財政委員会速記録第五号

平成二十年三月十八日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十三名
委員長鈴木あきまさ君
副委員長西岡真一郎君
副委員長高倉 良生君
理事宇田川聡史君
理事秋田 一郎君
理事曽根はじめ君
伊沢けい子君
原田  大君
高木 けい君
野上ゆきえ君
遠藤  衛君
東野 秀平君
桜井  武君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長村山 寛司君
経理部長新田 洋平君
参事竹本 節子君
主計部長真田 正義君
財産運用部長塚本 直之君
建築保全部長戸田 敬里君
参事岡沢  裕君
参事山本 康友君
会計管理局局長三枝 修一君
管理部長細野 友希君
警察・消防出納部長堀切喜久男君
参事安藤 弘志君

本日の会議に付した事件
 会計管理局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出 会計管理局所管分
 財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入・歳出・債務負担行為-議会局・財務局所管分、都債
・第十五号議案 平成二十年度東京都用地会計予算
・第十六号議案 平成二十年度東京都公債費会計予算
・第百三十一号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入
付託議案の審査(質疑)
・第五十一号議案 東京都債権管理条例
・第五十二号議案 東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 東京都減債基金条例の一部を改正する条例

○鈴木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び財務局関係の予算の調査並びに財務局関係の付託議案の審査を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○東野委員 本日は、会計管理局が所管する事務のうち、都財政に直結するといった意味におきまして、極めて重要な公金の収納事務について何点か質問をいたします。
 都民の方々は、金融機関を通じまして、税金を初めとするいわゆる公金を納めておりますが、このような公金の収納は、平成十八年度について見ると総額五兆四千億円、その件数は一千七百万件に及びます。このように東京都の公金収納は、その金額、また件数ともに膨大なものであり、都民の方が身近なところで公金を納めることができるようにすることが、とりわけ重要となるわけであります。
 ところで、昨年、公金収納の手数料のいわゆる引き下げをめぐりまして、ゆうちょ銀行と東京都の交渉が難航しているというような記事が出ておりました。いうまでもなく、郵便局は地域に密着した金融機関であり、公金収納の利便性を確保する上で重要な役割を果たしているわけでございます。
 そこで、第一点目、お伺いいたします。
 このゆうちょ銀行との交渉では何が争点だったのか、説明をお願いいたします。

○細野管理部長 都民の方が、金融機関を通じて東京都に税金を納める場合、金融機関に対して支払う手数料は、納入したご本人ではなく、東京都が負担しております。
 金融機関の窓口で納めていただく場合、一件当たりの手数料は一般の銀行の場合二円ですが、ゆうちょ銀行の前身である旧日本郵政公社の場合は、平均して一件当たり六十五円となっていました。これは、旧日本郵政公社の場合、郵便振替法という法律に基づいて全国一律の手数料を決めており、収納金額の千分の一に二十円を加算した金額をもって、一件当たりの手数料としていたことによるものであります。
 私どもは、昨年十月一日の郵政民営化に伴って郵便振替法が廃止されるとともに、ゆうちょ銀行として民間銀行となる以上は他の銀行と同じ条件とすべきと考えましたが、ゆうちょ銀行は、旧来の手数料の維持をかたくなに主張していたため、交渉が難航しておりました。

○東野委員 交渉の争点といいますか、よくわかりました。
 ところで、郵便局における窓口収納の東京都の実績についてお伺いしたいと思います。

○細野管理部長 旧日本郵政公社の窓口収納を、平成十八年度の実績において見ますと、件数が六十八万件、支払った手数料が四千四百万円となっております。もし、旧日本郵政公社の手数料が他の金融機関と同額の二円であったといたしますと、支払うべき手数料は約百三十万円となります。

○東野委員 ただいまの答弁にもありましたように、旧日本郵政公社の手数料は民間銀行に比べて著しく高額であり、それは東京都だけではなく、もちろん全国の自治体にも及んでいたということであります。
 ゆうちょ銀行としては、このような既得権益ともいうべき手数料収入を失いたくない、こういった思いがあったんだというふうに思います。しかし、仕事の内容は同じなのに、他のいわゆる一般銀行の三十倍を超えるような手数料を取るようなことが許されていいはずはありません。民間企業と競争条件を対等にするといった郵政民営化の理念からいっても、当然、窓口収納手数料は他の銀行と同額にすべきであります。
 東京都においては、このような理不尽な主張に対しまして、どのような交渉を進め、また、いかに決着をしていったのかを伺います。

○細野管理部長 少し長くなりますが、経緯をご説明させていただきます。
 私ども会計管理局は、郵政民営化の後は、他の民間銀行と同一の手数料とするのが筋であると主張してきましたが、旧日本郵政公社は、民営化直前まで従前の手数料を継続したいの一点張りであり、議論は平行線をたどっていました。
 そこで、民営化を目前に控えた昨年九月、東京都は、民営化後の手数料を他の銀行に合わせるということを、四十七都道府県が統一して日本郵政公社に対して求めようと全国に呼びかけ、全都道府県の会計管理者の連名をもって、私どもの菅原副知事を先頭に要求活動を行いました。
 その後、折衝を重ねたところ、十一月、ゆうちょ銀行から、他の銀行と同額とするが、その時期は、システムの改修を要するため五年半後としたい旨の提案がありました。しかし、民営化後五年半にわたって郵政公社時代の手数料を払い続けるなど到底容認できるものではなく、私どもは、ゆうちょ銀行に対して再考を迫りました。
 翌月、ゆうちょ銀行は、さきの五年半を一年三カ月に短縮した案を提示してきましたが、私どもはさらなる期間の短縮を求めて交渉を継続しました。
 その結果、昨年の年末になりましたが、平成二十年度から、すなわちことしの四月から他の銀行と同様の手数料とするが、十九年度いっぱいは従前の手数料を維持する経過期間を設けてほしいという趣旨の提案を引き出すことができました。
 この提案に対する他の道府県の趨勢を見たところ、すべての道府県において、年度内は予算措置済みであることなどから受諾する動きが見られたため、東京都も本年一月、ゆうちょ銀行と合意しました。
 なお、東京都の場合、平成二十年度以降は、収納手数料が毎年、約四千三百万円節減されることになります。

○東野委員 冒頭にも申し上げましたように、郵便局は地域に密着した金融機関であり、また、過疎地域も含めて全国あまねくそのネットワークが張りめぐらされており、地域住民に対してはかり知れない利便性を提供しております。東京都においても、多摩地域や島しょでは、郵便局が公金収納の利便性確保に果たしている役割は極めて重要であります。
 今回の東京都の交渉は、手数料の適正化といった財政的な面ばかりではなく、身近なところで公金を納めることができるようにという住民の利便性の確保を全国的に実現したわけであります。まさに全国の自治体のリーダーとしての役割を果たしたのではないかなというふうに思います。
 我が党は、かねてより、都民の利便性向上を図るという観点から、いわゆる公金収納方法の多様化を訴え続けてまいりました。この結果、東京都においては、銀行のATMやインターネットを通じた収納方法であるマルチペイメントネットワーク、コンビニエンスストアにおける収納などが導入されて、次第にその対象も拡大されております。
 今後とも、ぜひ都民の利便性向上のためのさらなる充実の検討をお願いいたしたいと思います。
 最後になりますが、都庁の公金収納を統括する会計管理局長に、今後の決意を伺い、私の質問を終わります。

○三枝会計管理局長 現在、公金の支払い方法は、施設や銀行などの窓口のほか、収入証紙、あるいは口座振替といったものが中心となっておりますけれども、ただいまお話がありましたように、公金収納のあり方は時代の変化とともに大きく変わる時期を迎えているんだというふうに考えております。
 そうした中にあって、これまでの方法が果たして効率的であるのか、都民の立場から利用しやすいものとなっているのかといった点について不断の検証を行うことが必要であると同時に、新たな、そしてまた、多様な収納方法についても、同様の視点から検討を深めまして、ハードルを一つ一つ越えていくことが求められているというふうに認識をしております。
 会計管理局といたしましては、このような認識のもとに、都民の皆様がいつでも、どこでも支払えるようにすることを究極の目標に据えまして、効率的で合理的な公金収納の実現に向けまして、着実に取り組んでまいる所存でございます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、債務負担行為、議会局・財務局所管分、都債、第十五号議案、第十六号議案、第百三十一号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入及び第五十一号議案から第五十三号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田経理部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 まず、表紙をおめくりいただきまして、今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり、三件でございます。
 一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号は、平成二十年度予算案に係る新たな公会計制度の活用でございます。
 要求資料第1号は、一ページから五ページまでの資料でございまして、一ページは、平成二十年度予算案に係る新たな公会計制度の活用について、その概要を記載してございます。
 一枚おめくりいただきまして、二ページ以降は、新たな公会計制度の予算編成における主な活用事例につきまして、具体的に触れております。
 まず、現金主義と発生主義のコスト比較の例といたしまして、二ページでは東京港の水門管理における遠方監視制御システムの再構築について、三ページでは直営公園の指定管理者制移行について、それぞれ取り上げております。
 次に、四ページでございますが、ストック概念の導入による分析の例といたしまして、環境配慮型住宅の展示場について取り上げてございます。
 次に、五ページでございますが、その他マクロの視点による活用の例といたしまして、膨大な減価償却累計額が判明した点及び未収債権の状況が明らかになった点について取り上げております。
 次に、一枚おめくりいただきまして、要求資料第2号は、社会資本等整備基金の状況でございます。
 平成九年度から平成二十年度までの社会資本等整備基金の積立額、取り崩し額、年度末残高をお示ししてございます。
 なお、平成九年度から平成十八年度までは決算額、平成十九年度は最終補正後見込み額、平成二十年度は予算額でございます。
 次に、一枚おめくりいただきまして、要求資料第3号は、大規模施設等の改築・改修に関する実施方針における試算についてでございます。
 改修、改築の区分ごとに、試算額及び対象についてお示ししております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○宇田川委員 新銀行東京についてなんですが、減資について、ちょっとやりとりをさせていただきたいと思っております。
 減資をするかどうかは、銀行が判断すべき課題であります。都は株主としての立場でありますので、都がどのように対応していくかというのは、本委員会の所管に当たらないものだと思いますので、きのうも経済・港湾委員会でいろいろ議論があったようですが、こちらは私の方でお話はなしにして、本委員会においては減資を仮に行った場合に、財政にどんな影響が生じてくるのか。特に新銀行の出資金、これは都債が充当に当たっている、こういうお話なようでございまして、この都債の償還に関してちょっと質問を重ねていきたいと考えております。
 先日の予算特別委員会における産業労働局長答弁の中では、減資の有無について、銀行は今後の検討課題だとしている、こういう答弁がございました。
 ここにちょっと新聞の記事があるんですが、これによりますと、新銀行東京が累積赤字解消のため検討している減資を実行すれば、さらに四百億円を超える追加支援が必要になる、四百億円と合わせれば一千億円を超す。何のことはない、存続しても清算しても同程度の負担なのだと。こういう報道がございました。
 この報道の真偽のほどはどうなのか、ちょっと検証したいと思うんですが、仮に誤解があるんだということであれば、都民をいたずらに間違った方向に導く、こういうおそれがございますので、この辺についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
 現時点において、銀行が減資の意思決定を行っているわけではないということでございますので、減資があった場合の議論をするのは、今行うべきかどうなのか、時期尚早なのかなという向きもあると思うんですが、仮に減資が行われた場合の財政への影響は、制度上の話としてとらえるべき課題でございますので、ここはあくまで、先ほどから申し上げている、仮に減資が行われたという仮定の議論、こういう形を明確にした上で、幾つか確認をさせていただきたいと思っております。
 今申し上げた、この六百億円という数字の議論に入る前に、新銀行東京を設立した当時の出資金一千億円、この財源がどのようになっていたのか、改めてお伺いをいたします。

○真田主計部長 新銀行設立当初の平成十六年度に、新銀行東京に対しまして一千億円の出資を行っております。このうち、七〇%に相当する七百億円につきましては都債を活用しております。この七〇%という充当率は、公園整備等と同様でございます。なお、残りの三百億円は一般財源でございます。

○宇田川委員 今お話しがあったとおり、一千億円のうちの七〇%、七百億円ということになるんですが、これが出資債ということでありまして、この都債の償還はどのような形で行われているんでしょうか。また、その利子負担は幾らぐらいになっているのか、あわせて伺います。

○真田主計部長 新銀行東京出資債は、十年満期一括償還方式の市場公募債で発行してございます。発行は、平成十六年十月から平成十七年一月までの間に四回に分けて行っております。発行利率につきましては、一・四%から一・五三%でございまして、その十年間の利子負担は百億円となります。

○宇田川委員 十年間の利子は百億円ということでございまして、かなり多額な利子負担になっているわけでございます。
 満期一括で償還するときの財源はどのように手当てをするんでしょうか。
 また、この都債のために減債基金を幾ら積み立てていて、今後、幾ら追加で積み立てなければならないのか、お伺いをさせていただきます。

○真田主計部長 この起債につきましては満期一括償還でございますので、この償還財源につきましては、毎年度一定のルールで減債基金に積み立てることとしております。この出資債につきましても、こうしたルールに基づきまして、十九年度、二十年度、両年度合わせまして六十三億円の積み立てを行ってございます。出資債七百億円からこれまで既に積み立てました六十三億円を差し引きますと、残りの積み立てるべき金額は六百三十七億円になります。
 また、利子負担についてでございますけれども、ご指摘のように、起債をすれば当然に必要な時間のコストでございます。これは、道路整備あるいは学校の建設などのために起債する場合と同様でございます。

○宇田川委員 今お話しの中で、七百億から六十三億を引いた額が六百三十七億円というお話でありまして、先ほどの新聞にあった六百億円を超えるという部分は、この数字なのかなという思いがございます。それによると、減資された場合に、都債の一括繰り上げ返済が必要となるため、六百億円の追加負担が必要となると、こうあるわけでございます。
 仮に減資があった場合に制度上どのようになるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

○真田主計部長 この都債につきましては、将来にわたり出資が維持されることを前提として発行されております。そのため、仮に減資がなされた場合には、出資が維持できなくなったことになりまして、それへの対応が必要となります。
 その場合の対応方法につきましては、その際に実際は検討することになりますけれども、この都債が多数の投資家が購入する市場公募債でありますので、繰り上げ償還はできません。こうしたことから、減債基金への積み立て等によることになると思われます。

○宇田川委員 今のお話を伺っていると、追加負担という言葉がどうなのかという話がちょっと疑問になるのかなと。言葉じりだけをとらえることは本質を見失うことになりかねないと思いますけども、追加負担という言葉だけを取り上げて読み取ると、本来出さなくてもいい経費なのに、追加で新たな負担が生じる、こういうふうに読み取れるわけでございまして、これについてどう思っていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○真田主計部長 減資につきましては、現在、新銀行東京におきます検討課題とされておりますので、あくまでも仮定の話ということでございますけれども、その場合にありましても、そもそも、先ほど説明しましたルールに従いまして、毎年度減債基金に積み立てていくべき支出につきまして、その積み立ての時期が前倒しになるだけでございます。いわば支出の時期を早めただけでございまして、したがいまして、これは追加負担というべきものではないというふうに考えます。

○宇田川委員 都債というのは、発行した時点で償還年限に合わせて、いずれ返済しなければいけないというのは当然でございまして、明らかなことでございます。
 今回の件は、都債の償還に必要となる減債基金を毎年度計画的に積み立てていくというのか、今お言葉にありましたが、前倒しして一度に積み立てるのか、こういう違いの話だということでございまして、であれば、前倒しの対応という言葉の方が、今の答弁を伺うと適しているのかなと、追加という言葉はちょっと私の中でいかがなのかなというふうに思います。
 新聞では、事業清算に必要な一千億円ということと、先ほどの四百と合わせての一千億円、これを混同している向きがあるように感じられますけれども、事実はどうなのか、どう認識されているのか、お尋ねいたします。

○真田主計部長 都が発行いたしました都債は、償還時には償還すべきものであるという点につきましては、追加出資の場合も、事業清算の場合も、何ら変わるところがございません。したがいまして、事業清算の場合には、減債基金の支出時期を前倒しする必要がないということにはなりません。追加出資の場合と同様の取り扱いになります。
 減資の際に生じる、既に発行した都債に係るこうした減債基金の積み立て時期の前倒し額六百億円は、先ほど申し上げましたとおり、追加負担ではございません。いわんや、この額と追加出資額四百億円を加えて、事業清算額の追加負担と比較することは全く正しくないというふうに考えます。その額が同じだという認識についても、同様に誤りと、全くその認識が違うんじゃないかというふうに考えております。

○宇田川委員 追加ではない、あくまでも前倒しだ、こういうお話でありますが、前倒しだとしても、一時期にふえることは確かではないか、こういった話も出てくるんじゃないかなと思います。この点についてはどうお考えなのか、お尋ねをいたします。

○真田主計部長 都債は、ご案内のとおり、世代間の負担の公平ですとか、あるいは財政支出と財政収入の年度間の調整機能など、さまざまな役割を持っておりまして、都債の償還も、償還年限トータルで考えるべきだというふうに考えます。
 今回、仮に減債基金積み立ての支出時期を前倒しした場合にも、その分は後年度の負担を減少させることになりまして、償還年限全体では負担額に変更はございません。その意味で償還年限トータルで考えますと、その影響はチャラになるというふうに考えております。
 もとより、仮に一定の措置を講ずる必要が生じた場合には、公債費の削減努力などによりまして、財政への影響を最小限にとどめてまいります。

○宇田川委員 今、チャラというお話がありましたが、行って来いで同様だと、こういうお話でありました。
 このことについていろいろお話をさせていただいたんですが、予算特別委員会、経済・港湾委員会を通じていろいろ質疑も行われてきたんですが、この新銀行東京によって、設立当時から数年たつんですが、危機的状況を乗り切れたという中小企業も決して少なくないのは事実でございます。しかし、だからといって、さまざまな問題点の指摘が出てきたことも、これは事実でございますので、安易に税金を投入すべきではないと私も思っております。
 今、我々がしっかりと見詰めなければいけない、考えなければいけないのは、現在の取引先である企業についての影響がどうなのかということをしっかり検証することと、やっぱり何より都民の負担が最小限に抑えられるためには、これをどうしたらいいのか、どうすべきか、こういうことを最優先に考えるべきだと思っております。
 こうしたことを、そもそもの本質をしっかりととらえた上で、申し上げましたとおり、何より都民第一とすべきことを改めて申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 続いて、債権管理条例についてお伺いをいたします。
 債権管理の取り組みについては、昨年の第三回定例会において、我が党の代表質問がありまして、そこにおいて、十八年度年次財務報告書に関する質疑の中で取り上げさせていただいております。
 年次財務報告書においては、一千三百五十八億円の未収債権が存在するなど、債権管理をめぐる課題が浮き彫りになりまして、債権管理の取り組みを一層強化していくために新たな条例を検討していると、こういうことでございました。
 多額の未収金が存在することを考えれば、債権の管理を今まで以上にしっかりきちんと行っていくべきなのは当然でございます。年次財務報告書が明らかにした問題に対して、時を置かず対処すべく条例制定に至ったことは評価をさせていただいております。
 条例制定によってどのような取り組みを行って、どのような効果が期待できるのか、まず、管理についての具体的な取り組みについて伺いたいと思うんですが、債権管理体制の整備とはどのようなことを行っているのか、まず最初に伺います。

○真田主計部長 都が有します債権は、その債権の種類ですとか、債務者、あるいはその金額の多寡など多種多様でございまして、それらに応じたきめ細かな対応が必要でございます。そのため、債権管理の主体は各債権に係る事業を所管する各局のそれぞれの部署が基本となります。しかし、これまではおのおのの所管の部署が、それぞれの立場で債権の管理に取り組んでまいりましたため、実情に即した対応が可能な反面、部署をまたがった徴収のノウハウの共有ですとか、連携が不十分でございまして、また、部署によりまして、取り組みに温度差があったことも事実でございます。
 そこで、今回、新たに条例を制定いたしまして、全庁的な債権管理の一層の適正化を推進することといたしました。このため、債権を所管する各局に債権管理者を置きまして、局を挙げた取り組みの推進、あるいは連絡調整を行うとともに、財務局や徴収に関するノウハウを有する主税局が中心となりまして、庁内に債権管理調整会議、これは仮称でございますけれども、そういったものを設置しまして、各局の取り組みを全庁的に支えていくことにしました。

○宇田川委員 今までは債権管理が各局のそれぞれの現場に任されていたということで、失礼な話ですけど、ばらばらだった取り組みだと、こういうお話でございまして、それぞれの局単位で、さらに財務局が中心となって全庁的な取り組みにまとめ上げていけば、この各局の連携とか、ノウハウの共有化とか、いろんな効果が期待できると考えているところであります。
 今、主税局のお話が出たところなんですけれども、都税における徴収ノウハウを生かしていただいて、平成十六年度から各局と連携をし、債権回収の取り組みを進めてきたんだと、こう伺っております。
 今回の取り組みと、今まで行ってきた主税局がやっている債権回収の取り組み、この違いはどんな点なのかをお尋ねいたします。

○真田主計部長 主税局が取り組んでまいりました債権回収の取り組みでございますけれども、これは各局が所管する累積した未収債権の回収処理を目的としてございます。具体的には、各局の回収困難案件を主税局が引き取って行う直接回収ですとか、あるいは各局の債権管理担当職員向けのOJT、あるいは研修会などの間接支援を行ってまいりました。これによりまして、四年間で五億円を超える回収を達成するなど成果を上げて、今年度末で一定の取り組みを終了いたします。
 来年度からは、この債権管理条例を所管する財務局が中心となりまして、また主税局さんの協力も受けながら、これまでの取り組みをより発展させまして、全庁的な債権管理体制を整えまして、各局の債権管理の適正化を推進してまいります。
 その中では、従来からの未収債権への取り組みはもちろんのこと、債権の発生段階からそこに至るまでの徴収のプロセスや手続、あるいは履歴の管理などを含めまして、トータルで債権管理を行っていくことによりまして、未収債権そのものの発生抑制にも努めていくことになります。

○宇田川委員 今お話しを聞いてわかったんですが、主税局が回収を中心とした取り組みを行ってきた。今回、財務局主導では管理全体に目を向けた取り組みに発展をさせていく、こういうことなんだろうなということで理解をさせていただいております。
 一つの取り組みをそこで終わらせるのではなくて、次へ次へ引き継いで、さらによいものとしていくということは、行政の手法として非常に大切なことでありまして、一定の評価をさせていただきたいと思っております。
 しかし、それら債権管理の取り組みを行っても、なおかつ回収できない債権は発生します、当然に発生していると思います。それらの欠損処理について、条例では私債権の放棄についての定めが書いてございますが、その考え方、中身についてお聞かせをいただきたいと思います。

○真田主計部長 適正な徴収努力を尽くしましても、債務者の無資力などによりまして、実質的に回収が不能となっている債権につきましては、都の資産規模の正確な把握ですとか、あるいは債権管理コストの節減の観点から、適切に欠損処理を進めていくことが必要でございます。しかし、欠損処理は、回収できていればさまざまな施策を行うに当たって活用できたであろう貴重な財源を失うことでもございまして、その遂行に当たりましては慎重な判断が必要でございます。
 また、欠損処理が安易に行われますと、債務者間のモラルハザードを引き起こすことにもなりかねないと考えております。そのため、条例では、債権放棄の対象となります債権につきまして、消滅時効に係る期間を経過し、かつ債務者が時効の援用すると見込まれる場合に限定してございます。この場合、単に時効を迎えたかどうかということだけではなくて、それまでに適正な徴収手続を行ってきたのかどうか、あるいは真に回収の可能性がないのかどうかということなどにつきましても、十分な検証をした上で欠損処理を行ってまいります。
 また、債権を放棄したときは、当然のことながら議会に報告するとしておりまして、これは行政としての説明責任の徹底、あるいは手続の透明性の確保を図っていく観点から義務づけたものでございます。

○宇田川委員 回収見込みがない債権を引き続きずっと管理し続けるということは、財務諸表などとの正確な財産規模の把握を阻害する要因にもなることと思います。適切に欠損処理を進めることは必要であると私も思っております。
 今回の条例は、本来貴重な財源である債権の放棄を一定の範囲で議会の議決によらず処理することも認める、こういうものでございます。やっぱり決してやってはいけないのは安易な放棄だということでございまして、安易な放棄をされないように、厳正な運用をきちっとしっかりとやっていただくことを要望をさせていただきます。
 条例制定というのは、あくまでもスタート地点に着いたばかりでございまして、今後いかに運営をしていくかが肝となるわけでございます。
 今後の債権管理に向けた局長の決意をお伺いさせていただき、私からの質問は終わります。

○村山財務局長 伝統的な公会計の制度においては、ともすればフロー中心といいましょうか、毎年のいただいた税金をどうやって活用していくのかというところに全体的な関心がどうしてもいってしまって、その結果、蓄積する資産というところについては、どうしても弱いといいましょうか、関心が薄いというのが、残念ながら伝統的な公会計制度の中ではある一つの弊害というふうに私ども認識しておりまして、それが、ご指摘いただきましたように、今回の公会計制度で資産というのが観念ではなくて、計数としてしっかりと記録に残っていく、挙がってくるというふうになっております。
 そこをいわば一つの好機といたしまして、私ども、これをちゃんとすぐに生かして、日常的な仕事の中身の方にそれを生かしていくということが必要ではないかということで、今回、条例を提案させていただいているわけでございます。
 そういう意味では非常に地味ではございますけれども、日本の公会計制度の中においては、非常に画期的な一つの流れではないかというふうに、いささか自負はしているわけでございますが、お話しいただきましたように、条例を制定するというのはスタートでございますので、これからは一生懸命回収するという努力、同時にそのために前提となる債権という資産そのものをしっかりと把握をして、それらの中身を分析をしていくというような日常的な仕事の充実を含めまして、現場の新しい債権管理の業務の活性化を今後とも進めていかなければならないというふうに考えております。
 したがいまして、今後とも、実際に債権を管理していただく各局と手を携えながら、議会の皆様方の厳しいご指摘をいただきつつ、一歩一歩前進してまいりたいと決意しているところでございます。

○西岡委員 まず最初に、平成二十年度補正予算案、新銀行東京に対する四百億円の追加出資に対する東京都の基本的な考え方について、伺わせていただきたいと思います。

○真田主計部長 今回の補正予算案の基本的考え方でございますけれども、先般の委員会でもご説明しましたとおり、今回の補正予算は新銀行東京への追加出資を行うものでございます。財源につきましては、財政調整基金を取り崩して対応することとしております。

○西岡委員 実は昨年度も追加補正予算案がありました。このケースは、昨年の一月十六日に都区協議が合意されての二月七日の提案理由であって、今年度のものは、これは議会開会の前日、十九日ですね、二月十九日に要請があったという大変異例な予算案だと思うんです、時期的に見れば。
 東京都によれば、二月十九日に新銀行東京から、正式に追加出資の要請があって、翌日の二十日に都が補正予算案として都議会に議案を提案上程したわけでございます。これはまさにスピード決裁だと思うんですね。
 この一日間の補正予算の調製、例えば見積もりの精査やヒアリングの実施、知事査定など、都としても容認する、議会にも十分説明ができる、他の議案と同様の調整を行い得たのかどうか。ここは財政委員会ですから、きちっと、問題がなかったのかどうか、確認をしておきたいと思います。

○真田主計部長 今回の補正予算案につきましても、関係局と調整しまして、必要な検討を行った上で、最終的には知事の判断で決定したものでございます。ご理解願います。

○西岡委員 予算調製には問題なかったというご見解だというふうにご答弁されたものだと受けとめます。
 この補正予算案は、新銀行東京の案件のみの予算案でございますけれども、この根拠となっている査定に関しまして、六ページの新銀行東京再建計画や、補足資料ということで、この四百億の追加出資が一日で了承されたというこの事実そのものは、問題なかったというご答弁がありましたけれども、私にとっては大変驚きであるということは主張させていただきたいというふうに思います。
 続いて、この出資の財源がなぜ財政調整基金からの取り崩しとなったのか、伺っておきたいと思います。

○真田主計部長 事業の財源の選択に当たりましては、その時々の財源の状況、あるいは事業や財源の性格、さらには将来の財政状況に及ぼす影響などを勘案の上、判断してございます。
 こうした観点から、今回の追加出資の財源につきましては、将来に向けた財政的な影響ですとか、現在の基金の積み立て状況、出資額の規模などを総合的に判断しまして、基金を活用することといたしました。

○西岡委員 基金の取り崩しとなったわけですけれども、これは都民から預かった公の財産をもって追加の出資を行わなければならない事態なんですね。都財政から判断しても、この四百億円の追加出資というのは、財政から見てもその深刻さというものをひしひしと痛感をしているところなんですけれども、知事は、この追加出資をせざるを得ないとした決定に、発案者としての責任をやっぱり強く感じなければいけないだろうということは指摘しておきたいと思います。
 東京都は、平成十六年度東京都予算において減債基金の積み立ての一部六百十二億円の計上を見送り、他会計からの借入金の返済六百億円を繰り延べるなど臨時的な財源対策を行って、苦しい中で財政再建の取り組みを行っていました。平成十六年予算においてはですね。
 一方、限られた財源で施策を厳選して、東京発金融改革として新銀行東京を設立して、一千億円を出資したわけでございます。
 新銀行設立当時の出資時の都の財政状況と、当時の出資の意義について確認をしておきたいと思います。

○真田主計部長 ただいま先生、お話しにありましたとおり、平成十六年度の予算編成時は都財政も非常に厳しい状況に置かれておりました。また、そういう状況の中にありまして、当時は多くの中小企業も資金繰りにあえぐなど困難な状況に直面してございました。そうした中にありまして、都は厳しい財政状況にございましたけれども、出資を行いまして、新銀行を設立したものというふうに承知しております。

○西岡委員 知事は、平成十五年の二期目の東京都知事選挙において、この新銀行設立を公約に掲げて、負の遺産のない全く新しいタイプの銀行ということで、胸を張って設立をうたった新銀行東京であります。
 一方、地方自治体の歳出は、地方債以外の歳入をもって財源としなければならず、地方債をもってその財源とすることができる場合について制限がありますけれども、そこで伺いますが、新銀行設立時の出資金の財源は、先ほど宇田川委員も議論をなさっておりましたけれども、都債が七百億円、一般財源が三百億円となっております。
 ここで、都債を発行した理由について確認しておきたいと思います。

○真田主計部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、設立当初の平成十六年度に新銀行東京に対しまして、一千億円の出資を行っております。
 事業の財源の選択に当たりましては、先ほどの質問でもお答えしましたとおり、その時々の財源の状況、事業や財源の性格、あるいは将来の財政状況に及ぼす影響などを勘案の上、判断したものでございます。
 こうした観点から、出資の財源につきましては、都債を七百億円充当したものでございまして、残りの三百億円は一般財源でございます。
 この出資金に充てます地方債の充当率は七〇%でございまして、この充当率は公園整備等と同様でございます。

○西岡委員 この七〇%というのは、恐らく上限いっぱいのところということですね。ですから、当時は財政状況が大変に厳しかったので、都債を上限いっぱい発行せざるを得なかったということなんだろうというふうに思います。
 確かに財政再建を進める東京都は、この将来の財政負担を考慮して都債発行の抑制を続けていました。そういった時期に、都が大きな投資として新銀行東京の立ち上げを進めたわけでございます。
 当時、都債発行には地方債許可制度ということで、地方分権一括法の制定前の状況ですね、総務大臣と知事との協議と同意の許可が必要であったというふうに理解をしております。当時、七百億円の出資債発行における総務大臣との協議において、国から、東京都が新銀行東京設立のために七百億円の都債を発行することに関して、何か意見があったのかなかったのか。あったとすれば、具体的にどのような意見があったのか、伺っておきたいと思います。

○真田主計部長 平成十六年度の出資金に都債を充当する際に、ただいま先生からお話しございましたとおり、総務省との協議を行いました。総務省からは、今、先生が引用なさいました地方財政法五条第二号、すなわち出資金が地方債の対象になるかどうか、また、その要件を満たすかなどのやりとりが総務省との間でございまして、最終的には妥当であるということの意見をいただきました。

○西岡委員 最終的には妥当であったということで、総務省から理解をいただいたということだと思うんですけれども、当時、総務省が許可をしたときの都が示したいろんな条件、新銀行東京の、例えば再建計画であるとか、いろんな銀行の可能性についても恐らくやりとりがあったんだと理解するんですね。
 そういう意味では、今新銀行東京が置かれている現状というのは、当時総務省と合意をした見通しと大分違っているのではないのかなというふうには感じておりまして、そのことは指摘をしておきたいというふうに思います。
 また、我々都議会民主党は、この新銀行東京への出資を含めた平成十六年度予算案に賛成する上で、東京都の再出資は行わないこと、節目ごとに経営計画を検証することなどを求めました。
 一方、経営の健全性の構築と監視を行うこととした付帯決議をつけ、慎重に慎重を期して進めてまいりましたが、そもそもこの財政委員会において、新銀行東京の設立の所管長であった、当時、大塚出納長、現在の新銀行東京取締役議長が、新銀行について経営健全性をしっかりと確保していくということで、税を再び投入することは毛頭考えておりませんと答弁をしておりました。また、同日、津島出納長室理事、現在の新銀行東京代表執行役も、新銀行には将来性があると述べ、設立を推進する答弁を行っていた経緯があります。これは平成十六年三月十八日の財政委員会であります。
 一方、当時の三木繁光全国銀行協会会長は、万が一、新銀行に損失が発生した場合には国民の負担にはね返ってくる懸念もなしとしないというコメントが載っておりました。また、一方、長野幸彦全国信用金庫協会会長も、経営が行き詰まり、不良債権化する貸出先が出てきた場合の損失負担処理をどうするのかという懸念も表明されておりました。
 金融界トップによる将来を予測した発言なんですけれども、新銀行が現在、追加出資が不可避である事態に陥っているという東京都の考え方、新銀行東京の考え方は、これはだれの目にも明らかになっているわけであります。
 また、東京都は、都債は市場において都の財政力や、その安全性が高く評価されていると述べております。
 二月十四日に、都が赤字が続いている新銀行東京に四百億円を追加出資すると報じられてからの今日まで、連日多くの報道が行われております。そこで、今回の新銀行東京の経営悪化に対して、都債に投資を行っている都民を含む投資家や企業の方々から、都に対する問い合わせや反応があったのかなかったのか。あったら、その中身について教えていただきたいと思います。

○真田主計部長 都債に対する投資家からは、今回の新銀行東京の追加出資に関連する特段の問い合わせは来てございません。

○西岡委員 わかりました。特段ないということでございます。
 少し都債の方に話を移していきたいと思いますけども、投資家から新銀行東京に対する問い合わせがないということですが、実は都民はますます懸念を抱きつつあるという状況なんですね。
 それでは、新銀行東京設立時の起債七百億円は、これは四回にわたる東京都公募十年債として、利率一・四%から一・五%で発行されておりました。我々もそれなりに調査をさせていただきました。十年債では七百億円の出資債を平成十六年度から十年後の平成二十六年度に全額償還した場合の想定利子総額は、先ほど百億円というご答弁がございました。
 財政委員会ですから、詳細についてお伺いしておきたいと思うんです。数字を把握していると思いますから。
 四回発行されているんですが、四回の発行額の内訳、それから利率、それから四回の利子の総額、そして、結果として最終的に全体の利子総額の正確な数字、多分わかると思いますので、こちらについてお示しをいただきたいというふうに思います。
 また同時に、この都債は利子を毎年毎年決まった時期に都債を買った方にお支払いをしていて、最後、満期になったときに元本をお返しをするというやり方だと思うんですけれども、平成二十年度予算までに、これまでに支払われたこの利子の額、それから平成二十一年度以降の利子額が幾らなのかも、あわせて伺っておきたいと思います。

○真田主計部長 まず、新銀行出資金に対します七百億円の起債につきましては、先生お話しのとおり、四回に分けて発行しております。その内訳でございますけれども、一回目が平成十六年十月二十六日に百億円発行しまして、利率は一・四八%でございます。十年間の利子総額は十四億六千五百万でございます。次に発行しましたのが十六年十一月二十六日でございまして、起債額は二百億円でございます。利率は一・五三%で、利子総額は三十億三百万でございます。三回目の発行が十六年十二月二十七日発行日でございまして、百億円でございます。利率は一・四一%、利子総額が十四億七百万円でございます。四回目の発行が十七年一月二十七日でございまして、三百億円でございます。利率は一・四〇%で、利子総額四十一億五千五百万でございます。都合四回、合計いたしまして七百億円で、利子総額が百億、端数が三千百万円になります。
 このうち既にこれまで利子負担ということで予算計上してまいりましたのが四十二億円でございまして、残りの五十八億円が今後の負担ということになります。

○西岡委員 利子総額が百億円というのは、なかなかこれは表に今まで出てこなかった数字でして、都債を発行するという決断は、その後の財政にそれなりの大きな影響を与えるんだということをよくよく認識できるものだなというふうに思わせていただきました。
 この利子というものは、銀行の行方にかかわらず、常に必要になってくる利子だと思いますけれども、その点だけ確認したいんですが、銀行の行方にかかわらず、どんな状況になっても、この利息というものは毎年毎年必要になってくるものであると思いますが、間違いないでしょうか。

○真田主計部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、本件につきましては、満期一括償還の市場公募債でございますので、銀行の行方いかんにかかわらず、その償還までの間確実に発生しております。

○西岡委員 最後に、東京都がこの追加出資以外に検討した二つの想定について伺っておきたいと思います。
 新銀行東京がみずから事業清算を行い廃業する場合、または債務超過や預金払い戻し停止のおそれがあるとして金融庁からの指導によって破綻処理の発動がなされた場合において、きょうは財務局所管ですから、この出資債ですね、都債の具体的な扱いについて、これも仮定の話なんですけれども、検討した二つの想定になった場合の都債の扱いについて、具体的に伺っておきたいと思います。

○真田主計部長 出資債につきましては、将来にわたり出資が維持されることを前提として発行されております。したがいまして、今回検討しました、追加出資も含めまして三つの選択肢があったわけでございますが、そのいずれの場合でも出資が維持されなくなったことへの対応が必要になってまいります。
 その方法につきましては、その際実際には検討することになりますけれども、この都債が多数の投資家が購入する市場公募債であるので、繰り上げ償還はできないというのは先ほど申し上げたとおりでございまして、したがいまして、減債基金への積み立て等によることになると思われます。
 先ほどもお答えしましたとおり、銀行の出資債は十九、二十合わせまして六十三億の減債基金への積み立てを行っておりますけれども、まだ積立所要額として六百三十七億円が残ってございます。仮にそうした場合、その時点で所管局とも調整の上、対応を検討することとなります。
 もし必要があれば、予算上の措置を行うことになりますが、その方法、時期等につきましては、その時点で検討するものでございまして、現時点では未定でございます。

○西岡委員 いろいろとるる伺ってまいりましたけれども、東京都は、追加出資をした場合、その負担が少ないんだということをよく主張しますけれども、これまでの予特や経済・港湾の議論など、きょうまでの経過を見ておりましても、まだまだ新銀行の実態の解明が必要ですし、今後も経営悪化が続いていけば、さらなる追加出資が必要となる可能性もまだ残っているわけでございます。
 今回、議論を行って、私は、この地方自治体が主体となって銀行に出資を行って、自治体が銀行を設立していく難しさということをつくづく認識をしました。
 また、新銀行東京の出資金というものは、これは利払いを含めると、都費というものは一千百億円、出資金は一千億円ですけれども、都費としては百億円の利息があるわけですから、一千百億円相当必要になるということも確認をさせていただきました。
 よって、新銀行の設立に当たって、東京都はより一層の慎重さが求められていたのではないのでしょうかというふうに思います。
 今後は、我々都議会民主党は、予算特別委員会の締めくくり総括質疑において、さらに新銀行東京の実態と再建計画の検証を行うこととしております。そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○高倉委員 最初に補正予算の財源であります財政調整基金について、お伺いをしたいと思います。
 今回の補正予算では、新銀行東京への追加出資四百億円につきまして、財政調整基金を取り崩して行うというふうにされております。
 まず、財政調整基金の目的についてご説明をいただきたいと思います。

○真田主計部長 財政調整基金の目的でございますが、大幅な税収増があった場合には積み立てを行う一方で、景気変動に伴う大幅な税収減、あるいは緊急に対応が必要となった歳出要因が生じたことによりまして財源が不足する場合などに取り崩すことで、年度間の財源を調整し、長期的視点から都財政の健全な運営を図ることにございます。
 景気変動の影響を受けやすく、地方交付税の不交付団体である東京都にとりましては、重要なものでございます。

○高倉委員 この財政調整基金につきましては、平成九年度末にほぼ残高が底をつくというような事態もあったわけであります。そうした中で都は、都税収入が低水準で推移をするという中にありましても、確実に基金の積み立てを図ってきた、こうした経過があったと思います。
 今、答弁がございましたけれども、財政調整基金は経済の著しい変動等によって財源が不足する場合に取り崩すことで年度間調整を行い、長期的視点からの財政の健全な運営を図るということが重要な役目であると思っております。
 こうした財政調整基金の積み立ての目的ということを踏まえたときに、この財政調整基金から今回のような四百億円の出資金を出すということが妥当なのかどうか、このことにつきまして見解をお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 事業の財源の選択に当たりましては、先ほどもご答弁申し上げましたが、その時々の財源の状況、あるいは事業や財源の性格、将来の財政状況に及ぼす影響などを勘案の上、判断してございます。
 こうした観点から、今回の追加出資の財源につきましても、将来に向けた財政的な影響や現在の基金の状況、出資額の規模などを総合的に判断し、財政調整基金を活用することをさせていただくところでございます。

○高倉委員 私は、都の財政運営で最も心を砕いていかなければならない点というのは、都民生活に大きな影響、あるいは支障がないように、短期、長期の両面から万全の備えを図っていくということであるというふうに思っております。
 現在、財政調整基金の残高は約五千八百億円ということだと思いますけれども、将来の備えとしては十分ではないと、さきの平成十九年度の補正予算案の審議の中でも、これは財務局から答弁をいただいているところであります。
 したがって、今回この取り崩す四百億円という財源は、都にとっては、いわばとらの子の四百億円である、これを取り崩す場合の都財政への影響は決して小さなものではない、このように思うわけでありますけれども、都民生活への影響も含めまして、これについての都の所見をお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 この財政調整基金は、ただいま先生からもお話がございましたとおり、非常に重要な財源であるというふうに認識しております。
 今回は追加出資に要する財源に充当するため、将来に向けた財政的な影響や現在の基金の状況、出資額の規模などを総合的に勘案しまして、財政調整基金を取り崩して充当することとしたものでございます。
 この結果、財政調整基金の残高は、今回の四百億円を取り崩した後におきましても、なお二十年度末で五千四百四十四億円となる見込みでございます。
 もとより、基金の一層の充実を図ることは重要な課題であると考えておりまして、今後とも都民が安心して暮らせるよう強靱な財政基盤の構築に努めまして、基金の充実を図る一方、適宜適切に基金の活用をしてまいりたいというふうに考えております。

○高倉委員 財務局としては、財政運営にかかわるあらゆる事態、あるいは想定されることに対して備えを考えていくという責務があろうかと思っております。
 都は、今回この新銀行東京の追加出資ということを提案をしているわけでありますけれども、そうしますと、先ほども宇田川議員初め議論がございましたけれども、万一、新銀行東京が減資をするという可能性についても当然想定をされているというふうに思うわけであります。
 企業が経営不振に陥って追加出資を受けたときに、累積損失を相殺する形で資本金の減資を行うということがあるわけでありますが、仮に新銀行東京において、そのような減資が行われた場合に、都からの追加負担が生じるという指摘があったわけであります。この問題につきましては、既に予算特別委員会において、私どもの都議会公明党の吉倉議員が取り上げまして、それに対して局長から、単に支出時期を前倒しをするもので、それは追加負担というべきものではないと、こうした答弁をいただいているわけでございます。
 このときの答弁において局長は、この都債は公募債であって、繰り上げ償還ということにはならないと、このように言明をしておりますけれども、一括して繰り上げ償還にならないというのはどうしてなのかということについて、説明をいただきたいと思います。

○真田主計部長 市場公募債は満期一括償還として発行してございます。これは、投資家に対しまして、安定的な利払い等を担保することによりまして、都債の流動性を高めております。このため、繰り上げ償還はできないということで発行してございます。
 したがいまして、市場公募債で発行しております新銀行東京の出資債におきましても、仮に出資が維持されなくなった場合にありましては、繰り上げ償還によらない減債基金への積み立てなどで対応することというふうになります。

○高倉委員 また一方、財務局長は、この減資を実施した場合の可能性ある対応ということで、減債基金の積み立て時期の前倒しということになる、このように予算特別委員会でも答弁されているわけであります。
 この都債については、既に減債基金への積み立てを始めていると思われますけれども、その前倒しというのは具体的にどういうふうにすることなのか。仮定の話ではありますけれども、制度上、平成二十年度に六百億円以上を直ちに積み立てをする必要に迫られるというようなことが想定をされるのかどうか。そうなれば、都の財政運営にも多大な影響があるというふうに思われます。あるいはそうではないのか、この前倒しをしての積み立てということについて、具体的に所見をお伺いしておきたいと思います。

○真田主計部長 この減資につきましては、現時点におきましては、新銀行東京におきまして今後の検討課題とされているものでございまして、仮に将来そうした話があれば、所管局とも調整の上、対応を検討することとなります。
 もし必要がある場合には、予算上の所要の措置を講ずることとなりますけれども、その方法、時期等につきましては、その時点で検討するものでございまして、現時点では、申しわけございませんけれども、未定でございます。

○高倉委員 今、積み立て時期は未定というお話がありました。逆にいいますと、仮に減資が実際の話となった場合に、すぐにでも減債基金に積み立てる必要性が生じる、こうした可能性も否定できないということであると思います。そうした場合には、当然そのための財源が必要になってくるわけであります。
 財源の確保については、都ではこれまで、二次にわたる財政再建推進プランを通して歳入確保努力を進める一方で、行政の効率化を図って財政が厳しい時期を乗り切ってきたということであります。
 また、税収が好調な十九年度においても、歳出の洗い直し等々行いまして、法人事業税の国税化対策特別基金の原資に充てるなどの都がみずからの努力で財源のやりくりをしてきたこと、これは周知の事実であると思います。
 現時点ではあくまで仮定の話ということでお話をさせていただきましたけれども、減資が行われる際には、追加負担でこそないものの、実際に多額の支出が必要になりまして、それが都民生活に影響を及ぼすことが懸念をされるわけでありますけれども、それに対する都の見解をお伺いしておきたいと思います。

○真田主計部長 新銀行の減資の有無ですとか、それが都財政に与える影響の時期などにつきましては、先ほど来申し上げたとおり、現時点においてはまだ未定でございます。
 しかし、仮に減債基金への積み増しの必要が生じるような場合でも、現時点ではその対応の仕方については、その際に検討することとなるとしか申し上げられませんが、仮にそのような事態が将来生じた場合、財務局としましては、引き続き歳入確保努力、あるいは歳出の効率化努力などを行うとともに、都債の発行の適正管理、あるいは金利負担や手数料コストの低減などの公債費の削減努力などによりまして、財政への影響を最小限にとどめまして、都民サービスの低下を招かないようにいたします。

○高倉委員 それでは、次に、きょうも資料を提出していただきましたけれども、平成二十年度予算案に係る新たな公会計制度の活用について質問させていただきます。
 この新たな公会計制度につきましては、知事の肝いりで導入をされたわけでありますけれども、私ども都議会公明党の東村議員が導入を提案をしまして、その後、この新しい公会計制度の積極的な活用についても提唱してまいりまして、十八年度から本格的に稼働しているわけであります。
 十八年度の実績という形で、昨年夏には初めての財務諸表が作成をされました。その解説、分析の書として東京都年次財務報告書が作成をされまして、都財政の抱える課題が摘出されたことは記憶に新しいわけであります。
 二十年度は、新たな公会計制度を予算編成の中でも活用しているわけでありますけれども、その概要については本日提出された資料の中に事例を含めて示されております。
 資料の冒頭によれば、我が国初のミクロの視点による予算編成での本格活用ということでありまして、全国の自治体に先駆けて公会計改革を発信する取り組みが着実に進んでいるように感じております。
 新たな公会計制度を予算編成に取り込むことで、予算編成の前提となる事業実績の検証において、単式簿記・現金主義とは異なる角度から分析が可能になると期待をしているところであります。
 例えば、フルコストの考え方を取り入れたり、長期的な修繕計画を立てるなど、単年度の現金支出のみにとらわれないトータルな事業判断が可能になるはずであります。
 さらに、収支を中心にしたフローやコストの面だけでなくて、資産や負債というストックの面にも着目した事業運営の検討にも生かせるのではないかと思います。
 まず最初に、新たな公会計制度をミクロの視点から予算編成の中でどう活用していくことが重要であるのか、お考えをお伺いします。

○真田主計部長 施策の実効性を高めていくためには、常に施策の充実や見直し、再構築を進めるとともに、個々の事業の実施結果をきめ細かく検証しまして、現場でどのような問題が生じていて、それをどのようにすれば解決できるのかという視点を持ちまして、施策を継続的に磨き上げていくことが必要でございます。
 こうした観点に立ちまして、今回の予算編成では、事務事業評価を予算編成の一環として明確に位置づけまして、新たな公会計制度も活用しながら、きめ細かい事後検証を実施しまして、その結果を予算に反映させまして、次の事業展開をより効果的、効率的なものとしていくプロセスの充実を図りました。
 その中では、新たな公会計制度によって得られました減価償却費ですとか、退職給与引当金などの財務情報を時間の経過に伴って生じるコストとしまして、個別事業の費用の内容をより一層正確に把握しまして、施策の充実に結びつけること。あるいは事業ごとの資産や負債の状況を総合的に分析しまして、事業運営上の課題の発見につなげることなどに活用いたしました。
 こうした取り組みを今後一層強化することによりまして、予算編成過程を通じまして継続的に施策の実効性を高めるよう努力してまいります。

○高倉委員 今示された考え方を踏まえつつ、この資料に沿って新たな公会計制度がコスト、ストック、それぞれの面でどう活用されたか、見てまいりたいと思います。
 まず、コストの面の分析については、資料の二、三ページに、現金主義と発生主義のコスト比較の例という表題で、二つの事例について新たな公会計制度の活用の状況がわかりやすく示されております。東京港の水門管理のシステムや直営公園の指定管理者制について、それぞれ発生主義を用いて分析を行いまして、投資判断や効率性の検証に生かしていることが端的に述べられております。もっとも発生主義といっても、さまざまな切り口があるはずでありまして、対象となる事例に応じて、分析の視点や手法も違いがあるものと考えております。
 今回のコスト比較の事例の中ではどのような考え方に立って分析を行ったのか、ご見解を伺いたいと思います。

○真田主計部長 今回挙げさせていただきました活用事例につきましては、発生主義により幅広くコストを把握しまして、費用対効果を分析することが有効な事例でございます。
 資料に掲載させていただきました東京港の水門管理におけます遠方監視制御システムの再構築、あるいは直営公園の指定管理者制移行につきましては、発生主義によりまして試算したコストを、従来の官庁会計による実績コストと比較するなど、発生主義をこれまでの現金主義とあわせて活用することによりまして、多面的かつきめ細かく費用のあり方を精査しまして、予算編成における判断材料の一つとして活用させていただきました。
 具体的な項目で申し上げますと、発生主義により初めて把握できるようになりました減価償却費や退職給与引当金などの費用を、事業のあり方にかかわる検証過程に取り込みまして、新規投資の是非ですとか、あるいは事業手法を方向づける際の判断の中で役立てております。

○高倉委員 発生主義と現金主義により分析することで投資の適切なあり方を決めたり、指定管理者制の導入が効率的であるということを判断できるようになったのは、新たな公会計制度の活用の成果であると思われます。
 具体的にこうした活用事例を見れば、新たな公会計制度によるコスト分析が事業の切り捨てにつながるのではないかという憶測につきましては、これは全くの杞憂にすぎません。むしろコスト分析が事業の質の向上に資するものであるということが実証をされたと思います。
 こうした事例だけにとどまることなく、他の分野におきましても新たな公会計制度の仕組みを活用して、事業の費用対効果を高めて良質なサービス提供に結びつけていっていただきたいというふうに考えるわけであります。
 次に、ストックの面での分析について、資料の四ページで、ストック概念の導入による分析の例として、事例が紹介をされております。未利用になっている土地というストックの活用方法について、土地を現金化し、運用した利回りよりも高い収益を確保できるかを検証し、環境配慮型住宅の展示場として提供するということにしております。こうしたストックの生み出す価値をしっかりととらえた上で、事業運営は今後ますます重要になってくるものと考えます。
 個別事業においてストック概念を導入し、その定着を図っていくために、どのような点に力を入れることが重要と考えているのか、ご所見をお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 新たな公会計制度によりまして、減価償却累計額あるいは金利といったような、従来の単式簿記では見えなかったストックそのものに関する財務情報や、あるいはストックに関連して生ずる収益や費用の状況がより正確に把握できるようになりました。
 資料に記載させていただきました環境配慮型住宅の展示場の事例で申し上げますと、省エネルギー対策という都の施策への寄与を確保しつつ、一方で、ストックを金融資産に置きかえた場合に、そこから生じる利息の水準がストックを利活用した場合の利回りを上回ることができるかどうかという点に着目し、事業実施の妥当性を検証させていただきました。
 今後、遊休ストックの活用に当たりまして、金利感覚を高めながら、取得した資産に係る借入金の支払い利息がどの程度のものであるかなどを常に正確に理解しておくなど、あるいは各資産の減価償却累計額を把握することによりまして、ストックの持つ機能を十分に発揮させていく上で不可欠な修繕あるいは再投資の適正な規模を常に念頭に置いた事業運営に力を入れていくことが重要であるというふうに考えております。

○高倉委員 新たな公会計制度を引き続き効果的に活用して、コストとストックの両面から事業分析を進めていっていただきたいと思います。
 最後の五ページには、マクロ分析が掲載されておりますけれども、やはりマクロの都財政分析が財政運営に生かされるとともに、ミクロの事業分析が予算編成を通じて個別事業の充実につながるという、この二つが相まって東京都の行財政運営を高めていくことが重要であろうと思います。
 今回のマクロ分析の成果としては、資料の中でも触れられておりますとおり、未収債権の状況が明らかになったために、債権管理のより一層の適正化を図るための条例制定の動きにつながったことが挙げられると思います。
 都の債権の中には、百八十九億円の不納欠損引当金という焦げつきがありますけれども、これ以外にも実質的に回収が不可能な収入未済額があるものとも思われます。そうしたものが今後、新たな条例に基づき一定のルールによりまして、債権の放棄を行うということにもなろうと思います。そうした取り組みを通じて、回収可能な債権額を実態に近づけていくということが可能になるのではないかと思います。
 その一方で、この債権放棄を安易に認めるということになりますと、都民の貴重な財産を保全できなくなる。それだけでなくて、借り手の倫理観を崩壊をさせてしまうということにもつながっていくと思います。
 そのため、新たな条例に基づく債権放棄を行う場合に、議会や都民に対して的確に説明責任を果たしていくべきである、このように考えますけれども、ご所見をお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 今回の条例制定の目的は、債権管理の適正を図ることでございますが、同時に、適正な徴収努力を尽くしても、なお回収が不能となった債権につきましては、一定の条件のもとに債権を放棄することができることとしております。
 この債権放棄の規定につきましては、都の資産規模の正確な把握、あるいは債権管理コストの節減の観点から実施するものでございますけれども、債権放棄に当たりましては、結果として都民の貴重な財源を失うということを肝に銘じまして、厳正な検討のもとで慎重に欠損処理を進める必要があるというふうに考えております。先生のご指摘のとおりだというふうに考えます。
 このため、議会や都民に的確に情報提供を行いまして、行政としての説明責任や手続の透明性の確保を図るとともに、債務者間の公平性を損なうことなどがないように努めていきたいと考えております。
 具体的には、債権放棄をしたときは、条例に基づきまして、議会へ報告するとともに、それ以外にも新たな公会計制度により作成される財務諸表の中で、債権放棄を含めまして、回収できなかった債権額の状況を反映した不納欠損引当金のデータを示すことなどによりまして、都民に対する情報提供についても行っていきたいというふうに考えております。

○高倉委員 くれぐれも安易な不納欠損を行うことがないようにお願いをしておきたいと思います。
 また、債権管理を含め行政の制度には必ず何らかの課題が運用の段階で生じることは明らかでありますので、そうした部分の解決には常に注意を払いつつ、取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 話を戻しますけれども、今回こうして新たな公会計制度による日々の仕訳を行い、決算に合わせて財務諸表を作成し、それを次の予算に反映するというサイクルが一回りしたわけでありますけれども、そうした中で新たな課題も見つかったことと思います。
 新たな公会計制度を具体的に都の事務で活用させるに当たりまして、今回どのような課題があり、また今後どのような点に留意をしていくべきなのか、このことについてご見解をお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 今回は、新たな公会計制度によって初めて作成しました財務諸表を活用しているため、財務情報の経年変化を分析することができないなどの限界がございましたが、そうした部分につきましては、今後のデータの積み重ねの中で解決を図るべき課題であるというふうに考えております。
 また、発生主義の考え方を個別事業の分析の中でどう用いるべきか、どのような事業分野に適用すると効果的な判断が可能になるかにつきましては、活用事例の実績をふやしていく中で検討を深めることも、重要な課題として浮かび上がったものというふうに考えておるところでございます。
 こうした課題を解決しまして、新たな公会計制度を都政の中にしっかりと定着させる上におきましては、何よりも財務諸表を職員が的確に使いこなす発想と知識をこれまで以上に身につけ、発生主義と複式簿記の考え方に抵抗感を持つことなく、意欲的に活用しようとする意識の向上を図ることこそ不可欠であるというふうに考えております。
 新たな公会計制度を行政部門に活用していくに当たりましては、営利を追求する民間部門と異なりまして、一定の制約は避けられませんが、そうした中にありましても、可能な限りこの制度を活用していくため、その担い手となります職員の意識改革に十分意を用いながら、そのメリットを最大限に引き出していくことが重要であるというふうに考えております。

○高倉委員 この新たな公会計制度、これも万能というわけではなくて、どのような分野や事業に適用するのが効果的であるのかということについて、しっかりと判断をして、施策の質の向上に結びつけていくことが大事であると思います。
 まだまだ課題はあるというふうに思いますけれども、一つ一つ確実に解決して、新たな公会計制度の充実に努めていただきたいと思います。
 そうした課題を踏まえて、新たな公会計制度のさらなる活用に向けまして、局長のご見解をお伺いしておきたいと思います。

○村山財務局長 今年度は、新しい公会計制度のもとで作成された財務諸表を本格的に活用した初年度ということでございまして、複式簿記と発生主義の考え方を予算編成の中で試行錯誤を重ねつつ活用して、そこからいろんな成果も端緒的には得られたかなと思いますけれども、同時に、先ほど来主計部長から申し上げているように、課題もまた浮き彫りになったのが現在の段階だというふうに考えております。これらについては、課題そのものがまた我々にとっては、これまでの経験の中で得られた貴重な情報でございますので、それを一つの糧にしながら、今後さらに、事業である、あるいはその仕組みである、そういうものを向上させる道具にしていきたいというふうに思っております。
 もちろん公共団体というのは、利潤をダイレクトに追求する民間企業とは異なる面もございまして、そうした中で、かつ貴重な税金をどのようにしてより効率的に活用していくのかというところが問われているということでございます。そうした点から、この公会計制度を公共団体においてどういうふうに多角的に活用していくのかという新しいノウハウをいわば開発していく。そして、蓄積をして発信をしていくというのが我々に課せられた今後の課題だというふうに思っております。
 ことしの取り組みの中で得られた成果というのは、まだ端緒というようなものでございますけれども、今後さらに、予算編成の過程の中に、事後検証の過程の中に、それらを反映させるというふうな努力を通じまして、新しいマネジメントサイクルの確立に向けて頑張ってまいりたいと思っております。

○曽根委員 私からは、最初に、追加補正議案として出されております新銀行東京への四百億円の追加出資について、何点かただしていきたいと思います。
 二月二十日の議案提案以来、日を追うごとに都民の怒りが広がっております。四百億円といえば、都内の過半数の自治体にとって恐らく年間予算か、それ以上に当たる巨額の出費です。それが予算の知事原案にも復活予算にも出てこないと思ったら、いきなり開会日に提案される、こんな安易な提案がまかり通ってよいのかという点では、これは財務当局としての責任は免れませんので、この点についてただしていきたいと思います。
 まず、この問題に入る前に、既に三年前に行われた新銀行に対する一千億円の投資がもう失われようとしています。このことについて、都民から預かった税金を一円もむだにしてはならない立場の財務当局として、どう総括しておられますか。

○真田主計部長 お尋ねの件につきましては、所管の常任委員会で議論されるべき課題というふうに認識しております。

○曽根委員 都民の税金を、いわば財政運営全体に責任を負う財務当局として、言葉は悪いが、こんな紙くず同然にされてしまったことに対して、何の思いもないのですかね。主計部長として、いかがですか。

○真田主計部長 今申し上げましたとおり、その点につきましては、事業を所管しております常任委員会で議論される課題というふうに考えております。

○曽根委員 産労局が所管する、きのう経済・港湾委員会もありましたけれども、これは投資されたものの使い方については議論していますが、この投資を決めたのは銀行の幹部でもなければ、産労局でもありませんよ。東京都、まさにあなた方が予算を組んで出したお金ですよ。その責任は忘れてはならないと思うんです。
 しかも、一千億円のうち七百億円は都債で賄ったという話が先ほどもありました。東京都にいわせると、財政再建の途上で財政的に余裕がなかったと、私たちは、これは事実は違うと思っていますが、そういうことを理由に、都債にしたために百億円の利息の負担も、どんなことがあれ負担は生じているわけです。そうまでして銀行開業に手を出した結果、こういう事態を招いているということについては責任は大きいといわざるを得ません。
 これだけ大きな損失をこうむりつつあるという以上は、財政当局として同じところへの追加出資は当然ながら相当慎重に臨む必要があると思いますが、いかがですか。

○真田主計部長 その点につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、所管局から要求いただきまして、私どもも所管局と調整しながら、議論を尽くしながら、最終的には知事のご判断をいただいたものでございます。

○曽根委員 そうおっしゃるんでしたら、聞きますけど、この追加出資の議案そのものについて原議を切ったのはどなたですか。

○真田主計部長 その手続、起案の点でございますけれども、最終的には知事決定の文書でございます。

○曽根委員 私は、原議を起案したのはどこの局かと聞いているんです。

○真田主計部長 予算の議会に対する議案の提出の意思決定につきましては、財務局が所管しておりますので、財務局が原議を立てました。

○曽根委員 予算の議案を、原議を起案した以上は、それに対する責任はあるわけですよ。これは形式論じゃありませんよ、四百億ですから。
 どうも反省が感じられないのですけれども、追加出資を補正予算で提案するという話が財務局に対してあったのは、いつ、だれから、どういう形であったんですか。

○真田主計部長 その点につきましても、予算編成の途中にかかわる情報でございますので、これはコメントを差し控えさせていただきます。

○曽根委員 ここに、私たちが開示請求でとった原議の写しがあります。これです。(資料を示す)これは財務局でつくった原議ですね。開示資料で取りました。
 ここの日付を見ると、二月十九日に原議を起案しています。先ほどもちょっとありましたが、新銀行東京から正式に追加出資の要請があったのは、同じ日のようですけれども、じゃ、一体、その二月十九日のいつごろ向こうから要請があったんですか。向こうは取締役会も開いた上でやっているんですよ。時間的にはいつごろなんですか。

○真田主計部長 二月十九日の事実関係を申し上げますと、お昼前に会社の方の取締役会がございまして、その決定を経まして私どもの方に、私どもというのは産業労働局でございますけれども、産業労働局の方にお話がありましたのは、午後を切ってすぐでございます。それを受けまして、産業労働局の方から予算要求が私どもの方に上がってまいりまして、私どもの方で、同日、財務局内の意思決定を経まして、知事査定をもらったということでございます。

○曽根委員 通常の予算編成なら、主計部が担当局の予算担当者を呼んで、かなり細かく査定をします。私たちは、予算見積もりを出した局が実際に査定をされた後の数字も比較して毎年いただいておりますので。細かい査定があります。
 たった一日でどれだけの資料を取って査定をやったのか。まさか再建案の表紙入れても六ページだけのものしか見ていないということはないと思いますが、いかがですか。

○真田主計部長 先ほど申し上げました二月十九日といいますのは、一連の形式的な申請があった日でございます。
 もちろん新銀行東京の経営状況につきましては、私どもとしても以前から問題意識を持っておりまして、財務局内でも独自に検討を進めてきたのは事実でございます。また、産業労働局からも、検討段階のお話を事前にはいただいておりまして、連日深夜にわたります真剣な議論を尽くしてまいりました。
 その上で、最終的には十九日、一日という先生のお話でございますけれども、そういうもろもろの積み重ねを経て、十九日にそういう形の決定がなされたということでございます。

○曽根委員 そういう水面下の話が仮にあったとしても、しかし、正式に要請はなかったし、金額だって全く公表されていなかったじゃありませんか。じゃ、それが裏でもう流れていたんですか、財務局に。四百億ぐらいになるよとか、そういう話がもし事前にあったとしたら、これは重大な事実ですから、いかがですか。本当にあったんですか、前もって。

○真田主計部長 その点につきましては、予算編成の意思決定にかかわる情報でございますので、ここではコメントを差し控えさせていただきます。

○曽根委員 先ほど来の答弁、私、非常に疑問を持っているんですけれども、予算編成というのは--私たちに見えない部分があるのは当然です、それはやむを得ないと思っていますよ。しかし、正式な予算の要請があり、起案がされて、そして知事の査定を受ける、このルートとは別に、水面下で根回しがあるというようなことがあったら、これは重大な問題ですよ、都政のあり方として。しかも、これは都民的にも極めて重大な関心が持たれている議案ですから、仮にも四百億円の問題が事前に情報が漏れるなんていうことがあってはならないし、都民に対して、これは都政としてはまさに説明責任がつかない問題になると思います。
 しかも、この間の産労局の答弁では、再建案以上のものは銀行が出さないんだといっていると。知事は読んだというふうなことらしいですけれども、調査報告書についても本文は出てこないと。これでは、産労局も財務局も、いろいろな裏情報はあったかもしれないけれども、正式には詳しい資料もほとんど検討する間もなく、一日のうちで--恐らく半日でしょうね、午後だというから。しかも、原議には副知事以下全員の判こが押してありますから、副知事さんが登庁しておられる時間内に決定されたということですから、本当にスピードのうちに決定されたということが、この原議の資料と、それから、これは私どもがやはり開示で取った津島代表からの要請文ですけれども、十九日にやはり出されています。
 本当に、この半日のうちに二十三個も判こをずらずらっととって決定がされるというようなことがやられたということですね。このことは事実として確認をしておきたいんです。

○真田主計部長 それは、その書類にあるとおりの意思決定がその日になされたものでございます。

○曽根委員 それでは、この四百億円、原議を切った以上は、きちっとしたこれに対する説明責任は財務当局にもあると思いますが、財調基金をおろして投入するということですが、これが本当にふさわしい投資のあり方なのか、予算の使い方なのかという点ではいかがですか。

○真田主計部長 その辺につきましては、私の方から申し上げるのも何でございますけれども、基本的には、予算につきましては、予算特別委員会においてまず審議がなされまして、予算委員会におきまして、それぞれの各局所管の事業につきましては、各所管の委員会に個別の調査が付託されているということでございます。
 そういう中で、本件につきましては、施策の具体的な中身につきましては、産業労働局が所管しております経済・港湾委員会の方に付託され、私どもの方につきましては、基本的には歳入の財調基金を充てることがどうかということにつきまして、当委員会に付託されているというふうに理解しております。

○曽根委員 そんなことはありませんよ。まず第一に、予算特別委員会から、この財政委員会というのは一般会計予算全体についての審議を付託されているんですから。それはもちろん、いろんな細かい事業はありますよ。しかし、この問題は追加補正として一本なんですから、議案は。それについては、原議はあなた方が切っているんですよ。
 しかも、これは中身抜きには判断できない問題でしょう。例えば、今明らかになっているとおり、新銀行は三月末にはまだ債務超過になっていないわけですよ。なる見通しではないと。だったらば、来年度に入ってから、三月決算を十分に分析してから、投資への対応を検討することが本来の筋じゃないですか。そういう出費の最終的な判断をする財務局が、いや、内容は関知しませんということでは済まされない。
 今補正で出すべき問題なのか、来年度に入ってから出すべき問題なのかという判断は、原議を切っているあなた方の判断があるわけですから、例えば債務超過にもまだなっていない三月の決算が出てから分析を十分した上で出すのが筋だという点では、何か見解をお持ちですか。

○真田主計部長 その件につきましても、事業を所管します常任委員会で議論されるべき課題だというふうに認識しております。

○曽根委員 余りにも財政当局として見識がなさ過ぎると思うんですが、これはあなた方にこの場でもいっておきますけれども、大体、中小企業のために銀行を助けなければならないというんだったら、銀行から借りている企業も含めて、まじめに返済しようとしている方には、昨日、当該委員会でも小竹委員が提案したように、制度融資を思い切って拡充するなど、本当に困っている業者も救われ、また都の財政被害も少ない方法がほかに幾らでもあるわけです。そういう点を、財政当局として、ほかで議論してくださいというんじゃ済まされないということは申し上げておきたい。
 しかも、先ほどもちょっとありましたが、今回の四百億円は新銀行の減資につながるものです。昨日、産労局の金融部長は、再建計画の想定資本は千五百八十億円だと答えましたが、減資については今後の検討課題だと答えました。このこと自体、四百億円の追加出資を要請しながら、減資するかどうかも定かでないという無責任ぶりを示したものです。減資を行うと、四百億円の追加出資が、既に投資した一千億円のいわば大半を完全放棄することにつながる。そういうことについての検討はされましたか。

○真田主計部長 先ほども申し上げましたが、今回の補正予算案につきましては、関係局と調整し、必要な検討を行いまして、最終的には知事の判断で決定したものでございます。
 減資につきましては、新銀行において今後の検討課題とされている問題だというふうに認識しております。

○曽根委員 とんでもありません。もし減資が要請されて、これを受け入れるということになれば、財務局としては直ちに都債の発行根拠が失われますので、手だてを打たなきゃならないはずです。財務として検討しない方がおかしいと思うんです。先ほど安易な債権放棄はすべきでないという債権管理条例の話がありましたけれども、資本家としての、投資家としての、投資したものの放棄を、いわば権利を投げ捨ててしまうということを安易に行っていいものじゃないことは明らかです。
 減資の要請を受け入れたらどういう手続になるのかを、改めて私にもお答えいただきたいと思うのです。

○真田主計部長 その点につきましては、先ほどもお答えしましたとおり、仮に減資がなされた場合には、出資が維持されなくなったことへの対応が必要となりまして、その具体的な方法につきましては、その際に検討することになりますけれども、この都債が市場公募債でありますので、繰り上げ償還はできませんので、減債基金への積み立て等によることとなるというふうに思われます。

○曽根委員 繰り上げ償還にしても、減債基金を積む形にしても、四百億円に加えて、来年度予算の中で、減資の規模によっては、六百億円規模の財政出費を、恐らくまた補正でかけなければならないということになるわけです。こんな事態は、私、過去にも例はなかったと思うんですが、いかがですか。

○真田主計部長 先ほども申し上げましたけれども、基本的には減債基金への積み立て等によることになると思われますけれども、現時点において、その具体的な時期ですとか、内容ですとかにつきましては、まだ未定でございます。

○曽根委員 これをやられれば、初めての重大問題になります。例えば、臨海三セクでさえ、破綻処理はせざるを得なかったわけです。石原知事のトップダウンで始めた事業だけは、何が何でも継続させ、救済するなどというやり方は、都民の財政を預かる者として絶対あってはならないというふうに思います。
 大体、これが仮に、今は少ないけれども、縁故債であれば、繰り上げ償還してしまえば、まだしも百億円の利子の負担というのは将来残らないということはあったかもしれないが、結局、公募債ですから、十年間ずっと利息は積まなければならないわけですよね。しかも、株主としての権利は大幅に縮小されてしまうということになるわけですから、先ほど何か出費が早まるだけで、違いがないかのようなお話がありましたが、とんでもありません。株主権を放棄しているんですから。
 都民の方からは続々とメールやファクスが来ています。東京都にも来ているようですが、例えば吉田幹事長のところには、石原知事と同じくらいの年齢だという男性の方から、きょうの午前中に来ました。自分も石原と同じくらいの年齢だが、社会人としてまだこんな人間がいるのかと驚く、毎日、友人と飲んでも、みんなこの問題で怒っている、自分は共産党員でも何でもないが、電話をいろいろ調べて電話させてもらった、ぜひとも頑張ってほしいと。都民は本当に頭にきているわけですよ、こういう使い方に。
 四百億円あれば、少なくとも、例えば、私たちが昨日委員会にかけました低所得者の家賃助成なんかも、大体同じぐらいの規模で実現できるわけですよ。こういったことに使うべきじゃないか。
 本当にこれが都民の役に立つ、ほかに使い道はないんだ、これしかないんだというふうにお考えですか。

○真田主計部長 先ほどから何回も申し上げておりますけれども、新銀行東京への出資そのものにつきましては、予算委員会及び経済・港湾委員会に付託されておりまして、それらの委員会におきまして議論すべき課題だというふうに認識しております。
 なお、お尋ねの施策の内容でございますけれども、私どもとしましては、都市基盤整備あるいは福祉関係施策の充実など、都民にとって必要な施策につきましては、二十年度当初予算で十分な財源を振り向けているというふうに考えております。

○鈴木委員長 曽根理事、理事会でも、質問の重複や、所管の事項について質問を行うということで、先ほど確認しておりますので、それに従って質問してください。

○曽根委員 私たちは、こういう四百億円の、まさにどぶに捨てるようなやり方は許せないということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
 来年度予算全体を見ても、同じようなお金のむだ遣い、むだ遣いではないが一方でため込み、こういう問題については、前回の中間議決のときに、私、議論させていただきました。来年度についても、史上最高の増収がありながら、これを都民が求めているような、例えば昨年の秋に行われた生文局の世論調査でも、第一位は高齢者対策、それから医療対策などですよ。それから、教育条件の整備など要望が強い。こういうところに思い切った充実をさせるのではなくて、専ら基金に積んでいるというのが特徴だと思います。
 その理由として、財務局は、今後税収が落ち込んでいく危険があり、その場合であっても、行政サービスの水準を守るためには、一定の基金は必要なんだというふうに常々おっしゃっています。
 それでは、バブル当時、基金がかなりピークになったことがありました。いわゆる取り崩し型の基金ですね。この水準と、来年度末で達する基金の水準とはどれぐらいの違いがありますか。

○真田主計部長 ただいまの基金残高でございますが、過去最高でございましたのは平成元年度でございまして、財政調整基金、あるいは平成九年度に社会資本整備基金の方に統合されましたけれども、地下鉄十二号線の整備基金ですとか、住宅整備基金ですとか、七基金がございました。そういったもの、それから、年度間の財源調整分の減債基金の合計で、一兆五百九十億円ございました。
 それに対しまして、お尋ねの平成二十年度末の残高は、これらの基金に、今回お認めいただきました法人事業税国税化対策特別基金、それからオリンピック開催準備基金、平成十九年度に設置しました三基金を加えました合計額では、一兆六千百三十六億円でございます。
 この間、財政規模は約六千四百億円増加しております。また、今後、法人事業税の国税化の影響により、二年間で六千億円もの減収が確実に見込まれております。そういったことなどを踏まえれば、現在の基金残高はなお十分とはいえない状況にあるというふうに認識しております。
 財政状況や税収の動向など、都財政の置かれている状況が異なっている過去の時点と数字を単純に比較すること自体は、余り意味がないというふうに考えます。過去にも基金残高が底をついたこともございます。そうした経験を踏まえて、堅実な財政運営を行っていくことが重要であるというふうに考えております。

○曽根委員 私も単純に金額だけ比較するつもりはありませんが、それにしても金額は史上最高ですよね、取り崩し型の基金の一・六兆円。
 しかし、もう一方で基金の中身を見ると、来年度の、いわゆるそういう取り崩せる形の基金の圧倒的部分は、オリンピック基金や社会資本整備基金など、インフラ整備や投資事業のために目的が定められている基金が占めているんじゃないですか。

○真田主計部長 ただいま申し上げましたとおり、一兆六千億の基金がございますが、今回、平成二十年度で見てみましても、その中で、例えば去年認めていただいた三基金は、社会福祉ですとか、あるいは環境ですとか、文化・スポーツ、こういったものに早速二十年度から財源として活用させていただいておりまして、そういったことを考えますと、基金がハード偏重であるというご批判は当たらないというふうに考えます。

○曽根委員 金額の上では、来年度積む予定の基金、取り崩せる形のもののうち、大半はオリンピック基金と社会資本整備基金ですね。これで三千五百億円ですよね。
 じゃ、都民の求めている、直接の都民サービスの水準を維持するという要望に、この基金を積んでいくことはこたえられるんですか。

○真田主計部長 ただいまお話がありました社会資本整備基金あるいはオリンピック基金につきましては、今後膨大な財政需要が見込まれるという中にありまして、現在それに向けて備えをしている最中でございまして、近い将来、それが今度は基金の取り崩しということで活用されることになります。
 その中身は、基本的には特定目的基金ですから、それに合致する事業に充てるわけでございますけれども、そういったもの、例えば社会資本整備基金が想定しております社会資本のインフラの整備あるいは建物の更新等に使うということは、都民にお役に立てるというふうに考えておりますし、また、そういったことで財源を有効活用することによりまして、他の一般財源が浮きます。他の一般財源が浮いたものは、また都民施策に還元できますので、そういったことで、基金につきましては全体、トータルで判断していただきたいと思います。

○曽根委員 過去のいきさつを見ると、そうはなっていないんですよ。これまでの経過を見れば、バブル崩壊後、税収が落ち込んで厳しいときがありました。そのときには、社会資本整備基金が大体六千億ぐらいピークであった。それがフルに活用されて、箱物の建設だとか、臨海関連とか、地下鉄十二号線なんかは、何とか事業を維持することはできたわけです。でも、ほとんどそれで基金は底をついちゃった。しかし、並行して、福祉その他の都民施策については、毎年経常費としてかかる、ここを削らなければ財政再建できないという名のもとに、第一次、第二次の財政再建推進プランで、合計三千五百億円毎年の予算から削減が行われて、何とか財政再建をやりましたという報告があったわけですよね。
 ですから、税収が落ち込んで厳しいときは、毎年かかる福祉などの経常の予算は、本当に情け容赦なく削られて、しかし、積んであった基金は、箱物や道路やハードの事業には何とかそれを支えるために投入できるという、これが今までの経過じゃありませんか。
 これは私の雑駁な記憶なので、確かかどうかわかりませんが、少なくとも、バブル崩壊後、厳しいときに、東京都の福祉事業を維持するために、積んであった基金が明確に、小さいものは別として、投入されたというのは余り記憶にないんですけれども、そういう例はありましたか。

○村山財務局長 まず前提として、ハード事業が都民の期待にこたえていない事業であるかのようなご主張でございますけれども、それは全く違うという点を申し上げておきたいと思います。
 それを前提とした上で、バブル崩壊以降の、都財政が、税収がばんと落っこって、苦しくなったときの基金の使い道についてでございますけれども、これについては、先般の本会議のときに、私、答弁させていただいているわけでございますが、合わせて八千八百億の基金取り崩しをいたしております。そのうち、特定目的基金が四千百五十億円、財政調整基金が四千六百三十億円というふうになっております。
 この特定目的基金というのは、都市交通基盤整備基金の要素もありますけれども、福祉施設整備基金の要素もございます。したがいまして、ハードについていっても、いわゆる都市交通、それについてはきっとお気に召さないのかもしれませんが、都市交通基盤整備と福祉施設整備基金と両面あるということがまず一点。
 それから、残りの四千六百三十二億円の財政調整基金については、当然のことながら、ソフト事業も含めて、全体としての行政水準確保のために使われているということでございまして、これが大体四年間の間に行われておりますので、年平均にいたしますと、約二千二百億を毎年基金を取り崩して、行政水準のソフト、ハード両面にわたる確保のために使われてきたというのが、バブル崩壊後の私どもの財政運営の実態でございます。
 それは、その前の段階の税収が伸びた時期に、財政調整基金あるいは特定目的基金にしっかりと蓄積してきた結果でございまして、そのことによって、私どもは、バブル崩壊後の非常に厳しい中にあっても、必要な行政水準を確保できたというふうに認識しております。

○曽根委員 今の局長のお答え、私、まずハードの問題についていえば、私たちが求めている福祉施設の基盤整備や学校の基盤整備、学校施設とか、いろいろありますから、それ全体を否定するつもりはさらさらありません。しかし、都民サービス部門にかかわる、例えばハードでも、都営住宅とか公園や生活道路関係のものについては、その中でまた格差があるんですよ。そういう細かいことはいろいろありますよ。
 しかし、全体の都政のバランスからいうと、経常経費として、特に福祉予算は割合が大きいわけですから、その分がどう支えられてきたのかといえば、基金をそういう特定の福祉事業だとか--大きいですよ。大きいものは、例えば、一番大きかった老人医療費助成、マル福なんかは、年間数百億の財源が必要だったわけですね。そういうものを支えるために使われたということはないわけですよ。そういうふうには基金は使われないでしょう。財調基金として最後に帳じりを合わせることには使うけれども。そういう状況が今まであったということを申し上げているわけです。
 ここ三年間を見ますと、平成十七年度、二〇〇五年度を起点に、二〇〇六年度、二〇〇七年度、二〇〇八年度、来年度も含めて、二〇〇五年度から都税が伸びた分、これは累計で合計すると、約二・二兆円あるわけですよ。その二・二兆円に対して、約八割、一兆八千億円分は基金で積まれて、これは減債基金なんかも入っていますけれども、それで崩せるものの基金の半分以上はハードと決まっている基金だということを見ると、ため込み分の多くは、特にこれからのハードというのは、大規模施設の改修、これは必要な部分ももちろんありますが、多くはオリンピックの関連などですね。そうしたインフラ整備に使われる。知事の非常に偏った大型投資が中心になっていかざるを得ないという点は指摘しておきたいと思うのです。こうした財政運営を続けていられなくなる時期が必ず来ますよ、税収は非常に不安定になっているんですから。そのときに、本当に守っていくべき都民のための行政サービスというのは何かということが問われるときがまた来ますよ、バブルの崩壊後のときのように。
 税収があるときに、これまでさんざん削ってきて、じゃ、本当に守るべき事業があるのか、水準が。水準を維持するというけれども、さんざん削ってきたじゃありませんか。むしろ私たちは、思い切って拡充するか、もしくは復活しないと、全国に誇れるような東京都独自の福祉事業というのは、大体なくなってきちゃっているんですよ。それから、知事の公約である中学校までの医療費助成だって、まだ実現していないんですよ。そういう点でいうと、思い切った拡充こそ必要だと思います。
 今後、取り組んでいく上では、水準の維持どころではなく、本当に都民のために使うべき事業を、今、税収があるのをため込む一方ではなくて、一定の基金はもちろん必要ですよ、今後のことで。しかし、やはり、一定の部分は(発言する者あり)財調基金なんか、私たち、提案していますよ、組み替えで。一定の部分は、やはり都民施策を新たに始める。例えば、家賃助成を私たちは提案しました。これまで削られた老人医療費助成なんかも、一部復活すべきだと思っています。そういうものに今こそ使うべきだという考え方についてはどう思いますか。

○真田主計部長 平成二十年度予算編成の考え方をご説明しましたけれども、一方においては、これからやらなければならない「十年後の東京」を初めとする施策の充実に向けた、いわゆる攻めの予算を組んだと。一方で、財政がこれから不透明である、それから、国の例の国税化の対策もとっていかなければならぬという中にあって、引き続き責任ある財政運営を行っていくためには、それに対する、将来ともに財政を安定的にやっていくための備えもしなきゃならぬということで、攻めと備えの両方バランスをとった予算を今回組んでおります。
 その攻めの中で、どういった施策を充実していくべきかどうかということにつきましては、それぞれ見解の相違、立場によりましてございまして、私どもとしては、私どもなりの判断基準に基づきまして、施策の充実を図っておりますし、それにつきましては、議会でご審議いただき、基本的には、この二十年度予算につきましても、ご理解をいただけるんじゃないか、ぜひご理解いただきたいというふうに考えているところでございます。

○曽根委員 最後に、意見を申し上げますが、今の攻めと備えという点でいえば、今の都の財政運営の攻めといえば、これはもう福田首相に合意で押し込んだという十三の事業に象徴されるように、オリンピック関連、大型のハードの投資が、やはり偏重ですし、備えという点でいうと、大変なときに備えて、とりあえず、知事の公約、中学校までの医療費無料化は控えておくというようなことでは、都民は納得しないということを申し上げて、質問を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時十九分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊沢委員 それでは、新銀行東京に関して質問をしたいと思います。
 まず最初に、石原都知事は、今、新銀行東京を立ち直らせるために、心臓マッサージを行えば蘇生するといっておりますが、私は、正直いって、もうこの銀行は死んでいるのではないかと思います。ところが、石原知事は、いい薬があるということをいい続けておりますけれども、じゃ、どんな薬ですかと聞くと、その内容については教えてくれない、このような状況ではないかと思います。
 また、死後、相当たっているのではないかと思います。死亡確認もさせてくれません。なぜかといえば、それは内部の調査結果を教えてくれないということです。
 私は、一般質問におきまして、佐藤産業労働局長に対して質問をしました。まず、なぜ内部調査の結果が出ていないのに、四百億円の追加出資という結論が出せるのか、結論先にありきではないかということを追及したところ、佐藤局長は、経営がどうしてここまで悪化したか速やかにその原因が究明されなければならない、現在、新銀行東京において詳細な調査が進められており、その結果は発表するといいました。しかし、結局、十日に出された資料はわずか九ページのもので、全文公開がされていません。
 そして、その中身を見ると、旧経営陣の責任という言葉が何度も出てきます。しかし、都議会予算特別委員会では、参考人招致、旧経営陣の責任の参考人招致についても、これが否決されてしまう。これでは本当にどう判断していいのかということがわからないような状況下にあるわけです。
 再建計画も実現性がどう見ても非常に乏しいといわざるを得ません。そして、きのうの委員会でも、たくさんの議員がこの再建計画について具体的な内容をただしましたが、そのことに関しては、具体的な答弁はありませんでした。答弁は控えるという答弁がたくさんあったということです。
 では、質問いたします。なぜこれほどまでに重要な情報、原因究明のもととなる内部調査の結果、そして再建計画についても公表がされていないのに、財務局は四百億円出資という結論が出せるのでしょうか。この再建計画で、この四百億円が生きた税金として再建に寄与するということに関して、責任が持てますでしょうか。

○真田主計部長 お尋ねの件につきましては、所管の常任委員会で議論されるべき課題というふうに認識しております。

○伊沢委員 でも、それはおかしいと思うんです。財政調整基金というのは、財務局が管理している基金でありまして、出資することについて、さっき査定という言葉が出てきていましたけれども、普通ならば厳しく査定するわけですから、四百億円が生きた税金となるかどうかということの責任に関しては、これは財務局長にあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木委員長 伊沢委員、新銀行東京の歳出に係る個別の事項、事業内容とか、財務状況や再建計画、出資の根拠、出資しない場合の影響、原因、責任など、予特とか経済・港湾委員会の質疑で、財政委員会の範疇じゃないんですね。ですから、その辺のところも、先ほど理事会でも確認をさせていただきましたけれども、範疇の中での質問をしてください。

○伊沢委員 それもおかしいと思うんですよね。なぜ議員同士でそうやって制止するのか、こういう重要な質問に対して。(「制止じゃないよ」と呼ぶ者あり)制止ですよ。制止、妨害ですよ。
 それから、追加投資についてですけれども、二度と追加投資がないかどうかということについては聞いていらっしゃいますか。

○真田主計部長 その点につきましても、所管の常任委員会で議論すべき課題だというふうに考えております。

○伊沢委員 でも、四百億の上にさらに追加出資ということに、私は絶対なると思っています。こういうことすら聞いていないという、先ほどの決まった経緯を聞いて、それもそうだな、それはそれ以前の問題であるということがわかったわけですけれども、そういうことについても聞いていない。じゃ、本当に、財務局としても予算の立てようがないというのが、私は正直なところじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 追加出資だって、もしかしたら二〇〇八年度中にまた出てくるかもしれないんですよね。そういうことについてはいかがですか。

○真田主計部長 これも先ほどご答弁申し上げましたけれども、予算の調製につきましては、局の方から要求いただきまして、私どもの方で調整しまして、最終的には知事のご判断をいただいている、そういう手続を経て予算が組まれております。

○伊沢委員 じゃ、財務局というのは一体何をするところなのかというのが非常に疑問ですね。お金をただ預かって、いわれたとおりに回すだけなんでしょうか。そんなことはないと思いますよ。そんなことはないですよね。そんなことなかったと思います。査定は、例えば福祉予算、教育予算だって厳しく査定して、削るわけですね。なぜこういう差があるんでしょうか。知事にいわれたものだったら、一日のうちに決めたとか、そんなことがまかり通るんでしょうか。
 そのこと自体は、私は都民にお知らせします。こういうこと自体、おかしいと思います、本当に。(「おかしい」と呼ぶ者あり)おかしいですよね。
 それから、この状況下では、客観的状況からすれば、もう破綻処理に向かうべき段階だと私は考えています。それで、四百億を出すことによる都民への影響というのはあると思っていらっしゃいますか、ないと思っていらっしゃいますか、お聞きします。

○真田主計部長 その四百億を出すことによる影響ということにつきましては、所管委員会の方で議論すべき課題だと考えておりますが、財源としての四百億円を充てる考えにつきましては、先ほど来ご答弁申し上げているとおりでございます。

○伊沢委員 四百億というのは、非常に大きな金額でして、福祉予算であれば二十年度予算の大部分を占めるような大きな金額で、影響があることは必至だと私は思います。
 次に、先ほどから出ています減資の問題について、私もお尋ねしたいと思います。
 そもそも、今回、四百億の追加出資を行うに至った理由というもの、その理由こそ、減資、つまり、累積債務の解消にあるのだと私は思っています。まさに新銀行東京側も、幹部が、身ぎれいにしてとか、減資のために、減資を行いたいということをいっているわけです。ですから(「いってない」と呼ぶ者あり)いっています。(「減資をするともしないとも、一言もいっていないですよ、今まで」と呼ぶ者あり)でも、最初にいっているんですよ。減資に充てる可能性は非常に強いわけです。
 そういうときに、最大で六百三十七億でしょうか、の追加出資--一括返還ですね。一括返還の話が出てきているわけですが、四百億を出すという話のときに、このことについては認識し、想定していらっしゃいましたでしょうか。

○真田主計部長 その四百億円の出資あるいは減資についてどういうふうに対応するかということにつきましては、基本的には、事業を所管しております経済・港湾委員会の方で審議すべき課題だというふうに考えております。

○伊沢委員 だけれども、六百三十七億が一遍にこれからもしかして予算の中に入ってくるということは、重大な問題で、産業労働局とかという問題ではありません。もしかしたら、来年、二〇〇八年度に、このまま通してしまえば、ということになるわけですから、想定していないということ自体がおかしいと思います。
 それで、私自身も、このことを日本経済新聞や毎日新聞の記事で知ったという状況です。なぜこれほどまでの大事な問題に対して、都議会に対しても説明をしないのでしょうか。

○真田主計部長 減資の問題につきましては、予特等でも議論がございまして、これにつきましては、産労局長もお答えしてございますが、現在、会社において検討課題であるという状況でございます。

○伊沢委員 検討課題であるにしても、そういう可能性についてはいつも検討すべきということです。それに六百億という金額は非常に大きい金額です。
 それから、先ほど、その金額についてどうするかということは、その時点で判断という答弁が、委員の質問に対してありました。六百億円もの可能性を残したまま、二十年度の予算を組むということ自体、許されるのでしょうか。

○真田主計部長 六百億につきましては、これまでるるご答弁で示してきましたとおり、基本的には、支払い時期の前倒しであって、追加の負担ではありません。それはこの間ずっとお答えしてきたとおりでございます。
 その取り扱いについて、基本的には、所管の委員会で審議すべき事項であるというふうに考えておりますが、仮にということでご質問を受けまして、仮にそういう場合になったらどうなるかということにつきましても、対応としてはこうなるんではないかということは、先ほど来お答えしているとおりでございます。

○伊沢委員 本来ならば、この問題というのは、四百億の問題とセットで重要な判断材料とすべき問題で、これを切り分けて前倒しだからいいというレベルの問題では、私はないと思っています。
 では、どこからこの六百億を、もし仮にそうなった場合、そういう可能性が強いと思いますけれども、どこからこの資金を出そうというのでしょうか。あるいは、もう一つ、出せるのでしょうか。

○真田主計部長 それもあくまでも仮定の話ということで、先ほど来ご答弁している中で、私、ご答弁しておりますので、重複になりますので、避けます。

○伊沢委員 だけれども、その計画として、どこから出そうということすら何も考えていないということでしょうか。

○真田主計部長 先ほど来、仮にということで申し上げておりますけれども、その方法とか時期につきましては、基本的にはその時点で検討すべきものであるし、現時点においては未定であるということを申し上げております。

○伊沢委員 そもそも、全然お答えいただけないんですけれども、こんな重要な問題に対して。
 次の質問ですけれども、そもそも、平成十六年に七百億の都債を発行したときに、三十年の償還ということで返還方法を決めております。なぜ三十年の償還方法というのを選んだんでしょうか。

○真田主計部長 十六年度予算において出資債を充当した理由につきましても、先ほどお答えしたとおりでございます。

○伊沢委員 済みません。もう一度お答えください。

○真田主計部長 事業の財源にどういったものを充てるかということにつきましては、その事業の性格なり、財源の性格なり、それから、その時々の財政状況なり、そういったものを総合的に判断して決めることになります。十六年の出資の場合につきましては、そういった観点で検討した結果、出資債七百億を充てるというふうに判断したものでございます。

○伊沢委員 普通、家の場合でも、ローンを組む場合というのは、一括で払うのが大変厳しいから、三十年ローンとか、そういう形で一般の家庭でも組むんだと私は理解しています。このことに関しても、毎年六十数億ですか、という形ならば、その負担が都政にとって少ないということから、三十年の償還方法をとったんではないでしょうか。

○真田主計部長 財源を何に充てるかというのは、先ほど申し上げましたとおり、いろんな状況を総合的に判断して決めております。

○伊沢委員 それから、都財政が平成十六年度のときには大変厳しかったというふうにいっておられますけれども、今の都政を見ますと、都財政というのは非常に浮き沈みがあります。今の状況というのは、原油高やサブプライムローンなど、いろんな影響で、非常に経済が危機的な状況にあります。都財政もこれから下り坂に入っていくという可能性も本当に高くあるようなときに、三十年で償還するといっていたものが一括で来るということは、もし仮に今返せたとしても、そのしわ寄せというのは、これから三十年間の間来ないということがいえるでしょうか。

○真田主計部長 先ほどから申し上げておりますが、減資につきましては、現在、会社において検討課題ですし、減資がもしあったときに、都としてどう対応をとるかについては、株主としての対応につきましては、産業労働局の方で検討すべき課題です。

○伊沢委員 なかなか私が聞こうとしていることに答えていただけないんですけれども、いずれにしましても、この六百億の問題というのは、四百億と並んで非常に大きな問題で、今回の意思決定を行う上で非常に大きな問題だということを申し上げます。
 今の都民の置かれている生活の状況というのは、非常に厳しいということは、私がいうまでもありません。その中で、この四百億が都民の目にどのように映っているかということについては、よくよく考えていただきたいと私は思います。
 新銀行の質問は以上です。
 最後に一問、別のことでお聞きしたいと思います。
 法人事業税国税化対策特別基金について、ことし二千億少し積まれております。ところが、全体が六千億必要だということがいわれておりますけれども、その不足分というのはどこから充てようとしているのかということについて、お尋ねしたいと思います。

○真田主計部長 国税化対策特別基金につきましては、最終補正にかかっている案件でございまして、前回の財政委員会での審議事項ではないかというふうに考えますけれども、その国税化対策基金について、とりあえず、今後の影響額の中で、現時点で可能な限り積み立てられる額二千百八十五億を積まさせていただきましたけれども、まだまだ将来の影響額に対しましては不足が生じておりますので、それにつきましては、今後の財政状況を見ながら適切に対応していきたいと考えています。

○伊沢委員 このことも、都財政にとって、二十年度の間もそうですし、これから数年にわたって非常に大きな影響を与えてくると私は思います。その中で、今回、こうした四百億の問題が起きているわけですから、このことについては、やはり、こういう決断をする、しかも、都知事及び東京都が、全くみずからの計画責任を新銀行東京に対しては認めようとしていません。このような中でまず四百億の出資が行われるということは、失敗につながるという重大なことだと思います。そのこと自体が一番、本当に、失敗するということを私は証明していると思います。
 知事及び東京都がこうした自己責任について一切触れていないということについては、いかが思われますでしょうか。

○鈴木委員長 伊沢委員、範疇外の質問じゃないですか。
〔伊沢委員「答えさせられないんですか」と呼ぶ〕

○真田主計部長 たびたび同じことをいって申しわけございませんが、本件につきましても、事業を所管している委員会において審議すべき課題だというふうに考えております。

○伊沢委員 きょうは、質問したことに対して大分答えていただけなかったということと、質問したことに対しても、本当にまともに受け答えがされていないということを、私は強く抗議したいと思います。
 以上で質問を終わります。

○桜井委員 私は、まず第一点は、今回の予算で、大規模施設などの改築、改修への対応として六百二十億円が計上され、そしてまた社会資本等整備基金に二千五百億円を積み立てることになっております。この都市更新につきましては、十七年の第一回定例会でも質問させていただきまして、以来、時たまでありますが、この財務局で質問をしてきているものでございますので、いよいよそれが実施方針が策定されましたので、今後どのように改築、改修の取り組みを進めていくのか、改めてですけれども、質問をまずいたします。

○戸田建築保全部長 今回、実施方針を策定いたしました大規模施設等の改築、改修は、老朽化した施設の単なる更新ということではなく、行財政改革の視点から、施設が現在担っている事業自体の必要性を再点検しながら、「十年後の東京」の実現に向けて、改築、改修を通じ、都有施設の安全性確保や環境対策などを行い、都民サービスの一層の向上を図っていくとするものでございます。
 こうした改築、改修を進めていくために、局を超えた連携調整を行う実施体制の整備が重要であり、実施方針では、財務局を事務局として、知事本局及び総務局との連絡会を設置するとしております。また、複数局にまたがる調整が必要な場合には、関係局を含めたワーキンググループを実施することとしております。
 実施方針に示した取り組みを各局と連携して進めていくため、各局は、今後十年間の主要施設の改築、改修構想を策定し、財務局は、これを踏まえて、全庁的な観点から調整を行い、二十年度中に主要施設の改築、改修計画を策定する予定でございます。
 また、この計画に基づいて、各局が個々の改築、改修事業を実施していく際には、財務局の各部が保有している機能を総合的に発揮して、各局を支援していくこととしております。
 このようにして、全庁的な連携体制のもとで、改築、改修の取り組みを計画的に進めていく所存でございます。

○桜井委員 いつも質問するときにつけ加えている言葉ですけれども、大規模施設の改築、改修は、オリンピックがあるかないかは全く関係ありません。極めて基本的なインフラの整備でありますので、一応つけ加えておきます。
 この問題については、私はこれからもずっとしっかりと見詰めていきたい、確認していきたい、このように思っているところでございますが、そこで、この点について局長の決意をとりあえず伺いたいと思います。

○村山財務局長 大規模施設の改築、改修問題につきましては、委員からかねてからさまざまにご指摘をいただいてきたテーマでございまして、今回、先ほど部長が申し上げましたように、実施方針を出させていただいて、ようやく計画的な改築、改修に向けて第一歩が踏み出せたというふうに思っておりまして、そういう意味では、一つ新しいスタートを切れたかなというふうに思っております。
 そういう意味では、高度成長期、それから九〇年代という二つの時期に、さまざまな施設が整備されてきて、それぞれが、今、改築、改修という時期に差しかかっているわけでございまして、ある部分については、後手を引いておるといいましょうか、もっと早くからやらなければならなかった面が少なからずあるわけですけれども、ようやくそこに手がつくという状況になったというふうに思っております。
 同時に、こういうことを計画的にやるという場合には、やはり、ただ古くなったからつくりかえるという受動的なスタンスではなくて、その施設がこれまで数十年間担ってきた事業自体、そのものを改めて点検をし直して、必要だという施設についても、その事業をちゃんと高めるようにどういうふうにすればいいのか、あるいは土地や建物の資産としての効率をどういうふうに最大限高めればいいのか、あるいはほかの耐震化、CO2などの新しい価値というものもございます。それらを非常に複雑に絡み合った相互の関係の中でやっていくという、新しい取り組みが必要だというふうに考えております。
 そういう意味では、今回、実施方針を出させていただいたわけでございますけれども、都財務局にとりましては、これまでに経験したことのない非常に長い時間をかけた、十年あるいはそれ以上も含めた時間を継続的にかけて実施する、質的にも量的にもこれまでにない経験をこれからしていくプロジェクトだというふうに、改めて認識しているところでございます。
 したがいまして、この事業をやっていく上では、各局との連携はもとよりでございますけれども、各局との連携をしっかりやっていく上でも、当局にございます建築、設計、監督あるいは施設管理に対する技術的なノウハウであるとか、あるいは用地の確保とか、建物の共同利用の調整におけるノウハウであるとか、あるいは事務事業それ自体の評価、バージョンアップに係る工夫であるとか、あるいはそれらを実際に実行していく際の契約における工夫の仕方であるとか、私どもの局の各部の力を、さらに機能を上げていかなければ、なかなかできない課題であるというふうに認識しておりますので、今後とも、いろいろご指導をいただきながら、このプロジェクトの完遂に向けて全力で取り組んでまいります。

○桜井委員 大規模施設ということは、今申し上げましたのは、ほとんどいわゆる箱物のことでありまして、当委員会では管轄外でありますが、橋とか、道路とか、港とか、水道、下水、そういった都市インフラに関しましても、全く同じことがいえると思うんですね。
 こういったものの都市インフラの更新は、今指摘しております建物の改築、改修に比べて、今の局長答弁にもありますけれども、それよりもはるかに時間的、空間的に、さらに金額的にも、もっとスケールの大きいプロジェクトになっていくと思うんでありますけれども、こういったことについても、都の能力の総力を挙げて計画的に進んでいってもらいたい、これは希望いたします。
 次に、きょうは、予算、委員会ですので、二十年度の当初予算全体に関する質問に移ります。
 二十年度当初予算は、一般歳出や投資的経費が平成十二年度と同じであると比較されておりますけれども、それはたまたま石原知事が最初に編成した年でもあります。かねてから、石原知事の財政運営は、私はですよ、私ばっかりじゃなく、多くの都民はそうだと思うんでありますが、堅実で、かつ、非常に大胆な財政運営をしているなというふうに評価されていると思います。
 特に、財政再建を行うに際しましては、これは反対する方もいるかもしれませんけれども、都営住宅制度の抜本見直しなど、それからまた大規模施設の建設をほとんど凍結する、要するに、箱物はやめる、そういう思い切った事業の見直しを行うとともに、一方では、自動車公害対策あるいはCLO、CBOなど、日本では先進的な取り組みを進めてきておりますことは事実でありますが、さらに、将来に向けた基金の積み増し、懸案課題の解消まで行いまして、堅実な取り組みを進めることで、危機に瀕しておりました都財政を見事に、全く見事によみがえらせて、健全な体にして、さらにより一層筋肉質の体質に生まれ変わらそうとしていると私は思います。多くの都民もそのように思っていると思います。
 今定例会では、先ほど来この財政委員会でも取り上げられておりますけれども、新銀行のあり方についてさまざまな議論がされております。私は、新銀行設立のときには、同じように財政委員でございまして、賛成いたしました。そこにいらっしゃいます秋田委員さんなんかは、私なんかよりもはるかに慎重でありまして、なかなか賛成に回らなかったのでございますが、非常にそういう優秀なこともあったんですね。しかし、私は賛成に回りました。
 新銀行のことは、きょうは財政委員会でございますので、触れませんが、石原知事は、私にいわせれば、さまざまなすばらしい施策を行っておりますが、最も評価できるものは財政運営じゃないかなと思うんですよね。鈴木さんもそうでありましたけれども、石原知事もそうだと思うのでありますので、ちょっと検証させていただきますが、二十年度当初予算と十二年度当初予算と比較して、どのぐらい石原知事の財政運営が都財政を変えることに努力したか、全力を挙げたかということについて、検証してみたいと思います。
 十二年度は、ご承知のとおり、税収が三兆円台しかなくて、したがって、職員の給与の四%カットや、いろいろな財源対策を行って、ぎりぎりの状態の中でどうにかこうにか予算を組んだという状況であったわけであります。
 当時行った財源対策、それに付随した金額について答弁をお願いします。

○真田主計部長 お話のとおり、平成十二年度は、恒久的な減税の平年度化などによりまして、都税収入が当初予算レベルでは六年ぶりに三兆円台に落ち込むなど、都財政は非常に厳しい状況に置かれておりました。こうした中、十二年度予算におきましては、十一年七月に策定しました、いわゆる第一次の財政再建推進プランに基づきまして、内部努力、施策の見直し、歳入の確保など、歳入歳出の両面にわたる取り組みを徹底して行いまして、千九百四十億円の財源を確保いたしましたけれども、それでもなお三千二百四十二億円の財源不足が生じておりました。
 そのため、お話にございました、当時、全国で最も厳しい内容となる職員給与の削減を行って、六百九十八億円の財源を確保いたしまして、それ以外にも、臨時的な財源対策としまして、減債基金積み立ての一部計上の見送りによりまして千三百四十四億円、退職手当債の計上によりまして二百億円、土地開発基金の廃止によりまして一千億円の財源を確保し、ようやく何とか予算を編成することができた、そういう状況でございました。

○桜井委員 そしてさらに、十一年の石原知事のもと、まだ記憶に新しいところでありますが、いわゆる財政再建推進プランというものを作成しまして、大幅な財源不足の破綻寸前の状況にありましたときに、そういうプランをつくったわけであります。
 二十年度予算は、その十二年度予算と一般歳出、投資的経費、経常経費ともども、ほぼ同じであるというふうにいわれてはおりますが、しかし、財政規模でいいますと、十二年度予算が五兆九千八百八十億円である一方、二十年度予算は六兆八千五百六十億円でありまして、その差は一兆円近くあるわけですよね。その要因は那辺にあるんでしょうか、ご答弁をお願いします。

○真田主計部長 ただいま先生からお話がありましたとおり、二十年度予算は、十二年度予算に比べまして、一般歳出の規模ではほぼ同水準でございますが、総額では八千六百八十億円上回っております。これは一般歳出の外の経費でございます公債費ですとか、基金の積み立てですとか、税連動経費ですとか、そういったものがふえていることによるものでございます。
 具体的に申し上げますと、まず公債費につきましては、都債の償還費がふえていることに加えまして、将来の都債償還で生じる財政負担の軽減を図るため、都債の借りかえを抑制しました結果、総額で約二千億円の増となっております。基金積み立てにつきましては、社会資本ストックの更新需要など、今後の集中的取り組みに備えた結果、三千二百億円の増となっております。このほか、税収の伸びあるいは都区財調制度に係る調整税の配分割合の改正などによりまして、税連動経費等が約二千五百億円の増となっており、そういったことによるものでございます。

○桜井委員 両者の大きい違いは一般歳出の推移にありますけれども、今ご答弁をいただいたように、公債費がふえていることと基金への積み立てが大変目立つわけであります。
 基金の積み立てについては、前回の財政委員会、予算特別委員会等々で議論されておりますので、きょうは改めて行いませんで、都債についてだけ伺います。
 石原知事就任以前、国のいわゆる経済対策への対応あるいはまたバブル崩壊後の税収減を補うための都債を大量発行してきたわけですけれども、一方で、その後を受けた知事、その後を受けた知事ですよ、財政再建を進めつつ、さらに将来への負担をどうやって減らすかという非常に難しい課題を抱えながら、財政運営を行ってきているわけであります。
 そこで伺いますけれども、総務省に提出している、普通会計決算における十一年度以前と十二年度以降の七年間の起債依存度の平均を教えていただきたいと思うのです。

○真田主計部長 普通会計決算ベースでの起債依存度でございますが、平成十一年度以前の五年度から十一年度までの七カ年間の平均が一二・八%でございます。それに対しまして、十二年度以降の七年間ということで、十二年度から十八年度までになりますが、その平均は五・九%と半分以下の水準になってございます。
 それから、先ほどのご答弁で、いわゆる一兆円の差は何で生じたかという中で、基金積み立ての数字を三千二百億というふうに、私、申し上げてしまいましたが、済みません、三千三百億円の間違いでございました。ちょっと訂正させていただきます。

○桜井委員 いかに石原知事が都債の発行を抑制してきたかということが、数字ではっきりわかります。
 ちなみに、平成二十年度の起債依存度は、先般、新聞でも発表されましたけれども、四%を切って三・九%ですか。現在、国は三〇・五%、それから、全国自治体ともいえる地方財政計画では一一・五%ですから、三・九という数字はいかに健全で低いかということを如実に物語っていると思います。
 先日の予算特別委員会での答弁にもありましたけれども、バブル崩壊後の一時期は、身の丈以上に都債を発行しております。それがその後の公債費の増大につながり、財政運営を縛ってきたのではないかと思いますが、そういった足かせがある中で、知事が行ってきた都債を抑制する取り組みがいかに大変であったかは想像にかたくありません。
 さらに見逃してならないことは、それが都財政の将来にとって、都財政の将来にとってですよ、非常に有益であるということであります。
 そこで質問しますけれども、同じく普通会計決算における十一年度末の都債残高と十九年度末の、これは見込みですけれども、残高見込みについて教えてください。

○真田主計部長 普通会計決算におきます都債残高でございますが、平成十一年度末では七兆六千六百八十三億円でございました。それに対しまして、十九年度末の見込みでは六兆四千九百一億円となりまして、残高は、この八年間で一兆一千七百八十二億円ほど減少しております。

○桜井委員 知事が都債の発行抑制に努めてきたことによって、残高も大きく減少し、今後の公債費負担の軽減にもつながっていくわけであります。ということは、都財政の対応力を高めるには、基金が極めて重要な役割を果たすことはもちろんでありますけれども、都債の活用余力を高めることも非常に大切であります。
 そういった点から、知事が、厳しい景気動向の中で、確固たる意志を持って都債の発行を抑制して都債の残高を大きく減らしてきたことは、都政の将来にも大きなアドバンテージを与える取り組みであります。
 単に収支の改善を図るのみならず、借金の圧縮に努めるということは、大変なことであります。しかし、都債は発行しなければよいかというと、そうでもないわけでありますので、都債は都債なりの重要な役割があるはずです。その役割について、この際、伺っておきます。

○真田主計部長 都債でございますが、単に都の借金ということではなく、大きく分けて二つの重要な役割を持ってございます。
 一つ目は、世代間負担の公平を図る役割でございまして、道路などの公共施設の建設にはいっときに多額の費用が必要となる一方で、その施設は将来にわたり使用することができます。このため、その財源として都債を充当することによりまして、それらを使用する将来の住民の方々にも応分の負担を求めるものでございます。
 二つ目は、年度間の財源調整を図る役割でございまして、都税収入が減収になった場合などにつきましても、都債を発行しまして、財源の不足を補って、計画的な財政運営を確保するものでございます。
 先生からお話しいただきましたとおり、都債は発行しなければよいというものではございませんで、その時々の財政状況や将来負担の大きさなどを踏まえながら、都債の有する機能を適切に活用していくことが、財政運営に当たって必要であるというふうに考えております。

○桜井委員 財政運営のセオリーを守りながら、できる限り将来の負担を抑えていこうという、いわゆるバランス感覚とその取り組みは、大きく評価していいんじゃないかと思います。
 さらに特筆すべきことは、これら厳しい財政状況の中でも施策の充実を図っているということです。これは批判をされる方もいらっしゃるようでありますけれども、私はそのように思います。
 財政再建中の施策の見直しというのは、どちらかというと、ともすると後ろ向きなものととられがちでありますけれども、知事は再三再四、施策の見直しは積極的で前向きな取り組みであるということを主張しております。この趣旨も説明してください。

○真田主計部長 限られた財源の中で新たな施策を推進していくためには、事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底することなどによりまして、必要な財源を確保することが不可欠でございます。その取り組みの中では、時代状況の変化ですとか、官民あるいは区市町村との役割分担などを踏まえまして、役割や必要性が薄れた事業を廃止、削減する一方で、それらの取り組みを通じて生み出された財源を有効に活用いたしまして、都民ニーズの変化に的確に対応する新たな施策あるいは東京の先進的な施策の展開を図ることが重要でございます。
 石原都政におきましては、職員定数を、特別区への清掃移管なども含めまして、二万人以上削減するなど、厳しい行政改革を進めるとともに、あらゆる事業を聖域なく見直してございまして、その中で、現金給付的な事業や都独自の加算等を見直す一方で、利用者本位の福祉の実現を目指す福祉改革を推進するなど、時代状況に合わせた施策の見直し、再構築を図りまして、認証保育所など都民ニーズに対応する新たな施策を実施してきております。
 また、お話にございましたCLO、CBOは、単に先進的な取り組みであったということだけでなく、お金をかけず工夫することによりまして、これまで我が国にはなかった新たな金融市場を創設したものでございます。
 そのほかにも、諸外国に比べて見劣りのする観光産業をきちんと産業施策に位置づけ、政策の充実を図ることとした上で、その財源には宿泊税を導入し、シティーセールスなど積極的な施策展開を図り、厳しい財政状況の中で、単に歳出をふやすのではなく、財源に配慮しながら施策の充実も図ってきております。
 これら数々の取り組みは、まさに積極的で前向きな取り組みでございます。財政再建中の財源が厳しい状況下においては、もちろん、こういうことが必要でございましたが、財政再建達成後の今にありましても、こういった取り組みは当然必要なものというふうに考えております。

○桜井委員 最後でありますけれども、いわゆるばらまき型の事業を見直す一方で、認証保育所あるいはディーゼル車対策などの先進的な取り組みが進められました。石原知事は、起債の発行を必要最小限に抑え、将来負担を減らし、現在の施策を充実させながら、安定的な行政水準の提供を支える財政基盤の構築に努めておりまして、まさに王道を行く財政運営を行っていると私は思います。
 これまでは、厳しい財政状況という制約の中で、私は満点といってよい財政運営だったと思います。これからの財政運営は、今までありましたいわゆる財政再建のくびきというものが、一〇〇%じゃありませんけれども、かなり解かれまして、より自由度が増して、選択の幅が広がる一方でありますが、責任もふえていくわけであります。予算特別委員会でも、今後の財政運営についてしっかりした議論がなされ、私もそのとおりだろうと思っているわけであります。
 これまで以上に複雑な方程式を解き、いろいろと気配り、目配りをしなければいけない財務局長、大変でございますけれども、今後の財政運営にかける意気込みを伺いまして、質問を終わります。

○村山財務局長 私どもからすると、以前のことを思い出すことも含めて、非常に、いろいろ身につまされる貴重なご意見をいただきました。
 ご指摘のように、石原都政の中で、もちろん派手なこともいろいろされているわけでございますけれども、財政運営という点については、本当に構造的に転換をこの九年にわたってしていただいてきているというのが、お世辞でも何でもなく、私、そういうふうに思っております。
 と申しますのは、委員からもご指摘がありましたけれども、バブル崩壊後は、非常に身の丈を超えたというので、ある年には一兆円を超えるような都債を発行して、今からいいますと四倍ぐらい発行するような年があって、それ以外の年も八千、九千というような年が続いたような時期がございまして、それ以後も、一生懸命減らそうとした時期もあるんですけれども、またふえたりして、なかなか大変だ。というのは、やっぱり、一たんふえた公債に依存する財政になると、なかなかこれを減らすのは大変だという中で、お話にもございましたとおり、石原都政が始まったころちょっとしてからは、十三、十四と税収がばんと年間四千億も減収になるという非常に厳しい中にあっても、一貫して低いレベルの都債発行を、この間、就任以来今までずっと続けてきたというのは、非常に大変なことでありまして、そのことによって、先ほどご指摘をいただいたような、ようやく都債残高が一兆円以上減った。そのことによって、ここに来てようやく、公債費の償還額が実質的に減に転じたというような形になってきておりまして、このことは、これからの財政運営においては、ある面では、ここで公債費が減に転じるというのは、私どもとしては、負担感においては、おもしとしては、より軽くなっていくなというふうに思っております。
 ですから、そういう意味では、これからの財政運営をしていく上では、この間の九年の財政運営というのは、非常に構造を変えたという意味においては、大きい意味があるのではないかというふうに思っております。
 これからのことでございますけれども、その前の質問との関連でもご指摘をいただきましたように、これからは、社会資本インフラの更新期も含めまして、ソフト、ハード両面にわたって、非常に行政、財政需要がふえていくという段階になります。そういう意味では、非常に財源面においては力が必要だ。他面では、非常に不透明な状況があって、法人事業税の見直し暫定措置等もあって、なかなかこれからの財政環境としては厳しいというふうに覚悟しなければならないと思っております。
 そういう中で、施策のありようも含めて、この間培ってきた力を生かすとともに、さらにその力量を増す努力もしながら、ぜひともこの成果というものを現実の施策の中に還元して、かつ、施策のありようも、より行政の効果が上がるような工夫を、また我々として新しい工夫も模索しながら、ご期待に沿えるような財政運営をなすべく、全力を挙げてまいりたいと決意しておるところでございます。

○野上委員 私からは、平成二十年度予算編成の一環として行われた事務事業評価、まさに「十年後の東京」の実現のために用いられる一つの、財務局の中で最も私が期待するツールだと思っています。
 歳出の状況の、ちょうどこの予算編成の、予算案の概要の一四ページにありましたけれども、引き続き内部努力や施策の見直し、再構築に努める一方、将来の東京を見据えた先進的な取り組みや都政が直面する課題に重点的に財源を配分するという、まさにこの目標というか、この指針に合ったツールであり、もしかしたらというか、期待をするところなんですが、自治体の中でマネジメントの改革の旗印となるような事務事業評価になるんではないかというふうな期待も含めて、幾つか質問をさせていただきます。
 もともと、事務事業評価というのは、平成十七年度までは知事本局の所管で行われていましたが、平成十七年十一月の行財政改革の新たな指針の中で、事業にかかわる事後検証の徹底を図り、その結果を予算等に反映する仕組みの確立を図るために、財務局で所管することとされたというふうに伺っております。
 財務局が所管して初年度となる昨年は、東京都予算案の概要の中で、十四の事業についての見直しの内容や、あるいは今後の方向性についてなど取りまとめ、本文では二事例を取り上げて、簡素な説明をつけております。
 今年度は、対象事業は大幅にふえて、三十四の事業を予算案の概要に掲載するとともに、詳細な評価内容を本文の中で数ページにわたって解説するなど、制度としてのステップアップというのは進んだようにも感じております。
 事務事業評価制度において、対象事業の数をふやしていく、評価の内容を丁寧に示していくということは、もちろん重要なことではありますけれども、財務局において所管することになったメリットをより適切に発揮していくことこそ重要であると考えております。
 行政評価のシステムの中でも、政策の目標であるとか、あるいは目的を評価する政策の評価とは異なって、事務事業評価というのは、政策の目的、目標を達成するための手段の評価であるというふうに、私、認識しているんですが、これはやっぱり、効率的、効果的な事務事業の執行を行うものでありますし、何よりも、財務局で事務事業評価を行うということは、まさしく事業運営のあり方を取り決める予算編成と不可分一体に活用を図って、都の行財政運営にかかわるマネジメントというのを向上することが必要であると思います。
 そこでまず伺いますけれども、事務事業評価はマネジメントの中でどのように活用されているのでしょうか。

○真田主計部長 現在の都政は、「十年後の東京」の実現などに資する施策の構築や、あるいは都政の直面する諸課題に対応するために、施策の充実、見直し、再構築を効果的に進めていくことが必要となっております。そのためには、事業実績に係る事後検証を徹底して行いまして、その結果を次の予算に的確に反映させるマネジメントサイクルの確立が不可欠でございます。今回の事務事業評価も、そうした取り組みの一つとしまして、予算編成の仕組みの一環と明確に位置づけて実施しております。
 事務事業評価を予算編成の過程に組み込むことによりまして、過年度の決算の状況を分析し、事業の実施結果に伴う課題の整理を十分に行った上で、事務事業評価を行いまして、その結果が予算に反映されるというスタイルが可能となったわけでございます。
 このことによりまして、この制度が私ども財務局に移管されたメリットが十分に発揮されることになったというふうに考えております。

○野上委員 事務事業評価がマネジメントの中で果たしている役割はよくわかりましたが、同時に、評価結果についてどのように対外的に公表していくのかというのも大きな課題ではないかと考えています。
 評価の内容を都政のマネジメントの中で生かしていくためには、それぞれの事後検証の結果を踏まえて、予算がどう形づくられたかについて、庁内だけではなく、広く都民の方の間の中でも共有していくことが重要かとも感じています。
 ともすると、予算編成については、事業ごとにどの程度の金額が計上されたのか、そういったことに目が行きがちで、そういった金額が形づくられる過程でどのような議論や考え方があったのかはわかりにくいという状況にあると思います。
 先ほど申し上げましたとおり、それを事務事業評価のシステムの中に入れていくのか、あるいは政策の、施策の評価のシステムの中に入れていくのか、行政評価システムの中で多少なりとも役割分担みたいなものをしなくてはいけないと思いますけれども、いずれにしても、そういった事業の構築にしても、予算の編成にしても、要求する局の考え方と、それを踏まえた最終的な結果と理由づけを理解しておくということは、都民にしろ、その代表としての議会においても、極めて重要なことであると考えています。
 こうした視点に立つと、事務事業評価は、単にマネジメントのツールとして期待されるだけではなく、都政の説明責任、いわゆるアカウンタビリティーとしての役割を果たす上でも、極めて重要であるとも思います。
 そこで伺いますが、事務事業評価は、都政における説明責任、いわゆるアカウンタビリティーの向上という観点からはどのように活用されているのでしょうか。

○真田主計部長 事業の実績を徹底して検証した上で、それを次の予算にどのような形で反映させたかにつきまして、わかりやすく都民に説明していくというアカウンタビリティーの向上を図ることは、重要であるというふうに考えております。
 今回の事務事業評価では、決算の分析を含めた事後の検証を徹底して行った上で、事務事業に係る各局の評価を経て、財務局が最終評価を実施するという仕組みとしておりまして、その一部につきましては、モデルとして取り上げ、公表しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、公表した評価対象の事業につきましては、予算案の概要の中でも一覧にして示しておりますし、また、そのうちの幾つかにつきましては、詳細な記述を行っております。
 また、東京都のホームページにおきましても、個々の評価票を公表しておりまして、各局や財務局の考え方がわかりやすく都民や庁内に伝わるような工夫を行ったところでございます。
 これまでにも増しまして、個別事務事業に係る予算編成上の考え方が明らかとなりまして、事業内容の充実に向けた各局の問題意識が高まることを通じまして、質の高い行財政運営に貢献するアカウンタビリティーの向上を実現することになるというふうに考えております。

○野上委員 事務事業評価制度の評価内容を広く公開して、事業のあり方を都民や都の各職場でしっかりと考えていくことは、非常に重要であると考えています。
 ある人がいうには、評価は民主主義の初歩ともいわれているようです。行政側としては、評価は、内容をわかりやすく開示して、説明責任を果たすとともに、パブリックインボルブメントというか、住民会議であるとか、あるいはパブリックコメント、そういった広く都民一般から意見を受け付けて、それらを考慮して、政策の修正等を含めて政策の検討を行う。これも先ほど申し上げたとおり、事務事業の評価の中で財務局さんが行うのが、予算の編成にとって一番いいのか、あるいは政策の方の評価の方でやった方がいいのか、これはもちろん、先の課題となるかとは思いますけれども、政策の形成における都民の参加といった機会を確保するということは、非常に必要だと考えています。
 外部の声を意思決定にフィードバックしていくことも、いずれというか、現状でもやっているんでしょうけれども、これからはもっと必要になってくる課題であると考えております。
 評価内容そのものが合理的で説得力に富むものであることは、本当に不可欠であります。予算編成における判断を行う場合のやり方は、これまでの長年の経験や知識によるところが大きいと思いますけれども、判断に至る前の分析の手法については、不断にあり方を見直して、常に新たな視点や切り口を取り込む柔軟性も必要になるものと感じています。
 例えば、本日の席上には、委員会からの要求に応じて、二十年度予算案に係る新たな公会計制度の活用についての資料が配布されています。新たな公会計制度は、複式簿記と発生主義に基づいて事業内容を分析する有力なツールであり、これまでの官庁会計の単式簿記と現金主義とは異なる分析を可能とするものであるとも考えています。
 こうした新たな公会計制度を活用しながら、事務事業評価の中で、これまでにないさまざまな判断の方法を示していくことも、重要になるのではないかとも感じています。
 新たな公会計制度は、この事務事業評価の中でどのように活用されたのでしょうか。

○真田主計部長 事業のこれまでの実績ですとか、今後の展開のあり方をよりきめ細かく分析するツールといたしまして、この事務事業評価を効果的に活用していく必要がございます。
 新たな公会計制度が導入されることによりまして、これまでの官庁会計とあわせまして、複式簿記・発生主義の観点から分析を加えることによりまして、事業運営に要するコストの状況ですとか、あるいは将来にわたる都の財政負担とストックのバランスなどを、これまで以上に多角的に幅広く分析することが可能となりました。
 そのため、今回の事務事業評価におきましても、評価対象事業の一部につきまして、発生主義によって明らかとなった減価償却費ですとか、退職給与引当金などのコストを踏まえつつ、事業の方向づけを考える上での判断材料として分析することなどを行ったところでございます。
 事務事業評価におきます分析内容の向上を図るためには、引き続き、新たな公会計制度の活用には十分意を用いていきたいと考えております。

○野上委員 新たな公会計制度により、今までの官庁会計とは異なる視点から、より効果的で効率的な施策を着実に組み立てていってほしいと考えています。
 もっとも、複式簿記と発生主義を入れたからといって、これまで分析できなかった部分がすべて明らかになって解決されると容易に考えるわけにはいかないと思います。複式簿記と発生主義の視点を導入しても、数値データを分析するという点では、いわゆる定量的な視点に立った判断手法が充実したことにはなるものの、そうした数値だけではとらえることのできない定性的な部分を分析して、説得力のある形で都民に説明していく努力は、依然として不可欠であると考えます。
 定量的な分析と定性的な分析のバランスがよくないと、やはり、物事の本質が見えないままになって、誤った判断を行う危険性も多いと考えます。
 特に、複式簿記・発生主義会計というのは、将来のキャッシュ・フローに着目するために、収支に結びつかないところ、行政サービスであるとか、あるいは都民の満足度というのが切り捨てられる、取捨されるというんでしょうね、切り捨てられるというとちょっと大げさですが、そういった傾向にあります。
 そうした中で、数字ではなかなか表現できない都民の満足度、例えば民間でいえばCS、顧客満足度ですとか、そういったことを測定して判断基準の一つとしたり、あるいは、例えば人、お金のインプットの効果が実際に成果を上げているか、目標設定による費用有効度分析あるいは費用効果分析、特定配分法の分析、あるいは、今、結構自治体で取り入れられているようですけれども、AHP手法という、アンケートの調査によって、対象者が心に抱いている各施策の重要度を数量化し、施策間の相対的な重要度をはかる階層化意思決定方法であるとか、ABC方式、活動基準原価計算とか、いろんな手法があると思いますけれども、今後の事務事業評価の中にも、これから精度を増していくんだと思いますが、そういった観点も取り入れていくべきではないかと思っています。
 民間の定性分析のやり方というのを少し行政の中で活用できないかどうかについて、検討を深めていくべきものと思います。
 現在の事務事業評価は、数字だけで評価内容を示すものではなく、評価欄の中で定性的な分析結果をわかりやすく丁寧に説明することが可能な仕組みとなっています。そうした仕組みを十分に生かしつつ、評価の切り口を多様化させたり、その公表の仕方についても工夫を加え、都政の施策を判断する効果的なツールとして育て上げること、先ほども申し上げたように、総合的な評価手法、分析、指標についても、検討していくことを期待しております。
 最後になりましたけれども、今後とも、マネジメントサイクルというのを念頭に置いた事務事業評価の仕組みを一層充実させて、予算内容の向上に取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十八分散会

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