委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 柿沢 未途君 |
理事 | 西岡真一郎君 |
理事 | 秋田 一郎君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
伊沢けい子君 | |
原田 大君 | |
高木 けい君 | |
宇田川聡史君 | |
野上ゆきえ君 | |
遠藤 衛君 | |
東野 秀平君 | |
桜井 武君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 村山 寛司君 |
経理部長 | 新田 洋平君 | |
参事 | 竹本 節子君 | |
主計部長 | 真田 正義君 | |
財産運用部長 | 塚本 直之君 | |
建築保全部長 | 戸田 敬里君 | |
参事 | 岡沢 裕君 | |
参事 | 山本 康友君 | |
主税局 | 局長 | 熊野 順祥君 |
総務部長 | 加島 保路君 | |
税制部長 | 松田 曉史君 | |
調整担当部長 | 堀内 宣好君 | |
参事 | 宗田 友子君 | |
課税部長 | 安田 準一君 | |
資産税部長 | 吉田 裕計君 | |
徴収部長 | 宮下 茂君 | |
特別滞納整理担当部長 | 松原 恒美君 | |
会計管理局 | 局長 | 三枝 修一君 |
管理部長 | 細野 友希君 | |
警察・消防出納部長 | 堀切喜久男君 | |
参事 | 安藤 弘志君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・平成十九年度資金管理実績(上半期)について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百七号議案 東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築電気設備工事請負契約
・第二百八号議案 東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築空調設備工事請負契約
・第二百九号議案 富士見橋鋼けた製作・架設工事請負契約
・第二百十号議案 瑞穂大橋鋼けた製作・架設工事請負契約
・第二百十一号議案 平成十九年度東京港臨海道路(Ⅱ期)中防側アプローチ橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約
・第二百十二号議案 当せん金付証票の発売について
報告事項(説明・質疑)
・都財政をめぐる最近の動きについて
主税局関係
報告事項(質疑)
・平成十九年度東京都税制調査会中間報告について
○鈴木委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書、決議を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項の聴取並びに会計管理局及び主税局関係の報告事項に対する質疑を行います。
なお、付託議案中、第二百七号議案から第二百十一号議案までの契約議案については、議長から、事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより会計管理局関係に入ります。
報告事項、平成十九年度資金管理実績(上半期)についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
ご発言をお願いします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○鈴木委員長 これより財務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第二百七号議案から第二百十二号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○新田経理部長 先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布してございます要求資料第1号をごらんください。東京港臨海道路(Ⅱ期)財務局契約案件一覧でございます。
東京港臨海道路(Ⅱ期)工事におけるこれまでの財務局契約の実績につきまして、業種、件名、契約の相手方、予定価格、落札金額、落札率をまとめたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
ご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○鈴木委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○真田主計部長 それでは、私から、報告事項、都財政をめぐる最近の動きについて口頭によりご説明申し上げます。
なお、参考資料といたしまして、皆様のお手元には石原知事のコメントをお配りしてございます。この資料は、一昨日の十二月十一日に福田総理と石原知事の会談が持たれまして、地方税収の格差問題につきまして一定の決着がついたところでございますけれども、この会談終了後に石原知事から発表させていただいたものでございます。恐縮ですが、本文を読み上げさせていただきます。
1、首都として、また三百万人を超える昼間流入人口の存在により、膨大な財政需要を抱えている。にもかかわらず、国は二十年度税制改正において税収格差の是正と称して、都などから法人事業税を吸い上げようとしており、都は強く反対してきた。
こうした中、福田総理との会談を求められたので、先ほど首相官邸で面談してきた。
総理からは、地方の窮状を理解してほしいとの話とともに、首都東京の活力の増進により日本の発展を促すため、都の重要な施策に国は最大限協力する、そのため実務者による国と都の協議の場を設けるとの提案がなされた。
もとより、税制改正は国の法改正によるものであるが、今回の法人事業税の取り扱いは、大都市の財源を理由なく地方に移転させるもので、地方分権に逆行するばかりでなく、税の原則に反し、都として納得できるものではない。また、地方財源の充実は小手先ではなく、消費税の税率引き上げと地方の配分拡大という抜本的改革により行うべきであり、総理にも強く申し上げた。
しかし、今回、総理が、首都東京の活力の増進が国の発展に不可欠との認識を示した上で、都の重要施策の実現について踏み込んだ提案をされたことは重要である。私からは、この総理の提案を踏まえ、現在、東京が取り組んでいる重要施策を具体的に挙げ、国も力を尽くすべきことを強く求めたところ、総理は前向きの返事をされた。これを踏まえ、今回の措置を税制の抜本改革までの暫定措置とすることを条件に、協力することとした。
総理には、消費税を含む税制の抜本改革をぜひ早期に実現してもらいたい。私としては、首都東京、そして日本の発展のため、重要な施策について精力的に協議を積極的に進め、速やかな実現を図っていく。
そういうものでございます。
次に、その際、石原知事から福田総理に対しまして国の協力を求めた事項につきましてご説明いたします。
その次のページ、三枚目をごらんいただきたいと思います。当面の首都東京の重要施策リストでございます。内容的には記載のとおり、ハード関係、ソフト関係両方にわたっておりまして、合計十三項目ございます。
まず、ハード関係でございます。Ⅰにありますとおり、首都の効率を増進するインフラ整備としまして羽田空港国際化の一層の推進など五項目、首都の信頼、安心の向上として耐震対策の強化促進等で一項目、首都の品格を高める環境整備として美しい景観の創出など二項目でございます。
また、ソフト関係についてでございますけれども、Ⅱにありますとおり、首都の活動を支える施策の充実として治安の維持向上など四項目、首都オリンピックへの全面的な支援として財政保証等の一項目でございます。
最後になりますが、この間の先生方のご支援に対しまして感謝申し上げたいと思います。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いしたいと思います。
○鈴木委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いします。
○秋田委員 報告事項について質問させていただきます。
去る十一日、石原知事と福田首相の会談により、地方間の税収の偏在是正策について合意がなされました。このことについて何点か伺います。
これまで我が党は、国が行おうとする不合理な税財政制度の見直しに断固反対してまいりました。今回いわれている是正策は、国が一方的に大都市から財源を奪い国税化するという、地方分権に逆行するものであり、納得できる内容ではありません。そもそも現在の地方財政の困窮は、国が三位一体の改革の名をかりて、地方分権改革の本来の趣旨とは無関係に、三年間で五・一兆円もの地方交付税を削減したことによるものであり、無責任に都市の財源を地方に配分すればよいというものではありません。
都は六月に、「大都市狙い撃ちの財政力格差是正論への反論」を発表し、経済財政諮問会議などの議論に対して明快に反論をしています。そのころは、財務省案だ、総務省案だといろいろな議論が出ておりました。
そこでまず、夏の議論のころ、どのような議論が出ていて、都への影響額はどれくらいと見込まれていたのか、伺います。
○真田主計部長 第一弾の反論書を出した六月ごろには、国は骨太の方針二〇〇七の策定に向けた検討を進めておりました。そこにおける議論では、地域間の税収の差を単純に財政力の差に結びつけ、税収の偏在の是正に早急に取り組むべきとし、東京を初めとする都市部の財源を吸い上げ、地方に回そうとする議論が俎上に上がっておりました。
そこで想定された見直し策は大きく三つございます。一つは、法人二税を国にプールしまして人口基準等によって自治体に配分するもので、いわゆる財務省案でございます。人口基準によりまして全額を配分した場合、都の減収は一兆四千億円になると見込まれておりました。もう一つは、偏在性の低い国税である消費税を地方税化しまして、偏在性の高い地方税である法人二税を国税化しまして、同額を交換するものでございます。いわゆる総務省案でございますが、国と地方の消費税を二・五対二・五としまして、同額の法人二税を国税化した場合、都の減収は五千億円になると見込まれておりました。このほか、地方消費税の一%分を法人事業税と交換する案もございまして、その場合の影響額は約三千億円程度で見込まれておりました。
○秋田委員 今の主計部長のお話を改めて聞いて、それだけ大きな額が議論されていたと思うとそら恐ろしく感じるところでございます。
都議会自民党は、早くから政府や党役員に働きかけ、都財政を守るべく腐心してまいりました。秋になって議論が切迫する中、我が党の東京都選出国会議員を中心に東京の財源を守るプロジェクトチームを立ち上げ、日本を牽引する首都としての東京の役割、大都市特有の東京の財政需要への理解を訴えてまいりました。
また、都も第二段階の反論の書として「都市と地方の共倒れを招く『法人二税の格差是正策』に反論する」という小冊子を作成し、国の考える是正策は都市のみならず地方にとってもメリットがないことや、真の地方分権に向けた提言などを各方面へ精力的に訴えてまいりました。
ことしの反論書の内容は、これまでよりも東京という主張が小さくなり、地方への配慮が見えますが、それはどのような意図によるものか、伺います。
○真田主計部長 従来より国は都を富裕団体とみなしまして不合理な財政調整を行ってきておりますけれども、昨年は東京の財源をねらい撃ちする動きが再燃いたしましたので、東京富裕論に対する反論を前面に出して戦い、そうした動きを食いとめることができました。
しかし、ことしに入りまして、国は明らかに不合理な税制改正を持ち出してまで国の責任を棚に上げて、都市と地方の対立の構造を意図的につくり出すことによりまして地方を分断しようとする動きを強めてまいりました。こうした国の土俵に乗ることは都市と地方の共倒れを招くだけであると強く危機感を抱きまして、地方間の連携を強くして国に対抗していく必要があると考えたところでございます。
そのため、ことしの反論の書では、財政面で国の差配を受けない不交付団体である東京都が、地方財政を困窮させた原因が国にあることを指摘して国の責任を問うとともに、地方交付税の復元を国に求めるなど、地方の共感を得まして、ともに戦える内容を重視したところでございます。
○秋田委員 こうした取り組みによって、全国の自治体や国の中でも東京の主張に対する理解が深まって、また四都府県の連携によるアピールなども相まって、単純に都市の財源を奪うという動きは誤りであるといった認識が大きく広がったものだと思います。そうした理解も背景にあって、一兆円といわれたむちゃくちゃな都への影響額を大幅に縮小させることができたともいえるのではないのでしょうか。
石原知事は今回このような形で大きな決断をしたわけでありますが、地方の現実と日本を預かる総理からの要請という状況の中で、大局的見地からご決断されたのではないかと思います。地方税財政制度の本来のあるべき姿、一方では困窮する地方への思い、そして首都東京を預かる知事の立場など、いろいろな要素が複雑に絡み合う中で、都民と日本の繁栄を願う観点から、まさにぎりぎりの苦渋の選択の決断だったと推察します。非常に冷静で現実的な対応をとられたものであるとともに、首都東京の代表たるにふさわしい英断であると評価しています。
我が党としても、東京だけを考えればいいという状況ではありません。それだけ地方の疲弊は進み、抜き差しならない状況になっているともいえます。全国会議などで他県の議員と議論をすると、それだけの危機感をひしひしと感じます。それだけに知事の悩みもよくわかります。私は第三回定例会で、国を親、東京を長男、他の道府県を弟に例えて質問させていただきましたが、例えば金遣いが荒く大きな借金を背負った親を持つ四十七人兄弟の長男として、弟たちの面倒を東京が見なければならない立場のつらさ、自己犠牲の精神も十分に理解できます。今回の知事の決断を、麻生全国知事会会長も、東京都としての地方への配慮の意思表示であると大変評価しており、知事の真意が伝わっていると考えられると思います。
さて、福田総理との会談は総理から求められたものでした。一国の総理が知事と真剣な交渉をすることは異例のことであり、都の存在感が際立つとともに、総理が何を提案したのか、興味のあるところでございます。この異例の会談の中で福田総理からどのような提案があったのか、伺います。
○真田主計部長 福田総理からは、地方の窮状への理解を求めたいという申し入れがございまして、あわせて首都東京の活力の増進によりまして日本の発展を促すため、都の重要な施策の推進に国は最大限協力したい、そのため、国と都の間で実務者による協議の場を設けたいという提案があったとのことでございます。
個別団体に対します国と地方の協議の場の設置は初めての取り組みでございます。そもそも日本の税制は国が勝手に決められるものでございまして、知事に相談などせずに決められるものであるにもかかわらず、総理からこのような異例の提案がなされましたのは、都がこれまで、大都市の財源を理由なく地方へ配分するような措置は税の原則に反し、地方分権に逆行するものであると知事を先頭に強く主張してきたため、国としても都の反対の意向を全く無視して強行することができなくなったことによるものと考えております。
○秋田委員 石原知事は、その会談の中で国の申し出を無条件にのんだわけではありません。逆手をとって条件をつけるのが政治という記者会見での発言もあったようですが、福田総理との会談の中で石原知事が条件を出して合意した事項は何ですか。
○真田主計部長 今回の措置は、地方税の原則や、あるいは地方分権にも反する筋の悪いものでありながら、知事が最終的には協力することとした前提となった条件としまして、あくまでも税制の抜本改革までの暫定措置であるということが確認されたことにあると思います。そのため、知事からは、地方の自立に向けた税財政制度の抜本改革を早期に実現することを総理に強く申し入れたところでございます。
さらに、知事は総理に対しまして、現在、東京が取り組んでおります重要施策を具体的に挙げまして、国がその実現のために力を尽くすよう強く求めまして、これに対して総理からは、知事の主張を理解し、実現に向け最大限努力するという前向きな回答をいただいたとのことでございます。
そこで挙げた内容の例としましては、先ほどもご説明しましたとおり、例えばハード関係では羽田空港の国際化の一層の推進や、圏央道の整備促進や外かく環状道路の早期着工などによる首都の効率を増進するインフラ整備、ソフト関係では都独自の認証保育所制度の承認、二〇一六年東京オリンピックへの全面的支援など多岐にわたっておりますけれども、いずれも首都東京にとって重要な施策でございます。
これらの重要施策の推進のため、国と都の間で実務者による新しい協議の場を設けることとされておりますが、今後はこの場を活用して精力的に協議を続けていくことによりまして、重要施策の速やかな実現が図れていくものと考えております。
○秋田委員 まず初めに、今のご答弁の後半に挙げられた、国から東京オリンピック招致や東京のインフラ整備など都の重要施策の実現についての全面的な支援をかち取ったことを評価したいと思います。
第一に、これまでやりたくても国がネックになって進まなかった事業が進むことであり、これは都民に大きな効果をもたらすことが予想されます。第二に、首都としての東京の活力増進が国の発展に不可欠であるということを認めたことであって、首都東京の重要性を認めたことは大きいと思います。第三には、国と都が協議しながら事業を進めるというモデルスキームができたことで、地方の意見をもっと反映させた事業を進めることができるようになることです。これは、東京都だけではなく、地方全体に波及するものと思われます。
これら石原知事が提案した事業をきちんと実施することにより、都だけでなく他の地方自治体、都民のいずれにもメリットがあり、この約束をかち取った影響は大きいと考えます。その効果を発揮するためには、今後設置される国との協議会において、今般、福田総理と石原知事が合意した項目を着実に実施するようにお願いしたいと思います。
もう一つの条件は、税制の抜本改革までの暫定措置であるということです。この暫定措置であるということを条件に出した理由はどのようなものだと考えられますか。
○真田主計部長 先ほどもお答えいたしましたように、今回の税制によります措置は、地方税の原則や、あるいは地方分権にも反する筋の悪いもので、本来であれば都としてもとても受け入れがたいものでございます。それにもかかわらず知事がこれを最終的に受け入れることとしましたのは、総理からこれしかないという申し出があり、また知事としてはあくまでも暫定という確約がなければ協力できないというぎりぎりの状況の中での決断であったというふうに推察しております。
したがって、今回の措置が本当の暫定のものとなるよう、税制の早期抜本改革に向けまして、知事を先頭に今後とも全力で取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
○秋田委員 確かに税制の抜本改革までの暫定措置ということで、地方税財政改革に向けた道筋をつけたといえると思います。これは歴史的に見ても大きなメルクマールといわれることになるかもしれません。しかし、税制改革が進まず、いつまでもこのような不合理な措置が続けば、いずれ都民サービスへの影響も避けられません。今回の是正策はあくまでも税体系の抜本的改革までの暫定措置であることを明確にし、地方分権改革も含めて地方税財政改革を確実に進めるよう、国に対して今まで以上に働きかける必要があります。
これら二つの条件は、これまでの経緯などを踏まえれば、そう簡単に国がのめるものではありませんでした。その意味では、今回の合意は、単なる妥協案ではなく、より東京都の立場を強化し、地方全体にも配慮した大局的な判断だったのではないのでしょうか。今回の英断により、図らずも東京が地方自治体の真のリーダーであることが改めて証明されたと思います。今後も真の地方分権の実現に向けて、地方の先頭に立って国を動かしていくとともに、自立に向けて志を持って努力している地方との連携、支援を深めていくなど、大局的な視点から都市と地方の共生を目指すことでさらなる信頼を獲得できるよう努力していただきたいと切に願います。
こうしてこれまでの経緯を振り返って、最後に局長の所見を伺います。
○村山財務局長 お答えいたします。
今、これまでの経緯を含めてるるご質問、ご指摘をちょうだいいたしました。確かに、夏場前のころを振り返ってみますと、もう日本全国、東京に対する包囲網が広がるという状況の中で今回の取り組みはスタートしたわけでございまして、そういうことから見ますと、今ご指摘いただきましたように、都議会の先生方のご支援、ご努力をいただきながら、私ども知事を先頭に、この間、いかに今回の大都市から税を取り上げて地方にぶんまこうという、そういう発想というのが野蛮なものであるのか、不合理なものであるのかというようなことを訴え続けてきたわけでございます。そういう努力の中で、内容的にはいろいろ、極めて問題があるわけでございますけれども、暫定という条件を付して、しかもさまざまな、個別の団体との間では初めて、国が団体の施策の推進に向けて協議会を新たに立ち上げるというような形での一つの決着を見ることができたというふうに考えておりまして、この間のご支援、ご協力、ご努力、本当にありがとうございました。
そういう上でのお話でございますけれども、改めて私どもから今回の内容について申し上げさせていただければ、やはり知事も、本会議のところでも申し上げましたとおり、税の基本からすると極めてひどいと。地方分権という流れに対しても逆行するものであると。この点はいかんとしても私どもは納得できるものではないわけでございまして、それだからこそ、知事は、日本を引っ張っていく首都東京の知事として、あるいは地方の一員として大局的な見地から熟慮されて、暫定だぞという条件で協力をするというご決断をされたのだというふうに私どもは受けとめておりますけれども、その決断の意味を本当の意味で意義あらしめるためには、我々これから本当の意味での地方税財政制度の抜本改革、地方税制の改革というものをできるだけ早い時期に成功させるということが、今回の知事の決断というものを歴史的に見ても実態的に本当の意味で意味のあるものにしていくことだというふうに考えておりまして、そこのところで私ども改めてスタートラインに立ったつもりで決意を新たにしているところでございます。
同時に、都財政の運営を預かる立場というふうに考えてみますと、今回の財政的な影響は非常に大きいものがございます。このことをどういうふうに受けとめて、どう対処していくのかというのが現実的な世界においては私どものもう一つの仕事ということになるわけでございます。この間ずっと私ども都財政の再建に継続的に努力してきたわけでございますけれども、まさに財政再建というのは、こういう危機的な状況の中にあっても、しかるべく東京という都市を、日本を牽引できるような都市として都市づくりを進めていくこと、それから、そこに住んで働いていらっしゃる都民の方々あるいはそこに来られる国民の方々がしっかりと生活をエンジョイできるような、都民生活の安寧を図るという営みをしっかり危機のときにも対応しながらやっていくために、これまで努力してきたわけでございますので、私どもが現時点で培ってきている対応能力というものをフルに活用して、何としても「十年後の東京」の実現に向けて頑張らなきゃいけないというふうに思っております。
同時に、その厳しさは決意として厳然としてあるわけでございますので、歳入歳出両面から、効率性とか、むだのないようにとかいうようなことにもう一回目を改めて向け直して、足元を固めながら、しっかりと一歩一歩、都議会の先生方のご叱正も受けながら、期待を裏切ることのないように頑張っていきたいというふうに、この点についても改めて決意をいたしているところでございます。
いずれにいたしましても、今回のところに立ち至るまでの間の都議会の皆様方のご尽力に本当に改めて感謝を申し上げますとともに、この二つの地方税財政制度の抜本改革と、それから本当に都民の東京都をちゃんとつくり上げていくという課題に向けまして、今後ともよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願いいたしまして、決意というふうにさせていただきます。
○西岡委員 財政委員会財務局所管分の報告事項に関連いたしまして、知事が所信表明で日本の死とまで宣言をされた法人事業税の国税化に関して伺ってまいりたいと思います。
まず最初に、この間の東京都の財政再建の努力、そしてこの問題に関して反対を貫いてきたこれまでのご努力には敬意を表しております。
東京都からの十三項目の重点要望事項を協議するための協議会設置の合意が取りつけられ、また年金財源の確保を含めた抜本的税制改革までの暫定措置として、知事が受け入れを十一日、総理との会談によって表明をいたしました。たとえ結果的に単年度だけの実施だったとしても、知事が制度受け入れの表明を行ったことは極めて私にとって驚きであるとともに、あれだけ反論してきた立場が急激に一変したことは、これはもう地方分権の逆行であることに変わりはなく、率直にいって大変残念に思っております。暫定措置だったとしても、最後まで反対は貫くべきだったというふうに私は考えております。
現在、他の自治体からも声が上がっておりまして、岩手県からは、地方の総意を完全に無視するものとのコメントも発表されております。また一方、こういう形で税金が配分をされるということに対して、本当に地方が歓迎をしているのかどうかということに関してもよく考えなければいけないというふうに私は考えております。
また、地方自治体間の格差是正策に地方の自主性をゆがめる手法を用いた、この時点においてのみ東京都からの要望を聞き入れる政府の姿勢にも私は大いなる疑問を感じております。政府は、日本の首都東京の施策は常に取り組むべきものであって、この間精力的に行われてきた東京都から国への提案要求などは今まで何だったのだろうかというふうに私は思っております。
また、この間一貫して法人二税の緊急アピールなどを提言し、十二月六日にも緊急アピールを発表した愛知、大阪、神奈川の同種自治体の立場も憂慮されます。互いの成果が、今回の総理との合意で、地方税制の抜本改革という決着をかち取れる明確な確約がない現状では、まだまだこの先の地方税財政のありようが極めて懸念をされると思っております。
そこで幾つか伺ってまいりたいと思います。また、財務局と主税局で質問を少し整理いたしましたので、財務局に関連することということで質問させていただきたいと思います。
さて、この三千億円というのは東京都一般会計の五%程度に相当するものであります。最も重要なことは、今回の措置によって、都財政、予算、歳出、施策に今後どのような影響が出ることになるのかということでありまして、現状での考え方を伺ってまいりたいと思います。
○真田主計部長 今回の措置が都の歳入面において非常に大きい影響を及ぼすことは事実でございますけれども、そうした中にありましても、都政は「十年後の東京」の実現に向けた施策を着実に推進するとともに、更新期を迎える都市インフラへの対応や都民生活をしっかりと守り抜くことなど、諸課題に適切に対応していかなければなりません。そのため、基金あるいは都債の活用など、これまでの財政再建への取り組みを通じて培ってきました財政の対応能力を生かすとともに、歳入と歳出両面のいろいろな創意工夫によりまして、都民生活に影響を与えないよう懸命に努力してまいりたいと考えております。
○西岡委員 五%というのは、一般会計の五%というのは大変大きな影響だなというふうに思っておりまして、本当に今後の予算編成は一体どういうことになるのか、大変懸念をされております。
一方、今回の措置では法人住民税には一切手がつけられておりません。事業税のみの国税化ということになっておりますが、区市町村への影響は、したがって直接的な影響はないものと率直に感じるわけでございますが、こういった事業税の国税化、国税として徴収をされて地方に配分をされ、結果として東京都は三千億円の減収になるわけですけれども、関連して市区町村に何らかの影響が出ないようにしなければいけないというふうに思っておりますけれども、区市町村に影響が出ないかどうか、この辺の見通しについて伺っておきたいと思います。
○真田主計部長 お話しのように、今回の措置は法人住民税には及んでおらない模様でございますので、直接、そういう意味からしますと、区市町村への税収減につながることはないというふうに考えております。
一方、先ほどもご答弁いたしましたように、都は今回の措置によりまして大きな減収となります。財政的に厳しい状況に置かれることになりますけれども、あらゆる創意工夫を凝らすことによりまして全力を尽くしていく必要があるというふうに考えております。
○西岡委員 これから財政当局は大変な作業に入っていくんだと思うんですね。区市町村にも都民生活にも影響が出ないようにするための措置を考えていかなければいけません。
一方、非常に重要なことは、この抜本的税制改革までの暫定措置ということなんですけれども、これが一体いつ抜本的税制改革ができたというふうに政府も都も両者が納得できる状況になるのかということだと思うんですね。これが単年度なのか、いや、二年後なのか、三年後なのか、今の段階ではまだ明確ではないわけでありまして、結果としてこの暫定措置というものがいつの間にか恒常的な国税化となって、今のこの我々の大変熱い思いというか、悔しい思いとか、政府に対する怒りの思いが薄まっていくことが大変心配をされるんですね。
そういうことは絶対にあってはならないというふうに思っておりまして、政府が決めることですから、法律は政府が出すわけですから、我々はその法案に対して反対することはできないわけですけれども、何としてもこれを恒常的な税制に持ち込まないための努力が必要だというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○真田主計部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、知事は、今回の税制上の措置について、税制の抜本的改革が行われるまでの暫定措置とするということを条件にいたしておるところでございます。これを本当の意味での暫定とするためにも、税制の抜本改革が早期に実現されるよう、知事を先頭にしまして国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
○西岡委員 結局、単年度で終わるという担保が今何にもない状況なんですよね。その担保がない中で不透明な領域に入っていくことは本当に心配をいたします。過去もそういった思いをしてきたと思います、いろいろと分割基準の見直しなどにおいても。そういう意味では、今回の法人事業税の国税化は暫定措置ということで短期間、単年度で終わらせていくという努力が必要になっていくと思います。
一方、国と都の協議機関が設置をされるということなので伺っていきたいと思いますが、要望した重点事項への財政の支援が見込めるのかどうかということが実は極めて大きなポイントになってくると思うんですね。また、この規模がどの程度のものになるのかということが非常に重要だと思っております。ただ、よく考えてみますと、これだけのことをしないと国の財政、予算が組めないという政府が、一方でこういう国税化をしながら、一方で別な予算措置をしていくということが一般的に考えにくいなと思っているわけなんですね。
そういう意味では、その辺の国と東京都の協議機関における財政的な観点というのはどんなふうに整理をされているのか、現時点でありましたら教えていただきたいと思います。
○真田主計部長 国と都の実務者による新たな協議の場についてでございますけれども、先ほどご説明しました知事のコメントにもありますとおり、総理が首都東京の活力の増進が国の発展に不可欠との認識を示した上で、この協議の場が設定されることとなった意味は大きいというふうに考えております。
また、総理からは、知事が示した先ほどの重要施策に対しまして、実現に向け最大限努力するという前向きの回答があったというふうに聞いております。このため、都としては、この場を早期に立ち上げまして、実質的な議論を精力的に行いまして、首都東京の重要施策について速やかな実現を図っていくことが重要であるというふうに考えております。
○西岡委員 この点についても、財政支援に関してはまだ明確な担保は何もない状況だというふうに理解いたします。ここは本当にこれまで以上の努力も必要かと思いますし、ただ一方で、ここでまた首都東京と地方との格差の指摘がなされないようにしなければいけないと思うんですね。首都東京であるというところが非常に重要なんですけれども、別な格差を指摘されないようにする東京都の努力というものが求められていくのかなというふうに考えております。
さて、三千億円という規模は、東京、愛知、大阪などを除いた四十四道府県で単純に割り返すと、一つの県当たりで見ればせいぜい七十億から八十億円程度にしかならない規模であります。道府県の中で比較的財政規模が小さい鳥取県、島根県、高知県の税収は五百億から六百億円台でありますから、市町村はさらに財政規模が小さなところが多いという状況を勘案すれば、この三県などについては決して少ない額ではないかもしれませんが、これだけの額で地方の疲弊という根本的な解決ができると国は本当に考えているのかどうか、大変疑問を感じるわけであります。
これでは税を使ったばらまき行為にしかならないとも見えるわけですけれども、今回のこうした一連の見直しをどのように感じているかというご見解と、今後こうした事態をどのようにして本来のあるべき姿に戻していく必要があるのか、局長の所見を伺っておきたいと思います。
○村山財務局長 もとより今回の措置について、地方全体への影響という点について見ても、一昨日、知事の答弁の中でも申し上げているとおり、地方の疲弊という問題を根本的に解決するものではないわけでございます。その意味におきましても、先ほども申し上げましたとおり、本当の意味での地方の自立を目指す地方税財政制度の抜本改革、税制の抜本改革をいかに早期に実現するかということが大きな課題だというふうに考えておりまして、その実現のために今後とも東京都としては知事を先頭に頑張ってまいりたいと、かように考えております。
○西岡委員 いずれにしましても、地方分権に重要なこの税財政のあり方というのは、やはり税源移譲をかち取っていくということが極めて重要なんだろうというふうに考えておりますが、私ども民主党本部も今月下旬には私たちなりの税制改正大綱を取りまとめる方針でございます。私ども民主党本部の現時点での法人事業税の国税化に関しては、反対をしていくという状況でございます。
一方、政府はこの新しい国税化と譲与税ということで新たな法案を国会に提出するわけでございますが、現時点では参議院においては与野党が逆転をしている状況でございまして、まだ政府・与党間で合意をされたこの法人事業税の国税化に関しましては国会の場でどうなるのだろうかというところも一方ではございます。仮にこれが参議院で否決をされた場合に、再議決にするのかどうかという問題点も出てくるかもしれません。まだまだこれは国会の場でも大いに議論ができるところでありますけれども、私たち民主党は私たちなりにしっかりとあるべき地方税財政の姿を考えていきたいと思っておりますし、私たちも状況に応じて適切に国会の場にしっかりと意見をいっていきたいというふうに考えているところであります。
以上、そのような意見を申し上げまして質問を終わらせていただきます。
○東野委員 法人二税に関する問題について何点か質問いたします。
今春以降ずっと議論されてきた地方税収の格差是正を名目とした法人二税の再配分問題が事実上一応決着したところであります。
それまで都は、法人二税の再配分、特に影響が一兆円にも及ぶといういわゆる財務省案については、都財政への影響が極めて大きく、都民生活に与える影響も甚大であることはもとより、そもそも地方税の原則にもとるものであり、また地方の税源涵養の努力を無にする等の理由から、全国知事会などの場だけではなくて、反論書の発行や緊急アピールなどの形で徹底的に反対の姿勢を貫いてきたわけでございます。我が党においても同様の点を問題視しまして、都選出の国会議員にも働きかけて、都と姿勢を同じくしてきたところであるわけです。
そうした中、先日の十一日の総理との会談において石原知事は、総理から地方の窮状についての理解を求められる一方、総理も首都東京の重要性を認識しまして、都の重要施策への国の最大限の協力やそのための協議の場の設置を提案されました。その結果、税制の抜本改革までの暫定措置ということで、石原知事の大局的な判断のもと、決着されたものと聞いております。これまでの議論のとおりでございます。
今回の決着は、東京の活力をそがないように、また、国の協力を取りつけながら、場合によっては一兆円の影響もあるといわれた法人二税の再配分額を三千億円ほどにとどめたものであり、一定の評価をするものであります。
しかしながら、今回行われる予定の法人事業税の国税化という措置は、大都市の財源を理由もなく地方に移転をさせるもので、地方分権に全く逆行する上、税の原則にも反するものだということも確かであるわけです。
そもそも国は、これまで地方分権を政策のテーマとして掲げ、地方の行財政運営の自主性や、また自立性を強調してきたわけです。しかし、一方では自治体から不合理に財源を奪う措置をとろうとしているわけでございます。こうした国のやり方は、行財政改革や産業振興施策といった、自治体がみずからの努力で行う自立に向けた取り組みの成果を、いってみれば無にするようなものであるわけです。これでは努力をした者が報われない仕組みとなってしまい、東京だけではなく、まじめに取り組んでいる他の自治体の士気にも悪影響を与えてしまうのではないか、このように考えるわけでございます。この点に対する見解をまずお聞きしたいと思います。
○真田主計部長 今回、国は、法人事業税の一部を国税化し、地方に再配分するという手法で都から財源を吸い上げることとなりましたけれども、こうしたやり方は、お話しのとおり、税の原則に反するだけでなく、まさに地方分権の流れに逆行するものでありまして、都としても決して納得できるものではございません。そればかりか地方自治全体にとっても根本的な解決にはならないというふうに考えております。
こうした国の近視眼的な議論の末、法人事業税の国税化といった手法をとることとなりましたけれども、このようなやり方は、地方の行財政改革やあるいは税源涵養努力といった自立に向けた取り組みの成果を無にしかねないものであるということは先生ご指摘のとおりでございます。このため、こうした手法は早期に税財政制度の抜本的改革を行って見直すべきものというふうに考えております。
○東野委員 都は、そうした国の不合理な動きに対して、以前は単独で反論書を出すなど対抗手段をとってきておりました。しかし、今年度、法人二税の再配分の議論に対し、都と同じく大都市としての重要な課題を抱える他の団体と連携して主張を行ってきたわけです。具体的には神奈川県、愛知県、大阪府の三府県と共同でアピール文を発表するなど、歩調を合わせることでマスコミなどに取り上げられることもふえ、効果的な主張につながったことは評価できるんではないかなというふうに思います。
しかしながら、最近の新聞報道などを見ますと、さきの都の協力がそれらの自治体との連携を崩してしまったかのような印象を与えるものも見受けられます。今後行われる抜本的な地方税財政改革には引き続きそれらの都市との連携が重要だというふうに考えますが、この点についての見解を伺います。
○真田主計部長 法人二税を奪う動きが本格化した今年度から、法人税収やあるいは大都市需要などの面で立場や見解を都と同じくします神奈川県、愛知県、大阪府と連携を図りながら、知事会を初めとする多くの場で強く意見を主張してまいりました。これまでも関係機関に対しまして四都府県連名の緊急アピールを行ったところでございまして、こうした連携があったからこそ、ぎりぎりの暫定措置という条件をかち取ることができたのではないかというふうに考えております。
今回の都の協力は大局的な判断で、国の求めに暫定措置ということを条件に応じたものでございますが、抜本的な税財政制度改革の必要性に対する考えはいささかも変わっておりません。このことにつきましては、三府県ともに理解をいただいているものというふうに考えております。
したがいまして、今後とも三府県との連携に努めながら、税財政制度改革の早期実現に向けまして努力してまいりたいというふうに考えております。
○東野委員 これまではそうした四都府県の連携なども駆使して国の動きに対抗してきたところであるわけですけれども、今回の措置により三千億円という、都にとっても決して小さくない額が奪われることになりました。これは、自治体のリーダーたる都が地方の窮状を踏まえた上での大局的な判断をしたということは理解するところであるわけですが、そうはいっても都にとって最も大事なのは、先ほども出ておりましたけれども、そこに住む都民であることは明らかであるわけです。都民サービスへの影響が大変に気になるところであります。
まして、もしも暫定的としている状態が長く続いてしまうことになれば、景気の波により都税収入が落ち込み、またさらに厳しい状態が訪れないとも限らないことが懸念されるわけでございます。このことは先日の我が党の代表質問で質問したところでございますけれども、私自身、非常に重要なことであるというふうに考えますので、この場で改めてのご回答というか、見解をお願いしたいと思います。
○真田主計部長 都財政は、これまで徹底した内部努力あるいは経費の削減など血のにじむような努力によりまして財政再建を進め、今日ようやく新たなステージに入ることができたわけでございます。今後は「十年後の東京」の実現のための施策や、あるいはこれまで抑制せざるを得なかった更新期を迎える都市インフラの整備など、山積する諸課題に対し真正面から取り組んでいかなければならない状況にございます。
そうした状況の中にありまして、都は多大な歳入を奪われることと今回なりましたけれども、そうした厳しい状況下にありましても、都は住民生活を守るべき地方自治体としての責務を果たすために、財政再建への取り組みなどによって培ってまいりました基金や都債などの財政対応能力の活用、あるいは歳入歳出両面にわたって効率性を向上させることなど、あらゆる工夫を凝らしまして、都民サービスに影響が出ないよう、財政面から着実に対応していきたいというふうに考えております。
また、今回、税制の抜本改革までの暫定とする条件がついたとはいえ、なるべく都財政への影響を小さくする必要がございまして、そのためにも税財政制度改革の早期実現に向け全力を傾けていきたいと考えております。
○東野委員 今の答弁でも、地方税財政制度改革への言及がありましたけれども、改めて考えてみますと、そもそも法人二税の再配分などが必要とされたのは、都市と地方の税収格差が開いたからというよりも、地方財政の困窮がこれまでになく進んだことに理由があるように思われます。現に都の反論書にも人口一人当たりの税収比較がありますが、地方税全体を見ると、平成元年度は最高の東京都と最低の沖縄県との倍率は四・九倍でありましたが、十八年度では三・一倍、中長期的にはその差は縮小傾向にあるわけですね。つまり、地方財政が困窮したのは、直接的には三位一体改革で地方交付税が大幅に削減されたこと、また、あるいは社会保障費や公債費などの義務的経費がふえて、その反動で政策的経費が減少したことが原因といえる。根本的にはこのことによって地方分権改革が進まず、地方財政が硬直化していることが問題だというふうに思われるわけでございます。
そういう意味では、今回の措置は自治体間での単なる税収のやりとりでありまして、地方財政が困窮していることの根本的な解決には何らつながらない、ごく近視眼的な対応策である。これまで申したとおりでございます。地方が真に自立し、財政的にも安定した運営をしていくためには、地方分権の推進とともに、抜本的な地方税財政改革が急務となります。
そこで、その実現に向けた局長の決意を伺って質問といたします。
○村山財務局長 いろいろご指摘いただきましたように、あるいは東京都もことしのこの間の、冒頭から申し上げているとおり、今回の事態というのは、やはり三位一体改革の名のもとに、結局は国の財政再建のために、地方を、内部努力とか、努力しろとかいうような名のもとに、そこから財源を奪っていくということの一つの大きなツケが今回地方に回ってきているというところに問題の直接的な原因があるわけでございまして、その背景には、さらにいえば、地方税財政制度、分権改革の進展のおくれの中で、地方の真の自立に向けた仕組みができていないというところに根本的な問題があるわけでございまして、今回の暫定措置の中に、いわばそういう根本的な改革がもはや待ったなし、それなしには日本という国が今後発展していくことがなかなか難しくなっているんだということを明らかにしているという側面も強く感じられる今回の状況だというふうに私も認識をいたしております。
そういう意味では、今後、今回一緒に頑張ってきた三府県はもとよりでございますけれども、全国の自治体等の間で改めてちゃんと協力体制を組んで、本当の意味での真の自立に向けた地方税財政改革、あるいは税財政制度の国、地方を通じた抜本的な改革に向けまして、東京都が先頭になって頑張っていきたいと。そのことによって今回の知事の熟慮の末の決断もまた生きていくんだろうというふうに、私どもとしては改めて気持ちを引き締めているところでございます。引き続き都議会の皆様のご支援をいただきながら、先送りしない抜本改革の実現に向けまして頑張ってまいりたいと思います。
○曽根委員 今回の福田総理との会談の結果、石原知事が法人事業税の一部を国の税金に転化することを認めると。実質的には三千億円の財源、税収不足が生まれるだろうと。これを了解したということについて、私からも、本当にこの前代未聞ともいうべき合意の中身についてちょっと聞きたいと思うんですが、まず事実経過が全くよくわかりません。たしか先月末まで、知事は財務局に反論ペーパーをつくらせ、訴訟も辞さないと、国と戦う姿勢を強調していたと思いますが、まず、いつから国との妥協調整に入ったのか、その経過を教えてください。
○真田主計部長 その辺の経過につきましては、私どもお答えできる立場にございません。
○曽根委員 報道されているところでは、四日の定例会開会日ごろに妥協したのではないかといううわさがあって、知事は強く否定したという報道がありました。しかし、その後、七日に与謝野自民党政調会長さんですか、与謝野氏が、(「政調小委員長」と呼ぶ者あり)政調小委員長、与謝野氏が知事を訪ねて、その後の発言は違うわけですよね。石原知事は、国がこれだけ無法なことをするなら、東京から三千億円ふんだくる代償もあってしかるべきだ、何を今からどうしろとはいわなかったが、これは総理に約束してもらわないと、と言及したというふうに、これは記者の取材に答えた形で発言があり、明らかにこれは三千億円持っていかれることを前提にして、それに対する代償という発言に変わっているわけです。
しかも、その翌日の八日に財務局長が、国の財務省、総務省の官僚と接触して、その後のトップ会談が出てきたという報道もありますが、これは事実ですか。
○真田主計部長 先週末の段階で非公式に、国から都に対しまして国の考えについて説明がございました。非公式なものでございまして、メンバー、内容等については申し上げられません。
○曽根委員 財務局長は、反論ペーパーまで知事の指示のもとにつくって、いわば知事を理論的に支えてきた。この立場で、なぜ、財務省、総務省、国と接触して妥協調整路線の担い手にならなきゃならなかったのか、全く理不尽な話ではないでしょうか。これこそまさに知事のトップダウンの弊害だと、これまた、しかも重大なトップダウンの問題だというふうにいわざるを得ません。
大体、地方分権問題の出発点は、自治体が六割の仕事をしながら四割しか自主税収がないと。こういう問題から出発して、しかも今日、都市と地方の格差が問題になっている。この問題についても、これは都もいってきたわけですが、国が地方交付税、そのほか一方的に削減するなど、ナショナルミニマムで国が責任を持つべき部分まで後退させてきたことが大きな原因だというふうに私たちも主張してきたわけです。したがって、この解決の道は国の責任できちんと、教育とか国が責任を持つべきナショナルミニマムを財政保証することと、それから税源移譲で地方の自主財源をふやすこと、地方自治の拡充。それでも残る格差については自治体間で、私たちは国の介入を許さず、自主的に税制も含めて解決していく、こういうことが課題だというふうにいってまいりましたし、東京都も、今回のような解決では本意ではないというのは先ほど繰り返しありましたが、出てきた結論は明らかに百八十度転換、地方自治や分権の原則を、いってみれば投げ捨てるものになっているのではないでしょうか。
この点については、実態としてはそうだということは認めざるを得ないと思いますが、いかがですか。
○真田主計部長 今回の措置につきましては、るるご答弁申し上げてきたとおり、私どもとしましても、地方税の原則に反しまして、また地方分権にも反することから、都として到底受け入れられるものではないというふうに考えておりますし、先ほど冒頭、知事のコメントの中でもご説明しましたとおり、知事からもその旨ははっきり総理の方に申したわけでございます。
しかしながら、ぎりぎりの知事と総理の折衝の中で、東京都は首都東京を担っている、あるいは地方の一員でもあるというようなことも含めまして、また総理からもぎりぎりのお願いの話もありました。最終的にはそういったことを総合的に判断し、知事が大局的な見地からそういう判断をしたのだというふうに考えております。
○曽根委員 ぎりぎりの判断というふうにおっしゃいますが、しかし、結果として地方自治、分権の大義をみずから捨てた、この影響は大きいと思いますよ。しかも抜本改革を求めると、それまでの暫定措置だといいながら、知事がいう抜本改革とは交付税のことは一言もいっていないんですね。消費税の税率引き上げ、このことしかいっていないわけですよ。これまで地方の財政難は交付税で解決すべき問題なんだというふうに繰り返し主張してきて抜本改革を求めていた知事が、今回のコメントでもなぜ交付税のことを一個もいわないのか。
そして、しかも税金で解決すべきじゃないといいながら、地方税を国税に転化することを認めてしまった。地方分権と全く逆行する話でしょう。地方税が国税になってしまうんですから、こういう道を開いたこと、これは全く(「だから、知事は苦渋の選択をしているんだ」と呼ぶ者あり)苦渋の選択といいながら、暫定措置といいながら、地方分権に対する大義をみずから捨てたといわざるを得ないと思いますが、いかがですか。
○真田主計部長 先ほど来申し上げていますけれども、本来そういったものについては、地方税の原則あるいは分権の原点からしまして、決して受け入れられるものではございませんけれども、一方で、先ほど申し上げたようないろんな状況、それから暫定的な措置であるということ、それから首都東京としての重要性についての総理の認識、それから協議の場の設置、そういったものを総合的に判断して、知事が大局的なご判断をされたものというふうに考えております。
○曽根委員 このまま暫定措置がずるずると延び延びに続いて、国税による国の介入が続くということもあり得るという観測も出ています。ましてや抜本改革が知事のいうように消費税率の引き上げということであれば、これは到底、私たちはもちろんですが、国民的合意も得られるものじゃありません。この景気が厳しいときに、しかも原油、物価高騰がまさに今激しくなろうとしているときに、物価高騰をあおるような消費税増税、中小企業、零細商店街、国民の生活、だれが今認められるんですか。こんなことを持ち出して抜本改革というなら先に延びてしまいます、これは。そうすると国の介入が続くということになりかねないんじゃありませんか。
しかも、知事は、それと引きかえにみずからの十三項目ですか、重要事業について国に協議の場をつくらせたといって自慢しているわけですが、こういうやり方、自治体同士の協力で国と対決していこうといっていた知事が、いや、ほかの自治体はともかく、自分のところはこれを認めてくれと国と個別に取引をするという形で、本当にほかの自治体にこのことが認められると思いますか、納得されると思いますか。
○真田主計部長 何回も同じことを申し上げて恐縮ですけれども、知事としましては、地方自治体全体が置かれている厳しい窮状、それから東京都がその中で首都東京としての役割を果たしていかなければいけないけれども、一方で地方の一員としてその役割も果たしていかなきゃならない。そういう中で総理の方から誠意ある申し入れがあり、最終的には抜本的な税制改正を目指すけれども、それまでの間の暫定的な対応でというようなお話もありまして、それらを総合的に判断して知事がご判断なさったことでありまして、これは都民の理解を得られるものと考えております。
○曽根委員 地方の窮状といわれたから仕方がないというふうに、あたかもほかの自治体、特に地方の自治体の窮状に手を差し伸べるかのようないい方ですが、しかし、都の中には、都の幹部には、三千億円ぐらいなら大丈夫、もっと傷つくぐらいならこれぐらいで妥協をという声があったというようなニュアンスのことを知事自身がおっしゃっているじゃありませんか。つまり、この辺で何とか傷を浅くしておきたいという思惑。
それから、国と勝手に取引して、ほかの自治体では、つくりたくたって高速道路なんかはなかなか認められないと。そういうときに国幹会議にもかかっていないような高速道路を優遇でつくらせてもらうと。こういうやり方が、ほかの自治体から見て、東京はうまくやっているなと。とんでもないやり方ということで抜け駆けというふうに見られても、これは仕方ないといわざるを得ないと思うんです。
こういうことこそ、いわば自民党の与謝野氏の働きかけを受け、また福田首相から声をかけられて、知事がお気に入りの十三の事業について協議の場を設けるというだけの約束で唯々諾々となってしまった。これは本当に知事のトップダウン事業の暴走というべきものだと思いますが、いかがですか。
○真田主計部長 先ほど来申し上げていますけれども、諸般の状況を総合的に判断して知事が大局的な見地からご判断なさったものでありまして、トップダウンの暴走というふうには決して考えておりません。
○曽根委員 こういうことこそ都民合意が大前提であるべきであります。都民にも議会にも秘密。我々野党ですけれども、どうも与党の方々にも秘密だということで、本当に国と勝手に取引すること自体が民主主義の根本原則を否定するものでありますし、我々議会も本当にこけにされたというふうにいわざるを得ないと思うんです。
それで、そのかわりに重要施策については協議の場を設けさせることができたというこの中身についてなんですが、この一つ一つについて国から一体どういう優遇措置が引き出せるんですか。これについてそれぞれ答えてください。
○真田主計部長 先ほどリストについてご説明しましたけれども、リストが意味しているところは、ダイレクトにお金が欲しいからということで申し上げているわけでもなく、首都東京をいかに発展させるかということで、そのことが重要だという観点から知事は十三点をお示しになったんじゃないかというふうに考えます。むしろこの機会に大都市の発展を国、都の間でしっかりと真正面からテーマに据えていくことこそが大切であるというふうにお考えになっているんだと思います。それが今回の合意の中でも、首都東京の重要性を総理が認めたことにもつながりましたし、また、その協議の場の設定にもつながったものだというふうに考えております。
個別の事業についてコメントする立場にございませんので。
○曽根委員 しかし、これ、財務省は最終的に予算を組まなきゃならない。東京都の予算の元締めですから、これだけ莫大な費用のかかる事業を知事が国に協議を要請したということで、認められたらどういうことになるかを考えなきゃならないと思うんですね。
例えば外環道を、国幹会議にかけるかかけないかはともかく、優遇して早期着工させてくれというのがありますが、もともとこれは地元の区や市のほとんどが現在の都の計画の見直しを求めている事業ですよね。国の特別優遇を取りつけて無理やりこれを進めるということになると、住民や自治体との合意も、それから、いわれている環境問題も無理押しした上に、これは総額、本体だけでも一兆三千五百億円、上部道路も東京都は考えていますから、これが約六千億円だと見られますが、合計約二兆円もかかる事業をまともな手続さえ踏まないで、飛び越えて推し進めるということになるんですが、財務局としてこれでいいんですか、国との関係で、前向きの協議に入るというんですけれども、それは構わないんですか。
○真田主計部長 リストにお示ししてございますインフラ整備事業は、国の取り組みが鈍く、いまだ事業化には至っていないものでございまして、これが実現すれば東京の活力増進に大きく寄与すると考えておりまして、都政にとって重要な施策であるというふうに考えております。そういった協議の場がなかったとしても、いずれかの時点では具体的な検討が必要な施策であるというふうに考えております。
また、リストの意味しているところは、先ほど申しましたとおり、お金が欲しいということをストレートに、ダイレクトにいっているあれではなくて、あくまでも首都東京を今後いかに発展させていくかという大局的な観点で国としっかりと真正面から議論していくということが大切だということで、知事がご提案なさったというふうに考えております。
もとより財政状況はこれから厳しくなりますけれども、厳しくなっても、必要な施策については、その優先順位をちゃんと精査した上で措置していきたいというふうに考えております。
○曽根委員 お金の問題だけじゃないということを繰り返しいわれるけれども、本当にお金を要求しているというよりは、先ほど、浪費家の親に対して長男として何とかしなきゃならぬという話がどなたかからありましたけれども、今度は親にかわって自分が浪費を始めると。私たちにいわせると、そういうことを親に認めさせるというような話じゃないですか、これは。
例えば、考え方の問題としても不可解なのは、交通政策審議会答申によらない地下鉄建設を認めてくれと、これは一体どういうことなんですか。
○真田主計部長 ご質問の点につきましては、東京の特性に応じた施策展開のための規制緩和、分権改革の例示として挙げたものでございます。
○曽根委員 分権改革といいますけれども、今、交通政策審議会によらなくても急いでつくらなきゃならないと東京都が考えている地下鉄というのは、オリンピックの会場へのアクセスの地下鉄以外に何か考えられないと思うんですが、そういうことを想定しているんですか。
○真田主計部長 あくまでも分権改革、規制緩和の例示として挙げたものでございまして、具体的な路線を想定したものではございません。
○曽根委員 私たちも昔というか、以前、エイトライナーとか進めてきたんですよ。まだ地下鉄とも何とも決まっていない。いろんな路線の話がありましたよ。なぜわざわざ地下鉄と銘打っているのかといえば、しかも今、地下鉄で路線、十三号線以降の具体的な事業化はないわけで、地下鉄というと考えられるのはオリンピック以外ないじゃありませんか。(「例えばといっているじゃないの」と呼ぶ者あり)その例えばが、だからオリンピック最優先ということでしょう、いってみれば。その下には財政保証、招致活動支援頼むよということまで入っている。
大体この重要施策のリストが、いってみれば財政収入は減るし、財政運営が厳しくなるけれども、重要なことはやっていかなきゃならないというふうに今主計部長がおっしゃった、その重要なものというのがこういうことになるわけですよね。そうすると、ずうっと見渡してみると、都民の暮らしや福祉、教育にかかわることは認証保育所以外ないわけですよ。ほとんどがハードの関係。それから、今問題になっている格差是正の問題、ワーキングプア対策、医療や保険、介護の制度の問題。国との関係でも東京都が要望を出しているものはいろいろありますよね。それがこういったことに優遇、重要というものが絞られていく、偏重されていくということ自体が大問題じゃないでしょうか。
認証保育所だけ入っているんですけれども、認証保育所制度というのは何か国に優遇してもらうといいことがあるんですか。
○真田主計部長 先ほども申し上げましたけれども、具体的な事業につきましてはお答えできる立場ではございません。
○鈴木委員長 曽根理事、質問の重複はなるべく避けて。
○曽根委員 認証保育所はほかの方は聞いていないと思うんで。
それで、認証保育所を、どうなるかわかりませんけれども、仮に国にこれを認可保育所並みに認めさせて国の補助金が出るようにすると。それで国からもお金が出るよという話だとすれば、とんでもないことですよ。認証保育所自体、営利企業が参入したことによってどういう問題が起きているかということは、先日、私自身が代表質問で取り上げたとおりで、認証保育所のほとんどが都が立入調査をしなきゃならない。そのうち半分が指摘を受ける。重大な指摘が幾つも出ているという事態で、じゃんぐる保育園みたいな例が出ているわけで、そういう制度の検証もなしに、福祉、教育で出ているのはこれだけですから、それを国に求めると。知事が本当に目玉にしているお気に入りの事業だけを偏った並べ方をして、それで国に優遇を求める。これ自体が都民から見ても重大なことだと思います。
三千億円の税収が減ることを国との関係で認めた上に、ここに並んでいる事業を全部本当に国が容認して一斉にスタートしたら、大変なお金が支出されていく。借金もふえるでしょう。一体どうやって財政運営を都民生活にかかわる事業に傷をつけないでやっていくことができるのか、私はちょっと考えにくいと思うんですよ。どういうふうに財政運営ができるんですか。
○村山財務局長 議論の前提なんですけれども、国の税制、日本の税制というのは、基本的には国が法律で定めるとそれで決まってしまうというふうにまずなっております。したがいまして、中身についていろいろ文句があるわけですけれども、今回の措置についても、国とすれば、法律を変えてそのような制度にすれば、別に恒久法でも何でもすることは可能なそういう制度になっております。したがいまして、総理が知事にいいでしょうかと了解を求めるということは制度上全く必要がないというところからまずこの問題は始まっております。
そういう状況の中での税制改正の動きに対して、この間、議会の皆様方のご尽力、ご協力をいただきながら反対をしてまいりました。理不尽な税制改正というのはよくないんだと、抜本的な改革をしなければいけないんだというふうにいってまいりました。そういう中で、今回、いろいろな紆余曲折がある中で、総理があえて知事に対して協力を依頼してきたというのは、この間の議会の皆様方と一緒にやってきた大きな反対運動の一つの結果でございまして、その中で、先ほど来、主計部長からるるご説明申し上げておりますように、一つは何とか地方の立場に立ってご協力をいただけないかという協力の要請、それから、しかしながら首都東京の発展についての重要性はよくわかっているという認識の表明、それを具体的にやっていくために、初めて個別団体との間で協議機関を新たに設けて、その中で首都としての重要施策の推進について協議をしていこうという提案、これらがなされたわけでございます。
そこで、知事といたしましては、先ほど来申し上げているような、全体として東京が日本の中で果たすべき役割、地方の一員としての立場、それ以外にもいろいろ政治的な情勢についてのご判断を含めた上で、あえて今回の措置について税財政制度の抜本改革までの暫定措置とすることという条件を付した上で、それに協力するというふうにご判断を、ご決断をされたわけでございます。
そのことの意味は、全体として今回の措置が、やろうと思えば国として強引にやってしまうことができるような状況の中であった上で、その中で何を切り開いていけば全体として東京のためになるのか、地方のためになるのか、日本のためになるのかという、そういう判断のところから、やはりここはしっかりとした暫定措置ということを明確にしようではないか。その上で抜本改革に向けて、そのことをスタートにして、さらにアクセルを踏める状況にしようではないかというご判断と同時に、首都東京の繁栄に向けてしかるべき具体的な例を挙げた上で、今後の協議に向けてより具体性を高めようというご努力をされたというふうに私どもは受けとめております。
そういう中で、いろいろ個別の施策については恐らく曽根理事との間で見解の相違はあろうかと思いますが、全体として東京のために何をなすべきなのか、あるいは日本のために何をなすべきなのかという大所高所からの判断に立った今回の知事のご決断であったというふうにご理解を賜りたい。
○曽根委員 そういう話をされるので簡潔に申し上げておきますが、まず国会は、先ほど民主の方もおっしゃったように、簡単に、福田内閣がこういう法律を決めますといって、国民の大方の合意がない法案について通るような状況にないことはだれもが知っている事実ですよ。そんな簡単に通りませんよ。抜本改革だといっている消費税増税だって簡単じゃないですよ。福田首相自身でさえ簡単じゃないということを認めざるを得ないんですから。抜本改革だって先の可能性は十分ありますよ。(「だから何」と呼ぶ者あり)だからこそ福田首相は知事に、味方になってくれよということでしょう、いってみれば。そうしなければ事態が打開できないのをよくわかっているから、首相が会ってほしいといったわけですよ。それに対してどういう態度をとったかと。私、二つ大きな問題があると思うんですよ。
先ほどからいっていますが、一つは、地方自治、地方分権の大義を捨てたことなんですよ。地方の財源である地方税を国の税金に置きかえるということを認めちゃったんですよ。ほかにも幾らも財政調整の方法はありますよ。そのことはほかの自治体との関係でも大きなマイナスになるし、東京の孤立化を導く道だということを私はいわざるを得ないんですよ。
もう一つは、首都東京の繁栄のためということを認めさせたといいながら、実態、中身は、都民の繁栄ではなく、知事がお好みのオリンピックに間に合わせた東京の都市づくりの話じゃないですか、ほとんどが。それを認めさせたといっているけれども、こういう特別扱いを国に認めさせることでまた地方からも孤立し、都民にとっては、この中身を本当に知れば、こんなことを約束するのと引きかえに何で税収不足を認めちゃうのかと。都民から見れば怒るじゃないですか。自分たちが苦しんでいる物価問題や医療問題、福祉問題、教育問題、何にも入っていないんですから。格差是正、どこにあるんですか。そういう問題をやはり犠牲にしているということが第二の大きな問題だといわざるを得ません。
私、この問題は、したがって、先ほどお答えはほとんど個々の事業についてはできないということなので、事柄の性格上、今後の財政運営の大きな根幹にかかわることですから、必要な委員会も集まって合同で審議するぐらいの問題だと思うんです。その点で、きょうは質疑の機会を鈴木委員長に与えていただいたので大変感謝をしたいところですが、同時に、今後も必要に応じて合同の委員会などを呼びかけていただきたい。その点で委員長のお骨折りをぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木委員長 本件に対する質疑は本日で終了いたします。
ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
○鈴木委員長 これより主税局関係に入ります。
報告事項、平成十九年度東京都税制調査会中間報告についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○宗田参事 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。要求資料第1号、東京都税制調査会及び政府税制調査会の答申等でございます。
この表は、東京都税制調査会、平成十九年度中間報告及び政府税制調査会、抜本的な税制改革に向けた基本的考え方における主な論点について項目ごとに記載したものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
ご発言を願います。
○桜井委員 私からは、主に東京都税制調査会のことについて二、三質問させていただきます。
東京都税制調査会の平成十九年度中間報告に関連して何点かまず伺います。
都税調は、平成十二年に創設をされまして、今年度で八年目と聞いていますが、私の不勉強なのかもしれませんが、残念ながら、その認知度といいますか、都税調の存在感というんですか、そういったものが必ずしも高くないように思われてなりません。改めて、そういった意味において、都税調が担っている役割、その重要性、そういったものについてどのようにお考えになっているのか、伺います。
○宗田参事 東京都税制調査会は、平成十二年、分権を進める上で不可欠な税源の移譲がなかなか進まない中、分権時代にふさわしい地方税制のあり方等について、都、さらには地方全体の立場から検討し提言することを目的に設けられた知事の諮問機関でございます。
学識経験者、都議会議員、特別区長会や東京都市長会等の会長、都の副知事など多様な立場の方を構成員としておりまして、幅広い視点から実効性の高い提言を行うことが役割であると認識してございます。
なお、都は、国への提案要求等について東京都税制調査会の提言を適時活用するとともに、平成十四年には、提言を踏まえ、大都市にふさわしい法定外目的税として宿泊税を導入したところでございます。
○桜井委員 都税調の役割は今後は非常に重要性を増してくると、このように思われます。
二番目の質問ですけれども、さっき財務局の質疑でもありましたが、税制の抜本的な見直しということが非常に大きな課題になっていますが、税制は都民、国民生活に直結するものでありまして、非常に多様な角度から十分な議論をすることが必要であることは申すまでもありません。都議会での議論も当然重要なのでありますけれども、仕組みからいきまして都税調の役割もますます重要になってくると重ねて思います。
来年度は三年に一度の答申の年度と聞いていますけれども、答申に向けて今後どのような検討を行っていく予定なのか、それを伺います。
○宗田参事 来年度は、委員ご指摘のとおり、三年に一度の答申の年度でございます。これまでの検討成果も踏まえつつ、消費税のあり方を含め、分権時代にふさわしい国と地方の税源配分や地方税制のあり方について積極的な検討を行い、平成二十年秋に予定している答申を取りまとめていただきたいと考えております。
○桜井委員 それでは、三つ目の問題ですけれども、これは自民党というか、与党税制調査会の平成二十年度の税制改正大綱がたまたま本日決定される予定であります。法人事業税の見直しについては、石原知事も最後はやむなしとして、当面の措置として導入されるようであります。この間の国の議論を見ておりますと、小手先の議論だけに終始しておったというふうにいわざるを得ません。そして、都民の納めた税金が都民のために使えなくなるような理不尽な案がまさにまかり通らんとしているわけでもあります。こういう状況が都民に十分に伝わっていないことも極めて問題でございます。都の財政、ひいては都民生活に大きくかかわる問題でもあり、もっとわかりやすく伝えることも必要だったのではないかなと、このように思われます。
局長は、六月に就任して以来、知事の言葉を使うならば理不尽というんですか、国の動きに対しましてさまざまな努力、取り組みをされてこられましたが、今求められていますのは、社会経済の変化に対応した税制の抜本的な見直しでありますし、地域格差是正や消費税の問題はそうした税体系全体の検討の中でしっかり議論すべきであり、分権時代にふさわしい地方税制の確立に向けて今後どのように取り組んでいくつもりなのか、この点につきまして質問させていただきます。
○熊野主税局長 ご答弁申し上げる前に一言御礼を申し上げたいと思います。
この間の税収格差をめぐる問題につきましては、委員長初め委員の先生方に大変ご指導、ご支援をいただきまして、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
結果、ご案内のような政治決着を見たわけでございますけれども、私どもに残された課題は大きく二つあると考えております。一つは、国との協議の場を活用いたしまして都の重要施策を進展させることでございます。それから、二つ目は、今回の措置が抜本的税制改正までの暫定措置とされていることから、可能な限り速やかに抜本的な税制改正が行われるよう努めることであると思っております。特に後者の問題につきましては、税を預かる者といたしまして、今回の措置が地方分権に逆行し、さらには税の原理にももとる理不尽なものであるだけに、できるだけ早く是正を求めるべきというふうに受けとめております。
桜井先生の今のご質問の、分権にふさわしい地方税制の確立に向けてどのように取り組んでいくのかというご質問はこの点をご指摘いただいたものでございますけれども、社会経済情勢の構造変化の中で我が国の税制が抜本的見直しを求められているということは紛れもない事実でございます。消費税あるいは税収格差の問題も、そうした見直しの中で十分検討、議論をされるべきということは先生のご指摘のとおりだと認識してございます。
その際、その見直しを地方の自立につながる本質的な改革に結びつけていくということが重要でございますので、そうした観点から申し上げれば、地方の仕事の量に見合った税収の確保という量の問題、あるいは税の公平性、安定性といった質の問題など、さまざまな側面から議論が必要になってくると考えております。
また、先生からご指摘いただきました、都民にわかりやすく訴える必要があったという点に関しましても、住民が身近なところで受益と負担の関係を判断していくということが民主主義あるいは地方自治の原点でございますので、今後またそういうところにも留意をしていきたいと思っております。
いずれにいたしましても、これらの点を踏まえまして、今後、都税調において積極的な議論をいただくとともに、都といたしましても、都議会のご協力をいただきながら、分権の時代にふさわしい地方税制の確立に向けて主体的かつ全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○鈴木委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十二分休憩
午後二時五十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西岡委員 財政委員会の主税局報告事項、平成十九年度東京都税制調査会中間報告に関連し、先ほどの財務の委員会でも質疑を行わせていただきましたけれども、東京都の税制を担当する主税局の担当分のいわゆる総理と知事との間で合意された一連の法人事業税の国税化について、ここでは極めて基本的な事項について伺ってまいりたいと思っております。
まず最初に、東京都税制調査会が提唱してきた地方税制の考え方や税の原則からいって、今回のこの一連の合意、対応、措置というものに関して、主税局としてどのように考えるか、伺ってまいりたいと思います。
○松田税制部長 東京都税制調査会は、これまでの答申、報告におきまして一貫して、地方分権を推進していくためには地方税の充実、確保が不可欠であり、また地方税においてはサービスの受益の程度に応じて負担をする応益原則が重要であると指摘をしております。
今回の措置は、法人事業税の一部を地方に配分するために、国税である地方法人特別税に分離をするものでございまして、東京都から財源を不当に奪うということにとどまらず、自主財源である地方税中心の地方税財政制度を確立すべきという地方分権の理念にも反するものでございます。
しかしながら、知事は、現下の情勢においては、法人事業税について何らかの見直しが行われることは不可避であるとの判断に基づきまして、総理が、都の重要施策の実現に国が最大限協力をし、そのための協議の場を設けるという提案をされたことを踏まえ、今回の措置を税制の抜本改革までの暫定措置とすることを条件に、大局的な見地から協力することを苦渋の選択として決断をされたものであるというふうに理解をしております。
○西岡委員 ちょうど与党の税制改革大綱がきょう発表されるという報道もございますが、この中身についてまだ具体的なものが、何となくわかってはいるんですけれども、現時点で明らかになっていることというのを少しきょうの段階で詰めておきたいと思うんですね。
まず、今回の措置の具体的内容について伺っていきたいんですが、この法人からの国税としての徴収はいつからスタートして、いつから地方に配分される見通しなのかということなんですが、一般的に私も来年度からというふうに考えていたんですけれども、どうも報道などを見ていると、徴収は二十年の後半、地方に譲与されるのは二十一年からというと、来年一年間穴があいてしまうのかなと思っていると、どうも、これも報道なんですが、特別枠というものがあって、国は四千億円ぐらい用意をして、本来二十一年度から分配される三千六百億円分は来年度は徴収できないので、とりあえず政府は来年度だけ、平成二十年度だけ用意しましょうというような状況も漏れ聞こえてくるわけなんですけれども、東京都主税局として今明らかになっていることについて、一応確認をしておきたいと思います。
○松田税制部長 今お話しのとおり、今回の見直しの内容につきましてまだ詳細がわからないところでございますので、報道等で知り得た範囲でご説明を申し上げます。
消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置としまして、法人事業税、これは地方税でございますけれども、その一部、約半分の二・六兆円を国税である地方法人特別税として分離をして、その税収を人口と従業員数を基準にして地方法人特別譲与税として都道府県に再配分するというようなものでございます。この地方法人特別税につきましては、平成二十年十月一日以降に開始をする法人の事業年度から課税をする方向というふうに聞いておりまして、そういった形になりますと、今ご指摘のとおり、二十年度中の納税というのは全くゼロではございませんけれども、ほとんどのものは二十一年度以降になるというふうに考えております。
また、地方法人特別譲与税につきましては、平成二十一年度から譲与をされるものというふうに聞いております。
○西岡委員 お互いに報道等ということで同じ認識でございまして、そうすると、やっぱり来年度は政府の特別な措置が行われることになるのかなと予想できるところでございます。
一方、今回の措置で考えておかなければいけないのは、今まで自治体に納めていた法人の事業税が国税化をされて、結果として違う自治体に、その法人の意思に関係なく配分されるということになるわけですね。そうすると、今までは法人も自分たちが頑張った成果が自分たちの地域に還元される、あるいは、政府や自治体もいっているように、地域を活性化しようというために企業も一生懸命努力したわけですけれども、今回のこの措置というのは、法人側にとっても地域活性化への意欲を減退させるものではないのかなというふうな懸念をされるわけでございますが、主税局として、法人側に何らかの意識的変化がないのかどうか、現時点の見解を伺っておきたいと思います。
○松田税制部長 今回の措置では、法人の税負担には基本的には変動が生じない見込みでございますが、地方法人特別税につきましては、納めた税が受益とは無関係に配分をされることになります。このような制度導入に対しまして法人がどのような反応を示すかにつきまして、制度導入の方針が示されてから間もない現時点では明確に判断することは困難でございますが、今後そうした動向についても注視をしてまいりたいというふうに思います。
○西岡委員 我々もしっかりと注視をしていきたいというふうに思います。
一方、今回の合意を受けたことによって、先ほどの財務局での答弁も、主税局の今までの答弁を聞いても、あるべき地方税財政体系を確立するためにこれまで以上に頑張っていくんだという姿勢はよく伝わってくるんですが、今までのこれに対する反論の文書ですとかもろもろ考えてみますと、東京都の挽回策というものに関しては消費税の増税の必要性と配分比率の関係も相当意識をされていると思うんですね。しかし、我々は現時点ではこの消費税を行うべき立場ではないものですから、自治体として消費税の増税を求めていく姿勢に関しては同調できない部分があるんですね。
この消費税の部分に関してどうこれからとらえていくのか、伺っていきたいというふうに思っております。
○松田税制部長 今回の措置に至るまでの総務省、財務省の議論に見られますように、国は地方の格差是正の名のもとに、小手先の議論で事をおさめることに終始しようとしておりました。こうしたことから、本年十月二十六日に発表いたしました都の反論書においても、都は国に対しまして、真に地方が自立できるよう、消費税の税率の引き上げ、国と地方の配分について抜本的検討に直ちに入ることを要求をしているものでございます。
税財政制度に関する改革の方向性につきましては、先ほど局長も申し上げておりますが、国においてはまさしくこれからの議論であるというふうに理解をしております。いずれにいたしましても、いわゆる三位一体改革の反省を踏まえまして、都市と地方がともに発展をし得る改革に向けて努力をしてまいりたいと存じます。
○西岡委員 ぜひ、自治体として消費税の引き上げについての論陣というのは慎むべきであって、やはり求めるべきは税源移譲を強く求めていくべきではないのかなというふうに私は思っております。
この期に及んでは、今の段階では東京都として国の税財政の抜本改革を待つのではなくて、他の府県とも連携をして、東京都みずからが税源移譲を実現させる対案というものを示していく必要があるのではないのかなと思いますが、最後に主税局長の見解を伺って質問を終わりたいと思います。
○熊野主税局長 私どもはこれまでも、都税調の提言などを踏まえまして、国から地方への税源移譲など、地方の自立を確立するための地方税財政制度の改革案、具体的なものにつきまして積極的に国に提案要求をしてまいりました。都の要求は、所得税から個人住民税への三兆円規模の本格的な税源移譲として実現するなど、具体的な成果となって結実したものと考えております。
今回の措置は、税制の抜本改革までの暫定的なものでございますけれども、新地方分権一括法に合わせた形での税制の抜本改革についても、都は国の動きを待つのではなくて、他の自治体との密接な連携のもとに、都税調も活用しながら、また都議会の皆様のご協力もいただきながら、みずからあるべき改革の姿を積極的に国に提示してまいりまして、真に地方が財政的に自立できる地方税財政制度の実現に向けて強く働きかけていく所存でございます。
○高倉委員 本日は、都の法人税の三千億円、これを財政力の弱い地方自治体に回すことについての議論が種々行われているわけであります。私どもも東京都などから法人事業税を吸い上げようとする国の動きについては強く反対をしてきたところでございます。今回の都税調の中間報告の中でも、このことについては言及されているわけでありますけれども、今回、知事が首相とのトップ会談において、東京都の重要政策に最大限協力をするという約束、あるいは政府と東京都の間で政策協議の機関を設置するということ、あるいは今回これを抜本改革までの暫定措置としたこと、こういったことを知事としても一定の前進があったというふうにいわれているわけですけれども、厳しい局面の中で、私もこの知事の決断については評価をいたしているところでございます。
ただ、今回、三千億円の移譲というのは、知事も本会議等で答弁をされておりますけれども、税の原則に反するものでありまして、地方分権にも逆行する、こういったものであるというふうに思います。また、東京都の都政においても大きな影響があるものである、このように思っておりまして、ぜひ今後、本来あるべき税財政制度の抜本的な改革に早期に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
きょう私からは、この都税調の中間報告につきまして二点ほど具体的なことについてお聞きをしたいと思います。
まず最初に、環境税制のことでございます。
東京都がいろんな政策を進めていくに当たって、税制を活用してその政策を前進させていくということは非常に私も大事な点であるというふうに思います。例えば今少子化が進んでいる中で、子育て支援を前進させるために税制の面から取り組んでいく、あるいは耐震化のような大きな課題についても税制の面からも都として積極的に取り組んでいく、こんなことがこれから本当に大事なことになってくるんではないかなと思います。
特に環境税につきましては、地球温暖化対策、地球の存続にかかわる重要な課題に対する税制の活用という点からの有効な手段として今議論がされているんだと思いますけれども、一方で、ガソリンの価格等も大変高騰をしている中でありまして、新たな税の導入ということについては都民にさらなる負担を強いるというところもありますので、ぜひ慎重に検討する必要があると思っております。
今回の中間報告においては、都独自の環境税制について四つの案を検討しているわけでありますが、まず導入ありきということではなくて、課題について整理をしている、このことについては妥当ではないかと思います。
そこで、この中間報告では、それぞれの案についてどのような課題を指摘をしているのか、また、今後どのように検討を行っていくのかということについてご説明をお願いしたいと思います。
○宗田参事 今回の中間報告は、都独自の環境税制として、化石燃料に対する課税、電気、ガスに対する課税、自動車税の超過課税及びいわゆる緑化税の四案が考えられるとしております。
これらの案の課題でございますが、共通の課題として、税収を充てる施策を明確にすることを挙げてございます。
また、それぞれの案にかかわる課題でございますが、化石燃料に対する課税については揮発油税など既存税制との整合性や税の捕捉の困難性、電気、ガスに対する課税については他のエネルギー源との課税の公平性、自動車税の超過課税についてはCO2排出と資産としての自動車の所有との相関関係が低いこと、緑化税については緑の東京募金など都の環境施策全体との整合性などをそれぞれ課題として挙げているところでございます。
今後、ただいま申し上げた課題等について議論を深めるなど、来年度の答申に向けてさらに積極的に検討をお願いしたいと考えてございます。
○高倉委員 いろいろと課題解決に向けたハードルというのは高いような感じもいたしますけれども、ぜひ議論を進めていっていただきたいと思います。
なお、私は、環境税制の検討に当たっては、先ほども税収を充てる施策というふうな話がございましたけれども、税の軽減という視点というのも大変大事なものではないかなと、このように思っているわけであります。
先般、私は東京電力の技術開発研究所というところに行ってまいりまして、電気自動車というのを実際この目で見てまいりまして、自分でも試乗をしてきたわけであります。実用化に向けていろんな課題があるということもいわれていたわけでありますが、実際試乗をしてみますと、いわゆる通常のガソリン車とほとんど変わらない乗り心地でありまして、機能も全く遜色がないという感じがしたわけであります。東京電力の方では、今、日常の業務にも電気自動車を使用している、今後さらに台数を大幅にふやしていきたいと、こんなようなお話も伺ってきたわけであります。
この電気自動車というのは、CO2を排出しないわけでありまして、地球環境の面からも非常にすぐれているわけであります。ただ、コストが高いこと等々で普及がまだ進んでいない。こんなことのようでありますけれども、バイオエタノールあるいは太陽光発電、エコハウスなどを初めとして地球環境に優しいすぐれた技術の開発も進んでいるわけであります。このような技術を税制を活用してむしろ促進をしていく、こういう視点からも検討をすべきではないかと思うわけでありますけれども、ご所見をお伺いしたいと思います。
○宗田参事 今回の中間報告は、インセンティブ付与の観点から、環境のために望ましいものに対する税の軽減についても幅広く検討することが必要であるとしてございます。
環境に優しいすぐれた技術を普及促進するため、税制を活用することは有効な手段の一つでございます。今後、東京都税制調査会にはこうした視点からも検討いただきたいと考えております。
○高倉委員 きょう質問するもう一つの点でございますけれども、今回の中間報告では、個人所得課税ということについて触れられているわけでありますけれども、私は、寄附金税制ということもこれから非常に重要な検討課題であるというふうに考えております。これからの社会のあり方を考えていきますと、公を支える民間の役割ということは非常に重要になってきますし、寄附文化というのを醸成をして、そして地域に密着した民間の非営利活動を積極的に支援をしていくということも求められているのではないかと思います。
そうした点からもお伺いしますけれども、総務大臣から提起をされているふるさと納税構想について、寄附金税制で対応するというお話を聞くわけでありますけれども、今どのような仕組みが考えられているのか、お聞きしたいと思います。
○宗田参事 平成二十年度政府税制調査会答申は、地方公共団体に対するいわゆるふるさと納税について、寄附金税制を活用した仕組みを検討することが必要としております。また、その際、納税者が効果を実感しやすいものとなるよう、税額控除方式にするとともに、控除の割合を高く設定すること、適用下限額を大幅に引き下げることが適当であるとしております。
なお、新聞報道等で伝えられるところによりますと、この仕組みは平成二十年分所得にかかる個人住民税から適用し、寄附金のうち五千円を超える分について一定の限度まで税額控除の対象にするとされております。
○高倉委員 このふるさと納税については、落ちつくところに落ちつくのかななんていう感じがするわけでありますが、寄附金税制について、新たな公益法人制度の導入等との関連でも、対象法人の拡大が議論をされているわけであります。どのようなことが検討されているのかについてお聞きをしたいと思います。
○宗田参事 公益法人改革では、現行の社団法人、財団法人について、登記により簡単に設立できるようにするとともに、その中で公益性が認定されたものについて所得税の寄附金控除など税の優遇が受けられるようにすることとされております。
この公益法人改革を踏まえ、また、地域に密着した民間の非営利活動の促進の観点から、住民税の寄附金控除については、都道府県または市町村が条例により対象となる寄附金を指定する仕組みを導入することが検討されていると聞いております。あわせて、適用下限額を現行の十万円から五千円に引き下げるとともに、控除方式を先ほど申し上げた地方公共団体に対する寄附と同様、税額控除に改める見込みと聞いております。
○高倉委員 今ご答弁で、民間の非営利活動の促進という観点からは、住民税の寄附金控除について都道府県または市町村が条例により対象となる寄附金を指定する仕組みと、こういうふうなお話があったわけでありまして、ぜひ積極的に都としてもそのあり方を検討していただきたいなと思います。
来年度は都税調の三年に一度の答申の年度というふうになっております。今申し上げた寄附文化の醸成あるいは環境税制のあり方を含めまして、十年後の我が国の社会を見据えた東京都ならではの提言を期待をしているところであります。
検討に向けた局長のご所見を最後に伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○熊野主税局長 我が国の税制は、現在、少子高齢化やグローバル化など、経済社会の激しい構造変化の中で抜本的な改革が求められているわけでありますけれども、そうした中で、東京都税制調査会には、これまでも分権、環境という視点から地方税制のあり方についてご検討いただき、またこの視点は今後も検討の大きな軸となると考えております。
また、地域社会の活力を維持していくためには、今後、民間が担う公共の役割がますます重要になり、寄附と税制の役割などは今後の検討課題の一つであると認識してございます。
都税調には、来年度の答申に向け、国の税制改革の動向を踏まえつつ、国と地方の税源配分や消費税、さらにはお話しの寄附税制や環境税制などについて、将来を見据えた積極的なご議論をいただきたいと考えております。
○曽根委員 私からも、私も税調の委員ではありますが、十一月二十九日に税制調査会の中間報告が取りまとめられて知事に手渡された途端に、何を議論していたんだかわからないような事態になっているわけですけれども、しかし、その後の結果についてやっぱり一定の質疑をしておきたいと思うんです。
改めて、私たち野党ですから、この中にも認められない問題も入っています。しかし、地方自治、地方分権を進めるという立場で、専門家の方、それから税を払っている立場の事業者の代表や私たち議員も入って、半年ぐらいですかね、中間報告ですから詰めた議論を行って、やっとまとめたこの冊子を見ると、それなりに考え抜かれた表現は出ているわけです。そういうものが、全く趣旨に反する知事の決断によって、ほとんどご破算に近い状態にきょうの審議までになってしまったということに非常にむなしさを感じるわけです。
とりわけ知事が--先ほどの財務局の方で質疑しましたので、今回の合意の中身そのものについては省略しますが、暫定措置といいながら抜本改革に何を求めたのかという点で、やはり消費税の増税に踏み込んで発言をしている。ここは私、到底認めがたいところです。
中間報告では、消費税の扱いについては今後の地方税の改革というところで触れていると思うんですが、どういう扱いになっているでしょうか。
○宗田参事 東京都税制調査会の中間報告でございますが、分権社会の実現の観点から、今後の税制改革のあり方として、国と地方の役割分担を明確にし、役割に見合った権限と税源を地方に移譲することが必要であるとしてございます。その上で、消費税につきましては、税収が安定的で偏在が少ないなど、地方税にふさわしい税であり、消費税から地方消費税への税源移譲を図るべきとしてございます。
なお、中間報告は、消費税及び地方消費税の税率引き上げがいずれ不可避との認識もあわせて示しているところでございます。
○曽根委員 今お話があったように、今後の税制のあり方という改革の方向という点では、地方消費税への消費税からの税源移譲ということの表現になっているわけです。確かに今お話しのように、ほかの部分に、今後、税率の引き上げは不可避という部分もありますが、きょう資料でいただいた政府税調の消費税の扱いの比較をもらった一番下にありますが、社会保障費について消費税率の引き上げにより賄うことも選択肢の一つというふうに踏み込んだ表現になっている政府税調よりもやはり抑えた表現というふうにいえると思います。
私たちはもちろん、現在の税率の中であっても消費税の地方配分をふやすということは、結局は社会保障を主に担っている地方自治体が財源が必要になったら税率を上げざるを得なくなってくるという点で、地方の配分をふやすことには賛成できない立場ですけれども、それでも税金をいきなり上げろという話はここではしていないわけですよ。しかし、知事はそこまで踏み込んで、これを税の抜本改革として政府にまで求めているわけです。ある意味では政府の税調の答申さえ逸脱しているといってもいいかもしれません。
今後、先ほど主税局長の発言の中にもありました、やはり税を含めた地方の税財政のあり方の抜本改革を早く実現するよう求めていくといいますか、取り組んでいきたいと。その方向として、私も意見の違うところは後で少数意見も入れてもらっていますが、少なくともこの中間報告で提起しているように、やはり税を払う人たちもいる中で、都民の立場も踏まえて慎重な立場をとっている都税調のこの中間報告は尊重されてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○松田税制部長 東京都税制調査会には、地方主権の時代にふさわしい地方税制のあり方などについて幅広く検討し、提言や意見を述べていただいているところでございます。
一方、今回の知事の判断は、これまで説明がございましたように、一定の国からの提案も受けまして、大局的な見地から国の方策に協力することを決断をされたものというふうに理解をしております。そういった中で、消費税の税率の引き上げについてと、それからまた地方の配分拡大については、知事が知事としてのお考えを述べられたものというふうに理解をしております。
○曽根委員 知事としての判断、考えということはあるかもしれませんが、少なくとも都税調をみずからお願いして、神野さんにも会長になってもらってつくった以上、そこで出された中間報告を全く--ここに書かれていることを一つ一つ読むとどうなっちゃうのかというような中身になっているわけですよ、今回の合意は。それを尊重するような立場として取り組むよう、少なくとも主税局としてはきちんと取り組みを進めていただきたいことをお願いしたいと思うんです。
都税調の議論の中でも、例えば税を納めている事業者の代表の方は、私たち共産党とは意見が違うと。今の税率を前提にすれば、その中で地方配分をふやしてほしいという意見なんだと。しかし、税率を上げることには自分たちも反対だよと明確におっしゃっているんですよ。それは、これが上がっちゃうと事業者としては大変ですから、ということもおっしゃっている。そういうことも踏まえての税調の中間報告だということをぜひ慎重に考えてほしいと思います。
もう一点なんですが、消費税の税率が引き上がるとどういうことになるかということで、既に私たちは経験を持っているわけで、主税局からも資料を前にもいただきましたが、前回の三%から、わずか二%とはいうものの五%に税率が上がった際に、その直前の九六年度の都の法人二税の収入一兆八千六百四十二億円が、税率が引き上がった直後の三年間で五千億円も落ち込んで、一兆三千九百五十八億円まで落ちていると。結局、ここまで景気が冷え込んでしまったので、その直後から定率減税を法人所得税それぞれに行って、また財政支出、税収が足りなくなるわけですから、赤字をふやすということにならざるを得なかったと。じゃぶじゃぶの公共事業をやって、またさらに借金をふやすという国の政策がとられて、借金が大きく拡大するきっかけになったわけですよ。こういう教訓を再び繰り返していいのかということが問われていると思うんです。
そういう点では、消費税増税に対しては、主税局として、これは今後の税収がまた逆に落ち込んでいくという危険も踏まえて対処すべきだと思いますが、いかがですか。
○松田税制部長 平成九年の景気の低迷についてでございますが、平成九年四月の消費税率の引き上げの後、一たんは経済成長率が回復をしておりまして、その後の景気が低迷をしたことにつきましては、金融機関の破綻等の金融危機と、それに伴う貸し渋りの問題、アジアの国際通貨、金融問題に伴う不安心理の拡大など、内外の悪条件が同時期に重なったことが最大の要因だったというふうに考えております。
そういった点はございますが、今後の消費税の問題につきましては、国民生活への影響等も十分に配慮した上で検討されるべきものというふうに考えております。
○曽根委員 国民生活という点では、私たち、さきの本会議でも申し上げましたが、今物価高騰がまさに火がついたという瞬間でありまして、年明けには公共料金も含めてどっと上がっていくという動きであります。そのときに消費税の増税と、いつ行われるかは別にしても、非常に危険な動きといわなきゃならないし、九七年の再来と。それで同時に金融機関の破綻とか、東京都も銀行を一行抱えていますから。そういったことも含めて国民生活に多大な悪影響を及ぼしかねないという点でいうと、消費税増税、庶民増税であり、私たちにとっては最悪の逆進課税ですから、こういうものに手をつけるべきじゃないということ。
また、中間報告についてぜひよく読んでとらえてほしいんですが、消費税増税をやらない方法としても、例えば国の所得税の再配分率の是正だとか強化するとか、それから日本の法人税については必ずしも国際的には高くないはずだというふうな指摘もちゃんと行っているわけで、税源の求め方は何でも消費税しかないかのような今の大きな物いいがされていますが、都税調の中ではいろんな議論がされているということもあわせて指摘をして、私の質疑を終わりたいと思います。
以上です。
○伊沢委員 私の方からも意見及び質問を申し上げたいと思います。
今回の知事の福田首相との会談については、一つ非常に大きな矛盾があると思います。簡単にいいますと、三千億くれといっている人にまたさらに二兆円もかかるような外環道ですとか、それをはるかに上回る額のものを次々と要求するというのは、これは無理難題といいますか、やっぱり大きな矛盾なのではないかといわざるを得ません。
これまで石原知事は都市再生ということで、小泉前首相などと国際競争力に勝つためということで力を入れてきましたけれども、そもそも東京と地方の格差がなぜ生まれているのかという原因のところに今立ち返らないといけない時期なのではないかと思います。地方では公共事業が非常に削減されましたけれども、その分やはり東京や愛知、大阪などに集中して行われてきた投資というものを見直さなければいけない。つまり、政策上の見直しも必要ではないかと今本当に思います。つまり、地方と国、地方と東京というような国全体としてのレベルアップが必要ですし、またもっといえば、国民一人一人、個人個人の格差を是正していくということが今最大の課題ではないかと思います。
今非常に格差が、二極分化が進んでいまして、このことに対する国民の答えは参議院選挙の結果でもやはり示されたのではないかと思います。そういう中で、今どのようにこれを再分配していくのかということが非常に問題になるわけです。
一つは、これは都もいっているように、税源を、そして権限を地方へ国から移譲していくということはやはり最大のことではないかと思います。
それともう一つは、やはり個人の解決策として消費税を上げるということがいわれておりますけれども、この点についてお聞きしたいと思います。消費税は、まず非常に逆進性が強くて、今いうまでもなく年金生活者あるいは非常に国民が困窮している中で消費税ということを解決策として打ち出すのは、逆進性も強い。この逆進性について都はどういうふうに考えているのか、聞きたいと思います。
○松田税制部長 いわゆる消費税の逆進性の問題でございますが、所得階層が低い人の負担が重く逆進的であるという意見もございますが、また十一月二十日に取りまとめられました政府税制調査会答申におきましては理由を述べておりますが、それは省略いたしますけれども、逆進性の弊害があるとは必ずしもいえないとされるなど、いろいろな見方がございます。
いずれにしても、税負担のレベルにつきましては、消費税という一税目のみを取り上げて議論すべきではなくて、税制全体、さらには社会保障制度等の歳出面を含めた税財政全体で判断をしていくことが必要と思います。
○伊沢委員 これは逆進性が強いということは非常に明らかなことでありまして、消費税がアップされればさらに格差が広がっていく。個々人でもそうですし、また地方との格差も広がっていくということは目に見えているので、私は、本当にこれはやめるべきだと、都はそういうことを提案すべきではないというふうに考えます。
それから、もう一つは景気への影響ですけれども、私が三鷹でも耳にしますのは、これ以上税が上がったら、特に高齢者などはそうですけれども、非常に消費を控えているということで、さらにそんなことになったらもう一円も使わないと。財布のひもは絶対にかたく締めたままにするというようなことで、景気への影響、冷え込みということが予測されますけれども、いかがでしょうか。
○松田税制部長 先ほどもちょっと申し上げたところでございますが、平成九年の税率引き上げの際はどの程度それが影響があったかは、その後の景気の低迷につきましては別の要素の方が先ほど申し上げましたように多かったのではないかというふうに考えられているところでございまして、なかなか判断をしにくいところだと思います。
そういった点で、いずれにしましても、今後、そういう税率等の問題を議論する際には、当然、国民生活に与える影響、また、もしそれを改定する場合にはどういった緩和措置を講ずるか、そういったことも含めて議論をされるべきだというふうに考えております。
○伊沢委員 やはり都民あるいは国民に与える消費税の影響ということは、過去の経緯も振り返り、本当によく現実を見なければとんでもないことになってしまうということを申し上げたいと思います。私は、繰り返しいいますけれども、都としては消費税を上げるということはいうべきではないということをいいたいと思います。
では、どこに財源を求めるかということになるわけですけれども、個人所得税の累進課税の強化、これについては、都のこの中間報告を読みますと、余りはっきりと書かれておりません。しかし、消費税が導入されたときに累進課税が緩和されまして、それが次々と今もう最高税率三七%というところまで下がってきているということです。ですから、消費税を引き上げるのではなくて、今こそこの累進課税を強化するということを、つまり最高税率を上げるということを、これは、政府・与党の税調の中でも最近やっと何かこういう議論が少し出てきているようですが、都としてはこちらの方に重きを置けばいいのではないかと思うんですが、そちらの方についての見解を伺いたいと思います。
○松田税制部長 先般行われました三位一体の改革によりまして、個人住民税におきましては負担分任の性格をより明確にするために、一〇%の税率のフラット化を行ったところでございます。累進税率による所得再分配につきましては、国税である所得税が専ら担うこととなっております。また、両税を合わせた最高税率は五〇%になっているところでございます。
今後、高齢化社会の進展によって社会保障関係費が増大する中で、その負担をどのように国民に求めていくかを議論していかなければならないわけでございますが、所得課税全体のあり方についてもその中で検討されるべきものというふうに考えます。
○伊沢委員 やっぱり今、国としても都としても非常に大きな分岐点といいますか、転換点に来ているのではないかと私は思います。これまでの都政の進め方についてもやっぱり見直すべきときに来ているという一つの、この三千億円の問題というのは大きなサインであったというふうに思います。
それから、確かに所得税については国の税制問題で、都が直接かかわれる問題ではありませんけれども、やはり都民一人一人、国民一人一人にとって公正な税制というものを目指さないと、今の問題はとても解決できないということを申し上げたいと思います。
以上で終わります。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時三十八分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.