財政委員会速記録第二十号

平成十五年十一月十八日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十二名
委員長近藤やよい君
副委員長森田 安孝君
副委員長小美濃安弘君
理事松村 友昭君
理事川井しげお君
理事中村 明彦君
秋田 一郎君
鳩山 太郎君
執印真智子君
桜井良之助君
桜井  武君
藤川 隆則君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長櫻井  巖君
経理部長佐藤  広君
契約調整担当部長小山 利夫君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長江連 成雄君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事齊間 孝一君

本日の会議に付した事件
 財務局関係
事務事業について(質疑)
  報告事項(質疑)
  ・第二次財政再建推進プランについて

○近藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより財務局関係に入ります。
 事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 先日の委員会におきまして要求をいただきました資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと思います。
 一枚おめくりいただきまして、目次でございます。
 今回要求いただきました資料は、中小企業受注実績(五年間)の外三件でございます。
 まず、一ページをお開き願います。要求資料第1号、過去五年間の中小企業受注実績でございます。
 これは、工事と物品について、全企業と中小企業それぞれの受注実績を、平成十年度から平成十四年度までの五年間分集計したものでございます。
 表の一番下にございます、平成十四年度の中小企業の受注実績をごらんいただきたいと思います。工事関係におきまして、中小企業分は、件数で八六・三%、金額で四六・四%となっております。また、物品関係におきましては、件数で八六・二%、金額で五六・〇%が中小企業分となっております。
 二ページをお開き願います。要求資料第2号、財務局発注の公共工事における予定価格の公表前及び公表後の落札状況でございます。
 表外に記載のございますように、財務局発注の八千万円以上の土木・建築工事、また、二千六百万円以上の設備工事につきまして、一部を除きまして予定価格を公表していなかった平成十三年度と、予定価格の公表を実施した平成十四年度のそれぞれの落札率を示したものでございます。
 三ページをお開き願います。要求資料第3号、普通会計決算における普通建設事業費の目的別推移でございます。
 民生費、衛生費、土木費、教育費の区分ごとに、平成十二年度から十四年度までの三カ年間の推移をお示ししたものでございます。
 四ページをお開き願います。要求資料第4号、財政再建推進プランの別紙2に掲げる事業一覧でございます。
 これは、平成十一年度予算において一般財源充当額五億円以上の百三十八事業につきまして、十一年度予算額と十五年度予算額を比較したものとなっております。左から事業名、十五年度予算額、十一年度予算額、右端に増減額となっております。四ページ以下、百三十八事業につきまして九ページまで掲げてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○秋田委員 去る十月、第二次財政再建推進プランが発表されました。六月の、「途半ばにある財政再建」から始まり、中間のまとめを経て、この第二次財政再建推進プランが完成したということでございます。私はこれまで、これらの資料が出されるごとに質疑をさせていただきました。なぜならば、財政再建こそ都の根幹であり、今後の行政サービスや都民福祉の向上の礎をなすものだと思ったからでございます。きょうは、このような観点から、この第二次財政再建推進プランについてお伺いさせていただきたいと思います。
 まず、一番最初にお伺いしたいんですが、今回の財政再建推進プランは第二次ということですが、今回のプランでは財政再建をどのようにとらえているのか、根幹的なことをまずお聞かせください。

○熊野主計部長 まず、財政再建をなぜやるか、その目的でございますが、これは、新たな都民ニーズにこたえ、東京の活力を呼び戻す先進的な取り組みを進めていくために、財源不足を解消し、強固で弾力的な財政体制を確立することであるというふうに考えてございます。
 このため、第二次財政再建推進プランのもとでの財政再建は、第一次の取り組みを踏まえまして、財政再建の取り組みをこれまで以上に踏み込んだ、構造的なものといたしまして、量、さらには質の両面で財政構造を改革する必要があります。
 こうした観点から、プランの計画期間中にとどまらず、中長期的な課題あるいは構造的な課題も視野に入れて、新たな都民ニーズにこたえるための都独自の施策展開を目指して財政構造改革を積極的に推進していく、こういうことが基本的な考え方でございます。

○秋田委員 第一次プランを振り返ってみますと、一般財源で五億円以上の事業がすべて一覧表として羅列的に載っておりましたが、今回のこの第二次財政再建推進プラン、これは二一ページから三十の具体的な事業が付表という形で例示されております。この付表の巻頭を読みますと、今後各局が財政構造改革、都政の構造改革に向けた検討を行っていく際の素材として示したものである、こう書いてあるわけですが、都民の中には、これらの事業が見直し対象なのではないかなと心配している人も多いと聞いております。この付表というのが、前回のプランと私は一見してわかる、最たる違いだと思っております。
 そこで、事業や制度を解説し、分析している付表をなぜ掲げたのか、そこの点をお伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 先ほどご答弁申し上げましたように、これまで財政再建、全力を挙げて取り組んでまいりましたが、これからの財政構造改革は、これまで取り組んできた取り組みの上に、さらに一歩進める必要がございます。
 こうした取り組みを進めるためには、現場を持つ各局が、事業や施策に内在する中長期的な課題、さらには構造的な課題に取り組むとともに、常に施策の優先順位を意識いたしまして、新たな施策を始めるに当たっては、必要性の薄くなった別の既存事業を廃止、休止する、施策をダイナミックに入れかえていく、こういった取り組みが自主的、主体的に行われることが必要であろうと思っております。
 このために、プランでは、プランの期間中にとどまらず、中長期的な取り組みが必要なものも含めまして、今後、各局が検討を行っていく際の素材といたしまして、財政再建の基本的な視点を踏まえまして、付表において問題提起をしたものでございます。必ずしも書かれた方向でやるということで決まったわけでもございませんし、逆にまた、三十項目にとどまるという意味でもございません。

○秋田委員 確かに、これまでの四年間、財政再建推進プランの取り組みによって内部努力と施策の見直しなどを進めて、財政再建団体への転落を回避してきたということは、ある意味着実な成果が上がったと、これいえると思うんですが、しかし、それであればこそ、この第二次財政再建推進プランの取り組みには、これまで以上の、何倍もの努力が必要だと、私は安易に予想ができるのではないかと思っております。
 私は以前、委員会で、トヨタのカイゼン方式を学んでほしいということをご提言させていただきました。それは、都の、上からトップダウンでこうこうしろ、これだけ削減しろというよりも、まさしくトヨタさんのように、ボトムアップ、現場から積み上げて少しでも、こういうところが努力できるんじゃないか、こういうところがもしかしたら可能なんじゃないか、そういった意見を集約することによって、さらなる都財政の「カイゼン」が可能なのではないかなというふうに申し上げさせていただきました。「カイゼン」に取り組むことが財政再建には重要だと思ったからでございます。
 これからは、各局がみずからの問題として財政再建に取り組む体制を築いてもらいたいし、そのためにも、各局の、本当に現場にいる方が、どんなことが可能かということをもう一度みずから意識改革をして、また、上司の皆様方は、そのご意見をしっかり吸い上げていただいて、さらなる努力を望むところでございます。
 次に、プランの収支見込みについてお伺いしたいと思います。
 現下の厳しい社会経済状況のもとでは、都財政に神風が吹くなんということはなかなか予想できないことだと思います。これからの経済情勢をどのように見ているのか、収支見込みについてお伺いしたいと思います。
 まず、プラン期間中において、収支不足を三千五百億円から四千百億円として試算をしておりますが、ここのところ景気もようやく落ちつきを見せているのではないかなという見方もございます。この収支見込みにおける財源不足はどのように見込んだのでしょうか。

○熊野主計部長 ご指摘のように、最近になりまして景気回復の兆しもかいま見えるという説もございますけれども、先行きは依然不透明であると思っております。景気指標などがこのところ堅調であるわけですけれども、これが、景気が自律的な回復軌道に乗って、今後安定的に推移していく前ぶれなのか、あるいは一時的な持ち直しにすぎないのか、このあたりは、今後の民間企業の動向あるいは揺れ動いております国際情勢によるところが大きく、予断を許さない状況にあると考えております。事実、十二年、十三年、ITバブルで税収がふえましたけれども、結局は三兆九千億まで十五年度落ち込んだというふうなこともございます。したがいまして、現時点では税収の着実な伸びを見込めるだけの材料はないというふうに私ども判断いたしまして、歳入、歳出ともに十五年度の予算ベースを前提とした上で、十六年度以降の税収の伸びをゼロといたしまして財源不足を見込んだところでございます。

○秋田委員 重ねてお伺いしたいんですが、第一次プランでは税収を最終的に二%伸びる、こう予想してプランを作成していらっしゃいましたが、今回のプランでは税収の伸びをゼロとした理由は何なのか、もう一度お伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 第一次のプランでは、税収につきまして、最終年度で二%の増収を見込みまして、四兆七百億円と見込んでおりました。ただ、現実の税収はこの見込み額を大きく下回りまして、これが現在に至っても財政再建が「途半ば」であるという理由の大きなものであると受けとめてございます。
 景気動向が不透明でございまして、税収の伸びを見込めない中にありましては、仮に税収の伸びがゼロであっても、都民のニーズにこたえ、新たな施策展開が図れるように財政構造改革を進める必要があると考えております。そこで、第二次プランにつきましては、この期間中の税収の伸びを見込むことは適切でないというふうに判断いたしまして、伸びをゼロといたしました。

○秋田委員 私、この点に関しては大変評価をさせていただきたいと思います。安易な--安易というべきか、安直というべきか、二%伸びるだろうという前回のに比べて、今回は厳しくゼロというふうに判断をされたということは、非常に現実的であるんじゃないかなと思っております。大体、将来の収支予測とか、あるいは景気動向なんていうようなことほど当てにならないものはないと思いますので、本当にその点から、今回のゼロとされたということは評価をされたいと思います。
 そこで、次に問題となるのは、この財政収支で見込まれる財源不足、これもすごく、本当に危機たるものがあると思うんですが、どのように立ち向かうかという方策の点ですが、このプランでは、具体的方策として、内部努力、施策の見直し、歳入確保、地方税財政制度の改善と、この四つの柱、四本柱とも呼ばれる四つの柱を掲げていますが、中でも重要なのは、私も従来から主張させていただきましたが、何といってもこれ、内部努力だと思っております。
 そこで、お伺いさせていただきたいのは、その内部努力の中でも一番重要なのは、やっぱり一般歳出の実に四割を占める給与関係費だと思っております。今回のプランで見込まれる三千七百億円の財源不足を解消するため、内部努力のうち、給与関係費で五百億円の削減を計画していますが、それは構成比に対して何%に当たるのかという点をまず第一点。
 それから、内部努力全体では、前回プランでの確保額千六百億円から今回は一千億円に減っておりますが、内部努力の徹底が前回に比べると不十分じゃないか、そういう考え方もできると思うんですが、いかがなものでしょうか。

○熊野主計部長 まず、給与関係費の削減につきましては、一次プランと同額の五百億円ということで計画してございます。これは、財源確保目標額三千七百億円に対しましては一三・五%の構成比となっておりまして、一次プランでは七・九%でございましたので、構成比としては割合が上がっております。
 また、内部努力全体で、確かに一次では千六百億ということで、今回千億ですので減ってございますが、これは、プランの期間が四年から三年になったということも関係ございますけれども、いずれにいたしましても、構成比は逆に二五・四%から二七・〇%と上がっておりまして、決して内部努力の徹底が不十分とは考えておりません。

○秋田委員 今の話を聞きますと、前回プランでの確保額千六百億円から今回は一千億円に減っているとはいえ、構成比としては上がっているということだと思うんですが、いずれにせよ、厳しい社会経済情勢の下では一層の内部努力を求めたいと思います。
 そこで、その内部努力の中身についてさらにお伺いしたいと思うんですが、やっぱりこれ、目玉としては、職員定数の削減だと思います。前回のプランでは五千人の削減目標に対して五千八百七十五人の達成を見たところでございますが、今回は、前回の四年から、三年間で四千人の削減を目標としていると。これについては具体的にどのように実行していくつもりなんでしょうか。

○熊野主計部長 これまでの定数削減と申しますのは、事務事業の廃止あるいは縮小等と連動して行ってまいりました。それが中心的な定数削減でございましたが、限界といえばちょっと語弊があるかもしれませんが、なかなかこれ以上の削減というのは難しくなっていると思っております。
 そこで、今回のプランにおける定数削減に当たりましては、事務事業の見直しというこれまでの手法に加えまして、事務の集中化あるいはITの活用によりまして、仕事のやり方自体を見直して、事務の効率化を図らなければならないと考えております。このために、内部管理部門の統廃合あるいは人材派遣の活用あるいは部門全体のアウトソーシング、そういった、より踏み込んだ取り組みを行うことによりまして、簡素で効率的な執行体制を築き、定数の削減をしていく取り組みが必要であると考えております。

○秋田委員 アウトソーシングを含め、民間でできることは民間にやってもらうという姿勢を持って都庁自体もスリム化していくことが、やはりこれから財政再建をやっていく上で皆様方のご理解を得られるのかなと思っております。
 内部努力の状況はわかりましたが、財政再建の過程では都民サービスの低下を招かないということがやっぱり重要だと思います。また、やむを得ず都民に我慢をお願いせざるを得ない場合でも、その大前提として、都みずからが徹底した内部努力を行わなければ、都民の皆さんの理解というのは得られないんじゃないかなと思っております。こういった意味でも、内部努力の大切さを改めて強調しておきたいと思います。
 次に、財政再建の具体的方策の全体像についてお伺いしたいと思います。
 財政再建の取り組み方策は、先ほど述べました四つの柱で、これにそれぞれ財源確保目標額というものが、これを拝見すると掲げられておりますが、この確保目標額の考え方についてお伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 財源確保の考え方は、まず、二次プランの最終年度でございます十八年度の財源不足額三千七百億を解消することを目標としてございます。
 で、四本柱それぞれ、いずれが重要かということはなくて、すべて重要なんでございますが、考え方としては、まず、みずからやるべきことをやる。そのための取り組み方策として、まず給与関係費の削減等の内部努力によりまして一千億を捻出する。さらには、徴税努力などによりまして四百億円の歳入を確保するということでございます。
 次に、では確保できるもの、ほかからとれる--とれるというとちょっとまた語弊があるかもしれませんが、とれるものはとるというふうなことで、国から都への税源移譲等により一千百億を確保するということでございます。
 これらの取り組みに全力を挙げてもなお不足する、解消できない千二百億円につきまして、施策の見直しによって確保していこうということでございます。
 したがいまして、施策の見直しは、特定の事業を念頭に置いているわけではなくて、あくまですべての事業を対象とした、聖域のない見直しを行っていくことによりまして、具体的には、毎年の予算編成を通じて目標額を確保していくものでございます。

○秋田委員 今もお話がありましたが、次に、取り組み方策の一つとなっている税源移譲についてお伺いしたいと思うんです。
 現時点では国から地方への税源移譲は具体的な道筋が見えていないというのが、皆さん本当に理解されていることだと思っております。また、この税源移譲の実現は、都が幾ら頑張っても都だけではできないというものだと思います。先般も私、携帯電話でニュース配信なんかをしておるんですが、先般の多分やっぱり財政委員会の途中だったと思うんですが、ニュースが入ってきまして、谷垣財務大臣が三位一体の改革を先送りみたいなニュースが配信されてまいりました。この方策として中に入っている国から都への税源移譲について、本当に一千百億円確保できるのか、本当に心配しているところでございます。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、国から地方への税源移譲は、前回プランでも、財政再建「途半ば」の理由であったと思います。第二次プランでの一千億円の確保に向けた、まず決意を主計部長にお伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 国から地方への税源移譲は、ご指摘のとおり、具体的な道筋が見えないのが正直なところでございます。事実、最近の新聞報道では、財務大臣が、十六年度は少なくとも税源移譲はないというふうなことを発言したというふうな記事も載っておりました。しかしながら、一次と違いまして、今回は、骨太の方針二〇〇三で、政府の方針となっておりますので、十八年度には何らかの筋道が示されるものと考えております。
 都といたしましては、景気変動に対しまして、税収が安定的で比較的偏在性が少ない税源の移譲が望ましい。具体的には、所得税から住民税へ、あるいは消費税から地方消費税へという税源移譲を強く要求していきたいと思います。
 同時に、その際に、都は、大都市が抱えている交通インフラの整備あるいは環境対策など膨大な財政需要に的確に対応していかなければなりません。こういったことを踏まえまして、税源移譲の制度設計に当たって、大都市移譲に十分配慮するように強く国に求めてまいりたいと思っております。

○秋田委員 この税源移譲ということは、地方自治の観点からも本当に重要な問題ですので、オール都庁に限らず、都選出の国会議員も含めて、巻き込んで一生懸命やらなくちゃいけない課題だろうと思っております。
 次に、この財政再建プランの五二ページに書かれております、警察費における国庫負担、これについてお伺いしたいと思っております。
 現在の制度がいかにおかしいかというのは、例えば外国の賓客が国賓として来日したとき、その警備はどのような経費負担となるのか、説明をいただきたいと思います。

○熊野主計部長 国賓として来日したお客様につきましても、東京都の警察である警視庁が警備を行いまして、そのうちの少なくとも人件費は、国ではなくて都が丸々負担しているのが現状でございます。

○秋田委員 これは多分、私の記憶が確かならば、以前、舛添さんが東京都知事選に立候補したときにも、この点についてはかなり指摘されていたと思うんですが、このほかにも、この「国のしくみを変える」というところでは、例えば不利益措置の改善要求ですとか、地方交付税の不交付等を理由とした財源調整ですとか、法人事業税の分割基準、また、道路特定財源の配分のゆがみですとか、本当に東京都に対するいじめとも思えるようなおかしな制度、仕組みが依然としていっぱいある。この点に関しては本当にじくじたるものがございますが、本当にこれは、先ほどの税源移譲と同様に、石原東京都知事も含めて、オール都庁、そして都選出の国会議員と一緒に意見、そして直していただかなくちゃいけないことだなと思っております。
 今後、財政再建の達成に向けて、財務局は内部努力の一層の徹底を初め、施策の見直しの各局に対する働きかけを進めるとともに、国にも積極的にこうしたことに関しまして物申していかなければならないと思っております。
 最後に、内部努力を初めとしてプランの達成には非常に厳しい状況が予想されますが、財政再建に向けた財務局長の決意をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○櫻井財務局長 財政再建は、新たな都民ニーズにこたえる施策の財源を生み出す、将来を見据えた積極的な取り組みでございまして、強固で弾力的な財政体質を確立していく必要があると考えております。このたびの財政再建の取り組みは、第一次プランの取り組みの上にさらに努力をしていく、こういうものでございまして、今までの取り組みを強化拡充ということで、大変厳しい取り組みが予想されます。庁内の各局とも連携協力して、第二次財政再建推進プランに基づきまして内部努力をさらに徹底するとともに、中長期的な視点、こういうものを持ちまして、施策の総点検、こういうものをやって、再構築などを進めていかなきゃならない、こういうふうに思っております。
 このような取り組みに今後全力を挙げまして、都財政の構造を改革し、都民の安心・安全を確保するということで、東京の活力を呼び戻す施策、こういうものを積極的に推進してまいります。

○桜井(良)委員 最初はちょっと意見なんですが、今、秋田委員からお話がありましたけれども、国とのいろんな関係の中で、制度の改革も当然のことながら、やっぱりこれはどうしてもおかしいというものについても以前から、洗い出しておかしいものはおかしいといって、国の負担、きちんと話し合いをすべきだといったんですが、財政再建プランが発表されまして、内部努力なり経費の見直しなり制度の改革でいろいろ努力されていることは評価するんですが、やっぱり税財政制度の改革だけは全然進んでいない、全く進んでいない。これはもう昔から進んでいないんですよね。ですから、これはもう財務局長、いうはやすし行うはかたしなんですが、この制度改革だけはやっぱり本気を入れて、運動論まで含めてしっかり考えていかないと、いつまでたっても改革しないと思うんで、特段の取り組みをお願いしておきたいと思います。
 私は都債についてお聞きしたいんですけれども、特に資金調達という観点から、地方自治体の資金調達というのは、今まで許可制度でしたから、国の全面的な援護といいますか、護送船団方式で国が全面的に見ていたわけでありますが、一応、平成十八年度からこの起債の許可制度がなくなって、事前の協議制に変わって、自由に起債を発行できるようになった、こういう経過があるわけなんですが、今、地方債の現状を見ますと、地方自治体の資金の多くが、やっぱり国の財投債によって賄われているという部分はたくさん多いわけであります。新聞を見ましても、財投の引き受けは廃止するよと財務省が方針を出したという記事もあるわけでありますが、財投債で賄われているという実態の一方で、財投債の中身である郵貯だとか年金、こういうものが改革で、特に郵政公社は民営化するとなってきますと、将来はやっぱり資金調達が大きく影響を受けるんじゃないかなと、こういうふうに考えるわけであります。
 一方、国も五百兆円以上国債を発行して、これ以上発行できないということもありますので、地方の分まではとても見ていられないやという考えになっていると思います。ですから、そういう意味も見ますと、構造改革、三位一体といいながら、この資金調達をめぐる議論は、郵政公社の民営化や年金制度の改革、一方では、都債ですから市場のいろいろな変化などを含めまして、大きな議論が三位一体の構造改革の中でも起きてくるということが予測されるわけなんですね。
 そこで、財投の引き受けは廃止するという方針を財務省が出したわけなんですが、これは、それぞれの債券を発行しているところは全部の自治体じゃありませんけれども、しかし、発行しているところから見れば大きな影響を受けるんじゃないかと思うんですよね。いち早く心配したのは、都はどうなっちゃうんだろうと、こういうことなんですが、その点はいかがでしょうか。

○熊野主計部長 十月末のころでしたか、先生ご指摘のように、赤字地方債の財投による引き受けを段階的に廃止するという報道がございました。私どもは国から正式にこのような方針決定があったという話は聞いてございませんので、あくまでも仮定ということでございますが、いわゆる赤字地方債である臨時財政特例債は、平成十五年度地方債計画では全国ベースで五兆八千六百九十六億円発行されてございます。そのうち四割が政府資金で引き受けられております。しかしながら、都はこれまで臨時財政対策債を発行してございませんので、直接的な影響はないと考えております。
 もう一方、減税補てん債、これも赤字債でございますが、全国ベースで六千九百四十四億円発行されてございまして、これもその四割が政府資金で引き受けられております。都は、十五年度予算におきまして、減税補てん債、千三百四十二億円計上してございます。これにつきましても、政府資金ではなくて、市場公募債の発行によりまして市場から調達するという仕組みになってございますので、同様に、直接的な影響はないと考えております。

○桜井(良)委員 ちょっとわき道にそれるんですけれども、さっきちょっと国のやり方のことをいって、しっかり挑戦しろという話をしたんですが、この減税補てん債もちょっと変なんですよね。国の減税によって地方に穴があいた、その穴は地方で賄えということで、そのために債券を発行して賄っているわけなんですよね。ですから、それに対してまた、ほかの県は交付税だとか資金の調達があっていい、都は交付税がないから全部賄わなければならない。市場で調達しているから影響はないといえば、それはそのはずなんですから、国の方針。しかし、減税補てん債そのものも、やっぱりさっき秋田委員がいったように、国の横暴さがちらちら見える制度だなということをまず指摘しておきたいと思うんです。
 まあ、影響はないというふうにお話ししたわけですけれども、政府資金と市場調達の割合は都債全体でどうなっているのか、これをお答えしていただきたいと思います。他の自治体もね。

○熊野主計部長 全国ベースで比較するために、平成十三年度の地方債許可実績で申し上げますと、都は、財政融資資金あるいは郵便貯金資金など、いわゆる政府資金が一二・八%でございます。それから、市場公募債が七四・四%、それから銀行等の引受債あるいは公営企業金融公庫資金、その他が一二・八%となってございます。
 これに対しまして、都を除く道府県について申し上げますと、政府資金が四六・七%、それから市場公募債が一〇・六%、その他が四二・七%となってございます。
 こういう数字から見まして、都は、政府資金の割合が道府県の約四分の一と非常に低いこと、そして市場公募債の割合が道府県の七倍と非常に高いこと、これが大きな特徴となっております。

○桜井(良)委員 都が国に頼らず自律的に市場から資金を調達しているから、国の勝手な都合によって、まあ、勝手だといわせていただきますが、勝手な都合によって方針の変更があっても、幸いにして財政面からのリスクは回避できる、こういうことだと思うんですが、そうやって努力していることについては一定の評価をしていきたいと思いますが、しかし一方で、市場の調達が多いといっても、市場は、まあ何ていうか、よく市場は生き物だと、こういわれますけれども、別の意味でも市場調達のリスクがあると思いますね。
 景気の底入れ観測から見ますと、景気の回復が一方では期待が高まっておりますが、しかし、株式市場の反騰や金利上昇、そういう懸念材料もあるわけで、債券市場がこれから下落するんじゃないかとか、そういういろんな変動に今見舞われているわけですよね。そういう中で、最近の債券市場における金利がどうなっているのか、お答えしていただきたい。

○熊野主計部長 最近の金利の動向でございます。六月に十年物の国債の利回りの低下を受けまして、十年都債、表面金利、過去最低の〇・五%まで低下いたしました。しかしながら、それまでの金利低下の反動もございまして、六月下旬以降、債券相場がかなり乱高下をしてございます。九月以降、やや落ちつきを取り戻しておりますけれども、十一月発行の十年都債のクーポンが一・五%ということで、半年足らずで一%の金利上昇となっている状況にございます。いずれにいたしましても、傾向としては、金利の上昇局面に入ったのではないかと受けとめております。

○桜井(良)委員 ことしの都債の発行額が四千三百億円ですよね。すると、一%の金利上昇ということは、年間約四十三億円の金利コストの増加を招くわけでありまして、市場が乱高下していく中で、安定的で、かつ低コストな資金を調達していくということは非常に大事になってくると思います。
 そのための方策として、いろんな商品を、都債の商品化を多様化していくことが大事だと思いますし、これまでもこの議会でもいろんな方々が、我が党を含めてそういう意見をいってきたところでありますけれども、都の個人向けの三年物の都再生都債や、あるいは二十年、三十年といった超長期債を発行するなど工夫しているわけなんですが、そういう工夫については一定の評価をしていきたいし、新聞報道や皆さん方のご報告を受けても、それなりの評価を差し上げていいのではないかなと思います。
 都は八月にこの超長期債については二十年、それで十月には初めて、自治体としては三十年債というのは初めてですよね、これを発行したわけですが、そのねらいとメリットは何なのか、改めてお伺いしていきたいと思います。

○熊野主計部長 超長期債の発行につきましては、発行年限を多様化することによりまして、新たな投資家層を開拓し、中長期的に安定した資金調達を図っていくというねらいがまずございます。また、固定金利であるということから、長期にわたりまして金利変動リスクを軽減あるいは回避することができるというメリットがございます。加えまして、金利が上昇しつつあるとは申しましても、歴史的に見れば非常に低い水準にございますので、こうした現在の低金利を将来にわたって超長期で享受するというメリットがあると考えております。

○桜井(良)委員 二十年債を発行してから、自治体では初めての三十年債を発行するまでに二カ月ほど間を置いたわけでありますけれども、これはどういう事情があったのか教えていただきたいと思います。

○熊野主計部長 超長期債の発行に当たりましては、先ほどもご答弁申し上げましたように、債券相場の大きな変動がございまして、市場環境を慎重に見守る必要がございました。今回の超長期債は、主幹事制を採用いたしまして、起債運営で初めて綿密な需要予測、具体的に申し上げれば、主幹事を通じて具体的な投資家にサウンドするという作業でございますが、そういった需要予測に基づきまして発行条件を決定するというスプレッドプライシング方式を導入するといった、投資家動向を把握しながらの起債運営を進めてきたところでございます。
 で、六月以降、債券相場が大きく変動してございまして、やや落ちついた時期に慎重に適正な金利水準を探った結果、二十年債について八月二十一日に発行することができました。
 しかしながら、一方、三十年債につきましては、やはり長期の資金運用ということで投資家層がやや限られているということから、債券相場変動の影響が強くあらわれて、しばらく様子を見て、発行のタイミングを探るということとしたものでございます。十月に入って債券相場が安定しまして、投資家の需要も改善して起債環境が好転した、そういったタイミングをとらえて十月二十四日に発行したものでございます。

○桜井(良)委員 今、超長期債の発行のねらいは、新たな投資家の開拓と、こういうお話もあったわけですが、そこで、どのような先に販売したのか、お伺いしたいと思います。

○熊野主計部長 私ども、引受先からの聞いた話でございますけれども、まず二十年債の販売先につきましては、主幹事の方から、中央、地方の投資家層に幅広く販売したというふうに聞いてございます。業態といたしましては、生命保険、信託銀行などの中央の機関投資家、あるいは信用金庫、共済組合、諸法人など地方の投資家まで幅広いものとなっているというふうに聞いております。
 一方、三十年債につきましては、投資家層がやや限定的でございますけれども、同様に、生命保険、それから信託銀行などの中央の機関投資家に幅広く販売したと聞いてございます。
 都債の基幹となってございます十年債につきましては、地方銀行あるいは信用金庫などが多いのに対しまして、超長期債は、長期保有を志向いたします生命保険あるいは信託銀行などに購入されたということが特徴だと思っております。

○桜井(良)委員 超長期債の発行によって、新たな投資家層といいますか、そういうものの拡大が図られたと、こういうふうなご答弁だったと理解しますが、安定資金の調達ということからは、ある意味ではいいものだったのかなと現時点では考えられると思うんですね。
 そこで、今後この超長期債の発行予定はどうなっているのか、今年度も含めて、お考えがあればお示ししていただけませんか。

○熊野主計部長 年限の多様化という観点から、できるだけ超長期債の発行に努めてまいりたいと思います。
 具体的には、先生ご指摘のとおり、市場は生き物でございますので、今年度中にさらに、可能であれば三百億円程度の発行を考えてございます。ただ、金利の動向は引き続き変動幅が大きな状況にございますので、投資家動向あるいは市場環境を見きわめて、タイミングを探っていきたいと思っております。

○桜井(良)委員 市場が不安定な中で発行していくことは大変だと思います。長い目で見れば、この超長期債の発行は都財政に対して一定の貢献をするものだなと、こういうふうに認識するものでありますが、市場の動向を慎重に見きわめることが大事でありまして、その点抜かりのないようにしてもらいたいなと、こういうふうにも思うわけであります。
 いろいろとこの国の構造改革をめぐって、都債の発行についても、先ほどいった郵政公社の改革を含め非常に不透明な部分も多くて、地方債を発行していくということは、前途は大変予断を許さないものがあると思うわけです。
 そこで、市場からの都の今後の資金調達について、今後どういうふうな姿勢で臨んでいくのか、お考えがあれば、最後ですから、お答えをいただきたいと思います。

○櫻井財務局長 都はこれまでも、国の資金に依存することなく、自律的に市場からの資金調達に取り組んできたわけでございます。地方債市場は、ご指摘のように大きな変動期にございまして、これまで以上に市場における都債の評価を高める努力や工夫をしなければならない、このように考えております。
 このため、投資家向けの広報活動を重視しまして、都債説明会の定例開催や、あるいは投資家向けホームページを開設するなど、投資家向けの情報提供に力を入れるとともに、今後、市場のニーズを反映した都債の商品性向上にも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 今後とも、より一層市場で高く評価され、効率的かつ安定的な資金調達ができますよう、市場を重視した取り組み、こういうものを積極的に行ってまいりたいと思います。

○松村委員 財政再建の一次プランを行い、目標をほぼ達成したとしながら、なお、財政再建は「途半ば」だとし、第二次財政再建プランを実施するとしています。つまり、都民ばかりに痛みを押しつける都民施策の切り捨て目標は達成しながらも、二次プランではさらに一歩踏み込んだ、都民施策の切り捨てを行うという方向が示されています。しかし、このやり方で都財政は立て直せるのか、この方向が真の都財政再建の道なのかということです。
 そこで、改めて振り返って簡単に検証してみたいと思いますけれども、第一次プランでは老人医療費助成など、都民の命綱である福祉予算などを八百六十億円も切り捨てる一方、大型公共事業などは、これまでは景気対策だと補正予算まで組んでやってきましたが、全く景気対策にならないことが明らかになると、今度は東京の活力を生むためには社会資本整備が急務だなどと、専ら都市再生優先で予算を重点配分するなどとしてきました。この間の都の重要施策の六割が大型公共事業であることも、そのことを端的に示しているというふうに思います。
 その結果、財政再建にとって都債の発行を抑制することは欠かせないと思いますが、確かに異常なバブル期の発行額に比べて抑制されてはいます。しかし、抑制基調などとして、一次プラン期間中も当初予算では前年度に比べてふやし、さらに最終補正予算で積み上げるということを繰り返して、結局、借金はふやし、知事の前期の公約、借金ゼロ、これも守れなかった。ここに都財政再建が「途半ば」の要因になっていることは、我が党は明らかだというふうに考えております。真に財政再建をいうならば、この構造こそ徹底的にメスを入れるべきだと指摘して、二次プランの中身についても何点か伺っていきたいというふうに思っています。
 そこで、二次プランの指標の出発点となる二〇〇三年、平成十五年度予算を二千四百九十七億円の財源対策をとるなど、引き続き巨額の財源不足であったとしていますが、一次プラン中、六千七百六十七億円の税収増が事実としてあったわけです。専らそれを投資的経費などに使いましたけれども、そういう使い方をしなければ、この二〇〇三年、平成十五年度の二千四百九十七億円の財源不足というものは解消できたのではないでしょうか。

○熊野主計部長 一次プラン期間中の税収増と、その使途につきましては、これまでにも何度かご答弁を申し上げてございますけれども、事実、四年間の税収がプラン見込みに比べて六千八百億円、増収になってございます。しかしながら、この中の八割、五千六百億円は財政再建の取り組みによる増収でございます。すなわち、六千三百億円の財源不足を解消するために、銀行税等、あるいはその他の徴収努力等による取り組みによって財源確保した分でございますので、それが増収というふうに見ることについては、いささか疑問だと思っております。
 それから、その税収増に伴いまして、千三百億円の税連動経費、いわゆる区市町村に交付する金がふえてございますので、そういったプランの取り組みによる財源確保、あるいは税連動経費を除けば、ほとんど手元に残ったということはいえないというふうに考えております。手元に残った増収分につきましても、将来に備えた基金の積み立てあるいは隠れ借金の削減など、そういった健全化策を実施するために使ったものでございます。そうした基金への積み立てがあったからこそ、税収が比較的堅調だった十二年度、十三年度から、一転して減収となりました十四年度、十五年度も何とかサービス水準の維持ができたと考えております。
 百歩譲って、もしこの税収増を蓄えていたらというご指摘を受けたとしても、これは先ほど申しましたように、十二年度、十三年度の増収がITバブルの一時的なものでございますので、その使い道がどうだったかとは別問題といたしまして、現在、税収としては三兆九千億円しかない。歳入歳出のギャップがあって、このギャップは構造的なものであるという事実は変わりませんので、財政再建の必要性は全く変わらないものと考えております。

○松村委員 都民の目線から見て、私はいろいろ今いいましたけれども、理解できないということは端的に伝えたいと思います。といいますのは、今まで計画を四年間立ててきて、少なくともその中にいろいろ努力があって、計画していた財源よりも六千七百六十七億円は事実上回ったわけですよ。つまり、計画というものがあって、計画を努力して実施して、それを上回るものがあれば、確かに年度間のいろいろな変動があることは、それは事実でしょう。だからこそ財政調整基金などに積み立てるとか、またこの間、財務局も認めざるを得なかった最終補正、結局、ふえた税源が一時的なものだといい、首都高への無利子の貸付金だとか出資金だとか、国のいうままになるような国直轄事業の負担金など、まさに、現金でというか、ふえた財源を本当に現金で、驚くべきようなことをやったり、また前倒しして他会計借入金として、結局それが臨海会計に全部飲み込まれて、その赤字に埋められたとかいうことでした、今までの議論では。
 事実、でも計画どおりやってきたら計画どおりになるのですよ。その計画よりも、いろいろな努力をやった結果だといいますけれども、六千七百六十七億円ふえたわけですから、それはもし六千七百六十七億円もふえて、それが雲散霧消にしてしまったというのだったら、その計画自体が何か、計画は計画どおりやれば、それを上回って、税収も見込みよりもふえたというのですから、それは確保して、きちっとやれば、十五年度予算の二千四百九十七億円の財源不足は解消できたということは、これは都民の目線に立てば当然だということで、改めて指摘したいというふうに思います。
 引き続き三千億円から四千億円もの財源不足としていますが、第二次プランの今後の収支見通しは、税源不足を殊さら強調するものとなっているといわざるを得ないというふうに思います。
 そこでお聞きしますが、一つは、国の税制改正に伴う影響額を見込んだとしていますが、平成十五年度、確かにマイナス五百五十億円、十六年度は七百億円ですから、この十五年度の五百五十億円プラス百五十億円、都税が減ると。しかし、減税補てん債だから百五十億円、この収支プランでは確かにふやしてきております。ところが引き続き、十七年度、十八年度はどうなるのかということで、十五年度の国の減税というのは、それ以前の恒久減税とは違って、税制中立といいますか、確かに三年間は税が減るけれども、それ以降はふえると。つまり十八年度に収支均衡ゼロと。実際私も主税局の質疑の中で、どのようになっているのかという点では、今いいましたように、十六年度はマイナス七百億円の影響が出るけれども、十七年度は逆にプラス八十億円。それで、十八年度はゼロになるわけですから、七百億円の十六年度分の出発からいけば、六百二十億円、この税収見込みはふやしていかなければいけないわけですね。なぜそれが見込まれていないのでしょうか。

○熊野主計部長 十六年度におきましては、ご指摘のとおり、国の税制改正分の七百億円程度の減収を見込んでございます。それから、十七年度につきましては、個人住民税の配偶者特別控除の廃止などの増税分によりまして、税収が回復すると見込まれてございます。しかしながら、一方で、銀行課税が全国的に導入されることから、三百億円、東京都の銀行課税が減収になってございます。全国的な銀行課税については、税制中立ということで税収増減を見込んでございませんので、税収の伸びはプラスマイナスゼロということで見込んでございます。

○松村委員 主税局の資料によると、それは見込んでいるのですよ。十五年度に銀行税の七百億円ということで、事実、十六年度以下は終わりますからね。だから私がいったのは、恒久減税の影響を見込んだといったら、その分を見込んでいないことは事実でしょう。だって、主税局からの--どういう資料を財務局の収支見通しについて出しているのかという点においては、はっきりと見込んでいないと。それは財務局の考え方でやったのでしょうということを、改めて私はこの点で指摘しておきたいというふうに思うのです。
 しかし今は、今後のそれとしても、先ほども質疑がありましたけれども、この時点で既に法人税の税収増が見込まれているという--きょうも日本経済新聞に「法人二税回復の兆し」と報道されておりました。この点についてなぜ、やはり都民にそれだけの財源不足ということを正確に理解してもらうためにも、そういう見通しをはっきりさせるべきではありませんか。確かに前回においては二%見込んでいたのが、そうならなかったということの理由は今述べられましたけれども、やはりこの時点で税が堅調に伸びていると。法人税によっても、法人二税はこの九月末の調定額は五%ですよね。五%も法人二税は伸びている。全都税収入では二・八%と。大体四兆円規模ですから、一%違っても四百億円、二%では八百億円という、これはもう都民にとっては貴重な税収だというふうに思いますけれども、そういう都民の声にどのようにお答えするのでしょうか。

○熊野主計部長 景気回復の兆しが見えているという論調もございます。しかしながら、長期金利の上昇あるいは為替相場の円高に振れるといった不安定な動き、こういったことを見ますと、やはり先行きは不透明であるというふうに思っております。したがいまして、現在、仮に税収増となったとしても、今後安定的に推移していく前兆なのか、あるいは一時的な持ち直しにすぎないのかは、今後の動向を極めて注意深く見守る必要があるということでございます。したがいまして、税収はゼロというふうに伸びを見込んだところでございます。
 あえて申し上げれば、一つには、確かに企業の業績というのは好転しているかもしれませんけれども、これは売り上げが伸びた、生産が上がったということによる増収ではなくて、やはり企業努力、リストラ、あるいは合理化の結果として業績が好転してきているものでございまして、これが果たして、先ほど申しましたように、企業の恒久的な上昇機運なのかということについては甚だ私は個人的には疑問を持っております。
 それからもう一つ重要な点は、やはり会社がそれぞれ不良債権を抱えてございますので、仮に業績が上がって好決算を出したとしても、決算処理のやり方によっては税収に必ずしも結びつく、今の状況ではないというふうに思っております。こういった点を踏まえまして、我々としては、税収の一定程度の伸びを見込んだ楽観的な財政運営はできないというふうに判断しております。
 それからもう一点、万が一、うれしいことに増収がありましても、十八年度の三千七百億円の財源不足の解消というのは最低限の線でございまして、新しい都民ニーズにこたえてさまざまな新しい施策展開をしていくためには、三千七百億円を上回った財源確保をしていかなければ、そちらへ振り向ける財源はないということでございますので、その点も含めまして財政再建の必要性は少しも変わらないと考えています。

○松村委員 財政再建の必要性を認めないなんていうことではなくて、どういうやり方かということと、もう一つは、来年度予算を組む今の直近の事態の中で、明らかに見込めるものというのはきちんと見込まなければ、来年度の予算ですよね。その後はどうなるか、また難しい基調もあるかもしれませんけれども、だからこそいろいろな財源対策、やりくりや、または都民にいろいろな理解を求めることもあるでしょう。でもしかし、少なくとも四百億円とか八百億円という--今盛んに三千億円があるのだから、四百億円や八百億円は取るに足らないとはいいませんよ。でも言外にそういうようなニュアンスをやはりにじませていることは、まことに遺憾だというふうに思います。
 しかし、それは見込みはそうだとしても、私もう一つお聞きしたいのは、十五年度予算補正後、十四年度決算額に比べて三百四十三億円、既に増になっているのではありませんか。これはもう既に確定したそういう、つまり、十五年度補正予算で低くというか、補正したけれども、実際には十四年度決算が出て、三百四十三億円増になっているのですよね。なぜこれを、それはもう確定しているわけですから、この収支見通しの中には入れていないのですか。それも、少なくとも三百億円、四百億円というのは取るに足らないというというような、今の主計部長の考え方からなのでしょうか。

○熊野主計部長 税収見込みと将来見込みにつきましては、注意書きで書かせていただきましたように、さまざまな要素がございますので、基本的に十五年度の予算をベースに収支を見込ませていただいたということを注意書きで記しております。

○松村委員 都民は納得できませんよ。これだけ厳しいことを、第一次も、本当に命綱まで断ち切り、さらに今度は一歩踏み込んでやると、そういうことを都民に求めながら、一方、財源不足だと殊さら強調されているものが、やはりきちっと精査されていないというか、きちっと正確さを持っていないということは全く遺憾なことだということを、この点については申し上げたいし、さらに巨額だという中でも、他会計の借入金等をすべて、これまた、この増の要因に入れているのですね。その総額は二千七百億円。これに果実、基金などを元に戻すなど六百五十億円。これだけでも三千三百億円。それは確かに、今後中央卸売市場の豊洲移転などが進めば、当然、それが決定されて、それに基づく財務局としての支出というものが当然ありますから、そういう市場会計に戻すということがありますけれども、これを何も、平成十六年度の収支の中に入れ込んで、すぐ返さなければならないという必然性というか必要性はあるのですか。十六年度で、すぐに中央卸売市場への一千三百五十億円が必要とされるものなのでしょうか。

○熊野主計部長 他会計からの借入金につきましては、公営企業との賃借契約に基づくものでございますので、約定にのっとって返済額を計上しているものでございます。十五年度予算で行った返済繰り延べも、相手先の会計の事業動向あるいは資金収支の状況を勘案して、やむを得ない措置として返済を繰り延べているものでございます。返済しないことを前提とした計画というのは策定できないのは当たり前の話だと思っております。

○松村委員 そんなことはいっていませんよ。でもいずれにしても、羽田沖埋立事業とか中央卸売市場も都民の税金でやって利益を上げて、やはり都民の利益ですよ。それは会計が違うといっても、いろいろな会計間のやりとりは、この間も当然のこととしてやってきましたし、それはしかるべきときには必要な約定というか、約束に基づいて、そちらの事業に支障を来してはいけないということはあり得るでしょうけれども、その間は当然、やはり都民の利益、財産としても有効活用するのが、私は当然だというふうに思います。そのことをはっきり指摘しなければならないというふうに思います。
 いずれにしても、税収不足が殊さら強調されていることは明らかだと思います。そして、この財源不足を前提として来年度予算の局見積もりの段階での財源不足、これは五千三百二十九億円だと。都が最高だということですね。もう既にこういうことでひとり歩きというか、大宣伝されて、これだけが都民に映っているわけですね。そして五千三百二十九億円もあるとして、いよいよ財務局は第二次プランに基づく財務局査定を行っていくわけですね。ですから、大幅な切り込みというか、切り捨てというか、必至だというような状況にならざるを得ないというふうに思うのです。
 そこで、この第二次推進プランの方向が進んだら都民生活はどうなるのか。改めて検証していかなければならないと思いますし、これから私たち、我が党も、それぞれの局も含めて、ことしだけの問題ではありません、来年度も再来年度も都民施策をどう確保するか、都民の暮らしをどう守るかということで論議していきたいと思いますけれども、二次プランが出された最初の所管局の質疑なので、一、二点、基本的なことを伺っておきたいというふうに思います。
 例えば付表の事例には、長期継続補助、少額補助金、高率の補助金等、挙げられています。「途半ばにある財政再建」、それから中間まとめの冊子よりも、その適否を一律に論じることは適切ではないと、このように慎重にというか、当然だと思いますけれども、今までの「途半ば」や中間まとめで都民の意見を聞く、議会の意見を聞くということで、こういう表現にもそれが反映されてなったとも受けとめますが、しかし、そうとしながらも、再構築するとして、現行補助の廃止、休止を含む見直しをこの二次プランが求めていることには変わりはありません。
 そこで、既に先行的に見直しが始まっている私立保育園のサービス推進費補助の見直し問題ですが、ここにも私、都の姿勢が端的にあらわれているというふうに思うのです。そこで、都が行う施策は基本的には国基準の運営費で運営すべきだという考え方なのでしょうか。それぞれ所管局の考え方があるでしょうけれども、国基準の考え方というか、財務局としてはどのように考えますか。
 また、一遍に伺っておきますけれども、都の補助が高率であることの弊害ということも、この第二次プランの付表の中の補助金関係、特に高率補助などでは、高率補助が弊害だというふうに記述されておりますけれども、例えば私立保育園のサービス推進費、これは確かに都の全体の補助金に比べれば高率でしょうけれども、それがなぜ弊害なのかということの考え方も伺っておきたいというふうに思います。

○熊野主計部長 まず国基準でございますが、私どもも国基準が絶対的なものであるというふうには思っておりません。事業ごとに判断されるべきであって、ただ、一定の一つの物差しにはなろうかと思っております。
 高率補助金でございますけれども、これは現在都が行っている補助の中で、都が対象事業費の全額を補助しているもの、あるいは対象事業費の二分の一を超えて補助しているもの、こういったものについて、さらには都が国基準に上乗せし、あるいは単独で行っているもの、こういったものを高率補助というふうに位置づけております。確かにこういった上乗せ、高率補助につきましては、東京都の特別な状況を反映したものでございまして、それぞれ役割、効果を上げてきたものと判断しております。
 ただ、一般論で申し上げれば、こういった高率補助の場合には、一つは事業主体の政策判断をゆがめてしまうこと。二つ目には、事業主体のコスト意識を弱めてしまう。三つ目には、事業主体の自主的な取り組みが醸成されていかないこと。こういった弊害が見られるケースがあるのではないかというふうに思っております。したがいまして、今回プランの中で高率補助について民間や区市町村との役割分担を明確化する観点から、事業ごとに改めて精査していただいて、事業主体の自主的な取り組みを支援する仕組みに再構築していっていただきたいというふうな考え方を書いているところでございます。

○松村委員 今回、委員会でも福祉局長が、私立保育園の運営は国基準でやるべきだというような、驚くべき発言を所管局自体がしている。今、主計部長からのるるお話、一律に論じられることはない、それぞれの役割は果たしてきていると。文字どおり長期継続されて、重要な東京の保育の水準を引き上げる役割を果たしてきているということは、関係者や父母からいえば当然なのですね。それが、当該所管局の福祉局長までが、なぜそこまで踏み込んだ発言をしなければならないのか。これは私は全体に、あえて今、所管局でも当然私たちはただしますけれども、財務のこういう財源危機で、もう本当にそこでシーリングがかけられるとか、やはり事業局なりの四苦八苦した状況というものを本当にきちっと見た上での財政論議というか、どこを重視して財政運営をやるのかということが、やはりきちっと踏まえられないというふうに思います。
 改めて、私立保育園のサービス推進費については、その適否を一律に論じることは適切ではないという、この二次プランの指摘の立場からの、東京の保育水準をつくり上げてきた関係者の意見、現場の要求を十分に踏まえてやるべきだ。これはもう最低のこととして指摘したいと思いますし、まだ、多くの関係者からの意見が噴出しているのですね。もう何か、福祉局は関係団体との合意ができたということで、来年度予算にはその大幅な予算削減を行って、財務局の査定を求めてきているというふうに思うのですけれども、これはやはり違うと。そういう予算査定の調整機能を持つ財務局からも、私は、この場の質疑を通じて、やはりきちんと関係者の合意を最後は得て、東京の保育水準を後退させるべきではないと。そういうところには思い切って財源は財務局としても出すというようなことぐらいのことはいってほしいというふうに思います。現在出されているそういう見直しについては、私は撤回を求めて、人件費補助を存続することを強く求めたいというふうに思います。
 もう一つ補助金で、区市町村に対する補助、これも二次プランにおいては長期継続補助、高率補助金として見直しを求めています。これらの補助金は身近な基礎自治体である区市町村を通じて、都民生活に密着した行政サービスに使われており、この補助金が削減されることになれば、都民生活に大きな影響を与えるばかりでなく、区市町村が事業を維持しようとすれば、区市町村の財政負担は莫大なものとなると思います。結局、そのことによって区市町村も後退、その事業は打ち切りということにならざるを得なくなったら、やはりこれはもう都民サービスの低下ということ以外の何物でもないというふうに思います。
 そこで、第二次財政再建推進プランが出て初めての市町村との協議の場で提案された協議事項は、プランに基づくものではないとの都側の説明があったと新聞報道されていますが、今後プランとの関係はどうなるのでしょうか。

○熊野主計部長 十六年度の予算編成に係ります区市町村の関連事業に関する施策の見直しについては、お話しいただいたように、現在、区市町村に対して協議提案を行っております。ただ、これらの協議提案した事項につきましては、二次プランの策定にはかかわらず、各事項について見直す必要があるというふうに各局が判断したものでございまして、仮に二次プランの策定が行われなかったとしても、都として見直しの協議提案をしたものであるというふうに理解しております。
 一方、時代の変化に即応して新たな施策展開を図るためにも、今後ともすべての面において厳しく施策を選択していかなければいけないというのが今回のプランの立場でございますので、そのために今後プランの基本的視点あるいは付表に掲げた三十項目を踏まえまして、各局が自主的、主体的に見直し作業を行っていくことになりますけれども、それによって区市町村に関連する施策が出てきた場合には、従前のとおり、協議のルールに基づきまして、必要に応じて区市町村に協議をしていくということになろうかと思います。

○松村委員 提案の事項は財務局も承知しているというふうに思いますけれども、この提案事項が、廃止かもしくはほとんどが、例えば三分の二を二分の一、これは心身障害児緊急保護事業ですよね。それから心身障害児通所訓練等事業、これが三分の二から二分の一と。もうずっと補助率の変更をする。今までの三分の二が二分の一というふうに、廃止もしくは補助率の切り下げ、それから補助制度を国の基準に合わせて変更する、都の上乗せ補助を廃止する、ソフト経費に対する都の上乗せ補助を廃止する。全部というかほとんどが廃止かもしくは国基準なのですよね。先ほど、いや、一律ではないといっても、実際、既にこの二次プランがつくられて初めての協議の場の中での、市町村に対するこういう補助金の関係が全部、廃止かもしくは国基準と。先ほどの答弁とあわせて、私はここに今二次プランがやろうとしている方向があるのではないか。補助金については廃止するか、もしくはもう国基準だということになっていくのかなということを、具体的な提案がなされて私はびっくりしているのですけれども、これについては財務局としてはどう見ていますか。

○熊野主計部長 先ほどもお答えしたとおり、国基準につきましては、絶対的なものではないけれども、一つの目安になろうかと思います。それで、区市町村協議にかかっている事項につきましては、各局はそういう判断をしてお示ししているものだと思います。
 ただ、ぜひともつけ加えさせていただきたいのは、区市町村とも、やはり財政的には非常に厳しい状況であることは理解しております。したがいまして、都と一緒になって重点的な財源配分を行うために、時代変化であるとか、あるいは区市町村との役割分担等々を踏まえて、一緒になって相談して、どうすれば都民のためになるのかということを一緒に協議していただいて、よりよい方向に政策を再構築していく、そういう議論を区市町村と今後していければと思っております。

○松村委員 また提案された協議事項は当然、区市町村側との合意なくしては実施できないと思いますけれども、来年度予算編成との関係で財務局の考え方をちょっと聞きたいのですけれども、この区市町村との協議事項の提案は、もちろん一局だけではありません。都市計画局、環境局、福祉局、健康局、産業労働局、住宅局とありますけれども、局によっては、来年度の予算の局要求にまだ合意されていない提案を既に予算の局要求段階で落としてしまっている、削減している。ある局は、協議事項がまだ合意されていないから、当然予算要求して合意していくのだという、後者の方が私は当たり前の姿だというふうに思うのですけれども、これについてどういうふうに財務局としては考えますか。

○熊野主計部長 ご指摘のとおり、各局の要求段階で提案している事項につきまして協議の行方が不透明であるということで、前年度あるいは前年度の実績を踏まえた要求を行っている局もございます。一方で、協議内容に沿った要求をしている局もございます。これは私どもが予算編成方針の中で、ここまでお示ししていないので、各局の考え方をそれぞれ、そういう立場をあらわした数字でございます。これは例年のことでございますが、協議が調わなければまた数字を動かすということで、予算編成の中で対処していく問題だと考えております。

○松村委員 それでは当然、協議が調わなければ、今局段階では削減というか、計上していないけれども当然復活するというか、そういう要素だというふうに受けとめていいわけですね。
 私聞きたいのは、合意が、何も各局のそういう態度というものを一律に頭から、とんでもないと否定するだけではないと思うのですけれども、しかしこれは統一した方がいいと思うのは、統一した方がいいというか、ほとんど話し合いがついていて、これは合意になりそうだと。これは廃止できるとか補助率を減らせるということだけではなくて、局によって違うんですよ。局の中でもこの事項についてはということだったら、それは理解できるのですね。それは、各局は合意されていないから当然出すのだということと、一律にそうではなくて、全部落として出すのだということだから、私はあえて、非常に大問題だというか、大きな問題だと。
 まあ、いいですよ。予算の調整というか、今後やっていく、財務局としては今当然、合意が調わないものについては予算はもちろんつけるという、当たり前にして当たり前の答弁がありましたので、そのことをはっきりさせておきたいというふうに思っております。
 ところで、都民の施策は切り捨てる一方、使うのは専ら石原都市再生です。我が党はこれまで一貫してこの問題を追及してきましたが、首都高速道路の出資貸付金や国直轄事業負担金に加え、都市計画局の来年度当初予算要求は、まさに開発計画のオンパレードです。新規事業だけでも品川駅周辺整備計画、基地跡地保留地利用計画、大手町再生プロジェクト支援方策、多摩地域の都市計画道路の新規事業化計画などが検討、調査されようとしています。
 そこで、前から私も気になって、財務局の質疑の中でも取り上げたことがあるのですけれども、多摩新宿線というのが多摩アクションプランというものに載っているのですね。ちょうど横田基地から新宿まで一直線という、そういう道路計画がいよいよ多摩地域の都市計画道路の新規事業計画などに合わせて、これが具体化されるのかなという非常に懸念をするわけですけれども、こうした今挙げた都市計画局絡みの計画を事業化した場合、どのぐらいの総事業費がかかるのか、財務局としても把握していらっしゃるのでしょうか。もし把握していれば、それを明らかにしていただきたいと思います。

○熊野主計部長 お話のあった地区はいずれも十六年度の要求で新規調査開始地区ということでございまして、当然のことながらこれから調査するということでございますので、現段階で総事業費は明らかではございません。

○松村委員 私が心配するというか、私一人の心配ではないと思うのですけれども、大抵検討というふうになっていると、調査を始めたらもう一直線に事業化するわけですよね。そういう点では、今後の財政再建というならこういう面にこそ、一たん始まれば巨額な費用がかかっていくわけですし、これは国と一体となってという面も幾つかありますけれども、やはり都の負担分を、そういうことを都が主導的にやれば大変な負担が求められるということは、羽田の国際化、再拡張を見ても、この経過から見ても当然だというふうに思いますので、ぜひ財務局サイドで、こういう計画を、予算を認める以上はきちっと把握して、都民にそういう方向を示していただきたい。
 それから、それにとどまらないのですね。港湾局要求では、東京港臨海道路二期の整備と関連事業費でこれは具体化しているのですよ。来年度だけでも五十億円を要求しているわけですね。これに関する物流ボトルネック解消をうたう事業費は、今後どのぐらいの総事業費となるのでしょうか。

○熊野主計部長 臨海道路の二期工事は総事業費一千四百十億円でございまして、国直轄事業ということで施行されるというふうに聞いております。そのため、都負担額は四百七十億円と計画されております。

○松村委員 港湾局要求では、臨海道路の二期の直接の整備事業費以外に新たに関連整備事業をやるのですね。そこまではつかんでいませんか。それを入れると、今後の総事業費が、今の一千四百十億円のうちの都の四百七十億円の負担という程度にとどまらず、相当莫大なものにはね上がっていくと思うのですけれども、今の時点ではお答えできませんか。

○熊野主計部長 関連事業が出てくることは聞いておりますけれども、総事業費はちょっと把握してございません。

○松村委員 今後のこととしても、既に局要求段階ではこれが入っているのですね。きちっとやはり把握して都民に示すべきだと。
 それからもう一つ、建設局予算では、地下鉄十三号線の例の明治通りでしたか、池袋から新宿、渋谷に行くあの十三号線は建設局がやるというか、トンネルを掘るということが今度の予算要求の中にのっていてびっくりしているのですけれども、本当ですか。総事業費はどのぐらいで、都負担はどうなるのか。

○熊野主計部長 都市高速十三号線、営団地下鉄の施行でございますが、総事業費二千五百五十五億円と聞いてございます。営団が施行いたしますので、現在のところ都負担分は不明でございます。

○松村委員 営団が施行するのに、なぜ建設局予算にこれが入ってきているのでしょうか。

○熊野主計部長 内容についてはつぶさにまだ聴取してございません。

○松村委員 やはりそういうものをしっかり踏まえながら、財務局としての財政運営を本当に都民の信頼にこたえたものにしていっていただきたい。一方的に都民負担や、都民施策を切り捨てるだけが財務局の仕事ではないというか、そんなことはいいませんけどね、ちょっとただしたいというふうに思うのです。
 結論としては、果たしてこれで財政が立て直せるのか。私は財政を立て直せないし、たとえ再建推進プランの水準で--この財政再建推進プランの水準というのは大体、都債発行を十五年度ベースで三千五百億円台を続けたならばというので、どのぐらいの収支かということをやっているわけですけれども、その三千五百億円としても、私たちの試算では三十年後も七兆円の借金が続くと。そして今は、先ほども論議がありましたけれども、低金利だから何とかなっていますけれども、ちょっと利率が変わったら大変な莫大な利払いが発生することは明らかであります。もう答弁は求めませんけれども、ましてや、石原知事の都市再生優先などというので、今幾つか、もう既に来年度予算要求で各局から上げてきている、石原知事がそういうのだから、大いに我々は勇気を持って各局から出そうということなのでしょうか、私にいわせてみれば。そんなことをどんどん認めていったら、どんなに一方においては都民施策を切り捨てても、私は財政再建などはできるわけはないというふうに思っています。都民のための財政再建というなら、予算の使い方の、この逆立ちを正し、住民福祉の増進という本来の自治体の姿勢に立ち戻るべきだということを求めたいと思います。
 以上によって、本財政再建推進プランを実施すべきでないということを強く求めて、質問を終わります。

○近藤委員長 この際、議事の都合によりおおむね五分間休憩いたします。
   午後二時三十二分休憩

   午後二時四十分開議

○近藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○執印委員 それでは、第二次財政再建推進プランについて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 この第二次財政再建推進プランを読ませていただきましても、都の財政再建はまさに正念場を迎えているというふうに思います。東京都が、今後の取り組みに当たって、右肩上がりの時代は終わったという基本認識で臨むというスタンスを明確にされたということは、これまでの私どもネットが主張してきたことでもありまして、評価できるというふうに考えております。
 しかし、総論では皆わかっているという意見もあると思いますけれども、各論にいくと、具体的な施策の話になると、皆わかっているとはいえない状況が依然として続いているというふうに思います。
 先ほど来議論が出ておりますが、来年度の予算要求を見ましても、約五千三百億円、要求額が上回っているという状況で、都民生活へのさまざまな影響を考えたときに、入るをはかって出るを制すというのは並大抵のことではないというふうに改めて感じているところです。
 生活者ネットワークとしては、この第二次財政再建推進プランに対しては、談話等の中でも触れておりますけれども、新しい時代に即して、施策の量ではなくて質をどう議論していくか、そして、市民的な議論をどのように進めていくかということがますます重要になるというふうに認識をしております。
 今回のこの財政再建推進プランに示されました都財政の状況というのは、この二次プランで示されました、毎年三千五百億から四千百億という巨額の財源不足に加えて、一兆円にも上る隠れ借金、それから、わずか三百七十億円にまで減少してしまった財政調整基金、そして、具体案が見えてこない税源移譲というような不安材料を抱えて、極めて厳しい状況にあることは間違いないというふうに思います。
 ここで心配しなくていつ心配するのかと思うくらいの状況だというふうに感じるわけですが、まず隠れ借金について伺いますけれども、隠れ借金、こういう言葉がこの第二次財政再建推進プランに出てきているということにも、もうここまで来ているんだなというようなことを思うわけですけれども、この一兆円という額まで増大した理由というのをまずお聞かせいただきたいと思います。

○熊野主計部長 まず、隠れ借金の内容について申し上げたいと思いますが、十四年度決算の実質収支赤字額五百十五億円、それから減債基金積立金の不足五千三百四億円、それから他会計からの借り入れ二千七百億円、基金からの運用金六百五十億円、その他市街地再開発事業の欠損金等約二千億円、これらを合わせて約一兆円を上回る隠れ借金があるというふうに私ども申し上げております。十八年度の三千七百億の財源不足に加えて一兆円以上あるということでございます。
 これは、これまで財政再建団体に転落することを回避するために、緊急避難的な措置といたしまして、先ほど申し上げた減債基金積み立ての一部先送り、あるいは他会計からの借り入れを行って何とか予算を編成してやりくりをやってきた、そういった財政運営の結果でございます。これらの緊急措置は、歳出水準を維持して、同水準の行政サービスを行うためにやむを得ないものであったというふうに考えておりますが、結果としてこういった隠れ借金の増大につながってきたのが実態でございます。

○執印委員 やりくりは必要だというふうに思いますけれども、それだけではやはり済まない状況だと思いますが、これを解消するめどというのは立っているのか、今後さらに増大するおそれはないのか、その点について伺います。

○熊野主計部長 プランでもお示ししてございますけれども、プラン期間中の十六、十七におきましても巨額な財源不足が見込まれております。今後の予算編成でも、これまでのような財源対策を続ければ隠れ借金はさらに増大するおそれがあります。こうした点からも、財源対策に頼った財政運営が限界に来ているということは明らかでございまして、一日も早く財政の構造改革を進めなければならないと考えております。
 こうした隠れ借金の解消につきましては、まず、隠れ借金のこれ以上の増大を可能な限り抑えるということ、例えば決算における実質収支の赤字については速やかに解消する、また、他会計からの借入金につきましては約定どおりの返済に努める、そういった中長期的な視点からの対応を含めまして着実な解消を図っていく、これしかないというふうに考えております。

○執印委員 厳しい状況だと思いますが、次に、財政調整基金について伺います。
 財政調整基金、先ほどもお話もあったように、三百七十億円ほどに減少してしまったわけですけれども、使うためにある財政調整基金ともいわれますから、必要なときには使えばいいというふうに思いますけれども、やはり一定額というのは必要だというふうに思います。財政調整基金がどれだけあれば十分かという点については、赤字限度額ぐらいという論もあれば、さまざまのようで、一概に幾らとは決められないというふうなお考えがこれまでも示されてきたとも伺っておりますけれども、しかし、三百七十億円といいますと、十五万人口の市の一年の一般会計にいくかいかないかぐらいの額だろうと思いますので、こういった額で、現在の残高で十分だというふうに考えているという人はだれもいないのではないかと思います。
 感覚的にいいますと、現在、都のいわゆる貯金はほとんどないに等しいといってもいい過ぎではないというような感じもするわけですが、財政調整基金の速やかな充実、そして強化が不可欠だと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。

○熊野主計部長 先生方もうご案内のとおり、都財政、歳入の基盤を法人二税に大きく依存してございます。景気の変動に左右されやすいという構造的な課題を抱えております。
 法人二税は、景気の動向によりまして年度ごとにある程度の幅で増減することは避けられませんけれども、特に、それに加えて、東京都、地方交付税の不交付団体でございますので、税収の落ち込みを補って、財源を安定的に確保することが非常に難しゅうございます。そうした意味から、年度間の財源調整を果たす財政調整基金の役割は、ほかの団体と比較しても極めて大きいというふうに考えてございます。
 その残高でございますけれども、十五年度末見込みで三百六十七億円ということでございまして、ご指摘のとおり、都の財政規模からすればもうほとんどないに等しいレベルでございます。今後、この充実強化は喫緊の課題である、最重大の課題であろうと考えております。

○執印委員 そういった点については、考え方がどこも異なるとは思いませんが、充実強化は喫緊の課題であるというふうなご答弁もいただきましたが、そういう認識をお互いにしていたとしても、財源不足が見込まれる中で貯金をふやすというのは、実際には相当難しいことだろうというふうに思っております。
 この二次プランの中では、この期間中の税の伸びをゼロと見込んでいるということで、先ほど来ほかの会派の方からも評価されるというご意見もございましたし、私どもも主張してきた点ではありますけれども、これについてはいろんなご意見などもあると思いますが、これからのことを考える、フレームを考えていく前提としては一つの見識であるというふうに思っております。
 主税局は、税の動向については堅調であるとの認識を示しているわけですが、実際そのとおりになればだれにとっても結構なことだと思いますけれども、税収が伸びると同時に、これまでの発想が転換できているとはいいがたいために、あれも欲しい、これも欲しいという大合唱となることも予想され、いわゆる歳出圧力が高まるというのが常だというふうに思います。
 考えてみれば、これまでの間にも、税収が伸びているのでふろしきを広げ過ぎてしまったということが、今にその陰を落としているわけですね。ですから、税が伸びて歳出圧力が高まるというような時期ではないというふうに考えますので、これは仮定の話でございますが、もし本当に税が伸びたならば、その税収分をすべて財政調整基金に積み立てるというくらいの思い切った対策をとらなければ、財政基盤の強化はできないというふうに思いますが、財務局の考えを伺います。

○熊野主計部長 財務局も基本的には同じ考え方でございますけれども、都民サービスを維持向上させていくためには、社会経済情勢の変化の中、さまざまな、流動的な要素に応じまして、柔軟かつ機敏な対応も必要であろうかと思っております。
 したがいまして、税収増が単純な歳出増につながり、構造改革の取り組みを阻害するようなことになってはならないのは当然でございますけれども、かといって、あらかじめ税収増のすべてを財調基金に積み立てるというふうに決めつけてしまうことも、必ずしも適切ではないのではないかと思っております。
 現在、条例の方で、義務的積み立てに加えまして任意積み立てにつきましてルール化されておりますけれども、財務局といたしましては、都民ニーズの動向あるいは今後の財政状況等を勘案いたしまして、総合的な観点から基金の充実の方策につきまして検討を進めてまいりたい、適切な財政運営を図ってまいりたいと考えております。

○執印委員 条例にも触れてご説明をいただきましたが、この件については以前の財政委員会でも、私どもの藤田議員がかなり厳しく同様の議論をさせていただいていたということもありまして、あえてまたここで触れさせていただいているわけです。
 私、東京都、まあ、都議会に来て非常に印象的だったことが、臨海の開発など、なぜこんなに膨らませてきたのか、なぜ行政のプロである皆さんが先行きの予測というのを十分にできなかったのかというお話をあえて質問させていただきましたときに、いわゆる専門家の方々がこれでいけるとおっしゃったので、そのように進んできましたという、そういった、委員会での質疑というようなものではありませんけれども、お話がありましたときに、やはりこれからは、市民がどのように感じるか、暮らしの中で感じていることが、実は、ずっと過ぎてきますと真実であるという、そういったことをきちんと担当としても把握をして、目先のことばかりではなくて、中期的な展望を持った運営というのをしていただきたいというふうに思います。要するに、専門家の方ばかりの意見では、やはり市民生活が十分に理解されないのではないかという視点で、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 それから、税源移譲について伺います。
 先ほども議論がありましたけれども、改めて私からも聞かせていただきますが、この中で、国からの税源移譲に伴う増収というのが一千億円という形で出されております。これは一次プランでも千五百億円と見込んでいましたけれども、結局、結果的にはゼロだったということで、具体的な成果はなかったというふうにいうことができると思います。
 また、この税源移譲というものについては、本来は平成十二年の地方分権一括法の施行のときに財源移譲もされるべきだったのに、実行されてこなかったということを見ても、現状の政府で本当に思い切った移譲がされるかどうかということが疑わしい思いを持って見ているわけです。
 そういう状況の中にもかかわらず、この二次プランでもまた税源移譲による増収を一千億というふうに見込んでいるわけですが、今回は一次プランのときと比べて実現性が高まったといえるのか、改めて伺っておきます。

○熊野主計部長 第一次のプランの策定時、平成十一年度でございますけれども、当時、地方分権一括法の議論などを通じまして分権推進の機運が非常に高まっておりました。それを踏まえまして、私ども、税源の移譲を一定程度見込んだわけですけれども、結果としては、国は税源移譲を完全に先送りするというふうなかたくなな姿勢に終始してまいりました。このため、私どもももちろんですけれども、都議会の先生方にいろいろお願い申し上げて、さまざまな働きかけをしていただいた経緯もございます。にもかかわらず、結局実現しなかったというのが現在でございます。
 しかしながら、小泉内閣のもとで、地方と国を通じました税財政制度の改革は、いわゆる三位一体の改革として進められることとなりまして、税源の移譲につきましても、現在、骨太の方針二〇〇三で、具体的な筋道は見えませんけれども、税源移譲をするかしないかという段階ではなくて、もはや、いつどのようにするのかというふうな議論の時期になっているというふうに私ども認識しております。したがいまして、二次プランでは、三位一体の改革の動向に注意しつつ、国に対しては適時適切な提案要求を繰り返しまして、何としてもその実現を図っていく、そういう覚悟でおります。

○執印委員 状況も変わってきているし、何としても実現するというお話だったわけですが、そうはいっても、税制中立ということもありまして、税収総額そのものは一挙にふえる玉手箱のようなものではないだろうと思いますので、その点についても考え方を伺いたいところですが、それは次にしておきます。
 それで、こういったご決意はよくわかりますし、状況が変わってきているんだということも、以前のプランとは違うということですが、とにかくはっきりとしない、先が見えない中で、この第二次の財政再建推進プランの、約三分の一近くを税源移譲に頼るということへの疑問はないわけではありません。そういう状況だと思いますが、とにかく税源移譲については、東京都だけではなくて、基礎自治体のどの首長も口をそろえて税源移譲を求めているという状況でもありますし、地方分権の時代に当然ということだというふうに思いますので、ぜひ頑張っていただきたい。そして、環境、福祉優先の分権型社会、市民的な社会をつくるために、地方財源の移譲、強化というのは絶対必要なことですから、東京都としても全力で取り組んでいただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。

○森田委員 私は、実現が間近に迫った電子入札について少しお伺いします。
 IT革命とかITという言葉が出て久しいわけですが、東京都の電子都庁の実現ということでさまざまな取り組みをされてきた。その中で、東京都の取り組みの一つが電子入札ということではないかなというふうに思うんです。
 入札というのは、いうまでもなく、公開性とか透明性とか公平性、こういうものを図っていかなくちゃいけない。それを実現していく一つの手段として、電子入札は非常に有力な方法であるということで取り組んでこられたというふうに思います。取り組んでから大分時間がかかりましたけれども、この十月三十日の記者発表の資料を見ますと、いよいよ電子入札が試行という形で行われるということが出ておりますが、まず、この試行の内容と、今後の本格稼働に向かうスケジュール、これについてお伺いをいたします。

○小山契約調整担当部長 先生今お話のございましたように、電子入札システムの開発につきましては、いよいよ最終段階を迎えておりまして、財務局におきましては、十六年の一月以降に受け付ける工事案件のうちから、河川護岸工事、建築工事など六件を抽出いたしまして電子入札の試行を行うことといたしました。この試行の対象となる事業者への説明会を、実は本日から始めまして、二十八日までにかけて行う予定でおります。なお、この試行はすべて実際の案件で行う、こういう試行でございます。
 電子入札の今後のスケジュールでございますけれども、工事関係につきましては、この試行から入ってまいりまして、平成十六年度に財務局では試行の対象を拡大してまいります。それから、平成十六年度半ばからは各局においても工事案件の試行に入る、そして十七年度からは本格稼働というふうに考えております。
 物品関係でございますけれども、工事関係より少しおくれますが、十六年度に入りましてから財務局で試行を始めまして、十七年度に各局で試行を行い、十八年度から本格稼働と、このように考えてございます。

○森田委員 大分前に発表がありました電子都庁推進計画によりますと、電子調達の実現へは四つのステップがあると書いてあるんですね。一つは入札情報サービスの提供、二番目は入札参加資格のオンライン化、三番目が指名通知書送付等のオンライン化、四番目が電子入札システムの開発、この四つのステップをもって電子入札というのが実現へ向かうということです。そういうふうに出ておりました。
 この計画というのは、東京都だけではなくて、当然、それに応札する民間業者も絡んでいることなので、さまざまな課題があると思うんですが、今までずっと進めてきて、いよいよ試行段階に来るまでの間に、さまざまな民間業者との関係とかいろんな課題があったと思うんですが、その主な問題点というか、そういうものがあれば教えていただきたいと思います。

○小山契約調整担当部長 先生お話しのように、電子調達全体では、四つのステップといいましょうか、四つの場面をつくっております。この都の電子調達のシステムでございますが、インターネットや庁内ネットワークを活用いたしまして入札情報を提供するシステム、入札参加資格申請を受け付けるシステム、電子入札を行うためのシステム、契約事務を行うシステム、この四つが相互に連携する総合システムでございまして、いわば契約にかかわるほとんどの事務を電子化する都独自のシステムであるところに大きな特徴がございます。
 しかし、そのようなシステムであるがゆえに規模が大きく、かつ、各システムが複雑、緊密に連携し合っておりまして、システムのどこか一カ所を改造する場合でも、その影響が思いもよらぬ場所にあらわれたりするといったようなことがございます。そういったような課題、問題点に対応する必要があります。
 さらに、入札に参加する事業者のIT環境は、最新の基本ソフトを備える方がいる一方で、三から四世代古い基本ソフトを使っている方がいるというようにさまざまでございまして、それらのほとんどに対応しなければならないということも大きな課題、問題点でございます。

○森田委員 いろんな課題を克服しながらここまで来られたんではないかなというふうに思います。
 十四年の六月十日の財務局発の資料によると、東京都の電子調達いよいよ始動ということが出ていますが、その中に、この電子調達のメリットとして三点出ているんですね。一つが、都庁へ来る必要がなくなる、それから、入力が簡単にできる、三番目、提出書類を大幅に削減することができる、こういうことが出ているわけです。今回の電子調達は試行段階ではありますけれども、この三つの特徴、実現をしたのかどうか、特に、提出書類の大幅減、これは実現したのかどうか、その辺はいかがでしょう。

○小山契約調整担当部長 メリットとして挙げてございます、まず第一点目の、都庁へ来る必要がなくなりますということについてでございますけれども、入札情報サービスには工事案件の公表等の情報を載せてございますけれども、工事案件の公表が多い月曜日には約千三百件ほどのアクセスがございます。月曜日以外の平日でも七百件から九百件ほどのアクセスがございます。資格申請につきましては、十四年度の定期受け付けからインターネットを利用いたしましたが、約二万二千三百件の申請がございました。これらに見るとおり、これまで来庁して手続をしていた、あるいは情報収集していたものが来庁せずに行われており、事業者の負担軽減などにつながっていると思われます。
 二つ目の、入力が簡単にできますということについてでございますけれども、インターネットを通じた入札参加資格申請を十四年度から実施いたしましたが、継続申請の場合に、既に登録をされているデータを利用することによりまして、会社名、所在地等の基本情報の入力を不要というふうにいたしました。
 提出書類の大幅削減についてでございますけれども、工事の登録では、これまで財務諸表を初め十数点の書類を必要といたしましたが、経営事項審査等のデータを活用することによりまして、提出書類をすべてなくしました。物品や委託関係では、継続登録の場合は財務諸表のみということにいたしまして、新規登録の場合でも、財務諸表と登記簿謄本の二つだけということにいたしまして、実績を上げております。

○森田委員 確認ですけれども、これから試行が始まって、本格稼働に行く、本格稼働になった場合は、業者の方たちは都庁に一回も顔を出さないで契約段階まで行けるというふうに考えてよろしいんですか。

○小山契約調整担当部長 電子入札が始まりまして--まずその前に、登録でございますが、登録は顔を出さなくてもできると。それから、電子入札が始まりまして、開札までは、顔を出さなくても進捗はすると。ただし、工事の案件等によりましては、その間に説明等がある場合もございますので、この場合にはご来庁いただく、あるいは現場で説明をすると。この現場で説明するというのは、いろいろ関係がございまして、談合が生じるとか、そういったようなことで、できるだけやらないようにしておりますけれども、そういったような場合も出てまいります。そして最後に、契約は、これはご来庁いただかないとできないというようなことで、全くすべて都庁に来なくてできるということではございません。

○森田委員 最終的には都庁に来るということですね、契約段階でね。
 それから、電子入札で一番大きな課題は、本人確認というか、果たして応札してきた人あるいはいろんなデータをとった人が本人かどうかを確認する認証システムが一番大きな課題になっておりました。これは東京都でも、国、国交省でもそうですし、そういうところで大変に大きな課題になっていたわけですが、この本人確認の電子認証、これについてはどのような形になったのか。特に、当初私が聞いていたのでは、国の、国交省なんかの入札をするための電子認証は、一件とるのに十万円ぐらいかかるというような話も聞いていました。大変に中小零細企業には大きな負担になるということなんですが、東京都の場合、どういう形でこの電子認証をとるようになったのか。もし国も状況がわかれば教えていただければというふうに思います。

○小山契約調整担当部長 インターネットを利用いたしますオンラインによる申請、届出等は、当事者が対面して行う手続に求められるものに比べて格段に厳しいセキュリティーの確保が必要でございます。送信するデータの秘匿、まあ、盗み見防止、第三者による情報改ざん防止、通信相手の確認、いわば成り済まし防止、それから事後否認、こういったような大きな課題がその中にございます。
 このように、厳しく求められる電子入札等におけるセキュリティー対策といたしまして、都も国も基本的には同じ、電子署名と電子認証の組み合わせによる方式を採用しておりまして、IDパスワード方式に比べて格段に高いセキュリティーを確保するようにしております。
 都の電子入札制度におきましては、電子証明書を発行する第三者機関といたしまして、民間機関二者、それから法務省の商業登記認証を合わせて三者を指定いたしました。
 電子認証のための媒体といたしましては、国等で採用している単価の高いICカード使用を避け、フロッピーディスクというふうにいたしまして、事業者の負担の軽減を図り、特に中小企業者に配慮しておるところでございます。
 システム上、セキュリティー対策は十分に確保しており、機能的には問題はないというふうに考えておりますけれども、電子署名や電子認証が実印や印鑑証明に当たるといったようなこと、あるいはフロッピーディスクが磁気に弱いといったようなことから、十分な管理が必要ではないかというふうに考えております。
 国の方は、今、先生のお話にございましたように、当初、約十万円といったようなことで、大分高いと。こういったようなことから、東京都におきましても、事業者の負担を考慮いたしまして、フロッピーディスク方式を選択するということがあったわけでございますけれども、今、若干値段は下がってきておるようでございます。東京都の方は、電子認証を得るのに一万六千円といったところでございますけれども、国の方は二万六千円程度、さらに、国の場合には、これに対しまして、IDカードを使いますのでカードリーダーが必要でございまして、カードリーダーはちょっと値段に幅があるようでございます。メーカーによって違いがございますけれども、約六千円から二万数千円と、こういったようなところでございます。

○森田委員 これは、都の場合は一万六千円、国は二万六千円。国にもいろんな省庁がありますが、国のことですが、国であればどこでも使えるのかというのが一つと、有効期間は一年なのか複数年なのか、これはどうなっていますか。

○小山契約調整担当部長 国では、ただいま国土交通省、それから総務省、それから農水省等でこういうような電子入札システムを採用してきてございますけれども、皆同じような電子認証のシステムをとっておりまして、国では共通に使えるものというふうに思います。有効期間でございますけれども、二年ということです。
 先ほど、申しわけございません、国の方の認証で二万六千円と申し上げましたけれども、国交省の場合、三万五千円でございます。訂正をさせていただきます。

○森田委員 再度確認なんですが、国交省、総務省、あとどこかの省。(「農水省」と呼ぶ者あり)それは全部共通で使えるんですか。それとも、別途とるということですか。

○小山契約調整担当部長 共通の認証になってございます。

○森田委員 それから、聞くところによると、今度、国はそうやって、国と都がまた違いますよね。それから、自治体によっても違うということを聞いていますけれども、まず、二十三区なり東京都内の区市については、東京都がリードして、一本化する必要があるんじゃないかな。じゃないと、例えば東京都方式をとった場合に、別々になりますと、それぞれにフロッピーディスクが必要になるわけですね。東京都で一枚、二十三区で二十三枚、三多摩行ったらまた数十枚。このフロッピーディスクの管理だけでも、中小零細企業にとっては大変な負担になってくる。値段もそうなんですけれども、管理も、さっき部長おっしゃったように、印鑑証明と同じぐらいに非常に大切なものというふうにいわれているわけですが、これが何枚にもなると、これはもう管理がなかなかできなくなっちゃうじゃないか。業者というのは、東京都に登録すれば、二十三区なり各市に登録する、場合によっては隣の埼玉や神奈川も登録する。その辺のところの統一性というのがとれないと、今後、混乱のもとになるんではないかなと思うんですが、この辺は東京都がリードして、この辺の統一性をとるということは考えていませんか。

○小山契約調整担当部長 現在、個人認証制度が法的にきちんと整備されていない状況にございまして、国や都、それからほかの自治体、それぞれがそれぞれの事情に合わせて認証制度の整備を進めている状態でございます。このままでいきますと、委員ご指摘のような混乱が生じる可能性は高いというふうに思われます。
 したがいまして、どのような方法にせよ、規格の統一化が望ましいというふうに認識をしておりまして、今後、このような視点から、個人認証にかかわる法律の整備状況あるいは国、他団体等の動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。

○森田委員 この電子入札とか電子都庁というのは、都庁だけの利便性を向上させるんじゃなくて、それに加わる個人及び法人、こういう方たちにも利便性をさらに高めようということで進めているわけですよね。そういう中で、その認証システム一つとってみても、要するにそこに利便性の向上がなければ、これは、せっかくやったことが生きてこないんじゃないかな。その一つが、フロッピーというのは僕にしたら古い媒体だなと思うんだけれども、フロッピーを何十枚も持たなくちゃいけないような形になるというのは、これは大変なこと。まだ二十三区では、聞くところでは、電子認証に移行はしていないみたいです。ただし、近い将来、間違いなく東京都に追随して電子入札が進んでくると思うんです。そのときに、やっぱり東京都が率先して、こういう問題について、問題点の解決を図っていく。それぞれ自治体は独立しているからなかなか難しい部分もあるでしょうけれども、この辺のリードを東京都がとっていく、これをぜひ進めてもらいたいと思うんですが、もう一度お答えいただけますか。

○小山契約調整担当部長 個人認証につきましては、いろいろな制度の中で、法律的な統一性が必要だというような認識のもとに法的整備が図られつつあるというふうに認識をしております。したがいまして、いずれ近いうちに、こういったような規格の統一化というものが全国レベルあるいは省庁レベルでなされてくる、自治体レベルでなされてくるというふうに認識してございますが、都と二十三区の間でも共同運営協議会といったようなものを組んでおりまして、そこでこれらの問題、電子認証、電子調達、電子申請等について話し合いを進めておりますが、そういうような場で検討をしていくというふうにしたいというふうに思っております。

○森田委員 ぜひそうやって、中小零細企業の方たちも非常に便利だといわれるような形をとっていただきたいというふうに思うんです。
 それから、先ほどちょっとお話を聞きましたけれども、きょうから三日間ですか、実証テストを行うというように聞いているんですが、もう少し具体的に、どんなようなことをやって、考えられる課題とか、そういうものがどんなことがあるのか、わかれば教えてください。

○小山契約調整担当部長 ご説明の方にわかりにくい点があったかもしれませんので、おわび申し上げますが、きょうから行いますのは、試行に向けての事業者説明会でございまして、実証テストの方は今月の十二日から十四日に実施をいたしました。(森田委員「終わったんですね」と呼ぶ)はい。実施をいたしました。
 その中で出てきました問題点でございますけれども、ただいま終わったばかりで、取りまとめ中ではございますけれども、例を挙げて申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、古いシステムを使っている方がいらっしゃるといったようなことで、その立ち上がりのときにちょっと、プログラム上かもわかりませんが、トラブルが発生したというようなことがございます。それから、いまだに電話回線をお使いになっていらっしゃる方がいらっしゃいまして、ダウンロード、情報の送受信をするのに非常に時間がかかるといったような問題点が出てきております。それらに対しましては適切に対処していきたい。今回の実証テストの中でも対処はいたしました。本格稼働に向けては、なおより効率のよい対処を求めていきたいというふうに思っております。

○森田委員 今、このような時代になっても、確かにそういう電子的なものを扱うのにすごく苦手な方たちがいるわけですよね。これは、将来的に電子入札が全部行われるようになった場合に、パソコンが使えないとできなくなっちゃうのか、あるいは並行して今までどおり紙の入札というのは行われるのか。これは財務だけじゃなくて、入札というのは他局もありますけれども、東京都全体として将来的にどんなふうに考えているんでしょうか。

○小山契約調整担当部長 先ほど、今後のスケジュールということで、試行から本格稼働へ向けての予定をお話をさせていただきましたが、本格稼働になった暁には、原則として電子入札一本というようなことで、紙との併用というようなことは行わないというような考え方でいきたいというふうに思っております。
 なお、パソコン等についてのリテラシーが不足する、能力が足らない方というような方につきましては、デスクで電話等でお尋ねをいただければ、親切に操作等についてお教え申し上げるというような対応もさせていただきたいと思いますし(「本当かな」と呼ぶ者あり)いや、それは本当です。現在もそのように対応させていただいておりますが、なお懇切丁寧に対応させていただきたいというふうに思います。

○森田委員 今でも本当に、おれはパソコン全然だめなんだという、そういうのはどっちかというと中小零細企業の創業社長みたいな人がいて、そういう人が仕事に参加できなくなるというのは、これは大変なことなので、この辺のサポートというのはしっかりやっていただきたいなというふうに思うんです。場合によっては、講習会のようなものを将来的には企画してもらうなり、そんなことも検討していただきたいというふうに思います。
 最後に局長にお伺いしたいんですけれども、こうやって入札制度、いろんな課題があった入札制度を、電子入札という形で一つの改革が行われているんではないかな。透明性とか、あるいは公平性とか、そういうさまざまな入札にかかわる問題を改革していく必要があると思いますし、電子入札を経由して、入札制度についての改革への取り組み、その決意を局長からお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○櫻井財務局長 契約の本来の目的は、既に先生ご存じのとおり、良質な公共施設あるいは道路あるいは物品の購入等、こういうものをできるだけ低いコストで整備する、あるいは調達していく、こういうことでございます。そのためには、これまで以上に公平性、透明性、競争性を高めていくとともに、適正な履行の確保、こういうものを図っていかなければならない、こういうふうに考えてございます。
 このような観点から、これまでも一般競争入札の範囲の拡大あるいは工事成績評定の厳正な実施等、指名、格付への反映等、さまざまな改革を行ってまいりました。電子調達システムの開発も、今、先生お話しのように、これら入札・契約制度改革の一環ということで取り組んできたわけでございます。したがって、これまでも、その観点からさまざまな取り組みをしてきてございますけれども、今後も、価格面でなく、企業の技術力に着目した、あるいは技術にすぐれた中小企業者、こういう方たちが競争に参加し得る契約方式、こういうものも検討しながら、全体としてコストと良質な品質の確保を目指して引き続き入札制度の改革に取り組んでまいりたいと思います。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十八分散会

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