財政委員会速記録第十六号

平成十八年十一月九日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長山田 忠昭君
副委員長尾崎 大介君
副委員長橘  正剛君
理事村上 英子君
理事桜井  武君
理事曽根はじめ君
鈴木 隆道君
山口  拓君
佐藤 広典君
高木 けい君
藤井  一君
酒井 大史君
高島なおき君

 欠席委員 一名

 出席説明員
主税局局長菅原 秀夫君
総務部長三橋  昇君
税制部長松田 曉史君
参事目黒 克昭君
参事堀内 宣好君
課税部長安田 準一君
資産税部長吉田 裕計君
徴収部長齊藤 吉民君
特別滞納整理担当部長宮下  茂君
収用委員会事務局局長中田 清己君
審理担当部長太田雄二郎君

本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
 事務事業について(質疑)
主税局関係
 事務事業について(質疑)

○山田委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承をお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑を行いたいと思います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○山田委員長 これより主税局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三橋総務部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。
 要求資料第1号、個人都民税における主な税制改正の影響についてでございます。
 この表は、平成十五年度から十八年度までの個人都民税における主な税制改正の内容と都税収入への影響額等をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、課税標準額別個人都民税所得割額についてでございます。
 この表は、平成十三年度から十七年度までの個人都民税所得割における課税標準額の段階別の納税義務者数及び所得割額をお示ししたものでございます。
 次に、三ページの要求資料第3号、資本金区分別法人数及び法人事業税額についてでございます。
 この表は、平成十三年度から十七年度までの資本金区分別の法人数及び法人事業税額をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 事務事業に直接ではないんでありますけれども、地方分権の推進の観点から、税源移譲の実現に向けた取り組みについて触れさせていただきます。
 既に何回もいわれておりますが、地方分権の推進には、権限をきちんと地方に渡す、それを支える財政面の裏づけが不可欠ということでありまして、そのために税源移譲の実現というものは、地方自治体の長年の悲願であるわけでありますが、ついこの間まで--ついこの間までということはない、小泉さんが総理大臣をやっているころだと思うんでありますが、三位一体の改革で、税源移譲のことについて、例えば部分的ではありますけれども、若干は実現したというふうにいわれています。あくまでいわれていますですよ。
 議論を始める前提として、まずその概要を伺いたいと思いますが、補助負担金の改革、地方交付税の改革も含めて、三位一体の改革の概要は、現時点で見てどのようなものであったというふうにいえるか、ご答弁願います。

○松田税制部長 三位一体の改革の概要についてのお尋ねでございますが、まず国庫補助負担金については、平成十六年度から十八年度までの間に、児童手当の負担率の引き下げなど四・七兆円規模の削減が行われました。
 次に、税源移譲につきましては、国庫補助負担金改革の結果を踏まえまして、平成十八年度税制改正におきまして、所得税から個人住民税への三兆円規模の税源移譲が実現されたところでございます。
 また、地方交付税につきましては、その総額を抑制するとしまして、平成十六年度から十八年度までの間に、臨時財源対策債を含めまして、五・一兆円規模の削減が行われております。

○桜井委員 三位一体の改革における税源移譲については、今でも熱心に都議会の中で議論が継続されているというように思いますが、その熱心な議論が引き続き継続していくようにしなきゃならないわけでありまして、三位一体の改革における税源移譲は、地方分権の推進という観点からはどのように評価されるべきか、見解を伺いたいと思います。

○松田税制部長 今回の改革によりまして、基幹税である所得税から個人住民税への三兆円規模の本格的な税源移譲が実現されたことにつきましては、一定の評価がなされるべきものと考えております。
 しかし、その一方で、国庫補助負担金の改革において、負担率を引き下げるのみで、地方の裁量の拡大にはつながらない手法が用いられるなど改革全体の内容を踏まえれば、三位一体の改革における税源移譲は、数字合わせの域を出ないものでございまして、地方分権の推進の観点からは極めて不十分なものであるといわざるを得ないと考えております。

○桜井委員 今回の税源移譲を含む三位一体の改革といわれているものは、分権の推進という本来の目的から、私たち東京都議会が見ている、思っている本来の目的からは、かなりかけ離れたものであるというふうに思われます。
 こうなった原因はいろいろあるんだろうと思うんでございますが、国が権限を地方に渡す気は少ないというか、それから地方の側も、この場合の地方の側というのは東京都以外が多いんじゃないかと思うんでありますが、税源移譲の実現というものを優先する余り、国と地方の役割を一から見直し、明確にするという、本来不可欠な議論をなおざりにしてきたことにあると思われるわけであります。
 これからの腰の据わった議論を抜きにして、小手先の制度論あるいは財政論、そして地方分権を求めた、当然の帰結じゃないかというふうに私の率直な感想を申し上げます。
 三位一体の改革の結末を見た地方の側には、税源移譲の名をかりた補助金や交付税の削減がこれ以上行われることを、これは新聞の記事だけで判断するんですけれども、かなり恐れているような感じがいたしておりまして、さらなる税源移譲を国に求めることは得策ではないんじゃないかなという意見も非常にあるように感じられまして、目先の損得に目を奪われた本質を見誤った意見になりがちであります。
 さらなる地方分権推進には、その裏づけとなるさらなる税源移譲の実現が不可欠であるということは、繰り返し繰り返しでありますが、いうまでもありません。
 にもかかわりませず、今現在、国会で議論、審議されている地方分権改革推進法には、税源配分等の財政上の措置のあり方についての検討を行う、もう一遍いいますけれども、税源配分などの財政上の措置のあり方について検討を行うとは書かれているものの、税源移譲を行うということは、はっきりとは書かれておらないわけであります。
 そこで質問いたしますけれども、今後予定されている分権改革が、再度国の財政再建の手段とされるようなことのないよう東京都が全国の先頭に立ちまして、第二弾の税源移譲の実現に向けまして、第二弾目の積極的な働きかけを行うべきだと思いますけれども、最後に主税局長の見解を伺います。

○菅原主税局長 この国を、地域住民の方々の自己決定、そして自己責任の原理に基づきまして、個性豊かな活力のある分権型社会とすることで、地域に密着いたしました自治体が住民の方々の本当に求めるサービスを行うことを可能といたしまして、ひいては都民、そしてまた国民の方々の幸福を実現することが地方分権改革の真の目的でございます。
 このような真の地方分権の実現のためには、さらなる税源移譲による自主財源の充実が不可欠でございます。
 このため、都税制調査会をも活用いたしまして、国と地方の役割分担の明確化あるいは今後の地方税制のあり方につきまして、理論的な整理を行っていくとともに、第二弾の税源移譲の実現に向けまして、都議会あるいは都選出国会議員の皆様方のご協力も賜りまして、全国の自治体とも密接な連携を図り、その先頭に立って積極的な働きかけを行ってまいります。

○尾崎委員 私も、税源移譲の関連で何点か、かぶらないように質問をさせていただきたいと思います。
 この間の三位一体改革における税源移譲を初めとした一連の税制改正によって、都及び都民を取り巻く状況は大きく変化をしてきており、今後ともその動きは強まっていくものと予想されております。
 今回、これらの改正の影響と税務行政運営の面から、何点かご質問させていただきたいと思います。
 税源移譲を初めとした一連の地方税制の改正によって、個人住民税の税負担は大きく変化をするわけであります。国税庁では、税源移譲に伴い、平成十九年の一月から所得税が減税となり、同年六月から個人住民税が増税となりますが、納税者の負担合計額は同じとキャンペーンを行っております。
 しかし、同じ時期から定率減税の廃止などの影響が生じることにより、実際の税負担は明らかに増大すると考えております。また、この個人住民税が増税となる影響は、国民健康保険料などにもはね返ってまいります。このような影響が、税源移譲を初めとした個人住民税の改正で生じるわけでありますけれども、税源移譲による課税所得段階別及び全体の増収額を、都としてはどのように見込んでいるのか、お伺いをいたします。

○松田税制部長 所得税から個人住民税への税源移譲のために、十八年度税制改正におきまして、これまで課税所得金額の段階に応じて定められておりました個人住民税所得割の税率を、平成十九年度分以降一律一〇%、内訳としましては、道府県民税が四%、市町村民税が六%とすることとされております。
 この税源移譲による都税への影響額を十七年度の課税資料に基づき試算をいたしますと、平年度ベースで三千二十三億円の増となります。課税所得段階別で申し上げますと、課税所得七百万円以下の区分においては、二千百二十七億円の増、課税所得七百万円を超える区分においては、八百九十六億円の増と見込んでおります。

○尾崎委員 そうしますと、都にとっては三千億円を超える増収になるわけですけれども、これは個人の納税者にとって負担増とならないのか、また、負担増としないために、具体的にどのような措置をなされているのか、お伺いをいたします。

○松田税制部長 今回の税源移譲に当たりましては、税源移譲に伴い、個々の納税者の税負担が極力変わらないように配慮をした制度がつくられております。
 具体的には二点ございます。一点目は、所得税の税率設定でございまして、個人住民税の一〇%比例税率化に合わせ、課税所得金額に対して所得税と住民税を合計した税率が変わらないように所得税の税率を設定しております。
 二点目は、所得税と住民税とでは、例えば基礎控除額が三十八万円と三十三万円というように差があることから、この人的控除の差に基づく負担増を調整するため、住民税において減額措置を行うことでございます。
 これにより、すべての世帯構成において、人的控除額の差による負担増が生じないようになっております。

○尾崎委員 これは結果的に、今ご答弁があったとおりなのかもしれないんですけれども、都民の重税感というのは増大するわけであります。都民の都政に対する視線は、当然厳しいものとなります。このことは直ちに納税者の権利として、決して悪いことではありませんが、その際、税務行政遂行上の権利として、納税者の権利が制度的に担保、また保障をされている必要があると思っております。
 しかし、我が国では、平成十四年の通常国会に提出をされた日本版納税者権利憲章、国税通則法の一部改正案というものがあるんですけれども、これは審議をされることなく廃案になっていたり、また納税者の権利は現行国税通則法において、既に必要な範囲の手続が規定されており、行政の公正性と透明性が確保をされているとして、積極的な制定への萌芽はことごとく摘み取られてきたわけであります。
 現状で、国税においても、国税通則法を初めとして各種税法において法には規定をされているものの、納税者の一般的権利を明確に規定をしているものは存在しません。
 これに対して、欧米諸国を初め、諸外国では納税者保護の制度的導入が拡大をされているわけであります。特に、我が国では、源泉徴収制度という納税制度が当たり前だと考えられております。これは給与から税金が源泉をされ、会社が申告をしてくれるという非常にありがたい制度で、なじみがあるということでありますけれども、日本から外に出ると極めてまれな制度といわれております。
 世界を見たときに、納税者というのはタックスペイヤーでありますから、税金を払って国あるいは地方自治体を運営する費用を国民また都民一人一人が払っていると考えます。
 当然税金を払っているわけでありますから、それがどのように利用をされているのか、またどういうところに使われているのかということをチェックする義務あるいは権利が国民の側、また都民の側に保障をされているということであります。
 こうしたことから、我が国においても、納税者の権利を保障する制度を導入、拡大すべきと考えますが、東京都としてどうなのか、見解をお伺いさせていただきたいと思います。

○松田税制部長 税務行政の執行に当たりましては、法令に基づく適正、公正な賦課徴収を徹底するとともに、何よりも都民の信頼と理解を得ることが重要でございます。
 主税局は、都民の信頼と理解を確保し、納税者の立場に立った適正な事務運営を行うために、納税者の個々の状況に応じた適切な対応、親切できめ細かな対応、説明責任の徹底、個人情報等の適切な管理などを職員に対して常に周知徹底しているところでございます。
 今後とも、納税者の権利に留意した適切な事務運営を行うように努めてまいります。

○尾崎委員 これはもちろん、納税者の権利を守るためには、行政の説明責任が最も重要であると私は考えているんですけれども、税の仕組みは素人にはなかなかわかりづらいこともあり、説明不足から誤解を招くことがあるわけであります。
 これは私が聞いた例なんですけれども、国税と都税と両方滞納があったわけなんですが、国税当局と調整中に、都税事務所がその人の生命保険を差し押さえたという事案があったわけであります。
 当初は、督促状が出たら十日で差し押さえをしなくてはならないと徴収法で決まっているんですけれども、そうした説明しかなく、滞納者は相当ショックを受けたと聞いております。その後、生命保険を差し押さえたといっても、すぐに取り立てをするわけではなく、国税だけでなく、都税の納税計画もきちんとしてもらいたいということを説明され、納税の意思をきちんと形にして、後日この差し押さえは解除されたわけであります。
 もちろん、滞納者というのはいろんなケースがあると思います。非常に悪質なケースもあると思います。そうした悪質なケースについては、もちろん厳しく対応をしてもらいたいと思いますけれども、ある程度の誠意があるケース、こうしたケースについては十分な説明をした上で、相手の事情もよく聞いて、きめ細かい対応をしていただきたいと思います。
 これは一例で徴収の例をご紹介させていただいたんですけれども、課税段階においても同様に、行政としての説明責任をぜひ果たしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○橘委員 私の方からは、納税者に対する税務広報の取り組みについて伺います。
 主税局では、徴税や滞納整理のノウハウ向上などさまざまな工夫をしておりまして、本日付の一部新聞でも、二十日に行われる全国自治体の徴収サミットで、個人都民税の徴収率向上策、インターネット公売の取り組み、タイヤロックを活用した滞納整理など成果を上げている都の事例を紹介すると報道されておりました。
 こうした努力は、税の公平性から見ても大事な取り組みであり、そのことを税務広報などを通して納税者に知っていただくことが納税意識の浸透につながると思います。
 三位一体改革による住民税のフラット化など税制が大きく変わりつつある中で、引き続き都民の納税意識を堅持し、高めていくためには、納税者の理解を得るための税務広報が重要であることはいうまでもありません。
 そこで、主税局の納税者に対する広報の取り組みについて何点か伺います。
 現在、主税局が行っている都民の各種広報の実施状況について、初めにまず、改めて伺います。

○三橋総務部長 都税についての広報の実施状況についてでございますが、「ガイドブック都税」や「不動産と税金」、「あなたと都税」の発行やホームページ、またポスターを電車、バスに掲出することなどを通じまして、税の仕組みや納期の周知を図るなど都税に関する情報を都民の皆様方にご提供申し上げているところでございます。
 また、個々の納税者お一人お一人にお送りいたします納税通知書の封筒の印刷やチラシを同封することなどによりまして、周知を図っているところでございます。さらに、毎年五月にはキャンペーンを実施いたしているところでございます。
 こうしたさまざまな広報活動を展開することによりまして、局事業の周知に努めているところでございます。

○橘委員 例年、税制改正の時期になりますと、都民からかなりの問い合わせがあると聞いておりますけれども、特に来年度は税源移譲と定率減税などの影響によって相当の問い合わせが殺到するかと思いますし、またそれが現に想定されているわけであります。
 したがって、今後の広報活動の充実が大事になってくると思いますけれども、来年度に向けては区市町村とも連携して、広報をもっと強化していくべきではないかと私は思います。
 現実に、区市町村とは、都の職員の派遣による徴税ノウハウの提供であるとか、区市町村徴税部門職員の派遣研修生の受け入れなど、こういった形で都は区市町村と連携を強めているわけですから、広報の分野でも、今後の、先ほど申し上げましたような課題に向けた連携を強めていくべきだと考えますが、この点についての見解を伺います。

○三橋総務部長 副委員長お話しのとおり、税源移譲によりまして、来年一月には所得税が減額される一方で、六月にはその同額、住民税が増額となりますとともに、定率減税の廃止によりまして、個人住民税の負担は、ことしに比べまして大きく変動することになるわけでございます。
 このため、納税者の皆様が、地方分権の推進という観点から行われます税源移譲の趣旨や制度改正の内容等につきまして十分ご理解をいただいて、十分にご納得をした上で納付をいただけるように、課税団体でもございます区市町村とも緊密な連携を図りながら、ホームページやチラシによる情報提供や共同キャンペーンを実施するなどによりまして、周知に努めてまいりたいというふうに考えております。

○橘委員 主税局では、納税者からの相談につきまして、各都税事務所に広報担当を配置し、本庁にも専門相談員を置いて対応していると聞いております。
 こうしたサービスに関連して、ことしの第二回定例会の財政委員会で、我が党の高倉委員が、都税事務所の開庁時間以外でも納税者からの問い合わせに対応できるようなサービスを提供してはどうかと、こうした提案をいたしました。
 こういう納税サービスを工夫していくことが、これからは納税者に対する一つのサービスとして大事だと考えますけれども、今後の方針とか取り組み、そういったものがありましたら伺います。

○三橋総務部長 現在、自動車税につきましては、二十四時間体制で納付方法等につきまして、テレホンサービスによる対応を行っているところでございます。
 今後は、納税者からの問い合わせの多い納税証明あるいは課税証明に関すること、申告、納税期限に関すること等につきまして、開庁時間外でのお問い合わせにも対応できますように、納税者サービスの拡充を図りたいというふうに考えております。
 こうした新たな二十四時間体制のテレホンサービスを十九年四月から稼働する予定で、現在準備を進めているところでございます。

○橘委員 今答弁にございました二十四時間のテレホンサービスの提供、これは来年の四月から行うということで、提案を具体的な形にしていただいたことに感謝いたします。二十四時間サービスというのは納税者からの要望も多かっただけに喜ばれると思います。
 さまざまなサービスのこうした積み重ねが納税者の納得に結びつくと思いますので、今後も納税者意識、要望を常に敏感に把握し、的確なサービスを提供していただきたいと期待しております。
 最後に、社会保障関係の負担増が指摘される中で、税に対する納税者の関心は一段と高まると思います。税務広報を含めて、今後の納税者対応に関する主税局としての基本的な考え方について伺います。
 これをもって最後の質問とします。

○三橋総務部長 税務行政を円滑かつ適切に推進してまいりますためには、都民の皆様の深い理解とご協力、こういったものが必要不可欠でございます。これまでも一般会計歳入予算の七五%を占め、都政を支える重要な役割を果たしております都税につきまして、都民の方々、皆様方の一層の理解を深めていただくため、広報活動を展開してきたところでございます。
 今後とも、広報誌やホームページ等による広報活動の充実に加えまして、パブリシティーを活用するなどさまざまなツールを利用し、またあらゆる機会をとらえまして、創意工夫を重ねながら積極的な広報に努めてまいります。

○曽根委員 まず、いただいた資料についての確認をさせていただきますが、要求資料の第1号で、税制改正の個人都民税における影響額を出していただきました。
 これは国と東京都の間での税源移譲の額も入ったトータルの数字になっておりますが、納税をする都民の側から見て、個人都民税における課税額、税制改正によってどういう影響を受けたかという点で見ますと、税源移譲の分を除いた五百億円程度になるんでしょうか、この額が都民の納税における課税額の影響というふうに考えてよろしいでしょうか。

○松田税制部長 平成十五年度以降の個人住民税に係る主な税制改正の平年度ベースの影響額ということで申し上げます。
 資料にもございますが、平成十五年度の税制改正におきましては、配偶者特別控除の上乗せ分の廃止によりまして、六十六億円の増でございます。
 平成十六年度税制改正におきましては、公的年金等控除の縮減及び老年者控除の廃止により九十四億円の増となっております。平成十七年度の税制改正におきましては、六十五歳以上の者に係る非課税措置の廃止で十一億円の増でございます。
 また、平成十七年度、十八年度税制改正における定率減税の縮減及び廃止によりまして、三百五十四億円の増となっております。

○曽根委員 その部分の合計ということになりますと、三千五百四十八億円から三千二十三億円を引いた五百億円余りということですね。同時に、都民税とともに、個人住民税としては、区市町村民税を納めているということですから、都民が払う税金としては、むしろ区市町村民税の影響が大きい。昨年の事務事業質疑の際の部長さんのお答えを参考にして考えると、大体一千百億円以上、区市町村民税でこの五百億円に対応する増額影響が出る。合わせると、住民税全体で千六百億円の都民への影響ということになりますね。
 五百六十七万人が対象ですから、恐らく区市町村民税の対象も同じぐらいでしょうから、一人当たり三万円近く、年間の影響ということになります。
 こうした影響が国税の見直しに合わせて出てきているという中で、特に高齢者のところは厳しいわけです。何しろ年金収入という形で限られている方が大多数ですので。
 私ども、いろいろ調べてみると、今までは非課税だった方で、特に意識していなかったけれども、課税されてみると、障害者控除や医療費控除を受けられるんじゃないかと。それを受けることによって課税額が大幅に下がるということがあるし、課税額が下がれば国保料にもはね返る。大変な影響が出るということがわかってきて、障害者控除の対象の範囲はどこまでなのか、医療費控除はどこまでなのかということについて、非常に関心が高まっているわけです。
 例えば、障害者控除、手帳を持っている方は当然ですが、手帳を持っていなくても、介護保険を受けている方で、対象はどうなのか。特別障害者控除はどこからどこまでなのか、これは区市町村によってちょっと違いがあるんですけれども、かなりの対象者がいるわけですね。介護保険の対象ですから。それから、医療費控除についても、一般的には病院にかかったときの医療費というふうに考えがちですが、介護保険の利用料負担についても、医療費控除の対象になり得るという部分があって、これもかなり範囲が広がる可能性があるわけで、こうしたいわば納税者の納税義務と同時に、適切な控除はできる権利があるわけですから、きちんとその点について都民に知らせていく。先ほども広報の話がありましたが、これは区市町村だけではなく、都の責務としてもあるだろうというふうに思います。
 それともう一つ、新たな事態が生まれているので、ちょっとお聞きしておきたいんですが、今年度から老年者控除や公的年金控除が廃止されたことによって、住民税の課税ラインが下がって、今までも若干住民税の課税額の最低の額は国税よりも低かったんですけれども、全部均等割しかかからなかったので、控除の対象にはならなかった。
 しかし、今度は所得割もかかる人が出てくる。国税はゼロなんだけれども、所得割も含めて地方税だけかかってくるという方が出てきたということから、そういう方が控除の申請をしようとすると、今までは国税の事務所に行って、そこで申請をすれば連動して区市町村に連絡が来るということですよね。しかし、今度は区市町村の窓口に行かないと控除の申請ができない。しかし、区市町村の窓口には、今まで経験がほとんどないですから、対応がないという問題が起きているようなんです。
 その点について、そういう方が発生していると思うんですけれども、どれぐらいの規模なのか、主税局の方でわかりましたら、教えてください。

○松田税制部長 これまで六十五歳以上の方の非課税措置があったわけでございますが、これが廃止をされたことに伴いまして、住民税と所得税の人的控除額の差により、住民税は課税をされるが、所得税は課税をされない、こういう方が新たに発生することは、制度上当然にございます。
 しかしながら、その数を把握することは困難でございます。

○曽根委員 私どものところに北区民の方で相談があったので、私もわかったんですけれども、例えばこの方は、男性の世帯主で七十一歳の年金収入者で、総額で二百五十一万円の年金を受けているんですが、これまでは百四十万円の基礎控除がありましたので、非課税だったんですが、今度百二十万円しか引けませんので、所得割まで課税された。
 制度上は、ここで普通は終わるんですが、今まで非課税だったので、無職の子どもさんの扶養控除をしてなかった、奥さんの扶養控除だけだった。それで、いろいろ調べてみたら、娘さんが無職だということで、扶養控除ができるということで国税事務所に行ったら、うちは課税してませんから控除はできませんということで、区市町村、北区なので区の窓口に行ったら、初めてのケースなんですね、職員もわからない。マニュアルがないもんですからという事態になって、いろいろ調べながら、時間はかかったんですが、区が控除を受け付けた。こういう事態が、これから一定の数、人数はわからないようですけれども、必ず起きてきます。
 確かに、この方は均等割はとられちゃうんですね。均等割はなくならないんですが、その額そのものは、下がった額は、税額は少ないんですけれども、娘さんの国保料が月一万三千五百八十円払うことになっておりましたので、均等割になると四分の三減額になりますから、月に約一万円下がる。そうすると、年間十万円以上の国保料の減額になるわけです。
 そういう大きな影響が出るということで、ご本人は制度を知って大変喜んだわけですが、こういう問題について、今まではほとんどなかったんでしょうけれども、これからは地方税だけがかかる方に対して、控除だとかその範囲、対象、そういうものについて、きちんとした、少なくとも国税庁並みの説明は必要だろうし、主税局を含めて東京都のあらゆる広報の媒体、可能な方法を通じてきちっと伝えていく説明責任があるだろうと思いますが、いかがでしょうか。

○松田税制部長 納税者に対します住民税の説明につきましては、実際に住民税の賦課徴収事務を担う区市町村の役割が重要と考えますが、都といたしましても、税源移譲により住民税が大幅に改正されることも踏まえまして、広報誌やホームページによるPR等丁寧な広報活動を積極的に展開してまいりますとともに、職員が納税者の質問等に的確に答えられるように、研修などを行ってまいります。

○曽根委員 主税局の方でも、各事務所に都税のガイドブックを置いておられるようですし、東京都の広報などもありますので、ぜひこうしたものを活用して、特に納税時期などを中心に、こうした控除の仕組みについても、地方税だけで控除をする方が今後本格的にあらわれるということを踏まえて対応をお願いしたいと思います。
 次に、住民税のフラット化について、その影響についてお聞きしたいんですけれども、これまで五%課税だった方が一〇%課税になる。住民税の増税分については、所得税で相殺される。しかし、当然ながら住民税の増税に伴う国保料の変動については、まだ相殺措置がないということであります。
 二十三区などは、住民税連動で国保料を決めておりますので、極端にいえば、二倍に上がってしまう人が出てくるのじゃないかというふうに心配されておりますが、これについての主税局としては、国保料などへの連動という問題についてはどのようにとらえていますでしょうか。

○松田税制部長 理事ご指摘のとおり、税源移譲による個人住民税が増額となる場合におきましても、所得税における税率の措置等によりまして、個人住民税と所得税を合わせた税負担は基本的には変わらないこととなっております。
 個人住民税が増額となることに伴います国民健康保険料における影響額については把握をしておりませんが、国民健康保険制度においては、まず被保険者全体で負担をする保険料の総額が先に決まりまして、それに基づいて所得割の料率が定まるという形になっております。所得割の算定に住民税額を用いている場合でございましても、住民税額の増額により保険料負担全体が増大するということはないものというふうに考えます。

○曽根委員 一見聞くと影響がないように思うんですけれども、そういうことであれば、わざわざ二十三区の国保の課長会が国に激変緩和をお願いに行く必要はないわけなんですよ。確かに、区全体として見れば、保険料の収入額には、保険料率が変わるだけですから、必要以上のお金をもらう必要はないわけで、料率を変えればいい。
 ところが、年齢階層、収入階層別に見ると、でこぼこが出るわけですね。一番ひどい目に遭うのは高齢者のところで、高齢者のところには前からの定率減税の廃止とか年金控除の廃止の増税分については、国保料の相殺措置がとられていますけれども、フラット化による極端な影響が出る分については、国が制度を動かさない限りは、影響が出てしまう。増額が高齢者のところに出てくるということから、これは国にお願いして制度を変えないと、保険料率が中堅の年代の人たちは下がる一方で、高齢者のところにしわ寄せが来るという問題が起きているから、今国に要請している。しかし国は、そんなのは国保の料率の基礎を住民税に置いているあなた方が悪いんでしょうというふうな冷たい態度だそうですよ。
 したがって、これは区がかぶる方法すら国が協力してくれないとできないわけですから、ほうっておくと、高齢者のところに、場合によっては本当に二倍近い極端な影響が出る可能性があります。
 こういった問題も引き起こしているということを指摘しておかなきゃなりません。あとは主税局に申し上げてもしようがないことなので、対策を打たなければならないということを指摘しておきます。
 それから、私、フラット化による大きな意味での影響というふうに思うのは、累進課税がなくなるということですね。ほかの税金については、個人住民税以外は、累進課税はありませんので、固定資産税にしても法人税にしても、それから地方消費税にしても。そうすると、これをもって地方税全体に累進性がなくなるということになります。
 国の方は、これからはむしろそういう方向なんだというふうに考えているようですが、東京都として、これは地方税の望むべき方向だ、累進性をなくしていくんだということを適切な方向だというふうに考えているんでしょうか。

○松田税制部長 地方税は、地域における行政サービスの経費を地域住民が受益に応じて負担し合うという応益性を有し、また、地域間の偏在が少ないものであることが望ましいとされております。
 今回の税源移譲に伴う住民税フラット化は、応益性や偏在度の縮小の観点を踏まえて行われたものというふうに理解をしております。個人所得課税における所得再分配機能につきましては、所得税の税率構造を改めることにより引き続き維持をされております。

○曽根委員 これは適切な方向だと、地域の行政サービスをみんなで支える制度、税金の面でもそういうことが必要なんだというお話ですね。
 しかし、収入に応じた、所得に応じた税額という点では今も担保されているというお話でしたが、私、さらに危険だと思うのは、先ほども税源移譲のさらなる推進という話がありましたが、次の税源移譲は、例えば都税調なんかは、地方消費税の割合を二割から五割まで拡大するということをいわれているわけですが、東京都も当然その方向で検討されていると思いますが、いかがですか。

○松田税制部長 少子高齢化の進展に伴い、今後も地方自治体の財政需要の増加が見込まれるため、これに対応するとともに、地方分権改革を推進するため、さらなる税源移譲が不可欠でございます。今回、所得税から個人住民税への税源移譲は実現をしたところでございますので、今後は消費税から地方消費税への税源移譲が必要と考えております。

○曽根委員 そうしますと、もしこれが本当に行われるとするならば、地方財源の中での消費税の割合は当然高まりますよね、二倍以上になるわけですから、今の税率のままであっても。仮に、さらに今後消費税率が上がっていくというようなことがあれば、さらに地方財源のもとでの消費税の割合は高まっていくという方向なわけですよ。
 そうすると、消費税の所得階層別の負担率というのは、消費に係る税金ですから正確には出ませんが、先日、私、都税調に行ったときも、会長以下、逆進性があると、はっきりいって、消費税は。日本のように生活必需品、生鮮食料品まで含めて一律課税がされている場合には、明らかに所得の低い、つまり収入のほとんどを生活に使わなきゃ、消費に使わなければならない階層ほど税負担が高くなって、投資だとかに回せる高額所得者なんかは消費税率の負担は少なくなるということをみんな口をそろえて認めているように、これは逆進性が高い、そういう税金、税財源が地方の財源の中で大きく膨らんでくる。ますます累進性がなくなるどころか、逆に後退していくという方向になるんじゃないでしょうか。

○松田税制部長 地方消費税は地域における消費額に応じて税収が確保されるため、地方税の応益的な性格にふさわしいものでございます。逆進性の問題につきましては、消費税という一税目のみを取り上げて議論するべきものではございませんで、税制全体、さらには社会保障制度等の歳出面を含めた財政全体で判断をしていくことが必要であるというふうに考えております。

○曽根委員 消費税そのものの逆進性というのは、これは正確なデータをだれもまだ発表していませんが、先ほど私が申し上げたような点で、都税調でも共通の認識だと思いますが、都としてはいかがですか。

○松田税制部長 消費税自体の累進性、逆進性という問題についてはいろいろな議論があるかと思いますけれども、基本的に、先ほど申し上げましたように、税制全体あるいは社会保障制度等による給付、こういったものを含めた全体をもって逆進性があるかどうかという議論がなされるべきものというふうに考えております。

○曽根委員 なかなか認めないんだけれども、実態として明らかなんですよ、これは。
 消費税が財源としても大きくなる、しかも、累進性が残されていた個人住民税についてはフラット化される、つまり、少なくとも所得の額に応じた税額になり、さらには所得の少ない人ほど実質税負担が重くなっていく、税率負担がというような事態が進んでいくと、応益負担ということで地域の行政サービスを賄っていくという考え方に乗るならば、地方自治体が今後もさらに大きく担っていくであろう福祉関係の、または教育などの財政負担の財源の枠組みというのは、いわば累進性がなくなった分だけ、さらにはより所得の低い方に重くなっていくということになるわけです。
 これは単に庶民が大変苦しい思いをするというだけじゃなくて、福祉や社会保障という、これからどうしたって少子高齢化の中で大きくしていかざるを得ない部分がありますので、その財源の土台が細っていくということになるわけですよ。そういう点でも累進性を外すということについては我が党は厳しく批判をしてきましたし、この方向については許されないものだというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、最近、小泉首相がやめる間際に、歳出削減を徹底してやれば、どうしても社会保障など歳出が確保されなきゃならないものについては消費税などの増税をしてくれという声が国民から上がってくるだろうというふうなことまでいっているわけで、東京都が国に先駆けて、今福祉関係、歳出削減やってきましたので、次は増税という形で、結局は庶民に負担をかぶせていくという方向とも見事に合致しているといわざるを得ないわけです。こういう点は都民の立場からは許されないということもあわせて指摘をして、私の質問を終わります。

○村上委員 私の方からは、実は昨年、私も本委員会で、事務事業質疑の中で地方税の電子申告について取り上げさせていただきました。その後、一年が経過したわけですけれども、この間、国税の電子申告システムであるe-Taxの利用率が上がらない、そしてまた旅券の電子申請が運用停止になるなど、大変芳しくない話が聞こえてきています。
 そこで、昨年度に引き続き、地方税の電子申告システムであるeLTAXについて、今の普及状況、取り組み等についてお伺いをしていきたいと思っております。
 まず、昨年十月二十一日現在で法人二税の利用届は、法人が九百四十五件、税理士が百六十件と伺っておりましたけれども、現状はどういう状況になっているのか、お伺いしたいと思います。

○安田課税部長 平成十八年十月末現在の利用届数でございますが、法人が五千八百二十四件、税理士が四百五十八件でございます。これを都内法人数約五十九万社に対する割合で見ますと、約〇・九%となってございます。

○村上委員 実数では、今のお答えですと五千件近くふえている、こんなお話でしたけれども、利用率は都内法人約五十九万社に対して〇・九%、いまだ一%に満たない状況であるということですが、これは大変残念な結果だろう、そしてまた低水準であるといわざるを得ないと思います。
 昨年度の質疑の中で、利用率が上がらないのは、電子証明書や読み取り用のカードリーダーが必要であるが、その取得に時間と費用がかかること、また、eLTAX特有の事情として、市町村への導入が進んでいないというようなことから、郵送と電子申告の二度手間になるというような説明がありました。この一年間でこういった状況は改善をされてきたのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○安田課税部長 eLTAXにつきまして、昨年十月時点と比較いたしますと、まず、すべての都道府県、静岡市、堺市を除く政令指定都市で利用可能となったこと、また、電子証明書の発行機関が増加したこと、そういった改善がございました。
 しかしながら、納税者等からの要望が強い区市町村への利用拡大、電子署名を一部省略して利用を簡便にする、さらに税額控除等の優遇措置の実施、これらの点につきましては、いまだ実現に至っておりません。

○村上委員 e-Taxにも共通する課題として、利用手続が煩雑である、加えてeLTAXにおいては市町村への導入が進んでいないなど、利用率の向上を図ることは容易でないことは理解をいたします。こうした困難な環境の中で、都としてこの一年間、どのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○安田課税部長 電子申告の利用促進に向けまして、都としてさまざまなPRの取り組みを行ってまいりました。
 具体的には、地区税理士会や法人会を対象に説明会を実施するとともに、会報に利用のお願いを掲載していただきました。また、申告書送付用封筒へのPR記事の刷り込みや、申告書控えを郵送する際にチラシを同封する、あるいは職員が法人に訪問調査に伺った際には利用をお願いする、そういった取り組みも行っているところでございます。さらに、東京国税局、東京税理士会と定例の意見交換を実施しまして、利用拡大に向けた検討を重ねているところでございます。

○村上委員 利用PRに向けていろいろな取り組みをされているということではありますけれども、実際問題として利用率アップにつながっていないということを考えますと、引き続きこれはPRを再度お願いしていかなければいけない、このように思っております。
 また、税理士会ですとか、ついこの間ちょっとお話を聞いたら、法人会なんかの説明会で説明をしていただいたお話を伺いました。そうしますと、参加者の皆さんは、大変横文字が多く使われていてわかりにくいというような声を直接私も承りましたので、こういったことについても配慮していっていただきたいと思っております。
 先ほどのお話の中で、私の手元にも税理士会からの電子申告推進十の提言というようなものがございます。この中で四項目めに、代理人申請の電子署名のみで電子申告を可能とするようなことができるようにしてほしいというようなご要望が上がっております。そしてまた、先ほど利用者の声の三つの中の一つにも、この辺、簡略化をしていただきたいというような要望が上がっているというふうに承りました。こういったような制度を改善するというようなことについて、今後、都としてはどのような形で改善を図っていくのか、ご意見がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○安田課税部長 今理事のご指摘のPRの工夫については、十分参考にさせていただきまして、さらに工夫をさせていただきたいというふうに存じます。ありがとうございました。
 今後どのようにしていくのか、今後の改善ということでございますけれども、国におきましては、国税手続のオンライン利用促進に向けた取り組みの中で、平成二十二年度において国税関係手続のオンライン利用率を五〇%とする、こういった数値目標を設定するとともに、利用促進のための具体的措置として、税理士が申告書を代理送信する場合は納税者本人の電子署名を省略することができる、また、電子申告による場合には還付の処理期間を大幅に短縮するといったことを検討してございます。都としても、これらを踏まえて検討を進めていかなければならないというふうに考えております。

○村上委員 利用が進まないと、先ほどちょっと申し上げたように、旅券システムの例に見られるように、運用を中止したらどうかというような声が出てくることも予想されます。そうなると、既に投資しましたITインフラがむだになるばかりではなくて、時代の流れに逆行するものといわざるを得ないと思います。
 電子申告システムは、納税者の利便性を高めるとともに、行政にとっても事務の効率化に役立つものであると考えます。また、利用者のアンケートを拝見いたしますと、利用届を行っている人で今後も利用したいと思っている方は九四・五%、また、今後ぜひ利用したいと思っている方が六八・三%というようなデータも上がってきております。ぜひこれからもこういったような声を受けとめていただいて、早期に利用率を高めるように、国税とも協力をしながら、今まで以上の積極的な取り組みが求められると考えます。
 今後の取り組みについて、改めて局長からご決意をお伺いしたいと思います。

○菅原主税局長 村上理事ご指摘されましたように、電子申告、これは納税者の方々の利便性を高め、また、行政側にとりましても事務の効率化に資するものとして導入されたわけでございます。現在の状況といたしましては、スタートいたしましてまだ日も浅いということもございまして、利用率がまだ低いという状況にあるわけでございます。
 主税局といたしましては、これまでもPRに努めてまいりましたけれども、例えば、先ほど理事の方からもお話がありましたけれども、税理士会からの十の提言の中にも触れておりましたけれども、税理士の電子署名で申告が可能となるような制度面での改善、これを検討する時期に来ているのではないかというふうに考えているわけであります。
 いずれにいたしましても、今後とも、東京国税局、東京税理士会等の関係機関とも十分に連携を深めまして、利用促進に向けましてあらゆる手だてを講じてまいります。

○村上委員 先ほど、e-Taxの数値目標が五〇%というお話がありました。e-Taxの利用率が上がらないとeLTAXの利用率も上がらないということもありますので、ぜひ国税との連携を深めていただいて、できれば東京都の方から提言をしていただくような、そんなような形で早急に取り組むように要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 都は、多くの都民から税金という善意をいただいて都財政運営を行っております。現在は景気の動向から都税収入も伸びております。しかしながら、原油高、北東アジア情勢の緊迫化などリスク要因もあります。今後、景気の悪化につながり、都税収入が減少する可能性も否定できません。景気が悪化したとしても、安定した都税収入を確保しなければ公的サービスの維持ができません。
 都税収入の確保を図る一つの方法といたしまして、都税の滞納に対しての対応が挙げられます。まず、現状の把握をしたいと思いますが、現状では都税の滞納は金額で幾らになるのでしょうか。また、都税を滞納している人数は法人と個人合わせてどれくらいになるのか、お答えください。

○齊藤徴収部長 平成十七年度末における個人都民税を除いた都税の滞納状況で申し上げますと、滞納金額で約五百億円、滞納者数は法人、個人合わせまして十一万人余りでございます。

○佐藤委員 滞納者への対応としては、文書での催告の後、電話や自宅訪問による納税のお願いを行い、それでも反応のない悪質な滞納者に対しては、不動産、預貯金、売り掛け債権の差し押さえを行っているということであります。
 さらに、都税滞納者への捜索についてはテレビ報道でも取り上げられておりました。私もテレビニュースを見たことがありますが、その中で、捜査令状は必要ないというようなやりとりがありました。都の捜索であるという確認はどのように行っているのだろうかとも感じました。地方税の滞納者への捜索について、その意義と手続についてご説明をお願いします。

○齊藤徴収部長 捜索についてでございますが、捜索とは、滞納処分のため必要があるときに、財産の発見のために滞納者の自宅あるいは事務所を強制調査できるものでございます。刑事手続上の家宅捜索とは異なり、裁判所の関与は必要としないため、捜索令状は必要ありません。ただし、主税局では、捜索時のみならず自宅訪問の際にも、身分証明書として、必ず東京都都税滞納処分吏員証を提示することにしております。

○佐藤委員 映画の「マルサの女」などで国税の権限については広く認識されておりますが、地方税でも同様であるということをよく知らない方もいらっしゃると思いますので、説明をしていただきました。
 ところで、都は捜索をどの程度実施しているのか、お答えください。

○齊藤徴収部長 主税局では、再三の催告を無視するなど納税に誠意がない滞納者に対して捜索を実施し、財産の発見に努めているところでございます。
 実施回数ですが、平成十六年六月から十七年五月までの一年間で、徴収部において五十四回、都税事務所で十三回、合計六十七回の捜索を行っております。また、十七年六月からことし五月までの間では、徴収部で六十三回、都税事務所で百十一回、合計百七十四回実施をしております。

○佐藤委員 お答えを伺いますと、この間、捜索回数が特に都税事務所で相当増加していることがわかります。これはどのような理由によるものなのか、お答えください。

○齊藤徴収部長 主税局では、平成七年度以降、滞納整理の促進に特に力を入れておりまして、これまでさまざまな創意工夫を行ってまいりました。中でも、平成十六年度に全国に先駆けましてインターネット公売を開始したことによりまして、自動車あるいは動産の公売が従前よりも容易になったこともありまして、徴収部では、それら自動車や動産の差し押さえのために捜索に特に力を入れているということがございます。
 同様に、各都税事務所におきましても、インターネット公売を背景とした貴金属あるいは骨とう品等の財産発見のために捜索を積極的に活用するようになってきたわけでございます。

○佐藤委員 インターネット公売によって、公売しづらかった動産などが公売可能になったということが捜索の増加につながったとのことですが、捜索による成果について具体的に紹介していただいてもよろしいでしょうか。

○齊藤徴収部長 徴収部における一例を申し上げますと、本年七月に平成元年からの滞納について捜索を開始したところ、開始早々に滞納者が、まさかここまでするとは思わなかった、すぐ払うので待ってくれということで、約二千六百万円をその日のうちに支払った例がございます。
 また、ある都税事務所では、昨年十月に約一億五千万の滞納について法人の事務所四カ所について捜索を実施し、預金、株券、貸付金等を差し押さえましたところ、当初、毎月百万円ずつ支払うといっていたにもかかわらず、ことし三月までに全額を支払った例がございます。

○佐藤委員 先ほど申し上げた私が見ましたテレビのニュースでは、主税局の捜索チームとして、ベテラン、中堅、若手など九人が悪質な滞納者の自宅を捜索しておりました。税に関する仕事というものは、非常に多くの知識を求められるとともに、強制調査の権限行使である捜索を伴う悪質な滞納者の案件には、豊富な経験を必要といたします。今回取り上げたような悪質な滞納に対処する能力は、すぐに身につくものではないと思います。今後、きめ細やかな滞納整理を行うに当たり、それを支える人材の状況を教えてください。

○齊藤徴収部長 過去十年間にわたって積極的な滞納整理に努めてきた結果、滞納事案の数は大幅に減少してきたところでございます。
 ご案内のとおり、今後数年間は、これまで現場の最前線で活躍してきた、いわゆる団塊の世代を中心とした人材が退職年齢に差しかかっている時期でもあります。したがいまして、今後はさらに効率的かつきめ細やかな滞納整理に努めるとともに、徴収業務を円滑に進めていくために、ベテラン職員の知識あるいは経験、そういったものを組織としてしっかりと継承していきたい、このように考えております。

○佐藤委員 東京都としてきめ細やかな滞納整理を行うことについてはよくわかりました。
 ところで、来年から税源移譲が行われます。それによりまして、国税である所得税の負担分が区市町村の賦課徴収する住民税に移ることにもなります。その結果、住民税率が一律一〇%になるなど、区市町村の徴税事務の負担がこれまでよりもふえることが予想されます。個人都民税について区市町村とどのような連携をとっているのか、お答えください。

○齊藤徴収部長 主税局におきましては、区市町村が賦課徴収する個人都民税の徴収率向上のために、平成十六年度に徴収部内に課レベルの個人都民税対策室を設置いたしました。この中で、区市町村に対して都の滞納整理のノウハウを提供するとともに、区市町村から高額かつ困難な滞納案件を引き受けまして、都として捜索等の滞納整理に努めているところでございます。
 ご指摘のとおり、平成十九年度には税源移譲に伴う住民税率のフラット化を控えており、徴税事務の負担増が予想されます。したがいまして、都としてはこれまで以上にさまざまな形で区市町村との連携を強化してまいりたい、このように考えております。

○佐藤委員 都が地方自治体を支援するという取り組みは非常に高く評価できます。各区市町村には財政力の格差があり、また、人材不足に悩んでいる自治体もあるわけでありますから、ぜひ都の人材とノウハウを生かし、区市町村への協力をお願いいたします。
 今後、少子高齢化社会が本格化する中、政策目標の実現と規律ある財政運営の両立が求められております。景気変動の中でいかに安定した都税収入を確保し、健全な財政運営を行うかが重要になってまいります。多くの都民から税金という善意をいただいて都の運営を行っているという自覚を忘れることなく、引き続き公正かつきめ細やかな徴収活動に取り組んでいただきたいと思います。
 以上で私の質疑を終わります。

○酒井委員 私からは、耐震基準適合住宅にかかわる固定資産税の減額制度の周知活動についてお伺いをしたいと思います。
 新潟中越地震から早いもので二年がたちましたが、先日の報道では、甚大な被害をこうむった旧山古志村の小中学校がようやく新校舎での授業を再開したという報道がございました。このように、一たび大地震が起これば、復興への道のりといったものは大変長く険しいものだということを改めて感じさせるニュースでもございました。この首都東京においても直下型地震の発生が予測される中、住宅の耐震化は地震防災上の重要課題であると思います。
 ところで、過去、都議会民主党としてもその必要性を主張してきましたけれども、平成十八年度税制改正において、既存住宅の耐震改修を税制上で促進するべく、耐震改修促進税制が創設され、その中で住宅耐震改修に伴う固定資産税の軽減制度が設けられました。この軽減制度は都民にとって有益であり、住宅の耐震化を促進する上でもインセンティブの一つになると考えています。しかし、都民が制度自体を知らなければ、活用されることがないまま終わってしまうおそれもあります。
 そこで、制度の周知に関して何点かお伺いをいたしたいと思います。
 まず、基本的なことではありますけれども、制度の内容や減額の要件はどのようなものなのか、お伺いをいたします。

○吉田資産税部長 減額適用の要件でございますが、耐震減額措置の対象となる家屋は、昭和五十七年一月一日以前に建築され、平成十八年一月一日から平成二十七年十二月三十一日までの十年間に、現行の耐震基準に適合させるよう改修工事をした住宅でございます。減額の適用期間は、工事期間、工事完了時期に応じて最長三年間となっておりまして、住宅一戸あたり百二十平方メートル相当までの固定資産税が二分の一に減額されるものでございます。
 減額の適用要件といたしましては、居住部分の割合が二分の一以上であること、また、耐震改修費用が一戸当たり三十万円以上であることとなっております。
 また、手続上の要件でございますが、建築士や区役所等が発行する現行の耐震基準に適合した工事であることの証明書を添えまして、原則として改修工事終了後三カ月以内に、所管する都税事務所に固定資産税減額申告書をご提出いただくことが要件となってございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁により、制度の内容や減額の要件等についてはわかりました。
 次に、これまでに実際に都税事務所で受け付けた減額申請は何件くらいあったのか、お伺いをしたいと思います。

○吉田資産税部長 平成十八年十月二十日時点におきまして、都税事務所全体で百四十七件の申請をいただいております。申請があったうち、百四十三件、割合にいたしまして九七・三%でございますが、これが木造住宅でございます。
 申請をいただいたものにつきまして、要件を満たしていなかった一件を除きまして、平成十九年度から減額を適用することとなります。

○酒井委員 ただいまのご答弁によると、十月二十日時点で百四十七件の申請を受けているということで、現実にまだ制度が導入されてから半年しかたっていないということがあるわけですけれども、数字だけを見ると、まだまだ利用実態が少ないようでございます。
 実際に耐震工事といったものを行ったとしても、制度を知らなければ活用されることがないということで、これまで都民に対する制度周知の広報活動についてはどのように行ってきたのか、お伺いをしたいと思います。

○吉田資産税部長 今年度に入り、納税通知書に同封するチラシによりまして、全納税者の方々に制度の周知を行いました。また、都の主要な広報媒体である「広報東京都」や主税局ホームページ及び主税局の広報紙である「あなたと都税」等を活用いたしましてPRを実施してきたところでございます。さらに、各都税事務所の窓口におきまして、来庁者の方々にチラシを配布して周知活動に努めております。
 さらに、それに加えまして、イベントを通じたPR活動としては、東京都総務局主催の防災展及び東京都・足立区合同総合防災訓練に主税局として初めて参加いたしまして、防災イベントでの広報活動に取り組みました。また、社団法人東京都建築士事務所協会主催の建築ふれあいフェア二〇〇六にも参加いたしまして制度の周知に努めてまいりました。

○酒井委員 現状の取り組みについてはわかりました。
 住宅の耐震化促進を後押しする上で、この減額制度の周知活動については、例えば申請漏れといったものを防止するためには、実際に工事を行う工事業者への周知が必要であると思いますし、また、本来の目的である耐震化の促進を図るのであれば、より多くの都民の方々が目を通す機会が多い、例えば区報等への掲載も必要ではないかと思います。主税局としては、今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

○吉田資産税部長 委員ご指摘のとおり、制度を利用する立場の都民の皆様に対する広報だけでなく、耐震改修工事基準にかかわる事業者への制度の周知も重要だと認識しております。事業者への周知活動といたしましては、都市整備局と連携し、建築士の団体や工事施工業者の団体に対する説明会におきまして、減額制度の周知と協力を依頼しているところでございます。
 また、住民の皆様により近いところでの周知活動といたしまして、各区役所の窓口に制度周知のチラシを置かせていただくとともに、区報への掲載の働きかけも行ってまいりました。
 今後も、都内二十三区、関係各局、関連団体との連携をさらに強化し、引き続き制度の周知を図ってまいります。

○酒井委員 ぜひとも今後、この周知活動といったものに努めていっていただきたいと思います。
 では最後に、三多摩都民への対応について伺いたいと思います。
 本制度は税法の改正によるもので、これは二十三区の都民だけではなく三多摩の都民も対象になるものです。しかし、固定資産税にかかわることなので、周知を含むその対応については、原則としてそれぞれの市町村単位での対応になるわけですが、同じ都民として、三多摩都民もこの制度をひとしく利用できるようにしなければならないと思います。
 しかしながら、現実にはその対応について濃淡があり、例えば市のホームページ一つとってみても、三多摩の主要市である八王子市と府中市ではそのホームページの中で案内をしているものの、私の地元でもございます立川市や、また武蔵野市では案内をしていないというようなことも見受けられます。
 都の周知活動の一環として、三多摩都民への周知についてどのように取り組むのかお伺いをして、質問を終わりにしたいと思います。

○吉田資産税部長 都内の多摩地域におきましては、市町村が固定資産税を課税することから、各市町村でも住民に対する制度の広報活動に取り組んでいると聞き及んでおります。
 しかし、都といたしましては、多摩地域の住民の方々への周知も視野に入れ、これまでにも増して各市町村及び関係各局等との連携を深めながら、より多くの都民の皆様に本制度の活用をしていただけるよう、今後ともあらゆる機会をとらえて広報活動に努めてまいります。

○山田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十五分散会

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