委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 東村 邦浩君 |
副委員長 | 大沢 昇君 |
理事 | 鈴木 隆道君 |
理事 | 村上 英子君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
伊沢けい子君 | |
高倉 良生君 | |
佐藤 広典君 | |
吉田康一郎君 | |
神林 茂君 | |
門脇ふみよし君 | |
桜井 武君 | |
大西 英男君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 谷川 健次君 |
経理部長 | 臼井 勇君 | |
契約調整担当部長 | 山本 憲一君 | |
主計部長 | 安藤 立美君 | |
財産運用部長 | 泉本 和秀君 | |
調整担当部長 | 塚本 直之君 | |
特命担当部長 | 三津山喜久雄君 | |
建築保全部長 | 南部 敏一君 | |
参事 | 吉田 長生君 | |
参事 | 松村 進君 | |
主税局 | 局長 | 菅原 秀夫君 |
総務部長 | 三橋 昇君 | |
税制部長 | 川村 栄一君 | |
税制調査担当部長 | 宮下 茂君 | |
参事 | 橋本 隆之君 | |
課税部長 | 松田 曉史君 | |
資産税部長 | 安田 準一君 | |
徴収部長 | 吉田 裕計君 | |
特別滞納整理担当部長 | 齊藤 吉民君 | |
出納長室 | 出納長 | 幸田 昭一君 |
副出納長 | 島田幸太郎君 | |
副出納長 | 牛山 幸彦君 | |
参事 | 細野 友希君 |
本日の会議に付した事件
出納長室関係
報告事項(質疑)
・平成十七年度資金管理実績(年間及び第四・四半期)について
・平成十八年度資金管理計画について
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十八号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 都立町田高等学校(H十八)改築及び改修工事請負契約
・第百六十八号議案 警視庁大崎警察署庁舎(H十八)改築工事請負契約
・第百六十九号議案 平成十八年度東京港臨海道路(Ⅱ期)南北水路横断橋(仮称)鋼けた製作・架設工事請負契約
・第百七十号議案 都有地の不法占拠者に対する工作物収去土地明渡等請求訴訟事件に関する和解について
○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、出納長室関係の報告事項に対する質疑及び主税局、財務局関係の付託議案の審査を行います。
なお、付託議案のうち、第百六十七号議案から第百六十九号議案までの契約案件につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより出納長室関係に入ります。
報告事項、平成十七年度資金管理実績(年間及び第四・四半期)について及び平成十八年度資金管理計画についてを一括して議題といたします。
本件は既に説明を聴取しておりますので、これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で出納長室関係を終わります。
○山加委員長 これより主税局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百四十八号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○川村税制部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきまして、ご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。
初めに、要求資料第1号、平成十八年度税制改正による都税への影響額でございます。
この表は、平成十八年度税制改正による都税への影響額を各税目ごとにお示ししたものであり、ご参考までに納税義務者数等をあわせてお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、平成十一年度の恒久的な減税に伴う法人二税の減収見込額でございます。
この表は、平成十一年度に実施されました恒久的な減税に伴う影響額を、法人事業税等の税率が本則化されるまでの各年度ごとにお示ししたものでございます。
最後に、三ページの要求資料第3号、平成十八年度税制改正における個人住民税の改正に伴い負担額が変動する主な公租公課でございます。
この表は、平成十八年度税制改正により個人住民税額等が変動することに伴い、公租公課の負担額が変動する主なものをお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山加委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○神林委員 きょうは大分時間が押しているようですから、コンパクトに質問したいと思いますので、答弁の方もよろしくお願いいたします。
一昨日、我が党の吉野総務会長の代表質問でも質問いたしましたけれども、駅ナカビジネスについての固定資産税について何点か伺います。
新聞等で駅ナカビジネスとして報じられているように、近年、あいたスペースに有名ブランド店の店舗を進出させるなど、鉄道施設の商業利用が大きく広がっています。都内の主要駅では特にこの傾向が著しく、石原知事も駅の中に新しいまちができたようだとコメントしておられますが、私も地元の品川駅などを見ますと、同じ感想を持ちます。
しかしながら、一方で、こうした駅などの敷地に係る固定資産税の評価は駅周辺の宅地に比べ相当に低く、負担の公平上問題があるとも伝えられており、一昨日の我が党の代表質問で、吉野総務会長からその是正について質問をしたところです。本日は代表質問を踏まえ、是正措置の詳細についてお尋ねいたします。
そこでまずお伺いいたしますが、二十三区内の主要駅につきまして、駅舎の敷地と周辺の宅地を比べた場合、固定資産税の評価にどれくらいの差があるのかお示しください。
○安田資産税部長 線路敷や駅舎敷地等の鉄軌道用地は、固定資産評価基準に基づきまして、当該鉄軌道用地に沿接する土地の三分の一に相当する価額で評価するものとされております。特別区の区域では、区別鉄道路線別に沿接する路線価を加重平均し、その三分の一を鉄軌道用地の単価として適用しております。そのため、駅正面の路線価と、鉄軌道用地として評価されております当該駅舎敷地の一平方メートル当たりの評価額を比較しますと、三倍以上、場所によっては十二から十五倍と、大きな格差を生じております。
○神林委員 私ども、今まで新聞報道されるまでは余りこういうことはよくわからなかったんですけれども、十二から十五倍なんてしますと、本当にすごい格差があるものだなということで、これだけで、負担の格差の上で駅ナカビジネスがこういう部分で成り立っているとすれば、やはり駅周辺の商店街などとの間での公平性を欠くものと私どもは判断しております。
主税局では今後見直しを行う予定と聞いておりますけれども、その点に関しまして、報道によると、先般、総務省の外郭団体が鉄道用地の評価方法について研究会を発足させたと伝えられておりますが、この研究会の性格、目的をお聞かせください。
○安田資産税部長 ご指摘の研究会でございますが、東京都の問題提起を受けまして、国としても全国的な課題であるとの認識から発足させたものであり、学識経験者、鉄道事業者代表及び地方自治体を代表いたしまして都と大阪市、さらにオブザーバーとして総務省が参加しております。
研究会の目的は、駅ナカ事業の拡大やこれに対する負担の公平を求める要望などを背景に、鉄軌道用地について、より現況に見合った評価方法となるよう調査研究を行うというものでございまして、都の見直しを契機に、国が鉄軌道用地の評価見直しに動き出したものと考えております。
○神林委員 ただいまご説明いただいた研究会の場で、これから当然検討されることだと思いますけれども、現在、主税局で考えておられる評価見直しの内容はどのようなものなのかお尋ねいたします。
○安田資産税部長 現在、主税局で考えております評価見直しの内容についてのお尋ねでございますが、店舗等商業施設のある駅舎の敷地につきまして、税負担の公平の観点から、付近の土地と均衡のとれた評価に改めていこうとするものでございます。
具体的には、まず、駅舎の中で商業施設の面積が全体の床面積の二割、これを超えている場合に、固定資産評価基準に基づきまして、駅舎敷地の地目を宅地に変更いたします。次いで、当該宅地の評価に当たりましては、駅舎内で鉄道用施設に使用されております、そういった部分の割合に応じまして、一〇%から六〇%の減価補正を行うものでございます。このことによりまして、駅前の商業地と、そして商業施設を有する駅舎用地の税負担の公平が図られるものと考えております。
○神林委員 今お答えをお聞きしまして、我が党でも前々から主張してきたことでございますけれども、主税局の見直しの内容は、鉄道施設本来の用途の部分も考慮した妥当なものと考えております。ぜひ研究会の場でも、そのことを強く主張していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ただ、ちょっと今お聞きしていまして、単に商業施設の面積割合だけということになりますと、実際にそぐわない、例えば小さな駅までも一律に宅地並み課税の対象となることも想定の中では考えられるわけですから、例えば商業施設が駅の機能を補完するものなのかどうなのかと。ですから、施設の性格も加味していただきたい。例えばキヨスクみたいなものなんか、補完するものでございますので、こうしたことも、今後ご検討の中に入れていただければと思います。
次に、鉄道の高架下の取り扱いについて伺います。
今回、鉄道の高架下も評価の見直しをするとのことですが、どのような内容になるのでしょうか、教えてください。
○安田資産税部長 鉄道の高架下の土地につきましては、現在、利用状況のいかんにかかわらず、鉄軌道用地として評価、課税しておりますが、店舗あるいは倉庫、駐車場など、鉄道運送の用途以外に積極的に利用している場合は、今後は宅地として評価、課税するものでございます。
なお、高架下の土地は利用上の制約があるといったことに着目いたしまして、評価に当たりましては、高架下の部分の面積が当該土地の全体面積に占める割合に応じまして減額補正することといたしました。これにより負担の均衡を図ってまいりたいと存じます。
○神林委員 高架下も鉄道運送以外の用途に利用している場合は宅地として課税するということですけれども、これはかねてからちょっとおかしいなと私も強く思っていた部分でございますけれども、鉄道の高架下を区の自転車駐車場のような公共目的に使っている場合、今まで当然課税されていたわけでございますが、これはやはり実態に見合ったという部分も含めまして、ぜひとも今後は非課税扱いの取り扱いにしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○安田資産税部長 委員ご指摘のとおり、現在は鉄道の高架下が公共目的に使われている場合であっても、鉄軌道用地として課税しております。今後は宅地とするわけでございますので、高架下の土地につきましては、鉄道事業者と区などとの間で無償の使用契約が結ばれ、かつ区営の自転車駐車場など、公共目的に使用されている場合は、ご指摘のとおり、その用途に応じまして非課税等の取り扱いをする所存でございます。
○神林委員 大変うれしいご答弁をいただきまして、ありがとうございます。これから高架がたくさんあったりする中で、どうしても一つの障害になっている部分でもあり得ますので、ぜひこの部分については積極的に取り組んでいただいて、さらに駅前の自転車駐輪場がふえるようにお力添えいただければと思いますので、お願いいたします。
ご説明を聞きまして、鉄軌道本来の用途や公共目的に使われている部分については十分に配慮した上で、税負担の不均衡を是正していこうという主税局の方針には、我が党は大賛成でございます。早急な見直しをお願いしたいと思います。当然、私どもも積極的に応援をさせていただきたいと思います。
さて、この鉄軌道用地の評価などの是正については、地域の商店街を抱える商工団体から要望が出されたわけでございますね。この問題の根本的な解決ということを考えますと、単に税制上の問題だけじゃなくて、例えば駅ナカビジネスが商店街に加盟したりだとか、あるいは店舗の業種調整をしたり、情報交換をするとか、駅ナカ商店街との連携を初めとした、包括的にまちづくりの視点というものが必要な気がいたします。直接主税局の所管でないことは重々承知でございますけれども、産業労働局、都市整備局など、関係局と連携した取り組みもお願いしたいと思うわけでございます。
そこで、急ピッチで質問をいたしましたけれども、こうした視点を踏まえて、鉄軌道用地の早急な評価、課税の是正へ向けた主税局長の決意なり見解なりをお伺いして、私の質問を終わります。
○菅原主税局長 税務行政におきましては、何といいましても税負担の公平の確保、これが極めて重要でございます。このような考え方から、鉄軌道用地に係る固定資産税の評価、課税につきましては、現在、駅舎とそして周辺宅地との間に大きな格差がございまして、見直しを行うこととしたものでございます。こうした都の見直しに対しまして、地域の商店街の皆様方からも、まちづくり並びに公平性確保の視点からも強いご要望をいただいたところでございます。
いずれにいたしましても、こうした地域の皆様方の切実な声も踏まえまして、早期に見直しを行っていきたい、かように思っております。
○門脇委員 議案第百四十八号に関連をいたしまして、いわゆる駅ナカの固定資産評価額の見直しについて、その対象を主にJR東日本を中心として何点かお尋ねします。今、私の大学の先輩であります神林さんからいろいろお話がございましたので、重複を避けて簡潔にお聞きをしてまいります。
ここ数年、都内のJRのターミナル駅を中心として、いわゆる駅ナカ店舗と呼ばれているものが増加をいたしております。改札口の中の飲食店あるいは衣料品店、書店、大型ドラッグストアなどですけれども、品川駅や大宮駅のエキュート、あるいは上野駅のディラなど、ショッピングモールのようになっている場所もあります。
私も先日、新潟出張とそれから静岡出張の帰京の際に、この両方の駅のエキュートを見ましたけれども、本当にびっくりいたしました。これはもう先ほど申しましたように、一つのショッピングモールであります。どの施設も大変順調に売り上げも伸ばしているようでありますし、最近では入場券をわざわざ購入して、そして駅の中に入って買い物をして、あるいは飲食して、また改札口から出てくる、そういう方もふえているようであります。
そこで、既に鉄道用地に対する固定資産税の評価額を見直す方針を固めていらっしゃいます。一部重複するかもしれませんけれども、改めて簡潔に、どのような見直しなのかお伺いをいたします。
○安田資産税部長 委員ご指摘のように、近年、一部の駅舎の構内には大規模な商業施設が設置され、また、鉄道の高架下につきましても店舗等に利用されるなど、鉄軌道用地の複合的利用が進んでおります。このため、その周囲の土地との間で固定資産税の負担に著しい不均衡が生じておるところでございます。
都といたしましては、こうした状況を踏まえ、相当程度の商業施設などを併設する駅舎の敷地、あるいは店舗等に利用されております高架下の土地につきましては、近隣の税負担との公平性を確保するため、評価の見直しを行うこととしたものでございます。
○門脇委員 基本的な考えは理解をいたしました。JR東日本も完全民間会社になりましたし、そのこと自体は大変大いに結構なことですけれども、問題は駅ナカスペースの固定資産税が、今の答弁にもありましたように、大幅に軽減されていることであります。今までは、公共性の極めて高い鉄道用地でしたから、ありていにいえば税金を安くしてきたわけであります。そして今回、東京都ではその見直しを行うことにしたわけですね。テナントの賃料アップや商品価格への上乗せといったことも今後考えられると思いますけれども、ただ、この軽減措置というのは申し上げるまでもなく全国一律でありますから、東京都が今回の施策を実行すれば、その波及効果というものも大変大きくなると思います。
そうした考え方に基づいて、既に各鉄道会社に詳細な説明を行っていると聞いておりますけれども、現在どのような状況なのかお伺いをいたします。
○安田資産税部長 昨年の三月より、納税者である各鉄道事業者に対する説明責任を果たすため、見直しの具体的な考え方につきまして理解を求めました。早期の実施に向け、鋭意努力してきたところでございます。
現在までに既に多くの鉄道事業者からはご理解をいただいておりますが、引き続き説明責任を果たすべく努力しているところでございます。
○門脇委員 やはりこういった問題はそうだと思うんですけれども、かつてのホテル税のときなんかもそうでしたけれども、どのくらいの額の増収になるかというのは私たちも都民も大変関心のあるところは当然なんですけれども、この見直しを実現することによる増収は、報道によると数億円から十数億円というようにいわれております。
また、国もこうした都の取り組みにより、ようやく重い腰を上げまして、先ほどの質問にもありましたけれども、この問題に対する研究会を発足させたということであります。この研究会は都ももちろん参加をしているわけですけれども、今後の取り組みをどのようにしていくのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○安田資産税部長 ご指摘の研究会は、先ほどお答え申し上げましたが、都の問題提起を受けまして、国としても全国的な課題である、そういった認識をいたしまして、鉄軌道用地につきまして、より適切な評価になるよう調査研究を行うということで設置されたものでございます。
現在の駅舎等の変化の状況にかんがみまして、全国的視点から評価方法の見直しにつきまして幅広く検討されることになると思いますが、都の考え方がこの研究会の検討に反映されるよう強く働きかけてまいる所存でございます。
○門脇委員 この研究会には、地方自治体としては東京都と、それから大阪府の大阪市が参加をしておりますけれども、今回の見直しというのは、当然、固定資産税ですから、東京でいえば二十三区の駅大型商業施設が対象ではありますけれども、二十三区以外でも、例えば立川市とかそれから八王子市とか、そういったところも大変注目していると思います。ご承知だと思うんですけれども、来年、立川駅には、先ほど申しました品川駅や大宮駅にあるエキュートがオープンをする予定であります。また、JR東日本だけではなくて、ターミナル駅を抱える多くの自治体がこのことについて関心を持っていることも間違いがないと思います。逆にいえば、JR東日本だけではなくて、JR西日本やあるいは東海も決して他人事ではない、そのように見ていると思います。答弁のとおり、ぜひ都の考え方が研究会に反映をされるように努力していただくことをお願いいたします。
また、一昨日の代表質問にもありましたけれども、見直しの実施時期についてはいつごろ予定しているのか、改めてお伺いをしておきます。
○安田資産税部長 現在、既に各鉄道事業者から提供されました資料を精査しておるところでございますが、今後提供される資料も含めまして早期に精査を終えまして、年内には見直しを実施したいと考えております。
○門脇委員 私は、今回の見直しは、決して取りやすいところから税金を取るという発想ではないと考えております。一昔前までは駅構内には売店と立ち食いそば屋さん程度しかありませんでした。今まで申し上げたこと、現状を素直に考えれば、増税というより、通常の課税に戻すことについて、私たちも全く異論はありません。
ちょっと余談になりますけれども、この委員会の皆さんの選挙区の中をJRが走っている地域選出の方の認識は同様だと思いますけれども、例えば放置自転車の対策へのJR東日本の協力は極めて消極的であります。私も区議会議員を長くやっておりましたけれども、そういうことを常に感じておりました。
また、冒頭申し上げましたとおり、これはほうっておくと、入場券の話をしましたけれども、このまま放置すると、デパートの駐車場ではないんですけれども、例えば駅ナカで三千円買い物をしたり、あるいは飲食をしたりしたら、入場券代を払い戻すとか、あるいは五千円以上食べたり買ったりしたら、入場券三枚プレゼントしますと、JR東日本はやりかねないですよ、こういうことを。
余り申し上げたくないことでありますけれども、今後の東京都の対応によっては訴訟も辞さずと考えているJR幹部もどうもいるようであります。今回の都の見直しには難色を示しているようでありますけれども、やはり税にあっては毅然とした対応が求められる面もあると思います。これはとても重要なことであります。鉄道会社の理解が残念ながら最終的に得られない場合でも、税負担の公平を保つため、行政の責任で実施をする必要があると思います。
最後に、この問題に取り組む四割バッターである主税局長の決意を伺って、私の質問を終わります。
○菅原主税局長 税務行政におきましては、税負担の公平もさることながら、やはり適正かつ公平な執行、これが極めて重要でございまして、唯一の歳入所管局といたしまして、法令にのっとり厳正に職務を遂行していくのはもとより当然のことでございます。各鉄道事業者にありましても、都の税負担の公平性の確保という考え方を必ずやご理解いただけるものと確信しておりまして、早期の実施に向けまして、さらに全力で取り組んでまいります。
○東村委員 それでは、第百四十八号議案、都税条例の一部を改正する条例に関連する質疑を行いたいと思います。
その中の法人事業税について、今回、恒久的な減税の一環として措置された税率を軽減する特別措置を本則化するという、こういう改正がなされるわけでございますが、この中身は、皆さん読まれた人は多分余りいないと思うんですけれども、かなり細かく分けられておりまして、例えば法人でも、二十五条一項一号イに掲げる法人から、特別法人、そしてその他の法人と分かれておりまして、一般的にはその他の法人というのが大部分だと思うんですけれども、このその他の法人の中でも、四百万円以下は五・六%から五%に、それから四百万円超から八百万円までは八・四%から七・三%に、八百万円超は一一%から九・六%に、これは恒久的減税されていて、しかも、今回これが本則化される。低い税率で下げられた分を本則化するという、非常に法人にとっては大変ありがたい話なんですけれども、そこで、これはご存じの方もいるかもしれませんが、改めてこの特別措置ですね、これを本則制度とした経緯、これについて説明をしていただければと思います。
○川村税制部長 平成十一年度に導入されました法人に対する恒久的な減税は、我が国の企業が国際競争力を十分発揮できるようにするとの観点から、将来の税制の抜本的改革を一部先取りするものとして、法人事業税の基本税率を一一%から九・六%に引き下げるなどの税率の特例措置が講ぜられたものでございます。
地方法人課税におきましては、平成十五年度の税制改正における外形標準課税の導入等の抜本的改革が既に行われておりますが、このたび個人住民税における抜本的改革として税源移譲が実現することに伴いまして、法人事業税率の特例について本則化することとされたものでございます。
○東村委員 今、経緯についてご説明ありましたけれども、恐らく聞いている人の大部分が、何いっているかよくわからなかったと思うんですね。恐らくこれは相当こじつけた、国の理由だと思います。本音は、前段で述べた国際競争力、ここに本音があるんだろうと。ただ、これは全面的に出せないから、このような理屈をつけて本則化する、こういう話だと思うんですね。
そこで、今回、先ほどこの要求資料第2号でも明らかになりました、平成十八年度法人二税で二千七百八十六億円、これが全体で、法人二税で減収になると。そこでもう少し詳しく、法人事業税がどれだけ減収になるのか、そして法人住民税がそれに連動してどれだけ減収になるのか、この辺のところを明らかにしてもらいたいと思います。
○川村税制部長 今回本則化されます法人事業税率の軽減措置による都の減収額につきまして、平成十八年度予算ベースで申し上げますと、千六百億円の減と見込まれます。なお、法人住民税につきましては、法人税の基本税率の引き下げに伴いまして、千百八十六億円の減となり、法人二税の計で二千七百八十六億円の減と見込まれております。
○東村委員 ところで、この恒久的な減税に対しては、地方自治体の負担を軽減するという意味で、平成十一年度から地方特例交付金というのが制度としてそれぞれ、交付団体、不交付団体、関係なく支給されるようになっている。
この地方特例交付金というのは、ご存じの方もいるかもしれませんが、一市長が国に乗り込んでいって、この制度を何とかつくれといってやってきたんですね。八王子市の前の市長ですが、波多野さんという市長でございまして、この市長が国に乗り込んでいって、不交付団体であれば何のメリットもない、せめて恒久的減税した場合には、こういったところに交付金みたいなものがあってもいいんじゃないかということで、一市長が国に乗り込んでいって、国の政治家を動かして、この地方特例交付金という制度をつくったんです。これは私はすばらしいことだと思いました。それで今、東京都もこの恩恵を受けているわけなんですけれども、この地方特例交付金、これが今回本則制度となると、支給がなくなってしまうわけなんですね。この個人住民税の定率減税の復元という、こういうこともありました。この増収もあるんですけれども、その地方特例交付金の廃止による都の歳入への影響額、今回の本則化による影響額、これをまず明らかにしていただきたいと思います。
○川村税制部長 恒久的な減税に対する補てん措置についてでございますが、借入金であります減税補てん債を除きまして、国たばこ税から地方たばこ税への税源移譲及び地方特例交付金の交付による補てん措置がございます。このうち、地方特例交付金につきましては、法人事業税率の本則化に伴い経過措置を講じた上で廃止することとされておりまして、この影響額は平年度ベースで約一千四百億円の減と見込まれます。
○東村委員 本則化になるだけで二千七百八十六億。平年度ベースで、この特例交付金がなくなるだけで一千四百億。東京都にとっては実質的な税収減になるわけなんですね。これはかなり大きな額でありまして、単なる税収--特例交付金は税収ではありませんから、税収に入れるのはおかしいかもしれませんけれども、実質的な減収になる、こういういい方ができるんじゃないかと思うんです。
これは大変大きな問題であると私は思っていたんですけれども、実はこの問題以上に大きな問題が、また国は大都市富裕論というとんでもない過ちのもとに、特に東京をねらい撃ちしたこの税制改正をしようとしている。皆さんもご存じのように、昨日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会で「歳出・歳入一体改革に向けた基本的考え方について」という建議がなされました。相当厚いやつで、私の手元にありますけれども、これが昨日建議されました。
この中で、明らかに今後やっていくぞという大きな項目として、地域間の財政力調整の問題という項目立てて、きちんとこれが明記されています。最初は非常に、こういう書き方をしているんですね。地域間の財政力調整の問題として書かれていますけれども、そもそも、地域の財政力調整は、地方に固有の問題だといっているんです。したがって、国に依存しない自立した地方行財政を確立するためには、まず地方みずからが財政調整のあり方について取り組むべきだ、こういういい方をしているんですけれども、これは単なる表題であって、本音が実はその後に書かれていまして、しかしながら、地方税のあり方の問題は交付税のあり方と表裏一体だと。表裏一体だから、地方財政の自立性を高める観点からは、地方税における偏在性の問題についても問題提起を行っていかなければならないといっているんです。これが本音なんです。交付税と表裏一体だという論調をかまして、この地方税の改革をしようと。
結論は何といっているかというと、法人関係二税などについては、地域間の税源帰属のあり方を検討することにより、偏在性のあるこの地域間の税のあり方を緩和する、こういった取り組みが検討されなければならないという結論になりました。
実は本当はもっと強い言葉で書かれる予定だったんです。どういう言葉かといいますと、いわゆる共同税という項目が盛り込まれるだろうという、こういう話があったんですけれども、自民、公明の与党の議員が一生懸命ねじ込んできましたものですから、とうとうこの共同税という言葉は外されてきました。
ただ、水面下で、大変自民党の先生方に失礼なんですけれども、インナーと呼ばれている自民党の先生方が何とかこれを、共同税をやろうという動きがあるので、ぜひとも都議会から力を発していただいて、どんどん物を申していただきたいと思うんですけれども、この議論は終わっていません。終わっていないどころか、水面下で、これから、さあやろうと、一つこの問題提起したので、さあこれをやろうと、こういう話になっています。
では、共同税って何なんだと、こういう話になるんですけれども、共同税というのは、今まで都が法人二税を徴収していたものを、国が徴収して、人口基準で各都道府県に配分しましょうと、こんなばかげたことをやろうとしている。しかも、事業税だけじゃなくて二税です。これを集めて、人口を基準に配分しましょうと。これをやられると、今、東京都は法人二税で約二兆円あります。何とこれが八千億になるんです。これ、二兆円が八千億になると、いろいろな政策論議を我々が一生懸命やろうとしていても、八千億じゃ、これから何の政策の実現もできないわけなんですね。これは本当、大きな問題であって、私はぜひとも主税局がどんどんこの共同税の問題点を明らかにすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○川村税制部長 地方法人課税の税収を人口を基準として配分することというご指摘でございますが、法人の事業活動と関係なく、事務所等が所在しない地方自治体にも税を帰属させることになりまして、地方税の基本的な仕組みとしての、課税対象の存在と地方自治体への税の帰属との関係を断絶させることになります。
それはもはや地方の独立税源としての地方税とはいえず、実質的な国税化ないしは事実上の地方交付金化というべきものと考えます。地方の基幹税であります法人課税を奪うことは、少子高齢社会の進展に伴いまして、今後ますます重要となります地方自治体の役割を財政面から支える地方独立税源の充実確保が不可欠な中にありまして、まさに地方分権に逆行するものであると考えております。
○東村委員 まさにそのとおりなんですよね。税源移譲とは口ではいっているけれども、税源を奪っているわけです。奪おうとしているんですから。それは単なる、根本に、東京だけが税収が豊かだという大都市富裕論を盾にやろうとしている。何の理論もないわけでありまして、先ほど話がありました、本社どころか事業所も何も持たないところは、何らその事業所がやる問題点だとかさまざまな、例えば下水だとか水道だとか、インフラ整備を含めて、道路、こういうことに対してサービスも何も提供しない、何もしない。その苦労は、特に東京なんかは大変な地価の高いところで一生懸命インフラ整備して、サービスも提供している。
最近は埼玉都民とか千葉都民とか神奈川都民といわれるけれども、そういう人たちがどんどん入ってきて、そういう人たちのためのインフラ整備だってやっているわけですよ、東京都は。それは我々だって一生懸命議論してやっているわけです。そういう何らサービスも提供しないで、そして税だけはもらおう、苦労は、そこに事業所がある、特に本社があるところが一生懸命やってねという、こういう議論を今の国は平気でやろうとしているわけですよ。
まさに応益課税という地方税の本来のあり方、これを根本から覆すことになるわけでありまして、私はこれは断じて見過ごすわけにはいかないし、私は、特に東京都で唯一の歳入局である主税局は、何が何でもこれに対しては声を上げていくべきだと思うし、徹底抗戦すべきだと思いますが、局長、どうでしょうか。
○菅原主税局長 東村副委員長がおっしゃるように、地方法人課税の税収を人口を基準として配分することは何の合理的な理由もなく、都の財源を一方的に地方に振り向けようとするものでございまして、まさしく都をねらい撃ちした財源調整措置を強化する動きにほかなりません。
このような不合理な動きに対しましては、既に都選出国会議員への働きかけ、あるいは新規採用職員全員を参加させて実施をいたしました納税キャンペーン、こういう機会も利用いたしまして、都民に広く訴えかけを行ってきたところでございます。また、せんだっては、都税制調査会緊急提言を行ったところでもございます。
いずれにしても、都といたしましては、今後とも全国知事会の場等のあらゆる機会をとらえまして、他の地方自治体とも連携を図りつつ、いわゆる共同税の問題点を明らかにするなど、断固阻止してまいります。
○東村委員 連携をとるところは、具体的に申しますと、大阪と名古屋ですから。八都県市はだめですから。神奈川、千葉、埼玉はふえますから、彼らはこれをやってくれると喜ぶわけであって、横浜もふえますから、これだけは八都県市でちょっとやらないで、ぜひともウィング広げて、東京と大阪と名古屋。(「福岡は入ってないの」と呼ぶ者あり)福岡は福岡市だけで、若干なので、今は福岡は余り触れたくないものですからね。特に減るところは東京、大阪、名古屋、こういうところとやはりきちっとウィング広げて連携、これだけはちょっと八都県市でなく、やるべきだと思います。
ただ、あとは都選出の国会議員というお話もありました。国会議員に優劣をつけるつもりはないんですけれども、ただやみくもに訴えればいいという問題じゃなくて、実はこの財政制度等審議会、これもあるんですけれども、恐らく一番決めるところはどこかというと、政府・与党の財政・経済、歳出歳入の一体改革会議というところなんです。ここでやろうという。本来七月に上げようとしていた動きがちょっとトーンダウンしたみたいですけれども、まだくすぶっています。
大部分が、ここのメンバーが政府・与党なんですけれども、これは自民党さんも公明党もそうなんですけれども、地方選出なんです。唯一、うちの党でいえば東京都本部の代表の山口那津男参議院議員、これが東京都で唯一入っています。自民党さんはありがたいことに、与謝野馨経済財政政策・金融担当大臣が政府側から入っていますので、何といっても新宿、港、千代田選出ですから、小選挙区選出ですから。やはりこういった会議に入っている、特に東京選出で会議に入っている議員にしっかりレクチャーしていただいて、どんどん声を上げていただく。我々も自民党さんを先頭に、議員の立場で与党としてこの会議には物を申していきますけれども、行政は行政でポイントを絞って、ただやみくもにやれば解決するという問題じゃなくて、やはりポイントを押さえて、本気になって阻止しないと、これは笑い事じゃなくなってしまいますよ。我々、本当、都議会議員は何をやっていたんだという話になりますので、ぜひともそのところをよろしくお願いしたいと一言意見を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○曽根委員 私からは、きょうは資料もいただきました地方税の中で、個人住民税のこの間の改正の影響について質問をしたいと思っているんですが、その質問の本題に入る前に、税制改正一連の三位一体絡みで、平成十五年あたりからでしょうか、個人住民税については今回税制がフラット化で、個人所得税の国からの財源移譲ということで一区切りつくんだと思うんですね。焦点は、今お話がるるあったように、法人事業税を含む法人二税の今後のあり方ということに焦点が移ってきていることは間違いないと思います。
私、法人税に関しては、先ほどいわれたような法人減税の本則の適用、そうすると特例交付金が来なくなるという問題も含めた、いわば企業減税はもうそのままと永久化して、個人に対する減税は定率減税廃止、来年からいよいよ全部廃止という、この余りにも対照的な税の扱い方について、当然ながらこれは大反対という立場で、その意味では、法人税の扱いですね、東京都が必要な法人税を確保していくという点で、ほかの会派の方々とも一緒にやりたいことはいっぱいあると思うんです。
ただ、大きな点でやはり考えなければならない条件は二つあると思うんですね。一つは、法人税をきちんと東京都が確保していくのは何のためか。それは何よりも大手の企業を中心に都心を中心に集まっているために、大変な通勤の長い時間をかけて、私もきょう埼京線に乗ってきましたけれども、本当に殺人列車というような実感で、毎日通っている通勤都民の、または他県からも入ってきている都内通勤者の方々の労働条件、勤務条件をどうやって東京都市として改善していくのかということにいかに活用できるのか、そこに腐心しなければ都民の協力がなかなか得にくいという問題と、やはり法人財源だけではなくて、税の財源そのものが東京都などに偏在しているという客観的な事実は紛れもなくあるわけで、これをどうやって公平に全国的な公平化を図るのかという調整制度は、どんな形であれ、いずれにせよ必要になってくる。この協議を何らかの適切な形で進めていく、この二つの条件がやはりあるんだと思うんです。その点で私たちも、今後具体的に物をいっていきたいなと思っています。
それでは、時間も押していますので、本題に入りたいと思います。この間の三位一体絡みの税源移譲など、個人住民税に影響を与えるさまざまな税制改定がありました。どういうものがあったかということと、私の記憶するところ、この三、四年間にわたる税制改正で、特別高額の所得の方を除けば、一般都民に対して減税になるものはただの一つもなかったんじゃないかと思うんですが、この間の税制改定にかかわる諸制度の変更と、それが都民への影響を--増減、どういう影響を与えたのかについてお答えいただきたいと思います。
○川村税制部長 個人住民税にかかわります平成十五年度から平成十八年度までの税制改正について申し上げますと、まず、平成十五年度の税制改正におきましては、共働き世帯の増加や女性の就労状況が変化していることを踏まえまして、住民税三十三万円の配偶者特別控除の上乗せ分が廃止されております。
十六年度の税制改正におきましては、少子高齢化が進展する中で、現役世代の活力を維持し、世代間の公平を確保する等の観点から、公的年金等控除について、所得税において六十五歳以上の者に係る定額控除と最低保障額の引き下げが行われておりまして、住民税では老年者控除四十八万円が廃止されております。
平成十七年度の税制改正におきましては、年齢六十五歳以上の者に係る非課税措置が廃止されております。
さらに、平成十八年度の税制改正におきましては、個人住民税への所得税からの税源移譲によりまして、道府県民税所得割の税率四%、市町村民税所得割の税率六%の税率フラット化が実現することとされております。
○曽根委員 お答え直接はなかったんですが、減税はありませんよね。すべて増税です。
それで、この中で私は大きな問題が二つあると思うんですが、一つは、個人に対する地方税の課税ラインが大きく下がった。わかりやすく例をお聞きしたいんですが、単身で年金収入者の場合、年収幾らのところまで課税ラインが下がったんでしょうか。
○川村税制部長 年齢六十五歳以上の単身の年金生活者に係ります個人住民税の非課税限度額についてでございますが、平成十六年度の税制改正における公的年金等控除の見直しによりまして、非課税限度額は年金収入ベースで二百六十六万六千円から二百四十五万円に引き下げられております。また、平成十七年度の税制改正における同じ者の非課税措置の廃止によりまして、非課税限度額は年金収入ベースで二百四十五万円から百五十五万円に引き下げられております。したがいまして、年齢六十五歳以上の単身の年金生活者に係る平成十八年度分の非課税限度額は、年金収入ベースで百五十五万円でございます。
○曽根委員 今までに二百六十五万円ぐらいまで、かなり年金生活者だといっても割合いい年金をもらっている方まで非課税だったんですね。そのことの是非はともかくとして、大幅に下げて、結果は今百五十五万と。いろいろ意見はあると思います、二百六十五万円、私も思うところはあります。しかし、今日、百五十五万。
これはどういう水準かということなんですね。つまり月収十三万円ですよね。十三万円ちょっと切るぐらい。これは東京都民の暮らしから見ると、生活保護水準なんですね。つまり年金をもらっている高齢者の場合には、生活保護の基準額が大体七万から八万ぐらいでしょうかね。それに居住費、これが福祉事務所の所長判断で五万二千円ぐらいですかね、今、出せることになっていますので、合計するとちょうどこの金額になる。場合によっては少し課税ラインが下回るところもあるかもしれません。
つまりそこまで課税ラインを下げてしまったということで、例えば持ち家の人の場合でも、北区などでは、一軒家で固定資産税が大体五万円以下というところはありませんから、その固定資産税を払いながら、実質生活費は、仮に十三万だとすると八万円以下で暮らさなきゃならない。私はマンションに住んでいますが、マンションだと固定資産税は少し低いですけれども、その分管理費や積立金があって、やはり五万円以下では月々の居住関係費は足りません。アパートでも、五万円以下で普通の生活が送れるというようなアパートはないでしょう、まず。古くから住んでいて、市場以下の家賃に住んでいれば別ですけれども。そう考えてみると、実質生活保護水準以下の方にも課税が来ている、来るようになったという厳しい時代に入ったなということを実感せざるを得ないわけです。
さらに注目すべきこととして、私、非常に気になったのは、国の方の審議会で、いわゆる生活保護受給者にも課税をということが検討されるか、意見が出たということをお聞きしたんですが、これが事実かどうかということと、つまり国が決めた最小限の生活費である生活保護基準の、その受けている人にも課税をするということは、完全に生活費に課税が食い込んでいくということをあらわすわけですが、そんなことが課税の原則、憲法上の課税の税金の原則からいって許されるのかという問題が生じるんですが、いかがでしょうか。
○川村税制部長 生活保護と課税最低限の関係についてでございますが、生活保護基準が課税最低限を上回る例があることから、その課税のあり方につきまして、政府税制調査会において意見が交わされたことは承知しております。その具体的内容といたしましては、生活保護費であれ、年金であれ、社会保障給付を一たん課税所得に算入して、その後、諸控除等で担税力を調整するという考え方と理解しております。
次に、生活費にまで食い込んで課税することが適切かどうかということについてのお尋ねでございますが、健康で文化的な最低限の生活を維持する上での生計費にまで課税できない、あるいは課税すべきではないとする有力な見解があることは承知しております。それからまた、所得のないところに課税してはならないということは争いのないことと理解しております。しかし、何が最低生活費の基準であるか、あるいは何をもって所得とするかにつきましては種々見解がございまして、一概には申し上げることができませんで、それは結局のところ、立法判断であると考えてございます。
○曽根委員 今のお言葉を証明するかのように、生活保護基準の方が下がりつつあるわけですよね。実質的に高齢者の場合は高齢加算がなくなりましたので、がばっと下がりましたよ。そういうふうに憲法上は考え方として定められている、国が最低限保障すべき生活保護の水準、それを引き下げながら、そこまで課税ラインをがあっと下げてくるという今の税制改正、法人課税の考え方はこれから我々も議論しますが、これまでやられてきた個人住民税の課税の考え方がここまで来ているという実態を踏まえて、我々も厳しい物いいにならざるを得ないと申し上げておきたいと思います。
それで具体の影響についてちょっとお聞きしたいんですが、北区の場合は、六月五日に北区長からの納税通知書が発送されまして、六日から届くわけですよ。六日の夕方から私どもの区議会の議員の控え室の電話が鳴りっ放しと。何が問題かというと、今まで非課税、もしくは数千円の課税だったのが、いきなり五万三千四百円と六倍以上かかった、こんなことあり得ないじゃないかという方が次々出たというんですね。確かに課税強化されるだろうけれども、なぜこんな五万三千四百円などというのが出るのかということで、調べてみると、どうも年収が二百五十万前後のあたりで、それまで増税額は一万円台なんだけれども、突然四万円台の増税になるという段差ができているんですね。これはどうしてできたのかということと、来年以降、その段差はどうなるのかということをお聞きしたい。
○川村税制部長 年齢六十五歳以上の者に係る個人住民税の非課税措置の廃止におきましては、その廃止の影響を受ける者に係る平成十八年度分で申し上げますと、均等割額を四千円から千三百円に減額するとともに、所得割額の三分の二を控除する経過措置が講じられております。
しかしながら、年金収入が二百四十五万円を超え二百六十六万六千円以下の者につきましては、公的年金等控除の見直しに伴う経過措置が設けられておりませんので、年金収入二百四十五万円までの者の税負担とでは、ある程度差異が生じることになります。
具体的に年齢七十歳の単身者の例をとって申し上げますと、年金収入二百四十五万円を境といたしまして、経過措置の対象となる、年金収入が例えば二百四十万円の場合には、均等割額千三百円、所得割額一万一千八百円、計一万三千百円となります。これに対しまして、経過措置の対象とならない、年金収入が二百五十万円の場合には、均等割額四千円、所得割額三万九千七百円、計四万三千七百円となりまして、両者の間にはある程度差異が生じております。
なお、平成十九年度には経過措置が三分の二が三分の一に縮減され、また、平成二十年度以降は経過措置が廃止されますことから、それぞれ差異は縮小ないし皆減することとなります。
○曽根委員 つまり経過措置がきいているから、一万円台の増税で抑えられていると。しかし、経過措置がきかない部分が今まで非課税だった方の中にもあって、そこががばっと伸びたということですね。それは下の方、低い方ではなく、今五万何がしの課税になってしまったという方の方に合わさっていくということですね、今低い方は。より厳しい方向で経過措置が切れていくと。つまり今のこの方の叫びは恐らくどんどん広がって来年以降いくことになるんだと思うんです。
しかも、これにとどまらず、国保料、介護保険料などにも連動があるんですが、とりわけ国保料ですね。これは主税局の担当ではありませんから、細かいことはお聞きしませんが、何かすごい複雑な影響が出るんですね。ひどいところは二六一%増になるんですね、国保料が。その前後はそうでもないわけで、非常にアンバランスのある増額になっていくんですが、これはどうしてこのような影響が出るのか、仕組み上のことだけでいいんですけれども、教えてください。
○川村税制部長 個人住民税の負担増が国民健康保険料等に及ぶ影響についてでございますが、主に二点申し上げます。
まず、個人住民税の改正におきましては、経過措置が講じられておりますのは、先ほど申しましたように、年齢六十五歳以上の者に係る非課税措置の廃止についてのみでございまして、国民健康保険料におきましては、これに対しまして、この非課税措置の廃止に加えまして、公的年金等控除の見直しと老年者控除の廃止のいずれについても経過措置が設けられておりまして、それがご指摘のような、若干複雑な影響が出る要因となっているものと思われます。
次に二点目でございますが、国民健康保険料の均等割の算定におきましては、年金収入の区分によりまして、均等割の二割あるいは七割を減免する措置が講じられております。この年金収入の区分の算定には、公的年金等控除の見直しの影響が及びますので、均等割二割減免あるいは七割減免のボーダーライン近辺にある方にとりましては、国民健康保険料均等割の負担額に大きな変動が生じる場合があると思われます。
○曽根委員 国保料もばかにならなくて、地方税に対して、多い人はそれに匹敵するぐらいの国保料を払わなきゃならないと。今まで月々数千円だったものが、二万、三万という額にはね上がる方が続々と出てくると思います。全部合わせて、これはいわば公租公課として、介護保険料も含めて、特に高齢者に直撃をするわけなので、これについては早晩、やはり何とかしてほしいという是正の声は多くの都民から上がるというふうに思いますし、私たちはそれが必要なことだろうというふうに思います。
このように税金が上がって、いわば介護サービスや医療サービスにかかわる社会保障料が上がるというのは、応益性の考えからいっても、つまり介護サービスや医療サービスが変わるわけじゃないのに、また、その人の収入が変わるわけではないのに、税金が上がったことに連動して社会保障料だけが上がるというのは、応益性の観点からいってもおかしな話ではないか。これはこういうやり方は遮断するか、何らかの手だてをとることが当然だというふうに思いますが、その考え方としてどうですか。
○川村税制部長 先ほど来お尋ねの、年齢六十五歳以上の高齢者等に係る個人住民税等の優遇措置でございますが、少子高齢化が進展する中で、現役世代の活力を維持し、世代間及び高齢者間の税負担の公平を図る観点から、先ほど来申し上げておりますように、平成十六年度及び十七年度の税制改正において、見直しないし廃止されたものでございます。この高齢者を含めました租税負担のあり方、それから社会保障負担のあり方につきましては、広く国民的な議論を重ね、決することが重要であると考えております。
また、お尋ねの税制改正が社会保険料負担に影響を及ぼすことの是非につきましては、それぞれの制度の中で、目的やあり方、あるいは影響の程度等を勘案し、判断されるべきものと考えております。
○曽根委員 最後に意見として申し上げたいんですが、これはまだ終わりじゃなくて、今回フラット化になって、個人が払う税金については国の所得税とツーペイになりますけれども、地方税そのものは上がってしまうわけですから、ここに連動した来年の国保料、介護保険料の値上げがまた来るわけですよね。今回の値上げと、さらに来年来る。それから、来年は定率減税の残り半分の分の増税が残っていますので、大体今の年金収入者の方でも月々数万円ぐらいのまたあれがあるんじゃないんでしょうかね。
そういうものが次々襲ってくるということに対して、今、二十三区の国保の方は大体共通していますので、そこでの協議も始まっているやに聞いていますが、やはり地方自治体として、サービスが全然変わらないのに料金だけがどんどん上がっていく、受けているご本人の収入も上がっていないというような事態だけは何としても遮断するということを、区市町村のことが主になりますが、課題であるし、東京都もこれに対して可能なあらゆる支援をすべきだということを申し上げて、ちょうど時間ですので終わります。
○鈴木委員 それでは、きのう一般質問の中でやらせていただいた民設公園に対する件で、税制上の支援についてお伺いをしたいと思います。
平成十八年度は三年に一度の固定資産税の評価替えの年に当たり、負担水準のさらなる均衡化など、負担調整措置を初めとする重要な税制改正が行われました。固定資産税全体にわたる問題が重要であることはもとよりでありますが、個別税制も実は重要であるというふうに考えられます。そこで、民設公園に対する税制上の支援等について何点かお伺いをしたいというふうに思います。
東京都は、東京らしい緑づくりの施策の一つとして、民間活力により公園の早期整備を図る仕組みである民設公園の制度の導入を発表いたしました。いうまでもなく、都市における緑は都市生活に潤いをもたらす機能のほかに、防災、環境保全を初めとするさまざまな重要な機能と役割を担っているわけであります。このような緑の保全は東京にとって極めて重要な課題であり、民設公園制度はそのための東京独自の取り組みとして高く評価されるべきであります。さらに、この民設公園の整備の普及促進には税制の活用が不可欠との立場から、一昨日の我が党の代表質問で、民設公園の固定資産税等の減免についての知事の所見を伺ったところ、減免措置を講じるとの極めて明快かつ前向きの答弁をいただいたところであります。本日はこれに関連する質問を幾つか行い、質疑を通して、税制上の支援の必要性などをわかりやすく明らかにしていきたいというふうに考えます。
制度の検討に当たっては、既存の類似の制度との均衡も一つの重要な要素であると思います。そこで一点目といたしまして、公園や緑地に対しての税の軽減措置というものにはどのようなものがあり、どのような趣旨で減免措置が講じられているのかをお伺いいたします。
○川村税制部長 公園や緑地に対する税の軽減措置についてでございますが、まず、地方税法上、国または地方自治体が設置管理をいたします都市公園に対する固定資産税等は、非課税とされております。
また、都税条例による固定資産税等の減免措置といたしましては、緑地保全を目的といたしました特定保存樹林地に対する減免、青少年対策としての公園に類する遊び場づくりの促進に資するための遊び場減免などがございます。
いずれも、一般都民に対しまして長期にわたり無償で開放されているなど、その対象が高い公益性を有することなどを考慮いたしまして、軽減しているものでございます。
○鈴木委員 既存の税の軽減措置というのは、国や地方自治体が設置する都市公園の公共性や、保存樹林地及び遊び場の公益性などを考慮して講じられているということであると思いますが、そういうことであれば、私は民設公園も同様の事情にあると思います。昨日の一般質問でも私が指摘いたしましたように、オリンピック誘致に向け、成熟都市として国際的なアピールをするためにも、緑豊かな都市東京を形成し、引き継いでいくことは極めて重要であるというふうに考えます。
しかし、東京は未整備の都市計画公園を二千六百ヘクタールも抱え、近年の整備ペースでいいますと、その整備の完了には、昨日も申し上げましたが、五百年以上も要すると試算されているわけであります。その一方で、未整備区域内のグラウンドなどは、企業所有地が用地買収を待たずに個別開発等、または細分化され、緑が失われていくばかりではなく、公共による公園整備はますます困難となっている状況があるということであります。このような状況を踏まえれば、民設公園制度はぜひとも必要な制度であると同時に、その制度の活用を促していくということをすべきであると考えます。
そこで二点目といたしまして、民設公園制度の意義について、主税局としてはどのように認識をしているのかをお伺いいたします。
○川村税制部長 民設公園制度は、民間の活力を導入することによりまして、都市計画公園及び緑地を早期に公園的空間として整備をし、公開することを目的としております。
また、ご指摘のとおり、オリンピック誘致に向けまして、東京を緑豊かで潤いのある街並みとするため、民有地を活用した民設公園を整備していくことは、都にとりまして重要な施策であると認識しております。
また、このような民設公園は一定規模の敷地を一般に無償で公開すること、避難場所としても有効な整備と管理を実施することなどの条件を備えるものでございますので、都市公園に準じた高い公益性を有するものと考えております。
○鈴木委員 そうしますと、今の答弁について、私としては、民設公園というのは減免を行うべきということの意義を十分に有しているという、主税局のそういう認識であるというふうに受けとめさせていただきたいと思います。
次に三点目といたしまして、民設公園に対する固定資産税等の減免の妥当性を考える上で最も留意すべき点はどのようなこととお考えなのかをお伺いいたします。
○川村税制部長 減免の妥当性ないしは必要性についてでございますが、租税は、原則として、課税要件が充足されている限りすべての者が公平に負担すべきものでありまして、これに対しまして政策税制は、このような税負担の公平確保に十分配慮してもなお、税負担を軽減することによりまして一定の公益の増進を図ることができる場合に限って、これを行うべきものであると考えております。
したがいまして、民設公園に対する固定資産税等の減免の妥当性を判断するに当たりましては、民間活力の導入による公園整備を早期に推進し、もって東京を緑豊かで潤いのある街並みにするという政策税制の目的の妥当性と、それを用いることによって生じます政策効果等を十分吟味した上で決すべきものと考えております。
また、その際には、都市公園が非課税とされていることとの税負担の均衡も考慮すべきものと考えております。
○鈴木委員 緑豊かな街並みにするという政策減税としての目的の妥当性と、それから政策税制を用いることによる政策効果との比較を考量し、減免の妥当性を判断するというのは、私は全くそのとおりだというふうに理解します。
税制の主たる機能というのは、税源の調達機能であり、政策誘導機能はその副次的な機能に位置づけられるべきだというように私は思います。かみ砕いていえば、基本的にあまねく課税するのが原則であり、減税はこれに対する例外であることから、何でもかんでも政策効果が期待できれば減免すべきではないということだというふうに思います。減免の対象を公益性を有するものに限定するために、具体的かつ明確な条件をつけるべきだというふうに思いますし、また、つければよいというふうに私は考えます。
それで四点目といたしまして、民設公園の固定資産税を減免する場合の具体的な要件についてはどのように考えているのかをお伺いいたします。
○川村税制部長 税を減免するには、ご指摘のとおり、減免の対象が高い公益性を有することが必要でございまして、その公益性の条件を満たすことのできる、いわゆる減免要件を適切に設定することが必要と考えております。
具体的な減免要件につきましては、現在鋭意検討中でございますが、何よりもまず大前提といたしまして、都の最重要課題の一つであります民設公園事業としての位置づけが明確になされている必要がございます。
その上で、具体的な減免要件といたしまして、一つには、都が実施しております特定保存樹林地に対する減免が、無料で一般都民に開放されていることを要件としておりますので、一般都民に長期にわたり無償で開放されていることとすること、二つには、民有地を無償で都に提供する場合の非課税の取り扱いが、都が当該民有地を管理していることを要件としておりますので、設置管理につきまして都が何らかの関与をしていることとすること、三つ目には、避難場所に指定されていることなどを要件とすることを検討しております。
○鈴木委員 今の答弁で、減免の意義と要件については伺ったところで理解もできます。ただ、減免の是非を論じる上でもう一つ重要な点があると思います。それはその効果というのはどういうものであるかということだというふうに思われます。
先ほども述べましたとおり、都内には未整備の都市計画公園が二千六百ヘクタールもあり、このうち民間が所有する大規模なオープンスペースとなっているものだけでも、その面積が五百ヘクタール以上にも上ると聞いています。東京都がこれを買い取って整備する従来の手法では、その分に限っても、整備に必要な費用は一兆円以上にもなると考えられます。現在の都の公園整備の予算規模をベースとすれば、整備に必要な期間は百年以上と試算されるわけであります。
このように、都市公園の整備には膨大な費用と非常に長期にわたる期間が必要であることを考えれば、一定額の税の減免で、しかも早期に公園の整備が進めば、これは安いものだと考えるのが妥当だというふうに思いますし、こういうことを進めていくべきだと私は考えます。
そこで、税の減免を行う政策効果としてはどのようなことが考えられるのか、具体的に都市公園の整備費用と固定資産税等の減免額とを比較してお示しいただきたいと思います。
○川村税制部長 民設公園に係る税の減免の政策効果についてでございますが、まず、この減免は民設公園の整備を税制面から後押しをし、その促進を図ることを目的としております。
この政策効果につきまして、ご質問のように公園整備に要する財政支出の額と、固定資産税、都市計画税を減免するとした場合の減免見込み額とを比較して申し上げますと、二十三区内に都市公園を整備するには、面積一ヘクタールにつきまして、土地の取得費用と公園整備費用等でおおむね四十八億円程度が必要でございます。これに対しまして、二十三区の平均的な土地の評価額から試算をいたしました固定資産税、都市計画税額は、非住宅用地一ヘクタールで四千万円程度でございまして、これを全額減免するといたしました場合の軽減額は、同じく四千万円程度でございます。
○鈴木委員 民間活力により、公共だけではなし得ないような早期の公園整備が、当面財政支出を伴わないで実現可能ということであろうというふうに思います。そもそも東京における緑の保全と創出を公共のみで行うことは不可能であります。その実現には公共と民間の連携が欠かせない、そしてその観点からも民設公園制度はすぐれた制度であるというふうに思います。税制上の支援を行うのは正しい判断であると私は考えます。
質疑を通して、民設公園に対する固定資産税等の減免の意義と効果は十分に明らかになったというふうに私は考えますが、締めくくりに、この制度の周知に関する努力も含め、適切な制度の設計など、政策税制としての意義が十分に発揮できるような取り組みを行っていくべきと考えますが、局長の決意を伺います。
○菅原主税局長 理事からお話もございましたように、東京を国際都市と呼ぶにふさわしい、緑豊かで風格のある街並みとするために、民有地を活用いたしまして緑を創出する民設公園制度は、有効かつ適切な手法である、かように考えている次第であります。
この民設公園の整備促進を税制面から後押しをいたしまして支援していくことは、東京の緑づくりにとりまして、極めて意義のあることと考えている次第であります。このため、民設公園に対する固定資産税等の減免については、民設公園制度の趣旨を十分生かせるような制度設計に努めまして、早期に減免の要綱も策定いたしまして、そして公表していきたい、かように考えている次第であります。
また、都民の方々等への周知につきましても、関係局と十分連携を図りながら、積極的に進めてまいります。
○鈴木委員 要望をちょっといわせていただきたいと思っておりますが、今の質問、それから答弁等で理解をできる点は多々あるわけでありますが、ただ、私はこの民設公園制度に関しては、一般質問のときにも申し上げましたように、今の、要するに都市計画公園というようなところでの考え方だけでとらわれないで、例えば緑の沿道を確保するとか、まだまだ民設公園の仕組みを拡大していくことによって都市計画の中で生かせる点が多々出てくるのではないかというふうに思います。
これは局が違うとは思いますが、やはり主税としてもそういうことを十分理解した上で、今後の今いったような税の面も含めて、そして幅広く、東京にすばらしい緑と、そういうようなまた空間ができていくということの努力をしていただくことを、これは要望として最後にいわせていただいて、終わりたいと思います。
○山加委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時二十二分休憩
午後二時三十分開議
○山加委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
発言を願います。
○吉田委員 私からは、耐震基準適合住宅に係る固定資産税の減額制度についてお伺いをいたしたいと思います。
本年度の税制改正におきまして、既存住宅の耐震改修を税制上も促進するべく耐震改修促進税制が創設されまして、その中に、住宅耐震改修に伴う固定資産税の軽減制度があると伺っております。
住宅の耐震化は、地震防災対策上、喫緊の課題でございます。阪神・淡路大震災におきましては、実に二十万棟を超える家屋が全壊または半壊し、大変な被害者が出て、また二十三区における耐震化が必要な住宅はそれよりもはるかに多いという試算もございます。東京が大地震に見舞われた場合には、その被害ははかり知れません。私のおります中野につきましても、木造の住宅を含め、古い建物が多数密集しておりまして、大変に関心の高い対策でございまして、都民の安全を確保する上で、ぜひこの減額制度を十二分に活用して住宅の耐震化を図っていきたいと考えております。
そこで、この耐震減額制度について幾つかお伺いをしていきたいと思います。
まず、今回の税制改正で創設された住宅耐震減額措置の対象となる家屋及び減額適用の要件について、どのようなものかお伺いいたします。
○安田資産税部長 まず、耐震減額措置の対象となる家屋についてでございますが、昭和五十七年一月一日以前に建築され、平成十八年一月一日から平成二十七年の十二月三十一日までの十年間に現行の耐震基準に適合させるよう改修工事をした住宅でございます。
次に、減額の適用要件につきましては、居住部分の割合が二分の一以上であること、また、耐震改修費用が一戸当たり三十万円以上であることとなっております。
また、手続き上の要件といたしまして、建築士や区役所などが発行いたします現行の耐震基準に適合した工事であることの証明書、これを添えていただきまして、原則として改修工事終了後三カ月以内に、所管する都税事務所に固定資産税減額申告書をご提出いただくということになってございます。
○吉田委員 わかりました。
それでは、その減額の内容について引き続きお伺いいたしたいと思います。
○安田資産税部長 内容でございますが、耐震改修が完了した時期に応じまして、最長三年間、住宅一戸当たり百二十平米相当までの固定資産税額の二分の一が減額されるものでございます。
なお、減額の適用期間、今、最長三年間と申し上げましたけれども、具体的には、平成十八年から二十一年までに工事が完了した場合は三年間、平成二十二年から二十四年までであれば二年間、平成二十五年から二十七年までの場合は一年間ということになっております。
○吉田委員 ありがとうございます。
それでは、この内容の制度で、それぞれの家屋について具体的にどれくらいの減税効果になるのか、平均的なケースで結構ですのでお答えいただきたいと思います。
また、この制度に伴いまして、都税収入についてはどのような影響額になっているのか、これについてお伺いをいたします。
○安田資産税部長 まず減税効果でございますが、例として、例えば昭和五十六年に旧建築基準法に基づき建築され、床面積が百二十平米で評価額が平均的な住宅につきまして試算いたしますと、木造の場合は三年間で約四万三千円、鉄筋コンクリートづくりでは、同じく三年間で約十二万円の減額となります。
次に、減額措置による都税収入への影響額でございますが、初年度の平成十九年度におきましては約三億円、平年度におきましては約八億円、十年間で約五十七億円になるものと見込んでおります。
○吉田委員 ありがとうございます。
こういう制度が一つ一つ積み重なって耐震改修というものが促進されていくといいなと思っておりまして、せっかくできましたこういう制度を、都民が知らなければ、これは活用されません。
そこで、この住宅の耐震改修促進施策を所管する都市整備局等と連携をもちろん図っていただきながら、新しく創設された今回の耐震減額制度を広く都民に周知していただかなければいけないと思います。どのようにして制度の周知を図っていかれるのか、お聞かせください。
○安田資産税部長 減額制度につきましては、これまで、主税局のホームページへの掲載や、各都税事務所でのチラシによる案内を初め、六月一日に固定資産税等の納税通知書を発付いたしましたが、この中にもチラシを同封するなど周知に努めてまいりました。
また、ご指摘の都市整備局とも連携いたしまして、証明書を発行する建築士の団体、あるいは工事施工事業者の団体に対する説明会におきまして、減額制度の周知と、そしてまた協力を依頼したところでございます。
今後とも、さらに各区の協力も得ながら、各種広報媒体を活用するなど、引き続き制度の周知徹底を図ってまいります。
○吉田委員 よくわかりました。
私も、地元での都政報告会等でPRさせていただきたいと思います。引き続き、地震への対策という面につきましても、きめ細か、かつ適切なご検討、対応、措置を講じていただくようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○高倉委員 私からは、第百四十八号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例に関連をしまして、簡潔に何点かだけ質問をさせていただきます。
税は、極めて私たちの生活にあっても身近なものでございますけれども、一方で、なかなかその中身がわかりづらい、こんなようなことが実感としてあろうかと思っております。そうした意味で、今回提案されているこの議案にかかわるさまざまな内容について、広く都民にしっかりと周知をしていく努力、これは極めて大事であろう、今、吉田委員の方からもそれに関連したお話がございましたけれども、大変大事なことであろうかと思っております。
できるだけ丁寧に、そしてわかりやすくこうした内容を伝えていく、その具体的な周知方法についてご説明をいただきたいと思います。
○三橋総務部長 税務行政を円滑に推進してまいりますためには、都民の皆様のご理解、ご協力、これが何といっても必要不可欠でございます。このため、税制改正の内容につきましても、広く都民の皆様方にわかりやすく丁寧にご説明することが重要かと思っております。
具体的には、主税局が発行いたします広報誌「あなたと都税」とか「ガイドブック都税」、「不動産と税金」というのがあるわけでございますが、そういった広報誌、あるいは都民の皆様に各戸配布をいたしております「広報東京都」、さらには主税局ホームページなどを通じまして、広く都民の皆様にお知らせをしているところでございます。
また、プレス発表を行いまして、パブリシティーを活用した広報活動も展開をしているところでございます。
さらには、固定資産税や自動車税などにつきましては、お一人お一人にご通知申し上げます納税通知書にチラシを同封するなどいたしまして周知に努めているところでございます。
○高倉委員 さまざまな方法を駆使して周知に努めている、このことについてはよく理解できると思っております。なるべくといいますか、全力で積極的に都民のご要望を聞きながら、こういう周知のことについても、新たな方法も含めてまたしっかり検討していただければと思っております。
これと関連しまして、どうしてもわからないことや、あるいは自分に来る税額の内容とか、なかなか理解ができない場合、また改正がありますと、どうしてこうなっているんでしょうかと、こういう疑問はたくさんわいてくるというのが、これが現場といいますか、都民の皆さんの率直なところだと思うんです。
そこで、都税に関する都民からの相談の体制、これは今どうなっているのか、これについてご説明をいただきたいと思います。
○三橋総務部長 税に関します相談体制でございますけれども、現在、本庁と各都税事務所に相談コーナーというものを設けておりまして、税についてのさまざまなご相談に応じているところでございます。
○高倉委員 済みません、それはよくわかりました。もう一度ご答弁で、相談をしている時間について、ちょっともう一度ご説明をいただきたいと思います。
○三橋総務部長 大変失礼いたしました。
執務時間内にこういった体制で相談に応じているところでございます。
○高倉委員 一生懸命、相談のそういうコーナーをつくってやっていらっしゃる、このことについては評価をいたしております。ただ、都民のいろいろ生活のことを考えますと、必ずしも役所といいますか、都税事務所あるいは本庁でやっていらっしゃる時間帯のみに問い合わせができる、あるいは行く、こんなことができる人ばかりではない、このように思っております。
そうした意味で、ホームページでQアンドAを掲載されて、いつでも見られるようになっている、こういう体制もとっているというようにお聞きをしておりますけれども、休日、土日とかあるいは夜間、こういったことも含めた新しい相談体制がとれないのかどうか。
あわせまして、例えば、今自治体で民間のコールセンターのようなものを活用するところも出てきているんですね。私も幾つかかつて調査をさせていただきましたけれども、なかなか行政に対しての質問というんでしょうか、実に多岐にわたってはいるんですが、例えばモデル的にやっていた自治体の方からお話を聞きますと、ある程度、この質問というのは類型化されておりまして、きちっとしたマニュアルが用意をされておりますと、民間の、まさに役所とは関係のないオペレーターの方でも一定の、何というんでしょうか、そういう訓練を積み、またその問い合わせを重ねることによって十分に対応ができるのである、こういうことを実感したわけでございます。
そうした意味で、単に職員の方が当たるだけではなくて、そういうマニュアル化がきちっとできるんであれば、民間のコールセンター等々の機能も生かしながら、こうした土日や夜間の時間帯における都税に関する相談、こういうことを受ける体制も十分検討が可能なのではないかと思うんですね。できるだけわかりやすく丁寧に、税はやはり都民に納めていただくものですから、そういうことも今後の課題として検討すべきだと思いますけれども、ご所見を伺います。
○三橋総務部長 時間外の対応でありますとか、あるいはコールセンターを活用した対応ということでございますけれども、現在、自動車税につきましては、自動車税総合事務所におきまして二十四時間体制でテレホンサービスを行っているところでございます。
こうした自動車税の実施状況を踏まえながら、今後、納税者サービスの充実拡大を図る観点から、いろいろ課題等もございますと思いますけれども、幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
○高倉委員 そしてあわせて、こうしたさまざまな幅広い都税を都民の方から納めていただく、そういう上においては、なるべく利便性の高い納税の環境といいますか、あるいは税を納めるチャンネルというんでしょうか、こういうものをできる限り今の時代に沿った形で多様なものを用意していく必要があるんだと思います。
今年度は、主税局においても、電子納付あるいは都税のコンビニ納付の拡大、こうしたことに積極的に取り組まれている、このことについては高く評価をいたしておりますし、都民の一人として感謝申し上げているところでありますけれども、私どもも今回の定例会の代表質問において、カード決済の提案もさせていただきました。クレジットカードについては、例えば銀行カードでいいますと、既に会員は一億人、一億枚を超えているといいますか、そんな数字も私、拝見したことがあります。恐らくほかの会社のカードの会員も合わせますと数億枚に上るんではないか。まさに私たちの今身近なところで、このカードはいろんな決済に使われているんだと思います。
そうした意味で、今後、税、あるいは所管は違いますけれどもさまざまな公共料金についても、電気料金やガス料金、こうしたものもどんどん今カード決済が進んでおります。この都税についても、ぜひ道府県に先駆けてといいますか、東京都としてその決済の実施を導入していただきたい、これは強く要望を申し上げたいと思います。
さらに重ねてになりますけれども、今非常に普及が進んでおります電子マネー、EdyカードとかSuicaでありますとか、あるいはおサイフケータイ、こういったものがどんどん今出てきて、非常に使われているわけであります。そして、その使用限度額についても大きく拡大をする方向というふうにも聞いておりますので、ぜひこの電子マネーも含めて都税の納付にも使えますように検討課題の一つにしていただきたい、このように思いますけれども、ご所見を伺います。
○吉田徴収部長 電子マネーについてでございますが、電子マネーは、あらかじめ利用できる限度内で利用者が入金をしておくことにより、利用窓口で利用金額を引き落としできるものでございます。
委員ご指摘のように、利用限度額に制限があることと、読み取り端末の規格が異なることから、互換性が課題になっていると聞いております。
例えば、JR東日本で採用しているSuicaでございますが、これの利用上限額は、現在二万円と聞いております。このSuicaが利用できるコンビニで現在でも税の支払いは可能でございますが、例えば自動車税の場合、その自動車税額の平均税額四万円としますと、この四万円を支払う場合、現在の上限額では税額に不足を来してしまうということになります。また、例えばSuicaの場合ですと、採用しているコンビニが極めて少ないということなどもございます。
これまで、都といたしましても、コンビニ納付やATM、パソコン、携帯電話からの納付を可能としてまいりましたが、引き続き都民の利便性向上に向けて努力してまいります。
○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
○山加委員長 これより財務局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百六十七号議案から第百七十号議案までを一括して議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○臼井経理部長 それでは、先日の委員会でご要求のありました四点の資料につきまして、私からご説明申し上げます。
まず、要求資料第1号は、徳山裁判に関する経緯でございます。
これは、今回和解いたします請求事件につきまして、平成十六年十月二十二日に都が訴訟提起してから和解に向けた基本了解に至るまで、裁判における都と相手方の主張及び裁判所の見解等の概要を時系列にまとめたものでございます。
続きまして、要求資料第2号でございます。枝川一丁目住宅敷裁判に関する経緯でございます。
これは、平成十一年七月十四日に、住民の一人から所有権確認の請求訴訟が提起され、最終的に和解成立した裁判につきまして、その経緯の概要を記載したものでございます。
この裁判におきます和解条件が、後々、旧枝川簡易住宅の敷地を不法占拠してきた人々に土地を払い下げる際、払い下げ条件の指標となったものでございます。
続きまして、要求資料第3号でございます。本件地及び周辺地域の各種価格一覧表でございます。
これは、本件地の土地評価格が、他の周辺の土地価格と比較して適切に均衡がとれているかを示したものでございます。
比較しやすいように、土地評価の指標として一般的に利用されております相続税路線価及び固定資産税路線価と、本件地土地評価格の比率を、それぞれ備考欄の〔1〕、〔2〕に示したものでございます。
また、下の表には、本件地周辺地域四カ所のそれぞれの相続税路線価及び固定資産税路線価と、公示価格・基準地価格の比率を記載してございます。
なお、本件地及び周辺四カ所の地図につきましては、次のページに記載してございます。
最後に、要求資料第4号でございます。枝川一丁目の簡易住宅及び旧区道敷に係る管理経緯概要でございます。
これは、枝川一丁目区域の外周道路が供用開始された以降の住宅敷地及び道路敷地のそれぞれの管理者の管理経緯概要を示したものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○山加委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大西委員 この百六十九号議案、契約案件ですけれども、平成十八年度東京港臨海道路(Ⅱ期)南北水路横断橋鋼けた製作・架設工事について質問したいと思います。
理事者からいただいた資料を見ると、本件の入札では、落札率が五六・九六%となっているんですね。鋼けた工事は、どちらかといえば落札率が高いと私ども認識をしていたんですけれども、こうした低落札率が生まれたわけですけれども、昨年もこの鋼けた工事の発注というのがあったと思うんですが、その落札率がどのぐらいだったのかをお聞かせいただきたいと思います。
○山本契約調整担当部長 昨年六月に鋼けた製作架設工事を三件発注しており、その落札率は七九・八%、七二・三%、七七%という結果になっております。
○大西委員 一年前の落札率が七〇%台、決して高いという感じは受けないわけですけれども、今回の落札率は、昨年のそうした事例と比べても極めて低いわけですね。これについて、今年の五六・九六%という入札結果をどのように評価しているのか、まずその考え方を聞かせていただきたいと思います。
○山本契約調整担当部長 今回の契約案件につきましては、一般競争入札により行われており、低入札価格調査制度を適用しております。
入札経過を見ますと、十一社のうち九社が調査基準価格を下回る低価格での入札を行っております。このことから、受注を強く希望する企業が多く、厳しい競争の結果と考えております。
○大西委員 厳しい競争というのは今日までずっとあったんだから、それだけが原因とはいえないわけで、それはさまざまな問題があるんだと思うんですけれども、最近のこの低入札によって、いろんな弊害が起きているんですね。
例えば、この中で庁有車にお乗りになった方、いますか。(「昔ね」と呼ぶ者あり)ええ、昔ね。最近はどうも変なのが監視をしているというので、みんなびびって乗っていないようですけれども、こういったことも、ことしの入札によって相当なダンピングをして、新しい事業者が取得したといわれていますね。驚いたのは--谷川局長じゃないでしょうな、何か神宮外苑に行ったんだって、ある局長が。そしたら、なかなか神宮外苑から出られないんだって、都庁に帰るのに。三回回ってワンではないけれども、ようやく外に出て帰ってきた。私自身も経験していますけれども、ここから赤坂プリンスホテルへ行ってくれといったら、どう行ったらよろしいんでしょうか、こういわれて、そういうことはもう茶飯事ですよ。
これはあれですから、この問題について詳しく私は問いただすつもりはないんですけれども、聞いてみたら、小は小なりに、ある意味ではこういった鋼けた製作のような大きな工事と同じような問題点というのかな、矛盾が内包しているんですね。だから、おい、どうしたの、運転手さん、都内運転したことあるのと、いや、初めてです都内はと。どこでやっていたのといったら、川崎だとかどこだとか、それで方向感覚も何にもない。だけど、よくこういう仕事につく気があったねといって、今どのぐらいもらっているんだといって念のために聞いたら、いや、大したことないんです、年収に換算してもせいぜい二百万円ぐらいです、こういうのですね。そうすると、これはたしか一台、一人五百万円で落札しているはずなんですよ。こんな搾取が行われている、平気で。
だから、被害者は、これによって我々、私みたいな優しい人間が乗ったときにはそんなおどかしたりなんかしないけれども、時間に行けない、場所がわからない、乗っている人たちはそれは小言の一つもいいたくなるでしょう。それによって運転手さんたちだってつらい思いをなさるわけで、こういったことが低入札、落札は、一つ庁有の例を取り上げましたし、また、最近では、シンドラーのエレベーターの問題もありますよね。昔は「シンドラーのリスト」なんて映画を見ると、これはリストに載ると自由への保障がされたわけでしょう。今は、シンドラーに乗ると地獄へ落ちるか、天国へ落ちるかという、そういう話になっているわけで、そういう意味では、これもやっぱりなぜそういったシンドラーというエレベーター会社が急速に公共施設に進出したかというと、低価格競争の結果ですよ。例えば分離発注じゃなくて総体的に発注をされても、エレベーターコストを落とそう、どこを落とそう、ここを落とそうということで、結局、こういった問題ができてきている。
ですから、私はこういった公共工事の発注というのは、社会資本の整備をする、これは大事な、五十年、百年の地域社会の根幹をなすインフラ整備をしていくわけですから、その品質確保というのは大事ですよ。庁有車の運転手ぐらいだったら、これは乗った人間がおくれてごめんなさいで済むかもしれないけれども、建物そのものの品質がしっかりと確保されていないということは、これは大変な問題になっていくわけでして、この品質確保ということについて、今日までこうした低入札状況の中でどのような取り組みをしてきたのかをお聞かせいただきたいと思います。
○山本契約調整担当部長 先ほどお答えいたしましたとおり、今回の契約案件は低入札価格調査制度を適用しており、調査基準価格を下回る最も低い価格で入札した企業に対しましては調査を行っております。
その調査項目としては、その価格により入札した理由、入札価格の内訳書、資材の購入先、労働者の供給見通しなどでございまして、関係資料の提出を求めるとともに、当該企業に対してヒアリングを行い、十分な履行が可能であるか調査、確認を行っております。
その結果、履行に問題はないことが確認されております。
また、低入札価格での落札の場合は、工事着手後、現場における監督を強化するとともに、工事の中間及び完了後に十分な検査を行うことにしております。
○大西委員 本件の場合については、低い価格で入札されてそういった調査が行われた、履行に問題はない、こう判断されたわけですから、これはしっかりと責任を持って、今後、こうした低入札によって、低価格によって品質管理が不十分にならないように、しっかりとこれから指導していっていただきたいと思います。
そして、こうした低入札価格というのがどんどんふえてきたというのは、公正取引委員会の権限が増すと、比例してどんどんどんどんこういった低入札価格というのが出てきているんですね。ですから、それはもちろん談合防止は大いに進めていかなければいけませんよ。国民、都民の貴重な税金を、そういった意味で、談合防止という観点から公正取引委員会の権限がどんどんどんどん強化されていった、それに比例して、こういった全国的に低入札価格での落札というのがふえてきているんですね。
ですけど、私は、公正な取引、そして公正な競争、これは一番大事なことでありますよ。これは目的でなくて手段なんですよ。目的は、なぜかといったらやっぱり、そうした投資に見合ったようなインフラ整備、品質優良な施設をどうやってつくっていくか、それをどれだけ効率的に、経済的につくっていくか、これがやっぱり目的なんです。今、その手段である公正な競争とか公正な価格とか、それによって今、さまざまな問題が起きてきているんじゃないかと思うんですよ。
こういった問題についてしっかり研究していただきたいということがありますし、こうしたことを受けて、国会では昨年四月に公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる公共工事品確法というのが施行されることになったわけでございまして、ですから、価格だけでなくて施工者の技術力をしっかりと評価することが求められていますし、その入り口である入札契約制度から対応をしっかりと考えていく必要があると思うんですね。
そういう点で、今日までの都の取り組みと今後への考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
○山本契約調整担当部長 都では、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる公共工事品確法の施行以前から、価格と品質が総合的にすぐれた内容の工事契約となるよう、技術提案型の総合評価方式や性能要件発注方式など、多様な入札契約方式を実施しております。
また、昨年度からは、中小規模の工事に対応した簡易な施工能力審査型総合評価方式の試行にも取り組んでおります。
今後とも、総合評価方式など、技術力の評価を反映した取り組みを進めていく考えでございます。
○大西委員 山本部長の話を聞いていると、何も問題もなくこれからもすっと進んでいくようなんだけれども、実態というのはそんな生易しいものではないんですね。
そして、今、こうした低価格入札によって中小企業の人たちへの影響というのも極めて顕著なんですよ。今まで低入札でないときも下請いじめというのはこの議会でも多く指摘されて問題になってきましたけれども、特に近年、この一年ほどは、中小企業の本当に血の出るような苦しみが我々に伝わってくるんですよ。その連中たちが、仮に都の方に訴え出る、そうすると二度とその業界から仕事が来なくなる。そして、どんなに不満、不平を持っていても大手ゼネコンに対しては逆らえないという業界体質というのがあるわけですよ。そうした中で、こんな低価格が横行していったら仕事ができるはずがないんですよ。できるはずがないといういい方はおかしいけれども、本当に品質のいい仕事ができるはずがない。
例えば、私の知り合いのある中小企業では、セメントを入れる、しょうがないよ、価格合わないんだから、それじゃ水と砂をふやしちゃおうか、そんなことがまことしやかにいわれているような実態があります。
そして、こんな現場に、幾ら下請だって優秀な技術者を派遣することはできない。それこそ、先ほどの運転手さんの例ではないけれども、そうした公共工事の経験もない、技術力もない、そういう人たちが派遣されているから、いい工事だってできない。そういうような問題も、これはこれからどんどん起きてくるんじゃないかということを心配するんですよ。
これは、公共工事の目的というのは、もう一つ大事な要素があるんだよ。それは、経済的な効果として、地域経済の活性化、あるいは経済の浮揚、景気対策としての要点があるわけだ。今、このような低価格でどんどん工事が出ていったら、不況を促進して、中小企業の倒産も促進する、そういうようなことになりかねないわけで、これについては、しっかりとやっぱり知恵を出してもらわなければいけないんですよ。
そういう意味では、下請へのしわ寄せということについてどのように対処していくのか、伺いたいと思います。
○山本契約調整担当部長 下請企業へのしわ寄せがないことにつきましても、低入札価格調査におけるヒアリングの中で、その根拠となる具体的な取り組み内容を聴取いたしまして、そうした、ないということの確認を行っているところでございます。
また、施工の段階においても、施工体制台帳による下請企業の確認などを行っておりまして、下請に対して不適切な事実があった場合には、建設業法を所管する都市整備局とも連携して適切に対処していきたいと考えております。
○大西委員 それこそ、例えばこういった中小企業、下請の人たちというのは、その土地で一生これから仕事を続けていかなければいけない。しかも、そういった今日まで関係のある大手ゼネコンや何かと、それはある意味では運命共同体的な役割も担わされていて、仮にその大手ゼネコンの枠から外れたとしたら、その中小企業、下請は生きていけないわけ。だから、そういう人たちが、どんなしわ寄せがあったとしても、そんな、実はこうなんですという実情を話せるなんていうことがあり得るか--ないと思う。
ですから、私はそういった実情をしっかりと把握して、適宜適切に厳しい指導をしていかなければいけない。そして、こういった、ただ価格だけを競う、低価格だけを競うような指名競争入札制度、契約制度というものがこのまま続いていったらば、地域経済は本当に疲弊していきますよ。そして、東京の活力の源でもあった建設業関連業界についても厳しいような状況が起きかねない。
そういう点では、これは自治体として、法律の枠がある、そういった厳しい状況があると思いますけれども、私はそういう意味でも、今度はちょっと国の方へ行って暴れてみたいなとも思っているわけですけれども、それはそれとして、最後に局長、決意のほどを述べていただいて、やっぱりこれはみんなで知恵を出し合いましょう。そして、いい工事をしてもらい、そして中小零細企業者の人たちにもそれなりに活力を持ってもらう、そういう制度、そしてそういう仕組みをどうやってみんなで知恵をつくっていくかを考えていく必要があるんじゃないかと思うんですよ。義理と人情に厚い、温情深い谷川局長に、最後にひとつ決意を述べていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○谷川財務局長 東京都の発注の工事のもとといいますか、それは都民の税金で成り立っている、その中には、当然、今、先生おっしゃったように、地域の経済の活性化という目的がございますけれども、一方では、一般競争入札を拡大しろと。一般競争入札を拡大するということは、全国から、東京都には企業が入ってくるということでございます。その中で、東京都の都民の税金で発注する東京都の契約案件をどのように都民の方、都内の業者の方に発注していくか、これはまた国の定めている契約の制度と相矛盾するところがございまして、今先生がおっしゃいましたように、私どもとしては、都民から預かった税金を都内に還元して地域の活性化を図りたいという強い思いは持っております。その中で、どういう形でやっていくのがいいのか。
例えば、予定価格の事前公表にいたしましても東京都が先陣を切ってやったわけですけれども、現時点では、七県を除いて全部予定価格の導入をして、それを発表して適正な競争をしてほしいという形、これに対しても国の方は、事前公表は制度的におかしいんではないかという疑問を今でもいわれるわけですけれども、私どもとしては、地域、東京という地域の中で契約というものをきちんと、行政目的達成のためにやる手段である契約というものを、より適切な形で、今後もさまざまな形で、先生方のご指導も受けながら模索していかなければならない、このように思っております。
○佐藤委員 今回提出されております契約案件で、港湾局が起工局となっております平成十八年度東京港臨海道路(Ⅱ期)南北水路横断橋鋼けた製作・架設工事請負契約について伺います。
この案件については、予定価格の約五七%という金額で落札されました。入札経過調書にも、以下のような記載があります。株式会社横河ブリッジの第一回入札については、調査基準価格を下回る入札をしたため、落札の決定を留保し、一三財経総務第一二六号通知に基づき調査を実施した、調査の結果、当該入札により、契約の内容に適合した履行がなされると認められたので、四月二十八日付で、株式会社横河ブリッジを落札者と決定する。この調査は低入札価格調査制度といい、常設の委員会を設けて、履行の確保がなされるか調査するために審議を行うものです。調査を行う対象は、例えば建築工事に関しては五億円以上、土木工事に関しては四億円以上の案件について、入札された価格が調査基準価格より下回ったとき調査を行うとのことです。
同時に、低入札価格審査委員会要綱によれば、メンバーは以下のように規定されています。委員長は財務局長であり、委員は、財務局の経理部長、契約調整担当参事、経理部契約第一課長、経理部検収課長、契約調整担当副参事、建築保全部技術管理課長に加え、起工局の課長です。
低入札価格審査委員会の審議状況に関して伺いますが、平成十七年度は何件の調査を行いましたか。また、その結果を教えてください。
○山本契約調整担当部長 平成十七年度は三十五件の調査を行っております。いずれの案件についても履行可能と判断し、審査の対象者を落札者としております。
○佐藤委員 平成十六年度に関してはどうでしょうか。何件の調査を行いましたか。また、その結果を教えてください。
○山本契約調整担当部長 平成十六年度は二十八件の調査を行っております。どの案件も履行可能と判断し、審査の対象者を落札者としております。
○佐藤委員 低入札価格審査委員会の活動状況はわかりました。
平成十七年度、財務局が契約を行った件数は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約の合計七百七十六件、うち一般競争入札と指名競争入札の合計が五百九十八件ということですから、随意契約を除いた入札件数の約五・九%が最低制限価格を下回っている状況です。適切な履行確保のため、引き続き厳正な審議をお願いいたします。
今回の契約案件は、昨年の橋梁談合で指名停止を受けた企業が数多く入っております。これらの企業は、他府県、例えば岩手県においては、十三社中十一社の企業が、二〇〇六年の夏まで十三カ月もしくは十四カ月の期間、指名停止になっております。また、残りの二社のうち一社も、親会社が指名停止となっております。
都の発注工事ではなかったため、都の指名停止期間は六カ月もしくは七カ月でしたが、今後、事件が起きた場合、新しい指名停止措置要綱に基づいて厳正な対処をお願いします。
今回の契約案件は、競争が働いた入札ではありましたが、昨年の事件のような、過去のしがらみを引きずり、逆戻りすることがないよう、過去を清算する必要があるのではないかと思います。
さて、今回入札に参加した企業を調査いたしまして、非常に興味深いことがありました。といいますのは、資本提携関係です。有価証券報告書から、入札参加企業の株主構成を調査したところ、平成十七年六月二十八日もしくは六月三十日、三月三十一日の時点で、十三の入札参加企業のうち五つの企業で、お互いに有価証券報告書に記載されるほどの大株主としての直接の資本提携関係がありました。大株主のリストのベストファイブに入る会社が五社、ベストテンに入る会社が一社あったわけです。
このような入札参加企業の資本関係について、都がいかに把握をしているかといいますと、現在、入札に参加するためには、二年に一回、競争入札参加資格者名簿に登録する必要があります。現状では、資本関係に関しては、議決権の過半数をほかの企業が持っている場合、記載をする必要があります。そして、五〇%超の議決権がある親会社と子会社が、同時に入札に参加することはできません。
国においては、国土交通省の通達であります平成十六年三月三十日付国地契第八九号「工事の発注に当たっての建設業者の選定方法等について」には、親会社と子会社、そして親会社を同じくする子会社は、同時に入札に参加できないという旨が出ておりました。
一方、地方自治法第二百三十四条第六項には「競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告又は指名の方法、随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める。」とあります。
そこで伺いますが、都において、入札参加者の資本関係の記載と、入札排除について規定した条文や要綱は、何になるでしょうか。
○山本契約調整担当部長 東京都契約事務規則に基づいて入札参加登録の公告を行っておりますけれども、この入札参加登録の申請手続を定めた資格申請の手引きにおいて五〇%を超える議決権のある会社の記載を求めております。
また、入札における公正な指名の確保を図るため、同一の入札においては、この議決権のある会社の同時参加を認めないこととし、財務局長通知で関係局に周知を図っております。
○佐藤委員 都では、どういった根拠をもとに、資本関係が五〇%という基準で入札の制限を行っているのでしょうか。
○山本契約調整担当部長 旧商法第二百十一条の二第一項及び第三項の規定では、有効な支配権が成立する議決権の割合は五〇%超とされていたため、五〇%を基準としております。この支配権の考え方は、新しい会社法第二条第三号及び第四号の規定にも引き継がれております。
○佐藤委員 商法では、五〇%超の議決権を持っていれば子会社とみなされますが、財務諸表等規則によって、二〇%以上の議決権を持っている場合などには関連会社とみなされております。仮に、親会社と関連会社が同時に入札に参加をしていた場合、そのいずれかの企業が落札をし、利益を得ても、連結財務諸表に反映されるわけです。
今回参加をしている企業の中には、関連会社となるものはありませんでしたが、今申し上げたように、大株主として資本関係がありました。大株主には、経営の状況の報告も積極的に説明するのが通例ですので、経営の状況をつぶさに知ることができます。
平成十八年五月一日施行の会社法第四百三十三条でも、発行済み株式もしくは議決権の三%以上を保有する株主は、会計帳簿の閲覧を請求する権利があると規定されています。今回の十三社の企業のうち、実に五社が帳簿の閲覧権を持っております。つまり、橋梁の業界で仕事をしているライバル企業の経営内容をつぶさに把握することができるわけです。
もちろん、開札の時点まで入札に参加をしている企業名はわかりませんが、橋梁業界に携わる大手企業が限定されていること、そして、今回の入札を見ることで、参加することのできる企業がある程度限定されることを考えれば、入札参加企業が絞り込めてしまいます。経営に影響を与える大株主と入札で競合している現状を放置しておいて、果たして今後も公正な競争を続けることができるだろうかと思います。
今回の入札参加企業の多くが、昨年指名停止を受けているわけですが、過去のしがらみに逆戻りしないためにも、現状の制度を改善し、記載義務の範囲を変え、入札参加排除の条件を変えることで、引き続き、適切な競争を促す必要があるのではないかと考えます。未公開企業は実情がわからないという意見もあろうかと思いますが、わかる範囲で業者にも申告していただき、制度を改善していくことが必要であろうと考えます。
そこで伺いますが、入札が排除される資本割合についても、子会社である五〇%超から、関連会社である二〇%以上、もしくは大株主上位十社に変更し、適切な競争を促してはどうかと考えますが、財務当局の見解を伺います。
○山本契約調整担当部長 先ほどお答えしたとおり、五〇%を超える議決権がある場合は、会社間の親子関係が明白で公正な入札が阻害されるため、同一入札の参加を認めておりません。これを下回るものにつきましては会社間の支配関係が成立していないため、同一入札に参加を認めないことは、企業の営業活動を必要以上に制約するものと考えております。
○佐藤委員 財務局とは見解が違うようですが、大株主としての株の保有や関連会社の状況を競争入札参加資格者名簿に記載することを義務づけるとともに、入札公告にも排除要件として記載いただくよう要望いたします。他府県の事例はありませんが、都がほかに先駆けて取り組むことが必要であろうと考えます。
今回提出されております契約案件は三つありますが、契約金額の合計金額が約四十九億九千万円であり、それに対して、総額で約十九億円近い落札差金が出ております。平成十六年度の一般会計決算はおよそ六兆三十三億円ですが、東京都決算参考書によると、落札差金について集計をした場合、各局が流用した後、最終的に差金として残っているものが、一般会計全体で約百一億円にも上っております。また、平成十五年度落札差金は総額約百八億円、平成十四年度落札差金は総額約七十七億円になっております。一般競争入札がふえれば、落札差金自体もふえていくことと思います。
こうした差金は、事業執行をしていく過程において、予算の流用とともに使われることがあるようです。議決科目である款や項とは異なり、目や節は執行科目となっており、流用や差金の使用は執行機関の判断となりますが、これらも議決予算の内容を構成するものです。これらについて、予算事務規則や、今年度の予算執行についての依命通達にもあるとおり、流用や落札差金の使用は原則として禁止されており、例外的な場合にのみ使えることになっております。
しかしながら、実態は、全庁分で集計していただきましたが、目の間での流用総額は、平成十六年度で総額二百九十億円にも上ります。これに加え、節の間での流用もあるわけですから、かなりの金額に上るわけです。本来、例外的な使用に限られるわけですが、実際に使われている金額としては非常に大きいことがわかります。
予算事務規則や通達によりますと、こうした例外的な取り扱いを行う際には、各局長が財務局長と協議し、各局長が決定することになっており、出納長にも通知することになっています。予算事務規則第二十条では「歳出予算の経費の金額は、各目の間または各節の間において相互にこれを流用することができない。」と規定しています。しかし、第二項では「前項の規定にかかわらず、局長は、歳出予算の執行上やむを得ない場合に限り、財務局長に協議のうえ、各目の間または各節の間において相互にこれを流用することができる。」ことを定めています。
今お話をしてきたように、原則として流用は禁止されているにもかかわらず、実質的には協議に基づいて差金の使い方を決め、流用しているという状況です。しかも、その金額は、平成十七年度補正予算のうち、緊急課題への対応としての措置した二百七十九億円と比較しても、非常に大きい金額といえます。流用や差金については、しっかりと金額を把握し、税金の適切な執行に努めていただきたいと思います。
都は、第一次、第二次の二つの財政再建推進プランにおいて、予算編成における巨額な財源不足に対応するため、予算の削減を課題としてきました。第一次プランで五千二百億円余りの財源確保を達成し、今年度で終わる第二次プランも、平成十八年度予算までで二千八百億円余りを確保したとのことです。こうした財源確保についての取り組みは今後も引き続き努力していただくとして、これからは、予算を執行していく段階でいかにしてむだを省いていくかということが大きな課題になってきます。先ほど申し上げました落札差金は、公正な競争の結果であり、財政再建の貴重な財産だということをしっかりと認識していただきたいと思います。
今後、少子高齢化社会の中、持続可能な財政運営を行うためには、各局が予算の使い方を工夫し、政策目標の実現と財政再建の両立を図る必要があります。そのためには、各局が規律を持った事業運営をしていくことが求められております。原則として禁止されているにもかかわらず、年間でこれだけの金額、流用されているわけでありますから、制度の本来の趣旨に立ち返ることが必要と考えます。今年度からの複式簿記・発生主義会計の導入を機会に、流用のあり方について、さらに厳しい運用を行うべきと強く要望いたします。差金や残金については、財務局と各局がしっかりと協議し、引き続き財政再建のために役立てるよう努力するべきではないでしょうか。
財政再建するためには、財政運営の分析が不可欠です。今後、実態の把握と分析に取り組んでいただき、十七年度決算においては、こうした点も踏まえて、都民にわかりやすい形で税金の使途について丁寧に説明していただくことを要望するものです。
持続可能な財政運営を行うためにも、今後も公正な競争を促すよう努力していただくことを要望いたしまして、以上で私の質疑を終えたいと思います。
○吉田委員 お疲れさまでございます。
私からは、付託議案の第百七十号議案、都有地の不法占拠者に対する工作物収去土地明渡等請求訴訟事件に関する和解について、これに関連して幾つか質問を申し上げたいと思います。
まず、当該案件、枝川一丁目の土地の成立の過程、そしてどのような経緯で簡易住宅や道路が設置されたのか、伺います。
○三津山特命担当部長 吉田委員のご質問にお答えいたします。
本件地のある枝川一丁目は、大正四年九月に当時の東京市が埋立免許を取得後、埋立工事を行い、昭和三年四月に埋立竣工したものでございます。
旧東京市枝川町簡易住宅は、当時の記録によりますと、周辺の埋立地及び道路敷の管理の適正化を図ることを目的といたしまして、これら周辺の土地を不法もしくは無償にて占拠していた主として朝鮮半島出身者を居住させるため、昭和十六年七月、市有地である枝川町一丁目九番地に設置した住宅施設というものでございます。
また、住宅敷の外周道路は、住宅設置に先立って昭和五年十二月に東京市道として供用が開始されたものでございます。
○吉田委員 この地域は、戦前においては、きちんと市営住宅の家賃が取れるなど適正に管理がなされていましたけれども、敗戦後、住宅及び道路が不法に占拠されることになったと聞いております。その経緯について伺います。
○三津山特命担当部長 昭和二十年三月十日の米軍による空前絶後の大空襲によりまして、東京の下町、特に江東区は全焼いたしましたが、枝川一丁目は奇跡的に焼失を免れました。そのため、生き残り、焼け出された多数の人々が枝川地区に流入いたしまして、簡易住宅に入りきれないほどの状態となったと聞いてございます。
○吉田委員 そのような状況の中で不法占拠がされていた。そういう状況において、当時の住宅及び道路の管理者の対応及び管理についての努力について伺います。
○三津山特命担当部長 旧枝川町簡易住宅につきましては、要求資料第4号のとおり、昭和五十三年に住宅局が地元の住民代表と話し合いを持ったという記録がございますが、その前後の期間の管理状況、経緯等については不詳でございます。
また、道路敷についても、昭和三十六年四月に江東区へ移管されて以降、要求資料第4号にありますとおり、除却命令等を発送したとの記録がございますが、それ以外、同様に管理状況、経緯等について明白ではございません。
○吉田委員 この後、平成十一年の十一月になりまして、随分時代がおりてくるんですが、知事決定により旧枝川町簡易住宅用地等の適正化処理方針というのが定められまして、以降、簡易住宅用地を不法占拠者に売り払っていったと理解をしております。
また、この方針が定められたとほぼ同時期の平成十一年七月、不法占拠者の一人、羅忠燦氏が、枝川一丁目住宅敷裁判を起こしたと聞いております。
同方針が定められるに至った経緯と方針の内容について、また、この枝川一丁目住宅敷裁判に関連して、裁判に至るまでの経緯と裁判自体の経緯、和解の内容とその理由について、それぞれお伺いします。
○三津山特命担当部長 平成四年第三回東京都議会定例会における代表質問によって、不適正財産の処理促進の要請を契機といたしまして、平成五年度に枝川町簡易住宅用地等の適正化に向けまして関係部局による協議が始められ、またこれと並行いたしまして、平成七年より住民代表と売り払い交渉を行い、平成八年には、財務局に専管組織が設置されました。
住民との交渉に際し、住民側の主張は一貫しまして無償、都は底地価格による売り払い条件を示しましたが、六十回以上の交渉にもかかわらず合意に至らぬまま、平成十一年七月に、住民の一人が都を相手に土地所有権確認訴訟を提起いたしました。
当初、相手方は時効取得を主張いたしましたが、都はそれに対する反論を展開いたしました。裁判所における協議の中で、都は、更地価格の一〇%、相手方は無償を和解条件として提示いたしました。その後、双方が歩み寄るも、なおその乖離が埋まらないため、裁判所は、登記費用を除き、土地代金や損害賠償金など一切合財を含め、更地価格の七%で解決するとの和解勧告を発しました。
都といたしましても、検討を重ねた結果、原則として売り払いによる適正化を進めることとしていたことや、相手方の時効取得の完成を裁判所が認める可能性があると判断したことなどから、和解が妥当と判断し、当該条件にて土地の売り払いを行うに至ったものでございます。
なお、都を相手としました住民による土地所有権確認訴訟の提起がなされた直後の平成十一年十一月、知事決定により旧枝川町簡易住宅用地等の適正化処理方針が定められまして、それに基づいて本格的な適正化の取り組みが行われることとなりました。
○吉田委員 これは、都や区が適正に、適切に管理をしてこなかった。管理状況、経緯等も今となっては明白ではないということですが、要求資料第4号、これはきちんと時効の進行をとめるような、いかなる努力をしてきたのか、それについて資料を出してくださいと。簡単にいえば、いろいろございますが、時効の進行をとめるような措置は、都も江東区も講じてこなかったということをこれは示している資料なわけで、その結果、時価の更地価格の七%で和解という結果に至ったんだというご説明だと理解しております。
次に、本件の区道敷の訴訟の相手方と、訴訟を提起する前に住宅敷と同様に売り払いの交渉を行っていたと思いますが、その交渉の経過を伺います。
○三津山特命担当部長 南側旧区道敷は住宅敷と異なる占有の実態であることから、住宅敷と同一条件で売り払いによることは妥当でないと判断いたしまして、平成十三年ごろより、個別の交渉を行うことになりました。
平成十三年九月、東京都は、一億六千九百二十八万円という金額を示しましたが、相手方は、金額が高い旨を主張いたしまして、折り合いがつきませんでした。
平成十三年十二月、東京都は一億五千万円という金額を再度示しましたが、相手方は八千万円を希望し、また、折り合いがつきませんでした。
引き続き交渉を進める中、平成十四年一月、東京都は、相手方に対しぎりぎりの案として非公式に、今回の和解金額のもととなる八千五百万円という金額を示しました。その後、双方の歩み寄りが見られなかったため、平成十六年十月、状況の打開を図る必要から、東京都は訴訟により解決を目指すこととなったものでございます。
○吉田委員 続いて、その訴訟の概要並びに和解の内容について伺います。
○三津山特命担当部長 平成十六年十月、相手方に対しまして土地の明け渡しを求める訴訟を提起いたしました。相手方は、長期間にわたる占有の事実をもって本件地には取得時効が成立している旨を主張いたしまして、東京都はそれに対して反論を展開いたしました。
裁判の進行の中で、和解に向けた話し合いに移行し、相手方より、過去の交渉時に東京都から非公式に提示いたしました八千五百万円で買い受けたい旨の希望が出されました。裁判所からも、本件は和解相当事案であるという認識が示されまして、平成十八年四月、基本了解に達しました。
和解の内容につきましては、土地の売り払い金額は過去の交渉の中で非公式に示しました八千五百万円、さらにそのほかとして、本件地が江東区から東京都に返還された平成十四年七月八日から和解日の前日、来月七月二日までの土地使用料に相当する損害賠償金一千五十六万円を和解金として東京都に対して支払うというものでございます。
○吉田委員 済みません、もう少しおつき合いいただければと思います。
これは和解によって土地を八千五百万円で売り払うということですが、この金額の算出の根拠はどのようなものでしょうか。
○三津山特命担当部長 売り払い金額でございます八千五百万円は、本件地の更地価格である約三億四千五百万円に七五・五%の減価率を乗じたものでございます。これは交渉時の平成十三年当時に時限的に定められました売り払い基準を適用したものでございます。
○吉田委員 これは内々でご説明を伺っている中では、もう特例に特例を重ねた減価率であるというふうに伺っております。何でこのようになるのかということも後ほどご説明いただけると思うんですが、これに関連して、本件に隣接をしています橋台敷の土地について、過去に売り払いを行ったというふうにお聞きしております。その条件、すなわち減価率等がどのようなものであったか伺います。
○三津山特命担当部長 本日の要求資料第3号の図面、明細図の本件地2の駐車場の右隣でございますけれども、枝川一丁目十五番五の橋台敷につきましては、本件相手方の父である徳山徳鳳に対しまして訴訟を提起した結果、昭和四十五年に訴訟上の和解によって土地を売り払ったものでございます。
その売り払い条件は、当時の売り払い基準を適用いたしまして、更地価格の三四%というものでございます。
○吉田委員 今のご説明から、本件土地の隣接地は昭和四十五年に本件の相手方でございます卞鐘出氏の父親の卞徳鳳氏に売り払ったということでございますが、隣接地を占有状況が同じような本件の土地に関して、当然隣接地と同一の条件で売り払いをされるべきと考えますが、なぜそうならなかったのかを伺います。
○三津山特命担当部長 本件地隣接地の売り払いにつきましては、道路の占用許可の期間の更新が認められなかった結果、不法占有となった土地でございます。
一方、今回の売り払いは、相手方の長期間にわたる占有状態を前提としたものでございます。
したがいまして、本件地と隣接地とはその占有の実態が異なっているため、本件土地に対して隣接地の減価率を適用することは妥当ではないと存じております。
○吉田委員 つまり東京都は、昭和四十二年に本件地に隣接する橋台敷の土地については土地明渡請求訴訟を提起して、昭和四十五年に和解して売り払いを行っていながら、他の不法占拠状態にある都有地については、それを解消するための有効な手だてを何も講じてこなかったということだと認識します。
枝川一丁目住宅敷裁判においては、時価のわずか七%で払い下げることになり、その後の住宅地すべて七%で払い下げていくということになった訴訟の原告の羅氏は、この昭和四十五年、まさしくこの年に土地を所有の意思を持って平穏かつ公然と占有し始めたと訴状で主張いたしました。また、本件の和解の相手方でございます卞氏は、昭和五十八年から、本件地を所有の意思を持って平穏かつ公然と占有し始めたと主張をしております。
さきにご説明をいただいたわけですが、善意で十年、悪意で二十年という時効の進行をとめるために必要な有効な措置を東京都は何も講じずに、何十年も見て見ぬふりをしてきた、これは区も含めてです。これはもう本当に行政の怠慢であり、これは許されないことだと私はいわざるを得ません。
区道敷については、一義的には区に、江東区に責任がある。しかし、都が責任を免れられるわけではありません。区も怠慢でありましたが、都は区に対して、不法占拠されている土地を道路区域から除外して都に返還させるように働きかけるなど、さまざまな助言指導ができたはずであると考えます。実際に、この昭和四十二年の橋台敷というのは、区から都に移管をされて、これを都がきちんと提訴したというものであります。
時価で払い下げるというのであれば、全く何の問題もありません。しかし、都民全体の財産であります都有地が、都の怠慢が原因でたたき売りのような金額で、不法占拠を続けた人のものになってしまうということは、これは絶対にあってはならないことでありまして、今後、このような怠慢は二度と許されないと私は思います。
いろいろ関連の資料をいただきました。ここは本当に複雑な過去の経緯を持ったところで、例えば深川事件だとかどぶろく事件だとか、あるいはメーデー事件だとかさまざまな事件があって、ちょっと日本の中では、治外法権とはいいませんけれども、大変な状況にあった時代もあるやには聞いておりますが、しかし、そういうことをもってして、平成十一年まで、あるいはご説明ありました平成五、六年まで何もしてこなかった。これは責任者は、美濃部亮吉知事の時代、それから鈴木俊一知事の時代です。このときに、大変財務局には申しわけない、住宅局の管轄だったときのことですから、しりぬぐいをさせられる財務局の皆様は本当におかわいそうというかお気の毒というか、思いますけれども、今現在、本件以外の都有地で、現に不法占拠が続けられ時効が進行するというような状況にある土地がないのか、ぜひ他の局にも働きかけていただいて、あるいは区市町村にも働きかけていただいて、総点検をしていただいて、もしそのような物件が今現に存在するのであれば、必ず早急に適切な措置をとっていただかなければならないと私は強く強く要望させていただきまして、質問を終わります。
○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十八分散会
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