財政委員会速記録第十八号

平成十八年十二月十一日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長山田 忠昭君
副委員長尾崎 大介君
副委員長橘  正剛君
理事村上 英子君
理事桜井  武君
理事曽根はじめ君
鈴木 隆道君
伊沢けい子君
山口  拓君
佐藤 広典君
高木 けい君
藤井  一君
酒井 大史君
高島なおき君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長谷川 健次君
経理部長泉本 和秀君
参事竹本 節子君
主計部長安藤 立美君
財産運用部長塚本 直之君
特命担当部長三津山喜久雄君
建築保全部長南部 敏一君
参事松村  進君
参事岡沢  裕君
主税局局長菅原 秀夫君
総務部長三橋  昇君
税制部長松田 曉史君
参事目黒 克昭君
参事堀内 宣好君
課税部長安田 準一君
資産税部長吉田 裕計君
徴収部長齊藤 吉民君
特別滞納整理担当部長宮下  茂君
出納長室出納長幸田 昭一君
副出納長関  敏樹君
副出納長牛山 幸彦君
会計制度担当部長細野 友希君

本日の会議に付した事件
決議について
出納長室関係
報告事項(質疑)
・平成十八年度資金管理実績(第二・四半期)について
財務局関係
付託議案の審査
・第二百四十一号議案 都営住宅十八CH-一〇四東(小松川三丁目第二・江戸川区施設)工事請負契約(質疑)
・第二百四十二号議案 街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(十八北南-府中三・四・七清水が丘)請負契約(質疑)
・第二百四十三号議案 平成十八年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事請負契約(質疑)
・第二百四十四号議案 当せん金付証票の発売について(質疑)
・第二百五十七号議案 審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
主税局関係
報告事項(質疑)
・平成十八年度東京都税制調査会中間報告について

○山田委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、決議を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○山田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査並びに出納長室、主税局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第二百四十一号議案から第二百四十三号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承をお願いいたします。
 これより出納長室関係に入ります。
 初めに、報告事項、平成十八年度資金管理実績(第二・四半期)についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○山田委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百四十一号議案から第二百四十四号議案まで及び第二百五十七号議案を一括して議題といたします。
 初めに、追加提出されました第二百五十七号議案について、理事者の説明を求めます。

○安藤主計部長 それでは、第二百五十七号議案、審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料第1号をごらんいただければと存じます。
 さきの事前説明の際にご説明をさせていただきましたが、地方自治法の一部を改正する法律の一部が十一月二十四日に施行されたことを受けまして、本条例を提案させていただきました。
 改正の内容は、地方自治法の一部改正に伴い、本条例が引用しております条文の項番号にずれが生じたため、規定の整備を行うものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 その他の議案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○泉本経理部長 先日の委員会において要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 今回、要求をいただきました資料は一件でございます。
 恐れ入りますが、お手元にございます要求資料第1号をごらんください。新海面処分場整備工事請負契約(議会付議案件)一覧でございます。
 新海面処分場の整備工事において、現在まで議会でご審議いただいた契約案件につきまして、それぞれ工事件名、請負業者、契約金額、落札率を表にまとめたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○鈴木委員 それでは、質問に入ります。
 今回の契約案件においても、低入札価格となっているものが二件あります。このところ、契約案件において、相次いで低入札価格での契約がなされてもいます。これまでも、委員会質疑等で、品質の確保や下請へのしわ寄せがないか、調査を行っているとの答弁を受けてはおりますが、下請となる中小企業からは、このまま過度な競争が続くのでは、経営が成り立たなくなるばかりか、将来、優良な公共工事を担う企業がなくなってしまうのではないかというような切実な訴えが届いているところでもあります。
 そうした状況を踏まえ、お伺いいたしますが、工事の予定価格は、市場価格を踏まえ、材料費や労務費などを個々に積み上げて計算され、決して余裕のあるものではないと考えます。工事の施工に不可欠な金額が設定されているものであるとは認識しておりますが、予定価格よりも低価格で、品質を確保し、下請へのしわ寄せもなく、適正な施工ができるという理由はどのようなことなのか。今回の契約案件での理由も含めて、お伺いをいたしたいと思います。

○竹本参事 入札者は、低入札価格とした理由の主なものとして、コンクリートなどの材料をほかの工事のものと一括購入して、購入価格にスケールメリットを生かすことや、特殊な船舶や施工機械を自社で所有していること、工事場所の近隣で他の類似工事を施工しているため、機材等の転用が可能なことなどから、コストの削減や作業の効率化が図られることを挙げており、適正な施工が可能としております。このほか、社員の技術継承、会社としての技術力を維持向上する必要から、企業の当該工事の受注を強く希望している場合がございます。
 今回の契約案件におきましても、主にこのような理由が挙げられております。

○鈴木委員 なるほど、そういう理由ということでありましょうが、それでは、低価格で入札をする企業ではどのような下請業者を使って工事をしているのでしょうか。安い金額で技術者や機材も持たない会社に任せているのではないかというような疑問を持ち、またそう理解せざるを得ないと考える点があると思いますが、この点に関してはどのようにお考えか、お伺いをいたします。

○竹本参事 案件により異なりますが、一概には申し上げかねますが、ふだんから協力関係にある、長年取引をしている企業との下請契約を予定する場合が多いようでございます。
 元請企業といたしましても、下請企業の施工実績や経営状況、その得意な工事内容などを把握し、当該工事に適切な下請先の選定に努めていると聞いております。
 また、子会社などグループ企業の活用など、会社、グループ全体として対応し、コストの削減とともに、十分な品質の確保を図っている場合がございます。

○鈴木委員 そうしますと、今回の契約案件では、契約の相手方である建設共同企業体の代表者が同一企業となっておりますが、同時に、しかも低価格で施工を行うには無理がないのか--無理があるというふうに考えても自然ではないかと思いますが、今回、同一企業ということで、特に調査をした点はあるのかをお伺いいたします。

○竹本参事 今回の二案件は、契約の相手方として、別々の建設企業体ではございますが、代表者は同一企業となっておるところです。また、一件は道路の整備に伴う一般土木工事、もう一件は新海面処分場の護岸を建設する河川工事と、二件の工事業種が異なってございます。そのため、特に代表者については、同時施工に対応し、社内の別部門による担当体制及び専門分野の経験を有する技術者の配置などの適切さについて、十分に調査し、確認を行いました。
 さらに、現場の経費に不足が生じた場合や、安全管理体制などについても、本社からの支援が用意されていることなどが確認されたところです。
 いずれの案件も、調査の結果、施工能力、下請関係なども含め、履行に問題がないと、財務局長を委員長とする低入札価格審査委員会の審査を経て、判断したものでございます。

○鈴木委員 今答弁があったように、施工能力、下請関係など、履行に問題がないということをはっきり答弁いただいた、それから、低入札価格審査委員会の審査も経て判断をしたということでありますから、今の答弁を聞いて妥当だというふうに私たちは考えます。
 そのことはわかりましたが、先週八日に、国土交通省の新たなダンピング対策が発表されました。それによれば、低入札価格調査で一定割合を下回る場合には、特別重点調査を行い、新たに、履行されないおそれがあると認められる場合をあらかじめ具体化し、これらに該当すると認めるときは失格とすることなどを柱とするものであります。
 また、直接的な低価格入札の対応策になるとは思いませんが、総合評価方式において施工体制の評価項目を新設して、技術点をふやし、技術力の劣る業者が、低価格であるというだけで落札することを防ぐことが挙げられているということであります。
 新聞にもあるわけですが、入札評価に品質を加味ということで、国交省が競争激化である今の現状を踏まえて、安値の防止策ということで、一応新聞発表があったわけで、特にこの中で、工事の成績評定と落札率の関係というところを見ますと、これは東京都とはたしか金額が違うと思うんですけれども、平均点以上の工事という欄を見ますと、六五%未満は一〇〇%ですよ、一〇〇%。落札率が低くなるほど工事成績評定が低くなり、平均点以上の工事が減少する傾向と書いてありますが、六五%未満のところは一〇〇%、要するに、今いった工事での質が低下する傾向が見られるということを、新聞紙上またはこの資料でもいっているわけでありまして、こういうことを考えて、実際、先ほども申しました品質の管理というようなものをしっかりしていかなければならないというふうに、私は現実に思います。
 東京都は国とは違い、今までも独自のあり方をしていますし、東京都の方が国よりも先んじて対応しているということは、きょうの答弁、また今までの答弁でも聞いておりますので、その辺は理解をしておりますが、こうした国の動きがある中で、改めて、都ではどのような対応をなされているのかを具体的にお伺いしたいと思います。

○竹本参事 東京都の低入札価格調査におきましては、入札者の積算内容や施工体制などを調査、確認しておるところでございます。その際に、下請企業からの見積書や積算根拠としての概略の施工計画等についても資料提出を受けるとともに、積算担当者や現場を担当する予定の技術者から、直接のヒアリングも行っております。
 確認に当たっては、調査マニュアルを制定し、調査すべき項目や調査内容、確認事項を具体的に掲げ、これに基づき、調査確認を行っております。
 また、総合評価方式につきましては、工事成績を重視した都独自の評価方式である施工能力審査型では、技術点と価格点をほぼ同等としており、安定的な品質確保に一定の効果があらわれております。
 また、今後、整備を予定している総合評価方式の新たな類型においても、技術力を評価により一層反映させるとともに、技術力の評価と価格の評価との適正なバランスがとれた評価方法となるよう、現在、検討を進めております。

○鈴木委員 今答弁がありましたように、都のこれまでの対応は、国とは異なり、都独自に工夫された対応がとられているということを改めて確認ができたというふうに考えます。しかし、これで十分だということではないともう片一方でいえると思いますので、その辺のことも一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 また、都内中小の下請業者へのしわ寄せがないことをしっかりとチェックしていくことが重要と考えます。これは入札契約時だけでなく、工事中や、工事が完了して下請代金がきちんと支払われていることもチェックすることが肝要だというふうにも思います。かなり困難なことだとは聞いてはおりますが、前回の委員会質疑でも、こうしたことにも取り組んでいくという答弁がありました。現在の検討、取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○竹本参事 この間、東京都契約事務協議会に設置しました検討PTを三回開催し、公営企業局も含めた低価格入札の状況の把握、対応策を講じていく上での課題点等の整理を行っております。また、東京都技術会議の公共工事の品質確保部会におきましても、関係業界団体との意見交換を行っていると聞いております。
 今後、相互に連携し、また外部の学識経験者で構成される東京都入札監視委員会からも意見をいただきながら、都の実情に合った対応策を取りまとめ、適時実施していきたいと考えております。

○鈴木委員 要望です。
 今まで質疑をしてきて、非常に理解できるところが多いわけでありますが、今も申し上げましたように、やはり下請の方々に下請いじめとならないような点が大事だと思うんですね。そのためには、二次、三次の下請契約者の方々にきちっとした契約がなされて、本来、そこで利潤がもたらされるような契約であるべきと思いますが、それだけ低価格での入札が行われていけば、どうしても下請の方々にそのしわ寄せが行っている現状があるというのは、否めない事実であろうかというふうに思います。
 そこのところの確認は、確かに民民の契約でありますので、そこまで踏み込んで都ができる、またできないということの議論もあろうかとは思いますが、本来、そういう無理な契約を下請の方々がしていけば、それはやっぱり、自分の会社の中で、いわゆるお金をどんどん回していくような作業をしていくというようなことで、経営そのものが悪循環に陥っていくということになりかねませんので、そうなると、先はある程度見えてくるというような状況があります。
 景気が少しずつ、今、大きな回復に向かっているとはいわれるわけでありますが、この業界においては、今いったようなことがまだまだ行われていて、なかなかその点が議論されてこない。そしてまた、我慢をしながらやっているということがあると思いますので、あえてこれは要望で、しつこくなりますが、今いった正当な契約がなされて、その中できちっとした経営が安定するようなものになっていくような努力を、知恵をどのように出していくかというのはまたあると思いますが、ぜひ東京都でも考えていただいて、中小零細企業の方々がきちっと仕事をして、誇りを持っていけるような、そういう仕事ができるような対応をぜひ考えていただきたい。それがあれば、品質管理、また品質の確保ということも、きちっとした対策がなされていくような気もいたしますので、それはそういうことも踏まえて考えていただきたいということを、あえて要望させていただいて、終わりたいと思います。

○山田委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○山田委員長 これより主税局関係に入ります。
 報告事項、平成十八年度東京都税制調査会中間報告についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求した資料につきましては、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○桜井委員 都税調の中間報告について質問をいたします。
 これまで都税調は、毎年、各年度の検討結果を答申として取りまとめてきたわけでありますが、ことしは答申ではなくて、中間報告という形で出されておりますけれども、中間報告というのはどういうような位置づけになっておるのか、まず最初に質問します。

○目黒参事 東京都税制調査会は、今年度から、単年度ごとに答申を取りまとめるというこれまでの運営方法を見直し、地方法人課税や地方消費税、環境税等、地方税財政の重要課題について中間報告を行いつつ、委員の任期である三年間を通じて答申を取りまとめていくこととしたものでございます。
 今回の中間報告は、本年五月以降の都税調の議論をまとめたものでございまして、今後、さらに議論を深めながら答申へとつなげてまいりたいと考えております。

○桜井委員 前回の事務事業の説明のときにも質疑をさせていただきましたので、若干重なる部分もありますけれども、三位一体の改革と通常いわれておりますことについて、質問します。
 今般の三位一体改革は、地方分権推進という本来の目的から本当にかけ離れたものであると思います。税源移譲は行われたものの、補助金の改革、地方交付税改革ともに、地方の自主性、自立性にはほとんどつながらない、不十分な内容となっております。
 こうなってしまった原因は何かといいますと、国と地方の役割をまず一から、本当に一から見直すという、本来しなければならない議論がなおざりにされたまま来ていることであると思います。真の地方分権推進のためには、小手先の数字合わせではなく、国、地方の役割分担の明確化といった根本的な議論が絶対に必要であります。
 今回の中間報告においては、国、地方の役割、責任について述べられてはおりますが、そもそも地方分権改革の目的は、国、地方の関係を対等、協力の関係に変えることでありまして、地域住民の自己決定権を拡充し、多様性のある地域社会を実現することでもあり、それが住民にゆとりと豊かさをもたらすものであります。
 地方分権推進のためには、まず第一に、何回も何回も繰り返しますけれども、国と地方の役割分担を明確化することが必要不可欠であります。役割分担の明確化については、以前からその必要性が再三再四指摘されておりますが、きちんとした議論がなされないまま、今日においても実態は本当にあいまいなままであります。法令による義務づけや国庫補助負担金による制約など、国による地方の行政運営への関与が横行し、地方の自主性、自立性は極めて不十分であります。
 私は、役割分担の明確化については、国の役割を限定する方向で、おのおのの役割を、例えば憲法に明記するなど実効性のある方法を用いて、国の関与を排除していかなければならないと考えております。
 役割分担を明確化し、国の関与を排除していくとともに重要となるのは、分権を裏づける財政的な自立であります。国の税源を地方に移すことは、地方の財政面での自己決定権、自己責任を拡充することにも当然つながります。
 しかし、国は、既に行われた三兆円の税源移譲でこの問題を終わらせようとしているようでありまして、地方の側にもまた、交付税、補助金の削減がさらに進むんじゃないかなということをおそれて、税源移譲に消極的な意見が一部に見られます。
 地方分権を進めるためには、さらなる税源移譲が必要であると思いますが、都税調ではこの点につきましてどのような検討をしておりますのか、質問します。

○目黒参事 税源移譲の本来の目的は、地方の自主性、自立性を高める観点から、国と地方の間の歳出規模と税収規模との乖離を解消することにより、地方の仕事量に見合った税財政構造を確立することにございます。
 過去の都税調答申でも、国税と地方税の比率が少なくとも一対一となるような七兆円規模の税源移譲を提言してきたところでございますが、今般の三位一体の改革の中で進められました三兆円規模の税源移譲では、この水準に到底及ばず、極めて不十分なものであると認識しております。
 理事ご指摘のとおり、さらなる税源移譲の実現に向け、第二、第三の改革が必要であると考えます。
 都税調におきましても、二年後に予定されております答申の取りまとめに向け、さらなる税源移譲について検討を深めてまいります。

○桜井委員 私も、税源移譲については、ぜひともさらなる推進をしていくべきであり、第二弾の税源移譲に向けて、国に対し、強く強く働きかけていかなければならないと考えております。
 また、三位一体改革により、地方間の格差、特に大都市と地方の格差が拡大したといわれており、その原因が、いわゆる東京問題、法人二税が東京に集中しているという、法人二税の地域間の偏在性にあるという主張がなされているようでありますけれども、今回の中間報告でも触れているように、法人二税の偏在性の問題とはそもそもどのような状況を指すのか。また、それに対し、主に経済界などはどのような見方を示しているのか、この点について伺います。

○目黒参事 偏在性の問題でございますが、例えば、法人二税の平成十六年度決算額七・二兆円を道府県別で見ますと、最も多い東京都が一・八兆円、対全国シェア二五・七%、最も少ない高知県は二百億円、対全国シェア〇・三%となってございます。人口一人当たりの税収額で比較いたしますと、最高の東京都は、最低の青森県の六・六倍でございます。
 このように、東京のような大都市部と地方の間に大きな税収格差があることをもって、偏在性の問題としてとらえられているのでありまして、経済界などからは、地方が自立的、安定的に地域経営に取り組むための財源として適していない、あるいは、制度自体としても問題点が多く、体系的かつ抜本的な見直しが必要であるといった指摘がなされているところでございます。

○桜井委員 それでは、そのような偏在性の問題について、都税調としてはどのように考えていますでしょうか、伺います。

○目黒参事 今回の中間報告では、いわゆる偏在性を理由とした地方法人課税の見直し論につきまして、三点にわたって反論しているところでございます。
 第一は、中長期的に見た場合には、税収格差はむしろ縮小傾向にあるという実態を踏まえ、短期間の増収傾向だけで偏在性の問題を判断すべきではないということ、第二は、現実の企業活動に地域的な偏りがある以上、東京のような大都市部に税収が集中することはやむを得ない面があるということ、第三は、偏在性の問題の解決には、個別税目で解決しようとするのではなく、他税目との組み合わせや地方交付税の配分等を含めた地方税財政制度全体の中で検討すべきであること、以上三点でございます。

○桜井委員 確かに、人口一人当たりで見ますと、東京に法人二税は集中していることになるが、東京は、いうまでもありませんが、日本の経済活動の中心であり、企業の多くは、東京からさまざまな行政サービスを受けて経済活動を行っているわけであります。
 例えば、企業活動を支えるため、三環状などの道路ネットワークの整備など、インフラ整備をさらに進めていかなければならず、ほかにも環境問題、災害対策、治安維持など多くの課題を抱えております。こうした大都市の行政需要を無視し、法人二税の税収について、東京への集中を単に偏在性として問題視することは、本当に大きな疑問があります。
 今後とも、東京が大きな大都市需要を抱えていること、それを解決するための税財源がどうしても必要であることなどを、国に対して引き続き主張していくべきであると考えます。
 今後、東京から税収をはがそうとする地方法人課税見直しの動きがさらに強まることも予想されておりますけれども、こうした動きに対しまして、都税調としてはどのように対応していくのでしょうか、質問いたします。

○目黒参事 都税調では、本年五月に、地方税源のさらなる充実確保を求める緊急提言を取りまとめるなど、これまでも、地方税財政制度改革等につきまして、時宜にかなった提言などを行ってまいりました。
 今後、国等におきまして、地方法人課税が有する重要な意義を無視ないしは軽視するような動きが見られた場合には、今回の中間報告で整理をいたしました地方法人課税の理論的根拠をもとに、時期を失することなく、緊急提言等を行ってまいります。

○桜井委員 最後になりますが、今回の中間報告のように、地方法人課税などについて、あらかじめ理論的な整理を行っておき、時期を見計らって緊急提言などを行っていくことは非常に有効なことであると思います。
 地方法人課税の不合理な見直しには、今後とも断固として反対していくべきでありますが、最後に局長に、この点につきましての見解を伺います。

○菅原主税局長 我が国企業の国際競争力の強化や経済活性化の観点から、よりグローバルな税制のあり方が検討されることは、意味のあることと考える次第でありますけれども、ただいま理事からご指摘もいただきましたように、地方自治体が提供するさまざまな行政サービスを抜きにいたしまして、企業活動が成り立たないこともまた事実でございます。
 今回の中間報告でも、今後、少子高齢化への対応など地方の役割増大に伴う財政需要の飛躍的な増大が見込まれます中で、法人二税は、分権社会を支える重要な財源でございまして、無原則な廃止や縮小という選択肢はあり得ないとの提言をいただいているところでございます。
 今後の都税調の議論も踏まえまして、また都議会のお力添えも賜りながら、国等に対してこのことを強く訴えてまいります。

○藤井委員 本題に入る前に、一つ伺いたいと思います。
 十一月二十二日、今いろいろと問題になっております近未来通信の本社に対して、東京都主税局が、公的機関としてはいち早く捜索に入りました。これはテレビ各局のニュースでも取り上げられまして、東京都としても面目が大いに上がったところであります。
 また、先週の木曜日ですか、十二月七日、私は朝、テレビを見ておりましたらば、たしかテレビ朝日ですけれども、たまたま見たら、主税局の職員の人が、一斉捜索に入っていくところが映されておりました。納税、いわゆる税金を納められるのに納めない、連絡もしない、こういった悪質な滞納者に対して、自宅とか会社、事務所を、主税局の職員が立ち入ってする、その姿をずっとカメラがとらえておりました。
 相手は、当然威圧的に、帰れと、あるいは何の用だというようなことでやるわけですが、それにも負けずに職員が、たしか若い職員だったですね、平然と応対をしまして、中に立ち入っていろいろと物品を、何というんですか、取り立てるんですかね。それで、例のロールスロイスも、ちょうど車庫から出すところでございまして、私は都民広場でロールスロイスのあのオークションのときもいましたけれども、あのロールスロイスかということも見させていただきました。かつて私は「マルサの女」という映画を見ましたけれども、あの緊張感そのものでございまして、本当にこれが東京都の職員の姿かということで、感動をいたしました。
 そういったことで、そのテレビの中でキャスターがいっていたのは、都税の徴収率はこの十年で飛躍的に向上したということが紹介されておりました。平成七年度に九〇・二%と、これは何か全国最低とかとテレビでいっていましたけれども、この徴収率がこの十年で右肩上がりに向上して、平成十七年度、昨年度には九七・三%になったという報道がされていたわけでございます。
 こういった意味で、本当に東京都の主税局は頑張っているなということを、あのテレビで多くの都民は認識をされたと思いますけれども、その主税局では、攻めの滞納整理というのをキャッチフーズにしているということでございますが、一つは、このように徴収率が向上したのには、どのような努力をしてきたのか。そしてまた、攻めの滞納整理とはどういうものか、この点を教えていただきたいと思います。

○齊藤徴収部長 税務行政の適正及び公平性の確保という観点から、平成七年度以降の滞納整理に当たっては、民間にならった目標管理手法を導入してまいりました。
 また、それまでの単純地区割り組織を、滞納の期間や滞納金額に応じて担当する組織に変えまして、滞納整理を、いわゆる個人プレーから組織的取り組みに転換してまいりました。このような構造改革を実施するとともに、インターネット公売やタイヤロックなどの新たな手法を導入し、徴収率の向上を図ってきたところでございます。
 また、攻めの滞納整理とは、文字どおり、東京都が主体的に滞納整理を行うことであります。平成七年以前の、いわば待ちの滞納整理を反省し、スピード感と現場主義をモットーに、滞納者の実情をきちんと把握し、それに応じて差し押さえ、公売も辞さないという毅然とした取り組み姿勢をあらわしております。

○藤井委員 大変すばらしいことだと思います。
 待ちの滞納整理から攻めの滞納整理ということで、主税局が一丸となって対応していることを、私は大変すばらしいことだと思います。これも、菅原局長を中心に局の皆さんたちが、本当にすばらしい、そういう仕事への取り組みを、今後ともさらに継続されますよう期待をしたいと思います。
 続いて、東京都税制調査会の中間報告について伺います。
 今回の中間報告では、まず、これまでの三位一体改革などの地方分権改革について、本来の趣旨からほど遠いものであり、不十分な改革であると総括をしております。
 また、地方自治体が果たす役割がますます重要であること、今後一層の地方税財源の充実確保が求められることが報告をされているわけでございます。その上で、地方法人課税について、その課税の根拠や、あるいは今後のあり方を整理し、地方法人課税は、今後の少子高齢社会への対応など地方の財政需要が増大していく中で、それを支える重要な財源であるというふうに報告をされております。
 しかし、このように地方にとって非常に重要な税であるにもかかわらず、現在、国の経済成長や企業の国際競争力強化のために、法人所得課税を引き下げる動きがあります。さらに、その動きと連動した地方法人課税の撤廃論、縮小論があるといわれております。
 そこで、現在、地方法人課税について、国などでの動き、どういうものがあるか、まず伺います。

○目黒参事 現在、国におきましては、我が国企業の国際競争力の強化や経済活性化の観点から、法人所得課税の実効税率を引き下げるべきとの議論があり、今年度の政府税制調査会の答申にも、法人実効税率の引き下げ問題が、今後の検討課題として位置づけられております。
 また、特に我が国の地方法人課税負担が諸外国に比べて高いという理由から、例えば日本経団連は、税制改正に関する提言におきまして、法人所得に対する地方課税は我が国の法人実効税率が諸外国に比べて高いことの大きな要因でもあるとし、制度自体としても問題点が多く、体系的かつ抜本的な見直しが急務であるとしております。
 今後、来年度の税制改正が議論される中で、さらにこうした主張が強まることが懸念されるところでございます。

○藤井委員 次に、その地方法人課税については、不安定あるいは偏在性、先ほど桜井理事も議論をされておりましたけれども、それを理由とした見直し論についても、中間報告で取り上げられております。
 これは、法人二税が東京などの一部の大都市に集中して、それに対して、それ以外の地方で税収不足が起こっているということを、地域間の偏在性として問題視しております。先ほど答弁にありましたように、人口一人当たりの税収額で比較すれば、東京都は青森県の六・六倍というそうでございますけれども、このように大都市の税収が多く、また逆に地方の税収が少ないという、こういう偏在性があるわけでございます。
 これが東京ひとり勝ち論あるいは東京富裕論というようなことになっているのかと思いますけれども、この地方法人課税の偏在性をめぐっては、これまでも法人事業税の分割基準の見直しにより、東京などの大都市の税源が引きはがされてきたところであります。
 そこで、この法人二税の分割基準というのはどういうものか、伺いたいと思います。

○目黒参事 分割基準とは、複数の自治体にまたがって事業活動を行っている法人について、法人事業税や法人住民税を課税するに当たり、その課税権の帰属が問題となるため、それを調整する手段として用いられる指標でございます。

○藤井委員 今回、この中間報告の中では、法人事業税、法人住民税の分割基準について、その意義とかあり方を整理をしております。
 そこで、この法人二税の分割基準、本来どうあるべきというふうに考えるのか、局の考えをお伺いいたします。

○目黒参事 法人事業税と法人住民税は、地方自治体によって供給される行政サービスの恩恵を受ける法人が、その費用を負担するという課税根拠において共通するものでございます。したがいまして、その課税権の帰属を決める分割基準は、法人の事業活動と行政サービスとの受益関係を的確に反映させることのできる指標であることが望ましいものでございます。
 法人の事業活動の実態を最もよくあらわす指標は付加価値であり、その付加価値を構成する要素のうち人件費が大部分の割合を占めていることから、人件費にかわる簡便かつ客観的な指標として、従来から、従業者数の指標が用いられてきたところでございます。

○藤井委員 次に、この法人二税の分割基準は、その意義やあり方にかなった税の理念から見ても、正しい指標であるということが求められております。
 ところが、平成十七年度の税制改正において、法人事業税の分割基準については、サービス業等の多くの業種で、それまでの従業者数の指標を二分の一として、残りの二分の一について、新たに事務所の数の指標が導入される見直しが行われたというふうに聞いております。
 この見直しにより導入されました事務所数の指標は、分割基準の意義を踏まえた場合に、果たして適切なものかどうか、この点を伺いたいと思います。

○目黒参事 お尋ねの事務所数の指標につきましては、付加価値との相関関係がなく、法人の事業活動と行政サービスとの受益関係が適切に反映される応益指標とはいいがたいため、分割基準の指標としては不適当なものでございます。

○藤井委員 ただいまご答弁で、この事務所数については付加価値との相関関係がないために、応益指標としては不適当であるということでございました。
 平成十七年度の税制改正において、この法人事業税に対して行われたように、今後、法人住民税の分割基準にまで事務所数の指標が導入されるようなことがあるなら、分割基準を地域間の財政調整の手段とすることになり、大変危惧されるところであります。
 そこで、最後にお伺いいたしますが、先ほどありましたように、三位一体の改革によって税源移譲が実現する一方、それを上回る国庫補助負担金の削減や地方交付税の見直しが行われたため、地方財政全体で見ますと、危機的な状況になるといわれております。
 そうした中で、国の財政制度等審議会の議論では、地方税のうちでも地域間の偏在性の大きい地方法人二税について、偏在性を是正する具体的な仕組みが検討されるべきではないかとの意見が出されているように聞いております。このように、国の財政再建のために地域間の財政力格差の問題を地方と地方の間で調整させようとする動きがあり、今後、分割基準のさらなる見直しも予想されております。
 そこで、国のこのような動きに対して、都は毅然とした態度で反論していくべきと考えますけれども、最後に局長の決意をお伺いいたします。

○菅原主税局長 これまでも、国は、本来は地方交付税等で行うべき地方間の財源調整を、法人事業税の分割基準の見直しにより行うなど、みずからの責任を放棄いたしまして、東京などの大都市から財源を引きはがすための税制改正を行ってまいりました。
 地方間の財源調整を目的といたしました、さらなる分割基準の見直しを行うことがあれば、それは地方の課税自主権を否定いたしまして、ひいては地方分権をさらに後退させるものでございます。
 来年度の税制改正に向けまして、今後、国において、このような不当な動きが見られました場合には、速やかに都税調におきまして緊急提言等を取りまとめ、反論していくとともに、都としても都議会のお力添えを賜りながら、国に対して強く反対してまいります。

○曽根委員 東京都税制調査会の中間報告について、私からも何点か質問させていただきます。
 私も税調の委員の一人ですので、そこでも意見を申し上げましたが、今度の中間報告は、三年がかりで行っていく、かなり中長期的な取り組み検討の一年目という段階のものだということで、したがって、まだあと残り半分以上の検討の時間があると。その中で、ぜひいい方向で検討を進めていただきたいということを含めて、意見も申し上げたところです。
 その検討していただく上で、まず、いわなければならないのは、国の三位一体改革のさまざまな補助金、国庫負担金の打ち切り、廃止縮小と、一方での税源移譲と。これが地方にとってはマイナスになっていることは、もう数字上、明白であり、中途半端なものであるという認識はまさにそのとおりなんですが、私たち日本共産党は、国の国庫補助や国庫負担金の中にも、例えば義務教育の国庫負担のように、これは当然ながら国の負担率を残さなければならない、残すべきと東京都が主張しているようなものもあると。
 これは義務教育だけじゃなくて、福祉の分野でも、国がいわば全国的に責任を持って最小限の水準を決めるべき生活保護その他の補助金については、国の、要するに、それについての特定の補助の制度として、残すものは残さなきゃならないと。そういうものまで今どんどん交付金化されているということは問題だということで反対をしているのは、ご承知のとおりです。
 それと、今後の税源移譲をどう進めるかという点で、答申の中間まとめの中にも、引き続き税源移譲を進めるべきであるが税目としては偏在性が少ないとか、税収規模があるということで、消費税からの税源移譲について検討が必要であるというふうにいっています。
 これについても、私たちはかねてからいっていますが、消費税の地方の割合を、例えば二割から五割まで持っていきたいというような意向が出されていますけれども、結局は消費税増税の路線に乗る危険性が高くなるということと、もう一つ、この間の事態の推移を見ますと、結局、住民税がフラットになりましたので、地方税は累進性が全くなくなったわけですよね。唯一の累進課税であった住民税がフラットになったために、法人二税、固定資産税その他、消費税、地方消費税についても累進性がありませんので、そういう意味で、住民への直接サービスを行っていく役割がますます強くなっていく地方自治体の財源が、累進性の全くないものでいいのかという点では、ますます高齢少子化対応が求められる中で、これは財源が細っていく危険が高いということで、やはり税の負担能力の高い高額所得者や、また大手の法人についての税額をきちんと確保する方策は必要だということを主張しております。
 ましてや消費税については、税調の神野会長もおっしゃっていましたが、逆累進性があるということは、これはもう公然の事実であって、逆に所得の低い、つまり生活の収入すべてを消費しなければならない低所得者ほど税率が実質的に重くなっていくという消費税を、地方財源の中心に据えていくということは、ますます大変なことになると。地方福祉の、いわば福祉行政の先細りになってしまうということは申し上げておきたいと思います。
 ただ、中間まとめには大変重要な指摘もありまして、それで関連してお聞きしたいんですが、先日、資料要求をした後に気がついたんですが、巻末の資料の中に私の要求した資料が入っておりましたので、資料要求は取り下げさせていただいたんですが、資料の七ページに、各都道府県別の法人二税税収の全国シェアが入っておりましたし、九ページ、一〇ページにかけて、法人税率の実効税率などが入っていました。
 それで、一つ重要な指摘としては、法人税の、例えば人口一人当たりにしてみると、東京と地方ではやっぱり歴然とした差があると。こういう点から、いってみれば何らかの調整が必要じゃないかということで、私も夕張市など、これは税金のために破綻したわけでは必ずしもありませんが、財源的に厳しい地方の自治体と大都市との格差は、現実にやっぱり見られる以上は、何らかの調整機能が必要であると。その点が、本文の六ページにも指摘があります。
 現行の地方交付税制度では、やはり全く不十分だと思うんですが、今後、そのあり方の検討の方向として、主税局としてはどういう問題を考えているのか。この点についての問題意識をお聞かせいただきたいと思います。

○目黒参事 地方分権を推進するためには、国から与えられる依存財源から脱却し、自己完結型の税財政構造を構築することが何よりも重要であることから、まずは税源移譲により地方の財政力の底上げを図ることが肝要であります。その上で、真に必要な行政サービスすら提供することのできない財政力の弱い団体に対しましては、地方交付税等の財政調整機能は、やはり必要であると考えます。
 しかし、その財政調整措置は、あくまでも国の責任において行うべきものであり、国と地方の歳出と税源配分の乖離が依然として存在し、東京を初めとする大都市が莫大な財政需要を抱える中で、大都市住民に還元されるべき貴重な税源を、税理論等を無視して安易に地方に再配分することはできないものと考えます。

○曽根委員 主税局のそのお考えはわかったんですけれども、税制調査会の中では、少しニュアンスの違う話もあったんですね。
 つまり、法人二税などに分割基準見直しなどで、地方間の調整を求めるのはおかしいと。これは、私たちもそのとおりだと思うんです。何しろ法人二税そのものが景気に物すごい左右される。それを調整に使っていたら、もし景気が落ち込んだ場合に、その調整能力、事実上失われてしまうということになりかねません。そういう点では、景気の動向に左右されにくい税金もしくは地方税収全体を調整の対象として、全体的に調整するということが、どうしても必要だと思うんです。
 しかし、これを国の責任で行うべきだというふうになると、では国に任せていいのかという問題が出てくるわけです。地方自治体が、自治体として地方分権の立場で税収も含めて財源をみずからの努力で確保する。そして地方間のいろんな格差があるとすれば、それもやはり自分たちで解決する力を持たないと、やっぱり国に面倒を見てもらわないと財源確保はお互いにできないし、調整もできないというのでは、なかなかひとり立ちが財政的にもできないだろうという問題が残ると思うんです。
 私も税調で申し上げましたが、ここは、やはり東京都が税制調査会の中間まとめで、全国的な調整機能が必要というふうに提案をしたこと自体は、非常に重要な前進であって、それを国任せにするのではなく、やはり地方自治体間の何らかの調整機能を持って、みずから解決していくということをしない限りは、やっぱり法人税のように、ああいう非常にこそくな、部分的な方法でもってやられてくるというふうになってしまう危険が高いということで、ここはぜひ、卑近な例としては二十三区と東京都の関係も、何か似たようなものでありますから、やっぱり財政的にも自立するには、その問題を東京都が音頭をとって進めない限り、絶対進まない問題だということを、これは強調しておきたいと思うんです。
 それから、せっかく答申の中で、いわゆる法人二税の税収に関連して、つまり日本の法人税は高過ぎるんだと、だから減税が必要であるという議論が、政府部内でも始まっているということが指摘されて、しかし日本の法人税はそんなに高過ぎることはないということも、答申の中で指摘がありました。
 これについても、恐らく主税局も同じ認識だと思いますが、改めて認識をお聞きしたいと思うんです。

○目黒参事 今回の中間報告の中でも、法人実効税率のみで法人所得課税負担の大小を論じることは適当でないとの認識を示しているところでございます。
 例えば、社会保険料の事業主負担を加味した国際比較におきましては、我が国はOECD諸国の平均を下回る水準にとどまっているものでございます。

○曽根委員 この点は重要だと思うんです。何しろ政府の税調の方では、本間会長が、もう法人実効税率の引き下げは私の持論だとまでおっしゃっているらしいんで、そのバックにだれがいるかは、私たちも見え見えだと思っているんです。経団連の方も、来年度の税制改正に対する提言の中でも、企業のグローバルな活動を進める上での基礎的な競争状況をそろえるということで、実効税率の引き上げを図るべきだという提言もしていますので。今、確かに社会保険料なども、負担も入れると日本の企業の負担は決して高くない、諸外国は社会保障の関係の企業負担は大きいと。これはもう大方の方はよくご存じだと思うんですが、実効税率そのものも、四〇%前後といわれている実態が、実は実態は違うということを私たちの調査でも、この間、明らかにしてきました。
 実例をちょっと申し上げておきますと、例えば、前経団連会長の出身であるトヨタ、それから現経団連会長の出身であるキヤノン、この二社について、確かに二〇〇二年度のこの企業の収支報告をもとにして、法人三税ですね、国税と地方二税の合計額の税引き前利益に対する税額を見ると、トヨタが二〇〇二年度の場合、税引き前に一兆五百五十一億円に対して法人三税四千三百二十億円で、四〇・九%、キヤノンは四二・〇%あったんですね。ところが昨年度は、トヨタは一兆一千四十八億円の税引き前利益に対して、三千五百四十一億円と、税は逆に下がっている。実効税率はトヨタが三二・一%、同じようにしてキヤノンは三三・四%と、実効税率が四〇%をはるかに下回る税率になっている。なぜかというと、大手の企業の場合、例えば、試験研究費税額控除で、試験研究費の一〇から一二%の金額を差し引けると。外国税税額控除で、国外にある事業所がその国に払った法人税額は差し引くと。
 さらには、受け取り配当の益金不参入というのがあって、子会社などからの配当金による利益はほとんど全部落とせるということで、こういう実態があるということも、主税局は当然認識していなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

○目黒参事 法人課税負担と申しますのは、表面的な税率だけではありませんで、例えば課税ベース等その他いろいろ加味した上で判断する必要がございまして、今後、税制調査会におきましても、実証的な分析を進めてまいるつもりでございます。

○曽根委員 やっぱり日本の法人税率を考える場合は、中小企業と大企業は明確に区別しないと、今いった三つの税控除というのは、全部大企業しか使えないですよ、実際は。
 そういう意味では、日本の法人税の税収の大半は大企業が持っているわけですから、実際、空前の利益を上げているんで。その中身が、実態は四〇%どころか、三割台の下の方、大体、東南アジアとまでいかないまでも、ヨーロッパ並み以下になっているというような、実効税率そのものも低くなっているということも踏まえて、今後、法人税引き下げのような国の動きに対しては、地方税の全体の財源を確保するということも含めて、きちんと物をいっていくと、この立場を堅持していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○山田委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時七分散会

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