財政委員会速記録第十三号

平成十六年九月三十日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十二名
委員長近藤やよい君
副委員長森田 安孝君
副委員長小美濃安弘君
理事松村 友昭君
理事川井しげお君
理事中村 明彦君
秋田 一郎君
鳩山 太郎君
執印真智子君
桜井良之助君
藤川 隆則君
桜井  武君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長松澤 敏夫君
経理部長臼井  勇君
契約調整担当部長山本 憲一君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長宮川 雄司君
調整担当部長平田  章君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事南部 敏一君
出納長室出納長櫻井  巖君
副出納長島田幸太郎君
副出納長宇藤 雅隆君
会計制度担当部長岳野 尚代君
新銀行設立本部本部長津島 隆一君
企画担当部長関  敏樹君
参事吉田 長生君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百三号議案 都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
・第二百四号議案 都営住宅十六H-一〇一北(村山)工事請負契約
・第二百五号議案 多摩大橋鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
・第二百六号議案 日暮里・舎人線鋼けた製作・架設工事(その二十八)請負契約
・第二百七号議案 日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十九)請負契約
・第二百九号議案 工作物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起について
報告事項(質疑)
・「今後の地方財政を考える」について
 出納長室関係
報告事項(質疑)
・平成十六年度資金管理計画について
・平成十六年度資金管理実績報告(第一・四半期)について

○近藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○近藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑並びに出納長室関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百三号議案から第二百七号議案まで及び第二百九号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○近藤委員長 次に、報告事項「今後の地方財政を考える」について、に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○秋田委員 皆様既にご存じのとおり、先日、非常にショッキングな数値が発表されました。ご存じのとおり、六月に厚労省が発表した人口動態統計によると、一人の女性が生涯に産む子どもの平均数、いわゆる合計特殊出生率が東京都では一を割って〇・九九八七ということで、統計開始以来初めて一・〇を下回り、全国平均でも前年を大きく下回る過去最低の一・二九になったのは皆様よくご存じのことだと思いますが、少子化の問題については、昨年、そしてきのうの一般質問において、私も質問させていただきましたし、同僚議員である小美濃議員も昨日質問させていただきましたが、少子化については本当に根源的な問題だと思いますので、今後とも積極的に進めていただきたいと思います。
 そこで、初めての質問として、急激な少子化、そして相対的に高まる高齢人口比率の高まりは、最近よく話題に出る年金問題だけでなく、国や地方の財政運営にも重大な影響を及ぼすことが予想されます。
 そこで、初めに、今後の少子化が財政運営に及ぼす影響を財政当局としてどのように考えているのかを伺います。

○熊野主計部長 少子化が財政運営に及ぼす影響でございますけれども、少子化の影響によりまして、我が国の総人口は平成十八年にピークに達した後、長期の人口減少過程に入ると予測されております。この結果、高齢化の進行と相まって、日本の労働人口の構成比率は、今世紀半ばには五〇%の前半にまで落ち込んで、労働力人口の減少が深刻化するというふうにいわれております。
 こうした人口動向が財政運営にもたらす影響といたしましては、まず歳出面で、高齢化に伴う福祉需要が大幅に増大するということが考えられますし、また歳入面では、行政サービスの財源を負担する世代が減少するという、いわば二重に厳しい時代が訪れるということが考えられます。これは我が国の社会全体を揺るがす大きな問題でありますし、かつ、そう遠くない将来の問題でございまして、財政運営にとっては非常に大きな制約になることから、我々としましても、少子高齢化社会を踏まえた財政構造改革が急務であるというふうに考えております。
 今回発表いたしました冊子「今後の地方財政を考える」につきましても、単に現在議論されている三位一体改革だけではなくて、少子高齢化社会における行政サービスのあり方とか、あるいは、地方財政を我々として深刻に議論する時期に来ているという問題意識のもとで作成したものでございます。
 ただ、基本的には、人口減少のもとでの必要な社会資本ストックの総量であるとか、あるいは社会保障制度のあり方であるとか、そういったことは、国のあり方そのものに構造的な改革が不可欠になっているというふうに思われますので、ぜひ国が中心となって、こうした議論をしっかりやっていただきたいと思っております。

○秋田委員 財政運営のあり方を議論するときには、十年、二十年といった、比較的ショートというか、短いスパンだけじゃなくて、本当に長いスパンで社会構造の変化、人口構成、あるいは私ぐらいの世代が将来直面することになるであろう行政需要などを十分に考えて論ずることが必要なんだと思います。
 今回、財務局は、今後のあるべき分権型社会づくりを考える際に行われるであろう議論の素材として、「今後の地方財政を考える」という冊子を発表されましたけれども、この中において、国や地方、そして都が抱えている財政上の問題点を包み隠さず明らかにしている点は非常に評価できると思います。実際私は、昨日の一般質問でも非常に参考にさせていただきました。
 また、これまで私が再三主張してまいりましたけれども、地方交付税の破綻の状態や、東京という大都市に特有の財政需要についても記述されており、また、そのことをホームページなどを通じて広く、都民の皆さんだけでなく全国的にわかるようにされていることは、本当に大きな意義があるのだと思っております。
 今我々がやらなければならないのは、この冊子で掲げられているような問題点を、私たちの次の世代に禍根を残さないためにも、どのように解決していくのか、広範な議論を積極的に行うことだと思います。
 そこで、きょうは、この「今後の地方財政を考える」の中から幾つかの問題点を質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、おさらいの意味で、先日発表された平成十五年度決算の状況も含めて、都財政の状況を改めて教えてください。

○熊野主計部長 平成十五年度の東京都普通会計決算におきましては、都税収入が二年連続でマイナスとなるなど厳しい財政状況の中にありまして、実質収支は四百四十九億円の赤字となりました。平成十年度以降、六年連続の赤字決算でございます。
 また、財政の弾力性を示します経常収支比率は、第二次財政再建推進プランにおいて、九〇%以下の水準に引き下げるんだという目標としているところでございますが、残念ながら、目指すべき方向とは別に、二年連続で悪化いたしまして、九七・九%と上昇いたしました。
 さらに、都の将来の負担である都債現在高は七兆六千億となっているほか、財政調整基金も約八百億弱ということで、底をついてございます。
 これまで、都税収入が大幅に減少する中で、都債の発行あるいは基金の取り崩しなどによって、必要な行政サービスを提供してまいりましたけれども、今申し上げた数字からおわかりいただけるように、財政の対応力はもはや限界であるというふうに考えております。
 また、この間、臨時的な財源対策を緊急措置として行ってまいりました結果、減債基金への積立金不足額あるいは他会計からの借り入れなど、いわゆる隠れ借金が一兆一千億に上っておりまして、早急に解消していかなければならないというふうに思っております。
 一言で申し上げれば、依然途半ばであり、また、引き続き財政構造改革を進めていかなければならない状況にございます。

○秋田委員 東京都はこれまで、平成十一年から財政再建推進プランを実行し、ことしに入ってからは、第二次財政再建推進プランを推進しているところではあります。これらのプランに基づいてさまざまな施策を再構築したり、職員や議員の給与を臨時的に削減するなど、経費を切り詰めて、財政再建に努めてきたことはしっかりと認めております。
 しかしながら、今、主計部長のお話にありましたとおり、残念ながら、都財政はいまだ危機的な状況を脱していないということは明らかでございます。
 都の財政状況はこのような状況でございますが、一方で、都内区市町村の財政状況はどのような状況であるか、ご説明ください。

○熊野主計部長 決算から都内の区市町村の財政状況について申し上げますと、まず実質収支につきましては、「今後の地方財政を考える」の中でもお示ししてございますように、都内区市町村は、昭和五十三年から平成十四年度まで二十五年間にわたって、すべての団体で黒字となっております。さらに、今月発表されました平成十五年度決算においても黒字となっておりますので、二十六年連続全団体が黒字ということでございます。
 また、経常収支比率などの財政指標について、都や全国の市町村と比べてみますと、単純な比較はできないかもしれませんけれども、都内区市町村はまだ良好な数値にあるものと思っております。
 とりわけ公債費負担比率が、平成十四年度において全国市町村平均が一七・三%であるのに対しまして、特別区が九・三%、市町村が一〇・八%と相対的に低い水準にございまして、起債償還による財政の制約は他の自治体に比べて少なくなっている、こう思っております。
 こうしたことが都内の区市町村財政の特徴と思っております。

○秋田委員 東京都は、必死な思いをして経費削減などの財政再建努力をしているにもかかわらず、巨額の赤字が依然として続く一方で、区市町村は二十六年間すべての団体で黒字が続いている。さらに、今の説明を聞きますと、各種の財政指標も都を上回る数値を示しているということは、結構な驚きを持って聞いておりました。
 私は、区市町村側からは、財政状況が厳しい、歳出を抑えるため施策を見直さなければならないという悲鳴に近いような話を聞いておりました。
 区市町村の財政指標がよいのは、それぞれの区市町村において財政健全化の努力を行ってきたゆえだとは思いますけれども、もちろん都もこれまで懸命に歳出削減努力を続けてきたはずです。しかし、それにもかかわらず都はいまだに危機的な状況を脱していないというのは、都と区市町村とで財政上、特に収入構造に大きな違いがあるのではないかと思いますが、所見を伺います。

○熊野主計部長 都と区市町村の歳入構造を比較してみますと、まず都の税収は、ご案内のとおり、法人二税に代表されるような景気変動の影響を受けやすい所得課税の割合が高い。これに対しまして区市町村の税収は、比較的安定して推移いたします資産課税の割合が高いという大きな違いがございます。
 また、区市町村は特別区財政調整交付金あるいは地方交付税交付金によりまして財源が保障されている一方で、都は都道府県で唯一の不交付団体でございまして、それだけではなくて、富裕団体という根拠のない理由で国庫支出金が削減されるなど、不合理な財源調整を受けております。
 さらに、冊子でもお示ししてございますが、区市町村の収入となる都の支出金、これが、都税収入がバブル崩壊後減収となっているにもかかわらず、増加しているという実態もございます。都の支出金の昭和六十二年度の水準を一〇〇とした場合に、平成十四年度の支出は、特別区に対する支出金が二一五、それから市町村に対する支出金が一六五となっております。
 このようなことから、区市町村の収入構造は、都と比べますと安定したものになっていると考えられます。

○秋田委員 今の部長の説明を整理させていただくと、区市町村の税目は比較的景気の動向に左右されにくく、バブル崩壊後も税収を維持している。一方、都税は景気の影響をもろに受けて、税収はかなり落ち込んでいるけれども、市町村に対する都支出金は税収の動向とは関係なく増額を続けてきた、こういうことになるんだと思いますが、「今後の地方財政を考える」というこの冊子の中でも、区市町村への都支出金は他の道府県と比較して手厚いということが述べられております。
 確かにこのことは一つの事実なんだと思いますが、この事実をとらえて、財政当局としては、区市町村に対する支出金も他の施策の見直しと同様に例外ではない、現在の規模を維持することはできないんですよということをいっておきたいのかなと邪推をしたりもいたします。
 もちろん現在の都財政の状況を考えると、そのような考え方もわからなくはないんですけれども、都と区市町村の財政関係を考える際には、単に金額の多いとか少ないとかを判断基準として都支出金を増減させるという話にとどまるのではなく、もっと広い視野、すなわち地方分権の推進という観点から議論することが大切なのだと思います。
 そこで、財政当局は、真に地方分権を実現するために、都と区市町村の財政関係のあり方、とりわけ都から区市町村への財政援助のあり方をどうあるべきだと考えているのか、伺います。

○熊野主計部長 冒頭、先生からご指摘いただいたとおり、我が国は今、高齢化が急速に進む中で、総人口が減少に転じようとしている、そういう時代の大きなターニングポイントを迎えております。こうした逆境の中で、今後とも行政サービスの質を維持し、我が国の活力を向上させていくためには、硬直化しました、あるいはむだの多い中央集権の政治、経済システムを抜本的に改めて、早急に地方主権の確立を実現しなければいけないと考えております。
 しかしながら、地方主権の確立を目指す取り組みというものは、我が国が極めて厳しい状況にある中で、いわば活路を見出す取り組みでございまして、我々自治体にとって決していい話ばかりではないということを肝に銘ずる必要があろうと思います。
 地方主権の時代においては、それぞれの自治体が、受益と負担の関係を明確にしつつ、限られた財源を活用して、住民の求めるサービスを適切な量と質で提供していくということが求められております。
 自治体の責任は、国頼みの行財政運営を続けてきた時代と比べ物にならないほど重くなってくるというふうに思っております。そこでは、自治体のサービスはその自治体みずからの税で賄うことが原則でありまして、みずから歳入確保を努力することはもちろんでございますけれども、原則的に地域間の財政力格差を補うものとして地方交付税制度が存在する中にあっては、それに加えて、都道府県が区市町村に対して財政支援を行うのであれば、これまで以上にその役割であるとか、あるいは目的などを明確にしておく必要があろうと思います。
 いずれにいたしましても、都及び基礎的自治体である区市町村がこの責任を果たしていくためには、国と地方、また都と区市町村との役割分担を初め、行政サービスのレベル、それから将来を見据えた取り組みなど、広範で闊達な議論を尽くしていくことが不可欠であります。
 今後の都から区市町村への財政支援のあり方につきましても、先生ご指摘のとおり、地方主権の確立に向けたさまざまな議論を尽くして、区市町村の自主自立が一層促進されるよう、そういった方向で決めていくべきものと考えております。

○秋田委員 ぜひとも都と区市町村が、本当に地方分権の趣旨に沿った財政運営を行うことができるように、たゆまぬ努力を続けていただけることをお願い申し上げます。
 今回は、都と区市町村の財政関係のあり方に焦点を当てて議論をしてまいりました。この問題だけでなく、財政運営に関してはまだまださまざまな問題がございます。どの問題をとっても簡単に解決することは難しく、乗り越えることはなかなか容易ではないのだなと思っております。恐らく、少なからず痛みをお互い分け合わなければいけないことが予想もされます。
 そのときに必要なのは、財政当局だけで結論をいたずらに急ぐのではなく、都民や関係団体などに幅広く議論を投げかけ、納得のいく結論を導き出すことではないのでしょうか。そのためには、今後も財政状況を明らかにし、問題点や取り組むべき内容について、都民を初めとして多くの人々に積極的に情報を提供するべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○熊野主計部長 都と区市町村の財政関係のあり方以外にも、私どもは、この小冊子で取り上げたようなさまざまな問題を抱えてございます。
 これらの問題につきましては、ご指摘のとおり、都民や関係団体などの理解と協力を得ながら解決していかなければならない問題でございまして、ただ、財政問題というのは一般の人々にとってとかくわかりにくい問題であると思っております。このわかりにくい財政問題をよりわかりやすく、一人でも多くの方々に理解していただけるよう、今後とも、現状や問題点及び取り組み内容等につきまして積極的に情報提供を行ってまいりたいと思います。

○秋田委員 いずれにせよ、冒頭にも申し上げましたが、財政運営というのは、目先のことだけでなく、長期のスパンに立って行わなければならないのだろうと思っております。
 最後に、松澤局長はこの夏に財務局長に就任され、都財政のかじ取りという非常に大切な役目を担うことになりました。財政再建という非常に困難な課題や、一方で、東京の活力をより一層高めるという本当に大きな課題を抱え、都民と東京の明るい未来のために全力を投じていただきたいと思います。期待を大いにしておりますので、最後に、今後の財政運営にかける局長の決意を伺って、質問を終わります。

○松澤財務局長 都はこれまで全力で財政再建に取り組み、着実に成果を上げてきてはおりますが、ただいま主計部長からの答弁にもありましたように、都財政の状況はいまだ健康体にはほど遠い、こういうところになっております。
 現在、ご案内のとおり、十八年度に向けての第二次財政再建推進プランの実現に取り組んでいるわけでございますが、財政再建がさらに前進するかどうかは、ここ一、二年の取り組みが正念場であると思っております。とりわけ、ただいまご議論いただきました、区市町村向けを含めた一兆円近い都からの補助金、あるいは歳出の三〇%を占める人件費の問題、それから、現在進められている地方税財政改革の先行きなどがこれから重要なかぎになるのではないか、このように認識しているところでございます。
 今後、さまざまな角度から財政構造改革を積極的に進めまして、将来に向かって、都民福祉の向上のための強固な財政体質の確立を目指していかねばならないと思っております。
 それからまた一方で、東京の活力を高め発展させていくためには、財政が厳しい中にあっても、重点的、効率的に財源を配分することによりまして、絶えず必要な施策を積極的に講じていくことがあわせて必要でございます。
 そうした意味で、首都東京の再生と都民サービスのさらなる充実を図りながら、財政再建の足取りを確かなものにするという二つの命題の解決に向けまして、中長期的な視点も視野に入れながら、財務局一丸となって、全力を尽くして財政運営に取り組んでいく決意でございます。

○桜井(良)委員 地方の税財政制度をめぐりましては、地方六団体が三位一体の改革に対しまして意見を提出したということで、この秋がいよいよ正念場だ、こういわれているわけでありますが、私は、その中の個々の項目についてご議論をするんじゃなくて、もっと基本的に、地方税財政制度を論ずるに当たっての認識をしっかり持っていかなきゃならないと思っているわけなんです。
 この件に関しては、代表質問、一般質問でも知事からいろいろ答弁がございましたが、知事の答弁は、地方六団体として初めて地方としての意見を国に具申したといいますか、提出したことについての意義は認めるけれどもと--その後、若干、やはり地方同士の間ではいろいろ議論があるところがあるんじゃないかというようなニュアンスとして受けとめました。
 私は、そういう知事のお考えは当然だと思うわけでございまして、今の地方税財政制度を論ずるに当たりましては、いわゆる国対地方という二極だけでは論じられない、日本の国の持っている人口の集中だとか、産業の形態であるとか、さまざまな面で、この二極で論ずるには非常に難しい状況があると思うわけであります。
 前にも発言しましたが、国と地方という二極構造の中で、今までいろんな議論がされてきて、なかなか肝心のところが解決に至らないというままなので、私は、この構造の問題をしっかり今後の認識として置いておく必要があると思っているわけなので、三位一体といいますが、とらえようによっては、私は三位とは、国と、いわゆる東京などを含めた大都市と、それ以外の地方というのを本当の意味での地方財政制度を論ずる場合の機軸にしていかなければ、将来、日本の国の地方財政制度、また今抱えている交付税等の問題の解決は来ない、こう考えているわけでございます。
 そういう意味で、これから地方財政制度を論ずるに当たっては、国、大都市、その他の地方という三極構造という観点で考えて議論する必要があると思いますが、私はそのように考えるわけでありますが、財政当局としてのご意見を伺いたいと思います。

○熊野主計部長 現行地方税財政制度は、お話しいただきましたように、国と地方という二極構造を前提として制度設計をされておりまして、各地方公共団体の置かれました状況は千差万別でありまして、その規模、環境が異なっているにもかかわらず、基本的には同一の制度が適用されております。
 そのため、東京あるいは大阪のように、あるいは市でいえば横浜、川崎のように、集積に伴う膨大な大都市需要がありましても、その構造的な違いを調整する仕組みが十分に準備されておりませんで、他の道府県あるいは他の市と同様の制度が適用される仕組みとなっております。
 これまで自治体間で大都市が孤立しがちであったのは、こうした構造的な違いが考慮されることなく、数の上で大多数を占めております大都市以外の地方に基準を置いた発想であるとか、あるいはシステムが続いてきたためでございまして、その結果、地方財政がさまざまな矛盾を抱えるに至っていると考えております。
 したがいまして、今後、地方税財政を論ずるに当たって、こうした構造的な違いを踏まえて議論すべきであって、ご指摘のとおり、国、大都市、それ以外の地方という三極構造を踏まえて議論することは大変重要なことであると認識しております。

○桜井(良)委員 要するに、実質的な違いを棚に上げて二極だけで論じても、なかなか前には進まないと思うわけなので、この辺は同じ認識だということだったわけでありますが、しかし、こういうことを議論すると必ずついて回るのは、東京についていえば、東京ひとり勝ちということでありまして、この東京ひとり勝ち論、私もいろんな地方の我が党の議員と話しますが、中にはこれを、要するに東京に対する一つの抵抗というのか、何か東京をやり玉に上げながら自分たちを利するような、いわゆる確信犯的なことをいう知事も一部にいるわけでありますが、しかし、大半は東京のことがよくわかっていない、需要について、というふうに私は判断をいたしました。
 それで、そういう誤解を取り除く一つの手段が、今、主計部長もいったように、いわゆる大都市需要であります。特に東京の大都市需要の場合は、首都ということもありまして、東京が抱える特有の財政需要、いわゆる東京が取り組まなきゃならない、地方にはわからないようなたくさんの業務もあるわけでありまして、このことに東京が取り組むことが、都民だけじゃなくて国民全体にとっても利益なんだということを広く理解してもらうことが大事だと思うんですね。その理解が深まれば深まるほど、地方と東京都との溝は埋まってくると私は思うわけでございます。
 このことは、財務局のまとめました「今後の地方財政を考える」という冊子の中にも書いてあるわけでありますが、改めて大都市需要について説明をしていただきたいと思います。

○熊野主計部長 東京ひとり勝ち論というのが非常に根深くて、私も、東京都がこれだけ苦しいのに、何でこういう議論が横行するのかということをつらつら考えてみますと、やはり今の議論というのはどうしても歳入に目がいっている。今の三位一体でも、国庫補助であるとか、交付税であるとか、税源移譲であるとか、歳入の議論はされるんですが、歳出の議論が置き去りにされているという嫌いがございます。
 特に東京について申し上げれば、東京特有の行政需要があるわけで、その最たるものが大都市需要だと思っております。こういったことが議論されないことが、ご指摘のとおり、東京に対する誤解を招いて、ひいてはひとり勝ち論に結びついているというふうな感じを受けております。
 そこで、今回発表いたしました小冊子におきましても、この大都市需要の例を幾つか挙げてございますが、幾つか申し上げますと、例えば高額な用地取得費、それから、日本経済の骨格をなす高速道路の良好なネットワーク化に欠かせない三環状道路の整備、あるいは渋滞解消のための連続立体交差の整備、首都圏の膨大な水需要にこたえるための水資源確保、あるいは全国平均よりも高い伸びを示しております高齢者人口の増加への対応、こういった例を挙げさせていただきました。
 ただ、国はこうした特有の財政需要を無視してきただけではなくて、極めて問題のある法人事業税の分割基準あるいは道路特定財源の配分のゆがみなど、不合理な不利益措置を課してまいりました。
 しかしながら、東京には日本経済の牽引役が求められておりまして、この役割を果たすためには、今申し上げた大都市需要に的確にこたえて、東京の都市機能を維持拡充し、東京に活力を取り戻していかなければいけない。このことが、先生ご指摘のとおり、東京だけではなくて、ひいては国民全体、日本全体の利益につながるものと考えております。

○桜井(良)委員 主計部長おっしゃるように、収入だけの土俵に東京と地方を一緒に乗っければ、経済の中心である東京が勝ち組になっちゃって、地方が負け組というのは当然のことなんですが、それだけでいわゆる財政構造の議論が論じられているわけですね、東京に対する。これはぜひ理解を深めて、解決していかなければならないと思うんですね。そういう一環でもこの小冊子を出したと思うわけでありまして、引き続き財務局の努力をお願いしたいと思います。
 それは単に時を待っているだけじゃない。ある人がいった話に、時というのは待つんじゃなくて、つくるのが大事だ、こういうこともありますから、単に待つのではなくて、積極的に打って出るという姿勢が東京都には求められていると思います。
 そこで、春先に都が出した三位一体に関するパンフレットがありましたね。あの中では、当面の税源移譲の額を六・七兆円として、その内訳として、個人住民税の一〇%税率へのフラット化と同時に、地方消費税を一%から二・五%まで引き上げることを訴えているというか、提言しているわけでありますが、これは私も賛成であります。
 今回、個人住民税への所得税のフラット化の問題は、一部そういう傾向が出てきておりますが、問題はこの消費税なんですね。消費税については、各地方とも--二・五というのは東京都の主張でありますが、とりあえず一%にしてくれという要求が出ているわけでありまして、先ほどお話があった東京、あるいは神奈川とか大阪の話も出ましたが、恐らく一%でも還元されれば、還元がふえれば、もらっている交付税よりもその額は大きいという府県もあると思います。
 そういう意味で、地方消費税の問題については、もっと大都市と連携を強固にして運動を展開していくことが大事ではないかと思うんですが、どうかなと思います。
 これは別に消費税を上げることにつながるとか、つながらないという議論じゃなくて、国が幾らもらって、それで地方にこれだけしか来ていないという問題はやはり改革する必要があるという立場でお聞きしているわけなんですが、いかがでしょうか。

○熊野主計部長 大都市間の連携につきましては、この間、知事主導で、首都圏の八都県市でディーゼル車対策を共同で実施したり、あるいは今年度からは八都県市の常設の事務局を設けて、連携を強化しております。
 また、地理的に離れた大阪とも、この間いろいろ共同提案、国に対する提案要求などを行ってきた経緯がございます。
 今回の三位一体に限らず、お互いに共通する課題を抱えた大都市間が連携するということは非常に重要なことでございますので、先ほど議論のあった三極構造の考え方、この重要性を改めて認識いたしまして、税財政制度の設計に当たりましても、ご指摘の視点を踏まえて、連携を強化してまいりたいと思っております。

○桜井(良)委員 ぜひお願いしたいと思います。
 先ほど大都市需要の話がございましたが、これから少子高齢化社会といわれる中で、冊子では、高齢者の増加と少子化対策ということも打ち出しているわけでありますが、特に高齢福祉対策は大事な問題だと思います。
 冊子によりますと、高齢少子化の中で、主な給付の対象となる六十五歳以上の日本の人口は、今後二〇二五年までに現在から約一千万人増加する。それに対しまして、その給付を支える十五歳から六十四歳までの人口は約一千三百万人減る、こういうふうになっていますよね。
 さらに、東京や大阪ほど高齢者人口の増加が大きいというふうにも指摘されているわけでありますが、これは、高齢福祉対策の今後の方向性としても、よく考えていかなきゃならない大事な点があると私は思います。
 こうした状況が具体的に都の財政にはどのような数字になってきているのか、高齢者福祉関係の決算額でちょっと教えていただきたいと思います。

○熊野主計部長 都の老人福祉費を普通会計決算ベースで申し上げますと、平成元年度が一千百九十八億円に対しまして、平成十五年度には二千百六十一億円となっておりまして、約一・八倍増加してございます。ちなみに同じ時期の高齢者人口は、平成元年度が百二十二万人でございましたが、平成十五年度は二百十二万人と、こちらも老人福祉費とほぼ同様の約一・七倍の増加となってございます。

○桜井(良)委員 今いった老人福祉費というのは、中身はどんなものですか。

○熊野主計部長 主には六十五歳以上の老人に対する施策、ハードでいえば特養の建設、あるいは老人介護関係のソフト関係の経費でございます。

○桜井(良)委員 恐らく老人医療費助成や介護保険の負担金あるいはいわゆる痴呆性高齢者グループホーム整備などの施設整備費等の経費も含んだ額だと私は理解いたしますが、今の話を聞きますと、平成元年度一千百九十八億円、十五年度が二千百六十一億円ということで、十五年間で約一・八倍にふえている。人口も一・七倍にふえているということなので、高齢者人口の増加に見事に比例して財政負担も増加しているということだと思います。
 都においては、高齢者人口を上回り、介護が必要ないわゆる要介護高齢者の数もふえているというのが一つは大きな特色ではないかと思います。手元の資料によりますと、平成十二年度の都の高齢者人口に対しまして、要介護認定者は十八万人ということで、これは九・七%だったのが、予測として七年後の十九年度には四十一万人、一七%までに増加するというふうに見られているわけであります。高齢者の五、六人に一人は介護を要するということで、高齢者社会というよりも介護社会というような現状になるような状況だと思います。
 そしてまた、介護をしている人の年齢は、二人に一人が六十歳以上の高齢者が介護に携わっているというデータもあります。
 こういう急激な高齢化、要介護化が進めば、現行の介護保険制度も財政面から大きく圧迫されてくる。来年度改正の時期を迎えますけれども、制度的にも、東京都や地方自治体にとっても重い負担になってくるということは当然予測されるわけでありまして、高齢化社会に対応するために五年前に始まった介護保険制度が、急激な高齢化、要介護者の増加のために、それぞれの財政を圧迫して、都財政に対しても圧迫をしてくると思うんですが、概数でもよろしいんですが、もしこの辺わかるデータがあれば、示していただきたいと思います。

○熊野主計部長 介護保険制度のもとでは、総給付費のうちの半分を四十歳以上の方の保険料で賄って、残りの五〇%を公費負担としております。そのうち国が二五%、都道府県と区市町村がそれぞれ一二・五%ずつを負担している制度になってございます。
 都におきます介護保険給付費負担金、これは初年度が十二年度でございましたが、決算ベースで三百三十億円でございました。直近の十五年度決算額を見ますと五百六十億円、それから十六年度の予算ベースでは六百六億円となってございまして、十二年度から十六年度のこの五年間で、約一・八倍の増加を見ているということでございます。

○桜井(良)委員 介護保険は来年改正を論ぜられていくわけでありますが、こうした実態も含めて、しっかりした議論がされることを国に対してお願いしたいと思っているわけでありますが、一方、政策面でこの財政負担を何とか食いとめる方法はないのかな、こういうことを考えますと、私たちの党が今強く主張しております介護予防対策、このことをしっかり高齢者福祉対策の大きな柱にしていく必要があるのではないかなと思うわけであります。
 というのは、介護予防対策というのは、介護のサービスを受ける側にも、また行政の側にも、両方に効果というものがあらわれると思います。介護サービスを受ける人たちは、介護予防のさまざまなメニューの中で、より健康的で豊かな暮らしを送れるという面がありますし、行政側にとりましては、予防が介護保険費用の抑制にもつながっていく部分があるのではないかと思うわけであります。
 そういう観点から、高齢者ができるだけ元気で、将来にわたって生活機能や身体機能の維持、改善が図られて、生活の質を保っていくためにはどうすればいいかということは、大きな高齢福祉の中心の一つとして議論されることが必要だと思いますね。
 まず予防が必要だと思います。東京都の老人総合研究所のデータによりましても、要介護になる人の原因を見ますと、脳溢血とか心臓疾患とかの病気になって要介護になる人も多いんですが、かなりの量で、階段から転んで落っこっちゃったとか、骨を折ったのがきっかけになったとか、滑って転んで、それ以来介護が必要になったとか、いわゆる老化といいますか、老いの現象からくる原因も見過ごせないものがあるわけでありまして、老化を予防しながら、ひいては介護になる人をできるだけ抑えていくということがこれからは必要になってくると思うわけでございます。
 そういう意味で、財政的な観点から介護予防についてどのように考えているか、お考えがあれば述べていただきたいと思います。

○熊野主計部長 人間の生き方として、死ぬまで健康でいて、ある日突然死ぬという、いわゆるぴんぴんころりというのが一番幸せだというふうにいわれておりますが、そういった観点から、予防を目的とする事業というのは非常に重要だと思っております。
 また、財政面から見ましても、介護経費の抑制あるいは医療費の抑制につながるものでございますので、一般的に将来増加が見込まれる経費の抑制が期待できるということで、非常に有効であると思っております。いわば介護が必要となってからの経費を後ろ向きというふうに表現すれば、介護予防は前向きの経費ということができると思います。
 ただ、私どもとしましては、今後、予防効果を正確に測定することが非常に難しい点もございますし、また、予防を目的とする余り、事業の内容や規模を拡大してしまう傾向もございますので、こういった点に留意しながら活用してまいりたいと思っております。

○桜井(良)委員 もう既に財政負担を強いられる区市町村においては、今おっしゃったようにぴんぴんころり制度とかってつくって、いろんな知恵を働かせて、元気なお年寄りがいつまでも元気であるようにということで取り組んでおりますが、どうしても今までの老人福祉対策というと、寝たきりの人あるいは痴呆になった人、そういうふうになっちゃってからどうするかという議論が多かったわけなので、そういう人が出ないようにどうすればいいかということも、一つ対策の柱にしていかなきゃならないと考えているわけなんです。
 これ以上話しますと、財務局との、財政委員会での議論ではなくなりますので、ぜひ都が今後、介護予防にはこれまで以上に特段に取り組んでもらいたいなという期待があるということを申し上げておくだけにしておきたいと思います。
 最後なんですが、これは松澤局長に聞きたいんですけれども、景気がよくなったというような、実際、実感はないんですけれども、景気が回復したということから、税収増が期待されているというふうに今論じられているわけなんですね。もしそうであれば、予算編成には極めてプラスなことだと思うんですが、一方に、税収がふえるということについて、若干庁内に甘い期待があるのではないかなという感じもするわけなんですね。ですから、税収がふえたから、行財政改革の取り組みがスローダウンするようことになってはならないと思うわけでございまして、行政改革を進めることと税収の動向は次元の違うものだと思います。
 そういう意味におきまして、これまで以上に行財政の改革にはしっかり取り組んでいただきたいな、このように思っているわけでありまして、行財政改革は財政がいいときはやらなくていいとか、そういう問題じゃなくて、不断の努力ということが一番大事なことだと思います。ぜひそのことを踏まえて、新局長には予算編成に当たってほしいと思うわけでございまして、その局長のお考えを聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。

○松澤財務局長 ただいま桜井先生から、今後の財政運営につきまして貴重なご意見をいただきました。
 地方税財政改革、とりわけ東京都を含め大都市の財政基盤のこれからの充実強化の問題あるいは今後の少子高齢化への対応と財政負担の問題など、これらにつきましては、先生のご指摘を十分踏まえまして、心して都財政の運営に臨んでいくつもりでございます。
 それから、今お話のありました十七年度予算編成についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、都財政はいまだ巨額の財源不足が生じる中で、活用が可能な基金の残高はほとんど底をつくなど、依然として厳しい状況が続いているわけでございます。
 ここで、今お話のあったような景気の上向いている状況はございますが、こうした短期的な景気動向にとらわれて、財政再建の手を緩めてしまいますと、これまでの努力すら水の泡に帰すことになりかねないところでございます。
 いずれにしましても、既に右肩上がりの時代はもう終わったわけでございまして、税収の動向に一喜一憂することなく、やはり財政再建の基本は歳出の抑制であり、ただいまお話がありましたように、内部努力を初めとした行財政改革の取り組みが土台といいますか、重要な要素ということで認識をしてございます。
 また一方で、都は現在、いろんな福祉、医療の充実あるいは治安の回復とか、都民が直面する喫緊の課題にも的確に対応しなきゃいけないということが求められているわけでございます。
 こうした中で、十七年度予算の編成に当たりましては、やはり東京の再生と都民サービスのさらなる充実を図るとともに、今お話のありました行財政改革の取り組みを緊張感を持ってちゃんと進めていき、将来にわたっての財政基盤の強化を目指して、一日でも早く都財政を正常な姿に近づけていくよう取り組んでいく決意でございます。

○松村委員 この冊子は、三位一体改革が進められている中、真の地方分権につながる抜本的な改革をするためには、現状を正しく認識する必要があるとして、本書を出した旨が述べられています。
 そこでまず、三位一体改革については、我が党の考えは既にこれまでの本会議や前回の財政委員会でも明らかにしているので、詳しくは繰り返しませんが、一つは税財源の移譲の問題。
 これについては、恒久的な税源確保は当然でありますけれども、都がいうような、低所得者には増税となるような住民税のフラット化や、また消費税増税によるような、大衆課税にかかわるような、そういう方向は間違っていること。
 そしてまた国庫補助負担金についても、国のこれまでの支配や関与の手段としての公共事業などの補助金は根本から見直さなければなりませんけれども、義務教育はもとより、国が責任を負うべき福祉やその他のナショナルミニマムの確保の点からも、教育も当然でありますけれども、国のいわゆるひもつきの補助金ではなく、地方自治体の裁量でできる国庫負担はふやすべきだ、拡充すべきだという立場。
 それから、第三番目の地方交付税ですけれども、これも、国民の権利と暮らしを守るための仕事を税財政力の乏しい自治体でも行えるようにするために、地方交付税の財源保障機能を堅持することが必要であるという立場を、三位一体改革に当たっては既に明らかにしております。
 そこで伺いますけれども、一つは国庫負担金の廃止についてです。
 知事は殊さら義務教育についてはいっております。この点では、石原知事の立場と我が党も完全に一致しますけれども、しかし、気になるのは、それしかいわないんですね。前回の委員会では、私、主計部長に聞いて、都の国庫補助負担金廃止については何と何なのか、または、ナショナルミニマムとして国が責任を負うべき国庫負担金、補助はどういうものなのかということを伺いました。十分議論はし切れませんでしたけれども、もう既に全国知事会だとか、いろんな立場が表明されております。都の立場も表明したと思います。都の基本的な考え方はどうなのかをまず伺います。

○熊野主計部長 国庫補助負担金の削減に係る都の考え方でございますが、基本的には、先生今おっしゃいましたように、地方の行財政運営に対する国のさまざまな関与、干渉、こういったものが地方の依存体質をもたらしているということ、それから、全国画一的な基準で、補助基準等に基づいて交付されるために、地域の特性あるいは実情にそぐわないものが出てきている、こういったものを抜本的に見直すという基本的な考え方でございます。
 で、これも繰り返しになりますが、国と地方の役割分担に基づいた上で廃止なりを考えるべきであって、今議論されているような単なる数合わせは意味がないというふうに思っております。
 具体的に申し上げれば、国の責任において全国的にその水準が保たれるべき義務教育、生活保護あるいは老人医療、こういった事業に係る経費は、国が責任を持って負担すべきであるというふうに思っております。
 その他の国庫補助金につきましては、財源をきちんと担保した上で、地方の裁量が拡大するとか、あるいはその地域特性や住民の意思を的確に反映した施策の展開が可能になるかどうか、こういった視点から、廃止あるいは存続を判断すべきものと考えております。

○松村委員 前回もそうですけれども、今も、義務教育、老人医療費、生活保護、この面では具体的ですけれども、今、老人医療費以外にも、高齢福祉それから障害者福祉などはどうなのか。あと児童福祉だとか、さまざまな国民の立場、目から見れば、当然国民への文化的な最低限度を保障するという憲法二十五条の立場からも、国がやはり責任を負うべきものだというふうに考えますけれども、三兆円規模というから、具体的に一定の、幾つかを例示するんですけれども、国から求められていますよね、それでは廃止すべき国庫補助は何なのかと。という点では、東京都の姿勢、立場をもっと明確にして、都民や国民の前に明らかにすべきだということを述べておきたいと思います。
 それで、知事は、全国の知事会についての自分の態度表明がいろいろ誤解を与えているとか、いろんなことがあった中での緊急の記者会見の中でも、改めて三位一体に対する都の見解をこの秋にも出すといっておりましたけれども、当然この三定、その時期ですから、我々議会にも示されて、論議があるというふうに思っていたんですが、いつ、どういう内容で出すのかをお答えいただきたいと思います。

○熊野主計部長 現在、知事本局を中心として、主税局、そして私ども財務局で検討を進めておりまして、本定例会で先生方からいただいたさまざまなご意見、ご提案等も踏まえ、今後まとめていくことになろうかと思います。発表の具体的な時期につきましては未定でございます。

○松村委員 私が冒頭述べた、概括的な我が党の三位一体改革に当たっての基本的な立場、特に高齢福祉や障害者福祉や児童福祉、義務教育は当然のことながら、そういう国庫補助はしっかり国の責任として--今でも欧米諸外国に比べて非常にまだ不十分というか、ようやく追いついたというような段階ですから、さらにそういう点ではもっと引き上げること。また、国の関与だとか支配だとか、そういう点での、特に土木事業を中心としたそういう補助金については抜本的に見直して、もっと自治体の裁量がとれるような税源移譲をすべきだというような立場や、地方交付税の財源の保障機能が堅持できるような、そういう立場もぜひ盛り込んでいただきたいということを私は特に要望したいというふうに思います。
 そこで、この冊子について伺いますが、冒頭で述べたように、三位一体改革のための現状を正しく認識する必要云々といい、議論の素材だといっていますけれども、この冊子のねらいは何なのかがよくわからないんですね。
 特に、後段では補助金関係の資料が随分ついていますよね。今までも既にいろいろな冊子で明らかにされたものもありますけれども、こういうつくり方、冊子の構成から見ると、どうもこの冊子の本当のねらいというのが補助金削減なのじゃないかというふうに思われますし、また多くの関係団体、区市町村を含めて、都民なども、そういう危惧の声が強いわけですけれども、改めてこの冊子のねらいは何なのかを明らかにしていただきたいと思います。

○熊野主計部長 この冊子の目的でございますけれども、社会経済情勢の変化を踏まえまして、既に有効性を失っている中央集権型の画一的社会システムを、これからの時代にふさわしい分権的システムに切りかえていくための改革が今求められているということ、それから、急速に進む少子高齢化の中で、今後の行政水準のあり方も含めまして、地方財政を議論する時期に来ている、そういう問題意識に基づきまして、議論の素材としてさまざまな客観的な数字を発表したものでございまして、決して補助金の削減を意図したものではございません。
 最後に補助金の一覧がついておりますが、これはたまたま、この冊子を報告するときにも申し上げましたように、補助金の適正化委員会で報告するようにというふうなことでいわれておりましたので、この委員会でもお約束してございましたので、それをこの機に、あわせてつけさせていただいたという趣旨でございます。

○松村委員 たまたまその資料をつけたということですけれども、この中には、もう既に今まで財務局が発表した冊子の中でも、補助金関係--例えば高率とか少額とか、長期継続補助だとか、それについて我々もいろいろその必要性について議論しましたけれども、しかし、改めてこれを載せているということからしても、今、主計部長の答弁とはいささかそのねらいが違うのではないかというふうに思います。
 それでは改めて、高率補助、少額補助、長期補助と区分して、その補助金を問題視していますが、その大半は都民にとって必要なものであり、削減すべきではないし、また、区市町村がその補助を通じて多くの都民、住民に必要な施策を実施しているという点では、削減の対象にすべきではないというふうに私は考えますけれども、その点ではどうでしょうか。

○熊野主計部長 今後の地方財政を考えるに当たって、補助金を抜きに議論することはできないということで、その三つの補助金の問題点等につきましては前にも発表したことがございますが、今後の議論が必要であるという観点から、再度掲載をさせていただきました。
 それで、まず高率補助につきましては、一般論でございますけれども、例えば国基準に上乗せして都の補助を行っている、都が単独で行っているようなケースには、例えば事業主体の政策判断をゆがめてしまうことであるとか、コスト意識を弱めてしまうことであるとか、あるいは自主的な取り組みが醸成されないというふうな問題があろうかと思っております。
 それから、少額の補助につきましても、私どもは、少額でありましても、公金の支出である以上、さまざまな手続を適正に行わなければいけませんので、そういったことを考えますと、非常に事務が煩雑化して、効率上問題を生じているケースがあるということ。
 それから、長期継続補助につきましても、これまでの右肩上がりの経済のもとでは仕方なかったのかもしれませんが、必ずしもその間、見直しが十分に行われてきたとはいい切れないものもある。
 こういった問題点があろうかと思っております。それぞれの問題点を克服するような解決を今後していかなければいけないというふうに思っております。

○松村委員 高率、それから少額、長期補助の都の現時点での考え方が示されたようですけれども、しかし、例えば高率、十分の十といっても、本来でしたら、当然ナショナルミニマムとして、国が、特に憲法二十五条などに基づいて責任を果たさなければならないけれども、その実態が余りにも乖離している。特に東京のような実情の中では到底現実に合わないというか、そういうことから、歴史的にも区市町村などとの役割分担からいっても、十分の十、例えば保育所運営費だとか、生活保護関係とか、介護保険負担金とか、そういう上乗せをやってきた経緯があるというふうに思うんですね。
 それは、だから、今も、区市町村の自立性を欠くとか--本来国も大きな、第一義的な、十分それに見合う財源措置を行ってこなかった。だから、あえて東京都が都単独事業でさまざまな加算をやってきて、それが今日の都民の福祉向上に大変役立ってきているというような点では、高率だから、それが今、地方分権とか自治体の自立性を阻害しているなんというようなとらえ方は、区市町村においては全くされていない。もっとそれは充実してほしい、そういう要望とまさに逆行している立場じゃないか。
 それから少額補助、これも、事務の煩雑だとか、補助金に比べて事務手数料がかかるというようなことも、一部そういう説明も私ども受けましたけれども、実際、じゃ、東京都の役割をやめて、区市町村が担えるのか。
 対象者がそもそも少ないわけですよね。例えば酸素ボンベ購入費の助成事業の補助額は十二万一千円。しかし、対象者が一つの区市町村、一つの行政単位にまとまっているというんじゃないんですよね。しかも都民のそれぞれの対象者にとっては命にかかわるそういう問題であるからこそ、たとえ少額であっても、広域自治体としての都の役割があるということ。
 それからまた、事務手数が大変だという話も、現場の職員に聞いてみたら、そうでないというんですね、大体対象者が決まっているというか、申請があるわけだから。今はこういう電子化ですから、通知を出すのにしても、そんな事務手数料は、財務局が明らかにしたようなものではない。現場の実態を知らないから、そういうことをいうのではないかというような声も私は聞きました。
 それからまた、長期継続補助、まさに東京都が認めているように、施策の継続性や安定性が行政に求められているからこそ、重要な要素として今日まで続いてきているわけですよね。それを、もう東京都の役割は終わったというので、基礎的自治体に仕事を押しつけてよいというものでは決してないと思います。
 ぜひこの補助金問題については、そういうものを踏まえて、削減については本当にやらないように。もちろんむだな補助金、私どもも、載せていただいた六百七十一の補助、全部何が何でも維持しなきゃならないという立場にもちろん立つものではありませんけれども、この大半は必要なものであり、一方的な都の立場や見解によって、廃止や打ち切り、区市町村などに対してそういう押しつけをやめるように述べておきたいというふうに思っております。
 それで、次に、今までも財政再建推進プランで出されてきましたけれども、今回の冊子では、新たに区市町村と都財政の関係が出ています。この冊子について、既に新聞報道でもありましたけれども、区長会、区側は、見過ごせない内容を含んでいる、また、一面的な数値で、都内の区市町は全国と比べてもゆとりがあり、役割も改革努力も不足しているかのような誤った印象を都民に与えている、こういう批判を行って、東京都に申し入れを行っております。都はどのようにこういう批判や声を受けとめているのでしょうか。

○熊野主計部長 先ほどの補助金につきまして、一言重ねて申し上げますが、すべての補助金が問題があるといっているわけじゃなくて、繰り返し申し上げておりますが、個々の補助金の歴史的背景とかいろいろありますので、そういったことを検証の上、再構築していきたいというふうに考えております。
 それから、区からの申し入れでございますが、去る九月九日に特別区の企画財政担当部長会の代表の方がお見えになりまして、申し入れをいただきました。先ほど答弁申し上げましたように、本書の目的というのは、このタイトルが一言であらわしておりますように、今後の地方財政について議論しましょうということでございますので、区からいろいろご意見をいただいたことについては、大変歓迎すべきことであろうと思いますし、これをきっかけとして、いろいろ議論が高まることを期待しております。

○松村委員 そこで、私は幾つか、そういう区側から出された意見などについても、この冊子だけ見ても、本当に誤解を与えるというか、私も長年、財政委員会に携わってきていますが、わからないというか、問題があるなというふうに思っております。
 例えば都市計画交付金については、都のというか、財務局の認識は補助扱いにしている。それで、補助金の項目に入れて、これが非常に多い云々ですけれども、歴史的な経過からいっても、この都市計画税というのはそもそも市町村税ですよね。それが、都が広域自治体として、例えば東京全体のインフラ整備といいますか、都市計画道路とか、あと下水道とか、さまざまな事業をやってきている。そうして出発して、しかし、その後、区側にも都市計画事業の役割分担がなされて、一定割合、当然それに見合う財源措置として、この都市計画税というものを分担したということだと思うんですよね。
 ですから、それが補助金という性格ではないという区側のいい分、この点についてはどうなんでしょうか。あくまでも東京都は補助金扱いにして、しかもそれは任意だという形に--任意というか、制度は私も知っています。どういう割合で今なされているか承知した上でですけれども、その考え方について伺いたいと思います。

○熊野主計部長 都市計画交付金につきましては、いわゆる五項目の確認事項の一つで、今検討が進められていると承知しておりますが、検討に当たりまして前提としなければいけないのは、まず都市計画税は地方税法の規定からも都固有の財源でございます。これは明らかでございます。で、都区財政調整制度におきます、いわゆる共通財源とされております調整三税とは全く性格を異にする税であるということをご理解いただきたい。
 それからもう一つ、歴史的経緯を先生おっしゃいましたが、この都市計画交付金ができた発端は、特別区で行う都市計画事業で、臨時的であり、かつ特例的な大規模な需要、こういったものに対して円滑な推進を図るために創設された交付金でございますので、あくまでも奨励的な、財政補完的な補助金であることは明白でございます。
 したがいまして、私どもは、区がいっているように、都市計画事業の実施状況に見合った形で配分されるような、そういう性格の税ではないということは明確に申し上げたいと思います。あくまでも任意の補助金でございます。
 したがいまして、今後は、私どもとしては、どのように特別区の都市計画事業を支援することが望ましいのかといった観点から検討を進めるべきことであろうと思っております。

○松村委員 それでは、きょうお聞きしますけれども、今、都市計画税、これの二十三区と市町村、まあ都内でもいいですよ、市町村のこの税との違いはどういうことなんですか、地方税法で東京都固有の税だというふうにおっしゃいましたけれども。

○熊野主計部長 市町村におきましては、当然のことながら市町村税ですので、市町村の税でございます。ただ、二十三区の地域においては都の税でございます。

○松村委員 それは、地方分権の立場からの二十三区を市並みの自治体ということで、歴史的な経緯もあって、清掃事業を区移管するとか、そういう過程の問題でしょう。あくまでも都市計画税というのは市町村税ですよ。で、やっぱり二十三区は都の内部自治体として、今まで東京都が広域自治体としてさまざまなインフラ整備というか、都市計画をやってきた経緯の中で、まだ引き続きその過程の中で、地方自治法の改正でそれが移ってないだけであって、これはあくまでも税の性格からいえば市町村税なんですよ。
 そういう経緯も含めて、今、地方分権というか、東京都と区並びに市町村というのは、今や対等の自治体として、お互いに発展、育成していこうという協調関係の中で、だから、行政部などが窓口となって、この都市計画税、都市計画交付金のあり方をめぐって、一定の共通の理解に立って、今後検討していこうということになっている。そういう信頼関係があったものを、そこに財務局が入ってきて、これはまだ法律で当然なんだということで、そういうやり方をとるのは、実にそういう経緯を無視した乱暴なやり方だとして、これはやっぱりちょっと反省してもらいたい。
 それで、今、特にこの冊子について触れているんですけれども、この三五ページ、都市計画交付金の対象経費と交付額の推移、この表を載せてありますけれども、あたかも区側のそういう都市計画交付金に基づく事業が実際よりも少なくて、不用額、つまり使い切れない財源になっている。だから、これは予算が多過ぎるんだ、出し過ぎなんだ、こういう表に対しても、実際区側からよく今の仕組みや立場を聞いて、本当に私はびっくりいたしました。
 多くは費やしませんけれども、今の一般財源の三五%の上限とか、そういう都の仕組みというか制約、こういうもとでこういう事態が起きているんですよ。実際、区側が都との役割分担でやっている都市計画事業というのは、それが多いんですよ。だから、本来でしたら都市計画税、そういう財源が使えるべきものを、東京都が逆に渡さないというか措置しない、そういう問題で、この表を財務局が載せたというのも、区側からは非常に意図的なものだと。
 確かにこの表は間違ってはいないけれども、今の実態をよく見て、本当に真摯な議論をというんだったら、そういう立場からの資料を、逆にそういうことを我々都議会に--これを示すというんでしょう、都民にも。わかりませんよ。これを見たら、あたかも区側に出しているそういう交付金ですか、多過ぎて、区側は実際の仕事量というものがないんだ、だから、もっと削減されるべきだ、という問題じゃ決してございません。
 ましてや現在、この都市計画交付金は、都の収入としては一千八百八十二億円というんですよね。ところが、百五十億円が予算とされておりますから、わずか八%と。しかし、実際、区市町村が今やっているさまざまな、これから--まあ、下水が終わった、都の大きなインフラも終わったという点では、もっと生活道路を改善しなきゃいけない、もっと地域に安全な防災施設や公園をつくらなきゃならないというふうに、区はいろいろな需要がある。区民、まあ都民ですね、そのニーズにこたえて一番身近な自治体が努力して、仕事量も相当ふえているわけですよ。ところが、相変わらず八%しか実際には区側に出されていない。この改善こそ求められているのではないかというふうに思います。
 それから都区財調制度、ここでも幾つも問題があります。私も実は区議会議員をやっておりまして、当時、本当に財調が命というような思いでの論議をしてきましたけれども、この問題についても、いろいろな経過を抜かして、この表についてだけ伺いますけれども、三七ページの職員数の推移、これを見ても、私は、財調定数の方が実際の職員数よりも上回っている、算定上職員数が多い、そういうふうに見えるんですよね、指数なんというのはよくわかりませんから。実際に私も、ああ、そういうものかと。実際の二十三区の職員定数が下回って、財調算定の職員数が多いんだったら、当然それはやはり見直しということになるのかなと思って、区側にこの点も聞きました。
 数字を私の方からいいますと、実態としては、平成十二年、実際の二十三区職員定数、これは清掃も含めて八万三千五百九十五人。ところが、財調で算定されているのが七万三千八百四十七人。九千七百四十八人、財調算定の定数が低いというんですね。
 確かにその後、区側もいろんな状況の中で、職員は減らしているんですね。この十五年はどうかというと、実際には七万六千六百三十七人。ところが財調算定の定数は七万四千七百七十七人というので、現在も一千八百六十人、実際の定数の方が上回っているわけですね。
 当然、それに見合う措置を区側は求めているんだけれども、この表を見ると--これは間違っていないというんですね。指数で見れば、確かにこういう表はつくれないことはないというんですよ。しかし、我々はこれを見て、そこまでわかるというか、私はそういう点では知識がなくて、そう見えるかもしれませんけれども、本当にずっと見ると、そういうことがいろいろあるんじゃないかというふうに区側は見て、そういう抗議というか、批判の申し入れを行ってきたのが実情じゃないかというふうに思うんです。
 そこで、もう一つ今、都市計画と財調問題。この財調については、部長もちょっと答えたいんでしょうけれども--いや、質問しますけれども、例えば財調というのも、さっき、調整三税で、それは都市計画税とは違うというけれども、それこそ今まで内部自治体だったから、本来区側の財政が、まあ調整三税として都に入って、それが調整されている。もちろん消防とか、いろいろ広域自治体として、本来市町村がやるべき区の事務を東京都がやっているから、当然それに見合って、かかる財源はこの調整三税、財調の割合で分けますと。で、清掃が移りましたから、若干改定があって、比率が変わった。五二対四八になっているということは承知しておりますけれども、そこで区側が求めているのは、私、わかるんですよ。東京都の今いった消防とか、本来市町村事務でありながらも東京都がやっている、そういう大都市事務といいますか、それと区市町村事務、これを正確に明らかにして、そして、それぞれにどのくらいかかっているかというので積み上げて、その配分をどうするか、それは私は当然だと思いました。
 私は、区議会にいるときからも、そういう思いで東京都に要望しておりましたけれども、ここに来て、その大都市事務というか、東京都がやっている事務をだから明らかにしてほしいというのを明らかにしないで、今度は大都市行政というような概念を持ち出しているということについては、私もそれはいかがなものかと思いました。
 やっぱり大都市事務、財調の財源というのは本来区側の固有の財源で、東京都がやっている仕事に見合って、その中からの負担を受けるべきだという考えがありますけれども、その点についてはどうなんですか。新たに大都市行政などというものを持ち出して、そして財源を区側に渡さないというのはおかしいんじゃないか。見解を伺います。

○熊野主計部長 まず都市計画税は、区が行う都市計画事業というのは、本来、自己財源及び調整三税の五二%の範囲でやるというのが制度になっておりますので、あくまでも都市計画税は東京都の税であり、それを事業の量に見合って配分するような性格のものではないということは明らかだと思います。
 それから、職員数を先生おっしゃいましたが、ちょっと今数字が聞き取れなかったんですが、実際の職員数というのは多分、財調算定外の職員も含んだ数字であろうかと思いますので、また後ほど精査したいと思います。それを比較すると、当然のことながら、算定上の人数の数が少なくなるのは当然でございます。
 それで、お尋ねの都区財政調整制度につきましては、今、協議最中でございまして、区側は、東京都が行っている大都市事務の事業量をもとにして、都の留保財源をはかるべきだというふうに主張しております。これに対しまして私どもは、じゃ、区側の大都市事務の事業量はどうなっているのか、そういう反論は別にしまして……(松村委員「別じゃないんだ。それが大事なんだ」と呼ぶ)まあ、区側の大都市事務も区側の方でぜひ明らかにしていただきたいと思いますが、それはさておきましても、大都市事務と府県事務の区分というのは非常に難しゅうございまして、例えば住宅一つとっても、どこまでが府県事務でどこまでが大都市事務か、そういった問題。それと、現在の事業量あるいはレベルを前提とした議論というのは、これだけ社会の変化が激しい中にあって、そぐわない一面もあるんじゃないかというふうに思っております。
 もしこういった議論を発展させるのであれば、私どもの立場としては、より理想論を申し上げれば、これまでの歴史的経緯だけじゃなくて、将来発生するであろう大都市需要、こういったものも見込んで、ぜひ中期的な安定的な配分割合というものを議論していただきたいと思っております。
 いずれにしましても、この問題は大変難しい議論ではございますけれども、都区双方で現在検討がなされておりますので、財政当局としても真摯に対応していきたいと思っております。

○松村委員 ですから、大都市行政などといって、例えば羽田空港の再拡張だとか、そういう空港事業、国家的な事業を大都市行政だなどといって、一千億円も今後負担していこうというようなことまで、その分担を区市町村に押しつけられるものかとか、首都警察機能も、これはもう東京都が国に対してきちっとその財源をいうべき問題であって、こういうものを挙げて、引き続きそういう需要があるから--これは今まで、東京都の大都市事務じゃなくて、行政というような概念に広げて、今後、石原知事がやろうとして進めている都市再生事業まで恐らく含める、そういう点での考え方がありありとしているというふうに私は思います。
 そこで、この区長会側は、三番目の各種データの取り扱いについてということでも、さまざまなデータが示されています、しかし、都と特別区の特別な分担関係や歴史的経緯に触れることなく、類似団体との単純な比較を行い、あるいは都と他道府県との比較は示さず云々として、一面的な数値をあたかも客観的な状況分析であるかのように掲載していますというんですが、本当に怒りの声なんですよね。
 こういう指摘に対しては、一々今挙げませんけれども、総括的にこれをいって、恐らくその場ではいろいろ指摘があったと思うんですよ。それはどのように受けとめられていますか。

○熊野主計部長 再三申し上げますが、今後の地方財政を考える際の議論の素材として本書を作成したものでございまして、私どもは、関係機関から公表された統計データを用いまして、現状について努めて客観的かつ冷静に分析したものであると理解しております。
 ただ、先生もご案内のとおり、現実のすべてを一度にあらわすような統計データというのはございませんので、地方財政を構成するどういう要素に着目するかという判断については、確かにどうしても主観が入ることになろうかと思います。
 ただ、今回の冊子が取り上げたデータ、すべてを網羅していないということは事実でございます。そうである以上、これらを素材として議論を行いまして、新たな発見であるとか、あるいは相互理解を深めることについては、私どもは歓迎すべき事項であると思います。
 お見えになったときに、個別にここがおかしいとか、どういうふうにおかしいとかいうご指摘はなかったんですけれども、もし今後、区の方でご異論があれば、適切だと考えるデータをお示しいただいて反論いただければ、私どもとしてもより建設的な議論になるのではないかと考えております。

○松村委員 ちょっと一つぐらいいっておきますけれども、例えば、さまざまな指標で、全国に比べて東京の区市町村などのストックが高いとかいろいろありますよね。ただ、それもいってみれば当たり前のことであって、今までの府県と全国の市町村がやっていた役割が出発点から違う。さっきいったみたく、東京都は二十三区を内部団体として扱って、もともと東京都がお金も持って、仕事もやってきた。だから、当然、ストックが高いとかそういう指標をもって全国と比較したって、それはベースが違うということや、それからまた、東京のように集中しているのと、全国の市町村の方の人口というか割合が違うのを、一人当たりに割り直してみて、いかに二十三区とか都内市町村の方が高いかということ自体、客観的といったって、そういう比較の仕方が本当にいかがなものかという、根底に触れるような疑問が出されているんじゃないかというふうに私は思うんです。
 私は、この点について最後にいいたいのは、先ほど議論がありましたが、ほかに比べて二十三区や都内の市町村の方が、まだこういう厳しい状況の中で余裕があるんだというように、実際にこのデータを全部見たら、そういうふうに映りますよね。それは、区市町村とは、いろいろ意見があったらいってきなさい、あなた方のデータを持ってきなさい、議論しましょうといっても、実際こういう冊子が既にインターネットで都民にも知らされ、議会にもこうして提示されている。それが、本当に私たちよく調べるというか、やらないと、都合のいいデータを並べ立てて、我々にそういう認識を与えて、これじゃ、もうこの補助金は削った方がいい、ここは要らないんじゃないか、余裕があるんじゃないか、区市町村の自立を阻害するとか、そういう議論になっていってしまうというか、そういうあれを与えますよね。私はそういうのは本当にフェアじゃないというか、アンフェアだというふうに思うんですよ。
 幾ら議論をしたい、議論の素材だといっても、もっと共通の土台になれるような、だれが見ても、それが比較検討できて、なるほど、どこに問題点があって、どこを改革しなければならないかという材料を提供するべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○熊野主計部長 解釈というのはいろいろあろうかと思いますが、それは、ただし、事実であることは事実でございます。
 それから、もう一つ、いい忘れましたが、先ほどの議論にもありましたように、今、東京ひとり勝ち論というのが非常に根強くて、それは決して東京都だけをターゲットにした議論ではなくて、二十三区も対象に入っているわけですね。したがいまして、我々の意図の一つには、二十三区も一緒になって理論武装しないと、東京ひとり勝ち論の対象は決して東京都だけじゃなくて、二十三区も対象になっているんですよと。だから、あなたたちも一緒に議論して、一緒に理論武装しましょう、それが必要ですねという意図も含まれていることをご理解いただきたいと思います。

○松村委員 私はそれが理解されていないというか、理解されないような新たな不信感を助長するのはどちらなんですかということも一ついいたいんですよ。もっと本当にフェアなそういうものを提供して、一緒になってやることは大いに結構ですよ。結構というか、やるべきですよ。だから、きちっとやるべきことを、今までの行政部とやってきた二十三区の--きょうは特にこういうあれがあったから、私はその点についていったけれども、市町村側もやっぱり同じような考えですよ。ですから、もっと本当に共通してやれるような--今まで行政部が積み重ねてきた信頼関係すら損ないかねないような財務局のこの冊子だから、私は実に遺憾だというふうに、この点については申し上げておきたいと思います。
 最後にお聞きしたいのは、結局東京都は、都の財政再建の名のもと、また、多国籍企業のための都市再生の財源づくりのため、小泉内閣の三位一体を逆に巧みにといいますか、利用して、区市町村への財政上の押しつけや都民施策の切り捨て、負担増を画策しているといわざるを得ないというふうに申し上げます。
 このような財政運営からではなく、この逆立ちを正して、地方自治体本来の姿に立ち戻るべきではないかと、これはもう質問よりも、そういう意見を述べて、終わります。

○執印委員 それでは、質問させていただきます。
 この冊子は、地方財政の危機、都財政の状況、区市町村財政との関係、そして数値的なものが載せられているという仕立てで成り立っているというふうに思います。前回議論いたしました地方分権に関する東京都の基本的見解、そして今回、この「今後の地方財政を考える」というものを出されて、その都度、見解や情報提供されているということについては評価をするものです。
 その上で、三位一体改革に関連する一連の議論すべてに感じることですけれども、国や地方の借金合わせて七百兆円、とんでもないことになっているということは頭ではわかっていても、さて、どうするかというところになると、改革へ体がついていかないという状況は、国も東京都も同じだなというような印象もともに持つわけです。
 私ども生活者ネットワークとしては、東京が首都東京として国と歩調を合わせて運営をしてきたこととか、一時期はバブルとともに踊ったという東京都も、これではいけないと、第一次、第二次財政再建推進プランを作成して、改革に取り組んでいるということは一定の評価をしておりますし、これまでも発言をさせていただいているとおりです。
 しかし、臨海開発ですとか八ッ場ダムの問題、そして新銀行への出資や起債ということも含めますと、本当の意味で見直しがされて、基本的な赤字体質の転換がされているのかという、その問題意識としては大きなものを持っているところです。
 そういう基本的な思いとともに、本書が区市町村財政との関係というのを取り上げているということについては、いろいろ今議論もございましたけれども、今後の基礎自治体への分権、税源移譲への足がかりとしてとらえていきたいという基本的な思いで、今、国から都道府県への税源移譲ということがいわれているわけですけれども、基礎自治体への税源移譲ということを同時に考えていかないといけないと思っておりますので、その思いで何点か質問させていただきたいというふうに思います。
 この資料の「はじめに」が、民間部門の変革に比べ、公的部門は依然として中央集権的、一律の統治システムから脱却できず、構造的な改革が不十分であること、それから、都区制度改革により特別区が基礎的な自治体に位置づけられたものの、本質的な変革に向けた議論が進んでいないということが述べられております。
 私も市部の議員といたしまして、いろいろ過誤納還付金の問題なども読んで、ちょっと驚いた部分もあるわけですが、この「はじめに」に関して、財務局は「真の地方分権につながる抜本的な改革」というような表現もされているわけですが、これはどういうものをお考えになっているんでしょうか。

○熊野主計部長 日本の社会におきましては、今後、少子高齢化が進行しまして、人口が二〇〇六年をピークに減少の局面に入ります。近い将来、社会保障関係の需要の増大であるとか、あるいは逆に、行政サービスの財源を負担する世代の減少、こういった二重の厳しい時代が我々財政当局には降りかかってまいります。
 こうした厳しい時代を乗り切っていくためには、自治体が補助金あるいは交付税に頼っていた従来の行政サービスのあり方を見直して、住民の公平、公正な負担のもとに、それぞれの地域の実情に合った、質、量ともに適切なサービスをみずからの判断で決定して、提供していかなければならないと考えております。
 したがいまして、そこでは、地域がみずからの手で、サービス水準の高低はもとより、施策の優先順位あるいは内容にまで踏み込んで吟味しまして選択できる仕組み、住民側から申し上げれば、受益と負担をより身近なところで判断できる仕組み、こういったものをつくることが重要であろうかと思っております。そうしたことを具現化していくことが、真の地方分権につながる抜本的な改革であろうと考えております。

○執印委員 私どもも、大事なことは市民が決めるということをずっと主張しているものですから、今それに関連するようなお話、または「おわりに」のところで触れていらっしゃるような部分もお答えいただいたかと思うんですけれども、次に、「はじめに」の中に、「第二次財政再建推進プランと一体化させながら、都財政の構造改革につなげていく」という記述もありますが、この冊子と第二次財政再建推進プランとの関係というのはどのように整理されているのでしょうか。

○熊野主計部長 本書は、真の地方分権につながる抜本的な改革に向けまして、議論の素材として発表したものでございますので、直接第二次財政再建推進プランとリンクするものではないと思っております。
 ただ、本書で取り上げました借金依存体質の現状あるいは破綻の危機に瀕した地方交付税の実態を正しく踏まえまして、地方財政の今後を考える議論をするということは、これからの分権改革にとって必ず必要なことでございますし、第二次プランに掲げた地方税財政制度の改善に道を開くものであると考えております。
 また、それ以外の部分で、都財政の現状を踏まえまして、将来を見据えた議論を重ねることが、第二次プランの目指す都財政の構造改革につながると考えております。

○執印委員 第二次財政再建推進プランというのが全体の骨としてあって、それを補完するような形であるということなのかというふうに思いますが、次に、財務局が財源対策で使われる特別な地方債というものを問題にされているわけですけれども、どこを問題と考えているのか。また、本文に、赤字地方債の利払いのためにさらに臨時財政対策債を発行するという記述がありますけれども、この点についてももう少し詳しくご説明いただきたいというふうに思います。

○熊野主計部長 地方公共団体が発行する通常の地方債、我々は、地方財政法五条に基づくもので、五条債と呼んでおりますが、これは、文教施設あるいは道路などの公共施設整備の財源として発行されるものでございます。これは、公共施設による便益が将来に及ぶ、将来の納税者もその公共施設を利用するという観点から、現在の納税者と将来の納税者の間の負担の均衡を図るという重要な意味を持っております。
 これに対しまして、ここでいう特別な地方債と申しますのは、単に財源不足額を補うために発行されておりますいわゆる赤字債のことでございまして、これまで発行を戒めてきた地方債でございますが、近年、国の政策によって多用されるようになってきております。
 この赤字地方債の元利償還は後年度の地方交付税で財源措置されるということになっておりますために、多くの地方自治体で負担感がなく、かつ実際の歳入の実力以上に事業実施ができるという状況を生み出しております。その結果、個々の自治体におきまして、財政規律というか、財政モラルを崩壊させたということだけではなくて、地方交付税制度を取り繕うために、借金を返す財源としてまた新たな借金を重ねておりまして、国、地方を通じた借金の増加に歯どめがきかないという事態を招いております。
 こうした状況は、結局のところ、当該年度の財源不足を将来の世代につけ回しているということにすぎませんので、いわば将来提供されるべき行政サービスに必要な財源を先食いしているというものでございます。一時的な対策として赤字債が発行されるというならまだしも、赤字債の発行が半ば恒久化している現状は非常に問題が多いといわざるを得ないと思っております。

○執印委員 この冊子を見ましても、ご説明を伺いましても、また自治体で見ておりましても、国の財政運営の無謀さがこの国の破綻を引き起こしてきたというふうに、大変そこのところはよくわかるわけですが、同時に、いろいろ今までも議論になっておりました、将来税負担をする人が少なくなっていくという問題についても、この状況を引き起こしてきた人たちが、将来税を担う人がいない厳しい状況だからといって少子化対策をするという発想では、子どもを産もうと思わないというふうに思いますので、まず、子どもを産みやすい社会をつくることが大事だというふうに思います。
 で、この議論とは直接関係ないように聞こえるかもしれませんけれども、男女共同参画社会の推進をきちんと進めていかないことには、この問題が解決できないというふうに思いますので、将来税を担う人がいないからというところで、この問題が議論されていくことには非常に違和感を感じますので、その点はあえてここで発言をさせていただきます。
 それで、こういった社会だから子どもを産みたくない、だから、さらに厳しい状況になっていくというようなことがあります。先ほども、将来世代に借金を先送りすることを繰り返し繰り返しやっているんだ、そういうことだったというふうに思うんですけれども、十六年度の国債依存度が四五%にも達するということもありまして、非常に重い借金を背負わされているということは部長からもお話がありましたけれども、これは実は後々返さなくてはならないものだということで、その額が平成二十五年度には八兆円を超えるということが載せられておりましたけれども、これに対して、ほかの自治体の反応というのはどのようなものだったのでしょうか。

○熊野主計部長 この冊子につきましては、都内の区市町村に郵送して、またホームページで公表してございます。我々の地方交付税に関する分析あるいは問題点の指摘について、賛成あるいは同意を示す、あるいは批判、疑問を呈する、こういった反応は残念ながら特に寄せられておりません。
 推測にはなりますけれども、先日の全国知事会におきます各知事からの発言、これを聞く限り、地方交付税制度の抜本的改革よりも、今後も地方交付税の財源保障機能であるとか、あるいは財源調整機能によって財源を確保すること、こういったことに目が奪われている自治体が多い。あるいは、地方交付税制度について危機感を抱いていない、あるいは危機感を感じたとしても、それからあえて目を避けている、こんな自治体が多いのではないかと思っております。

○執印委員 本当に普通に考えたときに、このままの状況が続くと普通の人たちは思わないわけですけれども、それでも大丈夫だといい続けてやってきた国の体質というのは本当に問題だというふうに思います。
 あわせて東京都も、私どもも主張しておりましたように、一番最初にいわせていただきました八ッ場ダムの問題とか新銀行の問題とか、いろいろ大都市だからこそ起きる需要というようなところでも、これも触れられてもおりましたけれども、やはり普通の人が考えて、これはどうにもおかしいよというようなことについては、真摯に耳を傾けて、体質を変えていただくということをしていかない限り、本当の問題解決にはならないのではないかというふうに改めて主張させていただきまして、次に、区市町村財政と都財政との関係です。重複は避けていきたいというふうに思いますが、私は、これは基礎自治体への税源の移譲というふうに進んでいくものであれば、すばらしいものであるというふうに思うわけですけれども、今回この関係にスポットを当てた意図というのは何だったのか、改めてお伺いいたします。

○熊野主計部長 この冊子でとりたてて区市町村との関係にスポットを当てたつもりはないんですけれども、ただ、広く地方財政について取り上げる中で、これまで余り議論されてこなかった都と区市町村の財政面での関係について取り上げたということでございます。
 真の地方分権、これを実現していくためには、それぞれが役割分担に基づいて、地域の実情に合った、質、量ともに適切な行政サービスを責任を持って提供していく、こういった財政制度を確立することが不可欠でございます。こうした中で区市町村と都の関係を考えていかない限り、真の分権はないというふうに思っておりますし、本格的な議論がこれまで十分でなかったので、若干の議論の素材の提供をさせていただいたということで、今後の議論のきっかけになることを願っております。

○執印委員 基本的にこれからどうしていくか、例えば国と都道府県の関係のように、東京都と基礎自治体の関係をどういうふうにしていくかということを鮮明に出していかないから、さまざまな議論が起きてくるのかなというふうにも思うわけですけれども、三〇ページのところに、先ほどもちょっと触れられていたんでしょうか、「都は、税収が減少する中にあっても、他の道府県に比べ区市町村に手厚く支出金を交付している」ということがありまして、これが本当にどういう意図でこういう書き方をしているのかというところがなかなか見えないところでもあったわけですね。どういうような考え方に基づいてこれをしてきたのか、その結果、手厚く支出金を交付しているということで、都財政にどのような影響が出ているというふうに考えているのか、その点をお伺いいたします。

○熊野主計部長 先ほども申し上げましたように、今後、都と区市町村のあり方を考える上で、お互い独立した団体でございますので、それぞれの財源によってそれぞれのサービスを提供していくという原則に帰ることが非常に大切だと思っております。
 その上で、それぞれの区にしろ市町村にしろ、それぞれ自己財源があるわけですから、それに加えて東京都から財政支出をする場合には、これまで以上に、その目的であるとか効果であるとか、そういったものを検証していかなければいけないという問題意識のもとに、この図を掲げたものでございます。

○執印委員 目的意識を持ってお互いに検証していくということだというふうに思いますが、先ほども議論がありましたが、私からももう一度聞かせていただきたいんですけれども、これをきっかけに補助金の削減が行われるのではないかというふうに区市町村が危惧して、いろいろな声も上がっているわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。

○熊野主計部長 現在、第二次財政再建推進プランに基づきまして、施策の見直しに取り組んでおります。これは、当然のことながら、時代の変化に伴って必要性の薄れた事業を廃止して、そこで生み出された財源で、新たな都民ニーズに対応した施策の展開を図る、こういう積極的な取り組みであろうかと思っております。
 で、区市町村の補助金、これもこの見直しの例外ではないというふうに考えておりまして、一律に補助金をカットするという趣旨は全くございませんが、ただ、個々の事業の意義、目的あるいは内容を十分に精査、検証して、見直しが必要な補助金については、区市町村との協議を得た上で、再構築を進めることとしているものでございます。
 これらの事業の見直しによって捻出できた財源を、より今日的な課題の解決のために振り向ける、新たな住民サービスのために使う、こういったことは、市町村にとっても、それから都民にとっても、メリットがある取り組みだと思っております。当然のことながら、市町村にとっては補助金の裏負担がございますので、そういったもう必要のない事業あるいは効果の薄れた事業の補助金については、一緒に見直して、一緒に新たな施策の構築に向けていくということが重要であろうかと思います。
 補助金だからといいまして、一律、機械的な削減を行おうとする意図は全くございませんけれども、関係者にも共通の認識を持ってもらって、事務事業の見直しに取り組んでいきたいと思いますし、既存の事業に新たな事業を積み重ねるということは、確かに右肩上がりの時代には通用したかもしれませんけれども、もはやこれからの時代には通用しないということは、この失われた十年間で、国そして我々が学んだ重大な教訓であろうと思っております。

○執印委員 そこの東京都が考えていることと、基礎自治体が考えていることと、市民が求めていることがどのように一致させられるかということだというふうに思うんですけれども、かなり心配も出ているようですから、その辺は丁寧に対応していただきたいというふうに思いますことと、また、私どもは包括補助金という形でこれまでも提案してきましたので、これだけ東京都がやっているのであれば、いっそ思い切って自治体に税源を移譲していくということを打ち出していく方が、より改革的で抜本的な関係性の見直しになるのではないかというふうに思います。この点については、財務局だけではできない部分なのかもしれませんけれども、そういったことを十分に踏まえていただきたいというふうに思います。
 それで、先ほどちょっと触れられておりましたけれども、この冊子の「おわりに」のところに、「住民自らが、単にサービスの高低だけでなく、施策の優先順位や内容にまで踏み込んで吟味し、選択できる仕組みをつくりあげることが不可欠である」というふうに書かれております。これは当然のことでもありますし、こういった視点を本当の意味で持っているのであれば、喜ばしいというふうに思うわけですけれども、実際には、これを実現するためには、思い切った発想の転換が必要だというふうに思うわけです。
 市民が、自分が納めた税金の使い道を自分たちでどう決めていけるかということが、今後の本当に大きな課題ですし、国からの税源移譲とセットにして、その仕組みがつくられていかないことには、結局は自治体から自治体への税源の移譲に終わってしまったというふうにもなるわけだと思います。
 埼玉県の志木市では、個人住民税の一%を市民が選択した施策に充てる、そういった仕組みが十二月に条例化されまして、来年の三月から実施されるというふうに聞いております。人口規模が違いますので、東京都がすぐにというのは、とても東京都の職員の方としては違和感があるかもしれませんけれども、その発想のところは非常に重要だというふうに思います。
 また、県レベルでいいますと、埼玉県では、県民税の一%を指定したいNPOに寄附できるということも進められようとしているというふうに思いますが、本当にこういった形で、思い切った形で東京都も進めていく必要があるというふうに思いますが、この「おわりに」にここまで書かれてあるということで、財務局がこれからどのように進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 ただいま志木市の例を先生挙げられましたけれども、私どもは、議会を通じて、東京都の予算は一〇〇%都民が決めていただいていると思っております。

○執印委員 そういうふうに質問すると、必ず行政の方というのは、議会が決めているから市民が決めているんだ、都民が決めているんだというふうにお答えになるわけですけれども、市民が多様化しているということを考えたときに、もちろん私どもも選んでいただいた立場ですから、ないがしろにしていただくわけにもいかないんですけれども、多様な参加の仕組みを東京都がつくっていくということを考えていく必要があると思うんです。
 「おわりに」に書かれて、ここまで述べられていることと、今のお答えというのは非常に違いがあり過ぎて、ちょっと納得できないんですけれども、もう一度お願いいたします。

○熊野主計部長 「おわりに」に書いてある、先ほども答弁しました、住民が身近なところで受益と負担の関係を判断していくというのは、あくまでも選挙を通じてというふうに私どもは理解しております。

○執印委員 ちょっと今のお答えだと、幾ら書かれていても、うまくいかないだろうなというふうにしか私どもは思えないわけですけれども、何というんですか、みんなが少しずつ反省しつつ、みんなが少しずつ今のかかわり方を変えつつ、財政も見直し、施策の見直しもしていかないと、どうにもならないところまで今来ているという発想が何よりも必要ではないかというふうに思います。議会を尊重していただいていることはお礼を申し上げますが、それだけじゃないということを、ぜひ今後の課題にしていただきたいと思います。
 また伺っても同じ答えだと思いますから、もうやめますけれども、本当にまちが活性化するとか、税金が生きていくということが、議会も含めて、もう少しおおらかに議論されていくことが必要かなというふうに思います。
 最後に、こうした取り組みを進めるに当たって、バランスシートの活用というのも重要な役割を果たすというふうに考えますが、私どもも何度か指摘をさせていただきました。本書には直接の記述というのはありませんけれども、東京都が進めている公会計改革の進捗状況を伺いたいと思います。

○熊野主計部長 公会計改革につきましてお答え申し上げます。
 真の分権改革を進めるためには、行政情報の積極的な公開が不可欠でございますので、統一されたルールのもとで、必要な情報の的確な開示を目指す公会計改革の役割は大変重要であると考えております。
 現在の進捗状況でございますけれども、財務諸表の作成基準の検討あるいは財務会計システムのプログラム設計などを鋭意進めております。また一方で、都営住宅等事業会計で、複式簿記、発生主義会計の試行を実施しておりまして、実務上の課題を整理しているところでございます。
 今後は、平成十八年度の本格実施に向けまして、システム開発などの準備作業を引き続き進めると同時に、円滑な実施とその活用に向けまして、職員への周知徹底を図るために、マニュアルの作成あるいは研修を実施していく予定でございます。

○執印委員 それでは、バランスシートの方はまた積極的にお願いいたします。
 ちょっと考え方が一緒にならないところもございましたので、これからも徹底的に議論をさせていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時十七分開議

○近藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開会いたします。
 これより出納長室関係に入ります。
 初めに、所管外の理事者の出席について申し上げます。
 本日の出納長室関係の報告事項に関し、所管外の理事者の出席を求め、質疑を行いたいとの申し出があり、理事会で協議の結果、新銀行設立本部の津島隆一本部長、関敏樹企画担当部長及び吉田長生参事に本日ご出席いただくことにいたしました。ご了承願います。

○近藤委員長 本日は、報告事項、平成十六年度資金管理計画について外一件に関する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井(武)委員 報道によりますと、先週、全国銀行協会の西川会長が記者会見を行いまして、新銀行東京から全銀協加盟の申し込みがあった場合、現在の時点では、加盟を認めるのは難しいという見解を示したとされています。
 そこでまず、全銀協とはどのような団体なのか、また、新銀行が加盟する意味はどのようなものなのか、この点についてまず伺います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 全国銀行協会、いわゆる全銀協は、昭和二十年九月、各地の銀行協会の連絡、協調の場として発足したもので、平成十六年九月現在、国内で活動する都銀、地銀など百八十一会員、銀行持ち株会社二会員及び各地の銀行協会六十五会員の総計二百四十八会員で構成される任意の団体でございます。
 その事業内容は、各種手形交換や全銀システムといった決済インフラの企画運営や共通の情報交換等でございます。
 新銀行東京も、民間銀行として他行と協調して活動することを目的として、加盟する方向で打診をしてきております。

○桜井(武)委員 新銀行も全銀協への加盟を考えていることはわかりましたが、こうしたコメントを出されたことによりまして、今後、新銀行東京が本格開業に向けて準備を進めていく上で何らかの支障が生じないのか、心配になります。その点について、今後の見直しを含め、見解を伺います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 全銀協の西川会長のコメントでございますけれども、各種手形交換や全銀システムといった決済インフラの利用は認めるとのことでございますので、これによって新銀行の業務運営に支障はないと考えております。
 なお、都としては、本年二月に全銀協から出されました新銀行構想にかかわる意見書の内容と比較いたしましても、全銀協はより弾力的な姿勢を示したものと受けとめております。
 さらに、今回の発言は、新銀行東京の現状を前提としておりまして、途中経過のコメントと理解しております。
 新銀行東京は、今後適切なステップを踏むことで、民間銀行としての発展を目指していくこととしておりますので、加盟については十分な展望を持っているというところでございます。

○桜井(武)委員 次に、中小企業を取り巻く状況について幾つか伺います。
 最近の経済状況を見ますと、九月の内閣府の月例経済報告では、景気は堅調に回復しているとしておりますし、また、帝国データバンクが発表した八月の企業倒産状況でも、負債総額一千万円以上の倒産件数が二十カ月連続で減少しておりまして、前年同月比でも一八・二%減の千八十件となるなど、景気が上向いていることがわかります。
 今回の景気回復局面は、好調な米国経済、あるいはまた内需を拡大する中国向け輸出と、企業収益の回復や設備投資に支えられる形で継続しているといわれていますけれども、しからば中小企業の状況はどのようになっているのか、この点について伺います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 中小企業の業況についてでございますけれども、日本銀行が四半期ごとに約一万社の企業を対象に行っております全国企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観の業況水準調査により説明いたします。
 この調査では、景況感、景気の状況についての感じについて、よい、さほどよくない、悪いという三つの選択肢から一つを選択してもらい、その中で、よいと答えた企業の割合から悪いと答えた企業の割合を差し引いた数を調査の指標としているところでございます。
 直近の本年六月の調査では、大企業につきましては、前回の三月の調査から七ポイント改善いたしまして、プラス一六ポイントよくなっている企業が多いという状況に対しまして、中小企業では三ポイントは改善いたしましたが、依然としてマイナスの一〇ポイントということで、景況感が厳しいという状況でございます。
 また、都の産業労働局が本年八月に行った都内中小企業の景況調査におきましても、景気動向に対する実感は、回復、やや回復と答えた企業が二二・五%にとどまる一方、変化なし、むしろ後退との回答が七六・四%を占めております。
 これらのことから、多くの中小企業はいまだ景気回復を実感できていない状況であると考えられます。

○桜井(武)委員 今の報告ですと、多くの中小企業がいまだ景気回復を実感できていない状況であるということでありますが、それは事実だと私も思います。
 一方で、金融関係者などから、中小企業にも資金が回り出しているという話も、やや耳にすることがあるわけでございますけれども、金融面から見た状況は果たしてどのようになっているのか、この点について質問いたします。

○関新銀行設立本部企画担当部長 金融面の状況でございますが、日銀の統計によりますと、国内銀行の融資残高は、平成十三年の三月から平成十六年の三月までの三年間につきまして、全融資残高では一一・五%減少しております。特に中小企業向け融資残高では二〇・四%と、全体平均の倍の大幅減少となるなど、中長期的に中小企業の金融環境は厳しい状態が続いてきております。
 また、日銀の統計の直近の銀行全体の貸出残高につきましても、平成十六年六月末の大企業向け融資につきましては、前期の平成十六年三月末に比べまして〇・八%の減少と、かなり減少がおさまっているのに対しまして、中小企業向け融資は三・五%と高い減少となっております。
 また、本年六月の日銀による金融機関の資金繰り調査におきましても、資金繰りが楽であると答えた企業の割合から苦しいと答えた企業を差し引いた数でございますけれども、前回の三月の調査に比べまして、大企業では三ポイント改善してプラスの一八ポイントになっておりますけれども、中小企業は依然としてマイナスの八ポイントということで、依然として資金繰りに苦しんでいる様子がうかがえるところでございます。

○桜井(武)委員 中小企業を取り巻く現況は依然として厳しいものがあるということがわかりました。
 最近では、三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの経営統合が大変大きな話題となっております。金融再編もいよいよ大詰めを迎え、この統合が日本経済にどのような影響を与えるかについては、さまざまな憶測がなされておりますが、今回の経営統合をどのように評価されておりますか、それについて伺います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 今回の経営統合につきましては、当然ながら評価はさまざまでございますけれども、新聞報道によりますると、経営再建中の大企業にとっては、一方的に再建計画の見直しを迫られるのではないかという危機感が広がっております。また、その大企業と取引のある中小企業の不安はさらに大きくなっているとのことでございます。
 統合する銀行の財務基盤強化のために不良債権処理が加速されれば、結果的には中小企業融資に貸し渋りなどの影響が出ることも考えられます。また、効率化のため両グループの近接する店舗を削減することなどにより、中小企業、一般預金者などの顧客利便性が悪化することも予測されます。
 こうした懸念があることから、中小企業金融の充実や、新しい金融インフラの提供による利便性の向上などを目的とする新銀行への期待は一段と高まっていくものと考えられると思います。

○桜井(武)委員 新銀行への期待は高まってくると私も思います。
 ところで、三菱東京フィナンシャル・グループはUFJグループの資本増強七千億円に協力したということでありますが、このことで、メガバンクといえどもいまだ資本増強が必要であり、資本戦略が銀行経営の重要課題になっているということが浮き彫りにされました。
 新銀行東京では、東京都が一千億円の出資をするほか、マスタープランでは、民間から当初五百億円の出資を募ることにしていますが、新銀行東京の民間への出資要請は現在どのような状況になっているのか、教えてください。

○吉田新銀行設立本部参事 新銀行東京は、民間銀行として着実に発展を遂げていくために、民間から一定の出資を募ることとしております。具体的には、予定しております五百億円の出資を募るために、現在、提携先企業などさまざまな企業に対し要請を行っております。
 相手先企業との関係がございますことから、具体的な企業名、金額につきましては、現段階ではお話しできませんけれども、しかるべき時期にご報告を申し上げたいと存じます。

○桜井(武)委員 個別企業に対する要請であり、内容について詳細に今話せないということですけれども、どのような要請をしておるのか、問題のない範囲で伺いたいわけであります。

○吉田新銀行設立本部参事 出資は、各企業の投資戦略に係る機密事項であることから、要請につきましての具体的内容をお示しはできませんが、出資要請に当たりましては、相手先企業の投資戦略と十分調整を図り、新銀行東京の事業計画、相手先企業に対するビジネスメリットなどを十分に説明し、各企業の理解を得られるよう努めているところでございます。

○桜井(武)委員 くどいようですけれども、もう一遍念を押しますが、開業までに予定どおり五百億円を集めることについて大丈夫かどうか、お答え願います。

○吉田新銀行設立本部参事 個別企業との交渉でございまして、交渉状況をお示しすることができませんけれども、見通しとしましては十分な展望を持っております。

○桜井(武)委員 出資についての質問は以上でありますけれども、開業までに五百億円集まるよう、東京都も最大限努力していただきたいと思います。
 次に、融資商品及び提携の状況について質問いたします。
 現在、開業に向けてさまざまな準備が進められていると思います。新銀行東京は中小企業のための銀行でありますが、中小企業のニーズに合った融資商品を提供することが新銀行の最大の使命であります。
 そこで伺いますけれども、融資商品の商品設計などは現在までどの程度進んでおるのか、ご説明願います。

○吉田新銀行設立本部参事 融資商品の開発状況についてでございますが、まず、ポートフォリオ型融資では、自動審査に使用されるスコアリングモデルについて検証、調整といった開発の最終段階に入っております。また、実際に本店・本部や出張所で行う受け付けから実行までの業務フローにつきましては、骨格が固まり、現在、細部について検証しているところでございます。
 次に、技術力・将来性重視型融資でございますが、これにつきましては、審査体制や評価方法につきまして、有識者や提携諸団体の実務担当者を入れまして検討しているところでございます。十月上旬には審査スキームの基本ができ上がる予定でございます。
 最後に、協調型融資でございますが、融資対象や貸出金額、貸出期間、貸出金利などといった融資条件を決定する際の基本ルールを、信金などの提携金融機関とともに構築しているところでございます。

○桜井(武)委員 しっかりと準備を進めていただきたいと思います。
 次に、先般、東京商工会議所が金融機関と中小企業向け融資で提携するという報道がありましたが、このスキームはどのようなものなのかを教えていただきたいと思います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 今回の東商と各金融機関の具体的な提携スキームでございますけれども、東京商工会議所が、提携した信用金庫八行を含めました計十五の金融機関から提供された優遇条件を備えた金融商品を、東商の会員企業に紹介し、提携金融機関が、会員から申し込みがあれば、会費の納付状況などを東商に確認した上で、融資を実行することとなっております。
 なお、優遇条件の内容につきましては、融資の際に貸出金利や取扱手数料の減免、返済期間の延長など、それぞれの金融機関で異なっているということでございます。

○桜井(武)委員 新銀行東京も、アライアンス戦略の一環として、東京商工会議所と、融資先企業の紹介などによる連携を行うこととしていますけれども、開業後はこのスキームに参加するというふうに理解してよろしいのか、また新銀行が提携に参加した場合、そのスキームはどのようなものになるのか、ご説明ください。

○関新銀行設立本部企画担当部長 先日の東京商工会議所のプレス発表の際にも、新銀行東京の来年四月以降の本格開業後に、中小企業支援スキームを構築することを前提に、既に具体的な協議に入っている旨、東京商工会議所の方から言及があったところでございます。
 新銀行東京では融資商品の検討を進めている段階でございまして、他行、他金融機関との関係から、融資条件等については具体的には申し上げられませんが、会員企業のニーズを十分に把握、分析し、それに即した競争力のある商品を提供していく予定でございます。
 また、融資以外にも、セミナーの共同開催、また、中小企業の持つ技術を評価し、実用化、製品化に向けた資金、技術的支援を行う東京商工会議所の技術力評価事業という事業がございますけれども、これとの連携など、さまざまな取り組みを通じて、中小企業への総合的な支援を実施していくべく準備中でございます。

○桜井(武)委員 東商などとの連携については、ぜひ今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、先ほどのご説明によると、今回のスキームには都内の信用金庫も参加しているということでありますけれども、新銀行にとって、少ない人員、店舗などを効率的に活用し、中小企業向け融資を効果的に行うためには、各分野、とりわけ地域金融に精通した信用金庫との連携が極めて重要であると考えられます。
 本年五月に、新銀行東京は東京都信用金庫協会と人事交流や中小企業等への融資手法の開発などを内容とする包括提携契約を締結しましたが、まず伺いますけれども、信用金庫との人事交流はどのようになっておりますか。また、新銀行東京は現在どのくらいの人材の受け入れを行っているのかを伺います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京では、東京都信用金庫協会との包括提携契約に基づき、人員の受け入れを予定しておりましたが、全体で十五名の信金関係者を今、受け入れているというところでございます。
 具体的には、各行員が持つ地域金融に関するノウハウを最大限に活用するため、その職務経歴等に基づきまして、それぞれのアライアンス部門、システム部門、審査部門など幅広い分野に配置し、活動していただいております。

○桜井(武)委員 次に、融資などの提携についてでありますけれども、その後の進捗状況はどのようになっているのか、また具体的にどのような方法で協議を進めているのか、教えていただきたいと思います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 信金との融資に関する協議でございますけれども、現在、包括提携契約に基づきまして、保証や協調融資にかかわる業務フロー、それから事務マニュアルの作成及び紹介手法などに関しまして、全信用金庫と協議を行っているところでございます。
 協議を進めるに当たっては、地域の実情などを踏まえまして効率的に進めるために、都内の信金を、各地域の特性や預金量などを考慮しながら複数のブロックに分割いたしまして、それぞれのブロックごとに協議を進めているというところでございます。

○桜井(武)委員 最後にいたしますが、東商及び信金との提携の進捗状況につきましてはわかりました。信金など地域金融機関との連携の重要性については、これまで我が党が繰り返し主張してきた点であり、その取り組みが着実に進捗していることは評価をいたします。
 来年度の開業まで、残された時間はわずかとなってまいりましたが、新銀行設立本部においては、提携内容の具体化に向けて、引き続き新銀行をしっかりとサポートしていただきたいと考えますが、最後にその決意を伺って、質問を終わります。

○津島新銀行設立本部長 新銀行東京は、我が国で初めて中小企業無担保融資を業務の中心に据えた、規模的にいって本格的な銀行でございます。
 この銀行の使命を達成する上で最も大事な点は、企業の経営状況を正しく評価、審査し、それに応じた支援をするということでございます。つまり、これまでの銀行は審査の主眼が担保主義ということで、ストック重視でございましたけれども、これをフロー重視の融資の形にする、これがこの新銀行の方針でございます。
 そのためには、地域金融あるいは中小企業の実情、こういったものに精通した信用金庫、さらには先ほどお話がありました東京商工会議所、こういった地域に根差した団体とのアライアンスを組んでいくことが大変重要であるというふうに解しております。
 このアライアンスの形成のためには、新銀行東京自身の努力はもちろんでございますけれども、やはり何といっても地域の行政を行ってきた東京都の信用あるいは実績、こういうものでフォローしていかなければいけないと思っております。
 開業は四月以降、迫っておりますけれども、この新銀行東京に対しまして、ハード、ソフト全般にわたりまして、東京都の実績を踏まえてできる限りの協力、支援を行うことで、万全な開業を目指していきたいと思っております。

○中村委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 昨年の十一月に新銀行基本スキームが発表されまして、いろいろ審議をしてきたわけでございます。そういう中で、いち早く開業に向けて皆さん取り組んでいただいて、いい結果が出ればいいかなというふうに思っているわけでございます。
 そうした中で、七月に警視庁の方の発表で、昨年一年間の自殺者の報告がありました。三万四千四百二十七人の自殺者があった。そうした中の自殺の原因、これがやはり非常に大事なところでございまして、負債を抱えていて自殺に追い込まれた人が五千人強、そしてまた事業不振による人が千四十一人、失業してしまって自殺に追い込まれた方が六百十人ですか、そういうのがございまして、その中で占める自営業者の方々が四千二百十五人もいた。
 この自殺された方々、こういう者を自殺をされないように救っていくのが、この新銀行東京の使命ではないかなというふうに思うわけでございまして、私の知人なんかも、コンピューターで靴のデザインだとかそういうものをやっている方、たまたま不渡りの小切手を受け取ってしまって、その小切手が不渡りになってしまった。そして倒産、廃業に追い込まれたというのもございます。
 非常にいいアイデアを持っている、しかし、金銭的に資金繰りがうまくいかなくなってしまった、そういう人を救うのが、今、本部長がいわれたように、この新銀行の使命ではないかなというふうに思うわけでございまして、そういう融資をぜひとも目指して、企業が、または中小零細企業が再生、再建できるように積極的に取り組んでいただきたい、このように願っているわけでございます。
 そしてまた、本来の目的である中小企業融資、またもう一方の柱でありますICカード、この事業について何点かお伺いいたします。
 最近の新聞報道によりますと、日本信販とUFJカードとの統合、そしてまたUCカードを含むみずほフィナンシャルグループとクレディセゾンがクレジットカード分野で全面提携するなど、業界再編に向けた動きが加速しておるわけでございまして、こうした動きは今後においても、技術の進展等とも相まって、ますます活発化することが予想されるわけでございます。
 新銀行がカード事業を展開するに当たっては、これらの動向を十分に注視しながら進めることが重要であると考えておりますが、このような業界動向についてどのようにお考えであるか、お示しください。

○関新銀行設立本部企画担当部長 クレジットカード事業につきましては、インターネットの普及に伴う代金決済手法の拡大や、高速道路や病院などでのカード決済可能な場の拡大、さらには、IC技術の進展に伴う新たなサービスの創出もあり、現在、急速な勢いで社会に浸透しております。
 こうした中で、カード業界は取扱高のシェア争いが非常に激化し、厳しい経営環境のもとで、ICカード化や不正防止対策のため、大規模なシステム投資などに対応していくということから、生き残りをかけた大型再編の時代に突入したといわれております。
 今回のみずほフィナンシャルグループとクレディセゾンとの提携は、銀行とカード会社が、従来の金融、流通といった系列を超えた業界再編を行うことで、ショッピングカードのショッピング取扱高シェアの確保を意図したものと考えております。

○中村委員 みずほフィナンシャルグループとクレディセゾンとの業務提携、要は、みずほ銀行が、新銀行が打ち出した新しいビジネスモデルと同じ戦略をとり始めたものといえると思うわけです。
 そこで気になるのが、今回の提携により、業界内での取扱高シェア、これはどの程度になるのか、また新銀行東京の提携先であるJCB及び日本信販の取扱シェアはどの程度なのか、お示しください。

○関新銀行設立本部企画担当部長 こうしたシェアにつきましては、公式のデータはございませんけれども、日経新聞によりますと、クレジットカードデータのショッピング取扱高シェアは、UCカードが五・七%、クレディセゾンは七%でございまして、提携により一二・七%のシェアを占めるということでございます。
 一方、JCBの取扱高シェアは業界最大の一一・二%であり、これに日本信販のシェア六・四%を加えますと、合計で一七・六%と、一・五倍のシェアになります。
 新銀行東京は、これらのJCB及び日本信販と提携することによりまして、カード会社の経営資源を有効に活用し、ICキャッシュカードの利用機会の拡大により、顧客利便性の向上を目指していきたいと考えております。

○中村委員 ますます他の金融機関との競争が激しくなるというように感じております。都民、中小企業の期待にこたえるべくぜひ頑張っていただきたい、このように願うわけです。
 では、次に、新銀行東京のICカード事業について具体的にお伺いいたします。
 改めて確認になりますが、新銀行東京では、どのようなサービスが付加されたICキャッシュカードを発行するんでしょうか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京のICキャッシュカードにつきましては、JRのSuica機能が付加された交通系のカードと、JALマイレージバンクや三越の百貨店ポイントなどの提携サービスが付加された非交通系の、大きく二種類のカードを発行する予定でございます。

○中村委員 交通系、非交通系、それぞれのサービスが付加されたカードを発行するということでございます。単に銀行のキャッシュカードとしての機能だけを必要とする人や、クレジットサービスのみを追加したい顧客への対応は可能なんでしょうか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京が発行するすべてのICキャッシュカードには、バンキングサービスとしてATMの入出金が可能なキャッシュカードの機能と、買い物などの際に即時決済が可能なJ-Debit機能が備えられておりますので、その他の付加サービスを必要としないというお客様には、バンキングサービスのみのカードを発行することも可能でございます。
 また、クレジットカードだけをそこに追加したいお客様に関しては、バンキングサービスにクレジット機能を追加したカードを発行する予定でございまして、なおこの場合は、JCBまたはNICOS(日本信販)のいずれかのブランドを選択していただくということになります。

○中村委員 いろいろな多機能、多種なカードが選択できるという、顧客にとってはいろいろ楽しめるのかなというふうにも考えておりますが、それぞれの顧客のニーズ、要求に合わせて、きめ細かな対応をすることは非常によくわかりました。
 交通系のカード、これについてもう少し詳しくお伺いいたしたいと思います。
 JRのほかに、今、都営交通との提携カード、これはいつごろ発行できるのでしょうか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 JR以外の都営交通などの機能も使える、鉄道事業者などとのIC乗車券の相互利用が始まりますのは、平成十八年度の後半になると考えられます。
 都営交通などとの一体型提携カードを発行できるように、関係部署と鋭意調整中でございます。

○中村委員 カード、非常に便利であります。内容的にもかなり詰め込まれたカードになろうかなというふうに思うわけですけれども、その利便性の半面、他人の手に渡った、事故のあったとき、これが非常に危険なわけですね。悪用されることもございます。そうしたときの防止策もこれから考えていかなければならないなと思うのですけれども、最近、東京三菱銀行のカードで、キャッシュカードになるわけですけれども、手のひら静脈認証というのが、この十月の十二日から発行されるわけです。東京三菱銀行で画期的なことをやるわけですね。
 今、日経新聞でもかなりよく出ております。一面全部使って、いわゆる手のひら静脈認証と、よくわからないんですけれども……(「指紋かな」と呼ぶ者あり)指紋とはまた違うんですよ。静脈の何かで、その人じゃなきゃ暗証システムが出ない、そういったものも発行されるというふうに聞いております。
 そうした中で、もう一つは三井住友カードですね。携帯電話によるクレジット決済、そういったサービスが急速に拡大してきているわけでございます。
 そして私どものこの新銀行東京、こういうのにも対応しなければならないというふうに思うわけでございまして、先端技術を積極的に活用して新たなサービスを提供するべきと考えますが、その辺はいかがでございましょうか。

○津島新銀行設立本部長 先生おっしゃるように、今、カードにつきましては非常に技術革新が進んでおります。
 ただ、現在の金融界では磁気カードが主流でございまして、これをIC化していく、こういう流れが中心でございまして、その流れの中で、ただいまの生体認証あるいは携帯といった、さらにその先が一部出始めている、こういう状況でございます。
 新銀行東京は、スタートにおいてまずICからスタートするということで、既にスタート時点から安全性の高いICを軸としまして、金融、それから異業種にわたる企業、さらには行政とも連携しまして、そこから創出する高い利便性、これを売りに、しかも安全に提供していくというスタートでございます。
 こうした金融サービスは、これまで金融界では非常に停滞しておりまして、新銀行が先導的な役割を今後とも果たしていけるというふうに思っております。
 新銀行の今後の方向でございますけれども、当然、技術の進展や顧客ニーズの動向などを注視しながら、一歩進んだ新世代、いわゆる次世代のカードについても、ただいま申し上げました生体認証や携帯、こういったものについても十分対応できるような準備を、今、もう進めているところでございます。
 新銀行は比較的小ぶりでございますし、従来のシステムの改善コストがほとんどかかっていないという強みがございますので、迅速に時代の変化に対応できる、そういう体制を整えております。ICカードを通じまして、豊かな都民生活の実現に貢献する銀行に育て上げていきたいというふうに思っております。

○中村委員 非常に力強い、そしてまた夢とロマンの持てるような新銀行だなというふうに感じております。
 都民の方が本当に一人でも喜んでもらえ、そして事業が再建、または発展するような支援をしてもらえる、そういう銀行をつくり上げていただきたい。来年の開業に向けて、今お話を伺っていますと、着々と進んでいるなというふうに感じましたので、今後もしっかりと頑張って都民のための銀行をつくっていただきますことを切望いたしまして、質問を終わります。

○桜井(良)委員 いよいよ新銀行の設立準備室が--今、津島さんはこっちにいるんですか、向こうにいるんですか。(津島新銀行設立本部長「こちらです」と呼ぶ)こちらですか。まあ、開業時に向けてスタートしたわけであります。そして担当委員会も、財政委員会、きょうが最後で、ほかにかわるということだったんですが、石原知事の二期目の公約でもあり、都民の関心も極めて高い、この新銀行設立という重要な施策について、私は、財政委員会ならではの質疑ができたのではないかなと思います。
 担当がかわっても、ぜひ、この財政委員会でのそれぞれの委員の質疑をしっかりと踏まえて準備に備えていただきたいなと、まず冒頭からお願い申し上げます。
 最近、商工会議所の人たちやいろいろな人たちと中小企業対策を懇談しますと、必ず新銀行のことが話題に出てくるんですよ。出てくるんですけれども、意外と皆さんが知らないんですね。中身にしろ、もちろん、商品をどうするかという融資の具体的なことはまだ出ていませんけれども、意外と知らないわけなんです。そういうことも踏まえまして、若干、そういう人たちに返事をしなきゃならないということも含めて、素朴な、本店とか店舗に関して質問したいと思います。
 本店・本部は大手町に置くというふうにはっきりしましたけれども、本店・本部というのはどのような業務をするのか、ちょっとそれぞれお願いをしたいと思います。

○吉田新銀行設立本部参事 本店・本部についてのお尋ねでございますけれども、銀行法上の本店とは、銀行の業務を統括する組織のことでございまして、新銀行では、銀行法上の本店を、その機能面から、本部と本店に分けて経営することとしております。場所は一括して大手町に置くこととしております。
 そのうち本部でございますけれども、これは新銀行の経営企画や内部管理事務、商品に関する営業企画、システム管理などを行いまして、新銀行の本社機能を担うものでございます。
 本店は、全店舗の核として営業の中心を担うわけでございまして、また、業務の効率化を図るため、信金協調型保証の受け付けは本店のみで扱うこととしております。

○桜井(良)委員 後でいいですから、面積もちょっと教えていただければね。いいです。
 それで、新銀行は、本店を含めて開業時に六店舗設置するというふうになっておりますが、ちょっとこれは素朴な質問が出まして、中小企業対策なんでしょう、何で大手町なんでしょうと。大手町というのは大企業ばかり集まって、中小企業のイメージとは遠いんじゃないでしょうかという声もあったんで、これはお答えをいただきたいなと思います。
 と同時に、ほかの店舗の配置についても、本店のほかに五店舗開設することになっているわけですが、その五店舗は、今の質問と関連して、どういう考えで配置されるのか。もし配置する地域がわかっていれば、教えていただきたいと思います。

○吉田新銀行設立本部参事 まず、本店・本部の面積でございますけれども、本部は、その人員に応じた事務スペース、それから取締役会等を行う会議室、コンピューターの設置場所などが必要なため、約七百坪、二千三百平米となっております。
 また本店は、融資、預金の相談、受け付け等の実施件数が他の店舗よりも多く見込まれておりまして、そうした来客に対応するため、約二百四十坪、八百平米の広さを確保しております。
 また次に、大手町に置かれるという場合のイメージの問題でございますけれども、本店・本部を設置します大手町には数多くの企業の本社が所在しておりまして、日本におけるビジネスの中心をなしております。
 とりわけ、金融業について見ますと、多数の金融機関が大手町に本店を構え、東京の金融情報の集積地であり、また発信地でもございます。このため、最新の金融状況の把握という面から、大手町が最適地であるというふうに考えているところでございます。
 また、大手町、複数の地下鉄が乗り入れていることや、都内で有数の乗降客数がある東京駅に隣接いたします、交通の結節点でもございますことから、顧客利便性にもすぐれているという面がございます。
 その一方で、大手町は都心で大企業のイメージが強いわけでございますけれども、大手町のある千代田区、それから近隣の中央区、港区、これを合わせた都心三区の中小企業数は都全体の約一五%を占めておりまして、中小企業の集積地という面も持っているものでございます。
 以上のことから、新銀行東京の本店・本部を大手町に設置することといたしました。
 次に、本店以外の他の店舗のことでございますけれども、店舗の配置に当たりましては、顧客の利便性を十分に考慮することといたしまして、中小企業の数、それからJR、私鉄のターミナル駅の乗降客数などの要素を総合的に勘案の上、区部と多摩のバランスなど、東京全体として適切な店舗網を構築することを目指しております。
 なお、具体的な設置場所でございますけれども、不動産物件調査も含め現在選定中でございまして、なるべく早い時期にお知らせしたいというふうに考えております。

○桜井(良)委員 これも素朴な意見だったんですけれども、まあ、六店舗ですよといいますと、うちの近所には信金、信組がいっぱいある、そういう六店舗しかないのでは、信金、地域金融と比べて少ないんじゃないか、こういうお話もありまして、都内全域を営業エリアとしてやるのに、少ない店舗数で営業を行うということは、顧客にとって不便というか、そういう面がないだろうかなと心配するのと、将来も六店舗なんですかというお話もありましたので、この辺をちょっとお答えしていただきたいなと思います。

○吉田新銀行設立本部参事 新銀行の店舗数でございますけれども、開業時に六店舗、最終的には十店舗ということでございます。
 いずれにいたしましても、少数店舗を前提としておりますが、この少数店舗を前提といたしまして、業務の方式やフローをさまざまな角度から工夫いたしまして、中小企業経営者や預金者の利便性を損なわないよう十分配慮を行って、業務を組み立てているところでございます。
 融資につきましては、銀行で直接申し込みを受け付ける以外に、信金やオリックス、AIGグループ等の提携企業からの取り次ぎなど、さまざまなチャネルを通じまして申し込むことができるような形にいたしたいというふうに考えております。
 特に、主力商品でございますところのポートフォリオ型融資や、技術力・将来性重視型融資では、郵送による申し込みも可能とすることなどにより、融資手続を簡略化し、融資を受ける顧客の負担を軽減しているところでございます。
 預金につきましては、口座開設は郵送による申し込みが可能でございますし、また、入出金や預金商品の申し込み、解約につきましては、提携ATMの利用、それからコールセンター、インターネットの活用などによりまして、基本的に顧客の来店は不要という仕組みでございます。
 このようにさまざまなツール、アライアンス先を活用することで、少ない店舗数にもかかわらず利便性の高い体制を構築してまいります。以後、総合訓練などを経まして、事務処理体制を強化していくこととしております。
 融資や預金の申し込みなど、顧客が利用する上で十分支障なく行っていくことができるというふうに考えております。

○桜井(良)委員 少ない店舗数で効率的な営業を行うということは、ある意味では新銀行の強みとして、これからもしっかりとやっていただきたいと思いますが、いずれにしても、顧客に不便を来さないように、業務の体制と運用にぜひしっかりと工夫を凝らしていただきたいなと思います。
 先ほどもいいましたが、いろいろな人とお話し合いをしたり懇談会をやりまして、何かありませんかというと、会場の中で必ず新銀行のことが出ます。新銀行のことを聞きますと、要するに、皆さん融資の限界になっちゃっているわけですね。それでも何とか頑張り切れるので、ぜひ四月になったら--今から融資ができるかどうかという細かいことまで聞かれて、私たちも困るわけでありますが、いずれにいたしましても、あらゆる面で顧客本位で社会に貢献するのが経営理念だというふうにもお伺いしました。
 そういうことで、これまで、銀行とか金融機関とか融資とか保証協会とか、そういう意味では中小企業の人たちの中にはすごい不満が渦巻いています。そういう不満を持っている都民の人たちから、新銀行に対する期待は、非常に大きい部分で受けとめられていると私は思います。
 それだけに、開業したら、いや実際厳しかったなんてなると、これは大変だなという気持ちもあるわけでありまして、そういう意味で、今は非常に大事なところでありますから、いろいろな情報を収集することも含めて、今後の運営にも生かしていただきたいなと思うわけでございます。
 そういう意味で、最後に本部長に、その辺のことも含めまして決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○津島新銀行設立本部長 正直いいまして、現在は時間との闘いだというふうに感じております。
 それは、新銀行東京に対します、先生のおっしゃる都民、中小企業の方々の期待、こういったものに応じまして、できるだけまず早期に開業したいという、この要請と、それから、これまで都議会の審議の場を通じましてるる説明させていただいたマスタープラン、これをきちんと十分に備えた、ソフト、ハードを含めた内容を実現する、この二つの要請を両立させて実現するということでございまして、細かくはご説明できないんですけれども、例えば検討しなければいけない項目というのは数百項目ございます。こういうものを時間スケジュールの中で今進めておりまして、そういう意味で、時間との闘いだというのが正直なところでございます。
 新銀行東京は、仁司代表取締役を中心に全力で今取り組んでおります。私ども設立本部も、議会にお示ししたこの新銀行の目的が十分に達成されるように、新銀行東京を全面的に支援していきたいと思っております。
 先生方のこれまでにも増してのご支援、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

○松村委員 財政委員会での最後の質疑ということで、担当者においでいただいているので、これまでの質疑において先送りにされた二、三の問題をお伺いします。
 まず、新銀行東京にかかわる準備経費について伺います。
 前回の委員会で、東京税務協会との委託契約金が八億六千九百八十三万円だという資料が出されました。そして、予備費充当請求書を三月三十一日に提出して、同日、承諾をいただいたと答弁がありました。
 そして、これは清算を前提としておりまして、きちっと会社の負担するものと東京都の負担するものを整理いたしまして、後日報告いたしますと答えられましたが、どう清算されたのでしょうか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 税協調査研究委託費につきましては、現在、都と新銀行の間のそれぞれの負担額につきまして、法律面、会計面から専門家の意見をいただき、具体的な算定作業に入っているところでございます。
 今後、金額が確定した上で、十六年度予算の歳入として算入されることになるということでございます。

○松村委員 具体的検討中ということですけれども、いつそれを議会にというか、報告されるということは、まだわからないんでしょうか。
 それと、今までの質疑で、予備費については、私だけではなく、他の会派もいろいろやりとりがありました中で、決算上きちっとするんだ、そこで清算されるし、そこでの審議ということを、当時の出納長も訴えられておりました。
 まだ検討中で清算されてないということですが、二〇〇三年度、平成十五年度の決算書が手元に来ましたので、読みましたが、予備費の支出は、これはちょっと私、写しがあるんですけれども、七億五千万円で、その内訳を財務局に聞きましたら、税務協会への委託費は二億八千万円だということでした。そうしますと、八億六千九百八十三万円が予備費充当ということで手続をされて、承諾を受けて支出されているということとの乖離といいますか、決算上の乖離、差額はどういうことになるでしょうか。

○島田副出納長 十五年度予算の予備費の充当の関係でございますが、税務協会へ委託しました経費は約八億七千万円でございました。で、財務局からの予備費の充当額は約二億八千万円でございます。
 その差額でございますけれども、これは私ども出納長室の既定経費の予算の中から支出したものでございます。

○松村委員 新銀行を立ち上げるという政策目的のために予備費を充当するというのが、ずっと答弁でしたよね。出納長室の予算を--当時、なぜ出納長室かと、当時の大塚出納長もわからないということからも、私の方は、とにかくやはり政策目的といえども、きちっと予算を議会にも請求して、そして補正予算なりそういう対応をすべきだということでした。当時の出納長は、そういうために予備費があるんだ、予備費できちっとやる、それで清算をする、決算でそのことがはっきり出るんだという答弁でしたけれども、今まで一度も出納長室の予算を--出納長室の予算というのは、それなりにやはり積み上げられて、年度当初の予算額を議会でも審議して決めるものですよね。そうしますと、だから当然、予備費の充当ということで、しかも、それがその後延長されまして、当初の四億何がしが倍に膨れ上がって八億七千万円弱と。しかもそれがこの委員会では、今、財務局ですか、予備費充当請求を手続して、既に三月三十一日付で執行してもらったと。だから、当然、その承諾があれば八億七千万円入るというか、支出されていますよね。その関係と、実際には二億八千万円だったと。ちょっと私は、会計上というか、わからないんですね。
 三月三十一日に予備費充当請求を出されて、承諾されて、そしてまたその後、いやそれが実は出納長室の予算で、実際には、使われたのは八億六千九百八十三万円だけど、予備費充当請求の額は使わないで済んだというか、返されたとか、これはどういうことになるんでしょうか。ちょっとその仕組み、素人でよくわからないので、もう少し丁寧にご説明いただきたいと思います。

○島田副出納長 経費の支出につきましては、まず最初に、私どもの出納長室の既定経費の中で充てていきたいというふうに考えておりまして、そのために最大限の努力をしたところでございます。
 そういったものにおきましても、最終的に八億七千万円という金員を生み出すことができませんでしたので、予備費の充当、これは二億八千万円という形で充てたものでございます。

○松村委員 そうすると、私の認識違いか、この委員会には、予備費充当請求として、その資料というか出されて、じゃあ、いつ予備費充当請求を使ったんですかという質問に対して、三月三十一日と。
 じゃあ、その時点で、既にそうじゃなくて、予備費として請求したのは二億八千万円だったということなんでしょうか。

○島田副出納長 先ほど申し上げておりますように、トータルで八億七千万円支出をいたしまして、そのうち当室、出納長室の既定経費の中からつくり出したものが約五億八千万余円でございます。
 三月三十一日に、今、先生がおっしゃったとおり、予備費の充当ということで、二億八千万円予備費で充当した、こういうことでございます。

○松村委員 そうしますと、よくわからないんですけれども、その資料も見せていただきたいというので、やりとりがあって、なかなかはっきりしなかったんですけれども、当時、委員会で、私も議事録がありますけれども、八億六千九百八十三万円で、この金額を予備費充当請求書で三月三十一日に財務局に提出して、その日に承諾されたというのは、実はそれはちょっといい間違いというか、違うので、予備費充当請求したのが二億八千万円だった、こういうことですか。そうしないとおかしいんですよね。
 だって、財務局から八億六千九百八十三万円支出、受け取っておいて、実際には二億八千万円だったということは、どうもその点が私、わからないんですけれども、違いますか。

○島田副出納長 税務協会への支出につきましては、委託経費全体が八億七千万円でございました。それで、財務局から予備費充当としまして、三月三十一日に充当請求書を出して、同日付で承諾いただきました金額は二億八千万円でございます。じゃあ、残りの額はということになりますと、出納長室の既定経費の予算の中から出したものだということでございます。

○松村委員 そうしたら、当時の委員会の答弁というか、私はそれにこだわるわけじゃありませんが、ちょっと正確じゃなかったというか、そのとき、今まで一貫して、出納長室の中の経費のやりくりで支出して、そして足りない分を予備費充当するんだというような説明は、私の記憶では一回もありませんでした。
 私も、既に動き出して、お金もかかっているものに対して、きちっと予算手続をやらないのかということを大変心配してきたわけです。それはだから、私もいっておきます、きちっとした報告じゃなかったんじゃないかと。不十分だったということを認めて、改めて今そういう答弁がありましたけれども、正していただきたいというふうに思いますよ。

○島田副出納長 先ほどからご説明申し上げておりますように、トータルとしての金額が八億七千万円で、予備費充当は二億八千万円でございます。
 なお、これは六月の本委員会におきましても論議されたところだと思いますが、こういった具体的な金額のやりとりについてはその中では話をしてなかった、具体的な金員についてはお話が出てないというふうに思っているところでございます。
 そういう意味で、再度でございますけれども、委託経費総額が八億七千万円でございまして、そのうちで予備費充当額が二億八千万円、それから当室、出納長室の既定経費の中から出したのが約五億八千九百万余円ということでございます。
 これについてはご論議いただいて、数字については、そこまでは出てないと思いますけれども、十分にご説明したというふうに私どもは認識しております。

○松村委員 こだわるようですけれども、今まで我々も、かかる経費とかいろいろ心配もありましたし、大体、当初から、出納長室がこの新銀行の準備をやるなんというのは想定されていなかった。ですから、当初予算においても、当然、そういうための委託研究費などということで見込んでなかったというふうに思いますよ。
 ですから逆に、それでどうするのかといったら、予備費充当ということで充てるんだということを聞いて、それも相当膨れ上がったなということですから、ぜひその点は、今後の問題としても、やはりきちっと議会に対しての説明責任は果たしていただきたい。(「何がおかしいんだ」と呼ぶ者あり)
 逆に五億八千九百万余円、出納長室も想定してなかった予算を使ったということは、これ、穴があかないでうまくやりくりできたということなんでしょうけれども、大体、出納長室予算というのはどのくらいなんですか。この分、五億八千九百万円というのは、どのくらいの割合になるんでしょうかね。そんなに余裕があるというか、まあ、それは苦労して、出納長室が受けたから、やりくりしてやったんだといえばそれまでですけれども、その点についてちょっとお願いします。

○島田副出納長 まず、当室の予算でございますが、約四十億円でございます。その中で、先ほど申し上げましたように流用額、私どもの中で既定経費の中から出したものは五億八千九百万余円でございます。
 これにつきましては、今、先生からもお話がございましたように、大変に努力に努力を重ねまして、委託の中身を見直したり、あるいはそれ以外の一般需用費、そういったところから拠出したところから、本当に懸命になって、私どもで用意させていただいたものでございます。
 それから、予備費といいますのは、確かに先生おっしゃるように、あらかじめ予算中にその使途を特定しないで、予算外の支出または予算超過の支出に充てるものとしまして認められているものでございます。これは、緊急を要する場合等に対処する手段として、そういった制度が置かれているということでございます。

○松村委員 次に移りますけれども、それにしても、出納長室の予算を積み上げて、議会もそれを認めたけれども、一割以上ですよね。そういう当初想定していないような支出をなさるというのは、これは私は、予算の本当に--努力されたということでしょうけれども、出納長室がなぜ受けるのかというような、責任者からも率直な声があった中で、私は本当に考えさせられる問題と。
 もう一つ、私が今ここでいったのは、何がおかしいというけれども、なぜあのときの委員会で、予備費の問題で、予備費充当請求書を出しましたという、そのときに、実際、資料を出されて、八億六千九百八十三万円、しかしこのうち予備費充当が二億八千万円だと、それを三月三十一日に財務局に請求手続したと、なぜ一言そういう答弁がなかったんですか。
 そして、今まですべて出納長は決算でやってくれと、決算の中身が明らかになるんだと、こういうことがありましたから、私も、やはりこの問題について、今、冒頭こだわって、質疑させていただきました。
 それから、まだ清算されていませんという点では、当然、新銀行が負担すべき経費、それから東京都が政策課題としてやる経費というのは、今、専門家の法律家とか入れて検討しているということですから、これも確かに、専門家の検討をいただいた結果を、私たちも報告を受けて、それに対して意見をいうという立場でしょうけれども、やはりどういう形か早く示していただきたいし、これは一円たりとも都民の貴重な税金ですから、一日も早くきちっと清算して、東京都に返還して、都民の予算として使うべきだということをいいます。
 だから、この点については、いつまでだという期日をはっきりさせたいし、また、それを受け入れたら、今度それがどういう形になるんですか。十六年度というか、清算された金額は、予算上はどういうふうに--これ、出納長室がとりあえず立てかえているとか、やりくりしたというんじゃないから、出納長室予算ではないですよね。一たん都の--どういう形になるのか。

○津島新銀行設立本部長 ちょっと蒸し返しになるようなので避けたいと思うんですけれども、経費の負担の問題と、それから、どこの局がこれを本来検討すべきだったかということに絡めてお話があったようなんでございますけれども、既に、出納長室で新銀行を検討するということについてのご説明は十分るるさせていただいて、ご理解していただけないのは残念なんですけれども、させていただいたと思うんですけれども、経費の問題として考えたときに、実際の検討は五月から始まったわけでございますね。それで、十二月くらいで検討が終わるだろうということでやってきたわけでございますけれども、その検討すべき範囲が大幅に広がったということで、一月、二月、三月というところまでかかったわけで、そこの部分がはみ出たわけでございまして、これがなければ、予備費は使わないで済んだわけでございます。ですから、たまたまそういう検討が深まったという中で経費が伸びたということでございますので、それとこれとはちょっと違うので、ご理解していただきたいというふうに思います。
 それから、とりあえず十五年度予算で予備費も含めて支払ったわけでございます。この支払いは八億ございますけれども、この八億は、最終的には会社である新銀行が負うべき金額と、都が負うべき金額と、将来は清算いたします。今、その清算を会計法人に精査していただいておりまして、これが決まりますと、十六年度の歳入ということで、会社から東京都に返還がございます。この返還、十六年度のしかるべき時期に来るはずでございます。これは今、監査法人の方の審査が全部終わりまして、会社も取締役会にかけて、それで一致した金額が、東京都に十六年度の歳入ということで入ってまいります。
 で、これの歳入についてご審議いただくのは、十六年度決算を審議する時期に精査していただく、こういうことになると思います。

○松村委員 この点は了解しますけれども、今、本部長は、これが延期された、だから予備費充当だというけれども、そんな話じゃなくて、当初から、どうするんだといったら、出納長室の予算でやりくりする話なんかなかったんですよ。予備費だということは、当初、税務協会の委託をやるときの、これが、委員会でまた追及されて初めてわかって、そのときの答弁から予備費が始まったんですよ。それを今になって、そうじゃなくて、たまたま延期されて、延長されたから予備費充当なんというようなことじゃなかった、現に、この間の経過からも、その答弁は、そうではないということを申し添えたいと思います。
 次に、信金との協調体制についても伺います。
 先ほども議論がありましたので簡略にいたしますけれども、アライアンスの形成が非常に重要だと。確かに少店舗、少人数でそれだけの利益を上げるということで、答弁にもありましたように、その町の信金などとの協調体制がこの銀行にとって本当に成否を握るだろうというふうに私も思います。
 先ほど、どういう形で今進んでいるのかというような答弁というか、ご説明がるるありましたけれども、どうも当初から包括提携したとか、今度は個別だとか、こういうブロックで協議しているといっても、なかなか形が見えてこない。
 ですから、私は信用金庫側にも幾つも、複数聞きましたけれども、中小企業支援のためだから、当然我々はやはり協力すると、それは建前というかね、すると。だから人も出していると。しかし、信金といったってやはり民業ですから、本当に生き残るためというか、それはお客さんのためにも、また預金者のためにも必死になってやっている。それが、じゃあ、どういうメリットがあるのか。メリット、デメリットも含めて、競争相手というか、きちっとならなければ、本当の意味での協調体制は組めないけれども、それが具体的にというか、率直な話、一向に見えてこない。どういう形になるのですかと。
 皆さん方の中は、やってます、やってますというので、包括提携がこういうふうに進んでいるといっていますけれども、具体的な現場の信金に、じゃあどういう形になるのかといっても、見えてこないという話でした。
 この点についても、成否を握る問題だから、我々のところでも--町の信金なども含めた協調体制や共存共栄の中で、中小企業支援をよりやっていくということにならなければ、やるなら、当然そういうふうにならなきゃいけないというふうに思いますけれども、この点については意見だけに……。
 それで、どういう形で、例えば信金側にももう示しているんですか。それとも、一定の保証とかいうのがありましたけれども、もっと具体的に。それはもう個別契約の中だけで、明らかにされないんでしょうか。いつごろまでにどういう形で準備されて、そういうことが明らかになるんでしょうか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 包括提携契約に基づき、融資などに関し、保証や協調にかかわる業務フローなど詳細にわたりまして、全信用金庫と密接な協議を現在行っているところでございます。

○松村委員 先に進みます。
 民間からの出資金についても、先ほども議論がありましたので、多くをいいませんけれども、まだ具体的には申し上げられませんと。
 それで伺いたいんですが、東京都のこの一千億円の出資金は、もちろん無償ですよね。無償というか、出資金だから、それが、何ていうんですか、うまく利益を上げたら何かあれするということじゃないんでしょうね、恐らく。どういう性格のもので、逆に民間の出資金は、条件というか、どういう形で今具体的に出資を募っているんでしょうか。

○吉田新銀行設立本部参事 新銀行東京は株式会社でございますので、東京都からの出資は、株式という形で新銀行東京の資本に組み入れられることになります。
 また、民間の出資も同様でございまして、新銀行東京が発行する株式を購入するという形での出資ということでございます。
 利益の件でございますけれども、これは株式でございますので、利益があれば、配当というものも望めるという状況でございます。

○松村委員 東京都が一千億円出資するのは、中小企業の支援という政策目的がありますよね。そうすると、民間が出資するのはどういう目的が……(「配当だよ」と呼ぶ者あり)まさか民間も東京都のそういう政策に意義があるとか、もちろん配当は当然でしょうけれども、だからこそなかなかな進まないというか、さっきいった投資戦略ですか、ある云々ということがありましたけれども、どういう点を出資を募るポイントにしているんでしょうか。
 銀行本体の中小企業に支援するという東京都の目的以外に、提携企業だから何かメリットがあるということになるのか。どういう点を今考えて、出資を募っているんでしょうか。

○吉田新銀行設立本部参事 出資につきましては、各企業の投資戦略にかかわる機密事項でございまして、要請の具体的な内容につきましてはお示しできないわけでございますけれども、相手先企業の投資戦略と十分調整を図りながら、新銀行東京の事業計画、相手先企業に対するビジネスメリットなどを十分に説明して、各企業の理解を得られるよう努めているところでございます。

○松村委員 私、それを聞いたのは、公共と民間が目的とすることは全く違うというか、いわば正反対でもあるんですよね。公共というのはいわゆる中小企業支援、身銭切っても政策目的でそれを達成していこうということで、今までもいろいろな制度融資だとかやっているというふうに思いますけれども、民間というのは、企業だから、あくまでも利益ですよね。それが悪いんじゃないのですよ。利益を追求し、さっきいった株主に利益を還元しなければ、企業じゃないんですよ。あくまでも営利を追求するわけですよ。
 だから、そういうことでメリットがあるのか、営利の追求で利益を得られるのか、この新銀行がそういう銀行になっていくのかどうか、これを見定めながら出資をすると私は思いますよ。東京都の中小企業の支援だから、東京都に日ごろお世話になっているから、おつき合いしようなんということでは、私は、株主総会だとかね、それは通らないと思うんですよね。
 そうすると、だから、相向かうところが全く正反対の中で同居するのが、この新銀行にとどまらず、今まで、第三セクターという形で東京都も既にやってきているんですよ。民間のそういうあれを入れて、東京都が入って第三セクター。しかし、それはことごとく失敗して、今現在大赤字を出している。だから本来、そういう経験からいっても、第三セクターで一つの事業目的を遂行しようということ自体が--これは私の意見だけじゃなくて、専門家も含めていろいろな意見を聞きました。臨海の今の状態を見ても、三セクや東京都が抱える問題を見ても、また全国的にも、第三セクターをつくってやってきたことが、もう成り立たない。
 これはどこに問題があるのかといったら、もともとそういう政策目的を持っている公共と、一方は利益を追求しようという民間、こういうものがやはり成功しないというか、そういうもともとの土台だということが、各専門家からも分析されております。
 そういう点では、私は今からでも引き返すべきではないかと。中小企業支援が政策目的だというならば、やはり東京都がやるべきことは、無担保、無保証の制度融資の充実などを行うべきだというふうに思いますけれども、きょうはまあ出納長と--新銀行関係がいないから、答弁しろといってもそれはちょっと無理なので、そういう意見だけを……(「もうそろそろ時間だ」と呼ぶ者あり)そうですね、あともうちょっとありますね。
 最後に、新銀行が公金管理を行うかどうかもただしておきたいというふうに思います。
 前回の委員会で、知事のテレビ発言、新銀行をつくる目的を尋ねられて、安心して預けられる銀行がないとの発言は、都の公金を預けるのか、やはりこういう懸念を、都民というか、我々も持ちました。
 しかし、その質問があったときには、現時点では検討していないということで、将来はあり得ることを否定しませんでしたよね。再度お聞きいたしますけれども、公金取り扱いはあり得るのか、いかがでしょうか。

○島田副出納長 現時点におきましても、都が新銀行に預金をするかどうかにつきましての具体的な検討はしておりません。ただ、将来の話でございますけれども、本年二月に新銀行マスタープランで公表しているような財務内容が実現できるのであれば、新銀行東京は安全しかも健全な銀行であるというふうに判断できますので、都の公金預金の対象にはなり得るものというふうに考えております。

○松村委員 そのなり得るものということと、本来、東京都の一千億円を出資する、その説明が中小企業支援ですよね。そして民業圧迫をしないというさまざまなことからいって、私はこれはやはり大きな問題だというふうに思いますよ。
 ただ出納長は、純然たる公金管理の検討委員会というか、少しでも利率が高いとか、安全だとかいうことになれば、そちらに移すんですか。今までのメーンバンクについては、過去歴史があって、やはりいろいろなあれがあるからということで、変えてきませんでしたね、こういう中でも。その説明を聞いて、我々もそれを認めてというか、承諾してやってきた経緯があると思うんですよ、公金管理ということについてはね。
 私は、そこのところはやはりきちっと、東京都が出資する銀行であるならば--東京都の公金を扱う銀行を東京都自体がつくるんだなんていったら、全く政策目的が逆に違ってくるということにもなりかねませんし、そこのところはきちっとすべきだという意見だけをいいます。
 最後に、この間、財政委員会で新銀行についてただしてきましたが、結局、中小企業支援だといいながら、個別引当金は積まない、リスクの高いところは期中にも償却してしまうというので、本当に困っているところに貸す銀行ではないこと、さらに、財政危機を叫び、中小企業予算を連続して削減しながら、なぜ一千億円もの巨費を投入するのか。東京都の役割は、担保に頼らない融資や直接金融がふえるよう金融機関に働きかけることであって、銀行をつくることではないことが明確になったと思います。
 我が党は、改めて、新銀行はやめるべきだと強く申し上げ、質疑を終えます。

○執印委員 それでは、質問させていただきます。
 三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの経営統合の件について、それから全銀協の件については、私も質問したいと思っておりましたが、重複しておりますので、これは省かせていただきます。
 それで、新銀行の開業までの民間からの五百億円の出資についても議論がございまして、質疑がございまして、具体的な企業名、金額については現段階ではお話しできないということの繰り返しでございます。私どもとしては、東京都が出資する事業がうまくいくかどうかということにもかかわってきますので、企業名をいえとはいいません、前回も同じお話をしましたけれども、そこまではいいませんけれども、明らかにするべきだというふうに思っております。状況はきちんと議会の側に説明するべきだというふうに思っておりますが、その点についてはいかがでしょうか。

○吉田新銀行設立本部参事 具体的な企業名、金額についてなかなか現段階ではお話しできませんけれども、しかるべきときにお話をしたいというふうに考えております。

○執印委員 しかるべきときというのは、どのようなときを想定してお話しになっていらっしゃるのか、そこだけ、私一人の疑問ではないようですから、お答えいただけますでしょうか。

○津島新銀行設立本部長 これは前の出納長時代にもお話ししたと思うんですけれども、開業の時期に、当然のことながら、開業前に、第一回定例会になると思うんですけれども、これについての状況についてはご説明する、そういうことでお話があったと思うんですけれども、そのつもりでおります。

○執印委員 第一回定例会のときにはご説明があるということですね。
 それでは、続けてちょっと、前回の質疑で疑問が残った部分がございますので、質問させていただきたいんです。
 この五百億円の民間からの出資の件についていろいろ質疑をさせていただいたときに、当時の津島理事が、今は本部長ですね、このようにお答えになっております。「その五百億のプラスの出資分が直接開業の成否を決するというものではございませんので、おおむねその時期までにお示しするということでございまして、それが開業の条件というか、開業の前提だという意味ではございません。」というふうにおっしゃって、それに対して私がまた、「見通しどおりにいかないときは、そのまま進むということですかね。」というふうに質問したことに対して、大塚出納長が「来年の四月のペイオフの状況、新銀行のソフト、ハードの全体の準備状況、新銀行を取り巻く環境、それから出資の状況を含めて、一番最も適切な時期に四月以降開業することになります。」というふうにおっしゃっているんですね。続けて、「わけのわからないうちに開業するというふうなことは決してありません」というふうにはおっしゃっているわけです。「出資の状況を含めて」というふうにおっしゃっているんですが、これを読む限りでは、五百億集める、つまりマスタープランのときに出された千五百億きっちりとやらなくても進むことがあるというふうにも聞こえるわけなんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○吉田新銀行設立本部参事 以前にもご答弁しましたけれども、五百億円の民間出資は、開業の成否を決するものではございません。開業の条件、前提というものでもございません。

○執印委員 ということは、民間から五百億円集まらなくても、進むことがあるという意味ととってよろしいんでしょうか。

○吉田新銀行設立本部参事 開業するということでございます。

○津島新銀行設立本部長 何度も申しましたように、出資につきましては十分な見通しを持ってやっております。

○執印委員 十分な見通しというのが、この段階で、ご説明の中でわかれば、このような質疑をすることもないのかという気もするんですけれども、そこがはっきりされていない中で、これから先、一千億という都民の税金も出されていくわけですから、はっきりさせるところは、はっきりさせていきたいというのは当然のことだと思うんです。
 それで、その中で、千五百億というのはマスタープランの中でもベースになる部分だというふうに理解をしているわけですよね、そこがあって三年間の収支計画が出されていて、これで三年たったら黒字になっていくということが出されているわけですから。物事を進めるときには、緩やかにやっていい部分と、これだけはきっちりやらないと先にかかわるから、これだけはきっちりやるんだというふうに、きちんと意思を示してもらう部分とないことには、この話というのは先に進まないのじゃないかと思うわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○吉田新銀行設立本部参事 仮に民間出資が下回ったとしましても、基本的な銀行業務、これに影響が出ることはございません。

○執印委員 何回もいいますけれども、マスタープランというのがあって、それに沿って経営計画が出されているわけですから、きちっと出資金のところがなくてもやっていけるということが、非常に矛盾していると思うんですけれども、その点はどういうことなんでしょうか。
 それは何といったらいいんでしょうね。例えば四百四十九億九千九百九十九円集まった、それで五百億に欠けたからだめとかなんとかいう話ではないと思いますけれども、だけれども、その基本の部分をきっちりやるということがなかったら、この事業そのものがスタートできないというふうに考えるのが当たり前だと思うんですけれども、集まらなくてもやるということでいいわけですか。そういう見通しもなかなか立っていないので、今の段階では、五百億集まらなくてもやるかもしれないというふうにしか答えられないということですか。

○津島新銀行設立本部長 二つのことがいわれていると思うんですけれども、まずこの銀行を開設するということは、中小企業を含めまして、今の状況に対して新銀行という、眠れる資金を提供するという基本的な線でございまして、それをどの程度の資本金でつくり上げていくかという手段の問題と、この二つが混同されているのじゃないかと思うんです。
 手段については、東京都の一千億、そして民間の五百億、これも一つの仮定でございます。仮定というのは、さらには一千億で、二千億まで順次広げていくということがマスタープランに書かれております。この時期が仮に少々ずれたとしても、それはこの新銀行の存在価値なり、開業というものと結びつける必要はないというふうに考えております。

○執印委員 大事な都税が出されることですから、きっちり仕事は進めてもらわないといけないと思いますので、今のお答えだと、見通しも含めて--私は、ある程度見通しがあれば、今のようなお答えにはならないんじゃないかというふうに想像もするわけなんです。そういうふうに受けとめるわけですよ、ちょっと首をひねっていらっしゃいますけれども。ベースになる部分ですから、きちんとやらない限りはスタートしてはいけないのではないかというふうに思います。
 先ほど、お答えの中で、マスタープランを備えたものを実現してスタートするとお答えになっているんですよ、ほかの方の質問に対して。だから、非常に矛盾したことを今おっしゃっているわけなんですね。とにかく、いいかげんな進め方をしてもらっちゃ困りますので、そのことはお伝えをしておきます。
 それから次に、私、最初のときから、出納長室に新銀行の企画をするところがあるのはおかしいというふうにずっと思っていたわけなんです。組織的に非常におかしいと思っていたんですけれども、今度動くことになりまして、大体聞いておりますと、産業労働局の中につくということでもありますけれども、新銀行を所管する新銀行の設立本部というものを設置した理由をお聞かせいただきたいと思います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京につきましては、株式会社として本年四月に発足し、準備作業を今、鋭意進めている段階でございます。
 こうした段階に入ったことから、都においても、これまでの都議会における審議やマスタープランに示した事業内容の確実な実現のため、新銀行の取り組みに対する指導、調整、都議会や都民に対する説明など、開業準備に関するサポートを着実に実施する必要があります。
 このため、都としては、新銀行を総合的に支援する専担部門の設置が必要であると判断し、新銀行設立本部を設置したと考えます。

○執印委員 こういう本部を設立したということに関して、私どもは--新銀行そのものは、ずっといっているように、銀行としてうまくいかせようと思ったら、貸し出しに上限を持たざるを得ないし、中小企業支援に本当になるんだろうか。使う人がいるとは思っているんですけれども、本当に一部分の人になるのではないかということで反対をしてきたわけなんです。
 ここで、産業労働局にぶら下がるというような表現をされていましたけれども、今じゃなくて、ご説明のときにあったわけなんですけれども、先ほどの出資金のことも含めて、私は、銀行については、何ていうんですかね、引き返す勇気というものが必要だというふうに思っております。
 それで、地元の商工会の方が、この四月明けてでしたか、総会のときに、東京都の補助金が削減されて、非常に商工会の運営が苦しいんですというふうに何度も何度もおっしゃったわけなんです。それで、私どもとしても、短期的な視点だけで中小企業支援の政策を判断しろというふうにはいいませんけれども、つまり、今、東京都の商工会への補助金を削らないために--どういったらいいかな、そのことを優先させて、将来的な中小企業支援をしていかなくてもいいというふうに思っているわけではありませんけれども、でも、中小企業がお金を借りたいというふうに思っているということの裏返しの部分をもう少し見ていかないと、東京都が意図していることとそぐわないような、思わぬ結果もまた引き出してしまうのではないかというふうに思う部分もあるわけなんですね。
 お金というのは借りたら返さなきゃいけないし、その前に景気をどういうふうにするか、それから、中小企業が地域の中で市民と一緒にどういうふうに繁栄していくかというような、その対策がない限り、お金を貸すところだけつくってもうまくいかないというふうに思っていますので、産労の中にこういうものが入るということですから、今お話ししたようなことも含めて、引き返す勇気を持って判断をしていただきたいというふうに思います。
 そのことをお伝えして、質問を終わります。

○秋田委員 高杉良の「金融腐蝕列島〔呪縛〕」という小説があります。映画化もされておりますので、多くの方がご存じだと思いますが、このモデルとなったのは、第一勧業銀行が不正融資に際して危機に陥ったときに孤軍奮闘した、四人組と呼ばれる中堅幹部たちであり、組織を存続させるためだけではなく、信頼回復のために、銀行のあるべき姿を追って奮闘した、そういう小説であり、映画だったわけでございますが、この小説の主人公の四人組の一人である、今は作家である江上剛さんが、先日、雑誌でこんなことを新銀行についておっしゃっていました。
 私は、組織には、自分や組織の利益ばかりでなく、その存立目的や社会的役割を自覚し、行動する人間が必要であり、特に一から新しくつくる新銀行においては、真に東京の中小企業や都民の役に立つ銀行づくりに取り組む人材を確保する必要があると考えると。
 そこで、新銀行の人材確保と体制づくりについて改めて何点か伺わせていただきたいと思います。
 まず、現在の人員配置について教えてください。

○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京の人員配置、直近の九月三十日現在の行員の状況でございますけれども、代表執行役一名、執行役六名のほか、行員が百五名、契約社員二十名、都派遣職員二十四名、信金など民間出向者二十六名の計百八十二名となっております。

○秋田委員 前回、六月の質疑のときですか、本年四月に行った行員百名の公募に約五千名にも上る応募があり、その応募者に対してレポートの課題を課したり、三回にわたる面接を行って厳正な選抜を行うと聞きました。
 現在までの採用状況を教えてください。

○関新銀行設立本部企画担当部長 本年四月に行った公募でございますけれども、履歴書により実務経験等の書類選考を行い、次いで、新銀行の理念などに対する理解度や仕事への意欲を問うリポートの提出を求め、その評価を行いました。その上で、八月にかけまして、代表執行役など役員による三回にわたる面接を行い、合格者を決定いたしました。
 合格者につきましては、開業準備までの取り組み状況等を勘案いたしまして、順次採用を行っており、九月末までに五十二人を採用したところでございまして、残りの採用につきましても、おおむね十月末までには完了する予定でございます。

○秋田委員 四月の公募では、金融機関などに数年間勤務経験があることを応募の条件としていたと思うのですが、メガバンク出身者ばかりでは、新銀行が目指すところの中小企業支援という意味では問題なのかな、こう思います。中小企業の資金需要にこたえようとしない体質の銀行になってしまうことを、私は危惧しております。
 そういった意味で、新銀行東京が目的とする中小企業支援を確実に行っていくためには、業務を担う行員に、中小企業金融に詳しい地域金融機関などの出身者が必要だと思うのですが、そのような人をどのくらい採用して、合格者のもとの勤務先の内訳を伺います。

○関新銀行設立本部企画担当部長 四月の公募に応募があった、まず五千名の前勤務先の内訳でございますけれども、一つには銀行業界、それから二つ目に、その他の金融関係でございます生命保険、証券会社、三つ目に、製造業や商社などの一般企業から、それぞれ三分の一ずつございました。
 こうした応募者の中から選考を行ったわけでございますが、その結果の合格者の出身内訳でございますけれども、結果的に銀行業界が六割、その他の金融機関である生命保険、証券会社が合わせて二割弱、これらを合わせた金融機関関係者が全体の四分の三でございましたが、特に中小企業金融に詳しい地域金融関係者については、全体の四分の一を占めております。
 ご指摘のように、中小企業融資を行う上で、中小企業金融に精通した人材について、即戦力として、中小企業の事情を踏まえながら、きめ細かく中小企業の立場に立って熱意のある対応が行われるものと期待しているところでございます。

○秋田委員 四月に公募した行員の採用についてはわかりましたが、今後の職員構成についても伺わせていただきたいと思います。
 今回の新銀行は少数精鋭でやっていくということですから、行員のほかの契約スタッフの役割も非常に重要になってくるんだろうと思います。その採用はどのように行っていくのか。また契約スタッフについても、新銀行のポリシー、この点について十分にも理解して、何といっても熱意のある行員というか、人材を確保していく必要があると思うんですけれども、どんなものなんでしょう。

○関新銀行設立本部企画担当部長 契約スタッフにつきましては、融資先の開拓、拡大などを行う渉外業務や窓口業務、コールセンター業務などを幅広く行うこととしており、現在精査中でございますけれども、当面、約七十名程度の募集を予定しております。
 加えて、今後の職員構成につきましては、契約社員のほか、人材派遣の活用などを含め、より柔軟な執行体制を構築する方向で検討を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、その採用に当たっては、金融機関のOBで、法人営業などの豊富な業務経験を持つ人材、事務事業のすぐれたスキルを持つ即戦力となる人材を募集していく予定でございますが、特に地域金融機関において中小企業金融の実務経験のある人材、地域金融に意欲のある人材を優先して採用させていただきたいと考えております。

○秋田委員 冒頭にわざわざ高杉良さんの小説というか映画を引き合いに出したのは、組織というのはどんな組織であれ、たとえ体裁を整えても、結局、志が低かったり、安きに流れていっては、設立目的等々も果たせないんだろうなというふうに思います。
 ぜひ、新銀行東京の設立目的を正しく理解し、そして何よりも熱意を持って、何といっても東京を支える中小企業の皆様方の支援に役立つような銀行をつくっていただきたいというのと、あともう一点は、この間、津島本部長を初め皆さんの努力は本当に重々承知しておりますが、何といっても結果がすべてだということを肝に銘じて、なお一層の努力を期待して、質問を終わります。

○川井委員 たしか昨年の五月から、振り返れば、本委員会において新銀行構想の当初からかかわってきた一人として、ああ、ここまで来たんだなと、こういう思いがあります。特に、この委員会も構成が変わって、当時から三分の一の方々が残られて、引き続き新銀行の議論に加わってきた、こういう思いがございます。
 新銀行の構想は、初期には、技術力にすぐれたベンチャー企業など、新産業支援に力点が置かれていたように考えております。しかしながら、都民、中小企業の要望を反映した私ども議会側の提言により、すべての中小企業を総合的に支援する方向に大きく変化をしてきたのだろう、こう理解をいたしております。
 さらに、中小企業の資金供給における地域信用金庫の役割の重要性を、私を含めて訴えてまいりました。その重要性を踏まえ、信金との連携を主張し、そうした内容がマスタープランに盛り込まれたわけで、いわばともにつくり上げてきた、こういう思いを、あるいは自負を持っております。
 それだけに、皆様方のご苦労、努力も認めながら、これから本当に総仕上げの段階で、間違いのない、そして都民が求める、特に中小企業の方々が求める銀行をつくり上げていただきたい、こういう思いに立っております。
 先ほど桜井委員からも話がございました。いろいろな会合に行っても、多く質問が出される新銀行、それだけの大きな期待感が寄せられております。あるいは、この銀行をつくるに当たって、貸し渋り、この問題が大きかった。あるいは保証渋り、こういう問題もあったわけであります。
 今、経済状況の中で苦しむ中小企業の方々が、もしかするとこの銀行で救われるのかもわからぬ、とにかく来年四月過ぎまで頑張ろう、こういう方々も、お話に聞くと、いるわけであります。さあ、そのときにどういうふうにこたえられるのか。しかし、何でもかんでも貸すというわけにもいかないわけであります。そこのところと、いわゆる今までの銀行と違って、キャッシュフローだとかポートフォリオだとか、あるいは将来性だとか技術力だとか、そういうことに非常に力点を置いていただいて、より中小企業の方々の方向づけ、あるいは営業、経営にまで参画する、あるいは家族構成まで知っている信金さんの役割というのが大きくなってくるんだろうと。
 前に、私、委員会でこういう質問をしたんですけれども、よくわかるご答弁をいただいてないような気がするんです。最少の人間でこれをやっていくということの中で、東商あるいは信金の窓口を十分に利用してくれ、こういうお話をさせていただきました。それは、先ほどもいったように、信金の方々が、家族構成から、その社長の思想までわかっているように、中小企業の台所まで入り込んでいる。こういう方々の知恵と知識と、持っている、調査した、それぞれの企業に対する知識、こういうものを生かしてもらいたい。
 それと、本店が一カ所の支店が五カ所、こういう形の中で非常に窓口が足らない。それをどう補っていくかというと、やはりそれにかわる窓口が必要なんだろう。場合によっては、事前の相談だけでなく、出してきていただいた資料の受け渡し、並びに一定の判断まで与えていいんじゃないだろうか、こういう思いを持っているんですが、そこのところは、当時きちっとした答弁をいただいてないんですけれども、今、銀行本部として、この設立に向けて進めている中で、どういう議論があるわけですか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行は、少ない店舗の体制を補うこともあり、提携企業、それから東商などの取り次ぎによる紹介先企業の紹介、それから当然ながら信用金庫のさまざまな提携、具体的には保証でありますとか協調融資、さらに先生のおっしゃるような融資における密接な連携というものを、具体的に細部にわたりまして、それぞれの信用金庫のご事情がございますので、双方の利益にかなう方向を模索しながら、基本的なルールを今検討しているところでございます。
 これは全信用金庫とともに、一緒になって、一体となって話し合いを進めているというところでございます。

○川井委員 思い起こしてみますと、担当の部長、課長がすぐに据えかえられた、こんなこともあった。あるいは、ご答弁の六割、七割を出納長が非常にある種の緊張感を持ってご答弁された、こういう委員会もありました。それだけに、今思い起こしてみると、大変な努力、そして大変な力が結集されてきたんだろう、こういう思いがします。
 その中で、信金の方々に対しても協力要請をしたけれども、当初なかなか理解をしていただけなかった。社員の派遣をお願いしても、派遣という形じゃなくてオブザーバーで参加します、こういう返答があったようにも聞いております。
 そういう中で、当初、前の出納長が行って、各信金さんの役員というか、全部が理事長さんですから、家に帰れば一家の理事長としての親方でございますから、その方々に対しての言葉が若干足らなかったようなことで、理解がいただけなかった、こういうこともあった。
 しかしながら、徐々に皆様方の努力が通じて--当初よこしてきたのは、どちらかというとちょっと年がいった、あるいは窓際の方々が来ていた、こういう話も聞くんです。しかし、だんだんに自分のところの精鋭を出すようになってきた。全面的な協力をしていこう、こういう形に変わってきた、そういうことを直に信金の経営者の方々からも聞いております。
 そういう意味では、今、彼らの力をかりるには最もいいところまで来たんだろう。その中で、今、ご答弁がありましたけれども、いろいろそれぞれの立場で協力いただくように検討しております、いい方法があるならばと、こういうような思いをいっていただいたんだろうと思うんですけれども、ぜひ積極的にそこら辺やっていただかないと、私はこの新銀行は成功しないんだろう、こう思っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたい、こう思っております。
 また、単に預金、融資だけでなく、この銀行はICカードの発行も一つの特色だ、こう思っております。このカードを軸として、JRあるいは流通関係などのさまざまな企業、さらに行政機関との連携、この新しい金融サービスを創造していく、そして顧客の利便性を向上させる。実はこの部分も大変期待されているんだろう、こう思っております。
 それで、この部分と、先ほどいいました窓口の部分、中小企業の方々、これができるのを本当に待っているわけです。待っているんだけれども、どういうところへ行っていいのか、自分たちはどういう触れ方ができるんだろうか、窓口はどこなんだと。実は、このICカードあるいは窓口という部分について、かなり綿密に計画を立てて説明をしていく、これは、中小企業の方々に東商等を通して説明していくのか、ここの部分が実は大変大事になってくるんだろう、こう思っていますが、何か考えがありますか。

○関新銀行設立本部企画担当部長 まさに先生のおっしゃるとおりで、私どもとしても、各中小企業との接点、窓口というものが非常に重要だと思っておりますので、ご指摘のとおり、東京商工会議所、それぞれ多摩地域に支所がございます、また商工会連合会、こうしたところと密接な協議をするとともに、さらにその傘下の各団体にもご協力をお願いしていくというふうに考えております。

○川井委員 つくり上げる新銀行、どう理解していただくかというところにもかかっているんだろう、こう思いますので、その説明というか、理解を求める部分への努力、それと、この銀行を救いの場として求めてくる都民、中小企業の方々に対して、わかりやすい触れ方というもの、あるいは関係の仕方というものを、きちっとした説明責任を持ってしていく努力を要望しておきます。
 それと、実は金融界の一部、あるいは議会の中にもそれぞれの考え方があって、自治体が銀行をつくることは民業圧迫だ、こんな思いの声もあったわけでありますが、しかしながら、先ほど秋田委員から、結果がどうあるかということでお話がありましたけれども、この銀行が、中小企業に真に貢献する新しい銀行をつくるということでこたえてほしい、いわゆるこういう銀行をつくりましたよということが、すべての答えなんだろう、こう思うわけなんですね。ですから、ぜひご努力をいただきたい、こう思っております。
 また、この新銀行にかかわってきた方々は、本当にいいチャンスだったんだろう、こう思っております。私ども議会にとっても、あなた方にとっても、ある意味、歴史的な試みであった、こういう思いも深く実は一方に持っております。それだけに、いい結果を出してほしいな、こういう思いを持っております。
 そこで、来年の開業を目指してご努力いただきたいという思いと、ここまで本当によくやってもらったな、あらゆるところの方に耳を傾けていただいた、傾けていただく中でのそれなりの努力をしていただいてきた、こういう思いも実は一方に持っております。
 最後に、本当にこの銀行を目指して、都民の方々がこんな銀行ができて助かったよ、よかったよ、そういう声が聞かれるためへの努力を要望しながら、このプロジェクトの責任者としての本部長の決意を最後に聞いて、質問を終えたいと思います。

○津島新銀行設立本部長 昨年五月の新銀行構想発表以来、ちょうど十一月の基本スキーム、さらに本年二月のマスタープランの発表を受けまして、四月に一千億円の出資のご承認を得て、新銀行東京が発足したわけでございます。
 この間、前委員長の川井先生、それから現委員長の近藤先生を初めといたしまして、各委員の先生方に実に六百問、私、数えましたけれども、六百問にも及ぶ熱心なご審議をこれまでいただきました。また、大変適切なご指導とご助言をいただいたということで、心から感謝申し上げます。
 おかげさまで、今、川井先生からお話がありましたように、審議の過程の中で理解が徐々に深められてまいりまして、それが信金を含めて一つの大きな流れができたのかなと。そして今、ここに来て、おかげさまで開業準備が着々と進んでいる。これも本当に財政委員会の先生方のおかげだと、深く感謝申し上げております。
 新銀行を時間的に見ますと、開業までの時期、それから開業から営業の初期の段階、そしてステップを踏んで発展する段階というふうに分けられると思うんですけれども、今、開業までの時期とその当初というのは、やはり東京都の信用力による支えというものが大事ではないかというように考えております。
 設立本部としては、そういう視点から、新銀行に対してハード、ソフト、全面的な準備についてできる限りの協力、支援をしていく。そして都民、都議会の皆様に対する説明責任を十分に果たしていくことが、私ども新銀行設立本部の重要な役割であると認識しております。
 しかし、やはり将来的には、この新銀行がきちんと出資も得て、民間銀行としてひとり立ちをしまして、地域の中でしっかり根づいて、もちろん信金とも協力して、確固たる地位を築いて、立派に成長していくことを心から私も望んでおりますし、また、できると信じております。
 そのためには、都民、中小企業に真に貢献する銀行となるために、現在頑張っております経営陣、それから、先ほど採用のお話がありましたけれども、行員一人一人が努力を積み重ねていくことがまず大事でございます。その意味で、これから都として、また株主として、新銀行をしっかりと側面から支えて、監督、指導していくつもりでおります。
 よろしくお願いいたします。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に関する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に関する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十三分散会

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