財政委員会速記録第四号

平成十八年三月十七日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長山加 朱美君
副委員長東村 邦浩君
副委員長大沢  昇君
理事鈴木 隆道君
理事村上 英子君
理事曽根はじめ君
伊沢けい子君
高倉 良生君
佐藤 広典君
吉田康一郎君
神林  茂君
桜井  武君
大西 英男君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長谷川 健次君
経理部長臼井  勇君
契約調整担当部長山本 憲一君
主計部長安藤 立美君
財産運用部長泉本 和秀君
調整担当部長塚本 直之君
特命担当部長三津山喜久雄君
建築保全部長南部 敏一君
参事吉田 長生君
参事松村  進君
収用委員会事務局局長嶋津 隆文君
審理担当部長井戸 秀寿君

本日の会議に付した事件
 理事の辞任及び互選
 意見書について
 収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十七号議案 東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入・歳出-議会局・財務局所管分、都債
・第十五号議案 平成十八年度東京都用地会計予算
・第十六号議案 平成十八年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 長期継続契約を締結することができる契約を定める条例
・第四十八号議案 東京オリンピック開催準備基金条例
・第四十九号議案 東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
・第五十号議案  東京都市街地再開発事業会計条例を廃止する条例
・第五十一号議案 東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十六号議案 全国自治宝くじ事務協議会への堺市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
報告事項(質疑)
・財務諸表を活用した都政改革の推進について

○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、大西英男理事から本日付をもって理事を辞任したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認めます。よって、大西英男理事の辞任は許可されました。

○山加委員長 次に、ただいまの大西英男理事の辞任に伴い、理事一名が欠員となりましたので、これより理事一名の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○佐藤委員 委員長の指名推選の方法によるものとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○山加委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、鈴木隆道委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認めます。よって、理事には鈴木隆道委員が当選されました。
 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおり変更いたしたいと思います。ご了承願います。

○山加委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○山加委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成十八年度予算は、予算特別委員会に付託をされておりますが、本委員会所管分につて、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布をしてあります。
 朗読は省略いたします。

平成十八年三月十六日
東京都議会議長 川島 忠一
財政委員長 山加 朱美殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1)
財政委員会
第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中
予算総則
歳入
歳出
債務負担行為 財政委員会所管分
都債
第三号議案 平成十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第十五号議案 平成十八年度東京都用地会計予算
第十六号議案 平成十八年度東京都公債費会計予算

(別紙2省略)

○山加委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査、付託議案の審査並びに財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分及び第五十七号議案を一括して議題といたします。
 予算案、付託議案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○井戸審理担当部長 去る二月十七日の当委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。
 要求資料第1号、収用委員会の活動日数及び取扱件数についてでございます。
 まず、1の活動日数についてご説明申し上げます。収用委員会の活動は、委員会を開催し、七名の委員全員の合議により行うものと、個々の事件ごとに指名された委員が、単独で審理や現地調査などを行う活動に分かれております。
 この表は、それぞれの活動日数とその総計の推移を、直近の五年間にわたりお示ししたものでございます。
 年間の活動の総計は、年度途中に指名委員制度を導入しました平成十三年度を除きまして、おおむね百三十日前後で推移しており、十七年度は最終的には百四十日を超えるものと考えてございます。
 次に、2の取扱件数についてでございます。収用委員会の取扱事件につきましては、前年度から継続して事件を扱っている繰り越しのものと、当該年度において新規に受理したものがございます。
 この表は、それぞれの事件数とその総計の推移をここ五年間にわたりお示ししたものでございます。
 年間の取り扱いの総計は百件を上回る水準で推移しており、さらに十七年度には最終的に百十件を超える見通しでございます。
 なお、平成十四年度につきましては、圏央道のトラスト事件により増加しているものでございます。
 簡単ではございますが、要求資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○山加委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、議会局、財務局所管分、都債、第十五号議案、第十六号議案、第四十七号議案から第五十一号議案まで及び第百二十六号議案並びに報告事項、財務諸表を活用した都政改革の推進についてを一括して議題といたします。
 予算案及び付託議案並びに報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○臼井経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求をいただきました資料につきまして、私からご説明申し上げます。
 今回要求いただきました資料は三件でございます。
 恐れ入りますが、お手元配布の要求資料第1号をごらんください。指名停止中の企業について(平成十八年二月一日現在)でございます。これは平成十八年二月一日現在、都が指名停止を行っている企業名及び指名停止期間をあらわしたものでございます。
 次に、要求資料第2号は、平成十七年度財務局契約のうち落札率九〇%以上の入札案件についてでございます。その入札案件を一覧にまとめたものでございます。
 要求資料第3号は、都民利用施設で、各局から平成十五年度から十七年度の間に引き継いだもの及びその処分状況でございます。
 これは平成十五年度から十七年度までの間に財務局に引き継がれたもの及びその処分状況を都営住宅、都立学校などの区分ごとにまとめたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行いますが、本日は質問予定者が八名でございます。重なる質問等、ほかの方が質疑をしている間、よくその質疑に耳を傾けまして、重複することはなるべく避けていただきたいと思います。どうか皆様のご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、発言を願います。

○鈴木委員 それでは、東京オリンピック開催準備基金条例について質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 今月の八日、第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議を百三人の議員の賛同をもって可決をいたしました。これで都のオリンピック招致は名実ともに都議会と知事との強い連携により進められることとなりました。開催都市に選定されるためには、都民の理解のもと、幅広い招致機運が盛り上がっていくことが何より重要であると考えます。
 現時点では、施設の検討などインフラ整備への関心が先行しているといえます。本来、オリンピックは人々に生涯忘れられないような感動を与えるものであります。特に青少年に対してはその影響も大きく、四十年前の東洋の魔女、または札幌の日の丸飛行隊など、当時それを見た若者たちに感動を与えたことは、その後の成長に有形無形のはかり知れない教育的な効果があったと思われます。
 こうした場面に遭遇することの幸せ、感動をぜひとも子どもたち、孫たちにも味わってほしい。そのためには、青少年たちに我々の心情を伝え、招致活動に世代を超えてともに取り組むことができれば、必ずやすばらしい成果が得られると私は考えています。今後、このようなソフト面での議論も盛んになっていくことを大いに期待したいと思います。
 そこで、少し私見を述べさせていただきたいと思います。ここまで、本会議またはきのうの予算委員会等で、確かにオリンピックに関しての議論というのはされてきた。やはりどうしてもハード面に偏ったような気がしてならなくて、何か物足りなさを感じたというのは私一人ではないような気がするんです。
 それで、ソフト面ということを考えたときに、オリンピックの理念に基づいた、要するに東京都知事の考え、または東京都の考えというようなものを示していく時期が、今なのか、またはこれから将来、あってしかるべきではないかということでありまして、例えば平和とか環境とか、それぞれ考えるところはあると思うんですが、そういうことをもう一度東京都知事の口から、または東京都、石原知事からはっきりと、志が高い国とはいっているんですが、ある程度高邁な理論として、世界じゅうの人たちにその理念を知事の言葉で、または日本の首都東京としての、要するに発想をしたそういう理念をきちっと出していかなければならないのではないかという気が、今回皆さんの、議論をして非常に感じました。
 確かに若人の祭典でもあり、平和の祭典と呼ばれて、またアスリートの人たちに非常にすばらしい演技なり、またはすばらしい精神面等のものを見せてもらって、その感動は確かに我々にも伝わってくる。トリノのオリンピックを通してもそうですし、今の現実のパラリンピックを見てもそうなわけですね。
 しかし、裏側で、きょうも新聞に出ておりましたけれども、イラクで米国の最大の砲撃がまたあったという報道がなされているわけですね。まだまだ世界じゅうに、そういう紛争や戦争というようなものが現実にある。日本は確かに五十年、六十年平和で来たかもしれないけれども、まだまだそういう紛争がある中で、やはり今東京は世界に向けて、また国内でオリンピックの招致活動に対して行っていくことに関して、やはりいうべきことはきちっと、首都東京また日本の責任として、敗戦国としての、日本としての責任としていっていくことがあってもいいのではないかという思いが片一方であります。
 ですから、私は、東京から新たなメッセージを世界、またはアジアに、または今、世界に生きている若人に発信をしていくようなメッセージができれば、それが第一弾かもしれませんが、そういうものがあってもいいんじゃないかなという思いが非常にしていますので、今申し上げているところであります。
 それともう一つは、私も会社を経営しているわけでありますが、海外の関係との広告関係の会社をしていますと、世界の国というのは、戦後五十年、六十年日本が資源もなく、そしてその中の努力と勤勉さによってこの国を築いたということをよくいわれる方がいても、実際に何でこれだけのすばらしい国をつくったんだということに対しては、発展途上国から畏敬の念と尊敬の念を持っているということを外国の人に会ったらよく聞く機会があります。
 ですから、それほどやはり日本という国に対して、今いったアジアの諸国またはアフリカの諸国からはそういう羨望のまなざしが来ているということも、片一方で知っていなければならないと思うんです。
 しかも、首都東京が二回目のオリンピックを行うということでありますから、そういうときには、そういう国々に対しての発信も当然していくべきであろう。ですから、今回の東京オリンピックを開催するに当たって、実は今いった世界の国々、または世界の若人、それから今生きとし生ける、そういう方々に対して、それぞれのメッセージを東京から発信するぐらいのものが僕は今あっていいんではないかなという思いがしているので、申し上げています。
 もう一つは、お祭りでしょう、ですから、確かにコンパクトなオリンピックというのはわかるんですが、ある面でいうと、ドーンと、打ち上げ花火じゃないですけれども、思い切ったことを私は、開催までに大いに議論して、余りお金にけちけちしないというか、そのくらいの発想豊かなものが片一方にあってもいいような気がしているんですが、今回は知事の方からコンパクトという言葉が出ていますので、非常にそちらの方にいってしまっている。
 確かに、税源をきちっと有効に使わせてもらう。それから、終わった後もその施設を有効利用する。または将来を展望した施設運営をしていく、管理もするということはわかるわけですが、ただ、今いったように、世界じゅうの若者が来る、世界じゅうの人々が見る、そういうようなものを考えたときには、相当大きな、打ち上げ花火みたいな、どでかいほらといったら怒られるかもしれませんが、私はあってもいいと。
 また、そういうものがあると魅力になってくるでしょうし、これから庁内で議論することもそうでしょうし、我々議会がする場合も、あんまりこせこせした小さい議論ではなくして、もっと夢とか希望を語れる議論を我々はしたいんですよ。
 石原知事であるならば、そこに愛とか夢も入れてもらいたいんですね。人類の愛かもしれないし、相手のことを思いやるような、相手の国々との連携の中で、そういうようなことを思い合っていくような、そういう思いとか愛とか、ロマンでもいいですよ、そういうようなものを語ってもらえるような、そういうものの経過を通してつくり上げていくようなオリンピックの招致活動であってほしいということを非常に思いましたので、私は特にそのことは一言いわせてもらいたいというふうに思って、今いっています。
 もう一度いいますが、ある程度オリンピックの理念、そこに基づいてかもしれませんし、理念を違う形でいいかえて、日本に持っている文化、伝統、ありますよね、ものづくりにすばらしい技術を持っているとか、そういうことは、「向けて」というこの中にもいわれていますので、それはもちろんしていただけると思いますけれども、やはりそういう思いというか、ソフト面でのものをもう少しいっていただければ、大変いい議論になっていくんではないか。我々も皆さんと、また議会でもそうですが、理事者の方ともそういう理念の話も議論をして、今後、よりお互いが、夢と希望を持っているのもそうですが、楽しい、ゆかいな議論をして、少し心浮き浮きするような、そういうものとしての東京オリンピックの開催に向けての話をしたい。あんまりぎゅうぎゅうしたせせこましい議論ばっかりじゃなくして、そういうようなことを思っていますが、私のひとり言かもしれませんが、お聞き届けをいただければと思い、質問にはこれから入らせていただきます。
 それでは、まず第一点目でありますが、基金を設置する目的について、改めてお伺いをしたいと思います。

○安藤主計部長 今般、基金設置をいたすわけでございますけれども、大きく目的は二つございまして、一つは、純粋な財政運営上の目的といたしまして、財政負担の平準化を図るということでございます。オリンピックはコンパクトな開催を目指すというふうにご発言ございますけれども、例えばロンドンでは一兆八千億円の計画がされておるという資料が予特に出されております。
 また、国家的プロジェクトとなるものであることからしますと、関連事業などを含めた総経費は、詳細については計画書を待つことになると思いますが、財政当局としては、少なくとも一兆円は超えてくるであろうというふうに想定をしております。
 こうした経費につきましては、招致本部を中心に国や民間にも負担や協力を求めるということで、さまざまな形で資金を調達していくことになると思いますけれども、都としての負担も当然に必要でございますので、この財政需要に早い段階から備えることで財政負担の平準化を図るものでございます。
 もう一つは、都市間の競争を勝ち抜いていく上で、開催準備のための基金を設置するという積極的かつ現実的な行動によりまして、招致に向けましては、都としての強い意思を内外に表明することでございます。
 お話のとおり、先日都議会におかれましては、オリンピック競技大会の招致決議が可決されましたが、このことで東京へのオリンピック招致は都を挙げての取り組みとなったところでございますけれども、そのハードルは決して低いものではないというふうに思っております。
 オリンピック招致をするためには、国内でいえば福岡さんがお手を挙げておりますし、さらには世界主要都市との熾烈な競争もございますので、全力を傾けていく必要があると思います。
 こうした競争を勝ち抜くためには、私どもが所管しております財政面で申し上げれば、開催するだけの十分な体力を備えていること、すなわち財政的な裏づけがあることは必要条件の一つであるというふうに考えてございまして、基金設置は都の積極的な姿勢と財政的な優位性を具体的な形で示したものであるというふうに考えております。

○鈴木委員 よくわかった点があります。先日、都はオリンピックの競技会場や関連施設の具体的な場所、四十四カ所についても検討状況を明らかにいたしました。中には私の地元である目黒区の中央体育館も含まれている。恐らく射撃の件なのかなというような気がしますが、既存の施設や用地を最大限活用しつつ、その八割以上を都心部を中心とした半径十キロ以内に配置するなど、世界最高レベルのコンパクトな会場配置が可能であるということを確認できましたので、ありがとうございました。
 最近のオリンピックがコンパクトな会場配置になっていることを踏まえれば、まさに東京こそがオリンピックにふさわしい都市であるということはますます確信を強くしたところでもあります。
 しかし、幾らコンパクトなオリンピックといえども、その開催に向けてはかなりの経費がかかる、これは当然の理であります。まず、候補地決定までの招致経費、それから招致決定後は競技施設や選手村、メディアオペレーションの整備、大会運営経費などの直接的な経費、さらに開催地として必要な道路、鉄道といった都市基盤の整備などに関連する事業費、いわゆる間接的な経費を含めれば相当の額に上ると考えられます。
 コンパクトといわれているロンドンオリンピックでさえ、今も説明がありましたが、必要な都市基盤整備については、招致計画書によると、一兆八千億といわれましたが、二兆円近くが見込まれていると聞いています。
 こうした間接的な経費は、決してむだな経費ではないというふうに思います。オリンピックの開催に必要なものであることはJOCもIOCも認めているところであるというふうに考えます。
 ここで、ロンドンのことが出たので、先ほどいい漏らした件で、もうこれはどなたかが本会議か予算委員会の中でいわれましたけれども、やはりブレア首相がヨーロッパに対して、フランスに対して、シラクさんにかもしれませんが、自分からメッセージを発しています。やはりメッセージというようなものが、今の世界の中で非常に多くのものを人々に伝えるためには、非常に大きな効果のあるものだということなので、このことは、先ほど私がいいましたけれども、石原知事独自の、また今までのすばらしい発言を聞いていますと、そういうものがありますから、これはもう一回いいますけれども、そういうようなものをぜひ皆さん、役人さんは頭がいいでしょうから、伝えていただいて、考えていただければというようなことを思いますので、あえてブレア首相がヨーロッパに発した、世界に発したそういうメッセージ、それが多くの方々の共感を生んで、ロンドンのオリンピックに導かれていったというような気が私もいたしておりますので、ぜひその辺もひとつご理解をちょうだいできればというふうに思います。
 進めます。もちろん、オリンピックは国家的イベントであり、国や民間からの負担を当然求めていくべきでありますが、今の答弁にもあったとおり、都として相当な負担が発生することが確実に見込まれております。今の時期から周到に用意することは当然のことと思います。
 実際に将来の東京の都市再生や、また都市の再生に向けたビジョンとも重なる部分も十分考えられると思いますが、そういうことも含めて当然のことと私は考えております。
 そこで、第二点目として、オリンピックの開催までに要する経費のうち、オリンピック開催準備基金はどのような事業に充当するのかを改めてお伺いいたします。

○安藤主計部長 この基金につきましては、オリンピックに関連して実施される事業のうち、競技会場や選手村及びその周辺整備、またオリンピックに合わせて必要となりますインフラ整備など、社会資本等の整備に要する資金に充当することを想定しているところでございます。

○鈴木委員 今の答弁を聞いていまして、一部では、オリンピックを口実とした大規模開発のためにため込むというような的外れな主張もあるようでもありますが、答弁でわかるように、オリンピック関連として位置づけられるインフラ整備事業が対象ということが明確に確認できたというふうに考えます。
 ところで、社会資本の整備を計画的に進めるための基金としては、都には既に社会資本等整備基金がありますが、三問目として、あえて社会資本等整備基金と別に基金を設置する意味についてお伺いをしたいと思います。

○安藤主計部長 ご指摘のように、社会資本等整備基金がございますけれども、この基金につきましては、都が実施をいたします社会インフラ整備事業全般に充当するものであるのに対しまして、今般のオリンピック開催準備基金は、そのうちさらにオリンピック関連として位置づけた社会インフラ整備の事業に用途を特定した資金でございます。
 このオリンピック開催準備基金をあえて別に設置することで、必要な財源の確保を図りまして、オリンピック関連の社会インフラ整備を着実に進めることができるというふうに考えてございます。

○鈴木委員 それでは、開催に必要な資金を既存の基金とは別に管理するということで、必要なインフラ整備を計画的かつ確実に実施することができる。まさにこの点は都民だけではなく、広く内外に向け強くアピールできる点であるというふうに思います。
 実際、先日、横山副知事がトリノオリンピックを視察した際、都のこうした取り組みについてIOC委員から強い関心を持ったと伝え聞くところでもあります。
 次に、具体的な積立額についてお伺いをいたします。
 十八年度予算では、基金として一千億円を積み立てておりますが、改めて考え方を問います。

○安藤主計部長 オリンピックの開催に万全を期すためには少しでも早い段階からやはり負担の平準化に取り組むことが安定した財政運営に資することになるということでございまして、この点から考えますと、できる限り多くの額を積み立てておきたいという思いが私どもございます。
 また、都市間競争の点から考えましても、都の財政力を内外にアピールするには、これもできる限り多くの額を積み立てることが望ましいといえます。
 こうした点を踏まえつつ、一方で、では現実にどの程度の積み立てが可能かを考えるわけでございますが、そうした考えに立つと、やはり税収増あるいは内部努力の実施などによりまして、十八年度予算で確保できる金額として、今回一千億円を基金に積み立てたものでございます。
 また、トリノの件につきましては、私どもも聞き及んでおりまして、私どもの基金が少しでも、今回基金条例を設置することが役に立つということであれば、予算をつくった者としては大変うれしく思うところであります。

○鈴木委員 それでは、次に移りますが、オリンピックの全体像が明らかになっていないのに基金を積むのは問題だとか、または東京開催が正式に決まってから積めばいいとか、今の段階で基金を積むことについて一部反対の意見があるようにも聞いておりますが、金の力で都市間の競争をあおるのは問題だというような、明らかに基金設置の目的を曲解した意見すら耳にすること自体が、今の話を聞いてわかるように、非常に残念な思いがいたします。
 しかし、東京が正式に開催地として決まるのは二〇〇九年、今から三年後であります。開催地として決まれば、すぐにでも基盤整備を始めなければなりません。その時点である程度の財源が確保されていなければ、将来にツケを回すことになります。これこそ都民に対して無責任な態度ではないかといわざるを得ません。
 その意味で、東京都がこの時期に基金を創設し一千億円を積み立てることは、オリンピック招致に向けた積極的かつ現実的な取り組みとして、都民の理解を十分に得られるものと私は確信をしています。
 いずれにせよ、基金の対象となる競技会場や選手村などの施設設備に関連する都市基盤整備に要する経費は、オリンピックに関連する経費として一番大きいものであります。また、一時的に集中する経費でもあります。
 この基金と合わせ、起債も適切に活用するなど、財政負担を平準化することにより、オリンピック開催に伴う一時的な都財政への圧迫を回避するよう十分に努めていただきたいというふうに思います。その意味では、一千億円では私は十分ではないといわざるを得ない点があります。
 そこで、十九年度以降の積み立てに対しての考え方を伺います。

○安藤主計部長 十八年度の一千億円に続きます今後の積立額でございますけれども、今後検討していくという段階でございますけれども、ことしじゅうには策定されます開催概要計画等を踏まえながら考えていくことになりますが、財政当局といたしましては、やはりオリンピック開催を視野に置いて、財政の健全性を保持しつつ、計画的かつ積極的な積み立てを行う必要があると考えてございます。
 なお、財政計画のないままに積み立てを始めることを批判する向きがございますけれども、私どもも財政計画をなるべく早くお示しすべきであることは十分認識をしてございますけれども、一方で、知事の方からはステップ・バイ・ステップで、今回の取り組みについて示していくという段階でございまして、こうした財政的には不確定な現段階では根拠もなく、何らかの数字を申し上げられるという状況ではないということについても、ご理解をいただきたいと思います。

○鈴木委員 六月までに作成される開催概要計画書などを通して、オリンピックの全体像、所要経費も順次明らかになっていくということでありましょうが、オリンピックの前後を通して安定した財政運営を行うためにも、やはり明らかになる基金の積立目標額を見据え、毎年できる限り計画的に積み立てていくようなことは、改めて強い要望をさせていただきたいというふうに思います。
 以上で私の質問は終わりますが、繰り返し三度目になります。先ほど申したように、石原知事から崇高な東京オリンピック開催の理念、やはり高らかにうたい上げていただきたいというふうに思います。できれば、これは私の勝手な考えでありますが、世界の若者たちの心に直接訴えられるような、世界じゅうの若者たちの心に訴えられるような、そういう心のメッセージをお送りいただければ、私は世界の人たちから、これこそまさに受け入れられるものになっていくという気がいたしますので、ひとり言として聞いていただければ結構でありますが、お考えをちょうだいできればと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○佐藤委員 今後、少子高齢化社会が本格化する中で、持続可能な財政運営を行うことは都の重要な課題です。今回の予算について、財政再建に一つの区切りをつけることができたと、知事はさきの施政方針表明や本会議で述べられています。
 確かに財政再建にめどが立ったことは、大変喜ばしいことではありますが、今後は少子高齢化社会が進み、長期的に大幅な税収の伸びが期待できない状況を考えると、ここで気を緩めることなく、将来のために強固な財政基盤の構築に全力を注ぐことが重要だと考えております。
 財政基盤の強化には、特にコスト縮減の努力が必要です。予算の中で大きな割合を占める建設、維持管理に関しては、都は東京都公共施設等のコスト縮減に関する行動計画を策定し、コスト縮減に取り組んでおります。この計画では、平成十六年度から三年間で建設と維持管理の総合コストを、平成十五年度と比較して一〇%縮減することを目標としております。
 昨年発表された資料を見ますと、平成十六年度は六・五%のコスト縮減を達成したとのことです。スタートとしての年度としてはまずまずだとの印象がありますし、目標達成に向けて、さらに努力をしていただきたいと思います。
 コスト縮減を達成するためには、民間の持つ競争力を高め、公共投資の効率を高めていく必要があります。公共投資の効率を高めるためには、さらに契約情報の公開を進め、さまざまな視点から契約の検証を行うことができる環境を整備し、多くの都民の理解を得ることが必要だと考えております。
 まず、契約情報の公開について伺います。
 十月の財政委員会で、随意契約の見直しの質問について、契約調整担当部長から、気を緩めることなく、引き続き特命随意契約の適正化を図ってまいりますというお答えをいただきました。
 特命随意契約は、相手を特定して行う契約であり、競争原理が働きにくいことから、地方自治法上例外的な契約規則とされております。しかし、東京都監査委員が平成十七年二月二十三日に発表した平成十六年行政監査報告書によると、平成十五年度に東京都が締結した特命随意契約は七千四百三十八件あり、その契約総額は約二千六百三十億円にも上っております。同報告書によると、平成十五年度本庁で締結された契約総数、三万六千九百七十九件の二〇・一%、約二割に当たるわけです。契約全体で特命随意契約の割合を減らすために努力をしていただきたいと重ねて要望いたします。
 従来、東京都発注の工事の特命随意契約案件は、なぜ特命随意契約を行ったのかという理由について、窓口において、紙の書類で公開しておりました。十月の財政委員会で、なぜ随意契約を行ったのかという理由を、窓口だけでなく、ホームページ上で公開すべきだと要望させていただきました。
 要望を受け、都として情報公開を進めていただき、いまだ一部の契約案件にとどまってはおりますが、都のホームページにある入札情報サービスの入札経過調書上で公表していただくようになりました。早速対応していただき、都の取り組みを評価いたします。
 そこで伺いますが、今後、工事案件の随意契約理由をホームページ上で公開する取り組みを全面的に進めていくのか、契約の所管局である財務局の具体的な取り組みを伺います。

○山本契約調整担当部長 都では、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の制定を受けて、平成十三年度に、工事の入札及び契約に関する情報の公表について手続を定めております。
 これに基づき、予定価格が二百五十万円を超える工事の随意契約については、見積もり経過調書を窓口に備えつけ、特命理由も掲載しております。また、インターネットによる公表にも努めてきました。今後とも、ホームページ上での公開の拡大を進めてまいります。

○佐藤委員 同時に、物品の特命随意契約の案件とその理由に関しても、情報公開するべきと考えます。
 十月の財政委員会において質問をさせていただきましたが、契約調整担当部長からは、物品の特命随意契約につきましては、法令による特段の定めがないこともありまして、これまで窓口での情報公開を行っておりません、ご提案につきましては、その必要性などについて研究したいと考えますというお答えをいただきました。
 工事契約に関しては公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づき、情報公開を行っているとのことですが、物品契約に関しては規定がありません。物品契約の適正化を図るためにも、都がルールをつくるよう、強く要望いたします。
 契約情報の検証を進めるためには、今以上に情報公開を進め、過去をさかのぼって検証できる環境をつくることが必要です。契約情報の情報公開の拡大は、利用しているシステムを拡張することが必要かもしれませんし、コンピューターシステム運営の予算をふやすことにもなりかねませんが、検証ができる環境を整え、多くの都民からチェックを受けることで、調達コストの効率化につながると考えております。
 財務局の運営しております入札情報サービスでは、過去十五カ月の入札経過調書が公開されております。昨年の河川防潮堤工事事件や昨今の防衛庁談合事件を受け、契約案件に対して、都民の厳しい目が向けられております。今以上に過去をさかのぼって契約を検証することが必要であると考えます。
 その公開期間をさらに延長することについて、どう具体的に取り組むのか伺います。

○山本契約調整担当部長 電子調達システムの入札情報サービスにおいては、平成十四年から入札経過調書を閲覧できるようになっております。公開期間については、これまでも順次延長してきており、現在、十五カ月前までのものを見ることができます。
 公開期間をさらに延長することについては、電子調達システム全体の能力等を勘案しながら、適切に対処していきたいと考えております。

○佐藤委員 今後、オリンピックに向け、基金条例を整備し、基金の積み立てを行う中で財政の健全性を維持するためにも、歳出効率化の努力が不可欠でありますし、財務局も、契約情報の公開推進と契約制度の見直しについて、たゆまぬ努力を続けていただきたいと思います。
 次に、都有地の売却について伺います。
 平成十七年財務局事務事業概要において、平成十六年度一般競争入札等による都有地の売り払い結果によれば、一般競争入札の結果は、入札総数が二十六件、面積が二万九千十二・八四平方メートル、金額は七十五億六千二百四十九万五千四百四十五円でした。一方、随意契約は、入札件数が四十四件、面積は十万五千五十四・六一平方メートル、金額は六十七億百七万九千六百四十一円でした。一平方メートル当たりの単価は、約二十万円も違います。都民の財産を売却するわけでありますから、都財政への寄与が高い、競争入札による土地の売却を進めるべきと考えております。
 そこで伺いますが、随意契約の割合を減らし、競争入札をふやすことにどう取り組んでいくのか、都の具体的な取り組みを伺います。

○泉本財産運用部長 都有地を売り払う場合の契約締結方法は、自治法に基づき、原則として一般競争入札とし、地方自治法施行令に定める場合に該当するときに限りまして、随意契約によって行っております。
 具体的には、狭小、不成形な土地など、その性質から競争入札に適しないものを契約する場合や、競争入札に付して入札者がない場合などにおいて、随意契約を行っています。また、都有地を公用または公共用に供するため、区市町村やその他公共団体が取得を希望する場合にも、随意契約による売り払いをしております。
 いずれの契約方法を用いるかにつきましては、事案の性質や目的などに応じまして、法令に基づき適切に行うものでございまして、今後も個々の事案の状況に基づき、適切な契約締結の方法により進めてまいります。

○佐藤委員 また、随意契約による土地売却案件の中には、減額譲渡と呼ばれる割引をして随意契約により売却を行う手続もあります。土地売却の案件について、過去、都が随意契約で減額譲渡を行ったものは、十月の委員会でも確認いたしましたが、次のようになっておりました。
 十二年度は五件、十三年度は十三件、十四年度は十四件、十五年度は十四件、十六年度は十七件、合計すると、過去五年間で六十三件あります。その中で、十四年に一度、都が財団法人に対して減額して売却したものがあります。それ以外の案件は、すべて都が地方自治体に対して売却し、契約を行ったものです。
 そこで伺いますが、過去の減額譲渡の案件について、割引率は一律なのでしょうか。また、割引を行うに当たっての基準はどのようになっているのか、伺います。

○泉本財産運用部長 減額譲渡につきましては、都の行政施策上の位置づけ、都の事務事業との関連などを踏まえ、当該財産の使用目的などによって減額の割合を定めてございます。

○佐藤委員 私は、十月の財政委員会の質疑をつくる上で、土地売却について、平成十六年度分で減額譲渡を含めたすべての随意契約案件四十四件の資料について内容をチェックしたいと要望いたしましたが、売却の契約相手が民間企業もしくは個人であり、プライバシーの問題があるために、議員であっても案件の資料を開示することは難しいということでした。民間企業もしくは個人であるからこそ、プライバシーが問題になるのかもしれませんが、一方、減額譲渡の契約は、先ほど述べましたように、ほとんど地方自治体が相手の契約です。
 私は、次のような理由で、公と公の契約は、開示請求にとどまらず、積極的に情報公開しても差し支えないと考えております。地方自治体は税金を使って都の土地を買うわけであり、一方、都は都民の土地を売るわけでありますから、都と地方自治体は、それぞれ都民と住民に対して説明責任があるわけです。また、都有地が割引して売却されているからこそ、都民に対して情報公開し、説明責任を果たさなければなりません。
 すべての都民の財産である都有地が割引され、一部地域の区民や市民の財産になるわけですから、多くの都民に対しても理解を得ることが大切だと考えます。減額譲渡を行う対象は、公的なサービスを提供する団体であるのが前提でありますから、契約情報を公開しても差し支えないと考えております。
 そこで伺いますが、減額譲渡した売却案件に対して、売却金額、財産価格審議会評価額、割引額、減額理由、土地名称といった契約内容を積極的に情報公開してはどうかと考えております。減額譲渡の情報公開についてどう取り組むのか、見解を伺います。

○泉本財産運用部長 減額譲渡に関する情報公開は、情報公開条例の規定にのっとり、開示請求があった場合に行うこととしてございます。相手方のある売買契約であるため、地方公共団体が相手方である場合も、情報公開条例の第三者保護に関する手続によりまして、意見を聞くことを原則としております。

○佐藤委員 現在、情報開示請求に基づいて開示はされておりますが、開示請求を行っているから十分であると考えることなく、ホームページなどを使い積極的に情報公開に努め、都民の理解を得るように取り組んでいただきたいと要望いたします。
 続きまして、減額譲渡の決定過程について伺ってまいります。都有地の処分や貸し付けなど、主たる都有地の方針は、公有財産管理運用委員会が決めております。
 伺いますが、提案局が公有財産管理運用委員会に案件を付議するわけでありますが、減額譲渡を含む土地処分の決定について、最終責任をどこの局が負うのか、伺います。

○泉本財産運用部長 土地の処分、すなわち売却につきましては、公有財産管理運用委員会における調査、審議を経て、提案局にて決定しておりまして、提案局が決定に関する事案決定者としての責任を負うことになります。

○佐藤委員 次に伺いますが、公有財産管理運用委員会の審議過程とメンバー構成はどのようになっているのか、伺います。

○泉本財産運用部長 公有財産管理運用委員会は、所管局から付議された案件に関して、財産に関する法令や条例、規則などに照らして、適切な公有財産の管理、処分であるかについて、会議の形式で調査、審議をしております。
 委員会は委員長及び委員の九人で構成され、委員長は財務局長の職にある者を充て、委員は総務局総務部長、総務局行政部長、総務局法務部長、財務局経理部長、財務局主計部長、財務局財産運用部長、財務局建築保全部長、都市整備局都市づくり政策部長、出納長室の副出納長の職にある者を充ててございます。

○佐藤委員 公有財産管理運用委員会の起案文書なり審議過程は公文書でありますから、情報開示の対象でありますが、開示できないということであれば、理由は何か伺います。

○泉本財産運用部長 公有財産管理運用委員会に関する文書は、開示請求に基づき、個々の案件の内容に応じて開示の可否を判断することになります。非開示の情報は、例えば審議、検討または協議に関する情報、行政運営情報など、情報公開条例第七条の各号に掲げてございます場合に該当するものがございます。

○佐藤委員 十月の委員会におきまして、財産運用部長より、東京都の監理団体及び報告団体、都が行うべき事務事業を補佐代行する用に供する場合、減額譲渡の対象になるとのお答えをいただきました。
 しかしながら、減額譲渡の対象というのは、その利用方法が公的な利用方法であるかどうか検証する必要があります。監理団体であっても、公の事業と収益事業を持っており、事業がすべて公の事業とはいえません。
 改めて、売却後の土地がどう利用されるかという観点から、減額譲渡の対象を審査する必要があると考えております。利用方法に基づいて審査を行うことについてどう取り組むのか、見解を伺います。

○泉本財産運用部長 減額譲渡に当たっては、財産の交換、譲与、無償貸付等の条例に基づき、相手方の性格のみならず、目的や用途などが公用または公共用に供されるか否かについて、審査の対象としています。
 監理団体や報告団体についても同様であり、財産の用途が都の事務事業を補佐または代行する用に供するためか否かについて審査の上、減額譲渡しております。

○佐藤委員 都民の財産である土地が、広く公開された形で売却されることが望ましいわけです。減額譲渡の対象がどこまでの対象になるのかという線引きをはっきりさせ、都民の財産と地方自治体の税金が使われる以上、情報公開を推進し、その契約案件のチェックができる環境を整備していただくよう、強く要望いたします。
 次に、基金条例について伺います。
 三月八日の都議会本会議におきまして、オリンピックの東京への招致決議を行いましたが、都議会民主党も都議会第二党という重大な責任を踏まえた判断から賛成をいたしました。
 招致決議に先立ち、我が民主党は、石原知事に対して、国際社会に向けたメッセージを明確にすることなど、六項目の申し入れを行いました。中でも、招致と開催に伴う財政的な見通しについて、可能な限り早い時期に明らかにすることは非常に重要な問題であり、速やかに招致計画を示すことで、財政面での懸念を払拭することが必要であると考えております。
 残念ながら、まだ都は具体的な財政計画を示されてはおりませんが、一方で、今定例会においてオリンピック開催準備のための基金の設置が提案され、十八年度予算で一千億円もの巨額の予算が計上されております。財政面から具体的に明らかになっているのはこの基金だけであることから、幾つかのポイントに的を絞って質問を行います。
 まず伺いますが、オリンピック開催準備基金の積み立てについて、過去の東京オリンピックや、今までオリンピックを開催また招致してきた日本の都市で、このような基金の積み立てを行ってきた例はあるのでしょうか。

○安藤主計部長 前回の東京オリンピックでは、基金の積み立ては行っておりません。また、過去に開催招致を行った日本の都市では、一九七二年冬季オリンピックにおいて、札幌が基金の積み立てを行ったというふうに聞いております。

○佐藤委員 財務局も将来の財政需要や不測の事態に備えた財政調整基金などの将来需要を見据えた基金の積み立てに取り組んでいるようです。
 そこで伺いますが、将来に向けた強固な財政基盤の構築が必要な中、一千億円もの額をオリンピック開催準備基金という、前回のオリンピック開催と違う形で確保していく財政的なメリットは何であるか、伺います。

○安藤主計部長 東京への招致を成功させるためには、財政面でのしっかりとした裏づけが極めて重要であるというふうに考えてございます。基金設置の財政的なメリットといたしましては、準備の段階から一定規模の財源の確保を図ることによりまして、後年度に過度の負担をかけないようにする負担の平準化を図ることと、もう一つは、独立した基金として管理することによりまして、財源措置を明確にすることができることにあるというふうに考えてございます。

○佐藤委員 将来の負担に対して今から備えておくことと、財源の使い道を明確化しておくことは大変重要であり、基金を設置する必要性はわかりました。
 先ほど財政面での懸念を払拭することが必要であると申し上げましたが、我々民主党が心配しておりますのは、オリンピックの開催経費が過大なものとなって、将来の都財政に対して多大な悪影響を及ぼすおそれがないのかということです。
 昭和三十九年の東京オリンピックでは、当時の物価が、現在と比較し約十分の一であったにもかかわらず、その開催経費は一兆八百億円に上っていると聞いております。そこから考えると、今回は莫大な経費がかかると予想されます。
 そこで伺いますが、この基金はいつまで積み立てることになるのでしょうか。いいかえれば、いつから取り崩すことになるのか。例えば、二〇〇九年にはIOCによる開催都市決定がございますが、具体的なめどがあるのかどうか、伺います。

○安藤主計部長 基金として確保すべき額あるいは二年目以降の積立額でございますけれども、基金の確保額や今後の積立額につきましては、全体計画が示された段階で財政状況等を勘案しながら決めていくことになりますけれども、やはり基金には計画的かつ積極的な積み立てを行っていきたいというふうに考えてございます。
 また、いつから取り崩すかということでございますけれども、これも先ほどと同様でございますけれども、全体計画が示された段階で財政状況等を勘案しながら決めていくということになるというふうに考えております。
 また、当然のことではございますけれども、取り崩しについて申し上げますと、オリンピック開催に必要な施設については、二〇一六年の開催に間に合わせるということでございますので、その数年前から、やはり整備は本格化すると思います。今後示されるスケジュールに沿って、適切な財源措置を財政当局として講じていきたいというふうに考えてございます。

○佐藤委員 所管部署が全体計画を示していない中で、財務局が答弁できないということも理解はできますが、相当な額になることは容易に想定ができるわけです。今後、全体計画が示される中で、基金の規模など財源措置についても速やかに明らかにしていただき、しっかりと議論をすることが必要だと考えております。
 そこで伺いますが、今週の報道発表によりますと、四月一日付で東京オリンピック招致本部が設置されるそうでありますが、この基金の所管は財務局から招致本部が引き継ぐこととなるのかどうか、伺います。
 また、基金の運用はどうなるのか、伺います。

○安藤主計部長 オリンピック招致に向けての取り組みにつきましては、四月一日に設置されます、ご指摘の東京オリンピック招致本部を中心に進めていくことになりますけれども、私ども含めて全庁挙げた取り組みであることにはかわりはございません。
 また、財務局は引き続き財政計画に責任を持つ立場でございますので、この基金につきましても、四月以降も財務局が所管することとなるというふうに、私どもは考えてございます。
 また、基金の運用についてでございますが、現在、出納長室が行っておりますけれども、引き続きそちらにおいて管理運用を適切に行っていくというふうに考えてございます。

○佐藤委員 今回積み立てる基金の一千億円という金額は、他県から見れば、非常に巨大な金額です。都は今まで懸命に財政再建に取り組んできた結果、予算案の概要にもあるとおり、財政調整基金や社会資本等整備基金といった、いわゆる将来のための貯金は五千億円を超すまでになりました。
 そこに加えて、さらに一千億円ものオリンピックのための基金を用意することは、うがった見方をすれば、やっぱり都は財政的にとても豊かではないかと国やほかの地方自治体からいわれることにならないだろうかと懸念をしております。
 ただでさえ都から財源を吸い上げる動きがある中で、基金の一千億円を、東京都の財政的ゆとりを見て、オリンピックに関しても国から多くの財政的負担を求められることも予想されるわけです。
 また、万が一にでもオリンピックを招致したいがために、国が負担すべきものを都が負担することになってしまっては、都民に過分な負担を強いるだけであり、絶対にあってはならないことです。
 そこで伺いますが、基金への一千億円の積み立てが国につけ入れられないように努力するとともに、オリンピック招致に当たっては、国に対して必要な財政負担を適切に求めていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○安藤主計部長 まず、財政調整基金でありますとか、社会資本等整備基金といった将来需要を見据えた基金の残高というのは、今先生ご指摘の額でございますけれども、五兆円から、ことしは六兆に参りましたけれども、都の財政規模とか税収の不安定さから見れば、実はまだまだ不十分であるということはぜひ申し上げたいというふうに思います。
 また、今回のオリンピックの開催準備基金というのは、オリンピックという東京の将来を展望する取り組みに対しまして、都が責任のある財政的な裏づけをする、それを行うために、必要性でありますとか重要性を考慮して積み立てるものでございまして、決して都財政が裕福であるから行うものではないということをぜひご理解をいただきたいと思います。
 この基金と財源調整を結びつけて考えるのは、いささか筋違いであるかなというふうに思っております。私ども考えます富裕論というのは、やはり都が抱えております幾多の需要を考慮せずに収入の絶対額のみを見て、あるいは他県との比較から見て豊かである、そういう誤った考え方であるというふうに私どもは思っております。
 したがって、都の財源を吸い上げようとする国の動きに対しましては、今後とも毅然として反論し、その阻止に向けて働きかけを行ってまいりたいと思います。
 また、オリンピック開催に必要となる財源に関しましては、国や民間からの必要な負担あるいは協力を積極的に求めてまいりたいというふうに思っております。

○佐藤委員 今回の一千億円の積み立ては、今後の積み立てを含めて、右肩上がりの税収が見込めない中にあっては、都財政と都民にとって、非常に貴重な財産です。したがって、この財源は、将来の東京都のために適切かつ有効に活用されていかなければなりません。万が一招致ができなかった場合は、基金のお金があるからといって、むやみに使うのではなく、将来の都財政のために、財政調整基金や社会資本等整備基金に積み立てるなどして、持続可能な財政運営に努められることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○高倉委員 まず、東京オリンピック開催準備基金条例についてお伺いをいたします。
 私たち都議会公明党は、さきの本会議においてオリンピック招致決議に賛成をいたしました。先ほど鈴木理事からも熱い思いが語られたわけでございますけれども、前回の東京オリンピックが開催されましたときに、私は小学生でございました。クラスの同級生とともに、まちの小さな劇場でオリンピックの記録映画を見たときの感動を、今もって忘れることができないわけであります。
 オリンピックは子どもたちにとりましても、夢と希望を大きく未来に開くイベントであると思っております。今再び東京でオリンピック、そしてパラリンピックの開催を目指すことは、成長し続ける東京の姿を世界にアピールする絶好のチャンスであるとともに、環境都市、防災都市、福祉都市東京を築く絶好の機会となると思っております。
 東京都が新たにオリンピック開催準備基金を創設することにつきましては、オリンピック招致に向けての強い意思あるいは基礎的体力を内外に示す意味、また負担の平準化などを含めまして、必要な準備であると思います。
 全体計画が明らかになっていない今の段階で基金を積むことについて問題とする意見もあるようですけれども、この時期から基金を積み立て、周到な準備を始めることこそ、オリンピック招致に向け、都民に対して責任ある都の姿であると思います。
 この東京オリンピック招致について、大規模開発のための口実とするとか、あるいは基金についても、大規模開発のためのため込みにほかならないとして、あたかも都がこの基金をもとに不要不急の大型事業に大盤振る舞いをするかのような喧伝がありますけれども、そのようなことは私はないと思っております。都民の誤解を招かないよう、最初にこの点を確認いたしたいと思います。
 この基金はオリンピックに関連した都市基盤整備に充てるとしておりますけれども、この基金が設置をされることで、大規模開発が促進されることになるのか、所見をお伺いいたします。

○安藤主計部長 この基金は、競技場、選手村、メディアプレスセンター、また開催地としての都市基盤などのオリンピック開催に当たって当然行うべき社会インフラの整備を円滑に行うために、あらかじめ財源を確保するものでございます。
 基金はオリンピック開催に必要不可欠な事業に充当するものでございまして、この基金をもとに不要不急の大型事業を行うというご批判は当たらないというふうに考えております。
 なお、三環状道路など、東京に必要な都市基盤はオリンピックを開催するしないにかかわらず、あるいは基金を設置するしないにかかわらず、確実に整備していくものと考えてございますし、特に三環状道路について申し上げますと、オリンピック招致の話のかなり以前から計画され、事業化されているものでございまして、この点についてもご理解を賜ればというふうに思っております。

○高倉委員 また、この基金の財源が都民の福祉を切り捨てた結果として、あたかも都民の犠牲のもとで積み立てられたかのような議論もあるわけでありますけれども、この点についても確認をしておきたいと思います。
 このオリンピック開催準備基金は、福祉施策や中小企業施策など、都民の福祉を切り捨てた結果として積み立てられたものなのかどうか、所見をお伺いしておきたいと思います。

○安藤主計部長 初めに申し上げさせていただきますと、都はこれまで財政再建に取り組んできましたが、この取り組みというのは、中長期的にも安定的に行政サービスを提供できる財政の実現を目的に行っているものでございまして、都民福祉を切り捨てるために行ったものではございませんので、あえて申し上げておきたいというふうに思います。
 都は、福祉の分野でございますとか、あるいは中小企業対策の分野であれ、総合的な見地から優先度を判断して、必要な施策には財源を重点的に投入してきておりまして、十八年度予算におきましても、さまざまな施策を充実させているところでございます。
 そういう中で、今般、東京オリンピック開催準備基金への一千億円の積み立てを行っておりますけれども、これは税収増などを活用して財源を確保したものでございまして、これによって都民福祉が後退するというようなことは、毛頭考えてございません。

○高倉委員 今ご答弁がございました。オリンピックの開催準備基金につきましては、これまでも都が財政再建に全力で取り組んできた、そうしたこともあって可能になったもの、このようにも考えております。
 パラリンピックとの関連で最後に一点お伺いをしておきます。
 今回のオリンピック招致に当たって、私ども都議会公明党は、障害者のスポーツの祭典であるパラリンピック大会の開催とセットであることを十分考慮するよう訴えてまいりました。知事のおっしゃるように、成熟した都市の姿を世界に示していくという中には、障害者、高齢者、子どもたちが安心して住めるバリアフリー、ユニバーサルデザインの都市東京という姿が重要な要素として含まれておると思います。
 今定例会本会議の我が党の代表質問に対しまして、知事は、東京パラリンピックを契機に東京のはかり知れないポテンシャルを活用し、障害者はもとより、子どもから高齢者まで、だれにとっても住みやすい、使いやすい社会基盤の整備や、お互いに尊重し、支え合う社会づくりなどに取り組むという考えを明確にしております。
 今回のオリンピック開催準備基金は、オリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるとしておりますけれども、より具体的に、障害者や高齢者、子どもたちが住みやすい安全なまちづくりなど、パラリンピックに関連した事業にも十分充当すべきと思いますけれども、ご所見をお伺いいたします。

○安藤主計部長 オリンピック準備基金でございますけれども、パラリンピックはオリンピックと一体のものでございまして、その準備に当たりましても、オリンピックと同様に周到に行うべきものであるというふうに思います。競技場や選手村などにつきましても、オリンピックと同一の施設を使用いたしますので、そうした施設の整備に当たりましても、バリアフリー化を徹底する方針と承知をしております。
 確かに条例上は基金の充当先としてオリンピックに関連する社会資本の整備としておりますけれども、パラリンピックに関連した事業にも当然基金が充当されることになる、そのように考えていけば、この基金はパラリンピックのための基金でもあると受けとめていただいて間違いではないというふうに思っております。

○高倉委員 バリアフリー、ユニバーサルデザインという点では、東京はまだ課題のある都市といわざると得ませんけれども、その完全な実現には膨大な財政負担と時間もかかるわけであります。こうした基金を活用しながら、例えばオリンピック関連施設とそれを結ぶルート、施設などへのアクセスルート、そうしたところにも焦点を当てて、バリアフリー化を進めていくことによって、東京のバリアフリー化を世界に向けて発信していただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。
 次に、財政再建の足取りをより確かなものにするためには、むだのない税金の使い方など、今後も不断の取り組みが必要であると思います。
 そこで、学校施設の設計について、財務局にお伺いいたしておきます。
 学校の教室の天井の高さは、明治十五年の文部省示諭というのがありますけれども、これにおいて約三メートルを下回ってはならない、このようにされて以来、それが最低の基準として示されてきました。昭和二十五年に制定された建築基準法にそれが引き継がれ、学校で床面積が五十平方メートルを超える教室の天井の高さについては、三メートル以上でなければならないと規定をされておりました。
 この規定が廃止され、昨年十一月七日に施行されておりますけれども、この経緯について、まず説明をいただきたいと思います。

○南部建築保全部長 教室の天井高さを三メートル以上と定めた規定につきましては、文部科学省の学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議が平成十六年八月より検討を行ってまいりました。
 その会議の検討内容でございますけれども、建築基準法制定以降の教育内容や建築設備の変化、また天井高さが児童生徒の心身の健康に与える影響、海外の学校や学校以外の建物の状況などでございます。その結果、平成十七年九月、天井高さ三メートルの最低基準は廃止することが適当であるとの結論が出されております。
 これを受けまして、建築基準法施行令の改正が行われ、教室の天井高さについての規定が廃止されたという経緯がございます。

○高倉委員 この規制の廃止に当たりましては、私ども公明党の神崎代表が昨年の八月に政府与党連絡会議で小泉首相にも指摘をしたものでございます。小泉首相は、どうして三メートルなのか、地方に任せればいいじゃないかと、このように規制の撤廃に意欲をそのとき示されたそうでございます。すぐに首相が文部科学大臣にその話をして、その後、協力者会議で撤廃の方向が検討をされることになったわけでございます。
 都議会公明党も、昨年の第三回定例会の代表質問で、国に対して規制の撤廃を働きかけるよう強く要請をしたところであります。今回の規定の廃止に当たり、学校の建設を担当している財務局としては、天井の高さの最低基準の廃止により、どのような効果や影響があると考えているのか、ご所見をお伺いします。

○南部建築保全部長 教室の天井高さの規定がなくなったことによりまして、高等学校等の改修工事におきましては、従来露出することもございました設備等の配管類を天井裏におさめることができるようになりまして、美観を損ねることがなく、また配管へのいたずらができなくなるなど、安全上も効果がございます。
 また、建築物の高さ制限のある地域や敷地の北側にかかる斜線制限が適用される地域におきまして、全面改築など、新たに建築する場合には、従来に比べまして、計画がしやすくなります。
 一方、教室内の音響や温熱、空気環境など、室内環境に十分留意するとともに、IT化などへの対応、天井の照明器具や煙感知器などの室内設備につきましても、配慮が必要と考えております。

○高倉委員 今、メリットについてのお話もございました。教室の天井の高さ規定の廃止を受けて良好な教室の環境をどのようにつくるかといった方針は、学校設置者である教育庁の責任であると承知をしておりますけれども、建設工事を担う財務局としましては、改築や改修において、裁量の余地が多くなる分、さまざまな工夫の余地も多くなるわけであります。
 具体的に設計工事を担当する財務局として、天井の高さについて、今後どのような考え方で学校建築に臨まれようとするのか、所見をお伺いします。

○南部建築保全部長 教室の天井高さの廃止でございますけれども、この趣旨でございますけれども、教室環境の計画、設計上の自由度を増し、これまで以上の創意工夫を生かした多様な教室環境づくりの促進と、将来の変化にも耐え得る超寿命な施設づくりを可能にすることでございます。
 こうした趣旨を念頭に置きまして、教育効果を一層高め、施設の効果的な利用が図られるよう、教育庁と十分に協議をいたしまして、教室の天井高さについて検討をしてまいります。

○高倉委員 学校の天井は、欧米では二・七メートル、あるいは規制がない。スウェーデンでは規制が撤廃をされているそうでございますし、体格の大きなアメリカでも二・七メートルとなっているというふうにお聞きしております。学校において教室天井の高さの規定が廃止されたことで、設計の自由度が広がり、それぞれの学校の特色を出すことも可能になったわけであります。また、標準的な設計の小学校校舎をモデルとして、天井の高さと階の高さを三十センチ、仮に下げた場合に総工事費が数%下がる、このような試算があるとも聞いております。
 財務局としましても、学校建設に当たっては教育庁とよく連携をして、余分なコストをかけず、特色あるよりよい教育環境づくりに取り組むように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○曽根委員 それでは私から、最初に、資料もいただいております入札、契約についての、この間、国の関係がほとんどですが、大きな談合事件が発覚しまして、改めて入札制度の改善、改革ということが社会問題として問われていると思うんですが、昨年の橋梁談合、道路公団、防衛施設庁、今回、また新たに大手ゼネコンを初めとする、恐らく排除勧告が出されるだろうと思います。これらを受けて、昨年ですか、十二月、ゼネコン四社談合と決別という宣言も出されて、まあ談合と決別という宣言を談合して出したともいわれていますが、本当にこのとおりにやれば、かなり改善されるんじゃないかという話もありますが、再発防止が当事者から出ただけでは、それが保証されたとはいえない状況だと思います。
 私どもは、東京都がこの間、談合防止のために入札制度の見直しに繰り返し努力をされてきたことはよく承知しております。最近も、指名停止期間のより厳しい適用などについての発表がありましたが、その内容について、まずお聞きしたいと思います。

○山本契約調整担当部長 都の入札において入札参加者が、暴力団員を使って他の入札参加者を脅迫する悪質な事件が発覚したため、この四月から指名停止の強化を図ることといたしました。
 主な内容としては三つございます。一つは、入札参加資格の取り消しであり、極めて悪質な企業については、競争入札参加資格を二年間取り消しいたします。二つ目は、指名停止期間の延長であり、談合等行った企業に対して、最長十二カ月である指名停止期間を最長二十四カ月にいたします。三つ目は、指名停止対象の拡大であり、営業譲渡等により、指名停止を受ける原因となった部門を譲り受けた企業や談合を行った者が役員として所属する他の企業に対しても指名停止を行うことでございます。

○曽根委員 かなり突っ込んで改善が図られ、これが全国的にも大きな影響を持つと思います。こういう問題があるんですよね、これは首都高速道路の工事ですから、東京都や自治体の仕事ではないんですが、北区の堀船というところで、昨年九月には水害事故もありましたが、ここで高速道路王子線、既に開通はしているんですが、石神井川の橋梁工事が行われていまして、開通後の騒音、振動がひどく、工事のやり直しが必要ということになって、その入札が行われたんですが、だれも手を挙げなかった、応札がなかったと。
 なぜかというと、この期間、この工事を最初に手がけた横河ブリッジが指名停止にかかっているんですね。横河ブリッジが参加できない入札ということでだれも手を挙げないと。こういう事態のために、北区議会では、首都高速道路、今株式会社ですけれども、横河ブリッジの停止期間が終わってから入札をするか随契でやるというふうに報告をせざるを得ない事態になっているわけです。
 結局、横河の手がけた仕事に、後でだれも手が出せないという現状があるわけで、私は、全国探せば、この程度のやり直し工事は幾らでもやれる技術を持っている会社はあると思うんですけれども、こういう事態を許していたら、談合企業の体質は変わらないと思います。
 ところで、東京都の指名停止企業についての一覧表をもらいました。二月一日現在ですが、この中に橋梁談合の企業は入っていないんですが、これはどうしてでしょうか。

○山本契約調整担当部長 橋梁談合によって公正取引委員会から排除勧告を受けた企業は四十五社ありますけれども、そのうち都の入札参加資格を有する四十二社に対して昨年指名停止を行いました。五社については今月末までの指名停止となっておりますけれども、他の三十七社は既に指名停止期間が終了しております。

○曽根委員 ですから、リストの中に横河ブリッジが入っていないんですね。東京都は指名停止期間が終わっちゃっている。企業の方では、これを喪が明けるというふうにいうんですけれども、もう今までと同じように堂々と入札参加できるという状況です。こういう事態をやっぱり許しちゃいけないというふうに思うんです。何でそういうことを知っているのかというふうに疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが。
 それで、東京都としてこういう事態を踏まえて、入札をより公正にするために、さらに徹底した努力が必要じゃないかというふうに思います。
 幾つか、今取り組んでいる内容について伺いたいんですが、一つは、やはり大きな工事になると、もう大手しかとれないと。ですから、数が限られた中での入札になるということで非常に談合がしやすくなる。しやすい条件ができるということ。それから、そこに中小企業が入れないという問題があるんですね。
 そこで、かなり大きな工事でも、できるだけ分離分割発注を行い、また中小企業の側ではジョイントを奨励するということなどを通じて、中小企業が、東京都が発注する大規模な工事であっても、入札に参加できる道を広げることで、公正な競争を進める大きな条件をつくるということが必要だと思います。
 それからもう一つは、今東京都は入札予定価格を事前公表しているんですが、小さな工事ほど、この中で応札が全部最低価格に張りつく、つまりローアーリミットですね。赤字覚悟ですよ、みんな。小さな工事だから、これで赤字出ても仕事がないよりはましということで、みんな、例えば八割がローアーリミットなら八割の額でぴったり合わせて、あとはくじ引きですよね、そうなると。入札の意味が私はかなり薄れちゃうなと思います。そういうことを克服していかなきゃならない。
 そのためには、まず第一歩としてですけれども、地域別、それから規模別の指名入札にしていって、できるだけ、他の地域から参入してきてたたき合いになることを避けると。その地域の工事、もちろん一定規模以下の工事ですけれども、地域の企業がちゃんととれるというふうに仕組みをより徹底すること、それから、改めてさまざまな手法によるペーパーカンパニーの参入を防いでいく必要があると思うんですね。こういったことについて、東京都も努力されていると思うんですが、現状をお聞きしたいと思います。

○山本契約調整担当部長 まず、中小企業が入札に参入する道を広げることについてでございますが、都はこれまで、公共事業における中小企業者の受注機会を確保するため、いわゆる官公需法に基づき、工事等が適切に施行できる範囲で可能な限りの分離分割発注の推進に努めてまいりました。
 また、一定規模以上の工事については、大企業と中小企業との共同企業体方式を採用しております。さらに中小企業から構成される事業協同組合等の活用にも積極的に取り組んできております。
 その結果、平成十六年度における都の工事契約件数のうち、中小企業が受注した工事契約件数の割合は八六・三%となっております。
 次に、規模別、地域別の入札とペーパーカンパニー対策についてでございますけれども、工事請負契約の指名競争入札においては、発注予定金額に対応した等級の企業を指名しております。また、発注工事の施工場所付近に営業所を有する企業を優先的に指名できることになっておりまして、地域に着目した指名も行っております。
 一般競争入札の範囲拡大の議論がございますけれども、このように地域性に配慮することとの関連を十分しんしゃくする必要があるのではないかと考えております。
 ペーパーカンパニーといわれる企業につきましては、工事の施工監理を行う監理技術者等を直接的かつ恒常的に雇用していない場合があることから、都は入札参加者に対して、この直接的かつ恒常的雇用関係の確認を行ってきており、恒常的期間の取り扱いを、工事希望申し込み日の三カ月以上前から雇用関係にある者として、厳格に確認しております。
 引き続き、中小企業の受注機会確保などに努めていく考えでございます。

○曽根委員 今いったことは、以前から私どももいってきたし、またほかの党の方々も提案されていて、私、ペーパーカンパニーの問題なんかは、公明党の前の都議会議員の森田さんなんかが積極的におっしゃっていたのをそうだなと思って聞いていたんですよ。
 しかし、大手のところがやっぱり悪いというのが、この間の国の方の教訓でもあるので、改めて、東京は中小企業が支えているということが、東京都としてもきちっとそれにこたえられるような入札制度の改善を行っていただきたいと。
 それから、これは財務局の担当じゃないんで意見だけにしておきますが、一部の大手企業が、例えば特殊な技術などを独占して、また市場も独占しているというような場合、中小がその下請にならざるを得ないと。また、工事全体の監理能力、こういう点で、現場ではみんな下請で中小企業がやっているんだけれども、結局全体をコントロールできる力という点で、どうしても勝てないということを克服していく必要があると思うんです。
 そのために健全な中小企業の育成、技術的にも都が研究所などのノウハウを使って、最先端の技術を中小が身につけられるように支援することなどが必要だということで、国に比べて都がはるかに進んだ取り組みをしていることは重々承知の上ですが、そこに安住せずに、引き続き努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、これも資料でいただいていますが、都有財産の、各事業局から引き継いで売却処分などをしてきた資料をいただきました。
 これを見ますと、都営住宅などは別にして、都立学校、福祉施設、病院、保健所など、その多くの用途の廃止、財務局への移管、そして一部売却も進んできているということに対して、我が党、ほとんど反対をしてきたし、私自身も文教委員会や厚生委員会その他でこの間、一つ一つの問題について取り上げて質問もしたり、また反対意見を述べた記憶があります。
 財務局から見ると、こういうふうにリストになってしまうんですけれども、一つ一つの施設がつくられてから長い年月、その役割を果たして、その役割が終わったかどうかの判断は、それぞれ立場があるにしても、施設が一個なくなるということは、ただ建物がなくなるだけじゃなくて、そこを利用していた多くの方々のさまざまなドラマや人生が変わってしまうということも、やっぱりあるわけです。
 一つだけちょっと紹介しておきたいんですが、これは厚生委員会のときにも厳しく追及した成東児童保健院というのがあるんです。これは千葉県成東町にある。これが既に廃止、売却されて、千葉県あてに、三ヘクタールぐらいあるんですけれども、この値段かと思うように安い値段で売却済みです。ここは当時、私も尋ねて、廃止計画が出たときに、そこの職員の方とか子どもたちと話もしたんですけれども、そのときに一人の子どもに一千万円以上の金がかかっているんだということを上からいわれているというふうな話がありました。財務局が直接乗り込んでそんなことをいう関係ではないと思いますが、恐らくその当時担当の衛生局の方でそういう議論があったんだと思うんですけど、しかし、そのバックに財政当局による金がかかり過ぎているという話がまさかなかっただろうねというふうに--ここの子どもさん、廃止が決定した時点でも三十二名いたんです。その後、なくなるまでに次々とほかの施設に移されたんですが、例えばおととし、廃止の最後まで残っていた二人の姉妹が、お姉さんは児童養護施設に、その施設がいっぱいだったので、お姉さんだけしか受け入れられないということで姉妹はばらばらになりまして、妹の方は一時保護所に行ったんですね。一時保護所に移ったときがちょうど小学校入学年齢のときで、残念ながら入学式には出られませんでした。移ったのがちょっと遅かったので。
 それから、さらに伊豆長岡学園にその子は移りました。その伊豆長岡学園が今度民間移譲で民間に任されるわけです。幸いにもその妹さんは、昨年の八月にお姉さんと同じ施設にやっと措置がえになったという状況です。一人一人追っかけていったら、無数のドラマがあるわけなんですが、果たしてこの子たちは本当に成東が必要なかったから移ったのか。それとも、必要だったんだけれども、東京都のいわば財政の事情によってこういうことになったのか。ここは都民の立場から見て、いろいろ意見があるでしょうが、私は納得できない問題なんですよね。
 この児童保健院はご存じのように、病気を持ちながら、一般の児童養護施設ではなかなか通えない学校に通わせるための医療つきの養護施設で、全国ではここと岩手県の二カ所しか公立のものはないといわれていたもので、残念ながらその一カ所は千葉県に、今どういうふうに使おうとしているかわかりませんが、移らざるを得なかった。東京都ならば、こういう施設を一カ所ぐらい持っていても、私は、今でこそ生かせるんじゃないかと思いますが、残念でなりません。そういったものを含めて、一つ一つには、私たち、承服し切れないさまざまな問題があると考えております。
 先ほども聞きましたが、改めてこういった施設の一つ一つについて、財務局は、背後から有効性がないとかいうようなことを事業局に対して、圧力をかけるといいますか、アドバイスするようなことはしていないというふうにいえますか。

○泉本財産運用部長 所管局で役割を終えた財産につきましては、財務局で当該財産を引き継ぎまして、全庁的な観点から、各局と活用について協議をしているところでございまして、売却を優先しているものではございません。
 また、地元区市町村などの取得意向なども踏まえ、行政ニーズがないと判断した場合、売却、一般競争入札による売却など、適切に処理しているところでございます。

○曽根委員 私、そういう部長の答弁だけでは納得できない問題を昨年知ってしまったんですよね、百条委員会で。というのは、私もよくは知らなかったんですが、おととしの九月に財務局が幹事局となる都有財産利活用推進会議というのがつくられて、各事業局に対して、例えば職員の研修施設が有効に動いているのかということを局を超えて財務局が主導で、各局にさまざまな点検、調査を行うということまでできるような組織として立ち上がったんじゃないかと思うんですが、この推進会議は今どうなっていますか。

○泉本財産運用部長 この推進会議は十六年九月に設置いたしましたが、その後、財産情報システムの構築、施設の統廃合等の推進、さらには事業残置などの調査、活用方法の検討などの重要な項目について検討はしてきてございます。今後とも進めていきたいと考えているところでございます。

○曽根委員 まだ組織は生きているわけですね。それで、もちろん全庁的な立場から、どの局の施設であっても、それが本当に都民的に見て、また職員の利用する施設であっても、その目的にかなって利用されているかどうかをお互いに検証し合おうじゃないかというのは、それ自体悪いことじゃないんですよ。ところが、強力な権限を持った組織が一たん悪用されるとどうなるかを私たちは見てしまったわけです。それは事実だから。(「知ってしまったんだよね」と呼ぶ者あり)知ってしまったんですよ。
 つまり、時の権力を握っている人が、部長を使って、つぶしたいと思っている、まだ役割を果たしていた社会福祉総合学院のところに行って、どうなんだと。逆に小日向の、当時福祉保健局、職員の研修センターについてどうなんだということで、これをこっちに持ってきて、こっちは追い出そうというような策動に事実上利用されたという実態ですよね。こういう悪用、乱用は絶対にあってはならない。その保証は私、まだないと思うんですが、いかがでしょうか。

○泉本財産運用部長 都における土地建物の所有は、租税負担がないことから、コスト意識が民間に比べまして働きにくいものになる、このように考えております。したがいまして、常に土地建物の持つ市場における経済価値を意識した効率的な財産運用が不可欠だと、このように考えております。
 その前提の上で、この推進会議は全庁的な協議の場、特に体系を超えたオープンの協議の場として設置し、また先ほどもご説明いたしました、財産情報システムの構築をいたしましたけれども、この四月から可動しますが、これまでは財務局でしか見えなかった情報が、各局、会計相互に一定のセキュリティーの確保をしながら行われるオープンの方向を目指しております。
 このような取り組みはご理解いただけるかと思いますが、乱用を目指すものではございません。

○曽根委員 部長がおっしゃったその論理で、小日向にある研修センターは、売れば高く売れる、研修施設は練馬でいいじゃないかということで、動かそうという論理が動いたんです。流れができたんです。確かに小日向ですから、一等地ですから、高く売れますよ。しかし、研修所を利用している職員や、その関係の方々にとっては、練馬と小日向では、それは研修所としての利用という点では、やっぱり違うんですよ。目的にかなった利用という点では、私は小日向の今の、立派に役割を果たしていると思うので、やっぱりコスト論、経営優先という考え方だけでは、こういう施設一つ一つの役割ははかれないんだということを改めて強調しておきたいと思います。
 それでは、来年度予算について幾つかお聞きしたいと思います。
 まず最初に、先日、代表総括質疑でも明らかにしましたが、二〇〇〇年度から二〇〇四年度までの福祉関係費と土木関係費の増減について、改めて正確にしておきたいと思います。
 福祉関係費の二〇〇〇年度、二〇〇二年度、二〇〇四年度の決算数値、また一方での、同じ年度での土木関係費から住宅費及び廃棄物費を除いた決算数値はそれぞれ幾らでしょうか。

○安藤主計部長 ただいま理事の方からお話がありました福祉関係費の決算数値は、二〇〇〇年度は六千五百五十五億円、二〇〇二年度は六千三百億円、二〇〇四年度は六千十六億円となってございます。
 また、土木関係費の決算数値でございますが、二〇〇〇年度は五千九百三十三億円、二〇〇二年度は六千四百二十億円、二〇〇四年度は六千二十七億円でございます。二〇〇〇年度から二〇〇四年度にかけましては三百九十三億円減少し、福祉関係費とほぼ同じ水準となってございます。

○曽根委員 以上が正確な数値でありまして、「赤旗」の記事についてと同時に、私ども都議団の出した宣伝物についても、この際訂正をしておきたいと思います。
 二〇〇四年度に住宅費を除く土木関係費が、今、同水準というお話がありましたが、福祉関係費を上回っていること自体は事実で、福祉予算の異常な削減ということの一つのあらわれとして、改めて指摘をしておきたいと思います。
 全国の政令都市を含む大都市を持つ県の財政を見ても、一斉地方選挙がありました九九年度以降、普通会計決算での福祉保健費に当たる、いわゆる普通会計では民生費になっていますが、この比率を下げているのは、東京のほかには兵庫県しかありません。兵庫県は、阪神震災後の対策で特別に多く組んでいた福祉関連予算が減ったという事情があります。
 さらに、これも予特の質疑の中で指摘をしましたが、土木関係費に加えて、経常経費に含まれているさまざまな形での投資関係の予算がある、両方合わせると一兆円に近い規模になっているという指摘をいたしました。投資的経費に含まれないものとして、例えば地下鉄建設の助成だとか、日暮里・舎人線や常磐新線などの整備事業への出費、臨海高速鉄道出資金、供給公社も土木の関係に当たるわけですね。それから埠頭公社、あと公営企業会計の病院や市場を除いた公共事業関係の経費、これらは経常経費の中に入っているんですね。
 この中にはもちろん必要なものもあって、私たち、進めている立場のものもあります。しかし同時に、例えば首都高の貸し付けだとか出資金もあるわけで、トータルで全体としてどれぐらいの規模なのかということを正確に押さえておきたいということなんです。これらの経常経費の中の投資関係の経費は、総額幾らになるんでしょうか。

○安藤主計部長 ただいまお尋ねの経費でございますが、地下鉄、地下高速鉄道建設助成については、十八年度二百五億円などでございまして、これら、今合計八項目をご指摘いただきましたが、八項目の合計は二千九百三十六億円でございます。

○曽根委員 一般会計の投資的経費といわれている六千五百億円余の来年度予算と合わせると九千五百億円ぐらいですかね、になって、これが大きく一兆円に近い額で残されているというのが私たちの指摘で、もちろん、先ほども申しましたが、この中には必要なものもあるんですが、同時に、明らかに筋違いで、法的に見ても東京都が払う必要のないものがかなり含まれているんじゃないか、そこを見直せば、この額そのものを大きく縮小できるということが私たちの主張であります。
 次に、オリンピック基金については先ほどいろいろ質問があったので、ダブりを省いていくどうなるかというと、先ほどこういう答弁がありましたね。一兆円を超えるオリンピック関連の整備費が必要になるだろう、これに備えての基金であるという答弁、これは私、聞いたのは初めてなんですね、一兆円超えるだろうというのは。
 それで、ちょっとそれについて確認をしておきたいんですが、オリンピック準備基金というのは、一兆円を超えるだろうと財務局が見ている関連整備の事業に対応するものと、一兆円を超えても全額を都が負担するわけじゃないという話ももちろんあるわけですが、それにしても、これらの整備の事業にかかわるものとして負担するものに対応するということでよろしいんでしょうか。

○安藤主計部長 オリンピックでございますので、他の外国の諸都市におきます開催状況とその経費を予算特別委員会の方へ資料が提出されて、ロンドンでは、鈴木先生からも話がありましたけれども、二兆円近いと。ほかの都市の、前回のアテネ等もあるんですけれども、どうも関連整備費等が記入されておりませんのでわかりませんが、国家的プロジェクトとしてやるということでありますし、さまざまな競技場についても必要な部分は当然出てくるということで、私ども財政当局の覚悟といいますか腹づもりとしては、一兆円は超えてくるのではないかというふうな思いで先ほど申し述べたものでございまして、何か裏の数字を財務局が持っているのではないかというようなことでは全くございません。
 それと(「そんなこといっていないよ」「そういわれると何かあるんじゃないのってなっちゃうよ」と呼ぶ者あり)失礼いたしました、全くございませんので。
 それで、一千億円というものは、るる述べてまいりましたように、財政的な需要が当然想定される中で、将来の財政負担の平準化という、財政当局としては当然配慮すべき事柄でございますので、それに対する備え、そしてもう一つは、これまでの財政再建の取り組みの中で、東京都、財政体力を回復しつつあります。まだ一区切りついた段階でございますが、そういう状況の中で、これまでの成果を生かして、新しい目標としてオリンピックを掲げ、そこに向かって、東京都、全力で都議会ともども進んでいこうという、こういうことの中では、財政的にも大丈夫であるという姿勢を示す意味で今回基金をつくったものでございます。
 また、具体的な基金の取り崩し、充当につきましては、条例の中でオリンピックの開催に関連する社会資本整備と書いてございまして、繰り返しになりますけれども、今後、計画書の中で位置づけられた事業に対して充当していくということになろうかと思います。
 少し歯切れが悪いんですが、計画の中で、今後やるべき社会資本等が整備になれば、それらの財源を、この基金を使い、あるいは起債を使い、国からも、そして民間からもご協力いただきながら、財政のファイナンスについていえば、間違いのないようにやっていくのが私どもの使命であるというふうに考えてございます。

○曽根委員 ちょっと何か物が挟まっているかもしれませんが、大きな規模の財政がかかることは間違いない、それに対する備えということですよね。広くとらえれば、一兆円以上かかるんだから、その中での都の負担に対応するという、私の質問は、そういうことなのかなというふうに受けとめていいと思うんですが、そうすると、これはまだはっきりとはいえないと思うんですけれども、しかし、この間の予算の質疑の中で吉田議員が質問したように、質問の答弁でも明らかになったように、外環は事実上オリンピックまでに間に合わせるということで進んでいるじゃないかということで、最初の答弁は、オリンピックに関係なく前から計画し進めてきた事業なんだというふうに答弁されていたんですが、途中から、オリンピックに間に合わせてつくってみせますとまでおっしゃったし、知事は、国を動かして間に合わせるんだというような趣旨の答弁もされました。
 つまり、私たちはこれは決して賛成できないんですけれども、オリンピックまでに間に合わせたいという事業の、いってみれば、今一番の最大の事業といえるのは、この外環になってしまうのかなというふうに思うんですよ。
 だから、計画の中で明らかになるんでしょうけれども、この外かく環状道路にオリンピック基金が何らかの形で充当される可能性は、今の時点でも否定はできないと思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤主計部長 予算特別委員会でその点について議論があったのは十分承知をしておりまして、都市整備局長からは、外環は、首都圏の交通の円滑化とか環境改善はもとより、東京の再生に不可欠な路線であるから、それに、これまで幅広く地元との話し合いを行いながらいろいろやっているんだ、今後とも早く事業に着手して、早期完成できるように国に働きかけ、取り組んでいく、こういうふうに答えていらっしゃいます。
 そして、外かくについて申し上げますと、今、意義についてはそのとおりだというふうに思いますけれども、今後、オリンピック開催に合わせて整備を進めていくことになるというふうに受けとめておるわけですけれども、外環というのは、オリンピックの招致の話の前から地元に入ってお話をされているわけであるし、一方、都市整備局長からは、図面の青い線は何かという問いに対して、その中に外環が入っていたかと思いますけれども、これについては、オリンピック開催を視野に入れて整備が促進されていくことを期待する、こういうふうに答弁をされておるわけでございます。
 私どもは、今の社会資本整備基金とオリンピック準備基金はともに社会資本等の整備をやるわけですけれども、オリンピックの方が一般法に対して特別法みたいな感じでなっておるわけでございますので、それを使う事業は、やはり関連事業というような位置づけを、どこかの時点で、社会資本整備についてはそういうものがされるだろうというふうに思っています。
 その中で、外環についてその中に位置づけられれば、オリンピックのこの基金を充当する可能性は出てくるというふうに思っておりますが、既につくるということを表明し、地元の住民の方々とも話し合いをし、それで、いつ完成するかというのは私も聞いていてよくわかりませんでしたけれども、そういう今までの路線上で外環の整備が進むものを、あるいはオリンピックに関連づけて何か特別なことということになれば、つまりオリンピック関連という位置づけに意義があるかと思うんですけれども、その辺の議論を待たないと、私どもとしては、基金が当たるのか当たらないのかというのはにわかに申し上げられないということで、これまた歯切れが悪いんですが、ご理解をいただきたいというふうに思います。

○曽根委員 また今後、オリンピック関連のインフラ整備の中に位置づけられる可能性も否定はできないですよね。だから、これは間もなく明らかになるでしょうけれども、オリンピックの前から、オリンピックが出てくる前から使っていた施設、つくっていた施設というのはほかにもあるわけですよね。東京国際フォーラムだって使えるじゃないか、これをオリンピックに位置づけて使いましょうと。それから後楽園とか、いろいろ出ているわけですね。そういうことだってあるわけですから、前からつくったり供用されている施設でも、オリンピックに合わせてその目的のために使うという場合の、それを手直ししたりする事業というのは当然あって、これは当然入ってくると思うんですよ。外環もそういうふうになる可能性は十分あるわけで、私は、だからそういうことをてこに、例えば外環でいえば、外環としての物すごい大変な積み上げがあったわけで、これがほごにされるようなことは絶対あってはならないし、オリンピック自体が、そういうことをいわば促進するためのてこにされるようなこともオリンピック精神に反するということを、改めて強調しておきたいと思うんです。
 それから、知事は、一方で東京富裕論とか東京ひとり勝ち論は根拠がないというふうにいいながら、オリンピック基金のねらいとして、これは自民党の方への答弁なんですが、関連した基盤整備に備えて負担の平準を図るとか、今お話がありましたよね。強い意思を、オリンピック招致の意思を示すとかいいながらも、財政再建にもめどがついた、東京ならではの財政力の証左であるという答弁もしています。これは事実上、先ほど安藤部長の答弁でも、財政的な優位性というお話もありました。
 先ほどの方は質問しなかったので、私、ずばり聞きたいんですが、こういうことをいっていると、やっぱり東京、財政富裕じゃないかというふうに全国からは見られてしまう。それが事実かどうか、東京都民の需要にこたえているのかどうかということは抜きにしても、一般の予算と別に一千億円積めるような自治体はないわけですよ、ほかに。それをぼんと積んでみせる、まだ何も財政計画が出てないときに。これではやっぱり、私たちだけではなくて、さまざまなマスコミでも指摘されていますが、東京富裕論をみずから実証するようなものじゃないかと思うんですが、これはやり方としてはうまくないと思うんですが、いかがですか。

○安藤主計部長 外環のことでちょっと先につけ加えさせていただきたいと思いますけれども、外かく環状道路についていいますと、まだ負担の問題というのは、整備手法も含めてでございますけれども、決まっておりませんので、私、先走って、外環が関連道路になったときにそこに基金を充てるというふうに申し上げましたけれども、実は整備手法等を踏まえた上でのことでございまして、ここら辺もいまだ未定ということについてはご理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、富裕論の関係で、優位性という言葉を私、先ほど申し上げましたけれども、国家的プロジェクトで、かなりお金はかかるというふうに思います。それを全部東京都が負担するということではございませんけれども、やはりそれなりの財政力は、開催するに当たって、候補としていく都市としては備えるべき必要条件の一つだというふうに思っております。
 そういう意味で、何も福岡のことをとやかくいうつもりはございませんけれども、東京都、かつて一千億円からの赤字を抱えていた、さらにそれを回復して、ここまで財政的に立ち直りましたよということを示す意味で、一千億というのは意味のある数字だというふうに思います。
 また、ご理解いただきたいことは、オリンピック開催にたえ得る財政力をアピールはしている、そういう趣旨でいっておりますけれども、これはまた東京富裕論とは全く別物であるということでございまして、この辺はぜひとも曽根先生にご理解をいただきたいところでございますけれども、都財政も財政再建に一つの区切りがついた段階であり、例えれば、ちょっと前は瀕死の状態であったのではないかなと思いますが、現在、少し体力が回復してきた、こういうことだと思います。
 そういう中で、我々はかねてから、東京は大都市特有の需要を抱えております、そのための財源確保が課題であるというふうに、各方面に訴えてきたところでございます。そういう中で、今回の予算におきまして、オリンピックのための取り組みに対して積極的に対応しておりますけれども、これは、都議会の皆様方、都民の皆さん方のご協力の結果、どうにか到達しつつある財政再建の成果であって、富裕論というのとは全く関係はないというふうに思っておりますし、矛盾をしているというふうには考えてございません。
 税収の増加というのは確かに事実でございますが、仮に使い道がなければ富裕だということになるかもしれませんけれども、オリンピックとも関連した都市基盤整備、これは先ほども、オリンピックを開催する、しない、基金を積む、積まないにかかわらずやらなきゃいけないことだ、こう申し上げました。こういう需要を抱えていることは確かでございまして、こういう東京がまるでお金が余っているというようないい方をされるのは、私どももいささか心配でございます。ぜひとも東京都の財政についてのご理解を、曽根先生によろしくお願いしたいと思います。

○曽根委員 私がよろしく理解するかどうかを超えて、都民がどう受けとめ、全国の自治体も含めた世論がどう受けとめるかの問題だと思うんですよ。
 まず、一千億円をなぜ今なんだという話はさっきあったので、もう繰り返しませんけれども、東京都が財政的に、じゃあ仮に招致が決定した後で積めないのかというと、そんなことは決してないという点でも、手続論的にいっても、早過ぎるという問題もありますよ、もちろん。ただ、そういうことよりは、むしろ東京都がオリンピック自体を本当の意味で成功させるような形で招致したい、それから、東京都の大都市問題、大都市需要というものにまともにこたえようという決意があるならば、東京で、今何が都民的に見て大都市問題として解決しなきゃならないのかといえば、私は、全国的にも厳しい状態にある格差の問題だとか、そういうことだと思いますよ。
 去年の暮れ、私が代表質問したころは、私しかいってなかったような雰囲気だったけれども、ことしになってからの各マスコミ、それからさまざまな国会での論議を含めて、格差問題というのは、今これをどうするのかというのは、今後の二十一世紀の日本の大きなテーマの一つになったわけですよ。
 例えば、東京都の足立区がどういう状態にあるかみたいな、かなりショッキングなレポートだって某雑誌には出ていることであって、こういった問題に光を当てていかないで見過ごすということはもうできなくなってきているということを改めて指摘しておきたいと思うんです。
 それで、オリンピック基金のもう一つの問題として、これが都市整備というか都市基盤整備、これに使われる基金の二番目だということなんですよ。今までも、一千億円を超える都市基盤整備基金ですか、これがあるわけですよね。来年度も積んで、合計で二千億円以上になる、倍になるわけですよね。一方に財調基金もありますけれども、こういうものがふえていくということが、ある意味で東京都の財政的なゆとりも示す反面、今後どう使われるのかという問題が当然出てくるわけです。
 東京都の財政の来年度予算の説明の中で、強固な財政基盤構築と構造改革の足取りを確かにする取り組みの一つの論拠として、基金残高が隠れ借金を上回るんだ、来年度予算でということが強調されているんですが、どうしてこれが強固な財政基盤構築の論拠になり得るのかなと、そこのところが私はどうも納得できないので、その論拠についてお聞きしておきたいと思うんですけれども。

○安藤主計部長 今お話しのように、財政調整基金と社会資本等整備基金、そしてオリンピックの準備基金の三基金を合わせて六千億ほどになるわけでございますけれども、これら、設置目的は違ったとしても、財政運営上の視点で申し上げると、将来の財政負担を軽減するという共通の効果を持ち合わせておりますので、そのときの財政状況等を勘案しながら、将来の必要なサービスに備えるために蓄えた貯金だというふうに思っております。
 財政当局としては、この三基金が都にとっての純粋な貯金に当たるというふうに考えておりまして、都の貯金が幾らあるのかということを都民の皆さん方にわかりやすく説明するという意味を持っておりますし、過去の数字を見ましても、十六年度末では隠れ借金が一兆円を超えておりまして、そのときの基金が約二千八百億で、差っ引きマイナス七千四百億ほどでございました。十七年の当初ではこれがマイナスの五千八百億になり、そして十八年度当初でこれがプラスになったということもございまして、この基金については、家計に例えるまでもなく、都民にとっての大きな貯金ができたという意味で、私どもは、財政の健全度ないしは構造改革は進んだという一つの象徴としてご説明を申し上げているところでございます。

○曽根委員 そろそろ予定の時間が近づいてきたので、以後、答弁は簡潔にお願いします。
 私たちは、隠れ借金というふうに東京都がしているものについては、過去の投資関係の負の遺産という面がありますので、何らかの手当てがいずれ必要だということは当然だと考えています。しかし、隠れ借金というならば、過去の最大の借金である臨海の転貸債のツケがまだ残っており、また、臨海の第三セクターが破綻処理に入れば、隠れ借金どころか、一気にこれが表の借金として都の負担になりかねません。
 さらには、一般会計の都債残高も七兆円近いレベルで、何年か先には下がっていくめどが立っているかというと、むしろ、この間計画されているさまざまな開発を見れば、ふえていく可能性が高いといわざるを得ない。こうした問題が解決の道が示されないままで、隠れ借金だけが問題にされて、来年度予算には、それを基金が上回るために、市場会計に、何も急ぐことがないのに繰り上げ償還して全額償還するというようなことは、やはりこれはおかしいんじゃないかということは指摘しておきたいと思うんです。
 とりわけ、都市基盤整備の基金が二千億円を超えるという点は、これは単なる貯金ではなくて、使い道が都市基盤整備というふうになっておりますので、場合によっては新たな投資に、まあ場合によらなくても新たな投資に使われる可能性が高いわけで、それ自体は借金ではありませんよ、しかし、今後これが引き金になって、また莫大な投資の呼び水となる危険性はあるんじゃないかということを危惧しているんですが、そういうことは絶対ないということはいえるでしょうか。

○安藤主計部長 どうも基金が負担の呼び水になるようにお考えでしたら、そういうことはないというふうに申し上げておきます。私どもは、オリンピックのこの基金についても、関連する事業についてはいずれ計画でお示ししますし、それをもとに財政計画をつくることになると思いますし、社会資本整備計画には、社会資本整備等の基金についても、金があるからむだなものをつくるというようなことは決して行うつもりはございませんし、その辺はぜひとも信用していただきたいと思います。

○曽根委員 こう私がいうのは、かつてバブル当時、都の予算では福祉はほとんど伸びませんでしたが、高い税収があった。ですから当時は、その高い税収に支えられて、ほとんど借金しないで、ばんばん公共投資できたんですよ。だから当時、都債はほとんどないんですね。ですから、国の補助がつかなくても単独事業でやりましょうということで、当時はどんどん単独事業で、全額都が出して公共事業をやれた。
 しかし、その流れがとまらないうちにバブルが崩壊して、その後は悲惨でしたよ。とにかく、毎年八千億円から一兆円の借金が、バブル崩壊で税収がどんどん下がっているのに借金だけがとまらなかったんですよ、何年かね。このツケが今残っているわけですよ。あの暴走を結局とめられなかった。当時、金があるからということで単独事業が動き出しちゃったものだから、それがとめられなかったわけですよ。こういう事態が一回あったわけですから、私たちはこういう、お金が残って--残せる、貯金できるというときに、これが新たな投資に使われることに対しては、財務当局としては厳に慎重でなければならないということを申し上げて、答弁は要りませんので、終わりにします。

○山加委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩といたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十四分開議

○山加委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊沢委員 それでは、私から質問をさせていただきます。
 主に二点についてです。一つはオリンピックの基金条例、もう一つは工事の契約について、二つ質問をしたいと思います。
 まず最初に、ことしは都の税収は一〇%の増ということでしたけれども、ここ近年の動向を見ますと、ただ、ことしはふえたものの、非常に税収の変動が激しいという現状があります。これは都も認めているとおりで、数字がそのことを示しています。
 また、先ほどもご指摘ありましたけれども、税収に非常に変動があると同時に、今大変に東京でも格差が広がってきておりまして、先日の委員会でも指摘されておりましたけれども、税収がふえたとはいえ、その税源は、大手と、それから中小との間には相当な乖離があったということが指摘をされておりました。まさにそういう状況だと思います。
 そういう中で、今回、オリンピックの基金条例が出てきましたが、この一千億という金額を聞いたときに、もう都議会での一千億というのは余りにも日常的になってきておりますが、はっきりいいまして、この一千億という金額は、本当に税金という視点から考えると、とてつもなく大きな金額であるということを、まず私は思っております。そういうことです。そういう大変大きな金額についての議論であるというふうなことだと思います。その上で質問に入りたいと思います。
 前回の東京オリンピックは一兆八百億円というふうにいわれておりまして、一説には、当時の物価は十倍になっていますので、十兆円かかるともいわれておりますけれども、その天井というのはどこにあると見ていらっしゃるのでしょうか。

○安藤主計部長 オリンピックにかかる経費につきましては、財政当局としては、関連事業などを含めますと、先ほどご答弁申しましたが、一兆円を超えてくるであろうという想定といいますか、その程度の確保が必要だろうというふうに思っておりますけれども、具体的な内容は、今後計画を策定した後に、策定に合わせて積算していくことになりますので、現時点では未定だというふうに承知をしております。

○伊沢委員 というわけで、今お答えがありましたけれども、オリンピック開催に関しましては、最大で幾らということがはっきりと示されないというのが現状だと思います。
 私もきょう初めてお聞きしましたけれども、最低でも一兆円というところは、先ほど発言がありました。確かに、北京やロンドンの、予算特別委員会の要求資料を見ましても一兆何千億円ということですから、そういうことは考えられるとは思っておりました。その上で、ただ、必要経費の上限あるいは下限もない、明確でない中での、一千億円を積み立てようとした、その根拠というのを教えてください。

○安藤主計部長 先ほど鈴木委員にご答弁申し上げたところでございますが、オリンピックの開催準備に当たりまして、少しでも早い段階から負担の平準化に取り組むことが安定した財政運営に資することになるのであり、そうしたことを考えれば、できる限り多くの額を積み立てておきたいというふうに考えております。
 また、都の財政力を内外にアピールするという観点からも、できるだけ多くの額を積み立てることが望ましい、こうした点を踏まえまして、また一方で、現実に積み立てが可能な額を勘案した結果として、今回、一千億円を基金に積み立てたものでございます。
 また、私ども財政当局としても、一千億というのは大変大きな数字であるし、重要な数字だというような認識は先生と一緒でございます。

○伊沢委員 先ほどからもオリンピックの基金の使い道について質問が出されてきておりますけれども、この基金、それから、先ほどは外かく環状道路の話も出ましたが、そのほかに、三環状道路、圏央道や、それから中央環状線などについても、議会では言及がかつてされていると思いますが、外かく環状道路については、先ほどこの基金は使う可能性があるというふうに聞いたと思いますけれども、それでよろしいのかどうか、もう一回確認をさせていただきたいのと同時に、では、ほかの環状道路にも使う可能性があるといえるのかということをお聞きしたいと思います。

○安藤主計部長 外かく環状道路につきましては、既にオリンピックの誘致の議論の前にスタートしていることでございまして、これに関しまして、予特、予算特別委員会で知事本局長の方から、オリンピック開催を視野に入れて整備が促進されていくことを期待する、こう答弁されておりまして、具体的にこれらが基金の対象となるかどうかについては、繰り返しになりますけれども、計画を定める中で決まっていく課題であるというふうに思っております。
 また、三環状道の残りでございますけれども、新宿線から品川線についていえば既に着手済みでございまして、平成二十五年ですから二〇一三年までに完成ということになっております。また、圏央道につきまして申し上げますと、中央高速との接続は十八年度中に結合するということでございますが、これらについても、既に事業として採択し、着手をしていることでございますので、改めてこれをオリンピック基金を充当する事業にするかどうかということについていうと、私はそういう位置づけがなくても大丈夫かなというふうに思っておりますけれども、関連事業としての位置づけを見ないと何とも申し上げられませんが、既に計画決定され、着手され、完成時期もオリンピック前になっているということについてはご理解をいただきたいというふうに思います。

○伊沢委員 要するに今のお答えの意味は、使わないとはいえないという意味だと思います。ですから、オリンピックというふうにいってしまえば、結局どんな社会資本整備でも、関連関連ということでできてしまうのではないかということで、外かく環状道路でいいますと、完成には少なくとも国土交通省発表でも二兆円といわれておりまして、そういうものを含めていきますと、本当に莫大な額が、天井に実はあるのでないかというふうに思わざるを得ません。
 もともと、さっき理念の問題が出されておりましたけれども、私が聞く限りでは、今回のオリンピック招致に当たっては、いわゆる都市再生、今、小泉首相及び石原知事が進めておりますけれども、これの推進のために行いたいということが、具体的な事業も入れまして、羽田空港あるいは横田基地の問題、横田基地の軍民共用化ですか、そういうのも全部合わせて、結局全部盛り込まれた都市再生事業のためにやっているのではないか。オリンピックは後からあくまで出てきた話というふうに私は受けとめており、そういった点で、以前からこの都市再生事業には疑問を呈し反対しておりましたので、オリンピックも到底認められないという立場で先日は反対をいたしました。
 それから、将来の都民生活への影響についてですけれども、オリンピックは、先日の本会議で、借金である都債も使うということを局長がおっしゃっていたと思いますけれども、もし基金だけではなく都債も使うということになれば、それは将来に新たな負の遺産といいますか、借金を残すということになるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

○安藤主計部長 例として三環状道路を申し上げれば、東京の活力を阻害している慢性的な交通渋滞を抜本的に解消するという意味で、大変東京の発展にとって不可欠な道路だというふうに思います。また、オリンピックに関連した都市基盤や競技会場、選手村及びその周辺施設などは将来にも残る社会インフラでございまして、都民の財産になるものだと思っております。
 こうした社会インフラを整備する場合には、当然、基金だけではなくて都債も充当することになると思いますけれども、都債は、単に財源の手当てというだけではなくて、将来の都民の財産となるということであるならば、将来にわたって使用される施設の財政負担という意味からも、現世代のみならず将来の世代にも負担してもらうという世代間の負担の公平性の確保という観点から活用するものでございまして、都債が単純に負の遺産であるとは考えてはございません。

○伊沢委員 昨年、東京都の方から、人口減少社会における都財政運営のあり方という報告書が出されております。これを見ますと、これから先二十年の動向というのがいろいろな図解で示されておりますけれども、これからは人口が減少するということ、それから少子高齢化社会を迎えるということがいわれております。その上また、税収については、平成元年を境に、今右肩上がりから徐々に下がってきているという状況の中にあると思います。
 そういう状況の中で、先ほどからのお話ですと、結局一兆以上、それで天井は無限大といいますか、という中で、こういう計画がまかり通るのかということが一つあると思います。そして、現在は少子高齢化で、介護や子育てなどのニーズは本当に今高まってきております。ですから、こういうことを打ち上げることによって、そのしわ寄せが都民サービスの低下につながるのではないかというふうに私は思いますけれども、この点につきましては局長に答弁をお願いしたいと思います。

○谷川財務局長 そもそも、オリンピック開催と都民サービスの向上を相反するというふうに、私どもは考えてございません。先ほどお話があったように、都財研の研究は三つのパターンでそれぞれ言及しているわけですけれども、二十年後、平成三十七年度に向けて、最後のパターンⅡですか、あれで均衡的にやっていけばいいだろうという、そういうふうな都財研の研究になってございます。
 ただ、オリンピックを開催することによって、都市機能の拡充あるいは経済の発展等々にも寄与していくという考え方は我々持ってございます。オリンピックを開催することによってマイナス点が非常に強調されているようですけれども、有形無形の影響が相乗効果を発揮してくる、私はそういうふうに考えてございます。
 また、人口減少、少子高齢社会、そのさまざまな財政的な影響も考えられますけれども、それらの財政運営についても十分踏まえながら、オリンピックの成功とともに、長期的、安定的な都民サービスの向上を図っていく、こういう基本スタンスでやっていきたいと思っております。

○伊沢委員 要するに影響は出ないという、相矛盾しないというふうにおっしゃいましたけれども、私は、現状、この分析を見ましても、まだこれでもかなり--この結果について全く私が賛成しているわけではありませんけれども、ただこの現状はかなり、大きなところでは、その分析が正しいと思うんです。そういう中で、いかなる財政運営を今後十年、二十年にわたって行っていくということは、非常に大きな今問題になっていると思います。
 それで、この本の中でも示されておりますけれども、社会保障費、そしてバブル時に建てた建物の更新費や維持費というのが、十年、二十年後に莫大にふえていくということが予測をされています。そういう中での一兆以上、それから上がわからないという公共事業にこれだけ投資していくということは、この中でさえ私は想定されてなかったのではないかというふうに思うんですね。
 そういう意味で、これの中でさえ想定されていないぐらいのレベルの話がまた出てきているのではないかというふうに思います。要するに、例えばメーンスタジアムをつくる、何々をつくるという箱物がもっともっとたくさん必要な事業ですから、そういうことになってくれば、さらなる投資、新規投資というのが必要になるからそういうふうに申し上げているわけです。ですから、私はそういう理由で今回反対をしております。
 そして、このオリンピック基金を、基金という形で積むのであれば、今本当に必要なのは、社会保障に対する基金を積み上げていくのであれば賛成をしたいというふうに私は思います。
 以上でオリンピック基金に関する質問を終わります。
 それで、その次の質問は、東京都の工事契約について質問を行いたいと思います。
 昨年から、橋梁談合事件、現在の防衛施設庁の談合事件など、自治体あるいは国による談合が次々と明らかになってきております。先ほどのオリンピックの基金、オリンピックの話のときには、結局公共事業の全体を減らすべきということを主張しましたけれども、この契約については、一件一件についてもまだまだ東京都は縮減を行って、税収をここから生み出していくことが私は必要なのではないかと思います。
 それで、東京都の工事関係の費用を見ますと、平成十四年度で六千六百億円、平成十五年度で五千九百億円、平成十六年度で五千五百億円と、これも総額は六千億円ぐらいという形になってきておりますけれども、大変な大きな金額だと思います。その上で、現在の落札状況についてお聞きしたいと思います。
 先日、財務局が発注している工事について問い合わせましたところ、十三年度から十六年度までの落札率について、二百五十万以上の事業についての落札率を示していただきました。それによりますと、平成十三年度が九四・一%、十四年度以降は大体九〇%台、九〇・何%という形で示していただきました。しかし、この九〇%という数字ですが、例えば日弁連などでも、九割を超える落札率のものは非常に談合の疑いが高いというふうに指摘がされております。
 そういう中で、私もそう思いますが、今の東京都の九割という全体の落札率について、東京都はどういうふうに思っていらっしゃるのか、下げていく気があるのかどうかということを聞きたいと思います。

○山本契約調整担当部長 高い落札率との関連で談合があるというようなお話がございましたけれども、東京都では、予定価格が二百五十万円を超える工事につきましては、国と異なり、予定価格の事前公表を行っており、都において官製談合は発生しておりません。それ以外の談合、つまり業界内だけの談合につきましては、談合情報を得るなど入札に疑義が生じた場合は、談合の有無を調査、判断する公正取引委員会に通報しております。
 予定価格は、材料費や人件費などの実勢価格を反映させて積算しており、都が契約すべき金額の上限を示したものでございます。落札率が高かったとしても、都が積算した予定価格の範囲内の落札は競争入札の結果として受けとめております。高い落札率がそのまま談合に結びつくとは考えておりません。

○伊沢委員 ただ、今、九割以上あるいは九五%以上というものも東京都にはたくさんありまして、そういうときには談合の疑いはあるというふうにいえると思います。
 それと、今ここに私が持っている資料ですけれども、二〇〇四年度入札調書の分析結果についての報告という、全国市民オンブズマン連絡会議というところが全国の入札状況をまとめました。それによりますと、宮城県が一番落札率が低くて、二番目に長野県となっておりまして、東京都は、その落札率が低いところから数えますとちょうど二十八番目というふうになっております。このまとめ方としては、東京都は三億円以上で、ほかの都道府県は一億円以上というところで調べられているんですけれども、これによりましても、東京都の落札率というのは平均で二〇〇四年で九四・九%というふうになっております。そのうち、また八割が九〇%を超えているという状況があります。
 それで、このデータによりますと、宮城県並みに落札率を行えば、東京都では、この三億円以上という集計を見ても、三百九十三億円の予算の縮減ができるというふうに指摘をされております。このように、今後、宮城あるいは長野、また今ほかのたくさんの自治体で改革が、入札改革あるいはほかの談合防止を組み合わせるいろいろな取り組みがありまして、こういう取り組みが行われておりますけれども、そういうことを東京都として目指していくべきと思っていらっしゃいますでしょうか、方向として。それから、もしそういう方向を持っているとすれば、どれくらいを目安に目標設定を持っているかという点についてお聞きしたいと思います。

○山本契約調整担当部長 都では、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の制定を踏まえ、平成十三年度から総合評価方式を導入したほか、平成十四年度には一般競争入札の拡大や予定価格の事前公表、平成十五年度からは電子入札を導入するなど、さまざまな入札・契約制度の改善に取り組んできております。これらのさまざまな取り組みを行った上で入札が行われておりまして、落札率はあくまでも競争の結果であるというふうに受けとめております。
 このため、落札率につきましては、目標値を定めるような、そういったような性格ではないというふうに考えております。

○伊沢委員 ただ、今こうして財政もだんだん減少していく中で、どこから財源を生み出していくかというときに、自治体で既に実現しているところがあるわけですから、東京都としても、私は、こういう目標を設定して、そこへ向かっていくということが本当に今必要なのではないかと思います。
 では次ですが、東京都の入札方法なんですけれども、東京都では、一般競争入札も一部取り入れられておりますけれども、実は指名競争入札というのが圧倒的に多いという状況にあります。先日財務局からいただいた資料でも、金額にしますと、大体八割が指名競争入札、二割が一般競争入札となっています。
 財務局からのはそうでしたけれども、例えば知事本局というところだけ見ましても、公共事業の予算が多い港湾局ですとか建設局とかというところからの、入札方法はどういうところが、何が多いのかというのをちょっとまとめていただいたところによりますと、結局九割以上が、全部指名競争入札あるいは随意契約というふうになっております。
 ですから、一つ大きな入札改革の、談合の温床となるといわれておりますこの指名競争入札から一般競争入札に今後切りかえていくべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○山本契約調整担当部長 都では現在、予定価格が九億円以上の工事案件について一般競争入札を適用しております。したがって、都発注工事において予定価格が九億円以上になるような規模の工事が少ないことの結果というふうに考えております。
 一般競争入札の範囲をもうちょっと広げられないかというようなお話でございますけれども、そのこと自体は、談合を防止するためということであれば、都では談合防止に向けたさまざまな取り組みを行ってきております。先ほどもお答えしたとおり、都においては予定価格の事前公表などの方策を講じておりまして、繰り返しになりますが、官製談合は発生しておりません。また、この四月から、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、新たに談合を根絶するため、入札参加資格の取り消しや指名停止の大幅な強化を図ることとしたところでございます。
 競争の確保を図る観点から、東京都、これまで一般競争の適用範囲を順次拡大してきておりまして、先ほどもお話ししたとおり、九億円以上の工事案件について適用しているわけでございますけれども、九億円未満の工事でも、例えば四億円以上の土木工事など建設共同企業体への発注案件では、都内中小企業の受注機会の確保や育成にも配慮するなど一定の条件を付した上で、一般競争入札に準じた取り扱いの試行を平成十四年度から実施しているところでございます。

○伊沢委員 東京都が入札についての取り組みを全く何もやってこなかったというふうに、私は全くいうつもりはありません。ただ、先ほど来申し上げていますとおりに、東京都は大変金額が大きい、つまり日本の中で最も金額が大きいわけでして、その中で一件一件について精査をして、そして談合をなくしていくということが本当に大きな財源を生んでいくということにつながるわけですから、こういうことをもっと徹底的に実施するべきだと私は思います。
 それから、最後に、入札の方法を変えるということが最も経費節減につながるということは、実際に、もうほかの自治体でもこれは示されております。明らかに、入札方法を指名から一般に切りかえるということによって落札率はどんどん下がっていくということは、一つの手法として、しかも有効な手法として有効だと思いますので、ぜひ今後、私はこれを取り入れていただきたいというふうに思います。
 それから、最後に、談合を防止していくためにさまざまな取り組みがあります。その中に、平成十三年に国が公共工事入札契約適正法というものを施行して以降、東京都では平成十四年に東京都入札監視委員会という第三者機関を設置しております。これについて最後にお尋ねをしたいと思います。
 この入札監視委員会というものの目的と、それから内容を教えてください。

○山本契約調整担当部長 入札監視委員会は、ただいまお話にもございましたけれども、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づきまして、都が行う入札及び契約手続の公正性、透明性を確保するため、平成十四年三月に設置したものでございます。
 所掌事項としては、入札及び契約手続の運用状況等を審議し結果を報告すること、もう一つは、利害関係者からの苦情申し立てについて検討し報告することが所掌となっております。

○伊沢委員 そのような内容で、これは五名で運営をされているというふうに聞いております。
 それでは、この入札監視委員会というものはこれまで年に何回開催をされ、そして過去何回実施をされたでしょうか。

○山本契約調整担当部長 入札監視委員会は、これまで過去五回開催しております。したがいまして、年に一回少しという、そういうことになります。今年度、一月十九日に開催したところでございます。

○伊沢委員 要するに、年に一回しか、この監視委員会というものは開かれておりません。財務局ではそれで十分だというふうに思っていらっしゃるでしょうか。

○山本契約調整担当部長 先ほどお答えいたしましたけれども、今年度、一月十九日に開催いたしましたけれども、その委員会におきまして、今後開催回数をふやして審議する考え方を説明したところでございます。

○伊沢委員 一回では全く不十分だと思いますし、回数をふやしていくことも本当に必要だと思います。また、その内容についても、非常に精査をきちんと、一件一件の落札についての、事後ですね、終わった後、その検査を、精査をしていくべきだと思います。
 この入札監視委員会につきましては、例えば私が知っております立川市では、ここは実際に談合事件があったんですけれども、その後に入札監視委員会が設置されていまして、今、年に何回も運営をされております。その中身を見ますと、本当に一件一件について詳しく精査をいたしております。
 このような機能が、第三者というところから今後必要かと思いますけれども、その内容についても、もっともっと一件一件を精査すべき内容にすることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山本契約調整担当部長 都におきます契約の実際の件数が非常に膨大になるということで、この間、入札監視委員会におきましては、その年度の前年度の代表的な事例、特異な事例についていろんな意見をいただきまして、その年度以降の契約手続の参考とさせていただいているところでございます。

○伊沢委員 確かに件数は膨大だと思いますけれども、その傾向を例えば数字で示して分析を行う、それから、落札率が高いとすれば、なぜそうなのかというところをきちんと精査していくというようなことも必要ではないかと思います。
 この入札監視委員会がすべて万能というわけでは全くありませんけれども、少なくともこういった機能をもっと充実させていくということが、入札改革を実施していくことが最も有効ですが、そういうことにあわせて有効ではないかと私は思っております。
 以上で質問は終わりますけれども、今の東京都におきます契約は、私は全く今の状況がいいとは思っておりません。本当にもっともっとそこからの予算の削減ということも、公共工事全体の予算の見直しとあわせて行っていくべきだということを主張しまして、質問を終わります。

○神林委員 今回はオリンピック基金が花盛りでございまして、私の方はいささか若干地味でございますけれども、先般の補正予算の質疑の中で私がちょっと触れさせていただきましたその続編としまして、新たな局面を迎える都有財産の活用についてお伺いいたします。
 先般の予算特別委員会における財産情報の活用のあり方について、我が党の質疑の中で、この四月から新公会計制度が導入になり、時を同じくして財産情報システムを稼働させるとの説明がありました。
 私は、初めて都の財務諸表が公表され、その資産が明らかにされることは大変意義深いことだと思っております。そして、財産活用に当たって経営の視点で取り組むこと、都民に対する説明責任を果たすことはとても重要だと考えております。
 先ほどお話ししましたとおり、私、傍聴させていただいておりましたが、申し上げました予算特別委員会の質疑において財務局長は、双方のシステムの連携をとることにより、これまでにない事業別評価が可能になると答弁されております。
 そこで、このこれまでにない事業別評価が可能になる、この点についてもう少しかみ砕いて説明していただきたいと思います。

○泉本財産運用部長 東京都は、この四月から新公会計制度を導入して、ストック及びコストの情報の正確な把握と、経営の視点の強化や説明責任の充実を図ることにしてございますが、同時に、個々の財産情報をきめ細かく迅速に把握することを目的といたしまして、財産情報システムをスタートいたします。
 新公会計制度による事業別財務諸表におきまして、事業に投入されている資産の総額が示されることになります。一方、個別の財産ごとの内容や活用状況などが財産情報システムによって明らかになりまして、資産の有効活用という新たな切り口からの具体的な事業評価に資することになるものでございます。

○神林委員 私は、まちを歩いていまして、都心の一等地に古い二階建ての都営住宅が建っているのを見かけることがございます。定かではございませんけれども、ひどい例でいえば、容積率が四〇〇%の土地にもかかわらず、一〇〇%程度しか利用されてない施設も見受けられます。このように、建ぺい率や容積率を最大限に有効活用していない都有施設が大変見受けられるわけでございますけれども、こうした実例を見るにつけ、本当に都有施設が有効的に利用されているのかなということを疑問にも考える次第でございます。
 もちろん、建ぺい率、容積率は単に一例にすぎないわけでございまして、ほかにもいろいろ指標があるものでございますけれども、例えば、有効活用を図っていけば、施設の占有面積を拡大させるだけでなくて、合築などを進めれば、新たな需要に振り向ける更地の都有地も生み出すことができるわけでございます。
 そこで、新公会計制度が導入され、財産情報システムにより、先ほど答弁もいただきましたけれども、財産の情報がより詳しく、かつ利用しやすくなりますから、今後、財務局はどのような観点から都有財産の活用を進めるのか、お伺いいたします。

○泉本財産運用部長 都有施設は、行政の目的に応じまして、公用または公共用に供することを目的に設置することが基本でございまして、必ずしも設置場所の建ぺい率や容積率を最大限に活用することを前提にするものではございません。
 しかし、貴重な都民の財産の活用について、効率性の強化や全庁的な活用の視点から、施設の統廃合や新たな施策への転用などを行ってまいったところでございます。今後は、新たな公会計制度の趣旨を踏まえ、財産の持つ経済的な価値や市場性に着目した活用が重要となることから、財産の一層弾力的な活用を促進してまいります。
 具体的には、容積率などの都市計画情報や地図情報を表示する財産情報システムを活用するほか、近年定着してまいりました定期借地借家制度や、行政財産である建物の一部の貸し付けを可能にする、今国会に提出されている地方自治法改正案など、土地や建物の多様な活用が可能となってきてございます。こうしたさまざまな環境の変化、手法の多様化を踏まえて、一層効率的、効果的な財産運用を進めてまいります。

○神林委員 今、最後、ご答弁にありましたとおり、せっかく財産情報が明確になるいいチャンスでございますので、この点をとらえて、具体的にさらなる効果的な都有財産の活用を検討していただきたいと思います。
 次に、管理されている未利用の都有地について伺います。
 これは、土地の買収を行ったけれども事業の予算がつかない場合とか、あるいは計画線の買収が進まない道路予定地、団地を高層化して余剰地が残った場合など、さまざまな事情で未利用状態になっているものと考えられます。長期化する未利用地には草が生い茂って、中にはごみ捨て場になったりしまして、周辺に対しては大変迷惑をかけているという実例も多々ございます。
 そこで、こうした未利用の土地は、引き渡しのときに更地に少しだけ手を加えれば、例えば地域の多目的運動場や駐車場、災害時の避難場所などとして最大限活用ができるはずでございます。この辺についての見解を伺います。

○泉本財産運用部長 現在利用されていない財産については、将来の利用予定がありましても、それまでの間、財産の経済的価値に着目いたしまして、積極的に暫定活用を図るべきものと考えております。活用策といたしましては、ご指摘の多目的な運動場や災害時の避難場所など地域ニーズへの対応や、駐車場など市場性に着目した活用が考えられます。
 今後、こうした具体的な取り組みが重要になることから、都有財産利活用推進会議におきましても、構成員を、局長級から、財務局長を委員長とする各局部長級に、昨年改めたところでございます。そうした取り組みで、新たに構築した財産情報システムを用いまして、十分に利用されていない各局所管財産の把握と活用を図ってまいります。
 各局の暫定活用などを進めるためには、各局が所管したまま一層の財産活用をする、その支援をする組織を十八年度から財務局に設けます。この支援組織は、各局に対し、活用ノウハウの提供や相談などの支援を行いまして、各局所管財産の有効活用を図ってまいります。
 都の保有財産は租税負担がないことなどから、効率的な財産運用の意識が民間に比べ大変乏しいものでございます。職員のコスト意識を高めていくためにも、積極的な各局の支援が必要で、そのような意識の向上の中でこそ、さまざまな取り組みが生かされているものと考えてございます。

○神林委員 未利用地ですから、中途ですから、たくさんお金をかけろといっているわけじゃないんです。引き渡しのときからもう少し整理すれば相当の有効活用ができると思いますので、ぜひその辺についても、具体的事例がたくさんあるわけでございますから、個々について最大限、地域の皆さんに受け入れられやすい土地の検討をぜひお願いしたいと思います。
 それでは、次に参ります。
 東京オリンピック以降、昭和四十年代に建設した都有施設が、建築後三十年から四十年近く経過しておりまして、今後一斉に建てかえの時期を迎えることにより、新たな財政圧迫要素として懸念される部分がございます。このことに対する財務局の基本的な考え方を伺います。

○安藤主計部長 都が保有してございます施設の中には、ご指摘のとおり、前回の東京オリンピックからオイルショックまでのいわゆる高度経済成長期に整備されたものが多数存在をしてございます。今後、これらの施設が老朽化により続々と更新時期を迎えることになりますが、更新経費が膨大な額に上り、ご指摘のように都財政の圧迫要因となることが懸念をされているところでございます。
 もちろん、施設の更新に当たりましては、単純に改築をするのではなく、個々の施設ごとに利用状況や必要性などを判断し、施設の集約化や廃止も含め、適切に対応していく必要があると考えてございます。

○神林委員 同じことといえばそれまでなんですけれども、今の部分は建てかえという部分ですけれども、例えば建設設備の耐用年数というのは一般的に、この「都財政が直面する課題」の一二ページにも書いてございますけれども、十五年から二十年とされているということでございます。今お話ししました「都財政が直面する課題」の一二ページにもはっきり、「大規模施設更新費の増大」ということで、直面する課題として載せられておりますけれども、そのまま読ませていただければ、「バブル期に計画・建設した大規模施設が一斉に設備更新時期を迎え、その更新費用が新たな財政圧迫要素となることが懸念される。」ということで、今の建てかえの部分と同じように記載されております。
 悪くなってから直すという場当たり的なやり方ではなくて、長期的な計画や見通しのもとに、計画的に効果的に進めていくべきであると私は考えます。行政サービスを向上していく上で、当然に施設の建てかえは必要でありますけれども、適切な時期に予防保全を試みることによって施設の延命化が図られると考えます。都民の財産である都の公共施設を建築面と設備面から適切に維持管理するため、予防保全に力を入れていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○南部建築保全部長 都では、都有施設の適正な保全を図るため、私ども財務局と施設管理者でございます各局との連携のもと、建物の維持保全、修繕及び改修を行っております。従来から、エレベーターや非常用発電機といった事後保全で対応が難しい設備につきましては、定期的に点検保守を行うなど、未然に事故や故障などを防止するための予防保全に努めてきております。
 今後は、設備とともに建築面につきましても、例えば雨漏りの未然防止などの予防保全に取り組んでまいります。

○神林委員 これはちょっと前回の補正のときにも触れさせていただいたんですけれども、私、健康なので、余りこういうことはないので、一般的な人間の例からいいますと、人間の体の場合、医師の診断によるカルテをもとにして診察の時期だとか方法を適宜適切に施して、継続的に健康を維持していく部分でございまして、まさに施設も人間と同じでございまして、そういうものがないとなかなかしっかりした管理ができないと思います。
 そこで、予防保全の徹底を計画的、効率的、しかも効果的に図っていく上で、施設カルテの整備が不可欠だと考えるわけでございます。この点について、もう一度答弁をお願いいたします。

○南部建築保全部長 現在、都では、施設ごとに、建物概要、設備機器の一覧、改修・修繕履歴などが把握できる保全のためのシステムを構築したところでございます。都にはご案内のようにたくさんの施設がございます。現在、各局の協力を得ながら、膨大なデータ量につきまして、逐次電子情報化を図っているところでございます。
 今後は、ご提案の趣旨を踏まえまして、国や他自治体の保全システムを参考としながら、新たな時代の要請を加味し、改良を重ねまして、効率的な保全のために活用してまいります。

○神林委員 大変前向きな答弁をありがとうございます。土地も施設も生き物でございます。愛情込めて計画的、効率的、効果的に取り扱っていけば、我々のよきパートナーとして必ず十分期待にこたえてくれるものと考えます。
 今後とも、こうした趣旨を踏まえて十分対応していただくことをお願いいたしまして、私の質疑にさせていただきます。

○吉田委員 皆様、お疲れさまでございます。
 株価が回復をしてまいりまして、消費者物価も四カ月連続で前年比ゼロ以上となるなど、長く低迷を続けていました日本経済もようやく明るさが見えてきたと思います。
 景気のこの回復基調は、都の財政においても税収増となってあらわれておりまして、まことに喜ばしいわけでございますが、こうした経済情勢の認識のもと、去る三月九日、日本銀行が、金融政策決定会合におきまして、金融政策の操作目標を、日銀の当座預金残高から、短期金利であります無担保コール翌日物金利、これに変更するという、いわゆる量的緩和政策の解除を決定したことが報じられております。
 当面、ゼロ金利政策が続く見通しであるとはいえますが、平成十三年の三月に量的緩和という異例な政策を開始して以来、五年ぶりにオーソドックスな金融政策であります短期金利に目標を戻したというのは、大きな節目であることには間違いありません。仮に将来金利が上昇していくということになりますと、都債の利払い費というのも増加していくわけで、これは都財政に対する懸念材料の一つであると認識しております。
 そこで、今般の日銀の量的緩和政策の解除という政策転換が実施されたという機会をとらえまして、都債の金利上昇リスクとそれへの対応策について何点か伺ってまいりたいと思います。
 まず、都全体で都債がどれくらい発行されているのか、また、そのうち市場からの調達はどれくらいあるのか、お聞かせください。

○安藤主計部長 平成十六年度におきます全会計の都債発行額は、新発債、借換債合わせて一兆三千四百四十九億円でございます。資金別の内訳は、民間金融機関、投資家等からの資金調達であります民間資金が一兆二千九百三十四億円、政府資金その他が五百十五億円となっておりまして、民間資金が九六%を占めてございます。
 東京都は、他団体に先駆けまして民間資金へのシフトを進めまして、財投資金など公的資金に頼らない資金調達を行っております。民間資金のうち、そのほとんどが、債券を発行して広く投資家を募って資金を調達いたします市場公募債でございまして、その発行額は一兆一千五十七億円でございます。

○吉田委員 都は市場公募債の発行によって、一兆一千五十七億円ですか、資金調達の大部分を、市場から調達しているというご説明でございました。
 都道府県及び政令都市六十一団体のうち、市場公募債を発行しているのは都を初め三十五団体でございますが、格付機関、R&I、格付投資情報センター、それからJCR、日本格付研究所、この双方からダブルAプラス、こういう格付を、ことしの二月十日の段階ですが、格付を受けているのは、東京都と埼玉県、静岡県、京都府、仙台市、この五団体だけであります。市場の高い信任を得ながら自立した資金調達を実施しておられるというのは、都が規律ある健全な財政運営をされているということの証左でありまして、大変頼もしく思っております。
 それでは次に、市場公募債の金利の推移、これについて、日銀の量的緩和政策の実施の前からさかのぼって、この金利の推移、お伺いしたいと思います。

○安藤主計部長 毎月発行してございます償還年限十年の債券、いわゆる十年債の表面利率の推移で見てみますと、まず、平成十一年二月から十二年八月までの量的緩和導入以前のゼロ金利政策時には、一・八から一・九%を中心的な水準としまして、一・五から二・二%の間で推移をしておりました。
 次に、平成十三年三月からの量的緩和政策期間におきましては、一・三から一・五を中心的な水準といたしまして、〇・五から一・八三%の間で推移をいたしました。
 直近一年間で見ますと、昨年四月から七月までは一・三%前後で推移をしていましたが、八月以降、金利は上昇傾向となったところでございます。ことし二月からは量的緩和解除による金利上昇を先取りした動きが見られ、二月債は一・六三%と、一月債の一・四五%に比べ大幅に上昇いたしたところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 それでは、九日の量的緩和政策の解除を受けて、その後の都債の金利に変化がありましたんでしょうか。それをお聞かせください。

○安藤主計部長 量的緩和解除後の三月十五日に条件決定をいたしました三月債の表面利率は一・七三%となりまして、二月債の一・六三%と比べて〇・一ポイントの上昇となりました。

○吉田委員 ありがとうございます。
 今のご説明を伺いますと、経済の回復基調や日銀の政策転換によりまして、これまでの歴史的な低金利に終止符が打たれて、金利上昇が現実的なものになってきているように思います。
 日銀は、量的緩和解除後も、ゼロ金利政策は当面維持する方針であるとは聞いておりますが、この経済の回復基調が順調に続けば、量的緩和解除の次の段階でありますゼロ金利政策の解除、これが射程に入ってくることになります。このゼロ金利政策の解除が実施された場合には、都債の金利に対してどのような影響が出てくるとお考えか、お聞かせください。

○安藤主計部長 日銀はゼロ金利政策を当面継続するということになっておりますけれども、市場では金利上昇への警戒感は強いものがございます。量的緩和が解除された後、市場の注目は、ゼロ金利政策の解除がいつどのような形で行われるかに移ってきておるようでございます。ゼロ金利政策が解除されれば、短期金利の上昇に伴いまして都債の金利も上昇する可能性がございます。このような状況を踏まえまして、金利の動向につきましては引き続き注視をしていきたいと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 それでは、金利上昇が都債の利払い費に与える具体的な影響についてお伺いをしたいと思います。
 仮に金利が〇・一ポイント上昇したとしますと、東京都全体として利払い費はどの程度増加することが見込まれるのか、また、一%上昇したと仮定した場合はどうか、お聞かせください。

○安藤主計部長 十八年度予算におきます全会計の都債発行額は、新発債、借換債合わせまして一兆一千四百四十九億円となってございまして、この十八年度発行分について長期金利が〇・一%上昇したと仮定して、その影響額を年間ベースで換算いたしますと、利払い費が約十一億円増加すると試算されております。次に、金利一%上昇のケースについて同様に試算をいたしますと、利払い費増加は約百十四億円となります。
 なお、これらの利払い費の増加が継続すると仮定すれば、その影響額は年々累積していくことになるわけでございます。

○吉田委員 金利が〇・一ポイント上昇すると利払い費は十一億円ふえる、また、仮に一%上昇するとなると、一年間で百億円を超える利払い費の増になるというご説明でございます。
 実は、今度の二十二日には、出納長室さんにも運用面での金利の変化について影響をお聞きしようと思っているんでございますが、とにかく、全会計の単純合計で十二兆円を超える予算規模であります東京においても、百億円という利払いの増の数字というのは決して小さくはありません。
 金利上昇が今後も見込まれるのであれば、長期的な視点に立って、資金調達の面から、金利上昇リスク、これに備える必要があると考えます。何か対策はお考えでしょうか。

○安藤主計部長 償還年限が十年を超える超長期債におきましては、金利は十年債よりも高くなりますけれども、現在の低金利を将来にわたって享受できるというメリットがございます。借りかえ時の金利上昇リスクを分散して、資金調達コストを中長期にわたり安定的なものにする観点から、債券の年限の多様化を図るために、二十年債あるいは三十年債などの超長期債を平成十五年度から発行してございます。
 このような年限の多様化を含め、今後とも、長期的なリスク分散の観点から、資金調達の多様化を引き続き進めていきたいというふうに考えてございます。

○吉田委員 大変有効であると思います。
 最後に、量的緩和解除という日銀の大きな政策転換を受けまして、金利上昇リスクが高まる中、将来の財政に支障を来さないよう、改めて、起債発行、そして償還を含めた都債の適切な管理が求められると考えますが、見解を伺います。

○安藤主計部長 まず、起債につきましては、財政再建プランの実施の中で抑制を図ってまいりました。十八年度一般会計予算では、発行額、起債依存度とも、過去十年間で見ますと最低の水準にございます。償還につきましても、減債基金の積み立てによりまして将来の償還財源の確保に努めて、財政負担の平準化と都債の信用維持を図っているところでございます。
 ただいま申し上げました、年限の多様化など発行面での取り組みを含めまして、今後とも、将来にわたり安定した財政運営を実現する観点に立ちまして、都債の適切な管理を継続していきたいと思っております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 都は、国や他団体に先駆けて、起債の抑制や財政基盤の強化を図っておられまして、市場からも高い信任を得るような運営を行っておりまして、大変頼もしく思うわけですが、最後に一言だけ心配事を申し上げますと、ご存じのとおり、国は莫大な国債を抱えておりまして、金利上昇リスクに対して非常に弱い財政体質になってしまっております。国の財政再建が進まない中、苦し紛れ的に、都の財政見通しの前提となっている税財政制度をひっくり返すようなことを仕掛けてくるというおそれが、将来十分に考えられると思います。今後、そのような不測の事態も含めまして、より一層用心深いお見通しのもとで、また金利の動向に十分注意を払っていただきつつ、将来の利払い負担を考慮した長期的な視点での都債の管理、これを期待し、ご要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○桜井委員 時間が切迫してまいりましたので、簡潔に質問させていただきます。
 十八年度の、第一回定例会のきょうの質問は、簡潔にいえば、第一次財政再建推進プラン、第二次の二つの方にまたがった取り組みを総括する予算というふうに考えます。それで、その点で質問させていただきますが、十六年から十八年の二次プランでは、十八年度には三千七百億円の巨額な財源不足が見込まれていましたので、その解消のために四つの柱を立てました。内部努力、施策の見直し、歳入確保、地方税財政制度の改善という柱を立てて、財源確保に懸命に努めてきた経緯がございます。
 そこで、まず質問いたしますが、二次プランの財源確保目標額は、十八年度予算でどの程度達成されると見込んでいるのかをまず伺います。

○安藤主計部長 委員ご指摘の四つの柱で取り組んでまいりまして、例えば内部努力では、財源確保として一千百二十八億円、一一二・八%などでございまして、内部努力、施策、歳入確保、以上三つについて合わせますと、目標額が二千六百億円に対しまして、財源確保額二千八百二十二億円で、確保率は一〇八・五%と目標額を達成する見込みでございます。
 一方、柱の一つであります地方税財政制度の改善につきましては、三位一体改革及び同時期に行われました税制改正等に伴う影響額がマイナスとなっておりますことから、財源としては計上してございませんで、その結果、プラン全体では、目標額三千七百億円に対しまして、財源確保額二千八百二十二億円、確保率七六・三%というふうに見込んでございます。

○桜井委員 国からの税源移譲については、皆様方ご承知のとおり、本格的な進展が見られないので非常に残念に思っているわけですが、これからも国に対して強く求めていかなきゃならないわけでございますけれども、この関連を除けば目標額は超えるということで、評価をします。
 一方で、こういう努力がもちろんあったことは認めますが、近年の税収増が追い風になっているということも確かだと思うんですね。この税収増、東京都の税収増ですけれども、税収増が二次プランの想定額をかなり大きく上回っていると聞いていますけれども、どのくらい上回るのか、そしてまたどのように財政運営に活用してきているのか、その点について質問いたします。

○安藤主計部長 まず税収の見込みと、それから決算等の数字でございますけれども、十六年度につきましては、プランの見込み額が三兆七千九百に対しまして、決算額との比較で申し上げますと、決算では四千六百億ほど上回り、十七年度では、最終補正予算ベースでいいますと同様に七千七百上回り、十八年度で申し上げますと七千億ほど上回っておりまして、トータルで申し上げますと、一兆八千億から九千億程度の増収になっているわけでございます。
 これをどのように活用してきたかということでございますけれども、都はこれまで、税収が落ち込んだときでも都民サービスを低下させないために、基金を取り崩し、あるいは他会計から借り入れ、さらには公営企業会計に対する支払い繰り延べを行うというやりくりを行ってまいりました。しかし、こうしたやりくりの結果、財政収支が大幅な赤字に陥ったということに加えまして、基金も底をつき、隠れ借金が一兆円に上るなど、財政的には大変な危機に陥り、幾つもの課題を抱えることになったところでございます。
 昨今、税収は確かにプランで見込んでいた以上に増加しておりますけれども、その増収分を用いまして、今般、隠れ借金の圧縮や基金残高の確保などに充当いたしまして、バブル崩壊後に消耗し切りました財政の体力回復に重点的に取り組み、同時に、都財政が直面する課題にも対応しているところでございます。我々といたしましては、税の増収は都民の皆さん方のために有効に活用しているというふうに考えてございます。

○桜井委員 つまり増収額は、福祉などの都民施策を切り捨て、大型の都市開発に優先的に配分したということではないわけですよね。きちんと必要な施策にも目配りを怠らないでやってきた、厳しい財政状況にもかかわらずやってきたということだと思います。
 それで、隠れ借金というのは、先ほどもちょっと議論が出ておりましたけれども、私も前に質問したことがあると思うんですが、歴代の知事と比べまして、石原知事が初めてだと思うんですね。隠れ借金というのを完全にオープンに表へ出してきまして、はっきりとした位置づけをさせて、その解消に向けて全力を尽くす、これについては、本当に大した財政再建に対する取り組み方だな、このように評価しておりますが、改めて、隠れ借金を圧縮して、その解消を図っていくということの重要性、その重要性をもう一遍改めて質問いたします。

○安藤主計部長 隠れ借金は都財政を圧迫する大きな要因でございまして、財政運営に当たりましては大変重い足かせとなってまいりました。将来にわたりまして都民サービスを安定的に提供するとともに、臨時的かつ緊急の課題にもきちんと対応していくためには、こうした足かせをできる限り早く取り除く必要がございます。
 財政当局といたしましては、隠れ借金の解消を財政運営におきます重要課題と考えておりまして、その克服に全力で取り組んでおりまして、十七年度最終補正予算と十八年度予算においても、その大幅な圧縮に努めたところでございます。

○桜井委員 ただいまの答弁にありましたが、今審議しております十八年度予算と、それから、先日議決されました十七年度の最終補正予算を合わせますと、実に三千百億円もの隠れ借金を解消しているわけですよ。財政再建にめどをつける大きな要素になっているわけです。
 もうちょっと言葉をつけ加えるならば、十七年度の補正予算での措置があったからこそ、このたびの十八年度予算の財政再建に一つの区切りをつけることができたというふうにもいえると思うんですね。当初予算においても、補正予算も含めた一連の流れの中で評価、検討すべきであると考えております。
 先日議決されました十七年度の最終補正予算は、新年度を間近に控えた時期でもありまして、十八年度当初予算と一体的に把握し、その連続性を十分認識しておかなければならないわけです。極めてわかり切った話でございますけれども、あえて申し上げさせていただきます。
 もう少しつけ加えさせていただきますが、いうまでもなく、東京都の予算というのは、当初予算を年間総合予算として編成しておりまして、その年度に必要と見込まれる施策については、基本的には当初予算にすべて盛り込んでおります。したがって、補正予算で対応を図る事業は、年度内で対応が可能な必要最小限のものとなるのは極めて当然でありまして、年度途中で交付される地方交付税を財源に補正予算を組んでいく他の道府県と比較して論ずることは全く筋違いと思います。もう少しいいたいんですが、今はこの辺にしておきましょうね。
 次に、十八年度予算の第二点目のポイントであります、将来も視野に入れた施策展開について検証しておきます。
 まず、十八年度予算においては特にどのような施策に力を入れてきているのか、伺います。

○安藤主計部長 十八年度予算の特徴の一つは、都民の安全・安心を確保しつつ、東京のさらなる発展を目指す取り組みでございます。この主な取り組みといたしましては、都民生活の安全確保、都市機能の拡充、福祉、保健、医療の充実、東京の産業力強化、そして教育、文化、スポーツの振興、良好な生活環境の実現などに重点的に財源を配分してございます。
 それを目的別で整理いたしますと、伸び率は福祉と保健で四・五%、都市の整備で五・五%と、この二つが大きな伸びを示してございます。また、性質別で整理をいたしますと、経常経費は、施策の見直しやスクラップ・アンド・ビルドを徹底する一方、都民が直面する課題に重点的に対応した結果、対前年比一・六%の増加となりました。
 一方、投資的経費につきましては、いまだ十分ではございません都市基盤の整備や災害への備えなど、緊急性の高い事業に積極的に対応しました結果、対前年比三・九%増と高い伸びとなりまして、しかも二年連続の増加となってございます。投資的経費が二年連続で増となるのは、平成四年度以来、十四年ぶりでございます。

○桜井委員 今のご答弁にもありましたが、福祉と保健、都市の整備、この二分野は昨年度と比較しまして大きな伸びとなっているということでございます。また、投資的経費は二年連続の増加となったのは実に十四年ぶりとのことでありますが、都市インフラの整備状況を冷静に判断して、中長期的なスパンでその必要性を見きわめることが極めて大事だと考えます。
 そこで伺うのでございますが、そもそも東京都の投資的経費は、他の自治体と比較してどういうような水準にあるのか、とりあえず質問いたします。

○安藤主計部長 投資的経費が一般歳出に占める割合を東京都と地方財政計画とで比較いたしますと、平成十八年度におきましては、都は一五・五%であるのに対しまして、地方財政計画では二五・四%となっておりまして、都の投資的経費は相対的に見ると低い水準にございます。

○桜井委員 今の答弁でもありますとおり、決して突出していないことがわかります。
 先ほど神林委員の質問にもございましたが、施設設備は必ず老朽化していくわけでありますし、その手当てを先延ばしにすればするほど、そのツケは大きくなるわけであります。そうすればかえって経費の増大を招くことになるのはだれの目にも明らかであるわけであります。
 そこで質問しますけれども、先ほどの質問と若干重なるかもしれませんけれども、東京が抱えるインフラ資産はかなり老朽化が進んでおることはご承知のとおりですよね。その維持更新が重要になる、いわゆる都市更新ですよね、考えられますけれども、この点について質問します。

○安藤主計部長 ご指摘のように、都には、高度成長期、バブル期を中心に多くのインフラ資産が整備をされておりまして、今後、高度経済成長期に建設されました施設は更新時期を迎え、また、バブル期に建設されました施設は大規模修繕の時期を迎えるなど、多額の経費が必要となる見込みでございます。こうした社会資本は都民生活にとっても大切な基盤でありまして、その維持更新というのは、ご指摘のとおり、大変重要な課題であると思っております。
 このため、十七年度の補正予算では、都有施設の更新や大規模修繕に備えまして、社会資本等整備基金に五百億円の積み立てを行ったところでございますけれども、社会資本の維持更新については、将来を見据えながら、基金を活用することなどによりまして計画的に対応していく必要があるというふうに考えてございます。

○桜井委員 まさにそのとおりだと思います。
 ところで、東京都は、今ある資産の老朽化ばかりではなくて、まだまだ都市インフラの整備が立ちおくれていると思います。具体的にはどういう例がありますか、質問します。

○安藤主計部長 インフラ整備の立ちおくれという点で申し上げますと、一つは、首都東京の国際競争力と都民の利便性の向上を図るためには、国際都市にふさわしい幹線道路や空港などの都市機能の拡充、また災害に強いまちづくりが不可欠でございます。
 現在の東京は、慢性的な交通渋滞や空港の処理能力不足などによりまして人や物の流れが阻害されておりまして、大きな経済的な損失を招いているのは事実でございます。また、直下型地震や局所的な集中豪雨などの大規模な自然災害への備えも決して万全とはいえません。
 これらの解消のためには、環状道路の整備、そして鉄道の連続立体交差化の推進、空港の拡張、そして東京港の物流機能の強化、さらには、木造密集地域の整備や河川改修といいました防災対策などへの投資が引き続き必要であるというふうに考えてございます。

○桜井委員 よろしくお願いします。
 これは先ほども質問がありましたけれども、来年度から東京都の会計がいわゆる複式簿記・発生主義会計を取り入れてやっていくということで、全国初の試みだと聞いておりますが、これは先ほど、これもやっぱり神林先生かな、質問されていましたよね。今までは、でか過ぎる、巨大過ぎるからなかなかできないというふうな理由だったらしいんですが、そういう東京都の資産内容、ストック情報、そういったものが具体的な金額として浮かび上がってくるということでございます。
 そうしますと、この意欲的な試みが実を結ぶ十八年度の決算においては、この取り組みの成果を十二分に発揮することが期待されるわけでございますが、そういう意味でも、来年度の財政運営、来年度といったってもう来月からになりますけれども、その財政運営は今後の都財政を占う極めて重要なものだと考えられます。
 そこで、最後に局長に質問いたしますが、十八年度の財政運営にかける--この十八年度の財政運営というのは、本当に大変な運営だと思うんですよね。そういう意味におきまして、局長の決意というか考えを伺います。

○谷川財務局長 これまで七年にわたる財政再建推進を進めてまいりまして、巨額の財源不足あるいは経常収支比率の向上等々取り組んできて、そういう意味で十八年度予算は、もう何度もいわれておりますけれども、一つの区切りのついた大きな予算だ、このように考えてございます。
 ただ、今後、人口減少、高齢化社会等々、社会保障費の増嵩等が、十分都政に解決すべき大きな課題として降りかかってくる、このように理解しております。そういう意味でも、十八年度予算を遂行しながら、今後、中期的、長期的な視点から、いかに安定的に都民サービスを構築していくかという観点が大事だと、そのためには、また公会計制度を大いに利用しながらやっていきたい、このように考えておりまして、都財政の構造改革には今後とも積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案並びに報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十五分散会

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