財政委員会速記録第六号

平成十六年三月十八日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長近藤やよい君
副委員長森田 安孝君
副委員長小美濃安弘君
理事松村 友昭君
理事川井しげお君
理事中村 明彦君
秋田 一郎君
鳩山 太郎君
執印真智子君
桜井良之助君
桜井  武君
藤川 隆則君
青木 英二君

 欠席委員 なし

 出席説明員
出納長室出納長大塚 俊郎君
理事津島 隆一君
副出納長中路 有一君
副出納長宇藤 雅隆君
参事岳野 尚代君
参事関  敏樹君

本日の会議に付した事件
 出納長室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出 出納長室所管分
付託議案の審査(質疑)
・第六十二号議案 東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・新銀行マスタープランについて
・平成十五年度資金管理実績報告(第三・四半期)について

○近藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、出納長室関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより出納長室関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、予算中、歳出、出納長室所管分、第六十二号議案及び報告事項を一括して議題といたします。
 予算案、付託議案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中路副出納長 先般の委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開きください。要求資料第1号、新銀行のデフォルト率及び毀損率でございます。
 1のデフォルト率と毀損率の関係につきましては、お示ししてあります計算式のとおりでございます。なお、新銀行において、九十日以上延滞、金融支援、法的倒産等に陥る率をデフォルト率としております。
 また、2のデフォルト率及び毀損率の推移についてでございますが、ポートフォリオ型融資、技術力・将来性重視型融資、シンジケート型融資、その他の融資区分別にデフォルト率、毀損率をそれぞれ開業第一期、第二期、第三期とお示ししております。
 次に、二ページをごらんください。要求資料第2号、新銀行の貸倒償却額でございます。
 期首における融資・保証残高、新規の融資・保証実行額、デフォルト額、回収額、貸倒償却額の区分ごとに開業第一期、第二期、第三期におけるそれぞれの額をお示ししてございます。
 次に、三ページをごらんください。要求資料第3号、総資産利益率及び資本利益率でございます。
 上段の表は、新銀行における総資産利益率と資本利益率について、開業第一期、第二期、第三期とそれぞれお示ししております。
 下段の表は、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫の総資産利益率と資本利益率について、平成十二年度、十三年度、十四年度とそれぞれお示ししてございます。
 次に、四ページをごらんください。要求資料第4号、新銀行の利ざや収益でございます。
 上段の表は、期首及び期末における貸出・保証残高、並びに利ざや収益の区分ごとに、開業第一期、第二期、第三期とそれぞれお示ししております。
 なお、下段の表は、新銀行における貸し出しに係る資金調達費用につきまして、開業第一期、第二期、第三期とそれぞれお示ししております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井(武)委員 昨年五月、石原知事が新銀行の構想を公表して以来、十一月には基本スキーム、先月のマスタープランの発表というように、新銀行の骨格、業務内容が明らかにされてきておりますが、きょうここでもう一度、これまで議会において議論になりました論点について、確認の意味も含めまして質問をいたします。
 予算特別委員会でも議論がありましたが、既存銀行の融資額四百八兆円のうち約九割の三百五十七兆円が融資利率三%以下でありまして、リスクのある中小企業等に対しては既存銀行はほとんど融資をしていないことが数字の上でも明らかになっております。融資を断られた企業のうち相当数が、事業者向け貸金業からの貸し付け、いわゆる商工ローンを利用して、高い利率であります二五%から二九%という高金利での借り入れを余儀なくされているというのが実態であります。
 そこで伺いますけれども、中小企業融資が利率三%以下というのと二五ないし二九%の利率に集まっているとすれば、既存の金融機関はなぜその両者の間にあるいわゆる空白地帯というか、に参入してこないのか、まずこれについてご説明してください。

○津島理事 既存銀行はいまだに不良債権の処理に追われておりまして、中小企業の資金需要に対し、積極的にリスクをとるだけの体力が十分に回復しておりません。また、戦後の経済成長に支えられた担保主義と相まって、融資におけるデフォルトの発生を極力回避する姿勢が定着しておりまして、積極的にリスクをとる姿勢に欠けておりました。このため、ミドルリスクとなるような中小企業への資金が十分供給されていなかったと考えております。

○桜井(武)委員 そうした既存銀行の姿勢は、本当にバブル経済の崩壊前から続いていた現象なのかどうか、その点についてはいかがですか。

○関参事 既存銀行が不良債権処理に伴う体力低下のために貸し渋りなど消極的な融資姿勢をとったことは、バブル経済崩壊後に発生した現象でございますけれども、中小企業融資において担保を重視しリスクをとらないという融資姿勢は、基本的には従来から変わっていないと考えられます。経済成長神話の崩壊の過程で、担保能力の劣る中小企業の融資に集中的に顕在化したものと考えられます。

○桜井(武)委員 そういったことが民間の既存の金融機関の基本的な融資姿勢であるとするならば、民間を補完するものとして、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫などのいわゆる政府系金融機関がありますけれども、こうした政策金融では対応できないのかどうか、お答え願います。

○関参事 政府金融はそれぞれに特色がございまして、これまで大きな役割を果たしておりますけれども、担保や保証、融資対象、それから限度額、審査期間、それから手続などの面で必ずしも中小企業のニーズに十分こたえているとはいえないと考えられます。
 例えば、中小企業金融公庫の融資は長期融資であるため、原則として担保と保証が必要でございます。
 それから、商工組合中央金庫--商工中金の融資は、主として所属組合及びその構成員に対象が限られ、やや大規模な融資が多いということでございます。
 また、国民生活金融公庫の融資は、比較的小規模な企業を対象とし、無担保融資が主体ではございますが、融資の上限が原則五百五十万円と少額でございまして、さらに、これら各政策金融とも、審査期間が、新規の場合は一週間から最大一カ月程度かかる、それから申請書類の煩雑さなど非常に機動性に欠けるということで、中小企業のニーズには十分にこたえ切れていないというふうに考えられます。

○桜井(武)委員 政府系金融機関でも無理ならば、頼りにすべきは東京都の中小企業支援策と必然的になってくるわけでありますが、その中でも重要な役割を担っておりますのがいわゆる制度融資であります。
 制度融資は、東京都と信用保証協会、金融機関が協調して、大企業に比べて担保力や信用力に劣り、貸出条件の厳しい中小企業に対して、低利で安定的な資金供給を行ってきておりますが、まず制度融資について伺いますが、過去五年間の融資実績を、まずどのように推移しているか、お答えください。

○関参事 制度融資の所管は産業労働局でございますけれども、一応過去の五年間の融資実績につきましては、平成十年度が二兆一千四百億円、十一年度が一兆九千七百億円、十二年度が一兆七千九百億円、十三年度が一兆八千九百億円、十四年度につきましては一兆九千億円ということになっております。

○桜井(武)委員 今の答弁でもわかりますとおり、制度融資の実績は、多少の増減はありますけれども、ほぼ毎年度二兆円前後で横ばいとなっているわけであります。東京都は毎年度、金融機関に約二千億円の預託を行いまして、二千億円の預託で毎年度二兆円近い資金を中小企業に低利で供給しているということになります。
 このように制度融資は、規模も大きく、都が実施している中小企業施策の中核をなすものであり、これまでの実績は高く評価をいたします。
 しかし、二兆円近い融資を行えば、それなりの貸し倒れも生じてくるわけであります。事業者が返済不能になった場合、まず信用保証協会が事業者にかわって金融機関に保証することになるわけでありますが、その額は、平成十四年度の実績で幾らぐらいになっておりますか。
 また、信用保証協会は、その額を事業者に請求することになるわけでありますが、事業者は返済できず保証協会に損失が生じた場合、そういう場合は東京都に何らかの負担が生じると思いますが、この点についてご説明をお願いいたします。

○関参事 融資を受けた事業者が返済不能に陥った場合、信用保証協会が金融機関に対しましてかわって弁済、代位弁済を行うわけでございます。制度融資にかかわります代位弁済額は、平成十四年度の場合でございますけれども、一千二百五十七億円でございます。
 この中から、信用保証協会が債務者から返済を受けることができなかった部分については、中小企業総合事業団が七〇から八〇%保険で補てんいたしますが、その残りの部分につきましては、都が代位弁済補助という形で補っているということでございます。

○桜井(武)委員 そうした代位弁済に対する東京都の補助は、では、額にしてどのくらいになりますか。

○関参事 直近の平成十四年度の代位弁済補助額は、百三十三億円ということでございます。

○桜井(武)委員 そこで、ちょっと長くなりますが、年間で百三十億円もの税金が返済の穴埋めとして使われていることは、都民にはほとんど知られていないのではないかと思います。これが八年続けば、新銀行の出資金に相当する一千億円を超える資金が都の補助金として支出される、そういう計算になるわけであります。
 また、制度融資は既存金融機関の審査と保証協会の審査の双方を経る必要があるためか、債務超過、借入金過多など比較的リスクの高い中小企業は審査を通りにくい、融資を迅速にしてもらえない、そういう声をしばしば聞きます。特に都議会議員たちは聞いております。
 いずれにせよ、これまでの質疑を通じて、中小企業の資金ニーズに対し民間の既存金融機関や政府系金融機関はいずれも十分に対応できていないこと、東京都の制度融資にも一定の課題があることを指摘してまいりました。
 東京の地域経済を預かります東京都として、現状を座視することは許されないわけであります。制度融資を補完し、中小企業の現実のニーズに十分こたえる施策として、新銀行の設立は今まさに推進していかなければならない施策であると思います。ぜひ産業労働局とも協力されまして、中小企業支援の実を上げていただきたいと思います。
 ただ、そこでもって気になる点が幾つかありますので、その気になる点を幾つか質問させていただきます。
 まず一点でございますが、民間金融機関や制度融資が手がけてこなかった分野に新たにチャレンジするわけでございますが、それを支える人員体制が整っていなければならない。また、新銀行は、開業時、本店、支店合わせまして六店舗で営業を開始し、行員が全部でわずか百九十五名の体制と聞いていますけれども、これだけの窓口あるいはこれだけの人員で中小企業の融資ニーズに果たして対応できるのかどうか、これについてご答弁をお願いします。

○関参事 新銀行は、ご指摘のとおり、少店数、少人数の体制を補うために、コールセンター、提携企業、インターネットなどのチャネルをフルに活用するとともに、契約スタッフ、外部委託の活用を図り、中小企業のニーズに対応することとしております。
 具体的には、融資業務が安定化する第三期の体制でご説明申し上げますと、まず、コールセンターでは、約百十名のオペレーターが電話による顧客からの融資の相談等に応じさせていただきます。このうち四十名につきましては、顧客からの相談を待つことなく、電話により積極的に中小企業経営者に対して融資案内を行いまして、いわゆるアウトバウンドと申しますけれども、隠れた中小企業の資金ニーズを掘り起こす、また信用金庫やオリックスなどの提携先による取り次ぎ、それから商工会議所、商工会などからの紹介など、幅広く融資窓口につながる体制を確保してまいります。
 融資の申し込みにつきましては、本店、出張所の融資担当職員が対応して受け付けを行うわけでございます。受け付け後、融資担当者は、決算書に基づく自動審査、それから提携企業や諸団体からの顧客に関しての定性情報をチェックさせていただきます。同時に、経営者との面接を行います。その後、経験豊富な本部審査担当職員により、融資先に対する実地調査を行って、最終的に融資条件を決定してまいります。これらに行員約七十名、契約社員約三十名の総勢百名が携わるということでございます。
 また、特に、技術力・将来性重視型融資につきましては、決算書に基づきます自動審査に加えまして、本店本部の審査担当職員約四十名がこれに当たるとともに、有識者など、非常に技術力、見識の高い専門スタッフで組織される技術力審査会も活用させていただきます。

○桜井(武)委員 少人数体制を補うために外部委託を活用する、こういうことでございますけれども、具体的にどのような業務の外部委託を考えていますのか、また、くどいようですけれども、それできちんとやれるのかどうか、この点について答弁願います。

○関参事 具体的な外部業務委託といたしましては、先ほど申しましたコールセンターのオペレーター業務に約百十名程度の人数を投入してお願いする、委託することとしております。委託先といたしましては、コールセンターの運営、オペレーターの教育、訓練に実績のある企業を選定してまいります。
 また、中小企業経営者に対して新銀行の融資案内と申し込みの取り次ぎを行ういわゆる法人営業につきましては八十名程度を想定しておりまして、オリックス株式会社など法人営業推進に強みを持つ提携企業と連携し、業務委託を行ってまいります。
 さらに、システムの集中管理を行うシステムセンター、これは七十名程度の規模になりますが、それから新銀行の貸出債権の回収を行ういわゆるサービサー業務、ここは三十名程度を予定しております。
 それから、融資案件のデータ入力、書類作成補助を行う融資事務、バックオフィスと申しますけれども、これに三十名程度など、第三期で約三百二十名に相当する業務の委託を予定しております。
 こうした業務委託も、より高い専門性が確保でき、効率化が図れるように、当該業務分野における実績のある企業を選定して委託を行う予定でございます。
 なお、こうした外部委託を行うことにあわせて、それぞれの部門のコントロールセクションを新銀行の内部に設けまして、管理要員を派遣することによって、委託業務を全体として有機的かつ効率的に運営させていただきたいと考えております。

○桜井(武)委員 それでは次に、新銀行が目玉としているというんですが、ICカードについて伺います。
 マスタープランでは、多くの企業と連携し、ICカードを活用した多様なサービスを提供するということになっております。これまでに既存の金融機関が手がけてこなかった新しい事業に挑戦することになるわけでありますが、新銀行のICカード事業の見通しは大丈夫ですか、ご説明を願います。

○津島理事 ICカードの事業の見通しでございますけれども、大きく二つの面で考えていかなければいけないと思っております。一つは、システムの構築面、ハード面でございます。もう一つは、事業の運営面、ソフト面だと思いますけれども。
 まず、システムの構築面でございますけれども、新銀行では、チャネル拡大等のシステム改修に多大な費用を要する従来の既存銀行の銀行システムとは異なりまして、全く新しい拡張性の高いシステムを構築するという基本姿勢になっております。
 新銀行では、全く新しいシステムを構築するため、ICカードについても、本来実現すべき機能の一つとしてシステムの当初の段階から構築することとしておりまして、ICカードの導入にかかわるコストや技術的な課題をあらかじめ織り込んだ上で、銀行全体としてうまくマッチングするような形で開発計画を進めてまいります。
 また、事業運営面でございますけれども、新銀行のICカード事業は、ICカード機能やあるいは提携先企業の強みをフルに活用いたしまして、顧客に対し、高い利便性と多彩なサービスを総合的に提供するものでありまして、事業面においても、他の金融機関に対する優位性を十分有しているというふうに考えております。

○桜井(武)委員 過日の本会議の一般質問の中で、交通局長が、東京都は、関東圏の鉄道、バスを一枚のカードで利用できる共通ICカードの新運営会社に出資するということを明らかにされておりましたけれども、新銀行は交通局とともに十分な連携を保って事業を進めていられるのかどうか、確認をさせていただきます。

○関参事 昨年の七月でございますけれども、都営地下鉄や営団地下鉄などを含むパスネット発行事業者、それから都営バスを含むバス共通カード発行事業者、それからJR東日本等のSuica発行事業者の三つのグループが、平成十八年度にICカードの相互利用を実現するということで、昨年七月に合意に至っております。
 今回の交通局の出資はその合意に沿ったものでございまして、大手私鉄九社がICカードを発行、運営するために設立しましたパスネット・バスICカード株式会社に平成十六年度に出資をするというものでございます。
 新銀行の開業時には、JR東日本のビュー・スイカとの一体型のカードを発行する予定でございますけれども、都営地下鉄、都バス、都電の都営交通三事業との一体型カードの発行については、平成十八年度に相互利用を視野に入れまして、交通局のICカード戦略と歩調を合わせて、現に具体的な交渉を行っております。
 さらに交通局とは、新銀行のATMの都営地下鉄の駅への設置や、ATMによる乗車券のチャージ機能の提供など、相互の顧客利便性の向上についても協議を密接に行っているところでございます。

○桜井(武)委員 それでは最後でございますけれども、これは既存の銀行との絡みでございますが、ICカードを作成すれば、当然口座を開設することになるわけでありまして、カードの利用回数がふえれば、その口座からの決済金額もふえていくのは必然であります。
 そうなると、他行の口座から新銀行への預金シフトが発生するということが考えられますが、こうした預金シフトが起こらないようにするためにどのような対策を考えておりますのか、ご説明を願います。

○津島理事 新銀行は、開業第三期におきまして、預金口座数百万口座を想定しております。このうち七割に当たる約七十万口座は、JR東日本や都営交通等の交通機関のIC乗車券と銀行キャッシュカードが一体となった交通系カードの発行によるものでございます。
 交通系カードは、貯蓄そのものを目的とする口座ではなく、比較的少額な口座と想定されておりまして、これにより膨大な預金シフトが生じる可能性は少ないと考えております。
 また、預金シフトに対して新銀行では、一年未満の定期預金は取り扱わないこと、出張所窓口では現金を取り扱わないこと、通帳については希望者のみの発行とすることなど、さまざまな対策を講じてまいります。
 さらに、金利などの預金条件の設定に当たりまして、金融秩序をいたずらに混乱させることがないよう、十分配慮してまいります。

○青木委員 それでは、続きまして、私からも何点か伺いたいと思いますが、まず最初に、過日の代表質問の中でも私どもも、東京都とこの新銀行との関係について伺いました。大塚出納長の方からは、民間の銀行であるというお話もございましたし、東京都の関与は、具体的に執行に関与しないというお話もありました。
 そういう中で、明確な答弁はあったんですけれども、率直にいって、都民の皆さんの間には、民間銀行であるということよりも、東京都がつくってくれるんだな、都営の銀行だなという考え方、まあ誤解といった方がいいんでしょうか、そういった考えが非常に広まっているということは、率直にいって私、事実だと思うんですが、これからいろいろ作業、大詰めを迎えているんですが、民間銀行であるということを、もう一度改めてその辺のことを私としては冒頭、確認をしておきたいなというふうに思います。

○関参事 新銀行は、政策目的を担いますが、あくまで民間銀行でございまして、都は具体の執行に関与せず、経営の大枠を監視するということにつきましては、マスタープランや、本定例会を含め都議会の答弁などの中で明らかにさせていただいております。
 今後でございますけれども、開業に至るまでの準備期間におきまして、さまざまな機会を通じて新銀行の広報を適切かつ効果的に行うことによりまして、ご指摘のような誤解を解いて、都民へ正確な認識が伝わるように努めてまいりたいと考えております。

○青木委員 ぜひいろんな方法で、インターネットを含めて今いろんな方法があるわけですから、一千二百万都民の皆さんに、誤解をというのはなかなか難しいんでしょうけれども、準備会社等とも協力をしながら、その辺の誤解というのをぜひ払拭していただきたい、要望しておきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、これももういろんなところで質疑をしているわけですが、預金の集中という問題が次に挙げられるというふうに思います。東京都の場合は、この新しくできる銀行というか--都民の皆さんとしてみると、安全な銀行にお金を預けたいという、これは当たり前の話だというふうに思うんです。さっき私もお話をしたように、この銀行は都営銀行だという誤解もあるということからいくと、それは誤解にしても、事実一千億円近い税金が投入されるということでは東京都の信用があるということは、これは否定できない事実だと思うんです。だから、この新しくできる銀行は安心だということが当然都民の皆さんの中にあるということは、これも否定できない事実だと思うんです。そういう中で、安心な銀行ということであれば、お金、預金がこういう方にシフトされていくということは、これは当然だというふうに思うんです。
 それで、特に、どんどん新しい銀行にシフトされていけば、そのことが--私どもの大変心配している民業圧迫の一つのあらわれとしては、預金がどんどん流れていく、シフトということになってきて、それはまさに信金を含めて地域金融機関に大きなプレッシャーになっていくということになってきて、これは私ども、大変懸念をしているわけです。
 改めてお尋ねをしたいんですが、この預金シフトについての対応をどのようにお考えになっているかということ。それからあわせて、時期が、ちょうど開業が平成十七年の四月以降ということになって、これもペイオフの全面解禁という時期にちょうど重なるわけですから、一層この辺は慎重な対応が必要かなというふうに思います。このペイオフに合わせて特段対応があるのか。この二点、お尋ねをしておきたいと思います。

○津島理事 預金移動の程度を予測することは非常に難しい問題でございますけれども、新銀行においては、まず、先ほどご説明したようなさまざまな預金シフト対策を適切に講じていくことが重要であるというふうに考えております。
 さらに、新銀行の開業時期でございますけれども、ペイオフと重なるということですけれども、マスタープランでは平成十七年四月以降とさせていただいております。経済状況や金融状況などの流動的な要素を勘案して適切に判断することとしておりまして、この時期についても、金融秩序をいたずらに混乱させることがないよう十分配慮しながら決定していきたいというふうに思っております。

○青木委員 このシフトを回避するために弾力的に開業の時期も検討していくというお話がありました。私は、あえて誤解を恐れないでいうならば、逆に、今からこの日に開業しますよという設定、もちろん設定しなきゃそれはできないんだけれども、それに固執するよりももっと大事なことは、やっぱり預金シフトが起こったりして金融秩序に大きなトラブルが起きる、また預金者の皆さんに大きなトラブルが生じる、そういうことにならない日を選ぶということ、例えば四月一日だとか、五月一日だとか、そういう日とか、別に大安の日を選ぶよりも、そういったことが一番私は大事なことかなというふうに思いますので、改めて要望しておきたいと思います。
 なおかつ、努力をしていただいたにもかかわらず預金が集中をしてしまった。非常に重要な問題ですから、しつこいようですが、改めて、それでも集中をしたとき、これは実際に起きる可能性は十分あるわけですし、また私どもも予想がつかないし、多分皆さんも予想がつかないかと思うんですが、二重の意味のチェックとしてはどういうことができるんでしょうか。

○津島理事 計画や予想を大幅に超える預金が集まった場合には、その時々のケースに対応いたしまして最適な運用方法を選択することにしております。現時点では、個別にお示しすることはできませんけれども、その与信運用等については十分な対応策を準備していきたいと思っております。

○青木委員 民業圧迫にもつながる非常に重要な問題でございますので、この問題については今後もぜひ検討を重ねていただいて、不測の事態に陥らないということを重ねて要望しておきたいというふうに思います。
 それから次に、信用金庫等の地域金融機関との連携について若干お尋ねをしたいと思いますが、中小企業の皆さんに融資をしていくということで、特にいろんな地元の中小企業に対する融資に非常に精通している信金等の地元の金融機関と連携をしていくというのは、非常に私は大事なことだというふうに思います。
 お互いに協力するということは、簡単にいうと新銀行にもメリットがあって、信金、信金を含めた地元の金融機関、両方にメリットがないとできない話で、片一方だけ得しちゃって片一方だけ損したということはできないわけでありますので、新銀行としてのメリット、それから逆にパートナーである信金を含めて地元の地域金融機関についてのメリット、双方のメリットをそれぞれ分けてご説明、お話を伺いたいと思います。

○関参事 新銀行のメリットでございますが、新銀行は、融資に当たりまして、信用金庫などから地域情報、顧客の定性情報の入手が可能でございます。それから、信金等地域金融機関が長年培ってまいりました審査のノウハウを活用することもできます。
 さらに、提携信用金庫の店舗網などのネットワークを活用することで、少人数、少店舗でございます新銀行の効率的な営業体制も構築することが可能となってまいります。
 一方で、信用金庫側のメリットでございますけれども、新銀行のシンジケート型融資、それから融資に対する保証などで連携することによりまして、地域金融機関単独では負担能力を超えるリスクを新銀行と分散することができるほか、新銀行が組成いたします中小企業の再生ファンドを利用することで、顧客に対して効果的な経営支援を行うことができるとともに、ひいては、みずからの地域金融機関の資産の改善を図ることが可能となるなど、さまざまなメリットが享受できると考えられます。

○青木委員 今のお話を伺うと、新銀行については地元の信金などの支店網を利用することができるということで、後でまた伺いますが、先ほど桜井武委員からも質問があった、人材の面でも、こういうことを利用してできるんだと思うんです。
 また、地域の信用金庫にとってみると、今お話があった、協調のシンジケートの融資を利用することができるとか、中小企業の再生ファンドをそれぞれ利用できるという、双方メリットがあるということはよくわかりました。
 私ども会派としても、この新銀行については非常に重要な問題ということで、今までずっとPTも何十回となく開いてまいりました。いろんな方々からお話も聞いてまいりました。それぞれまたいろんなご意見もあった中に、それぞれ私どもの議員も地域で政治活動もしておりますから、当然信金の皆さんともお会いする機会も多いわけです。その中でいろんなご意見もありました。積極的に評価をする方々もいたし、否定的な評価をする方々もいました。いろんな声が私の耳に入ってきたわけですけれども、もう本当にいよいよ大詰めの段階に来て、過去においては率直にいってどうも足並みが乱れているなということを私も感じておりました。ですが、もうそんなことをいっている段階ではないわけで、この段階でそれぞれ信金との協議--私どもも折に触れて状況を聞いていたんですが、いよいよという段階で今どの程度まで協議というか、ある意味で最終的な協議なんでしょうけれども、どういう協議が今具体的に、いよいよこの場に来たときにされているのかをお聞かせいただきたいと思います。

○関参事 現在、新銀行の執行役と東京都の都内の信用金庫が加盟しております東京都信用金庫協会の会員の信用金庫の理事さん約八名で構成する検討委員会を設置しておりまして、提携業務の内容や具体的な運用方法などについて密接に協議を行っております。今後、さらに実務的な詰めを行うなど、新銀行の開業に向けて詳細な検討を精力的に進めてまいりたいと考えております。

○青木委員 今、八名の理事の皆さんと検討委員会をつくられて協議をしているということで、私の聞いている範囲では初めてこういう検討委員会をしているということを聞いたように感じていますが、まあ、結婚でいえば、お見合いも終わって、結婚式場も決まって、あとはいよいよ結婚式を待つぐらいの段階かなという感じがしておりまして、いろんなところからいろんなお声もあったんだけれども何とかここまでやってきたのかなという感じが私、今しております。安心もしているんですけれども、ぜひさらに協議を続けて、重ねていいますけれども、信金にとって圧迫にならないような点のご配慮を、この検討委員会ですか、その中で検討していただきたいというふうに思います。
 それではここで、具体的な内容について伺っておきたいと思いますが、最も大きな連携、提携の仕事としては、当然、協調融資と保証というのが、これはマスタープランにも書いてあるわけですが、それぞれ、協調融資の実績予定というんですか、それから保証の方の、これも実績予定、今やっていませんからあくまでも予定で結構ですが、それぞれ数字をお持ちだったらお聞かせをいただきたいと思います。

○関参事 信用金庫などとの協調融資でございますシンジケート型融資につきましては、提携金融機関と新銀行とがリスク分散を図りながら中小企業に対して協調して行うものでございまして、提携金融機関からの持ち込み案件を前提といたしまして、比較的大口、またはリスクのある案件も対象としております。開業三期目までの融資延べ実行額は約二千三百億円を見込んでおります。
 また、保証につきましては、信用金庫など地域金融機関が実行する融資に対しまして新銀行が保証を行うもので、開業三期目までの延べ実行額は約一千六百億円を見込んでおります。

○青木委員 数字はよくわかりました。
 それで、改めてもうちょっと詳しく、シンジケート型の融資というんでしょうか、協調融資の方を伺っておきたいと思うんですが、これもマスタープランに出ているんですが、一つとしては、信金の与信を超えた企業にも貸していきたい。それから二つ目は、債務超過に陥った企業にも貸していきますよというお話もありました。それから、大口の融資案件についても対応、この協調融資型でやっていくというお話がありました。
 私も、銀行にお金を貸したこともないし借りたこともないので全然無縁で、金融のことはよくわからないんですが、与信を超えたところには貸せない、今までは、そういうイメージもわきますし、債務超過というのはどういうことかとよくわかるんですが、三つ目の大型融資案件、これは具体的にいうと、どういうのがそういうものなのか一向に私はイメージがわかないんですけれども、これを、金融に縁遠い私でもわかるように説明してほしいと思います。

○関参事 大口融資案件につきましては、例えば商店街と連携した再開発のプロジェクト、それから事業拡大に伴う工場建設などの設備投資などで数億円単位の事業で、返済期間も比較的長いケースが想定されます。

○青木委員 今のお話でいくと、再開発のプロジェクトとか工場を新しくつくっていく、数億円単位というお話がありました。この分野は、今まではある意味で都市銀行の主戦場というか、分野だったんでしょう。だから逆にいうと、都市銀行の協会からは意見書があって、困るということがあったんで、一手販売の部分だったんだと思うんですね。そこに、例えば今いった協調融資をつけることによって信用金庫が参入ができれば、これは新銀行にとってもプラスですし、積極的な評価をすれば、それは信用金庫、地域の金融機関にとっても私は多分プラスなことだと思うんです。
 さらに、これは最も重要なことだと思うんでけれども、それぞれ、それは双方にプラスだけれども、さらにプラスなのは、今までお金が借りられなかった、都市銀行にもなかなか敷居が高くて行けなかった、本当に借りたかった中小企業の皆さんにお金が貸せるということであれば、これは民間企業がもうける、もうけない以前に、まさに政策的には非常に私は意味があるなという感じがしておりますから、ぜひこれは充実をしていくべきであって、これができることは、ある意味で中小企業に本当に貸せたという私は一つの大きなPRというかメルクマールになるんだと思うので、ぜひ頑張っていただきたいなと、この部分については思っています。
 それでは、協調融資のことはこのぐらいにして、保証に今度は入りたいと思うんですが、私もマスタープランを見させていただいて、皆さん方、新銀行が保証していくわけなんですが、そうするとなかなか信金が、皆さんが保証してくれるということになるわけですから、やっぱり融資の審査というのが甘くなるのではないかなという心配はしています。ですから、皆さんが提携してそれぞれ一緒に共存共栄を図ろうと思って保証したことが、逆に信用金庫のモラルハザードになってしまったら、これはまさに角を矯めて牛を殺す話になってしまうんだと私は思うんですが、このモラルハザード対策、これはどういうふうにされるんでしょうか。保証することは簡単だけれども、あわせてモラルハザードになってしまったら意味がないなというふうに思いますので、ここをお尋ねをしておきたいと思います。

○関参事 保証業務におきまして保証していただく側のモラルハザードが起きやすいのは、一般的に、すべて全部保証を行う場合が想定されます。
 今回、新銀行が信用金庫など地域金融機関の融資に対して行う保証については、原則といたしまして信用金庫にもリスクの負担を留保してもらう一部保証であるために、モラルハザードが起こる可能性は極めて低いと考えております。

○青木委員 もちろん借り手の方、信金にもよかれと思って保証したことがかえってマイナスにならないように、ぜひ配慮をお願いしたいというふうに思います。
 それから、今いった協調融資にしても、それから保証についても、やっぱり中小企業の融資に精通している人がいなければいけないわけで、そういうのを目ききというんですか。先ほど、桜井武委員の質疑の中でも、人材の体制についてお話がありました。六店舗で百九十五人ですか、全部で委託は三百二十名ぐらいされるというような関参事からのお話がありました。
 私、その数字、いわゆる量的な話はそれでよくわかりました。量的な話はよくわかったんですが、今いったように、やっぱり中小企業の融資に精通しているという、ある意味で質的な面も並行して論じなければいけないんで、幾ら何人とたくさんいたってそれは質的な面が整わなければ意味がないんで、量的な面は今よくわかりましたが、でも、質的な面での確保、それぞれ委託先も厳密に見ますとかいろいろお話があったし、経験がある人もという話があったんですが、もう一度、特に目ききなどの部分で、質的な確保、質的な人材の確保、これについてお尋ねを、人材の面でしておきたいと思います。

○津島理事 新銀行にとって、融資を初めとするさまざまな業務を適切かつ効率的に行うためには、中小企業金融の実態を熟知した人材の確保が極めて重要でございます。
 既に、信用金庫業界出身者を執行役に迎えまして、中小企業のニーズにこたえた具体的な検討を進めております。
 今後におきましても、東京都信用金庫協会を通じて、中小企業融資や審査の経験豊富な人材を必要数確保する予定でございまして、さらなる体制強化を図ってまいります。

○青木委員 私も予特の総括質疑のときにちょっとお話を申し上げたんですが、ポートフォリオとか、私も横文字がたくさん出てくるのでちょっとイメージがよくわからないんですが、とにかくいろんな機械とか、いろいろ数式を使って、何か最先端の銀行のようなイメージがあります。ただ、最終的には、これはお金を借りる、お金を貸すという、フェース・ツー・フェースの話になるんだと思うんです。あくまでもいろんな先端技術はそのプロセスの話だと思うので、私はこの人材については、数は少ないにしても--それは窓口業務をして、今の銀行のようにはないんだと思うんですが、いわゆる行員という方々は相当数いるわけですから、それはそういう面でのフェース・ツー・フェースに立つ人材だということを、非常に大事に、特に中小企業の皆さんが対象だということであれば、設立にはこの点、強く私も要望しておきたいというふうに思います。
 それから、いろいろな地元の信用金庫等地域の金融機関と提携をしていく体制で、今たまたま私は協調融資とか保証という業務を例に挙げてきたわけですが、体制が少しずつ乗ってきているなという感じは今しております。きょうの財政委員会、それから予特があって、本会議があって、もし予算が成立をすれば、いよいよもう四月から準備会社が出発していくことにもなるわけです。そうすると、一千億円出資していくということになるわけですが、どういう時期にこの一千億円が投じられていくのか、お尋ねしたいというふうに思います。
 それから、これはもう質問の最後にしたいと思うんですが、今まで、民間金融機関圧迫ということを大変私も心配しておりまして、幾つか今、例も挙げて、ご答弁もいただきました。私は、今までいろんな心配をしていたことが、例えばさっきの協調融資とかそれから保証によって、ある意味で信用金庫なり地域の金融機関と新しい銀行が共存共栄できる、今の段階では危惧をしていたということが、何年かたてば、ああ、やってよかったなということに、ぜひ全力も尽くしていただきたいなというふうに思っています。
 それで、最後に、実は私、昨年の四定の代表質問で、知事に、税金の再投入はないんですかと聞いたら、知事は、税は再び投入することは考えておりませんというふうに、代表質問、最も権威のある本会議でご発言もありましたので、私も率直にそういうふうに受けとめておりますが、この新銀行についての財政委員会としてのまとまった質疑はきょうが最後でございますので、この新銀行の、きょうまで先頭に立って旗を振ってこられた大塚出納長にも、くどいようですけれども、この再支出、もっと簡単にいえば税金を入れるということなんですが、間違ってもそういうことはないんでしょうねということを改めて確認をさせていただきたいと思います。

○大塚出納長 まず、新銀行への出資の時期でございますけれども、四月当初の準備会社発足時点、これが第一回目の出資になります。その後は、準備状況に合わせまして二回程度の分割出資を考えております。
 それから、税の再投入の話でありますけれども、青木委員がおっしゃいましたとおり、もう既に知事からお答えをしておりますけれども、新銀行においては、これまでもガバナンスの話、リスクコントロールの話、いろいろとお答えを申し上げてきておりますけれども、そうしたハード、ソフトのスタンバイを十分に、かつ適正に行うことで、経営健全性をしっかりと確保していくということでありまして、税を再び投入することは毛頭考えておりません。

○青木委員 今の代表質問、それから予特、今の財政委員会、私にとっては財政委員会のまとまった質疑、これが最後になってしまうので、私どもの会派としても、例えば都の信用力を背景にして民間の、民業圧迫になっていくのではないかと心配がありまして、今も全部払拭しているわけではないわけですが、今幾つかのやりとりの中で、民間銀行であるという、改めてお話も伺いました。また、誤解がある部分もたくさんありますから、ぜひそれは払拭のご努力もいただきたいということも一つあります。
 それから二つ目は、私自身も予特の総括質疑で伺った、一回走り始めてどこかで見直しを、特に政策的な部分で、それは大塚出納長がおっしゃったミドルリスク、ローリターンという、その視点がかけ離れていってはいないんだろうかどうかということを、必ず経営の見直しはどこかですべきではないんですかという質疑があった中で、知事からは、それは見直しをしますと、大塚出納長からは具体的に三年目という、ターニングポイントはどこですかと聞いたときに、三年目というお話も、具体的な見直し日時もご発言もいただきました。
 三点目は、これも私ども、これはもう会派を超えて、多分皆さんがどの会派も懸念していることだと思うんですが、再支出、いわゆる税金の再投入ということが本当に大丈夫なのかということで、くどいようですが、今、財政委員会の中で大塚室長からも、ないということの確認も私もさせていただきました。
 私ども都議会も、もしこの新銀行が成立されるならばという前提のお話でお話し申し上げれば、やはり今もお話しした政策的な、ミドルリスク、ローリターンということがきちんと守られているかどうかということを、ぜひ情報開示を可能な限りしていただいて、それをもとに私どもも議会としてきちんと監視をしていくということが、私どもに課せられた今度は大きな責務だなというふうにも思っています。
 それ以上に、この新銀行が、本当に困っている中小企業の皆さん、多くの皆さんに本当に生きた資金が流れていくという政策目的が堅持されて、本当に期待のできる銀行になるように、これはぜひ、これが成立すればということでありますけれども、東京都が大株主になるわけですから、ぜひそういった監視、私どもも監視をしますが、大株主の東京都もぜひその監視を揺るぎなく、ミドルリスク、ローリターンという政策的な銀行になっていくという、そういった監視をやっていただく、このことを強く要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○桜井(良)委員 我が党の代表質問で、ちょっと桜井武議員の質問でも出たんですが、既存金融システムの空白地帯の存在というものを指摘しました。新銀行は、低コスト、それから手厚い自己資本、そういうことを背景にして、既存の金融システムでは空白地帯になっている、そういうリスクの高い部分に対しても積極的に融資をやっていきますという答弁が知事からもあったわけでございます。
 去年の十二月、平成十五年十二月の日銀の調査によりますと、既存銀行の貸し出しが金利三%を超える部分にいきますと急に減っているわけなんですよ。したがって、いわゆるミドルリスクゾーンの中にいる中小企業にとりましては、この現状から考えますと、金利二〇%とか二五%などといわれております商工ローンから借りざるを得ないという場面も少なくないだろうなと思うわけでありまして、その商工ローンから借りるということと比べれば、これまでのいろんな中で明らかにされてきた新銀行の金利というものは低くて、その点では歓迎できるのかな、こう思うわけでありますが、しかし、中小企業の体力ということを考えますと、どこまで金利負担ができるかということは非常に大きな不安ではないかな、こう思うわけであります。
 そこで、三%を超える金利での融資に関しまして、現実に中小企業のニーズは高いんでしょうか、その辺どうお考えでしょうか。

○関参事 まず、ミドルリスクゾーンに貸し出しているという商工ローンの貸出残高につきましては、全国で十八兆円、都内でも推計で十兆円以上となっております。さらに、具体的に中小企業の側のご意向でございますけれども、平成十五年五月の中小企業庁の「中小企業金融の現状」という調査によりますと、金利許容度として、無担保無保証融資の場合は三%以上六%未満を希望する企業が最も多いという結果になっております。
 さらに、平成十五年九月に私どもが都内中小企業七千社を対象に実施いたしました中小企業の資金需要調査におきましても、ビジネスローンの利用意向が半数ございまして、そのうち三%以上の金利でもよいという企業は四割ございました。
 こうした状況を総合的に勘案いたしますと、都内の中小企業向け融資に対する資金需要は極めて高いと考えられます。

○桜井(良)委員 中小企業のニーズは確かに高いと思います。しかし、ニーズが高いにもかかわらず、三%を超える金利での融資に既存の金融機関は非常に消極的であったのではないかというのが先ほどの調査の結果だと思います。
 それはやはり、貸し倒れによる損失を恐れてなかなか融資をしなかった、いわゆる貸し渋りといわれる現象がそこにあったと思うんですが、そこで、新銀行がこのいわゆるミドルリスクの中小企業に融資を行っていくに当たりましては、いわゆる貸し倒れ、デフォルトへの対応が問題になってくると思います。この件については、昨年十二月の四定でも我が党、質問させていただいたわけでありますが、このデフォルトという感覚が非常に一般の人にはわかりにくいと思うんですね。そこで、デフォルト率が一%とはどんなことなのか、ちょっとご説明していただきたいと思います。

○関参事 民間金融機関の一般的な定義でございますけれども、デフォルト率とは、債務者が、お金を借りた側が、その財務状況から見て向こう一年間に九十日以上延滞、金融支援、法的倒産などに陥る確率であるとしております。このような状態になった債権は、金融庁の検査マニュアルに定める債務者区分では要管理債権以下に分類されまして、不良債権となるわけでございます。
 デフォルト率一%ということでございますけれども、貸し手でございます金融機関側から見た場合には、融資残高全体の一%がその一年以内に不良債権になるということでございます。

○桜井(良)委員 要するに金融機関からすると、百万円貸すと一年以内で一万円戻ってこないという状態ですね、これは。お金を貸すのがやはり銀行の業務でありますから、デフォルト率というものは金融機関の経営にとっては非常に大事な指標になってくると思うわけなんです。しかし、私たちが考えますと、一%、二%と聞きますと、大した割合ではないかな、こんなふうにも思えるわけなんですが、実際に企業のデフォルト率というものがどの程度なのかもちょっとよくわからないわけなんです。そこで、中小企業のデフォルト率というのはどのくらいなのか、伺っておきたいと思います。

○関参事 国の中小企業庁の中小企業信用リスク情報データベースでございますCRDデータは、約六十万社の中小企業から収集いたしました二〇〇一年の法人決算書などのデータに基づくものでございます。
 これによりますると、企業数で見た決算後一年以内のデフォルト率の実績は一・七七%でございます。

○桜井(良)委員 デフォルト率一・七七%といいますと、まあそう高くはないかなという感じもするわけなんですが、しかし現実に、一・七七ですから四捨五入して二とすると、百社の中小企業のうち二社がデフォルトしていると考えるとかなり実感がわいてくる感じがするわけでありますが、先ほどいいましたが、金融機関はお金を貸して利益を上げていく、こういう事業でありますから、デフォルトが確実な企業に対して融資することはなかなか難しいんじゃないかな、こう思うわけです。そうしますと、金融機関が実際に融資する際に想定しているデフォルト率はもっと低いんじゃないかな、こう思うわけなんです。
 そこで、先ほど出ました信金等の地域金融機関では、このデフォルト率をどの程度に想定しているのか、お伺いしたいと思います。

○関参事 こうしたデフォルト率につきましては、公表された数字はございません。そのため、公表されております決算書の一般貸倒引当率などから試算いたしますと、地域金融機関の想定のデフォルト率は、〇・八%から〇・九%程度にとどまるというふうに推計されます。

○桜井(良)委員 デフォルト率が一%を下回るということでありますから、かなり慎重に融資しているということになりますので、リスクの高い中小企業が既存の金融機関から借りられないというのは相当あるということが想定されるわけなんですね。一生懸命金融機関は頑張っていらっしゃるのですから、実際はそういうふうに考えざるを得ないです、今のお答えからしますと。
 では、新銀行の想定デフォルト率はどの程度を考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○関参事 開業三期目で二・二三%を想定しております。

○桜井(良)委員 非常に、地域の金融機関と比べますと三倍近いということなので、それはリスクの高いところにも融資していきますよということの姿勢だと考えるわけですが、しかし一方では、リスクの高いところに融資していくからには、やはりデフォルトに対する手当てをしっかりしなければならないと思うんですね。
 新銀行では、一般貸倒引当率が中小企業向けの融資で四・二%というふうに高くなっていますね。デフォルト率とこの貸倒引当率の関係はどのように考えればいいのでしょうか。

○関参事 デフォルト率と引当金の関係でございますけれども、金融検査マニュアルにおいては、正常先及びその他要注意先に対する債権については、年間の予想デフォルト額から回収見込み額を除いた予想損失額の一年間、または期末時点の融資の平均残存期間を見積もることとされております。
 地域金融機関の多くは予想損失額の一年間分を引き当てているところが多いということでございますが、新銀行では、一年間にとどまらず平均残存期間につきましては約二年分を乗じて、保守的に引当金を積んでおります。この結果、新銀行の中小企業向け貸倒引当率は、第三期目で四・二%ということでございます。

○桜井(良)委員 数字だけ見ますと、ストック面で貸倒引当金を十分に積んでリスクに備えていることはよく理解できるわけでありますが、リスクに対する備えというのはストックだけじゃだめなので、フローとの両面で考えなければならない。それでなければ十分な、健全な経営にはならないんじゃないかと思います。
 そういう観点から、フロー面ではどうなのかということですね。フロー面での備えというのは、やはり貸倒償却率だと思いますが、新銀行の貸倒償却率がどの程度の水準なのか、地域の金融機関との比較という観点から伺いたいと思います。

○関参事 地方銀行や信用金庫などの地域金融機関の貸倒償却率でございますけれども、平成十四年度で〇・二%でございます。新銀行の開業三期目の貸倒償却率は一・二%でございまして、地域金融機関の約六倍を計上しておりまして、フローの面でもリスクに手厚く備えているというふうに考えております。

○桜井(良)委員 地域金融機関の六倍ということなんで、何というんですかね、しっかりしているなという感じもするんですが、そのよしあしは始まってみないとわかりません。しかし、一応新銀行が貸し倒れの償却によりましてフロー面でもデフォルトに対して十分に考えているということは一応わかったんですが、しかし、貸倒償却率が地域金融機関の六倍ですね。ということは、デフォルトした債権を次々、銀行から分離していくんじゃないか、こういうイメージがあるわけですね。だから、そうなりますと、中小企業にとってはこれは冷たい銀行といわれても仕方がないんじゃないかなと思うんですけれども、こういうことについて、そう償却しないで、新銀行が抱えていった方がいいんじゃないか、こういう意見もかなり強くあると思うんですが、この点はどうですか。

○津島理事 高いリスクを負った融資を継続的、安定的に行うためには、やはりこれに対応した適切な償却処置を実施することが不可欠でございます。しかし、具体的償却を実行する場合には、不良債権について返済条件の緩和を行ったり、経営改善や再建の可能性を十分に追求するなど、新銀行としての最大の努力を行った上で実行してまいります。その際、デフォルトした債権の償却は、企業再生ファンドなどへの売却を中心に行ってまいります。比較的早い段階から債権を再生ファンドなどに移転し、それらのすぐれたノウハウのもとで中小企業の企業再生や転業等を行うことによりまして、当該企業にとって有益な解決方法を提供していくこともできるというふうに考えております。
 なお、償却しないで新銀行がデフォルトした債権を抱えるケースも、場合によってはあるということでございます。

○桜井(良)委員 きょう、私の質疑は、新銀行とはどういう銀行になるのかというのがまだはっきりしないものですから、そういう立場で質疑をしているわけなんですけれども、デフォルトした場合の償却方法として、償却という融資の出口でもサポートがあるというふうにお考えになっているということはわかりました。
 しかし、新銀行の中小企業に対するサポートは、この融資の出口だけではないんじゃないかなと。融資のときからやはりサポートというのは継続的に行っていかなければ--新銀行設立の大きな中の一つの役割もあると思うのですね。
 そこで、資金面以外に新銀行は中小企業に対してどのようなサポートを行っていくのか、もしお考えがあればお答えしていただきたいと思います。

○関参事 中小企業の経営状況を良好なものとしていくためには、ご指摘のように資金面以外にさまざまなサポートを実行していくことが非常に重要だと考えております。
 新銀行は、取引紹介サービスにとどまらず、中小企業のすぐれた技術力やアイデアをビジネスに発展させるために、提携金融機関、提携企業、諸団体などの協力を得て、優秀な企業の表彰や技術紹介などにより、新しい企業と企業の結びつくビジネスマッチングに積極的に取り組むなど、資金面以外での融資先のサポートを幅広く行っていきたいと考えております。

○桜井(良)委員 この中小企業の資金面以外でサポートするということは、ある意味では非常に大事な部分だと思います。ぜひ、中小企業の将来に対してやはり一つの使命と役割をしっかりと認識した上で、これはしっかりやっていっていただきたいなと思うわけなんです。
 そういう意味で、資金面以外にも新銀行はしっかりサポートしていきますよという基本的な姿勢はわかったわけなんですが、日経新聞の記事によれば、中小企業の経営者の間から、いわゆる先ほどの例でいえば審査基準、それがなかなか不明確である、審査基準の明確化をしてほしいという声も出ているというふうな記事がございました。こうした意見を考えますと、新銀行は融資の前の段階、すなわち審査において何らかの配慮を行っていくのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○津島理事 金融機関の審査基準のディスクローズに対します要求は従前からあったと考えておりますが、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしが問題となる中、その声が高まってきていると認識しております。
 新銀行は、オープンな融資判定プロセスを融資運営の特徴としておりまして、どのような財務内容であればどれくらいの金額までどのような条件で借り入れられるかにつきまして、中小企業の経営者に理解してもらえる仕組みを設けて、審査における透明性の高い判定プロセスを構築してまいります。

○桜井(良)委員 これは非常に大事なもので、審査の時点から中小企業に配慮していくという姿勢は、ある意味では先進的なものにもなっていくし、そこが銀行の大きな評価の分かれ道になる、こういうふうに思うんです。
 私が今細かい話をいろいろ聞いたのは、いわゆる新銀行をめぐっていろんな議論があります。要するに、困っているからどんどん出せばいいじゃないかという議論もあるし、失敗したらどうなるとかいろんな議論があるわけですが、記憶に新しいのに、足利銀行の経営破綻のことがあるわけでありますが、先日もテレビでこの問題を、ある温泉地域を例に出しながら放送しておりましたけれども、足利銀行についていわれることは、地域と密着する余り不良債権処理がおくれた、いわゆる悪くいうと地域とのもたれ合いから脱却していかなきゃならない、その必要性をいろんなところから指摘されているわけでありますが、テレビ報道によりますと、経営者が、赤字が出ると、その赤字を埋めるためにお金を借りる、それに対して余り審査しないで貸しちゃうという中から、金融機関が倒れちゃうと、町ぐるみ大変な思いに至っちゃうということがあります。
 別のテレビを見ましたら、同じ温泉地なんですが、お客様を呼ぶのにどうするかということで、若い経営者が集まっていろんなノウハウを集めて、そのノウハウに対して、金融機関にもそれをぶつけて、融資をしてもらって、全国から非常にお客さんが来るようになったというようなことも書いてありますので、私はやっぱり新銀行は、大変だから中小企業に、リスクのある中小企業にどんどん貸しなさい、そういう銀行であっていいのかなという思いがします。もしそういう銀行だったら、私は支店長になってどんどん判こを押しちゃいますから、それは。それでいいかなというふうに思います。やはりそういうことから考えますと、ともすると企業の将来に対する明確な展望がないまま、ふだんのおつき合いから赤字を埋めるだけの融資をすることもあったんじゃないかな、こういうふうに見ます。
 しかし、そういう融資制度で果たして企業がこの新しい時代に対応していけるのかなという厳しい見方も、一方ではなきゃならないと思います。そういう意味からは、銀行というのは、融資先に対しても、温情を持ってしっかりと当たるということと同時に、時には厳しい姿勢で臨んで、手おくれにならないように早い段階での判断をして企業の改革を促していくことも必要だと思います。
 そういう観点で今いろいろなことを聞いたわけでありますが、オープンな審査基準に基づいてリスクの高い中小企業へ融資するとともに、経営の健全性を維持するため、適正な償却を行うなどの新銀行の経営スタイルということが、今、私の質問の中で若干見えたと思うんですが、これから、新しい銀行が融資先の企業とどのような関係を築いていくかということは非常に大事な部分だと思います。これは大事な部分なので、ぜひ出納長にお伺いしたいと思います。

○大塚出納長 既存金融機関の多くは、ご案内のとおり、リレーションシップ・バンキングであります。特に、地域金融におきましては、すべてではありませんけれども、ともすると融資先企業ともたれ合う関係にあることもありまして、結果として企業再生の適切な時期を見誤ることも少なくなかったわけであります。
 これに対してトランザクション・バンクである新銀行は、個別取引ごとに採算性を判断していく合理的な経営手法をとり、よい意味での緊張感と、そして信頼感を融資先企業との間に築いてまいります。新銀行の高いリスク負担能力と、地域金融機関のすぐれたノウハウ、これをうまく連携させながら、融資先企業とこれまでのビジネスモデルにはない新たな関係を構築し、地域経済の再生に寄与してまいります。

○桜井(良)委員 ぜひそういう関係を築くということをしっかり定着させながら、これからも取り組んでいただきたいと思います。
 開業まであと一年程度なんですが、まだどういうバンクなのかなということがはっきり見えない部分がたくさんあります。特に、都民の方々や中小企業の方々は、どういう融資が受けられるんだとか、自分たちにとってどういうふうになっていくんだとか、あるいはまだまだ中小企業の人たちも成り行きを見ているというか、期待していいものなのか、どうするかという評価もまちまちだと思います。
 ぜひこれは、私たち議会の方も当初は情報提供がなくて戸惑った部分もありますので、今後、開業までの間は、ぜひ情報の提供ということを非常に大事な部分だと思ってしっかり取り組んでいただきたいことを要望しまして、質問を終わります。

○松村委員 地域の八百屋さんや魚屋さんに貸さないという発言はいまだ取り消されていませんし、既存金融機関でも貸し出しに努力している破綻懸念先に新銀行は貸すのか貸さないのか、私は当委員会でもただしました。それに対して、将来性のない破綻懸念先には貸さないとの答えでした。来年度予算で新銀行に一千億円つぎ込もうとしていることに対し、我が党は代表質問で、都民が期待している、貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいる中小企業を助けるものでないこと、地域の金融機関として頑張っている信用金庫などとは対極にある銀行であることを指摘し、一千億円の投資を中止して、中小企業対策予算などに使うことを求めました。
 ところが知事は、新銀行への投資が、これしかないと確信しているとか、やがては数兆円の値になると信じているなどと、まともな答弁とはいえないものでした。
 そこで、新銀行マスタープランも出されましたので、幾つかの点を検証したいと思います。
 まず、リスクの高い貸し出しが主となる銀行で、当然、破綻処理のために積んでおかなければならない個別貸倒引当金が、マスタープランに至っても一円も積まれていません。そこで伺いますが、引当金はあくまで一般引当金で、個別引当金をゼロとしていますが、幾ら何でも、三年後、三期目までにはリスク管理債権は発生すると思いますが、ゼロということは、リスク管理債権が発生するようなところには貸さないということにはなりませんか。お答えいただきたい。

○関参事 新銀行は、不良債権の発生に対して一般貸倒金と貸倒償却を積極的に積むことで備える方針をとっておりますので、ご指摘のような事態にはならないと考えております。

○松村委員 一般貸倒引当金とそれから償却ですか。
 リスク債権を、それではどのぐらいと見ておりますか。新銀行は金融庁の金融検査マニュアルで検査を受ける、当然銀行だというふうに思います。ならば、債務者区分ごとに、正常先、その他要注意先、そしてさらに個別引当金及び直接償却が必要な破綻懸念先、実質破綻先、破綻先をどのぐらい見ているのか、その上で、毀損額や毀損率の計画を示していただきたいと思います。

○大塚出納長 何回もご説明しておりますけれども、松村理事は、この新銀行のモデルが既存の金融機関と同じモデルだというご理解のもとにご質問されているわけです。この新銀行のモデルは、既存金融機関のモデルと違うわけです。それをご理解いただかないことには、なかなか質問と答弁がかみ合わないということになります。

○松村委員 銀行、金融業だから、既存金融機関と新銀行は違うなどという、そういう答弁は成り立たないと思います。そして、同じ、今、金融庁の検査マニュアルというのがありますね、検査が二年に一遍か一年に一遍か。そこでは当然、一期、二期、三期とそういう経営計画が出されておりますから、どういう管理債権が発生したか、それに対する、預金者保護の立場から、引当金や、または、既にもう要管理先、そういうのが劣化して、先ほどいいました九十日以上の延滞などが発生すれば、当然そういう区分をしながら、幾ら当初は一般引当金を積んでいるからといっても、そういう区分ごとに、例えば個別引当金だとか、もう新銀行は、後でも触れますけれども、償却するとかいうことであれば、どれだけの償却額なのかとかいうことは、当然やらなければ、金融業というか、銀行として成り立たないんじゃないですか。
 だから、出納長がいうことにして、出発時は、それは想定できない、他の金融機関はすべて、例えば今までの実績に基づく一般貸し倒れや倒産などの個別償却を積んでいるといいますけれども、一期、二期、三期の計画を立てていらっしゃるわけですよ。当然その間、今いいました管理債権が発生するということは、償却額を積み立てているところからも、発生することは想定していらっしゃるんでしょう。それは、していなければ三期目の黒字などという、金融庁の銀行業開業の、そのハードルをクリアできないわけですから、そのところを伺っているんですよ。
 確かに、スコアリングモデルでどういうデータを入れるかによりますけれども、しかし、しそのシステム、スコアリングモデルのシステムを使って立ち上げる場合にでも、それぞれさっきもいろんなデータをおっしゃいましたけれども、既存金融機関とか、あらわれている、そういうモデルのシステムを使っていらっしゃるんでしょう。ですから、当然それは想定されていいのに、もうはなから、入り口から、松村委員は理解してないということで答弁しないというのはおかしいんじゃないですか。

○大塚出納長 私が申し上げているのは、期中の不良債権の管理と、それから期末の時点で期中発生した不良債権をどういうふうな形で整理をするかという、一つの流れがあるわけですね。松村理事がおっしゃっているのは期中の話をしているわけです。一期目、二期目、三期目ということでデータを出しているのは、いわば決算期、要するに期末の整理です。期中発生する不良債権の処理の仕方は、既存の金融機関のモデルと基本的に考え方が違うというふうにいっているんです。まずそれが一つ。
 どうして個別引き当て、個別引き当てと、個別引き当てにこだわるのかが、私、ちっともわからない。要するに、この金融機関が個別引き当てであろうと一般貸し倒れ引き当てであろうと、あるいは貸し倒れ償却であろうと、そういう与信費用全体の中でどういうふうな根っことしてのスタンバイがあるかどうか、そこをきちっと見ていただきたい。
 要するに、引き当てがあり、償却を含めて根っこがどれだけあるか、それをどういうふうに使うかということが、この銀行のキャパの大きさを判断するのに一番正確な理解であります。

○松村委員 私は、ですから、その根っこの部分、その総体として見ているのだという、だからその引当金なりが正しいのか、適切に、経営の健全化なのか、そしてまたそれほどリスクが高いところへの貸出金がどういう貸出先を想定しているのかが、それが判断できる根拠だから、繰り返し繰り返し聞いているわけであります。
 では、出していただいた資料の、この新銀行のデフォルト率が出されていますけれども、数値の根拠を示さなければ適切な率であるか判断できません。これも債務者区分ごとで説明していただきたいというふうに思います。

○関参事 公表された数字でございませんけれども、一般の金融機関の決算書の貸倒引当金から試算いたしますと、地域金融機関の想定デフォルト率は〇・八から〇・九%にとどまると推計されております。
 新銀行の想定デフォルトは、第三期目で、例えばポートフォリオ型融資では二・二%、技術力・将来性重視型融資では二・七%であるなど、既存の金融機関に比べましてリスクの高い貸出先に融資していくということは明らかでございます。

○松村委員 質問の答弁としては違うんですよ。これは今資料で出されました新銀行のデフォルト率及び毀損率という資料を私も要求して出していただきました。ここにデフォルト率ということで、新銀行では、九十日以上延滞、金融支援、法的倒産等とありますね。この九十日以上延滞、これは通常、金融庁の検査マニュアルによると要管理先ということを想定しているんですか。金融支援、これは破綻懸念先とも考えられますし、法的倒産、これは破綻先、そういうふうになるんならば、例えばデフォルト率の第三期、ポートフォリオ型融資の中で、この九十日以上延滞、金融支援、法的倒産等がどのぐらいの区分で発生するから、ひっくるめてこういう二・二%になるのかとか、そういう数字を、根拠を出さなければ、いや、我々はそう想定したんだといっても、果たしてそれがどういう根拠でもって、なるほど--先ほどの質問では十分だとかいうような答弁がありましたけれども、私はわかりません。
 また、さっき既存金融機関のデフォルト率の数字のお話がありました、〇・八から〇・九。それは決算値から推計した云々がありますけれども、それは、今例えばほかの金融機関等、大体金融庁の検査が入っておりますから、ほとんどすべて公表されておりますね、されているんですよ。後で私もちょっとそういう意味では指摘したいと思いますけれども。それからわかるわけですから、この新銀行もどういうふうに今、債務者区分ごとで見ていて、なるほど、じゃ三期目にポートフォリオ型が二・二%になるなと、しっかり引当金を積んでいるというふうに判断できるかどうかを示していただかなければ、ただ数値を挙げて、既存の金融機関の三倍ですというような答弁だけでは納得できません。

○津島理事 金融庁の債務者区分というのは非常に大ざっぱでございまして、これは過去を振り返って分けているだけでございまして、実際に銀行をこれから経営するに当たりまして、具体的にどれだけ引当金を積むかという前提となる数値にはそれは使えません。
 つまり、やはりデフォルト率がどれだけかということを一つ一つ積み上げて、これをベースに引当金を積んでいかなければいけないので、理事のおっしゃる債務者区分にどれかというのは、例えば、いい、正常先で貸したとしても、それが結果として返せなくなれば債務者区分は変わっちゃうわけですから。だから、過去から、過去になって、債務者区分というのは結果としてこうなりますということはいえますけれども、我々は今、これから経営するに当たって、予想としてどういう形で引当金を積むかということで考えているわけでございますので、デフォルト率というのをきめ細かにセッティングして、これに対して引当金を積まなければ、経営としては成り立たないわけでございます。

○松村委員 それは同じことなんですよ。スコアリングモデルのシステムの数値を、そのデータをどうするかといったら、さっきもいったように中小企業庁の、そういう全国の企業の状況を集めたりとか、また、既存の金融機関のさっき決算値から見たらどのぐらいそういう--もう既にやっていらっしゃる金融機関のそのモデルをどう見るかとか、いろんな数値を入れるわけですから、我々はこれから出発するんだから予想できない、ただ、このぐらいだなんということでは、私は当然、一期、二期、三期で進むわけですから、それは幾ら我々に対する説明といっても、違う、違う、これからだ、不良債権がないんだというだけでの答弁では、私は、この銀行は大丈夫だというのは絶対いえないというふうに思います。
 ですから、じゃ、同様に、貸倒償却額の根拠の資料も要求しましたけれども、これもデフォルト額がどうしてこうなるのか、その数字の根拠はどうですか。

○津島理事 私は、予想しないで引当金を積んだといっているわけではなくて、金融庁が述べているように大きな区分の中で、それでもってデフォルト率、引当金を積んでいくという、そういうやり方では適正な引当金は積まれない、むしろ、想定するデフォルト率を緻密に積み上げる中で初めて予想として納得のある引当金というものが積まれる、こう申し上げたわけでございます。
 それで、じゃ、どうやってデフォルト率を設定するか。これは信頼を置けるデータを備えている信用機関、数十万件のデータを把握している機関、ここのデータをもとにして、新銀行としてこれに改良を加えてつくり上げたものでございまして、これは考え方から申しますと、これまでの中小企業が倒産した事例というのがあるわけでございますね。そのデフォルトした事例と、それからデフォルトしない事例、それぞれの原因があるわけでございます。こういった原因のものを全部それぞれのファクターに分けまして分析をして、そうすることによってつなげますと、おおむねこのレベルの中小企業というものはどれだけデフォルトが起こるのか、こういうのがわかってまいります。これは何十万件という数字を積み上げて初めてわかるものでございます。こういうことをしなければ、デフォルト率というものは積み上げられないものでございます。金融庁のその大ざっぱな区分だけでできるわけではございません。そういうことを申し上げたわけでございます。

○松村委員 緻密にとか、そういう言葉だけはありますけれども、私ども、私も素人です、わかるような、確かにそういう数字だというデータをやはり開示していただかなければいけませんし、また、金融庁のマニュアルというか債務者区分が大ざっぱだといいますけれども、少なくとも、では、それに沿ってやってみた場合にはどういうことがいえるのかということは、逆に、大ざっぱで、そういうものだったら、出せるのではありませんか。
 いずれにしても、新銀行のリスク管理債権がどのぐらい発生するのか、またその債務者区分がどうなるのかを明らかにしようとしませんけれども、私は今、私の手元に既存金融機関のリスク管理債権の状況の資料があります。これは何も秘密にされているものではありません。当然発表されているもので、一つあるのは、九九年三月期のものですけれども、貸出金に占めるリスク管理債権は都市銀行では五・二%、地方銀行では四・九%、信用金庫で六・七%、信用組合で一一・三%となっています。平均すると約七%。これを新銀行に当てはめると、最後の三期の貸出金ですね、約六百五十億円のリスク管理債権が出ると私は試算してみました。これに対する新銀行の貸倒引当金は二百六十九億円です。もちろん、このリスク管理債権がいきなり倒産とか、すべて引き当ての対象となるとは限りませんけれども、それにしても既存金融機関並みということですね、二・九%、この二百六十九億円に対する引当率というのがそうであります。
 また、先ほどの質疑の中で私が新たに伺ったのは、制度融資について毎年度二兆円今貸している、それで代位弁済が千二百五十七億円という数字を聞きました。つまり、それほど焦げつきというか、代位弁済しなければならない数字からいけば、これを二兆円の千二百五十七億円ですから、大体半分ぐらいとしても、新銀行に当てはめれば、どうでしょうか、やっぱり逆に焦げつく部分が、私は、素人なりに六百億円ぐらいかなというようなことも一つの根拠というか、というところから私は見てみました。
 そこで、貸倒引当金をスキームのときよりふやして二・九%としましたね。既存金融機関並みとしましたけれども、既存金融機関の融資は圧倒的に担保や保証がついた融資です。担保、保証額を持つ融資の場合、信用金庫でも、私は幾つか信用金庫に聞きましたけれども、大体保全率は九〇%ぐらいだと聞いております。先ほどの金融機関全体での、九九年の三月期でちょっと古いので、私は新しい、都内の全信用金庫の平成十四年度、十五年三月の期末の資料がありますけれども、これを見ますと、全信用金庫のリスク債権は一二%ですね、そういう数字となっております。こういうことも一つの参考資料から見て、しかも、今いいましたみたく、信金の場合の保全率は九〇%だそうです。ところが新銀行は、原則無担保無保証です。いわば裸の融資です。金融機関の引当金を貸出金総額で除した額が、単純に考えれば、それが貸倒引当率だということで二・九%というんですけれども、新銀行の引当金を貸出金で除したものと、今いった既存金融機関のそれとは明らかに、担保とか有保証とか差し引いた残りの一割とか二割とか、そういうところの私は額だというふうに思いますから、それが新銀行が既存金融機関並みの二・九%でもう高いんだ、十分だなどということは到底いえないと思いますけれども、どうでしょうか。

○大塚出納長 何か数字をいろいろと松村理事は松村理事なりに組み立てて、いろいろとお話をされています。
 わかりやすい端的な数字を申し上げますけれども、一期から三期目までの貸し倒れ償却というのは二百億円、これはいいですね。もう既にわかっていますね。さらに、貸し倒れ引き当ての繰入額、これはネットで二百六十九億円ですけれども、グロスでは四百五十一億円であります。それは、ですから、一期、二期、三期、それぞれ、入れては出し、入れては出しというふうな、そういう操作があるわけでありますけれども、そういうふうな膨大なグロスの数字がある、お示ししているものは期末の数字だということです。これが一つ。
 それから、確かに無担保ですから、デフォルトがあって、それから毀損率がある。例えば、地銀の平成十四年度の、これは比較で申し上げますけれども、デフォルト率は〇・九であります。これは推計ですね。しかし、同じように毀損率を推計でいくと、〇・二ぐらいの毀損率です。これに対して、新銀行が想定をしている毀損率は、例えば技術力・将来性重視型では、デフォルト率が二・七に対して二・四、それからポートフォリオについては二・二から、それから三期目ですけれども一・九というように、毀損率のウエートを非常に高く見ています。デフォルト率がまずあって、毀損率があって、それが根っこになって引き当てなり償却を積み上げているということであります。

○松村委員 いずれにしても、今数値を挙げましたけれども、我々もよく検証したいと思いますけれども、納得されるものでなく、こう予想しているというだけの、まさに私は机上プランというか--いや、積み上げているんだ、そうはいっても、事実の具体的な、現に生きてやっている(「やっていないんだから」と呼ぶ者あり)いや、そういうことはいえるんですけれども、生きている銀行における状況と新銀行のこのスキームというかこの経営計画が、私はいかに(「要はつくるなということだろう」と呼ぶ者あり)もちろんそうですけれども、机上プランかということで、納得される、到底そういう数字ではありません。
 もう一つ、資料として、新銀行の利ざや収益と収益率を出していただきましたけれども、これを見てもわかるとおり、新銀行が三期目で黒字になるなどとしている根拠は、平均貸出金利が信金と比べてもかなり高いものですね。先ほど来、いろいろそういうミドルのところに貸すというような話もありましたけれども、大体一期が平均貸出金利で四・三五ですね。大体四%近い。今、信金での平均金利は二・六%から二・八%と聞いています。高い金利が取れるということはリスクが相当あり、それに見合う引当金が当然必要ということですけれども、私の今までのやりとりの中で、それが裏づけられているとは到底思えません。確かに、スキームに比べてマスタープランでは〇・三ポイント引当金をふやしましたが。
 そこで、私、どうも解せないのが、貸倒引当金を引き上げるために繰入額を一期目に多くしていることです。貸出額がふえていくに従って大体ふえていくというのが通常ではないんでしょうか。私は、ある金融機関の専門家からも、複数にわたってそういう指摘を、この新銀行のスキームを見て、されました。数字合わせとしかいいようがないと思いますけれども、どうでしょうか。

○大塚出納長 本当に何というか、むだな議論をしているというふうに本当に思うわけですけれども、貸倒引当金の期中を含めた数字を、じゃ、詳細にいいますね。
 これは結果として出ているんです。積んだ経過は、まず最初に、第一期目で貸倒引当金はグロスで百二十四億積みます。第二期の不良債権処理によって、この百二十四億からまず七十三億円を取り崩します。それで、足りない分を含めて百九十五億円の貸倒引当金を積みます。今度、三期目で、不良債権処理によってグロスで百九億円を取り崩します。それを含めて、必要繰入額として百三十二億円を積んでいるんです。ですから、差し引きの、その最後の数字が一期目、二期目、期末のところに出てきている。だから、それは別に減らしているわけじゃなくて、繰入額はどんどんどんどんつぎ込んでいて、行って来いの結果があそこに出ているわけです。これは常識ですよ、金融業の。だから、意図的に減らしているんじゃなくて、どんどん入れた結果として、差し引き、ネットとして入れた数字が小さくなっているというだけですよ。
 貸し倒れ引き当てというのは何かというと、これはストックですよ。ですから、ストックの数字で、ネットとしてふえた数字だけがあそこに載っているだけですよ。その辺のご理解をいただかないことには、なかなか議論はかみ合いません。

○松村委員 私も専門家ではありませんけれども、事実、そういう専門家からの指摘を受けて私は聞いているわけなのであって、そこら辺はきちっと、(「同じ質問だよ」と呼ぶ者あり)いや、そんなことないですよ、議会に答える義務がありますよ。一千億円の税金を使うんですよ。(大塚出納長「答えましたよ」と呼ぶ)何をいっているんですか、あなたがそんなに。きちっとやっぱり答える説明が議会からすればあるじゃないですか。
 それと、もう一つ、私はそういうことで、この数字からの損益計算書、これを見ますと、ですから数字がふえて、前のマスタープランよりも経常利益が、マスタープランでは百九十億円が、この貸倒引当繰入額をふやしていますね、ネットかグロスか知りませんけれども。それで、この二百十九億に三角が出ていますね。これを貸借対照表で見ますと、繰越欠損金、これが三百二十五億ですけれども、これはどういう数字なんでしょうか。通常、この経常利益の赤字を第一期の繰越欠損金として入れ、二期目の百二十六億ほど生まれますから、それプラスが第二期の繰越欠損金になり、三期もそういう数字になるんじゃないでしょうか。

○津島理事 マスタープランの主要事項をお示ししたわけでございますけれども、損益計算書での経常利益の初年度が二百十九億の赤というふうになっております。貸借対照表の下の注の欄に、開業準備経費で約百億と書いてございます。この分が、いわゆる貸借対照表上は、第一期でこの百億と経常利益の損益分が合わさって繰越欠損ということでなってくるものでございます。

○松村委員 それにしても、私は数字として、二百十九億に百億入れて--それでもう一つは、このマスタープランが出されてわずか二、三カ月後ですね。なぜマスタープランには、その開業準備経費というんですか、そういうのを見込まなかったんですか。
 私はそれと、開業準備経費でしたら、当然全体の損益計算とか、ここに別枠じゃなくて、当初から見込まなければ、正確な経営計画というふうにいえないんじゃないでしょうか。

○津島理事 今のお話は、マスタープランじゃなくて、基本スキームとマスタープランの差だと思うんですけれども、基本スキームは、この銀行の営業をよりわかりやすく示すために表現したものでございまして、この主要事項の中で、最終的な準備計画も含めて全部精査したものでございます。

○松村委員 そんな説明はおかしいですよ。大体、数値はいろいろ、なぜこういうふうに貸倒引当金の額も変わったかといったら、それは保証も、信用保証もやるからだというような説明で、なるほどそういう形だったら引き合うのかと思いましたけれども、それが大体百億も違う。こういうところでこれだけの数字を、私は、変化があるというか、本当にこういう一つ見ても、机上プランというか、信頼できない数字合わせとしかいえないように受け取りました。
 これまで、引当金を中心に質疑してきましたけれども、リスクが高い銀行に見合う引き当てがされていない、また、個別引き当てが結局ないということは、このマスタープランの七六ページに書いてあるとおり、債務不履行先、法的倒産先については、再建の可能性を見極めた上で、速やかに企業再生ファンドやサービサーあてに売却、あるいは直接償却を実施するということにほかなりません。だから、なるほど、個別引当金がないのかなと、私なりに実は理解しました。
 しかし、今、現状でもRCC送りなどになっているところは、もっと頑張ってやりたいのに、本当にもう死ねというのか、血も涙もないとか、逆に頑張ってさらに再建したとか、いろいろあって、私がいろいろな問題を持っているときに、この新銀行はもう直接償却して切り捨てちゃうというか、先ほどほかの党から一部懸念が出ましたけれども、そういうことですね。これは私、そんなおっかないところに中小企業が本当に貸してほしいというふうに心の底から思うのかどうか、これでは貸し渋りや貸しはがしに苦しんでいる中小企業のための銀行でないことは明らかであったと思います。
 しかも、マスタープランでは、融資先の三分の一が公的セクターや大企業を含めた、そういうところです。中小企業支援だといっていた当初の目的もすっかり私は色あせたものになっているといわざるを得ません。
 また、スコアリングモデルでスピード融資をやるといいますが、結局、財務諸表がないところには一切融資の対象にしないということになりませんか、伺います。

○関参事 スコアリングモデルの判定となります諸書類がない先については、融資は困難だと考えております。

○松村委員 信用金庫は、キャッシュフローが出ないところにも貸さざるを得ないし、一生懸命その努力をしています。だから信金は担保が多いといわれています。決算資料もつくれないところにも、どうつくるのかを援助したりして、少しでも貸し出しする先を見つけたり援助をするわけです。それができるのも、信用金庫が何世代にもわたって地域に密着し、貸出先を見ているから貸せるのだと聞きます。
 また、債権回収にしても、新銀行が民間に委託するというのは大きな問題です。結局サラ金まがいの金融機関をつくりかねません。信金などは、お客さんの顔を見て、今月は待つから来月は二つ払ってね、そういうやり方をとったり、いろいろやっているわけです。だからこそ、金融庁などの金融行政も、財務諸表だけで判断するのではなく、店舗数をふやし、職員をふやし、地域と血の通った銀行を目指すべきだとしていると聞きます。アメリカのコミュニティ・バンクが成功しているのも、そうした方向を目指しているからだといえます。
 どういう金融機関をつくるのか、本当に血の通った銀行か、これが問われているとき、新銀行は、トランザクション・バンクを標榜しております。これは、今いいましたような全体がそういう方向へ行って、日本の宝ともいえる中小企業をどう活性化して日本経済を成り立たせようとしているときに、私は、このトランザクション・バンクの銀行というのは、まさにその対極にあるものといわなければならないというように思います。
 私は、新銀行の発想そのものが間違っているといわざるを得ないと考えます。地域金融は信金などに任せるべきです。都は、中小企業を応援するというなら、保証協会の保証や銀行の保証をふやすべきです。改めて、新銀行は中止すべきだと申し上げて、質問を終わります。

○近藤委員長 ここで十分ほど休憩を入れたいと思います。
   午後三時五分休憩

   午後三時十七分開議

○近藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○執印委員 それでは、予算特別委員会の総括質疑でも生活者ネットとしても藤田が質問させていただきましたので、その答えをさらに少し質問させていただきたいというふうに思っております。
 私どもも、基本スキームが出されましてから、いろんなところにも聞き取りをするとか、業界の方にも話を伺うとかということをしてきて総括質疑もしたわけですけれども、大塚出納長からも、ごちゃごちゃとですか、ごちょごちょとですか、そういうようなお答えもあって、何というんでしょうか、きちっと質疑をしなければならないのが私たちの役割ですから、そういったやりとりについては認識を改めていただきたいなというふうに思ったわけですが、それはそれとしまして、予特では、新銀行独自の中小企業支援メニューが担保や第三者保証にとらわれないキャッシュフローに注目をし、中小企業の特性に合致した融資スタイルであるというご答弁がありました。しかし、全国銀行協会、これもさまざまな方が取り上げられておりましたけれども、この発表した意見書によりますと、新銀行のこのメニューは、既に既存銀行で実施しているものというふうにおっしゃっているわけです、全国銀行協会の方が。
 それで、このメニューについて、新銀行のものと既存銀行のものの違いというのはどこにあるのか、ご説明をお願いいたします。

○関参事 確かに、既存銀行、いわゆるメガバンクにおいても、無担保第三者保証不要の融資が登場してきております。しかし、既存銀行が行っている中小企業向けの無担保融資は、総計で十五年度の計画枠で一兆二千億円にすぎません。市場のニーズに対して圧倒的に不足しているというふうに認識しております。
 また、その融資条件を見ますと、優良企業向けが中心となっているほか、融資期間が、長いところでも最長で三年でございます。また、審査プロセスが不明瞭であることなど、必ずしも中小企業にとって使い勝手のよいものとはいえないと考えております。
 新銀行の中小企業向け融資では、三期目までの融資実行額の九割が、金利三%以上のリスクの高い中小企業に対する融資でございまして、債務超過の企業であっても、キャッシュフローや返済計画の見直しなどを重視して融資の対象とするなど、同じ無担保融資といっても、よりリスクの高い企業も融資対象としているという点が大きく異なっていると考えます。
 このように、新銀行のメニューはさまざまな独自性を備えており、既存銀行のものとは大きく異なっておりますが、私ども、根本的には、利益を顧客に還元していくという、その経営姿勢において最も大きく異なっていると考えております。

○執印委員 今のご説明の中で、今、既存銀行が行っている中小企業向けの無担保融資は総計で一兆二千億円、市場のニーズに対して圧倒的に不足しているというふうになっておりますが、市場のニーズというのと、それから、この新たな新銀行東京、そこがこれに参入といういい方をするんでしょうか、したときには、どれぐらいの額になっていくのか、これを教えてください。

○関参事 市場のニーズの一つのあかしでございますけれども、非常に金利の高い商工ローンの貸出残高が全国で十八兆円、都内でも、推計でございますけれども十兆円以上あるということでございます。それから、先ほどご説明申しましたように、中小企業庁の調査によっても、無担保無保証の場合は三%以上六%未満を希望する企業がデータ上最も多いということや、十五年九月の私どもの意向調査におきましても、そのうちの三%の金利でも可とする企業が、ビジネスローン利用意向の半数の約四割いるということから、十分に市場があるとともに、中小企業のニーズも高いというふうに考えております。
 失礼しました。中小企業の三年間の延べ融資実行額については、一兆二千二百億円を想定しております。

○執印委員 それからもう一つ、一番最初のお答えの中で、新銀行のメニューはさまざまな独自性を備えており、既存銀行のものとは大きく異なっているが、根本的には利益を顧客に還元していくという、その経営理念において異なっているということで、これは新銀行のマスタープランの、ここの中にも経営理念というふうには書いてあるわけですけれども、その顧客に還元していくということと経営理念--中小企業にはもちろんお金を貸すということで、そういう役割があるんだとは思いますけれども、都民にとってもどうなのかという、その視点からもお答えをいただきたいと思います。

○津島理事 新銀行の業務は幅広く、融資のほかにも、ICカードを中心とするサービスを行いまして、そういうICカードのサービスを例にとりますと、これまでのカードが個別の企業の中でサービスを行っていたものを横断的にとらえまして、社会共通のインフラとして、高い、総合的な利便性を提供する、こういう形にも一つのあらわれとなっております。

○執印委員 ICカードのことなども出されて、そういった還元というのがあるということだと思いますが、これが東京都の銀行でなければいけない理由というのはどのようにとらえさせていただいたらよろしいんでしょうか。

○関参事 先ほど申しましたように、既存金融機関は、リスクの高い分野への融資を、リスク回避の姿勢から行っておりません。また、政府系金融機関なども十分な中小企業のニーズにこたえられないということから、新銀行がこうした分野に積極的に参入し、苦境にある中小企業を今や救済する必要があるというふうに考えております。

○執印委員 中小企業については、一番最初からのご説明の中で中小企業向けの銀行ということで聞いておりましたので理解はできるわけですが、私が聞きたかったのは、一般都民にもICカードなどの利便性があるというお答えがさっきあったんだと思うんですけれども、いろいろな企業も参入している中で、これが都の銀行でなければいけない理由は何ですかというふうに、都民の側から伺わせていただきたいということなんですが、もう一度お願いいたします。

○津島理事 結論的に申しますと、都の銀行でなければそういったサービスが将来的にもできないというわけではございません。ただ、非常に幅広い、例えば私どもが今提案させていただいている交通系あるいは流通系、さらには文化施設なりスポーツ施設、そういったものの幅広いサービスを提供し、かつ、将来的には、その各企業の提供するサービスを横断的に社会のインフラとして提供するようなサービスをつくり上げていくというものについては、やはり一つの先導的な役割というものが出発の時点では必要ではないか。そういうものを既存の銀行がやっていけば、それは我々が手を出す必要はないのでございますけれども、そういうことを金融サービスとして既存の銀行が手がけてこなかったということで、これを先導的にやっていく。ただ、将来的に、これを独占したり、あるいは市場の中で単独でやる、こういうことではなくて、幅広く全体のサービスにつなげられればというふうに思っております。

○執印委員 承っておきまして、次の質問に移ります。
 同じく予特では、新銀行について、金融庁の了解を得て、パリバ信託銀行との買収合意も順調である、それからJR東日本、日本郵政公社との基本的な合意も終了しているということのご答弁がありました。JR東日本と日本郵政公社との基本的な合意、または協議、調整中の具体的な内容というのはどのようなものか、改めて伺います。

○関参事 JR東日本や日本郵政公社との提携については、新銀行のマスタープランで発表したとおり、既に基本的な合意を終わっております。
 現在、JR東日本との提携につきましては、ビュー・スイカカードと新銀行のICキャッシュカードの一体型カードの発行や、駅構内のATMでございますビューアルッテというJR東日本のATMとのATMの接続につきまして、具体的な、実務的な調整を行っているところでございます。
 また、日本郵政公社とは、ATM接続のための通信規約など技術的な協議を行っているというところでございます。

○執印委員 これらの協議の内容については、スキームのときからでしたか、そういう調整を始めているとか、うまくいっているとかということはずっと伺ってきたわけですけれども、この具体的な内容について文書で開示するべきだというふうに思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。

○関参事 新銀行と各企業の提携については、新銀行として法人格を持った段階で実際の提携契約を正式に締結することとしておりますが、継続的な協議を行ってきた打ち合わせの文書等は保有しております。しかし、こうした文書は、東京都情報公開条例七条三項にありますように、法人等の情報を公にすることにより、その競争上、または事業運営上の地位、その他社会的な地位が損なわれるおそれがあるものでありまして、条例と同様の規定を持つ税務協会においても、現在は開示できないと考えております。
 都としては、こうした提携について、マスタープランで、むしろぎりぎりの範囲で広く都民に内容を公表していると考えております。

○執印委員 そういう条例上でできないということ、それから相手先もあるのでという意味かと思いますけれども、行政がお金を出すということがこういう形でしか知ることができないというところに、この銀行を東京都が出資してつくるということの本来的な問題があるのかというふうに思っております。
 次に移りますが、予特の委員会のときにも、種々質疑をしました後に、私どもが、この計画その他について信頼できないというような発言をしたというようなお話も委員会後にございましたが、議事録を見る限り、そういうことはいっておりません。しかし、詳しく質疑をさせていただきたいので、多少重なるところがあるかもしれませんが、質疑をさせていただきます。
 四・二%の貸倒率については、高いデフォルト率を想定をして、その二倍の一般貸倒引当金を計上した、そういうご説明ですけれども、もともととなるデータ、これがどういうものなのかということ、これを、先ほどもやりとりがあったとは思いますけれども、改めて伺っておきます。

○関参事 新銀行の中小企業向け融資につきましては、経営の健全性を確保する観点から、過去の倒産企業のデータを相当数、数十万件規模で集約した、既存の信頼性と実績のあるさまざまなデータベースのデータをもとに、新銀行においてスコアリングモデルとして開発しているものでございます。
 デフォルトにつきましては、信用金庫や地域金融機関の想定デフォルト率、推計でございますが、〇・八から〇・九%の三倍となります、開業三年目で二・二三%のデフォルトを想定しているところでございます。さらに、この想定を超えて発生するリスクに備えまして、一般貸倒引当金につきましては、想定したデフォルト率の二倍の引当金を計上しております。
 当然のことでございますけれども、新銀行の融資の方法は、こうしたリスクに対して、さらになお十分な余力を残して対応していきたいというふうに考えております。

○執印委員 次に、審査・与信管理部門、これは、マスタープランでは十五名で審査するというふうになっております。このまとめた方もそうですけれども、マスタープランもそういうふうにしか書いておりません。それに基づいて質問しましたところ、開業三年目で総勢約百名体制にするというご答弁がございました。この体制について詳しく教えていただきたいというふうに思います。また、スキームのときには、六百五十名体制でしたでしょうか、全体の職員数も入っておりましたけれども、銀行全体の体制のイメージというものをお教えいただきたいと思います。

○関参事 予特でお答えした総勢約百名の内訳でございますけれども、正社員でございます行員が、本部の審査・与信管理部門で十五名のうちの八名、営業部門で五名、本店で十名、出張所で四十九名ということで、合わせて約七十名でございます。これに実績、経験豊富な契約社員約三十名を加えた合計でございます。
 それから、新銀行の全体の体制でございますけれども、開業の一期目でお答えいたしますと、本店を含めて六店舗で構成いたしますが、社外取締役を含めた役員につきましては約十五名、行員につきましては百九十五名、それから、契約社員などで約百四十九名の合計三百六十名でございます。これに加えまして、委託になりますけれども、コールセンター、法人営業などの外部委託の人員二百九十名ということで、総勢約六百五十名の体制になるということでございます。

○執印委員 百人で二万件の審査・与信管理部門を担当するということになるんだと思いますが、それでよろしいわけですよね。
 そうしますと、ざっと計算をしますと、一人二百件担当するというような形になるかと思いますが、他の銀行は大体、こういった形の計算をすればどれぐらい担当しているということに現状ではなっているんでしょうか。

○津島理事 ここはいわゆるスコアリングモデルをベースにした自動審査を行って、これに定性チェックを加えてやっていくというこの銀行独自の無担保融資でございますので、他の銀行との比較は今手元に持ち合わせておりませんけれども、相当違うだろうということでございます。他の銀行の方は、相当もっと時間をかけて、件数が少ないだろうというふうに理解しております。

○執印委員 私たちが聞いたところでは、三十件から四十件、もう少し少ないところでは一人が二十五件ぐらい担当している。それでも大変だというふうに聞いているわけですけれども、それについては、今ご説明の中で、スコアリングモデルをつくるので新しい銀行では可能だということをお答えされたんだというふうに思いますが、このスコアリングモデルなるものが本当にそれだけの役割を果たすのかどうかということが現状では確認し切れる実感がないというのが一つあるのと、それにしても、普通の銀行で三十件から四十件、それを新銀行では二百件と読んでいるわけですから、四倍から五倍くらいの受け持ち数になるというふうに思いますが、さまざまな書類を見ますと、低い経費率ということで、経費率は四七・二%というふうに見ているわけですね。銀行ですから、経費率を低く見れば経営は健全に見えるということがあると思うんですけれども、この経費率については、低く見積もってあるのではないかというふうにも考えられるんですけれども、先ほど申しましたスコアリングモデルとの関係の中で、これでやれるんだ、そういうことがあるんでしょうから、それについてもう少しご説明いただきたいと思います。

○関参事 当然のことながら、新銀行の業務をきちっと運営できる体制ということで人数を割り出しておりまして、その中には、スコアリングモデルによる迅速審査というのは非常に重要な要素だというふうに考えております。この組み合わせにおいて適正な審査を少ない人数で行える、この結果、経費率は下がってくるというふうに考えています。
 その他の部分につきましても、事務管理部門におきましても、ITを活用するなどによって経費を落としていくということで、人件費、物件費を思い切って削減していくということでございます。

○執印委員 それでは次に、パリバ信託銀行の買収の内容について伺いたいと思います。
 途中からパリバ信託銀行を買収するらしいというような情報があったのは、前回、この委員会のやりとりでもありましたけれども、銀行を買うなんということはないものですから、どういうことなのか、営業権の譲渡なのか、株式の取得なのか、それから、価格はどういうふうに決めるのか、こういったものを具体的に説明していただきたいと思います。

○津島理事 買収は、パリバ信託銀行の株式の一〇〇%を買い取り、都が経営権を取得するという形で行うものでございまして、営業権譲渡ではございません。
 買収価格については、買収調査、いわゆるデュー・デリジェンスを財務、法務両面から行いまして、信頼の置ける専門機関に依頼して実施するものでございまして、資産状況を精査し、価格を決定する予定でございます。

○執印委員 パリバ信託銀行の買収については、これもやりとりがあったので、条例上そういうふうにはなっていないというお答えはあったわけですけれども、条例の改正をしてでもきちんと事件案にするべきではないかというふうに思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。

○津島理事 予算特別委員会でもお答えいたしましたとおり、議会の議決事項は地方自治法及び都の条例において定められておりまして、株式の買い取りは含まれておりません。これまで、株式会社ゆりかもめ、これは七十九億の出資をいたしました。それから、株式会社東京フォーラムへの二億五千万の出資など、これまでの例はたくさんございますが、いずれも事件案とはされていませんでした。
 今回のビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行の買収につきましては、公表以降、都議会各会派への説明、第四回定例会及び今回の定例会と重ねてご説明、ご報告をいたしまして、十分なご質疑をいただいていると思っております。今議会におきましては、パリバ信託銀行の買収を前提として予算のご審議をいただいており、実質的に買収についてのご審議をいただいていると考えております。

○執印委員 この一千億円の出資を議論することで、パリバ信託銀行の買収ということを同時に審査してもらっているというふうなご答弁だったわけですけれども、金額が幾らかということも明らかになっておりませんし、それから、ご説明があった「ゆりかもめ」、七十九億七千三百万円、東京国際フォーラムへ二億五千万円などというのと今回の金額が非常に違うということです。
 それから、その一千億すべてが買収になるはずはないというのはだれしもわかるというふうに思いますけれども、そういったことも含めて、予算が通ったから、報告があったとして、質疑ができるとしても、買収そのものについて質疑をする、または、さまざまな角度から考え方や資産の状況を精査の上価格を決定するということでしたけれども、そういうことについて議論ができないわけですから、先ほどありました六十九条でしたか、その二項を改正すれば議会にかけることもできるわけですから、そういうことはこれまでのようなやり方でやりますということではなくて、新たな東京都の取り組みですから、ぜひ考えていくべきだというふうに思いますが、もう一度ご答弁をお願いいたします。

○津島理事 いずれにしても、それは都議会の意思でございまして、私どもは現状の条例に従いましてご説明をさせていただいております。

○執印委員 都議会の意思ということだというふうに受けとめていらっしゃるということはわかりました。やる気がないということですね。県によっては条例改正をしているところもあるようですけれども、東京都の場合は考えていないということと受けとめさせていただきます。
 それでは、出納長にお伺いをしたいんですが、予算案が出されたときだったでしょうか、石原都知事が記者会見のときに、新銀行と産業労働局の施策のすみ分けを質問されたときに、それは大塚さんに聞いてくださいというふうにおっしゃっておりましたので、新銀行と産業労働局の、チャレンジファンドなど、そういったことに関連した質問だったかと思いますけれども、このすみ分けはどのように判断をされたのか、伺います。

○大塚出納長 基本的には、既存の中小企業施策をこの新銀行は補完をして、トータルでお届けできる質、量をふやしていくというのが基本的な考え方であります。すみ分けについてもそれを前提に、例えば再生ファンドについてはこう、あるいは融資についてはこうというふうな調整を産業労働局と十分行っております。

○執印委員 十分に話し合ったということですが、私は、開業すれば恐らくこの銀行は、やれるようにやればいいんだから、やれるんだろうというふうに思っているんです。それは、中小企業対策とはいいながらも、銀行として経営が成り立つようなやり方をすればやれるんだろうという意味ですよ。そういうふうには思っているんですけれども、さまざまある産業労働局の施策がこれだけありながらなぜ銀行なのかということが、この最後の一点がどうしてもすとんと落ちないわけなんです。
 私どももさまざまなところも聞き取りに行きましたし、その結果、ほとんどのものは産業労働局の施策でできるのではないだろうか。必要なところはないとはいわないけれども、わざわざ東京都が一千億円の出資をしてまでつくる必要があるんだろうか。そこまでには行き着かないわけなんです、正直いうと。
 それで、何で銀行なのかというふうに考えてみたときに、最初に銀行というふうに発想したから銀行と進んできたし、それに対して、銀行として体裁が整うようにいろいろなものを、例えばICのことですとか、さまざまなものをくっつけてきたというふうにしか見えないわけですが、核となるものをぜひもう一度お聞きしたいと思います。

○大塚出納長 執印委員がいろいろなヒアリングをされた、いろいろ調べた、それに基づいて、この銀行の必要性、どうしても東京都がつくらなければならないんだというところまで行き着かないというお話でありました。
 どういう方々にお聞きしたのかわかりませんけれども、執印委員がお聞きになった方々がすべてではもちろんないし、それから、いろいろなエリア、いろいろな立場、それからいろいろな環境にある方々が東京都にはたくさん、会社も含めてあるわけでありまして、私は、知事が何回も本会議で答弁しておりますように、新銀行をつくらないと足りないところに必要な資金を届けることはできない、そういう考えに賛同する方々の方が極めて多数だというふうに思っております。
 私なりに、これは別に知事に聞いたわけじゃないんですけれども、ずっと経過を含めて考えますと、もともと、今から振り返れば、一期目の知事の公約といいますか、その一つとしてスーパーリージョナル・バンク構想というのがあったわけです。そのスーパーリージョナル・バンク構想は、やはりあのときに知事が知事なりに、いろいろな声を踏まえて、そういうふうなものが必要だというふうにご判断をされて、一期目の選挙に入られた。
 それで、第一期目、いろいろな施策、それが根っこにありますけれども、それをベースにして、とにかく今のシステムでは、どうしても必要な制度、それから運用を含めて届けられないということで、ご案内のCLOとかあるいはCBOということで積み重ねてきたわけです。それはそれなりに一定の効果があった。しかし、そのCLO、CBOの実態を見ると、それを検証すると、やはり本当に手当てが必要なところにはまだ行き切れないというところで今回の新銀行構想が、スーパーリージョナル・バンクを根っこにしながら、さらにそれを発展といいますか、そういうもので二期目の構想に銀行構想が出てきたんだろうというふうに思っています。
 ですから、冒頭申し上げたのは、それが必要だという声が私は多数だというふうに思っておりますし、出納の方でこれまでいろいろなマーケット調査等もやりました。そういうことも含めて、それが多数だというふうに思っておりますし、それから、その必要性は間違いなくあるというふうに思っています。

○執印委員 私どもも、例えば反対しているところだけ聞いて歩いたわけじゃありませんので、どういうところを聞いて回ったのかというふうにさっきおっしゃいましたけれども、いろいろなところに聞いた結果、銀行としては、やり方だから、成り立つんだろうというふうに判断しているということを先ほど申し上げたわけなんです。
 必要だからつくるというご説明はあるんですけれども、もう少し核になるところですね。必要だからつくるんだろうというのは、もちろん、そういうふうに説明されてきているわけですから、そう発想してこのことが進んだというのはわかるわけですけれども、もう少し具体的な示し方というのができないものだろうかとも思うわけです。例えば、前回の委員会のときには、さまざまな方から、こういうケースには貸せるのか、こういうケースには貸せるのかということがありましたよね。それでも具体的になっていかない。
 今出納長にお話伺って、流れの中で、CLOやCBOをやってもまだ難しいからつくるんだということは、それはそういう流れで来たんだろうということは理解できるわけですけれども、最終的にこれだというふうにすとんと落ちるものがないというのが正直なところです。それは多分、もう一度お話を伺っても、出納長も同じようなご説明をされるに違いないと思うので、ここでやめておこうというふうに思っているんですが。では、もう一度。

○大塚出納長 具体的なケースを幾つかの例示を挙げて申し上げてきています。それから、データとしても、先ほど来理事あるいは参事がお話ししておりますように、届いていないところがあるというまずその前提の認識が、この銀行が必要かどうかということを判断するに当たっては入り口になると思うんです。だから、本当に届いていないところがあるのかないのか。そこに届けることが必要なのかどうかということです。それはどういう場合なんだということは、例えば、債務超過であってもキャッシュフローが回っていればそこには貸しますよ。それはどういうところかということは、実態があるわけです。
 そういうことで、もう一段と深いご理解を執印委員には切にお願いを申し上げます。

○執印委員 では、これで終わりにさせていただきます。
 今お話あった中で、私どもも、中小企業の多いところなども行って話を聞いてまいりましたので、使うところがあるだろうというふうには思っているわけです。質問の最初にいいましたように、利用されるところはあるだろうし、必要性もあるだろうというふうに思っているわけですけれども、なぜそれが東京都が出資する銀行でなければならないのかということがやはり最終的には残るというふうには思っておりますので、そういう意見を述べさせていただきまして、質問は終わります。

○鳩山委員 私、これが二度目の質疑になるわけで、まだ大変に緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。
 先ほどの大塚出納長の激しい答弁を聞くにつけても、銀行設立に向けた熱い情熱を感じるわけでありまして、私も委員としてもう少し勉強しなければならないなと思いながら、質問に入らせていただきます。
 まず、その前に、私は前回、第四回都議会定例会の当委員会において、中小企業への融資と銀行経営の健全性の問題とは二律背反する問題であることを指摘した上で、どのように経営するつもりであるかということを質問させていただきました。低コスト体質のもと、リスク統合管理、経営と監視の分離など、さまざまな手法でバランスある経営を行うとの答弁をいただいたわけでありますが、本日は、バランスある経営を実現させる新銀行のガバナンスの問題を中心に、開業準備を含めて新銀行の体制などについて伺わせていただきます。
 まず最初の質問ですけれども、新銀行のマスタープランによりますと、本年四月にビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行を買収して新銀行の準備会社を発足させるという予定になっておりますけれども、この準備会社発足とは新しい会社が設立されるという意味なのでしょうか。法律的な位置づけも含めて説明していただきたいと思います。

○関参事 本年四月にビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行の株式を買収いたしまして経営権を取得することにより、この銀行を新銀行の準備会社として位置づけ、開業準備を進めていく予定でございます。
 銀行法上、現在のビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行は、普通銀行として法人格を持ち、信託業務を行っている銀行でございますので、したがって、法人格そのものに変動が生じるわけではなくて、株主の交代という位置づけになるというふうに考えられます。

○鳩山委員 株主の交代という位置づけであるとするならば、通常は名称は変わらないと思うわけですけれども、四月の買収の場合、準備会社の名称はどうなるのか。端的にいって、いつから新銀行という名称になるのかを教えてください。

○関参事 銀行法に基づきまして金融庁に商号変更の認可申請を行いまして、四月一日から新銀行の商号を新銀行東京に変更する予定でございます。

○鳩山委員 都と新銀行との関係についてお伺いをいたしたいと思います。
 都議会では注目を浴びている新銀行ですけれども、都民には意外と基本的なことが理解されていない部分があります。私の地元でも、都立銀行とか都営銀行とかいう人がいます。昨年の五月ごろはマスコミでも都営銀行創設のような記事があり、都民が誤解するのも仕方がないと思いますが、まず、基礎的なところから確認をしていきたいと思います。新銀行は都の第三セクターと考えてよろしいのでしょうか。

○関参事 総務省の第三セクターに関する指針によりますれば、地方公共団体が出資または出捐を行っている民法法人及び商法法人とされております。この意味でも新銀行は都の第三セクターだといえると思います。新銀行は、東京都監理団体指導監督要綱に定める報告団体として位置づけることとしております。

○鳩山委員 第三セクターとなりますと、また別の悪いイメージが生じます。すなわち、第三セクターはこれまで余りうまく経営されているという印象がありません。公務員の感覚では無理な面があるのかもしれない。
 そこで、確認をいたしますが、この新銀行に都の職員は派遣をされるのでしょうか。

○関参事 平成十六年四月から本格開業までの準備段階におきましては、新銀行の設立趣旨を具体的な業務に反映させるため、都とさまざまな面で連携を図る必要があることから、必要最小限の都職員の派遣を行います。本格開業時以降は都の職員の派遣は考えておりません。

○鳩山委員 派遣をしないということを聞いて、失礼ながら、経営的には何か安心する気がいたしますが、それでは逆に、ほかの第三セクターとは異なり、都の職員を派遣しないことにしたのは一体なぜでしょうか。

○関参事 新銀行における開業以降の業務形態は全くの民間銀行でございます。日常の業務運営については、専門の能力、経験を有する行員にゆだねる方が妥当でございまして、都の職員は設立の準備段階までがふさわしいと考えております。

○鳩山委員 私も多くの都民の話を聞いていますが、ほとんどの都民は、新銀行は都立銀行で、当然都の職員が行員になると思っております。新銀行が民間銀行であり、都の職員が派遣されないということをもっと明確にするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○関参事 これまでも都議会でのご質疑や知事の記者会見などにおいて、新銀行は民間銀行でございまして、都は、大株主として経営の大枠を監視いたしますが、新銀行の具体の執行にはかかわらないということを明らかにさせていただいております。
 本年四月以降に新銀行の行員の一般公募を実施していく予定でございますが、改めて、新銀行が民間銀行であり、公募で採用された行員などが新銀行の業務を行うことを明確にしていきたいと考えております。

○鳩山委員 都の職員が派遣されないとなると、それはそれで、今度、都のコントロールが十分に可能となるのかどうかが心配になります。職員の派遣を行わずに必要な都の関与を行うことができるのでしょうか。

○津島理事 都は、大株主として、業務内容を規定する定款の決定、変更、重要な経営計画の承認、取締役の選任、解任など、さまざまな事項において決定権を有することになります。また、新銀行では、委員会等設置会社とし、役員構成に当たっては、都の関係者を監査委員会委員等、社外取締役に就任させるなど、経営の主要事項について多面的な関与を行うこととしております。加えて、都が資本金の四分の一以上を出資している団体として、地方自治法に基づく議会への経営状況の報告、東京都監理団体指導監督要綱に基づく運営状況に関する報告、こういった関与を行ってまいります。
 こうした手法を効果的に活用することによりまして、都の監視の目的は十分果たされるものと考えております。

○鳩山委員 それでは、社外取締役に都の関係者が就任すると聞いておりますけれども、そもそも取締役の人選はもう決まっているのでしょうか。

○津島理事 委員会等設置会社への移行は六月の定時株主総会終結のときとしております。この時点における社外取締役としては八名程度を予定しておりまして、都の関係者のほか、経営全般に高い識見を有する人材を経済界、弁護士、公認会計士、学識経験者などさまざまな分野から選任いたします。人選につきましては、取締役会議長に就任予定の森昭彦氏のほか、他の候補者について順次要請している状況でございます。

○鳩山委員 新銀行は経営の透明性を確保するために委員会等設置会社とするとのことですけれども、私が調査したところ、銀行では、りそな銀行、東京スター銀行が採用しております。新銀行の委員会等設置会社はこれらの銀行と比較してどこが特徴なのでしょうか。

○関参事 新銀行の採用する委員会等設置会社の特徴でございますけれども、まず、りそな銀行、東京スター銀行は、取締役会構成員のうち、社外取締役の占める割合が過半数を若干超える程度でございます。新銀行では、八割から九割の圧倒的多数を社外取締役として配置することとしております。
 それから、第二に、取締役会議長でございますけれども、りそな銀行は代表執行役が兼任しております。東京スター銀行についても社内の取締役が就任しているということに対しまして、新銀行では社外の取締役を充てるということにしております。これらを挙げることができると思います。
 これらにより、経営の監督と業務執行の分離を徹底させ、幅広い視点から経営の監視を行えると思っております。

○鳩山委員 執行はプロに任せる、また、社外取締役を用いて経営の監督と業務執行の分離を図りつつ、幅広い視点からの経営監視を行うという仕組みには、私は極めて高い賛意を示すものであります。
 しかし、この仕組みを生かせるか否かは、やはり代表執行役候補の仁司さんを初めとする七人の執行役候補と取締役議長候補の森さんがかぎになると思う。これらの方々のどのような能力に期待したのか、最後にこの点を確認して、私の質問を終了させていただきます。

○大塚出納長 新銀行経営の最大の課題は、過日鳩山委員からのご指摘もありましたとおり、知事もお答えしておりますけれども、政策目的の実現と健全性の確保という二つの要請の均衡点、調和点、これを適切に設定することにあるわけであります。しかも、その均衡点は一定ではありません。刻々と変化する経済あるいは金融など、さまざまな外部環境の変化に応じ、機能的、弾力的な対応もまた当然必要となるわけであります。さらに、新銀行は、全体として、これまでご答弁申し上げてきておりますけれども、これまでにない新しいビジネスモデルを構築し、運営をしていくことになりますけれども、その細部にわたっての有効なガバナンスもまた必要な要件であります。
 取締役会議長候補の森さん、それから代表執行役候補の仁司さんを初め、新銀行の経営陣、執行役は、企業経営、地域金融、IT技術など、それぞれの分野での実績を前提に、新銀行の理念、設立目的の理解と、これを実現する意思と情熱とそれからスキルをいずれの方々も兼ね備えていると考えております。
 こうした体制のもと、新銀行東京は、盤石な経営基盤を築き、必ずや真に中小企業や都民の役に立つ銀行になるものと確信をしております。

○秋田委員 ただいま鳩山委員から、企業ガバナンス、特に所有と経営の分離という観点から大変いい質問がありましたし、この後、我が党が誇る政策通でございます小美濃副委員長からしっかり質問がございますので、私は、予特で質問をさせていただきましたので、具体的な部分を聞かせていただければと思っております。特に、実際の審査がどのような形で行われていくのかといった観点からお伺いさせていただきたいと思います。
 まず、マスタープランの一番最初にございますポートフォリオ型融資、スコアリングモデルで自動的に行うということですが、一般的には大変わかりにくいモデルだと思うんですが、この辺を詳しくもう一度ご説明願います。

○関参事 新銀行では、全国の中小企業の財務データを登録した信頼と実績のあるさまざまなデータベースをもとにいたしまして、多数の倒産企業と生存企業の決算から統計的に倒産と関係の深い財務指標を選び出しまして、点数化したスコアリングモデルを開発いたします。これに融資申込者の個々の決算データを入力することで融資の可否判断を行う仕組みを構築して、審査を行うというふうにしております。
 新銀行のスコアリングモデルにつきましては、例えば経常赤字や債務超過、借り入れ過多といったストックの状況を示す財務指標よりも、現金収支などのフローの状況を示す財務指標を重視して、フローの財務指標が良好であるほど高いスコア、評点が出る特徴を持ったモデルとすることとしております。

○秋田委員 お話を聞く限りでは、どちらかというとスモールビジネスローンに近いのかなという印象は受けますが、自動審査の仕組みはわかりました。けれども、どんな指標によって自動審査をするかという部分が私は一番恐らく重要なんだろうと思います。
 新銀行はキャッシュフロー重視といっているわけで、それが判断のポイントとなると思いますが、具体的に、自動審査の過程においてどのような書類を提出させたり、また、どのような項目でもってこれを判定していくのかを教えてください。

○関参事 審査に当たっては、中小企業でございますので必要最小限の書類と考えておりまして、税理士の作成する決算書類、貸借対照表や損益計算書、それから最新の税務申告二期分、それから最新決算期の納税証明書、それから使途などに応じての事業資金計画や資金繰り表、それから、個人企業につきましては、確定申告の写しと納税証明、これらの資料をもとに、現金収支などの資金繰りをあらわす指標など、多岐にわたる項目につきまして、これはシステムの方でそれぞれウエートをかけて評点を算出いたしまして、さらに、経営者の面談、現地調査などの定性情報をチェックした上で、私どもの内部信用格付に応じまして融資可能額、返済期間、適用金利などを決定していくということでございます。

○秋田委員 先ほどのやりとりで松村理事の方から、貸借対照表やあるいは損益計算書がなくても貸した方がいいんじゃないかなんというお話がございましたが、私は、これは必要最低限の話だと思います。この二つすらない会社にお金を貸すというのは、危険とかそういう以前のお話でございますので、そこら辺はしっかりお願いを申し上げたいと思います。
 キャッシュフロー重視ということだったら、中小企業の場合ですと、キャッシュフロー計算書をつくっているところは少ないと思うんですが、ぜひとも逆に、今後の中小企業の経営者のためにも、キャッシュフロー計算書をおつくりになると、実際の現金のやりとりがわかりやすくなりますよぐらいの指導はされた方が経営上もよろしいのかなと思うぐらいでございます。
 次に、中小企業の決算書の中には、必ずしもその内容が正確でない場合もあるだに聞いております。書類自体が正確であるということがやはりお金を貸す場合には大前提だと思います。新銀行は、正確な情報を把握し、適切な融資判断を行うことが可能なんでしょうか。

○関参事 基本は数十万件の中小企業の財務データでございます。これに基づく自動審査モデルにおきましては、まず、財務指標の異常値の有無、それから財務指標のそれぞれの相関性、それから財務指標の時系列の変化などの検証によりまして、こうしたものの異常値を検知する、粉飾検知機能が組み込まれております。自動審査では、こうした検査を行った上で私どもの内部信用格付を判定し、粉飾の可能性が少しでもあれば格付を引き下げて、書類審査により適切な融資判断が行っていけるというふうに思っております。

○秋田委員 自動審査、私は専門家でないのでよくわからないんですが、ある程度精緻なモデルをつくっておられるのかなというような印象は受けます。概要はわかりました。
 審査は、キャッシュフローなど定量的な情報以外に、定性情報、定性的な情報もチェックしていくということでございます。定性的な情報というのは本当に個々の企業ごとに大変異なるのが現実だと思います。正確に把握することというのはなかなか難しいのかなと思います。新銀行では、そういった定性的な情報、これをどういうふうに把握していくんでしょうか。

○関参事 定性情報の判断についてでございますけれども、原則として、必ず各店舗の融資担当者が直接経営者の方と面談いたしまして、その方の識見、意欲、能力など、フェース・ツー・フェースで判断することがまず不可欠でございます。また、金融機関で既に、具体的には地域金融機関などで審査経験の豊富な社員を契約社員として活用させていただくことによって、融資希望企業を実際に訪問して実態確認調査を実施させていただきます。また、信用金庫や提携企業、その他諸団体からの定性情報や外部信用情報会社などの調査情報を活用いたしまして、さまざまな定性情報を入手した上で融資の可否判断を行っていくということでございます。

○秋田委員 今関参事の方からフェース・ツー・フェース、そういったお言葉が出ましたが、融資に関しましては、最終的にでも九店舗ですか、当初は六店舗、正直いってやはり心配せざるを得ないところがあるわけです。どうやって実地面談あるいは実態調査を限られた支店数の中でやっていくんでしょうか。

○関参事 審査に関しましては、全体として、契約社員も含めて、一期目で八十人、三期目では百人を投入する予定でございます。その中で特に難しいのは融資希望先を訪問する実地面談、実態調査でございますけれども、これにつきましては、信金等の経験がある、審査経験豊富な契約社員十六名を専従で現地確認や経営者の面談などに対応して、開業当初については一日一人当たり一件、三期目においては一日四件から五件程度を見込んでおり、東京全域をカバーすることが可能であると考えております。

○秋田委員 融資をするまでの話は何となくぼんやりと見えてきた感じはしますが、では、融資後の話をちょっとさせていただければと思います。
 融資した後の債権の管理という部分はすごく重要だと思うんですが、その融資した後の債権もまた、少数の精鋭だと思うんですが、精鋭の行員の方々によって管理していくんだと思うんですが、それはどうやって管理していくんでしょうか。

○関参事 新銀行でございますけれども、効率性の観点から、例えば地域金融機関でやっているような、同様の、顧客との密度の高いコミュニケーションを通じたモニタリングを主体的に行うことはいたしません。日ごろからモニタリングが必要な期限一括返済の短期貸し出しではございませんで、毎月均等返済を義務づけることによりまして、中小企業の資金繰り状況を確認する形でモニタリングを行っていく。融資が毎月返済されているかどうかを確認するという形で確認するということでございます。
 さらに、技術力等重視型融資の顧客に対しては、経営状況報告書を定期的に提出していただくことで業況を把握し、事業が計画どおりに進まず、業況に問題がある企業につきましては、提携地域金融機関との連携や外部アドバイザーとの協調によりまして、経営財務上の助言、指導を適切に行う体制を整備する方針でございます。

○秋田委員 そこで、ちょっと突っ込んだ話をさせていただきたいと思います。
 現実に問題になるのは元利返済が滞ったときだと思うんですが、これをどのように対応していくかというのはすごく現実的な話としては重要になってくると思うんですが、どうやっていくんでしょうか。

○関参事 延滞が発生した場合には、新銀行は、速やかにその発生理由を確認し、債権売却や回収方針に際しての判断を主体的に行う一方、交渉から回収手続に至る実際の回収業務は、回収を委託した信頼と実績のある専門のサービサーに委託いたします。新銀行は、延滞解消の手段と可能性を見きわめ、経営再建があれば、内容を十分検討した上でそうした判断を行っていくということでございます。

○秋田委員 今のお話を聞きますと、債権の回収はすべて委託してしまうということですから、ちょっと心配になっちゃうわけです。そこで、新銀行の債権回収の管理方法について詳しくお聞かせください。

○津島理事 委託先は、信頼と実績のある債権回収サービサーを選定する方針でございます。委託先選定に当たりましては、回収体制や回収に当たっての姿勢に関して注意深く調査、確認を実施いたします。回収実務についてでございますけれども、新銀行が方針を定めますとともに、応対マニュアルなどの内容チェック、個々の債務者について回収実績の定期的な報告を受けるといった管理を行います。
 新銀行は、委託先の応対マニュアルのチェックを行ったり、場合によっては、回収現場に委託先とともに立ち会ったりすることで、委託先が不適切な回収を行うことのないように監視を行うほか、委託先の回収方法に関する苦情対応窓口を設置いたします。

○秋田委員 債権回収専門のサービサーなんていいますと、どうも何かこわもてが出てきちゃうんじゃないかななんというイメージがありますが、そんなことはないわけですよね。しっかりとしたサービサーを選んでいただきたいと思います。
 私の質問はもうこれで終わりますが、私個人の銀行に対する思いは先般の予特でしっかりといわせていただきました。しっかりとした銀行をつくっていくべく今後も頑張らせていただきたいと思います。理事者側は本当に昼夜一生懸命勉強していることは大変よくわかっておりますが、すべて重要なのは結果でございますので、今後とも一緒に頑張るべく応援エールを送らせていただいて、小美濃副委員長に譲りたいと思います。

○森田委員 後に雄弁な方が話すそうなので、私はとつとつとやらせていただきますけれども。
 今までの議論を聞いていて少し気になる点があるので伺いますけれども、先ほどから、銀行が発足したら、都庁の職員の派遣はなしで、固有の職員でやっていく、そして経験豊富な銀行員を採用していく、それはいいんですが、今いろいろと議論している中で、銀行のスキーム、さまざま今の貸し付けの方法、いろいろなことが、具体的なところが出てきていますけれども、この辺の引き継ぎ、経験豊富な銀行員にすると、それはおかしいんじゃないの、そういうことは今までの経験ではできないよとかいうことが出てくるのではないかな。この辺の担保というのはどうなっているんでしょうか。

○津島理事 現在約百五名程度の検討チームでやっておりまして、都の職員は二十数名でございますけれども、この銀行を立ち上げる過程におきまして、金融機関ももちろん、信用金庫さんからも含めましてさまざまな専門家を入れて検討しております。その中で、今後この銀行の経営に参画するいわゆる執行役候補を既に発表させていただきましたけれども、この方を顧問という形で配置しまして、この方を陣頭に置きまして、具体的にいろいろな銀行実務についてのビジネスモデルを形成しているということで、こういう方が引き継ぎ、流れを都の政策から実際の銀行実務につないでいくという役割を持っているというふうに考えております。

○森田委員 確認ですけれども、そうすると、今既に顧問になる人が、経験豊富な人がいて、一緒にご意見を聞きながら、そして今の考え方を進めているというふうに考えていいんですか。

○津島理事 そのとおりでございます。

○森田委員 それでは、私は予算委員会等を通じた質疑の中で幾つか伺いたいんですが、知事が、これは出納長にお伺いしたらいいと思うんですが、既存の銀行が目を向けなかったリスクのある中小企業に対する無担保融資や、共通のインフラとして高い利便性を総合的に提供するICカード導入など云々ということで、この新しい銀行は既存の銀行に大変な衝撃を与えている、そして、これによって金融界全体が襟を正せば大変にすばらしいことだという発言をしていますが、既に既存の銀行に具体的にどのような衝撃が起こっているのか、あるいは、それによって既存の銀行が何かしらの改革を始めているのか、この辺の情報を押さえているようでしたら教えてください。

○大塚出納長 新銀行の構想の発表以降、その構想によって起きてきているという実際の確認作業をやったわけではありませんけれども、事実で申し上げますと、間違いなく、あるいは無担保融資、もちろん無担保融資の中身は違いますね、それから、最近特に、顧客本位をもともと標榜はしていましたけれども、それに加えて、実質的に顧客本位を担保するような仕組み、二十四時間フルタイムで店舗をあけますよとか、そういうことを含めて、既存のメガバンクのスタンスというのは大きく変わってきているというふうに思っています。
 ただ、残念ながら、これまでもお答えしてきておりますけれども、実際の融資の現場では、頭出しをしている商品とその実態とが、例えば無担保融資については、キャッシュフロー重視でやるといっていますけれども、債務超過だと貸さないとか、そういうふうなものがくっついた無担保融資なわけです。そういう意味で、もう一つ、二つ、三つというふうに踏み込んでいただかないと、救われるべき者が救われない。新銀行はそこをいま一つ思い切って入っていきたいというふうに考えております。

○森田委員 ぜひ、そういうふうにして新銀行で銀行界を改革していただければ、この銀行をつくった意味は本当にあるなというふうに思います。よくいわれるように、今の銀行は、晴れの日は傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる、こんなことをいわれていますけれども、そういう銀行界全体が変わればすばらしいことだなというふうに思うんです。
 予特を通して、私が非常にこれはすばらしいなと思ったことがあるんですが、個人保証をなくしていくということをいわれました。知事の発言によると、現在、既成の銀行だと約八割の融資が個人保証をやっている。私の知っている人でも、この経済環境の中で何社か会社がつぶれました。中小企業の場合は、会社がつぶれると、個人の資産、家までなくなってしまう、これが現実です。それは個人保証をしているからです。それとちょっと違うのは、大手は個人保証していないから、会社が仮に破綻したとしても経営者はそのまま残っている。この辺が中小企業の厳しさだなというふうに思うんですが、これを今回、予特の発言によると、個人保証をできる限りなくしていく、これは本当にすばらしいなというふうに思うんですが、これをすべてやるつもりはないとは思うんですが、融資の何割ぐらいをこの個人保証のない形をとっていくつもりなのかが一つ。
 それからもう一つは、この質疑の中で出納長が答えているのは、個人保証をやらないかわりに、提携した保証会社に保証をしてもらって、そして、その保証が個人保証のかわりになるということをいわれていますけれども、この辺のところをもう少し具体的にお話を伺えるとありがたいんですが。

○津島理事 まず、個人保証のやり方でございますけれども、全体の中で特に技術力・将来性型の融資、この辺のところを中心にやってまいりますけれども、トータルで三割程度を考えております。
 それからもう一つ、個人保証を解除する考え方、具体的なスキームでございますけれども、マスタープランの中でも説明させていただいたわけでございますけれども、基本的には、SPC、保証会社、これをつくりまして、ここに提携会社が中心になって出資をし、それに、個々に保証を受けようとする債務者が保証料に見合う金額を出資という--保証料を払うと考えていただければ結構なんですけれども、出資という形式でございますけれども、SPCの会社にこれを払って、そして新銀行から融資を受ける、こういうスキームでございます。

○森田委員 ぜひそれは実現していただきたいんです。私、本当に不思議に思うのは、現在の中小企業融資の中で保証協会を使う。保証協会は保証料を払って保証してもらうのに、そこに個人保証が入ってくる、これは本当におかしいことだなというふうに思うんです。何のための保証料なのか、また保証協会なのかということから考えると、今回新銀行が考えている個人保証なしということは大変にすばらしいことで、ぜひこれは実現していただきたい。
 もう一つ、これは皆さん方も経験しているし、私も経験した人を知っていますけれども、連帯保証、連帯保証人になってどれだけ苦しんでいる人がいるか。これもできればなくしていきたいというふうに思いますが、新銀行はどう考えていますでしょうか。

○津島理事 新銀行は、無担保無保証人、これは第三者保証なしということでございまして、基本的には連帯保証は、ポートフォリオにしても、それから技術力・将来性についてもなしということでございます。

○森田委員 今の話を聞いただけでも、既成の銀行に衝撃的なショックを与えることはよくわかりました。ぜひそういう方向で進んでいただきたい。
 次は、この銀行の一つの売り物であるICカードに絡んでちょっとお伺いしたいんですが、今の時代は、携帯電話の番号がわかると、その人の名前から住所から、場合によっては、どこの銀行のどこの口座に幾らあるというところまでわかってしまうというようなことが先日の新聞記事に出ておりました。そういうふうにして、セキュリティーということが非常に大事になってくるわけですが、新しい銀行は、ICカードを使い、またインターネット等も活用するというふうに聞いていますので、セキュリティーに対してはどのような対策をとってやっているのか、まず伺います。

○関参事 新銀行のシステムにおいては、コストを抑制しながら十分な安全対策を講じていくため、さまざまな工夫を行うこととしております。
 基幹系システムにおいては、長期にわたって多くの銀行で安定稼働の実績のあるパッケージプログラムを活用しまして、安全性と低コストを同時に実現いたしたいと思っております。また、チャネル系につきましては、低コストのオープン系システムを構築することが、既に稼働しているシステムのプラットフォームを利用するなど、無理なく安全に多様なサービスを提供できる柔軟性の高いシステム構成としております。
 また、安全対策の基本でございます障害が発生した場合においては、十分な機能を確保できるようシステム構成を二重化し、バックアップについても確保しつつ、緊急対応策をあらかじめ定め、徹底的なマニュアル化を図ることとしております。
 さらに、システム構築に当たっては、後発のメリットを生かしまして、他行の過去のトラブルを参考にするとともに、試験運用を十分に行うなど、障害の発生の防止に万全を期したいと思っております。

○津島理事 セキュリティーということで、いろいろな多面的なセキュリティーが必要であると思いまして、まず、外部に対しての問題でございますけれども、銀行においては、外部から不正なアクセス等について、暗号化とかプロテクト機能などを徹底して安全対策を講じますけれども、内部からのアクセスを行う場合でも、徹底して安全対策を行うような形で管理を行います。
 具体的には、まず、顧客情報へアクセスできる権限者、これにつきまして厳しい選定基準を確立しまして、アクセス履歴の定期的な確認、それから、不規則な情報が入った場合、これを監視するシステムを徹底いたしまして、事前に内部からの情報漏えいを防ぎます。また、これは委託会社に対してでございますけれども、自行内と同水準のセキュリティーを求める契約を確実に締結いたしまして、安全性の高い体制を構築いたします。
 こういった運用の実効性を確保するかぎは、行員や関係者すべての情報保護等に対する意識の高さでございまして、新銀行におきましては、安全対策基準の整備とともに、関係者すべてのセキュリティーへの意識を高めていくため、研修、トレーニングを繰り返し実施してまいりたいと思っております。

○森田委員 セキュリティーに関しては、知恵比べというか、ある方策をとるのであれば、また次のそれを上回るものが出てくる。例えば、最近あったヤフーBBにしても、ジャパネットたかたにしても、思わぬところから漏えいが起こっているわけです。そういう意味では、ぜひ、常にこの辺は気をつけて、セキュリティーに万全を期していただきたい。
 何か聞くところによると、ヤフーBBは、被害というか情報漏れした人に五百円の図書券か何かを送った。行政の場合は、判例でいうと、一件当たり一万五千円になるという話を聞いています。そうなると、たちまち一千億円すっ飛ぶんじゃないかなと思いますので、その辺はぜひ気をつけてやっていただきたい。
 それから、今、委員長が発言できない立場なので、ささやかれたんですが、システム障害ですね。みずほ銀行が発足したときに大変なシステム障害が起こった。新銀行が発足するときにそういうシステム障害が起こらないようにしているのか、あるいは、それを防ぐためにどのようなテストをやっているのか、この辺についてちょっとお伺いしたいと思います。

○関参事 みずほ銀行のシステム障害は記憶に新しいところでございます。これは、基本的には幾つかのシステムのつなぎが不十分で発生したと思っております。
 先ほど若干申し上げましたが、基幹システムについては、既に既存銀行で稼働しているパッケージシステムを購入して、それに新たな機能をつけながらやらせていただくということで、まず基本的にかなり障害の可能性は低いというふうに考えております。また、チャネル系については、これは新しいシステムでございますけれども、非常に柔軟性の高い、パソコンを中心としたシステム構成といたしまして、かなり障害の程度を落とせると思っております。先ほど申しましたように、さらに、システムの構成を二重化し、バックアップセンターを別に設置いたしまして、万が一システム障害が発生した場合にも、そのセンターが立ち上がるという形をとっております。
 さらに、他行の、みずほ初め、トラブル事例を参考にいたしまして、とりわけやはりテスト運用が最も重要でございますので、その部分を重点的にスケジュール化しながら開発を進めていきたいと思っております。

○森田委員 セキュリティーに少し戻りますけれども、今現在のセキュリティーというのは、銀行関係は特に暗証番号という単純なものをやっています。ただ、これでは危険だということで、東京三菱銀行は新たに、生体認証という何か血流をもって認証するようなものをICカードで採用するという方向になったようです。
 生体認証というのは、指紋とか血管の模様であるとか、あるいは瞳孔を開いたときの黒目の部分の虹彩とか、そういうので判断するようですが、新銀行においてこの辺の個人識別、この辺はどんな方式を採用するのか、また、生体認識みたいなことはやる考えがあるかどうか、伺います。

○関参事 まず、生体認証につきましては、指紋や血管の模様でございます静脈、それから、瞳孔を除いた黒目の部分である虹彩などの生体的な特徴や、筆跡、声紋などの行動的特徴を抽出して数値化し、個人を識別する本人の認証技術というふうに考えております。
 都市銀行では、増加する盗難通帳やカードによる不正取引への対応として生体認証を、ATM使用の場合ということでございますけれども、取り入れることを検討している状況でございます。一部では、商品を限定しているものの、預金と生体認証を組み合わせた実験的な試みが実施される段階まで来ております。
 私どもにつきましては、生体認証の技術については、顧客サービスの安全性を向上させる観点で、一つの選択肢であるというふうには認識して研究しております。しかし、現在、国の省庁や民間研究機関などで実験検討中でありまして、また、身体的な条件を必要とすることから、預金者全員を対象とするという部分については困難性もございますので、新銀行においては、開業時において全面的に生体認証をATMに導入するという形ではまだ決めておりません。
 生体認証については、新銀行開業後、店舗やATMの利用状況を見ながら試験的に取り組み、先行事例の評価を踏まえて、十分な検証を踏まえて導入の是非や時期ついて検討してまいりたいと考えております。

○森田委員 ICカードに関連して、さまざまな業種の民間企業と連携をとるということでマスタープランにも出ておりますけれども、これができてから大分時間がたちましたが、マスタープランに出ている以外に提携先が広がったようなことがあれば教えてください。

○津島理事 マスタープランに載せた企業以外にも現在交渉を行っている企業はございます。ただ、まだある程度基本的な部分で合意が得られない状況でございますので、この場では差し控えさせていただきます。

○森田委員 ICカードが今回の銀行の売りになっているわけですけれども、この辺の技術というのは非常に速いスピードで進展していって、今このカードがいいなと思っても、一年後には全然新しいものができてしまったり、さまざまな技術革新が盛んです。
 特に、今いわれているのは、Suicaのカードを、新銀行もSuica方式を使うわけですが、携帯電話と一緒にしようという動きがあるわけですが、この辺のことに関しては何かお考えはございますか。

○関参事 平成十七年度の新銀行開業時において、多くの銀行はICカードの導入を検討する途上にあることが予想されまして、現時点では、新銀行のカードは先進的な技術として、十七年も含め十分な優位性を持っていると考えられます。しかしながら、ご指摘のとおり、IT技術の進歩は日進月歩でございまして、新銀行においても、常に次世代のICカード戦略を検討しなければならないというふうに認識しております。
 JRSuicaと接触型チップを合わせるという形については、技術動向や実際の進行状況が明らかでございませんけれども、私どもとしては、将来において、ICカードに加え、携帯電話が決済機能を持つ可能性が高いというふうに考えておりまして、新銀行においても、技術動向の開発を見ながら必要な検討を積極的に行っていきたいと考えております。

○森田委員 もう一つ、各企業との連携によってサービスも提供しているわけですけれども、例えば、この新銀行が各企業のポイントを共通のポイントとしてまとめたりして、電子マネーを開発するなど、金融界をリードしていく、このくらいの能力は新銀行は持っているのではないかなと思うので、ぜひその辺は進めていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

○津島理事 新銀行では当面、JALや三越、コカ・コーラといった個別の企業との提携サービス、これを一枚のカードで提供してまいりますけれども、預金者の利便性向上を一層図っていくためには、先生ご指摘のように、そういった横のポイントの活用といいますか、新たなサービスを展開することも必要であり、また、それを行うべきだというふうに考えております。
 今後も、技術の進展に沿いまして、新銀行がハブとなり企業のサービスを結びつける新たなビジネスモデルを構築して、豊かな都民生活の実現に貢献していきたいというふうに思っております。

○森田委員 今いろいろ伺ってみて、本当に銀行改革の先頭に立つような新しい銀行だなと思うんですが、知事も予特、本会議等を通してしきりにいっていたのは、新銀行は慈善事業ではない。確かに慈善事業ではないので、ぜひ、仕事として、また銀行業として立派に成立するように、さまざまな課題があると思いますが、頑張っていただきたい、このことを申し添えて、質問を終わります。

○小美濃委員 それでは、ラストバッターでありますので、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思います。
 日本は今構造改革が叫ばれているわけですけれども、その中でも、官から民へ、また、民間にできることは民間に任せるという流れが多くの国民や都民の支持を当然集めているわけでありますけれども、そこで、今回の新銀行なんですけれども、株式会社としてスタートする、民ですよね、民の銀行に対して、東京都という官が主体となって一千億円もの巨額の資本金を支出するという、過去に例のない大プロジェクトを都民にどのように説明をするのか、こういったことが今問題になっているわけでありまして、これを整理しなくてはいけない。
 そこで、先ほど少しお話がありましたけれども、議論を進めるに当たりまして、全国銀行協会、略して全銀協ですか、これから出されました東京都新銀行構想に係る意見書、この中で提起をされている課題に対して数点まずお伺いをさせていただきたい、そう思っております。
 そもそも、民間の既存銀行が本来の果たすべき役割を果たしていなかった、こういったことが貸しはがしや貸し渋りにつながって、石原慎太郎都知事の業を煮やした形で新銀行構想が出てきた、こういったわけでありまして、そういうことを考えますと、今回の新銀行に対して全銀協が否定的姿勢をとるというのは、私は少しおかしいんじゃないのかなということは思っております。しかし、意見書をじっくり読ませていただくと、うん、なるほどというところも確かにありまして、疑問点、これは恐らく都民もそうだろうなと思っていることもあると思います。
 そこで、まず一点目をお伺いするんですけれども、まず、この全銀協の意見書に対して東京都はどのようなスタンスで臨むんでしょうか。いわれっ放しでいいんでしょうか。お尋ねをいたします。

○津島理事 先般出されました全銀協の意見書でございますけれども、これは、既存銀行の立場からその考えや意見を一般的に表明したものでございまして、都や都議会に対して具体的回答を要求しているものではございません。しかし、私どもは、都議会やプレス発表、あるいは日銀の記者会見などによりまして新銀行の展開する業務内容についてご説明をし、さらに、本日の委員会を含めて今定例会の質疑を通じまして、間接的でありますけれども、そのすべてにわたって明確に回答してきております。
 今後とも、新銀行の位置づけや業務内容等について理解が得られるよう、機会あるごとに説明を尽くしていきたいと思っております。

○小美濃委員 具体的な回答要求がない、また、直接回答することは考えていない、こういうことでございますけれども、都民の視点に立っても、一定の疑問点があるということは先ほど述べさせていただきましたし、せっかくの委員会でございますから、議会を通じて間接的にご回答いただきたいなと思っております。
 まず、民業圧迫論について伺います。
 これはさまざま議論をされてきたわけでありますけれども、もう少し詳しくお伺いをいたしたい。
 と申しますのは、私も地元で漏れ聞く話によりますと、実は、既存の民間の金融機関も、最近は少し前とは大分違っていまして、積極的に融資を始めているというんです。かなり無担保何とかも始めている。これは、先ほど森田委員さんからもありましたが、ひょっとすると、新銀行ができるぞというある意味圧力が影響を与えているのかもしれませんけれども、それだけではなくて、既存金融機関が融資を今まで余りに抑え過ぎてしまったために金が余ってきちゃったんじゃないか。金融機関はいってみれば貸して何ぼというところがありますので、今までかなり消極的だった融資に対して積極的に融資活動を始めたということが一つの理由に挙げられるのではないかと思うんです。
 そうすると、確かに、今まで皆さん方と議論してきたことを考えると、少し前ならばそのとおりだなという感じがあるんですけれども、これからのことを考えると、民間金融機関とのすみ分け、これは、いわゆる未充足部分に対してこれから新銀行が融資を展開していくということなんですけれども、果たして未充足部分というのは今後出てくるのかどうかという議論をしていかなくちゃならない、これを問題にしていかなきゃならないと思うんですけれども、そこでお伺いをしたいんですが、既存の金融機関が、先ほど申しました、かなりの分野で融資を始めましたこの現在、本当に新銀行がリスクをとれるマーケットが十分にあるのか、ご説明を願いたいと思います。

○関参事 既存金融のシステムにおける中小企業融資マーケットの全体では、デフォルトを前提としないリスク回避の姿勢が依然として一般的でございます。融資利率が三%を超える貸し出し先に対する優良な資金供給主体は現在も存在せず、極めて高利の商工ローンなどの事業向け貸し金業者に頼らざるを得ない状況となっております。
 具体的には、直近の商工ローンの貸し出し残高は、全国ベースで約十八兆、都内でも約十兆円を超えると推計されます。また、既存金融機関の無担保融資については、十五年度計画で一兆二千億、計画ベースでございます。このことのみを取り上げても、中小企業のマーケットは十分に存在すると考えられます。
 また、既存銀行が債務超過や借り入れ過多といった財務諸表上の表面的なデータによってリスクが高過ぎて融資できないといった判断をしている企業であっても、先ほど申しましたように、新銀行では、独自の基準により、技術力や将来性にすぐれ、将来十分なキャッシュフローが見込めると判断すれば融資対象とする。
 以上のことから、マーケットは現在も十分に存在するというふうに考えております。

○小美濃委員 未来のことをいってもしようがないので、その見通しをしっかりとこれからも着実に推進をしていただきたいと思いますし、また、技術力や将来性については後々ゆっくりとお伺いをさせていただきたいので、一応、既存金融機関の未充足分野はあるということを前提に、次の質問に移りたいと思います。
 それでは、その未充足分野に対して新銀行はどのような業務展開をしていくのか。これもかなり議論をされているところでありますけれども、はっきりと全銀協の意見書に対して、既存金融機関と今度の新銀行は未充足分野に対してこう違うんだという明確なお答えをまずいただきたいなと思っております。

○関参事 既存金融機関の融資商品には、委員ご指摘のとおり、手法としては似たものも出てきておりますが、その融資対象や融資条件等は全く異なるというふうに認識しております。新銀行は主にポートフォリオ型融資や技術力・将来性重視型融資で、そうした既存金融機関の未充足の部分を積極的に埋めてまいります。地域金融機関のリスク負担能力をさらに補う形でも業務展開を行っていきたいと考えています。
 具体的には、ポートフォリオ型融資では、キャッシュフローに着目し、三営業日以内のスピーディーな融資を行ってまいります。技術力・将来性型重視では、財務内容に問題があっても、一定の技術力や将来性に着目して融資を行ってまいります。また、地域金融機関とのシンジケート型融資に加えまして、信用金庫などが実施する融資に対する保証を行うほか、劣後ローンも実施に向けて検討してまいります。
 なお、新銀行は相対的にリスクの高い未充足分野を手がけるために、経営の健全性を確保する観点から、信用金庫等地域金融機関の三倍のデフォルト率を想定し、さらに、想定を超えて発生するリスクに備えて、一般貸倒金はデフォルト率の二倍近い四・二%を計上し、積極的にリスクの高い分野に融資を続けていくということでございます。

○小美濃委員 未充足部分もあり、また、既存銀行とは違った融資の方法をやっていくんだ、こういったことでありますけれども、既存金融機関では、ということは、逆にいうと、なかなか手が出しづらい分野に新銀行が業務展開をしていく、こういったことになるわけであります。しかし、逆に考えると、長年のノウハウや蓄積がある民間金融機関でも手が出せなかったリスクの高い分野に新銀行が積極的にこれから参入していくということは、やればやるほど新銀行の収益を圧迫し、大きなマイナス要因になってくるのではないか。問題ですよね、これは。
 こうした難しい経営のかじ取りをしていく一つの方法として、しかし、この中では、スリムな経営体質を標榜して、これを補うためにさまざまな企業と連携をする、こういう仕組みに実はなっているんですね。これはビジネスモデルとしては一定の見識と思いますし、評価ができるところなんですけれども、反面、全銀協の意見書で書いてあるように、ならば、官がこういった、多数のアライアンスがあるわけですけれども、特定企業の業務支援を行うことになるじゃないか、こういう批判につながりかねないわけです。
 これに対しては、新銀行はどのように具体的に、反論する必要はないと思いますけれども、提携方針を持って臨んでいくのかというのをはっきりさせなきゃならないと思いますが、ご見解をお伺いします。

○津島理事 新銀行が目指す業務でございますが、これは、新銀行がハブとなって全体として都民に利便性を提供することが目的でありまして、特定の企業を業務支援するということはあくまで目的ではございません。業務提携は相互にビジネス上のメリットがあるために提携するのでございまして、提携先の企業が新銀行にメリットを感じていなければ、提携することはあり得ないわけでございます。
 新銀行が目指す新たな金融サービスを開発して提供していくためには、どうしても特定の企業とサービスの基盤となるスキームを構築していく必要があります。そのため、当初は原則として一業種一企業を提携いたしますけれども、提携の目的や効果を判断して提携の対象を拡大し、いずれはオープンな提携を行っていくという考え方でございます。

○小美濃委員 ここまで来てしまったので、今さらということもあるんですけれども、しかし、全銀協のいっている特定の企業に対する支援体制ですか、そういったものにはちょっと答えとしては弱いかなという感じが私はぬぐい切れません。この辺のところは、しかし、今後また、新たに業務が始まってくれば新銀行が独自に民間企業と提携をしていくことでしょうし、そういったことを通じて都民の理解を得ていただきたいな、そういうことをまず要望させていただきたいと思います。
 続けて、融資のあり方についてお伺いをします。
 本会議、予特、また今回の委員会等々、融資の話、随分議論してきましたけれども、今回の新銀行の大きな目玉商品であります技術力・将来性重視型融資、この審査については具体的な質疑が余りなかったように思います。せっかくの専門委員会でございますので、この技術力・将来性重視型融資について数点お伺いをさせていただきたいと思います。
 技術力・将来性重視型融資は、石原知事の新銀行のいってみれば源でありました。例えば知事の地元の大田区のお話をよく例に出されて、世界で大田区のある企業しかできないような、そこの企業でしかできない部品、こういったものをつくっている企業があるけれども、そういった企業にも貸し渋りや貸しはがしの大きな波が押し寄せて、こういった技術がなくなってしまうと日本の大切な技術力が失われていく、こういったことを大変危惧されていたわけでありますけれども、こうした企業を何とか救おうということで、技術力また将来性、こういったものを重視して融資を行うというこの商品は大変特徴的な融資商品であると私は評価をいたしております。
 技術力や将来性など、企業の真の実力に基づく融資、こういったものは、本来は、日本の良心的な金融機関の関係者に共通して持っている意識ではないかなと思っておりますけれども、今まで余りにも担保に頼り過ぎた日本の融資のあり方が、問題意識を持たせつつもなかなかもう一歩踏み出せなかった、既存の金融機関がもう一歩踏み出さなかったという原因の一つになっているのではないかと思います。
 そういう意味では、今回の新銀行の担保によらない技術力や将来性といった企業の実力を重視して融資する商品が実現することは、本当によい刺激になりまして、新しいこの試みは既存金融機関に対してもよい刺激になって、東京発金融改革、こういった知事がおっしゃっていることにもつながっていくのかな、そんなふうに思っています。
 それだけにこの融資は絶対に成功させなきゃいけないんですけれども、ただ、心配なのは、新銀行、スリムですよね。人員体制も大変スリムで、実際に技術力や将来性といった、本来、いうはやすしですけれども、大変評価しづらいことをきちんと審査ができるのか、また、実際融資を実行していく中で新銀行は過剰なリスクを負わないものなんだろうか、こういうことが心配をされるわけであります。
 そこで、技術力もしくは将来性、こういったことに対する重視型融資における審査の全体像、これをまずお聞かせ願いたいと思います。また、審査の全体的な流れはどのようなものになるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○関参事 技術力・将来性重視型融資については、提携企業や諸団体を通じて年に四回程度融資希望企業を募集いたします。応募のあった企業については、本店に集約いたしまして、まず、本店で技術力、将来性を示す事業計画に関する書類審査を行うとともに、その財務内容につきましては、ポートフォリオ型融資と同様に自動審査、スコアリングモデルによる財務分析を行います。
 次に、提携金融機関等からいただいた推薦やさまざまなルートから入手する定性情報も参考にしながら、絞り込みを行わせていただきます。また、こうした中小企業の経営は、何といっても、経営者の技術開発にかける情熱と経営センス、さらには営業生産体制が欠かせない要素でございますので、経営者との面談はもちろんのこと、必要に応じて実地調査を行います。
 事業計画及び財務内容審査に合格した企業については、さらに専門的立場から事業計画の詳細を評価していただくため、技術力審査会へ審査を依頼いたします。新銀行としては、その審査会の審議を参考にしながら技術力、将来性を評価し、財務格付等も総合的に勘案しながら、新銀行として責任を持って融資を決定していくということでございます。

○小美濃委員 ただいまの答弁を簡単にいうと、技術力や将来性に対する審査は新銀行の職員がするんじゃない、技術力審査会に依頼をしていく、こういうことで理解をしてよろしいわけですよね。
 では、技術力審査会というのは一体どういうものなのか、お伺いをいたします。

○関参事 技術力・将来性重視型融資につきましては、当行の職員が事務的、財務分析等の審査を行った後、技術力審査会に依頼してさらに厳重な審査を行うということでございます。
 技術力審査会のメンバーにつきましては、マスタープランにお示ししたとおり、東京中小企業投資育成、それからニュービジネス協議会、TAMA-TLO、それから都の関係では、中小企業振興公社、産業技術研究所など、日ごろ中小企業の事業活動に技術面の視点から支援している団体から参画をいただく予定でございます。さらに、大学や大企業の研究所、会計士、ビジネスコンサルタント等の専門家に幅広く審査会に参画していただいて検討を進めていくということでございます。

○小美濃委員 先ほどもお話ありましたビジネスコンサルタントや東京中小企業投資育成株式会社などなどといういわゆる専門家が技術力審査会をつくって、そこで技術力や将来性などを審査する。技術力や将来性を重視して無担保無保証でやるということは、この融資ではまさしくこの審査会が融資の成否を握っているといっても過言ではないわけでありまして、そこで、もう少し詳しくお伺いをしたいんですけれども、実際審査するのもかなり難しいと思うんです。プロがやるといっても、技術力や将来性というのは目に見えないものでもありますし。そこで、技術力審査会が審査を行う上でのポイントというのはどういうところに置くのか、お伺いをしたいと思います。

○関参事 技術力・将来性重視型融資の審査における主なポイントとしては、次の三点を考えてございます。
 第一に、将来性のある商品の開発力や技術力の評価。第二に、経営者の経営や商品開発に対する取り組み姿勢、資質、見識、情熱などの経営者に対する評価。それから、第三に、営業体制、生産管理体制といったマーケットとしての全体の整備状況の評価。こうした三点を見ていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 ポイントはわかりました。
 もう少し詳しく伺いたいんですけれども、技術力とか将来性とかというのは非常に抽象的なものでありまして、技術力は製造業なのかなというようなことが何となく想像できるんです。しかし、製造業だけなのか。製造業だといい切ってしまうと、技術力・将来性重視型融資は製造業だけしかある意味借りられなくなってしまう、技術力の分野では。一点目としては、この技術力というのは製造業だけなのかというのを一点お伺いしたいと思います。
 それともう一点は将来性です。技術力よりもっと抽象的なことです。しかし、将来性というのがある程度見えてきますと、製造業じゃなくても、かなりの、大半の企業にとって、自分のところは将来性はあるんだ、技術屋じゃないけれども将来性はあるんだと、ある意味目標につながっていくのではなかろうか、そういうふうに思うわけでありまして、将来性というのは具体的にはどういうものなのか、ご見解をお伺いしたいと思います。

○津島理事 新銀行のこの融資の技術力の評価でございますけれども、これは、単なる学術的に例えば技術があるという評価だけじゃなくて、企業の成長、発展に結びつくノウハウ、こういったものも含めて評価してまいります。例えば、全くの新しい新規技術でなくても、既存技術のノウハウを組み合わせて改良して商品をつくるとか、あるいは、そういうことによってコストを削減するとか、こういったノウハウも一つの大きな技術であろうというふうに考えていまして、先生のご質問の、したがって、製造業に限るものではないというふうに考えております。
 それから、もう一つの方の将来性でございますけれども、非常に幅広い概念でございまして、なかなか説明が難しいわけでございますけれども、例えばでございますけれども、業態を転換して将来成長が見込める分野に新規事業で取り組む、こういった場合もあると思います。また、技術力によりましてその企業が取り扱う製品やサービスの売り上げが拡大するような場合、また、これにとどまらず、一時的に売り上げが減っても、赤字になっているけれども、今後事業の継続性が見込めるような場合、こういうようなもの、さまざまなものに将来性ありというふうに考えることができると思います。
 また、同業他社と差別化が図られている場合とか、時代の即応性にすぐれている場合とか、ITの活用により管理体制がすぐれている場合、そういった場合にはその企業の取り扱う製品やサービスは将来の市場性が高いという評価を得られる可能性がございます。
 新銀行では、そういった企業を幅広く将来性のある企業という形で評価して、融資の対象の俎上にのせていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 技術力に関しては製造業だけじゃないというご答弁をいただいたので、これは、ありがとうございます、期待をしております。しかし、将来性についてはもう少し客観性が必要ではないか、そんなふうに思っているわけであります。
 といいますのも、将来性、今るるおっしゃられたんですけれども、しかし、将来性のとらえ方というのはやはり人によって異なる可能性が大でありまして、新銀行が本当に客観的に判断ができるんだろうかというのが、これはもう少しお伺いをしたいんです。
 例えば、新銀行がこれから将来性を客観的に審査する場合、点数化をするなど一定の工夫が非常に必要なんじゃないのかなと思うんですけれども、これについてはどうでしょうか。

○津島理事 将来性の評価の中でも、特にマーケット評価が難しいだろうというふうに考えおります。新銀行では、このマーケット評価を含めた将来性の評価に当たりまして、複眼的な審査を行う予定でございます。具体的には、財務分析の観点と業務プランの有望度の観点、こういったものを含めまして総合的に判断してまいりますけれども、その中で、先生おっしゃる将来性についての点数化をして評価する手法、これらも含めて検討してまいります。

○小美濃委員 将来的には点数化をして評価する手法も検討していただくということで、点数化というのはより客観的になりますので、ぜひよろしくお願いします。
 そういった具体的に客観性を持たせて、先ほどの三つのポイントでありました商品開発力や技術力、経営者の評価、また営業体制ということを評価されるわけでありますけれども、今申し上げましたこのポイントについてもう少し詳しく、このポイントの何をどのように評価するのか、ご説明をお願いしたいと思います。

○関参事 まず、第一の商品開発力や技術力の評価についてでございますけれども、所定のスコアカード、評点カードをもとに、技術力審査会におきまして総合的かつ客観的に審査を行い、評価を与えることになります。
 具体的には、例えば、現状の商品やビジネスモデルの新規性、競争優位性、市場ニーズへの適応性、市場における技術の位置づけ、市場規模などを評価します。また、製品化に至っていない技術やビジネスモデルにつきましては、技術の完成度、製品商品化への課題、実用化の見通し、特許の有効性などを専門的な見地から評価させていただきます。
 第二の経営者の資質に関する評価につきましては、直接経営者本人と面談させていただきまして、経営者の方の事業意欲、経営センス、それから、これまでの業歴、経験などについても調査させていただきます。
 第三の営業体制の評価につきましては、その企業の販売体制、さらには生産管理体制の実態の確認等について実地を含めて調査を行います。
 これらのことにより客観的な審査を行っていくということになると思います。

○小美濃委員 具体的に理解ができました。
 大切なことなのでもう少し整理をさせていただきたいんですけれども、ということは、技術・将来性重視型というのは、財務内容だけを見るととても融資が受けられる状態じゃない企業でも、ただいまのご答弁のように、三点のポイントの審査の結果、技術力や将来性があると判断された場合には融資を受けられるということでいいですよね。
 また、技術力・将来性重視型融資は、リスクが高い分、それなりに恐らく金利も高いのではないかと思っております。これはいたし方ないことだと思うんですけれども、融資枠で何か優遇が受けられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。

○関参事 技術力・将来性重視型融資は、財務内容に問題があっても、一定の技術力や将来性がある中小企業に資金供給を行うのが目的でございます。したがいまして、ポートフォリオ型融資において財務内容が問題があるとして融資を謝絶された企業であっても、技術力や将来性があると評価されれば、新銀行として融資を行っていくことは十分あり得ると考えております。
 また、ポートフォリオ型融資では、貸し出し金額の上限は五千万円としておりますけれども、技術力・将来性重視においては、製品商品化や業務展開において必要となる資金需要に対応するため上限枠を一億円としており、技術力や将来性があると判断された企業はより大きなサポートを受けられるという形に整理しております。

○小美濃委員 財務内容に問題があっても技術力や将来性を重視して融資を実行できる、ポートフォリオで借りられないけれども、こっちでは借りられる、こういったことはまさに、技術力や将来性がある、しかし、財務内容が悪い企業に対しては大変助け船になるのではないかな、そんなふうに思っております。
 さて、先ほどは技術力や将来性についての客観性についてお尋ねをしたわけでありますけれども、特に技術力・将来性重視型融資に関しては、こちらにもクイック、オープンと書いてありますけれども、特にオープン性というんですか、これが重要視をされるのではないか、透明性が重要視されるのではないか、そういうふうに思っているわけであります。
 企業は事前に、どれくらい自分の技術力や将来性でお金が借りられるかということがある程度予想ができれば、安心して新銀行の門をたたけるのではないかと思うんですけれども、透明性を確保するためにはどのようなことを行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

○津島理事 技術力・将来性重視型の融資におきましても、先ほどご説明しましたポートフォリオ型融資と同様に、あらかじめ財務上の審査基準をできるだけオープンにしまして、どのような財務内容であればどのくらいの金額までどのような条件で借りられるかということにつきまして、中小企業の経営者に理解してもらえる仕組みを設けて、審査における高い透明性を確保していきたいというふうに考えております。
 また、行内の審査におきましても、最終的には、有識者を含めた専門スタッフで構成される技術力審査会、ここの審査を経て融資の可否を決定するなど、恣意的な融資に陥らないようなプロセスを構築していきたいと思っております。
 なお、技術力・将来性重視型融資におきましては、提携金融機関や諸団体からの紹介を受けて定期的に融資の募集を行う予定でございますけれども、その際、つまり募集の際に、業種など、あらかじめ対象となる企業の条件、こういったものを新銀行から広く告知し、対象となる企業が申し込みやすい環境をつくっていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 拡大解釈すれば、財務内容や技術力また将来性などなど、これを専門家の第三者が客観的に審査をしてくれるということでありますので、これがオープンになるということは、ある意味企業にとっては健康診断を受けているようなことと同じだと思うんです。企業は、いってみれば年四回、ある意味専門家の健康診断を受けられる、受けるチャンスがあるということでありまして、財務内容の改善や今後の努力目標がこれによってできるわけであって、大変ありがたいなと思っております。
 しかし、これらをすべて銀行の窓口でやるというのは、今銀行の窓口は少ないわけでありまして、なかなか難しいので、将来的にはインターネットバンキングなどでシミュレーションができるようになるように、これは要望しておきたいな、こんなふうに思います。
 それで、今回の新銀行のメリットの一つが、担保や第三者保証にとらわれることなく、キャッシュフローに注目しているという大きな着眼点なんですけれども、しかし、ベンチャー企業のように業歴が極端に短い創業したての企業では、キャッシュフロー自体がまだ回り切っていない、こういったことが予想されるわけでありまして、こういうことによって融資が受けられないことが多いのではないか、これが心配の種であります。
 ベンチャー企業は、本当にさまざまなアイデアまた技術力を持っているところもありまして、中には世界に十分通用する、こういったものもあるといわれております。しかし、日本の中で融資が受けられないと、こういった知的財産が海外へどんどん流出をしていってしまう。これは、東京だけではなくて日本にとっても大変大きな損失になるであろうということが想像できるわけであります。こういったベンチャー企業のように業歴の短い、浅い企業に対しても一定の支援を行う必要があるのではなかろうか、新たなこういった産業を育てていくことも大変重要なことではないかと考えているわけであります。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、新銀行は、力はあるんだけれども、ベンチャー企業のような業歴の短い企業に対してどのようなサービスを提供していくのか、お伺いをいたします。

○関参事 新銀行は、財務内容に問題があっても、一定の基準に該当する技術力等があり、将来の成長が見込める企業であれば、必要な融資を行ってまいりますけれども、創業赤字が大きく、キャッシュフローが十分に回っていないため融資を受けられない企業など、技術力・将来性重視型でも対応できない場合がございます。
 その場合、より専門性の高い目ききを集めた創業型ファンドを通じてそうした企業への投資を行うことにより企業支援を行っていきたいと考えております。ファンド投資には返済義務がないため、創業期間も間もない企業にとって資金繰りが安定化しやすいことや、企業の発展段階に応じて幅広い支援を行えるなどのメリットがございます。

○小美濃委員 ベンチャー企業に対しては、融資ではなくて創業型ファンド、いわゆる投資で支援をしていく、こういったご答弁でありました。
 それでは、融資と投資とで企業支援の姿勢は新銀行、どのように違うのか、お伺いをいたします。

○関参事 技術力・将来性重視型融資などの融資につきましては、返済が当然の前提でございまして、基本的には企業の業容拡大に対応する資金供給をメーンに、原則としてミドルリスク・ミドルリターンを目指してまいります。
 一方、創業型ファンドを通じた出資につきましては、企業に対して返済圧力のない資金を提供するものでございまして、目先の配当ではなく、企業の業務基盤の安定化へ貢献しながら企業を育て上げていき、将来における配当や企業価値増大によるキャピタルゲイン、株式上場、公開市場における上場益等を主に目指してまいります。いわばハイリスク・ハイリターンのスキームでございまして、出資の方が対象企業の経営により強く関与し、株主としての監視を強めることになり、基本的には、融資よりもさらに中長期的な視点に立った支援である点が融資と異なっている点だと考えております。

○小美濃委員 ベンチャー企業も救われるということで大変安心をいたしました。また、そうした新しい企業に対して投資することによって経営指導的な立場で関与ができるということも、新しい企業に関しては大変よいことなのかもしれません。ベンチャー企業に対しましては、今ご答弁がありましたとおり、中長期的な視点に立ってぜひともご支援をいただきたいな、そんなふうに思っております。
 また一方で、先ほども議論にありましたけれども、産業労働局でも実は来年度からベンチャー企業向けファンドを創設するんです。これは新銀行の創業者ファンドとやはりある意味すみ分けをしっかりとして、時には有機的に連携をして相乗的な政策効果をぜひ上げていただきたい、これも要望しておきます。
 次に、カードについてお伺いをいたします。
 新銀行のマスタープランでは、ICカードによる連携先に大手流通グループが名を連ねております。ただでさえ地域の商店街、今本当に苦しいところに大手流通グループの大規模店舗がどんと開業いたしますと、地域商店街の売り上げがかなり下がってしまう、こういったことがある中で、新銀行が流通グループと連携をする、こういったことが地域に流れますと、地域商店街にとっても大変不安材料でありますし、連携がどういう形になるのかわかりませんけれども、ややもすると致命傷になりかねないということが予想されるわけでありまして、本来こういった地元の商店街や地元の中小企業を救うためにある新銀行が、逆に、大手と組むことによって中小企業に対して圧力をかけてしまう、こういった本末転倒にもなりかねないわけでありまして、この点についてはどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。

○関参事 新銀行がIYグループと提携していく予定の内容は、主として、ATMの利用、並びに、一部店舗で、買い物のついでに銀行を利用することができる銀行サービスの窓口でございますインストアブランチの設置でございます。
 現在新銀行では、IYグループの大規模店舗を対象とした提携ではございませんので、この提携により商店街の売り上げが減少するなど、商店街の経営を圧迫する懸念は少ないと考えております。

○小美濃委員 流通グループとは連携をするけれども、大規模店舗とは連携しない。いいですね、お願いしますよ、本当に。一安心をいたしました。
 また、新銀行マスタープランによりますと、ICカードのところで「地域商店街」とあるんですけれども、ICカードを通じて地域の活性化に貢献する連携関係を構築する、こういったことが明記をされているわけであります。
 そこで、お伺いをしますけれども、地域商店街との連携内容というのは一体どういうことを想定されていらっしゃるのか。一体、連携することによって地域商店街にはメリットがあるのかないのか、お伺いをしたいと思います。

○関参事 商店街との提携内容でございますけれども、新銀行のICキャッシュカード上に商店街のポイントプログラムを取り入れ、商店街のポイントカードとして利用できるようにしてまいりたいと考えております。
 この提携による商店街のメリットは、商店街の負担するICカード発行費用が軽減されるため、ICカードを導入しやすい環境を整えることができるということでございます。また、新銀行では、商店街がICカードに向けて必要となる初期費用に充てるため、都の補助制度でございます新・元気を出せ商店街事業を活用した場合には、それぞれ自治体と商店街の負担が三分の一ずつございますが、その商店街の負担分を融資の対象として考えております。

○小美濃委員 今回の新銀行は、ICカードの活用ということがぱんと出た瞬間に、かなりの商店街が不安を感じているということが私のところにも漏れ聞こえてきたわけでありまして、こうした不安をぜひとも解消するためにも、先ほどご答弁がありました、大規模店とは連携をしませんよ、もしくは、商店街に対しては、メリットがこれだけありますよということもしっかりとPRをしていっていただければな、そんなふうに思うわけであります。
 さて、もう時間もあれですので最後の質問をさせていただきたいと思いますけれども、代表質問や予特の質疑や本日の委員会で新銀行に対する議論はおおむねし尽くされたのかな、そんなふうに思っておりますけれども、やはり今後、マスタープランを具現化していく段階では数々の課題が出てくるのかなということが予想されます。
 例えば、融資の原資となるのは預金であります。本日の議論を含めて大体の議論が、預金シフトが起きないかといったような、いってみれば預金が集まり過ぎた場合についてかなり心配をされたわけでありますけれども、また、我が党もマスタープランをつくる際に、預金圧縮によって地域金融機関に対する配慮をしっかりしろよ、こういったこともいってきたわけでありまして、そういったこともマスタープランには盛り込まれております。
 しかし、お金が集まり過ぎるというのは、ある意味では幸せな心配でありまして、逆に、想定どおりに預金が集まらなかったらどうするんだという議論を、また、そういった可能性についてもしっかりと検討しなきゃいけないのではないか、そう実は思っているわけであります。
 実は、これは十分考えられるわけでありまして、なぜならば、今は騒がれています。非常に注目度を浴びています。スタート直後まで行くでしょう。石原銀行という名前でいくのかもしれませんし、ただこれは、知事がある意味二期目の公約で大々的に打ち出して、都民の関心も今高いですし、また、さっきも議論がありました、都民銀行じゃないの、そういうイメージもまだありまして、ややもすると、都の関与が非常に大きいのではなかろうか、こういった誤解も都民の中にはあるのではないかと思います。
 しかし、五年や十年たっていくうちにつれて、都の関与が本当はないんだ、ないんだというのはおかしいですけれども、一つの株式会社でしかないんだということ、もしくは、知事の影響度もだんだん消えて、薄らいでくると、果たしてどうなるか。これだけの注目度を浴びられるか、私は疑問であります。
 ただいま申し上げましたとおり、スタートしたら預金が予想以上に集まらなかったとかとか、さまざまな課題がこれから想定されるわけでありますけれども、しかし、そういう課題があったとしても、新銀行は、私は中小企業支援の救世主としてつくっていくべきだと思っているわけであります。
 そこで、最後に出納長に、委員会の最後の締めくくりでありますので、ぜひとも締めくくり決意をしていただきまして、質問を締めたいなと思っております。

○大塚出納長 都議会で可決されることが当然前提でありますけれども、新銀行マスタープランは、想定されるあらゆるケースを考慮して準備をしたつもりであります。預金について全く角度の違うご指摘をいただいたわけであります。これに限らず、新銀行立ち上げ、特に新銀行立ち上げ後も含めて、我々の想定しないような事態が生じることもこれは当然あり得るわけであります。預金が集まらない場合の対策につきましては、例えば債券発行を含めて既に考えているわけでありますけれども、想定外の事態が発生するということは、企業を経営する経営者にとって、これはもう必ずあり得るということを覚悟しなければなりません。
 そういうことで、ハード、ソフト両面のスタンバイ、これはもう根っことして必要なわけでありますけれども、最後に、想定外の事態が生じた場合に、それを乗り越え、この新銀行が設立目的である中小企業融資をきちっと果たしていくことができるかどうかを決めるのはやはり組織力だ、大きな意味での組織力だ。その組織力の中には、機動的で柔軟な意思決定を含む新銀行のガバナンス、さらには、余剰といいますか、この新銀行がファンデーションとしてどれぐらいの体力、キャパを持ってそのときに存在していられるかということ、そういう根っこのスタンバイ、根っこの構築、それがどれぐらいできるかということにかかってくるんだろうというふうに思っています。
 新銀行は、新しいビジネスモデルを表章して、それを実現してまいるわけでありますけれども、必ず、必ずやあらゆる困難を乗り越えまして、何としても、真に都民や中小企業の役に立つ銀行をつくり上げ、それを確固とした存在感のあるものとして皆さんにお認めいただけるような、そういう運営をしていきたい、そうするというふうに思っております。

○小美濃委員 最後にちょっと一件だけ。
 本当にありがとうございます。かたい決意を聞かせていただきまして、私も今回実は、質疑を通して勉強させていただいたり、また職員の方にレクチャーをいただいて、本来の金融機関がしなければいけない業務というのはきっとこういうことなんだろうなというのが実はこの中にたくさん書いてありまして、例えば、担保がなくても、技術力や将来性、また信用性、こういったことがある有能な企業家に対してはしっかりと金融機関が支援をしていく、また、こういったことによって日本国全体が盛り上がっていく、こういったことが本来の金融機関のやるべき業務だったんじゃないだろうか。そういったことをこれから新銀行がやっていくのではないだろうかということを今回の質疑を通して実は勉強させていただいたわけであります。そういった意味では、新銀行という名前ですけれども、私は、あえて本物銀行といってもいいのではないかな、そんなふうに思っております。
 そういったことを考えますと、私個人としては、まだ会派の意見統一をしていませんけれども、個人としては、新銀行が、都民の税金一千億円を投入するわけですけれども、私は、余りある成果を都民に還元ができるのではないか、こういうふうに考えておりますし、先ほどかたい決意で課題に取り組んでいかれるという出納長のお話でありましたけれども、私も一応援団としてぜひともともに課題解決に向けて取り組ませていただければなと、心からのエールを送って、質問を終わりたいと思います。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十六分散会

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