財政委員会速記録第四号

平成十九年二月二十八日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長山田 忠昭君
副委員長尾崎 大介君
副委員長橘  正剛君
理事村上 英子君
理事桜井  武君
理事曽根はじめ君
鈴木 隆道君
伊沢けい子君
山口  拓君
佐藤 広典君
高木 けい君
藤井  一君
酒井 大史君
高島なおき君

 欠席委員 なし

 出席説明員
主税局局長菅原 秀夫君
総務部長三橋  昇君
税制部長松田 曉史君
参事目黒 克昭君
参事堀内 宣好君
課税部長安田 準一君
資産税部長吉田 裕計君
徴収部長齊藤 吉民君
特別滞納整理担当部長宮下  茂君
出納長室出納長幸田 昭一君
副出納長関  敏樹君
副出納長牛山 幸彦君
会計制度担当部長細野 友希君

本日の会議に付した事件
出納長室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出 出納長室所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十四号議案 東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都副出納長設置条例を廃止する条例
報告事項(質疑)
・平成十八年度資金管理実績(第三・四半期)について
主税局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為 主税局所管分
・第三号議案 平成十九年度東京都地方消費税清算会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 東京都自動車税総合事務所設置条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都自動車税事務所設置条例を廃止する条例
・第五十三号議案 アメリカ合衆国軍隊の構成員等の所有する自動車に対する自動車税の賦課徴収の特例に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成十九年度地方税制の改正について
請願陳情の審査
都市計画税の軽減措置継続に関する請願
(1)一八第二〇号
(2)一八第二四号
(3)一八第二九号
(4)一八第三六号
(5)一八第三七号
(6)一八第四三号
(7)一八第四八号
(8)一八第五四号
(9)一八第五五号
(10)一八第五八号
(11)一八第五九号
(12)一八第六〇号
(13)一八第六一号
(14)一八第八三号
(15)一八第八七号
(16)一八第九一号
(17)一八第九五号
(18)一八第九九号
(19)一八第一〇三号
(20)一八第一〇七号
(21)一八第一一一号
(22)一八第一一五号
(23)一八第一二〇号
(24)一八第一二九号
(25)一八第一三三号
(26)一八第一三七号
(27)一八第一四一号
(28)一八第一五一号
(29)一八第一五五号
小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置継続に関する請願
(30)一八第二一号
(31)一八第二五号
(32)一八第三〇号
(33)一八第三四号
(34)一八第三九号
(35)一八第四四号
(36)一八第四七号
(37)一八第五三号
(38)一八第七四号
(39)一八第七五号
(40)一八第七八号
(41)一八第七九号
(42)一八第八〇号
(43)一八第八四号
(44)一八第八八号
(45)一八第九二号
(46)一八第九六号
(47)一八第一〇〇号
(48)一八第一〇四号
(49)一八第一〇八号
(50)一八第一一二号
(51)一八第一一六号
(52)一八第一二一号
(53)一八第一三〇号
(54)一八第一三四号
(55)一八第一三八号
(56)一八第一四二号
(57)一八第一五二号
(58)一八第一五六号
負担水準六五%を超える商業地等の固定資産税・都市計画税の軽減措置継続に関する請願
(59)一八第二二号
(60)一八第二六号
(61)一八第三一号
(62)一八第三三号
(63)一八第四〇号
(64)一八第四五号
(65)一八第四九号
(66)一八第五二号
(67)一八第七一号
(68)一八第七二号
(69)一八第七三号
(70)一八第八一号
(71)一八第八二号
(72)一八第八五号
(73)一八第八九号
(74)一八第九三号
(75)一八第九七号
(76)一八第一〇一号
(77)一八第一〇五号
(78)一八第一〇九号
(79)一八第一一三号
(80)一八第一一七号
(81)一八第一二二号
(82)一八第一三一号
(83)一八第一三五号
(84)一八第一三九号
(85)一八第一四三号
(86)一八第一五三号
(87)一八第一五七号
固定資産税における償却資産の取扱いに係る意見書の提出に関する請願
(88)一八第一三二号
(89)一八第一三六号
(90)一八第一四〇号
(91)一八第一四四号
(92)一八第一五四号
(93)一八第一五八号
特殊支配同族会社の役員給与に係る損金不算入措置の見直しに関する請願
(94)一八第一七二号
都市計画税の軽減措置継続に関する陳情
(95)一八第六七号
(96)一八第七五号
(97)一八第一〇二号
(98)一八第一〇六号
小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置継続に関する陳情
(99)一八第六八号
(100)一八第七六号
(101)一八第一〇三号
(102)一八第一〇七号
負担水準六五%を超える商業地等の固定資産税・都市計画税の軽減措置継続に関する陳情
(103)一八第六九号
(104)一八第七七号
(105)一八第一〇四号
(106)一八第一〇八号
固定資産税における償却資産の取扱いに係る意見書の提出に関する陳情
(107)一八第一〇五号
(108)一八第一〇九号

○山田委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、出納長室、主税局関係の予算の調査、付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑並びに主税局関係の請願陳情の審査を行います。
 これより出納長室関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、出納長室所管分、第五十四号議案、第五十五号議案及び報告事項、平成十八年度資金管理実績(第三・四半期)についてを一括議題といたします。
 本案及び本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関副出納長 先般の委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開きください。要求資料第1号、支出の流れでございます。
 都の事務事業の執行に伴う支出事務の流れをお示ししてございます。
 図の左上をごらんください。各局・所では、事務事業の執行に伴う支払いを行うため、支出の決定を行います。支出命令権者は、この決定に基づき支出命令書を発行いたします。支出命令書は、金額が百万円以上の場合は出納長室において、百万円未満の場合は各局・所の特別出納員において審査を行い、審査が完了した後、出納長室で支払いの執行を行います。
 債権者への支払いについては、小切手払いのほか、指定金融機関を通じた口座振替払い、現金払い等により行われます。
 このほか、事業現場で直接支払う必要がある経費など東京都会計事務規則に列挙されている経費につきましては、資金前渡受者である職員が事前に資金の交付を受けて債権者に支払う、資金前渡という制度がございます。
 右下をごらんください。
 資金前渡受者は、交付された資金を受領の上、物件の購入などの支払いを行い、債権者の発行した領収書をもとに精算を行います。各局・所では精算の決定を行った後、収支命令者が調定額通知書を発行いたします。金額により出納長室、または各局・所の特別出納員へ通知し、それぞれ審査を行います。
 なお、支出命令書、領収書及び調定額通知書は、各局・所が保管することとしております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 ご発言をお願いいたします。

○鈴木委員 それでは、私から、出納長室が所管をしております決算事務について質問をさせていただきます。
 本定例議会の初日に、包括外部監査人から、平成十八年度の包括外部監査の結果について報告が行われました。
 その中で決算にかかわるものとして、産業労働局の業務である中小企業対策のうち、制度融資貸付金等に関する事務処理に誤謬、誤りがあったという指摘がありました。すなわち、平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算附属書類の財産に関する調書の貸付金残高が、千二百七十一億円余り過大に記載されていたことが認められたというものであります。
 例年、こうした誤りについては翌年度の決算で修正してきたものであり、決算そのものに影響があるわけではないと承知はしておりますが、今回の包括外部監査においては、この誤りの金額が大きく、産業労働局の事務手続や組織に問題があると指摘されたものであり、会計事務に不安を覚える面もあります。
 そこで、一点目でありますが、今後、こうした事務処理の誤りに対して、出納長室は、新公会計制度やそのシステムを利用してどのように取り組んでいくのかを、まず最初にお伺いいたします。

○関副出納長 今回の過大な債権の記載につきましては、新たな公会計制度の財務会計システムにおいて、貸付金返済処理を行った場合、自動的に貸付金債権残高が減少し、債権残高が減額されて表示されることから、来年度以降の発生はあり得ないと考えております。
 しかしながら、今回のケースを踏まえ、日常的な会計処理、とりわけ財産処理を行う各局に対しては、管理の適正化を促すことが重要であると認識しておりまして、出納長室といたしましては、各局に対して一層徹底した会計指導を行うとともに、公会計制度改革を着実に推進し、会計制度の信頼性向上に努めたいと考えております。

○鈴木委員 今、答弁がありましたように、こうした事務上のミスを防止する上でも、新たな公会計制度が非常に有効であるということがよくわかりました。
 次に、来年度から移行予定の会計管理者について、順次、質問をさせていただきます。
 先般の財政委員会において質問をさせていただいたところでありますが、私の理解では、今回の改正は、各地方公共団体がみずからの判断で、副知事の増設や知事から副知事への権限委譲など、トップマネジメントを強化できるようにしたということである。
 また、都においては、昨年末、平成十九年度組織改正及び職員定数の概要において、特別職である出納長を廃止するとともに、平成十九年四月一日をもって一般職の会計管理者を設置し、出納長室から会計管理局に組織名称を変更すると発表があったとおりであります。
 一方、全国の多くの自治体も、この法改正を受けて、出納長制度を廃止し、新たな会計管理者の体制へ移行することとなっております。会計管理者制度は法定でありますが、出納長の任期との関係で移行時期は遅くなることもあり得るというふうに聞いております。
 そこで、参考までにお伺いをいたしますが、全国及び都内の自治体の会計管理者への移行予定について伺います。

○関副出納長 平成十九年度四月より、自治法の本則どおり会計管理者に移行しております都道府県は、十都県ございます。現在、職務代理中の十五道府県と合わせまして、四十七都道府県中、合計二十五団体が会計管理者へ四月に移行する予定でございます。
 また、十県においては、引き続き出納長が在職することが決まっております。また、任期は残っておりますが、現時点では未定の団体が十二府県となっております。
 一方、都内の自治体でございますが、平成十九年度四月より会計管理者へ移行を予定している区市町村は七区でございまして、現在、既に職務代理中の十七区市町村と合わせて、合計二十四の区市町村が、四月から会計管理者へ移行する予定でございます。
 また、任期は残っているが、現時点では未定の団体が十九区市町村、また、十九区市町村において、引き続き収入役が在職することが決まっているという状況でございます。

○鈴木委員 今、答弁がありましたように、従来の出納長、収入役が存在するのは少数ではあるようでありますが、都は平成十九年四月一日以降、会計管理局をどのような形にしていくのか、また、どのようになるのかを、四月一日以降の組織整備について具体的にお伺いをしたいと思います。

○関副出納長 東京都におきまして、平成十九年四月一日から出納長を廃止して、一般職の会計管理者を設置することとし、組織名を会計管理局と変更いたします。
 執行体制でございますが、局の下に、総務、公金管理、会計企画、出納各課で構成される管理部と、警視庁・東京消防庁の出納審査を担当する警察・消防出納部の本庁二部体制とすることとしております。これは、二名の副出納長を設置してきた従来の体制と基本的に同一の体制でございます。

○鈴木委員 答弁はあったわけでありますが、チェック機関には厳正性と客観性は当然として、厳正な審査を行う仕組みなどの制度的保障といったようなものが必要であるというふうに考えます。会計事務においては、これまでは法の定める特別職の出納長がその役割を果たしてきたものであるというふうに思います。
 そこで、一般職の会計管理者となっても、従来どおりの厳正な会計事務が行っていけるようになっているのか、改めて確認をしたいと思いますが、いかがでありましょうか。

○関副出納長 会計管理者は一般職でございますが、その独立性によって適正な会計事務の執行を担保できるものとなっております。
 会計管理者の事務局につきましては、一般の部局から独立した位置づけとなっておりまして、これまで同様、厳正な審査を中心に検査、指導を効果的に実施しながら、適正な会計事務の執行に努めていくものでございます。
 また、会計管理者は、職務の性質にかんがみ、知事や副知事等と親族関係にある者の就職は禁止されることや、会計事務職員は特に重い賠償責任を負うことなど、地方自治法の規定があることなどから、適正な会計事務の執行は担保されていくものと考えております。

○鈴木委員 今、答弁を聞いていますと、納得をしようとすればできるような感じがあって、今までやっぱり出納長、それから出納長室が果たしてきた責任の重さというのは、今もちょっと、かなり東京都の中で重要な位置にあったということはいわざるを得ないと思うんですね。確かに会計の管理者となって一般職でやるわけでありますが、本当に前と同じようなものが担保できるのかどうかは、これは後ほど出納長にも聞きますが、それだけのものをきちっと、組織が変わってもやっていくような体制に関しては、やはり十分なる配慮とそれだけのものを、今までやってきたものをきちっと伝えてもらいたいということをちょっといわせていただいて、最後の質問に入ります。
 出納長室は、知事の強力なリーダーシップのもと、出納長を中心として、国に先駆けて公会計制度やペイオフ対策など先進的な施策を展開してこられました。このような中、これまでの出納長制度が廃止され、一般職の会計管理者制度に移行することとなり、出納長室の名称が会計管理局に変更されるわけであります。私は、都における会計事務については、今も申し上げましたが、厳格な審査、指導を実施していく必要もあるし、それを実際にしていかなければならないというふうに考えています。
 そこで、特別職の出納長を廃止して、一般職の会計管理者を置くことに際して、新しい体制の中でどのように、このような重要な職務であり、また、適正な会計事務の執行を行っていくということを確保しなければいけないという点において、出納長の決意を改めて伺いたいと思います。

○幸田出納長 今お話しのように、適正な、また厳正な会計事務は、行政運営におきまして、都民に対する説明責任を全うする上でも、最も基本となるものというふうに認識をしております。
 また、これは、会計上の事故を未然に防止し、都が納税者でございます都民の皆様からの信頼をいただく上で極めて重要なものというふうに強く思っております。
 こうした適正な会計事務を確保するために、引き続き、出納の審査及び検査、指導、こういうものを一層強化してまいりまして、新公会計制度という有効なツール、手法を活用していきたいというふうに思っております。
 今後とも、知事ではございませんけれども、会計制度から行政を変えるという気概を持って、職員一同一丸となって、この時代の要請にこたえながら、東京都が始めました新しい公会計制度というものをさらに推し進めて、これまで以上に適正な会計事務の執行に取り組んでいかなければならないと覚悟を新たにしているところでございます。

○橘委員 今やりとりがありました公会計制度について、私の方からも幾つか質問させていただきます。
 我が党が積極的に推進しました複式簿記・発生主義会計が今年度に導入されまして、期末における財産の残高であるとか、財産の増減などの原因、このようなものがわかるようになります。
 ことしの夏には財務諸表が作成されまして、決算特別委員会に提出されることになっており、現在は職員がシステムへの入力作業を鋭意行っていると聞いておりますが、今後の課題を中心に質問させていただきます。
 まず、都の新たな公会計制度に全国の自治体が注目をしておりますけれども、今後、各地の自治体に浸透するかどうか、これは都のシステムの運用と成果にかかっていると思います。特に、このシステムは情報把握の即時性、それから正確性のアップ、こうしたものが特徴でありまして、この点については、正確な処理が行われるための職員の習熟が最も大事なポイントになるのではないかと思います。
 そこで、システム導入に当たりまして、職員の研修等を徹底的に行ったということはお聞きしておりますけれども、その後の対応として、正しい複式処理を行うために職員に対する出納長室としての取り組み、支援体制について最初に伺っておきます。

○細野会計制度担当部長 新財務会計システムでは、これまでの官庁会計と並行して複式簿記の処理を行うために、関連する情報の入力が必要となります。この入力は、システムのサポートにより比較的簡便に行うことが可能ではありますが、資産関連の支出や売却収入など、ある程度複式簿記の知識が必要となるものもあります。そこで、出納長室では、導入に当たって端末操作研修会や複式簿記説明会を実施してきました。導入後においても、複式簿記の説明会を継続して開催し、職員に対する知識の普及に努めております。
 加えて、実務上のさまざまな疑問に対応するため、事例式の運用マニュアルを掲載いたしました複式簿記の手引、これを庁内ネットワークLANに載せまして、職員がいつでも閲覧できるようにいたしました。実務に即して適宜その更新を行いまして、最新の情報を提供しています。
 さらに、各局からの相談や要望に対応するため、出納長室に局別の担当者を置きまして、きめ細かなサービスを提供するなど、各局が正確な会計処理を行えるよう万全の体制で支援をしております。

○橘委員 以前、皆さんの記憶にも残っていると思いますけれども、東京証券取引所で単純な入力ミスによって大きな事故が発生したことがございました。これは、分野とかシステムは全く違うとはいえ、人間が入力する以上、習熟したプロであっても人為的なミスを一〇〇%防ぐことはできないと思います。
 この公会計方式でも、可能性としては十分あり得ることから、事後のチェックもまた、正確な財務情報を担保するためには非常に重要であります。早期の段階での訂正、そして誤りの把握、これは財務諸表作成の負担を軽減することにもなると思います。
 そこで確認しておきたいのですが、今現在、具体的に実際に運用しているこの段階で、出納長室のチェックで判明した処理内容のミス、こういったものが現在、実際にあるかどうか、お答えいただきたいと思います。

○細野会計制度担当部長 入力ミス等の現状でありますが、新しい財務会計システムの導入後、各局の入力状況を見るため、出納長室において仕訳の履歴情報を確認いたしました。その結果、全般的には入力ミスの件数は少なかったのですが、一般会計であるにもかかわらず、特別会計の勘定科目を選択しているといった事例などが散見されました。

○橘委員 若干あるとのことですけれども、今後も複式処理の内容も含めまして、入力ミス等の人為的ミス、この発生はあり得ると思います。そのために、徹底したチェック体制の確立は、このシステムでは不可欠であると思います。
 各局の行った会計処理の内容に関する確認、つまり検査体制の確立ですけれども、これが非常に重要であると考えます。出納長室としての対応を伺います。

○細野会計制度担当部長 先生ご指摘のとおり、検査を含めたチェック体制が機能してこそ財務情報の正確性が確保されます。
 まず、各局における日常業務の中でのチェックでございますが、システムへの入力処理後、複式仕訳確認書が出力されますので、基本的にはこれにより会計処理が正しく行われているかをチェックすることができます。
 また、出納長室によるチェックでございますが、複式簿記・発生主義会計に即した検査を今年度より新たに実施しております。すなわち、複式簿記のルールに基づく正確な仕訳処理並びに固定資産の正確な記録という観点から、システムの仕訳データと財産取得価格等の異動情報を検査しまして、適切な処理を指導しております。

○橘委員 次に、全国に向けての情報発信について伺います。
 この新しい公会計制度については、石原知事も非常にアピールしておりますし、全国の自治体に向けて東京都として普及活動を展開してきたことは聞いております。
 都のシステムで、職員の負担なく、正確かつ迅速に多様な財務諸表が作成できるのであれば、ほかの自治体にも東京都の新たな公会計制度を広めて、全国の自治体の効率的、効果的な行政運営と透明性の向上に向けて、都から情報発信ができることになります。
 そこで、現在、発生しているいろんなミスも、これも正直に紹介していけば、ミスというのは意外と貴重な参考になるものでありまして、こういったものも参考にしていただけるようにしていった方がいいかと思います。
 そこで、今年度の具体的な情報発信の取り組みと、各地の自治体の反応について伺います。

○細野会計制度担当部長 東京都は公会計制度改革のフロントランナーの立場にあり、日本の地方自治体全体としての効率的、効果的な行政運営の実現を先導する立場にあると認識しております。このことから、導入後は積極的に普及活動を展開してまいりました。
 具体的には、国や全国の自治体に対する大規模な説明会を昨年の七月と十二月に二回実施しましたが、これに、合わせて一千名に近い参加がありました。
 さらに、愛媛県松山市などの個別の自治体や、全国市町村の研修機関であります市町村アカデミーなどからの依頼にも対応してきたところでございます。
 今後も引き続いて、全国自治体の要請に対し積極的に対応してまいります。

○橘委員 今のお話でも、やはり自治体がかなり注目しているというのがよくわかりますし、東京都としてもさらに情報発信をしていただければと思います。
 最後になりますが、新たな公会計制度における検査体制と全国の自治体への情報発信の二点について、今、やりとりでお伺いしましたけれども、最後に、今後のチェック体制の確立、そして全国への情報発信、この二点について出納長の考えを伺いたいと思います。

○幸田出納長 平成十九年度でございますけれども、複式簿記・発生主義会計によります初の決算にかかわります財務諸表というものが、この秋に作成されることと相なるわけでございます。都の新たな会計制度に基づきます決算、財務諸表類に注目が集まってくるなというふうに思っているところでございます。
 多様な財務諸表を正確かつ迅速に作成するという、この東京都の会計システムの特色、あるいはまた効果を実証していくためにも、各局におきます、今お話しの入力処理、基本でございます。この入力処理の自己点検方法の指導をやはりきちんと行っていくとともに、検査手法というものも、新たなシステムということもあわせ兼ねまして、実務に即してさらに充実、工夫をしていかなければいけない。それによって検査の精度も、あわせて高めていく必要があるというふうに思っております。
 この決算財務諸表によりまして、これまで以上に具体的な情報発信ができるというふうに今現在も確信しておりますし、多分そういうふうになるだろうというふうにも思っております。すなわち、従来の決算情報に加えまして、複式簿記・発生主義会計から新たに明らかになるものがストック情報とコスト情報でございます。これは、より実態に即した経営情報というものが、都民の皆様方を初めとして、より明らかになるだろうと考えてございます。
 こうした成果を示しながらも、今、副委員長からお話しがございましたように、これまで約四年余、開発に時間をかけてきたわけでございますが、全国の自治体の皆様方は、できたものをそのままそっくりコピーのようなことをお考えではなくて、どんなところにどんな苦労があったかとか、あるいはどんなものに時間を要したのかとか、やはりこういうところも非常に興味といいましょうか、お尋ねの事柄が多うございます。
 私どもも、例えば財産といいましても、東京都は非常に膨大な財産を持っております。土地にしろ、あるいは建物にしろ、あるいは動産にしろ、大変多うございます。こういうものの適正な把握と適正な評価というものがあって、都のいわゆる財産といいますか、持ち物というのはこれだけあるというような形に初めてなるんだろうと思います。
 これまで全国の自治体の皆様方にお話ししてきた中でも、私も努めて今から、制度の導入前からやっておくことはこういうことだと、こういうことに非常に時間がかかるということを、これまでも申し上げてきておりますし、また、私どもの方で皆様方に配布をさせていただく資料の中にも、そういうところは重点的に記載をしてきたところでございます。
 こういうことで、新たな公会計制度の利点というものを全国の自治体に発信をしていくと同時に、全国の自治体の皆様方に対しても、積極的な支援を行うことによりまして、全国の自治体のそれぞれの財政状況が透明性、健全性というものがより向上していくだろうというふうに考えてございます。
 これからも全国に対する情報発信に力を尽くしてまいりたいと存じます。

○高木委員 私からは、出納長室の今後の検査体制の充実を含めた質問をさせていただきたいと思います。
 東京都は、本年度から従来の官庁会計に加えて複式簿記・発生主義会計を導入いたしました。会計制度の充実を図ることは、都民に対する説明責任を果たしていく上でも重要なことでございます。
 しかしながら、会計制度がその効果を十分に発揮するためには、個々の会計事務が誤りなく正確に処理されなければならないわけであります。そのためには、個々の会計事務について十分な検査を行うとともに、会計事務の具体的な処理方法について丁寧な指導をすることが重要であると思います。
 また、民間企業が、財務報告の信頼性を確保するために、内部統制を強化しつつあるということも考えると、行政においても、特に検査機能の強化といったものが求められるのではないかと思います。
 この点については、先日の予算特別委員会において、我が党の鈴木一光議員がその基本的な考え方について質問いたしましたし、また、先ほども隣の鈴木隆道議員も、同じような考え方で質問をされたわけであります。
 私も、この問題は大変重要だと思っておりまして、この財政委員会ではさらにその辺を詳しくご質問をして、認識を深めてまいりたい、こう思っております。
 そこで、お伺いをいたしますが、まず、出納長室においては、会計事務に対する検査を強化するということは、先ほど来お話しになっておりますけれども、どのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

○細野会計制度担当部長 先生ご指摘のとおり、会計事務に関する検査の強化というのは大変重要と認識しております。
 これまでも、出納長室や各局の経理部門による検査を実施してきてはおりますが、膨大な数の事業所を有する都庁においては、必ずしも万全を期しがたいという状況にあります。
 そこで、来年度からは、事業所が相互に検査を実施する新たな仕組みを導入いたします。具体的には、ある局において、A、B、Cの、例えば三カ所の事業所があった場合、まず、A事業所の経理担当者がB事業所の会計事務を、次いでBの担当者がCの事務を、最後にCの担当者がAの事務を検査し、その上で局の経理部門及び出納長室がこれらの事業所を検査するというものでございます。
 この新たな制度では、事業所の経理担当者が、主体的に他の事業所の会計事務を厳正に検査するということになりますので、職員の資質を向上させることができます。また、一つの事業所を複数の異なる目で検査することから、これまで以上に適正な会計事務の執行を確保できる、このように考えております。

○高木委員 ただいま、事業所の経理担当者が他の事業所の会計事務を検査するといったお話がございまして、大変ユニークな取り組みだと思いますが、少し心配な点もあるように思います。
 一つは、事業所の職員の多くは、検査を受けたことがあっても、みずから検査を実施した経験というのはほとんどないんじゃないかと思います。そのような職員が、果たして検査を行うことができるのかということがまず一点。
 そして、二つ目には、ともすれば、検査がなれ合いで行われて、形骸化してしまうのではないかというおそれがなきにしもあらずかなというふうに思います。せっかく新たな検査体制をつくっても、検査がそういったなれ合いで行われたのでは意味がないわけであります。
 この二点の危惧についてどのようにお考えになりますか。

○細野会計制度担当部長 ご指摘のとおり、事業所職員の多くは、みずから検査を行った経験には乏しいと考えられます。そこで、出納長室では、この新たな検査を実施するに当たりまして、過去の検査事例をもとに、数多く発生する重大な誤りを整理しまして、それらを効率的に発見するための検査マニュアルを整備することとしております。このマニュアルをあらかじめ事業所の経理担当者に配布することにより、検査業務になれていない職員であっても、一定レベルの検査を実施できるようにいたします。
 また、検査は厳正に実施するべきであり、仮にもなれ合いによる検査があってはならないということはいうまでもありません。そこで、検査を実施するに当たりましては、立会人を置くこととしています。例えば、A事業所がB事業所を検査する場合は、第三者であるC事業所の職員を立ち会わせることとし、その職員にB事業所が準備した書類に漏れがないか、また、A事業所の職員は十分に書類をチェックしているかといった点について確認させることにより、厳正な検査の実施が確保できる、このように考えております。

○高木委員 新たな自己検査体制がその効果を十分に発揮するために、さまざまな工夫を凝らしていることはよくわかりました。
 先ほどの答弁の中で、新しい検査体制では、職員が主体的に検査を行うことにより、その資質を向上させることができるというお話がございました。これは非常に重要な点だというふうに思います。
 検査を強化するだけではなく、その職員の資質そのものを向上させることができれば、当然、会計事務の誤りも減少してくるわけだと思います。
 職員の資質が向上するとは具体的にどういうことなのか、お伺いをいたします。

○細野会計制度担当部長 職員の資質の向上でありますが、これまでは検査を受けるだけであった事業所の経理担当者が、他の職員が作成した会計書類をみずからの手で検査するということにより、意識改革、すなわち検査をする立場といった異なる視点を経験することで、会計事務の重要性を再認識するということですが、この意識改革を促すとともに、検査をする側とされる側が相互に刺激され、両者の会計事務のレベルを向上させることができると考えております。
 この点についてでありますが、出納長室においては、昨年十月から十一月にかけまして、複数の局と連携し、二十六の事業所において相互検査の試行を実施しました。このとき、実際に検査に従事した事務職員五十名に対してアンケートを実施したところ、検査を行うことにより、みずからの会計事務を客観的に顧みることができ、自分の会計事務のレベルアップに役立つとの回答が約八割に達しました。
 このように、新たな自己検査制度の導入は、職員の資質の向上に大きく寄与するものと考えております。

○高木委員 こういう検査体制の充実というのが、それぞれの職員の自己啓発にもなり、また、研修制度というか、そういう意味合いを持ちながらやられていく、これは非常にいいことだと思いますね。全体で誤りなきように、みんなで会計事務に対して、そうやって関心を持っていくということが、実は都庁全体で、私は大事なんだろうというふうに思います。
 今の答弁がありましたように、新たな自己検査体制が効果的であるという認識をしていることもよくわかりましたし、八割以上の方が有効であるというような回答があったようでございますから、本年四月から、この制度の展開をぜひ見守りたいと思っておりますので、しっかりと運用していただきたいと思っております。
 ところで、さきの予算特別委員会では、出納長室で検査体制を強化するために、ふだんは検査以外の職務に当たっている職員を訓練し、検査員として養成しているという答弁がございました。
 この点も、限られた職員を有効に活用するという意味で重要だと思いますので、この検査員の養成について、その考え方、内容、今後の取り組みについて詳しくお伺いをしたいと思います。

○細野会計制度担当部長 ご指摘の取り組みでございますが、公金の支出や運用、公会計制度改革など、通常は検査以外の業務に従事しています職員の中で、特に主任、主事といった若手職員について、一定の検査技術を身につけさせることにより、限られた職員数のもとで検査体制を充実しようというものでございます。また、こうした若手職員が、会計事務という、職員にとって基本的な知識を改めて習得することにより、出納長室の組織力を高めるということも目的としております。
 これは、一人一人の職員が幾種類もの業務をこなすことができるよう育成し、その時々の業務量に応じて柔軟に職員を活用することにより、少数精鋭の組織を構築するといった考えに基づいておりまして、民間企業の生産方式を参考としたものでございます。
 現在は十五名の職員が検査業務に従事しておりますが、この取り組みにより、本年三月初旬には、検査の知識と技術を有する職員が新たに四十五名加わることになります。そこで、早速、この三月からこれらの職員を実際の検査に参加させ、検査の質を今まで以上に向上させていきます。

○高木委員 検査の強化に出納長室が大変努力をしているということはよくわかりました。会計事務において、検査と指導というんですかね、そういうものは密接に関連していると思います。いわば検査は健康診断、指導はその結果に基づく治療、そういう関係なのかなと思っておりまして、両者のいずれが欠けても、会計事務の適正性を向上させることは難しいのではないかと思います。検査と指導を車の両輪として一層適正な会計事務に努めて、都民の信頼にこたえていく必要があろうと思います。
 そこで、出納長室では、検査をし、そして指導と連携をさせることについてどのような取り組みを行っているのか、お伺いをしたいと思います。

○細野会計制度担当部長 検査と指導の連携については、検査で発見した誤りを是正しただけで終わらせるのではなく、その検査結果を貴重なデータとして会計指導に活用していくことが重要と考えております。
 出納長室においては、会計指導の一環として経理部門の職員を対象に各種の集合研修を実施していますが、研修の対象となる部署の特性や検査の結果を踏まえ、個別に研修内容を設計するオーダーメード研修を本年度から実施しています。
 例えば、施設使用料を数多く徴収する事業所において、ここにおいては歳入事務に重点を置いたカリキュラム、また、検査結果から判断して基礎的な知識が不十分と考えられる事業所に対しては、基本的な会計事務を中心にしたカリキュラムを組み立てております。
 また、こういった集合研修とは別に、事業所を個別に訪問し、一対一で、いわば家庭教師のような指導も実施しておりますが、この場合につきましても、その対象とする事業所の選定や、指導する内容の設計に当たりましては、検査結果を十分に活用しております。
 このように検査と指導の連携を進めているところでございまして、今後とも、この取り組みをさらに充実させていきたいと考えております。

○高木委員 ただいまの質疑を通じて、出納長室が会計事務の適正性を向上させるべくさまざまな取り組みを行っていることがよくわかりました。ぜひ、これからもこの取り組みを発展させていってもらいたいと思います。人間がやることですから、当然ミスや見落としや、そういうものというのはつきものだと思うんですね。ですから、こういうものは、どこまでやっても完璧ということは当然あり得ませんから、そういう意味で検査体制を充実して、できるだけミスを少なくしていく、そういう努力をしていくことが大事なんだろうなと思います。
 冒頭申し上げましたけれども、本年度から複式簿記・発生主義会計が導入されて、新たな公会計制度の幕あけを迎え、今後、具体的な成果が期待をされております。その意味でも、都の会計事務における検査や指導の重要性は一層高まっていくと考えられます。
 さらに、地方自治法の改正で、出納長室という仕組み自体も変わっていくわけでございまして、そういう意味で検査機能の仕組みが変わったとしても、そのことをまた一つの契機として一層、検査機能のさらなる強化に向けた出納長の考え方を、決意も含めて改めてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

○幸田出納長 個々の会計事務を適正に実施するということは、正確な財務情報を都民の皆様に提供して、説明責任というものを全うするための、まさに基本だというふうに思っております。また、東京都が納税者である都民の皆様からの信頼をいただく上でも、極めて重要なことと考えております。
 先ほど、委員からもお話がございましたように、民間企業におきましても、コンプライアンスの重要性というものが今日非常に高く求められていることは、私どもも重々承知しております。
 そういう観点からも、会計事務の適正性を担保する、そういう意味で一つの大きなツールでございます出納長室の検査、それからまた、監査委員によります監査、それからさらに、今まさにお話しの時代とともにいろいろ制度が変わってまいりますが、包括外部監査というものも、まだまだこれから充実強化していく方向だろうというふうに思っております。
 こういう監査もあわせまして、行政運営の適正性を担保する上ではかなめのものと、そういう意味では、この強化というのは時代の要請だろうというふうに思っております。
 既に先生方もご案内かと存じますが、本日の朝刊の記事でございましたけれども、大手証券会社のいわゆる財務諸表の記載に不正があった、このことから国民の信頼を失ったということで、市場からの退場の報道があったわけでございます。まさに企業のコンプライアンスが十分果たせてないとすれば、幾ら大企業といえども、いやが応なく退場せざるを得なくなるという、こういう時代だというふうに思っております。
 先ほど、部長からるるご説明申し上げましたけれども、従来、ともすると、どこの組織も縦で仕事が行われる。出納長室は大変小柄な局ではありますけれども、それでもやはり各課がこぞって縦割りの仕事をしていけば、ただいま申し上げましたような形での横ぐしを刺すような仕事の進め方というのはなかなかできない。
 幸いにしてといいましょうか、非常に意欲のある職員が多うございまして、そういう意味では新たなチャレンジに室を挙げて向かおうと、こういう意欲も持ち合わせておりますし、会計制度の新たな導入によって、若干派手な職場とはいえない地味な職場の一つでございますので、しかし、そうはいっても職員、非常に意気軒高でございます。
 こういう折に、新たな会計制度の導入ということになれば、これまでのやり方の検査手法とはまた違った検査手法を導入しないことには、あるべき方向にはなかなか進まぬだろうというふうに思っております。
 私は、会計事務、あるいはまた文書事務というのは、私ども行政にとってはまさにイロハのジャンルだろうと。ですから、そういう意味では会計事務、文書事務も含めまして、やっぱりこれは全職員の皆さんがベースとしてどうしても持っておいていただきたい。
 これまで培ってきた、例えば検査を通じてよく間違えるところ、あるいは間違いやすいものというのは、経験則的にわかっております。こういうものを、先ほど申し上げました新たな検査方法の中にも全部投入をして、そして皆さん方が共通の財産として、いわゆる間違いやすい共通の財産でございますけれども、そういうものをもって、あっということで、それぞれ納得していただけるような形にぜひ持っていきたいというふうに思っております。
 これは、ある意味では、仕事を通じての職員の育成ということで、OJTの一つだろうというふうに思って、これからも都民の皆様の信頼にこたえるべく、来年度、会計管理局という、今、条例を提案中でございますけれども、形になります。ここになっても、この検査業務の重要性というものは、いささかも変わるものではございませんので、限られた人員を最大限に活用いたしまして、組織の総力を挙げて検査機能の強化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○山田委員長 ほかに。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○山田委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑並びに請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成十九年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為、主税局所管分、第三号議案、第五十号議案から第五十三号議案まで及び報告事項、平成十九年度地方税制の改正について並びに請願陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(108)までの請願一八第二〇号外二十八件の同内容の請願、請願一八第二一号外二十八件の同内容の請願、請願一八第二二号外二十八件の同内容の請願、請願一八第一三二号外五件の同内容の請願、請願一八第一七二号及び陳情一八第六七号外三件の同内容の陳情、陳情一八第六八号外三件の同内容の陳情、陳情一八第六九号外三件の同内容の陳情、陳情一八第一〇五号、陳情一八第一〇九号を一括して議題といたします。
 予算案、付託議案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料並びに請願陳情について理事者の説明を求めます。

○松田税制部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、財政委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。要求資料第1号、都における固定資産税等の軽減措置の影響額でございます。
 この表は、商業地等に対する固定資産税、都市計画税の負担水準の上限引き下げなど、都が独自に実施しております四つの軽減措置を来年度も継続した場合の影響額につきましてお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、自治体独自の個人住民税の減免例でございます。
 この表は、個人住民税において所得金額等が一定額以下の者に対して減免を行うなど、自治体が独自に減免を行っている例といたしまして、川崎市などの措置の概要をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。
 引き続きまして、請願陳情について、お手元の資料第2号、財政委員会付託請願陳情審査説明表によりご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、説明表の一ページから順次ごらんいただきたいと存じます。
 一ページの請願一八第二〇号外二十八件、都市計画税の軽減措置継続に関する請願、五ページの請願一八第二一号外二十八件、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置継続に関する請願、九ページの請願一八第二二号外二十八件、負担水準六五%を超える商業地等の固定資産税・都市計画税の軽減措置継続に関する請願、一五ページの陳情一八第六七号外三件、都市計画税の軽減措置継続に関する陳情、一七ページの陳情一八第六八号外三件、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置継続に関する陳情、一九ページの陳情一八第六九号外三件、負担水準六五%を超える商業地等の固定資産税・都市計画税の軽減措置継続に関する陳情につきましては、いずれも固定資産税及び都市計画税の軽減措置に関する内容でありますので、一括してご説明させていただきます。
 これらの請願及び陳情の趣旨は、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を、現行のまま平成十九年度以降も継続すること、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置を、平成十八年度同様、平成十九年度以降も継続すること、負担水準が六五%を超える商業地等における固定資産税及び都市計画税の税額について、負担水準の上限を六五%に引き下げるとした場合に相当する税額まで軽減する措置を、平成十九年度以降も継続することを求めるものでございます。
 まず、一ページでございますが、小規模住宅用地に係る都市計画税につきましては、住民の定住確保、地価高騰に伴う負担緩和の見地から、昭和六十三年度より都独自の措置として、その税額の二分の一を軽減する措置を講じてきたものでございます。
 次に、五ページでございますが、小規模非住宅用地の減免は、平成十四年度におきまして、過重となっている二十三区の非住宅用地の税負担を緩和するとともに、当時の厳しい経済状況下における中小企業への支援を行う観点から、単年度の措置として導入し、実施してきたものでございます。
 次に、九ページでございますが、商業地等の負担水準の上限引き下げにつきましては、バブルに伴い生じた制度のゆがみによる負担の不均衡を是正し、全国に比べ過大となっている二十三区商業地等の負担の緩和を図るため、平成十七年度から実施してきたものでございます。
 これらの措置につきましては、平成十九年度は景気回復が続いているとはいえ、多くの都民や中小企業等にとってその実感がなく、先行きが不透明であること等を考慮いたしまして、いずれも継続することとし、所要の条例改正をお願いしているところでございます。
 次に、恐れ入りますが一三ページと二一ページをごらんいただきたいと存じます。
 一三ページの請願一八第一三二号外五件、固定資産税における償却資産の取扱いに係る意見書の提出に関する請願、二一ページの陳情一八第一〇五号外一件、固定資産税における償却資産の取扱いに係る意見書の提出に関する陳情につきましては、いずれも固定資産税における償却資産に関する内容でございますので、一括してご説明させていただきたいと存じます。
 この請願及び陳情の趣旨は、固定資産税の償却資産の取り扱いについて、免税点を基礎控除に改め、控除額を大幅に引き上げること及び申告期限を三月三十一日とすることを内容とする国への意見書の提出を求めるものでございます。
 まず、償却資産の免税点を基礎控除に改め、控除額を大幅に引き上げることについてでございますが、免税点制度は、課税標準額が免税点未満の場合には課税をしない制度であるのに対しまして、基礎控除額制度は、課税標準額から一律に一定額を控除する制度でございます。固定資産税におきましては、土地、家屋及び償却資産の三資産において、いずれも免税点制度とされております。
 また、償却資産の免税点は、中小零細企業の税負担に配慮して百五十万円と、他の資産に比べて高い水準に設定をされておりまして、免税点未満の者の割合は、納税義務者の数の八〇%を超えているところでございます。
 次に、償却資産の申告期限を三月三十一日とすることについてでございますが、固定資産税は、土地、家屋及び償却資産の三資産について、毎年一月一日における価格に基づき課税をすることとされており、当該価格については、課税庁が三月末日までに決定をすることとされております。
 償却資産の申告期限は、このような賦課課税としての固定資産税の基本的仕組みを考慮し、定められているものでございます。
 次に、恐れ入りますが二三ページをお開きいただきたいと存じます。請願一八第一七二号、特殊支配同族会社の役員給与に係る損金不算入措置の見直しに関する請願についてご説明申し上げます。
 この請願の趣旨は、平成十八年度税制改正で設けられました特殊支配同族会社の役員給与に係る損金不算入措置につきまして、その見直しを求める意見書を国に提出することを求めるものでございます。
 平成十八年度税制改正において創設された法人税における特殊支配同族会社の役員給与に係る損金不算入措置は、オーナー等が株式の九〇%以上を保有するなど、一定の要件に該当する特殊支配同族会社においては、オーナーへの役員給与について、給与所得控除相当部分の法人段階での損金算入を制限するものでございます。
 この措置は、実質的な一人会社のオーナーに係る役員給与につきましては、給与を支払う法人の課税段階で損金算入ができるほか、個人の課税段階でも給与所得控除が適用されるため、給与所得控除の適用がない個人事業主との公平性が問題となっていたこと等を踏まえ、課税の適正化を図る観点から創設されたものでございます。
 なお、基準となる所得金額が八百万円以下である等、一定の場合には適用が除外されておりますが、平成十九年度税制改正におきまして、中小企業の活性化等の観点から、基準となる所得金額が千六百万円に引き上げられ、平成十九年四月一日以後に開始する事業年度から適用することとされております。
 請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件並びに請願陳情に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○高木委員 私は、一八第一七二号の請願、当委員会に付託されております特殊支配同族会社の役員給与に係る損金不算入措置の見直しに関する請願に関連して、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず初めに、法人税において、特殊支配同族会社の役員給与に係る損金不算入措置が平成十八年度の税制改正で設けられた趣旨について、これはわかりにくい制度なんで、わかりやすく説明をしていただけますでしょうか。

○松田税制部長 実質的な一人会社でございますオーナー企業におきましても、従来はオーナーの役員給与を法人段階で経費として計上するとともに、オーナー個人の段階でも、その受け取った役員給与につきまして、給与所得控除を受けることが可能でございました。
 これに対しまして、個人事業者の場合には給与所得控除が受けられないことから、課税上の公平性が問題点として指摘をされておりました。
 昨年の五月に施行されました会社法によりまして、最低資本金制度の撤廃などが行われ、法人の設立が極めて容易となったわけでございますが、その状況下で、個人事業者が租税回避を目的として法人成りをした場合に、個人事業者のままでいる者との間に課税上の不公平が増大するおそれがございました。
 これらのことを踏まえまして、オーナーが九割以上の株式を所有しているような、一定の同族会社におけるオーナーの役員給与につきまして、法人段階で給与所得控除相当部分の損金算入を制限する措置が創設されたものであるというふうに聞いております。

○高木委員 これはなかなかわかりにくい制度なんですけれども、中小企業とか、いわゆるこれに該当しそうなオーナーさんだとか、あるいは税理士会、関係各方面から多数の批判が起こっていると聞いておりますが、その代表的なご意見を、ちょっと披瀝をしていただけますでしょうか。

○松田税制部長 委員ご指摘のようにいろいろな批判があったわけでございますが、この措置に対する代表的な批判といたしましては、一つとして、法人形態であるものについて、個人所得課税との調整を図ることは法人税、所得税の租税体系をゆがめること、二つ目に、特定の同族会社のみに適用をされ、他の会社との間に不公平が生ずること、三つ目に、対象法人数は五万社から六万社であると推計をされておりましたが、実際にはそれを大きく上回るとの試算もあること、四つ目に、政府税制調査会等において十分議論が尽くされないまま突如として創設されたこと、こういったものがございます。

○高木委員 なかなか国民的な理解が進まなかった、それから周知の問題もあったのかもしれませんし、議論の過程がこういう細かい話ですので、なかなかつまびらかにならなかった。まあ、いろいろなことがあって、かなり批判的なご意見を、私ども自民党としてもちょうだいしております。
 意見は意見として、後ほど申し上げますが、今お話があったような、例えば対象法人数が当初五、六万社というふうに推計をされていたようでありますが、東京税理士会の調査によると、約四十八万社から六十二万社という数字が出ております。
 これは最初の数字だと思いますので、またこれは変わってくるのかなというふうにも思いますが、まずそういう、政府の方でつくったときの見込みと現実は違うんだよというのが、かなりこの数字に乖離があって、問題が大きくなっておると思います。
 それともう一つは、税体系の問題としては、オーナー企業であるから、オーナーとオーナーの給料は全部一体なんだというのは、余りにも税理論としては無理があるのだろうと思うのですよ。
 つまり、給与所得控除を受けられない人が個人事業者の間でいるから、損金には不算入だというのは逆の考え方で、給与所得控除の部分を本来的に見直せばいい話であって--もし見直すんならですよ、しかし、それを損金不算入にしてしまって、個人に対する報酬を法人税の方で賄ってほしいというのは、これはどう考えても、私は税理論の矛盾だというふうに思えてならないのですよね。
 それはともかくとして、この措置は平成十九年度の税制改正で、なぜか創設後一年足らずで見直されることになったのですが、その内容と趣旨をお伺いしたいと思います。

○松田税制部長 この措置は、オーナー給与支給前の法人の所得金額が八百万円以下であるなど、一定の場合には適用が除外をされてきたわけでございますが、それでも中小企業への影響の大きさがあると懸念をする声があることなどを受けまして、平成十九年度の税制改正では、中小企業の活性化等の観点から、基準となるオーナー給与支給前の所得金額を一千六百万円に引き上げることとされたところでございます。

○高木委員 八百万円であった基準が一千六百万円に引き上げられるようになったと。まあ中小企業の活性化等の観点からというお話だと思うのですけれども、この辺がちょっとよくわからない。正直いって、国の制度ですから余りいってもしようがないのですけれども、よくわからないところなんですね。
 なぜ最初八百万円でスタートして、一年で千六百万円になるか。これは一説によると、財務省の職員の平均給与が八百万円だった、それを超えるものはけしからぬという話があったとかなかったとかという話を聞きました。本当かどうかはわからない。(「あった」と呼ぶ者あり)あったという声が非常に多数でございますが、そういう話が聞こえたことは事実であります。
 先ほどもいいましたけれども、私は、所得税と法人税というのは、そもそも税の仕組みが違うと思いますし、問題の根幹は、給与所得控除の制度で不公平があってはいけないというところから発想されたのですから、問題があれば、オーナーの役員の個人段階の課税において給与所得控除の問題を見直すであるとか、そういう方策を本来とるべきだったのだろうなと思います。
 これがなぜ法人段階で損金不算入になった、そこで対応させるようになったのか、ここがちょっとよくわからないので、もう一度ご説明していただけないでしょうか。

○松田税制部長 法人段階で対応することとされた理由でございますが、一つには、所有と経営が事実上一体化しているオーナー企業において、オーナーへの役員給与の支給を通じた課税所得の操作が行われることを防止する観点から、法人段階で経費の適正化を図る必要があること、また、従来から、不相当に高額な役員給与などは、法人段階で損金不算入として課税上の弊害を防止してきたこと、さらに、個人段階での給与所得控除の適用を制限した場合、オーナーへの役員給与であるか否かの判断、判定が非常に困難であること、これらがその理由であるというふうに聞いております。

○高木委員 そういうふうに聞いておりますというご答弁で、それは東京都ですからしようがないとは思いますが、まさか東京都もそういうふうに思ってないだろうなというのが、私の懸念であります。
 今おっしゃられたように、オーナーへの役員給与の支給を通じた課税所得の操作が行われることを防止する観点から--つまりこれは性悪説なんですよ。最近少なくなりましたけれども、税務署のパンフレットなんかで、漫画なんかがよく出ているのですよ。そうすると、必ずオーナー企業の同族会社の社長は、まあこういういい方をしていいのかわからないけれども、チビで、デブで、はげてて、ちょびひげですよ。大体こういう感覚を持っているんだよ、みんな。悪いことをしそうなやつの絵なんですよ、最初から。こういうのが、私は日本の税体系をゆがめていると思いますよ。
 東京商工会議所が意見書を出したのですけれども、その中ではこういうふうに書いてありますよね。我が国の中小企業の圧倒的多数が同族会社であるという現実と考え合わせると、法人経費の適正化を強調する余り過度な規制を施すことは、角を矯めて牛を殺す結果となりかねない、同族会社が雇用や地域に対して多大な貢献をしている事実に対してもっと目が向けられるべきである、こういう見解ですよ。
 私は、先日の予算特別委員会の中で、産業基本戦略の質疑を通じて意見を申し上げました。主税局の皆さんもお聞きになったと思いますが、中小企業振興という観点からいえば、税制に踏み込まない中小企業振興政策というのは、やはりちょっと緩いなという気がしてならない。
 だから、こういう制度がいろいろな経緯の中でつくられて、今回、こう出てきているのだと思いますが、東京都が傍観者であってはならないという気持ちが非常に強いのですね。
 それで、今後どう対応するかという問題は別にして、中小企業振興の観点からも、商工会議所がこの意見書の中で述べているように、都内の中小企業の圧倒的多数は同族会社なんだということを考えれば、やはりそういう企業も発展ができる、そういう企業からどんどんどんどん、これはおかしいよという意見が上がってくるような税体系ではいけないのだというふうに私は思います。
 この措置が、創設後一年足らずで見直されなければならないこと自体、いかに不合理なものであったかということをあらわしているのじゃないかなというふうに思っています。
 平成十九年の税制改正で一定の改善を図ることとされましたけれども、都議会としても、今後の適用状況を注視して、時期を見て、国に対して何らかの形で意見を伝えていく必要もあるのではないかなというふうに思っております。
 国の制度でございますから、東京都でこれを何とかしろといってもなかなか難しい、それはもうよくわかりますが、少なくとも東京都の中小企業の大半はそういう会社であるということを、ぜひ頭の中に入れておいていただきたいと思っております。
 質疑は以上で終わります。

○尾崎委員 私からは、ことしから実施される税源移譲に伴う税率の変更とその他について、何点かご質問いたします。
 税源移譲については、これまでもこの都議会や当委員会において何度か質疑が行われており、私も昨年の委員会においても質問をさせていただいてまいりました。
 特に個人住民税の改正についての広報の重要性などが指摘をされてきたわけでありますけれども、それだけ税に対しての都民の意識や関心は高まっております。
 特に、時節柄でありますけれども、確定申告の時期でもあり、私も、地元で今回の税制改正についていろいろと聞かれる機会が多いわけであります。しかし、納税者にとって、先ほどもお話しありましたけれども、税の話は非常に複雑で、わかりにくい点が多々あるわけであります。
 例えば、ことしの一月から所得税の税率が変更されて、ほとんどの給与所得者にとっては源泉徴収をされる所得税が減ったわけでありますけれども、制度の違いから、住民税がふえるのが六月からとなるわけであります。つまり、一たん所得税が減って、またしばらくしてから急に住民税の増税が来ることになるわけであります。また同時期に、特例措置とされた定率減税が廃止をされるため、税源移譲と定率減税の二つの影響が同時にあらわれるわけであります。
 税源移譲による税負担は変わらないという説明をする一方で、定率減税の廃止により、結局は税負担がふえるというような結論になり、とてもわかりづらいものがあるわけであります。
 特に、私、昨年この委員会において質問させていただきましたけれども、都民の税負担がふえるのではないかということをいったときに、実質的な負担はないということでありましたけれども、予定されていた定率減税の廃止によって、都民の負担増の感はぬぐえないのではないかなというのが実感をするところであります。
 さらに、そもそも何のために税制改正が行われるのかということについても、十分浸透をしていないというのが実態ではないかと思います。
 そこで、改めて伺いますけれども、なぜ税源移譲を行うのかということについて、まず最初にお伺いをさせていただきたいと思います。

○松田税制部長 真の地方分権社会の実現には、国からの権限の移譲とあわせまして、その裏づけとなる地方税財源の拡充が不可欠でございます。
 これまで、補助金等を通じた国の関与が多く、地方自治体は必ずしも地域の実情に合致した行政サービスを提供できなかったわけでございます。
 これに対しまして、国と地方の役割分担を明確にするとともに、補助金を減らし、地方税等の自主財源を充実することにより、地方自治体が自主性、自律性と自己責任を持って地域経営に当たることができるようにすることが、いわゆる三位一体改革の趣旨でございます。
 このように、地域住民の意思がより的確に反映された行政サービスを提供するための自主財源を確保することが税源移譲の意義であるというふうに認識をしております。

○尾崎委員 この税源移譲ですね、これまで三段階の税率となっておりました住民税の税率が一〇%に一律にフラット化をされるわけでありますけれども、なぜフラット化をされるという手法なのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

○松田税制部長 税源移譲は、それまでの国庫補助負担金の改革の結果を踏まえまして、三兆円規模とすることとされ、これを所得税から個人住民税への移譲により行うこととされました。そのための税制改正に当たりましては、個人住民税と所得税の役割分担を明確にすることとされました。
 具体的には、個人住民税所得割については、住民がいわば地域社会の会費として地方自治体の経費を分担すべきであるという考え方に基づきまして、比例税率化をすることを基本といたしました。
 一方、所得税につきましては、より累進的な税率構造とすることで、住民税と所得税を合計した税負担は変わらずに、所得再分配機能についても、従前どおり適切に発揮されるようにされたところでございます。

○尾崎委員 先ほども私、申し上げたのですけれども、税源移譲と同時期に定率減税が廃止をされる、このことが今回の改正を非常に複雑かつわかりにくいものにしているのではないかと思っております。
 そこで、なぜこの定率減税を廃止するのか、また定率減税の廃止の影響を含めると税負担はどうなるのか、お伺いをいたします。

○松田税制部長 定率減税は、平成十一年度税制改正におきまして、当時の著しく停滞した経済社会に対応して、緊急避難的な特例措置として導入されたものでございますが、経済状況の改善等を踏まえまして、十八年度に半減し、十九年度から廃止をすることとなりました。
 個人住民税と所得税を合わせた税負担は、税源移譲の前後で変わらないように制度設計をされております。しかし、ここでいう税源移譲前の税負担は、特例措置である定率減税を適用する前の額でございまして、実際の税負担で申しますと、定率減税によりこれまで減税されていた分がもとに戻るため、結果として、その分は税負担がふえることとなります。

○尾崎委員 今回の改正は、すべての納税者に影響が及ぶものであります。これがどうなるかだけではなく、なぜそうなるのか、また、先ほどからいっておりますけれども、なぜ税源移譲が必要なのかということを含めて、これまで質問をしたわけでありますけれども、幅広く都民にオーソライズをしていく手段としては、やはり広報しかないわけであります。
 我が国では、法律が整備をされてから、権利の上に眠る者は保護されないという考え方が一面では浸透をしているわけでありますけれども、権利を主張するには、情報をみずから集積をしていく努力が求められるわけであります。
 納税という行為は、これはいうまでもなく義務でありますから、この義務を課す際には、そこにしっかりとした説明をしていかなくてはならないと思います。
 今回の税制改正に関するパンフレット、これは東京都が発行しているものだけではなく、国が発行しているもの、また民間が発行しているもの、いろいろ見させていただきましたけれども、私の勉強不足なのかもしれませんけれども、なかなかわかりづらいものばかりだったというのが、実感をするところであります。
 その中でも、最近、民間のフリーペーパーで「R25」というものがあるのですけれども、この中に「三位一体改革の『税源移譲』でぼくらの生活はどう変わる」という、こういった特集が組まれておりました。
 これは私が見ても結構わかりやすく、総務省の担当者の話なども掲載をされているのですけれども、ぜひ東京都においても、こうしたわかりやすい広報をすべきと考えるのですが、見解をお伺いいたします。

○松田税制部長 今回の税源移譲に伴います住民税の改正について、その趣旨を含めて十分な広報をするということは、まさに副委員長ご指摘のとおりでございます。
 昨年から「広報東京都」、主税局ホームページ、都独自のリーフレットによるPR、都税事務所における納税協力団体等への説明会など、あらゆる媒体や手法を使いまして、都民にわかりやすい広報に努めてまいりました。
 住民税が変わる直前のこの五月には、大手新聞各紙への広告掲載や、都内区市町村や近隣自治体と連携した納税キャンペーンなどを通じまして、税源移譲の意義や内容について幅広く都民に呼びかけを行うとともに、四月から、二十四時間テレホンサービスでも税源移譲についての説明を行う予定でございます。
 税源移譲が地方分権を推進するという意義や、受益と負担の関係が明確になり、地域住民主体の地域経営ができるようになるという点も含めまして、都民の理解と信頼を十分得られるよう、都の責務として、しっかりとわかりやすい広報を行ってまいります。

○尾崎委員 今、税制部長のお話にもありましたけれども、真の地方分権の実現という観点からは、さらなる税源移譲を求めていくためにも、やはり東京都が求められる説明責任というものを都民に対してしっかりと果たしていけるかどうか、重要な一里塚であると考えております。
 特に税制改正後の対応というのは、今、テレホンサービスであるとか、そういうお話もございましたけれども、これは東京都だけではなく区市町村、そしてまた東京都の都税事務所などで求められていくものだと思いますけれども、ぜひ今後わかりやすい広報に努めるとともに、しっかりとした説明責任を果たしていくことを強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

○曽根委員 私からは、都税の徴収事務について簡潔にお聞きしておきたいと思います。
 先日、本会議で、主税局に対して都税の徴収率一〇〇%を目指して頑張ってほしいという質問がありました。
 一〇〇%と聞けば大変勇ましく聞こえますし、徴収率を上げていくための努力は、当然主税局として必要なことであります。また現に、主税局は大きな成果も上げてきているというふうに報告も聞いております。それだけに、今後の徴収率アップの取り組みはなかなか厳しさが予想されるのではないかというふうに想像するわけです。
 もはや払えるのに払わない、いわゆる悪質な未納、滞納者がぞろぞろ残されているという状況ではなくなってきているだろう。最後のわずかなパーセンテージの中には、間違いなく、払いたいけれども払うことができない、特に今の、好況といいながらも、中小零細はいまだに不況のどん底という業種がたくさん残されている中で、厳しい現状に置かれている業者の方々が含まれているのではないかと思うわけです。
 こうした納税意欲、納税意思を持ちながら、例えば払ってしまうと破産に追い込まれるような事態だとか、せっかくの立ち直るチャンスを失ってしまう場合なども含めて、納税能力に欠けるといいますか、厳しい状態の、例えば零細事業者などに対して、法律上の救済もしくは対応措置というのはどういう仕組みになっているのか、まずその点をお聞きしておきたいと思います。

○齊藤徴収部長 地方税法の規定によりますと、滞納者の財産を換価することによって、その事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあるときには、財産の換価を猶予することができる、このようにあります。これは例えば、持ち家があるが収入が少ない場合に、その持ち家を公売すると生活の場を失うようなケースでは、公売を猶予するというものでございます。
 このように、法律には、納税者のさまざまな個別事情等により、強制徴収することが適当でない場合を想定しまして、ただいま申し上げましたような換価の猶予や、災害や事業の休止による徴収猶予などの徴収緩和制度が規定されております。

○曽根委員 法律上もそういう仕組みがあると。それで、東京都もそうした法的な仕組みを活用して徴収事務を行っていると思いますし、皆さん主税局の職員の方は、幹部職員の方も多くは都税事務所などの現場を踏んでこられた方が大変多いと聞いております。齊藤徴収部長さんも含めて、皆さんの、そうした現場で働いていたときに経験されたこともあると思うのですね。
 都として具体的に、何といいますか、払う意思があるのだけれども、今どうしても猶予が必要と、もしくは分割納入などの手だてをとって競売などではなく待つと。待つことによって、その後、納税者の再起が可能となり、立ち直って健全な納税者に戻っていくというふうな経験は、きっとあるんじゃないかと思うので、そういうことも含めて、ちょっと具体的な都の対応ということについてお聞かせいただければと思います。

○齊藤徴収部長 まず、一般的な流れでご説明をさせていただきます。
 納期限までに納税がない場合、地方税法に基づきまして督促状を送付いたします。それでも納付がない場合は、法律によれば、十日以内に差し押さえをしなければならないとありますけれども、主税局では、催告書の送付、電話による納税の呼びかけ、自宅や事業所を訪問しての納税交渉など、できる限り自主納税を呼びかけることとしております。それでも納税に応じない、いわゆる我々でいいますと悪質な滞納者には、財産を調査し、差し押さえ、公売による換価などの強制徴収を行っております。
 一方、お尋ねのように、納税したくとも資力がない納税者に対しましては、先ほど申し上げました徴収緩和制度を適用し、分割納付あるいは徴収猶予、換価猶予、こういった、まさに血の通ったきめ細かな対応を行っているところでございます。

○曽根委員 大変心強く思いました。
 実をいうと、私の地元北区の方で、家族営業の、いわゆる同族会社になるのでしょうかね、先ほどの。自営業の方で、ご相談があって、これは相手が社会保険事務所だったのですよ、国なんですね。
 以前雇用していた社員、今は不況でもう解雇せざるを得なくなったわけですけど、社員を雇用していたときの社会保険料が残っている、それを分割払いで月々払い続けて、月二十万くらいずつ払っていたのですが、たまたま自宅兼営業所が転居した関係で、納税というか、支払い通知書が新しいところに来なかった。
 多忙に紛れて納めるのを忘れていたら、翌月、いきなり銀行口座が差し押さえられた。その口座には、新しくようやく決まった仕事の前渡金が入っていて、それとほぼ同額の滞納残金をその口座から出せと社会保険事務所から請求があったと。じゃないと口座はあけませんと。
 これを滞納で払っちゃえば、前渡金を出しちゃうわけですから、仕事はパア、倒産間違いなしと、それがわかっていていうのかというふうにいったら、それはそちらの問題ですから、社会保険事務所としては関知しませんという、まあ、ひどい話だなあと私も思いましたが、これは本当に、まさに立ち直ろうという、息の根を絶つというやり方ですよね。
 こんなことは、まさか東京都はしていないと思いましたし、また、今お話聞いて大変心強かったのですが、私たちは、徴収率を上げていく、一〇〇%を目指すという中に、こうした事情を抱えた都民が間違いなく存在しているわけなので、それがいわば一〇〇%の中に紛れ込まないような徴収事務の評価の仕方が必要だというふうに思っております。
 そうじゃないと、一〇〇%、一〇〇%というとそこまでいっちゃいますので、そういう点で、新たな、血の通った徴税事務を進めていただくと同時に、それに対する正当な評価を私たちもしていきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。

○桜井委員 主税局は、都内の区市町村を初めとしたほかの団体とも連携しまして、地道な努力を重ねて、それからまたいろいろなアイデアも取り入れて、徴収率の向上に努めてきたところであります。こういった点は、最近マスコミにも盛んに取り上げられるようになっておりまして、高く評価をしております。
 ところで、一月十二日の産経新聞に、東京都の主税局の職員が国税局に初の派遣というような記事がありました。主税局では、都内の区市町村のほか、今までもう既にお隣の埼玉県、さいたま市と職員の交流を行ったり、滞納の回収に努力してきておりますけれども、今回の国税への派遣、それについて、ちょっとその概要をご説明ください。

○齊藤徴収部長 主税局では、職員の相互交流や滞納事案の共同処理等を通じて、東京都のノウハウを他の地方公共団体に提供しております。
 お尋ねの国税への派遣につきましては、本年一月から一年間、徴収部職員を二名、東京国税局に派遣するものでございます。
 国税における滞納整理に直接従事をし、知識や経験を共有することで、派遣職員自身の資質の向上を図るとともに、東京に戻った後は、そのノウハウを徴収部門全体に拡大していきたい、このように考えております。

○桜井委員 これを質問しました理由の一端は、新聞によると、こういうことをするのは消費税の滞納増に先手というようなことも書いてありまして、いわゆる消費税五%のうちの二割に当たる一%が地方消費税であることから、東京都が結果として国税のお手伝いをするという、それでもって意義があることだと、このように思っております。
 ところで、先ほどの質問にもございましたけれども、ことしからいよいよ住民税がフラット化されるようになったわけですね。これは、この間の一般質問でもちょっと触れさせていただいて、私としては余り納得しないのでございますが、いずれでもフラット化するわけでありますが、これによって、必然的に小口の滞納がさらに増加する可能性も否定できないわけです。
 主税局では、小口の滞納対策としてどのように取り組んでいるのか質問します。

○齊藤徴収部長 少額の滞納対策としては、まず綿密な調査を行いまして、滞納者の実態をきちんと把握し、その上で個々の滞納者の実情に応じたきめ細かな対応に心がけております。
 また一方では、口座振替の促進とかコンビニ納税その他納税方法の拡大を行い、滞納を未然に防止するというように努めているところでございます。
 今後も、これらの取り組みを充実させるとともに、特に、今ご指摘のフラット化による小口滞納の増加が懸念されるわけでございますが、この個人住民税対策については区市町村との連携をさらに強化していきたい、このように考えております。

○桜井委員 最後になりますけれども、滞納を未然に防止するという答弁が今ありましたが、これは大切な視点でありますし、今後もきめの細かな対応をお願いしたいと思います。
 さらに、最後でありますけれども、徴収率の向上に向けた局長のお考えをお聞きいたしまして、質問を終わります。

○菅原主税局長 真の地方分権の実現に向けまして、さらなる税源移譲を国に求めていくためにも徴収努力、これは極めて重要な課題でございます。主税局では、全国の自治体とも連携をいたしまして、引き続き徴収率の向上に努めていく所存であります。
 また、税負担の公平性の確保、これは行政システム全般にわたって、都民の方々、国民の方々の信頼性の確保という意味でも、これまた極めて重要な課題でございまして、そういう観点から、ことしから東京国税局へ職員を派遣するわけでありますけれども、この取り組みを通じまして、国税の徴収率の向上にも寄与していきたい、このように思っております。

○山田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件並びに請願陳情に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項並びに請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十八分散会

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