委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 西岡真一郎君 |
副委員長 | 高倉 良生君 |
理事 | 宇田川聡史君 |
理事 | 秋田 一郎君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
伊沢けい子君 | |
原田 大君 | |
高木 けい君 | |
野上ゆきえ君 | |
遠藤 衛君 | |
東野 秀平君 | |
桜井 武君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 村山 寛司君 |
経理部長 | 新田 洋平君 | |
参事 | 竹本 節子君 | |
主計部長 | 真田 正義君 | |
財産運用部長 | 塚本 直之君 | |
建築保全部長 | 戸田 敬里君 | |
参事 | 岡沢 裕君 | |
参事 | 山本 康友君 | |
主税局 | 局長 | 熊野 順祥君 |
総務部長 | 加島 保路君 | |
税制部長 | 松田 曉史君 | |
調整担当部長 | 堀内 宣好君 | |
参事 | 宗田 友子君 | |
課税部長 | 安田 準一君 | |
資産税部長 | 吉田 裕計君 | |
徴収部長 | 宮下 茂君 | |
特別滞納整理担当部長 | 松原 恒美君 |
本日の会議に付した事件
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百二十四号議案 平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳入、歳出 主税局所管分
財務局関係
提出議案について(説明)
・第百三十一号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 法人事業税国税化対策特別基金条例
・第百二十四号議案 平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、予算総則、歳入・歳出-財務局所管分、都債
・第百二十七号議案 平成十九年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
・第百五号議案 都立青梅東学園養護学校(仮称)(H十九)改修その他工事(その二)請負契約
・第百六号議案 都営住宅十九CH-一一一東(足立区江北四丁目・足立区施設)工事請負契約
・第百七号議案 中川左岸防潮堤耐震補強工事(その三十)請負契約
・第百八号議案 環二地下トンネル(仮称)築造工事(十九 一-環二新橋第一工区)請負契約
・第百九号議案 中央環状品川線中目黒換気所下部工事請負契約
・第百十号議案 中央環状品川線南品川換気所下部工事請負契約
○鈴木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査並びに財務局関係の平成二十年度補正予算案について説明を聴取いたします。
なお、平成二十年度補正予算案については、本日は説明を聴取した後、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
また、付託議案のうち第百五号議案から第百十号議案までの契約議案については、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより主税局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百二十四号議案、平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳入、歳出、主税局所管分を議題といたします。
本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
ご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
○鈴木委員長 これより財務局関係に入ります。
初めに、第百三十一号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入について、理事者の説明を求めます。
○真田主計部長 それでは、平成二十年度一般会計補正予算案(第一号)についてご説明いたします。
お配りしてございます資料第1号をごらんください。補正予算案の概要でございます。
今回の補正予算は、株式会社新銀行東京に対する出資を行うために、平成二十年度の一般会計の歳入歳出予算について、それぞれ四百億円の追加の補正を行うものでございます。
まず、歳入予算につきましては、財政調整基金を取り崩して繰り入れを行うことによりまして、歳入を四百億円増額するものでございます。
次に、歳出予算につきましては、同額を株式会社新銀行東京へ出資するものでございます。
恐縮ですが、一枚おめくりください。平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)(案)でございます。
恐れ入りますが、二枚おめくりいただきまして、三ページの予算総則をごらんください。
当初予算総額、これは六兆八千五百六十億円でございますけれども、これに補正予算額四百億円を加えた後の歳入歳出予算の総額は、それぞれ六兆八千九百六十億円でございます。
次ページ以降では、歳入と歳出の科目ごとの予算額をあらわしておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○新田経理部長 私からは、財務局所管分の補正予算案につきまして、資料第2号、平成二十年度補正予算説明書によりましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、三ページをお開き願います。平成二十年度一般会計補正予算議会局・財務局総括表でございます。
今回の補正は、財務局分の歳入でございまして、補正予算額欄の表の中ほどになりますが、特定財源として繰入金を四百億円増額するものでございます。既定予算額と合わせますと、特定財源は、計欄の下から三段目にありますとおり、一千四百七十五億九千四百万余円となります。
なお、歳出予算は変わらず、歳出予算額の計欄にありますとおり、一兆三千四百十五億九百万円でございます。
この繰入金につきましては、一枚おめくりいただきまして、五ページ中の計上説明欄の2の特定財源に記載してございますとおり、財政調整基金から繰り入れるものでございます。
以上で平成二十年度一般会計補正予算案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○鈴木委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第五十号議案、第百二十四号議案、平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分、都債、第百二十七号議案及び第百五号議案から第百十号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○新田経理部長 先日の委員会におきましてご要求のございました資料について、私からご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんください。
まず、表紙をおめくりいただきまして、今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり、二件でございます。
一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号は、法人事業税国税化対策特別基金、社会資本等整備基金及び東京オリンピック開催準備基金の設置目的等でございます。
この三つの基金につきまして、それぞれ、設置目的、積み立ての根拠をお示ししてございます。
一枚おめくりいただきまして、要求資料第2号、中央環状品川線関係契約実績一覧(財務局契約)でございます。
中央環状品川線に関する財務局契約につきまして、契約日、件名、予定価格、契約金額、落札率、契約の相手方を表にまとめたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
ご発言を願います。
○秋田委員 平成十九年度の最終補正予算について伺わせていただきたいと思います。
今回の予算では、二十年度当初予算と十九年度最終補正予算を一体的に編成して、施策を積極的に推進する攻めの部分と、攻めを支える備えの部分の両面を見据えていると聞いております。その中で、十九年度補正予算の役割について、編成に当たっての基本的考え方とあわせて伺わせてください。
○真田主計部長 今回の予算編成の課題は、お話しのように、攻めとその攻めを支える備えの二つの面がございました。
一つは、都民生活が直面する課題への対応を図りつつ、「十年後の東京」の実現に向けた施策などを積極的に展開するための攻めの実現で、もう一つは、今後、経済変動がもたらす大幅な税収減により財源不足が生じた場合や、法人事業税の国税化による税収減にあっても、そうした取り組みを安定的、継続的に進め得る財政基盤を構築する備えの実現でございました。
この二つの課題を同時に実現するため、今回は、二十年度当初予算と十九年度最終補正予算を一体的に編成することといたしました。
こうした中にありまして、十九年度最終補正予算の役割につきましては、法人事業税の暫定措置による減収など、いかなる状況変化の中にありましても、施策を安定的、継続的に実施していくための備えを最大限に行うことでございました。
○秋田委員 この最終補正予算では、備えの部分を中心としたものであることはよくわかりました。
そのため、補正予算の中身を見ると、二つの基金への積み立てが目立ちます。まずは財政調整基金への積み立てですが、財政調整基金というのは、家計でいうところの普通預金、とらの子の財産だと思うのですが、その財政調整基金への義務積み立てで一千百二十四億円が計上されていますが、なぜ財政調整基金に積み立てなければいけないのか、意義と積み立ての根拠を改めて確認したいと思います。
○真田主計部長 財政調整基金の目的は、景気変動に伴う大幅な税収減や、緊急に対応が必要な歳出要因が生じたことによりまして財源が不足する場合などに取り崩すことで、年度間の財源を調整し、長期的視点から都財政の健全な運営を図ることにございます。
先生お話がありましたとおり、まさに都財政にとりましては貴重なとらの子でございまして、景気変動の影響を受けやすい歳入構造にございます都財政にとりまして、また、地方交付税の不交付団体である都にとりまして、長期的な景気の波を吸収しながら、必要な行政サービスの水準をいかに安定的、継続的に確保していくか。そのためには、この基金を有効にすることが非常に重要でございます。
この基金の積み立てには、前年度の決算剰余金の二分の一を地方財政法に基づいて積み立てる法定積み立て、税収がふえた場合にその一部を条例に基づいて積み立てる義務積み立て、それ以外の任意積み立て、この三つがございます。今回の一千百二十四億円の積み立ては、このうちの法定積み立てによりまして六百八十三億円、義務積み立てによりまして四百四十一億円をそれぞれ算定した上で積み立てるものでございまして、これにより、長期的な財政運営の安定性を確保することができると考えております。
○秋田委員 私が一期のころ、財政委員会の委員だったころは、ちょうど財政再建推進プランを推進中でございまして、大変厳しい状況で、財政調整基金もなかなか積み立てられないような、あるいは、そもそも、あらあらすっからかんじゃないかなみたいな状況をかんがみますと、大変ありがたい状況だということはよくわかりますが、次に、今回創設する法人事業税国税化対策特別基金について伺わせていただきたいと思います。
新たに基金を創設する意義については、我が党の代表質問でも明らかにしたところでございますが、最大の理由は、何といっても、今後、都財政に多額の減収が見込まれる中にあっても、必要とされる行政サービスの水準については、これをきちんと確保するという都の意志と姿勢を、基金を新設することで都民に明確に示す点にあるとの答弁をいただきました。大変心強い限りでございます。
我々はかつて、三年間で一兆円もの減収という非常に厳しい状況にさらされた時期もございます。こうした際、一番頼れるのは基金です。そもそも、財源不足などに対応するいわゆる普通預金的な基金としては財政調整基金があります。にもかかわらず、今回、財政調整基金ではなくて、新基金を創設して積み立てることにした理由について伺います。
○真田主計部長 財政調整基金は、中長期的な期間での年度間の財源調整を図るためのものでございますが、今回の暫定措置によって確実に減収が生じると見込まれるという特殊な状況下にございまして、今回は、通常の年度間の財源調整を行う財政調整基金に積み立てるのではなく、あえて新たな基金を設置し、積み立てることにいたしました。
これによりまして、減収が生じる中にありましても、必要とされる行政サービス水準の確保に向けました都の意志と姿勢を都民に明確に示せますし、また同時に、今回の暫定措置による影響の厳しさを広く訴えていきたいというふうに考えております。
○秋田委員 今の部長のご答弁を私なりに解釈いたしますと、この法人事業税国税化対策特別基金というのは、家計でいいますと、年老いた親が生活に困窮して、子どもが別建てに積み立てたと、とはいえ、家族サービスの水準については落とすことができないから、あえて家族に明確に示す点に意味があるのかな、そんなふうに私は解釈をさせていただきたいと思います。
次に、積算の根拠について伺います。
二年間で見込まれる減収額は六千億円に上ります。それに対して、なぜ積立額が二千百八十五億円なのか、伺います。
○真田主計部長 減収に対する備えということでございますので、極力多い方がよいというふうに考えまして、今回の最終補正予算におきましても、歳入の確保と歳出の見直しを最大限行わせていただきまして、今回ぎりぎりで捻出できました財源額が二千百八十五億円でございました。この二千百八十五億円を新たに設置する基金に積み立てまして、暫定措置による減収への備えを可能な限り講じたということでございます。
具体的には、歳入におきまして、当初予算に見込んでおりません歳入がないかということで精査しましたところ、土地の売り払い収入などの歳入確保努力を行うことで二百二十億円の歳入が確保できるという状況でございましたし、また、歳出につきましても、現在の執行状況等を見ながら、不用額がないかということで精査させていただきましたところ、過誤納還付金などをさらに精査できるということで二百四十六億円の減額補正を行いました。そういうやりくりをした結果、二千百八十五億円の積み立てになっているところでございます。
○秋田委員 十九年度の積立額は、いろいろとかき集めた結果で二千百八十五億円となったということは理解しました。
しかし、それだけでは、金額だけを見れば十分とはいえないと思います。二十年度当初予算では積み増ししておりませんけれども、今後の積み立ての考え方について伺います。
○真田主計部長 今回の暫定措置によりまして大幅な減収が見込まれる状況にございますが、そうした中にありまして、都民生活を守り、「十年後の東京」の実現に向けた施策の展開を支えるという都財政の役割を的確に果たしていくため、基金ですとか都債の活用などを図るとともに、歳入歳出両面の効率性あるいは実効性をさらに高めることなどによりまして、持ち得る力をでき得る限り発揮していきたいというふうに考えております。
そうしたことから、先ほど申し上げましたとおり、最終補正予算でも、可能な限りの財源確保に努めまして生み出せました財源を全額、新たな特別基金に積み立てさせていただいたところでございます。
今後も、都財政の持てる力をでき得る限り発揮させていただきまして、この基金をさらに充実させていくという決意を持って取り組みたいというふうに考えておりますし、そのことによりまして、行政サービスの水準確保に向けた都の姿勢を最大限に示していきたいというふうに考えております。
○秋田委員 よくわかりました。
ところで、国政レベルで今回の税制改正に反対している党が、今ごろになって、この法人事業税の国税化に反対することが地方分権や都財政にとっても好ましいかのような主張をしております。しかしながら、国での議論が盛んだった昨年の秋口の時期に、彼らは一体何をしてきたのか。
第四回定例会の代表質問でも述べさせていただきましたが、我々都議会自民党は、昨年春から秋にかけて、国の主張に対して真っ向から反対をして、都選出の国会議員とともにプロジェクトチームを立ち上げて、いわば総力戦で戦ってまいりました。知事の決断は、最終的には地方の窮状にも配慮した大局的な判断で決まったと思いますし、我々もそれを支持しております。
そこで、第四回定例会でも質問しましたけれども、知事が決断するに至った理由を改めて伺います。
○真田主計部長 今回の措置は、税の原理をゆがめるものでございますし、地方分権にも逆行し、地方の疲弊の根本的な解決にもならないものでございます。しかしながら、日本の地方税制は国が一方的に決めることができまして、自治体には阻止するすべがないわけでございます。
そうした中にありまして、知事は、都の重要施策に国が最大限協力するという約束を福田総理から取りつけた上で、地方が窮状に陥っている状況を踏まえまして、国の発展を牽引する役割を担う首都東京、それから地方の一員でもある東京、その東京を預かる都知事として、いかになすべきかを熟慮に熟慮を重ねまして、今回の措置をあくまで暫定措置とすることを条件に、大所高所に立ちまして決断されたものというふうに考えております。
○秋田委員 そうですよね。今回の措置は、短期的に見れば地方分権や都財政という面ではマイナス面もあるというのは、我々はもうしっかりわかっているわけです。けれども、一方で抜本的な税制改革は遠のいて、現実に困窮している地方財政をどうするか。そういった部分を石原知事は視野に入れて、大局的な見地から日本の首都東京の知事としての判断を行ったわけであって、その決断の重みを金銭的な多寡だけで判断することは責任ある対応とはいえないと間違いなくいえると思います。
これまでは、税収が順調に伸びる中で、施策の充実を進めつつ、隠れ借金の解消や基金の積み立てなど強靱な財政基盤の構築を進めてまいりました。都財政を取り巻く環境が厳しさを増している中、今後の財政運営はますます中長期的な視点から判断しなければならない場面がふえてくると考えます。そのような中で難しい財政運営のかじ取りを行う財務局長の決意を伺って、質問を終わります。
○村山財務局長 今思い返しますと、昨年の夏以降、東京都は非常に、まるで日本全体から包囲されたような格好の月日があったわけでございまして、そういう中で、大都市の税収を奪って、それを地方に再配分しようというのが、あたかも当然であるかのような議論として非常に高まりを見せたわけでございまして、率直にいって、私どももある時期は、孤立感といいましょうか、そういうものを感じた時期もあったわけでございますが、おかげさまで、都議会の心ある先生方の力強いご支援、ご協力、ご努力をいただきながら、私ども、知事を先頭に、そういう意味では、手前みそでもありますけれども、頑張ったかなというふうに思っておりまして、その中で次第に全体の空気も変わってきましたし、都道府県の間でも連携の動きが出てくるというような形で、結果的には東京都知事の、今部長から申し上げたような大局的な判断ということで、今回の措置が暫定ということを条件にして、一応協力をするという形になったわけでございます。
もちろん、この暫定措置というものの影響というのは、都財政にとって非常に大きなものがございまして、そういう意味では、私どもとしても、実害といいましょうか、実利ベースでの困難というものにはしっかりと対応していかなきゃならないというふうに改めて思っておりますし、同時にそのことを、今回のいろいろなご協力、ご努力いただいた方々の思い、あるいは地方の思いも込めまして、税制の抜本改正というものを速やかに実現するということについてのばねともしなければならないというふうに思っております。
そのことを一つ制度的な形で具現化させようというのが、今回の法人事業税国税化対策特別基金ということでございまして、これによって、都民の皆様にはやはり、毎年三千億も、二年間で六千億も減収になっちゃって、都民サービスは大丈夫だろうかというご心配の向きもあろうかと思いますので、これについて、いや、ちゃんと都財政は頑張るぞという、そういう心意気といいましょうか、姿勢を示すということで位置づけが一つと、同時に、やはりこういうことまでしないとちゃんと行政サービスを守っていけないんだということを改めて国や、あるいは全国の方々にも認識をいただいて、改めて体制を組み直して、早期の抜本改正というものにもう一回隊列を組み直して頑張っていきたいという二つの意味合いを込めた基金設置ということでございますので、今後ともぜひこの基金を一つの大きな、反面といいましょうか、何といいましょうか、力の源にしながら、都議会の皆様と手を携えながら頑張っていきたい、かように決意しているところでございます。
○原田委員 今定例会では、法人事業税国税化対策特別基金条例と、それから平成十九年度最終補正予算案の中でも、この基金を盛り込んだ案が提案をされています。
この法人事業税の国税化ですけれども、都議会民主党は当初よりこれに反対してきました。また、国政の場においても、この法人事業税の国税化はまだ審議中のものでありまして、国会でも民主党会派は法案に反対の姿勢であります。国会を通らなければ、そもそもこの法人事業税国税化対策特別基金などというものは必要なくなるわけで、そうした意味では、前提がいまだ不透明な中でこのような提案は、本来我が会派としては扱うべきものではないかもしれませんけれども、今回は基金ということで、何らかの事業費として即使い切ってしまうものでもないこと、また、その法案が成立しなかった場合の対応について確認しておく必要があること、また、これの表裏ですけれども、都政は都政としてあらゆる事態に備えておく必要があると思うところから、質疑をさせていただきたいと思います。
まず、早速ですけれども、今回、法人事業税国税化法案が成立しなかった場合、基金の取り扱いはどのようになるのか、伺います。
○真田主計部長 今回の暫定措置に関する国の法案が成立いたしますと、二十一年度、二十二年度の両年度でも六千億円の減収が見込まれまして、確実なそういう減収が訪れる中にありまして、都がこれにどのように対応するかということが今求められているというふうに考えております。
そうした中で、今回の基金の設置をすることによりまして、まず何よりも必要とされる行政サービス水準の確保へ向けた都としての意志と姿勢を都民に明確に示し、同時に今回の暫定措置による影響の厳しさを広く訴えたいということで、先ほどもお答え申し上げましたけれども、そういうふうに考えております。ぜひご理解いただきたいと思っております。
○原田委員 今、確実に来るというふうにおっしゃいましたけれども、まだこれも都議会でも国会でも審議中のものでありまして、審議中のものに確実ということはないと思いますので、そうしたところは適切にとらえていただければなというふうに思っております。
その上で、今後都はどのように運営していくつもりなのか、今後の是非を検討するに当たり、危惧する点がありますので、確認させていただきたいと思っております。
財務局長は過日、代表質問での答弁で、この特別基金を充実するというふうにおっしゃいましたけれども、充実とはどういうことでしょうか。この二十年度については、まだ影響額がほとんどないということで、十九年度のような税の増収あるいは都の中での努力等があれば、二十一年度以降に備える余地が出てくる可能性はありますけれども、それ以降は毎年三千億円程度の減収になる中で、現状ではとても、基金をふやすという意味で充実させる余地があるとは思えないわけでございます。また、減収が見込まれる中では、むしろ基金を取り崩して、事業への影響を少なく抑えるのがそもそもの今回の基金の目的だとすれば、充実という言葉には多少の違和感を覚えるわけでございます。
今回の基金も二千百八十五億円と、想定される影響額の一年分にも満たないわけでございますけれども、何らかの目標値を定めて、そこに向けて財源確保を進めていくということなんでしょうか。
○真田主計部長 今回の暫定措置によりまして大幅な減収が見込まれる中にございましても、都財政の役割を果たしていくためには、基金や都債の活用などを図るとともに、歳入歳出両面の効率性あるいは実効性をさらに高めることなど、持てる力をでき得る限り発揮したいというふうに考えております。そうしたことから、最終補正予算でも可能な限り財源確保に努めまして、生み出した財源を全額、新たな特別基金に積み立てたものでございます。
いろいろな条件が不明確でございますので、具体的な目標があるわけではございませんが、今後も、都財政の持つ力をでき得る限り発揮するとともに、この基金をさらに充実させていく決意を持って取り組みまして、行政サービスの水準確保に向けた都の姿勢を最大限に示していきたいというふうに考えております。
○原田委員 決意は大変立派でありますけれども、実際に、今回の措置にしましても、減収額や期間などもわからない。暫定措置といっても、いつまで、また道路特定財源のように続くかわからないといったような状況でございますので、難しい状況であるということは理解はいたしますけれども。
今回の積立額だけではなくて、例えば次の二十年度以降も積み立てていかなければ減収額を賄うことはできない計算になります。実際に、二十年度積み立てたとしても、足りない分というのは出てくるわけでございます。今後十分な積み立てができなかった場合に、事業レベルが下がらないようにという決意は述べていらっしゃいますけれども、実際に事業費の削減で対応することになるのでしょうか。この点をお伺いします。
○真田主計部長 ただいまお答えしましたとおり、この基金につきましては、今後ともその充実に向け努力していきたいと考えておりますけれども、お尋ねのような場合になったときにどうするのかということでございますが、まずは、今回設置する基金を適切に活用いたしまして、減収に際しましても、行政サービスの水準の確保に努めていくことが基本であるというふうに考えております。
また、このほかの基金ですとか、さらには都債の活用、あるいは効率的な事業の執行など、歳入歳出両面にわたって最大限の努力や工夫を行うことによりまして、必要とされる行政サービスについては何としても確保するんだという決意でもって、全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○原田委員 行政サービスの水準を確保していく、そうした決意はまた改めてお伺いしましたけれども、一方で、この基金の使い方の方なんですけれども、条例を読んだだけではまだまだ漠然としておりまして、よくわからないわけでございます。
実際に事業への影響をなくしていくという意味では、具体的に今後、この積み立てた基金をどう使っていくかというところが重要になってくるわけでございますけれども、この積み立てた基金の二十一年度以降の活用について、何らかの年次計画ですとか取り崩しのルールといったものはあるのでしょうか。
○真田主計部長 今回の基金の設置目的は、暫定措置によります減収に際しても行政水準の維持に必要な財源を確保することによりまして、財政の健全な運営に資することにございます。
お話しの基金の活用につきましては、今後の財政状況なども勘案しまして、設置目的である財政の健全な運営に資するよう適切に対応していくものでございまして、必ずしも年次計画について策定する特段の必要性はないというふうに考えております。
○原田委員 今のところ、国の暫定措置といったものが終わってくれること以外に、この基金の終わりというものはないというようなことのようでありますけれども、そうしたところであれば、国の国税化法案にそもそも最初から反対していくというのも筋かと思うのですけれども、そうした中で、あえて今回、ほかの名目でも基金が積めるところを、緊急アピールということでこの基金を設置するのであれば、この基金が恒常化しないように、あくまで暫定として都ではとらえているのだということを明示するべきだと思います。
そうした意味で、この基金の存続期間をあらかじめ定めておいて、積み立てた分をなるべく短い期間で消化していくというのが、緊急対策という性格を内外に示していくという上では必要なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○真田主計部長 今回の基金を設置しました理由は、先ほどもご答弁しましたように、まず何よりも必要とされる行政サービス水準の確保に向けた都としての意志と姿勢を都民に明確に示す点にございまして、同時に、今回の暫定措置による影響の厳しさを広く訴えたいという側面もございます。
その上で、あえて特別という言葉を付すことによりまして、今回の暫定措置が暫定的で特別なものであるということをアピールしているものでございまして、今回の基金の設置をステップといたしまして、早期の税制の抜本改革を実現いたしまして、一刻も早く暫定措置を終わらせることが必要であるというふうに考えております。
その実現に向けまして、皆様のお力添えもいただきながら取り組んでいきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
○原田委員 期限の定めもない暫定ということでございますけれども、安易に暫定という言葉を使うのはいいことではないと思います。その上で、ただ都としては、国の状況に対して対応しなければいけないという苦しいお立場であろうというところは察するわけでございますけれども、暫定措置がなくなれば、当然にこの基金は必要なくなってくると思うわけでございます。
そうしたときに、最後にお伺いしますけれども、暫定措置の終了時にこの基金の残高があった場合、これはほかの目的に転用される可能性がないのかどうか、この点を確認させてください。
○真田主計部長 幸いにしましてそのようになった場合におきましては、そのときの基金残高を適正な手続にのっとりまして財政調整基金に繰り入れること、あるいは施策に活用することなどになるというふうに考えておりますけれども、先ほども答弁して、繰り返しになって恐縮でございますけれども、いずれにしましても、早期に税制の抜本改革を実現し、暫定措置を終了させるために一生懸命努力していきたいと考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○原田委員 財政調整基金等に繰り入れるということで、通常の形に戻るというのが当然あるべき形ではあると思いますけれども、その際に、特定の事業ですとか、あるいは特定のものの後始末ですとか、そういったところの当てにされてしまっては困るわけでありまして、そうしたところがないように、健全な財政運営に向けて、皆様の方でもご努力されていただければと思っております。
日本全体も成熟した社会になりまして、総体として、大型の建設プロジェクトよりも環境や福祉といった身近な事業のニーズが高まっているところであります。また、同じインフラやさまざまな施設整備に関しましても、新たなものの建設というよりも、今回もまた都の方で方針が打ち出されましたけれども、既存施設の維持管理と更新といったものが重要な局面に入ってきているわけでございます。
そうした中にあって、小回りのきく政治行政システムを構築するためには、自主的で自立的な地方財政の確立に向けて、なお一層の内部努力と、あわせて外に向けてのアピールが重要でございます。この国、そしてこの東京全体の持続的な発展を可能ならしめるための税制の抜本改正に私どもも一層努力することを申し上げ、また、都の方でも最大限の努力をしていただくことを改めてお願い申し上げて、質問を終わります。
○高倉委員 今回、平成十九年度最終補正予算の審議ということでございますので、財政調整基金と法人事業税国税化対策特別基金ということについてお伺いをしたいと思います。
今回の法人事業税の一部国税化ということにつきましては、知事もいわれるように、税の原則や地方分権に反するものであるということは全く同感でございます。そうした中で、阻止する手だてがない、そうした状況の中で東京都として、都の重要施策について国との協議の場を設けさせる、あるいは税制の抜本的な改革までの暫定措置として、そうした大局的な判断のもとでぎりぎりの選択を知事がされたということについては、私どもも一定の評価をするものでございます。
そうした上で、今回、今定例会の我が党の代表質問におきましては、今後の法人事業税の減収に備え、新たに基金を創設するなど、都民生活を守っていく、そういった視点からの基金活用の重要性ということについて質問をしたわけでありまして、その役割について、改めてきょう質問させていただきたいなと思っております。
まず最初に、財政調整基金は、平成元年度に三千五百億円以上あった基金が九年度には十億円を割り込んでいる、こういった状況にあったわけでありますけれども、そのときの財政状況について見解をお伺いしたいと思います。
○真田主計部長 先生ただいまお話がございましたとおり、財政調整基金は、平成元年度に三千五百二十二億円まで積み立てられました後、その後の財源不足などへの対応によりまして取り崩しが行われたため、九年度には九億九千万円まで減少しました。この間、都税収入は減収傾向にございまして、特に平成三年度から三年間で都税が約一兆円も減収となる非常に厳しい時代でございました。
こうした状況におきましても、できる限りの都民サービスの確保に努めるため、まずは厳しい内部努力を行うとともに、より効率的な施策の見直しを図るほか、可能な限りの起債の活用、あるいは他会計からの借り入れなどのやりくり、そういったことによりまして財源確保を行いまして、あわせてこの財政調整基金につきましても取り崩しを行わざるを得ませんで、先ほど申し上げましたとおり、平成九年度には二千二百億円もの取り崩しを行った結果としまして、基金残高もほぼ底をついたということでございます。
一般会計の実質収支を見ましても、財政調整基金が底をついた九年度以降について見ますと、十年度には過去最悪の一千億円を超える赤字決算となりまして、その後の十六年までこの赤字がずっと続いたという状況でございました。
○高倉委員 今答弁にもありましたように、結局、平成九年度に基金が底をついて、十年度からは赤字決算が始まるということになるわけであります。そう考えますと、財政調整基金は、税収の増減が施策に与える影響を最小限にする、そうした財源調整機能を持っているわけでありまして、来るべき税収変動にも備えていくということが極めて必要ではないかと思っております。
そもそも基金は、本会議での私ども都議会公明党の代表質問に対して局長からご答弁をいただきましたように、今後、経済変動が生じた場合にも必要な行政サービス水準をみずからの責任において確保するために必要なものであります。このような役割を担っているにもかかわらず、今回の補正予算での基金積み立てについて、一部には、ため込み過ぎであり、都民のためにもっと使うべきだ、こういった批判もあるようであります。
そこで、お伺いをしますけれども、法人事業税の国税化などによって今後の税収減が見込まれる中で、例えば今回のように基金を積んだ場合と、基金に積まないでほかに使ってしまった場合、それぞれについて今後想定される状況の違いについて、説明をいただきたいと思います。
○真田主計部長 ただいまご質問のございました、財源に余裕ができたときに積み立てを行わないで使ってしまった場合、どうなるかということでございますが、その時点だけをとらえますと、都民サービスの充実が図られますけれども、それをやみくもにふやしていきますと、将来財政状況が厳しくなった際には、大幅な歳出の抑制が避けられなくなりますし、結果的に安定した都民サービスの提供が困難になるというふうに考えております。
こうした状況になりますと、今度は当該施策のみならず、将来に向けて施策を積極的に展開するという前向きな取り組みにも影響が出てしまいまして、都民の生活を守るということはもちろん、東京をさらに発展させる都の先進的な取り組みを支えるという都財政の役割が果たせなくなるというふうに考えております。
一方で、先行きが不透明な今だからこそ基金への積み立てを行っておけば、その時点での急な施策の向上は逆に図れませんけれども、財政状況が厳しくなった際には、そういったことをやることによりまして、時間的な面でも、あるいは質的な面でも安定的に施策を実施することが可能になりますし、結果として都民サービスの低下を極力抑えることが可能になる。したがいまして、また東京の将来を切り開く施策を展開していくことにもつながるというふうに考えております。
こうしたことから、現在のように将来の減収が見込まれる局面におきましては、基金への積み立てがとりわけ重要な役割を果たすものというふうに考えております。
○高倉委員 今るるご説明をいただきましたけれども、家計に例えますとわかりやすいのではないかなと思います。
再来年から収入が下がることがわかっているときに、ことしは何とかやりくりをして、これだけのお金が手元にある。そのお金をどうしていくか。あしたはあしたの風が吹く、こういった形で使ってしまうのか、あるいは減収に備えて蓄えをしていくのか。現在手元にお金があるからといって、どんどん使い続けていきますと、いずれ立ち行かなくなるということは、過去の例、例えば美濃部都政等の経験から、火を見るよりこれは明らかなことではないかと思います。
ここで使い切ってしまって、来年以降も今の生活を維持できなくなるか、そういったことを総合的に考えれば、アリとキリギリスの童話ではありませんけれども、当然蓄えることが都民に対して責任ある財政運営である、そのように考えるものであります。
幸い、ここ最近は、基金の取り崩しよりも積み立てが多い状況が続いております。しかし、我が国の経済状況の先行きは、原油高や米国のサブプライムローン問題の影響などによって不透明感が増しておりまして、今後は、これらの基金を取り崩して有効に活用するということも必要になってくると思います。
財政調整基金また法人事業税国税化対策特別基金とも、特定目的に充当される基金ではありませんので、その効果は目に見えないかもわかりませんけれども、都民生活を守るという役割を果たしていくためには、むやみやたらに取り崩すようなことがあってはならないと思います。財政規律をきちんと守りながら、必要な行政サービス水準を維持する上で必要な際に活用し、しっかりと都民生活の維持向上に役立てていただきたいというふうに思っております。
今でこそ、五年連続で都税収入が伸びるという予算になっておりますけれども、平成に入ってからは、二年連続の増加がせいぜいであったわけであります。そうした意味では、先ほど述べた経済情勢からしても、このようには考えたくありませんが、危機は場合によっては目前に迫っているということもあるのかもわかりません。そうした事態が仮に訪れたとしても、私たちは、都民に安心して都政を任せていただけるように、常に責任ある対応をとっていかなければならないと考えております。
最後に、都民生活を守る責任を財政面で負っている財務局長に財政対応力の強化に向けた決意を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○村山財務局長 いろいろご指摘いただきましたように、東京都の財政というのはこの数十年来、びょんとふえて、ぼとんと落ちる、ずんとふえて、ずどんと落ちる、そういう繰り返しの歴史でございまして、そのたびごとに、税収がふえるときには、何でもっと使わないんだというご批判をいただき、税収がぐんと落ちたときには、そういう歳出は削減するのはおかしいというご批判をいただき、ふえるときも減るときもご批判をいただいてきたのが、これは財政当局の宿命であるわけですが、一つの今ご指摘いただいた都財政の構造的な特徴の面というのがあるわけでございます。
そういう財政構造を、ある面では前提としながら、都財政運営においては二つの役割がある。一つは、前に向かって新しい施策、積極的な施策を展開していくというのが一つ役割であり、同時に、いろんな変動の中で税収が相当落ち込んだ場合でも必要な行政水準というのはしっかりこれを確保する。この両々相まちながら、いろいろご批判をいただきながらも、全体として行政水準を向上させていくというところに役割の根幹があるんだろうというふうに私どもは認識をいたしております。
その場合に、この二つの役割というものの関係なのですけれども、二番目の、税収なんかが非常にずどんと落っこっちゃったときにも、ちゃんと行政水準を確保できる力を確実に持っていないと、結局前に出る力も弱くなる、推進力も弱くなるという関係にありますので、そこのところの備えというのを、しっかりそこを構築していくということが私どもにとっては非常に肝要だというふうに、これまでの経験上、痛切に感じております。
今回、攻めと備えというふうに申し上げているわけですが、あえて攻めと守りといわなかったのは、やはり我々は攻めの方に今日の都政の方向はしっかり持った上で、その攻めをしっかりやっていくときには、それに向けての備えをちゃんとやっていくことが積極的な都政展開の上での有効なことであるという認識に基づいて、あえて備えというふうに申し上げたというふうにご理解をいただければというふうに思っております。
特に、ご指摘いただきましたように、都税収入、きょうの株価の状況などを見ましても、やはりピークアウトしているのかなというような感を非常に強めてきているわけでございまして、そういう意味では、こういうときこそしっかりと腰を落として、力を蓄えつつ、前を向いて一生懸命頑張るというスタンスのとり方が大事だろうというふうに思っております。
もとより、基金だけが備えではないわけでございまして、この間の都債の発行余力の蓄積でありますとか、あるいは公会計制度の導入による事業のしっかりとした再点検の仕組みであるとか、そういうようなことを総合的にいろいろ兼ね合わせながら、これからの財政運営をしっかりやっていきたいというふうに思っておりまして、そういういろんな積極的な思いを込めた十九年度補正ということでご理解を賜りたいと思います。
○曽根委員 いろいろ今質疑がありました。特別基金の意義や今後の活用法について、私からもまず最初にお聞きをして、その後に、補正予算のあり方についてもお聞きをしていきたいと思います。
今まで、この基金というか、都税収入の上がり下がりに応じた財政運営について、いつも財務局は責められる立場にある宿命があるというようなお話とか、財政運営のあり方についての、革新、美濃部知事の時代のことを引き合いに出したお話もありましたが、私、やっぱり思い出すのは、平成五年、九三年当時に、一番ピークだったでしょうか、社会資本整備基金などについても、ここからどんどん基金が減らされていった。その過程を見れば、使われた大半は、例えば当時つくっていた、今、大江戸線、地下鉄十二号線の、もうとめられないということでどんどん、何というんですか、設計変更で水膨れしていった事業費。それから、都庁ほか大型施設が建ってきて、それもとめられないということで、どんどんそれにお金が出ていく。社会資本整備基金、六千億ぐらいあったと思うんですけれども、大半はそういうことに使われて、ハードですね、要するに。都民施策維持のために使われた基金の取り崩し方というのは、ついぞ私は大きなところは記憶はありません。したがって、都民からの、こうしたことに対する非難が浴びせられるのは私は当然だと思います。そこで、今度つくられようとしている特別基金について、そういう懸念、そのことが繰り返される懸念はないのかということが、私の質問したいところなんです。
この基金がつくられたいきさつは、十二月十一日の福田首相と石原知事の合意にあることはだれしも知るところであり、そのときに、都議会としては全く蚊帳の外に置かれていたことも事実であります。したがって、そういうやり方、手続の問題自体が都民や議会に対してきちんと、何といいますか、ある意味では相談、協議をするようなやり方でなかったこと、このことについて、どういいわけしたって、私たちやっぱり物をいわなきゃならないのが議会の当然の責務だと思います。
それで、議会に説明もなくやられた後、その後に実務者会議まで設定された。そこでは、知事が選んだ十三の事業が重点になって今後進めていくというふうになっている。このことは後でちょっと、特別基金との関連もあるのでお聞きしておきたいんですが、その後、実務者会議はどれぐらい開かれて、どういう内容が話し合われ、どういう動きがあったんでしょうか。
○真田主計部長 実務者協議会に関します所管は知事本局でございまして、財務局は基本的にはお答えする立場にございませんけれども、知事本局から聞いているところをご紹介いたしますと、法人事業税の暫定措置に際して設置されました国と都との実務者協議会は、その第一回が昨年十二月二十七日に開催されました。これを受けて、例えば二月十八日には、羽田空港の国際化につきまして千葉県、神奈川県の参加も得て分科会を設置し、国との協議を開始しておりまして、また、その他の項目につきましても、個々の施策ごとに関係省庁との個別の協議を開始しているというふうに聞いております。
○曽根委員 実務者会議は十二月二十七日が初回だというお話ですが、その二日前には国幹会議が開かれて、この十三事業の中に知事が首都の効率を増進するインフラ整備の中に掲げていた外かく環状道路の早期着工ということについては国幹会議で、わずか三十分ぐらいの審議のもとにゴーサインが出される、事業化の方向で動き出したということがありました。
さらに、これは実行プログラムの中に入っているものもありますが、入っていない、例えば交通政策審議会答申によらない地下鉄路線建設などということも入っており、これがもし動き出せば、実行プログラムをさらに上回るハードの事業が動き出す可能性もなきにしもあらずといわざるを得ません。
そういう点では、この大きな流れでいいますと、都が反対を続けていたけれども、結局は、国に法人事業税の約半分を国税化して持っていかれることを認めてしまった。しかし、そこまで妥協したんだからそのかわりということで、知事がピックアップした十三の事業だけはちゃんとやらせてくださいねと、これはお墨つきをもらった。しかし、その十三の事業というのは、東京都のやっている大きな、いろんな仕事の中で、知事が本当にやりたい事業に絞られており、その大半はハードであります。インフラ整備、オリンピック絡みであるという(発言する者あり)そういうことです。そういうものにピックアップして、知事がやりたいところだけやらせてくださいねと。全体は戦に負けたけれども、お殿様がここだけは守らせてくださいよというところだけ、領民のいろんな今後の苦しみはさておいても、お殿様の気に入ったところだけは守りますよと、こういう負け戦の仕方というのは、私、本当に情けないといわざるを得ません。(「そもそも戦になってないんだよ」と呼ぶ者あり)戦になっていなかったというお話が今ありましたけれども、とんでもないですよ。国と大論争してきたはずじゃなかったんですか。それが戦でなかったというんだったら、最初から根回し済んでいたということでしょうかね。そんな、冗談じゃないと思います。
したがって、私たちは、こういうやり方こそ都民を無視したものだといわざるを得ないということと、その上につくられた特別対策基金、これについては私は、本当に疑問があるんですよ。
というのは、まず第一に、二千百八十五億円、とにかく今年度補正財源を積めるだけ積んだんですと、反対の意思を示すというようなことをお話しになりましたが、それでは、財調基金と違って、この名前で基金を積むことによる、政治的な意味合いとかそういうことはおいておいても、財政的な何か特別のメリットというのはあるんですか、都にとって。
○真田主計部長 今回、財政調整基金と別にこの基金をつくりましたのは、先ほどお答えしたとおりでございまして、そういうことで、今回の減収が確実--法案が通ればという前提でございますけれども、確実に見込まれると、そういう状況の中で、都民サービスの水準をいささかも低下させないという都の姿勢を明確にアピールするということ。あと、そうはいっても、できるだけかき集めて頑張りましたけれども、まだまだその水準に達していない、それだけ厳しい措置であるということをアピールするために設けたものでございまして、そういう意味では、財源の年度間調整ということでいけば同じかもしれませんけれども、基金を設置した意味合いはおのずからそういった意味がございますので、ぜひご理解いただきたいと思います。
○曽根委員 財政的にはメリットは余りないわけですね。東京都の公的な基金ですから当然です。しかし、政治的にいって、都民向けのアピールが、ないとはいいませんよ、しかし他の自治体との関係でどうなんでしょうか。今はまだ三千億円持っていかれていない段階ですから、財政にまだ余裕があるから積めるんだと。しかし今後も、さっき、財政の許す限り積んでいきたいというようなお話も、ちょっとニュアンスありました。もし削られ始めて、再来年度ですか二千八百億円、その次は三千二百億円、削り出してからもこっちで積んでいるというのは何なのかと。削られたってまだお金に積むだけの余裕ありますよ、ということになりかねないじゃありませんか。
私、率直にいって、削られたことが厳しいから、都民の方々の行政水準を落とさないために積もうというのに、削られ始めてからもまた積むようなことがあり得るんですかね。これはちょっと、ここだけ確認しておきたいんですよ。削られ出してから積むようなことができるんですか。
○真田主計部長 その点につきましては、先ほどお答えしましたけれども、今回、十九年度におきましては、そういったやりくりで二千百八十五億円の積み立てをさせていただきました。今後もさらに充実させていきたいという思いは我々持ってございますが、具体的に二十年度以降どういうふうな積み立てができるか、どういう対応ができるかというのは、その時々の状況を見て、また適切に判断していきたいと考えております。
○曽根委員 もし万が一財政的なゆとりがあるんだったら、財調基金というものがあるわけですよ、年度間調整で今後心配ならばですよ。しかし、これは政治的な意味があるからこれを積んでいる、わざわざ名前をつけて。しかし、もし削られ始めて三千億円持っていかれているのにまだ二千億円なり、そこまでいかないにしても、こっちで積んでますよ、別建てでと。それだけ余裕があったんなら、三千億円じゃ足らないじゃないか、東京、金持ちじゃないかということになるじゃないですか、事実上。そういうことが今後に見込まれるからこそ、こんな危険な基金を積む必要ないんですよ。道理がないんです、もともとこれは。根拠もないですよ、財調基金で済むんだから。ということは申し上げておきたいと思うんです。
しかも、こういう基金のつくり方をすると、使われる道が私は縛られてくる危険性があるということは指摘しておかなきゃならないんです。というのは、この基金を設定すると同時に、知事は、福田首相に対して十三事業をぜひやらせてほしいとお願いしていると、重点で。それから、東京都の施策も、実行プログラムということで重点事業を打ち出して四千七百億円来年度は組んでいる。こういう重点の施策こそが行政サービスとして水準を落とさないようにするということの重点になってくるということは私、見え見えだと思うんですよ。そういうことに専ら偏って使われる危険性があるんじゃないですか。いかがですか。
○真田主計部長 今回設置いたします特別基金は、特定の事業を推進するもの、それの財源として活用するものではなくて、今後生じる減収に際し、ハード事業、ソフト事業にかかわりなく必要とされる行政水準の確保を図るためのものでございます。ご理解いただきたいと思います。
なお、先ほど来、例の十三項目の話、これはハード偏重ではないかというようなお話、あるいは実行プログラムにつきましても同様のご指摘をいただいております。私どもの理解は、この十三項目につきましても、首都東京の今後の発展を期する上から、都としても意義のある事業を網羅したものでございまして、ハード、ソフトそれぞれ含まれておりまして、特にハードを偏重したものというふうにとらえるのはいかがかというふうに思います。
○曽根委員 しかし、これを見てくださいよ。かかる金額を考えてくださいよ。圧倒的にハードの方がお金がかかるんですから。そういう理屈だけおっしゃったってだめですよ。
しかも、じゃ、基金の取り崩し方として、東京都は、さっきもちょっといいましたけれども、経常的な福祉や教育や医療や、こういうものの事業に、税収が落ちたからといって、少額なら別ですよ、しかし、この制度を維持するために年間百億、二百億どうしても足りなくなるというために、維持するために基金を取り崩して、一たん取り崩し出したら何年か継続しないわけにいきませんよね。そういう取り崩し方は、私は記憶ないんですよ。ハードには使いますよ、これは一発だからということで、投資で。基金というのは大体そうやって投資に使われてきたんですよ、専ら。既に今年度の補正と来年度で七千億円の新たな積み立てがありますけれども、そのうちオリンピック基金一千億円、それから社会資本整備基金の積み増しで二千五百億円、既に半分の三千五百億円はハードに使う、インフラ整備に使うということが決められている基金ですよ。残り三千五百の中身の一つがこれなんですけれども、これもまたハード中心に使われたら、本当に都民施策の水準を維持することができるのかという問題が残ると思います。
ちょっと具体的に、例えば、今都民、特に高齢者に大変喜ばれているシルバーパスを、この間、非課税から課税になった方には暫定措置で千円に抑えていますね。来年度も一応これは続けると。例えばこういう喜ばれている事業を、これは水準を落とさない、行政サービスの水準を落とさない、都民にとっては非常に大事な施策の一つだと私は思いますけれども、維持するために使うという保証はありますか。どうですか。
○真田主計部長 先生のお話を承っておりますと、まず、若干前提を押さえていただかなきゃならないのが、基金といいましても、先生がおっしゃっているような特定の目的の財源に充当するために設置したいわゆる特定目的基金と、それから今回の財調基金あるいは特別基金のような年度間の財源調整を図るための基金と二つあります。
前者につきましては、使途があらかじめ特定されておりますので、その使途の事業に充当するのは当然のことでございまして、もう一方の、財源の年度間調整を図るための基金につきましては、これは財源が不足した、それに対して財源の補てんを行うために活用するものでございまして、結果として、補てんを行うことによって施策が実現できるという形のものでございまして、これは特定の社会資本整備を図るために財調基金が使われているとか、そういう関係には立たないものでございます。
また、施策につきましても、私どもは、ハード、ソフトいずれをとりましても、都民にとって本当に必要かどうか、そういう観点で毎年施策の優先順位づけを行っておりまして、それにつきましては、毎年度予算でご審議いただいて、当然認めていただいた、その内容に従って予算を組んで執行しておりますので、そういう意味でも、都民の理解を得られるというふうに考えております。
○曽根委員 ハード、ソフト両方使えるということは確認しておきたいということと、それにしても、都民にとって必要かどうかを判断した、その結果が例えば重点事業などにあらわれているのを見れば、来年度重点事業の四〇%以上が三環状を中心としたインフラ整備ですから、そういう点では重点ははっきりしているんだということは申し上げておきたいと思います。
それで、補正財源が二千百八十五億円、それに、ことし使い残し分も含めて積むというんですけれども、補正財源、じゃ、必要としている現年度内での緊急に手当てすべき事業はないのかという点では、私、たくさんあると思うんですよ。
一例だけ、ちょっときょうは時間の関係で質問、一例だけしておきますが、今回、工事契約案件に出ている青梅東学園の改修工事、これは教育庁にお聞きしたら、昨年十月、一回入札をして、不調になった。当時は、十五億円余りの予定価格でもって入札したんだけど不調になった。今度は十四億何がしで、これは下がったのかなと思ったらそうじゃない。プール棟、学校の中にプールを何かつくりかえるそうなんですけれども、障害児の施設ですから、屋根つきのプールにすると。そのプール棟は今回工事から外して、一億円ぐらい下げた予定価格で今回は落札した。この差額で本当にプール棟ができるのかなと、一億ぐらいで。そんなものじゃない、大体三億ぐらいかかるんじゃないかなと思うんですが、前回、入札不調になった、今回、プール棟を下げて、この差額というのはどういう金額なのか、教えてください。
○山本参事 都立青梅東学園養護学校は、本定例会の契約案件となっております。教育庁の方で、二十一年四月、来年の四月の開校に間に合わせるために、工事量の調整を図って、財務局はその委任を受けて発注し、その十億円については、その工事費を積算したものでございます。
プール棟につきましては、二十一年度に発注する予定と教育庁から聞いておりますので、教育庁から施工委任と執行委任を受けた後、積算を行うことにしております。
○曽根委員 つまり、前回十五億で、プール棟をそのまま残して工事、入札をやり直すと、どうしても今回三億ぐらい乗って、もともと決めていた枠を突破してしまう。じゃ、プール棟を外して今回入札しようということになったと。これは私の推測ですけれども、恐らく間違いないでしょう、三億ぐらいかかると聞きましたから。だったらば、二億ぐらい足してやれば--開校のときに間に合わなくなっちゃうんですよ、来年度の工事になれば。来年の四月、開校するときに最初からプールがない。教育庁にプールをつくるのはいつだと聞いたら、開校してからつくりますと。こんなばかな話、ないじゃないですか。一年前ですよ、まだ開校。今から、その枠を広げてやって、それで入札して開校に間に合わせるぐらいのことは簡単にできるじゃないですか、補正財源もあるし。教育庁だって、頑張れば、恐らく枠内でもやれるでしょう。なぜそういう発想が出てこないのかと。財務局がこういうふうに枠を突破しちゃいかぬよという指導をされているんですか。
○真田主計部長 お話の青梅東の件でございますけれども、ただいま山本参事の方からお答えしましたとおり、教育庁が子どものことを第一に考えた結果、開校をおくらせないということで、プール工事については切り離したものというふうに聞いておりますし、実際、補正予算の要求につきましても、局の方からは出てきておりません。
○曽根委員 財務局はふだんこういうふうに、たとえ数億円でも、もともとの枠を年度当初に申請しているんだからその枠内でやりなさいよという、補正はもともとはそういうもので使うものじゃないんだよということを指導されているんですか。
○真田主計部長 予算の仕組みについて申し上げますけれども、当然のことながら、予算の執行というのは、まず議会の議決を経て成立した予算に基づいて執行されるべきものでございます。しかし、その枠の中におきまして、当初予算編成後の状況の変化などに基づきまして、予算執行上必要になった場合には、これまでも、例えば流用対応など、執行上の工夫などによりまして対応してきておりまして、そういった弾力的な対応も図れるということをご理解いただきたいと思います。
○曽根委員 こういう問題が本当にごろごろしているんですよ。前にも学校の改修がおくれて五十億円ぐらい必要だという申請があったんだけれども、年度当初で十五億円に切られたと。そんなの補正で、物すごい、三千億円当時も財源ありましたからね、あと三十五億円がなぜ補正でつけられないのかという話をしました。それから、今でも、例えば都立病院でお医者さんが足りない、産婦人科が休診というような事態がずっと、年度内に起こっている。何とか手当てできないかと。お金をつけて、予算をつけて解決できることはないのかという努力をすれば、私は何とか打開策はあると思うんですね、年度内に、緊急に。
そういうことも含めて、本当に全庁的に、補正財源が二千億円以上ある、これを私、全額積むなとはいいませんよ。しかし、財調基金も積んでいるんだから、だったらば都民のために使われるべき事業はないのかということを全庁に声をかけるぐらいのことは、これからの財務局、収入が厳しくなるというのであれば、本当にそのことを、都民サービスを落とさないために、いや、むしろ充実させるためにこそ努力をしてほしいということを申し上げて、質問を終わります。
○高木委員 私は、第百五号議案からずっと契約案件があるんですが、契約案件に関連をして、公共工事の前払い金制度のことについてお伺いをしたいと思っております。
まず、公共工事の前払い金制度のできてきた歴史的経緯と、その意味合いと、それから現状のルールというものをご説明いただきたいと思います。
○竹本参事 公共工事の前払い金についてのお尋ねでございます。前払い金は、契約締結後、工事の着手準備金として一定の金額を支払うものであります。都では、昭和四十七年四月から前払い金制度を実施していますが、制度制定当時、建設業者は経済的な基盤が著しく弱く、一方において、工事着手に当たっては、材料の購入、仮設工事、労働者の確保等のための多額の資金を必要とし、常に資金繰りに苦慮している状況にありました。都の工事を請け負う業者も例外ではなく、契約締結後、着手資金の確保に相当な期間を要している状況にあったものでございます。
前払い金につきましては、東京都公共工事の前払金取扱要綱で定められており、工事については契約金額の四割としていますが、三億六千万円が限度となっています。ただし、契約金額が三十六億円以上の場合は、契約金額の一割としているところでございます。
対象となる工事及び立地等につきましては、入札条件としてあらかじめ入札参加者に明示をしています。
都と請負者が契約締結した後、請負者は保険事業会社と保証契約を締結し、その保証証書を都に提出した上で前払い金の請求を行うことができます。
都は、前払い金の請求を受けたときは、請負者の指定する前払い金専用口座に振り込むことになります。
○高木委員 その保証会社が主に、東日本建設業保証株式会社という会社が主にその保証会社ということになるんだと思うんですけれども、これから、公共工事の品質確保も含めていろんな意味で公共工事が話題になっているときに、私はこの前払い金制度を一つの材料として、いろんな意味で東京都も参考にすべき事例だろうなというふうに思っているんです。
ちなみに伺いたいんですが、東京都が支出をする前払い金の支払いの窓口として、東日本建設業保証株式会社が受注企業に関する企業情報、例えば財務内容とか実績とか経営事項審査点数、工事評価点など、どの程度掌握をしているのか、わかる範囲で教えてください。
○竹本参事 東日本建設業保証株式会社は、受注企業が前払い金保証の申し込みを行う際に、決算書、それから建設業許可証の写し、施工経歴書を求めていますので、財務内容、実績等は当然に掌握していると考えられます。また、経営事項審査結果につきましては、財団法人建設業情報管理センターのホームページで公表されていますので、閲覧することができます。一方、工事成績につきましては、提出を求めておりません。
なお、このほかに、工事請負契約書などを提出することとなっています。また、前払い金の払い出しを受ける前にも書類の提出を求めておりますが、その内容は具体的に承知していませんが、企業により異なる場合があると聞いております。
○高木委員 企業により出される書類が異なっているというところが実はこの会社の一つの、何といいますか、判断、経営の判断なんだろうと思うんですね。つまり、保証会社、保険会社でもあり、またお金も扱っているわけですから、銀行業務のような会社だと思っているんですけれども、そういうところが一つのルールに基づいて公共工事の前払いの保証をしている。そのときに、この会社はこの程度の資料でいいよ、この会社はこの程度の資料がなきゃだめだよということがあるとすれば、その会社、東日本建設業保証株式会社がそれぞれの民間企業をある意味で、AランクとかBランクとかCランクといういい方がどうかわかりませんが、私はそういう格付みたいなのをやっているんだと思っているんですよ。これは格付といういい方がいいかどうかわかりませんよ。わからないけれども、そういうものをやっている可能性が私は非常に高いというふうに思っています。
実は、なぜそういうことをいっているかというと、今、公共工事の中で不良不適格業者といわれる業者をどう避けていくか、つまり品質を確保していくという視点から、東京都が発注をする工事が、できるだけいい業者さんにやっぱりやってもらいたい。きちっとした業者さんにやってもらいたいという中で、そういう不良不適格といわれるところをどう排除していくのかというところに腐心をしているんだと思います。これは財務局も、ほかの、発注ができる局、例えば公営企業の関係のところも同じだと思うんですけれども、とにかくどう品質を確保していくのかというところに最大の腐心をしているんだと思うんです。その一環として例えば総合評価制度みたいなものがあるわけであって、そういうことを考えると、私はこの民間企業の金融、保険を扱っているところの会社がやっていることというのはやっぱり東京都財務局も参考にすべきなんではないかなというふうに思うんです。
東日本建設業保証株式会社が独自の例えば格付を行っているとしても、そういう意味では、発注者である東京都と、その基本情報というのはやっぱり共有をすべきではないのかな、一つはですね。それから、そのことによって、先ほどいった不良不適格業者を排除していくという参考情報にすべきじゃないか。
さらにいうなら、東京都は、東日本建設業保証株式会社がやっている独自の格付や保証に関する姿勢に対して、不良不適格業者を排除して、発注工事の健全な運営を目指す都の方針と一致させるべく、ある意味では関与もしていく、指導していくということは、民間企業ですからなかなかできないとは思いますけれども、そのぐらいの意気込みが私は必要なんじゃないかというふうに思っています。
もう一つ、さらに申し上げれば、公共工事の品質を確保するという観点から、この東日本建設業保証株式会社がやっている独自の格付というか、そういう基準というものを、東京都の総合評価方式の中にも組み込んでいく必要がありはしないかなというふうに思います。
今後審議が行われる新銀行東京の例を出すわけじゃないですけれども、どれだけその金融機関が審査基準をきちっとするかというのは、これはもう死活問題なわけですよ。ですから、こういう業者が、一つの保証会社、保険会社がやっていることというのは、むしろ東京都の財務局よりも、審査基準をつくり、審査を運営をしているという意味では先輩格なわけですよ、ある意味では。東京都は総合評価方式を最近やり始めたけれども、この会社自体、東日本建設業保証会社は、昭和二十七年に法律ができてから、二十七年十月に資本金一億円で会社を設立して、そのときからずっとやっているわけですよ。ですから、企業情報の蓄積からしても、物すごい、いろんな意味ですごい情報を持っているはずなんですよ。ですから、そこと基本的な情報交換をしながら、東京都のよりよい入札制度をつくっていくということが一つの切り口にこれからなっていくんではないかなという意味でご質問させていただきましたので、ご答弁をお願いしたいと思います。
○竹本参事 ただいまお話しの公共工事の品質を確保するという視点は、非常に極めて重要な課題と認識しております。東日本建設業保証株式会社がいわゆる独自の格付を行っているのかにつきましては明らかにされていませんが、同社は民間企業であり、また保有する顧客情報については守秘義務があることから厳重に管理されていると聞いており、顧客情報を直接共有することは難しいと考えております。同社は、ただいま先生のお話にもございましたように、昭和二十七年、公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づいて、国土交通大臣の登録を受けて前払い金保証事業を営む会社と位置づけられていることから、都の直接的な関与は困難と思われます。
国において金融機関等の保証を入札参加条件とする際に、保証事業会社の契約保証予約を、これに含まれていることなども参考としながら、総合評価方式や不良不適格業者排除など、公共工事の品質確保の仕組みづくりについて検討してまいります。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時二十五分散会
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