財政委員会速記録第九号

平成十九年九月十四日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長山田 忠昭君
副委員長尾崎 大介君
副委員長橘  正剛君
理事村上 英子君
理事酒井 大史君
理事曽根はじめ君
伊沢けい子君
山口  拓君
鈴木 隆道君
佐藤 広典君
高木 けい君
藤井  一君
桜井  武君
高島なおき君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長村山 寛司君
経理部長新田 洋平君
参事竹本 節子君
主計部長真田 正義君
財産運用部長塚本 直之君
建築保全部長戸田 敬里君
参事岡沢  裕君
参事山本 康友君

本日の会議に付した事件
 財務局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入・歳出-財務局所管分
・東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築工事請負契約
・都立永福学園養護学校(H十九)増築工事請負契約
・妙正寺川整備工事(激特-一)請負契約
・妙正寺川整備工事(激特-二)請負契約
・妙正寺川整備工事(激特-四)請負契約
・土地及び建物の売払いについて
報告事項(説明)
・「平成十八年度東京都年次財務報告書」について

○山田委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承をお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件及び報告事項の説明聴取を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。ご了承をお願いいたします。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○村山財務局長 第三回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十九年第三回東京都議会定例会提出予定議案件名表をごらんいただきたいと存じます。
 今回提出いたします議案は七件で、その内訳は、予算案一件、契約案五件、事件案一件でございます。
 まず、予算案は、平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)でございまして、東京大気汚染訴訟の和解に伴う拠出金の一部受け入れ、並びに、新たに環境CBOを導入すること、この二点に伴う必要な予算の補正を行うものでございます。
 また、契約案五件の内訳は、建築工事が二件、土木工事が三件でございます。
 事件案は、土地及び建物の売払いについてでございまして、東京都多摩市南野二丁目の都有地及び建物を売り払うものでございます。
 以上が議案の概要でございます。詳細につきましては、それぞれ所管の部長から、資料に基づきましてご説明いたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○真田主計部長 それでは、私からは予算案についてご説明いたします。
 平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)でございます。
 恐れ入りますが、資料第1号をお開きいただきたいと思います。
 三ページをお開きください。予算総則でございます。
 この予算の補正は、ただいま局長から申し上げましたとおり、二点ございます。
 まず、一点目の東京大気汚染訴訟の和解に伴う拠出金の一部受け入れにつきましては、自動車メーカー負担分と首都高速道路株式会社負担分を合わせました三十八億円を収入し、財政調整基金に積み立てるものでございます。
 二点目の環境CBOの導入につきましては、財源として地球温暖化対策推進基金から五十億円を取り崩しまして、歳出に充てるものでございます。
 補正額は、歳入歳出ともそれぞれ八十八億円の追加となります。その結果、歳入歳出予算の総額はそれぞれ六兆六千百二十億六千九百万円となります。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○新田経理部長 私からは、まず、平成十九年度一般会計補正予算のうち、財務局所管分についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、資料第2号、平成十九年度補正予算説明書の三ページをお開き願います。
 一般会計の議会局及び財務局合算の総括表でございます。
 今回の補正は、財務局分に係る歳出三十八億円の増額でございまして、既定予算額と合わせますと、歳出予算額の計欄の一兆一千百三十五億一千四百万円となります。
 裏面の四ページをお開き願います。
 今回の補正の内訳でございますが、1の財政調整基金積立金でございます。
 東京大気汚染訴訟の和解に伴う拠出金の自動車メーカー負担分、首都高速道路株式会社負担分を合わせた三十八億円につきまして、財政調整基金に積み立てるものでございます。
 続きまして、工事請負契約議案の概要につきまして、資料第3号によりご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページの工事請負契約議案一覧をお開きいただきたいと存じます。
 初めに、1の総括の表をごらんください。
 今回ご審議いただきます契約議案は、右側の計の欄にございますとおり、合計五件、契約金額の総額は、百四億六千七百四十五万円でございます。
 契約の方法は、提出予定の五件につきまして、一般競争入札により契約を締結しようとするものでございます。
 次に、2の案件別の表によりまして、概要についてご説明申し上げます。
 番号1は、世田谷区上北沢二丁目地内において、東京都医学系総合研究所(仮称)のⅠ期新築工事を施行するものでございます。
 番号2は、杉並区永福一丁目地内において、都立永福学園養護学校の校舎棟ほかの増築工事を施行するものでございます。
 番号3は、中野区沼袋一丁目地内から同区新井三丁目地内にかけて、妙正寺川整備工事(激特-一)を施行するものでございます。
 番号4は、中野区沼袋三丁目地内から同区野方二丁目地内にかけて、妙正寺川整備工事(激特-二)を施行するものでございます。
 番号5は、新宿区西落合二丁目地内において、妙正寺川整備工事(激特-四)を施行するものでございます。
 それぞれの契約金額及び契約の相手方は、表の右側の欄に記載のとおりでございます。
 一枚おめくりいただきまして、裏面の二ページから四ページでございますが、案件ごとに、件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載してございますので、ご参照いただきますようお願い申し上げます。
 また、各案件の入札の経過等につきましても、五ページ以降に記載してございますので、あわせてごらんいただきたいと存じます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○塚本財産運用部長 私からは、土地及び建物の売払いについてご説明申し上げます。
 申しわけございません。資料第4号の一ページをごらんください。
 この売り払いの目的は、都において利用予定のなくなりました財産の処分を図るもので、東京都多摩市南野二丁目十一番一ほかに所在する都有地及び同都有地にある建物を売り払うものでございます。
 土地の種類は宅地で、面積四万一千六百五十四・九一平方メートル、ただし実測によりまして面積が異なる場合には、この実測の面積といたします。
 建物は鉄筋コンクリート造四階建て外八棟、延べ床面積一万四千二百四十一・七一平方メートルでございます。
 そのほか、プールほか工作物一式がございます。
 売り払い予定価格は二十八億八千二百二十万円です。
 なお、一般競争入札により、学校法人恵泉女学園が落札しております。
 三ページの案内図をごらんいただきたいと存じます。
 本件地は、京王相模原線及び小田急多摩線の多摩センター駅から南東方約二千五百メートルに位置し、黒塗りでお示ししてあるところでございます。
 さらに、次の四ページが明細図でございますので、ごらんいただきたいと存じます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。

○曽根委員 補正予算に計上されている公害患者の医療制度の成り立ちについて、この三十八億円という金額が定められてきた経緯がわかるものと、それから、都の負担は全体今後どうなっていくのか、今後の見通しについてもわかるものがいただければと思います。
 以上です。

○山田委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 それでは、ただいま曽根理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認めます。理事者におきましては、要求された委員と調整の上、ご提出をよろしくお願いいたします。

○山田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○真田主計部長 それでは、お手元の資料第5号によりまして、平成十八年度東京都年次財務報告書についてご説明いたします。
 平成十八年四月の複式簿記・発生主義による新たな会計システムの稼働によりまして、本格的な財務諸表の作成が可能となりました。
 本報告書はこの成果を活用し、都の財政状況を明らかにすることにより、都民に対する説明責任の一層の充実を図るために作成したものでございます。
 恐縮ですが、冊子の表紙をおめくりいただきまして、「はじめに」の裏面に目次がございます。目次をごらんいただきたいと思います。
 本報告書は三部構成になっておりまして、第1章では、平成十八年度普通会計決算の状況を、従来の公会計手法と新たな公会計手法のそれぞれで分析しております。
 第2章では、東京都全体の財務状況を新たな公会計手法により分析しておりまして、また、第3章では、全体の総括としまして、今後の財政運営について述べております。
 内容は詳細にわたりますことから、お手元に別とじで、その概要版を参考資料ということで挟み込んであります。それをごらんいただきたいと思います。
 参考資料をお開きいただきまして、まず本報告書の特色についてでございます。
 この報告書は、我が国の行政として初めての複式簿記・発生主義に基づく会計処理による財務報告でございます。本書は、記載のとおり、民間と同様の財務諸表を用いての財務報告を都民に提示し、都財政全体をマクロな視点から分析するものでございます。
 なお、個別の事業ごとの、いわばミクロレベルの財務分析につきましては、この第三回定例会に決算書類として提出いたします主要施策の成果の中で明らかにし、決算の認定に当たりましてご審議いただくこととしております。
 また、コストやストック分析など多角的な財政分析によりまして、一層効率的な財政運営に資することになります。
 それでは、普通会計の決算の概要につきましてご説明いたします。
 最初に、従来の公会計手法による分析の結果についてでございます。引き続き、資料の一枚目の左側のところをごらんいただきたいと思います。
 まず、決算収支等の表をごらんいただきたいと思いますが、実質収支は千三百七十億円の黒字と、前年度に引き続きの黒字となっております。また、財政の弾力性を示す指標であります経常収支比率につきましても、八四・五%と前年度とほぼ横ばいではございますけれども、改善してございます。
 次に、歳入の表をごらんいただきたいと思います。都税収入が、法人二税の大幅な伸びによりまして、七・〇%の伸びとなる一方、都債につきましては、後年度負担等を勘案し、発行抑制に努めた結果、二八・八%の大幅な減となりました。
 次に、歳出の表をごらんください。減債基金の積み立て不足の解消などに努めた結果、公債費が三三・五%と大幅増となりました。
 次に、財政指標等の推移の表をごらんください。先ほどご説明した経常収支比率のほか、都債現在高につきましても九年ぶりに六兆円台に下がるなど、財政状況は改善しております。
 なお、公債費負担比率につきましては、先ほど申し上げましたとおり、減債基金積立額の増という臨時的な要因もございまして、三・二%上昇しております。
 次に、右側の方でございますが、新たに公会計手法により分析した普通会計の状況につきましてご説明いたします。資料の右側をごらんいただきたいと思います。
 まず、行政コストの状況でございます。
 行政コスト計算書とは、一年間におきます行政活動に伴うすべての収入、コストを表示したものでございますが、それによりますと、右側の方にございますとおり、収入六兆三千億円に対しまして、コストが五兆二千億円となっております。コストから下の方に矢印が出ておりますけれども、それをごらんいただきますとおり、このコストの中には、減価償却費や金利などこれまでの官庁会計ではとらえられなかった、いわゆる時間がもたらすコストが五千億円程度あるということが判明いたしました。今後、こうしたコストが現実にかかっているということを常に念頭に置いた財政運営が必要となってまいります。
 また、行政コスト計算書上の収支差額が一兆一千億円という形になってございます。収入がコストを上回っておりますけれども、行政コスト計算書の収入につきましては、税収を全額計上する一方で、コストにつきましては、社会資本の整備や都債償還に係る支出が含まれておりませんので、この収支差額を活用して、そうした社会資本の整備や都債の償還が行われることになります。したがって、この収支差額は財政的な余裕を示すものではございません。
 次に、資料の二枚目をお開きいただきたいと思います。貸借対照表によりますストックの状況についてご説明いたします。
 まず、世代間の負担のバランスについてでありますけれども、左の、資産のうちの有形固定資産二十二・四兆円でございますけれども、その右側にありますとおり、負債である都債が七・七兆円でございます。このように、世代間の負担のバランスという視点から考えますと、都債は将来世代の税金で償還することになりますので、都の有する社会資本の大体三分の一の水準に当たる金額が、将来世代の負担になっているという状況が判明いたしました。
 また、将来の財政負担についてでございますけれども、まず、負債の欄にございますとおり、退職給与引当金が一・四兆円ございます。これは在職する職員が一斉に退職したと仮定した際の退職金の総額でございますけれども、今後、こうした金額を念頭に置いた財政運営が必要となります。
 また、有形固定資産の中で、行政財産である建物につきましては、取得価格が四・一兆円でございますけれども、老朽化によりまして、現在の資産価値は、一・三兆円減りまして、二・七兆円という形になってございます。この減少分が、いわゆる減価償却累計額として積み上がっておりまして、民間企業の場合には次回の資産取得に必要な資金として内部留保することができますけれども、行政においてはこうした内部留保がございません。したがいまして、今後の膨大な更新需要への対応が今後の課題となってまいります。
 さらに、貸付金などの債権の状況についてでございますけれども、都は、資産の欄の中ほどにございますとおり、長期貸付金など一・八兆円の債権を保有してございますが、このうち、未回収となっている債権が一千三百億円ほどございます。債権は貴重な財産でございますので、債権管理の強化が今後の課題というふうに考えてございます。
 それでは、資料の三ページ目をごらんいただきたいと思います。
 まず、キャッシュフロー計算書によりまして、都におけるキャッシュフローの状況をご説明いたします。
 現金の流れを大きく三つに分けまして、上から行政サービス活動、社会資本整備等投資活動、財務活動に区分して記載してございます。
 一つ目の行政サービス活動の収支差額は一兆二千億円、二つ目の社会資本整備等投資活動の収支差額はマイナス四千億円となってございまして、それを合わせたものが、右側にありますとおり、行政活動キャッシュフロー収支差額、いわゆるフリーキャッシュフローでございまして、これが九千億円となってございます。これをもとに三番目の都債の調達、返済が行われることになりますので、都債の償還に資金的には十分な対応ができる状況にあるということがおわかりいただけるかと思います。
 また、都債の償還等を行った最終的な現金の状況は、収支差額一千億円の黒字となっています。
 このように資金的には何とか余裕のある状況にございますけれども、都税収入の、いわゆる景気に左右されやすいという不安定性、あるいは今後の国による財源の吸い上げの動き等がございまして、このフリーキャッシュフローがマイナスとなる危険性を常に抱えております。したがって、そういったことも含めまして、将来を冷静に見据えた資金の確保が必要となっております。
 次に、ただいまご説明しました普通会計に、さらに公営企業会計ですとか監理団体などを加えました東京都全体の貸借対照表、その下の方の表でございますけれども、それにつきましてご説明いたします。
 資産四十四兆円に対しまして、負債十七兆円、正味財産二十七兆円となっておりますけれども、正味財産比率が普通会計の七割より一割程度低く、負債の占める割合が高くなっているということでございます。こうしたことから、公営企業や監理団体を含めまして、東京都全体としてなお一層の経営努力が必要というふうに考えております。
 また、その表の下に、経営主体別の経営状況のポイントを述べてございますが、まず公営企業会計につきましては、十一のうち、九会計が経常収支で黒字となっております。また、監理団体のうち、株式会社十七団体では、財務状況に一定の改善傾向が見られます。いずれにしましても、二十一年度から施行されます地方公共団体財政健全化法の動向を踏まえまして、今後も東京都全体の財務状況の正確な把握が必要となってまいります。
 最後に、全体のまとめとしまして、右下のところでございますけれども、今後の財政運営についてでございます。記載のとおり、今後の結果重視型の事後検証とあわせまして、コスト分析の徹底、ストック概念の導入と定着が求められております。このため、ただいまご説明しました東京発の公会計の取り組みと予算編成手法の改革によりまして、財政運営の転換を図り、これからの東京を築き上げていく必要があるというふうに考えてございます。
 報告は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○山田委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求がある方はご発言をお願いいたします。

○曽根委員 いよいよ新しい公会計制度による財務諸表が出てくる初めての決算を迎えるわけで、この報告の中身についてわかりやすく理解するために、例えば行政コストの計算について、かつてのバランスシートもなかった時代の場合と、機能するバランスシートがつくられるようになってからと、それからさらに現段階と、東京都が行っている各種事業の幾つかの例に沿って、行政コストの計算の金額や、精度、内容、出せる時期などがどのように変わってきているのかということが比較できる資料をいただきたい。例えば再開発事業だとか、建設土木だとか、教育とか、福祉とか、幾つかの分野の具体的な事業を例にとって比較できるとありがたいと思います。
 以上です。

○山田委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 それでは、ただいま曽根理事から資料要求がありましたけれども、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認めます。理事者におきましては、要求されました委員と調整の上、提出をお願いいたします。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後一時二十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る