委員長 | 近藤やよい君 |
副委員長 | 森田 安孝君 |
副委員長 | 小美濃安弘君 |
理事 | 松村 友昭君 |
理事 | 川井しげお君 |
理事 | 中村 明彦君 |
秋田 一郎君 | |
鳩山 太郎君 | |
執印真智子君 | |
桜井良之助君 | |
桜井 武君 | |
藤川 隆則君 | |
青木 英二君 |
欠席委員 なし
出席説明員出納長室 | 出納長 | 大塚 俊郎君 |
理事 | 津島 隆一君 | |
副出納長 | 中路 有一君 | |
副出納長 | 宇藤 雅隆君 | |
参事 | 岳野 尚代君 | |
参事 | 関 敏樹君 |
本日の会議に付した事件
出納長室関係
報告事項(質疑)
・新銀行の基本スキームについて
・平成十五年度資金管理実績報告(第二・四半期)について
○近藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、出納長室関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより出納長室関係に入ります。
報告事項に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中路副出納長 先般の委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
一ページをお開きください。要求資料第1号、主な中小企業向け無担保融資商品の概要でございます。
東京三菱銀行を初め、四行の無担保融資商品の融資限度額、利率、融資期間などにつきましてお示ししてございます。
融資限度額は一千万円から五千万円となっており、その利率につきましては、二・〇〇%から九・〇〇%となっております。
また、融資期間は六カ月から三年間となっております。
次に、二ページをごらんください。要求資料第2号、最近のシンジケート型融資の概要でございます。
平成十五年度におけるシンジケート型融資のうち、三つの事例につきまして、参加金融機関、融資先、資金使途、金額、融資期間などをお示ししてございます。
以上、簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○近藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○秋田委員 きょうは皆さんいっぱい質問するみたいなので、要旨だけをかいつまんで、質問だけはちゃんとさせていただきたいと思います。
最近、国でも、産業再生機構や再生支援協議会等を通じて企業再生に力を入れるなど、最近では、官民通じて企業再生が一つのブームとなっているようです。
そのような状況の中で、新銀行も企業再生ファンドを手がけることになっているみたいですが、新銀行の企業再生ファンドとは具体的にどのようなスキームになっているのかをお聞かせください。
○関参事 新銀行が企業再生ファンドを手がける理由でございますが、中小企業の総合的支援として、生きた資金の融資のみでは十分ではなく、現下の中小企業の本来持てる力をよみがえらせるための企業再生ファンドが極めて有効であると判断したためでございます。
この企業再生ファンドとは、新銀行や他の金融機関が出資いたしましてファンドを組成し、ファンドの資金で地域金融機関等から中小企業向け貸出債権を買い取り、提携企業のノウハウを生かし、活用して、再生を図るものでございます。
債権購入に係る目ききを確保する一方、債権購入後の管理、回収については、アウトソースすること等により、極力低コストでファンドを運営していく所存でございます。
○秋田委員 企業再生自体に異を唱える人というのは、こういう時代ですから本当に少ないと思うんですが、大事なのは器でなくて、何といってもやはり中身だと思います。そういった意味で、企業再生という美名のもと、一方でいわゆるハゲタカファンドというものも存在しますから、企業が食い物にされてしまうんじゃないかという懸念があるのは、ある種当然だと思います。
そういった中で、この企業再生ファンドは、ハゲタカファンドとはどういった点で違うんでしょうか。
○関参事 新銀行による企業再生ファンドは、短期的な利益の獲得を目指すのではなく、あくまで対象先企業の再生を主たる目的としている一方、ご指摘のハゲタカファンドは、経営の悪化した比較的大きな企業を安価で買収し、株式を上場させて高い価格で売り抜けることなどにより、大きな利益の獲得をねらったものでございます。基本的なスタンスがその点で大きく異なります。
また、新銀行による企業再生ファンドは、これまで投資家がメーンターゲットとしてこなかった中小企業に的を絞ったファンドであり、提携企業の専門的能力を最大限に活用すること等により、中小企業の立場に立って企業再生を行っていきたいと考えております。
○秋田委員 企業の再生自体よりもハイリターンをねらう悪名高きハゲタカファンドとは異なるということであれば、まあ安心できることでありますが、具体的に、中小企業にとってどのようなメリットがあるのか、教えてください。
○関参事 本来、技術力や将来性等があっても、一時的な収益悪化や本業以外での債務超過等になった中小企業は、債務者区分が低くなりまして、既存の金融機関は、自己資本比率規制の関係などからそのような中小企業に対する債権を持ち続け、スムーズな資金供給を継続することができなくなっているのが現状でございます。新銀行の企業再生ファンドは、そのような中小企業の債権を既存の金融機関から購入し、再生を支援してまいります。
中小企業にとってのメリットでございますが、まず、新銀行及び新銀行と提携する企業や公的団体等による経営相談、コンサルティングやビジネス情報の提供を受けるとともに、提携を生かしてビジネスマッチングをつくり上げ、企業の価値を高め、再生していくことができるようになります。これに加えて、再生の過程で、企業再生融資、一部債権放棄などが企業側が受けられることなどのメリットがございます。
○秋田委員 新銀行の存在意義というのは、何といっても、既存の金融機関が提供できなかったリスクの高い分野へ資金を供給するというところに間違いなくあると思うんですが、リスクが高い資金供給を行いつつ健全な経営を行うというのは、並大抵なことではないと思います。
そこで、新銀行は、この計画によりますと、三期目に黒字化するということですが、収益見込みが下振れする可能性はないか、また下振れした場合、その場合の対応はできているのか、この二点について教えてください。
○津島理事 新銀行の融資につきましては、適切な貸し出しポートフォリオ運営を行うことによりまして、適正利ざやを確保していく一方、余資運用においても、基本的には安全で投資適格基準を満たす債券などで運用を想定しておりまして、こうした考え方のもとで一定の利益水準を確保してまいります。
また、収益計画の下振れのことでございますけれども、銀行経営を取り巻くさまざまな環境の変化を想定し、幾つかのシミュレーションを行っており、仮に収益が計画どおり上がらない場合には、新銀行のスリムな組織、低コスト体質、高い自己資本比率を生かして、機動的かつ柔軟に見直しを行いますとともに、総合的なリスク管理体制のもと、経営資源の適正な再配分を行うなど、収益構造の改善を図ってまいります。
○秋田委員 収益見込みは健全経営の一つの目安となるものですから、詳細な検討が必要であるということに異論はないと思うんですが、その点ちょっと、少々細かい点を伺いたいと思います。
先日発表された基本スキームの中で、業務粗利益、業務純益及び経常利益が二期目以降急拡大しているんですが、これは、どういった点からそういうことになっているんでしょうか。
○関参事 一期目でございますけれども、開業直後ということでございまして、開業にかかわりますさまざまな固定的な経費が粗利益を上回っております。二期目以降はビジネスモデルが広く周知され、提携企業等の増加による相乗効果も加速度的に高まるため、銀行の業務運営は軌道に乗り、その結果、収益源である融資の残高がふえるなど、事業規模が拡大し、収益が徐々に拡大していくものと思われます。
○秋田委員 今のお話を伺いますと、融資残高が積み重なるに従って収益も拡大していくということですが、要するに収益は融資実績次第と、こういうことだと思うんですが、そういった意味でも、融資を順調に伸ばさないといけないわけですが、景気が現在のように低迷し続ける一方で、最近は、メガバンクも中小企業融資を積極的に手がけるようになってきております。これ自体は大変いいことだと思うんですが。新銀行は、三年後の融資実行額を一兆六千百三十八億円としていますが、融資実績は順調に計画どおり推移していくんでしょうか。
○津島理事 ご指摘のように、既存金融機関の中にも、中小企業向け融資に積極的に取り組むところが出てまいりました。しかし、依然として中小企業融資のマーケット規模は十分に大きく、かつ、とりわけ零細企業の資金需要は深刻な状態でございます。また、迅速で透明性の高い融資判定プロセスにより実行される新銀行の融資商品には、既存の融資商品にはない優位性があると考えております。
さらに、融資の実施に当たっては、信用金庫等金融機関や商工会議所等専門機関と連携する中で、幅広いサービスを提供してまいります。
以上の事業展開から、貸出残高は着実に伸びていくと考えております。
○秋田委員 今、津島理事の方から、一定の見通しはちゃんとあるというお話だったと思うんですが、やはり企業経営をする以上、必ずこれ、いいことばかりじゃなくてリスクがつきまとうと思います。東京都から一千億円もの出資を行う以上、ダウンサイドリスクも考えて経営を行わなくちゃいけないと思います。
融資が想定ほどもし積み上がらず、一方で預金がかなり集まるといった事態も想定されると思います。その場合に余資運用が重要になってまいりますが、余資運用はどのように行っていく予定なんでしょうか。
○関参事 ご指摘のとおり、余資運用を適切に行っていくことは、新銀行の経営にとって重要な要素の一つと考えております。
余資運用の具体的な方針については、全体のALM管理、債権と債務の管理に基づき決定してまいります。基本的には、グローバルな資金運用力を誇る外資系を初めとした金融機関と提携いたしますとともに、新銀行内にチームとして優秀な専門スタッフを集めまして、総合的な判断を行うことなどにより、安全で投資適格基準を満たす債券などによる着実な運用を図り、適正な利益を生み出すとともに、不測の損失を発生させないようにさせてまいりたいと考えております。
○秋田委員 今まで企業再生ファンドについてお尋ねしたんですが、ここでちょっと、この前いただいた資料の幾つか疑問点を、改めて二つほどお聞かせ願えればと思います。
民間銀行の融資においては、利益を優先する余り、本当に必要な企業に対しては資金が供給されないことが多々あったというふうに、本当に町場の人から聞いております。新銀行は融資商品として、ポートフォリオ型融資、技術力・将来性重視型融資、シンジケート型融資と、この三種類を準備するようでございますが、融資基準はそれぞれどういった形になるのでしょうか。
○関参事 新銀行は、他の民間銀行と異なり、利益の極大化ではなく、都民や中小企業への成果の還元を第一義の目的としており、政策的に他の民間銀行がとらないリスクまで踏み込んだ融資を行う銀行でございます。とりわけ適正なリスク管理を行う必要があるということでございます。
新銀行の中小企業向け三種類の融資商品については、それぞれの融資対象、リスク特性などに合わせた融資基準を設けてまいります。
まず、ポートフォリオ型融資におきましては、企業の財務データ等に基づくスコアリングモデルにより、企業のキャッシュフローなど企業の真の実力に基づき審査し、融資してまいります。
次に、技術力・将来性重視型融資については、それに加え、提携金融機関や行政、公的団体等の専門家も参加いたします第三者的な審査機関でございます技術力審査会による公平な審査を経て、融資させていただきます。
三つ目に、シンジケート型融資は、提携金融機関の支援を前提としておりますので、提携金融機関と緊密に協調して、審査及び融資を行ってまいります。
以上、新銀行は、経営理念にふさわしい融資を実現するため、戦略的な融資モデルを構築するとともに、高いモラルを維持し、それぞれの融資基準に基づき、中小企業に対して生きた資金を円滑に供給してまいりたいというふうに考えております。
○秋田委員 融資基準というのは、恐らくとっても重要に、実際銀行ができてから大切になることだと思いますので、この点は本当にしっかり今後も詰めていただきたいなと思います。
また一方で、もう一点、私は個人的にやはり重要だと思うのは、銀行を経営する以上、融資によって貸出債権を焦げつかせたりすることはないようにしていただきたいですし、また、東京都がやる以上、融資判断においては、公平性というものが間違いなく重要になってくると思います。
この二点を担保するために、では、一番何が重要かといいますと、審査・与信体制が重要なんだろうなと思っております。この点につきましては、今まで何度か私もお尋ねさせていただきましたが、今までにない銀行を創設する以上、今までにない人材を、特に審査・与信体制においてそろえることが、私はやはり一番重要なのではないかなと考えております。
そこで、新銀行では、審査、与信においてどのような人材で審査を行っていくのかをお尋ねしたいと思います。と申しますのは、今までにない形の銀行をこれからつくっていくわけですから、なかなか人材というのも少ないと思うんですね。その点も含めてお聞かせください。
○津島理事 新銀行はスリムな組織を前提としておりまして、少数精鋭による業務を運営してまいります。その中でも、先生おっしゃるように、新銀行のかなめである融資業務において中心的な役割を果たす審査・与信業務、これを担当する人材を優先的に確保するということが極めて重要だと理解しております。
特に、担保や第三者保証にとらわれず、キャッシュフローを重視した審査を実践していくためには、高い能力のある人材が必要でございます。とりわけその部門の責任者となる執行役につきましては、本来の企業の実力を的確に見抜く卓越した力を持つ人を採用していくというつもりでおります。また、そのもとで働く基幹行員あるいは一般行員につきましても、おのおのの職層に応じたふさわしい人材を広く求めていきたいと思っております。
さらに、人材を集めた以降、充実した研修体制を築きますとともに、業務の積み重ねを通じて、より高い審査能力を身につけること等によりまして、万全な審査体制を構築してまいります。
○秋田委員 これで質問は終わらせていただきますが、私は若いせいか、五年後も重要ですが、やはり二十年後、三十年後、この銀行がどうなっているかということを大変心配もしておりますので、どうか長期にわたってたえ得る立派な銀行をつくっていただくようにお願い申し上げて、終わりにさせていただきたいと思います。
○中村委員 平成十五年の五月に東京都は、日本経済再生のため、個人金融資産を有効に活用して、技術力や将来性にすぐれた中小企業を総合的に支援し、安全、有利な金融商品を提供するとともに、ITの活用により、利便性を向上させ、都民、国民が真に必要とする銀行を創設するという理念のもとでのプレス発表が行われたわけでございます。その後、十六年度中には免許の申請、営業の開始準備との計画がなされていて、その議論をしていたわけでございます。
ところが、先月の中ごろ突然、ある新聞に外資系の信託銀行を買収という記事が報道されました。今までそういう議論は全くされていなかった。非常に、私どもは、どうなってしまうんだろうという当惑した中での経緯があったわけでございます。
そうした中で、ビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行の買収ということに至ったわけでございますけれども、先般本会議で、私どもの青木政調会長が代表質問の中でも、買収に当たってのメリット、なぜ買収するのかということをお尋ねいたしました。その中で出納長からは、開業までの手順やコスト面で効率があるとのお答えをいただきました。いうまでもなく、新銀行について議会として判断するためには、買収についても個々の具体的な判断材料を提供していただく必要があると思うわけでございます。
そこで、まず、買収について、何が、どのように効率的であるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
○津島理事 新たに新銀行をつくる場合と買収の場合との比較でございますけれども、新たに新銀行をつくる、つまり準備会社をつくり、免許を取得するという場合には、この免許を取得するためのさまざまな準備事務が必要であることに加えまして、まず予備免許を取る段階、そして本免許と行くわけでございますけれども、この予備免許の取得がある程度確実にならなければ、例えば金融システムへの参加、バンク制への参加、こういった実務的な準備に着手できないというような手順上の問題が発生いたします。これが買収の場合には回避できる。
次に、コストについては、例えば設立登記の際の登録免許税、金融機関に支払う出資金委託手数料、あるいは公証人に定款認証書を受ける際の費用、いろいろなコストが、新銀行を新規に設立する場合は出てまいります。買収の場合には、もちろん買収そのものに伴う事務とかコストは発生いたしますけれども、新規設立の場合に比較して相当効率的かつ低コストであり、メリットが大きいというふうに考えております。
○中村委員 確かに、新しく銀行をつくるというのは、申請、そしてまた認可、許可、そういうものは確かに手順は時間がかかるというのは十分承知しております。そうした中での一番最初の基本構想の中で、十六年度中にというようなのがあったわけですけれども、その中で、買収というもののメリット、今ご説明をいただきました。いろんなことの中で買収というのが一番メリットもある、コストも低く抑えることができるというようなことは多少理解できました。
ただ、その中で、いろんな買収がありますけれども、今度の買収の手順ですね、それがなかなかよく見えてこないのでありまして、先般のこの発表されました資料によりますと、デュー・デリジェンスですか、非常に難しい言葉です、日本語にしますと買収調査という、そういうような資産状況を精査して価格を決定するというのが、このデュー・デリジェンスということなわけでございますけれども、具体的にこのいわゆる買収調査、どのような調査をしたのか、そしてまた、その結果どういうことが示されたのか、わかったのか、これをお知らせいただきたいと思います。
○関参事 企業買収に当たっては、対象とする企業の資産内容や財務状態、取引関係、訴訟の有無など、資産、法律状況を確定させることが大前提でございます。そのための詳細な調査が買収調査、いわゆるデュー・デリジェンスでございます。
この調査は、大きく、財務、法務に分けることができます。財務は、財務諸表を中心とした経理の全般を調査いたします。法務は、取引先の契約関係や各種業法の遵守状況などを対象に行うものでございます。
今回、パリバ信託銀行に対しましてこの調査を実施することによって、資産価値から買収の適正価格が導かれるとともに、対象企業に法的なリスクが存在せず、買収に問題はないこと等が明らかになってまいりました。
○中村委員 今の説明で、買収は効率的な手法である、かつまた、パリバ信託銀行については、全く買収するに当たって問題はないというような答弁でございますけれども、最初からいわゆる準備会社を設立して免許を取得して開業する場合、それに比べまして、今ある銀行ですね、営業している銀行を買収して開業する場合、効果としては全く同じものなのか。例えば新規設立に比べ、買収という方法で、先ほど冒頭にいいました、東京都が銀行を設立するその理念、この理念が変わってしまうのではないか。買収するのと新しく自分たちでつくるときと、いわゆる経営理念、融資するに当たっての中小企業に対する理念、このところが変わってしまっては非常に困るわけですね。その辺のところをちょっとご説明いただきたいと思います。
○関参事 新銀行は、現在のパリバ信託銀行とは全く異なる新たな業務展開を行っていくものでございます。買収後、定款、業務内容、組織などを全面的に改正し、新銀行にふさわしい体制を整えてまいります。したがって、実質的には新銀行を新たに創設したのと同様でございまして、新銀行の掲げる理念は完全に実現できるものと考えております。
○中村委員 今、力強いお答えをいただきました。私どもが一番心配しているのは、理念が変わってしまっては、ただ単に民間の企業を公的機関が買収して、それで銀行業務をやるというような形になってはまた、今までの中小企業融資、日本の経済の再生につながっていかないなというところが一番心配されていたわけです。その部分が、今のお答えの中では、理念は変わってないという明確な答弁をいただきました。
その中で、現在のパリバ信託銀行、営業規模を縮小してやっているわけでございます。その中で赤字決算ということもいわれております。このような銀行を買収するに当たって、この赤字をどのように評価するのか。また、この銀行、買収するパリバ銀行ですね、これが不良債権があるのか、また、そういうものを引き継がなければいけないんだろうかというのもいろいろ問題になろうかと思うんですね。そのあたりで不良債権があるのかないのか、そしてまたそれはどうなっているのか、これをお示しください。
○関参事 買収に当たりましては、先ほど申し上げました買収調査に基づき、資産から負債を差し引き、純資産を算定いたします。それが買収の基準価格となるため、欠損金を都が負担することはあり得ないということでございます。また、この銀行には不良債権は一切ございません。このことは買収調査において確認しているところでございます。
○中村委員 不良債権がない銀行というのは、またすばらしい銀行だなというふうに感じますけれども、パリバ信託銀行の欠損金を都が負担することがないと今おっしゃいました。そしてこの銀行は、今話の中で不良債権は全くないと、すばらしい銀行かなという気もいたします。
しかしながら、赤字企業、赤字なわけですから、赤字企業を買い取ることによって新銀行がこの赤字体質を受け継いでしまうのではないか、こういうような不安も残るわけでございます。これに対して何か対応を考えているのかお知らせください。
○関参事 買収に当たりましては、預金等については引き継ぐものの、原則として既存業務を廃止いたします。また、人員の整理を前提として、現在パリバ信託銀行と交渉中でございまして、赤字体質を受け継ぐということはあり得ないと考えております。
○中村委員 今、赤字体質を引き継ぐことはない、交渉しているということでございますけれども、この発表されました新銀行スキームによりますと、パリバとの基本合意は第四回定例会の後にやるということでございますけれども、そしてまた赤字体質を引き継ぐことはないということでございますけれども、どの辺まで交渉が具体的に進んでいるのか、そしてまた、今後はこのスキームのとおり行くのか、そういうようなスケジュールをお示しください。
○関参事 現在、パリバ銀行側とは、買収調査に基づく財務内容や法的調査を終え、基本合意に向けた交渉を行っているところでございます。今後、四定後に基本合意を交わさせていただいて、一定で予算のご承認を経た後に、来年度当初に正式契約を締結したいと考えております。
○中村委員 今までのパリバ信託銀行を買収するに当たっての、東京都の新銀行設立の基本理念も変わらない、メリットも多くあるとの説明を受け、理解ができたわけでございます。今後は、このスキーム、スケジュールに沿って作業を進め、高い技術力や将来性がありながら、担保が不足して金融機関から資金調達ができない中小企業を支援し、無担保融資を含む積極的な資金供給で企業の力を引き出し、経済の再生に結びつけていただきたい、このように願うわけでございます。
次に、この銀行、スキームどおり行ったとして、この銀行の経営についてお尋ねいたします。
我が党の代表質問でも、税金の再投入はあるのかないのかという話をいたしました。その中で知事は、税の再投入はしないと明言をされたわけでございますが、この銀行の事業計画、収支計画、これをお示しください。
○関参事 この銀行の事業収支計画の一つの指標でございます経費率でございますけれども、これが一つのポイントになると思うんですが、ことし八月に日銀考査局が発表した全国銀行の決算状況のデータによりますと、全国銀行の経費率は五三・六四%、地方銀行と第二地銀を合わせた経費率は六二・八七%で、当銀行の基本計画にお示しいたしました開業後の経費率四九・一%は、地銀トップということで、非常に低コスト体質の銀行としてこの銀行を展開させていただきたいというふうに考えております。
○中村委員 この銀行は店舗数も十店舗、そしてまた行員も二百三十人ぐらいですか、そしてまた契約スタッフ、そういうもので人数を極力少なくして運営していくというわけでございます。
そういった中で、今報告のありました地銀の経費率六二%強ですか、今度の新銀行の方では、このスキームを見ますと、開業三年後では経費率が四九・一%という非常に効率的な内容になっているのかなと思うわけでございます。ぜひその目標数値を達成するように努力していただきたいなというふうに思うわけでございますが、その中で、この新銀行の事業収支計画、このスキームの中にあります、三年後には七十億円の経常利益を出す、単年度黒字になるというふうに示されております。融資は非常にリスクの高いように見受けられるわけなんですけれども、その中小企業融資、果たして七十億円の単年度黒字を出すことができるのか、この辺はどうなんでしょうか。
○津島理事 銀行の全体の経営としての三年後の黒字でございますけれども、まず、新銀行の中心となる中小企業融資につきましては、信頼性と実績のあるさまざまなデータベースを活用いたしまして、リスク管理を内蔵した独自のスコアリングモデルに基づき、企業の信用リスクに見合った貸出金利を設定することにしております。
さらに、業務運営にインターネットバンキングなどIT技術を最大限活用いたしまして、可能な限り事務の集中化を図り、行員を二百三十人と必要最小限にいたしまして、それから契約スタッフ三百十人、外部委託百五十人といたしまして、それらを積極的に活用するなど、低コストの事務運営に努めてまいります。
こうした経営努力によって適正な利益を確保し、開業三年後に単年度黒字に転換することを見込んでおります。
○中村委員 普通の一般企業でも、銀行からお金を借りるときには必ず経営指針、目標値を立ててくださいというようなことをいわれます。そしてその中で、三年目には必ず黒字転換できるような営業指針を出してくれというようなことを必ずいわれるわけですね。そういう中で、非常に、七十億円の単年度黒字という数値、目標というか、それに沿って実現を果たしていかなければならないというふうに思うわけでございますけれども、単年度黒字になっても、まだ累積赤字があるわけですよね。その累積赤字が黒字に転換する、累積が黒字に転換する、当然企業としては黒字転換していかなければならないわけですけれども、その見通しというのはどういうふうにお考えでしょうか、お示しください。
○関参事 今後の業務展開の推移により変動もあり得ると考えられますが、開業三年目で黒字化を達成し、その後、資産の増加等につれて利益も上乗せされるものと考えられますので、おおむね開業五年後には黒字化すると見込んでおります。
○中村委員 累積で五年後ですか、に黒字を見込んでくるというわけですけれども、当然、累積収支が黒字転換した場合、企業でいうならば、そこで配当というものをしなければならなくなってきます。これはどこの企業でもそうですね。その配当は、出資者である東京都、それからまた民間から、今いわれているのは五百億円ほどの出資を受けようという形になっています。当然、出資者に対しての配当というものを考えていかなければならないと思うわけですね。それとまたもう一つは、この銀行の本来の目的であります中小企業融資の枠組みの拡大、そういったものもあわせて考えていかなければいけないのかなというふうに思うんですけれども、まず、出資者に対する配当、これについてはどのようにお考えでしょうか、お示しください。
○津島理事 配当に関するご質問でございますけれども、事業展開の中から生まれた新銀行の余剰の処分については、やはり政策目的を担った銀行であることから、融資条件の緩和とか、都民に貢献する新規事業への投資、こういったことにも総合的に考慮いたしまして、新銀行の経営として、新たな経営者が判断するということになると思います。
○中村委員 確かにそうなんですけれども、新経営者が判断するのは当然なんですけれども、冒頭にいいました、この銀行の理念、都内の、または日本の経済を支えている中小企業、これに対して、他の金融機関でできなかった部分を東京都が設立する銀行で補てんしていこうという、その中で、元気出せ商店街ではないですけれども、元気出せ中小企業ということをうたい、融資をして経済の再生につなげていく。東京から景気の回復がという、そういう文言がございますけれども、その実践をしていただきたいのが、この銀行のまず基本理念ではないかなと思うわけです。
それを先にやっていますと、今度は出資者に対する配当というものがどういう形になってくるかというのもありますけれども、ここら辺も、今担当理事が答えたのではなく、この辺もあわせて準備会社のときに考えていかなければいけないのではないかなというふうに思うわけです。そうしないと、出資しても配当が何もないんだというふうになってくると、民間出資、これは募れなくなってくることもあります。そしてまた、一千億円都税を投入するわけですから、都民に対しての説明、これもやはりなかなか行き届かなくなっていくのではないかなと思われますので、その辺は十分認識をしていただいて、総合的に判断していただきたい、このように思うわけでございます。
そういうような中で、室長、ここまで、この銀行は非常に紆余曲折、いろんなことがありました。その中での新銀行、東京都の経済の再生のための思い入れ、また決意を簡単にお示しください。
○大塚出納長 先ほどの、前段の理事からのご答弁を踏まえて、それを若干補足することを含めて今のご質問にお答えしたいと思いますけれども、中村理事ご指摘のとおり、この銀行の存在意義といいますか、これは知事から申し上げておりますけれども、社会貢献であります。その社会貢献の手法として、都民やあるいは中小企業にいろいろな成果の還元を行うということをいっているわけであります。
成果の還元のやり方として、それは当然、一定の利益が出てきたときに、その利益を出資に対して配当を行う還元のやり方、あともう一つは、出てきたその利益をさらに都民あるいは中小企業に提供しているサービス、金融商品あるいは各種サービスがありますけれども、そのサービスの内容、質量をよくするために使うか、いずれにしても、どちらに使うかということになるかと思います。
だから、その成果を還元するという基本的な姿勢は、それはどういう状況になってもこの銀行の基本的なコンセプトでありますから、それをどういう振り分けをするかというのは、これはそのときの経営の考え方があるでしょうけれども、利益を内部で使うのではなくて、外出しをしていくというその考え方というのは、準備会社の段階できちっと踏まえてやっていきたいというふうに思っています。
それからもう一つ、この銀行というのは、例えば融資をベースに考えますと、ほかの領域では、ほかの現在の金融機関では充足されていない領域を中心に行いますので、それはある意味では非常にリスクが高いということです。それで、あわせて、五年後、十年後あるいは二十年後かわかりませんけれども、それは三十年後かわかりませんけれども、きちっと銀行として存続し得る、株式会社新銀行東京としての経営の健全性、そういう二つの、ある意味では両極の理念といいますか、荷物といいますか、それをしょってこの銀行は経営を行っていくわけであります。
そういう意味で、一方でリスクをとる、一方で経営の健全性を確保するというのは、右と左との、ある意味では対立する概念でありまして、その二つの重荷を背負って仕事をしていくわけでありますけれども、その二つの理念の均衡点を、最適均衡といいますか、それをこの銀行はつかまえていかないと経営ができなくなる。どちから一方だけをやれば、もう一つの方は必ず、要するに難しくなるという、そういう経営になります。
これを解決するためのポイントというのは、過日の代表執行役に予定している仁司が記者会見で申し上げましたけれども、一つは独自性であります。もう一つは効率性であります。その独自性と効率性という二つのコンセプトを駆使することによって、その両極の要請を満たすことは可能だというふうに私、考えているわけでありまして、そのために、先ほど来ご答弁を申し上げてきておりますように、英知を尽くし、努力の限りを尽くし、何としてもこの銀行の経営理念を実現する、実現し得る、しかもきちっと存在感があって存続できるような銀行を何としてもつくり上げていきたい。それによって都民、中小企業に貢献をしたいというふうに思っております。
○中村委員 ありがとうございました。終わります。
○桜井(良)委員 今、出納長の答弁でほぼ決まっちゃったので、議事進行の動議でばーんと出したいと思うんですが、そうもいかないと思いますが、秋田先生からは、自分は若いから二十年、三十年という話がありましたが、私はちょっとジェネレーションが違うものですから、やはり始まってから数年の間が非常に心配だと思うわけですが、ほかの金融機関が生きた融資をしない企業に対しまして、新しい銀行が積極的にリスクをとって資金を提供していく。これは、東京の経済の再生や産業の活性化のためには大いに期待ができるところでありますが、日本を代表するソニーやトヨタも、かつて大変なときは、そういう後押しする金融機関があって今日があるということもありますから、非常に大事な部分だと思うんですが、反面、そうした非常に崇高な理念を持って存続していくためには、やはりある意味では、今いった一方の厳しいリスク管理の能力を持つことも大事だなと思うわけであります。
そこで、リスク管理につきまして何点かお伺いしたいと思うんですが、リスクの高い企業に対して積極的に融資を行うと。それが新しい銀行の存在意義でもあるわけですが、それにつれて、いわゆる貸し倒れも多く発生するのではないかという心配をする向きも大変多いわけでありまして、過度にリスクをとり過ぎて新銀行の経営が危なくなったのでは大変だという思いがするわけでありまして、そうすれば、都民だけじゃなくて、連携の金融機関にも大変迷惑をかけるわけでありますから、そういうことは避けなければならない。しかし、一方では、それを心配する人も結構多いわけでありまして、そういうふうにならないための融資に関するいわゆるリスク管理、その基本的な考え方はどのような考えを持っているのか、まずここから伺いたいと思います。
○津島理事 先生おっしゃるように、基本的に新銀行は、既存の金融機関が提供できない分野のリスクをとっていくということでございますので、その分、既存の金融機関以上の細心の注意を持ってリスク管理をしていくことが必要だというふうに考えております。
具体的に、まず第一に、融資に関するリスク管理の前提として、銀行の総体として、融資だけでなく、さまざまなリスクを想定し、これは市場リスクなりあるいはシステムリスクも含めてでございますけれども、全体としてリスクの種類に合わせてどのように管理していくかという基本方針を定めます。そしてその基本方針のもとで、どこまでそれぞれのリスクを負っていけるかというあらかじめの限度額を定めてまいります。
次に、融資全体の運営でございますけれども、融資に関するリスクの基本方針、そしてその限度額の管理のもとに、融資件数の積み上がりぐあい、あるいは実際の返済状況を見きわめて具体的な運営方針を適宜見直すなど、その時々の新銀行の経営状況あるいは体力、社会経済情勢、こういったものに合わせて機動的なリスク管理を旨としていく計画でございます。
○桜井(良)委員 考え方ですよね。確認したいんですが、信用リスクを把握するために必要となる指標ですね、それはいかがなものでしょうかね。
○関参事 まず第一に、信用リスクを把握するために重要な手法はデフォルト率でございます。具体的にご説明いたしますと、銀行である以上、どのような融資商品でございましても、融資した金額は金利とともに返済してもらうのが大原則でございます。しかし、業績悪化や倒産などにより予定どおり返済されないことは一定程度発生いたします。このようなリスクが信用リスクと呼ばれているものでございますけれども、融資先企業の財務データなどに基づきまして、過去のそうした経験データを参考にしながら、時々の経済状況に合わせて修正して、返済されない可能性、すなわちデフォルト率を予測するということでございます。このデフォルト率に基づきまして、貸し倒れで発生するコストをあらかじめ見込んでおくということが、銀行経営上、非常に重要となるということでございます。
○桜井(良)委員 デフォルト率でありますが、概念的にはわかるような気がするんですが、それでは、このデフォルト率といわゆる引当率との関係はどのようなものなのか、お答えをしていただきたいと思います。
○関参事 引当率でございますけれども、引当率は、銀行として貸出金全体に対して返済されないリスクをどれくらい見込み、どれくらいコストを想定するかをあらわすものでございまして、具体的には、貸出金に対する貸倒引当金の割合で示されます。引当率は、デフォルトした債権のうち回収できない部分、一部回収できる場合もございますけれども、回収できない部分について、一定の算式のもと、算定するものでございます。したがって、リスクを多くとってデフォルト率を高く見込むほど引当金の積立額は大きくなり、当然、引当率も高くなるということでございます。
○桜井(良)委員 本会議でも引当率のことがちょっと話題に出ておりましたが、新銀行の引当率はどの程度なのか、改めてお伺いしたいと思います。
○関参事 開業三期目で計算いたしますと、融資全体に対して積む一般貸倒引当金の率、すなわち一般貸倒引当率は、約二・六%ということでございます。また、リスクの高い貸し出しにおいては、五から八%程度の引き当てを積んでおります。
○桜井(良)委員 引当率二・六%ということですが、他の金融機関との対比がどの程度の水準なのかを確認したいと思いますね。メガバンクあるいは地銀、信金などがどの程度の引き当てを積んでいるのかおわかりであれば、お示しをしていただきたいと思います。
○関参事 一般貸倒引当金について申しますと、メガバンクの平均は一・七%程度でございます。全国の地方銀行の平均は〇・九%程度でございます。都内の信用金庫の平均は〇・六%程度でございます。
○桜井(良)委員 ご承知のように、既存の金融機関は今大変不良債権で悩んでいるとか苦しんでいるわけでありまして、こうした銀行は、事後的に個別の引当金を積まなければならない、こういう状態になってくるわけですが、今のお答えとあわせて、そういうのは一体どういうことを意味しているのか、ご説明をしていただきたいと思います。
○津島理事 一般貸倒引当金と個別引当金あわせまして、少し詳しく、長くなりますけれども、ご説明させていただきたいと思います。
今、一般貸倒引当金の他行の水準をお示しいたしましたけれども、これに、個別引当金を含めた引当金全体を説明いたしますと、メガバンクの平均では、個別引当金が先ほどの一・七に対して一・二%ふえまして、合計で二・九%でございます。それから全国地銀では、個別引当率が一・七%で合計で二・六%、都内信金平均では、個別引当率二・〇%、合計で二・六%となっております。
これらの個別引当率というものは、既存の銀行があらかじめ一般引当金を十分積んでこなかったことをあらわしております。つまり、不良債権で事後的、対症療法的に個別貸倒金を積まざるを得なかったという結果でございます。
新銀行は、経営の基本スタンスとして、当初から十分な一般貸倒引当金を積み、全体の貸し倒れリスクをカバーできるような経営をしていくという方針でございます。例えばリスクの高い貸し出しにおきましては、ポートフォリオで五%から八%の引き当てを一般貸倒引当金の中で積んでおります。不良債権のない新銀行が、既に相当な不良債権を抱えた他行並みの引き当てを積んでいるということは、積極的に高いリスクをとっていく際の十分な安全性を担保しているということのあらわれであるというふうに考えております。
○桜井(良)委員 ご説明によって、一般的に新銀行が高い引当金を積んでいるということは、説明として一応理解をするわけでありますが、実際、今度二・六%という数値で本当に大丈夫なのかという問題と今の説明とはまた、実際問題違ってくると思うんですが、その辺を改めて確認したいと思います。
○関参事 新銀行の二・六%という数値でございますけれども、それぞれの融資商品ごとの引当率を加重平均したものでございまして、このうち中小企業向け融資の主力商品でございますポートフォリオ型融資につきましては、リスクの高い部分については五から八%程度の高い比率を想定しておりまして、十分な引き当てであると考えております。
○桜井(良)委員 十分な引き当てを積むから大丈夫だということでありますが、開業三期目の貸倒引当金繰入額が十五億円というふうになっているわけですよね。今の胸を張ったお答えからしますと、ちょっと少な過ぎるのではないかなと、こういうふうに思うわけでありますが、これは三期目に、先ほどちょっとお話がありましたが、黒字を確保するために低くしているのではないかなという考えもとれるわけでありますが、この点はいかがですかね。
○関参事 新銀行は、一期目から二期目にかけての業務開始時期に、戦略的に安全性を確保するために、十二分な引当金を積むこととしております。二期目から三期目にかけまして返済が増加するなどのため、融資残高の伸びが鈍化することや、既往先、既に貸した先の増加などにより、予想損失額が低下してまいります。などのため、さらに貸倒引当金を積み増す必要が少なくなるため、結果として十五億円となっているものでございまして、三期目には十分黒字になる見通しでございます。
○桜井(良)委員 話としてはよくわかります。これは実際やってみなければわからないことでありまして、余りいろいろまたお話をしますと、だんだん新銀行が暗くなっちゃうから、それ以上のことはしない方がいいかなと思うわけでありますが、まあ引当率が一方高くなるということですと、逆にそれにつれて金利も高くなるはずですよね。信用リスクの高い企業は金利も高くなるわけですよね。その高い金利は、逆に企業の経営を圧迫していくんじゃないかなと。これは理屈ととられればそれまでなんですが、そういうことは結局は、新銀行が目標としている、企業を育て、地域経済の活性化に寄与するということとの関係で、この辺のことは実際どうなってくるのかなという見方もあるわけでありますが、この点はどうお考えなんでしょうか。
○関参事 信用リスクに見合った金利をつけるということは、新銀行のリスク管理上当然のことでございますけれども、新銀行は、利益の極大化ではなく、中小企業、都民への成果の還元を第一義の目的とするものでございまして、融資先の経営を圧迫するような必要以上に高い金利にはならないと考えています。
また、新銀行の融資は、基本的にキャッシュフローに着目したものであり、これまで、信用リスクが高く一般の金融機関から融資が受けられなかった企業に対しても、新銀行の審査基準に基づきまして積極的に融資してまいりたいと考えております。したがって、優良企業だけではなく、幅広い企業を育て、地域経済の活性化に寄与する効果は高いと考えております。
○桜井(良)委員 ぜひそうなることを期待する以外にありませんけれども、私たちが質疑すると、割と、これはどうだ、あれはどうだと暗い面が多いんですが、それは、ここにいらっしゃる議員の人みんなが、いろんな人からいろんな意見を聞いているということなんですね。それだけこれは、我々の考えというよりも、銀行に関心を持っている都民の人たちがいっていることを代弁しているということでありますので、その点は十分にしんしゃくをしてやっていただきたいなと思うわけです。
リスク管理は、融資に対するリスクだけじゃなくて、銀行の経営に際してもさまざまなリスクが内在すると思いますね。みずほ銀行が発足したときに、システムが障害を起こしました。まだ安全宣言していないんじゃないかなと思うんですけれども、最近でも三井住友のシステム障害によって顧客が大きな迷惑を受けたということもあるわけでありますが、新銀行があらゆることで顧客本位を貫くというのであった場合も、こういう障害があってはならないと思うんですね。この点についてはどのような防止策を講じていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○関参事 新銀行において、ご指摘のシステム障害のようないわゆるオペレーションリスクを管理していくことも、極めて重要と考えております。
まず、システム開発の方針といたしまして、新銀行のシステムは、多くの銀行で安定稼働実績を持つパッケージシステムを中心に構築いたします。
また、後発のメリットを生かしまして、システム障害の過去の事例を参考にするとともに、総合テストを十分実施し、障害発生防止には万全を期してまいりたいと思っております。さらに、電算センターや通信センターの二重化など、障害時のバックアップ体制も確保してまいります。
次に、障害が起こった場合でも、顧客の皆様に損害や大きな負担を発生しないよう、障害時の緊急対応の体制とマニュアルをあらかじめ準備し、徹底的な職員のトレーニングを行うということを予定しております。
○桜井(良)委員 我が党の代表質問でも指摘したんですが、銀行の経営全体に関するリスクの管理体制については、枠組みとして強固なリスク体制を築くことは重要であります。しかし、大事なことは、仏つくって魂入れずという言葉もあるんですが、それをどのような方針のもとで、どのような人材に担当させていくかという点も大事だと思うんですよね。この点についてのご見解を伺いたいと思います。
○津島理事 銀行を経営する上で大切なのは、リスクを恐れ、それをとらないことではなくて、リスクをリスクとして的確にとらえ、それを適切に管理していくことだと考えております。そのために、先生おっしゃるように、経営陣が非常に重要でございまして、経営陣には、銀行として経営上想定されるさまざまなリスクを熟知し、かつその管理能力にすぐれた人材や、借りる側の立場に立って経営を判断できる人材を配置するとともに、経営陣がリスク管理に直接かつ日常的に関与する体制を整えていく必要があると考えております。
○桜井(良)委員 お答えの基本的姿勢は、やるぞ、大丈夫だ、こういうことでありますが、作業の途中でありますから、ある意味ではすべて仮にというか、いろんな可能性を想定しながらの質問なんですが、これからのことで、私たちの指摘に対して、そのとおりだ、実はそれで困っているんだ、これはどうしたらいいでしょうかねというふうに議会側にいってくる、そういう勇気も、これからは新銀行設立のためには必要な部分もあるのではないかなという思いもいたします。
このことを申し上げておきたいと思うんですが、そしてまた、この新銀行は株式会社で設立されるわけなんですが、これは最後の質問になりますけれども、一方では、都民にとって大事な税金をもとに設立、運営されているわけでありますから、私たち議会としても、やはり出資者たる都民の視点から銀行経営をチェックしていかなければならない、みんなそういう気持ちを持っております。また、そのことは非常に大事だと思うんですよね。そういう意味において、先ほどちょっといえる勇気という話をしましたけれども、議会と新銀行との関係がどんなふうになっているのかなと、こんなふうに考えているよということをぜひ、いつも帷幄の中ではかりごとをめぐらしている大塚出納長にお答えをしていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○大塚出納長 本年五月に新銀行構想を発表いたしまして、多方面の協力を得て事業内容の検討を行いまして、今般、基本スキームを発表させていただいたわけであります。これまでの桜井委員の大変貴重なご指摘、ご質疑を、本日の委員会においていただきましたけれども、先ほどご示唆をいただきましたように、今後、都議会からのご意見、ご指導、それをいただきまして、その中でビジネスモデルをさらに磨いて、都民、中小企業にとって真に存在感のある、役立つ銀行に仕上げていきたいというふうに考えております。
なお、議会と新銀行との関係でありますけれども、創設後につきましては、地方自治法二百四十三条に基づく議会への経営状況に関する決算書あるいは事業計画書等の提出を初め、監理団体としての定期的な報告書の提出や、あるいは大株主としての商法上の関与などを通し、議会による経営の監視が行われることになります。
なお、さらに、これは議会の意思とそれから判断でありますけれども、桜井委員おっしゃるように、出資者たる都民の視点からということで、都民の代表として議会からも経営陣の一角にお入りをいただきまして、さらに直接的な関与の手法も枠組みとしてはあり得ると、個人的には考えております。
○桜井(良)委員 以上で終わります。
○松村委員 質問させていただきます。
我が党の代表質問に、本会議で出納長は、地銀の貸倒引当率は平均で〇・九%で、私は数字を持っていますと答弁されました。また、新銀行のスキームで貸し倒れを二・六%を想定した引当率というのが、この金融界の中でいかに高い引当率か、金融庁がそんなことはおっしゃることはないともいいました。
そこで、私は、当然、本委員会での質疑の前提となる地銀などの貸倒率の資料と、それから新銀行の貸倒率の二・六%の根拠となる約九千二百九十二億ですか、第三期目、九千億もの融資の貸付先の割合とその額を明らかにした資料の提出を求めました。今先ほどもその議論もございましたけれども、今後の新銀行がどういう銀行になるかを判断する非常に重要な基礎的な問題だというふうに考えたからであります。
ところが、今になっても提出されません。まことに残念ですけれども、今口頭で、ちょっと後で私も触れますけれども、やりとりはありましたけれども、まだ、そしてしかも、後でも触れたいと思うんですけれども、この二・六%というのは、どうやら一般貸倒引当率をいっているのか。その中には、いや、ポートフォリオ型のリスクが高いものは五から八%というのも含まれているとか、さっぱりわけはわかりません。委員長、すぐ資料を出していただいてください。私、その点が本当にないと、きょう一日のこの委員会で、しかもこのスキームの中には、先ほどもありました外資系銀行の買収手続の基本合意を、この定例会が終わった後でしょうか、十二月にやるというスキームの報告ですから、この点をやはりきちっと私たちも、都民への責任の立場上、質疑したいというふうに思うんです。すぐ文書で資料を出してください。
○大塚出納長 本会議の代表質問での曽根議員からのご質問の中身というのは、松村理事は当然わかっているわけでありまして、あの質問の中に、まず、おっしゃったことというのは、通常リスクの高い、要するに要注意とか要管理とかいうふうにおっしゃいましたけれども、数字は五%だというふうにおっしゃいました。それを前提に、一般の銀行では五%の引き当てを積んでいるというふうにおっしゃいました。それを前提の、あれはご質問になります。それに比べて、新銀行の引き当ては低いというふうにおっしゃいました。
私は、答弁の中で、再質問の中でのお答えですけれども、一般貸倒引当率と。これは確認をしていただきたいんですけれども、個別貸し倒れと一般貸し倒れと明確に区分をしてご説明をしております。
ですから、当然あの質問の前提には、それは曽根議員としてそれなりのデータの確認なり、金融庁云々かんぬんというお話もありましたけれども、その上での、データを確認した上でのご質問だというふうに私は考えています。それが一つ。
それから、何かビー・エヌ・ピー・パリバのお話が出ましたけれども、契約は第一回定例会予算のご審議をいただいて、そのご承認の後、ですから、契約をすることになります。基本合意というのは、いわばその本契約を実施するための準備段階として執行機関のエリアの中で、ただ、それにしてもそれなりの議論をやはりやっていただきたいということで、四定が終わってから、議会の意思ということを十分踏まえまして、それから、基本合意ですらも四定が終わってからやりたいという考えであります。特に何か対応にまずいところがあったというふうには考えていません。
○松村委員 いや、対応にまずいことがないというのは、それは今私は資料を出して、この委員会の質疑もスムーズにいくようにと、これは従来の都議会の慣例になっていますよね。いきなり数字的なものも含めて委員会でやると正確じゃないと。従来から、私ども、そういう意味では事前に資料や数字を、こういうことを聞きたいと、こういう資料を出していただきたいというのが、私は、長年の都議会の委員会運営の実態だというふうに思うんですよね。
それで今、一般貸し倒れで地銀も〇・九と。私たちもそれは知っています。一般貸倒金。しかし、ここでいうスキーム上の、では、二・六%というのは、一般貸倒引当金なのかと。その中には、また、今私がいいましたポートフォリオなどは五%から八%と。どういうふうになっているのか。だから、当然その九千二百九十二億の貸出金に対して、貸倒引当金の二百四十一億、これを割り返しますと二・六%ですよ。これはどういう中身なのか。ポートフォリオ型ではこのぐらい見込んでいるという話がありましたけれども、では、この九千二百九十二億、そして二百四十一億という三期のこの貸倒引当金の繰入額を百十億、百十二億、十億と積みますね。その合計が確かに二百四十一億ですけれども、当然その貸出先の、どういう貸倒率、額、これを出さなければ、この根拠と--しかも出納長は答弁で、東京都のこの二・六を、地銀の〇・九と、だから三倍以上だと、そういう比較数字をやったんですよ。性格が全然違う。今の答弁を聞いても、違う中身だから、それを正確に私、判断しなければなりません。
頭からこの銀行はだめといっているのでは決してありません。本当に困っている中小企業などに貸せる銀行なのかどうかが、私は、東京都民の一千億円の税金を使う上で議会が判断する重要な中身だというふうに思うんですよ。だから、今あれこれ出納長いわないで、手元に資料があるとまでいったわけですから、地銀も含めて、全体の一般貸倒引当率、それから個別引当率、そしてまた、このスキーム上で二百四十一億の引当金を出した根拠の数字を出して、私の質問を続けさせてください。よろしくお願いします。
○大塚出納長 既に松村理事のご質疑の前にそれなりのやりとりというのはもう終わっているわけですけれども--それなりの質疑はしたわけです、他党です、したわけですけれども、何か松村理事がおっしゃっているのは、非常に、何といいますか、基本的な、引当率のそもそもの考え方といいますか、その辺のところから何か始まっている感じがするんですよね。(松村委員「違います」と呼ぶ)
では、その例で申し上げますけれども、あの本会議のとき申し上げましたのは、地銀平均の一般貸倒引当率は〇・九だといいました。それから、それに対して、ですから(松村委員「全然意味がない数字じゃないですか」と呼ぶ)そうではありません。それは、ですから、意味のない数字ではなくて、なぜかというと、本来は、経営をするに当たって、貸し出しを行います。それで、その貸し出しの中身によって、一般貸倒引当金として、経営の根っことして、それを積んでいくのが、それを想定して積んでいくのが本来の経営であります。
それに対して、個別貸倒引当金というのは、理事からもご答弁を申し上げたと思うんですけれども、事後的に、積み切れないものを後から、出てきちゃったので、個別的な手当てとして積んでいくというのが個別貸倒引当金であります。経営の本来のやり方というのは、リスクを想定して、リスクに見合った、根っこから、要するに決算じゃなくて、入り口からリスクに見合いの引当金を一般的に積んでいくのが本来の経営のあり方だというふうに私は思っているわけです。そういう視点で、この銀行というのは二・六という引き当てを積みました。一方、例えば地銀でいけば、個別貸倒引当金の比率が非常に高い。これはあるべき姿ではないと思っているわけです。
そういう意味で、本来比べるのは、事後的に、対症療法的に積み増しをする個別引当金の数字をもって銀行がリスク管理をきちっとやっているかやっていないかということではなくて、一般貸倒引当率こそが一番経営をするに当たって大事な引き当てだということで三倍だというふうに申し上げたわけで、要するに、二つのものを別に一緒にしているとか、あるいはあれしてないとかということでは、その質疑は既にこれまでのやりとりの中では申し上げたはずだというふうに思っています。
それから、データは、遅くなりましたけれども、少なくとも個別貸倒引当率あるいは一般貸倒引当率を踏まえて、全体のメガバンク、地銀あるいは信金等の個別の数字というのはお手元に、この委員会が始まる前にお手元に届いているはずであります。(松村委員「何が届いているんですか」と呼ぶ)これは、引当金の一覧の数字はお手元に届いているはずであります。
なお、さらに、もう一度申し上げますけれども、代表質問で曽根議員がおっしゃったのは、この新銀行の創設は中止すべきだといいました。そういうふうに明確にいいました。あれは党としての意思表明ですよね。(「代表質問だからな」と呼ぶ者あり)そうですね。それと、先ほど松村理事がいったお話というのは、まだ決めてないというお話ですね。いくかいかないか決めてないというお話ですね。これはどっちですか。それを、では教えていただきたい。
○松村委員 また出納長も答弁者にかかわらず質問をする。知事と全く今までの議会のルールを踏み越えようとしていることについていいますけれども、我々は、このスキームから見ても、新銀行が本当に困っている中小業者に貸すスキームになっていないし貸せない、もしそういうふうに踏み込んだ場合には大変なリスクをしょい、今足利銀行じゃありませんけれども、そういう事態になりかねない、そういう立場から中止を求めるということは当然じゃないでしょうか、今私たち、我が党の態度として。
ただ、それが中身がまだ都民に--都民も判断しなければならないんですよ、政党だけじゃなくて。都民の、私たちも意向も十分踏まえながら都政というのは進むんですよ。知事が決断したら何でも進んで、我々議会がそれに追随するというものでは決してないということをいっておきますのと、それと出納長、たびたび答弁に立っていますけれども、出してくださいよ。お手元にあるということと、二百四十一億円引き当てをするその根拠、いろいろなことをいわないで出していただきたい。
そもそも、銀行のそもそも論なんて今問題になっているんじゃないんですよ。今現に生きてやっている銀行が大変な不良債権、そういうことで税金投入までやり、にもかかわらず貸しはがしや貸し渋りがあって、塗炭の苦しみに中小零細業者がなっている、そのときの東京都の新銀行だというのだから、当然、私が明らかにしてほしいということを求めることに対して、二度も三度も立って答弁しなくてもいいですよ。とにかく(発言する者あり)いえいえ、ちゃんとだから資料を出して、私たちが判断できるように、私たちが中止を求めた(「議事進行」と呼ぶ者あり)中止を求めたその根拠が本当に正しい、もしくは、いや、考え直さなきゃいけないのかと、そういうこともありますよ、一たんは。ですから、その資料を出していただきたい。
○大塚出納長 進行を本当にあれして申しわけありません、遅くなりまして。
もう一度いいますけれども、当然、松村理事のところに資料は、正確な--正確なといいますか、そういう資料が届いていないということなんですけれども、あれは、本会議の中で、共産党さんはもうデータをお持ちだという前提ですよ。全部お持ちだ、それを前提に、この新銀行はやるべきじゃないというふうにおっしゃいました。ですから、資料がないということを前提じゃないんですよね、あのご質問というのは。もう全部データを持っている、それからいってこの新銀行の二・六%の引当率は低過ぎる、そういうふうにおっしゃいました。ですから私どもは、いや、そうじゃありませんということで、それなりのご説明しました。
しかし、新銀行関係の資料はお届けしてありますけれども、ほかの金融機関の対比表等の資料は、口頭ではご説明してあると思うんですけれども、(松村委員「してないです」と呼ぶ)それは恐らく、既に共産党さんはおわかりだ、代表質問の中身からいって当然おわかりだということでお届けしなかったんだというふうに思います。そういう意思の疎通を欠いたといいますか、そういうことを前提にそういうことになったということで、私ども、決して他意のある対応をしているわけではありません。
○桜井(良)委員 議事進行。
今資料を出してくれといったけれども、委員会として要求する資料なのか、共産党が個別に要求している資料なのか、そこをはっきりしてもらいたい。
○近藤委員長 理事会で伺ったところによると、委員会資料要求のときの資料じゃありません。
○桜井(良)委員 そうしたら、出せというのはおかしいじゃないですか。
○近藤委員長 それは、だから理事会の中で(発言する者多し)ちょっと待ってください。理事会のときにも、それを前提として、きょうは質疑の中でそれを明らかにするというお話で松村理事とも私はお話ししたというふうに考えていますので、ですから、その以後、この委員会以後、共産党さんと局でやりとりして、その資料要求については、資料については、ですから、質疑の中でもしそれをおっしゃるんでしたら、数字を求めるなりして進めていただくという、きょうは理事会で松村理事もそのようにおっしゃってくださったので、そういう形で進めていただきたい。
○桜井(良)委員 委員会で必要なような資料のいい方はやめてほしい、そうだったら。以上です。
○松村委員 私は質疑を進める上での、私の質疑を進める上での大事なというか必要な資料でありましたから、当委員会にも--だって、それは皆さん、それで議会としていろいろ判断ありますから、私がいっているのが根拠なのか、それとも、そうじゃないこういう資料があるのかということは、そういう立場から出して文書でいただければということで要望したわけですよ。
しかも、出納長、今の、私は出納長の答弁というのは非常に重要だと思うんですよ。というのは、本会議で、既に共産党が調査してその資料をお持ちだ、そして、しかも中止というふうにいったから、だから出さなくていいんだと。いうことには答えなくて、中止を私たちが求めると。しかも、私たちは私たちで独自にいろいろ調査や研究や分析していますよ。それで今までだって、それで局の側から事業を進めるというか、そういう説明責任があるから、当然、資料を求めるなり説明を求めるなりは委員会、議会としては当然じゃないでしょうか。
だから、それはもうあらかじめ共産党は反対だとか中止を表明した、だから答えも既に答えてあるんだとか、こちらが調べるなり分析した資料があるんだから、私どもから出さなくていいということにならないでしょう。私たち、どう見たって〇・九じゃない、関係方面から聞いたら五%だ、通常は。明確に食い違っているんですよ。だから出していただきたいということを求めているんですけれども、どうなんですか、もう一度。
○大塚出納長 もちろん、だから本委員会を開催するに当たって、いろいろなやりとりは当然共産党さんだけじゃなくてあったわけですけれども、そういうふうな形での資料要求というのはありませんでした。ですから、もちろん委員会としての資料要求というのは、前回のときに整理をしたものが、あれが委員会としての資料ですね。そういうことで、それは既にお手元にお出ししてございます。
それから、やりとりの中でお話があった話というのは、ですから、私どもで口頭で考え方というのはいってあるかもしれませんけれども、既に共産党さんは独自の分析で五%だと、先ほどもおっしゃいましたけれども、そんな五%なんという数字は全然私ども持ってないわけですよ。ですから、そういうふうに思っているんだけれどもどうだというふうにいわれても、その要請におこたえできるような資料というのは手元にないわけです。
そういう意味で、ただ、やりとりの中で、既にこれまでの質疑の中で、やりとりの中で、必要なデータなりは既に本委員会において提供されています。今回のやりとりの中で、本日の委員会のこれまでの質疑の中で既に提供されている、それを松村理事はお求めになっているというふうに考えます。
○松村委員 私どもがもらっているのは、このスキームと、それから構想段階の資料と、そして委員会で正式に委員会要求資料となりましたこれだけですよ。あと何かお手元に渡してあるはずだというのは、それは出納長の勘違いというか、渡っておりません。
それから、例えば私たち、またこれは新聞報道が先行したわけですけれども、本当はこういう資料も要求したかったわけですけれども、信用保証を行うとか、これも突如として新聞報道があった中で、知事が他の会派の答弁でちらっと答えていましたけれども、こういうことも私たち全く説明を受けたりしてないわけですよ。いまだかつて説明にも来てないし、それはこの前の正式な委員会資料要求をやった後の事態ですよ。そういうことはあり得るわけですよ。委員会から正式な資料要求があったから、その後きょうの質疑に至るまで、それは説明も求めてはいけないとか、新たにこういうことが知りたいとか、こういう事態があったじゃないかということで、説明や資料を求めるのは私は当然だと思いますよ。そういうことです。
そのことをいうけれども、結局はだから、では出ないというか、出さないということなんですね。そのことだけを、では確認して、もうそれ以上あれというから(発言する者あり)でも、非常に重要な、私のこれからの質疑の前提ともなることであるわけでありまして、いや、これは委員会全体の問題だからこそ、私は大事な点だと思うから(「委員会全体じゃないよ、それは」と呼び、その他発言する者あり)私の今までの質問というか意見の中で、十分そのことは各委員の皆さん方も聞いていただければおわかりいただける点だと思いますけれども、進めたいというふうに思います。
それでは、まず、東京都が全体として本当に銀行をつくる必要があるのかどうか、この根本から問われなければならないと思います。我々がいろいろな方面から話を聞いたときにも、まずこの点が指摘されています。現在の法律でも、自治体が銀行をつくるということは想定されていないというふうに思います。改めて、都が銀行をつくる必然性、必要性について伺います。
○関参事 東京都が新たに銀行をつくる理由でございますけれども、現在の厳しい経済状況に苦しむ中小企業を救済するため、既存金融機関の体力の回復を待っている余裕はないということで、都民、中小企業に貢献する銀行を設立させていただくということでございます。
○松村委員 銀行の体力を待っていることができないというけれども、今までもいろいろな形での制度融資だとかやってきておりますし、それをさらに充実する手だては幾らでもあるというふうに思うんですよね。今の説明では到底都民が納得できるでしょうか、必要性や必然性という点においては。今みたいな説明だけでどんどん本当に進めては、この一点だけでも私は都民の理解は得られないというふうに思います。百歩譲って銀行をつくる必要性があるにしても、その役割は、現に貸し渋りや貸しはがしに苦しんでいる中小企業を救済するものでなければなりません。
中小零細業者から我々のところにもたくさんの融資に関する相談があります。例えば、私は今、固定資産税、都市計画税の軽減措置が本当に今我々の切実なものだという、そういう要請や陳情を受ける中で、例えば都心区のところにあります賃貸ビルを、何とか東京に住み続けたい、親の代からだからということで、相続税対策で多くの方々がビルを建てたわけですよね。建てて、何とか相続税はやりくりできた。ところが、最近のこういう状況、二〇〇三年問題とかいろいろなことが起きております。月の収入が今まで三百万円この賃貸料で上がっていた、しかし、空き室やその後値下げという事態で二百三十万円に落ち込んでいる、銀行返済と固定資産税、管理費など毎月の必要経費は二百八十万円、この時点で既に収支が全く合わなくなっているんだと。この方は現に一階で、これこそ代々日本そば屋で頑張っているんですよね。やはりそば屋も赤字、何とか今の貸している、少しでも、自分たちの生活は狭くなるけれども貸してやっていたのも、最近のこういう大きな波の中で、今いったように、今まで三百万円あったのが二百三十万になり、固定資産税や都市計画税も滞納、こういう中で、さらにこれがなくなったら大変だということで、その要請が来たわけですけれども、実態を聞いてみたら大変で、今RCC、整理回収機構送りになっている。しかし、今当座は何とか、こういう時期の二〇〇三年問題とかの中だけれども、頑張ってやっていきたいんだというようなケースなんですよ。家族も必死に外に働きに出ている、こういう必死で頑張っているところにこの銀行は貸すのですか。
○大塚出納長 ありがとうございます、やっと質問らしい質問で。
そうです。そういうところを、だから今の制度融資を中心にした全体のスキームの中じゃ、そこはRCC送りになっちゃうわけですよ、それは。だから、そういうところで、そういうところの全部ではありませんけれども、そういうところで、それはだから今までの物差しと違って、要するに届けたいというのがこの新銀行設立の大眼目であります。
ですから、それはずっとそういうこと、それがこの銀行設立の、要するに設立の趣旨であり理念だということはずっといってきているんですけれども、ただしかし、それにもかかわらず、それはできない、できないというふうに、できるはずがないというふうに松村理事はずっとおっしゃってきているわけです。ですから、だからできるはずがないというんじゃ、それはしようがない、そのお考えはよくわかりましたというふうに前もご答弁申し上げましたけれども、そういうふうにお答えするしかないということでまいりましたけれども、やっと具体的なお話が出てきましたので、そうです、そういうところに何とかいろいろ工夫をして少しでも手当てをしていきたいというのがこの銀行の本意であります。
○松村委員 いつもの話じゃないんですけれども、銀行税だってそうでしたよ。最初は、そういう不良債権処理でとんでもない、税金逃れやっている、体力もあれもある、だから銀行税だと。私たちも大いに賛同して、大変結構だと。しかし、その後、話が違う。もうきょうはこの点は繰り返しませんけれども、今の例も、銀行税、大塚出納長がやっていたときだから、そのこともだから私は今思い出したわけですよ。
今度の新銀行も、貸したい、貸すはずだ、しかし、ふたをあけてみたらできなかった、やるのが、ポートフォリオでほんの一部を、そういうところを選別して、まだそういう中でも何とかなるところだけを見られるけれども、大部分は違う、貸したいけれども貸せないとか、そういう選別融資は否定していません。株式会社、民間がやるんだから当然だというふうにいいました。そういうところに貸すんですよといいながら、一方においては、これは株式会社、民間企業なんだから、そういう選別やるのは当然だと。だから私は、それが東京都が一千億円という税金を使って今やる必要性と必然性があるのですかと。ここなんですよ、問題なのは。そこをきちっとしなければ、またあの銀行税と同じような、最初の考え方はよかった、しかし実際にはできないんだということで済まされない買い物といってはおかしいけれども、問題なんですよ。
やろうと進めている方向だから、この点、今、いいですか、その点で……。(発言する者あり)いや、違う。いいですね。だからこそ--私、進めますよ、先に。資料も出さないで、時間をかけていって、また委員の皆さん方のいろいろなことになりますからね。私はそういうつもりは決してないんですよ。
それで、では、そういうところに貸せるスキーム、そういう枠組みがしっかりできているのかということが重要なんですよ。
そこで改めて、新銀行の貸し倒れの二・六%、そうですよね、貸し出し、三期目の貸出金が九千二百九十二億、貸倒引当金が二百四十一億、割れば二・六ですよ。これを、だから一般貸倒引当金だといいました。
では、今問題になっているのは、個別引当金、その方がウエートが高くなって、それが債務超過になる、銀行自身が債務超過になる、そして、今それが厳然たるそういう--私は金融庁の肩を持つものでも何でもありません。しかし、現にそれが厳しく、足利銀行の例じゃありませんけれども、今の銀行淘汰で、その枠を東京がつくる新銀行も外れるわけじゃありませんよね。だったら、もう少し、この銀行が果たして本当に成り立つのか、一たんは理想と理念に燃えて出発して貸した、しかし、最初は不良債権ゼロで出発しても、あっという間に、後からもう少し詳しく質問したいと思いますけれども、不良債権の山になって、債務超過になって、そういう今事態がある中での新銀行の立ち上げなんですから、もっとしっかりとしたものを出していただきたい。だから資料を、では口頭でもいいから、資料というか、いってくださいよ。では、今いった九千二百九十二億、この融資先、そこには、今いった金融検査マニュアルにおける正常先、それから要注意先、それから破綻懸念先、実質破綻先、それぞれどうなっているんでしょうか。
○大塚出納長 まず基本的な考え方で申し上げますけれども、ポートフォリオによるリスク管理というのは、それは要するに束で、要するに、いい債権、悪い債権含めた全体としてのリスクをポートフォリオ全体でカバーするという概念です。それは、単件の、融資の一つ一つを要管理とか要注意とかというふうに分けて、それ一つ一つに引き当てを積んでいくという、そういう概念じゃないんですよね。だから、松村理事がさっきから何かいっている話は、もともと基本スキームのビジネスモデルと別の話をされているわけです。ですから、要管理がどれだけかいえとか、要注意がどれだけかいえとかと、そういう概念として要管理とか要注意というのがポートフォリオ融資にはないんですよね。それが、だからスキームなんです。
それで、もう一度申し上げますけれども、新銀行が想定をしている二・六という一般貸倒引当率というのは、事後的に対症療法的に後から積む個別貸し倒れ引き当ての水準ものみ込んだ、初めからのみ込んだ、初めから想定をした水準を、要するに入り口から積んでいる、そういう意味で、一般貸倒引当率というのがどれだけあるかというのが重要な概念だというふうに申し上げているんですが、数字で申し上げますと、例えば都内の信用金庫は平均で一般貸倒引当率というのが〇・六ですよ。それに対して個別は一・九九です。合わせて二・五八です。要するに、都内の信用金庫が抱えている厳しい経営状況、個別貸し倒れ引き当てを含めた、それを初めから、この新銀行は--ですから営業していませんから、個別貸し倒れ引き当てというのは積めないんですよ。仕組みとして積めない、対象がないから。だから、それを初めから、経営の当初から一般貸し倒れでグラウンドとして手当てをしていく。要するに、出てくるであろう個別貸し倒れ、それも一般貸し倒れの水準の中にのみ込んで高い水準を設定しているというふうに先ほど桜井委員のご質問に対してお答えをしました。
あのやりとりをちょっと聞けば全部わかるはずだな、松村理事はもうこういうご質問はないんじゃないかなと思っていたんですけれども、それは私は非常に心外であります。
○松村委員 融資商品をつくって貸し出しを始めるわけですよ、一期、二期、三期と。そうすれば、当然、今の金融検査マニュアルも含めた、どういう融資の状況かということを判断したら、貸倒引当金は当然積まなければ銀行業の許可などにはならないというふうに思いますよ。
だから、今ようやくわかりましたよ。出納長がいう二百四十一億、それで貸倒率二・六%というのは、盛んに一般だ一般だというけれども、全体的な貸し倒れ、今後一期、二期、三期を進めていく中で見込んでいるというから、それを含めてのことなんですよ。言葉では一般貸倒引当金だといって、他のこちらの既存銀行と比べて高いんだというけれども、わかりました。この二百四十一億というのはそれ以外ありませんものね、このスキーム全体で。
二・六%ですけれども、今私もパソコンでインターネットから全金融機関の、残念ながらまだ平成十一年三月期のリスク管理債権、この貸し倒れを、メガバンクから地銀から信金、組合までやったんですけれども、これは三%なんですね、貸倒率は。それで、信用金庫は三・五、信用組合は三・六%というふうに--この三期目で二・六%なんというのはそれだけでも低過ぎる。
私はこれを金融庁にも聞いてみました。金融庁というのは一番、だって、今検査マニュアルを使って全銀行を定期的に監査しているから、どのぐらいの引当率がなければ危ないか、不良債権化して、いつ足利銀行になるかわからないと。金融庁はどちらかというとそういうふうにやりたいんでしょうけれども、それに対しては大いに反対ですよね、我々も。とんでもないというふうに思っていますけれども、しかし、厳然たる金融検査マニュアルでやっている金融庁が、この二・六%、恐らく二から三%、大体もっと--私もどういう形で引当金やっているかは少なからず勉強させていただいております。そんな単純なものじゃありません。しかし、その金融庁が、大体今の状態は東京都は二から三%だと。確かに三期目で--一期目、二期目は高いですよ、三・八、三・六。それで二・六ですよ、急に落ちて。だから、これに伴って、先ほども質問がありましたけれども、繰入額を十五億で済ませているというか、それで間に合うんだという、こういう数字を使っていますけれども、出された疑問は、二・六は低過ぎるんじゃないでしょうか、既存の金融機関は五%ぐらいだという話と、それと、ですからこの十五億、それに合わせた二百四十一億の三期目の引当金というのはどうなのか、こういう話です。
現に、私が今いろいろ数字をいいましたけれども、これは平成十一年三月期のデータを私は持っております。しかし、これが、では十四年三月期だとか、最新なデータは持っておりません。だから、そのことを逆に教えていただきたいということで、先ほど来真剣に求めていたわけでありますけれども、出されません。
恐らく、全銀行で今三%、十一年三月期で。だから、恐らく今いろいろな危ないところが出てきているし、金融庁が検査をやって、やはり五%ぐらいということを私は一つはいった点であります。それが我が党の代表質問にも反映して述べた点です。
それからもう一つ、出納長、聞いていただきたいのは、(大塚出納長「質問してください」と呼ぶ)質問いたします。
それで、一般引当金の算定というのは、大体既存の銀行では、総与信から担保、それから優良債権ですか、これを当然引いて、それを分母にして、それから期間内に毀損した額、これはいわゆる正常先とか要注意先とか管理先とかありますけれども、破綻懸念先にランクダウンした、そういう総与信額から担保、優良保証などで回収見込みのある額を除いた額だというふうに私も勉強しましたし、説明を受けました。
ところが、新銀行はそういう担保とか優良保証はないわけですよね。無担保融資を柱としているので、他の地銀のように担保で回収できる分がない分、当然引当率が高くなるということなんですけれども、この点についてはどうですか。
○大塚出納長 最後のご質問にお答えする前に、私が申し上げたのは十五年の三月期です。ですから最新のデータです。松村理事のは四年前の数字です、これは。ですから、私が先ほどお答えしたのは十五年三月期の数字で、これが今の銀行の最新の数字ということです。それはこの委員会終了後にお届けするようにいたします。
それから、あと一つ、どこのところで食い違っているかというと、部分の、要するに五%とおっしゃいました。全体の貸付額の中の部分のところで五%、それはそのとおりですよ。だけれども、貸倒引当率というのは、部分だけじゃなくて、全体を含めて加重平均をした数字なんです。ですから、部分のところが五%だから、部分と全体を比較して高いとか低いとかという議論は、これはだから食い違っちゃっていて成り立たないんですよ。それをひとつご理解いただきたいというのがあります。
それから、最後は何でしたか……。もう答えましたね。全体として答えたと思うんですけれども、要するに、リスクの高いところは五%から八%の、ですから、松村理事が先ほど来ずっとおっしゃっている、本当は五%のはずだといっているのはそうです、そのとおりです。そうやっていますよ。それで、加重平均すると二・六になる、そういうふうにずっとご答弁させていただいています。
○松村委員 引き当て算出方法も、私も何度も聞いたり勉強してきたんですけれども、正常先に対する債権、これは貸し倒れ実績に基づく一般引き当てになるんですね。これは、だからまだ貸出実績がないというから、恐らく、ではゼロと見ているんでしょうか。しかし、実績が一期、二期出てくれば出てきますよね。それから、要注意先に対する債権、これも貸し倒れ実績に基づく一般引き当てなんですよ。
ところが、破綻懸念先に対する債権は回収可能見込み額を除く、つまり、だから回収可能額といっても、担保もとってない、優良保証もとってないから、これはないんですよ、東京都の新銀行は。その場合、必要額の個別割り当ての引き当てというのは、大体既存金融銀行では五〇%から七〇%だと。高いんですよ、このぐらい。五%とか、そんな数字じゃないんですよ。五〇%から七〇%。それから、実質破綻先及び破綻先は、これまた回収見込み額、つまり担保などを引いた中での今度は全額なんです、一〇〇%。そのぐらい今厳しく預金保護で銀行というのは監督されているんですよ。
それを全体に見た場合には、既存金融機関は貸したくても貸せないとか、自己資本比率が落ちて四%切れば足利銀行のようになっちゃう、そういう中で、新銀行はそういうリスクの高いところにも貸すんだというから我々心配しているんですよ。ところが、これを見たら、ああ、黒字になって安全パイを踏んでいるのかなと。そうなったら、では、実際には貸すはずだったけれどもというけれども、貸さないということだって--だれがそれはないというふうにいえるんですか。それが、だから東京都がやるべき銀行なのかどうかということを今改めて詳しく分析しなければならないというのが私の質問の立場なんです。
それで、今ポートフォリオ型も、そういう新銀行よりも高い貸倒引当金を積まざるを得ない事態に追い込む中で、必死に優良先とかそういうところを探して、貸すところがなくて困っているというのが私が方々の金融機関から聞いてきたその思いですよ。だから、東京都がそれを補うということになったらば大いに賛成だ、我々がだから手が出せない破綻懸念先のところに東京都が貸すのか。また今度、一部いわれているような保証ですか、その独自の会社まで--この話も初めてですよね。我々、その説明までは受けていません。SPC、特別目的会社、信用保証をつけるという。これも、だから私は新銀行で、銀行でやるのかという気は全くしませんよ。大体、信金が今貸出先がなくて苦しんでいて、見つけてきたら、東京都が、不良債権化したらそれを、この特別目的会社にその債権を売ってもらうというのならば、信金側から見たら少しはメリットがあるかもしれませんけれども、しかし、そういうところだって今必死になって、自分たちでより有利にやりたいといって、必死の思いで努力しているんですよ。果たして、こういうことをやれば、本当にそれが困っている業者だとかまたは信金、こういう立場からの協力や支援を得てこの銀行が成功するかどうかという点においても大いに危惧があるところなんです。
事実、私も注目していまして、どういう融資モデルを出すのか。そうしたら、いずれも、この資料をいただきましたけれども、無担保無保証人融資。これはみんなポートフォリオ型なんですよね、大体聞いてみると、中身は。やっているんです、既に。一部のそういう要注意だとか危ないところも含めて、優良なところもやっているんですよ。そこでもみんな、こういう無担保の融資をやっている中でも、高いリスクというか、そのもとで引き当ても積まなければいけないし、逆に、さらに融資先が今伸ばせないといって苦しんでいる実態など、幾つも私は聞いてまいりました。ですから、既にやっている、この点においては民業圧迫ということが今いわれておりますけれども、これについて、そうではないということをきちっと説明してください。
それで、民業圧迫をしないというなら、今民間がやっているポートフォリオだとか、それからシンジケートもやっていますよね、どこが東京都のとは違うのか、この説明を願いたい。
○関参事 新銀行の無担保融資は、融資期間、融資限度額、審査期間などいずれの条件も、他の金融機関と比べ、中小企業にとってメリットが大きいものでございます。また、融資後も提携企業へのさまざまな顧客本意の経営支援等のサービスを提供する、こうしたものでございます。
○松村委員 そんな型どおりの説明で本当にいいんですか。本当にもっと真剣に私を、さっき隣の方もいいましたけれども、納得させられるような私は答弁をぜひ期待したいと思いますけれども、それにしても、違わないからそういう型どおりのことしかこの点においてもいえないということじゃないかというふうに思うんです。
それから、信金関係者から、具体的協力関係の中身がさっぱり見えてこないという声も聞きます。十店舗、行員二百三十人で営業可能にするにしても、信金などとの協力は欠かせないと思います。これまでも、中小企業融資のノウハウを持つ信金に審査体制の構築などの面で協力を仰ぐといってきましたけれども、この段階で具体的に何をどう協力し合うのか、お答えいただきたいと思います。
○関参事 新銀行は、信金などの地域金融機関と、シンジケート型融資や企業再生ファンドなどさまざまな面で連携協調することを考えており、ともに発展を目指してまいりたいと思っております。
○松村委員 既にそうしたシンジケートも、例えば信金同士とか、これも幾つか事例がありますね。最近のシンジケート型融資の概要というのがあるんですよね。それを、新銀行と信金とかほかの銀行が提携するそれこそ必要性や必然性、どこに見出すんでしょうか。
大体それも、新銀行にはそういう蓄積されたものがなかなかありませんよね。やはり信金とか、そういう詳しい状況に頼らざるを得ないというふうに思うんですけれども、私は、これは提携する既存金融機関にとっても本当にメリットになるものなのかどうか、果たしてそういうことが可能なのかどうか。現に今一機関だけでできないものを、リスクを分散するということもありましょうし、さらに上積み、一行だけでできないものを上積みするということで、何とか中小企業などにこたえていこうという面からこういうシンジケート型融資も始まっているというふうに思うんですけれども、新銀行とあえて組まなければならない必要性や必然性は出てこないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○津島理事 新銀行の持っている専門性、強み、それと信金の地域に根差したさまざまな情報、これは共有できるさまざまな可能性を持っております。新銀行のその強み、どういう形で信金と協力するかということで、先ほどのシンジケート型あるいは企業再生ファンド、それから先生自身がおっしゃいました保証、それから劣後ローン、こういうものを新銀行が提供するわけでございますから、これは大変に地域金融機関としてはメリットが高いというふうに考えております。
○松村委員 今冒頭でいった新銀行が持つ強みって、専門性ですか、先進性じゃなくて専門性といったんですか。それは何ですか。逆に、そういう専門的な、またはいろいろなノウハウを持っているのが、既に長年の蓄積や、そういう人材も含めて、それが判断というか、目ききができるといわれる方々は信金とかそういうところにあって、逆に東京都はそこにすがる--すがるといってはおかしいんですけれども、独自にやろうとしても、二百三十人やそういう体制、先ほども質問ありましたが、本当にそういうのが短期のうちに開発できるんですか。
それからもう一つは、私もそういう立場に立てば、今までの顧客管理とかデータとか、それは大事なやはり企業データですよ。それを蓄積してきて、これがあるからこそ今の厳しい時代を何とか乗り切っていく、そういうところが、新たにつくる--幾ら東京都が後ろ盾にあるといっても、全部情報開示やそういうことは、私は逆のこちらの立場に立てばやらないんじゃないかな。先ほどの信用保証とか、信金が貸し出して危なくなった破綻懸念先とか、そういうふうになったところを、逆にそういう債権を引き受けてくれるというんだったら助かるよという話の程度ではないでしょうか。
この点についても、私はもう答弁も、本当にそういう残念ながら型どおりしか聞けないと思います。何しろ、だって皆さん方、一生懸命私と同じように勉強しているでしょうけれども、銀行経験とかそういうことが、失礼な言葉ですけれども、ないから、そういうマニュアルというか、型どおりの答弁にしかならざるを得ないと思いますけれども、失礼ないい方をお許しいただければ、そういうことになるというふうに思いますけれども。
ですから、私は、それは民間で既にやって、これからも頑張ろうと、そういう世論もありますよ。もう少し、だから金融検査マニュアルを何とかしろとか、中小企業の別冊もできましたけれども、何ら変わることはなくて今と同じようなんですね。もっとそれを変えさせるとかいうことも必要ですけれども、それは民間に、民は民に任せればいいし、頑張っているんですよ。
それからもう一つ、今いった保証をするとか、いろいろな面での支援というのは、今ある制度融資や、さらに預託を積んで、もっとそういう点での既存金融機関の負担を軽くするとか、私はいろいろなやり方を既に本会議で提案しておりますので、ここでは繰り返しませんけれども、そのことが今都政においてはやるべきことだということを申し述べておきたいというふうに思います。
以上、幾つか質問してきましたけれども、私の質問に答えられる答弁になってないと思いますので、最後に、ではずばり、破綻懸念先には融資をするんですか。
○津島理事 個別の融資の判断というのは、それぞれの基準に基づいて判断するしかないと。ただ、破綻懸念先ということが明確になって、将来性が全くないという企業については、やはりそれは難しいということでございます。
○松村委員 先ほど、私はほんの一つ時間の関係で例を挙げましたけれども、RCC送りになり、何とかやりたいというところにはやはり貸さないということになるんですよ。(「破綻するところに貸すわけないじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、現に銀行はそういうところにまで頑張っていろいろやっているんですよ。そういう努力も--破綻先に全然貸してないのはないですよ、これ。そうですよね。それは答弁求めませんけれども。そうじゃないんですよ。実質破綻先でも頑張って救いたいということで、民間金融機関だってやっているわけですよ。そういう点では、融資、本当に東京都がやるのはそういう正常先とか、せいぜい要注意先ということになるんだ。本当に困っている人、融資してほしい人には届かないではありませんか。
以上、幾つか質問して、なぜ都が出資するのか、中小企業支援というなら、改めて今東京都の自治体としての役割を明確にして、民間に任せるべきは民間に任せていく、この点においてはやはり中止する以外にはない、一千億円もの、この時期に多額の税金を使うべきではないということも改めてこの委員会の質疑を通じて申し述べたいというふうに思います。
それで、あとちょっと大事な点で、委員会ですから、一、二だけ聞かせていただきます。
一つは、資本金を二千億円と都議会にこれまで説明してきましたよね。ところが、今度のスキームでは一千五百億円になったその理由。それから、都が出資の半分というふうに今までいわれてきました、だから一千億円だと。ところが、それでいきますと七百五十億円になりますよね。それがなぜ都の出資が一千億円なのか、この理由をご説明いただきたいと思います。
○津島理事 五月に発表した二千億円の構想はいささかも変わっておりません。ステップを踏んで一千五百億円から二千億円に向けて進んでいくという計画でございます。
○松村委員 新銀行の位置づけはどうなんですか。民間機関か第三セクターなのか。新銀行に対する都の指導監督権限、これについて答えてください。
○津島理事 東京都が出資する団体として、一つの報告を受ける団体、それから、委員会等設置会社という位置づけの中で、東京都から大枠で監視する団体、そういう団体で位置づけております。
○松村委員 都議会との関連はどうなるんですか。設立時、先ほどもこのスキームの中で、四定が終わって買収手続の基本合意ということがありましたけれども、さらに今後、今局要求ですか、一千億円の来年度予算の出資ということを局要求では出されておりますけれども、そういう設立時、設立後の手順というか(「人の質問聞いてないの」と呼ぶ者あり)についてご答弁願います。
委員長、ちょっと注意してくださいよ。私は私で質問するあれがあるわけですよ。(「ダブるのはやめようと理事会でいったじゃないですか」と呼ぶ者あり)そんなことないですよ。
○津島理事 創設後につきましては、先ほど出納長からご答弁させていただいたんですけれども、地方自治法二百四十三条に基づく議会への経営状況に関する決算書、事業計画書の提出を初め、監理団体としての定期的な報告書の提出を行う団体でございます。
それから、予算につきましては、現在要求中でございますけれども、改めて一定でご審議をいただきたいと思っております。
○松村委員 私は、今回、きょう一日だけの質疑で、先ほどの十分な資料も出されてきてない、それを見て本当に判断して、さらに正確に都民の立場からたださなければならない点では非常に不十分だというふうに、きょうの委員会のこの一回限りの質疑ではそういうふうに思います。
そういう中で、これが終わった後にパリバ銀行との買収手続の基本合意などということは、これは拙速というか、やってはならないということで強く主張して、終わります。
○近藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十一分休憩
午後三時三十五分開議
○近藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
○執印委員 それでは、質問をさせていただきます。
大変複雑な議論が続いた後でございますので、私どもは私どもらしく、物事を考えるときには基本に戻って見ていこうということが原則だと思いますので、都民の関心も高い問題ですから、市民の視点で質問させていただきたいというふうに思います。
まず、事務事業質疑のときには、このスキームが出されてからの議論をしていただきたいということでございましたので、そのあたりも含めて質問させていただきますが、まず、新銀行に至る道筋への確認をさせていただきます。
この銀行の目的というのを最初に改めて確認させていただきます。
○関参事 新銀行の設立の目的でございますけれども、基本的には地域の経済、中小企業や都民生活に貢献していくということにあると考えられます。
○執印委員 地域経済や都民生活に貢献ということで、それは中小企業支援も含めたという意味だろうというふうに思うんですけれども、そういった点では私どもも同じ立場、同じ考えです。
今、中小企業のさまざまな状況というのを伺いますと、支援をするということが大事だというふうに、もちろんそのことについてだれも異論はないというふうに思うわけですが、それでは、都は今までどのような施策を行われてきたのでしょうか。
○関参事 東京都はこれまで、金融政策といたしまして、制度融資を中心に中小企業への支援を行うなど、地域経済や都民生活に貢献するさまざまな施策を展開してまいりました。
○執印委員 大変一生懸命やってこられたというふうに私どもも認識をしているんですが、その地域経済や都民に貢献する施策、中小企業への支援という改善は、それではどのように行われてきたのでしょうか。
○関参事 現状施策の改善でございますけれども、まず制度融資につきましては、メニューの充実や保証枠の拡大などの見直しが行われてまいりました。また、近年、CLO、CBOによる債券発行を実施し、中小企業の市場からの資金調達を可能にしております。
○執印委員 最初のころに出されました新銀行構想の概要についてでも、今お話のあったCLOやCBO、これが累計で三千億円を超える資金を供給したけれども、まだ十分とはいえないということも書かれているわけですが、現状の施策では何が問題で新銀行の発想が出てきたのでしょうか。
○津島理事 既存の銀行は、中小企業の資金需要に十分対応できない状態、また、新たな金融サービスの創造も困難な状況であるということ、これまで東京都は、先ほど述べましたように、CLO、CBOの事業を展開してきましたけれども、中小企業の状況は依然として危機的状態にあり、国の対策や既存銀行の体質転換を待っている時間はない、このため、都みずからが新銀行の設立を必要だと判断したものでございます。
○執印委員 先ほども、既存銀行の体質転換を待っている時間はないというようなご答弁もありましたけれども、新銀行でなければできないことはどのようなことなのか、伺います。
○関参事 まず、新銀行が行う新たな無担保融資でございます。さらに、ICカードを軸とした新しい金融インフラの提供、さらに、行政と金融の連携に基づく都民への新たなサービスなどは、いずれもこれまでの金融機関ではほとんど提供してこなかったものでございます。
○執印委員 無担保融資などができないということ、それからICカードの問題などが出されましたが、ちょっとここで伺っておきたいんですが、新銀行構想の概要についてという背景のところで、都内の企業倒産は過去最悪の水準ということで、その背景として出されております。これが二〇〇二年には三千七百四十七件という数値となっております。その三年前の一九九九年には二千七百四十七件ですか、それだけふえているということなんですけれども、この企業倒産の状況分析というのは都としてどのようにされたのでしょうか。また、その結果、もしこの新銀行があったとするならば、どのくらいの中小企業を救えたというふうに分析されているのでしょうか。
○関参事 企業倒産の状況分析につきましては、産業労働局発行の二〇〇二年版「東京都における企業倒産状況」を見ますと、調査以来最大の倒産数ということで、しかも近年の特徴として、業歴別では老舗企業が占める割合が二五%以上となっており、業種別には卸売業が二五%、原因別で見ると販売不振が七七%で一番多いという記載がなされております。
中小企業の救済については、特定の銀行の存在、不存在を仮定して中小企業の救済規模を推計したものはございませんが、しかし、先ほど申し上げたように、資金に困っている企業には十分かつ切迫したニーズがあることは明らかであると考えております。
○執印委員 資金に困っている中小企業には切迫したニーズがあるというのは、それはもちろんそのとおりだというふうに思うんですが、原因別で見ると販売不振が七七%ということは、いろいろなものを読ませていただくと、借り主の方が、お金を貸してくれるだけではどうにもならないから、どうやったら物が売れるかということを東京都なり何なりがアイデアを出すとか、それから、新たな開発ができるとかということをしてくれない限り困るんだなんということも書かれておりまして、それも大きな支援の中のものではないかというふうに思っているわけなんです。
この辺については、例えば、私はもう少し都民に見えやすい形の分析をしていただく必要があったのじゃないかというふうに思っているわけなんですが、例えば、例がどうなのかとは思いますけれども、例えば幼児虐待という問題が出てきたときに、それについては、そういうことが一件出てきたら背景にいろいろなものが考えられるから、それは今あるものに重ねて対策を立てなきゃいけないというようなことというのは非常にわかりやすいわけですけれども、これに関しては、販売不振が原因別で一番多い、それから老舗も多いというようなことを考えますと、バブルとの関係の中で、その背景にさまざまな問題があったのではないかというような、そういうような指摘もあるわけでございますが、非常に中小企業の経営状況の把握が難しいということはもちろん聞いておりますけれども、もう少しここをきちんと丁寧に分析されないことには、私は説得力がないんじゃないかなというふうに思っているわけなんですね。
この点については、これから先どう貸していくかということについても、経営の分析をしない限りは貸せないわけですから、この段階できちんと調査をするということができなきゃ困るし、それをやらない限り先にはつながらないものだったというふうに思うんですが、その点に関してはどのようにお考えでしょうか。
○津島理事 先ほどのご答弁、少し不足しておったわけでありますけれども、具体的に、私どもが主体となりまして、中小企業の資金需要調査、それから都民に対する調査、それから生活文化局を通じた都政モニターによる調査、この三つを八月に実施いたしまして分析をしております。
○執印委員 その結果、具体的に中小企業をどれぐらい救済できるかという詳細なデータは、データがないので不明という先ほどお話だったんですけれども、今の需要調査の中でどういう点が明らかになったんでしょうか。
○津島理事 これは、新銀行に対する希望、ニーズ、こういったものをさまざまな年齢層あるいは職層、そういったものを分析するということで把握したものでございまして、新銀行をつくったならばどれだけそういう企業が救済されるかというものは、これは調査しておりません。
○執印委員 要するに、新しい銀行をつくるといったときに、必要かどうかと聞かれたら、大体みんな余り反対しないと思うんですよ、困っていれば。困っていなくても、それが基本的によいことであれば、反対するということはないと思うんですけれども、しかし、ここで問題になっているのは、どれだけ実態に合った提案を東京都がされているかということだというふうに私は思っているんですね。そこの基本的な説得力がなければ、都民の一千億というお金をここに投入することが適切なのかどうかという判断ができないし、そこが分かれ目ではないかというふうに私は考えているところなんです。ですから、一番不明なのがここの部分だというふうに私は考えております。
そういった意味では、これだけの時間と人とお金もかけて対応をされてきたわけですから、非常に出だしの部分ですれ違いが起きるような対応をされているのではないかということは指摘をしておきます。これ以上やりとりしても、やってないわけですから、またその後調査されたというものを求める調査ではないわけですから、これぐらいにしておきますが。
次に、銀行としての制約、リスク、どのようなものがあるのでしょうか。また、それに対する銀行の対応策というようなものはどのように今のところ考えていらっしゃるんでしょうか。
○関参事 新銀行は、銀行法を遵守するとともに、金融庁の監督のもとに置かれます。また、銀行のリスクとしては、信用リスク、市場リスク、システムリスクなどが想定されております。
それに対して、新銀行においては、こうした法令遵守及び金融庁の指導対応やリスク管理についても経営陣が直接かつ日常的に関与する体制をとるなど、組織、運営面で万全の対策をとりながら適切にコントロールしていくというふうに考えております。
○執印委員 次に、適切なコントロールというお話もありましたけれども、担保、第三者保証はとらないというふうにいっていらっしゃるんだと思いますけれども、経営者個人からの個人保証というのはどのようにお考えでしょうか。
○関参事 中小企業におきましては、個人と法人の資産収支が一体化しているケースが少なくないため、新銀行においても個人保証は求めてまいりますが、行き過ぎた個人保証は考えておりません。
○執印委員 個人保証を求めるが、行き過ぎた個人保証は考えてないということですが、この行き過ぎた個人保証というのはどういうようなものを指していらっしゃるんでしょうか。
○関参事 いわゆる包括根保証または限定根保証等の個人保証はすべてやるという形では考えておりません。
○執印委員 それでは、これは先ほど来議論もあったので、私の方からは簡単にでいいんですけれども、先ほど引当金は十分に積んでいるという、二・六%だということだったんですけれども、この新銀行、出だしの不良債権はなくても--このスキームを見る限りでも、非常によくつくってあるというふうに思うわけなんですけれども、これで見る限り何も心配することはなさそうに見えるわけですが、スタート後、不良債権がふえていくということを想定した場合、これで本当に十分というふうにいえるのでしょうか。
○関参事 今回のスキームでは、スタート後、不良債権がふえていくことも含めて、十分な引当金を計上していると考えております。
○執印委員 先ほど来議論がありましたので、お答えをいただくだけで結構ですけれども、ここが議論の分かれるところかと思います。あるものを読めば、この銀行のやり方では三%から三〇%が必要だというようなものを書いてあるものもありまして、なかなか見えにくい部分だというふうには思っておりますので、そこは指摘をしておきます。それで、引当金については、先ほどの議論でもあったけれども、低過ぎるんじゃないかなというふうに思います。
それから次に、この新銀行に対する東京都の経営への関与、基本的な考え方はどのようなものなのか、また、具体的な方策はどのようなものなのかということをお伺いいたします。
○関参事 東京都の新銀行に対する関与についてでございますが、中小企業に生きた資金を供給するという新銀行創設の政策目的と、新銀行の株式会社としての自主性を両立させたいと考えております。そのため、新銀行を委員会等設置会社とし、都は委員会に社外取締役として参加することで経営の大枠を監視していくということでございます。
○執印委員 委員会等設置会社ということで、この委員会等設置会社のメリットとデメリットを伺っておきます。
○関参事 委員会等設置会社でございますけれども、そのメリットとして、一、各委員の過半数は社外取締役で構成されるため、外部からのチェック機能が働き、経営の健全性、透明性が確保できます。また、業務執行機能が分離され執行役に任されたため、執行役の業務執行の迅速性、機動性を高めることもできますなどが挙げられます。
デメリットにつきましては、特段制度的な問題があるとは聞いておりません。
○執印委員 制度的なデメリットはないということですけれども、それでは、この委員会等設置会社の代表執行役の選任についてなど、人事の進め方についての手続的なものというのはどのように決められているのでしょうか。
○津島理事 代表執行役の選任につきましては、今回、新銀行の基本スキームの発表の中でその候補者をお示ししたものでございます。候補者は、経営者としての経験、実績、金融に関する専門的能力を有していることはもちろん、何よりも新銀行の理念に賛同してくれる人を選任したものでございます。
今後、出資の予算案を議会にお諮りし、承認を受けた後、準備会社を発足させ、正式にその人事を決定してまいります。
○執印委員 私、もう少し仕組み的なものをお話しいただければよかったと思うんですけれども、今出されている方が、候補者を示しているというお話でしたけれども、私、いいとか悪いとかということは全くありませんので、そういうやり方をされるんだというふうに思うわけですが、今のお話だと、今はスキームの案と一緒に候補者を示している、それも含めて議会は判断をしてほしいということをおっしゃっているんだというふうに思いますけれども、こういうお答えでしたから私もいわせていただくと、先日、記者会見もされていたようでしたけれども、そういったところを見ていても、この銀行の議論の進め方そのものが非常に議会軽視といったらいいんでしょうかね、私にはそのように思えるわけですけれども、その案を、案ですというふうにおっしゃるわけですけれども、非常に大きな要素だというふうに思うんですが、議会でスキームを出して議論もしていないうちに、そういった手順で仕事を進められるということについては、私は少しそのやり方はおかしいというふうに思っておりますので、その点は指摘をさせていただきます。
最初に申し上げましたように、今出されている方がいいとか悪いとか、私、全く存じ上げないので、そういうことをいっているのではありませんので、それは間違わないでいただきたいというふうに思います。
それでは次に、ここで人件費なども示されているわけですが、これはどういう給料体系になっているのかというのをざっと割り返せばわかるわけですけれども、お聞きしますと、人件費の中には行員と契約スタッフが入っている、それから、外部委託されている方については物件費で計上されているというようなご説明をいただいているわけですけれども、職員とか役員の給料体系基準というのはどのように計算されてここに載っているのかをご説明ください。
○関参事 具体的な役職員の給与基準等の基本的な枠組みについてはできておりますけれども、細部については現在鋭意検討を進めているところでございます。その検討に当たっては、少数精鋭主義のもと、年功序列にとらわれない人事・給与制度の構築を進めているところでございます。
○執印委員 もう少し踏み込んで本当はお答えいただきたいんですけれども、株式会社ということですけれども、これがどういう位置づけのものになるかというのはこういうところにもあらわれてくるというふうに思いますし、単純に割り返しますと、これで本当に求めるような銀行ができるのかどうかということは懸念が残るというふうには思っております。
次に、皆さんにとっては当たり前のことだと思いますが、都民の方からよくご質問もございますし、この際確認をさせていただきたいことを何点か質問させていただきますが、この銀行は東京都から一千億円の出資が予定されているわけですね。これはもちろん三月の議会で審議をして、都議会が認めないとどうにもならないということではありますけれども、途中で、先ほど来も議論がありましたように、外資系の銀行を買収するということが出てきまして、私も新聞を見てびっくりしました。ご存じの方は議会の中でもご存じだったと思うんですけれども、こんな形で何も知らされないままに外部から情報が来て、それで、一千億といったら大変な額だと私は思いますから、下手をすると都民生活にももちろんはね返るような額ですから、そういう形でなさるということについてもどうかと思っておりますけれども、この買収費用というのが今までこの計画の中では聞かされてなかったものですから、この買収費用等、どういう形でこの一千億円とかかわりを持っているのかということをお教えいただきたいと思います。
○津島理事 まず、一千億の金額でございますけれども、この一千億円は、この銀行の健全なBS、PLを維持し、それから自己資本の充実や優良な格付をベースに開業三年後の単年度黒字を達成し、設立目的の実現に必要な財政基盤を確立するためにぜひとも必要な額でございまして、この一千億の中にご質問の買収経費も当然含まれてまいります。今後、議会に予算案を提出し、ご審議いただくことになります。
○執印委員 次に、議会に提案されて、最終的に結論を出すのは当然のことなんですが、私、このスキームについて、損益計算書やら貸借対照表やら、開業三年後の姿やら、非常によくできているなというふうには思うのです。このままいったらだれも心配しないから質問はないと思うのですけれども、とてもいろんな心配があるから、皆さん、これだけ時間をかけているんだというふうに思っているわけですが、少し具体的な質問をさせていただきます。
ICカードが夢のようなものとして書かれておりますし、ご説明をいただいております。これによってさまざまな便利な生活ができるという、そういったものとして描かれているようですが、この開発費用がかなりかかるのじゃないかというようなことも聞いているわけですが、この開発費用というのはどのように見込まれているのでしょうか。
○関参事 ICカードに係る開発費用を含めて、システム全体の経費については、先般発表しました新銀行基本スキームの事業収益計画の中で見込んでおります。具体的には、損益計算書の経費欄の物件費の中に組み込んでおります。
契約前ということでありまして、今の段階では申せませんが、今後、出資予算を議案として提出する際に、可能な範囲でお示ししたいと考えております。
○執印委員 当然示していただかなければいけないし、予算のときには、ほかの議案もそうですけれども、今おっしゃったのは、入札とかいろいろの問題の中でおっしゃっているのだと思うのですが、当然きちんと示された上で判断ができなければいけませんので、十分に示していただきたいというふうに思います。
それから、このICカードについては、金融庁が認めなければ実施できないというような話もあるようですけれども、その点についてはいかがでしょうか。確認させてください。
○関参事 ICカードにつきましては、全国銀行協会によって標準仕様が既に定められており、金融庁の許認可等は特別必要としないということでございます。
○執印委員 わかりました。
それで、最初にお話をさせていただきましたように、基本に戻って幾つか質問をさせていただいたわけですが、最後に、先ほど来ご質問もあったかと思いますが、仮に損失が生じた場合、他の金融機関や都民の負担にはね返る心配はないのか。これが、今は大変すばらしいものを出されているわけですけれども、今後の姿勢としても、この計画としても一番気になる部分で、気になるというか懸念を持っている部分なんですが、その点をお答えください。
○津島理事 新銀行は株式会社でございまして、出資者である都は、その出資額の範囲内で株主責任を負います。しかし、仮にもそういうことがないようにするために、この銀行の運営に当たりまして、統合リスク管理委員会を中心とする万全のリスク管理体制を整え、適切にリスクコントロールをしてまいります。
また、委員会等設置会社の採用によりまして、銀行業務全般にわたって、開かれた、透明度の高い経営を徹底いたします。こうした取り組みにより、多面的、複合的に銀行としての健全性を確保していくこととしておりますので、損失額が銀行として管理できる範囲内を超えて都民の負担等につながるようなことはないと考えております。
○執印委員 そういうお答えですので、伺っておきますが、私どもとしては、まずこれが本当に民業の圧迫にならないかということ、それから、いろいろなところでいわれていることですけれども、官から民へといわれている中で、そういう時代の中で、東京都が本当にこんな形で銀行をやることが適切なのかどうかということ、それと、きちんとした分析のもとに立って、銀行しか今は道がないんだという、そういったご説明が不十分ではないかというふうに考えているということを指摘をいたしまして、質問を終わります。
○近藤委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○近藤委員長 速記を始めてください。
○鳩山委員 私、四月にこの委員会に所属をさせていただきまして、きょう初めて質問をさせていただくことになりまして、デビュー戦というわけで、どうぞよろしくお願いいたします。
では、先日、プレス発表のあった新銀行創設についてお伺いいたします。
まず、十二月二日付の都政新報の記事についてですが、聖学院大学教授の柴田さんという方が、新銀行の名称についてお書きになっておられます。記事では、銀行法では、商号の中に銀行の二文字を入れろとあるだけなので、新銀行東京という、東京の前に銀行を持ってきているが、これこそ素人感覚である。それで、前例がないとして、中黒も認めないのが金融行政であると書かれております。
そこで、ご質問させていただきますが、新銀行の商号について、銀行の表記が新銀行東京と、前につくことは問題ないのでしょうか。
○関参事 商号については、銀行法第六条に、銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならないと規定がございますが、銀行の文字の位置については特段の規定はございません。新銀行の名称については、金融庁と十分に打ち合わせをしてきており、既に了解を得ているところでございます。
○鳩山委員 ということは、私の心配は単なる杞憂であったということだと思います。
では次に、先日発表のあった新銀行の基本スキームの中身についてお伺いいたします。
基本スキームを読んでいて、新銀行では、従来の銀行にない新しい取り組みやサービスを武器に、都民の利便性の向上や中小企業の支援を行っていくという認識を持ちました。その特色となっているのが、ICカードを活用したサービスとアライアンス戦略だと私は考えます。ICカードを軸として、提携先の優秀な技術やノウハウを結びつけ、銀行の財産として活用することによって、都民、中小企業へのサービスを還元していこうというモデルは、しがらみのない新しい銀行でなければ実現できないだろうビジネスモデルだと考えます。
このようないろいろな企業や金融、行政を結びつけ、新たな取り組みを行っていくための新銀行のかなめでもあるのがICカードであるのではないかと思いますが、そのICカードについて幾つかお伺いいたします。
ICカードは、現在余り普及しておらず、対応できるインフラも整備されていないと聞いております。そこで、こうした現状で新銀行が多機能のICカードを発行する目的とは何なのでしょうか。また、ICカードに対応できるインフラが少ない中へ導入しても、十分に活用されるのでしょうか。
○関参事 ICカードを導入する目的についてでございますが、第一に安全性の確保でございます。従来のキャッシュカードは磁気方式のため、偽造、変造が容易であるのに対し、ICカードは複雑な暗号処理や認証機能があるため、カードの偽造は極めて困難でございます。
第二に、顧客の利便性の向上でございます。ICカードは磁気カードよりも記憶容量が多いため、キャッシュカード機能に加え、クレジット機能、電子マネー機能、ポイント機能など、一枚のICカードを用いて多様なサービスを受けることが可能となります。
また、ICカードの活用についてでございますけれども、インフラが十分整備されていない現段階では、銀行のICカードも磁気ストライプとの併用にならざるを得ません。しかし、既に銀行業界、クレジット業界でICカード化に向けた取り組みを行っております。インフラも急速に整ってくることに伴い、高い安全性を持ち、ICカードを利用できる範囲も広がり、十分活用されるものと考えております。
○鳩山委員 今お答えいただいた多機能ICカードが、都民の生活面で具体的にはどのように使われるかという観点からお伺いいたします。
ICカードを使用すると便利になるという説明がございましたが、どのように便利になるのか自分なりにイメージをつかみ、ただいまの説明でいわれている利便性の向上といった面を明確にしていきたいと思います。
そこでお伺いいたしますが、基本スキームのICカードを活用したサービスのうち、個別具体的なことについてお伺いしますが、交通系であればスイカ一体型のカードの発行であるとか、民間系では百貨店、スーパーなどのポイントカードというイメージはわかりますが、例えば日本コカ・コーラとは具体的に何を行うのでしょうか。また、それについてどのような利便性があるのでしょうか。
あと、もう一点お伺いしたいのですけれども、このICカードは、複数の機能を一枚で持ち得るのか、それともスイカならスイカと銀行のICカードという二つだけになってしまうのでしょうか。その点もお伺いいたしたいと思います。
○関参事 日本コカ・コーラ社との提携でございますけれども、ICカードを使用して、コカ・コーラ社の自動販売機でキャッシュレスで清涼飲料水が購入できる方法の検討を進めているところでございます。
技術的な内容になりますけれども、ICカード内にプリペイド機能、いわゆる電子マネー機能を持たせ、一たんお金をチャージしておくことによりキャッシュレスでジュース等が買える仕組みになります。これにより、小銭がなかったり、または小銭がたまり過ぎたりといった不便感は解消されます。また、自動販売機のキャッシュレスの実現は、社会生活におけるさまざまな防犯上の観点からも有意義と考えられます。
また、先ほどもご質問ございましたICカードでございますけれども、当初はJRスイカと一体型のタイプと、それからその他の機能のタイプということで、二つでご選択いただくという形で入ります。後、その両方の仕様が統一されれば、すべて一体型ということになると考えられます。
○鳩山委員 自販機でキャッシュレスで買い物ができるようになるということですが、私のように水分をいっぱいとる者にとっては、そうなれば小銭を持ち歩かなくていいわけですから、大変に便利になってうれしい限りであります。
では次に、私は、そのICカードの活用の場を広げ、いろいろな企業の技術やノウハウを活用していくことが、今までなかった新たなサービスを生み出し、都民の利便性の向上が図られ、ひいては日本経済を活性化していくための起爆剤ともなるのではないかと考えます。
新銀行が都民にとって魅力あるサービスを提供していくためには、幅広い提携を通して、手間やコストをかけずに新しいサービスを開発していくことも必要と考えます。一方で、単純に提携企業の数が多ければよいということにはならないとも考えます。また、市民生活を豊かにするような提携を考えるべきであると思います。
そこでお伺いいたしますが、ICカードを中心として多くの企業と提携していくための基準みたいなものがあるのでしょうか、お伺いいたします。
○関参事 提携の基準についてでございますが、提携先となる企業は、新銀行の理念や目的を実現するため選定するビジネスパートナーでございます。個別の提携ごとに判断していく必要がございます。業種については、サービスが顧客のニーズやビジネスモデルとしての顧客利便性の向上を図る上で適当であるかという視点から選定いたしました。
個別企業につきましては、一、新銀行にとって顧客を獲得できる基盤があること。二、提携による口座引き落としや手数料やクレジット手数料など、銀行としての収益性が見込めること。三、ポイント制や会員制度など、カードでの提携が想定しやすいこと。四、ICカードの使用環境を整備することが企業さんの方でできることなどの基準を設け、これらを総合的に勘案して提携することといたしました。
また、銀行としては、すべての企業と提携することが望ましいわけですが、現段階ではカードビジネスの経済合理性を最大に発揮するため、一業種からおおむね優良企業一社を選定しているところでございます。
今後、新銀行のハブとしての機能を高めていくため、さらなる提携の広がりを目指してまいります。
○鳩山委員 では、次の質問をさせていただきます。
最近の新聞報道を見ますと、国内では東京三菱銀行やみずほ銀行といったメガバンクもICカードの導入の検討を進めていると聞きます。知事も、新銀行の役割として、IT社会整備に貢献する新しい銀行だと述べられておりました。新銀行がカードのIC化を進めることは、既存の金融機関にできないサービスを提供するという意味において、東京発の金融改革となり、私も大いに歓迎しております。
では、お伺いいたしますが、先ほどのメガバンクを初め、多くの金融機関がICカードを武器にサービスを競うことになると思いますが、その際に、新銀行はどのようにこの競争に打ち勝っていくおつもりなのでしょうか。
○関参事 ICカードにつきましては、ご指摘のように、今後多くの金融機関が競ってサービスを展開していくことが予想されます。こうした中で新銀行のICカードは、これまで金融機関が取り組んでこなかった新たなジャンルの企業と提携する点に大きな強みがございます。その一つがJR東日本を初めとする交通系との提携であり、他の金融機関にないメリットの高いカードサービスが提供できると考えられます。さらに、異業種の企業や行政、金融など、多様な機能を結びつけて提供できるということでございます。
ICカードを他行に先行して導入し、社会生活向上のためにさまざまな分野での提携サービスを展開していくことにより、新銀行を発展させていきたいと考えております。
○鳩山委員 これまで委員会で多くの議論を聞いてまいりましたが、都民はこの銀行に大きな期待を寄せています。しかし、会社として経営していく上で、銀行の健全性と中小企業への融資との整合性をとることが今後の大きな課題であると考えます。すなわち、中小企業に生きた資金を供給することは新銀行の大きな使命でありますが、中小企業に過度に配慮した融資を行うと貸し倒れが増加し、不良債権も発生させ、経営の健全性を損なう可能性があります。一方、銀行の収益を追求し、経営の健全性を優先した場合、新銀行の使命でもある中小企業への融資が果たされなくなるのではないかと考えます。
そこでお伺いいたしますが、中小企業への融資と銀行の健全性の問題とは二律背反する内容であると思いますが、これらを総合的に勘案した銀行の経営方針を改めてお伺いいたします。
○津島理事 中小企業融資と経営健全性の間での経営のかじ取りでございますけれども、的確な中小企業融資を継続していくためには、まず第一に、徹底した低コスト体質のもと、十分な体力を保持しながら、経済環境の変化や中小企業のニーズに弾力的かつ迅速に対応いたしまして、金融商品の種類においても、また手法においても、幅広い支援を行うことだと思います。
また、これと並行して、銀行経営の健全性を確保するため、信用リスク、市場リスクなど、リスクごとに管理方針を定め、許容限度額を定めた上でリスクを計量的に把握し、各リスクを統合した、いわゆる統合リスク管理を徹底するということです。また、経営と監視とを分離する委員会等設置会社の機能を最大限に発揮しまして、経営の機動性と透明性を確保する、こういった施策を講ずることによりまして、バランスのある経営を行っていくことだというふうに考えております。
○鳩山委員 新銀行の真価が問われるのは、これからが本番であると思います。課題も多く、大変だと思いますが、都民の期待にこたえられる銀行をつくっていただきたく頑張りたいと思いますし、私もでき得る限りの協力をしていきたいと思います。
終わります。
○桜井(武)委員 まず冒頭に、新銀行は石原慎太郎知事の選挙公約でもありましたし、また、新銀行を通して一つの社会貢献をしたい、こういう強い使命感を持っていらっしゃる、このように思っておりまして、私どもも全面的に賛成をいたしておりますが、しかし、やはりちまたでいわれております心配点というのですか、大丈夫なのかなと、そういった点だけを幾つか拾い上げて、質問するというか、確認をさせていただきます。
これは、どの委員の方も質問をされておりますけれども、何しろ無担保無保証、かつ、ほかの金融機関が貸したがらないというか、貸してくれそうもない、そういったところにも貸してあげようということですから、ちょっと考えますと、不良債権が山積みになっちゃうんじゃないかという心配があるわけでありますけれども、そういうことにならないんだということの仕組みが、きちんとつくられておるのかどうか、この点をまず一点、説明をお願いします。
○関参事 新銀行では、まず業務全体の信用リスク管理の基本方針と、その許容限度額を定めてリスクを計量的に設定いたします。
このうち、無担保無保証融資の中心となりますポートフォリオ融資については、そのリスク許容限度額を設定し、これを逸脱しないように管理運営いたします。具体的には、あらかじめ信頼性と実績のあるさまざまなデータベースをもとに、金融工学を駆使した統計モデルとしてのスコアリングモデルを作成いたします。これによって貸し倒れ損失を見込んで、予想信用コストに応じた貸出金利を設定するということでございます。
さらに、個々の融資対象について、経営者の資質などの定性的なチェックを加え、ポートフォリオ全体としてリスク管理を行うとともに、一度作成いたしましたスコアリングモデルにつきましても、貸し倒れ実績を迅速に反映することにより、適宜見直しながらリスク管理を行っていくということでございます。
さらにまた、経営会議のもとに、業務執行部門とは独立した統合リスク管理委員会、信用リスク管理委員会を設置して、管理機能を高めながら、経営陣がリスク管理に直接かつ日常的に関与する体制を確保いたします。
以上のように、不良債権の山積みを防止する万全のリスク管理体制を構築していきたいと考えております。
○桜井(武)委員 これは質問じゃなくて要望にしておきますが、ポートフォリオ型の融資というものの意味、そういったものがまだ一般的によくわからないという人がたくさんいますので、その点を折に触れて説明していくという必要がある、このように思いますので、お願いします。
次に、これもだれでも考えるわけでございますけれども、新銀行が開業すれば、当然金利の高いノンバンクなどから資金を借りていた方々が、こぞってといってもいいぐらい新銀行へ融資を求めてくるということが容易に予想されるわけです。新銀行というのは、このようなノンバンクからのシフト、移ってきた、そういったものも、すべてとはいえませんけれども、相当多く融資していただけるんでしょうかしら。
○関参事 新銀行では、融資審査を基本的にキャッシュフロー重視のスコアリングモデルで行います。このため、ノンバンクなどから借りてシフトしてきた財務内容の悪い企業であっても、そのリスク度合いが許容水準の範囲内である場合は融資の対象となります。しかし、例えばキャッシュフローに対して借入金が相当過大な企業、長期連続赤字で大幅な債務超過の企業など、将来性のない企業については、残念ながら融資の対象外となると考えられます。
○桜井(武)委員 三番目ですけれども、これも先ほど来質問のあるところでありますけれども、本当に民業の圧迫にならないのか。具体的にいえば、信金、信組など、地域の金融機関との協調関係、あるいはまた健全な競争関係、そういったものを構築することはできるのか。もしできるとするならば、そのための具体的な方法というか手法というのですか、そういったものがあるのか、この点も説明してください。
○関参事 新銀行は、地域に軸足を置いたトランザクション・バンクということで、基本的にメインバンクを目指しません。既存の金融システムを補完することが重要な役割であると認識しております。また、信金等の地域金融機関が背負えないリスクの高い分野への資金供給を行ってまいりたいと考えております。
また、信金等の地域金融機関とは、シンジケート型融資や企業再生ファンドなど、さまざまな面で提携を行ってまいります。
さらに、地域金融機関と協調した融資や地域金融機関の融資に対する保証を行うとともに、劣後ローンについても、新銀行の基本姿勢や体力などの諸条件を踏まえつつ、実施に向けて検討してまいりたいと考えております。
○桜井(武)委員 皆さん方もご承知だと思うのですけれども、現在、信用保証協会、ほとんど頼んでも保証してくれないというのが現状でありますので、新銀行に対する期待というのは非常に大きいと思われますので、よろしくお願いします。
次に、新銀行に刺激されたのかどうか知りませんが、日本振興銀行、いわゆるJC銀行ですが、木村剛さんですか、あの方の旗振りか音頭取りか知りませんが、新銀行に先立って設立をされるようでありますけれども、これと、東京都がつくろうとしている新銀行との違いを説明してください。
○関参事 日本振興銀行は、中小企業貸し出しに特化し、資金調達を定期預金に限定した中小企業融資専業銀行を目指しております。これに対して新銀行は、融資にとどまらず再生ファンドやプロジェクトファイナンスなど、幅広く中小企業に資金供給を行ってまいります。また、ICカードを軸とするIT、金融インフラの提供を目的としており、その事業規模、内容において、日本振興銀行とは全く異なると考えております。
あえて比較いたしますれば、中小企業融資については、両者とも既存の金融機関の融資の外側に置かれてきた企業に対する融資を行うという点では共通しております。しかしながら融資金利では、日本振興銀行は三から一五%、新銀行では原則二から八%でわかるように、顧客層が違うということを想定しております。
また二番目には、融資目標や一件当たりの融資額の規模がかなり違うということが主な相違点として挙げられると考えられます。
○桜井(武)委員 質問時間の都合上、これも要望にしておきますが、先ほど来、質問にも出ておりましたが、他の大手行等が似たようなものをこれから始めて、競い合っていくのじゃないかということでございますが、その点についても新銀行は違うんだということを折に触れて説明していっていただきたい、このように思います。
最後の質問になりますけれども、先ほど来、これも質問にあったのでありますが、設立に当たりまして、免許取得の手続をするんじゃなくて、既存の銀行を買い取ってやるという手法をとった、そういうことでありますけれども、仮に既存の銀行を買い取ったやり方であっても、やはり金融庁の監督を受けることにはなるわけでありまして、そういうふうに考えられるのでありますが、今後の新銀行の設立準備について、どのように進められていくのか、その点について説明をお願いします。
○津島理事 新銀行は、買収という方式をとりますために、新たに免許取得のための手続を金融庁に対して行う必要はございませんけれども、ビジネスモデル、あるいはシステムインフラ整備、あるいはリスク管理体制整備など、新銀行の開業に当たっての必要な業務内容につきましては、金融庁に十分説明を行い、その了解のもとに開業していくつもりでございます。
○森田委員 私もこの新銀行に関して、基本的な問題を二、三、まず伺わせていただきます。
都民の税金を使ってつくる銀行ですので、都民の期待に本当に合う銀行にしなくてはならない、そのためには、私たちもぜひしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っています。
その中で、まず基本的な、ちょっとわからない部分なんですが、私の手元に、新銀行の経営陣というペーパーがありまして、余り聞きなれない役職、取締役会議長、代表執行役、執行役。普通、会社ですと社長、代表取締役社長とか会長とか、あるいは銀行の場合は頭取というような名前になっていますよね。これは聞きなれない名前の方たちが出ておりますけれども、この新銀行の組織案でいうと、この人たちはどこに位置して、どうなるのでしょうか。
○関参事 新銀行は委員会等設置会社を採用いたしますので、取締役会と執行部門が分離いたします。取締役会は経営の監視に当たるということで、その取締役会の議長が今回お示しした方でございます。また、その権限の範囲内で、日常的に業務執行に当たるメンバーが代表執行役を筆頭に各執行役ということでございまして、代表執行役につきましては、取締役会を兼務するということでございます。
○森田委員 このスキームによりますと、小さい表の中に、執行役には五名から六名、取締役会は九名から十名。それで、社内取締役は執行役兼務で二名で、社外取締役は七から八名出ておりますが、これは大体いつごろまでに決定するのでしょう。
○津島理事 正式決定は、まず議会のご承認を得て、そして会社を設立いたします。そして、会社を設立した後、いわゆる買収の本契約をいたします。本契約後に、委員会等設置会社の機構改革をいたしまして、その段階ですべての委員会等設置会社の取締役も含めて決定いたします。
○森田委員 これは、なかなか今いえないんでしょうけれども、民間の方がほとんどなるのか。中には、皆さん方、携わってきた人たちが何人かなるのか、その辺はどうでしょう。
○津島理事 まず、代表執行役、いわゆる執行部門の方々でございますけれども、これはすべて民間の専門家の執行ということでございます。それから、取締役会、これにつきましては、経営を監視するという立場でございまして、経済界あるいは会計の専門家、学識経験者、こういったことの中に都側から経営を監視するという役割で一つのポストを位置づける、広く位置づける、非常勤で位置づけるという形でございます。
○森田委員 今まで委員会で皆さんの議論を聞いていて、都側の方たちは、この銀行に対して非常にさまざまなことを考えて、銀行に携わっていないのによくここまでやったなという感じはするのですが、あくまで私にいわせれば、失礼な言い方かもしれないけれども、机上の話ではないかな。このことを、実際にこれから銀行を経営していく執行役の人たちに、皆さん方の思想を本当に伝えられるのか。皆さん方は、都民の側に立って新銀行東京を運営しようという思いでずっとやってこられていますね。しかし、新たになる民間から来る方たちは、これは銀行経営ということが大前提で来る。そこに行き違いが出ないのか。その辺の意思の疎通というか、その辺はどういうふうにして工夫してやっていくのでしょうか。
○大塚出納長 先般お示しをした基本スキームの策定につきましては、もう既にそのプロジェクトの中に新銀行の執行役予定者、あるいはその下のクラスも含めて、むしろそちらの方が主体で、東京都の職員というのは二十数名でございまして、外からそれの二倍、三倍というそのメンバーも既に入ってきておりまして、その方々の力、お知恵、それからアドバイス等を含めてそのスキームをつくり上げたということで、この後、いろいろなステップを踏んで、議会の審議が前提ですけれども、準備会社から本体の方へ入っていくわけでありますけれども、その継続性といいますか、連続性といいますか、あるいは安定性ということは、準備の仕方としても担保されているというふうに考えています。
○森田委員 皆さん方が絡んでいるうちは、都民の側に立った銀行経営に進んでいくと思いますが、その思想をぜひ継続してもらえるようにお願いしたいなというふうに思います。
次に、先ほども取り上げられましたけれども、この新しい銀行の売りになっていますICカード、これについて少しお伺いしたいのですが、知事も、本会議でも今度の銀行の特徴の大きな一つにICカードの活用を取り上げています。これはもうこれからの時代の流れから従って、ICカードを活用することは非常にいいことだなというふうに思うのですけれども、発行枚数百二十万枚を目指す。それだけ多くの発行を目指すのに、ICカードを使った場合に、預金者、お客さん、特に高齢者の皆さんというのは、こういうICカードとか、これを見ると、インターネットを使ってやるとかいうようなことが出ていますけれども、非常に苦手な部分がある。逆にいうと、この方たちが、年金等さまざまな資産を持っていらっしゃる。こういう方をお客様にしなくちゃいけない。
この辺のICカードを使い、ITを使って先端的な銀行をつくる、その裏腹に、お客さんが囲いにくいという部分がないかなということを懸念するんですが、この辺はいかがでしょう。
○津島理事 ITを使った顧客、それからICカードを活用するということで、私もICにつきましてはなかなか素人でございまして、確かに年齢が高齢化いたしますと、現実問題としてはなかなかICのなじみがないということも先生おっしゃるとおりかと思います。しかし、ICカードにつきましては、機能が非常に高度化しているということと、非常に使いやすいということとはまた別でございまして、現金を持たなくて使えるということで、いろいろなこれからの高齢化時代には非常にマッチしたカードではないかというふうに考えております。
○森田委員 でも、例えば、パスネットとか、ああいう簡単なやつでも、高齢者の方は窓口で戸惑っていますよね。そういうのを考えると、やっぱり、そういう方たちにとっては窓口は人間がいいのかなというふうに思います。
それで、せっかくこれだけこういう銀行をつくって、東京の中で革命的な銀行をつくろうというのですから、ぜひお願いしたいのは、今、皆さん方も多分カードを五枚、十枚は間違いなく持っておると思うのです。ちょっと買い物に行ったら、例えばヨドバシカメラ行ったら、すぐカードをつくらされる。銀行に行ったらカード、今、JRに乗るのもカード、カードがいっぱいになる。
しかし、このICカードになった場合には、多分、ちょっと専門的になっちゃうかもしれないけれども、記憶容量は一メガバイトぐらいは十分、というのは、フロッピーディスク一枚分ぐらいはとれる。そうすると、容量としては単行本一冊分ぐらいの記憶容量がとれる。そうすると、この一枚のカードですべてができるようになるわけですね。
このカードを、専門的になっちゃうけれども、中を引き出しのように幾つかに分けて、この引き出しは銀行、この引き出しは交通用、この引き出しは買い物用と分ければ、いろんなところに使えて、今みたいにカードが--財布がお金でいっぱいになったのならいいけれども、お金がなくてカードでいっぱいになっているというのが僕の財布ですけれども、皆さんも結構似たような感じじゃないかな。(笑声)
そういうところに、ぜひ今回の新銀行では、せっかくICカードをつくるので、そういうことを試行した上での活用方法、さっきコカ・コーラが買えるとかいうお話がありましたけれども、もっと広げて、さまざまな使い方ができるように工夫していただきたいと思うのですが、その辺はいかがでしょう。
○関参事 銀行カードIC化の目的の一つは、都民生活の利便性の向上でございます。新銀行では、ICチップの大きな容量を活用いたしまして、キャッシュ機能やクレジット機能のほか、各企業と提携した多種多様なサービス機能を付加してまいります。具体的にはJR東日本のビュー・スイカとの一体カード、JALマイレージや三越ポイントなどの機能を付加したカードの二種類を発行いたします。
技術や運用ノウハウの問題等から、開業時にはこれら二種類のカードの選択ということになりますが、都営交通等との一体カードを発行する段階を目途に、できる限り一つのカードですべての提携サービスが利用できる次世代のカードを予定しております。また、新銀行では、今後とも都民生活の利便性をさらに向上させていくとの観点から、さまざまな企業の提携を広げてまいりたいと考えております。
○森田委員 確認ですけれども、新銀行のカードを私がつくろうと思った場合には、スイカを持っていれば新銀行のカードができるということですか。
○大塚出納長 関参事がご答弁申し上げましたのは、仮定の話を含めてご説明したためにちょっとわかりにくかったのですけれども、森田副委員長ご指摘のとおり、多機能複合カードであります。それで、JR、都営交通、それからもろもろのいろいろな複合機能を連携して、複合的な機能を総合的に集約をしたそのカードを一枚持てば、いろんなことができる、それを目標にカードをやっていくわけでありますけれども、ハードの整備がありますので、そういう意味で、ステップとしては、途中、ほんの短い時間ですけれども、その二枚のカードが必要な、そういうことも短期的にはあり得るということを申し上げました。
○森田委員 大変細かいところに入っちゃって申しわけないんだけれども、このICカードのところには、都営交通等にも使えると出ていますよね。僕、使っているんですけれども、これはスイカ、これは都営交通。都営交通や私鉄の場合は、差し込んでスッといくやわらかいやつじゃないとだめ。スイカはかたい、こんな厚いやつですよね。両方に兼用できるということは、都営交通の改札を変える、これは出納長室に聞くのはおかしいんだけれども、変えて使えるようにするということなんですか。
○関参事 その方向で進めてまいりたいと思っております。
○森田委員 ではもう一つ確認ですが、都営交通に使えるということは、他の施設、小田急、京王も使えるというふうに考えてよろしいですか。
○関参事 両方使えるような形で準備を進めていくということでございます。
○森田委員 済みません、しつこくて。それはいつごろになるのでしょう。
○関参事 現在のもくろみといたしましては、十八年度ぐらいというふうに考えております。
○森田委員 十八年度ね。じゃ、十八年度になったら新銀行に入ればいいわけですね。(笑声)済みません、細かいところで。
それと、ICカードに関連して、この銀行では通帳レスを目指すというふうに出ているのですけれども、預金者は通帳を持たないでいいようになるのでしょうか。
○関参事 原則として通帳は不要と考えておりますが、どうしても通帳が使いたいという方に対しては、それの対応をするということでございまして、基本的には通帳レスで対応してまいりたいと思っております。
○森田委員 わかりました。新しいことに挑戦して、すべてに新しいことで、いいこといいことのような感じで、欲張り過ぎているんじゃないかなという部分もちょっとありますけれども、ぜひ都民の期待にこたえる銀行をつくっていただきたいということを要望して、質問を終わります。
○川井委員 実は、先ほど鳩山委員から、デビュー戦ですとあったけれども、私も実は二年目ですけれども、デビュー戦でございまして、よろしくお願いをいたします。
理事の皆様方、あるいは大塚出納長との委員さんたちのやりとりを聞いていますと、とにかく都民のために、中小零細企業のために、しっかりした間違いのない銀行をよろしくつくってください、はい、わかりましたで終わってしまうんだろうと思っていますけれども、幾つかの質問をしたいと思っております。
実は、私は、中小企業で一番不足しているというものに対して考えているのが信用という部分でございまして、ちょうど平成十一年の二月か三月だったと思いますけれども、MXテレビで、各会派から一人ずつ出て、経済問題の討論を二時間ほどやった記憶がございます。当時、自民党は二十一名と三十三名に分かれて、自民党東京の二十一名の方の代表としてその経済問題をやりとりした覚えがございます。
そのときに、まだ石原さんが知事になる二カ月ほど前だったと思いますけれども、実は、中小企業が不足しているものというのは、技術力でもないし人材でもないし、精神でもないんだ。一番不足しているのは信用だ。そうであるならば、その信用力を行政が担保するというようなことをひとつ考えられないだろうか。そのことが一番大事なんではないだろうか。いわゆるアメリカでいうエンゼル、こういう個人投資家というようなものも参画していただく。そして直接金融と間接金融の比率を変えていく、そういう意味合いでも非常に大事なんじゃないだろうかというような思いを持って、当時お話をさせていただいた記憶がございます。
実は、そこのところを担っていただく部分がまさに信用保証協会でありますが、なかなか保証渋りだとか、いわゆる貸し渋りだとか、銀行、金融機関にとっては。それで初めて、私はこの新銀行の必要性が出てきたんだろう、当初の目的はまさにそこにあったんだろう、こう思っております。
ところが、最近何か、そこのところで目を向けておいていただければいいんですが、何か金融業界に風穴をあける改革なんだというようなところに重きがいってしまってきているのかな。あるいは、ICカード、ここにどうもぶれてきているのかな。しかし、実はぶれているのではなくて、いわゆる中小企業の方々をきちっと守っていく、そのために、突破口をつくらなきゃならないし、ICカードなんですよというようなご答弁になるのかどうかわかりませんけれども、まずそこのところをひとつお答えをいただきたいと思うんです。
○大塚出納長 川井理事にもう既におっしゃっていただきましたけれども、まさにそのとおりで、一つのICカードというのは--一番大事なのは、川井理事がおっしゃっているように、中小企業で不足している信用力の補完といいますか、それがこの新銀行設立の大眼目であります。
ただ、それをやるためにいろいろなビジネス戦略が必要であります。その一つとして、ICカードがぶら下がっている。それによって、ICカードを使って都民生活の利便性を向上し便益を提供することによって、その根っこのところの供給といいますか、供給の余剰といいますか、そういうものを少しでもふやしていきたいということであります。
それから、金融改革は、スキームのページの中にはロードマップということでお示ししてございますけれども、そういうことをやっていけば、それによって中小企業は元気になり、それから経済が元気になってくれば、それをにらみながら、金融行政全体を含めて、金融行政といいますか、金融の秩序といいますか、金融秩序全体を含めて、本来あるべき金融のあり方、そういうところまでつないでいけるんじゃないだろうかということで、言葉としては並列的に出てきておりますけれども、実は複合的、断層的な、そういう概念になります。どうぞご指導をよろしくお願いいたします。
○川井委員 CLOやCBO、こういう債券という形の中で、ある意味、力のある中企業というか、中小企業の中でも力があるところに対しては、早く手をつけていただく。今回この新銀行が初めて中小というかなり零細企業的な部分まで手を突っ込んでいただけるのかなという、実は期待をしております。
ところが、五月に出た資料なんですけど、貸し出しのターゲットは正常先と要注意先だ、こういう資料が当時出ているんです。貸し出し先のターゲットが正常先と要注意先と書いてあるんですね。
実は私、それじゃ今までの信用金庫も--あるいは実は東京都が新銀行をつくるということを石原知事が選挙公約の一つとして掲げた、そういうのが一つのきっかけになったんだろうけれども、今、三井住友銀行になっているけれども、住友あたりが大阪金融界の中でもかなり積極的に、無担保等のものに新しい商品をつくり始めた。そうすると、実際つくりますよといってそういう方向に金融業界の新しい流れが起きたところで、実は一つの役割は終わっている、こういう見方も実は極端にいえばあるわけです。しかし、それ以上の役割をこの新銀行に持たせていかなければ、新しい役割というのを担っていけないんだ。
そんな立場で少し聞くんですけども、この五月の貸し出しターゲット、正常先、要注意先から、実は今回出していただいた基本スキームを見ていきますと、ありがたいなと思っているんですけれども、先ほど来出ているポートフォリオ型融資ということの中で、ここには債務超過、あるいは借り入れ過多の中小企業も対象になり得ると、こう書いてあるんですね。
先ほどの正常先とか要注意先なのかというと、この債務超過、借り入れ過多というところは、実は破綻懸念に属する。そうしますと、金融庁が貸し出しをするときに引当金を積ませる、この引当金ですね、これは全部、正常、要注意、破綻懸念あるいは破綻、先ほど数字が出ていましたけれども、引当金のパーセント、積み立てなければならないパーセントが違う。それがふえていくから危ないところには貸したくないんだということで貸し渋りがどんどんどんどん出てきている、こういうことになるわけですね。
そこで質問をさせていただきたいんですが、大変ありがたいなと思っているんですけど、この破綻懸念に属する債務超過、借り入れ過多の中小企業の中でも、将来性があれば、技術力があれば、借り入れ過多ですからね、そうであっても、これから五十年返済していくというのがなかなか難しくても、その先に希望があれば貸すんだ、こういうことなんだろうと思っているんですが、ここのところが、実は今都民や中小企業の本当に苦労している方々が期待を寄せているところなんですね。さきの五月に出た正常だとか、あるいは要注意、ここのところはほかでも貸してくれるんですよ。どこでも貸してくれる。ですから、ここに一番注目しているんだろうと思っていますので、ここのところの答弁をきっちりしていただきたい。
○大塚出納長 たしか五月の正常先の概念で、川井理事が財政委員会の委員長のときに、もちろん委員長ご自身じゃなくて、委員長にはちょっと委員会の席以外でご説明したと思うんですけれども、委員会の中でも若干そういうやりとりがあったかと思うんですけれども、あのときに私お答えしたのは、あの正常先というのは新銀行の正常先なんです。もちろん新銀行が貸すんですから、新銀行の物差しでこれは正常と認定すると、そういう意味での正常先だ、そういうふうにお答えしたと思うんですが、今回のスキームの中で、債務超過、借り入れ過多の中小企業も対象になり得るというふうに申し上げておりますけれども、それはいわゆる一般的な債務者区分でばっさりいけば、破綻懸念とかなんとかという、そういう整理も場合によってはあり得るかもしれませんけれども、そういう整理ではなくて、キャッシュフローでいく。信用力を厳密にカウントして、それで債務者区分をやるのではなくて、キャッシュフローがあれば、しかも一定の見通しがあれば、そこは貸し出しの対象として考えますよ、そういうことでこの新銀行の運営は考えておりまして、あわせてリスク管理は、ポートフォリオについては全体のパックでやりますので、いろいろ混在の中で、ポートフォリオ全体としていろんな貸出先があって、いいところもある、悪いところもある、しかしほどほどのところもある。いろいろあって、そういう貸出先全体のポートフォリオとして、いわゆる貸し出しの総額が健全性があるか、そういうこれまでの個別の物差しとは違った物差しでポートフォリオ全体の運営をしていきたいというふうに思っておりますので、何とか頑張って手当てをしていきたいというふうに思っております。
○川井委員 要するに、今までの金融界あるいは金融庁、金融監督庁あたりがいっている正常先、要注意じゃなくて、新しい定規、新銀行の定規なんだ、その中でということになりますと十分わかりますし、その要注意の幅というのが多少広がって、かつての破綻懸念の上の方まで突っ込んでいくのかな。これは中小企業にとっては大変明るい見通しをいただいた答弁だなと思って感謝しておりますけれども、ただ、私もそういう立場で質問しながら、構わず破綻懸念も破綻も全部貸せなんていうようなことをいっているのではなくて、そこのぎりぎりの勝負をすることに今回の銀行の意義があるんだろう、こういう思いであえて聞かせていただいております。
それと、松村さんがかなりしつこくやったので余り触れたくないんですけれども、ちょっと触れたいなと思っていましてね。実は引当金が、一年目が約百億ぐらいですか、それから百十五億、それから十五億となっております。それから貸出融資が二千九百、六千、それから九千三百億ぐらい。確かに全体で見ますと二・六なんだけれども、単年度、単年度で見ていきますと、おおよそ三千億ぐらいに対して三・八四%を超している。最後の年の三千億に対しては〇・五%になるんですね。
それで、同じように理解しろということになりますと、今いった債務超過、借り入れ過多の方々もかなり積極的に手をつけていただけるのが二年目までで、三年目から変わるんですよということではないんだろうか、こう思うんですね。そうすると、単年度、単年度を見たときに、新しい三千億の融資先、仮にそうするならば、これは一年目の約三千億の融資先、二年目の三千億の融資先、じゃ、四%と〇・五%も違うほどの信用力の違いなのか、あるいは経営の力の違いなのかというと、そうじゃないんだろうと思うんですね。そうすると、単年度、単年度で見ていった場合、これはどう理解したらいいのかな。
事前に話を聞きますと、リピーターがいるんだと、こういう話だったんですね。リピーターがいるから、実はもう貸してあるから、そこにおいて返していった実績だとか信用力というのがあるからこういうふうに減ずるんですよというふうなご説明をいただいたんだけど、じゃ、リピーター率って何%になるの。八割を超すの。そうじゃないとこれは理解できないよという話をしたんだけども、どうもそこのところの説明をしていただいた方が、そう説明してくれたんだけれども、私はそうじゃないんだろうと思っているので、きちっとした説明をしてほしいんです。
○大塚出納長 失礼しました。必ずしも十分な事前のご説明ができなかったことをおわびしたいと思いますけれども。
もちろんそのリピーターというのが出てくると思うのです、やっているうちに、時間がたつにつれて。しかしそれが本体ではなくて、この損益計算書の上では、まず貸倒償却という欄が臨時損益の中に、お手元にあると思うんですけれども、これを見ていただけばわかりますように、十八、六十一、七十七とそれなりの、償却の数字そのものは、これはフローですので、フローとして各年度償却で金を出して整理をしていっているわけです。
一方、引当金の方は、これは消える金ではなくて、ストックにつながる金です。ですから新銀行発足をしてから、飛行機が飛び上がるときはそれなりのエネルギーが必要ですけれども、一年目と二年目で、少し無理しても引き当てをうんと積んでしまって、経常状態に早く持っていきたいということで、初年度百十、それから百十五ということで、三期目に入ったときには右側の貸借対照表上の貸倒引当金、これはストックで資産でございますけれども、二百四十という一つの根っこをつくってしまったということです。
その経常で、クルージングに入れるようなスタンバイを終わったということで、この損益計算書上は、三期目については十五億ぐらいで二・六になるわけですけれども、まあ大丈夫だろうということで十五億の数字でありまして、個々の融資の内容が一つ一つ、一期目、二期目、それから三期目の貸倒引当金の繰入額とリンケージしているということではございません。きちっとした手当てをしてまいりたい、必要な資金供給をしてまいりたいというふうに思っております。
○川井委員 そこのところの数字が出てくるんだろうと思っていました。しかしながら、やっぱり単年度ずつ見ていくと、若干無理しているのかな。私はこの銀行をよりよくつくってほしいという思いの側ですから、そういう意味では、今回こういうスキームを出すときに、かなり理解をしていただくために、場所によっては無理しているのかなという思いがあって、余り無理をなされているよりも、こんな程度なんですよというものの方が理解をいただけるのかな、そういう思いであえてちょっと聞いてみました。
それと同時に、どうしても理解ができないんだけれども、例えば融資をしていただきたい中小企業の方々が、どういう窓口かわかりませんけれども、例えば新銀行と東商さんと一つの業務提携をして、東商さんが用紙を配ってくれる、あるいは受け付けてくれる。仮にそうだとしましょう。そうすると、そういうことを含めて、窓口に来る人たちをどのぐらい想定しているんでしょうか。
それと、実際に融資をしますよ、決定して融資をするというこの実行率、これをどのぐらい見積もっているんでしょう。ついでに平均融資額。
○関参事 一件当たりの平均融資額は二千万と想定しております。年間申し込み件数は二万一千八百件ということで、窓口に参りますのは一日当たり七十九件、約八十件と想定しております。
○川井委員 この二万一千八百というのは実行した数字なんですか。
○関参事 これは来訪の数ということでございますので、これの約六割程度が実行になるのかなというふうに考えております。
○川井委員 実はこれは先日ご説明いただいたときに二万、ご説明した方は、五割という話だったんですね。五割から六割。五割から六割という説明ですと、一割違うと二千件以上違う。そういう答えしか我々都議会議員はいただけないのか、こういう思いをまず持っておりました。
仮に五割だとすると、一万件を超えるわけです。一万件で二千九百億を割ると、一件当たり三千万。中小零細企業の方々が平均で三千万を借りますかと、こういう話になって、私は、その方にはぶつけました。
今困っている方々は、設備投資が欲しいわけじゃありません。中小零細企業の方は、あらゆるところから、国金を含めて、信用保証協会を通して、地元の信金さんを通して、あらゆるところから既に借りまくって、それでもあすの運転資金が、きょう従業員に払う人件費が、それに困っているんであって、これは今平均で聞いたら二千万。そういう数字じゃないんじゃないでしょうか。五百万、八百万という数字に困っているんではないんでしょうか。
そうすると、私はこの見込んだ数字というのは大きく違ってくるのかな、あるいは大変な件数がふえてくるのかな、どっちかになるわけですね。件数がふえていくのか、総額が減るのか、こういうことになるわけだけれども、二千万とか三千万という数字を想定しているならば、余りにも町のこと、中小零細企業の方々の実態をつかんでいないといわざるを得ないと思うんですが、どうですか。
○関参事 二千万という数字につきましては、私どもで一定の過程として考えてきたわけでございますけれども、先生ご指摘のように、実際の融資の実態と総合的に勘案して、さらに検討していきたいと思っております。
○川井委員 それと、二万一千八百人の方が窓口に来てくれる。実はこれを実行するまでに、用紙の配布、それから用紙を書き上げてもらったものを受け付ける、受け付けたものの説明の聞き取り、それによって今度、指導、相談、それによって再提出、そして決定、最低でも五、六回、信金さんあたりはフェース・ツー・フェースで対応しているんです。仮にこの六を掛けたら、十三万回ぐらいになる。さあ、どうやって、一つの本店と九つの支店で十店舗、そして二百三十人、これで対応していくのか。
そうなると私は、もう私が多少答えていきます、時間がもうなくなってきたのでね。ほかの、例えば信金さんあたりと業務提携をして、例えば、東商さん、用紙配布をお願いしますよ、信金さん、受け付け、聞き取り、相談、指導、ここら辺までお願いしますよというような形で業務提携をして手数料を払っていく。そういう考え方をしていかないと、とてもではないけれども、今の職員数では対応できないと思うんですが、いかがですか。
○津島理事 融資の実行につきましては、私どものポートフォリオ型融資の執行の仕方というのは、これまでの銀行とはいろいろな面で異なっておりまして、例えばコールセンターを使ったり、あるいはインターネットをフルに活用したり、先生おっしゃるように信金との連携を行ったり、あるいは商工会議所、こういったところの推薦を受け入れたり、それから単に職員ばかりではなくて、委託職員、それから、こちらの説明にもございますけれども、外部委託、いわゆるオリックスを使った外部委託の職員を使う。こういったものをそれぞれ組み合わせて融資を実行するという形をとっておりまして、先生がおっしゃる件数、いろいろご心配いただいておるわけでございますけれども、十分に対応できるというふうに考えております。
○川井委員 私は、大いに信金を使うべしと思っているんです。というのは、今の東京の中小企業の融資というか、金の動きを守っているのは、信金だと思っているんです。しかもメガバンクなんかと違って、そこに情もあるし、そして何よりも、ただ単に表面的なものだけでなく、例えば技術力だとか、あるいは従業員の構成だとか、あるいは家族構成から社長の人柄まで、そして、その工場が立地している、あるいはご商売をしている店舗、そういうものまですべて把握しながら、まさに地域に密着したこういう力を--これから将来的に金融界が大きな戦いになっていく中で、メガバンクなどに負けていくようなことがあってはいけないんだろうと思います。ですから、ある意味、この新銀行が信金さんと一つにパッケージされる中で、戦い残っていかなければならない。それが私は東京の中小企業のためになることだろう、こう思っているんですね。
ですから、当然用紙の配布とか受け付けは、これは知識も何もなくてもできるわけですから、東商さんでも何でもいいわけです。あるいは商店街連合会でも何でもいいです、そんなものはね。だけども、聞き取りだとか指導、相談だとか、そういうところになってくると、やっぱり知識と経験が必要になってくる。こういう部分が、みんな今ITがどうのこうのといわれたけれども、中小企業の中で、それこそそういうものにたけていない人も多くいるわけだから、そういう意味では、大いにこの窓口を利用すれば、東京新銀行は大変な窓口がたくさん、一信金が二、三十店舗から四、五十店舗持っているわけですから、一挙にふえてくるわけです。
それで、実はそろそろ終わりにしますけれども、ICカードについても聞こうと思ったんですけれども、既にいろいろ出ていますので、実は信金さんが一時期、共通ICカードというような形の努力をしたやに聞いております。しかし、技術的にもう少しかかるのかなということで延期しているようであります。
私は、こういうところにぜひ、東京都の新銀行をつくり上げるその知識と技術を持っておられる専門家の方々も含めて、力をかしてやったらどうなのかな。これが、新銀行のICカードとすべての信金さんのキャッシュカードが一枚になったならば、都銀あたりと戦う大変大きな武器を信金さんに与えることになる。そうすると、先ほどいったこういう業務提携をして、仮に年間二十億かかるというようなものが、そういう武器を与えることによって、十億、五億、あるいは参加させてもらう、こういうようなことにもつながるんだ。
先ほど出てきたように、実はこれはあらゆるものが一枚で処理ができる。将来的にはガス、水道、電気、電話料、こういうものまで、今はコンビニに行って、現金を持っていかなきゃ払えないんだけれども、そういうものまでできるようなカードができ上がってくるんだろう、将来的にはね。そのときには、これがまさに十分に、メガバンクと戦えるだけの材料になるんです。
そうすると、本当に今回の新銀行をつくった意味合いがより大きくなってくるんだろうと思いますが、最後に局長の方からお答えをいただければ、私の質問はまだ用意しているものがあるんですけれども、時間の関係もございますので、また改めて議論をする機会を設けたいと思いますので、ぜひそんなことで、総括でひとつお答えいただければありがたいと思います。
○大塚出納長 ICカードを含めた信金との提携についてのご示唆をいただきました。
ICカードにつきましては、もう川井理事ご存じのとおり、信金が開発をしようということで、それも全国信金ということでずっと開発に取りかかってきた経過があるわけでございますけれども、残念ながら今その開発計画というのは、信金の内部事情もこれありで、とんざしているわけであります。
ご示唆のとおり、ICカードも含めた信金とのリンケージができれば、もうこれにこしたことはないわけでありますけれども、信金側の意向もございますでしょうけれども、そういうふうなことで、信金の方にはきちっとした申し入れ、そういう用意があるということをアプローチをしていきたいというふうに思っております。
それから、先ほど来ずっとリスクを含めたいろいろなご議論をいただいておりますけれども、やはりこの銀行は、いわば両極の命題を背負って出発するという、先ほど申し上げましたけれども、その両極の命題を調和させるための一つの調和点といいますか、均衡点が必ずあるわけでありまして、それは効率性、生産性であり、それから独自性、差別性だというふうに考えています。
独自性ということになりますと、例えばICカードを含めて、ほかの金融機関が提供できない、あるいは金融商品もそうですけれども、不十分な領域について差別化した商品あるいはサービスを提供していく、それが一つ一番大きな物差しだと思います。
それから効率性ということになると、これも先ほど来いろいろご議論いただいておりますけれども、革新的なチャネル、それからアウトソーシング、フラットな少数制の組織、さらにはランニングコストを極力抑えた低コストの体質、あるいはスコアリング等、金融工学を駆使した審査手法など、いってみればほかの銀行にない斬新なハード、ソフトを内蔵して装置化した執行体制と運営、それが効率性、生産性のストックになると思うんですけれども、そうしたこととあわせて、当然のことながら、この銀行が健全な経営体として存続するためには、融資、それから余資運用を含めて、適正な利益を生み出すための仕組みもまた必要であると考えております。
それから、いろいろとご心配をいただいておりますけれども、リスクの高い分野、それをどの程度--川井理事からも具体的に、全部やれといっているわけじゃないというお話がありました、どの程度背負うことができるかということになりますと、独自性と効率性によって生み出されるこの銀行の総体的な体力、その総体的な体力によってリスクのしょい切れる水準というのが設定されることになるんだろうというふうに思います。
信金業界等、地域金融機関としっかり力を合わせて、これまでの既存の金融機関が失敗してきたことを他山の石といたしまして、負の遺産を初めとする各種の制約がもしないとしたら、こういう銀行もあるのだという、都民、中小企業に広範に支持される新しいビジネスモデルをきちっと提供することができるというふうに考えております。
引き続きご指導をよろしくお願いいたします。
○川井委員 ぜひ頑張ってください。終わります。
○小美濃委員 もう時間も大分過ぎてまいりましたので、簡潔に数点質問をさせていただきたいと思います。
先ほどのご議論を伺っておりまして、中小企業のためにも、また既存の銀行をこれからよりいい方向に持っていくためにも、新銀行というのは大変注目をされていると思いますし、また期待をされているのかなと思っております。
そういった中で、こういった質問をするのもなかなか不粋なのかなとも思いますけれども、しかし、やはり政策的に東京都がつくるということが大前提にある銀行でありますので、例えば十年、もしくは二十年、三十年と景気が大分回復をしてまいりまして、中小企業も今のような窮状が改善をされた状況になった場合、なお銀行を存続させる必要があるのかという議論が必ず出てくるのではないかと思っております。
そうなったときに、新銀行の将来的な存在価値、意義といってもいいかもしれませんけれども、こういったことについてはどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○津島理事 経済の幅というものをどういう形で設定するかということについては、いろいろ考え方の違いはあるかと思うんですけれども、現在の景気は回復傾向にあるとの見方はございますけれども、当面は大手企業が中心であり、中小企業については依然として厳しい状況が続く可能性が高いと見ております。
また、産業構造の変化に伴う資金ニーズ、あるいはその厳しい競争条件のもと、企業が勝ち抜くための資金ニーズ、こういったことなど中小企業の資金需要を長期スパンで見ても、しばらく変わらないというふうに私ども予想しておりまして、こういったことを踏まえますと、将来も、中小企業に円滑な資金を供給し、総合的な支援を行うという新銀行の存在価値は小さくなるとは考えておりません。
○小美濃委員 確かにつくる前からこういう議論をするのは何かなと思ってはおりますけれども、しかし先ほど他の委員からもありましたけれども、何で公が、もっというならば東京都が銀行をつくるのかという疑問に対して、やはり多くの都民の方がこのことについては少なからずいろんな意見をお持ちなわけですよね。
ということは、なぜかというと、やはり税金、血税を一千億円出資しているという、ここに一点あると思うんです。ですから、まだまだ私も、この中小企業の厳しい状況が改善されるとは思っておりません。ですから、新銀行をつくって、しっかりとした新銀行の役割を果たしていただきたいと思うんですけども、しかし税金を投入したという銀行であるわけですから、最後の幕の引き方を漠然としてでもお持ちになっていた方がいいのかな、そんなふうに思っておりまして、例えば一千億を引き揚げるのかどうなのか、それぐらいのことは、今から、つくる前からこんなことを話してもしようがないんですけれども、今後の課題として議論を続けていっていただたきいな、そんなふうに思っております。
次に、新銀行が政策実現のためにつくる銀行であるというわけでありますけれども、やはり株式会社という形態をとる以上、もうけを出さなくてはならない、黒字を目指していかなくてはならない、これは当然のことであります。そうなると、先ほど来心配の一つにもありますけれども、やはり既存銀行、既存金融機関に対して、何らかの影響は当然あるのではなかろうかと思っております。
この新銀行のターゲットとする融資のマーケット規模、これはしっかりとつかんでいなきゃいけないなと思うんですけれども、このマーケットの規模というのはどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
○関参事 都内の中小企業向け融資残高は、本年三月末で約六十五兆円でございますが、これは二年前に比べて約十四兆円減少しております。この減少分の中には、本来必要でありながら資金調達ができずにいる企業の需要も含まれていると考えられます。また、各種の景況感調査にあらわれている中小企業の資金繰りの厳しさなどもあわせて勘案すれば、相当規模の資金需要を見込むことができると考えられます。
新銀行は、基本的にはそうした潜在的な需要の掘り起こしを行っていきたいと考えております。
○小美濃委員 マーケットは十分にあるというお答えでございました。しかし、新しいマーケットの中で、新しいというか既存のマーケットの中で顧客を取り合うということになりはしないだろうか。またその顧客を取り合う相手が、先ほど川井先生からの質問の中にもありましたけれども、やっぱり重要なパートナーにこれからなるであろう信用金庫など、地域の金融機関になってしまうのではなかろうか。こういったことで信用機関との関係が悪化してしまうと、先ほど来ご説明のあった根本が揺らいでしまうわけでありまして、こういった意味から考えますと、地域金融機関との共存、もしくは共在というんでしょうか、共栄、拡大をしながら、このマーケットをともに拡大をしていかなくてはならないと思っているわけですけれども、この点についてはいかがでしょう。
○津島理事 先生おっしゃるように、新銀行は、地域に軸足を置いたトランザクション・バンクとして既存の金融システムを補完することが重要な役割であると認識しておりまして、具体的には信用金庫等、地域金融機関との連携が非常に大事だというふうに考えております。信用金庫とは、シンジケート型融資や企業再生ファンドなどさまざまな面で提携をし、ともに発展を目指していきたいと思っております。
また、多様な手法を用いて地域金融機関が提供できない、リスクの高い分野への資金提供を行うほか、知事が代表質問でお答えいたしましたけれども、地域金融機関の融資に対する保証を行うとともに、劣後ローンについても、新銀行の基本姿勢や体力などの諸条件を踏まえつつ、実施に向けた検討を行っていきたいと思っております。
○小美濃委員 この劣後ローンというのは、やはり銀行でなくてはできない政策というか融資でありまして、これは制度融資とは差別化をできるのかな、銀行をつくる意味があるのかなというふうに思って、この点については大変評価をしているわけであります。ぜひともこの辺につきましては、実施に向けた検討を行うということでありますけども、やはり実施をしていただきたいな、こんなふうにも思っております。
また、先ほども申し上げましたけれども、株式会社という形態をとるということでありますので、本来であれば利益を上げて、それを株主に当然分配をしていくというのが株主、株式会社の基本でありますので、そうすることも一つの考え方なのかなとは思うんですけれども、しかし政策的につくられた銀行ですので、この新銀行は、やはりもうけは、都民や、また中小企業に還元をされるといいなと。そういうことをまた旨としていただきたいなと思っております。
そういうことをすることによって、本来の金融機関がやるべき役割、こういったものが、今どうも貸し渋りや貸しはがしをしている銀行に対して、いい刺激になるのではなかろうかと思っております。ある意味では株式会社なんだけれども、形態はNPO的でいいんじゃなかろうか。もうけは還元をし、また、この必要経費を少し大きくしてまた還元をしという、そういう形でもいいのではなかろうかと私は思っているわけであります。
そのためにも、やはりちゃんと利益を上げる、これは大事なことではないかと思うんですけれども、この利益を上げるということをどのような手だてで今後行っていくのか、ちょっとその辺をお伺いしたいなと思っております。
○津島理事 先生おっしゃるように、銀行は重要な社会的な装置の一つで、社会経済全般に対して大きな役割と責任を持っております。しかし既存の銀行は、膨大な不良債権等から自己資本の劣化が進み、銀行としては収益を黒字化させることに追われまして、本来の役割と責任を全うしているとはいいがたいような状況でございます。
新銀行は、利益の極大化ではなく、成果を都民や中小企業に還元することを目指しております。そういった担保ということで、そのような経営を貫徹し、将来にも新銀行の経営理念を担保するためには、委員会等設置会社制度を採用しまして、監査委員等に都から社外取締役として参加することや、大株主として経営の大枠を監視するなどに努めることで、この理念を銀行の経営に反映させていきたいと思っております。
○小美濃委員 今回の新銀行は、経営のあらゆる局面で顧客本位を貫く、こういったところが売り文句でありますけれども、経営のあらゆる局面で顧客本位を貫くというのは、具体的にはどのようなことを行うのか、予定をお伺いをしたい。
○関参事 新銀行の顧客本位の経営についてでございますが、第一に、中小企業のニーズにこたえ、担保や第三者保証にとらわれず、キャッシュフロー本位でスピード融資を行い、融資後も経営支援、経営相談等のサービスを提供するとともに、郵便局、アイワイバンクの入出金手数料等を当面無料化するなど、顧客ニーズをリアルに把握し、運営を行ってまいります。
第二に、みずからがコーディネーターとなって、金融、産業、行政等の力を融合させ、ICカードの活用や各種のファイナンスの構築など、業種の枠を超えた横断的な連携による新たなサービスを提供してまいりたいと考えております。
また、これらに限らず、新銀行は、経営判断をするさまざまな局面で顧客本位を貫いていきたいと考えております。
○小美濃委員 顧客本位を貫くということでありますが、先ほども少し他の委員が触れられておりましたけれども、経営に携わる経営陣、これをどのように考えていくかというのは大変重要であると思っております。
代表は先ほど来ご説明がありましたけれども、どのような観点で今後の役員人事を考えていくのか、具体的に、もしわかりましたらお伺いをしたいなと思います。
○津島理事 役員人事の今後の任命の人事戦略としての考え方でございますけれども、既に代表執行役につきましては候補者をご提示させていただきましたけれども、今後はこの代表執行役を中心に、それから、いわゆる産業界から代表役を候補者としてお示しさせていただきましたので、今後これを支える、金融界の専門家を交えて、それぞれの役員の専門性がうまく融合して、迅速、的確な経営が行われるような体制をつくり上げていきたいというふうに思っております。
○小美濃委員 ぜひ頑張っていただきたいなと思うんですけれども、最後に一言ちょっと意見をいわせていただきたいんですけれども、先ほど他の委員からもご指摘がありましたけれども、今回の新銀行につきましては、マスコミ各社の関心が大変高いことも実はありまして、ある意味我々がこの委員会で本来ならば知り得る情報が、先に新聞報道で知らされたという件が随分ありました。特に外資系の銀行のときには、私も実はびっくりいたしまして、これは知事の記者会見の前でもあったんですよね。ですから、これは本当にどういうことなのかなと思いながらも、担当者の方にいろいろ苦言も呈したわけでありますけれども、そのすぐ後、また間髪入れず新代表の発表がありまして、本当にこれは一言でいいますと、やっぱりわきが甘いなといわざるを得ないわけであります。
財政委員会も、また都議会の本会議も承認機関ではないわけでありまして、こういうものが出てきたから、はい、そうですかというわけにはなかなかいかないですよね。でも、ああいう出され方をされると、やはりもういいのかと、委員会は、じゃどうでもいいのかということにもなりかねないわけでありまして、先ほど来議論をしておりましても、すべてがすべて賛成の会派ではないわけですよね。我々は賛成の会派ですけれども、すべてがすべて賛成の会派ではないわけでありまして、よくよくお話を伺うと、当局も寝耳に水だったということもあったかもしれませんけれども、しかし、多くの都民も大変関心があるわけでありまして、デリケートな問題であります。中小企業のためにも、本当にこの新銀行には頑張っていただきたいと心から思っているわけでもありますし、ぜひともこれからわきを締めて取り組んでいただきたい。
また、先ほど新役員の話もありましたけれども、今度は新役員の名前は新聞報道で聞くよりも、先に委員会でぜひお知らせをいただければと要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で出納長室関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十三分散会
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