財政委員会速記録第四号

平成十七年三月十六日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時三十五分開議
 出席委員 十二名
委員長倉林 辰雄君
副委員長秋田 一郎君
副委員長森田 安孝君
理事酒井 大史君
理事鈴木 一光君
理事松村 友昭君
東村 邦浩君
鳩山 太郎君
山下 太郎君
執印真智子君
新藤 義彦君
桜井  武君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長松澤 敏夫君
経理部長臼井  勇君
契約調整担当部長山本 憲一君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長宮川 雄司君
調整担当部長平田  章君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事南部 敏一君
収用委員会事務局局長嶋津 隆文君
審理担当部長井戸 秀寿君

本日の会議に付した事件
意見書について
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出・債務負担行為-議会局・財務局所管分、都債
・第十五号議案 平成十七年度東京都用地会計予算
・第十六号議案 平成十七年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百三十四号議案 全国自治宝くじ事務協議会への静岡市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
報告事項(質疑)
・神宮前一丁目民活再生プロジェクトのPFI事業としての実施について

○倉林委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 秋田副委員長、酒井理事及び松村理事から、それぞれお手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○倉林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局の予算の調査並びに財務局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 予算の調査について申し上げます。
 平成十七年度予算は、予算特別委員会に付託をされておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略をいたします。

平成十七年三月十五日
東京都議会議長 内田  茂
財政委員長 倉林 辰雄殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(火)午後五時

(別紙1)
財政委員会
第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中
予算総則
歳入
歳出
債務負担行為 財政委員会所管分
都債
第三号議案 平成十七年度東京都地方消費税清算会計予算
第十五号議案 平成十七年度東京都用地会計予算
第十六号議案 平成十七年度東京都公債費会計予算

(別紙2省略)

○倉林委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十七年度一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは、私からは、収用委員会にかかわる事項として、事件処理の迅速化などについて何点か質問をさせていただきたいと思います。
 私は、いわゆる二ツ塚処分場また圏央道の整備といった都民にとって重要な社会資本の整備が、事業の反対を目的とするトラスト運動によりおくれるのは、都民にとって大きな経済的また時間的な損失だと考えています。特に二ツ塚処分場の事件では、収用の手続だけで約三年を要したことには驚かされます。
 しかし、昨年出された収用制度活用プランを見てみますと、平成十三年の土地収用法の改正を契機に、かなり事件処理の短縮化がなされ、圏央道八王子ジャンクション事件では、約二千名の権利者がいたにもかかわらず、約半分以下の一年四カ月で処理をされていることがわかりました。トラスト事件の処理の迅速化が進んだことは大いに評価すべきところであると思います。
 一方、収用委員会が取り扱うのはトラスト事件だけではなく、トラスト事件以外の一般事件の処理の迅速化についても重要であると考えています。
 そこで、国で進めている司法改革における問題意識とあわせて、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 平成十五年には、裁判を迅速に進めるための基本法である裁判の迅速化法が制定され、第一審の裁判を二年以内とする目標が掲げられました。民事や刑事司法制度の改革においても、計画的な審理の手続や裁判前の争点等を整理するための手続などの仕組みが設けられるなど、裁判の充実、迅速化に向けた取り組みが始まっています。
 また現在、土地の境界をめぐる紛争を迅速に解決するため、土地の境界を裁判を経ずに確定する制度も国において検討されていると聞いています。
 このように、司法手続の簡略化や迅速化に寄せる国民の期待には大きいものがあります。そして、これらの改革を貫く重要なキーワードが迅速化であると考えています。私は、準司法的な機能を有する収用委員会においても、まさに審理手続の迅速化が時代の要請として求められているのではないかと思います。
 そこで、まず最初に、収用委員会は事件処理にどれぐらいの期間がかかっているのか、お伺いいたします。

○井戸審理担当部長 収用事件の処理期間でございますけれども、事件の種類ですとか内容によりまして長短はございますけれども、圏央道のトラスト事件などを除きました一般事件では、和解ですとか取り下げの場合を除きまして、事業の施行者でございます起業者の申請から裁決までに至った場合の平均の処理期間を見ますと、平成十二年度では四百三十六日と一年を大幅に超えておりましたけれども、十三年度が三百七十二日、十四年度が三百八十三日、十五年度が三百四十九日と、近年は一年間程度の期間になってございます。
 これにつきましては、十三年度から、七人の委員全体で審理するのではなくて、事件を担当する委員をあらかじめ一名決めまして、機動的かつ弾力的に手続を進めます指名委員制度を採用したことですとか、あるいは事件処理の効率化などによりまして、処理期間を短縮することができたものでございます。

○酒井委員 ただいまの答弁によりますと、平成十二年に比べると、平成十五年度で約九十日間短縮をされているということで、確かに工夫はされているようですけれども、しかし、まだまだ一年という長い期間がかかっております。まだまだ改善の余地があるのではないかと思いますけれども、私の地元の立川でも、立川都市計画道路三・四・二四号線にかかわる収用事件で、裁決まで約一年かかったと聞いています。
 この処理の迅速化に対し、ネックとなっている要素といったものはどういうものなのか、お答えをいただきたいと思います。

○井戸審理担当部長 最近の収用事件の特徴から考えますと、一つには、近年、事件の内容が大規模化あるいは複雑化していることが挙げられます。多数の当事者がおりますマンションの収用事件がふえてございます。また、土地の境界に争いがある場合ですとか、あるいは抵当権とか賃借権などの権利関係が複雑に絡み合っている、そうした場合には、詳細な調査ですとか検討が必要である事例がふえてございます。そうしたことから手続の進行に時間を要することとなってございます。
 二つには、これまで収用手続を経験したことの少ない起業者からの申請が増加する傾向にあることが挙げられます。起業者としましては、土地に関する調書ですとか、建物や工作物等の物件調書を作成する必要がございます。また、審理に当たりまして、意見書を作成するなどの必要な手続に時間を要するような状況になってございます。
 こうした二つの要素がございますけれども、処理の迅速化を進める面では、以上のような点がネックになっているのではないかというふうに考えてございます。

○酒井委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、そうであるならば、今後、そのような、今お答えいただいたような課題をどのように克服し、事件処理の迅速化また効率化といったものを図っていくのか、抽象的な話ではなくて、実際どのように取り組んでいくのかといったことを具体的にご答弁いただきたいと思います。

○井戸審理担当部長 事件処理の迅速化への取り組みについてでございますけれども、収用制度の活用プランでは、事件処理期間の短縮につきましては、十カ月程度で処理を終えることを新たな目標としてございます。
 具体的な取り組みとしましては、一つには、事務局の事件処理に対する対応力をアップさせたいと考えてございます。大規模化し、複雑化している事件にも円滑かつ適切に対応できますよう、これまでの事件処理のノウハウをまとめた実践的なマニュアルを現在作成中でございます。
 また、個々の事件処理に当たりましては、お話の司法制度改革でも計画的な審理が取り上げられておりますけれども、申請が出された初期の段階から、事件の課題ですとか争点の整理を早手回しに行いまして、それらを踏まえました具体的な処理スケジュールを作成するとともに、きめ細かく進行管理を行いまして、事件処理期間の短縮化を目指したいと思っております。
 また、二つ目には、収用制度の活用の経験が少ない二十三区とか多摩の市町に対しましては、収用制度やその申請の手続等につきまして、研修ですとか相談をきめ細かく行うことによりまして、実際の収用手続につきましても円滑な手続が進められるよう、働きかけてまいりたいというふうに思っております。

○酒井委員 ぜひ収用委員会として、主体的かつ積極的に事件処理の効率化に取り組まれることを強く要望しておきたいと思います。
 また、役所ではなく、都民から収用を求める裁決申請請求制度が都民に活用され、取扱件数の約半数に上っていると聞いています。しかし、収用制度といったものは、都民からするとまだまだ非常に専門的で、わかりづらい制度であることから、収用委員会においても、事件処理の迅速化が図られるだけではなく、関係者が制度を十分理解した上で、審理の充実を目指すことも必要であると考えています。
 以上のような観点から、どのように対応をしているのか、お伺いいたします。

○井戸審理担当部長 ご指摘のように、土地収用制度につきましては、都民にとってなじみが薄く、またわかりづらい面もございます。また、最近、ご高齢の方が当事者となるようなケースもございます。
 事件の当事者にとりましては、収用制度の意義ですとか内容につきましての理解が不十分なまま手続が進められますと、無用の誤解とかあつれきが生じまして、手続の円滑な進行にとりまして妨げとなるだけではなく、収用制度自体への不信感につながりかねません。
 こうした観点から、日ごろから、ホームページとかパンフレットあるいは区市町への訪問など、いろいろな機会を通じまして、収用制度の周知を図っているところではございますけれども、それに加えまして、個々の事件に当たりましては、手続の開始の際に、権利者に対しまして制度の意義や内容につきまして丁寧に説明し、十分に理解していただくように努めたいと思っております。
 さらに、実際の審理に当たりましても、当事者の置かれている状況をよく見据えながら、当該事件につきましての当事者ご自身の考え方ですとか意見が適切に述べられるようサポートしまして、充実した審理が行われるよう取り組んでまいりたいと思っております。

○酒井委員 ただいまご答弁がありましたけれども、ぜひとも、収用制度自体、都民にわかりやすい制度になるように、説明をしていただきたいと思います。
 とかく収用制度、収用委員会というと、何か悪者のようにとらえられる嫌いがありますので、ぜひとも双方の理解を得ながら、なおかつ迅速なそういった取り組みをしていただきたいと思うわけですけれども、今、迅速化が求められているといった、こうした時代の潮流といったものを踏まえて、収用委員会の今後のあり方を局長にお聞きして、質問を終わりにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○嶋津収用委員会事務局長 貴重なご指摘をありがとうございます。
 実は、前の委員会でご案内しましたように、収用制度活用プランを発表いたしましてから、年末から先週に至るまで、区長さん、市長さん、直接にお会いするということで、四十一人目を先週までに訪問させていただきました。
 三十分ほど、どこの首長さんも時間をとっていただくんですけれども、私どもとしてびっくりしているのは、大変関心を持っていただけるんですね。本当に思いもよらなかった対応でして、先ほどのお話じゃございませんけれども、悪者が来たみたいな感じで対応されるかなと思っておりましたら、要は、もう十年も十五年もこの道をほうっておけない、協力してくれた住民の人たち、かえってふえちゃってる。それだけにきちっとやりたいというぐあいに、区長さんも市長さんも大変強い気持ちを持っておられる。そういうときにちょうど私どもがお邪魔したこともこれあって、本当に関心を持っていただいたということに私は驚いております。
 そのときに、どうしてもイメージとして、長くかかる、一体どのぐらいに今なっているんだというような話がございました。かける限りは早目にやってくれ、それが頼みだというお話がございまして、今の先生のご指摘とちょうど重ね合わせて、私どもとして、収用制度の活用はいいけれども、迅速にすることが一番大事だというふうに考えてございます。
 それは、役所だけではなくて、実はその半数を占める地権者の方からも、早目に固めてくれという希望も大変ございまして、それだけに私どもとしては、この手続の迅速化については、大変力を入れて今後やってまいりたいというふうに考えてございます。
 そんな意味を込めまして、私ども、実は委員会の今後のあり方に、こんな表現を使って、組織として対応してまいりたいと思ってございます。それは、速くて、信頼され、顔の見える収用委員会というような形で、ふんどしを締めてやってまいりますから、今後ともよろしくご協力のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。

○倉林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○倉林委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、予算中、予算総則、歳入、歳出、債務負担行為、議会局・財務局所管分、都債、第十五号議案、第十六号議案及び第百三十四号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○秋田委員 それでは、まず最初に、平成十七年度予算について質問をさせていただきたいと思います。
 平成十七年度予算は、特に二点について注目しております。一点は、臨時的な財源対策を行わずに収支を均衡させることができたという点、二点目としては、投資的経費を大幅に増加させたという点でございます。
 第一点目、前者の、臨時的な財源対策を行わずに収支を均衡させることができたということは、これまでの財政再建の取り組みの成果であることを、我が党は本会議の代表質問において、また予算特別委員会の総括質疑においても大変評価をさせていただいたところです。
 もう一点、後者の方の投資的経費を増額させたことについては、いろいろと賛否両論があるようです。我が党を初め、大半は石原知事の考え方に賛成でございますが、一部の者からは、石原知事は過大な投資を行っている、こういった批判もあるわけでございます。そこら辺をまず最初に整理させていただきたいと思います。
 まず最初に、ここ十五年程度の間、投資的経費はどのように推移をしてきたのか、伺います。

○熊野主計部長 ここ十五年間の投資的経費の推移でございますが、当初予算ベースで申し上げますと、平成四年度の一兆九千九百九十三億をピークに、それ以降、減少基調で推移してきております。十一年度には一兆円を切り、ここ数年は六千億円前後の水準となってございます。
 十七年度予算の投資的経費は六千二百三十一億円でございまして、前年度と比較しますと八・九%の増となってございますが、これほどまでの大幅な伸びを示したのは、三年度の七・九%以来、十四年ぶりのことでございます。

○秋田委員 今、部長から、バブル崩壊後の平成四年度のピークを境に、東京都の投資的経費は減少基調で推移してきたということでございますが、このことをもって、東京都の都市基盤整備が一段落したから、投資的事業が減っているのだと誤解をする人もいると思うので、改めて確認させてもらいたいと思うんですけれども、なぜ、都はこの間、投資的経費を減少させてきたのでしょう。

○熊野主計部長 東京の都市基盤は、ご案内のとおり依然として立ちおくれておりまして、引き続き整備を進める必要があるということでございますが、それと同時に、既存ストックの維持更新も行っていかなければいけない状況になっております。
 ご指摘のとおり、都市基盤整備が一段落したから、あるいは必要がないからということで、投資的経費を減少させてきたわけでは決してございません。バブル経済崩壊後は都税収入が減少して、歳出規模を抑制せざるを得なかった。そういう状況の中で、経費の性格上、短いスパンで経常経費を大幅に削減することは非常に難しゅうございますので、財政運営のセオリーと申しますか、新規大規模施設の建設見送りあるいは厳しいマイナスシーリングをかけて、投資的経費を一段と抑制してきたところでございます。

○秋田委員 今の点は大変重要な部分だったのかなと思います。投資的事業を削減してきたのは、決して投資的事業が不要であったからではない。歳出規模全体を抑制しなければならない環境にあったから、新規の施設建設を停止して、厳しいシーリングをかけて、投資的事業をやむなく抑制してきた。
 では、都の財政再建の努力は、投資的経費のこれまでの推移に顕著にあらわれているのかなと思います。石原知事は財政再建のために投資的経費を切り詰めてきた。知事が投資的経費ばかりを増加して、過度な投資を行っているとの批判は全くの的外れだということが、この推移を見ればわかるのかなと思います。
 また、一部の政党は、投資的経費を他県が削減する中で、都だけが増加させているんじゃないか、こういった批判をされているわけですが、この批判は果たして正しいんでしょうか。

○熊野主計部長 先生がおっしゃった批判については、大きな誤りが二つあると考えております。
 一つは、まず、増減を議論する場合には、全体の状況を一連の流れの中できちんと把握する必要がある。一部の期間のみに着目してあれこれいっても全く意味がないということで、あえて申し上げれば、まさに木を見て森を見ない議論であろうし、都民に対しては非常にミスリーディングな批判であろうと思います。
 具体的に申し上げれば、先ほど申し上げたとおり、都はこれまで財政再建を進める中で、他の自治体に先駆けて投資的経費の抑制に取り組んできたわけでございます。その結果、例えば十五年度の普通会計決算で見ますと、都の普通建設事業費のピークを一〇〇とすれば、今、三六の水準まで減少しているのに対しまして、地方全体では五九にとどまっております。バブル崩壊後のここ十数年の状況を見れば、現在の投資的経費が高過ぎるということは決してないというふうに考えております。
 二つ目の誤りというのは、投資的経費とその他の経常経費を殊さら相入れない、あるいは相対峙するものとしてとらえて、いわば投資的経費を悪という観点から見ていることでございます。
 繰り返しになりますけれども、東京の社会資本は、その整備が十分でないということに加えまして、既存の多くが高度成長期に整備されて、老朽化が進んでございます。このため、都は、今後続々と更新期を迎える既存の社会資本ストックを適切に維持更新する、あるいは経済活動の活性化、交通渋滞によるロスの解消、そういった都民生活の質を高めるために、新たな投資をバランスよく行っていく必要があろうと考えてございます。
 そもそも投資的経費をふやすことが悪いことであるかのような批判は、それ自体全く当を得ていないというふうに考えてございます。十七年度予算において、八・九%というふうに増加させてございますけれども、これは、社会資本の整備が不可欠であるという認識のもとでの対応でございますし、また、この間の財政再建の努力によって、ようやく投資的経費にも適切に財源配分できる体質をつくりつつあるということを示すものと考えております。

○秋田委員 東京都が投資的経費を今回増額させることができたのは、これまでの財政再建の取り組みにより、財政構造改革が進んで、投資的経費にも適切に配分する体質になりつつあるからだといったことが、よくわかりました。今までの財政再建の成果であるということがよくわかりましたが、知事と我々との財政構造改革への取り組みがやっぱり間違ってなかったんだなといったことを確信している次第です。
 また、今、部長の答弁にもありましたけれども、自治体によって置かれている状況は必ず違うものだと思います。そういったことを考慮することなく、一面的に他県はどうだ、東京都はこうだという話は、建設的な議論は進まないのではないかなと思います。
 重要なことは、その都市や地域において必要な施策をどれだけ計画的に実行し、結果として、その都市をどれだけ発展に導くかといった点が一番重要なんじゃないでしょうか。そうした視点から考えたときには、東京都というのは、いわゆる大都市需要があって、東京の発展のためには、環状道路の整備や羽田空港の拡張など、まだまだ手がけなければならない社会資本整備というのは本当にいっぱいあると思います。それらの現在の整備状況を考えたときに、いかに東京の社会資本整備が、他国の大都市と比べても整備がおくれているかということは、実際東京のまちを歩いていれば、よくわかることだと思います。
 先日の本会議における我が党の代表質問において、都市基盤整備の重要性について取り上げましたが、東京の都市基盤の整備促進は、何よりも都民生活の利便性や産業の活性化、さらには国際競争力の向上のためにも必要であることは間違いないと思います。今後とも、東京都は都市基盤整備に積極的に財源を投入すべきであることを申し上げさせていただきたいと思います。
 とはいえ、東京都は打ち出の小づちを持っているわけではないですから、財源には限りがございます。その中で、都民が求める新たなニーズに対応し、施策を実現させるためには、給与関係費の削減を初めとする歳出削減や既存の施設の見直し、スクラップ・アンド・ビルドなど、財源を生み出す努力を続けなければなりません。
 そこで、次に、財政再建の取り組みについて伺います。
 十六年度と十七年度の二年間での、いわゆる第二次財政再建推進プランの達成状況はどうなっているんでしょうか。

○熊野主計部長 達成状況でございますが、全体では千九百三十五億円の財源を確保いたしまして、目標に対する達成率は五二・三%でございますが、地方税財政制度の改善を除きますと、達成率は七四・四%でございます。
 まず、内部努力では、二年間で職員定数を三千六百六十七人削減するなどの取り組みによりまして、七百十四億円を確保いたしまして、達成率七一・四%となっております。
 また、施策の見直しでは、あらゆる施策を時代変化への適応などの観点から見直しまして、また、施策の再構築やスクラップ・アンド・ビルドの徹底を図った結果、都民ニーズの変化に的確にこたえ、都民福祉を一層充実させる中で、七百九十五億円の財源を確保したところでございます。
 また、歳入確保では、徴収率を九六・八%、十五年度対比で一%改善するなどの取り組みによりまして、四百二十六億円を確保いたしました。達成率は一〇六・五%でございます。
 最後の柱でございます地方税財政制度の改善につきましては、三位一体の改革に伴う財源補てん措置、具体的には譲与税であり、あるいは特例交付金でございますけれども、本来あるべき税源移譲ではないということから、財源確保額としては計上してございません。

○秋田委員 今の答弁から、第二次財政再建推進プランの取り組みは、この二年間で着実に進んでいるといえるんだと思います。都みずからが行う取り組みである何よりも内部努力、施策の見直し、歳入確保の合計の進捗率が七〇%を超えているということですから、その努力は大いに評価させていただきたいと思います。
 ただ、一方で、税財政制度の改善は進捗率がゼロ。これは三位一体改革に伴い、財源補てん措置があったものの、それが本質的な税源移譲ではないからだと思うんですけれども、これまで行われてきた三位一体改革は、本来すべき議論、すなわち国と地方の役割分担という原則論が置き去りにされ、相変わらずの国の省庁の省益が優先され、それに結果的に左右され、最終的に数字合わせに終始したものになったことは、皆様方よくご存じのことだと思います。地方分権時代にふさわしい地方税財政基盤を確立するためには、改革の本旨にまでさかのぼって、もう一度見直しを行うよう、国に強く働きかけることが必要だと思うんですけれども、今後の三位一体改革の議論において、財政当局としてはどういった点を注視しているのでしょう。

○熊野主計部長 まず、十七年度予算におきまして、地方六団体が提案いたしました義務教育費の国庫負担金の廃止、税源移譲に関しまして、提案額の八千五百億の半分、四千二百五十億が税源移譲予定特例交付金として措置されました。
 これに関しましては、昨年十二月に国が示しました三位一体の改革の全体像の中で、費用負担を含め、義務教育のあり方について、平成十七年秋までに中央教育審議会において検討して、結論を得ることとされておりますが、その議論の行方が大きな争点の一つであろうかと思っております。
 それからまた、生活保護費負担金の補助率の見直しにつきましても、平成十七年秋までに検討して結論を得る、そして十八年度から実施するところとされておりますが、これもまた、地方団体にとっては非常に大きな問題であろうと考えております。
 こうした我が国の根幹にかかわるような制度につきまして、国と地方の役割分担のあり方について全く議論がされないままに、地方に負担のみが押しつけられるということは絶対に拒否しなければならないというふうに考えてございますし、当然のことながら、負担の主体が国から地方へ移っただけということで、何ら地方主権の確立には寄与しないものであろうというふうに考えてございます。
 さらに、都に対しましては、ご案内の三位一体の改革を悪用した、便乗したと申しますか、分割基準の見直しが強行されたこともございまして、今後、さらなる負担の押しつけを警戒する必要があろうかと思います。
 いずれにしましても、三位一体の改革も、改革と展望の期間でございます平成十八年度で一つの区切りを迎えることになりますけれども、一つには、我々サイドとしては、現実的な財政問題、俗な言葉でいえば損得、そういった問題が非常に重要視されると同時に、真の地方分権の確立にどれだけ近づけるのか、国と地方の役割分担がどのように明確にされるのか、そういった観点から、国の財政責任が十分果たされるように注視していきたいと思っております。

○秋田委員 国や一部の地方は、東京が抱えるいわゆる大都市特有の財政需要を勘案せずに、いわゆる東京富裕論を持ち出して、東京から財源を奪い取ろうとする動きが相変わらず続いております。今、部長の答弁にあったとおり、最近では、法人事業税の分割基準の見直しなどがそのいい例だと思います。
 ただ、一方で、私自身はすごくジレンマを感じることがございます。都が頑張って財政再建を進めれば進めるほど、そして、結果として財政状態がよくなればよくなるほど、やっぱり東京は裕福じゃないか、ほら、見たことか、貧しい自分たちの県に財源をよこすのは当然だといったような理不尽な議論が、さらに東京が頑張ることによって強くなっていくんじゃないかといったようなジレンマを感じています。
 そういったことをさせないためにも、都はこれまでの間いかに努力をしてきて、そして、いかに財政再建を進め、そして、その成果を上げてきたかということや、都民がお払いになっている税金のかなりの額がどれだけ地方に回されているのかといったことは、今後とも、オール都庁で一丸となってアピールしていく必要があるのではないかと思います。
 いずれにせよ、三位一体改革は今後の財政運営での大きな懸念材料でもございます。私はこの問題をこれまでも注視しておりましたし、これからも当委員会で続けさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、我が党は今後も石原知事とともに、都政が抱える難局に積極的に取り組んでいく次第でございます。今後さまざまな問題を抱えている中での十七年度の財政運営にかける局長の決意を伺います。

○松澤財務局長 都は、財政的に見ますと、石原知事がスタートしたときには、財政再建団体転落すれすれというような状況がありましたが、これまで財政再建に全力で取り組んできた結果、着実に成果を上げてきているところでございます。
 しかしながら、今、先生からもお話ございましたように、これからの状況に目を向けますと、景気も踊り場に入っておりますが、税収の動向がまだまだ楽観できない。それから、今お話がありました法人事業税の分割基準の見直しなども、十八年度から六百億円減収になるということも確実ですし、三位一体改革の動きもまたどうなっていくかということで、そういう影響を初め、多くの懸念材料を抱えておりまして、都財政をめぐる環境は決して楽観できる状況にはございません。という意味も含めまして、財政再建はまだまだ途半ばでございます。
 また、一方では、東京の活力を高め、発展させ続けるため、厳しい財政状況下にあっても、財源を重点的、効率的に配分して、都市基盤の整備を初めとした各種の施策を積極的に展開していくことが必要でございます。
 このため、今後とも財政運営に当たりましては、都民サービスのさらなる充実を図りつつ、強固で弾力的な財政基盤の確立を目指して、中長期的な視点にも立ちながら、積極的に取り組んでいく決意でございます。

○秋田委員 しっかりお願いしたいと思います。
 引き続き、東京都社会福祉総合学院について、局長に引き続きお話を伺いたいと思います。
 まず初めに、社会福祉総合学院設置から今までの経過をわかりやすく説明してください。

○倉林委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○倉林委員長 速記を始めて。
 これより暫時休憩をいたします。
   午後二時十一分休憩

   午後二時三十五分開議

○倉林委員長 休憩前に引き続きまして、委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○秋田委員 まず最初に、社会福祉総合学院の設置から今までの経過を説明してください。

○松澤財務局長 社会福祉総合学院の設置につきましては、高等保育学院や社会事業学校など五つの学校を廃止することに伴いまして、平成九年十月に基本計画が策定されまして、新たな人材養成機関を設置することになったところから始まっております。
 その後、具体的には、平成十一年一月に社会福祉事業団がこれを行うことになり、その趣旨から、平成十一年三月に東京都公有財産管理委員会の議を経まして、都有地を三十年間無償で貸し付けすることになったところでございます。
 また、あわせまして、事業団が建設するということで、これは民間から資金を借り入れまして、その元利償還金については都が全額補助する、こういう形になったところでございます。
 当初、社会福祉事業団の人材養成機関は昼夜間とも授業を行うことになっておりましたが、平成十一年十月に夜間と土曜日の開講に修正されまして、十三年四月に社会福祉総合学院という形でスタートいたしました。
 その後、平成十三年十月に、民間学校法人に運営を行わせるための公募を行い、また、その結果、平成十四年四月から特定の民間学校法人に学院事業の運営を委託すると同時に、学院の建物を借り受けて、自主事業として医療福祉系の専門学校を運営して、現在に至っているというようなことでございます。

○秋田委員 ということは、社会福祉総合学院が敬心学園さんに委託したことを局長は知らなかったんでしょうか。

○松澤財務局長 ただいま申し上げましたように、平成十三年十月に、社会福祉総合学院が四月からスタートしたときに、昼間があいていて、空き教室があるというようなことがあることと、それから、社会福祉法人ではなくて、社会福祉総合学院が自主的にやっていたものを民間に委託するということを、十月に一応、当時の福祉局が決めて、それに基づいて、平成十三年度の秋に、平成十四年度に向けての予算要求があったわけでございますが、そのときに予算という形で出てきたというところが、我々のサイドとしては、予算面では、委託の関係では初めてでございます。

○秋田委員 局長は、現在は財産管理を統括する財務局全体の責任者であり、また平成十三年度七月から、主計部長として社会福祉総合学院の予算を計上していた責任者だったわけで、事業団の土地貸付について、当時全く知らないということはなかったのではないでしょうか。きょうは常任委員会だが、いずれ百条委員会で参考人として同じ質問があるだろうから、慎重に答弁をしてください。

○松澤財務局長 今、先生からお話がございましたように、私は平成十三年七月から主計部長という立場でございました。その当時、主計部長ということで、予算面を仕事としてやっているわけでございますが、ただいま申し上げましたように、社会福祉総合学院に対する補助につきましては二つございまして、一つは建設費補助ということで、先ほど申し上げましたように、平成十一年に事業団が借り入れしたものを全額補助するということなので、それがずっと、債務負担行為があったので、以降は年度ごとに全部、これは一つの準義務的な経費のような形で一応予算が要求されておりましたので、それが一つ。
 それから、十三年四月に社会福祉総合学院がスタートしたことに伴いまして、十三年度予算で運営費が予算がついていたわけでございますが、それが、先ほども申し上げたような形で、十月から民間に委託して、空き教室は全部民間がやることになったものですから、予算的にいいますと、新たな予算要求というかそういう形ではなくて、その分だけ結局予算的に運営費が要らなくなったものですから、十四年度予算は、もう運営費も打ち切る、なくなるような予算要求だったわけでございます。
 そういうことを含めまして、予算全体は、私、立場から把握しておかなきゃいけなかった面はございますが、非常にそういう面で、予算的には、建設費の補助は準義務的経費でございますし、運営費は、局からそういう形で予算要求が出てきた段階でそういう内容になっていたということでしたので、全体的にそれをちゃんと把握していたというようなことは正直いってございません。
 それから、財産管理面からの、先ほど申し上げました都有地を三十年間無償貸付していたものが、先ほどの経過の中で変わってきたということについての財産管理上の問題でございますが、これにつきましても、福祉局が事業用普通財産ということで基本的にはずっと管理してきたものでございますし、そういう面から、今回、包括外部監査の報告が出てきたことの中身で、基本的にはそういう財産の状況ということを正式に知り得た、こういうことでございます。

○秋田委員 ちょっと角度を変えて質問させていただきたいと思います。
 今回の件の例えになるのかもしれませんが、一般的には借地人が借地の上に建物を建てて、その建物を第三者に貸した場合、大体第三者というのは建物の賃料だけを払えばいいというのが普通だと思うんですが、もちろん今回も同様だと思うんですが、それについてはどう思いますか。

○松澤財務局長 これは、平成十一年三月に東京都と社会福祉事業団との間で、土地を貸し付けするときの契約の中の条件として、社会福祉事業団が設置する福祉の人材養成機関としてこの土地を使うということが、契約上これは義務づけられていますし、それがもし変わった場合にはそれは成り立たない、こういうふうになっているわけでございます。
 そういう面から見て、先ほど申し上げましたように、平成十三年十月にそういった経緯があって、平成十四年度以降、現実に建物を、九割以上を民間の学校法人が使っているという状態から見れば、契約書の社会福祉事業団が設置する機関ということにはなり得ないということでございますので、これについては、建物をそういうことをやっている状況から見れば、土地の財産の問題についても、やはりこれは好ましくない状況、こういうふうな判断でございます。

○秋田委員 局長ももちろん、この平成十六年度包括外部監査報告書、お読みになったと思うんですが、この中で、特に、監査の方法とかではなく、監査人の監査意見の部分をちょっと改めて読ませていただきたいと思います。
 まず意見(2-11)、東京都社会福祉総合学院通学課程の運営方法の抜本的な見直しについて。で、最後に、よって、民間機関や区市町村においても多様な福祉教育が実施されている実情を踏まえ、他の福祉系大学院や専門職大学院との提携等や、受講者が少ないコースの閉鎖、東京都が保有するより交通の便のよい施設への移転などを検討して、学院通学課程の運営方法を抜本的に見直しされたい、これが一点。
 二点目として、意見(2-12)、東京都社会福祉総合学院の運営の改善について。よって、このような学院運営の実態を踏まえ、都からの補助を極力削減できるよう、学院の運営のあり方について抜本的な見直しを図られたい。この場合、現在の資産の活用方法については、事業団・局内だけではなく、都全体としての有効活用を含めて検討されたい。なお、事業団が契約を更新する場合には、賃貸料等の改定交渉を行うなどの対策を講じられたい。
 そして最後に、指摘(2-1)、学院における物品管理指導の改善について。よって、事業団は、定期的に借り受け者に現品と台帳を照合することを求め、毎年度末に保全物品一覧台帳を提出させることを含め、物品管理指導を徹底されたい。
 ここが監査人の監査意見の骨子だと思うんですが、この監査意見を、あちらには専門家がいらっしゃいますが、専門家でない素人の私が素直に読みますと、改善すべき点は多岐にわたるけれども、違法性も不法性も指摘されているようには思えませんし、それを示唆しているとも思えませんが、どうでしょう。

○松澤財務局長 若干繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、契約書の第四条で定めた土地の用途に反して、学校法人が土地と建物を事実上一体的に使用しているということは、これは契約違反でございまして、財産管理の面から不適正であるというような状況じゃないかと考えているわけでございますが、ただ、現時点で、そのことだけをもって、違法とか不法とか、そういうことを私どもは思っているわけじゃございません。
 それからもう一つ、今、秋田先生からいわれましたように、包括外部監査の報告では、私どもが今いった話を、意見の中に直接そういう内容を入れているわけではございませんが、ただ、前文だとか現状分析の中でそういうものも含めて記載しておる中で、今回そういう包括外部監査が出た結果を踏まえて、今、財産管理の面からもう一回ちゃんと見直しをしている段階でございますが、そういう中で、我々財産管理の立場から見ると、先ほど申し上げたような部分がやはり好ましくない状況ではないか、こういうふうなことで我々考えているところでございます。

○秋田委員 最後に私の意見を述べさせていただいて、質問を閉じさせていただきたいと思います。
 今回の平成十七年度予算を見ると、施設整備元利償還金として、すなわち社会福祉総合学院建設借入金元利償還金に関する補助として三億二百五十八万二千円が計上されております。予算の提案者であり責任者である財務局長が、問題あり、調査するというなら、この予算の部分は凍結するなり、修正するなりする必要があることを最後に申し上げさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

○東村委員 それでは、さきの予算特別委員会で、我が党と自民党への反論として、共産党の曽根委員からの発言がございました。残念ながら、私はその発言を聞いていて、ちょっと地方財政の誤った認識があるのではないか、冷静に私はずっと聞いていたんですけれども、そういう議論がされていたような気がしました。
 その際、こういった曽根委員の発言がございました。それは起債の依存度ということでございます。交付団体は借金をしても国が面倒を見るので、国はこれを利用して、公共事業を地方に押しつけている、だから地方の起債依存度が高くなる、これは地方財政を見る上でのイロハだと、こういった趣旨の主張がございました。
 しかし、私は、これは本当に冷静に聞いていて、交付団体なら必ず起債依存度が高くて当然なのか、こういった疑問を生じたわけでございます。これについて、私は主計部長の見解を伺いたいと思います。

○熊野主計部長 地方債は、世代間の負担の公平を図りつつ、社会資本の整備を進めるための財源でございますが、その活用に当たりましては、その時々の財政状況あるいは後年度の負担を十分配慮して適切に行うべきものでございます。
 したがいまして、予算において地方債の収入をどの程度見込むかは、それぞれの団体がそれぞれの状況を判断した結果でございまして、将来、交付税の措置があるかないか、決してそういった観点から決められるものではございません。これは財政運営のイロハでございます。
 現に、バブル崩壊後、国も地方も景気対策として公共投資を増加させる中で、平成五年度の決算では、都の起債依存度は一七・〇というふうに、全都道府県の平均一四・四%を上回っておりました。その後、十四年度決算では、都道府県全体が一三・六と高どまりしている中で、都の起債依存度は六・二まで低下してございます。
 このように都の起債依存度が大幅に低下したのは、都税収入が落ち込み、かつ今後、中期的にも大きな伸びが見込めない状況の中で、過度に起債に頼った財政運営を続けることはいずれ財政破綻につながるという認識から、いち早く財政構造改革に取り組んで、都債の発行をみずから厳しく抑制した結果でございます。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、この機会ですので申し上げさせていただきたいと思うんですが、確かにバブル崩壊後に、国が将来の交付税措置を約束して、各団体に政策誘導的に起債を活用した景気対策を行わせた時期はございました。ただ、今は各団体とも非常に厳しい財政状況に苦しんで、ましてや莫大な借金を抱えた交付税制度の先行きが不透明な中で、そういう段階で、交付税措置されているから起債に頼った財政運営をやるということは絶対にあり得ないことでございます。これは、同じ財政担当者として、ほかの県の担当者の名誉のために断言して申しておきたいと思いますし、そういった発言は、彼らに対して非常に失礼な発言だと思っております。

○東村委員 どちらがイロハかというのが本当によくわかったと思うんですが、起債依存度というのは先ほども議論されていました。それぞれの自治体の財政需要、財源状況を勘案して決定した結果なんですね。都はその中においても、財政破綻するという非常に危機意識を持って構造改革を進めて、また財政改革を進めてきたわけでございます。そして急速に起債の依存度が低下をしてきた、私はこのように考えております。
 特に、交付団体なんかは、自立した団体として、いつまでもおんぶにだっこではなくて、主体的に財政運営をするということを考えていかなければ、いつまでもこういう状況が続く。これは、国の責任ばかりいっていますけれども、地方も改めていかなきゃいけない大きな原因の一つであると私は思っておりますし、起債依存度が高いということは決して誇れる問題ではないと思います。国と地方合わせて、これから長期債務は数年後には一兆円という天文学的な数字に膨れ上がろうとしている。これはもはや現状を維持できないということは明らかだと思います。
 最近、こういう議論の中で、うまく考えたなと思うのは、純債務という考え方を国の方で取り上げ始めまして、確かに一事業形態の民間の会社であれば、純債務という考え方もあるのかなと思ったんですけれども、例えばそれぞれが積み立てている資金も使途目的が特定されていて、起債もあるという中で、この純債務という考え方は単なる便益的な考え方にすぎないな、こういう考え方をしていると、国はますます混迷するだろうな、こんなことを平気で国会議員が議論しているのかなと思うと、本当に情けなくなりましたけれども、そういう中で、この長期債務の中には、交付税の総額を維持するための借金があるということを忘れてはいけないと思います。
 この交付税特別会計の借金は、昭和六十三年度四兆七千億円、こういう水準だった時代に対して、十七年度は五十一兆七千億円、何と十一倍まで増加をしているわけでございます。これだけ借金をして交付税は賄われている。これは地方財政としても、本当に自分たちの財政だけじゃなくて、国も含めて考えていかなければ、どっちがいい、どっちが悪いと、いつまでも責任のなすりつけ合いになっていると思うんです。どちらにも私は原因があると思います。
 そういう中で、やはりこれを脱却していかなければ、国の問題だから国が考えればいい、地方は交付税だけもらえばいい--東京都は別ですよ。交付税だけもらえばいいという、こういったことをいつまでも続けていけば、日本の国はよくならないのは当たり前のような気がします。もっと国と地方の財政破綻という大きな課題を、両方が真摯に議論しなきゃいけないんじゃないか。そういったことに目をつぶって、都を除く道府県の起債依存度が高いのは当然であるかのようにいうのは、まさに地方の借金依存体質を容認するような言動じゃないかと私は思います。
 これは都民に対して誤った地方財政の現状認識を与えられるものであり、断じて受け入れることはできないと思います。むしろそういった都民を惑わすようなすりかえの議論というのは、ぜひとも撤回していただきたいと思うわけでございます。
 今なすべきことは何か。それは、地方においても、東京都同様、財政再建の努力を必死の思いで行って、それぞれの地域事情に合わせた将来像も考えながら、財政運営のかじを切る、これが大きなこれからの地方財政の課題であると思っております。
 また、いろんな起債の問題の議論をずっと聞いていて、どうも昔の抽せん償還の時代の起債発行の考え方がずっと尾を引いていて、満期償還の考え方に頭が切りかえられていないんじゃないかと、私は議論を聞いていて思ったわけでございます。
 そこで、改めて、この都債残高について、正しい認識というものをお伺いしたいなと思います。
 都債残高が確かに過去最大となっていることについて、私は二つの理由が挙げられるんじゃないかと。その一つは、バブル経済崩壊後の景気対策等に伴う過去の大量の都債発行、それからもう一つは、今いった民間資金について、償還方法を定時償還から満期一括償還に変更した。確かに都債や債券を買う側からすると、抽せん償還をやられたら、たまったものじゃないわけですね。四%という利息が保証されているから、それで都債を買ったのであって、抽せん償還されて、あなたは繰り上げですよ、先に繰り上げに当たりましたから、あなたはこれで終わりですよといったら、これは買った方としてはたまったものではないわけでありまして、私は、今、都民の側ということを考えれば、抽せん償還、この方法から満期一括償還に変更したことは非常にベターな方法だと思います。
 これらのこと、都債残高との関係で若干わかりにくい部分もあると思いますので、そこで改めて、この都債残高の関係で都債償還のルールを説明していただきたい、このように思います。

○熊野主計部長 従来、都債は、世代間の負担の公平を図るため、また、元本の均等償還により支払い金利を抑制するという観点から、発行後三年据え置いて、四年目から発行額の六%を償還するという、十年の定時償還債が主流でございました。
 その際に、十年債を発行するんですが、償還期間は三十年ということで考えておりまして、十年を迎えた時点で四二%が償還されますので、五八%を借りかえて、それを二回繰り返して、全体では三十年で完済するという仕組みでございます。したがいまして、三年間の据え置きが三回あるんですけれども、それを挟みまして、六%ずつ、少しずつ残高が減っていくという仕組みでございます。
 ところが、この定時償還債は、今、先生がおっしゃいましたように、期中で抽せん償還を行いますので、投資家にとっては将来の期待利益を損なうという観点で、非常に商品性が低い。これは発行条件にもちょっと影響いたしまして、発行体にとってはかなり不利な条件でしか売れないというふうな状況にございました。どうしても国債の方を選好してしまうというふうな状況がございましたので、商品性向上という観点から、平成三年三月に縁故債、それから四年四月に公募債を、満期時に元金を全額償還するという満期一括償還債に切りかえたわけでございます。
 この満期一括償還、同じように二回借りかえをやりまして、三十年で完済するという仕組みにしてございますが、一つには、二回借りかえるんですけれども、定時償還の場合は六%ずつ減っていくのに対して、この満期一括償還のときは、十年目と二十年目と三十年目、三回にわたって残ったものの四二%を一気に償還するということでございますので、残高の減りぐあいとしては、だんだんに減っていくのではなくて、三段階で減っていくという仕組みになります。
 そこが定時償還と大きく違うところなんですが、それでは、十年目、二十年目、三十年目に一気に償還する際に非常に財政負担になるというふうなこと、さらには、理念的には、世代間の負担の公平という観点からも、公平に欠けるということもございまして、これまでの本来であれば定時償還で償還していた六%相当分を毎年減債基金に積み立てるという仕組みにしてございます。
 こうした結果、平成四年に本格導入したわけなんですけれども、その後十年間、これは、その後発行した起債が全然残高が減らないという仕組みになりますので、少なくとも十四年までは残高が累増する結果となってございます。
 また、借りかえ後も、五八%が十年間ずっと残るわけですので、これも、今の時点で申しますと、バブル崩壊後の大量発行が、発行時期の五八%がずっと残っている。少なくとも三十年間、償還期間を迎えるまで、大量発行したものの残高が残るというふうな仕組みで、現在、残高が高どまりしているというふうな状況にございます。

○東村委員 今おっしゃったように、まさに都債の残高というのは、長期にわたって積み上がってきた結果なわけなんですね。そうであるとすると、新規債の発行額の短期的な増減、これだけですべてを議論するものではなくて、さまざまな要因、これを考えなきゃいけない、この短期的な増減だけが必ずしも都債残高の増減に直結するものではないと私は思うわけでございます。
 そこで、この都債残高の増減について、残高を減らす要因とふやす要因、これに分けて説明をしていただきたいと思います。

○熊野主計部長 まず、起債残高がふえる要因といたしましては、毎年発行する新規債、それから十年目を迎えた、十年前の債券なんかの借りかえ債、これの発行がございます。残高を減らす要因といたしましては元金償還額、これがございます。
 したがいまして、どれだけふえるか減るかというのは、まず、その年度の元金償還額から借りかえ債の発行額を減じたもの、これは私ども元金実償還額と呼んでいますが、これと比較して、毎年の新規発行額が多ければ残高がふえるし、少なければ残高が減るという仕組みになってございます。
 この元金実償還額は、先ほど申しましたように、十年前の発行額の四二%、それから二十年前の発行額の、一回借りかえていますので、五八%掛ける四二%、これは二四%相当ですけれども、それから三十年前の発行額、これは二回借りかえていますので、五八%の五八%、これは全額償還しますので、三四%、これの合計額になるわけでございます。
 したがいまして、残高が増加するか減少するかというのは、先ほど申しました満期一括償還という変更と同時に、十年前、二十年前、三十年前にどれだけ都債を発行したか、これが大きく左右すると理解しております。

○東村委員 まさに最後におっしゃったことが当を得ているわけでございまして、どうしてもこういう議論をすると、都債残高や新規債発行額の増減だけに話が集中するんですけれども、借りかえ債の発行、こういったところの要因についてはどうも見逃されてきた。この辺をきちっと議論しないでやるから、わからなくなってきていると私は思うんです。そして、やはりこれについてきちっと、借りかえ債の問題についても十分な議論をすべきだ、このように思うわけでございます。
 そこで、私は、先ほども話題に出ましたけれども、石原都政になってから、投資的経費が増加して、さらにそれに伴い都債を多く発行した、そして、その多く発行したために都債残高がふえているという三段論法でよくおっしゃるところがあるんですけれども、このような事実はあるのかどうか、これについて伺いたいと思います。

○熊野主計部長 石原都政になってから、それまでの青島都政と比較して投資的経費が増加したという事実がまずございません。
 それから、起債についても、石原知事が就任後、起債依存度は五%から八%で推移しておりまして、十七年度においても六・二ということで、都道府県の中で最も低い水準になってございます。
 青島知事時代の起債依存度の平均が九・八でございます。石原知事の平成十二年度決算から十七年度予算までの平均が六・五ということでございまして、社会経済情勢に大きな変化はないということを考えますと、かなり抑制を図ったということがいえると思います。
 さらに、投資的経費との関係で起債額を申し上げるときに、予算上の起債総額ではなくて、実は減税補てん債という要素を考慮しなければいけない。これはご案内のとおり、国が先行減税、恒久減税をやったときに、その財源はとりあえず起債で賄いなさいと。それに対して、交付団体においては交付税で措置しますというふうな仕組みになってございます。それで、それはあくまでも一般財源のための起債でございますので、投資的経費のためのいわゆる五条債ではございませんが、これを除きますと、何と石原知事は、十二年から十七年を見てみますと、ほぼ二千億台になってございます。十二年度は三千九十五というふうに若干三千億台になってございますし、十六年度は三千六百六十三ということで、これは実は新銀行に対する出資の七百億がございますので、これを除けば、これも二千億台になるということで、実質的にはほとんど二千億台。いわゆる投資的経費との関連で発行している都債はずっと二千億台、非常に低い水準で抑制をしてございます。

○東村委員 今、最後に、いわゆる減税補てん債、これを考慮しないで、ただ都債一般論で議論している、そうすると、どうしても誤った認識をしてしまう可能性があるわけでございますので、やはりきちっとこの辺の分析をしながら、どうなったのかという事実関係をきちっという。とかく自分に都合のいい数字を持ってきて議論したくなるのはわかるんですけれども、やはりその辺の事実関係を明らかにして、正確な議論をすべきではないのか、私はこのように思うわけでございます。難しいかもしれないんですけれども、財政問題は、やはりその辺のことをやらないで、表面の数字だけですべて議論していると、恐らく誤った認識をしてしまうんじゃないか、このように思うわけでございます。
 そこで、単刀直入にお伺いしますけれども、こういった都債残高増加の責任は、よく共産党さんがおっしゃるんですけれども、本当に石原知事の責任なのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 先ほど申し上げましたとおり、平成四年度に満期一括償還債、これを本格的に導入した結果、その後の十年間は償還が生じずに、バブル経済崩壊後の大量発行に伴って、少なくとも平成十四年度までは残高が累増する結果となってございます。
 十四年度以降、満期一括償還の本格的な償還が始まってございますが、石原知事のもとで起債を抑制しているにもかかわらず、増加してございます。これも一つには満期一括償還の影響もございますが、バブル経済崩壊後の大量発行に伴う借りかえ債が多いことなどによりまして、先ほどご説明しました元金実償還額よりも若干ながら新規債発行額が上回った結果にすぎないというふうに考えてございます。
 都債のこういった償還ルールあるいは過去における都債発行の状況、制度の変更、こういったことを踏まえないで、都債残高のみをもってあたかも財政運営に問題があるというふうな主張は全く当を得ていないというふうに考えてございます。
 税収動向が厳しいにもかかわらず、都債発行を先ほど申しましたように非常に抑えている東京都、都道府県の中で最も低い水準の起債依存度を維持した石原知事に、都債残高がふえた責任など決してあろうはずもありません。このことについては、大多数の都民の皆さんにも理解していただいていると思います。

○東村委員 私は、これは石原知事の責任云々というだけではなくて、財政再建に一生懸命取り組んできた我々都議会に対する侮辱でもあると思います。一生懸命取り組んできて、ここまでやってきた。それは議員ですから、もっともっと財源を使ってやりたいことはたくさんあるかもしれない。けれども、ただ、やはり都財政ということを考えたら、お金は天から降ってくるわけじゃなくて、その中で捻出をしていかなきゃいけないということを考えれば、体力を回復するということも大事なわけでありますし、そのために、財政再建に私たちは都議会の使命として懸命に努力をしてきましたし、のんできたわけでございます。
 そういった中で、こういった一元的な都債の残高の増加だけをとらえて、まさにためにする議論というんですか、こういう議論というのは、私はいかがなものなのか、努力を一生懸命している人たちにとっても、我々都議会にとっても、これは看過できない問題ではないのかと思うわけでございます。
 整理いたしますと、都債の発行形態が変わってきたということと、この都債の議論をするときには、残高よりもむしろ、なぜそのときにそれだけ都債を発行したのか、そこにきちっと原因を求めなきゃいけないと思いますし、さらには、比較するときに、都債の中にどういうものが含まれていて、投資的経費等増加したとかいう問題を議論するときには、その具体的な分析をした上で、単なる総額でやるのではなくて、個々具体的に議論をしていかなければ、本当の姿が見えてこない、このように思うわけでございます。
 そういった中でも、ぜひともこの平成十七年度の予算、福祉サービスを時代に即した形で提供し続けてきている予算だと私は確信をしておりますので、しっかりとこの予算について執行されることを望んで、私の質問を終わりたいと思います。

○倉林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時二十八分開議

○倉林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは、私からは電子調達に関する問題と宝くじに関する問題、二点について質問をさせていただきます。
 初めに、電子調達について質問をいたしますが、電子調達いわゆる電子入札に関しては、過去に何度となく質問をさせていただいてまいりました。この電子調達といったもの、入札制度改革の中で、透明性、公平性を確保するとともに、競争性の向上を図ることによって、より経済的で質の高い公共事業並びに公共調達を実現することに寄与するものとして期待をされており、私も推進の立場で質問を過去してまいりました。
 ただ、その際、事業者が参加をしやすく、そして、安心して電子調達システムを利用できるような使い勝手の点や、またセキュリティーの確保の点についても指摘をさせていただいてまいりました。
 いよいよ平成十七年度から電子入札の全庁的な運用が始まり、そして十八年度中にはすべての入札が電子化されるに当たり、電子調達への参加状況、セキュリティー対策、導入効果等について質問をさせていただきます。
 まず、定期受け付けについて。
 平成十七年度から、財務局の工事入札は原則として電子入札となる中で、十七年、十八年度の工事入札参加資格申請では、申請者全員が電子証明書を利用したことになるわけですけれども、登録数に変化はあったのか、また、登録に際して事業者の状況はどのようなものだったのか、また都のヘルプへの問い合わせなどを含めて、お答えいただきたいと思います。

○山本契約調整担当部長 今回の定期受け付けは、昨年十一月二十九日から本年二月十六日まで行いました。申請者は一万百四十五者で、うち継続が九千六百六十三者、新規が四百八十二者でございます。十五、十六年度の登録者数、一万一千八百七十五者と比較いたしますと、八五%、継続率では八一%になっております。
 この間の状況でございますけれども、ヘルプデスクには一日当たり約二百件の問い合わせがありました。その多くはシステムの操作方法に関するものでございます。
 この背景には、昨年十二月から稼働が始まった東京電子自治体共同運営の電子調達との共存を図るため、都のシステムのバージョンアップを行ったこと。また、ほぼ同時期にウィンドウズXPのバージョンアップ、さらに、電子証明書を利用するために使われるJavaというプログラムのバージョンアップが重なり、事業者のパソコン環境が変化したことがあると考えております。

○酒井委員 ただいまご答弁いただきましたヘルプデスクについては、都のホームページを見ていましたら、その対応の丁寧さに、相談者から感謝のメールといったものが来ているということを拝見いたしまして、私も大変うれしくなる思いがいたしました。引き続きこのヘルプデスク等での懇切丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 次に、セキュリティーについてお伺いいたします。
 電子調達システムのホームページの中で、Javaの脆弱性のアナウンスがされております。この点については、総務省や外務省といった国の機関や他の県、また横浜市などの政令市でも同様のアナウンスがされ、利用者が対策をとるように注意が喚起をされておりますけれども、この脆弱性といった問題についてはどのようなものなのか、また、東京都としてはどのような対策を講じるのか、お伺いいたします。

○山本契約調整担当部長 Javaは、事業者が申請や入札を行う際に必要な電子証明書の組み込みや暗号化に使用しているプログラムでございます。電子調達システムだけを利用している場合には、セキュリティー上の問題はありませんけれども、悪意のあるサイトを閲覧した場合に、Javaを利用して特定の命令をパソコンに送り込まれ、勝手にファイルを読まれたり、書き込まれたりする可能性がございます。実際の被害発生例は報告されておりません。
 現在、このような被害を防ぐため、都としては、パソコンの設定を、信頼できるサイトでのみJavaが機能するようにお願いをしております。
 また、事業者の負担をできる限り軽減し、かつ十分なセキュリティー対策ができる方法についても検討しているところでございます。

○酒井委員 今、Javaの脆弱性の問題についてご答弁をいただいたわけですけれども、実際に多くの事業者にとっては、Javaといわれても何のことかなと思われる、そういった事業者も多いと思いますし、また実際に、詳しくない方が、Java、サン・マイクロシステム社のプログラムなわけですけれども、そのホームページを見てもなかなかわからないというような問題もあると思いますので、ぜひとも、この電子調達システムのセキュリティーの問題については、今ご答弁にもありましたけれども、事業者の負担といったものをできる限り軽減して、十分なセキュリティー対策ができるようにご検討していただきたいと思います。
 次に、導入効果についてお伺いいたします。
 一般的に、電子調達の導入目的といったものは、入札プロセスの透明性、公平性の確保、競争性の向上を図ることによって、公平で効率的、経済的な入札制度を確立することであるといわれています。
 特に、効率性という観点で、昨年十月の財政委員会の中での答弁では、電子調達システムの導入により事業者の負担が大幅に削減できることが評価できるとのお話でしたけれども、その後、具体的な試算といったものはできているのか、お伺いいたします。

○山本契約調整担当部長 電子調達システムは、平成十四年一月の入札情報サービスの運用開始以降、順調に稼働しておりまして、契約情報の収集や入札参加資格の申請、変更も、会社や自宅のパソコンを通じてできるようになりました。これによりまして、事業者の方がわざわざ来庁する必要がなくなり、そのための交通費や時間が削減され、大きく都民サービスの向上を図ることができたと考えております。
 平成十八年度以降に全庁において入札がすべて電子化されますと、この削減効果はさらに大きくなり、新たに試算したところ、事業者側の削減効果だけで年間約十六億円に相当するとの結果が出ております。

○酒井委員 ただいまのご答弁によりますと、平成十八年度以降、事業者の削減効果だけで年間十六億円の削減効果が見込まれるということですけれども、これと、東京都が支出する電子調達システムにかかわるコスト、つまり、電子調達システム導入時のコストと、その後のランニングコストといったものは、この平成十八年度以降、予定どおり収支のバランスがとれるものと考えてよいのか、確認をさせていただきたいと思います。

○山本契約調整担当部長 電子調達システムの導入にかかわるコスト自体につきましては、開発経費が約九億円、運用経費が十六年度の実績で約五億円でございます。一方、先ほどお答えいたしましたとおり、競争入札をすべて電子化することによりまして、都民、事業者側の効果だけでも年間約十六億円の効果が見込めます。
 したがいまして、十八年度以降、早い段階で効果が累積経費を上回ると想定しております。

○酒井委員 これまで、セキュリティーや導入効果などについて伺ってまいりましたが、平成十八年度中には東京都の入札は、工事また物品とも原則として電子入札となり、平成十八年、十九年、二十年度の物品入札参加資格の定期申請を、ことし平成十七年の秋に予定しているということです。
 このセキュリティーの問題や、またIT弱者といわれる方々への対応など、いろいろな課題がありますけれども、ぜひとも適切に対応をして、調達の電子化を着実に進めていってほしいと思っております。
 また、導入効果についても、事業者等の外部効果といったものは十分に確保できる見通しとお聞きし、安心をいたしておりますけれども、今後、内部効果についても、これについては他の入札制度改革等も複合的に作用しており、電子調達システムの導入だけで幾ら内部効果があらわれたということを算定することはなかなか難しいこととは思いますけれども、ぜひともこの外部効果に加えて効果が上がるように、運用面等でも配慮をしていただきたいということを強くご要望を申し上げます。
 次に、宝くじに関して質問をさせていただきます。
 今回、宝くじについての議案が提出されたことを機に、宝くじがどのように発売され、また活用されていくのかといったことについて若干調べてみたところ、都にとって貴重な財源収入の一つになっているといったことがわかりました。そこで、宝くじの関係で何点かの質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、宝くじを発売する仕組みと収益金の活用について、念のため説明をしていただきたいと思います。

○熊野主計部長 宝くじでございますが、当せん金付証票法に基づきまして、地方財政資金の調達に資することを目的に、総務省の許可を受けて発売をしてございます。
 宝くじを発売できる団体は、都道府県及び十三の指定都市の合計六十団体、それから、今回ご審議をお願いしてございます、十七年四月から静岡市が加わるということで、六十一団体となる予定でございます。
 宝くじには大きく二つございまして、全国で発売する全国自治宝くじと、一定の地域ごとに発売されるブロックくじがございます。したがいまして、東京都内では、全国自治宝くじと、それから、東京都は単独で一つのブロックでございますので、東京都宝くじが発売されてございます。
 それから、宝くじの収益金の使途でございますが、法律及び省令で定められておりまして、これまでも収益金は、公園整備などの公共事業、それから、老人福祉等の施設整備事業や認証保育所事業、こういった福祉事業にも充当されているところでございます。
 平成十七年度予算におきましても、こういう考え方に基づいて事業に充当をしてございます。

○酒井委員 大変丁寧なご説明がありましたが、本当にありがとうございます。宝くじの発売の仕組みについてはわかりました。
 今、説明の中にもありましたように、宝くじを発売できる団体に、今回の議案でも出されております、平成十七年四月から静岡市が政令市になるということで、この静岡市が加わるわけですけれども、発売団体がふえることによって、東京都の収益に影響があるものなのかどうかといったことについてお伺いいたします。

○熊野主計部長 宝くじは、発売団体の行政区域内で売りさばいた額に応じまして収益金を配分することとなってございます。したがいまして、静岡市の加入につきましては、これまで静岡県が収入を得ていた収益金の一部を、新たに発売団体となります静岡市へ移譲することとなりますので、東京都への収益の影響はございません。

○酒井委員 東京都への収益には影響が全くないということで、安心をいたしました。
 次に、平成十七年度の宝くじ全体及び東京都の発売計画についてお伺いいたします。

○熊野主計部長 平成十七年度の宝くじ全体の発売計画額は約一兆五百七十億円でございます。前年対比で一・三%の増、額にして百三十五億円の増となってございます。
 このうち東京都でございますけれども、十七年度の発売計画額、約一千七百四十一億円でございます。東京都におきましては、前年対比で一%の減、額にして十八億円の減となってございます。収益金は約七百億円、前年対比で〇・八%の減、額にしまして約六億円の減でございます。

○酒井委員 ただいまの説明によりますと、宝くじ全体では、前年度に比べて百三十五億円の増となる一方、東京都では十八億円の減となるというご説明ですけれども、東京都の宝くじ発売計画の内訳といったものと減少の要因について、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。
 また、参考までに、平成十六年度については、まだ払い戻し等が確定をしていないと思いますので、平成十五年における発売計画に対する実際の発売額と収益がどのようなものであったのか、教えていただきたいと思います。

○熊野主計部長 宝くじの種類別で見てみますと、数字選択式宝くじ、いわゆるミニロト、ロト6、こういったものの発売計画額は四百八十一億円、前年対比で申しますと、六・九%、三十一億円の増でございます。
 しかしながら、一方、既存のくじにつきましては、千二百六十億円、前年対比で三・八%、額にして四十九億円の減となっております。
 この減が大きく影響してございますが、これはいわゆるスクラッチくじ、その場で削って当たりがわかるというものですけれども、その売り上げ不振に伴う発売回数の見直しなどによるものでございます。
 なお、十五年度におきます発売計画額は千七百六十二億円でございまして、これに対して決算額は、発売額千七百五十二億円でございますので、ほぼ計画額を達成して、収益額は六百九十三億円でございます。

○酒井委員 全体としては、ほぼ計画どおりに発売され、収益が上がっているということもわかりましたが、数字選択式宝くじの売り上げ、ロト6とかミニロト、ナンバーズといったものだと思うんですけれども、売り上げが上向きの中、スクラッチくじが不振ということでありますけれども、このスクラッチくじの売り上げを向上させるために何か検討されているのか。対応策を考えているのであるならば、お聞かせいただきたいと思います。

○熊野主計部長 私どもも、このところのスクラッチくじの売り上げ減につきましては危機感を抱いておりまして、そのために、スクラッチくじの魅力を高めるために、発売期間を二週間に延長すると同時に、発売回数を減らしたりしてございます。またさらに、証票のデザインを工夫したり、あるいは賞金条件についても今検討しているところでございます。

○酒井委員 私も、ロト6であるとか年末ジャンボといった宝くじをたまに購入するんですけれども、なかなか当たりませんよね。これはしようがないことなんですけれども、このスクラッチくじといったもの、これについては、その場で削って当たりがわかるということで、スピード感があり、その場で簡単に換金もできるなど、購入者にとってはまだまだ、やりようによっては魅力のあるくじであると思います。
 このくじの売上向上の対策を考えているということで、安心いたしたわけですけれども、例えば一例として、賞金のバリエーションの一つとして、現在、百万円が一等の賞金であると思いますけれども、これを三十万円程度に抑えて、当たり本数をふやし、たくさんの人が賞金を受け取れるようにすることも有効な策ではないかと思いますけれども、こういった点についてはご検討いただけないか、質問させていただきます。

○熊野主計部長 いつも外れるということではなくて、少しでも多くの人に、当たるという実感を持っていただく、こういうことがまた売り上げを伸ばす非常に大切な要因かと、先生のおっしゃるように感じております。貴重なご提言でございますので、売り上げの向上策の一つの手法といたしまして真摯に検討させていただきたいと思います。

○酒井委員 最後にちょっとご要望だけ申し上げますけれども、この宝くじの問題については、私自身もたまに、といっても、あしたもロト6買おうかどうしようかと思っているんですけれども、多分当たらないかなという思いも込めながら、やはり当たらないと、ずっと当たらないことが続いていると、買ってもしようがないかなという思いにもなりますので、ぜひとも多くの方が当たるような方策を考えていただきたいと思いますし、私も、ファンの一人としても、また財政委員会の委員としても、都の貴重な財源であります東京都の宝くじの発売状況といったものが向上するように望んでいます。今のスクラッチくじの件だけではなく、売り上げの向上につながるような対策といったものをぜひとも検討していただきたいということをお願いいたしまして、私からの質問を終わりにさせていただきます。

○松村委員 まず、予算案について質疑をいたします。
 今、まちを歩いて聞く声は、小泉増税とは聞いていたけれども、そのひどさを改めて実感したと。これ、まだ、定率減税の縮小、廃止が始まる前。現役世代ではなくて、とりわけ高齢者というか、年金を受け取る方々も、一月、二月の支払い通知を見て、昨年までに廃止された三つの控除、配偶者特別控除の上乗せ分や、老年者控除だとか高齢年金控除だとか、これだけでも、今まで所得税や住民税がゼロであった年金の方々に、年にすると数万円の増税というか税負担がかかる。この上、私、主税にも出してもらったんですけれども、この三つの控除の廃止というか、住民税なんかはこれからかかってくるわけですけれども、影響額も出していただきましたけれども、まだ課税最低限度の頭打ちが、それでも、三つの控除の改悪があっても、残っていたんですね。
 そのときの主税局の資料ですら、東京都民二十万人、百四十三億円の新たな負担増でありました。だから、これが、今度の定率減税と一緒に今出されている課税最低限度の頭打ちがなくなったら、一体どのぐらいの影響額が広がるか。ただ税負担だけではなく、これが、いろいろな東京都とか区市町村などの施策に絡むんですね。一例、まだ再来年ですけれども、シルバーパスが、住民税が一円でもかかれば、今までの千円が二万五百十円になるとか、それから、若い世代でも、保育料だとか、いろいろなそういうようなあれがみんな、所得制限とか基準がありますから、やはり大変な負担増。
 加えて、これまでの、石原知事となってからの、私たち、福祉の切り捨てと呼んでおりますけれども、今までの命綱であった医療から福祉の、本当に影響が今ひどくなっている。二重、三重だと。石原知事、本当に都民の暮らしの視点から一体どう見ているんだということで、自治体としてはやはり、その使命、役割は福祉の増進じゃないか、こういう立場から問題にしてきましたし、一方において、そういう切り捨てなど、福祉を削減するのが、もう財源がない、財政危機だ、赤字転落団体になったら、今までの施策を東京都が独自にやれないんだ、全部国の基準だ水準だというんで、そういうことで来た。
 じゃ、一方の、都市再生ということが今盛んにいわれておりますけれども、そういう大型開発や公共事業はどうなのかという視点から、我々、今まで、石原知事のもとでもいろいろ論議をしてきたということを、まず前提にしなければ、議論がなかなか皆さん方とかみ合わないというふうに思います。
 都民生活、東京都政、自治体の役割、あり方ということを、財務当局の皆さん方もしっかり踏まえながら、貴重な都民の税金、その使い方をやはり正していただきたいというふうに思うんです。
 そこで、今、新年度、来年度二〇〇五年度予算案が提案されております。それで、三千三百億円もの前年度に比べての税収増があると。今まで、財政危機だ、財源が不足するというので、我慢を、痛みを、じゃありませんけれども、そうやってきた。こういうときだからこそ、やはりきちっと都民の暮らしを応援するそういう予算案になっているのかということが、私は質疑のポイントだろうというふうに思うんです。
 そこで改めて、この予算も含めて、これからの予算運営において私たちが非常に危惧をしているのが、引き続き福祉などを中心とする都民政策の新たな切り込みといいますか、そういう方向があるということで、このことを都民に率直に、今、都政の現状はこうなっているということをお知らせする中で--予算特別委員会で公明党との質疑で、我が党の、福祉などを中心としたそういう削減について、全くないなどと--確かに八百億円という数字を挙げましたけれども、福祉を中心とするそういう削減の方向について明らかにしたことに対して、財務局長は、全くないと一言のもとにいい切った。何を根拠にそういうことをいうのか、改めてまずお聞きいたします。

○松澤財務局長 先日の予算特別委員会の質疑のお話でございますが、繰り返しになりますけれども、八百億円の計画があるというお話で書いてあったようですけれども、どのような根拠からそのような試算が成り立つのか、全くそれは今でも理解に苦しんでいるわけでございます。
 十一日の予算特別委員会で答弁しましたとおり、福祉予算を中心に八百億円の補助金を減らすという、そんな計画は全くないわけでございます。第二次財政再建推進プランで掲げた施策の見直しということでいえば、これは、時代状況の変化とか、民間や区市町村との役割分担などの観点から、既に役割や必要性が薄れた事業は廃止し、新たな福祉も含めて、都民ニーズに対応する施策展開を可能にする財源を確保するという取り組みでございますので、そのことと今のお話とはちょっと別のことだというふうに私ども考えております。

○松村委員 今いみじくも答弁があった第二次財政再建推進プラン、これはプラン、計画ですよね。ここでは、今これを着々とやっていると。施策の見直しとして、二〇〇四年度、この三月末までに既にもう三三・六%、四百三億円達成して、新たにこの二〇〇五年度予算からそれを上積みして、七百九十五億円。既にもう四百億円を一般財源で見直したんだと。この目標はというと、プランの目標は一千二百億ですよね。ですから、あと八百億円、一般財源で施策の見直しをする。
 文字どおり、その方向がどういう方向かといえば、この第二次財政再建推進プランの中でも、見直しの課題を挙げている中で、例えば長期継続補助、それから少額補助金まで、そしてまた高率の補助金ということを挙げていますよね。
 私たち繰り返し、一般財源で施策の見直し四百三億円、どういう事業を削ったのかと。これからまた新年度予算で新たに三百九十億円ですか、七百九十五億円を目標としていると。もう到達した四百三億円を引けば、七百九十五億円から差し引けば、やはり四百億近いですね。
 じゃ、これは、補助金などは含まれてないということじゃないでしょうね、当然。そして今、世代間の財源配分だからといって、主に投資的経費などは都債を当てておりますから、そこから一般財源なかなか生み出せません。そうすると、やはり中心はそういうことになってくる。少なくとも、そうじゃないと、そんな補助金や福祉の見直し計画は全くないといったんですよ。というんだったら、じゃ、そういう数字を、私たち要求しております七百九十五億円の詳細を都民に明らかにして、そうじゃないんだ、皆さん安心してくれ、共産党のいっていることはいい過ぎですよ、共産党もご安心を、そういうことになると思うんですよ。
 そういうことを示さないでおいて、言葉じりだけをとらえて、全くないというようなことは、幾ら何でも、我が党の主張や見解について、ちょっと財務局長としては乱暴なんじゃないでしょうかね。

○熊野主計部長 繰り返しになりますけれども、私どもが財政再建推進プランでやろうとしていることは、時代状況の変化、あるいは区市町村等々、民間との役割分担などの観点から、不要になった事業はやめ、それで、そういった財源を、新たな都民ニーズに対応する施策展開を可能にする財源として使っているわけですね。
 したがって、福祉予算の切り捨てという言葉に非常に抵抗を感じておりまして、再構築とかスクラップ・アンド・ビルドとか、いろいろマイナス面だけに目をやるのじゃなくて、新たな、例えば今年度だって、少子化対策として総合的な補助も設けましたし、さまざまな新たなニーズにこたえるための予算をつけておるわけですので、そういった全体を見たお話をいただきたいし、私どもは、福祉を中心とする補助金を減らす計画なんていうのは、いつ、どこで、だれがいったのか、ぜひとも知りたいところでございます。

○松村委員 だって、プランで、あとさらに八百億円ですよ、目標額達成するために。言葉では聖域ない見直しなどといいながらも、いろいろ例示を挙げ、高どまりしている、高率だ、長期継続だと。そして、たびたび私たち議会が反発しているから、私学助成だとか、こういう形も進まないけれども、実際にそういう形の切り込みをあなた方はやろうとしているじゃありませんか。
 事実、この十七年度、二〇〇五年度の予算の中でも、今、ない、そんなことは違うといってましたけれども、廃止事業だけ挙げても、調布福祉園、むさしの園の運営、福祉費交付金、見舞金の支給、福祉のまちづくり支援事業の補助、リフトつきタクシー整備事業とか、身体拘束ゼロとか、乳がん検診もやめるとか、まあ任意ですけれどもね。老人医療費助成の利子補給金だとか、ずらりと、そういう都民にかかわる事業が既に廃止事業として挙げられて、これはもう廃止として各局は予算計上しているわけですよ。
 ですから、これから一般財源としてあと八百億円、施策見直しでやるんだということを財務局が示している。当然そこに各局が向かって、いろいろな切り込みや切り捨てをやっていく。それが今、都民の本当に悲鳴に近い怒りの声になっているということを、私はぜひ皆さん方にも理解をして--だったら、その福祉施策の見直しの中身、詳細を、やはりこの委員会や都民に明らかにすべきだということを要望しておきたいと。これは、今後の緊急の課題としても明らかにしていただきたいというふうに、それは要望しておきます。
 だって、私、きょう、予算の要望した資料要求がなかなか出てこない。みんなそういう形で、それは考え方だとかいいながら、着実に切りながらも、実際、具体的には明らかにされないということもありますので、そのことは引き続き要望しておきたいというふうに思うんです。
 福祉関係費と土木費についても若干質疑したいと思うんですけれども、この問題でも、石原知事が就任して以来、それは二〇〇〇年度ですよね、平成十二年度から組んだ予算で、これ事実でしょう。(資料を示す)一般会計決算で福祉関係費--これは福祉関係費も入れました。そして土木費。これも土木関係費ということで、土木費と都市計画費を入れました。これが石原知事が最初に組んだ二〇〇〇年度、数字はいいませんけれども、こういう数字。
 それが、どうなりましたか。逆転していることは事実じゃありませんか。その前の知事の時代は、それは土木費が多かった、そうじゃないんだ、ここだけをちょん切って持ち出したのはフェアじゃないとか、違うとかいうけれども、事実、先ほど来、石原知事となってからの政治姿勢というか、どういう都政運営で予算や財政の使い方をするのかという論議の中で、当然、石原知事が組んだ予算を、この経年推移というか、見て、どういう方向に向いているのか明らかにするのは当たり前じゃないかというふうに私はいいたいと思うんです。
 それで、二〇〇三年度、決算が出ました。土木関係費は六千七百九十六億円、福祉関係費は六千十一億円。これはもう答弁なくても、私もう重々確かめた確かな数字です。
 局長は答えたんですよね、これも予特の中で。いや、次が二〇〇五年度予算、また逆転いたしましたということだけをいって--いうことだけをというか、何でいきなりそういう数字を、聞かれてもいないのにいったのかなと。それも意図的というか、ためにすることかなと思ったんです。
 では、今、三位一体改革で、国民健康保険制度の都負担導入、都道府県導入が始まりましたよね。その増分は、東京都の場合どのぐらいですか。それを例えば福祉関係費から差し引いた場合、それでも土木関係費と福祉関係費は逆転するんですか。答弁いただきたいと思います。

○熊野主計部長 先に国民健康保険の都への負担の導入の金額を申し上げますと、四百六十六億円でございます。それで、一般会計の土木費と、それから開発関係費ですね、都市計画局も含めまして、それから福祉関係費の関係で、先生が掲げた図は、決算ベースで一般会計ベースだと事実でございます。
 しかしながら、これは、十二年、十三年だけが開発関係費が福祉を下回っているのであって、過去ずっとさかのぼっても、開発関係費の方がずっと上回っているわけですね、福祉関係費を。これはなぜかというと、先生が望むところの、いわゆる普通建設事業費、公共事業等を我々が抑制したから、たまたま十二年、十三年が開発関係費が福祉関係費を下回った。それがまた元の状態に戻っただけの話でございまして、いみじくも先生がおっしゃったように、ここだけ取り上げて、本来、福祉関係費が開発関係費よりも多くなければいけないというふうな印象を与えることは、非常にミスリーディングだと思います。

○松村委員 言葉だけはミスリーディングといいますけれども、だって、石原知事が二十年間も知事をやっていて、たまたま二〇〇一年度、いろいろな関係で、共産党から強くいわれたか知りませんよ、下がった、逆転したというならわかるんですよ。石原知事が都知事になってからの都政運営、その政治姿勢がどこにあるのかといったら、石原知事から予算の使い方を見ざるを得ないじゃないですか。
 そして、もう一度、今お聞きしたかったのは、確かに、これはもう国のとんでもない三位一体改革の導入でふえた分、これもやはり、そういうことをきちんといわないで、局長答弁にあるというのは、まさに、ためにするというか、そちらこそ誇張したいい方で--私、神奈川県の予算概要などを全部取り寄せていますけれども、神奈川県では、当初予算の編成についてって、冒頭の中で、国民健康保険制度の県負担導入に伴う増分、神奈川県は二百九十なんですけれども、二百九十億円を除いた実質的なものを示すというので、除いて、わざわざ一般会計でどうだ、一般歳出でどうだという数字を出しているんですよ。
 当然、だから、そこで、そういう性質のものだから、国の措置によってなったからということなのに、わざわざそういうことは伏せて、いや、また逆転したんだというようなのは、やはりフェアじゃないということと、それからもう一つ、それもいきなり、一年飛ばして、今度、新年度予算なんですよね。じゃ、その前の、もう補正予算が組まれて、まだ決算出ていませんけれども、二〇〇四年度、どうだったんですか。二〇〇四年度の最終補正を含めて、福祉関係費と土木関係費はどうなっているのか。もうここで逆転というか、違うんですか。

○松澤財務局長 今の先生のご質問の前に、ちょっと一言申し上げたいと思いますが、先生ずっと、土木関係費と福祉関係費が、ある年は石原知事が減ったとかふえたとか、何か黒星、白星みたいなことをおっしゃっていますけれども、要は、この四年間の中で、土木関係費がふえたとか福祉関係費が減ったとかいうことよりも、この前も私答弁しましたように、土木関係費も福祉関係費もそれぞれ、都政のために、都民のために重要な施策でありますから、余りそういう、数字をこうとらえてやるというのは、単純な比較自体が私どもは余り意味がないと、まず基本的に思っております。
 ちなみに、今、先生がいった、十二、十三年度とか、比較して、もし四年間で石原知事のことをいうならば、違うとらえ方を仮にしますと、福祉関係費と土木関係費、四年間をトータルで考えると、全部四年間を足せば、逆に福祉関係費の方が七百八十五億円ふえているわけでございますから、ふえた減ったとかいう白黒の話でとらえるとか、余りそういうとらえ方をしていうよりも、もうちょっと中身の問題だとか、いろいろなそういうことも含めてご理解いただくことが基本じゃないか、まず私はこのように思っております。

○熊野主計部長 繰り返しになりますけれども、福祉関係費と開発関係費の傾向を見るときに、先ほど申しましたように、十二年、十三年というのはやはり特異な年次でございましたので、これで逆転したというふうな、意図的に逆転させたというふうなことを解釈するのは、資料解釈上は明らかな誤りだと思いますし、それから、例えば、今、先生がおっしゃった、国民健康保険の東京都の負担増があったから福祉関係費がふえただけじゃないかというふうなことをおっしゃいますが、では、お言葉を返すようですが、児童扶養手当が区市に移管されたときに、先生方は何とおっしゃったかというと、絶対額が問題だというふうにおっしゃって、実質的な内容については言及されないで、たまたま福祉費の、制度が変わって、そういうふうにふえたときだけ、実質的なそういう変更を取り上げるのは、いささか納得できないというふうに思います。
 それから、今、財務局長が答弁申し上げたように、数字の多い少ないをもって、例えば福祉関係費が下がったから福祉の水準が下がったというふうなところには、以前も申し上げたかもしれませんが、物すごい論理の飛躍があるんですね。
 これは前にも申し上げたかもしれませんが、例えば、福祉関係費という概念は目的別の概念でございますので、当然その中には、人件費もあれば投資的経費もあれば、補助金みたいな補助費等も入っているわけですね。そうしますと、例えば一例を申し上げれば、人件費、今まで十人でやっていた仕事を八人でやるように効率化を図った、仕事の内容は変わらない、そうすると人件費が下がるわけです。それから福祉費が下がるわけです。そうすると、それは福祉の水準の低下でしょうか。
 それから、投資的経費も入っているんです。投資的経費は金額がでかいんです。例えば、複合施設を去年までつくっていました。完成しました。そうすると、今までかかっていた投資的経費が、その次の年はなくなります。そうすると福祉費は下がるんです。そうすると、それが福祉の後退でしょうか。
 それから、さっき申し上げたような、この間の児童扶養手当の移管とか介護保険の導入とか支援費制度の導入とか今回の国民健康保険の増加とか、そういったもろもろの制度変更があるんです。その合計が福祉費の頭なんです。目的別の頭なんです。それがふえた減ったといって、それが何で福祉の水準の低下とか向上に結びつくんでしょうか。そういうふうに私は理解しております。

○松村委員 いつ主計部長が福祉局長になったのか、かわって一生懸命力説しますけれども、でも、私もお言葉を返すようですけれども、例えば、特養の整備とか老健施設だとか、やはり全国四十七都道府県のうちで整備率が本当に最下位、前はそうじゃなかったのが下がっているとか、そういうことは厳然たる事実じゃないでしょうか。
 今、都民の感覚においても、都内の高齢者は裕福だという平均的な数値も、石原知事持ち出して、もう公共サービスですか、経済的給付事業はやめるんだ、打ち切るんだと。老人医療費助成なども、あと六十八歳、六十九歳ですか、さっきシルバーパスの一例を挙げましたが、本当に高齢者を応援する大事な施策なども後退しているんですよ。
 ですから、やはりそういう事実に立って、きちっと予算の使い方や物事を見なければいけないということで、今、主計部長立って--私はだから、二〇〇四年度の数字も、記録ですから、きちっと残しておきたいんですよ。最終補正予算が出ました。当初はいつも、土木費は共産党にいわれて抑えているんですよ、そしてまた福祉費はふやしているんですよと。ふやしていないね。実は決算、使い残して、認証保育だとかそういう福祉改革プランがあっても、それが本当に都民のニーズにこたえたものにはなっていないという点だから、私たち批判しているわけですけれども、改めて最終補正が出てみて、この数字はどうなりましたか。それもきちっと押さえておきたいと思います。

○熊野主計部長 事前にお知らせがなかったものですから、数字についてはお時間をいただきたいと思います。

○松村委員 それは失礼いたしました。最終補正予算を聞くというふうに私はあらかじめいっておいたので、すぐ出るんですけれども、じゃ、私の方で数字をいいますと、土木関係費は、この最終補正を入れますと六千六百二十三億四千九百万円、一方、福祉関係費は六千四百六十億八千六百万円で、やはり二〇〇四年度の最終補正は、福祉関係費、福祉のためには一円も使わない、二千八百億円も都税収入が現金でありながら、本当に福祉や教育に一円も使わないというのは、さすがに私、この補正予算びっくりして、それはもう既に前回質疑しましたので、繰り返しませんけれども、改めてこの補正予算を福祉関係費と土木関係費に足し上げてみたら、明らかにまだ乖離があるんですよ。たまたま二〇〇二年度だけの問題ではないというふうに指摘しなければならないというふうに思います。
 それでは、もう一つ、私、いろいろ日本共産党というので批判される点があるので、ちょっと正確にいっておきますと、例えば、この前の四定でもいったのは、投資的経費の中心である土木費について見ると、石原知事が最初に編成した二〇〇〇年度以降の四年間に、東京ではふやしてきているのに対し、一方、首都圏の自治体はといって、私たち全部調べてみたんですよ。そうしたら、土木関係費はふやしているはずはないと。土木費ですね。だから正確に読んでもらいたいと思うんですよ。道路建設などに使われる土木費を私たちは見た。投資的経費だとさっきいったのは、いろいろありますよね。生活関連や福祉関連や、都民に必要な関連だって投資的経費に入るわけですよ。だから、やはり端的にどういう傾向にあるのかというので、私たちは、その中でも土木費を取り上げて、見たら、やはり伸ばしているのは東京だけ。そうしたら、普通会計決算での普通事業費ですか、つまり特別会計分まで入れて、ほかの県は確かにいっぱい減らしているけれども、東京都も八・九%減らしています、共産党のいうことはうそです、でたらめですみたいな答弁。しかし、事実としては、今いいましたし、土木関係費でもいったわけですけれども、土木費だって明らかに一〇%以上減らしているじゃありませんか。他県全部調べてみましたよ、私も。大幅にやはり減らしているんです。
 なぜかというと、やはり他県では財政は確かに厳しい。シーリングを本当にかけているんですよね。東京のように、福祉関係費というか、都民施策にシーリングをかけて、毎年一割なんて削っているところ、一番財政が厳しい大阪府にも私直接行って、いろいろやりとりしてきましたけれども、かけてなんかないですよ。大体、全国の予算編成方針見たけれども、東京のような形で、こういう財政再建推進プランみたいなものをつくって、シーリングかけて、都民施策を中心に、福祉なんかを中心にやっているところは--やり方はやっていないというふうに思いますし、そういう中でやはり逆転してきているということを感じたからこそ、こういう数字なども使いながら指摘させていただいているわけなんです。
 これも、今、私が指摘したので、改めて一般会計予算で一〇%近く伸びているのは事実かというふうに聞こうと思ったけれども、それは私は事実だというふうに思いますので……。
   〔「聞いた方がいいよ」と呼ぶ者あり〕

○熊野主計部長 一般会計の土木費でございますが、十二年度が四千八百十八億円、それから十五年度が五千七百四十六億円で、一九・三%の増でございます。
 ベテランの先生にこういうことを申し上げるのは非常に失礼かと思いますが、他県と比較するときに普通会計を用いるというのは、これは常識でございまして、なぜかと申し上げれば、東京都は一般会計でやっていても、普通、他の県は特別会計を設けて同じ事業をやっている可能性があるんです。それから、他の県では一般会計でやっていても、東京都では特別会計でやっている事業もございます。
 それを他県と比較するために、架空の普通会計という会計を設けて、それを足し上げて、純計として、会計間のやりとりなんかを控除して、比較できるような決算統計としてつくられたのが普通会計でございますので、我々が一般会計同士を比較するということはまずあり得ない話。で、他県と比較するときは、必ず普通会計を使うというのが我々の常識でございます。

○松村委員 何か勝負するんじゃないんですよ。どういう傾向かというので、そういうことも承知の上ですよ。しかし、他県は行ってみたけれども、そういう開発予算だとか、特に土木費なんか、他県ではやはり多いんですよ、後でもこれまたいろいろ触れますけれども。そういう中での傾向として、全然そういうものを認めないで、いろいろやるのは、やはり、きちっと--それはお言葉を返しておきます。
 次に進みますけれども、それで持ち出したのが、行政投資実績で、東京の公共投資は少ないんだ、もっともっと必要なんだということで、行政投資実績という数値も出されました。この点についても伺っておきたいんですけれども、出されたのは平成三年と平成十三年ですか、決算に出ているこの数字を用いましたけれども、昭和六十年度のこの行政投資実績という数字はどうなっているんでしょうか。

○熊野主計部長 全国合計の行政投資実績、昭和六十年度でございますが、二十六兆五千億余り、それから東京都、二兆三千七百五十億円強、比率にいたしまして九%となっております。

○松村委員 予算委員会の中では、一兆九千億円も、比べて減らしているんだということを盛んに力説いたしましたけれども、しかし、バブルのときには確かに東京全体でも異常でした。この行政投資実績というのは、何も東京都だけじゃなくて、区市町村とか国の事業合わせた全体の投資事業なんですね。その総額をあらわしている数字だという性格で、しかも、その中には、農林だとか生活だとか国土だとか、いろいろな数字が入っていることはもうご存じのとおりだと思うんですね。福祉関係施設もそうです。
 だから、やはり道路、三環状だとか大きな幹線道路だとか大型の、臨海も含めた、都民の直接的な生活に今関係ない、そういう大型公共事業の分野について、私たちはいろいろ物をいい、批判したり、その転換、不要不急だったり、急ぐべきでないものを、福祉予算や命にかかわるような予算まで削ってやるべきではないという私たちの主張といいますか、それもきちっと踏まえながらの数字を明らかにした答弁なら歓迎いたしますけれども、そうではない。しかも、その背景とかそういうものもなく、まだまだ東京の都市基盤がおくれていて、もっと投資が必要なんだという数字を使う点は、逆に都民を惑わすというか、都民に正確な今の都政の状況を知ってもらうということにならないというふうに思います。
 きょうは都市整備じゃないので、あわせてそのときにも--私びっくりしましたね。これは財務局が答えたんじゃなくて、都市整備局長が、パリとかロンドンとかニューヨークとか、そういう環状線の整備率をいいましたけれども、これも一言、予特でいいましたけれども、もう人口比だとか面積とか違うんですよね。そういう点を持ち出して、そういうことを前提にしながら、財務局長や主計部長は、まだまだ東京の環状道路が大変だ、少ないんだ、世界に対しても少ないんだと。今までは、財政が厳しいから、そういう意味で減らしたといみじくもいいましたよね。そして今度、今、財政が豊かになったから、今度は投資的経費というか、都市基盤により振り向けるんだと。果たしてそれでいいのでしょうか。そのことも指摘しておきたいというふうに思うんです。
 この点で私たちが問題にしたのは、本来、東京都民の予算や財政を出す必要は、法的にというか、出す必要はない、出すべきでないと私たち考えている、国直轄事業や道路公団の首都高速中央環状線などへのそういう毎年多額の投入、この点についても、やはりそれを転換すべきじゃないか、転換というか、やめるべきじゃないかというふうに思いますけれども、財務当局としてはいかがでしょうか。

○倉林委員長 ちょっと速記ストップして。
   〔速記中止〕

○倉林委員長 速記スタートしてください。

○熊野主計部長 国直轄事業並びに首都高への出資、これはいずれも、私どもは、都民の生活の利便性を向上し、都民の福祉につながるということで、必要な事業費であると考えております。

○松村委員 予算のつけ方と支出、これは財務当局も以前の論議では認めていますよね。例えば、国が、どこの事業だとか、東京都への相談がなくて、支払い通知というんですか、そういうのが来る。それも、さらに追加というか、来て、年度末にならないとわからないというので、いつも最終補正予算などで、国直轄事業などが出されますけれども、そういうやり方は正されたんでしょうか。改まっているんでしょうか。改めてこの点についてお伺いします。

○熊野主計部長 仄聞でございますが、国土交通省等々の方から事前の相談があるようになったというふうに聞いてございます。

○松村委員 仄聞ですけどという答弁ですけれども、例えば、所管局から来たその要求額といいますか、それはもうそのまま目をつぶってというか、出すんでしょうか。出すんでしょうかというか、実はその点で私非常に問題にしたいと思うのは、例えば平成十五年度、このときの直轄事業負担金は、最終補正予算で、当初予算と含めて、幾ら計上されたんでしょうか。

○熊野主計部長 国直轄事業負担金の十五年度でございますが、当初予算で百七十七億七千四百万円、それから補正予算額で二百九億七千三百万円余、合計で三百八十七億四千七百万円でございます。

○松村委員 十五年度、二〇〇三年度の決算が出ましたけれども、これの数字はどうなっていますか。

○熊野主計部長 六百四億三千七百万円でございます。

○松村委員 最終補正予算で、今ご答弁があって、三百八十七億ですか、それが、決算が出て六百四億というのは、これはどういうことなんでしょうか。

○熊野主計部長 この決算額には、前年度からの事業繰り越しを含んでおります。

○松村委員 事業繰り越しというと、じゃ、事業繰り越しを除いた額をちょっといってください。

○熊野主計部長 決算額ですか。

○松村委員 そうですね。決算額というか、事業繰り越しを除いた額が直轄事業はどうなっていますか。

○熊野主計部長 先ほど申しましたように、補正後の予算額は三百八十七億四千七百万円でございます。

○松村委員 じゃ、石原知事となった平成十二年度から平成--この点は後で整理しておきますけれども、実際、私、資料で事前に聞いたときには、百億以上を最終補正予算額と、事業繰り越しという説明がなくて、決算額では百億以上ふえているという、そういう事実はありませんか。それは局内の流用で支出したというか、出した、そういう事実はないんですね。

○熊野主計部長 そういう事実があるかもしれませんが、現時点では私どもは承知しておりません。

○松村委員 それ、しっかり調べていただきたいし、私どもいつでも直轄事業負担金など問題にしてきて、その合計額、今まで、石原知事となって毎年平均八百二十億、これは首都高道路と直轄事業負担金合わせていってきましたけれども、予算特別委員会に出された資料を合計したら、ことし違うんですね。
 どこの違いがあるかと見たら、今いった最終補正で出された数字を私たち今合計して、この間どのぐらい直轄負担金、首都高に使われているかということでやりましたら、八百七十一億円になったんですよ。ですから、明らかに、八百二十億で、今までいっていた私たちの数字が違う中身を精査したら、結局、最終補正予算に計上していた額と実際の決算額に百億以上もの乖離があるという事実があったんですけれども、それはただ繰り越しで、そういう事実はないというのか、その点もう少しはっきりして、しかるべき答弁を。

○熊野主計部長 ちょっと事実関係は今の時点で詳細にはわかりませんが、いずれにしろ流用はあると思います。しかしながら、それは、私どもは局から予算の流用の相談を受けて、それで国交省なり何なりと、国の方とどういう話し合いが行われて、具体的にどういう経費なのかを精査の上、流用を認めておりますので、特に問題はないというふうに理解しております。

○松村委員 もう仮定の問題だとやめますけれども、それはちゃんとやっていくように。だって、事実だとしたら、百億以上が、予算化されていないのが、国から請求があったからといって、どこかというか、建設費の中から百億円出して国直轄に払うなんていうことの事実があったら、これは、まともな予算の編成といえるんでしょうか。それこそ最終補正予算できちっと、どこの事業か、どういう性格か、国と精査して、支払われるべきものかをやった上での最終補正予算を組むべきなのに、その同じ平成十五年度の最終補正予算を組んだ額と、実際十五年度に出てきた決算額が百億とかそれ以上の乖離があったら、これはやはり大きな問題だというふうに私自身は認識しています。
 今、主計部長はそうではないような、繰越明許ですか、繰越額というのが、ただそういうふうに膨らんだ数字だというのが最初の答弁でしたから、本当にそういうことなのかどうか、もう一度きちっとしていただきたいというふうに思います。
 もう一点だけ、この予算に関して質疑して、最後に都の社会福祉総合学院の質問の方に、時間がなくなるので移りたいと思うんですけれども、先ほども都債起債の問題の論議がありました。そしてまた、これも予特では、共産党がふえるんだというけれども、再来年度ですか、一千億減るんだということでしたけれども、三千五百億、今、それ以上の起債を発行しておりますけれども、これから三千五百億ベースでの都債発行を続けたならば、それでは平成二十年、どういう都債残額になるでしょうか。

○熊野主計部長 今後、三千五百億の起債を継続した場合の二十年度の推計は七兆百七十九億円となってございます。

○松村委員 今でも三千五百億、三千億ぐらいまで都債活用するといっても、落とさないと、これから本当に七兆円のそういうベースで続いて、しかも最近は、一般財源が償還に占める割合がふえて、やはり毎年の予算も相当厳しくなっています。
 先ほども、借金財政ノーと都民に約束して、それが、制度の仕組みが変わった、または、過去よりも抑制しているからそれでいいんだということにはなりません。本当に減らす。しかも、今の財政が厳しいもとで、多くの都民の一般施策をあれしているんだったら、先ほども論議ありましたけれども、借りかえ債をもっと抑えるだとか、いろいろな借金財政ノーに向けての努力があってしかるべきだと。
 しかし、それがなくて、もっと活用するんだというようなことになったら、今後どういう利率になるかわかりませんけれども、過去の借金の返済の山場を越えたとしても、やはり都債の残高は減らないという財政運営を、財政再建というんだったら、やはり根本から見直すというか、やり直すべきだということを、この間、都債問題については強くいっているわけでありますし、また、他の府県については失礼じゃないかとかいいましたけれども、事実、私もいろいろ県に行ってお話を聞いたりして、予算の概要の中でも、各県は、どのぐらい国の交付税措置がされるかとか、同じ起債の中でもそういう分け方をしているんですよ、単独負担の場合とか。今まで、事実、さっきもバブル期というふうにいいましたけれども、やはり国の補助事業などを多く受け入れて、大変な地方財政の現状が全国どこでもつくられていて、それからなかなか脱却できないということを、本当に財政当局は苦しんでおりました、何とか独自にやりたいと。そういう、まだ過程というか、名残があるんですよ。そういうことを私どもは指摘したので、だからといって違うんだということは当たらないということも、これも意見を申し上げておきたいというふうに思います。答弁は結構です。
 時間がないので、次に移らせていただきます。
 いずれにしても、今度の新年度予算、改めて予算特別委員会で態度や意見をさらに、総括締めくくりもありますから、出しますけれども、こういう予算のあり方はやはり根本から改めるべきだということを、この委員会の全体的な所属に関する質疑の意見としても申し述べたいというふうに思います。
 そこで、社会福祉総合学院、社会福祉事業団が、私、練馬区選出なので、私の地元でもあるんですね。その開所式にもご案内いただきました。非常に抱負を語って、ぜひ地域の皆さん方も応援していただきたいし、この施設を活用していただきたいと、当時、女性の所長さんでしたけれども、地元都議会議員も呼ばれて、相当期待を持ったのに、それがもう半年もたたないうちに、全く別の目的に転用され、使われる。
 その社会福祉総合学院が、用賀と同じく廃止、休止ということで出されたので、私たちは改めてびっくりして、この問題を知って、調査にも、私も一緒に行きました。そしていろいろ、どういう建物の使われ方の事態かなども確かめて、そして、これは当時の所管でありましたから、厚生委員会で既に質疑を行ったところであります。
 私も百条委員会の委員となりましたので、きょうは一、二、事実関係について質問させていただく程度にしたいと思うんですけれども、一つ、この社会福祉事業団に公有財産--これは石神井学園の跡なんですね。もともとは、あそこの隣に、隣接地に都立高等保育学院というのがあったんです。それが立川も含めて廃止になっていて、その機能をもう少し、福祉士の養成じゃなくて、福祉士をさらに養成するリカレントだとかそういう事業をやるということで、そこを建てかえるんじゃなくて、その隣接地の石神井学園という、この土地を無償貸付して、そこに建てたという、こういう経過を私もよく知っているんです。
 この社会福祉事業団に三十年間ですか、先ほど答弁ありましたが、無償貸付ということを決めたのが、東京都公有財産管理運用委員会だというふうにも聞いておりますけれども、これ、決めたのがいつ、そして何回かやったんですか。後で資料としても、この委員会記録だとかいうのを見たいと思うんですけれども、いつ、何回やって決めたのかということと、その当時のこの公有財産管理運用委員ですね。委員長は財務局長だというふうに組織でなっておりますけれども、そのメンバーを教えてください。

○宮川財産運用部長 公有財産管理運用委員会にかけて可決をされましたのが、平成十一年の三月の十七日でございます。先生、何回かけたかというようなお話がございますが、公有財産管理運用委員会は、今申し上げました三月十七日の一回でございます。
 それから、委員長は財産運用部長というふうにおっしゃいましたけれども、これは一応慣例でなっておるんですが、具体的な議事進行は財産運用部長がやっておりますけれども、委員長は財務局長でございます。

○松村委員 当時、この組織に、規則によりますと、以下、委員がいますよね、総務局総務部長、総務局行政部長。ちょっと簡単に当時の、今いった、委員長は財務局長ですけれども、差し支えなかったら当時の、私も記録を見ればわかると思うんですけれども、そのメンバーというか、方々……。

○宮川財産運用部長 先生の今のお尋ねは、職ということではなくて、氏名。

○松村委員 そうです。

○宮川財産運用部長 それでは、お答えをいたします。--済みません。突然のお話でございますので、当時の名簿については今ちょっと手持ちがございません。

○松村委員 もし必要な委員さんや、私だけがあれだったら、ぜひ委員会後でもいただきたいというふうに思うんです。
 それから、半年後の敬心学園ですか、当該施設で学院の受託事業を実施するということで、又貸しというか、これ、有償一括契約だということなんですけれども、先ほどそういう報告があったということですけれども、この有償一括契約というのはどういうものでしょうか。さっき、建物の九割とか、敷地ですか。ちょっとその中身を、どういう契約が社会福祉総合学院とこの敬心学園で結ばれたんでしょうか。

○松澤財務局長 まず、先ほど申し上げましたように、十三年の四月に社会福祉総合学院が夜間と通信ということでスタートしたわけでございますが、その後に、今度は民間の学校法人も空き教室を使うということと、それから、社会福祉法人がやっているものを委託するということで、そういう形に変わってきたわけですが、それは、まず、平成十三年の十月の二十五日に、今いいました運営事業者と借り受け者の公募発表を、一応、当時の福祉局の方から事業団と一緒にしまして、それで十三年の十二月に、それを受ける学校法人が決まった。それで、その後スタートしたということでございまして、その九割というのは、社会福祉総合学院としてというよりも、社会福祉事業団が建てた建物の校舎の民間の学校法人が使う面積、校舎のですね、この割合が全体の中で九割ぐらい使っていると。今度の包括外部監査の方にも報告が出ておりますけれども、そういう意味で九割ぐらい使っているということ、これは社会福祉事業団の方と借り受け者の方とでそういうことをしている、こういうことでございます。

○松村委員 このもとは東京都公有財産管理運用委員会、ここが公有財産の貸し付けの権限を持っているので、当時そういう状況--当時というか、外部監査が入って、そういう報告を出している。当然、それを見て、どういう契約内容かというのは、もちろん取り寄せてありますよね。有償一括とか、九割ぐらいといったけど、どういう契約内容になっているのか。
 それから、もう一点、余り時間がないので端的に聞きますけれども、先ほど来、主計部長の事実を知った関係の云々--失礼いたしました。当時の主計部長で、松澤財務局長への質問がありましたけれども、今まで、そういう無償で貸し付けた公有財産を、言葉でいえば又貸しですよね、民間に、そういう事例というのがあるのかどうか。または、さっき、どういう言葉を使っていいましたっけ、適切じゃないといういい方もしますよね。上から好ましくないといっていたんですけれども、好ましくないということと、それを何かそのときに既に正されたとか、この間、そういう点では、この財産管理運用委員会の事務局としてはどういう対応をとられたんでしょうか。

○宮川財産運用部長 先生、公有財産管理運用委員会が契約の権限があるというようなことで最初におっしゃいましたけれども、これは、実は東京都の都有地を事業団に対して無償で貸し付けるにおいて、いろいろな条件をつけたり用途を指定したりするわけなんですが、そういうような貸し付けが適切であるかどうかを、事前にその場で、先ほどちょっとメンバーのこともお話がありましたが、審議をして、ふさわしい貸し付けである、そのような決定をしたということでございます。
 それから、建物については、先ほど財務局長からもお話し申し上げましたように、今度は、事業団が都から貸し付けを受けた土地の上に建物を事業団が建てたわけでございまして、それについての空き教室、これを有効に活用しようということで、民間の学校法人を公募いたしまして、そして、そちらの方に貸し付けをした、そういう内容でございます。

○松村委員 公募した。当時は公募は、だから知らなかったんですよね、やって。それは、だから、今いっていた公有財産の無償貸付を、さらに民間に又貸しというか、するということは好ましくないといういい方だけど、これはできないんでしょう。できないというか、どういうことなんですか。改めて、例えばそういう貸し方があるかということで諮るとか。当時そういうのを、所管局が福祉局で、事業団を監理していたんですね。そういうことの指導というか、意見があって、そういう形になっているのかどうか。一切それは独断でやったとか、今ここではなかなかそういい切れないんですけれども、もう少しその経過や事実、これについてもっと明らかにしていただきたいんです。

○宮川財産運用部長 私ども財務局の方では、一応、今回の包括外部監査の報告の中で、具体的にいいますと、報告書の一九〇ページのところに、学院運営の経緯についてというところで、平成十四年の四月から特定の学校法人が学院の建物を借り受けて、そこで事業の委託を受けるとあわせて専門学校を運営している、こういう事実を、包括監査の結果として私ども知り得たわけでございます。

○松村委員 それじゃ、最後、まだ今後のいろいろなあれがありますけれども、無償で--これ、事業用普通財産というか、行政財産というか、今、福祉局が石神井学園全体を持っているんじゃないですか。その一部を何か普通財産に取り込んでのことなんでしょうか。事業用普通財産というのがよくわからないのと、それからもう一つ、最後の質問としては、さっき、好ましくないという言葉でしたけれども、それは、公有財産を又貸しというか、そういう契約で、しかも有償でやるということはできないんでしょう。できるんですか。また、過去やった事例があるのか。通常ありますよね。借りておいて、どこかに貸しちゃったとか、そういう事実が新しく判明して、こういうふうに処理したとか、処置したとか、そういう点についてはどうでしょうか。

○松澤財務局長 今、先生からお話のありましたこの都有地は、現在、旧福祉局ですけど、福祉保健局所管の監理団体である社会福祉事業団が設置する福祉人材養成機関のための敷地として使用するということでございまして、そのため、財産の管理は、事業を所管する、現在ですと福祉保健局長が行うということで、それで、普通財産か行政財産かということがございますが、さっきいいましたように、三十年間無償貸付というような形で、公共的な形で使っていただくということになれば、行政財産の場合は、自治法上、長期の貸し付けということはできないものですから、これは一応、普通財産という形で、長期にわたり社会福祉事業団へ貸し付けるために行うということで普通財産として管理している、そういう位置づけになっているものでございます。
 それから、先生、その土地を転貸し、転貸しというお話がございましたが、契約上は、先ほども申し上げましたように、東京都と社会福祉事業団が三十年間の土地の貸し付けということを、一応、平成十三年の三月にやっているわけでございまして、これを社会福祉事業団が民間の学校法人に土地を又貸しするというか、そういうことは普通はあり得ないわけでございます。そういう例は今までもありませんので、これについては、調査はしておりますが、形式的には社会福祉事業団と東京都が土地の契約をしている、こういうことでございます。
 ただ、実態上は、先ほど申しましたように、建物の中で九割近く、民間の方が、学校法人が使っているということがあるので、そこら辺は、契約書の四条の中の、事業団と東京都の関係の中で、当初、四条の中で規定した、事業団が設置する社会福祉の人材養成機関ということには、所期の目的からというか、前提からいうと、現在はそういう状況になってない形で土地が扱われているということになるので、好ましくない状態といいますか、不適正な状態、こういうふうに私申し上げたわけでございます。現在においてはですね。

○執印委員 それでは質問させていただきます。
 生活者ネットワークは、今回の予算特別委員会の総括質疑で、起債は一たん歯どめが外されれば、短時間にまさに雪だるま式に爆発的に増大する恐ろしさを抱えているということを指摘しまして、起債について都は今後とも現在の方針を堅持し、将来世代の負担に十分配慮した節度ある適切な活用に努めるべきと主張して、知事の所見を求めました。
 これに対して知事は、起債に関しての都の基本的な姿勢は、今ご指摘のとおりのつもりでございます。やはり世代間の負担の公平性というものを考えながら、時々の財政状況などを見きわめて発行するものでしょうが、これはもう本当に少ないにこしたことはないと思います。中略。代がかわって、それを押しつけられる後の世代は大変なんで--中略。都はそういう轍を踏まないつもりで、これからも自重していきたいと思っております、というふうに、私たちの主張に沿った答弁をされたということに、ひとまず安心し、評価をしたいというふうに思っておりますが、本日はなお詳細にただしておきたいというふうに思います。
 まず、地方債の発行について、十八年四月から現行の許可制が協議制に変わりまして、実質自由化になるということがいわれております。これに伴って地方財政法が改正されましたが、同法第五条の三第五項には、地方公共団体が総務大臣の同意を得ないで地方債を起こす場合には、長はあらかじめ議会に報告しなければならない。ただし、その暇がない場合には専決を行ってよい旨の規定が盛り込まれました。
 この改正により、地方債制度の本質が変わり、十八年度以降は総務省の関与も議会のコントロールも外れて、長の意向次第で幾らでも起債を発行できるようになるのではないかと懸念する声を聞きますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○熊野主計部長 地方自治法におきまして、地方債を起こす場合には、目的、限度額などについて予算で定めなければいけないという旨が規定されております。この条文は改正されておりませんので、許可制度から協議制度へ移行した場合においても、都債発行が議会の議決を得た予算の範囲内で行われるということについては、何ら変更がございません。
 したがいまして、長の意向次第で無制限に起債できるといったご心配はご無用かと思っております。
 なお、このことに加えまして、協議制度移行後におきましては、地方財政法の規定によりまして、財政状況が悪化した団体に対しましては、例外的に許可制度が適用されることにもなっておりまして、長が起債を無計画に行うことで財政状況を悪化させることのないための一つの歯どめになるというふうに考えております。

○執印委員 今のご説明の中で、歯どめもあるし、長の意向次第で無制限に起債できるといったことは杞憂であるということでございましたが、地方財政法の条文は、あたかも地方自治体が総務大臣の同意を得ないで起債を発行するケースが当然のように発生することを前提に書かれているともとれるのですが、総務省がどういう場合に同意をし、どういう場合には同意をしないといった基準というのは示されているのでしょうか。また、総務省の同意を得て発行する起債と同意を得ないで発行する起債とではどういう点が異なるのか、その点をお答えください。

○熊野主計部長 まず、同意基準につきましては、結論から申し上げますと、総務大臣が同意の基準を公表するということは法定されておりますけれども、現時点でまだ示されてはおりません。
 それから次に、同意債と同意を得ない起債、これの相違でございますが、大きな点は二つございます。
 一つは、適債事業の範囲でございまして、ご案内のとおり、適債事業につきましては、地方財政法の五条で定めているいわゆる建設事業など、五条債と呼んでおりますけれども、そういった事業の財源として活用されるものでございます。
 この原則は、協議制に移行しても変更はございませんが、ただ、現行の許可制度の中では、これらの法律に規定された事業について、すべて許可されるということではなくて、現実の許可に当たりましては、地財計画あるいは交付税制度等を勘案して、国の許可方針によりまして、この適債事業の範囲が狭められているというのが現状でございます。
 ところが、今回の制度変更によって、同意を得ない起債が可能になりますと、法律上の適債事業であれば、すべて起債可能になる。適債事業の範囲が広がるということが一つございます。それからもう一つは、起債の財源措置でございます。総務大臣の同意を得た地方債のみ、その元利償還経費の地財計画への算入と、地方交付税制度を通じた国の財源保証が得られる。それともう一つは、公的資金の借り入れの対象になる。一方、同意を得ない地方債につきましては、国の財源保証は得られないが、議会に報告すれば起債することはできる、こういう仕組みになっております。
 ただ、いずれにしても我々としては、地方の財政自主権の拡充を目指した制度であるにもかかわらず、依然としてやはり国のコントロールが働いている要素が強く残っているというふうに感じております。

○執印委員 今のご説明ですと、国のコントロールが依然として働く要素が強いということですから、地方分権の推進とか国の規制緩和という大きな目標のために行われた制度変更といいながら、許可制が協議制に変わっても、実質的には総務省の地方に対する関与に何ら変化がないというふうにとれますので、わかりにくく、いろいろいろいろ説明はしているけれども、変更がないというふうにとれますので、これはこれで問題だというふうに思います。
 また、本来、事業ごとに財源も明記して、この財源についても審議ができるような仕組みが必要というふうに私どもは考えております。予算の総額主義ということもありますが、起債をしてまでこの事業が必要なのかどうかも考えるべきだというふうに思います。昨年度の銀行のことなどは、本当にあんなやり方がよかったのかどうかというふうに思うわけです。ネットは、私どもは、起債そのものに反対をしているわけではありませんけれども、抑制基調を堅持して、必要最小限にとどめることが必要だというふうに考えております。
 今、国と地方の借金合わせて七百七十兆円を超えたというようなことを聞きますと、こんな楽しくなさそうな社会の中で、若者が働く意欲を持ったり、子育てをしてみようかというふうには思えないだろうなというふうに、それは感じるわけでございますので、私どもがどういうふうに物を考えて進めていくかということが大きく今後にかかわってくるというふうに思うわけです。
 起債の発行に当たっては、より広範な都民の理解を得られるよう、情報の開示などに努めることが必要だというふうに思いますし、少しでも有利な条件で発行できるように努力すべきと考えますけれども、東京都はこの間、どのような観点から見て、どのような取り組みをしてきたのか、伺います。

○熊野主計部長 都債の発行に当たっては、重大な点が二つございまして、一つは、安定的に資金を確保することと、低コストで確保することでございます。
 安定的に確保するためには、いろいろ資金調達手段の多様化を図っておく必要がございまして、都におきましては、投資家層の拡大を図るという必要を痛切に感じております。そうした観点から、都債を都民に身近なものにする、都政に対する都民の理解と参画意識を高めるということを目的に、十四年度から個人投資家向けに東京再生都債を発行しております。また、発行に当たりましても、情報開示に従来から積極的に取り組んでおりまして、都民向けといたしましては、都民向け説明会、それから投資家向けホームページの上に都民向けサイトの構築を行って情報提供するなど、多様な方法、ツールを活用、実施しております。
 それからもう一つ、低コストでの調達という観点からは、従来、国に権限を委任して公募債の発行条件を決定してまいりましたが、市場における東京都の高い評価、都債の高い評価をより確実に反映させていくということから、検討委員会を設置いたしまして、都独自の条件交渉方式を検討してまいります。この提言を踏まえまして、十五年には、二十年債、三十年債といった超長起債、それから十六年四月からは、十年債、五年債においても、これまでの国の枠組みから離脱いたしまして、全面的に東京都がみずからの都債独自の条件決定方式を確立いたしました。その結果、より市場の実勢を踏まえた適正な条件決定が実現したと思っております。
 また、そのほかにも、手数料の引き下げとか、あるいは、今回、直近でトライいたしましたけれども、競争入札の導入とかそういったことで、これまで以上に有利な条件での発行に取り組んでおります。

○執印委員 いろいろ工夫をされているということのご説明が今あったわけですけれども、この東京再生都債のことですけれども、都民の生活防衛という観点からも、低金利の時代ですから、有効な方策であるかというふうには思いますが、都債と事業をリンクすることで、都の施策と都債の意義を身近に実感してもらえる効果はあるのかなというふうに思うわけです。
 ただ、これも昨日の予算委員会でも触れた点ですけれども、これまで発行した個人向けの都債は、実質、都市再生都債として、いわゆるインフラ整備のみスポットを当てたものとなっている点が残念だなというふうに思います。先ほどご説明がありました、インターネット上での東京再生都債を発行しますということなどを見ても、東京の都市づくりに参加してみませんかというふうに呼びかけ調になっておりまして、そういうところは評価できるわけですけれども、ポスターなどを見ますと、インターネット上も書いてありますけれども、皆様から集めた資金は、渋滞解消のための道路立体化や線路の高架化、公共交通網の整備などに生かされますというふうに書かれております。
 先ほど来の質疑を伺っても、渋滞解消の取り組みとか公共交通網の整備も、もちろん福祉的な側面があるというふうにお考えだということはわかりますけれども、東京における都市再生というのは、同じく今回の代表質問では、来年度をピークに人口も減っていくという中で、これまでのような発想でコンクリートの建物をつくったり、東京をアスファルトで覆って温暖化がさらに進むようなことばかりをやっていくということではないというふうに思っているわけです。
 東京湾の森の構想についても質問いたしましたけれども、緑を育てるということとともに、今ある緑をどう守るかということで、都会のオアシスとなる公園を整備することが必要だというふうに思います。電車に乗って都心に向かうときに、ああ楽しい、都心に行けると思って来るサラリーマン、サラリーウーマンの方がどれぐらいいらっしゃるのかなと。そういう意味では、緑が少なくて、ゆとりのない生活であるし、また、日常の生活もそうですけれども、今後のことを考えたときに、東京湾の緑とつなぐ多摩の緑をつくるということも、これからの大きな課題として取り組まなければならないことではないかというふうに思います。
 近年、市の方では、今ある緑をどう残すかということで市債を発行する基礎自治体も出てまいりました。都内でも八王子で実施をされ、私が住んでおります日野市でも、緑地を買い取りのための市債発行を求める請願というのが出されております。これは、見方を変えれば、緑地がなくなることに対して、非常にせっぱ詰まった状況だということなんですね。
 東京の都市再生が、道路や公共交通--公共交通も大事ですけれども、コンクリートとかアスファルトというところから発想を変えていかないといけない、非常にせっぱ詰まった状況を都民が感じているということだというふうに思いますし、起債について市民から請願が出るというようなことについては、都民が起債についてのイニシアチブをとるという芽が出てきたということではないかなというふうに思っているわけなんです。
 何のために起債をするかということの意思表示が、少しずつ各地から出てきているということだと思います。都はというか、石原都知事は、予算委員会の中では、緑について都民の合意がどれだけ得られているのでしょうかというような、余り積極的なお答えとはとれなかったわけですが、今の都内の緑についての市債発行などのことを、その流れというものを、東京都も真摯に、都民の現状の思いとして読み取るべきではないかというふうに思います。
 最後のお尋ねにさせていただきますが、これから発行する個人向け都債には、活用のメニューとして、ただいまいろいろ申し上げましたような環境配慮型の事業とか、今ある緑を守るということ、それから、開発一辺倒ではないということを十分にアピールをして、そして庁内の調整はもちろん必要でしょうけれども、しっかりと都民ニーズを把握して今後のことを進めていただきたいというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○熊野主計部長 東京再生都債を発行する大きな目的の一つは、その購入を通じまして、都民に都政への参画意識をより高く持っていただくということでございまして、そのために、これまで発行してきた再生都債につきましては、わかりやすさであるとか、あるいは身近さといった視点から資金使途を限定してございます。一回当たり二百五十億円という発行規模も考慮いたしまして、都政の重要課題である都市再生にかかわる道路、公共交通網の整備事業に充当してございます。
 ご指摘のとおり、都政を都民により身近なものにしていくという点につきまして、今後も重要であると私どもも考えてございます。しかしながら、販売戦略であるとか、あるいは都債の発行規模と事業規模の関係、こういったものもございますので、ご指摘の事業、環境配慮型の事業につきましても、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

○倉林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○倉林委員長 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。

○松村委員 端的に聞きます。
 今、いよいよPFI事業として、この神宮前一丁目、原宿警察の建てかえを含めた留置場建設を進めるということでありますけれども、お聞きしたいことは、この間、住民合意はどのように進んできているのでしょうか。

○平田調整担当部長 平成十六年の第四回都議会定例会の本委員会で、実施方針等についてご報告いたしました。
 その中で、住民、区民報告会を経まして、新しい段階に行こうということで住民の方向も変わりまして、その後、十二月の下旬に、地元の住民代表、渋谷区、東京都で連絡調整会議を立ち上げました。この会議は、都の計画を前提に、具体的な事項について連絡調整するものでございまして、これまでも二回開催されております。
 この場で、都の計画を前提にいろいろなお話し合いをしてございまして、都の考え方の説明に対して、地元からは専らまちづくりに対する要望が出されておりまして、都といたしましても、要望のできるものに対しては対応してまいっている状況でございます。

○松村委員 連絡調整会議でやっているといいますが、地元に聞きますと、やはりこの連絡調整会議も、異論がある多くの住民を排除してやっている。また区長も、特に三百人の留置場ですけれども、認めたわけではないが、まあしようがないというような態度のようであります。多くの住民は、原宿の文教地区にそういう三百人もの留置場が本当に必要なのか、ふさわしくない、しかも、その道理がやはり理解できないということを、そういう大きな声があるということを、よく受けとめなければならないというふうに思います。
 それから、二点目で聞きたいのは、前回の委員会でも私質疑いたしましたので、もうここではるる展開しませんけれども、やはり三弁護士会からの意見書にもあるように、今、留置場が不足といっても、代用監獄がわりに使われて、これは国際的にも非常に問題を指摘されているということと、それから、本来、そういう拘置所とか--なぜ代用監獄なのかと。やはり留置場という一時の、一時というか、そういう警察施設のあれは--本当に拘置所だとかそういうところがやはり少ない。不足している。専ら刑務所や拘置所というのは国の責任というか、所管するべきものですね。きちっとそこの取り組みというか、解決が求められているというふうに思うんですけれども、前回の委員会の中でも、意見を上げている。本来は国が刑務所や拘置所などの拘禁施設を十分設置していくべきものであると考えているという部長からの答弁もありますけれども、その後、新年度予算などに向けて、国のこういう時期に、都としてもどういう話し合いを上げているのか。少なくともそういう協議などが開始されているのかという点についても、この機会に伺っておきたいと思います。

○平田調整担当部長 先生から今お話のございましたように、東京都といたしましては、国に対する予算に対する提案要求の中で、拘置所等拘禁施設の拡充整備を要求しているわけでございます。
 これは、総合的な治安対策の充実強化という項目の中で行ってございまして、これは特別事項として、非常事態として特別に国に働きかける事項ということで、提案要求の中でも特に強く要求しておるところでございます。

○松村委員 いよいよPFI事業で実施するということですけれども、全体の事業費、それから、今後の都の財政負担について明らかにしていただきたいと思います。

○平田調整担当部長 本事業の債務負担につきまして、本定例会に警視庁の予算として議案を提出しております。その額でございますけれども、平成十八年度から平成三十五年度までの十八年間で約百億円でございます。

○松村委員 特にそういう三百人規模の大規模留置場ですよね。そういうのが、普通の警察署の留置場、今の平均的なものに比べて、どのぐらいの財政負担が伴うと思いますか。今後、そこにとめ置いて、そのために食事出したりとか、いろいろなあれが今後もありますよね。そこまで積算できるかどうかわかりませんけれども、今、百億円という話もありましたけれども、そういうのに対しても適切に、警察というか東京都の所管事項だからということでいいんでしょうかね。いいんでしょうかねというか、その点と、それからもう一つは、都の財政負担は八・八%程度縮減することができると、このPFI事業はですね。何と何を比較してか、ちょっとその根拠についても教えてください。

○平田調整担当部長 百億円という数字でございますけれども、これは標準的な金額だろうと思いますけれども、今のこれから申し上げます八・八%の問題と関連いたしますけれども、PFI事業で行いますので、より財政負担の軽減が図られていくものと考えてございます。
 それで、八・八%でございますけれども、この算出につきましては、従来型の事業手法で行った場合の行政コストの推計値、それとPFI事業で行った場合の、期間全体を通じた行政コストの負担額、それとの比較で行ってございます。
 従来型事業手法によるコストは、施設内容及び規模を勘案して設定した警察施設の建設費、維持管理費、都債金利でございまして、PFIによるコストは、他のPFI事業の例を参考に、事業者の創意工夫によるコスト縮減を想定して設定した建設費等のほか、アドバイザー経費、公租公課を含むものでございます。
 なお、この比較に際しましては、事業期間において貨幣価値が時間の経過とともに変化することを考慮いたしまして、将来の支出や収入を現在の貨幣価値に換算した現在価値で計算してございます。

○松村委員 いずれにしても、地元の住民合意は必ずしも十分ではありませんし、やはりその一番のもとは、そういう大規模な、三百という留置施設が本当に必要なのかどうか。この点においては、もっと国と、拘禁施設のあり方、弁護士会が指摘するまでもなく、そこのところはやはり十分話し合いながら、ただ国の対応を待っていられないんだ、都としてできる限りの対応を行うんだというので莫大な財政支出をする根拠といいますか、問題点を、もっと本当に都民の理解を得なければなりませんし、私は少なくとも、こういう大規模留置場施設、しかも今の地域に本当にふさわしいのかということも含めて、やはり見直すべきだということも指摘し、今後もう少し財政状況も、これからまたPFI事業に係る業者選定や、当委員会にも報告などが出されると思いますので、そのときにまた改めて論議したいと思いますけれども、いずれにしても、実施については認めがたいということを述べて、終わりたいと思います。

○倉林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十一分散会

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