財政委員会速記録第六号

平成十八年三月二十三日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長山加 朱美君
副委員長東村 邦浩君
副委員長大沢  昇君
理事鈴木 隆道君
理事村上 英子君
理事曽根はじめ君
伊沢けい子君
高倉 良生君
佐藤 広典君
吉田康一郎君
神林  茂君
門脇ふみよし君
桜井  武君
大西 英男君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長谷川 健次君
経理部長臼井  勇君
主計部長安藤 立美君
主税局局長菅原 秀夫君
総務部長三橋  昇君
出納長室出納長幸田 昭一君
副出納長島田幸太郎君
収用委員会事務局局長嶋津 隆文君
審理担当部長井戸 秀寿君

本日の会議に付した事件
 意見書について
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出・債務負担行為-財政委員会所管分、都債
・第三号議案 平成十八年度東京都地方消費税清算会計予算
・第十五号議案 平成十八年度東京都用地会計予算
・第十六号議案 平成十八年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(決定)
・第四十七号議案 長期継続契約を締結することができる契約を定める条例
・第四十八号議案 東京オリンピック開催準備基金条例
・第四十九号議案 東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
・第五十号議案  東京都市街地再開発事業会計条例を廃止する条例
・第五十一号議案 東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十六号議案 全国自治宝くじ事務協議会への堺市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
請願陳情の審査
都市計画税の軽減措置継続に関する請願
1 一七第四一号
2 一七第四六号
3 一七第五〇号
4 一七第五四号
5 一七第五八号
6 一七第六二号
7 一七第六六号
8 一七第七〇号
9 一七第七四号
10 一七第七八号
11 一七第八五号
12 一七第八九号
13 一七第九三号
14 一七第九八号
15 一七第一〇二号
16 一七第一〇七号
17 一七第一一一号
18 一七第一一五号
19 一七第一一九号
20 一七第一二三号 
21 一七第一二七号
22 一七第一三一号
23 一七第一三七号
24 一七第一四一号
25 一七第一四六号
26 一七第一五一号
27 一七第一五五号
28 一七第一六三号
29 一七第一七四号
小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置継続に関する請願
30 一七第四二号
31 一七第四七号
32 一七第五一号
33 一七第五五号
34 一七第五九号
35 一七第六三号
36 一七第六七号
37 一七第七一号
38 一七第七五号
39 一七第七九号
40 一七第八六号
41 一七第九〇号
42 一七第九四号
43 一七第九九号
44 一七第一〇三号
45 一七第一〇八号
46 一七第一一二号
47 一七第一一六号
48 一七第一二〇号
49 一七第一二四号
50 一七第一二八号
51 一七第一三二号
52 一七第一三八号
53 一七第一四二号
54 一七第一四七号
55 一七第一五二号
56 一七第一五六号
57 一七第一六四号
58 一七第一七五号
負担水準が六五%を超える商業地等における固定資産税税額の軽減措置継続に関する請願
59 一七第四三号
60 一七第四八号
61 一七第五二号
62 一七第五六号
63 一七第六〇号
64 一七第六四号
65 一七第六八号
66 一七第七二号
67 一七第七六号
68 一七第八〇号
69 一七第八七号
70 一七第九一号
71 一七第九五号
72 一七第一〇〇号
73 一七第一〇四号
74 一七第一〇九号
75 一七第一一三号
76 一七第一一七号
77 一七第一二一号
78 一七第一二五号
79 一七第一二九号
80 一七第一三三号
81 一七第一三九号
82 一七第一四三号
83 一七第一四八号
84 一七第一五三号
85 一七第一五七号
86 一七第一六五号
87 一七第一七六号
固定資産税における償却資産の取扱いに係る意見書の提出に関する請願
88 一七第一五四号
89 一七第一五八号
90 一七第一六六号
91 一七第一七七号
都市計画税の軽減措置継続に関する陳情
92 一七第五九号
小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置継続に関する陳情
93 一七第六〇号
負担水準が六五%を超える商業地等における固定資産税税額の軽減措置継続に関する陳情
94 一七第六一号
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○山加委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査、請願陳情の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査、調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、債務負担行為、財政委員会所管分、都債、第三号議案、第十五号議案及び第十六号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○神林委員 私は、都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十八年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 小泉内閣の懸命な構造改革の推進により、中小企業にはいまだ先行きが見えないものの、全体として景気は順調に回復し、経済は新たな成長路線を歩もうとしております。
 こうした中で編成された十八年度東京都予算案は、都税収入を前年度比五・九%増の四兆五千億円と見込むなど、一般会計の規模は五年ぶりに六兆円台となっています。また、隠れ借金を大幅に圧縮するとともに、基金残高を確保するなど、二次にわたる聖域を設けない徹底した財政再建への取り組みが功を奏し始めています。
 今、何よりも重要なことは、景気回復の勢いを都内産業の大多数を占める中小企業に及ぼし、都内経済、そして我が国経済を本格的な回復軌道に乗せていくことであります。
 本予算案では、新たな時代に対応した産業力の強化を着実に推進していくため、中小企業対策を初めとして、さまざまな地域振興策が盛り込まれています。
 また、オリンピックの東京招致は、東京の存在感を世界に示す絶好の機会であるとともに、都市の発展過程で生じてきた都市インフラの問題解決を促進するよい機会でもあります。そうした意味から、今回、新たに基金を創設し、一千億円を計上したことを高く評価いたします。
 さらに、急速な少子化の進行は社会保障制度や社会経済構造に大きな影響を与えます。そのため、地域での子育て支援体制づくりや仕事と家庭生活との両立、子どもや家庭の自立促進など、次世代育成支援の促進は非常に重大な課題であり、都としても重点的な対策を講じる必要があります。
 しかしながら、こうしたさまざまな課題への対応を迫られる一方、昨年末には、法人事業税ばかりか、法人住民税の分割基準を見直す国の動きも明らかになるなど、財源問題に関連して非常に厳しい状況に直面しました。
 我々都議会自民党は、都選出の国会議員とも力を合わせて強力な反対活動を行い、法人住民税の分割基準見直しを阻止するとともに、恒久的な減税の補てん措置である地方特例交付金には三カ年の経過措置を設けさせるなど、都にとって貴重な財源を確保してまいりました。我が党は、石原知事としっかりと手を組み、東京をねらい撃ちするこうした国の動きに対しては、今後とも反対の姿勢を貫いてまいります。
 改めて申し上げるまでもなく、東京の再生、発展を果たすための先進的な施策を継続的に展開していくには、強固で弾力的な財政基盤の確立が欠かせません。今後とも財政構造改革に向けたゆまぬ努力が必要であると、あえて強調しておきたいと思います。
 なお、予算執行に当たっては、各局とも効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく、最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、財務局関係について申し上げます。
 一、二次にわたる財政再建推進プランの成果を踏まえ、将来を見据えながら、全力を挙げて財政構造改革に取り組まれたい。
 二、東京ひとり勝ち論に基づく不当な措置に対しては毅然たる態度で反論し、都民の貴重な財源を今後とも守り抜かれたい。
 また、地方交付税の不交付団体を理由とした不合理な東京都への財源調整措置を直ちに廃止するよう、国に対して強く要求されたい。
 三、不用財産の売却促進はもとより、全庁的な観点から、土地建物などの貴重な都有財産のさらなる有効活用を図られたい。
 四、景気に回復の兆しが見えてきたものの、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。このような状況の中、都としても、中小企業の育成や経営安定化を支援するため、共同企業体などを積極的に活用し、受注機会拡大への取り組みをさらに強化されたい。
 次に、主税局関係に移ります。
 一、平成十八年度の都税収入は、景気回復基調が続く中、好調な企業収益を反映し、引き続き大幅な増収額を計上しているが、今後の景気動向には不安材料もある。負担の公平の観点から、これまでも成果を上げてきた徴税努力をさらに強化するとともに、納税者の担税力に応じたきめ細かい配慮を加えつつ、都税収入の確保に万全を期されたい。
 二、使用料など滞納金回収の取り組みについては、財政の再建と住民負担の公平を図るため、関係各局との一層の連携や対象の拡大など、全庁的な滞納金の解消に向け、引き続き精力的に取り組まれたい。
 三、真の地方主権の確立に向けて、今回の税源移譲で終わらせることなく、さらなる地方税財政制度の改革を行い、国と地方の役割分担に見合った税源配分となるよう、国に強く働きかけられたい。
 また、法人事業税及び法人住民税の分割基準を財源調整の手段として用い、大都市に不利益な措置を行わないよう、あわせて強く働きかけられたい。
 四、地方主権の時代にふさわしい税制のあり方について、東京都税制調査会を活用し、引き続き検討されたい。
 五、固定資産税制の抜本的改革を図り、納税者にわかりやすい制度にするとともに、社会経済の活力を維持する観点から、相続税のあり方についても抜本的に見直すよう、国に強く働きかけられたい。
 六、法人二税を初め、自動車保有関係手続のワンストップサービスやマルチペイメントネットワークなど、現在導入が進められている電子申告、電子納税については、その利用促進を図るよう、利便性を一層向上させるとともに、信頼性、セキュリティーの確保を図るなど、納税者サービスの一層の向上に努められたい。
 七、悪質な脱税であるとともに、都民の生命、健康を脅かす不正軽油を撲滅するために、部門を超えた庁内連携や自治体間の連携を充実し、取り締まりの一層の徹底を図られたい。
 最後に、出納長室関係について申し上げます。
 一、公会計制度改革は、真に効率的な都政運営を実現するために不可欠であり、全庁的な体制のもとで円滑に実施して、職員の意識改革とともに都政の構造改革を推進されたい。
 また、日本の公会計制度を改革することを目指して、国や他の自治体への働きかけに努められたい。
 二、公金の管理運用に当たっては、今後の経済見通しや量的緩和解除に伴う金利の変動などを十分見きわめながら、安全性を最重要視した上で、できる限り効率的に行うよう努められたい。
 最後に、なお、委員会質疑の際、我が党各委員が提示した考え方や提案については、いずれも、都政を担う責任政党として申し上げた重要な指摘であります。今後の都政運営に当たっては、これらの指摘を十分しんしゃくされた上で取り組まれることを申し添えて、私の意見開陳を終わります。

○門脇委員 都議会民主党を代表いたしまして、当委員会に調査を依頼されております平成十八年度予算にかかわる議案について、意見の開陳を簡潔に行います。
 平成十八年度予算案は、堅調な税収増に支えられて、一般会計で前年度比五・四%増の六兆一千七百二十億円と、平成十三年度以来、実に五年ぶりに六兆円を超えました。都税収入も五・九%、二千五百二十億円増の四兆五千二十八億円と見込んでいます。しかし、法人事業税の分割基準の見直しや固定資産税の評価替えに伴う影響により、平成十七年度最終補正後予算との比較では、六百三十六億円の減となっております。
 景気の回復傾向も、秋まで続けば戦後最長のイザナギ景気を超えることとなりますけれども、必ずしも実感を伴ったものではないといっていいと思います。しかも、日銀による金融の量的緩和の解除がなされ、ゼロ金利の見直しも取りざたされている中、長期金利の上昇が都債の利払いリスクの上昇にもつながっていきます。景気回復が都財政に与える効果は必ずしも一様ではないことを示しているといえると思います。
 三位一体の改革の影響については、住民税の税率フラット化などで、当該十八年度では三百五十億円、平年度ベースでは一千百億円の増収効果が見込まれています。しかし、その一方で、法人事業税の分割基準見直しにより、平成十八年度は一千三百億円、平年度では一千百億円の減収、さらに、地方特例交付金の廃止により、平年度一千四百億円の減収となります。プラスマイナス差し引くと、結果として、十八年度九百五十億円、平年度では一千四百億円のマイナスとなる見込みであります。
 税源移譲による増収効果があるにもかかわらず、法人事業税の分割基準見直しや地方特例交付金の廃止によって、東京都では総体としてマイナスとなってしまうわけであります。しかも、権限は国の省庁に残されたままであり、地方分権とはかけ離れた三位一体の改革でありました。
 私たちは、改めて体制を整え、八都県市を初めとする全国の自治体との連携による地方税財政制度の抜本的見直しに真剣に取り組まなければならないと考えております。
 一般歳出は四兆一千八百二十三億円と前年度比二・〇%増にとどめ、五・九%増だった都税収入と比べて、抑制ぎみとなっております。基金の積み立てや、いわゆる隠れ借金の圧縮に努めつつ、必要な分野には予算を措置する、第二次財政再建推進プランの最終年度にふさわしい、バランスがとれた予算となっており、評価をするものであります。
 しかし、石原都政が二期目の総仕上げに差しかかろうとしている今、単年度ベースの予算の帳じりだけを見ているわけにはいきません。二〇一二年オリンピック開催を予定いたしておりますロンドンにロンドンプランがあるように、二〇一六年オリンピックに向けて、東京のまちづくりの長期構想を策定し、財政面も含めて、確かな都政の道筋を示していく必要があるということを、ここで改めて付言申し上げておきます。
 なお、予算の執行に当たっては、重点事業を初め、予算に計上した事業の目的が十分に達成できるよう、機動的かつ効率的な執行を図るとともに、各事業を検証し、より一層効率的、効果的な事業となるよう、改善、改革に努められるよう求めるものであります。
 以上、私たちの総括的な見解を述べ、以下、各局にかかわる事項について述べます。
 最初に、財務局であります。
 一、少子高齢化、人口減少などを踏まえた、中長期的な視点に立った財政運営原則の確立、財政運営基本条例の制定を図ること。
 一、分権体制の確立に向けて、国庫支出金、地方交付税の縮減等による税財政制度の抜本的改革を通じて、国と自治体との税源配分を見直し、自治体への税源移譲を図ることを強く国に働きかけること。
 一、強固な財政基盤の確立に向けた施策の再構築を引き続き実施するとともに、業績評価制度を整備し、予算編成の分権化、簡素化を図るなど、予算編成手法のより一層の改善を図ること。
 一、複式簿記・発生主義会計を法制度上正当に位置づけるよう国に働きかけるとともに、財務諸表を活用した事務事業評価を適切に行い、東京都版マネジメントサイクルを確立していくこと。
 一、日本銀行の量的緩和政策解除を受け、金利変動リスクが高まることを踏まえ、都債の管理に一層慎重を期すこと。
 一、電子入札導入効果の向上を図るとともに、入札・契約手続の透明化を高め、さらに不正の防止に努めること。
 次に、主税局であります。
 一、東京都税制調査会答申を踏まえ、都民へのPR、国への働きかけを初めとした地方税財政改革の取り組みを積極的に推進すること。
 一、税務事務の一層の情報化を進め、クレジットカードによる納税も含め、効率化と納税者サービスの向上を図り、電子納税の拡大を促進すること。
 一、インターネット公売を拡充し、公平公正な滞納整理を促進するとともに、納税者の個別事情等にもきめ細やかな対応を図ること。
 一、平成十六年四月に導入された法人事業税の外形標準課税制度の定着と円滑な運用に努めること。
 次に、出納長室であります。
 一、量的緩和政策解除による金利変動に柔軟に対応し、基金運用のパフォーマンス向上に努めるなど、公金の運用管理に万全を期すこと。
 一、使用料や手数料等の公金について、クレジットカードによる支払いを含め、支払い方法の多様化を図り、収納率の向上を図ること。
 最後に、収用委員会であります。
 一、事件処理の迅速化を図るとともに、収用制度に対する都民、事業者の理解を深め、審理の充実を図ること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終了いたします。

○高倉委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十八年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 平成十八年度の一般会計予算は、一般歳出が四兆一千八百二十三億円と、平成十三年度以来五年ぶりに増加に転じ、都民生活の安全・安心の確保、少子高齢化対策、景気、中小企業対策など、直面する東京の諸課題への対応に加え、オリンピック開催に向けた取り組みや都市基盤の整備などにも重点的に配分するなど、都民ニーズに積極的に対応した予算となっております。
 また、回復基調にある景気を反映し、都税収入が二千五百二十億円の増加となっていますが、これを有効に活用し、他会計からの借入金の解消など、隠れ借金の大幅な圧縮を図るとともに、将来に向けた備えとして基金の残高をふやすなど、財政基盤の強化に向けた取り組みが進められています。
 これらは我が党の主張と軌を一にするものであり、評価できるものであります。
 しかし、今後、人口減少、少子高齢社会の到来や大規模施設の更新経費の増加など、都財政にとって多くの懸念材料があることも事実であります。そうした中、必要な都民サービスを安定的に提供するためには、引き続き財政構造改革を強く進める必要があります。
 我が党が提案した新たな公会計制度が十八年度からスタートしますが、これを機に、職員の意識改革も含めた、質の面での都政改革をより一層進めることを強く望むものであります。
 なお、予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効果的かつ効率的に行うことを要望しておきます。
 以下、各局別に申し上げます。
 まず、財務局関係についてであります。
 一、二次にわたる財政再建推進プランの成果を踏まえ、少子高齢、人口減少社会の到来という社会構造の変化を見据えつつ、なお一層、財政構造改革を推進すること。
 一、都債については、後年度負担に留意しながら、都民生活の向上に関連する投資的経費の財源として、適切な活用を図ること。
 一、厳しい経営環境にある都内の中小企業の安定化のため、受注機会の拡大などへの取り組みをさらに強化すること。
 一、契約事務の効率化を図るとともに、総合評価方式を拡大し、適正な入札制度の構築を図ること。
 一、都有財産については、不用なものの売却を図るとともに、各局と連携して有効利用、活用を図ること。
 一、東京オリンピック開催準備基金については、パラリンピックに関連するバリアフリー、ユニバーサルデザインのまちづくりに積極的な活用を図っていくこと。
 一、平成十八年度から導入される複式簿記・発生主義会計を活用して、都施設などの将来的な改築経費を確保するに当たっては、減価償却に対応した基金の積み立てを行うとともに、起債とのバランスを図ること。また、管理会計の手法を導入して事業別財務諸表を作成し、各局事業の妥当性を検証できるように図ること。
 次に、主税局関係について申し上げます。
 一、都税収入の確保に万全を期すこと。特に、三位一体改革による税源移譲を視野に置き、個人都民税の徴収率の向上を図るとともに、滞納者の発生防止や納税者の担税力に応じたきめ細かな配慮を加えながら、その整理に努めること。
 一、地方主権を確立するため、地方税財政制度の抜本的な見直しを国に働きかけるとともに、大都市の膨大な財政需要を無視した法人事業税及び法人住民税の分割基準の見直しを行わないよう強く申し入れること。
 一、固定資産税、相続税については、高地価によって生活者が過重な負担を強いられないよう、引き続き大都市の実情に見合った税負担のあり方を検討すること。
 一、納税者のための税納付環境向上のため、マルチペイメントネットワークを活用した都税の納付や、身近なコンビニでの都税の納付の拡充を図ること。
 次に、出納長室関係について申し上げます。
 一、我が党が積極的に推進してきた複式簿記・発生主義会計の平成十八年度四月導入に当たり、都庁職員が財務諸表を活用して都政改革を推進できるよう意識改革を行い、制度の運用に万全を期すこと。
 一、基金等の公金管理については、より高い運用利回りを目指すとともに、都民の負託財産であるという性格をかんがみ、引き続き、元本保証が担保できる安全な運用に努めること。
 以上で、都議会公明党の意見開陳を終わります。

○曽根委員 日本共産党の意見を開陳します。
 東京でとりわけ顕著な貧困と社会的格差の新たな広がりに加え、小泉政権の庶民大増税、社会保障の連続的な改悪が進められているもとで、都民の暮らしと福祉、安全を守ることは、都政の最重要課題であり、来年度予算もこの立場に立って編成されることが強く求められています。
 予算の根幹をなす都税収入は、来年度に二千五百億円もの増収が見込まれており、これを有効に活用すれば、都財政の立て直しと都民施策の拡充に踏み出すことは十分可能です。
 ところが、知事の予算案は、福祉予算でいえば、児童手当など国の制度改正に伴う増を除けば、老人医療費助成が廃止に向けて七十億円も削減されるなど、さらなる切り捨てが進む一方、高齢者介護の充実や子どもの医療費拡充など都民の切実な要求は冷たく拒否されています。また、全国の流れとなっている少人数学級も進めず、中小企業対策予算は十一年連続で削減されています。
 その一方、環二、大橋など再開発や幹線道路など大型の都市基盤整備には優先的に予算が配分され、都市整備局予算が一二%も伸びるなど、投資的経費は二年連続でふやされています。
 また、予算案は、来年度を第二次財政再建推進プランの最終年度と位置づけ、東京の保育の水準を向上させる上で大きな役割を果たしてきた都加算制度の廃止を初めとする都民施策の切り下げや、新たに都立技術専門校の授業料を徴収することなど、二十五種に上る公共料金値上げを行おうとしています。
 しかし、都税収入は、二次にわたる財政再建推進プランの策定当時の見込み額に比べて、この七年間で三兆円近い大幅増となっており、財政危機を理由に、福祉を初めとする施策の切り捨てを進める根拠は根底から破綻しています。プランに基づく都民施策の切り捨て、負担押しつけは中止すべきです。
 また、耐震構造偽装事件など、官から民への流れの弊害が浮き彫りとなっています。東京都が、その検証も行わずこの流れを加速させ、都立ユース・ホステルの民営化や、都立施設の管理運営を営利目的の民間企業にも開放する指定管理者制度の導入などを進めようとしていることも大きな問題です。
 スポーツ施設や公園などでは、民間企業が指定管理者になることで、高い料金となったり、サービスや従業員の待遇が改悪されるなどの危険が既に明らかにされています。荏原病院の公社化、産業技術研究所の独立法人化と統廃合、学校経営支援センターなどについても、多くの都民、都民団体、関係業界などから強い反対の声が上げられており、こうした計画の抜本的見直しこそが求められています。
 予算原案は、財政構造改革の足取りを確かなものとするといいながら、今日の都財政悪化の最大の要因である大型開発については、都市再生やオリンピック招致の名目で、外かく環状道路建設、臨海・港湾開発、丸の内などの開発などの大型事業を一層拡大し、首都高速道路の中央環状品川線や羽田空港再拡張など、本来東京都が負担する必要のない公共事業などにも際限なく財政を投入しようとしています。
 一方、都営住宅の新規建設を引き続きゼロに抑え、公園や歩道整備など生活密着型公共事業は後景に退けられていることも見過ごせません。この従来型の開発路線を一層エスカレートさせる道を進めば、東京のさらなる環境破壊やまち壊し、都財政破綻は避けられません。
 こうした中でも、国の年金課税強化により新たに住民税課税となる約七万七千人に対し、シルバーパスが千円のまま据え置かれたこと、障害者自立支援法の施行に伴う負担増が押し寄せる中で、都独自の精神障害者通院医療費無料制度が継続され、障害者の福祉基盤整備のための新三カ年プランも盛り込まれたこと、小規模宅地などの固定資産税、都市計画税の軽減措置の継続などの予算が計上されたことは重要です。また、木造個人住宅の耐震補強助成とマンション耐震診断助成、耐震補強した住宅への減税などが実りつつあることは評価します。
 以下、各局について申し述べます。
 財務局関係です。
 大型公共事業に偏った投資的経費を見直し、都債を三千億円以下に抑制していくこと。
 財政再建推進プランの施策見直し方向を撤回し、税収増にふさわしく、都民本位の財政健全化の方向に見直すこと。
 都の発注する官公需の中小企業向けの比率を一層引き上げるとともに、分離分割発注、中小企業のジョイントベンチャーを進め、地元優先発注を推進し、中小企業の受注機会を拡大すること。
 都の入札・契約制度は一層改善を図り、大手を初めとする談合を防止し、公正な競争が行われるようにすること。
 土地などの財産活用については、安易に売却することなく、今後の都施設の必要性や都民サービスの向上の観点から活用の検討を行うこと。
 首都高速道路への財政支援、国直轄事業負担金には応じないこと。
 次に、主税局関係です。
 法人事業税の超過課税は、課税自主権の拡充と、都としての財源確保、また大企業が史上空前の利益を上げている現状からも、制限税率いっぱいまで引き上げること。
 国からの税源移譲に伴う住民税フラット化が行われた場合、これによる都民被害を食いとめるよう、関係機関に働きかけること。
 消費税増税を容認する態度を改め、都民の暮らしの観点から、税率引き上げには反対すること。
 固定資産税、都市計画税の過大な負担の解消のため、引き続き軽減措置の継続、充実に努めること。
 償却資産の課税基準を引き上げ、また納税時期を納税者の立場に立って見直すこと。
 以上です。

○伊沢委員 私は、市民の党の東京都の十八年度予算についての意見を申し上げます。
 十八年度予算は、これまで行ってきた財政構造改革をより推進し、オリンピックを通じて将来への投資を積極的に行うとしています。
 しかし、財政構造改革の中身を見ると、まず福祉予算においては、これまで東京都が先進的に行ってきた子育て支援事業である保育園の保育士や保健師、障害児保育充実のための人件費補助であった都加算補助をなくし、子育て推進交付金としました。また、三年後にはこの交付金も見直され、削減されるおそれがあります。このように、現在、少子化が進み、子育て支援への都民の要望が大変高い中で、このような政策は都民の期待と反するものです。
 また、介護保険事業の国の見直しによって、この春から介護報酬が下げられるとともに、家事援助サービスの範囲が縮小されようとしていますが、高齢者福祉予算の削減を行わないよう、東京都は国に対し求めると同時に、東京都としてはできるだけニーズにこたえる予算を組むべきです。
 介護や子育て支援に、もっと力を入れていただきたいと思います。介護や子育て支援におけるサービスの量の拡大、そしてサービスの質を保障する人件費をきちんと確保すべきです。
 次に、将来への投資として、オリンピックを通じて施設や道路など新たな社会資本整備を行うとし、十八年度予算においても一千億円のオリンピック基金を積み立てるとしています。
 十七年度の都税収入は、二千五百二十億円、五・九%の増収となっておりますが、ここ十年の都税収入の変動は激しく、三年周期ほどで大きく増減を繰り返しております。この実績から見ますと、投資を行うと一時的にはカンフル剤的な効果が出るものの、結局収益を上げているのはごく一部の企業にすぎないために、より経済格差が拡大し、全体としての購買力がないために景気が悪化するという悪循環を繰り返しております。
 このことから、十八年度においてさらに投資的経費をふやすことは、解決すべき問題を先送りにし、さらに事態を悪化させることを意味しています。このように、石原知事が進めている大型公共事業中心である都市再生事業は、東京都の財政を悪化させ、将来へ借金を残すことにつながることから、反対をいたします。
 続いて、工事請負契約の入札について意見を申し上げます。
 投資的経費の全体の量を圧縮させると同時に、個々の工事費を下げることが必要です。財務局が発注した工事のここ数年の入札結果を見ると、ずっと九〇%を上回っています。落札率九〇%を超える事業は、談合の疑いがあると指摘をされています。工事の落札率を下げるよう競争を行い、工事費の削減を行うべきです。
 また、東京都発注の工事は、財務局で指名競争入札が行われているものは約八割、建設局や港湾局などでは、指名競争入札は九割を超えております。一般競争入札を拡大し、工事費の削減を行うことを求めます。
 以上、経済格差をなくし、少子高齢社会に備えた中長期的なビジョンを持った都政運営の実施を求めて、意見開陳を終わります。

○山加委員長 以上で意見の開陳を終了いたします。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において予算調査報告書として取りまとめの上、議長に提出をいたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○山加委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第四十七号議案から第五十七号議案まで及び第百二十六号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○曽根委員 付託議案についての日本共産党の意見を述べます。
 第四十八号議案は、東京オリンピック開催準備基金条例として、オリンピック開催に向けた都市基盤整備のために基金を積むものです。この基金一千億円の金額の根拠は、それなりの財政が必要、一兆円を超える可能性があるなどとしか示されておりません。我が党は、オリンピック開催そのものには反対をしておりませんが、知事の都市再生のてことするようなオリンピック招致には反対であり、しかも、今後の財政計画も明確にしていないため、金額の根拠も不明確で、国内候補都市さえ決まっていない段階では急ぐ必要のない基金と考えます。
 次に、四十九号議案、事務手数料条例の一部改正条例は、宗教法人の敷地内を証明する手続の料金を三千六百円から五千四百円に引き上げるものですが、限られた範囲の適用ですけれども、都民、零細業者などが対象となり得るため、値上げについては反対をいたします。
 以上です。

○伊沢委員 それでは私は、四十八号議案、東京オリンピック開催準備基金条例に反対をする立場から意見を申し上げます。
 これは、一千億円の積み立てを基金として行うとしています。しかし、この財政委員会でも明らかになったことは、一兆円以上であり、しかし上限については全く述べられませんでした。このように額も不明なものについては賛同はできません。
 また、使い道についても、外かく環状道路外三環状線についても投資も行えるし、どのような目的であってもオリンピックという目的であれば使えるという、非常に使い道もあいまいなものとなっています。結局のところ、これは都市再生事業を推進するためのものということから、私はこのオリンピックの条例に反対をいたします。

○山加委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第四十八号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○山加委員長 起立多数と認めます。よって、第四十八号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第四十九号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○山加委員長 起立多数と認めます。よって、第四十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第四十七号議案、第五十号議案から第五十七号議案まで及び第百二十六号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認めます。よって、第四十七号議案、第五十号議案から第五十七号議案まで及び第百二十六号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○山加委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(91)までの請願一七第四一号外二十八件の同内容の請願、請願一七第四二号外二十八件の同内容の請願、請願一七第四三号外二十八件の同内容の請願、請願一七第一五四号外三件の同内容の請願及び整理番号(92)から(94)までの陳情一七第五九号から陳情一七第六一号までは、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 初めに、整理番号(1)から(87)までの請願一七第四一号外二十八件の同内容の請願、請願一七第四二号外二十八件の同内容の請願、請願一七第四三号外二十八件の同内容の請願及び整理番号(92)から(94)までの陳情一七第五九号から陳情一七第六一号までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認めます。よって、整理番号(1)から(87)までの請願一七第四一号外二十八件の同内容の請願、請願一七第四二号外二十八件の同内容の請願、請願一七第四三号外二十八件の同内容の請願及び整理番号(92)から(94)までの陳情一七第五九号から陳情一七第六一号までは、いずれも趣旨採択と決定いたしました。
 次に、整理番号(88)から(91)までの請願一七第一五四号外三件の同内容の請願を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認めます。よって、整理番号(88)から(91)までの請願一七第一五四号外三件の同内容の請願は、いずれも継続審査といたします。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定した分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○山加委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情及びお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○山加委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、幸田出納長から発言を求められておりますので、これを許します。

○幸田出納長 所管四局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 ただいまは、平成十八年度予算案の調査を初め、当委員会に付託されました各議案につきまして、それぞれご審議の上、ご決定をいただきました。まことにありがとうございました。
 また、財務諸表を活用した都政改革の推進、平成十八年度地方税制の改正、公金管理等報告事項につきましても、さまざまな視点からご熱心にご議論をいただきました。まことにありがとうございました。
 この間、委員の皆様方からいただきました貴重なご指摘、ご意見につきましては、今後の行政運営、事務の執行に反映させてまいります。万全を期して執行していきたいと考えております。
 今後ともご指導、ご鞭撻のほどお願いを申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○山加委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十四分散会

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