛盾をするんじゃないかなというふうに思いますよね。やっていただいていいんですよ、それは。安くしてもらったんだから。だけども、理屈として、全体の均衡をとるんだということだったら、これは変えちゃいけないという話になるんじゃないですか。だからこそ私は指摘をしているんですけれども、一%を超えなければ俎上にものれないということを、東京都が出したこの通知をさらっと見ると、なかなか、受注者負担のところばっかり目が行っちゃって、みんな誤解しているわけですよ。ですから、〇・五%相当額というのが要するに受注者負担になりますよということは、〇・五%を超えれば、それは見てくれるんだろうなと思うのは普通の感覚であって、一%を残すということに対してどれぐらいの理論的な整合性があるのかということを私は問うているんですね。
もともと、六月十九日の委員会でも申し上げましたけれども、じゃ、単品スライド条項の受注者負担が一%であるということは、どこに根拠があるんだろうか。これは法律も含めて、この間も、六月十九日にもいいましたけれども、全体スライドの場合は全体の工事金額の一・五%ということはルールの中にちゃんと書いてあります。単品スライドの方を私は読みましたけれども、それはどこにも書いてありませんでした。ですから、一%の受注者負担ということをいうのであれば、それはどこの法律のどの部分あるいは省令や政令のどの部分に書いてあるのかということをご披瀝をしていただきたいと思います。
○竹本契約調整担当部長 基準額の一%というのはどこに規定があるのかというお尋ねでございました。
単品スライド条項そのものは、工事請負契約書第二十四条第五項に規定されてございます。その内容は、先ほども申し上げましたけれども、主要な工事材料の価格に著しい変動を生じ、契約金額が不適当となったとき、契約金額の変更を請求することができるというものでございます。
その運用に当たりましては、条文、それしかございませんので、詳細な内容を定める必要がありました。都におきましては、財務局長決定により、契約変更対象となる資材の判定方法や、受注者負担を含めたスライド額の算定方法、変更手続等を定めて、各局に通知したものです。この中で、契約変更の対象となる条件として、品目ごとの変動額が対象工事金額の一%を超えることを規定してございます。
○高木委員 ということは、財務局長がお決めになられたということですよね。国土交通省、国の方も一%だから、東京都もそれに倣って一%だということで、恐らくそういうことが決まってきたんだろうと思いますが、これはよくお考えをいただいて、まさに石原知事がおっしゃる、東京から日本を変えるという意味でも、東京はやっぱり、さきの代表質問でも高島幹事長が申し上げましたけれども、東京自身が巨大な経済プレーヤーの一人なんだと。東京にはあまたたくさんの中小企業も、大きな企業ももちろんありますけれども、たくさんの企業もある。そういう東京の実態というものを考えたときに、巨大な経済プレーヤーである東京都が、どういうスタンスで、どういうことをやっていくのかということをみんなが見ている。その中で、国や他の地方自治体で横並びでこういうふうにやりますよということが、果たして、東京都財務局としてよろしいのかどうかということは、ぜひお考えをいただきたいと思います。
少なくとも、受注者の負担は〇・五%にしたということは、私は大英断だったというふうに評価をしているんですよ。だからこそ、俎上に上げるのも〇・五%にした方が、みんながわかりやすくていいじゃないですかということをいっているんです。それを、もともとの一%の基準は残しますよと。じゃあ、スライドさせたときに、〇・六%、〇・七%、〇・八%の人たちは助からないじゃないですか。その部分について東京都はどう考えているんですかということなんですよ。ですから、そこをよくお考えをいただいて、今後の制度改正に向けて、ぜひ一つの課題として認識をしていただきたい。きょうはここまでしかいいませんけれども、ひとつそれは考えていただきたいと思っております。
資材価格の変動額の算定方法というのがあるんですけれども、これも六月十九日の財政委員会でも申し上げました。あのときには、七カ月間のタイムラグがある、つまり、積算をする時点と、入札をして受注金額を決める時点との間が七カ月間あると。その間にどういう、資材価格が変動をしてきたかということをどういうふうにはかるんですかということを、これから決めますよという話でした。ですから、今の段階になって、資材価格の変動額の算定方法というものを一回教えていただけますでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 契約当初の価格がございます。契約当初の価格、それぞれの積算がございます。それと、ある資材についての現時点における差ですね。契約当初と申しますと、ただいま先生がおっしゃったように、長ければ七カ月ぐらいタイムラグがございますし、短いものでも一カ月、二カ月あるわけですから、その間の価格変動を見て、その変動額を算出してまいります。
○高木委員 ちょっと細かい話で申しわけなかったんですけれども、九月十九日に、財務局長決定ということでこういう資料をお出しになっていらっしゃって、それで--私がいいたいのは、だれもがわかる決定の方法というのをつくってほしいということなんです。つまり、東京都の予定価格があって、それは要するにいつの時点でつくられたのかということがきちっとわかる。そして入札をし、落札をしたというところが当然わかるわけですから、この間の資材価格はこういう上がり方をしましたよということをきちっと担保してもらいたいということなんですよ。それで、一応計算式があるんですけれども、この計算式だけ見たのでは、どの時点からどの時点までという時間的な経過については、ここには余り書かれてない。だから、それはきちんとルール化をしてほしいということを申し上げているわけで、ぜひそれはお願いしたいと思います。
それともう一つは、資材価格を決める際に、落札率を掛けるんですね。つまり、落札率が低ければ低いほど、要するに資材価格の変動額も減ってくる、低くなってくる、高ければ高いほど上がる、そういう計算式になっているんですね。これは先ほどの一%の問題とも関係するんですが、何で単品スライドといいながら工事価格全体の問題がここにかかわってくるのかということなんですよ。単品なんだから、単品は単品で価格は変動しているわけですよ。工事というのは、単品だけでやっているわけじゃなくて、全体で金額を決めているわけでしょう。全体で金額を決めて、企業努力もし、そして、その仕事をどうやって受注するかという判断の中で落札率も決まってくるわけです。その落札率を、単品の価格のスライドの幾ら上がったかということを決めるときに、落札率を掛けるというのはどういう意味があるんでしょうか。私にはよく理解ができない、これは。教えてください。
○竹本契約調整担当部長 落札率をなぜ掛けるかというまずお尋ねですが、契約変更に当たりましては、単品スライド条項に限らず、契約変更の大前提のルールとして、落札率を掛けて契約変更の額を算定しておりますので、この単品スライド条項におきましても、契約変更の一形態でございますので、落札率を掛けてございます。
一資材であるにもかかわらず、なぜ工事費全体にかかわるのかという二つ目のお尋ねでございます。
先ほども申し上げました、主要な工事材料の価格に著しい変動を生じ、契約金額が不適当となったとき、契約金額の変更を請求するということでございますので、単品一つ一つの価格の上限だけではなくて、それが契約金額にどう影響を与えているかというところを判断いたしますので、契約金額全体を見ているところでございます。
○高木委員 そういうことだと、単品スライドという意味がちょっと薄れてくるんだろうなというふうに思います。つまり、スライドというのは、先ほどからいっているように、幾つかの方法、ルールがあって、その中の一つとして単品スライドというのがある。単品スライドというのは、例えば鋼材類あるいは燃料油あるいは生コン、セメント、いろいろありますよね。その一つ一つがどれだけ価格が変動しているかということを考えるときに、要するに、トータルで全体のものを基準にして、一%の受注者負担もそうだし、それから、落札率を掛けて変動額を決めるというのも私は理論的におかしいんじゃないですかということを申し上げている。これも今後よくお考えをいただきたいと思っております。
先ほどから申し上げていますけれども、六月十九日の委員会でもいいましたけれども、私は、受注者負担の控除額を決める、一%であれ〇・五%であれ、これは本来的には理論的根拠はないというふうに思っています。ですから、本来的にいえば、これはぜひ、受注者負担は、単品に対する受注者負担は結構かもしれませんけれども、全体の工事額から受注者負担を割り出すというのはやっぱり一度お考えをいただきたいと再度申し上げておきたいと思います。
次に移ります。入札契約制度改革研究会の第一次提言についてということで、先ほどご説明をいただいた報告書についてであります。
まず、この研究会の目的と意義というのは何だったのかということを問いかけながら、私は、第一次提言を読んでまず感じましたのは、よくおまとめになられたなという、そのご努力に対しては大変大きな敬意を表するものなんですけれども、入札契約制度をどうするのかという目前の課題だけにとらわれ過ぎている感じがいたします。つまり、この問題を通じて、社会全体がどうあるべきかとか、今問題になっていることの根本的な原因がどこにあるかという全体に通じる、例えば、大げさないい方かもしれませんけれども、歴史観だとか哲学というものが、申しわけないんですけれども、感じられないんです。だから、言葉一つ一つの言葉じりをとらえるわけじゃないんですけれども、何となく内容が薄い感じがしてならないんですよ。
いい方は悪いけれども、時々、読んでいて--私、全部読みました、これ。一字一句全部読ませていただきました。先ほどの説明じゃなくて、こっちの方を全部読みました。いい方は悪いんですけれども、時々鼻白むような表現が出てくるんですよ。
例えば、希望制指名競争入札の問題点として、「裁量が完全に排除されたものではない。」という表現が出てくるんですよ。これは六ページに出てくるんですね。六ページの問題点の中に、「裁量が完全に排除されたものではない。」という記述があるんです。しかしながら、そもそも入札契約制度において、裁量とか人の関与というのを完全に排除できるんでしょうかね。それはもちろん公平性とか透明性とかというところで、裁量という言葉のイメージは余りよくないですから、そういうものが関与することは私はいいと思いません。しかし、そのことをこうやって文字にして、もうこれはだめなんだよというのはどういうことなのかな。それから、これから進めようとしている総合評価方式の評価点なんていうものは、要するに人の関与なくしてできないわけですから、例えば人が関与する部分があるとすれば、そこにルールをつくることこそが実は必要なことであって、透明性や公平性という一見もっともらしい建前をかざすことですべてがクリアになるということはぜひ考えないでほしいと思うんですよ。だから、そういう、いい方は悪いですけれども、底の浅い言葉を振りかざすから、役所はちまたの、市井の苦しみがわかってないという批判が起こるんじゃないかというふうに私は思います。
石原知事がよくおっしゃいますけれども、私たちが暮らすこの社会は決して一面的じゃないんですよ。多面的、重層的な社会だということをよくおっしゃるんですね。私は、そういう複眼的な物の見方をしないと実は全体はよく見えないと思いますので、その意味でこの提言書は、都庁の中の狭い世界だけに通用するものじゃなくて、広く社会に問いかけても恥ずかしくないように、内容をぜひレベルアップさせていただきたいと思っています。
内容について、順次これからお伺いをしていきます。
予定価格について、東京都の考え方をお伺いしたいんですが、東京都は、予定価格をつくる際に、どのような考え方でつくるんでしょうか。つまり、予定価格というのは一体どういうものなのかということを、東京都の考え方を教えてください。
○竹本契約調整担当部長 予定価格をつくるに当たっての考え方というか、予定価格とは何かというお尋ねでございます。
予定価格は、標準的な工事において必要とされる標準的な費用を見積もった額でございまして、工事価格は、予定価格と、先ほど申し上げました最低制限価格の範囲で入札により決定されるものと考えております。したがいまして、行政といたしましては、入札競争が適正な価格の範囲で行われるよう、予定価格や最低制限価格を適切な水準に設定することであると考えております。
○高木委員 今のご答弁のことを否定するつもりはありませんし、それはそれだと思います。
それで、私は何をいいたいかというと、予定価格が今、事前に公開をされていて、今の問題点として、この提言書にも書いてありますけれども、低入札あるいは低落札というものが横行しつつあるというところで、積算をされている都の技術陣の職員の皆さんが、自分たちがおつくりになられた予定価格が、常に予定価格よりも、例えば二〇%なり、それ以下の場合もあるんでしょうけれども、そうやって予定価格が切られて入札をされている。それはそれで一つの企業努力の結果だといわれれば、それはそれまでかもしれませんが、しかし、東京都職員として自信と自負を持って予定価格をつくられているんだと私は思いますよ。その予定価格が形骸化をしているというか、そういうものであってはならないと思うので、予定価格はやっぱり私は適正価格であるべきだと思いますし、その価格の、今回は上限拘束性の問題にも踏み込んでおりますが、予定価格をつくったその価格の前後というんでしょうか、その周辺というのがやっぱり適正な価格なんだよというふうに思うんです。ですから、ぜひ予定価格、積算をされている皆さんが、こんなに苦労して積算をしたのに全部だめになっちゃったというか、何か否定されたみたいな、そんな入札が時々財政委員会にもかかりますけれども、そういうことがあってはならないと思いますので、予定価格を自信を持ってつくれるような、そういう入札制度をつくってほしいということなんです。
予定価格というのはやっぱり大事なことですよ。それを、民間の人がつくる金額、落札をする金額が適正な価格なんだ、あるいはそれこそがすべてなんだという議論になったら、東京都が予定価格をつくる必要がなくなりますから、職員をたくさん抱えて、予定価格をつくる必要はないんですよ、それならば。民間の人に全部任せればいいんですよ。それで、この価格以上のものはだめですよということだけやっていればいい。予定価格なんかつくる必要はなくなってしまう。今、だから、そういう意味で私は、予定価格というのは東京都の皆さんが自信を持って、この金額が適正なんだということをつくっていただきたいと思っているんです。
先ほど触れましたけれども、第一次の提言では、予定価格の上限拘束性の是非を検討するということが書かれています。これはどういうことなのか、このことを実現させるためにはどんなハードルがあって、実現するとどういう効果があるのか、教えてください。
○竹本契約調整担当部長 現在、地方公共団体の入札につきましては、地方自治法等に規定されておりまして、予定価格を事前につくり、開札の場に置くということで、予定価格、また、予定価格を超えた入札は不調、予定価格の制限の範囲内で一番低いものが落札者となるという規定のもとに予定価格がございます。そのように予定価格の制限というのがございまして、今回、予定価格の上限拘束性の検討を課題に挙げられておりますのは、本当にそれでいいんだろうかという問題意識からでございまして、予定価格自体は、一つは予算管理上のものでございますし、一つは自動落札方式における基準でございます。
この予定価格ですが、例えば欧米各国では、日本のような厳しい上限拘束性を持たせていないともいわれておりますので、予定価格の上限拘束性について、しっかり検討し、もし必要があれば、法令改正等、国に要請していきたいというところでこの課題を挙げております。
○高木委員 予定価格上限拘束性の廃止というのはやっぱり法律改正しなきゃいけないんだと思いますし、今、これは高速道路株式会社のお話ですけれども、ご存じのとおりで、今月二十五日に阪神高速道路が、予定価格の上限拘束性廃止に対しての試行ですか、に踏み切られたとか、それぞれ、高速道路株式会社になったからできることなんでしょうけれども、ある意味での公共的な仕事をされているところが、まさにおっしゃるように上限拘束性の廃止をする試行を始めたということですから、追い風だと思いますので、私たちの提言書の中にも上限拘束性の廃止ということも入れさせていただきましたし、これはぜひ研究をしていただきたいと思います。この研究をすることによって、実は先ほどいった予定価格の問題というのがもっともっとクリアに焦点が当たってくるんだと思いますので、そこで東京都の努力というものが、予定価格をつくる皆さんの努力というものが私は生きてくるんだと。だからこそ、上限拘束性の問題というのは、ぜひ法令改正も含めて検討していただきたいというふうに思っています。
次に、予定価格の事前公表についてお伺いをいたします。
国土交通省は、ことしの三月に、公共工事の入札及び契約の適正化の推進という通達で、予定価格の事前公表を取りやめるように各自治体に要請をされました。先ほど取り上げました九月十二日の国土交通省と総務省の緊急要請でも、実は同じことを指摘いたしております。都は、このような国の方針についてどのように考えるんでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 予定価格の事前公表でございますが、先ほどの報告で申し上げましたように、事前公表により弊害が生じているという声がございまして、その背景につきましては、研究会では、低価格競争が生じる、価格を重視した入札あるいは最低制限価格などの制度的な課題、工事発注量が大幅に減少している、一方で事業者数は余り減っていないという業界構造的な問題があり、それらを解決することが必要と研究会では議論されているところでございます。
国の通知では、事前公表を取りやめるという要請がございました。また、継続する場合には理由を公表するところが求められているところでございますが、研究会からの提言を受けまして、低価格競争抑制のための改善策として、最低制限価格の見直しや総合評価方式の拡大を実施し、その効果を検証し、今後は、契約の透明性、公正性の確保の観点とあわせて、そのあり方を慎重に検討していくということで、国にもそのように必要があれば回答していきたいというふうに考えております。
○高木委員 あわせて、もう一つ聞くんですが、九月の初めから、私たち都議会自民党が各種団体から来年度予算に対して要望のヒアリング、聴取をさせていただきました。公共工事にかかわるすべての団体、一つの漏れもなくといっておきましょう、一つの漏れもなく、価格の事前公表は取りやめてほしいという要望が出ているんですよ。東京都は、国の方針もありながら、事前公表取りやめについて、この報告書の中には、是非については慎重な取り扱いが必要、こう位置づけております。そういう慎重な取り扱いが必要と位置づけている事前公表について、東京都としては、全国に先駆けてこの制度をやり始めたという自負がおありになるのは私はよくわかっているんですけれども、非常にかたくなに、私たちからすればですよ、かたくなにこの制度を守ろうというふうにしているように見受けられるんです。これはどういう意味があるのか、教えてください。
○竹本契約調整担当部長 予定価格の事前公表、都はなぜ続けているのかというお尋ねでございます。
ご案内のように、平成十四年度より、競争入札を行う工事はすべて予定価格を事前公表しているところでございますが、このようにするに当たりましては、当時、予定価格を探る行為などの不正行為を防止する、また入札手続の透明性を確保するという観点から、予定価格の事前公表に踏み切ったところでございます。
今先生の方から、国からもそういう強い要請があるではないかとございました。国の通知を拝見しますと、予定価格の公表の適正化というところで、その価格が目安となって適正な競争が行われにくくなること、建設業者の見積もり努力を損なわせること、談合が一層容易に行われる可能性があることなど、予定価格を事前公表することによる弊害を踏まえというふうに国はおっしゃっています。
これに対しまして東京都では、適正な競争を確保して、建設業者さんの見積もり努力を損なわせない、そのために、入札参加者全員に積算内訳書の作成を義務づけ、作成能力のない事業者の落札を防ぐ仕組みを設けております。また、入札参加者の氏名の入札前の公表とか、現場説明会を廃止するなど、談合防止のための対策もあわせて実施し、国のご懸念である点については一定の対応をとっているところでございます。
○高木委員 国のいっていることが、この予定価格の問題については、私は正しいような気がするんですね。それで、報告書の七ページに、予定価格の事前公表の現状というところに、予定価格を通じて発注者の設計内容を掌握の上、積算することが可能となることから、より適切な工事施工が期待できるというふうにお書きになられているんですが、私たちはこういう感覚を持ってないんですよ。予定価格を通じて発注者の設計内容を掌握できるかどうかというのは、別に予定価格が公開されてなくても、今までも同じようにやっているわけですから、予定価格が公開される前から、例えば建設であれば、どういうスペックでどういうものを建てていくかというのはわかるわけで、より適切な工事が期待できるというのは、私は、予定価格が事前公表されていることのメリットというか、現状におけるメリットはほとんど考えられないというふうに思います。
それと、談合防止のために、価格を事前に探る動きを防止するためにというお話がありました。確かに、平成十四年とかその時点での談合の摘発というのは、私も記憶の中ではかなりあったような気がするんですけれども、それを受けてというか、それ以来、談合に対しては、大手ゼネコンも含めて、談合をしないということの決別宣言もされておりますし、今、談合というのはほとんど--ほとんどというか、すべて行われていないというふうに私たちも思っています。ですから、その当時と今の時点を比べてみると、はるかに公共工事における談合の問題というのはクリアになってきていますし、そういう意味では、価格事前公開をしなくても、既にそういう懸念がもうなくなっているのではないかなというふうに私は思っているんです。
先ほど、価格の事前公表を続けている、あるいはそれを廃止しないという理由の一つに、価格の事前公表による弊害というのが一六ページにも書かれておりますけれども、過度の低価格競争が生じている制度的、構造的問題があり、それらを解決することなく、単に予定価格の事前公表を取りやめることだけで解決する問題ではないと。つまり、低価格入札あるいは今問題になっているさまざまなことに対して、予定価格の公表をやめることは、むしろ業界構造的な問題があって、それを解決しなきゃだめなんだというような主張をここに書かれているんですね。私は、これはちょっと違うと思っていまして、業界構造的問題というのは、恐らく業界の、例えば建設にしろ、土木にしろ、業者数が多くて過当競争になっている。そこで、皆さんが、公共工事が少なくなってくる中で受注をしたいという受注競争の中でどんどんたたかれていってこういう問題が起きているから、業界全体の構造をもっと収れんをしていきなさいよというように私は読み取れる、この文章を読むと。
だけど、今まで、この報告書にも書いてありますけれども、歴史的に見て、受注産業の数がふえてきたのは、明治二十二年に会計法ができて、そして明治二十六年に鉄道会計法ができて、そこで一般競争入札という制度ができたことによって、新しい産業としてこの受注産業というのが勃興してきたわけですよ。それは私たちの報告書にも書きました。そのことが、実はその業界が業界全体の今課題として指摘をされている過当競争のもともとの原因だったわけですね。
今東京都がやろうとしていることも、一般競争入札をこれからも拡大していくんだといっているわけですから、また同じことが起こるんじゃないかということを私たちは懸念をしています、歴史的に見てそういうことが起こっていますから、そのことをまず懸念をしています。それとともに、その後ずっと時代が下ってきて、戦後、昭和二十四年に緊急失業対策法という法律ができております。建設産業や土木産業というのは、雇用調整弁としてずっと機能してきたわけじゃないですか。そのことを無視して、業界を早く調整しろといっているように私は聞こえるんですけれども、どうでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 業界構造的な問題があるという業界構造的問題についてでございますが、研究会でそのように議論され、研究会でそのように視点として指摘しているところでございまして、私でお答えするものではないというふうに思います。
○高木委員 わかりました。
平成七年に国が緊急失業対策法を廃止するまで、受注産業は雇用調整弁として確実に機能してきました。そして、今でも恐らく、一番そういう単純労働というか、いわゆる法律的表現を借りれば、無技術労働者というのかな、その人たちを雇用するには、やっぱりここが一番大きなパイを持っているというふうに思います。
これは産業労働局から出しているものですけれども、公共工事の日雇い労働者吸収要綱というのがあります。この中にも、そういう日雇い労働も含めて、公共工事を受注した人はぜひ使ってくださいよと、努力義務としてそういうことが書かれている。それを、入札契約制度が今問題になっている、業界の過当競争は問題があるんだ、だから、あなたたち、早く業界の中で収れんをしていかなきゃだめなんだというのは、先ほど申し上げたように一面しか見ていないということです。もっと全部見てくださいよ。世の中全体の動きを全部見ていただいた上で、公共工事というのはどうあるべきなのか、入札契約制度というのはどうあるべきなのか、その哲学や歴史観や、この問題を取り扱うコンセプトはどこにあるのか、そういうことをぜひ見ていただきたいという意味で申し上げております。どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
次に、不調の拡大についてお伺いします。
この報告書の「はじめに」の部分に、不調増大の原因は--ここに書いてあるんですね、一ページのところに。ちょっと中略しますけれども、「入札契約制度の枠組みそのものにも原因があるのではないかと考えられる。」というふうに指摘をされている。下の方からいくと何行目ですかね、真ん中辺の下の方ですけれども。現状と問題点の中に不調に関する言及がないんですよ。これは、私はもっと深く掘り下げるべきだというふうに思っています。先ほど説明をしていただいた別紙2のペーパーの中にも、不調対策ということが書かれてないんですよ、文字として。大きな項目にも小さな項目にもない。だけど、今問題になっているのは、不調対策というのはやっぱり緊急的にやっていかなければいけないんじゃないかというふうに私は思っています。不調の原因というものをどのようにとらえているのか、お伺いしたい。
一緒に聞きますけれども、今回の補正予算で、多額の予算を計上している不調対策のものがあります。産業技術研究所の入札不調がありました。そのことも含めて具体的な事例を使って、不調の原因というのはどこにあるのかということをぜひ教えてください。
○竹本契約調整担当部長 まず、不調の原因について、研究会の検討に当たってどのように分析し、もしくはどのような情報のもとに検討しているのかというところについて、私の方からお答えいたします。
研究会で検討に当たりましては、入札不調工事における入札辞退者の方々へ、業者さんへアンケートをいたしました。また、業界団体のヒアリングも行い、調査、分析したところでございますが、その結果、不調の原因は、大きく分けて三点あると考えられました。
第一に、昨今の原材料価格の急騰に積算単価の改正が追いつかない。そのため、市場の実勢価格が予定価格に十分反映されていない。二つ目に、当初設計で想定した施工条件が、現地の実際の施工条件と乖離している。その結果、予定価格が実態に即した価格となっていないこと。三つ目に、発注工事が年度の後半に集中する。そのため、請け負う業者さんの監理技術者、また職人さんが不足し、受注者にとっては受注能力を超える。そのため、入札不調となっているということが挙げられております。
産技研の予定価格につきましては、私の方からはお答えできるものではございませんので。
○金子建築保全部長 産業技術研究センターの不調の件につきまして答弁させていただきます。
産業技術研究センターの不調の原因でございますけれども、価格や施工条件などさまざまな要因を検討いたしました結果、一番大きな要因は、主要な資材である鋼材の価格が大幅に上昇して、予定価格と市場価格に大きな乖離が生じたというものであるというふうに分析しております。
同センターの設計を行いました平成二十年五月の主な資材価格は、財団法人建設物価調査会が発行する建設物価によれば、鉄筋でトン当たり九万四千円、鉄骨のH形鋼で同じく十一万円となっておりましたが、一方、入札を実施いたしました平成二十年七月の時点で見ますと、同じく建設物価によれば、鉄筋でトン当たり十一万円、H形鋼で同じく十二万円となっておりまして、それぞれ約一七%、九%と大幅な値上がりを示しております。この資材の値上がりによる影響によりまして、主要な鋼材以外の二次部材につきましても価格が大きく上昇したものと考えております。
また、同センターの敷地の特性といたしまして、地中障害物の存在が予測されておりますことから、近隣の現場を改めて調査いたしました結果、地中障害物撤去費用についても見直しが必要になったことも原因の一つと考えております。
○高木委員 今明らかになっていることは、竹本部長がお答えになられた、不調の原因が三つあって、第一、第二、第三とあるんですけれども、それぞれ努力をすればできることじゃないですかということなんだと思うんですよ。いい方がきついかもしらぬけれども、ここまで要するに不調が、この冊子にも書いてありますけれども、今どのぐらい不調がふえているかというのが、平成十六年に〇・六%だったものが、十九年は九・五%になっているという、工事の一〇%がもう不調になりつつあるということなんですから、もう少しこの部分は努力してくださいよ。
ですから、産技研の今のお話もそうですけれども、地中埋設物の問題なんかも、もっとちゃんと調べればわかるんじゃないでしょうか。ですから、鋼材の費用が、二十年の五月から七月までに九%から一七%の値上がりをしていると。それはそれで、市場の価格ですから、ある意味では仕方のない部分もあるのかもしれません。だけども、規定になっている地中埋設物の問題なんていうのは、もっときちんと調査をすべきだというふうに思います。どうかそういう意味で、不調を発生させない努力をしていただきたい。
そこで、今後、不調を発生させないようにするためにはどういう対応が必要なのかということをお答えください。
○竹本契約調整担当部長 入札不調を発生させないための努力といいますか、今までやってこなかったという今のお言葉でございます。今後の対策としてどういうことを考えているんだと。
まず、適正な予定価格となるように現場を十分調査し、埋設物の見逃しなどないような、実態に即した適切な設計を行うこと。急激な資材価格の変動を速やかに予定価格に反映できるよう、今回、積算単価の改正サイクルの短縮を行っていくこととしております。また、契約後の受注者リスク軽減のために、施工条件の明示の仕方や、施工条件に変更が生じた場合の取り扱いについてガイドラインを作成することにより、契約変更における受注者、発注者双方の責任負担をきちんと明確にしていきます。さらに、工事の早期発注、前倒しですとか早目早目の発注ですね、債務負担行為の活用により工事の平準化を図ってまいります。
○高木委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。今の対策を、まず考えられるものを打ち出していただいて、不調対策、万全を期していただきたいと思っております。
今お話にも出ましたけれども、受注者と発注者の責任の明確化というのは大事なことでして、今後、受注者と発注者の関係がどうあるべきかということはぜひ考えていただきたい。
その中で具体的な事例でちょっと申し上げますけれども、受注者の責任によらずに工期が延伸をされるような場合、そのことによって生じた費用については発注者が負担すべきと考えますけれども、前にもこれは聞いたことがありますけれども、もう一度答弁してください。
○山本技術管理担当部長 都におきましては、工事請負契約に係る標準契約書第十九条第三項に基づき、予測しがたい理由により、施工途上にある工事の主要な部分を長期にわたって中止する場合や、工期変更を伴い、発注者が負担すべき著しい費用が生じた場合については、工事現場の維持に要する費用等、発注者としての適正な費用負担を行うこととしております。
一方、契約後の条件等の変更に基づく契約金額の変更は、原則として、発注者と受注者が協議して求めることとしております。
○高木委員 要するに私がいいたいのは、受注者の責任というものをきちんとすること、発注者の責任をきちんとすること、そのことなんです。ですから、先ほどいったように、前にも事例を出しましたけど、事例は出しませんが、受注者の責任によらずに工期が延伸をするなんていう場合もよくあるわけですよ。ですから、そういうときについては、ぜひ発注者がきちんと負担をして、受注者と発注者の責任を明確化して信頼関係を築いてほしい、そういうことであります。
これは後ほどで結構ですから、調べておいてください。こういう受注者の責任によらずに工期が延伸をされたような事例というのは、この三年間ぐらいでどのぐらい件数があるのか。また、実際に費用を受注者側が負担をした事例というのはどのぐらいあるのか。これは後ほどお調べをいただいて回答していただければ結構です。
先ほど、最初にいいましたけれども、発注者である東京都が考える、受注者と発注者のあるべき関係というのはどういうものでしょうか、どうあるべきでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 発注者と受注者との関係についてでございます。
公共工事は、納税者の負担のもとで行われます。発注者と受注者の関係には、高い公正性、透明性が求められるものと考えております。一方、公共工事は、都民生活の基礎となる社会資本を形成するものですから、品質確保とともに、経済性、効率性を十分に発揮させ、価格と品質のバランスがとれた、よい公共工事を実現していくことが重要であると認識しております。
そのためには、両者の関係は単なる契約における相手方という、そういう冷たい関係ではなくて、よりよい公共工事を実現するための重要なパートナーとして、事業者は、公共工事を担うための技術力や経営力を高め、発注者は、そうした事業者さんの技術力を公正かつ適切に評価する能力や体制を整えていく必要があるというふうに考えております。
○高木委員 今回の議会で、高島幹事長が代表質問で入札契約制度についての問題提起をいたしました。そのときに使った言葉は、受注者と発注者の関係は、ともに働く、協働なんだと。協働におけるパートナーというぜひ認識をしていただいて、よりよい資産を都民のために残していくんだ、ベクトルは同じなんだということをぜひご理解をいただいた上で、そういう関係づくりをこれからも行っていただきたいと思います。
最後に、入札契約制度改革に向けた財務局長の今後の決意を伺うわけですが、私は、制度を運用するのはあくまでも人だと思っています。よりよい制度は、よりよい運用によってのみ担保されるものだというふうに思います。そのためには、発注者側の人材育成と健全な受注者の育成が何よりも大切であると思います。発注者と受注者のお互いプロとしての関係が大切であると思いますので、お互いが共有すべき情報は共有をして、都民に対して誇れる資産を残していくという同じベクトルでの努力は、やはり双方の緊張感を持ったコミュニケーションが私は大事だというふうに思っています。どうぞ、局長の今後の決意をお伺いいたします。
○村山財務局長 さまざまに示唆に富むご指摘をいただきまして、ありがとうございました。
東京都にとりまして、入札契約制度をどういう制度にするのか、それをどう運用するのかという問題は、非常に長い歴史の中での問題であるわけですけれども、いわば官の論理と民の論理というのが市場経済の中でいわばスクラッチで、どういうふうにお互いを調整して、ある成果物をつくっていくのかという行為でございまして、公が公の論理でずどんと何かをなすというわけではなく、さりとて、民民の世界ですべてが済むわけでもないという非常に微妙なところで成り立っているという問題だなというふうに私も痛感しておりましたし、今先生のご指摘をいただきながら、改めて実感をしていたわけでございます。
それだけに、ご指摘のありましたように、明治以来のいわば官公需の歴史といいましょうか、その中で民というものとのかかわりがどういうふうになってきたのか、あるいは戦後の問題あるいは最近におけるその辺の問題を含む非常に大きな変化みたいなものの中で、次にどういうふうに私どもが、都民からお預かりした税金で最もそれを効率的に生かして、都民にサービスとして提供できる都市、社会資本整備をなし遂げていくのかという大きな課題に向けての、この生きた経済社会において、次にどういうふうにやっていけばいいのかという大きな課題の中で、この問題というのも具体的に解決していかなければいけないというふうな問題だというふうに強く認識をいたしております。
それにつけても、やはり制度というのは、我々が共同してつくったわけですけれども、その制度を生かすも殺すもまた我々、人だということも事実なわけでございまして、その辺についても今、我々は大きな一つの転換点に立っているというふうに認識をいたしております。
まず、私ども公サイド、いわば官のサイドに立つ人について申し上げれば、当然、入札契約制度も大事なわけですけれども、それの前提としての設計であるとか、もちろん入札事務もございますし、工事監督、完了検査、成績評定など、いろいろな実務が実はその根っこのところにはあるわけで、それが有機的なつながりを持って初めて質の高い入札契約制度も発揮できるということでございます。
東京都だけのことについて申し上げれば、ここで一つの人材上の大きな転換点に今立っておりまして、一つは世代の交代という問題がございます。団塊の世代が多く退職期を迎えて、その後の転換という点においてなかなかギャップがあるというのが率直なところもございます。また、この間、財政再建のプロセスの中で、公共工事全体が量的にも圧縮される中で、工事発注量に見合いの形で技術系の職員についての数の調整もなされてきたというふうな経緯もございまして、いわばパワーの問題のところが一つ大きな課題になっているのも偽らざるところでございます。そういうベテラン技術職員の大きな減少、それから一方では、先ほど来のご指摘にもありましたように、より質に着目した工事の積算であるとか、あるいは施工監理というふうなものがより高いレベルが求められる中にあって、それを担う人材をどうやって確保していくのかということについての重大な課題というふうに私としては率直に認識をしているところでございます。
また、発注者と受注者との関係という面につきましても、またこれも曲がり角に立っているわけでございまして、確かに両者は社会資本整備におけるパートナーでございまして、よりよい公共工事を実現していくためには、そこでのよいコミュニケーションといいますか、必要な情報の共有というのがとても大事なことになるわけでございますけれども、この間、入札契約制度の透明性、公正性というような、一つのうたい文句というと語弊がありますけれども、課題の中で、やはり発注者側と受注者側との接触について、不必要な接触は行わない方がいいというようなご指摘等々ございます中にあって、本来、両者の間で共有された方がいいような情報あるいはされなければならないような情報のコミュニケーションにおいても、なかなか円滑にはいきづらい環境というものが生じてきているということもまた事実かなという可能性も否定できないという中で、両方のサイドのそれぞれの仕事を担っている職員や、あるいは民間の担当者の方々に、双方にいろいろな迷いであるとかつらさであるとかいうようなことを背負いながら今仕事をしているんじゃないかなと思っております。
そういう中で、いろんなそういう課題を背負いながら、今回私どもとしても研究会を、先ほど来ご報告させていただいた、あれは一次提言でございますけれども、立ち上げまして、本格的に、ある意味では非常に複雑な世界に踏み入れていこうという第一歩で、今回の一次提言はその第一段階での一つの成果ということで、まずはやれることをやろうじゃないかということで、一次提言については、直ちに私ども、先ほどご報告させていただいたように十月から実施をいたします。
先ほど来いろいろご指摘をいただいた点についても、直ちにできる点については、今回の実施方針で相当具体化をさせていただいたつもりでありまして、それを我々が主人公になっていろいろご指摘をいただきながら実際に動かしていく中で、また次のステップの知恵をつくり上げていこうという気構えで今、今回の一次提言に基づく実施方針というものは出させていただいたつもりでございます。
その研究会の中においても、先ほど来のお話のような、いわば歴史的な経過あるいは社会的な今後のありよう、官と民のかかわりといったような、いわば根幹にかかわる問題あるいは明治以来の会計法の上限拘束性、予定価格の上限拘束性、いわば官無謬主義といいましょうか、そういったものに、根っこのところにあって、それによって官を守るというようなことも、そのオリジナルのところではあったんだろうとは思うわけですけれども、そういうようなものが、社会の発展の中で今後どうしていくのかというふうな、相当根源的な問題に、どうそこにかかわっていけるのかということも、研究会の先生方においては共通の問題意識になっているというふうにも聞いておりますので、その辺の議論にも私ども依拠しながら、また先ほど来のご指摘にもしっかりと耳を傾けながら、今後、実のある、次の時代を切り開けるような入札契約制度の改革に取り組んでいきたいと考えております。
○高倉委員 それでは、報告事項につきまして、簡潔に質疑をさせていただきます。
今回の提言は、六月の研究会発足から二カ月で取りまとめたということでありまして、今後検討すべき課題も残っているようであります。その中で、都の施策の推進に寄与する社会貢献活動に関して、さきの代表質問で我が党の鈴木議員が質問をいたしましたけれども、それについて確認をさせていただきたいと思います。
まず、現在の工事契約制度の中で、政策目的を達成するため、事業者に対して行っている優遇措置について明らかにしていただきたいと思います。
○竹本契約調整担当部長 現在の工事契約制度の中で、政策目的を達成するため、事業者に対してどのような優遇措置を行っているかというお尋ねでございます。
現在、都の工事契約におきましては、環境施策と災害復旧に関する事業者の取り組みに対して、契約制度上で一定の優遇を行っているところでございます。環境施策につきましては、環境への負荷低減に取り組むために、ISO一四〇〇一を認証取得している事業者さんに対しましては、格付の優遇措置を行っております。災害復旧等については、技術力評価型総合評価方式において、評価項目のメニューとして、災害協定等の締結の有無あるいは緊急工事の施工実績を設定いたしまして、事業者の社会性、信頼性を加点評価しているところでございます。
なお、優遇措置ではございませんが、同じく環境施策への取り組みといたしまして、ディーゼル自動車の排ガス規制の遵守、グリーン購入法や東京都建設リサイクルガイドラインによる材料選定など、環境への負荷低減を工事の標準仕様として定め、事業者に対し、環境への配慮を義務づけているところでございます。
○高倉委員 今のご答弁で、都の施策の推進に向けて一定の取り組みが行われているということでありました。一つの契約において、本来の目的と政策目的の両方を同時に実現できるということであって、提言にあるように、今後拡大に向けて積極的に取り組んでいくべきと思います。
一方で、こうした取り組みを実現していくために、課題もあろうかと思います。今答弁にありました環境の施策については、事業者の評価に当たって、ISOシリーズの認証という基準を使って客観性を確保しておりますけれども、これがあいまいだと、優遇措置ではなくて不公平になる懸念もあると思います。また、基準がしっかりしていても、極端に高い目標を設定した場合には、負担が大き過ぎて、その達成が難しくなると思います。反対に、容易に達成できるような低い目標でも優遇措置の意味がないわけであります。
今後の検討の中で、事業者の社会貢献活動についてどう評価をしていかれようとしているのか、このことについての見解をお伺いいたします。
○竹本契約調整担当部長 ご指摘のように、政策目的の実現に向けて契約制度を有効に活用するというときに当たりましては、事業者の社会貢献活動を評価する客観的な基準や指標、適切な目標設定を十分検討することが必要であります。研究会では、事業者の社会貢献活動の評価対象、基準、目標、効果など、また、公正な競争を阻害しないか、あるいは品質確保に問題が生じないか、事業者に過大な負担をかけることはないかなど、さまざまな観点から幅広く検討していくことになると考えております。
○高倉委員 現在、都では、環境や災害復旧などに貢献している事業者に優遇措置をとっているわけでありますけれども、しかしながら、都が推進する施策や事業者の社会貢献活動はこうした分野に限られているわけではないと思います。私どもは、従来から障害者雇用の拡大を強く主張してきております。都も、「十年後の東京」実行プログラムにおいて、十年間で障害者雇用を三万人以上増加させることを目標に掲げております。障害者の雇用に限らず、福祉施策に貢献する事業者に対し、都の工事契約においても具体的な優遇措置を講じていく必要があろうかと思います。事業者の社会貢献活動の評価対象の拡大をどう進めていくのかについてのお考えをお伺いいたします。
○竹本契約調整担当部長 研究会の提言では、今後の検討の視点といたしまして、災害復旧、高齢者・障害者福祉などさまざまな政策目的の実現に向けて、契約制度を活用することが例示されているところでございます。
都といたしましては、ご指摘の福祉施策も含め、これらはすべて今後の研究会における検討の大きなテーマであり、実現に向けた具体的な議論がなされていくべきものと考えております。研究会での議論を踏まえまして、事業者の社会貢献活動の優遇措置の拡大など、都独自の入札契約制度の実現に向けて取り組んでいく考えでおります。
○高倉委員 質問の最後に、単品スライド条項のことについてお伺いしておきたいと思います。先ほども質疑がございましたので、私の方から用意をしていた質問をまとめて、一つだけお聞きしておきたいと思います。
さきの代表質問において、単品スライド条項の六月分からの適用実態、そして今後の状況を見据えた上で、資材別の一%、この早期撤廃について見解を求めたところであります。単品スライド条項は、そもそも鋼材などの建設資材の高騰に苦しむ事業者を救済するための措置でありまして、対象とする間口を広げていくことは必要であると思います。そして、負担の多寡にかかわらず、受注者として一律に対応することが求められていると思います。ある資材の価格高騰が大きくても、その資材の工事に占める割合が小さな場合は、変動額が一%に達しないことも考えられるわけであります。そうしますと、受注者の負担を軽減するはずの単品スライド条項は機能しないことになってしまいます。
したがって、この一%条項がなぜ必要なのか、改めてお伺いするとともに、この条項と同様の措置が、条項制定前の昭和五十五年度に特別措置として行われております。その際は、今回と異なり、資材価格の変動額の合計ということで、一定基準を超えれば契約変更の対象としたわけであります。今回なぜ品目ごとに基準額と比較をすることにしたのか、このことについて、最後にあわせてご見解をいただきたいと思います。
○竹本契約調整担当部長 なぜ一%条項が必要なのかというお尋ねでございました。
先ほど来申し上げてまいりましたけれども、単品スライド条項は、その価格が契約に大きく影響を与えると判断された資材を対象に契約金額の変更を行い、受注者の負担を軽減するものでございます。したがいまして、その資材が契約に与える影響を判断する、その判断基準として、一%という基準を設けているところでございます。
昭和五十五年のときには合算したではないかというお尋ねでございました。昭和五十五年の特別措置につきましては、石油価格の変動に起因して価格の著しい上昇が見られる資材のうち、あらかじめ調達、備蓄することが困難な特定の五品目の建設資材に限定して実施したものです。今回の措置は、鋼材類、燃料油に加え、対象資材を限定せずに拡大しておりまして、昭和五十五年のときとは異なった内容となっているところでございます。
○高倉委員 今いろいろとご答弁をいただきましたけれども、今回の条項適用の目的ということを再度強く認識すべきであろうと私は思います。
この件につきましては今後も注視してまいりたいと思いますけれども、適用状況を検証して、その適用実績が思うように上がってこないような状況であれば、資材別の一%、この早期撤廃も含め、適用条件の見直しを検討すべきである、このことを申し述べまして、質問を終わりたいと思います。
○曽根委員 最後ですが、契約問題について、ダブりがいろいろありましたので、絞りに絞って、二点まとめてお聞きしたいと思います。
今るるご質問があって、大分共感するところがあったわけですが、工事入札契約をめぐっては三つの大きな問題がある。一つは、予定価格が低過ぎるという問題で不調が起きているという問題は先ほど詳しくあったので、これは省略しますが、同時に、私、最低制限価格も今まで八〇%だったと。これにみんな張りついてしまうという現実があることは、前にもこの委員会でやりましたが、これがもうみんな赤字になるわけですよ。それがやっぱり実態を反映していないという問題がもう一つと、それから最近の資材高騰で、予想を超える資材の値上がりが、鋼材や燃料油だけじゃなくて、全体に及んできている。どれがこれから上がっていくかもわからないという時代の中で、それに対応する物価スライドが必要だ。この三つの問題があると思うんです。
一つお聞きしたいのは、単品スライドが、品目を拡大しても、全部単品ごとに一%の枠を超えないと適用にならない。適用になった後は〇・五で負担が軽減されるけれども、その壁があるということですよね。今もちょっと関連のお話がありましたが、私はやっぱり、工事資材全体の値上がりというのが予測を超えて起きているという事態だと思うんですね。いってみればインフレスライドが必要だという事態だと思うんです。それを今の制度の中でやることは難しいだろう、カバーすることは。ですから、ぜひとも総額、工事費用全体の予測を超える上昇に対して対応する物価スライド制度をつくってほしいということです。残念ながら、いいお答えが出そうもないので、少なくとも、今の単品スライド、若干改善はありましたけれども、やって実績がないということだったら、やっぱりその後見直しが当然じゃないかということについてはお答えいただきたいんですよ。
それから、最低制限価格も八五%に上げるというのは前進ですけれども、これは国がいっている基準なので、その後追いだけに終わらせるのではなくて、実態としては、かつて私もお聞きしたことがあるんですが、大体もうけの利幅として見ているのは数%だと。それをはるかに超える、赤字ぎりぎりラインといっても、八五%といっても、実態は赤字になっている。ましてや現場で下請のところでは全然採算が合わないという実態がありますので、これも実際には八五%で張りついてしまうというような事態になった場合には、やはりこれも今後見直しがあり得るというふうに考えるべきだと思うんですが、この二つについて、いかがでしょうか。
○竹本契約調整担当部長 単品スライド、私ども、単価につきましては、建設資材の上昇というか、建設資材の価格変動につきましてはウオッチしておりますので、その中であらゆるものが上がっているというふうには報告を受けておりません。今回のように一部の特定資材の価格上昇が見られる中におきましては、単品スライドの適用が最適であるというふうに考えております。
最低制限価格をさらに上げるべきだと、今、曽根理事のご提案というか、ご意見というか、いただきましたけれども、今回、最低制限価格をどうするべきかという研究会の議論の中で、そもそも、まず最低制限価格とは何か。工事の適正な履行を確保するために、予定価格が極端に低額で入札した場合は失格とし、工事品質を価格面から担保する仕組みであるということを確認しております。新たな基準、仮説で、基準で検証、シミュレーションしたわけですけれども、大半の工事が予定価格の八五%以下に、新たな算式でやりますと最低制限価格がその範囲になるものですから、適用範囲の上限を八〇%から八五%に引き上げるとしたものでございまして、さらなる引き上げは考えておりません。
○曽根委員 私は、やっぱりやってみて、これは実績がなければ見直すしかないんですよ。そのことについてのお答えは、残念ながら今いただけませんでしたが、もう官がパーフェクトだという時代ではないというのは、局長さんの答弁の中にもちらっと出ましたので、そういう時代に入っているということを踏まえて、現実に工事現場では、やっているのは元請の人じゃないんですから、そこはもう日雇い派遣とアルバイトのメッカなわけです、工事現場は。また、ほかのいろんな発注でもワーキングプアが広がっているんですよ。そういう中で、例えば雨が降っても下水道工事をやめられないという現実があって、事故も起きているわけです。そこまで来ているわけですから、やはり現場、実態に即した契約のあり方を、先ほど、パートナーとか温かみのあるというのであれば、現場に即した実態に本当に近づける努力をやってもらいたいということは申し上げたいと思います。
終わります。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十六分散会
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